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1950-07-28 第8回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○継続調査承認要求の件 ○議員派遣要求の件 ○地方税法案内閣提出・衆議院送  付) ○土石採取業附加価値税第二種に指  定の請願(第四〇二号) ○旅館に対する地方税減免請願(第  六一号) ○トラツクに対する自動車税軽減等の  請願(第一三八号)(第一六五号)  (第二一一号)(第二一二号)(第  二三六号)(第二三七号)(第二三  八号)(第二三九号)(第二九五  号)(第三一九号)(第三二〇号)  (第三二一号)(第三八四号)(第  三八五号)(第三八六号)(第三九  五号)(第三九六号)(第四七五  号)(第四七六号)(第四七七号)  (第四七八号)(第四七九号)(第  四八〇号)(第四八一号) ○狩猟者税撤廃に関する請願(第三  号) ○特殊企業組織による水道事業に対す  る固定資産税減免陳情(第四四  号) ○私鉄事業に対する固定資産税減免の  請願(第三九八号) ○土地家屋に対する固定資産税軽減の  請願(第四五号)(第六七号) ○地方税法案中一部修正に関する請願  (第四三五号)(第四四一号)(第  一四八号)(第二八七号)(第四二  八号)(第四二九号)(第三六一  号) ○地方税法案修正に関する請願(第四  六号) ○赤十字事業に対する地方税免除の請  願(第五八号) ○協同組合に対する地方税減免請願  (第一六四号) ○碎木パルプ工業に対する電気ガス税  免除請願(第二五三号) ○電気ガス税課税差別撤廃および税  率軽減請願(第二五四号) ○山林の地方税制に関する請願(第二  八一号) ○木材引取税撤廃に関する請願(第三  七三号) ○宮城県根白石村、古田村との郡村界  決定に関する請願(一二二号) ○地方税法案成立に関する請願(第二  号)(第二五二号)(第二八六号)  (第三三八号)(第三九二号)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 議事進行について。運輸委員会水産委員会農林委員会等からここに委員会において大いに検討して貰いたいというような修正案が、要望書が出ておりますが、その取扱い方法についてお伺いしたい。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 皆さんにもお諮りをいたしたいのでございますが、この逐條審議が済みましてからお諮りしたらどうかと、こう思つてつたのであります。それで第七国会におきましても、希望的の意見委員会に出て来たのでありますが、勿論この地方行政委員会におきましては、その意見は尊重いたしますけれども、それに囚われるべきではないと思います。とにかくここでよく皆さんの御意見について検討いたしたい、こういうように考えております。それで各税目ごとの審査に当りまして、各委員会からの意見皆さんに御披露をし、政府当局のそれに対する意見を今まで聽取して来た次第であります。最後逐條審議を終りまして、いろいろ皆さんの御意見を求めたい、こういうふうに考えております。それで如何でございましよう。
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 西郷委員が問題にせられましたことは、私は委員長においても只今お話で十分に御考慮になつておる様子でありますが、併し各委員会におきまして、議を纏めて我々の方へ意見書を書いて来ておられるのでありますから、その意見は極めて重要視すべきものであることは当然であると思うのであります。逐條審議終つた後でも結構でありますから、その間、例えば明日の逐條審議にかかります前のような、或いはその中間等の時間に、適当な時間に委員長を招致しまして、そうして委員会のそうした代表意見を開陳さすような機会を與えられては如何かと思われるのであります。委員長が言われるようにもとより囚われる必要はないかも知れませんが、併し結局我々がこの法案最後的に決定するのでなくして、参議院が、議院全体がこれを決定するのでありますから、そうした点をも御考慮になりまして、更にその問題については極めて重要であるという観点に基いて措置せられるように望みます。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川委員から明日適当な時機に、希望意見を出して来られた委員長をこの地方行政委員会に招致をして説明を聽こう、こういう御提議がありました。それに対する御意見、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうふうに取計いをいたします。御了承を願います。   —————————————
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 法案審議に先立ちましてお諮りをいたします。昨日お手許に廻しました継続調査要求書の問題でございます。これで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 要求書の問題につきまして、それでは御異議ないものと認めまして、今日午後二時から議院運営委員会が開かれましたらそれに提出したいと思います。  それから次は議員派遣要求書の方でございます。
  10. 中田吉雄

    中田吉雄君 この調査場所ですけれども、余り條件が一定したような場所ばかりではありませんか。そうじやないですか。
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先ずこの案は今まで余りこの委員会から派遣しなかつた所を選んだのでありまして、大体九州班、近畿、中国班、それから北陸、東海、長野班、それから関東、東北班、こういうふうに分けたのであります。御希望によつて変えてもいいと思います。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 この行政事情は大体コンデイシヨンのいい所ばかりじやないかと思うのですがね、これはそういうこともありませんか。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 最近行つた所はまあ拔こう、こういう意味なのです。それで班の御希望がございましたら。……ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。  それでは派遣の方は委員長にお任せ願いたいと思います。よろしゆうございますか。成るべく御希望のところに当て嵌めるようにいたします。そういうことで議員派遣要求書を出すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではさように決定をいたします。  それではもう一件お諮りいたします。九月の十四日から三日間、名古屋市におきまして都市問題会議というのを開きます。確か第十二回だと思います。これは市初め大きな町が加わりまして、都市問題会議というものを作つておりまして、毎年大阪とか横浜とかその他で会議を開きまして、いろいろ都市関係する問題を研究するのであります。これに地方行政委員会からも、参議院からも派遣して頂きたいということを申されております。これはこれまで二三人の方にお出ましを願つておるのでありますが、御希望の方はお申込みを願いたいと思います。吉川さんおいで頂きましようか。
  16. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 委員長から御説明がありましたが、私多少個人的にその団体とも関係がありますから御説明いたしますが、一種の学界の会議でありまして、東京市政調査会が中心になつて、おるのでありますが、都市問題の研究学会であります。それで都市、殊にまあ大体財政力のある大都市が交代で主催者になりまして、そうしてその学会を年に一回くらい開いておるのであります。絶えず両院の地方行政委員会出席してくれということで招待が参るのでありますが、委員長お話になりましたように、慣例的にこの委員会からは出席者がいつも五名くらい出ておるようなわけであります。そういうような内容でありますから、やはり引続いてこの委員会代表してどなたかがお出になるということがふさわしいことじやないかと思います。
  17. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 場所はどこですか
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 名古屋であります……。それでは大体御希望の方、それから各地の視察においでにならない方を優先して考えまして、決めるというとにいたしたいと思います。御了承を願います。  それでは地方税法案審議に入ります。今日は附加価値税を御審議願います。第二章第一節、政府委員説明を求めます。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 その前にちよつと質問をお許し願いたいと思います。国務大臣はおいでになりませんか。
  20. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) もう直き参ります。閣議に出ておりますから……。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 実は地方税法案審議しますには、いろいろなやはり前提條件があると思いますが、最近我々に配付されました全国地方自治協議会連合会の方から、明年度災害復旧費全額国庫負担は打切る、こういうことが閣議決定されたということを言つておりますが、この真相について一つ次官の方からでもお話願いたい。
  22. 小野哲

    政府委員小野哲君) お答え申上げます。地方災害復旧費全額国庫負担に関しましては、先の国会で、二十五年度限つてこの措置をするという特例法律案が成立いたしまして、目下施行されておるわけであります。今御指摘になりました二十六年度予算編方針を御審議するに当たりまして、この問題が取上げられておることは事実であります。併しながらこの全額国庫負担制度は、二十五年度予算編成をいたすに当りまして、その趣旨の下に編成をされておりまするし、又地方財政運営から考えましても、その建前の下に目下具体的に取扱われておる状態でございますので、これを廃止する場合におきましては、種々考慮しなければならない問題が起つて来ることは御了承が願えるかと思うのであります。つきましては政府といたしましても、愼重にこの問題を検討する必要があるという意味合いにおきまして、又シヤウプ税制報告書を尊重して、この制度をとつておる建前から申しましても、近くシヤウプ博士の来朝する機会もございますので、この間の意見をも十分に聞いた上で最終決定をいたしたい。かように考えておるわけでございますので、目下のところは予算編成方針一つの問題として取上げられておる未だ最終決定にまでは至つておらないこの点につきましては、地方自治庁におきましても、又地方財政委員会におきましても、相当重大な関心を持つておる点でありますので、政府機関相互間において十分に協議をいたしまして善処いたすようにいたしたい、かような考えを持つておる次第であります。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律の第二條によりまして、本年度限りということは私も了承しているのですが、只今次官からも申されましたように、本年度においては一千億の地方予算が増徴する。併し災害復旧費を二百億国庫負担に切替えるから八百億でいい、そしてこれは当然全額国庫負担にすべきであるということを規短してあるわけでありますが、この法によつて一年限りとありますが、我々としてはすでにこの間の趣旨からいつても、当然地方税法案審議する上に重要な前提條件だと思うわけであります。そういうものが将来どういう財源措置がとられるか分りませんけれども、それが大きな問題になるという点は一体どこにありますか。
  24. 小野哲

    政府委員小野哲君) この問題につきましては中田さんが御指摘のように、各知事代表が昨日参りましてこれが存続方について強い陳情もあるようなわけでありまするし、その他各地方団体におきましても、これが存続を熱望いたしておるような次第でございます。従いましてこの問題を扱う場合においては、愼重を期さなければならないと考えておりますので、中田さんが御指摘になりましたように、若し廃止するというふうなことになりますと、これに必要な地方負担分財源措置考えなければならないのでありまして、政府といたしましてはこれらの点に鑑みて、特に私共の立場といたしましては、尚これを存続するように政府として考えて参るように折角努力をいたしておる次第でございます。問題は未だ最終的な決定段階に達しておりませんので、一層今後の努力を継続して御趣旨に副うように取り運んで参りたいと考えておる次第であります。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 知事連合会の方でははつきり閣議決定したように言つているのですが、その点はただ議題になつたという程度でありますか。
  26. 小野哲

    政府委員小野哲君) 閣議で問題になつておることは事実でありまするが、未だ最終的な決定までなつておらない。というのはシヤウプ博士が来朝されまして、又シヤウプ博士勧告に基いてこの制度が立てられておる点に鑑みましても、やはりシヤウプさんの意見を十分にたたいた上で、これを検討しなければならないという考え方を持つておるのでございまして、この点は大蔵大臣委員会等において答弁をしておるような次第で、決定ということに相成つておりますが、新聞等において発表されました中に、これが入つておりますために一般においては決定されたものである、こういう前提の下に陳情が行われているものと解しておるような次第であります。只今までの経過は以上申上げたような事情でございまするので、尚この点につきましては更にこれが処理につきまして、一層の努力をいたして参る所存でございます。
  27. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の問題ですが、万が一地方負担なつたときには、今の財源措置負担しなくちやならない。そういう場合にはどういうふうにされるつもりですか。そういう場合の大体の予想をお伺いいたします。
  28. 小野哲

    政府委員小野哲君) 私共といたしましては、又地方財政委員会におきましても、全額国庫負担制度廃止されるものとしての前提の下に、今後の財源措置を具体的にどうするかというところまでの段階には至つておらないのであります。併し若しさような場合が万一にもあるという場合におきましては、大蔵大臣ともこの点につきましては十分に協議をいたしまして予算編成、その他地方財政措置につきましては研究をいたさなければならんと存じますが、目下のところではその段階にまでは達しておらないと承知いたしております。
  29. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 地方財政委員会からまだそういう具体的な動きが一向に現われていないように思いますが、そういう点は少しでも早くやらなければ、予算方針新聞等に発表している際に、ただ傍観しているような態では、財政委員会意味をなさないと思いますが、何らかの動きをしているのでしようか。
  30. 小野哲

    政府委員小野哲君) お答え申上げます。西郷さんから極めて適切な御注意を頂いたのでありますが、この問題につきましては、岡野大臣及び私共が地方財政委員会と緊密な連絡をとつておりまするし、又地方財政委員会におきましても、その自主的な立場において政府に対してこの問題については強く申入れをすでにいたしているわけであります。従つて地方財政委員会といたしましても、その立場において関心を持ち、且つ相当強い意思表示をいたしていることを御了承願いたいと思います。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 我々としましては、少くとも国土災害は当然国庫負担すべきであると思うわけであります。改良事業でありましたら、その受ける利益によつて負担はその地域で負担すべきでありますが、国土でありますから、当然これは国庫負担にすべきでありますが、シヤウプはつきりこの点を強く押出しているにも拘わらず、政府がいろいろな財政需要関係からして変更するがいいとなつたら、強力にこの場合シヤウプをゆすぶつてでも変更させようというような強い意欲が只今次官お話でも窺われる。ところが社会政施的なそういう面については、勧告を楯にとつて行くというそういう立場は、我々としては甚だまあ納得でき難いものがあるわけなんです。こういう問題は非常に大きな問題で、こういうことが政府財政需要に不利であつたら、来るシヤウプを待ち構えておつて、同とかこれを納得さして、一つ自由党の樹てている政策にマツチさせるように変えさせよう……、ところが国民からいろいろな要素があるにも拘わらず、そういうことはシヤウプ勧告を楯にとつて、頑として応じないというような点は、甚だ我々としては不本意なので、是非この制度存続して頂きたいと思うわけである。又こういうものがあることによつて、我々は審議ができるので、そういう前提條件が破壞されましては、この法案審議もなかなか困難である。一つ希望を申上げておきます。
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の問題につきまして、七月二十七日附で全国知事代表として山形、茨城、山口、秋田、熊本、京都、宮崎の各府県知事代表として参りまして、災害復旧費全額国庫負担制度廃止閣議決定撤回方に関する要望というものを委員長宛に出しております。それは災害復旧費全額国庫負担制度地方税法改正と相俟つてシヤゥプ税制勧告に基く地方財政の基盤をなすものである。然るに政府は来年度予算編成方針として地方に対し何らの財源措置を講ずることなく閣議においてこれが廃止決定し、而もかかる地方財政の基本に関する重要事項地方財政委員会に無断で決定するがごときは地方財政を軽視し地方自治の本旨に反する独断的措置として断乎反対するものである。  政府はよろしく反省して真に地方財政の安定を期し災害復旧費全額国庫負担制度を継続せられたい。右要望する。こういうものであります。
  33. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この問題は前国会にもその法案が出たとき非常に問題になつたのですが、そして二十六年度はどうするかということが非常に問題となつた。今又、それに関連しておりますから今日の午後の委員会の最初にでもいいのですが、地方財政委員長出席を求めてこの方針に対する財政委員会方針を承つておきたい、こう思います。
  34. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今西郷君からこの問題に関しまして地方財政委員会委員長を招致して、意見を徴したいという御意見がありましたが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうことに決定いたしました。出席を要求いたします。
  36. 中田吉雄

    中田吉雄君 三百九十一條なんですが、三百九十一條の大規模固定資産配分についての権限地方財政委員会に広汎な権限を委ねるということなんですが、それからこの固定資産の年間の五百二十億の徴收についても、それを上回つても、下回つても五百二十億になるように税率を変更するという、広汎な立法上の権限が或る意味では委讓されておるわけでありますが、この委員会の性格から鑑みまして、これは執行機関だと思うわけでありますから、できるだけそういう権限は議会で決定した方がいいと思うのですが、そういうことにつきましてどういうようなお考えを持つておられますか。
  37. 小野哲

    政府委員小野哲君) お答え申上げます。御承知のように地方財政委員会は、地方財政委員会設置法によりまして設置されました相当独自性を持つた機関でございますが、その場合においてその権限内容としては、地方税法によつて委任されました権限行使であるとか、或いは又地方財政平衡交付金額決定であるとか、その他地方財政運営に必要なる諸権限法律によつて與えられておるわけであります。只今指摘になりました具体的の問題としての第三百五十條の税率の変更の権限の問題であろうと思いますが、この点につきましては地方財政委員会規則によつて、その規則を制定する場合におきましては、その要件が三百五十條によつてはつきりと法律によつて決められておるのでございまするので、その要件を基礎として地方財政委員会がこの法律によつて與えられた、言い換れば委任されました権限行使をやることに相成つておりますので、この点については差支えないものと考えている次第であります。  尚又、第三百九十一條の大規模固定資産配分に当りましても、この場合において、この法律が示しておりますように、課税県自体の問題につきまして、関係が生ずるのでございますが、こういうふうな特殊な、大規模固定資産配分地方財政運営上、又地方財政委員会が與えられておる権限を正当に行使するために、必要な限度におきましては、この法律によつて認められた権限行使は、これはやはり妥当なものではないか。かように考えておるのでありまして、特に評価の問題について第三百九十一條によつて地方財政委員会規則の定めるところによつて行う如何なる固定資産について、これをなすべきであるかということの指定をする権限が與えられておるのでございまするので、執行機関たる地方財政委員会がその権限行使するに差支えないものと考えておる次第であります。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは、第二章第一節附加価値税審議を始めます。二十七頁です。二十三條から……。第一款通則の……。
  39. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 附加価値税の二十三條は、納税義務者につきましての規定でございます。現在の事業税におきましては、法人とそれから個人に対しまして、一種、二種と分けまして、それぞれ企業体を列記いたしておるのでありますが、この法人個人を通じまして、事業を第二項に書いてございます。第二項に書いてございまするのは、従来法人のやつておりました事業並びに個人の第一種事業相当するものをここに書いておる次第でございまして、尚多少企業体を、より明確に規定をいたしたりしておりますが、根本の構成は、従来の企業体の大体の改正と同じであります。この第二項の第一種事業のの銀行、無盡、信託、保險、こういうものは、従来法人としておつたわけでありますが、この点をここに書き加えておるわけであります。第二号の銀行業という下に、政令で定める金融機関というのがございますが、これはお手許に差上げてあります要綱の中に書いてありますように、預金業務或いは資金の貸付業務とか、農業協同組合及び同連合会漁業協同組合及び同連合会水産加工業協同組合及び同連合会信用協同組合及び協同組合連合会というような金融事業を行うものも入る。こういうことであります。  それから三十頁の二十三のところに出版業というのがございますが、「政令で定める新聞業を除く」。ということになつておりますが、新聞事業につきましては、非常に大衆の日常生活に深く入り込んでおりまする新聞業につきましては、そういう公益的な見地から税率を落して別箇に考えたいというところから、政令で定める新聞事業は第二種の事業の方に入れておるのであります。即ち、日刊の時事報道を目的とする新聞発行事業でありまするとか、或いは新聞なり無線通信放送報道材料を提供いたしまする事業でありますとか、或いは新聞広告取次料、或いは新聞販売事業というようなものが、第一種の方から第二種の方に廻しておるのでございます。  それから一番最後の第三十六号でございますが、これ等に類する事業政令で定めるものと申しますものは、これも要綱にございますように、商品の取引業取引所業不動産売買業広告業興信所業案内業競技場遊技場集会場等貸付業葬祭業のごときものを考えている次第でございます。  それから以上が第一種事業でございますが、第二種の事業といたしましては、ここにございまするように畜産水産、それからこれに類する事業政令で定めるものということであります。畜産につきましては農業に附随して行うもの、いわゆる農家の有畜農業といたしまして、農業に附随的に行なつておりまするようなものは、これは土地の利用ということからいたしまして、固定資産税との重複というような関係がございますので、こういうものは農業を後に申しますように、非課税にいたしておりますので、それと同じような考え方非課税にしようというので除いておるわけであります。それから「主として土地を利用して行うもの」というのは、放牧等によります畜産業でございまして、これも土地に対しましては固定資産税が別途かかつて参りますので、農業と同じような考えでこれは除外をして参りたい、従つてここで言いまする畜産といいますのは、非常に幅が狭くなりまして、土地の使用する度の非常に少いもの、結局養豚業でありますとか、養豚業というようなものを主として考えておる次第であります。それから水産業でございます。第三号のこれに類する事業政令で定めるものと申しますのは原始的な産業でございまして、畜産なり、水産と同様に扱うことを適当とするようなものであります。余り土地に依存をするというようなことのないようなもの、例えば養蜂業でありますとか、或いは林産業の一種であります薪炭製造業というようなものを予定しておる次第であります。   それから第四項の第三種事業でございますが、これは従来特別所得税として考えていたものでございまして、一号から五号までは従来の特別所得税のうち第一種相当するようなものでございます。多少業態を拡げております。  それから第六以下は従来の特別所得税関係の第三種の事業相当するものでございます。これを両方一緒にいたしまして、第三種事業といたしまして、第一種事業よりも軽減した税率を適用するということにいたしたのであります。この中で第十七の公衆浴場業というのがございますが、これは多少性格がやや固定的なものでございますが、新聞事業等と同様に非常に公衆の環境衞生に密接な関係があるわけでございまして、これはやはり軽減した税率を用いた方が適当であろうということから、特にこちらの第十七條の方に書き上げた次第であります。新聞につきましては、第一種の方から拔きまするものを第十八條に書いておるわけであります。尚第十九のこれに類する事業政令で定めるものと言いますのは、例えば装蹄師業でありますとか、あん摩はり、きゆう、柔道の整復その他医業に類する事業というものを考えておる次第でございます。  第五項の事務所又は事業所を設けないで行う事業でございますが、これは殊に第三種事業等につきましては、特にこういう事務所事業所を設けないものがあると思いますが、そういう場合におきましては、その事務所と最も関係の深い住所又は居所を事業所なり事務所とみなして課税する、こいうことであります。  第六項の法人ではありませんですが、実体において法人と同一視できまするものにつきましては、法人に関する規定を準用するということであります。  二十四條は附加価値税非課税の範囲を書き上げたものでございますが、この中で特に他の税の非課税の範囲と遠つて来ますのは、第四号、第五号の農業、林業につきましてはシヤウプ勧告趣旨に従いまして、これらはいずれも固定資産税としての土地に対する課税がかかつて参りまするので、それと重複する嫌いがありまするし、農業等につきましては、価格の統制等もございまするので、特にこれは非課税にした次第であります。第六号の鉱物の掘採及び砂鉱の採取は、鉱産税を別にかけるごとにいたしておりまするので、それとの関係考えまして、非課税にいたしておる次第であります。  第七号の「主として自家労力を用いて行う第二種事業政令で定めるもの」を申しまするのは、結局これも要綱に書いてございまするが、主として自家労力を用いて行う第二種事業と申しまするのは、年間の事業延日数のうち、その三分の二以上が事業者又はこれと雇用関係のない同居の親族によつて行うものというようなものを、主として自家労力を用いて行う第二種事業考えております。水産業畜産業でそういう條件相当いたしまするものは、これを零細なるものといたしまして非課税にいたしたい、そういうことであります。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上について御質疑をお願いいたします。
  41. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第三種の新聞業ですね。さつき説明になりましたが、そうするとウイークリーの新聞とか、そういうようなものが、いわゆる新聞といつても大小ありますが、政令で定めない新聞はどういうことになりますか。
  42. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ウイークリーその他の政令で定めませんものは、出版業として第一種の方の適用を受けることになるわけでございます。
  43. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういたしますと、今の点で行くと、例えば第一流の新聞、第二流の新聞というのがありますが、第二流という程度まで第三種の方に入るわけですね。
  44. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第二流と申しますか、要するに日刊の新聞発行事業がこちらに入るわけでございまして、今の旬刋とか、週刋というような経営形態のものは第一種の方に入る、こういうわけでございます。
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この際申上げて置きますが、水産委員長から希望意見を出して来ました中に、「二十三條の第三項第二号を次のように改める。水産業(第二十四條第五号に定める漁業を除く)」といたしまして、水産業農業や林業と同じく一応は非課税の中へ加えて呉れという趣旨のものが出ております。御質問ございませんか。
  46. 石川清一

    ○石川清一君 新聞事業についても各連合委員会において非常に強い意見がありました。これは当然非課税とすべきである、こういう意見がありましたし、ますます今日のような国際的な関係が緊迫して参りますと、公益性というものは非常に強く認められておるので、当然非課税とすべきである。こういうふうに考えますが、もう一度政府意見を伺います。
  47. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 新聞事業につきましては、嘗ては営業税等をかけていなかつたわけでございまするが、事業税の時代になりまして、又取引高税等におきましては、税の対象といたしておるわけでございます。新聞事業の非常に高度の公益性という点から考えまして、こういう現在までの制度につきましては、いろいろ御論議がございますことは、私共も十分承知いたしておるのでございまするが、現状を今しばらく継続して行きたいということと、今後の問題といたしましては、更に政府側におきましても、十分検討を加えて見たいと、かように考えております。
  48. 石川清一

    ○石川清一君 政府との対立した意見が、この前の合同委員会にも続けておられたようでありますし、その際当然非課税とすべきだという意見の人も、意見を留保されておりましたと思いましたが、更に農業協同組合、或いはその他の協同組合についても、現在の国民生活の状況の、困窮する状況の中で、農業協同組合、更に各種の協同組合の持つておる公益性というものが、国民生活の中では、国の財政、国家機関以上に強い公益性を持つておるのです。当然これも附加価値税非課税の中へ入れるべきだ、殊に農業協同組合、その他の組合は固定資産税につきましても、同じような要求を持つておるのであります。又農林委員会でもそういう意向が非常に強く認められ、我々も同感しておるのでありますが、これについてもう一度御意見を伺いたいと思います。
  49. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 協同組合につきましては、現在事業税におきましては特別法人ということで、やや軽減された率を使つておるわけでございますが、この附加価値税の案におきましては、協同組合が公益的な事業に支出をいたしました場合におきましては、その部分を特定の支出金額として、附加価値額から差引くということを考えておりますが、又事業関係の分配等も特定の支出金額の中へ入れまして、附加価値額の中から差引くということにいたしておるのであります。協同組合が持つております公益性の部分に関しまする考慮は、原案におきましては十分拂つたつもりであります。ただその上に更に非課税にせよというような御意見のように存じまするが、やはり協同組合自体の本質から申しますると、経済的な事業を営むという面にあるわけでございまして、この附加価値税の全体の立て方といたしましては、主体が法人でありましようと、自然人でありましようと、或いは法人格のない財団のようなものでございましようと、とにかく一定の規模を持ちまして、企業を行なつておる者に対しては、その規模を抑えまして、これと府県との間の利益、関係ということを考えまして、これに附加価値税を課けようという、こういうことでございますので、その原則から申しますというと、やはり協同組合に対しましても、これは課税の客体と考える方が適当であるということで、立案をいたしておるのであります。併し協同組合につきましては、何分非常に御論議があるもので、私共重々承知いたしておりますので、これも今後の研究問題にいたしたいと思います。
  50. 石川清一

    ○石川清一君 これはどこまでも反対意見を持つておりますので、このまま審議を進めたいと思います。
  51. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 私申上げますが、農林委員会から附加価値税につきましては、こういうふうな意見を持つて来ております。「これが実施は昭和二十七年一月一日まで延期せられることになつたのであるが、此の期間において改めて愼重検討を加えること。」こうなつております。  それでは次に移ります。二十五條。
  52. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第二十五條は「質問検査権」の規定でございまして、今まで御説明申上げたのと特に変つておりません。二十六條の罪の規定も同様でございます。二十七條の「納税管理人」、並びに二十八條、二十九條、いずれも罪に関する規定で従来の規定と同様でございます。
  53. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは二十九條まで第一款は御質問ございませんか……。「第二款課税標準及び税率。」
  54. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第三十條附加価値税課税標準でございますが、これは附加価値額をどうして抑えるかということについて規定をいたしておるわけです。先ず第一項では附加価値額というのは、法人については各事業年度の附加価値額を抑えておる。個人については翌年の一月一日から十二月三十一日まで、或いは事業廃止の日までの附加価値額とする。こういうことであります。それから第二項で事業年度趣旨を謳つておるわけです。それから第三項は事業年度の観方についての技術的な規定でございます。第四項、第五項は附加価値計算の基本的な規定でございます。「法人についての附加価値額は、各事業年度の総売上金額から特定の支出金額を控除した金額とする。」又「個人についての附加価値額は、当該年度の初日の属する年の一月一日から十二月三十一日又は事業廃止の日までの総売上金額から特定の支出金額を控除した金額とする。」要するに総売上金額から特定の支出金額を控除した金額という計算を採つておる次第であります。これにつきましては、いろいろこれにもございましたように、こういういわゆる控除式ではなくて、加算式で法人なり、或いは個人なりの地代、家賃というようなものを合せて、合計をいたした加算法で行つたらどうかという御意見があるわけでございますが、政府といたしましては、シヤウプさんの勧告、並びにその後の追加などに基きまして、こういうような控除方式を採つた次第でございます。それから第六項でございますが、これは総売上金額の内容を書いてあるのでございまして、要するに第一種事業から、第三種事業までの事業に係る物品、土地、家屋、電気、ガス等の普通物品と言わないものを含む、いわゆるそういうものの売上金額、或いはサービス業につきましては、このサービスヘの対価として收入をいたします金額、及び固定資産の売却額、その他事業に附随して收入すべき金額、要するに製品等の売拂いの代金、或いはサービスの対価として入つて来る代金、及び事業の附随收入、こういうものを総売上金額と考えておるわけでございます。利子とか株式配当金、或いは地代、家賃の收入、こういうものについても、それを支拂う段階において一回づつ課するわけでございますから、更に受取つた方におきまして、これに課するということは適当ではないということもこれを除いているわけでございます。ただ括弧の中にございますように、金融業につきましては、利息の自由ということが、物の売買というようなのと相当する経済行為でございますので、そういうものにつきましては、受取る利子というものは、それを総売上金額として認めると、こういう考え方でございます。それから第七項の特定の支出金額、これは事業に直接必要な外部に支出すべき金額という考え方でございます。そのうち土地、家屋、家屋以外の減価償却が可能な固定資産、それからこの中には、いわゆる無形減価償却資産というよかなものを含むわけでございます。そういうような固定資産なり、或いは商品なり、半製品、原材料、補助材料及び消耗品の購入の代金、それが特定支出金額であります。その外の場合が、ここに一号から九号まで書いてありますような金額の合計額、これも特定の金額として附加価値額から差引くとこういう考え方でございます。この一号にございまする後段のほうの金融業につきましては、一般の場合には利子というものは考えませんけれども、金融業につきましては、特に先程申上げましたように利息の授受ということが経済行為に相当いたしまするので、これを支拂つた場合にはこれをみていく。こういうわけでございます。それから七号の中に「所得税、法人税、富裕税、市町村民税、その他政令で定めるものを除く」というのがございますが、この政令として考えておりまするのは相続税でございまするとか、或いは附加価値税といつたようなもの、罰金、過料、過怠金というような、そういうようなものはこれは附加価値の中に入れて考えるべきもの、そういうものから拂われるべきものでございまするので、これは差引く中には入れて計算しないということでございます。それから第九号の更に「これらに類するもので政令で定めるもの」とございますが、これは損害保險金でございまするとか、新聞業や、無線通信放送事業が支拂う報道材料入手の対価放送材料の、対価というようなものでございます。そういうようなものを特定の支出金額として考えるということでございます。第八号の規定はこれらの附加価値税のかかりまする業態をやつておりますものの中で、民法第三十四條のいわゆる公益法人、或いは学校教育法によりまする学校法人でありますとか、その他政令で定める法人が社会事業その他の公益事業に支出しました場合におきましては、これを特定の支出金額に入れて、それだけ附加価値額を差引てみるということにいたしたのでございまして、これは先程申上げましたように、そういう社会事業その他の公益事業に支出した場合にまで、これを附加価値として税を徴るというのは適当でない、かように考えた次第でございます。ここで政令で定める法人として考えておりまするのは、これも要綱に差上げてございますように、宗教法人でございまするとか、或いは各種の協同組合、或いは弁護士会、労働組合、或いは公務員関係の職員組合、それから農業の共済組合、或いは国家公務員の共済組合といつたようなものを考えておる次第でございます。  それから第九号は農業協同組合、その他政令で定める特別法人事業の分量に応じまして、分配する金額、これもやはり協同組合等の性格から申しまして、それを差引くことが適当であろうと考えておるわけでありまして、ここで考えておりまするのは、森林組合でありまするとか、漁業会とか、蚕糸業会、或いは農林中金、商工組合の中央金庫というようなものを、考えておる次第でございます。大体以上申しましたような原則に従いまして附加価値の算定をいたすわけでございます。  第三十一條はその算定に対する一つ特例でございまして、「個人にあつては前五年以内、法人にあつては各事業年度の開始の日前五年以内に開始した事業年度において前條の規定によつて総売上金額から控除すべき特定の支出金額が総売上金額をこえた場合においては、」即ち、いわゆる赤字附加価値といわれておるわけであります。その特定支出金額が多くて、売上金額が少いという場合におきましては、附加価値がマイナスになつて来るわけであります。そのマイナスになりました附加価値というのは五ヶ年間逐次繰越して行つてこれを見て行く、こういうことであります。前年度において算入されなかつたマイナスの附加価値は、その翌年におきまして附加価値が決まるから、差引いて行くわけであります。固定資産を新たに購入いたしたような場合におきましては、こういうような規定の適用を受ける場合があるわけでございます。五年というふうに切りましたのは、大体法人税につきましてもこういうような原則をとつておりますので、そういうのによつた次第であります。又五年以上になりますと、判明しないようなことにもなりますので、このようにいたした次第であります。  第三十二條は税率でございまして、これは第一種事業については、百分の四、第二種及び第三種につきましては、百分の三ということであります。これは標準税率でございまして、制限税率といたしましては’百分の八或いは百分の六ということを規定いたしておるわけであります。  尚標準税率と違う税率課税をしようという場合におきましては、予め地方財政委員会に届出るようになつておりまして、事業負担につきましての均衡をできるだけ確保したい、これは一面地方団体財政の自主性ということも考えなければなりませんので、予め地方財政委員会に届出るというような程度にいたしまして、許可制というような形はとらなかつた次第であります。  税率につきましては、同一年度におきまして、別個の税率をとりますのは、適当でございませんので、これを同一税率にせよということを特に書いた次第でございます。  それから第三十三條でございますが、これは法人は各事業年度の附加価値について課税いたしますので、どの年の税率をとるかということは、稍明瞭を欠きますので、事業年度の終了の日に属する年度税率によるのだということを念のために書いたわけであります。  第三十四條は免税点の規定でございますが、これは附加価値額は法人につきましては、事業年度で参つておりますし、個人は暦年でございますので、要するに附加価値額を暦年に直しまして、十二月分として、計算して九万円に満たないものにつきましては、これは零細なるものとして附加価値税をかけないということでございます。事業税の免税点と、取引高税の免税点とを考慮した考え方でございます。
  55. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上につきまして御質疑を願います。
  56. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 附加価値税については、前国会以来非常な論議の中心になつたのですが、政府はこれは事業税と比較して非常によい税だというように言われておつて、この間、先週のラジオ討論会で増田建設大臣は、政府側から出ておつたと思いますが、よい税だと言つてつた。これに対応して社会党の水谷さんと思いますが、これは世間では不可解脱だと言つている、というようなことを放送で聞いておつたのでありますが、政府は、これまで非常に優秀な税であると言われたけれども、特異な点として人件費に課税するのではないというけれども、やはり人件費に相当する、広い意味の給與額が附加価値税課税の対象になるという、これは極めて特殊な点なのでございますが、そういうことが例えば給與額等に附加価値税を課けるということは、こういうことはよいとお考えになるのか。その点大臣がおられるから大臣から……。
  57. 小野哲

    政府委員小野哲君) お答えいたします……。
  58. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 大臣に……。
  59. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。人件費にかかつて来るだろうという想像もつきますけれども、それはやはり事業……。
  60. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 想像でない、かかる……。
  61. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) かかるかも知れませんが、私は附加価値税全体の方針からいえば、やはり人件費をそれだけ出すのはそれだけの取引をしておるというように感ぜられますから、附加価値税をおいたという原則からいえば、やはり止むを得ないと思います。ただそれが大衆に非常な影響を及ぼすという御見解がしばしばあつたのでございますけれども、今後はその点につきましては、各経営者側並びにその事業の自体におきまして、経営の合理化なんかをして、人件費の方にはあまり影響を及ぼさない、即ち勤労者に影響を及ぼさんというような情勢になつて行くだろうと政府の方では考えております。
  62. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その点は今大臣の答弁は極めて不明確なんですが、想像であるとか、そういう極めてのんびりしたことを考えておるようでありますが、そういうふうなことでなく、こういうふうな税であるから、参議院において否決して、結局廃案になつたのであつて、もう少し大臣あたりにおいては、そういう論議の点は、今の答弁のように軽く考えないで、もう少し国民の輿論なのですから、もつと真剣な意見を伺いたいと思います。そういうような行き当りばつたり的なことでは、よく御研究しておられないのではないかという感が深いのでありますが、あれ程論議されて、否決されたんですから、これはもつと真劍に考えて頂いて、政府側において考慮さるべき問題であると考えるのですが、どうも一体大臣がおつても政務次官が答えようとするし、そういうふうな不見識なことでは私はいかんと思う。誠に政府の誠意が認められない。大臣が出席していて、この附加価値税の、今質問の範囲になつているところは、一番この税目の要点です。大臣がそこにぼんやりしておつて、政務次官が答えるというがごときは、議員を侮辱するものである。こういうふうな点は大臣みずからしつかり答弁して貰いたいと思う。
  63. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 私も、西郷さんのお説至極御尤もで、この前から非常な論議のあつた点だと、こう考えております。研究と申しますか、事情を取調べたりして、よくやつておりますが、併し参議院におきましては、やはり前国会以来引続いて研究を続けておつて、実際の仕事に当つてつた政務次官がお答え申上げる方が、御納得の行く御説明ができると思いますので、政務次官にお願いいたします。
  64. 小野哲

    政府委員小野哲君) 附加価値税の問題につきましては、いろいろ議論があることは、西郷さんの御指摘の通り、且つ我々も承知しておるわけであります。ただ税の本質が、いわゆる事業税等とは、内容的に変つておることも私がくどくど申上げるまでもないと思います。これらの事業税におけるいろんな欠陷等につきまして是正して参りたいということと、累積的な課税になることを避ける意味合におきまして、取引高税の廃止になりました今日におきまして、できるだけ企業の垂直的な結合を避けて、その事業規模或いは分量に応じてそれぞれ応益的な立場において、地方団体との繋りにおいて御負担を願う、こういう新らしい考え方が加味されて来たのであります。従いまして生産の面におきましては、やはり国民生産所得の上に付け加えられました価値を捕捉して、これに対して課税をする。言い換えれば附加価値が流通過程において具体化されて行くものであるという考え方から出発いたしまして、それを掴まえて行こう、そういう意味合におきまして、流通的な性格を持つておるということも前々からお話を申上げておつた次第であります。只今指摘になりました労務費の問題につきましても、やはり今申しましたような前提から考えますると、やはり附加価値を作り上げて行く重要な要素と相成つておりますので、これを除外する場合におきましては、附加価値税の本質から離れることになるわけであります。ただ問題は、その事業の性質によりまして、多数の人員を擁しておりますような場合におきましては、自然に税が多くなつて来るということになるのでありますが、従来相当規模を持つてつた法人組織による経営形態におきましては、割合に個人の企業に比較して、軽い税が課せられておつたという事実を見逃すわけに行かないと思うのでありまして、従つてこの税法案の主眼は、国民負担の均衡化並びに合理化を計つて行くという目的から考えましても、附加価値税は適当な税であるという考え方につきましては変りはないのであります。
  65. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 小野政務次官に縷々説明を伺いましたが、まあ政務次官立場から、そういうふうな御意見は私も了承しますが、そうでなく、やはり国民の輿論として附加価値税は困る。殊に経済界に活動している人が大分おられるが、そういうふうな人でも、今度出られた、そういうふうな人でもこれは非常にいい税だという人は一人もいない。悉くこれは惡い税金であると言われておるのであつて、この間の連合委員会でも御発言されたと思うのですが、そういうふうな実際に仕事をやつておる人の立場というものは、極めて重要なものであつて、そういうふうな人が悉く反対しておる税金なのですが、それをやはり政府はそういうことでなく、もう出したら引つ込めないというふうな立場を固執しておられると、或いは今回の議会においても、この税法案は否決されるかも知れない、そういうふうな傾向が極めて強いのであります。然るにやはり依然として自分の考えは変えない。参議院においてこれが否決されたということは、国民の輿論であつて、衆議院が通つたのは與党の絶対多数で無理矢理通したので、あれは輿論を代表したと言えないのです。参議院の方が輿論を代表している。天降り的の輿論を作り上げるというそういうふうな考では困る。一度出したものは再び押し通すのだということでは、今回の参議院でも否決される可能性は十分ある。そういうことをもう少し考えておられるならば、もう少しこういうふうな問題を真劍に考えて貰いたい。依然として前国会と同じような意見を今国会においても述べておられるのはどうかと思う。そういうふうなことでは私は誠に遺憾に思うのですが、小野政務次官の御答弁は、やはり政務次官立場から、これを反対されるわけに行きませんが、もう少しそういうところに、前回のあの吉田内閣の否決されたその醜態さもあるんですから、国務大臣あたりにおいては、もう少しその点を真劍に考えて、何らか将来こういうふうにしたいとか、あういうふうにしたいとかという具体的なお考えを我々は伺いたいのであつて、どうも前回と同様に、まだよく分らんから政務次官に答えさせるというふうなことでは、国民が納得しないのではないかと思う。そういう点は、どうですか。
  66. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。この地方税法案全体といたしましても、いろいろと輿論なり、皆様方の御異論のあるところでございますが、地方税体系一連といたしますと、こういう結論にならざるを得ないというように政府考えて、引続きこれを提案した次第であります。併し只今まで度々私からも、又政務次官からも御説明申上げましたように、この地方税法案は、全体として絶対にこのまま永久に押し通して行こうというような考えではないのでありまして、これを実施に移しまして、そうしていろいろ実際上において、社会的並びに経済的に惡影響を及ぼすとか何とかいうような場合が出て来ますれば、いつでもこれを修正して行きたいと、こういうふうな考えでありますので、その点御了承願いたいと思います。
  67. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の国務大臣のお考えなのですが、これは今度の衆議院修正で二ヶ年延期になつてますから、一年何ヶ月という研究期間があります。又シヤウプ博士も今日ですかお見えになる予定のようですが、今の大臣のお考えシヤウプにお会いになることは、国民の意見と違うと思うのであつて、それを全体としてはいいのだと、税体系では。だからやつて見て惡いところがあり、経済に惡影響を與えれば又それは勿論変えるに吝かでないというお話ですが、それはいい案ではない。やつて見て惡かつたら直そうというのではなくて、やるときにこういうふうに反対を受けておるんですから、ここで政府は本当に根本的にこれを考え直して検討し直す用意が必要であつて、今の大臣のお考えのように、やつて見て惡かつたら直すというのは、策としてよい策ではないのであつて、二年間も延長したのですから、シヤウプも今度見えるのですから、本当に国民のこういうふうな大々的な反対を受けた点も考えられて、そうして改めるものは改めるというふうに、実施め前にすべきものであつて、いやしくも絶対多数を取つているような吉田内閣が、世間に大いに威張つているに拘わちず、惡い税であり、国民の支持を受けておらないのにそれを実施して見て、惡ければ直すというふうなことは、政府立場として又態度として感心すべき立場ではないと思う。実施する前に惡いものは直す。その惡い点は輿論に聞けば分るのであつて、再三再四いろいろなあれが出ておつて、今申上げたように一流の財界人、経済人がこれはいかんと言つているのは御承知の通り。誰もこれを褒めておりはせん。吉田内閣だけなんです、これを褒めるのは。そういうふうなことなんですから、その立場からよくお考え下さつて、やはり、輿論を代表してものごとをなさるのはよいんです。殊に税は国民が納めるのですから、納得の行く税法を布くのが然るべきであつて、やつて見て惡ければ直すというのは策として上策でない。でありまするから、私はただ大臣を攻撃するだけでなく、折角シヤウプ博士も来られるのですから、もつと国民の輿論を十分察知されてそういう気持で虚心坦懷に問題をシヤウプ博士と話されて、そうして直すべきものは今のうちに直すのがよいのではないかと私は思う。一旦出して先般否決になつたというのは、輿論というものを顧みておられないからそういうことが出るのであつて、現に参議院において否決され、今も堂々と通るかどうか分りませんよ。それは国民の輿論なんですから、政治家としても又国務大臣としても輿論に顧みるところがなかつたら、これは政治家としてもゼロだと思う。やつて見て惡かつたら直すというような姑息的なことでなく、丁度二ヶ年延期されているのですから、その間に根本的に検討し直す、この態度があつて然るべきだと私は思うのです。今の大臣の御答弁ではそうではなかつたんです。その点はどうですか。
  68. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) これは御承知でもございましようが、シヤウプ勧告というものは一連のものであつて、それを或るものは取り、成るものは捨てるということは面白くないというような勧告があるのです。それでとにかくできた法案でございます。同時に今西郷委員の御説のごとく幸か不幸か、政府の初めの意思が通りませんでニヶ年間延期されることになりましたから、その間十分検討の時間もございますからして、又輿論というものを尊重いたしまして、我々はできる限りその輿論を入れまして、そうして本当にこれが実施されるまでには相当修正考えるという考えでおります。その点どうぞ御了承を願いたいと思います。
  69. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 岡野国務大臣に私は自分の意見を申上げたいのですが、例えば吉田内閣は岡野さん御承知の通り、いろいろの審議会を作つて審議会を作ることは好きですが、この前多少整理もしたようですが、折角岡野さんが、金融界に重きをなしておられた方が国務大臣におられるのですから、この附加価値税について審議会でも設けて、一流の人を網羅して研究されたら私は非常によい結果が出ると思うのです。こういうことは吉田内閣だから私はただ反対するというのではなく、国民のためにこれくらいの考慮を拂つて貰うことはよいことだと思う。是非一流の方を網羅して、そうして実際に仕事をやつておられる立場の人の意見を聞かれたら、岡野さんも非常に参考になると思うので、そういうことはよいと思いますが、そういうことも是非考慮して頂きたいと思うのです。
  70. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。只今西郷委員の御指導は至極御尤もでございまして、我々もそういうふうに進んで行きたいと存じます。
  71. 相馬助治

    ○相馬助治君 大臣には後で総括的な問題として附加価値税の二年延期の問題を聽く考えでおりますが、今西郷委員の質問の問題で、揚足をとるようですが、特に小野政務次官に一応予備的に聽いて置きたいことがあります。この附加価値税みたいに評判の惡い税金はないのです。労働者もこんなものは嫌だと言うし、資本家でもこんなものは嫌だと言う。こういうあつちの端からこつちの端まで嫌だというようなものは、なかなか類例のない珍しい惡いものだと考えます。併しこの地方税法案という大きな体系の上から、止むを得ずこの附加価値税というものが置かれているのである。私はこういうふうに一応同情的に了解していたところが、今小野さんは、これはいい法律である、附加価値税というのはいい税金なのだ、こういうふうにおつしやつております。そこで私は参考にお聽きして置きたいのです。附加価値税がよい税金ならば、先の参議院において廃案となつたからして止むを得ず政府は便宜上の措置として事業税をもつて今年だけは代えて、来年からは全体系をもつた地方税法案を押し通して行こう、こういうふうに言われておると思うのです。ところがこの間衆議院で二年間これを延期するという類例のない……、判断に苦しむ修正案を通しております。そこで私が小野さんに聽きたいことは、附加価値税がよい税だとおつしやつております一方において、参議院においてもあの衆議院から廻された法律で二ヶ年間この税金をとることを延期するという法律案が出ました、そのときには国民の代表として、国会議員として、而も是々非々をもつて主張されるところの緑風会の参議院議員小野として、この二年延期には賛成されますか、されませんか。余計なことを聽くようですが、後の質問の都合があるので、しかとこの際承つて置きたい。
  72. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今相馬さんから私の個人的な見解をお求めになりまして、答弁をいたさなければならんことは甚だ恐縮に存じますが、それはれ後から申上げたいと思いますが、先ず第一に、附加価値税が非常に反対意見が多い、資本家をはじめ労働者に至るまで全面的に反対である、こういう御所見のように承つたのでございますが、この委員会において鈴木委員から、北海道においていろいろ御調査になりました御報告を承つてみますると、中小企業者においては附加価値税に対していろいろと更に検討を加えているという、この問題についての御意見を拜聽いたしたのでありますが、私共の感じといたしましては、少くとも私の感じといたしましては、賛否両論があるように考えられるのでございます。併しこれは見方の相違或いは私の聽き方が聞違いかも知れませんけれども、そういうふうに実は承つておるのであります。ただ政府といたしまして、シヤウプ税制報告書勧告を全面的に尊重いたしまして地方税体系を編み出して行きます場合におきましては、それの関連として附加価値税の問題を取上げるということに相成つたことは御了承が願えるのではないかと思うのであります。その場合に政府が訂正いたしまして一年間実施を延期したということは、この理由についても縷々お話を申上げておりますので、改めて付加える必要はないかと思いますが、今回衆議院におきまして更に一ヶ年、税の実施を延期するという御決定があつたのでありまするが、政府としましては、衆議院の院議に基きましてこれを尊重して、執行機関たる責を果さなければならないと、かように思うのであります。最後に私の個人的な見解のお話でございまするが、私自身といたしましては、この附加価値税の本質論から考えまして、勿論国税、地方税を通じまして税の軽減が行われるということは、数字上又実際上これを認め得ると考えております。ただ問題はいろいろ御意見がある最中において二ヶ年間の延期をいたすということは、必ずしも法律建前から申しますと決して不合理ではないので、他の法律の実例から徴しましてもかようなことはあり得ると思うのであります。例えば国家公務員法を御覽下さいますると、やはりこの実施期日は逐次これを行うことになつておりまして、二ヶ年間で以て実施が完成を見ておるという例があるのであります。又教育委員会法を御覽になりましても、最初に道府県において教育委員会を設置いたしまして、その後更に市町村においても教育委員会を設置するという法律規定の下に、これを逐次行わんとしておるような例もあるようなわけでありまして、法律の作り方といたしましては、必ずしも妥当でないということにはならないかと思います。で、特に賛否両論が輿論の中にあることを看取いたしますると、これが実施につきましては愼重考慮を必要とすることは、小野個人としても考えている次第でありまして、たまたま政府においても一ヶ年実施を延期するという意図を持つておりましたし、又二ヶ年延期の御決定もあつたわけでございますので、先程大臣からもお話がございましたように、この間において愼重内容等についても検討を加え、入れるべきものはできるだけ取入れて、附加価値税が実施される曉におきましては、皆様方から十分に御支持が願えるようなものにして行くことも政府としての勤めではないか。又小野自身の勤めではないか。かように考えておるような次第で、大臣からも御答弁がございました御意見と私も同じような、小野個人としても気持を持つておる。さような立場においてこの地方税法につきましても、私は自分自身も検討を加えて参つておると、いうことを申添えて置きたいと思うのであります。
  73. 相馬助治

    ○相馬助治君 私が小野次官に聽きたかつたことは、最後の一言なんです。二ヶ年の中に附加価値税内容についても十分検討して万遺漏なきを期したいと、こういうふうに今おつしやつております。そんならよろしいのです。即ち附加価値税に加えられておる世論というものを政府は率直にこれを採り入れて考究する用意を持つておる。こう言うのならばよろしいのです。そんならば最初からこれは私は議論をやる必要はなかつたのですが、これがよい税金だ、こうおつしやいましたから、私は一言後の都合があるから、よくないですからそういうことを言うて置きたかつたのです。それから、法律の作り方からしてこれは差支ないであろうと今次官がおつしやつておりますけれども、私はこれに異論があるのです。これが後で大臣に私は聽きたいのですが、小野さんにもここで聽いて置きます。二ヶ年延期して置くということが差支ない。その事例として国家公務員法にもそういうのがあるし、教育委員会法案にもそういうのがある。こういうことをおつしやつておるが、それは甚だ以て聽き取り難い。(「その通り」と呼ぶ者あり)なぜかと申しますと、国家公務員法というものが布かれ、或いは教育委員会法案というものが現実の日本の上に施行せられるには、諸般の客観的、主観的條件が十分でないからして、逐次これを現実に見合わせて行なつて行くというのがあの法案の精神である。こつちは税金の法律なんだ。即ち教育委員会法ならば、市町村の教育委員会というものは昭和二十七年の十一月一日までに作ればよろしい。その間はブランクではないのです。その間はちやんと県の教育委員会というものが主管して、万遺漏なきを期しておる。資金の問題において然り、財政の問題において然り、教育の万般の監督において然り、何ら遺漏ない。従つてこれは二年延びようが、三年延びようが、都合によるというと二十七年十一月一日というものは、再び国会においてこれを議論に供されるならば、あと三年なり、五年なり延びるかも知れない。ところがこれは税金を取る法律なんです。これはもう丸つきり違う。そういう丸つきり本質的に違う例を持つて来て、そうして我々を納得せしめるというても、かく申す相馬はそれ程馬鹿でない。従つて私はこれを、それならばここで小野さんにはつきり聞いておきたいことは、自動車の部品の歯車が一つ今使いようがない。そこで止むを得ず金属性の歯車の中に木で作つた歯車を一つ入れるというのがこの事業税を差当り一年間は取る外ないという、こういう現実なのです。その場合に問題は二つある。後で入れた木の歯車の方が工合がいいから、外の歯車を皆木にしてしまえという議論が一つある。もう一つは暫定的に木の歯車を入れてあるのですが、これは早い機会に金属に直さなくちやならないという問題がある。恐らく政府の立案者は、而も自由党は、木の歯車なんか入れておくべきではない、全地方税の体系からつは、これはやはり附加価値税そのものに問題はあるが、附加価値税を飽くまで取りたいというのが、私は政府並びに今の與党が自信を以て、このいろいろ批評の中にも附加価値税というものを強引に押し通している理由であると、極めて私は自由党に同情的にものを見て来ております。そうしますというと教育委員会法なんかもあるのであるから、法律的にも差支えない、従つて二年延ばすことは差支えないと次官が言うがごときことは、甚だ以て私はおかしなことたと思う。でどこまでも二年延ばすというようなことは半ぱなのであるから、全く遺憾なのである、こういう答弁があつて然るべきだと思うのですけれども、敢えて法理論の上からもう一度一つお尋ねしたい。
  74. 小野哲

    政府委員小野哲君) 或いは私の言葉の表現がまずかつたのではないかと思うのでありますが、しつこいようですが、もう一度繰返して私の真意を申述べたいと思います。外にもこういうふうな例があるということを申上げたのでありまして、二年延ばすという事態が適当であるか、不適当であるかは御判断に任せなきやならんと思いますが、たまたま他の立法の例としてこういうものがあるという、極めて單純な意味でおつ答えを申上げておるのでありますので、この点は御了承を願つておきたいと思います。  尚例を取つてお話になりました金属の歯車に替えるに木製の歯車を以てする。これは丁度附加価値税の実施延期の間を、木製の歯車である事業税、及び特別所得税を以て代行する、こういう御意見に例えとしては当嵌まるのではないかと思うのでありますが、将来金属の歯車に持つて行くか、或いは木製の歯車でも金属の歯車と同様、或る程度の力が発揮できるか度どうかということは、二ヶ年延期の間に政府自身も検討を加えなければなりませんし、又国会におきましても十分に御論議をされる機会もありますので、この辺のところは單に改心のみがこの問題を取扱うというばかりでなく、国会におかれましても十分に御調査を願い、又御論議を願うことによりまして歯車をどんなふうにして替えたらよいかという結論が出て来るのではないか、かように考えておるような次第でございます。
  75. 相馬助治

    ○相馬助治君 分りました。
  76. 中田吉雄

    中田吉雄君 今の附加価値税事業税とが、施行期日は違うのですが、同時に出山ているわけなんですが、これは国民の代表である第七国会の議決に鑑みまして、むしろ附加価値税を除きまして、この事業税だけ上程した方が、もつと国会を尊重するようになつたのではないかと思うわけでありますが、そういうことができなかつたのはどういう経緯からなんですか。それから国務大臣は体系を紊すからといわれたのですが、附加価値税事業税に変えたことによつて起るような弊害を少しでも是正するような措置としてこの事業税は出て来ておる。そうなりますと完全に体形は崩れておるのです。そうしますというと、事業税だけ出して、もつと確信がついてから改めて事業税附加価値税に変えるなら変える、こういうふうな提案の仕方と、今川町に出して施行期日だけ違えるというのと、そうせざるを得ないという経緯は一体どうなんですか。総司令部がどうしても許さなかつたというのですか。
  77. 小野哲

    政府委員小野哲君) お答えを申上げます。この税法案建前政府原案からつ御覽下さいますれば御了承ができるのではないかと思いますが、同時に政府としましては、シヤウプ税制報告書趣旨を全面的に尊重する建前を以て、立案に当つてつたのでございまして、ただその時間的のずれ等から実施の時期を変更することが妥当である。又納税者の立場考えましてもさようにすることが適当であるという考え方から実施をと延期するという考え方を以て参つたのでありまして、この税法案の全体的な建前を尊重いたしますと、附加価値税をこの際実施を延期するという限度において御審議を賜わりたいという趣旨から提案を申上げたような次第でございます。この点につきまして政府の意のあるところを御了承願いたいと思うのであります。  尚第二点として事業税及び特別所得税をこの際存置することは税体系の上からいつて適当ではないではないかという御所見のように承つたのでありまするが、事業税附加価値税との本質論から考えまして、非常に異なつた性格のものであることは、課税標準の点から申しまして御理解が頂けると思うのでありますが、併しながらこの際昭和二十五年度地方財政計画を計画的に運営し、又予定税收額を千九百億程度の見積を以ておりまする限度において、これを実施いたして行きますためには、事業税及び特別所得税を存続することによつて、ただその場合に税率関係であるとか、或いは予定税收額を附加価値税並に考えるとか、或いは附加価値税において予定しておりました非課税の問題を織込むというふうな諸点につきまして、政府としては與う限りの考慮を拂つたような次第であります。御指摘のように本質の異なる税でございますので、必ずしも御満足の行くようにこれを切換えるということは他に上策を発見することが困難と存じましたので、止むを得ざるに出でた措置と御了承を願いたいのであります。
  78. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体お話の点はよく分つたのですが、そういうふうに税の体系を紊さん、勧告趣旨を尊重されるという点でありましたら、やはり附加価値税を延期して事業税を行うという際には、相当事業税の持つ欠点を是正されたような措置を採つておらなければ、本当の意味の体系が活かされて行かないと思うのであります。附加価値税についてはいろいろ異論がありますが、併し長所がないというわけでもないわけであります。先にも小野次官が申上げられましたように、これまでの事業税が不当に、個人と弱小企業に重かつたという点を、やや是正する点は附加価値税の持つ非常な長所だと思うのであります。そういう点が免税点が相当高まるとか、いろいろな手段によつてこの事業税が是正されて初めてこの諸般の事情附加価値税は延期せざるを得ないが、十分事業税においてその勧告趣旨が活かされて行くといい得るであろうと思うのでありまして、その点は少し我々としてはまあ事業税のところの審議の際に譲りたいと思うのですが、十分活かされていないと思うのです。  それからお尋ねしますが、附加価値の把握の方法について二つの方法が学界からいろいろ論議されておるようですが、その二つの方法の最も著名な長短について政府委員の方から一つ
  79. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 一つは加算方式であります。加算方式によります場合には、分配国民所得としてこれを合算して行くというふうな方法を用いるわけでございまして、利潤に加えること支拂利子、支拂地代、支拂家賃、それから減価償却額を控除して行くというようなことになるだろうと思います。利潤を計算いたします場会員に、減価償却額を控除いたしておりませんから、最早その産業は入れないということになるだろうと思います。業界で希望いたしておりますのは、こういう計算をすれば非常に簡單だ、といいますのは利潤というものはすでに国税の面において把握されておるわけでありますから、正確な計算が認定されておる、こういうふうな考え方でありまして、府県税が附加価値税を取ります場合に、すでに国税で認定したのだから、それをそのまま取るとすればそれは簡單であるかも知れません。併しながら府県といたしましても、事業界において税負担が公平であるように責任を私は持たなければならんだろうと思うのであります。府県自身が責任を持なければならないといたしますれば、国が映る事業についてそれだけの利潤だと認定したのだから、それで宜しいのだということにはならないだろうと思うのでありまして、そういたしますとやはり税務署におきましてもいろいろな問題がございますので、府県自身がこの利潤に更に計算が誤まりがないかどうかいろいろ調べて参るということにいたしますと、一つの利潤につきまして国と府県と両方からいろいろと調べて来なければならんということになります。そういたしますと業界の方では簡單であろうと思われておるようなものを、府県が無責任な態度を取りますと、非常に両方からやられるということになりまして、却つて煩わしくなつてつてしまうのではないかと思うのであります。著し仮に国税で決定したものをそのまま取らなければならんということになりましたら、国の情勢によつて転々として行く。この府県自身が責任を持たないので、自然府県と納税義務者関係において、十分府県のやり方を批判しながらやつて行くという、自治の基本観念というものがなくなつてしまうということを心配するわけであります。第二点といたしましては、こういう加算方式を採りますと個々の問題につきまして、例えば利潤の計算において棚卸資産の勘定をしなければなりません。或いは又経費の面において減価償却額の計算をいたさなければなりません。こういうふうな棚卸資産の勘定でありますとか、或いは減価償却額の計算でありますとかいうふうなものは非常に複雑なものでございます。こういうふうな複雑な計算をするよりは、総売上金額から特定の支出金額を控除しで行く方が遥かに簡單ではなかろうかというふうな考え方があるわけであります。  第三点としては我が国の諸般の設備につきましては、成るたけこれを高度化して行きたい、機械化して行きたい、こういうふうな考え方が持たれておりました際には、機械設備等を購入いたしました際に、それをそのまま控除する反面において、そういうふうな施設の機械化というものを促進するような面を税制において考えて行くというふうなことにもなるわけでございまして、そういう意味合においてやはり加算方式よりは、総売上金額から特定の支出金額を控除する方式の方がいいのではないかというふうな考え方をいたしておるわけであります。そういうふうなことをいろいろ総合して考えまして政府原案になる、こういうふうな加算方式を考えておるわけであります。
  80. 石川清一

    ○石川清一君 もう一点お伺いしておきたいのですが、三十四條の免税点の問題でありますが、前の国会におきまして討論のときに、私達は免税点の九万円を二十四万円に引上るべきであるということを主張いたしたのでありますが、九万円という免税点をお決めになりましたところの算定の基礎は何処にあるのかということを大臣から少し御説明を願いたいと思うのであります。大体考えて見まするに、九万円というのは現在の物価が戰前物価に比較いたしますると、正確な物価指数を今ここに持つておりませんが、大体において常識的に先ず二百倍になつておると考えられておるかと思うのであります。それを還元いたしますというと、九万円という附加価値額は大体において年に四百五十円に該当するのではないかと思う。月割にいたしますとこれは四十円に満たない三十円何がしという金になるのでありますが、その附加価値税は結局営業税、或いは営業收益税又は事業税の名の変つたものでありますから、当然に所得税との二重課税になるということはどうしても考えられることなんでありますが、月に三十円台の営業收益でございます。第一種事業につきまして申しますならば、一審初めに挙げられておりますところの物品販売業、極めて零細なところの小売り商人のようなものが想定されると思うのでありますが、そういう零細な小売り商人であつて、月僅かに三十何円の営業收益しか上げていないところのものに対して、標準税率におきまして百分の四、又多いときには百分の八までもかけることができるというようなことは、これは非常な私は弱い者いじめではないかと思うのであります。そういう点からこれを我々は二十四万円にまで上げるべきである。勿論我々はその当時も申したのでありますが、この附加価値税というところのものは理論的にも非常に疑義があつて、学者が孜々に教えて呉れたところによると、世界においては類例がない、アメリカのアダムスとかいう財政学者が学説として唱え出したというので何処でも実行されていないというもので、試験的に日本に実行されることになつたので、理論的にも非常に疑義がある。だからこういう税金は撤回して欲しいということを主張したのであります。従つで事実上止むを得ないという場合には、いろいろな修正案を主張したのでありますが、その中の一つとして止むを得ざる場合において実施される修正意見一つとして、今いうように九万円という免税点を二十四万円にまで上げてくれと、こう言つたのであります。で今申しますようなわけで戰前物価の月三十何円の営業收益の小売商人にかけられて来るわけであります。大体におきまして安本から二十四年度の経済状況について出していらつしやいます第一次経済白書によりますというと、国民の実質所得というものは九割五分、歴年度昭和九年乃至十一年、即ち大体において日支事変の前であります。日支事変の直前に比べて九割五分まで日本の経済は回復しておるというけれども、人口が増加しておるからこれを実質家計費、生活水準について比較すると、大体において日支事変直前の日本の国民の生活水準の七割にまで回復しておるということを政府から発表されておられるのであります。でありますから私が今申しますように、戰前と申しましても、この安本が指摘しておりますような、日支事変直前の物価と対応いたしまして、三十円台、四十円未満の金と申上げることも不当でないと考えておるのでありますが、そういう基礎の上に立ちまして申上げておる次第であります。で私が申上げましたこと、大体結論的には九万円という免税点算定の基礎について、岡野大臣から直接に御答弁が願いたい。
  81. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 吉川委員の御質問にお答え申上げます。この前の国会でもやはり二十四万円に直したらどうかという御希望がありまして、その点についていろいろ研究をしたのでございますが、やはり九万円にすることになつたのでありますが、その落着きました経緯については事務官をして申上げさせます。
  82. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 附加価値税の税收をどう考えるかということが一つの問題でございます。一応附加価値税というものは、消費者に負担が転嫁されて行くというようなことを考えておるのであります。原則的にそうだといたしましたら、なるたけ一律に附加価値税というものは事業を行なつておる以上は、負担してもらつた方が公平に行くのではないか、こういうふうな考え方を持つておるわけであります。併しながら吉川さんのお話になりましたような点もございますので、そういうことを勘案いたしまして免税点をやや高めに考えて行きたいということで十万円という額を決定したのでありまして、御承知のように昨年まで行われておりました取引高税におきましては、いろいろと論議の末段々と免税点が高められまして、最後にたしか年額十二万円に引上げられたと思つております。これは附加価値額が九万円でございましたので、附加価値税率を何パーセントと見るか業種によつて非常に違います。物品販売業などでございましたら、総売上価額の一〇%ぐらいまでが附加価値額ではないかと思つております。非常に附加価値額の高い製造工業におきましても、まず三〇%ぐらいじやないかと思います。そのために、附加価値率が三〇%である、総売上金額の三〇%が附加価値額だといたしますと、この九万円を三〇%で割ればいいわけであります。そうしますと総売上額が三十万円というわけであります。現に物品販売業のような場合においては、一〇%といたしますれば、年額九十万円の総売上額ということになるわけであります。いろいろ考え合わせまして、まずこの程度のところが妥当ではないかという結論を持つたわけであります。
  83. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 一応数字的なことは御説明がありましたので伺つておきますが、非常に不満でありますが、更に岡野国務大臣に、もう少し政治的な考えのことについてこれに関連してこの際お伺いしたいと思いますが、附加価値税を含めたところの地方税法案が先の国会において何故否決されたかということを太い線から私は考えて見ますというと、第一にはこの租税攻勢と申しますか、納税攻勢と申しますか、税金が重くて今日国民が苦しんでおりますことというのは大変なものであると思うのであります。現に私の身辺において実際この税金が納められないので死んだ人があります。また自殺した人もあります。また現に私の郷士の人でありますが近づきの者で共産党に入党している。共産党に入党するようなたちの人間ではないのであります。聞いて見ますと共産党なんかどうでもいいけれども、共産党はとに免税金を安くすることに努力してくれるからと言つて共産党に入党して党費を納めているというのでありますが、これはたまたま私の身辺でありますが、そういう例は全国を通じて非常にあるということをば政治家として大臣はよく記憶して、そういう事情を知つておいて頂きたいと思うのであります。そういう税金が重くて苦しんでおるということに対して、民衆の非常な反抗の声があるということであります。理屈から考えまするならば、税金が重くて困つているということと、この地方税法案がいいか惡いかということは関連性があるけれども、別個のことであるという理屈も成立ちますけれども、併しそうした国民の動かすべからざる苦悩というものが生々しく国会に反映して国会をしてああいう行動をとらしめたものであるという大きな厳粛なる事実について、吉田首相初め内閣閣僚というものは深くそれに対する心からの同感の意を先ず持つて頂きたいということをお願いしたいのであります。それが一つの大きな原因になつておるのであります。  それから第二は、あの修正が許されなかつたということを初めて大胆に新聞があのとき報道したのでありまするから、その他の議案につきましても、そうしたことは今までたびたびあつたのでありまするけれども、初めてそれを国民大衆が知つたということに対する一つのその驚きといいますか、そういう驚きが国会に反映したということが私は第二の理由であると考えるのであります。  又、もう一つは主として産業資本家側からの経済的な立場からする熱心なところの反抗があつたということもまあ考えられると思うのであります。でそうしたいろいろな数えられるところの理由の中で以て、第一に挙げましたところの、納税のために非常に国民が苦しんでおるということは、これは深く考えて頂きたいと思うのでありまして、そういう点を十分考慮せられまして、私達が主張いたしておりまする……、この法案には全面的に反対でありまするが、止むを得ない場合においては、免税点をもつと非常に高く上げるという主張に対しては、深く考慮せられたいということをこの機会に申しておく次第であります。
  84. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 吉川委員の御質問に御答弁申上げます。税金が重くつて国民が非常に苦しんでおる、こういうことは私個人といたしましても、又民間におりましたときのいろいろな情報から聞きましてもその通りでございまして、只今日本国民は税金のために只今おつしやつたように、或いは首を吊るとか、一家心中をするということがあちらこちらから耳に聞えまして、そのたびごとに我々は非常に胸を痛めておる次第でございます。ただ何と申しましても敗戰国でございまして、而も非常な戰災を蒙りました土地、而も合はその後どんどん増して参りまして、生活に困難であるということも実情でございまして、併しそれだからといつて我々は今後日本をありし日の繁栄に戻すためには、やはり国民一致協力して、一生懸命努力しなければならんということも又一面考えられることと存じます。で税金の重いということによつて、いろいろの社会苦が現実に現われて来ておるということは、もう古川さんのおつしやる通り私も認めます。併しなこらこの敗戰の日本を建直して行くというのは、やはり協同一致して経済なり、国家並びに地方公共団体財政なりを堅実にして行くより外に手がないのでございまして、これは少し御辛抱を願いまして、できるだけ早く、一つ我々は何等か税金の余り重くないようにいたしたいと思います。ただこの地方税法案につきまして、私が申上げておきたいことは、御承知の通りに幾度も申しますことでございますけれども、この内閣といたしましては……、成る程地方税は幾らか上つております。幾らかと申すと又お叱りを蒙るかも知れませんが、相当程度上つております。併し国民がその負担しまする税金と申しますものは、やはり同じ懐から出るのでございますから、国税と地方税というものを両方合せてそうして負担が軽くなつたか重くなつたかということを考えなければならんと考えまして、この点につきましては国税の点において幾分軽くなり、地方税の方において或いは相当という言葉が使えるかも知れませんが、相当つております。併しこれを打つて一丸として一つの人の懐から出る税金といたしますれば、これは安くなつているわけでございます。併しその安くなつたとか、高くなつたとかということは別問題でございまして、税金がまだ高いということだけは私認定いたします。けれども今までいつも地方自治団体というものは中央依存がひどうございまして、中央から資金の援助を得て、やつと公共団体がその財政をやりくりしておつたのでございますが、併しそういうことを続けておりましては、いつまで経つて地方自治団体というものの独立と、それから又権威がなくなつてしまいます。やはり地方自治団体を強化して行くのには、先ず第一着に地方財政というものを強化して行かなければならない。その意味におきまして、地方財政を強化する、又地方の自治体というものが自分自身の独自の働きができる。又自分が出した税金が何に使われるか分らんという中央からの税金でなくて、自分が拂つたものはどういうふうに我々の福祉、或いは政治に使われておるかということを見る点におきましても、やはり地方相当の財源を與えて、そうして地方自治の確立、又地方民が本当に政治に興味を持つて自分達で自分自身をよくして行くという方向に進ませる意味において、地方財政が少し高くなつた、高くなつたということは、地方自治体の財政力が強化された、こういうことになりますために、まあいろいろ御説もございましようが、税金が一般的にまだ高いということだけは私は率直に認めます。又いろいろ税金が納められんために苦しんでおる方に対しては非常に同情いたします。その同情される一人としては私自身も個人として苦しんでおるわけでございます。そういう意味でございますから、追々には地方団体におきましても、人件費の節約とか何とかいうことをしまして、益益この負担を軽くし、又できるならば来年度は減税もして行つて、そうして幾分でもそういうような社会苦が軽減されるという方向に努力いたして行きたいと存じております。
  85. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今岡野さんから地方税法案は、地方の自治体の自治権を拡大するために行うものである、或いは国税と照応して結局数事的に減税になるのだということは、新らしく御説明を聽くまでもなく、政府当局から今まで耳がたこになる程聽かされておることでありまして、十分私達は了解しておるのであります。併しながら国税と照応して果して国民に対して減税になるかどうかということにつきましては、私は政府当局が楽観的なのんきな観測に基いてそういうことを野放しに言つていらつしやるそのままを実は我々は受取つて納得いたしておらんのでありまして、こうした根本的な税制の改革というものは、直ちに国民生活の上においては非常なでこぼこを来して来るのでありますから、やはり非常に国民生活の負担になるということ、又この税制の建前からいたしまして、課税対象を非常に明確に把握することが困難であるというような欠点を持つ、ておりますることから、必ずしも政府が言うておるように減税になるということは、実は野放しには理解いたしておらんのであります。又その後におけるところの政府が取つていらつしやるところのディスインフレ或いはデフレ政策によつての国民の生活の窮乏、所得の減少というようなことに照応して、国民の生活がそれでは政府が数字を挙げて言うようにそれに基いてよくなるかというと、私達は決してよくなるとは考えておらんものであるということを、この機会に岡野さんに改めて私達の立場を申上げて置きたいと思うのでありますが、私が主として岡野さんから答弁を得たいと思つておりますことは、この法文の三十四條の免税点の問題が中心なのでありまして、先程申上げましたような数字に基いて職制の物価に照応するならば、月僅かに三十円台の営業收益しか挙つておらんところのそうした業者に対して、そういう所得税との二重課税になるところの附加価値税を課するということは、非常に苛酷なことではないか。政府委員からの説明によりまするというと、附加価値税は取引町税と同じような流通税と言われておりますが、取引岡税と私は勿論性質の違つたものであつて、流通税的な面が非常にあり、事業税、営業税に該当すべきものであると考えておりますが、そういう面からいたしまして私は例を挙げましたが、そういつた小商売にも値しないような月三十円ぐらいしか、この附加価値を挙げていない人々にはそれが如何に痛苦であるかということは、岡野さんもやはり減税を主張していらつしやいますけれども、これは三和銀行頭取であつたところの岡野さんの納税の痛苦と月に三十円代しか利益を上げていないところの零細な小売商人達の納税の痛苦とは、非常に内容において精神的な相違があるということを資本家政党としての、吉田内閣の閣僚諸君が深く反省せられることを改ためて申上げまして私は御答弁は要求いたしません。
  86. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこの程度にしておきまして午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十一分休憩    —————・—————     午後二時三十一分開会
  87. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き会議を開きます。地方税法案審議を続行いたします。法案関係いたしまして、一昨昨日吉川委員より御要求がございまして、国会図書館の專門調査員であられる法学博士牧野英一氏を参考人としてお出でを頂きまして、地方税法案を通じての罰則が他の法令と比較して重いか、軽いか、そういうような諸点につきまして、意見を聞きたい、こういうお話がございましたが、皆さん御賛成をなすつたのであります。今日来て頂きまして、これから右に関する御意見を拝聽したいと思います。
  88. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) 私、地方税法案の罰則を通覧いたしましたところでは、特別に気付いた点はございません。他の法規で一応心得ておるところと同じようにできておると、こう考えております。何か特別に御質問等がおありになりますれば、それについて又考えて見ましようが、一応の印象といたしましては特別なものはないように考えております。
  89. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今日牧野博士にお出でを願いました経緯につきましては委員長から先程お述べになつた通りでありますが、殊に前第七国会におきまして非常にこの罰則の問題が特にやかましく論議されたのであります。それは委員長が言われました通り、この地方税法案の中に各税目ごとに脱税、或いは滞納、或いは滞納処分に関するところの検査の拒否であるとか、或いは滞納処分にかかるところの詐欺行為るとか、或いは徴税、賦課徴收にかかるところの検査の拒否であるとか、或いは賦課徴收にかかる虚偽の申告であるとか、納税管理人にかかるところの虚偽の申告等に関する罪の犯罪処罰規定が非常に多規定されておるわけであります。で一見しましたところ、罰則規定が余りに多いということが特にそうした印象を私は與えたのではないかと思うのでありますが、当局者の言ところによりまするというと、その罰則規定内容は現行法よりもむしろ軽く規定されておるというようなことで、そうした印象を與えるのは概観的にさつき申しましたように各税日ごとにそれが規定されておるということがそういう印象を與えるのであろうというところの答弁であつたのでありますが、特に前の国会におきまして委員会で非常に論議されたものでありますから、一応專門家の意見を聞きたいというのが各委員の御意向であつたかと思うのであります。大体結論として簡單なる今牧野專門調査員からの答弁があつたのでありますが、もう少し詳しく專門家としての立場からいろいろ御論議、お話を願えれば結構じやないか、と皆さんの意思を付度いたしまして申上げます。
  90. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) 詳しく申上げる程の実は今日は用意ができておりませんのでございます。実は今日はどういうことのお尋ねを受けるか承知しませんで上がりました。前に自転車税あたりに何か不備な点があるのではないかという話を承わりまして、そのあたりを尚特に注点して参りました。結局私がこの税法の罰則について気付きました点は、今お話の通り開削の規定の形式が従来の税法と全く趣きを異にして、各税日ごとに罰則がついております。それが如何にも複雑に過ぎるような感がありまするけれども、実際に法規を適用する上からいえば、知つてこの方が実際的であろうかとも思われる次第であります。例えば内容について申しますと、例えば所得税法というようなものと比べて見ますと、多少の出入りがあるのではないかと考えましたのですが、今伺いました罰則の行き方が何と申しますか、煩わしく多いというか、嫌いがないかという意味合のお問いに対しては、十分他の法規との比較を明らかにするための用意ができておりませんのでございます。併しなから一応地方税法案としての立場においては然るべく周到ないろいろのものが規定してあるので、実際上これがこの程度が便宜なものではないかと、こう心得ておる次第であります。
  91. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は特にこの刑罰規定について質問等はいたさなかつたのでありますが、私委員会に列席いたしておりまして、私の記憶に残つておりまする各委員のお話の中から一、二を拾つて、間違つておるかも知れませんが、お尋ねいたしますると、今お話のありました各税種について重複的に同一の内容を持つたような條文をばくどくど、何度も繰返してここに集録しておる、ということは立法形式として妥当なりや否やというようなことが問題になつてつたかと思うのであります。それから尚記憶いたしておりまする他の委員の方の御質問の中には、例えば附加価値税につきまして規定されておりまする第二十六條の検査を拒否することに関する罪の規定でありますが、徴税吏がそうした検査をいたしますときにそれを拒否するということは、憲法上規定されておるところの黙否権が法律的に背定されるならば、それとの関係においてこうした処罰規定を置くということは妥当なりや否やというようなことの質問があつたと思うのであります。それに対する当事者の答弁は、私の記憶に間違いがなければ、この法案規定されておるところの検査拒否に関する罪の規定は、憲法上規定されておるところの黙否権とは内容を異にするところのものであつて、行政措置に関する検査の拒否であるから、性質の異なるものであるというような当事者側からの答弁があつたと思うのであります。外にも御質問が沢山あるようでありますが、私が質問したのでありませんが、そういうことも問題になつてつたと記憶いたしておりますので、二つだけ拔きましてお尋ねいたしますが、以上二点につきまして御答弁下されば結構に思います。
  92. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) 第一の立法の形式の点でございまするが、これはどうしても議論があろうと思います。今まではすべて共通なものは一つに取りまとめるという形式になつておりまするのに、この度この税法において全く新らしいやり方になりましたのは、実際上の便宜というものを慮つて法案趣旨であろうかと考える次第であります。それの良し惡しということになるというと、それぞれ人によつて見るところを異にするわけでありまするが、私調査をいたしておりまする立場としては、これも一つの仕方であると考えておる次第であります。第二に第二十六條のことでございまするが、この第二十六條の第一項の第三号については私まだ研究をいたしておりません。併し憲法の黙否権に衝突する範囲内においてはこの法律は効力がない、こういう意味になると考えます。
  93. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の点ですが、牧野さんの、この法案と離れてでなく、二十六條を今御覧になれば簡單なことですから、牧野さんは大家だから直ぐ分るので、二十六條の第一項の第三号に「答弁をしない者」というのがあります。こういうことは憲法に「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」というふうなこと等も兼ね合せて考えたときにどういうふうになるかということを具体的に條文について一つお話願いたいと思います。
  94. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) 今のような御質問になりますと、私案は立案者の考えもよく聞いて見ませんと、ここで急に思付きでお話を申上げるということは、少し自分ながら軽卒じやないかと思います。恐らくは憲法の黙否権と相重なり合うようなことがありはしないかと思うのでありまして、若しこれが問題になれば無論憲法上保障されておる黙否権の範囲内においてはこの規定は適用されない、こういうことになつて来ると思います。
  95. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 牧野さんにそういうことは我々が蛇足を加える必要はないと思うのですが、今の点も憲法上黙否権があつて、犯罪捜査の被疑者でも黙否権を堂々と行使しておるわけなんです。然るにこの徴税の際に徴税吏員の質問に対し、ただここに答弁をしない者と答弁をしなかつたという、だけで徴役又は罰金を食うということは、今の牧野さんの言われる憲法上の黙否権の行使というものとを考えて非常に妥当を欠くのじやないかという感が深いのです。そういう点はこの間から非常に問題になつておるのですが、それに対して今立案者の意見をということでしたから、自治庁側のそれに対する御見解をお聞きしたい。
  96. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この二十六條の「答弁をしない者又は虚偽の答弁をした者」という点でございますが、前回西郷委員の御質問がございました際にお答え申上げました点は、憲法上の黙否権は刑事被告人に対してこれが不利益な供述を強制せられないという意味であつて、ここで書いておりますのは納税上の必要なる質問に対する答弁の問題で、それとは全然別個の問題であります。そういう見地からその前の二十五條の第四項には「第一項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」という注意書きの規定を特に入れておるような次第でございまして、従つて憲法の今の規定にはこれは抵触しない行政上の問題の規定である、かように政府としては関係当局との間に打合せをいたしまして考えておる次第であります。
  97. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) 今お話の通り犯罪捜査のためにするものではないということが断わつてあるくらいでありまするから、無論憲法で認められておる黙否権の範囲内においてはこの規定は適用されないことになりましよう。けれども今のお話では憲法に黙否権を認められておる精神に鑑みて、かような行政士の事柄について罰則を設けることは果して釣合いを得ておるかどうか、こういうことであるわけですが、立案者としてはどういうことにお考えになつてつたのですか。
  98. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 憲法上の問題といたしましては、只今先生の仰せになりましたように、一応別の問題として考えておるわけでございまするが、ただ徴税の上におきまして、具体的な問題について、例えば財産が果してその所有者のものか納税義務者のものであるかというような質問をいたしました場合に、納税義務者が自分のものとも誰のものとも答えないということでは、今の徴税上の権限行使することができないことになりまするので、そういう必要な限度において、即ち犯罪捜査のためでなく、そういう納税上の必要な限度におきましては、これはやはり納税の義務という面も国民としては一応持合せておるわけでございまするから、そういう面からやはりこれは何らかの規定がないと動きがつかない、こういうような考え方をいたしておる次第でございます。
  99. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) もう一つついでに伺いますが、前の方は「質問に対し答弁をしない」という不作意の規定、後の方は「虚偽の答弁をした」ものである。この税法の外のところでは「虚の申告をした」ということと「申告をしなかつた」ということが区別してあると思いますが、ここでは不作意も作意も同じようになつておりますが、それはどういうお考えでございますか。
  100. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは故意にとかいうような言葉を用いておりませんけれども、「答弁をしない者」というのは下作意による……何といいますか、そういうような気持でしないということに積極的な意味を持たして書いたものでございます。尚この規定の仕方は大体国税につきましてすでに国会を通過いたして成立いたしておりまする法律と大体符節を合せまして規定をいたしたものでございます。
  101. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) 今の御説明によるというと、すでに国会を通過した外の法規に例があるということですが、私それまで調査をするだけの準備ができておりませんでした。これは事柄自体としては多少の釣合いの上で疑いを存しますが、外に例があることならばその例との釣合いをお考えになつて委員会においてよろしく御審査を願いたいと思います。
  102. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私のお尋ねは非常に簡單でございますが、罰則規定の中で一番問題になつているのは、自転車税の罰則が非常に重い、二百円に対して六ケ月以下の懲役或いは五千円以下の罰金こういうことでございますが、大体外の所得税その他におきましては罰金額はその必要納額の五倍ということになつておりますが、これは一千円以下の罰金というようなことがいいのじやないかと思いますが、この罰則は如何お考えになりますか。重いですか、軽いですか。
  103. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) 自転車税のことは前にも少し伺いました。成る程相当重い規定になつておりますが、これは自転車の取扱の実情を私よく存じませんので伺いたいと思いまするのは、随分場合によつては沢山の自転車を用いるところがある。百台、五十台というふうに持つのがありはしないか。そういうような場合を含めての規定であると見ればこの規定にも相当の理由があるのではないか、とごう思いました次第であります。
  104. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今牧野先生の仰せになりましたことは、立案に当りましてもそういうような百台五十台というような所有に係る場合があるというふうに考えておる次第でございます。
  105. 石川清一

    ○石川清一君 私自身も余りよくこの罰則については十分各税目ごとに調べてないのでありますが、固定資産税の場合にも同じような徴税吏員の質問検査権が両方とも設けられてあるのでありますが、固定資産税の方はそれぞれ市町村長が決定をいたしまして、縦覧期間もありますし、価格の審査委員会というものがありまして、異議の申立てをできるようになつておりまして、この間納税者の或る程度のものが認められておるのでありますが、この附加価値税の方は申告納税でありまして、この点が非常に違つておるのでありますが、この点に二つの違つたものを持つておりながら同じ條文を以てするということに対してどうかということと、固定資産税或いは市町村民税の方は奨励金という制度をとつておりまして、商業的な営業的な観点も或る程度含まれておる点もありまして、こういうようなものを併せまして明確に一つ御答弁が願いたい。
  106. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 何條かちよつと申上げて下さい。
  107. 石川清一

    ○石川清一君 三百五十二條の方の固定資産税の場合にも同じように書かれてありますし、附加価値税の場合にも大体同じように書かれてありまして、一方は徴收令状を交付する、一方は申告納税するということになつておりまして、おのずから違つておる。こういうふうに考えておりますが、その中で同じような罰則を、同じような徴税吏員等の質問或いは検査権というのが含まれてありますが、この点についてお伺いをいたします。
  108. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 三百二十五條じやないのですか。
  109. 石川清一

    ○石川清一君 三百五十三條です。
  110. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 同じ問題ですね。三百五十四條に関係して来ますね。
  111. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) これは二十六條の刑罰も三百五十四條の刑罰も同じでございます。それで辻棲は合わしているわけになりませんか。これで私はいいと思つておりましたが……。
  112. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先程の西郷君から聞かれた問題と同じ問題で、牧野先生としては同じ疑問が残る、こういうことになるのです。
  113. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 この脱税の場合のことですが、三年以下の懲役、百万円以下の罰金ということに市町村民税はなつているのであります。従来の現行法であれば、罰金は五倍というふうに決まつてつて、大体の目安がついておるのですが、余りに広範囲に亘る税金額があるにも拘わらず、それを一本の罰則で百万円以下というふうに大掴みな法律規定をするということは、形式上からいうとどれ程の罰金を科せられることがあつても、裁判官自体の決定で仕方がないというふうな結果を生むのじやないかという慮れがあるのであります。こうしたものは法律上から言つて脱税額の何倍というふうな規定か、或いは税額何円から何円までにおいては何円の罰金というふうにもう少し段階を設けて、罰則適用の範囲を狭めるということが適正でないかというふうな意見を持つのですが、この点についての御解釈をお伺いしたい。
  114. 牧野英一

    ○参考人(牧野英一君) 御質問の御趣旨は私はご尤もと存じます。税法については従来は税額何倍以下の罰金というような建前になつておるのが普通であつたかと存ずるのでありますけれども、又必ずしも、併しいろいろの情状がございまするので、脱税の額によるということもできないというのでそのような文例も考えられる次第であります。結局こういう広い範囲の刑罰が設けられておりまするということ、行刑が妥当なりや否やということで、この最高裁判所の問題にまでなり得るものがあることになるであろうと思うのでありまするが、この二つの点、即ち脱税額の何倍以下にする方が妥当であるか、或いは必ずしもそういう形式的な、客観的な事象のみ標準とするわけには行かんという見解の比較取捨については、これは私は調査員として申上げる範囲のことではないのではないかと存じます。最高政策として当委員会の御決定をお願いする次第であります。
  115. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか……。では有難うございました。  それでは地方財政委員長野村秀雄氏が見えたそうですから、四郷さんどうぞ。
  116. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 地方財政委員長に伺いたいところは、御承知の通り二十五年度災害の費用等は全額国庫負担に二十五年度限りというふうなことになるという法案がありますが、三十六年以降はどうなるかということは、地方公共団体財政負担の方にも、非常に重要なことであります。御承知のごとくすでに新聞にも二十六年度予算編成方針とかいういろいろ具体的な問題が出て来ておるのですが、そういうふうな際地方財政委員会としては、そういう問題については逸早く見解をまとめて政府の方にもそういうふうな勧告なり希望を強くお述べにならなければいかんと思うのですが、まだ政府の方の予算編成方針等は、新聞にも何回ももう前に発表されておりまするが、まだ今日国会開会中と雖も、地方財政委員会が発足しておるに拘わらず、積極的なそういうふうな意見なり行動なりが全く見えないので、甚だ本委員会としても遺憾に思つておるのです。それで実は今日この問題があつたので委員長出席を求めて、そのどういうふうなことを考えておられますか、そのはつきりした意見委員会に表明して頂きたいと思つてお出でを願つたわけです。
  117. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) お答え申上げます。昭和二十五年度における災害復旧事業国庫負担特例に関する法律を本年制定せられまして、これに基いて災害復旧事業はすべて国債において負担することに相成つておるのであります。従つて地方財政委員会におきましては、勿論二十六年度においても同様に国庫負担となるものと信じております。この法律はもとより二十五年度特例でありまするけれども、二十六年度以降については実施の結果に鑑みてこれを考慮することに相成つておりますが、まだ実際問題としては実施の結果が現われておりません。又この地方税制というものはシヤウプ博士勧告によりまして、災害復旧事業国庫全額負担と相成つてこれが制定せられたものでありまするが放に、これは或る意味から申したならば表裏一体として行われねばならんものと思つております。よつて地方財政委員会におきましては、過日新聞紙上において来年度予算編成方針中に、二十六年度以降にはこれを廃止するがごとき意向が現われておりましたために、地方財政委員会としては非常にこの問題について注意を拂いまして、政府当局に対してその事実の真相を究めましたところ、政府においては未だ決定的の事項ではない、折角考慮中であるということを聞きましたために、私共としては先程申したように、実施の結果を見て、二十六年度以降は考うべきものであるのみならず、御承知の通り地方行政調査委員会議におきましては補助金、負担金等を中心として、この地方自治団体の行政に関して早く再編成をしなければならんということを研究し、調査し、近く政府にその結論を以て勧告せられるということを聞いておりまするが故に、二十六年度においてはこの地方税制の改革と相俟つて地方自治の上には一大変革を来たすものと考えております。こういう重大な時期において、まだ実施の成績をも見ない今日において、これを廃止するとか、或いは変更するとかいうがごときことは、率直に言えば当を得ていないことではないか、とかように考えましたがために、財政委員会においてはシヤウプ博士も近く来朝せられることではあり、又地方行政調査委員会議において地方自治団体の行政に関する再編成に関する勧告も行われることであるから、こういうことを見極めた上において、適当にこの問題を処理すべきものであつて、少くとも二上六年度においては現状のままとし、二十七年度以後あらゆる問題を総合勘案して決定すべきものであるということの建前を以て政府当局に対して我々の意見を申述べておるのであります。必ずや政府当局においても我々の意のあるところを了としてかようなる方針を以て進まれるものではないかということを期待いたしておるのであります。どうか御了承願います。
  118. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今財政委員長の御意見を伺つたのですが、どうも私は納得が行かないのですが、あなたの方で地方行政調査委員会議の勧告と相俟つてとかいうお話があつたのですが、それは財政委員長権限ではない。あなたの権限ではない。人のことはどうでもいいですよ。あなたに私が伺うのは、あなたができることを伺つている。それは地方行政調査委員会議のことも勿論あるでしようが、そのことをあなたに伺つておるのではないのです。あなたに伺つておるのは、さつき質問したその国庫負担の問題をどう考えておられるかということです。それをあなたは実施した曉の影響が現われていない、影響を見ていないからと、一体それはいつ現われるつもりですか。影響が現われてから判断すると言つておられるが、いつ影響が現われると考えておられますか。
  119. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 先程申上げた地方行政調査委員会議の結論云々ということは、政府においてこの問題を処理する上において大きな問題であるから、これを十分勘案の中に加えて貰いたいということを申上げたのであります。行政委員会の問題についてかれこれ申上げたわけじやありません。この実施の結果は本年度今進行中でありますが、この進行を俟つて初めてその結果が分るものと考えております。
  120. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 財政委員長意見はまだよく職後のことを、今までの大蔵省との関係とか、そういうようなことがよく分つてないと思うんです。あなたは信ずる、意見を述べたからそうなると思う。そんなことじや予算なんかは取れやしないし、そんな弱腰じや駄目だ。御承知の通りに吉田内閣の大蔵大臣は、今までにおいて地方配付税を、これだけと決めたのにその半分に切つた実例がある。そういう人なんですから、財政委員長が懇願されたから、その通りにやつて呉れるだろうと信じておるというふうなことじやとても駄目だ。二十六年度予算編成方針を発表しましたね。それについても早くから注文つけても思う通りに行くのはなかなかむずかしい。ですからそれははつきり国会等に財政委員長としての意見を明確にして置かれる必要がある。信ずるくらいのことじや駄目だ。配付税でさえ半分に切つてしまうのですから、今度平衡交付金が一千五十億でも足りない。そうなれば地方財政全般のことを考えると、これが二十五年度限りになつておりますから、あなたはその結果をよく見極めて、シヤウプ博士が来られたら云々と言われるけれども、そんなことをやつてつたんじや間に合わない。だから財政委員会という有利な機関があるのだから、はつきりした意見を決めてそれを最後まで押付けるというような非常な努力を拂わなければ地方団体は迷惑してしまうし、何故に国費まで出して地方財政委員会を作つたのだということになつて来るから、設置した以上は、あなたがたもつと積極的に、大蔵大臣要望するばかりでなくて、岡野国務大臣もおられるから、岡野国務大臣はこの問題について重大な責任があるのですから、岡野国務大臣にも強く要望して、それを岡野国務大臣を通ずるなり、あなたが直接話すなりして、どんどん意見を強調されなければ、到底信ずるとか、結果を見てからするのだというふうなことでは、とても望めないのだから、地方公共団体財政の方に寄與することは少いのですから、今からもつと積極的にやらなければ、そういうことを強く要望されなければ結果が出て来ない。我々は地方財政の窮乏ということがよく分つて、おりますが、地方税法を今日審議しておりますから、それと兼ね合して二十六年も全額国庫負担をして貰わなければならんと思つておりますから、財政委員会意見を聴いたのですが、結果が現われてからなんということを言つていたのでは日時が経つてしまうので、もつと積極的にやつて頂きたい。
  121. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) ただ私の言葉が足りんために、いろいろの御批判があるのは御尤もであると思います。私は信ずると同時に、又これを行うことに努力しております。ただ大蔵大臣だけにこれを申上げるだけでなく、外の大臣にも、又吉田総理にもよく我々の意のあるところを申述べて、そうしてこの実現に盡しております。御了承願いたいと思います。
  122. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今委員長の御答弁によると、閣議において来年度災害復旧費全額国庫負担廃止せられるというようなことが、決定ではないけれども、申合せのようなものが行われたということを聞いておるというように拝聽いたしたのでありますが、そこで私は疑問を持ちましたのは、閣議に誰が出したのかという点なんであります。この全額国庫負担は、勿論これは建設大臣が実施する分野が非常に多いのでありますけれども、基本的にはやはり地方財政関係から行なつているのですから、国の行政機関から見れば、これは地方自治庁長官か、或いは地方財政委員会委員長かではないか、勿論大蔵大臣も関連しているけれども、そういう場合にそういう話を出すのは、これは閣議に出ているのは地方自治庁長官ですから、地方自治庁長官からそれを出されたのか、こういうふうに考えるわけです。そこでこの前の地方財政委員会ができる場合に、委員長は国務大臣を以て充てたがよろしい。地方自治庁というものは当然なくなつてしまう。こういう考えがあつたわけですが、何故かその過程において、委員長は国務大臣ではいけないということを最後まで関係方面の主張するところによつて、結局民間から委員長が出て、その肩替りのような形において地方自治庁がまあ残つて、そうして長官の国務大臣が存続しておる。併しながらその権限なるものは非常に狭いというような形になつておる。従つて地方財政関係するところの権限は、地方財政委員会に移つたのだけれども、その委員長は閣僚でないために閣議においてそれを発言することはできない。一方地方自治庁長官は閣僚であるけれども、そういうことについては、いわゆる権限外であるという形になるために強くそれは主張できない。こういう形に私はなつているのじやないか、こう思うのでありますが、大体閣議で以てそういう話が誰かの閣僚から言い出す場合に、その原案というようなものは地方財政委員会において提供して、地方財政委員会考え方が閣僚を通じてそれが発言されるのじやないかというふうに考えられるのですけれども、只今委員長お話を聞きますと、全然地方財政委員会には何らのお話もなくして、ごそつと閣議でそういうような申合せが出て来た。こういうことに政府の事務の取り方に、行政のやり方に疑問を持つておる。そうした組織に違いが出ているのじやないか、こういうことを考えて、大臣が今日おられますから、その経過がどういう経過を以て閣議にそれが出たのであるか、その際に自治庁長官はどういうふうなお話が発言をされて了承されたのかというようなことを一つお聞きしたい。
  123. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。予算編成は大蔵省の所管事項でございまして、只今災害復旧全額国庫負担予算なんかもやはり中央財政が主導権を持つことになつております。それでこの法案がどこから出たかとおつしやれば、大蔵省から出た、即ち大蔵大臣から出た、その事前に何ら地方財政委員会に諮問もせず、我々にも何ら相談されなかつたということは、結局大蔵省が中央政府としての財政を切り盛りするのに、こういうふうな方法で行つたからこういうような予算の結果になるのだという一つの目論見を出したのが予算編成方針でございます。でございますから、それが閣議に出ましたことにつきましては地方自治庁長官は、先程鈴木さんがおつしやつたように地方財政委員会そのものを代表しているのじやないのですから、その惡策におきましては私はただ国務大臣として参加してその協議に乗るだけです。で、あの点を外の大臣から申しました。名前は申上げられませんが、話が出て同時に私達も話をしまして、ただあれは方針であるからいずれ実際のことになるときに又よく相談を国務大臣としてはする、こういうような話でございましたが、又外の大臣もいろいろ疑問があるようです。まあ所管大臣から出した方針だから一応了承したらどうか、こういうことで落ち着いたことになります。同時に地方財政委員会としては、これは先程閣議に列席しないというようなお話もございましたが、地方財政委員会は独自の立場を以て政府、帥ち内閣に対しては勧告もできるし、国会に対しても勧告できるし、立派に地方財政を指導して行く唯一の権威であります。でございますから、たとえ中央政府がそういうような財政上の必要から何か一つ方針を決めましてもそれを興行に移すときには、やはり財政委員会立場としてこうしなければならん、こうしなさい、こういうようなことが言い得る立場にあるのです。そういうような関係になつておりますことを私から御答弁申上げます。
  124. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 大蔵大臣からそういう申出が予算編成方針として閣議に提出された場合に、財政委員会委員長でない一国務大臣として、地方自治庁長官してまいろいろ反対をしたけれども、終局においてはその予算編成方針というものを了承したという過程になつておるわけです。この点について常に、この前もお話したのですけれども、これは木村小左衞門氏が地方財政委員会委員長をやつてつたときなんです。これは国務大臣をしておられた。そこで委員長が国務大臣であつた際に、今の閣議に同じようなことが出たという際の考え方と、今の地方自治庁長官が一国務大臣として地方自治のためにいろいろ考えたという場合の考え方と余程責任感においても違いますし、又考え方において余程違つて来るのではないか。従つて地方自治庁長官は国務大臣でなくてもいいが、地方財政委員会委員長は国務大臣にした方がいい。そうして今のような閣議の場合には、大蔵省の大蔵大臣ですから、これは総理大臣でない大蔵大臣の若しそういう申出に対して閣議がそれを決定するような場合には自分は大臣を辞めると、この程度のことは、例えば委員長が国務大臣ならば辞めるわけです。さつき西郷君が盛んに言われた、いわゆる相当強いことをやらんというとこれはできないという情勢にある。従つてその際に地方財政委員会委員長をして国務大臣とする。そうしてそれならば自分は委員長である、国務大臣を辞めるというくらいに意気込んで初めてこの相当の政治力が……。それよりも弱いくらいの情勢にあるのだから……。ここに組織的な欠陥があると思う。そうして今、岡野さんから委員長勧告することができる、これは非常に強い権限のあるように見えるが勧告権なんというものはこれは政治力においては非常に弱いものである。勧告はただ勧告するだけだ。効くか効かないかは別だ。大変な高いところに立つて、非常に強い力を持つて、偉そうに見えるけれども、実際の政治的な効果においては、これは殆んど効果ないということは、これは誰でも知つておることなんです。そういう点で私は地方財政委員長が国務大臣たることを欲してあつたのだけれども、まあそうでないから止むを得ない。一つ岡野国務大臣に財政委員長と同じような気持になつて頑張つて貰いたい。私はこういうふうに考え意見一つ提出する次第であります。
  125. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 財政委員長の方にちよつとお伺いしますが、あなたは早くから地方自治のことは御精通の方であると信じておりますから、今の災害復旧の関係も、これは建設次官をやつておられた岩澤さんがおられますが、相当年度、二十二年度から二十三年度、二十四年度、このときの災害復旧というものが非常に酷かつた。すでに、本年度それをやつたということは建設省の係の方から我々連合委員会において、前国会において承つておりますが、まだ二十四年度におきましての災害復旧の関係は、約半分だとこういうようなことを言つておられる。こういうことになりますというと、災害復旧に対しますます現在の平衡交付金だけではいけないと思いますが、この点につきまして、尤も委員会ができましてから一番問題でございますのは、あなたの方で、相当の今の税法が通過しても行かないか、行くかということの研究になると思いますが、この点に対して私は伺いたいと思います。
  126. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) 只今御質問の通りに、私共、最近の災害に対しては、その復旧の促進について大きな熱望を持つております。従つて、この二十五年度だけでなしに、二十六年度においても、この国庫全額負担というものを継続いたしまして、できるだけ速かに復旧を遂行いたしたい。この意味において財政委員会においてもいろいろの資料を集めまして、その実現に努力しておるわけでありますから、先程来のお話のように、どうしても今日において、この国土の復興ということは、日本の再建において最も緊要なことだと存じます。財政委員会としては、できるだけの力をこれに盡して行きたいと思います。
  127. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私も決算委員といたしまして、その他の県を調査いたしました結果が、どの県でも一番災害復旧において参つてしまつた。本年は非常に政府の方が善政だと思いますが、地方財政に対します救済をやられた。これはどうしてもあなたが大いに頑張つて頂かなければならないし、まあ予算の問題が直ぐ眼の前にやつて来ておりますから研究だけでは私は困ると思います。これは、国会議員としてもやらなければならないが、特に、当面の責任者であるあなたが、西郷さんが言われたように、もつと強力にやつて頂きたいということを要望して私の質問を終ります。
  128. 石川清一

    ○石川清一君 昨日、審査しました第三百九十一條固定資産の、償却資産に関係をするのでありますが、大工場を有する事業が幾つもの町村に跨つておりました場合には、地方財政委員会は、地方財政委員会規則の定めるところによつて云々ということになつておりまして、今度の国会のうちでも一番重要視されましたのが、固定資産税の五百二十億でありまして、その中でも一番課税客体の把握に困難であつたのが償却資産であります。こういう重要なものを、地方財政委員会規則によつて決めるというような條文でございますが、果して地方財政委員会執行機関であるか、立法府であるか。この点についてお尋ねをいたします。
  129. 野村秀雄

    政府委員(野村秀雄君) その問題については、五百二十億という基準が示してあります。この基準によつて規則に基いて機械的に決定し得ると存じますので、詳しいことは事務局長からその基準等について説明いたします。
  130. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 法律案にございますように、五百二十億の枠で上つたり下つたりする場合は代ると書いてありまして、むしろその計算の場合、どういう脱税はどういよパーセントで取るかということがすべて規定してあります。従いまして、非常に機械的に計算さえ正確に行えばいいという性質のものでありますから、敢て立法的なものではないと考えております。
  131. 石川清一

    ○石川清一君 平衡交付金についても詳細な條文が作られておりまりすし、今度の地方税法にも罰則に実に詳細に作られてあるのでありまして、この償却資産の配分についても法律とさしてこれは当然国会審議を経なければならないのではないかと考えます。この点についてお伺いをいたします。
  132. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 只今申しましたように非常に機械的のことでございますから、法律案そのものを国会で議決されて地方財政委員会権限とされまりす限りは、それで差支ないのじやないかと思います。殊にその結果につきましては国会に報告することも出ておりますつから、若しそれによりまして国会が御判断になりまして、それが適当でないならば、立法権は当然国会にあるのでありますから、それで国会の方で過当に修正されたら然るべきだと思います。
  133. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の財政委員長並びに事務局長の答えは、機械的にやるから計算さえ正確ならばいいというが、その規則を提示して貰いたい。
  134. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 今申しました機械的な計算の基礎は、すべて法律に書いてございます。規則はただ税率を幾らにするかというだけの話であります。
  135. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 どうもはつきりしないのですが、その規則というのはいろいろの場合を考え規則を作るのじやないですか。今委員長の機械的にやるというのは、何の根拠に基いて機械的にやるのか。
  136. 荻田保

    政府委員(荻田保君) この計算の基礎は第三百五十條の二項に非常に詳しく出ておりまして、これは資料を取りますようなことをただ財政委員会が定めて行く、それに基きまして地方財政委員会がこの税率修正する必要があれば修正するということであります。
  137. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 だからその規則を提示しろと言つているんです。
  138. 荻田保

    政府委員(荻田保君) まだそこまで成案はできておりません。
  139. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 じやあ今できていないのに、委員長並びに事務局長が機械的にただやるというような答弁しても根拠がないじやないか。何の根拠があるか。
  140. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 只今申しましたように、すべて法律に大きなことが書いてあるのでありまして、ただそれの計算方法等を機械的に地方財政委員会が行うという程度でございます。
  141. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 條文は見ておりますから分つている。地方財政委員会規則でこういうことは、規則内容はどういうことだというのです。條文は分つています。
  142. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 只今申しましたように、どういう報告はいつまでにするという様式等を決めるだけでございます。
  143. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 機械的にというけれども、これは国民が納める税金です。困窮している国民が納めるのを取過ぎたり足りなかつたり、機械的にというけれどもそういうふうなことは極めて物の表現の仕方が穏当でないと思います。取過ぎたり足りなかつたりしたときに機械的に上つたり下つたりするのでは、出す方は困つているのでやつと出すのに、そういうふうな物の考え方は誤りである。そういうふうなことだからうまく行かないので、地方財政の上の非常にべきな機関でありながら機械的にただやるのだというようなやり万はよくない。そういう味も素気もないような考え方は駄目なんです。
  144. 石川清一

    ○石川清一君 平衡交付金の内容につきましては、それぞれ詳細なのが出ているのでありまをす。併しこの人工場の所在地における二以上の町村の分配についてはそれぞれ條件か違いまして、昨日申上げましたように、相当いろいろの意見の対立が出ると思うのであります。こういうような重大な問題を單に委員会の簡單な規則で決めるということは大きな禍根を残すと存じております。今まで随分論議されましたこの固定資産税税率につきましても、大体一千億あるという説もございますし、或いは六、七百億という説も流れておりますし、政府説明によりましても償却資産の客体が大体一兆三千万円くらいあるのではないかというようなことも出ておりまして、そういうような関係でこの人工場というものは必ず大体一、三の町村に跨つておるのでありまして、当然これは一つ法律として機械的にできるように、市町村に自主性を與えるつということが地方自治体の財政的な基礎を民主的に確立する基本的なものだと思うものでありますが、この平衡交付金のような機械的にでき得るようなデータを少くとも早く出されて国会にかけられることが、この地方税法を真に民主的に運営させる基礎と思うのでありますが、只今のような答弁では到底この税法の本旨からいつても了解し難い点でございます。
  145. 荻田保

    政府委員(荻田保君) この大規模固定資産の分割の基準等につきましては、只今規則研究中でございまして、間に合いましたらその草案でも国会にお出ししたいと思つております。
  146. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に地方財政委員会に御質問ございませんか。  それでは附加価値税審議に入ります。第二款について御質問ありませんか。
  147. 中田吉雄

    中田吉雄君 吉川さんが尋ねられたのですが、附加価値額の九万円以下の免税の奴ですね、業種別にどれだけあつて、とれだけが免税点の範囲になるというように何かお考えですか、今この資料にはちよつと見当らんようですが……。
  148. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 業種別の免税点の額を調べましたものはございませんので、今の全体の付加価値額を計算いたします際に、免税点はそれを引いて出しておりますが、これは概略の見込だけでございまして、業種別のを出したものは今手許に持つておりません。
  149. 石川清一

    ○石川清一君 この免税点の三十四條でございますが、固定資産税の場合の三万円についても意見を保留して置きましたが、附加価値九万円と申しますと、今の賃金ベースの六千三百七円にしましても、大体一年間の給料よりちよつと多ついというようなくらいでございますが、この中には仮に事業をいたしましても、これ以上いたしましても全部といつていいくらい自家労力でありまして、これらの人はこの附加価値を生むについて恐らく家屋その他について固定資産税を納めておる。而も所得税を納めておるというような点を詳細に考えて見ました場合に、これは当然低過ぎる。少くも十四、五万円以上、賃金べースの二倍以上にするのが私は常識的にも妥当にないかと思うのでありますが、この附加価値税の免税点が固定資産税或いは市町村民税、更に所得税と噛み合せまして大体妥当であるというように先程お話でございましたけれども、これは非常に惡税である、惡税率であるというように申上げたのでありますが、前の事業税につきましても、大体免税点が四千八百円でございます。ただ北海道が千二百円、岩手県が二千円と承わりましたが、これは資料の提出をお願いしたのでありますが、そういうように二県よりないというので資料の提出がございませんでしたが、この例を見ましても事業税の場合に四千八百円という法で決められたよりももつと引上げるべきだというのが大体九〇%以上の府県の意向だつと存じております。そういう例から考えましても当然これは引上げるべきではないかと考えております。このことは何故こういうように申上げますかと申しますと、大体今度のように税制がそれぞれ道府県、市町村、国と三つになりますというと、徴税吏員の質の低下というものは急速に吏員を充実するために止むを得ないのでありまして、そうした吏員は恐らく今までの官僚から見まして弱い者いじめだ、いわゆる零細なる課税の客体となるべき納税者に高圧的に出る今までの機構が予想されるのでありまして、恐らくこれが十五万円以上にしましても、鵬の目鷹の目であらゆるものを附加価値に計算するというのが今までの傾向でありますので、これは当然引上げるべきだと考えておりますが、この点について徴税の上から見まして、今までの経験の上から見まして妥当かどうかお聞きをいたします。
  150. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 午前中にも吉川さんから附加価値税の免税点を引上げたらどうかという御意見がありまして、お答えいたしましたので、多少重複いたしますが、お許しを頂きたいと思います。附加価値税は午前中にも申上げましたように、その負担が消費者に転嫁して行くというようなことを予想して設けております関係上、成るべく広く一律に課税する方が均衡が得られるのではなかろうかというふうな考え方を持つておるわけでございます。併しながら附加価値税も場合によりましては事業自身がその收入から支拂わなければならないというふうな場合が起きることを予想されますし、かたがた相当程度の免税点も設けて置きたいというふうなことから九万円にいたしたわけでございます。この九万円が総売上金額に対してどのような割合になるかということは、業種によつて非常に違うわけでございます。従来取引高税に設けられておりました免税点は最初は低かつたわけでありますけれども、その後いろいろと改善されて参りまして、廃止される直前には大体月一万円、年額にして十二万円と定められておつたわけであります。ところが附加価値税は総売上金額の九万円でございまして、附加価値額が九万円であれば課税しないということにしてありますから、これを売上金額に換算いたして申しますと、大体製造業のように附加価値額が総売上金額に対して大きな割合を占めるものでありましても、三〇%ぐらいではなかろうか。三〇%といたしますと、九万円を三〇%で割りまして、年額三十万円の売上金額ということになるわけでございます。又物品販売業のようなものになつて参りますと、売上金額と購入代金との差が出るわけでございますので、附加価値額が仮に一〇%としますと、年額九十万円の売上金額というわけでございます。取引高税になると、非常に免税点の額を引上げておるわけでございまして、殊に又物品販売業、或いは又自家労力というような問題になつて参りますというと、所得というものと附加価値額というものとは割合に似ております。そう大きな養はなくなつて参るわけでございます。そういう際に附加価値額を九万円にしておるということは非常に免税点の額を引上げておるというふうに見て頂きたいのでありまして、これ以上免税点の額を引上げて参りますと、却つて不均衡になるのではないかというふうなことを考えるのでございまして、免税点の中から外れるものと、それから免税点以上になるものと、課税されるものとの間の差が激しくなつて来るという考え方をしております。そういう場合に免税点の制度ではなしに、基礎控除の制度をとらなければ少しおかしくなるのではないかという考え方を持つておるわけであります。それから固定資産税の問題にしましても、例えば宅地一坪当りの価格が五十銭内外でこれを九百倍といたしますと、坪四百五十円になるわけでございます。仮に免税点三万円といたしますと、六十坪未満の宅地を持つてつた場合には、全部課税されないということになるわけであります。家族に分散いたして参りますと、五人家族といたしますと、三百坪持つてつても、分散した結果固定資産税課税されないということになるわけでありまして、免税点制度から行きますと、成るだけ少い方が好ましい。そういうようなことから起きる社会政策的に考えられます不合理な問題というものは、成るべく所得税が基礎控除の問題で一本にする方がいいのではないかというような考え方をいたしておりますので、御了解を願いたいと思います。
  151. 石川清一

    ○石川清一君 一応納得しなければいかんような説明でございますけれども、この逆に言いますと、とにかく附加価値というものは人間がやつて附加価値が生れるので、決して人間以外のものがやつて生れるのじやないわけなのです。大工業は別ですが……。そうしますとこれは大体九万円といいますと、六千七百円べースで計算して一年一人の労働賃金しかならないわけだ。その中に若干外の税も加わつて非常に高い税金になる。一方において所得税を引揚者その他戰災者が全部かかるということになるわけであります。而もこの中で財政上その他特別な必要があるというふうにこの條文を適用した場合には、もう水も漏らさんというような形で課税するということが今日言われておるので、そういう点を一つ考えなつたかどうかというようなことをお伺いしたい。
  152. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 先程申上げたことで御了解頂きたいと思うのでありますけれども、要するに附加価値が生れるところにつきましては確実に附加価値を生んだところに捕捉し、更に石川さんの言葉を借りれば水も漏らさんように捕捉したいと思うのでございますけれども、そういたしますと、余り免税点を上げることは穏当でない。そうしますと社会政策的に考えまして、非常に零細なところまで課するのじやないかというようにお考えになるかも知れませんけれども、自家労力でやつておりますような場合には所得額というものは附加価値額というものとはしばしば似たりよつたりになるのじやないかと思う。御承知のように所得税の基礎控除額は二万五千円で、新らしい事業税も二万五千円でございます。殊に自家労力のようなものは附加価値税の免税点がむしろ非常に高いのじやないか。こういうふうに判断して頂いた方が至当ではないかというふうな考え方をいたしておるわけでございます。
  153. 石川清一

    ○石川清一君 宮公吏だけは附加価値税固定資産税もかけてない。併しながら今の税金理論の中から言えば、それにふさわしいものが官公吏の中にもやはりあるわけなのです。これは分析をすれば、必ずある。所得税以外に附加価値税を課せられるべき要素も含んでおりますし、やはり固定資産税を含まれるような要素もこれはある筈なのです。そういうものが除かれて、引揚者或いは戰災者の零細な事業にかかつて行くということが、所得税の場合は私はこれは止むを得ないと思うが、併しこの点については相当考慮せなければいかんと、こういうように考えておるわけであります。
  154. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 石川さんはよく御存じのことなので柳か恐縮ですが、免税点の制度と基礎控除の制度と二つございまして、何故免税点の制度をとるかということについて若干お話をさして頂きたいのですが、税制の建前からいたしますと、所得のあるところからその所得の高に応じて、言い換えれば能力に応じて負担して買えばよろしいと思うのでございます。そういう意味から申しますと、租税の理想からいいましたならば、單一税制がよいのではないかと思います。所得だけを標準にいたしまして、あらゆる所得というものを個へに総合いたしまして、その個人の生活能力を見ながら、最低生活費は控除しながら、残つたものから所得税を納めて貰うという制度が理想的だと思うのでありますけれども、それではなかなか税金の公平が確保されないというところから、世界各国におきましては複数制をとつておるわけであります。所得税の外にいろいろな税種を設けまして、そこで各方面から総合的に必要な收入を上げて行くというふうな制度が設けられているわけでございます。そういう意味において所得税の場合にはその人の最低生活費はこれは考慮するというふうな意味合いにおいて、基礎控除の制度が設けられております。現在の我が国の所得税の基礎控除についていろいろな問題がございましようが、とにかく二万五千円だけは所得額から引下げて、残つたものに対しまして一定の税率を掛けまして、所得税を求めて頂くわけであります。ところが免税点の制度は、この基礎控除の制度とは趣旨は少し違つておりまして、余り零細なものにつきまして、一々課税いたして参りましたのでは手数が非常にかかるというふうな問題がございますので、そういう意味合いにおいて元来免税点の制度が生れて来ております。従つて一定額以下のものにつきましては全然課税しない。その代りその額を超えたものに対しては根つこから課税して行くというふうな方針をとつているわけでございます。決して免税点を超えたものに対しまして、免税点の額だけを控除するわけではございません。根つこから課税しているわけであります。何故そうするかと言いますと、あらゆるものを捕捉いたしまして、これに課税して行くわけであります。みんな基礎控除的な考え方を持つて参りますと、一つ事業にしか考ないのではなくて、いろいろなところから所得を得ている人につきまして基礎控除の額が非常に沢山になりまして、半面に又ある一つのところからしか所得を得ていない人には基礎控除の額は一つでありますから、非常に苛酷になつて来る。こういうふうな不合理を生じて参るわけであります。  そこで免税点の制度なるものが基礎控除とは違つているわけでありまして、まあ成るたけ低いところに決めながら無理のないようにそれぞれの税源を捕捉して行きたい、こういう考え方をとつているわけであります。いろいろなところから税源を求めて参るわけでございますので、個々につきまして基礎控除の観念を植えつけて参りますと、五つも六つものところから所得を得ている人については、それぞれについて仮に免税点以下の額でありましても、合計しますと相当大きな額になるだろうと思います。そういたしますと、相当の所得が漏れて行くということになりまして、他の人々と不均衡になつて来る。こういうことになつて参るわけでありまして、基礎控除制度というものと免税点制度の違つている根本の点だけは石川さんには大変失礼であつたと思いますけれども、是非御了承願いたいと思います。そういう問題を離れましてもこの附加価値税の免税点の九万円という額は大体自家労力でやつている人達に対しましては所得額と似たりよつたりなのでございまして、決して我々は低い額ではないというふうに考えているわけであります。余りこれを高くいたしました場合にはその附加価値税額以上の人が根つこから課税されるわけでありまして、そうしますと仮に九万円といたしましても四%であります。そうすると年額で三千六百円であります。三千六百円未満の人は零である。ところが九万一千円になつてしまつたら直ぐに三千七百円課税される、こういうことになりまして、開きが大き過ぎるのであります。これではどうもお互い事業をやつておりながら隣りの人は殆んど附加価値税がかからないのに、自分は少し上だというので三千七百円かかつて来る、こういうことになります。これが附加価値税の免税点をもつと上げました場合には、隣の人が課税されないのに、自分は五千円かかつて来る、或いは七千円かかつて来る、その辺の均衡の問題も考慮して行かなければならんのじやないか、かような考え方をいたしております。
  155. 石川清一

    ○石川清一君 私もどの程度のものに九万円かかるかということくらいは百も承知しております。これが引上げになつてもどの程度の人が非課税対象になるかということくらいはよく分つておるわけであります。それは奥野さんよりもよく分つておるつもりでございます。だから私は申上げるのであります。ただ感情的に申上げますと、一昨日か、家屋税の場合に、当然国の家屋でも大臣高官級が支拂うのだというときに品を籍して語らなかつたというあの気持に対しまして、私は引揚者その他戰災者のために言わざるを得ないわけであります。これは当然公平に負担すべきものだ、国の恩惠を蒙ることによつて受取る場合は当然私はこれは負担しなければいかんという原則が、この非課税の人々と同じように全部の人になければならんという点を特に申上げてこれを強く主張したわけであります。
  156. 小野哲

    政府委員小野哲君) 石川さんからお話がございました中に、戰災者であるとか或いは引揚者で困つておる方々の点にお触れになつたと思うのでありますが、これは勿論免税点の問題についていろいろ御意見が出ることは御尢もと思いまするが、同時にこれらの方方の生活の実態を捉えまして、減免の措置を講ずる途がございますので、地方団体におきましては運用に当りましてこれらの点は十分に考慮していいのではないか、又考慮することを期待しておる次第でございます。
  157. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第二款、外に御質問ございませんか。それでは第三款に移ります。申告納付並びに更正及び決定
  158. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第三款は、納付の手続について規定をしてあるわけでございますが、第三十五條は法人の場合の附加価値税の申告納付の規定であります。これは大体の考え方といたしましては、先ず事業年度が六ヶ月を超えまするような法人につきましては、概算納付を一応いたしておりまして、そうして後から申告納付をして概算納付しただけを差引いて納める、こういう形になつておるわけであります。個人の場合は五月十月に概算納付をいたしまして、後から最終の申告納税をする、こういう建前でできておる次第でございます。先ず第三十五條の法人の申告納付でございますが、これは各事業年度終了の目から二ヶ月前に申告納付しなければならない。これが原則でございます。申告納付をとりましたゆえんといたしましては、やはり附加価値額の捕捉ということは、單に一万的に徴税の当局が徴税令書等によつて決めてかけるというのは適当でない。やはり納税者の側の協力を得て納税者の申告を基礎にしてやつた方が新らしい税でもございますので、よりよく附加価値額が把握できるであろうということと、又全体といたしまして、国税におきましてはすでに申告納付の制度があるわけでございまするが、これについていろいろ御批判はございましようけれども、やはり何と申しますか民主的な課徴の方法を地方税においてもとにかくこういうような新らしい税から取入れて行くということにやはり考慮すべきものがあろうと存じまして、申告納付の制度とつた次第でございます。第二項はその合併の場合の特例規定でございます。第三項は今の申告納付をいたすわけでございますが、その際に徴税当局において必要といたします各種の資料、計算書というものを添附し提出して貰うということであります。それから申告納付はこの第四項にございますように、先ず事業年度が六ヶ月を超えまするものは概算納付をしているわけであります。内拂いをしているわけでございますが、それを差引いたものを申告納付の際に納めるわけであります。  それから第三十六條は法人附加価値税の概算納付でございまして、事業年度が六ヶ月未満のものはいきなり申告納付で参るのですが、六ヶ月を超えまするものにつきましては、先ず概算納付を事業年度開始の日から六ヶ月を経過した後一月前に行なうわけでございます。その際納めます額というものは、前事業年度の附加価値額を一応標準にいたしまして、その一ヶ月分を出しまして、その六倍の額というものを附加価値税額として概算納付をするということであります。この概算納付は予定申告とかいうような国税の制度と違いまして、これは納めて参りましたものをそのまま取つて更正とか決定とかいうようなことは概算納付についてはございません。従つて言い換えれば税額の内拙いというようなむしろ感じを持つのでございます。この三十六條の第一項の但書は、前年の附加価傭額を基礎にして納めることは如何にも酷である。当該年度におきましては、前年の附加価値額の半分くらいになつてしまつておるという事実を証明いたしますならば、その場合におきましては、その年度におきまする実際の附加価値額もやはり概略算定をいたしまして、それを課税標準として納付する、こういうことにいたしておるわけであります。そういうふうに前年の附加価値税額によらないという場合におきましては、やはり一定の書類を出しまして、知事の承認を必要とするわけでございますが、知事は、一定の事由さえございますれば、必ずこれに承認を與えなければならんということを、第三項に念のために書き加えておる次第であります。この第五項は、前事業年度の附加価値纈にかかる附加価値税を納付することを要しなかつた免税点以下でございまするとか、或いは附加価値額が前年ないということでこれを納めなかつたり、或いは本年になりて新らしく設立したものにつきまいては、年度開始後六ヶ月を経過した後の一月以内にやはり同じようなことで納めるわけでございます。但しこの場合には、前年の附加価値税額がございませんので、概算期間内の付加価値額を算定いたして納めるわけでございます。この第六項におきましては、概算納付をする場合におきまして、附加価値額なり、附加価値税額を記載した計算書を添附しなければならんということを規定しておるわけでございます。  三十七條でございますが、これは個人の場合でございます。個人の場合におきましては必ず暦年によるのでありまして、先ず第一回として五月三十一日、第二回として九月三十日までにその年の附加価値税額のそれぞれ三分の一に相当する額を概算納付をするわけでございます。これはやはり概算納付でございまして、更正決定というようなことはございません。自分で計算をいたしまして納めるわけでございます。計算が間違つたりしておりますれば、申告納付の際に清算をする、こういうことになるわけでございます。個人の場合におきましても、一応前年の付加価値額を基準にしてその三分の一ということでございまするが、若しも当核年度の附加価値額が前年の半分以下になるということが明らかでございまするならば、そういう趣旨知事に申請をいたしまして、承認を受ければ、その年の附加価値額の見込額を基礎にしてその三分の一だけを納めればよろしいということでございます。五月に納めまする場合には、一月一日から四月三十日までの分、九月に納めまするものは、同じく一月から八月三十一日までの分からすでに五月に納めた分を除いた残りの分を納めることになるわけでございます。第二項は長く書いてございまするが、九月の場合におきましても尚二分の一に低下する場合においては、その当該概算期間の附加価値価額を基礎にいたしまして、それの分を納めればよろしい、こういう趣旨でございます。向その後に書いてございまするのは、法人税につきまして申上げましたのと同じように、附加価値が半分以下になるような場合の知事の承認の規定等でございまして、特に御説明を申上げつることもないかと思います。第三十八條の個人附加価値税の申告納付でございますが、これは五月と九月に概算納付をいたしましてから、最後にその年の一月中日から十二月三十一日まで、或いは途中で事業を止めました場合におきましては、その事業を止めた日までの附加価値額を計算いたしまいして、翌年の二月十日までに申告納付をするわけでございます。この申告納付の際におきましては、修正といいますか、更正決定が後からあると考えるわけでございます。尚この際におきましては、第二項にございまするように、附加価値額に関する計算書の外に、その年において支拂つた給與額とか、利子、地代及び家賃の額を記載した書類、即ち分配国民所得というような観念からの資料もやはり取りまして、附加価値額の捕捉に遺憾なきを期そうというのが第一項であります。第三十九條でございますが、これはは法人或いは個人が申告納付をいたしました場合におきましては、その申告書を提出いしました後におきまして、課税標準の額なり税額を修正しなければならんという必要を生じた場合におきましては、遅滞なくこれを修正申告をいたしまして、修正によつて増加した分はこれを併せて納付するということであります。
  159. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第三十九條まで、御質問ございませんか。……それでは進みます。第四十條。
  160. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第四十條は、以上の趣旨によりまして概算納付或いは申告納付或いは修正申告納付を法人個人ともいたすわけけでございまするが、殊に法人につきましては、責任者を正確にいたして置きませんと、その書類等につきましての責任の所在が明確でございませんし且つ正確を期し得ませんので、特に法人代表者並びに経理事務担任の上席の責任者とういものにつきましても、自署、自印の義務を書いたのでございます。これは鉱産税の際に説明を申上げましたのと同じ趣旨規定でございます。それから第四十一條は、そういう義務を履行しなかつた場合のことでございます。第四十二條は脱税の罪でございまして、これは大体その他の規定の例によつたわけでございます。附加価値額税の大きい場合等を考慮いたしまして、罰金の方は最高五百万円ということで押えております。  それから第四十三條、虚偽の概算納付に関する罪で、概算納付の場合におきまして虚偽の記載をしておつたとかいうような場合、或いは虚僞の証拠を提出して税額を低くして納める、こういうようなことでございます。  それから第四十四條は概算納付書を出さない場合の過ちの規定でございます。  第四十五條、第四十六條は、今まで各項について申上げましたのと同じような規定でございまして、納期の延長及び減免の規定でございます。  第四十七條でございますが、これは申告納付、個人並びに法人の申告納付或いは修正申告納付がございました場合におきまして、徴税当局において、課税標準額又は税額が徴税当局の調査したところと異なるという場合においてはこれを更正するという規定でございます。尚申告書を全然提出しない場合におきましては、徴税当局の方でこれを決定することになります。それが第二項であります。第三項は、再度の更正或いは決定に関する規定でございまして、一度更正し、或いは決定した標準額或いは税額が、更に過大であつたり或いは過少であつたりいたしました場合におきましては、これを再度更正をするということを念のために書いた次第であります。それから第四十八條は、不足税額、氾濫金の徴收でございまして、これは例文の規定でございまして、第四十九條も同様であります。第五十條の三も例文でございます。  それから第五十一條の重加算金、これも例文でございます。
  161. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで。第五十一條まで御質疑ございませんか。
  162. 石川清一

    ○石川清一君 ずつと進んで下さい。
  163. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じや進みます。第五十二條。
  164. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 五十二條は、青色申告書による申告の手続でございますが、国税の場合に青色申告制を今回採用いたしましたのに即応いたしまして、地方税中の付加価値税につきましては、青色申告の制度を採用いたしたのであります。これを利用する場合におきましては、予め府県知事の承認を受けなければならないのでございます。大体これは国税の規定と同じような形のものにいたしておりまして、備えつける帳簿書類等につきましては地方財政委員会規則で定めるということにいたしております。尚府県の條例に一部これを委任をいたしておるわけでありまして、その青色申告を採用いたしました場合、知事の承認を得てその制度を使用した場合におきましては、第五十三條にございまするように申告につきましては、更正決定をいたしまする場合におきましては、予めその書類帳簿を調査して、地方財政委員会規則で定める記載事項が正確に記載されていないことを指摘し、その指摘したところに基かなければ更正決定ができないということでありまして、細税者の自主性を重んじ、正確を期そうということであります、それから第五十四條は、二府県以上に跨りまして事務所又は事業所を設けておりまする場合の申告納付の手続でございまして、基本の手続きはそれぞれ法人なり個人なりの、概算納付或いは申告納付の制度によつておるわけでございますが、ただ違います点は、それぞれ当該の事業をやつておりまする個人なり法人なりに、それぞれ各関係府県ごとに附加価値額を定めまして、そうして税額を算定して、申告納付したり、概算納付をしたりするわけでございます。尚後程申上げまするように、この場合におきましては主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事に特別の法律上の地位を與えておりますので、この者に対しては資料を提出いたしますると共に、又財政委員会に対してもこれを提出するようにいたしておるのでございます。財政委員会が、更正決定或いは異議の申立に対する決定の場合におきまして指示をいたしますので、そういうような関係で、これは財政委員会に対しても、主たる道府県知事に提出した書類の写を提出させるということにいたしておるのであります。  第三項は、個人なり法人なりが二府県以上に跨りまして附加価値額の分割をいたしまする場合の基準を書いたわけでございまして、これには二通りあるわけでございます。一つは製造業、電気供給業、ガス供給業、自動車道事業、運河業、さん橋業、船舶ていけい場業及び貨物陸揚場業というような、非常に価額の多い固定資産を中心にいたしました事業につきましては、附加価値額の半分を固定資産の価額で分けて、残り半分を給與額に按分をして分ける。この二つの標準によりまして、各府県別の附加価値額を分割して出すのでございまして、ここに述べました固定資産の価額が、それ程大きくないその他の一般の事業に関しましては、これは従業者の給與額だけに按分をいたしまして、各関係府県の附加価値額を出すのでございます。尚按分の基準になりまするところの固定資産の価額或いは給與額はどういう時期のものを押えるのかということを規定いたしましたのが、四項と五項でございます。  それから第五十五條は「二以上の道府県において事務所又は事業所を段けて専業を行う場合の申告納付に関する更正又は決定」でございまして、以上の方法によりまして各事業者の方から分割をいたしまして概算納付をし、申告納付をするわけでございますが、この申告納付の額が、更正又は決定を要する場合があるわけでございます。その場合の更正決定は主たる事務所所在地の道府県知事が行うことになります。尚主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事は自分だけで勝手にやれませんので、必ず地方財政委員会の指示に基いて更正決定をしなければならんというのが五十五條の第一項の趣旨でございます。各府県間の附加価値額の按分に誤りなきを期するがために中央の地方財政委員会の機構を使おうという趣旨でございます。尚二項以下におきましては、その主たる事務所所在地の道府県知事がこの更正決定をいたします場合の手続並びに期間等を書き上げておる次第でございます。六項までいずれも同様でございますが、第六項におきましては、主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事が今の更正決定につきまして地方財政委員会から指示を受けまして、そうして附加価値額の総額なり或いは関係府県に分割された附加価値額を更正決定をした場合におきましては、関係知事にこれを通知すると共に、地方財政委員会に報告をするということを念のために規定しております。  第五十六條でありますが、これは地方財政委員会が今申上げましたように二府県以上に亘つて事業所又は事務所を持ちまする事業につきましては、その附加価値額の分割につきまして更正決定権限を持つておりまするので、そのためには実地に亘つて質問検査をする必要を主じまするので、地方財政委員会の事務局の職員に対して質問検査権を與えたのであります。この規定内容は今までもたびたびございました質問検査権と同じ内容でございます。  第五十七條はそれに関する罪の規定でございます。
  165. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上第三款について御質疑を願います。(「進行」と呼ぶ者あり)ございませんか……。それでは第四款に進めます。第四款、更正、決定等に関する救済。
  166. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第五十八條は違法又は錯誤に係る附加価値税に関する更正、決定又は過少申告加算金の決定等の救済じございまして、申告納付の更正、決定又は加算金の決定の通知を受けました者は三十日以内に知事に対して異議の申立ができるということであります。尚二府県以上に亘つて事業を行なつておる者につきましては、主たる事務所所在地の道府県知事異議の申立をすることがで奉る、こういうものであります。その後の手続は一般の手続と同様でございまするが、ただ第五項に書いてございまするように、二府県以上に亘つて事務所又は事業所を設けて事業を行なう場合におきましては、その異議決定を主たる事務所所在地の知事がいたします場合におきましては、必ず地方財政委員会の指示を受けて、その指示に従つてやらなければならんということが書いてございます。これは更正決定について地方財政委員会の自治権を認めたのと同一趣旨でございます。尚この決定につきまして不服がある場合には裁判所に出訴できるというのが念のため第九項に書いてございます。  それから第五款の督促及び滞納処分でございますが、これは従来いろいろ御説明申上げましたような督促及び滞納処分に関する手続及び罰の規定と全く同様でございまして、特に申上げることはございません。  それからついでに第六款の犯罪取締、これも今まで申上げましたと同じでございまして、直接国税に関する犯則事件と同様に考えております。
  167. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 四款乃至六款につきまして御質疑ございませんか。それでは進行いたします。第七款、経過措置説明を求めます。
  168. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第七款は経過的措置に関する規定でございまして、この点は衆議院におきまして更に附加価値税を一年延期するという意味修正がございましたので、七十條はこれは昭和二十七年の一月一日の属する年度分から附加価値税を行うというふうに相成つております。個人が行う場合におきましては二十七年の一月一日から適用するわけでございます。  第七十一條附加価値税特例でございまして、この点も衆議院におきまして修正のございました点でございます。ここに書いてございまするのは事業税附加価値税とが入れ替りまする際の経過的措置でございまして、二十七年の一月一日の属する事業年度につきましては一月一日からその年度の終了の日までの間は附加価値額を今まで申上げましたような方法で計算をして算定をし税額を出すのでございまするが、二十七年の一月一日の属する事業年度の前、即ち二十六年度の十二月三十一日以前の分でございますが、その場合につきましては事業税の税額を出すわけでございまして、それを附加価値税という名におきまして一緒に納める、こういうことになるわけでございます。従つて昭和二十七年一月一日の属する事業年度につきましては前半の方は事業税、後半の方が本当の附加価値税ということでございまして、この二つの額を合せましたものを納めて貰う。こういう経過的の規定でございます。尚ここに電気供給業、或いはガス供給業につきましての前半の事業税の算定についての経過規定がございまするが、これは別途新たに書き加えました。最後の二十五年度及び六年度において課する事業税、及び特別所得税の章、第六章に別に書き加えましたので、ここからは衆議院修正においては落すごとに相成つておるわけでございます。二項、三項は今の事業税の額なり、或いは附加価値税の額の算定の期間を特に明確にした額の算定方法を書いたわけでございます。この点もやはり衆議院の方で期間につきましての修正を加えました次第であります。  第七十二條でございますが、この点はそれぞれ二十六年というのがいずれも三十七年になつておりまして、その部分の修正がやはり衆議院の方からなされております。  ここで第七十四條の一番最後の條文でございますが、これにつきましてはいろいろ前国会以来御議論があつたところと存じまするが、附加価値税の業態の中におきまして、金融業並びに運送業及び倉庫業の附加価値に対する附加価値の課税標準とすべき附加価値額に限りまして特にここに一定率の附加価値の計算をすることにいたしておるのでございます。これは金融業等につきましては附加価値の計算の方法につきまして、特に総売上金額或いは特定の支出金額の観念の上で先程御説明申上げました通りでございまして、差引けば出て来るわけでございますけれども、大体全金融業の数字を調査いたしまして、それによつての一応の金額を出したわけでございます。銀行業、無盡業、信託業、保険業につきましてもそれぞれそういう計算をいたした次第でございまして、総売上金額に一定の率を掛けている次第であります。尚運送業と倉庫業でございますが、これは現在運送業につきましては、鉄道軌道等につきまして現在の事業税の中にも特にこれは外形標準によることにいたしておりまして、一定の收入金額に対する比率でこれを算定をいたしておりますが、そういうようなことがございまするし、尚この運送業なり倉庫業は非常に人件費が多くございまして、そういうような関係から附加価値の率が他の業態に比較いたしまして比較的高いのでございます。そういう見地からこの附加価値税適用の第一年度におきましては、負担の軽減をも或る程度緩和するという趣旨から各全体の事業の平均的な附加価値率を算定をいたしまして、これを若干調整をし緩和する、こういう考え方で一定の附加価値率を規定いたした次第であります。
  169. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の第七款経過措置について御質問願います。
  170. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 岡野長官は再三の御答弁でこの案は現在のところ最善の案であると話されたのでありますが、衆議院での修正以後においても検討を加えるやの答弁も何回かあつたのでありまするが、二年間延期の間に、附加価値税そのものに対して検討を加え、修正法律案をお出しになるような御考えが現有においておありになるかお伺いします。
  171. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 小笠原委員の質問にお答えします。これはたびたび申上げましたように、政府といたしましては小笠原さんがおつしやつたように最良の案として提出したものでございますが、併し過去衆議院においての論議並びにこの参議院における御論議をいろいろ拝聴いたしまして、考えなければならんという点も一、二気付いておりますから、よく検討いたしまして、将来これに対して検討の結果修正を出すという考えが出ましたら修正も出します。こういう考えております。
  172. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質疑ございませんか。(「なし」と呼ぶ者あり)それでは附加価値税は大体これで逐條審議を終ります。   —————————————
  173. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に公報に出ておりますが、この際地方関係に関する請願を一応お願いいたしたいと思います。この公報に書いてありますのは少し漏れておりますので、第八国会  の請願陳情、これを御覧下さいまして、地方関係のものだけをお願いいたしたいと思います。第七国会におきましては、地方税に関する請願陳情は皆留保に大体いたしましたので、一応殖えております。文書表を御覧頂きますれば分りますけれども、一応專門員の説明をさせます。  それではこの請願陳情をお願いすることにいたします。先ず最初請願四百二号。
  174. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) お手許に謄写版で刷りまして第八国会請願陳情請願陳情の五十二件を大体種類別に分けまして、同じ種類のものは一所にかためてお目にかけるようになつておりますから、それによつて御覧を頂きたいと思います。  先ず請願の第四百二号、土石採取業附加価値税第二種に指定の請願これは香川県高松市の黒原績君からの請願でありまして、紹介議員は松本昇、寺尾豊の御両君であります。内容は石材採取業は、附加価値税の第一種に指定されておりますが、これでは自家労力による零細業者の堪えないところであるから、自家労力による石材採取業は水産業と同様これを第二種に指定せられたいという趣旨のものであります。
  175. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これに対する小野政務次官の答弁を願います。
  176. 小野哲

    政府委員小野哲君) 土石採取業は、農業、林業等とは勿論趣を異にしておりまするし、水産業とも性質を異一にしておりますので、政府としてはや一はり第一種事業として指定することが一適当である、かように考えております。
  177. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 一応ずつと説明を願いまする  次は請願六十一号、旅館に対する地方税減免請願
  178. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 請願第六十一号は全国旅館連合会の浜田次郎君からの請願であります。即ち旅館に対する地方税減免請願であります。旅館に対し、旅館の公共的な性質に鑑みて、固定資産税附加価値税、遊興飮食税等の地方税を減免して頂きたい、こういう趣旨のものであります。
  179. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次はトラックに対する自動車税軽減等請願
  180. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 請願第百三十八号以下百六十五号、二百十一号その他そこに掲げてございます二十四件は、いずれもトラックに対する自動車税の軽減を請願するものでありまして、トラック業の公益性と社会的重要性に鑑みまして営業用トラックに対する標準自動車率を普通車一台年額五千円程度として頂きたい。次に地方税法案から自動車税の完納証票に関する條項を削除して頂きたい。その他トラックに対する白血車税軽減のための対策を講じて頂きたいという趣旨のものでありまして、先に申上げました二十四件、トラツクに対する自動車税の軽減に関する同一内容のものでございます。
  181. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次は狩猟者税。
  182. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 請願第三号狩猟者税撤廃に関する請願、広島県比婆郡庄原町錦織鷹重君の請願であります。内容は、狩猟は農林産業の健全な発達を期する行為であつて、高尚な自己訓育であり、その行為が所得を伴うものでないものである。然るに現存狩猟者に対して高率の狩猟者税が課せられているのは極めて不合理と思われるから狩猟者税を撤廃して手数料及び分担金制度を実施して頂きたい。かような趣旨のものであります。
  183. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次は固定資産税に関する陳情
  184. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 陳情第四十四号は千原県木更津市の木更津水道株式会社社長石川偽千代君からの陳情でありまして、内容といたしましては、公営でない特殊企業による水道事業に対する固定資産税を減免して頂きたいという趣旨のものであります。  それから請願三百九十八号は日本私鉄労働組合関東地方連合会の加藤弘君からの請願でありまして、紹介議員は小酒井義男君であります。帥ち私鉄事業は国民生活に密接な関係を持つ公益事業であるが、国鉄に対して固定資産税免除されているという事情等とも考え併せて、私鉄に対する固定資産税、住民税その他一切の課税を国鉄同様に減免して頂きたいという内容のものでございます。
  185. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私審議の手続はよく分らんですが、件名だけ全部読んで提案して頂いて、そして必要部分について質疑する点があつたら質疑をしてですね、それでもう議題に載つたことにして進行するようにできないものですか。
  186. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 一応趣旨だけ聴いて頂いて……。請願陳情ですからそういうことに御辛抱願います。
  187. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) できるだけ簡單にやります。  次は請願第四十五号、それから請願第六十七号、この二つは地方税法案土地家屋に対する固定資産税に対しては社会の実情に即しない不合理な点が多く、土地家屋の所有者に過重な負担をかけることになるから、課税標準や税率等について軽減の措置を講じて頂きたい、かようの趣旨のものでございます。  次は請願第四百三十五号、四百四十一号、この二件は固定資産税の中で農地に対する固定資産税の税を軽減して頂きたいという趣旨のものでございます。  それから同じく請願第四十六号は土地家屋が賃貸価格の九百倍に換価され、企業施設は実際価格よりも遥かに上廻つた評価をされる等中小企業者その他一般大衆に非常に重い負担になるから、固定資産税について税率の大幅引下げ等、大幅の修正を加えて頂きたい、かようのものであります。  それから同じく第五十八号、赤十字事業に対する地方税減免請願 赤十字事業の特殊性に鑑みまして、赤十字社の事業行為、土地家屋物件等を非課税として頂くように法文に明記する措置を講じて頂きたい。かようの趣旨のものでございます。それから請願第百四十八号、二百八十七号、四百二十八号、四百一十九号、これは私鉄事業の特殊性を認められて、この事業に対する固定資産税、住民税、電気ガス税等の免除、又は軽減、並びに附加価値税廃止及び事業税課税標準の單一化と、税率の軽減等、地方税法私鉄事業に対する税の軽減に努めて頂きたい、かようの趣旨のものでございます。それから請願第百六十四号、これは標題の通り協同組合に対する地方税を減免して頂きたい、かような趣旨のものでございます。
  188. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 電気、ガス税。
  189. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 次は電気、ガス税に関するものでありまして、即ち請願第三百五十三号は、砕木パルプ工業に対する電気、ガス税の減免を考えて頂きたいというもの。それから二百五十四号は、電気、ガス税に特例を設けて課税非課税の差別的取扱をすることは面白くないから、電気、ガス税の課税非課税の業種別を撤廃し、若し存置するにしてもその税率を五パーセントに引下げて、均等に電気事業者全部に課税して頂きたい、こういう趣旨のものであります。  それから次は第三百六十一号、同じく電気、ガス税に関するものでありまして、電気、ガス事業の範囲に「カリ塩ソーダ塩類等を追加すること、および同法第四百八十六條を『ガス事業法の適用を受けるガス事業者。自家用かス製造取締規則規定する準用事業者を除く)の製造するガスに限る』」というふうに修正して頂きたいという趣旨のものでございます。
  190. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 木材引取税。
  191. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 請願第二百八十一号は、山林の保護と林業及び木材業振興のために、木材引取税は撤廃し、立木伐採税、イカダ流税、水利地益税、土地利用税等の目的税及び林産物移出税、その他の税と同性質の検査手数料等の法定外独立税の撤廃等、山林の地方税制に関する負担の軽減を図つて頂きたいという趣旨のものでございます。  その次は請願三百七十三号、これも業者が非常に現在の経済事情の影響を受けて囲つておるので、木材引取税を撤廃して頂きたい、こういう請願であります。
  192. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上が第八国会における当委員会の受けました地方税法案関係陳情請願であります。これは如何に取扱いましようか。第七国会におきましては、こういう同種のものが出まして、当委員会におきましては、ずつと継続して審査すべきものである、こういう立場から留保にいたしました。さような、同様な取扱にして如何でございましようか、
  193. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 非常に採択不採択を決定するということは困難な問題ではないかと思いますので、委員長意見通り留保することが妥当ではないかと考えます。
  194. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではさよう決定いたします。  次に飛びまして、その他というところに、地方税法案成立に関する件、これが請願五件、陳情一件でございます。これを簡單に。
  196. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 請願第二号を代表的に御紹介いたしますと、これは横浜市議会議長小沢二郎君外十三名からの請願であります。その内容は、地方税法案は我が国地方自治体の税制、財政確立上その基盤をなす画期的法律案であつて、若しも本法律案が今国会を通過成立しない場合は、我が国地方自治体の財政的基礎に動揺を来し、延いては市政運営上重大な支障を生ずる慮れがあるから、速かに本法律案の通過成立を図られたいという趣旨のものでございます外四件の請願、一件の陳情も同趣旨のものでございます。
  197. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 地方自治体の要求といたしましては、全く尤もな要求であり、当然国会といたしましてはその趣旨に副うて我々は行動をしなければならない問題と考えますので、採択して、内閣には送付しないものにいたしたいと考えます。
  198. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではさよう決定いたします。  もう一つ、これは地方自治関係で、宮城県根白石村、吉田村との郡村界決定に関する件、これを議題にいたします。請願第百二十二号。
  200. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 請願第百二十三号は宮城県宮城郡根白石村長外一名からの請願であります。同村大字福岡字岳山十五番地山林は、根白石村の最北端に位し、その北辺は黒川郡吉田村大字に接し、西辺は宮城郡大沢村に接して居ります。然るに根白石村、大沢村並びに吉田村の郡村の境界は北泉岳三角点よりそれぞれ峯界となつておるにも拘わらず、加美郡中新田営林署は右北辺の郡村界を越えて、同郡村界に浩う根白石村の帶状地帶を黒川郡古田村大字吉田地内であると主張しておるが、二本の境界線は存在し得ないのであるから、速かに正しい郡村界決定せられたい。こういう趣旨請願になつております。
  201. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 その請願人は如何なる人でありますか。
  202. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 宮城県根白石村村長鷲尾栄吉君外一名と書いてあります。
  203. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 申上げますが、紹介議員は橋本萬右衞門君でありまする
  204. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 こういう地方の境界の問題につきましては、その実情を熟知しないと早念に判断を下すことは困難かと思います。それでままそういうことを中心といたしまして地方において紛争を来たしておることもあるので、我々が軽卒なる判定をいたしますときにはその渦中に投じて、更に問題を大きくする憂のある場合もなきにしもあらずでありますから、この問題は更に調査を常任委員会の專門員を中心として貰うということにいたしまして、この際は留保するようにするのが妥当ではないかと考えます。
  205. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川君から留保の御意見がありましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは留保に決定いたしました。それでは今日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            石川 清一君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君    地方財政委員会    委員長     野村 秀雄君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君   事務局側    常任委員会專門 福永與一郎君    員   参考人    国立国会図書館    專門調査員   牧野 英一君