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1950-07-26 第8回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十六日(水曜日)    午前十時五十九分開会   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会開会いたします。今日は地方税法案の審査を続行いたしまして、第三章市町村民税普通税を審議いたします。  政府委員説明を求めます。
  3. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第二百九十二條は、市町村民税に関する用語定義規定いたしておるわけでございます。これは新しい先般の国会を通過いたしました所得税法なり、法人税法なりを基礎にして二百九十二條用語定義を書いております。その次の二百九十三條の方は今年度の市町村税につきましては、改正前の所得税法を押さえておりまするので用語の意義を二十四年度の分は二百九十三條に別に書いておるわけであります。これはそれぞれ所得税法関係條文調子を合せて書いておるわけでございますが、一、総所得金額、二、資産所得、三、事業所得、四、所得税額、これがあとで申上げまする市町村民税課税標準に押さえられる額であります。それから所得税額、これは所得税の本来の税額を言うわけでありまして、いろいろの加算税額等はこれから除いて含まない。これを課税標準にいたします場合には本来の税額だけを押さえて行く、こういうわけであります。同族会社扶養親族不具者、これはいずれも元来と同じような規定でございます。それから二十五年度分につきましては、旧法を敷衍しておりまするので、別に定義を掲げておりません次第であります。  それから二百九十四條の市町村民税納税義務者規定でございます。これは「市町村民税は、第一号の者に対しては均等割による額及び所得税額課額所得金額又は課税所得金額から所得税額を控除した金額課税標準とした額の合計額によつて、第二号又は第三号の者に対しては均等割額によつて課する。」、要するに第一号は住所を有する個人で前年において所得を有した者であり、且つ生活保護法による生活扶助を受けない者、そういう者に対しては所得割均等割をかける、こういうことであります。二号は單に住所を持つておりませんけれども、事務所事業所家屋敷を有するということで市町村と結び付きのある自然人であります。それから三号の方は法人でありまして、市町村内に事務所なり事業所を持つておりまする法人、或いは法人ではございませんが、その社会的な活動能力から申しまして法人と同様な者でありまする、いわゆる人格なき社団、財団というもので、代表者又は管理人の定めのあるもの、こういうものを法人と同様に扱う。この二号、三号は均等割だけを課する、こういうわけであります。第三号の者に対しましては事務所又は事業所ごとにこれを課する、こういうわけであります。   それから二百九十五條市町村民税のうちの自然人につきましての非課税範囲でございます。これは不具者及び未成年でありまして、独立生計を営まず、又前年において十万円未満資産所得又は事業所得しかない、こういう者に対しましては均等割非課税にいたします。それから寡婦でありまして十八年以上の子女を持つていない、或いは十八年未満子女しかない場合、或いは十万円未満所得しか前年において持つていなかつた、こういう者に対しましても均等割非課税にするわけであります。それから同居の妻でありまして、いわば夫妻位置を転倒しておりまして、夫の方が妻の厄介になつておるというような、夫が市町村民税納税義務者でない場合におきましては、同居の妻と雖も均等割を課するのでありますが、そうでない限りの負担の場合におきましては同居の妻に均等割負担をかけない、こういうことにいたしまして、大体負担能力等から考えましての非課税範囲を考えている次第であります。
  4. 石川清一

    石川清一君 ちよつと伺いますが、国からこのような扶助を受けていないけれども、所得のある親戚その他から、引揚関係で国と同じような扶助を受けて生活している者が相当あると見ておるのでありますが、これらと同じように均等割を賦課しないということを町村自体がこの中でできますかどうか。
  5. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の引揚の関係の人とか、そういうような人につきましては、特に一般的な非課税範囲には掲げておりませんが、それがここにございまするようなもの、或いはあとから申しまする減免なり、そういうような規定運用によりましてこれを非課税にするということは適宜町村で考えておると思うわけであります。  第二項は所得に対する非課税でございますが、これは不具者及び未成年者で、前年において所得があります者は所得割がかかることになりますけれども、所得がない者につきましては、これは所得割をかけない。これは所得割の性質から申して妥当であります。それから寡婦につきましても、十八年以上の子女を有しておりまして、若干所得があると認められる者、或いは、前年において十万円を超える所得を有した者を除いて、要するに十万円未満所得しかない場合、こういう者に対しましては所得割課税しない、こういうことであります。  それから二百九十六條は自然人以外の公法人なり法人その他の団体に対して非課税範囲を書いているわけでございますが、大体国とか市町村というようないわゆる公法人乃至公法人的なもの、更に宗教法人労働組合職員組合というようなもの、こういうようなものにつきましては、やはり性格から申しまして市町村民税をかけないことが適当であろうということで非課税に入れているわけであります。労働組合とか職員組合等につきましては、從来も実際問題としては市町村でかけていなかつたと思いまするが、今回新たに非課税範囲に書き加えているわけであります。宗教法人についても同様であります。  それから二百九十七條、これは市町村民税課税標準である所得税額と申しますのは、課税所得金額から所得税額を控除した市町村民税課税標準として考えておりまするものでありますが、こういうものについては当該年度所得ではなくて、その前年の所得基礎にして算定する、こういう原則を謳つているわけであります。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 二百九十二條から二百九十七條までに対しまして御質問願います。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 衆議院修正によつて固定資産税が幾ばくか減になつた。それから附加価値税は将来の問題でありますけれども、附加価値税なるも  のは流通税だという点から前にも御質問しましたが、この市町村民税自体についても、負担均衡の上から修正を  加える必要があるのじやないかというような点を申上げておつたのですが、計数的にそうなつて均衡は各階層において取れておる。即ち法人或いは個人においてのバランスが取れているのだということについて御説明願いたいと思います。前の資料とは違つて来ると思うのですが……。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは第三款とも関係しますが、御説明願います。
  9. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の附加価値税の代りに事業税を継続して今年度取るようにいたしました場合におきましては、大体從来法人個人関係負担が九対一くらいの比率であつたわけでございまするが、それが八対二くらいの比率になつて来ると思います。全体としましては無論附加価値税を取りますれば、更に調整が計り得ることになつて、六対四のようなことになるわけでございまするが、それが附加価値税を継続いたして参りますると、その間におきましては、今申しましたような若干調整は取れて参りますけれども、尚附加価値税を取る場合に比しましては、全体的といたしまして完全には調子が揃わない、こういうふうに政府としては考えております。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 固定資産税の方から来る影響はないのですか。
  11. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 固定資産税につきましては、直接その結果としての影響はないように私共としては考えております。と申しますのは、衆議院の方の御修正趣旨は、一・七を一・六に変更いたしましても、固定資産税の総額の五百二十億というものについては直接影響がない、政府の数字の見方というものはその点においてむしろ嚴密に、嚴格に見過ぎておるので、衆議院としては更に固定資産税については税率を下げても、政府が狙つているのと同程度のものが取れるのであろうというようなことを言つておられるわけでございまして、政府といたしましても固定資産の中の殊に償却資産等見方につきましても、衆議院の見解は今日の段階においては、これは尊重すべきものであろう、かように考えておる次第でございます。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 でも総收入としては変りなく取ろうと思つても、外形資産に対してかける〇・六なり〇・七というものは下つておるのですから、だから個々人の階層においては取り高が違つて来るのじやないか。
  13. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は更に附加えて申上げますと、例の相当に上廻る、或いは相当に下廻るということによりまして今年度は税率調整を来年の一月にいたすことにいたしておりまするから、この点は五百九十億取れるか取れないかということによつて税率調整をいたしますので、根本的には、違いがないと考えております。
  14. 石川清一

    石川清一君 第二百九十六條の中に、農業協同組合並びにその他の協同組合関係が含まれておりませんが、特に農業協同組合についてはここに明記されてあるように、土地改良組合、或いは水利組合耕地整理組合というような関連性を持つておる仕事をしておりますと共に、その組合自体農家個個経営の延長という建前から、当然非課税にすべきだということが理論的にも又実際の経験からも考えさせられる。そういうような結論を立てて今日まで非常に強い運動が続けられ、この間の公聽会にも強く述べられておりましたが、政府はそういうような現状に鑑みてこの農家協同組合関係、一連の協同組合非課税にするというお考は持つておりませんかどうか。
  15. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 二百九十六條は、ここにございますように地方団体乃至從来水利組合或いは耕地整理組合というような公共的な事業を行う団体、それに今職員組合とか労働組合というようないろいろな一種の別箇の立場のものを加えておりまするが、今の協同組合のような経済事業を行うことを目的とするものはここには入れていないわけであります。それは今申上げましたような趣旨から入れていないわけでございまするが、協同組合を從つて一般的に経済事業をするものをここに掲げましたということは、政府といたしましては如何かと考えたのであります。ただ後程三百三十三條等におきまして減免規定がございまするが、そういうようなものの運用によりまして、協同組合に対してこれを非課税にする、或いは減免するということはこれは各市町村のそれぞれの実情に応じて適宜処置して行きたいと考えます。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その法人関係ですが、同様に農林委員からの修正意見として出ておるものには、農家扶養控除対象なつたものに対して均等割課税を免除して貰いたいという意向があるのですが、これに対しての御意見は如何ですか。
  17. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはやはり非課税範囲はこの不具者未成年者寡婦というような、要するにそういう如何なる業態に從事しておるかというような点から押さえるのではございませんが、やはりそのものの自然的な能力と申しますか、そういうものから非課税にした方が適当であろうと思うものを原理的に拾つてあるわけでございます。特定の業態に從事しておるものは非課税範囲に書き加えるということになりますると、他の各事業との間に権衡の問題等から申しまして非常に困難になると思うのでございます。やはり農家のものでありましても、減免に値すべき理由があるかどうかということを判定をいたしまして、三百二十三條等規定運用によつて実情に副つて行くように処置する、さように考えております。
  18. 石川清一

    石川清一君 只今答弁では、流通事業を主に生れておるとして、こういうように御説明のようですが、基本的には流通事業基礎にして生れたのではなくして、農家個人経営のいろいろな矛盾、そういうものを除くために、又更に生活安定向上というような目的、精神を持つて生れておるのでありまして、そのなす事業もどこまでも町村以上の公共性を村によつては持つていると、こういう点まで認められているのでありまして、これは当然非課税にすべきであるという考を持つて政府説明には納得し兼ねるものがございます。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 一通りだけは聽きますが、二百九十四條、前にも出ておつたと思うのですが、事務所又は事業所を置くごとに課税するということについては、農村関係協同組合は反対をしているのですが、この各町村にある県販連なり厚生連なりの支部、支所に対して同様に課税するのかどうか、又するとするならばその理由を明かにして頂きたい。
  20. 安井謙

    安井謙君 ちよつと関連して、……今うちの党から本会議採決があるから出てくれ、こういうことなのでございますが、さつきそんな関係で出てくれというので出ておつたのですが、どうでございましようか、皆様の御関係は……。
  21. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 私の方は何も言つて来ませんが……。
  22. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 商品取引所法案採決なんでしようが、それならどうでしよう、休憩として頂いたらどうかと思いますがね。
  23. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 採決のときに知らせて貰いましようか。
  24. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今知らして来ました。
  25. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと今調べます。  じや今の御答弁を願います。
  26. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の県販連と言いますか、県信連と言いますか、そういうような法人なり或いは法人と同様な場合の社団であるとかこういうものの事務所事業所につきましてはこの二百九十四條の第二項の建前といたしましては、それぞれその事務所なり事業所ごとに課する、こういう建前を採つておるのであります。ただこれにつきましては後程申上げまするように、均等割につきましての軽減の規定がございますから、そういうようなものの運用は一面可能のわけでございます。
  27. 岡本愛祐

    委員君(岡本愛祐君) この「前年において所得を有しなかつた者」と、この所得はどの範囲です、明確に言えば百円貰つたつて所得だが……。
  28. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 所得と言いますのは、一般に今言われておりますように、收入金額から経費を控除したものというふうになるわけであります。從つて收入から経費を控除したものが幾らでありましても、所得があつたものということになるわけであります。で一体それじや收入金額をどう見、或いは又これから控除すべき経費をどう見るかということは、ここに規定はできますけれども、それを使つて計算した結果が果して合理的になるかどうか、その市町村実情に適合いたしまして、納税義務者相互の間に均衡がとれるかどうか、非常にむずかしい問題でありまして、そこで非常に漠然としたものでございますけれども、これは收入が、所得があつたから課税対象にはもつてこいである、そこで現に納税しておる者の間の均衡を考えながら、所得があつた認定して課税するか、所得がなかつたと見て課税しないかというところを実情に即した市町村の方針に委ねて行つた方が適当であるというふうな考え方に立つておるのであります。
  29. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 何故二百九十二條とか二百九十三條とか、そういうところで定義に挙げて置かなかつたのですか、所得はぼんやりしておる…。
  30. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今私が申上げましたように、收入金額から必要な経費を控除する、必要な経費をどう測定して行くかということが非常にむずかしい問題になつて来るわけなんでありまして、大体原則的に言いますれば、この体系が所得税を中心にして考えておりますので、所得税を本体にして考えて行けばよろしいのでありますけれども、その辺の認定問題になつて来ますと、税務署の計算したものが、果して各納税義務者の間において公平な課税になるかならないかという問題、これは課税所得になりましたらそう言えるわけでありますけれども、課税所得になりませんもの、言い換えれば基礎控除扶養控除という問題もありますし、或いは税務署の把握というものが、そういう問題まで正確に行つていない、完全でないことでありますので、そう緻密にやらないだろうと思います。ここで何か税務署の決定に釘付けるということになりますと、市町村はそれに拘束されます。真に実際に即応した公平な課税をやりにくいという問題もございますので、わざとその規定を置かなかつたわけであります。
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 皆さんにお諮りいたします。只今採決をするそうですからちよつと休憩にいたしたいと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは休憩いたします。採決が済みましたら直ぐ又再開いたします。    午前十一時三十五分休憩    ——————————    午前十一時四十八分開会
  33. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き、委員会開会いたします。  市町村民税について、質疑を続行いたします。  それでは農林委員会から、第七国会におきまして地方行政委員長に対して地方税法案を次の通り修正してくれという希望意見の中に、市町村民税につきまして、「扶養控除対象となつておる者」、これは改訂所得税法の第八條にありますが、そういうものは非課税にして貰いたいという御意見が出ております。で、その理由は「農家農業專從家族については一般勤労者同様所得税における基礎控除及び勤労控除認むべきであるとの主張に対して扶養控除を拡大し扶養家族として措置することになつたのであり独立生計を営む者でないからかかる農業專從家族性格からみて非課税とすべきである。」ということが一つ、それからもう一つ農業協同組合及び農業共済組合等公益的法人非課税とする、これは先程御質問になりました。そういうのが出ておりますが、この第一の点につきまして政府答弁を求めます。扶養控除対象となつておる者は非課税として貰いたい……。
  34. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の扶養控除対象になつている者を非課税にせよという趣旨は、所得割均等割両方についての御意見でございましようか。
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうだと思います。
  36. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の所得割の方から先に申上げますと、所得割につきましては所得税額課税標準に取ります場合には、そういうようなものを見込んだ税額基礎にいたすわけでございまするから、問題はないと思うのであります。尚課税所得金額なり、或いは課税所得金額から税引金額を押さえるという場合におきましても、この課税所得金額といたしましては、基礎控除なり不具者の控除なり、或いは扶養控除なり、或いは火災等の場合のいわゆる雑損控除というようなもの、或いは本人なり扶養家族につきましての医療控除というものを引きました残りのものを課税所得金額として押さえ、これを課税標準にしておるのでありまして、この点も所得税法との関係におきましては調子が合つておるわけでございまして、この点は非課税という問題は起らないと思います。均等割につきまして、所得税法扶養控除なり基礎控除対象になつておる者を非課税にせよということでございまするが、基礎控除はこれはそれぞれ皆差引かれるわけでございましよし、扶養控除につきましては、ここに不具者なり未成年者なり或いは寡婦、或いは同居の妻というようなそれぞれその自体能力から考えまして適当でない者は非課税にいたしておるわけでございまして、市町村民税の場合の非課税関係といたしましては、こういうふうな押さえ方をいたす方が適当であろう、かように考えております。
  37. 石川清一

    石川清一君 その場合、所得税法の第八條第一項で総所得金額が一万二千円以上の配偶者その他の場合にはかかることになりますか。
  38. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 配偶者につきましては、二百九十五條にございまするように、夫が市町村民税納税義務を負わない場合に限つて均等割負担するわけでございまして、夫が市町村民税納税義務者である場合におきましては均等割はかからないわけであります。所得割の方は、当然に市町村民税課税標準になりまする税額なり、課税所得金額につきましても、一万二千円というものは税の上において、或いは所得金額の上において見られたものを押さえるわけでございますから、支障はないと考えるのであります。
  39. 竹中七郎

    竹中七郎君 いわゆる同居家族の中で成年男女がおりまして、それが所得がなく、家事の手伝をやつておる、そういうときにおいても、やはり成年者でありますと、農家子女と同じように、外の業態におきましてもかかるのでありますか。
  40. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 農家等家業に從事しておりまする成年男女につきましては、多くの場合所得税法関係では、その世帶主所得の中に吸收をせられまして、所得税としてはそういう形で納めて頂くと思いますが、その成年男女が而も家業に從事をして所得があるということでございまするならば、市町村民税につきましてはこの納税義務者になる建前でございます。ただ併しながら嫁入前の農家娘等につきまして、それに独自の所得があるという認定をいたすことは、これはむしろ無理であろうという場合が多いと存じます。この具体的の認定の問題はそれぞれ当該市町村におきまして、所得のありやなしやということを認定するわけでございまして、その地方のやはり実情に応じました措置を講ずべきものであろうと考えております。
  41. 竹中七郎

    竹中七郎君 もう一つはつきりお願いしたいと思います。その農家に限らず、商家その他においても嫁入り前の子女が三四年家でお針をしたりいろいろしております。それが成年である。こういう者に対しましては、はつきりこれは返事をして頂かんと分りませんが、收入がない、併し一家の收入でやつておるが、これもいわゆる均等割がかかるかどうか、こういうことです。
  42. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の御指摘のような嫁入り前の娘さんがお針をやつておるというような者は、これはむしろ均等割課税すべきものではない、かように考えます。
  43. 石川清一

    石川清一君 この條文の中では、一万二千円以上の收入のあつた場合はかかるのではないですか。
  44. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この均等割所得割とやはり区分して考えた方がいいと思いますが……。
  45. 石川清一

    石川清一君 いや、いずれにしても。
  46. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この所得割の方は、先程来しばしば申上げましたようなことで、そのことが実質的に見込まれておるわけであります。それだけ差引かれたもので所得が押さえられるのでありますから、税額が押さえられるのでありますから支障がないと思いますが、均等割の方の関係としましては、「前年において所得を有しなかつた者」というのに入るか入らないかということでございますが、扶養控除関係で一万二千円はとにかく取つておりますならば、これは前年において所得を有した者という観念の中には入ると思います。
  47. 石川清一

    石川清一君 それはかかるのですね。
  48. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それは二百九十四條の納税義務者としての法律上の要件は具えることになるわけでございますが、それが果して減免事情相当するや否やというような個々具体の場合の認定の問題になつて来るわけであります。
  49. 石川清一

    石川清一君 その場合抜かされるか抜かされんかということが問題で、どちらの方にこの法は取つたらいいか。
  50. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この法律自身としては、前年において所得を有する者ということを、現実にとにかく一万二千円の所得があつたわけでありますから、それが明確でありますれば、二百九十四條の納税義務者になり、從つて均等割を出さなければならん、こういうのが建前であります。ただ非常に事態が緊急であるとか、その他特別の事情があるという場合におきましては、後程申上げますように減免ということが可能になつて来るのであります。
  51. 竹中七郎

    竹中七郎君 今の御質問に対する御答弁に対しましては、我々非常に不可解に感じますが、政府は確乎たる信念でやつて頂きませんと、実際あやふやなものになりまして、この委員会の御答弁はどちらでもいい。地方自治体がこういうようにやれば皆取らなくてもいい。そうだと非常な問題になりますから、私はそのときにははつきり言つて頂いて、非課税対象になるもの、或いは減免になるというこの点についてははつきりしてもいいが、あとはこういうふうにするのだということを、これは大臣からはつきりした返事を一遍お伺いしたいのです。どつちか訳の分らんような返事ばかりせられるからこれは困る。事務上非常に支障を来たします。
  52. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今石川さんから、一万二千円の所得があつた場合どうするかという問題がございました。それでは一体一万二千円というものをどういう計算に基いて一万二千円あつたと見るかというのが一つの問題であります。恐らく石川さん、所得税法規定しておるような所得の計算をした結果、一万二千円の所得のあつた者をどうするか、こういう意味でお尋ねになつたと思います。市町村民税所得税を納めていない者についても均衡課税した方がいいという場合が地方税法案を離れてもあると思います。そこで一体所得税を納めていない人についてどの範囲まで課税した方がいいだろうかというふうな問題を、地方税法案では前年において所得があつた者に課税できると、こういう規定にしているわけであります。それでは一体前年において所得があつたと見る、その所得の計算をどうするか、これは先程委員長からも御質問があつたわけであります。そこで私はこの所得があつたと見る、その所得の計算は、殊更に地方税法案規定しなかつたのだということを答えたわけであります。外のものにつきましては、全部所得税法規定に基いた計算の仕方をいたしておるにも拘らず、殊更に所得に関しては規定いたしませんでしたのは、これは所得という概念が、一般的に言われますように、收入金額からその收入を生む必要な経費を控除した額、收入金額と必要経費との差額が要するに所得であるということになるだろうと思うのであります。それで現在の所得税は、原則的に必要な経費、例えば給與所得につきましては、御承知のようにその一五%でしたかを、控除したものに課する、この勤労控除は、恐らく私は経費的な観念からそういう扱いをしておるのだと解釈いたしておるわけであります。そこで、所得税法規定に基いた所得の計算をして、幾らかでも所得があると課税するのだという考え方を持つて行きますと、預金については利子がついて参ります。ところが所得税法にいう利子についての所得の計算は、この利子は全額所得として計算をして行くわけであります。こういうふうなことは穏当でないように思うのであります。半面又よそにお手伝いに行つて、合計すれば月に一千円ぐらいの收入がある、年にいたしますと一万二千円になるわけであります。併しこの所得を得るに必要な経費をどこまで見て行くか、もとより衣服も汚れましようし、下駄も減る、電車賃も使うということになります。併しこれが給與所得になつて参りますと、所得税法の計算によりますと、これは百分の十五しか控除されないという問題になつて来るわけであります。そこはどうしてもこういうふうな規定を置いて参る必要があるわけであります。又自治に参與しておるものは、住民である限りにおいては、何がしかの負担をしながら自治の運営に関心を持ち積極的に協力するような態勢を作つて行きたいというふうに考えておるわけでありますが、もとより生活能力のない者にまで負担を分任させようという考は持つていないわけであります。そうしますと、負担を分任する能力のある者、生活能力のある者を捕捉しなければならないわけであります。そういうところにおいて所得があつたと見るかなかつたと見るかということに考を持つて行きたいと思つておるのでありまして、そういたしますと、あまり細かい規定を置いておきますと、それは文章を見ますと非常に正確のようでありますけれども、運用上非常に不合理な結果が出て参るだろうと思うのであります。それで殊更所得規定を置きませんで、これは專ら納税義務者相互の間において均衡の確保されるようなところにおいて捕捉して行つたらよろしいだろう、而して生活能力のある者に負担の分任を求めた方が穏当であろうということで、所得割或は均等割負担して行く、所得割所得税を納めておるかどうかで運営して行く、こういうことによつて適実な運営が行われるであろうというふうに考えておるわけであります。
  53. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に二百九十五條から二百九十七條まで御質問ございませんか。では次に移ります。二百九十八條以下。
  54. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 二百九十八條、二百九十九條、これは從来のものと同文でございます。それから三百條も納税管理人規定で同文でございます。三百一條もそれに関する罪の規定で同文でございます。三百に條も同様でございます。
  55. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで御質問ございませんか。質問検査権。それでは次に進みます 第二款、申告義務 三百三條。
  56. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百三條は市町村民税納税義務者に対しまして、市町村の條例の定めるところによりまして、均等割所得割の両方納めるものにつきましては、前年の総所得金額なり、或いは課税所得金額及び所得税額、或いは扶養親族及び不具者の氏名その他條例の定める事項を六月十日までに申告をする。又市町村内に住所を持つておりませんで、家屋敷事業所だけを持つておるような個人或いは法人なり社団、財団で、法人相当するような、こういうようなものにつきましては、事務所なり事業所なり家屋敷の所在を毎年六月一日現在で、これも六月十日までに市町村長に申告をする。こういう申告義務の規定であります。これは本年度におきましては、この六月十日までというのを、八月二十日までにいたしております。これは三百十四條の読み替えのところにそのことがございまするが、八月二十日までにこういう申告をする。それから尚終りの方の「六月一日現在の住所、」というのは、本年は八月一日現在の住所、三百四條でございまするが、八月一日ということにいたしております。  それから第二項の方でありますが、これはいわゆる源泉徴收の所得税額の問題であります。これにつきましては納税者の方から税額なり、徴收の時期なり、徴收地、徴收者の氏名というようなものを併せて六月の十日までに、本年は八月二十日までに申告をするということの規定であります。  それから三百四條の方は所得税額等を基礎課税標準にいたしまするので、そういう税額等につきましての更正決定が、国税の関係でありました場合におきましては、これをやはり市町村長に申告をするという義務を課した規定であります。  三百五條は今の申告についての罪に関する規定。  三百六條も申告についての罪に関する規定。  それから三百七條でありますが、これはいわゆる源泉徴收をいたしますもの、例えば配当の利子とかいうものにつきましては、それぞれその利子を支拂うものから支拂調書というものを税務署に提出をするわけでございまするが、その写をその源泉徴收地の市町村長にも提出をするという義務を課したものであります。配当利子のみならず信託関係のものにつきましては、その計算書、それから一般の給與所得等につきましては、源泉徴收票でありまするが、そういうものを同時に税務署に提出いたしまする外、各一通を徴收地の市町村長に提出する、こういう規定であります。それからその後段の方は、給與所得の額が少い場合におきましては、源泉徴收票を交付しないでいいことに所得税法上なつておりますが、先程来いろいろお話がございましたように、市町村民税納税義務者としては、そういう点もはつきりいたしておきたいということで、やはり同じ期限までに、市町村長の方に源泉徴收票を、こういう場合においても出して貰う、こういうことであります。これは所得税法上では、例年は一月十五日でございますが、本年はこれをその次の條文にございまするが、「八月二十日までに」提出をするということにいたしております。  それから三百九條は、源泉徴收票の写を提出しない場合の罪に関する規定であります。  それから三百十條は、会社銀行等で給與の支拂をいたしました場合の源泉徴收票は、その支拂をいたしました地の市町村長に送付する。源泉徴收票の写を送付するわけでありますが、それを更に住所地の市町村長に写を送付する。こういう関係規定であります。
  57. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第二款につきまして御質問ございませんか。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 実は社会党の方で、住民税について今討議をしなくちやならんという問題ができて、十二時からということになつておりますから、できるならば適当のところで休憩して頂きたいと思いますが。
  59. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは第三款はなかなか問題がございますから、これで休憩いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは休憩いたします。午後一時から建設委員会との連合委員会をいたします。二時までいたしたいと思います。二時から地方行政委員会で、この法案の審議を続行いたします。さよう御承知を願います。    午後零時十二分休憩    ——————————    午後三時十八分開会
  61. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより休憩前に引続いて審査を始めます。市町村民税の第三款、課税標準及び税率、二  百八十七頁であります。政府委員説明を求めます。
  62. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第三款、課税標準及び税率のところでございますが、市町村民税の標準税率について、第三百十一條に規定をいたしておるのであります。その中の均等割でございます。二百八十八頁の表にございますように、それぞれ均等割の額を人口の段階によつて区分をしておりまして上の方は自然人と申しますか、個人の税、下の方は法人なり、法人に準ずる社団財団の標準の額であります。從いまして、これを超えて課することも、下げて課することも法律上は可能なわけでございまするが、二項はこれを超えて課する場合におきましての制限の率を、額を書いておる次第であります。それから第三項は、につい人口ての根拠であります。それから三百十二條でございますが、これは均等割につきまして税率を軽減するという場合を規定いたしておるわけでございまして、その軽減の仕方は各市町村の條例の定めるところによるわけでございまするが、対象といたしましては、ここに四つ書いてありますようなものにつきましての均等割を軽減できるということでございます。第一点はいわゆる世帶主と申しますか、扶養親族を持つておる者、それから第二は扶養親族、又は不具者であつて均等割を納むべきもの、それから第三は配偶者その他の親族が経営する事業から生ずる所得以外の所得を有しないもの、いわば家業の專從者でありまするが、そういうようなものがございました場合におきましては、これを自然人の場合には軽減できるということであります。それから第四号は法人社団、財団法人についての規定でございまして、二以上の事務所なり、事業所なりを設けております場合におきましては、やはりこれを軽減できる、こういうわけであります。軽減の方法は、それぞれ市町村で決めるわけでございまするが、例えば一定数を超えた場合においては、百円なら百円減ずるとか、或いは二人以上の場合は、一人について何円減ずるというような軽減の方法が考えられるわけでございますが、それはそれぞれの市町村の條例で決める、こういうわけであります。  それから三百十三條は、所得割税率であります。これもいずれも標準税率でございます。第一は所得税額を標準にいたしました場合の税率でございまして、これは百分の十八、但し標準税率を超えてかける場合には、百分の二十を超えることができない、この点は制限をいたしておるわけであります。それから二項三項は所得税額を押えませんで、課税所得金額或いはこれから所得税額を控除する金額課税標準とする場合の税率でございまして、二項の場合は百分の十、三項の場合は百分の二十と制限いたしておるわけであります。二項、三項につきましては、この限度を超えないならば累進税率を採りましても差支ないわけであります。一項につきましては累進税率を採りますることは、所得税額自身がすでに累進でございまするから適当でないであろうと思います。  それから三百十四條でございますが、これは二十五年度分の市町村民税に関する特例でございまして、関係條文の際にすでに一部分申上げてございまするが、提案の時期が遅れました関係で、前国会に提案いたしました期日期限等若干変更を加えております。  この三百三條の申告期限の六月十日というのを八月二十日にしておりまするし、又賦課期日の六月一日というのを八月一日にいたしております。又源泉徴收票等の提出期限、これは三百七條にありますが、これを八月二十日というふうに、例年は一月二十五日でございますが、これを八月二十日にいたしております。その他三百十八條、これは賦課期日の規定でございます。これは八月一日にしております。三百十九條の七月中というのを九月中というふうに読替えておりますが、これは均等割の徴收の時期を本年に限りまして、原則を変更して九月中にといたしておる。こういう読替であります。それからその第二項に昭和二十六年度分の市町村民税に限つて三百十九條中の十二月とあるのを十一月と読替える。と申しますのは、これも固定資産税等の関係でこのように変更をいたしておる次第であります。  それから三百十五條市町村による所得の計算でございますが、これは所得税額基礎にいたしまして、或いは所得基礎にいたしまして、市町村において市町村民税を課するわけでございますが、これらの所得税法規定に基きまする額につきまして、申告書を提出しなかつたために、税務署におきまして所得税額の決定をした、或いは所得金額を決定したという場合、或いはその決定した額が非常に少い、こういうような場合、或いは修正の申告書につきましても同様な事態があつたと認められる場合、こういう場合におき  ましては、これを市町村がその税務署の決定そのものを取りますることが如何にも過少である、或いは決定をしなかつたために市町村でやらなければならん、こういうような場合におきましては、市町村所得税法規定に從つてみずから独自に計算をする。そしてそれを基礎にして市町村民税を算定するという方法を考えておるわけであります。併しこの規定自身はいわば伝家の宝刀とも申すべきものでありまして、やはり市町村民税基礎所得税なり所得がなるわけでございまするから、市町村税務署との間におきましては、今後は更に從来よりも密接な関係において相互に連絡をするであろうと思います。そういうことの結果として所得の算定ということが逐次適正になると存じますが、万一の場合の用意としてこのような例外的な措置を考えておるわけであります。第三号の同族会社におきましても同様な趣旨におきまして社内留保等を特に多くやつておりまして、政府がこれを否認するような措置をしなかつたというような特殊な場合におきましては、やはりこの第三号を働かせまして、市町村がみずから所得税法規定に從つて所得金額なり税額を決める、こういうような全く特例の措置を考えておる次第であります。  三百十六條の方は、そういう個々の所得金額なり所得税額なりが過少であるとかいうような場合、或いは脱漏している等の場合でございませんで、市町村を通じまして著しく適正を欠くというふうに認めらる場合におきまして、市町村所得税法規定に從つて計算をし直すという規定でございますが、これは重大なことでございまするので、必ず地方財政委員会の許可を受けてやらなければいけない、こういうことを加えておるわけでございまして、この規定を動かすというのはよくよくの場合であろうと存じておる次第でございまするが、万一の場合を慮りまして、このような規定も設けておる次第でございます。 それから三百十七條は十五條なり十六條によりまして市町村が独自の計算をいたしました場合におきましては、税務署の方にもその旨の連絡をするというだけの規定でございます。
  63. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第三款につきまして御質問を願います。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先に提出されておる資料で見ますと、二十五年度、二十六年度において均等割部分は、税收見込は同額のようにありますが、所得割の方で見ると、前年度の所得課税するがために、二十五年度は、来年度から見て百億円以上、ちよつと変な話ですが取過ぎるというような結果にもなるのでありますが、こういう点は午前にも質問しましたが、附加価値税事業税に切替つたために、法人に対する課税が、総体において比較軽減される結果が出て来ている。同じ均等割としても個人に対する均等割という額は高過ぎるのじやないか、これを低くしても税体系から言つて差支ないのじやないかというふうな考え方を持つのですが、この点について御説明を願いたいと思います。
  65. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 均等割をもつと軽くできないかという趣旨のお尋ねと存じまするが、これはシヤウプ勧告におきましては、御承知のごとく法人につきましては均等割を取らない、こういうふうな建前に相成つてつた次第でございまするが、政府といたしましては更に均等割を、いわば市町村の一種の会費的な性格のものと考えられますので、市町村におきまして活動いたしておりまする以上は、これは一定の定額の意味で、低い度の均等割を出すのがむしろ適当ではないかというふうに考えまして、法人に対しても均等割を課するような案を採りましたような次第でありまて、その限度におきましては、少くとも均等割というものは税額の全体から申しましてそれだけ緩和されたわけであります。更に進んでこれを緩和せよというような御意見と存じまするが、政府といたしましては、予定をいたしておりまする税收をこの市町村民税から挙げますためには、大体標準の額というものを維持いたすの外は止むを得ない、維持いたさざるを得ない、かように考えておる次第であります。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、人口五十万以上の市で個人の八百円対法人の二千四百円というこの考え方が、附加価値税が延期になつて事業税なつたという点から総合的な税負担均衡という上から言つて、こう考えた点がもう破れておるのじやないかと考えるのですが、この点は如何なんですか。
  67. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 結局法人につきまして、仮に所得割を課するならば、それだけ全体としてもつと低いものでも税額が得られるのじやないかというような点に絡まつての御質問と存じまするが、政府といたしましては、この法人につきましては、大体シヤウプ勧告にございます原則に則りまして考えておりまして、やはり法人から個人所得が帰した場合におきまして、その段階でこれを押えて行くというような考え方で、国税、地方税を通じて立案いたしておるのであります。ただその原則に対しまして、今の均等割につきましては、いわばやや市町村の共同の会費的な性格があるものとこう考えまして、法人に対しても特に取る。こういうような形にいたしまして、御主張のような見解とシヤウプ勧告との間における調整を図つて、以て政府案といたしたような次第であります。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう政府案と言いましてもですね、衆議院で重大な附加価値税が延期になつた後のこの住民税自体政府案というものは、前の全体の体系の上から考えた意図はもう違つて来ておるのじやないか、こういう点がまあ指摘したいところなのであります。それで尚政府案として同様である、考え方も同様であり、計数的にも同様であり、負担均衡という点から言つても変つていないと言われるかどうか、はつきりお伺いしたいのであります。
  69. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 ちよつと委員長、それに関連して……。今の小笠原君の質問と大体同じ質問を私は考えておつたのですが、所得税附加価値税と、それから住民税というものを、個人或いは法人というものに考を合せつつ総合的に勘案されたのがシヤウプ勧告案であつたのではないか、そうしてそういう担税面からの調和を保ちつつ、自治体において一定の必要とするところの税收入を挙げて行く。こういう自治体の要求するところの必要とする程度の財源を、各法人個人等の担税をする分担を、所得税をもつと軽減をし、そうして個人からはもつと軽減する、法人は比較的寛大にした。附加価値税法人に対して相当のものをかけている。そうして個人を非常に楽にした。住民税は、個人相当重くして、少し上げて、法人に対しては少し軽きに過ぎるような住民税のやり方をやつておる。そういう総合的な勘案を加えつつ、地方税、国税を通じて税制を打立てたのであつて、そういう観点からすると、私は附加価値税というのは良い税だと、こう考えておるのです。ところが今度の案によりますというと、附加価値税をそのまま延期いたしまして、そうして所得割に応ずるような事業税をそのまま採用した。その結果として事業税個人に多く負担をかけられ、法人に軽くなつた、こういうためにいわゆる所得税と、事業税と、住民税と、この三つを加えた場合においては、どうしても個人に重きをなすような結果になつて来やしないか、それは自治庁の提出されたところの案によつても、表によつてもそれが現れておる。こういうことであつた附加価値税が延期される場合においては、事業税をそのままにするならば、住民税においても法人をもつと殖やして、そうして個人を少しく軽くするというような措置が採られるべきではなかつたであろうか、そういう点で小笠原君と同じように、どうも住民税について、もつと法人を多くしてもいいのではなかつたかということを、私は考えておるのでありますが、その関係について序に一緒に伺いたいと思います。
  70. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 小笠原さん並びに鈴木さんから、今回附加価値税を延期することの衆議院修正がありましたために、シヤウプ税制報告書にありまする地方税制の全体的な構造なり或いは体系なりが崩されて来ることになる、從つて市町村民税及び事業税を比較検討いたしまして、法人個人均衡が失する虞れがないかという御意見を承つたのでありますが、事業税並びに特別所得税を存続いたします場合におきましては、お説のような点が起つて来ることは否定できないと思うのであります。ただ政府において、原案においても、考へておりましたように、シヤウプ勧告の趣旨を全面的に採り入れまして、負担均衡を図るためにその税源を、それぞれの均衡のあるものに求めて参るということのために、附加価位税の創設を考えて参つておりまするし、仮に時期的に遅れましても、この税制の構造については政府は何ら考え方を変えておるわけではないのであります。ただこの委員会においても御説明申しましたように、附加価値税の延期に伴う措置として、事業税及び特別所得税を存続する。併しその場合においては、只今お話になりましたような点を能う限り採り入れて参りたいという趣旨の下に、税率の軽減なり、或いは非課税対象を明かにするようにいたして参つたのでありますが、それと関連しての市町村民税、特に法人課税の問題でありますけれども、この法人課税の問題につきましては、所得割を課することが適当でないという考え方を採り入れた点は、先程来鈴木政府委員からお話申上げましたような基本的な考え方から出ておるわけでありまして、從いまして法人については均等割を課する程度に止めることが法人に対する考え方の基本的な原則と申しますか、そういう意味から申しまして我々は妥当であると考えておるのであります。併し御説のような事業税市町村民税所得基礎とした課税のやり方につきましては、そこに事業税所得基礎としておるし、又所得割については勿論所得税額基礎としておるような点から申しまして、必ずしも理想的な完全な税制の構造であるとは考えておらんのであります。これらの点につきましてこの際市町村民税における法人課税についてこれを更に重くするということよりも、むしろ暫定的な措置としての事業税及び特別所得税を存続する、この措置に対しまして今後どう一体更に検討を加えて行くべきであるかどうか。法人個人との間の調整をどう図つて行くべきであるかということにつきましては、尚検討をして行かなければならないものがあろうかと思うのであります。税体系並びにその構造につきましての基本的な考え方は政府においても変りなく持つておるわけであることをこの際申上げて置きたいと思うのであります。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 再三そういう御説明を承つたのですが、そうした説明から類推するところによると、来年度における事業税の徴收についても暫定的ではありながら検討も加えなくちやならん、再来年度から実施されようとする附加価値税そのものについても検討を加えなくちやならん、こういうことを言明されておるのですが、そういう点から言うたら、明かに今の答弁でもある通り、一部やはり合理的でないという実態が挙つておる以上、でき得る市町村民税について修正を加えるということが今国会でできないと考えるのですが、どうしてこの部分だけは絶対これで以て行きたいとお考えになるのでしようか。
  72. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 御承知のように昭和二十五年度における予定税收額が一千九十億程度に相成つておるのでありましてその枠の中においてそれぞれの税目に応じた予定税收額を見込んでおりまして、すでに財政計画としては本年度分につきましては確定をいたしておるような次第で、この点は御了承を頂けるかと思うのであります。從いましてこれらの計画的な財政運営と勘案いたしまして、又法人に関する考え方からも併せこれを勘酌いたしまして、市町村民税につきましては政府が考えておりますような原案で進んで参りたい、かように思つておる次第であります。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あと所得割の場合に関連して質問したいと思うのですが、どうもやはり納得が行かない点がこの部面には大きいのであります。例えば最惡の場合、予定税收入を挙げようとしてそれは動かされないでも、内容的に負担する階層均等割額を変えるということもあり得るだろう。又法人の方がこの部面において著しく不均衡に軽減された均等割になるという結果になるならば、これに加えるのに資産割なり或いは同じ法人でも資産割による段階を持つた均等割の額の徴收をするということで、個人の方のそれを軽減するという策も考えられるのではないが、こう思うのですが、こういう点は如何でしようか。
  74. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 御説のように考え方といたしましては、いろいろと考え得るのではないかと思うのでありますが、この際の措置といたしまして、事業税及び特別所得税を存続いたしまして、これを実施するという以外に我々の研究の結果におきましては他に良案も見出し兼ねたような次第で、從いまして税体系そのものにつきましては、勿論これによつて完璧を期することは或いは困難ではなかろうかと存じますけれども、市町村民税における法人個人との関連から考えて、特にこの内容について変更を生ずる必要はなかろう、政府におきましては種々の角度から研究いたしました結果の結論としてさように考えた次第でございます。尚補足的な点につきましては、奥野政府委員から答弁をいたしたいと思います。
  75. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 少し諄いお答えになるかも知れませんが、お許しを頂きたいと思います。第一に附加価値税を採用しようとしたその附加価値税が一応延期になりまして、事業税なつた問題であります、現に御承知のように事業に対しまする課税といたしまして、国の段階においては所得課税標準にいたしまして所得税法人税を課しているわけであります。府県の段階におきましても所得を標準にいたしまして事業税を課し、更に又所得一つの標準にいたしまして道府県民税を課しております。市町村の段階におきましても、所得一つの標準にいたしまして市町村民税を課し、更に事業税の附課税も徴收しているわけであります。このように所得を標準にいたしまして、事業に国の段階においても、府県の段階においても、市町村の段階においても、課税することは穏当ではないか。そういたしますと、所得が正確に把握されておりますなり、或いは所得というものが事業の本来に関す、る負担すべきものを応分に現しているという場合でありますならば適正でありますけれども、必ずしもそうじやございませんので、この不均衡を嗅ぎ出して行く、これを拜して行きたいというところの狙いであります。又事業が応益的に負担すべきものを所得だけで応益的な負担にならない。だからこれを事業の分量をなす附加価値税に変えて行きたいということも一つの狙いであつたのであります。そこで府県の段階におきましましては所得を標準に採らないで附加価値を標準に採る、市町村の段階ではやはり所得を標準に採らないで資産設備を標準に採る、こういうことになつてつたわけであります。ところが府県の段階におきましては、そういう切換えを暫く延ばされた、この結果がどう響いて来るかという問題が一つであります。もう一つの問題は、住民税において所得を標準に採らない。それは今申上げましたような意味もあるわけでございますけれども、すでに国税においても採られましたように、法人税額をどう見るかという問題、これは法人というものは個人の活動の手段であつて、從つて仮に法人の段階において所得を把握した場合には、個人の段階においては課税すべきではない。そういう意味合において所得税におきましては、法人税がすでに課税されているという見地から、個人所得税額から配当所得の二五%を控除するというような方式が採られておるわけであります。そういう二つの意味合におきまして住民税については所得課税標準とする方式を止めてしまつたわけであります。そこで住民税について所得を今直ちに附加価値税が延期になつたからこれに持込むという理窟はちよつと出て来ないじやないかというように考えるのでありまして、理論的にはそういうことでありますけれども、それじや從来負担と比べてどのような変化が起るか。法人が軽くなつて個人が重くなつたのでは、理論的の問題を一応別にして、実際には承服しがたい点が起るだろうと思うのであります。そういう点から考えて見まして、從来の住民税の総額の中で法人の納めておりましたのは四十億くらいであります。今度は法人の納めますものが六億円くらいになるものですから、大体四十億円くらい軽減されることになります。この反面、附加価値税において相当大幅に増額されることになつてつたわけでありますけれども、固定資産税の面におきまして、從来法人負担でありましたものが二十億円くらであります。これが今回の改正で特に償却資産に対する課税が非常に強く計上されます関係上、百六十億円を超えるようになるわけであります。大体百四十億円くらいの負担が殖えて参るわけであります。そう見て参りますと、仮に附加価値税の実施が延期になりましても、実質的には法人負担從来より軽減されるわけじやございませんので、暫くやはり我慢できるわけじやないか、体系的に見ましても、私が申上げましたように事業に対する課税としては、市町村段階、府県段階、国の段階、三者それぞれの課税方式を以ちまして事業に対する課税というものを適正ならしめる考でおつたけれども、府県の段階においては遺憾ながらいろいろな意味から暫く実施を延期されるわけであります。その結果負担関係が非常に変れば承服し難いということになるわけでありますけれども、今申上げましたような程度の変化に留まるわけでありますから、尚政府が当初考えておりましたような方式で全体の体系を改正して行つても差障りはないじやなかろうかというふうな考え方を持つておるわけであります。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうだとしますと、個室資産税その他で軽減になつていない、或いは二倍に法人の方はなつているんだからというようなお話を承われば、又どうも資本家代表の話を聞いておるようでますます私素人としてうまくない、了解できない。と申しますのは、この均等割從来課税をされなかつたものも新しく均等割でやられる階層が多い。そういうのは一倍や二倍になつたどころではおくて、〇〇倍になつておるわけです。而もこの所得税の方から言うならば、去年よりは確かに本年は或る階層所得税は軽減されておるが、公聽会等でも話のあつた通りに、源泉課税で徴收される下級所得者は何ら軽減されておらない。それが所得税の方は今年は総体として軽減されておるけれども、この市町村民税所得割においては、前年度のそれによつて徴收せられるのですから、現在の所得とは何ら関係がないという部面が出て来るわけであります。そういう点から申しますと、これは現実に二十五度の收入によつて課税せられるるのではないのですから、強いかかり方になつておる勤労大衆が多いんじやないかとこう思うので、他に何にも税を納めない、この方面だけの所得税市町村民税とを納める零細勤労大衆というものの負担法人なり、高額所得者の負担よりは比較的に非常に重い負担になつていると私は思うのです。こういう点を考える場合にはどうしても総收入見込額を徴收するにしても、課税対象階層を変更するようにしたり、或いは非課税範囲を拡大したりする必要があるのではないかということを思うのですが、どういう観点に立つてこの法人関係個人のそれよりは総体的に重いのであるということが言えるのですか。固定資産税なり、事業税なりにおいてももう少し分らない点があるので御説明を願いたいと思う。
  77. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 第一に申上げたい点は、現在の住民税におきましては御承知のように所得割と資産割と均等割の三つを併用いたしておるわけであります。このことは個人に対してのみならず、法人に対しましても同様の課税方法を採用いたしております。ところが今回法人に対しましては均等割だけになつたわけであります。その第一の理由は、固定資産税か創設されました関係上、法人につきましても個人につきましても資産割を廃止することにいたしております。第二に、所得割を廃止いたしましたのは先程申上げました通りであります。そこで、それじや個人に対して今度は市町村民税において課税の方針が大幅に変つております、その理由に触れたいのでありますが、第一の点は、納税義務者につきまして單に世帶主だけを納税主体にいたしておりましたけれども、成年者である限りは全部納税生体にするというふうにいたして参つたわけであります。この点も小笠原さんが指摘されておる点に関係しておると思うのでありますけれども、その理由は、自治団体基礎的なものとして市町村を強化して行きたいということを考えました場合に、地方自治に参加しましてこれに関心を持ちながら、その伸展に協力して行かなければなければならないものは、單に世帶主だけに限られるべきものでない。或年者たる限り全住民が広く地方自治に参加して行かなければならない。それがためにはやはり何がしか応分の負担は分け合うようにした方が妥当ではなかろうか。負担を分任することによつてより一層自治に対す対関心高めるようにして参りたい。こういう考え方を持つておるわけであります。それが納税義務者を家族主義的な構成から個人主義的な構成に切換えて参つた原因でございます。そこでそれじや均等割を單に世帶主だけじやなしに世帶員に対しても課して行く場合に、どの程度の金額を穏当とするかという点でありますが、この金額につきましてはいろいろなところからいろいろな考え方がなされると思うのでありますけれども、政府が採つております一応の建前というものは、シヤウプ勧告では御承知のように六百円、八百円、一千円になつておりましたのを切下げる意味におきまして標準税率という制度を設けたわけでありますが、現在の住民税の中で均等割の部分というものは、大体二割位が適当であるというに指導いたして参つたのでありまして、現に大抵の団体はその総額の中の二割ぐらいをこの均等割課税に求めておるわけであります。今回市町村民税額が相当大巾に引上げられることになりまして、所得割の部分が引上げられましたので、それに関連して均等割の部分も若干引上げた方がいいんじやないかというような考を持つております。そういたしますと、新しい市町村民税の総額におきまして、均等割の部分の占めます割合というものは大体二割程度にしておきたい。そういたしますとこの四百円、六百円、八百円という大体同じような姿になるわけであります。もう一つの問題は、從来この市町村民税の沿革を辿つて見ますと、御承知のように昭和十五年に大巾な税制改革が行われております。その当時從来ありました戸数割制度を改革いたしまして負担分任の制度というものを税制の上に残すという意味合におきまして、言い換れば收入を挙げるということを目的にはしないで、むしろ今申上げましたような自治の伸展という観点から設けられた市町村民税というものは、一納税義務者あたり四円、六円、八円という金額であつたわけであります。むしろ応能的な負担というより応益的な負担として頭割で課せられるものとして設けられた思想のものでございましたが、それに一納税義務者あたり町村においては四円、市においては六円、大都市においては八円ということでありましたが、その後物価の高騰の工合等を勘案して参りました場合に、四百円、六百円、八百円という金額のできたのも又やむを得ないものじやなかろうかというような考え方を持つたわけであります。彼これ勘案いたしまして、このような程度の金額にいたして参つておるわけであります。固よりこの四百円、六百円、八百円が非常に無理な負担を求めるという面の人達も起つて来るだろうと思うのでありますが、そういう面につきましては、その必要の実情に郎して、然るべき減免の措置によつて、無理なことのないような措置が市町村において行われるのじやないだろうか、そうでなしに一般的に、やはり均等割としては或る程度の額が只今申上げましたような意味合において穏当じやなかろうかというような考え方を持つておるわけであります。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よく分つたような、分らないような点がありますが、先ず一応保留しまして、私の郷里の方の小さな町などで、資本金四億円という大きな工場がある。ところが、そこに働いておるところの一家として、勤労者が三人であるというと、その大資本工場の二千四百円と同額な金を納めるのだということがこの前にその町において公表せられた。ところが納得がいかんという住民の声が強かつた。これが素朴な声なんです。よそはどういうふうに取られておるということを言つても、そういうから繰りは素人には分らない。だから私の家はこんな長屋住いで二千四百円……これは一番小さな方になりますが、千二百円だそうだ、その大工場も千二百円だ、俺と同等なんだ、こういうようなことで非常な反響を呼んだことがあるのです。こういう点で素朴な町村民は納得しないだろうということを、私は体験上感ずるわけなんでありますが、先ず一応これは留保しまして、收入見込額として二十五年度が五百七十五億、二十六年度が四百六十億というふうになつて、百億ばかりの減になるのですが、この百億ばかりの減は来年度においてはどういう部面でカヴアーするのであるか、又市町村財政というものをそれだけ緊縮させて行くということになるのであるか分りませんので、この点も次にお伺いいたします。
  79. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方財政に関する参考計数資料の一のところに、本年度の見込額と、それから明年度の見込額、両方掲げて置いたのでありますけれども、我々としては、やはり時価を標準にして、固定資産税をかけるようにしたならば、五百二十億円よりももう少し余計に收入が得られるのではないかという見込を書いておるのでありまして、要するに固定資産税の増收を以て市町村税の減收をカヴアーすることができるのではないかという予想をいたしております。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると固定資産税〇・六ですか、ああいう税率を以てしても来年度以降において百億くらいのカヴアーができるだけの増徴ができると、こういうわけなんですか。
  81. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 政府において、当初考えておりましたのは、一・七%を以て大体市町村民税の減收をカヴアーできるというふうに考えておりましたけれども、衆議院の方におきまして、本年度において、仮評価の方式を採用しても、真正な時価を標準にして課税するわけではありませんが、仮評価の方式を採用しても一・六%で五百二十億円の收入が得られるというような話になつたわけであります。これは実際やつて見ませんと、結果において、どれだけの收入が得られるか分らないわけでありますけれども、衆議院修正の意図から言いますと、そういう考え方でございますので、自然真正な時価を標準にして考えました場合においても、現に政府が考えておりますような六百億円に近い收入が平年度におきまして得られるということになるだろうと思います。これは固定資産税の徴收の結果と睨み合せまして、若し見込が違つておりました場合には何らかの措置を講ずるというような問題になることだろうと思います。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうお話を聞きますと、何か衆議院に提案された原案の一・七というものは、ますます予定外の收入を見込んだ税率で、それであるが故に、一・六と下げても先ず先づやつて行けるし、尚且つ来年度以降百億円くらいのカヴアーができるという……、お叱りになつたら困りますが、インチキな考え方が潜んでおつたのではないかというように思われるのですが、この点について、そうでないというふうな理由を付して御説明願います。
  83. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) すでに御承知のように、本年度の固定資産税の徴收に当りましては、仮にその時価というものは、再評価額限度額の一杯だというふうに認められるにしましても、納税義務者との間において争いがいろいろある問題につきましては、一応再評価額の限度額の七〇%で仮徴收をして行くといういうような方式を採用したわけであります。これが又法案の制定、又固定資産評価員の設置も遅れておりますので、円滑にやつて行くためには止むを得ない方式であろうと考えております。そういう方式を採用して参りました場合には、本年度においては、五百二十億円しか得られないであろう。こういう見込を立てておるわけであります。  それともう一つは、本年度に、要するに市町村の現実の收入なるものが千九百億円なければならん、こういう考を持つておりまして、新税についてはどうしてもやはり幾らかのものが翌年にずれて行くわけであります。そういう意味合におきまして法律の上にもはつきり書いておりましたように、償却資産から得られる固定資産税收入というものは現実に收入した額の八〇%が本年度において收入されるのだ、こういう見込を立てておるのであります。八〇%になるか、或いは七五%になるか、その辺明確でありませんが、先ず八〇%ぐらいが收入されるであろと考えられております。あとの二〇%は将来永久に收入せられないものかと言いますと、そうじやございませんで、二十六年度になつてから收入されるであろう、こういうような見込を立てておるわけであります。大体すべての税について現実にそういう形において收入されて参つておるものでありますから、そういう考え方をしておるわけであります。こういう点からも本年度よりも平年度においてはより以上の收入が得られる、言い換れば、その年のその年度分の税金として收入されるもの以外の前年度の分の收入であつて、前年度において現実には市町村收入にはならないで繰越しておるものがある、繰越分の收入も平年度に入つて来るわけである。かたがた平年度においては五百二十億円よりはもう少し余計收入されるであろう、そういうようなことを計算いたして参つておるわけであります。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 示しておる資料によつて計算したというのですが、私それはどこの資料であるかちよつと分らないのですが、さつきの奥野政府委員の話であると、この法案提出に当つて出された資料の計数以外の收入見込というものを行政專門家としてお持ちになつてつたのですか。その金額をお持ちになつてつたと考えられるのですが、その点はどうですか。
  85. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 地方財政に関する参考資料計数の三の四のところに固定資産税に関する調べがございます。これが我我の考えております資料でございまして、又その資料のすべてでございます。細かいこれに附随するものは別でありますが、別にこれ以外に格別にあつたものではない、この通りの資料でございます。ただ課税の仕方として二十五年度は資産再評価法に基く再評価額の限度額といもものを基礎にして課税して参ります。再評価額の限度額というものは時価とは関係がないものであります。たまたま或る年度に取得した資産についてはその年から以後の物価の倍率を乘じて行くわけであります。その後において経済界の状況もいろいろ変つて来るでありましようし、又たまたま取得した年にその物が少かつたために高かつた、それが今日においてはそういうものは大いに沢山作られている、だから価格が下つているという場合、又その逆の場合もあります。とにかく今年は再評価額の限度額を基礎しして仮評価して参りますので、その評価額の限度額が幾らでなければならないかという資料が第一であります。もう一つは来年度以降は時価を標準にして改正して参りますので、時価をどう測定して行くか、だから時価をどう見るかということが一つの資料であります。その二つの資料を掲げているわけでありまして、再評価額の限度額の七〇%を標準にして徴收する行き方をやつて参りますのでは到底百億を超える收入は得られない、こういう結果になるのであります。この基礎資料は資産再評価法を先の国会において論議せられましたときに、大蔵省から出されました再評価税の資料と大体において合致しております。それから時価をいろいろな角度から調べておりますけれども、大体船舶でありますと、一トン当り十万円近い評価をいたしております。又貨車、客車、それぞれ時価を運輸省において調べまして、それを基礎にして現在ありますところの数量を乘じまして算定の仕方といたして参るのであります。たびたび申上げますように、再評価額の限度額を基礎にする仮評価の方式では、法案に示しておりますようなやり方をいたしまして五百二十億円程度の收入しか得られない。併し時価を標準にしてやるようになつた場合にはもう少し徴收が可能になるのではなかろうか、こういうふうな見込を持つているわけであります。併しながら御承知のように土地や家屋につきましは、從来から台帳がございまして、公に認められている賃貸価格というものがあるわけであります。ところが償却資産につきましては、公に認められておりますような数字もございませんし、又価格というものもないわけでございます。大体企業の資本金額その他から推定して参りましていろいろの数字を出しているわけであります。或いは又現在までの生産額等を推定いたしましてこういう資料を出しているわけであります。併しながらこういう問題は経済界の現況等と睨み合せてやつて行かなければならないわけでございますので、現実の企業の再評価がそれぞれについて生まれました場合に、更に検討を加えて行かなければらないものだろうと思います。  ただここにお示ししておりますような基礎に基きまして、第一に掲げてありますような收入見込を書いているという点を御了承願つておきたいと思うのであります。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではこの問題の最後に伺いますが、来年度固定資産税一・六〇、こういうこの資料にあるような、六十億ばかりの増の見込になる、こういうような点は税率を下げるのが法の考え方になるのじやないでしようか。五百二十億の一・六であるのだから、それ以上の増徴になるという場合は下げて行くということになるので、来年度は税率を下げなくちやならんということになるのじやないでしようか。
  87. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 法案にも書いてありますように、五百二十億円という計算は、土地や家屋につきましては現実に調定した額の九〇%、償却資産につきましては現実の調定額の八〇%を以て五百二十億円にしなければならない、かように書いております。言い換えれば、平年度におきましては土地家屋の残りの一〇%、償却資産につきましては残りの二〇%というものが別にあることを予定いたしているわけであります。まだ細かいことを申上げますと若干ございますけれども、大体そういう考え方に立つているのであります。併しながらいずれにしましても法律の実施の経過を見まして、予定と違つている点につきましては、再検討を加えまして必要な措置を講ずべきだと思つております。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の考え違いだつたら御訂正しますが、だから結局は固定資産税そのものは総枠として五百二十億円以上は取らない、いつの年度でもそういうことにはならないのか、こういうわけです。
  89. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) そういうことにはならないと考えております。現在の法律規定から考えましても、平年度におきましては五百二十億以上の收入を予定しているわけであります。更に言い掲えれば、市町村民税の減收をカバーしてやはり地方收入としては千九百億ぐらいのものを必要としている、こういう考え方に立つているのであります。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、固定資産税五百二十億を取る場合の一・六というのは、二十五年度の暫定措置であつて、平年度になればどれだけのものになつても構わない、又どれだけのものに下つても構わない、税率は動かないという結果になるのじやないのですか。
  91. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 五百二十億円という計算の基礎は、諄いようでありますけれども、その法律に書いてありますように、土地と家屋については調定額の九〇%、償却資産につきましては調定額の八〇%、それと前年度から繰越して参りますところの地租税、家屋税、附加税こういうものを合計いたしましたものが五百二十億、それを目度にして税率調整を考えて行くとこういう考え方に立つております。
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の申上げているのは素人の話なので、どうも分らんと思うのですが、こういうことがある。五百二十億を一・七なり一・六でも、そんなものはどうでもいい、今年度は取るんだ、五百二十億を取るがための一・六なんだ、それで取れなかつた税率を変える、取り過ぎたならば又税率を下げる、こういうことを再三言明しておる。だから二十六年度の平年度になつてそれ以上取れてもいいのだという場合は、一・六で課税して、それ以上取れる分はそのままになるのだということになるのか、そうなれば又反対に一・六で五百二十億以下であるという場合にもそのままにして置く、こういうことになるのか。そうでなくて取れるだけ他の税の関係から取れるように、固定資産税を六百億なら六百億と今度は見て、そのための税率を来年は又考える、こういうような余地も考えておるのか、どういう方針でこの法ができておるのかということをお伺いしたい。
  93. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 衆議院修正の結果固定資産税の標準税率が一・六に下つて来たわけであります。從つてここに提出しておりまするこの資料の各種の数字を変更しなければ、御指摘のごとくその〇・一%下りましただけの税收というものは、この予定をしておりまする原案の固定資産税の二十六年度以降の收入よりも下つて来る、これは御指摘の通りであります。併しながら二十六年度以降において、ここでも分りますように、償却資産の絶対の基本の額、これは二十五年度は九千七百億余でございますが、二十六年度においては一兆千七百億、こういうふうにこの基礎の数字が変つて来ております。変る理由は、償却資産がやはりそれだけ殖えて行くという考え方でありまして、爾後はそういうような形でございまするが、この点においてやはり基礎の違いがございまするから、それで二十五年度においては九十九億の償却資産に対する固定資産税收入見込が、二十六年以降においては百数十億になる、こういう数字を差上げておる次第でございます。そこで二百五十億今年度予定しておりますものが、二十六年度以降は五百七十億になる、こういう数字になるわけでございます。
  94. 石川清一

    石川清一君 小笠原委員からの質問にありましたように、一応この税法を通じまして予算面に疑いを持ちたいということは、五百二十億を相当上廻る、又は下廻ると認める場合においては、こういうふうに書いてありまして、必ず上廻るのだというお考えを持つておりながら、尚下廻るという言葉を言葉の綾として書かれておるところに、この五百二十億の不審がある。始めから五百二十億を完全に上廻るのだという肚で考えて置きながら、ここに下廻るといつて一・七という数字に絶対性を持たしておるところに、私はこういう市町村民税の場合にもこの基準に動揺性を持つたものだという疑いを持たせると思う。この一・七の場合おいて相当上廻るといつて絶対下廻ることはないという確信を持つておられることは最初からあるようですが、このときに下廻るという言葉を用いないとすれば、そう疑いは持たないと思うけれども、ここに多くの人の疑いが起りますと共に、町村内において賦課する時にこういうことが起きて来ると思う。私はこういうふうに想像をしている。そこで先程の町村の平均割の場合にこういうことが考えさせられます。固定資産税の場合に第七国会の場合から見れば、一割も課率を引下げているのだから、標準課率はやはり一割程度引下げても全体の数には動揺が来ないのではないか、こういう考えを起させるのが、私等素人考えとしてこれは当然だと思う。そういうような考の上に立てば、当然今まで非課税であつたものにまで如何に家屋税等を一応直しまして、それぞれ一人前の選挙権を有するところの個人には、平均割を課するのだというお考は納得できない、こういう点が起きて来ると思います。それと共にこの條文を詳細に見ました場合には、所得税の場合に税務署の調査漏れ、更正決定漏れ、或いは申告漏れというもの、町村自体がそれぞれ所得税法に基いて計算をしまして、完全に所得税を適用するのだという考えの上に、この法の條文を伝家の宝刀として掲げておりまして、絶対逃しつこはないという強奪的な條文を持つているわけであります。こういうような徹底的に税務署地方町村がタイアツプして、課税の徴收の徹底を期した場合にはやはりもう逃しつこない。大体收奪的な課税が行われるのだという私等印象を與えられる。こういうように所得税において完全というくらいの法の適用を受けた場合に、所得固定資産に正比例して当然落ちて来るものでない。殊に農村における農地、家屋等に至つては、非常に所得と相反するものがあるので、ここに農村における固定資産税の引下げ、或いは倍数の引下げというようなことが起つて来るのでありまして、この町村間における均衡はとれても、税務署における、町村ごとにおける均衡がとれなかつた場合には、これを平衡交付金で何とかするということが第一なんです。こういうような矛盾がこの伝家の宝刀の裏に私は潜んでいるのではないか、こういうふうに考えさせられるので、でき得れば普通の税率の場合に、或いは個人の平均割の場合に連絡をしたい。いわゆる課税の客体を全部押さえまして、その中に脱税者がないというようなことが、一般の今までの経験からこの際起きて参るので、ここに非課税者をできるだけ多くすべきであるということと、税率を引下げるということが起きて来ると思うのでありまして、この点についてどの程度課税の客体を押さえるかということについてお尋ねいたします。
  95. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) いろいろ重ね重ねお話がございましたが、今の所得税の申告漏れでございまするとか、或いは非常に過小に見積つておるというようなものにつきましての補足的のことは、先程も申上げましたようにこれはいわば伝家の宝刀という考え方でございまして、こういうような措置を行いませんでも、所得税が一方におきまして市町村民税課税の標準になるというようなことから、税務署市町村の間におきましては将来緊密なる連絡が行われるものと考えるのであります。從つてこういうような規定を働かせるということは、極く稀の場合であろうと私共考えておりますが、併し私負担の全体の公平を期するということになりまするというと、課税漏れということはやはりこれは公平の見地から申すと適当ではないわけであります。やはり成るべく課税対象を拡げて、而も全体として低い負担を公平に課するということが、税の本質から申して適当であろうと思うのであります。そういう意味から申しまして、特定のものだけは除かれるというようなことがないように、万一を慮つておる規定を私共としては考えておるような次第でございます。  それからなお各町村間の公平を期することが困難ではないかというお話でございましたが、これは平衡交付金の基準收入額を算定いたしまする基礎といたしましては、これはやはり全体と同じスタンダードに立つて見方をいたさなければならんわけでございまして、そういう見地から最も一般的なものとして、例えば所得税の納税者というようなものを、この一つ対象に考えて平衡交付金の算定の基礎として採るというようなことで、それぞれ全体として成るべく全国的な基準になりますようなものを基礎にして、平衡交付金の算定をして行きたい、かように考えておる次第でございまして、そういうような見地から申しまして、更に非課税範囲を殖やすということは、私共といたしましては、全体論といたしましては適当でない、ただ個々具体の場合におきまして、いろいろ事情がございましようし、そういうものにつきましては、それぞれの減税の規定等の運用によりまして、各市町村が適当にやるのが自治の趣旨に適するのであるというふうに考えておる次第であります。尚税率を低くするということにつきましては、全体の財政的計画の上から見まして、所要の財源を確保いたしまする点から申しますと、これを動かすということは困難になるというふうに考えております。
  96. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 今の議題からちよつと外れて恐縮ですが、広く解釈すれば関連もないこともないのですが、このシヤウプ案の序文には、勧告案は国税から市町村税に至るまで一つの体系にしている。從つて部分的に修正をやると改善にならずに改惡になる場合がある。そういう際にはシヤウプ博士は責任を負わんということを書いてあるわけなんです。そこでシヤウプ博士は、所得税について、法人税をやるんだ、法人と株主は同一の担税主体であるという立場を採つて法人を非常に優遇しているわけなんです。併しそれから起る弊害というものはまあ附加価値税でやや緩和されている。それにも拘らず政府附加価値税を一年延期して、事業税をやるというふうになつて、当然その弊害が起きて来るわけなんです。、そういうことが当初予定されて、全体の体系を紊さんという立場から言うと、この附加価値税事業税に変えた弊害を是正するような法案が附帶的にできておらんといかんと思つた。それが出ていない。それが更に一年延期される、こういうような点について、この府県税の附加価値税から事業税に代つて、弊害を市町村民税で是正するということはいかんと思いますが、何らかの措置は小野次官も申されるのですが、近い将来ということでなしに、そういう弊害は直ちに、国会開会中ですから我々としては是正した方がいいと思うのですが、こういう点についてどうお考えになりますか。
  97. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は先日も御指摘になつたと思いますが、全くシヤウプ勧告の精神というのは、これは飽くまでも全体的に採り入れるべきであろうと思うのであります。ただ政府案といたしましては。事業税附加価値税に変えて一年更に取るという際におきましては、例えば課税対象等におきまして、農業なり林業を除いたり、或いは税率の軽減をいたしまして、又免税点を引上げるというようなことによりまして、できるだけ附加価値税についてシヤウプが考えておりましたような原則を採り入れまして、半面において事業税の持つ欠陷を、まあその程度において少くとも調整を図  つたという考え方でございます。勿論附加価値税を取りました場合と、そういう調整を図つた程度の事業税との関係におきましては、附加価値税を取る場合程事態は改善せられないと存じまするけれども、まあ暫定的に、一年の期間がございまするし、又衆議院修正においても更に一年を延ばすというだけでございますから、基本の税体系としては、やはりシヤウプ氏の精神を採入れて、附加価値税を税としては、適当なるものと本文において考えておるわけでございまして、全体の税体系が狂つているというふうには私共は考えていない次第でございます。
  98. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大体この国税にしましても、地方税でも、シヤウプの勧告はまあ大体忠実に採入れてあると思う。併し我々この出された法案を見ますと、勧告を破つた、その被害を受ける方が勤労大衆である場合は、なかなか勇敢なようにとれるのです。そういう点が我々は非常に、このシヤウプ勧告自体の持つ性格からいつて、社会政策的な色彩が極めて乏しい、それが政府によつて更に上回つているという感が強いわけなんです。それからこの勧告案で考えるのですが、日本は從来法人と株主に二重課税しておつたのです。ヨーロツパもそうなんです。アメリカ自体もそうなんですが、日本に対してだけそういうふうにしたことについて、どういうふうにお考えになつているか。我々が調査した限りでは、アメリカもやはり批判はあるが、株主と法人に二重課税しているように文献で見ているのですか……。
  99. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 市町村民税  につきましては、私共の基本の考え方としては、すでに何回も申上げましたように、所得税において軽減をいたしました限度におきまして、いわば地方に税源を移讓し、市町村においていわば地方所得税というような形のものとして、これを取つているわけでございまして、これをそれだけ切り離して見ますと、如何にも増税ではございまするけれども、所得税との関連においてこれを眺めますならば、決して増税ではない、むしろ税源を地方に移讓したのだ、こういうふうに考えているわけでございまして、特に政府案において、社会政策的な顧慮が抜けているということは、私共としては考えていないのであります。更に法人につきまして均等割を課しまして、その部分だけは少くとも個人負担を軽くしているということは、シヤウプ案よりは、更に社会政策的と申すと少し大袈裟でございますが、とにかくそういう見地を併せて加味しておるわけでございまして、そういう点から申しますならば、あながち御指摘のごとくではない、かように考えている次第であります。  尚法人につきましての性格論は、先程奥野財政課長からも申上げた通りでございまして、法人に全然課さないということはなく、アメリカにおきましても、名前は所得税というような形ではございましようけれども、同様な形のものがあるわけでございまして、その点は本質的には違つていないのではないかと思つております。ただ法人に対する税率が他の担税主体よりも非常に低いということは言えると思いますが、課さないということはないと思います。
  100. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はこれが非常に法人を重視した考えが、上から下までシヤウプの勧告で貫かれておるということは非常な特徴だと思うのですが、日本のように産業が荒廃して、資本の蓄積を急がねばならんという趣旨は十分分るわけですから、世界の税体系の動向から見ると、これは実際学者としては税体系の改善とは申されぬような批判を日本の学界でも相当つておるわけなんです。特にそういうようにして資本蓄積をいたしましても、そういう政策によつて商品が非常に生産されても、大衆の購買力というものがないから、そういう形の資本蓄積というものは私は行き詰まるのではないかと思うのです。そういう点でこれは非常に私は問題だと思うのです。併しもう少しそういう点でやはり先に小笠原氏から申されたような市町村均等割に段階をつけたりするようなことは、社会政策的な意図を盛られようとする意図の強い自治庁としては、これはもう少し考えて頂かんと、我々としてはその意図が十分具体的に表現されていないと思うのですが……。
  101. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 社会政策的という、まあ理論的の問題は別といたしまして、とにかく三百十二條におきましては、扶養親族がございます場合、不具者がございます場合、或いは家業專從者等につきましては、均等割を遁減する措置を考えておりまするし、又健面貧窮の事情等、その他特別の事情のあるものにつきましては、減免の措置も併せて規定いたしておる次第でございまして、そういうものの運用によりまして、何分の社会政策的な顧慮も運用上加味できると、かように考えておる次第であります。
  102. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この市町村民税法人均等割については、大体将来の課題として研究して頂きたいと思うのですが、小笠原さんも例を挙げたのですが、私鳥取ですが、鳥取に中央配電会社があるのです。それの電燈料金か一年間に三億六千万です。これは県下から取る電燈料金です。それに対してこの均等割が僅かにこの程度である。そうして働く人が二、三人おれば、零細な者でも殆んどそれに匹敵するということは、どう考えてもこれは問題だと思うのです。それは公益主義から考えましても、三億六千万の電燈料金を得  る配電会社が千二百円だけ……。それだけの厖大な独占企業で絶対的な利益を得るものか、千二百円、そうして三千円か五千円の零細な俸給生活者でも、働く限りにおいては直ちにそれと同額なものになるということは、これはちよつと問題だと思うのです。
  103. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 具体的の事実についての御指摘は、そういうようなこともあろうかと存じますが、法人につきまして一般的に所得割を課するということにつきましては、政府としては更に研究を重ねて見たいと思います。
  104. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 一つ希望いたします。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで徴收率という問題ですが、均等割で九〇%を見込むというふうにありますが、今年この八月以降半ケ年の間に九〇%の徴收が実現できるという見込は、どういう平均的な基礎の上に立つて見込まれたかお伺いしたいと思うのです。
  106. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはひとり均等割のみならず、今年下期におきまして税が全体としてかかつて来るわけでございまして、その意味では納税者の立場から申しますと、並々ならぬ苦労であろうと存じますが、同時に地方団体事業経費等から申しましても相当に逼迫しているわけでございまして、これに見合うための税というものは、やはり地方団体の徴收当局といたしましては、全力を挙げてこれは今後努力をして行かなければならん問題であるわけでありまして、地方団体の立場のみならず、中央の財政委員会等におきましてもできるだけ今後努力をし、是非一つこの目的を達するようにやつて行きたいというふうに考えておる次第であります。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ということを聞きますのは、都道府県税或いは市町村税、国税においてもですね、前々から指摘されておるように取締規定、罰則規定が各所にあるのです。それが町村におきましても、これから出て来るように非常に沢山の罰則規定を設けておる。それで逆に考えるならばですね、九〇%の徴收率を何とでも上げなくちやならんということで、こういう取締の強化のための規定を作つたのではないかとさえ思われるのですか、実際的に我々の郷里において、或る村で、村長さんなるもの或いは村会議員なるものは僅かな人数の村民であるが故に、親類縁者、知己、知らない人はない、そういう中で国税は取られる、都道府県税は競争して取られる中に立つて、村税の徴收ということで滯納処分だ、それ何だという強制的な執行が十全に果されるかというと、実際問題としてそれは不可能な部面が多いのじやないかということが想像されるのです。而もこうしたことを強行すれば、却てその町村なら町村の自治を破壊するごとく感情的なものが部落的に、或いは親類縁者的に、個人的に現れてくる。却つて村民の間に感情の齟齬を来し、円滑な行政を見ることができないというような場合が現れて来るのではないかとさえ思われるのです。所得割の方はこれは所得に関しての問題ですから或る程度分るのでありますけれども、この均等割の方は零細な所得の者であろうか何であろうがかけられるか故に、相当徴收率に問題があろうかと思うのですが、こういう部面について自治庁の方で、どういうふうに具体的には御指導なさつてこの効果を挙げようとするのか、お伺いしたいのです。
  108. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 小笠原さんの御意見は誠に御尤もな点があると思います。ただ私共の考え方を申上げるならば、地方税の運用は割合に区域の狭い所で、そして地方住民が十分にお互いに、まあ監視をしてと申せば語弊があるかと思いますが、熟知し合いながらその村のために必要な税を納めて頂く、又納める、こういうふうな特別な自治的な考え方からこの種税法は運営さるべきものと期待しておるわけであります。今回罰則規定等が非常にお目触りになる程各所に出て参つておりますのは、法律案の書き方といたしまして、できるだけそれぞれの税目毎に書く方がよいであろうという意見に基きましてかようなやり方をしておるわけであります。併しお話のようにかような罰則があるからといつて当該市町村等における自治の運営を破壊するようなところにまで、この罰則の運用を行なうということは決して望むところではないのであります。從いまして中央といたしましても、市町村住民の皆様方に税を納めて頂くために、できるだけ御協力を頂くようにお願いもいたさなければなりませんし、又自分たちの村の重要な一つの仕事を遂行するというお心持で御援助も頂かなければならんのでありますが、同時に徴税の立場に立つ税務吏員におきましても、できるだけ手違いのないように指導をいたして参りたいと考えておるわけであります。新しい税法を施行いたしますので、その経過的の事態といたしましては、いろいろと問題も起り得るかと思うのでありますが、これをできるだけ無理のないように仕向けて参りたいというのが私共の念願でございます。
  109. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 丁度今罰則の話が出ましたが、小笠原さんが御質問になりましたのは、極めて大切な御質問であると考えるのでありまして、先般岩木委員と共に九州の十幾つの市町村を私は廻つたのでありますが、丁度小笠原さんが御指摘になつたのと同じような意見を、各地方自治体におきまして私達が視察いたしました範囲内において、到るところで理事者から聞かされて来たのであります。で尚これは質問ではありません。むしろ議事の運営についてでありますが、委員長にこの機会に提案して、皆さんの御賛成を得たいと思うのでありますが、前の第七国会に同様本法案を審議いたしますときに、この罰則の問題は各委員からこもごも意見が開陳されまして、この法案において規定されておるところの罰則はあまりに苛酷である。でこれは刑事法規の專門家の意見を一応聽くところの必要があるのではないかというので、委員会では幸いに参議院国会図書館の專門員に、刑法の大家でありまする牧野英一氏がおられますので、牧野博士を召喚しまして、そうしてこれに関する罰則規定について刑法の研究者としての立場から、刑法及び刑事訴訟法の研究者としての立場から意見を聽くことに決つたのであります。牧野氏との間の交渉には時日がなかつたので、牧野氏の出席を得ることができなかつたのでありますが、牧野氏はその後、そのときと事情が幾らか変つても来ておりますし、時日もその後大分経過しておるのでありますが、当然に委員会のそうした召喚に応じて意見を開陳するということは、意見を開陳しなければならない立場にあるところの專門員の当然の職責なのでありますから、その職責を大体において盡したいというような意思表示を間接的に、私は図書館の方から附いておるのであります。で幸い丁度今御質問かありまして思い出したのでありますが、野津專門員の意見も聞くことになつておるのでありますが、それと併せてその間の時間を割いて、先の国会委員会において決定いたしました牧野博士を召喚して、この刑罰法規に関する專門学者の意見を聽くということを、この国会における本委員会において再度お決めを願いまして、至急そうした処置をとつて頂くようにお願いしたいと思います。
  110. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川委員から御提議がございました牧野英一氏、国会図書館の專門調査員でありますので、参考人としてこの委員会に呼びまして、罰則に関する意見を聴きたいという御提議がございました。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうふうに取計います。牧野博士の都合を伺いまして、成るべく早い機会にこちらに召喚することにいたします。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでけりをつけたいのですが、どうもこの罰則が納得行かないので、最後に質問しますが、この際自転車税は二百円なんです……。
  113. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと小笠原君に申上げますが、まだ罰則のところまで行つておりませんから、今参りますからそれまでお待ちを願います。
  114. 安井謙

    安井謙君 大分いろいろと熱心な議論で時間も非常に延長しておると思いますが、今の牧野博士の御意見聴くのは非常に結構ですが、そこらの時間の按配を委員長のほうでお取計いを願いたい。
  115. 石川清一

    石川清一君 この市町村税の中の所得税の率の関係については非常に関連性を持つておるのでありまして、そのこと自体が特に農村におきましては、昨年の例を、或いは本年の例をとりましても町村間の均衡のとれておらないというのが非常に多いのでございまして、この点についても十分お考えを願いたいことと、昨年、又恐らく今年も同じことだと思いますが、農民の場合には納入する税金がない、こういう関係農業協同組合費に借金を申込むのが、税金を納入するのに申込むのが二三割に達しておるわけなんであります。こういうこと自体ではもう欠損を予想するというよりも、農業経営を維持するために万難を拜して税金を拂わなければ、牛馬或いは農機具を差押えをする、又差押えをされました現状があるわけでありまして、このこと自体は非常に深刻な経営の面で影響を及ぼしておるのでありまして、農業協同組合に対する課税の免除、或いは固定資産の免除ということは、こういう納税の面においてもはつきりと現れて来るのでありまして、これはそれぞれ調査を願つて、恐らくそういうような御報告があつたと思います。こういうような関係で農業経営を守るために、或いは市街地における商業協同組合が、その経営を守るためにそういう点に重点を置いて、いわゆる経営を維持するという面においてするいろいろな流通事業が非常に多いのでございます。これは所得税から関連をしまして、更に固定資産税の面に、いわゆる納入する面において農業経営を維持するという建前に当然起きて来る問題でありまして、この点を申上げて置きまして課率についても、或いは固定資産税の課率についてもこの数字、この課率では承服し難いものを私は持つておることを申上げて置きます。
  116. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第三款、外に御質問ございませんか。  第四款に移ります。「第四款、賦課及び徴收」
  117. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 三百十八條でございますが、これは市町村民税の賦課期日を定めましたものでございまして、住民の移動等がございまするから、一定の期日を賦課期日と定めまして、重複をできるだけ避けようという從来からの規定趣旨を踏襲いたしておるわけであります。本年はこの六月一日を八月一日にすることは、先程読み返しましたときに申上げたものでございます。  それから納期でありますが、これは七月、九月、十二月及び二月というのを、所得割についての納期にいたしましく、均等割の方は一回に納めた方が適当であろうということで、七月中にこれを納めるということにいたしております。併し條令でこれと別の納期を定めてもいいわけでございます。本年におきましては、この納期につきましても、訂正をいたしまして、均等割は九月中ということにいたしております。  それから市町村民税の徴收の方法でありますが、これは徴税令書を出しましてとるところの普通徴收の方法による建前にいたしております。  尚三百二十一條は市町村民税を納期前に納付いたした場合、すでに納期の到来いたしておりますものと、更に将来納期の到来いたしますものと併せまして納付をいたしましたような場合におきましては、税額の千分の五に納期前に係る月数を乘じましたものを、一種の報奨金として交付する、こういうことを考えておるわけでございます。これは固定資産税と両方について特に今回新しく考えられた制度でございます。  それからその次は納期限の延長「(市町村民税減免)」、これは先般来たびたびお話を申上げたところでございます。  尚三百二十五條は、「(所得税に関する書類の供覧等)」ということで、市町村長か税務署等におきまして、所得税に関する書類の閲覧をさせたり、記録をさせたりすることができまするように、税務署に対しましてそういう義務をこれは規定をいたしたのでございます。  その他三百三十六條は延滯金の徴收、三百二十七條も同様でございます。  三百二十八條は違法又は錯誤に係る市町村民税の賦課の救済の規定でございます。これも從来と同様でございます。それから第五款の督促及び滯納処分、督促はすでにいろいろの例について申上げたのとみな同様の規定でございます。  それから序に第六款の犯則取締でございますが、これも国税課税に関する犯則事件ということで、国税犯則取締法の規定を準用いたしておりまして、これも從来の申上げたのと全く同一でございます。
  118. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今説明を求めました第四款乃至第六款につきまして御質疑をお願いいたします。
  119. 石村幸作

    ○石村幸作君 減免の点ですが三百二十三條の「その他特別の事情ある者に限り」という字句ですが、これは町村長がどの範囲でやつていいか、その範囲は決つておりましようか、それとも町村長の任意によつてよろしいのでございますか。
  120. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 町村長の全くの任意でいいわけでありまして、一例を挙げて言いますと、引揚げて来た人達につきましてもこの「特別の事情」の中に入れても差支えないわけであります。全くの任意であります。
  121. 石村幸作

    ○石村幸作君 念のためにお伺いしますが、戦災遺族或いは今の未帰還者の家族、そういうふうな者に対して均等割全額を免除する、こういうふうな実例があるのですけれども、これはよろしゆうございますか。実は神奈川県で最近に市町村長の決議によつてそれだけは免除しようということになつたのですけれども、新税法が公布されないためにそのままになつておりますが、こういうことは差支えございませんか。從つてこれが市にも波及するわけです。
  122. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 勿論差支えございません。ただ戦争未亡人の気の毒な状況から考えまして、特に寡婦については課税できないというふうな規定も置いておるわけであります。法律上に若干の例外はございます。
  123. 石村幸作

    ○石村幸作君 こういう場合に條例を作りますか、それともただ議会の承認でよろしゆうございますか。
  124. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 寡婦に対して課税することはできないというふうな規定に該当いたしますものは、條例も何もいらないと思います。ただ法律上は課税できるものを課税しないとお考えになります場合に、一般的に課税を除外しようとされます場合には、第六條のところであの規定を引用して課税除外してよろしいと思います。尚條例の上では課税されるけれども、個々について減免をして行きたいというふうに考えられます場合には、やはり個個に議会の議決を経て減免する措置をおとりになればよろしいと思います。
  125. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この三百二十四條の「三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金」というのは、最低均等割の四百円についての不正がある場合にでも適用になることはあるわけですか。
  126. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 從来は罰金額の五倍以下でありますが、五倍以下ということにしておりました。從いまして……罰金額ぢやありません。脱税額です。五十万円でございますと、二百五十万円以下で課税されるということになつたわけです。そういうものを軽減いたしますために、こういうふうに絶対額を基礎とする制限規定を置いたわけなんでありまして、大体税額或いは税種の性格等と睨み合いまして、こういう額を示しておるわけでありまして、所得税でありますと、確か三百万円か何かではなかつたかと思つております。大体それぞれの税種によりまして区分は設けておるわけであります。
  127. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さつきも申しましたが、自転車税の質問検査の件では、六ケ月以下五千円以下の罰金となつておる。それから昨日来審査した税種目では、一年以下一万円以下とこうなつておる。これを比較して理由を考えて見るのに、自転車税はたつた二百円だから罰則も半分にして、六ケ月の五千円だというふうに考えたのだということしか理由が認められない、そうすると罰の何と申しますか、量というものは、金額の如何によつて決めたものではないかというというふうに考えられるのであります。そうしますと、市町村民税のところだけ所得制の高額の脱税があるからとはしても、あまりに広汎な階層のものを十把一からげに、三年以下百万円以下の罰則の適用というのは、表現上からいつても、均衡を失するのではないかというふうに考えられるのですが、第一の質問は、僅かな金であれば、罰は低いですが金が高いから高いのだとこういう考えなのか、第二は均衡上の問題。
  128. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) いろいろ御指摘でございますが、この自転車税の方は、これから申上げるわけでありまするが、四百五十二條に脱税の罪は一万円以下の罰金ということであります。この一万円というのは、例えば一人が一台持つておる場合には勿論問題がございませんが、会社等で数十台持つておるというような場合におきましては、こういうようなものがやはり動いて来るわけです。それで先程、奥野政府委員から申上げましたように、從来の刑法におきましては、適脱する額の五倍ということで、抑えておつたものであります。ここで最高を抑えておりまするから、上の方はいろいろ千差万別いろいろあつたわけでありますが、それとそれぞれの税の税金額実情に合いまするように、ばらして規定しましたわけでありまして、市町村民税につきましては、所得割等につきましては相当高額のものがあり得るわけでありますから、それで百万円というところで抑えたわけであります。均等割の場合も一応その下の中に入つて来るわけでございまするが、これはまあ検察当局なりの運用の方針の問題に帰するわけでございますけれども、そう非常識な取締りということは、これはあり得ないものと、かように考えておる次第であります。
  129. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よく分りました。そこでここには関連がないと思うが、質問検査権の方は、それの罰則は、普通の方のものは一年以下一万円以下となつておる。自転車税だけは六ケ月以下五千円以下となつておる。これは税額が低いからだということしか理由を認めることができないのですが、そういう簡單な理由を以て、こういう罰則というものを決めるのが原則となつて、この法律ができておるのかどうかお伺いします。
  130. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはやはり全体として税法に対する違反は、経済違反といいますか、経済行為が一定の法規に反した場合の罰でございまして、從つてその経済違反としての情が重いか軽いかということは、結局その逋脱する金額が、原則として非常に多いものであるか少いものであるかということを建前にしておるわけでございまして、只今お考えの通りに、そういう見地から同じ検査拒否の罪につきまして、段階を設けておる次第であります。
  131. 石川清一

    石川清一君 第三百二十一條の三項の報奨金でございますが、総額の何割位まで奨励金を目当に納入されるか一つ承わりたい。
  132. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) まあこれはちよつと何割位という見込に自信を持つたことは申上げられませんので、非常に遺憾でございまするが、まあ実際問題としては、非常に少いのではないか、幸いこういうようなことによりまして、非常に納税成績が向上するというようなことでありますれば、更に例えば税額というようなものにつきましても、奬奨金の額というようなものにつきましても、再検討を加えることもできまするが、あまりこれが非常に多くなりますということは、税という一面の考え方からいつて、如何なものであろうかということで、場合によりましては、一応千分の五ぐらいか大体四分程度のところで、最高四分ぐらいのところで抑えて行きたいと思います。
  133. 石川清一

    石川清一君 四分ですか。
  134. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 納期前に係る月数というものと税額の千分の五というものとプラスして、両者から弾き出して参りますと、大体一番高い場合で、非常に後の方の納期の分も一番初めに納めたというような場合においても大体四分程度が最高のような計算になります。
  135. 石川清一

    石川清一君 私の尋ねておるのは、総額の中の何割くらい納入されるかということ、苟くも次長が千分の五という予定の数字を挙げておる限り、何割が納入されるか、いい加減、面白半分に書かれたのじやないと思うので、大体総額の何割ぐらいと押えておるのか、それをお聞きしたい。
  136. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 誠に御尤もな御質問でございまするが、これは何分新らしい制度を今回布くことになつておりまするし、市町村実情等によりましても、尚いろいろと異つた面もあろうかと思いまするので、予め全体の額の何割程度ということを申上げかねるのでございますが、私の考えから申しますると、一体一割ぐらいは出て来やしないかと、こういう、一応の考えでございますので、これは決して正確な数字でないことを予め御了承願つておきたいと思います。
  137. 石川清一

    石川清一君 その一割は、一体どの層、どの層と申しますのは、農業者か、或いは給料生活者か、或いは中小業者か、或いはその他の階級かそれを承わりたい。
  138. 小野哲

    政府委員(小野哲君) これはひとえに納税者の御協力の程度如何んでございまするので、農村の方々も非常に御熱心な方は、こういうふうにやつて頂けるものではないかと実は想像するわけでございます。從いまして、どの層かということは、これ又確言はいたしかねますが、恐らくそれぞれの所得のまあ少い方々でも、却てまじめにこういうふうな措置をお取り願えるのではないかと、かように想像をいたす次第であります。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第三百十九條ですか、所得割は七月、九月、十一月、二月そうして均等割は九月、そうすると九月だけが両方ダブつておるのですが、そうですか。
  140. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは均等割額だけを、ここにございまするように、均等割額によつて課する市町村民税のみを納付する義務があるということであります。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のは取消します。
  142. 石川清一

    石川清一君 只今の報奨金ですが、少くも政府が成文化する上は、やはり納税する一つの層を目当にしまして、これが奨励金というものは罰則と或る程度見返りをしまして、相対的な立場を以て、これで以て知合納入という方向へ誘導して行くという一つの理論的なものも持つておらなければならんと思います。併し只今の御答弁を聽きますというと、非常にうわついておるようなんで、少くももう少し、二、三割かというようなことを科学的にお考えになつたか、ならないか、ただこれで満足しておるかお尋ねをいたします。
  143. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この趣旨は、むしろ少額のものにつきましていろいろと両者に手数がかかりまして、却て迷惑をかけるので、そういうものなら一度に納めて頂く、こういう趣旨を持つておるのであります。むしろ大きな額でありますと、却てそういう千分の五程度の報奨金で、高額な税金について先に納めて頂くことを期待するにしては、ちよつと報奨金が少な過ぎるじやないかと思います。そういうわけで、この規定趣旨はなるべく双方に手数を省いて行きたい、かたがた報奨金を或る程度交付して行く、こういう考え方であります。
  144. 石川清一

    石川清一君 何でもないようでございますけれども、これを、報奨金制を採つたということは、非常に大きな町村間においていろいろな問題を起して来ると私は想像します。昭和二十四年度においても、村民税の場合に、報奨金をつけた村があるやに聽いておりますが、非常にデフレが深刻になつて参りまして、農家の、或いは一般国民の資金の金融が非常な膠着状態に入つて参りますと、国税、地方税、市町村税という三つが納税を、いわゆる納税に対する競合的な立場をとると思いまして、この場合に町村は、先ず自分の税收入だけ確保したいというような姑息的な考えにならないとも私は限らないと思います。このような場合に、町村がこれ以上の額を相当多く見積りまして、納入させるために、奨励金制度を採る場合には、自治庁はどういうふうにお考えになりますか。
  145. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今御指摘になりましたような心配もございますので、この法律におきましては、その報奨金の額も税額の千分の五というふうに決めておるようなわけでございますので、御了承を願つておきたいと思います。
  146. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に市町村民税について御質問ございませんか。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後に市町村民税全体について、あらゆる税種目から見て不均衡のないように措置しているのだという御説明でありまするが、具体的に或る町に大工場を持つて、そこでは固定資産税、或いは法人税等を莫大に徴收するかために、こういう市町村税課税率はあつても、極く零細な住民税を課して間に合うという町があり、それを取り巻く隣の村々は何らそうしたものを持たないが故に、標準税率以上にも住民税をとらなければならない、こういうようなところがあれば、現実に各住民は目に見えて村が違い、町が違うがために、これだけ不均衡なものがあるということを身を以て感ずるわけなのです。こういう点の不均衡はやはり前々からも申上げるように、一つ一つ市町村の中においてできる限り公平な課税になるようにしなければならないじやないかというふうに思われるので、その点から言うと、非常に住民税自体の中にも相当な不均衡があり、他の税目から見れば、尚町村間の不均衡というものも生じて来るので、この点は一例として申しましたが、一概に均等割はこれだけである、或いは所得割は百分の十八であると決めたからといつて町村間でその住民の課税金額が大きく違つて来るというところに不均衡なところがあるということを指摘したいのであります。そういう点でもつと住民税については考慮を拂つて頂かなければならんのじやないか、最後に意見を申上げておきます。
  148. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは市町村民税を終りまして、時間が少し遅れますけれども、予定がございますから、第二節を飛ばしまして、第三節自転車税に移ります。政府委員説明を求めます。四百二頁。
  149. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 自転車税でございますが、四百四十二條でございます。これは大体現在各府県でやつております條例等の規定等と睨み合せまして書き上げて参つたものでございまして、自転車に対し、その定置所所在の市町村において、その所有者に課する。第二項は、所有者が税を課し得ない場合におきましては、使用者に課する、こういうことであります。それから四百四十三條は、非課税範囲を書いているのであります。四百四十四條におきましては、税率規定をいたしているのでありまするが、これは大体全国的に申しますと、三百円ぐらいのようでございますが、やや低目に押えまして、年額二百円ということにいたしている次第でございます。賦課期日は四月一日ということにいたしております。尚徴收の方法は令書を発行する普通徴收の方法であります。尚自転車税の客体を明確にいたしまするために、市町村におきまして條例を設けて、一定の事項を報告をさせるようにいたすわけであります。その他の規定は大体他の各税について申上げましたのと同様でございまして、納期限の延長とか、自転車税の減免というようなものが四百五十二條、四百五十四條にございます。その他は督促の関係、延滯金の関係、滯納処分の関係、いずれも他の税と、同様でございます。
  150. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  151. 竹中七郎

    竹中七郎君 甚だ変な質問のようでありますが、第四百四十三條の非課税範囲、これはまあ我々の考え方によりますと、專売公社とか日本国有鉄道というものは一つ政府の機関じやない、こういうものは独立採算制を採つて行くものである。これには課税しない、こういうようなことを書いてありますが、自治庁の方面におきまして、市町村その他のところから若しとつたならば、どれくらいとれるか、この問題を御研究になつたことがありますか。全国で全部とつた場合、專売公社も、市町村も全部……。
  152. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この国鉄に対しまして一番多いものは固定資産税でございますが、それから附加価値税、或いは市町村民税均等割というようなもの、そういうものを勘案いたしまして、全体として約百億程度の額になると思います。これを非課税にするかしないかということにつきましては、政府としてもいろいろ考究いたし、関係方面とも連絡をしたわけでございまするが、国鉄につきましては、先年のマッカーサーの書簡によりまして從来政府組織の中から離れました公共企業体という形になつたわけでございまして、そういう沿革等に鑑みましてこれを非課税といたしておる次第でございますが、今後の問題といたしましては、全体の非課税範囲をどういうふうにすべきかという問題の一環といたしまして研究をいたして行きたいと存じます。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 簡単に申しますが、この樹転車税は一言にして云うならば、惡税である。少くとも非課税範囲相当な利益を目標とする專売公社、或いは国鉄が事業のために使用する自転車に対して課税しない一方、勤労大衆、特に住宅の沸底しておる今日において通勤のために、生活のための足である自転車そのものにまで税を課けるということは、論理的にいうならば、生活程度を切り下げて行けというようなもので、こういうものを非課税範囲に繰入れ、そして事業を営んで利益を得るという範囲の自転車に課税するというならば幾分は分るのですが、そうした前に申したような通勤等の必要のための自転車にまで課税をするというふうな点はどうしても承服できないのですが、これをなぜ非課税にしなかつたか、お答え願いたい。
  154. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この自転車税或いはこの次に荷車税等がございますが、これはお話のような場合、殊に自転車税につきましては、通勤者等につきましては事情によつて非常に気の毒な場合もあろうと思います。そういうふうな場合に非課税減免規定運用によりまして各市町村が適当に処置をすることは勿論可能であるわけでございまするが、自転車税自体の問題につきましても今後の問題として政府も更に研究いたして行きたいと思いますが、ただいろいろ道路維持というような関係と、市町村との利益関係もございまするので、一応自転車税、或いは荷車税というものも法定税目の一つとして考慮いたしておるような次第でございます。
  155. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは次に……。
  156. 石川清一

    石川清一君 これは成文の上から見ても「異議の決定に不服がある者は、裁判所に出訴することができる。」と書いてありますが、二百円の現在税金で出訴をする人は恐らくないと思うのですが、こういうようなことは実際考えて見てもあり得ないことだと思うのですが、法の建前上こういうことまで一台二百円と限定していながらこれは書かなければならないものですか。
  157. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先程もちよつと申上げましたように、会社等で数十台、或いは数百台というような多量の自転車を持つておるようなところもあろうと思います。そういうようなものにつきましてその台数の計算等について不服があるということもあり得るわけでございます。
  158. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に移ります。第四節荷車税。
  159. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これも大体構想といたしましては自転車税と同様の建方でごいざます。四百六十六條に税率が書いてございまするが、これも大体現在の市町村実情基礎にいたしましての標準額でございます。賦課期日は四月一日ということであります。その他は大体自転車税と同様でございます。
  160. 竹中七郎

    竹中七郎君 賦課期日ですね。この問題についてはまあ非課税にせられるということでありますが、大体何と申しますか、標章ですが、納税標章というもの、番号札を付けますときにおきまして番号札として市町村が四月一日以後に加入した者に付ける、手数料として相当のものを取るということはできますか、できませんか。二百円を百円か、或いは五十円にして取れないか、これは本当の値段ならば二、三十円かも分りませんが……。
  161. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お話になりました番号札をどういう見地から付けさせるかということが一つの問題になるわけでありますけれども、自転車を持つておる人達がそれを紛失した場合に発見しやすいように、そういう見地から、各自転車に対して番号をつけさせるという條例を作ることが可能であるわけであります。その條例に基きまして実費弁償的にその番号の札に要する経費を徴收するということはこれは差支えないと思つております。
  162. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 やはり荷車税も自転車税同様に惡税であると申上げて置きます。
  163. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問がなければ次に移ります。第五節、電気ガス税。
  164. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 電気ガス税につきましては、大体現在府県市町村で本税賦課税という形で取つておるわけでございますので、これを更に正確にここに規定をいたした次第でございます。何と申しますか、四百八十七條でいわゆるみなす使用と申しますか、四百八十六條の料金をの課税標準としてその使用者に課するという原則に対しまする例外といたしまして、共同住宅等につきましては貸主が使用するものとみなして、貸主に課すということ、或いは第二項では、電気事業者、ガス事業者が他人に使用させる場合においては電気事業者、ガス事業者に課する、こういうような從来からの規定でございますが、第三項で電気事業者でないもので、みずから発電するもの、その自家発電に係る電気を電気事業者でないものに使用させる場合には、自家発電者を使用者とみなして、これに課税する。その場合に課する課税標準は四百八十八條に書いてございますが、こういうことが電気につきましては、自家発電につきましてもこれを、電気ガス税を課けておるわけでございます。ガスにつきましても製造工程等におきましてガスを自家用に作る、それを又更に生産の過程で使つておる こういうようなものにつきましては、從来課税をしておつたわけでございますが、これをこの三項におきましてはその点を落しまして、從つて自家製のガスを自家で使う場合におきましては、これに課税をしないというふうにいたしたのであります。  それから第四百八十八條は今申上げましたような場合におきまする料金の課税標準をどう取るかということでございまして、通常自分で使う場合、或いは他人に料金を徴收しないで使う場合の課税標準といたしましては、使用者が通常支拂うべき料金の相当額ということで行こうということであります。  第四百八十九條の電気ガス税の非課税規定でございまして、これにつきましては衆議院等におきましてもいろいろ御論議がございましたが、大体の考え方といたしましては価格調整金を交付しておりまする、そういうような価格調整のございますものにつきまして先ず第一に考えておるわけであります。殊に価格調整金を交付しておるようなものは税が殖えまするならば、或いはそれだけ調整金を殖やさなければならんというような問題も起るわけであります。そういう価格調整がありますものを、先ず第一に優先的に考えるということであります。第二は重要産業と申しますか、基礎産業というようなものではアルミのようなもの、或いは重要産業として法人税法等で規定せられております金というようなもの、こういうようなものにつきましても第二次的に非課税範囲に取上げております。それから更にこれらのそれぞれの単位生産費中に占めまする電気なり、ガスなりの料金というようなものがやはり相当程度高いものというものに限つて非課税範囲に取入れておるわけでありまして、政府といたしましては大体ここに規定をいたしておりまするようなものを、今申上げましたような原則に適合するものとして、非課税範囲を定めたような次第でございます。  それから電気ガス税の税率は、四百九十條にございまするが、これは固定税率と申しまするか、一定税率と申しまするか、百分の十ということでこれは規定をいたしております。  徴收の方法は四百九十一條にございまするが、これは特別徴收の方法によりまして、結局電気事業者、ガス事業者というものを特別徴收義務者に指定して取るようにいたしておるわけであります。その点は四百九十五條に特別徴收義務者の指定の手続その他が規定をいたしてございます。  その他の点につきましては、特に他の税と変つておる点はございません。特別徴收では同時に特別徴收義務者が申告納入をいたすことになつておりますが、この点は入場税とか、遊興飲食税等において申上げましたのと同じ手続でございます。大体以上でございます。
  165. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問をお願いいたします。  尚申上げますが、これは地方財政資料といたしまして百五十五号、百五十九号としてお手許へ廻しました日本北学工業協会、日本鉄鋼連盟、日本鉱業協会、セメント協会、日本ソーダ工業会、金属ソーダ懇話会、そういうようなものから当委員会に請願書が出ております。これは細かい表を付けておりまして、政府非課税範囲について不公平なところがある、だからそれを訂正して貰いたいという請願の趣旨であります。お手許に廻つておりますから一々申上げません。セメントやソーダなんかも非課税に入れろ、こういうことであります。それからこの外に全国の四地区、即ち全九州、中国五県、四国四県、北海道、その全国四地区の電力需要者協議会というものから、電力税の適正賦課に関する陳情書というものが出ております。これは電気税は從来の標準税率、最高限度府県税が百分の五、市町村附加税が百分の五というのが法定税率百分の十に改められる。かくては税率の引上となる地方を生ずるのみならず、昨年十二月十三日改訂の電気料金によることとなるゆえに大なる不均等賦課となる結果である。それであるから事実上電気料金の値上となる電気税のごときは廃止さるべきものと存じますが、早急に実施困難なれば改正を加えたい。それは電気消費料一キロワット時何銭と、全国民一率の負担とするのが至当である。こういう陳情が参つております。これに対して政府の見解を御説明願います。
  166. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 電気ガス税のこの非課税範囲につきましては、いろいろ御議論が各方面にありますることは私共も承知をいたしておるのでございまするが、その非課税範囲の選択の更新といたしましては、先程申上げましたように、価格統制がありまするものや、或いは非常に基礎的な産業に該当するものでございまするとか、又はこれらの單位価格中に占めまする電気ガスの料金が非常に高いというものを押えた次第でございまして、そういう見地から調整をいたしたつもりでございます。尚只今お話の電気の税率を法定の一定の税率にいたしましたために、從来これよりも低い税率をとつておりましたところが非常に高くなるというような点から、一キロワット時幾らといういわゆる從価主義でなく從量主義で電気ガス税をかけたらどうかというような御意見と拝承いたしましたが、この点につきましては、将来の問題としては政府としても研究を重ねて参りたいと存じまするが、從量主義でとりますることが徴税技術の上で直ちに可能であるかどうかというような点も、更に研究を要するものと考えております。併しながら電気ガス税自体といたしまして、これは一面におきましては大衆が電気ガスを消費いたしまする面の負担になりまするとともに、又各種の基礎産業に影響をいたしまして、産業政策の面からもいろいろ問題があるわけでございまして、税收自体といたしましては良質の税收とは申上げ得ないかと存じまするが、現在の地方財政計画の上におきまして電気ガス税につきましては、五十数億を予定いたしておるような状態でございまして、逐次事態が改善をされましたならば、税率を軽減し或いは徴收の賦課の方法に改善を加え、或いは将来はこういうものを廃止するというようなことが望ましいと存ずるわけでございまするが、現下の段階におきましては、以上申上げましたような意味におきまして、これをやはり継続して参りたい、かように考えておる次第であります。
  167. 石川清一

    石川清一君 この中で価格調整補給金を貰つておる産業はどれとどれですか。
  168. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 三号の鉄鉱関係は補給金が出ております。それから十三号の方の肥料関係についても出ております。後小さいもので若干出ておるかも知れませんが、現在においては非常に整理されて参りましたので、その程度になつております。
  169. 石村幸作

    ○石村幸作君 從来においても住宅用に免税制度があつたようでしたが、これにはありませんか。
  170. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 国税の電気ガス税自体には、むしろ工業用は全部課税いたしませんで、住宅用についてだけ課税しておつたという時代がございます。反対の場合はちよつとないのではないかと思います。
  171. 石村幸作

    ○石村幸作君 府県税ですね、この場合免税制度がありますか。
  172. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 電気ガス税が法定されます前に、府県でそれ以外の特別税として電気ガス税を課しておつた時代がございます。このときには、府県におきましてはそれが非常に区々でございました。或る種の社会政策的な意図から電気ガスの料金が一定額未満のものには課税はしないというような方針をとつてつたところもございます。その際に配電会社としては、そういうむずかしい規定を置かなくては徴收ができないというようなことで、いろいろと争いのあつた問題でございます。
  173. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この免税の範囲ですが、四百八十九條に挙げてあります業種は大抵採算の合う有力な産業ばかりなんですね、最も経営難に脳む中小企業の電力事業が当然私はこれに入るべきだと思いますが、どうでしようか。
  174. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この電気、ガス税についてはいろいろな見地から非課税範囲が決定されて行くだろうと思います。先程次長がお話されましたような趣旨で、この免税規定が生まれて来ているわけでございまして、社会政策的な見地を加味して行きますと、むしろ先程もお話がありましたように、住宅用の中の更に少額資本のものについて、課税除外の規定を置くべきだという考え方もあるだろうと思うのであります。從いまして、これは電気料金もだんだんと高くなつてつて来ておりまするので、そういう意味合におきましては、この電気、ガス税はむしろ税率を引下げる。更に将来は、こういうものは全廃してしまうというようなところに漸次改正をして行かなければならないのじやないかというような考え方をするのでありまして、現在のところこの課税以外の規定を社会政策的な見地から置いているのではなくて、むしろ産業政策的な、財政政策的な、両方の見地から置かれているというふうなことになつておりますので、多少御意見に即応しない点が見受けられることになるだろうと思います。
  175. 石川清一

    石川清一君 この課税の標準から見ますと、早場米の奨励金を今日まで出しておりましたが早場米奨励金も、又早場米の供米に要する電力に対しても、これは非課税とすべきが、この一連の中に加えられて正しいと思われるのですが、これはどういうようにお考えですか。
  176. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 大変くどいようでありまするけれども、もう一遍この電気、ガス税を法定いたしまして、こういう非課税規定を置いた根拠から申上げさせて頂きたいと思いますの第一には当時電気料金というものが、電気、ガス料金の統制の関係から非常に低額でございました。そこで一種の消費規正的な役割を電気、ガスに持たしたいという意向を一つつております。もう一つは他の物資の製造に対して、電気、ガスを非常にたくさん使う。そういたしますと、如何にも原料課税のような形になつて参るわけでありまして、或る極の製品についてだけ、原料に対する課税を特別に設ける。外の原料につきましても、全体的に或る種の税を負担させるなら話は別でありますけれども、たまたま電気、ガスが原料になつているものについてだけ原料課税が行われる。かれはやはり不合理ではなかろうか、こういう考え方が一つで、ございまして、電気、ガスの料金というものを、その種の製品の製造にたくさん使うようなものは除きたい、こういう考えでございます。  第三には成る種のものにつきましては、料金を抑えている関係上、料金が経費以下になつてしまう。その際に更に電気、ガス税という経費を加えますと、自然経費とその価格との間の差が大きくなりますので、補給金を余計交付しなければならない、そういたしますと、地方財政で徴收したものを、国庫財政で、価格差補給金という恰好で交付して行かなければならない、価格差、こういうことになります。これも不穏当ではないか、こういうのはいろいろな見地からこの非課税範囲か設けられたわけであります。併しながら私が申上げましたような理由が、第一には電気料金が相当高額になつてつて来ております。もう一つは価格差補給金が打切られて参つております。漸次電気、ガス税の方法に改正を加えて行かなければならないと思つております。将来の改正の方法としては、むしろ非課税範囲をなくなして、電気、ガス税の税率を引下げて行く、更にもう一歩進んで、他に適当な財源を見附けてこれを廃止してしまう。そういう方向に順次改正を加えて行けば、社会政策的に好ましくない点も沢山あるわけでございますけれども、個々に更に非課税範囲を区分して参りますと、実際問題として徴收に非常な困難を来たすだろうと思います。配電会社がどうやつて区分して行くだろうかということであります。その程度の課税でありました。除外の範囲というものが割合限られたものになりまして、それこそ徴收上困難を来たすわけじやないか、それを更にもう一歩細かな業種につきまして、いろいろな範囲に広げて行きますと、実際問題として徴税事務に非常に経費を食うことになるのではないかというような考えを持つておりますので、大筋としては私が今申上げましたような方向に漸時改正を加えて行くことが穏当ではなかろうかというふうな考え方を持つておるわけであります。
  177. 竹中七郎

    竹中七郎君 私はちよつと逆なような考えを持つております。この度の税制というものは、地方の方へ成るべくたくさんやつて地方の財政といいますか、自治体自体のいろいろな強化をする、そのときにおきまして、私はこういうものは自治体の方でとつてもいいのではないか。そうするというと所得はそれだけ少くなる。それで所得税の方で減免すればいい、こういう考え方を持つておりますが、この点をちよつとお伺いいたします。  もう一つは、実は戦時中に、或いは電力の統制時代におきましても、こういう工場は非常に使う、こういうわけで、而もその石炭生産に使うものじやなくて、外の事務所その他の方でじやんじやん使つてつたのです。我々のところでは、電力がなくて困つているのにじやんじやんやつている。そういう面に、こういうものが今度免税になりますと、いわゆる家族的といいますか、生産以外のもので相当使うものまで免税になつてしまう。そういうことになつてしまう。その取締りはどういうふうにするのですか。それから全部石炭業者なら石炭製造とか、こういうものならば全部非課税にする、こういうことになりますか。その点をお聞かせ願いたい。
  178. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 根本的に若し国際間に自由に取引が行われるというようなことになつて参りますと、原料品に対する課税というものはなるだけ止めた方がよいのではないかという考え方が一つ立つだろうと思うのであります。そういう意味から考えますと、工業用の電気ガスについては、全面的に課税をしないということが穏当ではなかろうか、こういう考え方があるわけなんでありまして、そういう見地から、或る時期におきましては、工業用の電気やガスは全面的に課税しないという方針をとつてつた時代もあるわけであります。その意味におきましては、私は将来工業用の電気ガスに対して税金をとつて行くことはどうであろうかということを考えております。  それからもう一つは、今お話になりました奢侈的な面について、或る程度の課税をした方が穏当ではないか、これは誠に御尤もだと思うのでありまして、ただそれでは一体そういう線をどこで引いて行くか、こういう問題になるだろうと思うのでありまして、例えば一戸あたりどれ以上使つておる場合は税金をとるということにいたしましても、個々の家庭には世帶員の多い家庭も少い家庭もございます。いろいろむずかしい問題がございますので、社会政策的に線を引くといたしましても、実際徴收する場合に果して可能であるかどうかという問題もあるわけでございます。それで更に遡つて考えますと、電気事業というものは公営であつた時代には、例えば生活保護法の適用を受けている人間については、電気料金を安くするということを講ぜられていたときもあるのでございまして、その電気料金そのものに社会政策的な意図を加えて行くというふうな方法もあつたわけでありますが、非常にむづかしい問題がこの中にたくさん包蔵しておるだろうと思います。
  179. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いろいろお話はありますが、この税率でも、工場の電気料金、或いは一般住宅の電気料金が違う、或いはブロックごとに電気料金が違つておるのじやないかと思いますが、同率で課税せられることによつて不公平を生じはしないかと考えるのですが、如何でありますか。
  180. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そのことに関連するのですが、中国は全国で最高の電気料金です。政府の改訂によりまして、鳥取県だけで、一億八千万だつたのが三億もになつたのです。中国が大体全部最高なんです。それに又最高の電気ガス税がかかるということになりますと、これは非常に中国には該当したような免税範囲事業が非常に少い。電燈料金が高くて、産業の発展に非常に影響しておるのに、同じ税率つたら、更に税金の圧迫が加わる。そういうことから只今委員長の言われたような適正化の問題が、特に中国で起つておる。一つ小笠原氏の質問と併せてこの問題を……。
  181. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その御指摘の点は各ブロックごとに電気料金に相違がある。殊に中国九州等におきましては電気料金が比較的高く定められておるということは御指摘の通りであろうと存じますが、從いましてそういう料金を基礎にして一定の率を課けますると、それだけ高いということで、これは産業政策等から考えまして、適当でないということは御指摘の通りだろうと思います。そこでそれに代る方法としては先程お話がございましたごとく、一キロワット時幾らというような從量主義の課税ということが考えられるわけでございますが、この点はまだ私共も更に研究をいたしたいと思いますけれども、配電会社等におきまして、そういう形において税金を特別徴收をするということが些か面倒でありはしないかというようなことを考えておりまするが、尚私共といたしましても、若しもその徴收の点につきまして何ら困難がないことでございまするならば、從価主義よりも、從量主義の方が税総額に変りがない限り合理的であろうといえると思います。そういう意味で私共は今後研究を進めて参りたいと思いますが、目下の段階におきましては、まだ從量主義に切り換えるだけの研究の段階に到達しておりませんので、從来の状態を今暫く継続して行きたい、かように考えておる次第であります。
  182. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次にこの非課税の問題ですが、産業部門についてのみこの非課税範囲が立法化せられておるのですが、金額的に小さな問題でも、やはり国の法律としては相当非課税範囲というものを挙げておかなけりやならんという問題になる点があるのではないかと思います。例えば学校、研究機関等の実験研究に要する電気、ガスについては免税にするとか、或いは生活困窮な者、或いは電力量の使用程度如何によつては段階を設けるとか、いろいろそうした方面が勘案されてよいのではないかと思うのに、この部面では産業経済上の部面だけを考えて、範囲としているのは片手落ではないかと私は思うが如何ですか。
  183. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 御指摘のようにこの四百八十九條に掲げられております非課税範囲を御覧になりますると、只今お話のような御意見も出るかと思うのでありますが、或いは又先程来社会政策的な見地からの御意見もございまするし、いろいろの観点からの批判ができると私も考えます。そういうふうな点もございますので、地方財政委員会におきましてこの問題を十分に検討することが必要である。目下検討を進めようと準備をいたしておりますが、その上でその結果を次の通常国会に報告をいたすことに相成つておりますので、今暫く地方財政委員会の研究の結果をお待ち願いたいと思うのでございます。  ただ電気、ガス税のごとき税を今後どう持つて行くことが一番よいか、言い換えればこれは消費税でございますので、さような税の性格から考えますと、或いは税率をできるだけ引き下げることによつて、その負担を公平にして行くということも一つの方法ではないかとも考えられるのでありますが、これは税收額が現在の地方財政の実情と考え合せまして、今後の問題として更に研究を進めて参りたいと思つておるような次第でございます。
  184. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先の電燈料金の地域差から起る問題なんですが、そういうことは税率について地方の実勢を認めんというこの法案全体を貫いたことから起る弊害だと思う。どの府県でも十分の一、百分の十という規定を、これは地方自治の本旨からも非常に反するという点が全部貫かれておる。私の調査では、中国地帶は、関東、北越のように電燈の安いところに比べれば、二、五倍以上です。そうしますとそれだけでもつて産業の重圧になつており、更に電燈料金がそういうことになると非常に因るのです。從量制なんということよりも、百分の十に定めることに私は現在の事態が適応せん非常に無理ができると思うのです。この点を一つ早急な課題として取り上げて貰いたいのですがね。
  185. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これをなぜ標準税率にしなかつたのでしようか。
  186. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御承知のように電気ガス税は配電会社が徴收するわけであります。配電会社は業務担当区域にいたしております。業務担当区域というものは必ずしも市町村の区域そのまま合致しておるわけではございません。そういたしますと町村間に跨つておるものにつきまして、或る分については税率を五%なら五%にする、或る場合には一〇%で計算するということが事実不可能に近い。どうしても業務担当区域を一つの区域にせなければならん。簡単にできるかというと、配電会社の営業上の面からそう簡単にできないわけです。そこでやはりどこの地域でありましても、税率は別に計算して行くというふうな方針をとりまして、その結果得られた收入を分けて行くより仕方がない。こういうようなことから止むを得ず税率を一定したわけであります。
  187. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 町村間ではそういうことがあるわけですが、これは政府が昨年電燈料金をブロック別に裁定された際に、この成案ができるときにやつておるのですが、ブロック別の税率の差をつけたら、この負担均衡というものは是正されると思うのですが、町村間ではできにくい。ブロツクにしたらブロックは一定ですから、ブロック別に税率相当……。
  188. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御指摘の点は正に中国ブロックなら中国ブロックで一つの料金を取つておる場合には、そのブロック内の全市町村が同一の税率ということになればいいわけでございますが、何分これは徴税主体が各市町村でございますから、これを標準税率とかいうようなことにいたしますと全くばらばらになつてしまいまするし、今の御指摘の点をどういうふうにしたら調整が図られるかということは、先程お話の從量課税の問題とも絡み合いまして今後研究して参りたいと思います。
  189. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この税率を大体全部一定にしておるのは、電燈料金のような地域別になかなかむずかしいあれですけれども、木材引取税なんかですと、その地域々々、町村別の実勢を認めてもいいのですが、大体全部をそういう線で割切つておる点はどういう意味ですか、シヤウプの勧告の趣旨は。僕の考えでは……。
  190. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 一定税率を認めておりますのは、特権税に属します鉱産税、鉱区税、狩猟者税であります。それから電気ガス税と非常に高率な課税をしております入場税、それだけであります。
  191. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは第六節に移ります。鉱産税。
  192. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 鉱産税でございますが、鉱業につきましては附加価値税なり、事業税なりから外しまして、これを別箇に鉱産税という形で税を課するようにしておるわけであります。現在の鉱産税と大体同じようになつて参るので、ございましてこれは現在府県が千分の四、市町村が千分の六の税率を標準税率にいたしておりまするが、これを合せまして百分の一ということにいたしておるわけであります。尚基礎的な物資でございまするので、標準税率のままにして置きまして、余り高下がありましては適当でございませんので、特に上の方を百分の一二を超えてはならないという制限税率を設けた次第であります。その他特に変つた点はございませんが、五百二十三條の法人代表者等の自署及び捺印の義務であります。これは鉱産税の申告納付の制度をとつておりまして、その申告につきましては、法人代表者等が自署し捺印をしてその責任を明らかにするという形にいたしておるのであります。これは附加価値税と同じような原則をここに持つて来ておる次第であります。それにつきましての次の規定が五百二十四條にあります。その他は特に取上げて申上げる点はないと思つております。
  193. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  194. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この鉱産税のような特殊なものを市町村税にだけ片寄せた理由は何ですか。
  195. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この鉱産税につきましては、これを府県税にするか、市町村税にするかということにつきましては、政府といたしましても非常に考慮を重ねた次第でございますが、こういう鉱山の所在をいたしておりまする市町村といたしましては、この鉱産税という一つの容体を除けてしまいますというと、非常に税源に不足を来たしまして、非常に困窮をするというような状態でございまして、これは後に出て参ります入湯税とか、或いは本材引取税というような場合におきましても、山村なり、或いは北海道の大きな温泉のありますような所におきましては同様な事情があるわけでございまして、これらは当初は府県税というようなことで考えておつた時代もあつたのでございますが、政府といたしましてはいろいろ考慮をいたしました末、市町村税の方に廻したような次第でございます。
  196. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 性格からいうならば、これは都道府県税にして、これに代る財源を各市町村に廻す、均霑させるというのが筋合ではないかと思うのでありますが、如何ですか。
  197. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 鉱産税が、事業税なり、附加価値税なりとやや類似の性格を持つておるという点から申しますというと、お説の通りでございますが、現在の実情から申しまして、この鉱山を……、実際鉱山がございまするところの市町村の状態から申しまするならば、これはやはりその関係市町村として相当多くのサービスに要する経費を出しておるわけでございまして、やはりその所在の市町村としては非常に深い結び付きを持つておるわけでございますから、そういう意味から申しますと、やはりこれは市町村に残して置くということに理由があると存じまして、市町村の税目の中に書いた次第でございます。
  198. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは二つ以上の町村に跨つておる、こういう場合はどうなりますか。
  199. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはそれぞれ税の分割の問題になつて来るわけでございますが、総則の……、税の分割の八條の原則に從いまして、関係市町村に分割をするわけであります。
  200. 石川清一

    石川清一君 この場合に、一つ町村がこの財政收入の大半を鉱山から仰いでおる、鉱山の徴收にまつておる、納入に仰いでおるというような現状で、町村自体が恐らくその鉱山の、株式会社だと思うのでありますが、会社の支拂に対して芳ばしくない事態の……、運営になるというような危險性はお考えになつておるわけでありますが。
  201. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはまあものの考え方だと存じますが、鉱山に入つておりまする労働者の住宅、その他労働者がその所在の市町村に多数いるわけでありまして、実はそういうような所では鉱山によつて市町村が保つておる、こういうような状態であろうと思います。これを会社が支配をしておるというように見るか、そういう勤労者がその村を実際において自己の意思に從つて動かしているというふうに見るか、これは見様は両様あろうと思いますが、併し事実そういう村があります以上は、そういう村を構成しております住民が、村の行政をその方向に動かして行くということがこれ又実質ではないかと、かように思います。
  202. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 素人考えのことを聽いて大変失礼ですが、坑が、例えば鉱区が隣りの村の方に入つておる。採鉱場は片方の村の方にある。或いは甲の村に労働者の住宅事務所があつて、乙の村に探鉱場があり、鉱山がある。こういう場合もあるのですが、その前者の場合、人間はおらない。ただ地下において坑だけは堀つてつて、その鉱区が隣りの村まで行つている。こういうようなものも、この二つの町村であるというふうになるのですか。
  203. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 鉱産税をどこで課税するかということは第五百十九條に書いてあるわけでありまして、その課税団体当該事業の作業場所在の市町村であるということを謳つております。この作業場というのは我々は切羽を中心とした一定の施設をいうものだというふうな考え方をいたしているわけであります。從いまして切羽からうんと離れましたところに事務所を置いておきましても、これは作業所所在地の中には入らないというような考え方を持つております。併しながら切羽を中心とした一帶の施設でありましても、市町村間に跨つている場合は沢山あるだろうと思つております。そういう場合には、先程次長から言われましたように、八條からいたしまして、市町村間において協議するということになるわけであります。協議の標準といたしましては、地方財政委員会の方に掘採された鉱物の量によつて半分は分割したらどうか。中分は関連する施設の評価額で按分したらどうか、こういうふうなことを一応の標準として謳つておるわけでありますけれども、我我個々の市町村間において違つた基準をとつても差支えないわけであります。市町村間におきまして協議が整わない場合には、府県知事がそれを決めて行くというふうになつて参るわけであります。
  204. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次の第七節、木材取引税。
  205. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは木材取引税は素材の取引に対して、価格を課税標準として、同一の素材について一回に限り素材生産地の市町村において、当該市町村が條例で定める引取者に課するということであります。この立木につきましては固定資産税も課かりませんし、又林業につきましては、これは事業税附加価値税も税課の対象から外しておりまするので、素材につきまして一回に限つて木材引取税を課するということは差支えないのではないかという考え方であります。シヤウプ勧告におきましても、これの存続を容認しているような次第でございまするので、これが規定を入れておる次第でございます。  この木材引取税の課税標準とすべき価格は、立木の所有者が素材の引取者とみなされた場合に、その素材の価格とする、要するに素材の検査をするわけでございますが、その際におきまして一回を限つて素材の価格に対しまして百分の五というところで課税をいたすわけであります。現在は確か百分の六ということになつておりまするが、それを百分の五という標準税率で抑えまして、但し百分の六を超えることができないということで、大体鉱産税と同じような税源の建前を取つておる次第でございます。木材引取税の徴收の方法といたしましては、立木の所有者を特別徴收義務者といたしまして、特別徴收の方法によつて取ることが大体原則でございまするが、尚証紙徴收の方法も、補完的にこれを考えておる次第であります。その他の点につきましては特に他の税と変つておる点はございません。
  206. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 五百五十一條ですが、「素材の引取に対し、課税標準」とあるのですが、課税標準としての価格の場合と、石数の場合との利害品得失というようなことをどうお考えでしようか。
  207. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 木材の容積を課税標準にいたします場合と、価格を課税標準といたします場合と、これは全く長短相半するわけでございまして、売買される木材の多い場合には、売買価格が分つている以上は、それを標準にいたしますと木材間に課税均衡が得られるわけであります。木材の質によりまして、一石当り非常に高額な木材もございますし、非情に安い木材もあるわけであります。そういう意味において、均衡が得られるわけであります。ところが石数を課税標準といたしますと、その間の均衡が確保できません。併しながら、そこですぐに売買されるものでありませんと、価格をどう見るかということが困難な問題です。そういう徴税上の便宜から考えて行きますと、そのような場合には、むしろ容積を課税標準にした方がよろしいということになるのでございます。両者考え合せまして、やはり総合的に考えて価格を標準にした方が穏当であるというふうなことで、こういう規定にいたしたわけです。
  208. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは実際先も申されたような長短相半ばすると思うのですが、從来は大体石数でやつてつたのですが、町村のような現在の徴税能力からいうと、なかなか価格なんだつて幾らでも言えるのですよ。実際一石五百円で売つても三百円で売つてもこれは売主と買主でこういうふうに一つ届けるから了承して呉れというようなことで、これは非常に脱税に利用されると思うのです。そういう点ではこの税率を低くして、石数で行くと、それは製品の惡いものは石数で行くということですと、一石当りの税負担が多くなりますから、併しそういう面から行くと、やはり現在の徴税技術の段階からいうと、なかなか価格なんていつても実際これは役場の職員なんか、これを実際の木材を節がないから幾ら、これは節があるから何というようなことはとても取引業者でなければ考えられない、取引業者は絶対にこれはなかなか言わんと思うのですが、これは実際我我は納税者が正直であるものということを予定した場合は、それはいいと思いますけれども、そういうことはなかなか木材取引の現在の段階では不可能だと思うのです。実際石数は私は非常に府県税でも從来そうだつた、それからこのことを府県税から市町村税に移したために、從来この府県におきましては、木材引取税を取つてそれで木材検査員を置いて、そうして素材の検査をやつて規格を統一しまして、この木材業の進出に資するというような意味で、これは実際県の財源としては余りに当にしていない。むしろ木材業の発展というようなことからやつてつた場合が多い。これが県から市町村に移された場合に、相当大量の木材検査員を町村で置き得るだけの素材の生産があるところですと、そういう木材検査員を置いて、それによつて把握させることができる。木材の生産が沢山ない場合は、県で木材の検査員を置いた場合は、三ケ町村くらいをかけ持ちでやらしておつた。そういうことによつて木材の取引が把握されておつたのですが、これを実際町村に移して来ますと、把握が非常に困難になるのではないかと思うのですが、そういう点はどうでしよう。
  209. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 前段の問題は中田さんのおつしやつたこと、よく分るのですが、この税法の建前におきましては、全国的な租税負担均衡を確保して行くということを狙いにしておりますので、価格課税標準にしたわけであります。同じ県内、同じ町村内でありますと、太体材質が同じでございます。これは府県間におきましては非常にそこに差がございまして、そこで松と或いは檜と同じに扱うかどうか、或いは又同じ檜でありましても、木曾の檜と、他の檜とを同じに扱というと何倍という開きがありますので、全国的な均衡を考えるところから、価格を課税標準にした方がいいと考えたわけであります。  それから後段の方の問題でありますが、これはやはり県で捕捉するよりも、市町村の方が捕捉し易いのじやないかという考え方を持つております。木材検査の問題も段々と統制が解除せられて参りまして、むしろ自主的な検査を行なうかも知れないが、行政官庁が検査を行なうということは、段々廃除される傾向にあるわけです。自然森林組合というようなものが特別徴收義務者になつたりする場合が可成り多いと思う。これは市町村事情によつて違うのですが、そういう意味合においては、市町村の方が捕捉は容易じやないか、こういう考え方を持つておるので、これはいろいろ議論があるかも知れませんが、大体そういう考え方を持つております。
  210. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚申上げます。第七国会におきまして、農林委員会の方からこの林業関係課税についての希望意見の中に、木材引取税は取引高税の廃止された現在において、木材にのみ課税する理由がない、本税を廃止して買いたい、止むを得ず存続する場合においては、その課税標準価格を立木の価格にされたい。素材でなく立木の価格にされたい。こういう要求が出ております。これに対して意見を求めて置きます。
  211. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 木材引取税を存置しておりますゆえんは、第一には林業について課税除外をしておるという点、第二にはこの素材生産の関係から道路が非常にいためられるのでありますので、そういう意味から公益的な負担を、その木材引取の際にやつてつた方がいいのではないかというふうな考え方、そういうことを考え合せまして、この税を尚存置いたしておるわけであります。  それから立木価格を採れという問題でございますが、この価格はやはり生産地におけるところの引取価格を考えておるわけでありまして、立木の価格にはなりませんけれども、やはり引取つたときの価格、それが穏当ではなかろうか、若し仮に立木の価格といたしますと、立木の価格というものは果して正確に個々について取れるかどうかということの疑問を持つておるのでございまして、やはり生産地における引取価格が穏当ではなかろうかと思つております。
  212. 岡本愛祐

    委員君(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか……。それでは次に移ります。第八節広告税。
  213. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 広告税でございますが、これは「広告税は、広告に対し、その広告場所在の市町村においてその広告主に課する。」括弧といたしまして、「(新聞、雑誌及び書籍による広告並びに放送法第五十一條の規定による広告を除く。)」これは新聞とか、雑誌とか書籍というような、市町村の区域を越えまして広汎な区域に頒布せられまするものにつきましては、広告場所在の市町村という形で把握いたしますということが非常に困難でございますので、こういうものを除いておるわけでございます。放送にいたしましても、新聞にいたしましても、その発行いたしまするところと申しますか、そういうものと所在の市町村との関係というものは非常に明確を欠きまするので、こういうものは広告税の対象から除きたい、かように考えております。  それから五百八十六條は非課税範囲でございまするが、民法第三十四條の公益法人とか宗教法人、或いは学校法人等のものはそれぞれ広告目的を持つておりませんので、これは除きたい。それから政治資金規制法の政治上の団体、政党その他がやりますところの広告とか、或いは選挙に関する広告、こういうものも課税対象としては不適当であろうというので除いております。  それから両五百八十七條の四号と五号と申しますのは、事業者商店等が自分の家の前にやる広告でございますが、こういうものも広告税の対象にするのは適当ではないというので除いてあるわけであります。第五号の「前各号に掲げるものを除く外、地方財政委員会が定めるもの」と申しますのは、特に一つ市町村で抑えて広告税を課するというのは適当でない、全国的なようなものにつきまして課税除外をしようというわけで、特に一応こういう規定を置いておるわけであります。  二項は他の税についての非課税と同じようなことであります。それから広告税の標準税率でございますが、これは一応現在の府県市町村等におきまする広告税の税率等を基礎にいたしまして、大体対立性を整備して規定いたしたものでございます。  それから賦課期日とか、納期につきましては、それぞれの市町村実情に応じて定めるということであります。徴收の方法も普通徴收でも、特別徴收でも或いは消費徴收でも、いずれでもよろしいということであります。その他特に申上げることはありません。
  214. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。それでは御質問ないようでありますから第九節入湯税に移ります。
  215. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 入湯税は、大体現在の程度と同じような程度で鉱泉浴場における入湯であります。鉱泉浴場における入湯に対しては、その浴場所在の市町村で入湯客に課するわけであります。  標準税率は、一人一日につき十円、何回入つても一日十円、こういうことであります。これはやはり旅館の経営者等を特別徴收義務者といたしまして、消費徴收方法によつて徴收をし、特別徴收義務者が集めましたものを申告納入するという建前でございます。その他特に申上げることはございません。
  216. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか……。  それでは次に移ります。第十節接客人税。
  217. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 「接客人税は、芸者、ダンサーその他これらに類する者に対し、その從業地所在の市町村において課する。」、「標準税率は、接客人一人一月について百円とする。」これはいろいろところによりまして税率が、高い低いはあると存じますが、大体低い方にこれはよつておるわけであります。その他は特に申し上げることはございません。
  218. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。  それでは次に移ります。第十一節市町村法定外普通税
  219. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 法定外普通税につきましては、道府県の法定外普通税につきまして御説明申上げたのと同段でございまして、特に申上げる点はないと存じます。
  220. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。  以上で、第三章のうち固定資産税を除きまして終りました。目的税までお願いしよう’思つてつたのですが、今日は大分遅くなりましたからこの程度にしておきまして、明日固定資産税が終りましたら、第四章の目的税と、「都等の特例」という第五章をやつて頂きたいと思いますから御了承願います。  それではこれで散会いたします。    午後六時二十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            竹中 七郎君            石川 清一君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君