運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-30 第8回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月三十日(日曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣提出・衆議院送  付) ○飲食営業臨時規整法の一部を改正す  る法律案衆議院提出) ○地方行政改革に関する調査の件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。地方税法案審議を続行いたします。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は岡野国務大臣に伺いたいと思いますが、この地方税法案はいよいよよく切迫して来て討論、採決のもう時期になつて来たのですか、この法案審議する上にこの間から誰かが質問して問題になつておりましたが、災害復旧事業は二十五年度全額国庫負担にしてありますが、二十六年度はどうなるかということが未決定で、問題はそれがどうなるかは地方財政の上に非常に重大な要素をなすので、今回の地方税法案は相当大幅の増税でもございますので、若し万が一にもこれが二十五年度限りということになつて、二十六年度におきましては又もとのように国と地方が分担してやるということになりますと、それだけ地方財政が膨脹せざるを得ないということにもなりますので、今回の地方税法案が非常な増税であるという点に鑑みて、これを担当しておられるところの地方自治庁長官としての岡野さんは、その点をどういうふうにお考えであるかということを承わりたい。
  4. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 西郷委員の御質問にお答え申上げます。これはたびたび私からも申上げました通り、又西郷委員の非常に御心配下すつておることは私も同感いたして、心配しておる次第でございます。その点につきまして、曾て申上げました通りに、あれは一応の方針でございましてこれから予算編成をするためには、シヤウプ・ミツンヨンも今晩着くことになりますし、いろいろ相談もしなければならんことになります。まだ実際の点は来決定でございます。併し私といたしましては、西郷委員の仰せの通り考えておりまして、できるだけ善処したいと思いますが、若し万一、そういうことがどうなるか分りませんけれど、あの実現が困難だというようなことでもあるとすれば、いろいろろ外に方法があると思います。それは例えて申しますれば、起債の枠をうんと殖すとか、或いは又平衡交付金をどうするとか、例示でございますが、又地方の方面で、これは経費のことも、私は経費節約をしなければならぬと思つておりますけれども、如何ようの点において経費節約をするかということも、まだはつきりしていませんが、そういう点も又あろうと思います。いずれにいたしましても、西郷委員の御心配の通り私も心配しております。その点において同じ方向に向つて、これに対して私は国務大臣として、できるだけの努力をして行きたい。こう考えておりますから御了承願います
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 是非大臣において、その点を十分今後努力して頂きたいと思います。その内容の点におきまして、正確に覚えておりませんが、たしか一件十五万円以下のものは、二十五年度においても、これは国庫負担になるというようなことであつたと思うので、その点はやはり今後の方針を決める上に、非常に勘案すべき点であろうと思うので、そういう点もありますので、それらの点を十分御研究の上、一つ是非二十六年度以降には、我々も本年度同様やつて頂きたいということを要望して、この点はこれで打切つおきます。
  6. 相馬助治

    相馬助治君 前に私が小野政務次官質問した中に、附加価値税の問題について、政府としては将来考慮して行きたいという発言があることは大臣も御承知だと思うのですが、要するに府県税たる附加価値税が、世界どこの国でもまだやつたことがなくて、税制学者の間でも、非常に問題があるというようなことも聞いておりまするし、いろいろな点から問題になつていることは大臣もよく知つていられると思うのです。そこでこの二ヶ年間これが停止されている間に十分この附加価値税そのものについて、政府はやはり研究を進められて、必要とあらば修正案を出す用意がなくてはならない。こういう意味で私は政務次官質問したのですが、十分考えて行きたいという答弁であつたのでありますが、大臣もこの言葉を裏書されると信じまするが、さよう了解して、置いてよろしいですか。
  7. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 相馬委員にお答え申上げます。政務次官の申上げました通しに私も考えております。
  8. 相馬助治

    相馬助治君 分りました。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 文部大臣お忙しいようですから簡單に昨日の速記を見て食違つている点と、確認して置きたい点についてお答え願いたいと思います。 昨日新制大学設置費に関する寄付金の問題で、西郷委員からの質問がありました場合の文部大臣最初の御答弁は、大学経営維持のために、地方から寄付を求めるということは、教育上差支えないやの御答弁がありましたのに対して、重ねて岡野大臣にお伺いしたところ、岡野大臣答弁は、文部大臣には気の毒であるけれども、地方財政法にこういう禁止規定のある限りはこの法を考えて頂かなければならんというような所見の御発表がありました。それについて文部大臣、重ねての御答弁では、甚だ申訳ないが今度の税に対する知識が十分でないので、常識的に話をしているのであるが、岡野大臣の言われたところが誠に適当と思います、と御答弁になつておられるのであります。そとでその誠に適当でありますということは、これに同調するのかどうかということに疑義があるので、西郷委員が又質問したのに答えて、三百億は税を以て賄い、ただ百億というものが残るというだけのことなんですから、何も岡野大臣の言われたところと意味において矛盾しないと思う。内容においては岡野大臣と同様に考えておるのである。こういうお話でありました。それでこの御答弁を仔細に検討して見るというと、岡野大臣の言われることというのは、これは新規の三百億、或いは百億の予定されている寄付以外に、国で寄付金を取るということは資料の数字には載つていないんだから、別個の問題なのだから、そういうことは不適当であるという意味の筋合で、文部大臣にはお気の毒であるがというお話であつたように思う。ところが大野文部大臣の方は三百億という税の中で賄われている分もあれば、百億の寄付というものも認められているのであるから、新制大学寄付を認めるということは、この範囲において矛盾しないのだ。だから岡野大臣の御答弁と同様であるというふうな意味合の御答弁ではないかと思う。そこは非常に大きな食違いなのであつて、国がいわゆる新制大学設置のための寄付を認めているのは、今回の千九百億円の枠内になつておるのである。そこで岡野大臣の御答弁と同様であるという意味は、結局結論としては、国はこうしたことにおいて寄付を取れないという答弁になるのであります。それで、そう考えてよろしいのかどうか、はつきりお答え願わないと地方財政に直ちに影響ある問題なのでありますから、御答弁をお願いしたい。
  10. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は三百億というものも寄付という言葉で初め言つたのですけれども、それが併し地方税で以て今度賄われるということであれば、寄付ということを言うのは不適当なのですから、そういう意味寄付をこちらから特に求めるということはないので、自発的のものだけに限るという意味において、岡野国務大臣の言われるところと一致するのではないかと考えるのであります
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうなりますと、過去において大学設置に当つて一つめ認可の要件として、金が地方からどれだけ出せるかということで認可を與えた。それは結局金を出すことを国として過去においては肯定しておつたわけなんです。ところがそれは年度継続事業として地方は金を出すのですから、新規に二十五年度に、新税法が通過しますというと、これは直ちに過去のそれが引継がれて、この地方財政法寄付行為禁止の問題に触れて来るんです。結局割当てして寄付をとつておるのですから……、これは精神的な圧迫を感じない寄付、そういう意味合寄付を除く強制であろうがなかろうが、精神的な負担を感ずるものは全部いけないという広範囲の解釈をするのだということが昨日の答弁にあるので、この寄付を求める、或いは求めようと国がしなくても、地方自体においてそういう操作をすることを、国としては許しておけない建前になつて行くのであります。これに対しての措置文部大臣がお考えにならない限り、必ずや地方財政を圧迫することは間違いないのでありまして、それで今後どういうふうに岡野大臣の昨日言われましたこの精神を活かす意味において、文部大臣にお気の毒であるけれども善処を願うということを、どう活かされて行くのか、お伺いしたいと思います。
  12. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は今岡野国務大臣の言われた御精神に同感で、それで行かなくちやいけないのだろうと思います。寄付を仰いで学校をやつて行くのじやいけない。併し個々の場合あなたのおつしやることは專ら私は義務教育に関することだと思いますが……
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 新制大学の方です。
  14. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 義務教育に関しては問題ないだろうと思いますが、新制大学のことになりますというと、やはり従来こういう條件の下に認可したということがありますから、これをやはり一々の場合について検討しないと言えないだろうけれども、方針としては岡野国務大臣の言われた方針で進むべきものだと私は考えております。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その方針で進むべきものだと考えるということは、国において新制大学設置に関する今後の費用を持つように努力し、予算化に努めると、こういうふうに了解してよろしうごぎさいましようか
  16. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私はそれでよいと思つております。その方針で……。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうなりますと池田大蔵大臣にお伺いしたいのでありまするが、只今論議しておるのは、六十七できた新制大学は誠に貧弱な校舎設備を持ち、或いは敷地を持つておるがために、その認可に当つて地方からの、自治団体或いは住民等寄付を大幅に求めて大学を建設すると、こういう建前であつたのであります。ところがこれが今回の地方財政法の強制的な寄付行為禁止條項に触れることは、先程来の論議で明瞭になつて来たのでありまして、国がその分を見るように今後措置して頂けるかということに対して、大野文部大臣は、努力したいということを申しておられたのでありまするが、大蔵大臣としまして今後そうした経費地方において強要しないように、国立大学の名にかけて、国でこれらの経費を捻出して頂くということについて、どうお考えになつておられるか、お伺いしたいのであります
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国の財政の許す限りにおきましては、そういうものの経費を盛つて行く考えでおります。併し出発点というものでは或る程度経費を予想しておるということは御語の通りでありますが、寄付の集め方を地方税法で今後いたす……、強制的にあらず、任意におやりになればこれは差支えないと思います。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは岡野大臣にお伺いしますが、任意寄付云々ということですが、精神的な負担を感ずる寄付行為自体が、この條項に触れるのだということは、再三御答弁があつたのでありますが、今において五千万なり一億なりというものを、県内において募集するということ自体が非常に困難なために、遅々として新制大学建設事業は進まないのである。今大蔵大臣の言われるように任意寄付であれば構わない。こういうことで地方財政を今後賄つて行かせるということについて、どうお考えになるかお伺いしたいのであります
  20. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。先程大蔵大臣が言いました通り任意寄付なら差支えない。私自身といたしましても、今度の規定は強制してはならない。ですから是非これをその地方で持つて行きたいというような意味において、自分で喜んで飛び出して行つて寄付するということまでは、今度の法律規定しておりませんから、大蔵大臣の言う通りでございます。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではそうした建前で自由なる寄付を認め、或いは自由なる意思において寄付をするという建前をとつて建設事業遅々として進まないという場合においては、文部大臣のお考え通り関係大臣に善処して頂けるかどうか、お伺いした。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは先程申上げましたように、財政の許す限りにおきましては、文教施設には我々力を入れたい。こういうことは予算編成方針言つておるのであります。財政の許す限りやる……。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じや財政の許す限りの問題ですが、新制大学の方を除いて六・三の方の建築費ですが、昨日もどうも後味であつたのですが、文部省は〇・七坪の最低基準のそれを建てるためにも、もう二十四、五年度の十五ケ月予算に基く六十億では足りないという実態を把握せられて、五十億に近い追加予算要請関係当局にしておられるやの御答弁があつたのでありますが、このことはやはり資料の中の三百億の寄付を排除するという中には見込んでおらないようであつて、これが今年このままに放置せられるならば、やはり地方財政を圧迫する。国の見込み違いであつたという欠陥があるのでありますから、当然国において追加予算によつてこの基準建坪校舎建設が速かに本年度になし得るように努力して頂かなければならない建前になるかと考えるのでありますが、池田大蔵大臣はこの前の質問に対しても今年はそういう追加予算は出さないということを二曲に亘つて言明しておられる。そうなりますとこれは地方財政の方に直ちに影響するのでありますが、岡野大臣並びに天野大臣はこれを如何に取扱うお考えでおられるか、国民一般に知らせる意味を以て精細にお答え願いたいと思います
  24. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。その点は一に中央財政の資力に関する限りでございますから、大蔵大臣からしつかりした御答弁をお願いしたいと思います
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の申上げますのは岡野大臣には地方財政を所管する主管大臣として、そういうものは地方で見ることはこれは従来の建前からできないので、国で見なくちやならんということだけは御承知であろうというのであります。国で見ようとする場合にこれをどう組織して行くかということについて財政担当池田大蔵大臣に、自治庁側建前として、どういう要講をして、この問題を解決して行ごうとするお考えであるか。それぞれ担当の責任において御答弁があればよろしいのでありまして、財政のことは大蔵大臣にお伺いいたします
  26. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は自治庁長官でございます。その点におきまして今回の只今の御質問に対しては、大蔵大臣並びに文部臣にできるだけ御協力願つて皆様方の御希望に副うようにして行きたいということを努力する。又しつつある次第でございますから御了承願います。
  27. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 私は今御質問の点につきましては、できることなら補正予算を出したいと思つております。併し池田大蔵大臣教育のことには非常に御熱心でありますので、池田大蔵大臣誠意にいつも信頼をいたしておるものであります。そういう意味でできるだけの努力をして、この義務教育に当りたいという考えであります。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはよく御両所のお話は分るのですが、できるだけのことをしてできなかつた時の負担が、寄付その他で地方住民にかかるので、個人の誠意、或いは下誠意、そういうことを論議の外としまして、この事態を収拾するがためにどうするのかということを、きつぱりお答え願いたいと思うのであります。例えば本年補正予算提出のために努力するとして、それができないとなつて、来年だとなつたら、本年申はどういうふうに賄つて行くか。こういうことをしつかり御答弁願いたいと思います
  29. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 要するに今申したことと同じことなんですが、私はできるだけここで補正予算を頂きたりいと思つておりますが、併し私が勝手にやれるわけのものではないのですから、自分は非常に努力して、若しそれができないといたしましたならば、次の機会においてどうあつてもこの義務教育は充実したい、それは大蔵大臣もよく了承していて下さることと信じて、自分はそういう途で進みたいと思います
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では大蔵大臣にお伺いしますが、そういうことについて大蔵大臣として御努力下さるということになりましても、先程から申します通り財政の許す範囲において許されないという事態になつて、この問題が来年に選り込まれる。こうなりまする場合の措置をお伺いしたい。即ち本年この政府決定の〇・一七坪のために必要なる経費そのもの追加予算に組まれないということになる場合には、その暫定措置として大蔵大臣はどういうふうにして地方の期待しておられる方々の要望に応えるようにしようとお考えになつておられるのか、率直に、これは非常に大きな問題になつておるのですからお答え願いたいと思います。
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題は先般本委員会はつきり申上げたと思うのであります。六・二割のことは只今お話のように、勿論十分ではございませんが、財政上できるだけのことはいたしております。私は、本年度補正予算文部省から要求がまだ出てはおりませんが、来年度におきましては、或る程度金額が出されるやに聞いておるのであります。従いまして本年度補正予算で六・三制の金を相当出すという、私は今計画を持つておりません。来年度におきましては、又状況を見てできるだけのことはいたしたいということだけなんで、従いまして、補正予算でできないというときにはどうするかという問題は、これは我慢して頂くより外ない。十分にやりたいと言つても金がないのだから仕方がない。それは来年度まで待つて頂くより仕方がない。而して本年の六。三制の問題はこれは一般国庫から出すばかりでなく、起債の枠なんかと関係があるから本年は我慢して頂きたいと、只今私は考えております。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大蔵大臣の御答弁としては、そういうことで或いはいいのかも知れませんけれども、この実態を御了解になられ、関係大臣努力なさるということで、予算しただそれが不可能に近いということのために追加予算ができないということであれば、その他起債なり、長期融資なり、結局起債でありまするが、これらにおいても一部要望を満たして行こうということについては、これは大蔵大臣の所管において御考慮願える部面があるのではないかと思われるのですが、そうした点と、或いは全体の国家財政からいえば、そう言うと失礼ですが、さして大きな金額でもないとさえ思われるのでして、これのやり繰りできないという事情について、もう少し納得の行くようにお話し願いたいと思いますし、文部大臣には先程来御努力なさつておられると言つておられながら補正予算のそれについて大蔵大臣の方に要請がないというようなことは、これは如何かと思われるので、その間のこともお伺いしておきたいと思うのであります。
  33. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) その用意を私はしております。又補正予算という名前ではありませんが、大蔵大臣にも義務教育についてできるだけのことをして頂きたいということを絶えずお願いいたしております。大蔵大臣もここでは今は考えておられないという御返事なのですから、それを余りもう補正予算は出さんという建前でいろいろ言われることは私は却つてどうかと思うのです。私は決してそういう希望を全然捨てておるわけではございません。できるだけのことをして大蔵大臣の御了承を得たいと思つております
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 財政やり繰りをしたら或る程度金は出るじやないかというふうな御意見でございまするが、私は日々いろいろなやり繰りをしておるのでありまするが、ただ只今補正予算で六・三割の校舎新築予算を出すということにつきましては、まだ決心ができていないのであります。見通しといたしましてはなかなか困難じやないかと思います
  35. 相馬助治

    相馬助治君 岡野国務大臣大野文部大臣が丁度列席されておりまするここで、特に私は池田大蔵大臣に一言お伺いして置きたいことがございます。御承知のように、今審議中の地方税法案は予定通り参りますれば明日この参議院を通過するでありましよう。そういうことになりますというと、これは税法史上画期的な大変革であると言われておりまするが、同時にこれを教育の面から見ますというと、義務教育費が全部地方財政の下に隷属せしめられるという画期的な内容を持つております。そこで私共心配いたしまして、昨日の委員会で、文部大臣並びに岡野国務大臣に対して質問をいたしたその答弁の中にこういうことがございます。即ち義務教育費は当然これは理論的には国で持つべき性質のものである。従つて文部大臣としてはでき得る限りの努力をして、そういう方向に進め、同時に中央意思をその地方に及ぼすような方策を取りたい。こういうことを言われたのです。それを具体的に立法化する用意があるかという本員の質問に対して、是非そういうふうにしたい。次いで岡野国務大臣に対して私が質問いたしましたところが、最初はそれに反対のような意向であつたのでありまするが、執拗に食い下つた私の質問に対しての答弁は、できるだけ協力をしたいと、こういうことになつております。そこでこの際大蔵大臣に伺いたいことは、地方税法の成立によつて、日本の義務教育は現在の地方の枯渇した財政の面から見て破綻に瀕することはこれは明白でございます。従つてこの際、大野文部大臣並びに岡野国務大臣答弁されたような線に沿つて大蔵大臣としても近い将来において、義務教育費に対して国費を以て何らか保護を與えるというような方向に立案する用意があるかどうか。同時に併せてお伺いしたいことは、現在の千五十億というあの平衡交付金を以てして、地方貧弱町村等現実に照らしてこの教育の問題を勘案しても十分なる財政上のバランスが取り得る自信があるかどうか。この平衡交付金の将来についての見解も承りたいのであります。尤も本委員会において大蔵大臣が、現在は理論的に平衡交付金というものは逐次減らして行く方向を取らなければならんという答弁を私は先に聞いておりまするが、教育現実から睨めまして再度このことについてお伺いいたします。    〔国務大臣天野貞祐発言の許可を求む〕
  36. 相馬助治

    相馬助治君 私は大蔵大臣に聞いておるのです。
  37. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 弁明をされるそうです。
  38. 相馬助治

    相馬助治君 大蔵大臣に聞いておる
  39. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 大蔵大臣答弁される前に、私はちよつとあなたのおつしやつたことに、私の意見を誤解されておる点があると思いますから弁明して置きたいのです。私は国で以て全部の教育費負担しようというようなことは言いません。そうじやなくして、国がその義務教育費に一定の標準を保障したい、そういうことを言つたのであります。それが標準義務教育費確保法律案ということの趣意だと私は思つております。国で全部持つてしまうというのじやない。そういう……。
  40. 相馬助治

    相馬助治君 私も只今大蔵大臣に対する質問申そう響いたところがあつたらば、それは私が話し下手か、文部大臣が聴き下手か、そのどちらかであつて、私はそういう趣旨で申しておりません。具体的に申してついこの間まで半額国で持つていた。それが全部なくなつてしまつて、まるつきりこの義務教育費というものは地方財政の下に隷属せしめられたから、せめては半額の緯線にそれが行かなかつたならば……前の国会等においても問題になりかかつたやに聴いておりますが、標準義務教育費確保の問題、そういうものに触れて、幾分なりとも国で以て義務教育費は見なくちやならないのじやないか。こういう意味で聴いておるのであつて文部大臣全額国費を以て補助するのだということを申していないことは、文部大臣弁明通りであつて、私もすでに了解しております。
  41. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先程あなたの御意見を聴いたときに、文部大臣はとても大胆なことをおつしやつた自分思つてつたのでありますが、今文部大臣弁明を聴きましてさすがに文部大臣だと思いました。この義務教育費負担関係の問題は従来から非常に議論のあつたところであるのであります。面して今後も又相当検討を加えて行かなければなりません。こういう問題は地方行政調査会議におきまして検討されると思うのでありまするが、財政当局といたしましても、この上とも検討いたしたいと思うのであります。従いましてこの教育費の問題と地方財政平衡交付金の問題につきましては余程考えなければならん。併し地方財政平衡交付金というものは最低調節作用という観念を以ちましても教育費に対しまする国の関心というものは離れるわけには行かない。で地方財政平衡交付金義務教育費国庫負担を見るか見ないかということでも議論したのでありまするが、社会施設の厚生年金なんかは一応外しました。義務教育費は御承知通りに入れているわけでございます。今後も義務教育費につきまして当然教育費その他の問題で相当あるのでありますが、検討を加えて見たいと思います
  42. 相馬助治

    相馬助治君 非常にくどいようでございまするが、私は尚念を押して大蔵大臣に頼んで置きたい理由は、先程同僚小笠原委員の質問に対して、仕方がないときには我慢しろ、こういう言葉があつた。これは実に大胆率直であつて誠に池田さんらしい発言でございまするが、問題は国立大学でも何でも年次計画的な寄付を募集している。今まで日本の国で例のない寄付の形態というものが大部分の府県において行われておるのであります。私は栃木県でありまするが、同県において本年度は三千万円を宝くじの形を以て寄付を募集しております。来年度、再来年度とこれが一貫して充実されるようになつております。六・三制の建築費も多かれ少かれこういう形をとつて年次計画的な寄付金の募集によつて行われております。従つて地方税法案という画期的な法案を出して、国民に強制寄付負担を逃がれしめたいという政府の親心を活かされまするならば、仕方のないときには我慢しておれというのは余りにも酷な話だと私は思うのであつて、そういうような意味で仕方がないときには我慢しておれではなくて、どうぞこの義務教育費の問題につきましては全額とまでは参らないでありましようが、財戰国民当然の責任といたしましても是非とも今大蔵大臣がおつしやつた線に沿つて必ず実現されるように、財政の面から御努力願いたいということを付加えて置きたいと思います。
  43. 石川清一

    ○石川清一君 私は今度初めて出て来まして非常に地方税法の問題につきましていい修正案が出るように期待しておりましたが、なかなかそういうように至らずに遂に問題になつたわけでございます。お尋ねしておりますといろいろなことが結論的に地方財政委員会に降りかかつて来るようになつておりまして、殊に事業税につきましては附加価値税の延期の間の代案と申しますか、非常に優秀な案であつて、事業税がいいのであつて、その代り出る附加価値税の悪い点を直して来ればというような意味かどちらか知りませんが、とにかく二ケ年間残ることになりました。そういたしますと、この事業税は今まで百分の十八であつたものが百分の十二に第二種はなりましたが、第一種については自分の十五の府県か確か六か七ありましたし、百分の十六が二、三府県、百分の十八が二十一、二府県、こういうように府県によりましては事業税の賦課率が違つておりましたが、そういうようなところで今度百分の十二と決められました。これが第七百四十六條の第四項では「道府県は第一項の標準税率と異なる税率で課する場合においては、あらかじめ、地方財政委員会に対してその旨を届け出なければならない。」こういうように出ておりますが、この事業税が真に政府言つておりますように、事業税は中小企業者に対して非常に重税である。これを本当に公平にするのが附加価値税であるといたしましたら、この事業税の持つておりましたところの欠陥というものについては、何らかの形において附加価値税に副うように、府県の実態において税の改正その他が行われなければならないのでありますが、これも府県自体が行うべきでなくて、地方財政委員会に税率を変更する場合には予め届出でなければならない。それも届出一方でいいかと申しますと、届出一方ではいけない、こういうような事務局の昨日のお話でありました。ここにも都道府県としましては成る程度の疑義を持ち、私達も今少しこの地方財政委員会の持つている基本的な活動方式、或いは各委員会との連絡関係、大蔵省等の関係も突詰めなければなりません。又固定資産税の中の償却資産につきまして、今まで論議されましたように税率が一・七五から一・七になり又一・六になつても総体の五百二十億というものには変更がない。従いましてこの課率或いは課税の客体というものの押さえ方が一に地方財政委員会にかかつている。その地方財政委員会に一応出されておる数字が全体で一兆三千億何がし、初めには五二%大体把握、それが〇・一下りまして更に償却資産の方に降りかかつて行く。そういたしましたら今まで以上に地方財政委員会の責任、或いは活動範囲というものが多くなつて参ります。その上に市町言村税の場合におきましては二つ以上の町言村に跨つておる償却資産については、これも又地方委員会の指示を仰がなければいかん。都道府県税附加価値税は実施されませんけれども、これも二つ以上の府県に跨つておるときには地方財政委員会の指示を受けなければならない。こういうように地方財政委員会というものが設置されまして、僅かの日時しか要しませんけれども、重大なポイントを押さえられておることになりまして、この点について先ずお尋ねをして、それからいろいろな点についてお尋ねをしたいと思いますが、更に大蔵大臣に対しましても本年度の所得税の滞納が現在八百億近い、而も本年に賦課されますところの市町村民税における所得割というものは、昨年度の所得税の納税額によつて賦課される。都道府県を含める市町税の滞納は、この間頂きました資料に基きますと、七〇%以上の滞納率である、国税も又大体八〇%ある。こういうような中で一体どういう連繋を持つてこの困難な問題を地方財政委員会が切り抜けて行くかということ、更に予算編成がそれぞれ事務的に計画されておるようでありますが、平衡交付金は一体国が予算で計上するというようになつておりますが、これはどこの関係庁から資料が出て、最後的には誰がどこでどういう形で折衝するか。その主体が自治庁にあるのか、地方財政委員会にあるのか。こういうような点を続いてお伺いをし、更にこういうような形の中で最後に残されるのは、わゆる文化的な施設、教育問題が最後に残されて参ると思います。こういう困難な中に、貧弱町村或いのは政治力の弱の町村は、教育施設というものが取残される。こういうようなものにつきましても地方財政委員会平衡交付金を通じまして、国の方へ働きかける力、そのことについてお伺いしたい。これが私のお伺いする概要でございますが、先ず地方財政委員会について委員長さんにお尋ねをいたしますが、地方財政委員会はシヤウプの勧告書によつて設置されたと思いますが、委員長は活動の基本方針をどのように定めているか。一応お伺いをいたしたい。
  44. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 地方財政委員会は御承知通りシヤウプ勧告に基きまして、前国会において地方財政委員会設置法が制定せられ公布せられました。私共はこの設置方針、この意義に基いて、各地方団体の自治性を十二分に確立し、そうして地方の福祉を十二分に増進するように、その地方意思中央に反映し、地方の今まで貧富の均衡を失しておつたこと、これを是正するように財政的方面においてあらゆる措置を講じて行きたいと考えております。設置法の趣旨を十二分に我々は了得いたしまして、そうしてこれについて公正に妥当に運営をいたして行きたいと思います。
  45. 石川清一

    ○石川清一君 設置法で設置されました基本的なものをお尋ねしておるのではなくて活動方針、勿論それによると思いますけれども、今私が申しましたように固定資産税の一・七五が一・七になり、一・六になつたという混乱の中で、何かその活動方針としてこういうふうにして行かなければいかんというようなものも含めて、現われて行きます現象の中でお考えになると思うのですが、どこまでも額面通りの証文で睨み合いつこしておるかどうか、その活動方針、こういうふうな情勢い中でそれを具体的にどういう問題はこうするのだという、先ずその点をお尋ねをいたします。
  46. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 個々の問題については、個々に我々具体的に調査研究いたしましてこれを公正に運用する外ないと、かように存じております。
  47. 石川清一

    ○石川清一君 公正に個々の問題についてというお話でございますが、この間地方自治庁にお尋ねをいたしまして、現在の政府の取つておるのは主として資本蓄積を図ろうとしておるところの近代的な工業、或いは産業のために重点を置いているが、今度の地方自治岸は民生の安定面も自治体の中における共同円満な生活というものを自治体を通じてやるのか、どちらかと言いましたところが、後者の方だと、こういうようなお答えを得まして非常に私は満足に思つておるのですが、そういうような具体的な答弁を私はお受取りいたしたかつたが、なかつたので止むを得ませんが、それでは続いてお尋ねをいたします。シヤウプ勧告は税制のみならず、地方行政全般、特に事務の再配分等を勧告しておるようでありますが、この種の行政的再編成はまだ進行中であり、その他府県の離合集散というようなことについても随分論議があるようでございますが、地方財政委員会はこの過渡的な時代において、他のいろいろな関係機関と連絡調整が必要だと思いますが、現在のところ取つておりますかどうか、お尋ねをいたします。
  48. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 只今地方団体の事務再配分というようなことは、これは御承知通り地方行政調査会議においていろいろ調査研究して近く結論が出ようと思うのであります。我々としては財政委員会として常に連絡を取りまして、両者の間において円満なる進行を図つて行くように努めております。
  49. 石川清一

    ○石川清一君 そのことについても実は私は活動方針の中でお答えを願いたかつたのでありますが、大体今度の地方税法が恒久的なものだということになりまして、大工場が二つ以上の町村に跨つているような場合、恐らくこういうような財政面を通じて一本になるというようなことも考えられるのでありまして、そういうような点も具体的なものが出されて当然であつたと思いますので、お答え願いたかつたのであります。続いてお尋ねをしますが、シヤウプ勧告は地方税審議会及び地方自治庁、これに代るものとして地方財政委員会を設けるように勧告しているのでありますが、現在のところでは自治庁と両省が対立或いは序在しているが、このままでいいですかどうか、お尋ねをいたします。
  50. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 地方財政委員会が発足のたしまして一ケ月半になりますが、今日までの経過を見て、何らその間に齟齬扞格を来たすようなことはございません。今後も円満な協調を保つて行き得ると存じております。又そういたさなければならんと思います。若し他日支障があればその支障を取除くことにお互いに努めて行きたいと考えております。
  51. 石川清一

    ○石川清一君 岡野国務大臣にもお尋ねします。御意見を承わりたいと思います。
  52. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私はこの委員会の席上においても、私の地方自治庁長官としての立場は十分御説明申上げた筈でございます。改めて申上げますれば、只今地方財政委員会委員長が申されたように、地方財政委員会委員長は御質問の点について非常に御努力なさつているし、又同時に地方行政調査委員会議というものが事務の配分なんかもやつておりますので、そういう委員会が個々独立にできておりますけれども、私の立場といたしましてはそういうような委員会とお互いによく連絡し合つて、そうして意見の対立があればそれを調整し、又地方自治のためにこういうことをしたらいいだろうというようなものがありますれば、やはりその両委員会なんかに意見も述べまして、そうして合同審査もお願いするし、又連絡もとる、こういうことにして個々別々に思い思いの考えをせずに、打つて一丸となした地方行政の刷新を行いたい。こういうことについて私はいわゆる仲介役として一生懸命に努力しようと考えておりますし、又只今つておる次第でございます。
  53. 石川清一

    ○石川清一君 前に申しました質問を、この中で合せていたしますが、今までの審議の経過から見ますというと、いよいよ財政の面になりますと地方財政委員会委員長さんを煩わさなければならん。又財政の規則につきましても平衡交付金の規則についても、ここで審議をするというよりも規則で決められる。こういうような事実を見ましても、地方自治庁の持つておる実質的な運営の面に入りますというと、全部財政委員会が持つておるようで、真の財政的な面から行くところの地方自治の伸長というものが欠けるように思いますが、これは将来今おつしやるように完全一体としてでき得るという見通しですが、これはそういうように了解して差支えありませんか。
  54. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。そのための岡野自治庁長官でございまするから、それは私を御信頼下さつて結構だと存じます。
  55. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 災害復旧費の全額国庫負担の問題に関連いたしまして、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。新聞紙の報道によりますと、来年度予算編成方針が閣議で討議されまして、災害復旧費の全額国庫負担の問題は本年度で打切ると、こういうようなことが新聞紙上に報道されまして、非常に府県、市町村には大きな問題を投げていますが、果してそういうようなことになつておるのでありましようか、お伺いいたしたいと思います。私といたしましても昭和二十五年度における災害復旧事業国庫負担の特例に関する法律からいたしまして、その第二條の規定によりまして、昭和二十五年度に限るということを規定されておることは知つておるわけでありますが、シヤウプの勧告には災害復旧費は全額国庫負担というふうにありまして、その期限を規定していません。従つて我々が勧告書から推察しますところによると、これは昭和二十五年度に限るべきではないやに思うわけでありますが、大蔵大臣とされましてはこれをどのように御理解でありましようか。更に若し巷間伝えられるように、そのような予算編成方針がとられるといたしましたら、災害復旧費が各府県に持つ財政上の圧迫が非常に強いわけでありますが、それに代る財源措置はどのようにお考えでありましようか、お伺いいたしたいと思います。
  56. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お答えを願います前にちよつとお諮り申上げます。文部大臣に対する質疑が盡きたものとしてよろしうございますか。石川君よろしうございますか、お帰りを急いでおられるようですから……。
  57. 石川清一

    ○石川清一君 文部大臣にお伺いします。只今のようにいろいろな教育施設に関する欠陥があるようでありますが、標準教育費に関する法案というようなものが、やはり審議を通じて痛切に感じさせられるわけでありますが、これはやはり或る程度義務教育費として法案を出すことが、大体現在の見通しの上で好ましいかどうかということをお尋ねしておきます。
  58. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 昨日も申上げたことでございますが、この点についてはよく諸方の了解を得てただこの、無茶苦茶に出そうというのじやなく、よく了解を得て、そうして出したいという考えを抱いております。
  59. 石川清一

    ○石川清一君 了解を得てということは、まあ大蔵大臣地方財政委員会の方の許可がなかつたら出さないと、こういうように了承してよろしいですか。
  60. 天野貞祐

    国務大臣天野貞祐君) 了解を得てというのは、よく相談をし合つて、できるだけそれに努力をしよう。了解されなければ出すとか出さんとかと、今私が断定的に申上げられることではない。自分はどこまでも出そうと思つておる。
  61. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に文部大臣に対する御質疑はございませんか……。それでは大蔵大臣只今の中田君の御質問にお答え願います。
  62. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申上げます。シヤウプ博士が昨年来られまして、地方財政並びに中央財政につきまして検討を加えられました。その結果として、お話通り災害復旧費は全額国庫負担という勧告をなされたのであります。勧告がなされて以後いろいろなことを検討いたしますると、シヤウプ博士のこの勧告は、必ずしも実情に副わないという点があるのであります。従いましてお話通りに二十五年度限り全額負担ということで行つたのであります。先の国会におきましても、法文に示しております。ようにこれは二十五年度限りである。二十六年度においては別途の方向で行こうということは、関係方面並びに我々のところで相談いたしておるのであります。従つて只今のところは二十六年度からは国庫金額負担という原則でなしに、一部は地方税負担して頂いた方がいいのではないかという方針の下に一応策定いたしておるのであります。併しこのことは、どれだけの負担をするかという問題もありますし、そうしてお話のように、負担をした場合にその財源をどうするかという問題もあるのであります。で、今晩遅くシヤウプ博士も来られることでございますから、国が全額負担するよりも、一部はやはり地方負担した方が実情に副うだろうということをお話した上で、最後の決定をいたしたいと思うのであります。尚一部負担の場合におきまして、その財源をどうするかという問題は、今までの経過から申しますと、殆んど起債によつてつておるのであります。税を以てやるということは、災害のその年の税で以てやるということは、これは極く例外であります。一部今の起債利子を負担するということはありますが、概ね起債によつてつておるのであります。従いまして国が一部負担地方にして貰つた方が実情に副うのではないかということは、早く災害復旧をしたいときに国費だけでは予算関係上なかなか困難であります。復旧は地方の分は起債でやりますから、事業分量が非常に多くなるということも一つの一部負担の根拠であるのでありまするが、この問題は岡野国務大臣からもお話なつ通りに、まだ最後の決定をいたしておりません。そういう考えで進んでおるのであります。
  63. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、大体閣議で来年度予算方針決定の際には、シヤウプ博士の来軌もあるわけでありますが、大体大蔵大臣の言われたように決つておるのですか。
  64. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体只今のところそういうふうにして行つたらどうかということで行つておるのであります。
  65. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 この問題については先般も岡野国務大臣にお聴きしたのでありますが、そのときの答弁によりますというと、一応二十六年度予算編成方針というようなものについて、閣議にそれが提案されて、予算編成方針としてまあまだ暫定的な、確定したものではないのであるから、一応そういう方向を取るということについてはまあ了解したのだと、併しながら具体的な問題については……、果して全額国庫をやめるかどうかという具体的な問題に入つた場合においては、必ずしもその通りに了承するとは限らないという岡野国務大臣の御答弁でありましたが、今大蔵大臣お話によりますと、大体その方向によつてシヤウプ博士の了解を得て実施されるような非常に強い色彩があるのでありますが、極端に言えばその通りに行つてしまうのだ、こういうふうに受取れるのですが、岡野国務大臣の方はどういうふうになりますか。
  66. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。只今鈴木君から仰せの通り私はこの前答弁をしております。又大蔵大臣もその通り了解しております。大蔵大臣はシヤウプ博士が来られてから相談をする方針であるからシヤウプ博士にそういうことを言われるだろうと思います。その点は大蔵大臣の御意思に従うわけであります。大蔵大臣の御答弁を願いたいと思います。
  67. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この全額負担の問題は、只今全額国庫負担をやつているのではないのであります。事業分量の少い分は地方負担をしているわけであります。災害が十五万円以下の場合は地方でやる、十五万円を超えて十五万九千円の災害があつた場合ならば全部国がやる。十四万九千円ならば全部地方でやる。十五万円がいいか悪いかということは、なかなか問題で、これは極く悪い例でございますが、早く災害をとめてしまうなら十四万九千円で地方負担をする。放つて置けば十六万円になつて国で負担する。こういうように非常に実際問題としてむずかしい問題があるのであります。私は全般的に考えて事業分量を殖して早く災害復旧をして、面して地方負担する、地方債で当然賄う。将来の地方債の利子負担につきましては、地方行政調査会で国の仕事との間の調整をする。こういうふうな気持で以て行けばうまく行くのではないかと思います。このために地方税が殖えるのではないかということですが、従来の例からいつて見て余りない。今も地方災害で困つておられる群馬県等におきましても、これはその県費の相当部分が災害復旧の利子負担ということになつて行けば、これは考えなければならぬ問題だと思いますが、あれこれ全般的に考えまして、もう一遍検討をして見たいというのであります。このことは先程ありましたように、條文を作りますとき二十五年度限りと、こういつてつたから先の国会でもこの方針で一応申上げておつたと思います。
  68. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 災害の国庫全額負担法律につきましては、その内容も我々は検討いたしまして審議をした関係上、内容はよく了承しております。それで只今大蔵大臣から御説明がありましたが、そのお考えについては確かに私共は了承し得る考えだと思います。いわゆる災害は多いものである。そして災害の復旧は急を要する問題であつて、成るだけ多くの事業分量をやりたい。ところが全額を国庫でやるということになりまするというと、予算に縛られる関係からして、それ以外の例えば百億というふうな暫定的に当初予算にはなつているようでありますが、それ以上の災害があつたような場合においては全額国庫負担でやるのであるからして、それ以上国が出せない場合、残つたものは実際やれないような状態になつてしまう、こういうこともあり得るわけであります。事実あるわけです。而も十五万円以下のものでない場合においては国がやるということで、府県市町村はみずからやらないということが、これは実情である。そこで今大蔵大臣の害われるのは、成るたけ多くの事業分量をするために、地方団体も負担をするということにしてその分については起債を増加するという方法によれば、もつと実情に即したような方法でできるんではないかという考えは、私は是認できる。そこでお聴きしたいのは、その場合に現在全額国庫負担として仮に百億というものがありますが、この百億でやるというと百億の事業きりできないから、百億は従来の通り国が負担する。そしてそれを五割とか或いは八割とかという分量にすれば、仮に五割ということにすれば二百億の事業ができる。こういうことになるのでありまして、何と言つても基礎たる予算を多くするということが根本だと思うのです。そこで私のお聴きしたいのは、いわゆる半分なり或いは八割なりというものを、国が負担するからして、百億の八割に国の予算をしてしまうということになることを恐れるのであります。即ち大蔵大臣は事業分量を多くするというのであるからして、国の負担すべき予算はますます多くする、百億よりももつと多くする。そして地方にも少し起債による負担を多くする。こういう方法をお採りになると思うけれども、それと逆に二割を地方団体が負担するようになるのだからして、百億から二割引いたものしか国費負担しない。こういうことになることを恐れるので、その点についてはそうならないということを御説明をお願いしたい。
  69. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 昨年の予算編成方針におきましても、今年の予算編成方針におきましても、治山、治水、災害の復旧に政府が力を入れておるということは御承知通りであります。これは公共事業費としては、九百九十億になります。その中でも災害復旧が昨年よりも今年度非常に殖えております。私は災害復旧につきましては十分力を入れ、折角今年、昨年よりは二十五年度は非常に殖やしましたが、事業分量から行くと余り殖えていない。地方負担がないというので……、私は災害の復旧をすることがあらゆる政府の施策の重要部分でありますので、災害復旧費を減らすというようなことは毛頭考えていない。一部負担ということは事業分量を殖やすという意味から言つておるのであります。災害復旧予算につきましては十分力を入れておるのであります。
  70. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 事業分量を殖すという観点からして、従来国が負担していた分は金額において減らすことはないということは了承いたしましたが、然らばそれに附随するところの起債の総額でありますが、現在三百六十億でありましたが、その点については災害復旧費の起債というものはそのうちに入つていない。ところが仮に来年度そうなりますと、その起債がそれだけ殖えることになる。その場合に従来の起債の総額に更にその程度のものは当然増さなければならない。三百六十億に、その増額分のやつをそのうちに入れるということになりますと、六・三制の問題やいろいろの問題の地方起債というものが他の方面で削られるという結論になりますので、その起債の分につきましては、要するにそれだけはプラスにするのでなければいけないと思いますが、その点は如何ですか。
  71. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 非常に物事を消極的に大事をとつて考えになつておるようでありますが、起債の枠につきましても、二十四年度当初二百億だつたのを後から七十億殖やし、二十五年度は三百億というので説明しておつたのでありますが、向うに参りまして三百七十億にして貰つた事柄自がら、改めて災害復旧費を地方で一部負担するということになりますと、当然殖えるわけでございますが、どれだけ殖えるかということになりますと、各地方財政或いは経済状況を見まして考えなければならんことで、負担すれば当然殖えるのであります。
  72. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 大変満足な御答弁を頂きましたが、更にもう一つ、これは念のために聴きたいのですが、そういうような方向とつたために災害におけるところの国の負担が多くなる。それが平衡交付金の方面にプラスになると、そのために劇られるというようなことも、国全体の予算編成の上から考えられることでありますが、平衡交附金と起債の災害復旧費に対する国の負担という分とはお互に関連を持つことがない、これは別途のものである。一方殖せば一方を減らす。こういう関連を以ちまして平衡交附金に関係があるようなことになると、又そこに意味をなさなくなるので、その点もう一つ伺います。
  73. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 原則としましては関係はございません。併し只今申上げましたように群馬県等におきましては、県費の相当部分が災害復旧の起債の利子になつておるというような場合におきましては、地方行政調査会議で検討をも加えられましよう、又地方財政委員会で御研究にもなります。国と地方の事務負担関係もある。ここではいろいろな点から考慮されることと思うのでありまするが、直接に、例えば二十六年度起債がこうなるから平衡交付金がこうなる、直接にその年度での関係はないと考えております。
  74. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 この際カニエ参議院議員から特に專ら遊興税の問題について質問をしたいというお申出がありますので、余り長時間を要しないような様子であります。簡單なようでありますがお許しを願いたいと思います。
  75. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その前にお諮りいたしますが、大蔵大臣に対する御質問はまだ外にございますか。それじやちよつとそれをお待ち願いまして、大蔵大臣に対する御質問を願います。
  76. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 今度のこの国税と地方税との改革が農民の負担との関係においてどういう関連があるか、大蔵大臣はどういうふうに見られておるかということについてお尋ねいたしたいと思います。実は本日私は自分の県から、地方財政委員会が県庁に委嘱いたしましてモデル農村を選びまして、新らしい税財政の改革がどういうふうに国税から市町村税に至るまで合計いたしまして響くかという精密な調査資料を頂いたわけであります。それによりますると極く軽微なものが絶対額において明らかに減税になるわけであります。併しそれが果して農家経済の現在の所得の段階からして、実際税負担の軽減になるかということは明らかに問題だと思うわけであります。それは国民総所得の中から農家にどれだけ配分されておるかという、所得の配分を先ず検討して見なくてはならないと思うわけであります。安定本部の調査によりましても、昭和二十一年度が国民所得の全体の中で農家経済に対しまして三二%の配分があつて最高であります。それを最高といたしまして釣瓶溶しに下りまして、昭和二十四年度は農家の人口は大体国民人口の中半数を占めるに拘わらず、配分される所得は一九%であります。人口は五〇%であるにも拘わらず国民所得の分け前は一九%である。そして現在の価格政策がとられる限りにおいては専門家の良心的な調査によつても大体総所得の一七%を下廻るであろうというような調査もされておるわけであります。更に日銀の調査によりまして政府の発行した新円がどういうふうに農家に滞留しておるかということを見ましても、これも昭和二十二年の三八%を最高にいたしまして、一路漸減いたしまして、本年度は二〇%を遥かに割る状態であります。而も一方公共事業費なんかに対しまする政府の投資は、昭和二十二年全体の公共事業費の中の三五%が農村に投資されまして、昨年におきましては一九%である。そして更に本年度は少くなつておると、こういうようなことをかれこれ勘案しますると、若干の絶対額の軽減を以ては農家所得の現段階からして実際上の税負担の軽減にならん。実際税負担の軽減になりますためには、本年秋に供出いたします米、「いも」等の価格が十分それと釣合いのとれるような段階にならんといけないと思うわけであります。特に農家の所得は現在の状態からいたしましていささかも増大するような傾向はないわけであります。特に肥料の価格差補給金の打切りからいたしまして、相当生産費の重大な部分を占める肥料の値段も上るように思うわけでありますが、大蔵大臣とされましては、来たる新米価の決定というものは、果して言われるように農家負担の軽減になるような水準に上げられるものであるかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
  77. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 特別にお選びになりました町村の経済状況がはつきりいたしませんし、又その表を見ないと一概に言えませんが、大体におきまして中央地方を通じての農家の税負担は、所得税が相当減額いたしましたので、減じておると考えております。面してその表には織物消費税その他の間接税の撤廃によるものとか、或いは不動産取得税の廃止によりまする全般的の負担の減は多分載つていないと思います。そういう計算はなかなかむずかしうございます。とにかく減つておることは確かであるのです。今度は農家の所得が国民所得のうちにおいて非常に割合が少いから負担が多い。こういう問題でございますが、それは理論的にはそうは行かんと思います。ただ農家の所得が少いということは私はいえると思います。而も二十一年、二年から比べまして、農家が可なりお困りであるということは分る。それは生産は余り殖えていない、闇はなくなつた、面して米価は他のもの程上つていないということで、農家の所得が、他の階級の所得に比べまして少いということはいえると思います。従いまして私は今後におきまして米価を相当引上げることが農家の所得を殖やす上におきましても、又国の歳出を減らす意味におきましても、そうして国民の税負担を軽くする意味におきましても必要であると考えておるのであります。私は常々から米価を思い切つて引上げるということを言つておるのでありまするが、これは財政経済の面からいつて大蔵大臣として言つておる、然らばどの程度上げるかということになりますと、これは所管が違いますので、ここで申上げることは差し控えたいと思います。いずれにいたしましても国際物価に比べまして、麦においては殆んど外国の麦の値に近寄つておると思います。米はまだまだ近寄つていないのであります。米と麦との差も昔の我が国における普通の状態とは違つておるのでありまするから、この際私は米を上げ、そうして農家を潤おし、国の歳出を減らし、税金を負けて行く、これは一石三鳥の策と考えております。
  78. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まだまだいろいろ質問したいと思いますが、時間がありませんので……。
  79. 石川清一

    ○石川清一君 私も今中田議員のお尋ねのようなことをお尋ねするつもりであります。それはこの間意見を保留しておきまして、大蔵大臣は絶対そんなことはない、農家は裕福だと言い切つて退席されたわけであります。これは速記録を見れば分る。それで行きましたが、大体今のような非常に好意的な言葉を吐かれておりますが、決して農民は好意的な言葉で生活は裕福にならんのでありまして、好感的な言葉はもう自由党のあれで食傷をいたしております。もう食傷をして下痢兆候に入つておるので、実質的に與えられるものは米価であり、麦の価格であります。更に馬鈴薯その他の農産物の価格でなければいけないのでありまして、そのこと自体が今日のように滞納を累増しておる。こういう形になつておりますが、殊に過般参議院の大蔵委員会で御発表になりましたように、更正決定をいたしましたものが五百九十三億ある。収入になつたものが百七十六億で、二九・八%しか更正決定しましたところの所得税が納入されていない。これに対してどういう措置をとられるか、これをお伺いいたします。
  80. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 我々は常に農家のことを考えておりまするので、できるだけ農家のよくなるようにやつて行きたいと思つております。而して農家の税金の問題につきましては、農家の所得税は非常に收入工合がよろしうございます。悪いのは都会地のいわゆる営業者の方が悪いのであります。従いまして調査の完璧を期すると共に滞納処分にとりかかつております。これはやはり金詰りの状態もありますし、又税務署の調査が不十分であつた点もありますし、又業者の方におきましては税金を納めるよりも物を買つて置いた方がいいというようなこともあるのであります。いろいろ厄介な問題があるのでありますが、適時適当の方法によりまして滞納処分をいたします。又政府といたしましてはできるだけ金詰りの緩和に努めて納税資金を得られるように財政経済政策を持つて行くと言つておるのであります。
  81. 石川清一

    ○石川清一君 適時適当という言葉がありましたが、それは如何なることでも適時適当という言葉が言われるのでありますが、農業所得税のことについて例を仮に申上げますと、本年度においては四百九十億という農業所得税を二百億減ずる。そうして大体二百九十億くらいであろうということが本年の第七国会においても速記録の上に載せられており、それを言われておるようでありますが、大体この数字を計算いたして素人考えをいたしますと、農村においては大体そういう計算で行きますと五百万の町村は本年二百九十万くらい大体納めたらいいのであろう。こういう直観的なものが生れるわけです。今までの例を北海道にとりますと、大体四ケ年間に町村間における收入の均衡の差というものは非常に少うございまして、大体同じようでございましたが、昨年、一昨年の納税の成績を見ましても、税務署の署長の変るごとに税金の徴収率が非常に大きな波を打つてつて参ります。それで二十三年度と二十四年度と比較しまして、二十四年度は倍くらい取られた町村もある。ところが二十四年度は二十三年度よりも少いところがある。まるでこの頃闇市で叩き売りをしているような恰好が現在の町村において行われておる。これが現存の所得税に対する或いは地方税に対する傭らぬ国民の批判の声であります。先ず税務署自体が滞納に対して誤つておるところの課税があるといたしましたら、それは更正決定であろうとも、叩き売りを増長しておるのでありますから、これを差引いて一新させるという考え方を持たない限り、地方税法は真に地方自治体の自主的な手によつて運営せられないで、この癌が更に引残されて行く。而も昭和二十四年度の所得に対して、二十五年慶の市町村税はこの所得税によらなければなりません。こういうような形の上に立つて大蔵大臣が真にシヤウプの勧告に従つた税制を国の面においても或いは地方の面においても行うという場合には、古い税金の滞納に対しては市町村も又同じような英断を以て解決しなければならんと思います。このことがなくて今までのような官僚の非常に強い色彩或いはそこに政党その他のボスの動いておる中で、我々が如何に地方税法論議して、この実施の細目に亘つて討議されても、実質的な町村の自主的な税制の確立はできない。こういうふうに考えておるわけであります。この古い税金に対しましても、これは五ケ年間の権利がある。これをどういう形で英断的に一掃して、この問題を解決して国税においてもすつきりした姿で実施に当るかどうかについてお伺いをいたします。
  82. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先程申上げましたように滞納金額は相当多いのであります。面してその滞納額の大部分というものは都会地或いは中小或いは大企業者にあるのであります。従いまして、我々は収入確保の上から申しましても滞納処分その他を励行いたしまして、徴收に努めつつあるのであります。この九月十月頃までには相当整理ができる予定でおるのであります。
  83. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 滞納の問題ですが、所得税と法人税と滞納はどれくらいあるのですか。
  84. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは殆んど毎日整理いたしておりますからあれでございまするが、五月末かに千百億余りあつたと思います。その中申告納税の所得税が七百五六十億あつたかと思います。法人税の方が二百億程度ではなかつたかと思います。
  85. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 大蔵大臣に外に御質疑ございませんか。
  86. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 大蔵大臣にお尋ねしますが、五月一日現在でありましたか七月一日現在でありましたか、今大臣の言われたような滞納があることは承知いたしておるが、安本の発表によればすでに徴税は税収入予算の九五%を占めておる。これからあとの五%は約二百二十億くらいに相当するのではないか。それに対して一千百億幾らの滞納があるという問題につきましては、予算の九五%のあとの五%を埋める程度の徴税が目的であるのか。現在の一千百億幾らの滞納を取るのが目的であるのか、それを伺いたい。
  87. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 現在の滞納を正確に申上げますが、七月十七日の調によりますと、一千百三十九億でございます。この一千百三十九億を徴収するのが滞納処分の目的であるのであります。
  88. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 国の予算においては、今申上げます通り九五%がすでに収納されておる。であるからあとの五%分二百二十億見当が取れればよいのではないか、それ以上はいわゆる取り過ぎるということになるのではないか。
  89. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 取り過ぎにはなりません。安本でどういう根拠で言われたのか、九五%取つておるというのはいつのことでございましようか。私の記憶では昭和二十四年度の租税及び印紙收入が三十億円の予算よりも超過いたしております。この原因は三十億円の主なるものは法人税或いは源泉課税、或いは酒、これが多かつたのであります。個人の申告納税は当初の予算一千九百億円を一千七百億円に減らしても、尚一千七百億円取れず一千三百六十五億円しか取れておりません。初めからの予算に比べますと五百何十億という減收がある。これは法人税或いは酒、勤労所得税で埋めておるのであります。面して今の一千百三十億というのは、過年度分も本年度分もございます。予算上は昨年の今頃相当の金額、つまり八百億ばかりあつたのであります。現在の相当部分が今年の收入になり、そうして二十五年度課税する分が又二十六年度にずれる、こういう計算で行つているのであります。
  90. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 五月一日現在と私は記憶いたしておりますが、安本の経済白書によれば、今申上げます通り五%あと牧納すればよいということになつてつて、それ以上は当然超過收入になるわけでありますので、大蔵大臣の言われるような工合とやや違うと思うのでありますが、元来言いますれば、即ち二百二十億取ればいわゆる二十四年度予算としては十分それが結了するわけであると思うのでありますが、その点を一つ明らかにして頂きたい。
  91. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) それは安本の経済白書はまだ決算締切前の分でありまして、四月までに入つた分が租税収入の五千百六十億円に対しまして四千九百億幾ら入つているということだけを言つているのであります。それで四月五日に入るのが二百億幾らばかりあれば、これで收入が確保できる。こういう調査だけで内容に触れておりません。税というものはやはり滞納も相当ありますし、繰越しも相当ございまして、予算上取つたらそれ以上取らないということはないのであります。税法の命ずるところによつて徴収をいたします。取れたから滞納の分は捨ててしまうというのでは、早く納めた人は非常に損をします。税法上取るべきものは取らなければいかん。途中でこれは止めるというわけに行きません。予算だけ取れないからと言つて、税法を曲げて無理な税金を取ることはいかんと同時に、取れる分は取らなければいけない。二十三年度分におきましては三百億ばかりの自然増收が出たのでありまして、二十四年度におきましては三十億程度の自然増収に止つたのであります。
  92. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 課税したものを、もう予算面が満ちたから、後はもう放棄するわけには行かんということは一応分るのでありますが、併しながらそこが問題の水増し、よく水増し割当と申しますが、大体割当をして、頭から割当課税をするという結果が、こういう昏迷を生じて来るのでありまして、昨年度におきましても四百何ぼが自然増、大蔵大臣は三百いくらと言われましたが二十三年度は四百億ちよつと出たと記憶しております。そのような工合に、現存のデフレ、或いは金融梗塞の現在の状態、経済不況の状態に対して、国民所得、産業收入を過大に見積り過ぎて、厖大な割当課税をして、その結果予算以上に、例えば滞納しておるというものも大蔵大臣の雷によれば競売、差押えをして、大いにこれを取り立てるということを先の委員会でありましたか、衆議院でありましたか、参議院でありましたか、言われておるのであります。そういたしますと、お説のように早く納めた正直者が馬鹿を見るという御議論は分りますけれども、併し必要のないものを、そういう差押えて、競売をして取るというような、一方的なことでなくして、この間の調整がおのずから考えられなくちやならんと思うのでありますが、大蔵大臣は現在に百億そこそこ取ればよいものを、千百いくらの滞納の分を、どの程度に、どういうふうな工合に取る計画を立てておるのか、その辺を承わりたい。
  93. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) できるだけ全部を取りたいと思います。併し我々は決して水増し課税をやつておりません。若し水増しをやつておるという事実があれば、直ちに改めなければいけないので、申し出て頂きたいと思います。千百三十億の分につきましては、只今全国税局、税務署を挙げて滞納整理に当つておるのであります。これが沢山入れば入る程いいのでございまするが、併し今の経済状況を見まして、差押えして競売したからといつて、すぐ売れるものでもないのであります。それから又業者の都合も考えて、今暫く待つて興れれば納めますというような場合におきましては、やはりそこに手心を加えて、適当にお待ちするより外はないと思います。我々はこれは課税が適正であるという前提の下に立ち、そうしてこれをできるだけ早い機会に取りたい。併しそれぞれやはり納税者のことを考えなければいかんと思うのであります。尚只今申上げました数字がちよつと違つておりますから…、申告納税は七百六十五億、法人税は百七十一億、二百億でなく百七十一億でございます。
  94. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 国の予算の予定された歳入計画以上に税が取れたならば、それはまあ使い途は、金のことですから、政府の方におきましてはそれは一銭でも多く取れる方がいいということは分りますが、併しそれは余計取り過ぎるから、債務償還にするとかいろいろ償還に当てるとかいうことにするでしよう。それは分りますが、そんなことをする目的で税金を取るのではない。歳入計画を満たされたものが取れればそれでよいのであります。而も二百いくら取ればよいものを、千百いくら滞納しておるものを、例えば九百億以上も余計に全部取ろうという目的だということになれば、政府の課税の目標というものに、見積りに非常な相違を来たして来る。こういつた点がまあ地方税の問題につきましても、非常に各方面で憂慮せられる点でありまして、現在国税で必要もないのに九百億も取れば、それを使う途はあるのは分ります。けれども国の大体決められた歳入予算の、或いは必要なる財政支出に充当する歳入予算以上に、それを強引に取り立てるという根拠は、ちよつとそれは分らないのじやないかと思いますが、それでも取り立てるのでありますか、どうか。
  95. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 安本の経済白書に言われたのは、二十四年度のことを言つておるのであります。二十四年度に取りました税金の中には、二十三年度の滞納分も相当入つておるのであります。我々今度取ろうといたしますのは、今年度の滞納の分並びに昨年度の分であります。で年度々々ずれて来るということは、もう当然のことであります。
  96. 石川清一

    ○石川清一君 滞納のことについても、先程特に更正決定をしたいわゆる税務署、国税庁自体が、これはあると見ておつた分に対する滞納率が非常に高い。こういうことについては、当然大蔵大臣は責任を背負わなければならない。更正決定をしたものこそ、実に正しく把握しておるのであつて、これは即納されなければならん。この滞納率が一番多い。すでに発表されておるのでありますが、これはこれが妥当だと思いますか、これについてお伺いいたします。
  97. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 更正決定というのは、御承知通りに、申告を否認いたしまして、税務署が決定したのを更正決定というと私は考えておるのであります。面してこの更正決定が見込違いの場合があるのであります。だから只今更正決定に対しまして、審査請求が出た分につきましては、業者につきまして、納税者につきまして、初めの決定を変更したり、或いは又変更しなくてもいいものはそのままにしておるのであります。業者と話がつきました分につきましても、相当の滞納が関西方面にはあるということは事実であるのであります。これはやはり金のやりくりの問題だと考えておりますので、片一方では金融をなるべく円滑にすると同時に、片一方ではできるだけ早く納めて頂くように督励いたしておるのであります。
  98. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 時間ももう十二時半ですが、一時から本会議が開かれるについて、社会党ではこれから議員総会を開いて、各種委員長報告に対する党議決定が必要なのですし、どうせ明日本会議にかかる予定になつておるのですから、カニエ君の遊興飲食税に関する質疑を午後に廻し、又石川君の大蔵大臣に対する質疑も相当あるようでありますので、午後に廻して、一時休憩するようにして頂きたい。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  99. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の小笠原君の議事進行に関する御発言に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうふうに決定いたします。午後一時半に再会いたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後二時二十三分開会
  101. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き委員会を再開いたします。  最初地方行政改革に関する調査報告書作成の件をお諮りいたします。右の調査は、御承知のごとく調査進行中でありますが、今期国会開会中には調査が完了いたしませんでしたので、一応報告書を提出いたしたいと思いますが、如何いたしましようか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。それではさように取計らいます。   —————————————
  104. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案を議題に供します。本審査でございます。先ず提案者の説明を求めます。
  105. 田中啓一

    ○衆議院議員(田中啓一君) 提案者といたしまして、飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案提出理由と内容の概略を御説明申上げます。  飲食営業者は、従来外食舞と引換でなければ食事の提供はできなかつたのでありますが、食糧事情の好転に鑑みまして、前国会において、飲食営業臨時規整法の一部を改正いたしまして、指定主食の制限を緩和し、又外食券の外に、めん類購入券と引換でもめん類の提供ができることにしまして、以て外食者の便を図つたのであります。  御承知通り食糧事情が好転して参りましても、尚米を以て主食の全部を賄うことは到底できないので、依然麦類を以て賄うことが絶対に必要でございます。然るに麦類は米のごとく一般に好まれないために配給辞退等も相当あるのでありますが、それはできるだけ米食偏重を是正し、麦類の粉食を併用させなければならないと存じます。それには消費者がその好むところに従つて、めん類でもパン類でも自由に選択いたしまして、手軽に食べられるような制度が好ましいと存ずるのであります。そこでこの前の改正によつて、めん類外食券食堂においてめん類購入雰でめん類の提供をなし得ることにしましたと同じように、外食券又は主務大臣の指定する購入券と引換にパン類の食事を提供するパン類外食券食堂なる営業を認めることといたしますれば、粉食奨励のためにも又一般外食者のためにも誠に適切便宜となると思うのであります。又従来めん類購入券は各都道府県が発行しておりまして、同一都道府県内にのみ通用するのでありまして、旅行者或いは他府県より通勤して外食する者は甚だ不便でありました。そこで今回これを改正いたしまして、「主務大臣の指定する購入券」として、めん類もパン類も含めて全国共通の購入券に統一して国民はどこに行つても不便のないようにいたしたいと存ずるのでございます。  以上が本改正案を提案しました理由と内容の概略でございます。何とぞ御審議の上御協賛をお願いいたします。
  106. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑をお願いいたします。
  107. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の田中さんの御説明の御趣旨はよく分つたのでありますが、ここに書いてありますパン類外食券食堂というのは、パンを今お話のようなことで食べられることは結構と思いますが、そのためにパン類の外食券食堂というところだけでそれができるものか。或いは今日は喫茶店が沢山ありますが、そういうところで、この外食券又は主務大臣の指定する購入券でパンが食べられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  108. 田中啓一

    ○衆議院議員(田中啓一君) お答えいたします。この点は、実は監督官庁であります農林省と打合せてあるのでありますが、従来の喫茶店と申しましても、非常に範囲は広いのでございます。例えば本郷とか早稲田とか、まあミルクホールと言つておりましたようなところが現在喫茶店になつておるのでありますが、そういつたところは、真先きにパン類を提供する食堂の許可をいたそうと、大体こういうことでありまする私共もさように思つておるわけであります。でありますから、広くただパン類のみの食堂というのでなくて、そこらは喫茶店と兼業になるかと思うのであります。
  109. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 では田中君に重ねて伺いますが、パン類専門の外食券食堂であろうと、今のミルクホール、喫茶店であろうと、それに対して新たな何か許可が要るのですか。要るならばその形式はどういうことになりますか。
  110. 田中啓一

    ○衆議院議員(田中啓一君) 実はこの法律の下に政令がございまして、それによりまして許可手続が規定されておりますので、実はそういつた細かいことまではよく存じませんか、一般外食券食堂にしましても、従来のめん類食堂にしましても、又今回新たにできますところのパン類食堂にしても、いずれも主務官庁の許可を得て営業することになつておりますから、一定の許可手続を要することに決まつておると思います。
  111. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の手続をどういうことになつておるか。誰か主務官庁の方来ておりませんか。
  112. 田中啓一

    ○衆議院議員(田中啓一君) 農林次官が来ておりますが、それ程細かいことを知つておりますか。
  113. 山添利作

    政府委員(山添利作君) これは知事の許可を得ることになつております。
  114. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の農林次官のお答えですが、どうもあやふやなようですが、間違いないですか。
  115. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 私はさように承知しております。
  116. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のもう少しまじめに答えて貰いたい。そういうように承知しておるというようなことでなく、そうであるのかどうかということを聞いておるのだ。間違ないですか。
  117. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 私も面接規則を見たわけでありませんが、従来農林省におきまして省議等で話をしているところ等で記憶しているのでありますが、私の記憶によりますれば、それは都道府県知事の許可を受けることになつております。
  118. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。逐條について、提案者の説明を求めましようか。必要ございませんか。それでは農林当局からこの発議者の提案理由につきまして意見を述べて頂きます。
  119. 山添利作

    政府委員(山添利作君) 最近の食糧情におきましては、外食或いは外食券のございません場合におきましても、こういうふうに消費者の便宜を図つて行くことは時宜に適したことと考えております。農林省におきましても、内々こういうようなことを考えておつた次第であります。この法案につきましては、異論はございません。
  120. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 農林次官の意見に対しまして、御質問ございませんか。それでは別に御発言もございませんようですから、質疑は盡きたものと認めて差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入りたいと存じますが、討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言はございませんか。別に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案について採決いたします。右法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手をお願いします。    〔総員挙手〕
  124. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告については、委員長より予め結果を報告することとして、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。本院規則第七十二條により、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名をすることとなつておりまするから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名    吉川末次郎   堀  末治    竹中 七郎   岩沢 忠恭    安井  謙   西郷吉之助    相馬 助治   —————————————
  126. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に地方税法案審議を続行いたします。質疑を願います。
  127. 石川清一

    ○石川清一君 地方財政委員会は、行政機関ではありますが、内閣より可能な程度で、できるだけ独立の地位を有しまして、国会の定めるところに従つて法律の適用実施を中心とするものであると、私は考えておりますが、その通りでよろしうございますか。
  128. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) その通りでございます。
  129. 石川清一

    ○石川清一君 そういたしますと、地方財政委員会が、法律の解釈適用を中心とする行政機関であることを示しておる場合とは考えられないのですが、どうですか。
  130. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 御質疑の点がはつきり私に解しかねるのですが、もう一度。
  131. 石川清一

    ○石川清一君 内閣から可能な程度で、或る程度の独立性を持つておるということが明確になりますと、地方財政委員会法律の解釈適用と、こういうものだけではないと言い切れない点をお伺いしておるものであります。
  132. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 法律に與えられたる範囲においての権限しかありません。
  133. 石川清一

    ○石川清一君 そういたしますと、今度実施に仮りになりまして……法案通りました場合に、事業税が実施される。この事業税は大体政府の説明によりますと、附加価値税では中小企業者の自家労力の面が非常にカバーされる、全体の課率が百分の四或いは百分の三になつておりますが、事業税では百分の十二となつております。従つてこの点について地方都道府県知事が、独自の税率を以てこの附加価値税に副うような税率を申請した場合、これについてどういう態度をとるか。
  134. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 地方財政委員会といたしましては、第七百四十六條の第四項によりまして、税率が標準税率と異ります場合には届出を受けることになりますから、これが地方財政状況或いは全体の立場から見まして不穏当と思われます場合には、勧告をいたしたいと思います。
  135. 石川清一

    ○石川清一君 そういたしますと地方、都道府県の申請通りにはならない、こう了解してよろしいですか。
  136. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 勧告権でございまするから、これは変更するとか、そういう権限はございません。ただこうした方がいいだろうと勧告するだけであります。
  137. 石川清一

    ○石川清一君 地方財政委員会が所定の仕事をいたしますには、大体今度の固定資産税の率の税率の低下、引下げ等をめぐつていろいろの問題が起ると思いますが、現在の財政的な面或いは人員はどの程度のものを持つておるか、お伺いをいたします。
  138. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 事務局の職員の数は百一人でございます。
  139. 石川清一

    ○石川清一君 費用はどの程度組んでおられますか。
  140. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 只今ちよつと正確なことを覚えておりませんが、二、三千万円であつたと思います。
  141. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、先程吉川委員から委員外議員といたしまして、参議院議員のカニエ邦彦君の遊興飲食税についての発言を許して貰いたいという御要求がありました。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じやこの際発言を許可いたします。
  143. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) この際遊興飲食税につきまして一、二政府の見解をお伺いしたいと思うのでありますが、実は全国の関係業者からのいろいろな要請もありまして、この遊興飲食税の大体本質といいますか、狙いといいますか、文字通り遊興に部類する、即ち贅沢なものに部類するところの飲食というものに課税される狙いを持つておるものかどうかという点でありますが、この点に対してちよつとお答えを頂きたいと思います。
  144. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今の御質問は遊興飲食というものが奢侈的なものであるかどうか。こういうふうな点でございますが、この法律案の第百十三條にございますように、それぞれの料理店等の場所における遊興飲食及び宿泊に対して、料金を課税標準として課すると、こういうことに相成つておりまして、これは奢侈的なものであるかどうかということは具体的の内容によつて判断をいたさなければならんかと存じます。ただ遊興飲食税に関する制度についてちよつと申上げますと、戰時中或いは戰後におきまして、国民の耐乏生活を要望されておりましたような事態におきましては、或る程度禁止的な高い税率を課されておつたということは御承知通りでございます。その後の情勢の変化に伴いまして、税率の軽減につきましても逐次図られておるような次第でございますので、只今申しましたように、すべてのものが奢侈的なものであるというような見地とは一概には申上げかねるのではないかと考えております。
  145. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) そうしますと、今の答弁によりますと、どうももうーつはつきりしないところがあるのですが、例えば同じ旅館の営業にいたしましても、当然労働者や農民が、或いは独身者が常時宿泊している、絶えずそこに泊つているというよ、うな場合、それから殆んど宿泊とは言え、実際は下宿のようなものであるというような場合があると思う。そういうようなもの、俗に言う木賃宿であるというようなもの、それから又飲食にいたしましても同様のことが言える。家庭を一家持つていない独身者がその生活に、生きて行くために必要である食事のためにどうでも行かなければならないところの軽便食堂であるとか、大衆食堂であるとか、そういつたようなものもあろうかと思う。又必要に応じて加工を依頼するところの加工のすし屋のようなものもある。こういうようなものが一率に遊興飲食税の対象となり、狙いとなつて行くということになれば、非常にここに問題があるようにも思われますし、又仮りに両方の場合の税率が、これが低いというような御答弁をなさいますかも分りませんが、税率におきましても、ここに規定されている税率から見ますれば非常に尚これでも高いのじやないか、こういうように考えられるのであります。言い換えると、我々労働者や農民の生活の延長であるとも言うべきそういつたものにまで課税されるのであるかどうか、この点を一つ明確に御答弁願いた  いと思います。
  146. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今のカニヱさんの御指摘のように、又私が先程御答弁いたしましたように、一概に遊興飲食税を考えます場合には、必ずしも奢侈的な面ばかりを取上げているわけではございません。と同時に又只今仰せになりましたように、或いは生活の実態から考え、或いは又社会政策的な見地からも考えまして、種々の観点からこれを判断いたして行かなければならんかと思うのであります。それにつきましては、結局は具体的の事態に応じまして、その内容に応じた取扱をやつて行くということが、税を課して行く場合において考えなければならん点であろうと思うのでありまして、さような点からこの法律案におきましても、具体的の内容に応じて税率も異つていることに相成つておりますし、尚又現在の税率が高いではないか、こういう点につきましては、先程も御説明いたしましたように、情勢の推移に応じて逐次これか軽減を図つてつており、今回の税法によりましても百分の百にしたり、或いは百分の四十、百分の二十というふうな三段階にいたすような取計らいがなされているのであります。ただ問題は税率の軽減に当りましては将来尚十分に諸情勢と睨み合せをして検討いたさなければならんことは勿論でありますが、一面遊興飲食税の地方税牧において占める地位も考えなければなりませんので、一般社会情勢と地方財政の推移と両方を兼ね考え併せまして、今後において研究いたさなければならない点であろうと、かように考えております。
  147. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) 只今の御説明でありますが、ただ税率が仮に安くされるということにいたしましても、そういう生活の家庭の延長である、こういうものに対して遊興飲食税を取るということが適切であるかどうか、この点はどういう工合にお考えになつておりますか。
  148. 小野哲

    政府委員(小野哲君) それは結局におきまして、或いは遊興飲食に値いするか否か、それぞれの実態に応じて判断をして行かなければならないかと思うのであります。例えばアパートに住まつておるような人たちに対しまして、これを課するということは勿論これは考えなければならん点と思うのでありますが、要は生活の実態或いはこの法律案に定められておりまする諸條件に該当するか否かということについては、愼重な検討と認定の上に処理すべき問題であろうと考えております。
  149. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) 現わしようがあれば、解釈の上では、末端ではやはりそういうことで徴収が行われるのではないか。だからその点を一応何とかの形において法律の上で現わすことができなければ、或いはそういつたものを何らかの形において明確にする、こういう御意思はございますか。
  150. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。仰せのように具体的にこの税法を運用して行きます場合におきましては、適用上の円滑を期するため、又解釈が区々になりませんように、適当な方法によつて関係地方団体に対して指導をいたして参りたいと、かように考えております。
  151. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) 次にもう一点伺いたいのですが、百十五條の第一号に、「芸者その他これに類する者の花代」というのがあるのですが、その芸者その他に類するということが非常に抽象的で曖昧であるかと思うのですが、具体的には「類する者」とはどういうものを指して言つておられるのか、明確に御答弁願いたいと思います。
  152. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。「芸者その他これに類する者」と申しまするものは、例えば酌婦のようなものが考えられると思うのであります。
  153. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) そういたしますると、酌婦以外の者はこの対象にならんということで了承してよろしうございますか。
  154. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今の御質問がいわゆる芸者、酌婦等のようなものに関する花代ではなく、單に遊興を伴うというようなものにつきましては、第百十五條の第二号に該当するものと考えております。
  155. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) どうも今の御答弁ではやはり依然として明確でないと思うのですが、「類する」ということを、これはくどいようですが、もう一度具体的に酌婦とそれから或いは何なら何、どういうものならどういうものということについてはつきりして頂きたいと思います。
  156. 小野哲

    政府委員(小野哲君) もう少し詳しく具体的にお答え申上げますと、第百十五條の第一号でありますが、花代というものは、一時間幾らというような定めになつておるようであります。そういうふうな方法で取つておるというふうな場合等も「これに類する」と考えていいのではないかと思います。
  157. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) 実は終戰以来我が国の憲法が変り、従つて基本的な考え方も変つて来たことは御承知通りであろうかと思うのですが、実は終戰までありましたところの公娼がこれか廃止されて、そうして現在廃止されたか、併し全国的に公娼の従業員の数は非常に多いということで、これが未だに何かもやもやしたような形であるように思うのであります。ところが聞くところによりますと、この公娼が廃止されてない、そうしてそういうものに対しては国もそれを認めていない、ところが或る一部の地方におきましては、こういうものにも課税をされおるというようなことをしばしば聞くのでありますが、具体的に申上げますと、東北地方或いは九州地方におきましては一切こういうものに対しては課税をしていない。ところが近畿地方或いは中国地方においては旧態依然としてそういうものが課税されておる。ところがこの課税は遊興飲食税比して課税されておるので、遊興に非ざる、なしてはならないところの性行為に対してまでこれを遊興飲食税として課税をしておるというような実情があるのでありますが、こういう点については政府はどういう見解を持つておられるか、一応具体的に御説明を願いたいと思います。
  158. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今の御指摘になりましたような事情が各地方団体においてあるかとも思うのであります。この現行法並びに将来実施されようとするこの法律案から考えますというと、要はサービスガールに課税する、サービスガールによつてサービスをいたしまして、遊興を伴うという場合におきましては、この條文に該当する場合においてはそれぞれの課率によつて課税をするということに相成つておるのでおりまして、これに対して税を課することがよいか悪いか、又これが違法かそうでないかというふうな点を申上げます。と、現行法並びにこの法律案におきましてもこれを禁止する考えは持つておらないのでございます。具体的に如何なるサービスを提供し、又如何なる條項に該当するかによつてこれは判断しなければならないと考えております。
  159. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) 勿論遊興として或いは面白おかしく飲んだり食つたり、こういうものは勿論課税の対象になることは、これはもう言う必要がないのでありますが、ところがたまたまその場合若い青年であるとか、或いは又家庭の都合で独身者であつて妻が貰えないというような人が、たまたまその相手方の女子とそこで話合ができまして、そうしてこれが遂に性行為に至つたという、こういう場合においては、その遊興された分について遊興飲食税が取られることは、これはもう明らかであろうと思いますが、この行為の報酬、個人的な報酬にまでその遊興飲食税とみなしてこれを課税しておるというような実例があるので、この点はやはり明確にして置かなければならないと思うのであります。従つて言い換えるならば、この性行為に関係するところの部類にまで遊興飲食税として課税するかどうか、こういう点を明確に一つ御答弁願いたいと思うのであります。
  160. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。少しこの法律案に基いて御説明をいたしたいと思いますが、第百十三條の第一項、第二項によりまして料金が課税標準となつておるので、第二項で「料金とは、何らの名義をもつてするを問わず、遊興、飲食及び宿泊について、その対価又は負担として支拂うべき金額をいう。」、この「支拂うべき金額」、これが課税標準となつておるのでありまして、その後どんなふうな行為を行いますかどうかまでは考えておらないと御解決願つていいかと思います。
  161. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) 次に遊興飲食税の「特別徴收義務者」という点でありますが、これに対しまして具体的に御説明を願いたいと思います。
  162. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 詳しいことは奥野政府委員からお答え申上げまするが、第二款徴收の第百十九條を御覧願いたいと存じます。
  163. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) カニエ君に申上げますが、もう時間も大分経ちましたので、その程度でお願いいたしたいと思います。
  164. カニエ邦彦

    ○委員外議員(カニエ邦彦君) 甚だ恐縮でありますが、もう少し……、特別徴収義務者が業者で、仮に遊興された宿屋なら宿屋、或いは料理屋なら料理屋の業者であることは大体この内容で窺われるのでありますが、例えば女子が男を連れて遊びに行つた、或いは又そこに働いておるところの女中なりが男との間において二人がどこかで遊んだ、或いはその場所で遊んだという場合、その場合客から料金を受取るのは女子でありまして、女子が今度は或いは料理代を料理屡或いは旅館なら旅館の営業者に渡す、こういう場合、この場合女子が勿論この特別徴収義務者になり得るように考えられるんですが、その点の御解釈はどうでありますか、御説明願いたいと思います。
  165. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 特別徴收義務者といいますのは、府県が徴収の便宜を有する者につきまして指定するわけでございまして、大体において料金を受取りますような者を指定するのが一番穏当であろうと思つておけます。従いまして料理店の経営者でありますとか、或いはサービスガールを指定するような場合もあるだろうと思います。併しながらお話なりましたサービスガールと一緒に逗留する、或いは散歩をする、そういう場合はこの遊興飲食税の対象になりません。遊興飲食税の対象になりますものは、料理店とか貸席とかそういうような場所における遊興飲食が課税の対象になるのであります。
  166. 相馬助治

    相馬助治君 私はこの際総括的な立場から岡野国務大臣に一つ質疑を行いたいと存じます。
  167. 石川清一

    ○石川清一君 それよりもごつちの方をさして下さい、前から続いていますから……。  只今地方財政委員会の人員は百一名で二、三千万円の予定だと聞きましたが、今の四十五、六府県全市町村に対して十分な財政的な平衡交付金の交付の場合、その他の措置がとられる自信があるかどうかお伺いをいたします。
  168. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 今の段階においてはもとよりお話のように財政委員会の陣容は窮屈であります。併し今日においては大体において支障はないと考えております。尚今後財政委員会がいろいろの仕事をして行く上においてどうしても或る程度までの陣容の拡充ということはなさねばならんかと考えております。
  169. 石川清一

    ○石川清一君 地方税法平衡交付金法の中では地方財政委員会規則というものが委任立法というような形式の範囲内で限定されておるようでありますが、一工場が二町村以上に跨つておるような場合には何らその構想も承つておらない、又その他のことについても十分な、今まで国会に対して御指示がない、而も昭和二十六年の一月の十日には、五百二十億を中心とした地方の税法の固定資産の税率を決定しなければいかん、こういうような中で、而も国会に一回報告したらいいというような今までのお考えでありますが、これで十分地方財政委員会と国会との関連が今の複雑な中でできると思いますか。又どの点ができないと思いますか、お尋ねをいたします。
  170. 荻田保

    政府委員(荻田保君) この本年度償却資産について決定が済みましてから、大体十二月頃に調査いたしまして五百三十億を上廻るか下廻るかということを調査いたしまして、その結果によりまして課率を或いは下げ或いは上げる場合があるわけでございます。その場合に国会に報告するのでありまして、これは恐らくその事務が遅れると思いますから、一番早く結果が分り次第出すといたしましても、なかなか時間がかかるものと思います。従いまして法律的にはこの一回だけと考えております。その外に地方財政委員会設置法によりまして、随時意見提出等はできるのでありますから、特に必要がありますれば地方税法以外、地方財政委員会設置法によりまして報告はできることになつております。
  171. 石川清一

    ○石川清一君 大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。先程の御答弁では、滞納になつておる所得税は全部徴収をするのだ、而もこれは更正決定しましたところの吏員の、税務上の措置の如何に拘わらず、責任を追及することなく全額徴收するのだという税務当局者としての発言が明確になりましたが、今度若し本法案が実施いたされました場合の都道府県或いは市町村の財政措置は、地方財政委員会が持つことになつておりますが説明によりますとこれも勧告をする程度だということになつておりまして、こういうような点から考えても、地方県民における納税思想というものが非常に混乱をするように考えさせられますが、これについて混乱するかどうか、見通しを承わりたいのであります。
  172. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 所管の国税につきましては滞納いたしておるものは極力努力いたしまして徴収する覚悟であります。面して地方の税が八月から納期が始まりまするが、それも混乱の行かないように、地方税当局の御努力を切望いたす次第であります。
  173. 相馬助治

    相馬助治君 この際私は総括的な立場から岡野国務大臣に一点質疑をしたいと思います。この地方税法案はシヤウプ勧告に基いて出されたものであるということは、我々よく了解しておりまするが、どだいこのシヤウプ勧告は均衡予算の收入確保と国民負担の公平化並びに経済再建に必要な資本蓄積の促進ということがその本領であつて、国民が非常に期待しておりまするところのその負担の軽減ということは第二次的な目的であつたと思うのです。然るに拘わらず政府並びに與党である自由党は、この地方税法案提出を契機として減税が行われると国民に申しております。ところが公述人の公述その他一般新聞の輿論並びに委員会におけるいろいろな質疑等に徴しましても、どうしても減税が行われ得ないと我々は主張しております。先般の参議院選挙において自由党が辛くも第一党になつたのは、やはりこの地方税法案というものを出して、そして半強制的な寄付というものを少くして、結局するところ国民負担を軽減するという口車に私共は乗つておるとしか思えないのです。そこで政府としては飽くまで減税が可能であるといつておる。我々としてはとてもこういう状態では減税はおろか、地方財政は破綻に瀕するであろうと主張しております。そこで一点岡野大臣にお聞きして置きたいことはこの法案が幸いに明日成立して施行された場合に、地方財政に混乱が参りましたときには、早速にもこれを救う何らかの法的措置並びに本法案を大幅に改革する用意があるかどうか。そういう仮定上のことは答えられない、こういう言葉が或いはあるかとも思うのでありまするが、明確に国民の輿論が対立しておりまする現段階において、私は敢えてこのようなことを一点岡野国務大臣に対して伺つて置きたいと思うのであります。
  174. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 相馬委員の御質問にお答え申上げます。  先ず第一点といたしまして、今度の地方税法案では増税になつておる。その通りでございます。併しながらたびたびこの委員会で御説明申上げておりますように、先ず税というものは国税と地方税とを合算して我々は考うべきものであると思います。その意味におきまして国税において或る程度の減税をし、そうして地方税と国税とを合算いたしますれば減税になつておることは確かでございます。  次にこの税法を施行する点において混乱がある、こういう御予測かも知れませんが、混乱があるとかどうとかいうことは議論の問題でございますが、政府といたしましては混乱はないと見ております。甚だ例を引きまして失礼でございますけれども、日本が廃藩置県をいたしまして現代になりました。その当時においては、あらゆる社会施設、政治組織というものが非常な変革を来たしたのでございます。我々の先輩はこれを立派にこなして来ておるのであります。況んや日本は明治以来八十年でございますか、八十年くらい経ておりまして、非常に高度の文化を持つておるわけであります。殊に地方自治団体といたしましては、今まででもやはり租税の收入というもの、徴税ということに対しては相当の経験を持つておるのであります。お説の通り今回の地方税法案というものは画期的な税法の改正でありますけれども、明治維新時代の先輩がなしたよりはたやすい段階においてこの地方税を施行し得ることと政府は確信しておりますから、私は余り混乱が起きないで立派に地方財政の衝に当る人はこれをこなして行つてくれるものと確信しておる次第でございます。
  175. 相馬助治

    相馬助治君 一点だけ附加えてお聞きして置きたいと思います。要するに減税ということは、国民の立場から見ますれば、国税で減ろうが府県税で減ろうが町村税で減ろうが減ればよろしいのでありまするが、この地方税法案の成立後に一番問題になることは、例の寄付の問題です。それで民間から出られた岡野国務大臣は、賢明にも国策を以てしても強制的な或いは強制的でなくても要するに寄付というものは減らす方向に行かなくてはならない、こういうふうな発言がしばしばございました。尚大蔵大臣はそういう言葉では申さないのですが、任意的な寄付なら幾分は止むを得ないではないかということが裏に伺えるような御発言もあつたやに私は記憶しております。要するに任意寄付であるとか、或いは強制寄付であるというようなことも具体例を引きますると、例えば教育問題における寄付などというものは、形は如何に任意寄付でありましても、実質的には強制寄付としての性格を持つようになります。従つてこの地方税法案成立後に地方自治の確立を図り、その財政の円満なる運行を期し、民衆の担税を軽減するという意味で、岡野国務大臣としては早急にこの寄付についてこれを制限する何らかの、この法律案についても幾らか書いてありまするが、別個に何らかの措置を講ずる用意があるかどうかということを一点お伺いして置きます。
  176. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。御承知通り地方財政委員会は、地方自治団体財政需要と財政收入というものを予定しまして、それを書いて出すことになつております。その点におきまして地方財政委員会が良識を以て査定をする筈でございます。同時に一面地方公共団体は今度の法律によりまして余り寄付をとつてはいけない、即ちシヤウプ勧告から申しますれば、四百億を三百億だけ寄付をやめて、そうしてその三百億に代るべきものを地方財源として與えたということになつておるという趣旨を汲んで、恐らく地方団体におきましても、この趣旨に副うような財政計画を立てて来ることと思います。同時に地方財政委員会もそれに副うた審査をし、勧告をすることと存じております。
  177. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。  別に御発言もございませんようでございますので質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  179. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は只今審査しておりますところの地方税法案に対しまして賛成の意見を表明いたします。御承知のごとくこの地方税法案は先の国会におきまして参議院の多数によりまして否決せられ、その後両院協議会におきまして意見の一致を見ませんで遂に廃案となつたものであります。然るに政府におきましては、この第八国会におきまして先の政府の原案に対しまして御承知のごとく多少の修正を加えて再び提案せられたのであります。即ち今回の政府原案によりますと、附加価値税の実施を一ヶ年延期し、更にその代りに旧税法にありました事業税を生かしました。第二には固定資産税率一・七五を一・七と軽減いたしまして、更に固定資産税におきましては、その他の細い点等も多少の修正を加えて来たのであります。これらの諸点は大体先般の国会において我が緑風会におきまして修正案を作りましたが、結局において関係方面の同意を得なかつたのでありますが、その際作りました修正の要点が多分に今回の政府の原案に織込まれておるのであります。今回衆議院におきまして更にこの地方税法案に修正を加えたことは御承知のごとくであります。即ち附加価値税におきましてその実施を更に一ヶ年延長いたし、固定資産税の税率を更に一六と軽減したのであります。よつて参議院の本委員会におきましては、衆議院において修正可決せられたところの地方税法案に対しましてこの委員会におきましてあらゆる角度から十分なる審議を加えて参つたのであります。然るところ去る二十八日社会党並びに国民民主党の共同提案によるところの修正案が我が緑風会にも提示せられたのでありまするが、我が緑風会におきましては、これらの諸点を十分検討いたしましたるところ、個々の点におきましては我々も賛成すべき諸点があるのでありまするが、全般に亘りましてはこの際更に愼重に検討を加うへきものありという結論に達しました。如何にせん今日は会期は切迫いたしておりますし、十分なる検討を加えている時間等もございませんので、今回は遺憾ながらその共同修正案には参加しないことに決定したのであります。さような経過でありますけれども、今回のこの地方税法案が、全くそれでは我々が満足すべきものであるかというと、そうでなく、これにつきましてはまだ全般に亘りまして十分今後検討を加えるべき諸点があるのであります。併しながら先般地方税法案が廃案となりました結果、地方財政に対しましてはその後政府において応急の措置を加えては参りましたけれども、その応急措置というものも御承知のごとく十分なものではなく、全国の公共団体においては頗る困難な状況に現在あるのであります。でありまするから、我が緑風会におきましては、これらの点を勘案いたしまして、若し今回これが否決せらるるようなことがありましては一地方財政は更に困惑を来たし、或いは地方財政は破綻に瀕するやも知れない現状にあるごと等に鑑みまして、今回はこの衆議院において修正可決せられましたところの政府の案に対しまして賛成をいたす次第であります。併しながら今後と雖も我々はこの政府の今回通りまするところの地方税法案について十分検討を加えることは勿論であります。以上のような理由によりまして、緑風会はこの地方税法案に賛成するものであります。
  180. 相馬助治

    相馬助治君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題に供せられておりまする衆議院より回付にかかる政府原案並びにその修正案に対して反対の討論をするものでございます。  岡野国務大臣の提案理由の説明書を見ますというと、政府は前国会における論議に鑑み、且つは法案成立の遅延に伴い原案に若干の修正を施して云々と書いてございまするが、先に廃案となりました法律案と、今般提案にかかる法律案とを比較して見まするというと、そこにはこの法律案に対する国民の輿論、公述人の公述、前議会の論議などというものは殆んど取入れられておらない、無視されております。いわば廃案になつたものと内容は殆んど変らないものを、我々の前に再び提案したということができるかと思うのであります。このことから見まするというと、政府は、先に廃案となつ法律案をより理想的なものに向つての修正の努力は全然試みられていなかつたということを断じ得るかと思うのでございます。本法案は由来先になされたシヤウプ勧告に基いて立案されたものでありまするが、地方自治を確立する目的を以て、その財政強化を図る意図を含むシヤウプ勧告の趣旨に基いて、地方税を改正しなければならんということに対しましては本員は賛成でございまするが、この地方税法案を見るに及んで、一点遡つて指摘しなければならない点は、曾て政府がシヤウプ使節団に出された資料というものが極めて欠陥誤謬に満ちており、且つ日本の地方財政現実を率直に説明するものではなかつたということを指摘することができるかと思うのであります。今西郷委員が討論された中にも、不満足な点が多々あるが、止むを得ず賛成すると申されておりまするが、この不幸、この悲劇、これはすべてここに発したと言い切つても過言ではないと思うのでございます。次に提案理由の説明を見ますというと、地方公共団体の現状は相次いで負荷せられる任務の重いのに比べて財政力は微弱であり、ために地方自治は財政的に破綻に瀕していると書いてございまするが、その通りであります。そうしてその救済策として当然ここに地方税収入を拡充し、地方税制の自主性を強化して地方自治の根基を培うことを目途としてこの法案提出したと謳つてありまするが、恐らくは本法案成立によりまして、反対の、政府が狙いましたこととはまるで反対の悲しむべき地方自治の混凡と地方財政の破綻の状が我々には懸念されるのでございます。そこで本法案の提案理由には、国民の地方税負担の合理化及び均衡化の徹底を図る必要があると纏つてありまするが、事実はこれ又反対でございます。これは後に具体例について触れて参りまするが、要するに本法案につきましては、今次国会になりましても、我々地方行政委員の机上に山と積まれた陳情書、請願書だけを見ましても、且つ又先の公述人の公聴会における公述によつて見ましても、本法案が極めて不満足な矛盾に満ちた内容を包蔵しているものであると我々は断ぜざるを得なかつたのでございます。従いまして我々日本社会党は、この国民の輿論に応えるべく、衆議院より回付されました原案に対しまして、各派、共同提案を以ていささかなりとも修正を加え、そうしてこれをよりよきものに作り上げんとするの努力を連日に画つて試み、敬虔な気持を以て谷汲にその賛同を求めたのでございまするが、結果は不幸にしてその同調を得るに至らなかつたのでございます。従いまして我々は事ここに至りましたが放に、飽くまで勤労大衆の負担軽減と地方自治振興並びに地方財政確立という基本線に沿いまして、次のようなる一つの修正意見を持つに至つたのでございます。従いまして私は日本社会党の修正意見を加えつつ、政府原案並びにその修正案に対しまして反対の討論をなさんとするものでございます。  総括的に申しまして、本法案によつては税負担はいよいよ増大するでありましよう。政府は減税されると印しております。地方税増税し、国税において減税され、併せて半強制的な寄付の軽減によつて国民は減税されるということを申しておりまするが、事態はまるで反対の結果を生むことは、本法案が明瞭にこれを指摘していると思うのであります。なぜならば、本法案によりますれば、課税対象が極めてその捕捉に不明瞭なるものが多いのでございます。尚地方自治の現実に照しまして、例えば固定資産税の評価並びにその徴税一つを取上げて見ましても、実際にその評価は極めて困難でありますると共に、結局するところ、実際は予定額を上廻つて徴税される危険性があるのであります。このことは政府みずからが本法案の提案の中にこれを物語つていることは、すでに我々の知るところでございます。特に衆議院において成立いたしましたあの案を見まするというと、附加価値税実施を二ヶ年間延期して、事業税並びに特別所得税を取るというふうになつておりまするが、これはいよいよ大衆収奪の形を露呈したものであり、中小企業者に対してより大なる圧迫を加えるものでございますると共に、今までの政府の極端なるデフレ政策によりまして、一部互大資本家は別といたしまして、各階暦、とも甚だしい収入減となつていることは我々のすでに知るところでございます。特に本法案において農林事業に対しては、資産税を免除するというような手心も加えられてはおりまするけれども、ひとり農村だけを例にとりましても、現在の極端な現金收入の段階におきましては、総体的に本法案増税意味するものであります。而してこの国民所得の減少、牧縮と本法案と対象するとき、国民の負担いよいよ増大し、実質上甚だしい重税となるであろうということが我々には思われるものでございまして、これが私共の反対の一つの原因でございます。  次に本法案によつて負担の公平を試み、均衡化を行うとありますが、事実はまるつ切り反対な結果を生むでありましよう。総体的に本法案は、大所得者よりも、小所得者に多くの税金をかけて来るように相成ると思うのであります。いわゆる弱い者いじめの税制というのはこういうものを申すと思うのであります。上の方が軽くて、下の方が重い、軍艦税金とはかかる税率を持つところの税法を指すのであると言わざるを得ないと思うのでございます。これが反対の第二の原因でございます。第三には、本法案の成立によつて、先程触れましたように、衆議院の修正によつて尚一層中小企業への圧迫となるであろうと思われますので反対するものでございます。  次に、最も我々が本法案の成立に連関して関心なきを得ないのは教育財政の問題でございます。御承知のように日本が文化国家として再建せられまするためには、我々は次の時代を背負う子供たちの教育にはあらゆる犠牲を拂つてでもその努力を傾倒すべきことは今更論を待ちません。然るに拘わらずこ法案の成立によりまして、義務教育費すベてが地方財政の下に隷属せしめられるのでございます。皆さんもすでに御記憶であろうと思いまするが、昭和六、七年頃までの、あの日本の教育界の現実一小学校、中学校の教員給與というものが、貧弱なる、脆弱なる地方財政の下に賄われておりましたがために、俸給不拂いという現象を初めとして、実に悲しむべき幾つかの事例のあつた通りであります。そういう観点からこの教育財政が、地方財政の下に必然的に隷属せしめられることを意味する本法案に対して私は少くとも敗戰国民の責任において反対せざるを得ないものでございます。次に寄付金の問題でありまするが、政府はシヤウプ勧告の趣旨に従つて、掛付金を減らして、結局するところ国民負担の均衡を図ると申しておりまするが、強制寄付であるとか、或いは任意寄付というものは、その区別極めてこれはむずかしいものであることは今更論を待ちません。従いましてこういうふうな法律案の成立によりまして、政府の意図するところとは反対にこの寄付金というものが、国においても地方においても次々に形を変えていわゆるみずから進んでなすところの任意寄付であるという美名の下に行われることは、火を見るより明らかであろうと思うのであります。これに対しては甚だ消極的な立場から法的措置を試みておりまするが、積極的な法的措置を行わない限り、これは極めて問題であろうと思うのであります。  総括的にはそのようでありまするが、私は以下、誠に長くなつて恐縮でありまするが、日本社会党が意図しましたところの修正意見を加味して各税目について一言簡単に触れて参りたいと思います。先ず都道府県普通税の附加価値税の問題でありまするが、この附加価値税は日本の現実並びに税制の理論的立場よりも我々の首肯し得ないものでございます。従つて我が党として特に、その廃止を先般来強力に要望して参りましたが、今日においてもその見解は変つておりません。この附加価値税の実施が停止になりましてニヶ年間事業税及び特別所得税が行われるのでありまするが、このことについて反対の意思は先程申上げましたが、これが若しも成立して取られるならば、我が党としては免税点を基礎控除に改めて、その額を四万円とする、事業税の非課税範囲内に農業協同組合、生活協同組合及び連合会、中小企業等協同組合及び公益性を持つ新聞事業、こういうものを加えることを主張するものであります。その税率におきましても、普通法人税におきましては、政府案によりますれば百分の十二でありまするが、これを百分の十に、特別法人税におきましては百分の七に、個人におきましては、第一種事業は百分の十、第二種は百分の七と主張するものでございます。特別所得税につきましても、第一種業務に関しましては百分の五・三、第二種業務に関しましては百分の七、これを要求するものでございます。次に市町村民税におきましては、現在の賦課方法によりますると、どうしても勤労階級に重くなつて参りまする故に、個人に対しましては均等割、資産割、所得割、法人に対しましては均等割、資産割、資本金割を加えまして、個人負担を軽くするような操作を要求するものであります。個人に対する均等割におきましても、政府原案と異なりまして、我々といたしましては、人口五十万以上の市においては四百円、五十万未満の都市におきましては三百円、前二号以外の市町村においては二百円、これを提案し、同時に同一世帯内の稼働人員に対する均等割は逓減制を主張しますると共に、農業をただ一つの收入源とする者に対しましては、その世帶にのみ課税せよと主張し、同時に非課税範囲の中には、失業者、次に六十歳以上の勤労による生計者であつて、前年の所得十万円未満のものを含み、次に農業協同組合、消費組合、中小企業等協同組合、漁業協同組合、水産加工協同組合、それらの連合会、これらのものをこの中へ加えんことを要求するものでありますと共に、税率は所得額の百分の九を我々は主張するものであります。従いましてこの減らす分は、先程来申しまする通りに、法人税により負担を重してこれを賄えと主張するものでございます。固定資産税につきましては、農地以外の土地及び家屋については、政府原案によりますれば九百倍でありまするが、五百倍を我々は至当といたします。自作農創設特別措置法第六條に規定する価格の一二・五%の調整係数に課するものといたしますると共に、この倍数は昭和二十五年二月一日以降においては、農地の法定価格が引上げられたときは、これに応じて引下げる措置を講ずることを主張するものでございます。その他この問題につきましては、固定資産税の問題というものは極めて大きな市町村の財源でございまするが、これを我々は政令の定めるところの積雪、寒冷地帯及び平均降雨量を常に越える地帯においては、農地以外の土地家屋は賃貸価格の四百倍、農地については調整係数の十倍これを要求するものでありますると共に、非課税の範囲につきましては先程来ずつと申しましたような協同組合にかかる資産及び農業用償却資産、遊休施設、未稼働資産、それから隧道、小型漁船、学術用並びに試験用、研究用の諸施設及び海運業、地方鉄道軌道業、発電事業、ガス事業、この事業の固定資産の評価に関しまして、地方財政委員会の定めるところによつて、一定率の減額をすることができるという法的措置を加える必要を認めるものでございます。免税点は、原案によりますれば三万円でございまするが、これは五万円を妥当といたします。且つ家賃、地代の転嫁を防止するための法的措置も必要であろうと存じます。特に私はこの固定資産税に対して声を大にして述べたいことは、第三十五條の問題でございます。私は、我が日本社会党は、この條項の全面的削除を要求します。何故ならば一・六というのは、本年度標準税率でなくて一つのこれは仮定税率となつておりまするからして、市町村のやり方によつてはこれは取り過ぎる危険がある、恐らくこれは取り過ぎるでありましよう。政府も又それを予定しまするが故に、かかる條文を挿入しておりまするか、このことにつきましては当然これを取り過ぎたらば返すか、税金を余計取られたものは返して貰う権利があります。返してやるか或いはこれを来年に廻す措置を講ずべきであります。而も第三項においては、本年度だけではありまするが、財政委員会において税率を変えて、これを国会並びに政府に報告すればよいと申しております。丁度これが昭和二十六年一月であります。折から通常国会も開かれておるときであります。従いましてこれは当然国会の審議権を尊重するという立場からもおかしい條項でありまするが故に、以上二つの理由によつて、私は第三百五十條を全面的に削除せよと主張するものでございます。遊興飲食税につきましては、勿論常識的に言う遊興というものに関する奢侈的な税金として、これを十分考えなければならんことを主張するものであります。電気ガス税につきましては、電気ガス税は、その使用量を課税標準として課税することを要求します。政府原案は料金を課税標準といたしておりますが、この細長い日本の国土は北の端から南の端まで電気料金の標準率というものは適当でないという点から考えましても、当然これは使用量を課税標準とすべきであろうと存じます。次に非課税につきましては、電気ガスを使用するということでなくて、例えばセメント工業のごとき、或いは電気自動車施設規則による電気自動車充電の事業のごとき電気であるとかガスであるとかいうものを使用するというだけでたくして、一つの生産の原料とし、資材するようなこういう事業はおしなべてこれを非課税とすべきであろうと要求するものであります。特に農業用電士に課税してはならないと主張いたします。灌漑或いは排水或いは脱穀調製、これらの電気使用量というものは、不思議なことに日本の現状においては米価決定の中にこれが勘案されておりません。この一つを見ても政府は農村の振興の面からこういう使用料は軽減するか乃至は排除する措置を講じてこそ当然であり、これに向つて課税するというがごときことは、誠に以て農村侮辱であると言わざるを得ないと思うのであります。入場税につきましては、国及び公共団体の営む動物園、図書館、博物館及び展覧会を非課税とすると共に、その税率は現存百分の百でありますが、これは五十とせよと主張いたします。その外の税種につきましては、電話、金庫余裕住宅、使用人税は存続せよと主張いたします。電話税を課するということにつきましては、相当問題もあろうと思いまするけれども、我々といたしましても、ただ單にこの税金も取つてはならない、あの税金も取つてはならない、これも安くしろ、あれも安くしろというがごときことは言うベからざることであつて、日本の現実から推しまして、我々は以上申した税というものは存続せよと主張すると同時に、年額百億円を超えておりまする不動産所得税は五十万円を免税点といたしまして、今後もこれを存続せよと主張いたします。そうして半面自転車税、荷車税、接客人税、これは廃止せよと主張いたします。次に酒の消費税、これは地方税に廻せと私は主張いたします。御承知のように酒の消費税というのは昨年度五十億あつた筈であります。これを今度は国で以てその財源を取上げておる。そうして酒でも安くしてそうしてふんだんに飲ましてやろうというなら格別のこと、酒の値段はそのままにして、そうして酒の消費税だけを国で取上げておるというこの形に反対でありまするが故に、これを地方税に戻せと主張するものであります。  以上において各税種目についての討論を終るのでありまするが、次に地方財政平衡交付金並びに地方財政委員会の問題に連関いたしまして、この四月から七月の空白及び酒税による地方税の減収分は是非ともこれは平衡交付金をより増額して賄わなければならない。特に先程述べましたように教育財政は、後程これは特別に立法的措置が行なわれなければならないと要求いたしますが、差当りこの平衡交付金の増額によつてこれは今日我々は何とかアンバランスの生じないような方策を講ずべきであろうと要求するものでございます。  尚先程酒の消費税の問題につきまして、全部国で取上げたと私は討論いたしましたが、国税の附加価値税として五%だけ、雀の涙程だけ地方税に廻つておりますから、私はこれは全額地方税に廻せと……討論を間違えました。これを元の形に戻せと、このように言い直して置きます。  次に地方財政委員会につきましては、労、農、中小企業代表者を参画せしめまして、その機構並びに運営の民主化を図るような法的措置が必要であろうと思います。  最後に罰則の問題でありますが、税務職員が徴税に関して不当な行為を行なつた場合には、これを厳重に処罰する規定が必要であります。なぜならば税金を取られる側は非常に苛酷な懲罰を受けております。御承知のように自転車の税金は二百円でありまするが、これを不申告の場合には過料として二万円取ると規定がしてあります。このように取られる方には酷な罰則がある。取る方に対しましても当然これに見合つたところの処罰規定が必要であると主張いたすものであります。課税決定につきましては同業組合の関與を認め、これを法的には税金の民主化のために税務協議会というようなものを作り、労、農、中小企業代表者を加えてこれを民主化して、これに決定権を或る程度與えるという措置が必要であろうと思うのであります。総じて罰則に関しましては、この取られる側についての余りにも苛酷な取締というものは、これを緩和しなければならんと主張するものであります。  以上要するに各税目につきまして我が日本社会党の修正意見を加えつつ、討論を行なつたのでありますが、要するにこの原案並びに修正案は、その提案理由に相反しまして極めて矛盾に富んだものであり、現在の日本の地方自治に適合しない結果を生ずる危険性があると考えますが故に、私はここに日本社会党を代表いたしまして断乎として反対の意思を表明するものでございます。
  181. 石川清一

    ○石川清一君 私は第一クラグにおりますけれども、第一クラブを代表するというのではなく、全国的に職能政党であると言われております農民協同党から出ております関係上、農村を基盤と申しますか、農業を基盤と申しますか、農村に取巻かれている小市街の中小企業者の現実の姿から見まして、私は本案に対して討論を行いたいと存じておりまする  私初めて国会に出て参りまして、前第七国会を通じまして地方税法が非常に長時日の間討議されまして、否決になりました反響は、納税をする国民の側におけるいろいろな批判と、当然町村並びに府県の財政担当しておりますものの問に相反する意見が行われておりました。その間各党派においてよりより協議をいたしまして妥協案と申しますか、修正案というものが生れまして、前に出されました案より、より以上民主的な納得し得る修正案を望んでおつたのでありますけれども、不幸にいたしまして衆議院においては本質的に変ることなく、僅かに附加価値税の一ヶ年延期と固定資産税における〇・一%の税率の引下を見たのみでありまして、何ら本質的に変りのない修正案が本院に送付されました。本日社会党における反対意見並びに修正の詳細なものを加えました修正案が出ましたけれども、その他においては各会派は原案賛成のような意向でありました。私自身といたしましては、この中間における修正案が出るといたしましたら喜んで賛成し得る立場にあるのでありますけれども、残念ながら前国会以来本質的に変りない修正案でございますので、反対せざるを得ないわけでございます。  詳細に亘つて討論を続けたいと存じます。前に申しましたように、今日置かれておりますところの農村及び農村に取巻かれておる小市街というものは、終戰前後の日本における失業群の大半を迎えまして、今日国家が当然行うべき失業事業を全部農村が負担をし、更に都市におけるところの実質的な復興も農民自身の日夜撓まない努力によりまして、いわゆる低米価、更に低收入によつて国家再建を見ておるのであります。農民自身は與えられております憲法の條項に従う文化的な生活を真に許されるかどうかということを、自分自身が経済的な自由なくして、人格の平等は期せられないという立場に立つて見ました場合、残念ながら同感をし得ないのでございます。今日この地方税法は所得税法と並行いたしまして当然国民の負担と相成つて参りますが、国家の財政の面では、今までの説明により、前国会を通じまして或る程度の国税の軽減はなされておると言われておりますけれども、国税の減額されましたものは、価格差補給金の減少或いは債務償還となりまして、実質的な経費の軽減は行われず、逆に肥料補給金の廃止が肥料価格の値上となりまして、すでに三割五分乃至七割以上の肥料の値上りを見まして、当然これは農民自身の或いは農村に取巻かれておる小市街の負担において解決しなければならんような状態に追い込まれておる。本日の席上におきまして、これらの点に対しまして池田蔵相は農村の收入減を認めまして、この高米価によらなければ、高農産物価によらなければ農民並びに農村に取巻かれておるところの小市街は到底生活はでき得ないと述べたのでありましたけれども、昨年の十月米価審議委員会におきまして全会一致によつて決定されました四千七百円、而も政府の公約いたしておりました超過供出三培を二倍に引下げるという……この国民的な立場において決定された米価すら一蹴いたされまして、四千二百五十円という低米価が我々の予期に反し、我々の生活を根低から覆し、我々に與えられた文化的な生活を否定するごとく実現いたしたのであります。本日もかように高米価によらなければならんということを申されたのでありましたけれども、自由党の内閣が今日まで唱えましたところの宣伝は、すでに満腹をいたしましてすでに下痢状態に入つておる。池田蔵相が如何に高米価を唱えましても……高米価を取らなくても、すでに今実施されようとしておる麦の価格が決定をされ、約束されましたところの超過供出が若し二倍になつて決定をいたしたといたしましたならば、何も今日高米価を唱えられなくても、これで国民はその実質的な価格、実質的な賃金を公約することなく、その経済的な情勢に合して実施された場合には、何ら公約の要求はいたさないと存じております。かような中におきまして、本年課せられておりましたところの所得税の残額一千百余億というものは、当然徴収をする、上昇の如何に拘わらず徴收すると申されておりますけれども、今日所得税法が改正になりまして一応課率は引下げになり、基礎控除、扶養控除はそれぞれ一万五千円から二万五千円、千八百円が万二千円の扶養控除となりましたけれども、この基礎控除の計算というものは、税務署が方的に作るのでありまして、見積りの過大、必要経費の算定或いはいわゆるその他の見積りは都市小売市場並みに今まで決定されておるのでありまして、これらの決定を一方的に見ました場合には、何ら実質的な税金の、所得税の減少は、減額は見られないことは、今までの経験から割出して痛切に考えられておるのでありまして、真に所得税の減額は、大蔵省自体が均衡予算を守るという線と、どこまでも国の予算に一応計上されましたところのぎりぎりの線だけを押えるということが下部税務署或いは吏員にまで徹底しないと、今までの官僚の心理からいたしまして、当然水増し課税が行われる。牧奪的な課税が行われる。而も地方税よりも国税を第一とする今までの慣習の中からは、当然地方税の財源は與えられたところの自然の環境、日本人の感情の中で、日本人の今までの慣習の中では、到底明年四月改選を前にする市町村長、地方自治の実権、或いは選挙の実態から考えまして、混乱するばかりであつて、真に妥当なる公正なる徴税は私は行われない、かように考えておるわけであります。こういうような幾多累積される中に、それぞれ第七国会から論議されておりながら、昨日でありましたか、自由党、民主党を含めました水産委員会或いは農林委員会更に運輸委員会からは全会一致というような形式を以ちまして、強硬な申入れ、再確認の申入れがありまして、ここにも私達は体政党というものが真に議会で行動する場合に、それぞれ委員会におきましても、その党に従つたところの原案の支持が行われないのだろうかという疑いを持たされたのでありました。この疑いのよしあしにつきましては、私議会政治を通じて更に新たな観点に立つと思うのでありますけれども、今日は誠に淋しい気持を持つておるのであります。こういうような中で討議をされましたところの所得税の徴收を中心にして地方税考えました場合、先ず第一の疑点になりますのは、五百二十億の固定資産が、第七国会で一・七五、更に第八国会には七、更に修正をいたしまして一・六、実質的な五百二十億について何にも変りがない限りこの事態はどうにもならん。勿論償却資産の推定についてはそれぞれ三つの方法がありまして、困難だとは言え、国民の税金に関することですし、長い間かかつて資料も持つておることと思いますから、これだけ混乱の中に浮沈するところの資産であつても、その推定については今少し明確な線が出て来なければならんのではないかと存じましたが、そのことにつきましても、すでに昨年シヤウプの勧告以来今日まで続けられておる中に何ら結論を見ないのに、僅かに百名の地方財政委員会が八月仮にできるといたしましても、八月日から二十六年月十日までに結論を出し得るかどうかということにつきましては、大きな疑問を持たざるを得ないのでありまして、この点についても私のみならず、国民全部と言つてもいいくらいな大きな疑問を持つと共に、償却資産の課率につきましては脱税を中心とした考え方が相当強く起つて来るのではないかと考えますが、この事実は政府の責任でありまして、ますます国民に反税思想を、こうした数字の面から起さしめるということも新たに考えなければならんと感じております。こういうような幾つかの矛盾を持ちながら、更に附加価値にいたしましても先程も質問申上げましたが、実にこれは中小企業者のために今までの事業税の欠点を救うのだということが第七国会におきましても、今国会においても論議され、さような答弁がありましたけれども、その実質的な裏付けといたしましては、都道府県知事がその事業税率の変更については、予め地方財政委員会に申出なければならんというような條項だけでありまして、執行機関の力よりないところの地方財政委員会がこれに対して平衡交付金或いはその他も絡む複雑なものに立至らないような状況を考えましても、この中小企業者の自家労力による経営者の困難は更に二ヶ年続くということを見ましても反対せざるを得ないのでありまして、いずれの観点に立ちましても、法全体をめぐりまして本日提出されました経過については誠に遺憾の意を表せざるを得ないのであります。特に論議されましたのは農業協同組合並びにその他の協同組合でありますが、私の党はどこまでも独占資本の攻奪、古来或いは金融商工資本が戰争を誘発するような行為に対しては、どこまでも反対をいたしまして、中小企業者は勿論のこと、農民自身も又協同組合の精神によりまして総力を挙げまして、総力と申しますよりも技倆のある者は技倆、資力のある者は資力、能力、資力を出しまして協同の生活を自治体の中の自然環境の中に作り上げようという建前を持つておるのでありまして、今日官僚の支配、官僚の前に媚びなければならんというところの町村の苦しい過去の経験から流れておる実態を眺めて見たならば、却つて法人の性格は、自然法人としての町村よりもこの経済的な有機体であるところの協同組合の方が日本の民主化のために、日本政治の民主化、日本経済民主化のために大きな役割を果しておるのでありまして、この大きな日本民主化と真に経済の安定、民生の安定、更に日本の頽廃せる道義の高揚という幾つかの面を担つておる協同組合に対する課税、並びに協同組合の有しておるところの固定資産に対する一律的な課税に反対をせざるを得ないのであります。更に農業協同組合は終戰以前に農業会と申しました。曾て東條首相並びにこの軍閥が防共協定を結びまして、東洋に入つて来るところのソ連の力、共産主義に対しまして戰いを続け、一応天皇を支持するという伝統的な考え方、このよしあしは別でありますけれども、こういうような立場にひたむきに動いて来た農村のいろいろな役割を担つて、命ぜられるままに農業会という名を附せられたのでありますけれども、遂に不幸にして戰犯の名に加えられて、解散を命ぜられ、その資産を受け継いだ農業協同組合は戰争中におけるところの国民の真の血のにじむものを受持つて行く、終戰後におきましては、食糧、殊に或いは戰災者の救済或いは更に更に引揚者、これらのものを手に引受けて、いわゆる農民の当然受けるものも肩代りして引受けたという公益的な性格を持つておるのでありまして、今まで曾て営利を対象として、資本に物を言わせて事業を行なつたところの経験もなければ、そうした仕事を考えた役人の人もないという性格のものにまで課税をしなければならんというような考え方については、根本的に反対をいたしますと共に、更に農地に対して新たに加えられるところの高率的な課税、一応牧益力を基礎とし、今の與えられておりますところの地租を中心にして考えた場合、大体七倍くらいが妥当であるという価額を任意に二十二・五倍、約九百倍に引上げてポツダム政令によりまして、農民を農奴的な生活から解放して、一応国民的な、人間的な立場を與えるというところの日本解放の至上命令であるところの農地に対して、再び高率的な、重圧的な課税をいたしまして、曾て軍閥にその全部を支配された昔の農村に引戻そうとするごとき悪税に対しては、今暫く反対をせざるを得ないのであります。こういうような幾つもの矛盾は、今日日本が置かれておりますところの東洋のいろいろな情勢、更に国際情勢とからみまして、真に再び農村が日本の食糧の面において、人口問題の解決の面において、その他の面において宿命的に担わされなければならんものを政府が一方的に措置をいたしまして、この混乱を再び農村自体に起さんとする考え方、これに対してはどこまでも反対をしなければならんのであります。こういうような一連の考え方を見ましても、当然農村は一応今までの農奴的な生活から辛うじて人間的な面に、仄かに引上げられのでありましたが、再び農奴的な生活に顧落をさそうとする恣意的な法案に対しては反対せざるを得ない。併しながら幸いにいたしまして、本日池田蔵相の言われるごとき農民に或る程度の生活を保障し、経済的な自由を與えて、真に人間的な平等を與えるような米価が設定せられ、更にそれらの農産物の価格は四、五、年も続いて、一応農民が人間の生酒の喜びを得、農村に取り巻かれておる小市街において縊死、倒産者もないというような状態になつて来た場合には別ものでありますけれども、終戰後五年、漸く起ち上ろうとする農村の二薬を摘み切るがごとき法案に対しては反対をせざるを得ないのであります。  具体的な問題、罰則につき、或いは免税点の引上げその他につきましては、それぞれ逐條の場合に審議をいたし、それぞれ申上げると共に、万一この法が通過いたしましたときの地方財政委員会措置、その他については伺いをいたしてありますので、概要申上げて反対の討論を終ります。
  182. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は国民民主党を代表しまして、本法案に不満でありまするが、近き将来修正を求めたいという権利を保留いたしまして賛成の意を表したいと思います。  賛成をいたしまする私達の理由は、衆議院送付の案が不満足ではありまするけれども、よりよくなつたという点、特に地方税法案の特色、主体をなす附加価値税がとにもかくにも昭和二十七年の一月一日まで実施が延期されたというような点等に鑑みまして、先ず一応この辺といたしましては了承すべきものであるというのが一点。第二点は若し本国会で、この法案が否決になつた場合には、地方自治体の財政の上に非常な混乱且つ困惑を来たすだろう、これが延いて地方自治の行政上に好ましからざる事態が起ることは、日本の民主化を推進する上によいことではない。又国民の納税に関する気持を混乱に導き、或いはこうしたことによる社会秩序を破壊するの虜れがある等に深き考慮を拂つてのことが第二の点であります。第三の点は、朝鮮事変等のその後の深刻化、更に国際情勢の変化の実情に鑑みまして、この客観情勢に鑑みまして、この際この法律案は忍ぶべきを忍んで今国会は通過さすべきである、かような、以上の三点の見解に基きまして、本法案に賛成をいたす趣旨といたしたいのであります。  でありますが、ただ私は、先程申上げましたこの法案は不満である、或いは近き将来修正を希望するということを附帯條件的に申上げたゆえんを申上げて見たいと思うのであります。不満とするところは、政府がこの地方税法案に対する熱意が……どの辺がまじめに考えられておるのか、良心的に疑わざるを得ない点を指摘いたしたいのであります。元来先の国会に政府が提案されたときには、シヤゥプ使節団の勧告に基いて、或いはこれをその計数の上で金額を増加し、或るものにはこれを軽減し或るものには取捨選択のいろいろの……政府が又関係方面と折衝して本法案を第七国会に提案された実情に鑑みまして、シヤウプ使節団の指示せられることをそのまま鵜呑みに写真写しに出した法案ではない、やはり政府努力をして、適切な資料を出して適切な税法に組み上げる努力と熱意があるならば、もつと、こんなに国民総力的な反対の状態に遭わずして、日本の地方自治或いは日本財政の、経済の上に貢献する、いわゆる中央地方の税制改革の趣旨が達成されたであろうと私は思うのであります。ところが今申上げます通り政府の熱意が足らない、或いは中には間違つた資料、間違つた意見等が具申されたかどうか知りませんが、第七、第八国会を通じて、尚全国から澎湃として起つておるこの反対、悲痛なる陳情の実情は、如何に政府が、この法案中央地方を通じて減税になるんだ、或いはそう負担が重くならないんだと言つていろいろ説明をいたしましても、そこに大きな問題が潜んでおるわけであります。第七国会においては、これが一言半句も修正ができないのだという非常は政府の強い意見でありましたが、我々参議院におきましては、このままこれを通過せしめることは却つてよいことではない、かように考えましたので、否決いたした次第であります。これに伴いまして、両院協議会で政府を代表する、いわゆる衆議院を代表する與党幹部各位が出席されて、我々参議院を代表する参議院の意向との協議を進行する過程において、衆議院を代表する政府與党の幹部諸氏は、相当大幅の修正意見を最後の案だと言つて第三番目に出したのが夜の午後九時過ぎであります。この政府が第三番目に思い直したか、考え直したか出した修正案は、関係方面のいKが取れておるのかと我々が質問をいたしましたるところ、取れます自信があると言つたことは速記録に現われておる通りであります。これは今詳細に申しますれば時間を要しまするが、例えば固定資産税の倍率を七百倍にするとか、或いは附加価値税の税率を低下いたしまするとか、遊興飲食税のそれぞれ比率を相当大幅に引下げること、その他各般に亘つて大幅の修正を提案されたのでありましたが、それでも参議院の方といたしましては、どうも同意し難いということで、協議がまとまらなかつたのでありますが、地方財政が今日まで非常な困惑な状態に立ち五つたるにつきましては、政府が直ちに旧税法の復活の措羅をとらすして、荏苒放任の姿であつたから、今日地方財政財政上非常な困惑を来たし、やれ平衡交付金であるとか、それ預金部資金の流用であるとかいつたいろいろ困難な手段が講ぜられても、尚地方財政は困難な状態に陷つておるということは、政府は参議院の責任だと言つておりますが、我々は挙げて政府、與党の責任である、早く政府がこうした措置をとれば、かような事態は起らず、又できない相談のそうした修正意見を両院協議会に院議を代表して、衆議院四百六十五名を代表して、提案されて、而も関係方面のOKが得られると明言ざれたその修正案が、今度の第八国会に政府が修正されたと称して提出された地方税法には、ここから先も現われておらない。政府は第七国会以来、議会及び一般社会の輿論を反映して、よりよい、一番良い総ての意見をよく酌んで、今回修正意見として出したのだということは、総理大臣の議会説明においても明らかにその趣旨を述べておるのであります。して見まするというと両院協議会で衆議院を代表した與党の幹部の提案されたものの点は片鱗も現われておらない。又議会及びその後国民輿論を十分織り込んで最後の案だとして出されたと言われておるが、それも現われておらない。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこで我々は非常に政府のこうした熱意を疑わざるを得ないのでありましたが、衆議院におきましては、我々民主党及び社会党などが強硬なる修正意見関係方面に陳情いたしましたるところ、政府がこれが最後の案だと言つたものが奇妙きてれつにも最後に駒が出て来て又修正が認められる、それじや政府がこれが最後の案であるとして強い信念を持つて、強い意気込みを持つて、第八国会に出された案は最後の案でもなければ最善の案でもない、まだまだよりよい案かあつたということは、政府がもつと努力をすればまだまだ私は野党の少数の者がこれ程努力して、今回附加価値税が一ヶ年更に延期になつて、固定資産税が僅かでありますが、一・六に低下したということの努力以上に、絶対多数を持つ自由党が努力すれば、まだまだもつとよくなる筈だつたと私は思うのであります。こうしたことに対する政府の熱意が極めて低劣である。果して良心的であつたかどうか、私は非常に悲しむのでありまして、今回我々におきましても、国家経済、国民生活の安定の上に立つた地方自治の確立と、地方財政の確立という角度から、これをよりよく修正いたさんといたしましたが、不幸にしてこれが諸般の事情で成り立ち得なかつたことは残念でありますが、政府並びに與党がますますこれに熱意と努力をいたしますれば、私はもつとよりよい案が出て来たのではあるまいか、又でき上るのではあるまいかということに非常な不満の意を持つのであります。私が不満と称するゆえんはここにあるのであります。  次に将来修正をいたすべき箇所といたしましての我々の希望といたしましては、元来本法案は第七並びに第八国会におきましてそれぞれ熱心に討議されたと思うのでありますが、要するに地方財政の歳出予算の掘り下げた適切な検討をせずして、地方財政の総額、需要額を鵜呑みにして、これを頭からひつくり返してこれを国民に賦課した、千九百億の地方税を賦課したということであつて地方財政の支出面を検討しておらない。政府中央地方財政経済の一環を税制改革と共に繊込んだと言つておるが、地方におきましては、それは減税もいたしましようし、或いはそれぞれの財政緊縮の方途もとられておると思うのでありますが、地方においては放漫だとは申さないが、例えば本年度八百六十八億の歳出予算の増加いたしておる上に、余裕財源と見込まれるものが二百八十五億あるのであります。余裕財源が二百八十五億もあるような余裕のある地方財政だとは思わないのでありますが、併しよく検討いたしますと、そう殖やす必要もない科目に地方財政の歳出予箕面において殖えておるものが沢山ある。これらの検討をつぶさにとらずして、それを裏返して国民に被せかけた。そうして千九百億に地方税を勘定したということに極めて私としては修正すべき根本があると思うのであります。何故こういうことが起つたかということにつきましては、いろいろ議論があると思いまするが、要するに遺憾ながら地方財政の支出面に対する検討、或いはこれらを課税する諸般の資料に誤りがあつたのではないかという節が数々第七、第八国会を通じて散見されるのであります。それから第二点は、政府中央は減税したから差引そんなに増税はないと言つておりますが、私はこれは大蔵大臣としばしば論争いたしておる点でありますが、政府は厖大な債務償還をして、或いは見返資金を一般産業資金に、金融面に、産業復興必要資金に自然的に流さない結果、金融梗塞、いわゆるデフレ的傾向が現われて来て、非常な金詰り、不景気ということが現われておることは万人認めておるところであります。これに対してもとより大蔵大臣はそうではないと言つておりますが、いずれにいたしましても、一般企業利得、或いは個人所得というものは厖大なる減少を来たしておるのであります。減少を来たしておるのでありまして、中央は決して減税ではない。こうした結果によつてもう国民が、或いは企業体が押えることのできないような状態に追込まれておるので、それ程減税にはなつて行かない。減税という言葉を使つておるが、実際はデフレ、不景気によつてそれだけ収税ができない羽目に陥つておることなんであります。多少議論はありまするが、現在すでに千二百億に近いいわゆる滞納があるたけの部面はよくここを物語つてをるのであります。こうしたような点におきまして、地方税増税するという、地方税増税の振当て方か応益主義でないために、いわゆる頭割、軒並み主義でありますために、いわゆる利得が少い、こうした方面に、項割、軒並み的の課税でありまするから、こうした不経済下におきましては、深刻なる打盤となつて、而も法人大口企業者に軽くして、個人零細者に重くなつておるということは、これは社会党がよく指摘しておるところでありまして、我々もよくその点を了承するのであります。こうした点が現在の非常に困難な社会世相、社会経済界におきまして果して適切なる中央地方財政、税制を総会化したよい税の案だという自信のあることが、どの点を押していられるのかどうかにつきましては、相当問題があるのであります。更に第三点といたしましては、或いは農業県或いは工業、商業県、或いは遊興飲食税、入場税の取れる市町村、或いは取れない市町村、いわゆるこうしたような各自治体のこの割当と、今度の税種目の牧税の目標なり結果というものと、地方財政の需要を満すべき、総合平衡化を果すべき財政平衡交付金の交付方法につきまして、非常に却つて不均整、不公平が現われて、或る府県におきましては厖大な収入を獲得するところもありますれば、或る府県成る市町村におきましては非常に困難な状態に陥るところがあつて平衡交付金の潤達自由なその建前の要素を、機動的に発揮しておらないということが、非常に地方財政上困惑を来たしておる部面が幾多散見される。又先般我々が調査した結果、明瞭であるのであります。こうした点につきましても政府は当然今回は組み方を変えて出さなければならん筈に拘わらず、そういう組み方を前のまま踏襲いたしておることは、甚だ遺憾であります。  その外、前国会以来本国会を通じまして、各種企業、各方面からあれやこれやの沢山な修正点が掘下げれば下げる程、誠に納得のできるようなものが沢山あるに拘わらず、殆んどこれらに対して考慮が拂われておらないということは、我々が将来こうしたことを先ず基本的に修正して行かなければならないと考える点であります。  こうした見解に基きまして、特に今回の議会には私が前段で申上げましたる通り、今回の国会には諸般の事情で取敢えずこの税法は通過せしめなければならないという観点に立つて、尚よりよく修正を国民のためにすべきが望ましいということで、我が民主党におきましては、先ず固定資産及び市町村民税におきまして、おのおの不自然な部面、例えば個人負担の非常に重い部分、或いは固定費資産の倍数、農地の問題にいたしましても取過ぎ、不自然だという部分から大凡おのおの百億ずつ減税し、減収の誤税目標を立ててこれを或いは国及び公益事業に新らしく賦課するとか、或いは法人、大口者に転嫁をいたしまするとか、或いは非常に杜撰な把握率、捕捉率を持つております償却資産等につきまする捕捉率を上げて、これらをカバーする。或いは前段に申上げました地方財政が、或いは歳出面において不当に膨脹いたしておる部面中、特にもうすでに事業年度が半年を経過しておる。八月一日にこれが施行されるといたしましても、効果が現れるのが十一月としますれば、半年以上経過いたしておりますから自然にあらゆる事業か繰延べになつて当然余剰が生れておる。或いは統制経済が整理、撤廃された結果、当然事務費、人件費、事業費等の余剰が生じておる部面、各般の地方財政歳出面におきまして当然余剰の生じておるものにこれらを充当して、不自然な課税を受ける部門、不当の課税を受ける個人の住民税等を軽くして、そうして或いはその他非課税客体を増大して、これらの健全なる徴税目的の達成に努力すべきがよいという修正意見を持つたわけであります。その外入場税、遊興飲食税等におきましても不自然な、過大に課税をいたしまする部門はこれを縮小整理して、自然な状態にして、そうしていわゆる課税目標金額は狂わせないというような方法、手段をとるべきことの修正意見を持つたのでありましたが、不幸にいたしましてその実現に至らなかつたわけであります。こうした点につきましては近くシャウプ博士が来つられるそうでありますので、我々におきましては、今国会においてはこの法案をこのまま通すことを妥当といたしますが、決してこれを以て満足すべきものでなく、当然前段申上げましたいろいろの事情から大幅の修正をして適当なる地方税法を組立てそうして健全な地方自治体の運営を図らんとする根本理念と精神的におきましても合理的に合せて行きたい。かように存じておる次第であります。  我が党の主張する点を申上げまして賛意を表する次第であります。(「七割反対」と呼ぶ者あり)
  183. 堀末治

    ○堀末治君 私は参議院自由党を代表いたしまして、本地方税法案に対し、賛意を表するものでございます。税法の一般本質的な問題につきましては、第七国会における本会議の賛成演説にりおきましてやや具体的に申上げましたので、今回は別な角度から極く簡單に賛成の意見を申述べて見たいと存ずるのであります。そもそも我が国は敗戦による苦い体験から終戰後逸早く新しい憲法の下に民主主義に基いて国政を運営し、文化国家、平和国家を建設する国是を確立いたしたのであります。もとより民主政治の確立は、單に政治運営の形式を民主化するに止めてはなりません。政治運営に関する判断と修練が国民の中に深く湾透して参らなければならないと思うものであります。従つてこの方針の下に、あらゆる国内諾制度の改革、法律の改正等町が行われましたことは敢えて私が申上げるまでもございません。然るに国民生活にとつて最も緊要不可欠であるばかりでなく、我が国民生化に最も重要なる税制の改革が今日まで取り残されておつたということは、私塾の非常に遺憾とするところであります。殊に今日までの税法は、改めて申上げるまでもなく、昭和十二年、戰争を契機といたしまして何らの根本的改正を加えられることなく、いわゆる屋上屋を架し、複雑多岐に亘り且つ非常に不均衡を極めたものでありまして、国民にとつては真に負担に堪え難きまでの重税に相成つてつたのであります。然るに経済九原則第二項に示されました徴税強化の方針は、この税法の下に強行せられたのであります。かるが故にいわゆる税金旋風なる言葉の下に、国民は一層その重税に喘ぎ、徴税の強化に戰いて、徴税官吏並びに政府を怨嗟する声が全国に瀰漫したことはこれ又皆様御承知通りであります。ここにおいて政府はシヤウプ税制使節団の勧告に基いて、これが根本的改革に乗出しましたことは最も妥当な措置であると同時に、当然なされなけえばならなかつた措置と思うのであります。而も改めて申上げるまでもなく、シヤウプ勧告は我が国の国是たる民主徳義の徹底を基本方針として、地方税制改革の根本目的を地方自治の強化、その独立財源の確保中央地方の機能配分の整序という点に立脚いたしまして、量質共に最も優れた面も良心的な労苦の拂われたものであつて政府はこの勧告を全面的に受入れまして、先ず前国会において、所得税の改正を初め、その他の国税の改正を試み、又この地方税法案の提案と相成つたのでありますが、本地方税法案に対してはその画期的内容を持つておるにも拘わらず、国民の理解が非常に薄く、且つこれに対する政府努力にも遺憾の点が多かつたのであります。従つて不幸にも我が参議院におきましては、前国会において多分に政治的意味合から遂に否決の運命を見たことは、本員の最も遺憾とするところでございます。もとより頗る革新的且つ創作的の要素を包蔵する本税制法案は尚多分の改革を要すべき諸点のあることは、本員もこれを認めるのでありまするが、これはその施行の実績に徴して官民協力して逐次完成の域に導くべきものであると信ずるのであります。殊に刻下の情勢は、本法案の不成立によつて全国の地方公共団体の財政は非常の混乱に陥つておることは周知の事実であります。而も各地方公共団体の首脳者は本法案の成立を大旱の雲霓を望むがごとき思いをなして熱望しておることは、これ又各位の御承知通りであります。先般本員が院議に基いて秋田並びに宮城両県下を視察した際に調査した事実によりましても明確に立証し得るものであります。  殊に今回の法案はその内容につきましても、政府は前国会の論議に徴しまして、若干の修正を加え、衆議院においても又民意を汲んで更に修正を加えたのでありまして、本委員会においてはこれらの諸点について先日来熱心に検討せられたことは改めて申上げるまでもございません。殊に附加価値税のごとき創作的な、世界稀に見る附加価値税の施行期間については相当の余裕を置いて、その間一層の研究、修正の余地を残さるるなど、政府がこれらの点についていろいろ考慮を拂われた点を了といたしまして、私は本法案に賛成の意を表するものでございます。
  184. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御発言はございませんか。外に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。地方税法案について採決いたします。衆議院から送付して来た修正を含め地方税法案を原案通り可決することに賛成の方の起立を願います。    〔起立者多数〕
  186. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 九人、多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告については、委員長より結果を報告することとして御承認願うこまに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。本院規則第七十二條によつて委員長が議院に提出する報告書について多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次次御署名願います。   多数意見者署名    堀  末治   竹中 七郎    岩沢 忠恭   安井  謙    高橋進太郎   石村 宰作    西郷吉之助   鈴木 直人    岩木 哲夫   —————————————
  188. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚皆さんにお諮りいたします。先程古川委員よりこの際、国家警察予備隊その他治安の問題につきまして、政府当局より説明を聽取したいという動議が出ておりますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうことにいたします。五分間休憩いたしまして再開いたします。    午後四時四十四分休憩    —————・—————    午後五時三分開会
  190. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 開会いたします。本日はこの程度で散会いたします。    午後五時四分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎者            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   委員外議員            カニエ邦彦君   衆議院議員            田中 啓一君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    文 部 大 臣 天野 貞祐君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    地方財政委員会    委員長     野村 秀雄君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    農林事務次官  山添 利作君    国家公安委員長 辻  二郎君    国家地方警察本    部次長     溝淵 増己君