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1950-10-27 第8回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月二十七日(金曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○行政機構の整備に関する調査の件  (特別調達庁終戰処理費運用状  況に関する件)  (公職追放解除に関する件)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  過日経済調査庁から特別調達庁終戦処理費運用状況について説明がありましたので、本日は特別調達庁から同じ問題につきまして説明を聞くことにいたします。それでこの説明を聞きます前に杉田専門員から特別調達庁関係について一応説明させることにいたします。御承知願います。
  3. 杉田正三郎

    専門員杉田正三郎君) 本日の日程に上つております項目は特別調達庁終戦処理費運用実情という問題と、それに引続きまして追放解除の問題でございまするが、この二つの問題につきまして御調査の便のために基本的な問題を簡單に御説明しておこうと思うのでございます。  昭和二十年の九月二百に降伏文書が成立いたしまして、この降伏文書に基きまして指令の第二号というものが出まして、それに基きまして我が国地方的の資源、石油、労務、それから建築物飛行場というものを占領軍提供する義務が生じた次第でございます。引続きまして同年の十月の二日に総司令部から更に覚書が出まして、その覚書によりまして占領軍の必要とする物資二十三種目と、それから役務サービスでございまするが、十九種目が指定せられまして、要するに占領軍が必要とする物資役務というものは我が国がこれを調達して、その費用日本政府負担するという建前になつておりまして終戦処理費は要するに占領軍の必要とする費用ということになるのでありまするが、併しながら占領軍の必要とする費用の全部が終戦処理費に入るのではなくてそのうち除外せられるものは占領軍人、それから占領軍の文官の人件費というもの、それから主な衣食費、それから兵器調達費などは終戰処理費から除外されることになつておるのでございます。そこで昭和二十年の降伏以後我が国はこの指令なり覚書に基きまして占領軍の必要とする物資役務調達して参つた次第でございます。終戦処理費として昭和三十一年は約三百六十億という金額になつておりましたが、昭和二十五年には千九億という額に上つておるのでございます。昭和二十一年から漸次この金額は殖えては参つております。が併しながら一般会計予算との比較におきましては、昭和二十一年は約三〇%になつておりましたのが、昭和二十五年では一六%に下つておるのでございます。終戰処理費総額上つてはおりますが、一般会計予算との比較においては漸次下つておりまして約二十一年に比べまして、昭和二十五年ではその半数ぐらいのパーセントに下つておる次第でございますが、要するに我が国一般会計に比べましてこの終戦処理費というものは非常に厖大な額でありますので、これが適正に運営せられるかどうかということは日本経済にとつて非常に重要なる関係を持ちますので、従来すでにできておりまする会計検査院報告などを見ましても相当不適正な支出が指摘せられておるような次第もありまするので、この第七国会におきましてはこの特別調達庁法の一部を改正する法律が成立いたしましてこの法律が本年の五月十日に公布せられまして、経済調査庁特別調達庁事務調査なり経理監査を行う権限が新たに規定せられまして、この規定に基きまして経済調査庁はこの特別調達局地方の局九つございまするが、この九つの局の監査を行うことになつたような次第でございまして、すでに前後二面の委員会におきまして、経済調査庁当局から従来の監査の一応の経過を説明せられたのであります。主として横浜地方特別調査局を中心にして説明せられたのでありまして、それがまだ調査は途中でありまするので、十分な結論を出しておるわけではないのでありまするが、大体の調査監査の様子を我々伺うことができたのであります。ところが一方この特別調達庁におきましてはこの経済調査庁調査監査の当委員会における報告が必ずしも正しいものとは思われない、何かの誤解もあり得るというので特別調達庁の立場から改めて説明をする機会を得たいというような話がありましたので、本日は特別調達庁の側からその実況をつぶさに御説明になるようなことになつた次第でございます。  それから午後の追放解除の問題でございまするが、追放解除昭和二十一年の一月四日の総司令部覚書に基きまして、総数二十万余名が追放せられることになつたのでありまするが、併しながら追放せられた者に対して訴願の途を開きまして、昨年の二月に公職資格訴願審査委員会というものが設けられまして、訴願者訴願に対して審査をして、果してこの追放処分が適正であるかどうかということを調べることになつたのであります。追放解除訴願申請者は三万二千八十九名ということでありまして、約一年半余の時間を費してこの審査に当つたのでありまするが、大体審査が終了いたしましたので、御承知ごとくそのうち追放解除をすべき者を挙げまして総司令部にこれを報告し、政府は過日そのうち一万九十名を解除することに決定いたしましてこれを発表することになつたのであります。ただ従来訴願をしておりましたうち、いわゆるメモランダム・ケースとして六十八名が除外せられて、これは全然手を触れないことになつたのでございます。  この審査委員会委員長外六名の委員によつて構成せられておりまして、近くこの委員会は解消することになるというような状態になつておるのであります。そこでこの審議委員会か解消せられました曉において、この解消後新たに追放に指定せられた者などはどういう訴願の途があるか、どういう機関によつてその訴願審査せられるのであるかというような問題、それから従来追放せられまして今回の追放解除にも漏れたような人達は果して将来全然解除機会がないのであるか、或いは更に又解除せらるる機会があるかどうかというような問題、或いは将来講和が成立しました曉におきまして、この追放者地位はどうなるか、講和が成立した曉においては追放者は全部解除地位に立つのであるか、或いは依然として追放地位にあるのであるかどうかというような問題は当委員会として御審査になるべき問題ではなかろうかというように私共考える次第でございます。  以上要するに今日の当委員会における審査の一応御参考になる点を御報告申上げて置きます。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは特別調達庁から説明を伺います。今日は長官病気のために御出席がありませんので、次長堀井君、官房長辻村君等より御説明があることと御承知願います。
  5. 堀井啓治

    説明員堀井啓治君) 私特別調査庁次長堀井でございます。根道長官数日来病気でありますので、私から御説明申上げることをお許し願います。  本日貴重な時間を拝借いたしまして、特別調達庁業務内容機構等につきまして御説明申上げる機会を得ましたことは誠に私共幸いと存じております。特別調達庁業務につきましては、特別調達という名の示しまする通り占領軍日本政府要求いたしまする調達業務の一切を担当することを主な任務とする機関で、ございまして、先ほど御説明のありました通り、それらの調達業務は年々一千億以上に上る終戦処理費を以て行われておるのでございます。尚昭和二十五年度からは、これまで大蔵大臣所管で、ございました終戦処理費及び解除物件処理費並びに終戰処理費収入内閣総理大臣所管となりましたことにつきまして、当庁はそれらの所管大臣としての業務をも行なつておる次第でございます。この調達要求の根拠につきましては、先ほど専門員からお話のありました通り昭和二十年九月二日の連合軍司令官から日本政府宛に発せられました指令第二号に基きまして、更に詳細な指令昭和二十三年三月二十一日付の総司令部覚書スキヤツピン一八七二号及び昭和二十五年七月二十六日付総司令部覚書スキヤツピン二一〇四号でございまして、これらはいわば調達業務の憲法とも言うべきものでございます。  次に特別調達庁如何なる内部機構を持つておるかと申しますと、先ず中央には本庁といたしまして一官房、四部並びに附属機関として三つ審議会を持つておりまして、本庁終戦処理費海上物件処理費及び終戦処理費収入所管大臣としての業務を担当いたしますと共に、調達業務に関する方針手続規定等を定めまして、地方機関を指揮監督いたしておる次第であります。地方機関といたしましては軍調達部の支部と相対しまして、東京、札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、呉、福岡の九ケ所に特別調達局が設けられまして、更にこの九支局の下に占領軍部隊等と直接に接触を保つために監督官事務所全国に六十七ケ所設置せられまして、調達現業を担当いたしております。  更に又労務並びに旧日本軍爆薬兵器類処理につきましては、現業はすべて都道府県庁に委任いたしておるのであります。  業務内容につきまして多少詳しく御説明を申上げます。占領軍調達要求はすべて一定の形式の文書を以てなされます。これには三つ種類がございまして、調達要求書、プロキユメント・デマンド、略してP・Dと称して、おります。労務要求書、レーバーレキジシヨン、略してL・Rと称しております及び通信命令、コミュニケーシヨン・オーダー、略してC・〇と申しております。P・D、L・R、C・〇、この三つ種類がございまして、先ずP・Dに基く調達要求につきまして更にその内容を申上げますと、不動産提供建設工事の施行、役務提供需品供給及び国鉄による輸送の五つに分類されるのでありまして、それぞれP・Dの記号によつて区別せられております。  第一の不動産提供は、土地及び住宅その他建造物を接収しまして、連合軍に使用させることであります。第二の建設工事は、兵舎、宿舎飛行場等の新設或いは改造等でございます。第三の役務提供でございますが、その内容は非常に多種多様でございまして、電気、ガス、水の供給は勿論、家具、機械、器具、車輌、医療品の修理、又洗濯、染色及び物の運搬或いは芸能の提供、ホテルの運営ラジオ放送等極めて種類が多いのでございまして、契約金額も年額一件一万円くらいの少いものから二十億に上るものもございます。第四の需品でございますが、これは主食、軍人軍属等被服等を除くあらゆる種類物品供給であります。以上四つの需品のP・Dはすべて在日兵站司令部調達部により発行せられまして、特別調達庁軍調達部と密接な連絡をとりましてこれが処理に当つておるのであります。第五番目はTMPSという記号を以て米軍輸送司令部によつて発行されるものでありまして、国鉄及びそれと連帶する私鉄による占領軍の人員及び貨物の輸送要求するものでありまして、申上げるまでもなく、その実際の業務日本国有鉄道が担当し、当庁は国鉄に対する資金の繰入を行なつております。労務要求につきましては、日本人労働者占領軍に使用させるためのものでありまして、これに対する業務はP・Dに基く調達業務とは異なりまして、特別調達庁本庁労務管財部の統轄の下に、全国都道府県が実務を取扱いまして、本庁でその処理方針手続規定等を定めまして、都道府県業務の実施を監督いたしますと共に、経費予算管理を行なつております。通信命令電気通信省による電信、電話等サービス要求するものでありまして、軍の通信部隊により発行せられまして、当庁は電気通信事業特別会計に対する資金の繰入を担当いたしております。  以上が調達面業務でございまして、その他にも当庁の実施しておる業務がこれに附随しましてありますので、これについて簡単に御説明申上げます。  先ず調達解除に伴う各種財産処理業務でございます。これは占領軍がその需要に充てるために接収いたしました不動産、或いは国内から調達しました物品日本政府に返還するに当りまして、これを受領し、保管し、その所有者に返還をし、損失を補償し、或いは買却その他の処理をなす業務でございます。又本庁の本来の業務ではございませんが、業務の委託と役職員兼任等によりまして、実質的に取扱つておりますものに連合国軍人等住宅公社業務がございます。この公社は本年一月総司令部からの指令に基きまして、米国対日援助見返資金六十八億円を以て、連合国軍人等宿舎二千戸を全国に新設すると共に、居住者との賃貸契約をも取扱つております。尚当庁が担当いたしております特殊な業務一つといたしまして、旧日本人爆薬兵器類処理に関する業務があります。これは総司令部覚書を以て日本政府指令せられました業務でございまして、当庁は都道府県を指揮して陸上のものを処理し、海上保安庁が海上のものの処理に当つておるのであります。  以上が特別調達庁の所管する業務の概要でございまして、これらの業務運営基本方針について簡単に一言いたしたいと思います。  第一には門戸の開放でございまして、当庁と契約を希望する業務に対しましては、その業態を十分に調査いたしまして的確と認めるものは最大限契約機会を與えまして、取扱の公正を期しております。第二に調達の迅速と的確でございます。このことは軍が占領目的遂行上最も強く要求せられるところで、ございまして、私共もこの点には非常な努力を拂つているのでありますが、そのため国内会計諸法規の調整上少からざる苦心を要する場合がしばしばあるのであります。第三に重要なことは、勿論国費節減でございますが、これは占領軍要求を迅速に処理するという至上命令の下におきまして、ときによつては非常に困難な場合に遭遇することもございますが、当庁といたしましてはあらゆる手段を盡して努力をいたしておる次第であります。その一方法といたしまして、入札励行ということについては最大限努力を拂つておるつもりでございます。入札励行工事需品は勿論でございまして、従来不可能とせられておりました役務についても特別の工夫をいたしまして入札を実施しておるような次第であります。幸い占領軍自体におきましても経費節減ということにつきましては関心を有しまして、現在では部隊ごと予算が割当てられまして、調達要求の発出を統制しております外、調達要求書には調達最高金額規定いたしまする等の手段が講ぜられております。  最後に当庁は前述いたしましたように、年々莫大な国費経理に当つておりますが、会計事務の適正、特に非違行為の防止のためには特別の考慮を拂わなければならんことは当然でありまして、そのためには組織上におきましていわゆる横割方式機構が採用せられまして、一つ契約をするに当りましても、一部局のみの決定に任さないで、各部のチェック・アンド・バランスが行われるようになつております。又本年四月一日からは従来本庁現業も扱つておりましたが、その現業部面を全く切離しまして、下部機関業務の指導、監督監査ということに専念いたしておる次第でございます。尚当庁が外部から受けまする監査について申しますと、常時占領軍監督をいたしておりまする外に、占領軍自身もしばしば監査を行います外、国内的には御承知通り会計検査院、大蔵省、経済調査庁検査或いは監査を受けておるのでございまして、地方特別調達局におきましては、これらの検査或いは監査が相重なりましたり、続いて行われるというような状況でございまして、場合によつてはこれが応接に暇がないというような状態も見受けられるような次第でございます。  以上長く申述べましたが、私共のほうといたしましては当庁の業務重要性に鑑みまして、いよいよ業務改善に努めまして皆様方の御期待に副いたいと存じておる次第でございます。何とぞ一層の御叱正、御鞭撻を賜りたいと存じております。荷先般経済調査庁物資調査部長が当委員会におきまして当庁の需品契約業務について述べられましたことに関しまして、本庁といたしましての見解を明らかにいたして置きたいと思つておりますので、当庁の官房長から御説明申上げたいと思います。
  6. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 本年九月二十五日当参議院内閣委員会が開かれました機会に、経済調査庁物資調査部長から当庁の需品契約業務調査の結果について御報告がありました次第でありますが、この御報告は当特別調達庁が行なつております需品契約業務実情を正確に伝えられていない点があると思いますので、この点につきまして当庁の意見を申述べさせて頂きたいと存ずる次第であります。もとより当庁の業務只今次長から申上げました通り極めて厖大広汎でございますし、殊に先般経済調査庁が御調査に相成りました業務はいわゆる地方調達P・Dに基く需品契約業務でございましてこの業務昭和二十四年度から初めて現われて参りました新しい業務でございます。経済調査庁におきましても、この業務については当特別調達庁全体から見た場合最も手薄な領域に限られその業務ぶりもまだ軌道に乗つてらん感があるということを言つておられるようでありますが、そうした新しい仕事でもあります関係上、事務の点におきまして不慣れな点もございますので、その点につきましては今後十分是正して改善して参らなければならんと考えておりますので、経済調査庁の御所見に対しましても十分傾聴いたさなければならんと考えておる次第であります。併しながら先般行われました調査につきましては、全般的に見まして誤解と考えられるものが極めて多いのでございます。特に我々遺憾に考えますることは、先般の御調査が只今申上げましたような新しい業務に対する調査であり、而もその業務は後ほど詳しく申上げたいと存じますが、調達業務全体から見れば極めて一部分業務であります。需品契約業務全体から見ましても僅かに一割四、五分程度昭和二十五年度の予算から申しますと僅かに六分程度業務でございまして、而もその業務たるやこれも後ほど少しく御説明申上げたいと存じますが、極めて異例な取扱をしなければならない特殊な業務でございまして、そうした業務のうちで又その業務のうちで起りました異例的な事例を取上げられまして、それが恰かも全般的な傾向であるような報告であつたかと存ずるのであります。従いましてこの報告を承わりまして特別調達庁業務全体が非常に杜撰な無責任な業務をやつておるかのごとき印象を受けるように考えられるのでありますので、この点は我々非常に遺憾に存じ、又実は非常に意外に感じました次第であります。次に又御調査報告特別調達庁終戰処理費節減に関して熱意を欠いておるというように言われておるようでありますが、この点も当庁といたしましては誠に心外に考える次第でございます。終戦連合国軍に対する調達が始まりまして以来、特に特別調達庁が設立せられまして以来、歴代の責任者が最も苦心を拂い、苦労を重ねて参りましたことの一つ終戦処理費、即ち国費節減如何にして図つて行くかという点でございます。言い換えれば、如何にしていい品物を安く調達いたしまして、一面連合国軍に対し十分なる満足を與えまして、日本政府義務を果しますと同時に、一面如何にして国民負担をできるだけ少くいたそうかという点につきまして、我々といたしましては及ばずながら最大限努力拂つて参つたつもりでございます。尚又先ほど次長からも申上げましたように、占領軍当局におかれましても特に最近は日本国民負担になりまする終戰処理費節減という問題につきましては非常な関心を寄せておられまして、一々の品目につきましてそれぞれ軍側予算が決まり、最高制限額が示されておりまして、その金額を超過する契約は認められないことになつておるのであります。又支出につきましても、一件ごとに軍の承認がなければ支出ができないような制度に相成つておりまして、かたがた軍側からもこうした経費節減に関しまして不断の監督鞭撻を受けておるような次第でございます。現に昭和二十四年度におきましては、御承知のように終戦処理費におきまして二百教十億円の不用額を見ておりますが、これはもとより一面におきまして軍側の先ほど申上げました日本終戦処理費節減に関する御協力の結果ではありますけれども、一面におきまして又我々がこの経費節約努力いたしました努力の現われの一片でもあろうと考えておるような次第でございます。そういう次第でございますので、当庁が終戰処理費節減に関して熱意を欠くという御批評を受けましたことにつきましては、我々誠に遺憾に存ぜざるを得ないのでございます。謙りまして何故に経済調査庁が当庁の業務処理実情に関しましてかような判断をお下しになつたかということをひそかに考えて見まするのに、先ず第一に先ほどもちよつと触れました先般の経済調査庁の御調査は当庁の需品契約のうち一小部分一つ比較的僅かの部分でありますところの、いわゆるローカル・パーチェス、即ち地方調達P・Dに基く契約のみの調査をいたされまして、それに基いて需品契約全般を論断せられたように考えられる点であります。ここで少してそのいわゆるP・Dについて御説明をいたす必要があるかと思うのでありますが、調達命令、即ちいわゆるP・D、P・Dと申しましても需品関係だけのP・Dのことを申上げますが、その需品調達P・Dに二種類ございまして一つ中央調達P・Dであり、もう一つ地方調達P・Dでございます。中央調達P・Dと申しますのは、軍のほうで年間計画をお立てになりまして、こういう品目は年度内にどれだけいつ調達する必要があるということを予め計画されまして、それに基いて日本側命令が来るのであります。これが大部分P・Dでございます。全体の八〇から九〇%ぐらいに相成つておりますが、この中央調達P・Dはそうした計画的に調達命令が参るのでありますから、命令を受けましてから現実に物を納めるまでの間に相当の期間がございますので、特別調達庁といたしましてはこれを調達するに当りまして成規手続調達することができる性質のものでございます。ところがもう  一つ地方調達P・D、即ち先般経済調査庁が御調査になりましたP・Dに基くものは全国地方部隊におきまして緊急に必要なもので、そうした中央調達P・Dによつて予め用意せられております品物を遠くの軍の倉庫から持つて来も暇がないような場合に、至急に緊急な必要によつて調達を命ぜられるものでございます。例えばあらしがありまして電柱が一本倒れたとか、雨漏りで瓦を十枚或いは二十枚至急に取換えなくちやならん、或いは鉛筆一ダース箒十本というようなその都度都度の緊急の必要に応じて注文が参るものでございまして、従いましてそういう性質上この地方調達P・Dは一件ごと品物内容は分つておりませんので、一括してこの部隊年間に何百万円、或いは何千万円というふうに総額だけ決めて置きまして、その範囲内で受領官がその必要に応じてオーダーを出しまして、そのオーダーによつて初めて調達庁のほうでは今度は何が購入せられるということが分りまして、それによつて購入するというような性質のものでございますので、納期なども非常に短こうございまして、即日納めのこともございますし、普通命令が来てから二、三日のうちに納めなければならん、長くても二週間は待てないというようなものでございますので、到底成規手続で沢山の業者を集めまして、又メーカーを集めまして製造さして納めさせるというようなわけに行かないものでございますので、便宜に地方の商店或いは百貨店というようなものから調達せざるを得ないようなものでございます。尤もこれも成るべくそうした購入に当りましては随意契約で買うというようなことをしないで少し品物のまとまつたようなものであれば成るべく、入札によつて購入するようにはいたしておりますけれども、そうした納期が短かいというような関係、或いは数量が非常に少いという関係、又いろいろの物が一緒に出て参りまして、それを一つ契約で賄なわなければならないというような関係のものでありますので、なかなか正規に本格的な入札によつて購入するということをやつておりましては軍の間に合わないというようなことになりますの  で、便宜な取扱をせざるを得ないことが多いのであります。そういう特殊な性質を持つたものが地方調達P・Dなのでございます。  尚そうしたP・Dについて先般御調査になりましたのでありますが、個個の御報告を承わりますと、そうした特殊なものにつきましての御判断についても我々の見るところといささか所見を異にいたしまして間違つた御判断に相成つておると考えられるようなものも相当あるように考えるのでございます。それからもう一つのそうした御判断をなさいました原因として我々が考えまするのは、この我々のやつております調達実務というものが先ほども申上げましたように非常に複雑でありますし、又手続なりいろいろの法規関係が他の日本側の官庁でやつておりますのと大分違つたような点もございますし、殊に又今回は経済調査庁が初めて我々のほうの業務を御調査に相成りましたので我々の業務に対する御認識が十分でなかつた点があるのではないかというふうにも考えるのであります。これは私共のほうの職員で御調査に立会いました者の説明が不十分であつたという点もあろうかと思うのでありますけれども、何分非常に日々の業務に追われております上に、丁度たまたま会計検査院検査と相前後して行われたような場合が先般多うございましてつい十分なる御説明がいたしかねたような場合もありはしないかということを心配いたしておる次第でございます。それでまあ大体只今申上げましたように概括しで我々考えておるわけでありますが、以下少しく事項別の問題につきまして申上げさして頂きたいと存じます。最初に業者名簿の整備につきまして、経済調査庁は業者名簿が全国的に整備されていないということを指摘しておられますが、これは東京調達局以外につきましては事実でございます。何故東京調達局以外においてこの業者名簿が不整備であつたかと申しまするのに、これは今年の四月までは需品契約の、これは中央調達でありますが、中央調達需品の殆んど大部分は東京でやつておりまして、地方におきましては殆んど需品契約取扱つておりませんでしたので、そうした面の業者の名簿が事実上地方では必要が余りなかつたわけであります。  それから地方調達P・Dにつきましては従来地方調達庁につきましては昨年八月から始まつたのでございまして、これは地方におきましても相当或る程度の発注はあつたのでございますが、これは先ほど申上げましたような特別な性質のものでありまして、非常に品目が多く又何が出て来るか予めは予想がつかないというような関係で、このほうの名簿の整備が御調査を受けました当時にまだでき上つていなかつたというような関係があつたわけでございます。以上がこの業者名簿の整備の問題でありますが、次に契約の方式につきまして、経済調査庁は当庁の特別調達庁契約は競争入札が少く、随意契約が多い、本庁方針は原則として競争入札をやるということになつておるのに、事実は原則と例外とが逆になつてつて随意契約が大部分だということを言つておられますが、これは非常な間違いでございます。恐らくこれは先ほどの地方調達P・Dだけをお調べになつて、それから全体の結論をお出しなつた結果かと思うのでありますが、お手許に差上げました説明書の中に統計表を添えてございますが、それは中央調達P・Dと地方調達P・Dに分けまして、どれだけが入札による契約であり、どれだけが随意契約であるかという一覧表でございますが、これによりますと、中央調達P・Dにつきましては、入札によつて契約いたしましたものが金額にいたしまして九二・六二%、契約の件数にいたしまして、七八・七%であります。それから地方調達P・Dのほうは入札によりましたものが金額にいたしまして六二・五七%、契約件数にして二九・六%、合計いたしまして、入札によります契約金額にいたしまして九一・三五%、件数にいたしまして五〇・四%ということになつておりまして、全体的に見まして入札によつておることが多いことを御了承願えると思うのでございます。尚この只今申上げました数字で、地方調達P・Dについて随意契約が多いことになつておりますが、これは先ほど来縷々申上げたような特別なものでありますので、一々入札のできないという要求性質上止むを得ないことでございますが、尚併し、そのうちにおきましても、件数的には随意契約が多くなつておりますけれども、金額的には地方調達P・Dにおきましても大部分入札によつたことになつておりますので、この事実は少額のものが随意契約調達をしておるということを説明しておるものと考えます。尚勿論こうした場合に、随意契約会計法上におきましても、こういう場合に、随意契約が認められますことは申上げるまでもないことと存じます。尚ついでながら中央調達P・Dにおきまして、どういう場合に、これは申上げましたように大部分入札によつておりますが、例外的に随意契約でやつておる場合もございますが、どういう場合に随意契約によるのかということの表を又差上げてございますが、簡単に申上げますと、入札をいたしまして、再入札をいたしましたが、やはり落札者がないという場合に会計法の規定によつて随意契約をするというようなことがございますのと、それから業者が要求された品物が非常に特殊なものでございまして、同業者がない、一社しかない、或いは又規格が非常にむずかしくて外に受注者がないという場合に、止むを得ず随意契約をやつております。それから中央調達P・Dでも、非常に納期の緊急のものがございますので、こういうものも随意契約によるものがございます。それから金額が非常に小さい場合、それから新聞とか雑誌、米、煙草のごとくこれは値段が決つており、或いは統制品でありまして、入札に付する価値のないもの、こういうものが随意契約になつておる次第でございます。それから入札方法につきまして、経済調査庁は当庁の入札の周知方法が不徹底で、特定の業者のみが指定を受けておるということを指摘しておられるのでありますが、これも非常に事実と異なつておるのでございます。先ず入札は一般競争によるべきであるのにそれがそうなつていないということを言つておりますが、これは事実間違いでございまして、当庁の行なつております入札はすべて指名競争入札でございまして、一般競争入札はいたしていないのでございます。これは会計法規の建前では成るべく一般競争を建前とすることになつておりますが、進駐軍に対する要求を充足するという点から考えまして十分能力のある業者でないと契約をしても物が納まらないというようなことがございましては、軍の要求に対しまして申沢ないことになりますので、資格のある業者を予め選定いたして置きまして、その業者の中からその都度入札に参加して頂いて落札者を決めるという指名競争入札の方法をとつておるのでございます。これは会計法第二十九條但書の規定によつてそうした取扱になつておる次第でございます。次にそういう業者を選定する場合に、経済調査庁は積極的に業者の監督をしておらんと、特定の業者だけを入札に参加させておるというふうなことを言つておられたように存じますが、これも事実とは大分違うのでございまして、我々といたしましてはできるだけ多数の業者に参加して頂きますほうがいろいろな点で非常に有利でございますので、始終新規の適格者を求めましてそうした業者名簿の追加ということを始終心掛けておる次第でございます。従いまして指名競争入札とは申しながら、大きな品物入札する場合には二十社或いは場合によつては五十社から七十社くらいの業者を入札に参加して貰つておるような実情でございますので、決して特定の業者のみを指定しておるということはないのでございます。それからその次に経済調査庁は見積合せの場合の事務処理につきまして、見積合せの場合、当庁が落札者以外の者の見積書を保存していないということを言つておられますが、これは御調査の結果一二そういう事例があつたようでございまして、この点は誠に申訳のない次第でございます。我々といたしましてはそうした事務の疎漏がないように十分戒心をいたさなければならんと存じておりますが、ただこれはもとより例外的な事例でございまして、決して一般的な現象ではございませんのでございます。それからサプライヤーとの契約につきまして、経済調査庁は当庁の契約の相手方が、サプライヤーが多いと言つておられますが、これも決して一般的な傾向ではございません。中央調達P・Dにつきましては、もとより大部分メーカーと直接取引をいたしておるのであります。ただ場合によりましてそうしたメーカーが販売部門を持つていないような場合がありますのと、又石炭とか木材などのごとく、多くのメーカーからの集荷機関としてのサプライヤーをメーカーと一緒に指名入札に参加させましたほうが有利な入札ができることがございますので、そういう場合にはメーカーと一緒にサプライヤーを入札に参加させておりますが、いずれにいたしましても、中央調達P・Dにおきましては大部分メーカーを本体とした入札をやつております。それから地方調達P・Dに基く需品契約におきましては、先ほど来申上げましたような事情で、特に不便な土地などではメーカーがおりませんのと、それからおりましても申上げましたような性質上急の間に合わせのためにはどうしても商店から生産業者からでなしに、商店から直接買わなければ間に合わないというような場合が多うございますので、こういう場合にはサプライヤーと契約をする場合が地方調達P・Dにつきましては比較的多いわけでございます。それから経済調査庁は又一つ契約こいつものサプライヤーが介在しておつて、高額のマージンを特別調達庁が拂つておるということを言うておられるのでありますけれども、これは御承知のように、我々が入札いたします場合に、政府の予定価格というものを決めまして、それ以下でないと落札がされませんわけでありますが、その予定価格の中にはそうしたマージンなどは勿論見込んではおりませんので、これは調達庁に関する限りそうしたことのものを予定した契約というものは全然結んではおりません次第でございます。それからその次に経済調査庁パーチェス・オーダーの分割ということで、最近は制限がなくなりましたが、昨年まではこの地方調達P・Dにつきましては、一件五百円或いは場合によつて三万五千円以下のものでなければこの地方調達P・Dに基くパーチェス・オーダーが出せないという軍側規定になつておりましたところ、大きなものを発注する場合に故意にそれを幾つかに分けて、この制限額以内の金額に区切つてパーチェス・オーダーを軍のほうが出されておる。それを調達庁が利用して随意契約を濫用し、それが当庁をめぐる汚職事件の温床となつておるのではないかということを言つておられるのでありますが、これも非常な誤解でございまして、我々といたしましてはそうした小さいオーダーを沢山お出しになることは事務が非常に煩瑣になりまして困るのでありまして、むしろ金額がまとまつて来ることを希望いたしておるような実情でございますので、我々といたしましては、逆に成るべくそういうことのないように始終いたしておるのでございます。我々のほうから進んで。パーチェス・オーダーを区切つて出して貰いたいというようなことを申入れるようなことはないのでございます。それからその次に経済調査庁におきましては、契約価格の積算につきまして当庁の価格積算がまじめに行われていない、つまり先ほども申上げましたように、入札いたします場合に、品物の積算をいたしまして、それの予定価格を決めまして、それ以下でないと落札、契約をいたさない、契約ができないことになつておる次第でありますが、その予定価格の積算が出たらめであるということを言つておられるのでありますが、これも我々としましては、了解に苦しむところでございまして、勿論私共のほうで年々そうした予定価格を作らなければならない回数が二千万件以上にもなつておりますので、そうした厖大な積算件数に対しまして、中には間違いが絶無であるということは勿論申上げかねるのでございますけれども、若しそういうことが仮にございましても、それは例外中の例外でございまして、それが一般的な傾向であるということは承服いたしかねるところでございます。それから経済調査庁随意契約の場合に業者の見積価格をそのまま契約価格としているという点を指摘いたしておられるのでありますが、これも全く誤りでございまして、御調査になりました当時におきましては、随意契約の場合は会計法上予定価格というものが必要でなかつたのでありますが、当庁といたしましては成るべく適正な価格で契約いたしたいと、併し一々予定価格を作つておりましては先ほど申上げましたような厖大な件数の積算をいたさなくてはなりませんので間に合いません関係上、業者のほうから見積書を出させまして、それをこちらが査定をいたしまして、それを改めて業者のほうから見積書として出させたというような便宜の方法をとつてつたのでございますが、そういう関係上或いは何らかの誤解が生じたのかとも思いますけれども、それは決して御指摘になつたような事実があつたわけでは毛頭ないのでございます。  それから次に軍と業者との直接取引につきまして、経済調査庁は軍が業者と直接取引をして特別調達庁に後処理の始末だけをさせておるということを言つておられますが、これも誤解でございまして、そうした軍が業者と直接取引いたしますことは軍の最高方針で堅く禁止せられておりますし、このことは実際上も各部隊によく徹底いたしておりますので、若し仮にさようなことがたまにありましても、それは本当の緊急の場合の非常手段でありまして、一般的な傾向では勿論ないわけでございます。それから又経済調査庁は朝鮮事変関係の軍と直接調達に関連して終戰処理費による調達の場合にも軍が直接業者と取引することが多くなつていると言つておられますが、これも誤解でございまして、現に御調査になつておつた頃はまだそうした朝鮮関係調達というものはなかつたように考えておりますし、又その後におきましてもそうしたことは全然ございません。軍は御承知のように終戦処理費による調達と朝鮮関係の軍の直接調達とを非常にやかましく明確に区分しておられますので、御指摘になつたようなことは全然ないのでございます。それから大変長くなりまして恐縮ですが、後もう二、三件簡單に申上げますが、納入物資の検収につきまして経済調査庁は納入物資の検収に日本側が全然關與せず、軍側のみがやつておるために種々弊害が現われておるという点を御指摘になつておりますが、これも誤つた見方でございます。こういう工事役務の場合は別でございますが、需品の、物を購入する場合にその検収を日本側がやつてないで、軍側だけがやられるというのが、これは成規に定められた手続でございまして、国内法的にも予算、決算会計令臨時特例第四條の二によつて認められておる手続なのでございます。それから軍側が未納品に対してレシートを発行して支拂だけを当庁に押しつけておるということを言つておられますが、これは若し何かの間違いでそういうことがございましても当庁といたしましては極力そういうことの行違いの是正に努めておりましてそういうものを発見いたしますれば横浜調達本部に報告いたしましてレシートの取消し手配を、要請いたしておるような次第でございます。  それから支拂の遅延につきまして経済調査庁は支拂の遅延が全国的な傾向であると言つておられますが、これもそうは考えていないわけでございまして、勿論中には特別の理由で遅れておるのもあろうかと思いますけれども、大部分は現在の状態におきましては業者から支拂請求書を受取りまして支拂をするまでに大体八日間ぐらいしかかかつておらないのが実情でございます。ただ昭和二十四年度におきましては年度当初に御承知のように支出負担行為計画の制度が創設されまして、それに関する大蔵省側の手続がなかなか決まらなかつたことがあり、又本庁におきましてもその新しい事務に慣れなかつたような点もございますので、昭和二十四年の初めにおきましては支拂の遅延があつたように考えております。それから最後に認証済額と支拂済額の不一致につきまして経済調査庁は年度末において支出負担行為済額と支出負担行為認証済額とが一致していないということを指摘されまして当庁の事務処理が正確を欠くと言つておられますが、これも全く誤りでございまして、むしろ認証額と支出済額とが一致しないのが普通でございまして認証額即ち支出負担行為額のうち支出をする時期になつたものだけが支出額として計上されておりますので、何らかの誤解があつたのではないかと考えております。大変長く申上げまして恐縮でございますが、以上土の通りでございます。もとより最初申上げましたように我々といたしましては今後一層努力をいたしまして事務の改善に努めて参りたいと考えておりますので、どうか今後とも皆様方の御指導と御鞭達をお願いいたしたいと思います。
  7. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 詳しい説明がありまして委員諸君から御質疑なり御意見がありますればこの際お述べを願います。
  8. 辻村義知

    説明員辻村和義君) ちよつと先ほどの説明で間違いましたので訂正さして頂きたいと思います。  先ほど新聞、雑誌、煙草ということを申上げましたが、米ということを申上げましたが、米は間違いでありまして水でございます。
  9. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと伺いますが、先ほどの御話で参りますと、P・Dが発行されてから物の調達から納入というふうになるように伺つたのでありますが、この頂いた資料の別表で行きますと、オーダーを受領して日と、それから納入月日とを比較いたしますと納入月日のほうが遡つている場合があるのですが、それはどういう事情なんですか。
  10. 辻村義知

    説明員辻村和義君) これは大変例外の場合でございますが、軍のほうで非常にその物が急いでおりまして手続が遅れたという場合だろうと思いますので、これは非常な異例な場合でございます。普通はそういうことはございません。
  11. 楠見義男

    ○楠見義男君 異例な場合がこれで見ると大分多いように思うのですが……。
  12. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 説明が不十分であつたと思いますが、先ほど地方的P・Dというものが非常に緊急に要るもので普通の調達とは変つた異例の取扱をしなくちやならんものだということを申上げましたが、今差上げました表はそうした異例なものの表でございますので、その点御了承願います。
  13. 楠見義男

    ○楠見義男君 こういうことはないのでしようか。今御説明の中でも大体想像されるのですけれども、地方調達の場合で地方P・Dの特殊性とか、或いは緊急性ということを強調してお話になつたのですが、従つてそういう緊急性、特殊性に鑑みていざというときにすぐに間に合うようにというのでいわゆる便宜屋式の、別の言葉で言えば御用商人式のものが相当うろうろしておつて、緊急の需要に間に合わせるようにやる、これは一面から申して緊急需要を充足するという能力のある人とも言えるのですが、そういう意味から、言葉が悪いかも知れませんが、御用商人の跋扈というか、そういうような事例があり、それが経済調査庁あたりが調査せられた場合に目についた、こういうようなことじやないかと想像されるのですが、そういう慮れはないのですか。
  14. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 只今お話になりましたような例は全般的に申しますとそうはないと思いますが、ただ特に不便なような場所、都会地から距つたような基地でもやはりそうした地方的P・Dが出るわけですが、そういう場合にどうしても広く業者を選定するわけに参りません。そうしたいろいろなものを適時に納められるような業者はおのずから数が制限せられますので、結果から見ますと決まつた人がいつも納めているようなことになり、場合によつて地方の二三軒の業者を予め指定して置きまして、オーダーが出た都度簡單な見積書なり何かで納入するということが例外的には行われておると思いますけれども、勿論我々としましてはそういう事態は避けたいと強く考えておりますので成るべくそういうことのないようにいたしたいというふうに考えております。
  15. 楠見義男

    ○楠見義男君 最近はこの意見書で拝見しますとないのでありますが、従来受註希望者が指名競争入札に参加する場合に、指名入札者になる場合の資格というか、そういうことが余り明示されずに、従つて指名競争入札に参加し難いということについての問題に関連して特別調達庁と特殊業者との間にいろいろ問題があるような風説も少くなかつたのでありますが、これで見るとそういうことも余りないようでありますが、受注希望者が適格性を認められるという場合の資格條件というものは明示されるのですか、それともアト・ランダムに調達庁のほうで御決定になるのか、その点はどうなんですか。
  16. 櫻井良雄

    説明員(櫻井良雄君) その点に関しましては調達庁では広く門戸開放主義をとつております。つまり業者が入札参加の申込をして参りますと、一定の書式の書類を出しまして、それに資本金その他設備いろいろ事項がございますが、その記入を求めてそれを提出させまして、それを内容を調べまして私共のほうの促進監督部という部門で実地に工場その他を検査いたしましてその適格性を審査する、それによりまして、契約部においてその業者の格付けをいたします。これはAクラス、Bクラス、Cクラスというふうに格付けをいたしまして、その格付けの業者の名簿の登録をいたすわけであります。そうしまして、実際にオーダーが出ますと、そのオーダーの内容によりまして、そのクラス別の名簿の中から適格な業者を指名して入札をする。その入札の同数その他については常に公平になるように運用しているわけであります。
  17. 楠見義男

    ○楠見義男君 その場合先ほど来御説明があつたように、オーダーが出てから納入までの間の期日ですね。これが非常に急を要する場合が多い。その際に受注希望をしても、具体的に今おつしやつたような調査をするということになると時日を要して間に合わないという場合が実際問題として多いし、そのことから来る、いろいろ又正確でないことでありましようけれども、いろいろの問題が生じて来る。こういうことも想像されるわけなんです。例えばパイプ類ならパイプ類について総括的に予め発注のあるなしに拘わらず、予め自分としては、パイプに関する受注者になりたい、こういうことの途は開かれておるのですか。
  18. 櫻井良雄

    説明員(櫻井良雄君) お説の通りでございまして、只今申上げましたのはオーダーが出ましてから業者を選定するのでございませんで、予めどういうものが出るかという品目は分つておりますから、いろいろな品目につきまして、あらゆる方面の業者の希望を入れまして、リストを作つておるわけであります。その中からオーダーが出ますと、そのあれに必要な業者を選定するというふうになつております。
  19. 中井光次

    ○中井光次君 只今の調達庁のお話を聞きますというと御尤ものように拝聽するのですが、実は九月二十五日の内閣委員会における経済調査庁の所見というものを実は存じないのでありますが、今調達庁の方のお話を聞きますというと、一々明快な答弁といいますか、それに対するお答えが出ておるようでありますが、この所見については経済調査庁のほうへもこういう印刷もできておるようでありますから、よくお話をなさつて御了解を得たか、その点連絡がついておるかどうか。
  20. 堀井啓治

    説明員堀井啓治君) 実はこの内容につきましては数日前調査庁の次長まで御説明申上げました通りで、印刷物もお届けしております。
  21. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 二十四年度中における物件等の商品ですね。調達に要された購入の総価額というものは、大体二十四年度中どのくらいになりますか。
  22. 松木豊馬

    説明員(松木豊馬君) お答え申上げます。二十四年度の総額だけしか全額が分つておりませんが、総額といたしまして、これは決算額でございます。百二十億六千四百七十万円、端数がございます。総金額だけしか分つておりません。
  23. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 これは主として連合軍側から要求された品物の購入代金だけですか。
  24. 松木豊馬

    説明員(松木豊馬君) さようでございます。お尋ねの通り……。
  25. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 そうしますと、これについてのこれは総額だけですか、どこにどれだけ注文をして、どれだけ支拂つたということは勿論分つておるでしようが、ここで御説明願うのが何でしたら、一応これについての資料を資料として出して貰いたいと思うのでありますが、それはどこそこにどういう品物で、どのくらい拂つたという……。
  26. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 只今のお話しでございますが、勿論私のほうでは一一分つておりますので、申上げる分には差支ないのでございまするけれども、ただ非常に業者別ということでありますと、厖大な業者の数になりますので、それを実は整理いたしまして差上げるのが困難なんでございます。もう少し何か、例えば品目別とかいうようなことでは御了承できないでしようか。と申しますのは需品だけ見ましても一万前後の契約数になつておるのでありますので、それを一々書き出すのが大変でございます。時間がかかると思いますので……。
  27. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 それじや一応その点は外に違法はないとして、今私はすぐ伺いませんで、先ほどお話になりました出入り業者の、業者の名簿が経済調査庁では完備していないというようなことを聞くのですが、これは尤も今説明を聞きまして大体の点は了解できるわけですが、完備されておるものについての何か資料はあるのでございますか。
  28. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 今の業者名簿でございますか……。それはございますが、これは全国の九支局にそれぞれございまして、今すぐ間に合いませんが、東京局でしたらばございます。
  29. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 業者名簿以外に入札、或いは区取引されておるというようなことはないのですか、そういう場合もあり得るのですか。
  30. 辻村義知

    説明員辻村和義君) ちよつとお尋ねの点、どういうことですか聽き漏らしましたが……。
  31. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 いろいろ調達されますのに出入り業者の名簿に上つておる者だけに調達を命ぜられるのですか。或いは名簿に上つていない者にでも取引をされておるのですか。その点はどうなんですか。
  32. 辻村義知

    説明員辻村和義君) これは私のほうでは業者の資格を審査いたしておりますから、資格審査の通つた者でなければ入札に参加はさしておりません。
  33. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 それでは一応業者の名簿を一つお取りまとめになりまして、一応委員会のほうへ参考書類としてお出し願いたいと思います。
  34. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 承知いたしました。
  35. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 それからもう一つは、この機会に伺いたいのですが、特別調達庁が業者との間に非常に何か不正融資のようなことが行われておる。健康保険の金を他に融資されておるというようなことが一部新聞にちよつと書いておるのですがね。この点について一つ詳しく御説明願いたいのですが、これは御承知でしようね、この新聞に書いてあることは。
  36. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 一部の新聞にそういう報道が出ましたことは私も存じておりますが、只今ちよつと担当の者が参つておりませんので、詳細な御報告は只今はいたしかねるわけですが、それらの新聞に上つております記事は、大部分事実と非常に懸け離れたものが出ておるように考えております。
  37. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 行政整理の関係ですが、行政整理を受けた者は現在特別調達庁のほうの職員にありましようか。
  38. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 昨年の行政整理の際に整理をしたかどうかということでございますか。
  39. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そうです。
  40. 辻村義知

    説明員辻村和義君) ございます。ちよつと私、人数は覚えておりませんが、若干あつたと思つております。
  41. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 それではその次には最近に自分から自由意思で退職した者があるかどうか。
  42. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 今のお尋ねは最近自由意思で退職した者の調査ですか。
  43. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 行政整理関係ではなしに……。
  44. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 承知いたしました。
  45. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そこで次回にお尋ねしたいのは、特別調達庁が設置されたのは二十年の幾月になりますか。九月でございますか。
  46. 辻村義知

    説明員辻村和義君) さようでございます。二十二年の九月でございます。
  47. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 二十二年の九月というと、二十二年度にこれは整理がありませんから、自由意思で辞めた者、それから二十三年に自由意思で辞めた者、それから二十四年は行政整理を喰つておるわけですね。行政整理で整理された者、それから自由に特別調達庁を辞めた者、二十主年度は現在整理されておりませんから、これは自由意思で辞めた者、この辞めた者の数字ですね。自由で辞めた者と、それから勧告を受けて整理された者と、この人達の今どこに、どういう職業に就いておるか。その職域の場をお調べ願いたいと、こう思うわけです。
  48. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 只今お尋ねの各年度別の退職者の数は分りますが、それが退職後如何にいたしておるかということについては、それは全部分らないかも知れませんので、分つただけでしたら差上げたいと思います。
  49. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そこで一つお尋ねしたいのは、調達庁の役人であつた者が自由意思で辞めて、その者が特別調達庁と直接過去において関連のあつた会社なり、或いはそうした関連のある会社若しくはそうした業者に雇われておるかどうか、その点をお尋ねしたいのですが、若しそれがお分りにならなかつたならば、綿密なる御調査を願いたいと、こう思うわけです。
  50. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 只今お尋ねの問題につきましては、御承知のように国家公務員法上の整理がございまして、人事院の許可を得れば関係ある会社にも就職できることになつておりますので、そうした手続を経て就職した者が若干あるかと思いますが、只今はつきりした数は覚えておりません。
  51. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 許可のあつた者は、許可のあつたということを名前の上に人事院の許可済というのをつけて貰いたいと思います。許可がなくて入つておる者があつたら、それは無許可ということを書いて貰いたいと、こう思うわけです。
  52. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 承知いたしました。
  53. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 只今ちよつとお聞きした点ですが、この新聞の報道と事実が全く相違しておるようなことを申されたのですが、然らば健康保険の金が業者に対して、これが不当融資をされておるというふうな事実はこれは一つもないのですか。少しはあるのですか。
  54. 辻村義知

    説明員辻村和義君) 担当者が参つておりませんので、実はよく存じませんので、今すぐにお答えいたしかねますので、後ほど調べましてお答えいたしたいと思いますが、どうでしようか。
  55. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 併しこの新聞を見ますと、これは大きく一面に具体的に写真まで掲げて、いろいろな記録が写されておるのですが、こういつた大きな問題が官房長のお手許に何も分らないというようなことは、どうも本員としてはおかしいように思われるのですが、その点多少そういうことがあり得るか、具体的な事実は分らないとしても、そういうことがあり得るかどうか、多少でもあるならあるとかないとかというくらいのことが分らないというようなことはなかろうと思うのですが、次長も來られ、而も特調の最高幹部が出ておつて、さような御答弁ではどうも腑に落ちんと思うのですが、その点再度御答弁を願いたいと思います。
  56. 堀井啓治

    説明員堀井啓治君) 健康保険組合の預金につきまして、これは保険を分散するために、銀行の附替をしたということは勿論ございます。それに関連して、これは私共以前に現長官が事業部長として担当しておられましたので、実は私も深く追究しておりませんが、融資を銀行に指示したということはないというふうに承知いたしております。
  57. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 銀行に指示したことがない。まあ、指示したことがあるかないかは別といたしまして、先ず分散の必要ですね。これは具体的にどういう必要があつて、金を分散しなければならない事情に至つたのか、その辺の御説明を願いたい。
  58. 堀井啓治

    説明員堀井啓治君) 尚これは、甚だ申訳ない次第でありますが、その辺の事情をよく承知いたしておりませんので、後刻御説明をいたしたいと思います。
  59. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 その点は又いずれ後ほど具体的に説明責任者から聞くことにいたしまして、今言われた銀行に対して融資を指示したことはないと言われておるのですが、或る書類によれば、これは株式会社富士銀行の取締役営業部長太田省三という人から、弊行は財団法人民生協会に金一百四十五万円也を昭和二十四年八月十七日まで貸付完了いたしましたから御通知いたします。東京都千代田区大手町一丁目六番地株式会社富士銀行取締役営業部長太田省三という名前で、連合国軍要員健康保険組合理事長伊藤清殿、こういうような公文書が発せられた点から見て、仮に特調がそういう特定の業者に対する融資を今言われるように指示したことがないというのなら、銀行がかような文書を何のために一体出しておるか、こういう文書を出しておるということは、少くともやはりこれだけの金をどこそこに対して融資いたしましたからということを言つて来ておるのじやないか、この点がどうも今言われたような点と事実とが非常に相違しておると思うのですが、この点につきましてどういう工合になつておりますか。
  60. 堀井啓治

    説明員堀井啓治君) 甚だ申訳ありませんが、尚調査いたしまして説明いたしたいと思います。
  61. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 それからいろいろ問題になつておる明楽工業、これは特調の出入業者であるのですが、これと特別調達庁とのいろいろな関係がこれ又いろいろ噂されておるのですが、この間において何が不正融資等のことがあつたような事実を次長はお聞きになつておりますか、それともお聞きになつておりませんですか。
  62. 堀井啓治

    説明員堀井啓治君) 明楽工業が大手町の庁舎を新築するに至りました経過は、これは現在特別調達庁本庁の一部が入つております加賀ビルにつきまして、これは明楽工業が所有権は大阪銀行に帰属しておりますが、買戻権を持つております関係上、新庁舎を作りまして移転方を特別調達庁に願い出ましてその新庁舎の設計、或いは管理につきましては特別調達庁が手輿いたしておりまするが、そういう融資とかそういう面につきましては特調が直接銀行方面と交渉するとかそういうような事実はないと承知いたしております。
  63. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 尚この明楽工業等について或いは又この健康保險の融資問題等について今御質問を申上げてもはつきりとした責任ある御答弁ができかねるようなふうでありますから、いずれ後日委員会調達庁に対してお聞きするということにいたしまして、尚これらに関する関係資料或いは答弁のでき得る準備をなさいまして、次の委員会には必ず一つ間に合うようにお願いいたしたいと思います。それじやこの程度で私は……。
  64. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 他に御発言がありませんならば特別調達庁の問題は本日はこれで終了しようと思います。更にカニエ君の御要求もあります、他の委員諸君にもまだ御意見等あろうと思いますから、他日に譲ります。それでは一時半まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩    —————・—————    午後二時十九分開会
  65. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 午前中に引続き内閣委員会を開会いたします。いわゆる追放解除につきまして十月十三日に多数の解除が発表せられたのであります。この際内閣官房長官を煩わしましてこの経過及び結果について御説明を伺いたいと思います。
  66. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これは私から申上げるまでもなく御承知だと思うのでありますが、内閣に公職訴願委員会ができまして訴願を受付けたわけであります。これに対して細かい数字はよく覚えておりませんが、そこに資料がございましようが、そのケースを委員会としては慎重に非常に長日月かかつて審査したわけであります。ただその間に申上げて置きたいのは、政府としては或いは政府関係者においては訴願委員会訴願に対して特にこれを何とかして実れという頼みごとをするというようなことは極力差控えさしておりまして、訴願委員会はいわば全く独自の考えから何ら請求されることがなくして自由に審査を遂行して来たわけであります。その結果に基きまして先般一万余者の人々が追放解除された、こういうことになつております。尚これに関連しまして訴願委員会は、日本におりまする追放該当者に対しては、いわば全部に訴願機会を與えたのであります。そのうち訴願した人もありしない人もありますが機会は全部に與えたわけであります。その訴願の中から審査をしまして解除と決定した者もしない者もありますが、とにかく一応は全部の人に対して機会を與えてそうして審査をした、その結果解除された者が今回これだけある、こういうことでありますので、訴願委員会の任務はこれで終了したと認めておりまして多少残務的の処理がありましたのでまだやつておりますが、委員は多分今月中に職を終つて委員会は解散するということになると考えております。尤も事務局はまだまだ書類の整備その他いろいろの記録の処理等がありますので当分の間このままでいる予定であります。尚将来まだ追放される人もあることが想像されますので、その人達に対してはやはり一様に訴願機会を與えるべきであろうと考えますのでその人達に対する考慮はいたしております。それはまだどういう機関取扱うか決定しておりませんが、何らかの方法を設けてこれらの人々の訴願を聞くだけのことをいたしたいとこういうふうに考えております。これで併し一応訴願はその任務を終了した、こういうことになつております。  更に何か御質問がありますればお答えいたします。
  67. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 丁度事務局長も見えていらつしやいますから、この際委員諸君から御質疑がありますれば御発言願います。
  68. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 今の御説明によりますと一応追放された人々に対しては訴願機会を與えて、それが訴願をされた方もされない方もある。併しながら一応機会を與えたのであるから、委員会は任務を終了したというお話でございますが、一応まあ形式的にはそうかも分りませんが、実際には訴願機会を與えたとおつしやいますが、その間に訴願を何かの機会で出されない、或いは又今出さなくとも後に必要ができて来たときに出せば審査をして頂けるのではないかというような考え方で、訴願手続をされていない人が相当全国に多いのじやないかと思うのです。勿論今の説明で、これから追放される人に対しては、何らかの方法を考えねばならないと言つておられるが、今回の訴願手続に乗り遅れた、そういう人たちに対してでも、一応やはり何らかの再度機会を與えておやりになる方が親切な扱い方ではないか、又そうされることが適当でないかどうか、この点について政府のお考えを伺いたいと思います。
  69. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の問題に関連して、すべての人に訴願機会を與えたという御説明を伺つたのですが、それは追放なつた人に対して、いわば一種の権利として訴願をする気持があるなら訴願をおしなさい、併しこの機会訴願をしなければ、あなたの訴願の権利といいますか、そういう利益は将来に向つてなくなりますよ、こういうような通知か或いは公式の発表かなんかでもせられて訴願を受付けられたのかその問題と、今後追放せられるのであろう人との均衡の問題が生じて参ると思いますから、今の問題に関連してこの点について御説明を伺うといいと思います。
  70. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 実は私官房長官になりましたのは今年の五月でありまして、訴願委員会のできましたのはずつと前のことであります。その当時どの程度、どういう発表をし、何度も訴願の期間を大分延長したことは記憶しておりますが、正確なことを今記憶しておりませんからちよつと事務局長に代つてその点を説明して貰いたいと思います。
  71. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 委員会ができましたのは昨年の二月八日でありまして、委員会成立後三ケ月間に亘つて訴願を受付けるということになつております。でございから昨年の五月八日が訴願の締切りであつたのであります。その間に各府県知事を通じて或いは新聞を通じましてこの期限内に是非出されるように、期限に遅れたならばもう訴願というものは受付けられないということは十分周知さしたつもりであります。併し五月八日になりましても、遠いところの方もあるとか或いはそれに必ずしも五月七日に出されたものが八日に届かんとかいろいろなことがありまして、又不徹底な面もあるというお話もありましたので又司令部とも相談いたしまして五月末日まで延しました。その間是非出される方はお出しになるようにということを徹底さしたつもりでおります。その後も全然この制度があることを知らなかつたということの立証のできた方は、これは府県知事にこの責任を持たせまして本当に知らなかつた、何らかの理由で知らなかつたというような方の分は受付けました。ですからこの制度があるということを知つておられてお出しにならんかつた方は別でございますけれども、知つておられて出したいという方の分は受付けたことになつております、全部。
  72. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 尚カニエ委員の後の方の御質問でございますが、政策としてといいますかもつと更に機会を與えた方が親切ではないかという点は、これは確かに一つの理由のあることだとは思いますがこれは関係方面ともいろいろ話合つてこういう趣旨のことでこういう訴願を受付けるということになつておりますので、将来又どうなりますかこれは分りませんが、今回の訴願委員会というものはこれで解消するのが初めの約束通りである、こう考えております。
  73. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 そういたしますると今回の訴願委員会に乗り遅れた人達の解除される機会というものが、今のところ政府としてはお見込みはないわけなんですか。
  74. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 今のところでは何ら考えてないのであります。重ねて申しますが今事務局長の説明いたしました通り、新聞にも発表しラジオにも特に連絡して私共はやつておる次第でございます。又各府県知事等にも特に連絡して周知徹底を図つて、而も尚期日を言つたりしておりますので、まあ打明けて言えば訴願をしなくても枠でも変れば当然解除されるんだ、訴願してもまあ大してどういうことになるか分らんというようなことで初めから訴願委員会に出されなかつた方もあるとは思います。あるとは思いますけれども制度としてはどうも今のところこれ以上のことをすることはちよつとむずかしかろうとこう考えております。
  75. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 将来ですが、将来今の追放された人達も解除され得るというのはどういうような機会解除されるか、大体政府としてはどういうような御見解を持つておられるか。
  76. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 私共終戦当時にいろいろこの問題、戰犯等について司令部と話した経験もあるのですが、ポツダム宣言は御承知のように日本を誤つて無謀なる戰争に陷れたものは永久にという字が使つてありまして、永久に追放される、こういうことになつております。我々もそれを承知でポツダム宣言を受諾したわけであります。でそのときでも司令部側の措置を待たずして日本側で戦犯関係のものは捕えて裁判に付する或いは追放は率先してやるというのが当然であろうという議も起つたのでありますが、結局現在のような制度になつたわけでございます。それで非常に適用を誤つて追放された人或いは事情を誤解して追放された人、こういう人達はこれは当然追放解除すべく努力するのは当り前であります。又段々年月が経つに従いまして非常な事情がないという人も一部追放解除されることもあり得ると考えておりますが、これらは全く将来のことに属しまして今町とも私の口から言明するだけの材料を持つておりませんし見込もないのであります。
  77. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 そこで現に追放されておる人達はまあそういうような御説明で何でありますが、現に追放されていない人で今後これ以上もう追放者は出さないというようなお考えですか。と言いますのは一応追放された者の追放解除はこれで打切るが、併し追放する方はこれからどしどしやつて行く、又そういう者も出て来るというお考えであるか、一応追放するのは政府はこれを以て打切るというようなお考えですか。その点ひとつ。
  78. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これは打切るということはない筈だと思つておりまするが、過去五年間に公職資格審査委員会その他におきまして、非常に慎重に全国的に調査をいたしまして追放すベき者は追放したわけであります。従いまして今後追放される人があるかも知れませんが、まあ私共の見込では殆んどないのじやないかと思うのですが、ただ将来シベリア等から帰還して来る人々があると予期しております。この人達はまだ審査にかかつておりません。従つて新しく日本の土を踏む人については軍人もおりましようしその他の人もおりましようが、これは追放になる人があるだろうと考えます。その人達については又何らかの訴願の途を開きたい、こういうのが今の考えであります。ちよつと私正確でないかも知れませんから、事務局長若し不正確であつたら訂正して下さい。
  79. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 軍人の方ではまだ未帰還でシベリアとか中共地帯に残つておる方も大体指定はされておるかと思います。或いは指定をされておらない方もおると思いますが大体仮指定はされておりますから、大体指定されておると思います。この人達は帰られたら当然訴願をする権利はあるわけです。  それから一般の公職に就く場合、只今でも毎月の官報で発表しておりますけれども、内閣の監査課で公職に就く方の資格を審査いたしまして、そうして追放になる方が毎月二、三名ぐらいでございますか、その程度はあり得るのではないか。新たに公職に就くために資格審査を受けてそうして該当する方が月に二、三名ある、その程度はあるかと思います。又或いは選挙の際にもあり得ると思います。
  80. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 事務局長にお尋ねするのですが、訴願委員会で大体意向がまとまつてこの者は追放解除にした方がいい、追放解除と認めるわけですね、それを政府の方に提出するわけです。この場合に政府の意向と委員会の意向とが多少の齟齬があつたような場合があるでしようかないでしようか、正直にお答え願いたいと思います。
  81. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 委員会の何と申しますか今度解除なつた方は、委員会政府、総理大臣と総司令部とこの三者の意見の一致したものが今度解除なつた者で、三者の意見が一致しないものは解除にならなかつた。その経緯につきましては委員会を設置いたしました政令十一條というものがございまして「委員及び臨時委員は、内閣総理大臣が公表した事項を除き、委員会審査内容を外部に漏らしてはならない」こういう規定がございますので、その間どこでどうなつたかということは申上げかねる次第であります。
  82. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと官房長官は三時に司令部に御用があるそうですから、この際官房長官に御質問があつたならば先ず長官にお願いいたします。
  83. 楠見義男

    ○楠見義男君 官房長官にお伺いいたしますが、先程カニエ君の御質問に対するお答えで、現在すでに追放になつておる人で、その追放することについて適用を誤つたり、或いは誤解に基いておる人についての解除ということは尤ものように思われるけれども、併しそれは将来の問題に属するからはつきりした答弁の資料を持たない、こういうような趣旨のお話があつたのでございますが、その意味は、結局訴願委員会というものが近く廃止されるということになれば、訴願というような形式ではやらないで、従つて民間からはそういうような要請、要望の途が途絶えるわけですが、その場合に政府としてはそういう人々のことについて解除に関して積極的に働きかけると申しますか、動くというようなことは今のところは考えておらないと、こういうような趣旨と了解してよろしうございますか。
  84. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) つまりそういう誤りで追放された人に対して訴願機会を與えるというのが訴願委員会の一番の根本の方針でありまして、全部の人に一様にできるだけ努力をして機会を與えたわけですから、少くとも自分は誤りで追放されたと考えておる人は恐らく残らず訴願されたと信じております。併しながらまだあの人が追放解除になつたのなら自分も資格があつたのだという気がする人が沢山あるだろうと思う。その人達にはお気の毒だといえばお気の毒なわけですが、これは又別途考慮しなければならない問題でありまして、今回の訴願委員会は設立の経緯その他から見ましてこの際早く解消するのか適当であり、又司令部に対する約束からいつてもそうであろうと思いますのでこれは解消する、将来の見通しは今のところはつきりつかない、こういうのが実情であります。
  85. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすれば要約するとその問題については積極的或いは消極的の態度を取るということもまだ未定であると、こういうふうに了解してよいわけですか。
  86. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 只今のところはそうであります。ただ自分はあの人と同様でこうふうふうに間違いでやられたのだというふうな、これは訴願の途はなくても総理大臣のところには陳情もありまするし手紙も沢山参ります。現にそういう手紙も来ております。そういうのが非常に沢山あつてそれを調べて見て事情誠に御尤もだといえば又考慮することもあるかも知れませんが、今のところは訴願委員会が終つてからそういうことを言つて来られた人はないじやないかと思つております。殆んどないというようなことならばこれは又先の問題になる、こう考えております。
  87. 楠見義男

    ○楠見義男君 そういう陳情とか何かの中で尤もだと思われるような事例があつた場合には、それをどういうふうに取りまとめて一つ機関を作つて審査するというような形式にするか、或いは個々のケースとして政府司令部に取継いでやることになるか、そういうような方法については今のところ未定だと、こういうふうに解してよろしいのですか。
  88. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) その通りであります。
  89. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 先のに連関するのですが、司令部委員会政府ですか、総理大臣ですか。
  90. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 総理大臣です。
  91. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 総理大臣ですね。この三者の会議制だということになると、委員会の方で決定しても司令部で駄目ならば解除にならない。それから委員会司令部の方が大体承諾をして了解をしても総理大臣が駄目だと、総理大臣の一意見が動いても駄目だということになるのですか、そういうことになるのでしようか。
  92. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 理論的にはそうでございます。
  93. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 官房長官にお尋ねするわけですが、実は私は今は総理に出席を求めることにお諮りしておつたのですが御都合で来られない、総理が個人である以上、各大臣の会議制の上でこの総理の意向が検討されたかどうかをちよつとお伺いしたい、官房長官に。
  94. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) ちよつとはつきりしないのですが……。
  95. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 追放解除の最後に決定するものがどこにあつても、例えば総理のところでそんな問題が起つた場合、総理が自分一存でこれに賛成又は反対するという場合があるわけです。併し総理が自分はこう反対する、こう賛成するということを閣僚会議に諮つたことがあるかどうかということをお尋ねしたい。
  96. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これは政令ではそういうことにはなつていないと私は了解しておるのですが、総理大臣は政令通りのことをやつておるのだと考えます。若し政令がよくないから直せとおつしやればこれは別問題であります。
  97. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そうすると現在或る枠内の解除が予想されている、まあ正直に申せば海軍乃至陸軍の解除が現在予定されておる、これは恐らく訴願委員会の方は通過したのであろうと私は考える、或いは尚委員会の方が通つて司令部の方へ或いは折衝中かも分らん、或いは折衝済かも分らんと思う。そうすると政府もこのことを知つておるわけです。そういうような噂があるのでこれをお尋ねする。政府ではありませんがこういうことも総理大臣の一存で、発表すること、或いは発表しないということが決まるわけですね。そのことを一つ
  98. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 政令がそうなつておればそうならざるを得ないのであります。
  99. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちよつと私質問する前に官房長官の時間が三時までというと少し私の質問時間がはみだすのじやないかと思います。そう長くはとりませんからあと三時少しでも越すことができますかどうか。
  100. 河井彌八

    委員長河井彌八君) できるだけ早くどうぞ。
  101. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) できるだけ御希望に副うようにいたします。
  102. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ず時間がありませんから要らんところはしよつて参りますが、今回の追放解除の総数一万九十名ということでありますが、その数は別途書類を頂いておりますので重ねてはお尋ねいたしませんが、それに関連してでありますが、新聞記事はしばしば繰返して訴願委員会審査の結果特免すべきものと判定したものを総司令部が全面的に容認せられてと書いてありました。それから先程の官房長官のお言葉でも委員会審査の結果に基いて一万九十名の追放解除せられたというお言葉でありますが、訴願委員会を通つた者が全部認められたのであるかどうか、その点を一つ伺いたい。
  103. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これは先程から事務局長から申上げました通り、この政令三十九号の第十一條で委員及び臨時委員は何も外部に漏しちやいかん、こういうことでありまして、委員からも臨時委員からも私共は何にも特別のことは聞いておらないのであります。又私共もどこでどうなつたということはこの政令の精神からいいまして言えないことになつておりましてこの点はお答えをし得ないことをお許し願いたいと思います。
  104. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると特免することと決定せられた者は一万九十名と、訴願を提起した者の総数が出ておるのでありますが、その中の数字についてお尋ねをしておるわけでありますけれども、訴願委員会で特免すべしと決定せられた者何名、それから内閣総理大臣が総司令部に特免すべきものとして提出せられた者が何者、それから総司令部の承認を得て政府が発表せられたのが何名、この点の数字もお話が願えませんか。
  105. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) その点も申上げられないと思います。
  106. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ただ最後の総司令部の承認を得て政府が発表した者の数は一万九十名、ここだけはもう出ておりますね。
  107. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) そうでございます。
  108. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その前の二段階については、二つの数字についてはお話を聞くことはできませんか。
  109. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) その通りであります。
  110. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 この点同じようなことになるかも知れませんが、数字に関連してお尋ねしますけれども訴願委員会審査の結果特免すべしとせられたもので、内閣総理大臣で特免すべきでないとせられたものがあつたかなかつたかについては言われませんか。
  111. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) それも同様でございます。
  112. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 もう少し一つ御丁寧にお答を願いたいと思うのでありますが、今度は法文の解釈の問題になりますが、今お話しになりました政令第三十九号の第四條特免の項で「委員会審査の結果に基いて」という言葉があるわけでありますが、これはどういうふうに解釈せられますか。
  113. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これは事務局長から御説明した方が正確だろうと思います。
  114. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) これは委員会の決定というのは総理に対する勧告言程度というふうに今までは解釈されております。前訴願委員会にもこれと同じような規定がありましてやはり総理はこの委員会の決定に縛られるか、縛られないかということは前訴願委員会のときから問題になつておりまして、総理は必ずしもこれに拘束されないというふうに解釈されております。
  115. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、この点について恐らく総司令部方面からもその辺の運営と申しますか、手続と申しますかそういう説明があつたでしようし、総理大臣からも委員会等で公式に言明があつただろうと思うのであります。それから国会の参衆両議院の本会議でも、これは法務総裁或いは林副総理等から言明なされて、或いはこの委員会でも取上げられてその点では解釈されておるということなんでありますが、尚訴願委員会性質が政党政府から中立的な立場を保障されたというような点から考えましても、審査の結果が総理大臣によつてそのまま取次がれると、取次がれるべきものであるという以外に解釈できないのですが、その辺の意味が局長の御説明と違うのでありますがその点は如何ですか。
  116. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 解釈としましては総理はその決定に拘束されないということになつておりますが、総理が方針としてどういうふうにこの委員会の勧告と申しますか決定をお取扱いになるかということは、この規定から出る問題でなくて総理の方針、総理のお考えによるのだろうと思います。
  117. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 総理の方針としてまあとられた、ところが法規の解釈上はそうじやない、こういうまあ縛られないというお話。そうすると、総理の方針が前には尊重する、それを認める、こういうお話であつても、あとではそういうものはとにかく無視しても構わないというふうな、こういう工合に変更されても仕方がないというふうな、こういう御解釈なんでしようか。
  118. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) それはどうも事務局の方でお答えする問題ではないだろうと思いますが、事務局としてはそういう解釈論をやつておる。それを上に参りまして政府の方で総理はどう扱われるか、私共の方としては何も申上げられないと思います。
  119. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 事務局としては御尤もな御答弁と思いますが、官房長官も出ておられますからその辺を承りたいと思いますが、これは官房長官に今までの例えば参衆両院の本会議での答弁の模様をここで引くまでもないと思いますが、速記録に載つておりますのでその辺は若し必要であれば読上げても構いませんけれども、委員会の結論を尊重すると、審議の結果を尊重するということをしばしば言われて参つておるのであります。私はそれは政府によるこの條文の有権的解釈ではないかと考えておる。その点について官房長官の御意見を承りたい。
  120. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 実はそういう問題について私はよく存じておらないのであります。それで詳しいことは当時の、今おつしやつた副総理なり法務総裁なりどういう意味で言つたのかよく聞いてからお話申上げたいと思いますが、ただ常識的に考えますと今事務局長が言いましたように、委員会と総理大臣と司令部と三段階あるとしますれば、そのうちの総理大臣だけは鵜呑みにするのだということなら総理大臣はあつてもなくてもいいということにもなるわけであります。やはり事務局長の解釈のように考えるのが常識的には当つておるように思いまするけれども、この御答弁は正確にはよく調べてから申上げたいと思います。
  121. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつと関連してその点で私も確かめておきたいのですけれども、事務局長が言われたのは法律論といいますか解釈論といいますか、例えば委員会が諮問機関であり或いは勧告機関であるという法律的の性格を述べられたのだろうと思います。運営の問題になつて来ると本日も最初に官房長官がおつしやつたように、政府としては如何なる機関もこの委員会審査には制肘を加えずに、独自の立場でやるようにという態度で律して来たということを本日もおつしやつたのですが、先程吉田君から話が出たのは、第五国会で衆議院の本会議及び参議院の本会議で殖田法務総裁及び林副総理が御答弁になつた趣旨は、正当な結論が委員会で得られれば、その委員会の結論に対しては政府は従うに吝かではない、こういうふうに運営の問題としては委員会の権威を非常に尊重するという態度を政府としてはとつておられて、そこで正当な結論を得るとすればという正当な結論という場合のその意味は、本日の長官の御説明からは忖度して見たならば、これは私共の想像かも知れませんが、とにかく制肘を加えず独自の立場で権威を以てやつて貰いたいということで、その出た結論は殖田法務総裁なり林副総理が御答弁になつた正当な結論、その結論には従う、その正当な結論と同意義と解釈して然るべきものじやないかというふうに私は思われる。そこで法理論は三者の意見が一致したということだが、併し運営の面から行けば同委員会の権威を尊重するという運用の建前からいつて大体この訴願委員会で決定されたものは政府は尊重してこれを司令部に取次ぐというふうに解釈されて然るべきじやないかとこういうふうに思われるわけです。そこでよくお調べになつて御答弁を別の機会にせられるというお話でございましたが、その点を私は明らかにされておいた方かいいのじやないかと思います。
  122. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 今楠見委員からおつしやつた点は私の申したことと多少食い違いがあるかも知れません。というのは私の申したのは、委員会審査過程において政府なり政府の側に立つものが、個人でも、その委員会の全体若しくは委員に対して何か運動するとか頼み込むとかいつて、自由な審査を妨げるようなことは全然しないで自由に審査をして貰つた。併しそれと別に今度は総理大臣がその結果を報告を受けてどういう判断をするかということは、これは又委員会としては総理大臣に制肘を加えないで自由に判断させることが当然じやないか、司令部も同様だろうと思います。ただ実際問題として委員会の決定をできるだけ尊重するということはこれは自然のことだと思いますが、ただ全部盲判で行け、こういうことでは政令の趣旨がないではないか、この点だけであります。
  123. 楠見義男

    ○楠見義男君 その点は今の官房長官のおつしやつたように掣肘を加えないという意味はそういうふうに私共も実は了解しておるのです。ただ衆議院及び参議院における本会議の国務大臣の答弁を同時に並べて考えて見ると、勿論前半は官房長官がおつしやつたような趣旨であるけれども、通じての現われた感じはそういうふうな感じがせられる、こういうことでございます。
  124. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今のお話を聞いておりまして審査の経過途中において訴願委員会に干渉しない、公正を期せさせる、これは私お尋ねしているところじやないのです。これは当然な話だと思います。問題は事柄として「審査の結果に基き」という解釈をお尋ねしているわけなんです。尚その点について林副総理或いは法務総裁がどういうふうに答弁されたかその気持が分らないから尋ねているのでありますが、これはそういう林副総理或いは法務総裁の気持ではないと思います。問題は條文の解釈の問題である。而も岡崎官房長官としては、條文は総理大臣になつておりますが、実際に行政措置をなさつた責任のある地位にある人が、他の人のこれは答弁の気持という問題でなくて、この條文をどういう工合に実施するかという、いわゆる自分の行動の指針としての問題ですから、そういういわば逃手では済まされんと私は思うのであります。そこで先程お尋ねをしておるのは、今手許にありますのは参衆両院における両国務大臣の答弁なんでありますがこれは林副総理の言葉は「再審査訴願委員会がなすべきものでありまして、政府といたしましては何らこれに關與すべきではないのであります」というお話で問題は今の結果についての問題である。それから殖田法務総裁についても訴願委員会について正しければその結論に従う、こういう言葉で言葉はそれぞれ違いますけれども、審査の結果を尊重するということについては一応両方共出ていると思うのです。  それからもう一つ、これは新聞に出ておりますものでありますからどこまで正確であるかということも分りませんけれども、訴願委員会審査の結果が尊重されたということはこれは政府の声明なり何なりそういうものにもあつたと思いますし、一般的にそういう記事が出ていることも間違いのないことであります。新聞記事は一応抜きにしまして国会なりその他公式の場合に言われて参りました政府の解釈というものは、或いは閣僚の解釈というものはこれはこの條文についての政府による有権的解釈と解して差支ないかどうか、この点をお尋ねをして置きます。
  125. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 今私はその條文を見ておりませんので直ぐ申上げられませんが、今伺つた吉田委員の読上げられた條文解釈なら何とか前置きがしてありまして、何とか正しいものであればとかいう、やはり総理大臣は盲判でも何でもやるんだ、何でも委員会の決定通りやるんだ、そういうふうにはなつていないのだと私は考えております。
  126. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうするともう一遍念を押しますが、岡崎官房長官としては結果は尊重するけれども必ずしもその通りに行かなくてもいいのだということですね。
  127. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) それは先程事務局長が申しました通りこの三つ機関と申しますか、三つの場面がありましてこれがそれぞれ意見があるので、それの一致したところが結論になる、こういうことだと思います。
  128. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 ここで政府はここに訴願委員会の公正な審査を求めて来ており、委員会審査決定に対しては何ら口を入れたことがない。従つて今回の決定は委員会の自由な審査の結果である。この場合の政府というのは政府を吉田総理と解釈してよろしいのですか。それとも政府は飽くまで政府というのであるか、このいう政府というのは吉田総理の代理と解釈して、固有名詞と解釈して行くか代名詞と解釈してよいのかどうか。
  129. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 吉田総理を首班とする政府であります。
  130. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 訴願委員会においては機構からいうと、委員会のその訴願の効力が発生する場合は委員会司令部と総理のこの三者の意向が一体、一つなつた場合訴願が通過する、こういうことになるわけですね。その場合には明らかに総理ということになつております。ここで言つている政府というのは総理と解釈してよいかどうかというその問題です。
  131. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) それは例えば全然別の問題といたしましても、厚生大臣が厚生大臣として決定したことは政府の決定である場合もあります。総理大臣が決定したものが政府の決定という場合もありまして、正当な資格を持つてやる場合にはその人の決定が即ち政府の決定になる、同じことだと思います。
  132. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 この場合も政府というのは明らかに総理ということになるわけですね。
  133. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) それは政令の趣旨からいつて総理大臣ということは当然であります。
  134. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そこで殖田法務総裁と林副総理が衆議院或いは参議院で答弁したときの答弁は総理の代理として答弁したと考えてよいかどうか。その点をお伺いしたい。
  135. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) その通りだろうと思います。
  136. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 そうすると運算上の関係から林副総理或いは前殖田法務総裁の答弁の趣旨と、現在追放の問題と絡んで問題にされている幾つかの噂を対象にして考えてみて多少ここに食い違いがある。こういう点から官房長官がよくこのことを問い質すということは了解できると思う。これは時が相当経過しておりますから、こういう意味で尚一層綿密なこの間のいきさつなりそのときの意向なりを御調査つて、我我に納得の行くようなもつとはつきりした限界点がありますなら限界点までの御答弁を伺わして頂きたいとこう思うわけですが、この点に対しては官房長官として、吉田総理から林副総理或いは殖田法務総裁を通して国会において答弁したときと現在も何ら変りがあるかどうか。その点を十分お聞き願いたいと思う。実は総理大臣にここに出て貰うことが一番いいし、林副総理が現在閣僚でおられるから、林副総理と両氏がここに出てお請願えればはつきりすると思います。この点に対し御斡旋を願いたいとこう思うのです、これは希望ですが。
  137. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 只今のお話の中で時日の経過によつて変つたかも知れんから調べてみるという趣旨で私はないのでありまして、その当時どういうふうにどういう意味で言つたか、それがはつきり私には分らないから調べて見るという意味であります。ただ先程も申しましたように、さつき読上げられたところによりますれば総理大臣は常に盲判を捺して委員会の結果はそのまま鵜呑にしろということではないようであります。若しそうであるとすれば今の解釈とそのときの解釈とは変つでおらないようであるということを申上げたのであります。
  138. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これはお手許に速記録もないわけですし、文章はちよつとだけ引用して見てもその文章の意味するところのものが正確には把握しにくいから、或いは食違い得るということは分ります。問題は法文の解釈問題ですからこれは今官房長官としてどういう工合に解釈されるかという点はそれに拘わりはないと思います。そうしてまあ私共は速記録を読んで委員会の結論を尊重するという趣旨が読取れるということを申上げたわけであります。その点について官房長官に重ねてお願いするわけですが、訴願委員会というこの追放解除の問題について民主的な機構が拵えられてそうしてその結論が出た場合に、その結論を尊重せられる建前にはこれは当然なつていると思うのです。その点について「結果に基き」というものについての官房長官のもう一度解釈を一つここではつきりお伺いして置きたいと思います。
  139. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) その点では先程事務局長が申しました解釈と全然同一であります。
  140. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 同一では分らんのですが、事務局長は三段階であつて云々こういうお話でありましたが、そうでなくしてその條文の審査の結果に基きというものが、実際に訴願委員会の結果についてどういう工合に取扱わるべきだという官房長官の解釈を承りたいと思います。
  141. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) その点は今申しましたように先程事務局長が、これは勧告程度に見ておる云々の言葉がありまして、私もその通りだと思います。
  142. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 更にお尋ねいたしますが、訴願委員会の結果が尊重せられたということは客観的に見まして私共言い得るわけであります。それからその点は新聞記事等にも全面的に認められておる云々という言葉がありますが、そういう意味から見ましても認め得るわけでありますが、訴願委員会審査の結果特免と決定せられた全部の中から、特定の者が総理なら総理において特免すべきではないという工合になつた事例がありますかどうかについては、これはお答え頂けますかどうか。
  143. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) それは先程から繰返して申上げましたように私としては御答弁する立場にないのであります。
  144. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 簡單にこの機会に承わつて置きたいのですが、政府講和以後における追放者の扱い方についてはどういう工合に考えているか。と申しますのは先程官房長官は今の訴願訴願に洩れた方は当分これはもう永久にというようにちよつと聞取れたのですが、永久に講和後においてでもそのまま扱うのか、或いは講和後においては万事もうそういうことを解除するという考え方なんですか。
  145. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 永久にと申したのはポツダム宣言の中の字句を引用しただけでありまして、それ以外には何も意味はありません。講和後の問題につきましては今まだ講和もどうなるのか分らない状況なので何とも申上げることはできません。
  146. 楠見義男

    ○楠見義男君 その問題なんですけれどもこれは仮定の問題になるのですが、そういうお答弁になるかも分りませんが、国内法で日本政府がイニシアチーヴをとつてできたものであれば、そうして国内の独自の立場でできた法律であればこれは国内で何とかできるわけですね。ところがそういう経路でなしに現在の追放というものは行われていわばスキヤツピンならスキヤツピンに基いてこういう制度がとられる。こういう場合に、普通の状態であれば、講和條約が結ばれると、そういうスキヤツピンの効力も一般の他の問題におけるスキヤツピンの効力と同じように、国際法上といいますか何法といいますか、そういう場合にはそういう法制というものは失効さすべきものでしようか、どうでしようか。
  147. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これはいろいろの例があると思います。細かく言いますと一つ命令が出ましてそれを一遍限り実行すればもうなくなつてしまうものがあります。例えば要塞を破壊せよということがあつて破壊してしまえばそれでなくなつてしまうということもありまするし、それから或る目的を達するまで長い間やつて行かなければならん問題、又一遍やれば目的は達するがその目的は永久に持続すべきだという種類のもの、例えば民主化という問題だつたら今民主化できているとしても永久にその制度は実施される。こういういろいろの段階がありまして、スキヤツピンとかデイレクテイヴで来たものも廃止されるものもありましようし、廃止されないで日本としては信義上もこれは維持して行かなければならんということもあると思います。又その間に事情によつて緩和されるものもあると思います。例えば賠償のごときはいろいろ緩和されて来ております。それのどれに今度のこういう問題が入るかということは今はちよつと想像だけでこういうところで言うべきじやないと考えます。いろいろの場合があると思います。ただ原則的に言いますと、必要な種類のデイレクテイヴのようなものは今後も講和会議で以てすぐに全部御破算になるのだという考えではないのは当り前だと思います。
  148. 楠見義男

    ○楠見義男君 私の伺つているのは信義の問題とか何とかいうことから生ずる問題と離れて、純法律的に考えてスキヤツピンならスキヤツピンに基いてできているものであれば、講和会議が成立すれば、スキヤツピンという根拠法に基いた国内法ができているのですから、元来国内法の根拠であるスキヤツピンというものの効力は一般的に言えば、信義に基いてそのとき国内法で続けるか続けないかは別問題で、根拠法であるスキヤツピンの効力というものは消滅すると解釈していいのじやないかどうかということです。
  149. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これは事情によつて分りませんが、例えば條約的に先例を見ますると、講和條約の中にデイレクテイヴであるものは連合国が廃止に賛成しない限りは、そのまま日本法律として適用するというような一項目がある場合もあり得ると思います。そのときになつて見なければよく分らないのであります。
  150. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちよつと官房長官のおられるときに事務局長に一つお伺いして置きたい。尚まだ残つておりますけれども、そのさつきの訴願委員会審査の結果に基きという問題について、今まで院内での国会での正式な発言でなくて、訴願委員会運営政府から正式に話があつたと思いますが、或いは総理大臣でありましたかその他の国務大臣であつたか存じませんけれども、その点について訴願委員会審査の結果は尊重する、その結果について総理大臣としては不利益には変更しない、そう言つた言明がなされておると思うのですが、それらの点について事務局長の審査の結果に基きの解釈について、従来なされた政府の解釈を聞いておられるところがありましたらお伺いしたい。
  151. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 私はそう不利益に変更しないというふうな政府のあれがあつたかどうか存じませんが、聞いておりませんのですが。
  152. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 政府からその解釈について或いは運営について手続について初め言明がなされておると思うのですが、はつきりした言明がなされておると思いますが、それを最初に聞かれた点を明らかにしておいて頂きたいと思うのです。
  153. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 私はそういうことを聞いておりませんし、やはり先程申上げたような解釈だと初めから思つております。この点には疑問は初めからございません。
  154. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 尚官房長官も立たれましたし、これは希望ですが途中で切れましたので、できれば明日でも、又の機会ということになりますと委員の諸君も帰えられる方もありましようし、明日引続いて一つお願いをしたいとこういうような考えであります。  尚ちよつとこれは事務局長、本当は官房長官にお尋ねすべきでありますが、手続の問題でありますので事務局長にお尋ねをしても同一効果だと思いますのでお尋ねいたしますが、第七條でしたか、第七條に「指定の特免又は申請の却下をしたときは、直ちにその旨を公表しなければならない。」というその公表の形式は、これはどういうものでありますのか、或いはどういうことが予定されておるのか、それと「申請の却下」という意味、それから「直ちにその旨」というその「直ちに」、その三点を一つ
  155. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) できるだけ急いでいたしておりまして特免の決定になりました方に対しては何日でしたか三、四日遅れて御通知いたしました。それが官報には今月末に載ると思います。  それから却下の方は先ず特免の方を先にいたしましたので却下の方の分は今急いで名簿を作つております。これも多少遅れますかも知れませんがそう遠くなく発表できると思います。直ちにと申しましても事務的にどうしても遅れるのでありますが、事務的にできるだけ早くというふうに御解釈願いたいと思います。
  156. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと、例えばこれは新聞に一応政府発表ということで一万九十名の名前が出ましたけれども、いろいろまあ事務的な聞違い等もありましてその後或いは一回、二回と新聞紙によつて違うかも知れませんが訂正がなされましたが、一万九十名或いは一九十一名その辺はまあはつきりいたしませんが、その者について尚そういう訂正になるべきものは残つておりますか。
  157. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) それはございません。それを確めますのに三、四日かかりましたがはつきり確定しておりますのが一万九十名、新聞に出ましたのはこれは急いで新聞社でカードを写した関係上或いは間違いもあり、これにまだカードの整備ができていないうちに写した関係もありますので、新聞には多少間違いがありましたが、通知を出しますときははつきりと一万九十名間違いないところで出しました。併し全然間違いないということはありません。事務的にはつきり間違いないということで出したのでありますが或いは間違いがあるかも知れませんが……。
  158. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それから先程公表の形式と申上げましたが、それは先程官報とこういう工合にお話になつた、それで解釈してよろしうございますか、形式は。
  159. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 官報だと思います。官報で出したのでありますから。
  160. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 もう一つ重ねてお尋ねいたしますが、訴願委員会なら訴願委員会を通つてそれから総理のところを通つて司令部に行くわけであります。そういうものの中でまあペンデイングになつておると申しますか、或いは残つておると申しますか手続が残つておる、そういうものはもうないのでありますか。
  161. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) これに書いてありますように、まだ審査してないのがあるが、書類不備のため審査不能のものというのが二十名ありますが、これはいずれ書類が整備いたしましたら又審査するわけであります。併しこれは委員会を開いて審査するのではない、事務的にやるわけであります。ですからそれが事務的にと申しますかどうなりますか、書類が出ましたら政府並びに司令部と打合せましてどういう決定をするか、委員会を開いてやるのではなく事務的にやるということでありますが恐らく審査できないのじやないか、何遍催促してもこれは書類が出て来ないのであります。ただ訴願するというだけで何遍も催促しましてもなかなか詳しい書類が出て来ないので審査するのが残つておるのでありますが、今のところはちよつとこれは審査できないのじやないかと思います。
  162. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると話が途中に入りますけれども、委員会或は事務局の何といいますか運命といいますか存続の態様ですが、先程委員会は近く解散する筈である、こういうお話がございましたが、今のような手続が起つて参りますと、それは事務局なら事務局でやらなければならんと、こういう仕事も残つて参ると思うのでありますが、これはまあ私共素人が考えることですけれども、政令第三十九号の第十二條ですか、これは「局長は、委員長の命を受けて、事務を掌理する」。こういう言葉がありますので、委員長がなくては事務局長が動けんのじやないかといつたような感じを持つわけであります。それらの関係はどういう工合になるわけなのでしようか。委員会が解散してしまつて事務局だけ残つてそうして先程のような書類不備のものその他のものをおやりになるとか、そういうことになるのでしようか。この点。
  163. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) これは訴願委員会がなくなれば二十三年五月十日の……その後は内閣の監査課においてその事務取扱つております。そういう形式がございますから私共の方で事務的にやつても、正式なルートとしては内閣の監査課でやるというようなことが一つの方法ではないかと思いますが、今のところそれも決めておりません、どういう方法でやるか……。併し、先例としましては前訴願委員会がなくなつたあとは、内閣の官房監査課で受付けてやつて解除した者もあるわけであります。そういう方法はあるわけであります。委員会としましては、委員会解散と申しましても政令を廃止して解散するのが本当でございますけれども、司令部の方で事務局は暫く残つておれ自分の方でいろいろ頼むことがあるからというので、事務局を残すためには政令を廃止するわけには行きませんので、結局法律的に申しましたらおかしいことかも知れませんが、委員だけはおやめになつて委員長は残られるということに今後はなります。
  164. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 委員長だけは……。
  165. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 今月末までは委員長だけは暫く残つて頂いて、委員長にあらゆるもの任免その他の権利がありますので、それでもおかしいかも知れませんが、ただ極く短い期間でありますからそういうふうにやつて行こうと思います。
  166. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 もう一つさつきの解釈の問題で伺いますけれども、これは條文の解釈をする最後の有権的な機関というのは何でしようか。例えばまあ正直に申しまして事務局さんに責任ある御解釈を願うということはこれは困難だろうと思いますけれども、総理大臣なら総理大臣、それを官房長官がやるとしましても、或いは三つ機関のうち委員会なら委員会としての或る程度め解釈をされるでしよう。それから総理大臣は総理大臣として解釈する。それから総司令部も総司令部の解釈をするということが考えられるのですが、或いはもう一つ政府部内としては法務総裁或いは裁判所といろいろあるわけですが、一応裁判所も加えまして有権的な解釈の正式の機関はどういうところになるかという点、どういうふうにお考えですか一つ御意見を伺います。
  167. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) 最後の決定機関がどこになりますか、或いは最高裁判所になりますか、私も余りよく国内法のことは知らないのでありますけれども、ただ今の解釈が総司令部、総理大臣、委員会三者一体の解釈であります、私の申上げましたのは。その外にその解釈が正しいかどうかということをどこで最終的に決めるかということになりますと、それは或いは最高裁判所ということになるのかも知れませんが、どうもちよつと私よく国内法のことは分らないのであります。
  168. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 三者一体になつて解釈の一致しておるところでは委員会審査の結果は尊重する。併しそれが動かせんというものではなくて多少の中があるということで三者が大体了解しておると、こういうわけですか。
  169. 伊關佑二郎

    説明員(伊關佑二郎君) その通りでございます。
  170. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは私は希望を申上げるのでありますが、事務局長に対する希望でなくて事務局長を通じて、この次にあなたが一緒にお見えになるであろう官房長官或いは総理大臣副総理に通じて置いて頂きたい。それに官房長官お帰りになられましたから、そういう意味で希望を申上げるのですが、公職追放の問題は必ずしもすべてがそうだとは思いませんが、同時に一部から政略的にこれが利用される或いは謀略的に利用されるというような声があるんです。それから又今度の特免を受けた人々についてもこれも私は真実とは考えませんが、非常に熱心に訴願の運動をやられた方が通つた、同じようなレベルの人で落ちた方もあつた、これは一つの空説なんです。それで先程来お話がありましたように三段階の過程における経過は発表しない。こういうことは勿論それは事柄が非常にデリケートであるし又及ぼすところも多いというような関係から公表をしないということではありますけれども、こういうふうに思われますが、同時に又一面から言えばそういう政略的にいろいろこの問題が利用されるという面から見れば、寧ろ或る程度説明は具体的にせられた方が却つて事柄が明らかになり、明朗になるのじやないかと思われる節もあるわけなんです。そこで衆議院の本会議或いは参議院の本会議で殖田法務総裁或いは林副総理が答弁になつたその前提の緊急質問の趣旨も、そういう政略的にこれは利用されたのじやないかというような皆からの御質問であつたように私は記憶しておるのでございます。そこで具体的な問題になつて参りますと、今回の追放解除に関して委員会で特免すべきものと決定した数と政府司令部に取次いだ数とが違う、こういう具体的の事実を挙げて政府に或いは陳情し、又要望した向きがあつたと新聞に明らかに報道されておつたんです。新聞の書くことは政府は関知しないということがつねづね吉田内閣の取り来たられた遁辞ではありますけれども、併し一般から見れば、一部にそういうような非常に疑惑の念を持つ向きがあり、而も新聞が報道しておることに対して政府が何らそれについて反対の意思表示をせられない限りは、その新聞の報道はこれは一般国民としては事実と見ざるを得ないし、又見るのが当然だろうと思います。そういうことから最初に申上げましたように、公職追放の問題がいろいろ不明朗であるという感覚を一層国民の頭に燒きつかしたようなふうに私個人は印象付けられるわけであります。従つてそういうようなことをよくお考え頂きまして、この次にお見えになるであろう大臣諸公にあなたからもよくお伝え頂きまして、この委員会は必要があれば速記を止め又秘密会ということになつても一向差支ないと思いますから、よくその点をお含み置きを頂いて御連絡を願いたい。これはあなたを通じてお願い申上げます。
  171. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 いろいろまだ伺いたいことも沢山あるのでありますが、官房長官も退席されましたし又いろいろ我々も今お聞きした点を資料にいたしまして十分検討したいと思いますので、できれば明日にでも再開して頂くということで今日はこれで終りたいと思いますが……
  172. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  173. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。それでは内閣委員会はこれで散会いたします。明日は午前十時から開くことにいたします。    午後三時三十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            大島 定吉君            仁田 竹一君            梅津 錦一君    委員            カニエ邦彦君            上條 愛一君            吉田 法晴君            楠見 義男君            中井 光次君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    特別調達庁次長 堀井 啓治君    特別調達庁官房    長       辻村 和義君    特別調達庁契約    部次長     櫻井 良雄君    特別調達庁財務    部次長     松木 豊馬君    公職資格訴願審    査委員会事務局    長       伊關佑二郎君