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1950-10-30 第8回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月三十日(月曜日)    午前十一時一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (繊維価格に関する件)  (企業に対する見返資金融資に関す  る件)  (鉄鋼補給金廃止に関する件)   ―――――――――――――
  2. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) 只今から委員会を開きます。  本日は通商及び産業一般に関する調査の一環として、企業に対する見返資金融資に関する件、鉄鋼補給金廃止に関する件、繊維価格に関する件、特需に関する件、以上の四件に関する調査をいたしたいと存じます。  右はいずれも委員のほうから要求のあつたものでありまするが、時間の都合もありますので出席される大臣その外の都合を見計らつて、できるだけ能率的に審議をいたしたいと思つております。尚政府に対しては大蔵大臣経済安定本部長官通産大臣官房長官並びに関係各省担当局部長の御出席を要求して置きました。順序はさつきも申上げましたように、大臣出席都合によりまして適宜、調査事項順序に従わないで、集約的にやつて頂くほうがいいかと思つておりますので、どうぞそのお含みでお願いいたしたいと存じます。  お諮りいたしますが、政府のほうから見えておられます顔触れを見ますと、繊維のお方の出席が一応多いようですから、繊維のほうの質問から早くいたしたいと思います。如何でしよう。  それでは第三の繊維価格に関する件から議題に供したいと存じます。
  3. 境野清雄

    境野清雄君 この前繊維局長からいろいろ繊維の現在の情勢を承わりまして、その後大変変化があるように聞いておりますので、その変化について二、三繊維局長からいろいろ内容を承わりたい。一つは先般来何か紡績が、綿花の問題でありますけれども、綿花が大体二百万俵に限定されて輸出に制限を受けている。そういうことによりまして、日本の現在のこの増産計画、いわゆる先般繊維局長から話のありました年末まで十三万俵、この月産をやりたいというものの果してできるか否かであります。それから又そういうものができ得ましたとしても来年度に対する見通しはどうか。その後価格面相当つているようでございますので、その点を勘案いたしますと、大体今四十セント以上になつているのではないかと考えられる。改めて従来の三十六セントというような政府契約のもの、或いは業者がやつております三十八セントから四十一セントというものがそのまま堅持されて、後から入つて来るのかどうかという点について一つお伺いしたいと思うのです。もう一つ羊毛の問題でありますが、大体羊毛は先般の計画を聞きましても、その当時聞きましたものでは六万六千俵というものが、今外貨割当がまだなくて交渉中だというような話を聞きまこたが、それがもうすでに十月に相成つておりますので、十月以降は政府は十万俵から十四万俵買付けなければ、日本需給の面が初めの計画通り行かないということを聞いておつたのですけれども、可なりこの問題も窮屈な状態にある。又何か経済の雑誌で見ますと、大体昨年度輸入が二割増しであるのに、価格の面が五千万ドルから一億ドルというふうに倍にも上つておるというような点を勘案しますと、相当価格が高くなつておるのではないか。こういうように価格が高くなつておるにもかかわらず、過般来勧告価格というようなものを未だに堅持されておるやに聞いておるのでありますが、そうすると大変国際物価日本物価というものの開きのあることを無理にも強行しておるようなふうにも見えるのでありますが、その辺に対する一応の繊維局としてのお見通しなり、或いは又御意見なりを承わりたいと思います。
  4. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 私から最初に綿花事情につきまして最近の状態を極く簡單に御説明申上げます。綿につきましては、本年の春以来逐次増産の方向に進んで参つておりまして、御承知のように過般四百万錘の紡績の枠が撤廃になりまして、四百万錘以上の生産設備を持つようになつておりますけれども、又先般来司令部のほうからの勧告もございまして、従来一週間六日の操業をしておりましたのを、一週間七日の操業をするというふうに逐次切替をいたしております。又同時に操業時間につきましても休憩時間や人員の増加によりまして一日十六時間のフル稼働をするということで、できるだけ綿糸生産増加するという計画で、それを実行しつつあつたのでございますが、先般米綿の本年度における非常な不作の結果、輸出につきましては割当制を行うことになりまして日本に対する割当は現在のところでは、この八月から来年の三月までに五十五万俵、予想によりますと来年四月以降七月までに三十三万俵、合計八十八万俵という数字が一応予定されておるのでございますが、この問題につきましては数次司令部関係とも折衝をいたしております。業界その他からもいろいろ要望がございますので、いろいろ折衝中でございますが、最近の情勢では、その他に大体十万俵の増加をすることは可能ではないか。これは朝鮮向け等特需の引当の関係でございますが、十万俵ぐらいの見込が確実であるというお話でございまして、合計九十八万俵という数字が一応見込まれておるわけであります。この米綿の八月から来年七月までの入荷見込の外に重要な問題は米綿以外の地域からどれだけの綿が買えるかという見通しの問題でございます。これは非常に多くの地域に亘つておるのでございますが、ポンド地域におきましてはパキスタンが一番多量でございまして、これは先般の協定で参りますと、三十万俵という数字協定数量に上つております。これは荷買い得れば五百万俵まで買付けるという話合いになつておるのでありまするが、そのパキスタンの外に、インド或いはスタン、ウガンダ、トルコ、エジプト、こういつた地方から相当量買付をする見込を立つております。それからもう一つ大きな市場といたしましては中南米諸国でございまして、これはブラジル、メキシコ、アルゼンチンというものが主体でありまして、その外に多少ペルーから買うという予定もいたしておるのでありまするが、これらの地域合計いたしましてどれくらいの綿花買付け得るかということが相当大きな問題になるわけでございます。現在の予想では、業界側におきましては、大体約五十万俵という数字予定いたしておるのでありますが、五十五万俵くらいは買付け得るのではないかという見通しもございまして、而も米綿輸出割当以来、これらの地域におきましての綿花価格が非常に乱高値と申しますよりか、むしろ非常に暴騰いたしておりまして、高い地域におきましては、現在ポンド七十セントの綿を買つておるという例もございます。大体五十セントから六十セントくらいの間の相場になつておるようでございます。米綿にいたしましても、最近の買付のものにおきましては、CIF・ジヤパンで四十三セントくらいの計算になるのでございまして先ほどお話がございましたが、二十六セント・ペース綿花によりまして公定価格をきめるというわけに参りませんので、近く綿糸綿布につきましてはマル公は改訂される予定になつておるのであります。そういつたように、非常に原綿の価格が暴騰いたしております。そこで只今申上げましたように、九十八万俵の米綿を一年間に確保し、それからアメリカ以外の地域から五十万俵乃至五十五万俵くらいの綿花を取つて参りました場合に、現在計画いたしております綿糸増産計画が遂行できるかどうかという問題でございますが、これはいろいろ関係方面その他とも協議をいたしておるのでございますが、現状におきましては増産計画はそのまま遂行するということになつておるのであります。そういう増産を続けて参りました場合に一番問題になりますのは来年の端境期における綿花のキヤリ・オーバーがどのくらいになるかという問題でございまして、相当多量のランニング・ストツクを見込めば勿論この数字では足らないということになりますが、或る程度手持の綿を詰めて食つて行くということで考えて行きますれば、只今申上げましたような数字でも増産計画を続けて行くということは可能でございます。それではどのくらいの増産数字になるかということを御参考までに申上げますと、今年の十月におきまして、大体もう月は経過いたしておりますが、十二万二千俵くらいの増産を上げる予定でございまして、十二月に十三万二千俵、来年の十月になりますと、十六万俵という計画をいたしておるのでありまして、この計画予定通りに進行いたすということで現在進めております。これは来年の端境期における持越しの数字想定如何にもよりますが、同時に米綿はこの年度におきましては、やはり昨年と同じように千六百万俵の生産計画を現に立てておりまして、来年の新編は恐らくそのくらいの数字になるであろうと思われるのであります。従つて現在でも期近米綿は非常に相場が高いのでありますが、来年十月頃の相場期近のものよりも約六セント低い相場が出ておるような状態でありまして、つまり先安の見込になつておるのでございます。そこで一体来年の新編がいつから日本に入りまして作業できるかということでございますが、厳格に算術のような計算をいたしますれば、十一月から新綿が使えるということになるのでございますが、アメリカ収穫予想は、大体六月に民間の予想が出まして、七月の七日に農務省の正式の収穫予想が出るわけでございます。その場合に相当米綿ができるということになりますれば、従つて古い綿、新らしい綿が相当売物に出て参るということから、一月分くらいは繰上げて綿を使い得るということも考えられますので、現状程度を以ていたしますれば、大体今考えております来年十月には十六万梱を作るという計画は、遂行上差支えがないのではないかというふうに考えるのでございまして、そうなりますと、現在の生産が大体十一万梱から十二万梱の間でございますので、四万梱程度増産が来年の十月には可能になるというふうに考えるのであります。そういつたことで現在進めております。  そこで現在の輸出関係はどういう状態になつておるかと申上げますと、来年の三月くらいまでのものにつきましては、殆んど売約定ができておるのでありましてこの売約定につきまして、綿花の値上りによつてキャンセルをするかしないかという問題があるのでございますが、これは現在の売約いたしておりまする綿布価格は、相当高い価格で利潤が相当多い取引になつておるのでありまして、七十セントくらいの綿を使いましても、現在の売約をしております契約を解約する必要は実はないのであります。丁度そのくらいで収支賄い得るどいう程度になると思うのでございます。ただ綿花事情アメリカ輸出割当とか、その他の事情がございましたので、四月以降の非常に先のものを売約をすることを一時紡績といたしましては差控えておつたのでありまするが、先般いろいろ事情を検討の結果、紡績協会といたしましても、従来通り増産計画を遂行するというふうな決議をいたしまして、それによりまして最近では四月五月ものがぼつぼつ売約されつつあるという状態でございます。そういうことで安い時代に契約いたしました輸出契約というものをキャンセルするという問題は、綿に関しましては起らないと考えております。今日の事情は大体そういうふうなことでございまして、相当新聞等で大きく扱われましたので、現在の生産よりも減るのじやないかというふうな誤解をされている向きが非常に多いようでありますが、相当制限されました綿花事情におきましても、荷現在よりも相当増産になるということは確実であると存じます。  それから次に羊毛の問題でございますが、先ほどお話数字ちよつと食違いがあるように思うのでございますが、羊毛は七月から来年六月までが一つ年度になつておりましてこの七―九におきましては予定通り九万一千俵の羊毛買付を完了いたしました。十月から十二月におきましてどれだけの羊毛が買えるかという問題でございますが、これは前にもこの委員会で申上げましたように、大体十五万俵を十先の期におきまして買付をするということで、実は為替資金等十分手当をしたのでございますが、濠洲におきましてのオークシヨンが始まりましてその相場を見ますると、実は予想よりも非常に高くなつております。大体四割から六劉ぐらいの高値相場が出ておるのであります。従つて、十五万俵の為替予定いたしましたけれども、どうしても十万俵程度しか買えないという状態になつて参つたのであります。そこで一応十万俵程度買付けるということで、外貨資金につきましては決裁を得たのでございますが、その後に実は新聞にもございましたように、ポンド資金の不足という問題が起りまして、十月―十二月の期におきましてはポンドが非常に欠乏するという状態でございます。従つて決済を来年の四月以降くらいに繰り延ばすならば相当資金使つてもよろしいということになるわけでございますが、羊毛買付は、現状におきましては、大体積出し後十日間くらいで決済をする。而もこれはロンドンで決済するというかつこうになつておりますので、期近ポンドがございませんと、非常に買付はしにくいという問題になつたのでございます。そこでいろいろ折衝をいたしまして、十万俵のうち或る軽度の数字は、これはアルゼンチンのほうに振替をいたしまして、大体アルゼンチンから二万俵乃至二万五千俵を買付けるというふうにドルのほうに振替をいたしました。それから一部分につきましては、四月以降に決済のできるような先のものを買付けるようなことを操作いたしまして、これは三万五千俵くらいの操作でございますが、そういうことにいたしました。尚期近資金の足りませんものにつきましては、最近でございますが、外国銀行のユーザンスを利用いたしまして、大体四ケ月の期限を認められることになりますので、十一月の平ばくらいから買付をいたしますれば、その決済が来年の四月以降になるというようなことで、現在極力十万俵の線は買付をいたしたいというようなふうに考えて努力いたしておるのであります。ただそういつたように非常にむずかしい條件でございますので、或いは多少この計画通りには参らないということになるかと存じておるわけであります。そこでその足らずまいをどうするかという問題でございますが、これは来年の一月から六月までの間にできるだけ買付をするという方針でございますが、御承知のように濠洲羊毛はやはりこの十月からクリスマスまでの間に多量買付をいたしませんと、クリスマス後におきましては出廻りが非常に減つて参りますので、可なり困難をいたすのではないかというように考えております。現在のところでは一時十先が十万俵の羊毛買付を得ますような状態におきましては、三十六万俵の年間原毛輸入計画しておつたのでございますが、只今のところでは三十一万二千俵という線をどうしても買いたい。こう考えておるのでございまして、そうしてそれをやりますためには、どうしても来年一月から六月までの間に十一万俵の原毛を買わなければならんということになりますので、今年の実績等から考えましてそこまで行けるかどうかというような懸念を持つておりますので、三十か一万二千俵という数字が二万俵程度は減少する虞れがあるのではないかというように考えております。尚この数字は本年の、つまり昨年の七月から今年の六月までの入荷量は二十四万五千俵ということが実績として出て参りました。これに比べますと、或る程度増加量になつておりますが、同時に又警察予備隊需要でありますとか、朝鮮関係特需でありますとか、そういうものもぼるぼつ出て来ておりますので、実際のいわゆる民需に対する供給増ということは二〇%程度にとどまるのではないかというように考えております。それから尚価格の問題でありますが、先ほどお話もございましたように、昨年の羊毛は非常に安かつたのでありますが、最近の買付羊毛は非常に高くなつております。又輸出価格につきましても先般勧告価格というものが綿につきましては出されたのでございますが、その後輸出の状況も多少変つて来ておりますので、現在では輸出価格というものを基準価格ということにいたしまして人絹、スフなどと同じような取扱で進むということには大体物価庁とも御相談をいたしております。この点につきましては物価庁の第一部長が御出席でございますので、物価庁のほうからも御説明願いたい。概略そういう点でございます。
  5. 境野清雄

    境野清雄君 只今お話の中で、羊毛は非常に減るというような目標でありましたけれども、そうしますと十先のものが、十五万俵のものが為替関係その他で十万俵くらいになる。そういうことでアルゼンチンその他の方面から買いますものが六万俵ばかりとしますと、現実には十先だけでは濠洲から買うものは大体四万俵くらいのものを買うと、こういうお見通し承知してよろしうございますか。
  6. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 実は十万俵の計画の中でアルゼンチンといつたようドル地域から買いますのは、二万俵から二万五千俵の間であると考えております。残りの七万五千俵から八万俵を濠洲から買付ける、かように考えております。
  7. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると、先ほどの三万五千俵ばかりのはただ決済を四月以降に延べるような方法を講ずるというだけでございますか。
  8. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 御説の通りでございます。
  9. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると今の正話で民需用は大体入つて来る三十一万二千俵の中から二万俵ばかりが減ずるだろうという予想でありますので、六二十九万俵くらいのものの二〇%だけが民需用というようなことになりますと、昨年度よりも混毛率相当高率なものを許可されているように聞いておりますので、総体的な生産計画としては昨年よりも民需用の服地なり何なりというものは相当減るという見込になりますか。
  10. 近藤止文

    説明員近藤止文君) ちよつと御説明が十分でなかつたかと思いますが、三十一万二千俵が計画通りに入らずに或いは二万俵くらい少くなる。大体二十九万俵くらいの数字になるのであります。その中で朝鮮向特需、或いは警察予備隊等に多少廻るのがございます。従つて昨年の実績は二十四万五千俵という程度数字でございますが、それに対してこの新しい年度におきましては約二割増の数字民需用に充てられるということになりまして、一万五千俵乃至二万俵ぐらいのものは朝鮮向特需なり警察予備隊に向ける。従つて国民供給されます数量は昨年よりはやはり原毛量で二割ぐらいは殖えるわけであります。そこで混毛率相当高くやりますれば、尚余計な供給ができるということになるのであります。
  11. 境野清雄

    境野清雄君 初めに御説明願いました大体綿のほうの問題でありますけれども、私共が大体考えまして戦前は別にして、最近の状態だけを考えますと、日本国内用の綿として大体五万俵くらいのものが放出されれば、綿としては需要供給程度がややマッチするのじやないか。言い換えれば二千万ポンドばかりものを放出して貰えればそれで大体需要供給という面がアンバランスにならないというようなふうに心得ておるのでありましてそういうことになりますと大体増産計画をお聞きしましても、十二月には十三万二千俵というものができ、十三万二千俵というものができますと、従来の過去の実績というようなものを考えましても、大体八万俵ばかりが輸出になる。そうすれば内地つに向つて内匠需用として五万二千俵ばかりのものが廻せるのじやないか。若し五万俵からのものが廻し得ることになりますならば、これは綿の統制というものもやや撤廃という形に相成るのじやないかというふうに、考えておるのでありましてこれは撤廃とか何とかいうような問題は局長としても御返事にお困りと思いますが、私としては大体五万俵が取りあえず内地に廻れば、それによつて今の需要供給の面がマゾチするというように考えておるのであります。繊維局としてのお考えはどんなお考えであるか。又そういうようにしますことによりまして何か七―八月の二ヶ月ですか、八―九の三ヶ月ですか、大体三万七千五百俵という綿を一応総司令部のほうから内需用として許可されておつたように聞いておるのでありますけれども、あのものもその後の増産の模様によりまして三万七千五百俵というものを又変えて行くと、それは九月末あたりに何か繊維局とあちらとの打合せによつて再度九月以降の決済をするように聞いておりましたが、その後新聞紙上その他によりましても十月以降のものは我々は承知しておらないので、或いは三万七千五百俵のままか、大体七月が前では一番多くできまし、十万九千俵ができましたので、その時分のものを基準にして私共は三万七千五百俵と承知しておつたが、今十一月のものを聞きますと十三万二千俵ということで約二割近い増産になつておるので、十月先の民需用としていわゆる内需向としての綿の増産的なものになつておるかどうか。又三万七千五百俵というものに対して従来は紡績会社から切符に対する裏付がなかつたの業者相当不平もあり、又いろいろ問題もあつたようでありますけれども、最近はそのものは、いわゆる三万七千五百俵という限定されたものは全部切符裏付ができておるかどうか。こういう点に対して質問したいと思います。
  12. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 八月以来内需用の三万七千五百梱を毎月出すということの指令は実は司令部のほうから参つておりまして、この内容境野委員お話と少しく違つておりまして八月から十二月までの間、月三万七千五百梱という標準と申しますか、向う様からの正式の書面によりますと、七千五百万ポンドというものを八月から十二月までの内需用に使え。それは大体月平均して千五百万ポンドという数字を消費するようにということであります。従つて三万七千五百梱、毎月出します数字は八月から十二月までそういう数字であります。ただそのあとに附加えまして、九月の末にこの問題についてはもう一遍討議をするということになつてつたのでございますが、丁度九月の初めにジェーン台風がございまして、いろいろ生産計画その他に多少の齟齬が出ておりまして、そういう面もあり、それからもう一つ米綿割当というような問題がその後に起りましたので、司令部側といたしましては大体十一月の半ばに入りまして、この問題をもう一遍討議したい、こういうことを声つておるわけであります。従つて十二月から内需がどれだけに殖やせるか、或いは指令通り十二月は三万七千五百梱をやれと言われるか、或いは一月からはどのくらいの数字になるかという問題につきましては現在決定をいたしておりません。併しこの増産の度合から参りますれば、少くとも十二月或いは、一月ぐらいから月五万梱くらいの内需を出して行くということは余り困難ではないと思います。そういう点で極力その数字が実現するように司令部折衝して行きたいと考えております。その場合に大体内需が毎月五万梱の数字が出て参りますれば、需給関係はどうなるかということでございますが、大体バランスがとれて来るのではないかと思われるのであります。併しこれは価格の問題にも当然関連いたして参りまして現在内需用に廻しております綿花政府手持綿花でやつておるわけでありますが、この手持綿花はいういろいろ価格がございますが、大体政府として一本の価格拂下げをするということになつております。これが今度の価格改訂におきましては約四十一セントぐらいのペースになると思います。そういつたようなものでこれは先行も少ついかも知れませんが、政府の綿を内需用に充てておりましたので、価格につきましても相当的確な計算ができておるわけであります。これが大体来年の三月後になりますと、政府の綿は全然なくなるわけであります。従つてその時期におきましては、内需用の綿につきましても現在個々に買付をいたしておりますものがやはり内需に廻るということになりますので、品質にいたしましても、価格にいたしましても非常にまちまちな原料を使つて内需に出すということになりますので、その時期におきましては国内価格をどういうふうに統制するかということも問題になつて参りますし、又その頃におきましても増産計画相当進んで参りますので、大体国内における需給関係がどの程度バランスがとれるかという問題が出て参ります。私共の感じといたしましては来年の三、四月頃が綿の統制を再検討する時期ではないか。撤廃するしないの問題はむずかしい問題でございますが、現状の綿の統制をどうするかという問題を検討する時期が遅くも三、四月頃には来るのではないか、かように考えております。
  13. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) ちよつと申上げますが、通産大臣は正午に会合がありますので、正午に退席したいと言われております。荷午後は時から出席できるそうでありますから、若しも通産大臣に御質問がございましたら、午前中質問を少し早くして頂きたいと思います。速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  14. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君)速記を始ちよつ……とお諮りしますが、委員会は午後は続行いたしますかどうか、その辺をお諮りいたします。
  15. 島清

    ○島清君 やりましよう。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  16. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) それでは午後一時半から開会することにして、大臣は二時から出席されます。
  17. 境野清雄

    境野清雄君 次に今の繊維関係ですけれども、物価庁のほうへお聞きしたいのですが、一昨日かの経済新聞を見ますと、人絹の価格は三百十六円十四銭、それからスフが三百七十七円三十一銭というような生産者の販売価格をきめられまして、これの一割増しが一般製造業者価格というようなことをきめてあります。これは但書を見ますと、大阪管区の経済物価部というものできめてあめるように承わつでおりまして、物価庁とどういう関連性をとつて、この大阪経済局のほうできめておるのかどうかということを、先ず一つ承わりたいと思います。それから何か聞くところによりますと、大阪経済局の物価部というものの委員の構成は、中に相当業者が入つておるというような話も聞いておるのでありまして、その業者のほうからの話によりますと、この次の発表価格は三百五十六円乃至三百五十七円になる。それは勿論生産者販売価格の一割増しの価格でありますから、これは一割を取りました三百二十円ぐらいのものと思うのであります。けれども取りあえず今発表しております三百十六円というものよりも上るぞというようなことを大阪の大手の業者が全部言つてつておりまして、そうして御承知通り最近の人絹の出廻りというものが非常に悪い。或いは又一読には商品取引所が近く開催されるので、その前において商品は殆んど品枯れにしてしまつておるというような評もありますが、いずれにしてもこの大阪の経済局の物価部というものの価格をきめる委員のかたの構成がどんなふうになつておるか。若し今私の申上げましたように、その中に業者が入つておる。そうして業者がこういうような次に出る価格は三百五十六円乃至三百五十七円というようなものを発表つしておりまして、このことを各産地に相当話しておるようでありますから若し次の価格としてこれが現実にこのような価格が出ましたときには、その産地におきましては、一般メーカーというものは殆んど業者の言いなりになつつてしまいはしないかというような懸念が非常にあるのでありまして、まして三百十六円十四銭という価格をきめましたことも私共としては非常におかしなように解釈しておりまするし、現実にはこのようなものをきめておるにもかかわらず……三百八十円から三百九十円というふうな価格で売買されておるにもかかわらず三百十六円十四銭というものが遅ればせながら出て来ておる。まして十四銭というような下の値まで出ておりますが、実際の業界の動きはこういうものを殆んど度外現した価格になつておりますけれども、今申上げましたように経済局の物価部はどういうような委員の構成によつてこの価格をきめておるのか、お聞きしたいと思います。
  18. 渡邊喜久造

    説明員(渡邊喜久造君) スフ、人絹につきましては前から一応話してございますように、暴利取締の基準なんか作ろうということで検討しておりまして、基本的な計算の方法につきましては、政府部内で意見が一致いたしまして、その線でやつておりますが、一応の計算は大阪がやはり一番関係が多いと見ておりますので、大阪の経済局に計算はさしておりますが、別にあそこに委員会を作りまして計算をさしているといつたようなことはございません。従いまして業者のほうからいろりいろ資料を貰いまして……、そういつた意味におきまして一応業者とできるだけ無理のない計算になりますように、業者のほうからいろいろな資料を頂いておるのであります。業者との連繋はそこにございますが、一応委員会を作つてなんかはいたしておりません。又今お話のありました数字新聞に出たということは我々も承知いたしておりますが、あれは別に物価部が発表したものでもございませんし、又我々のほうで手許に持つております数字ともちよつと違うよろな数字が出ておるようでございます。
  19. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) ちよつと申上げますが、今境野委員の御質問中でありますが、岡崎官房長官が見えましたので、長官に対する御質疑は見返資金の融資に関するものと存じます。通産当局から大臣、政務次官、企業局長、中小企業庁長官等が御出席されておりまするから、一応議題を変えて融資問題について質疑に入りたいと思いますが、御了承お願いいたしたいと思います。  それでは議題を変えて、官房長官に対する御質疑がございましたなら御質疑をお願いいたしたいと思います。
  20. 島清

    ○島清君 見返資金の融資の問題につきまして、官房、長官に一、一点質疑したいのでございまするが、見返資金の融資につきましてはその見返資金の性質上相当司令部あたりの関係折衝が困難であり、十二分の御了解がなければいけないということは存じ上げておりまするが、この見返資金の融資に関しましては、事前に総司令部側からこの個々の産業に対しましてこれこれの産業に対しては如何ばかりの融資をしろというような指示とか、或いは事前の命令がなされるものであるかというような点につきまして、あらかじめお伺いしたいと思います。
  21. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 今お話通り見返資金につきましては、我が国のみならずヨーロッパの諸国におきましても、アメリカ関係当局の同意なくしては出されないということになつております。そこで各産業についてでありますが、私の承知している限りでは、あらかじめ具体的な指示等ははつきりはしないと考えております。ただこちらからいろいろ相談には無論参らまして、その時に向う側から意見が出る、その意見を参照して案を作るということは、これは自然あることであります。併し動かせないような基準つを示されるということはないとお考え願いたいと思います。
  22. 島清

    ○島清君 先般の第八国会の開会中におきまして、警察予備隊というものが新設されまして、八方五千でございますか、それは第八国会の開会中であるにかかわらずこれに要しまするところの所要の経費を、私たちは審議する機会を得なかつたのでございますが、仄聞するところによりますと、警察予備隊等に関しましても何か見返資金のほうから支出するやに承わつておりまするが、これは政府の御一存によりまして御決定になつたことであるか。それとも又関係方面のほうから指示乃至は命令というようなものがあつてなされたことであるか。その点を明らかにして頂きりたい。
  23. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 警察予備隊は七万五千でございますが、これはマツカーサー元帥の書簡によりまして司令を受けたわけであります。その書簡の中には、債務償還費を以てこれに当つべしということになつておりますので、債務償還費を当てておりますが、見返資金を当てるという話は、私はまだ何も承知しておりません。
  24. 島清

    ○島清君 巷間、見返資金の融資につきまして小滝問題が非常に喧伝をせられまして、衆議院の通産委員会におきまして自由党の代議士である田中君が、自分の委員の生命を賭しても、これが不正であるということを委員会で高言をしておるのでございまするが、私たちが仄かに聞くところによりますると、小滝に対しまするところの融資は、最初小滝炭鉱から七百万円の融資の申請があり、そうしてそれは閣議において否決された。二回目に一千五百万円かの融資が申請されましてそれについては通産省あたりが同意をしないので、附箋付きで大蔵省のほうに廻つた。ところがいつの間にか二千五百万円という、通産省で査定をした額よりも九百万円増額されまして、閣議によつて決定されたと、こういうことでございまするが、この点につきましての経緯を明確にして頂きたい。
  25. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 今お話の小滝炭鉱の問題は、実は私がまだ何ら関係してない前のことでありまして、実際自分でも承知しておりません。併しながら聞くところによりますると、大蔵省、通産省若しくは閣議において何ら妙な事態はないということでありました。但し本問題は考査委員会にも持出されておりますものですからして、その方面でいずれはつきりすることと考えております。
  26. 島清

    ○島清君 官房長官が御自分の就任前のことであつて関知しておらんとおつしやいまするので、更にこれ以上お聞きするのは礼儀を失するかとも思いまするけれども、併し私たちは考査委員会におきまするところの検察的な立場においてこの問題をお聞きしようとするのではなくして、非常に健全なる中小企業の諸君が金詰りで困つておる。この見返資金の活用を旱に慈雨を待つ思いで待望しておるにかかわらず、との見返資金の融資というものは関係方面に顔のきく者がこれを利用して、そうでない業者のほうには恩典が廻つて行かないというような、それでは日本経済の再建、健全なる再建というものは期待できないのだという憂慮の念からお聞きするのでございまするが、私がお聞きしておりまする要点と、それから考査委員会で取上げている要点とは、おのずから別なものがあるのであります。併し岡崎さんがそうおつしやるならばお聞きしませんが、その経緯は非常にこの問題を明確にするに重要なポイントをなすと私は考えまするので、あなたが就任前のこの問題に関しましても、私は、との閣議の経緯の後日資料を御提出願いたい。そうして私たちは改めて検討いたしまして、それに基ぎまして中小企業の健全化のために努力をして参りたい、こう考えております。官房長官に対する質問はこれで打切ります。
  27. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 只今お話の資料の点はよく承知いたしました。できるだけ早く、必要な資料を提供することにいたします。
  28. 島清

    ○島清君 爾余の問題は午後にいたします。
  29. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) それじや島さんの御質問は午後に引続いていたすことにいたしまして、外に御質疑ございましたら御発言を願いたいと思います。
  30. 境野清雄

    境野清雄君 先ほどの物価庁への質問を継続したいと思うのでありますけれども、そうしますと物価庁官体としまして現在のところこの繊維、いわゆる人絹糸或いはスフというものに対する価格というようなものに関しては、現在どういうようなお考えを持つておるのか、或いは又そういうものによつて価格を一定させるという線に対しての、物価庁としての人絹なり或いはスフなりというような価格はどういうふうにお考えになつておるか、その点を御説明願いたいと思います。
  31. 渡邊喜久造

    説明員(渡邊喜久造君) 物価庁といたしましては別にスフ、人絹のように現在公定価格を決めておりませんものにつきまして価格を特に一定させるというようなことを考えてはおりませんが、余りにそれが高くなるという場合におきましては、それはやはり物価統制令にございます暴利不当高価といつたような観点からいたしまして、これを自粛させると言いますか、まあ取締りの面から言えばこれを取締るという点は必要であると考えます。従いましてそれにつきましてはやはり一定の基準が必要であろうということに考えまして、関係の各省といろいろ寄りいろ協議いたしまして、結局決まりました線は、とにかく輸出価格基準にしよう。でその際におきまりしても人絹のようなものにおきましては糸の輸出というものは割合に少うございまして、織物の輸出がむしろ相当量を占めているという特殊の性質も考えまして、織物のほうから換算した糸の値段、それから糸でそのまま輸出される値段、この両者を見合いまして、まあその高いほうのところの線で以て取締をしよう。でその場合そういうふうに一応のまあ基準政府の部内で意見が一致しまして、その具体的な数字の点につきましては、先ほども申しましたように取引の中心が大阪にございますので、大阪の経済局にときどき調べさせまして、その調べた実績に基きましてこれを実行して行こうと、かように考えております。
  32. 境野清雄

    境野清雄君 今の価格の面はよく分つたのでありますけれども、大体この人絹糸なり、スフなりというものは今の物価庁お話ですと非常に高騰すれば又これは暴利取締令の面でやらなくちやならんというようなお話もありますが、六月の朝鮮動乱が起りました後におきまして、御承知通り人絹糸が約四万円を突破するというような時期にその勧告価格或いは思惑買等により、或いは暴利取締というようなもので、綿、人絹、スフというようなものに対しましても相当物価庁のほうとしてはいろいろな議論も出、又これは相当経済界に対しましてもいろいろな手を打たれたのでありますけれども、当時四万円を突破するというのが、最近の情勢では又四万円に近く相成つている。ましてこの中小企業、一般の企業家の方面におきましては原糸が殆んどいつも人絹会社とか或いは大問屋というような面で操作をされまして、その皺寄せをさせられるのがいつも中小企業だというような形で、ちよいと価格が上つて来ますれば品の出廻りは殆んどなくなつてしまう。そうしてその価格の作られるような価格はいわゆる今そちらでお話がありました大阪方面で作られておりまして、いつもその馬鹿を見ておりますのが中小企業というような現状になつておるのでありますから、決して価格面だけを抑えたからその価格によつてどうこうというのではなく、いわゆる根本的な問題はこれを思惑と言いますか、或いはその他の面で傑作をする方法がありますので、物価庁として価格面だけでなく日本経済の再建或いは又絹、人絹というような織物の輸出というようなものに重点を置きますならばこの根本的な問題を物価庁のほうとしてもお考えを願つて、これに手を打つて頂かないことにはいつまで経ちましても操作というものはなかなか絶えないのではないかというように考えますので、ひとり物価の、いわゆる価格の面だけでなく、そういう面に対しても何かお考えを持つておられるかどうか承わりたいと思います。
  33. 渡邊喜久造

    説明員(渡邊喜久造君) お話のように価格というものが單に価格だけで追い廻しておりまして問題の片附くものでないということは我々も全然同感であります。併しお答えいたしますと、やはり私のほうの責任関係価格でありますものですから、価格の面だけで以て価格の面からいろいろやつておりますことをお答えするということに自然になりますが、どうしましても更に一歩進んで、もつと基本の問題から問題を片附けて行かなければなちんということは我々も常々考えているところでありまして、その面におきましては通産省特に繊維局の人達とも十分連絡をとりましていろいろ検討しているわけでありますが、まあ価格の面といたしましては現在公定価格というものをこの際再現するというのも、これも先ほど言いましたように価格の面だけで抑え切れない問題でありますが故に余り適切な手とも思つておりませんし、従いましてより基本的な問題、例えば原料の関係でありますとか、そういう面とか、いろんな生産を先ず殖やすとか、需給関係をその面から何とか調節するといつたような点についての努力につきまして我々も及ばずながらいろいろ進言して、意見を述べているわけでありまして、その面から更に問題を基本的に片附けたい。ただ価格の面としましては先ほどから申上げているような手を打ちまして全体不十分ではありますが、先ず一つの手を打つべきじやないかと、かように考えて仕事をしているわけであります。
  34. 境野清雄

    境野清雄君 次に繊維局長さんに又お伺いしたいのでありますけれども、大体先般毛糸の産地或いはその他の地を視察して見たのでありますけれども、毛糸自体におきましては、毛糸と言いますか、羊毛関係のものにおきましては、いわゆる紡績会社のほうの面は大体戦前に比較して七〇%ぐらいの復元をしておる。併しこれを織ります企業つのほうの面におきましては一〇〇%からの復元をしておるというような関係から行きましていわゆるこの原糸の出廻りと言いますか、そういうような面がどうしてもアンバランスになつておる。そこで大きい紡績会社との賃織系統のものは現状を非常に謳歌しておりますが、自力でやつて行こうという方は今のアンバランスの関係上原糸がどうしても入らないので再統制を願いたいというような意見が相当ある。これは同じように綿におきましても紡績会社は比較的大工場ばかりでありまして、これを使つておるいわゆる最終の商品としてやるほうの工業、言い換えますと織物だとか、メリヤス、漁網等の方面におきましては、これは紡績に対する反感もありまして、いわゆる切符裏付がないというようなことに関して再統制をして貰いたいというような意見が大変あるのでありまして、これは私共といたしましては今の毛にいたしましても、紡績にいたしましても再統制というような議論の出ますことは、日本経済の再建上非常に大きい問題じやないか、又現象としては、私共としては悲しむべき現象じやないかと思つておりますけれども、政府自体といたしましてこういうような大企業と中小企業との摩擦に関してはどんなふうに調整して行こうかということをお考えになつておるかどうか。いわゆる日本の産業構造というのか、又は国民経済構造と言うか、そういう見地から調整して行く方法が確かにあるというふうに思うのでありまして、こういうものに関しまして一つどんなようなお考えを持つておられるか。是非とも繊維局長並びに中小企業庁長官から一つこれに対する御意見を承わりたいと思います。
  35. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 綿につきましては現在綿糸の配給統制を実行中でございまして、この割当てられました綿糸が現物化するかしないかという問題でございますが、毛の問題につきましては現に統制が全然ございませんので、毛糸の配給統制をもう一遍やつてくれという声も実はないことはないのであります。綿につきまして最初に御説明を申上げますと、先ほどいろいろ事情を申上げましたように、綿糸につきましては、基本の方策といたしましては、できるだけこれを増産いたしまして、そうしてその増産の実現ができました暁におきましては、綿糸生産する側、これを需要する側、その間にバランスのとれて行くような方法に持つて行きたいというふうに考えておりますし、又その間過渡的に割当てられました数字が現物化しないという問題がございますが、これは現在のところ非常に取引の実態がいろいろになつておりまして、細かく説明を申上げるまでもないのでございますが、いろいろな取引の方法がございまして結局金拂いの問題なり、或いはでき上りました製品と原糸の割当とからみ合せるというような問題なり、いろいろなことがございまして、極めて零細な画につきましては現物化をしない点が相当つたのであります。特に今年の初めにおきましては輸出相当伸びましたために、国内用割当てられました原糸の裏付が不足するということがございまして、相当時期が遅れ遅れになりまして、空切符が残つたということもあつたのでございます。実は綿につきましては、七月以来内需用の確保の問題につきまして相当力を入れまして、先ほども御説明を申上げましたが、三万七千五百梱という数字が八月以降は内需の総量になつておるのでございますが、八月、九月、実はいずれもこの数字を超過いたしまして出荷をされたような事実になつてつておりますし、又特に小幅、その他の産地につきましての極く少量のものにつきましての現物化は、特別に一定の保留というわけではございませんが、現物を留保さして置きまして、それを廻すというようなこともやつて来て参つておるわけでございまして、逐次改善はされて来ていると思います。毛の問題につきましては、実は賃織り形態はまだ十分に拡がつてはいないのでございますが、何と申しましても紡績と機の不釣合の問題はこれはございまして、特に御承知かと思いますが、昨年の初めぐらいにおきましては、織機の登録の問題は厳重に統制されておつたのでございますが、そのとき正式の許可を受けずに設置いたしました機が、毛の関係におきましても相当多量にあつたのでございます。その機が現在におきましては、いつまでもこれをいわゆる闇織機として置くわけにも参りませんので、これを輸出條件なりその他の條件をつけまして正式に許可をするというふうなことで措置をいたして参つておりますので、中には極めて如何わしい織機につきましても登録になつているものもあるわけでございまして、従つてその間におきまして機屋の間の競争というものが非常に激しい、特に昨年から羊毛相当多量輸入されまして、それまでは殆んどステープル・ラァイバーと言つてもよいものでございましたが、逐次良質のものができて参るようになりましてから、相当競争が激しくなつて来ているのでありますが、その場合に紡績が一貫して使つてしまう糸の量と、市販いたしまして機屋その他に廻します糸の量というものが、どうしてもやはり民間のほうに余計に行き勝ちであるというような問題もございまして、現在統制はいたしておりませんけれども、実質的には紡績の自家消費の分と繰糸の分との割合を決めまして、これを確実に出荷するようにということの指示をいたしております。その出荷の実績の悪いような場合におきましては、輸入為替資金割当の問題等におきましてこれを考慮するということにいたしまして、できるだけ機屋に原糸の廻るようにいたしているのでありますが、その場合に現在協同組合というものが大体できておりますので、この協同組合に対してこのぐらいという枠をやりまして、そうして協同組合の中におきましては自治的にお互いの枠を決め合いまして品物を引取るというようなことをやつておるのであります。ただ統制がございませんので、価格の問題或いは支拂條件の問題等がございますので、すべての機屋が全部公平に物をとつておるということにもなかなか参りませんし、又中にはできましたものを、何と申しますか、非常に不当な売り方をしておるという面もあるようでございまして、これらは逐次協同組合組織によりまして紡績との対抗の問題につきまして改善をして参りたい、現在でも備州方面の機屋ではこれから組合でまとめて原糸を買おうという方向で進めておるようでございますが、何分にも資金の問題その他相当金高なものでございますから、まだ実効が挙つておらないという状況にあるわけであります。中小企業の問題につきましては企業庁の長官から一つ……。
  36. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 只今お話ありました点でございますが、非常にむずかしい問題でありましてはつきりこうしたほうがいいという案はなかなか立ちにくいと思うのでありますが、御承知通り資材の統制をやつておる場合におきましては、その統制とからみ合せまして何か或る程度の目的は達し得ると思いますが、それが統制が外れておりますと、自由な流通形態になつておりますと、非常にむずかしいと思うのであります。繊維関係或いは一部の金属或いは機械というふうな産業分野におきましては、今お尋ねのような点が大分出て来ておるように実は考えておるのであります。そういうふうな分野におきまする一つの特徴は、いわゆる原素材、第一次製品の素材の生産量と、いわゆるそれを使用する二次三次の工場数との間におきますアンバランスの問題が一つと、大きな第一次製品を作る所におきます自家消費の問題、この二つの面から問題は非常にれずかしい問題になつておるのであります。供給が十分にありますれば問題はございませんが、供給がそういうふうな少いときに、そこに今の二つの問題がからみ合いまして、ともすれば中小企業のほうに流れにくいという事実を来しておるようであります。この問題を解決する一つの方法といたしましては、中小企業の設備その他に対しまする一つの改善と申しまするか、近代化を図つて行く、そうすると同時に、組合組織を強化して物の流れの間に線をつけて行き、その裏打として中小企業金融の活用を図つて行くというふうな線が常識的に考えられるのでありまするが、それだけで解決するとは考えません。尚基本的に産業構造におきまする設備のアンバランスの問題をどう考えて行くかというふうな大きな問題に当ると思うのであります。私共といたしましては、差当りの問題として、できるだけ商品の流れをよくして行く途をつけて行く方向から持つて行きたいとは考えておりまするが、問題が現在の経済態勢におきまする基本的な問題の一つに触れるようでありますから、十分に研究いたすことにいたしたいと考えます。
  37. 境野清雄

    境野清雄君 今の問題に関連しまして政務次官にお伺いしたいのでありますけれども、今私の申しました特に綿と、これを最終商品とするところの工業、いわゆる各織物だとかメリヤスだとかというふうに一番関係の深いものにゴムもあると私は思うのでありまして、いわゆるゴムの工業というようなものは紡績会社からの綿の出廻りが少いために相当ゴム工業一般が悲鳴をあげておるというようなことは前々から私共再度聞いておるのでありますが、そういうような問題に関しましていわゆる通産省として調整というものはどういうふうに考えておるか、勿論調整をしないことには、今繊維局長なり中小企業長官からお話のありましたように、いつも皺寄せが中小企業にされておる。そういうような結果に相成りますることと、それから日本経済総体が再建するという上に大きな癌になると思うのでありまして、こういう点に関して一つ通産省自体としてこういうものの調整をどういう面からやつて行きたいと思つておるか。又これを相当検討しておるかどうかという点に対して御質問したいと思います。
  38. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) お答えいたします。只今境野委員区の御質問通り、中小工業に対するところの原糸の出廻りと言いますか、買付けが非常に困難な事情になつておるのであります。大体この問題は、今年の七月に統制を撤廃するかしないかということは、繊維でありますが、相当問題となつたことはあるのでありまして、一部においては統制を撤廃して貰いたいという強い要請もあつたのであります。併しながらその当時における綿糸の全般的需給関係から考えた場合、これを撤廃いたりしますると恐らくメリヤスを初めといたしましていわゆる生産資材それらの獲得が困難になつて参りはせんかというような考え方から、先ほど繊維局長も詳細に報告いたしましたが、いま少し内地向けの原糸が潤沢になるまで統制せなければ恐らく困難であろうということから、実は統制の持続は関係筋の御意向もありましたけれども、大体内地生産資材を確保するということが一番大きな原因となつて実は統制を持続することにいたしたのであります。ところで統制をやるということに決定いたしました以上は、これまでにおける獲得の困難な中小工業に対しましてできる限り割立てられた切符数量が全部、而もマル公で渡るようなシステムを実行しなければ相成らんということで、それにはどうしても昨年春までやつておりました切符制、機屋に対するところの生産指令、或いはメーカーに対しましてはそれの引取りの指令というような嚴重な切符制を励行する以外には方法はないのであります。そこで一応そういう企画もいたしまして、そうしてこれら中小工業向けの獲得を容易ならしむるという方法を考えたのでありまするが、御承知通りすべてが統制撤廃の段階に来ておる。もう何もかにも統制が撤廃された。又近く撤廃するのだというような気分が非常に濃厚になつておりまするこの社会情勢の際に、この繊維のみを逆行いたしまして、そうしてこの分だけを強硬に統制をやるということ自体が実際問題として相当困難ではないかというようなことから、実は只今申上げたような切符制の復活は一応延期いたしておるのでありますが、一面におきましてできるだけ増産をする、そうしてこの統制撤廃の期間を早くいたしたいりという考え方から、紡績の増錘、或いは小紡績に対するところの原綿の配給であるとか等寸々いたしまして、実は内地向けの少しでも緩和するような方法をとつておるのであります。ただ併し現在のところ三万七千五百梱に限定されておりまするから目下のところは尚非常に窮屈であります。従つでこれを仮に明年三月に統制を撤廃する時期ありといたしましても、このまま放任するということは非常にこれら中小工業の立場から考えて経営上にも相当無理が参りますので、極く最近に配給いたしまする三四半期におきましては、できる限り技術的に可能な範囲の商品を取上げまして、それらを一応は別枠にして、そうして原糸の割当をしようかという実は考え方を持つて現在繊維局のほうで事務的な進行をやつておるのであります。かくいたしましてそれらの問題が解決いたしますれば、一応中小機屋のほうも割当てた原糸の獲得だけははつきりできることに相成つておるのじやないかというふうな考え方を持つております。同時に又紡績切符を提示しましてもなかなか原糸を渡さないということもこれ又事実であります。御承知通り、糸屋と紡績関係は頗るどうも不透明と申上げては語弊であるかも知れませんが、紡績の糸は殆んど全部と申上げていいほど実は糸屋を通ずる。糸屋を通じた途端に切符を持つて来ましても品物が只今ないとか、或いはいろいろな口実を設けて糸が容易に獲得できない。そこに中小機屋の一番大きな悩みがあるのでありまして、その結果事実上アップであるとか、或いは又製品とのバーターであるとか、いろいろな無理な要求が行われておるのであります。そこでどうしてもこの点をもう少し改善いたしたいというふうに考えまして、先般も紡績連合会に対しまして機屋のほうから切、符を提示したなら必ずしも糸屋を通ずる必要はないんじやないか。紡績のほうでその切符に対して即時に販売するような方法をとつて貰いたいということを強く実は勧告いたしたのであります。紡績のほうでは人員が足りないからというようなことを言うておりましたけれども、今日の紡績の立場から見て販売員を動員すること自体に経済的に影響を及ぼそうとは第三者としては到底考えられないことでありますので、是非一つこの線に進んで貰いたいということを強く勧告いたしたのであります。かたがた一方におけるところの増産の進行と、一方における只今申上げましたような処理によつて今後は従来とは余ほど変つた状態が展開されて来はせぬかと、かように考えておるのであります。
  39. 境野清雄

    境野清雄君 中小企業庁の長官に簡單に二点ばかり伺いたいと思うのでありますけれども、繊維の質問はそれで私は打切ろうと思うのであります。大体中小企業の信用保険制度はその後どうなつておるか。私共が前の国会で聞いておりますところによりますと、中小企業の信用保険制度は通常国会には提案するというような模様に聞いておつたのでありますけれども、その後中小企業庁としてどんなような経過をとつておるか。これに対して簡単に御説明願いたい。  又中小企業に対して見返資金が従来は月一億というようなものでありましたものが、近く三億に増額されるというような話を聞いておるのでありますけれども、若し三億に増額された場合にこれはどういうような形態になるか。言い換えますならば市中銀行というものに対しまして従来のように一対一の割合でやるものやら、或いは市中銀行自体が希望しておりまする通り、見返資金二に対して市中銀行が一と、こういうような形態でこれを放出して一般に貸付するのかどうか。例えば従来のままで三億円を放出しまして、それに対しまして市中銀行が三億という六億の放出なら今までと何ら変りなくて、市中銀行としては中小企業に金はフリーなら出さないんじやなかろうか。たまたま三億というものを出しまして、そのものに対して市中銀行が一億五千というような形で四億五千の放出をしますなら、市中銀行も相当乗気になると思うのでありますけれども、従来市中銀行が捗々しくやらなかつたということはいつも市中銀行のものと見返資金とが一対一ということに相当非難があつたやに考えておるのでありまして、こういう点に対して中小企業庁として只今の信用保険制度並びに見返資金の増額というものに対してどんな考えを持つておるか承わりたいと思います。
  40. 小笠公韶

    説明員(小笠公韶君) 中小企業の信用保険の問題につきましては準備を進めて参りまして、次の臨時国会にできれば提案したい、こういう方向で進めております。出資金といたしましても二十五年度の補正予算は一応五億円というものを第一回出資として予定いたしておるような事情でありまして、次の臨時国会に提案して一月からでも実施して行きたい、こういう方向で進めている、こういうわけであります。で問題は御承知通り司令部との話合いの問題で、特に二十五年度の予算の御審議の問題もあるようですから、それに関連しておるのでありまするが、事務的にはそういう方向で進めておるのであります。それから第二点の問題につきましては、中小企業に対する見返資金の増額の問題は本年の三月以来できるだけ殖やして頂くという方向で進めておるわけであります。只今お話のような線に話が決つたというわけではございません。極力これを殖やして貰いたいという方向で、日本側といたしましては司令部との話合いを進めておるわけであります。御承知通り月一億現在ありまして、見返資金一億、それに対する市中銀行の協調融資が一億という形になつております。若しもこの見返資金から出す傘が増額される場合におきましては、その協調の比率という問題も、出し易い、市中銀行として比較的長期になりますので出し易い形に持つて行きたいと存じておりますが、何と申しましても先ほど申上げましたようにまだ交渉というか、お願いの過程にあるのでありましてはつきりそういうふうな細かいところまで決つておらないというような状況であります、ただできるだけ早急に最近の中小企業の長期資金の不足というふうな事情に鑑みまして、一日も早く何らか少つしでも増額をお願いいたしたい、こういうような趣旨で進んでおります。
  41. 山川良一

    ○山川良一君 先般のジェーン台風で関西の綿が大分ひどい被害を受けたというように聞いておりまして、綿糸生産相当影響があるじやないかというふうに思つておりましたが、最近では大したこともなさそうな噂も聞いておりますが、実情はどうでしようか。綿糸生産に影響はないということで済んでおりますか。
  42. 近藤止文

    説明員近藤止文君) 先般のジェーン台風で、神戸、大阪等にありました綿で濡損をいたしましたものが約一万二千俵ばかりございました。ところがその後これを整理いたしまして紡績に使い得るものはどんどんこれを紡績に廻すということにいたしまして最終にはどうしてもいわゆる損傷綿として処理いたさなければならんものは約四千俵ということになつたのでありますが、その四千俵のうちどうしても紡績に使えないというほどひどく傷みましたものは千二百俵でありまして、その他のものは全部紡績のほうで使い得るということになりまして、結論的には今回の台風によりまして紡績に使えない綿というものは千二百俵だけに実はなりましたわけであります。従いまして紡績をいたします場合に殆んど影響がないというようなことになつております。以上お答えいたします。
  43. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) それでは境野君の政府に対する御質疑はこれでよろしうございますか。
  44. 境野清雄

    境野清雄君 よろしうございます。
  45. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) 午前の通産委員会はこれで閉会いたします。引続いて午後二時半から開会することにいたします。    午後零時二十五分休憩    ―――――・―――――    午後二時十五分開会
  46. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) 午前に引続きまして通産委員会只今から開会いたします。  午前中に企業に対する見返資金融資に関する点につきましては、中小企業に対しては一応まあ済んだわけになつておりまするが、それから官房長官への御質問に対しても一応調書を出すことになつたように思われます。尚併しこの見返資金に対してはまだ質問が残つておると思いますので、午前に引続きまして通産大臣その外見返資金に対する御質問がございましたら御発言をお願いいたします。
  47. 島清

    ○島清君 見返資金のこの活用について、通産当局にお聴きしたいのでございまするが、これをお聴きいたしますると衆議院のほうで小滝問題を大きく扱つておりまする関係上、従いましてそれと関連をいたしまして小滝問題にも触れるかと思います。併しながら質問の要点は小滝問題を取上げまして検察的な立場におきまして通産当局にお聴きするのではなくして、どこまでもこの見返資金というものは言われておりまする通りアメリカの国民の我々日本に対しまする心からなるプレゼントでございまして、それが果して言われておりまする通りいささかの疑惑もあつてはいけないし、又疑惑を持たれておりまする融資の仕方をしておりますのでは私共通産委員会といたしましても責任がございまするので、そういう意味において小滝問題に触れるのでございまするからして、検察的な立場に立つて野党だからというので糾彈的な質問でないということを予め当局に御了承願いたいと思いまするが、先ず真つ先に先刻の中小企業長官の答弁の中に中小企業に対しまするところの見返資金の枠というものは僅かに一億しかないと、こういうような答弁があつたようでございましたが、中小企業の事業の行詰りにつきましては、第八国会におきましても私は緊急質問をいたしまして見返資金の活用、並びに預金部資金の活用等について政府の所信を質したのでございまするが、幸いにいたしまして、日本経済政策といいますか、この予算といいまするか、そういつたような大まかなことを指導をされましたドツジさんが来朝されたのでございまするが、この機会におきまして通産当局は国内の世論を反映されましてこのドツジさんに対しましてもつと見返資金の中小企業に対しまする枠の拡大、こういう面につきまして折衝し、努力されたことがありますかどうか、先ず真つ先にこの点からお聴きしたいと思います。
  48. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 只今の島さんの御質問にお答えいたします。  先日ドツジさんにお会い申しました。そうして大体新聞にも項目だけは書いてあつたと思います。主に産業の合理化をやつて行きます上においていろいろのことを申上げ、且つ又これに対しては資金相当に要るので、これに見返資金を増額をして貰いたいということ、その他企業の利子負担を軽減して貰いたい。運転資金の確保、殊に貿易金融の円滑化ということ、その中にはプラント輸出というようなこともございますが、重要原材料の確保と政府貿易の存続の必要性、こういうようなことを挙げまして一時間ばかり向うでお話をしたのであります。これに対する向うの御回答がありましたが、固く禁ぜられておりますので、そのことを申上げることができないのは遺憾でありますが、併しこれだけで項目を約一時間ばかりでは何と申しましても、本当の我々の言わんとするところが盡せないので、再び機会を與えて貰いたいということを申上げたのでありますが、非常にせわしいので、そのようにできんというような話でござ庫ました。併し、その下に来ておられるリード博士に、次官とそうして通商監が最近のうちに行きまして、我々が言わんとするところのものを大体章を逐つて決めておりますので、その方向を詳しく説明して再考をお願いしたい。こういう考えであります。で、現在の段階におきまして、参りましての談話の一端漏らすことができないということは甚だ遺憾であります。その点悪しからず御了承願いたいと思います。
  49. 島清

    ○島清君 私は質問に入ります前提といたしまして、先刻中小企業長官から一億の枠という話がございましたので、この中小企業の面からいたしまするところの見返資金の融資につきまして、お聞きしたいのでございまするが、産業全般に対しまする私企業に対する見返資金の融資、これにつきましてはこれは産業界あたりからも強く要望されておりまするので、例えば、一昨日でございましようか。日本経済新聞の発表するところによりますると、見返資金の余裕が六百何十億でございましようか、あるように伝えられておるのであります。今日非常に金詰りということが言われておるのでございまするが、私達は今日の金詰りというものの條件になつており、要素になつておりますることは、こういつたような見返資金がそのままに留保されておるところにあるかと思うのであります。これは併し一般の財政経済政策になりまするので、この問題には私は触れません。併せて私産業、私企業に対しまするところの見返資金の活用の中の枠をもつと大幅にお取りになるということについても、併せて御努力されたかどうか。その枠がどの程度において了解を得られたかということにつきましての御発表になることの時期でないといたしますならば、その額まで私はお聞きしたいとは思つておりませんが、少くともそれに対しまするところの見通しというような問題について、一応御見解をお漏らし願いたいと思います。
  50. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 中小企業長官が一億と申上げた。これは現在の一億でございますが、併し、これを大蔵大臣も或る程度の引上げをするということを言つてくれておりますので、その額は申上げられませんけれども、或いはそれよりも幾らか増すということに御了承願いたいと思います。
  51. 島清

    ○島清君 中小企業に対しまする僅か一億の枠しかないものに対しまして小滝炭鉱に対してはこの中小企業の枠から二千五百万円の融資をしたように伝えられておるのでありまするが、しかしさようであるかどうかをちよつとお漏らし願いたいと思います。
  52. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) その小滝炭鉱のものは一億の枠の外でございます。普通の炭鉱業に対する融資枠のうちから出す。今中小企業長官が言つた一億のうちではないのです。
  53. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  54. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて……。
  55. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 中小企業の枠が現在一億になつておりまするが、これは炭鉱とは限つていないのでありまして、一般の中小工業者に対する融資であります。これを近く相当枠を拡大して貰いたいということを現在強く要望いたしておるのでありまして、近く若干の枠が拡大するであろうということを期待しでいるわけであります。只今の小滝炭鉱の問題でありまするが、これは石炭用といたしまして、本年度は二十二億円の実は見返資金の枠ができておるのであります。このうちに小滝炭鉱のは含まれておるのでありまして、一般中小企業の枠とは全然関係がない別個の枠であります。
  56. 島清

    ○島清君 そういたしますと何でございますか、この見返資金の歳出のほうには、この四つの項目がございまして、公企業費と私企業費と債務償還費、経済再建費ということになつておりまするが、この中小企業とか或いは石炭に出されるというような枠というものは、私企業の中から或いは石炭用とか或いは又中小企業用とかこういう工合に幾多の枠があるわけでございますか。
  57. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) その通りでありまして、大体各産業別に内容は分れておるということになつておるのであります。
  58. 島清

    ○島清君 そういたしますと何でございますか、炭鉱のほうが中小企業でございましても、これは中小企業の枠じやなくて、石炭用の枠として出るわけでございますね。
  59. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) さようでありまして、一応石炭枠といたしまして、先ほど申上げましたごとく、二十二億という枠を作りまして、その中から中小炭鉱用として八千万円を割愛してそうして中小炭鉱にそれを融資するということになつております。
  60. 西田隆男

    ○西田隆男君 今島君の質問された質問の要点は、島君は中小企業に対する見返資金一億の中から云々と言われておつたのですが、そうではなくて、島君の知りたいことは、二十二億の炭鉱融資の中に、俗にいう大手筋と言われる炭鉱に幾ら見返資金が引出されておるか。或いは中小炭鉱、中の炭鉱、これに幾らの見返資金が引当てられておるか。或いは小滝炭鉱のようないわゆる小の炭鉱に見返資金の引当は幾らになつておるかということを島君は恐らく聞きたいのだろうと私は考えておりますが、そういう意味合において一つ政務次官からお答え頂きたい。
  61. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 石炭の枠が、総枠が二十二億になつておりますことは先ほど申上げた通りでありまするが、そのうちから中小炭鉱として八千万円を取つてありまして、茂りはいわゆる大炭鉱と申しますか、その他の炭鉱ということになると思うのであります。従つて小炭鉱が幾ら、中炭鉱が幾らというような区別はしていないのでありますが、つまりこの二十二億のうちから八千万円を差引いた残りを出しまして、山の状態を仔細に検討いたしまして、それぞれ適当な融資をやつてやるという方法をとつておるのであります。
  62. 西田隆男

    ○西田隆男君 政務次官の今の御説明は、二十二億のうち八千万円は俗に言う中小炭鉱向けの見返資金の放出の額になつておるということですか。
  63. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) そうです。
  64. 西田隆男

    ○西田隆男君 それでお尋ねしますが、八千万円の見返資金を中小以下の炭鉱に出すどいうことになつて、その後中小炭鉱方面から見返資金に対する要望はどれだけの額があつたかをお知らせ願いたい。
  65. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 詳細な数字只今炭政局長がこちらへ参りますので、炭政局長から詳細に申上げたほうがいいと思います。暫くお待ち願いたいと思います。
  66. 西田隆男

    ○西田隆男君 もう一つお尋ねしますが、日本における中小炭鉱の出炭総量は約七百万トン以上と言われております。その七百万トン以上の出炭をやつておる中小炭鉱に対して僅か八千万円程度しか見返資金の引当を政府のほうで組んでおられないということは、通産当局としては日本全体の中小炭鉱というものの存在価値をそれほど軽視されておるのかどうか。而もその僅か八千万円の見返資金のうちから、我々の目から見れば炭鉱とは言い難い程度の炭鉱である小滝炭鉱に対して二千数百万円も出されておるという点に我々は疑惑を持つておるし、国民大衆も疑惑の念を持つておる。この点に対して通産当局として何か御弁解の余地があるというなら御弁解を承わりたい。
  67. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 今西田委員のお問いに対して正確なことを私申上げかねることを遺憾に存じます。今係官が来ますからそれまでお待ちを願いたいと思います。
  68. 西田隆男

    ○西田隆男君 通産大臣から今この席で答弁しかねるということですから、強いてこの席の答弁は求めませんが、苟くも通産当局としては、日本の石炭の産出のうち七百万トン以上の産出をやつておる炭鉱、炭鉱の数からいつたら恐らく数目にも上るというこの中小炭鉱、そのものに僅か八千万円の引当を要請して置きながら、一方に二分の一にも上る二千六百万円の金を入れたということは、他の炭鉱に殆んど見返資金というものの貸付が不可能な状態に追込むという結果をもたらしておる。而も中小炭鉱は現在大炭鉱と比較して金融の面に非常に困つておるということはよく御承知だろうと思うのですが、この問題は敢えてこの席で追及はいたしませんが、せめてこれから先の中小炭鉱の金融、二十六年度に見返資金が若しあるとするならば、その見返資金の放出に関しては中小炭鉱に対してこんな雀の涙ほどの金額でなく寸もつと本当に有効に使えるような額を御決定願うことを私は重ねて通産大臣にお願いして置きまして、私の質問は今日はこれで取りやめて置きます。
  69. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 今の西田さんのお話はよく承つて置きます。今後に対しましては今の御期待に副うように勘案をして行きたいと考えております。
  70. 島清

    ○島清君 徐ろに西田君がお尋ねになつたような線で参りたいと思つておりましたが、幸いに西田君が聞いてくれましたので、そこで私は小滝炭鉱に対しまする政府当局の扱い方が大蔵省と通産省とは大変に答弁が違う。そこで先刻官房長官を呼びまして、閣議決定の経緯につきまするところの資料の提出方を要求しましたが、先刻もお話申上げたように最初七百万の融資の申請があつて、それは駄目になり、更に二回目は二千五百万の融資の、再申請があらてそれに対しては通産当局といたしましては償還能力はないものとして附箋付きで大蔵省のほうに回付することと相成つたのであります。で大蔵省といたしましては更に通産当局が査定して附箋付きで回付したものに対して九百万円の水増しをやつてこれを閣議を通過させたと、こういうことでございますが、この問題に関しまして、通産当局の関係を各部分について御答弁を煩わしたいと思います。
  71. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 小滝炭鉱融資が通産省の申請額よりも実際に査定された額が金額面が多いという間の経緯についての御質問でございますが、実はこの小滝炭鉱に対しまして昨年二千五百万円の要請がありまして、当時通産省といたしましても二千五百万円の申請を大蔵省のほうに出したわけであります。然るに昨年の融資が全体の枠が極めて狭められておりましたので、小滝炭鉱に対しましては一つも融資が実はできなかつたのであります。そこで通産省といたしましては一応小滝炭鉱の昨年における融資は打切られたと実はかように考えておつたわけであります。本年になりまして再び小滝炭鉱のほうから要請がありまして、そこで省内でいろいろ検討いたしました結果、大体千六百万円程度が最高ではないかというような考え方を実は持つてつたわけであります。然るにその間にこれはひとり小滝炭鉱のみならず他の中小炭鉱に対するいろいろの折衝が通産省と大蔵省との間に行われたのであります。そうしてその折衝がまだ終了しない間に、実は小滝炭鉱のものが取上げられまして閣議決定となつたということになつたのでありましてこの通産省の書類が大蔵省のほうに廻わつたそのときにはすでに二千五百万円の閣議決定が終了しておつたというようなことになつたのでありまして、時間的に相当食い違いがあつたということがこの問題に疑惑を持たれた一番大きな原因かと考えておるのであります。これと同時に通産省の考え方と大蔵省の考え方に若干の食い違いがあつたということも一つの原因になつておるのであります。通産省といたしましては、先ほども御意見がありました通りに、中小炭鉱に、沢山な鉱山に、沢山な金融をいたしたい、枠を拡めたいということで今日まで大蔵省との間にしばしば折衝を行い、同時に通産省といたしましては、この枠の拡大に対しては強い要請を続けて参つたのであります。従つてかような事態の場合に小滝炭鉱に対しましても非常に沢山の融資ができたということでありまするならば、通産省としては非常に結構なことだ、これを拒否する理由は何にもないというような考え方を持つてつたわけであります。ただ問題はこちらの通産省といたしましては、本年の申請であるから新しく本年度として申請をいたしたいというふうな考え方を持つてつたのでありまするが、大蔵省のほうでその前に昨年の継続である、大蔵省のほうでは昨年来のこれは保留である、そこでそれを本年に生かした、こういうような考え方をとつたらしいのでありまするが、昨年出ておつたところの書類をそのまま本年取上げたということになつたことが行き違いの大きな原因になつたわけであります。
  72. 島清

    ○島清君 只今政務次官のお答えの中に、去年の分は申請があつてちよつと調査に間に合わなくて今年になつて再び又申請が出された、こういうことでございまするが、去年出されました要求の申請額というものは伝えられておりまする道りの七百万円でございましようか。それとも又二回目、今年になつて出されたものと同額でございましようか。
  73. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 昨年申請してありましたのが二千五百万円でございます。本年通産省の一応構想を持つたのが千六百万円ということになつております。
  74. 島清

    ○島清君 通産省が査定をいたしましたその経緯については、巷間非常な噂が飛んでおりまするが、或いはもつと権威筋のほうからどうしても小滝のほうには出してやれとか、或いは又大蔵省あたりから、若しこれを認めてくれない場合にはこれから君達の申請するものに対しては我々は考えがあるぞというようなことを言われて、よんどころなくこれを認めてやつたんだというようなことが伝えられておりまするし、又そういう意味のことを衆議院の通産委員会におきましても、しかくそれに近いようなことを放言しておる委員もあるのでございまするが、そこら辺の真相をちよつとお漏らし願いたい。
  75. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 御質問のようなことはないと考えておるのでありまして、直接炭政局にそれに似たような話があつたということも聴いたのでありますが、炭政局の返答はそういうことは全然ないという回答を得ておるのであります。
  76. 島清

    ○島清君 只今政務次官が言われたようなことで、お聴きいたしまして、それでなければいけないと思いまするから、それでは小滝炭鉱は、何か大蔵省の見返資金課長でございましようか、大島君の答弁したところによりますると、復金からも二千五百万円出ておる、こういうことなんでございまするが、併しながら田中君あたり、衆議院の自由党の所属の代議士で田中君あたりは、小滝炭鉱の財産というものは、施設は精々三百五、六十万円程度だ、こういうことを言つておるのでありまするが、復金の金を二千五百万円も借りておりながら、数年後何ら施設をしない、精々そこの地上物というものは三百数十万円の価値しかないというような炭鉱に対しまして通産省といたしまして、一千六百万円融資してよろしいというような確信はどこから出られたかどうか、ここら辺について伺いたい。  もう一点、小滝炭鉱は強粘結炭とかいうような宣伝を炭鉱王はやつているようでございまするが、実際は石炭の部類にも入らんで、草炭だとかいう話でございます。むしろ亜炭に近いような、非常に悪質な亜炭である、いい石炭じやない。田中君も、石炭というものは三紀層の中にあるのであつて、新潟のあの炭鉱には石炭はないのだというようなことを言つております。そこらと睨み合わされて、その融資の一千六百万円を決定されますところの確信について一つお漏らしを願いたい。
  77. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 小滝炭鉱に対する融資の根抵となつた一番大きな原因は、お説のように強粘結炭の存在であります。御承知通り日本内地におきましては、粘結炭の出炭というものは極めて少量でありましてその大部分を輸入に仰がなければならんというような実情に立ち到つているのであります。而も御承知のごとく最近各国の軍備拡張のためにこれらの原料の獲得が非常に困難な情勢に進展しつつあるのであります。従つて政府といたしましては、どうしてもできる限り国内で粘結炭を確保いたしたいという強い希望を持つているのであります。たまたま小滝炭鉱は粘結炭の鉱山といたしまして、灰分は他の良質の山に比較しまして或る程度高いのでありますけれども、併しながら使用いたしますれば、決してお説のような亜炭に等しいものでもない、相当使用価値ありというふうに炭政局のほうで調査した結果がはつきりいたしているのであります。従つて国内に乏しい粘結炭を少しでも多量に確保いたしたい、それにはこれを採掘する以外に手がないのでありまするが、見返資金、或いはその他の資金を放出することによつて相当量採掘できますれば、これ又鉱工業の進展その他に相当効果があるというような考え方から融資することに決定いたしたのであります。
  78. 島清

    ○島清君 どうもときどきお顔を合わす仲であつて、質疑応答を交わしながら仲良くやつている関係上、これ以上追及するのは大変に忍びないところがあるのでおりまするが、もう一点だけ政務次官にお聴きしたい。それは成るほど或いはあの山をよく知つているものは、これは石炭の部類にも入らない草炭であると言われるかも知れません。或いは又一席どこかで御馳走になつて、いい石炭であるからと言われれば、その遡り「おうむ」返しに言つてくれる人があるかも知れませんが、その価値の判断はともかくといたしまして、通産当局といたしましては、この見返資金の運用、活用につきまして、海のものともつかない、山のものともつかない、この地中の埋蔵物資に対しまして、この危険を負担して融資を斡旋するというようなこの積極的な開発意欲がその他の炭鉱にも持ち合せでございましようかどうか、その点を明らかにして頂きたい。
  79. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 小滝炭鉱の炭質はお説のように海のものとも山のものとも分らんような、極めて不安定な状態にありまするならば、恐らく融資ということは困難だと考えております。併しながら炭政局の専門技師の再三の調査によりまして相当使用価値ありという結論がはつきりいたしましたので、先ほど申上げましたような融資の対象といたしたのであります。
  80. 島清

    ○島清君 どうもこれより先は技術的な問題になりまして、えらい面倒くさくなりそうでございまするからしてこの程額で私は質問を打切りたいと思いまするが、この問題つにつきましては大蔵省の見返資金の係の人、大蔵大臣、それから閣議決定の経緯につきまするところの資料の提出方を要求しておりまするので、後日又質問をすることを保留して頂きまして、今日はここらで……。炭政局長もお見えになつていないようでございますし、先ほど西田君の質問に対しまして炭政局長から答弁させるということでありましたので、その人が見えておりませんので、後ほど又質問をいたします。
  81. 西田隆男

    ○西田隆男君 今の島君の質問に関連して……。政務次官の御答弁を承わりましたが、極めて抽象的で納得が行かんのですが、もう少し納得の行くような説明ができる御用意があるかどうか、あれば質問しますが、つなければ御用意のできるまでお待ちしたいと思いますが、政務次官の御答弁を求めます。
  82. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 私で答弁できる範囲のことは答弁したいと思います。
  83. 西田隆男

    ○西田隆男君 答弁のできない範囲のことを求めておるのではありません。答弁のできる範囲であります。今島君の質問に対しまする御答弁は極めて抽象的で納得いたしかねる。あれ以上具体的な問題について質問した場合御答弁が頂けますかどうか。
  84. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 只今島君の御質問は小滝炭鉱に対する二千六百万円の融資決定の経緯が主であつたと存ずるのであります。而もその経緯の過程において通産省と大蔵省との関係、これが主なる御質問の趣旨かと考えておるのでありまして、その点につきましては先ほど私から申上げたことが真相でありまして、外に申上げることは実はないかと考えておるのであります。
  85. 西田隆男

    ○西田隆男君 それでは政務次官に御質問いたします。政務次官が今島君の質問に対する答弁の中で、強粘結炭であるということ、灰分は多いが製鉄用に使える石炭次であるということ、この二つのことを條件として見返資金を出すようにしたという御答弁のように承わりました。然らば小滝炭鉱のこれから出ざれるであろうところの石炭は灰分を幾ら持つ石炭であるか、而もこれを製鉄用の原料に使うならばどういう用途に使うという根拠の下に融資せられたか、この二点についてお答え願いたいと思います。
  86. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 小滝炭鉱の炭鉱の石炭の炭質の調査につきましては、八幡製鉄、日本鋼管、通産省の燃料研究所等においていたしております。大体灰分のほうはコストの問題並びに価格の問題に関連いたして参りますから、灰分四〇%の場合におきまして歩留りが大体五五%程度というふうに承知いたしております。術この灰分をもう少し少くいたしますとその歩留りが以下になるわけでありますが、これらの点につきましては、只今ちよつと手許に資料を持合せておりませんので、後ほど炭政局のほうから係の者がそれを持つて参る筈でございますので、その際お答え申上げたいと思います。尚製鉄用といたしましては、コークスに使うわけであります。その方面の使用炭といたしましては一応適当であるということが、先ほど申しました各方面調査で出ております。ただ問題は灰分が多い。従いましてこの灰分を取るにつきましての少くいたしますにつきましてのコストの問題、換言いたしますと、全体としてのコストなり価格の問題になるというふうに承知いたしております。
  87. 西田隆男

    ○西田隆男君 今資源庁長官の御答弁では、灰分を四〇%、これを少くすれば歩留りが五五%以下になる。従つてこれは生産原価との関係云々という御答弁もありました。先ず第一にお尋ねしたいのは日本の製鉄原料用炭に使つている、日本内地生産されている石炭で灰分四〇%ある石炭が、製鉄原料として年間どれくらい使われているか。  もう一つは、若し灰分四〇%程度では製鉄用原料炭としての価格がそう高い価格でない、だからもう少し灰分を下げなくちやいかんというような考え方が若しあるならば、これをそれ以上に下げて小滝炭鉱の生産原価が現在の販売価格で炭鉱の経営が成り立つとお考えになつておるかどうか、この二つの点をお伺いいたしたい。
  88. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 只今国内の製鉄用原料炭といたしましては北松炭が少いのでありますが、北松炭の灰分は相当お話でございますけれども、大体におきまして四〇%以下と承知をいたしております。尚四〇%以下に選炭をいたすといたしましても、製鉄工場がそれを使えるだけの価格になるかどうかという点でございますが、この点につきましては大体一人当りどの程度の採炭が可能であるかというような点や、つまり能率の点や、技術的な諸問題がございまして、それらの点がどういうふうにうまく運転して参るかということが問題にかかつて来るように存じます。相当な技術的なふうに能率の向上につきましての努力が必要じやなかろうかというふうに存じております。
  89. 西田隆男

    ○西田隆男君 只今の御答弁では何にも分らないという結論になるのりですが、それでは見返資金を出される場合に、いろいろ事業計画、負担その他についての申請書に伴つて見返資金の申請があるのであろうと私は考えておりますが、その計画書を資源庁長官が御査定になつて見返資金を出しても、当然これは見返資金が支拂い得る能力のある山だという御認定に基いて通産省としては大蔵省に見返資金の放出方を要請されるものだと私は聞いておりますが、その申請書その他を御調査なつそうして大蔵省に申請手続をとられて見返資金の放出が決定したにも拘わらず、只今の資源庁長官のお答えでは、能率とか何とかというような極めて総括的な御答弁で、私の質問に対しての詳細を盡した御答になつてないようですが、そういう点は資源庁長官ではお分りにならないのですか、どうですか。
  90. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) どの炭鉱にどの程度の見返資金を出すかということは、勿論私共のほうでも予想いたすわけでございますが、その際通産省といたしましての役割は、石炭の生産見通し、いわゆる生産の炭質の問題、その他能率の点に対する見通し等が主でございまして、これが現実の入手対象として償還の点、償還の確保ができるかどうかというような点、或いは担保能力があるかどうかというような点につきましては、どちらかと申しますと直接の貸手でございます大蔵省が、その責任と判断に基きまして決定をいたす、こういう関係に相成つております。
  91. 西田隆男

    ○西田隆男君 御説のように貸出をする責任者の大蔵省は、形式的には最終責任であつて貸出をするということには法律的にも間違いないと思います。併しながら大蔵省自体は通産省の調査、その他の計画に基いて納得しなければ、大蔵省としては見返資金の放出は決定できないものであると私は考えております。結局大蔵省が見返資金の支拂能力があるとかないとかということを判定する材料は、少くとも資源庁のほうから通産省を通じて大蔵省に御提出になつておるものである。これは全く大蔵省は通産省と関係なくして、通産省は支拂能力なしと断定したにも拘わらず、大蔵省は見返資金の放出をするというがごときは到底考えられませんが、今の資源庁長官の御答弁では、資源庁というものは大したそういう方面の責任はないというように受取れますが、この点はどうでありますか。
  92. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 担保の点等につきましては、主として大蔵省がやるわけでございまして、コストその他のことにおきましては、これを判断いたしますような材料、つまり生産量の問題、一人当りの出炭の問題、その他生産歩留りの問題等につきまして、只今御指摘がございましたような材料を私共のほうから大蔵省に差出すわけであります。その差出しました資料の中に、この場においてはこの程度生産能率、出炭能率を挙げることが採算的にこの山が成り立つて行くについての條件であろうというふうな書き方をいたしました着料が参つておる次第でございます。
  93. 西田隆男

    ○西田隆男君 もう一つお尋ねします。然らば大蔵省にかくかくのことができるであろうということを出されたその中に、能率を幾らに見られ、一ヶ月の出炭童、総量をどのくらいに推定されておつたのですか、その点をお伺いいたします。
  94. 始関伊平

    説明員(始関伊平君) 大変重要な点でございまして、数字が間違いますと困りますので、資料は只今じきに参ると存じますので、その上で御答え申上げたいと存じます。
  95. 西田隆男

    ○西田隆男君 これは資源庁長官でなくて、通産大臣か政務次官でも結構と思いますが、小滝炭鉱に見返資金の融資のされる以前に、復金から二千五百万円程度の融資があつたということを私は聞いておりますが、この復金の二千五百万円の小滝炭鉱に対する融資後、果して二千五百万円の金が復金融資を求めるとき、申請されたと同じような効果を発生すべく使われておつたかどうか、この問題に対して通産省並びに資源庁としては、調査をせられたことがあるかどうか、調査をされたことがあるとすれば、そのときの小滝炭鉱の二千五百万円復金の借入金後の炭鉱の設備、その他の概要、それともう一つは二千五百万円借入れて二千五百万円を投資した後、小滝炭鉱の出炭量と、こういう点について一つ御答弁をお願いしたいのであります。
  96. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 小滝炭鉱が復金から融資を受けた金額は、二十六百万円であるそうであります。然るにこの貸出の條件内容と申しますか、いわゆる二千六百万円の使途がどういうふうになつておるかということは、一切これは大蔵省の責任でやつておることでありまして通産省といたしましては何らこれに関知していないのであります。ただ我々の関知しておりまするところは、この後における利子並びに元金の年賦償却が開始されておるにも拘わらず、未だ元金の償却は無論利子の支拂いも怠つておるということの点だけは承知いたしておるのであります。
  97. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) ちよつとお諮りいたしたのですが、この問題につきましてほ、やはり次回に大蔵省当局並びに通産所管の団長を交えて詳細審議するようにいたしたら如何でしようか。一応……。
  98. 西田隆男

    ○西田隆男君 それは異議ありませんが、今島君の御質問に対して通産省の御答弁が余りに抽象的で、余りルーズだから一つ御準備の都合もあると思つて聞いておるのですが、次に延ばしてくれということであれば次に延ばして差支はありません。
  99. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) 通産省のほうはどうですか。
  100. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 実はこのことに対して詳細調べましてから、そうしてデータを持つて参りまして御答弁さして頂くことがよいかと思いますか……。
  101. 西田隆男

    ○西田隆男君 私は異議ありません、次回で……。
  102. 山川良一

    ○山川良一君 今の見返資金には関係ありませんが、今の御答弁に多少関係がありますから一つ……それは只今小滝炭鉱は強粘結炭だというところから融資したいという方針でお許しになつたものと思いますが、実際に日本に強粘結炭が出ますのは先ほど御説明がありました北松炭だけであります。ところがこれが非常に條件が悪いので四苦八苦しております。ところが一方製鉄の補償金が相当切られたために高い石炭は鉄では買えないというのは当然の結論になりまして、この北松の強粘結炭を出す炭鉱の炭価の面から、製鉄業者が買う炭価の面から存立が危ぶまれるような話が最近起つたのであります。ですからそういう点は私は北松炭を絶対潰してはいけない。もう一つ申しますと外国から強粘結炭が常に必要なときに入るということは絶対誤まれる考え方と思いますが、その北松の、特に強粘結炭を出す炭鉱について、何か特別な考えで今後やつておいでになる考えがありますかどうか。私は特別の考慮を拂つて何とか方策を立てて上げたいと思うのです。先ず考え方、これを承わりたい。
  103. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 今の北松炭の問題はよく各方面からいろいろとお話があるのでございます。それで先般も北松の方々が山元にも亦需要地にも滞貨をしておるというお話であつたのであります。それは開らん炭その他の炭鉱の炭が安いので製鉄業者としては安いのを使つて高いものは使いたくないというような意見だという話を前に聞きましたので、私は内地の北松炭のことであればこれを使つて然る後に輸入炭を使つて貰うというようなことで、製鉄メーカにそのことを交渉いたしまして、そうして都合よく各製鉄メーカーが分配をして買つて下さるように聞いております。今後も価格の問題等につきまして、補助金ということがなかなかむずかしいように思いますので、これは一段と考究をして行かなければならんかと思います。併し差当りとしましては製鉄業者に是非これを使うように慫慂をしたいと考えてやつておるのでございます。さように御了承を願います。
  104. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) それでは先ほどからの御質疑になつておりました問題は、大蔵省当局並びに通産省所管局長がお出でになつた上で詳細御審議申上げるということにして只今山川君から御発言になりました中に鉄鋼補給金廃止に関する件がちよつと出たように思いましたからそのことに対して御質疑でございましたら御発言を願います。
  105. 島清

    ○島清君 これは私この前大臣に質問申上げて置いたので、そのときに補給金の撤廃若しくは助成金の廃止について諸方面に與えまする影響等につきまして大臣に質問を申上げたのですが、その質問に入ります前に、只今この見返資金の運用につきまして中小企業並びにその炭鉱を私企業別の通産当局の扱われましたところの申請の数、それから貸付の決定された額等についての詳細な資料をお出し願いたいと思います。それからもう一点はこの小滝炭鉱に関しまする通産当局が大蔵省に廻しましたこの資料、それの提出をお願いしたいと思います。そのとき大臣はこういうような答弁を私にされたのですが、通産当局としてはいろいろと討議を重ねて約百億円くらいなものを貰おちと立案して予算復活に臨んだが明二十六年度の予算編成は最後の段階において再要求に対する政府の持込みが至つて少くて非常な支障を来した、そこで自分はかような困難な財政と、荷その上の困難によるより、鉄鋼業における経営の合理化によつて局面を切抜けるのが至当と考え大蔵大臣の意見に賛成したのであるとおつしやつたのであります。これをもつと端的に申上げまするならば公共事業費捻出のため銑鉄助成金は屑鉄対策費は惜しみなく放棄してしまつた。こういうようなことを正直に御答弁になつたのであります。又その結果鉄鋼価格のはね上りに関連いたしまして私が質問申上げましたときに、関連産業への影響は大してないということをおつじやつて補給金をとれば或る程度値段は上がるかも知れない、併しながらそう大した影響はない。こういうようなことを御答弁に相成つたのであります。恐らく大臣は例の銑鉄助成金二十一億円を銑鉄三百万トンで割つて一トン当り七百円しか当らない、だから大した影響はない。こういうふうな少しまあ私の質問からいたしまするならばピントの外れたような御答弁であつたと思いまするが、私のこの問題に対します質問の要点は二十一億円の銑鉄助成金ではなく、銑鉄補給金が廃止される明年度の鉄鋼価格の全般の値上りと関連いたしまする産業への影響、鉄鋼価格の値上りを中心とする重要産業資材の騰貴、延いては国民経済全般に対する深刻な影響を憂慮して、私はそういう質問を申上げたのであります。そこで今日は安本政務次官が見られましたので、安本当局にも併せてお伺いしたいのですが、安本当局では、鉄鋼行政に関する主管大臣でありまする横尾さんのこの答弁に対しまする、事務官庁の責任者らしくない、いとも簡單に放棄された鉄鋼補給金問題をしかく簡單にお考えで、この助成金を外しても、横尾さんが私にこういつたような答弁をされておるようなことに同意を示される勇敢さと言いますか、元気さと言いますか、そういうものがお持ち合せであるかどうか、そういうことを先ずお聞きしたいのであります。更にもう一点ついでにお聞きしたいのは……、まあこの点から一つつて頂きましよう。
  106. 小峯柳多

    説明員(小峯柳多君) 御質問のお言葉の中に非常に勇敢に通産大臣が押切つた、安本もそれと同じように勇敢かというようなお話ですが、率直に申上げますが、私共のほうはもう少し憶病であつたと思います。影響がなかなか広く、程度問題は、これも考えようにもよるのですが、結局出るように思いましたので、是非補給金の見通しは、又もつと根本的な問題で言いますれば金額の如何よりは先ず、鉄鉱石をフリー・ハンドではなしてしまつていいかどうかという問題は実は疑問を持つてつたわけであります。併しあなたのお言葉のように通産原局のほうで勇敢に御賛成……、とることにもなりましたので、恐らく私のほうの大臣もそれと同調したのじやないかと思います。併し企業努力その他で余ほど吸収はできる、或いは国際物価が少し上向きなんでありますので、その情勢から行けば余ほどこれが吸収できるような見通しも加わつてつたのじやないかと思います。
  107. 島清

    ○島清君 大変にどうも御勇敢な答弁を拝聴いたしまして敬意を表しますが、止むを得ずして補給金は存置したかつたのだけれども、これは止むを得ないのだ、こういうようなお説明でございまするが、それで大臣価格統制が、補給金を廃止しても統制は存置するのだと、こういうような御答弁に相成つたのでございまするが、業者はこれに対しまして異つた見解を持つておるのです。業者考え方はこういうことを言つておるのです。来年度においては銑鉄の生産は大幅の増加見込まれておる実情にある、この面からしまして銑鉄の配給統制を継続する理由はない。又銑鉄の生産増加しても銑鋼一貫メーカーは圧延設備を増強して銑鉄を自家消費に廻し、外売り銑は却つて減少するのではないかと心配する向もあるが、圧延設備の増強には多額の資金を要し、その建設に長い期間を必要とし、しかく簡単にその設備の増強は望めない。従つて一貫メーカーが俄かに銑鉄の自家消費に走ることを懸念するのはむしろ杞憂に属する、又仮に特需その他重要な需要の確保のため分配の公平を期する立場から配給統制を実施する必要があるとするならば、それは鉄鋼全体の問題、むしろ鋼材各般の需要者に直接結ぴついているという意味において、その重要な対象と言うべきであつて、銑鉄のみの配給統制を区取上げることは正に破竹的な処置であるというようなことを主張しておるのであります。政府当局はこの一貫メーカーの立場からする配給統制反対論に対して如何なる見解をとるのであるか、一貫メーカーのこの主張は相当強固なものでありまして、それだけに全く逆な立場にある平炉メーカーが政府如何なる最後の断を下すかに深甚の関心を拂つておるのは私が御質問申上げなくともお分りの通りであります。この問題は單に相互間の議論では解決できない問題でございまして、配給統制を続行するというならば、政府側が果して一貫メーカーを納得させ、何らの混乱を起さざるよう円滑に実施するための準備と用意とがおありであるかどうか、その辺のところをも一度政府の確固たる御見解をお漏らし願いたい。これは通産大臣どうぞ。
  108. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 補給金撤廃に関しまして安本の政務次官からのお話を承わりました。私も補助金を出し得るならば出す、これは賛成でございます。決して私がこちらから返上したということでないのでありますから、この点は一つ悪しからず御了承願いたい。併しこの前も申上げました通りに、非常に難航を続けておるうちに二十一億とか何とかいうことを申しますと、数字では甚だ何でありますが、そのくらいのものならば大した影響はないからということを申上げたつもりでありまするが、この今の島さんの御質問の趣旨がそうじやなかつたように承わりますので、それは国際水準の価格まではこれは仕方ないじやないかという考えを持つていたのであります。そうして私は今も製鉄の合理化を図るべくいつも申上げまするように、鋼鉄の優良なるものを輸入したい、こういうような考えで事務当局には鞭撻をしておるのでございます。その他或いは油の使用をも少し余計にして貰うとか、或いは又この酸素製鋼のことについては私は分りませんが、それが有効であるならばやつたらどうかということを今進めつつあるのであります。そういうことをいたしまして、影響の減少を図ることが最も私には補給金廃止に賛成したのに補い名づける途だと、こう考えておるのでございます。それから一貫メーカーと平炉メーカーのお話でございます。これにつきましては平炉メーカーの方々の杞憂もさることだと考えます。それでそれの杞憂がなくなるまでは配給統制も残して置く必要ありと考えるのであります。全くその杞憂がなくなり、又価格統制の必要がないという時期に達しますならば、成るたけ早く自由経済に持つて行きたいのが私らの考えでありますから、それまでは早く到達したいと思いますけれども、今申上げますような平炉メーカーの杞憂もあります、統制をやつて行きましてその間杞憂をなくし、又一貫メーカーにしたところで私は二、三の一貫メーカーに平炉メーカーの杞憂のことを申しましたところ、我々も同じ製鉄メーカーであるから一貫メーカーが平炉メーカーを苦しめるようなことはしないのだ、むしろ余計買つて貰うように要望するんだというようなことを申されたり方もあるのであります。今後私らはその間に立ちまして決して一貫メーカーが横暴なことをなさることは私らは差止めて行くようにしたいと考えておるのであります。さように考えております。
  109. 島清

    ○島清君 私のお伺い仕方がまずかつたのかも知れませんけれども、大臣のお答えの中は非常に抽象的でちよつと把握に困るのでありますが、つまりあれでございますか。通産当局といたしましては、従来戰後今日までいわゆる銑鋼一貫メーカーと、平炉メーカーとの対立については軽々にその結論を出すべきではない、こういうようなわけで少くとも今日まで逃げておられたのですが、併しこの両者の対立というか、今日非常に補給金の撤廃に関しまして対立が深刻になつて来ておるわけで、通産当局といたつしましては一体この銑鉄補給金の廃止と関連をいたしまして、銑鉄輸入の可否であるとか、或いは輸入鉄鉱の関税というような問題を含みまして今後の銑鉄補給金廃止をめぐり統制の可否等、次から次へと問題が発展して来ているのでございますが、一体どういつたような方針で平炉メーカーが得心するような鉄鉱政策をおとりになるのか。それとも又この一貫メーカーと平炉メーカーが両立して行くような鉄鉱政策を進めて行かれるかどうか、この点について両者とも非常に政府の政策を待望しているわけであります。これは私は両立しないと思つております。両者においても両立しないのである。然らば一貫メーカーの横暴を許さないとおつしやいますならば、一貫メーカーをどうやつて抑えて行く。一貫メーカーといたしましては補給金を撤廃されて、更に統制を続けて行かれるということは矛盾するのではないかと、こういうことを言つておられる。通産当局といたしましては補給金を廃止しても統制は続けて行くのだということにつきましてはいろいろの疑惑も持たれておる。例えばこういう官僚機構からいたしまするならば、今局長がどなたであるかは知りませんが、大変立派な方で、そういうことはないとは思いますけれども、局長なんか変りさえすれば問題はないのじやないか、例えば今の補給金問題を撤廃して置いて、局長が直ちにその統制の枠を外してしまつてそれで変つてしまつたら、行政機構としてはその人が責任をとつたような形だから、責任の追及のしようもないのじやないかということを考えられ勝ちなんですね、ですから大臣といたしましては、一体両立しないものを両立できるかのごとく、或いは又得てして横暴になり勝ちな者に横暴させないのだというようなことをおつしやいますけれども、どういつたような政策でそれを抑えて行くものであるか、業界は非常にはつきりした態度を待望しているわけであります。この際一つ明確にお漏らし願いたいのですが……。
  110. 横尾龍

    ○国務大臣(横尾龍君) 今のお話でありますが、私は一貫メーカーと平炉メーカーと両立して行く方針をとりたいと思うのであります。然らばこれは非常なむずかしい問題である。これは御尤もな問題であります。併しこの一貫メーカーの人はむしろ銑鉄が、高炉がだんだん火を入れて来るというと残りはせんかというように、むしろ反対に考えている筋もあつたのであります。それで一面におきましては或る程度の銑鉄を輸入することをやりつつあるのであります。そのために少くともこれは二十五万トン輸入してくれと言いますけれども、最近の情勢によりまして十五万トンぐらいは確実に入りそうに思うのであります。但しこれに対して税金の問題でございます。これがまだ確定しておりませんが、私は税金はいろいろな段階において決めて貰いたい。ということは、今の段階においては税金は成るたけ安い関税にして貰いたい。若しも上げ得る状態に、いわゆる一貫メーカーの銑鉄が幾らかオーバー・プロダクシヨンになつたというときには当然税金も或る程度上ることも必要かと考えます。鉱石はやはり只今申上げますように、多数輸入せなければならんのでありまするから、それについてもよく税金等も考究したいと思うのでございます。先刻からお話の一貫メーカーが横暴であつたときはどういう手段をとる、ということでありますが、これは私は先刻申上げましたように、一貫メーカーは、やはりそう横暴はするような意思はないと、今の或る二、三の経営者が言われることを或る程度信頼して、そうしてやつて行きたいと思うのであります。殊に配給統制のごときは、そういうのを見定めないで、これを一貫メーカーの苦情ありとして撤廃することは危険じやないかと思いますので、その点は配給統制と存置してやつて行きたいと、こういうふうに考えております。
  111. 島清

    ○島清君 私は安本政務次官にちよつとお聞きしたいのですが、只今大臣の御答弁によりまして通産当局のあらましの考え方ということは伺えんこともないのですが、銑鉄補給金を廃止いたしまして、価格の統制、配給の統制はやつて行かれると、こうする、そういたしますと、その主管庁は物価庁でございましようか、その一翼としまするところの安本も、非常な権限と言いますか、何と言いますか、これを持つておられるわけですが、その意味におきまして、私は大臣がどう言われましようとも、今業者から陳情などを受けておりまするところの我々世議員としての感じというものは、しかく大臣が御答弁になつたようななまやさしい問題ではないと考える。深刻な対立をしていると考えておりますが、それはまあ見解の相違だとおつしやればそれまでのことでございますが、そこで安本当局といたしましては、今大臣が言われたように、この対立関係にございまする業界をつ果して統制を継続しておりながら得心せしめて、その統制というものが円滑に行けるものであるという確信を持つておられるのかどうか、ここについてちよつとお漏らしを願いたい。延いては安本当局が持つておりますところの統制と関連をいたしました鉄鋼政策というものを一つお漏らしを願いたい。鉄鋼政策と関連をいたしましたる統制ですね、これをちよつとお漏らしを願いたい。
  112. 小峯柳多

    説明員(小峯柳多君) 鉄鋼政策の問題は、今所管大臣から御答弁がありましたが、今までの日本の製鉄の歴史を見ましても、銑鋼一貫によりますものと、平炉メーカーによりますものが実は相依存しながらやつて来たように思うのでございます。総括的な言い方をしますれば、海外から銑鉄、スクラツプなどが非常に不自由なときにはどうしても企業自体の強さというものは一貫メーカーにあるような感じがいたします。併し一貫メーカーには一貫メーカーとしての、例えば高炉を殖やすとか、圧延設備を殖やしますと、この鉄鋼が世界の景気や何かに敏感なものでありますから、この増設の仕方や何かには企業家らしいテイミツドとオポチュニズムもありまして、一時に拡げるということについては大いに考える筋もあるのじやないかと思います。ですから環境次第で、一貫メーカーが強くなる、今度鉄の需要が起きたときには逆に平炉メーカーが強くなつて来ましたのが今までの歴史であります。従つて環境次第でそういうようになつて来ますものですから、若し日本の産業政策が戦争経済の当時のように必ず自給自足で行くんだということになれば、一貫メーカーはそういう強い面で推移すると思います。そうでなしに、今考えております産業政策は、できるだけ平和産業政策でありますからスクラップを買えれば買いたい、銑鉄も輸入したい、今世界の環境でその問題がむずかしくはなつておりますが、そういう政策をとつておりますから、税は銑鋼一貫メーカーだけ絶対強いということは必ずしも言い切れんのではないか、そういうふうに考えて参りますと、経済界の動きと睨み合せてお互いに譲りながら手を握ることがあり得るのじやないか、従つて非常に曖昧な言葉になりますが、平炉メーカーと一貫メーカーと両方調整して行く政策は少くともあり得る筈だ、その指導は先ほど来所管大臣お話にもありましたが、所管大臣も鉄材料関係では非常に専門の御経験を持つておられますから、その指導には信頼していいのじやないか、併しこれをただ信頼しておるというふうな大臣のお言葉でありますが、多少やはり税共でも懸念はあります。と言いますと、今の環境でもどうしても一貫メーカーは強い、自分達だけ消費するのでなしに平炉メーカーにも流すのだとおつしやる言い方もありますが、やはり算盤勘定からいつて自分のほうで作つた銑を自分のほうでこなして補給金のなくなつたのを一貫経営の中で吸収したいという努力もありますから、この点は多少やはり心配が起るのであります。そこで私共としましては、これは物価の所管に関する限り物価庁がありますものですから、権限を持ち、これを統制して参るのでありますが、割当の統制のものは勿論所管大臣のほうでやるわけであります。併しそうなりましても電気の関係、資材の関係、それからやはり指導でもつて今までの協調性というものを持つて行くことが可能なんじやないが、少し甘いとお叱りを受けるかも知れませんが、そういう一貫メーカーは強さもあるが、同時に世界経済の環境次第で弱さもある。この強さ弱さの兼合いの下に両者のメーカーの共存する余地があるというふうに私共は見ておる次第であります。
  113. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) 最後の特需問題に関してまだ質問が残つておると思いますが、御発言をお願いいたします。……通産委員会の次回の予定は八日にしたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) それじや八日の午後一時から、そのときに議題となりますものは、主に肥料輸出問題に関する件、それから今日さつきお預りした……。この肥料問題につきましては専門員に大体の簡單な説明を初めにさせるつもりでありますから、その点も御了承願います。速記を止めて。    〔速記中止〕
  115. 深川榮左エ門

    委員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて。それでは通産委員会はこれで散会いたします。    午後三時四十四分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            廣瀬與兵衞君            古池 信三君            結城 安次君    委員            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            山川 良一君            上原 正吉君            山内 卓郎君   国務大臣    通商産業大臣  横尾  龍君   説明員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    経済安定本部政    務次官     小峯 柳多君    通商産業省通商    繊維局長    近藤 止文君    資源庁長官   始関 伊平君    中小企業庁長官 小笠 公韶君    物価庁第一部長 渡邊喜久造君