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1950-07-25 第8回国会 参議院 農林委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十五日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○自作農創設特別措置法の一部を改正  する法律案内閣提出) ○新農業政策確立に関する調査の件  (肥料政策に関する件)   —————————————
  2. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これより委員会開会いたします。  本日は最初に自作農創設特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、昨日提案理由並びに改正事項説明政府より聽取したのでありますが、只今追加資料が参りましたので、先ずこれについて説明を伺い、それから質疑に入りたいと存じます。尚、質疑は初めに総括的なものをお願いし、その次に具体的な質疑を行うようにしたいと存じますので、御承知頂きたいと思います。速記を止めて……。    午前十時四十六分速記中止    ——————————    午後零時四分速記開始
  3. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 速記を始めて……。それでは午前中はこの程度にして、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五分休憩    ——————————    午後二時九分開会
  4. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これより農林委員会を再開いたします。  先ず農政局長から提出された資料につきまして御説明願いたいと思います。
  5. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) それでは御要求によりまして作りました資料、これにつきまして順次御説明して行きたいと考えております。  先ず需給の現況でございますが、これは一番初めの「昭和二十五年春肥需給状況」、これによつて御覧頂きたいと考えております。これは二十五年の春肥につきまして御覧頂きます段は、終りから六行目でございますが、この春肥供給というのがございます。これが昨年の十一月末の繰越とその後の工場在庫なり、生産計画生産いたされました数量がずつと出て来ております。これによる供給のトータルでありまして、これが硫安外安石灰窒素、尿素、硝安等を含めまして、窒素質肥料合計が、これが百八十九万三千二百八十三トンであります。それから燐酸質肥料は、過燐酸換算合計が百六万二千二百九トンであります。加里は四〇%換算でいたしまして、三十万六千五百十三トン、合計いたしまして、供給力と申しますか、供給し得る数量というのが三百二十六万二千五トンであります。これには七月の生産計画による予想推定数量も含んでおるわけであります。こういうふうなものがあるわけであります。それでそれに対しまして春肥割当をし、その割当に対する欠量の補填をいたしました合計、これが春肥需要として出ておりまして、これが窒素質肥料で百四十五万五千七トン、それから燐酸質肥料で八十六万八千四百トン、加里塩は二十一万七千六百七十六トンであります。計が二百五十四万一千二百八十三トンです。大体これだけあれば春肥需要計画通り行くわけです。從つて前の春肥供給計から、この春肥需要計を差引きましたものが七月末の繰越数量、つまり七月末はどのくらいの手持数量公団に残るかということになるわけです。繰越数量窒素質肥料で四十三万八千二百七十六トン、それから燐酸質肥料で十九万三千八百九トン、加里塩で八万八千六百四十一トン、合計いたしまして七十二万七百二十六トン、これが大体七月末の需要通り春肥需要通り農家が取つた場合において、更に次に繰越さるべき数量、これがまあこの計算で行きますと七十二万トンであります。でこれにはいわゆる配給辞退というものは一応見ておりません。つまり割当てたものは全部農家が取つた場合、こういうふうに計算いたしております。從つて配給辞退が若しあるならば、これに加算されるわけであります。それでその配給辞退数量がどのくらいあるかという予想であります。これは予想でありまして、なかなかはつきりはいたさないのでありますが、大体私共の推定いたしておりますのは、全部の肥料につきまして約九万六千二百トン、これを窒素質肥料で申しまして五万五千トン、加燐酸で二万五千トン、加里で一万六千二百トン、合計いたしまして九万六千二百トン、この程度は現在の状況から見て配給辞退になるのじやなかろうかというふうに考えております。從つてそれと合計いたしました約八十一、二万トンというものがいわゆる手持数最となつて公団が持つておる。そうしてそれを原則として来年の春肥まで持越しまして、三月以降においてこれを放出する、こういうことに相成ろうかと思つております。それに関連いたしまして、ちよつと御説明をいたして置きたいと思いますのは、メーカーの方にはどのくらいの数量が残るかということであります。これを七月末の分までは生産の分は原則として全部買うわけでありまして、ただ硫安及び石灰窒素については四分の一月分、それから過燐酸石灰については二分の一月分、これだけをメーカー手許に残して地きまして、それ以外の数量を買上げる、こういうことに相成つております。從つてメーカー手許に残ります数量は、硫安につきましては三万九千トン、石灰窒素四千五百トン、過燐酸六万トン、これだけをメーカーが持つておるわけであります。それ以外のものは公団が一応買上げるということに相成るわけであります。それから尚これに関連いたしまして、ちよつと御説明をいたして置く方がいいと思います。六、の「本年春肥配給状況及び前年同期との比較」というのがございますので、これをちよつと御覧頂きたいと思います。最後から二枚目になつておりますが、これが本年春肥の現在までの配給状況であります。大月末の全国配給状況であります。昭和二十五年に配給をすべき数量、これが百三十七万三千七百四十三トン、これに対しまして公団出荷は九九%、業者渡が八四%、農家渡が八〇%、つまり大体六月末においては八〇%程度農家に渡つておるということであります。それからこれを昨年の同期に比較いたしますと、昨年の要配給量が百万七千七百三十九トンであります。同期におきましては、公団出荷は一〇〇%、それから業者渡は九九%、農家渡が九八%になつております。それでこの農家渡のところが昨年よりも計画に比べますと渡つておりませんわけであります。併しながら数量ちよつと御覽頂くと分りますように、今年の割当が百三十七万トンでありまして、農家渡数量は百十万トンであります。昨年は配給割当が百万トンでありまして、九十八万トンであります。從つて計画といたしましては八〇%でありますから、数量から申しますと、これより沢山の割当があつてつたわけでありますからして、肥料をとつておる数量においては多くなつておるということは言われると思います。それから燐酸質肥料については同様で、見て頂きますと、六月三十日で農家渡数量が七六%でありまして、昨年の同期に比較いたしますと、これが九八%になつておりますから、少なくなつておりますが、割当が八十二万トンに対する割当であります。昨年は六十一万トンに対するもの、そうして昨年同期においては六十万七千四百八十七トンの配給であります。昨年よりもやはり全数量においては行つておるということが言えると思います。それから加里質肥料でありますが、これは同様農家渡が五七%、昨年は九七%になつております。非常に今年は惡いのであります。これは数量も昨年の十三万六千三百八トンに比べまして、今年は十一万六千七百三十八トンと遅れております。これは一つは船、加里は御存じのように全量輸入であります。船が非常に遅れておりまして、どうしても船が遅れた関係配給が遅延をいたしまして、止むを得ない結果になつて現われておりますわけであります。大体そういうふうな状況でございまして、パーセンテージとしては非常に惡いけれども、引取つた数量を比べますと、昨年よりも若干上になつております。こういうふうな状況であります。  それからその次に今後の見通しでありますが、これは一枚一つ飛ばしまして、その三枚目の、昭和二十五年八月乃至昭和二十六年七月間の肥料需給推算、これを見て頂いたらよかろうと思います。これは窒素質肥料から申しますと、二十五年の七月末の公団手持であります。これは先程の第一表で御覽下さると分りますが、その数字であります。四十三万八千二百七十六トン、これが手持数量になつております。燐酸質肥料も同じく十九万三千八百七トン、加里が八万八千六百四十一トン、こうなつております。それから八月以降の生産でありますが、この生産については、これは安本その他で計画を立てておられます数字を採用いたしまして計算をいたして参りますと、生産合計窒素肥料が百八十三万五千四百トン、それから燐酸質肥料は百四十四万二千トン、加里が二十九万九千トン、これにそれぞれ先程申しました手持数量合計をいたしますと、全体といたしましては二百二十七万三千六百七十六トン、こういうふうに相成るわけであります。それは加里については輸入がこれぐらいあるというふうな計画で見込んでおります。そういうふうなことでありまして、これが供給でありますが、これに対する需要需要は一応窒素肥料については二百十五万一千八百八十二トン取つております。通常この窒素質肥料が先ず二百万トン、燐酸質肥料が約百五十万トンであります。加里が大体三十万乃至三十五万トン、こういうふうに言えるわけであります。これは農林省の取つております需要量調査に基きまして、その当時の数字で一応計算いたしまして、それよりも多くなつております。それで計算をいたしましても、差引き窒素質が十二万一千七百九十四トン、過燐酸が十四万一千六百九十六トン、加里がこれは四十九万トンという需要数字が出て来るわけであります。これは非常に大きいと思いますが、こういうような需要だとすると、これはマイナスの十万三千六十二トンとなります。從いまして、大体生産が順調に進むならば、需給の面においてはさしたる窮屈はない。ただ併しながら、これはやはり一方輸出ということも考えられる。そういうふうなことで輸出の方についても、適当にこれを見合つて行くということにいたしますと、大体需給については何とか行けるのじやないかというふうに見当を付けているわけであります。  それからその次は、この肥料配給統制廃止に伴う措置に関する件、これは参考までに付けたのであります。御承知かと思いますが、昭和二十五年の六月の二十日閣議決定になりました。六月二十日閣議決定いたしました方針でありまして、この方針は「記」といたしまして、肥料配給公団昭和二十五年八月一日に廃止する。それから公団廃止後は肥料配給及び価格統制はこれを撤廃する。但し燐酸肥料については補給金の支出と関連して価格に関する具体措置を速かに決定する。これは燐鉱石が外国から来るわけでありまして、その燐鉱石値段が非常に高くなつております。從つて補給金を付けないで高い燐鉱石で過燐酸石灰作つたといたしますと、相当高い肥料になるわけであります。從つて我々といたしましては、燐酸肥料についてはこれは補給金を出す。燐鉱石に出す。そうして結局安い燐鉱石メーカーに渡すということによつてできるだけ合理的な価格に落著くようにいたして参りたい。末端の価格については現在のところではこれを自由にして、というふうに考えております。それから公団解散に至るまでは、公団從来通り肥料の買入及び配給を行う。買入れます数量及びメーカーに残ります数量については、先程申上げた通りであります。公団廃止をいたしました際の手持肥料原則として明年春肥期間に売出す。これは春肥はいつも肥料窮窟になる時期であります。むしろ秋肥生産の方がオーバーしておりまして、需要の方がそれより少いのであります。春肥の方は需給が逼迫いたして参りますから、手持をいたしております約八十万トンのものも、これは原則として勿論秋肥、例えば硝安でございますとか、若干のものは秋肥に出さなければならんことも起るかと思いますが、大体原則として春肥手持肥料は出すというふうになつております。それから公団廃止に伴う製造業者及び販売機関所要資金調達については別途強力なる金融措置を講ずる。金融措置あとで御説明いたします。それから肥料輸出許可制は存続するも、国内需給事情を勘案し、予め定める数量範囲内で民間輸出を認める。国内統制は自由にする、肥料輸出に対する許可制というものはこれを存続して行く、そうして国内需給事情というものを勘案いたしまして、大体国内でこれたけ要るんだということを勘案いたしまして、予めどのくらい出したらいいかということを数量を決めまして、その数量範囲内で民間輸出して行くというようなやり方でやつて参りたいということであります。それから肥料配給公団廃止に関連いたしまして、硫化鉱価格及び配給統制廃止するということになつております。五の肥料配給公団廃止に伴う金融措置と言いますのは、これは一枚めくつたところの四に出ております。二十五年の七月十一日の閣議決定をいたしましたわけであります。この要旨は、從来公団は三十三億の資本金を持つており、又預金部資金を以て運用をして来たのでありまして、一切政府資金で賄われておつたのであります。今度公団廃止されることになつて民間資本に頼らなければならないということに相成つたのであります。從つて考え方としては、できるだけ民間資本によつて肥料金融が付くように考え、そうしてどうしても不足するようなものについては、政府資金を貸すように努めて、これをうまくやつて行くという趣旨であります。農業系統機関の買入れ肥料については、これは予約制度予約をとりまして、それによつて全購連で為替手形を発行いたしまして、それによつてメーカーから引取る。メーカーはそれを銀行に割引いて貰うことによつて中金その他金融機関に割引いて貰うことによつて金融を付けて行くということでありますが、この予約制度運用によつて協同組合による肥料引取りの促進を図つて行く。これが決済資金は、農業系統機関は極力農林中金資金を使う、農林中金は一年の間に非常に資金が集まる時期と、少くなる時期があるわけでありますが、供米代金その他農産物收入が入りました時期には相当資金の余裕もございます。そういうときには、これは中金で面倒を見て行く、そうしてどうしても詰るようなものについては、日銀その他に面倒を見て貰うというやり方でいたすことになつております。  それから製造業者及び肥料商相互間の決済は、これは原則として商業手形でやつておるのでありますが、日銀が必要に応じてこれの再割引を行う、こういうやり方考えております。尚、季節的な事情に基く在庫資金、つまりメーカー販売者の方が多くありまして、需要の伴わないような時期が出て来るわけであります。そのときのストツク資金については、これは商品担保金という制度がありますが、その他日銀による適切なる方法によつて市中金融に乘せ得るように措置して行くということを考えております。それから先程申しました七月末までの肥料を買う、できるだけメーカー手持を少くするということも、私共としましては、金融やり方のむずかしいこの時期においての、一つ金融対策であるというふうに考えております。それから日銀融資斡旋を活用すると共に、市中金融円滑化促進するために、市中資金が下足するときには政府資金を活用するというやり方で面倒を見て行きたいと思つております。それから公団廃止までに生産された肥料原則として公団で買上げる。右に必要なる措置をとると言いますのも、先程申上げましたように、これも一つ金融措置と非常に関連した措置であると考えております。これによつて計算いたしますと、肥料配給公団廃止に伴つて措置すべき肥料資金の目標というものがどういうふうになるかということでありますが、大体七割アツプ計算でいたしまして、肥料そのものには七割アツプ、それから二ケ月の決済期間があるというふうな計算でいたしまして、流通資金及び在庫資金合計が次の表のように出ておるのであります。大体申しますと、本年十二月までにおける一番資金需要の多い時期は百十億、それから明年一月から七月までの間において、最も資金の多くかかる時期は五月の二百五十億、大体これくらいの資金が必要である、こういうふうに考えております。それから尚その外ちよつと書いてある資料もございますが、これは御覧頂ければお分りかと思つております。大体そういうふうなことでありまして、あとは御質問がございましたら申上げます。
  6. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今農政局長より肥料の最近の需給状況、更に公団廃止に伴ういろいろな措置について御説明がございました。これより委員の諸君の質疑をお始めになつて頂きたいと存じます。
  7. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 公団廃止を八月一日にするとの決定がございますが、もう今日は二十五日でございますが、いわゆる配給公団令に基きまして、安本長官が恐らく解散の命令を出す手続をおとりになるのではなかろうかと思うわけでありますが、結局ぎりぎり一杯の七月三十一日におやりになるのでありましようか。先ずお伺いしたいと思います。
  8. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これにつきましては御承知のように関係方面アプローヴアルが要るわけであります。現在安定本部からそれの申請をいたしているわけであります。その書類も毎日のように催促を安本の方からしておられます。もう最終的な段階までその書類が行つているそうであります。昨日下りるのじやないかと考えておりましたが、本日はまだ打合しておりません。そのアプローヴアルが出次第、安本からは解散するということが明示されます。そういうような手続は済んでおります。
  9. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 次にこの統制をお解きになりますことによりまして、從来肥料に対する補給金をお出しになつてつたわけでありますが、燐酸肥料につきましては、引続きお出しになるようでありますが、他のものは外すということになりますと、八月以降支給を予定されておりました補給金を交付しなくて済むという大体の……。
  10. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 大体補給金が確か百五十億ぐらい、初めの数字より少し下つております。公団の方の数字は百五十億が全体でありますが、そのうち八月以降の分が補給金が大体六十四、五億でございます。六十四、五億の補給金のうち、過燐酸、つまり燐鉱石出します分が約二十億であります。その二十億を出すことになりますからして、節約と申しますか、それは大体四十四、五億と、こういうことに相成つております。
  11. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 統制解除後におきまする価格につきまして、先般来大体政府の方でお考えになつていらつしやるものが、八月以降五割アツプというような事柄を洩らされているわけでありますが、從来補給金を漸次外して参りまして、八月末のいわゆる第二回目の補給金を外すことによつて、大体八割五分、昨年十二月の価格アツプになるということを言われておつたわけなんでありますが、この補給金の四十五億というものを交付しないということになりますと、その価格というものが八割五分以上に上らなければならん筈になるのだと思いますわけでありますが、この点に対するお考えはどういうものですか。
  12. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 從来の原單位計算から算出いたしました価格では、お話のように補給金が外れればそれだけ更に高くなるという勘定であります。併しながら実際の問題といたしましては、価格は売主たるメーカーと、買主たる農家との間に自然的に決まつて行くことになろうかと考えております。私共といたしましてはメーカー方面企業合理化もこれによつて促進をされまして、できるだけ農家に安い値段肥料が渡ることを期待しておるのでありまして、大体私共の想像といたしましては、補給金が出ませんでも当初予定いたしました七割以上になることは恐らくあるまいということを感じております。
  13. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 そういたしますと、先程御説明がありました八月以降の生産者製造計画というものに対しまして、只今お話がありました合理化の点と購買力の減退、この二つの理由から大体五割アツプで済むだろうと言われておりましたわけでありますが、補給金というものは今まで相当な生産費の中で割合を占めておるわけなんでちりまするが、これをなくすることによつて、ただ企業合理化ということでそういうような結論になるお見通しでございますか、その点をもう少し……。
  14. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 私は何もその五割アツプになるだろうということは申上げておりません。それはなかなかむずかしい問題で、どうなるか分らぬと考えております。併しながら大体需給状況が先程申上げましたような状態になつております。統制を外しました場合にやはり企業合理化関係もございましようし、その外一般にやはり外れましたものの從来価格変動の経過から考えまして、肥料としてもやはり大体同じような推移を辿つて行くのじやないかと、こう思いますので、補給金が外れましても、大体のところ七割以下になるであろうというふうにまあ思うわけであります。
  15. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 それでは余り時間を取り過ぎてもどうかと思いますので、一つだけお願いしたいと思いますが、この公団廃止によりまして、自由なる取引をなしますという場合に、私は何らかそこにトラブルが多少起るのではないかという心配をいたすのでありますが、先に政府でありましたか、自由党でありましたか、この切換時におきましては、肥料配給調整に関しまする何らかの措置をお考えになつてつたようでございますが、それをお取止めになりましたにつきましてのその経過なり、理由なりを一応この際承つて置きたいと思います。
  16. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは前第七国会におきましても、自由党の方から、肥料需給調整法及び肥料需給調整特別会計法、こういうふうなものを議員提出としてお出しになりまして、これによつて肥料の季節的或いは時期的な調整をしようという御計画であつたのであります。私共といたしましてもやはり同じように考えておりまして、ただ單に手放しだけでいいとは思つておらなかつたのでありまして、從つて我々といたしましては、この案は新らしい特別会計を作るということで非常にむずかしかつた、難色があつたに鑑みまして、多少内容を変えまして、我々といたしましては現在の配給公団肥料需給調整公団に改める。つまり全量買取機関から一部数量買取機関になる。そうして一部数量を買取りましたものを以て、この需要期における肥料の円滑な調整を図つて行きたいという趣旨から、肥料配給公団令改正して肥料需給調整公団に直したいということを考え、それをいろいろ折衝をいたしたのでありますが、併しながらこれは遺憾ながら関係方面の御了解を得るに至らなかつたわけであります。從つて我々といたしましては、さりとて公団をそのまま続けることもできないわけでありますからして、現在としては一応外す、全部なくするというような措置考えましたわけで、尚この問題は我々といたしましても、今後共外しました後の肥料需給調整需給事情というものをよく睨んで行きまして、それに応じまして適切なる措置をやつて参りたい、かように考えております。
  17. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 随分長いこと悩みの種で、どうすればいいというので議論されておつたようでありますが、去年の暮でありましたか、何とかしなければならんという話を聞いたときに、農林省内の有力な方から、現存肥料統制を外すと始末が付かなくなる、さりとてこれをどうして行くかということになると、統制を外して配給操作だけ若しやるとしても、農林省ではやる者はおらんのだ、こういうことを言われたので、実は議論も大分あつたのでありますが、非常に心配をいたしておりました肥料製造需給割合が非常に緩んで来た、そこで農家引取数を今の数字で御説明になりますように、全体の数から言えば二十五年度の春肥は減つておるようだが、今まで前年度の農家需要から見ると何も減つておるんじやなく、むしろ少し上廻つておるというようなわけでありますが、輸入をいたしておりましたが、これは好むと好まざるとに拘わらず押し付けられておつたという方もあると思いますが、真つ平御免だということで盛んに言われておりましたが、併し現在は輸入どころでなくて、輸出さえもできる見通しが付いたのでありますが、どうしてこんなになつて来たのですか。
  18. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは或いは通産省の柿手さんがお見えになつておりますから、数字で御説明頂いた方がいいかと思いますが、非常に殖えましたのは輸入が殖えたわけであります。輸入が我々の計画以上に沢山に殖えましたことが一つ、それからもう一つ国内生産というものが非常に順調で、当初予定いたしました数よりも多かつた、そういうような二つの事情から、二十四年度の事情がよくなつたわけであります。
  19. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 本職の柿手さんにお伺いいたしたいと思うのでありますが、輸入をしたために輸出をしなければならんという結果になつたのでは非常に困ると思うんですが、現在の輸入価格輸出価格との比較はどうなつておりますか。
  20. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 説明員の通商産業省化学肥料部長の発言を許して差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは柿手君にお願いいたします。
  22. 柿手操六

    説明員(柿手操六君) 輸入価格はこれは私の方の所管でなく、むしろ農林省の方が御承知だと思いますが、話に聞きますと、いろいろな種類がありまして、値段も必ずしも一定しておらぬ。最近入つておるのは五十数ドルで入つておると思つております。現在輸出価格は、台湾に輸出する契約が最近ございますが、これはFOBで約五十四ドルということになつております。
  23. 西山龜七

    ○西山龜七君 八月以降に政府手持になりまする肥料を、それを政府が販売しますときの方法を具体的に御説明を願いたいと思います。それから第二点には、八月以降に各メーカー製造いたしました肥料に対しまして、何か政府の支持によつてそれを処分しますか、又各メーカーの自由によつてそれを適当に自由に処分するか、この二点をお尋ねしたいと思います。
  24. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 公団手持数料を放出する計画につきましては、これはまだ各関係方面とよく相談をいたさなければなりませんので決定いたしておりませんが、大体私共の考えておることを申上げますと、先程申上げましたように、手持肥料原則として春肥の三月以降に見たい。それで大体地区ごとに分けまして、前から予め計画を立てまして、いつ頃にこの地区で何トンくらい売り出すということを予め予定を立てまして、そうしてそれに参加する者は、それは原則として入札によつて落すというふうなやり方でいたしたい、かように考えておりますが、詳細につきましては、術関係省ともまだ打合せが進んでおりません、それを進めましてから決定いたしたいと思つております。それから尚八月以降につきまして、メーカーの造りました品物は全部自由でありまして、政府はこれに対して何らの指示はいたしません。
  25. 西山龜七

    ○西山龜七君 只今の御説明によりますと、八月以降の各メーカーの造りました肥料は自由である、かような説明でありますが、私はたとえを以てお尋ね申上げたいのは、例えて言えば一から十までのメーカーがあるといたしまして、その各メーカーはそれぞれ採算の原価が相違するのであります。そこで五位に位いたしまする原価のメーカーが、採算の価格で販売するといたしましたならば、六位以下の高い原価のメーカーは損をして販売するか、製造を止めるか、かような結果になると思いますが、若しそういうようなことで放任して置くといたしましたならば、或いはその水準以上の原価の高い工場は事前に休業する外はないかのように考えますが、こういう点に対しましては、政府はどういうような方針を以て臨みますか、その点をお尋ね申上げたいとといます。
  26. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは配給及び価格が自由になりましたときに、そういうふうな現象が起つて来ることは、これは或る程度止むを得ないことであろうと思います。それによつて又一方健全な競争ということが起つて来る、又合理的なコストの切下げということが真劍に考えられて来るというふうに私共は考えております。でありまするからして、自由経済のいい面といたしましての、正しい競争の行われるということは、私共もこれは必ずしも憂うべきことでなくて、期待すべきことであると思つておりますが、併しながら我々といたしましても、メーカーが非常に苦境に陷つて倒れているということについては、これは全体から考えましても、又農業の方面から考えましてもいいことではないのでありますからして、我々といたしましても、今後とも自由になりましても、この肥料工業というものに対しては、それが健全に育つような面についてはいろいろと努力をして参りたいと思つております。
  27. 西山龜七

    ○西山龜七君 今の御説明を承わりますと、採算の惡いメーカーは自由競争によつて自然消滅することになると思います。需要供給によつて物価が生れて来るのでありますからして、その辺は政府は特にお考えにならなければ、或る有力な会社が他の同業者メーカーの採算倒れを狙つて、大いに増産をするとかというようなことになりました場合に、その逆にメーカーが倒れました後は、その反動が来て非常に高い値段が現出するということは、これは理の当然でありますから、私は政府といたしましては、この点に特に御注意をせられまして、政府手持の処分の方針その他に対しまして、一つ最善の御注意を拂つて頂きたい、かように思うのであります。希望を申上げて置きます。
  28. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは日本の政府の思うようになるかならぬか、ちよつと見当が付かぬと思いますが、今後も輸入をする必要のある肥料は決つておりますが、加里燐鉱石、これは当然のことでありますが、日本で相当に生産のできる窒素肥料、即ち硫安を今後は輸入をしないということにできますか、如何ですか。
  29. 柿手操六

    説明員(柿手操六君) 今年の七月から来年三月までの一九五一米穀会計年度におきましては、窒素肥料輸入は日本としては必要ないということは政府として申上げておる通りであります。アメリカも輸出をしないということに決定をいたしております。
  30. 西山龜七

    ○西山龜七君 もう一度お尋ねしたいと思いますのは、政府手持肥料を販売する方針につきまして、先程の御説明には從来の実績によつてその肥料を処分する、かように申されましたが、さすればその肥料が若し実績に応じて処分するようなところに保管しておらなかつた場合におきましては、その保管場所から需要場所に対しまする運賃負担というものは、政府が負担いたしますか、又は買主の負担になりますか、この辺をお尋ねしたいと思います。
  31. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 私は必らずしも從来の実績に応じて処置するとは申しておりません。併し主な場所に、大体幾つかのブロツクに分けまして、主な所に肥料は保管さして置く。そうして大体この地帶の分としてこのくらいの数量というものを放出するという計画を立てております。そうしてそれを予め定めた機関に売出して行くわけで、ただ買います者はそれをどこへ持つて行こうが、これは自由であります。そこで売ろうが或いは遠くへ持つてつても、引合うと思えば運賃をかけて持つて行くことも自由であります。それについてただ遠い所に持つて行くといつて政府がその運賃を助成するということは、これはちよつとできなかろうかと思います。結局は入札いたしますならば、その入札の価格というものに当然買う方は一つ計画を持つて、こういう場合ならこのくらいで買おうということで値を入れるのだろうと思います。それについては政府は助成するすべもございませんし、これはできなかろうと思います。
  32. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 ちよつとお伺いいたしますが、公団廃止後は、もう全然業者の自由の販売をやるのですかということを一遍具体的にお聞かせ願いたい。その次の問題は、今度肥料統制並びに公団がすつかり廃止になりましたら、肥料価格というものは如何なる方法の価格も全然これは政府としては、例えて言えば、最高価格とか何とかというものも使わないということになるのか、お聞かせ頂きたいと思います。第三番目は、あれだけ大きな補給金がなくなりましたら、最前ちよつとお話もありましたが、もう少し具体的に、政府としてはどの程度肥料価格が上るとお見込みになつているか、お聞かせを願いたいと思います。以上三点であります。
  33. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 八月以降は全然配給価格は自由であります。どこでどんな値で売ろうが、これは自由ということになつております。それについて、それが例えば暴利をとるとか、何か非常に高いとか、何とかいうことで、別の法律に引つかかる場合は、それは別といたしまして、政府といたしまして現在のところこれを抑える、その価格を最高価格を付けるというふうなことは考えておりません。価格だけさようなものを付けましても、配給統制が自由になつております限り、それは余り実行が期せられないのじやないかというふうに考えるわけです。ただ過燐酸につきましては、これは一応燐鉱石補給金出しております関係がありまして、この面につきましては、よく注意をして参りたいということはあり得ることだろうと思つております。その外に窒素肥料につきましては、私共といたしましては、今価格をどうするということは考えておりません。それからすでにできますものがどの程度に値上りするかという問題、これはたびたび聞かれて、私共としては答弁に困るのでありますが、値段は私共作るのでございませんので、自然にできるのでありまして、又役所がこのくらいの値段になるだろうということを言いますことは、又場合によりますと、非常な誤解と言いますか、誤解を招く虞れもありますので、私といたしましては、自信もございませんので、これは差控えたいと思いますが、大体大雑把に言うならば、現在の三割五分以上ではあろう、それから七割以上にはなるまい、その中間において我々といたしましては、現状から考えれば、むしろその中間において、現在価格に近いような見当で或いは決まるのじやなかろうかという予想は持つております。これは併し実際にできて見なければ何とも言えないことです。これはよろしく御推察頂きたいと思います。
  34. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今お聞きをしたら、輸入は七月から先にはしないというお話でしたが、この表を見ると、八、九とするようになつている、五万三千と……。これはどうなのでございますか。
  35. 柿手操六

    説明員(柿手操六君) それは一九五一米穀会計年度で新たに輸入計画をしないということになりまして、一九五〇年の輸入計画のズレが、これは決定した分が入ることになつております。
  36. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 自由になつたときの価格の問題でいろいろ心配をしてお互いにやつておりますが、長い間統制をされて、国民の血と汗を絞つた税金から補給金出して、そうして高い肥料を使わせないように、商品にも影響がないように守つてつたのでありますが、今度外しますと、農林省お話では、どうもそんなことは余り言えない、こうして幅の広い想像をいたしておりますが、私はそうでなくて、今までも管理をして、補給金出して来ました以上は、最小限度このくらいは今下げても一向差支えない、合理化をすればそこまで行けるのだ。こういうくらいのことはなくちや、今までまるで業者の言うままに肥料を買つてつておられて分らぬということは非常に不親切じやないかと思う。それは農林省が言つたからでもありますまいが、そのくらいのことは長い間やつて来た経験から当然それが言えるようでなければ困る。我々は肥料業者の方に対して、これは予想が違つておりまして、長い間肥料統制をやつて補給金を貰つて、そうしてあの表を見るというと、肥料工場個々のものでも全部価格が違うわけです。そこでこれはときの事情により、その工場の操業過程により、いろいろな関係生産コストも違うことは分らぬわけではありませんが、殆んど言うがままというと語弊がありますが、言うがままに近い価格に買つてつてつたと思いまするから、非常に儲けておつたのであります。こういう考え方でいて、さて統制を外すようになつて見ると、そうでもなさそうであります。メーカーの方にも非常に資金的に余裕がないようで、いろいろ心配をいたしておるようでありますが、この春でしたか、第七国会の終り頃に工業クラブに行きましていろいろメーカーの人がおいでになつてお話を承つた。そのときの心配は金がどうなるだろう、代金がどうなるだろうという心配があつて、そこでそのときに、今まで儲けたのだから、政府は今度は統制を解けば、その報酬に下げて貰えるかどうかというお話をしておりましたら、向うの方でトン千円くらいは下げられるだろう、これは下げますというふうな話をしておりましたが、その話を聞くと、どうも今の農林省の返事のように、向うの言うままに補給金出し価格出してやつて、分らぬということはこれは誠に不親切で、これはどうも農政政策上非常にいかぬことだと思いますが、局長一つ。いろいろ長い間その経験を見て、このままに下げると、これは確かこのくらいなら一体やれるだろう。これくらいの自信があつてと、この際説明をして貰わぬと、それは誠に駄目だと思う。どうですか、これは……。
  37. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 率直に申しまして、私はその自信はないと思います。各工場によつて違いますし、こういう農家の側におきましても、なかなかこの値段以上はどうしても買えないという値段が言えるかということになりますと、これは非常にむつかしい。でありますので、結局そのときどきの購買力関係或いは経済的事業でおのずから値が自然に決まつて来る。それが勿論それでいいのではないか、というふうに考えるのでありまして、私個人の私見は持つておりますけれども、併しこれはそういうことは言うべきでないと思いますので、遠慮さして頂きたいと思います。
  38. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 全然話が違うので、百姓はこれなら買う、これなら買わないという自信はなかなか持たぬと思う。そこでこの製造業者の方では、これで売つたら赤字になり、これで売つたら黒字になるだろうということは、これはきつと分ると思う。それがこれで売つたら赤字になるだろう、これで売つたら黒字になるだろうというくらいのことは、今まで統制をやつて価格を指定して補給金出しておつた方々は、そのくらいのことを言えないとは無責任極まる。これは困つたことだ。そういうことでは我々行政をやつておる者も不安でならない。それで私見がありますが、それは言えませんというのは、農林省農政局長として大凡そこういうことは……、違いますよ、違いますけれども、そのくらいは言うて貰うようでなければ、あれがどうも今まで統制の波に隠れて、何しておつたか分らぬと言われても止むを得ないと思う。ちつとも目標なしに、硫安なら大体総合してこのくらいは業者はどうにかやれる。価格に対して若しそれを割ると、現在までの経験からして赤字だろうというようなことは言うようでなければ、農政局長として、責任立つかい。
  39. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) どうも非常にむつかしい御質問でありますが、硫安にいたしましても、やはり電解とガス等では違うので、同じ電解法にいたしましても、それぞれの会社のやり方についても違うわけであります。從つてこのくらいと言いましても、なかなかそれは一様には言えないことであります。從つて私共といたしましては、どうぞ値段が外れたあと値段というものは、自然と双方の話合いによつておのずから落着くところに落着いて行くというふうに考えております。
  40. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) ちよつと委員長からお伺いしたいのでありますが、値段が非常に自由になる、こういうことになつて来ますが、そのために肥料価格に非常に高下が生じまして、これが農業政策に非常に大きな影響を持つことも考えられる、そういう場合にも農林省は放つて置くつもりでありますか、自然に任して置くつもりでありますか。
  41. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) それについては、来年の春肥にさような事態が起るという問題については、実際公団手持数量があるわけであります。從つてその八十万トン見当の手持数量肥料等を有効に使用することによつて、そういうふうな激しい肥料価格の乱高下というものはこれを抑えて行きたい、調整をして行きたい。で私共の考え方といたしましては、さような調節する機能というのは、これはやはりずつと欲しいと思うのでありますが、これが遺憾ながら実現しておりません。今後自由になりました後の事情の推移をよく注意しておりまして、それに応じて将来について適切な措置を又考えて行きたい、こういうふうに思つております。
  42. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) そうすると、農林省としては自由にはするけれども、併し乱高下を生ずる場合には来年の春肥までは公団の現存ある手持ちの物を使つて、それを適当に出して抑えて行きたい。その後のことについては改めてそういう方針で何か措置を講ずる。こういうことでありますか。
  43. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 私共としても從来唱えております需給調整的な法律、そういうふうなものが肥料については必要じやないか、これが遺憾ながら実現はいたしませんけれども、我々としてはこれが今後実現できるように努力して行きたいというふうに私共としては考えております。
  44. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 公団廃止後の肥料価格問題は大体論議の盡された感もいたしますが、三割五分値上げされた現在においてすら配給肥料が受取れないという農家が可なり出て来ておる。それが八月一日から手放しにされてしまつたために、局長の大体の予測を聞くと七割よりは上がらないだろう、併し下がると言つておらない、恐らく上がるという判定のようでありますが、そういうふうになつて来ると我々農家の側からすれば、現在ですらなかなか肥料が取れないという状況にあるにも拘わらず、或いは五割、或いは六割、或いは七割に近い値上りをされるということになつて来れば、これでは農家の経営が全く危殆に瀕するという一つの大きな農家経営上の難点がここに擡頭して来るだけでなく、これが延いては農産物価格、特に米価の上に大きな影響を直ちに及ぼして来るということが考えられると同時に、ひとり米価だけでなしに農産物価格全体の上に大きな暗影を投じて来るということは間違いないと思います。これはそういつた広汎な問題が我々農業生産の上に重大な一つの更に破局を迎えるということと同時に、一方我々農家の経済団体である農業協同組合がすでに配給した肥料の立替拂のために、或いは貯金の支拂の制限であるとか、或いは貯金の支拂停止という現象がすでに協同組合の窓口あたりに頻々として起つておる、こういつた事態をまさか農政局長は知らないことはないと思う。こういつた現象が全国の農村に頻々として、而もだんだんその数を増しつつある現在の情勢下において、そうして而も八月一日から数量価格も手放しにしてしまうのだ、あとは強力な金融措置ということが謳われておるけれども、これはさつぱり具体的には明確にされておらない。而も六十億という八月以降の補給金がここに浮いて来るわけでありますが、そのうち二十億が燐鉱石輸入のために使われるということでありますから、残りの四十億の補給金については何にお使いになるか。我々は先ずこれを知りたいのであります。これを先ず第一点に伺いたいのであります。その八月以降の補給金六十億のうち燐鉱石に出す二十億の残りの四十億、これは大体どういうふうに措置されるのか、それを一つ
  45. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 補給金の残り、一応計算上出ました四十億を何に使うかという問題については、むしろ大蔵大臣に御答弁頂いた方がいいのじやないかと思います。これは恐らく政府としてはその他のいろいろの公務員のベース改訂でございますとか、或いはいろいろの工共助業とか、そういつたような面に予定されていると思います。
  46. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 それでは補給金を打切られたために値上りになつたその負担の犠牲は、これは大部分が農家が負うということになる。製造業者とか、販売業者はそれぞれの金融措置考えられておるようですが、農家に関してはそういう措置がさつぱり考えられておらない。そうすると、その肥料値上りの犠牲は大体においてその大部分を農家に負担せしめる、こういう考えでありますか、それを一つ農政局長に明確に御答弁願いたいと思います。
  47. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは從来のままで行きますと、補給金は頂きますけれども、農家渡価格は七割アツプ価格になるわけであります。つまり從来の案で行きますと、七割アツプ価格農家では買わなければならないということに相成るわけであります。從つて仮りに我々の想像しておりますように、外すことによりまして少くとも七割アツプより下るということになりますれば、もとより農家としては、そのために負担は決して増すというわけではございません。若しもその計算がその通り適当であつたということになると、そこはメーカーなり配給機関がいろいろの合理化をやつて、その間のしわを自分なりで解決して行く、こういうような結果になるのであろうかと思います。
  48. 三好始

    ○三好始君 数点お伺いいたして見たいと思います。補給金廃止から肥料の値上りが起つて来るわけでありますが、これが更に先程の御説明によりまして相当の値上りが予想されることになる。こういうことで農家経営に対しては相当大きな影響があるわけでありますが、先ずお伺いいたしたいのは、配給統制廃止になつて肥料が農業手形の対象になるのかどうか、こういう問題であります。先ずこの点からお伺いいたします。
  49. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは自由になりましても、やはり肥料購入については、農手の対象として参るということに決めております。
  50. 三好始

    ○三好始君 対象になるといたしましたならば、その具体的な方法については從来と変りはありませんか、方法について何かお考えありましたら、お伺いいたしたいと思います。
  51. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 從来と変りはございません。ただ今度この農業団体の分については、肥料の購入予約制というものをやりたい。農家の方は從来と何ら変りはないわけでありまして、これだけのものを買うから、それに代金は今度の出来秋で米で返す、ここでとつて呉れというような委任状を付けまして、それによつて單協から購連へ農手を出して、購連から又信連の認証を受けて全購連へ持つて来る。中央において全購連が為替手形を振出すということになると思います。
  52. 三好始

    ○三好始君 米価決定方式をパリテイ計算方式でやつておるということはまだ変更される予定はないと思うのでありますが、肥料価格統制が撤廃になつて自由になつた場合に地域的に変つて来るでありましようし、時期的にも相当変化が予想されるわけでありますが、パリテイ計算の基礎としての肥料価格をどういうふうに押えて行くかという問題が起つて来ると思いますが、これをどういうふうにお考えになつておりますか。
  53. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) それは現在でも自由価格になつているものをパリテイ計算の基礎に入れております。肥料もやはり公定価格がございませんので、そこは非常に調査を要することになりますが、やはり各地の事情と言いますか、それを調べまして、それを例えばオン・レールの価格、こういうものを各地のものを調べまして、これの平均なら平均というものを出して行くというふうに相成るかと思います。
  54. 三好始

    ○三好始君 窒素肥料は日本においても相当生産力を持つておるわけでありますが、肥料需給見通しからして、肥料民間輸出が将来どういうふうに予想されるか一応御説明を頂きたいと思います。
  55. 柿手操六

    説明員(柿手操六君) 肥料輸出につきましては、先程もちよつと御説明がございましたが、肥料国内で使用いたします肥料は先ずその方に向けまして、余力の分について輸出を認めて行く、それも自由に輸出をするのじやなくて、輸出許可制度を設けまして、量なり価格なりというものを十分検討いたしまして、国内の消費に惡影響のないようなふうに輸出を認めて行こうという方針にいたしております。量の問題でございまするが、これはいろいろ商売、取引がありまして申出はありますけれども、随分ダブつて来ておる関係で、実際にどのぐらいの輸出があるか、今のとこる見当が付きませんが、朝鮮、台湾等に日本から……日本で東南アジヤ地区に五十万トン見当は、これは輸出をしようとするならば需用はあると思います。現存のところ商談がありまして申出がありましたようなものの、その量はそう大した量じやありません。
  56. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 肥料統制廃止後のことは大体何遍も聞きましたし、非常に金融措置も大雑把ではありますが、日銀さえうまくやつて呉れれば、これはどうにかなると思つております。一年やつて見て又直すようにしたいと思いますが、実はいつも言いますように、百姓程馬鹿な商売は見られない。その百姓が使う肥料公団が、まだはつきりとその数字も得られておらないのでありまして、まだ盛んに取調べを受けておるのでありますが、百姓の攻撃を舐めるようなことをやつた結果になると思うのであります。今あれを追及してもどうも早いので、それはしませんが、政府としてどういうように一体お考えになつておるか、私共に言わせますと肥料公団ばかりでなしに、一般公団というものの政府の最初からの取扱い、即ち安本考えましたことを我々議会で決議をいたしましたものの、そのときにはそこまで実は感が廻らなかつたというふうになつておりますが、非常に短い期間に限定されておりますことで一般公務員と同じような取扱いにしておりますことが、かように公団が非常な不始末を出し一つの原因と考えます。併し肥料公団については今度の総裁は日本きつて肥料商人で、それはとても肥料にかけてはなかなか油断のならないことをやつて来た人であります。我々盛んに産業組合等でやつておるときでも鈴鹿さんが肥料商としては日本一であり、目から鼻に抜けた男で、公団廃止の時分に諸君に申訳なかつたり、或いは自分で困つたりするというようには実際しないように考えております。そこでああいう人を採用されたことは大きな誤まりではないか、そこで総裁を召喚することはまあまあ肥料公団がやつたようでありますが、そこで今現在新聞で書かれております通りか、それ以上に農林省、通産省の方でお調べになつておられると思いまするが、どんなことになつておるものか、一応お聞きしたいと思います。
  57. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 肥料公団につきまして、いろいろ問題を起しておりますことは、これを監督する私共の責任から申しまして、非常に恐縮に存じておりますわけで、もう問題は検察当局の手に移つておるわけであります。どんどん取調べが進んでおるようでありますが、その詳細は分らないのであります。大体新聞に書かれておりますようなことが問題になつておると聞いております。公団で問題になつております点が大体三点ばかりあるのであります。一つは東宝に対しまして、これは公団が浮貸しをしたと書いてありますが、そうではありませんので、公団の金を勧銀に二千万円預けまして、その頂けた金が東宝に勧銀から融資された。それについて何らか謝礼をとつておるのではないかという点が第一点、それからもう一つは、運賃につきまして二重拂いのような恰好をいたしまして、職員に対する餅代その他の特別な給與をしておるということであります。それから尚又その給與以外に、その金が特別な用途に使われておるのではないかということが第二点、それから尚会議費或いはその他の諸雑費の使い方が非常に多過ぎるが、そういうふうなものについて付か特別にその程度を超えて、或いは官庁方面でありますとか、その他の方面に使われておるようなことがないかというような、大体その三点が主になつていろいろ調べられておるのではないかというふうに聞いております。
  58. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 一体公団というやつは会計検査はしないので、直接監督しておる省がいろいろなことを調査するのですか、どうなんですか。
  59. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは法律的に申しますと、安本長官公団に対する最終の監督者であります。そうして経理の面についてはこれは大蔵大臣が監督する、事業の面については農林大臣が監督する、こういうふうになつております。会計検査もやはり行われておるわけであります。併しながらなかなか会計検査で分りませんような点がございまして、いろいろ問題を起しております。從つて法律上の責任ということになりますと、公団の監督の場合は複雑になつております。併しながらこれは常識的に考えまして、やはり肥料公団というものは農林省の責任で監督しております。こういうふうなことにまあ言われております。私共も法律上の責任はどうあろうとも、やはり一番関係の深い我々が一番責任を感ずると、こういうふうに思つております。
  60. 加賀操

    ○加賀操君 今の話に関連があるのですが、大体今の見通しで、八月になると公団がなくなりますが、今の経理の内容を分る程度最近のやつを教えて頂きたい。それからもう一つは、職員の退職後の措置がどうなつておるか、この二つを大体お知らせ願いたい。
  61. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 資料はまだ配つておりませんようですから、あとで又御配付をいたさせるつもりでおりますが、大体の経理の現在の資産の状況を申上げますと、七月末の資産でありますが、資産といたしますと、結論において約十九億の剩余金が出ております。そのうち一月の価格の値上りの価格差益金、これが約六億、それから三月の価格差益金、これが六億、十二億円でございます。その外に七億ございます。七億見当が剩余金と相なつております。從つてこのまま順調に参りますれば、公団に赤字を生ずるということは私共は万あるまいと思います。ただ問題は持つております商品、八月に私共在庫の突き合せをいたす際、帳簿に載つております通りの商品があるかないかということが一つの大きな問題であります。その突き合いをはつきりいたしませんと確定はいたしません。それから現在持つております公団肥料は大体三割五分アツプ肥料を持つております。これが幾らで売れるかという問題、それは三月まで持つておらなければなりません。その間の金利、繰越目減り、欠け減り等によつて、或る程度のコストがかかるわけであります。そのコストを補う程度に売れるかどうか、それによつて最後に公団経理がどうなるかということが分るわけであります。この二つの要素が確定いたしませんので、まだはつきりいたしませんが、現化におきましては、先程申上げましたように、価格差益金十二億、その他が七億、合計いたしまして七月末の資産表は約十九億程度の剩余金が出る、こういうことであります。
  62. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) もう一点あります。
  63. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) それから、人の処分でございますが、これにつきましては、大体公団の現在の人員が中央の本部、支部、出張所、合計いたしまして約四千四百人ぐらいおるわけであります。私共もできる限り現存の公団の人を新らしくできる或いは配給機関なり、或いは卸機関なり、その外メーカーの販売組織等に斡旋をしたいということでいろいろやつております。私共の聞いておりますのでは、相当就職率もいいようであります。大体半分程度はもう決まつたというような噂さも聞いております。これはまあはつきりそうであるかどうか分らぬが、大体半分ぐらいは決まつたあとのところが不確定なのがあるようであります。公団が清算法人に入りましても、一度になくなるわけではありません。来年の九月まで完全になくなつて行く、大体私共の今の計画では本年一ぱいに約半分ぐらい。それから来年の三月から四月頃までに三割ぐらい、それからずつと九月まで行きまして、最後には二割できる、二割程度になるというふうな計画で進んでおります。相当就職のないような者については、清算法人の仕事を引続いてやつて頂くことにして、その間において転換を斡旋をして行くということで考えております。私共もこの大口の引受先でありますところの協同組合系統にも話をしたり、或いは県庁方面にもいろいろ口を頼んでおるわけであります。今後とも公団職員ができる限り円満に就職することができますように私共もやつて参りたいと思つております。
  64. 加賀操

    ○加賀操君 只今の現物と帳簿でございますが、今局長の言われる通りですが、今までの経験から推して、そういう狂いがないと思つておられますかどうか、その点一つ
  65. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは大体この三月に一応在庫の調査をいたしております。一応それで確定しております。その後の受渡しが、まだ在庫の調査をいたしておりませんので、これが若干の狂いがあるのじやないかと思つております。私共といたしましては、そういう大きな狂いはないのじやないか、三月まではしつかりやつております。その後のいろいろな問題があるようであります。まあ公団も末端に行きますと、七月からなくなるということで相当浮ついておりますので、私共も心配はしておりますけれども、全体的に見てまじめに各支部ともやつておるようであります。大したことはないだろうというふうに思つております。
  66. 三好始

    ○三好始君 肥料配給公団の問題でありますが、監督官庁が安本農林省、大蔵省等に置れて、必ずしも農林省だけの監督の責任であるというわけではないのでありますが、局長の御説明によりましても、全体的には大体において農林省が責任の立場にあるというようなお話でありますが、大体公団廃止されるように予想され、或いは決定されることになりますと、他の公団の例から考えましても、又常識的にもいろいろ不正な問題などが起り勝ちでありまして、監督官庁の立場としては十分に注意しなければいけないと思うのでありますが、農林当局として肥料配給公団の監督のために特別の措置をとりつつあるのか、どうか。その辺の状況についてお伺いいたしたいのであります。
  67. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは前国会でもいろいろ問題になりまして、運賃につきまして五億六千万円ございましたか、瘤が付いておるというようなことで、それが問題になりましたので、それ以来私共といたしましても、極力公団の経理についても不正のないように、これを監督して行こうということで毎月々々の資産表なり、業務の報告というものを毎月々々徴しておつたわけであります。御承知通り、最近いろいろ検察当局の取調べも進んで参りまして、それ以後については帳簿等が一切押收されておりますので、その点についての調べができないような事情になつておりますのと、今後とも清算法人につきましても、私共といたしましては、清算法人の監督は大蔵省でありますから、我々といたしましては、やはり重大な関心がございますので、やはり清算法人の内部に農林省の人も駐在いたしまして、そこで常時業務上の経理の面には、これは大蔵当局でありますが、業務上の問題については、これは一つ十分注意しながらやつて参るということで、その点は大蔵省とも話をいたしまして、大体了解を付けております。
  68. 三好始

    ○三好始君 公団の総裁が、新聞に出ておりますようにああいうことになつて、総裁としての責任ある仕事も進められないというような状況になつておると思いますが、その善後措置については農林省としては何も考えておりませんか。
  69. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 新聞にはいろいろ書かれておりますが、総裁はまだやはり事務を見ておられますわけでありまして、今日もおられるわけであります。從つて現在農林省として、これはどうする、こうするということは考えておりません。ただこの月限りで総裁及び副総裁は当然これはその職を失つてしまうことになり、当然なくなるわけで、從つて我々といたしましては、もう仕事もないことでありますからして、特別の人を任用するということもこれは又できないことでありますから、その必要もございませんので、このままで推移いたします。若しも何か総裁にいろいろ御都合が惡いということができました場合は、あとの理事の会議制で取敢えず今月一杯はやつて行くというふうなことを打合せをいたしまして考えております。
  70. 門田定藏

    ○門田定藏君 次官と局長にお尋ねいたして置きたいのでありますが、大体公団の問題が新聞に発表されまして以来、我々は不安に思つておるのですが、この公団の不正に対する大体の損害の見通しがどのくらいであるかということを、相当な数十億の損害があるということが言われておるのでありますが、若しこの公団の不正によつて生ずるところの損害が出た場合、一体これに対してどういう処置をとられるか、政府としてはこの損害、あとの損害の補填とか、その他の処理については、若し損害があつた場合の政府方針が承わりたいと思います。
  71. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 新聞ではいろいろ書いておりますが、この不正事件の内容というものは公団に損失を與えておるが、その金が数億にも上るということはないのであります。これは先刻もちよつと御説明をいたしたのでありますが、いわゆる問題になつておりますのは、例えば公団がその資金を二千万円を勧銀に預けて、そうしてその勧銀がそれを東宝に融資をする、その融資するについて何らかの連繋があつたのじやないか、又それについての謝礼を貰つたのではないかということを言つておるのであります。それからいわば運賃の二重拂いというふうな形式にいたしまして、それを公団職員に或いは餅代でございますとか、特別の手当に使つたり、或はその外それを何らか別の不正な用途に使つていないかと、こういうふうな疑いであります。その外非常に会議費として使つておるのが多いが、それが限度を超えて使われておるのじやないかというふうな取調べでありますが、その職員の給與に使つたというふうな金額は別といたしまして、それ以外の不釣合の金額というふうなものについては、私共現在まで聞いておるところじや、そんなに大きな金額じやございません。勿論これは一万円と雖も公団の損失であり、国民の負担になるのでありますが、そんなに大きな損失にはなつておりません。
  72. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 外にございませんか。尚、大蔵省の銀行局から総務課長が見えておりますので、金融面の措置について御質問があつたならば答弁して頂きます。その点についてはございませんか。
  73. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 農村金融が非常に逼迫いたしておりまして、農村に対する金融は中央金融金庫一本で行きたいという、政府と言いますか、農林省と言いますか、そういう方針を持つておられます。それはそれでいいのでありますが、御承知のように、先般二十億が見返資金から入つて来たのでありますが、今非常に楽でない。金融金庫の方では貸すものを貸さないで、どうにかやつて来ておるわけで、是非なくてはならない金融ができないでおるわけでありますが、農林債券を振出しますときに、一般の市中銀行や我々団体の仲間ではそう沢山は引受けられないので、一括して政府で引受けて貰つて、それによつて金融するわけになるというので、こういうわけで実はお尋ねいたしたいのでありますが、二十五年度中に少くとも六十億の引受けはする、そこで預金部の金は非常にいろいろな必要もあるが、本筋はでき得れば預金部の金が一番いいわけですが、若しできなければ、国の金で何らかの方法によつて引受ける、こういうことを次官が大臣に代つて言われておりますが、一向それから途があかぬようでありまして、実は二十億入つて参りますが、その二十億の現金は、一部十八億は復興金庫で債券を引受けて貰つておりますので、それはそれとして、それを差引させないで、それはそのままに置いて、二十億そつくり貰うと考えておりましたときに、丁度そのときになつてから、大蔵省の方ではこれはいかぬ、どうしても引張らんならんというので、こういう二十億から十八億引張る、金は二億しか入つておらぬというわけで、それはそれで債務の責任になるものを早く拂つたに過ぎないので、それはいいのでありますが、あとの債券を出すのに引受けて貰う措置を早く構じて貰わなければいかんのでありますが、次官がただそのときに答弁逃れに言つたことではないと実は考えておりますが、大蔵省の方ではどうお考えになつておるか。
  74. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 説明員ですが、発言を許してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) では発言を許可いたします。
  76. 福田久男

    説明員(福田久男君) 只今御指摘頂きました金融債償還につきまして、お話いたしたいと思います。金融債につきましては、御承知のように農林債券もありますが、工業債券、勧業債券とか、北拓債券、商工債劣等もございまして、大月中におきましては、工業債券の外に勧業債券が十三億、商工賃券が四億、農林債券の十億が交付されまして、その償還につきましては、主として債務償還を財源といたしました市中銀行による消化と、それから農林債券につきましては、それぞれの農林団体等において消化が行われまして、概ねその成績はよいように思います。お話の中に預金部から今後どういう債券等を消化するようになるかというお話がありまして、この点につきましては、大蔵省といたしましても、大臣初め是非金融債の預金部資金運用したいということで、かねがね努力いたしておるのでありますが、いろいろの関係方面事情もあつて、今日までのところまだいい結果を得ておりませんけれども、極力その努力を続けて参りたいというふうに考えております。それから農林中金に対する見返資金からの三十億の出資のうち、相当多くの分を復興金融金庫の方に弁済せざるを得なくなつ事情につきましては、只今のお話には誤解があるのじやないかと思います。実はその直前になりまして、有力な方面からの意見として、それを返せということを條件とするというふうなことにお話がなりまして、その面では止むを得ず農林中金としても御承知頂いたというふうな事情になつておりますので、その間の事情をどうかお含みの上、御了解頂きたいと思います。
  77. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 よく知つております。それは知つておりますが、知つておりましても、その文句は言つておりません。それはあとで引受けるというようなことは、それで済んでしまうのでありまして、国の建前から言うと、あれは損なことなんで、結局そうして置くことがいいことであり、私らはその趣旨から言えば、国が逃げるならば別ですが、一つのこれは疑義を持つておる。所管すべきでない金を所管したということについては疑義を持つております。それはあとで申上げます。前の十億は短期で、それは金利がいいのであります。それで十億募集しましたところ、ずつと上廻つて希望がありましたが、十億だからそれで延びたのでありますが、ああいう短期の利子のいい債券をいつまでも出すのでは金庫は立つて行きません。そこでどうしてもそれをまとめて、一遍でなくてもよろしいと思いますが、六十億といつたものが五十億になつてもいいと思います。どうしても預金部の金はもともとから非常に困難があるということは知つておりますから、私は質問のときに預金部の金でどうしても引受けろということは申上げておりません。そこで政務次官の方も本会議でありますか、何ですか、何らかの方法によつて国費から必らず引受けますということを言明されておりますが、どうも政治屋というのは惡い癖があつて政府ちよちよい言い逃れをやりますが、金融についてははつきり断言したものは行わなければならんと思います。殊にいろいろこの問題ではありませんが、外の問題でも金融に関しますことは言明しただけでは駄目で、はつきりした書類でなければ信用ができぬので困つておるのでありますが、そういう関係から、実は今日はそれを申上げませんが、肥料のことでも実は僕に言わせると非常に疑義があります。併しもうこういう目度を作つてつたからやつてみろ、文句はあとで言えと、こういうことであります。その大蔵省が今のお話のようなお考えでは非常に困るのであります。これは大臣なり、或いは間違いのない責任者なりならば別でありまするけれども、これは今の説明員を責めても仕方がないのでありますが、農村が今どういうふうに困つておるかということを十分にお調べになつて、何らかの方法で、あの折角農林金融を緩和しようという趣旨で見返資金から引受けて貰つたのが効果が出ませんといかぬのでありまして、金庫そのものは今のところどうにか金融が付いておりますが、それは希望する、是非なくてはならんものに金融をしないから、それは通るのでありますが、当然その金融をしないと、今日では非常に事業その他に支障があり、農業経営にも支障がありますが、それは方法が違うので延び延びになつておりますが、一刻も早く大蔵省の方でもと言われました、言明したことを実行されますようにお運びを願わぬといかぬと思います。その点お願いします。この点はお願いですから……。それからこれは今お話を申上げております二十億が全額金になりますと、全部で大体百八十億ばかりの債券が出まするから、やがてはそれも借りるようになりますが、今現在そんな金ではいかぬので、私に言わせますると、大体今どうしても農村に必要な金は少くても三百億ということを考えております。それはここに資料を持つておりませんから、個別には申上げませんが、延び延びになると生産が非常に減退し、やがては国が非常に困ることになる前提であるということを御承知置きを願いたいと思うのであります。そこでそうならぬようにするのに、あらゆる方面に努力をして貰つて金融をしなければならんのでありますが、今の状態では一番の問題は預金部の資金が昔と方法が変つて融資ができないことが非常に問題でありまして、これは情けないことには、国会に、百姓をしておつて百姓をよく分つて強い意見を出す人が非常に少いために、非常に弱いのでありまするが、私共はあの預金部の金は何でできるかと申しますると、郵便局には郵便貯金が多数ありますが、その郵便貯金の僅かな、零細な貯金をしておるものは農業者が非常に多いのであります。それにも拘わらず農業方面に少しも融資をしないなら、郵便貯金の廃止をした方がいいというふうに考えております。それでありますから、是非そういう方面で十分御心配を願うように一刻も早くして貰いませんと、今額で百億の金を出すことをせないでおると、先きになつて五百億を投ずるということも出て来ると思いますから、その点は十分に大蔵省の方では心配をして金融の問題を願わぬといかぬと思います。その使途については詳しく申上げませんが、金融機関農林省の方で、実は協同組合が非常に不振で、そうしてそれを何とかしようというので非常に心配をなさつて事務的の表がうまくできましたが、表だけなんで実際の金が動かぬので、今麻痺状態になつておるのでございます。これが即ち日本の農業の大きな組織でありまして、協同組合を麻痺状態にさせて置きますことは、それは非常に百姓にとつて問題であります。これは金さえあれば、はつきりさせて機能を発揮することができますが、金がないために、幾ら書いたものが立派にできましても、それに伴う金ができませんと駄目なんで、農林省心配をし、起案をして実際に金融の機能を発揮しませんと、それこそ吉田総理大臣ではありませんが、空念仏になつてしまうのであります。そういう部面も金融には十分御心配願わぬと、この窮迫しております農村は絶対に救われぬ。今はどうにかなつておりますが、今に救われないところの余波を受けて腰が立たないというようなことになる。大蔵省の方でも十分に農村金融に特段の御心配を下さることをお願い申上げて置きます。
  78. 福田久男

    説明員(福田久男君) 預金部資金の融資についてお話になりましたが、お話通り農村の預金、いわゆるその零細預金から預金部資金はなつておりまして、その資金の地方還元ということにつきましては、前々からも十分意を拂つてつたのでありますけれども、只今のところ地方債に運用するという形において地方還元が行われておる場合でありまして、農林中金等による金融債を通じての資金運用が制限されておりますために、非常にまあ農村関係方面においても思うような資金供給ができないことを遺憾に思つておるのでありますが、先程も申しましたように、金融債による預金部資金運用ということを決して諦めておるわけでなくて、その努力を、言葉は惡いかも知れませんが、続けて行きたいというふうに考えております。
  79. 赤澤與仁

    赤澤與仁君 一点お尋ねいたしたいと思いますが、農村金融といたしましては、どうしても債券によります資金導入ということが、今日の場合に非常なウエイトを多く持つておるわけでありますが、農業金融の特殊性からいたしまして、例えば農林債券の場合におきましても率が非常に高率であります。併し特にこれのみではなくて、現在の社債市場に関する金利が非常に高率であると考えておるのでありますが、その社債金融市場における金利政策についても何らかの方策その他をお考えになつておりますか。
  80. 福田久男

    説明員(福田久男君) 金利につきましては、金融ベースという立場からは特別な金利は許容される限界があろうと思います。その意味で特に終戰後におきましては、金利の操作によつて、いわば補助的な操作をやることは適当でないという関係方面の意向も可なり強いのであります。その面から考えますと、若しも財政的な見地から、そういう措置ができれば可能でありましようが、普通の金融ベースにおいては、金利について特別な配慮をいたすことは非常に困難な事情にあるというふうに考えざるを得ないのではないかと思います。
  81. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 外にございませんでしようか。先程白波瀬さんの方から蚕糸金融について、大蔵省にお伺いしたいというお話もございました。これは明後日商品取引所の問題について、政府にいろいろ申入れる際に、大蔵省の責任者の方に来て頂きまして、このように申入れしたいと思つております。尚その際に本日の問題につきまして、御質疑等が残つておるものがございましたならばやつて頂きたい、こう思います。本日はすでに四時でございますので、これを以ちまして本日の委員会を閉会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それではこれを以ちまして散会いたします。    午後四時一分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡田 宗司君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君    農林政務次官  山添 利作君    農林省農政局長 藤田  巖君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君    通商産業省化学    肥料部長    柿手 操六君