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1950-07-29 第8回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは只今より地方行政委員会を開会いたします。地方税法案の審議を続行いたします。今日は第六章の昭和二十五年度において課する事業税及び特別所得税を審議いたします。政府委員説明を求めます。
  3. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 二十五年度及び二十六年度において課する事業税及び特別所得税でございますが、これは大体現在の現行地方税法事業税及び特別所得税等原則に対しまして、若干の調整を加えた程度で、ございまして、基本は現存の事業税と同じような建前にいたしておるのでございます。衆議院修正がございましたので、この点は二十五年度及び二十六年度というように両年度に跨つて規定修正がなされているわけでございます。  第七百四十條はその原則を謳つたわけでございまして、特別の意味はございません。  それから七百四十一條でございますが、これは事業税所得標準にしまして、「事務所又は事業所所在道府県において、その法人及び個人に課する」ということでございます。附加価値税と違いまする点は、法人個人の区別なく一種、二種というふうに業体を区別いたしておりまするが、これは法人は一括して法人事業という、現在の事業税建前を取つております。又個人の方は一種、二種というふうに、これも現在の建前をそのまま踏襲いたしておるのでございます。成るべく現行建前によりまして、ただ税額なり課税対象等につきまして調整を加えただけでございまして、この他の点につきましては、応急的に取りまする税でございまするので、現制を維持しようという考え方でございます。それから第三項に事業種類を書いてございまするが、これも現在の事業税の立て方と特別の差異はございません。ただ念のために括弧書きになつておりましたような、例えば電気供給業、或いはガス供給業というようなものを、上に取上げまして書いたりいたしておりまするが、日本におきましては、違いはないのでございます。尚、この第三十三号のところに、「前各号に掲げる事業に類する事業政令で定めるもの」とございますが、これは商品取引業とか、取引所業広告業というような類でございます。それから第四項の第二種事業でございますが、これは附加価値税建前等を勘案をいたしまして、畜産業水産業並びに第三号の「前二号に掲げる事業に類する事業政令で定めるもの」、この三つを挙げたわけでございます。農業に附随して行うものというのは有畜農業土地を利用して行うものというのは放牧というような、土地に依存する程度の高いものでございます。その他附加価値税について申上げましたのと同じ趣旨でございます。  それから七百四十二條規定は、これは現行法規定をそのまま持つて来たものでございます。  七百四十三條の自業税非課税範囲でございますが、これも大体現行法建前を踏襲いたしておりまして、ただこの六号、七号に農業林業非課税によるということを規定いたしました。この点は、すでに再三御説明申上げましたように、附加価値税原則を持つて来た次第でございます。それから第九号の自家労力によつて行いますところの第二種事業、即ち水産業畜産業並びにその類似事業につきましては、これを非課税にするということを、附加価値税と同じような原則で書いた次第でございます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 七百四十三條まで、御質疑をお願いいたします。御質問ございませんか……。では次に移ります。
  5. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 七百四十四條は課税標準規定でございますが、これは二十五年度と二十六年度をまとめて書くように衆議院修正をいたしたわけでございます。即ち二十五年度におきましては二十五年一月一日の属する事業年度から二十六年一月一日の属する事業年度直前の、一つ前の事業年度までの間の所得というものを課税標準に、法人についてはする。それから二十六年度の方はやはり同様に二十六年の一月一日の属する事業年度から二十七年の一月一日の属する事業年度直前事業年度までの間の所得ということになるわけでございます。個人につきましては暦年の建前でございまするので、その前年の、二十五年度の場合には二十四年中の所得、二十六年度の場合におきましては二十五年中の所得、こういうことになるわけであります。  それからその他の規定は、現在の事業税建前と同様でございまして、特に御説明を申し上げる必要はないと存じまするが、第五項に所得の定義がございます。総益金から総損金を控除した金額。  それから尚四項と九項でございますが、これは事業を廃止した場合におきましては、個人は前年の所得とそれから当該年度事業を廃止した時までの所得とを合せた所得基礎にしまして課税標準とするということを書いておるわけでございます。  それから第十項でございますが、六百六十二頁の第十項の所でございますが、これは今回の新らしい規定を挿入したのでございまして、公益事業に支出した場合におきましては、これを損金に算入して收益から差引くということでございます。その他は現行と同様でございます。  それから七百四十五條の二府県以上におきまして行う事業事業税課税標準とすべき所得金額、これも現行建前をそのまま踏襲いたしておりまして、主たる事務所所在地道府県知事が決定をして分割をすることにいたしておるわけでございます。尚道府県知事が定めました所得金額の総額なり、或いは各所得金額が適当でない場合においては、特別の必要があると認める場合、地方財政委員会がこれを更正するということになつております。現在は内閣総理大臣でありますが、これは地方財政委員会ができましたので、特に第七項におきましてその権限を総理大臣から地方財政委員会に移したわけでございます。  それから七百四十六條の事業税税率でございますが、これは現行税率に対しまして一律に皆二割ずつとしておるわけでございます。即ち法人個人の行なう第一種事業は百分の十五から百分の十二、それから穂別法人並びに個人の行なう第二種事業、これは百分の十を百分の八にいたしたわけでございます。  非課税特別法人規定は大体現行建前を踏襲いたしまして、法令等改正がございましたので、それの整理をいたしたのでございます。  それからその他は大体現行通りでございますが、七百四十八條事業税免税点でございます。これは現在政令で四千八百円というふうに免税点を定めておりますが、これを約五倍引上げまして、二万五千円にいたしたのでございます。これは所得税基礎控除と同様の点を押えた次第でございます。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで……七百四十八條まで、御質疑をお願いします。……只今水産委員長が見えましたから、水産委員長から当委員会にお出しになりました要望事項について、御説明願いたいと思います。
  7. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 水産委員会におきまして決定いたしまして、地方行政委員会要望いたしております事項簡單に御説明いたします。修正点は多々ありますけれども、こういう場合でありますので、最も簡易にして而も修正の可能であると存じました点を、一点だけ修正することに決定いたしたのであります。それはこの地方税法の第二十四條に、非課税農業林業、何々とあります。これは農業の次に漁業というものを入れて非課税にいたして貰いたい。併し漁業全般非課税にするのは穏当じやありませんので、漁業の下に、政令で定めるものを除く、こういう工合に書いて頂きたいと思います。この改正案では水産業附加価値税を課する、但し主として自家労力を以てなす漁業にして政令で定めるものはかけない、こういう工合にいたしておりますが、これは反対にしたいのであります。主として自家労力を以てなす漁業というものは千差万別でありまして、何千種類とあるのであります。そのうち政令でやるということはどういうふうな技術でやるか知りませんけれども、甚だ困難ではないか。それよりも課税しないものを……漁業は全部課税しないとして、課税するものだけを政令でしたら非常に簡單になると存じまして、そういうふうに直したいと存じます。この法案には第二十三條の第三項の二に水産業とあります。この下に、水産業の下に括弧をつけまして、第二十四條第五号に定める漁業を除くとして括弧をつけたい、そういたしますと大体において水産委員会希望が達成されるのであります。これは事業税の場合と同じであります。大体水産委員会における修正点は以上の通りであります。いろいろ事由はありますが、それは省略いたします。
  8. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 只今水産委員長意見に対する政府当局意見を求めます。
  9. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今水産委員長の御意見は、主として自家労力で云々ということで押えますというと、漁業にはいろいろの形態がございましてなかなか把握が困難であるし、従つて漁業ということで大体自家労力を主体にいたしておりますものを非課税の方に持つて参りまして、即ち漁業という表現で非課税の方に持つて参りまして、こちらの附加価値税非課税範囲の方には漁業というものを別個に新らしく加えよう、こういう趣旨のように存じまするが、大体政府原案におきまして考えておりまする趣旨自家労力基礎として行いまするような零細の第二種事業を除こうというような考え方でございまして、趣旨の方向におきましては、違いがないと存ずるのでございまするし、又漁業水産業協同組合等につきましては、別個にそれぞれ附加価値額から差引きまするような規定を設けてございます。公益事業支出とか組合分配金等を一定の支出金額として差引くというような規定も設けておるのでございまするので、大体におきましては零細なるものを除けるのではないか、又一面免税点もいろいろ御論議もございましたが、九万円というような限度も設けてありますが、そういうようなことを全体として睨み合せて見まするというと、大体零細な漁業に対しましての附加価値税というものは引かれることになる。こういう考え方ででき上つておるものでございます。従いまして只今の御意見につきましては、今後政府といたしましても更に研究は重ねたいと存じまするが、現在の段階におきましては、一応こういうような越前で進んで参りたいとかように考えておる次第であります。
  10. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 徹底を欠いたところもあるようでございますが、私が申しましたのは、只今漁業といつて括弧をして政令で定めるものを除くと、こう書けば政令でずつと何すればいい。あとは全部非課税、こうするのが非常に簡單であつて見易くてはつきりしている、こういうふうに存ずるのであります。そうしてもとより水産業にはいろいろなものがありますけれど、漁業は私の狙いは漁業というものは主として自家労力でなす漁業を指すのでありまして、括弧をして課税すべき漁業をこいつで何するのであります。そうして第二十三條の水産業ですね、その下に第二十四條の漁業を除くということをやつておきまして、あと水産の方には全部税がかかる。こういうことでして、政府としての損失は、これは余りない、少しあるかも知れんがないと思う。法文の体裁としては水産業者は大体漁業免税であるという工合にとつて外の産業とも釣合いがいいというために、これは私は特に主張するのであります。
  11. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 言うまでもなく法律国会が作るわけでありまして、政府が作るわけではないのであります。たまたまそれのための常任委員会がありますけれども、各議員は平等にそうした立法権を持つているわけでありまして、木下さんもそうした立法議員の一員であり、又木下さんが委員長をしておられる水産委員会委員諸君もすべて同一の立法権を持つていらつしやるわけなんでありますが、我々が仮に木下さんが委員会を代表してお出しになりました修正意見従つて委員会においてこの法案修正する。併しながら政府意見は今のようでありまするが、委員会においては賛成者が少くて水産委員会意見が、地方行政委員会では通らなかつた。併し別に委員会に通らなかつたというので、国会議員として御意思は十分にこれを立法化することができる権能はみずからお持ちになつているのでありますから、その場合において然らばどういう行動に及びになるか、そういう意思を飽くまで是非貫徹するという行動に終始して頂かなければならんものと私は当然考えておりますが、水産委員会としての意思、又水産委員会委員長及び個人、一国会議員参議院議員として木下さんがどのように考えておられるかということについて、私はお伺いいたします。
  12. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 吉川さんの御質問に対してお答えいたします。水産委員会といたしましてはもつと全般に亘て実は修正いたしたいという希望も相当あるのです。併し会期も切迫いたしておりますので、若しこの地方行政委員会において今修正をして頂くならば、最小限度一つ希望を申上げたいというので、これを何しましたが、不幸にしてこの委員会において若しお取上げがないというときにおいては、改めて水産委員会は十分検討いたしまして、全般的に水産課税調整をして、そうして立法化いたしたい、とかように存じております。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 水産委員長から御提出の要綱につきまして御質問ございませんか。
  14. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 重ねて申しますが、みずからが法律を制定するところの権力を持つていらつしやるのでありますから、我々のみがそういう権力を持つておるわけではないのでありますから、飽くまでも我々にそうしたことを御要求になりましたのでありますから、それが地方行政委員会において採択されなくとも、一参議院議員として、又水産委員会に所属する国会議員として、その実現のために自治的にも積極的に御努力下さるように一つ私からお願い申上げます。
  15. 木下辰雄

    委員外議員木下辰雄君) 承知しました。
  16. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ありませんならば、次に岡田農林委員長が見えておりますから、岡田農林委員長から当委員会にお出しになりました要望事項につきまして御説明を願いたいと思います。岡田農林委員長
  17. 岡田宗司

    委員外議員岡田宗司君) 只今岡太委員長からのお求めによりまして、農林委員会におきまして地方税法案に対する修正要望がございます。これをまとめまして皆様に御配付したわけであります。私共は非常に多くの点について今度の地方税について直して頂きたい、こう思つておるのでございますけれども、いろいろ討議をいたしました結果、非常に農林関係の問題が広汎に亘りますので、それでは本国会において審議する暇もないしいたしますから、要約いたしまして、極く重要な点だけを先ずお願いしたい。こう考えまして、このプリント刷に掲げてありますような点に要約したわけです。即ち都道府県税につきましては、附加価値税の点はこれが実施昭和二十七年一月一日までに延期せられることになつておるのであるが、この期間において改めて愼重に検討を加えて頂きたい、こういうことであります。  第二は市町村税についてであります。市町村民税については改正所得税法によつて扶養控除対象となつた者非課税とすることを明確にして頂きたい。こういう点を今度の市町村民税におきましては均等割が重要な位置を占めておる。この均等割につきまして農家におきましてはいろいろ問題が起るのであります。即ち農家所得は大体世帶主に帰すことになつておるのでありまして、そこにおいて働いております、その農家において働いております者は、やはりその結果得られました経済的な結果というものは、世帶一つにまとまつて現われて参ります。従つてそういう場合にはこれは大体所得税法の方面におきましては、扶養家族というような形になつておりますので、そういう人々に対する課税はこれは免除して貰いたい。こういうふうに考えておりますので、この点を明らかにして置いて頂きたいと思うのです。もとより農に従事しながら、例えば役場に勤めるとか、或いは工場に勤めるとかいうようなことで所得を得ます者は、これは当然課税せられても止むを得ないのでありますけれども、農に専従しておりまして扶養家族関係になつている者に町村住民税中の均頭割をかけることにつきましては、これは十分な御考慮を願いたい、こういうわけであります。  第二に固定資産税の問題でありますが、「固定資産税を課する農地の評価に適用する農地法定対価に乗ずる数は農地收益力基礎として引下げることとなし、差当り昭和二十五年度分は二二・五を七に改めること。」、こういう点でございます。これはこういうことから七という数字が出されたのであります。それは現在の農業情勢等から鑑みまして、地租引上げるということはいけない。地租を現在の額の程度に止めて貰いたい。そういたしますと、新らしい税法によりますると、即ち二二・五倍で参りますと、大体現在の地租額の三倍になるわけであります。従いまして農地固定資産税を現在の地租額に止めるといたしますならば、その倍率は七、こういうことに計算上なつて参りましたので、現在の地租額に止めて貰いたい、こういうことからいたしまして、逆に倍率の七とこういうことが農林委員会におきまして論議されて、こういう申入になつて現われた次第でございます。以上御説明申上げます。
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の御意見に対しまして、政府委員意見を求めます。
  19. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今農林委員長から御報告のございました附加価値税の問題でございますが、これにつきましては、政府といたしましては提案理由の中で大臣から御説明を申上げましたように、更に一年間延期いたしますことにつきましては、準備の問題でございまするとか、或いは転嫁の問題でございまするとかいうようなことなどを中心にして考えて来ているわけでございまするが、衆議院で更にこれをいま一年延期するということになつたわけでございまするから、その間におきまして政府といたしましては更にこの附加価値税の内容につきまして、検討機全会を與えられたわけでございまして、この間において十分に研究を加えて参りたいと考えております。  それから第二点の市町村民税関係で、均等割につきまして、扶養控除対象となつた者非課税とすることを明確にせよという御意見でございまするが、政府といたしましては、扶養家族につきましては、三百十二條條項におきまして、こういうような扶養親族につきましてはこれは均等割を軽減するという規定をすでに置いておるわけでございまするが、多くはこの問題は各市町村におきまする実際の均等割課税運用の問題になつて来ることと存ずるのでございまして、純農村等におきましてのこの運用は、只今農林委員長が御心配になつておられましたような点につきましては、実情に即するような解決が事実行われるものであろうと私共考えております。と申しますのは、三百十二條規定がございまする外に、更に軽減でございますとか、納期延長というような規定も別個に設けてあるわけでございまして、地方税でございまするから、それぞれの各地方におきまする運用につきましては相当実情に即した運用が行われ得るであろうということを私共としては考えておるのでございまして、特にこの点を明確に謳う必要はないのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから第三点の固定資産税関係でございますが、この点は農地に対しましての負担関係からいろいろ御心配の点は御尤もと存じまするが、ただ今年度は一般に土地家屋につきましては賃貸価格に対して九百倍という倍率をとつておる次第でございまして、そういう考え方で立案をいたしておりまするので、この九百倍の倍率につきましてこれを軽減するということと歩調を合せませんと、農地につきましてだけ二二・五を七倍に下げるということは如何であろうかと考えられるのでございます。殊にこれを七倍にいたしますと、約六十億くらいの税の減收になりまするので、政府といたしましては原案を適当だと、かように考えておる次第でございます。
  20. 岡田宗司

    委員外議員岡田宗司君) 市町村民税の点につきまして、只今のお答えは、市町村での運用に委される、こういうことで明確にする必要はないということでございますが、私共は市町村運用に委されるということは結構なのでありますが、それにはやはり政府の方で一つ基準を與える必要があるかと思うのです。その基準を與えるという点について何か政府の方で特に考慮を拂つておられるかどうか、お伺いしたい。
  21. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私からお答え申上げます。市町村民税の中で特に農業に専従しておる者の均等割の問題でございますが、鈴木政府委員から政府考え方を詳細に申述べた次第でございまするが、只今岡田さんからこれが運用に当つて政府として何らかの措置を考えておるか、こういう御質問でございまするが、御尤もな点であると考えるのであります。従いまして、只今お話がありましたように、専従者であつても現に所得があることが明らかになつておる者については課税は止むを得ない、こういう御意見のようにも承つておりますので、運用に当りましてこれらの点について不均衡にならないように政府におきましてはこの法律案の成立後実施に当りましては過当な方法によりまして取扱方につきましては各地方団体に対して指導をして参りたい、かように考えております。
  22. 岡田宗司

    委員外議員岡田宗司君) 第二の固定資産税の問題につきましては、農地性質農地私有財産、不動産としての性質農地改革以降非常に変つておるのです。そういう見地、それからもう一つ農業の今日置かつれておる情勢等から考慮して、私共は別に倍率を設ける必要がある、こう考えたのでありまして、これは今参議院において社会党、民主党の間で再修正案がいろいろ論議されておるのでありますが、その場合にもこの点が考慮されておるように私共は伺つておる。この点につきましては私共といたしましては、やはり余程考えて貰わなければならん問題だと思う、こう考えておる次第であります。  それからもう一つは、今度の地方税法が施行されて参りますと、農村におきましては、相当な負担が増加して参ることになるのであります。でその場合には市町村が、殊に町村が果してこの税法にあるような徴税が円滑に行われるかどうかということが心配されるのであります。單に技術的に円滑に行われるとか、行われないとかいう問題だけでなく、これでは町村自治体いろいろ運行上差支えるよう問題が起りはしないか。例えばこの税金が非常に重いというようなことからいたしまして、村民町村当局或いは町村会費との間にいろいろないざこざが起る。これは供出制度の場合にもそういうことが起つて参りまして、その結果多数の市町村長辞任や或いはリコールや、或いは又町村会議員辞任リコールの問題が起つておるのでありまして、こういうような問題が今後相当起るのじやないかということが憂慮されるのであります。その点につきまして、これらをどういうふうに解決するか。又こういう問題が起らないような予防措置政府でどういう方法をおとりになるか。その点をお伺いしたいと思います。
  23. 小野哲

    政府委員小野哲君) お答え申上げます。只今御指摘になりましたように、新税法を施行するに際しましては、いろいろ御心配になつているような場合が、所によつては起るかも知れないと思うのでございまするが、政府といたしましては地方団体、言い換えれば徴税側に対しましても、これが運用につきましては、従来よりも種々研銘を進めて参つておるのであります。それと同時に納税者皆さん方、即ち農民の方々に対しましても、この点についての御理解を得なければならんと考えておるのでありまして、我々といたしましては、努めてさような機会を設けることによりまして、税法が円滑に実施されるように取計らつて参りたいと考えておるのであります。ただ岡田さんの御心配になつておりまするように、このために町村長の立場としていろいろ直接請求その他の問題が起るであろうという点でございますが、只今からさような点については、できるだけ起らないような措置を先ず考えて行かなければならないのでありまして、従来の地方財政の窮迫した事態に直面いたしまして種々問題が起りましたことは、私共も十分に認識をいたしておるのでございまするが、今回の税法の施行に当りましては、さような事態が起らないように、我々としても折角誠意を以て努力もいたし、又地方団体に対しましても指導をするように心掛け、又これを実行に移して参りたいと考えておるような次第でございます。只今の御心配の点は十分に拜承いたしまして、これが対策に齟齬を来さないように進んで参りたいということを申上げて置きたいと存じます。
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今岡田農林委員長の御説明なり政府委員意見なりに対しまして、御質疑ございませんか。……それでは有難うございました。運輸委員長はまだ見えませんから、法案の審議を続行いたします。
  25. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつと後に戻りますけれども、事業税免税点について質問を許して頂きます。
  26. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どうぞ。
  27. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 第七百四十八條なんですが、免税点が設けてありますが、但書を見ますと、但し、財政上その他特別の必要がある場合においては、所得金額が二万五千円に満たないときであつても、事業税を課するということにつきまして、この免税点規定は、事実上或る意味では無視されたような形になつておると思うのであります。特にこの度府県税が入場税と遊興飮食税と事業税になりまして、特に入場税と事業税として政府が見積られたのよりは、我々はどうしても徴税額が下廻るものであるということを予想するわけであります。そうしますと、どうしても歳入欠陷ができますから、挙げて事業税においてその下足額を徴税しようということになつて来ると思うわけであります。そういう際にこの但書が効力を発しまして、非常に零細な中小商工業者、個人企業者なんかに対しまして、多くの事業税が課せられることになると思うのでありますが、この但書の財政上その他、特に必要のある場合というのは、どういうことを意味しておるのですか。只今の私の言つたような歳入欠陷の場合ですか、どういう意味ですか。
  28. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この但書は、現在四千八百円ということに免税点がなつておるわけでございますが、それを一挙に五倍近くの二万五千円に引上げたわけでございます。そこでそういうむしろ一つの経過的な措置として、今御指摘のような歳入欠陷のございまするようなそういう府県でございまするとか、どうしてもやらなければならない経費につきましては、大体平衡交付金によつて一応見て行けるわけでございますが、そういう平衡交付金で見られませんようなその府県の特別な財政需要がございまして、こういうようなところまで拡げて、これを取ることによつて、その財源を得たいというような場合に、これが利用せられることになるであろうと思うのであります。平衡交付金の算定の基準といたしましては、これは各府県一律に勿論二万五千円というところで落しておりますから、特に或る府県が不利益になるというようなとはしない考えでございますが、ただその府県におきまして、そういう特別な財政需要額がございましたときは、こういうものに一つの財源を見付けて賄つて行く、そういうこともあろうかと考えまして、こういう規定を入れた次第であります。
  29. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 平衡交付金の配付の基準になります基準財政收入というのですか、それは先般頂きました入場税、遊興飮食税、附加価値税の予定收入額が基準になるものでありますか。
  30. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点につきましては、平衡交付金の非常に大きな問題の一つとして、地方財政委員会で今研究中でございます。標準の財政需要額をどういう單位で見、それをどういうふうに法定するかということに対応いたしまして、收入の方では、それぞれの法定税目の府県收入というものは、どういうものを基準にして見て行くかということが非常に大きな問題であります。その基準といたしましては、各地方団体に共通の公平な基準を取らなければならんのでございまして、今財政委員会において研究中でございます。従いまして、各府県のそれぞれの特殊の点を押えるということはございませんので、それが又全体の均衡化の原則でございますから、基準收入につきましては、そういうふうにやりたいと考えております。
  31. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先に申上げました点から、基準の收入をどういうふうに査定するかということが非常に問題ですが、どうしても先般頂きましたようなものが一応基準になると思うわけでありますが、そうしますと、附加価値税から事業税に暫定的に二ヶ年間改めたことによつて、小さい府県特に法人組織が少く、個人企業が多いというようなところにおきましては、どうしてもともすれば基本になる財政收入が多く見積られ勝ちになると思うわけであります。従つて平衡交付金は余り貰らわれないし、結局県の財政需要を賄うためにどうしてもこの但書が結局必要條例としてこれは適用されるのじやないかと思う。
  32. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の平衡交付金の基準財政額を測定いたしまする基準としては、地方財政委員会で以て見方の基準を示しまして、それによつて各府県が事業基準財政額というものを出しまして地方財政委員会出して来るわけであります。地方財政委員会は府県財政の需要額との差額に対して交付金を出すわけでございまするが、要するにその算定の基礎になるという場合におきましては、これはそれぞれその申出を認めておりまするから、不当なる算定或いは過つた算定というようなものにつきましては、十分再審査の機会があるわけでございまして、その点は御心配がない、とかように考えております。
  33. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 平衡交付金が千五百円になる、こういうような地方税法案が出まして、地方の財政計画がすでにできていますのに、この基準財政收入を把握する正確な方法ができていないのですか、これからですか、できてるけれども委員会運用上これを示さんのでございますか。
  34. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは勿論地方財政委員会におきまして研究中でございまして、研究中の内部案というものはいろいろできておるわけでございまするが、まだこの席で御披露を申上げるまでの段階に至つていないということでございます。
  35. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それではまあ仕方がありませんが、一つ十分この但書が必要以上に惡用されんように、そして小さい零細企業、零細個人企業が不当に圧迫されんように、一つ十分の配慮をお願いいたしまして、質問を打切ります。
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。……それでは次に移ります。七百四十九條。
  37. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 七百四十九條は事業税課税標準及び税率の特例でございまして、これも従来から電気供給業ガス供給業、運送業につきましては、所得金額を押えませんで、收入金額一つ標準として押えまして、それに対して一定の率を掛けると、こういう建前になつておつたわけであります。その建前をこれはそのまま踏襲をしておるのでございまして、即ち従来は收入金額に対しまして百分の二となつておつたのでございますが、これも二割を減らしまして、百分の一・六ということにいたした次第でございます。ただここは衆議院修正によりまして、少しも字句が動いておりまして、新たに第二項というのが加わつております。この加わりましたものは、実は本年度電気供給業及びガス供給業に関する算定が少し変つて参りましたので、特に書き加えたわけでございます。この衆議院修正案の第二項の点を御覧頂きますと、ここには法人の行う電気供給業及びガス供給業に対する事業税のうち、昭和二十五年一月一日から同年十二月三十一日までの間の日の属する事業年度分については、前項の規定に拘わらず、その課税標準は当該事業年度開始の日から、同年八月三十一日までの間における收入金額を押え、それから二十六年一月一日から当該事業年度終了の日までの間における收入金額、この二つを押えて、前の方の税率、前の方に適用しまする標準税率は、課税標準額のうち、当該事業年度の初日から昭和二十五年八月三十一日までの間における收入金額につきましては、百分の二・四、それから二十六年一月一日からの当該事業年度終了の日までの間における收入金額につきましては、百分の一・六とする、こういうふうに書いてあるのでありますが、この趣旨は本年はすでに事業税が軽減されないものとして、この電気、ガスにつきましては、すでに料金と一緒に百分の二・四の金額を徴收いたしております。この徴收を更に八月三十一日、来月の月末まで続けて参りますと、結局今年は一月一日から八月三十一日までの八ヶ月間の百分の二・四というつ税率で電気、ガスの供給業に対する事業税を取つておることになるのでございますが、この百分の二・四という税率を百分の一・六に今度下げるわけでございまするから、百分の一・六の税率を若しも仮りに本年の一月一日から適用して参りまして本年の十二月三十一日までその税率で取るといたしますると、その税額と、今申上げました本年一月一日から百分の二・四で八月三十一日までと取りました税額とが丁度同じことになるわけでございます。言い換えれば八月三十一日までに百分の二・四で税金を取つてしまつておりますので、もう九月一日から十二月三十一日までの分は税金を取らないでも本年度分はすでに八月三十一日までに納めてしまつておる、こういう恰好になるのであります。そこでここに書いておりますのは、本年度の分については、八月三十一日までの收入金額に対して百分の二・四を掛けたものだけが税である、こういうことを言つておるわけであります。それから後の方は来年の一月一日からの分でございます。これは原則通り百分の一・六ということにするということを言つておるのでございます。例を挙げて申しますると、例えば或る配電会社の事業年度が本年の四月に始まつて来年の三月三十一日で終るということを想定をいたしますると、八月三十一日までの分の收入金額に対して百分の二・四を掛けて、九月一日から十二月三十一日までの收入金額のものにつきましては税金をもう見ないのであります。更に来年の一月一日から三月三十一日までは百分の一・六を掛ける、この四月から八月三十一日までの收入金額に百分の二・四を掛けましたものと、来年の一月一日から三月三十一日までの收入金額に百分の一・六を掛けましたものが四月一日から来年の三月三十一日までの今事業年度の電気、ガス供給業事業税である、こういうことになるわけであります。そういう関係の訂正でございます。実質的には政府案におきましても、前に考えておりましたのと同じことであります。ここで古い現行法では百分の二になつておるのを百分の二・四ということにしておりまするが、この一十四の四は都市計画割を考えてるわけでありまして、実際の徴收金額としては百分の二に、更に四を加えたものを取つて来ておりたわけであります。ところが都市計画割も今回はこれを廃止をいたしましたので、実質的には百分の二・四が百分の一・六になる、こういうことであります。  それから七百五十條は納期の関係の特例でございまして、これは固定資産税市町村民税等との関係を考えまして、九月と十二月にいたしておりますが、来年度は、衆議院におきましての修正の結果八月、十一月にいたしておるのであります。これは他の税との調整を図つてつておるわけであります。  七百五十條以下は徴收に関する手続でございますが、これは現在の手続と同様でございます。  七百五十四條の過ち、これも同様であります。七百五十五條の質問検査権は、これは新らしい例に従つて入れたわけであります。検査拒否の罪もあるのであります。納税管理人、これも現在の制度をとつておる次第であります。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまでにしましよう。七百五十九條まで御質問願います。  なぜ衆議院修正のような第二項の面倒臭いことをするのですか。八月三十一日までの分を取つて、九月一日から十二月三十一日までは取らないということは、どういう必要からそういうことをするのですか。
  39. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は、この政府原案におきまして、別の附加価値税のところに同様の規定があるんであります。それを来年度から附加価値税に切替えるというのが政府原案でありまするから、附加価値税の経過規定のところに、その趣旨のことを謳つておりましたのを、本年度修正案によりますると来年が経過年度になりまして、本年度は経過年度でございませんので、こちらの方に場所を移しただけなのであります。移すに際しまして、書き方を更に分り易くしたというだけであります。この七十一條に收入金額規定がございますが、これはやはり電気、ガス供給業については事業年度開始の日から二十五年八月三十一日までの收入金額ということをここでも謳つております。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 私がお尋ねするのは、なぜそういうことをする必要があるかということです。
  41. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それは今申上げましたように、高い税率ですでに今年の一月一日から税金を取つておりまするから、九月一日から仮に税率を下げて適用いたしましても、余計取過ぎることになるわけなのです。もう八月三十一日までで税金相当額のものを、軽減された税金相当額のものを取つてしまつておりますから、そこで九月一日以降はその税金相当額の部分はもう取らない。そういうことにいたしませんというと、税率を下げましたに拘わらず、それ以上に取ると、こういうことになりまするので、そこで七月一日から八月三十一日までの分だけを收入金額にしまして、それに現在取りつつあるところの百分の二・四の税率を掛けて取るわけであります。その税額と仮に今年一月一日から下げた一・六の税率で全收入額に掛けましたものが同額になるわけであります。そこで八月三十一日まで高い税率で取つておれば、本年度分は全部取つてしまつたということになりますので、こういう規定を置く必要があるわけでございます。
  42. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 事業税はまだ徴收ができないで、取つていないんでしよう。
  43. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 電気、ガスの関係はこれを取つておるわけです。料金に加算をして取つておるわけです。
  44. 石川清一

    ○石川清一君 料金に加算をして取つた場合に、八月三十一日以降税金の空白と言いますか、そういう事態ができるので何かしらん税金を多く取つたら、電気会社或いはガス会社が潰れて行くというような感じを受けるので、これを取つても差支ないし、今までこういうように、法の改正のときに遡及して取らなかつたというようなことは今までございますか、お尋ねします。
  45. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先程申上げましたように、すでに今年度軽減された税率で取るべき税額は、電気料金の徴收の際に取つてしまつておりますので、そこで九月一日以降は電気、ガスの料金を、この税金が減じました……、要するにもう全然なくなつちまうわけですから、それだけ今年度内は料金を下して貰う。こういうふうに物価庁の方において処置をして貰うわけであります。
  46. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に移ります。
  47. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 七百六十條は脱税の罪でございますが、附加価値税に合せまして、三年以下五万円以下というふうにいたしたわけでございます。  それから七百六十一條、七百六十二條は前の税と同様の規定でございます。七百六十三條は延滯金の規定でございますが、この点だけを新らしく加えまして、その他、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金というような制度は事業税についてはとつておりません。  それから七百六十四條違法又は錯誤に係る事業税の賦課の救済、これは前の救済の方法と同様の規定でございます。  七百六十五條の督促、七百六十六條の督促手数料、七百六十七條の滯納処分、これはいずれも同文でございます。七百六十八條の滯納処分に関する罪も同様でございます。七百六十九條の検査拒否の罪も同様でございます。七百七十條の交付要求も同文であります。  それから七百七十一條の延滯加算金でございますが、これもすでに説明しましたように、当分の間は督促状を発した場合において取るものであります。  七百七十二條以降は国税犯則取締法の準用でございますけれども、これも従来説明申上げましたのと同様であります。
  48. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上御質問ございますか……御質問ございませんければ、第三節特別所得税に移ります。
  49. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 七百七十六條以降は特別所得税規定でございまして、事業税と同じような建前規定しておるものでございます。第一種業務は現行の第一種業務と同様でありまして、薬剤師関係を加えておりますが、建前は同様でございます。それから第二種の方は、これも現行の第二種と同様でございます。それから七百七十七條の課税標準でございますが、これは前年度の業務の所得基礎にする。これも現行と同様でございます。  それから七百七十八條の二以上の道府県において行う業務に対する特別所得税の取り方でございますが、これは主たる業務所又は事務所所在地の知事がこれをやるということで現行と同様でございます。ただこれに不服のございます場合におきましての更正決定は内閣総理大臣がやつておりましたのを、地方財政委員会でやる。こういうことにしたのであります。  それから七百七十九條の税率、これは第一種につきましては、百分の八を二割落しまして百分の六・四にいたしまして、第二種百分の十を百分の八にいたしたのであります。七百八十條の免税点につきましては事業税について申上げましたのと同趣旨でございます。次の七百八十一條の納期、これも事業税と歩調を合せておりまして、九月、十二月といたしまして、来年度はこれを八月と十一月にいたしておる次第であります。これは例年度と同じであります。  それからその他徴收の方法でございますが、これは事業税の徴收の方法と同様でございます。普通徴收の方法によるわけであります。申告に関する罪、不申告の過料、これらいずれも同様であります。  徴税吏員の質問検査権、それからこれに関係の罪、それから納税管理人に関する規定も、これも同趣旨でございます。  脱税につきましては、金額を五百万円というのを百万円に落しておりますが、その他、大体事業税なり附加価値税と同じような規定でございます。納期限の延長、減免、これはいずれも同趣旨規定でございます。延滯金もこれは事業税と同様であります。賦課についての異議申立、これも同様であります。督促手数料、滯納処分、これはいずれも同文でございます。滯納処分に関する罪も同様であります。その検査拒否の罪、或いは交付要求、延滯加算金、国税犯則取締法の準用、これはいずれも事業税と同文でございます。
  50. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 特別所得税につきまして、御質問を願います。
  51. 石川清一

    ○石川清一君 事業税とも関係いたしますが、特別所得税の場合においても、「道府県は、前項の標準税率と異なる税率で課する場合においては、あらかじめ、地方財政委員会に対してその旨を届け出なければならない。」と書いてありますが、異なる税率で課する場合というのは、どういうことが予想されますか、お尋ねいたします。
  52. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この予め届出なければならないということでございますが、これは現在の制度では総理大臣に報告をいたしまして、総理大臣地方税の審議会にかけまして、その意見によつてこれを処理することになつておるわけでございますが、そういうふうに税制の自生制をやや抑えるような恰好は面白くないであろうということで、單に予め地方財政委員会に届出るということで、地方財政委員会としてはどうしてそういうふうにこれを法定化するかという理由を聞く程度に止めておるわけであります。その間におきまして、何らかこれを、そうする必要がないと、そうしないでもつと別の方法があるとか、いろいろ話合いがあるでございましようが、それは飽くまでも法律上の拘束力はないわけでございまして、ただ予め届出るという事実行為をやりさえすればよろしい、こういう建前になつておるわけであります。
  53. 石川清一

    ○石川清一君 この場合にも大きな影響、問題が起きると思うのでありますが、固定資産の価格の客体、或いは大工場の三、四以上ある町村の償却資産の配分に対するいろいろな問題が起きて参りまして、この事業税の課率にも、いろいろな点が起き来ると思うのですが、これはどこまでも届出だけでよろしいのですか、届出に伴つていろいろな地方財政委員会の指示に従うというような前提の上に立つて届出となるのですか、もう一度明確にお願いいたします。これはどこまでも届出の形式だけでいいものかどうか。外に影響がないものかどうか。
  54. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この税法におきましては、そういう場合におきましてただ地方財政委員会は届出を受理するだけであつて、積極的に指示とか決定とかいうことは、地方財政委員会設置法の方におきまして地方財政委員会が監督をするという規定がございますから、そういうものの運用によりまして非常に不適当であるというような場合におきましては、これは意見は述べることはできるわけでありますが、併し必ずそれに従わなければならんという拘束力はないわけであります。
  55. 石川清一

    ○石川清一君 若し届出でなかつた場合には、どういうことが法的にとられますかどうか。
  56. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは予め必ず届出でなければならんということになつておりまして、この届出ということがやはり一つの効力規定従つてこの措置を講ぜずして税率を定めた場合におきましては、これは違法であるとかように考えます。
  57. 石川清一

    ○石川清一君 それでは予め届出でて置けばいいと、こういうように解釈してよろしうございますか。
  58. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その通りでございます。
  59. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは附則を除きまして本文はこれで逐條審議を終りました。  運輸委員長が見えましたから、運輸委員長から本委員会提出されました要望につきまして御説明を願いたいと思います。
  60. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) 運輸委員会といたしまして本委員長の手許に要望書類を出しておるのでありますが、この問題は、御承知の通り、陸運、海運ともこの地方税に課せられるのが非常に多くなりますので、これを改正を願いたいということであります。  本件につきましては第七国会において地方税法案修正に関する運輸委員会要望事項を貴委員会に通知し、法案御審議に当り当委員会の議を尊重せられんことを申入れいたしてありますが、第八国会においてはすでに連合委員会において当委員会代表者より意見を開陳すると共に、七月二十五日の運輸委員会において前回の申入を再確認し、且つ新らしき修正案に伴う意見をも加え、要望事項の主要なるものを左記の通り決定いたしましたから、本法案御審議に当つて委員会の議を尊重せらるるよう格別の御配慮を願いたいと考えます。これを申上げますと、  海運関係   (一)  船舶法の適用を受ける船舶については、地方税法案における固定資産税課税客体より除外し、独立税たる国税とし、適正な税率を設けること。   理由   (イ) 船舶についての課税地方税とするときは、地方公共団体間における税率の相異による船籍港の移転により地方公共団体の財源を不確定ならしめると同時に、半面船籍港を異にする船主の負担を不均衡ならしめる。    (ロ) 船舶に対する固定資産税は概ね現行船舶税の十三倍、殊に外航用新造大型船については三十一倍の重税となる。因みに地方自治庁は船舶に対する固定資産税の收入見積推定に当つて、税收把握率を五割と押えているが、これは船舶法第五條の二の規定に鑑み不当な推定であつて、把握率は十割として收入を見積るを妥当とする。   (ニ) 運送業中その事業の料金が自由価格である海上運送事業に対する事業税の賦課は收入課税の特例によらず、收益課税の一般原則によること。理由地方税法案においては電気供給業ガス供給業及び運送業に対する事業税の賦課については、收益課税の一般原則によらず、收入課税による特例(第七百四十九條参照)が設けられている。   電気供給業及びガス供給業の料金は、独占的統制額であるから、事業税の賦課において收入課税とするも統制額の改訂により消費者転嫁が可能であり、事業圧迫の慮れは少いが、運送業中その事業の料金が自由価格である海上運送事業について電気供給業及びガス供給業と同様に取扱い、收入課税の特例を適用することは他の事業との均衡を著しく失することは勿論のこと、かかる特例を適用する論拠を全く欠いている。陸運関係   (一)  地方鉄道、軌道関係固定資産税については    イ 地租現行通り免税とすること。    ロ 電柱税及び軌道税を現行の率とし存置すること。    ハ 車両税(道府県税)を新設すること。    以上イ、ロ、ハを除きたる固定資産に対し、一般固定資産税を課すること。   2 電気ガス税を免税とすること。   3 事業税については、統制額決定の実情に鑑み收益課税とすること。   理由    地方鉄道軌、道は用地その他固定資産多く、且つ多数の従業員を擁する事業なるため新税制案によるときは特に地方税において、約二十二億円を負担し、最近の実績に対し十七億五千万円の増を示し(約五割弱)これに電力料金値上げに伴なう増を加うるときは、地方鉄道、軌道の経営上收支均衡を失し経営国難に陷り、産業、文化に及ぼす影響大なるものありと思料せらる。よつて運賃への転嫁、経営合理化をなす外、減税の要あるによる。   (ニ)  自動車及び通運関係     自動車税の税率の軽減を図ること。   理由     自動車事業及び通運業は経営上その負担に堪えぬものがあるので、これが軽減をなす余地のあるものについてはこれを軽減し、事業の健全なる維持を図る要あるによる。以上の理由でございまして、どうか御審議に当つて愼重に我々の委員会の意を尊重せられんことを要望いたします。
  61. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 先程から水産委員会農林委員会或いは運輸委員会の決定であるやの各委員長の申入れをお聽きしたのですが、私新米議員としてこれを取上げて質疑するに当つて、岡本委員長に伺つて置きたい。と申しますのは、各委員会が、各会派の集まりでこれを決定しているということは、全参議院の各会派が、この修正案に同意しているということになるのではないかと思う。そうだとするならば、我々地方行政委員会は、やはり各派を代表してこれらを全面的に取上げて、参議院各会派の全部の修正意見として、これは出さなければならないような義務さえも、負うのではないかという感じがするのであります。ただ聞いて置くという程度のことであるのか、そういうふうに持つて行くのが手続上正当なのであるのか、お伺いしないと、身を入れての質疑ができない。どうも私はおかしいと思うので、お伺いして置きたい。
  62. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 委員長としての意見を申上げて置きます。これは冒頭に申上げましたように、各委員会から、要望事項というのは、この第七国会から初めて始まつたのです。殊にこれは地方税法案について、初めて始まつた事柄であります。それでその各委員会のお立場から、要望を当地方行政になさつたものであると、こういうふうに考えております。それでその御意見は大いに尊重しなければなりませんけれども、地方行政委員会は、單に農林とか、水産とか、又は運輸とか、そういう立場は尊重すると同時に、全体の釣合い、地方行政、地方税制、そういうことについての全体の釣合いというものを考えて、よく考慮しなければならない、そういうふうに私は考えております。この際にそういう点を御審議願いたい、こういうふうに思つております。
  63. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうすると、全体との釣合いだけで、この地方行政委員会意見を斟酌するというようなことであるならば、相当各委員会としても、全体的な立場に立つて、比較検討の末修正意見というものをおまとめになつておりますのでありましようから、これらの意見を誰かの委員が取上げて、修正意見としてここに出した場合には、この委員会は全会一致で認めなければならないことになつてこれに反対することができないような立場になるのではないかと思われるのですが、この点は如何でしようか。
  64. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 私は必ずしもそうとは考えない。と申しますのは例えて申しますと、農林委員長から御要望の中に、農地に対する固定資産税は、二十五年度分は二二・五を七に改めて貰いたい、こういう要望が出ております。ところが農林委員長の属しておられる社会党の、今度の修正案というものを拜見いたしますと、その二二・五を一八・七五に改める修正案を、今出しておられるようであります。こういうふうにすでにその委員長と、その属しておられる社会党との御意見も違つておるのでありますから、その点はよくこの委員会検討すればいいのだ、こういうふうに思います。
  65. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 では正式にこの要請せられておる三委員会の、地方税修正に対する問題については、聞き置くというだけのことではなくて、地方行政委員会として結論を得るための議題として、改めて審査する用意を委員長としてお持ちになつていられるでしようか。
  66. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは皆様の御意見によると思います。そこでこの要望はこの際是非ともやれという要望もございましようし、それから、こういうことを含んで置いて呉れという要望もあると私は思います。又次回のときにはこういう点をよく研究して貰いたいという御要望も含んでおると思う。そういう点は例えば船舶に対する新たな税を考えて呉れなというようなことは、この間の連合委員会でも発言に出ております。それに対して政府委員から答弁をして、いろいろありましたが、そのときのたしか速記録を見れば分るでありましようが、今直ぐやらなくても、こういうことは将来考えて呉れというふうにおつしやつた。山縣委員から言つていらつしやると私は思う。だからそういう取扱で私はいいのではないかと思います。皆様の御意見をここで一つ一つつて賛否を決めて行くということに取扱を決めるならば、そうしなければなりませんが、これはお諮りしますが、午後理事会を開きましてこの取扱をよく検討をいたしまして改めてお諮りいたしたいと思います。如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 委員長、先程水産委員長木下君に申上げたことなのでありますが、各委員会から、各委員の共同の意思においてこうした申入れがあるということは極めて重大なことであつて、非常に尊重されなければならんと思うのであります。それにつきましたことでありますが、佐々木さんは運輸委員会意見を代表して、この委員会の議を尊重せられるよう格別の御高配をお願いいたしたいと言つて来ておられるのでありますが、私達の方からは佐々木さんに対して運輸委員会の委員の各位、特に委員長の佐々木さんがみずからこの議を御尊重願いたいということを申上げなければならんと思うのであります。それは木下君にも申しました通りに、議決権は佐々木さんが持つていらつしやるのであります。本会議においてこれは決定せられるのであります。先程来の各委員会からの申入れの事項につきましては我々といたしましては賛成できないものも中にはあります。私個人といたしましては、又大いに賛成のものもあります。そのままこれを我々は取入れて、そのままの形で我々が修正意見を出そうとしているものもあり、又そこまでは到達しないけれども、その線に沿うたところの修正意見を出そうというように考えておるところの御意見もあると思うのであります。ところがただみずからは我々は尊重せよということを要求して置きながら、さて本会議にそれが付議せられて、我々がその意見に副うたところの修正意見出しましたときに、結局議決するところの最後の土壇場においては、全くそういうことを我々に要求して置きながら、みずからの要求を尊重しないで以て、そうしてそれと反対の投票をせられる方が私はなきを保し難いと思います。私はその意味において、先程も木下水産委員長にだめを押したのであります。どうぞ佐々木鹿藏君はみずから、みずからの修正意見を尊重して、政治家として公人として自分が我々に要求したところの意見を裏切るような行動を運輸委員会の諸君がとられないようにして頂きたいということを申上げて置きます。
  68. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では、先程私から申上げました、この取扱を午後委員長と理事の懇談会を開きまして、そうして案を練りまして皆さんにお諮りいたしたい。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 石川清一

    ○石川清一君 少し疑義を持つておるのでありますが、各委員会の申入れについてもそれぞれ各議員には議案が同じように配付されておりまして、全議案のうちでそれぞれ委員会が決議されて水産という部門ばかりでなくて、あらゆるものも検討された上で、水産的な面、或いは運輸の面、農林の面ということが立法府という建前の上に立つた委員会の結論として申入れがあり、更に全部のこの委員に諮られたのでありまして、立法に対する審議権の平等というものはどこまでも尊重しなければならないものでありまして、この結論についてはどこまでも全議員の同じような立場で結論を出すということが好ましい。こういうように考えまして申上げて置きます。
  70. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは午前の会議はこれで休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。    午後零時七分休憩    —————・—————     午後一時四十八分開会
  71. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き、委員会を開会いたします。  地方税法案の審議を続行いたします。附則の御審議を願います。政府委員説明を求めます。
  72. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この附則の第一項は施行の期日の規定をいたしたものでございまして、公布の日から施行する、若し国会を通過いたしまするならば、できるだけ早い機会にこれを公布をして施行いたしたいと考えております。後段の入場税、遊興飮食税、電気ガス税その他ございますが、これはこういう随時税或いは月税だけは例の徴收停止の方の範囲から除外いたしまして、現在引続いて取つておるわけでございますが、これの切替は九月一日からにいたしたいということで、特に九月一日から施行するというふうに書いておるわけでございます。尚同日以後、即ち電気ガス税につきましては、八月三十一日以前のものは従来の法によりまして九月一日以後の分から適用して行く、こういうことでございます。その外のものにつきましては、適用の時期は二十五年度分から、即ち四月一日の、五年度分から適用して行く、こういつているわけであります。但書は、事業の料金につきまして、物価統制令による統制があります場合におきましては、この七百四十九條の、先程御説明を申上げました事業税関係規定でございます。課税標準事業税関係でございますが、これにつきましては、それぞれ物価の改訂のあつたときを押さえまして、それから施行して行く、こういうことでございます。ここに統制額がある場合においてはとありまして、三つの種類を書いておるのでございますが、第一は、二十五年一月一日の属する事業年度の初日又は同年即ち二十五年一月一日以後においてその統制額が改訂された場合には、その改訂のときの属する事業年度分又は二十五年度分、又はと申しますのは個人のことでありまして、事業年度といつているのは法人のことであります。法人につきましては、従つて一月一日の属する事業年度の初日以後に改訂された、即ち二十五年度一月一日の属する事業年度が昨年の、例えば十月であるという場合には、それから以後改訂された場合、個人の場合は本年一月一日以後改訂された場合、その改訂の属する事業年度個人の場合は二十五年度分から適用する、これに該当するものは軌道、運送業の中の軌道、地方鉄道事業等であります。その改訂のときが二十四年度四月一日以後本年の一月一日の属する事業年度の初日前即ち二十四年度の千言月三十一日前に改訂されたという場合におきましては、これは本年の一月一日の属する事業年度から適用して行く、個人の場合には、同様に去年の十二月三十一日前に改訂されたものは、二十五年度分から適用する、これに当りますものは、電気供給業ガス供給業等でございます。それから昭和二十四年の四月一日以後昭和二十六年、二十七年になつておりますが、二十六年一月一日の属する事業年度の初日又は同年一月一日前にその改訂が行われなかつたとき、要するに二十四年から二十七年の初めまでに全然改訂が行われない、という場合におきましては、七百四十九條のこの規定を適用しない、そうして本来の本則に帰りまして、一般の総益金から損金を引いた益金に課するという、こういう建前になつておるわけでありまして、收入額を押さえないことになるわけでございます。これに該当いたしますものは、トラツクであります。これは確か二十四年四月一日以後においては料金の改訂がございませんので、これは適用しないということであります。そういう価格統制の関係で適用の時期をそれぞれ改訂の時期からやるということになつております。  それから第二項は、関係法律の廃止でございます。現行地方税法を廃止いたしまして、新たに地方税法を作るという建前にいたしましたので、地方税法を廃止いたしました。尚酒消費税等を廃止いたしましたところの関係法律でございますが、これをやはり廃止するわけであります。  それから三項は、旧法に基いて取るべき地方税の取扱でございますが、大体従来と同じような考え方でございまして、旧地方税法規定に基いて課し、又は課すべきであつた地方税については、尚旧地方税法規定による、こういうことであります。括弧の中は、法人の行う事業に対する事業税にあつては、昭和二十五年一月一日の属する事業年度直前事業年度以前の分、それを含めましたもので、入場税、鉱産税、電気ガス税、木材引取税、遊興飮食税、入湯税及びこれらの附加税並びにと畜税、広告税、接客人税及び使用人税というような随時税、月税でありますが、これは二十五年八月一日以前の分は尚この規定による、こういうことであります。特別徴收、配電会社等の方が、特別徴收義務者になつておりまする電気ガス税については、その以前において收納した分、こういうことになつております。  それから第四項は、この法律施行前においてなした行為に対する罰則の適用又は準用については、従前の例による、これも従前の通りであります。
  73. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで。以上につきまして御質問ございませんか。(「進行」と呼ぶ者あり)先程事業税の七百四十九條と、新たに入れた二項、それとは関係ありませんか。
  74. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 七百四十九條の第二項は、今の第一項の但書のところの規定と直接関係があるわけで、あの規定をいつから適用するかということは、ここに書いてあるわけでございますが、ここは若干、若干と申しますか、收入金額を押さえておる関係関係があるわけであります。要するに九月一日前……要するに八月三十一日以前の分につきましては、古い規定によるのだ、こう言つておるわけでありまして、そういう意味では関連を持つておるわけでございます。
  75. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 事業税のことは出て来ておりませんか、これには……。第三項の括弧の中の法人の行う事業に対する事業税にあつては、昭和二十五年一月一日の属する事業年度直前事業年度以前の分というのには勿論……。
  76. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 前の分にあつては八月三十一日以前……。二行目のところの事業年度以前の分と……。
  77. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 後で調べてお願いいたします。分るように後で奥野君が調べて……。前へ進みます。
  78. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ミス・プリントがございますので、正確にいたしました上で申上げます。  それから、第四項は今申上げた通りでございますが、第五項の企業再建整備法の一部改正規定でございますが、これは企業再建整備法に基く特別経理会社につきましては、その指定がありましたときから事業年度規定によらないで、全体の整備の終りますまでの期間というものを一つ事業年度と見ましていろいろ計算をいたしておるわけでございまするが、税法に関しまする限りはやはり各事業年度毎に区切つて所得なり、附加価値なりを見て行きました方が適当でございまするので、現在の法人税や事業税につきましては、そういうふうに全体といたしましては一本の期間で行きますけれども、税法につきましては区分して見ておるのでございます。その原則附加価値税につきましても適用しようというので、附加価値税に関する規定を書き加えておる次第でございます。  それから第六項の地方財政法の改正でございますが、これはいろいろ問題になりました規定でございまして、地方公共団体は寄付金を住民に割当て強制的に徴收するようなことをしてはならないということでシヤウプ勧告の中に謳つております強制割当寄付を廃止しようという考の規定でございます。  それからその次でございますが、これは地方財政法第五條には起債をいたしまする場合を例挙いたしておるのでございまするが、その中に第五項のところに戰災復旧事業費及び学校、河川、道路、港湾等の公共事業施設の建設事業費を財源とする起債につきましては、地租附加税とか、家屋税附加税、事業税附加税、或いは市町村民税の賦課律又は賦課総額がいずれも標準賦課率又は標準賦課総額の一・二倍以上でなければならん。それでなければ起債の條件を満たさないことになつておるのでございますが、この制限を緩和いたしまして、標準率以上であるならばよろしいというふうにいたしたのであります。又税の名前が変りましたので、それを普通税というふうに一般的に呼びまして、その税率がいずれも標準税率以上であるならば、戰災復旧事業費とか、公共施設の建設事業費の財源として起債をすることができるということであります。  その次の三十三條の第二項を削ると申しますのは、今御説明申上げました第一項の第五号の規定は当分の間これを適用しないということにしておりまして、実際問題として本案の適用を排除しておつたわけでございますが、今申しましたように、一・二倍というのを標準税率までよろしいということにいたしましたので、この規定を外ずしましたのであります。従つて今後は少くとも戰災復旧事業、或いは公共施設のための建設事業のための起債は、標準税率を取つておかなければならんということになるわけであります。  それから七項の日本専売会社法、それから八項の日本国有鉄道の一部改正は、いずれもこれは非課税に関する規定でございます。非課税規定はそれぞれの各税目の中に、地方税法案中において規定いたしましたので、こちらの特別の法律の中に別々に規定することを止めたわけでございます。従つてその関係の第六條を削除というふうにいたしたわけであります。  それから国際観光ホテルの整備法につきましては、地方税法の中の減免の規定が適用があるものとするというふうになつておるわけでございますが、その基礎條文が今度動いて参りましたので、その條文の引用の仕方を変えたわけでございます。
  79. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 附則の三項の御説明でありますが、「旧地方税法規定に基いて課し、又は課すべきであつた地方税」、それがその項の一番終りから二行目の方に続くのでありまして、「前項の規定にかかわらず、なお、旧地方税法規定の例による。」その課し、又は課すべきであつた地方税説明として括弧に書いておりますような、第一には、「法人の行う事業に対する事業税にあつては、昭和二十五年一月一日の属する事業年度直前事業年度の以前の分」をいうわけであります。「更に入場税並びに鉱産税、電気ガス税、木材引取税、遊興飮食税、入場税及びこれらの附加税並びにと畜税、広告税、接客人税及び使用人税によつては、昭和二十五年八月三十一日以前の分」をいうわけであります。法人事業に対する事業税につきましては七百四十條のところに、この法律の適用を受けます事業税括弧の中に、「法人にあつて昭和二十五年一月一日の属する事業年度から……」と書いてありますので、これ以前の法案は要するに旧地方税規定に基いて課し、又は課すべきであつた地方税だということになるわけであります。
  80. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 五項の企業再建整備法の中に地方税法昭和二十五年法律第  号)とあつて何も書いてないのですが……。
  81. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これが通過いたしましてから……。
  82. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは附則はこれで終りました。従つて地方税法案の逐條審議はこれで終了したわけであります。
  83. 相馬助治

    ○相馬助治君 委員長質疑打切りをまた宣しないのですね。
  84. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) まだです。
  85. 相馬助治

    ○相馬助治君 実は社会党としては只今政府提出原案並びに衆議院修正して参りました修正案に対して満足すべき段階に到達しておりませんので、他の政党にも二、三に呼び掛けまして、何とかして野党連合の修正案提出すべく今日まで努力を重ねて参つたのですが、只今の状況におきましては、各党が全部一致して修正案を出すという段階に参りません。従いまして今のところ私共の日本社会党としては独自の修正案を提案することに相成りますので、この際今までの政府原案質疑を最初の約束では打切ることになつておりますが、修正案に関する質疑等もあろうと思うので、その連関において今日質疑を打切ることなく、これを明日まで延ばすように一つお願いしたいと思うのです。ただこれは前の固い約束で理事会において本日中の夜中の十二時までかかつてもこれはお終いにする。こういう固い約束であり、私共も了承しておるのでございますので、この際委員長は暫時この委員会を休憩されて、理事の皆さんとこの取扱について、私の提案についてお考え願つて頂きたい。こう思つて提案いたします。
  86. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今相馬君から、各会派の申合せ事項でありました、本日は遅くなつて質疑を盡しまして修了をするという申合せをいたしておつたのでありますが、それが社会党内の御事情によつて今日は質疑を打切らないで明日まで待つて貰いたい。こういう意味の御要望がありました。これについて理事会を開いてくれという御要求ですから一時休憩をいたして、委員長理事会を開きたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうことにいたします。  それから休憩前に御報告いたします。  先程吉川委員並びに小笠原委員から委員長に対して御質問がありまして、各委員会から提出された要望書は、本委員会としてどういうふうに取扱うのであるかという御質問がありました。それに対してお答えをしたのでありますが、尚委員長、理事においてその取扱を協議することにいたしまして皆さんからお任せを願つたので、それで先程一時十五分から私と三理事集りまして意見をまとめました。その意見を報告いたしまして御承認を得たいと思うのであります。朗読いたします。  「各委員会から提出せられた要望書は、本委員会としては尊重するが、地方行政委員会地方行政全般の見地からこれを検討、審議するのであるから、必ずしもその要望に副い得ない場合がある。問題となつた各要望書の事項は、すでに本委員会において検討審議せられたものと考える。改めてこれにつきいちいち採決するを要しない。尚要望を提出した各委員会において、右要望に賛成された各委員は、これに対し政治道徳的責任をし持つべきである。」  こういうふうに意見がまとまりましたので御報告いたします。これについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じやそういうふうにこれからも取扱つて行くことにいたします。  尚これは委員長懇談会におきましても、こういう打合せをしたということを申しておきたいと思います。それもお任せ願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  89. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこの際吉川委員から御要望のございました野津專門員からこの地方税法案全体に対しまして、その抱いておられる意見を聽きたいと思います。
  90. 野津高次郎

    ○專門員(野津高次郎君) それでは御命令によりまして地方税改正案に関する一学究としての私の意見を述べさして頂きます。  前国会の大蔵、地方行政連合委員会におきましても意見を徴せられたのでありますが、若干の修正を加えられました今回の改正案に対しましても、大体同じようなことを述べざるを得ないので甚だ恐縮に存じます。御審査の期間も切迫しておることでありますから、今回は四つの点について述べさして頂きまして、他は後の機会にさして頂きたいと思います。  先ず固定資産税についてでありますが、本税は御承知のように土地、家屋及び償却資産の公正な時価を課税標準とすることがその建前となつております。この公正な時価は評価人によつて評価させることになつておるのでありますが、二十五年度土地家屋の評価につきましては、評価人の選任その他の準備が間に合わないために、一時の権道として、便宜の措置として、賃貸価格の九百倍という一定倍率を乗じたものを課税標準とすることになつております。一時の便宜手段によつて課税したために不当課税、不公平な課税が生ずるようなことがありましたならば、これを訂正し、これを救済することは税制改革において当然採られなければならない措置であろうと存じます。今この一時的な便法によつて課税することによりまして、即ち賃貸価格を九百倍し、これに一・六%の税率を乗じて課税することによりまして、如何なる不公平課税が生ずるかと申しますと、すでに各方面における土地、家屋の売買実例の調査によつて明白となつております。例を挙げて見ますれば、宅地のごときは賃貸価格の二、三百倍から千数百倍の間を上下し、山林の地目におきましては賃貸価格の三千七百倍に上るような実例もあるのであります。家屋のごときもその売買実例から賃貸価格に対する倍数を逆算して見ますと、誠に千差万別であります。かくのごとき土地、家屋の賃貸価格と時価との割合は、一地一筆毎に、一家一屋毎に千差万別であるのにも拘らず、十把一からげと申しますか、千把、万把一からげとでも申しますか、九百倍という一定倍率を乗じて課税標準とし、これに再度変更せられました一・一八%の税率を乗じて課税するということが、果して提案理由に述べられております国民の地方税負担の合理化及び均衡化の徹底を図ることということになるでありましようか。私は固定資産税土地、家屋及び償却資産の公正なる時価に対し課税するものであるという建前から、止むを得ない一時的の権道によつて生じました不当課税の救済措置が、二十六年度以降において採られなければならないと信ずるものであります。一年限りのことだ、取られつ放しで我慢しろというような切り捨て御免の仕打ちは、民主国家の税制改革においては断じて採らるべきでないと信ずるものであります。今回の改正におきまして、減価償却資産に対する固定資産税につきましては、移り変りのときにおける不当課税の救済措置が構ぜられることになりました。二十五年度分の償却資産の課税標準は、仮算定税額とし、二十六年の本算定税額が決定しましてからこれに比較して増減あるものは、その増減額を追徴、還付又は充当することになつております。同様の措置土地、家屋についても採られなければならないと思います。二十六年には就任早々の未熟練であるとはいいますが、とにかく評価人とか評価補助人とかが一筆一地、一家一屋について評価する建前になつておりますから、一応正当公平な時価と認めることができると思います。それに基いて前年の課税額を更正し、その増減額を追徴、還付又は充当することが公平なる課税であり、深切な措置であると思うのであります。若し追徴、還付の件数が余りに多くて事務的に不可能であるとするならば、一定額以上とか或いは一定倍数以上のものに限つて、又還付、充当につきましては更に本人の申請あつた場合に限つて行うといたしますれば、甚しき不公平なものだけでも救済ができると思うのであります。  二十五年分の固定資産税は、賃貸価格課税の拡大延長と考えたならばこのような措置を採る必要がないというような議論もあるでありましようが、今回の地方税改正は、二十五年度から新たな固定資産税として出発したものでありまして、このことは第四百十三條又第三百四十二條等の規定から見ましてもかかる規定が理由ないものと信ずるのであります。  それから第二に、この固定資産税についてもう一点述べさして頂きます。これは差迫つた当面の問題としては不適当でありましようが、一つの学究的な立場から問題を提供さして頂きたいと思います。固定資産税中減価償却資産に課する部分を固定資産税から切り離しまして、減価資産税としてこれを道府県の普通税とし、その代りに府県税たる遊興飮食税を市町村の普通税とするという案であります。その理由といたしましては、第一に課税客体が特定の地域に偏在しまして負担の均衡化に副わない場合が多く、市町村税としては不適当だと考えられるのであります。又第二に、課税客体評価には土地、家屋よりも一層特殊の知識技能を必要とします関係から、その評価人を選任し活用いたしますのに市町村よりは道府県の方が一層の便宜があると信ずるのであります。  第三の理由といたしまして、道府県税の主要税源である附加価値税、入場税と遊興飮食税は、いずれも経済界の景気不景気によつてその收入が左右せられるのであるから、道府県の財政の基礎市町村のそれに比較して薄弱であると言われております。税收入において大差なき償却資産税と遊興飮食税を入替りにしましたならば、道府県市町村の間に税收確保上の権衡が取られるのではないか、次の税制改革の機会におきまして御一考を煩わしたいのであります。  それから附加価値税について申上げますと、いろいろこの附加価値税については議論があります。私は経済更正期にある我が国の現段階におきましては、事業の新設拡張に、都合のいい本税の長所を利用したら結構ではないかと考えられるのであります。併し本税を我が現行税制に採り入れますについては、余程細心の注意が拂われなければならないと思います。何故かと申しますと、この税を一挙に採り入れることによりまして、非常な摩擦、非常な負担の激変というようなことが起つて参るのでありますから、これを避けるためにむしろ附加価値税事業税との両建性を採つたならばどうかと考えるのであります。純益課税から一挙に附加価値課税に転換するために負担の激変を来たすのでありますから、その負担の転嫁その他企業の合理化等の行われますまで、純益課税と附加価値課税の二本建制とするのであります。例えてみますれば一事業につきまして、施行の初年度においては附加価値税を二割、純益課税を八割、第二年目には附加価値税を四割、純益課税を六割、第三年目には六割と四割、第四年目に全部附加価値課税に移つて行く。こういうふうな、スライデイング・スケルにしたならば負担の激変ということは避けられるのではないかと考えるのであります。  それからもう一点、本税におきましては施行前から有する償却資産に対しまして、減価償却を認めないことになつておりますが、これは私は不当だと思うのであります。即ち税法施行後に取得せられました償却資産の購入代金はその金額が購入のとき一回に特定支出金額として総売上金額から控除せられますので、その後減価償却する必要はありませんけれども、税法施行前から存在しております償却資産であつて、両耐用年限の期間内にあるものにつきましては、これを売却したときに総売上金額に算入しないというだけでは、満足すべきではないと思います。多くの償却資産の中には売却されないで陳腐残骸に帰するものもあるのであります。これらは償却されないでそのまま残骸となつてそれだけ企業に対して不当課税となるのであります。    〔委員長退席、理事竹中七郎君委員長席に着く〕 シヤウプ勧告はこのように触れてはおりません。ただ減価償却をしなくてもよろしいから納税者も徴收者も非常に本税額を算出するには簡單だ、手続が簡易だと述べられておりまして、現行税法の繋ぎ目の所に一向に注意を拂つておらないと感ずるのであります。私はシヤウプ勧告は地方税改革の構想としては誠に立派なものだと思つております。ただ現行税制を如何に繋ぎ合すか、現行税制から如何にして摩擦を起さずにスムーズにこの改革案に滑り込むものかという点に十分の注意を拂つて万全の準備を整えて、折角の改革案が有終の成果を挙げるように希望しておるものであります。
  91. 竹中七郎

    ○理事(竹中七郎君) 次に文部大臣が御出席になりましたので、小笠原さんの質問に対して御答弁を願いたいと思います。
  92. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今研究になられた專門員の発表は実に示唆に富み、而も立派なものだと思つて私は感心して聽いていました。これは後で適当な時間に一つ委員長において質疑なり意見なりをやり得るようにして頂きたいと思います。そうして文部大臣への質問に入つて下さい。
  93. 竹中七郎

    ○理事(竹中七郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  94. 竹中七郎

    ○理事(竹中七郎君) 速記を始めて。
  95. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 この間寄付金の問題に関連して、六三緊急物資予算案通りの建坪数を以てしても、今年度において財政的に賄えないという結果がはつきり統計的に出ておるのであるが、而も文部省としても四十三億かの追加予算を要求しているように伺つているのでありまするが、この質問に対して大蔵大臣は本年度においては絶対追加予算に六三建築費予算を盛り込むことはできない、出さないということを言明しておるのでありますが、そうしますと、平衡交付金一千五十億円の九〇%を交付し、或いは一千九百億の七〇%が基準財政收入額かになるという建前から言つて、これでは現実の地方における寄付を解消することができないということが心配されるのでありまするが、文部大臣として本年度の六三建築費を賄う予算を地方自治体に寄付その他によつて任せきつて、そうして中央において平衡交付金なり或いは六三建築費を従来のように補助金起債等を以て賄うなりするということについて、如何な御見解を持つておられるか、お伺いしたいと思います。
  96. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 大体のことをお答えいたしますが、私は一体義務教育について、すべてそういうものが寄付とかによらなければならないということは非常に遺憾なことだと思つております。今後はどうか寄付というようなことでなくやりたい。その予算等については私はまだ別段これを提出するというようなことはいたしておりませんけれども、十分自分はそれを考慮してやりたいという考を抱いております。詳しいことは政府委員をして答えさせます。
  97. 竹中七郎

    ○理事(竹中七郎君) 佐藤薫説明員が答合弁をしたいというのでございますが、御異議ございませんか。
  98. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今のは、政府委員という歴とした者がおるのに、説明員をしてわざわざさせる必要はないと思います。政府委員はどうしたんですか。
  99. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 監理局長が詳しく知つておるのですが、今わきの委員会に出ておるそうです。
  100. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 できるなら呼んで頂いて御説明を伺いますが、では第二の点に移ります。  建築費予算と共にこの寄付に関する問題は義務教育に関係する地方の教育財政の問題なのですが、例えば私は岩手県ですが、岩手県の小学校P・T・Aの昨年度の会費が四千八百万円なのでありまするが、そのうち小学校の経営費と申しますか、維持管理のために或いは施設のために使用されておる金額が三千万円からあるのであります。そうしますと、これの全国的な累計は非常に厖大なものになるのではないかということが想像されるのですが、配付されております資料の寄付金に関する調べの中のP・T・Aに関する寄付総額というものは、これは純粋な寄付額だけを採つているのじやないかと思われるのでありまして、一体文部大臣は義務教育に対して地方の責任と国の責任、即ち行政的な責任のみならず、財政的な負担関係における責任をどうお考えになつておられるか。即ちこうした寄付金等において賄われておる、或いは平衡交付金が紐付きでない現状において、地方の教育水準を低下せしめない措置として、どういうふうなお考をお持ちになつておられて、この寄付金の解消に御努力になろうというお考なのか、お伺いしたいと思います。  これに関連しまして岡野大臣には、こうした部面の寄付行為の解消のために、地方自治庁が地方税或いは財政平衡交付金において今後どういう考をお持ちになるか。又義務教育なるものは国の負担がよろしいのか、地方負担がよろしいのか、根本的な問題について御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  101. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) お答えいたします。元来義務教育というのは無償でしなければならないのに、そういうP・T・Aの寄付などがあるというのは一体本筋ではないので、P・T・Aの寄付というものを自発的にすることは結構ですけれども、それを強制的にP・T・Aが寄付しなければ成り立たんということは、これはあつてはならないと思います。そういう趣旨で今後考えて行きたいと思つておりますが、今回の新税制によれば総て地方に任されることになりますが、併し私は地方に全部任すということでは不十分であるから、それで国家が地方に対してこれだけの標準の義務教育費はこれを確保するというような方針で行かなければならないというふうに考えております。
  102. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 小笠原さんの御質問にお答え申上げます。私といたしましては、義務教育制というものがとにかくP・T・Aなんかに依存してやつて行くということは、これは絶対反対でございます。どうしてもやはり税金で取つてやるべきである、こう私は考えております。
  103. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 もう一つ、第二の点で、義務教育費は地方負担に任していいのか、或いは国が持つのか、或いは国として地方との関係を通してこの教育水準の低下を防ぐように教育財政の支出をしたらいいのかということについての根本的な御見解をお伺いしたい。
  104. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。地方の財政につきましては、地方財政委員会が主として指導的立場をとつておりまして、その見解によつてやることになつておりますので、私は地方財政委員会そのものに直接の法的な関係がございますので、国務大臣としてその方面と政府との連絡機関になつておる関係上、地方財政委員会が善処するように私は努力したい、こう考えております。
  105. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今大臣の御答弁によりますと、文部大別は中央的な何らかの行政措置を以て地方の教育財政支出の枠というものを置いて、教育水準を低下せしめないようにしたいという御希望のようでありますし、地方自治庁長官の方は、財政委員会の権限そのものに御依存になるような見解であります。そこでお伺いする点は、昨年まで地方の教育財政については文部省が責任をお持ちになつておられた、この伝統は長いものであつて地方の教育の状況或いは財政状況については相当の專門的な知識を持つておられるのじやないかと思うのであります。無論自治庁の中においても、旧内務省の地方局時代において地方の教育関係に対する配付税を見るためには專門的な知識を必要としたでありましようが、突如として二十五年度から地方自治庁の、單に……何と申しますか、教育行政の專門家でない行政担当者によつて教育財政の部面を見られるというような点に関して、我々としては相当教育水準の維持のために心配するものがあるのでありまして、文部省と自治庁との地方教育財政に関する関係について、どういう関連性の中に立つて共に地方の教育を賄つて行くことについて御連絡があられるのか、こういう点をお伺いしたいと思います。
  106. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 先程の御答弁で、私間違えましたから訂正いたします。先程は財政委員会と申上げましたが、地方行政委員会が正当でございます。取消すと同時に訂正いたします。
  107. 小野哲

    政府委員小野哲君) 今岡野大臣から地方行政調査委員会議が正当であるということを申上げたのでございますが、これは先程小笠原さんが御指摘になりました教育の行政に関して地方においてやるか、或いは国においてやるかという一つの事務の配分の問題があるわけであります。又負担区分の問題もあるのでありまして、そういうふうな基本的な問題につきまして地方行政調査委員会議においても目下検討を加えておるという意味でございますから、私から補足的に御説明をいたして置きたいと思います。
  108. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今岡野さんは間違つたから訂正する……地方行政委員会議というのはこのことですか。
  109. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 地方行政調査委員会議です。
  110. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君  今このようなことは大臣はもう少し勉強して、担当大臣がややこしい、面喰らつてしまつて地方行政委員会なんと言われるとこちらが迷惑するので、責任の所在はこちらではないのでありますから、はつきりして置いて貰いたいと思います。
  111. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうすると、只今の機関に対して文部省はどういう関係をお持ちになつておるか、お伺いしたい。
  112. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は先程から申しておりますように、今度は地方にすべて財政を委ねてしまうということに今度の税制でなると思うのであります。従来のような国庫負担というようなことがなくなりますが、併しそれを文部省としては全然お任せするということでは、全国に非常に教育の不均衡が起るとか、又教員の生活が十分安定した感じを與えないとか、さまざまな点がありますので、それに一定の額を決めて、標準として維持するというような点では中央が地方に対して何らかの発言権を持つと申しましようか、そういうことが必要ではないかと思うのであります。併しそれらの問題については又よくお話合いをして、そうして適当な解決に到達いたしたいと思つております。
  113. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今の文部大臣のお考について、岡野大臣にどういうふうにお考えになられますか。
  114. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。先程も政務次官から御説明申上げましたように、地方行政事務の配分ということがまだ未解決でございまして、鋭意研究を続けておりますけれども、その調査委員会議の結果が出て来ませんというと、それに対して予め私の意見を申上げるわけには参りません。御了承を願います。
  115. 相馬助治

    ○相馬助治君 答弁になつておらんです。小笠原君はそういうことは聽いていない。
  116. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それは地方行政調査委員会議はその方の機関であつて大臣の御答弁は大臣意見であろうかと思うのでありまして、私はすべて国務大臣としての岡野さんの御意見を付いたいと思うのであります。
  117. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは地方行政調査委員会議というのはこの前の国会でできたものでございまして、特別の権限を持つて政府と雖もこれに干渉することができないという性質会議であります。その会議委員諸君が今地方の仕事を研究しつつあつて、如何に配分すべきかということを研究しておるのでございますが、それが出て来ませんというと、一体中央で干渉すべきものか、地方でやるべきものか、若しくは地方でやるものに対して中央が如何に干渉すべきものであるかということの態度は我々としては一向決定いたしません。これだげのことであります。
  118. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そんなら文部大臣並びに岡野大臣はお答えにならないようでありますから、政府委員の鈴木さんにでもお伺いしますが、このシヤウプの勧告は税制に関する勧告ですが、日本の教育の民主化のための勧告も亦至上命令としてある。それはスタツダード博士を首班とするあの教育使節団がやつて参りましたときの勧告の中には、地方の教育を維持するがためには国が大幅に、国の負担において金を流し込まなければならない、地方のそれきりに委してはいかん、こういうことを言つておられるのです。これと税制改革との関連は、こういう調整を以てお考えになつて行くのが日本の現状において望ましいとお考えになつているのか、文部大臣並びに自治庁関係の委員の方にお伺いいたします。
  119. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方自治と教育、或いは地方における教育と国家との関係の問題でございますが、私はシヤウプ勧告に出ておりますこの中の事柄には、税制を主体とはいたしておりますけれども、附属書の地方自治に関しまする部分は、非常に多くの示唆に富んでおる点であろうと存じまするし、又現在日本の置かれておりまするこの状況下におきまして、地方自治に対する考え方の方向にも、非常によく合致した一つ考え方であろうと思うのであります。ただ地方団体においてやりまする教員の俸給なり或いは教員関係の各種の財政的な経費を、国が負担をするか或いは当該地方団体負担をし、その負担の財源を或いは平衡交付金なり税なりによつて賄い、足らないところのものを今の調整財源で調整をして行く、こういうような恰好にするかということにつきましては、いろいろ議論があることだと思うのであります。ただ私共といたしましては、現在の地方財政平衡交付金法の立場といたしましては、教育費につきましても一定の所要の額を客観的な基準によつて読み取りまして、而も当該の地方団体から、その必要な経費の見積りを出して貰いまして、そうしてそれと基準收入額との差額を平衡交付金において補填をして行く、こういう建前になつておりますので、現在の地方財政平衡交付金はまだ初めての制度ではございますけれども、これが段々うまく運用されるようになりまするならば、教育行政につきましても、その他の行政と同様に均衡の取れた支出が行われるようになるのではないかということを考えております。併し直接的な、例えば一定の経費を教育のために支出すべしというような法律で義務づける金額支出を義務づけるような法律を作りますというと、これはもつと直接的になりますけれども、そういうふうなことにつきましては、尚いろいろ自治と国の調整というものとの関係において、研究を要する点があろうと思うのであります。要するに私共といたしましても、目下研究中の段階でございまして、教育費の確保ということについて、どういう方法が適当であるか、両者の要求を共に満たすような名案はないものであろうかということを研究中でございます。これは大臣只今申上げた通りで、行政調査委員会議におきましても研究中でございますが、私共といたしましても、目下事実研究中でございます。
  120. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 研究中だというお話を伺つたので、大体この質問はやめたい気分もするのでありまするが、研究中でなくて、義務づけにすることに反対だということは自治庁の見解ではなかつたのでしようか。而もこのことは自由党内閣の政策としてそういうものであつたのか、国家公務員である官吏の立場に立つて、こういう政策に対して反対であるという主張をしたことがあるのか、この際はつきりもう一度鈴木政府委員にお伺いして置きたい。
  121. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 それに関連して補足的に……天野文部大臣に、今の小笠原君の問題に関連しますから、内容も同じですからお聽きしますが、御承知のごとく前第七国会におきまして、前の高瀬文部大臣がこの地方行政に自分から積極的に来られて発言を求めて、標準義務教育費の問題の要綱案というものについて詳細に説明を承つたのです。よつて全国の教育関係者は非常にそれに期待しておつたのです。ところが最近会期が切迫しても一向に頓着がないので、地方行政委員会に高瀬文部大臣を招致してその点を聽いたのです。ところがもう全く曖昧模糊たる答弁であつて、その時に非常に全委員から責任を追及されました。ところがその間にその後間もなく通産大臣に横滑りをやつて責任を廻避して、更に今はもう罷めたのですが、そういうふうなことは誠に無責任であつて、空念仏に終つておるわけです。今度賢明なる天野君が文部大臣に御就任になつたので、そういう問題が残つてつて、今そういうことがありますから、小笠原君が聽いておるわけだが、そういう問題に関して新文部大臣の所見を承りたい。
  122. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は先から小笠原委員にお答えしたことは、大体私の考を大綱としては盡しておるかと思うのです。その理由をもつと詳しく述べることはいろいろできますが、私は原理的に言えば、或いは形式論から言えば、当然それは全部地方にお任せすべきものだと思うのです。私は教育というものの特殊性、殊にこの義務教育というものの特殊性から言えば、これは国家が地方に対してこれだけのものは客観的に数を出して、これだけのものは保留して頂きたいということを言うのは、私は教育のために当然なさなければならないことだと考えてどういう方法かにおいてこの考を貫徹したいと思つております。併し只今も申しますように、これを原理的と申しましようか、形式論から言えば、教育というものを全く一つの例外的に扱うことなのでありますから、ただ無謀にそういうことを主張しようというのではなくして、よく地方の知事の方々、市町村長というような方々に実際のことをよくお話して、そうして御了解を得て、何かここに円満と申しましようか、そういうような一つの点を見出すことはできないものであろうかということ、又ただそれだけではなくして、又これは差支ないと思いますが、関係方面に対しても十分了解を経るとか、そういうことを今私はいたしつつあるわけでございます。ただ方針としては、何らかの形において義務教育の標準の経費というものは、これを確保することが必要だ、一体私の考えをもつと率直に述べれば、国家の教育費というものがすでに国家の收入の何%だけはいつも教育に使うということでよいのだと思うのです。まして義務教育ということになればますますそうならなければならないという考を強く抱いておりますが、只今申すような事情でございますからして、どうかよくお互いに話し合つて円満な一つここに途を見出すことができないかと、今いろいろいたしておる次第でございます。
  123. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私といたしましては、過去におきましてこの地方財政平衡交付金法の立案等の過程におきまして、それぞれ研究の必要に応じまして自己の所見を申述べたり、或いはそういうようなことに基きましての研究のための会議を開いたこともございます。ございますが、政府といたしましては、現在の段階におきまして、どういう形でこの教育経費と地方自治の関係調整をするか、これははつきり決まつたというふうに私事務当局といたしまして聞いておりません。従つて先程来申上げておりまするのは、目下研究中であると大臣が仰せになりましたそのことを私も申上げておるのでありまして、私個人としてはいろいろ研究はいたしておりまするけれども、これは私の立場としてこういう席で申上げるべきことではないと任じますので、申上げたくないと存じます。
  124. 竹中七郎

    ○理事(竹中七郎君) 先程小笠原さんのお尋ねで、説明員じやいけない、政府委員を、ということでございますが、只今久保田監理局長が来られましたから、久保田政府委員の発言を許します。
  125. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の話が中断するからもう少し除けておいて……。
  126. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 自治庁の取つて来た従来の態度については天下周知の事実があるのでありますが、鈴木政府委員もそういう弁えた御答弁をなさるのでは、どうもこれ以上言いづらいのでお話は申上げません。  ところで結局二十六年度地方の義務教育諸学校、或いは新制高等学校、盲聾唖諸学校、これらの教育財政については、従来半額国庫負担或いは補助金等々で地方財政と絡み合せて文部省で御検討頂いたのでありまするが、これはもう本年度以降できないように考えるのですが、この予算要求はやはり平衡交付金等の関係で自治庁の方でなさり、その場合に文部省は教育的立場に立つ何らそれにタツチすることができないのであるかどうか、この二十六年度の予算関係についてお伺いして置きたいと思います。
  127. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私からお答えいたします。小笠原さんから、教育財政に関して地方財政平衡交付金の問題が話題になつたのでありますが、地方財政平衡交付金の、各地方団体に対する交付金額の決定をいたしますのは地方財政委員会であります。この決定をいたす場合においては、勿論全国各地方公共団体から資料を集めることになるのでありますが、同時に又中央における各省庁からの資料、若しくは意見提出を求めまして、地方財政委員会において、地方財政委員会が、平衡交付金法の規定する諸規定に基きまして、これを算定をして計算をする、こういうことになつておりますがために、平衡交付金の算定に際しましては、教育行政に関しては、文部省当局から資料も出して貰う。又意見も聽取する、こういうことになつておるわけであります。
  128. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君  そうしますと、もう近々予算上の件等、結論を得なくちやならん時期になつておると思うのですが、文部省としては、来年の小中学兒童生徒の標準所要單価が幾ら位に持つて行きたいというお考でおられるのですか、お伺いしたい。
  129. 相馬助治

    ○相馬助治君 調べておる中にさつきのことに連関してお聽きしたい。先程大野文部大臣が、義務教育費についての原則的な考を答弁なさいましたが、私は至極大賛成です。当然そうなくちやならんと思つて聞いておりました。どだい吉田内閣では、吉田内閣総理大臣の考えた通りに閣僚が喋べるのであつて、天野文部大臣だけが、非常に自主的な堂々たる正しい立場に立つて、こういう論を吐かれるので、私達は尊敬しておるわけなんですが、その義務教育費は、当然国が見るべきであるというのが原則である、そういうふうにおつしやいました。そうして中央が地方に対して発言権を持たなくてはならない、こういうふうにもおつしやいました。それから円満に話合つてうまく行くように努力されたいと、こうもおつしやつたのですが、これは一大臣がうまく話をして云々というよりも、教育費というものは、こういうふうにして支出しなくちやならんということを法的に措置することが一番正しいと思うのです。先程同僚小笠原君に対して答弁されたその天野文部大臣の気持を近い機会において法的措置として、政府提案の法律案国会に上程する用意があるかどうか、こういうことをこの際天野文部大臣にお聽きしておきたいと思います。
  130. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私は法律としてそれを提出したいと思つております。けれども法律として提出するについても、非常に異論のあるものを無理にというようなことはよくない。やはりその反対の論というものは十分聽いて、虚心坦懐よく反対の御議論も伺つて、私が先程申しましたように、その形式的、原理的に言えば、全部地方にお任せするということに道理があるわけでございますから、特に教育というものを特別にしようというのでありますから、そこはよく話合つて行きたいという考ですが、結論はどうしても法律として提出したいということでございます。
  131. 相馬助治

    ○相馬助治君 もう非常に重要なる発言をお聞きして、私も又誠に嬉しく存じます。ついては岡野国務大臣は、天野文部大臣只今の見解並びに信念に対して、然るべき機会に御協力下さると確信いたしますが、さよう了解しておいてよろしいのでございますか。
  132. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私個人意見としては、いろいろ意見もございますけれども、天野文部大臣が閣内において文部行政を担当されております。その立場におきまして、大野文部大臣がいろいろ案を付して御相談になれば、十分胸襟を開いて御相談に応じ、又私の私見も申上げて、更に協力一致して教育行政に携わりたい、こう思います。
  133. 相馬助治

    ○相馬助治君 天野文部大臣が、閣議その他において、教育行政の問題について発言、立案したときには、岡野国務大臣は協力すると、こういうことに只今お聞きしたのですが、私が聽きたいのは、はつきり申しまするというと、教育財政の面から、自治庁の見解を以てすれば、先程小笠原君が天下周知の事実であるということを言つておる事実は、岡野国務大臣は御承知だと思いますが、標準義務教育費法案などという法律案を出すことは、地方財政を侮辱するものである。平衡交付金に紐付きで出してやるというようなことは、市長であるとか、町長であるとか、県知事を侮辱するものである。こういう基本的立場に立つておることを小笠原君は指しておるのです。そこで私が聽いておきたいことは、只今天野文部大臣がおつしやつたように、義務教育費の問題を、即ち国費を以て義務教育費は賄うという方向への立案がなされた場合に、その財政の面において、当然岡野国務大臣も御協力下さる、敗戰国民当然の責務として御協力下さると、本員はかく確信するのですが、さよう了解しておいてよろしいのですか。財政の面だけについて尋ねておる次第でございます。
  134. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。財政の面と申しましても、この地方税法案の一貫した内容を御覧下されば、賢明な相馬委員は御承知下さるだろうと思います。先ず根本原則から申しますれば、私は地方自治庁長官といたしましては、地方の団体は自分自身で、独立でやつて行きたいというのが、これが理想でございます。或いは空想かも知れません、只今の段階では……。併しながらこの義務教育というものは、大野文部大臣が言われる通りに、敗戰国、殊にこの道義の頽廃した今日、国家として非常に力を入れなければならんことでありますから、その点におきまして、中央政府の国務大臣としましては天野文部大臣がおつしやる通りでございます。併しながら理想といたしまして、同時に地方自治というものを強化して行くという点におきましては、できるならば地方自治の建前を根本的にこれを採り入れて、そうしてやつて行くと、こういうことが私の理想である。その点において十分お話合いをし、同時に納得が行く場合には協力する。でございますから、私の先程申上げました意見は持つておりますけれどもということはその意味でございます。
  135. 相馬助治

    ○相馬助治君 非常に重大なので、余りにしつこく、くどくどしいようですが、特にお聽きしておきたいのは、天野文部大臣のお説は簡單に要約いたしますと、義務教育費は国で見てやるのが至当なのであるから、そういう法的措置をできるなら近い将来にしたいと、こうおつしやつておるのです。それで岡野国務大臣は主管の面から地方、自治の伸展を期したいと、こういうふうにおつしやつておるのですが、その喰い違いというのが現にあるように考えられるのですが、これは突きつめて行けば、この喰い違いは本当はないのですけれども、具体的な財政措置の面としては今のところ喰い違いがあるようになつておるのです。そこでです。そういう法律案が文部大臣から提案されたときには先ず反対しますか、しませんかということをお聽きしておるのであつて個人の見解はあるがこうだということでは、どうも賢明なるとお賞めを頂いたのだが、どうもぴんと来ないので、簡單にこういうふうに言つて頂きたいと思います。天野文部大臣はああいうことを言つておるけれども、反対であるとか、ああいうことを言つておるけれども、あれはいろいろ政治情勢で俺は賛成できないとか、ああいうことを言つておるが、俺は反対であるとか、こう三つぐらいに分けてぴしやつとおつしやつて頂きたい。(笑声起る)
  136. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 天野文部大臣が如何なる案の内容の法律案をお出しになるかということはこれは先のことでございます。それでございますから、その法案が文部省でできたのを、直ぐ私が賛成するかどうかということを今答弁しろとおつしやるのは私に対して非常に酷なことじやないかと思う。でございますから、私自身の考を申しますれば、理想としては地方自治というものを強化するという方向に進んで行く。併しこの義務教育というものは今日の情勢におきまして非常に必要なことであるから、天野文部大臣に相当な御意見がおありになる。でございますから、天野文部大臣から義務教育というものが大事であるという意味において法案が出まして、そうして私の考えておるところの地方自治の独立性並びに強化、こういうような点等話合いがつきまするならば、私は賛成するに吝かでない、こういう考でおりますから、さよう御了承願います。
  137. 相馬助治

    ○相馬助治君 最後に一言伺いたい。岡野国務大臣は、そういうことを聽くのは……文部省から案が出るのに対して聽くのは無理だとおつしやいますが、それは聞えません。御承知のように半額国庫負担法という法律案はすでにないのです。法律的に見ますると、今日本の小学校、中学校の教員はどういう法律案に準拠して月給を貰つておるとお考ですか、準拠する法律案がないのです。今までの慣例、惰性によつて県は教育を行なつているのです。だからこそ地方税法案を早く作らなければならないという理屈も成立つて来るのです。そこで私が言つておりまするのは、文部省がこの給與財政の問題について立案をするときには、当然地方自治庁の了解なしにはこれは法律案が立案できないのです。従つてそういうときには是非ともまあ御協力、御努力をお願いしますと、そういう意味なんです。附加えて……、御返答がなければなくともよいのですが、まあ御協力願います。
  138. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 御返答申上げます。協力いたします。
  139. 相馬助治

    ○相馬助治君 どうぞお願いします。
  140. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 さつきのところで質問があります。
  141. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 先程小笠原委員から御質問がありました点についてお答申上げます。この点はまだ最後的に確定はいたしておりませんのでその点お含み置きを願いたいと思います。これは先ず平衡交付金に含まれるべきものとして、文部省の方におきまして地方財政委員会の方に提出いたしました資料によりますると、小学校につきましては消費的経費と、投資的経費がございますが、消費的経費におきまして給與費といたしまして、三百八十四億二千四百万円、あとの細かい数字は一応略して置きます。それから生徒経費におきまして百六十九億五千九百万円、投資的経費につきましては……、投資的経費でございますが、これは五十七億九千三百万円、合計いたしまして六百十一億七千七百万円ということになつております。それから中学校につきましては。
  142. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 一人の單価だけでいいのです。生徒一人の……。
  143. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 一人当りの單価ですが。生徒費などについて御質問でございますか。それについて……。小学校につきましては生徒一人当り三千三百九十八円、中学校につきましては五千百八十六円、それは給與費でございますが、尚生徒経費としまして生徒一人当りについては、小学校については千五百円、それから中学校につきましては千九百五十円というような程度でございます。
  144. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 再三先程からの質疑でいろいろの点が分つたのですが、岡野自治庁長官は地方自治の伸張のために、その財政措置の自由は地方に委せるということが必要であるということを言つておられる。これは私らも御尤もの御意見だと思います。それで我我が義務教育の問題を主張するには憲法上、憲法の二十六條で教育に対しては無償でやるんだということを言つておる。これは地方自治の伸張であろうが何であろうが、そうしたことのための法律的な措置以上に、それに優先するものだと思うのです。ところがそれもできないような現在において、国が無償に持つて行くまでの暫定的な措置として、努力として、地方の教育財政について相当な枠付けをするというう立法は、何らこの憲法上から言うならば地方自治を侵害しないものであるという見解を持つので、岡野自治庁長官先程のお話は、法律上の一応の御意見であるが、教育優先の立場からいうならば、文部大臣意見というものも十分採つて用いる理由があるのではないかとこう思われるわけなんで、この方向において御協力、御努力をお願いしたいと、こう思うわけなんであります。この点については私の質問は終りまして、六・三の建築費関係のこと、他の委員が今までのことについて関連質問がない限り御答弁になつてそつちへ讓つて頂きたいと思います。建築予算のことです。
  145. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 今後六・三・三の建築を進めて行く上に、地方の寄付金の関係をどう扱つて行くかという御質問のように伺つておりますが、これからの寄付金の問題の前に、従来の寄付金によつた建築の関係従つてこれらが地方でこの六・三建築問題の相当癌になつております。そのことがむしろ当面私共の解決しなければならん問題の重点であると考えておりまして、今回安本の公共事業関係から一般行政部費の関係に移されて、大蔵省に所管替になるように承つておりますが、そういうような運び方になつて来れば、従来公共事業費であるから、地の工事に対する始末が非常につきにくかつたということによつて、難問題が幾らか解決し易くなつて来ておるわけでございまして、この問題を解決する点に先ず根本的な力を入れて行きたいと考えております。このことを先ず解決して行きますことが、将来寄付とかいつたような問題の、これから先の問題を解決して行くことに大きな鍵になると心得ておるのでございます。たまたまこれからの予算の考え方の中心を申上げますと、今までのはともかく〇・七坪、これを市町村單位に、ともかく青空教室の解消をやるのだ、二部授業の解消をやるのだ。これは市町村單位にやるということが無理かどうかということは別問題にして、その線だけでともかく予算を獲得したのでございます。今後〇・七坪の問題は多少残つておりますけれども、その問題を一段落つけると同時に、ともかくこの六・三建築、六・三制の新らしい制度を施行したについて起つて来た校舎、建築問題を国がどこまで、どういう形で責任を負うべきかという問題を明確にするのが、この問題の基本になるわけでございますので、そこに解決の最後の鍵を求めて、従来の借金、今日そうした部分を解消して行く問題と共に、これを解決して行くように取り進めたいと願つておる次第でございます。そうして解決して行くことが従来の寄付金なり、補助金以外の国債は勿論でありますが、国債を含んだその他多くの特殊な、殊に無理な寄付を集めて行なつていた、そういう問題の解決に相成ろうと考えておる次第でございます。
  146. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 小笠原君にちよつと申上げますが、文部大臣は今衆議院会議に呼ばれておりますから、文部大臣に対することはございませんか。関連して。
  147. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それをそつちへ行つてしまいまして……。文部省だけでお伺いいたします。それで今の久保田政府委員のお話ですと、本年において〇・七坪を、それでさえもまだ相当の必要経費というものがあるのだというお話でしたが、その金額が幾らであるかということ、それから第二には今のお話の最後に、この六・三建築費について将来国がどうするかという基本的なことの決らないことは非常に困ることだということでございますが、どういうふうにしてこれを賄つて行くという基本的なお考えを持つておられるのか、その二点文部大臣にお伺いします。  それからいなくなられると困るので、みんな聞いてしまいますが、第三には、二十四年度において学校の災害復旧の建築のための金は補助金として二億五千万円くらいで、起債の枠もあつたのでありまするが、この前の大蔵大臣の答弁によると、来年度における災害復旧の費用を全額国が見るのは打切る、こういうようなことがあるのですが、この学校関係の災害復旧の金、全体の災害復旧の費用も来年度はどういう関係になるか、いわゆる打切られるのか、学校関係だけは継続するのか、こういう点であります。  それから第四には寄付の問題ですが、新制大学は御承知の通り、初めから地方の寄付を予想して許可せられ、設立せられている極めて貧弱な状態にあるので、各県は数千万円、或いは一億を超える寄付金を予定し、国から相当強制せられているわけでありますが、これらの寄付を賄う金はやはり一千五十億なり、一千九百億なりという、全体の金の中の一部分なのでございますね。そうしたならば、到底賄いきれないことは、この財政計画から見てもはつきりしているところなのであつて、本年度或いは来年度以降において、文部省はこれらに対する地方の寄付を必要としないだけの一切の設置費というものを予算を要求し、これが実現に努めるお考えがおありになるかどうか。即ち新制大学に対する地方の寄付を、これを国として求めないという方向にお考えになつておられるのかどうか、この四点についてお伺いしたいと思います。
  148. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 今四つの点をお問いになりましたけれども、その数字的なことは政府委員にお答えいたさせます。大体の方針としては私は六・三建築というものを、今ここでもう打切るというのではなくして、どこまでも私共が理想と考えているところまでこれを継続して貰いたいと思つております。そういう予算はどうか私は大蔵大臣にお願いして、何とかしてこれを出して貰うようにしたいと思つております。  それから今の寄付のことでございますが、国家が強制的に寄付ということは決してしたことはないと思います。ただ地方が進んでここにこれだけの寄付をするから大学を許可して呉れというようなふうにされておるのですから、そういう寄付は進んで出して頂かなければできないことだというふうに思います。詳しいその数字のことは監理局長に御答弁させます。
  149. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 今文部大臣が言われるような強制的な寄付はないということは、これは刑法上でいう恐喝になるような寄付のことをいうのでありましよう。国としては確かにそういうことはあり得る筈はないのです。併しながらこれは設立認可を頂き難いがために地方がやつたので、地方が自主的にこれは寄付するのだから構わないのじやないかということはあり得ない。この税徴收の計画全体、地方財政全体に大きな影響を持つ金額なのでありまして、これらが民主的な寄付であろうがなかろうが、国としてはこれを一切廃止して地方自治を助長して行くという考えを持つのが私は当然でないかと思うので、こうなれば代りに国としてこれだけの予算を別途要求しなければならんのではないかと考えて申上げているのです。而も強制でないということを言われますけれども、県は県議会においてその決定を強引にする、この場合住民は間接的に寄付したと同様であり、市町村自体も割当制でこれは寄付の予算を市町村議会で議決しておるのです。こういうのを称して私は強制寄付だと言わざるを得ないと思つておるのです。ただ黙つてつて集まつて来る寄付なんというようなことは、この厖大な学校関係の設置計画についてはあり得ないと思つておるのでして、刑法上にない問題だと思います。地方財政法の一部改正で出ておる、これを強制的な寄付という範疇に属するかどうかという意味のことを聞いておるのです。
  150. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 私も別段刑法上のですね、強制という意味で申したわけではございません。やはり道徳的な意味でもですね、強いて強制するというのではなく、やはり地方の大学を作ろうというときにには、自分達の方でこれだけの金を出すから、大学を設備等についてこういうことをするから、国家の方もそれを助けてやつて呉れろということではないかと思うのです。そういうのが現実の事実だと思う。それに地方の財政を圧迫するから何でもそういう金を国家がみな出すべきだと言われても、私は今の日本の経済ではそういうことはできないのではなかろうか、自分は一個の教育者としても、日本の小学校から大学までが実に充実したものにしたいという熱望においては、私は何も小笠原さんに讓りませんけれども、国家の財政ということも考えて行かなければなりませんから、何でも全部国家が金を出して、そうしてどこにでも立派な大学を作るということは望ましいけれども、現実においてはできないではなかろうか、だから私は差当つて一つ義務教育を充実しよう、ここに義務教育を充実して、段々に上の方をやつて行こう、従つて幾らか不備な大学ができても、これはもういたし方がないが、地方が自発的に発案されている場合においては、地方でやはりそれに対して責任を持たれてもよいのではなかろうか、寄付ということはすべて強制とはいえません。寄付でも自発的な寄付ということもあり得ると思うのです。多くの場合進めても無理にというのではありませんので、地方が自分からそういうことを始めておるのです。だから私は国家が全部今計画されておる大学を完備することの費用を出すということは、今の経済的な常識では差当つてはできないのじやないかということを考えて、できるだけのことをしたいという考えでおります。
  151. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 天野文部大臣の立場としてはそういう御見解もあるでしようが、この財政平衡交付金一千五十億なり、或いは地方税による所要額として徴收されるもの千九百億、その何十パーセントかがいわゆる実際上の財政として操作される、これの資料の中には全然新制大学の寄付関係はないのでありまして、そのものを地方においても将来において見よというとであれば、地方財政を圧迫するということは計数上言えるのではないかと思うのです。そういうものは地方で、民意による自由なる寄付であれば取つてもいいのだといつても、個人から取るばかりでなくて、各地方の各級機関の公共団体から予算面に支出額を決定して、そういう大学等に寄付として支出を決めておるのです。こうなれば他の財政需要というものを賄えないということになつて来て、どこかの予算面にも欠陷が出て来るに決まつておる、これは計数上必ず起つて来る問題だと思うのです。これを改善しないということであるならば、岡野大臣の言う地方自治の伸張なり、財政確立はあり得ないと思うのでして、この責任は一にかかつて政府にあると言わざるを得ないと考えるから、この問題をお聞きしているのです。で岡野大臣にお伺いしますが、文部大臣のおつしやる通り、教育のためであるならば、地方の者の自由な寄付であるならば、出して、国のためにこれを応援してもよろしいとお考えになつておられるかどうかお伺いしておきます。
  152. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 大分むずかしい御質問で……。
  153. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 いやむずかしくないのです。(笑声)
  154. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 寄付金の点につきましては小笠原さんの御見解の通りでございます。今一般に困つておりますから金を出すことは皆嫌がつております。ですからたとえ自由的にいたすような形を取りましても、或いはそれは自由的なことでなくて、そして半ばいわゆる先程おつしやつたような、詐欺とか恐喝とかいうものではなくしても、併しながら精神的には出したくないが、仕方がないから出すという寄付金が多いだろうと思います。そういう意味におきまして、そういう寄付金を成るべく取らないで公平に地方税の方で、地方財政を助ける意味において寄付金をなるべく取らないようにして財政でやつて行こう、これは今度出ました法案趣旨でございます。でございますから、私といたしましてはそういうような寄付金に余り依存して、そして教育をして行くということはよくないことであろう。同時にそうしますれば、どうしたらよいかと申しますれば、地方の財政を強化して、そうして地方財政によつてつて行こう、それが平衡交付金で半分行くとか、それから又地方の税を取つて半分でやつて行くとか、こういうことは別問題でございますが、寄付金の点におきましては、おつしやる通りに考えております。
  155. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 災害復旧について……。
  156. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 災害復旧の昨年度の金がどういうふうであつたのか、それからこれからの金がどんな工合かというお尋ねでございました。昨年は二億八千万円、それに同額の起債が付いておる。本年度の分は二億ということになつておりまして、来年の関係の分からこれから起つて来ます災害に対する一定の枠の中で決められる問題で、今幾らかということを申上げるわけには参りません。  それから六・三の、これから先の計算関係がどんなふうになつておるかというお尋ねでございましたが、差当つて〇・七坪を市町村單位ではありますが、市町村側の今現在私共のところに来ております要求による修正、補正をいたしました枠で、大体五十億足らずといつたところが尚不足でございます。その上に先程申しました一応国の義務量としてやつて行くべき線がどこかという問題でございますが、これに伴つた経費は大体平均小中学校を通じまして一人一坪の線を獲得したい、これが私共の一応の理想でございまして、これを実現したいと存じますが、これに要する費用は約四百四十億円見当でございます。
  157. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 来年度の災害復旧のあれは国の方針で、一般の災害復旧費は国で全額見ないという方針で予算を出されたと、こう決つたということですが、それとこの学校関係の災害復旧の方は同じ中に包まれて、今後考えられて行くかどうかということをお伺いしておるのです。
  158. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) その点はまだ私共確定したというところまで承知しておりません。今まで私共承知しておりますところでは、一応その枠の中で、只今御返答申上げたように承知いたしております。
  159. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 少し長くなつて誠に恐縮ですが、五十億近い金が本年度必要である。政府の決定のあれから見ても必要である。これだけは地方が必ず使わなくちやならん。その他に隠れたる建築のために寄付がこれは強要せられるなれば、任意に自由に行われるに違いない、こういうものはこの本年度地方財政、或いは財政平衡交付金等においては見られておらないものなんです。だからそれだけのものが地方で必要であるとなれば、必ず六・三の建築予算を今年度追加予算として出さない、四十数億を出さないというのであるならば、この平衡交付金なり、地方税も千九十億の枠というものを拡げなくちやならんのじやないか、こういうことが考えられるのですが、岡野大臣は如何お考えになられますか。
  160. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。その点においては、私達も随分苦労しておるのでございます。併しそれは何か一つ、たとえて申しますれば起債の枠を殖やすとか、又は平衡交付金を幾らかいじるとか、こういうようなことにして行かなければならんような感じを持つております。でございますから、地方の六・三建築に対して非常に困つておる、又そのために誰かが使用したり何とかしたりする話を聞いておりますが、同情を持つて善処したいと考えております。
  161. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 じや希望でありまするが特にこの寒冷の東北、北海道の地域の方は十月頃金を貰つたところでこれは建築できない。是非次に又臨時国会が近々あるように伺つておるのです。そのときには何らかの結論を得られて、我々にお示し願うようにお願いして置きたいと思います。  最後に先程地方行政調査委員会議のお話がありましたが、この最近の新聞発表によつて教員の給與の責任者を現在の都道府県から市町村に移そうじやないかというような見解の新聞発表があつたようでありまするが、文部委員会等では、文部大臣市町村にできておる教育委員会の状況が必ずしも巧く行つてない部面もあるように御説明になつておられたそうでありまするが、そうした現在の状況において岡野大臣は教員の給與を市町村まで下げるということに御同意でなかつたかどうですかお伺いします。
  162. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 私その新聞を見ておりませんので、その事情を知つた人から一つ御答弁申上げたいと思います。
  163. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方行政調査委員会議におきましては、今の教育事務につきましての配分をどういうふうにするか、鋭意研究中でございまして、まだ何ら結論に到達しておらないように聞いております。いろいろ研究は今重ねておるようでございまするが、新聞にどのような意見がございましたか私も見ておりませんですけれども、まだ何ら確定的なものはできていない段階でございます。
  164. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それならこれも希望なのでありまするが、現在都道府県ぐらいの範囲における教育委員会の教育行政においても、いろいろ問題とされる点があるのに、もつとその下の町村の教育委員会において教員の給與を支拂うということは、結局任免の権限が移つて行かなければならない問題でありまして、そうなりますと教育の現在の状態がよりよいものになるよりは、逆行する慮れがあるということも考えるし、教育刷新審議会の総理大臣に対する建議の中にも、当分の間は都道府県の中に、これを止めるということを建議しておるのでありまして、これらのことは、文部大臣のみならず、直接地方財政自治に御関係のある岡野大臣において十分御研究、御勘案の上こうした各方面の意見を尊重して善処して頂くように御希望して私の質問を終ります。
  165. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 文部大臣が急がれておりますから一点だけ只今の関連質問でありますが、我々も先般調査に参りまして、教育委員会市町村と申しますか、町村の教育委員会というものができた県もある。二十七年からは十分できるということを耳にしております。この問題が直接経済運用におきまして人員交流或いは経費の問題、こういうものが県から引離されますと非常にやりにくくなる。我々は陳情を聞きましたときにおいては……。これは福井県と思いますが、何とかして貰わなければ到底困る。良い先生が来られないようになる、会の経済状態においては。というようなお話がありますが、この点につきまして文部大臣とせられましてはどういうふうにお考えになりますか。これは伺つて置きたいと思うのであります。  それから次にですね、今六・三制の問題につきまして農林省の農地局でありますか、農地と六・三制の敷地の関係におきまして、私の方におきましても現実の点において到頭町長が、私の近くの町長でございますが辞職した。責任辞職した。これはいわゆる文部省の方からは六・三制の学校を建てよう、私は愛知県でございますが、愛知県におきましては名古屋市その他の戰災地を除きまして、外の土地は全部できてしまつた、ところが少しの町村だけが残つてしまつた、いろいろな状態で残つておるのでありまして仕方がないからやつてしまつた。そういたしますと農地関係から問題が起りまして、学校を潰してしまうというようなことにしまして、どうも農地委員の連中が来まして、いろいろな協議やその他やりましても承知しない。こういうわけで到頭怒つてしまつて止めてしまつた。こういうことは私は農林省と文部省の間の折衝がうまく行つておらない、普通の営利会社が来ましたならば、それは又考えなければならんが、これは文部省から押しつけられたと申しますか、やれというので仕方なくやつた。それに対しまして、農地部がやるということは、私は文部省と農林省との間の折衝がうまくいかない、こういう点につきまして、今後どういうふうにお考えになつておるか、この二点をお伺いいたします。
  166. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 只今の点につきましては、やはり従来の手続に……、第二の方でございますが、やはり少し不十分な点があつたのではないか。だから何かの方法でこれを解決するように努める方がいいじやないか、詳しいことは政府委員がよく心得ておりますから政府委員から……。
  167. 辻田力

    政府委員(辻田力君) 第一の点の地方教育委員会の設置單位の問題でありますが、この問題につきましては、現行法において御承知の通り教育委員会法によりまして、市町村ということになつております。併しいろいろ実施した後における経験におきまして、必しも適当でないという面もございますので、文部省といたしましては、目下全国的な調査を計画いたしまして、財政の面、人事の交流関係、教育的、行政的、産業的いろいろな面から考えまして、一定の結論を出しまして、もう少し広地域なものを設置單位にいたしたいという考の下に研究を進めておるわけであります。後の問題は外の政府委員から……。
  168. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 第二の農地関係と学校敷地の関係でありますが、御承知の通り農地関係の話は、ある程度中央で纏つておりましても抽象的なことに終つてしまいます。御承知の通り農地委員関係は、そもそも現地主義でやつておりますので、止むを得ず私共の方から特定の場合に必らず誰か現地に人を派遣して、県の関係の人と折衝する機会を作つております。何しろ一方は安く土地を買つて置きたい、片方は高く売ろうという全く違つた観点に立ちますから、必らずしも十分な成功を納めておりません。幸い現在私共の手許で今手当をしなければならんという所は今のところありませんが、認承関係が終ると又そういう関係がありますので、できるだけ現地に私共の方から人も出し、県の方からも来るということで、現地的に解決するというのが、今のところ一番有効かと考えておる次第であります。
  169. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 それでは……。
  170. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 大臣にですか。
  171. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 いや大臣でございません。
  172. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 大臣衆議院の文部委員会から再三の催促でございますが外に御質問ございませんか。
  173. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先程来小笠原委員が天野文部大臣にいたしました国立大学の寄付金に対するところの問題についての質問について、大臣の御答弁は、これは小笠原君も多少指摘したことでありますが、非常な私の見るところ一つの錯覚に文部大臣が陥つていられるように考えるのであります。即ち寄付ということをシヤウプ勧告がこれをやめるようにし、又この地方税法も審付を取つてはならないというような趣旨規定されておるのでありますが、その趣旨を天野文部大臣は国の政府が、地方自治体から任意的な申出によつてするところの経費の負担というものと、納税者で、或いは一般国民が学校建設のために出すところの寄付というもの等を、何か負担の上において違つたものであるかのように考えられておるのでありますが、その寄付を受けるところのものが国の政府でありましても、或いは地方自治体でありましても、出す人はみな国民なんです。租税につき場ましても、地方税であろうが、国税であろうが負担はみな国民が同様に負担するのでありますから、それを地方自治体が文部省にこれだけの寄付を地方負担するからして、大学を建てて呉れといつて来たのが、国民の負担からによつて行われるものであるということを、ただ單に地方自治体の政府関係を国の政府の管理として、全く別個のように考えた一つの錯覚に陥つておられると思うので、明らかに天野文部大臣のような御見解はシヤウプ勧告の趣旨にも反し、又この地方税法趣旨にも反するものであるということを、はつきりと再認識して頂くということが必要と考えるのであります。  それで天野文部大臣が私途中で聞いたのでありますが、先ず義務教育負担を完備しなければならん。大学その他の教育機関は第二次的、第三次的に充実することを考えて行くべきであるという御見解については全く同感であります。そういたしますと、これは更に関連してでありますが、多少文部省の行政そのものの中に深く入つて行くことになるのでありますが、現段階においては少くともああいう七十幾つかの国立大学の設立を許されたということが、非常な過ちであつたというようなことについて、文部省がもう一度再検討せられるところの必要があるのじやないか。これを欧州の諸国の例等から見ましても、ドイツその他の諸国におきましても、大学の数はドイツ等においても大体三十そこそこであつたかと思います。人口は大体同じであります日本において、国立大学がああした数を建て、而も必然的に内容は極めて低級のものしか建てられないという、この政策それ自身を財政面の上から、或いは又寄付金の上から関連して、再検討せられる必要があるのではないかと思うのですが、今申上げましたことにつきまして御答弁を願います。
  174. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) 只今伺いました御意見は如何にも御尤もと思いますが、ただすでに大学というものが出発いたしておりますから、そうして学生はすでにそこで四年の科程を経るものという考えを持つて入学して、すでに二年になつておりますから、私も御意見と同じように思つておりますけれども、今更これを整理するとか、そういうようなことは不可能だと思つております。とに角これを不十分ながらも育てて行くということも一つ考え方であります。大学と申しても今度のカレツジというものは、従来のユニヴアシテイというものとは余程趣きを異にするものがあると思います。そういう意味で私は一旦許可した大学というものは、そのままどうか育てて行きたいという考えを抱いております。それにつきましてはやはり特殊な寄付というものがないとこれは十分やつて行くことができない。もともと寄付ということを基にして成立したものでございますから、ただ税制等の細いことになりますと、或いは私の考え方に不十分なところもあるかと思いますから、尚よく自分もその点について研究考慮をいたして見たいと思います。
  175. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の文部大臣のそういう御意見でありますと、この地方税は寄付金をとらないで税で賄つて行くんだという、当初からの地方税法案提出の要旨と甚だ相反する結果になりますが岡野国務大臣はどう考えますか……。
  176. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私といたしましては地方税法案で今まで四百億もあつた寄付金を三百億減して、先ず百億くらいはいたし方ないものとして、そしてこの税法案を編んでおるものでございまするから、文部大臣が御希望になつておられることもありましようけれども、ただ税法の立場から行きましては、やはり私が提案いたしました通り意見は変つておりません。
  177. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今岡野さんはそう答えられましたが、御覧の通りに文部省の見解なんで、どうも勢いよく政府地方税説明に寄付金をとらんということを言つた。これが採決しない前から逆な現象があるんで、そういうふうなことでは税は税で増税し、又寄付金は寄付金でとる、そういうふうなことになりますと全く国民は迷惑この上ないのです。そういうことがあつてはいかんので、この審議を愼重にやつておるわけなんですが、まだこの採決に先だつてもう反対現象が出て来るというふうなことでは政府の方針が区々まちまちである。実際にそうは言つたがそうでないというふうなことで、甚だ私は遺憾に思う。岡野さんは今そういう答弁をされたけれども、自分がそうお考えになるだけでなく、他の省にもそういうことを徹底しておかないと有名無実にこの趣旨がなると思いますがそれはどうですか。
  178. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。地方税法案を編み出して、そうして寄付金を三百億とらないようにすること、その代りに地方に財源を與える。こういうことになつて今度の地方税法案が出おることはたびたび申上げた通りであります。でございますから誠に文部大臣にお気毒でございますけれども、寄付金は文部大臣がなさるんじやなくて(笑声)やはり国民がするのでございますから、この税法案を遂行して行く点においては、或いは文部大臣の御期待に副わないようなことがあるかとも存じます。その点は御了承願います。
  179. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今そういうことであつたので甚だどうも遺憾ですが、どうもそういうことを私達は懸念したんですが、すでにそういう現象が起きたということは、これを採決する上に非常に重要な考慮を要すると思う。甚だ遺憾なんです。ですからそういうことはもう少し、こういう法案は前にも参議院で否決された運命にあつたのに、又採決に先だつてどうも逆転して来るようでは我々はこれは再考を要するのであります。
  180. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今文部大臣から発言を求められました。
  181. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) これは私が実は甚だ申訳けないのですが、今度の税に対する知識が十分ないものですからして、従来の常識的な考え方から言つたわけでございますので、岡野国務大臣の言われるところが誠に適当と思います。私の言つたことは私が税制に関する知識の不十分に基くものであるから、そういう点は了承して頂きたい。
  182. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 文部大臣はお帰りになつてよろしゆうございますね。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 お帰りになつてもいいですが、今の話は非常に重大なんで、私長いこと質問して零になつたということでは困るので(笑声)これは速記の方を見て聞く点があつたら明日又お伺いしたいと思います。保留いたします。
  184. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今の小笠原君の発言に関連して文部大臣がもう一言……。
  185. 天野貞祐

    ○国務大臣(天野貞祐君) その四百億の中に、三百億というものが税で賄う、ただ百億というものが残るというだけのことなんですから、何も岡野国務大臣の言われるところと、その意味においては矛盾しないと思う。ただ私が常識的な、あなたが寄付と言われたから寄付という言葉を使つたまでで、私の考えの間違いといいますか、誤解があつたので、内容については岡野国務大臣の言われるところと何ら変るところがないと思います。
  186. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 先程の六・三制に対する農地問題の続きでございますが、私の申上げておるのは現地の農地委員会、或いは県農地委員会はこれを承認したと、ところが問題になりますのは開放地であります。小作人に開放いたしました土地は農林省の農地部が管理しておりまして、この開放地に対する……、いわゆる国家が買上げて行く、それを町村の公共団体にやる、この問題につきまして問題がまだ沢山残つておるのです。この問題に対しまして農林省といたしましては、これに対して如何なるお考えがあるか。これに対して御努力になるか伺いたい。
  187. 久保田藤麿

    政府委員(久保田藤麿君) 只今お示しの点は、前にお答えしました農地の確保が目的のこととのみ思つておりましたため誤解がありましたので、訂正させて頂きます。両御指摘の点については十分努力をいたしまして、何しろ私共の一枚看板であります六・三制関係のために努力いたしたいと思つております。
  188. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 只今の問題に関連しますが、今回の地方税法案の附則に三項として、「地方公共団体は、寄付金を住民に割り当てて強制的に徴收するようなことをしてはならい。」こういうことがあるのですが、今のような憂があつて大臣同志でああいうように齟齬するくらいで、末端に至つては全く混乱して徹底していないと思うので、これは片手落ちであつて、実際的に国は住民に割当てて強制的に取ることはできないということで地方公共団体を縛つておくが、国は何とか文部大臣が言つたような理由を附して、又文部官僚なるものはえてしてそういうような寄付を強制する可能性があるので、やはり我々はそういう点を考えて、そういう点は大蔵省とかその他文部省もそうかも知れんけれども、なかなかそういう禁止規定はできませんから、これは今国会でなく、次の国会にでもやはりそういう議員提出法案を作つて強制的に寄付を割当てるということを禁止して置かなければいかんと思います。
  189. 石川清一

    ○石川清一君 寄付のことについてでありますが、先程も運営委員会、議運で何か今度文化財の保護委員会ができるので、その中に常勤の五人の委員がいますけれども、非常勤として一万田日銀総裁を入れて置く。日銀総裁を入れて置けば、何か財界の圧力かなんかで厖大な寄付金が貰えるというような含みのある説明があつたわけであります。これを裏から逆に計算をしますと、そういう分だけは、虚偽の申告をして置いて、残して置いてもかまわないというような解釈でもしない限りは、到底そういうものは出てこないのでありますが、只今の岡野大臣並びに文部大臣の意向を見ましても、当然百億という寄付は見込まれているのだから、特に償却資産の評価の場合、或いは固定資産の評価の場合には、そういうものを前提にして虚偽の申告をして置いても、寄付する場合にはあの犯罪法の適用は受けないのだというような印象を與えておりますが、一体この真意を一つ地方税の上にたつてはつきりお伺いをいたすものであります。
  190. 小野哲

    政府委員小野哲君) 石川さんの議運の問題は私は存じませんのでお答えいたしかねますが、寄付金の問題は、これは今回の地方税制の改正によりまして、できるだけ地方団体が一般財源によつて、自治の運営の適正を期して行くと、こういう狙いになつておりますので、只今の議運の関係と、どういうふうな関係があるか、ちよつと理解いたしかねる点もあるのでありまするが、要は一面、地方財政の運営に当りましては、できるだけ住民の負担の軽減を目途として、財政上の緊縮も図つて行かなければなりませんし、一面地方税法改正によりまして上げうる税收額によつて、団体の経費を賄つて行くという方向に持つて行かなければならないと思つておるのでございまするので、地方税制のこの考え方と、寄付の問題とは不可分の関係として、私共は了解をしておるような次第でございます。具体的の問題につきましては、私から御答弁することは控えたいと思います。
  191. 石川清一

    ○石川清一君 若しこの地方税法の本旨に則りまして、一銭の寄付もなかつた、一応百億は見込んでおりましても、これを寄付が上つて来なくても、法律的に異議申す筋はないのでありまして、その場合に、一銭も出なかつた、百億出なかつたという場合に、これを平衡交付金によつて処理をするお考えを持つておるかどうかお伺いをいたします。
  192. 小野哲

    政府委員小野哲君) 地方団体の財政運営につきましては、当該地方団体の理事機関なり、或は議会におきまして、十分住民の実態、或いは又計画の内容等について愼重な検討を加わえて行うものであろうと考えておるのであります。仮に百億円の寄付が集まらなかつた、又具体的にどういう場合であるか、いろいろ施設を行います場合の具体的の問題について検討いたさなければならないと思いますので、一概に申上げかねると思うのでありますが、若し地方団体提出いたしました資料によりまして、財政需要額と、財政收入額との間において、その差額について考慮いたさなければならないような事態が生じました場合におきましては、地方財政委員会地方財政平衡交付金法の規定に基きまして、一般的の考え方の下に、これに対して措置を講じなければならんかと存ずるのでございまするが、寄付金との関係において、地方の歳入欠陥がどのように現われてくるかということは、この地方税法が速かに施行されることによりまして、現われて来るものではなかろうか。その場合において、対処して然るべき問題ではないかと考えております。
  193. 石川清一

    ○石川清一君 次官は上手に逃げたようでございますが、五百二十億という、仮に固定資産税につきましても百九十億という……千九百億という地方税收入につきましても、これは予算の上にたつているのでありまして、事態が生じて来てからということは、これは考えられんのでありまして、法が強く実施された場合においては、一つ市町村においては一銭も寄付が上つて来ない。併し一方の市町村においては、或いは都道府県においては相当の寄付が上つて来る、こういうことは出て来ると考えております。従つてそういうような不均衡なものを同じような形で平衡交付金を扱うかどうか、こういうことを私がお尋ねしておるのでして、できる、できないということではなくして、そういうことは今迄の経験の上からしましても、犯罪者の一人も出ていない町村、府県、犯罪者の非常に沢山出ておるところもある、例を以て見ましても明らかでありまして、私が申上げましたように、この法が真に徹底をした場合には寄付金が一銭も上つてこない、これはどこまでも賦課金で行うべしというような、いろいろな過渡期においては現れて来ることでありまして、これは平衡交付金においてどういうように扱うか、こういうことをお尋ねして置きたいと思います。
  194. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私の言葉が足りませんために御理解が行かなかつたと思うのでありますが、地方財政平衡交付金の運用によりまして、いわゆる財政需要額というものを算定することになるのでありますが、その際におきまして需要額の中に、いわゆる寄付金というものは算定の基礎には入つて来ないわけであります。尚又、地方財政平衡交付金法の趣旨から考えまして、御承知のごとく暫定的な措置として、昭和二十五年度、或いは二十六年度におきましては、特別平衡交付金の制度も考えておつて、災害、その他特別な財政需要を生じた場合であるとか、或いは又、普通平衡交付金を交付した場合における過少な結果を生じた、少かつたというふうな場合におきましては、この特別平衡交付金によつて財政の調整を図るという考え方はございますが、寄付金それ自体を財政需要額の中に入れまして、これを算定の基礎にするという考え方にはなつておらないものと思うのでございます。
  195. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 寄付に関連いたしまして、自治体警察の問題についてお伺いいたしたいと思います。自治体警察の置かれました趣旨につきましては、同感でありますが、設置されました趣旨が十分生かされますためには、地方自治体におきまして、必要な経費がそこで調達されるということなしには、非常に警察行政が腐敗する大きな原因であると思うわけであります。警察法の附則の第八條には、財政的な基礎が確立するまでは、国においてこれを補填するというふうにあるように記憶いたしていますが、一つの例を上げましてお尋ねいたしたいと思います。第一に人口六千の町がありまして、そこに自治体警察がありまして、警察官が十二名、女の職員、受付などで三名程おりまして、大体十五名くらいなこの警察の人員なんであります。そういたしますると、自動車を持つたりいたしまして、どうしても二百四、五十万くらいな経費がありませんと、その自治体警察の運営が賄えん、こういうような情勢でありまして、我々が聞きますところは、その財源としては入場税が充ててあつて、不足はこの平衡交付金で貰うやにお伺いしておるのですが、入場税は全部県に移管されまして、自治体警察のよつてつていましたところの大きな基礎がまあ失われたように思います。  入場税が当てておりませんならその点は取消しますが、そういうふうに入場税並びに国から貰います交付金ではどういたしましても自治体警察の運営ができないために、現在相当多額な数十万の寄付金を集めている。それが警察の庁舎を建てますような臨時的なものだけならばいいわけでありますが、いろいろな経常的なものにつきましても、非常に小さな自治体警察というものが、財源的な裏付がないために、非常に一般住民から批判されるような取締方針がなされているわけなんです。そこでですね、警察法の附則の第八條には、地方財政が確立されるまでは、国から補助するという規定がありますが、確立される可能性があると思われるでありましようか。尚この入場税が国に移管された際におきまして、平衡交付金との関係はどういうふうになつているでしようか。そういう関係一つお伺いたします。
  196. 小野哲

    政府委員小野哲君) 御指摘のように自治体警察の運営につきましては、いろいろと意見なり又議論があるのであります。只今お示しになりましたような人口六千の町村におきまして、警察吏員十五名というふうな場合に、二百四、五十万の経費がかかる。御指摘の通りであろうと思うのであります。この財源につきましては、当時発足いたしました際には、恰かも地方財政が極めて困難な状態に置かれておりましたがために、寄付等によつて、これが経費が充当するということも行われたことは事実であろうと存じます。今回の地方税法改正によりまして、従来入場税が大体において、自治体警察の発足と時を同じうして地方団体に委讓されましたために、これが有力な財源と考えられておつたことも事実であろうと思われます。今回は税制の改正によりまして、できるだけ市町村、言い換えれば自治体警察を担当しておりまする、そういう方面につきましては、配付税の配付におきましても、或る程度考え方を加味して参つたのであります。今回は勿論地方財政平衡交付金の規定によりまして、当該自治体警察の警察吏員の数が測定の單位と相成つて、これによつて單位費用を計算することによりまして、自治体警察の所要経費というものが、大体に出て来るわけなのであります。従つて税收額と見合つての差額につきましては、地方財政平衡交付金でもつと賄つて行くという建前で行くということは御承知の通りであります。従つて、この税法の施行に伴う自治体警察の経費につきましても、勿論寄付等の強制的な割当は、非常にこれは止めなければならない筋合であるのでありますが、御承知のごとく自治体警察におきましては、或いは予期しない経費が生ずる場合もあるわけであります。言い換えれば、自治体警察所在の地方団体において予測しなかつた財政需要が生ずるということは、これ又事実上あり得ることなのでありまして、さような場合におきましても、これに対する財源の措置も考えなければならんと思うのでございますが、要は地方財政平衡交付金の適正な、且つ客観的な基準に基く算定によりまして、御心配になつておるような点につきましては、できるだけカバーするようにできるんではないかと考えておるので、要は地方財政平衡交付金法による、交付金の適正な運用の問題になつて来るんではないかと思うのであります。そういう点につきまして、只今まで入場税に財源を求めておつたと考えられます地方自治体の経費につきましては、これらの新らしい制度の運用によつてできるだけ遺憾のないように処置して参りたいと考える次第であります。
  197. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その平衡交付金の基礎は警察の職員の数ですか。
  198. 小野哲

    政府委員小野哲君) 警察の吏員数になつております。
  199. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと自治体警察の置かれます條件としまして、市街地並に市街地的の色彩のものということになつておりまして、その人口六千で置いておるところは市街地的な色彩の町なんです。そして例えば人口五万で自治体警察が置かれておるところよりも包括する面積が広い。そこでそういう自治体警察でありますので、どうしても捜査活動を十分にするために、自動車が必要なので六十万円で自動車を買つた。そのために寄付を集めた。そういうことからいたしまして、寄付行為者に対していろいろ経済統制の違反なんかあつても摘発できないということで、自治体警察が非常に不信をかつておる。そこでお願いしたいことは、そういう職員なんかの数だけでなく、いろいろな附帶的な條件もあろうと思いますから、そういう点も一つ勘案して計算して頂くように希望したい。
  200. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今お話のように仮に自動車に例をとつて見ました場合に、その自治体警察の運営上、自動車が必要だということになりますと、財政需要のうちに当然計上されて出て参る筈になつておりますので、これに基いて必要、不必要を検討しなければならないと思うのであります。自治体警察のみならず、全般の警察制度の問題につきましては、政府としてもいろいろ愼重に研究をいたさなければならないと考えられておりますので、この問題につきましては、地方財政の面からは、只今御答弁申上げましたような考え方で進んでおることを御了承願いたいと思います。
  201. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 今度は寄付の問題について形式的なことをお伺いしますが、この地方財政法に基いて、実際これがうまく運営されるか否かを監視するのは立法機関である国会でもありましようが、行政上の立場からいうならば、これが実際の指導と責任は自治庁が負うべきものだと考えるのですが、この点は如何がですか。
  202. 小野哲

    政府委員小野哲君) 御指摘のように勿論国会として一般の行政運営につきまして十分御検討を賜ることは当然でございますが、同時に地方財政運営の衝に当るものとしましては、地方財政委員会とともに、常に地方財政の現況について調査し、又報告も受けることになつておりますので、地方財政委員会からも国会に対して御報告申上げることに法律上なつておりますので、地方自治庁といたしましては、その職務の内容といたしまして、国及び地方団体の間の連絡を図るは勿論、内閣総理大臣の輔佐機関としての立場を持つておりますので、地方財政委員会と十分に連絡を取りながら御希望のような点について今後も運営をして参りたいと考えております。
  203. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、第二にこの條文のごとく寄付行為の行われたことについて住民なり、或いは被害を受けたものから自治庁に対して、或いは地方財政委員会に対して訴があつた場合、その事実を認める場合には当然この方は精神規定であろうと思う。取消させることのできる行政的な権限を反面持ち得るものと考えるのですが、如何でしようか。
  204. 小野哲

    政府委員小野哲君) 地方財政の運営に当りましては、その衝に当つておりまする地方財政委員会も常に適当な技術的な助言であるとか、或いは指導もいたして参らなければならないと思うのでありますが、只今御指摘になりましたような事態が起りました場合においては、地方財政委員会から各当該地方団体に対して勧告をするとか、そういうふうな方法によりまして是正をするようにいたして参りたいと考えております。
  205. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 政府委員にお尋ねしますが、私常識的にこの文章表現を見ますというと、強制的に徴收するというふうにありまするが、大体寄付金は募集するものであつて税金と違うので、徴收するものではない。だからこれは徴收するという語義は、もう強制的にやるんだということを意味しておるように考えられるので、強制的徴收という語はこれは重複しておるのではないだろうかということを考えるのですが、これは如何でしよう。  それから第二には、徴收でも募集でもいいのですが、「するようなことをしてはならない」というのですから、「するようなこと」ということは、これらの行為に類似の行為であろうかと思うのであつて、もつと幅の広い解釈であつて、半強制的、或いは精神的な圧迫を些かでも加えるようなものはすべてこの條項に当てはまるものであるという幅の広い解釈であるというふうに考えるのですが、この点如何でしようか。
  206. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今御指摘の点は大体御意見通りと考えておりまして、通常強制的な寄付は代税寄付というような言葉も実は使われておつたわけであります。従いまして徴收という言葉は形式的にはどうかと存じまするが、実質的には大体さような意味合があたるのではないかと思います。又「ような」というふうな字句を使つておりまするのは御指摘のように幅を持たせておるわけであります。
  207. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それではこれは速記に載せて置きたいのではつきりもう一度お伺いするのですが、この法文通り強制的に徴收するということは、公共団体である限り絶対あり得ない、従来においてもあり得なかつた、言葉通りのことはあり得なかつたと思うので、その点から言うならばこれは空法文のようにも考えられるのですが、この「するような」というところで、類似のいろいろな精神的な圧迫を加えるような寄付一切を含むものである、こうこの方は解決するのだ、それでよろしうございましようか。
  208. 小野哲

    政府委員小野哲君) 御所見の通りでございます。
  209. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 本日はもう大分時間も経過いたしましたし、尚先般来明日も尚多少質問ができることにもなつておりますし、我々の方といたしましては修正案の問題等もありまして、いろいろ我々も相談しなければなりませんので、本日はこれを以て議事を一応中止して散会せられるように願いたいと思います。
  210. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 散会に先立ちまして一応休憩しまして、先程相馬君から御発言もありまして、委員長、理事会を開いて相談してというようなこともありましたから、一応休憩して、そうして今吉川君のお話のようにいたしたいと思います。
  211. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 相馬君から提案のありましたことは、すでに委員長から委員に諮られまして決定したことなんでありますから、すでに決定したことを更に取上げてやられるというようなことは、議事の手続の上においても違法ではないかと思います。別にしやちこばつたようなことを申上げるわけではありませんが、本日は一応これを以て散会するようにして頂きたいと思います。
  212. 堀末治

    ○堀末治君 今御提案通り暫時ここで休憩いたしまして、今委員長のお話の通り理事会でも開かれて、成るべくなら会期も切迫しておることでありますから、できるだけ審議を続行して頂きたいと思います。私共はさように希望いたします。
  213. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 古川君に申上げますが、先程決定したとおつしやいますけれども、いずれ後で委員長、理事会を開きますということに決定したのでありまして、それは消滅しておるわけではないんです。それは速記を御覧になれば分ります。はつきりしておりますから、だからそれを一応今やりたい、時間も取らせませんから……。
  214. 相馬助治

    ○相馬助治君 さつき委員長質疑を打切りそうになつたので、私は質疑打切りは困るという発言をしたわけです。その方法としてはいろいろあるだろうが、決まらないならば理事会で決めて呉れということを言つたわけです。現実問題として質疑を続行されたわけですね今まで……。
  215. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今日打切らないで明日に……、打切らないでということは残つておるんです。それを一つこれから一度休憩しまして、簡單ですから直ぐ委員長、理事会を開きますからどうぞ……。
  216. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 これが速記上もそうなつておるとあればそれでいいでしようが、さつき私も速記に留めて置いた通り、文部大臣に対する質問は速記録を見た上で再質問する場合もあるので保留してありますので、その方も勘案の上理事会の方でお諮りを願いたいと思います。
  217. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは暫時休憩いたします。    午後四時二十八分休憩    —————・—————    午後七時開会
  218. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き委員会を続行いたします。  休憩中に委員長、理事打合会を開催いたしまして打合せました結果を御報告し、御承認を得たいと存じます。当初の予定では、当委員会の今日以後の予定は、明日午前中にこの委員会で討論採決をいたしまして、午後本会議にこの地方税法案を上程して貰う。こういうことで大体申合せをいたしておりました。併し先程社会党側から申入れがございましたので、打合せの結果、明日は午前十時から質疑を続行いたしまして、明日中に委員会として討論採決をいたします。本会議への上程は明日は止めまして、明後月曜日に上程する。こういうことに打合せをいたしました。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 只今委員長のお話はちよつと違うのじやないのですか。明日委員会の討論採決をして、本会議上程は明後日の午前中だと承知いたしておりますが、(「それは運営委員会の問題だ」と呼ぶ者あり)そういうことに当委員会としてお決めを願いたい。但し議運の委員会関係事項を当委員会で決定するのは、僭越且つ逸脱でありまするので、当委員会希望決定としては、前段申上げたような決定をして貰つて、特に社会党の出身議員はもとより、各それぞれ関係議員はおのおの自党の議運の議員に対してかような次第を伝達し、特にその趣旨を徹底し、且つ実現して頂くように努力して貰うことを特に委員長から要請されて、それの返事をとつて置いて貰いたい。
  220. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の岩木委員のお話も一応尤ものように聞こえますが、これはやはり明後日の本会議は議運が最終的に決定すべきであつて、それを拘束するようなことをここで決めておいては、却つて紛争の種だと思うのです。大体が明日委員会で討論採決いたしますれば、明後日は天変地異でもない限りは、我々はこれを了解して、そのくらいの良識は、少くとも社会党に関する限りは持つておりまするので、そういう取極めの必要はないと思つております。
  221. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 先程委員長からお話になつたのでありますが、もともとこの地方行政委員会の進行日程というものがあつたのですね。その進行日程には、明日の午前中に討論採決して、午後は本会議ということが書いてあつたわけです。だからそういう意味合いにおいて三十一日の午前に本会議と、こういうことに了承してこの進行日程を決めたということならば、私は委員長の御発言は何ら差支えないのじやないと思います。
  222. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私は社会党の議院運営委員にもなつておるのですが、この議事日程を不用意にも我々がこの委員会で承認して帰つて来たということが、先程委員長からの議運の申入れの結果分りまして、仲間の議員から私たちはつるし上げられたのです。議運の決定すべきことを地方行政委員会で決定したのかとか、或いは勝手がましいことをしたのは何事だというので、岩木さんのお話のことは重々分りますけれども、そんなことは、責任を持つたり交渉したりして持つて帰られないので、つるし上げられた経験がありますので、一切そういうことはやらないようにして頂きたい。やつて貰うと、却つて社会党内を紛糾させますので、もう明後日の本会議にかけるということだけで止めて頂きたいと思います。
  223. 安井謙

    ○安井謙君 今小笠原さんから御発言ありましたが、それ程議運の決議を非常に尊重なさるのであれば、明日の一時というような話に一応決まつておつたのです。それをひつくり返えすということになるわけです。その点では……。
  224. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 これは余り論議したくないのですが、先程の議運には私も出ておりましたが、いろいろの問題があつて、採決を要さない方法を取ろうということで、そうしてお互い讓歩して一時に先ず本会議を開く、但し一時までにこの地方行政委員会の方が上つて来ない場合には明後日までに延ばす、三時頃に出て来たから途中に入れるとか、四時頃出て来たから途中の本会議に入れる、こういうことはしないという決定で、含みのある決定になつておりますので、何ら違反しておらないと私は考えるのであります。
  225. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 これは特に社会党の方に私お願いしますが、今委員長が申上げたことを私が失礼でありますが、補足いたしましたような点で、却ち明日は委員会を討論採決、明後日の午前中の本会議に上程をする、上程をする手続き、技術の問題は議運の問題でありますから、ここで取り決めることは逸脱、且つ僭越でありまするけれども、当委員会としてはこういうことを希望するということによつて委員長が議運の委員長に申入れて、又各議員所属の自党の議運の方々に対して、地方行政委員会でこういうことに僭越であるが取り決めたからこの努力に向つて邁進して貰いたいという、責任を持つて貰うということで私は繰返して言う必要はありませんが、社会党の御意見を大いにくんでかような中間的な最善案ができたのでありますから、それにこだわつてそういうような言葉を言われるのは甚だ遺憾でありますから、この際それは了承して貰いたい。
  226. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 再三申上げて却つて失礼ですが、日曜除きの本会議は何時から始る慣例になつておるかということは皆分つておる次第なのであります。月曜だけ特に午前中の本会議に云云ということは、これは考ようによつては余計なことなので、月曜日の本会議にかける、こういうことだけでもう内容は分つておると思いますので、そういう駄目押をしたということであれば、何か又社会党が作為があるようなことを露出する、速記に載るような結果にもなりますので、そういうことなしに一つあつさりとお決め願いたいと思います。
  227. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 只今の理事会におきまして私が理事といたしまして、両方のお立場、自由党なり社会党のお立場を考えまして裁定いたしたのに対しまして、社会党が快くこれを受取つて頂いた、自由党にも受取つて頂いたということになりますれば、私は先程の委員長の御発言これを以ちまして皆様に御了承願つた方が、今後非常に円満に行くのじやないか、かように考えますので、岩木さんには私と同じ党でございますが、余り気張つたようなことをいたしますと、御人格を疑うようなことになれば誠に恐縮に存じます。でありますから、この点はフエアー・プレーで行こうじやないかと、こういうことでこの採決に御賛成になつて頂いた方が一番いいのじやないかと、かように考えます。
  228. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は今の竹中理事の発言に同感なんです。これはこだわりなしに岩木さんの言つておるのは、我々こだわらないから言わないのであつて、明日討論採決をやれば、これは委員長に報告させると、こういうことまで決まる。明後日やることを委員長が報告して、これは本会議に持つて行くだけで、そこで若しも妙な議事引延しをやるとすれば、私はこれこそ天下周知のこれは党利党略になると思う。そういうことが少くとも我が社会党に関する限りはそういうことはない、従つてこの委員長の提案通りつて頂きたい。
  229. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 これはまあだんだんのお話がありまするが、この際としては、やはり重要法案であつて、かくもいろいろ熱心な審議の課題の法案でありますので、この際これは予定の三十日の本会議上程を変更するという意味からいいましたならば、そういうフエア・プレイだというような意味合いのみで、これを看過するということについては、若し間違つたならば大変な問題も起りますから、別に私は社会党の方を疑おうとか何とかいうのではないが、やはりこうした公式の場合においては明確な方法を取つておいて貰うことが必要だとかように考えます。
  230. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 岩木君の御発言も、これは尤もなお考えから発言されておると考えますが、各党はフエア・プレイで行こうということを申合せて、そうして一応結論に到達して明日中に討論採決を終る、こういうことになつた限りにおいては、明後日十時から定例の本会議が開かれることが明らかなんでありまして、そうして私も議院運営委員並びに小委員をやつているのでありまするが、前日に討論採決を得たものは、必ず十時からの日程に議運の小委員の方で載せるということは、これはもう明らかになつている前例であります。従いまして又議運の意向というものは、この地方行政委員会その他の委員会におきまして議運が行うべきことを決定するということは、これは越権であると、こういう強い意向があるのであります。それで明日の午前中に討論採決するということは、これはこの委員会の内部のことでありまするけれども、明日の午後からの本会議にかけるのだという前のここの日程の打合せについても、議運においてはそれは権限外である。地方行政でそういうようなことを決定するということは、それは権限外のことである。委員会の内部のことならいいけれども、本会議のことを決定するということは権限外である。こういうような見解から地方行政委員長が今日呼ばれましてやや吊し上げ的なことまでもあつたくらいでありまして、明後日の本会議で午前中にやるというようなことを、ここで正式に速記に載せるということは却つてこれはいけないのではないか、こう実は考えるわけでありまして、恐らく岩木君のお考えになつておられる通りに、社会党も期待されているということは、先程の社会党の委員の御意見によつて明らかだと思いますので、そういう点までもここで取決めるということはやらないで置いた方がいいのではないかと、こう私は思うのであります。
  231. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お諮りいたします。只今の社会党の各位の御言明に信頼し、只今鈴木君、竹中君から御発言のありましたように、先程私がお諮りいたしましたように決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  232. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 その結論には異議ありませんが、委員長の前段の「社会党の各位に信頼し、」ということは自由党以下各会派の方々を信頼するということにして頂かないと、何かこつちだけ惡者になるようでうまくありません。(笑声)
  233. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 岩木君御異議が……。
  234. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は今の鈴木さんの言うたような趣旨が完全に社会党の方に了解を得ているならばそれは異議ありませんが、多少今の小笠原君の御意見の裏には疑義を直感いたしましたから、特に念を押すために言つているのです。
  235. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いろいろ疑義があるようでありますが、私も地方議会を三年間やつていまして、この法案に対しましていろいろ賛否両論がありましても、とにかく七月中に結論をつけんと、これは大変なことになるので、我我はそういう意味は毛頭ありませんから、それは御信頼して結構だと思います。
  236. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 各会派を信頼して、委員長の方に……。
  237. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではもう一度お諮りをいたします。だんだん各委員から御意見が用まして、大体私が先程申上げた委員会の討論採決は明日にお願いをする、本会議は明後日に地方税法案を上程して頂く、こういうことにこの委員会で皆さん本日御意見を一致させたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは……。
  239. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 異議あり。僕は責任上異議がある。先程来の折衝の内容に多少異議がある。委員長は多数決でやつたらいいでしよう。
  240. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 速記を……。
  241. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  242. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。それでは多数の方々が私が先程申しました事柄に御賛成でございますから多数を以て決定するということに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうことに決定いたします。尚明日は、午前十時から委員会を開きまして、御質疑をお願いいたします。それに呼びまする国務大臣は岡野国務大臣外、文部大臣、大蔵大臣、これでよろしうございますか……。それでは、そういうことに今から手筈をいたします。尚皆さんにお諮りいたしますが、今日の公報に載つておりますように、飮食営業臨時規整法の一部を改正する法律案、これが本審査にかかつております。これは極く簡單なものでありますから、明日、時間を見てご審議をお願いいたしたいと思います。
  244. 石川清一

    ○石川清一君 地方財政委員長もお呼び願います。
  245. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方財政委員会委員長ですね。それではそう取計います。それでは、今日はこれで散会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは散会いたします。    午後七時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            鈴木 直人君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君            石川 清一君   委員外議員    水産委員長   木下 辰雄君    農林委員長   岡田 宗司君    運輸委員長   佐々木鹿藏君   国務大臣    文 部 大 臣 天野 貞祐君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君    文部省初等中等    教育局長    辻田  力君    文部省管理局長 久保田藤麿君