○国務
大臣(横尾龍君) 先ず
大西総裁、
櫻井副
総裁に私が
辞職勧告いたました経緯を申上げます。
御存じの
通り電力再
編成のことに関しましては、早くこれを解決をしたいという希望であり、又そのことが最もいいことと
考えておりましたので、かねて
電力再
編成に対しては、
日発の
大西総裁、副
総裁は御意見が違
つておるように聞いてお
つたことがありました。で
政府の目標としておりまする案と、そうして
政府の任命しております
総裁、副
総裁のほうの案と懸け隔てがありますということは非常に面白からんことであると思うのであります。長く
日発が存続することがないのでありますから、むしろ我々が再び出そうと思
つておりまする案を出します前にお引きを願
つたほうがよくはなかろうかというので、私は私の率直な意見を
大西、
櫻井両
正副総裁に
お話をいたしたのでございます。幸いに両氏は私の心情をお汲み取り下さ
つて御賛成下さ
つたのでございます。
それから
後任の
総裁問題でございます。どこの
委員会でありましたか、その
正副総裁をおやめを願うときには後釜の
総裁を何故きめてなか
つたかというような
お話をよく承わるのでありますが、私は私らが今までや
つて来ております事柄からして、
後任をきめてから、そうして段取りができてからおやめ願うというようなことは甚だ非礼である、私はこう
考えたのでございます。国家の大事な事業を一日も停頓させるということは甚だ相済まないと思いますけれども、私は
あとに
理事のかたもおるから、そのかたに
あとをよく引継いで貰
つたならば、暫時の間、私が
後任をきめてそうして
お願いするよりも、私の常識では、先ず私の意見を申上げて、御善処願うのかいいじやなかろうかというので、
後任をきめないで
お願いをしたのでありまする。それから小坂氏の
後任問題でありますが、私いつ頃の
新聞かは確実に覚えませんけれども、いろいろのかたの下馬評が
新聞に出たのでございます。稻垣さんのお名前も出たと存じます。これにつきましては、私は稻垣さんにはまだ深き御交際もいたしておらないのでありまする。ただ参
議院に当選いたしましてから、国務
大臣である
稲垣さんに廊下でお目にかか
つてお辞儀をするくらいの程度のものでございます。で、私は総理から稻垣さんに
お話しがあ
つたかどうかということは、実は私が余り総理のうちに行かないものでございますから、そういうことのために私は、この総理にお会いにな
つたのは二十三日ということでありますが、その前に
新聞に当時出てお
つた時分に、私の
考えは、
稲垣さんは
大臣のときに電気問題が起
つたので、これはまだそのままにな
つておやめにな
つたような次第であるから、この
日発の
総裁を
お願いすることは却
つて御迷惑だと、若しも
自分がその地位にあ
つたとするならば、私はこれは私なら受け得られたいような気がするので、
自分が受け得られないような気がするのを人様に
お願いするというのは、私の良心が許さないので、稻垣さんということを私は頭に入れていなか
つたものでございます。それからいろいろと
新聞に出まして、私は最初
総裁のほうを外から
お願いするか、部内の方を
お願いするか、どちらかでなければならないという
考えを持ちましたけれども、おしまいにいろいろの事情を勘案すると、外からと内からの方々をここに一人ずつ
お願いすることが、このときによくはないかというような
考えを起しましたので、丁度そのときにどういうことであ
つたか知りませんが、
新聞に麗々しく私が小坂さんと森さんをコンビで推薦しておるというようなことを誤り伝えられたのでございます。それで私は閣議の後に、私が若しも私の意見を発表いたしますならば、総理に一言お断りしてからでないと、発表はできないものというのが私のかねての
考えでありまするから、
新聞にああ出ましたけれども、私の関知せざることでありますと、さように御了承願いたい。併し私の聞いておりまする小坂さんというかたは、
至つていいかたと私は思いまするから、私としては若しも小坂さんが受けて頂くならば結構と思いますということを明らかに申したのであります。なぜ私が小坂さんをそういうふうに申上げたかと申しますと、私は小坂さんの名は、たしか小坂さんが
祕書官をしておられたことがあるのであります。私の身内の者もよく小坂さんの仕えておられる
大臣がよく出入りするところのかたであ
つたので、時々小坂さんの名を聞きつつあ
つたのであります。それが私の耳に残
つておる小坂さんであり、且つ又私の二十年近くの友達である者が同じ党派であ
つたので、小坂さんのことをよく話してお
つたのであります。そういう
関係上、そうしてこのかたは長く議会にも出ておられ、又最後にはたしか枢密顧問官と思いますが、私は存じませんが、そうであるからして、政界の経歴もあり、更に相当の御年配であるから、俗に言う酢いも甘いも噛み分けておられるかたと私は
考えたのでございます。これは私の判断でございますから、皆様の御判断と或いは違うかも知れませんが、私はそう
考えたのでございます。それで私は小坂さんの
お話を総理に、小坂さんならば適当であるかと思いますということを申上げたのでございます。いろいろと世評もありますけれども、私は実は財界のかたを余りよく知らないのでございます。ためにいろいろと問題になられたかたが如何なる人物のかたであるかということを不幸にして知り得なか
つたのでありまするので、そういうために小坂さんを推薦いたしまして、省内に帰
つても、政務
次官あたりにも、こういう
考えを私して来たとそのとき初めて政務
次官なんかにも話しましたかと思います。そういうようななんでありまして、私はかかることが問題になるとは今まで
考えなか
つたので、記憶もそれぐらいな記憶でありまして、外のことは余り
考えておらなか
つたのでありまするので、或いは皆さんの御満足の行くような回答ができ得ないのではないかということを恐れるのであります。さように御了承を願います。