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1950-09-19 第8回国会 参議院 農林委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十九日(火曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○新農業政策確立に関する調査の件  (農林漁業金融公庫に関する件)  (食糧生産及び供出制度に関する  件)  (食糧自給態勢急速強化に関す  る件)  (本年稻作稻熱病対策に関する件)  (最近の台風による農林関係災害状  況並びに対策に関する件)   —————————————
  2. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは昨日に引続きまして農林委員会を開会いたします。  本日は農林漁業金融公庫に関する点につきまして、先ず農林省側からの御説明を承わることにいたします。一つ平川さんお願いします。
  3. 平川守

    説明員平川守君) かねて懸案でありました金融公庫につきましては、明年度計画といたしまして、一割増産等関係もあり、農林省側計画といたしましては、土地改良事業につきまして、補助事業及び非補助事業を合計いたしまして、事業分量として八百三十億程度事業をいたしたい。それに対しまして補助金が大体五百五十億ほど予定いたしておりますので、残り事業費部分に対しまして、自分事業者自己負担する分を百十億程度と見まして、百五十億程度融資をいたしたい。これはお手許に御参考に差上げてあります資金計画案というのが、横に数字で印刷してあります。昭和二十六年度農林漁業金融公庫予算書というものの綴りの終りから二枚目のところに資金計画案がございます。それから尚小水力発電に対しまして、事業費七億二千万円、これに対して融資が四億八千万円、それから林業関係におきましては、造林関係において事業費三十二億、補助金十億、融資額十四億、自己負担が七億六千万円、林道の面におきましては、事業費が四十七億、補助金が二十二億、融資が十三億、自己負担が十一億、合計が林業の面におきまして、八十億の事業分量に対しまして、補助金三十三億を予定いたしております。融資額二十八億、自己負担十八億、水産の面におきまして、は、これは非常に補助善の率が高いのでありまして、百億の事業量に対しまして八十八億まで、九〇%近くの補助金がございます。残り部分に対して、九億七千だけ融資しよう。主として漁港等のものであります。従いまして、総計におきましては約一千億の事業分量になるのでありますが、これに対して二百億程度融資をいたしたい、かような計画を立てたわけであります。そうしてこの二百億の資金計画といたしましては、政府一般会計からの出資金として八十五億を出資し、残り百十五億は預金部から出資することにいたしたい、これは一番最初の予算書のところにございますが、かように考えたのでございますが、これにつきましては、目下大蔵省折衝中でございまして、大蔵省ではこの一般会計出資額を三十億程度にするようにという案でございます。我々といたしましては、これは結局利子の額に関係をして参りますので、この公庫考え方としては、一般会計出資額預金部資金の借入れとを混ぜ合せることによりまして、預金部資金を最低六分五厘程度で借りるといたしまして、残り政府出資の方は配当を予定いたしませんので、先程申しました資金計画に載つておりますように、大体の事業に対しまして、四分五厘程度利子で貸付ができるであろうということを考えているわけであります。そのためには最小限度五十億程度一般会計からの出資をいたしたい。預金部資金融資というものがまだはつきり決まつておりません。大体の見当といたしまして、六分五厘程度までは下げられるのではなかろうか、そういたしますと、五十億程度まで一般会計から出して貰えば、それで十分賄えるのではなかろうかと、かように考えているわけでありますが、これにつきましては尚折衝中でありまして、確定をいたしておりません。大体こういうような種類の土地改良造林林道及び漁場、船溜り、魚田開発といつたよう事業、これらの事業はいずれも一般金融機関から融資を受けることは極めて困難でありまするし、又農林中央金庫を使うといたしましても、これらの事業に対する投資というものは、その長期性質からいたしまして、又非常に低利であることを要するという性質からいたしまして、中央金庫としては、この資金は賄い切れないのであります。そういう意思味において、独前の公庫を作りたい、かように考えておるわけで折ります。これは独立公庫でありますけれども、この第二の二にありますように、大体余計な職員等を新らしく使うということは非常に不経済でもありまするので、農林中央金庫を使いたい、農林中央金庫に代理させまして、そうして冗費を省きたい、但しその收支計算は勿論公庫計算で行わせる、かように考えております。御説明として申し上げることは大体その程度で、御質問に応じてお答え申上げて見たいと思います。
  4. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今平川官房長より、農林漁業金融公庫について御説明がありました。これに対して御質疑を願います。
  5. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君  この公庫のできたことは非常に結構なことであると思うのですが、この内容を見ると、大体長期資金計画のものに対してのようでありますが、折角できたのでありますから、多少性質は違うけれども、蚕糸というものをどうしてこれは包含されなかつたのですか。
  6. 平川守

    説明員平川守君) この金融公庫の、独立公庫を作るということについでは、御承知のように非常に問題があるわけでありまして、関係方面考え方といたしましても、普通の金融で行けるものは、できるだけそれで行くのが当然である。どうしても普通の金融機関或いは既存の農林中央金庫というようなものではどうにもならないという面について、これもまだ勿論承諾を得ているわけではありませんけれども、その点ならばまだ話題になり得るということからいたしまして、非常に限定をいたしたわけであります。普通の蚕糸方面金融も、事柄によりまするけれども、相当短期の融資というところも考えられるのであります。そういうものにつきましては、当然農林中央金庫の方と、但し金庫資金を十分に潤沢にするということは、これは別の手段として考える、中央金庫という機構で十分貸出しがし得るでありましよう。土地改良でありますとか、或いは造林といつたようなこととは可なり性質が違いますので、農業方面におきましても、これ以外にまだいろいろ協同施設等関係があるのでありまして、そういうものは農林中央金庫金融として扱つて行きたい、かように考えております。
  7. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 今の御説明は普通の金融という面からいうと、それは御尤もですが、かねて蚕糸というもつのは自由になつてから以後、当局の方針としても、又一般の民間としても、どうしても海外の需要を増進するには市価の安定を図らなければならないということが非常に大きな問題になつて、今日の状態ではどうしても何かの方法を作らなければ何ともならぬという段階まで追い込まれているし、ただ單なる金融じやなしに、現在の蚕糸業というものは或る程度の方向に安定させるということに対しては、やはりこういうものが包含されて、それの運用は普通の金融というような面には、それを扱わなくも、そういう特別の場合においての取扱い、或いは又必ずしも金を使いつ放しだというようなことでなく、案があれば、そういうものを包含されて是非行なつて貰いたいという考えは持つておるのと、若しこれを除外されたのであるならば、何かその面に対して農林省としてはお考えがありますか、どうか、承わりたい。
  8. 平川守

    説明員平川守君) 蚕糸の糸価安定の関係資金につきましてはいろいろ部内でも研究いたしておるようでありますし、この公庫に包含せしめてはどうかという意見もありましたのですが、なかなかこの金融公庫自信を成立せしめることにつきましても、なかなかむずかしいのでありまして、この仕事の中身が余りいろいろな複雑な要素になりますと、この公庫自体設立についても又非常に障害を與えやしないか。この公庫自身はいわゆる長期固定設備に対する融資ということで、單純な形で持つて参りまして、糸価安定の問題につきましては、尚いろいろ関係方面等におきましても複雑な関係がありますので、別途にこれは一つ考えて行きたいということで、蚕糸局において今研究いたしておる。この公庫自身は、そういう意味でなるべく單純な形で早く通したいという意味で、長期固定設備ということに前提をいたしたわけであります。
  9. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 何ですか、その今蚕糸局考えておるとか、立案しておるとかお話になつたのですが、若しや適当な案が立てば、農林省としてはそれを取上げる用意があるわけですか。
  10. 平川守

    説明員平川守君) これは或いは蚕糸局の方からお答えした方がいいのかも知れませんが、蚕糸局で研究いたしておりまして、なかなかただ資金という関係でやつかいなものでありまして、勿論農林省としては糸価安定ということは一つの重要な項目でありまして、案ができて関係方面了解が得られまするならば、早くやりたいということは間違いないと思います。
  11. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それはできるということですか、関係方面了解が得られれば……。
  12. 平川守

    説明員平川守君) 関係方面了解を得られれば、農林省としてはやりたいという考えであります。
  13. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 農林金融公庫の話が大分進んで参つておるようでありますが、関係方面了解がどの程度得られておるのでありますか。
  14. 平川守

    説明員平川守君) 実は関係方面の方からよろしいという話はまだ得ておりませんので、この主管である経済科学局の方とも折衝を進めつておりまして、まだいろいろ議論をしておる最中でありまして、向うとしては議論としてはまだいろいろな否定的なことを申しておりますが、こちらもいろいろこれに似たような例も最近出ておるわけであります。又理論的に言つても、この仕事につきましては、他に金融の途かないのではないかということを強く主張いたしまして、先方の係官といろいろ折衝をいたしておる最中でありまして、必ずしも楽観を許すわけでもありませんけれども、又必ずしも絶望というわけでもないと考えております。
  15. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 計画案にもありますが、実は今御承知のように予算の編成の真最中で、殊に農林関係予算が思うように運んで参りませんのでありますが、殊に公共事業費の中の土地改良というものが非常に削減をしようといたしておりますので、我々としては不眠不休でこの方面の運動をやつておるわけでありますが、政府は殊に非公共事業の、北海道土地改良のごときは融資でやることになる。こういうことを言つておりますが、まるですべての公共事業に対する助成の足らぬ部面融資で行け、農林金融金庫融資をする、こう言つて、まるでできたもののようなことで、我々の言わんとするところを防いでおりますが、この案にもありますように、非補助事業は本年は全部助成で抹殺されております。そこで借入金のみで事業を行いますと、到底成立たぬので、自己負担分はこれは当然いたしておつたのですが、今までも全部の事業費借入金でやることは絶対にできないことであります。恐らくこれは工事を行われるということになると思いますので、盛んに今も言つて帰つたばかりでありますが、こういうわけでやつてはおりまするが、できたもののように言つて、我々の要求予算要求政府の方ではそれに紛わして抑えよう、こういう気分があるので、甚だ遺憾であります。私共は農林金融公庫のできますことは要望いたしております関係から非常に喜んではおりまするが、そういつた部面にこれを作る考えは持つておりません。そこで三、四日前に大蔵省に行きましたら、農林金融公庫を作りますか、こういう向うから質問がありました。ところが私共は作つてほしいのでありますが、大蔵省がそういう考え方では、これは非常に難色がありはしないかという心配をいたしております。そこで関係方面了解がまだ十分ではないようでありますが、なかなかこれも簡單には参らぬと思いまするが、余りにもうできたごとくのように進んで、そうしてこれができないことになりますと、どうも妙なものが一体できやせんかという心配をいたしておりまするが、今後どうお考えになりますか。それから先程局長の、長官お話に、食糧の一割増産計画をするようなお話がありましたが、この公庫お話をし始めたのは、食糧増産の一割増産が話のない先でありまして、丁度今食糧の一割増産閣議で決定いたしております関係で、それも一緒に言うことは結構でありますが、それを引つかけてこの公庫を設けるようなことを言われることも、これも私は甚だ不愉快なんであります。で、今の一割増産は当然できるにしてもこれを引つかけて公庫を作るようになりますと、何もかも補助事業はすべて公庫融資によつて行け、こういつたような形になりますと、ますます補助事業が非常に困難になつて参ると思います。これは農林当局も十分にお考えを以てお進めになりませんと、却つて農民負担の軽減にはならんような形になる部面が非常に多いと思いまするが、どうお考えになつておるか。
  16. 平川守

    説明員平川守君) 一割増産関係につきましては、この土地改良事業の規模を非常に昨年度よりも大きく計画しておるということが、この一割増産との関係においてということを申上げたわけであります。只今お話のありました非補助事業についての関係は、これは昨年も実は主として見返資金に総合いたしまして、非補助事業については金融で行く。それは見返資金で行くということで要求いたしておつたのであります。昨年はそれをなかなかオーケーを得られませんのでありました。最近漸く二億足らずの金額につきまして、この非補助事業に対する見返資金融資を認められまして、そういうことかわいたしましても、少くとも非補助事業についての融資ということについては、本年度も引続き或いは見返資金或いは更に預金部資金の融通が認められれば、更にその方までも行き得るのじやないか。少くとも見返資金については一応口が開けたというふうに考えておるのであります。補助事業につきましては、本年この公庫案で初めてこの融資も併せて出ておるわけでありますが、昨年度におきましては融資額なしに、專ら補助金だけで、あとは自己負担ということでやつて参つたのであります。併し全体の農村金融状況から考えまして、補助金があると雖も、自己負担分についてのその一部の融資ということはやはり必要じやないかというので、これはこの公庫案において、昨年度よりはプラスして考えておるわけであります。我々といたしましては、公庫設立に最大の努力を拂うつもりでおりますけれども、まかり間違いました場合においても、或いは見返資金等方法によりまして、でき得る限りこの融資の途は併せて努力して参りたい、かように考えております。
  17. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 大蔵省主計局から佐竹主計官がお見えになつておりますから、本問題について尚大蔵省方面事務当局で、今まで分つていることについては佐竹主計官の方からお答えを願うことにいたします。
  18. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 まだ確定せぬものを余り議論する必要もないと思いますけれども、金融公庫資金計画案というものと、それから設立要綱の第四の五でありますが、この計画を見るというと殆んど農林林業水産、我々がこれまでに念願をいたしているようなものは計画の中には、二十六年度の中に入つていないように見えますが、設立要綱の四の五を見るとそうでもない。これは書き方が何と言いますか、四も五もそうでありますが、解釈のしようによつて相当に拡げられるということにも考えられるのでありますが、当局の方では、この資金計画にあります部面もそうだが、四の五と書いてある、それも広い範囲に解釈してお考えになつているのかどうか、これをお聞きしたい。
  19. 平川守

    説明員平川守君) これは要綱といたしましては、こういうような書き方で書く以外にないと思うのでありますけれども、資金計画の方の小水力発電施設、それから水産の方での北海道魚田開発というような項目がこの要綱の四に当るわけであります。こういうものを含めますためには、やはりこういう文句で、文章でこの四を書かざるを得ないわけであります。これは五の方は例文のようなものでありまして、何かこれに準じたことが出て来た場合に行い得るようなことにして置くという書き方でございます。
  20. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私の考えておりますことと、長官お話とは違うのでありますが、この計画にありますようなことも大事なことで、これは是非そうあるべきだと考えるのでありますが、長官も御承知のように、これ以外にどうしても中長期の金を出して貰わなければならん部面相当にあると思いますが、それはこの中に入れることができないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  21. 平川守

    説明員平川守君) お話のようないろいろ中長期資金で……でき得れば公庫というようなもので融資した方が便利なものもあるわけであります。ただまあ率直に申上げますと、要するに我々としてはこの公庫設立当体が甚だ面倒でありますので、この中味を関係方面等においても理解し易いような限定したものにいたしたい。それでないとどうも昨年あたりも案を持つて参りましたときに、実はこちらの方の必ずしも主眼でないところを非常に突つつかれます。それのために全体が非常に遅れるということもありますので、大体それらにおいても異議のなさそうなものを、はつきりしたものでとにかくこれを作上げたい。お話のような畜産とか、いろいろなものがあるわけでありますが、そういうものにつきましては別途農林中金の方の資金を拡充する。このことにつきましては、只今具体的な書き物がありませんけれども、一つ預金部資金等について中金資金を拡充して、その方の融資で行きたいと、これは別途一つ話を進めたい、かように考えております。
  22. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 どうも確定せぬのに、ちよつとこれはおかしいようだけれども、設立要綱を見ますると、建前は担保物件を提供して超過額の七割ぐらいの融資をしたいというような御意向のようですが、そういうふうになるものもあると思いまするが、この魚田開発のようなものは一体どういうことになるか、魚田開発というものは、そういう担保物件などにはならぬと思うのだが、非常に不公平ができておりますが、これは單なる案であるから、これで結構だが、どういう條件をお考えになつているか聞きたい。
  23. 平川守

    説明員平川守君) これは原則として金融でありますから、担保を取るということになつておるわけでありまして、お話のような、例えば魚田開発のようなものにつきまして、借りるときに、直ぐ担保がない場合が想像されるわけであります。これはその金を借りてできるいろいろな施設、船でありますとか、或いは倉庫でありますとか、そういうこの金を借りることによつでできる設備というものも、その対象として考えております。この借りるときに担保のない場合にそういう方法に持つて行く、それから場合によつて担保を徴する場合があり得るわけであります。要するにその担保を徴するということは飽くまで原則として考えております。
  24. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今日衆議院農林委員の人から聞かされて参つたのでありますが、衆議院の方では協同組合経済の行詰つておるのを打開しようとして盛んに迫つておるようで、君の方でも委員会があるなら、その方をしつかりやつて欲しいという御注文がありましたが、大蔵省の方ではそれに対して、協同組合経済の行詰りの原因は役人の使込みがあるからだ、そういうことを言つておるということまで聞いて来たのですが、そういうことは私もよく分るので、そういうのはいかぬと思いますが、農林省でもしばしば御心配願つておりますが、今非常に協同組合が弱いということになつて、なかなか組合員が付いて来ない状態で非常に困つておるようでありますが、それは信用がないので、八方から不信にしたので、ますます不信になつて絶対に組合員は付いて参りません。そこで事業自体を強力にする以外に途がないと思いますが、それには政府が十分に考慮し、金融の途を開いて組合組織自体を別の面から強力にする。そうしますと、組合員は完全に付いて参ります。いけないという評判が立ちますと、だんだん自分の方で自分のものをいけないのだということにしてしまう。困つたものなんですが、そこらを大いに考えなければならんと思うのですが、衆議院で盛んにお話をしておるようでありますが、農林省の方でもお考えになつてはおつたようでありますが、実現不可能でおるようでありますが、そういう面は一体どうお考えになつておるか、一つお聞きしたい。
  25. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 協同組合が現在の状態になりましたのは、いろいろ原因があろうかと思いますが、併しながら今後の日本の農業計画の安定を期するためには、やはり協同組合がしつかりして貰わなければならんのであります。従つてそのために現在非常に資金固定化をいたしまして、利子支拂いも事を欠くということがだんだんに赤字を出す原因になつております。お話のような利子補給予算を計上いたしまして、大蔵省とも折衝をいたしておるわけでありますが、現在までのところまだ御了解が得られておりません。非常に今難航を呈しております。私共といたしましても、極力諦らめずに、まだ折衝を続けておるわけであります。
  26. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それでは大蔵省からお出でを願つておりますから、簡單にお聞きしたいと思います。農林省で御承知のように農林金融公庫を作りたいというのでやつておりますが、実は私は四、五日前に、先に申上げたように次官からお作りになりますかと聞かれたので、いや、それは……どうもちよつとおかしいと、こう言つておきましたが、農林省ばかりで骨を折つても、これはうまくないので、実は大蔵省が本気になつてこれを作るような心構えになつて貰わぬと、恐らく不可能に近いことになりはせぬかと思つておりますが、大蔵省の方ではどういうふうにお考えになつておりますか、伺いたいと思います。
  27. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) お答えいたします。大蔵省といたしましても、農業金融の問題は非常に重視いたしまして、特に今回明年度予算において三十億円の出資一般会計からいたすことに一応予定しておるわけですが、尚公庫設立につきましては、大蔵省の銀行局におきましてこれを所管しております。閣議の決定あり次第、正式に関係方面とも折衝を行うということにしておりますが、もうすでに非公式には向う経済科学局ともぼつぼつ折区画をしておるわけでありまして、これの設立については、只今何か大蔵次官から云云というようなお話もございましたが、我々といたしましては、何とかしてこれをものにしたいと、明年度農林予算の中の最も大きな特色は金融公庫を作ることにあると考えまして、主計局長以下一同熱心にこの問題を考えておりますから、さよう御承知願います。
  28. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 岡村委員質問ちよつと蛇足を加えることになろうかと思いまするが、第四條第四項、これに対しては農村工業は適用する考えであるかどうか。
  29. 平川守

    説明員平川守君) 差当りこの資金計画につきましては、農村工業までは考えておりません。この計画書にありまするような計画考えておるのであります。農村工業等に対しましては、農林中金の方の資金融資を続けて行きたいと、かように考えております。
  30. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 従来農林中金からは農村工業には殆んど融資されておらなかつた。我々が單位協同組合なり、県單下位連合会の更生を図ろうとすると、いわゆる識別生産だけでは何としても動きが付かない、結局先ず手取り早くは畜産、それから次には工業協同組合号組織によつて新らしく施設する以外にはちよつと手が出ないのでありますが、これに対して中金融資の途を講ずるということでありますが、昭和二十六年度における中金の具体的な計画があつたら、一つ計数的に発表願いたいと思います。
  31. 平川守

    説明員平川守君) 農林中金の二十六年度資金計画という数字的のものはまだ別にできておりませんですが、抽象的でありますけれども、農村工業或いは畜産等に対しましても、農林中金としては融資対象考えておるわけであります。ただ御承知のように最近の協同組合の行き詰りの一つの大きな原因をなしておりますのが、農村工業等関係で、何と言いますか、少し経済状況の反動に伴つて従来行き過ぎた工場の設立等が禍いをなしておるもの等も相当にあるのであります。従いましてこの方面融資については非常に愼重であることは確かであります。併しながらこれは全然やれぬという意味ではありません。現在協同組合の更生策といたしまして、各方面で地方の協議会等を作つております。この対策協議会等におきまして、具体的に個々の組合についと適切なる施設として考えられるようなものがありまするならば、これは対象として十分考えて行きたい。但し今一つの制約といたしましては、中金資金繰りという問題もあります。これについては先程も申しましたように、できるだけこの資金を豊富にすることを尚やつて参りたい、かように考えて起ります。
  32. 三好始

    ○三好始君 先程岡村委員から農林漁業金融公庫設立に関して、関係方面とどの程度話が進んでおるかとの質疑があつたようですが、その一歩手前の問題としての政府部内の話合いがどの程度纏まつておるのかお聞きしたいと思います。大藏省側の意向について大体の御説明があつたわけですが、只今配付頂いております設立要綱なり或いは予算書なり、資金計画案というようなものは、單に農林省だけの案に止まるのか、或いは大藏省とも十分に連絡をとつた上で完全に了解の付いておる案なのであるか、そういうことについてお伺言いいたしたいと思います。
  33. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) この基本的な線におきましては、無論意見は一致着ておるのでありますが、ただ実際に公庫予算をどう組むかという、例えば公庫の陣容をどの程度にするかとか、或いは一般会計からの出資金以外に預金部資金をどの程度繰入れをするかというような点につきましては、目下農林省と私共の方の銀行局と細かい打合せをしておる最中でありまして、まだはつきり最後的な決定までは行つておりません。
  34. 三好始

    ○三好始君 そういたしますと、只今頂いております資料は農林省考え方であつて、この案を農林省大蔵省当局折衝して、細目を決めて行きたい。こういうわけでありますか。
  35. 平川守

    説明員平川守君) 一応これは農林省案といたしまして、今、佐竹さんから御説明がありましたように、公庫を作るということ、それからその一般会計からの資金として三十億程度を出そうということについては、すでに了解が付いておるわけであります。又その外の大綱については、勿論今お話合い中でありますけれども、大綱については了解を得ておる。ただ八十五億円と表に書いてありますが、これはまあ農林省案であります。一応三十億ではどうかというお話大蔵省からある。その外預金部資金を百十五億出そう、こういうことば、この金額はどうかというような細目につきまして折衝中であるということであります。
  36. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私のは極めて單純質問でありますが、三十億か五十億か分りませんか、資本金と預金部資金、これをばプールして融通する。この構想は私はいいと思いますが、そうすると、この政府の資本金というやつは、毎年これは三十億なり、五十億を出すということになるわけでありますか。
  37. 平川守

    説明員平川守君) 私共の構想といたしましては、この二百億の貸金というのは一年間の資金でありまして、こういうことを何年か続けて行きたい。さように考えておるわけであります。従いまして、三十億か、五十億か未定でありますけれども、毎年そういうものを出しておる。毎年預金部資金を出してやつております。
  38. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 そうすると、公庫を作るというのは要するに直接の一般会計からの予算出資金預金部の国家資金をプールするだけであります。そうなつて来ると、独立の倉庫を敢て作る、而も実際上は人件費をセーヴする、これは結構でありますが、農林中金を実際使う、こういう場合に一つ金庫を作るという理由が、政府資金金融金庫を通じで直ぐに右から左へ出て来る。そこでやはり独立金庫を敢て作るという必要性、これはまあどういうところにありますか。
  39. 平川守

    説明員平川守君) 御指摘の点につきましては、いろいろ考え方があるわけでありまして、必ずしも独立公庫を作らぬでも、例えば農林中央会庫を使う、これに国家資金を流して行けばいいじやないかという考え方もあるわけであります。或いはこの公庫の代りの何か特別会計だけのもので行つたらいいというような考え方もあるわけでありますが、まあ中央金庫を仮に使うといたしますと、一応中央金庫という私法人の会計になるわけであります。従つてこういう種類の資金を、これは一般の短期資金等に比較すれば或る程度危險もあるとか、いろいろまあ金融の、純粋の私的の金融の立場から言うと問題があるわけであります。そういうものを成るべく出すということについては、やはり責任が一応一般の短期資金を扱つておる農民からの預金を基礎にして、短期資金を扱つておる金庫というものとは別の責任の方がいいのじやないかということから、独立公庫を作つた方がいいのじやないかということになつたのであります。尚、特別会計そのもので行くという考え方もあるわけであります。これもやはり独立の機構を作つて、これとの利害関係は大したことはありませんけれども、行つた方がいいんじやないかということであります。
  40. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 そこで大体分りましたのですが、そうすると、まあ増額はやや対立問題を起した。何か復金みたいな性格を或る程度持つのじやないか。そうなつて来ると、農林省がどこにどれだけ貸すかということについて、どの程度タツチされるのかどうか、金庫なり或いは実際業務を代行する農林中金にも大体任してしまうということになると、或いはその方面ですよ、相当いろんな、まあ或いは変な融資もされる虞れが私は多いのじやないかと思うのですが、そこで農林省大蔵省なり、ともかく政府相当程度どこに幾ら貸すかと、補助資格がないやつははつきりとすると思いますが、補助のないものに対して貸すという場合に、政府がどの程度タツチするのかどうか、その辺のお考えをお聞きしたい。
  41. 平川守

    説明員平川守君) これは政府も勿論監督の責任を持つておるわけでありますが、公庫自体も当然国家機関であるわけであります。国家機関、いわば公庫である。この公庫自体の方で中金に業務を代理させますけれども、その貸出し等について或る程度の指揮監督をする。少くとも代行的な面において指揮監督をするということで、その問題を解決して行きたい。かように考えております。
  42. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 それからもう一つ、先程貸付けの利率のお話がありましたが、プールした府県の四分五厘、これは非常に低利でありますが、ただ利息は貸付けの期間等を短期で取れる、この資金計画を見ましても、例の土地改良でも補助のあるやつは四分五厘、補助のないやつは七分五厘、小水力発電は同じく七分五厘、林道に行けば一割、それから水産へ行くと又四分五厘となつております。同じ原始産業で相当の開きがあるのですが、補助のあるやつとないもの、これは同じ事業で補助の有無で利息が違うのであります。林業林道が一割、この差等を付けられた理由と、これは裏腹になつて、貸付期限というと、どの程度の年賦償還で大体償還できるかということと関連を持つておるわけですが、どの程度すれば、土地改良は何年据置で何年すれぼ償還されると、そういうような計画があると思いますが、それを一つ……。
  43. 平川守

    説明員平川守君) 貸付期限のことはまだ精密なものを作りつておりませんけれども、恐らく土地改良事業等については、殊に補助事業等については相当長期、十年見当までかかるのじやなかろうかというふうに考えております。又造林寺についてはこれは二十年ぐらいもかかるだろうというふうに考えておるわけであります。金利の点は、これは補助と非補助との関係もありますけれども、同時に收益性と言いますか、そういう点も考えておるのでありまして、例えば林道のごときは比較的早く收益が挙るという意味において、或る程度高利でも拂えるのじやなかろうか、土地改良とか、造林のごときものについては、收益の点からしてそう多くの金利をとても拂い切れない。そういうようなものを考慮いたしまして、一応の標準としてこういうものを作つたのであります。具体的には尚個々の貸出について考慮する必要があると思うのであります。
  44. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 もう一つ、例の農業倉庫のあれが相当あぶない、予算的の措置が起きた場合には当然本金庫で肩代ると……。
  45. 平川守

    説明員平川守君) 公庫といたしましては、ここに掲げました事業対象考えておりまするので、倉庫につきましては、補助の有無に拘わらず農林中金の方の仕事で行きたいと、かように考えております。
  46. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 要綱の第一項第四号ですがね、私の感じでは、倉庫のようなものが中金長期信用ぐらいでできるかどうか、補助金まで出すということになれば、私はそれができなければ長期金融で行くことが順序だと思うが、又予算の措置が講ぜられれば問題がありませんが、なければ、その次にはこの金庫でやることが、ああいう資金を固定して置く、そう沢山の收益を一時に挙げる性質のものじやないのであります。あれでどうしてもいかぬということになれば、金庫で農業倉庫の建設に相当長期融資をすることの方が順序だと思うのでありますが。
  47. 平川守

    説明員平川守君) 農業倉庫につきましては、お話のように非常に境目のところに属するものだろうと思います。ただ先程申上げましたように、公庫設立そのものを早く完成さしたいと、それについては関係方面了解の得易いものに限定して行く、こういう考え方が実はありますので、第四の書き方は可なり包括的にできておりますので、その点はあとから考えて考慮の余地もあろうかと思いますが、差当り計画といたしましては、農林中金資金を拡充いたしましてできるだけそれで賄つて行きたい。我々の考えといたしましては、これに対して補助盆利子補助というものがあれば結構だと、やり易いということでプランができておるのであります。尚これについては大蔵省と話合中でありまして、その他計画といたしましては、利子補助金の有然に拘わらず相当その他の金は中金金融で行く、そういう考え方をとつておるのであります。お話の点は誠に御尤もと思うのでありますが、一応そういう考えをとつております。
  48. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 第四の條項についてでありますが、農林、漁業、その組織は法人その他主務大臣の指定するもの、法人の單位は府県單位でありますか、市町村までの單位を認めるのか、その点を先ずお聞かせ願いたいと思います。
  49. 平川守

    説明員平川守君) これは勿論府県單位ということは限定されませんので、市町村單位でも單位協同組合でも結構であるわけであります。
  50. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 あらゆるこの金融機関によつて、殊に農村金融状態におきまして、公庫設立に対しては双手を挙げて賛成するものでありますが、融資の面において、とかく農林省の農民に接近する案と、実際これを監督する大蔵当局となると、なかなか手続が面倒で、又実際事業面に対しまして、必要な金を申込んだ場合、これを査定されて非常に減額をされて、その事業が目的を達成ずることのできないようなことが往々にしてあるのでありますが、これらの点に対して、手続及び融資に当りまして、どの程度において政府が監督するか、或いは大蔵当局はどういう理解を持つておるか、この見通しについて御説明を承わりたいと思います。
  51. 平川守

    説明員平川守君) 所要の資金そのものを査定するという問題につきましては、これはなかなかむずかしい問題と思いますけれども、勿論この公庫或いは代理をいたす中金におきまして、必要と認める程度に査定するということはあり得るわけでございます。又手続等も必要な最小限度の手続はどうしても必要であると思います。併しお話のような余りに煩瑣な手続を要求するというようなことは勿論いたさぬように十分指導、監督して参りたいと、かように考えております。
  52. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 この問題は特に大蔵当局から聞きたいのですが、地方の農家は勿論、商工業においても、或いは地方の市町村の調査に行つて融資面で非常に苦しんで、甚しいのは半年、七、八ヶ月にもこれが手続を終りまして、融資を受けるのにそういう期間がかかるのでございまして、農業問題に対してさようなことがあるとしましたならば、折角農家は冬季間においてこれらの事業計画して着手したいのが、夏季において融資を受けるようになれば、一時借入れをしなければならんような煩瑣なこともに相なるのでありますが、これらについての見通しを大蔵当局からお聞きしたいと思います。
  53. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) 只今お話誠に御尤もと存じます。特に見返資金融資につきましては、非常に従来手続が複雑でございまして、そのために融資が非常に遅れるというようなこともあつたようでございます。折角公庫もできますので、何とか融資が円滑に参りますように、その手続につきましては農林当局とも十分打合せいたしまして、うまく参るようにいたしたいと思います。
  54. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 先程平川さんからの説明は、あらゆる農村の打開策に対して、今政府ばかりでない、民間団体から対策協議会が設立されつつある。一体農業のあらゆる問題の行詰りに対して対策協議会を設立される。そこが私から言わせれば、そういう対策協議会などがなくして、すべての仕事が予想通りに進展し、農村が安定して、あらゆる増産獲得に向つて行かれるような時代を作る。又そういう時代を展開するのが農政に対する忠なるものだと、かように思うのでありますが、今後施策に対して、又今後のあらゆる産業の進展については対策協議会を設立して、それによつてこれが中核をなして行かなければならないようなことがないように、十分にこれらのことについての理解と申しますか、工作をさせて行く、かように希望するものであります。
  55. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 私からちよつとお伺いしたいのですが、平川さんに……。この金融公庫のできました場合の監督官庁はどういうことになりますか。
  56. 平川守

    説明員平川守君) これは農林省及び大蔵省、この八のところにありますように、農林大臣と大蔵大臣を主務大臣とするということになつております。
  57. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 共管ですね。
  58. 平川守

    説明員平川守君) はあ。
  59. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それからその次に伺いますが、これは公庫の資本金が三十億になつております。それから預金部融資を百十五億として、それに基いてここにある資金計画ができておるわけですが、若しこれが今の大蔵省との話合いで、どうしても三十億以上は、認められないということになつた場合に、又預金部融資の額が変更されたような場合における資金計画はどういうことになりますか、或いは五十億になつた場合……。
  60. 平川守

    説明員平川守君) これは私共の案といたしましては、とにかく二百億の資金を調達したい、ついてはこの一般会計からの資本金が減りますれば、その部分預金部資金で埋めて行きたい、かように考えておるわけであります。併しこれは折衝中でありますので、その数字はどういうふうに動きますか、今のところはつきりいたさぬわけであります。我々の希望としては、そういうふうに考えております。
  61. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 佐竹さんに伺いますが、これはやはりESSとの折衝が重要な問題になると思いますが、これはどの程度進行しておりますか。
  62. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) これはまだはつきりどの程度というふうに申上げるまでの段階に至つておりません。特にこの折衝上の主務は銀行局でございますので、ちよつと私の方からはつきり申上げられないのでございます。銀行局とよく打合せまして申上げます。
  63. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 佐竹君がおいでですから、一点だけお聞きしたいと思いますが、実は昨日農林省の伊東会計課長にお尋ねしたのですが、統計調査部とか、或いは農地局その他において相当の定員を減すという予算お話しですが、これは更に折衝でまだ未定のようでありますが、そこで一つ議論として、これは御研究を願いたいので、希望も申上げて置いたのですが、従来各省の定員が法律で決まつておらないときは、これは單に行政措置だけで、予算が減れば当然各省の人が減る、これは止むを得ないと思います。ところが最近は御承知のような各省の定員法で農林省は何万名とかというように、はつきり法律で定員が決まつておるわけです。そこで国の意思として法律で決まつておれば、それが国会において正式に減るまでは、これはやはり定員法に盛つてある、それを予算で減らすということは、はつきり言えば法律違反になる。ですから国会で定員減の法律が通つたらば、その法律施行のときから減らすことはよいと思う。それはまだ未定の問題であるのですが、現行法が生きておれば、何名以内ということでなく、何名を置くということで決まつておると思いますが、そうすると、それを予算の際にこれを減らすということは国の定める法律を犯すというような解釈が立つのじやないか、特に去年の例からしても、或いは予算で減らされておつても、定員法ではそこまで減らす必要はないという議論が出る。結局予算に取られて減らさざるを得ない、こういう過去の例もある。これはちよつと新らしいような議論でありますが、昨日も政務次官も会計課長も来られて、それは新らしい理窟だから研究をしようということでありました。現在の大蔵省ではどういう解釈をとつておられるか、その点を一つお聞きしたい。
  64. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) 只今お話、つまり定員法と予算定員との関係はどうかということだと承わりました。この問題につきましては実は財務当局としましても、かねてから研究を重ねて今日に至つたわけでございます。そこで我々といたしましては、予算で定員を定めますのは、昭和二十六年度予算の定員を事務の分量その他を勘案いたしまして、一応予算の積算として決定いたすわけでございます。これが今日はまだ閣議決定を経ておりませんが、閣議決定を経るということになりますと、政府の意思といたしまして、明年度の定員は何名にするということが一応決まることになると思うのでございます。それに伴いまして定員法の定員も予算と同時に国会に提出されることになるのでありますが、その場合にはこれを予算に合せて修正をした上国会の協賛をお願いする、こういうことになると思います。従いまして今日定員法は二十五年度に関する限り依然として動いておりますので、これを予算で削減をするということになりますと、お話のごとくに法律違反という問題も或いは起るかと存じますが、事は明年度予算の積算でございまして而もそれと併せて定員法の修正を国会の協賛をお願いする、こういう手続を経ることになりますので、その点については法律違反という問題は起らない、こう考えております。
  65. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私も更に研究をして見たいと思いますが、そういう御意見で行つた場合、政府としては予算を減らせば同じ方針で定員を減らすという改正案を出す、これは当然である。その改正案が国会で或いは通らない、或いは二割減らすというやつが一割以上はむずかしい、そういうふうに国会で或いは否決されたり、或いは削減の率を修正するという場合に、これは曾つての例からすれば、予算で二割になつているのを一割に止めようとしても、それはいかぬ。そうすると、結局は予算の編成の際に法律を制定する自由意思というものはてこでもう無視されておる。そこで或いは一応政府としてはそういう方針であることはお話の通りでございますが、これは国会で或いは否決をするなり、或いは削減率を緩和したという場合に、それに応じて予備費から人件費を流用する、そういう彈力性があれば御説明が付くとしても、あなたの言うところによれば、予算がなければ結局予算に引張られて、それだけ定員を減らす必要がないという国会の意思が決まつても何ともならぬということになるのではありませんか。実際はそこに私は無理があるのじやないか。ですから国会が定員法をどういうふうにするかは、これは予算とは別のものである。その場合には或いは予備費から人件費を流用して出すというような、そういう準備があれば私はいいと思いますが、どうもその辺がちよつと過去の経験から無理かと思いますが。    〔委員長退席、理事西山龜七君委員長席に著く〕
  66. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) 只今お話談に御尤だと思いますが、若し国会におきまして定員法が更に修正をされまして、予算定員以上に定められたという場合は、これは速かに予算措置を講じなければならんということはおつしやる通りでございます。その場今日予備費或いは他事項からの流用という、即ち既定予算の枠内での繰作が可能でありますときは、速かにその措置を講じなければなりませんし、若しもそういう彈力性のありません場合は、これは速かに予算を補正いたしまして、定員法に合せるという措置を講ずる必要があると存じます。ただ従来の経緯を見ますと、例えば昭和二十五年の予算定員と定員法定員との比較をいたしますときに、概ね定員法の定員の方が予算定員よりも実は下廻つておるのでありまして、僅かに食糧管理関係の人員が六百四名でございましたか、殖えておるのが、これは唯一の例外でございまして、それ以外は、例えば御参考に申上げますと、総理府において千三百四十四名の減少をいたしておりますし、又法務府においても百九十八名の減少、又外務省は一名、大蔵省においては五百二十八名、それぞれ定員法の方が予算定員よりも下廻つておるのでございます。この場合に予算定員と定員法が政府提案のものとして食違つておるのはおかしいじやないかというお話もあると存じますが、予算の編成は御承知のように概ね九月、十月の頃に行いますので、本来ならば、そのときに同時に組織並びに定員についても行政管理庁と大蔵省との十分なる協議の上で、予算が定員法と同時的に決定さるべきかと存じますが、実際には時間的なズレがございまして、例えば九月当時に見込まれたいろいろな経済の情勢とか、何とかいうものが、その後予算を国会に提出し、或いは定員法を国会に提出するときには、若干の情勢の変化があるという場合には、やはり例えば統制事務が減つていたというようなときには、定員法の定員が下廻るということはあり得ると思います。予算の方は歳出の権限の最高額を縛るものでございますから、その点は定員法が下廻りましても差支えはない、こういうふうに解釈しておるのでございます。
  67. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 更に私もこの問題は研究をして見たいと思いますが、もう一つの、私共は昨日も申上げたのですが、今言つたような、政府としていろいろ情勢の変化から役人の数を減らすということは、これは当然起ることと思いますが、ただ日本の行政組織を見ていれば、例えば行政管理庁というものがあつて、そこで各省の行政の分量なり、性格によつて何万名以下と決まつておりますが、ところが去年もそうでありましたが、今年の予算の編成の経過を見ておりますと、どうも根本の各省の定員をどのくらい減らすかということが、まだ閣議等で正確に決定されていない前に、これは決定を遅らした方が惡いかとも思つておりますが、そこで大蔵省の方の予算の編成の際に、もうこの問題が先に行つてしまつているのですから、各省の定員を減らすという政府の決定がない前に、先ず予算の方が先へ決まつて行くという関係が、えらい順序が逆だという気がしますが、これは大蔵省の責任というよりも、外のそういうことを所管する機関が遅れているから惡いということになるかも知れませんが、我々の部外から見れば、先ず各省の定員をどのくらい減らすかという、政府の最高方針が決定して、それに従つて予算の定員の問題を決めるべきものど思う。その辺はどういうふうにお考えですか。
  68. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) 只今の片柳委員のお話誠に御尤もでございます。それで私共といたしましても、予算が先行する、その後で行政管理庁が組織定員について別の決定をするということになりますと、政府部内の意図が二つに出るということになりますので、甚だこれは面白くないことだと存じます。それでその点につきましては十分閣議において調整を図つて行くということで、予算は何分にも時期的に限定をされますので、どうしてもいつ幾日までに出さなければならんという制約がございます。従いましてそういう問題につきましては、閣議で十分調整をお図り願う、こういうことにいたすつもりでおります。
  69. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 公庫のことでちよつと伺つて置きたいと思いますが、融資をする対象は今のところどういうふうにお考えになつているか、一応伺つて置きます。
  70. 平川守

    説明員平川守君) 対象というのは、つまり相手方ということですね。これは組合なり或いは土地改良組合というようなもの、つまりこの事業の経営主体であれば何でもよろしいというふうに考えております。
  71. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 そうすると、個人が若し申請したときに、個人にも貸すのですか。
  72. 平川守

    説明員平川守君) ええ。
  73. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それから要綱を見ますると、中央に一つしかないので、各都道府県に支所、出張所を置くことはないようでありますが、中間は全然考えないで、真直ぐそこから申請し、そこで貸すようになるかどうか。
  74. 平川守

    説明員平川守君) 事柄によりましては、例えば造林等については、個人或いは会社というようなことも考えられますが、貸出手続等につきましては、まだ細かいことをはつきり何しておりませんが、業務を中央金庫に代理させるつもりであります。その出先機関を使つてやるということになろうと思います。
  75. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 土地改良組合も貸出の対象になると思いますが、協同組合でやるようになつた場合、それも対象になるのですか、そこで今大事なことは非常に弱い協同組合があるというので困つておりますので、私は実は早く弱いものを弱くないように整理をして、この公庫を始めることは非常に重要だと思いますが、それをどうお考えになつておりますか。
  76. 平川守

    説明員平川守君) お話の通りでございまして、この事業の方は非常に必要なわけでありまするから、早く協同組合の方もしつかりさせまして、そうして協同組合は勿論この対象の主なものと考えております。できるだけ速かに必要な貸出をいたすようにしたいと、かように考えております。
  77. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今まで御承知のように、都道府県の信連は場合によれば保証貸出しもやつておりますが、相手方の農協を見ますのには、一番信連がよく分つていると思うのです、そういうものも場合によつては使うのか、全然関係がないのか。
  78. 平川守

    説明員平川守君) 信連をこの大事業に使うかどうかという問題でありますが、これについては尚研究をいたしたいと思つております。利害得失いろいろありまするので、そういう御要望、も多分にあるということも承知いたしております。早急に研究をいたしたいと思います。
  79. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 関係の問題について、一つこの際佐竹主計宮殿にお尋ねしたいのですが、直接に金融公庫設立に、政治的に設立という問題ではございませんけれども、丁度ここに関係がありますから……今聞くところによれば、事業費のうありにおいて、本年はこれより冬空を控えまして、薪炭その他風水害によりまして相当農村方面が被害を蒙むる実情から申しましても、治山治水、いわゆる林道の開発或いは造林というようなことを当然しなければならないことはよくお分りのことであろうと思いますが、それに対して事業費が安本案で行くならば千三百五十億と聞き、大蔵案とすれば千二百億というふうに伝えられておりますが、どちらが的確になるかは今後閣議の決定で決まることであろうと思いますけれども、大体これを一つの例をとつて見まするならば、林道開発に対して、若し安本案であるならば、九億四千万円程度、それから大蔵案であるならば約五億円程度というような結論に相成るようなふうにも考えられるのでございます。若しそうしたようなことに相成りますならば、昨年度と何ら変りなく、政府事業総額という建前から行きまして、実際に林道を開発して薪炭を増産し、生活の安定に寄與するというような方面から申しまするならば、その方針ができなくなるというような結論に到著するのでございまして、いわゆる林道開発に対するところの増額の費用が相当見込まれておるかどうか。又治山治水或いは造林事業費に対するところの増額はどの程度まで見込まれておるかというようなことを、若し大蔵当局といたしまて、いろいろの関係上的確に数字の明確さを言うことができなかつたならば、概要でもいいから、この程度の増額の見込だということをこの際お聞かせ願いたいと、かように思うのであります。
  80. 佐竹浩

    説明員佐竹浩君) 公共事業費の総額につきましては、只今御指摘のございましたように、まだ閣議の決定を経ておりませんので、これが幾ばくになりますか、はつきりしたことを申上げ得ないのは甚だ遺憾であります。ただ只今お話がございました治山治水という点につきましては、大蔵省といたしましても、明年度公共事業費の編成の最重点を治山に指向いたしまして、なかんずくこの荒廃山地の復旧でありますとか、乃至は禿山、地滑り等の防止でありますとか、或いは水源林の涵養でありますとか、いわゆる保安林の整備強化をいたしまして、つまり洪水の根源を防ごうじやないかという方針で考え参つたのでございます。従いまして治山の経費につきましては、安定本部の千三百五十億円案に含まれる治山経費よりも大蔵省案ということに、只今一応大蔵省案となつておりますものに含まれる方が、むしろ若干上廻つておるということでございます。尚、林道につきましては、これは前年度五億五千万円でございました。明年度これが幾ばくになりますかは、閣議の決定を経ませぬと何とも申上げられないのでございますが、いわゆる薪炭林の開発につきましては、その重要性は十分認識しておるところでございますので、極力融資その他を活用いたしまして、十分に需要量を確保できるようにいたしたいと、こう考えております。
  81. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 もう一つ。立法技術の点であると思いますが、これはどうなりますか。先程官房長のお話を聞くと、例えば三十億とか、五十億を毎年政府が出す。そうすると、例えば今年五十億、その金はまあ今年一杯に使つてしまう。そうすると、来年同じく五十億が要る場合には、毎年法律を改正して五十億をとる、第三年目は五十億というふうに毎年するということになるか、そうなると、実は内閣も変るということになると、折角金融公庫ができても、或いは翌年度或いは再来年度はどうなるか、そこで立法技術としては毎年政府はお出しになるか。五十億なら五十億を出す、こういうふうな規定になりますか。或いはこの金融公庫が五年なら五年、十年なら十年という期限を予定して、総額は同じことなら資本金についても総額を書く。来年度は三十億なり五十億を出す。とにかく恒久的なものにならぬと、折角努力されて今年は通つても来年は法律が通らなければ、これは一年限りでこの効果が終つてしまう。その立法技術は是非とも恒久性を持つような法律の体裁にして、行くか、その点はどういうお考えを持つておりますか。
  82. 平川守

    説明員平川守君) 御尤もな御議論と思いますが、でき得ればそういうふうにしたい。ただこういう例ば例えば復金等についてもあつたのであります。相当大きな金預でもありまするし、全体のこれは五ヶ年なら五ヶ年、一応五ヶ年というものを目安に考えておりますけれども、五年なら五年の全体計画を承認を受けないと、この公庫は成立せぬということよりも、成立をできるだけし易くするという意味において、必ずしもその金額等も固定して法律に書かずに、併し方針としては大体その辺を目安に置いております。一応法律としてこういう形で初年度分だけを計上して、尚、明年度明年度として所要の金額を法律案の改正によつて計上して貰うという行き方をとつておるわけであります。理想といたしましては、お話のようなことが理想かと思います。その辺尚検討したいと思います。
  83. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 まあ早く作られることは分りますけれども、何かやはり恒久性があるというふうに考えないと、折角こうやつて作つても、これが内閣が変つて、その恒久性がないこりとになると、或いは貸した金の償還という点にも……これはでき得れば或いは総額を書くことは困難かも知れないが、他の方法がありはせんかと思うのですが、何か恒久性があるという立法技術を是非お考え願いたい。希望として申上げます。
  84. 西山龜七

    ○理事(西山龜七君) 農林漁業金融公庫のことにつきまして発言はありませんか。……発言もないようでありますから、午前中の委員今はこれを以ちまして終ります。    午後零時十四分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会
  85. 西山龜七

    ○理事(西山龜七君) それでは午前に引続きまして、只今より委員会を開きます。  食糧生産及び供出制度食糧日給態勢の急速強化につきまして、食糧庁安孫子長官から御説明を伺いますが、最初に食糧生産及び供出制度につきまして、説明をお願いいたします。
  86. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 生産関係は藤田さんからお話があろうと思いますが、供出制度のことについて簡單説明いたします。供出制度は御承知のように食糧確保臨時措置法で今やつておるのですが、この法律ができました理由は勿論ありますし、又これを実行いたしまして、一昨年あたりはその狙つておるところが相当的中いたしまして、非常に増産の実効を挙げたわけであります。ただ期限が来年の三月末日までで一応切れることになつておりますが、それを延ばすかどうかりということをいろいろ検討を加えて来ておるのでありますが、食確法ができました理由はいろいろあると思いますけれども、一つは農機具でありますとか、農薬とか、或いは肥料というようなものが統制下にあつて、これを増産の裏付として計画的に給給をするという一つの狙いもあつたと思うのであります。生産並びに供出と結び付けて、これが配当をするという面が一つあつたと思います。  それから特別価格制度、事前割当を、しておりまして、農家が非常に増産に努力をした結果増産の実効を挙げた場合に、言換えますと、事前割当以上に供出ができるというような場合には、そのものについて特別価格を認めてやる、三倍とか、二倍とか、そういうことによつて増産を刺戟することを主として狙つておつたわけであります。昨今の情勢から申しますと、このいずれにつきましても、その効果或いはその制度の維持が困難になつて来ております。肥料にしろ、農機具にしろ、或いは農薬にしましても統制が外れておりますので、又超過供出奬励金というようなものも、昨今の情勢から申しますと、これを三倍というようなことで今後存続しますことは非常に困難な情勢になつて来て起ります。むしろそうした金は基準米価なり基準麦価の方に入れた方がいいというような議論もありますし、又闇価格の低落によります特別価格を二倍、三唐に維持するということも困難になつて来ておりますので、そうした意味から食確法の維持ということもなかなか困難になつて来ておると思います。それからここ二、三年来、食確法を運用して来まして、常に苦しんで来ました問題は、減額補正をやはり何と申しますか、本当に法律の趣旨に合うような意味において決定できない客観的情勢にあるということであります。勿論私共運用の面に当ります者の努力の足りない点もあると思いますけれども、全般的な情勢からいたしまして、なかなか困難を来して参つておる。従つて結論的に申しますと、増産いたしました農家に対しては、非常にいい面があつたのでありますけれども、災害を受けました農家にとつては非常に酷と申しますか、惨めな結果になつておるということも外観的に言えるかと思うのであります。そうしたいろいろな経過も考えまして、来年の四月からは食確法の継続はしないということで参つたらどうかと思つておるわけであります。そうしますと、基本法規になりますのが、食糧管理法になるわけであります。そうして今までの事前割当が事後割当制度になつて参るわけであります。事後割当になつた場合に食確法に盛られておりまするいろいろないい面、例えば保有地を向上するというようなことが食確法では法律上保障されておるわけであります。そうしたものを食糧管理法の中に相当取入れまして、たまたま公団が廃止になりまするので、その面からも食糧管理法の改正を必要といたしますから併せて事後割当制度にいたしました場合、従来の運用の経過に鑑みまして、いろいろな点を直して、食管法の改正法律案を次の国会には出しまして、御審議を得たらどうかというような、実は心組でおるわけであります。「いも」は外れ、又今後雑穀が外れ、主として供出の対象が米麦になるわけであります。それに伴いまするに農家保有量の問題等もあろうかと思う。その辺も十分検討し、又各種農業団体等からもいろいろな御意見も出ておりますので、そうしたものも十分取入れまして、事後割当制度に移行して参つたならばというふうに実は考えておるわけであります。勿論成案を得ておりませんが、そんな心ずもりでおります。いろいろ御批判をお願いいたします。
  87. 三好始

    ○三好始君 第八国会閉会後、西山委員と私とで、主として供出制度の調査のために、愛媛県、滋賀県と出張して、いろいろ現地の実情も調査し、関係者の意見を伺つてつたのでありますが、只今説明のありました供出制度の問題について、現地の調査等から感じたいろいろな問題があるのであります。その一つの問題としてお伺いいたしたいのでありますが、食確法が三月限りで失効するということになりますと、生産統制の問題をどういうふうに考えて行かれる予定であるか、單に事後割当制度になりますというと、生産統制の法規がない以上、農家が転作を相当活発に行うようなことにもなりはしないか、單にできたもので割当をするということになると、食糧情勢がいろいろ朝鮮事変等から問題になつておる際に、果してそれでいいのかどうかということが一つの問題になるのではないかと思うのです。供出制度生産統制の問題をどういうふうにお考えになつておるか、その点を先ず伺いたいと思います。
  88. 藤田巖

    説明員藤田巖君) いろいろ生産の面に触れましての御質問でございますが、或いは今日現在農政局で、農林省全体で考えております食糧増産運動の問題を、一度全般的な考え方を御説明をいたしまして、当然御質問のような点にも触れるわけでありますからして全体を御説明いたしました上で、御質問を頂いた方が或いは便宜かと思つておりますので、ちよつと便宜この食糧増産運動につきまして、今現在進めておりますことを大要御説明申上げたいと思います。それでこれはお手許に御配付をしてございます食糧増産興農運動要綱、それから昭和二十六年産麦類増産運動要綱、これを御覽頂けば大体分るかと思いますが、補足いたして御説明申上げますと、先程食糧長官からお話がございましたように、食破法は来年の三月末日を以て失効して、いわゆる事前割当制度というものはなくなる、こういうことでありますが、併しながら生産の面においては決して食糧増産ということがそれによつて軽視されるという問題ではないのでありまして、殊に朝鮮動乱を契機といたしまして、一層食糧増産確保の問題が再検討され、新らしく認識されて参つて来ていると存じます。それで今年の七月三十一日の閣議食糧自給態勢急速強化に関する件というものが決定をされまして、最近の各種の情勢から考えまして、差当り主要食糧生産量を一割増産するということを目標にして、緊急増産に関する諸施策を強力に推進しようということに相成りました。それの具体的な問題として現われて参つておりますのが、この食糧増産の興農運動要綱及びこの第一着手といたしましてやりたいと考えております昭和二十六年産麦類の増産運動要綱であるわけであります。私共が今後取上げますところの増産運動というものは、これは食糧の国内自給度を急速に向上するということが一つと、もう一つは農家経済の安定を期する、この三つの面を考えながら、この増産運動をやつて参りたい。而もその増産運動の取上げ方は單に一時的な精神運動でなくつて、もう少し基礎のあるところの地道な具体的な施策を着実に実行することによつてこの増産の効果を挙げるというふうな方向で取上げて参りたいというふうに思つております。それでやり方といたしましては、勿論この事前割当制度というものはないわけでありますからして、特にいわゆる事前割当に相当するものはございませんが、やはり日本の農業というものが、仮に食確法の廃止によつて農家の自主性が回復される、これは非常に結構なことであると思いますが、それによつていろいろな作物が考えられるといたしましても、やはり中心になるものはどうしても米麦というふうなものに相成ると考えます。従つて勿論そういうふうにその他の有利な作物をいろいろ工夫をしてやることについては、私共としても非常に結構なことであると思います。やはり中心になる米麦というものについて施策を更に徹底をさせて、これによつて食糧の国内自給度を向上するということを考え、同時に又それによつて日本の農家の将来外国農業との競争のあります場合のことも考えて、その抵抗力を付けて行くということに副つてつて参らなければならん、そういうふうにすることが日本の今後の農業のあり方として正しいことであるというふうに考えております。従つて決して強制はいたしません。強制はいたしませんが、大体国としては、現在の状態から考えて、米麦等については、これは一つ国としてはやはり外国の食糧をできるだけ減らせるというふうな意味で大いに増産をして貰いたい。増産目標を掲げまして、そうしてそれによつて、これは個々の農家に割当するというふうな性質のものではございませんが、村において大いにその村の生産力、生産事情或いはその他の事情を勘案して、どうして増産するかということを真劍に考えて行く。そうして農家経営安定の面と国からの希望というものを織込んで、そこに自主的な農業計画というものを作つてこれを推進して行くというふうな方向に、この食糧増産興農運動というようなものを進めて行くというようなふうに考えております。それから差当りの問題は昭和二十六年度の麦からやつて参りたいと思つております。これに関連いたしまして生産目標というものを與える。これは一応二千六百万石というふうにいたしましてこれは先程申しました決して強制をするものではございませんが、農家経営改善上合理的に作付計画をこれは頭に置いて立てて行く。それを基調として各種の施策を実行することによつて、できるだけこれに近付けるというふうな運動をやりたいと思います。
  89. 三好始

    ○三好始君 只今の御説明で事後割当になつて生産を確保するために、余計の供出量を確保するために生産に対して統制を加えるというふうなことはしない。世界の食糧情勢なり、経済の情勢に応じて農家が自主的に経済安定の計画を立て得るような方向に持つて行くということは私も結構だと思うのでありますが、実際問題として、そういう方針で臨んだ場合に政府は一応予定している供出量が果して確保できるかどうかということが食糧計画の上から言えば一応問題になるわけですが、そういう点については別に危惧の念は持つておらないわけでありますか。
  90. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 需給の面から、非常に常識的な議論になりますけれども、そうそのおつしやるような危惧の念は、疑いは持つておりません。勿論長期予算から申しますと、いろいろ国際情勢の急変の場合も考えられると思います。そのためには増産と申しましても、増産ということが、これはいろいろ天候の支配もあります。必ずしも所期の目的を達し得られるとも限りません。やはり輸入食糧等の増強も併せて私共としては考慮して行かなければならんかと思つておるわけであります。勿論それが国内の農産物価格なり、増産については惡い影響を與えておるということじや困りますので、その点を十分考慮に入れてその辺を考えて参りますれば、需給の破綻を来すようなことは、御質問のような趣旨からは出て来ないように思います。
  91. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 事後割当にする場合に農家の保有量の計算等については大体従前の方針を続けて行かれる予定なんですか。それとも別な考え方をおとりになつておりますか。
  92. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 保有量の点は昨年は「いも」を外しまして、それを織込みました。今保有基準を府県別に掲げているわけですが、今年は今度は雑穀を外しますので、その辺の考慮を入れなければならんと思います。それにしても従来四合保有ということが農家にとつて実情にそぐわないものであるというような実態もありますので、需給の情勢を見まして、保有量の問題も併せて考えて参つたらどうかというふうに思つております。勿論これは非常に困難なことでありますので、今ここでお約束するわけには参らぬのでありますけれども、その辺はもう少し何か改善の方法がなかろうかというふうに考えております。形式的にありませんでも「いも」或いは雑穀を外す機会において、その辺の調整を若干でもとれれば、生産者にとつては工合がいいのじやないかというふうに思つております。
  93. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 事前割当を今までやられえていたが、大体私共承知しておりますのは、前五年を平均にして大体割当をやつておらつれたのですが、そうすると、土地改良増産というようなものは直接の関連なしにやつておられたように私は承知しておりますが、土地改良や何かやつて、若し事前割当をやる場合に二月か、三月頃決める。そうしてその後植付までに土地改良をやりますと、その分は増産になり、これは農家の余裕になつて来て超過の方に廻るというように、できるだけ土地改良を促進して参るということが今まではあつたのであります。それが事後割当というようなことに若しなつた場合に、その供出の標準をどういうようなものに決められるのか、実收でやるか、作柄の成る一定の時期なんかでやるのか、今まで土地改良による増産というのは前五年の平均ということで大体標準はできておりますが、その年の増産というものは供出の目標に入らないで、あとの五分の一ぐらいずつは入つていた。これだけは余裕があつたのですが、今度は一生懸命土地改良をやつて、できたものを供出させるというようなことになると、増産意欲というものが割合減つて来るのじやないかというふうに考えるのですが、そういうふうに特別の努力をしてやつて増産というものは事後割当になると、大体私は或る一定の年度まではこれは入れないようにやつた方がいいのじやないか、こう考えるのですが、そういうふうな取扱いはどういうふうにお考えになつておりますか。
  94. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 事後割当になりますと、御承知のように大体予想收穫高だけに基いて割当をするということになろうかと思うのであります。そうしますと、只今お話のありましたように、土地改良をやつて増産の実を挙げたというところには、やはり余計行くというような結果になつて増産意欲を非常に阻害する、そういう点からも事前割当制度というものを主張されたのじやなかろうかと思いますが、端的に申しますと、供出を末端に下します際に細目等を決めまして、その辺の若干の調整をとることについては可能であろうと思いますけれども、一つの大きな制度といたしまして、これを取上げてそれを外してしまうということはなかなか困難じやないか、そういたしますと、その面だけを端的に取上げられれば、事前割当制度の方がより増産に効果的であるということが言えるのじやなかろうかと思います。ただ一面そういう増産に努力いたしました結果、特別価格の買上げによつて非常に有利になつておるというところもありますけれども、大局的に申しますと、そうじやなく、御承知のように、供出は非常に歴史的と申しますと変ですが、前半からのいろいろな繋がりがあつてこう来ておるのが実情だと思うのであります。従いまして或る町村は大体非常に重い形になつている。或る町村は割に軽いような、成る部落では形になつておるのが実体になつておるというのが私共一般的な現象じやないかと思います。そういたしますと、事前割当の線を超えれば、それが特別価格になるというのは、一般的に申しまして、必ずしも非常に増産に努力をした結果、それが事前割当の線を願えたということだけでもないところもあるように見受けておるのであります。その辺のふるい分けがなかなかむつかしいのでありまして、従つて只今お話のありましたような、事前割当のいい面は実施上向か別途考慮して参る、制度上じやなく、運用の面で考えられないものだろうかというふうに考えておるわけであります。これも非常にむずかしいことだと思いますけれども、或いは国の特別の事情によつて、もう少し余計出して貰いたいというような場合には、それを一つの基準価格でないもので買入れるというような方法考えなければいかぬのじやないかと思つております。ただそいつは必ずしも土地改良をやつたところに、それが結び付くという関係にならぬので、弊害もありますから、これは研究をしておるという最中でありまして、結論を得ておりません。お話のような点は私共としても、事前割当の面で非常にいい面は何かの形で存続して参りたいというつもりでおります。
  95. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 事前割当という制度が生まれたのは、御承知のようにどうも事後割当では何ぼ一体作つて置けば満足に供出できるか非常に分らぬので、前に割当をして置くという声が随分高まつて来てそういう結果になつてつたのでありますが、そこで事前割当を廃して事後割当にするということは、元に戻ることでありますが、政府の買上数量に目標がなくて、どれだけでもあるだけ買うのだ、こういうので、若干無理の行かないやり方なら、それはそれでもいいと思うのですが、若しそうでなくて、食確法がなくなつても管理法に基いてそういうことをやることになると、相も変らぬことになつて、非常に又論議ができると思うのですが、そういう面は一体どういうふうに調節して行かれるお見込みか。どうも今お聞きしたいところでは、これがはつきりしりないと思うのですが、どうなさるおつもりですか。
  96. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 食確法のできました当時の一般的な情勢なり、背景については、今片柳さんもおられますから、十分御承知だと思います。私から申上げるまでもありませんが、昨今の情勢から申しますと、需給の情勢は非常に改善されておるわけであります。従つて需給の面から非常に強烈な供出数量を割当てるというようなことは、そう必要のないことじやないかとは思うのです。併しこれは情勢の変化によつてどうなるか分りませんが、只今の見通しではそういう見通しを持つております。それが私ども事前割当でも、全体の目標数字から申しますと、これは必らずしもそう酷だという感じは持つておらぬのであります。それが生産の実態に即応して再配分をされると申しますか、末端までその形において流されない点に、非常に苦しい農家が出来ておるということを感ずるのであります。それが事後割当制度になりますれば、その点が余程又直されて来るのじやないか。而も一方、いろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、作報の組織が一応確立しておりまして、全国の作柄の予想というようなものも相当的確につかめるような情勢にあります。尚又輸入食糧も至つて順調に入つて来ておるような状況からいたしますと、末端に行つた場合に非常に酷な割当はそうしないで済むのではなかろうか、そういうふうに行けるのじやなかろうかという予測を持つております。そのためには、保有量を農家に確保してやるというような点を、やはり相当強く現わして置かなければならんとつ思つております。あとは実際の運用の面に移つて参るのじやなかろうかと思います。
  97. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは片柳さん時代に生れたことなんですが、事後割当では、何とかして保有量を十分に持ちたいと思つてつてつても、事前割当できつく来るものですから、殆んど全部出しても足りないというようなものが出て来るということから、全部のものが事前割当を欲しいというので生れたのであります。それで何か單なる目標で、下から申請のあつたものだけ買うというのならば別ですが、そうでない割当は同じことになりはせぬかと思う。そこで作報のお話が出ましたが、実ば作物報告事務所、今は名が変つておりますが、これは弊害があつて非常にいかぬという主張を私は盛んにやつたわけです。私か要らぬという主張をした理由は、不徹底だから駄目だ、やるならば徹底した機構を持たなければいかぬというのでやつておりましたが、吏員も大分殖やして参つております。そうしてまあまあどうにか作報としての活動ができる思つてつたのを、まだ結果は分りませんが、七千は不必要であると言う。私はこの間、甚だいかぬと言つて文句を言つたのですが、どうもいろいろ考え合せると、何だか食糧供出がゆるんだようでもあれば、又人為的に希望するような面も出て来て、非常にむずかしい考え方になりはせぬかということを心配しておるのであります。全面的に申しますと、食糧の一割増産ということは、実は今頃政府が言うのはちよつとおかしいのです、僕から言わせると。全面的に食糧というものを米に換算して考えて見たら、政府の希望する買上土数量は立派にある。ところが、より食いをして米と麦と大豆でなければならんということになると、非常にそれは困つたことなので、殊に北海道から言いますと、北海道は麦の割当は困るのです。僕らは今だんだん食糧が緩和されて来て、適地適作にやられることが我々の最も希望するところなので、そこへ持つて行かなければならんと思つておるのですが、今度は又違つて来て、いやな麦も作らなければならん。麦を作つては絶対に算盤は合いません。併しながら「いも」を作つておるので、麦に変えればどんどん増反はできまして、今は收穫が少くても殖えて参る。それは間違いない。ところがそういうわけで、今頃一割増産なんと言う。それは政府の施策が甚だ不徹底で、百姓に納得の行かないことに一体なつて来はせぬか、こう思うのですが、その点どうですか。
  98. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) これはいろいろ予測も入つたと思いますけれども、米、麦……甘藷は外されましたけれども、特に麦等につきましては、やはり生産された物は政府が全面的に買うというような態勢が増産の上に最も必要であるということは従来主張されて来ておるのです。私共はやはりそうであろうと考えまして、来年度以降の米麦の完全統制と申しますか、無制限買入というようなことを是非続行して参りたいと思つておるのであります。そう申しますのは、結局日本の食糧自給態勢をできるだけ引上げて参りたいという趣旨からの何でありまして、その点から増産運動というものを取扱われても、供出制度との関連において矛盾はないものだというふうに考えておるのであります。
  99. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは農政局長にお聞きするのですが、一体今頃一割増産というようなことはお止めになつて、三年後には八千五百万の国民を立派に養えると、こういう案を立てて進んだ方が最も好ましいことで、百姓にも受入れられると思うのですが、それが数字の上からできないと言われるかも知れないが、完全にやれる場所ではなかろうかと思う。それは国策の問題で、政府がそれをそう考えなければできないことなんですが、そうやつた方が非常に納得も行き、国力も増して来るし、朝鮮の動乱がちよこつと起きたのに鑑みて、そうして一割増産だという……。こういうことは日本の国がしよつ中あると、こういうことを考えるのが妥当なんでして、それは朝鮮動乱がたまに起きたので、もう起きないが、それを見て又一割増産をしようという計画を立てることは、我々百姓から見たらどうももう少し本当に親身のある、本当に食糧政策に身の入つた計画を立てることが非常にいいのじやないか、今度例えば北海道から百万石増産が来た、これとこれをせいというのが出ておるが、それされも欠いておる。そういうわけだから、そうでなしに、本当にそういう計画をして三年後には必ず日本の食糧が自給をするという建前で行つた方が将来も堅実であり、一番いいことで、それが若し全国的にえらい災害でもありますれば、それは別なことですが、そのときには他の方法も止むを得ないことだが、大体少々の災害があつてもやつて養えるということを立つて行く、どうも一割増産ということは余り言つておらないが、一割増産の案を見ても、御説明もあつたが、どうもこれは全面的にこの案は私は又百姓を欺すような案で困ると思います。
  100. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 三年後なら三年後に、日本の国が食糧においては完全に自給をするというふうなむしろ構想で進んで行くべきじやないかという御意見でありますが、御承知の通り食糧増産ということには国の財政金融計画、それに非常に関係があるわけであります。国の財政金融計画というものを無視して立てましても、これは効果があるわけじやないわけです。私共といたしまして考えましたのは、そういうふうな点も見、余り農林省だけの考え方じやなく、全体のことも考え、而も大体予算といたしましては、ニヶ年に少くとも現在入れておりますところの食糧が半分で済むような、少くとも三年ぐらいに効果がある。こういうふうな計画を立てることが一番まあ妥当であつて、而もそれにしても厖大な財政支出が要るわけでありますが、少くともこれくらいは政府の徹底した施策をやることによつてつて行きたいということが農林省の案です。従つてそういうふうな計画でこの一割増産というものが予算的な面で申しますと、立たれておるわけであります。それが率直に申しまして遺憾ながら当初私共の考えておりますところの予算的な裏付というものについては、なかなかむずかしい面もあるわけであります。我々といたしましては、従つてできる限り自給度を高めるということは、これはもう決して異論のないことであります。やはり現実の財政金融計画ということとも睨み合せまして、具体的な計画として立てたのであります。一応の標としては、こういうふうな程度のことがいいのじやないだろうか。尚これが達成され、今後漸次達成されることによつて御趣旨のような完全自給計画ということにまで進めて参るということは、これは勿論必要であろうと考えるのであります。
  101. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 私はどうも納得が行かぬ、腑に落ちないということになつておるものですから、困るのですが、日本の政府はこの際一割増産の確保をしようとは私は思つていなかつたのじやないかと思う。ところが、そうすることによらざるを得なくなつてしたのであつて、決しで今の日本の百姓に與えておるその感情から、今頃二割増産なんて大人気ないことだと思う。ところがどうもそうせざるを得なくなつてつておるのだからおかしいのです。これに書いてあるのを見ても、これは大変いいことだが、これに書いてあることが実行されていないことになつている。今にして興農運動の要綱を見ても、第一番に、「食糧の国内自給度の急速な向上を図るとともに、農家経済の安定を期することを目的とする。」、こんないいことはないので、それが本当なら我々は双手を挙げて賛成するのですが、ところが何もそういうことがない。ただ一割増産をするということは、それだけ余がにできることなら結構ですが、百姓は来る年も来る年も一俵でも一斗でも多く取ろうと思つてつておることは事実なんです。併しながら、これだけ余分になつて来るので、米の価格にしても、麦の価格にしても、現在のままで、その農家の安定を期するということを書くからおかしいので、実際先に書いてあることを読めば読む程空手形だと思うのです。今の予算と合致せぬから空手形ということになる。こういうのを振り廻すのを止めて、これを一割増産せよというだけでいい。それをいろいろな金をかけるような話をして金を出さないで、そうしてこう書いてごまかすことは止めて貰いたい。そうでないと、日本の百姓もそうそう馬鹿でないのです。何が何かわけが分りません。日本の百姓も馬鹿でないのですから……。兎も三年経てば食えるという、そのくらいに余りにも馬鹿にすると恥しくて僕はやれぬ。それも凛とした施策があれば別ですが、どれを見てもちつともない、空手形なんです。僕はそういうことを言つてはいかぬと言つたら、そういうことはない、手形を持つて来ますと言つておりました。これに書いてあることはちつともない。これは勿論皆いろいろな関係であれでしようが、馬鹿な百姓にこんなことを言つても笑うだけの話だ。恐らく運動しても、何でも運動費を大分出すような話をしておる。そういうことは止めて貰いたい。こんな問題はそうしなくても必ずうまくさえすれば何割でも取る、麦の価格がよくなれば「いも」を止めて麦を作る、これは適地適作でなければならんものを歪められて来たからであつて、今からでも適地適作の方へ直されることを我々は喜んでおる、それを又妙な話をして、そうして百姓をごまかすような話は余り聞きたくない、して貰つても困る。我々は国会議員として、日本の政治を扱つておるものとして、そんなわけの分らぬことをしよつ中言つて歩けない、これは三つ出しておるが、どれを、見たつて裏付けのある凛としたものは一つもない。ただ百姓は政府が国の食糧は大事だから取りなさいというものだから取つておるのです。いろいろ書いて振廻すことはこれは困る。
  102. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 私共がこの食糧増産運動を取上げましたのは、たまたま朝鮮動乱というものがございまして、この朝鮮問題が起つたから、これを取上げたのだろう。朝鮮問題がなくなれば、又この問題がなくなつてしまうのじやないかというようなことが、恐らく農家の方でもそういう印象を受けられたかと思うのでありますが、そのことを私共は特に言いたいのでありまして、そうでなく、私共の取上げます趣旨は日本の国が将来経済自立をいたします上からしても、やはり日本の農業、農家というものが安定をする上からいたしましても、この食糧増産運動というものをやはり取上げ、而もこの食糧増産ということが同時に農家所得の改善を伴う、同時に増産して而も農家はそれによつて農家の所得が殖える、こういう方向に今後持つて行くということでありませんと、将来国際農業との接触が起つて来た場合に、日本の農業というものが非常に弱い位置に立たされる。それがこの朝鮮の動乱を契機にいたしまして、更にその必要性が従来からあつたのでありますが、それが新らしく認識をされて来た。従つてそれを最上げまして、ここに書いございますように、運動としては、食糧増産はただ單に食糧が足らぬから増産をすることでなくて、やはり農興運動としてこれを取上げて行きたいということで、従つてこれの助成をやりますについての予算的措置等についても、御指摘になるまでもなく、私共といたしましても非常に不満足には考えております。これは併しながらできる限り極力努力し、又この重要性からして各方面の御認識を得て、今後できるだけやはり農業部門に対する必要な財政支出というものをやることによつて生産力の基礎を培つて行くということに持つて行かなければならん。そういう運動として、地道な運動として私共は取上げて行く、これは現在の情勢からして極めて必要じやないかというふうに考えております。
  103. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 局長はまあそうおつしやられるが、私共は第四国会、第五国会、第六国会、第七国会と、日本の農業の行き方、食糧増産方法もう口が腐る程言つて来た。何か政府の方にしつかりした案を立てなければ駄目じやないかと言つて来たのですが、なかなか立てぬものですからして、それではこつちの方から立てようじやないかというのでやつておりましたが、三年議員の改選から主たる人が変つたりして、今それができなくなつているのですが、ここでちよとぽかんと一割増産をここに書いておられるのですが、これは局長を責めるわけじやありませんが、一番肝心な被補助事業さえ全部抹殺するというやり方を政府がしているのを見て、私はこういうことは甚だ怪しからんと思つている。それで農家の一番増産が必要なものは被補助事業であります。これは大きなものは大きくやつているからそれでいいのですが、ここの増産をする大事な網を一つも認めず、抹殺しようという政府のやり方で一割増産を叫ぶなんという真意がまるで分らない。これは農林省を責めません。局長を責めてもいかぬか知れませんが、局長もそこらを考えて、こう言われても面倒だ、これは通らぬというので取上げない。閣議で決定したら大臣に話をして、それは困ります、被補助事業でさえ削つてどこに一割増産と言われますか、このままなくして、今度は仕方がないといつて書いて来たのでは困る。我々が百姓に向つてやりなさいと言うのは、こうこうだから、国が救えるのだからやりなさいと言える。ところが大事な被補助事業を切られたのでは、これは一割増産なんという人は気違いなんです。本心から政治に携つている者は言えぬことなんです。だからこういう世の中になつて来て、それは、大蔵省が切つたというのは大蔵大臣の責任かも知れない。それがそうじやなく、ちやんと関係大臣がおられてやつているから何も言えない。私はあの被補助事業を全部認めて呉れたら、これは大賛成でやりたい。ところがあれを認めて呉れないうちに、こういう話が来ても絶対真向うから反対せざるを得ない立場ですから、それを主張します。事前割当の問題もそれがいいというのでやつて来たのですから、やはり方法は事前割当の方法に近い方法を続けられるとするならばこれもやむを得ない。統制をする以上はいろいろ研究をされておられるでしようが、筋道の立つた、後戻りをしないような、百姓に、何をするのだと、こういうことを言われぬようにして行かぬと、随分言われて来たのですから、又言われたのではいかぬのです。
  104. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 岡村さんのおつしやることの意味もよく私共には分つております。私共といたしても、併しながら昭和二十六年度予算におきまして具体的に増産になるような施策について予算相当認められておるものもあるわけであります。例えば農政局関係で申しますと、品種改良の関係、これについては原種圃及び採種圃の経費を一部認められて来ております。それから病虫害防除につきましては相当薬剤交付、その他或いは農機具の購入助成というようなものも認められております。従つて不満ではありますけれどもやはり認めれた予算はできるだけこれを有効に活用するということは、これは我々としてやるべきだ、勿論その総額について不満なことはございます。これについては極力努力して要求することは要求するわけでありますが、国の財政上仕方がないということで決まりますれば、その決まりました予算を最も効果的に使つて行くということで、やはりこれを徹底してやつて行く、それによつて当初予期しておりました効果が一〇〇%挙らんにしても、できる限りの効果を挙げるということは私共の勤めである。そうして又そういうようなことによつて、おのずと漸次今後の予算折衝においても又これを強力に主張してなかなか一遍ではこういう問題はできるものじやないのであります。漸次こういうふうな輿論を起して、そうして当初の目的にできるだけ近付くように進んで行くというような態度がやはりいいのではないかというように考えておるわけであります。
  105. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 局長はいろいろ言われるが、成る程それは貰つております。そこで我々が一番主張したいのは、採種圃の問題、これも折角できておつた採種圃にしようと思つたものが、今なくなつてつて、又病虫害防除の予算もあるようですが、これは私は噴霧器だと思いますが、そんなものを千台やそこら買つて貰つたつてしようがない。去年の予算と今年の予算と比較して、一割増産のために取立ててこういう施設ができたというならば、これは話が分る。そうでなければ非常な災害がもあつても、あれだけの予算なんですから、農林省予算要求は半分にも足らぬ額です。三分の一とは言わないが、決して農林省が先に立つて増産をしようという掛声をする程の予算は認められておりませんから、これはやむを得ません。併しながら誰に聞いても、今年の予算が百姓に非常に有利な一割増産を勧められても、無理のない予算であつたら、こういうことは私は申上げません、一週間も十日も随分予算にかかつて骨を折つて見たが、なかなか決まらぬ。うまく行つてもそれが関係方面でお認めになるかどうか分らぬ、それも問題があるわけであります。それからもう少し下へ向けて、ここに書いてあるものがそのまま効果的になるようにならなければ、百姓に言つてもこれは小言を聞くだけです。ここに施策がありましても、この施策を見たつて、皆予算が併わなければできない仕事が大方なんです。昨日でしたか、全指連から七千二百万円の運動費を貰つて貰いたいという書類が来ましたが、そう言つて置きましたよ。そういうものを貰うために運動費を貰つたばかりでは増産できるものではない、もう少し生きたものでなければならない。運動費を貰うとばかり考えてはいけない、こう言つて置きました。こういう運動費を一割だけ使わなくても、一体百姓が少く取ろうと思つておるようなことは間違いのことなんで、百姓は多く取ろうとする気持で、例えば天災がなければ、少くとも一俵でも余計に取ろうとするのが百姓の信念なんで、施設さえしてやればと思うのであります。決して少く取ろうとは考えておりません。どうも私に言わせると、少し考え方が今後困るような考え方になりはせぬかと思う。その理由は米と麦と、麦をうまくないから高いから要らぬから、何とか小言を言われると、それをそうかという、私は日本の品物はそんなではいけませんよ。うまくなくても、うまくても、自分の国でできた食糧自分の国の食糧として食うような運動が大事なんで、私はそれを一割増産の運動費の方にかけた方がいいと思います。高いから買わぬと言つて、そのままにしておつたのでは駄目だと思うのであります。今の配給の状態を見ると実に情ないと思うのであります。政府の施策が惡いのでありましようか、あなた方が惡いのでありましようか、もう少し日本の国の状態を掴んで、将来どうあるべきかということを掴んでやれば、こんな小言を許して減らすということであるから、こういうような欠陷が出ておるのであります。
  106. 小林孝平

    ○小林孝平君 最初にお伺いしたいのは、事前割当を廃止することになりましたのは、その事前割当の割当方法が適正に行かないから止めるというのですか、或いは食糧事情がこの法律を制定した当時より非常に改善されたから、もう必要がないから止めるというのか、どちらですか。
  107. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) いろいろ理由がありますが、生産増強の裏付けになつておりまする肥料とか、農機具或いは農薬というものの統制、これがもう全部外れてしまつておる。そういうものの増産を期待しておつたのであります。そういうものができなくなつた。それからやはり事前割当の一つの妙味は増産の努力をしました結果、それ以上に取れたものについて特別の措置を講ずるということに一つの狙いがあつた。そういうのが現在の経済情勢下において非常に困難になつておる。その意味からも意味が薄れておるのです。それからこれを二、三年来運用して行きました経験に鑑みましても、なかなかうまく行かぬ。いろいろな運用上欠点は出て来るかと思いますが、殊にこういう客観情勢におきまして、なかなかうまく行かない。災害農家に対しまして相当酷な結果になつておるところの実情を認めまして、むしろ收穫予想の方が完備しておりますので、事後割当の方がいいのじやなかろうかという考えをしておるわけであります。
  108. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 今大体承つたのでありますが、やはり何ですか、事後割当の方が生産者の立場から言つて公平に行く、やり易いという建前だけですか、輸入食糧は国で絶対管理をするが、できれば内地食糧というものは或る程度の保有が確保できれば、それでいいというような考え方ではないのですか。
  109. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 輸入食糧の管理は勿論のことでありますが、国内食糧もやはり完全統制の形で暫く持つて行く必要があるのではないかと思うのです。従つて国内産食糧米麦の供出を非常に緩和すると申しますか、統制を順次外して行くというような考え方で事後割当に移行して行くという考え方をとつております。そういう考え方でございます。やはりいろいろな点から考えて事前割当の方よりも事後割当の方が、生産者に対しましてもそう酷でなく行けるのではないかというふうに考えております。
  110. 小林孝平

    ○小林孝平君 この食糧増産運動の根本をなしますところの、国内において食糧の自給度を高めるというこの理由ですね。これがはつきりしておらぬのではないかと思うのです。何故自給度を高めるかという点の意見が一致しておらないから、どうも目的がはつきりしないという憾みがあるのじやないかと思うのですが、その点農政局長の……。
  111. 藤田巖

    説明員藤田巖君) これは何故国内の食糧の自給度を高めるかということでありますが、私は率直に申して、食糧のごときものは、これは若しそれができるならばやはり国内においてこれを賄う、而も高い補給金を付けてまで外国から入れるということでなく、入れるのは更に必要な他のものを入れることにして、そうして国内の食糧によつてこれを賄うということがこれは必要であり、而もいろいろ内外の諸情勢の微妙な際においては、やはりそういうふうな方向にこれを持つて行かなければならんというふうに考えるわけであります。そうして同時に又さような態勢をとることによつて、日本の農業というものがやはり安定をして来るというふうに私共としては考えております。
  112. 小林孝平

    ○小林孝平君 ところが実際に行われておるのを見ますと、超過供出の奬励金もなくなるし、それから早場米奬励金も今年は六十億というのが三十億になり、それから唐突として出された食糧一割増産運動という問題について、このために予算相当要求したけれども、その殆んどが打切られた。こういうような情勢で、やはりこの食糧一割増産運動というものを展開しようというところに非常に無理があるのじやないかと、こう思うのです。だから本当にやるなら、予算にしても更に努力すると同時に、現在の早場米奬励金の例をとりましても、今年六十億というのを三十億にするというような点を見ても、本当に増産運動をやろうという態勢になつておらぬのではないかと思うのですが。
  113. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 早場米奬励金について十分御承知のことだと思うのですが、実態は單作地帶の一つの保護施設意味を持つておるわけです。やはり形式上は早場米が国の自給上非常に必要だということで奬励金が出ておるわけであります。それがだんだん食糧事情が平常化して参るにつれて、特に輸入食糧が非常に好調に入つて参りましたについては、本当の意味の端境期というものが現在の情勢ではなくなつて来て、大体年間平均して来ておるので、特に早場米について特別の金を出してまで操作をやらなければならんという表面上の理由が消失して来ておるわけです。併し実態はそうではないので、私共としましてもその点を主張いたしまして、先程申上げましただけの理由から言えば、来年度恐らく三十億の早場米奬励金も困難であるのであります。それが三十億程度に止つておるということでありまして、早場米奬励金がなくなつたから、それの増産が必要でなくなつたということではなかろうと実は思つておるのです。
  114. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 今度の供出制度はいろいろ過去において相当な変遷を経て来ておるわけです。今度のもので行けば、結論としては振出しに戻つたということになるのです。收穫予想を見て現地において割振りをして、それで片一方で一割増産運動と、こういうのですが、勿論事前割当の制度も相当の欠陷があり、非難もあると思うのですが、やはりともかく所定の線を越えて増産をして供出すれば相当の報奬金が貰えるし、或いは自家保有米が殖える。やはり制度としては一つのよさを持つておる。そこで振出しへ戻るという以上は、やはり單に昔と同じく收穫予想を見て割当をするだけでは全く意味がないわけです。そこで問題は報奬金がなくなるから、それのために相当に米価を上げるという問題がここに出て来るのです。これは折角御努力中のようでありますが、私は見通しとしてはなかなか米価の大幅引上げは相当むずかしいのではないかと思うのです。勿論これはできるだけの御努力を願いたいと思いますが、そう簡單には行かないのではないかと、こう思います。そうなつて来ると、もう一つの問題は自家保有量の問題、これは私はもう一つの大切な問題の焦点になると思うのです。そこで先程安孫子君のお話では、或る程度考慮して見たいということですが、これはやはり一割増産運動の成果を……私も小林君の言つたように、果して現在のままで効果があるかどうかは非常に疑問に思いますが、少くとも増産した農家については保有量にも或る程度のプラスアルファと言いますか、彈力性が與えられるということでないと、大いに努力して作つたけれども、四合だけであと全部出しなさいということでは、これはやはり米価は大したこともないし、折角増産をしても依然として四合しか残し得ないということでは全く元の杢阿彌になつてしまうので、勿論公共事業費だとか、その他の増産施設のあれも必要だと思いますが、米価の問題と、もう一つは自家保有量の問題がはやり制度としては二つの眼目になると思う。そこで私のおつたときにも、当時は三合の保有量を四合に持つてつたのですが、そのときにもどの農家も等しく四合ということはおかしいのではないか。やはり経営規模の大小によつて保有量に或る程度の段差を付けてもいいのじやないか。こういう意見を出して、又或る程度これを立証するデーターもある。やはり経営規模の大きい農家は延べに働く日数も多いというデーターが出た。そこでこの際保有量についてやはり或る程度増産に見合うプラスがないといかぬじやないか。私のときには一部保有の農家も、完全保有の農家も、全部初めは四合保有ということで行きましたが、その後関係方面の方の指示によつて一部保有農家は四合を保有する必要がないというので、現在は三合であります。供出農家は或る程度段差は付けてもよいと思う。少くとも増産した農家はそれに酬ゆるに四合プラスアルファ。これはですから米価一本だけでは足らないので、やはり保有量の関係も併せてお考えを願うべきではないか。特に作報組織が充実して来ると、特に私のおつたときには四合保有でも足らぬという感じはありましたけれども、実は生産高に或る程度のアローアンスがあるだろうということで、実は内心ではその辺で自分で自己満足をしておつた。その生産高に再びアローアンスが表面に出て来ると四合保有は実際上むずかしくなつて来ておるのではないか、そこで米価の問題は勿論最善の御努力を願う必要があるが、もう一つ保有量の点をはつきりして貰わぬと……勿論別途に予算的な助成等に最善の御努力を願いたいが、制度それ自身についても関係筋の意向等を打診されたところはどうですか。
  115. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 只今お話の点は私共もその通りと思つております。できるだけそうした面で一割増産運動と結び付けて改善をして行きたいと思つております。関係筋とはまだその点話合いはいたしておりません。
  116. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 もう一つは、昨日も私聞いたのですが、これは岡村さんあたり北海道の方がどういう見方をしておるか分りませんが、雑穀の統制を外すというお考えですが、これは大勢としてそういう方向に向うのだろうと思いますが、雑穀の統制を外すということが、米と麦については政府はできるだけの価格を付けて増産をするが、雑穀の統制を外すというと、これはもう勝手放題になつて或る程度値段は下げてもしようがない。現在でも小豆なんかは、これはやはり相当闇取引の対象になつておる。そうなると、統制を外すと米なり麦の価格で政府ができるだけの値段を勉強しても、或いは雑穀の方が自由販売になつて、そつちの方が有利になるという見通しで、先程どなたかからも質問があつたように、農業計画を放棄しますから、そうすると小豆なり或いは落花生なり、そつちの方へどんどん転作をしてしまつて、一割増産運動とか何とか言つても、外の方に転作して、何の一割増産運動だか分らぬということになる。特に農林省はそういうお考えではないようでありますが、大豆の統制なり、政府買入を止めるというような問題は、これは私は相当大きな問題ではないかと思います。ですから統制を外すことは、雑穀を作る方が不利であるということであれば、これは米麦の増産にマイナスの影響はないと思うが、統制を外してそつちの方がどんどん売れるということになると、そつちの方へ米麦が逃げるということになる。これはどうお考えになりますか、伺いたいと思います。
  117. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 雑穀の統制を外した場合の価格の変動の見方ですけれども、「とうもろこし」と、それから北海道の燕麦が値下りを来す。その他のものはそう値は崩さないで行くのではないかと思つております。勿論内地なんかで言いますと、落花生なんかもそうひどい値下りはないのではないかと思つております。それと増産との関係ですけれども、やはりそのためには米麦の価格というようなものを相当有利にしてやらなければならない。お話のございましたように、米麦の価格の引上げというようなことがいろいろな点で非常に困難でありますから、どうしても米麦の価格を相当合理的なものにしてやらなければなりません。そういうことに努力いたしたいと考えております。農政局長の御意見があるかと思いますが、経過的にはやはり非常に有利な作物のために、例えば麦作が若干食込まれるという現象も、現在の行おうとしている一割増産運動の線では防ぎ得ないものがあるのではないかと、こういうふうに思つております。
  118. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 もう一つ、雑穀を外すということは、別の言葉で言えば主として畑作の農業ですね。これを統制を外すということになる。これはいろいろ私も農村省在職中の貧弱な経験なり、或いはアメリカ等へ行つたりして、向うの連中の見方は、日本農業は畑作の方がまだ増産の可能性の余地があるのではないか。勿論米についてもあるでしようけれども、先ず相当の水準に来ている。ですから畑作の増産に主眼を置くということは大体のラインとしては正しいだろうと思います。特に大豆とか、「とうもろこし」については、やれば相当あるのじやないか。その矢先に今言つた雑穀の統制を外した結果有利になれば、結果においては畑作の増産になると思います。そちらがそうなると、肝心のここで言つている米麦の一割増産が、そちらの方からひびが入つて来る。ですからその関係があまりまだ消化されておらないのではないかという、実は率直な感じを持つわけですが。農政局長のいろいろお考えを承わりたいと思います。
  119. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 先程食糧長官からもお話がありましたように、私は農政局の立場で、事前割当制度を止めた場合に一利一審があると思いますが、いい面はどういうことかと申しますと、これは農家のいわゆる自主性の回復ということです。従来事前割当というものがあり、それが過重でありましたために、農家はどうしても不適地にまで麦を作つて行かなければならん、こういう問題があつた。それでやはり割当がある関係で麦を作つて行かなければならん。であるから、いつも事前割当の場合は外の作物に転換したいというふうな問題が起つて来ておつた。我々は増産運動というものを一時的なものでなく、相当恒久的な考え方で進めなければならんということを考えますと、そう長続きしないことはいけないのですから、そういう意味で今度事前割当がなくなり、そうして農家がそれじや自分は今度は畑作について何を選ぼうかということを、自主的に選ぶということを與えるということは私はこれはいいのじやないか。ただ率直に申しまして、そういうふうなやり方をしましても、そんなに日本の農業が非常に他に有利な作物が沢山あり、それに全部行くということはあり得ないと思います。やはり日本の農業としては、米とか、麦とかいうものが、どうしても中心になつて行くというふうに考えます。従つて農家が自主的に作物を選ぶということは結構です。そのために麦の畑が減つてもそれは構わぬと思います。ただどうしてもやはり麦を植えなければならん土地があるだろう、だからそういう土地についてはできる限りの増産施策を行うことによつて、尚増産の余地が相当あるわけです。そういうようなことをやりながら、つまり農家にあまり強いないで、農家の考えで作物を選ぶ、そうしてやつて行くというような方向で尚増産の余地がまだあるというふうに考える。それから大豆、殊に雑穀等については、私共の立場から率直に申せば、一応の買上制度と言いますか、統制は外すけれども、雑穀と申しましても、なかなか統制がそうこれまでも、率直に申しまして、そう供出制度がうまく行つているわけではないから、一応は自由にするけれども、政府の買上制度、こういうようなものが農政的な立場では必要ではないか。それがまあ大豆についてはいろいろ食糧庁その他で考えられて、私共も全面的に賛成する。そういうような施策をすることによつて農家としては自主的に作る。そうして価格その他割当等もなくやらせるということの方が却つて増産の効果が上る。そうして供出或いは供出制度というようなものについては、やはりこれを最小限度に限定して行くという考え方がやはり正しいのではないかというふうに私共も思つております。
  120. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 まだ確定しておらぬから、大体の考え方なのでしようが、事前割当を廃した時分に、今農政局長お話を聞くと、大変いい考えをしておられるので、僕らは適時適作でなければ、百姓はいけないと思つておるのだが、併しそれができなくて、今日まで来たわけなのです。そこで目標割当をずるのかしないのか、全く畑地の作物は野放図に適当ないいものだけを作れ、こういつて作らして置くといつて取立てをする、それはどうなのですか。
  121. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 先程申上げましたように、強制的な割当はしないけれども、米麦についてはやはり国としてはこれくらいのものは一つ作つて貰いたいと、強制はいたしません。従つて農家までその割当を下す必要はないと思います。併し一応国の要求と申しますか、希望と申しますか、そういうようなものを示して、それを一応の考慮に置いて、農家は自主的な農業計画を立て、そうしてできる限りそれが達成せられるように進んで行きたい。併しこれは飽くまでも増産運動として推進する、決して割当をして行くというようなことではありません。それからその外の作物等についても、これは勿論買入制度等のないものについても、我々としては今後の使命というものが、絶えずこういうふうな作物について、現在の状況或いはその他の関係からしては、こういうふうな状態になつているということを知らせながら……。放つて置きますと、直ぐその農家が一つの作物に片寄つたために、その値が非常に崩れるということもよくあるわけですから、絶えずそういうふうなサービスの仕事をすることが、今後必要な仕事として残つておるというふうに思います。
  122. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 局長お話では、非常に無理のないような、和やかなお話をしておられるが、例えば都道府県の知事、それから下へ行きますと、目標というものを示された以上は、それを行うつもりでやるわけだ。で、ここのお話と恐らく食違うようなことになると思うのですが、農家の自由選択に任して置くが、今言つたように非常に片寄つた作物が沢山作られたのでは、今値段がいいと思つて作つても、又大暴落を来して農家の経済に支障を来すから、そういうものは指導し、教えて行きたいということなのですが、実は大分そういうことがないかと心配しておつて、よしんば安くなつてもいい肚でやつておるので、これは百姓も、殊に私共北海道などは、昔は輸出作物本位に作つたものですから、割合賢いです。それで北海道に麦が非常に適作でないので困つておるが、仕方がないから作つておるわけなんですが、片柳さんの時代に北海道の麦作は駄目だといつてお断りをしたことがあるのです。そういうわけで非常に無理な作物ですから、水田なら水田より方法はないので、どんなものが来ても水田で米を作るよりしようがない。どつちへも転向のできる畑作は、どうも目標を示されると、それがやつぱり割当のようになつて非常に不安な元の状態になつておりはせんかと思う。片柳さんもおつしやつておられたが、事前割当と事後割当の問題で随分そのときに議論があつたのです。併しながら百姓の希望はどこで聞いて見ても、事後割当より事前割当の方がいい、それは割当数量さえ作れば保有量を決められておつても、それ以上要求されなければ保有ができる、そう言うので、そうして欲しいという要求の下にできたものが今日まで来たわけですが、どうも今お話になるのと、実際にやるときには、政府も輸入をしなければならんとお考えになつているのに、その目標も非常に困難になつて、どうもやつて見たが又駄目だというふうなことになりはせんかと思うのですが、よくそこはお考えになつて、まだ決まつておりませんから、ここで結論を出す必要はありませんから、十分に協議もされ、お考えになつて頂かにやいかぬと思う。それからもう一つ申上げて見たいのは、一割増産閣議で決定になつたように書かれておりますが、閣議と申しますると、各大臣がおられたと思うのですが、農林省だけでそういうことをお考えになつておられて、外の省は一割増産になるように協力をする御意思は非常に乏しいど思うのですが、どうなんですか。
  123. 藤田巖

    説明員藤田巖君) これは私共としては、少くとも苟くも閣議で各大臣がお集まりになつて方針を決められたわけでありますから、この趣旨については十分了解され、今後これが達成されるように各大臣ともやつて行こうという趣旨で、閣議において決められたものであるというふうに了解しておるのであります。
  124. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 了解は結構なんだが、その現われが一つもないんじやないですか。あなたのおつしやるのは採種圃のこともちよつと考えて呉れた、こう言つておられるが、農薬の備蓄も認められておりません。それから肝心な農業倉庫の修繕も認められておりません。あらゆる部面にちつとも増産をするのに協力しなければならんという、一体お考えは私に言わせると一つも見えておらぬ。だからその見えておらぬことを見えておるように、非常に苦しい立場になつて農政局長が今後おやりになることは、これは非常に困難であり、行いがたい、こういう心配が実はするわけだ。
  125. 藤田巖

    説明員藤田巖君) おつしやることは私もよく分ります。ただやはりこの食糧増産運動というものは必要であるわけですからして、農林省言つていることが全部聞かれなければ、それでは止めるというふうにすべきことであるか、それともやはり與えられた條件で、できる限りの増産を達成するような運動としてやつて行くべきであるか、こういうことであります。まあ私の意見としては、やはりこれは達成せられなかつたことは非常に不満であるけれども、併しながら認められた範囲において、できる限りこれを活用して増産を推進して行く、できる限りその範囲において推進をして行く、そうしてその効果を段々現わすことによつて、今後の機会において当初予定しておつたようなことの実現するような方向に持つて参る努力を拂うべきじやないかというふうに私は考える。
  126. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 局長お話も満更分らぬわけではないのですが、これを逆に反対になつて、あなたが百姓をしておるものとしてお考えになつて見なければいかん。そこで今の日本の食糧政策の状態と、農家が作付をする状態から考えて、非常に食糧が豊富になつて緩和された状態になつて来ておる。で、ここに書かれているように、千百万石ですか、千八百万石さえあれば、それでもう日本の食糧は先ず先ず安心でオーライなんです。それも輸入をして、今年の端境期の持込米はもう現在未曾有の過剩米があると思うのです。そういうときに向つておるのに、誠にちぐはぐに、非常に妙に一割増産というのは、聞えると思うのです。それが施策があれば私には成る程と考えられるだろうが、我々も知つておるあなたのおつしやる程度の施策で、一割増産をこれだけしても、事前割当も事後でやるという考えで進めて行つて何ぼかの運動費をかけるでしようが、その運動費をかけておやりになる効果があると思うのですか、百姓が考えたときに……。
  127. 藤田巖

    説明員藤田巖君) これはやはり今後の食糧増産興農運動の取上げ方と思います。ですから私共の考えていることをよく徹底させ、飽くまでもこの運動は一時的な、線香花火的な、何と申しますか、精神運動的でなく、地道に、具体的な、例えば取りました予算を最も活用する運動をどうするかというふうなことで、取上げて行くということにいたしますれば、私といたしましては、それはやはり効果は期待し得るものがあるのではないか、勿論天候は別であります。天候その他の関係で駄目だということは、これは別でありますが、それは別といたしまして、増産上の効果というものはやはり期待し得るのじやないかというふうに考えております。
  128. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 まあ中央にもできるでしようし、下に持つてつて農業調整委員さん、農業改良委員さん、農地委員さんが自主的な活動を起されている。そうして官公庁、農業協同組合、農業共済組合というものが一体になつでこの運動をするということになつている。この項目に入つております。恐らく迷つてしまつて、私が若しその委員さんなら、中央の話も十分に分らないので、一体何ということだろうと思うでしよう。というのは、統制が非常に弛んで来たと考えている。この頃では統制が一番いいことなんで、それは最初のきつかけがおかしいから、統制の惡口を百姓は言つておられたが、今日びは非常に統制がいいことなんです。そう考えると、それが離れて行つて、例えば畑作地帶などは殆んど麦くらいで皆拂われた。そうしているにも拘わらず一割増産をせいというのは、食糧が足らぬから一割増産せいということなら分るのです。そういうことを言わなくたつて、ちやんとやつておる。それに妙な、何にもならぬ運動費をかけてまでやるということは我々は解せない。だから恐らく、僕も百姓だけれども、農家の人に言わせるとさつぱりこれは分らぬ。何のペテンにかけておるのだ。こういうことになると思う。場合によつたら僕は逆効果を生むと思う。今度の下の方の農地委員さん、それから農業調整委員さんは、今その委員さんの切替をすることについて大分御不満を持つたと思う。その矢先に言つたつて恐らく真劍になつてやる人はないと思う。
  129. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 沢山に議論をしておりますと何ですが、例えば私共考え考えておりますのは、具体的に申しまして、例えば優良種苗を普及するというような問題、或いは種子の一斉消毒、或いは病害虫の妨除を、更に機動的にやるという問題、農家も勿論やつておりますが、そうすべての農家がやつておるわけではないのですから、従つて尚こういうふうなことについて更に徹底をするならば増産にもなり、或いは又減産を防止する、その余地が残つておると思います。それから又農業改良関係の普及技術負の活動にいたしましても、各委員会或いは団体のものがすべて一緒になつて、力を併せて具体的にその増産施策を考えて行くならば、尚その効果が挙り得るものが私はまだあると思う。すべての手が打ち盡されておるわけではないと思う。そういうふうな問題を我々としてはできる限りこれをやつて行くということは、これはやはり必要じやないかというふうに考える。
  130. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 局長お話のように、それはその通りなんで、まだまだ足らぬ部面があつて、そうしてやりたいと思つておる部面も非常に多いと思う。ところがそれができない実情なんです。例えばここに書いてあります畜力及び機械力の高度の利用、それから沢山あるですが、あらゆる面で今後の農家は国自体で援助をしてやるのでなければ……、私はまだまだ取れると思う。例えば消毒を機械でやるとか、或いは蓄力でやるとかいうようなことについても、それはやりたいと思つてもできないのが百姓の実情なんです。それをやることは非常にいいかも知れませんが、それもできないのです。そうすればいいと思つて上から言つても、そうしてやるように助成、援助をするのでなければ、それができないのじやないかと思う。それがお分りならそれで結構ですが、そこまでお分りになつてあなたの方で要求しても、上の方でぱつさり……、こうなるのですから、先に申上げたように、各省とも閣議決定になつても必要な増産予算は必らず認める、こうならいいが、そうじやないのです。もう聞きません。聞いてもこれはもうとても駄目なことなんで、恐らく下へ示すことは実態とは凡そ大きくかけ離れておることを言つておられるのだから……。今まで喋べつたことは單なる喋べつたこととして申上げたい。
  131. 小林孝平

    ○小林孝平君 先程も申上げたのですけれども、国内で増産し、自給度を高めるというこの方針は誰も必要であるということは認めるのですけれども、それが現在まだぼんやりしておる点があるのじやないかと思うのです。一方では輸入食糧が非常に順調に入つておる。ちよつと揚足をとるようで惡いですけれども、食糧長官がおつしやつた言葉の中にも、すでに端境期の食糧が非常に順調になるから、早場米奬励命の必要性はなくなつたと、こういうよつうなことをおつしやるように、国民の可なりの部分食糧増産はそう必要でないというような考えを持つておると思うのです。私はこれは農林省の中にも相当あるのじやないかと思うのです。ところが一方には、この緊迫した国際情勢の下において、特に朝鮮動乱の以後においては、いつどういうことがあるかも分らない。アメリカと日本との八千海里の間を三百万トン近くの食糧を運ぶということは実際問題として不可能である。だから仮に事変が起きた場合に、国内において救うべからさる混乱が起きる、そういうような点から絶対に食糧の自給度を高めなければならんという議論があるのですけれども、その二つが一本になつて食糧増産をしなければならんという態勢になつていないのじやないかと思うのです。私は農林省の内部においても、そういう能勢になつておらぬのではないかと心配しておるのです。従つて何を措いてもこういう運動をやるならば、その点を明確に国としての見通しを立てる必要がある、こういうことに思つておるわけです。それが立てば予算の点なんかについても、更に大蔵省なんかの了解も得ることができるのじやないか、こういうふうにまあ思つております。それからもう一つは具体的になりますけれども、この食糧増産興農運動要綱というのを頂いておりますけれども、この内容を見ますと、昭和二十三年に行いました食糧増産一割運動の要綱と、ほぼ内容がまあ同じわけなんです。それであの二十三年に行いました食糧一割増産運動は、一部には非常に非難を受け、食糧僞わり増産というような非難を受けたのですが、それでもその中にはですね、最初に事前割当を行うということを規定し、超過供出の特別報奬金の制度も設ける、あの要綱の中の唯一の実質的の点は、その事前割当を行い、超過供出の奬励金を出すという点であると言われたくらいなものであつたのですけれども、今度は逆に又元に戻る、そうしますと、この前に非常に非難を受けたその要綱を出す、同じ要綱がここに示されておる。こういうことになつておるわけでございます。それでこの内容を見ましても、農政局長のおつしやつたように優良種苗の普及とか、病虫害の徹底防除のごときは、これは増産運動などをやらなくとも、当然政府がこういう優良種苗の普及をやり、施設を行うべきであります。病虫害の問題についても、予算相当組んでやれば、増産運動をやらなくともこういうことは徹底します。又家畜及び畜産物の増産というようなことが書いてありますけれども、私はむしろこういう家畜及び畜産物の増産をする裏付を政府がやらなければならん、酪農を非常に積極的に指導いたしましても、バターは一ポンド百八十円とかでオランダから大量に入る。そうなれば日本の酪農なんてどうするかというような非常な不安がある、それから一般の酪農地帶におきましても、少し一生懸命にやればすぐ乳が余つて来る、こういうものの処分をどうするかということを、政府ははつきりその対策を決めなければですね、ここに家畜及び畜産物の増産をお書きになつてもなかなか実効は收め難い、こういうふうに思つておるわけでございます。それで私はこういうように大々的に食糧増産興農運動というようなことをやらなくとも、もつと局長が言われたように、実質的に地味におやりになつたら如何なものかと考えておるわけであります。特にこの一割増産なんて何ら基礎のない……、一割増産、なんというのは、私は二十三年の増産経緯から考えまして、全国農民の憤激を受けるだけであつて、実効はないというように考えておるわけでございます。
  132. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 御意見は私は誠に御尤もだと考えております。従つて先程も申上げたのでありますが、決してこの運動を私は太鼓を叩いて大袈裟に、やる気持はちつとも持つておりません。むしろ地道に具体的な問題についてこれをやつて行くというふうなやり方で取上げて行きたいというふうに考えております。
  133. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 一割増産の根本方針についてお伺いしたいのですが、吉田総理が一月、第七国会の施政方針に、食糧の国内自給度を高めたいというようなことを強調せられたように記憶しております。三月の初め頃に輸入食糧の問題が出たときにもできるだけ食糧は国内で日給度を高めたい、最小限の、絶対に不足の食糧は輸入を要請するというようなことを聞いていたのでございますが、七月の三十一日になつて突然にこれは食糧自給態勢の強化という閣議決定が発表になつた。それにははつきり書いてありますが、朝鮮の事態の進展等の情勢に鑑みて食糧の自給態勢を急速に強化するというような閣議決定が出たのであります。私共はその当時非常に食糧が緊迫して来たので、できるだけ速かにできるだけ多くの食糧増産をすべきだ。それにはもう七月の終り頃になつつたのでは、実は今年の冬の頃にも、この施設土地改良とか、災害防除等を主として普及を図るということを、言つたのですが、時期が少し遅いのじやないか、できるだけ冬の農閑期の間に三百億ぐらいの土地改良災害防除の予算を出して、急速に食糧の自給態勢をやるべきであるというようなことを私共は言つたのでありますが、昨日の会計課長からの予算の御説明等を伺つて見ましたが、非常に努力はしておられるようでございますが、土地改良というようなものは要求の三分の一か四分の一くらいしか今のところ予算はないのだ。そうすると、この閣議決定のときにも聞いて見たのですが、一割増産というような鵺的なことを言つても、一体何年間にいつから何万石の増産をするのだというようなことを方々で聞いて見たが、どうもどこでも分らない。その後新聞等二十八年までに米を九百万石くらい増産するのだというのですが、はつきりした年度計画というようなものがあるのかどうか実は分らないのですが、今年の冬から一体土地改良をするということにしても、補正予算のような問題でも、まだ何も決まつていないようなお話を聞いたのですが、それで食糧の自給態勢というものの根本の目標が、朝鮮における事態の進展等のためにできるだけ食糧の自給強化をやるんだということに私共は承知しておるわけです。又地方の農家の方々も今年からできるだけの土地改良等のことで非常に期待を持つておると私は思つておりますが、先程の農政局長の御説明、これは御尤もなのでございますが、朝鮮における事態の進展等のためじやないのだ。これは恒久的な農業政策として農家経済の安定とか、食糧の国内自給度の向上を図るというので、興農運動というものをやるのだ。私は前の閣議決定の頃にも精神運動みたいなものでやつたつて決して食糧増産にはならない。食糧増産は是非とも一つやるというなら、できるだけの多額の国家投資をやるべきだというようなことを言つたのですが、現在の情勢では一割を一体何半間でやるという見通しもないところへ、今度は朝鮮における事態じやないのだ。恒久的な農業政策として、こういう興農運動をやるんだ。先程小林さんからもお話がありましたが、こういうような要綱なんというものは、今まで何枚でも実はできておるので、一年ごとくらいにこういう同じようなことを聞いている。農家は、この七月の三十一日の閣議決定のときには非常に食糧の緊迫を衝動的に憂い、そうして土地改良等を急速にやるんだというような考え方が、どうも予算の見通しが付かぬとなると、今度は態度を変えて、これは恒久的な農業の興農運動を起すのだ。併し生産目標はやはり一割増産というようなことを書いて目標にしておるのでありますが、どうもそういうことが連続して出て来ますと、農家の方々は一体、どういうふうに考えるか。食糧の自給は朝鮮の事態の進展に鑑みて急速にやるべきか。それの方は帳消しにして恒久的に一つ今度はこういう興農運動を起そうということが農林省から出て来ると非常に迷うのじやないか。何か閣議決定の方が予算がうまく行かなかつたから、その尻尾を振るようなことを始めて行くというようなことをやると、何だ、こんな程度かというようなことを地方の人達が言い出したら、それは食糧の本当の増産というようなことに私はマイナスになるんじやないかという気がする。先程の御説明の、朝鮮における事態ということは今考えないで、興農運動は恒久的な農業政策だというようなことを目的にして言われるのか、そこをはつきりして頂きたいと思います。
  134. 西山龜七

    ○理事(西山龜七君) ちよつと委員の方にお諮りを申上げたいのですが、安孫子長官が他に会議を招集しておりまして、それに出席したい、かように申されておりますが、別に長官に御質問がまだあるとは思いますけれども、この程度ちよつと席を外したい、かように申されておりますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 西山龜七

    ○理事(西山龜七君) 御異議ないと認めます。
  136. 三好始

    ○三好始君 一つだけ簡單な問題でお尋ねしたいのですが、私中座しておる間に或いはお尊ねがあつたかと思うのでありますが、食糧確保臨時措置法が明年三月で失効して、食糧統制の基準法規としては食糧管理法だけが残る。但し食確法の長所は浅して行きたいということで、食糧管理法の改正法案を次期国会に提出する予定である、こういうお話であつたんですが、その場合に食確法廃止に伴う食糧管理法の一部改正案の内容は具体的にはまだ将来検討の上で決定される問題でしようが、一応考えられている問題はどういうことなんですか、その点の御説明ちよつとお伺いしたい。
  137. 安孫子藤吉

    説明員(安孫子藤吉君) 今の点はいろいろ今検討を加えておる最中でして、構想としても実は纏まつておりませんので、その辺の概要を申上げるのは適当なこの次の機会にでも申上げたいと思います。
  138. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 溝口さんの御質問にお答えいたします。先程も申上げましたように、今度の増産運動というものは、朝鮮の動乱が起つたからこれを、取上げるんだということでないと私は感じております。従つて朝鮮事変が納まつたならば増産運動はもうやらぬでもよろしいという性質のものでないというふうに感じております。    〔理事西山龜七君退席、委員長着席〕  ただこれはやはり朝鮮の動乱というものが起つたことを契機にいたしまして、従来ともその必要が感ぜられてはいたが、具体化しなかつた問題をこれを契機として新らしく認識し、取上げる、こういうことになつたのであります。併し取上げ方といたしましては、やはり飽くまでもこれは日本の今後の農村、農家がどういうふうな立場に行くべきかという大きな取上げ方から、私はこれをやつて行くべきだと思います。
  139. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 農政局長の御意見はよく分りますが、閣議決定は、これははつきり朝鮮における事態その他の情勢に鑑みて、食糧を急速に強化するのだということが書いてあるのでありますが、これはこの線で急速強化ということははつきりしているんですが、興農運動というのは、今のお話の通り恒久的なんです。これは当然こういうことはあるべきなんだが、それと閣議決定とは趣旨が非常に違うのじやないかというふうに考えられるのですが、どうも違うけれども、連続して出て来ますと、閣議決定の尻尾がこの運動に行くのかという印象を受けるのじやないかと思います。私はここをはつきりして頂きたいのです。
  140. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 閣議決定の字句では、その朝鮮云々という事態は、まあ朝鮮における事態の進展等、最近における内外の諸情勢に鑑み、我が国における食糧の自給態勢を急速に強化するため徹底した方策を講ずることが緊要である。こういうふうなことであるわけであります。併してその趣旨は先程私が申上げましたような趣旨であると考えております。ただ最近の非常に急迫した情勢でございますので、勢いその施策というものもできるだけ緊急にこれを立てて参るということは、これは必要である。従つて我々といたしましては、やはり緊急増産の形でこれを取上げ、そのために従来の計画ならば長くやつてつてもよいものも、できる限りこれを短期間に効果を挙げるために更に大なる財政支出も進めたい、こういうふうに思つているわけであります。
  141. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 外に一割増産の問題につきまして御質問ございませんでしようか、若し御質問がございませんでしたならば、次の議題になつております本年の稻作の稻熱病対策についての方に移りたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  142. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それではさようにいたします。   —————————————
  143. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) この点につきましては、先に農林省の方の説明をお願いいたしまして、それから北陸地方の稻熱病のひどいところを御視察になりました三橋さんから、視察した結果についての御報告並びにそれらについての対策を御説明願いたいと思います。それでは藤田さん。
  144. 藤田巖

    説明員藤田巖君) お手許に二十五年の稻熱病発生状況と、現在までに行なつた対策という簡單なものでございますが、資料をお配りいたしておりますので、これによつて御覽を頂きたいと思つております。昨年も稻熱が発生をいたしまして、非常な被害があつたわけでありますが、今年の全国の発生面積は大体三十六万八千町歩、全作付面積の約一二%に達しているというふうになつております。局地的に申しますと、この稻熱の被害というものは、私共は昨年に起りました被害よりも局地的には更に甚だしいものがあるというふうに感じております。併しその後の状況を見ますると、相当天候も回復いたしますし、又防除も大いに効果を挙げて参りまして、相当程度その被害を食止めては来ているわけであります。まだ正確な稻熱に対する被害というものがはつきりは分りませんですが、私共いろいろ調べておりますところでは、この北陸の各県が非常にひどく、その外多数の県で激甚な発生を見ているように思います。その稻熱の発生の原因でございますとか、今後の見通し等につきましては、書いてございますところで御覽を頂きたいと考えます。現在までに行いました対策につきましても、例えば地方に対する警告をいたしますとか、或いは農林省の係官を現地に派遣をいたしまして、その外防除用の薬剤、今年は殊にこの硫酸銅が非常に不足を来しまして、一時は非常に気ずかわれたのでありますが、大体価格は暴騰をいたしましたが、薬剤自体については、これまで全体的にはそう大して支障なくやり繰りが付いておるように考えております。その外防除用機具も、これは初めて二十五年度に取れた予算でありますが、農林省に持つておりますところの防除用機具につきましても貸出を行なつたわけであります。尚この稻熱の対策といたしまして、相当被害の甚大な県におきましては、農薬等を何回もかけて、三回で止まりますところを五回も六回もかけておるということで、非常に経費が嵩んでおります。それから又防除用の機具を購入しなければならんということで、そのこともやつておりますので、農家といたしましては相当の支出と見ておるわけであります。私共といたしましては、これは昨年の例に倣いまして、本年の稻熱についても何とかこれは見なければならんということで、当初ここに書いてございますように、補正予算では非常に遅れますので、むしろ予備金によつてこれを出したいということで極力大蔵省折衝をしたのでありますが、予備金については遺憾ながらすでに使途が確定しておつて、これに出すわけに行かないというような話でございます。従つて補正予算と相成ることになろうかと考えておりますが、大蔵省といたしましても、この趣旨はすでに認められておることであります。で金額についてはこれは今後尚査定があるかと考えますが、我々といたしましては、或る程度はこれに対する補助金も補正予算で計上して貰えるものと考えております。補正予算が非常に延び延びになつておりますが、これは本予算が遅れておりました関係であります。本予算も一両日中に目鼻が付きそうであります。大蔵省としては本予算が大体確定次第、直ぐにこの補正予算での査定があるということに相成つております。尚一週間ばかりはかかるかと考えておりますが、大体の見当はその時分になれば付くのじやないかと思つて、私共といたしましても極力、すでに相当時日も経過しておることであります、できる限り早くこれを決定したいと考えております。
  145. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 ちよつとお尋ねいたしますが、病は未然に防げというのが当然でございますが、最近農家一般の指導、昨日も指導連が陳情したようですが、我々実際農家の指導に当り、当初といたしましては、先ず苗代半作という建前から申しまして、苗代の時代にしばしば稻熱などの起きないように消毒を行なつたのです。然るに指導陣の手薄と、それから農薬の不足から、これが自然の間に行われないようなことになつて、つまり消毒の度数が少くなつた。これは一つの大きな原因になつておるような実情を我々は目のあたりに見受けるのであります。先ずこの方面において当局はどういう御指導をしておりますかどうか、若し指導しておらなかつたならば、思いを先ずここに置きまして、今後肥培管理上の適正化として前代消毒を以て未然に稻熱病の発生を防ぐという方法を講じて貰いたい。それから農薬につきましては、最近あらゆる方面から、種々なる農薬会社もでき、相当潤沢とはなつておるが、その中において適正でないものもあるし、いわゆる成分においてその成分通りの効果のないのがありますから、これについては巖重検査をして、実際の成分通りの効果のあるようなふうに取締るというか、監督を十分にして欲しい、と同時にこれが配付と申しますか、これを一般に徹底するような方途を講じて貰いたい。それから猪を見て矢を矧ぐような消毒器具、なかんずくゴムの値上りから見ますと、ゴム骨等に不足を来すようなことがないとは言えない、これらについて十分に消毒器具に対する農家の……、これに対して行渡るような、又農村消毒用の器具などには不足を来さないような方法一つ今から考えて欲しい。若しこれに対しまして、そういうようなことが政府の方針として施策の中に織込んであればお知らせ願いたい。先程の一割増産などは、こういう苗代において十分に肥培管理の適正化を図つて、水田に移植後においても更にこれを強化して行くならば、招かずして、自然の間に農村の勤労努力と相俟つて増産ができるということを、どうか溝口さんからも先程閣議その他の決定について云々のお話がございましたけれども、農村自体はもうすでに増産を覚悟している、又農村においても相当労力が余剩を来している実情から言つても、それらの肥料においても、それから農薬においても、農機具においても適正にこれが農村要求するようなふうに入手できるならば、自然的に増産の傾向に向いつつあるこの機運を十分に把握して、これと合致するような施策を行なつて欲しい、これに対しての御答弁があれば一つお願いしたいと思います。
  146. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 只今池田さんからお話もございましたように、いろいろ調査をいたして参りますと、今年稻熱が発生いたしました原因一つに、苗代に対する消毒が、非常に防除が不徹底である。それが本年に移されて来ておる。殊に又非常に保温折衷苗代等の指導につきましても、指導する内容が非常に厚蒔きをしております関係上、それが稻熱の原因になつておるというようなことも、私共これは全部ではないと思いますが、それを聞くわけであります。お話のように災害が起つてからこれをやるというのでは遅いのであります。その趣旨で私共も来年度予算に予防的な一斉防除ということを要求をいたして、先ず米麦の種子等についてはその全量、種子消毒を全部やる、そうして稻四十万町歩、それから麦二十万町歩、大体これは病害虫の常時発主地帶というのがあるわけでありますが、そういう地帶に対しては、そういうふうなものが現われる現われないに拘わらず、一応予防的に一斉に防除をするということを励行いたしたいということで、それに対する農薬購入費の補助を要求いたしまして、これが認められておるわけであります。従つてそういうふうな種子の一斉消毒或いは又病害虫予防のための一斉除防というものを二十六年度においては取上げて参りたいというふうに考えております。それから又農機具、防除機具の問題でございますが、これは二十五年度予算政府所有のものが二百三十台あつたわけでありますが、これを更に来年度は五十台増設をいたしまして、更にその外に、これは国が持つておるわけでありますが、その外に地方、県で動力防除機具を買われるのに対して国がそれの助成をしよう、大体一千台の予定を以ちまして、一千台の地方における動力防除機具の設置について助成の処置をとるということで、これに必要な予算も認められておりますわけであります。従つてまだ私共としては尚足りないと思いますが、大体三年計画でこの計画考えております。こういうふうなことを両三年続けますならば、防除機具については相当普及し得るというふうに考えております。それから尚この農薬の購入費の助成等もございますので、来年は一つ早期に、起りません先にそれが起らないような予防的なことを増産運動の一つの大きな問題として取上げて参りたいというふうに考えております。尚農薬の取締の問題につきましても御尤もでございます。我々といたしましては非常に農薬検査上人員が不足であるわけでありますから、今後とも新らしい農薬がどんどん発明され、それの効果の疑わしいものも沢山あるわけでありますから、それはできる限りよく調べまして、そうしてそういうふうな疑わしいものについては、これをできるだけ農家によく周知せしめて、そういうものを使わないようにというふうなことを徹底して行きたいと、こう思つております。
  147. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 北陸地方の稻の被害状況の調査に委員長並びに飯島委員、私と三名調査に参りました経過並びに結果を御報告申上げます。参りましたのは八月六日から七日間、新潟県を振出しに新潟、富山、石川、福井県と調査して参つたのでございます。今年の北陸地方の稻熱病は大体その原因は大部分は天候にあるようでございます。昨年の冬の暖冬によります紫雲英の過剩繁茂、引続きまして苗代末期におきましての非常な高温多濕、場所によりましては苗代稻熱が多少発生した傾向の苗を移植したような事実もあるのであります。その後本年大猖獗を極めました外の原因は、六月に入りましてから非常に低温になりまして、例年そこで土壤中の大部分の一等有機物が分解いたしますところ、それが分解せずに持ち越されまして、七月に入りましてからの急激なる高温によつて腐敗分解を起しました結果、今入込稻熱或いは引込稻熱と申しますか、そういうものが稻熱の大被害を蒙むつた原因であるのでありますが、全く人力の及ばない天候によつて発生したものと認めて差支えないと思うのであります。あの地方の篤農家に聞きましても、六十年来田圃を作つ参ておるのだけれども、これ程の稻熱病の大発生に遭遇したことかないという程の突発的なものであり、又北陸四県殆んど同様の気象状況であるというような意味から、やはりこの発生の原因が第一に苗代の温度の不均衡、本年初期の低温、それから分蘖にとりかかりましたときの急激なる高温と、この三つが大事な原因のように考えておるのであります。即ち根腐れを起しまして根が腐り、地上部近くの均衡を失するということによりまして稻熱病の発生ということが起るということは、これは一般に認められておる通りであります。又富山県におきまして、一部その原因と又外の原因とが加わつて発生した地帶があるのであります。黒部川の下新川でございますが、ここは黒部川の水が灌漑されるのでありまして、黒部川は御承知のように非常に深山から出て来ます関係上、水温が夏でも十三度以上を越えることはないのでありまして、我々参りましたときには測つて見たものでも十三度前後であつたのであります。従いまして、あの地方は気温は非常に高い、併し冷水の灌漑によりまして他温の上昇ということがそれに伴わないために、地温で支配されます根の成育は、気温で支配されます葉の成育よりも非常に惡くて均衡を失したために、そこに稻熱の発生を見た。これはやはり気候的の関係ではございますが、黒部川の水の灌漑されますところは、更にそうい奇原因も加わつておるということは注意しなければならんことだと思います。丁度我々参りましたときは、一応葉稻熱病が終熄の傾向にあつたときでありまして、ただ表面から見た場合におきましては、さほどひどいような被害がないのでありますが、具さに田圃に入つて見ますと、その以前の病勢のひどかつたことは、下の枯葉が非常に侵されておるということによりましてよく分るわけでございます。すでに福井県などにおきましては、農林一号が出穂をし、それに甚しい稻熱病が出ておつたのでありまして、被害は大体これを察することができると思うのでありますが、まだ出穂しない葉稻熱病の発生の後におきましては、今後発生する穂首稻熱の如何によりまして、被害が非常に憂慮されるものがあつたと思うのであります。北陸四県の被害面積は本省の方の調べもあつたわけでございますが、十三万八千町歩に及んでおるのであります。総面積三十四万町歩の約四一%に稻熱病が発生いたしておるというような状況になつてつたのであります。防除の方は、これは葉稻熱病時代から県当局並びに本省の指示などによりまして、非常に防除に努力をしておつたのでありまして、農家の防除意識も高揚され、涙の出るような努力を拂つて防除しておるというような状況を見て参つたのであります。併し先程農政局長の方からお話のありましたように、必要以上に薬をかけておるというようなことも二、三見かけられたのであります。ああいうようなところでは更に技術の指導を施したならば、防除費用の軽減ということに大変役立つと思うのであります。更にあの地方で福井県の一部分には黒椿象が大発生いたしまして、約三百町歩ぐらいがその被害を蒙むつておるのでありまして、薬剤も十分入手ができずに、農家が中へ入つて手で捕殺をしておるというような状況であつたのでありまして、非常に苦心をして増産を図ろうという場面がよく見られたのであります。とにかく突発的な大被害でございましたので、防除費用などにつきましても、防除に寸刻を争うものでございますので、まあ一応防除して置け、費用は後で一つ支出の途を考えるというので、各県応急にやつておられたようでございますが、例えて見ますると、新潟県あたりですと、七月末までに七千九百五十万円ぐらい支出しておるようでございます。福井県では四千七百八十万円ぐらい出しているようでございまして、非常にこの防除費用が高まつているのでありまして、又増産をしたければならんから防除費用は後で考える、どうでも防除をやれというような指導で行つたわけでございまして、この費用というようなものは恐らく農家は到底負担ができないと考えている次第でございます。  尚農薬でございますが、農薬は最初は可なり順調であつたそうでございますが、終いには農薬は不足を来す、而も値段が三倍にも五倍にも値上りいたしまして、防除はして見たところが費用倒れになつてしまうというような状況が非常に多くありまして、そのために防除意識を非常に沮喪したそうでございます。こういうような事柄から考えます場合におきましては、先ず次のようなことを考えなければならんかと思うのであります。本年の稻熱病は全く人力の及ばないところに大きな原因があつた。即ち天候が一番大きな原因で、北陸四県に大発生をしたということのその状況に先ず鑑みまして、本年かかりました防除費の補助というものを大幅に行うことが必要であると思います。  それから被害の程度は個人的にいろいろ差があり、又收穫物の品質なども病気の関係で非常に低下しているわけでございます。尚又今年の稻熱病は土壤の醗酵による惡性ガスの発生というようなことから出たのでありますので、県内におきましても穀倉地帶が非常な被害を受けているというような事情を一応考慮に入れまして、供出の割当でありますとか、或いは農業課税ということに際しましては重きに失しないように、これを処置をして行くということが必要であると思うのであります。  その次は恒久対策として、今年の発生の実情から考慮いたします場合におきましては、こういうようなことを先ず考えなければならんと思うのであります。薬剤の手配が速急にでき、防除に時期を失しない場合におきましては、これ程までの大被害にならなかつたのではないかということが判断ができます。従いまして農薬の備蓄制度を確立をする、これは非常に緊急なことであり、これ程北陸四県のような大発生はしないのでありますが、愛媛県におきましても一時薬剤が不足しまして、広島或いは岡山などに薬を買いに行つたという事実もありますので、どうしてもこれは緊急に農薬の備蓄制度を確立して頂くということが必要であると思います。  尚、防疫法ができまして病虫害防除には一段の効果が上ることは誠に喜ぶべきことでありますが、植物防疫行政を実施する上におきまして、現在の機構がいいか惡いかということを先ず考えて見なければなりません。丁度これは火事の場合の消防夫と同じことでありまして、一刻を争う事柄でございますので、この防疫行政につきましては一元化をする必要があるのではなかろうかと思います。現在におきましては、行政の方は農政局の方であり、発生予察ということは改良局の方であり、薬剤の取扱いは資材の方でやつておるというような工合に、全くばらばらの状況にあるということは、火急を要する防除に支障が多いように存ずるのであります。従いまして国はこれを一元化しまして、いわゆる防疫課というものを作りまして、一体になつて動けるような組織というものが必要でなかろうかと思うのであります。更に稻熱病につきましては、技術的に、再々発生する地方におきましては可なりの知識がありますが、いつどこで突発するか分りませんので、全体的の防除の技術の普及宣伝というようなことをやる必要があるのではなかろうかと思います。私愛媛の方でずつと稻熱病のことを取扱つてつてつたのでありますが、先程池田委員からもお話がありましたように、愛媛では病気の発生の有無に拘わらず田植の前には必ず薬剤を撒布させるというようなこと、ボルドー液を撒布させるというようなことをさせておるのでありますが、又種の消毒というようなことにつきまして、北陸四県でちよちよい伺つて見たのでありますが、どの農家に伺つても大概消毒はしておると、こう申しますが、消毒をしますと、意味の分らない病虫は大体一遍も発生しないのであります。而も消毒をしても馬鹿苗の発生するところを見ますと、あれは恐らく消毒はしておらぬと思うのでありまして、ああいうような地帶におきましては、必ず発生を未然における計画的防除ということが非常に効果が挙がるのではなかろうかと思います。尚先程農政局長の方からもお話がありましたが、結局病虫害の防除というのは予防が非常に必要なのでありまして、私は保險の方に命をかけるというのも結構でございますが、病虫害も種類によりましては保險の対象になつておるのでございます。従いましてこの火を消す設備を如何にしましても、火事を止めるという設備に抜けがあつた場合におきましては、これは如何に保險制度がありましても、災害を蒙むつた全部の農家に関係するわけでございませんから、結局保險金で埋め合わしてやるよりも、その金を病虫害の防除という方にどんどん注ぎ込んでやりまして、そうして病虫害から受ける被害というものを回避させてやるような方策をとりましたならば、農家が保險金を貰うよりは非常に農業経営というものは楽になるのではなかろうかと思うのであります。向その外これに附随しまして、いろいろな問題があつたのでありますが、あの地方におきましては、「つと」虫の発生、青虫、黒椿象などの被害というものも相当な減收があるように見受けられたのであります。尚地帶としまして非常に御承知のように低濕な地帶であり、殊に七月の中旬からの高温に対しましては、あの地帶は恐らくあのままで放置して置けば、毎年稻熱の被害を見ると思うのであります。あの地方の農家の方々は極力排水に努めておりますが、機械排水をやつておるわけでございますけれども、機械の排水の電力料が非常に高くなりましたので十分にこの機械排水ができない、そのために土壤の肥料発効が遅れまして、稻熱の発生原因になつたような事柄も十分に見受けられるのであります。この電力排水につきましては、電力料の値下或いは増産用のものに対しましては、特別の料金を定めて頂きたいというようなことも如実に見せつけられて参つたのであります。どうぞ一つ北陸四県の稻熱病に対しましては、今申上げましたように、全く人力の及ばぬ原因が主体になつております関係上、特別の御高配を願つて、あの地方の農家の生活の安定を図りますように格段の御配慮をお願いしたいと思います。
  148. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 今三橋さんの案の中に防疫の行政を一元化する防疫課を設置せよという御意見があつたようですが、これはどういう御意見ですか。
  149. 藤田巖

    説明員藤田巖君) これは私共の中でもこういう意見がございまして、これを考えようじやないかと言つております。これは当然農林省の行政機構の問題も起つて来ます。従つてその際に防疫課を特に一課設けてやつたらどうかというふうなことで、私共としてもできる限りこれができるような方向に考えて行きたいと思います。
  150. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 農薬の備蓄の問題ですね、これは……。
  151. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 農薬の備蓄は先程岡村さんからもお話がございましたのですが、私共は必要だということで、確か三千百万円でしたか、予算要求をしたのでありますが、なかなか認められておりません。努力しておりますが、非常に困難のようであります。ただ実際問題といたしますと、一斉防除をいたしますための費用は約二億円程度認められておりますので、私共はこの金を活用することによつて或る程度の備蓄はできるのじやないか、尚それをやりますことと、それからもう一つは、メーカーに対する金融問題或いは全購連に対する金融の問題、つまり不需要期における金融の問題を解決することによつて相当手当をするとか、それから予算外の措置として是非考えて行きたいと思います。
  152. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 それからポンプの問題でございますが、旅費などは随分不足しまして、神戸、大阪あたりまで取りに行つたということで、愛媛県なども神戸、大阪まで取りに来ておるのですが、あれを持つて来たり返しに行つたりするようなことで、一台につき大体二万円ぐらいかかります。それでございますから、国で持つているということは大変よろしうございますが、プロツクをもう少し小さくしまして、その駐在して置く場所を地理的に御考慮頂きまして、四国なら四国の高松に置きまして、四国の者が使うというふうにして頂ければ非常に結構だと思います。中国の方は神戸に取りに行く、愛媛の方も神戸に取りに行くというようなことでは、これは非常に運送費に大変な金がかかると思います。どうぞ一つよろしくお願いいたします。
  153. 藤田巖

    説明員藤田巖君) これは先程申上げましたように、農林省が二十五年度に持つておるのは二百三十台であります。この二百三十台を横浜と神戸と門司、この三ヶ所に配置したわけです。ところが福井、新潟、その外に稻熱が発生しまして、是非送つて呉れというので先ず一番初めに横浜のものがなくなつてしまいました。神戸の方が取合いになつて来たようなわけです。それも先程申しましたように、来年度は更に五百台だけ殖えますから、殖えますれば、相当又今度新らしく各地に置けるのじやないか。その外の県に対して一千台の補助をしますから、そうすると、各県幾らになりますか、四十何県といたしまして三十台になりますか、それくらいは県に導入されて、それが補助いたします。少くとも県にそれを持つておられる。更にそれで足りない場合に今度は本省に持つておるものを貸すということになりますから、相当今年困つたような事態は緩和されるのじやないかというふうに考えております。
  154. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 尚防除法に準じまして、各県で防疫班というものを作つておりましようが、当然稻熱病などの発生ということになりますと、もう病虫害関係者ばかりでなくて、園芸のものも全部動員して、その指導に当らなければならんということになりますと、あの防疫班に対して、あれを或る程度まで系統的なものにしまして、活動費というものを助成して頂きますると、大変下部の指導的防除というものに大きな効果があると思いますが、そういうふうなことはどうでございましようか、お考えになつておられますか。
  155. 藤田巖

    説明員藤田巖君) これは、その活動費として私共も要求しておりますが、なかなか取りにくいのでございます。ただ率直に申しますと、下の方では或いは協同組合、或いは共済組合、いろいろなものがございまして、国の一貫した体制ができておりませんから、ここで一つそういうものの集まつた機動的な防除班というものを作つて、そうして又防疫関係の、名前はどうでもいいですが、或いは防疫を推進する本部でも委員会でもいいですが、そういうものを作りまして、よく連絡をしておきまして、そこで発生を防ぐ、ここが直ぐ起りそうだというようなことをよく連絡して、すぐ機動的にやつて行くというような態勢をとらして行きたいと思います。予算としては特に活動費というものは計上しておりませんが、今度の食糧増産の問題でとれますれば、何らかの費目は、事実問題としてはそれに或る程度使い得るのではないかというふうに考えております。
  156. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 その意味では、共済組合協同組合も、府県のものも市町村のものも、そういうものを作つて系統的に行く、県に並べ、郡に並べ、村に並べ、部落に並べるという工合にして行つたらと思うのでございますが、ところが金が一つもないから、ポンプ一台設備するわけに行かないので、設備が欠けて困つておるのですが、まあポンプ、薬剤、そういうようなものを或る程度まで持つてつて、すぐに機動的に動き得るような態勢になりますれば、早期防除ということも、一斉防除ということもすぐに解決できる問題だと思います。
  157. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 只今三橋さんの問題で、関連しておりますから申しますが、この防除政策は戰時中あらゆる方面に対して、藥品、機具の不足から、非常にその徹底が薄らいだということから、だんだん今日のような結果が、到るところに出て来るのでありますが、これは局長の方でも十分に一つ考えて、都道府県の農政方面に対する農産物の品質の向上、増産を図る上において、殊に私は果樹類に関係しておるのですが、果樹などにおいては、この検査制度の復活も必要だけれども、よりよき品種を收穫して、これを輸出向きに出すには、もう消毒が第一だというような考を誰でも持つ傾向がそこに現われて来て、又それを実際において実行しなければならないので、そうでなければ、品質はもうすぐ低下して来るのでございますから、この防除政策ということについては、農協においても、いわゆる指導陣の強化で、事実農産物の増産ができ、品質の向上によつて外貨獲得ができるならば、補助政策をとつても決して不適当ではない。又日本の零細農家からは、今までの慣習から申しても、どうも補助政策と申しますか、援助政策をとつて行かなかつたならば、指導陣はどうしても強力なる態勢を発揮して来ないのですから、これは一つ十分に御認識下さいまして、この方法を是非強力に御実行下さるように御高配を頂きたい、かようにお願い申上げて置きます。
  158. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これは藤田さん、何ですから、防除費ですね、県だの或いはその他で出しました防除費は国家の方で見てやると、こういうことで、二十五年度の補正予算を組む場合に、どのくらい見るおつもりですか。
  159. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 今年の稻熱ですね。
  160. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) ええ、本年の稻熱です。
  161. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 今年の稻熱につきましては、私共要求をいたしております金は約二億要求いたしております。併し昨年の稻熱に取りました金は八千八百万円、で今後大蔵省はどういうふうに査定になりますか、ちよつとそこのところは分らないわけでございます。
  162. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) これはまあ一つ昨年よりも被害が大きいようですし、又防除も昨年以上に十分にやつておりますから、この点一つ是非本年は相当額取れるように御努力願いたいと思います。それから農業共済保險の、まあ稻熱病についての、何か最高被害限度の六割、こういうことになつておりますが、この点についてまあ実際新潟あたりにおきましては皆無のところが大分あるんです。何ともしようがない、これは特別な方法で、そういうような殆んど皆無に近いようなところについては、何か適当な処置が講ぜられぬものでしようか。
  163. 藤田巖

    説明員藤田巖君) これは一応稻熱病に対する被害については、確か五割だと思いますが、五割という限度がある。この意味は、つまり稻熱というものは人力によつて或る程度は防ぎ得る、従つて防ぎ得ない部分だけを埋めようということで、外の災害とは区別して五割だけしか見ておりません。ただ昨年高知県の「きぬがさあわせ」でございましたか、あれについては特に例外を認めまして、確か七割程度まで見たのであります。今年も一つこの額を特別に認めて貰いたいというお話もございまして、今いろいろ調査をしておりますが、ただ果して高知のようなああいう特殊な分け方がはつきりできるものならいいわけですが、どういうふうに線を引くかという問題がちよつとむずかしいのじやないかと思つております。尚私共といたしまして、よく事情を調べまして、果してこれはどうしても人力によつて防ぎ得なかつたものであるかどうかというふうなことをよく調べまして、これは尚大蔵省ともよく話をしまして、できる限りの考慮をしたいということで、今研究しております。
  164. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 本年の稻熱病の問題につきましては、大体質疑はこれで終えてよろしうございますか。……それではこの問題はこれで終えることにいたします。   —————————————
  165. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは次に本年の台風等による災害並びにその災害対策についての問題に移ります。  先ずこの問題につきまして農林省側の御説明を聞くことにいたします。それじや一つお願いいたします。
  166. 藤田巖

    説明員藤田巖君) それでは本年の農地関係の災害につきまして、その状況並びに今日までとつて参りました事柄につきまして、御報告を申上げます。  今年になりましてから、災害といたしましては、春の融雪の水害、それから六月に相当大きな水害がございました。でこれを私共の方では六月以前の水害と申しておるのでありますが、これによりまするこの農地関係の被害は約八十億でございまして、これに対して国庫で補助金を出して復旧をしなければならない事業が約五十七億程度になつてつたのでございます。それに対しましては御承知のように本年は公共事業費の中に百億の予備費が組んでございます。その予備費によりまして応急の復旧を図つて参りたいということで、関係方面とも折衝いたしたのでありますが、何分にもその後に起りまする水害等の予測が十分付きませんために、思うようにこれに対して予備費を支出することができなかつたのであります。各省に亘りまする災害全体を併せまして、二十七億の予備費を支出することになりました。そのうち農地の関係といたしましては、五億七千五百万円を支出することに決定になりました。これはもうすでに金が出ておるのでございます。その後七月にグレース及びヘリーン台風が、これは九州を主としまして西日本を襲つたのでありますが、これによりますると農地関係の災害は約十八億、それから八月にこれは主として関東地方、東北地方を襲つたのでありますが、八月上旬に水害がございました。この七月、八月の風水害品を一括いたしまして、これは只今安定本部の方と折衝いたしておるのでありますが、この七月、八月の風水害によります災害は約六十五億程度になつておるのであります。大体八月までの災害に対しまして国全体として予備費を五十億出すことになつておるのでありまして、六月以前の災害に対して二十七億出しておりまするので、七、八月を含めましてあと二十三億で賄つて行かなければならんということになつております。これにつきましては只今安定本部で各事業別の配分を、いたしておるのでありまして、どの程度に決まりまするか、分りませんのでありますが、全体が二十三億しかございませんので、そう多くを望むこともできないのであります。大体八月までの災害に対しまして、予備費で賄い得ますものは所要量の約一六—七%に過ぎないものでございます。  その後九月になりましてジェーン台風が本土を襲つたのであります。このジェーンは昭和九年の室戸台風によく似ておるのでありまして、通りました経路も大体室戸を通りまして、神戸の附近で上陸をいたしまして、若狭湾に拔け、更に能登半島をかすめまして、八郎潟から北海道の方に参つたのでありまして、又風速の点におきましても五十メートル程度の台風でありまして、その点も室戸にやや劣つておりますが、非常に猛烈な台風であつたのであります。ただ雨量が少くありまして、その点は不幸中の幸いであると考えておるのでありますが、雨量が若し多ければ非常に大きな損害を與えたことと思うのであります。併し雨量が少かつたとは申しながら、山間部等におきましては、やはり百ミリ以上の降雨を伴つております。又海岸では相当高い潮が海岸を洗つております。そういう関係で農地関係の被害といたしましても、全体で六十九億となつておりまして、これは現在まで判明いたしておりまするところでありますが、今後多少まだ殖えるのではないかと考えておるのでございます。関係の府県といたしましては、農地の関係から見ますると、徳島、和歌山が最もひどくありまして、次に兵庫、三重、大阪、石川というようなところがそれに続いておるのでございます。これに対しましても、只今本省からもすでに人を出しておりまするし、関係の府県を督励いたしまして資料の整備に努めておりまするので、もう近く資料も完成をすることと思うのでありまして、早急に予備費の支出につきまして手続を進めて参りたいと考えておるのであります。尚このジェーン台風におきまして、農地関係としまして特異な点は、開拓地が著しく被害を受けたことでありまして、開拓者の住宅が全体といたしまして全壞並びに半壞を含めまして、約三千五百戸の開拓者住宅が破壞されておるのであります。この外大破したものをも加えますると、五千五百戸程度に及ぶような状況であります。この点が従来余り見なかつた現象であります。折角多年苦心をいたしまして、未墾地を開拓し、今年は幸いに好天候に恵まれまして、豊作を目の前にいたしておりましたるものが、一瞬にして家屋もやられ、作物も非常な打撃を受けておるの、でありまして、これらの開拓者諸君に対しましては非常にお気の毒だと存ずるのであります。これに対し急速にこの対策を講じなければならんと考えまして、この住宅の復旧に対する公共事業費からの支出を今要求いたしておるのでございます。併しこれは過去にも例がございませんし、建前として個人の住宅に補助を出すということはないのでありまして、なかなかむずかしいこととは思うのでありますが、極めて異常な災害でございまするし、折角多年やつて参りました開拓者が再建の意気に燃えておるのでありまして、そこに何らかの国が援助の手を差延べなければならんと考えまして、何とかしてこれを実現させたいということで只今交渉をいたしておるのであります。併しそれが決まりまするまで待つておれませんので、既定予算の中からいろいろ差繰り、無理をいたしまして、極めて僅かなものではありますが、急速に手を打ちたいと考えておるような次第でございます。  その後に例のキジア台風が参つたのでありまするが、これは当初の予想に反しまして、主として九州、中国、四国方面を襲つたのでありまして、あの九州、四国地方は前にグレース、ヘリーン等の台風を今年受けておりまして、再度の被害でありまして、非常にお気の毒に考えておるのであります。これにつきましても、早急にこの被害の調査をまとめたいと思つて督励をいたしておるのでありますが、今日までのところまだ十分な被害の状況は分つておりません。ただ今まで分つておりますのは、約十九億程度の被害が農地の関係においてあるということが分つておる程度でありますが、今後調査の進むに従いまして、このキジア台風の被害も相当額に達するものと考えられるのでございます。簡單でございますが……。
  167. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは林野関係の台風被害状況等につきまして、林野庁の大坪林政課長……。それじやその間に農政局の方から農作物の被害状況について御説明を伺います。それじや藤田さん。
  168. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 農政局関係の農作物に対する被害でございますが、これはお手許に「最近の台風による農作物水害応急対策」という表がお配りいたしてありますので、これで御覽頂きたいと考えております。農作物に対する被害の主なものは六月の大豪雨、それからフロシー、グレース台風による被害、それからヘリーン台風による被害、それから八月上旬の豪雨による被害、次にジエーン台風による被害でございます。キジア台風につきましてはまだ取調中でございますので、まだこの資料ができておりませんわけでありますが、現在まで分つておりまする被害の中で一番大きなものはやはりこのジエーン台風であつたかと考えております。でこの資料の一から御覽頂きますと御了解頂けるかと思いまするが、六月中豪雨による農作物の被害でありますが、これは私ども農産課に報告のあつたもののみを集計をいたしておりますので、まだ正確なものを各資料についてはつきりいたしませんわけでありますが、これによりますと、稻に対する被害は面積が約六万町歩、減收見、込が二十六万石、麦がこれは丁度そのときには被害を受けたわけでありまして、面積が十七万町歩、減收見込約七十四万石、その他甘藷、馬鈴薯、雑穀等についても被害を受けております。主なところは福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野その他であります。それからフロシー、グレース台風による被害でありますが、これは水稻につきましては約二万町歩、減收見込約三万石であります。主なところは岡山、周知、鹿兒島がひどくなつております。それからヘリーン台風でありますが、ヘリーン台風によ被害の状況は水稻が約二万町歩、減收見込が一万四千石、主なところは関東、それから北海道が若干やられております。それから八月上旬の豪雨による被害状況でありますが、これは水稻については面積が七万町歩、減收見込二十二万石であります。主な被害県は岩手、宮城、それから福島、茨城、その外関東地方で若干やられております。それからジエーン台風による被害の状況でありますが、これは作報関係で集まつております統計で参りますと、水稻については面積が五十七万町歩、減收見込が百七十七万石であります。主な被害県は北陸の富山、石川、福井、新潟もやられております。それから岐阜、愛知、三重、それから滋賀、これから近畿地方がこれは相当被害を受けております。まだこれらの被害は詳細な資料がはつまり集まつておりませんのと、御承知の通りこの農作物に対する被害というものは、すぐにはなかなか現われて来ない。例えばその後相当の時日を経過いたしましてから、初めてその被害が現われて来るのでありまして、正確なデーターを今確実に押えることはできないわけでありますが、その後県からの報告なんかを見ますると相当殖えておりまして、例えばジエーン台風による水稻だけを考えて見ましても、これは県から集まりました数量を見ますると、九月十二日現在で百七十三万町歩、減收石数が三百万石というふうに相成つております。目下被害の詳細については係官を派遣いたしておりまして、調べ中でございますので、そういうようなものについては又だんだんと明らかになつて来ると考えますが、相当この被害は農作物に対してもあつたものと、私どもといたしましては見ております。これに対する対策でございますが、御承知の通り農政局の予算公共事業費の予備金が使えるような性質のものがございませんので、従つてこういう被害がございましたときには、予備金なり、或いは補正予算要求いたしまして、これを計上して貰う。こういうことに相成るわけであります。非常にその点が遅れて来るのであります。現在ここにございますように、六月、七月、八月等のこの応急対策についての差当りの従来やつておりますところの費用について、この補助する問題については、すでにこれは進めておりまするが、ジエーン台風その他キジア台風等についても資料のまとまり次第、或いは見当を付けまして、要求をいたしたいということで、現在参これを作成いたしておりまするわけであります。それから尚予算的な措置以外の対策といたしましては、農政局関係といたしましては、共済金の支拂をできるだけ迅速にするということが、一つの問題であります。従来共済金は、保險金は、この全体の災害がはつきりし、政府の支拂うべき可保險金の限度が確定をいたしましてから、初めて出せるような制度に相成つております。従つて金の支拂が非常に遅れるわけであります。そういう点から考えまして、我々といたしましては災害が非常にはつきりしておるもの、例えば全損に近いようなものについては、これを取敢えず一時その一部の保險金を前拂とする。例えば九割以上の全損に近い災害がありましたものについては、これをその大体保險金額の約半額というものを概算拂とする。こういうようなことをして、手取り早く金を出す方法考えてやるということが必要だということで、これには規則の改正を要しますので、その点について現在大蔵当局折衝をいたしておるわけであります。極力これが実現するようにやつて参りたいと思つております。
  169. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは林野関係の方について御説明願います。
  170. 大坪藤市

    説明員(大坪藤市君) 災害の問題でありますが、お手許に貸料が配付してあると思います。で只今までの台風被害の総額が、大体治山関係林道関係を合せまして三百十一億ということになつております。そのうち復旧を必要といたしますものは、七十四億円でありまして、これを国費に限りますと、四十四億見当になります。でこれを本年度大体三十八億見当の分を至急に復旧する必要がありますが、現在までのところ、六月までの災害の分が大体三億というものが予備金より交付されておりまして、七月以降只今までのところ、その他の災害につきましては、目下関係方面折衝をいたしておるわけであります。
  171. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 今農林省側の方から、それぞれ御説明がありましたが、これにつきましての御質疑をお願いいたします。
  172. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 只今の御説明の中において、農地局長から、全損に近い九割以上の災害については、大蔵省は法はともかくも、この半分の前拂をして速かに復旧を図るという、これは実に今回の説明中には我々は適正で、誠に当を得た御説明だと感心しますが、是非そういう方法を、全損でなくとも全部がそういう災害のあつたときには、この方法をして頂きたいのでございます。そういうような方法をとる考えがあるかどうか。それから災害復旧に対して、どの地方においても聞く声は、国庫負担として災害復旧費の支拂をさせるのは、これは二月も三月も四月も遅れて困る。この復旧費の支拂を速かにして貰いたいという声に満ちておることは、当局も御承知の通りであります。是非相当災害があつたのであるから、一日も早く国庫の負担を以て災害復旧費を支拂わしてやつて、この復旧に当らせるのが、これは一番よき途と思いますので、これに対しまして、農地関係及び農政局長のお考え一つ端的に御説明を承わると同時に、更に決意の程を聞かして頂きたいと思います。
  173. 佐野憲次

    説明員(佐野憲次君) 先程申しましたように、この九割以上の全額程度の災害のありますものについては、もうはつきりしておるわけであります。その他に例えば三割程度の被害とか言いますものは、その後の天候その他のまあ防除によつてどの程度の災害に食止められるか、やはりその收穫時まで待たなければ分らないものもあるのでありますが、例えばすつかり水でやられてしまいまして、何ともならぬというところについてははつきりしておるわけであります。そういうものについては、全部の保險金額が確定するのを待たず、当然これは拂わなければならぬのでありますから、これを至急に拂う。併しながら一応金額といたしましてはその半分を出す、これは大蔵省関係は、大蔵省の方で省令を改正して頂きませんと、それはできないわけです。今その折衝を実はしておりまして、これは本年の愛の共済金額の確定と、その問題が実は本予算の査定が長引いたために遅れておりまして、これらは至急にやつて呉れということで、もうすぐやつて貰うことに相成つておりますから、私共としてはこれを極力早くやらせたい。実際問題として、大体そういうような程度のものが出るという見込で、主な県については、その金額程度は銀行なり、中金ですでに面倒を見て貰つてつておられますが、併し私共としては早くそういう制度を作つてやりたいと考えております。
  174. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 農地局長の方にお聞きするのですが、耕地関係でもやはりこれと同様地方銀行或いは農林中金その他の関係から、耕地の復旧にはもう翌日から地方災害民はその復旧を図つておることは御承知だと思う。これに対しましても速かに助成金を出して貰いたい。これは三ヶ月も五ヶ月も半年も一年もかかつたのでは、たまつたものでない。これについてのお考えはどうか。又若し手が打たれてあつたら、一つ率直にお話をお伺いしたい。
  175. 藤田巖

    説明員藤田巖君) お話のように、今日まで復旧補助金の交付が遅れておりますので、甚だ申訳ないと思います。先程申しましたように、六月までの災害に対しますものが、各省の割当が決まりましたのが八月の末になつたような状況でありまして、現実に金が出ましたのは数日前というような状況であります。我々といたしましては、災害が起りましたならば、それから十五日以内には資料を整備いたしまして、それを基礎にして安定本部で各省別の割振りを決めております。そういたしまして、少くとも一月か、一月半くらいの間に金が出るようにしたいと思つておるのであります。我々の資料の作成は大体十五日以内にやるということで実行をいたしておるであります。やはり安定本部といたしましては、各省出揃いませんと査定が終りません関係もあり、又査定が終りましても、関係方面了解を求めるというような関係もありまして、現実の問題としては遅れて参つておるのであります。この点は先般の災害対策委員会等でも非常にやかましい問題になつておりますので、今後は各省共に十分注意いたしまして、早く金が出るようにしたいという申合せになつております。尚それでもそれまでの繋ぎの措置をとらなければならないということで、ジエーン台風につきましては、当初七億五千万円の預金部資金を、差当り被害の甚大な府県に融資をするということになりまして、それが若干殖えまして、現在確か九億程度預金部資金が繋ぎとして出ておる。こういうことは今後もやはりその都度やつて参るという方針のようであります。
  176. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私はちよつと変つた質問でありますが、この間例の茨城の水害と、それから昨年の佐賀の水害を見たのでありますが、そこで珍妙な現象と言いますか、例えば佐賀の例で申上げますると、海水を冠つたところは勿論稻は枯れてしまつておりますが、田圃は何ら損害を受けておらない。併し稻はもう真黒になつて枯れてしまつて收穫ができない。もう一つ下に行くと洪水で田畑は非常に駄目になつて、被害は惨怛たるものでありますが、そこには或る程度工事の復旧というような関係によつて相当助成金が出ている。勿論相当被害は多くありまするが、今言つた災害復旧事業というような関係で、その村には或る程度の現金が落ちる。ところが全然海水を冠つた所は土木工事を起すこともできない、もう茫然自失している。今度の取手附近でも、ここでは相当の工事があります。ところが少し遠隔地に行けば田畑は長時間に亘つて荒され、稻は真黒になつて枯れておる。田畑は原形は残つておる。こういう所に行くと全く生業を、働くにも働けないということで、被害の程度は勿論流失、埋没の方がひどいのですが、差当りの現象は今言つたところが困るという現象なんです。そこで勿論そういう地帶に生業資金が行けば、これは問題はないのですが、さつき農政局長の言われた農業救済の金をそういう地帶に特殊の考慮を拂つて貰わないと、外の現金收入が絶無であるので、そういうむしろ災害のひどいところは本当は差当りの收入はある。こういうようなちよつと変な現象を見たのでありますが、そういう点にどういう考えを持つておりますか。どうも行つて見て気の毒なんですよ。
  177. 藤田巖

    説明員藤田巖君) それは勿論田はそのまま全部やられておりますから、当然我々としては全損としてやつておりますが、前拙い、概算拂をやつて行けると思うのです。
  178. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 そういうことは成るべく早くやつて頂かないと、全く現金收入が絶えているというようなことでありますから……。
  179. 佐野憲次

    説明員(佐野憲次君) お話の点は誠に御尤なことで、恐らくこの間の小貝川の決潰による冠水地帶でありますが、これは土木災害費としては殆んどなかろうと思います。併し御承知のような惨状を呈しているのであります。あの冠水区域には区画整理の計画ができておりまして、知事も是非この機会に懸案である区画整理を実施して、それによつて兼ねて生業資金も得させたい。誠によいことなんですが、如何せん区画整理の予算というものがございません。それに対して我々として十分な措置がとれないのを甚だ遺憾に思つておるのですが、こういう点は一つ私共今後考えて行きたいと思つておるのであります。そういう例は宮城県にもあります。あの冠水地帶の附近に城下がありまして、これはどうせ改修しなければならんことになつております。城下の改修をやつて呉れというようなお話があるのでありますが、どうも御承知のように最近予算が窮屈でありますので、我々の方も機動的に使うという金が実はないのです。全部年度当初に配付してしまいます。そういう機動的な金の使い方というものができぬような状態になつております。今後こういう点を考え予算をやつて行かなければならんと思います。
  180. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それと関連して、私も只今片柳さんの言われた宮城県の遠田郡南郷村ですか、これは全然災害が、堤防決潰も何もないが、八百町歩、一望悉く腐つてしまつている。こういうことで土木事業が全然ない。それで村の税金が今後全然取れないような状況になつている。そこでそういう村におきましては、平衡交付金を増して貰わなければやつて行けない状態になつております。総じて……。そういう村につきましては、これは農林省の万両からも地方財政委員会の方へ特別平衡交付金を是非出して貰うように折衝して頂きたい。そう思うのです。恐らく災害による免税、減税等によりまして、村の災民は助かる。こういうことを見て参りました。一つそういう点を農林省から折衝して頂きたい。
  181. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 災害の復旧ですが、先程からお話がありましたが、この点に対して、水害は二百億円今まで出ていたのが、これから出るのが併せて予備費が十億ぐらいしかない。できるだけ補正予算で組んで行かれるという予定を出しているということでありますが、まだ過年度の災害というものは三百億ぐらい残つておりますが、本年度は七十億、昨日のお話も災害の復旧は昨年と今年と同じぐらいじやないかという話でありますが、今年のと両方併せると五百億円ぐらいのものについて七、八十億ぐらいしか取れないということでありますが、そこでさつき池田さんからもお話がありましたが、補助金の支拂を成るべく早く、手続の問題もあると思いますが、それは農業の方の災害は大体今まで被害の小さなところが二年とか、大きな県が三年計画というようなことを立てておられる。一律にそういうふうに県に配分するのですが、大体今年二百億ぐらいあつても、来年の植付ぐらいには半分ぐらい農家の方でやつてしまう。農家の方にはどんどん復旧をやれということでありますが、計画は三分の一ぐらいしか行つていないが、それでどうも農家の方では支拂が遅れているということを言つているが、実は一年ぐらい遅れて行くという実情があるのです。私九州の方面へ行つたら、県会議員が農林省補助金の支拂が少い。建設省の方が早く来るから、成るべく手続を早くやるということを言れたことがあるのです。これは考えて見ると農林省の方は三年計画だというようなことで、一律にそういうふうに予算を組んでおりますが、農家の方はそういうものを待つていずに、どんどん植付けまでにやつてしまうのが多い。河川なんか共同的なやつは請負に出すと、請負金額以上にやらないから予算通りに来るということがあるのじやないか。その辺の誤解もあるのでありますが、できるだけ一つ災害の復旧費というものは成るべく早く出して頂くということで……。それからもう一つお伺いしたいのですが、災害が起れば誰もできるだけ早く復旧したい。植付間際のやつは当然植付に間に合うように努力する。どれもこれも一律に手を付けるのじやないか。幾ら努力しても三年ぐらいかかるのもあると思います。そういうものも村の人々は直ぐ手を付けたいから、そうして全部の殆んどに手を付けて、予算が少くなつてしまうということがあるのです。何か査定なさるときに事業着手の統制というようなことを考えて頂いて、できるだけ植付に間に合うものは全額でも出させる。三年ぐらいかかるものは繰上支給をやつても何にもならないから、そういうものは補助金が初めから出ないというようなことをはつきりして置けば、今のような繰越が非常に多いということが減つて来ると思います。そういうことについて考えて頂きたい。もう一つ関連しまして予算を幾ら取るといつても、来年度は七、八十億以上は無理じやないかと思いますが、金融金庫の問題でありますが、関連すると思います。金融金庫の方は来年の初めの二百億、予定じや三百億円ぐらいの仕事をやつている。補助金が二百億ぐらい。そのあとの半分ぐらいを金融金庫から出す。自己負担は三百億のうちの二十億ぐらいというような取り方をやつておる。これは金を貸す方じや全会だと思います。私どもも金融金庫というものは是非必要だと思います。補助金では足りないから、できるだけ仕事の分量を増すという意味金融金庫を抑えたらどうかと考えておりました。これじや予算の範囲内で補助金を貰つて自己負担というものは一割出せばいいのだから、あと予算通りの仕事というようなことになると、仕事を繰上げてするということになると、手が伸びない。一年先の仕事を今のような予想状態でするなら、どうしても植付けまでにやつてしまうということならば、こういうような考え方でなくて、そういうものをできるだけ早く仕事の進むように着手すれば、それは当然二年か、三年計画補助金を出すならば、今年はできるならばそういうものは金を貸してやる。そういうような考え方金融公庫をやる場合に……これは土地改良の問題と同じであります。ポンプを買つたが、予算が少いから旱魃になつても据付けることができないで、据付けは来年だというようなことで待つておる例が非常に多いのでありまして、どうせ出すなら私は出してやればいいと思います。災害復旧で予算が足りないから、そういうような制度を一つ織込んで頂きたいと思います。  もう一つお伺いしたいのですが、災害の復旧、これは前から問題であつたけれども、原型復旧ということを主としてやつておられるのですが、改良ということは殆んど言つておらないのです。土橋なら土橋のままじやないと補助金は出ない。木の橋はコンクリートにしてはいけないという趣旨がどうも……壞れた水路でも川でも、あとはその通りの川を拵える。だから昨年やつたものが又今年壞れておる。こういう例があるが、そういうものは災害防止という形で広く解釈して、災害の復旧と同時に金を出すということ、これは、取扱いの問題であります。こういうように災害の復旧をやつては又災害を拵えるのは、又必ず出て来るじやないか、そこらの辺はどういうふうに解釈するか、一応論議しておられたか、お伺いしたいと思います。
  182. 佐野憲次

    説明員(佐野憲次君) お話のように、この補助金が遅れるということがあるのでありますが、これは一つには細かいものが非常に数多くありますために、建設省等に比べまして遅れるということもあると思いますが、主な問題はやはりこの予算が少なくて、先程申上げましたように、今年の予備金では一六%程度しかない。併し一面農家といたしましては、やはり来年の植付けに間に合えるように或る程度仕事は進めなければならんということでありまして、実際は予算で認められておる以上に仕事をしておるのでありまして、そういう関係から遅いのだという声が起つて来る場面が多いのではないかと考えておるのであります。又先程溝口さんの申されますように、一律に着工しないで緩急を図つてやるということも誠に御尤もなことでありまして、そういう点も十分注意をいたさなければならんと思いますが、何分にも予算が少ないために年々延びて来ておるのであります。今大体二十一年までの災害はほぼ済んでおりますが、二十二年以後は残つておるような状況であります。そういうことから予算の配付が遅いという声も起つて来ることと思うのであります。私どもとしてはできるだけ完成期日をつめてやるようにということで考えておるのでありますが、一面財政の都合もありまして、延び延びになつてつておるような状態であります。今度考えられておりまする金融公庫は、まあ表向きといたしましては、予算で認められておる以上の仕事をやるための金を貸すというふうな仕組みにはなつておりません。現状が予算以上の仕事をやつておるという状況でありまするので、そこへ金融が付けばもう仕事の伸び方もやはり又それだけ大きく伸びるのではないか、そういう点は実際の動きとしては私共もやはり願つておるところであります。表向きはやはり予算予算に伴つた仕事ということで現在は考えておるのであります。それによつて実質上は仕事が伸びて行くであろうということを考えております。  それから原型復旧の問題ですが、これは災害としては認めないわけですが、復旧の部分と改良の部分とは仕分けをいたしまして、復旧の部分は復旧の方で、改良の方は改良の方で見るということになつておると思います。
  183. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 そういう点は、これははつ奉り地方へ指示して頂かないと、こつちで以て災害でやつておるものを、俺は知らぬというようなことになつてしまう。予算を配分するときに、そういう趣旨でやらないと、鹿兒島県なんというのは全部が全部改良をやらなければならん土地がある。そこでああいうような大きな災害が出ますと、改良をやつて補助金は出さないということで、鹿兒島などはいつまで経つても改良されないということを実は言うておるのです。できるだけ一つ復旧と共に耕地の改良もできるように、そういうふうな考えで是非お願いしたいと思います。
  184. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) ちよつとお帰りになる前に……、今開拓関係の方が陳情に見えられておるのですが、先程農地局長も触れましたように、今度の台風被害は開拓地に非常に多い。これに対して特別の御考慮を拂うように言われたのですが、特に開拓者の共済の問題等がありますので、これは折角御努力願いたい。この点一つ十分にやつて頂きたいと思います。
  185. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 さつきの農業共済のやつですが、成るべく早く金を出して貰いたいのですが、そこでああいうところに行きますと、自家保有米は殆んどない。そうすると、我々がおつたときも陳情がありましたが、政府から配給を受ける、これが生産者米価で配給を受けるということは、趣旨は一応立つにしましても、実際上はむずかしいことになる。そうすると、農業共済の評価の場合に、例えば全体の場合には、これはちよつとおかしな議論かも知れませんが、販売、要するに供出数量と被害地帶の農家の保有数量が分るわけです。それで配給を受けるのが、やはり一般の消費者価格で受けることになれば、供出する分の被害はこれを生産者米価で計算するわけですが、自家保有米相当量というのは消費者米価で計算する。こういうことになれば、二千円近い開きがありますので、どつちかで救つて行かなければ実際気の毒です。そういうことができるかできないか、これはちよつとインチキかも知れないが……。
  186. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 私どもそういう問題は考えておらなかつたのですが、生産者が価格によるものと、消費者価格によるものと分けて、例えばその半額なら半額、そういうものを分けて共済金を拂う。そうすると、共済金額が普通の生産者価格で計算したよりも多くなる。供出の半分については多くなる。県のやり方としてできるかどうか、尚私はもう少し研究をして見たいと思います。
  187. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 配給を受ければ消費者米価で受ける。それがちよつと苦しいかと思いますが、何かできるだけの考慮を願いたいと思います。
  188. 藤田巖

    説明員藤田巖君) 研究をして見ます。
  189. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) その問題に関連して保有米がなくなつて、実際單作地帶ではえらく弱つておる。丁度麦なんか配給辞退のやつが各県にあるのですから、そういう配給辞退のものを何か特別の方法で、現物を貸付けるというのもおかしな話ですけれども、何かそういう方法で或る程度配給してやるという方法考えられないものでしようか。それからこれは一つ考え方なんですが、随分農家で困つてしまつて、おるものが多いのです。それで労銀收入もないような場所では生活保護法を適用して、その生活保護法による、金額が、丁度配給の米なんかを買い得るように大体なると思うのですが、そういう方法で行つて、町村の生活保護法の金額の負担部分は、これは何か特別な方法政府の方で見てやるとか何とかして、單作地帶で今年の收穫を、前にしてすつかりやられて、倉庫にあつた物までもどうにもしようがなくなつたようなところば、何かそういう途を考えてつ頂きたいと思います。  外に災害問題について何か……。
  190. 西山龜七

    ○西山龜七君 本委員から過般三好委員と私が愛媛県と滋賀県の調査に参つたのでありますが、愛媛県の方は南海震災によりまする地盤沈下に関連いたしました農耕地の被害、それに対する対策、それから作物の被害、それから供出問題、それと南予地方の段々畑の農村の実情が、最近に至りまして大きく上げられておりますものを現地に調査をしたのであります。供出の問題につきましては、いずれ日を変えまして、その報告を申上げたいと思いますが、地盤沈下によるものと段々畑の農村の要望その他につきましては、現地に実情の声を聞きまして、報告書を委員長の手許まで出してあるのであります。どうか委員長におかれましては、政府当局その他に我々の一般の要望をよく参酌して頂きまして、適当な御処置を願いたいと思います。委員の各位に対しましては、いずれその我々の調査の報告をお廻しをして頂くようなことになつておりますから、御覽下さいまして、一つ御賛成あらんことをお願いする次第であります。詳しく申上げたいと思いますけれども、大変今日は時間も経つておりますので、以上の経緯を申上げまして御了承を願いたいと、かように思います。
  191. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今西山委員から、愛媛県等の調査の結果についての御報告がありまして、報告書を出してあるから、これに基いて政府の方に善処方を要求したい、こういうお話でありました。私はこの報告書を受取つておりますので、これに基きまして政府の方にその旨を伝えまして、政府の方で善処して貰うようにお話をしようと、こう思つております。  それでは外に災害問題につきまして御質疑がございませんでしたら、本日の質疑はこの程度にいたしまして、尚問題が残つておりますので、明日十時から委員会を続行したいと思いますが、よろしゆうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは明日十時から委員会を続行いたします。尚農林大臣は本研御出席の予定でざいましたが、閣議でお忙しいために今日は御出席になりません。明日御出席頂くことにしております。  それからこの委員会を閉じる前に当りまして、先程議題になりました供出制度等の問題につきまして小委員会を設けて農林委員会としても研究をして行つたらどうかというようなお願いをしたいと思うのでありますが、如何でございましようか。この供出制度についての小委員会を設けること……。
  193. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 供出問題は今後いわゆる農民の納得と増産問題とをはらんで至極適切なことでありまして、私といたしましては、その委員の数及び制度については委員長一つ理事各位と相談して、そうして設置並びに委員の数まで一つ御決定を区願いたいと、かように思うものでありまして、できたら皆さんの御賛成を得たいと、かよう申上げます。
  194. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) 只今池田委員から、外委員会の設置、その人数並びに指名等については理事において協議をして、それを決定して貰いたい。こういう御動議がありましたが、さように取計つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それではさようにいたしまして、明日開会に先立ちまして、理事会を開催して、決定いたしまして、明日は小委員会の構成をお諮りいたすことにいたします。そういたしますと、本日の委員会はこれを以ちまして閉会といたしますが、尚閉会いたしましたあとで御協議願いたいことは、昨日の委員会で問題になりました農林関係予算について、尚我々としていろいろ要求すべき点があるので、それをどう提携するかということでありますが、これは如何がでございましようか。やはり明日の理事会で、その方法につきましてもお諮りして案を作るということでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) ではさようにいたします。
  197. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 尚一つ、その際委員長並びに理事において農林当局並びに大蔵、安本に至急善処すべきことがあつたら、その他の委員においても御出席の委員を煩わして、至急打つべき手があつたらその手段まで講じて頂くようにお任せしたいと思います。
  198. 岡田宗司

    委員長岡田宗司君) それでは、今池田委員の御要望もありますので、理事会でさように取計うようにいたします。どうも有難うございました。それじやこれを以ちまして散会いたします。    午後五時三十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡田 宗司君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            瀧井治三郎君            白波瀬米吉君            土屋 俊三君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   説明員    大蔵省主計局主    計官      佐竹  浩君    農林大臣官房長 平川  守君    農林省農政局長 藤田  巖君    農林省農地局長 佐野 憲次君    食糧長官   安孫子藤吉君    林野庁林政部長 大坪 藤市君