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1950-07-27 第8回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事の辞任及び補欠の件 ○地方税法案内閣提出・衆議院送  付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会開会いたします。地方税法案の審議を始める前に、西郷君から国務大臣質問があるとのことでありますから、質問を許可したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは西郷君。
  4. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 岡野国務大臣に伺いますが、昨日のお話、並びに本日の毎日に先般設置されましたところの地方行政調査委員会議勧告試案というものが詳細に発表されております。只今国会開会中でもあり、特にこういうふうな点につきまして、私は前議会におきましても自治庁初め地方公共団体の機関と、地方行政調査委員会議並びに地方財政委員会の三本建になておりますので、こういうふうな点につきましては、自治庁が十分連絡協調されてなさるべきものであるということを、意見を申述べて置いたのですが、只今我我委員会においてもまだ何らこういうここに関知しないのに先立つて、大体の全貌が新聞に掲載されましたが、これが果してこの通りかどうかということは一切私分らないけれども、こういうふうに、今回の発表の大体のあれは地方行政事務の再配分の問題である、大体の試案であるということでありますが、こういうふうなことが、例えば途中において発表されたりいろいろすると、これは地方行政団体全般の非常に重要な問題でもあるので、非常に物議を醸し、いらざる摩擦を生ずるのではないか。第一に国会地方行政委員会では何らこういうことを伺つていない、こういう現状で発表になる、そういう点について地方自治庁担当大臣としてどういうふうに考えておられるか。こういうふうな点は十分考慮してやらないと非常に摩擦を生じ、非常に動揺を来す虞れもあり、いろいろな問題が出て来ると思うのです。却つて地方行政調査会議がやりにくくなつて来るのじやないかと思いますが、地方行政調査会議国会並びに政府勧告をする権能があると思う。こういうふうなものが先に一般新聞発表されてしまうというようなことは、どうも甚だ感心しないことであると私は思いますので、そういうふうな点についてすでに昨日今日に亘つて発表されておりますから、地方自治庁諸君もこれを見ておられると思うが、そういうような点について何ら地方自治庁の方からそれに触れられないということは甚だ私は遺憾に思うのです。こういうような、地方行政調査委員会議が、我々の委員会関係あることならば、これがどういうふうなことであるのか、どういう経過発表されたのか、自治庁はどう思うかということを担当自治庁としては積極的に我々に説明され経過発表されなければいかんと思う。こういうふうに考えます。その点を伺います。
  5. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。西郷委員只今の御質問は本当にその通りでございまして、実は私も西郷さんの御質問がなくともここに持て来ましてそうして御説明申上げよう、こう考えておつた次第でございます。実は私全く存じませんものでございまして、御承知の通り調査委員会議事務の再配分というようなことは研究をしておるわけでございまして、その研究が果していつ頃できることだろうか、どういう方向へ進むだろうか、ということも就任早々ではございましたが委員会議委員なんかにお集まり願つて、そうして私いろいろお話伺つたのでございますが、只今のところでは何も成案はない、又詳しいこういうような何も研究中ではあるけれども成案はできていないこういう話です。いつ頃できるかという話を聞きましたら、まあ大体大綱が今年一杯にできるだろう、併し細目亘つてはもう少し延びるのではないか、こういうような実情を私委員会議の方から聞いております。それ以上のことは私は少しも存じておりません。そこでどうしてこういうようなものがそこから出たのか、実は調べて見ようと思いましてとにかく調べるのが……私は今朝の新聞で見たのです。昨日の朝日新聞に出たというのはちよつと気が付きませんで、誠に恐縮ですけれども、それでこういうようなものが本当に考えられておるのか、又こういうような内容考えられておるのか、又どうしてこういうのが事前に発表されたのだろうか、こういうことについて実は今日事務当局にも連絡し、それから実状を調べて見たいという考えを持ておるのでございます。でございますから、西郷さんのお考え通りに私も考えておりまして、その御返事を申上げる前に西郷さんから御質問を受けて実に恐縮しております次第であります。これは早速今日にでもよく調査委員会議に連絡をいたしまして、どういうふうになているのかを調べまして又改めて後刻申上げたいと思います。そういう事情でございますから、御了承願いたいと思います。
  6. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今岡野国務大臣の御説明で了承いたしますが、お説の通り今日の問題についてなかなか重要な点が書いてあるので、平衡交付金内容の変更とか、更に一万数百に亘る町村の適宜合併というような問題もここに書いてあるので、こういうふうなことが又地方に伝わりますと非常に物議を釀し問題を起しやしないかということ、こういうことがまだ本当に確定したのでないなら、地方自治庁としては何らかの声明なり何なりを発表して地方誤解を招かないようにする必要があると思います。殊に町村合併なんかは非常に問題を起し易い内容を持つておりますから、町村合併をして半分程度にするというようなことがここに出ておりまするが、これは非常に町村に衝撃を與えると思いますので、只今大臣のお考えのようであるならば、そういう意味のことをやはり地方団体誤解のないように新聞発表されるなり、通牒をお出しになるなり、政府自体がされるか、地方行政調査会議がなさるか、こういうふうなものが途中で発表されたからには何らかの措置をとつて誤解のないようにする必要があると思います。
  7. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えいたします。西郷委員の仰せのことは至極御尤もでございまして、これは何とかそういうことをしなければ、一般人心に與える影響は非常に重大だと考えております。お説の通り今日中にでもよく調べまして、そうして適当なる措置をとりたいと、こう考えておりますから御了承願います。   —————————————
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは地方税法案の審査に入ります。本日は第三章市町村普通税の第二節固定資産税に入ります。政府委員説明を求めます。
  9. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 固定資産税でございますが、二百四十一條は固定資産税につきましての用語を書いてるわけでございまして、固定資産というのは土地家屋償却資産の全部を総称いたします。土地家屋從来と同じような観念でございますが、償却資産、これが新らしい租税の対象として入て来たわけであります。これは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産、いわゆる無形減価償却資産法人税所得税にございます鉱業権なり、特許権といつたような、無形減価償却資産は、これは課税対象にはしないということでございます。それ以外の事業の用に供することのできる資産で、この減価償却額又は減価償却費所得の計算上損金又は必要な経費に算入されるものをいうということであります。ただ自動車税自転車税荷車税を課しまするものは、重複をいたしますので、これは客体から除く、こういうわけでございます。それから価格という言葉を使つておりますが、これは適正な時価をいうということであります。それから六、七、八、九、十、十一というのは、固定資産税を課するに必要な台帳に関する規定でございます。固定資産課税台帳というものは、各種の台帳を総合的に称するときの名前であります。土地課税台帳というのは、土地台帳の副本に関するものであります。補充課税台帳は、いわゆる使用者土地台帳に登録されていない土地で、固定資産税を課することができない建前のものでございまして、使用者に対して課するというような場合のものにつきましては、土地台帳に載つておらんわけでございますが、そういう場合は、在地補充課税台帳の方に載せる、こういうわけであります。家屋課税台帳家屋補充課税台帳も、同様の建前であります。そうして償却資産につきましては、別に償却資産課税台帳というものを作る、こういうわけであります。  三百四十二條の固定資産税課税客体、これは固定資産に対して、その固定資産所在市町村がこれを課税する、ということになつております。固定資産税課税標準は、毎年一月一日現存の固定資産価格で、固定資産課税台帳に登録されたものを押えて行くというわけであります。それから船舶、車輌、その他移動性償却資産につきましては、固定資産所在市町村という観念が明確でございませんので、第三項にその主たる定けい場又は定置場所在市町村を第一項の市町村とし、主たる定けい場が不明である場合においては、定けい場所在市町村で、船籍港であるものを主たる定けい場としまして、そこの固定資産税を課する、こういうわけであります。  それから三百四十三條は固定資産税納税義務者に関する規定でございまして、原則としては所有権を持つておる所有者に課するわけでございます。所有者というものはいずれも台帳の中で所有者として記載されておる者をいうのが二項、三項であります。四項は例外でありまして、所有資産等について、天災、その他の事由によつて所有者が不明であるけれども、それを現実使用しておる者があるという場合におきましては、その者を所有者として見て、これを固定資産課税対象として課するということであります。第五項は自作農創設或いは相続税法関係で農地が異動いたしました場合に、誰を納税義務者とするかということの一時的の規定でございまして、現実所有権が売渡の相手方に移転する日までの間は、それをその使用者を以て納税義務者とし、又その売渡の相手方が本当ならば台帳所有者として登録されて初めてその意味納税義務者になるわけでございますが、登録されておりませんでも、それを、売渡の相手方所有者とみなして、義務を課するというのが実情であります。  それから三百四十四條は、使用者に関する所有者乃至所有者とみなされる者に対して、固定資産税を課するのが原則でございまするが、特に使用者に対しまして、從来から課税をいたしておりまするので、そういう從来原則を踏襲をいたしておる次第であります。即ち固定資産税を課することができない者が固定資産所有者である場合には、その使用者に課するというわけであります。  それから三百四十五條は今の使用者課税に関連をいたしまして、国とか、都道府県というような固定資産税を課することができない者が持つておりまするものについては、その固定資産を管理する責任がある者から、毎年一月一日現在の状況を、地方財政委員会の規則の定めるところによりまして、市町村長届出をするという関係規定であります。  それから三百四十六條はこの前條の届出の期日につきまして、特に一月十日までという例年の期限を、本年は八月二十日というところで一応押えまして、八月十日までに発生したものは、二十日までに届出でる、八月十日後の、即ち十一日以後に発生した場合においては、それが発生してから十日後を期限として届出をするというわけであります。
  10. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その辺で……。
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは三百四十六條まで。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 三百四十四條に関連すると思うのですが、この前も論議された問題ですが、固定資産税は、これは、官舎、或いは公務員とか、その他国会職員なんかの官舎、そういうものにも入つている人が拂うということだつたのですね、その点を。
  13. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点はこの案といたしましてはお話通りでございます。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういたしますとですね、今日例えば参議院でも、事務総長とか、法制局長とか、いろいろそういう立場の人の官舎があり、又いろいろ大臣官邸もありますが、とても役人の俸給じやそんなものは納められないから入らない、又拂わない場合には誰が拂うのですか。
  15. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は、この但書の方に公用に供する部分という点がございまするが、そういう部分につきましては、課税をしないわけでございまして、例えば今御指摘がございましたような方の家族の人が、その家の一定部分において日常の生活を営んでおる、という場合におきましては、その部分についてだけ課税をすると、こういう意味でございます。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 どうもはつきりしないのだが、入つている人が拂うのであるというと、今私の質問では、それを使つていない場合のですが、使つていない場合は、誰が拂うのか、家族が入つているのは、今どうするかということではないのです。
  17. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはいろいろ状態で違うと存じまするが、例えば警察署長でありまするとか、或いは鉄道の駅長でございまするとかというような人公務上、その固定資産使用しなければならない。そこに居住義務がある場合につきましても、後段の方で、当然全部家族住つておりましても、課税をいたさないわけでございます。併し居住すべき義務がないものが、市町村が建てました建物の中に入つておる場合におきましては、これに原則として固定資産税がかかるわけでございますが、その部分の中で公用に供しておる部分がありまするならば、その分だけを除外するというわけでございます。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この点はどうもはつきりしないからもう少し質問しますが、駅長の場合ははつきりしておるから今のお話通りだと思いますが、もつと非常に疑問とされる例えば国会法制局長官舎の場合、法制局長は自宅に住つている。但し会合等使用しているというときは誰が拂うのですか。
  19. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは認定の問題だと存じまするが、今の法制局長とか或いは事務総長官舎に入つておりまする場合には、今の義務官舎という観念には当嵌らんのではないかと存じまするが、ちよつと今、度忘れをいたしましたが、国務大臣等官舎に関する法律があつたと存じまするが、第一種の官舎でありまするけれども、そういうようなものはこれは課税されない。後段に入るわけでございますが、そうでございませんもので、從来観念におきまして官舎として建てられたものに入つておりまする場合におきましては、やはり個人の住宅用として使用いたしておりまする部分につきましてはこれはこの税を課する。こういうことでございます。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の答弁はどうも明確を欠いているのです。聞いている方によく分らないのですが、例えば今の御説明だと、例えば国会法制局長あたりが一番問題があると思うのでそれを伺うので、外の例を挙げないでそれで終始説明を頂きたいと思うのだが、家族住つている部分課税するというと、一つ建物の中の住つているところだけにかけるのですか。例えば応接間だとか、接客用なんかの場所は誰が拂うのですか。
  21. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三百四十四條の但書の中に一つは、公用若しくは公共の用に供する部分に対しては課することはできない。もう一つ公務当該固定資産使用すべき義務があるものについてはやはり課することができないと書いてあるわけであります。官舎に対しましては官舎に関する法律がございまして、第一種官舎、第二種官舎と分けておるのでございます。大体第一種官舎公務上その官舎使用しなければならない義務を負つておるわけでありまして、義務を負つておる半面において使用料も徴收していないという原則になつているわけでございます。これはもとよりこの但書後段に該当するわけでございます。そこで第一種官舎には入つていない。併しながら相当部分公用使用されているという部分があるわけでございまして、そういう場合には先程次長から話がありましたようにどの範囲までを公用と見、どの範囲までを私用と見るかという問題が残つているわけでございます。これが先程次長が言われたように家族が使つておるというその程度で判断せざるを得ないという説明になつていたと思うのですが、そこで先程西郷さんの引例されました非常に広い官舎を使つているというのは、それは私は広い官舎を当てがわなければならない、公用としてそれが必要だからそういう意味官舎が設けられているのだろうというふうに見るべきだと思うのです。從いまして、私用に供されているという部分は、通常誰でもその程度居住に必要とする程度のものしか課税対象にならない。從つて第一種官舎に入つていないものにつきましても、どうしてもどの範囲まで公用と見るか私用と見るかというふうな認定の問題が入るだろうと思うのですけれども、非常に広い官舎であるためにそれに入つておれば、この固定資産税が重くかかるので困るという問題はあり得ないと思います。大体そういう場合には公用意味において必要だからそういう大きな官舎を使つているのだから相当部分公用になつてしまつて、大体常識的に見て不都合のないところに使用範囲市町村認定して行くということになると考えております。
  22. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると、例えば公務員は給料が少いから、それは大体拂えないだろうと思います。そういう場合、例えば法制局長の場合、そこを使わないで他所に住つて公用会合だけをそこを使つておる場合は拂う必要はない。こういう方法をとるわけでありますか。
  23. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) いろいろ誤解があつてはいけませんからくどいようで恐縮でございますけれども、この課税標準を話させて頂きます。この土地家屋に対しまする固定資産税というものは元来土地家屋そのものがそれだけの税を負担するというような建前であると考えておるのであります。ところが他面にそれを国鉄使用したり、或いは專売公社使用しておるというだけで固定資産税を課することができないというような制度をとつておるわけであります。この制度が正しいか正しくないかはいろいろ論議がございまして、現に地方財政委員会研究して国会に報告しなければならないということにいたしてあるわけであります。元来土地そのもの家屋そのもの負担すべき税金をたまたま所有者如何によつて課することができる、課することができないという区分をすることは穏当でない。そこで土地家屋そのものが税を負担するということになりますと、自然使用者そのものが大体においてそれだけの負担を負つて行くということになるだろうと思いますが、今国鉄がどんどん職員官舎を建設しておるが、その場合国鉄が所有しておるが故に税を負担しないということになると、国鉄使用者から税相当額だけ使用料を少く取つてよろしいわけであります。ところが一般市民の場合にはやはりそれだけの経費を賄う担保を出さなければ借りられませんので、自然、税相当額使用者にかかつて参ります。こうなつて参りますと非常に不公平が考えられますので、土地家屋の実体に即して課税をしないで、所有者如何によつて決めることは穏当でない。こういうような考えを持つております。そこで国なり、国鉄なるが故に課税をしないという方針を改めましたならば問題は解決するのでございますが、沿革的の問題やいろいろ問題もございますので、一応それには触れませんで、土地家屋使用状態に著目して課税するか、課税しないかというように、固定資産税の本来の性格に即して運用をやつて行きたい。こういうことからこの規定は出発いたして参つております。そこで使用者に対しまして固定資産税が課せられる場合は使用者使用料として負担いたします部分固定資産税負担するものと両者を合算して果してそれが適当であるか、適当でないか決めなければならんと思います。そういう意味におきまして庶民住宅に対する固定資産税につきましては、社会政策的の意味において庶民住宅というものを国なり、地方公共団体が経営しておるのでございますから、その固定資産税使用料を合せたものの負担が適当であるかどうかということを考えて貰いたい。そういう意味において固定資産税を適宜減免してもよろしい、又負担が重いようであつたら免除してもいい、或いは使用料をそれだけ減額して貰つてもよろしいと考えております。国が職員に借しておる官舎につきましても同様のことがいえると思います。固定資産税使用部分について課せられ、それが可なり負担が嚴しくなつて参りますれば、当然使用料をそれだけ減免しなければならん。本来国が拂うべき固定資産税であるから、それだけ使用料部分から減額して使用料を決めなければならん。こういうような考えを持つておる次第であります。固定資産税性格と、もう一つ所有者性格であつて固定資産税を課することができる、できないというような態度をとつておりまする両者の調整をここに見出しておるような次第でございます。
  24. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今縷々説明がありましたが、私は非常に遺憾に思うのは、こういうふうな国民に重い固定資産税を課するのです。それだから論議の的になつて、前議会でも廃案になつたくらいなんです。ですから私は、公僕の方々が、特に公僕の中で一番上の方にいるような高官の人の官舎というようなものは相当立派なものでございまして、これは使用者が拂うのだというならば、そういう人が真先きにみずから全額を負担して、固定資産税がどのくらいのウエイトで自分生活にかかつて来るかということをみずから体験なさると、これは重過ぎるんだということ、これじや困るということが、よく如実に分ると思うのです。ところが今の御説明を伺うと、そういうことがはつきりしておらないのです。政府諸君に聞いても、いろいろ頭をひねられるけれども、あつさりと答弁ができないという程度にしかなつていないのです。というと、これは殆んどもう官庁の諸君の方は今の御説明通りにやつていないのじやないか、みんな拂わないようになつておるのじやないかと思うのです。ですから、こういうふうな国民に重い税金をかけるならば、拂うことになつておるならば、どんどん拂うと、そういうことを公僕が先に範を示さないと、国民は昔からの考えで、どうも自分達に重い税をかけるが高位高官のやつは立派な官舎に住んでちつとも不安を感じないと、そういうことでは私はいけないと思うのです。今国鉄の例をお挙げになりましたが、国鉄駅長とか、こういう人達は、賃金ベースも安くて、今問題になつておるくらいですから、こういう者はそこに入らなければ外に途がない。こういう人達の問題ではないのであつて、私は高官の連中を言つておるのです。そういう人達一般に立派な官舎に住んでおる人が多いのですから、そういう人が拂うことになつておるのならば、拂うのかということを私は念を押すのですが、そうすると、拂うがごとく拂わんがごとく、そういうふうなことでは、この速記を御覧になつてもお分りと思うのですが、一体どの程度高官が拂うのか、どの程度国が拂うのか、今聞いておりますと、何回質問しても結局は分らないのです。このままにして置きますと、要するに拂わないことになるですよ。ですから私は、そういうことを公僕の人がみずから卒先して国民に範を示して、そうして重い固定資産税自分で拂つて見ると、成る程今の給與べースでは抑えない、国民も又然りであろうということが分ると思うのだが、從来惡い習慣で、そういうものをみずから負担しない。であるから、我々がここで論議しても、ただ政府を攻撃するように思つてぴんと来ない。そういうことであつてはいかんので、こういうふうな固定資産税は、倍率でも税率でも重いのですから、それだから文句を言うのであつて、そういうものは卒先してお拂いになつたらいいと思う。そうして如何に重いものであるかということを体験されると、みずから非常に分つて、これはいけないということになつて、みずからこれを修正されると思うのですが、そういうことが、今日非常に国民は困つておるのですから、如何に重い税金がかかつて来るか、どのように自分もこたえるかということを、みずから体験なさつて見るのが一番いいのです。ですから私は高官官舎税金を誰が拂うかということを質問するのですが、そうすると、答弁なさる方もどうもはつきりしないのです。そういうことであつてはいけないので、官紀粛正ということの上からも、これはまあはつきりして置いて、あなたが拂うんですと言つて、胡麻化しのないように取るものは取つて、そういうふうな滯納のないように、国民一般の滯納はやかましく言うが、そういうふうなものは大部分滯納ではないかと私は思うくらいです。ですから、そういう方から卒先してこれを取つて、そうして国民に範を示さないと、国民は納得しないと思うのです。今のどういう規則か知りませんが、そういう規則があるならば、我々委員にその規則を全部配つて頂きたい。そうして、更に質問するかも知れない。規則がよく分らないので、お示しを願いたいと思うのです。
  25. 石川清一

    ○石川清一君 只今のと非常に逆な現象も出て来ると思うのですが、それは軍の使用しておりましたいろいろな兵舎その他のものを、管財局が管理しております。これは北海道でも東北でも同じだと思うのですが、引揚者、或いは戰災者、合せて相当の人が入つております。そこで簡單な営業もやつておるかと思いますが、これらに対しましては、固定資産税をどういうふうな形で徴收するか、それとも免除するか、この点についてお伺いいたします。
  26. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先程ちよつと申上げましたように、庶民住宅等につきましては、この固定資産税を減免するようにということを言うておるわけでございます。現に東京都におきましても、庶民住宅を経営いたしておりますが、これは固定資産税を四割減額するというふうな方針をとつておるわけでございます。併し今お話になりましたように、引揚者住宅等につきましては、これは全然固定資産税も取らないでしようし、第一使用料そのものを大体において非常に低いものを使つておるのではなかろうかというふうに考えております。元来その住宅を社会政策的な見地から行なつております部分におきましては、その他の税につきましても、その実情に即して減免の措置を講じておるわけでございますので、固定資産税につきましても、同様の措置がとられなければならんというふうに考えておるわけでございます。
  27. 石川清一

    ○石川清一君 その場合に、只今西郷委員質問と非常に食違つて来るので、只今の御質問は、それが官公吏である場合というような例ですが、これは全然官公吏ではないので、いわゆる一般国民がそういうように使用しておる場合に、明確に課税をしなくてもよいと、減免などという言葉ではなくて、これは課税するかしないかという線をはつきり出すことが、何も彼も町村の一人なら一人だということになれば、こういう法律は要らないのだと私は思うので、この二つの点に対する、こちらの場合はこうだ、こちらの場合はこうだというようなはつきりした見解を併せて承わりたい。
  28. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 根本の問題といたしまして、地方税法案は、これは国の税法と違いまして、それをそのまま適用するわけではございません。国の法律でありましたならば、住民の声が聞かれないで、税務署長が法律に決められた通りに適用して行くわけであります。併しながら、全国それぞれ実情は違つておりますので、むしろそういう杓子定規の適用の仕方をするよりも、地方々々の実情に応じた適用の仕方をする方がよいのではなかろうか。ところが、国税の場合には、税務官吏が自分だけの考えで適宜運用して行くことは望ましくないと思うのです。これに対して幸いに地方税は、それぞれ市町村なり府県の自主的な判断で適用を左右して行けるので、そういう見地から、この税法の上では大きな枠を作るだけで、その枠の中において市町村なり府県なりの実情に適した運営をやつて行くと、更に市町村の住民の希望するような政策的な意図も考えて行くという点に立つておることを、根本的に御了解願いたいと思うのです。又、只今のような場合においても、その間の認定の問題いろいろございまして、やはり市町村自分の責任において認定をやつて行くという建前の方がよろしいのではないかという考えを我々としては持つております。從つて、国全体としてのいろいろな問題が起きました場合には、国としてのいろいろな意見なり方針というものを個個の自治団体に連絡して、自主的に措置をさして行くという方が望ましいのではないかというような考えを持つております。
  29. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 ちよつと西郷さんのと関連して、或いは重複するかも知れませんがお伺いしたいと思います。第三百四十四條の二行目に、「前條第一項の規定にかかわらず、」とありますが、これは第三百四十八條の第一項と思いますが、この第二項にも非課税規定がございまするが、これはこれに適用しないのであるかどうかということを先ず第一に伺いたいと思います。
  30. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百四十四條の方は、固定資産税納税義務者原則として所有者であると、ただこの三前四十四條の場合におきましては、所有者に対して非課税のものであるから、そこで使用者にかける、こういういわば納税義務者に対する特例のようなこれは規定でございます。三百四十八條の方はこれは文字通り課税範囲をここに書いておるわけでございます。
  31. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 それで先程のお話で根本的に考えますとですね、今の官舎或いは公舎というものの第一号というものと外のものとの差ですね、そういうものはどういうところにあるかということが、まだ今ちよつと忘れたというようなお話でございますが、それを一つ明確にして頂きたいということが先ず第一点。次に地方におきましてもその何と申しますか、職務の権威のために相当戰争前に立派な官舎を造つておられた。一例を挙げますというと、検事正とか、或いは検事長とか裁判長とかいうような官舎相当立派なものである。これに対しまして、或るところの官舎のことにつきましてこれをやりますというと、年額三十万円くらい取られる、こういうのであります。自分の俸給は幾らかというと月二万円足らずだ、だから皆出しても駄目だ、というような問題があるのです。これは先程の西郷さんの問題と大体同じものでございますが、これは今の鉄道官吏の駅長さんの官舎は問題が違うのでありまして、規模の問題、これはその何と申しますか官舎と申しますか、職務の権威とか或いはいろいろのこれは公務に使われるという面もあると思いますが、そういうものに対しまする課税の問題に対してこれはとても抑えない、それをどういうふうに拂うか、或いは今のように部分的に自分の住居の一部分だけに課税するとか、この問題につきまして先ず御解釈をお伺い申上げます。
  32. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三百四十四條の使用者課税の適用されます問題は、三百四十八條の第一項のものの持つております固定資産税でありまして、使用者がこれらと違つている場合であるわけでございます。そこで今例にお引きになりましたような官舎につきましてはこれは義務官舎になつていないものでありまして、相当部分がやはり公用と見なければならないのではないかというふうに考えるわけでございまして、現に地方団体でそういう扱いをしておるわけでありまして、何か給與が月々二万円で、固定資産税が数十万円というお話がございましたが、私はそういう例はないものだと思いますが、そういうことがありますればその団体の実情を調べさして頂きたいと思います。我々も無理のない程度で、でき得る限りの手を盡したいと考えております。
  33. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 実際今のような官舎或いは公舎に対しまする固定資産税は、全部取つたらどのくらい取れるかということはお調べになつたのですか。官舎或いは公舎、こういうものから全部これを私用だとして見積つたときにどのくらい取れるか、そういうことを研究されたことがありますか。
  34. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 非常にむずかしい問題でございまして、まだ正確な数字は持つておりません。
  35. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 そうしますというと、今度の固定資産税は大体においてこの市町村のいろいろな窮迫状態を助けるというようなもので、非常な高率に賦課することになる。それでこれも非課税だ、あれも非課税だ、何にもならんことで、只今西郷さんの言われた通り一般角は非常なる課税になる。そうしておいて都合のいいものはどんどん削つてしまう。こういうことになりますと、税の取立てにおいていろいろな問題が起つて参りまして、これがいろいろな議論の対象になると、かように考えるのでございます。私はこれは昨日もちよつと変なお伺いをしたのでございますが、いわゆる裁判所関係、或いは検察庁関係或いは外の関係だつたならば、その方へ予算を国でお出しになりましてはつきり出したらどうか、こういうことを考えますが、この点につきまして自治庁のお考えはどうでありましようか。
  36. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先程申上げましたように国鉄なるが故に課税をしない。專売公社なるが故に課税をしない。こういう方針を止めてしまいまして、国鉄專売公社公用なり、公共の用に供しておるが故に課税をしない。併し公用なり公共の用に供しても固定資産に対しては、国鉄が持つておりましても專売公社が持つておりましても課税しないということを言いますれば、三百四十四條の規定は要らないわけであります。ただそういう問題についてはいろいろな尚研究しなければならない場合もございますが、差当り三百四十四條のような規定を置きまして、固定資産相互の課税の均衡を図つて行く、或いは使用者相互間の課税の均衡を図つて行く、こういうような意味を持つておるわけであります。今竹中さんのおつしやることは非常に御尤もなことでございまして、尚将来におきまして十分検討をいたしたいと思います。尚無理なことも起きないように十分指導して参りたいと思います。
  37. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の問題でございますが、公共の用に使われる何と申しますか、即ち裁判官……あとから……。
  38. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 関連して、今国鉄專売公社の場合が出たのですが、まあ現状無理がないとしても国鉄專売公社は家賃を取つておらないのが建前で、ところが公営の庶民住宅は最近の建設であるが故に、非常にまあ一般から言えば不当と思われる家賃を取つておる。にも拘わらず又固定資産税を取る。而も固定資産税建前所有者から取るのが建前になつておるにも拘わらず、公営のものであるが故に税をこれに課けるということは不当でないかという声が強い。で若しも取りたいならばそれは所有者使用料として、その税負担分を加算して使用料を上げたらいいじやないか。所有者が拂つたらよいじやないか。例えば東京都において都営の戸山ハイツと言いますか、一室九坪の住宅で家賃が七百七十円ばかり、それから今度かけられて来た家屋地租なるものが二千六百円もある。こういうことではですね、戰災などに遭つて住宅に入られた方々の生活を保護するという趣旨が全然成立たないというので非常に不満の声が強いのですが、從来のように都道府県の條例を以て、適宜勘案することができるのだから構わないのだということでは済まされない問題ではないか、少くとも三百四十八條の非課税範囲の中に明らかにこれも簡單にぶち込めば免除されてしまう。そうしてその分所有者である都道府県市町村が取ればいいのじやないか、取ればいいということは自分負担したらいいじやないか、使用することにして取つてその收入を上げたらいいじやないか。こう考えるのです如何ですか。
  39. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先程も申上げましたように、庶民住宅等につきましては、特に使用者負担を軽減するという意味において、庶民住宅地方公共団体なり国なりが経営しておるわけでありますから、地方財政委員会におきましてもその使用料負担額と固定資産税額の総額を合算いたしまして、無理であるか無理でないかということを考えて行かなければならん。その間の調整を固定資産税で行うなり、或いは使用料で行うなり、どちらかで行う、適宜減免じようということを言つているのでありまして、先程申しましたように固定資産税の税額を四割だけ引下げるような方針をとつているのであります。四割が適当であるか適当でないかということは、これは又別途の問題でございましようけれども、いずれにいたしましても両者を合せました負担額が無理であるか無理でないかということで決めて行きたいということも考えているわけであります。今小笠原さんのおつしやいました九坪のアパートで二千数百円の固定資産税というものは私はどう考えても計算ができないように思うのであります。仮に賃貸価格を坪当り三円といたしますと三九、二十七円になります。大体三十円といたしますと、昨年の家屋税は全部合せまして大体賃貸価格の六倍であろうと思います。そうしますと百八十円であります。それから宅地は幾らあるか知りませんけれども、似たりよつたりで千円ばかりで、今の根拠は分らないのですが、計算して見ますれば千円を超えることは予想できない。或いは相互に使つているものを合計したものがそうなつたのじやないかと思いますが、尚お教えを頂きましてよく計算をして見たいと思います。
  40. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それにしても原則的に都が所有者であつて、その都自体が税を拂うべきものを使用者の方から税を取つて行く。これを止めて使用者からは使用料として、奥野政府委員が今話したように勘案した金額を取るという形式をとるのが正しいのじやないか、それを勘案するというのは都道府県、市町村の勝手なんですから勘案しなければしないで泣寝入りになつてしまう。何ら立法的な根拠がないところに問題があるわけです。ですから国でこの法律の中でそういう点を明記せられて、そうした方々の安心の行くようにすべきじやないか、こう考えております。
  41. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 小笠原さんのおつしやることよく分るのでありますけれども、私の申上げておりますことは固定資産税負担というものが土地家屋そのものに対する負担であつて、それは結局使用者が拂つて行かなければならない性質のものだ、かように申上げておるわけであります。そこで一般家屋を建設いたしまして人に貸して行きます場合には、建築の償却額とそれから固定資産税総額、両者を家賃、地代というような恰好で徴收して行くこととなると思つております。そういう意味合において都が使用料を決めます際に都自身が固定資産税を課しておる場合なら計算の仕方は簡單だろうと思います。併し先程申上げましたような意味において、都が地方公共団体とか或いは国鉄專売公社が持つております場合には、固定資産税使用者に課して行く。そこで使用料の計算をいたします場合には、固定資産税を含めないで使用料を決めて行くことになるだろうと思います。一般家屋の場合は当然に固定資産税家屋の償却額とが一緒になつて使用料が、家賃が決まつて行くだろうと思います。そこで庶民住宅の場合には特に社会政策的な意味においてそういう住宅の経営を公共団体等がやつておりますので、いずれにしても使用者負担すべき税額において幾らになるかということの考え方を決めて行かなければならない。自然固定資産税を徴收する場合においても庶民住宅には減免して欲しいというようなことを言つておるわけであります。ここで法律的に決めるのも一つの方法でありますけれども、御承知のように庶民住宅におきましても、昔に建設いたしました庶民住宅使用料は非常に低いわけであります。最近に建設いたしました庶民住宅使用料が割合に高くなつているわけであります。こういうことが果して穏当であるか穏当でないかということは、別に又議論の問題であろうと思いますけれども、とにかく現実地方公共団体は償却額程度のものを使用料として求めて行くというような恰好になつておるものでありまするから、全体としてのプール計算が行われておりますから、多少アンバランスがあるだろうと思います。そこで一律に規定するといたしましても、非常にむずかしい問題でございますので、そこでそれは他の部面につきましても市町村がその判断を加えて適合した方法をとらなければならない問題がございますので、同様な意味において庶民住宅におきましては地方財政委員会から、先程からしばしば申上げましたように方針を示すことにいたしまして、そこで市町村がそれらの道順を勘案して適宜適切なる措置をとるという方向に運営して参つているわけでございます。
  42. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 今のお話ですと、都が税を取る。ところが国の機関に属するものを使用している者は国自体から税を取るわけに行かないから、その使用者から税を取るのだ、そういう建前になつているのを推して、所有者市町村からこの税を取る場合にも使用者の方から税を取るという建前をとつている。これ自体が私は原則からいつたならば合つていないのじやないか。原則的に言うならばやはり固定資産税所有者から取る。使用者にはその固定資産税の分を見て使用料を上げて行く。これがシヤウプ勧告なら勧告の趣旨に合うものじやないか。その理窟から言うならば極端な議論ですけれども、国の持つ大きな官舎その他においても、それに入つている者が国に対して使用料を出し、国がその税の徴收団体に拂う、こういうのが正しいのじやないか。そうすれば初めて高位高官の方もやはり使用料なら使用料で手痛く国から徴收されてはつきり辛さが分るだろう、こういう西郷さんの先程のお話にも合致して来ると思うのですが、こういう点は如何なんですか。
  43. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先程も申上げましたように、三百四十八條の第一項の規定を改正いたしまして、こういう者が所有しているから固定資産税を課することができないわけじやない、こういう者が所有しておつて且つ公共用又は公用に供している場合には課税することができない。それ以外のものは所有に対して課税するという建前をとりましたら小笠原さんのお考え通りになります。併しながら三百四十八條の第一項を改正するにつきましては、いろいろ検討を要する点がございますので、暫く待つて貰いたいということで、それで地方財政委員会で検討して国会に報告したい、こういう措置を講じている。その間の措置といたしまして、課税客体相互間の均衡、使用者間の均衡、それを確保する上から三百四十八條の第一項の規定が生れて来ているということを申上げているのであります。從いまして市町村であります場合には、自分土地を人に借しております場合に、使用料として税として二途に取ることはおかしいじやないかという考えはこれは誠に御尤だと思いますけれども、これは今三百四十八條の第一項の改正を加えなくなつたために起きるところの止むを得ない点だと思つているのであります。そこで庶民住宅につきましては、適宜減免の措置をとるという指導方針を持つているのであります。
  44. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 では最後の理窟上から言えば、公営庶民住宅にかけるべき固定資産税から家賃を差つ引いた残り、これが固定資産税になる最大の場合でもそう考えていいのですか。
  45. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お話通りであります。固定資産税使用料と合計した額が一般の家賃より高くあつては絶対にいけないというのであります。
  46. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 先程もちよつと途中で切りましたが、大体官舎或いは公舎というものは戰前におきましては一つの給料の補助的機関として官舎をあてがう、こういうふうになつておつた。戰後においては住宅難というようなことがあつて、警察官等は別ですが、そういう意味があつたのでありまして、これに税金をかける、これは公用でありますれば無論よいのでありますが、併し私用に使うのにもかけるということは矛盾があるではないか。それで一つお尋ねするのですが、こういうものは一つ国務大臣としてお考えになつて、実際を今までよりは俸給のごとき一つの何と申しますか、プラス住宅というようなふうにお考えになつておつたと考えておる。こういうような考え方に基きまして、この頃のようにかような過重な税金になりますと公用私用との分野というものが非常に不明確になる、こういうのでありますから、こういう面は先程申しました通り考えになりまして、国において取る、こういうふうな方針を一つお決めになつて、何とか考慮せらるる意思があるかどうか、こういうことを一遍お伺いいたします。
  47. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 竹中さんの御質問にお答えします。お説至極御尤もであります。これは相当研究を要するものと考えます。でございますから、追つて私も研究したいと思います。事務の方でも研究することにいたします。御了承を願います。
  48. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 もう一点だけ、これは外の問題でございますが、三百四十八條におきまして、第二項の方におきまする「宗教法人がその用に供する家屋及びその境内地又は構内地」、この問題につきまして、この範囲につきましてお伺い申上げたいと思います。それは大体におきまして、解釈がなかなかむずかしいのでございまして「宗教法人がその用に供する家屋及びその境内地又は構内地」という解釈につきまして、一つ奥野さんからお伺いしたいと思います。
  49. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 宗教法人本来の用に供する家屋土地でなければならないと考えておるのでございまして、家屋につきましては、大体宗教的な行事が行われるところでなければならないと、割合に範囲が明確であろうと思います。境内地や構内地になりますと、その点が必ずしも明確でないだろうと思いますけれども、大体その宗教法人の施設について、尊嚴を保持するために必要な限度、こういうものを宗教法人本来の目的達成のために必要である。こういうようなところで、その範囲を決めることにいたしております。
  50. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 そこで尊嚴を保持するというところに非常に問題があるのですが、それは今の或いは寺院、或いは参道とか、或いはそれに対する風致の問題、或いは防火設備の問題等いろいろありますが、或る地方になりますというと、その家屋の雨垂れの問題とか、何とか言つて非常にむずかしいのでございます。この点は法律でなかなかむずかしいのでございますが、あなたの方から自治体に指示されるときにおいて、どういうところまでを言われるか。これも今の公用官舎の場合とよく似た問題でありまして、お宮の鳥居、或いはその人が、どうしてもそこにおらなければならないというようなものに対する問題、こういうものにぶつかるのでございますが、この点を、もう一度明確にお答えが願いたいと思います。
  51. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今手許に持つておらないのでありますが、この境内地や構内地の範囲につきましても、可なり細かいことを地方団体に示してございますが、併し最後の問題になりますと、やはりどうしても認定の問題が起きて参りまして、その際には、その宗教法人の尊嚴を保持するに必要であるか必要でないかという点を決めなければならない、こういう考え方を持つております。相当詳細に具体的な範囲を示しておるのでありまして、午後にもそれを持つて来たいと思います。
  52. 相馬助治

    ○相馬助治君 この三百四十一條の五号の価格というところの「適正な時価をいう」というふうに書いてございますが、この固定資産税市町村普通税で、そうしてこれを評価する当時の責任者が市町村ということになつて参りますると、これを法律で書く場合には、こういうふうに書く以外には、ちよつとどういうふうに書くのかといううまい考えを私自身もありませんけれども、一体この適正な時価というものは、例えばここに一つ事業の用に供された機械がある。これを評価して支拂うときの値段なのか、それとも十万円で買つた機械が十年間で以て一年に一万円ずつ価値がなくなつて行くという場合に、二年使つた場合にはこれは八万円と計上するのか、そういうふうな解釈はどういうところに標準を置いて適正価格というものを決定するのか、それをお尋ねいたします。
  53. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 時価の算定につきましての規定はあとの方に出て参りますが、結局固定資産の評価員が特価を決め、それに基きまして市町村長市町村として最終的に決めるわけでありますが、それを決めるにつきましては地方財政委員会から評価の基準を示し、府県知事がそれに基いて具体的な指導をするようになつておるわけであります。從いまして全体といたしましてはバランスがとれるようなことになることと存じまするが、今御指摘がございましたような場合におきましては、大体その時価の決定の基準としては今お話のような売買価格とか、或いは牧益で還元をいたしました価格でありますとか、或いは取得時の価格から今の損耗と申しますか、そういう分を差引いた減価償却を差引いたもので出すものか、最終価格から同様な損耗の分を差引いた価格というようなものが時価決定の参考になると思いますが、やはり売買価格と申しまするか、これを中心にして他の三つの方式を加味して考えて行くということになると思うのであります。今のお話のように十万円で買つたものが二年経つておる。そこで損耗の分、それは二万円なら二万円引いたものが現在の価格、売買の場合でもそういうものが段々売買の価格になると思うのでありますけれども、そういうものが結局押えるということになると思います。
  54. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうすると常識的に言う市場価格というやつですか。そういうふうに大まかに考えて置いてよろしいですか。
  55. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 市場価格特に買手、売手の正常な状態における通常の市場価格というように考えられます。
  56. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。  それでは次に進みます。尚申上げますが、先程小笠原君が触れられました都営住宅の居住者側から減免の措置についての請願書が出ております。いずれ又御審議を願うことにいたします。  次をお願いいたします。三百四十七條。
  57. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百四十七條は今の使用者課税をいたします場合の届出義務違反に関する過料の規定であります。  三百四十八條の固定資産税の非課税範囲、これは皆さんすでに御論議がありましたが、第一項は公法人乃至これに準ずる公共企業体のものに対しては固定資産税をかけないということであります。それから第二項の方はそれぞれ固定資産客体を列挙いたしまして、こういうようなものは課税せられないという事項でございます。大体從来地方税法におきまして、非課税として取上げられておりまするようなものに準拠いたしまして書いた次第でございます。第三項でございまするが、それぞれ非課税客体として、使用の目的が書いてありまする場合におきましては、その目的外に使う場合は、それは同一の固定資産でございましても、これに対して固定資産税をかけるということでございます。或る目的を持つた固定資産につきましては、そういうようにいたしませんと、調子が合いませんのでそういうようにいたしておるわけであります。それから第四項の賠償指定施設に対して、これは地方財政委員会が、具体的な指定をいたしまするが、賠償指定施設の中でも、動いているものと、動いていないもの、或いは動き方の少いもの、いろいろあるわけでありますが、そういう中で遊休のもの等に固定資産税をかけるのは適当でないというものにつきましては、地方財政委員会が指定をいたしまして、これをかけないということであります。  三百四十九條は税率でございまするが、この点は衆議院の修正によりまして、百分の一・六となつておるわけであります。但書標準税率は、この点は変つておりません。  それから三百五十條は、二十五年度の税率についての特例規定でございまして、これも百分の一・六ということになつておるわけであります。第二項は百分の一・六の税率はいわば本年は……。固定税率は第一項で書いてありまするが、第二項は更に五百二十億取れるか、取れないかということで、取れればそのままにするが、相当に上廻り、或いは下廻ると認める場合には、この税率を、来年において、調整するということが書いてあるわけであります。二百五十億の算定の問題は、括弧の中にございますように、土地家屋につきましては、調定見込額の九〇%、償却資産につきましては、同じく八〇%を取ることにいたしております。その次に旧税の地租家屋税の関係の、過年度分の調定分、及び過年度滯納分を見込んでおるわけであります。そういうものが五百三十億になるか、ならないかで税率の調整をするというわけであります。それから三項、三項は税率を変更いたしました場合に、地方財政委員会から内閣を通じて国会に報告するということであります。それから第四項でありますが、地方財政平衡交付金法の規定におきまして、基準財政收入額を測定いたしまする場合におきましては、基準税率を取る、これは標準税率の百分の七十ということにいたしております。これについては変更がなかつたものとするということでございます。それから第五項は今の五百二十億の数字を、地方財政委員会が調査をいたしまして、取れるか、取れないかを決めるわけでありまするが、それに必要な資料を集めることについての規定でありまして、即ち、本年末現存で市町村長から知事に来年の一月十日まで報告をする、それを知事が来年の一月二十日まで地方財政委員会に報告するというわけであります。  それから三百五十一條の固定資産税の免税点、これは平年度においての規定でございまするが。
  58. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そこまでにして頂いたら……。
  59. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは三百五十條まで。
  60. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 非課税範囲で今度は公営庶民住宅ですか、小さなことで市町村の学校によく附設されておる校長住宅或いは公民館の管理のために教職員がそこへ入り家族も入つておる。こういう場合には非課税対象になりますか、なりませんか。
  61. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三百四十八條第二項の第八号の範囲の問題になるだろうと思いますが、第八号では学校関係では直接保育又は教育の用に供する固定資産、こういうように規定しております。從いまして具体的に直接保育又は教育の用に供する固定資産であるかどうかということを認定するわけであります。もう一つの問題はその次に書いてあります「民法第三十四條の法人がその設置する図書館において直接その用に供する固定資産」こういうところで法律上別に課税を禁止いたしますものは極めて明確なものでなければならない、範囲の曖昧なものにつきまして、一律に非課税にする規定を置くことは却つて穏当でないという考え方であります。
  62. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 今校長住宅の話が出ておるのでありますが、この法文からいたしましても、同一の校舎内に宿直の用向きを以て建てられております校長住宅は本法ではつきりしてこれは非課税だと思うのです。ところが山の中へ行くというと家を建てて呉れなければ教員が赴任して呉れない、そこで住宅を建ててやつておる、但しそれは校地の中には建つていない、村の民家と一緒に建つておる、こういうような場合にはいわゆる直接教育の用に供するのではないから、これは非課税対象にはなり得ないとこう見るべきですか。それともやはりこれは適用されますか、どつちですか。
  63. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一般住宅の中に校長さんの住宅が建つておるのでしたらお建てになつた勢いでもう一つ税金も一緒に負担して頂くようにお願いしたいと思います。(笑声)
  64. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 三百四十九條の百分の一六に変つたというところで参考資料のうち三の固定資産税に関する調べ、二十五年度の計数を五百二十億円になるように計数説明をお願いしたいと思います。
  65. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは結局百分の〇・一だけ政府案に対しまして税率が下つたわけでございまするが、そのことは五百二十億から逆算して参りますというと約三十億であります。三十億分だけ償却資産が多いものというように衆議院の方では見られたわけでございまするから、今の三十億から税額基本の償却費産額を逆算して行きましただけこの政府案の額にプラスして行かなければならないということになります。
  66. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうすると、この逆算の数字をお聽きしたいのですが、課税標準は幾らになり、その基本額は幾らになるのですか。この償却資産の……。
  67. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は後で数字を作りましてから申上げます。
  68. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは後で数字を申上げるそうです。
  69. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 じや一・七でやつた場合も計数で質問したいと思いますが、この基本の額が九千七百三十何億とあるのが(ロ)の方の算出基礎から出ておるのでありまするが、平年度の徴收見込の方の基本額は、償却資産で一千五百六十八億ですかあるわけですし、二十六年度は一千百七十四億あるのですが、この二十六年度は二十五年の一月一日の評価でこれを見ておるというふうに別表の一に出ておるのですが、何故この二十五年度の償却資産において千百七十四億というものが見られなかつたのですか、この点をお伺いしたいと思います。
  70. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御承知のように昭和二十五年度の償却資産に対する固定資産税におきましては、償却資産の評価について再評価の方式を採用するわけであります。それで基礎の非常に明確なものでありましたら、やはり適正な時価というものを決定して行かなくちやならんと思うのでありますけれども、時間が短いものでございますので、なかなか基礎資料を集めまして、納税義務者の納得の行くように適正な時価を決めて行くことはむずかしいと思います。それでやはり仮評価の方式をそのまま認めなきやならないだろうと思います。ですからどうしてもここに簡単に一線を画さなきやならんわけなのでございます。そこで再評価額というものが再評価額の限度額の七〇%を越えております場合には、それをそのまま用いてよろしいわけでございます。再評価額の限度額一杯に評価して行く、或いは限度額の八〇%を評価して行く。それをそのまま課税標準に用いまして、二十五年度分の固定資産税額を仮算定いたします。ところが現在は四〇%しか評価していないというような資産でも、一律に七〇%で仮評価しているわけであります。故に本年度は時価が基礎になるというよりも、資産再評価法に基きますところの評価額の限度額が基礎になるわけであります。故にこの再評価額の限度額というものは、理論的に申上げますと、時価とは何の関係もないものでございます。何の関係もないものでございますけれどもこれを基礎にして、固定資産税の額を低算定して行くという方式をとつておりますので、見積額もそれを基礎に取らざるを得なかつたのです。從つて昭和三十五年度分の償却資産固定資産税に関する普通見積額は再評価額の限度額から計算をいたしております。二十五年度以降平年度におきましては、これは飽くまでも時価を課税標準にいたしますので、時価を算定したらいいだろうというような尚別途の観点に立ちました計算をいたしておるわけであります。從いましてここに償却資産課税の基本額といたしまして、三種類のものがあるわけでございます。
  71. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうするとこの二十五年度の償却資産の基本額として想定したものは、一応内輪で見ておると、こう考えてもいいわけですか。
  72. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 内輪に見ておるとか大目に見ているとかいうことじやございませんで、再評価額の限度額ということになりますと、各法人の持つておりますところの固定資産そのものの簿価が幾らであるということから引つ張つて行かなければならんわけでございます。帳簿に載つけております価格のその取得したときからその後の物価額を算定して、そういう計算をするわけでございますので、現実に一体法人の固定資産が幾ら簿価に計上されているかというふうなところから出発して行かなければならんわけでございます。そこでそれらに関します資料を四の(2)以下に挙げておるわけであります。これは大目に見ておるとか低目に見ておるというものとは別個のものでございまして性質が違う。かように見て頂けばいいと思います。もう一つこれは先程次長から資料を出し又あとでと申しましたが、簡單なことでありますので、御説明で勘弁して頂きたいと思いますが、四のIのところの償却資産がございます。四のIのところの一番上の(A)の欄に昭和二十五年度の償却資産が上つております。この償却資産の收入見込額を九十九億と見ておつたわけでありますけれども一・六%にしますと、土地価格は全然動きません。自然土地家屋から三十億だけを足しまして、それだけは償却資産に廻つて来る。從つて償却資産は百三十億なければならない。こういうことになるわけであります。自然こういう課税限度額の一・七幾らというものは大体九千億余りにならなければならない。そういう計算になるわけであります。そうしますと、我々の考えております限度額は九千三百九十億円でありますから、大体近いところまで行くということになるわけでございます。
  73. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、課税標準額は前のように七〇%を落したというのが、今度は九〇何%に上つて行くのだと、こういうことになるのですか。
  74. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 償却資産については二つの要素があると思います。ここでいろいろな資料に基きまして、償却資産を把握しておりますけれども、帳簿に上つていないいろいろの償却資産が沢山あるだろう。こういう疑問があると思います。それからもう一つ償却資産は我々は非常に低く計算をするだろうと思いますけれども、そうでなくて、経済界もよくなつて来て、償却資産の評価額というものももつと高く評価しやしないだろうかということもあるわけであります以上は、そういうものの見込も立つものなら、七千億が九千億になり得るということもあるわけであります。
  75. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうすると、結局二十六年度に繰越される金はこの徴收率を大体九〇%と見たので、滯納額として一〇%を算出税額から言えば繰越されると共に、見込違いから来る課税された金額、過年度收入なるものが相当つて来る。こう考えていいわけですか。
  76. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 徴收率の落されます部分は、その差額だけが翌年度に繰越されるわけです。翌年度に全額徴收されるかということは一つの疑問がありますけれども、過去の実績を見ますと、翌年度に半分ぐらいが徴收されるというふうな成績になります。本年度の状況によりまして結局吟味しなければならんということも相当ありますので、そういうことが起きて参ります。
  77. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 いや、それだけで、算出税額だけ税をかけるのではなくて、それ以上に見られるものならば何にでもかけて行くのですから、その分の繰越というものが別にこの数字以外に出て来るだろうということをお聞きしたいのです。
  78. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) よく正確に理解しておらんかも知れませんが、この四の(I)の一番上の(A)の算出税額と收入見込額と二つ数字を書いてございます。算出税額と收入見込額の差額というものが翌年度に繰越されて行きます。こういう考え方を持つておるわけであります。この算出税額の中の土地家屋の分が合計いたしまして三十数億円減額になりまして、償却資産の方にそれだけ殖えて来なければ合わないわけでありますけれども、若しそれ以上に算出税額があり得るならば、その分を縱年度に繰越されて行くということはその通りでございます。
  79. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 ですから、結局はこの課税標準として土地でも家屋でも何%かに落して捕捉しておるという分の差額ですね。差がやはり繰越になるのだということを考え、又滯納額が翌年度に繰越されるのだということを考えると、徴收見込額を五百二十億とする場合の税率ではなくて、少くとも算出税額そのものにおいて五百二十億というふうに見えるならば、滯納であろうが何であろうが、いつかは取れ、税收入となるものですから、その方が正しい税率の決定の仕方になるのじやないかと思うのですが、御意見を伺いたいのです。
  80. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 政府考えておりますのは、要するに、昭和二十五年度におきまして府県や市町村の所要の税收入額が千九百億円と考えておるのであります。その千九百億円の税收入を固定資産税に五百二十億円求めておるわけです。将来固定資産税が幾ら取れるかということを考えておるわけじやございません。現実に昭和二十五年度に市町村の收入といたしまして現実市町村がその金を使つて二十五年度内に仕事をして行きたい、その額として五百二十億円を予定しておるわけでございますので、算出税額ではございませんで、收入見込額が五百二十億になるように期待しておるのです。そういう意味において法律の中においても徴税額を上地や家屋の分については九〇%、償却資産の分については八〇%ということを特に明確に規定しておるわけです。それからいいますれば当然平年度においては五百二十億円以上の收入がなければならない、こういうような形になつておるわけです。
  81. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、平年度になつた場合に約六百億に近い税を見込む固定資産税が、来年の一月に仮に五百二十億現実に取れない、七〇%なり六〇%なりの徴收率しか見込めない、こういつた結果が出て来て税率を上げることとなつて、一・八なり一・九に上げた場合にはこの平年度のそれはもつともつと殖えて行く、幾ら殖えても、もう二十六年度以降は構わない、取れるだけ取るんだ、こういうことになるようにお話を伺うのですが、その点はどうなんでしようか。
  82. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 現実に昭和二十五年の徴收率というものが七〇%でありましても、計算は土地家屋については九〇%、償却資産については八〇%で計律した結果が五百二十億円でありますれば税率は変更しない、さように考えて頂きたいと思います。計算方式というようなものを法律の上に明確に規定しておるわけです。それでは平年度においてもつと取れれば取れた方がいいかという御質問のようでありますが、地方税收入として千九百億円程度のものを今度の税制改革において予定しておるわけでございまして、固定資産税の平年度における收入額が非常に沢山になつた、自然千九百億円を上廻るような結果が起きました場合には当然これは政府の見込が違つておるわけであつたのでありますから、法律を改正いたしまして、いずれにしても税率を引下げて負担の軽減を図るといつたような措置をとらなければならないと思います。
  83. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 片方の固定資産税の方は本年度ぎりぎりということのためにいろいろ操作をしておるのです。来年度以降そのことによつて繰越その他で税額が殖えて行つても大体いいような仕組になつておるのですが、そうすれば、その考え方からすれば昨日の問題に移つて市町村民税が平年度においても本年度よりは百億以上減つて行かなくちやならない、こういう問題を本年度においてはその百億を減らさないで過年度の所得によつて徴收するというようなことはどうも呑込めないのですが、その点を関連して一つ御意見を伺いたいと思います。
  84. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 大体お話のようなことでありますが、昭和二十五年度において千九百億円の税收入を上げますためには、市町村民税におきましてもやはり標準税率として一八%の税率を見込まなければならない、税率を変えませんと。来年度以降百億円ばかりの減收になつて行くわけであります。その結果千九百億円の收入が得られないという問題が起きて参るわけでありますけれども、半面に固定資産税の増收が得られるならばそれでカバーすることができる。大体今年と来年度以降の変化を想定いたして参りますれば、総合的に考えてこのような措置でいいのではなかろうかというような考えを持つておるのであります。
  85. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 先程鈴木政府委員に最初に聞いたときには、この一・六とした場合の償却資産の收入見込額を三十億増さなくちやならん。それから逆算して課税標準なり基本額なりというものが出て来る、こういう話だつたのですが、それから見ますとこの一・七の税率を決めた場合にも、償却資産分についてはそれだけの收入を五百二十億から差つ引いて九十九億なにがしと出して、逆算して後の数字を並べたのではないかという考えを持たざるを得ないのですが、初めから償却資産の基本額を二十五年度ではつきりこう把握したというふうには考えられないのですが、從つて課税標準そのものも、それから率を考えて持つて来たということではなくて、逆に税收の見込の方から数字だけを並べたのじやないかと思われるので、もう少し基本的な償却資産課税標準額が出て来るまでの経緯をお話願いたいと思います。
  86. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) そういう疑問をお持ちになるのも無理からんことだと思いますので、四の2をひろげて頂きまして、極く簡単に御説明さして頂きたいと思います。四の2のところに参考の1がございます。興銀の固定資産の再評価額の推計であります。これはすでに春の国会の際に大蔵省から再評価税の基礎として提出いたしましたものに、更にその後の我々の調査に基きまして償却資産の増加分を加えた分でございます。でありますからその、数字よりは多少上廻つた数字になつております。それで見て行きますと、毎年の固定資産の増加額というものがございますが、それが左の欄でございます。その次に内戦災後の残存率というのがございます。その残存率を掛けますと(ハ)の欄が要するに現在の簿価と想定される……、取得時の簿価と想定される額でございます。その右の欄がそのうちで固定資産償却残存率というので、これは定率法で算定したものでございますけれども、昭和五年のものでありましたから、二十年の耐用のもので考えて行きます場合に、一〇%になるわけでございます。大体全体を平均いたしまして固定資産の耐用年数を二十年と想定いたして参つておるわけであります。これだけのものが残つておる。その次の右の欄が再評価倍率でございます。昭和五年のものでありましたが、その後の物価倍数が三百二十九倍になつておると考えたわけでございます。各年次において違つて来ておりますけれども、それを掛けますと、右の端の欄が固定資産の再評価限度額になるわけでございます。これが限度一杯に評価すれば各年の固定資産で今残つております部分がこの程度になるというわけでございます。少し細かくなりますので、後は御質問によつて幾らでも細かく御説明申上げたいと思います。それで四の1に戻つて頂きまして、こういうふうな計算で見て参りまして、償却資産の再評価の限度額が幾らであるかということを計算いたしますと、その償却資産の基本の欄に九千七百三十八億二千二百万円という数字が上つております。これが土地家屋を除きました固定資産課税対象になりますところの償却資産の再評価額の限度額になるわけでございます。今度は仮評価の方式を採用いたしますので、一律に一応七〇%と、こう見たいと考えておるわけでございます。もとより限度額を一杯に再評価いたしますものもあるだろうと思います。その場合にはそれをそのまま課税標準にとるわけでございます。半面において又現実の再評価額が限度額の三〇%、四〇%である。これを七〇%まで繰上げて仮評価したいと考えましても、例えば戦争中大砲を作つておつた会社であつて如何に何としても七〇%には評価できないというような資産が沢山ございますので、平均いたしまして七〇%、かような考えを持つておるわけであります。併し七〇%でありますが、最近に取得されたようなものにつきましては七〇%を取る必要はない、だから昭和二十二年までの資産につきましては、限度額の七〇%を取りまして、それから二十三年度、二十四年度は取得そのものをそのままプラスしておるわけであります。七〇%よりもつと高い額を加えておる結果になるのであります。そういう計算をいたしますと、いわゆる九千七百三十八億二千二百万円という数字が課税標準としては七千百九十四億九千九百万円ということになるわけであります。大体九千七百億円の七〇%以上になつておるわけでございます。以上になつております理由は、二十三年と二十四年はそのままの額を加えておる結果でございます。これに一・七%の税率を掛けました算出税額として千二百億幾ら、更に徴收率の八〇%を掛けますと九十九億幾らになる、というふうな計算になるわけでございます。一・六%になりますと、この課税標準額がもつとなければならないというふうな計算になつて参るだろうと思うのであります。いずれにしましても、二十五年度には現実に二十五年度中に市町村の收入になりますものを五百二十億と抑えるわけでありますから、これも当然平年度におきましては相当の増收が得られると思う、その増收分というものが市町村民税の減收をカバーできるというふうなことを今回の税制改正において予定をいたして参つておるわけであります。
  87. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますとこの次に話を移すんですが、三百五十條の二項の問題ですが、本年度五百二十億を見るための措置としてのこの第二項というのは来年度以降は何ら関係がないということでなくて、二十六年度もこの五百二十億なり、或いは何億なりというものを予想する範囲におけるその税率の変更というようなことを考えることが税自体を市町村民にかける場合に毎年度、恒久的にこの税についての見込を担税者が持つということについて便宜であり、又信用もおき得る問題ではないかと思うんですが、こういう点については何らお考えはないのでしようか。
  88. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三百五十條第二項のような計算の仕方をいたしまして、二十五年度内に五百二十億円の收入があり、その程度であるならば平年度において市町村民税の減收を若干カバーして大体予定しておる千九百億円が地方団体の税收入として得られるであろうというふうに期待いたしておるわけでございます。併しながらそれが予想に反しまして、もつと沢山收入が得られるというようなことになりますれば、もとより地方税全体につきまして再検討を加えまして、負担の軽減を図るような措置を講じなければならないと思います。仮に又予定の收入が得られません場合には、或いはこれは税制の改正を行うなり、或いは経費の節減を図るような方法を講ずるなり、いずれにいたしましても何らかの措置を講じなければならない、というふうな考え方をいたしておるわけであります。併し現在においてはこの案で大体順調に予定通りの結果が得られるであろうというような予想をいたしておるわけです。
  89. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私の不満とするところは、二十六年度に、もう繰越金として百億に近い金を予定したり、そういうものを見込得ることにおいて、五百二十億の徴收見込額というものを見出す税率を考えておる。そうして市町村民税の方の百億減をカバーして行くのだという、そういう想定の下に、この固定資産税の税率なり或いは徴收率なり或いはこの捕捉率なりを考えられるという点が怪しからんのではないか、というふうに考えるわけです。それで若しも初めからそう予定されているものならば、その予定されているものを本年度中に徴收することに努力して税率を引下げる。そして来年度の市町村民税の減税になる部分は減税になる部分で、別途、これでカバーするということでなくて考えるべきではないか。そういうふうに考えるわけです。大体税の取立てでそうした上廻つた、来年度は繰越金その他で取れるんだというようなことを想定して、而も法律上は本年度のことだけを考えているというような、この考え方はいけないのではないか、こう思うのですがどうなんでしようか。
  90. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 税制改正を昭和二十五年度の税收入に限定して行いますならば、御意見に即応したような措置もとれるだろうかと思います。併しながら税制改正は恒久的なものとして予定をいたして参つておるわけでございます。  それからもう一つ新税につきましては、当該年度の收入というものは平年度よりも相当下廻ることは御了解頂けるだろうと思います。併しながら当初の年度におきましても、地方団体として主要な税收入が得られるかどうか、或いは平年度にも地方団体として必要な税收入が得られるかどうか、そういうものを総合的に勘案して行かなければならないと思うのでありまして、大体初年度において五百二十億円收入が得られるなら、平年度において得られる増收額で、全体の必要な地方税総額をカバーすることができるだろう。こういうふうな考え方を持つておるわけであります。第一点は臨時的な税收ではなくて、恒久的な税收と考えて行くわけであります。  第二点は新税は常に実施の当初におきましては平年度において予定されるような税收入は得られないと思います。  第三点は昭和二十五年度と平年度を通じて勘案いたしまして、初年度に固定資産税が五百二十億ぐらい得られれば、平年度において地方団体は必要な税收入が確保できるだろうと、こういうような見通しに立つておるわけであります。
  91. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 どうも廻りくどい話で大変恐縮ですが、二十五年度に使えるように現金を五百二十億叩き出すんだ。こういう意味で税率を決めるということから、表において予定されないもので課税されたものが繰越されて行くという部分が随分多くある。平年度の償却資産の評価額等から見ても、相当あるのではないかということを、どうしても疑問を持つのであります。で初めからそういう形になることは怪しからんことで、結局本年度現金になろうがなるまいが、徴收でき得る範囲、即ち課税額から、見て税率を考えて、そうしていつかはその金が入つて来るのであるから、その部分市町村の財政操作でいろいろ賄つて行くという部面もあるように考えるので、基本としては、そういうプラスエツクスがアルファーになる瘤がどこかに隠されておるというような意味で、表面上の税率が、一・七なり一・六であるのかということは、どうしても賛成できないところなんです。而も三百五十條の二項によるというと、法律的立法の手続をとることなしに一地方財政委員会の規則を以て、この税率の変更ができるというような、こういう委任立法は、或いは惡意に解するならば、いろいろな見込の立て方を変更して、そうして直ちに一・六なるものを引上げることも可能である。又特にこの償却資産などの評価の仕方などは、町村の未熟な徴税吏員で、而も町村長初め町村議会関係者があり、その町村の有力な人達、その他に対して真に適正な評価を下して徴税できるかどうかという点については疑問もあるし、ちよつとした手先の技術的或いは政治的な取引で、評価額というものが相当幅広く動く場合もあるのでないかということを考えるというと、それらがすべて地方財政委員会の方に持つて来られて、徴税のためにのみ都合がよく、担税者の方の利害は考えないというような場合の税率が極端に言うならば出て来るのではないか、そういう可能性を生むような、こういう委任立法はどうしてもうまくない。そういうふうに考えられるのですが、国会に報告するということであつても、この報告をするということから、国会地方財政委員会に対して如何ようなる措置でもとつた場合に、二十五年度に遡つて、この地方財政委員会の税率変更に対して異つた決定をすることができるかどうか、こういうような点についてもお伺いして置きたいと思います。
  92. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今御指摘のございました第三百五十條第二項の規定によりまして、地方財政委員会がその規則で税率の変更をするものである、こういうことになる点についての御意見と伺つたのでございますが、この点につきましては地方財政委員会設置法等によりまして、地方財政委員会地方財政の運営に当りましては、その執行機関としての或る程度独立の権限が付與されておるような次第で、從いましてこの第三百五十條第三項によつて税率の変更をいたしました場合におきましては、その旨を速かに内閣及び内閣を通じて国会に報告しなければならない義務を負わされておるのでありまするが、内閣に報告されました場合において、内閣といたしましてはその必要に応じまして税率の変更をいたさなければならない場合におきましては、国会に対しましてはこの地方税法の改正法律案を提案いたすことに相成りますので、国会におきましてはこの改正法律案の御審議に当りまして、十分地方財政委員会がとりました措置について御検討を頂けることになるわけでございます。この点を甚だ補足的でございますが、御説明を申上げまして御了承を頂きたいと思います。
  93. 安井謙

    ○安井謙君 今の問題に関連いたしまして……、この第二項の二十五年度における過年度分の調定分及び滯納繰越分云々というこの合計は大体見当でどのくらいになるのですか。
  94. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 四の一に書いてありますように、昭和二十五年度における過年度分の滯納繰越分のうちの收入見込は二億一千九百万円と予定しております。現在の市町村の收入になる部分です。府県の收入になる分は計算に入れておりません。
  95. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 今の政務次官の御答弁ですと、何か国会にまで持つて来て法改正をしなければ効力が発生しないようにも聴き取れた部面があるのですが、もう一度はつきり御説明願います。
  96. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今私が申上げましたのは、この法律を改正しなければならないような必要が生じました場合におきましては、勿論国会に提案をしなければならない自明の理を申上げたのでございますが、この第三百五十條の第二項の規定によりますと、地方財政委員会規則で変更するものとするという委任を受けております。この場合におきましては、税率の変更のあつた場合においては国会に報告するに止まることが考えられるのでございます。併しながら先程来の御意見によりまして、これも全体の税法の一部といたしまして税率の変更等を伴つて来るような場合も、その過程において起りましたような場合においては勿論、国会においては地方財政委員会等において研究いたしました結果に基いて、政府に提案いたしました法律案について、勿論御審議を願わなければならん。一般的な問題とそれからこの問題と両方絡み合して御答弁申上げました関係上、さようにお聴き取りを願つたのではないかと思います。
  97. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうすると第二項で、この法律によつて地方財政委員会に税率の変更を委任してしまうのですから、委任してしまつたものが後で地方財政委員会の税率は怪しからんということで国会で修正したりする権限があるかどうかということをお伺いします。
  98. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 更にお答えをいたしますが、この法律案によりまして地方財政委員会がその規則で税率の変更をすることができる権限を委任されておる、権限が與えられておる。これは御了承が願えると思うのであります。その場合において、国会に報告がありました場合に国会のお立場でこれをどう処理するかということは、立法機関としてのお立場上問題になるであろうと、かように考えるわけであります。ただこの規定の予想しておりますことは、只今申上げましたように、地方財政委員会がその委任を受けた権限に基いて変更ができる、変更する、こういうことになつておる次第であります。
  99. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、若しも仮に地方財政委員会が一・五とし、或いは一・八と決めた場合に、来年度以降の地方税法の一部税率を内閣はこの法によつて変えるのですか。変えないで規則に委して、本文は一・六になつておるのですか。
  100. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は、第二項におきまして五百二十億の算定の基礎を設けて、要するに法律の定める條件に從つて地方財政委員会が税率を最終的に決めるようにいたしておるわけでございまして、その限度では法律による委任を地方財政委員会にする、こういう案でございます。從つて地方財政委員会としては、その委任を前提といたしまして、法律の定めた條件に從つて税率を変更する権限を法律上與えられるという結果になるわけでございまして、それはここにございまする百分の一・七というのか、一・八になりましよう、或いは一・六になりましようと、これはこの法律には勿論違反をしないという考え方で立案をいたしておるものであります。
  101. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 だから形式上、後でその地方財政委員会の規則で決まつた税率に、この本文の税率を直すのかどうかという点です。
  102. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは仰せの通りでございます。
  103. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それからくどいようですが、この「相当に上回り、又は下回る」という「相当に」というのはどの程度のことですか。又続けて質問して置きます。第二は見込違いになつて、昭和二十五年度のこの固定資産税收入の統計をとつた場合に、いわゆる税率を直しても相当に上廻つて余計金が取れたなどとなつたら、責任はどこにあるのですか。この二点を伺いたい。
  104. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 「相当に」と申しますのは、大体〇・〇五くらいの異動を生ずる場合を予想いたしております。額にいたしますと大体十五億くらいの額を考えておるわけであります。それからこの五百二十億以上に、一・六にして取れた場合のその責任はどこにあるかというお話でございますが……。
  105. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 いや税率を変更して、財政委員会が……。
  106. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 財政委員会がこの五百二十億という見積りの調査をいたしまして、五百二十億に達しないからというので、例えば百分の一・六というのを一・六五にする。その結果として、全体といたしまして年度末に集計いたしますと五百三十億になつたという場合、或る程度の動きはこれは止むを得ないと存じまするが、とにかく財政委員会に対する授権の條件といたしましては、ここに書いてある通りの見方をいたして、五百二十億を取れるか取れないかということでございまするから、この案に規定をいたしておりまする條件通りに財政委員会がやつておりまするならばこれは委任の根拠には違反をしない。政治上の責任ということはございましようけれども、法律上の問題といたしましてはこれは支障がないと考えております。
  107. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 その幅も十五億程度のところは差支ないということになりますか。それ以上になつたら怪しからんということになりますか。
  108. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は事実上の……、いわば政治上の問題でございまして、甚だしく見込違いを生ずるというような場合におきましては、その調査が適正でなかつたという責任は起つて来ると存じますが、財政委員会といたしましては、ここに資料の集め方もちやんと規定をいたしておるような次第でございまして、市町村長なり、府県知事なりの持つて参りました資料に基いて五百二十億を算定するわけでございますが、その基礎の資料に不適正な点があるということになりますというと、財政委員会としては最善を盡したけれども、尚さような見込違いを生じたという結果になると思うのであります。
  109. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今いろいろ伺つていたのですが、三百五十條の二項、三項、四項は二十五年度限りの條文だというのですね。今の地方財政委員会の規則は税率を上げ下げする場合でも……、下げる場合は別として、上げる場合でも、その際でも、やはり三百四十九條の百分の三を超えることはできないのですか。ここに書いてある通り、二十六年から二十八年まではというのですが、その次の質問として、二十八年度以降は百分の三を超えることができるということになるのか、その点どうなんですか。
  110. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) お考え通りでございます。
  111. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると念のために伺つて置きますが、三百五十條の二項は……、前文ですね、百分の九十、百分の八十というのは、その後段の繰越見込額の二億一十九百万円との合計額が五百二十億ということになるのですが、そうすると納める方の二十五年度の場合は、地方財政委員会が規則を変更するような場合になると、自分の納税額の土地家屋に対しては九十、償却資産については八十だけ納めればいいということですか。
  112. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それはそういう考え方ではございませんで、ここで本年度内において取れるであろうと見込んでおりまするものの土地家屋は九十、償却資産は八十、こういう押え方をいたしておるわけでございまして、個々の納税者の問題といたしましては、これはやはり百分の百を納めて貰う。ただいろいろの徴税の状況から申して、今年度内に入つて来る分はこの程度であるということでございます。
  113. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると財政委員会規則で取過ぎるために下げた場合、多く納めた場合はどうするのですか。返すのですか。個々に返しますか。それともどうするのですか。
  114. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この五百二十億というのは税率を変更いたしますための一つ法律上の委任の要件として規定をいたしておるわけでございまして、仮にこれを上廻りました場合におきましても、当該の市町村といたしましては、それを、正当の手続によつて徴收した税でございまするから、これをいわゆる過納とかいうような観念で返すことにはならないわけでございます。
  115. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺つて置きますが、政府側に三百五十條の二項を置いたというのは、その真意はザツクバランに言うと、やはり前国会以来問題となつていたごとく、標準税率でもあり、この固定資産税は附加価値税の論議と同じように、政府考え方はこうあるけれども、これだと取過ぎる、随分取過ぎるぞという懸念を肚に持つたので三百五十條の二項を置いたのですが、その真意はどこにあるのですか。
  116. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは二十五年度の固定資産税の税率は、第一項にございますように、固定税率、一定率というような考え方でございまして、いわゆる標準税率というような彈力性がないわけでございます。然るに殊に償却資産等につきましては、前国会以来いろいろ御意見がございまして、政府の見方についての御論議もあつたわけでございまするが、そういう点を勘案をいたしまして、固定税率の建前ではございませんで、第二項の方で新たなる観念としてのいわば仮税率というような考え方を取つた次第であります。
  117. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点、やはり第二項ですが、土地家屋に対しては百分の九十、償却資産に対しては百分の八十、こういうふうに差をつけてお考えになつたのは、やはりこれも前国会以来問題だつたのですが、土地家屋從来もやつておつたから取り易いから百分の九十、今度の償却資産の方はなかなか取りにくいから差等をつけて百分の八十に下げた。その十の差をつけられたその理由はどういうのですか。
  118. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 土地家屋につきましては賃貸価格はつきりいたしておりまするし、それの九百倍ということになりますから、納税者と徴税団体との間においては争いの余地が殆んどないわけでございますが、償却資産につきましては、仮決定の簡便な方法を設けましたけれども、土地家屋の場合におきまする程簡單には参りません。或いはその間に、徴税団体と納税者との間におきまして問題が起ることもございましようし、それを勘案しまして、大体自分の八十程度しか今年度実際には入つて来ないのではないかという考え方でございます。   —————————————
  119. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上を以ちまして午前の審議を終ります。  尚休憩前にお諮りいたします。岩木哲夫理事から都合によつて理事を辞任したいという辞任願いが出ました。それで許可いたしたいと思います。御異議ございませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)その補欠の選任をいたしたいと存じます。
  120. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 成規の手続を省略しまして、その理事の氏名を委員長に一任するの動議を提出します。
  121. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今西郷君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは竹中七郎君を理事に選任いたします。御了承願います。それでは休憩いたします。午後は一時四十分から始めます。    午後零時四十一分休憩    —————・—————     午後二時二十五分開会
  123. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより午前に引続き委員会を再開いたします。地方税法案の質疑を続行いたします。
  124. 石川清一

    ○石川清一君 三百四十九條の固定資産標準税率はそれぞれの後の倍率、或いはその他にも非常に影響がございますので、ここだけで意見がないというよりも、併せて後の方で審議されるときにも出て来ると思います。それは農地の場合を例にとりましても、賃貸価格の二二・五倍と、こういうことが出されておりまして、このこと自体が課税の反当の金額、或いは農家の価格、或いはそれぞれの価格に大きな影響が出て参りまして、結論はその税額が妥当であるか、どうかという最後の数字が出て参りますので、ここで申上げることは、後の條文にも影響しますけれども、一応申上げたいと存じます。それと更に固定資産の税率は、政府のすでに認めましたように、第七国会では一・七五、それが一・七になりこの度参議院に、衆議院の修正によつて一・六という税率で廻つて来た関係、こういう問題を廻りましても、固定資産の査定が一町村でない場今、二町村以上に跨がる場合、こうした場合にも、この五百二十億という数学、或いはこれを査定するところの二以上の町村、これに対する地方財政委員会の権限、並びにこれに伴ういろいろな條例の設定と、こういうようなものにも非常に影響を及ぼしまして、最後には一・六と今決められておるのが、この條文の示す通りに、或いは一・五に、或いは一・八にならんとも限らないような情勢にありますので、これに対する意見を併せて、後にも出て来るということを更にそういう面でも申添えて置きます。
  125. 相馬助治

    ○相馬助治君 この際午前に引続いて三百五十條に関して、大臣に対して是非所見を伺つて置きたい点が二点ございます。この三百五十條第二項の收入見込額を五百二十億と押えて、何でもかんでもこれだけは取るんだと、逆さにしてもこれだけは取るんだと、こういうふうな意味で、ここに金額を押えて、逆に税率というものを割出して行くという、私達の常識を以てしては、ちよつと分らない形の法律案なので、どうしてこういうことになつたのか、又これについての何か特別な見解があればお聽きしたいというのが第二点です。第二点はこの第三項の地方財政委員会が、その前項の規定によつて、昭和二十五年度分の固定資産税の税率を変更することができる、その変更した場合には、国会に報告すればよいということになつておりますが、この第二項で見ると、昭和二十六年の一月中にやることになつております。丁度一月というのは通常国会が開かれております。少くとも税金に関する限りは、何人からどういう税金をどれだけの率で取るかという算定が極めて重要な問題だと思います。從いまして、この税率を決定するのですから、又時もよし、一月中にそれが行われるようになつておりまするから、これは私の見解を以てすれば当然国会においてこの税率というものを決定すべきが妥当である、こういうふうに考えます。裏から引き返して言いまするというと、こういう税率を委任立法にするというのは、一つ国会の審議権に対する侮辱ですらあるのではないか、こういう見解を持つものですから、その一点について特に大臣の御見解をお伺いいたします。
  126. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。相馬委員のお説至極御尤もでございます。先ず第一点としまして五百二十億円を予定に入れてそうして税率を上げたり下げたりするのはおかしいじやないかという思召しでございますが、それはその通りでございますが、実は今度改正法を出しましたので地方の財政をとにかく千九百八億という枠の中に入れまして、そうしてこれで、又財政をやつて行かせようとこう考えたわけです。それじやそれについて固定資産税で幾ら取れるか、又附加価値税でどれだけ取れるであろうか、又外の税收でどれだけ取れるだろうかということをいろいろ勘案しまして、大体において五百二十億を固定資産税で取るのが適当であろうという感じがございましたものですから、それで五百二十億を先ず千九百八億の中にはめ込みましてやつて行きたい、そこでこの前から国会におきましていろいろ御論議がございました、いや五百二十億どころじやない何百億というのが余計に沢山入るじやないかという御議論があつたようであります。それで税率も下げたようなことにいたしましたり、同時に若し多過ぎた場合にこれは又少し税率でも下げなければならんというような規定をしまして、そういうような経緯で何でもかんでも五百二十億取るということのためには実はその通りなのでありまして、五百二十億取らなければならないから取ろうという考えをしておるだけのことであります。先ず第一点としましてはそういう点は一つ御了承願いたいと存じます。  それから第二項の、地方財政委員会に、一月中に税率をいろいろ精算しまして決めましたら内閣並びに内閣を通じて国会に報告しろということでございますが、これは我々としましては、成るたけ国会の審議権は尊重いたしますけれども、地方財政委員会というものはこれは独自の立場で非常に強力なる機関として国家が認めた委員会でございまして、大体においてその方面でそういうようなことをさせるのが本当じやないか、内閣とか……、まあ国会が監督権を概括的に持つことは異論はございませんが、内閣あたりがそれにいろいろ指図がましいことをするのは地方自治の本体から申しましておかしいのじやないか、こういうふうな立場から地方財政委員会にそういうような権限を與えて、そうしてまあ併し内閣並びに議会にも報告して貰つたらいいのじやないか、こういうふうな軽い意味で第三項を入れておるわけです。要は地方自治につきましては地方公共団体の自主的な立場を非常に尊重して今後はやつて行きたいと、こういうような意味地方財政委員会というものに強力な力を與えてやらして行く、そうしてまあ併しそれでは余り中央と掛離れてしまうというような意味でございまするが、丁度私が自治庁の長官をしておりますけれども地方財政委員会に対して何らの監督権も干渉権もない、併しながら一方国費というものを以て地方財政を助けなければならん、私は中央では国務大臣でございますから、国務大臣として中央の支援を與え若しくはいろいろ補助をするのに当りましてその中間に入りまして連絡機関を務めておるというような次第でございます。丁度この際の第三項は私の立場と同じくらいな程度と思召して下さつて結構だと思います。
  127. 相馬助治

    ○相馬助治君 質問の第一点に対しては、大臣が率直に少しおかしいのだが、現実からこれは止むを得ないのだ、余儀ないのだと、こういう説明で了承します。  第二点は地方財政の独自性を認め、地方の自治を強めるために地方財政委員会にこの程度の権限を付與することは差支ないと、こういう御見解ですが、私はそういう見解が惡いと言つていない、よしんばそういう見解が正しいといたしますならば、この法律案で住民税の均等割を北の端から南の端までこんなに細長い日本の国で一律に九百円と押えておる、いわばこういう肝腎かなめなものを地方財政委員会に権限を預け、又一方はそれと理論的に矛盾した面においては非常に事こまごまと税率の問題から非課税の問題その他府県税に廻した、市町村税に廻したものというのを政府で以てこの法律で決めて動きがとれないようにしておる。この間の矛盾を考えたものですから、要するに基本法であるが故に第三項にこういう地方財政委員会に肝腎かなめな税率の決定を預けたということはおかしいのではないかと、こういうような意味なのです。  もう一つはこれを敢えて質問しなくちやならないのは、午前中同僚小笠原委員質問に対して小野政務次官の答弁を聞いて見ますというと、その地方財政委員会が決定した税率がおかしい場合には、別途国会で独自の審議権を以てこれに対して文句を言い得るやに……、私の聞き違いかどうか、言い得るやにとれるような答弁があつたものですから、それらの連関を以て一つお聞きしたいと、こういう意味で聞いたので、特にここで次官の御答弁を求めます。
  128. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私からお答え申上げます。この第三百五十條第二項で、地方財政委員会規則で税率を変更する権限を與えておりますことは、午前の本委員会で鈴木政府委員からも御説明を申上げた次第であります。この地方財政委員会規則で税率を定めるということ、変更するということが第三項との関連におきまして国会の審議権を侵すものではないかという御議論のように拜聴いたすのでありますが、第三百五十條第二項において税率の変更の場合におきましては、この二項中においてその法律的な要件がはつきりと謳われておりますので、この点につきましては地方財政委員会性格、先程大臣から御答弁を申上げましたその性格と相俟つて差支ないものと考える次第であります。第三項の内閣及び内閣を通じて国会に報告した場合においてどうなるかというふうなことの関連であろうと思いますが、その場合において、国会に報告いたしました場合におきましては、国会がその立場においてこれをいろいろと調査なり審議をされるということは、国政調査権もおありになるわけでございまするし、国会が立法機関としての立場上、これに対して御批判を願うことは、勿論あり得ることであろうと思うのであります。それだからといつてこの條文の第二項において地方財政委員会規則で定めることが審議権を侵すものである、或いは法律違反であるということにはならないであろう、要は地方財政委員会規則で税率を変更します場合の要件が、この第二項ではつきりと謳われておりますので、この点については支障がないものと私は解釈をいたしておる次第でございます。
  129. 相馬助治

    ○相馬助治君 分りました。
  130. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。
  131. 石川清一

    ○石川清一君 先程申しましたように、後に関連を持たして置きますから……。
  132. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 午前中の竹中委員の御質問に対して、奥野政府委員から答弁を願いたいと思います。
  133. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 境内地、構内地の範囲の問題について、午前中保留いたしておつたのでありますが、こういう方針を地方に示しているわけであります。  一が、「本殿、拜殿、社務所、本堂、庫裡、会堂その他神社、寺院又は教会が教義の宣布、祭事若しくは儀式の執行文はこれに当然附随する行為を行うために必要な建物又は工作物」、工作物というのは「附属建物及び附属工作物を含む。」その「敷地」、二が「祭事又は宗教上の儀式若しくは行事を行うために必要な土地」、三が「参道」、四が「神社、寺院又は教会の風致を維持するために必要な土地」、五が「神社、寺院又は教会の災害を防止するために必要な土地」、こういうふうな方針を示しております。  それから国家公務員のための宿舎に関する問題でございますが、私が第一種、第二種というふうに申上げましたのは、日本国有鉄道の宿舎についてそういう言葉を使つておるのでございまして、それと混同いたしておりまして、国家公務員の宿舎につきましては、公邸と無料宿舎、有料宿舎の三種にいたしております。公邸というのは衆議院議長及び衆議院副議長、或いは参議院議長及び参議院副議長等の人達の宿舎でございます。それから無料宿舎というのは、一は「本来の職務に伴つて、通常の勤務時間外において、生命若しくは財産を保護するための非常勤務、通信施設に関連する非常勤務又はこれらと類似の性質を有する勤務に從事しなければならない者」、それから、一は「研究又は実験施設に勤務する者であつて継続的に行うことを必要とする研究又は実験に直接從事する者」、三が「へき地にある官署又は特に隔離された官署に勤務する者」、四は「官署の管理責任者であつて、その職務を遂行するために官署の構内に居住しなければならない者」、これらのために設置しておるものが今申上げました無料宿舎でございます。
  134. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  135. 石川清一

    ○石川清一君 一応ここで確かめて置きたいのですが、償却資産につきましてこの資産が二つ以上の町村に跨つておる。一つ町村は非常に財政的に財源が貧弱でありまして、強い要求をその償却資産に持つている。一方の町村においては財政が非常に豊かでありまして、ここに見込まれておるように八〇%ぐらいでもいいと、こういうような問題が起きた場合に、どういうようにお扱いになるかお尋ねいたします。
  136. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 石川君に申上げますが、後に條文が出て来ますからそのときにして下さい。
  137. 石川清一

    ○石川清一君 これはいろいろな比率の方にも関係して参りますので、それではそのときに併せて質問することにいたします。
  138. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では、次に三百五十一條の説明に入ります。前に国務大臣から午前中の西郷君の質疑に関連しまして答弁されるそうでありますから、どうぞ。
  139. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 今朝程西郷委員からの御質問がございましたが、私もその節申上げました通り非常に不思議なことだという感じを持ちまして、早速地方行政調査委員会議に問合せましたところが、あの記事については何ら知らない。又正式にそういうことを発表したこともないし、又非公式にそういうことを発表したこともないから、全く関知していないのだ。それではどういうわけであんな記事が、又的確に出たんだろうかと、こういうことを聞きましたところが、それは今地方行政、殊に地方財政のことについては、この法案が審議されておりますので、学者も研究家も非常な関心を持つて、あちらの雑誌こちらの新聞に書いておるから、そういうような意見なり事実を参考としてでき上つた記事ではないかと想像されると、こういうような意見でございます。いずれにいたしましても地方行政調査委員会議そのものは全く成案を得ておりませんので、その点は御了承を頂きたい、こういうことでございますから私のところにおきましても、それ以上はつきりしたことを……、又そうだろうと思いますので、そういうふうに御了承頂ければ結構なことと思います。
  140. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のは御説明で了承いたしましたが、どうもこういうことは要するに官庁並びに政府機関のそういうふうな種類の保管といいますか、秘密の嚴守といいますか、そういうふうな点がどうも終戰以来特に乱れ勝ちであつて、こういう結果になるのじやないか、そういうふうに思われますので、こういう点も併せて今後大臣において十分御考慮されんことを希望いたします。
  141. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 西郷委員の御忠告にお答え申上げます。私も民間におりまして、よく官庁から漏れたのじやないかというようなことを感ずることもありまして、甚だ面白くないことだということを感じておつたこともございます。今回の事件は、私が調べた結果では、官庁から漏れたものじやない、とこう考えますけれども、併し或いは惡意に解すれば、そんなものが或いはどつかからか出たのじやないかと考えられる節もないではないかと思いまするけれども、併しこの際はそういうことはないとはつきり言つておりますから、ないと私は信じ、又皆様方にも御信じ頂きたいと思います。併しそういう点につきましては、今後十分注意をいたしまして、皆様方にお目にかけないようなものが新聞記事にどんどん出るということは私は面白くない、こう感じますので、私の所見を申上げてお答えといたします。
  142. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは第三百五十一條から政府委員説明を求めます。
  143. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百五十一條でございますが、これは固定資産税の免税点に関する規定でございます。土地家屋償却資産でこのそれぞれの課税台帳に登録されました価格の合計額が、全体で三万円に満たない場合においては、これを固定資産税を課することができないということであります。  三百五十二條は二十五年及び二十六年の特例の規定でございまして、この二十五年におきましては、償却資産につきまして仮決定の方法をとつておりまするので、一律に土地家屋償却資産と引括めまして、三万円というものを彈き出しますというと、あとで償却資産を本決定をいたしました際におきまして、免税点に該当しておつたものが、或いは免税点に該当しなくなるというような事態が起きまして、非常に土地家屋関係にまで異動を及ぼしまするので、そういう異動をできるだけ局限しようという趣旨から、土地なり、家屋なり償却資産なりそれぞれにつきまして、一万円というふうに免税点を分けて区分して考える、こういうことにいたしたのであります。この三百五十二條はそういう関係規定でございます。  それから三百五十三條でございますが、これは質問検査権で從来規定と同様でございます。  三百五十四條もそれの検査拒否の罪の規定であります。  尚納税管理人に係る虚僞の申告に関する規則、不申告の過料、脱税の罪、これらは從来説明を申上げた規定と同じような趣旨の規定でございます。
  144. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 三百五十一條から三百五十八條まで御質問ございませんか。
  145. 石川清一

    ○石川清一君 この納税管理人に関してですが、午前中に論議になりましたように、公宅、或いはその他関係の住宅ですが、これは納税の対象に……、使用しておる者がある場合には、個人で申告するようになりますか。それとも一括して誰かが管理をするというようになりますか。
  146. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは午前中に申上げました條文の中に、それを管理する責任を有する者、三百四十五條でございますが、管理する責任を有する者が市町村長に毎年一月一日現在における状況を届出でる、こういうことになつておるわけであります。
  147. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 その三百五十一條、三百五十二條に関係いたしましてお尋ねをいたします。この非課税問題でございますが、合計額三万円ということが三百五十一條に掲げられております。三百五十二條におきましては暫定措置として、二十五年、二十六年におきましては償却資産関係があつて一万円である。併し但し書がこれこれだ。但し書が一万円に充たないものであつても、固定資産税を課するというのであるならば、こんなことはやる必要はないじやないか。どんなものでも取つていいということならば、ただまあボロ屋、或いは本当に小さいものにだけしか適用せられないという意味ですか。どこら辺までを一万円とお感じになりますか。一万円に充たないものであつても、時によつては取るというと、全部取るというのでございますか。この点を伺いたい。
  148. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御承知のように、固定資産税納税義務者は、土地家屋につきましては土地台帳家屋台帳に登録をされた所有者でございます。從つてこの所有者を分散いたしますと、沢山な土地家屋を持つておりましても、所有者は変つて参りますので、非常に個々については免税点以下になりまして、脱税を計ることができることになるのであります。こういうような脱税的な意図を以て、敢て分散をするような風潮になつて参りましたときには、免税点を引下げることによつて、そういう風潮を打破することができるような彈力のある規定にして置きたい、こういう趣旨でございます。
  149. 石川清一

    ○石川清一君 こういうことになりますというと、分散その他の犯罪防止のためにかようにやられた、こういうふうに承知していいわけですか。
  150. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) その通りでございます。
  151. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。  第二款に移ります。賦課及び徴收。
  152. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第三百五十九條は賦課期日を毎年一月一日とする。こういうことでございまして、特に申上げることもございませんが、三百六十條、これは昭和二十五年度分につきましては、賃貸価格を基礎にいたしておりまして、賃貸価格制度は、今国会政府として提案いたしております土地台帳法、家屋台帳法の一部改正法律によりまして、今後廃止せられることになつておるのでありますが、本年度におきましては、この四月一日というところを抑えまして、年度開始の日で賃貸価格を査定したい、そういう意味の特例でございます。  それから三百六十一條は、使用者に課する固定資産税の納税義務の発生、消滅に伴う賦課、これは使用者の場合におきましては、使用者が賦課期日後におきまして変つた場合におきましては月割で課税をする、こういうことであります。尚前の使用者が、本項の前の使用者が納めましたものは、後の使用者の納税とみなすということを規定をしておる次第でございます。使用者課税につきましては、賦課期日の翌日から当該年度の初日の前日までの間において、新たに固定資産税に係る固定資産使用者なつた者は、引続いて使用しておりまする場合におきましては、やはり当該年度の初日から固定資産税を課するということで、使用者側に特例的な規定を置いておる次第であります。  固定資産税の納期でありますが、これは三百六十二條は平年度の場合の規定であります。三百六十三條の方は二十五年度、六年度の特例でございまして、今年度につきましては四月、六月というような原則によれませんので、三回にいたしまして、八月、十二月、二月、土地家屋につきましてはそういう三回に取る。償却資産に関しましては十二月、二月に取るというふうにいたしておるわけであります。  尚来年度の固定資産税につきましては、九月末日までに価格の決定をして行くような関係がございまして、十一月は困難でございまするので、十二月中というふうに納期を、月だけを変更いたしております。  それから三百六十四條の固定資産税の徴收の方法でございまするが、これは徴税令書を交付して取りますところの普通徴收の方法によつておるわけであります。  尚二十五年度の償却資産につきましては、いわゆる仮決定の方法で、仮に課税標準を決めまして、税を算定いたしまして、固定資産税を徴收するということを四項に規定をいたしております。  五項は更にそれを清算をする趣旨の規定を置いておるわけでございまして、仮に算定をいたしました税額が、来年度の九月三十日までに価格を本決定をいたしまして、税額を算定をいたしまするが、この本算定税額との差額は、或いは追徴し、或いは還付するということであります。  それから六項につきましては二十五年度分の土地家屋でございますが、これははつきりと賃貸価格の九百倍ということで課税標準が確定をいたしておりまするから、そういう旨を徴税令書の中に書くわけであります。  この二十五年度分の償却資産につきましては、仮決定の方法によりまするので、第七項には特に徴税令書の中には一、二、三と注意書を書くようにいたしておるわけであります。即ち第一の点では、償却資産価格というものは、仮決定の額であつて從つて税も仮に算定された課税標準額を抑えて決めた、仮の税額である、こういうことを先ず第一に徴税令書の中にはつきりする。それで納税者にその趣旨を徹底しようというのであります。それから第二点は、今の二十五年度の償却資産に対しましての価格の決定というものは、来年の九月三十日までに行われるのだということを明らかにしました。それから第三点といたしましては、この仮に算定をした税額が九月三十日に課脱標準を確定をいたしまして、それに基いて計算をした本算定税額との間に過不足があります場合におきましては、これを還付するとか、或いは追徴をするという趣旨をはつきりしようというわけであります。こういうようなことによりまして、納税者に誤解を與えないようにしようということであります。  それから第八項でございますが、これは後におきまして清算するような関係がございまするので、二十六年度分の固定資産税につきましては、四回に分けて取るわけでございますが、最初に一回、二回、三回の納期につきましては、賃貸価格に仮に九百倍の倍率をかけましたもので算定をいたしますと共に、償却資産につきましては、二十五年度の仮決定の価格を基礎にいたしましてこれをとるのでありまするが、そういうものの額の合計額を納期の四で除して得ました額をそれぞれ各第一期、第二期、第三期の納期では徴收するということであります。それから十一項でございまするが、これは昭和二十六年度の固定資産税についての徴税令書につきまして、昭和二十五年度の徴税令書に書きますると同じ趣旨のことを明確にいたして置くようにしようというのであります。二十六年度におきましては、單に償却資産だけでなく、農地だけはこれは確定でございまするが、農地以外の土地及び家屋につきましても、一応賃貸価格の九百倍で参りまするけれども、これは更に正式に価格を決めまして、それを課税標準として最終納期には徴税をすることになりまするので、その点をまず徴税令書にはつきりと書いて置こうというわけであります。償却資産につきましても同様であります。それから第二の点はやはり九月三十日までの間に固定資産価格を決めるのであるということを書いているわけであります。第三点は二十五年度の場合と同様であります。それから固定資産税にかかる納期前の納付でありますが、これは昨日市町村民税について申上げましたと同じような趣旨で千分の五、納期前に納付した分の千分の五の報奬金を認めようという趣旨の規定でございます。それから三百六十六條、三百六十七條は納期限の延長並びに減免の規定で大体從来規定と同様の規定であります。それからあとは延滯金、違法又は錯誤にかかわる固定資産税の賦課等の救済、これはいずれも同文でございます。
  153. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは第二款について御質疑を願います。
  154. 石川清一

    ○石川清一君 価格の算定の場合に公聽会でもそれぞれ意見がありましたように、価格の算定から物納というようなことや、いろいろなことがこれはいけないといつても私は起きて来ると思う。その場合に紛争中のそういうような場合にこの期限を超過するとか、或いはその他いろいろなことがあつた場合に、最後の罰則の適用が完全に行われるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  155. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 物納の問題でございますが、御承知のように夫役現品の制度地方自治法の上においてはあるわけでございまして、夫役なり或いは物を以て税に充てるという考え方があつたわけでございまするが、この地方税法におきましては物納という建前考えておりません。この点は非常に大きないわゆる国税としての財産税といつたようなものを課する場合におきましては、そういうようなことも又別の問題として考えなければならんと存じまするが、年年の固定資産税につきましては、物納というようなことは一般原則としては必要がない、かように考えておる次第であります。
  156. 石川清一

    ○石川清一君 これは実際問題に当つた場合に、価格の査定に恐らくそういうことが起きて来ると思う。その場合に延滯金とかいろいろなことがこれは当然起きて来るのですが、この場合には全然問題にしないとか、或いはそういう点は町村によつては或る程度何とかできるのだとか、そういうようなことの具体的なものについてお考えがあるかどうか。
  157. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 物納の場合におきましては、その物の価格というものを適正に評価することが非常に困難でございまするし、殊に市場性のないようなものにつきましては、いよいよその困難が増して来るを思うのでありまして、やはり共通の価格の尺度でありまする金銭による納税ということが本体でございまするし、非常に多額な財産税を一時にとるというようなものではございませんから、やはりこれは金銭による通常の納税の方法を採るべきものであろうと考えております。
  158. 石川清一

    ○石川清一君 とるべきものであるという御説、それは一応分るのですが、実際問題となりまして、そういう形で評価の査定は町村長が大体任命して持つている。それを査定審議会異議を申立てましても、恐らく長い日時が、この所定に從いまして訴訟を起しましても、相当長い間かかると思います。そういうような関係只今の物納ということが関連をしまして、評価というものが長い紛争を起して来る。この場合に仮決定或いは大体決定が二年かかることになるわけでありますが、その仮決定というものの二年の紛争間において納まらなかつた場合の罰金、或いは過料そういうものが大きな関連性を持つて来ると思うのでありまして、單にそういう対抗的な立場で紛争を続けている場合に一体どういうような処置をとるか。いわゆる評価価額の査定が町村長の方で誤つてつて、最後にその価額の更正をしたというような場合は、やはり町村長の方で普通の負けとなりまして、その間におけるいろいろな費用は町村負担しなければならないかどうか、その点もお伺いします。
  159. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は固定資産の価額の決定が適正でない、これに対して不服があるという場合におきましては、各納税者の側としては固定資産評価審査委員会に対して審査請求ができるわけであります。この審査委員会で更に検討してその決定に対しても尚不服があるという場合には、更に訴訟の途も開かれているわけでありまして、そういうような方法によりまして、終局的には争いがあります価額につきましても調整をせられるわけでございますが、若しも市町村長の決定というものが誤りであつて、敗訴したという場合におきましては、これは勿論市町村がその関係の訴訟費を負担しなければならないことは、これは法の定めにより勿説明らかであります。
  160. 石川清一

    ○石川清一君 通常その場合にこの法に從つた場合に価額の決定というものが大きな影響を起しまして、恐らく問題が非常に多く起るのではないかと考えておりますので、あとの條にこの問題の出たときに十分論議し盡したい、かように考えております。
  161. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今に関連いたしまして伺いたいのは、固定資産税でありますが、例えば生産品が売れない、そういうときにおいて、どうしても税金が納められない、そのときにおきましても祝金を納めなければ延滯金とかいろいろなものが徴られる。こういうものに対して一時的に家屋を抵当に自治体に入れるというそういう便法はとれないものであるか。そういうときに市町村長認定すればいいか惡いか。これは現実的な問題であると私は思う。
  162. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) まあそういうような場合には、結局納税者側の方でそれを一般の金融機関の担保に入れて金を借りて拂いますか、或いは市町村がそういうようなものを市町村公用なり公共の用に供し得るようなものでございますれば、或いはそれを買うとか、或いは更に売却する目的でそういうようなものを買うとかいうようなことも考えられないことはございませんが、今の納期限の延長なり何なりの原則から申しましても、そういう状態にある人に対して特に納期限を延長する、或いは減免するというような措置が講ぜられ得るような状況にあるものでございますれば、そういう途も一方においてはあるわけでございます。
  163. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質疑がなければ第三款に移ります。
  164. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百七十一條は督促でございますが、この関係の第三款のところは從来の国税につきまして申上げましたのと全く同様の規定のみでございまして、特に御説明を申上げるところはないと存じております。
  165. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。  それでは第四款に移ります。
  166. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第四款は固定資産課税台帳でございまして、技術的な規定が多いわけでございますが、第三百八十條の固定資産課税台帳の備え付けであります。これは市町村長に対しまして固定資産の価額を明らかにするために、固定資産課税台帳を備え付ける義務を課しておるわけであります。固定資産課税台帳は定義のところで申上げましたように、土地なり、家屋なりの課税台帳、それから又土地なり、家屋なりの補充の課税台帳、それから償却資産課税台帳、これは三つあるわけであります。第二項にその外に更に固定資産価格の把握を明らかにいたしますために、市町村條例の定めるところによりまして、地籍図、土地使用図、土壤分類図、家屋見取図、固定資産売買記録簿、その他固定資産の評価に関して必要な資料を備えて、逐次これを整えなければならないということを規定してございます。これは一挙になかなか各種の資料を揃えるということは困難でございまするが、逐次理想を逐うて固定資産の価額の把握が確実にできまするようにしようという趣旨でございます。このそれぞれの帳簿等の内容につきましては、地方財政委員会等で逐次指導して参りたいと思います。  それから三百八十一條の固定資産課税台帳の登録事項でございますが、これは土地課税台帳となるべき土地台帳の複本に、土地価格を記載をするわけでございます。そうして更にその使用者固定資産税を課する場合におきましては、これはその使用者の住所及び氏名を登録するということであります。この第二項は土地台帳に登録されていない土地につきましては、即ち国有のものとかそういうようなものにつきましては、別に土地補充課税台帳を作つて、それにその所有者使用者との名前と価格を書くようにするわけであります。三項、四項は家屋につきましての家屋台帳家屋補充課税台帳規定であります。殆んど同様であります。それから五項は償却資産についての償却資産課税台帳についての登録事項であります。それから六項といたしましては、市町村長がこれらの台帳を基礎にして課税をいたすわけでございまするが、元の土地台帳なり、家屋台帳は、登記所で保管をいたしておりまするから、市町村長と登記所との間に緊密なる連絡を取つて、相互の事実の訂正を誤りないように登録しておかなければなりませんので、その関係規定であります。市町村長が登記所に対しましてその登録すべき、そのすべき登録又は登録されている事項の修正その他の措置をとることができるというわけであります。  それから三百八十二條の方は、逆に登記所の方から市町村長の方に対しまして登録事項の移動を通知をする規定でございます。  それから三百八十三條でございますが、これは固定資産税の申告でありまして、償却資産所有者は財政委員会の規則の定めるところによりまして、毎年の一月一日現在の所在、種類、数量その他の事項を償却資産所在地の市町村長に一月の十日までに申告をするという規定でございます。  尚法人税法、所得税法の規定にあります減価償却をする関係固定資産所有者につきましては、更に減価償却すれば、或いは減価償却の計算の基礎となる帳簿価格を一月の十日までに、やはり固定資産所在地の市町村届出なければならない。  それから第三百八十四條でありますが、これは資産再評価法の規定によつて再評価を行つた者と、行わなかつた者の固定資産の申告の提出方法であります。これは二十五年の一月一日現在の固定資産につきまして再評価を行なつたものにつきまして再評価額、再評価差額、再評価税額、再評価額の限度額、見積額というものを十月三十一日までに所在地の市町村長に提出をする。という規定であります。再評価を行わなかつたもので、再評価を行うことができるものにつきましては、やはり固定資産の見積価額、限度額これも十月三十一日までに市町村長届出るというわけであります。
  167. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そこら辺で切つて下さい。
  168. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそこまで……。
  169. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 ちよつと三百八十三條で伺いますが、届出期限を一月十日というふうに正月を挾んで公共団体、地方官庁でも正月の休みがある、一月十日というのは僅かの期間しか実際ないということじやないですか。一月十日というのは無理じやないですか。
  170. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 償却資産がそう頻繁に要するわけでもございませんので、我々の考え方としては一月十日まででございますので、できるなら前年中に作つてしまつてもいいじやないかというふうに考えておるわけであります。でこの時期は納期或いは価格の決定というふうな問題の時期と非常に関連を持つておりまして、これをその以後にいたしますと、四月の徴收に間に合わない時期になつてしまうわけで、而も各期日はやはりどうしてもその年の費用を取りたいのでございまして、前年の費用は取りたくない。一月一日と言いますが、一月十日以後において申告金を納めなければならない。この時期が一月十日以後にいたしますのは価額決定課税台帳による縱覽、異議の申立て或いは納期ということになつて参りますので、四月の徴收に間に合わないのであります。それで止むを得ず一月の十日までということにしております。希望として前年中に作つて頂けばいいじやないかというふうに考えております。
  171. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 第三百八十條の二項の問題でございまするが、いろいろの地籍図、土地使用図、土壤分類図、家屋見取図その他のものが沢山ございますが、これは大体今までにおきまして市町村におきまして、御指定なさいまして、全部殆んどできておつたのでありますが、今後暫定的な今の土地台帳なんかは登記所のものを一時借りて置いてそれから写してやるのが、その費用というものは莫大なものでありますが、これはお見込みになつて大体渡されるようになつておる。こういう点についてお伺いしたいと思います。
  172. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 固定資産課税台帳は、從来から市町村にあります土地台帳の複本をそのまま使うわけであります。  それから土地補充課税台帳も登録されておりません土地について地租を課しておるものもありますので、こういうものについては土地台帳に準じまして府県市町村において台帳を作つたわけでありますので、これは土地補充課税台帳になるのじやないかと考えております。家屋台帳も、家屋補充台帳も全く同じ條件になるわけであります。それから償却資産課税台帳は、これは耐用年数の関係もあるので、毎年どうしても償却資産所有者から申告をして貰わなければならん。そういう関係がありますから、申告書を市町村が作りまして、それで納税義務者から申告して貰う、それを裏返して償却資産課税台帳にして参りたい、かように考えておるわけであります。それから後にございます地籍図というふうなものは、現に市町村においてもあるところがあるのじやないかと思つておりますが、これをもつと精緻にして行かなければならんと思つております。それから土地使用図のあるところは、むしろ稀であろうと思つておるのでありますけれども、例えば同じ畑でありましても、そこには柑橘を栽培しておるとか、或いは茶園にしておるとかいうふうなこと、それを正確に記録して参りますことが、土地使用図を正確に成る程度把握して行くものと思つております。そういうふうに、これから作つて行く。それから土壤分類図、家屋見取図にいたしましても、やはりこれは全体的に必要なものではございませんが、地方々々によつてこういう土壤分類図、或いは家屋見取図を作つて行くべきものではないか。それから固定資産売買記録簿は今後における売買について記録を作つて行かなければならない。いずれにいたしましても、そういう関係におきまして、逐次整備するように地方財政委員会におきましても努めて参りたい、かように考えております。
  173. 安井謙

    ○安井謙君 償却資産の概念なんですが、これは固定資産の中の償却を認められておる資産という意味だろうと思うのですが、家屋については、償却を認めないという建前になつておりますか。
  174. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは償却は認めておるわけでございますが、この固定資産課税の分類といたしましては、土地家屋と、こういうふうに分類をいたしておりますので、家屋償却資産に入るべきものでございましようが、家屋の方に入れて別に記録しておるわけでございます。それから尚事業用でない家屋もございますので、全部家屋家屋として別に記録しておるわけでございます。
  175. 安井謙

    ○安井謙君 事業用の家屋は勿論償却を認められるわけですか。
  176. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その通りです。
  177. 安井謙

    ○安井謙君 それから続いてあれですが、今の償却資産範囲が工具備品までということになつておりますが、備品というと、何か基準があるのですか。どうかするとこれは消耗品とすれすれのところにまで行くと思うのですが……。
  178. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大体法人税所得税の概念に從つておりますが、耐用年数一年以上のもの、それから価額が千円以上のものというようなところで押えておるわけでございます。
  179. 石川清一

    ○石川清一君 大きな会社が三年、或いは四年の計画で償却資産を建設する場合に、附加価値税は二年延期になりますが、附加価値税のときにはそうしたものは全部落されますけれども、現在の場合では固定資産を逐次納入しない限り……、この場合にどういう形で申告をし、どういう形で評価をされますか。その点お伺いします。
  180. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは今御説明申上げましたように、償却資産所有者が、それぞれ三百八十三條でございますか、それによりまして、今の書類とか資料なり……、耐用年数、見積価額その他を一月一日現在で申告をしなければならんわけであります。一月一日現在においてそれを現実に持つておらん限りは、その年は課からんわけであります。尚そういうふうにして、新たなる固定資産を取つがえました場合に、まだ未稼動であるとかいうような場合、或いは遊休であるとかいうような場合におきましては、その価額の評価につきましては、そういう点が考慮せられることになろうと思つております。
  181. 石川清一

    ○石川清一君 考慮されるようになろうということは、誰しも想像されるのでありまして、それがどういう形でその会計の項目の中に置くことが徴税上妥当かどうか、お伺いをいたします。
  182. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 二十五年度につきましては、すでに御説明を申上げましたように、大体仮決定の方法を採つておりまして、限度額の百分の七十というところを少くとも下つちやいかん、まあこういう建前でございますが、併し今の遊休とか未稼動というようなものにつきましては、それの百分の七十という点を更に下まわるととも手続の上では考えているわけでございまして、そういうようなことによりまして、実際動いてないものにつきましては価額決定上、固定資産評価委員会におきましても、或いはそれが争いになりまして審査委員会に出た場合におきましても、その原則を適用されることになろうかと思います。
  183. 石川清一

    ○石川清一君 稼動しないものは見ないと、こうお聽きしてよろしいのですか。例をとりますと基礎控除だけはできた、本年……。それは固定資産に見るか見ないか……。
  184. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 稼動しないから実際取らないと、こういうわけには参りませんで、一月一日が賦課期日でございまするから、その日で抑えるわけでございまするから、そのときにおきまして稼動しておりませんでも、その年内に稼動する場合もございますでしようし、要するにそれらの事情を考慮いたしまして価額が決定されるわけでございます。
  185. 石川清一

    ○石川清一君 その場合仮拂いにしておいた場合でも、固定資産と見るかどうかお伺いしたい。
  186. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはやはりその固定資産所有者がその会社でございまするならば、これは固定資産税はやはりかかる建前になるわけでございます。
  187. 石川清一

    ○石川清一君 それでは只今の解釈によりますと、なんでも課税対象になるのだとこういうお考えの上に立つておられるわけでありますか。
  188. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 一月一日現在ありますところの固定資産につきましては、その所有者固定資産税をかけるというのがこれが建前でございます。ただその建前につきましては、それをその通り貫くのがいいか惡いかということで、調整の規定はそれぞれ減免なり、或いは今の評価の調整というようなことがあるわけであります。
  189. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じや次に進みます。三百八十四條以下。
  190. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百八十四條は再評価の関係の申告でございまして、再評価を行なつたものは再評価の額とか限度額、その他を出すわけであります。再評価を行わないものにつきましても、やはり再評価の限度額なり、見積額というものを出すわけでございまして、これは今年の特例でございまするが、十月三十一日までにこれをいずれも出して貰うというわけであります。  それから三百八十五條でございますが、これは今の申告の関係の罪、三百八十六條も同様でございます。  それから三百八十七條は、土地名寄帳及び家屋名寄帳、從来もこういう方式で名寄をいたして課税額を算出しておるわけでございますが、そういうものをやはり備え付けるということでございます。  それから三百八十八條……。
  191. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと待つて下さい、そこで……。
  192. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 三百八十五條でありますが、虚僞の申告というのですが、今度は償却資産等があつて、知識の程度によつてはなかなか正確な申告ということはむずかしいと思うのですが、誤つて単なるミステークを申告した者も結果においては虚僞の申告というように認められないことはないと思うのですが、そういうようなことをどういうふうに考えておられるかお伺いしたい。更に第三百八十六條の不申告に関する過料がありまするが、御承知の通りこの法案は前国会以来審議して、前の国会で廃案になつたに拘わらず、或いはその関係の人で、すでに著書かなんか出している者等も見受けるのですが、そういうことで非常に早まつて目下審議中であるにも拘わらず、本が出たりなんかしていることもあり、市町村によつてはもう今日までにいろいろのこういうふうな、そこに書いてあるような申告を認めたりしたようなところがあると思いますが、自治庁に私は是非その点を注意して頂きたいと思います。この法案が通つてから改めてこれは生きるのであつて、例えば家屋のいろいろな調べを今までしておるものがございますが、申告ということについてもう前にやつてしまつて、この法案が通る前に、自分が調査の前にやつてしまう。だからこの法案が通つても改めてしないというふうな場合には、これは法律の解釈からいうと、それは妥当ではないと思う。法案が通つてから改めてやはり調査をしなければ……調査を前にやつてしまつたからして、放つて置くと不申告といつて過料が来るというようになつて来ますから、そういう点を私は自治庁において嚴重に注意して頂きたいと思います。それからさつきの三百八十五條のところとその両方について政府委員の御答弁を求めます。
  193. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百八十五條の「虚僞の申告」でございますが、これはやはり故意がありましたもの、或る犯意のありまするものを罰するということであります。それから今のこの法律通過以前におきまして、いろいろ申告等を要求しておるということでございますが、それは勿論どういう根拠でやつておりまするか存じませんが、條例等で特にそういうものを設けておれば別でございますけれども、そうでない限りは法律上の根拠がないものと思います。で法律案が国会で成立いたしました後において、それらの規定は初めて動き出すわけでございますから、それに基ずいての申告でなければ、勿論この法律上の効力がある申告ということにはならないと思います。
  194. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 御質問というよりお願いして置きますが、三百八十五條の故意にやつた場合、こういうふうな点ですが、そういうふうにお考えになれば非常にいいのですけれども、さつき申上げたように、非常にむずかしい内容だから、そういう点と三百八十六條の今の点は是非親切に……、そういうふうに政府にお願いしたいと思います。
  195. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問はございませんか。それでは第五款に移ります。
  196. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 「固定資産の評価及び価格の決定」でございますが、三百八十八條の「固定資産税に係る地方財政委員会の任務」これは即ち市町村が備付けることを要求いたしておりまする資料につきましての標準様式を定めて、市町村長地方財政委員会が示すということであります。  尚地方財政委員会は、固定資産の評価に関して市町村長に対して技術的援助をしなければならない。その内容としては第一に評価の手引、その他の資料を作成して、そうして市町村固定資産評価員にこれを参考として配付する。それから固定資産の評価の基準を示し、又評価の実施の方法及び手続を示す。又評価することが市町村固定資産評価員などにとつて非常に困難であるというものにつきましては、その評価につきまして、特に助言の要求があれば助言を與える。こういうようなことを地方財政委員会の評価に対する任務として規定いたしたわけでございます。  それから三百八十九條も評価に関する地方財政委員会の権限でございますが、地方財政委員会は「毎年一月一日現在における時価による評価を行つた後当該固定資産所在するものとされる市町村及びその価格を決定し、決定した価格を当該市町村配分し、毎年二月四日までに当該市町村の長に通知しなければならない。」前條は一般的な評価についての任務でございまするが、これはここに一号二号とございますように、特殊な固定資産につきまして、地方財政委員会が直接に評価するという場合の規定でございます。第一は「地方財政委員会で定める船舶、車両その他の移動性償却資産」或いは鉄機械のような「可動性償却資産で二以上の市町村にわたつて使用されるもののうち地方財政委員会が指定するもの」それから「鉄道若しくは軌道又は発電、送電若しくは配電用施設その他二以上の市町村にわたつて所在する固定資産でその全体を一の固定資産として評価しなければ」ばらばらになつたのでは「適正な評価ができないと認められるもののうち地方財政委員会が指定するもの」こういう種類のものにつきましては、地方財政委員会が一月日現在の時価による評価をみずから直接にやりまして、それを固定資産所在するものとされる市町村、どの程度にこの固定資産所在するかということを決定し、更にその市町村に対して配分いたすべき価格の決定をして、これを二月五日までに通知するわけでございます。でこういう方法によりまして、価格配分の通知を受けた市町村長は、これを償却資産課税台帳に登録するわけであります。  それから市町村長がその価格配分自分市町村にとつて非常に不利益と認める状況におきましては、市町村地方財政委員会にその価格配分の調整を求めるということを認めて救済の途を考える。  それからこの地方財政委員会が、市町村固定資産の評価が地方財政委員会から示した評価基準と著しく異なるという場合におきましても、地方財政委員会に対して評価の調整権と申しますか、固定資産の差額の調整の権限を與えているのであります。これは一般的な問題でございまして、その特に第一項に掲げました額だけでなく、市町村のすべての固定資産についての規定でございます。  それから三百九十條でございますが、これは今年度及び来年度の「仮りに算定する固定資産税に係る地方財政委員会が評価する固定資産価格の通知に関する特例」でございまして、この期間が、原則通り二月五日までにやるということは困難でございまするので、これを今年の十二月十日までに、二十五年度分の償却資産については地方財政委員会から価格配分する、その通知をするわけであります。来年度におきましては、来年の二月二十八日までに通知をするということであります。これはいずれも仮の価格の通知でございまして、来年の九月三十日に正式に価格が定められることになるわけであります。  それから三百九十一條でございますが、これは今のような二市町村以上に跨つてありまするところの償却資産でなくて、大規模の固定資産配分であります。大規模の工場を有する事業市町村の区域内にあるために、近隣の他の市町村公共費の支出に直接且つ重要な影響を與える場合、例えば非常に大きな工場がございまして、そこに勤める勤労者が、近隣の市町村に住宅を持つている。從つて近隣の市町村といたしましては、住宅につきましていろいろな警察なり、消防上なりの経費負担しなければならぬというような、公共費の支出に非常に直接、且つ重要な影響を與えるという場合、もう一つは「大規模の発電施設その他の公共事業施設がその所在する市町村を含む近隣の地域の経済と直接且つ重要な関連を有する場合」例えばダムでございまするとか、発電施設でございまするとかいうもので、その河川の上流の市町村の経済と非常に面接的な且つ重要な関連を有するというようなものでありますが、そういうものに対しましてやはり価格を決定をいたしまして、これを当該事業から影響を受けたり、或いは関連を有する市町村配分するわけであります。必ずしもこの場合は固定資産がその市町村にございませんでも、それによつて影響を受ける、或いは関連を有する市町村配分することができるということであります。その配分に関する価額も来年二月五日までに通知をする。それから尚この価額につきまして不服であります場合には、配分の調整ができるというのは前の場合と同様であります。
  197. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上につきまして御質問がございましたら……。
  198. 石川清一

    ○石川清一君 それでは具体的な例で申上げた方がよろしいと思うのですが、この第三百九十一條に該当をします点が非常に強いかと思いますが、室蘭市に日鉄の大きな工場がありまして、その住宅が隣村の幌別村に相当沢山ある、このような場合にこの決定が地方財政委員会の規則によつて決められて、評価の価額の決定その他配分についてその町村の、或いは地方の独自的な自主性というものが失われる傾向が非常に強いのじやないか、この点についてどの程度までそうした町村の自主性というものを財政支出と噛み合して認めるか、この点についてお伺いをいたします。
  199. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この大きな固定資産がございます市町村経費というものは、これは平衡交付金関係におきましては、基準の財政需要額としてこれを一定の基準で測定をして行くわけであります。それに対応する基準の財政收入額といたしましては、これ又各法定税目の標準税率に対する七〇%というものを見まして、それで彈き出して行くわけでございますが、そういうふうに大体各市町村において取れまする法定税目で標準税率ぐらいに見て行きましても、尚非常に基準財政の需要を上回るというような場合におきましては、そういう部分を大体他の関係のある、これによつて影響を受け、或いは関連のある市町村配分して行くというようなことになるだろうと思います。
  200. 石川清一

    ○石川清一君 その場合に先程も質問を申しましたように、甲の町村においては一〇〇%の大体償却資産の価額を見積つて課税もその通り進める、ところが乙の市においては成る程度財政的に裕福で、それを或る程度軽く見ておるとこういうような場合に、それぞれ村議会においてそうした決議があり、それぞれの市町村において決議を見て、両議会がその償却資産を巡つて対立的な空気を見た場合にどういう形で処理されるかお尋ねをいたします。
  201. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は只今説明申上げました第三百八十九條の五項に、地方財政委員会が示しました評価の基準と著しく違う、そして非常に調子が揃つていないという場合におきましては、価格について必要な調整を加えることができるということで、地方財政委員会といたしましては、そういうような不均衡を調整する権限は與えられておるわけであります。
  202. 石川清一

    ○石川清一君 その場合に三つの対立した意見……、四つになるかと思います。それは一つの会社の評価する意見、更に二つ或いは三つの町村の意見、更に地方財政委員会というようなもの、こういうようなものについてはむしろ相当予想されるので、この地方税法のうちに或る程度の明確な線を引いておくことが自治体の自主性を高めるためにいいのではないかと考えますが、この点についてお尋ねをいたします。
  203. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今のお話は結局その三個なり、四つなりの市町村にまたがつておる償却資産の場合でございますね。
  204. 石川清一

    ○石川清一君 二つ以上の……。
  205. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その場合におきましては、地方財政委員会規則で指定をいたします償却資産に該当いたしますならば、地方財政委員会がそれぞれ価額を配分いたします。ですからこの場合におきましては、四つなり三つなりの関係市町村真におきまする価額の不均衡にはならないと思います。地方財政委員会がこの場合は一方的に決めるわけでございます。若し二つ以上の市町村亘つて存在をいたしまする償却資産で、地方財政委員会が指定をするものに該当しないものでありまするというと、これはそれぞれ関係市町村が、自分市町村のうちにありまする限度において、その償却資産に対して課税権を持ちまするから、これは協議によつて決める、協議が整わない場合においての調整は第八條でございましたか、その本則によつて課税権の分割という問題になつて来るわけでございます。
  206. 石川清一

    ○石川清一君 その場合にやはり一方の町村において公共事業、或いは教育に費について大きな影響を持つておる、一方の町村においてはそれをしないような場合にも、依然として地方財政委員会の方にそれぞれ調停と申しますか、指示を仰ぐようにしなければならないのかどうかお伺いいたします。
  207. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この八條から申しますと、関係の今の市町村長の間において協議が整わない、從つて意見を異にするという場合におきましては、市町村税でございますから、道府県知事にその決定を求める申出をするわけでございます。道府県知事は、その申出を受けた日から六十日以内にこれに決定をする。若しもその決定に対しても尚不服がある場合におきましては、その決定の通知を受けた日から三十日以内に地方財政委員会に訴願する。地方財政委員会がこれを裁決するわけでございます。若しもこの地方財政委員会の訴願の裁決に対しましても不服があるという場合におきましては、これは裁判所に出訴して仰ぐということになるわけでございます。
  208. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 第三百九十一條の問題でありますが、この第一項によりますというと、大きな工場を持つておる市がある。その附近に村があつて、そこに從業員その他の住宅が非常にある、そうしてそれがために非常に経費を支出するという場合には、これによりますというと、地方財政委員会が自発的に、積極的にそれを調査をして、そうして関係市町村のいわゆる意向を聞くことなくして、大きい市にあるところの大工場の資産を分割しまして、そうしてそれを関係市町村に通知する。そうするとその市町村においては自分の村のうちにない他の市のうちにある、こういう固定財産であるけれども、自分の村のうちにあるものとして課税をする、こういうふうになつておるようですが、その通りでよろしうございますか。
  209. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の地方財政委員会が三百九十一條に該当いたしまするような固定資産につきまして、一方的に価額を決めて配分をするということは適当でないではないかという御意見……。
  210. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 その規則の定めるところによつてというのですが、規則はどういうふうになつておるか……。
  211. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この規則につきましては、今地方財政委員会におきまして、立案中でございまするが、この固定資産の評価につきましては、中央においては地方財政委員会、各府県におきましては府県知事が評価につきまして、市町村を指導するような任務を與えられておるわけでございまして、財政委員会におきまして今のどういう規模の固定資産を、三百九十八條の規定の適用によつて価額を配分するかという場合におきましてはやはり各府県知事の意見を事前に徴しまして、そういうようなものを基礎にいたしまして、三百九十一條の規定を発動するという恰好になるように運用いたしたいと考えております。
  212. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そうしますと、地方財政委員会としましては自発的にやらないが、先ず府県知事の意向を参酌するということになりますが、府県知事におきましては、今度は積極的に調査するのでしようが、或いは関係市町村からの申請等を取つてそれに基いてやるようになるのですか。
  213. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この三百九十一條の場合におきましては、大体單一の市町村の中に大規模の工場があるという場合が一番多いわけでございまして、從いまして、その大きな工場のありまする市町村といたしましては、その価格を他の近隣の市町村配分されるということは不利益でございまするから、これ余り望まないと思うのであります。そこで大体知事といたしましては、一方この附加価値税とか、或いは事業税の関係におきまして、課税客体というものも大体見当がついておりまするから、知事としては大体どういうものを分配したらよろしいかという、大凡その見当はつくものと、かように考えております。
  214. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 実は先般、これは石川君のあれかも知れませんが、北海道を調査いたしたのでありますが、その際に室蘭に参つたのでありますが、室蘭には日本製鋼所、或いは日本製鉄所が、大きいのがあるわけであります。そうしてその製鉄所の從業員住宅その他の施設が、室蘭市外の幌別村という村に所在しているわけです。それがために幌別村は、その村の調査によりますというと、千八百万程度の村の支出を行なつている。ところがその工場があるために、從業員住宅、或いは道路、或いは学校、或いは衞生、土木全体を通じまして約半分、六百万程度の收入は、固定資産税とか、住民税とかその他の收入はありまするけれども、その半分というものは結局他の住民税によつてそれを負担しなければならないという実情を調査して来たのであります。そういう際には、その当該町村からの強い陳情があつたのであります。又この国会にも来ておると思いますが、そういう際に、やはり北海道知事が積極的にそれを調査して、そうして室蘭市内にあるところの日本製鉄所の価格を、室蘭市に対しては幾ら、或いは幌別村に対しては幾ら、こういうふうに分けるというのは、北海道知事がやる、こういうことになりますか、地方財政委員会においてやる、こういうことになるのでしようか。
  215. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は、法律上の権限といたしましては、地方財政委員会価格配分するわけでございまして、北海道知事の意見は、事前の段階といたしまして、参考のために聞くことになると思います。又地方財政委員会におきましては 終局的な決定をいたしまするような場合におきまして、参考人の出頭を求めるというような形で、今の関係の人たちの意見を聞くというような場合もあろうと思いますが、そういうようなことによつて、最終的にはできるだけ客観的な、公正な形で価格配分が行われるようにいたしたいと考えております。
  216. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 調査した事項について報告かたがた申上げたのですが、そういう点に対しては、特に全国にいろいろあると思いますが、愼重に御処理をお願いいたしたい、こう考えます。
  217. 石川清一

    ○石川清一君 先程も特に北海道の例を取つてお尋ねをしておいたのですが、今鈴木さんから御説明のあつた室蘭と幌別村でございますが、この事情は非常に複雑な事情がありまして、幌別村は一にも二にも室蘭の製鋼所に一切を委任しておるというような町村でありまして、室蘭市が非常に強く出た場合に、いろいろな関係で室蘭市に從わなければならない。逆に申しますというと、幌別村の文化的な面における自主性が失われ易い状況にある町村なのであります。從つて、ここの町村の経営というものは、平衡交付金只今申しましたような点が十分認められればよいけれども、そうでなかつた場合は、主としてこの固定資産税配分に仰がなければならん。この点について、知事のいろいろな意見というようなものの時間的なずれによつて、この町村が財政的な收入の面に大きな苦労をするということが、今から予想されるわけでありまして、この点についてできる限り地方財政委員会の意向というよりも、自治庁がむしろ積極的にこの解決の中に乘り出すことが非常に強く要望されるというような状況にあることを一つ御承知願いたい。その点について、貧弱な町村の財政的な自主性を守つて行く、又一方的に大きな企業会社の資産査定の意見に支配されないということが自治体の本質でなければならんので、これは鉱産税の場合も同じようなことが言われますので、特にお願いというよりも、強くこういうような点に御研究をされて、過ちのない規則並びに町村の條例の設定にまでお力を願いたいと思います。
  218. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか……。それでは次に移りまして、三百九十二條から……。
  219. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百九十二條は、今の三百八十九條と三百九十條の地方財政委員会が、価格配分いたしまする場合の期限につきまして、来年の九月三十日までに、市町村では二十五年度分の償却資産価格の決定、それから二十六年度分の土地家屋及び償却資産価格の決定をしなければなりませんので、そのときまでに価格を通知するように規定をしておるわけであります。  それから三百九十三條は、地方財政委員会が今申上げました二つの條文によりまして価格を決定した場合におきましては、これを遅滯なく、市町村の側だけでなく、所有者の方にも通知をするという規定でございます。  それから三百九十四條は、地方財政委員会によつて評価される固定資産及び資産再評価法の規定によつて再評価を行い、又は行うことができる固定資産の申告に係る規定であります。これは毎年一月一日現在におきまして地方財政委員会が評価をいたしまする固定資産につきましては、納税義務者の方から地方財政委員会に対しまして一定の申告をすると、それを一月十日までに申告をして貰うと、それによつて地方財政委員会が評価をすることになるわけであります。尚、昭和二十五年度につきましては、十月三十一日までに申告をして貰うということであります。これは十二月と二月に償却資産関係の税を取りまするので、十月三十一日までに申告をして買うわけであります。それから第三項につきましては、再評価を行なつたものにつきまして、同様に地方財政委員会に対しまして再評価額なり限度額なりを出して貰う。それから再評価を行うことができるもので行わないものでありますが、そういうものにつきましても、これは再評価の限度額なり、見積価額というようなものを地方財政委員会に、これも十月三十一日までに出して貰う。こういうことによりまして、地方財政委員会がみずから評価を行い、今年度におきましては仮決定をするわけであります。  それから三百九十五條でございますが、これは今の申告の義務違反の罪であります。  それから三百九十六條、三百九十七條までは大体從来規定と同文でございます。
  220. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 三百九十七條まで御質問ございませんか……。別に御質疑がなければ次に移ります。
  221. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百九十八條は地方財政委員会価格の決定をいたし、又配分をいたしましたそのことにつきまして異議があります場合の救済の規定でございます。これも大体從来のこういう場合の規定と同様の趣旨の規定であります。  三百九十九條は異議の申立てに対して決定をした場合の通知であります。四百條は決定をいたしました場合においては、固定資産課税台帳にそれぞれ決定をした額を登録しなければならんという規定であります。  四百一條は、以下は道府県知事の固定資産の評価に関する任務でありまして、ここにございますように、固定資産評価員の研修を行う。又は地方財政委員会が作成した資料の使用方法について指導する。又地方財政委員会が示した評価の基準、方法及び手続について指導する。四は市町村固定資産評価員が評価することが著しく困難である固定資産の評価について市町村長から助言を求められた場合において助言を與える。要するに地方財政委員会に対して、一種の補助機関的な役割を持ちますと同時に、道府県知事といたしましても助言を與えまするとか、固定資産評価員の研修を行うという一つの独自の任務を要求いたしておるのであります。  それから四百二條でございますが、これは地方財政委員会なり、道府県知事が固定資産の評価についていろいろ指導を行なつたり助言を與えたりするわけでございますが、それは決して市町村の徴税吏員又は評価員に対して指揮をする権限を與えたものではない、自治の精神をやはり尊重すべしという精神的な規定をここに盛り込んでいるわけであります。  四百三條は固定資産の評価に関する事務に從事する職員の任務の規定でございまして、第一項は市町村長は独自の判断と責任を以て価格を決定しなければならない。又第二項は固定資産の評価員その他の評価事務に從事する市町村職員は、地方の財政委員会及び知事の助言によつて、且つ納税者と共にする調査、納税者に対する質問、納税者の申告書の調査等のあらゆる方法によつて公正な評価するように努めなければならないと特に規定をいたした次第であります。四百四條は市町村長の下におきまして、固定資産の評価について責任を持つてこれに当子者があります。固定資産評価員は飽くまで補助機関でありまして、自分が決定するわけではない、市長村長の補助機関であります。尚固定資産評価員という者は、相当重要な仕事を担当するものでありまするが、市町村の他の役附きの職員と同じような選任の方法にいたしまして、議会の同意を得て市町村長が選任をする。こういうことにいたしたのであります。尚固定資産評価員は個々の市町村が必要な固定資産の評価について、專門的な知識経験を持つておりまする者を選ぶということはむつかしいような場合が相当あるだろうと考えられまするので、二以上の市町村の長が同じ人を固定資産評価員に選ぶことに便法を認めたわけでございます。そういうふうにすることによりまして、よりよき人が得られますと同時に、関係市町村間における固定資産の評価がそれだけ均衡を保ち得るという結果が得られるわけでありまして、適当な優れた人が、こういうふうな恰好で二以上の市町村固定資産評価員になることが望ましいことでもあろうと思うのであります。ただ能力の限界がございまするので、余りに多く兼ねるわけにも参りませんが、そういうような考え方であります。それから四項は、これは念のために市町村の財務に関する事務に從事する職員でございましても、固定資産の評価員になつてもよろしいという地方自治法の兼職の禁止の規定に関する特例的な規定でございます。
  222. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 四百三條まで、そこまで一応……。
  223. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 四百三條について、この文句ですが、市町村長は独自の判断と責任をもつてと書いてありますが、その意味は、外部の利害関係のない、利害関係者から禍いされないような公正なる判断と、責任をもつてということであるか。市町村長に独自の判断をもつてというと何だかおかしいですね。むしろそれは公正なる判断と責任をもつてなら分るけれども、市町村が独自の判断をもつてというのはおかしい。
  224. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点御尤もでございまして、独自と特に申しました理由は、御指摘のように他からの利害関係者等の影響によつて動かされないでという気持をやや強く表すつもりでおつたわけでございます。
  225. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それならば今私が言うように公正なる判断じやないですか。独自というのは、どうも……。
  226. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 公正なというのは結果においてはお説の通りでございまするが、他から動かされない、利益を以て動かされないという気持を成るべく強く出そうということで、実は独自という言葉を用いた次第でございます。
  227. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その意味は分るのですけれども、独自というと、何か市町村長がただ独自の見解だと、がりがりの人が自分の誤まつた判断で独自な見解を下すと、非常に却て禍いを増すので迷惑する。公正なる判断ならいいですがね。
  228. 石川清一

    ○石川清一君 この中にも私は非常に強い中央の官僚主義が含まれていると思う。惡い解釈をしますと、安い固定資産価格を決定して、平衡交付金を多くくれといつてもやれないぞというような解釈も成り立つ。これも一貫的に流れているのは全部そういうふうに見られ易いので、これなんかそういうふうな含みを持つておるのではないかと思いますが、如何ですか。
  229. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 決してそういうような含みを持つて書いた次第ではございませんので、第二項にございますように、固定資産の評価に從事する職員、これは固定資産評価員、或いはその補助員等を指すわけでございますが、ここには今西郷さんの仰せになりましたように、「公正な評価をするように努めなければならない。」ということを規定してございまして、市町村長の下におきまして、固定資産の評価員が、公正な評価をいたすわけであります。市町村長といたしましては、それを大体基礎にいたしまして、多くの場合においてはこれをそのまま決めるという場合が多いだろうと思うのであります。そういうような際におきまして、他からの何といいますか、利益を以てするような影響はできるだけ排除をして、そういうものを基礎にしてやらなければならんという気持を書きましたのが第四百三條の第一項でございます。
  230. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この点は字句の問題ですから解釈を誤まらなければいいですが、何も今回に限つてそういうことを改めて言いませんが、適当な機会に、独自という文句は誤られ易いので、惡い解釈では、今いろいろいわれたような、これらのことの、誤れる独断を下すという虞れがあるものですから、公正なる判断ということが一番私は誤りないと考えます。普通用いられる言葉です。適当な機会にそういうふうに改めた方がベターだと思います。
  231. 野津高次郎

    ○專門員(野津高次郎君) 三百九十八條に「地方財政委員会に対して異議の申立をすることができる。」と規定してありますが、配分に不服のある固定資産所有者だけが異議の申立をすることができる。ところが所有者じやなく、村というものがあつた場合には、これはその不服に対して異議を申立てることができますか。
  232. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は前に御説明申上げましたこの三百八十九條の第四項でございますが、配分が著しく当該市町村に不利益であるという場合には、地方財政委員会に対して配分の調整を申出ることができる。又三百九十一條におきまして、第四項に同様趣旨の規定を置いておるわけでありまして、これによつて財政委員会としては、更に審査をしなければならんことになるわけであります。
  233. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか……。  それでは次に移ります。四百五條。
  234. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 四百五條は固定資産の評価補助員でございますが、これは固定資産評価員を補助いたしまして評価の事務を行うものであります。それから四百六條は、固定資産評価員の兼職禁止に関する規定でありまして、職務柄できるだけ公正な立場のものを選び、且つ兼職禁止をまあ考えまして公正に評価の行われるようにいたしたいという趣旨からのこれは規定でございます。第三項の請負の関係も同様であります。四百七條の固定資産評価員の欠格事項でございますが、これも職務の重要性に鑑みまして特にこのような規定を置いておる次第であります。  四百八條の固定資産の評価でございますが、これは毎年少くとも一回実地調査をしてやらなければならないということを特に一項に謳つておる次第であります。そうしてその実地調査の結果に基きまして、一月一日現在の特価によつて固定資産の評価をし、そうしてそれを基にいたしまして評価調書を作成して、それを市町村長に提出するということであります。尚この毎年一回実地調査をするということは、二十五年度におきましては、これを絶対の要件といたしますことは困難でございますると共に、土地なり家屋につきましては、賃貸価格の九百倍ということになつておりますので、これは非常に簡單にできまするし、今年度は実地調査の必要がない。又償却資産につきましても簡便な方法を考えておりますので、この規定は本年度は適用しないということにいたしたわけであります。  この四百十條の固定資産価格の決定でございますが、これは一月一日現在におきまして市町村長固定資産評価員から評価調書を受取りまして、そうして二月五日までに決定することにいたしております。これは四月の納期には間に合いますように、こういう手続を、段取りをつけておる次第であります。  それから四百十一條は、本年度と来年度の固定資産税を課する償却資産価格の決定の特例に関する規定でございますが、今二月五日までに価格を決定するということを申上げましたが、二十五年度及び六年度につきましては、共にこれを来年の九月三十日というふうにいたしております。二十五年度分も、来年度分も共に来年の九月三十日までに価格を決定するわけであります。この点はすでに再三申上げたところであります。  それから第二項でございますが、この点は今回改訂した主要な点でございまして、二十五年度分、又は二十六年度分の償却資産に対して課する固定資産課税標準とし、地方財政委員会、又は市町村長が仮に決定する価格は左の各号に掲げる額のうちいずれの額を下ることもできない。即ち第一はいわゆる帳簿価額でございます。第二は再評価を行つたものにつきましての再評価額、第三は再評価を行わないものにつきまして納税義務者が、すでに御説明申上げました手続きによつて申告をする見積価額、このいずれかのものを大体抑えまして、今年度は仮に価額を決定するわけでございますが、その価額が第四号にございまするように、再評価の限度額の百分の七十を下つてはならない。一号、二号、三号の額が百分の七十を超えておりまする場合には、大体それをそのまま抑えて参るということであります。  それから第三項でございますが、今の遊休資産でございまするとか、未稼動の資産等でございまして、百分の七十というところで仮決定をいたしますることが、如何にも酷であるという場合の緩和の措置が第三項にあるわけでごさいます。前項の場合において、償却資産価格が明らかに、且つ、著しく同項第四号の額を下ると認められるときは、地方財政委員会規則の定めるところによつて地方財政委員会価格を決定すべき償却資産にあつては、同委員会が当該償却資産に対して課する固定資産税納税義務者が、その事実を明示する充分な証拠を添えて提出する申請書に基いて、同項同号の額を減ずることができる。それから市町村長価格を決定するものにありましては、「市町村長が当該市町村議会の議決を経て、又は同議会の議決を経た後地方財政委員会の許可を得て、当課償却資産価格標準として同項同号の額を減ずることができる。」、市町村長が価額を決定します場合におきましては、大体限度額が一千万円以上のような、一千万を超えるようなものにつきましては、事柄が重大でございまするので、あまりアンバランスになつてはいけませんから、議会の議決を経た後、更に地方財政委員会の許可を経て、百分の七十を更に減じて百分の六十五か、六十で仮決定をするということを認めようというわけでございます。一千万円を超えないような、それ以下の償却資産につきましては、地方財政委員会の許可を必要としないで、市町村議会の議決だけで、百分の七十の額を更に減ずることを認めようというわけでございます。
  235. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 一応そこまで……、以上につきまして。
  236. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 先程、第四百三條までということでありましたので、四百四條はそのままにしておつたのですが、四百四條の質問をしたいのですが……。
  237. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どうぞ。
  238. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 固定資産の評価員というものについては、実はこの前も、農地委員或いは前の所得税調査委員のように数名の民間の、市町村に住んでおる者の中から選ばれて、そうしてその方々が民主的に公平にその人達の調査に基いて決定をして、いろいろ決めて、そうして町村長の資料にするといいますか、判断の資料にするというようなものであろうと、実は考えておつたのでありますが、これはそうでないということが、この前はつきりしたのです。この間の公聽会の人の意見を聽きますと、やはり同じように、この評価員というものは一人のものではなくして、数名の、やはり村民から選ばれたものであるようなふうに解釈をしておられたように思つておるのですが、この点については、私はやはり一人の人よりも、数名の農地委員のような杉のようなものがいいんではないかというような見解を持つているのですが、これについての御意見を聞きたいのが一つ、それから第二はこの評価員がこの法文の通りであるといたしました場合において、これは市町村職員ということになるのだろうと思うのです。政府説明では、大体收入程度の人、或いは助役程度の待遇を與えた一人の人を選任するのだという話でありましたが、そうなりますと、これは地方自治法において規定さるべき性質のものであるようにも考えられるわけであります。勿論これは地方税の税制の徴税機関としての関係のみを掌るわけでありますから、ここに規定することは当然だと思いまするけれども、從つて又選任或いは資格等におきましても、ここの中に規定されてあるわけでありまするが、地方自治法においてはこの評価員というものを、どういうような市町村の機関におけるものとして取扱われようとしておるのか、実は勉強しておりませんで、地方自治法中改正されている点か何かあるのですか、それをお聞きしたいと思います。
  239. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 固定資産の評価につきまして、独認制でなく、数人の共同による評価を行うための複数制をとつたらどうかという御意見は、確かに拜聴に値いたしまする御意見と存じまするが、ただこれはアメリカ等におきましても、アセツサーと申しますか、丁度收入役等と同じような形の一つの責任を持つた機関として評価員を置いておりまして、その者に評価を全責任を持つてやらせるという恰好になつているわけでございまして、そういうような制度と同じような建前にいたしたわけでございます。会議制でやる長所といたしましては、できるだけ皆の納得の行くようなという長所があろうかと存じまするが、半面又事柄が非常に遅れるというような欠点もあるわけでありまして、会議制の長所は後から御説明を申上げます固定資産評価審査委員会というような方面におきまして、これを活かしているような次第でございます。尚地方自治法上固定資産評価員をどういうふうに考えているかということでございまするが、お説の通り、收入役等の財政関係職員について、地方自治法中に規定をいたしているわけでございまするから、これを地方自治法中に規定をしても勿論差支えはないわけでございまするが、併し税の中の而も固定資産というような特殊な仕事だけを担任する職員でございまするので、やはりこれは税法中に規定をいたした方が適当であろうという見解で、ここに規定をいたした次第でございます。地方自治法上は從いまして特別な変更を加えておりませんが、先程ちよつと申上げましたように、この第四項で「固定資産評価員は、当該市町村の他の財務に関する事務に從事する職員を兼ねることができる。」ということ、これは地方自治法の中に有給の職員が他の職を兼ねられないという一般の兼職禁止の規定がございまするが、それを拜除する規定でございまして、そういうような意味では、地方自治法に対する特例に相成つているわけでございます。固定資産評価員の評価員という名前が少し收入役とかいうのと違いまするが、大体の基準といたしましては收入役というようなところ、その辺に相当するような地位ではないかと、かように考えます。
  240. 石川清一

    ○石川清一君 第四百十一條の第三項かと思いましたが、償却資産の一千万円というような数字が出まして、それ以上は地方財政委員会の許可を受けると、こういうように承わりましたが、償却資産一千万円以上の会社、企業体は一体どのくらい全国であるか、お尋ねをいたします。
  241. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大体一千万と申しましたのは、目下地方財政委員会なり、自治庁等におきまして研究中の方向を申上げたわけでございまするが、非常に数が多いということになりましても事務処理上能率を非常に害するわけでございまするし、又余りに額の大きなものを自由にするということになりますると、非常に市町村間の均衡を失することになりますので、両者の要求を睨合せましたところで大体一千万円くらいのところでいいのではないかというふうに考えたわけでございます。具体的にそれがどれだけあるか、只今的確な数を申上げることは困難な次第でございます。
  242. 石川清一

    ○石川清一君 一番重大な問題をいつもおろそかにしておると思う。この決定がいわゆる五百二十億を支配する重大なポイントになると思う。それを今まだはつきりしないという日和見でおつては、到底町村償却資産の決定に積極的に動かない。動くとししも独自の見解で動かすように持つて行くことになる。もう少し腹を割つて、一体五百二十億よりもつと取れるのかどうか。前議会答弁を見ますと、一千三百億掴むのだ。それを逆算をいたしますと、今八百億くらい固定資産を掴めばいいのだということになる。後残つておるのは来年に廻すのか、今いい加減にして置いて来年の四月前後になりまして、会計年度の切れる頃に沢山取つて繰越になるか、その政府の肚が本当に分らないのですが、この点がやはり前に戻りまして五百二十億、一・六というところにやはり影響を持つて来るので、この決定的なものはやはりもう肚ができておると思うので、その点をお伺い申上げます。
  243. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 一体どのくらいあるかということでございますが、まあ個々の市町村の問題として考えてみましても、一千万円というようなところで抑えますると、都市は別といたしまして、一般町村におきましてはそうないのではないか、更にそれにつきまして百分の七十という基準を下回つて、これを緩和して考えなきやならないというような事態の起りまするものは、又非常に少いのではないかというふうに考えております。例外的な措置というふうに考えておりまするが、今の償却資産につきまして今年度八〇%だけ算出税額の中から取るのだ、こういう数字を出しておるわけでございますが、これは政府といたしましてはあらゆる資料を整えまして最大の努力をいたしまして考えました数字でございまして、八〇%は今年度において取ることが可能であろうということは、從来の実積その他から考えたわけでございまするし、又土地家屋の場合のように、從来からの課税のございましたものと違いまして、償却資産につきましては今回新たにそれだけの負担になつておるわけでございまするから、そこで土地家屋の場合の九〇%に対しまして、一〇%落した八〇%で抑えておるわけでございまして、私共といたしましてはむしろ非常に常識的な数字であろう、かように考えておる次第であります。
  244. 石川清一

    ○石川清一君 ここで申上げたいと思うのですが、家屋土地についてはもうはつきり線を決めて、これに対しては何も心配はないということは、一方的に異議を申立てさせずに押付ける。償却資産については大体これは大きな企業会社の所有になつておりますが、これを財政委員会に持ち込む、而も五百二十億という線が非常にあやふやでありまして、一・六でも或いは一・五でも非常に彈力を持つておる。企業会社にいたしましたら、利益を上げるということは取りも直さず税金を少くするということに一致するんで、今までのように自治庁廻り、財政委員会廻りということが出て非常に忌わしい政党献金というものが、ここに含まれておるような邪推を起させるような考え方に私は立つておるんであります。このことが今まで非常に私は強く究明されたことと思いますし、町村自体も大きな財源を抱えておりまして、ここに自主性を持ち兼ねるのではないか、こういうことがあるわけでありまして、この点についていつ頃になつたら大体全国においてどの程度掴み、そのうちの税金にしましたらどの程度の額を地方財政委員会が掴むことが最も好ましいと、かようなお考えがありましたら個人的な意見でもよろしいから承わりたいと存じます。
  245. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 石川さんからいろいろ御注意を承つた次第でありますが、この税法案を流れておる基本的な考え方は、私共の説明によりまして御了承を願えるのではないかと思うのであります。決して只今御指摘になつておりますような考え方は毛頭ないということをここにはつきりと申上げて置きたいと思います。  で税額の問題につきまして、特に三百五十條の問題と関連してのお話でございますが、土地及び家屋につきましては御承知のごとく賃貸価格がございますので、これは御指摘のように的確な把握ができるわけであります。ただ昭和二十五年度分における償却資産価格につきましては、評価を伴う問題でありますので、さような意味合から三百五十條というふうな規定を設けたようなわけでありまして、決して大企業者との関連において今後事務の処理をするに当りましても、決してその間の不公平、或いは御心配になつておるような事態が起らんように、この点につきましては極力努力をいたしたいと考えております。
  246. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 一つの点はこの固定資産評価員でありまするが、評価補助員と評価員とはどういう関係に立つでしようか。と申しますのは償却資産で例えば一千万円以上のものは中央に持つて来るということですが、一千万になるかならないかということは、この評価員の評価によつて分ることでありましよう。評価の仕方によつては実際一千万を越えるものであつても、一千万にならないというような問題等も起るでしようし、その評価のための一年一回の調査という場合に、相当の人数を動員しなければこの調査並びに評価ということはできないんで、実際上は償却資産を持つ工場等の多い都市においては、相当数の評価補助員を置かなければならないじやないかと思われるんで、この責任と申しますか上下の関係と申しますか、指揮監督の関係と申しますか、その点をお伺いいたします。
  247. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 固定資産の評価補助員でございますが、これは固定資産等価員の職務を補助させるということでございまして、丁度出納長の下に副出納長かおり、或いは出納員がおるのと同じ上下の関係がそこにあるわけでございます。それで固定資産評価員といたしましては、この法律において規定をいたしております固定資産評価のための各種の仕事を処理いたしまするのに必要な限度において、固定資産評価補助員を市町村から選任をして貰うことになるわけでございますが、これは兼任とかそういうようなことも考えられるわけでございまして、地方財政全体との睨み合で、どの程度の補助員を置くかということが決まると思います。
  248. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 第二に、来年一月一日現存における時価で評価するというのですが、評価員並びに評価補助員のお手盛によつて適正な評価を期されないし、又それを摘発することもできないという困難な微妙な点については、どういうふうにして適正であるかないかということを決めるのか、別にこれを監察するような機関というようなものが考えられないのかどうか。
  249. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 固定資産評価員の職務につきましては、市町村一般の行政と同様に監査員の監査の対象になるわけでございます。これが適正に行われておるか、行われていないかということ、主として能率上の見地からの監査はあり得るわけであります。
  250. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私の聞くのは、本当に適正な評価をして、適正な税をかけるということについて、專門の技術を持ち、税を徴收する税務員とも違うこうした方々によつて、而も何と申しますか、見知合であつたり、或いは町村自治体等に対して寄附その他を以てふだん恩恵を與え、或いはうまくない言葉で言えば、圧力を與えるような事業場、工場に対して真に適正な評価が行われないのではないか、或る種の運動があればべら棒なことになつてしまうのではないかという疑念がありますので、それらを防止するについての適正な措置考えられておるのかどうか、お伺いしたいわけです。
  251. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは殊に地方税でございますから、しばしば申上げておりますように、地方住民の批判というものはより直接的でありまするし、批判の機会も又非常に頻繁にしばしばあり得るわけであります。地方議会におきましても、そういう批判の機会を持つでありましようし、そういうようなことによりまして固定資産評価員の職務が適正に行われておるかおらないかということは、批判の機会がむしろ国税の場合よりも直接的で、且つ頻繁であると考えられるのでございまして、そういうようなことにより、或いは先程申上げましたように監査員の監査というようなことにより、或いは直接的に市町村長の指揮監督の下にやるわけでございますから、市町村長が、若し固定資産評価員の職務執行が適正でないという場合におきましては、これは市町村長としては罷免をすることができるわけであります。そういう場合につきましての措置によりまして、若しも市町村長がそのようなことを怠慢で、怠つておるというような場合におきましては、市町村長自体に対するいろいろリコールその他の規定の発動もあり得るわけでございますから、かれこれ全体といたしましては、固定資産評価員によつて、職務執行というものは公正を期し得るものだと、かように考えております。
  252. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 先程一千万円以上のものは国で、地方財政委員会で評価するというようなことを伺つたのでありますが、その一千万円以上の償却資産であるとかないとかいう認定の資料は、市町村からの評価員の評価に基く資料であるということであれば、これは相当問題であろうと思うので、お伺いしたいことの一つは、初めから地方財政委員会が全国の事業場工場等を見て、これこれはこつちの方で見るぞというふうに指定をする方がいいのではないであろうか、又二つには、市町村長が評価員を使つて評価するときにおいて、いろいろ政治的な問題が起つて来て煩しくなつた場合に、地方財政委員会に願い出る場合には、国の方でそうした事業場、工場の償却資産の評価をしてやる、こういうふうな道を開いたならばどうか、こういうことを考えるのですが如何でしようか。
  253. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この先程申上げましたのは今年度の償却資産価格の決定をいたします場合には、大体帳簿価格なり見積価格、再評価格というもので押えるが、それが百分の七十以上であれば、原則としてそのまま行かれるわけでございますが、例えば百分の七十を更に降ろすという場合についてのことでございまして、すべて価格一千万円以上のものを地方財政委員会が評価するという意味でやるわけではございません。從いましてこの一千万円と申しますのは価格ではございませんで、再評価の限度額一千万円というところで申しておるのでございます。と申しますのは限度額につきましては、資産再評価法の規定によりまして、それぞれ彈き出しましたものを、各納税義務者から市町村長に、再評価を行なつても行わなくても、とにかく届け出るようになつておりまするから、この価格は幾ら、再評価の限度額は幾ら、そういうようなはつきりいたしておりますものを押えまして一千万円以上、或いは以下で区分をしたらどうか、こういう考えを持つておるわけでございまして、そういう一千万円以上のものの中で、更に限度額の百分の七十というものを降ろさなければならない、そういうものについてだけ地方財政委員会が百分の七十を更に降していいかどうかということの許可をするわけでございますから、事件としてはそう沢山はない、かように考えておる次第でございます。  それからそういう場合に何か地方財政委員会が助言を與えるような、発言をさせるような機会を與えたらどうかというようなことを併せて仰せになつておつたと存じまするが、この点は市町村当局の方から助言を求めて参りまするならば、地方財政委員会はこれに助言を與えることができるという規定は先程説明を申上げましとたところにあるわけでございまして、それによつて仰せの趣旨を全うすることができると考えております。
  254. 石川清一

    ○石川清一君 非常にこの地方財政委員会の権限、或いは資産再評価審議会委員の構成、或いは固定資産評価委員というものが非常に関連性を持つておると思います。殊に四百十二條から入つて行きますところの農地の倍率、その他の倍率については今までそれぞれの委員会において、合同委員会において非常な多くの意見を承つております。その意見を逐條的にそれぞれ本委員会としても答弁を仰がなければならんと思つておるのでありますが、ただ農地の場合、或いは農村における住宅の場合に対しては何ら考慮されるところがないというような、一顧も触れないというようなお考えに立つてこの案を作られて、この法案に基いてそれぞれ施行されるように伺つておりますが、農林委員会を通じ農林省の見解を一応この次の章で申上げますと、政府において計画されておりますところの小作料を現在反当七十五円を四百五十三円に一応改訂をしまして、その小作料の收益力から見たところの農地の価格を設定して見た場合にはどうなるか、こういう数字をそれぞれ計算しているようでありますが、この計算に從いますというと、今までそれぞれの委員会でいわれましたように、大体二十二・五倍をする場合においては、加率は〇・七ぐらいでいい。一・六を掛ける場合には大体十二倍ぐらいが適当であろうというようなのを農林省の、今度改訂を見ようとしておる小作料の科学的な計算の上に立つておるわけでありまして、先程固定資産家屋の賃貸料については、賃貸料と固定資産税と合算をしまして、それを給與ベースの中で妥当であるかどうかというようなことをお考えになつて、賦課するというような御答弁に承つておりますが、農地の場合にもこういうことがいわれるのでありまして、こういうような点が価格の決定の場合、或いは異議の申入れを出される場合には、この條文の中には考慮されていない。殊に農地については過般における農地改革の線が打出されて以降における農地の変動、或いはその後における国内の食糧自給の熱度の工合というようなものについて、非常に大きな変化が来ておるのでありまして、これを一律に六百倍というように機械的に扱うことについては非常に疑義があるし、又一般の勤労者の場合には、寒冷地手当が一戸当り一万円前後交付されるようになり、地方自治体の経営の中にも寒冷積雪における経農の増嵩が認められておる。併し農地については何ら寒冷地、或いは積雪の度合が認められていないという不合理を現しておるのでありまして、何かこの点について当然考慮をしなければならんというふうに考えておりますので、最後において固定資産税の場合の加率の場合、或いはこの倍率の場合が更にその他町村における特別的な條例を設けて考慮をするというような点がなければ、到底この均衡は期せられないと思いますので、この点については更に総括的に最後に一応この審査の逐條において私は再び意見を発表しまして、この点については相当疑義があるので、後に残すことにいたして一応終ります。
  255. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは今のところに触れるわけですが、四百十二條以下の説明を承わります。
  256. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 四百十二條でございますが、これは昭和二十五年度分の固定資産税を課する農地以外の土地及び家屋につきましての規定でございまして、その価格は昭和二十五年四月一日現在の土地台帳法による土地台帳、又は家屋台帳による家屋台帳に登録されている賃貸価格の九百倍の額を支給し、これを第三百四十三條第二項の固定資産課税標準、本来ならば時価によりましてこれを課税標準として課するわけでございますが、本年は特に九百倍の賃貸価格に対して九百倍というわけで課税標準を見ようというわけでございます。この点は再三御説明を申上げましたので、詳細の説明を差控えさして頂きます。それから四百十三條は今の除外されました農地についての問題でございまするが、農地につきましては、土地台帳法による土地台帳に登録されている賃貸価格に、昭和二十五年四月一日現在における農地調整法六條の二の規定によつて主務大臣が定めた率を乘じて得た額に二十二・五を乘じたものとし、これを課税標準とするということ、例えばこれは、農地調整法は田につきましては賃貸価格につきまして四十倍、畠につきましては同じく四十八倍という率を主務大臣が課するようにしておりますが、その額に対して二十二・五倍といたしますると、田につきましては大体九百倍、畑につきましては千八十倍になることになりまするが、それを課税標準といたすわけでございます。千八十倍といたしますのは、九百倍より多いのではないかという御議論があると存じますが、これは現在の賃貸価格自体が田なり、畑なりの收益力を反映いたしておるわけでございまして、それに対しまして一律の数を乘ずるというと、丁度九百倍という倍率を他の土地家屋について乘ずると同じような趣旨に相成りまするので、こういう一定の率を乘じて行こうという、こういう考え方でございます。この考え方はすでにしばしば申上げましたように、シヤウプ勧告の趣旨に則つた次第でございます。それから第三項でございますが、これは農地につきまして価格統制が存続しておる場合におきまして、若しもこの農地の価格というものを変更いたした場合におきましては、この前項の三十二・五という数字を変更いたさなければなりませんので、その価格の権限を地方財政委員会に委任をいたしておる規定でございます。然らばいつの価格を抑えるかということでございますが、これはこれに乘ずべき数が定められる日における価格ということをこの後段の方で書加えております。それから四百十四條は固定資産価格の最低限度といたしまして、いわゆる帳簿価格と申しますか、減価償却の基礎になりまする価格を下つてはならないということを、これは一般原則として規定しておるわけであります。
  257. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上につきまして御質問ございませんか。
  258. 石川清一

    ○石川清一君 これも先程申しましたように、九百倍についてはそれぞれ農林委員会でも強い数字を立てて異議があり、公聽会においても非常に強い陳情がありますので、これは更に慎重な討議が願いたいと存じますので、時間の関係上、これは一応保留して進んだ方がいいんではないかと思います。
  259. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では次の四百十五條に移ります。
  261. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 四百十五條は固定資産課税台帳の縱覧でございます。これは二月五日までに価格を決定いたしまするから、その翌日の二月六日から十日間、二月十五日までに縱覧に供するのであります。但し例外を設けて十六日以後でも縱覧期間を設けることも認めておるわけであります。四百十六條は本年度分及び来年度分の縱覧期間の特例でございまして、これは最終の価格は本年度の償却資産につきましても、来年度の土地家屋償却資産すべてにつきましても、来年の九月三十日までに決定するということになつておりまするので、その翌日の十月一日から十日間縱覧に供するわけであります。それから第四百十七條でございますが、これは虚偽の申告があつた場合又は不申告の場合の価格の決定でございます。これは市町村長がやる場合、要するに市町村長固定資産課税台帳に登録いたすわけであります。それから四百十八條でございますが、これは市町村長固定資産価格を決定いたしました場合におきましては、その結果の概要調書を作りまして、毎年三月中に道府県知事に送付するわけであります。ただ本年度におきましては、それを来年の十一月中、即ち九月三十日までに価格を決定いたしますから、その後に概要調書を作成いたしまして、来年の十一月中に送付する。二十六年度分につきましても、同様に来年の十一月中ということにいたしております。  それから四百十九條は固定資産価格の修正に関する道府県知事の勧告であります。道府県知事が道府県内のすべての市町村に係る概要調書の送付を受けた場合において、市町村の相互間におきまして非常に著しい不均衡があるというような場合には、適当でございませんので、その価格を修正するように、関係市町村長に対して勧告をする権限を認めておるわけでございます。こういう勧告に基いて修正をした場合には、又改めて縱覧に供するということであります。  四百二十條は、固定資産価格市町村長が修正をして登録した場合においては、賦課後であつても更に価格を更正して行かなければならんという、念のための規定であります。四百二十一條は、修正をいたした場合に、更に知事にこれを送付するという規定でございます。それから四百二十二條は地方財政委員会に対しまして、道府県知事が固定資産価格の概要調書を送付するという規定でございます。
  262. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 四百二十二條まで御質問ございませんか。
  263. 石川清一

    ○石川清一君 先程お尋ねしましたように、地方財政委員会が一千万円以上の償却資産価格の決定をするという時間的な措置も合せてこの中に含まれて、遺憾のないようにできておるかどうかお伺いします。
  264. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ちよつと……。
  265. 石川清一

    ○石川清一君 もう一遍申上げますが、地方財政委員会が仮に一千万円以上の償却資産価格を決定する、こういう建前を取つた場合に、市町村長としては三月の六日から十五日までにできない、こういうような事務的のことについて、この條文で遺憾があるかないかという点をお伺いします。
  266. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は勿論織り込んで考えておるわけでございまして、本年の今の一千万円以上云々ということは、仮に価格市町村長なり地方財政委員会が決定いたす場合の規定でありまして、これは十月三十日までにそれぞれの資料を納税義務者から取りまして、そうして決めて行くわけでありまして、納期は本年におきましては、償却資産は十二月が第一回の納期でありますから、それまでに間に合うようになつております。今の二月五日というのは価格の本決定の際の期限でありまして、今年の償却資産につきましては来年九月三十日までに価格を本決定するわけでありますから、その点を特に二月五日を九月三十日に変更しておるわけであります。
  267. 石川清一

    ○石川清一君 遺憾ないわけですね。
  268. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 遺憾ございません。
  269. 石川清一

    ○石川清一君 逆にお尋ねいたしますが、この法文は、一千万円以上というものを、地方財政委員会価格の決定をするのだというお考えで作られたか、それとも結果としてそういうことが起きて来たか。運営の上でそうすることが非常に妥当だというので起きて来たか。どちらが先きかをお伺いします。
  270. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は先程もちよつと申上げましたように、償却資産につきましては、皆市町村長価格を仮に決定するわけでありまして、ただ地方財政委員会がやりますのは、例の船舶とか車輌とか或いは大規模の工場、発電施設というようなものだけであります。ただ仮決定の際におきまして、百分の七十という線で抑えますのが非常に酷であるというような特殊なものにつきまして、而もその限度額が一千万円を超えておるというような場合に限つて地方財政委員会が百分の七十の線を更に下すことがいいかどうかということを審査をして許可をする。こういうわけでございまして、この一千万円という限度額の数字は、資産再評価法の規定によりましてそれぞれ機械的に出てくるわけでございまするし、これを再評価をやつてもやらないでも兎に角納税義務者から市町村長なり、地方財政委員会の方に届出るように規定をしておるわけでございます。この一千万円の数字をどうして出したかということでございますが、これは先程もちよつと申上げましたように、余り市町村間におきまして甚しい不均衡が起ることは困る、大きな財産についてそういうようなことができることはいよいよ不適当であるから、そういう考え方と、更に地方財政委員会におきまして、一々許可をするというようなことになりまするというと、これは又非常に数が多くなれば能率を落しますし、決定がそれだけ遅れますから、そういう不均衡をできるだけ少くするという要求と、できるだけ併し早く決めていかなければならんという、この二つの要求から噛合せたところで大体一千万円というところを抑えておるわけであります。
  271. 石川清一

    ○石川清一君 実は簡單に答弁を願いたかつたのであります。それは結局資本の蓄積を図ろうとか、強大な資本を擁護するという前提で作られたか、それとも自治体が公平な財源をもつて自治体を真に生かすという建前の結果として生れて来たかということ、どちらかということをお尋ねしたわけなのであります。
  272. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 政府といたしましては、今度の改革によりまして地方税全体の負担の公平化ということを一つの狙いにいたしておるわけでございまして、特に御指摘のような意図を以て立案はいたしておりません。
  273. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 四百二十三條までは御質問ございませんか。では次に移ります。四百二十三條。
  274. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 四百二十三條は、固定資産評価審査委員会についての規定でございます。これは市町村長が行いました価格の決定につきまして不服がある場合に、これを審査して決定をさせるための機関でございます。これは各市町村毎にこれを設置いたします。委員会委員市町村長議会の同意を得まして選任をいたします。これは三人をもつて組織をすることにいたしてあります。余り数が多いことはどうであろうかということであります。任期は三年、但し再任は妨げない。そして大体が名誉職でございまして、出席日数に応じて手当を受ける。こういう実費弁償的なものを受ける。こういう考え方でございます。  それから最初に選任される委員につきましては、任期が一時に更新いたしませんように、順繰りに更新するようにいたしておるのが四百二十四條の規定でございます。  それから四百二十五條の規定は、やはり固定資産評価審香委員会委員は、職務上非常に公正独立を要するものでございますから、ここに規定をいたしておりまするようなものとの兼職を禁止しようというわけであります。  それから第四百二十六條でございますが、これも同様の趣旨で固定資産評価審査委員会の職務の重要性を考え規定でございます。四百三十七條は、これは固定資産評価委員のいわば上部の機関といたしまして、その行なつた行為を審査するものでございまするので、特に職務上不適当の場合におきましては、罷免をするということを挙げたわけでございます。これは任期を三年というふうに書いておりまする関係上、やはり任期中であつても罷免をするということを特に断る必要があるわけでございます。それから四百二十八條は、固定資産評価審査委員会会議の開催の期間を書いておるわけでございますが、これは二月六日から十日間縱覧に供するわけであります。縱覧に供し始めますると、早速審査請求が起つて参りまするので、二月六日から三月十五日までの間において開く。その間に出て来た審査請求を片附けるとこういう考え方でございます。ただ大都市等において、その期間内に皆やり上げてしまうことが困難であるということに処しまするために但し書を付けまして、更に会議を別に長くすることも可能であるようにいたしておりまするが、面分四月に第一回の納期があるわけでございまするから、それに間に合う程度においては審査を完了しなければならんわけでございます。それから二項三項は出席及び会議の定足数でございます。特に二人以上の同意がなければその決定ができないというのは、場合によりましては書面審査の途も可能であるようにしておるわけでございます。  第四百二十九條は、今年度及び来年度の場合の特例でございまするが、これは価格決定の時期が今年度及び来年度につきましては、来年九月三十日ということになつておりまするので、その翌日の縱覧期間開始の十月一日からやはり十一月十日までというところを抑えておるわけでございます。  それから四百三十條は固定資産評価審査委員会が、審査するために必要がある場合の措置といたして、資料の提出を要求する権限を認めたわけであります。  四百三十一條は、固定資産評価審査委員会の審査の手続等につきましては條例で定める。又場合によつてはこれを更に市町村固定資産評価審査委員会の規程に委任することもできるということを置いたわけであります。四百三十二條は、審査請求の期間を書いておるわけでございまして、縱覧期間の初日から、その縱覧期間の末日後十日までの間において、即ち縱覧期間が十日でございまするから、その末日後十日ですから、二十日間審査請求の期間があるわけでございます。それから四百三十三條でございますが、これは審査の決定の手続を書いてあるわけでございまして、請求いたした日から二十日以内に審査をするということでございます。尚審査につきましては口頭審理の手続に、申請をすれば必ずこれは口頭審理の手続によらなければならない。特に本人からの申請がなければ口頭審理の手続によらなくともいいが、申請をした以上は、必ずこれによらなければならない、こういうことでございます。それから第六項におきまして、「第一項の審査は、公開して行わなければならない。」それから審査の結果決定をいたしました場合においては、十日以内に審査請求をした者と、市町村長双方に通知をするわけであります。  四百三十四條は、この決定に対しましての不服に対する救済の途を開いておるわけでございまして、知事に訴願をするか、或いはいきなり裁判所に行くかいずれでもいいわけでございます。それから四百二十五條は、この審査の結果が決まりまして、修正をする必要を生じましたときにおきましては、市町村長は通知を受けた日から十日以内に価格を修正して登録をするということでございます。それによつて課税をするわけでございます。それから尚市町村長と登記所との間におきましては、先程申上げましたように登記所におきまして、土地台帳家屋台帳を保管しておりますが、両者の間に緊密なる連絡を取つておかなければならないので、価格を決定したり、修正した場合におきましては、これを必ず登記所に通知しなければならないということを念のために規定したわけであります。  序でに第六款を申上げます。これは今まで各税につきまして申上げましたのと同じでございまして、直接国税に関する犯則事件として取扱うということでございます。
  275. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今説明されました四百二十三條以下につきまして御質疑を願います。別段御質疑はございませんか。
  276. 石川清一

    ○石川清一君 こういうことが起ると思うのですが、このやはり固定資産の農地も家屋も同じですが、価格の決定については非常に大きな疑義が出て参つたのです。今までのように非常に低額で、或る程度これくらいの家屋税、地租並びに附加税ならば問題にしないというような気持ちが幾らかあつたようですが、今度のような場合には相当いろいろな意見が出て参つておるわけです。こういうような複雑な意見や條文を作つて置いて、訴訟沙汰に仮にするといたしましても、非常に裁判所に遠隔な土地、或いは教養のないいわゆる対抗する頭脳も資力もないというようなものは、非常に泣寝入り勝ちに私はなると思うのです。恐らく今度の固定資産税については泣寝入りをする人が非常に多いのではないかと思います。それだけにこの運営については特に価格を決定する場合、或いは審査委員の場合も愼重に扱うような方向に持つて行かなければ、一番ここから反税思想が私は起きて来るのではないか、所得税の場合には或る程度所得の收入と支出の上に立ちまして、所得その上に基礎控除、扶養控除が除かれますから、或る程度理解できますけれども、今度の固定資産税については收入のない人が非常に大きな家屋を持つておる、或いは收入のない土地に非常に過大な税率が課かるということが現われて参りますので、この点については先程意見を保留いたしましたように、特別の事情のときには倍率を下げるとかいろいろな措置が法的に講ぜられなければならんということを申添えて置きます。
  277. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これで固定資産税の逐條審議を一通り済みましたが、先程石川委員からお触れになりましたように、農林委員会から固定資産税につきまして希望意見が出ております。  それは「固定資産税を課する農地の評価に適用する農地の法定対価に乘ずる数は現行地租を基礎として算定し、差当り昭和二十五年度分は二二・五を七に改めること。」こういうのであります。これに対しまして政府委員の意見を徴します。
  278. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 政府といたしましては、農地以外の土地なり、家屋につきまして九百倍という倍率を取つておりまして、農地につきましてはやはりそれを一つのめどといたしまして、二二・五という数字を出しておるわけでございます。この点についてシヤウプ勧告におきましては、土地家屋につきましての倍率を千倍としておりましたのを、当時におきましては二十五倍ということであつたわけでございますが、九百倍になりますので、二二・五倍によつておるような次第でございまして、九百倍という倍率を変更いたしません限りにおきましては、やはりこの二二・五という農地につきましての倍率を維持するのは止むを得ないことである、かように考えております。
  279. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今の御説明土地以外の、農地以外の土地とのいわゆる対等関係の御説明でありましたが、これは財政的から見て二二・五を七になつた場合にはどのくらいその方面で減つて来ますか。
  280. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは今の農地につきまして、全体の数字をちよつと今何ですが、農地につきましては三分の一に落ちております。
  281. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 二二・五と七との関係が三分の一のことは分つているのです。金額のことです。
  282. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 数字はいずれ後刻計算をしまして……。
  283. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 了承。
  284. 石川清一

    ○石川清一君 只今次長さんから説明がありましたけれども、これには意見を保留して置きます。
  285. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚申上げます。運輸委員長から希望意見が出ております。それは固定資産税について申上げますと、「船舶法の適用をうける船舶については、地方税法案における固定資産税課税客体より除外し、独立税たる国税とし、適正な税率を設けること。」その理由は皆さんのお手許に廻してありますから繰返しません。  それから尚この運輸委員長地方鉄道軌道の固定資産税につきまして、地租を現行通り免税とすること、電柱税及び軌道税を現行の率とし存置すること、車輌税たる道府県税を新設すること、以上の(イ)(ロ)(ハ)という三つあるわけでありますが、(イ)(ロ)(ハ)を除きたる固定資産に対し、一般固定資産税を課する、こういう意見が出ております。これにつきまして政府委員の意見を伺います。
  286. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 固定資産税の中から対象を鉄道とか、軌道、或いは船舶、車輌というようなものを抜き出しまして、別個の税目として挙げるということでございまするが、それは政府といたしましてはできるだけ固定資産という形で、同じような基準の下にこれを捉えまして課税をするという徴税の方が適当であろう、かように考えまして、一括いたしまして固定資産税という形で立案をいたしておる次第でございます。ただいろいろ御指摘のごとく、船舶なり、車輌なり、或いは軌道、電柱というようなものにつきましての固定資産税の評価の問題、いろいろあろうと存じまするが、根本の建前といたしましては、やはりこういうような形で行くことが現下の段階におきましては適当であろうと考えておりまするが、尚今後の問題といたしましん御意見の程は一つ研究をすることにいたしたいと考えております。
  287. 安井謙

    ○安井謙君 ちよつと細かい質問ですが、鉄道又は軌道という場合にはどこまで含むのですか。枕木、バラス、道床まであるわけですか。
  288. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今お話の点は鉄道用地でありますか、鉄道でありますか。
  289. 安井謙

    ○安井謙君 鉄道は償却資産として課かるわけでしよう、軌道は。
  290. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 鉄道といいますと、レールもございますし、枕木もございましようし、或いは側溝というふうなものもございます。これらのものは一体として償却資産に入るわけです。
  291. 安井謙

    ○安井謙君 道床まで入るわけですか。
  292. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 土地は別でございます。土地は別でございますが、その土地にいろいろな設備を施しております。こういう設備はやはり償却資産に入ります。
  293. 安井謙

    ○安井謙君 盛り上げたバラスですね、道床の下にやる、それは入るのですか。
  294. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 通常鉄道会社や何かについてどういう固定資産の計上の仕方をしておるかという問題でありますけれども、土地は別に挙げておりまして、大体買收費を挙げておるようであります。その外にいろいろ設備をやつておりますので、盛土をしたりしますとそれだけ設備にかかるわけでございます。これがやはり固定資産として挙つておりますので、償却資産として計算の対象に入れて行くということになります。
  295. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先程の田と畑につきましては、農林委員会の申出のようにした場合には、どのくらいの減收になるかというお話でありましたが、六十数億円の減收になります。
  296. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 総額が大十数億円でございますね。
  297. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 減收額が六十数億円でございます。
  298. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) よろしゆうございますか……、それでは昨日の予定になつておりました第四章の目的税を御審議願います。第七百二條。
  299. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 目的税、これは現在目的税の制度を取入れておりまするのを、大体取入れておりまするが、ただ現在の目的税におきましては、七百二條の第二項にございまするように、「特に受ける利益の限度をこえることができない。」という点が明確でございませんで、利益の如何に拘わらず、一般的に特定の利益に要しまする経費を割当てて徴税をして行く。事業税制、特別所得税制、或いは地租割、家屋割というような形で取つているのでございまして、そういうような建前を今度は変えまして、真に利益を受ける限度をこえることができないということにいたしまして、利益の限度を基準にいたしまして課するということにしたのであります。府県の方におきましては水利地益税、市町村におきましては水利地益税の外に共同施設税、これを目的税として課することを認めるようにいたしているわけであります。目的税の徴收方法につきましては、普通徴收、特別徴收、証紙徴收はそれぞれ認めてありまするが、その他の條項につきましては特別に取上げて申上げるようなことはございません。
  300. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 目的税は余り簡單ですね。御質議ございませんか……。それではもう一つ第五章都等の特例に移ります。
  301. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 東京都おにきましては、都は御承知のごとく他の府県を首都として統合いたしましてできたものでございまするので、都におきましてはその特別区の存する区域、即ち区部におきましては、普通税として府県が課しまするものと、市町村が課しまするものとを併せたものを課すると、こういう建前にいたしております。特別市も、現在は実在いたしておりませんけれども、考え方といたしましては府県と市とを一つの団体に統合したような形のものでございまするので、都同様に扱いまして、府県税と町村税とを併せて徴收するという建前にいたしているわけであります。それから名前を都の場合には市町村民税は都民税ということであります。それから三項は法定外の普通税規定したのであります。  それから第七百三十五條でございますが、これはやはり都の目的税でございまして、区部におきましては、特別区のある区域におきましては、水利地益税と共同施設税を両方課することができるようにいたしております。市町村部の方におきましては、これは府県が課すると同じ意味の水利地益税だけしかかけられないわけでございます。  それから第七百三十六條の特別区の税でございますが、これは今申しましたように、都が一応府県と市町村との両方の税を課しますような建前にいたしておりまするので、その税の一部分なり、或いは全部なりを都の條例の定めるところによつて、特別区税として課することができるということにいたしているのであります。特別区と都との間の税の配分につきましては、いろいろ從来から御論議があるわけでありますが、行政事務配分という意味におきまして、今地方行政調査委員会議におきまして折角研究中でございまして、そういうものの勧告如何によりましては相当に動きがあろうと存じますが、大体現状を基礎にいたしてこの案としては考えている次第であります。その他特に変つておりまする点はない次第でございます。  それから第七百三十七條は都の下の機関が、団体が特別区、或いは特別区の下では行政区ということになつておりまするが、又現行の五大都市の下の区は單に区と申しておりまするので、そういう関係の読み変えの規定でございます。  七百三十八條は島でございますが、これは現在伊豆七島等におきましては、この法律をそのまま適用することが困難な事情がございまして、特例を認めておりまするが、そういう原則をやはりこの法律が施行後におきましても残して置きたいというような考え方でございます。  それから七百三十九條は特別区税及び区部の都税でございますが、これは今申しましたように二つを合せて取りまするので、一般原則をそのまま適用することが困難な場合もあろうかと存じまして、地方財政委員会でそういう場合には特例を設けられるという委任の規定を置いているわけであります。
  302. 安井謙

    ○安井謙君 どうも遅くなつて恐縮ですが、特別区という観念はいわば市町村と行政区の間のような観念だと思うのです。それに道府県の課税権まで條例が前提になるわけですが、含めて権限を與えるというのは少し行き過ぎじやないか。市町村税の限度でなら理屈は合うと思います。この七百三十六條だと両方とも與えるような感じがいたしますが。
  303. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 安井さんの仰せになりましたことは確かに一つの御論だろうと存じますが、大体現存の建前を踏襲いたしまして、その規定建前といたしましては、府県税と市町村税との両方纏めたものを都税として置きまして、その中の全部又は一部を特別区税とするということにはなつておりまするけれども、実際問題としては今御指摘のような運用に現在なつておりまするし、この規定の趣旨は別に特に今御指摘になりましたようなことまでも考えている趣旨ではございません。
  304. 安井謙

    ○安井謙君 今の自治権拡充の問題なんかと絡んで、これあたりの規定相当明白にして置いた方がいいのではないかと思います。道府県の税までもやり得るという観念はどうもはつきりいたしませんが……。
  305. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 特別区の問題につきましては、税法の見地からのみならず根本の性格論としていろいろ御意見があるわけでございまして、徹底した論者の方はこれを市と同じようにしたらよかろうという御意見もありまするが、又行政区にしたらよかろうという御意見もあるのは御承知の通りでございまして、ここをはつきりと書きますというと、そのいづれの論拠に立つてこれを書きまするか、そこが非常に問題になつて来るわけでございまして、現存の状態といたしましては、やはり現行法の建前を一応踏襲いたしまして書いておいた方が適当であろう。先程もちよつと申しましたように、行政調査委員会議の結論を申しまして、何分の措置が今後行われる機会があるわけでございまするので、それまでは大体現行の建前を踏襲して参りたい、かように考えております。
  306. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今の第七百三十六條につきましては、私は必ずしも安井君の御意見の通りに賛成するわけには行かないと思つております。これは相当長い間の慣例があり、又区長が公選によりできておりますし、父区会議員等もできておる区会もあるというような関係もあつて、これは大阪とか、名古屋とかのようないわゆる行政区とは違うところの歴史も持つておるというところでありまして、私は板橋でありまするが、あれの関係を見ましてもなかなか安井君の言うような通りには行き得るべきものではない。いわゆるこれは行政区ではないという点において、私はこれは都の條例によつて定めるという以外には途はないのじやないか、その都の條例は都自身が都議会によつて、都民の意思を受けた都議会が條例という形で都民の考え方で以てできて行くのでありまするから、やはりこの條例によつてやるということがいいのではないかというふうにも考える。特にすべてを都税で以て取つてしまうということにつきましては、これは区会なんかがある関係からして絶対にこれは困難ではないか、そうかといつて都税の附加税を課するという行き方もありましようが、現在のところでは條例で、その條例を見てないのですが、私は都民として見て言いますというと、それを分割しまして、附加税に関する程度のところのものは、区民税というような形で一応取つておるように記憶しておるのですが、或いは間違いかも知れませんが、そんなようなふうになつておるのじやないかと思いまするけれども、この点は相当問題になつておることは御承知の通りでありまするが、この点につきましては目下地方財政委員会に検討中であるということでありまするが、完全にこれを都一本にしてしまうという点についても非常に困難でありましようし、又この特別区の多く、或いは少数かも知れませんが、区の方々の意見のように全部特別区を市にしてしまうという意地についても私は賛成しかねる点でありまして、こういう点はやはり都の條例の運用によるという形において、その條例をどういうふうに作るかという点については、一つ地方財政委員会において事務配分等々とよく関連を取つて、そうして実情に即したような方法で行くということが一番いいのじやないかと、こういうふうに私は思つておるものであります。
  307. 安井謙

    ○安井謙君 ちよつと関連して……。今の鈴木さんのお話、ちよつと私の意味と違つておるように思つたのです。これ全部都税にしてしまつた方がいいという意味ではない。例えば二十三区が独立市になつたとしても、百歩讓讓つてこれは市町村民税の程度に止どめて置くべきじやなかろうか、道府県税まで皆取り得るような基本的な権限を與える必要はないのじやないか。そういう意味でございますから……。
  308. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは法案の審議はこの程度にして終りましよう。明日は午前十時に開会いたしまして附加価値税をお願いいたします。  尚もう一言お諮りいたします。それは閉会中における継続調査要求書を、参議院議長に提出いたしたいと思います。案はお手許に廻してございます。そうして調査のために議員派遣をいたしたい、議員派遣要求書の案もお手許に廻してございます。この案を御検討下さいまして、明日それを決めたいと思いますから御検討をお願いいたします。で継続調査書に誤謬がございますから申上げます。これはどうでもいいのですが、「広汎且つ多岐に亘つておる」となつております、「且つ」が抜けております。それから「地方税制の改正は」の、「の改正」の三字は要りません。それから「地方財政平衡交付金法の地方税法」とあれば「法」は間違いでありますからどうぞ御承知を願います。それでは今日はこれで散会をいたします。    午後五時三十七分閉会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君            鈴木 直人君            石川 清一君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君