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説明員(富安謙次君) では電波監理
委員会の所掌業務に関しまして、前国会閉会以後の主要なる事項につきまして
簡單に御
説明を申上げたいと存じます。
御
説明に入るに先立ちまして一言申上げたいことは、先般来この
委員の方方が
各地にお手分けをなさ
つて御出張下さいまして、私どもの
地方機関をつぶさに御視察頂きまして、そのときにも私ども参
つておりまするが、かように
皆様が特に遥々と
地方の隅々までも御覽下さいましたということは、
地方の局といたしましては非常に感謝をいたして有難く思い、仕事に張合いを得たことはどんなに大きいか分らないのでありましてその点私どもといたしましても厚くお礼を申上げる次第でございます。御
説明の点につきまして言分もあり、御満足の参りかねた点もあるかと存じますが、お許しを頂きまして、この後ともかような
方法によりまして私どもの仕事を直接に見て頂き、何かと御援助を頂き、又お教えを頂き、将来ともこのような
方法をと
つて頂きたいということをお願い申上げると同時に、一言お礼を申上げる次第でございます。
さて当
委員会におきましては発足以来多数の政令及び規則を
制定いたしましたことにつきましては、前回に御
報告を申上げたところでございますが、その際近く
制定予定のものといたしまして御
説明を申上げました無線局の開設の根本
基準と申す規則を去る九月十一日に公布施行いたしました。この規則は、御案内の
通り電波法の第七條に基くものでございますが、放送局に対しますものは別に特別の規則とすることにいたしまして、放送局以外の無線局の開設の根本的
基準を定めることといたした次第であります。この規則は電波法の
規定によりますというと、聽聞を開催いたして広く
意見を求めてそれによるということに
なつておりますが、その
通りに行な
つたのでありまして、最も民主的な
制定の手続をと
つたものでありまして、この種の規則におきましてかように難問という
方法をとり、広く
意見を輿論に求めて
制定をいたしましたということは、我が国におきましては行政の上において一新紀元を画したものと申してもよろしいかと存ずるのであります。この規則はお手許にお配りを申上げてあるはずでございます。ごく
簡單にそのことを御
説明申上げて見たいと存じます。
この規則の目的といたしましては、この規則は無線局開設の免許可に関しまする電波監理
委員会の基本方針を電波法第一條の
規定の精神、即ち電波の公平且つ
能率的な利用を確保して公共の福祉を増進するという、あの精神に最も適合するように定めることを目的として書かれております。それからこの規則の
制定に際しての方針を申しまするというと、無線局はその設置の場所とか開設の目的とか業務の種別、性質によりましていろいろに分類ができるわけであります。この
基準といたしましては、各無線局の開設の目的ということを中心として分類
規定することが最も適当であると認めますので、その方針によりまして、この規則は無線局を六つの種類に分けまして公衆通信業務用無線局、公共業務用無線局、漁業用海岸局、実験局、簡易無線業務用無線局及びその他の一般の無線局、こういう六つの種類に区別いたして
規定をいたしておりますが、若し又将来特殊の目的のものが出て参りますれば、更にこれに追加するという建前をと
つておる次第でございます。この
只今申しました六種類の無線局の種別ごとに御
説明を申上げるべきかとも存じますが、それはむしろ時間の
関係もありまするし省略をさせて頂きまして、御
質問に応じてお答えを申上げるということにいたしたら如何かとかように存じますのでこの点御
了承をお願いいたしたいと存じます。
それから
只今申しましたのは、放送局以外の無線局の開設の根本
基準というようなことでありますが、放送局の開設の根本的
基準、この方につきましては立案を急ぎまして目下
関係の
方面と
折衝を行
なつております。私どもの見通しによりまするというと、極めて近い時期におきましてその
折衝を完了いたしまして、この案を確定することができるかと存じております。この案ができますというと、これを公聽会にかける必要がありまするので、
只今私どもの大体の見当によりますると、順序よく参りまするならば十月の中旬頃にでもなりましたならば公聽会を開くように、法律によりまして二週間の間を置く必要がありまするので、その
規定の期間、少くともその期間前におきましてこの案の公告をいたしまして公聽会を十月の中旬頃には開くという手順になるかと存じます。公聽会にかけまして広く一般の
意見を十分に聞きまして、これを取入れまして、その結果を固めて規則として
制定公布いたしたい、かように考えておる次第でございます。この
基準に取上げるべき事項といたしましては、国内放送と国際放送とこれはありまするが、国内放送を行う放送局につきましては、
事業計画の実施の確実性、放送番組の
内容の妥当性、或いは空中線電力の大きさ、いわゆるブラケツト・エリア、或いは又放送の公正且つ
能率的な並及というようないろいろの点を考慮いたして
制定をいたしたいと存じます。又国際放送を行う放送局につきましても、国際放送というものの特殊の性格に鑑みまして、国際放逸として利用される放送番組の妥当性ということに特に重きを置いて考えて参りたいと存じておる次第でございますが、いずれも重大で且つ困難な問題でありまするので、私ども慎重に考慮をいたしまして、考究をいたしまして、結果において万全を期したいと苦慮いたしておる次第でございます。
これを以ちまして最近の規則の
制定並びにこの後の
制定の
予定等につきまして御
説明を申上げた次第でありまするが、尚この際に
電波行政の上の二、三の問題につきまして御
報告を申上げさして頂きたいと存じます。
それは先ず国際会議のことであります。別途お手許に差上げてあると存じまするが、
一つはイタリアにおきまして開催せられておりました第二回国際高周波放送会議これと、それから今月の末にオランダのヘーグにおいて開催を
予定せられておりましたところの臨時無線通信主管庁会議と、この二つであります。前の第二回国際高周波放送会議、これにつきましては、今年の四月から開催せられておりまするので、我が国からも三名の代表が出席をいたし、各国の間におきまして極めて熱心な討議が続けられていたのでございますが、ソヴイエト連邦とその衞星諸国は、四月の初めに第一回総会を開きましたそのときに、中国代表の問題のために退場をいたして、その後出席を見るに至りませんでしたが、そこで参加国約五十六ケ国が問題の解決のために審議を続けて参
つた次第でありましたが、去る八月の初めにアメリカ合衆国から、国際
情勢等を鑑みまして会議中止の提案がありました。それに対しまして大多数の賛成があり、アメリカの提案が成立をいたしました。このアメリカの提案の
内容について申上げますると、各国の
要求を充すためには、解決の困難な問題が多数残
つておる。又最近の国際
情勢からしてこのまま会議を続行するということは意味がない。ただこれまで会議で採択され、研究された技術
基準をできるだけ利用して、今まで行われた会議を無意義ならしめないようにしたいと、こういう趣旨でありました。そこでこのアメリカの提案に従いましてこの会議は閉会ということに相成
つた次第でありました。又この九月の下旬に開かれる
予定でありましたヘーグの方の臨時無線主管庁会議は、この方はこれ又アメリカがイタリア会議と同様に、現在の国際
情勢下におきましてはこの種の会議を開くことは時宜を得ないものであるし、実質的協定に達することも不可能である、こういうような
意見によりまして提案があり、結局会議の延期のアメリカの提案が大多数の支持を得まして、この会議は無期延期ということに
なつてしまいました。尚再開の時期につきましては、
只今開催中でありまする管理理事会というものがあるのでありますが、第五回の管理理事会において審議をしている最中であります。
それから次に
日本商船の外航の許可が拡張されまして、これに伴いまする電波の、電力の
増加の件でございまするが、八月末日から
日本の商船が米国、パナマ、アルゼンチン、ベルギー、アフリカ、インド、これら主要の
外国の港の出入を許可されたのでありまして、これらの遠洋の航路に就航する商船と、
日本内地との短波による直接連絡を確保いたしまするために、商船の無線局の電力を五百ワツトから一キロに、その相手局となる長崎と銚子の両方の短波海岸局の電力を一キロから二キロに増力するということをいたしますると共に、一方短波の周波数の晝夜間の区別が今まであ
つたのでありまするが、これを廃止いたしました。それでこういうことをいたしました結果、最も遠距離であるアルゼンチンの沖合におきましても、これと容易に通信ができるように相成る筈であります。
それからもう
一つ、過般のジエーン、キジアでしたか、この二つの
台風に際しまして警察用無線局の運用
状況でありまするが、資料において御覽を願
つてありまする
通り、
相当有効に無電が活躍をいたしておりまするので、電波管理
委員会といたしましてもその点を喜んでおる次第でございます。
尚
最後に電波監視業務の
実情でありまするが、これにつきましても過般
地方の御視察の際に御覽を頂いたのでございまするが、最近の国際
情勢の微妙な推移と共に、ますますこの監視の重要性と事務の繁忙を加えて参
つておる次第でございまして、僻陬の地にありながら
関係職員一同がその
対策に万々遺漏のなきように専心努力をいたしておる次第でございます。
簡單でありまするが、以上を以ちまして電波監理
委員会の所掌事務についての御
説明を終りました。御
質問を頂きましてお答えをいたさせて頂くということにいたしたいと存じます。