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1950-07-31 第8回国会 参議院 通商産業委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月三十一日(月曜日)    午後三時二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○商品取引所法案中一部修正に関する  請願(第二九号) ○特別鉱害復旧臨時措置法建用に関  する請願(第三六七号)(第三七八  号) ○岩手県に電気計器調整等設置請願  (第三五六号) ○輸出信用保険法中一部改正等に関す  る陳情(第二三号) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (綿業統制に関する件)   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今から通産委員会を開会いたします。  尚前回から引続いておりまする請願につきまして一応お諮りいたしたいと思いますが、この前は請願第二十五号までのことは決定いたしましたので、もう一つ郵政関係のことが第十二号に……。請願第二九号に関してお諮りいたしたいと思います。
  3. 山本友太郎

    專門員山本友太郎君) 前回請願陳情の御審査に引継ぎまして、残つておるのがございますが、申上げますと「請願の第二十九号商品取引所法案中一部修正に関する請願、それから第三百六十七号同じく二百七十八号は特別鉱害復旧臨時措置法の運用に関する請願、第三百五十六号は岩手県に電気計器調整所等設置請願、それから第二十三号は輸出信用保険法中一部改正等に関する陳情でございます。第二十三号は、陳情第二十三号でございます。以上が審議未了になつて今日になつておるわけでございますが、私共の方で一応内容を検討いたしましたところ、政府予算関係実現性の困難なものもございますし、特に法案に関連いたしましては相当問題の点がございまして、時間がございますればゆつくりと御審査御検討願うべき性質のものかとも存じますが、大変もう時間も切迫いたしましございませんので、いろいろな意味合いでもう少し時間を頂載いたしまして、委員会全体といたしましても、御検討願つた方がいいのじやないかというような性質のものが期せずして最後に残つたわけでございますが、そういう意味合いで私共の立場から申上げますと、一応内容惡いという意味合いではございませんで、研究が必要だ、こういう意味において次期国会等までに保留して頂いた方がいいのじやないかというふうに考えております。
  4. 境野清雄

    境野清雄君 全部ですか。
  5. 山本友太郎

    專門員山本友太郎君) そうであります。
  6. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  7. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて……。それでは十一、十三、十四、十五、十六の請願及び陳情は保留ということにいたします。  それから公報でお知らせいたしたものでございますが、調査事項綿業統制に関する件について皆さんの御了解を得たいと存じます。この件につきましては一昨日二、三の委員の方と相談をいたしまして公報に載せて、甚だどうも相済まんと思いますが、実は正式の請願ではありませんが、請願の締切後に小林政夫議員を通じて綿業関係糸商団体から委員長宛陳情書を出されておるのであります。その趣旨は現在綿スフ機業会メリヤス業者綿漁網業者等原料綿糸の不足が甚だしく、若しこの際統制を外すようなことがあつては重大なる事態に隠るので、当分の間は綿業統制を存続して貰いたいというのであります。本件は国民衣料の中枢であります綿と、輸出産業の重なる目的であります綿とに関する問題である。大企業者たる紡績業者と、中小企業者たる綿織物及びメリヤス漁網等との関係であります。且つ統制現状とその解除の方針等に関する問題でありまして、頗る重大な問題であると思いますので、その意味において特に本日これをとり上げて研究して見たいと思つたのであります。これをとり上げるについて御異存ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それでは紹介議員であります小林君から簡單にお述べ願つて、次いで業者代表から陳情をお願いいたしたいと思います。
  9. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 小林でございます。いろいろ御多端の折に特に我々の陳情をお坂上げ下さいまして誠にありがとうございます。  只今委員長からお話がございましたように、綿の二次製品作つておりますこの業者の方々、織物業者、或いはメリヤス業者縫糸業者繊維雑品漁網というような現在の綿の二次製品工業者が非常に現在苦境に陥つております。と申しますのは、輸出第一主義ということでどんどん紡績綿糸輸出に参りまして、我々の内需をやつておる業者にはどうも糸が廻らない。通産省で切符貰つてもその現物化が非常に困難であるということで、只今手許に差上げてあります陳情書の中にも表が作つてございますが、第一表の二十四年の四四の綿糸出荷状況でございます。これは概ねいいのもございますが、特に最近の一四に至つては、一四ということは二十五年の四——六の計画生産のものでございますが、非常に出荷状態が惡うございまして、二割から三割程度の、或いは一番よくて四割程度出荷ということになつております。で、いろいろ繊維業界おいて、他の業界においては、この際統制を撤廃したらどうかというような輿論が強いのでありますが、綿の二次製品工業に関する限りにおいては、是非統制を続けて頂かなければならん。而もむしろ強力にやつて頂かなければならん。当分どんどん、輸出が盛んで、紡績の方で輸出用に糸を出される限りにおいては、もつと強力に手を打つて頂かなければ、綿の二次製品工業としては操業困難であるという実情に陥つている。我々この綿の二次製品工業者は大部分中小工業者でありまして、現在金の面、及びこの糸の面、物と金と両方からの圧迫を受けて非常な苦境にあるわけあります。輸出はどんどん盛んに行つて非常に日本産業のために貢献しているようでございますが、その実大部分中小工業者を、この綿の二次製品工業者は或る程度輸出もやるけれども、この内需生産国内消費計画通り糸が入らないということで操業についての計画が持てない。糸が入るときは多少入つても又直ぐに切れてしまうということで、非常に操業維持に困難を感じておりますので、たまたま輸出の引合いでもあれば飛びついて行くということで、外国では相当の値段で売れるべき品物が、同業者の血の出るような競争によつて不当に値段を下げて行く、いわゆる出血輸出を余儀なくされている。或いはそういうこともできないので、止むを得ず紡績業者賃加工に転落するというような状態に立至つております。この状態で行くならば、ますますよくなるのは第一次メーカーであるところの紡績業者はどんどんよくなるけれども、この二次製品は窮乏のどん底に陥らざるを得ない、企業基礎を蝕ばまれて行くということの状態に立至つておるわけであります。それで少くともこの計画によつて割当てられた糸は、必ず所定の期間現物化できるというはつきりした統制をやつて頂きたい従来も二十三年の第三四半期において、この綿の二次製品業者が正規に割当を受けました糸が、やはり現在と同様な理由によつて半数以上が棚上げをされたことがあります。遂に現物が入らなかつた、そのときでも二度とこういう事態を起こして貰つては困るということで、通産当局安本当局とも相談いたしまして、紡連等も御折衝になつて、今後はそういうことはやらないということをはつきり確約ができましたにも拘わらず、今度においても同様な結果になりつつある。而も一四の、四——六の糸というものは、大体において七月末までに全部現物化すべきものでありますが、現在は八月末までで、今聴くところによれば大体八〇%の現物化はするだろう。後の二〇%は九月十五日ぐらいまでかかる、こういうような状態であります。その八〇%も今の状態だと果してできるのかできないのか、我々としては確信が持てない状態であります。又我々として心配なのは、本来なら七月末に一〇〇%現物化すべきものが、八月末になる。而も二〇%は九月に入る、こういうことでずるずる延びて参りますと、第二四半期の糸は更に延びるだろう、第三四半期は又棚上げされるのではないかというふうな懸念があるのであります。その点につきまして十分に原料確保措置を講じて頂きたいと思うのであります。特にその事業者団体法関係において、紡連関係は別にその適用を受けておられない。勿論その適用を受けておられないことが、我々としては日本産業のために、別にいい惡いというわけではありませんが、中小工業者団体であるところの織物屋、或いは編屋などは、その事業者団体法の強力な適用を受けて、業者団体は潰されてしまつておるのであります。現在のところクラブ程度団体しか許されておらない。力の弱い者が団結する力を奪われて、而も強い者が大いに団結を輩固にして当られるということになると、我々としてはどうしてもやつて行けない、方法がないのであります。この点についてもよく御了解を願いたいと思います。大体現在の綿の二次製品現状は以上のごとくであります。尚細部に亘りましては業着の方からお聴取り願いたいと思います。よろしく御配慮願いたいと思います。
  10. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは次に参考人の人から御発言をお願いいたしたいと思います。メリヤス中央協議会幹事吉村善之助君に御説明をお願いいたします。尚ちよつと附加えまするが、只今会議も開かれておりますので、できるならば成るべく簡單にお願いしたいと思います。
  11. 吉村善三郎

    参考人吉村善三郎君) 発言をお許し願いましてお礼を申上げます。この問題は御承知のごとく、一つ独占形態を採つておる紡績企業と、その暴圧の下に過去悩まされて来ましたる、中小企業の如実の相剋の問題でございます。中小企業金詰りという面は、大きに取上げられておりますが、金詰りだけではないのであります。原料がないのであります。いわゆる綿糸が我々の手に入らない。最近政府もよく言われまするが、企業合理化ということを言われておりまするが、原料なくしてどこに企業合理化があるかということを、我々第一番に想えたい、かように考えております。  先程小林議員から説明がございましたように、五月末に、すでに一ケ月期間を延長しました五月末においてさえも、五五%の原料さえ入荷しない。又第二四半期、第一四半期割当におきましては、先程小林議員が八〇%の受渡しと言われましたが、これはちよつと誤られておりまて、八月末において紡績は八〇%の製造を完了するだろうという意味でございまして、従つて荷渡しにおいて更にこれを下回ることになるのじやないかと考えております。数量から申しますと、我々のメリヤス業界におきましては、第一四半期に六百五十万ポンド割当がありましたものが、第二四年期におきましては目下安本で作成中でございまするが、漏れ聴きますところによりますと、それが二百八十万ポンドしかない。かような原料状態において、企業経営というものが果して成立つかどうかということをお考え願いたいのであります。又なぜかように量が減つたかということは、紡績自己の糸を自己の採算において、自由に輸出し得るという面がございまして、これは我々から僻んだ目で申すのではございませんが、はつきり企業独占形態をとつておるのじやないかと考えられるのであります。過日紡績の方に如何にすべきかということを申上げたときに、その方の言われることは、現在の統制というものは速やかに止めるべきである、何らか統制の必要があるとすれば、お互に軽い気持で、野球のルールのようなものを作つてつてはどうか、誠に巧みな比喩で申されましたが、その内容は例えば本日のグラウンドが小さいから、貴様の打つた球は壁に当つたのだ、だからその場合には二塁まで行つてよろしい。又本日のグラウンドは広いのだ。だから今日は取りつ放しでやつていいじやないか、この意味紡績輸出に盛んに向けられるときには、お前らの内需のものは極端に少なくして、少ない範囲内で渡してやろう。又輸出が少なくて内需では出せん場合に、グラウンドが広いのだからホームベースまで取つていいということは、幾らでも取つていいのしやないかということは、つまり紡績企業の下積において、中小企業というものは活されているということを、的確にお話なすつたと我々は考えておりまして、両然らば輸出においてはどうかと申しますと、我々メリヤス関係におきましては過般二月乃至四月、一ケ月約六十万ポンドの計画をしているのでありますが、これが若し紡績の糸の出廻りが更に潤沢であれば、一ケ月百二十万ポンドの契約ができるのであります。内需において然り、我々業体に糸は廻らない。輸出においても十分な契約ができるだけの糸が廻らない。委員長から御注意がありましたので簡單に申上げまするが、中小企業立場において、我々業者に今少し満足のできるような配給方法をお考え願いたい、現在配給統制の緩和、或いは撤廃が叫ばれておりますが、我々中小企業の側から見ますと、更に権力のある統制、力ある統制只今御実施願いたい、かように考えております。以上でございます。
  12. 深川榮左エ門

  13. 渡邊東洋

    参考人渡邊東洋君) 御紹介に興りました繊維雑品振興会渡瀬でございます。当業界におきまする綿糸の入手困難の現状につきまして、極く簡單に御説明申上げまして御参考に供したいど存じます。当業界繊維雑品と申しますか、綿糸を使います分野におきましては、細幅織機製紙機いわゆる紐でございます。それでここ数年間このかた現在も綿の割当統制によりまして、安本並び繊維局から当業界に頂いております綿糸が二十四年度の四回で八十万ポンド、二十五年度一回で有効需要の増加によりまして百万ボンド頂載いたしております。四回の綿糸入荷状態は先程お話になりましたように、繊維雑品業者におきましても非常に今日まで入手が困難でありまして、二十五年度の一回におきましては買付が五割すでに入荷しておりますのが一割半、如何に繊維局綿糸綿糸問屋に振り廻しましても、どうしても買付ができないと見込まれますのが現在すでに四割であります。これらは綿糸問屋手許から我々の業者へ返つております。とにかく製造業者はその表にありますごとくに、二千工場を擁しておりまして、その六割が綿糸を使う業者でございます。実際我々の業者中小工業が多く、綿糸問屋並びに紡績とも現物還流で、便宜を拂われておりません。全然紡績関連工場にも何もない。ただ中小工場紐テープを造る工場でありまして、頼るのは役所からお出しになりました正式の綿糸受入れ体制を整える、即ち現金を持つて来れば当然買える、これを一つの力にいれしまして、これにお纏りして今日まで参つておりますが、特に四回が期待に副わず、而も繊維局の力によりましてようようこれが最近完結して、而も二十四年度の四回の二割は二十五年度の一四に繰越された、こういう現状でございます。それで而もこの小さな工場役所割当られた綿糸は、どういう面に使われておるか簡單に申上げますと、その使用されます部分の約三割は電気機械絶縁用テープがためております。その次が自動車、船舶、工業用のパッキングが占めております。次に輸出産業に重要な生糸を結います紐であります。その次に紡績工業用のスピンドル・テープ・バンド、こういうものを主力にいたしまして割当を受けております。これらの製品原糸繊維雑品業者に入らないために、非常に製品出荷が遅くて、過日も、小ざな例を取りますが、絶縁テープー入荷が非常に困難な事情を重視されまして、電気機械を中心にしまして、原糸入荷促進並びに製品出荷促進、こういうことをここ数日連続重ねてやつているような現状であります。我々受けます原糸においては凡そ一部においては、重要な資材にしか廻されませんかも知れませんが、大部分作つております現在の製品、この国家産業重要部門の一副資材として使う分野繊維雑品において多いということをお考え願いたい。或いは繊維雑品業者綿糸が拂えない、ただ繊維雑品業者は潰れるだろう、高いものを買えば何とかなるだろうと、併し專ら官庁関係のそんな空気が反映しておりますので、なかなかマル公以上に買つて呉れるというところはないのであります。そういうような生産面にあります繊維雑品業界におきまして、先程縷々お話しましたと同様に、現在綿糸が入つておらないというふうな実情で、誠に紡績需要者との間に非常に困難をしている状態であります。一部聞くところによりますというと、非常に将来見通しがいいから、情勢によつては順次外してもいいんじやないかという空気があることを察知しまして、少なくとも繊維雑品においては、若しもそういつた場合があれば、二千の雑品工場が衰微することは勿論でありますと共に、これを買います需要家の面を思いいたしますときに非常な寒心に堪えんと、こう考えておりますので、誠に杜撰な説明ではありますが、繊維雑品業界は、今申し上げましたような実情にありますので、よろしく適当な価格で、我々業者が希望する時期に綿糸が買えるという情勢が来るまでは、統制の方式は我々は論ずる資格はございませんが、少くとも現在程度統制を飽くまでも継続さして頂きまして、我々業者が安心して紡績から切符で買えるという現在の情勢をより一層順調に、円滑に御指導願いまして、我々業界のために生産の協同体であるということを十分御認識下さいまして、よろしく御賢察の程をお願いしたいと思います。誠に簡單でございますけれども……。
  14. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今両氏の御陳情に対しまして、政府側から御発言でもございましたら、この際お願いします。
  15. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 只今綿統制の存続の問題につきまして、御陳情があつたのでございますが、政府側といたしまして、綿の統制の問題が現状はどういうことになつておるかということを、極く簡單に申上げまして、委員会の各位の御参考に供したいと思います。  現在綿につきまては、輸出関係内需関係と完全に別個になつております。輸出の方はこれは全く統制がない状態と同様でございますが、内需につきましては相当各段階に亘りまして、末端までの統制が残つておるのであります。現在内需統制が完全に外れておりますのは、末端における衣料切符制が今年の四月から暫定的に停止になつておりまして、これが八月末まで継続いたしておりますので、末端国民衣料配給関係におきましての衣料切符制が現在停止されておるということであります。それ以外の統制につきましては、形式上残つておるのでございますが、実質的には衣料品関係におきましては、大体卸小売段階を通じまして実際の需要に応じて切符を発行するという形を探つておりますので、事実上は厳密なる統制が外されておると同様の恰好になつております。一面生産資材関係におきましては、中間の段階につきましては厳格な規制はございませんが、生産資材需要する面に対しましては依然として切符を発券いたしております。又、その上になります、つまり只今衣料品及び生産資材のもう一つ上の段階になります、只今いろいろ陳情のありました織物、或いは漁網、或いはメリヤス、或いは雑品、そういうものに対する綿糸配給統制、それからこの綿糸配給統制をいたしますために、遡りまして、紡績会社における綿糸生産統制というものが残つておるのであります。そこで一応八月末までは現状統制の形で経過いたすのでありますが、九月以降にこの衣料切符の問題をどうするかという問題に関連いたしまして、綿の統制全体をどうするかということが問題になるのでありまして、現在政府側といたしましても、関係方面とこの点につきまして、具体的な打合せを行なつておるのでございます。で、その結論はまだはつきりいたしませんので、ここでどうということを申上げるわけには参りませんが、大体の方向といたしましては衣料切符をもう一遍復活するということは恐らくないと思います。併し或る程度段階までの綿の統制というものは、ここ当分の間は残されるという結論になると思うのでありますが、これはいずれ近日中にはつきりすると存じます。暫く綿につきましての統制が残るという問題は、御承知のように最近綿の紡績設備につきましては、四百万錘という制限を撤廃してもよろしいという、司令都側のスキヤピンがございまして、綿紡績設備をいたすことは、今後は自由な状態になると思うのであります。それにつきましても、急速にはこれらの設備は完成いたさないわけでございます。従つて暫くの間は現状におきましては、三百八十万錘程度に完成しておりますが、恐らく本年中に四百万錘を多少超える程度、来年度一年かかりまして、相当沢山紡錘数ができるという恰好になると思うのでありまして、それまでは綿糸生産というものは、そう急速には伸びないという状況にございます。ところが一面輸出関係は従来でございますと、一年のうち或る時期は必ず夏枯れ時と申しますか、輸出不振の時期が参りまして、そうして下半期くらいから逐次輸出が増進するという状況もあるのでございますが、本年は事情が変りまして今年の初めから引続いて輸出は非常な好調を束しておるわけであります。従つて只今たびたび各方面からのお話のございましたように内需用綿糸の引渡しが、どうしても時間的にずれて参る、これは今年の初めからすでにこの現象が起つてつたのでありますが、それが引続いて第四四半期或いは今年の第一四半期第二四半期、これらに対してやはり相当程度ずれをみなければならない、極力我々といたしましてはこのずれを取戻す方向努力はいたしておりますが、一面輸出をそうやたらに抑えるということも非常にむずかしい問題でございまして、それらの事情を勘案いたしまして、何らかこの内需のものを確保する方策をとらなければならんということで、たびたび私共も多少輸出を犠牲にするような慮れがありましても、内需確保ということに努力はいたしておるのでありますが、今後は内需確保するという方面につきまして、司令部側の方におきましても或る程度纏つた考えがあるようでございますので、従来よりは一層強力に内需確保するという方針は決定されることと存じております。ただその場合内需数量がどのぐらいになるかという問題が一番問題でございますが、これは現在の情勢を以ていたしましては、従来の割当数量程度、或いはそれを多少下廻るくらいのものが確保されるということが限度であるというように考えられますので、ここ当分の間におきましては、こういつたような事情から特に綿糸配給統制というようなものは、差当り存続いたさざるを得ないんじやないかというような事情にあるかと存ずるのであります。最近の事情を申上げまして一応委員会の御参考にいたしたいと思います。
  16. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 委員の方に申上げますが、政府及び陳情者の方方に御質問でもございましたらこの際御発表をお願いいたします。
  17. 椿繁夫

    椿繁夫君 ちよつとお伺いしますが、問題になつております普通の中小企業の場合ですと、国内有効需要がないために、製産量或いは計画量が殆んどはけないというのが、一般的な中小企業の悩みですが、ここに表を頂いたのを見ますと、計画量に対して出荷率が一番高いのが九四%になつて平均五五%くらいしか計画量に対して出荷率がないのですが、その百%の生産が行われました場合、国内需要というものはどういうことになつておるのか、そういうようなことについてお伺いいたします。
  18. 近藤止文

    政府委員近藤止文君) 綿につきましては、実は国内有効需要は比較的多いのでありまして、只今お話のように他の産業におきましては、石敷需要がないために生産がおのずから減つて来るという現象がございますが、綿に関する限りにおきましては、現在大体一月に二千万、一千六百万ポンド程度綿糸割当をいたしておりますが、実際に野放しの需要を見た場合におきましては、大体二千万ポンドを少く超えるくらい、一千二三百万ポンドくらいまでの有効需要は私はついておるものと考えます。
  19. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 今の表は紡績の糸の出荷の表でございます。それで綿製品はそれだけの現物ができるわけですが、多少ずれがありまするし、前から造つたものがそういう出荷率で出ているわけではない、その前のがずれて来るのであります。
  20. 椿繁夫

    椿繁夫君 私ちよつと先程役所の方の御説明を聞き洩らしたかも分りませんが、今業界の方で要望しておられるような割当は当分継続するという御説明つたんですね、私ちよつと聞き洩らしましたのですが。
  21. 古池信三

    ○古池信三君 先程から伺つておりまして、ぢよつと業界の方にお尋ねいたしたいのですけれども、今の繊維局長の御答弁によりますと、御陳情になつておる趣旨は大体御期待に副つていられるように政府のお考えを私は承つたんですけれども、業界の方の御意見としてはやはりそうですか。
  22. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 大体そういう方向行つて頂けば結構なんですが、現在の統制というものが、我々としては内需生産の糸を確保する意味においては、まだ弱いのです。もう少し例えば紡績出荷しない場合に、それに対して今もペナルテイーヴシステムというのがありまして、納期に遅れると罰金を拂わなければならんという制度もあるのでありますが、何しろ綿糸に関する限りは、力の弱い中小工業の面の二次製品業者紡績から罰金を取るということはできない。実際に制度があつても通産省の方はそれを傍から見ておる。そういう制度があるのだから、とればいいのじやないかという程度であつて実行がないのです。もつと利き目のある罰則を作つて貰いたい。それはある筈なんです。何とかそこを考えて、今の局長の言うようにGHQと御交渉になつているということでありますが、若し差支えなければ、秘密会でもして聴かれれば聴かして貰いたい。ただやるのだ、内需製品には絶対に迷惑をかけないというが、先程も私が最初の説明において申上げたように、二十三年の第三四期にはすでに半分が棚上げになつている。そのとき二度とこういうことは起さないということをはつきり言明されたにも拘らず、まだこういう事態が起つている。このために相当中小工業の人は操業不円滑で、すでに漁網業者のごときは殆ど仕事らしい仕事をしていない。他の業界でも操業が非常に混乱を来している、こういう状態であります。金の面と物の面、窮乏のどん底でございますからよろしくお願いいたします。
  23. 境野清雄

    境野清雄君 漁網の方はこれは統計を見ますと三百台から五百台以上という工場が相当あるようですが、五百台以上の大きい工場でもお考は同じでございますか。
  24. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) そうです。三百台五百台と申しましても漁網の三百台、五百台というのは、えてして手動機でむしろお爺さんお婆さんが手でやるよるような機械で、動力機械では三百台を持つておるという程度工場はないのでございます。それも三百台四百台になつておりますが、それは一企業体としてそうであつて、実際の機械は十台或いは一台ずつの農家の副業に各一戸心々に廻してある。それを一つ小林政夫なら小林政夫という業者が登録の主体としておるけれど実態は個々に分散しているわけです。
  25. 境野清雄

    境野清雄君 先程綿スフの企業界の方からも御説明があつたようですが、今と同じように綿スフの方の三百台以上ということは相当あるのですか。その方はやはり同じお考えですか。
  26. 田中實

    参考人(田中實君) 綿スフにおきましては、操業の方は三百台以上くらいの工場は相当動いておりますが、併し採算の方はやはり相当叩かれておりますから……。
  27. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 外に発言はございませんでしようか。外に発言がございませんなら、この問題につきましては、尚いろいろ審議もし、又事態の動きによりましては、緊急を要する処置をとらなければならないと思います。政府側におかれましても、適切な施策をとられるよう希望いたしておきます。尚、我々議員もこのことにつきましては、十分研究いたしたいと思つております。  それでは今日の綿スフ機業会及び繊維雑品振興会の方の陳情は、これで終りといたします。御苦労様でございました。  それでは一応委員会は散会いたしたいと存じます。尚その後ちよつと懇談いたしたいと思いまするが、さよう取託つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは委員会はこれで散会いたします。    午後三時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            松本  昇君            椿  繁夫君            加藤 正人君            山内 卓郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君   委員外議員    小林 政夫君   政府委員    通商産業省通商    繊維局長    近藤 止文君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君   参考人    メリヤス中央協    議会幹事    吉村善三郎君    繊維雑品振興会    常務理事    渡邊 東洋君    綿スフ機業会業    務第一課長   田中  實君