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1950-11-09 第8回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月九日(木曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————   委員の異動 十月三十日委員大隈信幸君及び稻垣平 太郎辞任につき、その補欠として小 川久義君及び境野清雄君を議長におい て指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電気事業編成関係法案に関する  件)  (右件に関し証人証言あり)    —————・—————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から委員会を開会いたします。去る十月二十四日における当委員会決定趣旨に従いまして、かねて委員各位に御通知いたしました通りに、証人喚問の手続をいたしました。本日はその第一日としまして、電気事業編成法案をめぐる各界の動きにつきまして、元通商産業大臣稻垣平太郎君、前資源庁長官進藤武左衞門君、日本発送電株式会社総裁大西英一君及び関東配電株式会社社長高井亮太郎君よりそれぞれ証言を伺いたいと思います。尚、本日同時に御出頭を願う予定でありました松永安左衛門君よりは病気のため出頭しかねる旨、医師診断書を添付して議長宛に届出がありましたから、御報告をいたして置きます。松永証人の件につきましては、予定議事終了後に別途御協議をいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  証言の聽取に先立ちまして、本委員会がこの問題を取上げるに至りました経緯委員長より総括して申上げて置きたいと存じます。昨年十一月下旬に松永氏を会長とする電気事業編成審議会発足し、本年二月一日にその答申書主管大臣である稻垣通商産業大臣に提出されたのでありますが、その後間もなく決定された政府案につきましては、答申案をとられないで参考案である松永案を採用された事情並びに二月十五日に稻垣通商産業大臣が、関係筋政府案報告した翌々日の二月十七日には、当の責任者である稻垣大臣並びに進藤資源庁長官が突如として辞任された事情等は、一般の了解し難いところであります。他方再編成法案をめぐる賛否両派の運動は猛烈を極め、法案は第七国会において時間不足のため審議未了となりましたが、見返資金の融資停止を動機として、九月に入つて日本発送電首脳部辞職問題に引続き、再編成をめぐるスキャンダルの流布となり、国民疑惑を深めることと相成りましたることは、当委員会といたしまして甚だ遺憾に思うのであります。試みにこれらの問題を取扱つた刊行物を見ますると、各新聞紙はもとより、中央公論、日本評論、東洋経済新報、毎日情報、サンデー毎日、文芸春秋、経済ジープ経済展望経済往来真相等十指に余るのであります。これらによつて、個人的に迷惑を蒙つた人も多いのでありますが、それは別といたしましても、電気事業編成問題に対する国民疑惑を深めたことは見逃し難い事実と申さなければなりません、これらの諸問題に対しまして、それぞれ責任の地位におられた証人各位より、表裏両面から忌憚のない証言を求め、世上の疑惑を一掃いたしまして、再編成問題を本来の姿に戻し、来るべき法案審議の促進に資したいというのが目的でございます。従いまして、不正事実の究明、或いは再編成賛否両論の批判を行うのは直接の目的ではないのであります。証人各位におかれましては、以上の趣旨をお含みの上にて率直に事実を明確にせられ、本委員会における調査に御協力下さるようにお願いを申上げます。又委員各位におかれましても、以上の線に沿い、質疑を盡されんことをお願いいたして置きます。  証人方々に御証言を願う前に、議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律第二條により宣誓をして頂かなければなりませんが、宣誓に入りまする前に、証人に念のため申上げます。これから宣誓を行なつて証言して頂くのでありますが、若し虚偽の証言を陳述したときは、議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律第六條によりまして、三月以上十年以下の懲役に処する罰則があり、又正当の理由なくして宣誓若しくは証言を拒んだときは、同法第七條によりまして、一年以下の禁錮又は一万円以下の罰金に処せられることになつております。但し同法第四條により、民事訴訟法第二百八十條(第三号の場合を除く。)及び第二百八十一條(第一項第一号及び第三号の場合を除く。)の規定に該当する場合に限り、宣誓若しくは証言を拒むことができます。念のため民事訴訟法第二百八十條の該当部分を朗読いたします。  第二百八十條 証言カ証人ハ左ニ掲クル者ノ刑事上ノ訴追又ハ処罰招ク虞アル事項ニ関スルトキハ証人ハ証言拒ムコトヲ得証言カ此等ノ者ノ恥辱ニ帰スヘキ事項ニ関スルトキ亦同シ   一 証人配偶者、四親等内ノ血族若ハ三親等内ノ姻族又ハ証人ト此等親族関係アリタル者   二 証人ノ後見人又ハ証人ノ後見ヲ受クル者  次に、民事訴訟法第二百八十一條該当部分を朗読いたします。  第二百八十一條 左ノ場合ニ於テハ   証人ハ証言拒ムコトヲ得   二 医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教又ハ祷祀ノ職ニル者ハ此等職ニリタル者職務知リタル事実ニシテ黙秘スベキモノニ付訊問受クルトキ     前項ノ規定ハ証人カ黙秘ノ義務ヲ免セラレタル場合ニハ之ヲ適用セス  以上であります。尚、議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律第五條により、証人公務員である場合又は公務員であつた場合(国務大臣以外の国会議員を除く)。その者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所又はその監督庁の承認がなければ、委員会証言を求めることができないことになつておりますから、一応申上げて置きます。  それでは証人の方に順次宣誓を求めます。  証人稻垣平太郎君、宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書   良心従つて真実を述べ、何事も  かくさず、又、何事もつけ加えない   ことを誓います。         証人 稻垣平太郎
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 宣誓書署名捺印を求めます。  証人進藤武左衛門君、宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書   良心従つて真実を述べ、何事も   かくさず、又、何事もつけ加えない   ことを誓います。        証人 進藤武左衞門
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 宣誓書署名捺印を求めます。  次に、大西英一君、宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 大西 英一
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 宣誓書署名捺印を求めます。  次に、高井亮太郎君、宣誓書を御朗読願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣 誓 書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。        証人 高井亮太郎
  6. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 宣誓書署名捺印を求めます。  それでは稻垣平太郎君から順次証言を求めます。証言を求める事項につきましては、予めお知らせを申上げて置きましたが、念のために申上げます。電気事業編成審議会発足から第七国会までの電気事業編成に対する政府動きを、政党、電気事業者その他に対する交渉を含めて順序を追つて詳細に証言お願いいたします。特に松永氏の推薦審議会答申経過松永案不採用の理由及び経過対外折衝経過並びに稻垣通商産業大臣辞職理由等について十分に御証言お願いを申上げます。
  7. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 先へ先ずお断わりお願いして置かなければならんことは、私先般病気いたしまして、一月ばかり入院いたしておりましたので、実は座つてお返事をすることを許して頂きたいと思います。もう一つは、そういうようなために、昨日まで実は湯治に行つてつたようなわけで、その経過について一応正確な日にちなり、或いは正確な点についての調査をする時間がなかつたので、私の記憶によつてお答えすることを一応お許しを願つて置きたいと思います。  今の問題について審議会が作られまするまで、それから作られましてから後の経過を一応申述べて見たいと思うのでありますが、今のお話では審議会が作られてからということでありますが、その前の事情を少し申上げて置かんと、後の審議会の問題が進んで行かんと思いますので、その前のことを先に申上げて置きたいと思います。  私が通産大臣、当時の商工大臣を引受けましたのは二十四年の二月十五日であります。当時においては御承知の二十三年二月に日発並びに他の旧配電会社集中排除の指定を受けまして、持株整理委員会においてそれぞれ各十社に対して排除再編成案質問し、これに対して同じ答申が出ておつたと私は思うのであります。同時に例の大山氏を委員長とした民主化事業委員会が同年の四月だつたと思いますが、でき上つて、これの答申も出ておつたと思います。で私が商工大臣を引受けました当時におきましては、この問題について各方面からいろいろな論議が盡されておりまして、そうして電産においては電気事業一社化案なり、或いは又各都道府県においては配電事業都道府県営案、或いは又自家用を元へ返して貰いたい、いろいろな議論が行われておつたのでありまするが、関係筋におきましても、五人委員会において、いわゆるバーガー委員会がこの問題を取上げましていろいろ検討されておつた当時であります。そこでそのときにバーガー委員会において、日発の当時者と七分割案並びに五人委員会で七分割案なんかを土台といたしまして検討されておつたので、日発の理事の方々を呼ばれてその意見を聽されるといつたような問題が起つておりましたので、この点について或いは関係筋から七分創案の断定が下されるのではないかというようなことを考えましたので、五月の初めだつたと思います。そのときはもう通商産業省に切替えられておつたと思うのでありますが、通産大臣といたしまして、関係筋に対して日本経済が未だ安定していないときでもあるし、経済が安定され、又電源の開発が促進されて、電力需給が安定するまでこの再編成案は延ばされることを希望する旨を申述べたのであります。これは五月の初めだつたと存じております。それからその後の関係筋動きによりまして、六月の初旬に、私から又関係筋に対して、再編成案が実施ざれるについては必らず一つ政府意見を聞いて頂きたい、こういうこと、それからして再編成案は大綱を示さるるに止まつて、その実施については日本側に任せて頂きたい。第二は、この再編成は今日の経済の現段階においては、できるだけ時間的にも又地域的にも段階を設けて実施されることが希望に堪えないということ、尚当時この電力会社に対する旧外債権者意見といたしまして、旧債を政府が肩代りしたのでありますけれども、併しながらこの肩代りに対しては満足しない。契約を一方的に変更されたものとして、それを了承し難いというような意見が伝わつて参りましたので、尚この再編成をするに際しては、旧債権者意見をも徴することにいたしたい、こういうことを申述べて置いたのであります。そういたしますうちに、関係筋の五人委員会は解散いたしまして、それぞれ引揚げられ、代つてケネデイ氏が主としてこの衝に当られることになつたのであります。大体世間のこれに対する論議はやかましかつたのであります。従つてこれが再編成の問題は遅々として進まない、こういう状況であつた、ところが二十四年の九月の末だつたと存じますが、至急この問題を促進するように、同時に新らしい電気事業の機構その他を検討するために委員会を別に設ける、今日いわゆる公益事業委員会でありますが、それを設けるということについて検討するようにというような向うから書面が出て来たのであります。これに応ずるために、政府といたしましても、至急電気事業編成審議会を設置することに相成りまして、これは十一月四日だつたと思いますが、閣議でこの審議会を開くことを決定いたしまして、そうして松永氏、それから大需用者側を代表して日鉄の三鬼氏、それから小消費者側を代表いたしまして水野成夫氏、それから金融業者を代表して工藤氏、それから公益事委業員会その他法律的な問題を処理するために帝大法学部長の小池氏、これだけの方を御依頼いたしまして、電気事業編成審議会作つたのであります。この電気事業編成審議会が、回数は憶えておりませんが、かれこれ十数回に亘つて開かれたと思うのでありますが、翌二十五年二月一日に至りまして、これが答申が私の手許に出されたのであります。これは要するに現在の電気事業を九ブロックに分けますと同時に、電力融通並びに電力料金差を防止するという意味で、別に融通会社を設立いたしまして、これに備えよう、これが日発の大体四二%を占める程度のものであつたと憶えております。これが二月の五日に飜訳せられまして司令部に提出されたのであります。関係筋においては確か二月十一日か二日だつたと思うのですが、この委員会の案に対して反対の旨を通知して参られました。我々としては折角審議会でまとめました案が了承を得られなかつたということを甚だ遺憾と存じたのであります。そこで一方正式の形でなくして、私的な形で、私個人でいろいろ関係筋の方とも折衝をいたしたのでありますが、併しながらどうしてもいわゆる融通会社案という形ではいけないというので、一先ずこれの附属でありました松永私案を大体基準といたしまして、これを基として、とにかく土台であるところの案がなければ折衝が進んで行かないということを考えましたので、これを土台の案として折衝するように、十五日に申伝えたのであります。ところが同時に私はこの十五日に通産大臣辞任する辞表を提出いたしましたので、それ以後のことにつきましては、私はその後の進展を詳しく存じておりません。大体経過はそういつたような経過であります。  それから先程のお尋ねで、何故に辞任したかということでありますが、これは御承知のように、その当時の吉田内閣は俗に民連派と言いますか、民主党の連立派方々が加わつてでき上つてつたのであります。この大部分のいわゆる民連派方々が、自由党に入党いたされましたので、私にも勧められましたが、考えるところあつて、私はそれをいたすことができませんので、従つて私は辞任する方が立場上正しいと、かように存じて辞任したのであります。その辞任電気事業の方には全然関係のない、私自身の個人的の問題であります。  大体経過はそのようでありますので、御質問の点はそれで盡きたのではないかと、かように考えております。
  8. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員諸君にお諮り申上げますが、只今通商産業大臣から証言を願いましたけれども、この証言と同様に、当時重要な役割を演ぜられました進藤資源庁長官証言を求めまして、あとで両氏に一括質疑をいたした方がよろしいと思いまするが、さようお取り運びしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それではさようにいたします。
  10. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 私ちよつと言落しましたので附加えて置きます。今資源庁長官の話が出ましたので……。私が辞任したときの当時の事情というお話がありましたので、資源庁長官も私が辞めましたときに一緒に辞めた形になりましたが、その点をちよつとはつきりいたして置いた方が、資源庁長官といたしてはどうかと思いますが、私としては申述べた方がいいと思います。  進藤氏よりはすでに前の年の十二月の末だつたと思いますが、私の手許辞表が出ておつたのであります。これは例の公務員試験の問題なんかもからんでおりましたし、大体まあ電気事業編成審議会も成立いたしましたことでもありまするし、進藤氏としてはこの際身を引くということで、十二月末にすでに辞表が出ておつたのであります。併しながら審議会報告が結末が付くまでというようなことで延ばして頂いておつたのでありまして、私が辞任するに際しまして、同氏辞表も処理しなければならないという立場に置かれましたので、後任者に、早くこれは同氏の意思を尊重して辞表を聽許するようにということを引継ぎましたので、この際附加えて置きます。
  11. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは進藤資源庁長官証言を求めます。
  12. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 私は昨年の五月二十五日に、日本発送電の副総裁から資源庁長官を拝命いたしました。只今稲垣さんからお話のございましたように、本年の二月十七日まで資源庁長官として在職いたしておりました。その間の電気事業編成に対するいろいろの問題は、只今大臣からお話のありましたことで、特に私から附加えることはございません。大臣の御趣旨によりまして、できるだけ早く再編成を成し遂げたいということで、今お話のように司令部或いは審議会というふうなものの再編成の案の作成に努力したということを申上げて、あとは御質問によつてお答えしたいと思います。  それからもう一つ、私の辞職につきましてお話がございましたが、今前大臣からお話がありましたように、私は実は民間出身でございますから、今度の公務員法試験を受ける資格がないということを十分承知いたしておりまして、昨年の十二月の二十四日の日が公務員試験の申込の締切りでございます。二十三日の日に辞表を提出いたしまして、民間に帰るということを大臣お願いいたしたのであります。当時御承知のように配炭公団の跡始末もございましたし、特に電気事業編成に対しましては、私が電気事業出身であります関係上、どうしても途中で出ることは困るというふうな大臣からのお話もございまして、本年の二月十七日まで勤めさして頂いたわけでございます。
  13. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今証言に対しまして、先ず委員長から少しお尋ねを申上げたいと存じます。  先ず稻垣君にお尋ねいたしますが、第一点は、先程の御証言のお言葉の中にありましたように、水谷元商工大臣当時に、大山委員会が結成せられまして、一応の結論出しておりました日本国内においても一つのパブリツクの電気事業編成に対する方向を決定されたものと了承されておつたのでありますが、この案が電力審議会、十二月の四日に発足いたしました電力審議会においては全然取上げられなかつたのでありますが、そういう点について当時の政府におきましては、どういう理由で取上げられなかつたのか、その点を伺いたいと思うのであります。
  14. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは無論電気事業編成審議会においては、従来の各方面論議につきまして検討いたしたことは検討いたしたと私は聞いております。従つてこの大山案についても検討の一つの題目であつたと私は承知いたしておるのであります。この委員会においては、まあ集中排除という目的に副う意味からして、又関係筋考え方をも加味されて、恐らくこの案を取上げなかつたのだろう、これは私の想像であります。論議はされたということを聞いております。
  15. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういたしますと、再編成審議会に対しましては、政府として大山委員会結論処置について何ら言及せられなかつたという工合に理解してよろしうございますか。
  16. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) ちよつと御質問意味が分らないのですが、結論処置というのはどういう意味ですか。
  17. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 電力事業の再編成審議会に対しまして、大山委員会結論と申しますか、成案を取入れて審議するとかしないとか、そういうような点までも紐を付けた恰好でお渡しになつたのか、完全な自由な形で再編成審議会というものが発足をいたしたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  18. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) それは無論再編成審議会において、従来の経緯はこれは検討して貰いましたけれども、併しながら再編成審議会は再編成審議会として自由な形においてその意見を決めて頂くということは勿論であります。
  19. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは次に第二点でありますが、電力編成審議会の五人の委員を人選されまする場合に、大臣自身が選考に当られましたか、或いは確かの推薦を受けられまして、それによつて決定になりましたのか、これはいろいろあると思いまするが、五人の方々についてその決定経過をお伺いいたしたいと思います。
  20. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは私が勿論責任者でありますので、私とそれからして次官、それから直接の責任者である当時の進藤資源庁長官、この三人が協議いたしました結果、これらの人々を人選した、こういうことに相成つております。これはよくそういう場合に、いろいろ他からいわゆる自薦他薦候補者があるものでありますから、この場合においては自薦他薦なんという候補者は全然ありませんで、我々三人で協議した上で決定したということをはつきり申上げて置きます。
  21. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからこの委員会補助者資格で有名な方が多数参加をせられておりますが、再編成審議会としてこれは公的な機関でありますが、そういう補助者方々の公的な資格というものはどういう工合になつておるのか、又この補助者の人選というものもどういう工合にして行われたのか、こういう点をお伺いいたしたいと思います。
  22. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 補助者という意味ちよつと私にははつきりいたしませんが、この審議会の事務を進捗する上において、通産省資源庁電力局人達が、これの補助的仕事與つたことはこれはもとよりであります。恐らく委員長の言われるのは、他の四名の人云々というような言葉もありましたから、この外の人達がこれにお手助けをいたしたという意味でありますか……、これは通産省としては與り知らんところでありますから、恐らく私的の関係においてお手伝を好意的にされたのであろうと、こういうふうに思います。
  23. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に先程証言の中に、二月の一日に答申案が提出されましてから、大臣をお辞めになるまでのいろいろ御経過伺つたのでありますが、私共の承知いたしておりますところでは、二月の六日に答申案をそのまま英訳せられまして司令部にお出しになつておりまして、二月十一日に司令部から不賛成の意味を伝えて、且つ十五日までに成案提出要求があつたのでありますが、この間に二月九日の日に通産省といたしまして態度を御決定になつておりますが、その態度決定をせられました案の内容はどういうものであつたか、又十一日に司令部からさような要求を受けられましたあとに、二月十五日に稻垣通産大臣通産省案というものを司令部にお出しになつておりますが、二月十五日の案は二月九日の通産省省議を以て御決定になつた案とは、どれ程の違いがありますのか、その点を伺つて見たいと思います。
  24. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) それは前資源庁長官からお答えいたします。
  25. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 二月九日の省議におきまして、正式に再編成案決定というまでに至つておりません。二月十五日におきましては、答申案に対しまして、司令部からこれは困るというお話がございましたので、松永案骨子といたしまして、先程前大臣からお話がありましたような案を司令部出したのでありますが、その骨子は、今度の再編成におきまして一番問題になりましたのは、現在電力がなかなか足りない。その融通をどうするかという問題と、もう一つは、電力料金地域差が、分割されると相当ひどくなるのではないかというので、この議論がむずかしいことになりまして、結局それは融通会社というもので行こう。こういうふうな考え方だと思うのであります。その融通会社案に対しまして、司令部の意向がはつきりいたしましたので、我々といたしましては、電力不足しておること、並びに電力料金地域差の問題をどうして解決するか、融通会社以外にどうして解決するかということに結論を求めなくちやならんことになりまして、電力不足に対しましては、できるだけ現在の状況、現在の需給状況を取り入れて、区域外の発電所を現在使つておる会社の区域は、新設会社の大体九つの配電会社の供給区域と一致するのでありますが、この区域に使つておりまする電源は、その区域に隷属させるということで、この電力不足をどうするかということで、この需給の調整をうまくやつて行こうということを一つ考えた。それから料金の問題につきましては、これは将来できますレギユラトリー・ボデーにおきまして、この問題をできるだけ調整して行こう。こういうふうに考えまして、そういうことを骨子として、二月の十五日に司令部へ我々の考えを提出したわけであります。
  26. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 重ねて伺いますが、先程稻垣証人のお言葉の中に、私的交渉を相当進めておつたというお話がございましたが、私共の当時伺つておりましたところによりますと、大臣の進められておりました私的交渉は、相当関係筋の了承も得られて、そうして或る結論が生まれそうになつてつたように伺つておりました。そうして当時の困難な事情の中で、国民全体の考え方から申しますならば、或る一つの納得されるような線であつたように伺つておるのでありますが、そういうような私的交渉が途中で実を結ぱなかつた理由がどこにありますのか、又私的交渉の内容を、今お述べになつた点よりも今少し詳しくお述べを願いたいと思います。
  27. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これはいわゆる私的交渉でありますから、分けの問題ではございません。主としていわゆる公益事業委員会に……先ず第一点としては、公益事業委員会にウエイトを置くということと、もう一遍言換えれば、近く開かれる、国会に対しては、この公益事業委員会法案をとにかく力を入れて通過して貰うということ、それから電気事業編成の問題については十分の検討を加えて、或る時間的余裕を持たせるということはできないか、こういう点で私の希望を申述ベて、その話が別に、何と申しますか、はねられもしないで続けておつたうちに十五日という指定された日が来た。かように御鮮釈願います。
  28. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういたしますと、あなたとしてはその御構想の下に進められておりましたのに対しまして、非常に確実性があつたような状況下にありながら、急にそれがうまく行かなくなつた。こういうような印象を受けられたことはございませんか。
  29. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは私がそういつた私的の話を進めたいということは、前にも五月の末並びに六月の初旬に、私が関係筋へ書面を出しておりましたその考え方を進めたいということが一つと、それからもう一つは、できるだけ各方面に大きな衝動を與えないで、この問題を解決できるならば解決したいということ。従つて私は十五日に案が、一応基礎案を出しましたけれども、これはまだ閣議決定を経ていなかつたのであります。閣議決定を経ていなかつたということは、当時私自身として尚いろいろ折衝の余地を残して置きたい。そうして大体この以上には進行しない。或いはこれ以上には進まないという見極めを付けたところで閣議決定へ 持つて行こうという考え方から十五日に提出いたしたけれども、全然閣議に諮つていなかつたという段階であります。従つてこの問題が、私が辞めたためにどうこうということを私が申すべき筋合ではないのであります。私としてはそういう考え方で進めておつたということを申上げるに止めたいと思います。
  30. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に、問題がちよつと外れますが、この再編成審議会当時から、再編成法案のいろいろ立案に当られまして、当時通商産業省といたしましては、非常に御苦労であつたわけでありますが、この法案の取扱いにつきまして、通産省の中で実際的に指導的な立場に立ち、又発言力の中心になられたのはどの方面でありましたか、その辺を伺いたいと思います。
  31. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 委員長、今の御質問ちよつとはつきりいたしませんが、通産省の中で誰が中心としてこの問題を取扱つたかという御質問でしようか、それとも又その細部の案を作るについて誰が一番力を入れてやつたのかという意味なのか、そこのところがはつきりいたしません。これは資源庁電力局の問題でありまするので、無論当時の進藤長官が主としてこの問題に当られたことは勿論であります。これはもうその責任上これに当られたことは当然であり、又電力局長がこれを主宰いたしまして、これを中心として行くということと御解釈を願います。
  32. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 非常に廻りくどい表現をいたしましたので、お分りにならなかつたと思いますが、大臣以下、大体電力局の末端機構まで動員されて法案の立案に当られたと思うのでありますが、その中で特に中心的な役割を演ぜられた方はどういう方であつたか。こういうことをお伺いしたわけであります。
  33. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) その点については資源庁長官が主としてやつておりましたから、私は資源庁長官が中心に働いておつたと思うのでありますが、その資源庁長官の下で誰が中心的に働いたかということについては、一つ進藤前長官からお答えを願うことにいたします。
  34. 栗山良夫

    委員員(栗山良夫君) では進藤資源庁長官お願いいたします。
  35. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 電力編成審議会の仕事になりますが、その仕事をやつておる間は審議会意見を尊重するという建前で参りましたからして、審議会に対しまして、政府としては別に意見を述べておりません。ただ電力局が事務局的立場ということで、資料の提出その他のお手伝をやつておりまして、これは電力局の小室電政課長が主として当つたのであります。併し司令部との交渉の大筋は、前大臣がおやりになりましたが、その他細目の問題でありますとか、或いは審議会との連絡等につきまして、主な問題は私が当つておりました。この時は丁度電力局長が一月の上旬から洋行をしておりまして、私が主として当つておりました。
  36. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 通産省の永山官房長は職責上いろいろと御関係があつたと思いますが、この方はどの程度にこの問題についてタツチされたか、その辺を大体御存じのあつた点をお尋ねしたいと思います。
  37. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 永山官房長は通産省の官房長でありますから、申すまでもなく官房長としての仕事をやつておりました。併し電力編成に対する仕事の内容につきましては、私の方が事務的にやつておりまして、官房長はタツチいたしておりません。
  38. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうすると、あなたとこの問題で直接お話合になつたことは一回もございませんか。
  39. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 官房長と事務的に打合せたことはございません。ただ省議等に出ては、無論官房長として出席しておりますから、いろいろこの問題についてデイスカツシヨンしたことはありますが、併し事務的にいろいろ直接官房長と接触したことはございません。
  40. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これは稻垣、進藤両氏にお尋ねいたしますが、巷間伝えられておりますところの、この問題に非常に活躍をされたと言われておりまする白洲次郎氏とお会いになつたことがありますか、どうか、お伺いいたしたい。
  41. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは私は、白洲氏は元の貿易庁長官であり、いろいろな問題で白洲氏と会うことは無論たびたび私は会つております。併しながらこの電気事業審議会の問題について、同氏と私が話をしたということはございません。又この電気事業編成法案その他についても話合つたことは全然ございません。
  42. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 私も白洲氏と一面識はございますが、この電気事業編成問題に関して白洲氏と話合つたことも、会つたこともございません。
  43. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) もう一点稲垣さんにお尋ねいたしたいのは、大臣の在任当時に、日本発送電総裁の更迭の市が相当あつたように私共聞いておりますが、そういう声があつたことを御承知でございますか。
  44. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは私は就任して日にちはよくはつきりいたしておりませんが、大体就任して間もなかつたことでないかと思うのでありますが、不適任であるから、この際更迭したらどうであるかというお話を聞いたことはあるのでございます。併しこれに対して私といたしましては、一向そのようには認めませんので、日発総裁の任免権は通産省、当時は商工大臣つたかも知れませんが、或いは通産大臣に変つてつたか知れませんが、ありますので、私としては、そういつたような話は全然取上げなかつたということを申上げたい。
  45. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういうような話のありました相手は誰でありましたか。又その理由はどういうところにあつたのか。今少し詳しくお願いした  いと思います。
  46. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) それはいろいろな理由が挙げられておつたと思うのでありますが、当時何か大阪支店のスキヤンダルと言いますか、そういつたような不正事実があつたようでありますが、それに対する監督不行届ではないかといつたような理由も挙げておりました。それから又今日日発のあの厖大な会社を経営することに対しては、理由は別に挙げられないのですが、不適任ではないかといつたようなこと、まあ理由らしい理由としては、大阪の支店というのですか、支局というのですか、知りませんが、支店のそういつた問題が挙げられておりました。それにつきましては、取調べました結果、それも済んでおる問題で、結末も付いておる問題でありまして、私としては全然それを以て理由とするには足りないと考えたわけであります。それから又この話が出ましたのは、本当の個人的の注意といたしまして、当時の閣僚の一、二の方からもお話が出たようであります。併しこれもそうして欲しいという強いてのお話ではなくして、まあ注意的なお話があつたと、かように申上げていいと思います。
  47. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 最後にこれは稻垣、進藤両氏にお尋ねをしたいと思うのでありますが、この審議会発足いたしましてから、通商産業省、特に資源庁の内部におきまして、電力事業の再編成が行われました場合に、行政官庁は公益事業委員会に切替になるわけでありますから、電力局を中心とした資源庁といたしましては、いろいろと行政権の行政の問題、或いは公務員としての身分保障等の問題によつて動揺かあつたのではないか、こういう工合に私共は考えるのでありますが、そういう動揺があつたかなかつたか。又事実公益委員会に切替えますれば、そういうことが現実の問題として起きて参るわけでありますが、これに対して当時の責任者として、どういう工合にこれに対処して行くような御計画であつたのか。又そういうようなことが法案の進め方についても影響があつたかなかつたか。こういう点を一つ伺いたいと思います。
  48. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 公益事業委員会が成立いたしますれば、どうせ電力事業に対する行政権はそちらに移つて行く、こういうことに相成つてつたわけであります。従つてこれをどうするといつたような問題は、実際には電力事業委員会が成立いたしておりませんので、そこまでは全然検討はいたしていなかつたわけであります。ただこれが移つて行くということのために、省内、いわゆる電力局で動揺はなかつたかということでありますが、電力局自体に、私自身が感じたところは、そう大きな動揺があつたとは私は感じておりません。ただ御承知のように、日本の省、いわゆる一省の中でその権限が縮小されて行くということは、これはどの省でもあろうと思うのでありますが、非常な遺憾なことでありますが、皆余り喜ばないということは、これは事実であります。従つて権限が縮小されるということについて、何と言うか、遺憾に存じておるという場面はあつたろうと、私は想像いたしておりますが、実際にはまだ公益事業委員会ができたわけでもありませんので、突き詰めてその問題を取上げる、或いは突き詰めてその問題を論議するというような点には至つていなかつたとかように存じております。
  49. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと、当時公益事業委員会の性格を独立機関にするか通産省の諮問機関にするかということで相当に部内で論争せられたように伺つておりますが、そういうような論争は只今申上げました行政権の問題に関連をいたしていたのかいなかつたのか、更に他の理由で以てそういうことが論争せられたのかその点をお伺いいたしたいのであります。
  50. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは私自身率直に申しまして、論争の主なる理由は、これは通産省が産業全体の行政を握つておる関係上、これと関連を持つておる電気事業を別なところへ持つて行つちやう、繋がりがないということは甚だ困る、これはどうしても通産省の附属といいますか通産省と関連を持つた機関でなければならない、こういう議論が強く行われたと私は思つておるのであります。但し先程も申上げましたように、およそこの一つの省でその権限が縮小さされるということはみんな喜ばない習慣を持つております。習慣と申しますか習癖を持つております。そこにそういつた考え方が横たわつていなかつたとここで私は言い切ることができないのじやないかと私は思つております。併しながら理由としてはいわゆる産業と関連を持つたものが全然別箇に立つて行くということは望ましからざることだ、こういう考えであろうと私は思うのであります。
  51. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) もう一点進藤前長官にお伺いいたします。長官として御在任中は政府の方針で御行動になつたことはもとよりでありますが、あなた自身電力審議会経過、或いは審議会答申をせられた後におきましても、電力の再編成についていわゆる電気事業の分断による再編成、こういうものについて御賛成であつたか反対でございましたかこの点を伺いたいと思います。
  52. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) これは私が特に日本発送電の副総裁であり、又電気事業に終始した人間でありますから、特にまあ個人的の考えを委員長からのお尋ねだろうと考えるわけでございますが、私はいろいろ問題がありましようが早く電気事業を落着けなければならないということを最大の念願にしておりました。殊に現在の電気事業状況におきましては集中排除法によりましても電気事業が最後まで残されてしまう、或いは資産再評価の問題にいたしましても電気事業がまだ未決定であるというふうに、日本経済の非常にこの早いピツチで動いておりますのに電気事業がこのピツチに遅れますることは、電気事業というよりも日本経済に與える影響が非常に深刻であります。殊に電力不足という決定的の問題は、これはまあ各産業界の影響も非常に大きいのでありますからいろいろ議論はありましようが、これを早く落着けなければならない、殊に電気事業集中排除法に指定されておる事業でありますからして、意見としてはいろいろありましようが結局各方面意見がはつきりいたしまして、それをできるだけ調整いたしまして、政府としてこの問題を早く決定いたしまして電気産業本来の仕事に邁進しなければ電力不足の影響は非常に深刻なものであろうというふうに考えまして、政府におつた間も今でもできるだけ早く電気事業の再編成をやり上げたいということを考えております。
  53. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その再編成をやり上げるということはその内容は非常に多岐に分れておるわけでありますが、再編成のあなたのお考えになつておる形はどういう形でございますか。
  54. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) これは今までの経過を見ますというと、結局自発の現状維持の問題もございますし、又配電会社の九分割案もございます。その他の意見もありますが、今までの大体の動きからしまして、問題は電力不足時代の融通をどうするかという問題と、電力料金地域差の問題が骨子になつておるという私は印象を受けておりますが、この問題はできるだけ各方面意見を徴しまして解決するという方法ができたらその形が一番いいと思つております。
  55. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 大体委員長の考えておりましたことの一通りを御質問いたしたわけでありますが、各委員からお気付の点を御自由に御質疑願いたいと思います。
  56. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 只今お話で大体経過は分つたのでありますが、バーガー氏を中心とする五人委員会が七ブロツク案を提出しておりながら、何らの結論も見ないでそのまま解散して帰米してしまつたということでありますが、その間の様子について何かお分りの事情でもありましたらお聽かせ願いたいと思います。
  57. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは関係筋のことでありますから、どういう理由であるかということを的確に申上げることはできない、一種の私の想像でありますが、御承知のように五人委員会はこの電力問題ばかりじやなくいろいろな、集排法に指定されました会社の再分割という問題を取上げて論議いたしておつたのであります。それで大体五人委員会が作られてから可なりそれまでの間に残つておりました各社の分割案或いは整備案……、整備案というものが殆んど結論を得まして、大体この電気事業、公益事業に関するものだけが残つておるということに相成つておると思います。これに対しては先程も申上げましたように各方面からいろいろな議論がありますので、関係筋はこれに対する結論を與えてしまうことが一応五人委員会としてはどうかということで、むしろこれは日本政府側にこれを委するという形で五人委員会が解散せられたのであろうと私は想像いたしております。
  58. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 それからもう一点でありますが、電気事業編成審議会の正式な答申政府案として採用しないで松永案を出された理由でありますが、先程進藤証人からお話で大体は分つたのでありますが、もう一度その点を御説明願いたいと思います。
  59. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 先に大臣からお話のありましたように、二月の六日に答申案を英訳いたしまして関係筋の方へ提出いたしたわけでありますが、これは対しまして十一日に司令部の方から答申案に対しましては賛成がならんという意見がございました。そこで我々としてはこれを何とかして通したいということでいろいろ検討いたしましたが、松永案答申案も九ブロツクにするということは一致した意見であります。ただ現在の電力不足或いは電気料金の状況で、暫定的にこういうものをおいたらどうかという点が答申案と違うだけでございますが、それから司令部の方は十分創案が非公式ではございまするが提出されておりました。併し十分創案は区域内の工作物に限つて所有できるということは、非常に再編成の途上或いは今後の運用についてもむずかしい点ができやせんかということを考えまして、我々は松永案骨子として採用いたしたのでありますが、併しさつき申上げましたように需給の円滑化、或いは料金の調整問題をどうするかという点を考えまして松永案を一部修正しまして、そうして工作物つまり電源の所属等を調整いたしまして十五日に大臣から司令部の方へ我々の意見を述べたのであります。
  60. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 では松永案を採用したということについてはその筋の意向を斟酌してやつたということが主になつたのでありますか。又その当時いろいろ経済界或いは電気業者等でいろいろな意見が出されておつたと思うのでありますが、そういうことも多いに参酌して検討されて、松永案というものを中心として政府案が作られたのでありますか。
  61. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは先程も私申上げましたように十五日に出しました案というものは閣議決定をいたしておりません。何故閣議決定をいたしてないかということは、先程も申しましたようにいわゆる審議会答申案は反対であるということを関係筋からはつきり申渡されておりまするが、併しながらさつき進藤君が申しましたように松永私案も九ブロックということは両方大体同じことであります。それでそれを一つの基準、目安といたしましてこれから折衝を展開して行きたい。いわゆる電力量の調整、並びに電力料金の差額ができることを防止するという目的融通会社案ができたのでありますが、これがいけないということであれば、他の方法でその目的に副うように何か向うと折衝を進めて行きたい。折衝を進めて行くのについては基礎案がなければならんので、一応九分割案ということでこれに対して折衝を進めて行きたい、こういう考え方であつたのであります。そこで従つて関係筋から松永案にしろといわれたわけでもありませんければ、又他の方面から松永案にしろというわけでもないので、要するに審議会答申しました趣意に副つて、これを基礎として今後いわゆる電力融通の問題なり、或いは又電力料金の差額を狭めるという問題について折衝を続けて行きたい、こういう考え方でむしろ通産大臣案として、閣議の案じやなくて通産大臣考え方でこれを先方に提示しよう、こういうことであります。
  62. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 この経過録を読みましても、当時その筋の方は十ブロック等もそろそろ主張されておるようでもあるし、それから向うの考え方としては発電所の所属は原則として属地主義といいますか、新らしくできる会社に所属を指名して、電力融通はレギユラトリー・ボデイでやらすという考えを一応とつておるように、我々も今日まで推測して来ておるのであります。それに対していわゆる会社の区域外にいろいろ発電所を持たしてやるという案を立てられた事情については、それしか電力調整の方法はない、公益事業委員会は到底そういうことはやれないだろうという考え方からそういう案を立てられたのでありましようか。
  63. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは私先程申上げましたように、私自身は根本的に公益事業に私的折衝を重ねておつたというところの、私が申上げましたように公益事業委員会にウエイトをおくという考え方、それから同時に再分割をなすについていろいろ出て来るべきところの障害は成るだけ打開して行つて、各方面に衝撃を與えないという形でもつて行きたいということのために一応の案として出したので、今報告案云々というお話がありましたが私はそれを読んでおりませんが、併しながらそういう考え方で、従つて私は若し報告案が通産省の正式案として出ておれば間違つておると思うのですが、閣議にかけていない案として通産大臣から今後の論議の基礎としてその案が提出された、こうお考え下さつてよいと思います。
  64. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 私の質問ちよつと誤解されておつたようでありますが、私のお聽きしましたのはその筋にいろいろ案を出されるについて、その筋の意向を非常に斟酌しつつやられたように思つておるのでありますが、当時その筋の方では発電所の帰属その他については大体原則的に属地主義を強く強調されて、いわゆる問題になる電力融通については公益事業委員会でやらしたらよいのではないかというような空気であつたように思うのであります。更にそれを徹底するいわゆる十ブロツク案等も提案されておつたわけでありますが、そういうことに対していわゆる松永案を基礎として政府案を出されるについては、経済界なり電力界なりいろいろな方面の意向を強く参酌しつつやられたのではないかと思いまして私が質問を申上げたわけであります。
  65. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 今お話の点は十ブロック案、或いは電力審議会委員会との折衝の過程においてそういう意見が出たのであり示す。委員会では十分審議された答申案が我々に参つたのであります。ですから我々は委員会答申を尊重いたしましてそうして翻訳を出しましたところが、向うの意見がはつきりいたしましたから、前大臣からお話がありましたように非公式と申しますか、閣議決定でなくて松永案を中心として案を出した、こういうわけであります。
  66. 岡田信次

    ○岡田信次君 電力編成審議会のメンバーに松永さんが加わつておられるのですが、そういたしますと審議会答申なり結論には松永さんの意見が十分入つておると思うのです。それにも拘わらず別個に松永さんの案というのがあるのはどういう関係でございますか。
  67. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは審議会で二つの結論的なものが対立したわけであります。それが大体三鬼案といいますか、三鬼君のもの、工藤君も同じでありますが、主張されました今の別に融通会社をおくという案と、それからして松永氏が作られました案と二つが対立いたしまして、従つて今度はまあそれのまとめ方について相当困難を見たのでありますが、結局委員の数の上において三鬼案といいますか、その方のものが支持者が多うかつた関係で、その案を正式の答申案といたした。併し又松永案の私案に対して他の委員方々がこれも一つ考え方であるので、附属書類としてこれを添付して出そうではないかということ、我々の方に答申があつたわけでございます。正式の答申は今先程申しましたように、九ブロック案に加うるに融通会社を設けるというのが正式の案であります。それの附属に、私の先程から松永私案とたびたび申上げた「私」の字を付けておるわけでありますが、松永私案なるものが附属書類、参考として出て来たのであります。それをそのまま先方へ連絡したということであります。
  68. 岡田信次

    ○岡田信次君 そうするといわゆる少数意見というわけでございますね。
  69. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) さようでございます。
  70. 西田隆男

    ○西田隆男君 稻垣さんにお尋ねいたしますが、見返資金の放出と電源開発、電力編成というものとは大した関連性はないと私は考えているのでありますが、最近になつて見返資金の放出は法律案が国会を通過しなければ停止をするということでありますが、あなたが関係方面折衝中に電力編成法律案をいつまでに通さなければ見返資金の放出は止めるぞというような話でもあつたのかどうか、その間の見返資金放出に関する関係方面とあなたとの折衝の状態をお話を願いたい。
  71. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは御承知のように主として見返資金の折衝は大蔵省においてこれを行なつております。併しながら、事通産省に関するものは脇から通産省においてこれを促進して行く、こういうことになつているわけであります。そこでこの問題でありまするが、集排に指定されている会社に対しては見返資金を出さないというのが関係筋の建前であります。これはひとり電力事業のみならず他の事業におきましても、集排に指定されておつてその再整備計画ができないものに対してはこれは見返資金を出さないという建前でやつて来ておつたのであります。ただ電気事業編成の問題が決定はしませんけれども、併しながら電源の開発というものが電気事業の再編成とそれこそ表裏であるという考え方から、できるだけ一つまだ再編成はできないのだけれども見返資金の放出を願いたいと、こういうことを通産省として申出でまして、幸いにその通産省の希望が容れられまして、これに対して見返資金が出ることに相成つたのであります。私がそれを希望いたしました当時においては、再編成法案がいつ何日国会を通過するといつたようなそういつた問題を前提としてではありません。ただ関係筋においてはもとよりこの再編成が実施される、而も近いうちに実行される、現にそういう意味合において審議会が設置された、又そういう方面に進んでいるということを前提としてこれを見返資金を出すことにしたことと私は考えております。又さように心得ていいのだと思うのです。但しそれならば、それがいつ何日法案が通過することを條件とするというようなことを私は承つたことは一度もありません。
  72. 西田隆男

    ○西田隆男君 もう一点お尋ねいたします。委員長只今質問の中にもありましたが、日発の最高首脳、言い換えれば総裁、副総裁というような人々の人事の更迭に関しては、電力の再編成が終るまで更迭してはならんというような関係方面お話があつたということを私は聞いておりますが、そういうことはあつたのかどうか。
  73. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは先程委員長から御質問がありましたような問題が噂になりました当時、日にちははつきりいたしておりませんが、多分二十四年末かと思いますが、通産大臣宛にメモランダムが参りまして、電気事業編成が実行さるるまではこれに関係の、ということは日発も又配電会社も、それから又通産省電力局の人々も、そういつたような人事の異動はこれを行なうことを止めて貰いたいという意味のメモランダムを受取つたのであります。
  74. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それに関連しまして、私から御質問いたしますが、そのメモランダムは最近横尾通産大臣の言明によりますと、そういうメモランダムは受けたけれども、直ぐに向うへ取返されまして、そういうものはなかつたと同じである、こういう工合にたびたび私共は正式の委員会の席上で承つておるのでありますが、当時そういうことであつたかどうか、それを伺いたいと思います。
  75. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 取返されたということを私自身は無論取返されたと思つておりませんし、又私もちよつと進藤資源庁長官に聞いたのですが、取返されたかと言うと、進藤君もそれを承知していないと申しました。私はそのままそれは残つておることと存じております。
  76. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういたしますと、少くともあなた方が現職であられました間においては、その覚書はずつと有効であつた、こういう工合に理解してよろしいわけですか。
  77. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 私はさように考えて行動しておつたのです。
  78. 江田三郎

    ○江田三郎君 先程の二月の十五日に閣議決定でなくしてやつた、これは松永私案骨子とした案をお決めになつた、で、向うへ折衝されたわけですが、二月の十一日に経済科学局長から稻垣大臣宛に来た覚書では、審議会答申案が賛成できないと同時に、松永氏の個人的な勧告案も期待されていた成果を挙げることができなかつた、二つとも駄目だというようになつてつたように思うのですが、それが審議会答申案が駄目だということになつて、その後に向うの方から松永案も期待された成果を挙げていないと言われるのに、それを骨子にして出されるというのはどういう理由なんですか。
  79. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは私ちよつと御質問意味合がはつきりしない。でも何か皆さんのところへ書類が渡つておるのですか。私は知らないのですが……。
  80. 江田三郎

    ○江田三郎君 いやそうでなしに……。
  81. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) とにかく問題は私がたびたび申上げまするように、この審議会の案は拒否された、従つて今のお話では、松永案も賛成できないということであつたというのでありますが、とにかく審議会のいわゆる融通会社を作るということが主として拒否されたのであります。そこで融通会社を作るという案は持つて行つてもこれは駄目なんだということか実ははつきりしたわけなんです。そうして同時に関係筋の意向といたしましては、融通会社によらざる他の方法によつて案を立てて来いということでありまして、今の私が申上げましたことは松永私案という言葉を使いましたから非常にここで混同された松永氏の案がそのまま持つて行かれたようにお聞きになつておるのではないかと思うのでありますが、先程も進藤君が申上げておつたように、松永氏のいわゆる九ブロツク案というものを基礎としてこれから折衝をしようという建前で持つてつたのだとこういうわけであります。
  82. 江田三郎

    ○江田三郎君 審議会の案がいけないというのは、融通会社という考え方がいかんということをおつしやいましたが、同時に電源の属地主義といいますか、そういうようなものがその筋の関係では一貫した考え方になつていたのじやないかと思うのでして、そういう点で松永案も期待された成果を挙げていなかつたというのは、経済科学局のマーカツト局長から稲垣大臣宛の二月十一日の覚書にも書いてあるわけですが、松永案が期待された成果を挙げていなかつたという点についてはどういう点が期待された成果を挙げていないか、どういう点がいかんかということはそのときにお調べになつたのですか。
  83. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) さつき稲垣さんからお話がありましたような答申案の中の融通会社案というものはこれは向うとしてはどうしてもいかんということははつきり決められたわけであります。だが併し答申案を尊重するという建前は政府として取りたいというふうに考えまして、九ブロックについては答申案松永案も同じことであります。ただ問題はさつき申上げましたように電力不足の際どうするか、料金の問題をどうするかという点がなかなか委員会でも議論が出ましたので、この答申案を尊重して、向うの意思は委員会の審議中にも今申上げたように属地主義で出ていましたのですが、それでは今の日本電力の現状、或いは産業の現状においてできるだけスムースに再編成をやるということに対しましては、我々としては答申案を尊重して出すべきである。それを骨子としてというようなことで前大臣お話のような手続きを取つたのであります。
  84. 江田三郎

    ○江田三郎君 だからその問題について重ねて申しますけれども、マーカツト局長から二月十一日の稻垣大臣宛に来た覚書にあるのですね、松永氏の個人的な勧告案は期待されていたが成果を挙げることは得なかつたとはつきり出ておるわけです。そういう点については松永案のどういう点が関係方面の意向と反しておるのかということをお調べになり、或いは交渉されたことはありましたかどうかということです。
  85. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 恐らく今の属地主義、並びに九ブロックというものは向うで内示されました十ブロック或いは属地主義とそう距離があつたというのじやなかつたかと我々も想像いたしております。
  86. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうしますと、属地主義なり或いは十ブロックという向うの線と離れておる松永氏の個人的な私案に対しても反対であつたとすれば、その後稻垣さんのときから大臣が変りまして関係方面態度が大分変つたわけですが、関係方面の方針が大きく変つたと見ていかんわけですか。少くとも二月十一日にマーカツト局長が覚書を出したときよりもその後の関係方面態度は大きく変つたと見ていいわけですか。
  87. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) その後のことについてはちよつと我々分りませんが、要するに委員会折衝中に向うから内示された案と、それから九ブロツクがその後向うから承認されたということとの間に違いがありますから、委員会の審議中に向うから内示されたものとは変つたということは言えると思います。
  88. 江田三郎

    ○江田三郎君 尚ちよつと進藤さんにもう一つお尋ねしますが、進藤さんが日発の副総裁の時代に日発再編成案をお作りになつたわけでしようが、そのときには一社化案というものをお決めになつているのですが、これは集排法の精神から見て日発が決められた一社化案というものは集排法の精神に違うものでないという観念を以ておやりになつてつたわけですか。
  89. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 集排法のときにはこの何分割という問題ではなくて、集排法の精神は過度の経済力の集中を排除するということと並行いたしまして、再編成後のこの会社が事業の能率を落さないようにするということがあの集排法の精神として書いてある、いろいろ検討いたしました結果、現在の日本状況におきましては、事業の能率を落さんのにはこうしたらいいじやないかというのが、我々か当時日発から持株整理委員会答申した案の骨子でございます。考え方はそういうことでやつたのでございます。
  90. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうすると、そのお考えはこの資源庁長官として在任せられておる間も今日もやはり一貫して個人的には持つておられるわけですか。
  91. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) その当時答申いたしまして、そうしていろいろ我々関係方面と非公式の意見を交換しておつたわけでありますが、分割問題に対して具体的にどうというふうなお話は我々はお伺いすることができなかつた。その後いろいろ電力委員会の席を通し、その他日発に内示されました十分創案によりまして、分割というものは向うの基本方針であるということがはつきりいたしました。でありますからして、その線によつてやる以外に途がないと私は個人的には考えております。
  92. 江田三郎

    ○江田三郎君 それでは資源庁長官としてお勧めになつておる間に、どうしてもこれは分割しなきやならんということで日発当時のお考えとは違つて来たわけなんですね。
  93. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 日発当時におきましては、現在の電力不足その他の日本経済がまだ安定しないという状況におきまして、できるだけ能率を落さんということを主として考えて答申したのであります。その後これは集排法によつて形式としては分割しなくちやならんということがはつきりいたしました。で、私はこれは政府へ入りましてから政府の方針によつてやるわけでありますが、個人的にもやはり早く片附けるためには集排法に指定されて分割するということがはつきりした以上は分割しなくちやならんというふうに考えております。
  94. 水橋藤作

    ○水橋藤作君 電力の再編成問題が起きる劈頭に大山私案なるものが我々委員会及び国民の間に相当大きな話題を起したのでありまするが、これに対しまして、大山私案に対しまして政府との関係はどうであつたか、それから大山私案なるものが関係方面へ提出され、又検討されていたかどうか、この二点、それからもう一つ大山私案なるものを五人委員会に出席、出席と申しますか、むしろ、大山私案なるものを参考にされたかどうか、それから五人委員会の中へ大山私案が相当検討されているにも拘わらず、その中へ大山さんがタツチされなかつた理由、こういう面をちよつと明確に御回答願いたいと思います。
  95. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 第一、第二の御質問は、これは私の就任以前のことでありまして、それがどう取扱われたということは私は承知いたしておりません。それから第三の御質問は先程委員長の御質問に対してお答え申上げましたように、この審議会において大山氏の案というものも検討の一つの資料であつたとかように私は存じております。  それから第四の御質問の問題でありますが、これは何かお考え違いをなすつているのじやないかと思うのですが、五人委員会大山氏を加えるというのは審議会へ加えるという意味ですか。五人委員会というのは関係筋の五人委員会ということを五人委員会五人委員会とさつきから申しておるのです。これは関係筋の五人委員会ですから、これへ大山氏が加わる筋のものでもございません。それからして審議会の方に何故大山氏を加えなかつたという御質問審議会は五人でしたから、その委員会という意味でございましたならば、私としましては先程申しましたような観点から人選をいたしましたので、従つて大山氏を加えなかつた、かようにお答えするわけであります。
  96. 古池信三

    ○古池信三君 ちよつとお伺いしたいのでありますが、そういう十分割案、あの内容につきまして簡單で結構ですが、その要点、特徴をちよつとお伺いしたいのであります。それからもう一つは、十分割案なるものはどういうような形で日本側に示されたのであるか、日本側の誰に対して示されたものであるか。それからこの十分翻案に対しては日本側としては結局どういうふうに取扱われたのであるか。これだけ簡單でよろしうございますが……。
  97. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 十分割案骨子は大体におきまして今の配電会社のブロツクの外に、中央部の電源を一つつた会社を作つて、それで統御するということでございます。それから今お話のどういう形式で示されたかというのは、これは電力審議会委員関係方面との折衝の過程において向うからお話が出たわけであります。
  98. 森下政一

    ○森下政一君 勢頭に委員長が、今日御証言お願いすることについて大要を申されたと思うのですが、その中に再編成審議会発足以後におけるこの電気事業編成に対する政府動きを、政党、電気事業者その他に対する交渉を含めて順序を追うて詳細に証言して貰いたいと、こういうことであつたのでありますが、稻垣さんなり進藤さんが前職に御在任中に、大体二月二十一日の閣議において、十五日に申入れられた線に沿う一つの案をおまとめになつておるということであれば、それについて何か政党というか、電気事業者或いは政党に対して支持を得たいとか、或いは電気事業者に対しては了解を求めるとかいつたような御交渉があつたんじやないかと思うのですが、そういうことについてはついぞ何にも御証言がなかつたのですが、その辺は如何でございますか、お伺いしたいと思います。
  99. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは先程も申上げましたように、私二月十五日に辞表出しましたので、その後の動きは私は存じません。それから委員会答申案を英訳いたしましたのが私さつき五日と言つたのは間違いで、六日だそうでありますが、六日から十五日の間におきましては、先程私が申したような動きをいたしております。従つてこの問題について日発なり或いは配電会社なり、或いは日本の一般の経済界について御意見を聞くというふうな処置を取つておりません。取つておらんということは先程申上げましたように、十五日に出しましたのを基礎案としてこれから一つ折衝を続けて行つて見たい、それにはまあ堅苦しい裃をつけた折衝折衝であるが、同時にいろいろ私的にも話して見たい。そういうことで進めて行つて或るまとまつたところへ来ないまでも、まとまる近くへ来たところで又各方面の御意見を徴して見たい、こういうことを私は考えてはおりましたので、それまでの間に日発なり或いは配電会社なり、或いはその他の経済界の人に御意見を聞く、こういうことをいたさなかつたのであります。従つて報告申上げなかつたわけであります。
  100. 森下政一

    ○森下政一君 資源庁長官の場合も御同様でございますか。何にも御交渉はお持ちになつたことはなかつたのでございますか。
  101. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 前大臣と同様でございます。
  102. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちよつとお伺いをいたしますが、この委員会の人選について先程委員長からの質問に稻垣さんがお答えになりましたが、三人で決めて自選、他選もなかつたというお話でありますが、そうすると各方面からというその方面についてはお話がありましたが、松永委員長委員推薦指名された理由といつたものについてお伺いをいたしたいのでございます。と申しますのはこれは委員会の性格はもとより申上げるまでもないと思いますが、松永さんにつきましてはこれは新聞等でありますから、或いは巷間かも知れませんが、最初から分断についても御意見がおありになつたということで、この反対側の日発側からも相当衝動があつたということも伝えられておる。或いはこの間からの衆議院の考査委員会証言の内容から見ましても、松永さんが配電会社と同じ意見を持つておられるということで松永委員会に……松永委員会というものは正式の委員会でなくして、松永電力局に相当の資金が出された証言もあつたようでありますが、松永さんが一つ意見を持つておられる、いわば偏つた意見を持つておられたという工合に考えられるのでありますが、その松永さんがこれはまあ初めから委員長予定されておつたかどうか分りませんけれども、委員に選ばれたということについては多少公平妥当な点からどうかという点が考えられるのじやないかと思います。松永さん選考の理由をもう少し詳しく一つお話を頂きたいと思います。
  103. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 松永さんを委員お願いするということについて、今多少偏つた意見を持つておられる人じやないか、こういうお話があつたようでありますが、これは私の選考したときの考え方は、電気事業の再編成という問題でありますから、電気事業について経験のある人を一人加えたいということが一つ、それについては多年電気事業関係しておられてこの方面の知識を持つておられる方、こういう方を一つ加えて置きたい、こういう考え方同氏委員推薦申上げたわけであります。後になつていろいろ今考査委員会云々、何新聞紙等で云々というお話がありましたが、これは後になつてつた問題でありまして、当時としては電気事業について経験を持つておられる人を一枚加えて置きたい、こういう考え方は、丁度例えば法律の知識を持つておられる方に委員を一枚お願いした、又或る意味において他の方面を代表されるような人なり、或いは苦労者あたりも加えて置きたいといつたことで、全然意見のない人ということであることが條件であるとは私は思つておりません。そういう意味電気事業の再編成について電気事業に知識を持つておられる、経験を持つておられる方を一枚加えた、こういうことであります。
  104. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それからこの委員会の権限と申しますか、結論をどの程度に政府において尊重するかという建前の問題を伺いたいのであります。と申しますのは、政府大山委員会結論も何ら政治的に実を結ばなかつた松永委員会にしても然り、この点は国民として納得の行かないところでありますが、委員会の建前というものは結論が出ました場合にどの程度に尊重せられる建前でありましたのか、その点を伺いたいと思います。
  105. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今吉田君の御質問は先程岡田君からも御質問がありまして、最も中心になる点だと私は思うのであります。それは審議会の性格の問題になるわけであります。私からもう少し今の御質問に加えまして稻垣前大臣に御解明を願うようにお願いいたしたいと思います。先程証言されたように、昨年の六月八日にマーカツト少将に対しまして、三点を挙げて再編成に対する御意見を出されております。そうしてそういうようなことが中心になつて昨年十月十四日に審議会設置の指令が関係筋から下りた、こういうような点を考えてみますると、この審議会結論というものは国内的な問題だけでなくて、関係筋の方も御了解の上でなされたものであります。で、向うから参りましたのには、電力行政機構の再編成案をも審議、勧告せしめようとの意向を政府側に通達せられた、こういう工合になつておりまして、さように承知いたしておるわけであります。そこでそういう形で審議会発足したわけでありますが、その場合に政府としましては、この審議会出しました答申というものを自動的に政府案としては決定されるつもりであつたのか、或いは單なる査問案として参考に供せられるという初めからの御予定であつたのか、この点が明確にならなければならないと思うのであります。審議会のいわゆる権威と申しますか、性格と申しますか、この点が委員各位の非常に疑問になつておるところだと思いまするので、関係筋との交渉顛末も含めまして是非とも一つ御両人で明らかにして頂きたい、こう思うのであります。
  106. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 審議会を今作るにつきましては、これが設置について我々の方から先ずこれを設置してこの問題を決定いたしたい、こういう提案に対して、関係筋においてもこれが設置をして、これをして調査研究せしめ、立案せしめる、こういうことであつたわけでありますが、併しながらその案そのものをそれでは関係筋も如何なる案であつてもこれを認めるのだという考え方であるとは私はそのときも承知いたしておりません。従つてこれは併しながら何もこの案に限らないのでありまして、何らかの委員会があつて、その委員会答申があつても、それが直ちに関係筋においてそのままそれを承認せられるという形には従来なつていないと思うのであります。我々もそういう建前でこれを解釈いたしておるのであります。ただこういうような案ができ上るということは、日本経済再建の上におきましても、或いは各産業界においてもこういつた形でやつて行きたいという考え方の結集だ、こういう意味関係筋においてもそれを尊重して頂きたいという我々の希望は持つておりましたけれども、これは必ずしもそれで最終的のものだという考え方関係筋との間に話合つたことはないのであります。関係筋もそれを以て最終にするとは決して言つていないのであります。従つて我々通産省といたしましても、これを以てそれは通産省の案である、而うして又これが政府の案である、一歩も譲れない、こういう建前には置かれ難いのであります。これは日本の置かれている立場として私は止むを得ないものではないか、かように考えております。
  107. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと、今の稻垣さんの御証言は、主として委員会結論と、それからその筋の考えとの関係を御説明になつたんでありますが、委員会通産省との意見につきましては、只今委員会意見がそのまま通産省意見になるのではない、いわば諮問機関と申しますか、出ました結論通産省でどうにでも変えるのだ、こういうように伺われたのでありますが、最初の設置の御趣旨はそうではなかつたのではないかというように私共了解するのでありますが、委員会結論通産省関係をもう一遍はつきりお伺いいたします。
  108. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) 先程私が申上げたことをよくお聞き下さるとはつきりすると思うのでありますが、仮に通産省審議会から出ました意見というものを以てこれを最終的なものといたしましても、先程申上げましたように関係筋との関係は先程私が申上げましたような事情でありますから、従つて通産省といたしましても、審議会意見というものを最終的のものとしてこれを取扱うわけには行かない、かように私は申上げたわけであります。
  109. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これはこうこうというような議論になつてはいかんと思うのでありますが、先程の五人委員会の解散されますときの理由として稻垣さんがお挙げになりましたのは、それは政府でやらせる、こういう意向で解散されたのだ、こういうお話であります。そうするとそのときの政府にやらせるという御意向と今のお話との間には食違いがあるように私共には考えられるのでありますが、その点は如何なものでありますか。
  110. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) これは全然食違いはないのでありまして、それは食違いだとお考えになるについては私は意外に思うのでありますが、要するに五人委員会は向うのお作りになつた委員会であつて、これが私がこうであろうと想像するということを繰返し申上げております。これははつきりして頂きたい。それからして日本政府にやらせるということは、日本政府意見を立てさせるということでありまして、日本政府決定させるという意味ではないことは無論であります。この点をはつきりいたしておきます。
  111. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつとお諮りいたしますが、稻垣証人にまだ御病気の完全回復をしておられませんので、本日は大変御無理をして頂いたわけであります。又明日も御出席を願うことになつておりますので、一応中心的な御質疑は終りましたならば御退席を願いたい、こう考えるのでございますが、さようにお含みの下に適当な御質疑を願いたいと思います。
  112. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それであの審議会の性格と申しますか、主として委員の性格をお伺いいたしたいのであります。端的にお話申上げますと、先般衆議院の考査委員会でいわゆる松永電力局に対して配電経営者協会でありますか、献金がなされた云々という話があるのでありますが、そうするとこの委員の性格、その事実をお尋ねするのではありませんで、委員が例えば制度上の建前或いは法制的にどうなつておるかということをお尋ねするわけでありますが、公務員に準ずるものとして解釈してよろしいのでありますか。それからもう一つは、任期の点が問題になつて来るのでありますが、松永さんが委員をお辞めになりました日は何日でありますか、その点をお伺いいたします。
  113. 稻垣平太郎

    証人稻垣平太郎君) お答えします。通産省にはいろいろ審議会なり或いは委員会なりで外部の経済界の人、産業界の人をお願いいたしておりますが、これは決して公務員に準じておりませんということが一つ。それからして任期でありますが、任期はこれは答申ができるまでの間をお願いしておつたわけであります。それから二月一日に答申が出まして、その後数日、これははつきり日時は私は覚えておりませんが、その後数日経つてこの委員会は解散をいたしております。従つてお願いしたのが十一月の二十何日かでありまして、それから終つたのが二月の五、六日とさよう御了承願いたいと思います。それから後の松永氏の行動については私一向存じません。
  114. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは稻垣、進藤君に対する御証言、並びに御質疑はこれで打切りたいと思いますが御異議ございませんか。
  115. 島清

    ○島清君 進藤氏に対する質疑はもう打切りですか。それならば一点だけお聞きしたいのですが。
  116. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは稻垣証人に対しては御退席願いたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 午後は予定としましては、大西、高井両証人お願いしたいと思つておりますから……
  118. 島清

    ○島清君 それでは準藤さん、時間もないようでございますから、單刀直入にお聞きいたしますが、いろいろとこの電気の再編成につきまして、あなたが中心になられて省議をお決めになつたようでございますが、この省議決定までには外部の方々が相当に発言をなされておるやに巷間伝わつておるのでございまするが、あなたの御答弁の中にはそういうものがなかつたように御答弁になつておられるのですが、この中心になつてお働きになつておられまする間において、省外であなたは、或いは電気事業関係者でもよろしうございまするが、そうでない方々でもよろしうございまするが、この分断に対しまして或いは御懇談をなさつたことであるとか、又は御招待を受けたというようなことはないとはおつしやらないと思いますが、そのございました同数と場所をちよつとお答えを願いたいと思います。
  119. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) さつきは二月一日に答申案が出ましてからのことを申上げたのでありますが、その前に、この委員会の審議中に委員会、或いは私の所に陳情その他あつたことはございます。これは回数はちよつと記憶がございませんが、書類の形式において、又口頭においてあつたことはございます。それから私からも経営者会議、つまり日本発送電配電会社に対しまして、今度審議会ができたんだから、一つ業者としても資料その他について協力して頂きたいということをお願いしたことはございます。その外今お尋ねのように分断その他について饗応を受け、又協議したということはございません。
  120. 島清

    ○島清君 あなたがそういうことがおありでなかつたといたしまするならば、或いは資源庁の誰かが、又は電力局の誰かが、又はそうでない通産省の誰かが、そういう事実の有無についてお耳にされたことはないかどうか。
  121. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) そういうことは私耳にいたしておりません。
  122. 島清

    ○島清君 先日これは新聞を通じてでございますが、大西さんが他の場所で官庁関係の雑費ということを証言しておられまするが、そういたしますると、後で大西さんにお聞きすれば分ることでございまするが、私がお聞きせんとしておるような点については聊かも、一回もこれはなかつたということの御証言であると了承してよろしいですか。
  123. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) つまり官庁関係の雑費というのはどういうものでございますか私よく存じませんが、私は今申上げましたのは、再編成に関して私が饗応を受け、或いは私の関係電力局その他が饗応を受けたということは、私に関する限りはありません。その他耳にいたしたことはありません。
  124. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちよつとお尋ねいたしますが、准藤さんに、いわゆる松永電力局と巷間言われております問題なんですが、この審議会ができまして、審議会が中心に進行していると、そうするとその事務局といいますか、お世話というものは資源庁電力局が中心になつておやりになつたのだと思います。ところが私が洩れ聞いておるところですが、別に松永さんの調査されるスタツフ、メムバーがあつて、例えば向うから松永さんに資料なり出て参ります場合に、委員会の世話をしております電力局長に来るよりも前に向うに行つたといつたようなことを漏れ聞いておるんですが、そういうような、このいわゆる委員会とその他との関係につきまして、そういう事実がありましたか、これは当時の長官としてその点の関係御存じでしたら伺いたいのですが。
  125. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 委員会は成立以来十六回会合をいたしておりますが、その間に関係のGHQともいろいろ懇談されておりますし、又その他必要に応じて関係者を呼んでヒアリングをやつております。或いは経済界の方とかその他そういうふうな事務的な問題、或いは資料の作成ということで、大体電力局電力課が中心になつて、あの審議会委員会の事務的な仕事をやつてつたのであります。併し資料はなかなか電力局だけでは委員の御希望の資料も集まらん点もあります。これは電力局から或いは経営者の方へお願いいたしましたり、又各委員個々の方が適当の方法で資料をお集めになつたことはあると思います。
  126. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その松永さんの資料を集められるスタツフといいますか、メムバーとしてのいわゆる松永さんの輩下と申しますか、或いは配電会社と申しますか、そういう集まりがあつたということは、お尋ねしておるわけじやないのです。それで、本来の審議会の事務局的な電力局なり電政課、そういうところよりも、むしろ松永さんのスタツフの方が何といいますか重要視されたといいますか、或いはまあ例えば資料にしても電力局に来ないで、そちらの方に流れて行くというような、むしろ非常に巷間松永電力局といわれるように、仕事のウエートがそちらの方にあつたというように漏れ聞いておりますが、運用の点においてそういう事実がございましたかどうかということを伺つておるのであります。
  127. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 御承知のようにあのときは松永さんが委員長をやつでおられましたから、松永さん、委員長から御希望の資料については、電力局はできるだせこれをいろいろな方法で收集する処置をとつたんでありますが、それ以外に電力局でできないもので、委員長が必要或いは委員の方が必要のものは各所へ直接連絡をして資料をお取りになつたことはあると思います。併し今お話のように松永さんの資料作成の方にウエートを置いたかどうかということは、委員会の運営の問題でありまして、我々はそこまで存じておりません。
  128. 島清

    ○島清君 先程私進藤証人にお聞きしたことは、直ちにあなたが饗応を受けられたかどうかという意味じやなくして、この再編成の問題をめぐりまするその前後の期間において、すべて省内において只今あなたが稻垣さんの証言されたような経過のみにおいて、その範囲のみにおいて物が決定されたかどうか。乃至は省外においてそういう問題を中心にして懇談をされたことがあつたかどうかということをお聞きしたのであつて、あなたが饗応を受けられたかどうかという問題ではない。私の質問の要点は、ですからすでに御答弁の中に誤解が含まれておつたようでございますから、あつたといたしましたならば御証言を願いたいと思います。
  129. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 再編成をめぐる動きという問題でありますが、要するに再編成の問題は委員会成立以前からの長い間の問題でございましたが、特に委員会が成立しましてから各地方の団体なり、さつきお話がありましたように或いは地方の経済界の団体の方、或いは電気工事の関係の方、いろいろの方から陳情の形式、或いは書類でありますとか、口頭でありますとか、そういうのが官庁に相当参つたのであります。これの件数はいずれ調べて御答弁いたしたいと思います。そういう動きはございました。併しその他については私は存じません。
  130. 島清

    ○島清君 地方の自治団体であるとか、そういう方々の陳情という意味ではなくして、電気事業関係者であるとか、乃至は政党の関係者であるとか、或いは言論界の関係者であるとか、こういつたような方々との省外における御懇談の有無をお聞きしたいのです。その問題に関して省外において懇談をされた有無をお聞きしたいのです。
  131. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) それは先程申上げましたように、委員会ができましてから委員会に対してできるだけ一つ資料、その他で応援して貰いたいということを業者に懇談と申しますか、こちらからお願いしたことはございます。その外業界と再編成の問題について我々が懇談して、こうだ、ああだということはございません。
  132. 島清

    ○島清君 その御懇談をなさいました場所はどこでございますか。
  133. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 経営者会議でございますか。電気事業者とでございますか。これはたしか社長さん方が資源庁の長官室へいらつしやいましたときにお願いいたしております。
  134. 島清

    ○島清君 省内ですね。
  135. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 私の部屋でございます。
  136. 島清

    ○島清君 省外ではなかつたと御了解して差支えありませんか。
  137. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) よろしうございます。
  138. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは休憩に入りますが、今日の委員会の最も大きな目的は、私冒頭に申上げましたように巷間の言論とか、報道機関を通じて再編成自体の問題、又は再編成をめぐつてのスキヤンダル説というようなものが流布されておるのが不明朗になつておるわけでありますが、恐らく進藤証人もいろいろなものをお読みになつて、全貌はほぼどういうことが流布されておるかということはお分りになつておると思いますが、これにつきましてここで結論的なことで結構でございますが、あなたが長官として御在任当時からスタートしたものでありますが、ああいうような各言論報道機関に登上して来る人物、或いはそれがいろいろと経済界、政党をめぐつて動いた、いわゆる暗躍という言葉で表現されておる動きでございますね、そういうものがあつたとお考えになるか。ああいうことは全然なかつたとお考えになるか。いわゆる今日ここで御証言つたように政府側の表面的な動き、そういうものだけでスムースに再編成の問題が進行したのか。或いは裏面に相当ああいうような動きがあつたとお考えになるか。その点を一つちよつと御解明を願つで置きたいと思います。
  139. 進藤武左衞門

    証人進藤武左衞門君) 委員長からお話のように再編成問題に対していろいろ新聞なり雑誌等に書いてございますが、私は少くとも私の在任中この再編成の問題が審議されておる間、ああいう問題はなかつたと確信いたしております。
  140. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは委員会を休憩いたします。    午後零時五十四分休憩    —————・—————    午後一時五十五分開会
  141. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員会を再開いたします。  日本発送電総裁大西君の証言を求めます。大西君。
  142. 大西英一

    証人大西英一君) 再編成につきまして私共が取りました経緯を申上げます。  御承知のように日本発送電は二十二年の二月に集中排除法の指定を受けまして、翌月再編成計画の作成に関する意図の説明書というものを持株整理委員会へ提出いたしました。それには再編成の意図のあることを明記いたしてございますし、併せて電気事業の再編成は発送電單独でやるわけに参りませんから、配電会社と協議をする必要があるということも併せて申して置いたのでございます。その後配電会社の各位といろいろ御協議をいたしましたが、遂に意見の一致を見ることができませんで、発送電は單独で再編成計画を立案いたしまして、四月の二十二日に持株整理委員会へ提出をいたしまして、当初は御承知のように全国発送配電一社案というものを我々主張いたしましたのです。これは先程進藤君からもお話がございましたように、集排法の中に再編成後の能率を低下させないことということがありましたので、我々は必ずしも分割そのものが再編成であるのではない。従いまして、現在のような電力国家管理法であるとか、或いは発送電会社法であるというような官僚の統制を外して民主的な会社にするということも十分再編成目的であるというふうに信じまして、さように提出をいたしたわけでございます。その後段々御承知のように三百有余の会社が指定を受けましたのですが、次々に解除になりまして、再編成をされたのは確か二十社弱であつたように聞いております。殊に、それも僅かに二つ乃至三つに分割をされたのが多いように伺いましたので、私共としてはその後四月の末に発足いたしました水谷商工大臣のときに電気事業民主化委員会というものが設けられまして、私もその委員の一員としてその委員会に出席いたしました。約半年に亘りましていろいろ論議をされました結果、御承知大山案どいうものがまとまりましたので、私共はその案に賛成をいたしました建前から、現状に近い維持をその後も主張して参つたのでございます。それにつきましては八月に日本発送電からG・H・Qの方へも現状維持の希望を述べて置いたのでございます。この問題は初めから非常に各府県の御関心を持つでおられるところでありまして、発送電といたしましては衆参両院の電気委員方々に御説明を申上げる機会を與えて頂きましたし、又持株整理委員会へ参りまして、日発の考えているところを御説明をいたしまして、殊に経済関係方々は非常に御関心をお持ちになつておりましたので、私共は日本産業協会、或いは経済同友会、その他商工会議所そういうようなところへも出向いてしばしば説明する機会を與えて頂きました。又一方各新聞社、雑誌その他の方々も非常に御関心をお持ちになつて、座談会或いは説明会というものを再々催したわけでございます。その後二十四年の暮に先程お話稻垣大臣のときに電気事業の再編成審議会というものが設けられました。ところが私共この委員には電気事業関係者は一人も委員に参加しなかつたわけでございます。それで私共も審議会に出席をいたしまして、日発の考えておるところを縷々御説明を申上げ、又松永委員長始め各委員方々日発の本社にございます給電指令所というものを御視察願いまして、事業の運営、あり方というものを十分御説明をし、審議の資料にして頂くように希望を申述べたわけでございます。この時分から再編成問題についで一般の関心が非常に高まつて参りまして、殊に北海道、関西、中国、九州、四国というような方面の需用家がいろいろ日発意見を尋ねられましたので、私共は本店からそれぞれ幹部の者を地方に出しまして、そうして地方の電力協議会或いは需用家の方々といろいろ再編成後における電気事業のあり方というものについて御説明申上げました。それからその後衆議院の通産委員会方々にも当社の給電指令所を御視察願い、又参議院電力特別委員方々にも十分御認識を得るように指令所の御視察を願つたりいたしまして、その他財界或いは商工会議所の方々、或いは大口需用家の方々、或いは新聞、雑誌等の方々にも引続き給電指令所の御視察をお願いして、事業のあり方を御説明して参つたわけでございます。そういうような関係で私共この再編成に対しまして、発送電として非常に反対しておるかのごとくとられますが、私共といたしましては、再編成即九分割であるとは考えておりません。殊に先般の国会に提出されました法案は僅か十数日の審議期間しかないところへこの重大な問題が提出されましたので、私共として政治に何らの経験がないものが考えましても、この重大な法案がそうやすやす通るものでないという考えを持つておりまして、当時私共はいろいろな資料を印刷いたしまして、国会の皆様にも、又輿論を喚起する意味において各方面へ資料を配付いたしたようなわけでございます。そういうようなわけで、私共は最近伝えられまするような政治的な動きをやつたということはないわけでございまして、大体発送電といたしましては資料を作成し、これを各方面に説明これ努めたというのが再編成に対する私の取つて参りました今日までの動きでございます。大体以上でございます。
  143. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員長からそれでは重要な点について二、三御質問申上げます。一番最初に私お聞き申上げたいのは、只今証言になりしたように、二十三年の二月に集排法の指定を受けまして、各社がそれぞれ再編成計画をお立てになつて、五月に持株整理委員会へ御提出になつたわけでございますが、このとき日本発送電としてお立てになつた民有民営の全国一社化案というものは、集中排除法を克明に勉強いたしますと、私共の考えでは利益団体として民有民営の全国一社化というのは集排法の精神に反する企業形体ではないか。こういう工合に考えられるのでありますが、その点は当時日本発送電のあなた方としてはどういう工合に集排法との関係をお考えになつたか。成程先程集排の指定を受けた会社は二つか三つに割られておるというふうに御指摘になりました。まさにその通りでございますけれども、現在指定を受けた企業が民有民営の利益団体として膨脹した形で許可になつたということは一つもないと考えるのであります。その辺の考え方をどうお考えになつたか。
  144. 大西英一

    証人大西英一君) お答えいたします。これにつきましては御承知のように電気事業の性格から申しまして、規模の大であるほど能率がいいということはこれは皆様御承知の通うでございます。そういうような意味におきまして、私共はそのほうが国のために最もいい方法であると信じてそういう案を出したわけでございます。
  145. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういたしますと、集中排除法による再編ということでなくして、全くフリーな立場において日本電気事業の将来あるべき姿を大局的に決定されたと、こういう工合に理解していいわけでございますか。
  146. 大西英一

    証人大西英一君) 私といたしましては、集中排除法の目的として、再編成後の能率の低下を来たさないということに実は重きを置いて、そういう意味で我々は最もこれが能率がいいと信じて出したわけでございます。
  147. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうして而もその再編計画というものが途中で発送電の場合には変化しまして、現状維持というような線が出たやに承つておるのでありますが、そういう考え方の違いが途中で出たか出ないか。この点を明らかにして頂きたいと思います。
  148. 大西英一

    証人大西英一君) お答えいたします。御質問の通り私共途中で以て御承知の、水谷商工大臣のときに民主化委員会で約半年に亘つて各界の方々議論、討論をいたしました結果大山案大山案というのは御承知の現状維持を主としておるわけでございます。そういう意味において私もそれに賛成をいたしました立場から現状維持案にその後変りましたのでございます。
  149. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 再編成審議会ができる前の点はその程度に止めたいと思います。  次に第二点といたしまして、再編成審議会ができましてあと日本発送電も又後程御証言を願うところの配電会社の方におきましても、只今証言があつたように各界に亘つてそれぞれの主張を強力に展開され、実現に努力をされたわけでありますが、一番問題になりますのは政治的な方面の運動であつたと思うのであります。お尋ねをいたしますことは、現政府の党でありますところの自由党の中に日本発送電のお持ちになつておるような考え方を支持する流れと、それからそれと反対に配電会社の主張される考え方を支持される流れと大体二つの流れがあつたということをお認めになるかどうか。これを伺いたいと思います。
  150. 大西英一

    証人大西英一君) その流れがあつたかないかということは私共はつきり存じません。ただ私共一部の方が法案に反対の意見をお持ちになつてつたということはこれは当然なことであろうと考えるわけでございます。それぞれ国を代表し、或いは選挙区を代表しておられる方々で、その自分の選挙区に不利な法案に対しては御反対になり、又有利な法案に対しては御賛成になるのはこれはお立場上当然のことじやないかとかように考えます。
  151. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますると、そういう工合に與党の方々の中にも大体二つ考えを持つた方があるというわけでありますが、それは日本発送電としてもそういう方には特に中心的に運動を展開せられたと思うのでありますが、主としてどういうような方々に中心的な働きかけをせられたのか、それを伺いたいと思います。
  152. 大西英一

    証人大西英一君) お答えいたします。特別にどなたにということで御説明をした方はございません。ただ通産委員会委員方々は特に本問題を御審議になつて頂く関係上、私共はその方々に十分御理解を持つて頂いて、いい再編成案ができることを念願していろいろ御説明を申上げました。
  153. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これは後で高井社長の方と御関係があるので私お聞き申上げておるのでありますが、然らばその通産委員の中で当時多数おられるわけでありますが、あなたの方の主張を支持された方と大体反対の立場に立たれた方と、どういう方がありましたか。
  154. 大西英一

    証人大西英一君) 反対の方にお立ちになつた方というのはどなただということは私ははつきり存じません。特に私共の案を支持されたというのではなくて、政府がお出しになつた分割案そのものに対して御反対があつたんじやないかと、こういうふうに私共は考えておるわけであります。そういう意味において九州方面の選出の代議士の方なんかがやはり九分割法案に対して御反対になつたというふうに聞いております。
  155. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 九州方面だけでございますか。
  156. 大西英一

    証人大西英一君) その外はつきり記憶はございませんが、まだ北海道あたりでも御同様の御意見があつたやに伺つております。
  157. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に、第三点としまして、産業界或いは経済界に対しましてもやはりいろいろと主張を展開されて協力を要請されたということは先程の御証言でありましたが、この産業界、経済界に対しまして具体的にどういうような運動をせられたか、そして又この産業界なり経済界の中で発送電の主張を支持せられた団体或いは地方は大体どういうようなところがあつたか、その点を伺いたいと思います。
  158. 大西英一

    証人大西英一君) 協力方をお願いしたということはやらなかつたわけでございます。と申しますのは、私共は電気事業の本当の現在の日本の姿というものを十分に見込んだ上で御判断をして頂きたいという意味で、現在の事業のあり方というものを説明するのに努力いたしたわけでございます。従いまして、私共が御説明をいたしましたのは、先程も申上げましたように、日産協の電力委員方々、或いは経済同友会の方々、それから各重要産業の方方というような方に御説明を申して資料を提出し、或いは本店の給電指令所を御案内して、そこで日本電気事業はこういう姿ですから、ですから九つに分ければこういう欠陷がありますということを御説明申上げたわけであります。
  159. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 言論報道機関に対しては如何でございますか。
  160. 大西英一

    証人大西英一君) それもやはり前に申しましたと同様に、私の方の給電指令所を見て頂くのが一番早分りでありますので、わざわざ本社へおいでを願つて、指令所で現在の事業のあり方というものを説明することに主力を注いだわけであります。
  161. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私共の承知しておりますところでは、言論報道機関としては発送電の主張を支持する機関よりは配電の主張を支持する機関の方が多かつたように思うのでありますが、大体その比率をどういう工合にお考えになつておるか。又言論報道機関に対しましては、恐らく積極的な御運動もなさつたと思いますが、主として運動をされて而も自発の主張を支持されたような機関はどういうようなものであつたのか。この点を伺いたいと思います。
  162. 大西英一

    証人大西英一君) 特に支持して頂いたというのはそう記憶がございません。たしか朝日新聞の論説あたりが非常に私は日本電気事業を理解して頂いたような論説を出しておられたように記憶いたしておりますが、その外のは私今ちよつと記憶に残つておりません。
  163. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に、土木建築業界でありますが、これはたしか国会の方へもそういうような意向が業界から反映されたことがあつたように私は記憶をしておるのでありますが、土木建築業界は日本発送電とは極めて密接な関係にあつたわけでありますが、大体挙げて日発の主張を支持されたのか。或いは中には若干そういう工合に参らなかつたのがありますか。その辺をこれは御專門でもあるわけでありますが、一つ詳しくお話願いたいと思います。
  164. 大西英一

    証人大西英一君) 土建業者が挙げて支持しておるかどうかということは、これは私確信を以て全部支持しておるとは申上げかねます。併し私共といたしまして、先程も申しましたように、電気事業国民全般にかかわる重大な産業でありますので、先程も申しました中央指令所を見せて、そうして日本電気事業はこういうふうであるという説明をやつたことはございますが、それ以外の業者に特に運動をすべく強要をしたことはございません。
  165. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 日本発送電が増資をせられましたときに、これは各方面へ恐らく運動されて引受を依頼されたと思いますが、土建業界も相当この増資に応じておられるということを聞いておりましたが、大体土建業界として増資に応じられた状況は一体どういうふうな按配でございましたか。
  166. 大西英一

    証人大西英一君) 御承知のように私のほうの増資は昨年の十一月にやりましたのですが、当時私共増資を計画いたしましたのは、年の初め頃から計画をいたしておりました。当時株価は百円以上をいたしておりまして、我々も増資はできるという確信で進んで参つたのでございます。ところがその後財界の不況のために、だんだん株価は悪くなりまして、殊に集排法の適用を受けております関係上、持株整理委員会の認可が必要でありますので、申請をいたしました結果、当社は御承知のように全国の発電会社を合併いたしました関係上、従来府県営或いは市営でおやりになつてつた分も全部出資されているわけでございます。そういう公共団体並びに配電会社の持株に対しては、新株を引受さしてはならない、こういうような特定の指令が付いて許可になつたのでございます。この株数が大体六百万株ぐらいだつたと記憶いたしますが、そういうような関係上、株主に対して、一株一株で割当てる相手がそれだけ減りまして、公募をたくさんしなければならん、こういうような関係に相成つたわけでございます。一方今申上げましたように株界が不況でありましたために、一対一で割当てました株が、引受を願えたのが僅かに三割弱でございまして、大多数の株が失権株と相成りましたわけでございます。そういうような関係で、この増資ができなければ電源の維持、或いは改良その他に要する資金が出ない、そういうふうな関係で私共は是非ともこれを完成したいというようなことで、各方面に御協力をお願いいたしまして、特に生命保険関係、或いは大銀行関係というようなところが大口に持つて頂いたのであります。一方全国的に公募をいたしまして漸く無事に解決を見たわけでございます。そういうような関係で、従来発送電に出入りの関係方々にも、縁故で引受ける能力のあるかたには是非多少とも引受けて頂きたいということでお願いをして、土建業者の方々も賛意を表して、持つて頂いた株数はどのくらいになりますか、今ちよつと記憶がございませんが、一番大きいところで十万株ぐらい持つてつたものと思います。
  167. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 大体わかりましたが、そうしますと、その土建業者の株の引受を承諾されたというのは、今度日本発送電が電源開発を始めるようになりましてから、いわゆる工事を請負つた土建業者以外の土建業者も相当引受けた業者がありますか、全然ございませんか。
  168. 大西英一

    証人大西英一君) それは記憶はございませんが、大体お願いしたのは従来から発送電に関係のありました業者が主でございますので、今度の工事も引受けておられるのじやないかと思いますが。
  169. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと、まあ今まで発送電と関係のあつた土建業者が大体増資の引受をされた、こういう工合に理解してよろしうございますか。
  170. 大西英一

    証人大西英一君) 多分そうだろうと思います。
  171. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからその次にお伺いしたいのは、最近いろいろな言論報道機関の情報を見ますると、日本発送電の再編成の主張のために、いわゆる電気事業の従業員の組織網を持つております電産労組に資金的、或いはその他の働きかけがありまして、電産の組合と日本発送電が一体となつてその運動を展開したというようなことが掲げてありましたが、そういう事実があるのかないのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  172. 大西英一

    証人大西英一君) 電産は、御承知のように私共が集中排除法の適用を受けまして間もなく、三月の初め頃だつたと記憶いたしますが、御承知のように全国一本の公社案という案を電産は提唱いたしておるわけでございます。我々はその後二ケ月たちまして、発送電としての案を出したわけでございまして、これは根本的な理念において我我とは相反する考え方の案でございますので、到底我々と同調して進んで行くということはできないのでございます。従いまして私共は電産に金を使つて、そうして日発と申しますか、一社を強調するというようなことは考えもいたしませんし、全然やつたことはございません。全然別個に先生たちは先生たちの考え方でやつておると私は思つております。
  173. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) あなたが衆議院の考査委員会証言をせられました中で、土建業界の請負工事に対しましては前渡金を出したことはない、こういう工合に御証言になつておりますが、電源開発工事が起きましてからあとの実情を私共伺つておるところによりますると、本来ならば発電の工事を始めまするいわゆる準備工事、例えて申しますと、労務者用の簡易住宅とか飯場を作るとかいうような、相当只今ですと資金を要するようなそういう準備工事は、本来ですと土建業者がみずからやるのでありまして、工事の出来高拂は、本工事の進む度合いによつて支拂われて行くべきでものでありますが、そういうものが前に支拂われまして、そうして工事が完成後、そういう準備工事分だけは後で工事をしよう、こういうような仕組みのように私は聞いております。従いまして土建業者はどんなに小さな業者でも、先ず一文もなくても請負工事だけを付託されれば工事に着手できる、こういうような形になつておりまして、いわゆる前渡金というようなものが事実上あつたような工合になつておるわけでありますが、この点の考え方を衆議院の御証言と併せてお答え頂きたいと思います。
  174. 大西英一

    証人大西英一君) 今度の見返資金を使いまして電源開発をやりますにつきましては、御承知のように日本発送電の出入りの土建業者というのは、私が発送電へ御厄介になりました当時は僅かに十数社でありました。それでその当時は御承知のように戰時中で、軍需会社の工事のほうが遙かに有利であるために、又終戰後は進駐軍の工事が非常にに有利であるというような関係から競つてそういう方面へ業者のほうは全力を注がれて、発送電の工事は余り好んで引受けて貰えないような実情であつたわけでございます。ところが終戰後、最近になりましてそういう方面の仕事は一つもなくなつて来て、殊に官庁方面の仕事、或いは鉄道の工事というようなものも極めて稀になつて、業者として工事が非常に少くなつてつてつたのでございます。従いまして見返資金によつて発送電が電源開発をされるということになりました途端に見積り志願者が押かけて参りまして、たしか全部で百何十社の願書が出たと思つております。で私はこの見返資金を使いますのに、非常に慎重に扱わなければならないということを心配いたしまして、当時私はその筋のほうのかたにも実は意見を伺つたわけであります。それで大体今度の工事はどういう方法でやつたらいいでしようかというような意見お尋ねしたわけです。それでそのときのお話のあら筋は、それは工事は特名でやるのが一番自分の理想の請負にやれていいであろうけれども、特名をしたことは、その理由の弁明が又なかなか困難であろう、かと言つて公入札にすれば、それだけの機能のない請負に落札する虞れが多分にある。工事そのものに非常に悪い影響を與える。だからしてお前が最もいいと信ずる従来からやつていた方法をとつたらいいじやないか、こういうようなお話を承わりましたので、私としては、従来から発送電がとつて来ておりました指名競争入札ということを主体にして今度の工事をやることにきめたわけでございます。と同時に従来までは前渡金と申しまして、大体請負金の二割程度の前渡し金をいたしまして、そうして工事の準備をやらせるのが従来の建前になつてつたわけでございます。併し何となく発送電そのものに対する世間が色眼鏡で見ておられるやの噂も聞きますし、私としまして、又その前渡金を出したがために、そのうち或る一部分でも工事以外に流用されることがあつては非常に困ると、こういうふうに考えました結果、今回はもう前渡金は出さないと、こういうことに契約書にきめたわけなのであります。従いまして工事の請負の契約をいたしましても、前渡金は一文も渡していないわけであります。  それともう一つは、今委員長の御質問の仮工事に対して金をやつておるじやないかと、こういうふうのお話でございまするが、この仮工事も全然前渡金はやらないのでございまして、その仮工事が、現場の飯場或いは機械設備、そういうようなものが完成をいたしました現場からの報告書によつて、その出来方の八割を支出するということは、これは最初の契約にもちやんと明記してあるわけであります。特にあとからそういう方法をとつたわけではございません。ですからその仮設備をやるまでの金というのは、土建業者が金融業者から金融を受けて、そうしてやつておる金でございまして、別に余分に金をやつて仮設備をやらせたというような方法をとつたわけではないのであります。その点誤解のないように一つお願いいたします。
  175. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと仮工事、準備工事と申しますか、仮工事の費用も請負の明細にあるものに準拠して、入札の明細にあるものに準拠して、八割を完成期に支拂われて行く、こういうことでよろしゆうございますか。
  176. 大西英一

    証人大西英一君) さようでございます。
  177. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこでもう一点お伺い申上げますが、あなたがやはり衆議院の考査委員会で御証言になつておりました中に、電気事業の経営者団として、百万円の金を自由党の参與の会費として納めた、こういうことをおつしやつておるのでありますが、自由党の参與というものは、どういう性格を持つてつて、参與の仕事というものは、どういう内容を持つておるのか、その点を御理解なさつておる範囲内においてお答えを願いたいと思います。
  178. 大西英一

    証人大西英一君) その点につきまして非常に誤解を招いているようでございまするが、実は昨年のいつ頃だか、しつかり記憶はございませんが、なしか五、六月頃じやないかと思います。これは單に電気事業者だけでございません。あらゆる産業界の有力な方方が総理官邸にお招きを受けまして、そうして自由党の政調会に参與会を作る、だからして賛成をして貰いたいというようなお話があつたわけでございます。それで私もその席へ出席いたしまして、私は途中で中座いたしましたのですが、大体のその場の空気は、各界の方々も大体御賛意を表しておられる点をまあ見受けたわけでございます。その後自由党の事務局長ですか、が櫻井副総裁のところへ来られまして、この間の官邸に来て話をしてあれの一つ参與を賛成して貰いたいという話がございまして、それでこれは発送電だけでやるべき問題でないからということで、実は御承知電気事業経営者会議と申しまして、発送電並びに九配電会社の社長で経営いたしております会議に御相談をいたしました結果、皆さんの御了承を得まして、そうして各社で参與の代表を数名ずつ選びまして、そうしてその会費として百万円をお納めしたというのが事実でございます。
  179. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) いや、私のお伺いしましたのは、その百万円贈られたことはまあ承知しておるわけでありますが、その参與というのは、どういう性格のもので、まあ仮に御参加になるとしますと、どういうことを政治的に分担されることになつてつたのか、その点を伺いたいと思います。
  180. 大西英一

    証人大西英一君) それははつきりした記憶がございませんが、その当時の記憶によりますと、自由党が今後この敗戰日本を復興して行くに非常に努力を拂いたい、それに対して財界その他も一つ協力していろいろ意見を述べ、政調会を活用して貰いたい、こういうようなお話でありましたように記憶しております。
  181. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それから会費の点でありますが、これは電気事業の経営者会議に諮つて出したとおつしやるわけでありますが、それは経営者会議を構成しておる九つの財団……十の会社が法人格を以て一人の参與というようなかつこうになられたのか、電気事業者の中で適当な人が代表的に参與としてお加わりになつたのか、その点は如何なものでございますか。
  182. 大西英一

    証人大西英一君) それは法人としてじやございません。個々の個人的に各社から数名ずつ入つたわけであります。
  183. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そのうち、人数は十五名ということに証言されておるようでございますが、間違いございませんか。
  184. 大西英一

    証人大西英一君) たしか十五、六人だつたと思います。
  185. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからその会費でございますが、会費は外の団体、電気事業界以外の団体のこともあるわけでありますが、大体基準はどういうことになつてつたか。
  186. 大西英一

    証人大西英一君) 年に二万円だつたと記憶しますが。
  187. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 一人年二万円ですか。
  188. 大西英一

    証人大西英一君) はあ、それで私共数年分を前納したわけであります。
  189. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういたしますと、外の団体も、外の産業経済界の団体も大体そういう工合に数年分納められたようなことをお聞きになつておりますか。
  190. 大西英一

    証人大西英一君) 外の団体のことは一向聞いておりません。
  191. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 電気界だけが数年分納めるということは何か特別な事情があつたのでありますか。
  192. 大西英一

    証人大西英一君) 別に何にも事情はございません。
  193. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それは自由党のほうから数年分出してくれという要請がありましたのか、或いは事業団のほうから進んで数年分お納めになつたのか、その辺如何ですか。
  194. 大西英一

    証人大西英一君) 大体百万円くらいまでを持とうじやないかということできめましたものですから、それでそいつを代表を出しました人数に割付けたわけでございます。
  195. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) どうも有難うございました。  それではどういうことにいたしましようか。委員にお諮り申上げますが、このまま大西さんに対して各委員質疑を展開して頂きますか。それとも高井証人に又証言をして頂きまして、代表質問をいたしましてからあとで総合的に御質疑を頂きますか、どちらがよろしゆうございましようか。
  196. 中川以良

    ○中川以良君 高井さんに先にお話を頂いたほうがいいと思います。
  197. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうでございますか、よろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは高井君に証言を求めます。
  199. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 先ほど大西さんからお話がありましたように、昭和二十三年の二月に電気会社が集中排除法の適用を受けまして、大体日発、配電十社とも経営者会議におきまして何事となくいろいろ打合せをいたしまして事業を運行いたしておりますので、集排に対する対策といたしましても、でき得るならば事業者として相互お話をしてという筋におきまして日本発送電、配電上数回お話合いをいたしましたが、遺憾ながらこの再編成対策だけが意見が相反しまして、甚だ遺憾であつたのでありまするが、別々な再編成計画書を提出せざるを得なかつたのであります。二月に予備調書を提出いたしまして、四月に正式の再編成計画書を提出したのでありますが、電配会社は九社一致いたしまして、いわゆる九ブロツク案を提出いたしたのであります。その内容は、御承知のように九ブロツクの会社を作りまして、実際的に可能なる範囲において発送、配電一貫の会社を作り、料金の地域差に対しましては、そもそも料金の地域差が出て参ります主要なる原因は、水力の安い原価と、火力の高い……石炭による高い原価との差によるものでありまするから、水力の発電からは供出金を出し、火力の発電に対してはこれを適当に受け入れるというやり方におきまして、料金の地域差の不当に開くことを防止して行こうという、先般第七国会に提出せられましたいわゆる政府案なるもの、或いは通称松永案と称せられるものと殆んど同様なものでございました。配電会社といたしましては、これを提出いたしますると同時に、九社連名のパンフレツトを作りまして、その趣旨を各方面に御理解願うように努めますると同時に、英訳もいたしましてGHQ方面等にも御覧を願うようにいたしました。一方同年四月末、電気事業民主化委員会が、水谷商工大臣の頃でありまするが、政府の発案によつて組織せられまして、各界の代表が電気事業のあり方について論議せられたのであります。併しながらこの委員会結論は、私共配電のほうの要求を入れることは極めて少かつたので、我々としたならば不満なる答申が出たのでございます。一方七月初め、持株整理委員会から、配電会社に対しては機構上の再編成を必要としない、日本経済界に與える波瀾といいまするかを成るべく少くするためにあらかじめこれを公表するというような発表もございましたし、九月終りか月初めに、民主化委員会答申はなされたのでありますが、間もなく内閣が変わられましたり、その他のことがございまして、再編に関することは何ら進展を見せなかつたのでありまするし、私共といたしましても、何か中だるみのような靜観の態度をとつたように記憶をいたしております。そのうちいわゆるバーガー氏等の入つておられた五人委員会がいろいろ研究をせられて、七ブロツク案というものをお作りになつたと聞いておりまするが、これに対しては或いは日本発送電に何か御内示があつたということを聞いておりまするけれども、別段公表というものがありませんので、いろいろの噂が出ておりまして、従いましてこの七ブロツク案というものに対しまして、配電会社九社一致しての賛否運動というものはありませんでした。そのうち昭和二十四年十一月末に、先ほどから申されておりまする電気事業再編委員会が組成いたされまして、再び再編成関係が活溌に動き始めました。併しながらこの委員会結論として出ましたものは、いわゆる融通会社案を含むものでございまして、私共としてはこれは不満でございました。いわゆる松永私案なるものが附属しておりまして、この案に対しては我々は大局において賛成でございました。一方いわゆる十分割案なるGHQの方面の意向であると称せられるものがやはり伝えられて参つたのでありますが、これに対しても私共は反対でございました。とにかくこの五人委員会結論は、今申上げた通りでありましたが、政府におかれまして、結局政府案として松永案とほぼ同様なものをおとりになりまして、いよいよ議会にかかるというような機運になりました。私共といたしましては、改めて種種印刷物を用意いたしまして随分広い方面に配付いたしまして御覧を願つたわけであります。この政府の提出の案は、第七国会におきまして遂に流れてしまつたのでありまするが、一方大局といたしましては、再編成を非常に急ぐべき状態になつて来ていると私共は感ずるのでありまするが、これに対して一方配電のほうは甚だ動きが緩慢であるというような批判を受けて来てはおりますけれども、私共は御理解願えたならば是非お願いしたいという態度で、主に印刷物、それから普通の説明というものによりまして只今まで参つたのでございまして、余り体系立つた特別な運動というものは申上げるようなものはないのでありますけれども、御要求のありまする各界に対する動きを説明せよという御質問に対しまして、強いて分類して申上げますれば、次の通りでございます。  第一に官界でございますが、これは勿論商工大臣或いは通産大臣といいまするか、所管の大臣、或いは資源庁電力局というような所管の方面に対しまして、文書或いは口頭を以て何度も陳情はいたしております。同時にその趣旨は、大蔵省であるとか、持株整理委員会、或いは経済安定本部であるとか、場合によりましては通産局であるとか、物価庁であるとかいう方面にも成るたけ御理解を願うように努力いたしました。総理大臣にも九配電会社揃いまして官邸にお願いに出たこともございます。  それから財界でございまするが、勿論各配電におきまして、地元の商工会議所であるとか、いろいろな経済団体に対して印刷物又は口頭を以て働きをかけておりまするはずであります。尚中央といたしましては、日本商工会議所、日本産業協議会等に対しまして印刷物又は口頭を以て説明をいたしておりますし、或いはお集まりを願つて特に説明に出たこともございます。  それから政界でございまするが、これは非常に大切なところでありまするので、各党の政調会等から資料の御要求があつたり、説明の御要求があれば積極的に参上いたしまして、主に議会の中でございましたが、或いはどこかの委員室とか、いろいろなところに出まして説明をいたしまして、尚部分的に参議院のほうでも、衆議院のほうでも特にお集まりを願つて説明をさして頂いたということもあつたように記憶いたしております。尚今年、前国会議員のかたに対しまして、パンフレツト、従来のものを一揃ずつお配り申上げております。  それからその他でありまするが、その外関東配電の例で申上げまして、大口の需要家五百キロ以上だとか、或いは何株以上の株主であるとか、或いは各県の電気協議会であるとか、或いは各県のいろいろな経営団体であるとかいう方面にも印刷物を配付いたしまして、御理解願うように努めた次第であります。  それから報道機関に対する点でありますが、これは新聞、通信社の電力問題の担当の記者のかたか、或いは論説委員というような方々に対しまして再三御説明を申上げまして、御理解を願うようにいたしております。又座談会等にも出席いたしまして御説明をいたしております。  以上でございます。
  200. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは私から二、三質問をいたしたいと思いますが、先ほども大西総裁に御質問いたしましたように、二十三年の五月に、再建計画を、配電会社計画としてお出しになつたのでありまするが、それは私が申上げるまでもなく、現在の九会社に日本発送電を分断いたしまして、発送、配電の一貫経営の事業形態を作る、こういうことにあつたと思います。ところが集中排除法の精神は、やはり過度経済力の排除でありまして而も九配電会社が揃つて集排法の指定を受けたというのでありますから、この九配電会社の現在の規模よりも、日本発送電を分断してこれに加えまして拡大をするということは、集排法の精神に反する考え方である。丁度発送電が全国一社の民有民営論を主張されたのが集排法の精神に反すると同時に、配電のほうの主張もそういう点があつたと思うのでありますが、にもかかわらずこういうことを主張されて、而も十分断というようなことを反対されたというような意味は、集中排除法というものをどういう工合にお考えになつておるのか。これは今年の四月の国会でも随分論争の中心になつたと思うのでありますが、一つ担当の最高責任者として御解明を願いたいと思います。
  201. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) その点に対しましては、集中排除法というものは必ずこれを幾つ以上に細分せよというような性質のものでなくて、事業の経営能率というものを考え、大規模組織による利点を失わないようにということも考えてよろしい法律であると私共は考えておるのであります。勿論物には限度があることと考えております。
  202. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういたしますと、その考え方は、先ほど大西さんの述べられた考え方と殆んど一致しておると私は思うのでありますが、そういう工合に発送電側も配電側も集排法の、私共心考えている考え方と違つた考え方で基本的には一致しておつて、而もどうしても話が合わないというその根拠は一体どこにあるのでしようか。この点は大西さんにもう一度御証言お願いしてもいいのでありますが、法理論的に必ずしも固く御解釈をなさつていないようであります。そして狙つておられるところは、日本電気事業の発展、こういうことを願つておられるようでありまして、而も発送電と配電とがますます対立をして論争しなければならんという、その大きな理由が一体どこにあるのか、この点私共非常にわからないところでありますが、御証言願いたいと思います。
  203. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 只今お話でありますが、今申上げましたように、昭和二十三年の七月かに、配電会社は過度経済力の集中ではあるけれども、事業の性質上、これが事業上再編を要しないということが発表せられておるのでありまするが、私共はその集排法の立場と、それから事業経営の立場と、全般を考えまして、この現実に照しまして、全国一つというような規模はやはりよろしくないということに考えたのであります。
  204. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 先ほど政党工作のことを大西さんにも伺いましたので、自由党の中にあなたのほうの主張を支持される派と、そうでない派とあるということは大体明らかになつたわけでありますが、政治的な働きかけをされる場合に、政治常識から申しまして與党に強く主張されるのが当然のことでありますが、この場合に配電会社側の動きとしては、その自由党内にはどういう工合に具体的に働きかけをせられたか、その点を御証言願いたいと思います。
  205. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 私共は自由党の中にそういう二つの流れがはつきりあるかどうかということについてはまだ自信がないのでありまして、或いはそれ以外の方策も考えておらるるかたもあり、非常にすつきり二本であるか、一本であるかというふうにまでは考えておらないのであります。別にどういうふうに働きかけるということもありませんので、それは自由党の電力の小委員会というものもございまするし、あの本部にもいろいろ委員会もあるようでありまするので、そのほうへ参上いたしまして我々の考えをわかつて頂くようにというふうに努力をいたしましただけでございます。誰にどうというような特別なことはやつておりません。
  206. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) あなたの先ほどの御証言の中で、経済界、官界、政界、言論報道機関、各方面事情を御証言になつたわけでありますが、私は配電会社系としてやはり最も中心的に期持を持たれ、又支持もせられ、その効果も狙われたのは、通称松永機関、いわゆる松永事務所に対してであろうと思いますが、これにつきまして一言もお触れにならなかつたようでありますが、一つ証言を願いたいと思います。
  207. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 只今御指定の各界に対する動きの大要を申上げたのでありまするが、松永事務所との関係はかようであります。松永さんが再編委員会委員長をおやめになりましたあとで、自分もまだ少しは働けるようだというようなお話がありまして、日本電気事業界を早くレールに乗せて、そうして外資も導入できるようにし、発電も増強し、生産を上げて貿易の振興に資するということ以外に日本の活きる途はないのじやないかというような観点でおられたようでありまするが、そういうような方面にまだ少しはためになり得るようだからということで、電気事業界の人々といろいろ話合つたりして、何とか物を推進したいということで事務所をお捜しになつておられて、結局中部配電の或る建物の一部に余裕があつて、そこに事務所をお持ちになつたのであります。これに対しまして、私共といたしましては大体松永さんのおつしやつておられるラインというものは、我々とその大綱において意見を同じくするものであると考えましたし、あの長老がこういう時機にそういう努力をしておられるということに対しまして、配電経営者会議と申しまするか、配電側の会議で若干後援をしようじやないかということで、何ということはない、気合いが合つたとでも申しましようか、若干の後援賛助をいたしまして、これは勿論再編成のためというものではございませんけれども、私共といたしまして再編成というものも相当なウエイトで入つておるということは事実でございます。松永さんの再編に対する考え方というものは、大綱において我々と同じと考えましたから……、これは事実でありまするが、再編成だけのための事務所でもなし、又私共は再編成のためにどういうふうにやつてくれ、或いは事務所を作つてくれと言うたことでもなし、これは松永さんのほうで自主性を持つて動いておられただけのことでありますので、さような関係におきまして若干の後援賛助をいたしました。
  208. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 松永機関の問題は恐らく各委員からも御質問があろうかと思いますので、次に進みまして労組対策の問題でありますが、関東配電の会社にありまする関東配電労組が、大体関東配電の主張を支持しておられるように私は伺つておりますが、そういう事実がありますか、ないか、伺いたいと思います。
  209. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) その問題は、時日は忘れましたが、関東配電労働組合は、ブロツク案による再編成に賛成である、これをこの際やはり早く推進して、電気事業をすつきりしたほうがよろしいというような意見を公表したように考えております。時日は忘れましたが、何なり近いことであつたと思つております。
  210. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういうような関東配電労組の働きが出ることに対しまして、関東配電としてこれに何らか方策をせられたことがありますかないか、その点伺いたいと思います。
  211. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) それは絶対にございません。
  212. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 実は去る十月の二十九日から四日間開きました電産の新潟大会におきまして、GHQのレーバー・セクシヨンのブラツテー氏が来賓として挨拶をしました中で、関東配電労組が外部からいろいろと支配をされて、組合であるかないかわからないような、いわゆる御用組合的なものである、こういうようなことが相当嚴しく言われたのでありますが、こういう事実を御承知になつておりますか。
  213. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) それに似た事実を承知いたしております。関東配電労働組合は、御承知のように労働委員会の審査を受けまして、組合たるの資格ある組合であるということで確立せられておる組合でございます。只今の事実は、GHQのレーバー・セクシヨンの某氏が新潟の大会に行かれました際に、今申されたような、御用組合と申しますか、コンパニー・ユニオンとか言うのでしようが、つまり疑しいように思うというようなことを言われたらしいのでありますが、それはどういう理由によつて言われたのでありまするか、私は別に聞いておりませんが、そういう噂がございます。それはやはりこれに対していろいろ噂が立つておりまするし、いわゆる電産方面におきましては、関東配電労働組合というものが分離してできたということに対して、これを非常に遺憾に思つて、あらゆる手を打つておられるように考えるのでありまするが、どうしてそういうことを言われたのか私にはわかりません。それは合法組合であるということにはつきりと資格付けられてある組合であるということだけを申上げておきます。
  214. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これはちよつと余計なことになりますけれども、あなたはああいう形の組合、いわゆる関東配電労組という、只今批判されたような性格の組合が、あなた方の企業体の中にあることについて賛意を表されておりますか、或いは反対の意向をお持ちになつておりますか、この点を伺いたいと思います。
  215. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) それは意見に亘ることでありまするが、私は労働組合の規模というようなものに対しまして、組合の立場からして、やはり全国一つであるというような組合を欲しておられる立場は、私共にはよくわかるのでありますが、一方におきまして、全国單一組合というようなものが、非常に僅かなことに対しても一々中央にこれを持ち出しまして、いろいろな決定が長くかかつたり、例えば北海道のことが東京まで来て、非常な論議を経てものがきまつて行くという、非常な画一的な扱いにならなければやまないというような点から、欠点も又あり得るということだけを申上げまして、あと意見は差控えたいと存じます。
  216. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それから次でございますが、最近私の耳にしておりますところによりますと、分断は必至である。いわゆる日本発送電は解体される運命にある、こういうことを前提にいたしまして、若し日本発送電が解体をせられましたときには、関東配電としては日発の従業員と一緒になることは困る。これは拒否しなければならんというような空気が漫然とあるということを伺つておるのでありますが、そういう事実があるかないかを一つ伺いたいと思います。
  217. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 絶対にないと思います。大体この再編成というものは、或る形においてやられると仮定をいたしました場合、これは日本電気事業の再編成でありまして、日発がどうとか配電がどうとかいうようなことを申すべき事柄ではないと思います。若しも新しい会社が出まするならば、両社とも解散して同じレベルにおいて両社を取扱うということが絶対になさるべきであると考えまするから、そのようなことは考うべきではないと思いますると同時に、関東配電の中に、日発の人間と一緒になるのは困るというような気分は勿論ないと私は思います。
  218. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今のは非常に重要なところでございまして、そういう工合に御確信を持つておいでになれば結構でありますが、私共の耳にするところでは、若干違うような空気もあるわけでありますが、どうか只今の御証言のような工合に、御証言のことが事実でありますように一つ願いたいと思うのであります。  それから電気事業の再編成というこの重要な問題は政界、経済界、或いは言論機関、こういうような方々動きはまあ別といたしまして、やはり主軸になつて推進せられるのは、私は電気事業者自体でなければならんと思うのであります。又電気事業者がその最も大きな責任でなければならないと思うのでありますが、只今、伺うところによりましても、日発と配電とは電気事業の再編成に関しまして、不幸にして意見を異にせられており、そうしてその結果昨年の暮以来、こういうような電力編成をめぐつて誠に遺憾な混乱状態が続いておるわけでありますが、あなた方としましては、こういうような遺憾な節のある点をお認めになるかどうか。そうしてお認めになるとするならば、今後電気事業者が再び主体性を取戻しまして、この電気事業の再編成の中心となつて、積極的な努力を展開される御意思があるか、その点を伺つて置きたいと思います。
  219. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 只今のいろいろとごたごたがあるように、政権にも響いて遺憾ではないかというような初めの部分でございまするが、それは誠に遺憾に存じまするし、余りにもデマといいまするか、非常識なデマが飛びまして、そうして業者は勿論、何ら覚えのない方々、殊に政界の方々等にまで、妙な噂を立てたりせられておることは誠に遺憾に存じます。本当に遺憾至極に存じます。これにつきましては、考査特別委員会でも発動しておることでございますので、もう大約わかつておると思うのでありますが、事をはつきりせられまして、やはりデマが出た時と同じくらいな、大規模にならないということを明瞭にして頂きたいという念願を持つております。  後段の事業者としてもつとすつきりした姿にすることに努力する意思があるかという話でありますが、非常に御尤もでございまして、でき得るならば、事業者が一本になつてそうして推進できたならばという念願は大いに持つております。
  220. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 念願はまあ御当然であろうと思いますが、そういうことについて具体的にですね、国民が納得するような動きをされる用意がございますか、ございませんか。その点をお伺いしたいのでございますが。
  221. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) それはできるだけの努力をいたしたいと存じております。ただやはり主張なり、筋道というものがございまするから、何でもかんでもというようなわけには勿論参らんわけでございまして、その努力はやるべきものであり、やりたいと存じています。
  222. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員長の代表的な質問はこれで終りたいと存じます。各委員御随意に御質問願います。
  223. 島清

    ○島清君 今の委員長質問に関連をいたしまして、高井さんにちよつとお聞きしたいのですが、その努力される意味におきまして、従来松永さんの応援をしておられたそうですが、更に今後も松永さんを援助、応援して行かれるつもりであるかどうか。
  224. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) これは松永さんは、御承知のように大分前から健康を害しておられまするし、一方将来どうするかというお話は、これは配電の九社と相談してやりましたことですから、尚相談をいたしませんとはつきりしたお答は今申上げかねますけれども、恐らく松永さん御自身も大分健康を害しておられますし、今までのようにお動きになれん、ならんのじやないかとも思つております。
  225. 島清

    ○島清君 話は元に返りまして、高井さんにお聞きしたいのですが、松永さんの識見、抱負を聞かれまして、それに一致点の理想を発見されまして、御援助をする決意をされた、更にそれは経営者協議会のほうで御相談をなさつて、そういう応援を決定されたという証言がございましたが、この松永さんの識見、抱負をお聞きになりましたのは、あなたがお尋ねになりまして聞かれたのか、松永さんが来られたのか、どういう形においてその松永さんの識見、抱負をお聞きになりましたかどうか、その進行の初めをちよつと御証言願いたいと思います。
  226. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) それは別にどこでいつというよりは、やはり従前から知つてもおりまするし、それからこのたび出られまして、やはり委員長時代に、今のいわゆる銀座電力局と言われておるその事務所とは違うのですが、委員長の識見を完全にするために、いろいろな人を呼んで、これは配電も日発もありません、大西さんなんかも何遍も呼ばれておりまするし、各界の人を呼んで話をしておられた。その時も面接しておりまするし、あとでも面接をしておりまするし、別にいつどこでということなく、従前からずつと引続きまして、何かとお会いしておる間聞いたりして、全部を総括いたしまして、おおむねそういうラインにおいてやつておられるということを信じておるわけでございます。現実に配電の人の集まつた議会みたいなところへ来られて、そういうようなことでメートルを上げられたこともございます。
  227. 島清

    ○島清君 大西さんにお伺いしますが、経営者協議会は、先ほど何か参與をお引受けなさる場合にも経営者協議会に相談をなさつたということを証言なさいましたし、而も日発のほうも経営者協議会に入つておられるようですが、さように理解してよろしうございますか。
  228. 大西英一

    証人大西英一君) 只今の高井君の言われました協議会というのは、配電会社だけでおやりになつておられるのが別にあるのでございます。私は電気事業全体といたしまして、別に又日発の傘下十社が集まつておるのがもう一つ別にあるわけでございます。
  229. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 誤解があると悪いので今のお話、私の言葉が足りなかつたのであつて、配電の経営者会議という、名前は大きいですけれども、配電だけでいろいろ相談することが、電気料金の問題やいろいろなことでありますので、配電だけの集まる会議もありまするので、松永さんに後援というのはそのほうでございます。  それからさつきの経営者協議会と大西さんのおつしやいましたのは、そうして自由党に云々というお話は、これは日発も配電も全部引くるめましたものでございまして、再編成を有利にするために片つ方でやつたというのでなく、配電につきまして全部がやる。誤解があるといけませんから重ねて申上げます。
  230. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今の島委員質疑に関連いたしますので質問いたしますけれども、先ほどのお話の中にも、いわゆる銀座の松永事務所、これはあとでできたようなお話でございましたが、私の知つております範囲内では、いわゆる中部配布の松永事務所というものはあとからできたかも知れませんが、前にも松永さんの私宅というものがあつたと思うのです。これはまあこの委員会なり、或いは松永委員会の際にも、宮川さんあたりが補佐役と申しますか、アミスタントとして出ておりますし、尚その他松永さんの個人的な繋がりのかたというような者が、いろいろな形で御連絡があつたと思うのです。それでこれは銀座の松永事務所ができてもそこでお集まりになつたかた、或いはその前に松永さんが委員長としての仕事をしておられます場合の協力者、これは人が違うかも知らんですが、大体中心は似ているのじやないかと思うのです。その顔ぶれ、それから宮川さんなり或いは海東要造氏あたりにしても、前の関係ということを私も知つておることがありますが、このお集まりになりましたかたの従来の御関係というものを一つお教え頂きたいのでございますが。
  231. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 只今お話、直接の御返事の外に少し附加えることを許して頂きたいのです。それは私共が松永事務所と言い、又世間でとかくの取沙汰をしておりまする松永事務所というのは、委員長の任を終えられたあとで、銀座の中部配電の事務所と同じ場所にお持ちになつたのを言うておるのであるということ。その前にお説の通り虎の門の大分近い所へ小さな事務所を借りておられましたのは、これは委員長時代の、委員長の任務遂行のためにいろいろの人に会うために持つておられたものでありまして、この間には何ら我々には関係のないものでありまして、先ほども申上げましたように、大西さんのほうも呼ばれれば我々のほうも呼ぶ、いろいろな化学工業その他のかたを呼ばれまして、いろいろ研究をしておられた、その間私共やはり何度も呼ばれましたけれども、その事務所へ……、誰と誰が正規の者であつたかということは私知りませんけれども、今申されました宮川さんはその当時から来ておられたことは事実でございます。それから鈴木鹿象さん、これはあとまでやはりついておられましたのですが、当時からおられました。それは事実でございます。あと細かい人がどういうふうに出入りしておりまするか、私にはよくわかつておりませんです。ただその中部配電と同じ建物に今度事務所をお持ちになつて後も、今申上げました代りのかたはやはり来ておられたということも事実でございます。細かく誰と誰がどうというところまで私存じておりません。
  232. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 補足的に伺いますが、これは先ほどからの高井さんの御証言を聞いており、その御証言と、それから従来我々がまあ印象として受けましたものから考えておりましたことは、昔の電燈会社時代の松永さんの繋がり、それとこの配電会社の現在の経営者陣の中にも松永さんの個人的な縁故の関係もおありだろうと思うのであります。配電会社の意向というものが、松永さんに代表された結果にいたしましても、先ほどの御証言の内容を以てしても、我々と志を同じうすると、こういうお話がございました。そういう人的な繋がり、或いは意見としての繋がりというものがまああつたように私共には思えるわけでございます。そこで先ほどのお話のように、いつどこでというお話はないけれども、松永さんの御意見というものと、事務当局の意見は一致であつた、それにはやはり従来の、古くからの個人的な繋がり、或いは会社自体の繋がりというものもおありになるように感ずるわけでございます。そこで先ほどのような質問をしたわけでありますが、そういう意味で、この配電会社関係のかたと松永さんとの繋がり、それから証人松永さんとの個人的な繋がりといいますか、或いは昔の電燈会社時代からの縁故、そういつたものについて伺いたいと思います。
  233. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 只今お話、御承知のように松永さんは東邦電力、それから東京電燈等もおやりになりましたが、大体名古屋の東邦電力が本拠のかたでございまして、率直に申上げれば、元東邦電力の古いかた、そういうかたが松永さんに非常な親しみがあり、縁故があるということは当然のことでございまして、やはり元の東邦のかたでそこへ訪れられたかたは相当あると存じます。それから私との関係は私は東京電燈会社にずつとおりました者でございまして、何ら松永さんに直接関係はございません。それは前にお目にかかつたことも勿論ございますけれども、それはよその会社のえらい社長さんとして数度お目にかかつておりますし、或は電気協会等におきまして松永さんが講演をせられるのを聞いたとか、そういうのはございますが、直接松永さんの下に何かやつたことは全然ございません。ただ配電会社のうちの在京者なものでございますから、自然それで配電会社全部の在京者として世話をするような場合にお目にかかることは多くなつたという関係でございます。
  234. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 よく個人的な関係はわかりましたのですが、それでは松永さんのこの再編成に関しますもの、これは九分断、その他分断関係が中心になりますが、それと配電会社意見とが一致した。こういう意味松永さんを支持したといいますか、そういう実質的な関係になつたと思うのですが、衆議院の考査特別委員会お話になつております配電会社で集めた九百三十万円、それを松永氏にそのうち三百八十万円出したというので、この内容については詳しくはつきりわかりませんが、意見が一致しておる、方向が大体一つであつたので、松永さんの活動についてと申しますか、この再編成についての動きを支持して、大体その松永機関と申しますか、個人松永じやなくて、再編成関係しておられる松永さんを配電会社で財的に援助せられた、こういうような印象を受けるのでございますが、その辺の何といいますか詳しいお話を……。
  235. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) それは松永さんの考えが大体再編成についても同じということ以外に、その先の電源開発とか貿易振興とか、そういう大きなラインに対しても私共と考えを同じくしておるのでありまして、再編成のみのためではないのでありますし、事実私共が、先ほども申上げたようですが、松永さんというかたが、事務所をお作り下さい、そうして私共の言うように、こういうふうにして下さいというようなことを頼めるようなかたではありません。独自の考えで随分先をとんだところまで考えられて、ものの推進をやるというような方でありまするから、私共としてはそう細かい感情でどうこうということでなくて、大体のラインとして我々と同じであるし、又それが電気事業界のためにもよろしいということに考えまして、その金額がやはりあれだけの事務所を持つてつているにはまあまあと思うような金でありましたので、これははつきりお断りいたしますが、決して金を出せ、出せば事務所を持つなんていう話は一言もありません。ただお持ちになつているので、我々のほうとしてまあいつとはなしに出すということになつただけの話で、そういう関係であります。
  236. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これはまあ今のお話松永さんと配電会社、或いは個人的にこれは証人との関係についてお話の通りと思うのでありますけれども、その点はお話で満足いたしますが、これは最近の話、特に私の出身であります九州等においてもそういう話が進んでおりますが、再編成が進みまして九つになりました場合に、どこの地区は誰が社長になるだろうという話さえも進んでおるようでありますが、勿論これは公の話ではないと思いますけれども、配電会社の中、その他電気事業関係の中でそういう話が非公式にでもあるものなんでございましようか。その辺を……。
  237. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) そんな話は非公式にも私共は全然聞いておらんのであります。何かいろんなデマがありました際ですから飛ぶと思いますけれども、私共といたしましてはそんな話は少しも存じません。
  238. 西田隆男

    ○西田隆男君 私御両所に一・二お尋ねしたいのですが、委員長からの質問の中にもありましたが、電力の再編成問題をめぐつて日本電気事業者である御両所の間に意見の一致を見るに至らなかつたということに関しては、大西さんも高井さんも非常に遺憾だという旨の証言があつたのであります。然らばこの両者間の意見を調整するために如何なる努力を拂つたかという点については、大西さんの証言中に二月から四月までの間に数回会合したという御証言があつただけで、高井さんからは何らの御証言もなかつた。而も二十三年の二月から今日までは二年数ケ月の期間を経過している。若しこれを両者の間に電気事業者として意見の一致をして、それを基礎にして、電力の再編成がなされることが望ましいとお考えになつてつて、この熱意を持つておられるならば、ただ二、三ケ月の間に数回会合しただけであとは対立的な意見を、自分たちの考えを知つて貰うという熱意の下に印刷物を配布したり、官界、政界、財界その他おのおの反対の立場における宣伝をされるだけで、あなた方は電気事業者としての能事終れりとお考えになつておるかどうか。この問題を一つ本当に遺憾であるとお考えになつておるならば、現段階においても尚日本電力の再編成に関しては電気事業者である專門家の御両所の御意見の一致した点に基いて、電力の再編成を行うことが最も日本の将来のために重要なことであると、私は深く考えておるのであるが、あなた方もそういうふうにお考えになつておるかどうか。若しそういうふうにお考えになつておるとするならば、現段階において明日からでも両者の間の意見の調整のために、尚新しい第一歩をお踏み出しになる意思があるかどうか。この三つの点について御両所の御答弁を承わりたい。
  239. 大西英一

    証人大西英一君) 只今の御質問は誠に御尤もでございまして、私共事業に関係いたしておりました責任者立場として、甚だ国民に相済まないということは日夜考えておるわけでございます。併しそれじやなぜパンフレツトを配つたりするかということにつきましては、これは私共発送電といたしまして、全国的視野から電気事業を日夜あずかつております建前上、どうしても国民のためにならないと考えた結果今日までこういう運動を続けて参つた次第でございます。この点は発送電の総裁として、配電会社方々意見一つにまとめることができなかつたということは、誠に私の力の足りないところで申訳ないと、かように考えております。将来はどうするかと、こういう御質問でございまするが、この点につきましては私は辞めましても、尚今日電気事業の行末ということについては非常に心配をいたしております。先般新総裁の小坂さんにお会いした時にも、この問題についていろいろ新総裁のお考えも伺い、何とかまとまつた方針で行けるように御努力をお願いしたいというようなことも、実は申上げたような次第でございまするので、私としては辞めてはおりますけれども、そういう機会をできるだけ作つて、何とか国民のためになるような再編成をまとめることに努力を拂うことは決して吝かではないという覚悟を持つておるのであります。
  240. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 集排指定を受けましてから、計画書を提出いたしますまでに数回日発と配電と話合つて何かよい方法はないかということを話合つたということを冒頭に申上げましたつもりでございますが、そのことは実際やつたのであります。ただその後の経過がなかなか思わしく行きませなかつたことは、今大西さんの言われたように非常に遺憾に存じております。そこで日発としても、一転機に入つておられるわけでありまするし、私共といたしましては配電の社長の会議におきましてよく相談をいたしまして、できることならばさようなことにいたしたいという熱意を私は持つておる次第でございます。
  241. 西田隆男

    ○西田隆男君 これは或いは私の希望を述べることになるかもわからんと思いますが、日本国民全体として日本電気事業者意見が一致していない姿において電力編成の問題をどうされるかということについては、非常に不安を持つておるのであります。あなた方お互いに日発の前総裁であり、或いは配電会社の社長であるという立場を離れて、日本国民としての立場からこの問題を慎重に検討して頂きたい。今高井さんが言われた配電会社配電会社の御意見をおまとめになつて日発の前総裁大西さんと御協力下さつて、そうして最初あなた方が対立した時と現段階における電力の再編成の時とはよほど客観情勢が変つておることを深く認識されて、あなた方両者の意見の一致を見るように御努力をして貰いたいと思います。  その次に大西さんにお尋ねいたしたいことは、大西さんは自由党の参與になるために、勧誘を受けたから百万円寄附した。それは参與の会費として一人二万円見当で十数名の数ケ年分を前納したのだということを御証言になつております。私のお尋ね申上げたいのは、この百万円の金は会社の社金から出されたのか、十五名の個人々々のお金から会費として納められたのか、これを一つ聞きたい。
  242. 大西英一

    証人大西英一君) それは電気事業経営者会議の費用といたしまして、各社の資本金、收入等の割合で電気事業経営者会議の費用を分担いたしているわけでございます。その費用を電気事業経営者会議が金を集めて持つているわけです。それで電気事業経営者会議に相談をいたしまして、各社の社長の了解を得て、この経営者会議の費用からそれを負担して貰うこといたしました。
  243. 西田隆男

    ○西田隆男君 自由党から自由党の政調会の参與に、経営者協議会というものがなつてくれということを勧誘されたのではなくて、個人々々の大西或いは誰という人たちに自由党の政調会の参與になつてくれという御勧誘をお受けになつたのであろうと私は推測しているのですが、その大西何がし或いはAという人が自由党政調会の参與になるための会費を経営者協議会から出すということは、果して適法でしようかどうか。その点を一つお伺いします。
  244. 大西英一

    証人大西英一君) それは経営者会議で各社の社長にお諮りをいたしまして、負担をしようという決議をして頂いて出したので、私は適法であると思つているわけでございます。
  245. 西田隆男

    ○西田隆男君 私には尚わかりかねるのですが、大西さんが自発の総裁としての立場でされるのではなくて、大西個人として自由党の政調会の参與に加わつて、そうしてその会費を納められるのであれば、これは大西さん個人の金から出されるのでなければならんことは当然の常識であると考える、そういう金を数社の経営者協議会に金が出してあるから、その金の中から個人大西の負担分を出すということは、法律的には或いは会社が承知をすれば違法ではないと考えますが、大西さんあなた個人としての立場から、徳義的にそういうことをすることが、自由党政調会の参與におなりになつたあなたの立場から、果して公正なことであるとお考えになつているかどうか、これを一つお答え願いたい。
  246. 大西英一

    証人大西英一君) そういう意味におきまして、私は各社の社長さん方にお諮りをして決議をして頂いたのですから、それほど不徳なことをしたというふうには実は考えていなかつたのであります。
  247. 西田隆男

    ○西田隆男君 今の問題に関連いたしまして、これは大西さんの御感覚を以てすれば、それは個人的には法律的にも違法ではないというお考え方のように私には思われます。高井さんの松永機関、俗にいう松永機関に対する三百数十万円の供與についても、高井さんはこれくらいの費用は要るのであろうから、何ということなしに出して上げたいということですが、これ又三百数十万円という金が個人的に大して悪いものではなかつたという御証言のように私は受取つております。併しながら本日の委員会においてあなた方が種々証言されたように、随分長い間かかつてこの電力の再編成問題が論議されておりまする真最中において、そういうことをされることが、国民大衆の疑惑をいささかも招くことでないという固い確信に基いてされておつたかどうか、この点を御両所から一つお述べ願いたいと思います。
  248. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 松永事務所への金でありまするが、これは九つの配電会社、つまり全国の配電会社から一定のはつきりとした比率によりまして集めました金であります。併しながら結局会社の公の金でございますから、御説のように不当などころへは出してはいけないものであると考えております。併しながらこの松永事務所へ出しました金は、先ほど来申上げましたように全国の配電会社から集めた金、それを長い間に亘つて、事務所を持つておられるところの、而もその主義主張の……電気事業のためになり、現在又将来の電気事業の需用家のためにもなるという、そういう筋に動いておるところへ出すということは、これは何ら疚しいことではない、その程度というものにつきましても、私共の常識を以ちまして許さるべきことであろうと私は、私共は考えておりますから……。
  249. 西田隆男

    ○西田隆男君 私はあえて大西さんや高井さんを追及するつもりではありませんが、今高井さんの御答弁では、三百数十万円という金は多過がるとは思わないという御意見です。而も九配電会社でお集めになつた金は九百何十万円とかいう金で、その約三分の一に相当する、いや三分の一以上の金をお使いになつたのですが、而も九配電会社で集めた九百数十万円の金は数ケ年、数ケ年ということは長いかも知れません、一年数ケ月に亘つてあなた方の御主張を国民大衆、政党或いは官庁、財界に知つて貰うためにお使いになつた。その金額の三分の一以上の金を、而も松永事務所に委員長を辞められて後今日まで僅かの期間中にお使いになる金としてお渡しになつた金であつて、不徳義とは思わないという感覚に私はいささか疑問を感じます。が併しあなたがそう確信しておられるならば、あえて私は追及はいたしませんが、とにかくそういうふうにいろいろ国民大衆の疑惑を招くに足ることをあなた方はされておるということだけは一つつて置いて頂きたい。私はこれで質問を終りたい。
  250. 森下政一

    ○森下政一君 大西さんにお尋ねするのですが、委員長は冒頭にこの委員会の性質を説明したと思いますか、参議院のこの委員会は、不正を摘発してこれを糾明するなんということを考えおりません。今日のこの重要な電気事業編成という問題を扱いまするに当つて、何となしこの問題に不明朗なものがつきまとうておるというような印象を国民全体が受けておる。それを拂拭したいという考え方なのです。そこでだんだん御証言をお伺いしましたが、例えば今日大西さんが御証言になりました自由党への参與としての会費の御納入は、今西田委員からも御指摘がありました問題でも、こういうことが若し行われていなければですね、私は国民が今日のような何かこう不明朗なものがあるような感じを受けなかつたと思うのです。この点私は非常に西田さん同様遺憾に思うのですが、このことを経営者協議会にお諮りになつたときに、今電気事業編成という問題がある、而もこの日発側と配電側との意見が対立しておるというようなこともあるときなのだから、特定の政党の参與になるなんということは、この際はやめたほうがいいのじやないか。いわんや費用の一部を分担して数年分を納めるなんということは、世間の疑惑を受けるからやめたほうがいいのじやないかというような意見を吐かれた人はなかつたですか。皆があなたの相談に一言も異議なく、それは結構だと賛意を表したのですか。数多い電気事業者の中には、それはこの際考えたほうがいいのじやないかというような意見は出ませんでしたか。大西さんにお伺いしたいと思います。
  251. 大西英一

    証人大西英一君) はつきり記憶はないので、今高井君に相談して甚だ相済みませんですが、そのお話を持出しました当時の記憶と、高井君の話を総合して振り返つて申上げるのですが、その話を持出しました時には再編成問題にからんで云々とうとふうな疑惑を持つということは考えなかつたわけであります。その当時はまだ今日のように再編成問題がこんなにやかましくなつていませんし、まだ再編成法案も方針も確定されておりません。松永さんの電力審議会というものもできておりませんし、そういう時代でございますから、それでただその時みんながちよつと問題にいたしましたのは一党一派に偏してはどうであろうかという話はございましたけれども、併しまあ会費として出すのだからいいのじやないかということで、みんなが賛成したいというふうに記憶しております。
  252. 森下政一

    ○森下政一君 伝え聞くところによると、社会党も何か同様のことを要請していたとか何とかという噂がありますが、社会党の誰かが党を代表して何かそういうふうに、それと似たようなことを要請したようなことがありますか。
  253. 大西英一

    証人大西英一君) それは私直接聞いたわけじやございません。実は私のほうの副総裁のところへ社会党の事務局の方がおいでになりまして、先だつての資金カンパの際に多少応援してくれないかというお話があつたことは聞いております。併しその後櫻井君が私にその話をいたしましたから、それは発送電だけやるというわけに行かないので、電気事業者の経営者協議会へお諮りをして、皆さんの意見を聞いたらどうかということを言つて置きました。その後副総裁報告を聞きますると経営者協議会に一応話を持出したのですけれども、今こういう問題も起きておる際ですからして意見がまとまりませんで、そのままになつております。
  254. 森下政一

    ○森下政一君 高井さんにお尋ねしますが、いろいろ先刻来の御証言で、この松永事務所に対してその費用を御寄附になつたというのですけれども、献金されたというのですが、それは必ずしも電気事業編成の問題についてだけじやない、更に言い換えると配電側と松永さんの考え方がやや近い、或いは一致しておるという意味においてそれを大いに宣伝して貰うとか、そのほうに責を向けてしまうというような事情じやなくして、電気事業界の長老としての松永さんの活躍というものを広い意味において援助する。こういう意味で献金したということをおつしやるのですが、これもその当時仮にあなたの言われる通りの御心境であつたとしても、今日一歩飜つてお考えになつてこんなことをしなかつたならば、いろいろ世間に疑惑を起さずに済んだのじやないかという御反省は今日ありますか。
  255. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) これはこういうような妙な悪評と申しますかが立つというようなことは、私共は全然予期いたしておりませんでしたが、非常なデマが飛んで皆の噂になつてつたというのが実情なんでありまして、実際私共としては何もそう妙なことをするつもりでやつたのでないということだけは非常に確実であります。併し結果といたしますると、ここにそのことのためにいろいろな噂が立ち、又松永さんにもいろいろな噂が立ち、そうして事実無根の脇のほうにまで何か妙な噂が立つというようなことになつたのは非常に遺憾であると私は考えております。
  256. 森下政一

    ○森下政一君 それからますます世間がおかしな目を向け、又松永さんも迷惑されるのじやないかと思うことは、そういうあなたの言われる通りの性質の援助であつたら何故もつとお金を三百何十万円という半端な出金でなしに、もつと何百万の金を提供されないか。これだけ聞いていると如何にも要求があつてこれだけ出されたのじやないかというよう々印象を世間を受け易い。これが若しいやしくも長老の松永さんの活動を助けるというのならば、而も電気事業編成の問題とおつしやつておりながら何故こんな半端な金をお出しになるんですか。
  257. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) それは何か三百八十何万円というものを一度に松永さんに渡したというふうにも響いておりましたら誠に遺憾な間違いでございまして、それはあすこの事務所を持つて行かれますのに、ああいう方ですから自分で一々出納をやつたり何かしません。私のほうも非常に細かいことでも出して来られなければいかんといつたわけでもありません。それで中部の配電の出張所にいる人に会計をやつてつて、大体きまつたような金ですから月々一度とか二度とか来られてお持ちになりましたのが、それが偶然そういう数になつたというだけのものでございまして、誤解があると悪いから申上げますが、今の中部の配電の人が使いに来た、それから人件費的のものでもう一人の人が来られた。それを合わせましたところが二月末以来最近までのものが丁度三百八十何万円になつたという何遍にも出た金でございまして、一度にお渡しするのでしたらお説の通りそんな妙な数をお渡ししはしないと思いますが、そこをおわかり願えたら御理解願いたいと思います。
  258. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういうことは質問したくないので今まで黙つていたんですが、今松永事務所の献金の問題が出ましたからお伺いますが、松永事務所からお宅のほうへ金を取りに来た、それは誰ですか。
  259. 高井亮太郎

    ○記入(高井亮太郎君) それは私のほうでつまり若干の後援をしてよろしいということをこちらから申しましたのに対してただ、その使いの人でございますか。
  260. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 姓名は不明ですか。
  261. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) いえ、姓名は中部配電の出張所におられる小島という人が事務的の、帳面をつけている人でございますから、その人が、私は毎回その人が来たかどうか知りませんが、はつきり申上げられますことは頼まれて帳簿をつけ、証票を整理しておられるのが小島という人でございますが、毎回その人が来たかどうか私存じません。若し御必要なら調べますけれども……。それからもう一人鈴木鹿象さん、これは相当な人でありますがおられます。それだけでございます。
  262. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この三百七十万円とか三百八十万円という献金はこれは公的なものだとおつしやつていらつしやいますが、贈與税は拂つていらつしやいますか。
  263. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 別にさようなことはいたしておりませんですが、これは松永事務所へそれだけのものが行つたというだけでそうやかましい手続はいたしておりせまん。私共のほうでは別にそういうことはいたしておりません。
  264. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 お拂いになつていらつしやいますか。
  265. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) そういうやかましい手続はいたしておりません。
  266. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はずつと夏、九州方面を歩きまして、配電のほうと日発のほうのいろいろ、意見を聞きますと、最もむずかしい問題は電力融通の問題だと思うのですが、日発のほうに意見を聞くというと、若しも九分割された場合は融通は絶対にうまく行かない。今日でもなかなかむずかしい事情にあると、こう言う。それから配電のほうに聞くというと、その点は心配ない、うまく行くんだと言つて非常に簡單に片付けていらつしやるのですが、大西さんと高井さんにこの点両方の責任者意見を伺いたいと思います。
  267. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと須藤委員お願いしますが、只今対立になつておりまするいろいろな問題がありますけれども、日発、配電の間の意見の相違がありまして、その大きな相違の中の一つにやはりそれもあるのでありますが、そういうことを含めて今日総括的にいろいろ論議を進めておることでありますから、できるならば時間も大分たちましたから、そういう対立面の御質疑は又別な機会に一つお願いできたら幸いだと思うのですが……。
  268. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 では別の機会に一つ……。もう一つ大西さんにお伺いしいたのですが、総裁の機密費は年間どのくらい使つていらつしやつたものか、ちよつと伺いたいと思います。
  269. 大西英一

    証人大西英一君) 総裁といたしまして半期百三十万円だつたと思います。
  270. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この額は二十四年度も二十五年度も同じ額ですか。
  271. 大西英一

    証人大西英一君) ずつと同じ額だつたと記憶しておりますが……。
  272. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それから聞くところによりますと、機密費の使途を明記した帳簿を燒いてしまわれたということが言われておるのですが、どうでしようか。
  273. 大西英一

    証人大西英一君) それは帳簿を燒いたりなんかしたのではございません。つまりその証憑書類を従来の慣例で、支拂を済ませますと一ケ月間保存して置きまして処理をしたのでございますから、その私の手許に出た金が幾らということにちやんと帳簿にそのまま載つておるわけであります。
  274. 島清

    ○島清君 高井さんにお聞きしたいのですが、この再編成問題をめぐりまして、配電会社は一千万円に近い金をお集めになりまして、そしてそれを餅をちぎるようにしてあつちこつちにお使いになつた只今森下委員からお尋ねがあつたように、非常にこのちぎつたちぎり方がどうも世間で納得しないのじやないかういう、こういうような御説御尤もですが、その中にあなたが衆議院の考査委員会のほうで御証言になりまして、三百五十万円は幹事の滯京費だと、こういうことを御証言になつておられるようでございますが、それぞれの会社の方々が東京のほうへ集まりになりますと、出張旅費というものが出ておるはずでございますが、この幹事の滯京旅費というものの内容についての御説明を煩わしたいと思います。
  275. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) その点はそういうものが出まして、私は、昨日から実は日発、配電を含めました経営者会議が開かれております。そこへ参りまして配電の方々にお留守中考査委員会がありまして、私は大体こういうことを言いました。ただ新聞に三百五十万円が地方会社の幹事であられる方々の滯京費その他と書いた新聞と、中には滯京費のみのような印象を與えるようにさえ書いた新聞がございますが、私はそういうことを言つたんでありませんから、若し外から滯京費に使つたのかと言われたら、普通の宿屋の費用とか、そういうつまり普通の滯在費にそういう金は使つてはおらないということを申しても一向構わんので、事実の通り言つて頂きたい、私の申上げたのは、つまり配電から集めた金ですから、直接使うのにも関東配電の人だけで使つたものもあり、地方から幹事が来て東京におられて、そうして一緒に使つたものもあり、そういうものを合せまして、要するに配電直接で使いましものが三百五十万円である。こういうことを申上げたつもりなんでありますが、その言い方が少しまずかつたと見えまして、滯京費その他と書いたり、滯京費になつたりしたので、その点も私は神経を使いまして、これは外の地方の方に言い逃れをするために滯京費と高井は言うておるから、滯京費に使つたとでも言わんければまずいかというような心配まで何か私が考えておるかとでも思わせては相済まんと思いますので、来られると直ぐあの記事はあの通ではないのであります。それは関東配電の人だけのこともあり、地方から来て滯在しておられた人々と一緒のこともあり、例えば説明会を催すにしてもあり、それから印刷費もございます。要するに配電直接使つたのが三百五十万円である。こういう意味なんでございまして、その通りの意味にとつてお帰りになつておられる方もたくさんあるのでありまするが、新聞にああいうふうに出ましたのは言い方が少しまずかつたんじやないかというように考えて責任を感じておりますが、私の言おうとしたことは決してそういうことではございません。
  276. 島清

    ○島清君 それはそれでわかりましたが、それで私たちの尚且つわかるように三百五十方円の内容を、例えば説明会は、私はずつと電力の特別委員をやつておりまするし、更に通産委員をやつておりまするけれども、寡聞にいたしましてまだあなた方のほうから説明をお聞きしたこともなければ、説明を聞いてくれんかという要求をされたこともまだないのであります。でございまするからして、或いは先ほどあなたの証言の中に各政党の政調会あたりから説明書の要求があり、或いは説明の要求があつたと、こういうような御証言でございますが、恐らく社会党はそういう要求はしてないのではないかと、こう思いますが、若しあつたならば社会党のどの部の人がそういう説明を要求し、尚資料を要求したかもはつきりして頂きたいと思いまするが、この三百五十方円の使途の内訳を、各政党に説明をされたといたしまするならば、どういう政党に、主にどういう場所で説明して頂いたか。成るべくこの三百五十万円は相当疑惑を持たれておりまするので、もつと詳しく内容的に、あらましでよろしうございますから……詳しくとあらましとはちよつと語弊がありますが、大ざつぱに御説明を願いたいと思います。
  277. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 只今覚えておりますことは、三百五十万円のうち、二百何万円というのは印刷費でございます。二十種類ぐらいの印刷費で一万何千というものを作つておりまするし、そういう正式の印刷物の外にガリ版等もございまするし、印刷費として二百万円と少し、二百何方ということを覚えております。後の項目は一々覚えておりませんが、何十万円とかいうもの以下でありまして、説明会と申しましてもさように多額の金を使つておりませんので、報道機関その他の方にお集まり願つて説明をしたとか、いろいろな集まりはありましたけれども、大した金は……、つまり三百五十万円の中の主要部分は印刷費、二百何万円が印刷費である。それから社会党の関係は、私は社会党関係の方にお集まり願つて御説明ということは長い間にいろいろな人がやつておりますから何ですが、私の記憶ではパンフレツトは前国会議員の方へお送り申上げてあるはずでございます。
  278. 島清

    ○島清君 そういたしますと先ほどの御証言の中に、政党関係とおつしやつた中に資料の要求その他説明云々ということがございましたが、この政党関係配電会社からの呼び掛けについては少くとも社会党は含まない。或いはその中に民主党が含まれているかどうかは私は存じませんが、主に自由党方面であつたと、こういう工合に了解してよろしうございますか。
  279. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) それは社会党に何ら呼び掛けなかつたかどうか私は今覚えておりませんが、印刷物は御送付申上げましたし、やはり社会党の方にも話は申上げたように考えておりますが、今しつかりした記憶はございません。それから別に自由党に限つたわけではございません。民主党のほうにも御説明は申上げたことはございます。社会党についても今はつきりした記憶がございません。
  280. 島清

    ○島清君 もう一点だけ話のついでに……、今度は大西さんにお聞きしたいのですが、参與費といたしまして百万円、これを丁度年賦納入をされますと三年間分をお納めになつたわけでございまするが、私たちの常識を以ていたしまするならば、こういうことが典型的な政治献金だとこう思つております。講和條約が締結をされるということが新聞その他、或いはアメリカあたりの努力によりまして私たちはそれが間近にあるということを信じておるわけでございまするが、そういたしますると、日本の今日占領されておりまする現段階と、講和直後の回復された日本というものを比較いたしまして考えました場合には、おのずから政界の方面においても変動がありましようし、又政局を担当する政党というものについても相当な変化が予想されるのでございまするが、その当時は別といたしまして、今日西田委員からお聞きになりましたときに、尚且つこれは恥かしくない、道徳的にも政治的にもちつともやましくない金であつたというふうな信念のほどを御吐露なさいましたのですが、こういつたような政局の見通し等をも考慮に入れられた場合に、政治献金でないということを言い切れるかどうか。若しそうでないといたしまするならば、あなたは参與会の通知を受けて、乃至はそう言つたような会合にお出ましになつたことがあるかどうか、この二点だけお聞きしたい。
  281. 大西英一

    証人大西英一君) 初めの御質問は何でしたか。
  282. 島清

    ○島清君 それでは後段のほうからどうぞ一つ……。
  283. 大西英一

    証人大西英一君) 通知のことでございますですね。
  284. 島清

    ○島清君 さようでございます。
  285. 大西英一

    証人大西英一君) それはその後数回あつたように記憶いたしております。それで一番記憶しておりますのは、総理官邸へ全部呼ばれまして、それは晝でございましたけれども、いろいろ各産業界の人も皆お集まりになつて、いろいろと自由党の政策或いは経済問題、そういうようなことについて討議をしたことは記憶いたしております。併し回数はどれだけあつたかしつかり記憶しておりません。
  286. 江田三郎

    ○江田三郎君 大西さんにお尋ねいたしますが、そういたしますとお辞めになる前に再編成をしなければ見返資金が出ないというようなことはお聞きになりましたのですか。お聞きになつたとすればいつ頃からそういう話があつたのですか。これは確定的にそうなつたということでなしに、そういう話が出だしたのはいつ頃からですか。
  287. 大西英一

    証人大西英一君) それはたしか二三日前であつたと思います。私と総裁通産大臣に呼ばれまして、政府の方がGHQにおいでになつたときに、再編成を早く進めなければいけない。それから日発が反対しておるから出ないのだというようなお話があつたということを、通産大臣から私にお話がありました。それで私は先ほど来から御説明申しましたように、再編成に私はちつとも反対していないのだ。ただ電気事業を十分理解して国民のためになるような再編成お願いしたいという意味において説明に努力しておつたので、それが再編成に反対しておるというふうにとられておるとすれば、自分の言い方が悪いのだ。そういう点については十分今後努力いたしましようというお話をいたしました。そうしましたら大臣がそれじや一遍ミスター・ケネデイーに会つてよくあなたもお話し下さいませんか。こういう話がございまして、それから日を記憶しておりませんが、その翌日か翌々日ケネデイー氏の所に参りまして、実はこういう話を聞いて来たが、私共が反対しておるから出さないというお話なのだが、それは私は決して再編成に反対しているのではなくて、再編成をするのに十分電気事業を理解して頂くべく説明に努力しておつたのである。それに誤解があるとすれば、自分は見返資金が出なくて工事が中止しても、発送電自体はかまわないけれども、諸産業にそれが影響するからということで、何とかこの際今後の面倒を見るから見返資金を出して頂きたいということをお願いしたことがあるのであります。そのときにケネデイー氏のおつしやるのには、それは違う。何もお前が再編成に反対しておるから見返資金を出さないのではない。一九四九年に見返資金を出したのは、電源開発が非常に重要であるし、且つ又再編成が近くなされるであろうという我々の見解から、集中排除法の適用を受けた会社には見返資金を使わせない建前になつておるけれども、好意的に一応出してやつた。ところが国会はああいうふうになつていつ再編成ができるかわからない。だからして向うの法律をそのまま適用するのだ。こういうお話で英文で書いた向うの條項を見せられた。それに先ほど稻垣大臣お話になつたと同じように集中排除の適用を受けた会社には見返資金は流用させないということがあるわけであります。それでこの法文そのままを適用したに過ぎないので、お前が反対しているから出さないのではない。こういうお話があつたことは事実でございます。
  288. 江田三郎

    ○江田三郎君 今の大西さんのお答えの中に、今後反対の言動のほうは愼しむから出すようにしてくれと、こういうお話をされたというのでありますが、この日発のほうで最初再編成案を作られました一社化案というものは、そういうようなケネデイー氏に会われても尚、或いは一社化案というものが集排法の精神にもどるものでないという確信は最後まで持つておられたのですか。
  289. 大西英一

    証人大西英一君) それは私共はそういうふうに思つてつたわけです。
  290. 江田三郎

    ○江田三郎君 それからもう一つお尋ねしますが、午前中の稻垣前大臣進藤資源庁長官証言を聞いておりますというと、司令部関係のほうは属地主義を探つてつた。それが外にもいろいろな問題がありましようが、属地主義を採つてつたものが、審議会答申案も、それから松永氏の私案のほうもいずれも属地主義という形とは違つておるのですが、それが二月の十一日のマーケツト局長から稻垣前大臣に宛てた覚書には、審議会答申案も賛成できないが、松永私案というものも期待を裏切つておるというようにとれるわけです。それがその後、松永私案を大体根本にしたもので、第七国会へ出された政府原案になつて来たわけですが、その間に司令部態度というものは、大きく変つたとあなた方はお考えになりましたですか。
  291. 大西英一

    証人大西英一君) その問題につきましては、実は私そういうマーケツト少将のメモが出たことをはつきり実は知らなくて、今日初めてそういうことを聞いたわけなのであります。併し最初にGHQのほうでお出しになつた十ブロツク案というものは、これはもう属地主義と申しますか、区域外の発電所は全部区域外の会社に持たせる、そして余力のあるところは供給会社の働きをする、片方需要の多いところはそれは外から配電をする。こういうような方針であつたので、私は今日まで、その後この問題で、実は我々の意見とかけ離れておるものですから、この再編成問題について向うと余りにも議論をすることを、最近差控えておりますから、そういうふうに意見が変つたかどうかということは、実は私は存じませんけれども、その点は或いはむしろ高井君のほうがその折衝をしておられますから、高井君に一応お聞き願つたらどうかと思います。
  292. 江田三郎

    ○江田三郎君 それでは一つ高井さんにお願いいたします。
  293. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) これは松永氏の私案も又その目的を達するには足りないというような文句があつたらしいのでございますが、私はその文句がどういう点について説かれたのであるかということは、実は存じません。それは後から知つたのです。ただ申上げてもいいと思うのですが、絶対属地主義というものは、少くとも今GHQにおられる相当首脳の方でございまするが、それはやはり弊害のあることである、非常に大きな需要地を持つておるけれどもその需要区域の中には発電力が足りないというような場合に、その大きな需要を持ち、財力を持つ会社が、或る一定の圏外には如何なる発電工事も許さんというようなことであつたならば、やはり開発上も支障を生ずると思うから、絶対属地主義ということはやはり実際的に見てよろしくないということを考えておらるる首脳の方があることだけは存じております。それから前にデコンセントレーシヨン・ボードとかいうものがあつた場合に、相当属地主義が唱えられたことも知つでおります。併しながらGHQ全部についてその意見が今申上げたように変つておるとか、変つてないとかいうことは存じませんが、少くともそういうことがあることだけは私は存じております。
  294. 江田三郎

    ○江田三郎君 その絶対属地主義ではないという考え方は、あなたの承知しておられるところでは今日もケネデイー氏その他GHQの関係者の考え方は、その当時と同じですか。最近に又変つたということはないわけですか。
  295. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 私の申上げたことは、絶対属地主義ということはいけないことであるということをはつきり明言しておる首脳の方があるということです。
  296. 江田三郎

    ○江田三郎君 だからその絶対属地主義ではいけないということですね、そういう見解を持つておられる人は今もやはりその見解を一貫して持つておられるわけでしよう。
  297. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 割合に最近の話であります。前にはいなかつた人であります。
  298. 江田三郎

    ○江田三郎君 それは名前は知らせて頂けないわけですか。
  299. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 特に申上げることはないと思いますが、それだけのことを存じておるというだけであります。絶対属地主義ということは非実際的な、いけないことであるということを言つておられる方はあります。ですからGHQ全部が意見を転回したかどうかというような、そういうような大きな質問にお答えするだけの知識はございませんけれども、それだけのことはあるというだけであります。
  300. 江田三郎

    ○江田三郎君 もう一つお伺いしますが、少くとも最初十ブロツク案を出されたときには、属地主義の考え方関係方面は持つてつた。そうして二月の十一日に審議会案に対しても松永案に対してもいけないということを、賛成できんということを言つた。その後第七国会提出案というものは、絶対属地主義でなかつたということは、あのときに大きくGHQの考え方が変つたと見ていいわけですね、その点は資源庁長官もそう思うということを午前中におつしやつたのです。
  301. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) やはり日本の現状、それからいろんな説明によつて、潮流を重んずべきだということが、少くとも主流になつたんじやないかと思います。あの第七国会に提出せられた案については、GHQは、まあ非公式が知れませんが、了解、少くとも提案せられたことは了解せられたと聞いております。併しGHQがどう変つたとか、さような大きなことを言い得るだけの知識は私はございませんですけれども、推測するところ、話がおわかりになつたのだ、こう思つております。
  302. 江田三郎

    ○江田三郎君 潮流というのは何ですか。サイクルの問題ですか。
  303. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) いえ、電気の流れです。つまり或る圏外にありましても、その電気が全部或るところへ流れるならば、その潮流に従つて一定の……。
  304. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 高井さんちよつとお伺いして置きますが、午前中の話で、昨年の十二月に関係筋から電力の再編が完了するまで日発、配電の主要人事は停止をするようにという覚書が政府側へ参つたということになつておるわけでありまするが、そういう覚書が来たということを日発、並びに配電会社のあなた方は御承知になつておるかどうか、その点伺いたいと思います。
  305. 大西英一

    証人大西英一君) それは当時そのコツピーを電力局であつたか、お役所から頂いたような記憶がございます。
  306. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) 私もどこから頂いたまでは覚えておりませんけれども、その写しであるというものを見たことがございます。
  307. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ということは、政府が受けた覚書によりまして、当該企業体であるあなた方のところへ、この覚書の精神によつて人事の取扱をしなければならん、そういうような移牒的なものではなかつたのでございますか。
  308. 大西英一

    証人大西英一君) そういうものではございません。
  309. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そういう日本政府としての意思を超えて関係筋のその覚書を伝えた、そういうものではなかつたのですか。
  310. 大西英一

    証人大西英一君) そういう形のもので頂いたような記憶はございません。
  311. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) やはり公文を以てさよう処理せよというようなことで来たのであつたか、何かこういうものもあるということでニユース的に見たのであつたか。今ちよつと失念いたしておるのでありますが、帰つて書類を調べて見ます。
  312. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これはそういうことが今申上げましたようにコツピーをどこからお取りになつたかは問題にならないのですが、政府の意思を伝えて、公文で以て受けられたかどうか。その後そのものが取消しになるとか、或いは失効になるとか、そういうようなことを又重ねて通知を受けておられるかどうか。その点を恐縮ですけれども、明日の朝までにちよつと電力特別委員会のほうへお知らせを頂けませんでしようか。  それからできまするならばそのときのコツピー、これを一部頂ければ結構だと思います。
  313. 江田三郎

    ○江田三郎君 大西さんに今一つお尋ねしたいのですが、ストライク・ミツシヨンの方がこの前来られたときに、あの関係方々は技術的な見地から見て日本電力の再編成について、何かあなた方に言われたことがありましたか、どうでしようか。
  314. 大西英一

    証人大西英一君) OCIの方を招聘するということにつきまして、再編成にからんでいやしないかというような色眼鏡で見られておるということは承知いたしておりました。併し私共としてはこれは今の発送電が見返資金のような大事な金を使つてつておるのであるからして、できる限りいいものを、完全なものを作りたい。それには海外へ社員を出すということも一つの方法でございまするけれども、幸いああいう有力な技術団体がこちらへ来て指導をしてくれるということになりますれば、全社員が直接机を並べて指導を受けられるという意味において、実は政府お願いして許可を得たわけなんでございます。たまたまおいでになりました方の中でムアさんという方があるのですが、この方は前のストライク・ミツシヨンのときの工業部門の大将としてこちらにおいでになりまして、詳しく日本の工業状態をお調べになつておりますから、これに対して或る意見をお持ちになつておることは座談的に伺つております。
  315. 江田三郎

    ○江田三郎君 どういう御意見を持つておられるか。
  316. 大西英一

    証人大西英一君) それは私共聞いたところによりますと、小さいことは別問題にして、本州は少くとも五十、六十近く割つて日本のためにならないというような御意見を持つておられるように伺つております。
  317. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 御証言の中のわからない点だけ二、三点簡單に伺いたいと思います。高井さんにお願いいたしますが、九百三十万円を集められた、何と言いますか、目的と言いますか、目的で結構なんですが、先ほど来伺つておりますと、松永事務局長にやりました三百八十万円を加えて、いわば町編推進費と言いますか、そういう名目であお集めになつたと思いますが、その名目、目的を伺いたいと思います。
  318. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) これは別に名前はつけておりませんが、前申しましたように配電だけで会合をすることが前からあつたのでありまするが、そういう要するに配電だけの経営者会議の費用として集めたのでありまするから、再編成以外にも配電だけの会合費等に使つております。併しながら再編成がその中の大きなウエイトになつておるということは率直に申上げてよろしいと考えております。併しながら再編成以外には使わないということは勿論ございません。ずつと配電だけの会議というものはとき折やりまするから、そのときの諸費用には使つております。
  319. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでは重ねてお尋ねいたしますが、それではいつからいつまでの分でございますか、それとも配電会社だけで集めておられるというならば、前にも、今後にもある、それともいつからいつまでと期限を切つてお集めになつたのですか。
  320. 高井亮太郎

    証人高井亮太郎君) これは実は二月からと覚えております。二月頃から最近までの分でございまして、将来同じように集めるかどうかきまつておりません。
  321. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 大西さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、御証言の中で、総理官邸で経済界の各界の人を呼んでお話があつた。而も自由党参與になつてくれというお話があつたことで、私共奇異に感ずるのですが、自由党の参與というお話であれば自由党の本部なり何なりでやるのが普通ではないかと思うのでありますが、総理官邸で、これは公の建物でありますが、そこで誰からお話がございましたのかそれと、もう一つ、百万円みんなで出そうという話になつたということでありますが、その点は後で自由党の、大西さんの話では、自由党の事務局長というお話がありましたが、向うから百万円という要求があつたのですか、或いは数字の点についてはとにかくでありますが、相談をして百万円という金額にきめられて、後の二万円とか十五口とかいうのは、お話を伺つてつても後からつけた説明のような感じがするのでありますが、その百万円の実際の姿を一つ……、この二点を。
  322. 大西英一

    証人大西英一君) それは自由党の参與という意味でないように記憶しているのであります。自由党の政調会の参與というふうにまあ伺つているのであります。お話のございましたのはたしかあの当時の政調会長は周東さんであつたかと思いますが、周東さんと星島さんあたりがおいでになつたように記憶いたしております。
  323. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あとの点を一つ、百万円の、例えば十五人分とおつしやいましたけれども、十五人は承わらないと……、十五人分というのはあとからつけられた説明じやないか。百万円をとにかく相談して出そうというお話になつたあとの十五人とか二万円とかいうのは、あとの説明のような気がするのですが、その百万円は相談をしてきめられて、向うから話があつたかも知れませんけれども……、であとの説明は單なる説明じやないか、言い訳じやないか。こういう感じがいたしますが、その辺もう少し……。
  324. 大西英一

    証人大西英一君) それは参與会の費用として出すことにいたしまして、参與に誰がなるかということは、それからあと相談いたしまして各社が代表の人を人選して来たのが十五人になつたわけであります。
  325. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 もう一点、これは日発の増資の場合に土建会社から十万株持つてつたというようなお話、私共ちよつと会社におつた経験がございますが、いわゆる利益の関係がございます土建会社に十万株の引受けを願うというのは、今後の運営にこれは公正をやつぱり期しがたいと、こういう私共には感じがするわけであります。そこで将来も公正の点について疑問が残りますが、過去において、巷間言われておれます工事の総経費の中から一割程度のリベートなり何なり出されて、これが巷間では献金の財源になつたとこう言われております。過去においてそういう問題があつたのじやないか。これはそういう公正ならざるものの原因をそこにお作りになつたことにおいて将来の慮れがあるが、過去においてそういうものがあつたのじやないかという疑問を持つわけであります。その点についてはどういう事実でございましようか伺いたい。
  326. 大西英一

    証人大西英一君) 土建の方々に持つて頂いたというのは、土建の方々のみではないのでございます。あらゆる会社に関係のある方々お願いして持つて頂いたので、それで今のを持つて頂かれるにつきましても、特定の方に特にお願いをして、これだけ持てということでお願いをしたわけでもございません。今度は増資で非常に株が多いのであるからして、従来の縁故によつて何とか持てるだけ持つて頂きたいということでお願いしたのですから、多い方はたしか十万近く持つて頂いた方もありますし、一万くらい持つて頂いた方もありますし、特定の方に何して、それが先ほどお話の工事の割戻金云々ということにからんで、そういうものをお願いしたという意味じやございません。
  327. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 本日の証言はこの程度で終りたいと思いますが、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  328. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは委員会で後でちよつと相談することがありますのでお残りを願うこととしまして、証人の方は御退席を頂きたいと思います。ちよつとその前に一言御礼だけ申上げます。丁度稻垣、進藤両氏は御退席になつておりますが、私共電力問題に関する特別委員会におきまして電気事業の発展のためには誠心誠意国会としての任務を盡して参つたのでありますが、今日御覧のような状況日本国内の各界に出ておりまして、ややもいたしますると正常であるべき電気事業の姿が歪められておるやに国民に印象を與えておるわけであります。私共はかような形になつておりますることを極めて残念に思つておりまして、私共の力の及ぶ限りにおいてこの疑義を一掃いたしまして、そうして更に強力なる電気事業の発展、産業経済国民生活への貢献を期待いたすが故にこの証人喚問の手続を取つたのでございますが、関係の指標方の絶大なる御協力を頂きまして無事に本日を終ることができましたことについては、    委員会を代表いたしまして厚く御礼を申上げます次第であります。どうも有難うございました。  それからちよつと委員会にお諮り申上げますが、先ほど証人として喚問の手続をいたしました松永安左衛門氏から、十三日、月曜日以後ならば出頭ができる旨の連絡がございました。ただ風邪後であるので証言は午前中に願いたい、こういう希望がございました。従いまして今朝冒頭に時期未定で皆様方に御報告申上げたのでございますが、こういう松永氏の申出に対しまして、若し証言を続行するということになりますれば向うへの連絡の必要もありますから、本日御決定を願つて置いたほうがよろしくはないかと思うのであります。ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  329. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。  それではこれで散会いたします。    午後五時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            岡田 信次君           橋本萬右衞門君            結城 安次君            西田 隆男君            水橋 藤作君    委員            石原幹市郎君            古池 信三君            高橋進太郎君            中川 以良君            江田 三郎君            島   清君            森下 政一君            吉田 法晴君            尾山 三郎君            山川 良一君            小川 久義君            境野 清雄君            鈴木 強平君            須藤 五郎君   証人    元通商産業大臣 稻垣平太郎君    前資源庁長官 進藤武左衞門君    前日本発送電株    式会社総裁   大西 英一君    関東配電株式会    社社長     高井亮太郎