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1950-07-25 第8回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十五日(火曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○地方税法案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会開会いたします。地方税法案審議に先立ちまして、御報告を申上げ且つお諮りいたしたいことがございます。昭和二十五年における教育委員会委員定例選挙期日特例等に関する法律案、これは政府から過般参議院先議で提出されたものであります。本来から申しますると、地方行政委員会にかかるべきであつたのでありますが、地方税法案が非常に大法案であり期日も短いので、議院運営委員会の方におきまして文部委員会の方に特別に付託をいたしたのであります。それで文部委員会におきましては、参議院の方が先議である関係審議を急ぎ、又非常に簡単なものでありますから、今日対論採決をいたしたいということであります。それで先程社会党の小笠原委員から地方行政委員会との連合審査をすべきじやないかというお話がございました。併しそのいとまがございませんから地方行政委員会から代表の方を一人文部委員会に出て頂いて、意見を吐いて頂くというようにいたしたいと思います。連合委員会は行わないで代表者を出すということで、これは例がしばしばございます。そういうことに計らいたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうことに決定いたします。代表の方は、小笠原君からの御発言でもありますし、小笠原君にお願いいたしたいと思いますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは事務局の方から小笠原君に通知して、十時半から文部委員会の方で右法案審議がございますから、それに出て頂くようにいたします。  それから飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案、これは七月二十一日に予備審査のため当委員会にかかりました。これも極く簡単なものでありますからこれは三十一日に御審議をお願いしたい、こういうふうに考えております。時間がございましたらその前にお願いいたします。  それから、京都国際文化観光都市建設法案奈良国際文化観光都市建設法案、これがいずれも七月二十二日に予備審査として建設委員会にかかつております。第七国会におきまして別府、熱海、伊東等観光都市建設法案につきまして、建設委員会にかかりまして地方行政委員会連合審査をいたしました。この度も連合審査を申込みまして代表の方が出て行つて意見を吐いて頂くと、こういうことにいたしたらどうかと思います。御意見をお述べを願いたいと思います。
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは今の教育委員文部委員会との関係のように、小笠原君が代表として出られるのでなくして一応やはり正式の連合委員会の形に持つてつたら如何ですか。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 吉川君の御発言に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに……。
  8. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 尚横浜及び神戸市に対する特別法案は提出されておりませんか。横浜の市長が実は今も我々の控室に見えておるのでありますが、同じような取り運びにまだなつておりませんか
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それを只今調べて見ますと、横浜国際港建設法案神戸国際港建設法案、これはいずれも衆議院建設委員の間におきまして法案を練つている最中でございます、まだ提出されておりません。これも提出されておりましたら京都、奈良同様、連合委員会を申込むということにいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに取計らいます。これは皆様お出ましを願えないと存じますから代表者が出て頂くということにいたしたい。余裕があれば出て頂きますが余裕がないでしよう。   —————————————
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それから皆さん民主党からもお集まり願うといいですがまだお集まり願えませんが、昨日の委員会におきまして地方税法案審議日程案委員長並びに理事作成せよというお話でございました。今日堀理事が御欠席で岩木理事がまだお見えになりません。それで吉川理事とお諮りいたし、尚堀理事の代りに岩沢氏が代理に出られましたから岩沢氏とお諮りいたしまして、今お手許に廻しました日程案作成をいたして見ました。御説明申上げますと、今日から二十九日までの間に地方税法案逐條的審議を進めて行く。それでまあ大体の心積りは、今日は総則附加価値税を除く都道府県税の御審議を願い、それから明日は固定資産税を除く市町村税の御審議を願い、そうして二十七日は固定資産税、二十八日は附加価値税、二十九日は事業税と附則で二十九日で質疑を終了いたしたい。三十日に日曜日でございますが、午前に討論採決委員会でしまして午後に本会議に上程する、こういう日程案を作りました。これで大体御承認を願いたいと思います。御異議ございませんか。
  12. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 原案の作成には私も形式上参加しているわけでありますが、私といたしましては大体これで結構だと思うのであります。一番恐れますことは、前の国会におきましても私から発言その他についていたしたのでありますが、党利党略的な立場から、出席者等の虚を狙つて質疑の打切りの動議を出して、これを正式に形式上成立せしめて、討論採決予定のときよりも早めてしてしまうというようなことが、よく行われることなのでありますが、もとより我々は委員長の人格と並びに委員各位のフエヤーな心持は十分信頼いたしておるのでありますから、どうぞこの日程案通りに、細かい各税目等についての調査プログラムは、委員長がおつしやる通り荒筋心細みで結構でありますが、最後討論採決及び本会議に上程する予定日をば三十日にしてありますが、このことだけは絶対にそれ以前にはやらないということだけは、この委員会において確実に一つ皆さんの御同意の下に申合せて頂くようにしておきたいと思います。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 自由党の方如何ですか。
  14. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今吉川さんのお話があるんですが、これらの問題についてあまり議論がなくてとにかく早くやろうというときにはどうなんですか。今のお話は途中論議がなく意見がなくとも、どうしても三十日までかけろと、こういう御意見なんですか。
  15. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは、御承知のように極めて厖大なところの法案なのでありますから、外の法案に行われと同じように逐條審議をいたしまして、逐條的にそれぞれ当局からの説明を聞いて、審議を進めて行くということが本来当然でなければならないと考えるのであります。そのようにいたしまするならば、とてもこの予定されておりまするところの二十五日から二十九日の間におきましても、審議は完了するだけの余裕の時間はないくらいなのでありまするから、三十日以前には討論採決は早めないということにいたしておきましても、今言うように逐條審議が完全にできるかできないか分らないくらいでありますから、その間においてはできる限り詳細なる逐條審議を進めて頂くということでいいんじやないかと思います。でありまするから、先例もあることでありますから、高橋さんは前の例は御存じないかと思いますが、前の地方税法案審議をいたしましたときにも、そうした紳士道に基くところのアグリーメントで議事を進めたのでありますから、同様そういうようにお取計らい願いたい。
  16. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 要するに皆が納得するように、こういう一応のプログラム審議して、皆さんが納得して、これよりも早める、まああまり問題がなくてというときはいいわけでしよう。
  17. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは一時のことですから、今日は今日で決めておいて、又後で違つたことを決めるというようなことは一つしないようにして頂きたい。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の問題は前回例通り吉川君の意見に全く賛成で、この予定表を繰上げたり変更することは絶対に反対します。
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 高橋君に申上げますが、この前の経験によりましても、逐條的にやりますれば五日でなかなか困難であります。よほど勉強して頂かんと困難であります。まあ問題がなくて繰上がるということは滅多にないだろうと考えております。これでやつても恐らくこの土曜日は夜の八時か九時頃まで願わなければならんじやないかというふうに私考えております。そうでなくて、幸いに四時か五時で質問がなくなつたというようなことはあり得ると思いますけれども、今おつしやるようなことは殆んどないだろうと私も考えております。大体これで御承認を得たいと存じます。
  20. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、例えば二十六日にある市町村民税についても余り意見がなかつた、そうすると二十七日の固定資産税を二十六日に追加することもよせ、こういうことですか。
  21. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) いやそういうふうにして頂きたと思います。お答えしますけれども、私は市町村民税というものがなかなか問題であり、その外税が十一も十二もありますからそう早くは済まないと思いますけれども、万一早く三時頃までに済んでまだ五時頃まで三時間余つたということで、固定資産税を一部やつて頂くということはやつてもよいと思います。そのときの委員のお考えによつてそのくらいの融通はよいと思います。一日まるであくということはないだろうと思います。
  22. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の委員長意見ですが、さつきから申上げておる通り予定表作つたのですから、今の委員長お話のようなことはあり得ることですけれども、それでそういうようにやつて行きますと、予定表作つた意味が何にもなくなつてしまつて、第一私は、委員長承知通りこの法案は非常に重大な法案でありますから三十日に討論採決を、それは絶対に動さないようにして頂いて、全員が揃つたところでこういうことをやりませんと、各党派感情を刺戟してつまらないことが起りますから、予定予定通りなさつた方が、最後まで前回の議会でやつたことと同様にスムースに審議を継続する意味から、一部の人の案を取つて一部の人の意見が通らなかつたということになりますと、段々感情を刺戟する慮れがありますから、そういうゆつくり三十日に討論採決が決まつてつてやるのですから、その間は駈足しないで十分やつて頂かないとそのために却つて結果が惡いと思います。これは委員長承知通りですが、與党の諸君の一日も早く繰上げたいということは分りますが、何せこれは重要な法案で、一人でも論議を盡せるようにやつて頂かないと困ると思います。例えば繰上げてやりますと、他の人の知らない場合があつて、明日固定資産税だと思つて出て来なかつたような場合に非常にその人にとつて気の毒な結果になりますから、飽くまでも予定表予定表としてこれを重んじて、特定の一部の人の意見によつてこれを左右するようなことは、結果は私は惡いと思いますから、それは委員長において十分に守つて頂きたいと思います。
  23. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 こう了解してよいのでしよう。三十日に討論採決するということにして、その間は例えばそのときの事情によつて多少動くという委員長お話で、西郷委員がおつしやつたように三十日に討論採決する、それは動かさん、そう了解してよいわけですか。
  24. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今西郷さんがおつしやつたようなことを原則として進みましよう。
  25. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 原則としてこの日程でやつて行く、これで大体時間一杯と私は思います。万一非常に時間があくようなことがありましたらそのときにお諮りをするということにいたしたいと思います。西郷君のおつしやるのも御尤もだと思います。例えば二十七日に固定資産税をやるつもりで、固定資産税に多く意見があるからそのときに出よう、二十六日は私用のために出られないからというときに、固定資産税は全部その二十七日にやつてしまうつもりはありませんから二十七日には固定資産税は残しますけれども、初めに説明を聞きはぐるということもありますから、何とかそれを避けて外の法案もありますから、時間が余れば外の法案を御審議願うということでよくはないかと思いますが、そういうふうに御了承願うということで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじやそういうふうに決定をいたします。
  27. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは地方税法案審議に入ります。総則から説明を願います。大体この前の第七回国会の方針で逐條審議でやつて頂くことにいたします。
  28. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大体主たる問題点中心にいたしまして條を逐うてお話申上げたいと存じます。  第一條は用語の定義を書いただけでございますが、この中で特に申上げて置きたいと思いますのは第五の標準税率のところでございます。これはここにございますように、「地方団体課税する場合に通常よるべき税率でその財政上の特別の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率をいい、地方財政委員会地方財政平衡交付金の額を定める際に基準財政收入額算定基礎として用いる税率とする。標準税率につきましてはここにございますように、原則として地方団体が税を課する場合によるべき税であるが、財政上の特別の必要がある場合にはこれによらんでもいい、これが一つであります。同時に平衡交付金算定基礎になるのだという点が第二の主要点であります。これは平衡交付金法の方におきましては、この標準税率の百分の七十という、基準財政收入額基礎として押えてあります。  それからその次の六でございますが、この徴税令書從来府県市町村が取るような場合にはおのおの徴税令書というようなものがあつたようでありますが、これを皆府県市町村を通じて徴税令書を一本にしたわけでございますが、この特色は、從来ただ金額だけを書いて納付期限を定めた令書を発付するような習わしでございましたが、ここにございますように「その賦課の根拠となつた法律及び当該地方団体條例規定納税者の住所及び氏名、課税標準額税率税額納期、各納期における納付額並びに納期限までに税金納付しなかつた場合において執られるべき措置及び賦課に違法又は錯誤があつた場合における救済の方法を記載した文書」こういうことでありまして、これはアメリカ等におきましてもこの徴税令書に非常に詳しく書いてあつて、それを見れば大体どういう種類の税でどうして納めなければならんかということが分りますので、そういう趣旨をこの徴税令書の中に明確に書くようにいたそうということで定義の中にそのことを盛込んでおるわけであります。  それから八の申告納付の点でございますが、これも今回地方税法案の中で新たに採用いたしました原則でございまして、附加価値税でございまするが、鉱産税につきましては申告納付制度を採用いたす案にしておるのであります。これは国税につきましては財産税なり、事業税及特別所得税その他所得税法人税等をやつておるわけでございますが、これらにつきましてはいろいろ論議があるのは御承知通りであります。地方税につきましても今日これを取るか取らないかということにつきましては愼重考慮したわけでございますが、附加価値税乃至附加価値税と同じような性質を持つておりまする鉱産税等につきましてはこの申告納付制度を採用いたしまして、新税でありまするだけに納税者側にも協力して貰うということがないと、なかなか円滑な実施が困難であろうということでこれを採用したわけであります。建前といたしましては一方的に令書を出して強制的に取りまする体系よりも、やはり納税者申告基礎にしまして、民主的な納付方法を考えることが原理としては適当であろうということを勿論根本においては考えておる次第であります。  それから十一の申告納入でございますが、これは特別徴收義務者、例えば入場税とか遊興飲食税等につきまして、徴收上の便宜を有しますものを特別徴收義務者に指定をいたすわけでありますが、その特別徴收義務者入場税なり遊興飲食税を県に代りまして取りまして、それを県に納めるわけでございますが、これを申告納付と同じように、特別徴收義務者課税標準額なり税額申告して同時にそれを納める、こういう建前のもので、税額といたしましては申告納付と同じような形のものでございます。大体この定義のところで問題のございまする点は以上のような諸点でございます。  それから第二條、三條は特に申上げるところもないと思いますが、第四條の道府県が課することができる税目、第五條市町村が課することができる税目、この二つ地方税の振分けをいたしておる基本的な規定でございます。道府県の税につきましてはここにございまするように附加価値税入場税遊興飲食税、これらがいわば道府県の主要な税でございまして、あとの自動車、鉱区、漁業権税狩猟者税、こういう七つの税が先ず法定普通税として書いてあるわけであります。この外に「別に税目を起して、普通税を課することができる」ということで法定外普通税制度を考えております。この点につきましては後程出て参りますのでこの程度にいたします。目的税としましては道府県の場合は水利地益税、こういう形でこういうものだけを認めておるのであります。都市計画割制度は今日の案においては廃止いたしておりまするが、地益税の一種といたしまして必要がありまする場合には新らしい性格の目的税としてこれを課することができるようになつておるわけであります。  市町村の場合につきましては市町村民税固定資産税、この二つ中心でございまして、あとこれに附帶をいたしまして自転車、荷車、電気ガス鉱産木材引取、広告、入湯接客人、こういうような税を課しておるわけであります。この府県市町村との間の税の配分につきましては大体の考え方といたしましては、一般的な普遍的なものは比較的市町村に、それから府県内で偏しておるようなものにつきましては、これは小さい区域で押えまするよりも府県という広い区域で押えた方が合理的に参りまするので、府県税に廻しておるのであります。ただ特殊的な例えば入湯税でございまするとか、鉱産税でありまするとか、或いは木材引取税、こういうようなものは市町村税にいたしておりまするが、税源としては偏しておることがあるわけでありまするが、併しこれらの市町村といたしましては、やはりこういうようなものによつて初めて確実な税源があり、これを失えば殆んど市町村が立たないというような場合があるのでありまして、そういう意味鉱産税木材引取税入湯税というものはやや偏しておりまするけれども、これを市町村の方に廻しておるような次第でございます。
  29. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上につきまして御質疑をお願いいたします。御質疑ございませんか。
  30. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 八の申告納付という場合には査定はするのですか、しないのですか、無條件でこれを認定するのですか。
  31. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 申告納付の場合におきましては、若し申告をいたしましたものが適正でなければこれを更正をいたしまするし、申告しない場合においては決定をするというふうにいたしております。
  32. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 国税の場合ですが、申告しまして計算違いなんかであると、その計算違いで不足であるということを税務署が言つて呉れなければ、納付した方はそれでいいと思つて分りませんのですが、そういう際に税務署は現在はそれを通知してこれは足りないとか、過不足と言つて来ないのです。いきなり延滯督促とかいうようなはがきをよこしますが、そういうふうなことは地方税の場合には甚だいかんと思う。すべて計算違いということはあり得るのです。これを計算違いであるならば、先ず延滯通知を出す前に、これは計算違いである、だから幾ら足りないということを相手に通知してやることが当然であり、又親切であると思いますが、それをやらないで、納めた方はそれは正確だと思つていると、いきなり幾ら幾ら延滯しておる、お前は税金を納めておらんじやないか、こういうことを言うことは甚だ非常識であると思うのですが、地方税の場合はそういう点はどうなさるのですか。
  33. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点でございますが、必ずその督促をいたしまする場合には、その前提として更正なり、或いは不申告の場合におきましては決定という処置があるのでございまして、それを前提として督促ということがあるわけであります。尚その際におきましても、附加価値税におきましては青色申告制度を採用するようにいたしておりますから、そういう制度を採つております場合におきましては、更正もそういうものの帳簿を見、元に遡つて行かなければ勝手にはやれないとこういうわけでございまして、只今御指摘のようなことは実際上はこれを避けなければなりませんし、又事実そういうふうにいきなりは行かんのではないかとかように考えております。のみならず地方税につきましては直接的でありますだけに、いろいろの徴税やり方についての批判が多いわけでありまするから、そこはそれぞれの市町村で適正に円滑に行い得るものであると思います。
  34. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 これは大臣にも要望をしておきたいのですが、御承知通り国税の場合では日本の経済情勢で納めたくても納められない非常に苦しい人が多いのだから、是非今度の地方税の場合には国税の場合におけるような画一主義をやらないように、是非そういう点は地方税やり方は非常にいいというように非常に親切に指導して頂きたいと思う。この点を特に大臣にもお願いしておきます。
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは次に進みます。
  36. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この市町村目的税のところをさつき説明をしようとしましたが、市町村の場合は水利地益税の外に共同施設税という目的税を考えております。これは市町村共同体としての特色から共同施設市町村が直接に作ろうとする場合におきましては、それに必要なる設置の経費を目的税の形で利益を受ける者から取るという形のものでございます。  第六條の公益等に因る課税免除及び不均一課税、第七條の受益に因る不均一課税及び一部課税、これらは從来のものと同じ建前でございます。第八條も從来税法と同じような建前であります。九條の納税義務の承継、十條、十一條、これらいずれも旧法と同じ建前でございます。十二條につきましては、これは先般の改正の際にありましたので略します。  それから十三條の「秘密漏えい」の点でございますが、これは從来からございますのですけれども、衆議院等におきましては徴税吏員につきましての罰則の規定が全然ないではないかというお話がよくございましたが、「地方税に関する調査に関する事務に從事している者又は從事していた者は」云々というわけで、納税秘密を洩らしてはいかんという規定がここにあるわけでございます。  それから十四條の二項の点は從来と同様でございますが、十五條滯納処分先取特権の問題でございます。これは今回改正をいたしたので説明申上げますが、第一項は「地方団体徴收金は他のすべての公課(略)及び債権に先だつて徴收する。」これは国税関係の中で述べております。国税徴收法にも同様の趣旨規定がございまして、要するに国の徴收金地方団体徴收金というものは、他のすべての公課及び債権に先だつて徴收するという一般的な先取特権原則といつているのであります。この点につきましては国と地方団体と同じような建前になつておるわけであります。それから第二項でございますが、地方団体徴收金滯納処分によつて財産を差押えた場合には、「当該地方団体徴收金は、当該財産の価額を限度として、国の徴收金及び他の地方団体に係る地方団体徴收金に先だつものとする。」この点は具体的に地方税滯納がございまして、その滯納のために納税者の成る財産を差押えた場合につきましては、從来はそういう場合に国が要求をして参りますと、折角地方税のために差押えておりながら国に持つて行かれてしまうという場合があつたのでございます。そこでそういうようなことは地方税の自主性という点から面白くないということで、今回は凡そ滯納処分で差押えた場合におきましては、いわば早い者勝ち、国が先に差押えれば国が優先をするし、地方団体が先に差押えればその押えた税について地方団体か優先するということで、いわば早い者勝ちの原則を書いたわけであります。これが実質的には今回地方団体の差抑え処分というものを実益があるようにいたした程度の訂正の点でございます。  その次は交付要求の制度を今度新らしく採つたわけでございまして、要するにここに参考に一、二、三、四とございまするが、こういう公課について滯納処分を受け強制執行を受ける、破産の宣告、競売の開始というような場合におきましては、それぞれ地方団体に交付をいたすのであります。で交付の要求をいたしました場合におきましては、国の徴收金がこれは優先いたします。国税とそれから共益費用と申しますか、いろいろな差押の経費、そういうような共益費用は国が優先をいたしますが、その次の順位におきまして地方団体か取れるということを規定いたしておるのであります。これは各税につきまして交付要求ができるという規定がそれぞれ各論の中に出ておりますが、ここにその一般論といたしまして、そういう場合の優先順位を書いたわけでございます。この場合遺憾ながら国の方が地方税よりも優先をすることになつておりますが、これは今後の研究に待ちたいと思つております。  それから4は地方税滯納処分関係の費用とか、過少申告加算金、不申告加算金というような各種の地方税滯納がありました場合、延滯をいたしました場合、或いは申告納付の際におきまして過少に申告をした、或いは申告をしなかつた、或いはそういうようなことにつきまして正当な事由がなかつたというような場合に加算金を取るようにいたしておりますが、そういうようなものは地方税に先だつて取る、こういうことであります。  それから五項は旧法からあるわけでございまして、質権、抵当権の設定が地方税納期限より一年前である場合におきましては、そういう場合にも地方税が優先するというようなことはしない。これは取引の安全を確保する見地から一年以前のものにはかからない、こういう趣旨でございます。
  37. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで。以上につきまして御質問をお願いします。
  38. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この六條の規定なんですが、これは協同組合なんかの課税の場合でも適用できるわけですか。
  39. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは限定いたしておりませんので、協同組合でもこれを利用しようと思えば利用できます。
  40. 石村幸作

    ○石村幸作君 第十五條の四項ですが、地方税のこれこれこれこれ処分費は地方税に先だつてと、ここの一番しまいの「地方税に先だつて」の地方税というのは、これは当初に書いてある地方税督促手数料、この地方税ですか。それとも或いは他の地方税意味ですか。
  41. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この地方税というのは、その当該の地方税につきまして滯納処分を行いまして、その前提として督促手数料等があるわけでございますが、そういうような費用は当該の地方税は先だつて徴收をする、こういうことであります。
  42. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。  それでは進みます。十六條以下。
  43. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 十六條の繰上徴收これも從来から規定のあつた点でございます。それから十七條の「過誤納に係る地方団体徴收金」これも從来からございました。  この次の十八條でございます。これは納税者及び特別徴收義務者が誤つて余計納めた、或いは誤つて余計徴收した、こういうような場合におきましてはその地方団体徴收金を還すわけでありまするが、還す場合におきましては、ここのあとの方にございますように百円以上の場合におきましては、百円につき一日四銭の割合の延滯金を加算して還す。又還さないで他の未納の徴收金に充当いたします場合におきましては、充当する日までの間を同様な趣旨で計算をいたしましてそれだけ余分に見る、こういう趣旨でございます。これは納税者なり或いは特別徴收義務者の立場を尊重いたした規定であります。  それから十九條、二十條これはいずれも從来と同様でございます。第二十一條の道府県税賦課徴收の委任でございますが、これは新らしい規定でございまして、シヤウプ勧告にありまするように、府県市町村もそれぞれ自己の責任において税を賦課徴收する。附加税というような制度、或いは市町村に一般的に徴收を委託するような地方税の前例の制度はこれは止めたわけでありまして、原則として「道府県は、道府県税賦課徴收に関する事務市町村に委任してはならない。但し、左の各号の一に該当する場合においては、市町村に委任することができる。」ということで委任の極く例外的なものを限つたわけでございます。その一つ納税義務者なり特別徴收義務者の「住所、居所、家屋敷、事務所、事業所又は財産が当該道府県徴税吏員による賦課徴收を著しく困難とする地域に在る」非常に遠隔の地とか島嶼等にあつて、そこで取るよりもその地方の市町村に頼んだ方がいいというような場合。第二は「市町村が道府県税賦課徴收に関する事務の一部を委任されることに進んで同意した」場合、市町村側の方から積極的にやろうという場合。それから第三といたしましては、一般なことでございまするが、「道府県税賦課徴收に関する事務の一部を市町村に委任することについて」県から申請があつて、「地方財政委員会がその必要を認めて許可した」という場合、この三つの場合だけ委任ができるようにいたしたわけであります。委任をした場合にその費用を補償しなければならんというのは勿論であります。二十二條徴收の嘱託は從来からあります制度でございます、
  44. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上につきまして……。
  45. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 この十七條の特別徴收義務者に還付しなければならんというのだけれども、特別徴收義務者が不特定多数人から徴收して納めたもの、即ち還付しても還しようがない場合にはどうするのですか。
  46. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この過納或いは誤納と申しますのは、特別徴收義務者が入場いたしました者、或いは遊興いたしました者から税を取つておるわけでありまするが、それ以上に徴收したというような場合にこれを或いは納付したという場合に還付するわけでありますから、そういうような問題は起らないわけであります。
  47. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そこで特別徴收義務者徴收自体が、例えば入場税を余計取つたり、或いは入場税の場合はあれでしようけれども、例えば遊興税のようなときに計算違いで余計遊興者から取つて、そのまま納めてそれが発見された、そういうときにはどういう処置をするのですか。
  48. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その場合につきましては、まあ一般的なもの、納税者の方から異議があれば、いわゆる行政救済のいろいろの方法があるわけでありますが、特別徴收義務者の方がそれを発見した場合には、徴收すべからざるものを徴收したわけでありますから、これは勿論還さなければならんと思います。
  49. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 鈴木君にお聞きしているのはそうでなくあれですよ。私の申上げるのは遊興者から特別徴收義務者が間違つて余計取つてそのままそれを納めた。そこでその後誤算が発見されて特別徴收義務者が還す。ところが特別徴收義務者の方は不特定多数人だからそれはどうもどこに住居があるか分らないから返しようがない、こういうときの処置はどういうふうにするかということです。
  50. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはその納税者をできるだけ追求をし又領收書等を取るようなことも認めておりまするから、そういうような場合におきましてはそれは分ると思いますが、若しどうしても分らないというような場合におきましては、その分は特別徴收義務者の所有に帰することになると思います。逆に、そういう場合でなく、全く逆の場合があるわけで、特別徴收義務者としては少ししか取つていないのに余計拂つたと、こういうような場合もあろうと思うのでございますが、正当に税法を適用しました場合に余計取るべきものを少ししか取らないで、これで県に納入したと、こういうような場合におきましては、その差額の分は特別徴收義務者が結局負担しなければならんことになるわけでございます。そういう出入りは特別徴收義務者制度をとります以上はその責任に帰属する、こういうふうに考えております。
  51. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今の説明だと何んか特別徴收義務者、特に遊興税のような場合においては不当に利得するような感じなんですが、そういうようなやはり不明な場合は府県に納めるとか、何か特別措置を講ずる必要があるのじやないでしようか。それでないと特別徴收義務者からいえば、故意の場合は別ですけれども、とにかく間違つて取り得だということになると非常にまあ遊興税のような性質の税については惡用される慮れもあり、それでは特別徴收義務者の本来の納税の性質に反するのじやないかという気がしますがね。
  52. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 税法の本来の体系から申しますならば、遊興なり入場というような消費行為を行いました者が直接県に税を納めるというのが建前であろうと存じまするが、そういうことは事実不可能であるというところから、徴收の便宜を有する者を特別徴收義務者に指定する制度を設けたわけであります。この制度從来からあつたわけでありまして、この特別徴收義務者につきまして只今御指摘になりましたような場合におきましては、特別徴收義務者がそれだけまあいわば俗な言葉で申しますれば儲けるわけでございまするが、逆にこれも本来取るべきものを取らないけれども、それだけの消費行為がありました場合には、税法による納入金は当然に納付しなければならんわけでありまするからその場合は損をする、要するにプラスマイナスがあり得るわけでありますが、これは特別徴收義務者という制度を採りますることにいわば随伴するところの止むを得ない結果であろうと考えます。
  53. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はそう考えないので、特別徴收義務者というものは、そういう営業をしておればそういうようなことを何と言いますかね、事業の性質上当然そういう義務をやはり負担する営業を行なつておるのだと思うのです。それによつて不特定多数人から少く取つた場合に損するから、余計取つた場合にはその者に帰属させるというのはやはりロジックに合わないので、やはりその不特定多数人に返すことができないというような場合には、やはりこういう過納金は特別徴收義務者に返すべきじやないかというのですか、どうなんでしようか。
  54. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは例えばこの遊興飲食税の場合等におきまして料飲業の組合があり、その組合の組合長と申しますか、そういうようなものを曾ては特別徴收義務者に指定をしておつたようなこともあつたと思いまするが、こういうようなことはやはり徴税の公平適正を期するという見地から適当でないということで、これは現在地方自治法上も禁止されておるわけでございます。そういうような点から從来のいろいろな遊興飲食税等について伴いがちの欠陥は是正をして来ているのでありますけれども、この特別徴收義務者制度だけはどうもこれを外しますと却つて徴税が困難になり、徴税に費用が余計かかるというようなところからこれを取つておるわけでございまして、そういう意味の先程来申上げておりまするようなプラスマイナスの点は、どうも私共といたしましては止むを得ない結果であろうとかように考えております。
  55. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも僕は、鈴木さんの説明だと、例えば料飲店が組合を作つてその組合を特別徴收義務者にしておつたら、プール計算からいうとまあ損をする場合もあるから、そういう場合は特別徴收義務者の所得にしたらどうかという考え方から出られたと思うのですが、今度のようにばらばらということになると、この場合にはむしろ下手な取り方をするといつも損する。うまく余計取つた場合にはいつもその個人につきましては、特にお上から返して貰う、こういう形から却つてこういう制度を取つたのであるから、個人として返すことの当てのない金というものは、特別徴收義務者に返してやるという方がおかしいのじやないかという気がするのですがね。どうでしようか。
  56. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 高橋さんの御心配になつておる点は誠に御尤もな点であります。これはまあ事実上の取扱をどうやつて行くかというような、この法律の執行の問題に属することだろうと思いますが、具体的に一例を挙げて申上げますと、前売券を発行して入場料金を徴收した、ところがその興行を止めてしまつた、そうすると入場料金を返さなければならんわけであります。こういう場合に実際に興行者が入場料金を還付いたします場合には、これはやはり府県も先に納入されておりました入場税を返さなければならない、こういう方針を取りております。併しながら今例に挙げられましたような遊興した人からやはり遊興飲食税を取つた、それが取り過ぎたというような場合に、これを一体取り過ぎたという根拠をどうして料飲業者が地方団体に主張できるかということを考えておるわけであります。いつ幾日誰が飲食したということについて取り過ぎた場合におきましては、これは明らかに主張できるだろうと思います。これは当然料飲業者は返さなければなりませんし府県も返さなければならんと思います。併し誰から徴收したか分らんがとにかく余計取り過ぎた、だから返して呉れ、こういうような場合には料飲業者が取り過ぎておると主張することに根拠がない、從つてこれは返したくても自然返せない、結局この法律の運用の問題でありまして、理論的には特別徴收義務者が必要なものを取つていませんでも、それは取るべきものを納入金として納入しなければならないわけでありまして、取るべからざるものを取つておる場合にはこれは返さなければならん建前でありまして、從つて納入しておつた場合には納税義務者に返すわけでありますから、府県はその料飲業者に返してやらなければならない。ただその際に不特定多数人で返せないという場合につきましては、それは府県に対して取り過ぎておるという主張を行うことができないのじやないかというふうに考えておりまして、理論的には次長が申上げ通りでありまして、実際問題としては高橋さんの言う通りになるのじやないかと考えております。
  57. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも私奥野政府委員の言うことが分らないのですが、そうするとこの規定は不特定多数人から取つて、その返付するところの納税者が分らないようなときにはこの規定は適用されないということなのですか、そうじやないのですか。ちよつと言葉が足りなかつたのですが、要するにあなたの言うように、納税者が分るようなときだけこの規定が適用されるのであつて納税者が分らないような誰が遊興したか分らないような場合において、この問題が起つたときにはこの規定は適用されない、こういう御趣旨なんでしようか。
  58. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 特別徴收の場合でありましたら、不特定多数人の場合でありましても、実際問題として還付できる、特別徴收義務者が料金を納めた人に返さなければならない、返せる場合であつて、初めて可能であるというような主張ができるのじやないかというふうなことを考えておるのでして、そういう意味高橋さんの言うようなことになるのですが、理論的には次長が言われる通りだと、かように申上げておるのであります。  更にもう一例を申上げて見ますと、電気ガス税を余計徴收しておつた。これは明らかにそれを納入しておりましたら可能であります。これは返さなければならんわけでありますけれども、これは次の料金と差引するというような方法がとれるだろうと思います。これは明白でありますから取り過ぎたという場合は自然可能であるから返すということは問題にならんと思います。若し飲食税でありましたら、これは実際は領收書等がございましたら分つているでありましようが、可能であるか、可能でないかということ自体は遊興飲食関係の業者が立証できないのじやないか。返せるくらいのものでありましたら、これは本人に返すわけに参りますから立証できるであろう。自然返せないようなものにつきましては可能であるという立証自体ができないのじやないか。自然運営の面においては高橋さんのおつしやる通りになるのじやないかというふうなことを申上げているのであります。
  59. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうもよく分らないのですが、設例を申上げると、料理店が開店早々で二割取るべきところを二割五分平均取つていた。それを納めたところが五分だけ返して貰つた、ところがその中にはお得意があつて、五分の中の、例えば百万円なら百万円の中の五十万円は返した。ところがあとの五十万円は「ふり」で来たからどうも返しようがない。そういう場合に五十万円の問題がどうなるかということを聽いているのです。
  60. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は先程から申上げておりますように、そういう事実がないということを申上げているのではなくて、今御指摘のようにもつと余計取るべきものを少く取つたという場合、或いはもつと少く取るべきものをもつと余計取つたという場合におきましては、特別徴收義務者に或いは余計に還付される、或いは追徴されるということがあるわけであります。そういう負担を特別徴收義務者制度上は負わなければならない。その点は特別徴收義務者という制度を採りました場合におきましては止むを得ない結果である。直接納税者から納めるという建前になつていないからどうしても仕方がない。併しその場合におきましても、はつきりとどの納税者から余計取り過ぎているし、どの納税者から取り方が足らなかつたということが明らかな場合には、特別徴收義務者としてはそれは返して行かなければならない。こういうことであつて、その点が惡いとすれば事実この法案が惡いということになるわけでありますが、これは止むを得ない結果であろう、かように考えておるのであります。
  61. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 議論しても、ちよつと大蔵大臣の……、全体について減税になるか増税になるかを議論するのと……、一方において損するけれども一方において得だからいいじやないかということとは、これは私は得する者と損する者とが具体的に違うのであつて、從つて得する者についてはどうもそれに返すということは適当でないと思いますが、これ以上は考え方だと思いますから私はこれで打切ります。
  62. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは総則はこれで終りまして、次に第二章道府県普通税、第一節は後廻しにいたしまして、第二節入場税から入ります。九十五ページ。
  63. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 入場税につきましては、確か前回国会で一部改正法律案が通つて、それによつて現在施行いたしておりまするので、多くはその点にすでに改正を加えられた点がございまするが、その外に若干この案におきましてプラスをいたしておりますような点を中心申上げたいと思います。  第七十五條、これは前回法案の中にすでに謳われておるのでございまして、要するに一種、二種その他で娯楽性といいますか、興行性の強いものを第一種、文化性の高いものを第二種というように場所的に区分をいたしておりまするし、第三種の方は入場とかいうような観念よりも、むしろ利用という観念に該当いたしますので、第三種としてこういう区分をいたしておるわけでございます。一種、二種につきましてはその対象の性格からいつて税の率を調整いたしておるわけでございます。  第七十六條の「入場税のみなす課税」といういささかおかしいような名前でございますが、この点は要するに原則として一項は公務又は業務で警察官が入る場合とか、映写技士が入る場合を除いて、仮に入場料又は利用料を拂わないで入つても、全額の入場料金、利用料金を支拂つたものとして入場税を課するという規則でございます。それから第二の点は、從来からいろいろ問題のありました点でございまして、いわば全員の無料入場ということでございますが、そういう場合におきまして全く文字通りの無料興行であるということでありますならば、これは問題がないわけでございますけれども、実際問題として入場料なり利用料を取らない建前にして置きながら、他の名儀等におきまして入場料、利用料に相当するものを取りまして、そうして催しをする、こういうようないわば脱税の意図のものがあるわけでございまして、そういうような場合におきましては、その催物に要したところの経費を入場料金又は利用料金とみなしまして、この主催者等から入場税を取る、こういうことの規定であります。これは要するにこの規定を常に発動するというわけではありませんで、脱税の意図が明確である場合に入場税を課することができるという権能を都道府県に與えておるわけでございます。  それから七十七條の入場税税率は先程申上げましたように、すでに前回改正で百分の百五十が百分の百に下げられておるわけでございます。但書の点はこちらの参議院の方の御修正の通りでございます。  それから七十八條の入場税課税の免除でございます。これは兒童、生徒、学生、若しくは卒業生の団体というようなもの、或いはPTAのような学校の後援団体、或いは学校、或いは社会教育の関係団体、或いは社会事業なり更生保護事業なりを経営する者、或いは生活保護施設、兒童福祉施設、或いは身体傷害者の更生援護施設、こういつたようなものを設置する者、これらのやりまする催物でありまして、学生なり、生徒なり、兒童なり、又はいわゆる素人がやるという演劇、演奏、こういつたものにつきましては若しもその純益が全部教育の事業なり、或いは社会事業、更生保護事業、その他の特定の事業に支出されて、その催しに参加したものが何ら報酬を受けないというような場合においては、入場税を免除するという課税免除規定でございます。
  64. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで、以上につきまして御質問を願います。
  65. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この七十七條の税率は前に比べると低くなつたのですが、シヤウプ勧告では世界最高の税率というようになつておりますが、外国の方のはどのくらいか分りましようか。
  66. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この入場税税率は全く御指摘の通り非常に高い税率でございまして、アメリカ等におきましては非常に低く確か二、三%になつてつたと思います。これは一般の売上税の税率と大差ないようになつてつたように記憶いたしておりますが、ここにおきまして、百分の百という税率を採らなければならん理由といたしましては、府県に割当られておりまする附加価値税入場税遊興飲食税、この三つが府県の主要なる税源でございまして、入場税といたしましては、やはりこの程度の税率を現在の段階としては採らないと府県税の税收が確保できないというようなところから、こういうような税率を考えているわけでございます。勿論御指摘のように、将来の問題といたしましてはこれは軽減をして行かなければならんものであると、かように考えております。で、先程アメリカ等の例を申上げましたのでありまするが、確かフランスなどにおきましては五〇%程度の入場税を取つておると思います。
  67. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この一定の予定された税額徴收するにしましても、もう少し下げると入場者が多くなつて多く取れるというような逆の相関関係があると思うのですか、そういう長所はありませんか、税を高くすれば入場者が少くなるし、低くすれば多くなるというような。
  68. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それは一つのお説だと存じまするが、現在の入場料金から考えますると、まあ百分の百五十というようなことではそういうような傾向が或いはあつたのではないかと思いますが、全体といたしましては左程の影響はないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  69. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この入場税予定の收入なんですが、大都市のあるような府県は、やはり政府予定されておるような、今配付して頂いておるような税額は取れると思うのですが、大抵小さい県におきましては予定を下廻つているのですが、そういう関係調査はありませんか。例えば昨年度予定して政府平衡交付金を配付される基準にされて、実際年度末にそれだけ入つておるか。遊興飲食税については脱税も相当あると思うのですが、これは比較的脱税も少いと思うのですが、その関係を。
  70. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 入場税につきましては、今中田さんの仰せになりましたように、遊興飲食税に比較いたしまして脱税防止の方法もいろいろ考えておりまして、比較的脱税が少く大体予定いたしました税收を各都道府県共上げておる実情にあると考えております。
  71. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それから政府委員にお尋ねいたしますが、入場税が高いから下げて呉れというので、当委員会意見としては、百分の百でなく百分の六十くらいに下げたらよいじやないかというようなことも考えておるわけであります。又この純音楽を研究発表する会場に鑑賞のため入場する者などについて、百分の四十に思い切つて下げたというので非常に喜ばれたのでありまするが、この入場税が下つたに拘わらず入場券といいますか、それは前と変らないのですか。つまり業者が非常に儲けて、一般入場者の利益にはならないというような傾向がありやしませんか。その点の調査ができておりましたら。
  72. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今ここに具体的な資料は持つておりませんですが、委員長の御指摘のごとく、入場税税率が下つただけそれだけ入場料金を下げておらない事例が相当あるように考えます。先程中田さんの仰せになりましたような御疑問の点に対しましては、このような問題もやはり一面においてあるわけでございます。
  73. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この昭和二十五年度都道府県別税收入見込額の入場税につきまして、鳥取県は二千六百万、島根県は三千六百万となつておりますがこれは何か誤りではありませんか。それから鳥取県なんかにおきましては從来でも非常に下廻るのでありまして、例えば共同募金のときに行う興行についてすら特例を設けない。それほどにしてもなお相当下廻つておるのですが、若し共同募金なんかでも免税にすると、配付税を少く配付される一つの大きな何があるからというので、共同募金すら入場税を取つておるのです。これは何か表の違いではありませんか。
  74. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は取調べました上で後刻申上げることにいたします。
  75. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この第七十八條の課税免除規定ですが、社会教育法第十條の社会教育関係団体、その中に大日本体育会のごとき、文部省の社会教育局といいますか、それで指導し後援をしておる有力な団体、これが催すアマチユアのスポーツ、それをカバーしておるかどうかお尋ねしておきたい。
  76. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は私共もいろいろ研究をいたしましたが、社会教育法第十條の社会教育関係団体の中に入るであろうというふうに解釈をいたしております。
  77. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 並べて書いたのでありますが、やはり体育のことは日本の文化国家再建の上に非常に必要な問題でありますから、是非同等に取扱うことを要望して置きたいのであります。
  78. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 外の税目については、標準税額と申しますか、大体のそういう税金の標準的なもので、あとは府県に任しておるようなやり方なんですが、この入場税全体についても、一体この税率をこういうふうに決めるとか、係数を非常に嚴格に決めて、府県條例では非常に抜き差しのならんようなふうな決め方をしておるのですが、何かこうまで法律で決めなければならんという一つの理由があるのでしようか、この点を一つ
  79. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この入場税税率は、先程からいろいろ御指摘がございましたように、確かに政府といたしましては高過ぎると思うのであります。これがもう少し二、三〇%とか或いは五・六〇%というような率になつて参りますれば、標準税率というような形をとつてもよいと思うのでありまするが、何分非常に高いので法律ではつきりと法定をいたして置きませんと、徴收が非常に困難になる、又それだけの税額が入らないと全体の財政計画が立たないというようなところから、現在のところではこれを一応百分の百というようにいたしておる次第であります。
  80. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか……。それでは先に進みます。第七十九條。
  81. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 七十九條、この点は徴税吏員質問検査権で一般の質問検査権と同じでございます。それから入場税に係る検査拒否等に関する罪、それから入場税納税管理人、これも從来と同じであります。それから入場税納税管理人に係る虚偽の申告に関する罪、これも同様であります。入場税納税管理人に係る不申告に関する過料、それから第八十四條の入場券又は利用券の交付及び切取の義務でありますが、この点は入場税の脱税防止の方策として考えておる規定でございまして、この第一項におきましては、道府県作成する用紙をもつて入場券又は利用県を発行し、これを入場者又は利用者に交付しなければならない。」映画館等におきましては、府県作成する用紙をもつて入場券を発行して行かなければならん。それには第二項で一連の番号を附けるというふうにしてあるわけです。そうして更に第三項におきましては、その入場の際に入場券なり利用券なりの呈示を求めて、これを一半は切り取つて、他の一半を入場者又は利用者に返すと、こういうふうにいたしております。これはまあ要するに入場券を何と申しますか、偽造というようなことをできるだけ防ぎ、又入場券のたらい廻しというようなことを防ぎまして、脱税を少からしめようという趣旨規定でございます。八十五條はそれにつきましての義務違反に関する罪の規定でございます。
  82. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そこまで。以上につきまして御質問ございませんか。
  83. 安井謙

    ○安井謙君 七十九條の検査と質問に絡む罰則ですけれども、普通まあ刑事が家宅捜索にしても令状かなんか持つて来るし、或いは質問に対しては黙秘権というものが今日あるわけですが、その点は税務官吏だけが特別な権利を許されるのですか。その点がはつきりしませんが。
  84. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは第二項におきまして、その身分を証明する証票を携帶して行くことは、これは絶対の要件でありまして、関係人の請求があればこれを呈示しなければならないということであります。それから今の御質問の要点と考えまするが、第四項に犯罪捜査のためにこの質問なり検査の権限を認めたのではない、こういういわば一種の精神的な規定を置きまして、徴税吏員の心構えと申しますか、検査上の範囲は飽くまでも徴税のその必要な限度に止むべきであるという趣旨を注意的に規定をいたしておる次第であります。
  85. 安井謙

    ○安井謙君 今の質問に答えない者もこれはやはり適用するですか、黙秘権との関係
  86. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この憲法上の黙秘権との関係におきましては、これは行政上の問題であつて、いわゆる刑事上の問題についての黙祕権とは違うものである。こういう解釈をいたしております。
  87. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に移ります。第二款徴收
  88. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 入場税徴收方法でございますが、これは特に変つた点はございませんが、この八十六條で全員無料入場というような場合につきましては、特別徴收方法によらないで、申告納付方法によれるという規定を新らしく決めておるわけでございます。それから入場税の特別徴收の手続は先程来いろいろ御議論がございましたが、八十七條に規定しておるわけでありまして、道府県條例で定める納期限までに徴收すべき入場税課税標準額、その他を記載した納入申告書を提出してその納入金を当該道府県に納入する義務を負う、これが特別徴收義務であります。  その次の八十八條でございますが、臨時の催物に係る入場税の納入金に関する特例。この点が衆議院におきましても論議のあつた点であります。「道府県は、主催者等が臨時に場所を設けて催物を行う場合においては、当該道府県條例の定めるところによつて、その主催者等が徴收すべき入場税を予納させることができる。」これはいわゆる臨時仮設興行の場合でございまして、臨時に簡単に小屋を作りまして催物を行う場合におきましては、その主催者等の信用等は比較的少い、一晩興行をやつてすぐ翌日にどこかに行つてしまい税金が取れないというようなことが從来ままあるわけでございまして、そういう場合におきましては入場税の予納をさせることができる、これを道府県條例でその細目は定めると、こういうようなことを考えておる次第であります。  それから第二項の点はいわゆる臨時興行の場合でございまして、「道府県は、第一種の場所の所有者がその場所における催物に係る入場税徴收すべき義務を負わない場合において、当該場所における催物が臨時に行われ、且つ、その催物に係る入場税特別徴收義務者がその納入すべき納入金を納入しなかつたときは、当該道府県條例の定めるところによつて、その所有者に対し、特別徴收義務者が納入すべき納入金に相当する金額の支拂を請求することができる。」特別のこの興行者が田舎の映画館等のありまする所へ参りまして、そこで臨時に催物をやるという臨時興行の場合におきまして、その映画館等の所有者自身は地方の者でございまするから信用があるわけでありまするが、そこでやる興行者が旅廻りのもので必ずしも信用がない、從つて入場税を納めないで行つてしまうということも從来ままあるわけであります。そういう場合に処する途といたしまして、その興行館の所有者に対して、特別徴收義務者が若しも納入しなかつたならば、その納入すべき金額の支拂の請求の権利を道府県に認めたいということであります。所有者と興行主との間におきましては、その借入の契約の際にこれに対応するところの措置が契約上なされるであろうと予期をいたしておる次第であります。場所の所有者といたしましては、拂つた税金に代るものが貰えない場合におきましては、特別徴收義務者に対して求償権を持つておる。で、求償権について訴えを起した場合においては、府県の方は積極的にこれを援助しなければならんと、こういう規定を四項、五項に置いておるわけであります。  それから八十九條は特別入場税の特例徴收義務者に対しまして、各利用する場所なり入場する施設なりの、その場所なり施設なりごとに、特別徴收義務者としての登録をしなければならん、映画館のものなりが登録をする、そのための申請を知事にしなければならんということの規定であります。その場合においては特別徴收義務者であるという証票を知事から交付しまして、それを公衆の見易い場所に置くと、こういうわけであります。これによりまして徴税君側の府県の検税の便宜を與えますと共に、納税者特別徴收義務者の方の責任を自覚せしめようというような趣旨のことでございます。  九十條はそれに関しての罪に関する規定であります。九十一條は先程ちよつと申上げました申告納付の場合、全員無料入場等の際におきましては、主催者側から納付をするわけでございますが、その場合の手続を書いておる次第であります。九十二條は脱税に関する罪、九十三條は納期限の延長の規定、九十四條は申告納付の場合、或は申告納入の場合の更正決定規定であります。九十五條、九十六條は、これは一日百円につきまして四銭という延帶金に関する規定でございます。それから九十七條は、過少申告加算金、不申告加算金、申告納付をいたすべき特別徴收義務者申告いたしました額が過少であるという場合におきまして、或いは延滯金を納めなけれげなりませんが、それが更に正当な事由がないと認める場合におきましては、その不足額が二千円以上であるときには、その金額に百分の五の割合の過少申告加算金を徴收するということであります。申告書を提出すべき期限までに提出しなかつた場合について正当な事由がないと認めれば不申告加算金を取る、これは税額が千円以上の場合を押えまして、それぞれの不申告の期間に応じまして、一ケ月以内の場合には百分の十、二ケ月以内においては百分の十五、三ケ月以内においては百分の二十、三月を超える場合は百分の二十五という不申告加算金額を取るようにしておるわけであります。こういうようなことによつて特別徴收義務者申告期限を確保しようこういう考えでございます。 第九十八條は今の過少申告加算金或いは不申告加算金等につきまして、その基礎となる「事実の全部又は一部を隠ペい」をしたり、或いは仮装をしたり或いは「その隠ぺいし、又は仮装した事実に基いて申告書を提出した」という場合におきまして、過少申告加算金額に代えて百分の五十の割合の重加算金額を取ろうこういう趣旨規定でございます。第一項は過少申告加算金第二項は不申告加算金のものでありまして、不申告加算金の外に更に重加算金額を取る、こういう一番重い場合を規定しておるというわけであります。 それから第三款の更正決定等に関する……
  89. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつとお待ち下さい、第二款につきまして御質疑をお願いいたします。……東宝が入場税を流用して納めない、それで日本劇場なんか競売することにするとかいうことが新聞に出ておりましたので、この入場税特別徴收義務者から地方公共団体に納める期限ですね、あれば條例でいかんでもいいのですか。
  90. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 特別徴收義務者申告納入をいたすべき期限というものは、條例で定められるようになつておるわけでございますが、現在の問題といたしましてはたしか翌月の十日までに納めるようになつておると聞いております。今の御指摘の東宝等の滯納の問題は大体この頃は解消したように聞いております。
  91. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。それでは第三款は午後にいたしまして休憩をいたしたいと思いますが。
  92. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 休憩の前に地方税審議についてでありますが、私がこの委員会において專門員の活用ということについて多少今までも発言いたしておるのでありますが、その節にも申し上げたあとでありますが、少くともその会期の国会中における本委賞金に付託さるべき議案の中で、最も重要なるものをば一つぐらいについで專門員が研究の結果になる自信ある意見の開陳をして貰いたい、そういう慣例を作つて貰いたいということを提案いたしまして大体皆さんの御賛成を得て、先に上原專門員からもそうしたことをして貰つて、今度の臨時国会に起きましては、この地方税法案が最も重要なる法案であるこというまでもないのでありますから、幸いその道の権威者である野津君に臨時にこの專門員に赴任して貰つたのであります。それで同君がどういう見解を持つていらつしやるかということについての意見の開陳をして貰いたいし、又そうした機会を委員長の方で與えるように一つ御考慮が願いたいと思うのであります。ただこの法案は今期国会におきまして、極めて重要なる法案で、あると同時に、又政治的ないろんな意味をも含んでおるのでありますから、その意見の開陳について專門員が非常にデリケートな立場に立たれるようなことも政治的な面からは考えられるのであります。併しながら国会法におきましては、專門員というものは忌憚なく自信ある真面目なろ意見を開陳せたければならんという建前におきまして、二ケ年間にその職をやめても政府の役人になることができないようか規定が曾てあつたのは、そうしたことを考慮しての規定であつたかと考えられるのであります。その後その規定は專門員の個人的な利害を考慮いたしまして削除せられたのでありまするけれども、その精神は生かさなければならんと思うのです。この法案につきましてはすでに各党派において緑風会は緑風会、又一人一の政党の方もありますが、大体において多数の人の意見或いは自由党の方での意見、見というものが、大体今日まで発表せられておるのでありまするから、そういう関係において極めて野津君に意見の開陳を求めるときにはむずかしいようなことも考えられるかと思うのでありますが、そういうことはすべて除却して、研究者として或いは学者として或いは專門家としての立場からの忌憚のない真面目な意見の開陳をして貰いたいと思うのであります。ただその機会或いは方法についてでありますが、例えば三十日の討論採決の直前にそういう意見の開陳をするというようなことは心理的にも影響が大きいと思いますから、そういうことは避けまして、成るべく明日或いは明後日等の日において口頭において開陳して貰うか、或いはできるならばむしろ文書によつてまとめて、それをプリントにして我々に配付して貰うというような方法を選んで頂くのがいいのじやないか、そうした期日並びに方法についてはできるだけ政治的惡影響を與えないようなことを考慮して実行して貰う必要が翻るのではないかと思います。  同時に重ねて福永專門員には專ら警察行政の方面のことを担難して貰つでおるのでありまするから、これは議案が我々には付証されておりませんけれども、いうまで、心なく今度の警察予備隊の問題は極めて重大なる行政上の問題であり、同時に又政治の問題であると考えられるのであります。このことはこの臨時国会開会中に間に合わして頂かなければならんというように時間的には考えないのでありますが、その後で結構でありますが、特に福永君滑が專門員として十分な研究を重ね、そうしてその研究の結果に基くところの意見をまとめて、これ又できるならばできるだけは文書で、又必要の場合においては口頭において我々に意見の開陳をして貰うように一つ委員会としてお決めを願いたいと思います。
  93. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の吉川君の御意見に関して外の、委員の方の意見をお聴かせを願いたいと思います。
  94. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 非常に結構な意見だと思います。適当心機会にお願いいたします。
  95. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私も大変結構だと思いますので一つ委員長の方で相談して議事の進行に妨げにならんように適当な機会にお願いいたします。
  96. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第七国会におきましても吉川君から御同様の御発言がありまして、上原專門員から書面を出して頂きその書面は確か皆様のお手許に廻つてやしないかと思いますが、それから連合委員会におきまして特にそのときの大蔵委員でありましたかの波多野君から意見が出まして、野津君に連合委員会において地方税法案に関する意見を述べて頂きたいという、こういうような前例もありますから、ではこの度もそういうふうに取計らいたいと思います。よろしくお願いいたします。それではこれで休憩いたします。午後一時から再開いたします。    午後零時一分休憩    —————・—————    午後一時三十五分開会
  97. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 午前に引続いて委員会を再開します。  それでは入場税の第三款から始めます。
  98. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 筋三款は、入場税更正決定等に関する救済の規定でございまして、「違法又は錯誤に係る入場税に関する更正決定又は過少申告加算金額、不申告加算金額若しくは重加算金額の決定の救済」であります。その方法としましては、これらの関係の通知を受けた日から三十日以内に道府県知事に異議の申立をすることができるこういうことでございます。それでこの申立てがありました場合におきましては、三十日以内に知事がこれを決定するわけでありまして、その決定に不服があれば裁判所に出訴できるということに相成つております。  それから第四款の督促及び滯納処分でありますが、これも納期限までに納めなかつた場合の滯納処分で、從来規定と同様でございます。尚督促状を発した場合におきましては督促手数料を取るわけでございますが、この点も從来と同様でございます。  百二條入場税に係る滯納処分、これは督促状を出しましてからその支拂期限までに納めなかつた場合におきまして滯納処分をすることになるわけでございますが、そのやり方国税徴收法規定による滯納処分の例によるということになつております。この点も從来規定と何様であります。  それから第百三條でありますが入場税に係る滯納処分に関する罪、これは從来もこういう関係規定はまとめて書いてあつたのでありまするが、それをそれぞれ国税につきまして、こういうような規定を設けた次第であります。  それから百條は入場税に係る滯納処分に関する検査拒否の罪、これも大体国税に同様の趣旨規定が置いてございます。  百五條入場税に係る交付要求であります。これは総則のところでちよつと御説明申上げましたが、今回新らしく交付要求の制度を認めたわけでございまして、府県徴税吏員がここに書いてありますように一から六までの事態がございました場合におきましては、地方団体徴收金については交付要求をしなければならない、こういうことであります。勿論直接差押うべき財産があればそれを差押えていいわけでありますが、そうでない場合には必ず交付要求をして財政を確保しなければならないようにする、こういうことであります。交付要求をいたしました場合におきまして、国の徴收金には優先しませんがその他の公課につきましては優先をいたしまして取れるわけであります。  それから第百六條の入場税に係る延滯加算金、これは督促状を発しました場合におきましては從来から取つてつた延滯金でございますが、これを延滯加算金という名前にいたしております。内容は從来のものと同様でございますが、総額は第二項におきまして「納入金額又は税額の百分の五をこえることができない」といろ一つの制限があります。  第五款が犯則取締であります。これは国税犯則取締法の規定入場税につきまして準用するということでございますが、第百八條はこれを準用いたしました場合に、国税犯則取締法はそれぞれブロックごとにありまする国税局長、その下の税務署長というようなものとそれぞれ機関が違つておりまするので、その相対応する機関をどれにするかということの振分けをして書いてあるわけでございます。ブロックの国税局長の職務に相当するものは府県知事がやり、それから税務署長の職務については道府県知事、又は條例によつて設ける支庁、地方事所或いは税務に関する事務所を大都市等では設けることになりますが、そういうものがそれぞれ同税局長の職権で国税犯則取締法に書いてあること存やる、こういう意味でございます。  それから第百十條の「第百七條の場合において、入場税に関する犯則事件は、間接国税に関する犯則事件とする。」とありまして、国税犯則取締法におきましては、直接国税に関する犯則取締の方法と、間接国税に関する犯則取締の方法と二通りあるわけであります。面接国税に関し度するものにつきましては、間接国税の場合と違いましていわゆる通告処分という権限を認めておりません。が、間接府税に関する犯則処分につきましては、徴税吏員が犯則の事実があると認めた場合におきましては、罰金、過料に相当する限度の犯則事件につきましては、犯則者にその旨を通告することによつて一種の簡易なる裁判ができるような形になつておるわけであります。その原則入場税は消費税であり間接国税的なものでございまするから、そこで間接国税に関する犯則事件をするということで、その通告処分の権限をこの税務署長に相当する地方事務所長なり支庁長或いは税務の事務所長に認めようと、こういう趣旨でございます。  第百十一條は通告処分によつて納付されたものは当該府県の收入になるということであります。  第百十二條は犯則事件に関する検査拒否の罪でございます。
  99. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第三款、四款、五款について御質問をお願いします。
  100. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 遊興飲食税で以前から宿屋へ泊つても取る、これはどうも遊興という字が不適当だというので直して欲しいというような要望があつたのですが。
  101. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 高橋君に申上げますがまだ遊興税に入つておりません。入場税だけです。
  102. 石村幸作

    ○石村幸作君 入場税、それから次にある遊興飲食税市町村税電気ガス税等の特別徴收義務者については條文に出ておるのですが、この法的根拠というものはどんなものですか。
  103. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 特別徴收義務者制度は御承知のごとく大分昔からおるわけでございまするが、大衆が消費行為をいたしまするような場合におきまして、それに対して地方団体課税をいたしますると、本当はその一人一人の大衆が納税義務者になるわけでございます。そこでその一人々々の納税義務者から税を取るということのためには、その大衆の消費行為の行われまする旅館或いは映画館なりというようなところに県から徴税の職員を派遣したりしなければなりませんので、そのために相当の徴税費がかかるわけでございまするし、殊に遊興飲食の場合等におきましては実際問題としてそういうことは不可能でございます。そこで特に徴收上の便宜を有しまする映画館の所有者或いは興行主或いは料理店の経営者というような者に対しまして、地方団体の持つておりまする徴税事務を委任をいたしまして、その徴税事務地方団体の知事において代つてつて貰うというような考え方のものでございまして、これはやはり徴税の能率を上げ最小の経費で税源を得ようというところから、特にそういう地位にありまする者に地方団体が国の認めた法律によつて任しておるところの一つの仕来りというふうな主格のものであるというふうに考えております。
  104. 石村幸作

    ○石村幸作君 今のお話つていますが、この義務付けられているのですか、強制的なものですか。
  105. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはそれぞれ府県條例でどういうものを特別徴收義務者にするかということを決めるわけでございます。そこでこれで申しますと、百八頁の八十八條に入場税特別徴收義務者規定がございますが、こういう法律基礎によりまして、府県條例において具体的に誰が特別徴收義務者になるかということを規定をいたしまするから、その條例規定によつて果たしてそれが法律上義務付けられておるかどうかということが判明すると思うのでありますが、多くの場合は義務付けられておるように存じております。
  106. 石村幸作

    ○石村幸作君 そうするとさつきのなにで最小の経費でとお話がありましたが、そうすると地方団体の義務者に対して、徴税の手数料とか交付金というものを今まではまあ出した所もあるし、出してはいけないということにも一応なつたんですね。今後この新税法ではどういうお考えでしよう。
  107. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のように古い地方税法におきましては、取扱交付金を特別徴收義務者に交付をするというような制度を採つておりましたので、その後国税地方税との制度につきまして検討が加えられました結果、特別徴收義務者として指定されるような人達は、税金徴收するについても便宜を有するが、併し又そういう業態を営んでいるということは半面そういう税金徴收するような公けの仕事に奉仕しなければならない義務を負つておる性質のものなんですから、そういうものに対して取扱交付金を交付することはよろしくない、こういうような考え方になりまして、同時に国税制度につきましても、地方税制度につきましても交付金を交付するという規定を削除したわけであります。從つて現行法では交付しないという制度になつて、おると御了解頂けると思います。
  108. 石村幸作

    ○石村幸作君 そういうふうになつておるんですけれども、納税の成績を上げる意味において交付した方がいいと政府は考えませんか。
  109. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点はまあいろいろ考え方があると存じます。府県が特にその徴收事務をその限度におきまして委任をいたしまして、その徴收事務府県に代つてつておるという場合におきましては、それに対する相当の反対給付少くとも実費は、これはやつて然るべきじやないかという論が出るだろうと思います。この点は実は先程もちよつと申上げましたが別個の見地から、例えば料理屋や飲食業組合の組合長というようなものを特別徴收義務者に指定をしましたような場合については、從来は一種の割当課税式の課税方法が行われておつたわけでございまするが、そういうようなことはやはり税の公正なる徴收の上からいつて適当でないという一つの強い政治的な関係方面の意向がございまして、從つて現在地方自治庁等におきましてはそういうようなことを非常に嚴重に禁止をしており、そういう事実があつた場合にはこれを直ちに検察官の方に通知をしなければならんというような義務付けの規定もあるのでございますが、そういうような見地と一緒になりまして、今の特別徴收農務者に対する補償金と申しますか反対給付の規定が削除せられたものであろうと考えております。これはやはり今後の研究問題として研究をいたしたいと思いまするが、ただ純粹の法律論から申しますると、これはそういう特別徴取義務者に対しまして、府県として特に事務の負担をかけました限度においては、実費の負担を徴税団体としてするのが当然ではないかという議論もあろうと存じまするが、現在の建前といたしましては、先程財政課長から申上げましたように、從来補償金額に関する規定がありましたものを削除したような経緯もございまして、今の建前としてはそういうことはできないのだ、こういうまあ解釈を現在のところは取つて来ておる次第でございます。
  110. 石村幸作

    ○石村幸作君 この入場税、遊興税の場合は都道府県税ですが、今度は市町村税の場合は入場税とか電気ガス税がある。電気ガス税のごときは現在都道府県税としてやはり特別徴收義務者徴收をさせている。そこで例えば関配とか、ああいう所が無條件ではやつて呉れないんですね、自分の方はそういうふうな義務はお断りすると。それでいろいろ交渉した結果引受けて貰うようになると、そうすると手数料を出せ、労働者が非常にむずかしいときであるから相当な手数料がなきやならんということで、各都道府県とも正式に手数料を出していると思うのです。特に今回この新税法によると市町村税となるのですが、小さな村や町ではなかなか都道府県が電気会社に代行させせるような強力な代行はできませんから、どうしても関配等の配電会社等の意見に左右されがちです。そういうふうなのをどういうふうにお考えになりますか。
  111. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 特別徴收義務者に対する交付金制度につきまして改正を加えましたのは確か一昨年であつたかと思います。改正を加えました動機を率直に申上げますと、アメリカにおきましてもやはり特別徴收義務の制度はあるわけですが、特別徴收義務者はそういう事実をやつている反対給付として、公けの仕事に奉仕するのは当り前だというふうな観念に立つているようであります。從いまして交付金は交付していない。にも拘わらず日本においてそういう制度を行なつておることは穏当ではないじやないかという関係方面の意見が実は動機であります。併しながらいろいろな考え方も立つわけなんでありまして、そこで昨年電気ガス税というものを創設いたしました場合に、お話のようなことからいろいろ考えたわけであります。で形式的に申上げますと、法律の上で配電会社は電気ガス税を徴收いたしまして地方団体に納入しなければならないという義務を課されておるわけであります。而も又取扱費の問題は、他の税目などにつきましては、いろいろのと補償金を交付するようた規定がございます。併しながら特別徴收にかかる税目につきましては特にそういう規定を設けてないわけです。自然、反対給付なしに特別徴收の仕事をしなければならないという義務を法律上配電会社が負うているわけであります。併しながらそれだけではなかなか協力が得られないというような問題もあろうかと思いまして、特に配電会社の代表の人達といろいろ懇談をいたしまして、その結果配電会社としても特に電気ガス税を徴收したら領收書のようなものを出さなければならないのだろうから、そこでそういうような領收書的なものは地方団体作成して配電会社に交付しよう、併しそそれを地方団体が作つて配電会社に交付するよりも、配電会社は自分で作つた方が便利だという場合があるだろうから、或は配電会社が直接作るかも知れない、併しその場合でも電気ガス税の百分の一を超えることはない、こういう話合いにして置こうというふうなことで、実はその話合いの結果というものを現に府県に示しておるわけであります。でありますから交付金として交付することはよくない。併し府県としても領收書というようなものを府県の好みに從つてつて貰いたいという考え方もあるわけでしようから、その場合には府県に領收書を作つて渡しなさい、便宜それを配電会社に頼む場合であつても、その金額は電気ガス税の百分の一を超えることはないと、こういうような話合いにして置こうという話合いになりまして、そういうものに從つて一応現実の問題は処理しておるわけであります。
  112. 石村幸作

    ○石村幸作君 大分諄いようですけれども大体分りました。そうすると配電会社というものはなかなか強力なものである。これを委嘱する場合に今度遊興飲食税のごときもそれの筆法に則つて便宜そういう取扱をしてよろしうございましようか。
  113. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 遊興飲食税の問題も、一定の領收書を作つてそれに從つて領收書に記載して貰わなければならないことになりますと、それだけ手数がかかるわけでありますから、領收書を府県が印刷をいたしましてそれを料飲業者に交付するのが当然であろうと思います。或いは遊興飲食業者に一定の様式のものを示してその通りに作らせるという場合には、便宜印刷を料飲業者に代行させる場合にはそれ相当の代金を交付することも、これも必要なことだと思います。
  114. 石村幸作

    ○石村幸作君 はい、分りました。
  115. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質疑ございませんか……。入場税につきまして、この前の第七国会におきまして参議院議長に請願、陳情がありました。第七国会においては保留になりましたが芸術舞踊、つまり日本や西洋の芸術的の舞踊の入場税を今の十割から純音楽のごとく四割にしてくれという陳情もございました。それから映画演劇の從業員組合、労働組合、その方から入場税が高過ぎるから引下げてくれ、大衆的なものであるから引下げなければいかんという陳情がありました。その他種々税率の引下について陳情があつたのであります。それで当委員会において一般の映画の入場税も六割くらいに下げた方がいいのじやないかという御意見もあつたのであります。それから第七国会において、衆議院の方におきましても自由党の修正案として一般の演劇を十割でなく七割に下げたいというよう案もあつたのですが、承認を得るに至らなかつたのです。これは将来都道府県地方税増額と睨み合せて、成るべく早く税率の引下をする必要があるのではないかと思います。  尚この際政府にお尋ねして置きますが、証紙の都道府県による発行ですが、これは確か現行法においては條例によつて証紙を発行することができるとなつているのではなかろうかと思います。それで東京都などではどうなつておりましたか、証紙を東京都から発行しておつたかどうか……発行することができなかつたのじやなかろうかと思いますが、今度この法律が出たと仮定して、九月一日から入場税に関する規定は適用されるようですが、一ケ月くらいの間に果して実行ができるかどうか、この点をお尋ねして置きたいと思います。
  116. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の入場税の入場券或いは利用券等を都道府県で作つたものを強制的に使用させるということはこの案において考えていることでございまして、現在におきましては御指摘のごとくそういう法律上の根拠はございません。で、若しもこの法案が通過をいたしました後に、どの程度の期間を置いたらば今の入場券、利用券を都道府県が発行するようなもので全部やれるかというようなお尋ねでございますが、これはそれぞれの関係道府県條例で定めることに相成つておりますから、その條例の定める時期によるわけでありまして、自分の区域内の全体の入場券なり、利用券というものにつきましての使用と発行がどの程度可能であろうかということを勘案をして、各都道府県で決めて貰うということになるわけであります。
  117. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お尋ねいたしますが、條例で定めるというのはどこに書いてあるのでありますか、都道府県が発行しなければいかんという規定は八十四條にあるのですね。その施行時期は附則によつて九月一日となつておりますね。それだけは……。一ケ月の間にそういう準備ができるかどうか。衆京都の中におきまして、これだけの多くの映画館、演劇機関があつて……。
  118. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それは聊か読み方としては奇異でございますが、八十四條の一項に「及び当該道府県條例で定める場合を除く外、」ということで、実情に即するように一応全部的に除いて、間に合うような時期まではこれを動かさないような形にしてはどうだろうかというふうに考えております。
  119. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 随分無理な読み方だと思うのでありますが、第八十四條第一項に規定する「公務又は業務に因り入場する場合、同條第二項に規定する場合」こう並んで書いてあるのですから、そういうことまで当該道府県で定める場合を除くの外という中に施行期日まで含んでおるのじやなかろうかと思うのですが、そういう読み方をするより仕方がないと思うのですが、その点どうですか。
  120. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 委員長の御指摘のごとく、聊か読み方としてはおかしな読み方でございますが、原案におきましてこういう形に相成つておりまして、今回必要個所を訂正いたしまして提案をいたしたのでございますが、成るべく早く施行をし、実施せしめたいというような考え方で、聊かこういう無理なような規定にはなつておりますけれども、これでやつておるわけであります。施行の期日はこの附則の一項にございますように、九月一日からでございまして、若しも今月中に通過して成立するということに相成りまするならば、府県としてもこの八十四條の第一項の規定を動かさないで、成るべく間に合うように努力をして貰うように政府としても努力いたしたいと、こう考えております。
  121. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に入場税について御質問ございませんか。  それじや次の第三節遊興飲食税に進みます。政府委員説明を求めます。
  122. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 遊興飲食税につきましては、百十三條に根本の規定があるわけでございますが、遊興飲食税は、料理店、貸席、カフエー、バー、喫茶店、旅館その他これらに類する場所における遊興、飲食及び宿泊に対し、料金を課税標準として、その行為地所在の道府県において、その行為者に課する。前項の料金とは、何らの名義をもつてするを問わず、遊興、飲食及び宿泊について、その対価又は負担として支拂うべき金額をいう。」ということでございます。從つてその課税の客体となりますものは遊興なり、飲食なり、宿泊というそれぞれ三つの一応別の形の行為でございますが、それを遊興飲食税という形で併せて呼んでおるわけでございます。  百十四條はみなす課税と申しますか、遊興飲食の本来のものには当りませんのでありますが、大体料理店とか仕出屋、旅館等から供給を受けて、料理屋以外において飲食をする場合におきましては、実質的には料理屋で食事をするのと同じようなことでございまするし、こういう形の脱税、税法等も考えられますので、こういうものをみなす課税といたしまして課税をいたすようにいたしておる次第であります。それから百十五條は、この税率でございますが、芸者の花代が百分の百、芸者が侍つておりまする料理店等の遊興飲食、これは從来百分の八十であり、芸者の侍らないものが百分の五十であつたのでありますが、この二つを合せまして百分の四十、單なる宿泊と、普通のいわゆる飲食、これは百分の二十、これは一昨年ですか、百分の四十から二十に下つておりますので、これは現在のままにしております。それから百十六條の質問検査権、これは例文でございます。百十七條の検査拒否等に関する罪、これも例文であります。
  123. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上第一款につきまして、御質伺お願いいたします。
  124. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 前から遊興飲食税という名前が、宿屋とか料理屋にかかる税だということについて非常に問題があるのですが、この点についてはお考え頂いたのですか。
  125. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は、御指摘のごとく旅館につきましては宿泊税、或いはホテル税というような形で課しておる国もあるようでございますが、ここでは原案におきましては、現行が遊興飲食、宿泊というようなものを考えでおりまするので、一応現在の名称をそのまま踏襲いたしたような次第であります。
  126. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それから外食券食堂なんですね、この外食券食堂で飲食した場合もこれはかかつて来るわけなんですか。外食券食堂でいわゆる二十円以下とか或いは五十円以下という、いわゆる勤労者が低額の飲食をした場合にもやはりこれで行くのでしようか。
  127. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 免税点を設けるとか、いろいろそういう場合におきましての救済策と申しますか、緩和策を考えたらどうかというような御意見もいろいろあろうと存じますが、免税点等を設けますと、又いろいろそれを潜るような形のものも出て参りますので、必ずしも適当でないので、そういうものは設けてございませんが、今お話の外食券食堂等については実際の運用といたしまして課税の対象から外すように各地方団体において考えて貰つたらどうであろうかというふうに考えております。
  128. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると外すというのは、この規定でどういうふうな形で外せるのですか。
  129. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは公益上の理由によりますか、その他特別の事由のありまするものにつきましての課税免除という規定総則にもございまするので、それによつて一般的に外せると存じます。
  130. 石村幸作

    ○石村幸作君 何條になりますか。
  131. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 六條です。
  132. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、六條の総則というものはやはり全体にかかつて来るわけなんですね。
  133. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その通りです。
  134. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうしますと、それじや先程の入場税のようなものにも公益というようなことでやれば、そういう免税ができるのでしようか。
  135. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはその通りであります。何が公益上その他の事由により課税を不適当とするかという最後の認定はそれぞれの地方団体にあるのでありますから、地方財政委員会等でいろいろ指導はいたしますけれども、最終の決定は各地方議会がやることになつております。
  136. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすると、第六條の規定は、例えば程度の差を設けて免税することも可能なんでしようか。言い換えれば、全然免除するのじやない、半分だけは免除してやるのだという規定などもこの六條を活用すればやり得るというのですか。
  137. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは今特定の種類のものを抑えまして、縱割りにこれを公益上の必要から課税を免除する、或いは一定の程度のものを抑えまして、横割りにそれ以下のものを公益上の理由から免除するというのは、少くとも法律上は可能であります。六條の規定をそのまま読みますと、私共はそういうものに読めると考えております。
  138. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それじやもう一点ですが、縱割りという或いは横割りというお話があつたのですが、私が言うのは、税率を例えば遊興飲食税、仮に入場税でも公益上の理由或いはその他の理由から特定のものには半額であるとか、或いは外食券食堂については一割であるとか、そういう課税の仕方というものはやり得るわけなんでしようか。
  139. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 入場税につきましては、先程も御論議がございましたように、一定率を取つておりまするから、そういう一定率のものはこれは動かすことができない。減免の個々の具体的な措置によるより手はないと思います。
  140. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 入場税のようなのは、ここに六條の規定を適用して、それを取るか取らんかは決めることができるけれども、この税率を半額にすることはできないというわけですか。
  141. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) そういうことでございます。
  142. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうすれば、この遊興飲食税についても同じなんでしようね。減免することはできるけれども、例えば百分の二十とあるやつを百分の十にするというようなことはできないと、こういうことなんですか。
  143. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) こちらの遊興飲食税の方は、百十五條にございまするように標準税率でございまするから、これが絶対のものではないわけであります。從つて現在でも県によつては或程度税率を下げて取つておるようなところもあります。
  144. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。じや第二款に移ります。
  145. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 遊興飲食税徴收方法は特別徴收で、この場合には証紙徴收方法によつて徴收させることができる。百十九條の特別徴收の手続でありますが、これは入場税について申上げたのと全く同じでございます。それから百二十條の特別徴收義務者としての登録、これもそれぞれの料理店とか旅館等の場所ごとに知事に申請して証票の交付を受ける、これを公衆に見易い箇所に貼らなければならんわけであります。これも徴税人の便宜と納税者の自覚を促す、こういう意味のことであります。それから百二十一條は今の登録等に関する罪。百二十二條は脱税に関する規定であります。百二十三條は遊興飲食税納期限の延長。これは三十日を超えない限度において納期限の延長を認める。百二十四條は、申告納入につきましての課税標準額なり税額が県の調査したところと違う場合においては更正できるという規定でございます。それから百二十五條は、今の更正又は決定の結果として不足金額がある場合の徴收規定でありまして、その場合は延滯金をそれぞれ取るわけであります。それから百二十六條、これは納期限後に申告納入するという場合におきましての延滯金、これは百円について一日四銭の割合。それからその次は過少申告加算金及び不申告加算金、この場合は先程入場税について申上げたのと同様の趣旨であります。百二十八條の市加算金も全く同様の趣旨規定であります。百二十九條の証紙徴收の手続でありますが、証紙徴收を遊興飲食についてするかしないかということは、府県條例で決めるようにいたしておりまして、府県としてこれを取ろうと取るまいと法律上は差支ないのでありまするが、この証紙徴收方法府県條例で義務付ける場合におきましては、府県條例で定める領收証を発行して、これを料理店の特別徴收義務者納税者に交付しなければならない、こういうわけであります。それからその場合におきましては、証紙を貼つた紙面と証紙の彩紋とにかけて、その特別徴收義務者の印又は署名で判明にこれを消さなければならない。現在と同趣旨でございます。
  146. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第二款、御質問ございませんか。——それでは第三款に移ります。
  147. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 入場税につきまして申上げましたのと第三款は同じでございますが、救済の方法を書いたのでありまして、特に申上げることはございません。  第四款の督促及び滯納処分、これも入場税と同様の趣旨規定であります。滯納の場合に督促状を発しましたときには手数料を取るということ。それから百三十四條は滯納処分方法国税徴收法規定によるということを書いてあります。百三十五條滯納処分を免かれるために財産を隠匿したりした場合の滯納処分に関する罪の規定であります。百三十六條は滯納処分に関する横谷拒否の罪。百三十七條はこれも入場税の場合と同じような交付要求の規定であります。百三十八條も、督促状を出した場合に從来の延滯金に相当する加算金の規定であります。  第五款は犯則取締でありますが、これも先程入場税について申上げましたのと全く同じでありまして、これは間接国税に関する犯則事件として、いわゆる通告処分を認める建前にいたしておるわけであります。
  148. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第三款、第四款、第五款について御質疑ございませんか。
  149. 安井謙

    ○安井謙君 先程の高橋君の御質問と関連するのですが、具体的に言いますと、遊興飲食税は都道府県で以て、例えば一〇〇%を五〇%にしても構わないのですか。
  150. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 現在福岡県ですか、大体現行よりも昨年でしたか、下しまして取つております。それで一体高い率と同じ程度取れるかということでありますか、これはやつぱり少し落ちておるのではないかと私共考えておりますが、要するに問題は徴税の額でありますから、その額が確保できればいいわけであります。そういう見地から、この税率をどの程度下すかということをそれぞれの県の実情によつて考えて頂きたいと思いますが、今下しておりますのは非常に稀な場合でありまして、多くは標準税率のままで取つておるような実情であります。
  151. 安井謙

    ○安井謙君 今の解釈によれば下していいが、実際はまあ殆んど下してないということで、これはまあ自治庁の方で下すことを非常に好まれないというようにも聞いておるのであります。同時に一方では税率が非常に高いために徴税上非常な不合理が行われておる、むしろ税率を適当に下げた方が徴税額却つて合理的に殖えて来るのじやないかという声が非常に強いと思うのです。将来の問題として入場税と遊興税について、税率の問題を十分に一つお考え頂ければとこう思う次第でございます。
  152. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 入場税遊興飲食税、いずれも国民の消費行為に対する課税でございまするから、こういうようなものが高いということは確かにそういう面から申しますると、好ましくないわけでありまして、現在も地方の財源を確保する意味で止むを得ずこういうような税率を取つておる次第であります。将来全体の地方財政の確立ができ、経済も安定いたして参りましたら、こういうような税率は成るべくこれは下げて行くべきであろうと私共も考えております。
  153. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の同僚の質問に関連しているのですが、現在全国的に徴收しておる事実は、何割というのですけれども、これは一つの目安であつて、大抵その県に地財委員会から大凡の目標金額が與えられて、それをあらゆる業者に割当てるというような方法を取つております。そうして業者は何割いう、例えば宿泊料二割というのでは取れないというので、自分の懷ろから県と交渉してはき出しておると、こういうふうなのが全国的な実情なんであります。つまり初めは一時これが勢いともなつていたのですけれども、現在はそれよりもひどくなつて来ていて、後になつてつて幾ら幾ら目標額に達しなけりやならないから、これはまあ引受けて呉れと相談で決めておるのです。だから非常に過重なものらしいです。これは全国的です。今後この新らしい税法に変つて政府はこれをどんなふうにしようとされるのか、この点を一つ承わりたい。
  154. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お話のように、從来割当制度的なやり方がむしろ一般だつたと思うのです。この問題が特に徴税上非常な困難に遭遇いたしましたのは、昭和二十二年にとられました飲食営業等臨時措置法、あの制度か布かれて以来だと思つております。そのとき折角軌道に乘つておりました遊興飲食税徴收というものは、納税すれば却つて法に触れて罰則に問われるというふうな問題から非常に困難になつてつたようであります。幸いに昨年そういうものが解除されるようなことになつて参わまして、何時に又、料理飲食営業の関係者の方々の協力的な態勢も漸次増して参つておりますので、今までにありました弊風というものは相当改められて来るのでないかと思つております。割当制度になりますと、どうしてもそこにやはり情実的な問題が起りまして、力の弱いところはそれだけ不利益になるというような傾向がありましたりしまして、非常に不公平になつてつたと思います。併しながら從来でありますと、料理飲食業者がどれだけ自分のところでは遊興飲食税徴收できるのかということを地方団体申告いたしまして、その申告に基きまして、そのまま決定する必要はないわけでありますけれども、そこに地方団体調査を加えまして、一定の金額についての通知を料理飲食業者に出しておつたわけであります。併しながらこういう形を取りませんでも、料理飲食営業の関係者の方達が、自分のところではどれだけ客から金を受取つておるかということは分るわけでありますから、それに税率をかけますと、すべて税金の相当額は預かつておるわけでありますから、申告と同時に納入するならばよろしいということに改まつて参るわけであります。併し申告納税制度は、すべて民主的制度がそうでありますように、特別徴收義務者が十分に地方団体に協力するというような気構えがありませんと、この関係制度の切換えというものは円滑に行かないだろうと思います。從つてこの制度の切換えというものは、我々は理論的には最も正しいと思います。これによつて最も理論的には公平に行くだろう、根本には特別徴收義務者の理解というものを前提に考えなければいけない、そういう意味において料理飲食関係者の協力に待つという方向に持つて行きたい、そういう意味におきまして、不十分でありましたけれども若干税率を引下げる、将来はこれをもつと大幅に引下げなければならん、努力をいたさなければならんと思つております。で、先日委員長から一体どれくらいのものがこの計算に把握されておるかというお話でありました。大体從来所得税から我々推測いたしておるということを申上げたのですが、七百三十億円くらいのものを把握しておるというような計算をいたして参つております。  尚この機会に安井委員のこの前の質問について資料に間違いがあります点お答えをするのを怠つておりますので、申上げて置きたいと思います。資料の二の七ページだつたと思いますが、七ページのところは一段ずつ下ヘ記載してあるわけなんであります。一段ずつ上ヘ書いてあるものと読んで頂きましたら正しいのであります。資料の二の七ページの地方債の四十億、もう一つ下の二百四十二億二千万円、この数字が一つずつずり下つておるわけであります。
  155. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 遊興飲食税につきまして外に御質疑ございませんか。——遊興飲食税につきましても第七国会におきまして、当委員会ヘ請願、陳情になつておるのでありますが、それは旅館の遊興飲食税適正賦課等に関する件、それから先程御質問もありましたように、外食券食堂に遊興飲食税免除額設定等に関する件、それから遊興飲食税率引下げ又は撤廃又は免税点設定に関する件、遊興飲食税撤廃に関する件、遊興飲食税税率改正に関する件、引下げに関する件等諸方から来ております。只今奥野政府委員から答弁がありましたが、自治庁は客の飲食総額の把握率を七百三十億程度に見ておる、こういうお話であります。で、二十五年度の予定として百二十四億は確実に徴收できると言つておる。ところが知事会議におきましては、とてもそんなに把握できない、それで九十七億くらいしかできないということを当委員会に申して来ておるのであります。で、自治庁の見積りは過大であると言つております。ところが又業者の方から申しますと、この間中しましたように、全国の遊興飲食総額というものは千五百億から千六百億くらいある。で、税率を下げて呉れさえすれば、つまり税金を一割下げて契れれば、その一割でも優に百五十億円あるのであつて、自治庁の百二十四億の見込よりかずつと上廻る、こういうことを言つている。この点について政府は遊興飲食総額を千五百億であるというのかどうか。把握率は七百三十億でありますけれども、本当の把握ができないのであつて、千五百億と見るかどうか、この点を伺つて置きたいと思います。
  156. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 遊興飲食の関係にどれだけ消費されているかという面をどこから調査するかという問題であります。これはその関係においてどれだけの物資が消費されているかというふうなところから見るのも一つ方法でありましようけれども、大体がサービスに対する支拂金額でありますので、そういう方面から把握することは困難であります。結局どれだけ所得があるかというところから見るより仕方がございませんので、そういう調査といたしましては、どれだけ所得税課税されているか、その所得税は一体総收入金額の、要するに客から受取りました金の何パーセントぐらいが所得税額になつているか、これは標準的な調査で分るだろうと思いますけれども、そういうところから逆算して行くより仕方がない、こういう考え方をしているわけであります。それから見ますと、大体我々の推測はそういうところから行なつているのでありますけれども、そういう金額にならないということであります。それでは完全に所得税徴收しているかということになりますと、一群やはり捕捉の困難な状態でありますので、一番むずかしいと思います。だから私の申しますよりは実際はもつとあるだろうというふうに考えますけれども、業者の言われる千五百億が正しいかどうかということにつきましては、多少疑問があろうというふうに考えております。
  157. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 どうも見積りが我々としてもはつきりしないのですが、もう少し各府県別の所得が幾らというに、きちんと計数的に出して見て貰えんでしようか。
  158. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 今資料としてお配りしてありますのは、百二十四億円という税額昭和二十三年におきますところの関係業者の所得税額に半分を按分している。半分は自由販売の酒に按分している。自由販売の酒というのはそれはウヰスキーでありますと、確か四合を以て清酒一升に換算しておつたと思いますが、そういうやり方をしております。併し酒を使いますことは穏当ではございませんので、平衡交付金の総額を決定する場合は、二十四年度の関係業者の所得税額から消費額を捕捉して行きます。そういう考え方をとつておりますけれども、二十四年度の関係業者の所得税額というものは明確になつておりませんので、そういうことで府県に連絡いたしたいと思つております。今とつておりますのは、やはり関係業種別についての所得税額から推しているのであります。或る程度遊興飲食税の額と関連を持つているのじやないかというふうに思つております。一応府県について業種別にその府県内で徴收された所得税額というものは示すことになつております。
  159. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは非常に問題だと思うのですが、今承つたような各府県に対する業種別の所得税から逆算して、その半分を所得税額、半分を酒の売上げとかいうようなことだけではこれは正確なものではないと思うのです。どうも十分それで各府県別の遊興飲食額が的確に把握できるか問題だと思います。一つこれは研究課題としてお願いしたいと思います。というのは小さい府県ではこういう割当をしてます。そして見込されますと、どうしてもこれが基準になつて財政收入となつて平衡交付金か非常に少くなるということかまあ考えられますけれども、一つその点お願いいたします。
  160. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に遊興飲食税について……。
  161. 安井謙

    ○安井謙君 市町村遊興飲食税というのは附属資料の三ではないのですか。
  162. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) この法律の適用を九月一日から考えています。從つて八月末までは遊興飲食されたものは從来通り半分が府県税でありまして、半分は市町村税であります。その関係でございます。
  163. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますとこの配付して頂いたのは、後半の奴だけですか。府県に入るのは……。
  164. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 四月から八月までは遊興飲食税の中の半分は府県の收入になり、九月からは全額が府県の收入になる、こういう計算になつております。四月から来年三月まで毎月府県の收入があるけれども、四月から八月までの遊興飲食関係税金は、その半分しか府県の收入にならないのであります。
  165. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは第四節に移ります。自動車税。
  166. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 自動車税でございますが、これは自動車の主たる定置場所在の道府県においてその所有者に課することが原則であります。ただその所有者が非課税の範囲に属するものであります場合におきましては、使用者に課税するという考えであります。  それから百四十六條は非課税の範囲を書いてあります。そしてこれは大体公共企業体、公共団体であります。それから百四十七條の自動車税の標準税率でございますが、これは大体固定資産税課税対象といたしましては、自動車を除けておりますので、大体固定資産税の最低限のところというようなところを抑えまして、尚現在の自動車税の実際の各都道府県賦課の状況等を睨み合せまして定めたものでございまして、乘用車につきましては自家用、営業用に区分いたしてございますが、トラツク及びバスにつきましてはその区分をいたしておりません。これは大体が営業用のものが多い、こういう考え方で営業用と自家用の平均の標準的な税額、かようにお考え願つていいと思うのであります。その他も大体今申しげましたような現在の実情並びに固定資産税その他の関係を考慮して定めたわけでございます。それから百四十八條は賦課期日でありますが、これは四月一日現在というところで業者の実態を把握する、抑えることにいたしております。それから百四十九條でありますが、これは四月と十月を納期にいたしておりまするが、その第二項に本年度におきましては四月というわけに参りませんので、これを八月と十二月というふうに納期を変更いたしております。その点は前回の案に対して訂正を加えた点であります。それから百五十條は四月一日現在で決める課税の客体を決めるわけでございますが、その賦課期日後に納税義務が発生したものに対しましては、その発生の翌月から月割りで課税する、文通に自動車を売つてしまつたという場合におきましては、その消滅した月まで月割りを以て自動車税を納め、尚自動車の売買等がありまして、承継があつた場合におきましては、前の納税者納税を以て後の納税者納税とみなす、こういう規定を入れております。それから百五十一條徴收方法で、これは普通の賦課徴收方法にしているわけでございます。その他の規定は大体今まで申上げましたのと同じ趣旨規定をそれぞれここに加えたわけでございまして、特に御説明申上げる点はございませんが、百六十一條には納期限の延長の規定、百六十二條には「天災その他特別の事情がある場合において自動車税の減免を必要とすると認めるものに限り、」という減免の規定がございます。それから百七十二條でありますが、これは自動車税の完納の証票を自動車の前の方のガラスに貼ることについての規定であります。これは自動車税を納めたのだということを明確にいたしまして、脱税を防止しようという趣旨の考えでありまして、この証票には更に一連番号を附けて置かなければならないということも大体規定しておるわけであります。  それから百七十四條は、これは国税犯則取締法の関係では、直接国税関係の事件としてこれは処理する、從つて通告処分の規定は動かないわけでございます。大体以上が自動車税に関しまする規定の概略でございます。
  167. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑をお願いします。
  168. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この乘用車の、自家用車と営業用と、特にこういうふうに差をつけたのはどういうわけなんですか。
  169. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 一応現在におきましても、自家用車とそうでないものと区分しておるような例もございまするし、やはり自家用乘用というものの中には奢侈的な要素もあろうと考えまして、担税力がそれだけ余計あるというようなところで加えたわけであります。
  170. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この法文全体かまあこの標準税率という線で貫かれている関係もあるわけですが、或る府県によりましてはこの自動車業が完全に一社によつて独占されておるようなところが非常にあるのです。而もまあその地区における最も利潤の高い産業と見られるようなところがありまして、そして又そのために道路を非常に痛めて、その損傷を負担するのに土木部では弱つているというような所がある。これは鳥取県なんかの例でも十分言われておるし、併し標準税率でやられますと、ちよつと困る関係があるがね。
  171. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 鳥取のようにその他に有力なる税源がなく、而も財政の需要としては府県なみのことはやらなければならんというような場合におきましては、この標準税率以上に税額を定めて取るということも勿論差支えないと存じます。
  172. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうですか。
  173. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この自動車税につきましても、第七国会におきまして自動車税の改正に関する件、引下げて貰いたいという沢山の陳情がございました。又運輸委員長の方で運輸委員会の希望として修正意見を出しておられます。この自動車税に関するものを申上けますと、標準税率について左の如く改めること、普通自動車で、乘用車、自家用車は一万五千円でよろしい。営業用を年額一万円を七千円に引下げて貰いたい。バスを年額八千円に引下げて貰いたい。トラツクを自家用は九千円、それから営業用は八千円に引下げて貰いたい。小型自動車の方は、自家用は五千円に引上げる。それからその他というのを三千五百円に引上げる。これは四輪車です。それから三輪車の二千円はそれでよろしい。二輪車は千円を千五百円に引上げる。軽自動車の方は五百円でよろしい。こういうような御意見が出ておりました。それを御参考に申上げて置きます。
  174. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この自動車税の関係で寄附の問題なんですがね。例えば鳥取県の例を引いて恐縮ですか、まあこの自動車によつて道路がどれだけ損傷するかという計算をやつて見たんです。それから自動車税とその会社が拂う事業税を楽にどれだけ納めるかという計算をまあやつて見たんですが、どうしても五、六百万円県が道路修繕費にかかる、それは自動車による損傷が一番大きい。從来は道路損傷負担金の各日で五百万円の寄附を割当てて自動車会社に出さしておつたんですがね、今度割当による強制的な寄附はできんということになりますと、道路修繕費はありませんし非常に困るんですがね。この関係はどういうふうに調整したものでしよう。これは岩沢先生もおられるのですが、やはり五百万円くらい道路損傷負担金でいいですか。事業税は大して納めませんし、自動車税でも足らんし、国から貰う補助金も足りませんし、いろいろ道路愛護なんかやつていますが、それでもできんで、自動車会社に年々五百万円くらいやらしているんですがね。
  175. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 道路法によりまして、その道路損傷負担金の制度はあるわけでございますから、そういうようなものを活用するということも考えられるわけであります。
  176. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますと、その寄附は取つてもいいことになるんですか。
  177. 岩沢忠恭

    岩沢忠恭君 今の問題は結局今鈴木政府委員の話の通りに、現在の道路損傷負担金という手より外ないと思うんです。やはり從来通り、実際道路がやられるのは自動車の運行が激しくなれば激しくなるだけひどくなり、それは現在においては補助金とか、或いは又道路の予算だけではとても追つつかないという現状なんです。それは道路法を適用して損傷負担金という関係によつてやるより手はないと思いますね。
  178. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に自動車税について……。それでは第五節鉱区税へ移ります。
  179. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君)  鉱区税はこの試掘或いは採掘の鉱業権を許可されましたものに対する一種の特権税であるわけでございまして第百八十條にございまするように、試掘鉱区、採掘鉱区、砂鉱区の三種類に分けましてそれぞれ面積なり延長というものを課税標準にいたしまして、非常に低い金額を定めておるわけであります。これの賦課期日は十一月一日ということでありまして、納期はその翌月の十二月中ということを原則、としているわけであります。それからその他は大体自動車税で申上げましたのと同じでございまして、特に異つた点はございません。
  180. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 鉱区税について御質疑はございませんか。
  181. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 これは自動車の場合と同じなんですが、日本国有鉄道というような、いわゆる独立採算でやる、自動車の場合なら專売公社も入つているが、こういうものには一体免除は必要がないのじやないかという考え方なんですが、これはどうなんですか。
  182. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。日本国有鉄道、日本專売公社等につきまして非課税の措置をとることになつておりますが、これをやはり他の企業と同じように課税してはどうかという議論もあるのでございます。この法律案の原案が第七国会に提案されました当時の経緯を簡單に申上げますと、日本国有鉄道等についてもやはり同じように課税するのが公平ではないか。こういう議論があつたたのは事実であります。そこで地方自治庁の附属機関でありまする地方自治委員会等におきましてもいろいろ各角度から御議論がございまして、いろいろ検討が加えられたのでおりますが、御承知のように日本国鉄道なり日本專売公社が公共企業体になりました直後の問題でありましたので、課税の場合における予算の問係、その他或いは又法令による公団との比較等から考えまして、これは尚将来研究をすべき問題であろう。從つて、明和二十五年度においては非課税の措置をとるけれども、この問題は地方財政委員会で十分に研究した上でその結果を国会に報告をいたしましてそして将来これに課税するかどうかということを決めることの方がよいであろう。こういうので、地方財政委員会設置法の中に一つの研究課題として、法律規定として入れることになつたわけであります。從つて次の通常国会には地方財政委員会がその研究の結果を報告いたすことになりますので、從つてその報告は或いは改正法律案、言換えれば課税することが妥当であるということになりつますれば、改正法律案形式国会の御審議を受ける、こういう段取りになるわけで、あります。目下地方財政委員会で研究いたしております。
  183. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 もう一つ、この国の場合でも鉱区を持つというようなことは一種の経済活動に対する主体として持つているような感じがするのですが、自動車税も同じことなんですが、やはり車を持つことはいろいろ地方団体にそれだけの利益があるから、或いは損害を與えるからそれの保障として私はやつぱり課税つているのだと思う。そういう意味から言えば国や市町村においても鉱区を持つた場合には、或いは自動車を持つた場合には、こういうものに対する課税というものを考えてもついいのじやないかという気がするのですが、その点は如何ですか。
  184. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今のお話のように、国若しくは地方団体がいわゆる公益全企業と申しますか、パスとかトラックなんかをやるような場合においても課税してはどうかという御意見のようでありますが、この点につきましては、この税の性質なり、特に鉱区税のごときは一つのつ特権税に考えられておりますので、そういう点から申しますと、国がこれを負担するということが理論上如何かと考えられるのであります。この点につきましても勿論いろいろ検討を加えたのでありますが、この法律案におきましては、御覧のような規定を設けることにいたしたのであります。
  185. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に鉱区税について御質問ございませんか。  次に移ります。第六節、漁業権税
  186. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは現在あります漁業権税の大体趣旨に則つて規定いたしておるわけでありますが、漁業権に対し、賃貸料を課税標準として、漁場所在の道府県においてその漁業権者に課するのであります。現在の漁業権税では課税標準につきまして、或いは漁獲高を抑えましたり、或いは種類別、権利別に一定の坪当りの額を出しておるというような定額制のもつのもあるわけでありますが、こういう漁獲高を基礎にいたしまするというと、これは附加価値税との課税標準が重複をいたして参りますような嫌いもございまするし、又権利別に坪当りの定額制で参りまするというと、これは漁場の良否によりまして、やはり非常に不公平なような結果にもなりまするので、大体この賃貸料を基礎にして課税標準にするのが適当であろうという考え方から、賃貸料を課税標準にするということに一応いたして、いわば統一的な課税標準をとつたのであります。税率について、標準税率をとつたのと同様な建前でそういう負担の均衡を考えたわけでございます。尚この賃貸料はすでに御案内のごとく新らしい漁業法が施行後二年間を限つて認められておるわけでございまして、二十七年になりまするというと、これがなくなるわけでございまするが、その場合におきましては更にこの点につきまして、別途漁業米権税につきましては考えて参りたいというふうに考えております。その他の点でございますが、これは特に取り立てて申上げるような特別の点はございません。從来申上げましたのと同じ建前のものをそれぞれ書き上げておるわけでございまして、特に申上げることはないと存じます。一番最後の二百三十五條に旧漁業法の規定に基く專用漁業権、これは共同漁業権とみなすという規定がございまして、これは今の二百九條で沿岸漁民を対象にしておりまする共同業権は非課税になつておりまするのでありますが、旧漁業法のそれを押えておつるわけであります。
  187. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 漁業権税について御質疑ございませんか……。水産委員長から附加価値税その他について意見を申して来ておりますが、漁業権税については何も申して来ておりません。
  188. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 新らしい定置漁業の発見に件なつて、それに対して何年間かは免税する、そういうような点の御考慮はないわけですか。
  189. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 漁業権税の対象となりまするものは、ここにありまするように共同漁業権なり、入漁権を除きました定置漁業権、区画漁業権等でありますからお話の点は新らしい定置漁業権に対しては何か減免……
  190. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 奨励のために……
  191. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはこの規定建前といたしましては、その辺の区分をいたしておりませんけれども、一般の二百二十五條に減免の規定がございまするが、そういうようなものの活用によりますれば、その県の一つの考え方としてそういうことやり得るわけであります。
  192. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質疑ございませんか。それでは次の第七節狩猟者税
  193. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは狩猟の免許を受けでおつりまする一つの特権を享有しておりまする者に対して、その反対の給付として住所所在の道府県が課する税であります。税率は三千六百円ということでありまして、大体現在の税率を参考にして考えたものであります。その他の点につきましては狩猟省税の税率が高過ぎやしないかという点が從来ございましたが、二百四十八條におきましては減免の規定がございます。そういうようなことによつて或る程度の調整はできるように考えておる次第であります。
  194. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 狩猟者税ですが、私はこういうことを聞くのですが、例えば山野を荒すので猟期以外に各県何かで特別に猟を許す場合が多いのです。こういうような場合が定期的にあるものですから、そういうものを狙つてその際は狩猟者の免状も何もいらないで、ただで出して呉れるので、そういうものを業としておる者があつて、こういう機会に免状を取つたり税を納めたりしないと非常に弊害があるのですか、その点はどうですか。駆除のためにやるのです。
  195. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 西郷さんのお話になりましたような事例は沢山あると思います。猪が出るので部落の方で困る、部落の方で狩猟期間でございませんでも許可を得まして狩猟をするわけであります。でありますから、そういう場合は別に狩猟免許という問題はございませんから、狩猟者税課税されないわけであります。併しながらそういうことが狩猟者税の脱税の意図の下に行われておる、可なりそれが広範囲に亘つておるというふうには我々は考えておりません。ただ狩猟者税が高額であるので脱税がやり易い、むしろ減税をした方が適正に納税されて收入が上るのじやないかというような意見は聞いております。そういう一つの心理も或る程度あると思います。
  196. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それは私は狩猟のことは余り詳しくないのですけれども、現にこの前大分県に行きまして、県並びに大分市の狩猟協会の人口とクレーの射撃のことで土地を貸して貰いたいという話からいろいろ出たが、こういう專門家がそのことを非常に訴えた。例えば地方税でも狩猟者税というものが今度少し上るようだけれども、実際は今私が申上げたような駆除のためにこれは年々歳々やるのだ。そういうときに玄人はただでやるとこう言うけれども、税金を納めなかつたり、免状を取らないでやる、そういう者が非常に多くなつて来るので誠に困るのですが、そういう点を政府もよく事情が分らないように思うのですか、我々でそういうことを考えて欲しいということを專門家に、県の狩猟会、全国の狩猟会、その連中に、第一にそれをあなたは丁度地方行政委員だから、丁度よい機会だから陳情しますということになつたのです。ただ私達は漠然と言つているのではなくて、狩猟家が私に話したのですが、そういう点は政府も余りよく分つておらないようだからやはり研究されて、そういう弊害がないようにして行かなければならないのじやないかと思います。
  197. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 野津專門員から発言の要求がありました。許して差支ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは許可いたします。
  199. 野津高次郎

    ○專門員(野津高次郎君) 狩猟者税は各住所所在の道府県において課税することになつております。東京あたりに住所を持つておる狩猟者が可成り沢山ありますが、それらは東京ではやらない、殆んど千葉県とか茨城県の遠い所に猟に出かけて行つております。それらはどういうようにお考えになつておりますか。私は曾て狩猟者税府県に委讓されましたときに、これは国税にすべきものであつて委讓すべきでないということを書いたことがあつたのですが、何らの反響もなかつたのですが、そうしますと、これは千葉県で免許を得た者が茨城県に行くとか、或いは群馬県に行くとかいうようなこともありましようが、この免状はやはり各府県でおのおの自分の條例によつてつておりますから、形式的に非常に違つておると思うのですが、それらについてもそういう統一などは取れておるのですか。
  200. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように現在狩猟の免許は道府県の知事に受けるわけであります。元来特権税は国が特権を與えるのだというような考え方を持つていたしますと、その特権に対する反対給付として特権税があるわけでありますから、国が與える特権に対しては国に税金を納入した方がよろしい、こういう考え方があると思います。ただ併しながら狩猟行政は府県の負担になつておりますから、その費用の負担から考えまして、狩猟免許税を国税にして置く必要はないじやないかという考えの下に、狩猟者税に統合したわけであります。西郷さんのお話になりましたような問題もこれは許可を要するわけでありまして、私も府県のそういう許可の面も扱つたことかありますけれども、実際必要があるかどうかということを調査いたしまして、そうして許可を受付けるのであります。県でやつても支障がないのではないかというような考え方を持つております。
  201. 野津高次郎

    ○專門員(野津高次郎君) 免許は各府県において連絡統制か取れておりますか。
  202. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 狩猟免許の問題は、これはもう府県でありましたら原則として免許するというような方針を取つておるわけなのでして、別にむずかしい條件はつけておらんわけであります。でありますから、府県によつて差はないことになります。現に狩猟免許は狩猟法と狩猟法施行規則といいますか、に基いて取り扱いをしておるわけでして、個々の府県の条例でやつておるわけではございません。農林省がその主管省になつておりまして、法律乃至省令が出ておるわけであります。
  203. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 政府に更にお尋ねしたいのですが、例えばさつきの鳥獣を駆除するために無料でやらす、そういうような点があるのですが、例えば免許を許す場合にも、逆に鳥獣の保護という立場から行くと相当考慮して、まだ許さん方がいいのじやないかということもあるのですが、そういうふうな例えば無料でやらすという場合もあるのですから、そういうところに例えば或る程度の財源を要するならば、そういう駆除の目的でやらすような場合には極めて低率な狩猟税を拂う。そうして成るべく多くの人にそういうことをやらせるようになれば一つの財源にもなるかと思いますが、そういうことを鳥獣保護の立場、それから鳥獣を駆除する、この二つの違つた目的のために狩猟が行われる、そういうふうな点も政府でも例えば統計とか、鳥獣の全国の分布状況とか、そういうようなことを研究されたことがあるですか。
  204. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 一般に鳥獣の害かあるからそれの駆除を能う限り許すという場合には、もとより免許税的なものを取らないわけでありますが、その際には保護する鳥獣の種類というものも限定いたしますし、もとより保護するというところの道具の類、これは綱であるとか、或いは鉄砲を使うか、そういう種類方法も限定するわけでございますし、期間も特に短い期間を限定するわけでございまして、一般に狩猟免許を受ける場合には特に禁止された以外の鳥獣は何でも獲れる。然もどこの場所に行つても獲れる。然も期間が相当長期に亘つておるというのと大分性質が違いますので、必ずしも同じような考え方で税金を取りますことはどうですか、多少疑問があるように思いますので、将来尚研究したいと思います。
  205. 野津高次郎

    ○專門員(野津高次郎君) 今の鳥獣を保護するとか何とかいうような場所と、それから税金徴收する府県とは必ずしも一致しないのです。東京などでは免許を受ける者は東京の在民になりますれども、恐らくはその猟する場所は東京ではなかろうかと思う。そういう点についてはどのようにお考えでございますか。
  206. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) そういう意味合で先程特権税的なものはこれは単に権利を與えられる意味の反対給付なんだから、権利を考えられた場合に許せばよろしいと認めたのであります。併しながらいろいろな面から地方税といたしておるのであります。これを地方税にいたしました一番の動機は余りにも地方の税收入は少な過ぎる。そこで国の方でいろいろ相談いたしまして漸次国税でありましたものを差当り地方税に移したわけでありまして、国といたしましても有力な税は讓りたくないところから大体こういう狩猟者税でありますとか、或いは鉱区税でありますとか、こういうようなところから地方税に讓られて来たわけでありまして、併し固定資産税でありますとか、附加価催税でありますとか、有力な税が地方税に與えられることになりますと、むしろ税の性質に從いまして元の方へ戻すというのも一つの考え方ではないか。私はただ地方団体との関連だけで言うて来ますと、それでは自動車税にしても県下に走つているものものあるだろうからそれを分割しなければならない問題も起きるわけでありまして、大体地方税はどこの税種にするかということは総合的に決めるより仕方がないのであつて、個々の経費は結び合して緊密に区分して行くのだという建前は、或いはその分割の区分をする実益と関連いたしまして、必ずしもその通りやる必要もないのではないかという考えをしております。併しながら根本的なものは野津さんのおつしやつた通りだと思います。
  207. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚、申げますが、この狩猟者税撤廃につきまして、從来この委員会に陳情が参つております。で、狩猟税を撤廃してそれに代えるのに狩猟許可の手数料に改められたいという陳情であります。理由はこの狩猟行為というものは社会的には農林産業の健全な発達を図る行為である。その農林を荒す鳥獣を駆除することが目的だ、それから個人的にはスポーツだ、スポーツに課税するのは困る。それから狩猟行為が所得を今伴つていない現状だ、それは法令の定めるところによつて狩猟鳥獣の販売は禁止されておる、こういうのです。それでまあ狩猟税を撤廃して手数料を一千円か二千円ぐらいにして貰いたい。こういうことが陳情に出ております。
  208. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 陳情に関連して政府にお尋ねします。例えば今狩猟せんとして新たに鉄砲を購入するというようなことはどうでしようか。
  209. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現に銃砲の製造は禁止されておりますけれども、売買は自由に許されております。從いまして、從来ある銃砲が店頭に売買されておるということになつております。
  210. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に狩猟者税について御質問ございませんか。
  211. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の陳情の中に一つのスポーツであるということかあつたのですが、そういう点は確かに一理あつて、むしろ日本の狩猟というものは外国に比べても極めて幼稚極まるものだと考えますが、そういうような考えに対して政府意見はどうですか。この陳情に対して……。
  212. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 狩猟をどう考えるかということは非常にむずかしい問題でありまして、從来狩猟免許税というふうに言われておりました時代には、所得の段階によつて税額を区分しておつたわけであります。所得の段階によつて税額を区分しておつたということは、なぜそういう区分をしておつたかというと、やはり所得の多い人についてはそれだけ一つのまあ遊びといいますか、奢侈税的な意味も含められておつたわけであります。非常に贅沢なスポーツということになるだろうと思いまして、なぜそれでは昔の所得の段階のところにおいては税額を下げておつたかというと、個々においては単なる奢侈的なスポーツでないのであつて、必要な生活の糧にしてあつたという面もあるわけでありまして、でありますから狩猟行為というものをどう解釈すかということは、狩猟をやる人の状況によつて非常に違うのじやないかというふうに考えられるわけなんでありまして、もとよりこれは非常なスポーツでありまして、スポーツではありますけれども、立派な犬を連れなければ狩猟にはならんわけでありまして、そういうようなことから考えますと、非常な金のかかるスポーツということになつて来るだろうと思います。健康的には非常に良いものでありましようし、スポーツであることには違いないのである。併しそのスポーツの種類としては多少段階があるだろうと思います。
  213. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の意見だと聊か満足できないのですが、例えば日本ではスポーツでも從来、現在は一般に普及されておるスポーツでも輸入した当時は非常に贅沢なスポーツである。今の政府委員の考え方は、狩猟でもやはり所得の点やなんかで贅沢なスポーツでないかというようなお考えでありますが、そういうことは非常に古いのじやないかと私は思うので、例えばゴルフでも非常に贅沢なスポーツということでありましたが、あれはやれば非常に本当にスポーツの効来が上るのであつて、何か新らしいスポーツが入つて来れば贅沢な人間がやるものだというような考え方が極めて古いのであつて、臭いことならばどんどん普及徹底さする方が、大衆化する方が私はもつといいのだと思いますが、その点はどうですか。
  214. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今奥野君から御答弁申上げましたような考え方ではありますが、我が国の経済事情の安定と相待ちまして、さような狩猟等かスポーツとして普及されることも望ましいことであろうと思うのでありまして、これに対処して今後の問題として研究すべき点は研究して参りたいと考えております。
  215. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に狩猟者税について御質問ございませんか。——それでは次に移ります。第八節、道府県法定外普通税
  216. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 法定外普通税につきましては、その新設変更につきまして二百五十九條に手続を書いてあるわけであります。三百五十九條、二百六十條、二百六十一條はその関係規定でありますが、要するに府県法定外の普通税を新設変更しようという場合には、地方財政委員会の許可を必要とする。そうして地方財政委員会はその許可の申請があつたときには大蔵大臣に通知をして、大蔵大臣はその通知を受けた場合については、異議があれば地方財政委員会にその旨を申し出る。併し決定権はこれは地方財政委員会が持つてつて地方財政委員会が許可するかしないかを決める。こういう考え方であります。許可の條件が二百六十一條にあるわけでございますが、この條件といたしましては、第一に当該道府県にその税收入を確保できる税源があることということが第一の要件であり、第二としては、その税收入を必要とする財政需要かあることが明らかである。この二つの要件を備えておりまするならば、地方財政委員会原則としてこれを許可しなければならん。ただそこに一、二、三とございまするように、国税や他の地方税と重複する、そうしてその結果住民の負担が非常に過重になるというような場合は許可してはならない。それから第二の内国関税的の、物の流通に非常な支障を與えるようなものも許可してはならない。それから第三は非常に一般的な條件でありまするが、国の経済施策に照して適当でない、このいずれかに該当しない限りにおきましては、今の税源があり、財政需要がある場合には必らずこれを許可しなければならん。こういうような建前で許可の方針を法律の上に規定をいたしておるわけであります。尚許可については條件をつけたり、変更を加えることは差支ない。それから二百六十二條は非課税の範囲を書いてあるわけでありまして、これは法定外普通税税目としていろいろのものが予想せられるわけでありまするが、大体他の各税の非課税の範囲と睨み合せまして書いたわけでありますが、一号、二号は府県の能力の点から言つて道府県外にあるものには課税できない、これは当然でございます。その他は大体他の非課税に睨み合して規定したものであります。二百六十三條以下は、要するに普通徴收、特別徴收、証紙徴收、いろいろの形体が考えられまするので、そういうものに応じて如何なる方法でも動きまするように書いておるわけでありまして、体系といたしましては、今まで申上げましたような税と大体同様の趣旨規定を設けておる次第でありまして、從つて特に御説明申上げる程のものはない次第でございます。
  217. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  218. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 この二百六十一條で、こういう場合の外は許可することはできないという中の三号に「前二号に掲げるものを除く外、国の経済施策に照して適当でないこと。」という字句かあるのですが、こういうふうに漠然と書いたのでは、折角制限規定を設けても意味がないと思うのですが、国の経済施策に照して適当でないという場合の具体的なことを考えられておるかどうか、事例を一つお聞かせ願いたいと思います。
  219. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これはお話のように、解釈の仕方によつては非常に広くも狭くもなるわけでございますが、大体国の経済施策としては、それぞれ例えば物価の統制の問題でございまするとか、或いは物の流れについての統制の問題でございまするとか、そういうような法律その他の国の規則によりまして定められておりまするようなもの、そういうものに直接にはぶつかりませんでも、そういうような規定趣旨に照して適当でない、こういうようなものが当ると思うのであります。
  220. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 二百六十條ですね。大蔵大臣に通知しなければいかん。大蔵大臣は通知を受けた場合において異議があるときはその旨を申出る、これに何らの期間がない。こういうようなことを地方団体でやろうとした場合に、成るべく迅速に許可するものは許可した方がいいと思うのですが、大蔵大臣異議を申出る期間が書いてないが、期間は無期限ですか。
  221. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は法律上は御指摘の通り特段の期間の制限を置いておりませんけれども、これは政府部内のそれぞれの関係機関でございまするから、こういうものにつきましての実際の運用の方針といたしましては、御注意の点が十分に御心配がないようになりまするように、部内の取扱いの問題として善処して参りたいと思います。
  222. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の御説で了解しますけれども、やはりこういうようなことは非常に地方団体のやろうとすることを阻害する結果になる慮れがあると思うのです。これはいかんということを大蔵大臣が申出る場合には、何らかそこに短期間の期間を区切つて置いて、そうして審議するようにしなければ、どうも官僚の弊害としていつまでも放つておいてやると、いつまで経つて財政委員会でこれを許可することはできないようなことになりはせんか。実際はこつちから開けばいいんですが、やはりこういうようなことは財政委員会の方でも大蔵大臣の権限に成るべく容喙させない方がいいんですから、こういうときには最短期間を設けて、主として地方財政委員会において大蔵省の牽制を受けることなく自由潤達にやれるようにして置いた方がいいんじやないかと思うのです。
  223. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御意見は全く同感でございます。実際の運用の上におきまして、御趣旨が実現いたしますように、政府部内で善処いたしたいと存じております。
  224. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今西郷委員から質問があつたんですが、二百六十一條規定はどうなんでしよう。前條の規定によつて、言い換えれば大蔵大臣から何らのその通知なり何なり申出がなくて、だらだらに延ばされても、二百六十一條規定を活用して、財政委員会が独自に許可をするなら許可をするということについては何ら差支えないのですか。
  225. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は二百六十一條地方財政委員会が許可する場合の條件を書いておるわけでありまして、地方財政委員会が許可をする際に、大蔵大臣から申出られましたその異議をそのまま受け入れなければならないという規定はないわけであります。ですからそれは地方財政委員会が大蔵大臣から出ましたところの意見を独自の見地で勘案いたしまして、或いはこれを聞き、或いはこれを聞かないで許可できるわけでありますが、その辺の條件は二百六十一條に從つて行かなければならない、こういうわけであります。
  226. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今西郷さんの心配しておられるように、大蔵省が返事をだらだら延ばしておつても、二百六十一條規定地方財政委員会が独自の見解でこれらの條項に從つて許可するならば、その許可は可能なわけですか。
  227. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は地方財政委員会としては、大蔵大臣からの意見に拘束されるわけではございませんから、独自に許可ができるわけでありまするが、併し政府部内のことでございますから、許可につきましての大蔵大臣意見をできるだけ或る期間内に取りまして、その意見がありまする場合には、そういうようなものを勘案をした上で許可することが望ましいと思うのでありまして、その点先程来西郷さんから御指摘のございましたように、政府の両機関の中におきまして、だらだらその返事が延びるということがないように、閣議決定その他の措置で十分連絡をして行きたい、かように考えます。
  228. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうもはつきりしないのですが、法律上の問題で、要するに地方財政委員会としては許可するかしないかということについては一、二、三だけに拘束されるのであつて、大蔵大臣からの返事というものには拘束されない、こう解釈してよろしいのでしようか。
  229. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大蔵大臣意見といいますものも、結局二百六十一條の例えば一なり二なり三なり、いずれかについて意見があるということでなければ、それ以外のものについて申出て参りましても、地方財政委員会としては勿論これは考える必要がないということであります。
  230. 石村幸作

    ○石村幸作君 大分御心配のようですが、三百六十條にこういうふうに書いてあります。「大蔵大臣は、前項の通知を受けた場合において、その許可の申請について異議があるときは、地方財政委員会に対してその旨を申し出ることができる。」若し西郷委員の御心配のような場合に、黙つていたら、異議がないものとみなしてもいいわけでしようね。そうすればそう心配なく行くんじやありませんか。
  231. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 異議の申出期間が決まつていないから、横槍を入れようと思えばいつでも入れられるのですよ。それを言うわけなんです。
  232. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は先程来申上げまするように、例えばこの法律の中に一定の期間を区切りまして、その期間の中において異議を申出るというふうにいたしておりますならば、その期間内において異議がなければ、何も言つて来なければ無論何等顧慮することたくやつていいわけでありますが。ここにはそういう期限を以て打切るということがございません。そこで実際問題として、地方財政委員会がまさに許可せんとするとき、或いは許可してから後になつてつて来るかも知れませんけれども、その意見につきましては、法律上は地方財政委員会は拘束はされない、こういうことを申しておるわけであります。ただそういうようなことになりますることは、政府部内の取扱いとして面白くございませんので、できるだけ成る期間内に大蔵大臣意見がある場合には出て来る、その期間内に出なければこれに拘束されないというような話合の下に政府部内における取扱の方針を決めて、迅速な処理ができるようにして行きたい、こういうことでございます。
  233. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 要するに私はこう思うのです。先程から西郷委員なりいろいろ意見の出るのは、要するに地方団体に対する指導権と申しますか、所管大臣というものは、地方自治庁なら地方自治庁、或いは地方財政委員会なら地方財政委員会というふうに決めてあるので、それだけを規定すればいいじやないか、若し内部関係なら、恐らく大蔵大臣だけでなく運輸に関係あるものならば運輸大臣に相談しなければならないだろう。從つて政府部内のことはそういう部内だけの取決めなりそういうようなことでやつて法律上はどこまでも責任の財政委員会なら財政委員会というはつきりしたものだけに決めるというようなことを書き入れるのが一番そういう誤解をなくし、又何か大蔵大臣がこういう通知を受けなければならんというふうに書きますと、如何にも地方団体のいろいろの運営が大蔵大臣と共管になつておる、そのためにいろいろな煩鎖な手続をしておるというような感じを與えると思ううので、今後立法に際しては十分考えて頂きない、こう思うのです。
  234. 小野哲

    政府委員(小野哲君) この問題につきましていろいろ御意見を伺つたのでありますが、地方財政委員会が許可権を持ち、且つこの許可をいなしますことは終局的な決定と考えております。從いまして大蔵大臣意見の申出によつて法律上は拘束を受けない、かように御解釈願つていいかと思います。
  235. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 終るようですから前にどなたかが御質問なさつたのなら結構でございますが、そつちこつちに出ておる徴税吏員質問検査権という問題ですが、質問に対してただ答弁をしないというものを單に体刑に処する、こういうことにつついてのもう少し他の法律関係と比べてお考えになられた点について御説明を願いたいと思います。
  236. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 徴税吏員質問検査権でございまするが、この点につきましては先程安井さんからもお尋ねがあつたと存じますが、二百六十四條におきまして、要するにこの質問なり検査の権限は犯罪捜査のために認められたものではないのだということを念のために言つておるわけでございますが、要するにこれは行政上の質問検査権であり、從つて納税者の側において憲法の上で保障せられておりまする犯罪捜査上の黙秘権を侵すものではない、それとは別個の行政上のこれは権限として特に法律の上で書き加えよう、こういう考え方のものでございます。そういうところから今お話の出ました徴税吏員質問に対して答弁をしない、或いは虚偽の答弁を了したというものに対する罰則の規定が二百六十五條にあるのでございますが、これがそういうことだけで、行くのは強過ぎはしないかというような点だと思いますけれども、この点につきましては、実際全体といたしましてこの罰則の運用につきましては、実情に即するような措置をとらなければなりませんし、又検察当局の運用といたしましても、徴税吏員が犯罪事実を見付けた場合におきましては、検察当局にこれを通告をするわけでございますが、将来におきましてやはり事態の相当重いものでなければ、そういうようなことはないでありましようし、又国税と違いまして地方税につきましては、徴税の仕方、やり方というものにつきましての地方住民の批判というものは常に密接であり、且つ直接的でございますから、そういう地方税でよあるというような特質からいたしまして、国税の場合より更に実情に即する運営が行われるだろうということを私は考えております。国税につきましても同様の趣旨規定がすでに立法化されておるのでございまして、これは国税のそういうような考えを踏襲して立案しておるような次第であります。
  237. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは結局は徴税吏員の資質の問題にもあると思うのですが、国税を扱う税務署の訓練せられた徴税吏員と違つて、地方自治団体の徴税吏員が、或いは末端において今の次長のお話のようない慎重な態度を取ることなしにこの権限を振り廻すという慮れもないわけじやないのでありますし、検察当局なり裁判所の決定なんかは、何らか考慮するというような問題は別個にこれは裁判所の問題として扱われるのであつて、運営の妙を発揮するというだけのことでは非常に不安なものがあるわけです。結局お尋ねしたい点は、前の一号二号と比べて三号がこのような一年以下の懲役という体刑を規定しなければならない重要な調査なり或いは捜査上の問題になるだろうか、こういう点に疑問があるわけであります。
  238. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この形式的な行為自体を抑えて書いてございまするが、その形式的な行為自体から申せば同じでございましても、その範囲と申しまするか、そういう点から申しまして、ただ答弁をしないということでありましても、非常にそこに重大な問題について答弁をしないというようなもの、或いはその答弁をしないという仕方が非常に程度が惡質であるというようなことも考えられまするし、或いは一号二号に書きましたものも、單に「検査を拒み、妨げ、」というようなことで形式的行為としては何か重いような感じを受けまするが、事柄自体としては非常に軽いものもあるわけでありまして、そういうようなものについてそれぞれ先ず徴税吏員の段階におきましてどういうふうなものを検察当局に通告するかというようなりことで一つ節にかけられまするし、検察当局といたしましては、国税乃至地方税を通じましての全体の運用の方針によつて、こういうようなものは起訴をする、起訴をしないと、こういう一つの方針による処置が行われているわけでございまするから、全主体の運営といたしましては私はそう御心配になるようなことはない、かようにまあ考えている次第であります。
  239. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の点非常にデリケートな点でございますから伺つて置きますが、普通の犯罪捜査、裁判、そういう場合には黙秘権の行使を許している。徴税の場合号には黙秘権の行使を許さないというのですか。
  240. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は要するに、刑事上の裁判におきましては被疑者の黙秘権というものが保障されているわけでございまするが、これはここにございまするように、犯罪捜査のための検査ではなついわけでありまして、これは專ら徴税に必要な限度において質問検査をするわけでありまして、そういう刑法上の黙秘権の適用のない行政上のこれは質問検査、かように考えている次第であります。
  241. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると、犯罪捜査のような非常に重大なときにも黙秘権の行使を許しているのですが、犯罪ではない、普通の行政上徴税上だというと、尚更黙秘権の行使を許可していいのじやないですか、これを認めていいのじやないかという解釈になりませんか。犯罪捜査でもいいのだから……。
  242. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは要するに納税者財産でございますとか、帳簿書類とかいうような、要するに納税のから申しまして必要な、そういうものに対しましてその実際を調べるだけのことでございまして、個人の身上に直りまして質問検査をするというようなことは勿論なし得ないわけでございまするし、第四項にその点が明確に謳つてあるわけでございまするからして、そういう行政上のものであるからして、從つてこれに対する応答の義務というものも課し得るものと、かように考えております。
  243. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 いろいろお説を伺いますけれども、「答弁をしない者」というのはどう答弁をしない者か。自分に問いを発する者に対して反感を持つておる、感情を害しておるとか、言わん方が自分の利害得失土得だというときに答弁をしないと思うのでありますが、やはり答弁を求めるの者立場とか、その状況によるのであつて、相手が非常に徴税吏員としつて余り感心しないような人間だつたときに、やはりこつちがちよつと待つて呉れとか、そこへ入つて呉れるなということは、普通極めて常識上言つた場合に、それを聞かないで答弁を求めた場合に、やはり答弁をする必要はないじやないか、そういう答弁の求める方が常識上むしろ誤つておると思いますつが、そういうようなことは犯罪捜査でなく普通の場合なんですから、そういうことはたまたまあり得ることであつて、一方的に罰するということは今日のいろいろの観念から言つて逆行しているのではないでしようかね。
  244. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 「答弁をしない者又は虚僞の答弁をした者」これはいろいろ御指摘になりましたが、徴税吏員が例えば納税者の家に参つりましてそこに物が置いてある、その物が果してその人の物か、或いは他の人の物であるかということによつて、それを差押えるか差押えないかということが違つて来るわけであります。その場合に黙つておるということは徴税吏員としての職務が執行できないわけであります。そういう意味で、それがただ單に答弁をしないというだけで大した影響がないものならば問題はないのでございまするが、重大なる財産につつきまして、何故かそういう答弁を、飽くまでしない、こういうようなことになりまして、徴税吏員が職務執行が不可能であるというような事態におきましては、やはり何らかそこに措置がありませんと、結局納税を確保できないということでありましてこの目的は飽くまでも先程来しばしば申上げましたように、犯罪捜査のために被疑者に対する黙秘権という憲法の保障とはこれは違いまして、飽くまでも行政上のこれは一つの義務である。かように考えておる次第であります。
  245. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも私は素人で納得が行かないのでありますが、犯罪捜査の場合に、防衞する立場に立つものでさえ黙秘権が許され、証拠力を以てこれを証明して行くということが許されておるのに、一般自由な納税者、或いはその他の自由な立場における場合に、自由に言つたり、言えなかつたり、言わなかつたりすることに対して一方的にいけないことである。こういう点は却つてその行政上の問題ですから私達から言えば犯罪捜査の場合の黙秘権以上に尊重されなければならないと、こういう考え方を持つわけであります。行政上のそれであるから構わないんだということば、どういう根拠なんでありますか。
  246. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは憲法の三十八條に「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」云々という規定がございまするが、これは前後の條文の関係から申しましても、要するに刑事被告人についての黙秘権を規定しているわけでありまして、行政上の規定の事態がありました場合における質問調査ということに対する応答というものは、又別の問題であろうと思うのであります。又同時に憲法にお雪ましては、殊に納税につきましては、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」ということがこれ又憲法上の一つの義務として国民に対して課されておるわけであります。この納税の義務の履行ということについては国民は責任があるわけでありまして、徴税吏員がその徴税上の対象を明確にいたしまするために質問をする、それに対して答弁をするということについての義務を課することはこれは憲法上も支障はない。現に国税につきましては同様なことが立法化せられておるわけでございまするから、私共といたしましてはこれで何ら憲法上支障ないものである、かように考えておる次第であります。
  247. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではこの問題はあとに廻しますが、法規上の問題はどうでしよう。この程度のものに対して明かに証拠力を持つ物件における虚僞の記載或いは質問検査を、拒み或いは妨げる、こういう積極的な行為とは違う第三号の上段、「答弁をしない者」、これで適当であるという考について御説明を願いたい。
  248. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この規定が若し成立いたしました場合におきましては、これはいずれも裁判官の自由なる心証によつてこれを判決を下すわけでございまするから、どうこうりということは私共として申上げられませんけれども、併し「答弁をしない者」という者は答弁たき者ではないのでありまして、しないというやはり積極的の意思を含めての規定でございます。
  249. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の政府委員の答弁はこの点はどうかと思うので、さつき憲法を引用されたけれども、その点は納税は義務ですが、單に答弁をしない、しないというのは積極的にしないのだということだけれども、こういうふうに何らかのことがあるならば、欠点があるならば人を罪に陥れるという立場から言えばそういうことになるかも知れませんが、成るべく人権を尊重して犯罪人を作らないという、非常に愛情を持つた、国民に愛情を持つた考から行けば、少しでも答弁をしない、しないのは積極的だということでも、そういうふうな者を罪に突落す必要はないじやないか、昔ならいざ知らず、新憲法ができて人権を尊重するのですから、僅かに答弁をしなかつた、というので一年以下の懲役又は二十万円の罰金、これは勿論裁判官の裁量ですが、罰金に処し得るのだということは政府のとるべき態度ではないじやないか。
  250. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は先程来申上げておりまするように、私共といたしましては、この地方税の全体の歳入を確保いたします見地から考えまして、こういうような一罰百戒的な規定を設けまして、全体の税收入を確保するという途を用意して置く方が地方税收入を確保するためにも適当であろう、かように考えておる次第でございまして、この規定の運用につきましては、検察当局なり裁判所等においては実情に即する運用は行われるであろうと私共は考えでおる次第であります。
  251. 小笠原二三男

    小笠原二三君 どうも話をだんだん聞いて来ると、ますます税收入を確保するためというと、極端に言つて大変失礼なようだが、昔の代官のように、出さなかつたならば縛るぞという威嚇的な部面を間接的に露呈して置いて、そうして税收入を確保するという意図があるじやないかとさえ邪推されるですね。もう少し廻り途であろうが何で、あろうが、調査或いは検査が、完全に果される方法というものを、もう少し丁寧に考えて行くということで、こうしたものは外すということになるのが新憲法下の国民に対するあり方じやないかと思うのですが、将来においてもこれは飽くまでも政府の方にも規定があるのだから、これでいいのだというふうにお考えになるのですか。
  252. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御見解の程は十分拜承いたしましたが、私共といたしましては、今くどく申上げましたような考え方に立つておるわけであります。併し今回の問題といたしましては、御意見の程は十分拜承いたしまして、更に研究を重ねて参つりたい、かように考えて、おります。
  253. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 本日は大体予定のところまで終つたことになつておりまするから、これを以て散会するようにしたいと思います。
  254. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今日は都道府県税附加価値税を除いて御審議をお願いしたわけでございます。附加価値税以外は大体これで終了いたしました。  それから尚申上げますが、明日午後一時から建設委員会連合委員会を開催いたします。そういうふうにいたしまして、先程申上げました奈良、京都の国際観光都市建設法案につきまして審議をいたします。併し当委員会は進行の工合を見まして同時に並行して開きまして代表の方にお出を頂く。こういうふうに取計うことを御承知置き願います。  それからもう一つ申し上げますが、昨日中田吉雄君の発言に際しまして、高橋君から御異議が出まして、委員長において速記録を調べて、理事と相談をして不穏当と思われるところがあれば削るようにして頂きたいという御要求がございました。本日速記録を調べますと、こういう文句があります。「その一つは自由党のよつて立つ基盤である大きな資本家、その他の人はこの朝鮮事変が拡大することを望んでおるわけである。」こういう文句がありますので、理事の方と相談いたしまして、「自由党のよつて立つ基盤である。」それだけを削ることにいたしました。御了承願います。
  255. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は御相談を受けたのでありますが、本人との間において委員長が談合して大体お決めを願つて結構であるが、私としてはそうしたものを取消す必要がないということを申上げた次第なのであります。今委員長が読み上げられましたように、速記録を調べて見ますというと、別に自由党が戰争の拡大を欲しておると中田君は発言したのではないのでありまして自由党が基盤としておられるところの大資本家等が戦争の拡大を欲しておるということを言つたんであります。換言すれば、要するに戰争は資本主義が起すものであるということを意味しているのでありまして、私は必ずしもそうした意見に賛成であるとも反対であるとも申しませんが、これは一般のマルクス主義の見解をとられる人が、戦争というものは資本主義から起るものであるということを公式的にみんな考えられておるのでありまして、そうした極めて普遍的な一つの見解を中田君がとつて言われたのに過ぎないと思うのであります。現にそうした見解の上に立ちますならば、朝鮮事変が起りまして以来、例えば株式取引所に出入りするような人は非常にそれを喜んでおる。殊に全篇の付くところの重鉱業棟その他の値上りで喜んでいるところの人は沢山あるのでありますから、そう申しますると、高橋君の方では失業者がそのため職業ができて喜んでおる。プロレタリア階級も戰争が起つたことを喜んでおるじやないかというような御意見もありましたが、又そういう考えも高橋さんの方からは言われると思うのですが、それは意見の相違でございます。殊に許すべからざることは、というと甚だ言葉に角が立ちますが、そうした個人的な座談の間において高橋君が懲罰委員会に付する云々ということを言われたことは甚だ私は不穏当と考えまして、その折、私も申したのでありますが、衆議院のごとく自由党は参議院において絶対過半数を占めておらんのであります。我々は飽くまでも国会において言論の自由が確保される必要があるので、資本主義が戦争を起すというようなことは国会を通じて多数の人が今日考えておるところで、高橋君が御反対であつても、これは極めて多数の人がそう思つておる意見なのでありまして、そうした意見の上に立たれて言われた中田君の意見を直ちに懲罰に付するというがごときは言論の自由の府である国会の権威をみずから冒涜する見解を持たれることには私共は断じて反対であります。若し自由党が本会議において、中田君がこうしたことを言つたのを懲罰委員会に付するというような拳に出られますならば、恐らくまじめな参議院議員はそうした自由党の高橋君の固陋なるところの田舎政治家的の見解を披瀝すれば、自由党それ自身が府民に対して大恥をかくような結果になるのではないかと思います。かような低級な参議院議員はこの参議院の中にはおらんと私は考えておるものであります。そういう言辞を少くとも個人の間においても弄されるというようなことは、特に與党の自由党の諾君が愼まれんことを私はこの際申しげて置きたいと思うのであります。本人に委員長が御談合になりまして、大人げないという感じも一面にないでもありませんでしたから、中田君がそれを取消すことを承諾されたならこれ以上申上げませんけれども、国会における言論は尊重しなければならんということを深く心に銘記されまして、自由党の諸君がそうした固陋な見解によつて参議院をみずから冒涜するような言辞を今後愼まれんことを一議員として特に申上げて置きます。
  256. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今吉川委員からのお話で事情がよく判明したのですけれども、昨日の高橋委員の話によりますと、不穏当の箇所があるならば、委員長において善処せられるという御決定のように承知しておつたのであります。從つて委員長はこの文句は不穏当とお考えになつたからこそ、中田君に対して取消し方のお話合があつたのではないかと思うのであります。どの点が不穏当であり、又中田君にどういう意味合で取消せとか或いは取消さないとかいうお話合があつて、中田町君が自主的に取消されたのか、或いは委員長の要請によつて取消すことを承諾したのであるか、この点を明らかにして、明朗にこの委員会審議が進められるようにして頂きたいと思いますので、御説明をお願いいたします。
  257. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは御説明申上げます。前段は省きまして、「その一つは自由党のよつて立つ基盤である大きな資本家、その他の人はこの朝鮮事変が拡大することを望んでおるわけである。」こういうふうな字句があるわけです。これが大いに問題になつたのですが、中田君の言われる意味は恐らく大きい資本家その他の人が朝鮮事変の拡大することを望んでおる。こう意味で盡るのだろうと思いますから、だから「自由党のよつて立つ基盤である」ということは必ずしもおつしやる必要はない、こう思つて御本人にお諮りして、この字句を削つたわけであります。おつしやる意味はよく分るのです。だから問題になつた点でありますから、御本人にお取消しするように願つたのであります。その前に吉川君にもお諮りをして、どうですかということをお諮りして、それじや中田君に相談して呉れと言うので、中田君に相談して、中田君がそれじやよろしいということを言われたのです。
  258. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではまだ委員長の職責が明らかにされないと思うのです。どういう意味で「自由党のよつて立つ基盤である」というのは削らなければ不穏当であると、あれだけ高橋委員が発議した程度に不穏当であるというお考えになつたのか、これは中田委員から自発的に取消す、取消さないと言う問題の前に問題になるのです。
  259. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 自由党の基盤ということを言つているのです。中田君の意味されたのは先程申した資本主義が戰争を起すという根本観念から起つておると思うのですが、自由党がみずからそうした資本主義政党である。資本主義がいいものであるという立場に立つておられるということは、これは自由党みずからがすでに言うておられることであり、又天下公知の事実であると思うのです。ただそれを意味されただけのことに過ぎないのでありまして、何も自由党の基盤であるところのものの中にそれを欲している人があるということは、私はそれ程不穏当であるとは思えませんが、併し本人と委員長との間において御談合になりまして、それで中田君が御納得になつたものでありますならば、私はこれ以上は大して咎める必要はないじやないかと思うのでありまして、ただそれに附かえて高橋君のそういう不謹愼な言辞を、参議院の名誉のために一言私の意見申上げるに過ぎないのであります。小笠原さんの御意見もあるだろうと思いますが、私としましては本人も納得せられておるのでありますから、先ずこれで打切つたらどうかと思います。
  260. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は早くピリオドを打つことは賛成なんです。ただこの院内における自由な発言を保障されている我々として、何人にも拘束を受けない発言をしているわけであります。それを委員長が不穏当であるという御判断をなされたのならば、その不穏当であるということの理由を明らかにして頂きたい。ところがそうでなくて、事態は高橋委員の発議もあつたが、不穏当であるなしに拘わらず、こういうことはこの委員会の運営上お互いうまくない。そこで中田君に自主的に御考慮を願う、こういうようなことであれば、これは問題は別なんです。昨日以来の不穏当な言辞であるという意味において中田君にこのことを言つたということになれば、私は追及しなくちやならんと考えるので、この点を明らかにして置いて、早く取消すなら取消すというふうにして頂きたいと思います。
  261. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 分りました。
  262. 相馬助治

    ○相馬助治君 小笠原君の言うたことと、私すつかり同じなんですが、昨日の経過は御承知のように、高橋委員は責められたけれども、併し委員長の取りなしで委員長が不穏当と、速記録を調べて判断した場合には、処置してよろしいかということに対して、潔く高橋委員は賛成された、委員長に任せられている。そこでこれは非常に委員長として責任が大きいと思うのです。大体これを不穏当と見るか、不穏当と見ないかなんですけれども、自由党がよつて基盤としている資本主義階段が云云というような意味のこと、これは逆に又我々の社会党に対して言うならば、勤労者の政党だと言つている社会党がよつてつて、いる労働組合の中にも、破壊をこれ事としている連中がいると言つたら私は一応それを認めます。そういう人もあると思いますから。それと同じような意味で、私はそれはその言葉の上からこれは常識的に不穏当だとどうしても思えない。但しこれだけの意思味であつて、そうして高橋委員の提議されたことについてこれは何とかうまく行こうというような意味で、これは中田君と委員長との話合によつて取消すことになつたというならば、不穏当であるかないかということを別として、これはこの際このことは中田委員の自発的意思によつて取消すというならば、私は承認いたしますが、それ以外には承認するというわけには行かないのです。委員長理事と相談してよろつしくやつて呉れと頼んじやつたら、そのことは省略をいたしますが、別個に委員長に向つて責任を追及する用意があるということだけ附加えて置きます。
  263. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで高橋委員にもお願いするのですが、この委員会もあなた方の意見として不穏当であるかないかということについて断案を下す程度のものではないということだけは明らかになつたのですから、穏当、不穏当の論議を抜きにして、中田委員に自主的にこの発言を取消したということで、この問題を追及することを止める、こうして頂きたいと思います。    〔岩木哲男君「誤解を招く虞れがあるから、自主的にやられることをお願いします」と述ぶ〕
  264. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私の発言について、地方税法案の重要な審議のある際に、いろいろ御迷惑をかけた点を深くお詫びいたす次第であります。  今委員長の方から、まあ議事の運営上自発的に何とか善処して呉れないかという御意見があつたわけであります。私としましては何らその言が不穏当だとも思いませんし、それを陳謝するというような意味で、取消すことには反対であるが、発足した当時の委員会の運営に支障を来たしまして必要つ以上に委員長に議事運営に迷惑をかけることを遺憾といたしましたので、そうう意味で取消すことにいたした次第であります。尚私は特に直ちに多数党の威力を以てこの保障されたる言論の府において、衆議院におけるようなことを、直ちに参議院に持越そうとするようなことについては甚だ快しとしなかつた次第であります。そういう意味で陳謝の意を含めての取消しは反対であるが、議事運営に支障を来たしてはいけないから、自発的に委員長にお任せしましよう。というふうにいたした次第であります。(「分りました」と呼ぶ者あり)
  265. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今中田君から御弁明、になつた通りでおります。私においてもそう辞句が非常に不穏当であるとは実は考えておりません。これば吉川委員もよく御承知のことであります。ですから、只今中田君の言われたように、又小笠原君から御意見の出ましたように、中田君に自発的にお取消しを願つた、こういうことにいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうふうに決定いたします。  それでは本日はこれで散会いたします。    午前四時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            竹中 七郎君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治財政課    長       奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君