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1950-09-11 第8回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十一日(月曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○行政機構の整備に関する調査の件  (法務特別審査局拡充の件)  (警察予備隊に関する件)  (海上保安庁の保安官増員の件)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これから内閣委員会を開会いたします。  今政府委員の方からのお申出によりますれば、警察予備隊についてではなくて、特別審査局の問題について説明に来ているということでありますから、便宜これを議題といたしまして、そうして政府説明を求めます。
  3. 草鹿淺之介

    説明員草鹿淺之介君) 私から大体の必要となりました経過を簡單に御説明申上げます。これは御承知通り勅令第五十四号の、最高司令官要求に係る事項を実施するため特に必要ある場合においては命令を以て所要の定めをすることができる、これに基きまして制定されたものであります。そうして今回の措置は、根本的には公職追放及び政党、協会その他の団体結成禁止に関する覚書並びに最近までに発せられましたこれを補足するためのいろいろな指令の命ずるところを実施するためのものでありまして、最近におきまして急激に増加しましたところの特別審査局事務から見まして、そのままでは到底どうも政府の責任を全うすることができないのじやないかと、こういうふうに考えまして次の国会まで待つている暇がないというふうに考えたのであります。たまたま我々の方でそういうふうに考えておりましたときに、今度の本件につきましては、丁度関係方面口頭によります要求として、速かに実施せよ、こういつた趣旨の指示がありましたので、これらによりまして政令案そのものにつきましての折衝をしまして、先方と十分打合せた上で制定することになつた次第でございます。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 尚この政令内容についても御説明願いたいと思います。
  5. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) 私から簡單に御報告申上げます。只今刑政長官から御説明申上げました通り本件口頭要求最高司令部から発せられましたのは本年七月二十七日でありました。これに前後いたしまして、法令案内容につきましても、関係方面といろいろと折衝審議を重ねまして、大体の案を得まして、公布に至つたのであります。公布されましたのは、本年八月十八日でございました。これの政令二百六十三号法務設置法等の一部を改正する政令案として公布されたのであります。その内容簡單に御説明申上げますと、従来特別審査局定員五百三十八名を以て賄つておりました。これを六百六十二名増員いたしまして、合計千二百名の定員とするという点が第一段でございます。  第二段といたしましては、内部的の機構拡充を図りまして、局長の下に三人の次長を置きまして、局長を助けてそれぞれ局務を整理するというような仕組にいたしました。従来は特別審査局におきましては、第一課から第四課まで四課の課別編成を持つておりましたが、これに伴いまして、課別編成も八課に拡充いたしたのでありまして、只今申上げました三人の次長は、総務関係追放者関係監査関係団体関係調査関係、それぞれの事務を分担させまして、局長を補佐してこれを整理するというような関係になるわけであります。詳しく申上げますれば、第一の次長は、通称総務部長というようなかつこうになりまして、総務課連絡課の二課の事務を処理する。それから第二の次長は、通称監査部長というような形になりまして、監査第  一課、監査第三課、監査第三課の事務を処理する。第三の次長は、通称調査部長というかつこうになりまして、調査第一課、調査第二課、調査第三課の事務を処理するということになつております。御承知のことと思いますが、只今申上げました監査関係仕事は、追放令に関する仕事でございます。それから調査関係に関する仕事は、団体等規正令に関する仕事であります。この外本局機構拡充いたしました外に、全国支局にも相当数人員を増加配置いたしまして、事務の円滑な運行を図る建前にいたしております。全国を九支局に分けまして、この支局所在地にはそれぞれ五十名前後の職員を配置し、更に支局所在地以外の府県には数名の駐在官を存置するという建前なつて、従来通りの態勢を強化したわけであります。  それから次に特別審査局におきましては、従来定員八人、実人員七名の検事がその幹部を構成して事務運営して参つたのでありますが、如何せん非常に手不足で、事務運営支障を来たしておりまして、今回この検事を以て保護する地域に十八名増員いたしまして、合計二十六名の検事を置き、これら検事のポストは従来通り局長は当然でございますが、その外次長、それから課長の大部分、それから全国九ヶ所の支局長一それから監査団体関係課附事務官というものに当てて行くというふうに予定されておるわけであります。現在逐次充員を見つつある次第であります。  簡單ではございまするが、以上を以ちまして政令案の基本的な内容を御説明いたしました。
  6. 河井彌八

    委員長河井彌八君) この際御質疑がありますれば……。
  7. 楠見義男

    ○楠見義男君 極めてプリミテイブなことを伺うのですが、公職禁止の問題が起り、或いは団体等規正令の問題が起つたときには、対象なつ案件従つて分量というものは相当多かつたのではないかと思います。それが段々と年限を経て今日の状態なつたと思うのですが、従来に比べて倍以上の、即ち六百人以上の職員を殖やさなければならないという特別の審査対象になる案件が具体的にどういうことがあつたのか。その点をちよつと伺いたいのと、それからもう一つは、先程もお見えになる前に話が出た問題なんですが、検事の方をこの法務府のこの仕事に当てるという場合、これは国会においても相当問題になつたように伺つておるのですが、本来そういう人が事務官として採用せられるべきもんじやないか、具体的仕事内容経験等から行くと御便宜であろうかと思いますけれども、検事それ自体は、本来は検察庁に所属すべきものであります。而もこういう際に法律できめられるべきものを政令できめるというような特殊の形で以てやられるということについては、国会側としても相当これは議論があり、従来の経緯等に鑑みて問題のことなのではないかと思います。
  8. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) 第一の点についてお答えいたします。特別審査局は御承知通り最初から司法省に置かれた部局ではないのでございまして、占領直後発せられましたメモランダム五百四十八号によりまして内務省調査部として設置されました。これがその事務量重要性分量からいたしまして、間もなく調査局になつたのでございます。この調査局内務省の廃止に伴いまして総理庁に移管されまして内事局第二局として事務運営しておりました。この調査局内事局時代におきましては、有資格の職員のかた三十六名の多数を以て編成されておりましたが、その半面一般職員は二百数十名でありました。その当時おやりになつておつた仕事は、デスク・ワークが多かつたのでございまして、古い記録を検討いたしまして終戰前に活躍された超国家主義的な団体、軍国主義的な団体あとから切る、解散するというような仕事が主でございました。三十六名の幹部と二百数十名の職員を以てその事務を遂行したのでありますが、次第にデスクプランから実態調査をしなければ解決のできないような調査事項が増大して参りました。これが法務庁の設立と共に特別審査局として法務庁内に移管されたわけでありまして、私共が、三十六名の幹部を以て運営されておりましたこの局に対しまして、旧内務官僚方々は一齊に退陣され、頭のない姿で入つて来たわけであります。止むを得ず六人の検事法務官僚として送り込みまして応急の措置を講じたわけであります。併しこれを以て決して適正妥当ないわゆる運営ができないことは当然でありまして、約一年間に亘りまして全国検察庁高等検察庁検事又は地方検察庁検事に、検事本来の事務のかたわら法務事務官事務取扱という仕事を委嘱しまして、全国支局事務を監督指導して貰うというような、誠に必要止むを得ざる措置をとつたのであります。検事がその本務のかたわらに一般行政事務、特に特別審査局所管のごとき行政事務取扱うということは、非常に好ましいことではないというので、一年足らずしてこの制度を打切りました。で非常に不本意ながら、従来の六名の幹部定員八名に増加いたしまして運営して参りましたが、どうしてもできないので今度は増加したのであります。  事務内容は、デスクから街頭へ、形式調査から実態調査へと今移つておりまして、資料によつて調査し、解答できる案件一つもないのであります。従来の右翼団体調査の重点が指向されておりました。これは今日におきましても勿論当然でございます。これに併せまして全国にはびこる暴力主義的な団体についての摘発調査という実態的な調査が進められておるのであります。更に関連しまして極右団体と並びまして極左的な傾向を持つ団体も又規正令対象として取上げざるを得ないというようなことになつております。而もこれらの事務は、すべて実態的な調査を必要とするというような段階になりまして、非常に事務量が殖えて参りました。調査件数の正確な計数は覚えておりませんが、昨年度の件数の約三倍くらいに増加しておりまして、一年間に扱う調査件数は一万数千件に及んでおります。又追放令におきましても、最近の追放指定状況に鑑みまして極めてその範囲拡充され、これらに対しては非常に愼重にして周到な監視を必要とするような段階になりまして、非常に事務分量が殖えて来たわけでございます。
  9. 草鹿淺之介

    説明員草鹿淺之介君) 特別審査局で扱う仕事性質といたしまして、殊に幹部に当る方は、先ず第一に非常にやはり法律的な教養の高い人でなければ困るのであります。と言いますのは、追放関係にいたしましても、団体等規正令関係にいたしましても、万一この法の運用とか、或いは解釈、或いは集まつて参ります資料の検討、こういつたものを若し間違いますと、これは非常な人権の侵害の大きなものになつて来ますので、この点につきましては極めて法律にも精通しておれば、それらのものの見方も周密、周到な考えでやつて貰う、こういうような人が当然望まれて来るわけであります。そこでそういう点からいたしまして、これまでやはりそういつたような仕事経験者でありますと共に、一面監査何かの仕事におきまして、殊にその必要のありますのは、調査の方も勿論同様に必要なんですが、やはり或る種の検察官的な捜査の知識と経験、これがやはり非常に要求されて参るのであります。これらの点からいたしまして現在早急に適当な人材を求め得ない現状におきましては、どうしても、早く申しますと手取り早く検事の中から適当な優秀な人に来て頂く。これが一番この要望にかなうことになつて参ります。それでは検事から取るのがよろしいのですが、それを何故当検の制度をとつておるかという点になりますが、これは或いは本来の考えからいたしますと、検事をやめまして一般事務官になるのが正当の筋かも知れませんが、率直に申上げますと、検事俸給関係が非常に大きな問題をなすのであります。これらの人を検事をやめまして通常の法務事務官として持つて参りますと、相当程度のそこに待遇の差ができて参ります。そうなりますと実際問題といたしましてなかなか優秀な方が来ないという、たださえ特別審査局仕事は余り誰も好む者はありませんのです。そこで優秀な人を持つて来なければいかんということになりますので、せめて待遇の点だけでも何とか落ちないようにしなければ来ないのであります。実情を申しますと、そういう大きな問題のために当検の制度をとつているようなわけであります。
  10. 楠見義男

    ○楠見義男君 佐藤さんに伺いますが、そういう当検制度のようなものは、恐らくこれは今の特審局だけじやなくて外にもあり得ることだと思うのですが、外にそういう制度はございますか。
  11. 佐藤達夫

    説明員佐藤達夫君) 外には今のところ私の記憶にはございません。
  12. 楠見義男

    ○楠見義男君 速記を止めて頂きます。
  13. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて。    〔速記中止
  14. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  15. 梅津錦一

    梅津錦一君 日本新聞放送協会職員追放から、次に国家公務員をやろうとしておられるのですが、電産と警官をやりましたけれども、そのとき国家公務員地方公務員、それから教職員警察、こういうようなものにも噂が飛んでいるのですが、こういうような特別の公務員以外の電産関係でも、書簡で追放するようにという話があつたというのですか。大幅な大量な首切りの対象を見つけるために、この政令によつて制限を受けるというように考えて間違いがあるが、差支えないか、それをお答え願いたいと思います。
  16. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) 全然関係はございません。
  17. 梅津錦一

    梅津錦一君 そこで特に形式的な机上プラン実態調査に入つて、極左の動向調査して、好ましからざる者追放範囲に入れると、こういうような形になると思うのですが、特にそういう点から考えますときに一憲法で規定されている基本点人権を尊重すべきだとすれば、調査が非常にむずかしくなると、凡そ常識で考えてもこれだけの六十二名の増員で、僅か二千人足らずで、基本的人権を侵害せずに調査することは困難だと思う。そこでこういう調査に対して、政府としては特別審査局手足なつて働く末端機構があると思うのですが、そういう機構はどうしたものを使つて行くか、それをお尋ねしたいと思います。
  18. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) この特別審査局は、実は自分手足なつて使つて行くような公の機関を持つていないのであります。ただ下部組織と申しましようか、全国都道府県調査課なり地方課というものがございます。でこれに補助費として人件費、それから旅費、事務費の若干を予算によりまして配付いたします。そうしてこれらの主管課の中にその定員を採用いたしまして、そうして追放者につきましては、届出をする。それから団体等規正令に基きましては、団体届出事務という基本的な事務取扱つて頂いておるのであります。これらの主管課が、結局都道府県市町村を拔かしまして、  これを窓口として、こういう届出を受ける。それでその届出を受けると、これを集めまして団体等規正令による届出につきましては、主管課で国民の縦覧の供して、それから更にこれを部局の方に送付する。追放者登録につきましては、そこでまとめまして、部局にこれを送付するというような事務を行わせるようにして、おります。それが下部組織といえば下部組織であります。それ以外には特別審査局としては手足組織がございません。自分自身調査を実施する。千二百名の人数では、誠に僅かな人数でございます。これを全国的な立場から考えますと、非常に少い組織でございまするので、この際政府の方針に副いまして、必要止むを得ざる最小限度人員として千二百各を確保いたしました。
  19. 梅津錦一

    梅津錦一君 先程事務量の問題で、形式調査から実態調査へ、実態調査は今お聞きしたところでは、どうも本当実態調査をあらゆる角度から、あらゆる資料からやつて行くには、まだ支局には五十なんぼくらい、或いは県には数名しか置かないという程度では、やはり事務量からいつて、結局これは机上プランで、机上の処理だけで、届出形式に合つたもの、或いは市町村資料を持つて来た者の審査をやる以外に、細かい点は入らないと思うのですが、特に追放範囲が、先程耳の違いか、追放範囲に対してその範囲が拡大されるというようなお話つたと思うのですが、これは拡大ですか、縮小ですか、ちよつとお尋ねしたい。
  20. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) 特別審査局におきましては追放指定ですね、追放ということは一般にはやらないのでありまして、ただ団体等規正令によりまして特定の団体を解散いたしました場合に、その役職員追放する仕事は、法務総裁に與えられた権限であります。一般追放取扱つていないのであります。一般追放につきましては、追放された方々監視する、違反のないように防止すると共に、一たび違反を犯した場合には、これを調査するというような仕事をいたしております。ただ最近団体等規正令のみならず、連合国軍最高司令官指令によりまして、直接追放が行われました。これが私共が調査し、監視する対象として入つておりますので、非常に困難な仕事なつておるわけであります。追放最後決定権司令官に保有されておる、そういう状態でございます。
  21. 梅津錦一

    梅津錦一君 やはり追放された者の監視をするという役目ですが、相当むずかしいことになると思うのですが、これに対しても支局五十名、県で数名ということになつておりますが、これは満足に思うように行かないでしようが、この追放者がどういうことをしておるか、こういうものに対する実態が大体つ掴めておるでしようか、おらないでしようか。
  22. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) 大体追放者の現在の総数は十八万……推定実数が十八万と言われておるので、ありまして、これらの方々監視するために、その所在登録制度というものを実施いたしております。大体現在約九割程度登録が実施されておるのでございます。中には行方不明の方や未帰還の方或いは所在の分らない方、追放理由の重復しておる方々がありまして、十八万数千の数は必ずしも正確な数ではございません。一応十八万数千として約その九割程度の者が現在登録されておりまして、月々その登録数が大体上昇して参りまして、この登録して頂くと同時に、十八万数千のかた全部がいわば容疑をされるかたではございませんので、いわば容疑をされるかたはその濃度によりまして幾階かの段階に分れるのではなかろうか、こういういわば容疑の危險性のある方々については、その所在動向の大体を把握するようにいたしております。
  23. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて。    〔速記中正
  24. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をつけて。
  25. 梅津錦一

    梅津錦一君 予算関係ですが、検事のかたが入る場合には、これはまあ検事の今までの費用から、法務府の方ですかの予算でいいのですが、事務官に対する費用はどこから出て来るか、予算定員があるかどうか、それを一つお尋ねしたいのです。
  26. 草鹿淺之介

    説明員草鹿淺之介君) これはやはり今後拡充しますときでも、これに伴います予算貰つて来るわけです。ですから事務官予算としまして、一般法務事務官定員増加の場合と同様の予算貰つております。
  27. 梅津錦一

    梅津錦一君 それはやはり定員に対する予算がなくなつて殖やせないわけだと思うのです。これに対する予備予算があるかどうかですね。
  28. 楠見義男

    ○楠見義男君 それと関連して……、それは予備費から出るわけですか。
  29. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) まだ実は……速記を止めて貰つて
  30. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて。    午前十一時三十一分速記中止    ——————————    午前十一時五十一分速記開始
  31. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。只今の御説明によつて計画せられる人員の充実は、予期のごとく確実に達成せられるのでありますか。又その人選については相当厳選になることは今のお話でも分つておるのですが、それは必ず相当の結果が挙げられますか。  もう一つは、検事をこの要部に当てることは、すでに内閣委員会においてもよくないという意見があつたのです。これも一体検事の全体の数から言つて、適当に充実せられるのですか。充実せられたとしても、本当のこの検事の職務を行うべき検察庁において検察能力が低下することはないか、こういう点。  もう一つは、これは性質上当分のうちと解するべきものだと思うのです。永久にする考えかどうか、若し永久にするというならば、検事としてそういう事務官の名前を與えるとしましても、それは穏当でないということになる。さつきのお話では、俸給の上の待遇支障がある、こういうことでありますが、然らばそれに対して適当な手段をとればいいのだというふうに考えられるのですが、その三点について説明をお聞きしたい。
  32. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) 最初の二点につきましてお答えいたしますが、御質問を承わりました通り増員の問題は非常な重大な問題でございまして、果してこの適切な要員所定の期間内に充員できるかということにつきましては、政府からも非常に御注意を受けております。私共といたしましてはこの点に非常に力を入れまして、各関係方面にも御協力を願いまして、逐次実施しております。私共の確信といたしましては、大体来年の三月までにはほぼ充員を終えることができるのではないかと考えます。  第二点といたしましては、この今回の特審幹部増員につきましては、確か心相当数検事検察庁から引拔くということは、検察能力の低下を来たすのではなかろうか、これは御尤もな点でございます。併しこの法務幹部並びに検察庁幹部首脳部方々におかせられましては、今特審がやらなければならない仕事重要性特審機構重要性を御認識下されまして、先般全国検事長方々も御参集下されまして、特にこのたび非常に苦しいけれども人を出そうというような御協力を得て、全国支局長はほぼ検事を以て充員を終りました。こういうような状況でございます。私共といたしましては、この御好意に対しては将来検察庁と十分協力して御恩をお返しして行きたいと考えておるわけです。これを以ちまして第二の御質問のお答えといたします。
  33. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ついでに伺いますが、多数の人員を年度内くらいには充実するという見込だと、これは一点の方ですが、これは例えば各官庁の整理にでも会うような人を使うとかいうような場合も考えておるようでありますが、本当只今働ける立派な人を揃えるのでなければ無意味になるのでして、そういう点についてどれだけの注意を、どれだけの手続を以て実現を期しておるか、その点をもう一つ伺いたい。  それからもう一つ、第二点につきましても、あの検察庁検察能力で何とか我慢ができる程度であるかも知れんが、これはどこまでも伸ばして行かなければならん。特にこういう俊秀な人を採用するに違いないと思うのですが、そういう場合にやはり検察能力をもつと強くして行く方法はどうなのかという、この二点を今の説明に関連して伺いたいと思います。
  34. 吉河光貞

    説明員吉河光貞君) 一の点につきまして、これは実は二十五年度には百五十名ほど増員したのでございます。これが予算の令達を受けたのは七月でございます。でこれはもうすでに充員を終りまして、今二十五年度の拡充の分につきまして約六百名近いこれを九月から始めて行きたい。今全国の九ケ所の支局では数十名の候補者を集めておりまして、本局も数百名の候補者を集めて、各部でそれぞれ選考しております。選考割合は大体百八十名くらい募集いたします。縁故で以て募りますと、それを一応学術、それから学識その他の点につきまして選考いたしまして、二十名くらいに篩いまして、その二十名のかたにつきまして個々に面接してその能力をテストする。で最後に大体十名以下のかたを先ず採用する、こういう選考状態に進めてこれを繰返し繰返ししておるのであります。人員総数の点につきましては、外地に特に外務省方面における領事館警察方々、朝鮮、台湾における警察事務に従事した方々、それから警視庁その他の自警、国警から来る志望者、それから検察事務官とか、先きほど申しました通り経済調査庁の、もうすでに縮小になる、なりつつある過剰人員、これらの者を中央地方に分けまして選考しております。それから都道府県からの特番入りを希望する希望者があるのでございます。こういう方々もどんどんと迎えまして選考に入れております。かような状況でございますから、今年度の終り頃には大体所定要員を充実できるのじやないか、一遍に六百名充員しろと言つてもこれはできませんから、月々百名くらいの割合充員したいと考えております。
  35. 草鹿淺之介

    説明員草鹿淺之介君) あとは私から申上げます。この特審の方へ検察官を送りますために、当然検察の方がそれだけ手薄になることにまあ当然になつて参りますが、これで実は法務府といたしましても、たださえ今日まで検察事務が非常に溜りまして困つておるのです。さりとて特審へ人を出さないわけに行きませんので、これが一番困難なことであるのですが、全体の数から見まして、今度殖えますのは十七、八人ですが、検察官全体の数からいいましてまあ主要な幹部のところだけは、現在の検察事務のかたからたつて割愛を願つたわけです。これは検察庁としましてもこのあとを補います見通しといたしましては、副検事を早急に充員しますとか、或いは検察官の欠員を早急に充員する、今日検察官の定員の増加を要求いたしましてもなかなかこれは通りません。ですから欠員を極力充員してあとを埋めて行く。こういう方法しか今考えられないわけです。併しこれは検察庁といたしましても特審にこれを取られることは非常に痛いことですが、今度もとにかくこの政令も勿論放つて置くわけにも参りませんので、まあできる範囲で割愛を願つたような状況です。それともう一つは、充検制度のことですが、これは私の考えといたしましても、こういうことはやはり本則じやないと思います、こういう制度は……。ただ現状といたしましてどうも外から丁度充検になるべきような適当な人が採れませんので余儀ない方法であろうと思いますが、これが先きほどおつしやいましたような経済的にも変らないように待遇を考慮するということになりますと幾分その点は緩和されると思いますが、もう一つこういうことがあると思うのです。御承知のように検察官は大体いわゆるその意に反して官を失わない。まあ検事や判事もそうでしようが、なつた人は初めから一生判検事をやつて行こうというような考えを持つて来た人が多いものですから、これを検事の資格を取りますことが一つのやはり大きな困難になるのだと思います。何らか適当な方法がありますと、これは、こういう充検制度というものは本筋じやないと思いますが、現状といたしましてはそういつたような問題があるものですから、余儀なく検事の方から引張つて来ざるを得ないというようなかつこうになつております。
  36. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それではやはり当分の制度はずるずると永久制度になるかも知れんというような……、併しこれに対しては本当政府としては根本的にも建直して行かなければならんということと私は考えますが、それはどうでしようか。それからもう一つ、さつき伺つたのはとにかく検事からこちらへ持つて来なければならんということは無理だけれども止むを得ないという説明を伺つたのですが、例えば検察陣営が、実際永久官か知れませんけれども、志望者が少い、従つて行く人も、これは失礼ですけれども、割合に融通がきかんというか、能力が足りないと言つちや悪い言葉になりますが、そういう人がまあ検察官にでもなろうかというようなふうになつては大変なことだと思いますので、その方面のとにかく恐慌ということについて政府はどんな努力をしておられるか、そういう点を伺いたいのです。
  37. 草鹿淺之介

    説明員草鹿淺之介君) これは御承知通り検察官になりますのは、司法修習生というのが裁判所の研修所で二年余研修をやりまして、そのうちから志望者がこつちへ来るのですが、これはその年々によりまして、あすこの検察担当の教官の指導力如何によりまして、そのうちの検事の方の希望者の数が非常に違つて来るのですが、最近次第に検事志望が殖える傾向になつて来ております。これが相当数得ることができますと毎年一定の検事の供給原がそこにできて参ります。これに全力を注ぎ、優秀な人をこつちへ持つて来るより外に途がないと思いますが、それと検事希望者として来ました者に対しましては、品川に司法研修所という法務府の研修所がございますが、ここに割合若い検事、まあ大体検事任官後十年以下の連中にここで又訓練をやつております。副検事もやつておりますし、検察事務官も一定期間やつております。それ以上の人に対しましては今年四月にできました検察研修所で訓練をやつておる、まあこういつたようなことをやりまして検事の質を向上して行きますと共に、できるだけ司法修習生のうちから多くの検事志望者があるようにと今一生懸命やつております。
  38. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  39. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。如何ですか、尚御質疑がありますれば、午後に継続いたしますが、特審局関係は今日はこの程度でよろしうございますか。それでは一時半まで休憩いたしまして、午後に警察予備隊関係と海上保安庁関係を伺うことにいたします。    午後零時十四分休憩    ——————————    午後一時五十二分開会
  40. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それではこれから内閣委員会を開会いたします。  前回、即ち八月十四日の委員会におきまして警察予備隊組織につきまして予備隊令が公布せられた直後でありますから、その内容、それから又その何故に政令によらなければならなかつたかというような事情、或いはその運用の方法、殊に軍備となる虞れがないかどうかというような点、又警備をどういうふうに予定するかということ、それから予備隊を如何に配置して、どういうふうに動かすかというようなこと等につきまして、内閣官房長官の御出席を願いまして説明を伺つて、それに対し委員諸君からいろいろ御質疑がありました。今日はその後の状況を主として御説明を願いたいと思います。幸い法務総裁が御出席でございまするから、法務総裁からその御説明を願いまして、更に委員諸君から御質疑を願いたいと思います。
  41. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊令は八月の十四日にポツダム政令によりまして制定公布されたのでございますが、その後八月の二十三日にこれに関する施行令を公布いたしたのでございます。その内容は、予備隊におきまする職員の任免方法、又予備隊における職員の種類、それから警察官の階級、又採用の際における試験制度、それから特に一等警察士補以下につきましては二年を期間として任用いたしまするので、その任用期間、又昇任に当りましても試験によるものであるというようなこと、更に準禁治産者、或いは刑罰その他の関係職員としての資格を欠く場合の欠格條項、又職員の休職、免職等におきまする権限の一部を部隊長その他の職員に委任をいたします場合の規定、規律及び懲戒に関する基本條項、又表彰、それから特にポツダム政令において委任してありまする重要事項でありまする警察官の司法警察職員としての職務執行を限定いたしましたる規定、これらの事項を予備隊令の施行令といたしまして制定をいたしたわけであります。併しながら警察予備隊令を施行いたしまするために必要なる政令事項はこれを以て網羅いたしたわけではありません。重要なる事項といたしましては、給與、分限等に関する問題がこのうちには漏れております。この点は別に單行の政令といたしまして近く制定を見ることになるのでありまして、只今その案の内容につきまして関係当局と協議中に相成つておるわけであります。その後警察予備隊におきましては隊員の募集に若手をいたしたのでありまするが、この募集は先ず二十歳以上三十五歳以下の者について募集をいたしました。これは一般隊員及び中級幹部を用含めて募集かいたしたのであります。募集は全国におきまして国家地方警察の援助によつて行われたのでございまするが、その応募の状況は非常に好成績でありまして、最近までに七万五千の募集定員に対しまして、約三十八万の応募を見ておるような次第でございます。応募者は各府県におきまして所定の試験場に集めまして、ここで試験及び身体検査等をいたして採否の決定をいたしておりまするが、併し大部分の者は仮合格を決定いたしまして、その後身元調査等の結果を俟つて本合格にこれを引き直して、本合格になりました者を期日を指定いたしまして全国六ケ所の管区本部に附属しております国家地方警察の管区学校に集合せしめることに相成つておるのでございます。第一回の集合は八月の二十三日であつたと記憶いたしまするが、札幌、仙台、東京、大阪、広島、福岡、この六管区の管区学校に集合をさせまして、これらはいずれもこの場所におきまして人員を点検いたしまして、それぞれ制服などを渡し、そうして駐屯すべき場所へ移動をさせることに相成つたのでございます。現在までに三回これを繰返しておりまして、約二万の隊員がすでに勤務に服しておるのであります。駐屯の場所といたしましては、当初全国におきまして三十三ケ所を指定せられたのでありまするが、この三十三ヶ所は恒久的にここに駐在せしめるという趣旨のものではなく、一時急の場合におきまして收容すべき宿舎の都合からその所在を定められたような次第でございます。これは今後警察予備隊におきまして全国的に適当なる宿舎を調査いたしました上、全般的に配置の状況を勘案いたしまして最終的な決定をして、そこへ移動して落ち着くというふうにいたすことになつているのであります。今日まで募集いたしましたところでは、非常に素質は良好であるというふうに考えられております。これら募集されました一般隊員の中から特に幹部要員を選拔いたしまして、これらは別に一ヶ所に集合いたしまして訓練をいたしているような次第でございます。これらの幹部要員を除きました一般隊員は、それぞれ一応適当なる宿舎に移送して收容いたしてございまするが、これに対する訓練の根本的な方針につきましては、今尚関係方面と協議中でございまして、最後的に決定はいたしておりませんが、取りあえずのところは、関係方面の援助によりまして、それぞれその土地において訓練をいたしているような次第でございます。大体最後的な募集が終りまして、そして最後的な集合が終りまするにはあと一ケ月くらいかかるのではないかと予想をいたしているのであります。一般隊員はかような工合にすでに相当数の応募者がございましたので、すでに全国的には九月二日を以ちまして募集を打切りといたしまして、その後三十五歳以上四十五歳までの者を募集いたすことに相成つたのであります。これは特に幹部要員としてのみ募集をいたすのでありますが、これは来たる十五日以降に募集を行うことに相成つているのであります。こういう状況でありまして、現在のところでは一般隊員の募集の途中にありまして、幹部は一部養成中であり、又大部分は今後において募集されるというような状況でございまするので、全体としての予備隊の整備は尚相当期間を要するものと存ずるのであります。  それから装備でございまするが、これは只今までのところは大体小銃を操縦すというふうな程度でございまして、主としてこれを練習いたしているのでございまするが、併し今後の状況によりましては小銃以上の火砲、或いは対空兵器というようなものも訓練を受けるようになるのではないかと考えております。  それから経費の関係でございまするが、経費につきましては、ポツダム政令によりまして、本年度におきましては二百億円を限りまして、債務償還費から利用いたすことに相成つたのであります。これによりまして今年度においてでき得る限り装備を完全にいたして参りたい。又民間における生産界の状況その他の関係上、今年度において装備を完成できないものにつきましても、今年度内に契約いたしたものは、この二百億円のうち残金がありますれば、これを二十六年度に繰越して使用するということにいたしております。大体それによつて装備は、先ず最初のところは完成できる、こう考えております。その内容といたしましては、主として車輌類及び被服等でございまして、予備隊の特色をなしまするところの兵器関係の装備につきましては、主として連合国の援助を期待いたしまして、経費は見込んでおらないという状況でございます。  尚施行令に含まれておりません事項といたしまして、今後政令で規定しなければならん一番大きな問題は給與の問題でございまするが、この給與には、月々俸給相当いたしまする給與の外に、特に一応の勤務年限を二ヶ年といたしてございまするので、この二ケ年間の後に、退職をして行く、この場合の退職金として六万円程度の一時金を予定いたしておるということを附加えさして頂きます。又給餌は大体一等警察士補以下を平均いたしまして、五千円程度というところを狙つております。併しこれは宿舎におきまして被服及び食糧を官給いたしまする関係上、現在の一般警察官の給與に比しまして決して遜色はないものと私共は考えておる次第でございます。この点が目下関係方面折衝中でございまして、いずれも近くきまることと存じております。
  42. 河井彌八

    委員長河井彌八君) この際何か御質問がありますればお願いします。
  43. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 この予備隊は将来とも恒久的なものとしてお見込みですか。それとも臨時的なものというようなお考えですか。
  44. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私共は、この警察予備隊は、我が国の警察力の欠陷を補充いたしまするための恒久的な施設である、かように考え、又そのような考えの下に現在いろいろな準備を進めておる次第であります。
  45. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 そういたしますると、現在の人員より将来これを増加をされ得るというお考えですか。それともその現在の人員で十二分に将来とも足りるというお考えですか。
  46. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 只今のところでは、現在の人員で十分である、かように思つております。
  47. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 まあ問題になる点は、警察予備隊という名前で、実質的に、これが小軍隊のような形に移行するのではないかというようなことが非常に懸念されておるのですが、そういうようなことは絶対にあり得ないというお考えですか。その点と、それからもう一つは、軍隊と警察予備隊の限界ですね、どこまでが一体警察予備隊というお考えであるか。どの範囲の線を超えればこれは軍隊と言うか。そういつうはつきりした一つ考えをこの際承つわりたい。
  48. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私共はこの警察予備隊は飽くまでも警察力の一部であるという点において、これは決して軍隊ではない、こう考えております。殊に軍隊につきましては、すでに憲法におきまして陸海空軍その他の戰力は保持しないという明らかな定めがございまするので、この憲法の下におきまして軍隊を保持するということは到底許さるべきものではないということは申すまでもないと存ずるのであります。  そこでそれでは軍隊と警察予備隊はどういう点が限界であるかという第二の御質問でございまするが、この点につきましては、私共は二つの面から考えることができると思います。その一つは、飽くまでも性格と申しますか、或いはこの部隊の目的と申しますか、軍隊と申します以上はどうしてもこれは外国との交戰ということを目的としたものでなければならない。この意味におきまして警察予備隊は飽くまでも国内の治安の確保のみを目的といたしたものでございます。決して外国軍隊との交戰というものを目的としたものではございませんから、飽くまでもこれは軍隊でなく警察そのものであると考えるのであります。次に装備の点において軍隊と警察はどうであるか。今までの我が国の一般考え方といたしましては、明らかに警察と軍隊というものは別個に存在をいたしておりました。その場合におきまして装備の点において軍隊と警察というものは非常に隔絶いたしておつたのであります。併しながらその場合におきましては、国内における治安の維持のために、最後の場合においては軍隊を警察力として利用できるという保証が従来はありましたが、その点において警察力というものは火砲等を持たないというのが、火力と申しますか、銃砲等を持たないというのが原則であつたのでありますが、併し今日軍隊を放棄いたしましたところの我が国の憲法の下におきましては、従来軍隊があつた時分におきまして、この軍隊が警察力の最後の保証として治安上において持つておりましたところの使命、これはどうしても我々は今後これを警察予備隊に期待しなければならないと思うのであります。この意味におきまして従来の警察に比較いたしまして、警察予備隊が装備の点において格段と重い装備を持たなければならないということは、これはもとより申すまでもないと思うのであります。併しそれは飽くまでも国内における治安を目的としたものでありまして、外国との交戰を目的とした軍隊とはその面においても相当な違いがあり得る。これは決して理論上の違いではございません。併し現実には違い得ると思うのでございまして、私共は今後におきましても、この警察予備隊が今日の軍事的な水準から見て外国との交戰に堪え得る程度の軍隊というものに相当するようなさような大きな装備は到底持つことができなかろう、かように考えております。
  49. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 私は確かこの前の国会の、第八国会のときにこの点でお伺いしたときに、記憶しておることは、大体まあ国内の治安確保の範囲であるんだから、装備としては大体小銃或いは大きくとも軽機関銃ぐらいの程度のもの、これがまあこの限界で、大体この限界を超えるということになれば、これは軍隊というようなことにもまあ解釈され得るというような見解をその点で聞いておつたと思う。ところが僅か幾月もたたない今になつて、これが又火砲になるというようなことになれば、一体その火砲から今度はまあ小さな一つ飛行機も要るんじやないか、又その他にもぽちぽちと必要なものが次から次と装備としつて出て来るんじやないか。そういうことになると限界が一体これも要る、あれも要るということになつて来れば、非常にあいまいになろうかと思うのです。で、そういつたこの前のお考えと今言われておるお考えが変つておるんじやないか。なぜそういう工合に変つたかこの点について御説明を願いたいと思います。
  50. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私共は第八国会と現在と、この点について考えが変つたという事実はないと思います。それは只今も申上げました通り、装備については警察予備隊と軍隊というものの間にはこれは或る程度の限界があるとしても、それは決して理論上のものではない、それは單なる実際上の問題であつて、理論上の問題ではないということを考えております。即ち国内治安の観点におきまして、現在の段階においてどの程度の装備が必要かということによつて、予備隊の装備の限界がきまつて来るものであり、決してこれはどういうもの以上のものはこれは予備隊としては理論上許されないのだというような、理論的な問題とは考えておりません。第八国会におきまして、警察予備隊の装備としては大体小銃或いは軽機あたりを予想しておると、こうお答えをいたしたことは私も記憶いたしておりまするが、この装備は当時も申上げたと存じまするが、これは現在我が国にかような装備を製造することもできませんし、又そういうものの持合せもないわけでありまして、すべて連合軍の援助によらなければならないわけでありまして、さような点におきまして現在司令部でどの程度の装備を準備をいたし、どの程度の装備を貸しつてくれるかということによつてきまるわけであります。それについての一応の見通しを、当時の見通しとして差当りは小銃、それに次いでは軽機くらいが必要ではないかという予想を申上げたわけでありまして、我々は軽機以上のものを持てば軍隊であるということは当時も考えておりませんし、又今日におきましてもどの程度の火砲を持てば軍隊と言わなければならんということは決して考えておりません。要はその目的によつてきまるものである、こう考えておるわけであります。
  51. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 いろいろ実際現在の治安の状況が詳しく我々分らないのですが、新聞やその他のいろいろな面から考えて見ますると、我が国の治安が確保されるために、たかだか小銃か軽機があれば完全に治安が確保できるというように我々は考えておるんですが、それ以上火砲まで持ち出さなければ治安が確保できないというような実際具体的に現状にあるかどうか。あれば一つどういう状態にあるかということを一つ説明願いたいと思います。
  52. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 現在の段階におきましては、警察予備隊において火砲を使つておるという事実はございません。現在におきましては大体小銃を使つております。
  53. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 そうすれば現在の段階で小銃程度で差詰めいいのではないか、火砲を装備しなければならないというような事態でなければ、その範囲で装備は止めて置かれたらどうかと、こう一応常識的には考えられるのですが、その点はどういうお考えですか。
  54. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 只今のところは今申上げた通り一応小銃程度を装備するということに相成つております。
  55. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 先きほどいろいろお話があつたようですが、現在早く入つて来た者は訓練をやつておるということですが、訓練は一体具体的にはどういうようなことをおやりになるのですか。
  56. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 訓練といたしましては、只今のところ司令部の指導によりまて、それぞれ宿舎を中心といたしまして簡單なる練兵或いは簡單なる小銃の操作というようなことをいたしております。
  57. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 予算は、今年度、二十五年度予算は正確なその数字がもう出ておるのですか。出ておれば一応どのくらいの予算か、それから引続いて二十六年度予算も大体決定されておれば決定された……、或いはお見込はどのくらいであるか。
  58. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 今年度分の予算につきましては、ポツダム政令の附則によりまして、債務償還豊中から二百億円を限りまして警察予備隊の経費に移用することができるということに相成つております。そうしてこの移用の実施につきましては、大蔵当局と相談をいたしました結果、四半期ごとに内容を検討いたしまして大蔵省から警察予備隊に対して予算をつけて貰う、こういう話合になつております。  それから来年度の予算につきましては、只今大蔵省の第一次査定におきましては、年間百二十億という線を出しております。併しこれでは不足いたすであろうという考えの下に目下復活要求をいたしておる状況でございます。
  59. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 それから装備或いは被服等の点でありますが、これは関係方面から今借りておるということですが、これはただ借りておるということなんですか、それとも政府はこれを向うから買取るということなんですか。いずれ借りておつても傷む物でもあるし、なくなる物でもあるということで、その点の予算上の問題はどういう工合に今扱つておるのですか。
  60. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この装備につきまして、被服と武器とを区別いたしてお答え申上げます。被服につきましては、これは日本側で準備をするということになつておりまして、只今連合軍からこちらへ受取つておりまする被服は、これは当方の予算を以て買入れるという措置をとつております。それから武器につきましては、これは貸與を受けておるという状況でございます。今後その損耗につきましてどういう措置をとるかという御質問でございましたが、この点につきましては、まだ格別に話合いをいたしておりません。
  61. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 もう一つつて置きたいのですが、全国三十三ケ所の現在なにしておるところは、これは一時的な宿舎である、都合によつてということですが、これについては今のところ確定している箇所はあるのですか、それとも全部確定していないのですか、その点を。
  62. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この点は、こういう事情でございまして、実は現在予備隊の宿舎として使用しておりまするところは、従来連合軍のため準備された宿舎でございまして、これらがいろいろな事情で今空いておりまするものがございまするので、そこを取りあえず司令部側の斡旋によりまして借りて收容している。こういう事情でございます。従いましてこれは成るべく早くこちらの保有の宿舎を準備いたしまして、そちらへ引取らなければならない、こういうわけでございまして、現在でも他に適当な宿舎がありますれば、その方へ転換させております。例えば山口県におきまする小月の兵舎、これは山口県の防府市の臨時の宿舎におりました者の一部をそちらへ移動せしめましたが、これらは日本側において準備いたしました保有の宿舎でございまして、長く使用できる見込でおります。
  63. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 新しく、いろいろ宿舎の特異性等があつて、あながち旧陸海軍の建物を今そのまま利用するということは可能でないかも分りませんが、併し現在国有財産として所々にまだ残つておるものが随分あるかと思います。これはただ徒らに民間企業に売拂うというようなことよりも、大蔵省当局とよく御相談を願つて、できる限りこういつた旧陸海軍の施設を利用して貰いたいと、これは質問でなくて希望を申上げるのでございますが……。
  64. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 只今のカニヱさんの御趣旨は私共も全く同感でございます。只今予備隊当局といたしましては、お話になりましたような旧陸海軍の従来の宿舎をできるだけ転用したい、今日大蔵省で保有をいたしておりまするものを優先的に調査をいたしておるような次第でございます。
  65. 梅津錦一

    梅津錦一君 この前に八月十四日の委員会で官房長官にお尋ねしたのですが、私は経済閣僚でないから予算のことについては分らないというお答えがあつたのですが、閣僚会議を開いておるのですから、私は大臣は承知あるものと仮定をいたしましてお尋ねするわけでありますが、国債償還費のうち二百億を保証するという、これはあちらさんもそういう意味で政令を出したと思うのですが、あと残りの部分一千二百八十五億と記憶しておるのですが、そうしますと、千八十五億が現在使用でき得る範囲だと思う。これをすでに国債を買上げるために大蔵省が拂出しておるかどうか、どのくらい沸出しておるのか、官房長官お分りだと思うのですが、後刻大蔵大臣から聴取いたしまして報告をする。お話を申上げるという話だつたのですが、もうすでに法務総裁は御存じだと思いますが、拂出しているかいないか。いるとすれば、どのくらいまで支出しているか、その辺をちよつとお尋ねしたい。
  66. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この点は一つ大蔵大臣にお聞きを願いたいと思います。私といたしましては、只今の御質問内容は事実承知いたしておりません。
  67. 梅津錦一

    梅津錦一君 重要な問題だと思うのですが、これは国会で承認してすでに二百億を本年度は予備隊としてもう決定される、あと排出しているか、いないか大蔵大臣でなければ分らんということならそれは万止むを得ないと、こう考えますが、そこで私の杞憂と思うものは、杞憂とするものは、一体その二百億使つてあとの残りは何らかの形で将来の準備として留めてあるとすれば、これは我々としては相当考えざるを得ない。先程も御説明で装備としては小銃乃至それ以上の火器が使用されるかも知れない、尚進んで対空兵器的なものということになりますと、およそ飛行機と言いますか、或いは何かそうした空に関係のあるものが装備として考えられるということになると、單純な警察予備隊としての行政上の問題だけではないと、こう考えるのですが、まあ政府がこれもそうした意味で万一に備えるための治安維持上の問題であるとすればそれまでだと思うのですが、民間では非常にそのいろいろなことが伝えられている。結局小銃が、この前は騎兵銃というような小型小銃というわけだつたのですが、小型小銃或いは軽機関銃、或いは重機関銃或いは民間では戰車まで使用するのだという、こういうようなことを言つて、あたかも殆ど再軍備のように民間では言つておるのですが、私もそういうことに対しては恐らくそういうことはないだろうと、これは單なる民間の、まあ臆測であつて、国としてもそういうことは勿論考えていないし、我々も寡聞にしてそういうことは承知してないと思うわけですが、民間ではそういうような臆測が非常に逞しくされておる。こういう点から政府はそれに対してはつきりした態度を表明すべきであると、こう考えるのですが、今日の只今の委員会でも、それ以上の火砲ということになりますと、これはおよそ想像もしませんし、或いは対空兵器というようなことになりますと、何だか分らない。こういうことがまあ臆測の原因になるのではないか、こう考えるのですが、この点もでき得る範囲はつきりして貰いたいとこう思うのですが。
  68. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 誠に御尤もな質問でございます。私共といたしましては、現在の段階におきましては、差当り小型小銃、これが装備されるものと考えております。ただ、或いは軽機とか、或いは対空火器とか、それ以上の火器とかいう問題はこれは現実においてさようなものが警察予備隊において使用されるであろうということを申上げたわけではございません。これは先程もカニエ議員の御質問において警察予備隊と軍隊との限界は如何なる点にあるか、こういう御質問でございまするが、装備の点につきましては、理論的には国内治安のために必要ならば如何なる装備も許さるべきである。これが我々の理論上の考え方であります。こういう意味において、或いは高射砲のようなものが必要だ、現状において私共必要とは決して思つておりません。併し必要だと仮定しまするならば、それはそういうものも、警察予備隊だからそういうものはいけないということはあり得ないだろう。必要ならばそういうものも装備しなければならない。又機銃或いはそれ以上の火砲というものにつきましても、これは理論上、警察予備隊だからそういうものはいけないというのでなく、国内治安の上においてどうしても必要であるということならば、そういうものも許さるべきである。又それが許されたからと言つて、これを装備の点から見て、これは軍隊ではないかというのは当らないと、こういうことを申上げた趣旨であります。現在の段階におきまして、警察予備隊の装備として我々が予想いたしておりまするものは、飽くまでも小型小銃の程度であるということははつきり申上げ得る点でございます。この点は一つ誤解のないようにお願いをいたしたいと存じます。
  69. 上條愛一

    ○上條愛一君 ちよつと今のことに関連するのですが、警察予備隊の目的というものが、総裁のお話では治安維持に重点がある、こういうことなんですが、それで我々の考では、治安維持にあるとすれば、現在の警察力を拡充すれば足りるのではないかというふうに考えておつたのですが、併し突如として警察予備隊を設置しなければならんということになつたについては、これは吉田総理も議会で、主として共産党の暴力革命に対する準備としての意味もあるというようなことを言われておつたのですが、要するに兵器の問題にしても、この現実の相手によつて、これは今装備の問題も違つて来ると思うのですが、警察予備隊の設置は、将来においてそういう必要があるという意味で設置したのか、或いは現実にすでに警察予備隊が必要であるという何か現実の対象があつてこういうものを作られたのか。その点についてできる範囲のことを御説明願いたいと思います。
  70. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 警察予備隊の創設は、マツカーサー元帥の書簡によるものでありまするが、私共はこれは将来において必要を生ずるであろうということを予想して作られたものでなく、現在の段階においてかような準備をなすことが必要であるという情勢から出たものと考えております。そうしてこれが必要を痛感するいろいろな事情の一つに、共産党の最近の運動方針というようなものも、やはりその一つの原因をなしておると、かように考えておるのであります。
  71. 上條愛一

    ○上條愛一君 そこで私の御質問いたしたい問題は、現在の実際の情勢の程度においては今の小銃くらいで間に合うような一体事情であるのか、現在の事情においてももつと優秀な兵器というようなものが必要な情勢にあるのか、その辺によつて、現実の必要によつて装備の点などはやはり違つて来るのじやないかというふうに考えておりますが、現在の実情においてはどの程度の兵器で間に合うというお考えか、お伺いいたします。
  72. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 兵器だけを切離しまして、現在の情勢においてはどういう兵器が必要かということを論議することは私困難だろうと思います。と申しますのは、元来兵器も一つの機械でございまして、機械というものは、これは飽くまでも人の力をそれだけセーブするという面があるわけでありまして、兵器が優秀ならば警察予備隊の数はそれだけ少く済むであろうし、又兵器の力が大きくなければ全体の力を増す上からいつては隊員の総数を増して行く。結局兵器と隊員の数を乗じた数、これをば或る限られた範囲内において、できるだけ有効に大きくして行く。それのためには私共はこの兵器の種類がきめらるべきものとかように考えておるわけであります。併し理論的にはそういう次第でありまするが、現実の状態といたしまして七万五千の警察予備隊が今日創設されまするならば、現在の段階が長く続くものといたしまするならば、先ず小型小銃が全部に装備される。これによつて相当予備隊として威力ある活動が期待できるものと、かように考えております。
  73. 上條愛一

    ○上條愛一君 つまり現在の実情に応じた対策が立てられるということなんですね、現状においては……。
  74. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) そうでございます。
  75. 梅津錦一

    梅津錦一君 先きほどの御質問において、目下発注しているものは服装ですか、或いは車輌というお話がありましたが、勿論機動性を持つ警察予備隊である以上、何らかの車に乗らなければならんと思います。その車輌ですね、今使われているのはトラツクですか、ああいうものか、或いはあれを改造したようなもつと軍隊化したものか、何か特殊な車輌を研究しているかどうか、それをちよつとお尋ねしたい。
  76. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 車輌といたしましては、大体現在のトラツク程度のものを予想いたしておるわけであります。併しながら実際の注文はまだいたしておりません。どういうふうな形、又どういうふうな程度のものが有効であるかということを目下研究をいたしております。さように御了承願います。
  77. 梅津錦一

    梅津錦一君 九月十五日以降幹部要員を募集する、三十五歳から四十五歳くらいまでですか、こういう幹部要員の適格者ですが、どういう者が適格者として考えられるか、幹部要員の資格ですが、どういう者が該当者として好ましいか、それをお伺いしたい。
  78. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この点は、丁度人事局長が参つておりますから、人事局長から御説明いたします。
  79. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) 幹部要員選考の問題は非常に我々として重要に考えておる問題でございまして、現在愼重に関係当局の方と相談をしておるわけでございまするが、ここで具体的に申上げることは困難な点が多いのでありますが、大体におきまして一般隊員のレベル以上、或いは中等学校卒業以上程度のところに、年齢も高いという者を選んで行きたいと考えております。
  80. 梅津錦一

    梅津錦一君 この前の委員会でお尋ねしたのですが、大体特殊技能を有する者は、兵籍があつても、或いは追放軍人であつても特免の形において採用し得るという話があつたのですが、これも一つの性格だと思うのですが、そうしたことも我々は想像に難くはないと思うのですが、それ以外に何か特殊な官庁におつたとか或いは公務員であつたとかいう者は現在考えられておらないのですか。
  81. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実は特殊な技能と申しますのは、この警察予備隊一つの部隊組織をなしておりますので、部隊の指揮或いは訓練等の経験があるという者は、この予備隊の上におきましても一つの特殊技能がある者と考えられると思います。はつきり申上げますと、曾て軍隊の幹部として勤務しておつた人たち、こういう人たちはそういう意味において特殊技能と認められると思うのであります。けれどもこの警察予備隊幹部として任用いたしまするために、公職追放令の適用を除外する、或いは特免するというような措置は断じて採るべきではないと考えておるわけでありまして、軍隊の経験者を採用いたしまする場合におきましても、追放に該当していない人たちに限る、こういう考えを持つております。、
  82. 梅津錦一

    梅津錦一君 旧軍人であつて、或いは下士官、或いは将校としても下級将校で追放にならない将校がおるのですが、こういう人たちの中にも超国家主義的な考えを現在持つているかも知れない。こういう者に対しては嚴重なる調査をやるつもりでいるかいないか、その点を明らかにして頂きたいと思います。
  83. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) これは民主主義の憲法の下において、民主主義の憲法を護るための警察予備隊でございまするので、私共は超国家主義的な思想がこの予備隊に入り込むことは極力戒めなければならないという考えを持つております。
  84. 上條愛一

    ○上條愛一君 給與の問題についてはまだ明確な御規定がないようですが、ただ新聞では何か五千円均一にするという意見、それから二千円程度の食費をとつたらどうかというような御意見があるようですが、これは一般公務員、つまり警察官並に取扱うということになれば、我々の考えでは民間の会社においても衛視等は寄宿舎や食糧を経営者側が負担しておつて、賃金としてはそういうものを拔きにした賃金を支給しておつたが、現在としては賃金として出して、賃金の中から食糧費を実費として徴收するというような制度をとつておりますが、警察予備隊にしてもそういう食糧費とかいうようなもの或いは寄宿舎というものは国家で負担して、そうして五千円なら五千円というものを画一に支給するというお考えか、そうでなしに外の公務員との比較をする場合に俸給俸給として出して、そのうちから食糧費なり何なりは取るという御方針で行くか、或いは例えば一般公務員と生活水準から見れば、地方によつて多少の差がある。生活水準に多少の差があると思いますので、そういう差異を付けるというようなお考えか、そういうような点についてまだ明確になつておらんかも知れませんですが、お分りになりましたら。
  85. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実は警察予備隊の隊員に対する給與といたしましては、一等警察士補以下、その他の者とは区別いたして考えております。一等警察士補以下は、普通宿舎に生活をするということが原則に相成つておるのであります。これらの人たちに対しまする給與の立て方といたしましては、食糧、被服は全部官給であります。尤もこれは食糧が官給であつて、被服は全員に対して階級の如何を問わず官給いたします。特に食糧が官給になつております。そうしてその外にこれらの各階級を通じまして一等警察士補以下の賃金を平均月五千円という程度にいたしたい。勿論これは階級によつて多少の高下はありまするが、大体一番下の階級におきまして月額四千五百円ぐらい、そうして大体五千円程度になる、平均して五千円程度になる、こういう考え方でございます。それでその他の隊員につきましては、特に他の人たちと食費について取扱は異る点はございません。そうして全体の給與といたしましては、地域による勤務地手当というものをば、特に地域に応じた計算をいたさずに、これに相当する金額を全部平均いたしまして給料の中へぶち込んで一本の給料を定める、こういう考え方であります。
  86. 上條愛一

    ○上條愛一君 そうすると、要するに非常な都会での宿舎におられる人も、地方の宿舎におられる人も、これは一本でやるという画一的の支給をしようということなんですか、大体において。
  87. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) さような趣旨でございます。
  88. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 如何ですか、警察予備隊関係はこの程度でよろしうございますか。
  89. 上條愛一

    ○上條愛一君 私はこの程度で。
  90. 河井彌八

    委員長河井彌八君) じや有難うございました。   —————————————
  91. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に海上保安庁の増員につきまして、丁度海上保安庁長官の御出席を願つておりますので……、その内容につきましては、マツカーサー元帥からの書簡が来ました当時、極く概要を伺つたに止まつております。細かい点については伺つておりませんから、この際その点につきまして大久保長官から御説明を願いたいと思います。尚引続きまして委員諸君から御質疑がありますればお願いいたします。
  92. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) それではマツカーサー書簡に伴う海上保安庁のその後のやつておりまする準備並びに朝鮮事変後における書簡にもあります密航、密輸等の諸情勢等につきまして御報告を申上げたいと思います。  第一に、朝鮮事変勃発後の密航、密輸の状況について申上げることにいたしますが、便宜上これを分けまして、日本と朝鮮間において行われました犯罪、日本と沖繩間において行われました犯罪に分けて御説明申上げます。  最初の日本と朝鮮間の密航、密貿易につきましては、事変勃発後日本と朝鮮間のこれらの犯罪の情勢は、戰局の変化に伴いまして多少の移動はございましたが、その数は概して少いように見受けるのでございます。海上保安庁で検挙しました数は、不法入国で七件、七十九名、不法出国で六件、九名、合計八十八名でございます。密貿易はまだ検挙をいたしておりません。尚対馬の厳原の海上保安部からの報告によりますと、対馬地区の警察におきまして九月二日十四名、三日二十九名、不法入国の朝鮮人を逮捕いたしておりますが、釜山には多数の避難民が集まり、小型船が多数待機しておるとの情報もあり、又対馬におきましては日本人ブローカーや朝鮮人の往来が激しくなりまして、朝鮮向け密貿易が活発化する兆候も見えますので、当庁におきましては各管区海上保安本部に指令いたしまして、一層厳重な警戒を実施いたしておる次第でございます。  次に日本と沖繩間の犯罪について申上げますと、本年七月十一日附政令第二百二十七号によりまして、沖繩から来航する者で連合国軍最高司令官の許可を得ない者は不法入国者として取締ることになつたのであります。日本と沖繩間の不法入出国につきましては、單なる密航を目的とする者は稀でありまして、殆んど密貿易を目的とする不法入出国者と考えられるのであります。その数は、密輸入十五件百三十八名、密輸出二件十二名、合計十七件の百五十名に及んでおります。密輸出につきましては、その手段がますます巧妙になりましたのと、日本国内におきまして各種の統制が漸次外されたことによりまして、臨検しました際に証拠を抑えることが非常に困難になつて来たのでございます。密輸出をする者は、国内の港から港へ海上輸送するふうを装い、巡視船が臨検いたしまして密輸出と思われる節がありましても、証拠がなければ逮捕することができず、そのうちに密輸出船は間隙を縫つて沖縄に到着するといつたような按配でございまして、その取締には一層の努力を要するものと考えておる次第であります。  以上申上げましたように、日本と朝鮮間の密航、密貿関係が事変後むしろ幾分減つたように見受けられておりまする点は、海上保安庁におきましても朝鮮事変勃発以後、朝鮮海峡方面に相当多数の船艇を配備いたしまして警戒を嚴にいたしておりますのと、連合国軍におきましてもそれぞれ朝鮮海峡の警備を嚴にしておられること、並びに南鮮側におきましても朝鮮側より日本に渡航する者に対しまして相当嚴重なる警戒をいたしておりますところの関係からいたしまして、これらの犯罪がむしろ減つておる状況にあるものと考えられる次第であります。併しながら朝鮮事変の今後の推移、その他諸般の情勢からいたしまして、この地区における密航問題は相当急激に増加する可能性をも孕んでおる次第でございまして、こういう点につきましては、今後海上保安庁といたしましても十分警戒を厳重にいたしまして、適宜の措置を誤らないようにいたしたいと考えておる次第でございます。  次にマツカーサー書簡に伴う海上保安庁の強化態勢の準備状況を申上げることにいたしたいと考えるのであります。マツカーサー書簡によりますれば、海上保安庁の職員八千人を増加すべしという指示を得ておるのでございます。併しながら海上保安庁の職員の増加は、單に人を増員することによつて足りる次第ではなく、どうしてもこれを配乗するところの船艇を必要とする次第でございます。そこで海上保安庁といたしましては、取りあえず昭和二十五年度の予算において繋船することになつておりました二十隻の巡視船を全面的にこれを朝鮮事変以来活動に移しまして、これを使用しておりまする外、旧海軍艦船のうち、三隻をその筋の御了解を得まして海上保安庁の巡視業務にもこれを使用し得ることといたしました外、海上保安庁の巡視船艇の緊急なる新造計画を立案いたしました次第でございます。その内容を申上げますと、建造隻数百五十五隻、千二百トン級巡視船四隻、四百五十トン級二十隻、二百七十トン級二十七隻、合計巡視船の鉄船五十一隻、それから警備艇におきましては二十三メーター内火艇二十九隻、十二メーター内火艇五十隻、十二メーター消防艇五隻、十二メーター救命艇二十隻、合計百四隻、その総合計百五十五隻に相成る次第でありまして、その総予算、二十五年度並びに二十犬年度を通じまして約六十一億四午九百万円に相当いたすのでございます。この予算につきましては、目下大蔵省と予算折衝の最高潮の段階にある次第でありまして、ここ数日中には決定する見込でございます。このうち三十五年度に支出いたしまする予算分は、他の予算と併せまして債務償還費から振替使用することにいたす予定でございますと共に、これらの船艇はおおむね昭和二十五年度に発注をいたしまして、昭和二十六年度に継続して工事しなければならない筋合いでもございますので、二ケ年に亘る継続費の創設をお願いしなければならない次第であるのでございまして、この点は今後における海上保安庁の、ポツダム政令等においてその予算行為の取り得る措置を認めて頂かなければならない次第でございます。以上によりまして、海上保安庁の巡視船、警備艇等の整備が行われるに伴いまして、海上保安庁の人員を増強いたさなければならない次第でございます。先程申上げましたように、海上保安庁は、事変勃発以来、現在繋船しておりました船すらこれを活動に移して行動いたさしております関係上、勢い予算のない船も動かしておりますので、乗組員は従来動いておつた船からごぼう拔きをいたしまして、新しく動く船に配乗をしなければならない結果に陷つております関係上、現在動いております船は非常なる労務過剰になりまして、非常な病人も続続として出るような状態なつておりまする過労な状態にあるのに鑑みまして、至急これらの巡視船の要員を互間増加をしなければならないという点の差迫つた問題がありますのに加えまして、基地における通信要員その他も殆んど不眠不休で事変以後携つております関係上、当直要員の整備強化等の必要もございまして、取りあえず約一千百五十名、それに基地要員等を合わせまして約一千五百五十名の職員を緊急充員をする必要に迫られたのでございます。そこで八千人の増員のうち、海上関係の勤務者約一千百五十名につきまして先般募集広告をいたしまして、全国に亘つて目下試験をいたしておりまする最中でございます。そこで海上保安庁の募集する応募状態は、非常なる沢山の応募者がございまして、保安官におきまして競争率は約五倍でありました。海上の属員即ち、保安官の補助要員に対しましては、海上経験者において三十倍、海上の経験なき者に対しましては二百倍の比率による応募者がございまして、誠にその応募数の多いことに一驚したのでありますが、これは日本の国民の海洋民族としての性質からいたしましても、海上保安庁に対する非常なる青年の要望が指向しておるものと考えまして、今後これらの人員から相当優秀なる人材を簡拔することができるだろうとかように考えておる次第でございます。尚これらの増員に引続きまして、現在海上保安庁は二十五年度予算におきまじて九隻の船艇を建造いたしております。これらの船艇が逐次来年度に入りまして竣工いたしまするし、又今回予算要求しておりまする船艇も緊急工事をいたします関係上、続々として来年になりますると竣工をいたして参ります関係上、いずれ第二回の募集計画をいたさなければならないと考えておる次第でございまして、目下の見込から申しますると、昭和二十五年度内に充員しますものは八千のうちおおむね五千人と見込んでおる次第であります。残りは昭和二十六年度に竣工する船艇等に配備する予定をいたしておる次第でございます。参向この際海上保安庁の職員制度の点について若干申上げますると、海上保安庁は警察予備隊と若干構想を異にいたしておりまして、短期の一種の現役制のような制度は今のところ採らない方針でございます。海上保安庁の職員は、船舶に乗組んで海上の勤務をいたします関係上、相当の熟練度を必要といたしますために、短期の交代制によりましては到底完全なる操練を経た人員を配備することは困難であります。かような関係からいたしまして、海上保安庁の職員相当長年勤続して職務について貰う必要があると考えておる次第であります。併しながら同時に海上勤務は非常なる強度の肉体的消耗を伴う次第でございますので、又相当肉体的な正確なる視力、或いはその他の健康というものを必要といたします関係上、無制限にこれを終身制として置くわけにも参らない次第でございます。そこで海上保安庁の保安官の職種等によりまして、おのずから一定の停年制を布かなければならないだろう。例えて申しまするならば、海上保安官は何歳まで、一等海上保安正は何歳、保安士は何歳というふうに、一種の停年制を設けなければならない、だろうと、かように考えておる次第であります。その次に、海上保安大学並びに海上保安学校、海上保安訓練所というものを来年から創設いたしたいと存じまして、目下予算折衝中でございますが、海上保安訓練所と申しますのは、海上保安庁に新しく採用いたしました者を訓練する所でございまするし、海上保安学校は、新採用の訓練を経た者が実務についた以後昇進して再訓練を受ける学校、並びに現在海上保安庁に勤務しております者を再訓練をする学校であります。海上保安大学校は、新制高等学校を卒業しました者を四年間の特殊操練をすると同時に普通学問を修めしめる学校でありまして、これらの新しい海上保安庁の新学制をアメリカのコースト・ガードに倣いまして来年の四月から発足をいたしたいと考えておる次第であります。このうち海上保安大学校の卒業生で、一定の学生の期間中に官から給付を受ける者につきましては、卒業後一定の勤務の義務年限を課さなければならないと、かように考えておる次第でありまして、これはアメリカのコースト・ガード等におきましてもひとしくとられておる制度でございます。その次に海上保安官の階級は、現在十一階級ございますが、この階級に相応した給與の級と号とを設けまして、その実額は勤務の性質にふさわしいものとし、或る程度予備隊とも権衡をとる必要があろうと考えられる次第でございます。次に船舶乖組員、或いは燈台職員等の食糧、被服等につきましては、現在海上保安庁の体制は二つに分かれまして、一部食糧を現物給與するものと、金銭給與によつて自己で賄うものとあるのでございますが、将来の船舶の機効力等を増加いたしますためには、食糧等の現物給與、これは絶対に必要な條件でございますので、これらの現物給與制をとることにいたしたいと考えておる次第でございます。かように海上保安庁が停年制等を布きます関係上、一般公務員に比較いたしまして、恩給の期限を若干繰上げ、共済年金等の期間を繰上げ、退職手当等において若干の例外を設けますことは、これらの勤務條件からいたしまして止むを得ないかと考えておる次第であります。その他海上保安庁職員の分限、懲戒、身分保障等につきましては、海上保安庁職員が高度の規律を必要とする上からいたしまして、一般公務員と或る程度特殊の地位といたしますことは止むを得ない次第であります。  以上申上げました諸般の事項からいたしまして、海上保安庁の職員を、何らか一般公務員法に対しまして例外的な措置を講ずることにつきまして、目下人事院におきまして御研究を煩しておる次第でございます。その他海上保安庁の準備すべき事案の中に、通信或いは基地の装備等諸般の問題があるのでございます。このうちでも通信関係は海上機動力を強化します上におきまして最も重要な装備でございますので、この関係につきましてはレーダー、或いは無線施設、或いはそのオペレーターの増強等につきましてそれぞれ予算を組みましてこれが実現方を目下交渉中でございます。その他の装備等につきまして若干交渉中のものもございまするが、以上申上げましたような装備の強化は是非実現をいたしたいと考えておる次第であります。  尚又海上保安庁のアメリカ、イギリスにおけるライフ・セービング・センター、海岸に非常に沢山の一種の人命救助基地というものを設けておりまして、これ等の基地は若干の内火艇によつて装備いたされておりまするが、この沿岸各地に設けられました無数のライフ・セービング・センターがいろいろな非常時において相当人命の救助、その他哨戒任務に非常なる功績を挙げておる次第でございます。海上保安庁におきましても、来年度からこのライフ・セービング・センターを全国に沢山その網を張りめぐらすということも構想に入れまして、目下予算折衝等を続けている次第でございます。  以上甚だ大掴みに申上げましたが、海上保安庁の現在の準備状況の概要を御説明申上げました次第でございます。
  93. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 何か御質疑がありますればこの際願います。
  94. 梅津錦一

    梅津錦一君 海上保安官の乗組員ですね、船舶の、艦艇ですか、艦艇には何らか特殊な武器か何かが装備されているのですか。何でしたら速記を止めても結構です。
  95. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  96. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。
  97. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 海上保安庁法によりますと、一海上保安庁の船舶は隻数百二十五隻、最大の船舶千五百トン、すべてのトン数五万トン、一隻の最大速力十五ノツトというふうに法律制限をされている次第であります。千五百トンまでは造れる筈でありますが、一応今回は船舶の建造の技術的な熟練その他から申しまして、現在まで七百トンクラスを最大のものとして造つておりました。今回は千二百トンまで上げる。いずれは又手五百トンまで上げたい、こう思つております。
  98. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 ちよつと私おらなんで、外の人がお聞きになつたかもわからないのですが、この前の確か国会では、これは警察予備隊の場合等と違つて、新しく新設されるのでなくして、あるものに増加されるのだから、従つてこれは法律で当然おやりになるというように考えておつたところが、政令でこれがやられるということですが、その点の事情はどうなのですか。
  99. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) これはこの前の国会におきましても、運輸大臣から政令でやる政府の方針であるということを御答弁されたように記憶いたしております。私は政府の方針に従つて事務を進めておるわけであります。
  100. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 その間の事情は、大臣なり政府当局に機会があれば伺うとして、装備の点で、現在の装備で完全に任務が果せるかどうかという点と、それから警察予備隊の場合は軽機関銃の外に火砲をも使用するというようなことなのですが、そういつたようなお考えがあるのかどうかという点と、それから速度の点が果して十五ノツトで完全にこれでも任務が全うできるのか。仮にそれ以上速いものが出て来て、それが犯罪を犯すというようなことになれば、これを追つかけて行つても逮捕することもできないというようなことになりはしないかというような点をお伺いしたいのですが。
  101. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  102. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。
  103. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 人員増加は、これで足りるか、足りないならば今後どういうふうにするつもりですか。
  104. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) お答えいたします。海上保安庁は先きほど申しましたように、人員だけでは解決しない問題であります。先ず船を必要とします。船もトラツクのように流れ作業で月産何百台というようなわけには参りません。そこで現在船の建造というものは、日本の造船能力に制約される、又新しい設計の船を始めるといたしますならば、そのエンジンの木型からこれを造らなければならないといつたような、一つの前提となる制約が非常に多いのであります。そこで例えば今度の八千人にいたしましても、日本の造船能力相当フルに使う、海上保安庁の船のような精巧なる船を建造し得る造船所というものは、おのずから技術的に定まつて来るわけでありますから、そういう造船所の造船能力というものを相当フルに使つて、大体昭和二十六年度一ぱい百五十五隻を建造するのに必要とする、こういうことでございますから、それらと睨み合せまして考えれば、ここ一両年に関する限り、日本の造船能力で新造で参りますことを前提といたします建前からいたしますと、現在の八千人で一応満足しなければならない状態であろうということが考えられます。
  105. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 もう一つ、給與の点ですが、一般官公吏の場合と非常に勤務の状態が違うのじやないか、例えば毎日自分の家から通つて、そして晩に帰るということでなくして、海上保安庁の場合は、どのくらいの日数になるかわかりませんが、殆んど海の中で生活をしておるという状態であれば、非常にその点が違うのじやないか、而もそれと同じような状態にあるところの船員等の給與の状態と、一体どのくらい給與状態が違うのかという点と、それから今後この給與の状態を一体、少くとも海上保安庁の場合においてはどういう工合に整理しなければならないか、それについての折衝が如何に行われておるかという点、それに対する見通し等について御説明願いたい。
  106. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 海上保安庁の保安官並びに乗組員、その他補助要員の給與につきましては、これは非常に重要な問題でございまして、御説の通り船員その他の振り合いを考え、又危險の部面も勘案いたしまして決定しなければならないと考えておる次第であります。事変以来非常な激務に携つておけまして、一船のうち大半病気のために倒れるといつたような船も出たような事例もございまするし、又荒天に出動します場合に、一日飯が食えないで航海しておるといつたような状態もございまするし、又検挙いたしましたような場合には、荒天の航海から帰つて来て、直ちに犯人の調書を作るために取調を行うといつたような、全く不眠不休の状態でございます。而も極く一般的に申しまして、この事変後船員につきましては、危險手当等が相当行われております関係上、概算いたしまして、大体海上保安庁乗組員の三倍ぐらいになつておりはしないかと考えておる次第であります。かような関係上、海上保安庁職員の給與の是正ということはどうしてもこれを図らなければなりませんし、又先きほど申上げましたように、例えば停年制を布きましたし、或いは一般無定量の超過勤務とか何とか言えない勤務状態に服しなければなりません建前からいたしまして、予備隊の給與等も勘案いたしまして、できるだけ公正なる給與に落着けたいと考えまして、目下人事院と海上保安庁でこの数日中に結論を出すように研究を進めておる次第であります。御意見の点は十分に体しまして、善処いたしたいと考えておる次第であります。
  107. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 組織機構ですが、これはもう新しい組織機構は全部完了しておるのですか。それとも目下組織をお考えなつておる最中でありますか、できておるというなら一応概略一つ組織機構について御説明を願いたい。
  108. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 海上保安庁の組織の強化につきましては、実は朝鮮事変、マツカーサー書簡を見越しておりましたわけではございませんが、関係方面の示唆もございまして、先般の通常国会に海上保安庁法の改正を願い出まして、相当海上保安機構の大幅な強化をいたした次第であります。即ち長官の下に次長がおりましたが、今回長官の下に次長と並びまして、同格の警備救難監というものを置いたわけでございます。そこで警備救難監は海上における沿岸の警備とか、船舶の整備等の点につきまして一連の業務を掌握をいたしまして、直接長官を救けるということに相成つておる次第であります。従来長官の下に次長次長の下に四局ありましたものを、長官、次長、警備救難監の下に六部を設置いたしまして、即ち総務部、海事検査部、燈台、水路部、警備救難部、船舶技術部、この六部を置きました外、瀬戸内海その他にありまする機雷の掃海等のために、或いは弾薬の引揚げ処分等のために航路警戒本部というものを長官に直属に設置いたしました外、海上保安学校が長官に直属をしておる次第であります。今回のマ書簡を実施する上におきまして、非常に大幅な機構改革が必要でないかと考えておりますが、人員相当多数採用いたします関係上、これらの採用並びに訓練の期間、並びに先きほど申上げました海上保安大学校以下の学校体系等につきまして、若干の機構改正を必要とするものと考えておるのであります。
  109. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 私の方は資料を頂いておりますか。
  110. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 組織は前国会で差上げたと思います。
  111. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 あの組織はわかつておりませんか。
  112. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 今月の中旬から下旬にかけて出す……。
  113. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて。    〔速記中止
  114. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。私伺いますが、この間の国会に出されまして修正したあれですね、つまり地方海上保安庁、あの組織、あれは一体今度の朝鮮事変が起りましてあれでいいのか、まだ余程実際上不便を感じておられるのかどうでしよう。
  115. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 海上保安庁の地方機構は、海上保安庁の船舶の性能、隻数等とも相当関係を持つて参る次第であります。相当大型の船が多数を占めまして非常に機動力が殖えて参りますと管区は可なり少くても済む、かようなことに相成るわけでありますが、現在の船舶の性能状態からいたしますと、やはり先ず先ず今のところ、この前御修正を頂いた線で進めた方がよかろうと考えておりまして、現在のところあの機構全国的に動いておりまするし、殊に今回は相当の第一線センターも各前線に設置いたしたいと、かように考えております。
  116. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 今度まあ非常に沢山な応募者で何とかという御説明でしたが、この八千人新しく御採用になるうちに、やはり極左の思想を持つ者が相当侵入して来るのじやないか。この点についてはなかなかこれはその判定はむずかしいと思われるのですが、今日までそういうような形勢はないのかどうか、又それに対する対策はどういうふうに通牒されているのか、その点を……。
  117. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) 新しい職員の採用につきましては、今回筆記試験と口述試験を人事院と協力いたしまして施行いたしておりまする外、応募者の身許調査等につきましては相当詳細にいたしております。尚又採用いたしましてからは相当な訓練の過程を経ることを條件といたしまするが、六ヶ月間は一種の試験採用期間といたしまして、十分採用者の精神的な面につきましても見極めをつけたいと考えておる次第であります。尚又海上保安庁は、二ヶ年半の伝統が若干ながらありますために、一応海上保安庁の一つの伝統的基本精神というようなものもございます次第でありまして、まあ仮に特別の思想関係なき者に対しましても、この海上保安庁の健全なる指導精神に同調して貰うように極力訓練をいたす方針でございます。
  118. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 そうすると六ヶ月間は結局本採用にならずに訓練採用というような形で採用になつておつて、その六ケ月間に思想とかいろいろのものを又再度見極めをつける、まあそれはそれでいいとしても、その場合に仮に不適格者であつたというときには、まあ適格者であると思つて入れたが、六ケ月いろいろやつて見て、調査もし、訓練もやつて見たが、これはどうも不適格者であつたという場合に、ことわる、解雇するという場合に、いろいろな問題が生じて来るのじやないでしようかね。
  119. 大久保武雄

    説明員(大久保武雄君) その点は採用の際に條件を設定いたして行こう、かように考えております。
  120. 河井彌八

    委員長河井彌八君) どうでしようか、大体この辺でよろしゆうございますか。
  121. カニエ邦彦

    ○カニエ邦彦君 大体、質問もいろいろあるのですが、まだ本格的になつていないようですから、この辺で何しまして、又次の機会に、それぞれ明確な線が出て来たときにお尋ねしたい、こういうことにして……。
  122. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは今日は委員会はこの程度において止めます。次はいろいろ用意がありますから、尚あとで研究いたしまして御通知いたします。これを以て内閣委員会を散会いたします。    午後三時五十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            大島 定吉君            梅津 錦一君    委員            郡  祐一君            カニエ邦彦君            上條 愛一君            楠見 義男君            西園寺公一君   国務大臣    国 務 大 臣 大橋 武夫君   説明員    法制意見長官  佐藤 達夫君    刑 政 長 官 草鹿淺之介君    法務府特別審査    局長      吉河 光貞君    警察予備隊本部    人事局長    加藤 陽三君    海上保安庁長官 大久保武雄君