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1950-11-18 第8回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十八日(土曜日)    午前十時五十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (輸入衣料に関する件) ○鉱業法案内閣送付) ○採石法案内閣送付) ○公聽会開会に関する件   —————————————
  2. 結城安次

    理事結城安次君) それでは只今から委員会を開会いたします。  本日は昨日に引続きまして、古衣料に関する件について昨日の継続質問をいたします。
  3. 島清

    島清君 ちよつと昨日に引続きましてお尋ねしたいのですが、古衣料輸入の総量、現金だけの総額とそれから数量、それから業務局がそれを処分するに当つて全部処分されたのか、それとも残つたのかどうか。それから全部処分したとするならば金額的にはどうなのか。赤字を出したのか黒字を出したのか、ちよつと御説明を願いたいと思います。
  4. 佐枝新一

    説明員佐枝新一君) お答え申上げます。古衣料の当初の契約によります輸入総額は点数におきまして七十九万九千八百九十六点でございます。船別に申上げましようか。
  5. 島清

    島清君 いやいいです。
  6. 佐枝新一

    説明員佐枝新一君) 金額にいたしましてCIE価格が米価で百二十八万三午五百九十七ドル、それを三百六十円で換算いたしまして四億六千二百九万五千四百円、こういうことでございます。業務局が引継きましたのは全部ではございません。この中一部分につきましては丸菱通商局契約を結びまして販売いたしておりまして、私のほうで引継ぎましたのは合計七十五万三千六十三点、CIF価格にいたしまして百十九万五千八百九十八ドル七十四セント、円に換算いたしまして四億三千五十三万三千五百四十六円四十銭、これだけを引継ぎまして現在殆んど全量を売盡しておりますが、尚若干これは丸菱に一度委託ですか何ですか、とにかく販売をしましていろいろ苦情がついて返品されましたものがまだ未整理でございまして、それが約二万点残つております。その二万点を除けまして、あと全量を売盡したわけであります。売りました状況を申上げますと、全部で売りました数量が七十三万九百七点、金額にしましてこれは売拂金額でありますが、売拂総額が三億八千八百四十九万八千四百円。これで利益を上げたか損をしたかということでございますが、これは赤字が出ております。ただ赤字総額につきましては私のほうへ引取りましてからも倉庫保管料がつきまして、我々業務局のほうと業務局指定倉庫会社の間には九月までの契約がありまして、十月以降は倉庫保管料の若干の値引きを我々のほうから申し出てありまして、それが未決着でございまして、正確な金額はまだわからない、こういう程度でございます。いま一つ丸菱通商のほうからこれはこの收支の帰属します貿易特別会計を所管しております通産省通商振興局経理部のほうに手数料の要求がございます。この手数料の査定についてまだきまらない点がありますので、従いまして最終的には数字は出ておりません。又今申上げました二万点ほど残つておりますものが、どう売れるかということにも関連があります。併し一応今の残りの二万点につきましては、大体今までに拂下げましたと同じような関係で売れる。全量売れるという仮定の下に一応の推算をいたしまして、只今申上げましたような数量で、私のほうで現実に売りましたのは三億八千八百四十九万八千四百円でございます。その残りの物も同様に売れるとしますと、大体四億四百二十二万四千三百七十六円、この程度には売れる。その外にダドリアン会社に対してクレームを申立てまして、一万ドルのクレーム金額を取り……、これは三百六十万円、合せて四億七千八十三万四千三百八十二円、こうなります。ところが只今申上げましたように、私のほうに引取りました七十五万三千六十三点に対する金額は四億三千五十二万三千五百四十六円四十銭、これに対して関税が一七五%、七千五百三十四万一千六百二十円六十銭……。
  7. 島清

    島清君 その細かいことは後で資料を出して頂いて、簡單でよろしいです……。
  8. 佐枝新一

    説明員佐枝新一君) それから現行の物は保管料、金利その他を入れまして大体二千七百二十六万六千四百九十一円三十銭、合計しますと五億三千二百十三万一千六百五十八円三十銭、これと今申しました四億七千八十二万四千三百八十二円、この差一億三百万七千二百三十二円八十銭。これは私のほうに引継ぎましてから生じました大体損失であろうと予想されます。
  9. 島清

    島清君 今は、その御説明のあります通り一億以上の赤字が出ておるわけですが、これについては適当に赤字を出さないような処置方法があつたのじやないか。例えばその処分経過を私たちが見ておりますと、公入札という一面非常に公平に見える入札をしておりますけれども、併しながら一回目の入札は、どこの何の入札でありましても、一回目というものは落ちるのが原則でありますが、通商局のほうでおやりになりました公入札というものは第一回目が落ちておらん。今まで世間でやつております公入札とは非常に逆の方法が現われて来ておる。そういう落ちる値段というものが或る一部の業者方々に漏れていて、その一部の人々かその公入札に参加しなかつたか、乃至はもつと安く落ちるのであるから何もその欲しい値段を入れる必要はないのじやないかというような思惑があつたのではないかというような節が往々ある。と言うのはそれを裏書するがごとくに、業務局諸君が第一回目に落らなかつたときに、それは落ちないのは大物の諸君が参加していなかつたかり落ちなかつたのだということを不用意にも漏らしておる。だからこの処分経過について、一億以上の赤字を出しておるのでございますが、これはそういつたような経過から見て防止することのできなかつた赤字であるかどうか。この公入札という問題は一見非常に公平なように見えるけれども、こういつたような裏に業者とつうつうで通じておつたようなことがないかどうか。こういうものは確信を持つてなかつたということが御答弁できるかどうか。
  10. 佐枝新一

    説明員佐枝新一君) その点は私は確信を持つてさようなことはなかつたと断言できると思います。第一回入札、第二回入札共に、大体業務局ではこれに限らず一般にそうでありますが、入札最低価格入札を開始するぎりぎり直前、場合によつてはこれはちよつといかんことでありますけれども、もう札が入り始まつた頃に最高の主脳部だけで決定するということもあつたのであります。この両回ともこれは会計の帰属の関係がありますから振興局を入れまして、両局の主脳部入札直前にきめましたもので、絶対にそれが漏れたということはないと信じております。今までの入札売却経過簡單に申上げますと、第一回の入札は十月十日午前にやりまして、直ちに開札して、更に同日午後三時から再入札をしました。大体七十五万点ほどのものを百三のロットに分けまして、これはこういうことまで申上げると本当に冗長になりますが、ダドリアンから輸入しました衣料の約七十五万点のうち、非常に需要のあると思われる男子用外套、上着或いはズボン、こういうものが二十万点と、その他非常に需要が少いと思われる婦人用のスカートとか、ズボンとか、外套とか、こういうものであります。大体男子物がよく売れる、婦人物はどうも需要がない、こういうものであります。それを縦割りにしまして、各ロツトとも男子物四、婦人物六という比率で百三ロツトに分けまして、その百三ロツトのうち、第一回の入札で落ちましたものは三ロツトであります。第一回の入札では百五十八名ほどの入札参加者がありまして、非常に盛況でございましたが、午前中に三ロツト落ちまして、午後は殆んど入れる者がなかつた、再入札には入れる者がなかつたという状況であります。このフロアプライスに対する入札單価を見ますと、平均しまして入札者の各ロツト最高のものが大体どのくらいまで行つておるかと申しますと、大体六割であります、六割が入札者最高でありまして、最低は二割六分であります。それ全部を平均しますと、大体三割六分、こういう結果になつております。大体こちらの所期しました原価のチャージを加えました單価に対しまして、平均しますと三割六分という入札であります。その入札には殆んど全国から参加しておりましたが、午前中開札しまして、その結果を見て午後は殆んど入れる者がなかつた、こういう状況でございました。それで引続いて今度はそのフロアプライスを公示しまして随意契約の受付けをやりまして、これによつて約十六ロツトほど随意契約申込がありました。この際引続いて第二回入札をやる予定でありましたから、第二回入札をやるという公告もいたしまして随意契約申込を受付けたのでございますが、早く物を引取つたほうがよいという希望の者がありまして、それが十六ロツトほどあります。第二回入札ではこれは東京大阪、両地区で同時にやりまして、再入札をやつたわけでありますが、大阪地区では全然入札参加者はございませんでした。東京地区で第二回目は再入札も合せましてやつと十六ロツトであります。こういう状況でございます。それで今申上げました損失は、結局第二回入札に当りまして第一回入札單価に比べて値引きをいたしまして、その結果勿論生じたものでありますが、それは第一回の入札より二割五分減らしております。これは結局第一回入札状況いろいろお話のような点も考慮いたしたのでございますが、まあ一部では四割くらい引かなければとても捌けぬだろうというような話もありました。併し相当安く踏んで、いわゆる買叩くという気持もあろうということも考えました。併し何分にも非常に需要が多いと思われるものが極く一部に過ぎない、売れないものを結局政府がいつまでも持ち抱えてしまうということを避けるためには、いわゆる組合せのロツトで売らなければなりませんし、そうすると原価はこうであつてもやはり或る程度値引きしないと到底捌けないということを判断しまして、関係者協議の結果、これも入札直前つたのでありますが、入札は十時からでありましたが、その十時からやつて直ぐ計算したのでありますが、二割五分の値引きをどうするということをきめてやりました。それで十六ロツトほど落ちまして、その後随意契約申込を受付けることにして、ただこれにつついては各ロツトによつて、ただこれは船別ロツトを分けたわけでありますが、船によつて売り易いものが沢山入つておるものと、比較的少いものとありまして、同一ロツト申込が重複する虞れがありましたので、毎日々々午後三時までにその日の随意契約申込を受付けて見積り合せをいたしまして、その高いほうに落す、こういうふうにやりまして、やつと去る十一月十一日に全量随意契約終つた、こういう状況であります。以上の経過によりまして御了承を願いたいと思います。
  11. 島清

    島清君 この処分地域を聞いて見ますと、東京大阪三ケ地点でしか公入札をしておりませんが、なぜこれを全国的な広汎な地域において処分しなかつたのですか、その一点と、それから十月以降は冬物が多いようでございますが、これは入つたのはずつと去年の暮から春頃でございます。春頃に入りました衣料をなぜ十月まで持つてつて時期を失したのか、この二点をちよつとお答え願いたい。
  12. 佐枝新一

    説明員佐枝新一君) 全国的にというあれでございますが、結局物は東京倉庫と横浜の倉庫だけにございますので、入札する場合にはロツト分けをしまして下見をして貰い、見本を入札参加者にあらかじめ見て貰う、こういう必要がありまして、結局は入札参加者全国からそれを見に来られるわけでありまして、先ず第一回は東京でやつて差支えなかろう、こういうわけで東京だけでやりました。第二回はすでに物は皆見ておられますので、この場合には或いは全国通産局等でやられたかも知れません。先ず一番そういつた問屋関係の多い大阪とそれから東京でやれば所期の目的を達するのじやないか、こう考えて二ケ所でやつたわけであります。それと今一つはその二ケ所で、余り全国地区というようにできないのは、入札をやつて開札をするのに全国から開票の結果を持寄らなければなりませんし、そういつたことを全国地区というのは少しく煩瑣ではないかという理由もあつたわけであります、それからいよいよこの販売をや力ましたのが秋になつて十月から始めれば時期をやや失しておる、これはお話通りであります。本来ならば七、八月にはやつておるべきであります。買う問屋なり或いは小売業者も夏の七、八月頃に大体のものは仕入れて、もう秋には多少金融の点でも困る、そういう点は確かにあります。私共もできるだけ早くしようと、こう考えたのであります。昨日ちよつとお話申上げました全実務代行者といろいろ紆余曲折を経て実務代行契約を取消し、現在を業務局引取つて業務局名前において倉庫保存契約をする。その間時間を大分とりまして十月からこの入札を始めた、こういうことになつておるのであります。
  13. 島清

    島清君 僕は聞きたいことは沢山ありますけれども、どうも今日の委員会は午前中なのでそう沢山聞いておれませんので、非常に簡單にしなければならんのは遺憾に思うのであります。即ちあなたたち通商局のほうで契約いたしました丸菱から無理やりにこの契約を取上げてしまつて、それでやつさもつさやつている間に非常に時期を失したということが第一点。更に業務局職員が一僕は名前言つてどこそこでどうしたということまで言つても構いませんが、併しながら国会委員会で指名するのは本意ではございませんので、気の毒ですから申上げませんが、非常に商売しようとしたのですね。役人の域を脆しまして商売しようとしたのでございます。こういうことがある、お前たち処分できないならこれは朝鮮に持つて行つてもいいのだといつたようなことを放言せられておるのです。どこそこで誰がどういう人と会合しておるということは僕は申上げてもいいのじやないかと思いますが、気の毒だから遠慮します。そういうふうな慣れない商売をやろうとして非常に国家に迷惑、損害をかけたということが第二点。それから古衣料諸君があなたたちのほうに請願書陳情書みたいなものを出して、国家輸入した趣旨に副つて処分する準備と用意があるということを、我々に意見を聞いてくれんかというようなことを言つておるし、更に私のほうにも陳情者が来ておる。そういう諸君の、古衣料に対する経験というようなものに対して、この処分の問題について利用しようとしなかつたということが国家損害を與えた第三点。更に第四点は最終的には古衣料諸君がこれを取扱うことは、国内法によりまして古物取締法というのがありますので、当然古物商の鑑札を持つておる者が扱わなければならない、併しながらロツト扱いをしておる連中は大体ブローカー的な存在なんです。第一回目に三ロツト落しております連中は、これは政府の古衣料というものが非常に安いからと言つて従業員諸君の中から金を集めたので、これをどうしても取らなければ詐欺的行為になるというので、あわてて非常に高く引取つておる。これは非常に特殊な関係でございまして、三ロット落ちておりますけれども、後の第三回目あたりからはブローカー的な人人が取つておる、それが国家損害を與えましたところの重要な点になつておるのであります。更に第五点は、三回目でございまするか、四回目でございまするか、私の疑いを裏書するがごとくに、第二回目か第三回目にはいわゆる保証金というものを置いて入札をしておる。ところが第四回目でございまするか、保証金を置かないであなたたちは開札することを一日か二日延ばした。そういうところに要する落札する価格というものが業者に通じて、知られておつた。その業者というものはブローカー的な業者であつたということ、こういう條件が揃つて国家に一億以上の損害を與えたということを私は聞きたかつたのでありますけれども、時間がないようでございますから、そういうことにつきまして若し何か御答弁がありますなら承わつてもよろしいのでございますけれども、私は以上の諸点をお聞きいたしまして、更にどういう業者にどういう程度数量が落ちたかということを後で資料で御提出願いたいと思います。
  14. 佐枝新一

    説明員佐枝新一君) 簡單にお答え申上げます。私共の業務局職員役人の域を起えた不当な行動があつたというお話でございますが、これは是非一つ今後そういう事情がございました一ら私に内々お話頂きまして、私が監督者として善処する資料にさして頂きたいと、こう考えております。それから保証金を置かないで入札さしたということは、これは絶対にないと思います。入札は第一回と第二回だけでございまして、それからその入札に際しては必ず保証金は入れる。保証金を入れないものには入札をさせませんので、絶対にないと思います。それから売買契約を結びます際にも必ず保証金は入れさしております。そこは何かお間違いではないかと思います。それからお話の古衣料業者諸君は、私のほうにも陳情書を、恐らく同じ趣旨かと思いますが、陳情書を出されて、いろいろお話を承わりまして、又その組合の幹部の方々にはロット分けその他につきまして、十分業界練達者としての知識経験を私共に活用さして頂いた、この点は感謝しております。ただいろいろ御希望もありましたけれども、まだ具体的に申上げるものもないと思いますが、入札その他の手続、その他会計等を見まして、御希望には応じかねる点もございますので、一般公開入札随意契約という方針で、一般原則でやつて来た、こういうわけであります。それから丸菱商事との関係で、早くやることができなくて、遅くなつて時期を失した。これはその通りでございます。これ又私合意の上、その実務代行契約打切つて業務局引取つた。私のほうだけの独断では……、遺憾な点も多々ございますが、こういう結果になつたのであります。いずれにせよ、一億を超える損失が出まして、この点は私甚だ国家会計に対して申訳ないと、こう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  15. 横尾龍

    国務大臣横尾龍君) 只今の私本当に古衣料のことについては全く知らないで申訳ございません。いろいろ公団の物資の拂下げ、その他につきましては、世間の疑惑を招き、又逸脱したる行為のないように常に注意をいたし、又私の使命もそこにあると考えておりますが、お耳に入つたようなことがございましたならば、遠慮なく教えて頂きますれば、私も非常に幸いかと思います。殊に一億以上の損失国家にかけましたことに対しては、面目ない次第でございます。そういう次第でございますから、今後是非教えて頂きたいと思います。   —————————————
  16. 結城安次

    理事結城安次君) それでは鉱業法案採石法案を議題といたします。尚この両法案は御承知のように第八国会の末期に提出せられ、目下継続審査中のものであります。まだ予備審査のものでございます。両法案につきましては、提案理由説明のみを聴取いたしただけで、政府との質疑応答は未だいたしておりません。併しすでに九州、東北、北海道の各関係地区委員のかたに御視察願い、現地の状況、及び両法案に関する関係方面意見を見聞せられ、その報告が去る九月の二十七日、当委員会で行われております。又関係業界から種々なる形式で陳情も参つておるのであります。これらの報告或いは陳情、乃至は提案理由説明を総合いたしまして、両法案の極く総括的な問題点について、委員長代表いたしまして政府質問いたし、両法案審議の口火を切つたほうが、今後の運営上便宜ではないかと思われますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 結城安次

    理事結城安次君) それでは私から政府にお尋ね申上げます。先ず鉱業法案についてでございますが、その第一点は本法案立案過程についてでありますが、本法案昭和二十一年から、その立案に着手されたやに仄聞いたしておりますが、その間如何なる民主的な審議を経て来たものでありまするか。その経緯についてお伺いいたします。
  18. 横尾龍

    国務大臣横尾龍君) 只今委員長の御質問に対し概略お答えいたします。お話通り現行鉱業法改正の問題が取上げられましたのは、終戰後間もなく二十一年であつたのであります。それで二十一年の初めに関係業者初め各方面の御意見を求めたのでございます。更に同年十二月において勅令を以ちまして鉱業法令改正委員会を設置いたしまして、学者鉱業界代表農林業界代表関係各省職員等委員といたしまして、翌二十二年から今後の鉱業法のあり方について愼重に審議を重ねた次第でございます。その結果委員会昭和二十四年三月に鉱業法改正方針について、当時の商工大臣に対し答申を行なつたのであります。通商産業省におきましてはその答申を基礎といたしまして法案を作成し、各方面の折衝を行いました上、この法案を提出いたした次第でございます。尚審議経過、その間の各方面意見につきましては、お手許に差上げました資料で御覧を願いたいと思います。
  19. 結城安次

    理事結城安次君) 更に続いてお尋ねいたしますが、本法案中第三條の法定鉱物、いわゆる追加鉱物についてでございます。この七種追加鉱物法定鉱物とした必要性はどこにあるんでございましようか。又如何なる見地からこの七種に限定いたしたのでございますか。又鉱物追加することは憲法第二十九條の財産権不可侵條項との関係はどうでございましようか。
  20. 横尾龍

    国務大臣横尾龍君) お答えいたします。今回鉱業法追加を予定いたしております七種鉱物は、いずれも今後我が国の重工業、化学工業等の原料といたしまして欠くべからざるものでございます。今後ますますその事業の増大が予想されますので、それによつて七種鉱物を加えたのでございます。これらの鉱物採掘につきましては、現在殊に法律の保護がないために、事業の実施の面でいろいろ支障がございますので、これらを鉱業法上の鉱物といたしまして、鉱業権に基いて安心して事業を営むことができるようにすると共に、保安の面、その他についても必要な監督権を行うごとにして、事業の健全なる発達を図りたいというのでございます。そして公共福祉を増進することに寄與したいと考えるのでございます。  又鉱物追加憲法第二十九條に反しないかどうかという点につきましては、委員会において学者間で検討せられ、且つ法務府においても審議されたのでございますが、我が国におきましては、従前から未採掘鉱物は国のものとされていたのであつて、それらのうち、その時代の経済的、技術的な状態において必要なものを鉱業法上の鉱物として指定しているのであつて、今回の追加も、従来から国に属していながら、ただその採掘について特に法律の規定がなかつた鉱物に対して、鉱業法を適用することにしたものであつて憲法保障する個人の財産権を侵害するものではないとされたのでございます。
  21. 結城安次

    理事結城安次君) 第三点一いたしましては、既存の採掘権期限附となつておりますが、それと同じく憲法第二十九條との関係についての説明をお願いいたします。
  22. 徳永久次

    説明員徳永久次君) 多少法律的の問題でございまするから私から御説明申上げます。  現行鉱業法によりますれば、採掘権は無期限のものに相成つております。それを新法では一応期限を設けまして三十ケ年ということにいたしております。但し鉱業権の対象になつております鉱物につきまして、それが残つておる際には三十年の期限が来ましても又延長して三十年継続できる。ただ一回限りではございませんで、二度でも三度でもできるというような仕組にいたしてあるわけです。併しながら一応無期限でありますものを三十ケ年で切るということは、一つの制限になるわけでありますが、それが憲法二十九條の財産権の侵害にはならないか、或いはそうならない保障はないのではないかというような御議論が一応出るかと思われるのでありますが、この点につきましては私共も法制局その他とも十分御相談申上けたわけであります。その解釈は憲法保障いたしておりまする財産権というものの保障というものも、御承知のごとく公共福祉に適応するごとくという一つの制約で、法律によつて制約もあることでありまするし、鉱業の合理的な開発という面から考えまして、或る一定の通常適当と思われる期間というものを設けて、その際に又再検討して、更に延ばす必要があるかどうかというようなことを審議するのがいいのではなかろうかというふうに考えまして、新法が作られたわけであります。そういうことから考えまして、又更にそれは或る特定の今だけについて制限するわけではございませんで、鉱業権全体をそういう仕組のものに変えるということでございますので、この点から特定の人に不利益を與えたとしますなら賠償等の問題が起るわけであります。この全部をさような扱いにしますことは、憲法趣旨にも反しなく、特定の人のみ不平等に扱うわけでもございませんで、賠償の必要もないのではないかというふうにも考えておるわけであります。併し更に又実質的に申しまして、一応新法の書き方が制限的のように見えますが、実質的に御了解頂けますならば、鉱業権そのものの価値が存する限りにおいては繰返し継続し得るという趣旨になつておりますので、感じは制限のごとく見えますが、実質的には制限でないというふうに御了解頂けるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  23. 結城安次

    理事結城安次君) 第四といたしまして本法案において租鉱権制度を認めておりますが、その理由はどうでありますか。
  24. 徳永久次

    説明員徳永久次君) 租鉱権制度につきましては、御承知のごとく現行鉱業法の中には鉱業権の不可分というような規定がございまして、実質的に一種の、石炭で申しますと、斤先というようなものを禁止した規定が現行法にはできておるわけでございます。併し実際問題といたしまして、石炭鉱業によく見られます残炭の採掘というようなことを行いますためには、いわゆる近代的な鉱業の形態でやるよりも、むしろ局部的な部分を採掘するためには小規模な形で掘ることのほうがむしろ経済的でもあるというようなことから、炭鉱として斤先掘というのが古くから行われておるわけであります。石油につきましても共同というような似たような慣行があるわけです。明治三十八年にできました現行法は、それを禁止しておりますが、現実にさような慣行が存在し、存在するだけの合理的な理由があるというような点、及び戰時中には鉱物を極度に増産しなければならないというような関係から、過去にありました慣行を本として、それを法律的に承認いたしまして、増産のために戰時立法といたしまして、重要鉱物増産法、或いは石炭鉱業権等臨時措置法というような形で、別に鉱業権の使用権というような形におきまして、これまで臨時的なものとして法制上は認めておつたのであります。それで今回の鉱業法の全面的な改正をいたします際に、その戰時中ありました使用権というものをどうするかということが問題に相成つたわけでございますが、戰時中ありましたような鉱物の急速な増産のために、その基本法である鉱業法に認めていなかつたいわゆる請負掘と言いますか、そういうものの法制的な制度化の必要、増産のためにという要請はともかくとして、実際問題としてそれを認めて行く十分な合理的な理由というものがあるのではないかということに皆様の研究の結果落着きまして、それを新法の中に、恒久法でありまする鉱業法の中に取入れることにいたしたわけであります。結論的には最初に申しましたごとく過去の慣行の中にありますことは、残炭とか或いは薄層とか、そういうものの採掘のためにはむしろこれを認めたほうが、地下資源を合理的に経済的に掘り出すために適当な効果を挙げるという、ふうに考えておるわけであります。
  25. 結城安次

    理事結城安次君) 続いて第五点といたしましては、本法案を実行いたしまする場合に、全面的に実行しまする場合には、他の産業と鉱業というものとの摩擦が各方面に出やせんかと思うのですが、その調整方法について何かお考えがありますか。
  26. 徳永久次

    説明員徳永久次君) この鉱業と外の産業との摩擦の調整につきましては、現行法もその点を或る程度……、実際におきましては相当十分に考慮いたしておるわけでありますが、ただ法の文言に現われておりまする体系の上では非常に昔の法文というものは簡潔に表現してありますので、この点は十分出てないわけでございます。新法におきましては、鉱業権の設定、或いは鉱業の施行その他につきましては、他産業との調整を十分に図つてでなければやらないのだという趣旨を文言の上においてもはつきりいたしましたし、尚更にこれは根本的に現行法と違いますと申しますか、全然新たな構想がとられておるわけでございます。と申しますのは、例えば或る地区鉱業権を設定いたしました場合に、それによつて影響を受けまする農業とか、或いは林業とかいうような面に従事しておられる人から、これはそこに鉱業権が設けられる場合には、こういう重大な影響を受けるというような、いわゆる苦情のある場合があるわけでございまして、そういう苦情を考慮いたしまするために、土地調整委員会というような制度を設けることに相成つております。これは内閣へ設けられまする委員会でございますが、その委員会がいわば鉱業権を主管いたしておりまする通産省系統の役所が鉱業と外の産業との関係というものを考えることは、まあ一口に言いましていわば偏頗な判断になる虞れもなきにしもあらずというようなことから、そういうものに判断させないという趣旨で内閣へそういう委員会を設けまして、どこにも、通産省にも関係ない、或いは外の産業を主管しておりまする農林省その他にも関係ない、全然中立的な不偏な立場の委員会という形にしまして、そこにそういう苦情が出ました場合に、それを公正に判断するというような建前をとつたわけです。これはこの法案の大きな特色の一つにも相成つておるわけであります。その他細かい点といたしまして、鉱業権等の設定等に対しまして、通産局長は府県知事と協議いたしまして、都道府県知事からその意見を聞くというようなことも考えておりますし、又地表鉱物、地表の近い部分を採掘いたします鉱物につきましては、土地所有者の御意見もお聞きしましてその判断の材料にするというような細かい気遣いもいたして、鉱業及び他産業との調整に遺憾のないように、できるだけのことをするごとく新法に組立てたつもりでございます。
  27. 結城安次

    理事結城安次君) 続いて第六点は、鉱害に関するものでありますが、本法案に謳われておりまする鉱害対策としては、いわゆる当事者賠償、主義をとつておりますが、これはどういう根拠によつてでありますか。
  28. 徳永久次

    説明員徳永久次君) これは当事者賠償主義をとつておりますのは、御承知のごとく、或る危害を與えました場合に、被害者はそれによりまして当然に受けました損害の完全な賠償を受ける権利を持つているわけであります。又加害者側でありまする鉱業権者は、害を與えました原因者でもありますので、その損害を與えました行為によりまして半面或る利益を受けておるわけでございまして、その当事者、利益を受けた者と損害を受けた者とがその損害につきましての話合いをきめるということが、法律の仕組として当然に理論的にそう相成るわけだと思うのでございます。ただ鉱業につきましては、鉱害が当事者側の被害は或る程度十分にカバーされたとしましても、被害を受けまする物件が土地でありますとかいうようなことに相成りまして、これが国土の利用価値というような面から、その被害を受けました個人としては、受けました損害を経済的な限度においてはカバーされたといたしましても、失われました何と申しますか、国土の生産力、或いは利用価値と申しますか、そういうものにつきましては、尚若干問題が残るということも考えられるわけでございまして、その限度におきまして、場合によりまして国土の総合利用の見地から問題を若干残しておりますけれども、併し限度といたしまして、鉱業を行いまして相手方に損害を與えたという場合に、鉱業権者にどれだけの責任を負わすべきであるか。被害者にどれだけの限度の請求権を與えるかというような見地から、この法的な範囲についてもきめまして、当事者におきましてそれの話合いをつける基準を定め、それによりまして紛争が話合いで解決いたしません場合に、いわゆる民事訴訟事件として司法的に裁判所によりまして、最終的に解決されるというような仕組に相成る基準を定めるという建前を採つたわけであります。
  29. 結城安次

    委員長結城安次君) 続いて第七点も同じく鉱害の賠償に関する問題でありまするが、鉱害の賠償には金銭主義又原状回復主義といろいろありますが、今回は金銭賠償主義を主に、原状回復主義を従にしておるようでございますが、その理由はどうですか。又いわゆる打切り補償ということを公認したことは被害者が非常な困窮化する要因を誘発することに対する懸念はございませんか。
  30. 徳永久次

    説明員徳永久次君) 鉱害賠償の原則につきまして、金銭賠償主義をこの新法はとつておるわけでございますが、これを原状回復を主にしたらいいではないかというような議論は、被害者側からもしばしば出ることもありまするし、又この審議会でも、先ほど大臣が御説明申上げましたが、関係学者関係各省関係業界、すべてを網羅しました審議会でも随分と熱心に議論された問題であるわけであります。併しながら結局新法のごとく原状回復の原則を採ることは不適当であろうということに相成りましたわけでございます。その趣旨簡單に申しますると、一つは原状回復ということの義務を鉱業権者に負わせますというと、鉱業にとりまして余りに大きな責任を課することに相成るのではないかということが根本の原因であります。これはまあ簡單な例で申上げますると、或る土地におきまして一石の米がとれる農地があるといたしまして、それが土地の陷落等によりまして八斗しかとれなくなつたというような場合に、耕作者といたしましては簡單に申しますれば一斗分の損害を受けたというようなことに相成るわけでございます。その二斗分の損害程度というもの、これを金に換算いたしまして幾らに相成りまするか、そう大きな額でないわけでございまするから、その限度におきましては明らかに農民が経済的な損害を受けましたので、その損害を與えました鉱業権者にその限度において賠償の責任を負わしめるということは、法の公正という点から申しまして当然のことであると思われるのであります。併しながらその陷落いたしました土地の生産力を再び前の通り一石とれるような土地にするということにいたしました場合に、通常の場合その二斗分に要しまする経費の数十倍のものも要るというようなことが例でございまして、そういう重い負担を鉱業権者に負わしめるということに相成りましては、事実問題として鉱業がその負担に耐えかねて、鉱業自体が行えないというように相成る虞れも非常に大きいわけでございます。鉱物地下資源を掘り出します鉱業の国民経済上に大事なことは申上げるまでもないことでございまして、法の建前としては、被害者が受けました損害の限度を補償させるというのが考え方の筋道になるべきものであつて、それよりも数倍の費用を要する原状回復というものは、與えました損害を償う途として、一つ方法ではございまするか、片方に非常な負担をかけるということに相成るので、適当じやないんじやないかということに相成つたわけでございます。それが一番基本的な問題でございますが、細かく申しますれば、実情によりまして鉱害の実態から原状回復の必要のない場合、或いは行いがたいような場合もございまするし、新法におきましては原則としては金銭賠償ということにいたしたのであります。ただ例外といたしまして金銭賠償を原則とはするが、原状回復をすることが金銭賠償によりますよりもそう大きな費用を要しないでできるというような場合には、原状回復の請求権というものを被害者側にも認めておるわけでございます。まあこの新法に織り込んでありまする原則、両者間の調節の仕方というものが公平に見まして被害者及び加害者の責任及び請求権の範囲というものを定めたものとしては、妥当なところではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから只今お尋ねがございました第二点の、打切り補償という制度を認めたことが被害者側にとりまして、むしろ弱い被害者にとつて不利益なことをされたのではないかというようなお尋ねの点でございますが、この点は実はむしろ我々といたしましてはどちらにも偏して作つたつもりでもないわけであります。現実に只今の例で申しますれば、一石とれる地が八斗にしかならないというような場合でしたら大したこともございませんが、全然田が陷没いたしまして、殆んど利用価値がなくなつたというような場合に、年々それによつて收益を上げておつた農民が耕作の利益を失つた。過去において得ておつた額というものを年々賠償するというような仕組を、いたずらに毎年継続して行くということが、まあいわば農民の立場といたしますれば、仕事もなくてぶらぶらと賠償金だけ貰つて年々暮しておるということは、必ずしも本意とするところではありませんので、場合によつてその賠償金をまとめて貰つて、それを元手といたしまして適当なやり甲斐のある仕事を他に見つけるというようなことも、農民の側からも要求されることが当然に予想されるわけでございまして、又そういう要求というものも十分理由のあることだと考えるわけでございますが、そういう際にそのことが被害者側におきまして合理的に捌きのつくということを考えたほうがいいのじやないか。現実にはそういうことも或る程度行われておりますが、現実問題といたしましてこの打切り補償のいわば対抗要件と申しますか、そういう点が不明確でありますために、両当事者がそれを希望しながら、法律的な裏付が不十分なために円滑に行われないというような憾みが過去においてあつたわけでありまして、その点を何とか合理的に解決するごとくしようではないかということで、新法におきまして或る程度の対抗力という竜のを置くことにしたわけでございます。対抗力と申しますのは、或る土地につきまして打切り補償といたしました場合に、簡易な登記制度を定めまして、それにおきましてこの土地はこういうことになつているのだということをはつきりすることによりまして、その土地を譲り受けた人が不測の損害を受けたりしないようにというような途を考えることにいたしたわけであります。そういう途を開くことによりまして、両当事者間に合理的に打切り補償が行われるということにいたしたわけであります。従いましてこの制度は被害者側の、弱い人の立場に不利になるということは、審議会におきましても、御承知のように農林省その他の関係官も出ておつたのでありますが、局長、次官も出ておられたわけでありますが、全然そういう不安を持つておられたわけではございません。ただ、今お話のごとく、打切り補償という制度を定めましても、経済界の変動によりまして、その打切り補償とか、年々の賠償額というものは適当でないというようなことで変化を生ずることもございますので、その際には状況の変化によりまして一旦定めました額というものが不適当と相成りました場合には、修正できるというふうに定めてあるわけでございます。
  31. 結城安次

    理事結城安次君) 第八点といたしましては、土地調整委員会でありまするが、土地調整委員会設置法がまだ提出されておりませんので、はつきりいたしておりませんが、本法案中においては、右の委員会が相当重要なポストを占めておるように思いますので、政府は右委員会についてどういう構想を持つておられますか、その概要をちよつとお伺いいたしたいと思います。
  32. 徳永久次

    説明員徳永久次君) 実は土地調整委員会は私のほうが主管いたしておりませんで、法務府のほうでお出し願うことに相成つておるわけであります。併しながらこの鉱業法と密接不可分な法案でございまするので、私共御一緒に相談にあずかりながら作り上げておるというような関係でございます。実は今日法務府の局長がお見えになるはずでございましたが、司令部に呼ばれたような事情で急に出られぬからというお話でございましたので、私代りまして簡單経過を申上げたいと思います。この法案につきましては、只今委員長から御指摘ございましたように、まだ国会提案いたされておりませんが、只今までの審議経過を申上げますると、司令部と相当細かい打合せをこの休会中に行いまして、この細目の事前折衝が相済みまして、実は昨日の閣議にかかりまして、それによりまして政府案の最終案という形で司令部に提案されるはずに相成つておるわけであります。昨日閣議決定が行われましたことでございますので、まだ司令部には届いていないかと存じますが、一両日の間に司令部へ届きまして承認の手続を経るということに相成ると考えます。お手許に一応参考書類といたしまして要綱がお配り申上げてあるはずでございますが、これは対司令部関係におきましては、私共前国会の際に司令部と相談いたしました際の状況から見まして、又その後の法務府が折衝いたしておられまする模様をお聞きしておる点から見ましても、殆んど原案通り承認が頂けるものと思いますので、お配りいたしておりまするものが正式に出ます場合にはそう変つて来るというようなことはないものと了解いたしておるわけであります。この委員会でどういうことをやりますか、又どういう組織になつておりますかという点でございまするが、これは先ほどもちよつと触れましたように、この委員会を作りました趣旨というものは、鉱業或いは採石業と他産業すなわち農業なり林業なり、その他水産業、或いは一般公益というものとの調整を公正に図るというために、それらの産業に利害関係を持つておらない役所を作つて、そこで判断さすということが適当であろうということで設けられる委員会でございます。公正取引委員会とか、その他戰後似たような形の委員会がいろいろできておりまするが、性格はさような委員会と似たようなものでありまして、ただ内閣の総理府の外局として設けられまして、委員長一名と委員が四人、五人の委員を以て構成される。その委員長及び委員につきましては内閣総理大臣が両議院の同意を得てから任命するというようなことになつております。委員会には簡素な事務局を置きまして、事務局長以下二本名に相成つております。先ず小じんまりとスタートして行くということになつておるわけであります。この委員会の権限に属せられておりまする事項と申しまするのは、一種の純司法的な権限が主になるわけでございます。中身の主な点を申上げますると、一つは鉱区の禁止地域というものを指定しましたり……    〔理事結城安次君退席、理事古池信三君委員長席に着く〕 それを解除したりする権限は、この委員会が持つことに相成つておるわけであります。現行法によりましても鉱業を行いますに不適当な場所、例えば貯水池の下というようなものは鉱業権の出願がありましても、認可しないというような運用はとつておりまするが、これを只今のところは運用上の内規的なものでやつておるわけであります。それをこの土地調整委員会というものが公平に判断いたしまして、はつきりとこことここ、この地域は禁止いたしますというようなことを指定する。それが一つの大きな仕事、それから第二のグループに相成りまする点は、鉱業法によりまして鉱業権なり採石権の設定とか、或いは鉱区の増減等につきまして出願者から異議が出る場合がございまするし、或いは又鉱業のため、或いは採石業のための土地の使用とか收用につきまして、鉱業或いは採石業の関係を扱う使用者から異議が出る場合がございます。そういう方々からの異議が出ました場合に、第三者の立場におきましてそれを公正に判断して、どちらが正しいかということを裁定するというような仕事をすることに相成つておるわけであります。
  33. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは引続いてお尋ねを申上げたいと思います。第九番目といたしまして本法案と関連する他の法律との関係、即ち鉱業法採石法案及び鉱山保安法、土地收用法等のこれらの相互関係につきまして御説明を願いたいと存じます。
  34. 徳永久次

    説明員徳永久次君) 鉱業法と採石法は非常に建前が違つておるわけであります。両法は、事業は地下の資源を開発するというための法律ではございまするが、鉱業権につきましては日本の現行鉱業法の前に日本鉱法というものが明治の初めにあつたわけであります。それ以来の原則を取つており、又国家の法制がそうでありますが、鉱物というものは、すべて鉱物に対する支配権というものは国で持つておるのであるという原則の下にできておりまして、それをどういう人に、どういう條件で與えるか。又やる人はどういう義務があるかというようなふうに作られておるわけであります。それから採石法のほうは、これは全然それとは異なりまして、地下の資源というものは土地所有者の所有権の内容をなすものを、それを石を掘りたいという人に契約できめるのだという仕組に相成つておるわけでございまして、ただこの採石法を作りました趣旨は、その契約が非常に不安定な状況にございまするので、これを一種の土地の使用権として、はつきり認めるということに、所有権と似たような扱いを認めることにしたのが主眼であります。そうしますと例外的にこの採石権の設定につきまして国が開脚し得る。こういうようなことにしたことであります。相当根本的な立場というものは鉱業法、採石法というものは性質も違いますし、法の組方が全然異なつておるというわけのものでございます。ただ同じく地下の資源を開発するというような仕組でございますので、事業に対する監督につきまして若干この取締ということが必要になつて参るわけであります。鉱業法につきましては鉱山保安法というような厳重な法律を設けまして、この義務を定めておるわけであります。採石法につきましては特別なさような法律というものは用意しておりません。これは別途危害予防の見地から労働省におきまして、他の工場法等においてやつておりまするような形で所管に相成つておるわけであります。それから保安法等の関係でありますが、鉱業法と保安法との関係は、これは鉱山保安法と申しますのは終戰後別個の法体系になつたのでありますが、これは元々鉱業法の中にありました規定でございまして、これを独立させまして別な法体系にしてわけであります。その中に定めておりますことは、人命に対する危害の防止とか、或いは鉱物資源の保護、施設の保全、鉱害の防止というような四つが中心に相成りまして定めてあるわけでありますが、元々鉱業法と鉱山保安法とは非常に縁の深い法律でございまして、独立はいたしましたものの、若干相互の関連があるわけでございます。  その第一点といたしましては、鉱業をやります場合の施業案というものが最初に認可を要することに相成つておりますが、これは施業案自体というものが山の開発の、いわば基本的のプログラムである、設計書であると同時に、鉱山保安の基本的な面に触れているということにも相成りまするので、その施業案の認可は、地方に鉱山局を置きまして、それと保安監督部と連絡協議の上で認可をやるということにも相成つておるわけであります。    〔理事古池信三君退席、理事結城安次委員長席に着く〕 それから保安法において定めておりまする重要な責任があるわけでありますが、そういう責任に違反しました場合に、保安法で取締るというだけでなしに、その重大なる場合におきまして、鉱業権を取消すというようなことも必要と相成つて参るわけでありまして、そういう点か、母法でありますところの鉱業法の中に触れているということに相成つておるのであります。  次に土地收用法との関係を申上げますと、土地收用法は土地の使用又は收用についての一般法でございまして、公共の利益となる事業のために他人の土地を使用又は收用する手続を定めております。土地收用法では土地收用を行うことができる事業を列記しておりますが、それ以外に他の法律で他人の土地を使用、收用できることにしている法律が相当にあるのでありまして、鉱業法におきましても鉱業という事業が国民経済的に重要な事業であることと、鉱物のある所で事業を行わなければならないという特殊性があることにかんがみまして、鉱業目的のために他人の土地を使用、收用できることにしているわけでございます。土地收用法以外の法律で土地の使用、收用を認めます場合に、手続をその法律自体に書いている場合と、土地收用法の手続によるものとしている場合とがございますが、この法案では原則として土地收用法によるものとしまして、ただ事業の認定を通商産業局長の許可で代えることにしたことと、関係者に不服がある場合に土地調整委員会の裁定を求められることにしたという二つの点において、鉱業の実状及び法の内容に即して一般法の例外を設けたことになつております。   —————————————
  35. 結城安次

    理事結城安次君) 次に採石法案について御質問いたします。  第一に採石権設定について、通産局長と都道府県知事との権限、処分、及び両者の関係について明確にいたして置きたいと思います。
  36. 徳永久次

    説明員徳永久次君) 採石法を府県の所管にしないで通産局の所管にいたした趣旨のお尋ねがあつたのでありますが、採石業と申しますのは、採石権の性質の根本は先ほど申しましたごとく、国が與えるものではなしに、土地所有者との話合いで行われる仕事であるわけであります。併し事業の態様というものは或る程度鉱業に似ている点があるわけであります。そういう点からの指導助成という面を考えて見ましても、鉱業につきましては過去におきまして、すべて特殊の專門業務としまして、通産省の特別の官庁が地方に設けられておつたのであります。そういう関係から見まして、府県に委すよりも通産局に委したほうがよりよい指導助成ができるということを考えたわけであります。  それから第二点といたしましては採石権につきまして、場合によりまして強制設定するという場合があるわけでありますが、そういうことにつきまして強制設定と申しますかいわば一種の使用権に対する関與、公共的な立場からの関與ということに相成りまするので、相当愼重な扱いをいたしておるわけでありますが、その扱いといたしましては先ほどもちよつと御説明しました土地調整委員会の承認があつて、初めて通産局長が当事者に採石権の設定を勧奨するというような仕組みに相成つておるわけであります。これは通常採石法というものが当事者間に行われます公共的な必要性に基きまして関與するものの、その公共的な必要性によつて行う場合の判断そのものにつきましても、通産局長の判断だけに任すのも不適当であろう。それでは物足らないというようなことから土地調整委員会というものが新たにできまして、全然特殊な、真相の判断に適した機関に行わすわけでございます。そういう建前をとりました点から見ましても、まあそう申上げると何と申しますか、府県の価値が低いというわけでございませんが、非常に地域的に細分されておりまする府県の判断、又通産局、全国八つを担当しておりますその判断も不適当であろうというくらいに考えまして、土地調整委員会というものの判断によつておるというような関係でもありまするので、まあこの法案の中で政府が直接関與いたしますのはそこらのところであります。あとは法的に両当事者間の話合いに任しておるようなことでございますので、そういう例外的に行います場合の権限が問題になるわけでありますが、その権限は土地調整委員会の監督、承認を経て通産局が行うというような仕組みをとつております点に、まあ如何に法律的に土地所有者の権利というものを、愼重に処置しなければならないかということを御了解頂けるかと思います。そういう基盤から考えまして、県に任すのは適当じやないじやないかというふうな面も考えられるわけであります。又これは業界の御意見としてはむしろ非常に小分けされました県で扱われておりますよりも、むしろもう少し広い立場で、広く見ておる通産局長の所管を希望しておられるというふうに私共も了解しておるわけであります。仕事の性質が仕事場、作業場が小さいと申しましても、やはり採石物の市場性その他の点から申しまして、危險を超えた形における判断のほうに非常に大きく重点が置かれるのではないかというふうにも思われるわけであります。又土地收用法等の関連等から見ましても、より広い立場から物を見る立場の、役所の所管のほうが合理的じやないかというふうに考えておる次第であります。
  37. 結城安次

    理事結城安次君) 第二点といたしまして、採石法案の民主的な運営は法的にどういうふうに保障されておりまするか、その点をお伺いします。
  38. 徳永久次

    説明員徳永久次君) 採石法につきましては、実は国が関與しますのは非常に少いわけでございます。先ほども述べましたように石掘りの仕事、採石業というものは土地所有者と掘る人との話合いできめられるのを本筋として考えております。その権利の安定だけを主眼とした法律を作つて、ただ例外的に採石権の設定の、いわば強制設定の規定がこの法の中に織り込まれておるわけであります。その限度におきましてその運用がいわゆる官僚的に、権力的に運用されるということがあつては甚だ申訳ないことでございまして、その点を極力民主的にやるという道筋を辿らなければならんわけでありますが、この法案の中におきましては、強制設定をいたします場合というものは、先ず條件を非常に厳重に定めております。そうしますと、通産局長の重大な判断の余地というものは相当少くされております。それは十六條に出ておるわけであります。それからこれを強制設定いたします際に、通産局長は土地所有者、それからその他の関係人に出頭して頂きまして、公開による公聴会を開きまして、その必要があるかどうかということを定めるという手続を取つておるわけであります。そういう公聴会等を開きまして、必要がありそうだということになりましてもすぐにそれを実行するわけではございませんので、先ほで申しましたごとく、あらかじめ土地調整委員会の承認を得なければできないということにいたしておりまて土地所有者の利益がむやみに権力的に、狭い判断できめられることのないように十分の配慮をいたして行くつもりでございます。
  39. 結城安次

    理事結城安次君) 只今まで両案に対する私の質問に対して、大臣並びに鉱山局長から御説明がありましたが、御説明中でややわかつたもの、まだ納得の行かないようなものがあるように思いますが、続いてやりますか、今日はこれで打切つてよろしいですか。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  40. 結城安次

    理事結城安次君) 速記を始めて下さい。  それでは鉱業法案並びに採石法案については公聴会を開くということ、その手続その他は委員長にお任せ願つて置き、決定は又委員会にお諮りしてきめる、そういうふうにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 結城安次

    理事結城安次君) 御異議ないと認めます。それではさよういたします。  次に本委員会におきまして、第八国会に引続き議院の承認を得て鉱業法案及び採石法案を継続審査いたし、又通商及び産業一般に関する調査を継続いたして参つたのでありますが、右の二件についてこの閉会中には審査或いは調査を終りませんので、この旨の報告書を議長に提出いたさねばなりませんが、それにつきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 結城安次

    理事結城安次君) それではさよう取計らいます。  それでは本日の委員会はこれで散会いたします。    午後零時二十六分散会  出席者は左の通り。    理事            結城 安次君            古池 信三君            栗山 良夫君    委員            小野 義夫君            上原 正吉君            島   清君            山川 良一君            高瀬荘太郎君            駒井 藤平君            西田 隆男君   国務大臣    通商産業大臣  横尾  龍君   説明員    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省臨時    通商産業事務局    長       佐枝 新一君    資源庁鉱山局長 徳永 久次君