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1950-07-21 第8回国会 参議院 通商産業・農林連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十一日(金曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  委員氏名   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事      古池 信三君    理事      廣瀬與兵衞君    理事      栗山 良夫君    理事      結城 安次君            上原 正吉君            小野 義夫君            重宗 雄三君            松本  昇君            小松 正雄君            島   清君            下條 恭兵君            椿  繁夫君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            山内 卓郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君            西田 隆男君   農林委員    委員長     岡田 宗司君    理事      西山 龜七君    理事      片柳 眞吉君    理事      岩男 仁藏君    理事      岡村文四郎君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            土屋 俊三君            平沼彌太郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○商品取引所法案内閣提出)   —————————————    〔深川榮左エ門委員長席に着く〕
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今から農林通産連合委員会を開きます。  先ず最初に私から商品取引所法案に対する通産委員会における審議の経過を簡単に御報告申上げます。通産委員会におきましては、第一回を十七日に開き、政府側から法案提出の趣旨を承わり、次いで第二回を昨二十日開きまして質疑に入つたのでありまするが、冒頭一委員より通産大臣に対して、国際情勢急転に伴う現在の我が経済状況からして、果して商品取引所設置客観的条件が具備されておるかどうか又現在のような経済環境では果して商品取引所価格安定の徹底的役割を果し得るかどうかという点について所見を求められました。この問題に関連して質疑が集中されたのでありまするが、これに対する通産大臣の御答弁が、やや明確を欠くというので、再答弁を求められ、質疑を保留されております。次いで商品取引所に上場を予定されておりまする各物資について、生産需給状況中心として、政府担当局長より説明がありましたが、農林省所管物資に当る物資であります生糸関係については、農林委員会の方と一諸にお話を承つた方がよかろう、というので本日に廻わされております。以上が通産委員会只今までにおける審議の概要であります。本日の委員会連合委員会でありますので、通産委員会のこれまでの審議とは何らの関係もなく進められて、一向に差支がないのでありますが、能率的な審議を希望いたします委員長立場から、参考までに只今までの御報告をいたします。つきましては私は議事にいたつて不慣れでありまして、委員各位の御協力をお願いいたします。尚連合委員会においては、慣例によりまして農林委員の方の質疑を優先的に取扱いたいと存じますから、何とぞ御了承をお願いいたします。  只今御出席されております政府委員は、通産政務次官企業局長農林省蚕糸局長、それから今予定なつております、今見えておりませんけれども委員会に出席される予定にありますのが、食糧庁長官官房長及び通産大臣であります。それでは只今から皆さんに御発言をお願いいたします。
  3. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私は先ず最初にこの商品取引所のできまする根本的な立場におきまして、商品供給需要とのバランスをとり、その間に適正な価格を発見する。この仕組みにつきましては異存はございませんけれども、ただ戦争以来の日本状態から見て参りますると、供給の方は、或る程度見当は付くと思いまするが、主として輸出に必要な商品につきましては、まだなかなか需要の測定ができておらないのではないかということを痛感いたしておるのであります。その意味で特に農林関係物資につきましては、例えば生糸が、どの程度外国需要があるか、或いはその他の農産物につきましても、実は海外需要がどの程度であるか、ということが一向はつきりしておらないと思うのであります。農村等を歩きますると、例えば昨年とうがらしが非常に外国に出ておつたという関係で、今年はとうがらしを目茶苦茶に作るというような機運さえ出ておるのであります。要するに海外需要に即しまするものにつきましては、非常に盲滅法であります。正確なる需要が現在では調査がないと思うのでありますが、この点につきましては、今後政府におきましては、さような点につきましてどういうような方法外国需要等調査をするお考えを持つておりまするか。これがなければ正確な価格を発見することが困難だと思いますが、先ずこの点につきまして御答弁をお願いいたします。
  4. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) お答えいたします。お説の通り今日までは、終戦後海外情勢が全く判明いたしません関係上、いわゆる盲貿易或いは盲相場というものができまして、正常の取引に非常に支障を来たさせておつたことは事実なんであります。そこで昨年来関係筋折衝をいたしまして、成るべく多数の対外駐在員を派遣いたしまして、それぞれの国におけるところの需要状態或いは嗜好というようなものを調査いたしまして、それぞれ報告を求め、これを業者の方に参考として配付しておるというふうな方法をとつているのであります。ただ現在までのところ、御満足の行くところまで参つておりません。併しこれは関係筋とも今後も折衝いたしまして、成るべく広い範囲に、成るべく多くの駐在員を派遣いたしまして、御満足の行くような方法をとりたいと考えておる次第であります。御了承願います。
  5. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 特に蚕糸局長がおいでのようでありますが、生糸につきまして、どの程度の今後調査のお考えを持つておりますか。
  6. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今海外需要調査の問題でございますが、これは今後、只今首藤政務次官からの言葉にもありましたように、海外における生糸状況等につきましては今後、現在ありまする日本政府海外事務所とも緊密な連絡をとり、又こちらから申上げて、できるだけ機会を利用して、向うの需要調査するというような、直接調査できるような機会がありますならば、そういう機会を利用して、十分の需要調査を図りたいと、かように考えておるのであります。尚この機会に昨日通産省所管物資につきましては、繊維局長或いは雑貨局長から所管物資需給状況について説明がありましたので、生糸と繭につきまして、この機会に私から簡単に需給状況を御説明申上げたいと思います。先ず、生糸と繭は、外の商品と違いまして、全部国産品でありますので、外の需給予定されておる商品と違いまして、原料の輸入の問題は全然ございません。昨日お配りしました、この一枚の紙について御説明申上げますが、生産生繭が千九百三十三万一千貫の生産見込でありまして、これは昨年の生産が、一千七百二十九万五千貫程度でありますからして、これから見ますと、相当二百万貫程度殖えておるのであります。それから生糸は二十五年度の暦年生産見込が十五万二千俵でありまして、二十五年の四六の見込が三万五千俵に対しまして、実績が三万一千俵と減つておるのでありますが、これは四—六にをきまする手持の繭が非常に減少だしまして製糸工場が操短をしたといつたような関係からかようになつておるのであります。この十五万二千俵の生産に対しまして本年の初めの国内のストックが約五万四千俵ありましたので、供給が両方合せますと、同暦年における供給が約二十万六千俵程度になるのであります。それに対しまして需要の方は輸出が大体九万俵程度は本年はあるものと期待されておるのでありまして、又国内需要から純国内輸出絹織物用原料も加えまして九万五千俵から十万俵程度はあるものと考えられるのであります。從いまして需要といたしまして両方合せますと、十八万五千俵から十九万俵近くのものになるのでありまして、本年末におきまする在庫は或いは一万五千俵から二万俵程度減るものと予想されるのであります。  只今片柳委員からの御質問がありました海外状況等につきましては、実はこれは年によつて非常に違うのでありまして、一九四六年には八万八千俵程度輸出がありましたが、四七年には一万七千俵、四八年には約八万俵、昨年四九年には四万八千俵と、かように年によつて非常に違うのでありまして、これは海外経済界状況が最も生糸には敏感に響くという関係でありますが、本年は昨年に比べますと非常に輸出は好調でございましてこの上半期の総計を見ますと、昨年の上半期が二万二千俵でありましたものが本年の上半期は三万七千俵と、かように非常に殖えておるのであります。尤も昨年の上半期の二万二千俵と言いますのは非常に極端に不振であつたのでありまして、これは主として、アメリカ経済界が昨年の上半期は非常に不振であつたということと、それからアメリカに或る程度のストツクがありましたので、そういうものを使つたために、こちらからの輸出が非常に少なかつた。こういう事情があるのでありますが、これに比べまして本年の上半期は三万七千俵、この内訳を見ますとアメリカが一万九千俵、ヨーロッパが一万七千俵と、かようになつておるのでありますが、最近の情勢から見ますと、アメリカも依然として需要は増加する傾向でありますし、それからヨーロツパの方もフランス、イギリス等から相当大量の買付が来ておりますので、本年は年末までに九万俵の輸出は先ず間違いないところだと、かように考えておるのであります。面この下の価格変動というところに値段のことが書いてあるのでありますが、これは生繭の建値といたしましては二十五年の六月前後の価格が約四千八百掛程度であつたのでありますが、本年の七月現在におきましては糸が非常に暴騰いたしたために、繭の価格も或る程度上つておるのでありまして、これは地方によつて相当違いがあるのでありますが、まだ決まつていないところも多いのでありますが、大体五千二、三百掛程度のところが相当あるのであります。尚生糸は本年の六月二十日頃には十一万五千円程度であつたものが、七月十五日頃は十四万二千円程度になり、事実又暴騰いたしまして、現在は十五万五六千円というところまで上つておるのであります。かように生糸が暴騰しました原因は、一部の思惑により思惑買ということも無論あるのでありますが、その外に横神市場における在貨が非常に不足しておるということ、從いまして輸出商船積その他の関係から適品がないために非常に踏み上げておるというような事情、それから製糸家側としましては先売をいたしておりますので、その新らしい糸を先物約定荷渡しにする関係なり、又横神の在貨の量は普通七、八千俵から一万俵近くあるのが普通の在貨でありますが、それが三千五六百俵程度に止まつておるというようなことから糸が暴騰しておるものと思われるのであります。これに対しまては新聞紙上等において御承知でございましようが、閉鎖機関の糸を放出するように司令部からの覚書が六月の十日頃参りまして、これを現在放出をいたしておるのでありますが、糸が暴騰いたしましたために放出の数量或いは時期等も相当繰上げをいたしまして放出をいたしておるのでありますが、現在までに閉鎖機関手持が約二万八千俵程度六月の初めにあつたのでありますが、そのうちで約四千八百俵程度を売りに出しましてそのうちで実際に落札したものは三千三百五十俵程度あるのであります。これを今日の情勢に鑑みまして、今後相当繰上げをして放出する予定でありまして、この七月二十四日には更に二千二十俵、七月三十一日には約五千俵の糸を放出する、こういう計画をいたしておるのであります。 要しまするに生糸需要の問題につきましては、海外状況等によつて非常に大きな変動があるのでありますが、現在は昨年に比べまして非常に好転をいたしておるのでありまして、相当程度の、六、七割程度輸出の増加が確実に期待し得ると考えておるのであります。簡単でございますが需給その他の点につきまして御説明申上げた次第であります。
  7. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 生糸海外景気等需要相当変動があるということは承知いたしておりますが、ただ戦争或いは戦後の期間を通じまして客観的に需要の変化というものが私は相当あると思います。単に海外景気のみで需要変動する以外に、或いは他の繊維が非常に発達をして、その影響を受けたというような事情もあると思いますが、ともかく希望といたしまして単にこれは生糸のみに限りませんが、今後の輸出農産物等につきましては、成るべく早い機会農林省なり或いは通産省外務省等が御一緒になりまして海外の市況の調査是非これはやつて頂きたいと思います。それからその次に生糸関係取引所ができますると、或る程度価格等も安定すると思いますが、ただ如何にも昨今の生糸なり繭の価格は非常に乱調でありまして、從いましてこの取引所作つただけで繭なり生糸価格の安定なり或いは需給バランスが期待できるかどうかは非常に疑問と私は存じますが、そこでかねてから糸価安定施設というような点につきましても研究を願つておると思いますが、そういうようなものを併せてお考えになる意思があるかどうか、又その糸価安定施設ができました場合に、この取引所との関係は如何なる関係になるか、御意見を伺つて置きたい。
  8. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 御説のことは全く御尤もでありまして、通産省といたしましては、十二分にお話の点を考慮いたし、そうしてお説の意に沿つて行きたい、こういうふうに考えております。
  9. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 只今糸価安定の問題はこれは昨日も農林大臣から答弁がありましたように、農林省としましては尚研究中でありまして、将来何とかこの解決の途を講じたいと、かように考えておりますが、これと商品取引所関係につきましては結局糸価安定をやる方法如何にかかつておるのでありますが、糸価安定と申しまし、も決してこれは一本に価格を固定するわけではないのでありまして、一定の買入価格或いは売渡価格というものを作りましてその幅を設けましてその間に安定するというのが根本の考え方であり、又戦前におきましてもそういうことで糸価安定施設をやつておつたのでありますが、結局そういうことになりますとその間の上値下値の値幅というものは当然あるのでありましれ戦前におきまして糸価安定施設をやつておりまするときにも、生糸取引所というものは立派に存続しておつたのでありまして、決してこの両者が矛盾するというようなことには考える必要はないと、かように考えておる次第であります。
  10. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 最後にもう一点主として農林省の御意見を伺いたいと思いますが、この法案では差当り乾繭とか生糸とかが予定されておりますが、ただ私の見るところでは農林関係物資で最近非常に値段乱調子でありまして、又取引に非常な、何と言いまするか不円滑な状況を示しておりまするものは北海道、或いは三陸地方でできておりまするところの魚粕につきましては、これは非常に果樹地帶から相当強い要望もありまするし、或いは果樹単作地帶からも相競つて魚粕買付けている状態でありまして、非常に生産地が一部に偏しており、両も需要は殆んど全国に亘つてあるというような関係になりまして、この需給バランスを保ち、その間に適正価格を発見することは、魚粕については最近統制撤廃になりまして相当困難なのではないかと考えておりますが、農林省のそれに対する御意見一つ伺いたい。
  11. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 只今の御意見は御尤もでありまして、最近における需給関係から価格変動、いわゆる全体に対する糸価安定の方策が当然考えられなければならぬ問題であると思いますが、御承知通り食糧中心とした統制も、まだ目下研究中であり、それに伴う糸価価格安定という問題は、合せて研究をすべき事項であると考えまするので、関連を以て目下鋭意研究中でありますので、さよに御了承願いたいと思います。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今の両次官並びに蚕糸局長の御意見を聴いておりますると甚だ不満です。商品取引所はこの法律が通過いたしますと直ちに成立することになりまして、そうしてその機能は直ちに発揮される。而も先程片柳君の指摘しましたように、生糸にいたしましても蚕にいたしましても、その相場相当乱調子が甚だしい。取引所ができましてもこれは決して安定するとは私共には考えられない。当然これと並行的に糸価安定施設なり繭価安定施設が講じられなければならない。鋭意研究中である。こういうことでは一体本当に糸価安定について、あなた方に熱意があるとは私共には考えられない。こういうものが出ます以上は当然それと並行的に考えられて行かなければならない。研究中である、努力中であるでは私共には一向受取れない。研究中であるならばその方向はどういう方向にあるか、こういうような方向をとらなければならない、尚別に又こういうような方向をとるべきものだ。どちらをとるか今研究中である、相当方針については具体的に示されて、これとこれはこういう利害得失があるから研究中なのだということまで、あなた方がおつしやらなければ、研究中の意味をなさんのであります。ただ鋭意研究中だけでは納まらんのであります。どうか一つその点についてもう少し具体的に政府当局の方から御発表願いたい。
  13. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 私も入りましてから間もないのでありますが、この糸価安定の問題についてはかねてから承つておつた問題であります。ちよつと速記を止めて頂きます。
  14. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  15. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて下さい。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今お話を聞いておりましても甚だ頼りない。生糸の方はまあそういうふうなお考えを持つておられるのでありますが、一体繭の方の価格変動をこれはどういうかうにして安定をさそうとなさるのですか。生糸の方が安定したら、それから自然に繭の方も安定すると、そういうふうにさせるのだというお考えであるか。或いは乾繭取引所を設ける以上、別個に繭の方の安定についても何か特別の施設をお考えなつているのか、その点は如何ですか。
  17. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 戦前にやつておりました方法、或いは從来司令部農林省折衝しておりましたことは、生糸価格が安定すれば大体繭の価格も安定するという見地に立つておるのでありますが、現在又非常に繭の価格が安定していないということも事案でございますので、繭価安定施設についてどういうことにするかということにつきましては尚目下慎重に研究中であります。
  18. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 関連して最後に聞いて置きますが、農林次官蚕糸局長の話を聞いていると、誠に養蚕農民に対して物足りないような気がいたすのであります。申すまでもなく戦後において蚕糸業五ケ年計画を立てて今年は四ケ年目であると思います。少くとも四年も経てば子供でも立つて歩ける。然るに日本蚕糸業が四ケ年で、五ケ年計画最後の年に来て、まだ糸価安定の見通しがつかない。上と下との価格に対するところの方策研究中であるということは、如何に日本蚕糸業、殊に養蚕家がいつでもここ何十年間この問題に悩まされるのであります。少くとも政府といたしましたならば、大蔵当局折衝いたしまして、この方法糸価安定に対してはこれだけの財源を以て調節をする。又養蚕農民に対しましては、製糸家においてすでに操業においては現在の集繭の倍額の設備があるという実情からいたしまして、もつと食糧の安定と同時に養蚕農民が非常に増産に拍車を掛け、熱意の現われている誠に絶好なチャンスを握つて養蚕業の徹底を図るのが政府の施策である、又政府方針でなければならない。かように信ずるのでありますが、今のような日本におけるところの農林省で、而も蚕糸業の総元締が未だ方策が立たない、目下研究中なんというような生ぬるいことで、今日の世相から見て、養蚕農民がどうしてついて行かれますか。もつと堅実な、これこれの政策を以て、これこれの折衝をして、少くともここ二三ケ月には養蚕農民に、安心するような糸価安定政策関係を通じて繭の値段安定政策としてこういう方針を立てるのだとなぜはつきり御答弁なさらんか。若しお答えできないで研究中なら、こういう熱意を以て努力中であると明確な御答弁を望むものであります。
  19. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 養蚕に御堪能な池田さんの御意見を頂きまして誠に有難うございました。糸価安定の問題は統制撤廃後の措置の重要な問題であることは御承知通りでありまして、養蚕農業経営の一環として是非とも、相当経営を全国的に戦前の域に至らんまでも、農業経営の中に取入れなけれぱならんという問題は御同感であると思うのであります。それの見地からいたしましても、この価格の問題が重要な問題で、昨日も白波瀬議員の御発言にもありましたように、從来製糸糸価安定ということを中心考えておつたものに対して、繭に対する補償とかその他の施設考えるということも一つ方法であるという御意見も出ておつたのであります。ところが他の農産物とこの点はよく御了解願えることだと思うのでありますが、他の農産物と違いまして、釈迦に説法かも知れませんが、ニューヨークの市場価格が直ちに長野県の養蚕農家に応えて来るというような從来取引関係から行きまして、我が国の貿易の重要な製品から考えまするというと、その価格日本の内地の製作のみを以てしては、なかなか困難であるということも御了解が頂けることだと思うのであります。そこで先程も申上げました通りに、この方法についてはいろいろの角度から関係方面との折衝を続けて参つたのでありますけれども、なかなか現在の状況下におきましては、貿易品価格をここで我々の希望しておるような点に対する根本的の考え方がまだ十分の了角を得ていないつということでありまするために、只今申上げたように研究中ということを申上げたのでありますが、少くとも御意見を頂いたように、この問題については研究はやがてそういう問題を具体化するための努力を重ねておるということを御了解を願いたいと思います。
  20. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私は農林当局立場もよく分りますが、私の心配はむしろこの取引所法が先に通つてしまいますと、肝腎の糸価安定の施設の要求がなかなか通りにくいということを私は心配しているのであります。もとより糸価安定の最高最低のこの幅の範囲内に値段を置く意味でこの取引所が運営される、こういうように私は理解したいと考えますが、さような意味で、これだけでは到底私は糸価の安定は期し難いと思うのであります。どうか成るべく早くこの糸価安定の施設につきまして実現を期して頂きたいと思います。それから又先程島村次官から御答弁がありましたが、先程申上げました魚粕につきましては、これは是非ども研究を願いたいのでありまするが、相当これはブローカー等が入りまして、相当現在の取引は混乱をしておるようでありますが、この点は次官一つ研究を願いたい。以上であります。
  21. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 この問題に対しましては私は大体においてよいと思うのでありますが、今片柳委員から御話になつたように、この生糸取引所が実現しますと、糸価安定の問題はたしかに熱意が醒めて来るのではないかという、実は感じを持つているのであります。どうしても糸価安定というものはもつとただ単に生糸のところで安定するとか、手買入をするというつことじやなしに、もつと真劍に広い範囲考えなければいかんし、又この問題を早く実現しなければ、日本生糸海外に売れて行くということ停頓してしまうというような感じを実は持つて心るのでありますが、今日は商品取引の問題でありますからその問題はあとに讓りまして、大体これは国内の業態の状態から見ると、これは是非必要であると思うのであります。殊に繭のごときは極めて生産量が少く、而も窯数が非常に多い故に、各地における価格たるや非常に変化が多い、或いはまちまちである。而もその量が、業者の方で相当量希望しても容易に手に入れることができないという状態でありますから、これは是非乾繭取引所というものは、日も早く実現すべきであると思うのであります。生糸の問題に対しては、これは製糸業者の上から考えますと、戦前のごとく売継ぎをするとかというような方法が講ぜられて、そういう関係のために或る程度間に合つて行くのでありますが、ただ私の心配することは、果して日本生糸相場が、その日の相場が、その日に日本全体の相場海外に伝えられ、而も日本は、過去においては生糸市場において相当の大幅な動きを見せた。これが果して海外糸価の安定、もとより向うでは本価格を希望されておる矢先に国内生糸市場ができて、そうして成る程製糸は売継ぎができたりして非常に便利でありますけれども、併し海外の、いわゆる日本生糸相場というものの非常に敏感な影響を受けて、そうしてむしろ向うの一番希望することの反対の現象を見るのではないかというような感じがするのでありますが、これに対して農林当局のお考え一つ承わりたいと思います’。それからいま一つは、乾繭取引所は、私はこれは余り個所を多くすべきでないと思いますが、現在予定せられておる、或いは見込まれておるのは何個所ぐらいであるか承わりたいと思います。
  22. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) 先ず第一点の生糸取引所海外の絹業者との関係でございますが、これは特に蚕糸業に造詣の深い自波瀬委員只今言われた通りでございまして、日本生糸取引所を作るということについて、海外でも実は相当いろいろの議論があり、又異論があるように私共も聞いておるのであります。從いましてこの点につきましては十分この取引所を作る場合には、この発起人となるべき人の事業計画その他につきましては、十分そういう人とも打合せをいたしまして、又関係方面了解をも、取引所を設立するにつきましては司令部の認可を得ることにもなつておりますので、そういう際に十分海外の絹業者の意見を取入れまして、向うが誤解があるところは誤解を解き、又こちらのやり方につきまして非常に海外に対して惡影響があるようなところは、十分事業計画の上においてそういう惡影響が最も少いようなふうにいたしまして、更に十分了解をつけて行きたいと、かように考えているのであります。尚乾繭取引所の問題につきましては、これは結局発起人となるべき人の意見が主になるわけでございますが、まあ沿革的に見まして、又地理的条件或いは取引数量というような点から見まして、又地元の布望等も現在最も強くありますのは豊橋でございまして全国各地に多数の乾繭取引所を作るというようなことは、現在のところでは考えていないのであります。
  23. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 この生糸取引所の問題でありますが、私は若し政府糸価安定の問題を飽くまでこれは実現するのだというお考えであるとすれば、生糸取引所の問題等はそこに機構の上に矛盾したような結果が起つて来るのじやないかというような考えを持つのでありますが、若し生糸取引所を以て、これは糸価の安定の一助とするのだということならば、それは別でありますが、若し強力に糸価の安定法を若し立てるとすると、その間に非常にこうどつちかが制肘されたようなことになると思いますが、この点に対してのお考えを承わりたいと思います。
  24. 最上章吉

    政府委員最上章吉君) その点は、先程片柳委員の御質問の際にお答えした通りでございますが、要するに糸価安定と申しましても、現在考えておりますのは、価格を本に釘付けるということではなくして、売渡価格、或いは買入価格というような、上値、下値を設けまして、その間に或る程度の幅を設けることが根本の考え方なつておるのでありまして、從いまして、糸価安定と商品取引所は決して矛盾するものでもなく、又戦前におきまして糸価安定をやつておりましたときにも、商品取引所というものは立派に存在して行つたのでありまするからして、両者の間に矛盾をしないようにやつて行きたい、かように考えておる次第であります。
  25. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 外に御質疑はございませんか。
  26. 西山龜七

    ○西山龜七君 第九条の第二項の資格を備えておるものであれば、国籍の違つた外国の法人又は個人でも差支ないのかどうか、こういうことを第一点にお尋ねいたしたいと思います。第二点は、上場します商品と輸入関税問題、こういうものに関連しまして、若し市場相場の激変等によりまして、あらゆる四囲の経済状態に影響する場合に、関税等を以て何か操作されるというようなお考えがあるかどうか。この関税問題は上場商品には全然関係なしに、別個にお考えになるのでありますか、その点お尋ね申上げたいと思います。
  27. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今のお尋ねにお答えいたします。第点の、第九条二項の関係でございますが、発起人の資格の関係だと存じますが、「施行地において年以上継続して、」云々ということがございますが、その資格を備えておりますれば、外国人でありましようと、日本人であろうと、その間に区別をしない趣旨でございます。それから第点のお尋ねの、関税の問題につきましては、取引所の上場商品であり、或いはそれの運営如何ということとは全然別に、関税は如何にすべきかということで関税の方は決定されるというふうに考えつております。
  28. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 外に御質疑はございませんか。
  29. 西山龜七

    ○西山龜七君 問この上場商品とは相違いたしますが、丁度この上場せられまする商品と同じような性格を備えておりまする砂糖でありますが、これは台湾が日本の領土であつたときにおいても取引所ができておりましたが、台湾が日本の領土でない今日におきましては、この配給制度が若し自由になりましたときには、当然上場せられましたような性格以上の価値のある商品であると思いますが、これに対しまして政府はどういうようなお考えを持つておられますか。この商品取引所法と関連いたしまして参考のために承つて置きたいと思います。
  30. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) お答えいたします。砂糖はこの法案にも入つておるのでありまして、取引所を設立いたしましても差支ない客観情勢がありましたならば、いつでも取引所を設立できるということになつております。只今私は砂糖が法案に入つておると…申しましたが、入つていないそうであります。併し只今申上げましたごとく客観情勢が備わりましたならば、政令で以ていつでも対処できるということをちよつと申上げて置きます。
  31. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 只今次官の御答弁では、必要の都度政令で商品の品目追加が行われるというようにできているという御答弁でございますが、この点は非常に重要だと思うのでございます。差当り現在必要なものが挙げてあるわけでありますけれども、從来において、又最近極く近い将来において上場商品に指定されるような品物、そういうものについての予想が分つておるものでございましたら、一つ御発表願いたいと思います。
  32. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今の御質問にお答えいたします。只今政務次官からお話がございましたように、この法律の第二条の第二項の第十号で、法定しております商品の外に状況を考慮して政令で規定ができるようになつておりますが、現在この法律の施行と同時に直ちに政令を出す予定のものはございませんですが、いろいろその商品の実情をよく調査いたし、又業界の御希望等を十分伺いまして、必要と認めました場合に追加をいたしたいと考えておりますが、一応問題となりますのは、通産関係商品につきましては、ここに法定しておりますように、生糸とか、人絹糸とか、ステープルフアィバー糸とか、毛糸とか、糸を皆規定しておりますが、これらの中の織物について、一部業界に御希望があるやに承つておりますので、それらのものにつきましても、近い将来に或いは、指定するということがあり得るというふうに考えております。尚私からついでにお答えいたしますが、農林関係物資につきましては、現在のところ追加の御予定の品目はないということになつております。
  33. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 農林関係では差当り予定するものがないそうでありますが、将来を考えまして、例えば雑穀なりその他の食糧統制が外れました場合におきまして、或いは雑穀につきましても、取引所を作るという問題が起つて来ると思いますが、かような食糧等につきましても、取引の形態は先物取引を認めるお考えでありましようか。
  34. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 各品目について私もまだ研究いたしておりませんから、つ研究いたしまして、後の機会にお答えいたします。
  35. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 外に御質疑はございませんか。それではお諮りいたしまするが、通産及び農林連合委員会は一旦これで散会してよろし4ございますかどうかお諮りいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。それでは連合委員会はこれで散会いたします。    午前十時二十六分散会  出席者は左の通り   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            栗山 良夫君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            小松 正雄君            椿  繁夫君            加藤 正人君            山川 良一君            境野 清雄君            西田 隆男君   農林委員    委員長     岡田 宗司君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員            瀧井治三郎君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            土屋 俊三君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            加賀  操君            三好  始君            三浦 辰雄君   政府委員    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省企業    局長      石原 武夫君    通商産業大臣官    房長      永山 時夫君    農林政務次官  島村 軍次君    農林省蚕糸局長 最上 章吉君