○
政府委員(
近藤止文君)
只今綿の
統制の存続の問題につきまして、御
陳情があ
つたのでございますが、
政府側といたしまして、綿の
統制の問題が
現状はどういうことにな
つておるかということを、極く
簡單に申上げまして、
委員会の各位の御
参考に供したいと思います。
現在綿につきまては、
輸出の
関係と
内需の
関係と完全に別個にな
つております。
輸出の方はこれは全く
統制がない
状態と同様でございますが、
内需につきましては相当各
段階に亘りまして、
末端までの
統制が残
つておるのであります。現在
内需の
統制が完全に外れておりますのは、
末端における
衣料切符制が今年の四月から暫定的に停止にな
つておりまして、これが八月末まで継続いたしておりますので、
末端の
国民の
衣料の
配給の
関係におきましての
衣料切符制が現在停止されておるということであります。それ以外の
統制につきましては、形式上残
つておるのでございますが、実質的には
衣料品の
関係におきましては、大体
卸小売の
段階を通じまして実際の
需要に応じて
切符を発行するという形を探
つておりますので、事実上は厳密なる
統制が外されておると同様の恰好にな
つております。一面
生産資材の
関係におきましては、中間の
段階につきましては厳格な規制はございませんが、
生産資材を
需要する面に対しましては依然として
切符を発券いたしております。又、その上になります、つまり
只今の
衣料品及び
生産資材のもう
一つ上の
段階になります、
只今いろいろ陳情のありました
織物、或いは
漁網、或いは
メリヤス、或いは
雑品、そういうものに対する
綿糸の
配給統制、それからこの
綿糸の
配給統制をいたしますために、遡りまして、
紡績会社における
綿糸の
生産統制というものが残
つておるのであります。そこで一応八月末までは
現状の
統制の形で経過いたすのでありますが、九月以降にこの
衣料切符の問題をどうするかという問題に関連いたしまして、綿の
統制全体をどうするかということが問題になるのでありまして、現在
政府側といたしましても、
関係方面とこの点につきまして、具体的な打合せを行な
つておるのでございます。で、その
結論はまだ
はつきりいたしませんので、ここでどうということを申上げるわけには参りませんが、大体の
方向といたしましては
衣料切符をもう一遍復活するということは恐らくないと思います。併し或る
程度の
段階までの綿の
統制というものは、ここ当分の間は残されるという
結論になると思うのでありますが、これはい
ずれ近日中に
はつきりすると存じます。暫く綿につきましての
統制が残るという問題は、御
承知のように最近綿の
紡績の
設備につきましては、四百万錘という制限を撤廃してもよろしいという、
司令都側のスキヤピンがございまして、
綿紡績設備をいたすことは、今後は自由な
状態になると思うのであります。それにつきましても、急速にはこれらの
設備は完成いたさないわけでございます。
従つて暫くの間は
現状におきましては、三百八十万
錘程度に完成しておりますが、恐らく本年中に四百万錘を多少超える
程度、来年度一年かかりまして、
相当沢山の
紡錘数ができるという恰好になると思うのでありまして、それまでは
綿糸の
生産というものは、そう急速には伸びないという
状況にございます。ところが一面
輸出の
関係は従来でございますと、一年のうち或る時期は必ず夏枯れ時と申しますか、
輸出不振の時期が参りまして、そうして下半期くらいから逐次
輸出が増進するという
状況もあるのでございますが、本年は
事情が変りまして今年の初めから引続いて
輸出は非常な好調を束しておるわけであります。
従つて只今たびたび各
方面からの
お話のございましたように
内需用の
綿糸の引渡しが、どうしても時間的に
ずれて参る、これは今年の初めからすでにこの
現象が起
つてお
つたのでありますが、それが引続いて第四
四半期或いは今年の第一
四半期第二
四半期、これらに対してやはり
相当程度の
ずれをみなければならない、極力我々といたしましてはこの
ずれを取戻す
方向で
努力はいたしておりますが、一面
輸出をそうやたらに抑えるということも非常にむずかしい問題でございまして、それらの
事情を勘案いたしまして、何らかこの
内需のものを
確保する方策をとらなければならんということで、たびたび私共も多少
輸出を犠牲にするような慮れがありましても、
内需の
確保ということに
努力はいたしておるのでありますが、今後は
内需を
確保するという
方面につきまして、
司令部側の方におきましても或る
程度纏つた考えがあるようでございますので、従来よりは一層強力に
内需を
確保するという
方針は決定されることと存じております。ただその場合
内需の
数量がどのぐらいになるかという問題が一番問題でございますが、これは現在の
情勢を以ていたしましては、従来の
割当数量程度、或いはそれを多少下廻るくらいのものが
確保されるということが限度であるというように考えられますので、ここ当分の間におきましては、こうい
つたような
事情から特に
綿糸の
配給統制というようなものは、差当り存続いたさざるを得ないんじやないかというような
事情にあるかと存ずるのであります。最近の
事情を申上げまして一応
委員会の御
参考にいたしたいと思います。