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1950-10-19 第8回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十九日(木曜日)    年前十一時四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告地方行政の改革に関する調査の件  (文部行政事務再配分に関する件) ○小委員会設置の件 ○小委員の選任の件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  今日は過般和歌山大阪兵庫府県風水害視察お出で願つた委員から御報告願いたいと思います。鈴木委員
  3. 鈴木直人

    鈴木直人君 私達三人の議員即ち相馬議員それから私、鈴木議員、これに岩木議員が参加されまして三人の議員及び福永專門員、これに地方財政委員会佐々木事務官が、特に地方財政委員会を代表する形で参加されましてジエーン台風被害地視察いたしたのであります。私達一行は予め申合せておきまして、十月九日の朝八時に大阪大王寺発和歌山行の汽車に落ち合つたのであります。そうしまして九時に和歌山市に着きまして直ちに県庁に参りまして、その日は一日中和歌山県下を視察いたしました。次の十日には大阪府に参りまして大阪府下災害調査をいたしました。その次の十一日は大阪市に参りまして市役所を中心に災害地視察いたしまして、一日大阪市の災害調査をいたしたのであります。次の十二日は兵庫県に参りまして兵庫県庁及び県下の災害地について実地調査をいたしたのであります。そうして十三日に帰つて参つたのであります。  調査いたしました詳細のことにつきましては別に報告書を提出いたしたいと思いまするので、これの御覽をお願いいたしたいと思います。尚これは速記録に載せて頂きたいと思つておるのであります。その主なる点につきまして、二、三報告をいたしたいと思うのでありまするが、相当政府当局の御意見等もお聞きいたしたいと思いましておるのでありまするので、政府に対して具体的な点についてお伺いいたしながら報告を兼ねるような方法で行きたいと、こう考えて我々議員がそのように御報告をすることにいたしたのであります。  今回の私達の視察委員会の御指名によりまして、主として今回の災害地方財政にどういうふうに影響しておるかという点に主眼を置いたのであります。他の委員会等におきましてはそれぞれの観点から災害復旧対策等検討も加えられておるようでありまするが、私達といたしましては、主として地方財政の面について比較検討をするというふうになつたわけであります。従いまして調査の時期につきましても、災害直後においては現地において相当応急的にいろいろなる救援の仕事に没頭せられておりまする関係からして、それは厚生委員会とか、或いは建設委員会等において調査されておることと思いまするので、約一ヶ月間おきまして漸く一段落をいたしましてこれか計画的ないろいろ復旧対策にかかり、財政的にも一定計画が立てられたというときにまあ参つておるわけでありまして、従いまして現地調査等も主として財政的見地から実施調査をいたしたのでございます。そこで一ケ月後になりましたのでありましたが、現地を見ましてもまだ強い風のため全壊或いは半壊等のままになつておりまするところの建物とか、海岸提防とか或いは河川堤防とかいうようなものがそのまま残つておるのもありますし、応急的に復旧というようなことをしておるところもありますし、又浸水地におきましては、この程度まで水浸したというような水の跡などがありまして、そうしでその浸水の当時のことを想像をしたのでありますが、尼崎市等におきましては、まだ浸水をいたしておりまして、相当悲惨なる様相も実地に見ることができたのであつて、このジェーン台風は非常に深刻なものであつたということが想像をされたのであります。そういう点も我々は頭に浮びまして、そしてその際の数字その他について検討もいたしたのであります。最初例えば兵庫県庁におきまして、尼崎市についてどの程度のいわゆる減税見込があるかというようなことについて検討したときの一例でありますが、尼崎市におきましては、例えば住民税のごときは今度の減免條例によつて三分の一に税が減る、こういうような計算であるわけであります。で我々は、実は一体その住民税が今度の風水害で三分の一に減るというようなことは、あまりにこれは過大な見積りではないだろうか、又減免が非常にこれはゆるやかな減免と合いますか、いわゆる減免し過ぎる方法ではないか、三分の一に体減收になるというようなことはおかしいというように実は考えまして、強く市長なり助役にも数字的において間違いがあるのではないかというようなことも実は追究をいたしたりしたのでありましたが、現実にその尼崎市を見ますると、尼崎市の殆んど全部、勿論あそこは農村がありますけれども、海岸におけるところの都市の大部分というものが全部浸りまして、成るほどこの程度ではこれは住民税減免せざるを得ないであろうというようなことを考えたような次第でありまして、現地調査とその実際の書類に現われたものと比べ合せまして、このような実感を得たような次第であります。で先ず第一に我々が調査しましたのは、いわゆるその地方税減免がどんなふうに行われているかということを先ず第一に調べてみたのであります。和歌山県におきましては、各県とも全部減免條例県会を通過いたしておりまして、それによつて一定の期限をつけて申請をさせまして、現在その減免実行中であります。市町村におきましては、和歌山県下においては條例をやつているところと、やつていないところがあつたのであります。比較的災害の少いところは、條例を出さずしていわゆる地方税そのもの條文従つてつてつたようであります。大阪のごときは、大阪府において大体の模範となるような一つ條例を作りまして、市町村にそれを示しまして、その市町村がそれを参考としてそれぞれ市町村において独自の條例を作りまして、減免措置をとつておりました。兵庫におきましても、これは大阪市に近い方面が非常に深刻なんでありますけれども條例を県においても作りましたし、市におきましても作りまして、現にその地方税減免実行をいたしておつたのであります。その結果どの程度一体減收になるかということにつきましては、調査をいたしまして、そうしてその数字は持つておりまするけれども必要の場合において、勿論これは報告書には出して置きますが、必要な場合においては申上げたいと思いますが、この條例に基いて減收となたとこつろの金額、その歳入欠陥をどういうふうにして補填するかという点であります。その点につきましては、どの地方におきましても、これは特別平衡交付金を以て補填して貰いたい、こういうような要求が強かつたのであります。我々も、災害等によるところの減收については、特別平衡交付金運営によるということが特別平衡交付金の性質でもありまするが、併しながら特別平衡交付金は限られた金額でありますし、これをこの方面に優先的にこれを当てるということになりますというと、他のいわゆる需要特別需要というような他の県、市町村等におけるところの影響相当多い、その程度にこの減免の額が非常に多いのであるのであります。恐らくキジア台風ですか、そういう方面地方においても同じようなことをやつているでありましようけれども、そうした條例による減免によつてそれを補填しなければならんものを、特別平衡交付金で優先的にやるということになるというと、これはどうしても平衡交付金総額千五十億というものを更に殖やす必要に迫られるのではないかということを考えて、私達といたしましては、これはどうしても特別平衡交付金補填して貰わなければならん、そのためにはどうしても今度の追加予算一般平衡交付金増額を強く政府要望する必要があるということを考えて帰つて来ているのであります。この点につきましては後刻一つ地方財政委員会乃至地方自治庁の御意見をお聽きしたいと考えているのであります。この條例に基くところの当然の減免の外に、いわゆるこれがため事業が一瞬停止をしたために、或いは事業税自然減免をして来るような場合もありますし、或いはこれは好ましいことではないけれども、この災害ために税を納めなくてもいいのではないかというような納税思想の低下をいたしたりしているような状態もあるのであります。この点につきましては、これは減税という措置をとられた以上におきましては、或いは免税という措置をとられた以上は、それ以外のものは当然これは納むべきものであるというように納税思想はつきりさせる必要があると思つて、そのことは主張して参つたのでありますけれども、併しながら現在の情勢におきましては、やはり納税思想は低下しているというような状態等もありまして、條例による減免以外の減收も、相当現実の場合においては見込まれるのではないかというふうに考えているのであります。この減收見込等におきましても、これはいわゆる数字を一応聴いて参つているわけでありますが、併しその程度のものが一般納税者に分るというと、これは地方自治体としてはこの程度減收見込を考えているかというようなことになつて却つて納税思想影響を及ぼすというような観点もありまして、我々はこの点については実はあまり強く世間には吹聴しないで、どこまでも納税思想の向上という点を強調しては来ているのでありますが、実際においては恐らく減收になるところもあるのじやないかと思います。この減税につきましては、或いは條例に基くところの当然の減收とは少し違つた意味のものであつて、これを特別平衡交付金補填すべきであるかどうかという点については、我々はまだはつきり確信を持つていないのでありまするが、併しながら地方財政收入において非常に影響を及ぼすだろうということは事実であるのでありまして、この点については政府等においてはどういうふうに考えておられるかということも、後からお聴きしたいと考えているのであります。  その第二点は、災害が若しなかりせばこの程度財政收支バランス行つたのであるけれども、災害が起つたために、特にこの程度財政需要が出て来たという経費について調査をいたしたのであります。いわゆる需要の増加の点であります。これは一面災害復旧費というような項目の下に災害復旧という意味も含めた項目の中にその財政需要見込まれるわけでありますが、このいわゆる復興費乃至復旧費というものにつきましても、長期的な復旧費或いは応急的な復旧費というような財政需要について各府県市町村においてこれは調査をいたしたのでありますが、各府県庁においては、はつきりそれは計算をいたしまして数字はつきりしておりましたが、町村においてはまだ堪能な事務員がいないということと、市町村は何と言つても第一線でありまする関係上、自分の市町村内には家の沢山潰れたものがあるとか、或いは土地が壊滅になつておるとか、或いは又浸水がなかなか引けないとか、或いは堤防復旧しなければならんという現実手当、お医者さんがするような、その治療手当方面に非常に一ケ月間というものが忙しかつたという点もあると思いますし、もう一つは税制或いは数字等を取扱うところの事務がまだ県のごとくいわゆる人物等においても或いは人手等においても十分でないということが窺われました結果、町村においてはまだはつきりした財政計画なり財政の見通しはできておらないのであります。比較的大きい市になりますと相当しつかりしたこともやつておりまするが、小さいところにおきましてはまだそういうふうにはつきり我々に説明し得る程度になつておらないというような関係もありまして、県側につきましての新しい財政需要については一応数字等も教わりまして実は持つて来ておるわけであります。市町村等におきましても数が多い関係から主として県の地方課が県内の集計を取りまとめをいたしまして、その復旧需要等検討をいたしておるわけでございます。それで、そういうようなことになりまして、問題は結局その必要とするところの財源をどこに求めるかという点に帰するのであります。その第一点は、即ち特別平衡交付金によつて補填するところの点、その第二点は起債による点、その第三は国庫補助等によるというような点が財政的ないわゆる措置としてなさるべき点であると思います。これらは一にかかつて国が処置すべき事項でございます。どうしてもこれは政府に対して相当措置要望いたしましてそうして力強い災害復旧善後措置をとつて貰わなければならない、こう考えまして、その各省別具体的項目につきましては各省ごと一ついろいろ意見も申上げまして、そうして各省がどんなふうに対策を現にとりつつあるか、今後どういうふうにとられんとするかということについて実はお聽きいたしたいとこう考えまして、各省のそれぞれの関係の方々のこの委員会に対する御出席を要求いたしたのでありますが、本日は大蔵省におきましても、或いは建設省におきましても何かいろいろな事情がありまして出席ができないということでありますし、又農林省においても、昨日は来ておられましたが、時間がなくて、これは又今日もちよつと御出席ができないようであります。学校建築等文部省関係につきましては、午後来られるそうでありますから午後にいたしまして、只今地方財政委員会地方自治庁関係の方が御出席になつておりますので、主としてその方面について御報告かたがた質問等をいたして見たいと考えるのであります。勿論この起債におきましては、長期起債を指すのでありますが、短期融資という点については今までに短期融資では到底不足であるからしてもう少し短期融資を殖やして貰いたいというような要望が強くございましたのであります。いわゆる緊急融資増額でございますが、この点についてもちよつとお聽きしたいと考えるのであります。その数字或いは詳細につきましては、今ここで御報告申上げますと徒らに長くなりまして、或いは皆さんに御迷惑の点もございまするので、一つ具体的項目について政府側の御意見等もお聽きしながら御報告を兼ねたいと思います。従いまして一般的な御報告はこの程度にして置きたいと考えるわけであります。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今鈴木委員から御報告がございましたが、別に詳しい報告書が出るようでありますから、その報告書速記録参考に附したいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに計らいます。では鈴木君から御質問願います。
  6. 鈴木直人

    鈴木直人君 今報告申上げました地方税減免で、條例で以て各府県市町村において自然減收になる点についてこれは特別平衡交付金において補填をして貰いたいというような要望があり、それも当然であると考えるのでありますが、この点については政府としてどういうような措置を現在とられておるか、又どういう方針を今後とられるかという点をお聽きしたいと思うのであります。尚この補填に関しましても、府県間において條例は必ずしも一様ではないようであります。いわゆる減免基準専守においても少し食違つておるようでありますし、又町村においても少しは食違つておるようであります。これは当然地方自治体としてそれぞれ特異性を尊重するという現在の制度の下においては、当然かくあるべきものであると思いますし、又更に実際に現地を見ますと、例えて言えば身体全体に傷を負うておるというような町村におきましては、同じ程度の損害に対しましてもやはり減免等が当然強くなる場合もございます。従いまして例えば尼崎市のごとく殆んど全身が負傷したというようなところにおきましては、いわゆる大阪のごとく全体の数字においては或いは少しかも知れんけれども、その尼崎全体の財政收入或いは支出、いわゆる財政力というものと比較しますと、相当大きいパーセンテージになつておる、こういう地方もあります。或いは相当災害の数量にはなりますけれども、県全体或いは市町村全体の財政方等から見るというとそれは手足が火傷した程度になつておるのだという、いわゆる一部分的なものもございます。従いましてその府県市町村財政力と、そうして災害を受けたところのパーセンテージ等によつても、又相当影響するところが違うように考えるのであります。従いましてこれは画一的に條例を規定するということも非常に困難でありましようし、又特別平衡交付金を画一的な標準の下に交付するということも或いは公平ではないかも知れないということも考えて来たのでありますが、いわゆる地方税減免に対するところの中央における措置はどういうふうにされつつあるか、具体的にジエーン台風のことについてお聽きしたいのです。
  7. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) この台風善後措置につきましては、地方財政委員会としても只今関心を持つて、いろいろの方面からその材料を收集いたしまして、遺憾なきを期したいと存じておりますけれども、まだ現在のところこの減免等に関する條例並びに実情が審かになつておりませんです。それがために今日の場合どこにどうするというような具体的の措置を未だとつておりません。併しこれはどうしても只今鈴木委員お話のように特別交付金によつて措置しなければならんことと存じております。ただジエーン台風のみならずキジア台風についても、この特別交付金措置に俟たねばならんものが相当あることと存じますが、これらを睨み合せて災害に関する措置は全体的に考究しなければならんことと考えております。只今のところこの減免に関しては具体的に御説明お答え申上げる程度に立至つていないわけであります。
  8. 相馬助治

    相馬助治君 只今委員長お話で、一応分りましたんですが、問題は鈴木委員と共に私も見ての感想ですが、條例というものも文章の上からは一つ基準に則つてやられておるようですが、然らば減免基準をどこに置くか、例えば家屋の大破、全壊或いは一部破損というような標準をどこに置くかということになつて参りまするというと、非常にこれはむずかしい問題であろうと思われますし、そういうふうな水浸しになつた家をモデルとしてそのまま置くというわけにも行かないというところから、写真に撮つてこれが標準であるというような説明を我々も受け、又一部実例についても見て参つたのです。そういうふうな基準から見てやがて政府がカバーしてやる場合には、何をその基準とするかということについては、技術的にこれは非常にむずかしいであろうということは想像に難くないのです。従いまして、財政委員会でもそれらは当然予想しておいでになると思うので、差当りもうすでに時期は遅くありまするけれども、尼崎であるとか、大阪浸水地区であるとかというものに係官を派してそういう基準調査をする御予定がありますか、それとももうすでにされておりますか、この点をちよつとお伺いします。
  9. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) 係官を派出して調査というようなことは未だいたしておりませんが、併しいろいろの材料資料は收集しております。地方税減免については国税の減免に準じてこれを処置いたしたいと思うております。尚必要とあれば係官現地に派遣して調査することもなさねばならんかと考えております。
  10. 相馬助治

    相馬助治君 鈴木委員報告にも盛られておりましたように、実は兵庫県庁において尼崎市長説明した中に、住民税は三分の一減免するのだという話が出ましたときに、鈴木委員も私もそんなに大袈裟に減免して一体何人がカバーするのだ、一体市会議員のほうはそういうふうに言うても、市当局一体どう考えるのだと言うたところが、これは市当局考え方であつてどうしてもこれしかとれないのですという説明つたのです。私達もそれは市の見精りは過大であるというふうに言つたのですが、現に尼崎被害を見まして、もう実に目も当てられない惨状であるということばかりでなくて市街の殆んど目抜きのところ全部が水浸しになり、いわば鈴木委員報告に現われたように、大阪浸水地域より狭くあるけれども、尼崎としては殆んど大部分身体中、赤子が身体中火傷をして助からないように水浸しになつておるといつたような工合で、三分の一住民税が取れなくなるということが過大の見積りでないということを我々が見たのです。そういう意味から特殊なところには是非とも係官を派して御調査なさる必要が、もう実は遅くて困つた問題ですが、あろうと考えるのです。これは一つ希望意見です。  次にですね、現在和歌山県、大阪兵庫と三つであつて條例による地方税減免総額というものを、向う様として計上してあるようです。その数字を我々持つておりますが、数字を見た場合に我々到底国としてもそれに見合う特別平衡交付金を出して、地方要望に応えることは不可能であろうということは大まかには考えたわけなんです。併しながら地方要望のこれは何割かは当然出してカバーしてやらなかつたら、地方財政は全く破綻に瀕すると思うのですね。どうしても特別平衡交付金で賄つて貰わなくちやならない部分相当出て来ると思うのですが、財政委員会としてはそれらの見込というものを、先程委員長報告ではまだ立つていないようですが、さようなんですか。
  11. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) 今のところまだはつきりした見込は立つておりません。
  12. 相馬助治

    相馬助治君 聞くところによると昭和二十五年度の補正予算ももう後幾日かで最終的な決定をするという段階でですね、どうも條例による地方税減免された分をカバーする金額の大体すら未だに目安がついていないということは極めて遺憾なことだと思うのですが、それで差支えないのですか。
  13. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) 今まで私も委員会においていろいろ收集し資料等につきまして財政部長から詳しく御説明申上げたいと思います。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 この係官の人から御説明する前に、財政委員長としてはあれですか、條例による地方税減免分については、当然国として十分考えてやる用意がある、最終的にはこういうふうにお聞きしてよろしいですか。非常に地方は期待しておるのです。
  15. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) 十分ということはどういう言葉であるか存じませんけれども、財政委員会としては特別交付金を以てできるだけのことをいたして行きたい、かように考えております。これが果して地方民要望する十分であるかどうかということについては、ここではつきり申上げかねますけれども、財政委員会としてはできるだけのことをいたしたい、かように申上げて御了解を得たいと思います。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 十分ということに私は拘わりません。そこでできるだけのことをするというようなことは、特別平衡交付金としてはいろいろなところへ出さなければならないが、そのうちでも條例によつて減免した地方税減免分に対するカバーは優先的に考えてやるという内容を含んでおいでですか。
  17. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) その点は財政委員会では重点を置いて考えたいと考えているような次第でございます。
  18. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、結論いたしますると、今度のジエーン台風による被害地地方税について、條例によつて減免した分は財政委員会として適当に資料調査の上、できるだけこれを他のものに優先して考えてカバーするように十分の努力をする用意が断るというふうにお聽きしてよろしうございますか。
  19. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) 大体そういう意味でございます。
  20. 相馬助治

    相馬助治君 有難うございました。地方は大いに期待しておりますから、是非その線でお願いいたしたい。
  21. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 災害による税の減免に伴いまして歳入欠陥を生じた団体財政の援助の問題につきましては、只今野村委員長から御説明申上げた通りでございまして、私共の考え方といたしましてはそういうものによる歳入欠陥に伴う財政運営の困難な団体に対しましては、できるだけ重点を置いてこれが補填を考えて行きたいと、かように考えております。ただ計数的な問題につきましては、いろいろ地方からの減免による減額の見込額というようなものは承つておりまするが、要するに一応の見込額でございまするし、なかなか正確な数字を把握いたしかねておる次第であります。それらの点につきましては正確なことは申上げかねるのでありますが、考え方としては只今委員長から申上げた通りのことを考えております。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 併し向うの見込額に対して大体の、やはり腰溜めで見込額はつけていらつしやるのですか、まだその段階にも至らないのですか。
  23. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 特別交付金は、災害による問題ばかりではなくて、その外の一般交付金を只今配分中でございまするが、それらの配分額が必ずしも地方財政状態にマツチしない分が出て来ることを予想いたしておりまして、そのほうの何と申しますか、穴埋めにも使わなければならないわけでございます。それもまだ計数的には正確に数字が出ておりません。従いまし三百五億取つております特別交付金のうち、どれだけが災害分に廻るかというようなことにつきましても、只今のところちよつと申上げかねる段階でございます。
  24. 鈴木直人

    鈴木直人君 大体優先的に取扱われるというふうな御方針は尤もであつて、その通りだと了承するのですが、こういうような災害が非常に多い、そのためにまあ勿論百五億の中にそういうものを見込んでおつただろうと思うのですけれども、その他の財政需要等々を加えた結果、千五十億ではどうも不足になつて来ているというようなことから、今回の補正子算の中に平衡交付金総額を更に殖やして行くというようなことはないのですか。
  25. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 本年度の補正予算に対しまして財政委員会といたしまして取敢えず考えております措置につきましては、先日私から概略の御説明を申上げているのでございましてこの財政措置案の中には今年の災害に伴いまして各地方に生じて参ります負担の増もまじえて考えておるわけでございます。ただその総額、これは災害ばかりではございませんが、災害も含めまして補正予算関係に関連をいたしまして、本年度地方の負担が殖える分を大体三百九十億程度と見ておるのでございまして、それの措置につきましては一部は地方の財源の節約に俟ち、一部は地方債の枠の増大に期待する、それから残りを平衡交付金として交付金の増額をお願いしたい。こういうふうに措置を考えているのでございまして、従つて今年の災害に伴う地方の負担増につきましても、一応先にも申上げましたように措置案の中に考慮はいたしておるわけでございます。特に只今御指摘になりましたような税の減免に伴つて幾ら歳入が減るからその分を幾ら特別交付金として増額するというような考え方只今のところいたしておりません。
  26. 鈴木直人

    鈴木直人君 三百九十億の数字の内訳はあれを見ますと八億程度災害に伴うものであるというふうに見込をされたのじやなかつたかと記憶しておるのですが、その程度で間に合うと、こういう計算ですか。
  27. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 只今御指摘の八億と申しますのは、災害復旧費として公共事業費を政府におきまして四十一億程殖やすといたしますると、それに伴つて地方の負担分が八億八千万ほど殖えると、こういう計算でございます。その外にこの前差上げました表のうちでも、災害関係の單独事業費といたしましては百億ほど少くとも本年度において負担がかかるのではないか、この程度の財源措置が必要なのではないかということも見ておりまするし、更に災害救助関係といたしましても、三億八千万円ほどの数字を挙げて措置のうちに考えておるわけでございます。
  28. 鈴木直人

    鈴木直人君 ちよつと只今報告によりますと、どうしても今の程度のものが先の八億というのは、これは公共事業費の見合いとして当然出て来るわけですが、後の百億、それから三億円もこれは成る程度の法令による国の負担分、国が負担する場合に当然府県市町村が負担しなければならない義務を持つておるわけでありますから、それは税收によるということはできないので、どうしても平衡交付金によつてこれを賄わなければならないということが出て来るだろうと思います。災害応急救助費ですか、来年度百億というのもこれは実は申上げようと思いましたが、現地、いわゆる一ケ所十五万円未満の土木工事等においてこれは当然国が……、これをやつておられる府県市町村においてやらなければならんという部分が我々数字的には調べて来ておりますけれども、相当多いのです。これも又先ほど申上げましたように、税收入が少くなるような事態においてどうしても府県市町村が独自のものでこれを補填するということはできないのであつて、どうしても災害ための百億というものは必要な数字であつてこの八億、百三億というものは私達が現地調査した結果においてこれは当然実に妥当な数字だと、こう見ておるのですが、この程度ありますれば或いは災害の応急的な復旧に必要とするところは地方財源が或る程度まで賄えるだろう、これが実現しなければ非常に災害によつて地方財政が窮屈になるであろうということを考えるのですが、先に八億でも実は足りないと思いましたが、この百三億、これは当然計上しなければならない。これはそういう確信を私は持つておるのですが、是非これは災害方面から見た、いわゆる平衡交付金の増加として実現を強く希望いたします。
  29. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今鈴木委員災害の御報告かたがたいろいろ具体的に質問して、それに地方財政委員会の財務部長あたりが答弁しているのですが、又今重ねて鈴木委員から單独事業の百億ですが、これがどうしても必要である。現地調査の結果これは必要なものであるというふうな強い要票がありましたのですが、この委員会は昨日午後大蔵省の主計局長に来て貰いましてこの財政委員会が出しました書類に基いて、要するに三百八十九億余万円の内訳ですね、それを聞いて見て、そうしてそれに対する大体の見込数その他を念に念を入れて質問したわけなんです。その際にその内訳の、財政委員会の出している内訳、給與関係その他とか、大項目四つありますが、その中に災害費、單独事業費百億があるわけでありますが、だんだん主計局長がこれを区分けして説明して行きましたが、例えば給與関係その他のものは国の公務員の給與改訂と関連してこれは相当な必要なものであろう。併しこの百四十億といろ金額そのものについては直ちにここでこれが妥当であるということは言われない、或いはこれはもつと減るのじやないかと思うのだというような話をし、中でも給與関係のものは一番有望のように我々はとれたのです。その半面今度の三百八十九億余万円の中で一番見込のないような感じを受けたのは、今委員現地調査をして最も必要であると思うその單独事業費の百億は、主計局長の説明ではこれはもうてんで問題にならん、こんな馬鹿なものはあるわけがないじやないかというふうな説明があつて、これが最も見込がないというような感じを受けたのですが、それであつては、現地調査の結果というものがあればこそ助かるのだという要望もあり、しておるわけでありますが、財政委員会の方は財政委員長に特にこの点を伺いますが、これが必要であるというふうな見込からお立てになつたと思うけれども、大蔵省なんかでも今度の補正予算を作るキイー・ポイントにいた、主計局長の考えでは、こんなことはとても問題にならん、頭からそう言つたのですが、この中で一番駄目だと思う感じを受けたのはこの單独事業費の百億です。そういう非常に地財の方と大蔵省との考え方が根本的に違つてつてこれをお出しになり、岡野さんにもこの前説明もいろいろ聞きましたが、我々が突込んで見ると、まだ交渉の過程にあるのだから金額を、具体的の金額を言うことは勘弁してくれ、中間報告でもいいのじやないかと言つたら、今それも逃げておられたのですが、勿論臨時国会も時間の問題であり、それには補正予算が重要課題の一つと思うのに、今のいろいろ災害関係のことを聞きましてもまだ数字が集まらないとか、尤も我々遺憾に考えるのはまだ現地調査もさしていないのだ、必要があれば今後やるのだというふうなあの非常な未曾有の災害に対して地方財政委員会の態度というものは極めて消極的であつて、積極的な面が今の御答弁にちつとも見られない、そういうふうなことであつて單独事業費の百億を、これを大蔵省に突込んだとき、この百億の内訳はどういうふうに考えられておるかということを、これを生かすか殺すかの最後の線になると思うのでありますが、主計局長なんかはこんなことはてんで問題にならん、こんなことはあり得ないということを言つておりますが、あなた方は、ただ今日こういう漠然とした数字を出しているのか、今までの説明を聞きますと現地調査をやつていない、その数字は集まつていない、そういうことを言つておるうちにどんどん時間が経ち、昨日の毎日の新聞を見ましても、危機に立つ地方財政という大きな項目で、地方財政委員会の三百九十億の要求、これに対しててんで大蔵省に舐められているのじやないかということをはつきり書いてあるのです。我々以外、第三者でも、やはり交渉過程から受ける感じはてんで問題にならん。岡野さんなんかも全く問題にされていないということは明瞭に書いてある。それを見て今の御説明を聽くと消極的な態度は如何に我々が、今日で三日も午前午後やつて、いろいろ後押しをしても、そういうような担当たる地方財政委員会が消極的な態度であつては甚だ私はいかん。而も百億は現地調査の結果、これがあればこそ非常にいいのだというお話なのに、大蔵省に対して説明が不十分なのか、この内訳が十分数字が整つていないのか、理由の如何を問わずはつきりしなければならない。今委員長が認めておるように、殊に主計局長はああいうふうに言つておるのですからここで、百億の内訳は一体どういうふうになつているのか、その点をもつとはつきりして頂かないとてんで問題にならない。この新聞でも、新聞から受ける感じも、大きく書いて、三百九十億つ要求、てんで問題にならんということをはつきり書いている、そういうふうな感じを受ける。それで今の御答弁では、現地調査をしていないということであれば非常に地方公共団体の危殆に関するものであり、又補正予算にどのくらい組まれるのか、甚だ悲観的なものじやないかと思うのです。今の現地調査の結果も非常に必要だ、併し大蔵省はてんで問題にしておらん。財政委員会では百億の内訳はどういうふうに考えておられるか、これを念のために、今後の我々の動きにも必要ですからその内訳を、どうして百億組んだか、それをはつきりここで伺いたいと思います。
  30. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 御指摘の問題につきまして御説明申上げます。ここで災害の單独事業と申しておりますのは先のお話もちよつと出ましたが、十五万円以下、今日の災害国庫負担によりますと全額十五万円以下の工事につきましては国庫の補助がございませんで、地方が全部負担をして施行しなければならないわけであります。その関係事業というものが今回の災害に伴つてどれくらいあるか、つまり事業関係の負担をどのくらい地方がしなければならないのかということを計算いたして見たのであります。それによりますと、先ず本年における災害による被害額でございまするが、これは各府県からの報告、又安本の調査その他の関係機関の調査を総合いたしまして見ますると、大体千四百億ほどあるのであります。その千四百億のうち、各省が査定をいたしまして公共事業として指定をいたしまするもの、これもまだ現段階におきましては予想でございまするが、従来の例から見まして千百億ほどある。かように見ておるのであります。従いましてその差額の三百億、これは国が公共事業として取上げないところの被害額でございまして即ち地方が独自に自己の財源を以て施行いたさなければならない工事の総額である。かように算定いたしておるのであります。併しながらもとよりこれらの工事は一ケ年にはなかなか消化し切れない部面もございますので、大体これを三年で以て仕上げて行く、こういうことで見ますると、先ず本年度におきましては百億程度地方としては負担して行かなければならないのではないか、こういうことで百億の数字を出したのでございます。大蔵省では即ち單独事業については問題にならんと言つておりますることは、こういう負担が地方にはないとい方意味ではなくて、恐らく地方財政に対する考え方の相違かと思うのでありますが、地方としては特別な、この際財源措置をしなくてもその程度のものは節約なり、或いは事業の振替その他によつてつて行けるのではないか。即ちこの関係の負担についてはそれだけの他の特別な、この際の国としての財源措置は要らんじやないか、恐らくこういう考え方で或いは言われたのじやないかと思うのでございます。併しながら、私共といたしましては、地方財政の実態を見ましても、とてもこれだけの費用を今の節約その他によつて当然負担し切れる、負担することができるとは見ておらないのでございまして、国として何らかの財源措置が必要なんであるということで、この際計画の中に取入れたのであります。費目につきましては、先に御説明申上げましたように、一応この事業の性質上起債を以てその財源に当てたい、こういう計算でございまして、先般御説明申上げました計数の二百十五億という起債額の中に含まれておるのでございます。
  31. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今縷々伺いましたが、そういうふうな説明も、大蔵省にしているのか、していないのか、こういうようなことをもつと徹底的に言つてあれば、ああいうふうな主計局長の考えにもならんし、ああいうことにならんと思うのですが、そういう点が、両者の意見の、ものの考え方の相違があつて、そうして五百億も食違つている点なんかも、勿論昨日そういう点も、大蔵省にも、人を叩くのが能じやないのだと言つたのですが、どうも今の点でも、地財のほうではそう考えておつても、大蔵省には意味が通じていない。向うは向うで大蔵省的な考え方で考えておつて、それでどうなるかというと、結局そのものはいざという場合には補正予算に上らないというふうに結論がなる虞れが非常にあるのですが、そういう点はもう少し努力して頂かなければいかんと思うと同時に、これに関連してもう一点伺いたいのは、最近に地方行政調査委員会議が勧告をなさつた、前々回に議長からその内容の御説明を伺い、質疑をしたわけなんですが、この際も今の十万とか十五万円で区別して、国が持つか、地方団体が持つか、区別してあるのですが、その際にも一委員から、それは分るが、一つの市なり町においてそういうふうな十万円、十五万円なり多数あつて、そうしてその合計額が、総額相当厖大なものになつた場合にはどうするのかということを質問したところが、そういう場合のことは考えていない、議長は考えていなかつた、今度の勧告には少くとも考えていなかつたという答弁であつて、それでは甚だいかんではないか、今までそれが問題じやなかつたのか、又地方債については大蔵省に牛耳られる、そこが問題なのに、大蔵大臣と協議をしてという文句が入つたら台なしじやないか、一つもベターなことにならん、そういうことで我々も突込んだのですが、さように今度の勧告を仮にもするからには、その情勢は勿論地方財政委員会としても重要なことですから、自分の意見も述べ、向うからも意見を聞かれたと思うのですが、そういうふうに両方連絡をしてないから、勧告をするときにそういうぼやけた勧告をして何ら意味をなさないということになるのですから、もう少上その点は努力して頂かないと、そういう場合は考えていなかつた、そういうことが過去において問題だつたのです。又それと今の大蔵大臣と協議をしてという文句があの勧告には入つてつて、それでは財政委員長が今後非常にお困りになるのじやないか、ああいう点がキイー・ポイントで、あれが障害をなしておつたのですが、ところが神戸議長は、甚だ失礼だが、人がいいもんだから、事前に大蔵省の意見を聞かれたのでしよう。そうしてまんまとその手に乘つかつて、大蔵大臣と協議してあれがはつきり明文に入つている。それじや全然問題にならない。今の非常に必要な單独事業費でも、そういうふうな総額が大きくなつた場合どうするか、考えていなかつた、というふうなことになるのであつて、どうしてももう少し地方財政委員会が努力して頂いて、そういう間の抜けた勧告をしたり、又そういうふうにまずく大蔵省がとるようなことがないようにして頂かないと、今後やはり食違い、食違いであつては、馬鹿をみるのは公共団体だと思うのですが、こういう点も一段の努力をして頂きたいと思うのです。
  32. 鈴木直人

    鈴木直人君 それに関連して私も同じことを申上げるのですが、この間の勧告の内容を見ますと、西郷君が言われたと同じように、一ケ所十五万未満のものは県、十万未満のが市町村ですか、そういうものは災害復旧とみなさない、災害とはみなさないのだ、こういうような勧告になつておるのです。そうして国がこれに対するところの財政的の責任は持つ必要はない、これは府県市町村の自治体が独自の税源と言いますが、その他の独自の財源によつて工事するのが妥当である、というような意味における勧告の内容になつておるように思われるのですが、それが先ほど話したように、一件十万未満の個所が身体全体にそういう火傷がある、というようなことが今度の災害によつても分るのです。ですからしてその町村全体の財政力から見ると、件十万未満であつても、沢山その災害に見舞われて、全身火傷しておるような所においては、到底それは独自の財源があり得ないわけです。そういう際に国は全然見ないという勧告になりますと、これは勿論平衡交付金にも入らない、国の補助にはならないだろうが、肝心の起債の対象にもならないということになつて、今地方財政委員会から出された百億も、それは起債の必要はないじやないか、これはもう地方行政調査委員会議の勧告にもちやんとそういうものがされておるというようなことになつて、非常にこれはまずいことに実はなると思うのですが、これは全く実情に即しないところの勧告だと思つておるのですが、あなた方においてはどういうふうに地方財政委員会ではお考えになつていますかね。そういうお考え方と、百億も起債にすらならないということになりますと、実際に地方の実情を行つて見ると、これは起債によらなければ到底できないのです。平衡交付金でこれをやるということは、公平な態度から見れば無理だと思うが、少くとも起債、勿論表面においてはこれも全部全額国庫にして貰いたいという要求は各県からありました。併しながらその要求は要求としましても、すべて起債でやるということが認められるという形になりませんと困ると思うのですが、この百億の起債の見通しについてはどういう状態にあるのですか。
  33. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 起債の枠を拡大する問題につきましては、前回にも申上げましたように、單独事業の百億を含む全体といたしまして二百十五億を増加して頂きたいということで、関係方面只今極力折衝をいたしておるのでございまして、十分内容等につきましても説明を盡しておるのでございまするが、只今のところまだ何とも結論を下して頂いておりませんので、正確にはちよつと申上げかねます。
  34. 鈴木直人

    鈴木直人君 見通しは。見通しもつかないのですか。
  35. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 性質上まあ全額行かないにいたしましても、或る程度のものは認めて貰えるのじやないかという希望は持つておるのでございまするが、どの程度のものになるかということにつきましては、只今ちよつと私から申上げられません。
  36. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから先ほどお伺いした地方行政委員会議の勧告についてはどういうふうにお考えになりますか。どう解釈していますか。
  37. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) 先ほど西郷委員からもお話のあつた災害復旧の問題並びに起債に関する大蔵省との協議の問題については、全く同感でありまして、行政委員会議においてこの補助金問題を審議せられるときに当りまして、財政委員会のほうからも財政委員会の見解並びに希望を実情に即して行政委員会議のほうへも申出出ておつたのであります。そうしてこの勧告案が大体出たときにも、私共行政委員会議のほうに同様な申込をいたしまして、是非財政委員会希望意見を入れて頂きたいということを交渉いたしたのでありますが、結局今御指摘のような結果になつたことは私共としても非常に遺憾に存じておりますが、併し政府において如何にこの勧告を取上げるか存じませんけれども、尚私共は今までの希望意見政府のほうへ申出て、その実現を期したいと考えております。
  38. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今のそれに関連するのですが、今の鈴木君の質問に対して、その勧告をどう考えたかということは、豈財政委員長のみならず、自治庁長官たる岡野国務大臣にも非常な責任があるので、岡野さんもどう考えておるか聽きたいのですが、今ここに御列席になつておりませんが、小野政務次官がおられますが、小野さんはどういうふうに考えておられるかも聽きたいと思うのです。  実は再三地方税の審議の中にも繰返し地方自治庁財政委員会委員会議、こう三本建になつて、この連絡を密にしないと、ちぐはぐなものができる虞れが十分にあるということを私は強調しました。再三、協調しなければならんということを言つた。その御答弁として、岡野さんも、小野政務次官御承知の通り、全くの同感であるから、十分なる連絡をとるつもりである、而も他は国務大臣でなく閣議に出席しませんから、自治庁長官だけですから、その点は大いにやるという意気込みだつたが、ああいうふうな間の抜けた勧告が出て見ると、如何にそれが事実と相違しておつたか、連絡が不十分じやないか。今委員長意見を述べたと言われるけれども、それも尚且つ抹殺したというところには、そういう際には自治庁も積極的にそういうことがないように歩調を合せてやるべきだと私は思うのですが、ああいうふうな勧告をぬけぬけと出さしたということは、自治庁としても非常に責任があるじやないかというふうに思うのですが、その点は岡野さんから是非意見を聽きたいのですが、小野政務次官がおられますから、ここでは小野政務次官から自治庁としてはどういうふうに考えておつたかということをちよつと伺つて置きたいと思います。
  39. 小野哲

    説明員(小野哲君) 地方行政調査委員会議の勧告が出る以前におきまして、地方債の取扱方につきましては、これは地方自治庁地方財政委員会十分に連絡をとりまして、一致した見解を持つて来ておつたのであります。又本委員会においても第七国会、第八国会の地方税法を初め財政法の審議に当つても、これが取扱方については極力簡素化すると共に、その主管するところが地方財政委員会たるべきであるという御意見を拝聽して参つたのでありまして、この点につきましても、我々は全く同感をいたしておつたのであります。今回地方行政調査委員会議から地方債を初め財政関係についての勧告が出される以前におきまして、地方自治庁地方行政調査委員会議並びに地方財政委員会は、岡野国務大臣からお答えをしておつたように、党に連絡を密にして参つておることは、私もここで言明をいたして差支ないと思うのであります。今回の地方債の取扱方についても、地方財政委員会の御意見地方自治庁といたしましては全面的にこれを受入れ且つ尊重いたしまして、岡野国務大臣からも神戸議長に対して意思表示をいたして参つてつたのであります。従つてこの問において、三者の間に連絡かとられないでかような勧告の結果になつたということは事実当らないと私は確信いたしております。ただ地方行政調査委員会議は、御承知のように独立の機関としてその権限において判断いたすべきことに相成つておりますので、地方行政調査委員会議がさような立場において判断をいたした結果勧告を出されたものと考えるのでありますけれども、その内容につきましては私共はかねてから論議もあり、又地方自治庁においても地方財政委員会と協議をいたしました点につきましては、今以て考え方に変りはないのでありますので、この勧告を処理する場合に如何にこれに対処するかということは、更に十分地方財政委員会とも連絡を密にいたしまして取扱つて参りたいと私は考えておる次第であります。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  41. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では速記を始めて下さい。
  42. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はこの自治庁や地財委の努力の足らなんだという問題よりかも、こうなりました一番大きな問題は、予算の編成権は大蔵省にあるという問題と、池田大蔵大臣の吉田総理大臣に倣つた思い上つた性格から来ておると思うので、この更迭なしには如何ともし難いと思うわけなんですが、併しこういう点が大蔵大臣が私は鼻つぱしが強くなつておるのじやないかと思うのですが、お尋ねして見たいと思うのですが、昭和二十五年度の補正予算の決定につきまして十月二日に池田大蔵大臣は党の三役と補正予算について了解をつけてまあ党の支持を得ていると、こういうような恰好に新聞の報道ではなつておるのです。そういう点で大蔵大臣が一応主計局で案を立てて、党の三役に決定するまでに自治庁なり地財委なりでの折衝が足らなんだのではないかと思うのですが、その点はどうでしよう。例えばすでに補正予算はそういうふうに十月の二日にはすでに党の三役に諮るように決定しておるにも拘わらず、地財委の予算に関しましては三日に第一回の共同調査委員会というものを大蔵省と開いて補正予算について協議されているというような、すでに大蔵省は補正予算について決定しまして、党の三役の了解を得ているその翌日、果して補正予算に対する地財委の要求が正しいかどうかということを調査する委員会を一日遅れて開いている。すでに大蔵省の成案ができてしまつてから、この地方関係補正予算の折衝に移られておるというので、時期的い非常にズレているのじやないかと思うのですが、その関係はどうなつておるのでしようか。第一回の調査委員会ではどなたが出られたのですか。新聞には出ているのですかね。読売新聞にもその他にも、大蔵省と折衝を行うために三日第一回の共同調査委員会を大蔵省で開いたというふうになつておるのですが、とうなつておるのですか。
  43. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) その点について私から申上げますが、地方財政委員会といたしまして、二十五年度の補正予算の要求はそれより前に大蔵省では提出してあるのです。今新聞に出ておるという共同調査委員会というのですか、それは調査委員会というようなことをまあ名前はこれは新聞が付けたのでございまして、私のほうと大蔵省との間でこれは前々から地方財政問題について定期的に会合を開いておるのでございますが、特に二十六年度の新規の予算要求及び二十五年度の補正予算の要求、この問題につきまして地方財政の全体についてと申しまするか、現状について大蔵省と地方財政委員会との間に相当考え方の開きがあるのじやないか、それでその問題をお互いに寄り合つて検討して見ようじやないか、こういうことで集まつて話合いをして見たわけでございます。別にそういうことで大蔵省が予算の査定について方針を決めたあとで私のほうから遅れて予算の要求をした、こういう関係じやございませんからその点は一つ御了解頂きたいと思います。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 どうも併しいろいろな数種の新聞の何を見ますと、やはりそういう見地に立つて大蔵省としては地方財政について補正なしでもやれるという見解に立つていると思うのですが、それは部長さんの説明で了承するとしまして、その第一回の会議におきまして大蔵省と地財委との主要な見解の相違ですね。論争の主たる点はどういうことろですか。
  45. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) それは前回のときにも私簡單に申上げた筈でございましたが、二十五年度の地方予算の総体と申しますか、全体につきまして御承知のように千五十億の平衡交付金というものが予算に計上されて起るわけでございます。そのよつて来るところは第一次のシヤウプ勧告によりまして地方財政に対して一千億程度の財源を賦興する必要がある、こういう勧告がございまして、大体その線に沿つていろいろ協議が進められ、そういつた財政措置が講ぜられたわけでございましたが、大蔵省ではその後に至りまして二十五年の一千億ほどの地方財政に対する財源の賦與というものが適正であつたかどうかということを再検討して見る必要がある、こういうことでこれは主計局の本務当局のほうのお考えであつたと思うのでございますが、そういうところから別途の数字が出て参りまして、それについては大蔵省としては地方財政のいわゆる実態調査もやつた、こういうようなことでその調査の結果から見ると、その当時としては二十五年度の当時において一千億の新規の財源を賦興したことがそもそも何と申しますか、誤りと申しますか不適正であつた、こういう意見が出て来たわけでございます。それに対しまして私共といたしましては、決してこれは不当な財源を地方に與えたということにはなつておらないと思うのでありまして、やはり第一次のシヤウプ勧告が出ました当時におきまして、当時の地方自治庁として主張しておりました通り地方財政状態があつたのであります。従つてこの措置地方財政としては下足にこそすれ余計な財源を貰つたとは考えない。その点が考え方としては根本的な開きでありまして、これを中心にいろいろ論議があつた。こういう状況であります。
  46. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 結局今報告されましたように、大蔵省が補正予算に地財委の要求を組まないというのはさつき申された二千五百億の当初予算が、千億くれたのが過ぎているから五百億程度でよかつたのだ、まだ五百億あるからというような点が因ですから、その点を十分爆碎して貰わんと如何ともし難いじやないか、そういう措置は十分できているのですか。
  47. 武岡憲一

    説明員(武田憲一君) この大蔵省と地方財政委員会の間の事務当局者の懇談と申しますか話合いは、その後も継続して行なつておりまして、この前にも申上げましたようにお互いの持つておりまする資料もだんだん整つて参りましたので、それらについて具体的に数字のつけ合せまで行なつているのでありまして、まだ最終的に申上げるような一致点にまでは至つておりませんけれども、お互いの立論の主な相違点と申しますか、考え方の違いと申しますか、そういう点はだんだん明らかになつて参ります。一々二十四年度の予算額と二十五年度の予算額、更にそれを元とした二十六年度の予算額というものにつきまして、数字のつけ合せをやつておりまてだんだん話はまとまつて来るかと私は考えております、
  48. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 ちよつと関連して……私申落したのですが、昨日大蔵省の主計局長のお話ですと、地方自治庁側が冗費があつたとか、それに関連しての一項目地方側は二十四年度の決算さえまだ済んでおらんような現状であるというようなことを申されましたが、そういう点はどうなんですか。
  49. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 昭和二十四年度の地方予算の決算につきましては、私のほうにおける書類の集計が非常に遅れておつたのでありますが、現在のところでは一応整いまして大体資料ができました。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 本来なら自由党の岡野国務大臣に尋ねたいと思いますが御出席でないので、小野次官にお尋ねしたいと思うのですが、新聞の報道ですから果して正確かどうか知りませんが、先に申しました通り、本年度の補正予算については二日に地田大蔵大臣が党の三役と相談して意見の一致を見たわけで、政府は三日の閣議でこの補正予算を了承した、そうして直ちに総司令部との折衝に入る、こういうふうに書いてあるのですが、岡野さんは三日の閣議で補正予算について、地方財政が惨胆たる敗北をしているのにそれを了承されたのでしようか、どうでしようか。
  51. 小野哲

    説明員(小野哲君) 私からお答えしたいと思いますが、補正予算の問題、言い換えれば平衡交付金増額地方債の発行総額の拡張、この財源措置の問題については尚閣議の協議は続けられているのでありまして、両三日前の閣議におきましても岡野国務大臣からり強い発言をいたしているわけでありますので、従つて先ほど財務部長から、地財委から二十五年度の補正予算の要求書が十月二日以前にすでに出ております関係もありまして、従つて地方自治庁の担当国務大臣も地財委からその資料はすでに入手をいたしておりまするような関係があることは勿論御了承願えると思うのでありまして、従つて閣議においては地財委から頂きました資料に基き、且つ、これを全面的に受入れまして担当国務大臣も強い申入れをいたしていることは事実であります。尚又先ほども申しましたように、この問題は未だ最終的な結論にまで来ておらない。尚相当粘り強く折衝を続けている、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  52. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 只今の御説明平衡交付金の問題と起債の問題についてはまあそういうふうになつているというので了承いたしましたが、最近の新聞ではすでに補正予算につきましてドツジ公使が検討を加えているというような段階にもなつておりますので、一つ手遅れのないようにお願いしたいと思います。
  53. 鈴木直人

    鈴木直人君 大体もう各委員の言われた通りでありますが、問題は平衡交付金によつて賄うべき事業内容と地方債によつて賄うべき事業内容とはまあ分ければ分け得るこりとになるわけでありますが、平衡交付金というものはこれは国の財政需要関係でも左右されるのでありますが、地方起債の二百十五億というものについてはこれは相当やはりこの点を実現しないというと、私達災害復旧視察した面から見ても到底困難である。いわゆる地方起債によつて復旧したいという念は非常に多くなつているのです。特に極めて重要な事業が非常に多いのです。そういう関係からして、先ほどは平衡交付金の、殊に災害のところから行きましてそうして今年度の三百九十億の点に行つたのでありますが、更にそれを話を戻しますと、地方起債増額ということが非常に強く要求されている。ところが新聞によりますというと、その元となる大蔵省の預金部資金というものが非常に余つている。どうしてこれを使うかというようなことで実はその使い方に弱つているというようなことが新聞等によつて見受けられている、そうしますというと今の大蔵省の預金部資金が非常に足りないということであるならば別でありますが、非常に余つているような段階にあつた場合に、国の予算とは直接的な関係はない預金部資金をこれを地方起債のほうにどんどん出して行くということは案外楽なことじやないか。勿論それがインフレの基礎になつて、そうして物価が上るとかなんとかいう一年前の経済理論は、すでに現在朝鮮事変が起きてからふつとんだような事情になつている。それにも拘わらず、物価が非常に高くなつている、そのため影響されていろんな物価も相当止むを得ず上つて行くというような状態になつているときに、この起債を少し枠を上げたということによつて、そんなにそのいわゆる均衡予算が破られたために物価が上つて行くというようなことを憂える必要もない。こういうときにこの起債をもつと大幅に増額するということは非常に楽な問題であつて、必ずしも国の歳入歳出と見合わしてやつて行かなければならん問題でないと思うのですが、この点について特に強く一つ要求して実現を期して貰いたいと思うのですが、どういう理由から起債をそんなに抑えるのですか。それをお聽きしたい。
  54. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 只今お話地方債の枠の問題でございますが、これは御承知のように、関係方面の指図もあつて毎年決つておるわけでありますが、その見方で、二つの面がございます。一つは、地方予算の需給の問題、歳入歳出の問題、一つは資金の面、この二つの面から見て判断下されているわけであります。従いまして今年のような場合に、預金部資金が非常に潤沢でありますと、当然その資金の面の制約というものは少いのでございますが、一方、地方財政の大きさの問題になつて来ますと、歳入歳出のバランスを合せるという意味から、地方債を仮に二百億追加発行するという場合には、少くとも需要が二百億殖えるということを認められなければならない。こういう恰好になつております。従つてその二つの面がマツチいたしませんと、関係方面の了解を得られないという状態になつております。そういう点で今度の二百十五億につきましても、大蔵省のほうといたしましては、資金の面からは異議はないということになつておりまして、專ら問題は地方財政計画がそれだけの需要を必要とするかという点に問題がかかつているわけであります。従つて私共といたしましてその点を連日、只今折衝している、こういう段階であります。
  55. 鈴木直人

    鈴木直人君 この二つの條件の中の資金の枠のほうは問題はないと、これは新聞でどうして使つていいか分らないというくらいのふんだんにあるということに聞いておるのですが、従つてその町村の要件である地方予算が非常に放漫になる、いわゆる個々ことに起債をしなくたつて地方の財源で以て賄つて行くことができるのだという、そういう考え方は、これは役人のマスターべーシヨンに過ぎないのであつて現実は実際において非常に因つておるという現実がある。先ほど中田君が言われたように、どうも百億の財源を保有しなければたらないのだ、千億のドツジの計算は間違つている、五百億で沢山だ、五百億はやり過ぎたんたから、本年度予算は、むしろ減税でも何でもして費つて、取り止めるほうがいい、若し減税なんかしなければ、それは一つ起債なんかやる必要はない、それで一つつて行くんだという計算であろうと思います。一つ計算であろうと思う。その計算は、計算の仕方によつてどうにもなる、それは地方自治体の、いわゆる財政委員会計算と、大蔵省の計算が明らかに違うごとく、その通りに計算というものは違つて来る、今、部長のお話によりまするというと、その計算がお互いの話合いによつてだんだん近寄つて来るということで、昨日も主計局長もそう言うておりました。だんだん近寄りつつあるということを言明しておりました。実態と離れて、計算だけか行われるということは、役人は計算をどういうように見るかの問題に過ぎない、そういう事務家に政治力をとられないで、もつと政治的にこれを解決して、そうして思い切つて資金の枠が多過ぎて困まる場合でもあるのだから、この起債の面の所期の目的を達するように委員長等においても強くやつて貰う、計算はどうでもなるでしよう、それをやつて見て、決して地方財政が放漫になつたり、困つたりすることはありません。むしろ今災害復旧なり、その他のことに非常に困つているという事実が現在あるのですからその現実を見られて、そうして起債の枠の二百十五億というものは是非確保して頂きたいということを要求するものであります。
  56. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今監理課長から起債の問題がありましたが、この点、今の監理課長の説明を聞くと資金面は問題はない、ただ地方予算の需給の画だけが問題であるというお話で以てやや楽観的なふうにとれるのですが、私が伺いたいのは、地方財政委員会が出された二十五年度地方債一覽表を見ますと、すでに承認額として三百四十一億余万円が出ておるけれども、我々仄聞するところによると、本年度の地方債の枠は現在はつきり確定しているのは三百億である、それがその後折衝により三百七十億か、四百二十億かその点がはつきり言いませんでしたが、三百七十億か、四百二十億にまで拡張できると、大体両者の話合いでその辺までは拡張できるという段階に或る程度なつた。ところが途中でひつくり返つて、それは現在も確定していないのだから、結局現在確定しているものは、最初予算を組んだときの三百億が確定した線であつて、それ以上はまとまりそうになつたが、途中でひつくり返つてしまつて、自治庁側としては、財政委員会側として三百七十億まで行けると思つてやつたが、途中でこわれて、現在の確定線は依然として、三百億であるというふうに私は思つておるのですが、そうしますと、この一覽表では、中間的に増額見込んで、すでに承認済額が三百四十一億である、そういうふうな現状であつて、でこれが三百七十億が承認されても、もう今後新たに今度の台風等で災害関係のものを含まれる点は非常にもう残りが僅かであつて、こんなことでは非常に今の要望の点にも副えないのじやないかということを憂慮するのですが、今度の三百九十億において二百億なにがしを要求せられているけれども、今の監理課長の御説明のように、資金の面はいいが、予算のバランスということになつて来て、大蔵省のほうはその点を非常に問題にしておつて、どうも今の空気では私はこの地方債の枠を、果して要求の何分の一に拡張されるか、少しでも拡張されればいいけれども、多きは望めないというふうな私は感じを受けるので、次官として……現在の承認額を見ると、三百四十一億になつている、而もこの見通しは三百七十億の、七十億拡大されることを予想しての話であつたのが、それが途中で確定線は三百億というふうなことを考えますと、私は非常に悲観すべき、憂慮すべき状態に現在地方債の枠があるのじやないかというふうに思うのですが、その点は勿論今後とも、それのみならず三百九十億の補正予算の実現方を先程来もお願いしておりますが、私共も地方債の現地調査の結果としても、今鈴木委員が言われたように、地方債の枠を拡げることも非常なる重要な要素を成しておりますが、どうも現状を見ると非常に私は憂慮すべき段階に地方債があるというふうに思いますが、今監理課長からのお話を伺いますと、五〇%はいいが五〇%のほうの一面がまだ問題であるというふうで、監理課長の言うことは非常に有望にとれますが、そうであれば私は非常にいいと思いますが、今申上げたような段階で非常に憂慮すべき状態ではないかと思いますが、その点もう一度管理課長の意見を聽きたいのです。
  57. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 只今資金画はいいが、片方は云々と申上げましたのは、本年度の預金部資金の貯蓄状況から見まして、そういうことが一般的に言えるという意味で申上げたのでありまして、そのことと、この二百十五億の問題とは、これはやはり考え方は別になると思うのであります。それですから、二百十五億については今申上げましたように、その内容が妥当であるかどうかという点で問題が残つておる。こういうふうにお考え願いたいのであります。従つて二百十五億の内容といたしましては、先般お配りいたしました資料にも載つておりますように、当初の財政推計を立てました後に、法令に伴つて動きました額として九十二億、これは地方にとつては義務的な負担増になるというふうに考えて、九十二億が上の方に別に計算してございます。それから後はこの間うちから起りました災害に対するものとして計上しておるわけであります。
  58. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の管理課長の説明では、自分はさつきそう言つたが、問題点はその内容である、地方債の内容如何であるというふうに言われたけれども、私はそれは少し違うのじやないか。と思うのは、今度の二百十五億要、求されるものは、その根底はどの金額を根底にされておるか、三百億を根底としつて、それにプラス二百十五億か、或いはそれ以外の数字を持つておるか、その点がはつきりしないのでその点を伺いたい。次に今内容が問題であると言われたが、それは私は個々の起債の内容だというふうにとるのですが、その点は私は少し考え方が違うのじやないか、と思いますのは、勧告案がすでに会議から出ておる、それが地方債の場合は、さつき私が指摘したように今度の勧告ではなつておるが、大蔵大臣と協議してという文句を入れるのは、何も一々の起債の内容に触れるものではないというふうに次長も明言しておられる。最後に、大蔵省と難もその内容に立入つて、具体的な監督的な立場から立入つてはいかんということが最後に書いてある。それを向うがやるならば我々は憂慮する。同様に大蔵省との協議という文句を無制限に拡大して考えればそういうことになるかも知れないが、それをしてはならないというふうに書いてある。今回の勧告が出た以上は、それは勧告でありますから破り得る場合もあると思うのでありますが、ああいう勧告は尊重することが建前でありますから、又一面内容に立入らせることは、財政委員会は拒否すべきものである、又それに従うべきことを主張していいと思いますが、その内容が問題ではなく、私はむしろ枠が問題ではないかと思うのです。すでに勧告が出ており、政府も見、国会にも来ておりますから、その点は敢えて枠の問題のみならず、その内容に立至るならば、それはするほうが惡いので、財政委員会として内容に立至るべきじやないのではないか、勧告にもその点は出ておるのでお互いにそれを尊重しよう、総額を決めるということが国家財政との睨み合せの上においても必要であるということは、我々も認めますが、そういう関係で枠を決めるのは問題である。それは国家財政のほうの睨み合せで枠をどうするかということの内容が問題ではない。むしろ内容に立至るべきではない。過去において、自治庁当時においても、現在財政委員会でやつておられるような枠の内容について大蔵省がタツチしたが、それが非常に惡いので、勧告のほうに大蔵省と協議してという文句が入つておるが、内容には勧告の立場からでも入つてはならない、又それに立入らせるべきものではない、この金額の枠が問題である。その枠を拡げるかどうか、昨日の主計局長のお話を聞いておると非常に憂慮すべき状態にあるのじやないか。この二点を伺いたいと思うわけなんです。それで尚且つ二百十五億の要求の根底の数字は、三百億か三百七十億か、この点を合せて伺いたいと思います。
  59. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 内容云々と申上げましたが、その問題は、先ほど鈴木委員の御質問にお答えしたときに最初に申上げましたように、関係方面との事務的な折衝の制度として私申上げたのでありまして、従つてその二百十五億について、内容がというのは、先ほど申上げた地方予算のバランスがどうか、需要にそれだけ必要かということを、向うが認めるかどうかという点で、私申上げたのであります。その点若干言葉が足りなかつたと思います。それからいま一つの、根底になつておりますのは、三百億でやつております。
  60. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 これ以上監理課長を追及するわけじやありませんが、バランスの問題であるから、向うとの折衝もあり、そのバランスの問題が内容じやない、枠の、金額の問題です。それは内容なんかの問題じやない。バランスをとるということは、国家財政地方財政とのバランスをとるので、内容でバランスをとるのじやない。そう思うので、監理課長は内容と言うけれども、内容でバランスをとるのではない。それは国家財政地方財政総額のバランス、国家財政の均衡予算、そのバランスが肝心で、内容でバランスをとるということは変じやないかと思いますが、その点はこれ以上追及する必要はありませんけれども、その内容でということはちよつとおかしいのじやないか。飽くまでも金額で国家財政地方財政のバランスをとる。私はそう思うが、その内容というのは私は理解し難い。それ以上追及するわけじやありません。
  61. 鈴木直人

    鈴木直人君 今のは国家財政地方財政のバランスじやなくて、地方財政外におけるところの收入と支出の見方において検討している。いわゆる大蔵省乃至それを引継ぐ、いわゆる向う様のほうの関係は、まだ起債によらずして、一般地方財源に五百億という余裕があるから、地方起債は必要としないから、一つみずからの財源でおやりなさい、こういう計算を向うは立てている。ところが実際の実情はそれと違うのだ。ここに強い第一義的な、向うの大蔵省的な見解が強いために、起債の枠が拡げられないのだというふうに了解したのですが、そうじやないのですか。それなら計算の仕方だと思うのですが。
  62. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方財政委員会のほうで会議を開いておられるそうですから、若し御質問があれば済まして下さい。
  63. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その問題なんですが、吉田総理は、最近新聞に出ているのですが、公共事業に非常に不正が多い。そして戰前の工事と戰後の工事を比較して見ると、戰前の工事は壊れずに、臓後の工事が非常にちよつとした災害でも破壊したりして、それを、監察制度を樹立することによつて、そういうことのないようにしようというような見解をとつておられるのですが、私はこれは、それも一つ方法なんですが、監察制度の確立を以て、土木事業の戰後において施行されたもののよく壊れたりするのを防ぐということは、実際不可能だと思う。それは起債の枠を非常にインフレーシヨンを抑制するという立場から、過度に抑制するものですから、国家から災害復旧費を貰う、その裏打が起債できれずに人件費でやつたりするのが相当ある、併しなかなかやれないし工事もしなくてはならん。実際必要な起債の三割か四割しか認められない。緊急にやらなくてはならないものが非常に多い。そこで單価を非常に落して府県ではやるのです。政府から認められた以上の即急にやらなくてはならんものがあるから、單価を落してどうしても政府から認められた以上の工事をやるのです。そのことが私は戰後における土木事業が……、その問題ですね、結局その災害復旧、その他に対する公共事業起債の枠を過度に抑制されるために、やらねばならん事業は非常に多いが、人件費を以てそれを充当することはできないし、政府から認められた災害の範囲よりも県としては、或いは市町村としては余計やる。そこで工事がどうしても粗雑になる。必ずしも土木、土建業者の不正だけで戰後における工事がよく決潰するというようなことはない、これはそういう点から考えましても、私は起債を過度に抑制することは、この大きい見地から見て国費の浪費だと思うのです。そういう点で一つよくお考え願いたいと思う。我々の聞いたところによりましても、必要な範囲でどうしてもたびたび災害復旧をやらねば大きな決潰が来るというようなことで、認められるのは四割ぐらいしかない。そこで県としては地方民要望もあるし、これ以上地方財政の負担を大きくするに忍びないというので、單価を落してずつと広くしておる。そのことが一番大きな不正と見られる原因なんです。私は必ずしも土建業者の不正からばかし戰後の工事がよく壊れるのではないと思う。ですからその一つ一つを大きい見地から見ると国費の濫費であると思う。一つ地財委と自治庁におかれましても、この点お考え願いたいと思います。
  64. 相馬助治

    相馬助治君 今の地方債の問題ですね、今の課長の説明を聞いても、それから新聞報道なんかから見ても、大蔵省の預金部の金が余つているというのですから、非常にチャンスだと一つは思うのです。そうして同時に今度の災害地を見ましても、尼崎を中心とするあの海岸は、昭和九年以降三尺も沈下している。こういう現実の上に立つて復旧工事では、賽の河原のようにいつまでやつたつて政府から貰つた金でやつて見たところで高潮は防げやしない。防げないけれどもそれだけでも仕方ないやらなくちやならないから金を貰うのだ、こういう情ないことを言つておる。この際どうしても恒久的な、復旧でなくて復興作業をして貰わなくちやならん。そこで鈴木委員と私も話合いまして、建設省方面にこのことを要求するつもりでいますが、今日は建設大臣も来ておりませんので、是非ともこの際地方自治庁並びに地財委では、地方債をもう少し枠を拡げて貰うということが先決だと思う。是非この点について頑張つて頂きたいと思うのですが、この際簡單でいいですから委員長から決意を一つ伺いたい。
  65. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) いろいろ皆さんから御意見もあつたし、又新たにいろいろ御注意も下さつて誠に有難く拝聽しております。地財委としては先程お話のようにこの枠を拡げること、これはどうしてもせねばならんことと思いまして、現に三百七十億でも足りんから、もう五千億増して頂きたいということを司令部のほうへ直接交渉もしておるような状態であります。今度の補正予算の問題についてもできるだけ実現いたしたいと我々努力しております。殊に西郷委員からお話なつたこの内容の問題でありまするが、私共も西郷委員と同じような考えを持ちまして、府県へ幾らやるということは……要するに増額だけを大蔵省と相談して、府県へ幾らやるという内容は地財委へ任して貰いたい。これを実は行政委員会議のほうへも熱望したのであります。併しそれが勧告には出なかつたわけであります。これはどうしても地財委としては、是非近い機会に実現して行くように更に努力を続けて行きたいと思います。この点御了承を願いたいと思います。
  66. 相馬助治

    相馬助治君 分りました。もうどうですか。
  67. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 昨日も大蔵当局を呼びまして、この委員会で詳細に検討したのでありますが、そのときに最後に私からも申したのでありますが、大蔵省のほうではどうも二十五年度においては歳出の需要として二十四年度に千億増したというのは多過ぎる。五百億でよかつたのだ。だから五百億ダブついておるのだという根底に確かに立つておる。恐らくその考え方が総司令部のほうにも響いておると私は考えます。そこで私は大蔵省当局に私は言つたのですが、それではどういうふうに地方が贅沢しておるとあなた方は思つておるか。それを詳細に表に出してくれ。私共は民主政治の基盤である地方自治の確立には努力しておるから、必ずしも地方行政委員会、それから地方自治庁の言うことを一から十まで支持するわけでない。非違があれば改めなければならん。贅費ありと思うところはそこなんだ、それを表にして出してくれということを言つた。ところが主計局長の話では、それほどには考えていない。だんだん研究しておるけれども、それほど表に作るようなものはないと思うということを言つております。それでは五百億贅費があるというのが事務当局の考えとすれば、今年の四百億の地方税の増税ということはナンセンスである。これは單に地方自治庁の責任でなく、吉田内閣の大責任である。だからそういうことであつては飛んでもないことになるから、そういうことはある筈はないのだから、この点をよく考えれば、又贅費もないというならば、もつと虚心坦懐にこの二十四年度の地方財政の臨時の費用なり、二十六年度における予算の見方なり、三百億も減税できるのだという乱暴なようなことは言わないようにしなければならんではないかということを、よく私のほうから申したのであります。それで私共が特に野村委員長に希望しますことは、この五百億はダブついていないのだ。千億余計に見たことが正当であつたのだということを大蔵当局にはよく納得させると同時に、総司令部に対しても納得させることが私は必要だろうと思います。今おつしやつたような給與ベースの引上げによる費用とか、それからその委員会で今日問題にしました臨時の大災害の費用、地方費がそれは膨れる。これは総司令部と雖もよく分るのでありますから、それで贅費があると思うから引くのであつて、必要があると言えば認めざるを得ないと思いますから、それを主張されることは地方財政委員会としては、地方財政としては必要であると思います。どうぞその点御了承を願いたい。
  68. 野村秀雄

    説明員野村秀雄君) 一言申添えさせて頂きたいと思います。今度の補正予算並びに二十六年度の予算の編成につきまして、大蔵省のほうでは頻りに地方財政は肥つておる。そうして冗費が多い。冗員が多い。そうしてベースも高い。それから税金の取り方がどうも緩慢で熱意が足りんということを理由に挙げて、いろいろの数字を並べておりますが、その数字のやり取りというものは私はいわば水掛論であつて、官僚という属僚の末技に過ぎんものじやないかと思います。今日の要は地方をどういうふうに見るか。そうしてこの地方自治を如何にしで育成し、確立するか、日本の民主主義を如何にして健全に発達させて、本当の民主主義日本として盛立てるか。ここが大きな問題じやないかと考えております。私この地方財政についても素人でありますが、殊に数字のことはよく分りませんが、今日の要は今申上げたような線に沿うて、地方財政を十分に確立して行くようになさなければならんと思います。若し国家がどうしても必要であつて整理節約し、昔の言葉で言えば民力休養に向わねばならんということであるならば、地方も又これに倣わなければなるまいと思いますが、ただ官僚の極く狭い視野から徒らに数字を引くり返して、彼此論議することは、地方自治のためにも、国家の政治の上にも私は残念に思つております。皆様からいろいろ注事を下され、御鞭撻を下さつて、私は非常に力強く考えております。皆様の意のあるところを十分徹底するようにいたします。
  69. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれで休憩いたします。午後は二時十五分に開会いたします。    午後一時十二分休憩    —————・—————    午後二時四十二分開会
  70. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより委員会を続行いたします。  地方行政の改革に関する調査といたしまして、教育財政、特に過般アメリカから教育使節が見えまして、教育税のことなんかについて勧告がありました。それについて、先ず文部省の当局から説明を聞きたいと思います。  今日は事務次官、それから初等中等教育局長は事故のため出席できません。それで庶務課長が見えておりますから、庶務課長から説明を願います。
  71. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) 私庶務課長の内藤でございます。この第二次米国教育使節団の報告書につきましては、日本文を以て正文とするということになりましたので、目下日本文について推敲を重ねておりますので、皆さんのお手許に差上げた分は仮訳でございまして、まだ訂正を要する点があると思いますので、この点は御了承頂きたいと思います。それからこの正文ができてから今度の勧告書についての討議をするようにと司令部から指示されておりますので、この内容について文部省でも目下検討しておりまして、具体的な方針は確立していないという実情でございます。そこでこの教育使節団が勧告いたしました大きな点について申上げて見たいと思います。  前回の教育使節団は、六・三・三・四と、新しい学校体系を勧告し、更にこれを運営するための民主的な教育機関として教育委員会制度の確立を勧告しておつたのでありますが、これを裏打ちとするところの教育財政につきましては、あまり多くを触れていなかつたのであります。で、前回と同じように、この度の報告書につきましても、公共教育に投ぜられるところの金というものは民主主義の国においては最善の投資である、これが結局日本の産業を潤し、国民所得を増大して行くのだという考え方には依然として変りはないのであります。そういう倫理的な規定の外に、前回の国と府県市町村、この三者が教育費の負担の責任を負うべきである、こういうような点は変つていないのでありますが、この度の勧告書で特に特筆すべき点が二、三ございますのであります。殊に地方財政との関係において教育財政をどう確立するかという点が指摘されておるのであります。そのうち主な点は、内容的に見ますと、公立の小学校及び中学校、即ち義務教育は絶対に無償でなければならない、それからこの無償の中には教科書学用品等も含んでおる、更に従来義務教育費のためにP・T・A等で相当自発的な寄附金があつたけれども、こういうものは廃止しなければならないということ、それから高等学校に就学を希望する者に対しては、すべて義務教育に準じて無償でなければならない、こういうようなことが規定されておるのであります。  それから次に最も大事な問題として、日本の校舎の復旧計画、校舎の下足が非常に甚だしいので、根本問題として校舎の改築復旧をしなければならない、整備をしなければならないことを指摘されておるのであります。この点については後ほど施設課長から御説明があると思いますので、その点は省略いたしまして、殊に教育財政の確立の問題に入つて行きたいと思いますが、その前に現在の教育委員会委員会法の制度によりますと、二十七年に市町村乃至市町村の組合でございますが、原則として市町村に教育委員会を設置しなければならないというふうになつておるのでありますが、この度の勧告では、これはできるだけ広地域のものが望ましいということを謳つておるのであります。それは市町村とは別個に市町村を包含して自然の地域社会を、中心にして設けられなければならないという構想を明らかにしておるのでありまして、これを学区、スクール・デイストリクトということで言つておるのでありますが、これは自然の地域社会を中心にして考え、そして幾つかの村や町や市を包含するものである。でその学区は新学制並びに豊富にして包括的な教育計画に必要な施設を備え、機能を果すために十分の広さの地域を持たなければならない、而もこれは人口と税源を有する十分な広い地域が必要であるということを指摘しておるのであります。そこでこの新しい学区という構想に基きましてその財政権をどうするかということが、次に問題になるのでありますが、これは従来のように県会とか市町村会等で教育費の削減が行われるけれども、これは好ましくない、そこで勧告書は教育委員会がみずから予算に対して全責任を持ち、市町村会或いは県会の議決を経るとか承認を経るとかというようなことがなく、予算執行に対しては十分にこれが責任を持てるようにする、従つて徴税を決定する責任も與えられて完全に財政的に独立することを勧告しておるのであります。でこのために新しい税が考慮されるわけでありまして、新しいと申しますか、既存の税のうちこの学区にどういうものが当てられるかということになると思うのですが、どういう税をどういうふうに課税するかというようなことが問題になると思うのであります。課税権は教育委員会が持つというふうに勧告されておるのであります。そこで更に国が地方の教育財政を調整する意味平衡交付金制度というものを設けなければならない。この平衡交付金は客観的な一つの公式によつて算定するようにして、成るべく地方のコントロールをなくするというこの考え方は、現在の地方財政平衡交付金と同様な観点に立つていると考えられるのであります。その平衡交付金地方歳入の一部に繰入れられるという、而も教育はあらゆる公共の経費の中で第一の要求権を持つ、英語で言うとファースト・クレームと言つておりますが、ファースト・クレーム・オン・ザ・パブリツク・フアンドという言葉で表現されておりますが、教育費の優先を勧告しておるのであります、この点が今度の使節団勧告の一つの教育財政確立の上の大きな点でございまして、それ以外に大学の管理機関の問題等が新たに加わつておりますが、特にこの委員会が要求されましたところの資料といたしましては、教育委員会財政的独立という点で、具体的に細かい点には触れておりませんが、一つの構想というものを明らかにしておるのであります。以上が勧告書の内容でございます。
  72. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に便宜上教育使節団の勧告の触れておる部分と、並びにそれに関する起債につきまして佐藤監理局施設課長に御説明願います。
  73. 佐藤薫

    説明員(佐藤薫君) 施設課長でございます。教育施設の問題で特に大きな問題であり、各委員の非常に御援助を頂いておりますのはいわゆる六・三の問題であります。二十四年度に当初において零になり、それが補正予算で十五億を認められ、更に二十五年度として四十五億、合計六十億を認められたのであります。目下それが執行中でありますが、更に二十六年度といたしましては四十五億を即ち〇・七坪の線に満たないものについて四十五億を支出するという閣議決定を見ておる次第であります。併しながら四十五億史に来年度支出しましても、〇・七坪にするにはまだ二十億の不足を来すというような状況であります。而もその〇・七坪と申しますのは、御承知のように非常に程度の低いものでありまして、即ち廊下と教室と便所これしかないものでありまして、新しい教育を実践するということは言うべくして不可能な状況なのであります。そこでどうしても我我の事務屋といたしましても、小学校はせめて〇・九坪、中学校は一・二坪という線まで持つて行きたい。これを仮に現行單価で計算しますれば、約四百二十五億の財源が要るというふうなことでありまして、こういうふうな莫大な財源を出すというためにも何らかの教育財政面の確立ということがはつきりしなければ相当むずかしい問題であろうというふうに考えておるのであります。尚それに関連いたしまして、今御質問がございました起債の問題でありまするが、現在昨年度は十五億の国庫補助金に対しまして同額の十五億が起債として認められ、又二十五年度の四十五億に対しても大体同額の四十五億を認めて貰つたような状況であります。又更に来年度の二十六年度の四十五億が決定すれば是非それにも補助金をつけて貰いたいというふうに考えることは勿論でありまするが……。
  74. 相馬助治

    相馬助治君 ちよつと説明中だが、それに対する資料が出ておりますか。
  75. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  76. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。
  77. 佐藤薫

    説明員(佐藤薫君) もう一度申しますが、昨年度の十五億に対する同額の十五億を二十五年度の四十五億に対する四十五億、合計六十億の起債が認められておるわけであります。併しその起債の権限が補助金と同じように文部省ではなくて、地方財政委員会が持つておりますためにいろいろやりにくい点がありまして、この全般的な教育財政の面が確立しますれば、是非それに伴つて起債の面についてもそういう権限をこちらに任して貰えばいいというようなことを、試案でありますが考えておるわけであります。  もう一つの問題は各委員十分御承知の問題でありますが、起債の対象を拡大するという問題であります。即ち現在は今申上げたように、建築費だけの起債でありまして、実際問題として学校を作る場合には構築費、或いは都会におきましては厖大な用地買收費を必要とするわけであります。又、国庫補助金が十分でないために、町村においては相当教育の高い熱情から、独自建築を相当やるわけでありまして、それについても起債措置を殆んどしていないというような状況であります。又改築乃至は修繕をするような場合、或いは給食施設をするような場合、或いは災害の補助金は不十分でありまして、残念ではありますが不十分でありまして、そういう補助金が不足な面についてもできるだけ起債を認めるというようなことをいたしまして、更に社会教育関係の公民館なり、或いは図書館なり或いは雨天体操場というものに対する起債も是非認めて貰いたい。即ち起債の対象をもつと大幅に拡大して欲しいという考えを常に持つておるのであります。  もう一つの問題はこの利率の問題でありますが、つい最近まで年利率が九分二厘という高率でありまして、その財源が預金部資金であるという、即ち国民の貯蓄によつた金でありまして、それを又市町村が借りるという場合に、非常に高過ぎるのではないかということを我々考えておりましたのですが、つい最近約六分に下つたように聞いております。  もう一つ調査委員会議の勧告にもございましたが、手続が非常に面倒でありまして、こういう手続をもつとこれから簡素にすべきではないかということを考えて、いろいろ研究もし、いろいろな連絡もしておるような段階でございます。
  78. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 文部当局にお伺いいたしますが、今御両名の御説明がありましたが、この勧告について、これは仮訳だというお話ですが、勧告にもいろいろなことが出て来るのですが、起債の問題とか財政の問題とか、この問題についてすでに現在文部省において具体的な構想を持つておるのですか。持つておるのなら質問もできますが、何も持つていないということになるとどういうことになるか分りませんが、その点はどうなるのですか。
  79. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) 只今申しましたように、これは仮訳でございまして、文部当局といたしましては事務的にはいろいろと検討はいたしておりますが、はつきりとしたところのまだ方針を立てる段階には至つていないのでございます。ただ教育財政の確立は非常に重大な問題でございますので、文部省といたしましては各方面の御意見を伺つて十分に審議を盡し、今後の施策に資したいという考えから、教育委員会法の改正とも関連いたしまするので、教育委員会法の改正の委員会を近く設置いたしたいと考えて、目下手続中でございます。
  80. 相馬助治

    相馬助治君 今日はですね、この委員会といたしましては非常にまあ重要な問題になつておりまする補正予算の問題に絡んで文部省関係のことについていろいろお尋ねし、同時にこのバツク・アツプする点はするという態度で我々はまあ臨んでおる。従つて両課長から今御説明ありましたが、この委員会に臨むについては、次官か大臣からそういう補正予算の問題等についても然るべき答弁をする権限を委ねられて来ておりますか。それとも只今説明なつた中における問題についての答弁という心組でいらつしやつたかどちらですか。あとで線がごたつくと仕方がないので一応お尋ねして置きます。
  81. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) 事務局の方から伺つたところによりますと、第二次米国教育使節団の勧告書に基く教育財政確立の点についての説明を申上げるようにというふうに伺つて参りましたが、補正予算の問題について私共で分つておる点については十分お答えできると思います。
  82. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それからちよつと初めに申しましたように、又庶務課長のほうからお話のあつたように、教育施設についての勧告の点はまだ説明が漏れておりますから、その点を施設課長から補充して頂きます……。
  83. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 米国教育使節団の報告書についてお話があつたのですが、寡聞にしてよく米国教育使節団のことについて非常に詳しく知らんのですが、その使節団というのは大体どういうような人によつて構成されて日本へ来られたものであるか。例えばそこにはいわゆる職業的教育家と申しますか、テイーチヤー教師のような者が多いだろうと思うが、そういう人ばかりなのか、或いは一般のシテイズンー市民が入つておるのか、或いは教育行政の役人なんかが入つておるのか。大体どういう人でその使節団を構成されておるかということを一つ先ず第一にお尋ねしたいのです。
  84. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) この度参りました教育使節団は、前回参りました二十七名の教育使節団の中の方でありまして、そのうちの五名がこの度マツカーサー元帥の招聘によつて日本に参つたのであります。でその代表者で団長の方はアメリカの全米教育協会の事務局長でありますギブンスという方であります。アメリカでは御承知の通り教育協会というのは教員の団体でありますが、非常に力強い団体でございますので、やはりアメリカの教育方面の第一人者であると私共は伺つておるのであります。あとはワシントン州の教育長、或いは全国教育長協議会の議長、こういうような方、或いは大学の教授、それからカトリツク関係の方が一名来ております。大体主として教育專門家であります。
  85. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 前に来られた教育使節団の中からセレクトされた人が少数見えておるというお話で、更に前の使節団と同様なまあ顔触れ、構成というようなものも承わりたいのですが、もう少し長くなりますから省略いたしますが、大体今のお話から類推して考えられると思うのです。それでこれは私の單なる、特に相馬さんのようにその問題を深く具体的に研究したわけじやありませんが、極く大まかに素人考えですが、要するに職業的教育家が見えておるのですね。それでいずれの行政の面においてもそれぞれその方面の專門家が見えると、結局專門家というものはやはり專門だけを考えている。だからして自己のスペツシヤリテイーの面だけを、外との関連性においてものを考えないで、そしてその点を絶対的な第一義的なものとして考えてですね、そして意見を言うのはこれはまあ人間の通有性だろうと思うのです。従つてそういう職業的教育家によつて構成されたる使節団のレポート或いはレコンメンデーシヨンというものは、恐らく私はそうした專門家の一面的な見解に偏した点が非常にあつて、そうして地方行政或いは国家行政の全部、まあ全面的な考察から離れてその外のブランチとの相関性というものを多少無規したようなレポーター或はレコンメンデーシヨンを出し勝ちになる傾向は私はあるだろうと思うのです。そういうことがらしてこの報告書或いはレコンメンデーシヨン或いはその前の六・三制実施の動機をなした米国教育使節団の勧告書というようなものも、そうした今私が指摘したような欠陷を内包しているのじやないかというまあ杞憂持つんですがね。單なる杞憂であることを望むわけですが、勿論この今の報告書の中に出ているような教育を非常に重視する、それから教育費を全くパブリツク・エキスペンスで支弁するということは僕は大賛成です。又私の所属しておる政党の立場からしても、全く我々が主張したいことを言つてくれておるから大賛成なんですが、そこにさつき言つたようなやはり一面的な專門家の偏見、と言うことは非常に語弊がありますが、全面的でない見方というものが非常に支配的でなかつたか。アメリカのパブリツク・スクールは、勿論これに書いてあるように小学校及びハイ・スクール、並びに法律の大学までも大体授業料はただであつて、例えばニユーヨークであればニユーヨークシテイ・カレツジというものがありますが、それも授業料はただであります。それから女学生のためにはシテイ・ハンタース・カレツジというものがあります。私もハンタース・カレツジに夏休にドイツ語を習いに行つたことがありますが、教科書は皆ただであります。それは非常に結構なことで、そういうように我々社会一般の者が是非しなくちやならんと思つておりますが、それは併し非常にそういうことに金をふんだんに使うことができるところの、非常にリツチであるアメリカとこの戰後の疲弊困憊している乞食のような日本とは、経済状態が非常に違うのだと僕は思うのです。ところが教育第一主義ということは非常に必要なんだ。ところが恐らくは土木建築の従事者から言えば、都市の復興が大切であるとか、或いは治水をやることが第一だとか何とか言うでしよう。農業專門家が来れば、農業方面のことが第一だと言うでしようし、それは日本の置かれておる経済力や政治関係と非常に違つて考えての意見が提出され、それが実行されなければ非常に工合が惡いのじやないかと思います。六・三制の実施にも無論賛成であるし、教育制度の改革も決して反対ではありませんが、この国力全部が経済的に疲弊し、殊に地方自治体財政力が困窮していると思うのです。非常にドラステイツクな教育制度の改正を強制したというところに非常な困惑というものを感じていはしないかという極く表見的な、私は素人考えであるかと思われますが、そういうことを非常に感ずるのですがそういうことについてどういうようにお考えになつているか。それからそれと同じように、何か現実とアメリカのそういう職業的教育家の意見等の間に、何と言いますか、現実意見との間の実際上の乖離状態がいろいろなことに相当あるのじやないか。これは小さな問題かも知れないのですが、この学校の名称の問題のごときは日本では大学と中学と小学という。ところが英語ではそれを何と言うかといえば、日本の大学というのはユニバーシテイ・カレツジという言葉だと思うのですが、ところがそのユニバーシテイというのは間違つているかも知れませんが、無学だから……大体ユニバースという組合というような言葉から来たように記憶している。カレツジというのもやはり仲間というような言葉から来たのじやないか、コーリギユーというような言葉から……。ところが日本の大学という言葉は大きな学校、大なる学校というのだが、これを逐語的に飜訳するならばビツク・スクールとかグレート・スクールとかいうふうに訳さなければならない。それからそれに準じてこれは漢語をそのまま使つているから大の次は中だから中学校、これは英語にもミドル・スクールというがこれはアメリカ語ではなく英語だと思います。それから小学校という言葉を訳しますと、スモール・スクールとかリツトル・スクールということを言わなければならんと思う。ところが日本人は大学というとグレート・スクールのように思つている。なんか非常にハイエスト・スクールのように思つているのが日本人の言葉から来る印象だと思う。それは同様のことが官職の名称についても言えると思う。そしてアメリカ人が観念しているのと日本人が観念していることが、言葉の上から非常に違つたコンセプシヨヨンをお互いに抱いているのにアメリカ人に一向それが分つていない。例えば憲法上における大臣という言葉は、これは明らかに左大臣、右大臣というような、大きな家来ということなんです。デモクラシーということから言えば大きな家来、中くらいな家来、小さな家来だのそんな馬鹿なことはない。これは支那人の專制政治から来る言葉なんです。ところが日本の民主的な憲法がやはり大臣という言葉を使つている。日本人は皆そういう專制政治の思想で以て昔の右大臣、左大臣というと、大きな家来だと思うものだから、俺は小さな家来でなくて大きな家来になろうと、こういうようなことを考えるものだから、何でもかんでも政治家になつたら大臣にならなければならない。デスポテイズムの思想ですから、これはこういう観念が変らなければデモクラシーは生まれて来ない。ところが民主主義的な憲法であると言つている日本の憲法は、大臣、総理大臣というようなことを言つて雛人形のような右大臣、左大臣と同じような言葉を使つている。ところが恐らくはこれは英語で書くときにはミニスターというような言葉を言つて行くに決つている。ミニスターという言葉にも家来という意味はありますが、坊さんをミニスターという。普通ミニスターと言えば、何も日本人が考えているような右大臣、左大臣的な大臣だろうとは僕は思つていない。だからしてそれは英語で飜訳の言葉だけで見るものだから、新憲法はデモクラシーであると思つているけれども、その言葉自身から変つて来なければ駄目なんです。ところが今言つたよう意味においての、グレート・スクールのような意味においての大学というような言葉が遺存されているものだから、今の新しい教育制度におけるところの大学というものに対する観念と、向うが考えているところのユニバーシテイ・カレツジというものと違つたコンセプシヨンのものになつて、そうしてそういう違つた考えで以てこういう意見書が作られているところに非常に観念上の相違があると思う。カレツジという日本人の右大臣、左大臣的な意味と共通するところの大学という問題、これは大学というものはともかく偉いように思つている。だからあんな変なような角帽みたいなものを被つて、而もその大学というものは、初めは帝国大学だけであつて、帝国大学というものは役人の養成所として作られたものです。そうして又非常に偉いものだというようにとられて、日本の教育界及び学界のいろいろな力というものを独占していたものだから、それに対抗してできた私学というものが実に権力がありません。教育上においても権力がないし、日本の学閥に支配せられてしまつて非常にミゼラブルな関係に置かれている。例えて言えば最近まで帝国大学以外には学位の授與権は認められていなかつた。だからして博士にでもなろうと思う奴は帝国大学へ論文出すか、帝国大学の先生の鼻息窺わなければ博士にもなれやしないからして、そんなことで帝国大学の学風に如何にして近接するかということばかり考えて、本当に私学というものが持つべき、一つの学風に対する独自性という、早稻田の校歌で言えば学問の独立というもの、私学の明治大学というような神田にある私立大学は、帝国大学の先生が学問の切り売りの出張で講習会みたいなものをやつているものから発達している。そんなようなわけで、ともかく大学というのだから実に日本の大学という言葉は、これに代る言葉がないからそれを使うよりしようがないんだが、ミニスターという言葉を向うが何とも思わずに大臣と新憲法に入れるのを許しているように、大学という変な言葉をカレツジとかユニバーシテイとかいうように英語に訳して向うに持つて行かれることによつて、そういうような観念上の乖離を来している。その結果が、大臣というものが民主主義を標傍しているところの憲法の中に、依然として挿入されているように、この向うのレコンメンデーシヨンの中にも日本人が考えてみると、違う意味で、向うがカレツジやユニバーシテイの教育の構成どいうことを言つているにも拘わらず、非常な観念上の乖離と、それから結果するところの高等教育制度に対する非常な誤りが成立してやしないかということを考えるのだが、そういうことについて一つどうでございましよう、文部省当局の考えは。政治的責任は負うてないかも知れんが、あなたも文部省の課長としてエクスパートなんだから……。
  86. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) 只今お話の観念上の相違があるかという点でありますが、この点は私共は観念上の相違はないという見解をとつているのであります。と申しますのは、実質的に、小学校といつた場合に、或いは中学、高等学校、大学といつた場合に、日本人の中にある封建的な意識が残つているかも知れませんけれども、英語に訳した場合には小学校はエレメンタリー、中学、高等学校の場合はセコンダリー、ローアー・セコンダリー、アツパー・セコンダリーというふうに考えております。大学の場合には、單科大学はカレツジ、総合大学はそれを総合したものですからユニバーシティというふうに、大体アメリカと日本とはそういう、実体の面で私は共通したものを持つて、そこからスタートしているというふうに考えておりまして、第一次の米国教育使節団の勧告書の中にも十分にその意味は現われておりまして、この内容自体をよくお読み頂きますならばそういう観念的な相違のないということがお分り頂けるのではないか、こういうふうに考えるのであります。それからアメリカでは專門家の意見というものを非常に尊重しております。この点は私は日本の国情とは少し違うのじやないかと思うのですが、あらゆる部面につきまして、專門家の意見はできるだけ尊重して行く、これが軍政の中においても同様な措置がとられている、そこでマツカーサー元帥にいたしましても、專門家を招聘していろいろと意見を聞かれておる、こういうふうに私共は考えているのであります。多少どうしてもそれぞれ專門的の方になりますと、自分のところに水を引き過ぎる。我田引水というような考え方がどうしても滲み出て来るのではないかということを私共も懸念するのでありますが、併しながらここに盛られたところの理想というものは、今日の日本の民主主義国家を形成する上において是非実現させて頂きたいと、私共は教育関係者の一人として特に希望しておるのであります。で、それと一般財政との問題はどうなるかという問題ですが、これは結局国家財政乃至地方財政、国全体の財政と教育との関連にならなければならないし、又その国家財政の中における教育費の地位をどうするかという問題によつて解決せられるのではないか。ですからここに盛られた勧告書通り、一遍に行くということは恐らく期待できないのではないか。併しながらこういう目標に向つて私共は進んで行きたいという気持を持つておるのであります。それからちよつと速記を止めて頂きたいのです。
  87. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  88. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。
  89. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 今の御答弁一応は了解するのです。それで第一に学校の名称の問題ですが、丁度大臣をミニスターと言い、或いはセクレタリーなどと言つていることによつて、向うは日本人が考えているような意味においての封建性を内包したものであるということを考えていないと同じように、大学という感じが待つているところの意味は、あなたのほうでカレツジ或いはユニバーシテイと訳しているということから向うはカレツジ及びユニバーシテイと考えておるわけです。むしろ私が指摘しているような封建性というものは、封建的な日本国民がそういう封建的な用語を相変らず使つておるというところにあるということになつて来ると思うのですが、憲法においても大臣という言葉を憲法改正によつて名か変える必要がある。事実私は法務総裁をしておつた鈴木義男君などとそんな話をしたが鈴木君も非常に賛成をしていたわけです。憲法改正のための現在一つ方法として、それほど重要な政治性を持たないようなことで、一つ国民投票をやつて見ようじやないかというようなことを冗談に言つたのですが、確かに憲法の上においてあの言葉はデモクラシーに反していると何時に、大学という言葉を訳するならばグレート・スクール、小学校をプライマリー・スクール、エレメンタリー・スクールというなら分るわけですけれども、大小の字なんだから小学なら言葉もスモール・スクール、リツトル・スクールというのでなければいけないわけですが、そういう言葉について憲法の改正で大臣という言葉について考えることが必要であると同じように、文部当局として大学というような言葉を何か再考慮してやられる必要があると思うが、それを考えて頂きたいというので、それに対する意見を文部大臣にも聞く必要があると思うが、聞かして頂きたい。  それからもう一つは教育費の問題ですが、それはさつき言つたように私はもとよりパブリツク・エキスペンス、そういうようにフリーにすることは賛成ですが、文部省としてはやはり自分の所管事務の立場からあなたのような御意見をお待ちになるのは当然だと思うのですが、それがやはり一つのスペツシヤリテイーに偏していると、これが全体的な立場から相関的にその重要性をどこまで考慮せられているかということに相変らず私は疑問を待つのです。專門家の意見を尊重するということはこれは当然なんです。それぞれの部面において專門家の意見は我々もできるだけオーソリティーを以て認めたいと思うが、ただ政治化としては教育だけが政治行政の全部でないのですから、日本の経済力やその外すべてのことから相関的に僕はあなたの御答弁は文部省のお役人として尤もだと思いますけれども、全面的にまだ納得するところに至つておりませんが、それは文部省としてはしようがないが、大学という名は変えたらどうですか、日本人の考えておる大学という概念と違つたものですよ明らかに。ユニバーシテイ及びカレツジという言葉はどうです。
  90. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) これは私の私見でございますが、むしろ大学という言葉は昔から使われた言葉で、やはりそれ相応の背景、歴史というものを持つておるのであります。お話のように新しい教育制度の中には新しい内容を持つた形式というものが備わらなければならんかと思うのであります。新しい酒を新しい革袋に盛らなければならんという原則から考えて見ますと、従来の大学という言葉の観念の中に含まれたやはり封建的な來雑物が残つておるようにも思われるのですが、私はやはりその中に従来の立派な伝統と歴史と背景というものを待つておりますので、そうむやみに変えて行かない方がいいのではないでしようか。それからむしろ我々の心の中に潜んでいるところの封建的な残滓こそ先ず脱ぎ去つて行くのが先決ではないのかと思うのであります。
  91. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 僕の言葉は速記録に残して置いて頂ければ課長の言葉は賛成できないけれども一応承つて置くことに止めて置きます。
  92. 相馬助治

    相馬助治君 課長に具体的な教育使節団の報告書について二、三のことを文部省がどういうふうに考えておるかお聽きして置きたいと思います。先ずこれは同僚古川委員が言われましたように、今度の使節団の報告書を見て、実は長い間教育実践家として職にあつた私共の立場から見ますというと、我々の願いをそのまま願いとしておるという点で大いに敬意を表するに足るものであります。ところが今度は私も又国民の代表としてここに議席を持つておるという立場から見まするというと、問題は使節団の報告書が如何によい部分を持つて、豊富な内容を綴つてあるかどうかではなくて、使節団の報告書現実の日本にどういうふうに実現される可能性があるかないかが問題である。そういう観点に立つというと、今度のこの使節団の報告書というものに対して文部省が余ほど考えを決めてやつて貰わないというと、あまりに高等な理想論を吐いて全然顧みられないということが教育財政の面に現われて来ると思うのです。というのは、平衡交付金を紐付きにして、標準義務教育費を取ろうという運動すら地方自治庁が文部省の役人にともすれば叩きのめされて通らなかつたじやないかということを我々に知つておる。ところがそれを、今度は一歩突抜けて行つて、教育委員会が目的税を取つて、その上に教育平衡交付金というものまで国が出してというようなことは、実に立派過ぎて、以て実現不可能であろうと思われることに文部省が又頭を突込んでやあやあと言う。やあやあと言つただけで以て具体的には全然実現できないということを私共は惧れるのです。従いましてそういう観点に立つて、この教育財政の面について前に問題となつておりました標準義務教育費法案と、本使節団の報告書の関連においてどういうふうに考えられるか。まあ具体的に言うならば、これは理想なんであつて差当り標準義務教育費法案乃至はこれに類するものを通すことが先決だというお考えか。それは暫く措いて、この勧告書通りに教育委員会財政権を待たせて、徴税権を與え、仮称教育税というような税金でも取る権限を與えるというふうな方向に進まれるのかどうか、そこを文部省で肚が決つておるかどうか。そういうことをお聽きしたいのです。私見は要りません。文部省でそういう肚が決つていないならいない、研究するなら研究するで、大臣にこういう質問があつたということをお伝え願えばよろしい。  第二の問題は、学区制の問題が今度の報告書にあります。学区制の問題、曾て教育委員会法案が昭和二十二年ですか、衆議院、参議院で問題になつたときに、私は当時衆議院に議席があつて、教育委員会というものを市町村にまで設けるということは、もうこれは暴論である。県で沢山であるということを強調して、而もこれが当時非常に強い文部省の意見でもあつたように私共知つております。ところが教育委員会法案というものは、御承知のように市町村にまで設けるということにまあ決つたわけです。ところが今度の報告書を見るというと、財政の面を考えて、人口それから税源ということが十分である地域社会というものを單位として、新たに学区というものを考えなくちやいけないということを言うておりますことは、これは非常な進歩だと思う。ところがこの学区という考えを現に文部省は県と市町村の中間的なものとしてお考えになつているかどうか、学区という考えはですね。私が何故こういうことを聽くかというならば、私は学区というものは県で沢山、県より下に教育委員会なんか要らん、こういうような考えを持つておるので、文部省といたしましては、現在学区という考え方を県と市町村の中間的なものとして本報告書を読まれておるかどうかということを先ずお聽きして、それから又次の問題に入りたいと思います。従いまして二点です。財政の問題と学区制の問題。
  93. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) 先はどの標準義務教育費と、この度の勧告書に基くところの教育財政確立との関係について如何という御質問であつたと思うのですが、標準義務教育費の法案につきましては、これは少くとも日本政府においては、この法案を通すということにおいて閣議でも最終決定をしたのであります。ただ関係方面の最後的了承が得られなかつたということでありまして、文部省はまだこの法案を完全に断念しておるという時期ではないのであります。ただこの度第二次米国教育使節団が新しい構想の下に教育財政確立の方策について勧告しておりますので、この標準義務教育費とどういう関係をつけるかという点を目下検討しておるのであります。ただここで申上げられますことは、従来義務教育国庫負担法によつて教育財政が或る意味では確立されておつたのでありますが、これが現在の平衡交付金制度の下におきましては、一応教育費の基準財政需要額というものが算定はされますけれども、それは自治体でどういうふうに使つてもいいのだ、これは平衡交付金配分の基準であつて、実際の運営は自治体が勝手に決められる、こういう点において教育費が果して確保されるかどうかという点を私共は非常に懸念しておるのであります。殊に現在の地方財政総額におきまして、地方財政全体の基準財政需要額の約四割を占めておるところの教育費がこのままで確保されるかどうかという点に私共は非常に疑念を持つておるのであります。そういう意味からこの例の標準義務教育費法の成立を非常に望んだのでありますが、不幸にして国会に提出する機会がなかつた。そこで今度の教育使節団の勧告も大体同様な線をとつておるのであります。もう少し更にこの考え方を飛躍して、根本的に確立しよう、やはり平衡交付金で足らない分は保証しようという考え方からミニマムな教育費が保証されてそれ以上に課税権がございますので、それ以上に財政の規模を拡大できるという点が異なつておる点でありまして、私共はこの標準義務教育費法と新しい勧告書に基くところの教育財政確立の構想をどう調整するかという点について目下検討中でありますが、特に新しい構想に基くところの教育財政確立については着々と準備をいたしております。でまだ文部当局のはつきりしたところの方針は決定いたしておりません。  それから第二の御質問は学区制の問題ですが、これは教育委員会法の制定当時、文部省といたしましては、とにかく新しい制度ですから都道府県に置く、併しやがて市町村に置くという考え方ですが、ただ当初文部省は現在の市町村そのものに置くという点については非常に疑問を持つたのであります。そこで関係方面との折衝におきましても、その單位をどの点までにするか、或いは例えば一例を挙げますならば、現在の市が人口三万以上ですから三万以上にするとかということで完全に全部の市町村にどんな小さな市町村でも單独に置くということは非常に困難ではないかということを懸念しておつたのであります。そういう意味で今度の勧告書は地方教育委員会の設置單位に新しい方向を授けたものとして私共は非常に注目しておるのであります。併しながらこの学区の構想というものは、お話のように県を單位としては考えていないのでありまして、やはり県と市町村の中門的存在として私共は解釈しておるのであります。
  94. 相馬助治

    相馬助治君 標準義務教育費の問題の連関については、まだ最終的な結論が出ていないというのは時間的に勿論そうだと思うのです。ただ私はここで強調したいことは、先に吉田内閣においては、閣議において標準義務教育費法案というものを決定しておる。これはもう天下周知の事実です。従つて先般の参議院の選挙に現われたことを見ても自由党の候補者の諸君も、教育の問題は大切であるからそれだけ義務教育費法案或いはこれに類するものは是非とも作らなくちやならないという点においては強調されておつて、これは何か訳の分らんことを言つた共産党以外には全部これは一致した線であつたのであります。そこで私が言いたいことは、この報告書を文部省が本当に有効に使うならば、この報告書関係筋によく認識して貰わなくちやならん、こういうことだと思います。そういう意味一つ最終的にうまい案を作つてつて頂きたいと考えるわけです。そこでこれに連関して昨日地方行政調査委員会議の神戸議長にここに出て貰つていろいろ聞いたときに、小、中学校の教員給與というものを昭和二十七年度以降は市町村に移す予定である、それが試案の内容である。こういう意味のことを申しておるわけであります。これに対して文部省はどういうふうにお考えになつているか、少くともこの教育使節団の報告書を、よしとする文部省が、どうお考えになつているか。
  95. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) 文部省といたしましては、小、中学校の義務教育に従事する教員の俸給その他諸給與の負担を今直ちに市町村に移管するというこつとにははつきり反対の態度を表明しているのであります。そこで、この問題が市町村と申しますか、末端の機関に移すということは、これはシヤウプ勧告の線もありますし、現在第二次教育使節団の勧告書の線にもございますので、同様の歩調をとつておりますから、いずれはこの問題は解決しなければならないと考えております。そこで現在のところ適当な規模の地域に教育委員会が成立されるまで……ですから今の現在のままの市町村に委讓するということは考えておりません。過当な規模の地域を包含した教育委員会が整備されるというのが一つの條件、第二の條県は教員の最低給與に関する法律案、こういうようなもので給與の保証ができることが第二の條件、第三に教育費の確保の措置が公布されなければならない、これは標準義務教育費のような法案か、或いはこの度の勧告書に基くところの教育財政確立の新しい構想に基く措置かいずれかの方法がとられないならば、このまま市町村に義務教育の教員の給與を下すことははつきり反対の意を表しております。
  96. 相馬助治

    相馬助治君 本問題についてはいろいろ意見もありますが、課長さんにとやかく申しても無理で、又課長自身も迷惑だろうと思いますから、それをお尋ねした程度で止めて置きます。  次に私は施設課長にお聞きしたいのですが、今度のジエーン台風による学校関係被害、これを国で以て賄うべき費用及び市町村が單独で賄わなくちやならない費用、こういうものを類別いたしまして総計があなたのほうで計算されておりますか。
  97. 佐藤薫

    説明員(佐藤薫君) 今は資料を持つておりませんので、概数でよろしうございましようか。
  98. 相馬助治

    相馬助治君 結構でございます。
  99. 佐藤薫

    説明員(佐藤薫君) 今度のジエーン、キジア全体の府県からの報告は約五十一億であります。それを従来は五割の補助率でありましたものを強い要望がありまして、公立につきましては八割の補助にして一応要求はいたしております。国立は勿論全額負担であります。そういうふうな関係で、国立は全額、公立を八割としました場合に、補助の額としては約三十二億になります。これをジエーンとキジアで大雑把に分けますと、ジエーンが二十二億であります。キジアが十億、合計三十二億の一応補助額を要求しております。  もう一つの問題は、従来は全壊、半壊、大破以上を補助対象としておりましたが、これを今回の風水害の特徴によりまして更に中破も含めて要求いたしております。そんなわけで金額相当大きくなつております。そこで五十一億と三十二億の差が……まるまる若し三十二億でありますれば結局起債の額になる。従つて地方負担になるわけでありまするが、ただ全体の災害関係の財源の予備費が五十億でありまして、更に補正予算として考えておりまする計数は四十一億、合計九十一億であります。その九十一億から学校だけについて本年度中に三十二億ということは、いろいろ強い折衝をして見たのですが、若干我々としても無理があろうというふうに考えまして、最低限度我々としては本年度中に十億ぐらいは確保したいというふうに、最後の努力をしておるわけであります。そうすれば、非常に金額が少いため地方においては非常な迷惑を蒙るわけでありまするが、従つてそういう面についてはこれ又無理な話なんですが起債の面で何とかカバーして貰うべく関係省と連絡をしておるというふうな状況であります。
  100. 相馬助治

    相馬助治君 御承知のように今度の補正予算の大きな額というものは大蔵省で決定して、そうして頑としてもう頑張つておる状態であることは、文部省の係官としてその辺の事情はよくお知りだと思います。今度私共は同僚議員ジエーン台風の結果を見て参りまして強く感じたことは、小学校、中学校の大破、中破に対する復旧費というものについては、県自身は県費で支出する分がないわけです。従つて町村からの報告書を各県は集計しておるに止まつておるのです。これに対して十分なる指導が加わつておるとば我々には残念ながら見られないわけです。そこへ持つて来て、こういう言葉は非常に当りませんけれども、町村には眼の暗いというか、意識的無意識的にふつかけ損害額というものがある危險性があるわけなんですね。それを県自身が、国の土木費や何かですと県自身が調節して県費を出す都合がある。ところが小学校、中学校の分は県費を出す都合がないものだから、ただ集計したという点を我々は恐れておるわけです、見た結果……。そこでこういう大雑把に五十一億というものも下からの報告書数字の累計だと思いますが、これについてはジエーン台風を受けた市町村地方税減免しなければならんという状況ですから、従つて学校の復旧には非常に手を焼いておるわけですから、一つ文部省も余ほど本腰になつて市町村報告の杜撰なところは直すと共に、具体的に市町村の学校施設というものを立ち行くような方向にこれをやつて貰わなければならんと思います。  それからもう一つ非常にデリケートな問題があるが、大阪では今度の台風ばかりでなくこういう大きな災害があると皆どんどん学校に集まるというのです、避難民が……。そうして風の過ぎ、水の引いた後も学校というものが暫く避難の場所となる。そういう現実に照らしで、少くとも各学校に一棟乃至二棟くらいの鉄筋建造物を持ちたいというのです。ところがこれが防火区域の場合には出して貰う、これに見合ら法律があるが、そうでないところでは理想論としてそういうことを考えてみてもそれを出して貰う法律がない。従つてこういう問題を小学校、中学校を單に教育上の用途から復旧するというのではなくて人命を助ける、そういう災害に対応する緊急策としても今言つたような、進んでその中の一部を鉄筋にするというような問題について、この際文部省としては何か考えておるか。具体的に言えばこの措置まで考えているかどうか。それから復旧費の中からこういうものについても進んでみんな数字を計上しておるかどうか、二つお聽きして置きます。
  101. 佐藤薫

    説明員(佐藤薫君) おつしやる点、誠に御尤もな点がありますが、それにつきましつてはおつしやるように我々としましては十分注意をしております。即ち都道府県からの報告がラフであるという点につきましては、この災害の予算査定の際の原則として現地査定をすることになつております。都道府県から報告頂きましたものを基礎にいたしまして、現地に担当官を全部派遣いたしたのであります。そうして一つのサンプリングを注意いたしまして、その率によつて府県との率を決めます。その率を県全体の災害状況に適用するというようなことを考えております。更に配分に当りましては一応各予算につきまして十分の計数を見まして、個個の学校について調べまして、十分におつしやるような間違いのないようにしたいというふうに考えております。それからもう一つおつしやる点で、ちよつとそれは誤解ではないかと思いますのは、都道府県費も高等学校があるのですね。或いはそういうものがあるわけであります。
  102. 相馬助治

    相馬助治君 高等学校の点は分つております……。
  103. 佐藤薫

    説明員(佐藤薫君) 第三はおつしやるような、大阪のような問題が具体的な問題として起きたのですが、鉄筋化の問題、これは十分に考えておりまして、先ほど申し忘れましたが、三十三億には例えば大阪兵庫、福井、和歌山、更に鹿児島、宮崎というような県につきでましても、後来も非常に災害が多かつたという府県につきましては全壊は鉄筋、半壊は半分というようなことについて鉄筋で改築した場合にどういうようにその計数がなるか、その計数を織込んだものが三十二億と御承知置き願いたいと思います。実際に当りまして予算確保に当りまして、建築基準が十一月一日から施行になるのでありますが、こうなれば当然市町村がやるか、国がやるか、どちらにしてもやらねばならない義務を負うわけでありまして、我々としましては市町村が負担が少いために、国として予算を作るために強力に折衝をしておるという現段階であります。尚ちよつと御参考までに二十四年度四十五億の予算の実施につきましては、鉄筋を五%、この数字によつてつております。来年度四十五億につきましては、更に一五%の鉄筋でやろうという理想論の場合としてやつております。
  104. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 大臣も政務次官も来ないということは、非常に文部当局として不謹愼だと思うのですが、我々相馬君のような問答をしてこれは無駄なものですが、さつきの僕のに関連してもう一つだけ別に御答弁は要りませんが、一つ意見ですが、名称の問題ですね。これは一つ大臣という言葉が向うへ持つて行くときにミニスターと書いて行くのですね。大臣が持つているところの封建性が向うに意識されないというふうに思う。僕ら大学という名も再考する必要があるのではないかと思います。それで日本の言葉というものは中国から渡つて来た言葉が多いからお前といい、貴様といい、あなたといい、皆意味が違いますが、英語で読めばみな「ユー」ですから「ユー」としか解釈しないから、貴様と「てめい」と「あんた」の違いは向うには分りはしないのだから、それと同じように大学という言葉は大きな学問とか、学校とかいう意味だということを言う。大臣という言葉が大きな家来という言葉ですから、英語で言うとグレート・ページエントとか、グレート・サブジエクトと訳さなければならんということで、使節団にも向うの当局にも大臣という言葉はこういうものだという、言葉の意味がこの漢語の意味はグレート・ページエント、グレート・サブジエクトで大きな家来というように考えておるか、向うの意見をちよつと何というか聞いて見られんことを希望して置きます、文部省の人に。
  105. 石村幸作

    ○石村幸作君 この報告の内容を批判とかいうことは差控えますが、殊にこの中の財政的独立という面で、先ほど来諸君のいろいろお話がありました。ただちよつと文部当局に御注意して置きたいのです。こういうふうにこの教育委員会が独立して徴税の責任をというか権限を持つ、そうしてこれを使用する、全面的に独立した権限、これは一面結構なことでありますが、これは先ほどからいろいろ縷々お話がありました。併し現在の地方行政制度、特に地方議会の制度とか地方財政、こういうふうなことがこの通りやつたら、大混乱に陷りやしないかというような憂慮がある。同時に地方税、これの税制の根本的変革を来たすということになりはせんかと思う。先般の標準義務教育費の要求確保この問題でも地方においては教育委員と議会と正面衝突、これは全国的に現われたと思う。特に地方公共団体の知事、市長村長、殆んど全部がこれに反対しておつたというような様子であります。それはそういうことになると地方公共団体の長、又は議会というものは責任を負つてこの地方行政を完全に運営して行くことは責任上不可能だ。こんなふうなことに騒いでおつたわけですから、今勿論庶務課長さんの意見としては、これは全面的に非常によいことであると謳歌しておられると、謳歌しておられるようです。決して私はこういうことが惡いとかいいとかいうのではなくて、これは文部当局が謳歌しつて迎えて、これを実施に移すということになると、今申上げたような混乱と大きな変革を来たす、これを十分注意して御研究して頂く。ただ文部当局が独善的でなく、ただ教育の問題ということだけ考えて、めくら滅法に進むのではなく、一つ全部の地方行政制度、議会のこと、税制のこと、地方財政、あらゆる面を検討してそうしてこの立案をして頂きたい。例えばこれは一例ですけれども、今私は税制の根本的変革になると言つたのですが、一例を挙げますと、地方によつては道路を完全にすることは一番優先的であるというようなことを言つて、普通の府県税の中からこれを取るのではとやこやと議会方面の干渉があつてうるさいから、道路使用者の何か利用負担にというような名目でずつと取つていたことがあるのですね。併しこれはやはり町村あたりで反対で長い間鬪つてとうとう最近はそういうことがなくなつた。そんな一例ですけれども、若しこの通り行くと、今度教育以外、例えば災害復旧の場合、これはもう第一番にこれを優先的にやらなければならんというので、そこの土木関係が直接責任と権限を以て徴税をするというようなことの計画を立てないものでもない。そういうことは收拾のつかない混乱に陷りますので、一つ十分こういうようなことを研究して見て頂きたいと思います。
  106. 内藤誉三郎

    説明員(内藤誉三郎君) 只今お話でございますが、どうもこれをどういうふうに実施するかという問題につきましては十分愼重にいたしたいと考えまして、文部省の関係官を入れないで、都道府県の議会の方、或いは自治体の方々、或いは学識経験者等に集まつて頂いて、そういうような委員会でこれについて十分審議いたしたいと考えまして、今委員会の発足を準備しておるわけであります。それでただ一言申上げたいことは、教育というものは不当な交配に服してはならないという教育基本法の趣旨から教育委員会法というものができまして、地方自治法の行政的な面では例外的な措置になつておりますので、この制度との関連において財政的にどう解決するかということが問題になると思つております。
  107. 相馬助治

    相馬助治君 私いろいろ文部財政のことについてお聽きしたいことがあつて、手ぐすね引いていたのですけれど、実は午前中は僅か三人しか委員がいなかつたのが、午後はこの通り面々が出て来て頑張つているというのは、今の教育財政を何とかバツク・アツプしてそうしてこの補正予算で闘い取つて貰いたいと思うからです。そこで私はこの際文部省に言うのではなくて、岡本委員長に対して一言希望があるのであります。それは今度の委員会は四日間に亘つて開かれた。たつた一日ならば大臣とか次官に来いと言つてもこれは少し無理かも知れませんけれども、四日間に亘つて開かれておるにも拘わらず、遠隔の地からこうして委員が出て来て、真劍に議論を鬪わしておりますが、この間大臣は岡野国務大臣が出たのが僅か三十分。こういうことでは我々委員会に出て来て一生懸命やつて、そうして各省の願いを願いとして、少しでも民意を我々が反映して、あの訳の分らない池田大蔵大臣に対して反省を求める機会にしたいと思つていたのが、まるつきりこれはどうも暖簾に腕押しで遺憾極まりない。従つてこの地方行政委員会の意思として、今後こういうことがあつたときには是非とも委員長において断乎たる態度をとつて、せめては事務次官なり政務次官くらいは出すように格段の御努力を願つて、それが駄目な場合にはこういう委員会は招集しないで貰いたい。これだけのことを私は委員長にお願いだか要求だか文句だか知りませんが、何とでもとつてつて結構ですが、私はお願いいたしまして、この委員会はこれでもう止めて頂きたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  108. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと申上げますが、実は今度の委員会は四日間お願いをいたしましたが、大体まあ局長に出て貰つて事務的ないろいろの話を聽いて見たいというので出発したのです。それで皆さんの御要求に応じて大臣等は呼ぶことにしたのでありまして、若し是非とも大臣が出る必要がありますればこれは明日でも呼びます。一応一つ事務的な検討をして頂いて、その上で必要があれば大臣を呼ぶと、こういうつもりで委員長はしておつたのであります。従つてこのプログラムにおいて挙げてある人しか実は呼ばない計画でした。ただ昨日はかねて相馬委員の御要望もありましたから大臣に出席を促したのでありますけれども、今日は建設大臣は利根川方面に行かれ、それから池田大蔵大臣は所用だというようなことで、大臣の出席を求められなかつたわけであります。
  109. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 委員長の努力は分るのですが、政府側が今日の文部省みたいに、單なる課長が二、三人来て委員会に臨むがごときは以ての外だと思うのです。そういう点は委員長からこういう意見があつたということを文部大臣に反省を促す意味において伝えて置いて頂きたい。来る人も来る人ですが、單なる課長が来て、答弁するなんということはこれは委員会を侮辱するものであつて、答弁する資格もなければ意味をなさない。来る人も来る人だが、少くとも事務当局と雖もその局長、ぐらいが来なければいかんと思う。一つ委員長から文部省にやかましく言つて頂きたい。(「同感」と呼ぶ者あり)
  110. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 承知いたしました。局長に対しては呼んでおつたのですからよく申します。
  111. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 文部省関係の質問を終るなら委員会を閉じる前にちよつと申上げたいことがあります。
  112. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 如何ですか、外に御質問ございませんか。それでは教育財政、それから教育施設に関する事項はこれで打切りにいたします。
  113. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 四日間に亘つて地方行政委員会がいろいろの問題を論議したのですが、そのうちで一番大きい問題は、府県知事なり町村長が掲げております平衡交付金決定後における法令の規定による義務費の支出であるとか、或いは国家公務員法のベースの引上及び年末賞與の支給というようなことのために或いは三百九十億と言い、或いは二百億と言い、まあ数字は別々でも相当地方財政に大きな重圧となり、それらの問題の措置というものをどうするかということが当面一つの問題になつておるわけです。ところが四日間いろいろな角度からこれにつきまして質疑応答があつたのですが、結論を得られなかつたのじやないかという気がするのです。併しながら、我々としては要するに自治庁の話を聞き、又大蔵省の話を聞いて見ると、それから数字は別々でも、現在の地方財政状態から見てどうなるか、この問題を解決しなければ地方財政の、或いは地方行政運営上に大きな影響を来すということは明らかだと思うのです。従つて、これに対してはいわゆる予算的に何らかの措置を、或いは予算委員会において、或いは政府に対して何らかこれに対して地方行政委員会としてこの四日間の討論を通して一つの結論としての希望條項と申しますか、そういうことについて一つ措置を願いたいという気がするのですが、一つお諮りを願いたいと思います。
  114. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今高橋委員から四日間検討した補正予算その他国の財政地方財政との問題につきまして折角研究をしたのだから、この地方行政委員会としての結論をまとめて決議みたいなことをしたらどうかという御意見が出ましたが、これについて……。
  115. 相馬助治

    相馬助治君 実はこつちで吉川委員、西郷委員と話をしていたこともそのことであつて、高橋委員の主張に全面的に私は賛成です。一体具体的な今の実情から見ましても、全く大蔵省は一方的に地方財政がすでに混乱することが目に見えておるような補正予算の組み方をしておつて、年未給與の問題についても地方公務員については今のところ考えていない。而も昨日の主計局長の話によりますれば、事務当局あたりが全然考えていない。これはもう地方公共団体がやるのは当り前だというような、我々としては何と言つていいか分らんような状態ですから、こういう問題こそ私は超党派的に一つ地方行政委員会意見をまとめて、同時に衆議院の地方行政委員長にも委員長から申送られて、そうして我々の意のあるところを、そうして地方財政を混乱に導かないようなために、たとえその力が微力であつても国会が開かれていないのですから、できるだけ手続上最大の一つ方法を以て委員長において各位の非常に点のあるところを酌み取られて、今高橋委員の提案の通り措置せられますことを希望いたします。
  116. 石村幸作

    ○石村幸作君 只今高橋委員の発言がありましたが、実は私のほうの県は神奈川県です。実は今日私午前中遅れましたが、各市長、それから県の幹部、知事以下主なる幹部、各市長全員、それから町村長の主なる代表者、そういうものを集めまして、いろいろ実情を聽いて皆研究したのですが、今の補正予算の分が、それがまあ支拂能力のないことは勿論ですが、その前に、今補正と言いましたのは給與ベースとか、年末手当とかあれですが、その前に通常の、すでに仮決定した平衡交付金、あの分ですが、あれで二進も三進も行かないのです。まあ非常な財政の混乱を来して、特に町でも大きい町、市に至つては非常なものでしてやり繰りがもうつかなくなつて、おる実情がはつきり分つたのです。恐らく各府県、尤も噂に聞くと或る県のようなところでは非常にいいことをしておるということを聞いておりますが、大体において地方全部そういうことと思うのですが、一つこの四日間の成果を、いい機会ですから強力に皆さんの意見を結集して議をまとめて頂きたいと思います。
  117. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  118. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて……。  先ほど高橋委員からこの四日間委員会を開きまして検討をしました国の財政地方財政との問題につきましていろいろ研究をし、決議をしたらどうかという御動議に対しまして、相馬君、石村君から御賛成がありました。じやその検討を如何いたしましようか、お諮りいたしますが、委員長の私案といたしましては、小委員会を作つて頂きまして、各会派から一名乃至二名をお出しを願つたらいいと、こういうふうに思うのですが、如何でしよう。
  119. 相馬助治

    相馬助治君 委員長提案通り賛成ですから、そこの氏名は、委員長においてこの場で御指名願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  120. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは指名することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじや指名をいたします。それでは、自由党から高橋委員、安井委員、社会党から相馬委員、中田委員、緑風会から西郷委員、岡本委員、それから民主党は竹中君が先日お出になつておりましたから、竹中君にお願いいたしたいと思います。尚第一クラブの石川君がおられますけれども、上京しておられませんから、これは小委員に加えないことにいたします。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに決定をいたします。小委員会の名前を何とつけましようか、ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  123. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記始めて下さい。この小委員会の名前は、地方財政緊急対策に関する小委員会と付けたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうふうに決定をいたします。それでは小委員の方の会合を明日午前十時からいたしたいと思います。御苦労様ですが御参集を願います。それでは今日はこれで散会をいたします。    午後四時二十三分散会  出席者は左の通り    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    委員      石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   説明員    地方財政委員会    委員長     野村 秀雄君    地方財政委員会    財務部長    武岡 憲一君    地方財政委員会    監理課長    細郷 道一君    文部省初等中等    教育局庶務部長 内藤誉三郎君    文部省監理局施    設課長     佐藤  薫君    地方自治政務次    官       小野  哲君