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1950-09-20 第8回国会 参議院 電気通信委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十日(水曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電気通信事業運営状況に関する調査  の件  (電気通信省所管事項に関する件) ○電波行政に関する調査の件  (電波監理委員会所管事項に関する  件)   —————————————
  2. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 只今から開会をいたします。  日程に先立ちまして今非常な、御承知のように一番重大な問題であります予算の査定と申しますか、決定が二十六年度の分がまさに決定をしようという最後の段階に来ておるわけであります。当委員会関係をいたしております電通関係予算につきましては、先般来委員長といたしましても田村主管大臣加藤政務次官靱事務次官その他の委員並びに主管関係各位といろいろ連絡をいたしまして、大蔵当局等とも若干折衝をいたしました。そうした問題につきまして、最初に日程に先立つて皆さんに御報告申し上げ、或いは又皆さんのそれらについてのいろいろの御質疑、御意見、こういつたようなものをお願いをすることがよくはないかと、こういうことを考えるわけであります。御了承をお願い申上げます。  先ず加藤政務次官靱事務次官から今までの大体の経過について御報告口を願います。加藤政務次官
  3. 加藤隆太郎

    説明員加藤隆太郎君) 本日委員会をお開きになられまして誠に御苦労に存じますが、この際、大臣が出まして親しく皆様に御懇談申上げ、更に御協力を頂く点も多々あるのでありますが、遺憾ながら本日は閣議等関係がありまして、時間がちよつと遅れますような関係から、私が代りましてその後の業務の大要につきまして、この際皆様に一応御参考に申上げたいと思う次第であります。尚この際、ちよつと時間を頂くのでありますが、折角まあ大臣から命ぜられました事柄につきまして皆様に御報告を申上げ、その後において今委員長さんからお話がありました来たるべき年度予算等につきまして、現在の情勢をつぶさに申上げまして、皆様に強力な御支持を仰ぎたいと、かように考えておる次第であります。暫く一つ大臣皆様に申上げる事柄につきましてお耳を御拜借願いたいと思う次第であります。  その第一は、郵船電気通信法及び公衆電気通信法制定でありますが、現行の電信法は明治三十三年に制定されたものでありまして、その内容が新憲法制定の精神並びに現今の電気通信科学進歩発展に即応し得なくなりましたために、これに検討を加えまして同法に包含されていた私設電気通信の監督の規定公衆電気通信に関する規定とを分離いたしまして、郵船電気通信機構統一的規定として郵船電気通信法を、公衆電気通信サービス基本法として公衆電気通信法制定することといたしたのであります。目下関係方面の意向を参酌いたしまして、その作成準備を進めている次第であります。  次に電気通信事業経営形態についてでありますが、電信電話復興審議会が本年の三月三十日に、本事業を速かに公共企業体に移行せしむるよう答申されましたことは、すでに御了承通りでありますが、政府におきましてもこれが急速実現につきまして努力いたして参りましたが、その後内外諸情勢変化等によりまして、早急実現が困難となつて参りました。これに対しまして、復興審議会におきましては、先月の二十四日に電信電話改善に関して可及的に事業経営能率化合理化を図るよう政府の措置を強く要望する決議を行われたのであります。当局におきましても今後本決議の趣旨の実現に努めたいと思うのであります。  次は二十四年度決算について申上げますが、二十四年度損益勘定、收入総額に三百五十億三千三百三十五万五千円でありまして、これに対しまして損失総額は三百二十一億八百五十七万円でありまして、帳簿上は二十九億二千四百七十八万五千円の利益金が計上されたのでありますが、この利益金の中の十二億八千二百二十六万八千円は、二十四年の五月末に通信事業特別会計最終決算において生じたものでありまして、通信事業特別会計利益金として処分されましたために、三月末におけるところの電気通信特別会計決算によつて生じた利益は、十六億四千百五十一万七千円でございます。これより電気通信特別会計法第三十五條の規定繰越欠損金整理を行なつた結果、十四億六万五百十九万六千円が積立金に組入れられたのでありまして、一応昭和二十四年度中の電気通信事業財政といたしましては、二十九億余円の黒字を生じたのでありますが、現実には施設補修状況は極めて不良であり、且つ固定資産適正評価が行われず、減価償却費引当の過少なる現状から見まするというと、事業経営状態は実質的にはむしろ赤字とも見らるべき現況でありまして、決して満足すべきものではないのでございます。  次に、向この際申上げることはありますが、でき得るだけ省略して質疑応答に讓らせて頂きまして、二十六年度予算についてちよつと申上げたいと思います。本年度の先ず補正予算について申上げますが、加入者増設工事進歩及び扱数の増加によるところの收入増加外国電報飛躍的増加朝鮮事変関係收入等によりまして予定收入額より約六十億円の收入超過が見込まれますので、この財源を見合に運用、補修並びにその他の経費を要求すべく目下取運び中でありまして、建設勘定にありましては、預金部資金約六十億円を借入れまして加入者増設一万五千名、市外回線増設七五五千キロ等を計画して目下関係機関と協議中でございます。両御参考までに二十六年度予算についてその予定を申上げまして皆様の御理解ある御協力を頂きたいと思うのですが、損益勘定は、事業收入五百二億を財源といたしまして同額の事業支出概算要求を、建設勘定は、借入金約二百三億、終戰処理費よりの受入約三億、損益勘定よりの受入約八十四億を財源といたしまして二百九十二億の概算要求書大蔵省へ提出しておる次第であります。損益勘定については、大体の最後案の提示を受けまして四百七十一億一千六百万円で目下計数整理中でございます。建設勘定につきましては、未だ借入金の額が決定いたしませんような次第でございます。  以上のような次第でございまして尚申上ぐべき点もございますが、この際時間的に省略を願いまして、一応この程度で御参考までに御報告を終らせて頂きたいと思います。尚、詳細につきましては御質疑に応じましていろいろと皆様と御協定或いは御協力を願う面が多々あることと信じますから、よろしくその点は皆様の御理解ある御支援の程を切にお願い申上げまして、簡單でありますが所管事項説明を終る次第でございます。
  4. 靱勉

    説明員(靱勉君) それでは私から来年度予算の今折衝経過等を御説明申上げたいと思います。先ず只今説明がありましたが、来年度建設勘定といたしましては、借入金を約二百億余り、それに減価償却その他を合せまして全体で二百九十一億程度建設勘定を以ちまして、施設拡充整備を行うことに計画を立てて大蔵省折衝いたしておつたのでございます。これにつきましては、その内容損益勘定からの減価償却の繰入約八十二億程度というものは、来年度におきましては主として施設の取替補充等に使用する。即ち現在非常に設備されておる電話利用等におきまして、障害等相当多くありまして、完全な電話の機能を発揮していない。この点は或いは台風のある場合におきまして直ちに甚大な被害を受け、或いは雨が降つた電話が通じないというような現象なつております。或いは又非常に通話の質が惡い、又話中でなかなかかからんというようないろいろな現象なつて現れておるわけでありまするが、これらの減価償却観念から申しますと、これをできるだけ取替補充等は使つて行く。新たな施設拡充につきましては、外部資金を利用してこれが整備に当るという方針を立てておるのでありますが、然らば新規の施設増設につきましては、加入者におきまして約十三万、市外回線におきまして十二万キロ余り回線増設をいたしたい、こういう計画なつております。そこで問題はこの二百億程度外部資金が確保できるかできないかが来年度拡張、整備計画ができるかできないかになるわけでありまして、私共の承知いたしております程度におきましては、百二十億程度は認めるが二百億のところは只今のところ認められてない状態なつております。私共大体新聞紙上等におきましても拜見している通り現在一般公共事業費の枠の問題につきまして相当まだ最後決定を見てないような次第でありますが、この百二十億の線というものを三百億までに持つて行くためには、これは相当の努力を要しまして、関係方面の非常に御理解を願わなければならん点でありますが、然らば電気通信省は何が故に二百億円をそう頑張るかという点になつて来るわけであります。これにつきましては、お手許に青写真の現在の施設状況をいろいろと図表によつて説明いたしておるのでございますが、この中に市内電話施設現状が書いてあります。ここで第一表の世界各国電話普及状況を御覽になりますと、日本人口百人当り、第一頁でございますが、一・七%という状態なつております。そこで先程申上げました十三万というものはどういうものかと申上げますと、その第三表に「最近に於ける電話需給状況表」というのがございます。第三表目でございますが、これで二十五年度におきましては約四十三万の申込があつた。然るに本年度に、二十五年度におきまして消化できますのはその中の二七%、約十二、三万程度片付く、そうしますと現に本年度申込んでおるものでも三十万というものは来年度以降に繰越されるということになるわけであります。私共大体今後来年度におきまして五ケ年間に九十万の加入増設をいたしまして、現在百十万未満というものを二百万未満程度にいたしたい、これは是非実現いたしたいという計画を立てますならば、本年度十三万、来年度十七号、後三年間は二十万くらいずつで漸く九十万個というものが増設が可能なんであります。二十六年度予定は、ここに七十万余りの、残つたものを足しまして七十万程度の需要があるという計画なつておりますが、これに対して今二百億の外部資金を得たいと望んでおる計画案におきましてすら十三万しかできない、こういう状況なつておりますので、五ケ年計画としまして本年度二十万個くらい実行いたしたいと考えますれば尚多くの資金を要するのでありますが、いろいろな状況を考えまして漸く十三万程度にまあ圧縮された形になつて、今百二十億というような線が示されますと全体的に計画を圧縮しなければなりませんので、これも加入者だけの例を取りましても八万から九万程度になる、いわゆる加入者だけを考えておるのではありませんので、御承知のように非常に通話が話中がある、或いは局舎一ぱいでどうにもならんというような、施設改善要求というものは非常に多いのでありまして、現にその次の表に見えております通り、第四表に書いてございますが、工事不能地域申込は半分以上来ておる。東京などは不能地域は五〇%以上の不能地域を持つており、可能地域におきましてもこれも架設予定より申込が多いために可能地域でもお断りしなければならん。この地域は全く見込がない、これの行語りは何かと申しますと四八%は線路下足による不能地域なつておるのであります。局内の施設一ぱいのために不能で、断るのが三十五%というような状況なつておりますし、その次ずつとあとへ参りまして十三表というのがございますが、地方等におきまして或いは自動式で殆んど通話はできないから他動式に替えて貰いたい、或いは共電式がすでに一ぱい加入者が非常に多いから、自動式に替えて貰いたいというような事情等出ておりましてそれがこの右側に書いてあります改式の対象となる数が二百局、而もそのうち緊急にどうしても改局しなければ加入者が加入できないというようなものだけでも八十三局、ところが二十六年度の二百億借入資金では、どれだけですかというと、僅かに十六局しかできない。これには相当金を要するのでありまして、三、四千の加入者自動局を作りますのに一億円から二億円の金がかかるというような状況なつておりますので、若しも百二十億の線に止められまするならば、現在計画しておりまするところの改式の局を、大部分はこれを削らざるを得ない、こういうような結果になりますので二百億の線というものは絶対に我々の責任として、是非実現したいということで各方面に御協力を願いまして、交渉いたしておるような次第でありますが、その前途というものは決して楽観すべきではない、むしろ悲観的な、状況にあるのが非常に我々の遺憾に存じておるところであります。尚これを全体的計画から考えて見ますならば、すでに電信電話復興審議会においても、日本現状におきまして約三百万の加入増設を今後やらなければならん、それに漸く加入者百人当り四・一程度加入者普及になるわけでありまして、これは外国の例を取つて見ますればオーストラリア程度状況になる。今の進行状況で毎年、仮に来年度においてさえ十三万でございますが、二十万ずつやつて行くとしましても、十五ケ年後に漸くこれが実現できる。十五年後における我が国の電話普及状況というものは、現在の希望しておるものになるというようなことでありまして、十五ケ年後人口一億程度と算定しまして、そういう結果になるのでありまして、そういうことで二百億の問題は、私は非常に大きな問題として必死になつてやつておる次第であります。尚委員会のこれに対するいろいろと御援助、御批判等も頂きたいと思います。尚損益勘定の上におきまして問題になりましたのは、私共の方としまして一つ電話装置料、現在一千五百円の料金ときめてあるのであります。これが実費を割つておる。実費を計算すると四千円余りになるのでありましてこれは損益勘定で全部負担して処理されておるわけであります。これを四千円程度に引上げたいということで損益勘定の收入見込もそれによつて立てておりまして、それから又電報料の調整と申しますか、合理化という問題も一つの問題といたしまして、現在十字三十円になつておりますが、これを十五字五十円にするというような案も考えまして一応大蔵省にはその案で持ち込んでおつたような次第でありますが、電報の方は、料金の値上は一応この際は差控えて頂きたい。装置料値上げにつきましても、理由は電報料金値上げ、或いは郵便料金値上げと性格は異にするであろうと思いますが、これはむしろ減損償却の方に当てる方がよかろうということで、損益勘定の方の支出には使えないということになつておりまして、先程御説明がありましたが大体五百億の損益勘定を四百七十一億程度に圧縮されまして、勿論これは百二十億の外部資金が入るという計算でやつておりますので、二百億になりますれば損益勘定の方にも修正を要することになりますが、一応損益勘定大蔵省折衝は終了いたしまして、百二十億という前提の下ならば、四百七十億程度損益勘定になるというところに、漸く話がまとまつておるような次第であります。そこで損益勘定で最も問題になりますのは、やはり電話の問題でありまして、私共昭和九年から十年、十一年の基準年度能率基準として算定しますと、二十六年度におきましては約三万名の定員増加というものは当然出て来るというふうに考えておりますが、今日の、来年度予算におきにましてはべースの改訂、その他全般的に行政機構簡素化等から、定員につきましては極めて嚴格主義でありまして、これが我々の方にも影響いたしまして相当嚴しく圧縮されております。全体としましては大体基準年度の七五%程度が認められるといつても、それが全部認められなかつたという状況なつておりまして、相当先方と折衝いたしましたが、遂に止むを得ず或るところで落付かざるを得なかつたという状況に相成つておる次第であります。   以上二十六年度予算につきまして経過を御説明いたしましたが、尚本日までに補正予算大蔵省と協議することになつておるのであります。これは先程政務次官から御説明がありましたように、これも全部資金約六十億借用しまして、本年度特に緊急を要する施設拡充を行いたいという案でありますが、この案は二十六年度の二百億借入計画案を一体的な関係を持つておるのでありまして、仮にこの六十億の補正予算が認められ、而も二十六年度建設予算も百二十億程度借入資金しか認められなかつたということになりますと、全面的に計画改訂をしなければならん、いつになつても電話改善というものが実現して来ないというような非常な私共惡い状態になるというふうに見ておるのでありますが、何分にもそれら全部合せますと三百六十億程度建設資金ということになりますので、なかなかこれについては難関があるわけであります。以上御説明いたしまして御質問によつてお答えいたします。
  5. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 御質問を願います。
  6. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 時間がありませんので簡單に要点をお伺いしたいのですが、今お話の中で建設費の問題、これは我々最近各地に廻わりまして実情を見て参りましたが、電信の方は殆んど問題がないのであります。電話に関しましては各地とも殆んど同じような要望が出ております。例えば今日国鉄がほぼ戰前状態に復したということになつておるに抱わらず、電話の方は、例えば市外通話でも非常に待ち合わせの時間が長い。それが地方ローカル線だけでなしに、幹線でも非常に時間がかかる。特急でありましても戰前の比較にならないくらいの時間がかかつておる。名古屋でも東京との間でやはり三時間程度のものはどうしてもかかつておるというようなことも聞きましたし、又市内電話につきましても、非常に希望者がおるのだけれども、その加入数希望に応じ切れない。又現在すでに開通しておる加入者電話でも話中であつたり、或いはそれが中継線の足りないため、或いは局外の施設惡いためにかからないというものも相当に多い。つまりそういつたふうな基礎的な設備が全体には非常に足りないということに結論を持つて行かざるを得ないということになつております。建設費をこの際にどんなに無理をしてでも殖やして行かなければならんと思いますが、電話戰前に復するのではなく、現在の電話を維持して行くためにも、これは欠くべからざるものであろうと私は感じて参つたのであります。ですから大臣にもよくおつしやつて頂きたいのですが、建設費はどうしても今後は現在の施設を維持するためにだけでも、将来のことをお考えになると尚更ですが、最小限度二百億程度のものはどうしてもお取りにならんと電話は殆んど麻痺状態に陥るのではないかということを私は懸念しておるということを是非お伝え願いたいのであります。  そこでこの問題に関連しまして一、二お尋ねを申上げるのですが、只今減価償却約八十億円余りとおつしやいましたけれども、而もそれで例えば設備補充取替なんかをやつて行くとおつしやつたが、これはまあ減価償却の性質から見て当然と思います。併しながら一体この設備補充取替というものと、新たな建設というものとをどういうふうに分けておられるか。例えば東京で見ましても、荏原の電話を或いは茅場町の電話いろいろもう古くて年限の来ている電話があると思う、そういつたものの補充取替までこういう減価償却費で賄うということは、これは私は不可能であると思う。二十年前から減価償却をやつておられればこの積立金でこれはやれるのは当然ですけれども、ここ一、二年の間に始められた減価償却費でもつて補充取替を急にやるとしてもこれは無理なのは当然です。従つて如何に補充取替をおやりになろうとしても、その償却費で賄うという限りは、これは実際必要な額の何十分の一にも足らんだろうと私は思う。従つてこれにつきましても、その間に天災でやられたというものにつきましては、新たな建設費からこれを出して補充取替して行くのは、これはこの際当然だと思うのです。これについてどういうふうになつておりますか御説明が伺いたいし、又それに対する対策も併せて伺いたいと思うのであります。  それからもう一つは、この災害復旧費であります。会社でありますと恐らく毎年こういうふうな台風が来たり、地震があつたりする。或いは火災も包含されましようが、こういう災害に対する不時の積立金というのは当然計上しておるだろうと思うのです。官業でありますからこういつたものは計上しなくも補正予算で組めばいいというような簡單なお考えじやないかと思いますけれども、併し台風なんかでやられたところの損害は毎年非常に違つて来るだろうと思います。現在どうしておるかということになると、各地実情取りあえず現在配付されておるところの建設費とか、或いは補充費であるとか、そういつたものを流用いたしまして、応急の手当をする。その後で予算補正を待つてこの災害復旧をやろうということになるらしいのですが、これは併し初めから毎年これだけの大きな設備を持つておりますと、或る程度災害が起るということは当然であります。何故に災害に対する復旧積立金経営予算として計上されないか。こういつたことをやつておりますと、少くとも当初予定しておつたところの工事が数ケ月遅れる、少くとも補正予算のときまで遅れる。とにかく災害の大きさによりましては、その年のうちに復旧できないものも生じて来るということになるのであります。これも減価償却と同じような意味におきまして、私は統計をお取りになればわかると思いますから、統計従つて災害復旧に対する積立金は毎年これは必ず計上して貰わなければならん。そうして災害が起つた場合には、その積立金で以てどんどん災害復旧をやつて行く。他の建設費とか、或いは補充費に迷惑をかけないという態度で臨まれなければならないと思うのでございます。この点どういうふうに現在なつておりますか。又これに対して何か対策を持つておられますか。併せてお伺いしたいのであります。要するに私はこれは毎年今の電話が殆んど建設費の方で不足である。そのためにいろいろな問題が生じておるということに帰着すると思うのでありますが、少し専門的に細かい話になりましたけれども、こういつたものが建設費が足りない上に、更に非常に大きなマイナスになつておるということを附加えまして、これらに対して御意見を伺いたいと思います。
  7. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) お答えします。只今の御意見、全般を通じまして至極御尤もな御意見と思います。減価償却と取替補充との関係におきましては、私民間におらた経験から見ましては、官庁のやり方は多少違つておるとかように考えます。併し現在では今のような方法しかないんじやないか、かように考えておるのでありますが、現在大体資産を一応再評価いたしますと千六百億乃至千八百億という数字になります。これの四分四厘程度償却をいたしまして八十一億ということに相成つておるのでございますが、金額は如何ようであろうといたしましても、施設が全般的に非常に老朽しておる。これを何とか早く改善しなければ現在の建設工事それ自身にも非常に支障を来たすということに相成るわけであります。前国会だと思いますが、或る議員の方から建設費だけやつても駄目じやないか、補修の方が完全に行かないようでは建設をやつても無駄だというような御意見もありましたが、この建設補修というものは裏腹をなすのでありまして、私どもはむやみやたらに電話の個数を殖すということを考えておるのじやなくて、そういうことをやることによつて、現在あります施設が完全に働くというような方法を両者兼ね併せて研究して行かなければならん。そうしてそのやりましたものについて、将来に備えて減価償却等をしなければならんのでありますが、現在は将来に備えて減価償却する段取りじやなくして、減価償却というものを積立金のような観念で一応は計上しましても、すぐにその翌年には使い切つてしまわなければならんというような状態であります。ただ只今御指摘のように減価償却を本当に減価償却オンリーにやつてつたかということになりますと、遺憾ながら過去におきましては、減価償却の一部を建設費が足らんために建設費に当てておつた傾きがございます。これではいかん、どうしても今後は減価償却はやはり減価償却として現段階におきましては補充取替に全部これを向けなければならん、かように考えております。で二十六年度からな減価償却は全部補充取替に向けたいと思つておりますが、ただ先程来政務次官から御説明申上げましたように、建設資金が非常に圧縮されますと、或いはこの中に食い込まなければならん虞れがあるのではないかということを危惧いたします。それで現在この施設を小刻みに局所的に直しておりましては、いつまでたつても直らない。どうしてもやはり相当の費用と手をかけなければ直らないと、かように考えております。今までも東京及び大阪は特別都市計画として特別な都市工事をやつておりましたけれども、これは本当に燒石に水のようなものでありまして、一方直つても一方が惡くなるために非常にアンバランスになつて、茅場町の電話局の電話只今お話のように非常にかからない。日本一の電話の必要なところに日本一の不通区域を作るという現象を呈することに相成つたのであります。ところが若しこれに一度思切つて大きな金を掛けますというと、私は必ずこれはいわゆる大げさな言葉で言えば、起死回生の方策ができるのじやないかと思われるのであります。例えて申しますと、東京の現在の施設を普通の状態に働けるようにするためには、幾らこれに金を掛けたらいいか。これは建設費ではなくして、現在のものが働けるようにするには、公衆から不満を受けないような範囲において働くようにする、つまり雨が降つても大丈夫、相当台風にも堪え得る、水害にも堪え得るというような施設を作るには、八十億くらいの金がありますというと結局そろばんが採れます。でこれは東京の計算でありますが、かように一度思い切つて金を掛けることができますというと、それは見違えるようになるのであります。ところがこれが十分に金を掛けられないために、今まではどうも思わしく行かない。貧乏人の金の使い方を知らないといつたような傾きがなきにしもあらずであるのであります。今後は只今新谷さんからも御指摘がございましたように、この補充取替というものにはベストを盡して計らいたい、かように考えております。  それから災害復旧積立金という点については至極御尤もな御意見でございます。現在では予備費というものを持ちまして、その予備費をそういう際には応急的に使つておりますが、この予備費も十分な予備費を持たないために補正予算という面が出て参りますわけであります。今回の二十六年度予算についても、まだ災害復旧積立金といつたようなものを打建てるまでの余裕がないために、その計らいができないのでありますが、少くとも近き将来には御趣旨のような線について私どもも日本のような地震国、火災国、水害国というところには、その必要は切に痛感するものであります。尚又今回非常な災害を蒙りました大阪方面におきましては、この機会に今まで私共の悩んでおりました特別都市工事が、金がなかつたので十分できなかつたというような点、それから非常に疏通状態が惡かつたというようなことを、禍を転じまして福とするには参りませんでも、普通の状態に相成りますようにこの災害復旧の、今度の大阪方面災害復旧は、特別都市工事及び将来の建設の素地を作り得るような面においてでも、応急復旧工事とは別に復旧改善をいたしたいと思います。又せめても当局としてそういうことについては、只今の新谷さんの言われた積立金を持たながつたその穴埋にでもいたして行きたいと思つております。将来は私はこの点はお説一〇〇%同感でありますので、是非費目を提供いたしたいと思つております。
  8. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 甚だ遺憾でありますけれども、通信監の只今の御答弁に私は不満足なんであります。補充取替の問題ですが、八十数億を今度は、補充取替の方に全部使いたいというお話でありますが、これはもとより当然のことであります。それは例えば茅場町の分局の交換の機械設備か、一応帳面の上では二十年のライフがあるということでありましようが、実際は大事に使えば二十五年持つかも知れない。併しそれが四十年持つとは私は考えられない。ところが私が申上げたように、従来何らの減価償却をやつておられない。二、三年来初めておやりになつたその減価償却費を以て、今後補充取替を一切やつて行くということは、これはもう不可能にきまつているのでございます。さつき只今資産が時価に直して千六百乃至千八百億というお話でありましたが、そういたしますと茅場町の機械設備なるものは、これを零として計算しておられるかどうかということです。仮に零になつておれば、それは今度はあそこの補充取替でも、或いは新規に全部やり直す場合でも、これは建設費で以ておやりにならなければならない。併し恐らくそれは実際にそうおやりにならないだろうと思います。そういたしますと、さもなくても足りない建設費の方に、そういう面でどんどん食われて行くということでありまして、これはどうしても事業経営から言いまして、今は非常にできないことをやつておられるとしか考えられない。だから現在もうすでにライフの来ているような機械設備は、すべてこれを新規の建設費でやつて行くとか、或いは戰災でやられたところは、復旧する場合にはこれは新規の建設費でして行くというようなお考えが確立しておればそれはよろしいと思います。そうでなければ今申したように、これはもう到底不可能だと私は思います。  それから災害復旧費の問題ですが、これもいつもおつしやるように予備金でおやりになつている、予備金が、災害か幸にして非常に少い場合には足りるかも知れません。併し大体において足りないのが普通です。そういたしますと、先程縷縷申上げたような結果になる。やはり建設費を食い、補充費を食つてしまうということになる。わかり切つたことをなぜおやりになれないのか。今度の予算を見まして、従来そういつた御交渉をなさらなかつたが、これからでもそういつた御交渉をなさる御意思があるのかどうか、それも私は是非やつて頂きたいと思うのですが、もう一遍御答弁願います。
  9. 山下知二郎

    説明員山下知二郎君) 只今減価償却補充取替の関係でございますが、成る程御指摘のように、茅場町の電話局は、これは零にはいたしておりません。ちやんと簿価をいたしております。併し私ども計算しております再所得価額というものと、現在の簿価との間には非常な開きがございます。ですから補充取替をいたしましたなら、簿価でそれを一応落さなければならない。そして取替えました分だけが、簿価で落した後の分だけが補充取替になりますわけでありますが、これは私は現段階ではできると、かように考えております。
  10. 靱勉

    説明員(靱勉君) 尚災害に対する積立金を交渉する意思があるかどうかという御質問でありましたが、実はその建設勘定につきましては、まだ具体的な詳しい話はないのであります。どつちかというといきなり幅をきめるということで、金額の総額の問題になつて来る、若干の話はしておりますが、まだ二百九十二億余り建設勘定の範囲に亘つて折衝はまだやつていないというような状況でございます。一般の公共事業費の枠が大問題になつておりまして、私どもとしましてはできるだけ、毎年そういう状況なつておりますので、これに対しましても十分御趣旨に従いまして交渉する考えを持つておりますが、ただ先程来見通しを申上げております通り、なかなか二百億ということは、相当或る意味においては悲観的な情勢におる。我々は何とかこれを頑張りたい、それもぎりぎりになつておりまして、災害に対する積立金等を十分に見積るということになりますと、その幅というものは更に縮小して来るという点もあるのでありまして、只今減価償却費の使い方等の御議論もありましたが、在来ともかくそれを施設の拡張に使わざるを得ないというような状況なつております。それから取材補充にしましても、その分だけをそのまま替えるということは大体電気通信施設についてはない、そこで必ずプラスをして行くことを考える。共電式施設を改修した場合におきましては、そのままの加入者状態で取替えるのじやない、必ずこれを五年か十年、できれば十五ケ年の計画でも結構でありますが、そういう規模を以ちまして施設する関係上、建設と取替補充との入り込みというものが可なりあるわけであります。在来減価償却をやつていないから、取替補充を全然やつていなかつたということは、やはり建設方面でもそういう面を持つてつたということは事実であります。併しながら長年緊急施設等にも追われまして、これの維持が非常に惡かつたという結果が積り積りましてそこへ大きく出て来たのでありましてこの点は尋常一様の金では始末がつかんというような状況なつております。
  11. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 要するに私は建設費を詳しく研究して伺つたわけではありませんが、電気通信省の方で、今のお話では二百億は最小限度ということでありますが、我々はもつと要るかと思います。それだけは維持されないと今の状態では麻痺状態になるであろう、是非これを確保するように、これはもう皆さん職を賭けてもやつて頂きたいということを申上げたいのでいろいろ言つたのですが、最後減価償却につきましては、山下通信監と私とは完全に意見が違います。山下通信監の話では、これでやつて行けるという確信を持つておられるように思うのでありますが、私は絶対にやれないと思つております。それは数十年かかつてもやろうというお考えなら別でありますが、早く少くとも戰曲の状態に復帰しようと思うならば、今のような減価償却補充取替をやつて行く、建設の方からは余り金は廻らないということだと、私はこれは絶対にできないということを確信しておりますが、併しこれは意見の相違でありますから、結果を待つて当局に質したいと思います。
  12. 鈴木恭一

    ○鈴木恭一君 只今新谷委員から申されましたことは、私も常々考えておるところでありまして、今年計上されておりまする八十億で本当に補充取替というものができるかどうかということは、過去の実績に徴しまして私不安に思うのでございます。これが従来とも確実にこういうふうな形において補充取替というものが行われておりまするならば、それでよろしいかと思うのでありますが、そうでない、今日こういうふうなものが計上されましても、私は非常にこれは不足しておる額ではないかと考えておりまするので、その点は一つ政府におかれましても十分御考慮を願いたいと思うのであります。と申しまするのは、拡張も結構でございます。併しながら現在あるものの電話を何としても活かさなければ、いつまでたつて電話というものは惡い状態に置かれると私は思うのでありまして、何としても現在のあるものをよく通話のできるような状態に持つて来るということが一番大きな私は仕事ではないかと考えておるのでございまするので、その点を一つ十分お考え願いたい。  ところで予算の問題になるのでありまするが、補正予算を六十億お出しになつておるというお話でありますが、この補正予算のお見通しは政府としてはどういうふうにお考えになつておりますか、それを一点お伺いしたいと思います。
  13. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答えいたします。補正予算は正確に申しますと六十八億余り建設勘定なつておるのでありますが、これは当初若干行き違いがありまして、四十億程度のものを大蔵省を通じまして関係方面にも出しておつたのであります。併しながら只今のところ補正予算は全然問題にならんということで、そのまま審議等もなされず済んでおつたのでありますが、いずれにしましても二十六年度予算としましては、いわゆる十五ケ月予算と申しますか、来年の一月からのものを考えつつやつて行く、従いまして二十六年度予算を検討する場合においては、補正予算の問題は全面的にやはり問題になるというので、私どももその後もそれについて勿論断念いたさないで、六十八億という新たな補正予算を作りまして用意いたしておつたわけでありますが、昨日大蔵省の方から補正予算の審議をしたいから明日、即ち今日中に持つて来て貰いたいというような要求がありまして、只今折衝いたしておる次第であります。その際財源として、例えば預金部とかその他関係方面からそういうものは大体よかろうというような、一つ或る程度工作して持つて来て貰いたいというような要望もあつたわけであります。私ども預金部等とも折衝いたしまして、大体預金部の現状におきましては、本年度補正予算ならば六十億程度は出るのではないかという大体了解も得ましたので、これの実現には一つ年度予算と同様全力を盡して行きたい、こういう考えでおるのであります。
  14. 鈴木恭一

    ○鈴木恭一君 只今のお答えによつて、大体補正予算というものは来国会、或いは臨時国会がありますれば臨時国会、或いは通常国会ということになろうかと思うのでありますが、仮に今日になりますると、補正予算の審議というものは相当遅れて参るのではないか、そうした場合に六十億の本年度補正予算というものは、仮に最惡の場合としましても来年の二月頃に通常国会で成立いたしましたら、これはもう全然使えないわけであります。ところで今度出されておりまする二十六年度の二百九十一億というものは、この補正予算の六十八億と極めて緊密な関係があるのでありましてそういうふうな状態に置かれておるこの両予算案というものを、どういうふうにこれをおまとめになろうとしておりまするのか、その点を一つお聞きしたいと思います。
  15. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答えいたします。先ず非常に補正予算の成立が遅かつた場合に使えないじやないかというような御質問でございますが、これは成るべく私どもとしては非常に遅れることを期待いたしていないのでありまして、御承知のようにいろいろ我々の事業だけではなくて、国家全体としましても予算相当補正を要する問題もあるやに私ども了承しておるのでありますが、仮に多少遅れましても、我々の本年度工事というものは非常なスピードを上げてやつておりますが、若干繰越というものはこれはもうこういうような施設につきましては止むを得ない現象でありまして、すべて計画を設定し、工事命令を出し、物品を用意するというような措置は年度内にやれるという見通しを持つておる次第であります。それからどうしても補正予算と二十六年度予算を一緒に考えざるを得ない、これをどういうふうに取扱うつもりかという御質問でございますが、これにつきましては只今申しましたように、補正予算を本日大蔵省とも折衝いたしておる次第でありまして、是非これの成立を期待しますと共に、二十六年度予算というものは、この補正予算の関連を持つた計画なつておりますので、そういう面から我々二つに分けてできるだけ取ろうというような肚じやなくて、純粋にまじめに、先程御説明したような施設状況から見まして、どうしても補正予算として借入金六十億、二十六年度予算として借入金二百億余りをどうしても確保しなければならんという気持で、両方とも別段これの片方がよければ片方がいいというような考えじやなくて、現在進んでおります。
  16. 鈴木恭一

    ○鈴木恭一君 甚だくどいようでありますが、私は事業官庁といたしまして、年度内の予算或いは来年度予算というものを作ります場合に、特別の災害復旧等のことがあつて補正予算ができるというなら、これは私といたしましては申しませんが、或る一つ計画というものがあるはずでございます。その計画の中に来年度は二百九十一億ということを計上されております。補正予算には六十八億、合わせて三百六十億というものが一つの今後の計画の中に新たに加つて来ておるのでありまして、そういうふうな予算をいうものから見まするときに、補正予算の成立するかどうかということは極めて大きな問題だと私は思つております。ところで補正予算ができなければ、これを二十六年度計画というものがどういうふうに変られるのやら、或いは更に補正予算も成立しなかつた、二百九十一億の予算もできないで、今日の約二百億の状態に立至るというような最惡の場合も考えておらなければならないのでありますが、そうした場合に、ここに頂戴しておりまする二十六年度設備計画というものは全面的に変つて来なければならんと私は思うのでありますが、そうしたお見通しを十分お持ちになつているのでございますかどうか、それをお聞きしたい。
  17. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答え申します。補正予算につきましては、今鈴木委員からおつしやられた通りのものでありまして、やたらに作るべきものでないということは十分私ども承知いたしております。この内容につきましては、或いは朝鮮事変の関係の問題もございますし、その他我々は当然補正予算として認めなければならんという理窟のものを出している次第であります。  第二の問題といたしまして、約三百六十億になる、結局は三百億になつた場合に、全面的に計画改訂を余儀なくざれるのじやないか、それに対する用意如何という意味合いかと思いますが、これはもう確かに全面的に改訂を要するので、補正予算で落ちたものは全然やらんというわけにも参りませんし、それだけに緊急性があるものでありますから、これを充足して行けば、二十六年度に出ている計画相当大幅に削減せざるを得なくなる、これではどうにもならんというので、今頑張つている次第であります。見通し如何とおつしやられても、これは今大臣も非常にその点につきましては御配慮願つているわけでありまして、私どもとしましては最惡の場合の状態はどういうことになるかとおつしやれば、この案はお示しすることができるかも知れませんが、今最惡の案を考えておつてもいたし方ないのであります。何とかこれを実現するように御援助、御協力を得たい、こういうように考えております。
  18. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) お諮りいたします。鈴木君の御質疑も非常に重大でありますが、それに関連いたしまして、今大臣が総理とも折衝したのは恐らく予算の問題と思いますが、これから只今までの予算折衝について伺うことにいたします。速記を止めて。    午前十一時四十五分速記中止    —————・—————    午後零時一分速記開始
  19. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 速記を始めて。
  20. 平林太一

    ○平林太一君 郵便料金電報料電話装置料値上げについて、大臣の御所見はどうであるかお聞したい。
  21. 田村文吉

    ○国務大臣(田村文吉君) 今お話がございましたから申上げますが、郵政省関係の葉書の問題は、特に大衆に関係が深いからという、それさえも値上げの話があるじやないか。そうすれば電信電話関係で、電話のごとき十三万五千円で取引されている、こういう実情を考えた場合に、料金値上げを考えてもいいじやないか。又一面においてそういうことによつて電話をもつと早く便利に装置することが必要じやないかと、こういうようなお尋ねのように思いますが、今葉書の問題がありますが、この葉書自体は大衆に関係があり値が安いのでありますから、そういうふうに考えられますが、これは実は割合に利用している人は、銀行会社等が多いのでありまして、比較的に大衆の人達の葉書の受ける影響は少いと、こう考えられるのであります。併しこの問題はいわゆる通信事業が多分に公共性を持つておりまする関係上、その不足に対して税金で賄うがいいか、或いは又利用者に全主部負担して頂くがいいかという問題につきましては、まだ閣内の意見がはつきりときまつておりませんので、どう相成りますか決定いたしておりません。おりませんが、今の電信電話の問題でありまするが、電信につきましては、或いは前にも御説明申上げただろうと思いますが、若干の値上げをしてはどうかという意見も省内にあつたのでありまして、一応そう考えて原案を作つて見たのでありましたが、実は相当にこの電信は莫大な損をしておりまするので、今ここで僅かぐらい値上げしてもこの電信がそれで採算が合つて行くかというふうに相成りますと、非常な隔りがある。こういうことであれば、余り大衆に向つてあれもこれもというようなことはむしろ差控えた方がいいんじやないかという考えから、電報料の約四億円くらいの値上げになつたのですが、これは差控えることにいたしました。その代りというわけじやありませんが、電話装置料が如何にも今日の実費に比べて安い。千五百円ということはどうしたつて少い数上字でありまするので、これは実費程度の四千円くらいに値上げしてもいいんじやなかろうか、こういうことで案を作りましたのであります。尚ここで申上げますと、公衆電話でありますとか、或いは電話料の料金自体についても、仰せの通り無論検討の余地があるのでありまするが、電通省は決して裕福じやないのであります。收支計算が楽だといつて簡單に言われまさけれども、決して楽じやないのであります。一面これについては、企業の合理化なども考えましてできるだけ能率的に人を殖やさないようにしまして、それを上げると、こういうふうに最善の努力をいたしておりまするが、とにかく先ず郵政省と違いましてどうやら收支の辻褄が合わされるということであるから、今日大衆がややもすれば値が上がるということで怯える時代でありまするので、できるだけ抑えた方がいいと、こういう考え方から電話装置料だけを取りあえず来年度から四千円に上げたい、こういう案を立案いたしましたのであります。殊に又公衆電話等についても、根本的な考え方もあると思いますが、料金の少いものでもありまするし、今そういう点に触れないで、もつと一つ検討、研究いたしました上でそういう点についての案を考え、御審議をお願いすることもある、こういうわけであります。さよう一つ了承願います。
  22. 鈴木恭一

    ○鈴木恭一君 甚だ小さい問題で相済みませんが、実は我々官庁会計の下で仕事をしておりますと、予算單価ということが実際非常に問題になるわけなんであります。恐らく今度の朝鮮問題以来相当物価は上つて来ております。少くとも電気通信に関係する建設勘定に影響することは非常に大きいと思うのでございますが、仮に三割の値上げをしますと、恐らく二百億としても六十億の工事しかできないという結果が出て参りますので、そういうふうな点について今度の補正予算にはこういうものは含まれておりますかどうか、これが第一点。  それから来年度予算には予算單価というものをどういうふうにお考えになつているかということをお聞きしたいと思います。
  23. 靱勉

    説明員(靱勉君) 通信器材の値上りは、大体三%というものを見ております。補正予算におきましてもその値上りを、約十億程度でございますが、見ておる次第でございます。只今鈴木さんの御計算になられたように二百億の七〇%百四十億で、六十億という計算にはならんのであります。通信春材だけであります。それから尚我々考えて行かなければならないのは、要するにべース・アツプであります。そうしますと大体二割程度でございますので、どうしても考えて行かなければならんということで、それは入れて考えております。   —————————————
  24. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) それでは電波監理委員会所管の事項を御説明願います。
  25. 富安謙次

    説明員(富安謙次君) では電波監理委員会の所掌業務に関しまして、前国会閉会以後の主要なる事項につきまして簡單に御説明を申上げたいと存じます。  御説明に入るに先立ちまして一言申上げたいことは、先般来この委員の方方が各地にお手分けをなさつて御出張下さいまして、私どもの地方機関をつぶさに御視察頂きまして、そのときにも私ども参つておりまするが、かように皆様が特に遥々と地方の隅々までも御覽下さいましたということは、地方の局といたしましては非常に感謝をいたして有難く思い、仕事に張合いを得たことはどんなに大きいか分らないのでありましてその点私どもといたしましても厚くお礼を申上げる次第でございます。御説明の点につきまして言分もあり、御満足の参りかねた点もあるかと存じますが、お許しを頂きまして、この後ともかような方法によりまして私どもの仕事を直接に見て頂き、何かと御援助を頂き、又お教えを頂き、将来ともこのような方法をとつて頂きたいということをお願い申上げると同時に、一言お礼を申上げる次第でございます。  さて当委員会におきましては発足以来多数の政令及び規則を制定いたしましたことにつきましては、前回に御報告を申上げたところでございますが、その際近く制定予定のものといたしまして御説明を申上げました無線局の開設の根本基準と申す規則を去る九月十一日に公布施行いたしました。この規則は、御案内の通り電波法の第七條に基くものでございますが、放送局に対しますものは別に特別の規則とすることにいたしまして、放送局以外の無線局の開設の根本的基準を定めることといたした次第であります。この規則は電波法の規定によりますというと、聽聞を開催いたして広く意見を求めてそれによるということになつておりますが、その通りに行なつたのでありまして、最も民主的な制定の手続をとつたものでありまして、この種の規則におきましてかように難問という方法をとり、広く意見を輿論に求めて制定をいたしましたということは、我が国におきましては行政の上において一新紀元を画したものと申してもよろしいかと存ずるのであります。この規則はお手許にお配りを申上げてあるはずでございます。ごく簡單にそのことを御説明申上げて見たいと存じます。  この規則の目的といたしましては、この規則は無線局開設の免許可に関しまする電波監理委員会の基本方針を電波法第一條の規定の精神、即ち電波の公平且つ能率的な利用を確保して公共の福祉を増進するという、あの精神に最も適合するように定めることを目的として書かれております。それからこの規則の制定に際しての方針を申しまするというと、無線局はその設置の場所とか開設の目的とか業務の種別、性質によりましていろいろに分類ができるわけであります。この基準といたしましては、各無線局の開設の目的ということを中心として分類規定することが最も適当であると認めますので、その方針によりまして、この規則は無線局を六つの種類に分けまして公衆通信業務用無線局、公共業務用無線局、漁業用海岸局、実験局、簡易無線業務用無線局及びその他の一般の無線局、こういう六つの種類に区別いたして規定をいたしておりますが、若し又将来特殊の目的のものが出て参りますれば、更にこれに追加するという建前をとつておる次第でございます。この只今申しました六種類の無線局の種別ごとに御説明を申上げるべきかとも存じますが、それはむしろ時間の関係もありまするし省略をさせて頂きまして、御質問に応じてお答えを申上げるということにいたしたら如何かとかように存じますのでこの点御了承をお願いいたしたいと存じます。  それから只今申しましたのは、放送局以外の無線局の開設の根本基準というようなことでありますが、放送局の開設の根本的基準、この方につきましては立案を急ぎまして目下関係方面折衝を行なつております。私どもの見通しによりまするというと、極めて近い時期におきましてその折衝を完了いたしまして、この案を確定することができるかと存じております。この案ができますというと、これを公聽会にかける必要がありまするので、只今私どもの大体の見当によりますると、順序よく参りまするならば十月の中旬頃にでもなりましたならば公聽会を開くように、法律によりまして二週間の間を置く必要がありまするので、その規定の期間、少くともその期間前におきましてこの案の公告をいたしまして公聽会を十月の中旬頃には開くという手順になるかと存じます。公聽会にかけまして広く一般の意見を十分に聞きまして、これを取入れまして、その結果を固めて規則として制定公布いたしたい、かように考えておる次第でございます。この基準に取上げるべき事項といたしましては、国内放送と国際放送とこれはありまするが、国内放送を行う放送局につきましては、事業計画の実施の確実性、放送番組の内容の妥当性、或いは空中線電力の大きさ、いわゆるブラケツト・エリア、或いは又放送の公正且つ能率的な並及というようないろいろの点を考慮いたして制定をいたしたいと存じます。又国際放送を行う放送局につきましても、国際放送というものの特殊の性格に鑑みまして、国際放逸として利用される放送番組の妥当性ということに特に重きを置いて考えて参りたいと存じておる次第でございますが、いずれも重大で且つ困難な問題でありまするので、私ども慎重に考慮をいたしまして、考究をいたしまして、結果において万全を期したいと苦慮いたしておる次第でございます。  これを以ちまして最近の規則の制定並びにこの後の制定予定等につきまして御説明を申上げた次第でありまするが、尚この際に電波行政の上の二、三の問題につきまして御報告を申上げさして頂きたいと存じます。  それは先ず国際会議のことであります。別途お手許に差上げてあると存じまするが、一つはイタリアにおきまして開催せられておりました第二回国際高周波放送会議これと、それから今月の末にオランダのヘーグにおいて開催を予定せられておりましたところの臨時無線通信主管庁会議と、この二つであります。前の第二回国際高周波放送会議、これにつきましては、今年の四月から開催せられておりまするので、我が国からも三名の代表が出席をいたし、各国の間におきまして極めて熱心な討議が続けられていたのでございますが、ソヴイエト連邦とその衞星諸国は、四月の初めに第一回総会を開きましたそのときに、中国代表の問題のために退場をいたして、その後出席を見るに至りませんでしたが、そこで参加国約五十六ケ国が問題の解決のために審議を続けて参つた次第でありましたが、去る八月の初めにアメリカ合衆国から、国際情勢等を鑑みまして会議中止の提案がありました。それに対しまして大多数の賛成があり、アメリカの提案が成立をいたしました。このアメリカの提案の内容について申上げますると、各国の要求を充すためには、解決の困難な問題が多数残つておる。又最近の国際情勢からしてこのまま会議を続行するということは意味がない。ただこれまで会議で採択され、研究された技術基準をできるだけ利用して、今まで行われた会議を無意義ならしめないようにしたいと、こういう趣旨でありました。そこでこのアメリカの提案に従いましてこの会議は閉会ということに相成つた次第でありました。又この九月の下旬に開かれる予定でありましたヘーグの方の臨時無線主管庁会議は、この方はこれ又アメリカがイタリア会議と同様に、現在の国際情勢下におきましてはこの種の会議を開くことは時宜を得ないものであるし、実質的協定に達することも不可能である、こういうような意見によりまして提案があり、結局会議の延期のアメリカの提案が大多数の支持を得まして、この会議は無期延期ということになつてしまいました。尚再開の時期につきましては、只今開催中でありまする管理理事会というものがあるのでありますが、第五回の管理理事会において審議をしている最中であります。  それから次に日本商船の外航の許可が拡張されまして、これに伴いまする電波の、電力の増加の件でございまするが、八月末日から日本の商船が米国、パナマ、アルゼンチン、ベルギー、アフリカ、インド、これら主要の外国の港の出入を許可されたのでありまして、これらの遠洋の航路に就航する商船と、日本内地との短波による直接連絡を確保いたしまするために、商船の無線局の電力を五百ワツトから一キロに、その相手局となる長崎と銚子の両方の短波海岸局の電力を一キロから二キロに増力するということをいたしますると共に、一方短波の周波数の晝夜間の区別が今まであつたのでありまするが、これを廃止いたしました。それでこういうことをいたしました結果、最も遠距離であるアルゼンチンの沖合におきましても、これと容易に通信ができるように相成る筈であります。  それからもう一つ、過般のジエーン、キジアでしたか、この二つの台風に際しまして警察用無線局の運用状況でありまするが、資料において御覽を願つてありまする通り相当有効に無電が活躍をいたしておりまするので、電波管理委員会といたしましてもその点を喜んでおる次第でございます。  尚最後に電波監視業務の実情でありまするが、これにつきましても過般地方の御視察の際に御覽を頂いたのでございまするが、最近の国際情勢の微妙な推移と共に、ますますこの監視の重要性と事務の繁忙を加えて参つておる次第でございまして、僻陬の地にありながら関係職員一同がその対策に万々遺漏のなきように専心努力をいたしておる次第でございます。  簡單でありまするが、以上を以ちまして電波監理委員会の所掌事務についての御説明を終りました。御質問を頂きましてお答えをいたさせて頂くということにいたしたいと存じます。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一つだけお尋ねしたいのですが、各地を廻つて参りましていろいろ電波関係でも詳しくいずれ報告もし、希望も述べたいと思うのであります。一つだけ申上げたいのは、放送法関係の、只今民間の放送局と言われておりますものが非常に沢山内申請の形で、七十幾つも出ておるということを聞いております。ここで監理委員会としては、非常にこの点どういうふうにするか難問題であると考えるのでございますが、私たち廻りまして各地の様子を見ますると、よほどこれは愼重にお考え願いたいと思うのであります。特に最近国際情勢も変つてつておりまして、こういつた事態に対しまして商業放送という名においてその放逸を惡用されるような結果になつても困ると思いますので、これらに関する法律上の規定を、私も今研究を個人的にいたしておりますが、或る程度法律の修正もしなければならんのじやないかという感じもしておるのでありますが、そういつた点を十分お考えになつて、多少時日は遅れましても民間の放送局の許可という問題については、十二分に愼重な審議をお願いしたいと思うのでありますけれども、今どういうふうな御予定でありますか、その点ちよつとお伺いしたいと思います。
  27. 富安謙次

    説明員(富安謙次君) 民間放送につきましてお尋ねでありまりした。御意見はこの事柄を極めて愼重に扱つて、ただ急ぐ急ぐということであつてはならないと思うがというような、こういうことが御意見の要点であるように拜承いたしました。その点につきましては、私どもも十分に注意を拂つておるのでありまして、ただ事柄が急げばよろしいというような性質でないということは十分に承知をいたしておりますが、又国際関係に関しましての御意見も成るほどと了承をいたしております。その御意見は私ども全く大体同じ通りでありますので、ただ申請者が急いで私どもの手許にせき立てて参りますのを、直ちにそれにおいそれと誘われるというような心持であつてはならないことを十分に自重いたし、慎重にあとの取り返しのつかないことの起らないようにするという点については考えておるつもりでございます。大体先の見通しがどうなるかということにつきましては、只今も申上げましたように、先ずそのルールを作ることが、案が近く確定しようという状態にあるような次第でありまして、これを公聽会にかけまして、公聽会にかけますとさだめし只今仰せのありましたような御意見もその公聽会の上に反映されるに相違ないことと存じております。その外いろいろの一般の意見というものが公聽会に現われて来ることと存じます。その公聽会の結果によりまして規則の案を固めますと共に、その案、その物差しによりまして実際の申請を許可し、或いは不許可にするという処分の場合におきましても、只今お述べになりましたような意見を十分に念頭に置きながら、愼重を期して最後決定をいたしたいと、かように存じておる次第でございます。
  28. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) それでは大体電波監理委員会所管事項についてはこれで終ります。  尚派遣議員の報告はどういたしましようか。速記を止めて。    〔速記中止)
  29. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 速記を始めて。では多数の御意見に従いまして報告は次の会にいたすことにいたし、次回は明日午前十時から開会いたすことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     寺尾  豊君    理事            村尾 重雄君            新谷寅三郎君    委員           橋本萬右衞門君            鈴木 恭一君            山田 節男君            尾崎 行輝君            平林 太一君   国務大臣    郵政大臣電気通    信大臣     田村 文吉君   説明員    電気通信政務次    官       加藤隆太郎君    電気通信事務次    官       靱   勉君    電気通信監   山下知二郎君    電波監理委員会    委員長     富安 謙次君