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1950-10-17 第8回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十七日(火曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (国庫補助金制度の改正に関する勧  告の件)  (厚生行政事務配分に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。本日は地方行政調査委員会議から過般出された内閣及び内閣を通して国会への勧告について、会議議長神戸氏からその内容を承わりたいと思います。
  3. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 先回にもお伺いいたしまして、大略の経過と内容を御説明いたしましたが、そのとき御説明いたしましたのと、最後に出ましたところの勧告案との間に若干の変化もありますので、この機会におきまして、附加えて御説明をいたしたいと思います。  私共の調査の一番主題でありますところの事務の再配分につきましては、一応各事務に亘りまして検討をいたし、大体の目安は付きましたが、尚その再審査をいたしたいと存じまして、もう一遍遡つてかれこれ対照して、関連の上から修正を加えつつある次第でございます。急げばもつと早くということもできますが、或る程度愼重を期するためには、少し余裕が欲しいということで、十一月一杯には是非勧告案を提出いたしたいと心得ておりますが、そのときにおきましては、事務配分と同時に、国が地方に対する仕事の範囲の方式であるとか、町村の適正事務ぐらいなことは添えて結論を出したいと考えています。これらの制度改革に伴いまして、何といたしましても財政の再検討が必要でありますので、その問題ない、或いは地方制度につきまして修正を要する点などにつきましては、来年の三月までには何か一通り勧告案を提出したいと考えております。そういつた次第でありますから、その節又いろいろ御審議をお願いいたすことになりますが、このたびは先回にも申上げましたように、取敢えず二十六年度の予算に織込んで頂く必要のある分だけをまとめた次第であります。これは政府へは今月の十四日に案を提出いたしまして、政府を通じて国会の方にも廻つて来るものと信じておる次第であります。この財政に関したことにつきましては、趣旨は一貫して地方自主性を拡充したいということでありますが、併しいろいろな事情も加味して来ますから、十分に貫徹できたかどうか、その点は問題かと思いまするが、併し我々の精神はその精神から出まして、各種の状況を斟酌して実際に即するように考え出したのであります。理想から言いますれば、必らずし理想通りというふうにはなりませんが、実際これだけあればできるという実際上の考慮を拂つたもので出て来ておりますから、どうか理想として不満足の点は御了承を願いたいと思います。問題は三つでありまして、国庫補助金災害復旧費の問題と、更に地方起債の問題と三つであります。先ず国庫補助につきましては、従来のよ国うに庫補助ということに余り頼り過ぎるということによつて地方自主性というものが侵されるということを考えまして、できるだけ国庫補助金を少なくすという方向に持つて行つたのであります。本来の精神に基きまして地方奬励的意味を持つた補助金というようなことに成るべく向けて行くという方針で進んでおります。第一は、先ず補助職員設置補助金でありますが、農林関係等に相当多くあるということでありますが、全額補助にしろ一部補助にしろ、そういつたものは紙付きのものということは止めて、国と地方との関係、そういうことで地方自主性を侵し、地方仕事に干渉することを少しでも少なくすることに役立てたいと考えております。それから全額補助につきましては、列挙した四つばかりのものは残すが、外はできるだけ平衡交付金通り入れるという精神でございます。第一の地方税に代るものとしてというものは、申上げるまでもなく、例えば地方団体の中に大学の演習林がありますと、その演習林の地租に代るようなもの、そういうものをやることは、まあ併し補助といつて補助でないから存置するということであります。それから土地を借りておる場合の賃借料というもの、或いは出資をして收益の分配といつたようなもの、それは地方にやるときには別に補助というほどのものではありませんから、性質上これは残してもよかろうということであります。予算外契約等による長期に亘る契約といつたようなものは これからはありませんが、従来残つておるものでありますが、何か地方起債関係しまして、何かその起債元利拂いの補償をしてやるというようなこと、そういつたようなものは止むを得ない契約の結果ですから、許すことは止むを得ないと思います。それからその次の私人に対するのとほぼ同じ立場で同様な事項を地方団体に委託する、これに対するその実費を交付するというのは、これは何でも地方試験所とかいうようなものに研究を委託する、委託しましてその研究費補助する、仕事を委託するわけですから、これも持つ、それからその次に国の統計とか、国会議員の選挙の支出というものは、本来言えば国がやるべきだが、地方に任せまして委任しております。その仕事に対する費用というものは国が持つのが当然でありますので、これも持つ。それと関連して、第一に申しました補助職員の給料というものは出さぬというが、それに代る仕事を相当やらしているわけでありますから、残そうということであります。それからその次に補助職員設置のための国庫補助金を除く一部補助金は、補助職員設置のための方は、これは前に申しましたからそれは除きまして、他の一部補助金につきましては、大体すべての地方団体幾らか経常的に出しているといつたようなものは、これはもう平衡交付金に入れるのが当然でありまして、そういつたものは成るべくそちらに入れることにしまして、結局一部補助金でも何を残すかということは、半数以下の地方団体、すべての地方団体じやない、半数以上の少数の地方団体にやる、或いは臨時的であるといつたものは、これは本来言えばそういうものを補助金としてはやりたいけれども、併しそれを急激に止めるということもむずかしいから、今の情勢下においてはこれは残して置こう、半数以下のそういうものは残して置くが、その外は廃止する、こういう趣旨であります。例を以て申上げますと、半数以下の場合は、例えば北海道入植者の受入れのための補助金といつたようなものがありますが、これは北海道特殊性でありましてこれはすべての地方に亘つて出しておるものではありませんから、これはそういつたものは特殊性を尊重して暫らく残す。臨時的な性質と申しますと、例えは保健所の設備などが出ているそうですが、そういつたものは、今のところ保健所というようなものはこれから大いに奬励して行かなければならないので、暫らくそういうものは残そう、こういう趣旨であります。以上によりまして廃止されましたものはそれは平衡交付金に組入れる、こういう考え方であります。最後最終受給者地方団体以外のもつのであつて、必ずしも地方団体を経由しなくても直接国庫から最終受給者交付することが可能なような国庫補助金でありますが、これは森林組合連合会の中に国から補助金が出ておるそうですが、こういつたものは地方団体を通じまして地方補助金のような形で出ておるそうでありますが、そういうものはこれは必ずしも地方を通さなくても、森林連合会なら連合会に直接交付するようにすればいいのですから、そういうものは直接交付收める、又経費の性質上、直接国費のまま支出できるものは国庫補助金から除く、これは地方から出張して政府へ打合せか何かに出て来るため旅費などが出ているそうですが、これは地方補助ということでなくても、その出て来る者に国庫から直接に渡して国費のまま支出するということにしてもいいのじやないかというようなことでありまして、これにつきましては種種専門家、実際家にそれぞれ調査して頂きまして、今のところはこれでよかろうということであります。尚その外に前に報告しましたときに特別交付金平衡交付金として何か考えようということでありましたが、それは暫らく止めることにいたしました。まあこれだけで一応打切ろうということであります。これによりまして大体どのくらい節約できるかということも、一応申上げて見たいと思いますが、調べましたところでは、二十六年度の分はまだ手許にありませんので、どれだけということは申上げられませんが、大体これでこの二百五十種類ばかりの補助金が三分の一になり得るということであります。それから二十五年度内の補助金が三百三十億ばかりあるということでありまして、こういう方法によつて整理しますると、百億円くらいになるだろう、そういうふうに事務当局は計算いたしております。とにかくこれによりまして或る程度整理いたしまして、そうしてそれによつて補助金という形でできるだけ地方自主性を生かすように、地方からいつて補助金を貰うために運動する、補助金を貰うためにいろいろ調査するとか何とかということの費用もありますから、人を出す、調査をする、書類を作る、そういうことの費用は或る程度省けることと思います。そういうことで地方自主性を少しでも充たしてやる、こういう考え方であります。  次に災害復旧費の問題に移りますが、災害復旧費はかねて申上げました通り災害復旧費というものは、本来言えば地方で受けた損害は地方自主的に賄うという建前でなくちやならん。併しそれが地方自治を進めるゆえんでありますが、併し何分にも災害というものは不意に大きな負担を背負わせられるということが、地方団体のような、比較的国から見ると彈力性の乏しい財政におきまして、それを自分で賄うとすれば破産をしなければならんというのでありますから、これは国という立場において或る程度見てやる。補充してやるということが、これも止むを得ぬことだろうと思います。自主から言えば情ないことであるけれども、力が乏しいからして、これは国が全体を見て助ける。弱いものを助けるということはこれは国の立場として当然のことだろう、私そういう趣旨考えております。御承知通り今日まで二十五年度は一件十五万以下のは地方負担する。それ以上は全額国庫負担というようなことになつておりますから、これからその二十五年度限りでそれを止めますれば、二十六年度からは元へ戻つて三分の二国庫負担、三分の一は地方負担するということになりますが、それでどうかという問題でありまして、これは何とかしなければならん。そこまで行くのも行き過ぎであるし、さりとて二十五年度のようにして置くのも、そのまま置くのも地方自治としては徹底しない。それで折衷したわけでありますから、中間を選びまして、要するにこの災害復旧費というものにつきまして、第一段は、これまでの原則と若干変えましたけれども、府県は十五万円以下、市町村は少し下げまして十万円、多少段階を付けまして、それ以下のものは地方団体が持ち、いわゆる災害復旧と見ない。全部地方で持つ。その上のところでどうかするというと、そこはその災害復旧費の額が当該地方公共団体標準税率で算定した普通税收入見込額地方財政平衡交付金合算額、この二つのものを合計したつまり財政力ですね。財政の力の五%、五%を超えない分、五%以下の超えない分はこれは全額地方で持つ。それを超えた分、五%超えた分については、今の平衡交付金普通税收入見込額との合計額の五%乃至一〇%の額を負担する。これはどういうふうにやつても多少彈力性を持たしておりますから、まあ段階を付けても、恐らく段階を付ける方が穏当だと思いますが、最高限度は一〇%、一〇%以上地方に持たすのは、それは地方が困るだろう。事情によつては五%に留めてよろしい。場合によつては六%、七%、八%、九%、一〇%という段階は付けてもよろしい。余り段階を付けるのは、或いは却つて煩雑になる。不公平になりますから、これはまあ少し実行される場合においての彈力性を以ちまして、ともかく最低は五%、最高十%で区切る。五%と十%の間で相当な額を地方に持たす。で余裕のないところは多く出すというようなことで何か別に工夫をしなければなりませんが、そういつた段階を付けるか何か一つ工夫して、そうしてその地方に持たす。それを超えたところはもう国が持つてやる、国が持つてやる分につきましては、これは前に申しました通り、国と雖もそうその多くの負担に急に応ずるだけの財政余裕もありませんから、そこで平常から財政上、ここに申しましたように過去三年とか何とかの経験の何を見まして、大抵先ず日本のような国じや起つて来そうなことを或る程度予想して、そうして凡そ出すべき額の適当なものを特別会計で以て繰入れて置く。そうして災害が起つたときにそれから出す。非常に足らぬかも知れない。足らぬときに起債する。余れば、余つたときにはこれまで借りた金の繰上償還を行なつて、尚余つたならば積立金をして翌年度に繰越すというようなことにしまして、そうしてやつて行きますれば、まあ国といたしましても非常に大きな負担をして財政基礎を危うくするようなことにならぬように何か国の方でもそういつたことを考えなければならん、こういつた何であります。  それから次に(五)のところは、これまでの災害を調べて見ますと、災害復旧事業に対する国の補助金で未交付のものが相当あるそうです。未交付のものは早急に出すような方法をとられたいということを謳つておるわけであります。それから次は、甚だしく維持管理義務を怠つたことに基因して生じたと認めた場合は国庫負担額の金額又は一部を減額する。災害費の問題につきましては、むずかしい問題でありますけれども、何でも彼でも政府あとの面倒を見て呉れるということになると、つい平常その維持管理義務を怠つて、そうして政府の、国の厄介になるというような例もありますから、現にそういつたことを生じたようなものは場合によつて減するというふうに少し抑え付けて、少し深切な、余計なことを申上げるかも知れないが、こういう点も特に謳つたのであります。  それかうその次の地方債の問題でありますが、地方債に関しましては、大体この問題は皆さんも御承知かと思いますが、地方起債は非常に他方団体としまして割に面倒だ。一つ起償をするのに何編となく、行つたり来たりしなければならん、これじやいかぬ、あたじや何だ、東京へ出て来たり、帰つて来ると又出て来る、随分無駄なことが多いんです。何か一つそういう面倒な手続を少しでももつと簡單にできぬかということで考えたわけです。これは私共の考え方相当程度この起債というものが、起債についての無駄がなくて済むように、許可を得たり、融資を受けたりするために非常に無駄なことをやつていたのが省けるだろ、こういう考え方であります。それでこれまでと根本的に違つておる点は、これまで起債につきましては一件ごとに何か調べをやつてつたのですが、そういう事業別に組かいことをかれこれいうことは止めて、そうして包括的と言いまつか、団体別に包括的に許可をするというふうに持つて行こう、こういうのであります。都道府県の分は地方財政委員会により、市町村の分は府県知事で許すという建前を先ず決める。それから都道府県の分は地方財政委員会が主となつて、但し大蔵大臣と協議して決めるということにいたします。それから市町村の分で、これは地方財政委員都道府県ごとに一括して割当てまして、個々の市町村の分はそれは府県知事がいろいろなことを勘案して決定する。府県知事に任して行くというふうにやつたわけであります。それからここでちよつと附けて申しますが、大蔵大臣と協議するということが附けてあります。この点につきまして、自治庁とか、地方財政委員会等立場から言いますと、もうその総額だけを大蔵大臣と協議して、あとは全部協議せぬでもいいようにして呉れというような御希望もあつたようでありますが、これは大蔵大臣というものは、やはり金融主管大臣でございます。でまあ財政の面から言えば地方財政のことは地方財政委員会で全部やつたらいい。大蔵大臣が喙を容れぬでもよかろう、こういう考えもありますけれども、何分にも起債というものは金融関係する次第で、金融主管大臣大蔵大臣であるから、金融に関することば地方債の件、大きな枠ばかりでなく、成る程度の枠を決めるところの基礎となることをよく知つてつて、そうして一応興る主管当局地方財政委員会でやる。大蔵大臣金融のことは一応干興するということもこれも止むを得ないことであろう。地方財政委員会だけでやつてしまうということは問題がありましよう。どうかすれば地方財政委員会に殆んど任してしまえば非常に簡單でありますけれども、大蔵大臣と折衝するところに少し地方財政委員会としてはやりにくい点もありますが、併し金融のことであるから、その面について一応相談してやるということに、勝手にやつてしまうということもどうかということで、そこにはそれだけのことが地方財政委員会として不満足であるかも知れませんが、大蔵省立場を考慮したわけであります。尚大蔵省立場を考慮した点は五のところにもありまして、預金部が、これはどうせ預金部融資になりますから、預金部融資するということは実際にはなかなかやかましく言うのですが、そのときにもそれは金融機関立場に立つてやるので、併し行政監督的な事業内容審査には立入るべきでない。それは建設省とか何とかが、この仕事にどうだとか何とかといつたようなことをやかましく言うようなことまで立入ることは穏当でなかろう。これまではそこまでなかなかやかましいのであります。この金が返つて来るかどうか、貸したものが返るかどうか、やはりその金融者としての立場からいろいろ心配の余り聞くことがあるかも知れませんが、あまり余計なことまで立入ることは止めたらよかろうということを特に謳つたわけでありまして、大蔵省も若干は関與いたします。いたすのは大蔵大臣財政立場というよりも金融立場から関與するということを考えておるわけであります。それからあと起債の額を決めるにつきまして、公共事業の分と、それから災害復旧事業の分と、その他の分と三つに分けてありますが、多少これは性質が違いますから、三つに分けた次第であります。これは公共事業の分は、これは公共事業費として認められたもの、その負担額公共事業費として地方負担すべき額というものに応じます。併しまあ若干その財政事情によつて幾らか斟酌することもいいかも知れません。とにかくそういう負担額が主になつてそれで按分する。それから災害復旧事業の分は又災害復旧事業として、どこで負担するということは前の災害復旧費の問題で決まりますから、決まつた額で直ぐ按分をする。その他の分は今申したように、そういう地方債発行平均額をまあ大体基礎にして、財政状態を多少考慮して地方団体に按分するということで、団体別でこういつたふうに一応分けて、そうして按分するのでありまして、各地方団体におきまして、例えば地方団体一般事業分の中でどう使うか、どういうふうに割当てるかという、そこまでは干渉しない。とにかく全体の枠を決めて、そこで公共事業費幾ら災害幾ら一般幾らと分けます。それをこういつた標準によつて、それが地方団体がその団体別に按分して貰つて団体の中でどう按分するかはそれは地方自治体に任して、そこまで干渉しないという、こういうことにいたすつもりでおります。それは主として(三)、(四)、(五)であります。  最後公募公債とか、交付公債です。これは今申しましたのは、従来通り預金部融資して貰うということを予定しての地方債の分であります。公募公債として起債をする、これはこれまでの例もあります。例えば学校を作るときに公募公債で以て市町村民に呼びかけまして、学校のために、教育のためにして呉れと言つて一般の市民から地方債を起すといつたものであります。そういうものとか、交付公債で銀行なり何なりに交付して渡す交付公債、そう言つたものは前に申した分とは別にいたしまして、これは地方団体が任意にできるようにする。今申しました主な分は預金部を通しましてやりますが、それにつきましても、こういう制度ができますれば、これまでよりもよほど楽に、私共理想から言いますれば、もつと自由にしたいのですが、これは又恒久的の問題のときに申します。今の段階では或る程度、このくらいのところが適当でないか。一足飛びに変えるということも如何と思いまして、暫定的に二十六年度は先ずこれでやつて貰いたい。こういうことであります。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上の説明に対しまして御質問を願います。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この三つのどれでもいいですか……。私は三の地方債の点について伺いますが、その中の(二)に、大蔵大臣と協議してと、さつき議長から御説明の点ですが、まれは大蔵大臣と協議しでとなつておりますが、自治体側としては自治庁長官国務大臣がおるのですが、そういうものにはこれについて何ら触れてない。單に金融の元締であるから大蔵大臣と協議するというのですが、こういう際に自治庁長官たる国務大臣をもう少し活用することはお考えにならなかつたのですか。
  6. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) さようでございます。特に大蔵大臣謳つて自治庁がないのに、恐らく自治庁地方財政委員会と緊密なる御関係をお持ちになつておりますから、別に謳わなくても事実上地方財政委員会で、自治庁の御意見というものはお決まりになるのではないか、自治庁の御意見が自然に、この財政委員会の方にも反映するだろうと、そう考えましたのであります。大蔵大臣というものをここに入れたのは、行政監督立場でありませんで、自治庁というのは地方行政を連絡監督するから、地方行政世話をしておるということですから、従つてここで自治庁と並べないで、大蔵大臣としましたのは、先刻も申しましたように、むしろ金融立場です。金融機関を與つている金融の枠を決めたり、起債というものは金融機関影響を及ぼしますから、地方起債のために金融影響を受けないということのために、金融が刺戟を受けないようにいろいろと苦心をした。そういう金融を管理しておる大蔵大臣立場としては、これは特に自治庁とは別の意味を以て地方にするのだと、こう考えました。大抵地方財政のことは自治庁の方が私よりもはつきりとお答え申すかもしれませんが、自治庁というものは、その起債をどうするかとか、税をどう決めるかとか、税法をどう決めるかということ、この起債の問題につきましては、特にこの地方財政委員会の方で以て全部お決めになる。内部的に或いは地方自治庁のことはいろいろと聞いておるかも知れませんが、大抵地方財政委員会で以て、起債許可というようなことは御決定になるものと存じておりまして、これでよくはないかと思つております。何か連絡とか、行政の面での世話自治庁でありましようが、財政の方は、財政委員会で以て十分お決めになるので、一々自治庁の御意見を聞くというような形をとらなくてもいい筈だと思つております。ここに自治庁の次官がおいでになりましたから、その点はよくその方からお聞取り願つて欲しいと存じます。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その前に、今の神戸機長の御苦心の点はよく分るのでありますが、これを改正なさらんとする趣旨は、やはり種々今までの起債手続その他が煩雑であつて地方自治のために弊害がある。もつとそれを簡略にすべきであるという御精神から出ておると思うのですが、今の御説明の気持はよく分りまするが、御承知通り他方起債の一番の癌は、財政委員会が見積る総額だけを決定いたしまするが、最終決定大蔵省決める、そこに非常に決定権大蔵省にあるために、それを中心として、実際は起債の場合に必要以上に大蔵省が監督するというふうな立場に立つて今までやつて来た。従つて今日の地方自治庁行政地方財政委員会が握つておりますが、真に地方自治のために味方にならないで、むしろ大蔵省のために阻害されるという現状であつたのですが、ここにやはり今の御説明の気持は分りますが、大蔵大臣と協議してと入つておりますと、その他の点については御改正になつておりまするが、やはりこれが大蔵省としては非常に強味になつて、やはり従来の弊害がなかなか除去されないのじやないかということを私は心配するのでありますが、先般神戸議長はアメリカにもお出でになりまして、いろいろお調べになつたと思いますが、参考のために、起債というような場合にアメリカ等におきましては、どういうふうになつておるか、やはりここに大蔵大臣と協議してとお入れになつておるが、そういう視察をなさつたりしたような、そういうことも原因をなしておられるかどうか、その点も併せてお聞きしたいと思います。
  8. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) それはアメリカはすつかり違いまして、アメリカは近頃は漸次中央集権的になり、中央で以て地方のことに干渉するという傾向もできつつありますけれども、併し向うは、アメリカにおきましては、地方のことは元来地方自治でやるという、これが当然だと考えておりまするので、中央から干渉するのは言外だ、日本などは、むしろ干渉して指図するのが当り前であると考えておりますが、そこは根本から違つております。そこで地方債などにつきましては全然中央は関與しておりません。自由です。ただ地方債についての制限というものは一つある。それはチヤーターの中に、例えばサンフランシスコならサンフランシスコという町のチヤーターがありますが、條例と言いますか、或いは町から言えば憲法でしよう。その町の憲法の中に起債の問題については最高額が例えばその地方団体の範囲内における財産税の評定財産額の確か一五%まで、それ以内は地方団体が勝手に起債できるようになつております。そういうふうに自主的に必要に応じてやつて行くということでありまして、私の行きましたところのロチエスターなどは、最近数年間一文も借金をしないでもやつているなんて自慢をしていたと思いますが、最高額さえ決めれば、それ以内は自治的にやつているようです。日本は御承知のように歴史があります。とにかく預金部から融資を受けるということになつておりますから、つい大蔵大臣の干渉を受けるということになります。漸次交付公債とか或いは公募公債を殖やすとか、更に私共の理想としては、例えば地方団体のために地方金庫でも作つて、これは大都会とか、大都市などは自由に起債ができますけれども、中小市町村というようなものになりますと、なかなか金融というものはむずかしいでしよう。弱体の地方団体のために何か特別の金融機関でも作るということを考えて、もう少し大蔵省の勢力から離れて、起債が自由にできるような途を漸次開きたいと思つております。そこで最後のところに公募公債とか何とかいうのを謳いましたのは、もつとその途を開くように、窓口をあけるようにという意味であります。そういつた次第でありまして、日本はちよつとこれからすぐ断ち切る、預金部との関係を断ち切るということもむずかしいかと考えております。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の議長の御説明はよく私もそのお気持は分ります。そのお気持は分りますが、ここに單に大蔵大臣と協議してということになると、非常に広い意味にとれますので、そうすると、やはり従来の関係もあるから従来通り相当の強い権限があるものと考えて、やはり必要以上の監督をするということが出て来はしないかと思うのですが、今の御説明で、やはり本来はもつと遡つて地方自治体のための金庫を必要とするというようなあれも一つの案であると思うのですが、さつきの大蔵大臣と協議してという意味は、金融を付けるという意味からであるというようなお話であるならば、むしろ單に大蔵大臣と協議してというのでなくして、財政委員会決定した許可額については、金融機関から値入等について大蔵大臣が協力すべきであるという、大蔵大臣は協力しなければならんというような責任を持たしたらば、そこに範囲が限られますから、そこに私は非常にはつきりして来やしないかと思う。ただ單に大蔵大臣と協議すべきであるということになると、その範囲が広く解決できまずから、やはり依然として従来の弊害を伴うのではないかと、私は思うのであります。尚金庫も一つの案でありますけれども、こういう弊害を除去するのには、やはり今のお話の、私も予算の編成権が大蔵省にあるために、必要以上に大蔵大臣が監督する。自分のものをやるんだというふうな考えになつて来る虞れがあるので、私は根本的には現在の予算編成権を総理府等に移して、大蔵大臣であろうが、地方自治の長であろうと、外の大臣でも同等の立場においてやはり予算検討して貰うという立場に置くのが私は本当ではないかと思うのですが、そこにまだ至つておりませんので、止むを得ないと思いますが、やはり大蔵大臣としては單に協議というふうなことになると、解しようによつては非常に広汎に解して、大蔵省は自分の都合のいいように解釈するのではないか。このことを恐れるのでありますが、今議長のお気持は大体分りましたけれども、でき得べくんば大蔵大臣と協議しての範囲を金融に限つて置いて、それに協力しなければならんというような文句でも入れれば更にいいのではないかと思います。
  10. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 今の西郷委員の質問に対しまする神戸先生の御答弁に関連してでありますが、アメリカのそういうことに対する政府の干渉の問題でありますが、最近やはりいろいろ実情を御視察になつたのでして豊富な知識を持つていらつしやるわけなんですが、こういうことではないかと思うのです。結局御答弁によりますと、そういう場合についてはただ一つの制限がある。それは即ちシテイ・チヤーター、チヤーターはシティの場合だと思いますが、市憲章の中に最高額が規定されているということの御答弁でありましたが、結局それはチャーターというものは自治体、殊に都市に対して、ステート、州のガヴアーメント、即ちステートの議会がそのチヤーターを與えるわけで、その州の議会から與えられたチャーターを基本にして自治体の行政が行われるわけなんです。だからこの州々によつて自治体に対する議会があつたらチャーターが違いますし、同じ州においても又自治体においてチャーターの内容が違つておるわけです。そこでカリフォルニア州においても、ロスアンゼルスとサンフランシスコとはチヤーターの内容が違つておる。例を挙げれば日本の市会議員に当るものの名称からしても、片方はオルダーマン、片方はスパーヴアイザーというようなことを言つておるわけで違うわけなんですから、神戸先生の御答弁も勿論そういうことは御理解の上でお話になつているんだと思うのですが、今の最高額の制限があるということも、これは米国全体を通じての共通的なことではないんであつて、今言うように日本の市会議員に当るものの名称は同じ州においてもチヤーターによつて、都市によつてつておるように、そういう最高制限度をチヤーターの中に決めているところもあれば、決めていないところもある。そうしてこのことはチヤータの中に決めていないところの方が資本主義的な自由の強いアメリカとしては非常に多いと思われるのですが、先生のお話では共通的に決めているように思われますが、私はそうではないと考えておりますが……。
  11. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 私の説明が言葉が足りなつかたのですが、制限をするとすれば、そんなぐらいの制限であつて、それ以上制限しない、皆自由にやつておるということでありまして、別に制限のないところもおるわけであるし、私はただ一例を以てサンフランシスコというものを申上げたので、どうかそういうふうにお考えを願いたいと思います。向うでは起債などは寛大にやつて、そんな工合で制限すれば、それくらいの制限ということで、制限せぬでもよろしい、こういうふうにお話を申上げておるのであります。お説の通りであります。
  12. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さつきお話がありましたが、この点は非常に重要な点ですから、小野政務次官からも、その立場から一つ意見を伺つて置きたいと思います。
  13. 小野哲

    説明員(小野哲君) 私からもお答えをいたしたいと思いますが、この勧告は出たばかりでありますので、勧告に対しての政府の見解を申述べることは差控えたいと思いますので、御了承願いたいと思います。地方債の取扱につきましては、各地方団体その他からもできるだけ簡易化して貰いたいということの要望が強いということは御承知通りであります。又先程西郷さんの御指摘になりました大蔵大臣と協議することの程度なり、或いは意義につきまして、神戸議長からも御答弁がありましたが、地方自治中等の立場におきましては、できるだけ地方団体等の要望を参酌いたしまして、地方債の扱いについてはできるだけ簡素化して参るようにということを考えて参つたのであります。尤も地方財政委員会がその設置法に基いて地方債決定許可をいたすべき権限を持つておりますことば、神戸議長からのお話の通りでありますが、同時に地方自治庁といたしましては、勿論内部的に必要に応じて連絡をとることは申すまでもありませんが、地方行政及び財政制度として考えなければならない問題につきましては企画をいたす、又は必要な法案の立案もいたすことになつておりますので、地方財政委員会と具体的にどういう取扱をすることがいいか、又どうすることが最も望ましいことであるかどいうことについては、制度の問題としても地方自治庁においては研究をいなすべき必要があろうかと考えておつたのであります。従いまして今回の勧告が出ました場合において、地方財政委員会とも十分に連絡をとりまして、これに必要な手続措置を講ずることになるであろうと考えておる次第であります。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点神戸議長に伺つて置きたいのは、大蔵大臣と協議してとお入れになるといつた場合には、無論独自の立場でなさるのでしようか、財政委員会の意向というものは実際に御参的なすつたのでありまするか、又こうお決めになつて勧告したのですが、財政委員会はやはりこれについては、今の現段階については大蔵大臣と協議をする、これはやはり止むを得ないのだという考え方であるのかどうか、その点は如何なんですか。
  15. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) そこまで申上げるということは如何かと存じまするが、率直に申し上げます。この点につきましては大蔵大臣意見も聞き、更に自治庁長官意見も開き、財政委員会意見も一応聞いております。聞いておりますのですが、大蔵大臣立場から言うと突つ込んで干渉したい気持が多分にあります。自分のところの仕事だ、これも自分のところの仕事だというように、すべて広い意味の自分のところの、大蔵省仕事であるというような気持がありますし、自治庁なり、地方財政委員会なりから申しますと、ただ大きな枠、地方債の本年度の四百億なら四百億地方債を認めるという枠だけは、これは金融情勢というものによつて左右されるのだから、この決定だけは大蔵大臣と協議するということにして、あと全部地方財政委員会が独自の見地で決定したい、こういう気持があつたようです。それも一つ考え方であります。枠だけでいいのだ、あとは全部地方財政委員会決めるということにも考えましたが、大蔵省というものはなかなか承知しない、大蔵省というものば在来の考えを容易に捨てないのですから、そこで大蔵省の言分を半分関いたということですから、言つて惡いかも知れませんが、金融機関立場というものがある。それは大蔵省というものは關與しておるのたから、その立場から多少關與するということは、金の貸借りの問題だから止むを得ぬだろうというように考えまして、実は妥協的な決め方にいたしまして、余り大蔵大臣は関與してはいかぬということを謳うために、特に五というものを設けて、しつかりそこで、無暗に余計なことは言つちやいかぬ、或いは金融の範囲内においては大蔵省意見というものは相当強いけれども、あとのことは地方財政委員会になるべく任せなさいという意味勧告であります。併し私共は暫定的にこういう妥協的な不徹底なことを勧告しましたが、恒久的なもう少し長い期間に亘るところの地方債の問題につきましては、もつと自由な立場におつて率直に案を立てたいと思つております。これは後のことでありますから、今からお約束はできませんが、自分の気持はそうであります。併し委員会は委員が五人おりますから、なかなか皆の意見を総合いたしますと、私共の方は財政委員会とか、地方自治庁立場の方に大きな同情を持つておりますが、併し中には余融に詳しい人もおりますし、その人は相当強い意見で、それを無視することはできませんので、委員会としては、こういうふうに妥協的な案ができました。併しこれはいずれにしても暫定的なものでありますから、どうぞ御不満の点は御了承願いたいと思います。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今、議長の御説明でよく私も分りましたが、何しろ又二十六年度の予算も、又補正予算も非常に問題になつて来るのですが、神戸議長をして大蔵大臣と協議してというこの文句を入れしめたことは、大蔵省にとつては誠に大成功であつて、非常に喜んでおるのではないかと思うのですが、現在の池田大蔵大臣は非常な強い心臓の持主でありますから、こういうふうなものが入ると、従来の過去のいろいろやつて来たことを見ても、やはり折角のものがなかなか弊害が除去されない、依然として弊害は弊害として残つて、これだけの勧告ではあるけれども、この点があるために、これは地方債の方がなかなか簡便に行かないのでないかということを虞れるのですか、どうしてもそれが入るなら止むを得ませんけれども、神戸議長としては今の御説明にもありましたが、大蔵省が勝手にこの大蔵大臣と協議する意味を広い意味に解釈して、強力な監督等をしないように、何かの機会にこの意味一つ限定して、議長の御意見を発表しておいて頂くと、或いは非常にいいと思いますが、何かの機会に一つそういうことも考えて頂きたいと思います。
  17. 相馬助治

    ○相馬助治君 議長にお尋ねしたいのですが、勧告書の中に、災害復旧事業というものは被災施設の管理者がそれぞれの責任と負担とにおいて行うことが原則である、こういうふうに書いてございますが、今度の災害地なんかも視察して見て、こういう原則というものはまるきり日本の場合には逆であつて、いつどこに起るか分らない災害ではありまするけれども、台風が通過した場合に、従前に起きていた被害というものはやはり或る帶状をなして、どうしても同一傾向の県を通過しているということがはつきり言い得ると思うのであります。これは社会保障的な考え方で、それは又地方財政が非常に彈力性がないというところから、これは当然国が全額負担するということが原則であるというふうに私は考えているのであります。そういう立場に立つて私は次のことをお聞きしたいのですが、今度の平衡交付金の算定を見るというと、需要額というものをできるだけ小さく見積つて收入額というものをできるだけ大きく見積つているという傾向がはつきりあるわけであります。これは平衡交付金というものの総額が限定されているのですから、それをどういうふうに分けるかという、その分け方において非常に合理的なような説明をするために、総額が決まつて、無理な足らない額を非常に合理的なような顔をして補正計数だなんというて、我々素人には訳の分らない数字を担ぎ出して来て、ややこしい計算をしてこれを合理化しているというような嫌いが非常に多いわけです。今度の平衡交付金の分配によつて一番弱つているのは、大阪であるとか、東京のようなところです。ところが今度大阪へ行つて見ますと、ああいう大都市というものは、当然国がやつて然るべきではないかというような仕事までもやつているということを我々は見て来たのです。具体的に申しますと、港湾の修築の問題、高潮に対する防波堤の問題というような消極的な問題ではなくして、港湾の問題についても相当突つ込んだ計画を立ててこれをなさんとしている。これは單に大阪だけの問題じやなくて、そういうことができ上るならば、これは国家的な事業であり、国家的な利益になることは、これは論を俟ちません。そうであるけれども、起債というものが頭から決められているために、地方起債というものが地方債が許されないために弱つている。従つて某知事のごときは、地方債にまで一々こういうふうに文句を付けて、十分借りられる能力があるにも拘わらず、こういうように文句を付けて許されないというならば、公選知事なんというものを止めちやつて、今までのように任命してよこしたらいい、逆に公選知事ということの建前をとるならば、もう少しその府県の独自性に基いて起債の自由を許すべきである、こうまで極言しておりましたが、こういう特殊な問題については、議長としてはどういうふうにお考えであるか、この際お聞きしたいと思います。
  18. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 私も地方債の原則といたしまして、地方団体の償還能力というものをどこで押えるかは別問題といたしまして、償還能力の範囲内においては、地方団体が自治体である以上自主性を持つて、自分の責任において自由に起債できる途を開くということが、私はどうしても地方債の恒久的制度としては考えなければならないという立場を持つております。現段階におきまして、地方債について大きな枠があり、枠の範囲内において分配するというような窮屈なことは、これは特殊の現在の日本のこういう隣れな状態において制約されたことでありまして、どうもその理想とは遥かに遠いと考えておるのであります。私共がここに出しましたのはすべて暫定的なものでありまして、決して理想的でございません。先刻お示しのような、どうしても大阪市なら大阪市、大阪府なら大阪府として自分の港を護るために大々的に事業をやる、そうしてそれは大阪市なり、大阪府というような力の強い、能力の大きいところでは余程の額でも起債して欲しい。日本の外債に待つことはない。外交導入は……、アメリカから呉れなければ、外からでも自由に借りて来てどんどん起す、そうして復興するということもやらせるように持つて行きたいと考えておる次第であります。その点は私の考え方は、私共として余り理想とは考えておりません。どうぞ御了承願います。
  19. 相馬助治

    ○相馬助治君 その方向に一つ御努力願うことにして、もう一つ、この勧告に盛られておらないことなんですが、十分連関があるので、この際議長にお尋ねして置きたい点が一点ございます。従来国庫補助で一番大きかつたのは、義務教育費国庫負担法によるところの小学校並びに中学校の教員の給與の半額を国庫補助して頂くところのあの問題でございます。それが昭和二十七年度までは暫定的に府県が責任を持つてこれを支出する。それの裏付けとしては一般平衡交付金考えてやる、こういうことになつております。一番問題であるのは昭和二十七年度以降において、地方行政調査委員会は地方行政の再配分の問題と連関しまして、教員の結実の支拂の責任者を市町村にまで下す予定であるか、それとも県に留めでおく予定であるか、これを一つ試案がありましたら、お聞きして置きたいと思います。
  20. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) その問題はまだ最後決定になつておりませんので、はつきり私はここで申上げることもできませんのですが、義務教育費の分は、中学校と小学校の六・三の分は今のところ府県より下に落すというような考えの下に、県から市町村の方へ落すという考えで今のところおるようですが、そうなりますれば、やはり平衡交付金の中でも自然府県の分から市町村に落されるのであります。そういうふうになるだろうと思います。これはまだ決まつておりませんし、来年の分については私共その問題は恐らくもつと大きなことになるかと思います。
  21. 相馬助治

    ○相馬助治君 それが決まつておらないというのでしたならば、一つこの際意見を参考に申上げて置く次第であります。三、四分で申上げたいと思うのでありますが、大体この地方税の改正によつて最も私達遺憾としておるのは、府県財政が非常に脆弱になつて参つたということでございます。ああいう地方税で行くならば、そうして且つ又昭和二十七年の十月より教育委員会というものが各市町村にまで設けられるということになつておりまするから、あの二つの建前からいたしますというと、今議長が言うように、昭和二十七年度以降は市町村に下すということが極めて当然になつて来るわけなんです。そういう建前から行くと……。従つて試案がそうなつておるということも了解できるのです。ところがその二つの前提條件が皆日本の現実から狂つて来ておる、我々から言わせれば間違つておる。大体シヤウプ勧告によつて地方の自治体というもの、市町村に非常に重きを置いて、府県というものは單なる中間の何か連絡機関のように考えておりまするけれども、それはもう非常な私に言わせれば間違いである。同時に府県税というものが、遊興飮食税であるとか、入場税というああいう非常にはつきりしない浮動性のある税種目で以てやられる。これは将来府県財政というものはいよいよ貧困化する傾向があると思うのです。或いは地方税の方を我々は国会でどうしても直したいと思つておるのです。第二には、教育委員会が市町村にまで設けられて、御承知のように教育委員会は教員の任免権を持つておりますから、僅か教員を二十人か三十人くらいしか持つていないところにおいても、そこにできる教育委員会が任命権を持つておるという形というものは、日本の教育制度を根本的に破壊するものであるということを言われておるのです。一番いい例が、埼玉県の桶川では市町村で教育委員会を設けることができますから、二十上年度までを待たずにこの前の教育委員会というものを設けたのです。ところが二年経つた今日、これを持て余しちやつて、設けては見たけれどもどうにもならないから、今度半数改選が行われるのだが、ここのところは教育委員の半数改選はやらないで止めにしたいとなつたところが、法律で教育委員会を設けて半数は任期中の委員なのです。それは法律上許せない、こういうことで、町議会の議決と国の考え方とがここで衝突して、未だに解決することがないという現実が一つ生れて来ておるのです。そういうふうに市町村に教育委員会を設けるなんということは飛んでもない間違いであつて、恐るべき教育の破壊だという立場を我々はとつたのです。従つて我々も又国会において、そういう方面までに努力して、誤まれる破壞はいたしませんが……どうか行政調査委員会においても、この問題については文部省その他の意見を聽取して慎重にされ、敗戰国民の当然の義務として、日本の教育の財政というものを十分に考えられて、今の市町村に教員給の全額を賄わせるというようなことをしない方向に、県に留めて置くという方向に格段の御努力を願いたいと思います。それだけです。
  22. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 今神戸さんから御報告になりました勧告の中で、特に西郷委員が質問せられました地方自治体の起債に関する件ですが、この勧告意見には、ちよつと神戸さんのお話にも入つていましたが、外資は勿論含んでおるわけですね。例えば今日でも東京市が仏貨公債のようなものを募集して水道事業を完成したというような例がありますが、今後盛に地方自治団体がそういう外貨公債を起したり、外資を導入するようなことが起つて来るだろうと思いますが、この意見がそのまま継承されるわけですね。
  23. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) まだそこまで考えておりません。実のところ本当を申しますと、今の段階だけ考えておりますので、そのときはそのときで、そこまで考えておりません。併し私の考え方から行けば、大いに活用しなければならない。外資を活用しなければならないという気持を持つておりますが、そういうことで考えておりませんから、今の現状が続くものとして……。
  24. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 それは今申し上げたように、東京市の仏貨公債の面で、その他もあると思いますが、民間の会社においても外資導入についてはいろいろ問題になつて来ておりますから、そういうことが当然にまあ考えられることではないかと思います。それだけです。
  25. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 神戸先生にお伺いしたいのですが、今お話を聞きました中で国庫補助金の問題でございますが、これを大部分廃止して整理するということは非常に結構だと存ずるのですが、その場合に、例えば従来ありました供米に対する補助金のような、或いは供米督励金のようなものが補助金の形で農林省から出て参つたのでありますが、そういつたようなものを、これも又国と地方との事務配分の問題がはつきりしなければ、或いは明確を欠くのかも知れませんが、そういつたような地方によつていわゆる供米を余計出すところと、或いは殆んど出さない、非常に極めて少いところで分れると思うのでありますが、そういつたようなものを平衡交付金の場合に組入れた場合に、それの配分といつたようなものはどういつたような形になるのか、言換えればそういう事務と、今までは補助金一つ事務と結び付いているために、事務の分量と補助金の額というものが一応の関連性を持つて来たわけですが、平衡交付金の中に繰入れられた場合に、そのやる事務の分量と平衡交付金から分けて頂くそれらの金の配分との関係はどうなるのか、その点のことをお話承わりたいのであります。
  26. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) そういうことは実は研究いたしておりません。いずれ又そういう問題も精密に言えば考えなければならないと思いますが、そこまで実は考えておりません。
  27. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 それから次に災害復旧費の方につきまして、お伺いしたいのですが、災害復旧費のこの基本的な考え方、即ち被災施設の管理者がそれぞれの責任と負担とにおいて行うべきであるという基本的な考え方なんでありますが、どうも災害の実態から見ますると、やはり災害の起る県はしよつ中起る。而も河川災害につきましては、そういう感を深くするのでありますが、結局一種の国土的なやはり保險制度というものが十分ないということが、即ち災害を受ける県はますます財政の貧困を訴えるというような形になるのでありまして、そういう点から行きますれば、むしろこういう特別会計を設けまして、各府県が一定のその河川なり、或いは道路なり、或いはその広さなり、或いは財政力に応じて一定の保險金を納めるならば、国の方でその特別会計に相当の金を、ここにお示しにあるような金を導入いたしまして、そういうふうな形で処理する方が適当でないか、言換えれば基本的な災害の国土的な保險というものは国においてこれを負担する。或いは国において担当するのだ、こういう考え方の方が本当だろうというふうに考えるのですが、その点についての先生の御意見を承わりたいと思います。(私もすつかり同感です。高橋委員のお考えについては……。と呼ぶ者あり)
  28. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) この考え方はそういうふうに出ておりません。私共提案したのは、特別会計は国が財政上大きな災害を受けたときに、一どきに負担をするということでは国でも困る。彈力性のある国と雖も大災害に際しては困るだろうということだけを考えまして、国の特別会計も国の費用だけで賄い、国費から特別会計に繰入れるということだけ考えましたが、併し御説の通りもう一つ考え方は、この問題について可能でありまして、災害基金というようなものを作つて、そうして各地方団体も応分の保險料に当るものを分担し、国もそれに並行して何がしかを分担するということにして、そうしてやつて行くという考え方一つ考え方でして、これは曾て私共その案を一昨年でしたかの自治委員会で以て考えまして、そうして提案したことがありましたが、握り潰されてしまつたので、お説の通り一つ考え方で、別に私はそれに反対するものでありません。そういう考え方も確かに一つ考え方と思います。
  29. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 それから次に災害箇処一ケ所当りが従来平均十五万円になつておりましたのが、今度町村によつて十万円と十五万円に分れたのでございますが、これも総額については何かお考えなつたんでございましようか。言換えるならば一つの小さな村で最近の災害の例だと申しますと、何ケ所も方々に決潰場所がある。今までですと十五万円以下の工事でありますが、それが沢山ありまして、負担し切れないような町村もあつたのでありますが、そういう総額については何か一つ、例えば一ヶ所十万円以下であるけれども、総額が何百万円になつた場合において、或いはその町村において負担し切れない場合においては、こういう救済の途を講ずるとか何とかいう、その点についての御意見はございませんか。
  30. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) お説の通り五万円で切るか、十五万円で切るか、十万円で切るか、いろいろ三つ意見がありましたのですが、従来十五万円で来ておつたのですが、併し町村になると財政力も乏しいから少し低目にしろというくらいのもので、十五万円は府県が……五大都市では十五万円であるが、他の小さな町村においては十万円、或いは十万円でなく五万円にしても、場合によつてはもつと以下でも、私共はその数字には拘泥いたしておる趣旨でございませんので、或いは場合によつては小さくした方がいいかと思います。それ程までそういうことを詳しく研究はいたしておりませんが、然るべく研究を願いたいと思います。
  31. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 いや、私のお聞きしたいのは、金額が五万円、十万円、それも一つの問題ですが、そうでなくて、一町村が十万円以下の工事が沢山あつて、それがその町村で負担し切れない総額なつた場合、一ケ所から見れば皆十万円以下で補助の対象にならん、ところがそれが六十も七十もあつて、それが一町村では到底負担し切れないというような額に達した場合においては、その額についてはどういう措置を講じようかというような点についての何かお話合いがなかつたかというのであります。
  32. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 実のところそこまで話しておりませんので、私何ですが……。
  33. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 それから地方債でございますが、地方債の中で、私もこういう公的な問題に対して大蔵大臣と協議して決めなければならないという、こういうやり方に対して不満を持つものでありますが、その中で(二)のハの災害復旧事業分は、災害復旧事業費の負担額に応じて、地方公共団体にあん分する。」、この負担額というのは地方負担額という意味でございましようか。
  34. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) そうです。
  35. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 その場合の地方負担額といううちには、先程の県の場合なら十五万円以下、或いは町村ならば十万四以下の工事費もこれは入るのでございましようか。というのは、従来どうも十万円以下、十五万円以下のものは自分の負担だと言つて、殆んど起債が認められなかつたというのが従来の実情であつたわけなんであります。ところが先程の総額とも関係しておりますが、そういう点では非常に苦しむわけなんですが、この場合の地方負担額というものは、一切災害による自分の負担であろうと、或いは負担割合による負担額であろうと、一切の負担額を含むと、こう考えてもよろしいものでございますか。
  36. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) それではお答えいたします。それば私共もよくそこまで深く考えでおりませんでしたが、前の方の災害復旧費、二の災害復旧費の方で以て十五万円とか、十万円に満たないものは災害復旧事業とはみなされないということを謳つておりますから、それとの関連から考えますと、災害復旧とみなさないものを除いて、そういつた細かいものはむしろ経常的な收入で以て賄つて行くべきものであつて、相当大きいものというものを起債の対象にすると、こういうふうにこの文句から言えば解すべきが本当と思います。
  37. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 そうだとすると、先程申上げました通り、まあ府県の場合はそうでもありませんが、特に町村の場合におきましては、一ケ所十万円以下ということになりますと、総額については何らかのこれは措置をお考え願いませんと、実際の実情は一ケ所十五万円でも、場所によつては六十も、八十もあるというような場所で、起債も認められない、自分の財政負担もできないというような実例のあることも御了承願いたいと思います。最後にもう一点、(五)の「大蔵省預金部は、許可額の範囲内において発行される地方債に対して、融資を行うに当つては、」と、こうございますと、例えば府県知事が町村別の融資決めるのでありますが、許可額を決めるのですが、その町村に対して融資するような場合でも、やはり大蔵省預金部金融的な立場において、それらについては(五)の規定によつて干渉し得るということになるのでしようか。その点はどういう工合にお考えになつておるか、或いは(五)というのは(二)に対するただ注意規定として、協議をするけれども、その協議内容は公的金融機関としての立場だけでやるのだと、こういう意味なんでしようか。その点どうお考えになつておられますか。
  38. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 無論(二)の許可ということに非常に強い関連を持たせて考えておりますが、併し一旦市町村の分につきまして府県知事許可したという場合において、許可されたものは何でも融資されるということは大蔵省預金部立場を余り拘束するものでありまして、預金部立場としますると、やはり一応それは何がしかの文句を言うこともあり得ると思いますが、大体においてそういうことはなかろうと思います。(五)項の場合において余りひどい問題が来た場合には多少文句を言うことになると思いますが、精神大蔵省預金部というものは、大体許可貰つていたものなれば、もうそれをそれ以上やかましく言わぬという精神でありまして、併し何にも言わぬのだ、許可された以上は怪しいものでも、どんな危ないものを持つて来られても、一旦財政委員会なり、知事なりが許可した以上は文句を言わぬというわけに行かぬと思つておりますが、精神は大体この財政委員会なり、府県知事なりが認可した以上は、それはそれを尊重して、やかましいことは言わないという意味に解釈しております。
  39. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 ところが実際の問題は各村なり、町村なりというものは、許可証が必要なんでなくて金が必要なわけなんです。そこで実際は許可の書類をとられて、成る程知事なり、或いは財政委員会から許可貰つて来た。ところが実際の工事については実際の金が出ない。そこでいつでも引つかかつて、そうすると地方の財務局はどうするかというと、やはり係官を村へ一々廻したり、或いは村長を呼びつけて詳細なる書類をとる。そのために災害なら災害の復旧につきましても、非常なズレがあつて、その間非常な高利のものを借りるとか、或いは又村罠から借りるというような、非常にそこに二重監督と申しますか、実際の金が出るまでに非常に暇をとる、こういう実情なのです。そこで町村が異口同音なのは、一体どつちかにして呉れ、若し大蔵省に金を借りる方だけのあれなら、もうその方だけにして、一つ府県知事なり、或いは地方財政委員会も、そういう許可権などはどつちでもいいのだから、金さへ来ればいいのだから、従つて許可の権利などというものは何ら必要ない。而もそういう許可があるに拘わらず、お墨附を頂いたに拘わらず、そのお墨附を持つてつても、財務局の方で現実に金が出ないのじやさつぱり意味をなさぬというのが、これは町村長の悲痛なる声なんです。今日の新聞にも町村長の方は陳情が多いとか、いろいろだということですが、けれどもむしろ根本は、国みずからがお互いの行政機関を信用し合わずに、そうして二重にも、三重にも管轄し、或いは又事務を取扱うというところに、私は煩瑣なそういう陳情なり、或いはいろいろな問題の根本があるので、その根本の問題には触れずして、閣議の決定なり、次官会議で私は町村長の陳情はいかぬとか、いやどうであるとか、かんであるとかということは非常に本末を顛倒しておるので、その点を私はもつと根本的に掘下げて、実は委員会におきまして今度は非常な勧告が出ると期待しておつたのでありますけれども、恐らく私はその点で町村長が同じようでは非常に失望をすると思うのであります。従つてその点につきましては、十分一つ又更にお考えを願いたい、こういうふうな実情を申上げまして私の質問を打切ります。
  40. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 さつきの私の質問に対する神戸博士の御答弁の続きなんでありますが、外資導入及び外貨起債というような問題については、他方行政調査会議では考えていない。従つてこの勧告書のうちに盛られていないという御答弁であつたのでありますが、これは私は地方行政立場から当然に大きく最上げで一つ考えを願うべき問題じやないかと、私は考えておるわけ々のであります。殊に今日本の地方行政が当面しておる私は最大の問題は、先程来頻りに、この間起つた風水害の災害問題等が取上げられておりますけれども、そういう局部的な小さい問題でなくて、当面の最大の問題は私は戰災復興だと思うのであります。殊に都市の行政の面においては、それがもう非常に大きな国の問題であり、同時に地方都市の最大の問題である。然らばこれをどうして復興するかと言うと、私は結局のところ外資の導入より外に途がないのじやないかと思うのであります。共産党のごときは、外資の導入は日本の独立を害するというようなことを排米の見地から宣伝しておりますが、さつき言われましたように、東京都のごとき仏貨公債によつて水道事業を完成しな例もある。又ソヴィエト連邦自身もヒットラーに勝つたのは武器の貸與を受けたから勝つたのだし、日露戰争に日本が勝つたのもアメリカから金を借りたから勝つためでありますから、ああいう共産党の言つておることは何とも思つておりませんが、戰災復興が当面しておる問題で一番大きな問題と考えるときに、この復興の方法は何らかの形において外資の導入以外にはないと思うのでありますが、そうしてこの御意見によつて、又シヤウプの勧告によつても、これを災害と同じものと見るならば、国の事業になるわけでありますけれども、実際的に有力な物的担保力を持つておるところの地方自治体が、独立的にアメリカならアメリカから金を借りて自主的にこれをやつて行く、地方的にこれをやつて行くということの方が、それを完成して行く上においても非常に早道じやないかと思われるのでありますが、まあそういう問題をいろいろ考慮しましてその問題を少しも地方行政委員会勧告書のところにおいて考えられなかつたと言われることは、僕には非常にこう不思議のように思われますし、若しそうであれば、一つ地方行政調査委員会議においては、神戸博士或いは高橋誠一郎さん、その他の経済学者も沢山集まつておられるのですから、そういう点を一ついろいろ討議をして頂いて、できるならば、その勧告書のうちへその問題についての意見を盛つて頂くというようなことの必要があるのじやないかと、こう考えるのですが、如何でしようか。
  41. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) お説の通り、決して御趣旨に叛いておるわけではなくて、根本的には地方債につきまして自由に内外の資金を活用して行ける、財政委員会とか、大蔵大臣とかというものの干渉を、どこからか制限はあるかも知れませんが、最小限度に抑えまして、自治体が自主的に自分の復活復興のためにあらゆる努力を、そうして内外の力を活用する途を開くということが、どうしても日本の再建のためには重大な問題と考えまして、地方出漁にも適い、更に日本の再建にも適う誠に週切な事柄であると考えます。実は地方債の問題も考えますときには、初めには恒久的な地方債制度、更に暫定的な処理というものを三つ並行して考えましたが、ここに盛りましたのはほんの現在のやり方を、現在の状況の下において、少しでもこれまでよりは地方債起債なり融資が楽になるという方に持つて行こうと思つて協力いたしておりました。只今の根本的の起債の自由の問題もありますが、必ずこの次の勧告のうちには織込むことにできるだけ努力をいたすつもりであります。
  42. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 今の質問及び答弁に関連してでありますが、私はさつき申しましたごとく、当面しているところの地方行政の最大の問題、特に都市の行政の面からすれば、最大の問題は即ち戰災復興、特に緊迫しているところの住宅問題の解決だとか、住宅政策の実行だと思いますが、然らばこの当面している最大の危機的な地方行政の問題を如何なる建設的な方策によつて解決すべきかというようなことは、当然に地方行政調査会議の最大の問題であると、私はまあ考えるのですが、それについての地方行政調査会議においてどういう討議がなされたか、又神戸博士としてどういう御意見を持つておいでになるかということを、それに関連して、この機会にお漏らしを願いたいと思いますが、如何でしよう。
  43. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 委員会の中で、お説の問題についてまだ公式の討磯はやつておりません。私といたしましては、よくお説のことを念頭におきまして、県下盛り得ることかありますれば、この次の勧告のときには盛るように努力いたしますし、実際お説の通り地方自治というものが本当に自主的に活用しますれば、なかなかやるべきことが多くて、幾らつても多々ますます弁ずですが、併し現状におきましては、どこの地方でも、ただ現状を糊塗することだけで精一杯で、とても大きな規模の計画を立てる余裕を持つていないのが多くの地方団体の現状だと思いますが、これはいつまでもこうしておつては復興できませんから、是非ともこれは日本の復興、なかんずく地方団体の復興ということで大きな計画を持つて、雄大な計画と言いますか、とても日本の力では租税の、そこまで申上げるのもどうかと思いますが租税の限度以上を、自分から考えましても、自分達の收入と租税負担と、国債と地方債とを合計しで考えて見ますというと、我々曾つて考えておつたこととはまるきり違つたことになるのであります。現在の日本の租税というものは平時的なものでなくて非常に重い負担をしているという、こういうふうに思つておりますが、こういう事態の下において、これ以上やるということもむずかしいし、先刻お話になつたように、外国の力を巧みに活用して、そうして復興を図るということに持つて行くことか一群目の付けどころで、その点私も同感でありますから、一つもつとそういう問題についてもお互いに協力して研究をして行きたいと思います。
  44. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 極く簡單にもう一言希望のようなことを申上げて置きたいと思うのですが、地方行政調査委員会議に関する法案が国会に提出されるときに際しまして、この委員会の委員を選任するのについて、初め政府神戸博士等よりも、語弊があるかも知れませんが一段格の低いところの人間を委員に灘任して行くという考えでありました。ところがその筋においては、この極めて重要なところの委員会であるが故に、非常な大人物を持つて来た、即ちアメリカにおけるフーバー委員会、大統領をやつたフーバーが委員長になつているフーバー委員会に該当するような大規模なものでなければいかんというので、神戸先生のような大人物か五人選ばれて委員に選任されて委員会が構成せられて来たと思うのであります。そういう精神からしましても、非常に政治家的なステーツマンシツプに基いて、ビツグスケールにやはり地方行政のことを考えで頂くということの必要があればこそ、この委員というものが従来の地方行政のいわゆる專門家と言われていました内務省系の小役人から離れたフイールドの人を以てそれに当てているわけなんでありますから、とかく日本においては従来とも地方行政のことと言えば、地方の小役人、刀筆の吏のような見解でものを考えることが地が行政であるというように常識化されているのでありますから、どうか先程申上げましたようなことも含めまして、大政治家的な見識において一つ委員会を運営して頂きたい、又地方行政のことをお考え願いたいということを、地方行政委員会立法の趣旨に基き、又委員選任のその筋の趣旨に基いて、一委員として希望を申上げて置きます。
  45. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の吉川君の意見には私も非常に同感でして、これが触れていないということは誠に遺憾だと思うのです。やはり時期が時期だけに、外資導入の受入態勢をみずから先に整え、尚地方公共団体の注意を喚起し、復興にはこういう途もあるのだということを注意を喚起する上からも、又最近知事等も絶えず交替でアメリカにも行つておるのですから、そういうことを頭に置いて向うに行つて研究するならば非常に道が開けて来るのではないかと思うので、この点は議長においてなるべく早い機会においてこの点について勧告をするなり、又今回のこれについても追加ができるものなら追加するというふうな、何らかの措置をおとりになるように一つお願いします。
  46. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私はこの補助金制度の問題よりも、いろいろ全般的なことについてちよつとお伺いしたいと思うのです。この補助金問題は実際根本的問題が相当あると思うのでございますが、結局今の神戸さんの申されました日本の税制問題でございます。この問題に対しまして、政府が所得税で皆とつてしまつておる、そうしてそのあと又一八%を市町村民税でとる、こういうことになりまして、又外の全部のものをとつておる、そうして現在の日本の状態が衣食その他が非常に多いので、アメリカその他から言わせると、日本の税金は可なり安いなんて言いますが、実際のことをいうと、食つて行かれぬというのが殆んどの状態であると思うのです。それで政府が所得税をとつて置いて一般交付金で流している、こういうことになつておりまするのでございまするが、これを所得税の中の或るパーセンテージ、五〇%なり、六〇%なりを国がとる、或る三〇%、つまり地方団体へ返す方面が一般交付金になるというような考え方、或るパーセンテイジが災害とか、或いは貧困、その地方によりまして非常に良い土地もあるし、惡い土地もある、これらのバランスをとると、こういうようになつて行くのじやないかと思うのです。それに又各地方自治団体にも小さいのも大きいのもある、こういうようなわけでありまするのでございまして、補助金制度というものは日本がずつと非常に寒い所から暑い所まである、こういう寒帶、温帶、いろいろのものがあるから、補助金でうまくバランスが取れたやつを一般交付金の中に入れてしまつておる、そうして又補助金を非常に制限して行きますと、その配分というものが非常に困難になるのじやないかと、私しよつちゆう考えるのでございますが、それで今度平衡交付金をとるには陳情団がどんどんやつて来なきやならん、こういうことになると私は思うので、そういたしますと、一般交付金の配分に対しまして、まあいろいろの問題が起るのでございますが、これは実際地方財政委員会だけで本当にやつて、外の省というものはオミットしてしつかりやれるかどうかこの点を一つお伺い申上げたいと思います。そうしてもう一つは、地方自治体の小さいのも、この頃新聞によりますと、五千円或いは六千円ぐらいでやる、こういう言葉を申されて新聞に出ておりますが、この問題は実際今の配置分合というような関係と思いますが、いざやろうというときには相当強力なものでやらなければならんのですが、それをやれるかやれんか、この問題に対しまして議長さんはどういうふうにお考えになつておるか、実際我々は地方に参りまして見ますと、小さいものでありまして、警察問題或いは教育問題、こういうものが絡んでおりますから、何とかしなきやならん、併しそれにはやるにはどういうようなふうでやらなきやならないかということも一つお伺いしたい。  もう一つは、県の問題でございますが、県と市町村との問題で、いろいろ現在地方行政の再配分問題で、市の方ではいろいろの研究をしておられるのでございますが、県と市との問題はどういうふうにお考えに相成つておるか、県の方では、先程もいろいろお話が出たのでございますが、税制問題で不安定な税制ばかり貰つてとてもやり切れない、こういうような問題を申しております。県では実際やり切れないような状態になつておりますので、こういう問題に対しまする御見解を、ここではちつよとどうかと思いますがお伺い申上げたい。
  47. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 平衡交付金で以てうまく行けるかどうかという問題ですが、平衡交付金の問題も、今の制度が余り複雑であり、余り緻密であつてちよつと分りにくいので、もつと分り易く而も合理的にしたいという考は一般に認められておる点でありますが、併しなかなかよく考えて見ますと、今の平衡交付金も相当精密にできておりまして、余り荒つぽくすれば又自然に不公平が増して来まするし、むずかしい問題だと思いますから、併し我々もこの問題につきましては、どういうふうにしたならば誰にも分り易くて、而も合理的で公平になるか、もう少し改革することにつきましては、一段と考えたいと思つております。  それから地方団体の適正規模の問題でありますが、これは実はむずかしい問題でありまして、併しさりとて仕事配分いたします以上は、仕事が背負い切れない、処理できないようなことでは、折角配分しましたのが無駄になりますから、殊に市町村に重点を置いて仕事配分します以上は、市はとにかくといたしまして、町村の規模という問題は是非取上げなきやならんというので、私共近く再配分の問題を勧告案に盛りますと同時に、少くともこの町村の適正規模だけは副えて出したいと考えておりまするが、市の方はこれは大低いいと思います。殊に大きな市になりますれば、十分に仕事を背負つて行けると思います。その点におきまして市の方は、むしろ有力な市というものは場合によつて府県と同額に大体費用を見ますから、果してそういうことがいいか惡いかということは尚検討の余地のある問題であります。府県が今日新らしいシヤウプ勧告の線に沿つた税制改革によりまして、税收入が団力性の乏しいものになつてつておる。或いは府県民の間の繋りが密接でなく、間接税的なものばかりになつて直接税的なものがなくなつたということは一つの大きな弱点と私共考えております。つきましては、場合によつて府県というものも何か財政上立ち行くような方へ持つて行かなければならんということも考えられまするし、そのために一面においては府県の併合ということもやれるかも知れないし、而もそれに伴う弊害もありまするし、私共又それを実行するについてのいろいろな困難もありましようし、一概にそれをいいとも断定もできませんが、いずれにいたしましても、そういう同類も無論我々としましては逐次考えて行くつもりであります。府県の問題につきましては、これは後廻しにいたしております。一番むずかしい問題だと考えますので、恐らく一番最後になりまして考えますが、その結果においては現状維持ということになるかも知れませんが、併し財政問題につきましては、これは私は今回は謳つておりませんが、いずれこの配分が決まりますれば、決まつた上で、どうしてもこの財政の根本的な改革案を考えなければならん。こう考えておりまして、その節におきましては、府県税の問題についてもまあ或る程度改革考えを織込むことができると予想いたします。この点は割合私共学者の立場において自由に考えることができると思いますが、併しこの府県の併合の問題につきましては、これは私共の立場において随分むずかしいものである。政治的に考慮すべき問題でありますから、容易に結論が出ないかも知れませんが、併しこの問題についても一応触れて考えまして、その上で府県の何らかの方で以て立ち行く、費用の上から或いは税源の上から立ち行くように持つて行きたいと考えております。
  48. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今のお話でありますが、私は特にお願いいたしたいと思うのは、結局この地方行政委員会会議で、時に神戸先生が学者の立場、まあいろいろのフリーの立場と申しましようか、政党とか、いろいろのものを抜きにいたされまして、はつきりした線で強力に一つ勧告願うことがいいと思う。政府と御相談になつてつておられるならば同じものだと私共考えますので、一つ強力にやつて頂いて、あとの批判は国会がやり、政府がやりますから、政府と相談いたしておやりになることは私共としては不公平だと思う。そういうことであります。そこのところを申上げたいので、今申上げましたのですが、学者的立場という立場に立つて勧告する立場から勇敢にお出し願いまして、我々がいろいろな会議に出て見ましても、自分の都合のいいことばかり言つておる、それでは実際我々の頭がぐらぐらしてしまいますので、一つ先生にお願いしたいのは、勇敢に御勧告になつて頂きたい、そうして批判すると申しますか、結局はいろいろなものがやるのですから、お願いしたいということを申上げたのであります。
  49. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 簡單に二つお伺いして見たいのです。今度の勧告は明年度の予算編成を控えて、二十六年度において実現すべき事項を内容としたという点について勧告されておるわけですが、その点について、第一点はいわゆる災害復旧費の問題でありますが、これは「国は、毎年度の予算に、災害復旧費の過去五ケ年度における国庫負担額平均額」と、こうなつておりますが、明年、差当り「(明年度においては、過去三ケ年度に発生した災害につき、この勧告の方式に従つて国の負担に属する災害復旧費の額を物価指数等で補正した額の平均額)を計上すべきである。」、こうなつておりますが、この勧告趣旨でいうと来年度の負担額幾らになるのですか。
  50. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) はつきり私も数字をお答えできませんが……。
  51. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 数字が大切ではないですか、来年度の、二十六年度の予算編成に関するところの災害復旧費の計上に関する一つ勧告なんですから、抽象的な問題でなくて、これならば幾ら災害復旧費を二十六年度において政府が計上すべきであるということがはつきりしなければ、抽象的ではしようがないと思います。「(明年度においては、過去三ヶ年度に発生した災害につき、この勧告の方式に従つて国の負担に属する災害復旧費の額を物価指数等で補正した額の平均額)を計上すべきである。」という勧告、これは幾らになりますか。
  52. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 御質問は括弧内の言葉というものが具体的の数字を示してないという……。
  53. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 いや、そうではないので、幾らになりますかということであります。
  54. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 金高ですね。金高は私もはつきり計算しておりませんけれども、補正することは必要でありますから、ちよつと私の方はこれは……。
  55. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 調査委員会議では決まつたのでしよう。決めなければ、政府がこれによつて予算を編成しなければならんのだから、幾らということを委員会で決めたのでしよう。計算してあるのでしよう。
  56. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 私は計算いたしておりません。
  57. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 百億より多くなるのですか、少くなるのですか、政府では百億計上しておるか……。
  58. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) そんなことはありません。百億と申しましたのは補助金です。補助金がこのくらいになると……。
  59. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 国が負担する部分、災害復旧費についての国が負担すべき部かについての今計上すべきものでありますから、百億に解釈するのじやないのですか。
  60. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 鈴木君に申上げますが、今日は大野事務局長が病気欠席で、代理として小熊調査第二課長が見えております。午後も見えますから、それまでに大体のことを当つて見て……。
  61. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 それじやもう少し調査して頂きたいと思います。この地方債について、手続きについてでありますが、問題は筋力債の総額をどの程度にすべきであるというような御見当を持つておりますか、来年度において……。
  62. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 地方債の額ですか。
  63. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 いや、二十六年度においてやるべき地方債総額についての御見解があつて、そうしてそれを按分するという形になつておりますが、総額が非常に重要だと思います。
  64. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 総額もこの数字は私共としては決めておりませんので、それは結局地方財政委員会大蔵省と話合いの上で、今年は前の年度よりも増額するとか、或いは減すとか、適当に四百億とか、五百億とか決めることでありまして、その決めたものをここに書きましたような方法で以て按分する。こういうのでございますので、それは政治的に財政委員会大蔵省との折衝の結果決まるのでありまして、決め基礎というものは、金融の方面と十分に連絡をとらなければ決まらぬことでありまして、これ又別の方面においてそれぞれの手続きを以て決まることであり、私共としては別段総額もどれだけにしようということは決めたわけではありません。併し私共の理想と言いますか、自主性を持つ立場から言いますと、できるだけ多く、本当に必要であるならば十分に盛つてつて頂きたい。これまでのように地方の要求の三分の一くらいしか認められないということは不満である。できるだけ地方のために起債の余地を與えたい、こういう気持でおりますけれども、金高はどうも私共としては別段に予定いたしておりません。
  65. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 総額については、この委員会においては触れないというお話でございまして、その方針もよく了解いたしました。併しながら災害復旧事業につきましては、三ケ年度において工事を完成する。それで年度が私は五十、三十、二十の方がいいと思うのですが、勿論これはいろいろ御研究の結果、第一年度は三十、二年度は五十、三年度は二十でありまして、こういうふうに分けて復旧するという御計画のように勧告案になつておりますが、これによりますというと、災害復旧事業費というものは、おのずから総額災害事情によつて決まるわけですから、少くともその年度においては、三〇%に要するところの国の負担分というものは当然これは按分でなくて、当然これは起債として認められなければ、三〇%の事業は行われないことになるわけでありますから、従いましてむしろ起債総額を予め政府において決めるというよりも、災害復旧事業費というものが、おのずから災害が発生したことによつて決定されて、そうして第一年度には三〇%、二年度には五〇%、三年度には二〇%というものに関するところのその国の負担分というものは当然起債の中に織り込まれるべき性質のものであろうと思うのです。その点については如何でしようか。
  66. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 御説明通りであります。初年度に三〇%、初年度は当然そう多くというわけには行きませんから、第二年度に多くというので、三十、五十、二十というふうに、私共余りひどく拘泥したわけではありませんけれども、初年度はやや少く、その次にしつかりとおやりを願う、こういう趣旨でありまして、そうしてそれでやりましたそういう分を、公共事業費の中の分は地方財政の全体の枠で以て公共事業の部分と災害の部分と、それから一般分と分けておりますから、公共事業分なり、災害の分なりというものは独立に考えまして、それは多ければやつて、他の割振りが少くなる。こういう関係でありまして、この方は急を要するものですから、是非とも災害復旧負担額はこの方は十分に盛つてやるぞという趣旨でありまして、一般起債の方は自然と、公共事業費災害復旧費と二つを除いた一般事業の方は相当彈力性を持たして、場合によつては辛抱しなければならん。何しろ災害復旧費の方が独立の項目として、これについてはよく按分する、こういうことを謳つておりますので、その趣旨であります。
  67. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 これで最後になりますが、そうしますと、起債総額というものの算定は、政府大蔵省において決めるものについて総額は按分するのじやなくして、先ず第一に災害復旧事業については、当然その年に起つたところの災害復旧総額の三〇%に関するその国の負担分は全額見積らなければならないということが一つ。第二、公共事業というものは国として予算が出ますから、その国で予算ができたところの部分の、地方団体負担すべきところのものはこれも全額当然計上されるべき、許可されるべきものであろうし、次に第三点の、他の一般事業分については過去三ケ年度の地方債発行額の平均額ということを基準としてやられておるのだからして、そのもので計算したところのものの総額、この三つの要素を計算して、それで以てでき上つたところのものを基礎として、その当該年度の起債総額というものが決定せらるべきものであるという考え方からいわゆる勧告がなされたものであろうと思いておるのですが、いわゆる只今議長のお話によるというと、国の財政事情によつて総額決めて、それで按分するということじやなくして、これは三つの要素で当然地方債というものの総額は決まります。それのプラスしたものが盛り上る計算の上において地方債というものか許可され、総額決定されるのだと、こういう勧告内容だと思いますが、それは如何ですか。
  68. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) それはお話の通り三つのものをそれぞれの標準によつて決めまして按分することになるわけです。按分しまするからして……。
  69. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 按分のことは聞いておりません。これは各府県なり、市町村なりに対する按分でありまして、いわゆる国全体の地方債総額決定方式を開いているのです。
  70. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) 決定は大体においてやはり先ず各公共事業なり、或いは災害復旧なり、或いは一般事業なりというものにつきまして、どうしてもこれだけ要る、例えば千億なら千億要るという計算が出ますと、それは是非出さなければなりませんが、併し金融関係から恐らく大蔵大臣の側からこれを一千億を八百億にして貰いたいとか、或いは何百億にして貰いたいということになれば、やがて多少の抑制が各部に来るという結果になりますが、一応は全部を合計して、その基礎の下に考えた上で状況によつて多少斟酌する、こういうことになるだろうと思います。
  71. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 実は先程竹中君からお話がありましたけれども、大蔵大臣においてこう決めるだろうとか、いわゆる政府がこう考えるだろうというようなことを頭において勧告されるのでは勧告ではない。いわゆる勧告国会なり、政府に対する強い勧告であつてその勧告政府がどういうふうに受入れるとか、国会がどういうふうに受入れるというようなことを考え勧告される……。まあそれもそれでありましようが、少くとも地方債というものはかくあるべきであるという毅然たる態度でやる場合においては、その最終は政府がこういうふうに決めるであろうというようなことは私は何もお聞きしているのではなくして、その勧告内容を見て、その内容からどういうふうに来年度の災害復旧費というものは計上されるべきものである、幾らになるものであるということが自然勧告から出て来るものである。又この地方起債総額も今公共事業分、それから災害復旧の分、一般事業分というものが、おのずからこれはもう決まるわけですから、そうすると、国の負担分というものは当然地方起債にそれが計上されなければならいなものである。こういう強い考え方から私は勧告されておる。それを大蔵大臣はどう見るかということは、私は何もお聞きしているのじやないので、その勧告内容をお聞きしておるわけです。
  72. 神戸正雄

    説明員神戸正雄君) お答えしますが、この勧告は過渡的な暫定的なものでありますから、どうかそのかくあるべきだということの理想的なのではありませんので、理想的な問題はこの次にして頂きたい。これは本当の、実はいろいろその実際の状況を聞きまして、これまで少しでも地方債起債なるものが幾らかでも緩やかになるようにというだけの勧告で、極めてそういう点につきましては、まだ理想には達しませんから、どうかその意味で御解釈願います。
  73. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 午前中はこの程度で……。
  74. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれで休憩にいたします。再開は二時にいたします。    午後一時一分休憩    —————・—————    午後二時二十六分開会
  75. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 委員会を再開いたします。今度は行政事務の再配分に関しまして、各省から地方行政調査委員会議意見書を出しております。その中で国と府県市町村事務はなかなか錯綜している、それで厚生省、農林省関係を先ずこの委員会で取上げて御検討を願いたいと思うのであります。今日は厚生省当局に来て貰いまして、事務次官は所用のため欠席いたしましたが、厚生大臣官房総務課長の森本厚生事務官が見えております。それで先ず我々に配付された行政事務配分に関する意見につきまして主要点を説明して頂きたいと思います。森本厚生事務官。
  76. 森本潔

    説明員(森本潔君) 本日お配りしました資料の中に、行政事務配分に関する意見というのがございます。これは地方行政調査会議の方へ私厚生省の意見として提出したものであります。これによつて概略を御説明申上げます。  先ず第一に、行政事務配分についての一般的な考え方でございますが、三点、四点ばかり上げて考え方を申上げたいと思います。第一に、この市町村の能力の問題でありますが、この今度の考え方によりますと、市町村に大部分の事務を移そうという考えでありますが、この際問題になりますのは、市町村がそういう能力があるかどうかという問題でございます。殊に最近のように、公衆衞生にいたしましても、社会福祉にいたしましても、非常に高度の技術を要する専門的の知識が必要である、それから各種の施設が要る、こういうような行政が現実に現在の市町村においてできるかどうかという点について疑問を持つておるわけでございます。御存じの通り、我が国の市町村の人口というものは、大体平均五千人ばかりである、そうして五千人に満たないところの町村の数が、全町村の七〇%も占めておる、こういうような町村の状態であります。従いましてその財政力と言いますか、その面も非常に貧弱である、十分の人を養つたり、人を、專門職を置いたり、それから施設を行うにしても財力があるかどうか、それから非常に人口が少いので、専門的な人を置くとしても、非常に不経済になるのじやないか、人口十万人に対して一人の職員が要るという場合に、五千人の人口の町村においては、一つの專門職を置くにいたしましても非常に不経済になる、こういう点から見まして、現在の町村の受入態勢と申しますか、行政單位としては適当じやないのじやないかという考えを持つております。その難点を打開するために町村合併をやるとか、或いは組合を作るとか、こういう考え方もあると思うのでありますが、果してこういう町村合併が簡單にうまく行くのであるか、そういうような町村におきましては、歴史的な事情又経済的な事情等がありまして、合併が非常に困難であります。最近の例を見ましても、戰時中に合併いたしました町村が続々と分離しておる。こういうような事実も現実の問題として十分考えられると思います。又こういう町村合併を法律で強制するということも考えられるのでありますが、こういう手段を講ずることが地方自治という観点から見て適当であるかというような面、以上のような面からしまして、市町村行政單位、それから財政單位として各種の仕事をやる上において適当であるかどうか、こういう点を第一の疑問にしておるのであります。  それから第二に、行政の国家的統一傾向の問題という問題でありますが、これは我が国に限らず諸外国にも例があるのであります。経済が進み文化が発達し、更に交通が発達する、こういう状況になりますと、狭い地域の行政というものがなくなりまして、広い地域を單位としたところの行政に移つて来るという状況であります。我が国におきましても、そういう趨勢を辿つて現在に来ておるというふうに考えられます。こういう一般的な行政のやり方の画期というものと、市町村の狭い地域で行政をする行き方と、その間に矛盾があるのじやないか、こういう一般的な傾向から考えまして問題があるのじやないかと考えております。  それから第三の、公衆衞生及び社会福祉行政の趨勢の問題であります。これは特に終戰後問題になつておるのでありますが、従来公衆衞生でありますとか、或いは社会福祉の仕事行政、これはいずれも市町村單位で仕事をして参つたのであります。ところが過去の経験に徴しまして、市町村單位では仕事がうまく行かない、どうしてももう少し広い範囲の行政にしなければならないという結論に達しまして公衆衞生につきましては保健所を中心にいたしまして行政をする、大体保健所は人口十万のところを單位といたしまして設置してある。公衆衞生は保健所を中心に仕事をする。こういう立て方になつております。それから社会福祉の行政、生活保護法とか、兒童福祉法の問題でありますが、これもいろいろな観点から研究いたしました結果、社会福祉地区というような行政区域を設けて、大体県又は市という單位でございます。そこを單位として、社会福祉行政をやらなければならない。こういう結論に達しております。いずれもこの二つにつきましては、従来の行政の経験からいたしまして、市町村單位では無理である、もう少し広い郡市單位の行政にしなければならない、こういう結論に達したわけであります。今この地方自治という問題にからみまして、このやり方を、又過去の経験を捨て去つてしまうということは、厚生行政を進めて行く上において行政の單位を乱すのじやないか、かように考えております。  それから第四といたしまして、地方自治行政運営の実効との調整でございますが、地方自治ということは尊重して十分伸ばして行かなければならないと思うのでありますが、地方自治という観点からばかり行政を見てもいけないのでありまして、厚生行政その他国の行政全部が、国全体としてうまく行く、こういう観点から地方自治というものを考えて行かなければならない。併しこの地方自治において行政がうまく行くかどうか、この調整の問題があります。従いまして、地方自治に任していいものは任せるが、任して実効が挙らない、うまく行かないであろうというものにつきましては、関連的に全部地方自治に任せる、こういう行き方は適当ではないのじやないか、かように考えております。大体厚生省の事務につきましては、一般的な考え方は今申したような市町村の能力の問題であるとか、それから最近の一般行政の傾向でありますとか、それから保健所或いは福祉地区を中心としてやつて行こうという新らしい行き方の問題、こういう点からして根本的な態度をとつてつて貰いたい。かように考えておるのであります。  次に厚生行政事務の再配分につきまして、それぞれの行政について具体的に申上げたいと思います。最初の(1)の公衆衞生行政でございますが、これは非常に今回問題になつた点でございます。特にこれは後程保健所課長から実情と考え方を御説明申上げたいと思います。一枚まくりまして、二番目の医務、薬務行政事務でありますが、そのうち医療行政の中で、医療関係者の試験免許、医師とか、歯科医師、薬剤師等の試験免許であるとか、身分上の監督、こういうことは当然国において行うべきであると思います。いずれも人命に関係することであります。又どこでも開業して業務を実施するというような面があり、又これの試験免許取締りにつきましては、相当の專門的な知識技術が要る。こういう点からいたしまして国に残して置いて頂きたいと思います。それから病院、診療所等の医療施設の指導監督でありますが、調査会の方では、病院は府県單位でよろしい。診療所等については市町村でやらしたらどうだろうという考えでございますが、この指導監督につきましても、高度の知識技術が要りますので、到底市町村ではできないであろう。これは保健所を中心にいたしまして、府県が監督するのが適当じやないかと考えております。  それから次の薬事行政でございますが、そのうちで医薬品の製造であるとか、輸入販売業、こういうものの、取締、監督は、これは非常に高度の薬学的の知識を必要といたします。各府県市町村ごとに、個々に取扱うことはできませんので、これは当然国で行うべきであろうと考えます。更に小さくなりまして、個々の薬局であるとか、それから医藥品を販売する事業、或いは毒物劇物の販売等、こういうことにつきましても、これを市町村にやらせるのがよろしいか或いは府県でやるのがよろしいかという問題がございますが、これの監督につきましても、市町村の能力と申しますか、専門家がおらない。又売ることが困難であるという見地からいたしまして、保健所單位に都道府県で指導監督するのが、適当でないだろうかと考えております。  それから(ハ)といたしまして、今申しました医務、薬務の行政の中で、大部分は都道府県で行わせる考えでありますが、これにつきましても当分の間は、基準の設定であるとか、その他全国的に指導する面については、国の権力的関與を残して置く必要があると考えております。  次に、三番目の生活保護と兒童保護の行政でありますが、これも今町非常に問題になつた点でありまして、府県事務にするか、或いは市町村事務にするかという問題でありますが、これは後程保護課長より詳細の説明をいたしたいと思います。二枚おめくりを願いまして、最後の頁の(4)の、社会保險の行政でありますが、ここに書いてあります当時は、まだ社会保障制度審議会で社会保障の問題を検討中でございましたが、昨日審議会の方から社会保險についての答申が出て参りました。情勢が若干変つておりますが、大体勧告によりまして、国民健康保險につきましては、これは市町村で現在通りやるということでございます。それからその他の保險のうちで、健康保險については都道府県でやつたらいいだろう。これは現在国でやつておりますが、これは都道府県でやつたらどうだろうという勧告でございます。それからそれ以外の保險でございますが、年金保險でございますとか船員保險、これは現状通り国でやつたらよろしかろうということでございます。最初の国民保險を市町村でやる、この点につきましては勧告とそれから厚生省の考えと全く一致しております。それから健康保險以外の保險、年金保險とそれから船員保險でございますが、これを国でやるということについては勧告と厚生省と意見が一致しておりますが、ただその保險を都道府県に任せるということにつきましては、厚生省としては反対の意見を持つております。これは審議会におきまして非常に論戰がございました。審議会としては都道府県という案をとられましたが、厚生省としては最後まで適当でないという意見を以て反対をいたしております。現在におきましてもその意見で参りたいと思つております。  それから五番目の引揚援護の仕事でありますが、これは御存じの通り終戰特異の仕事でございまして、いつ終了するかはつきりいたしませんが、そうは長くはかからないだろうと考えられますから、一応現在通り国がやるのが適当であろう。かように考えております。まあ大きな項目につきまして申上げました。  それから別紙にございますのは、今申しました個々の行政を更に細分いたしまして、国に残して置くものとそれから都道府県に下げるものと、それから市町村に下げるもの、これを詳細に書いたものでございます。今私の説明に洩れました公衆衞生と、それから生活保護行政につきまして他の課長から競いて説明いたします。
  77. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは続いて保健所課長からお願いいたします。
  78. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 公衆衞生行政の点につきまして若干御説明申上げます。  公衆衞生行政は只今総務課長からお話がございました通り、第一に医学を基礎といたしました高度の技術を必要とするものであります。その技術に伴いまして、その技術を実践いたしますところの施設を必要といたします。第二は、公衆衞生は相当の財政力を必要とするものでありまして、或るまとまつた相当額の経費を必要とするものであります。第三番目には、公衆衞生は或る一定の地域の広さというものを不可欠の條件といたします。たとえますれば、或る地域の健康状態、例えば伝染病の発生、或いは鼠族、昆虫類の発生というようなものは、直ちにそれに接続します他の地域に影響を及ぼすものでありまして、従つてこれを小さな地域において限定して処理することは極めて困難であります。従いまして実際問題といたしましては、或る一定の地域の広さというものを必要とするものであります。以上の三点から考えまして、公衆衞生というものは現在の市町村を單位にして行います場合は、いずれもこれらの條件にそぐわない結果となるのでありまして、ここにおきまして私共はかねて公衆衞生行政の組織形体の整理に努めて参つたのでありまするが、現在では市町村において処理いたしますものは極めて限定せられた範囲でありまして、殆んどすべての公衆衞生事務なり或いは事業というものは、現存保健所区域を單位として行なつておるのであります。従いましてこれを更にこれ以上切下げますことは、行政の本質から言つて極めて困難な結果となるばかりでなく、強いてこれを行いまする場合は著しく経費の無駄、或いは能率の低下を来たすことは申すまでもありません。何故ならば、各町村が相当の施設をするというようなことは到底考えられんことでありまして、これはやはり一定の集約性を持たせて施設を整えなければならんのであります。併しながら勿論一定規模を有しまするところの大きな市というごときものは、これはその市に相当の財政力もあり、技術力もあり、又或る程度の公益性を持つておりますために、かようなものは当然市の責任において公衆衞生行政を実施することにつきましては、何ら異議があるものではないのであります。尚これら公衆衞生行政が一定地域の広さを必要とする点につきましては、現在アメリカの例について見ましても、アメリカの公衆衞生行政というものは町村というものは絶対單位になつておらんのでありまして、アメリカにおきます公衆衞生行政の主体は極めて大きな市か、或いは郡が單位となつておるのでありまして、町村は何ら公衆衞生行政の責任を有しておらんのであります。かような例から見ましても、今直ちに現在行なつております行政を町村單位に切替えますことは、甚だ逆行するものと言わなければならんと思うのであります。一方然らば先程も総務課長からお話がございましたように、或る数の町村を合併して一つの組合を作り、これによつて公衆衞生行政を実施しよう。例えば人口十万或いは二十万という一つの地域を限つて町村組合を作り、この組合によつて公衆衞生行政を実施してはどうかということは一つ考え方であるかも知れません。併しながら現在我々はすでに隔離病舎の経営等につきましては、町村組合別隔離病舎の経験を有つておるのであります。これらの経営について申しますと、概ね経費負担の問題、或いは位置の問題等につきまして、常に各組町村間に、單位町村間に意見の一致を見ることは殆んどありません。その結果運営が極めて困難となる結果が多いのであります。又これは少しく例が違いまするが、曾て組合立による青年学校等がございましたが、これらの例について見ましても、町村組合というものが責任の所在等がはつきりせず、そのために組合立の学校というようなものが県立に比して著しく不振になる結果を見ましたことは、我々苦い経験を持つておるところであります。かように考えますると、特に内容の複雑な、而も單位によつて計算のできない公衆衞生行政というようなものを町村の連合組合によつてこれを行うということは極めて困難であるばかりでなく、若しもこれをやつたならば、必らずや混乱を来たす以外に何もないと考えるのであります。一方我が国の国民の衞生教育の現状から見ますると、未だ例えば子弟の教育とか、或いは道路の問題であるとか、かような問題に比べまして、公衆衞生行政に対しまする国民の認識というものの程度は極めて低いと考えるのでありまして、従つてかような国民の公衆衞生に関する認識の程度からいたしますと、これを市町村組合或いは單独の市町村等に讓つてそれに任せましても、必ずしも有効適切なる事業の執行はできず、逆に事業は一層萎縮する結果になると考えておるのであります。尚現在我々はすでに若干の市に対しましては、勿論先程申しましたごとくこれを公衆衞生行政の單位としてその責任において実施することにいたしておるのでありまするが、併しながらこれらの市の中にすらも県がこれらの地域に対して行政を実施いたしておりました当時に比しまして、遥かに行政の低下を見ておる例もあるのであります。かような点を考えますると、我々といたしましては何といたしましても県を單位とした行政で、而もその実施主体を現在の保健所單位を以て実施主体とするということが最も効率的であり、而も最も効果の多い方法考えておるのであります。併しながら一方公衆衞生行政というものは、我々日常生活に触れる面が多く、勿論国民の理解、協力並びにその自治によつて行わなければならんことは申すまでもありませんが、これは一方この問題につきましては、その行政、特に保健所の運営のやり方につきまして、これをもつと民主的に或いはよく地方民の意見を反映して実施するという考え方で進みますれば、この問題は解決することでありますが、この点につきましては目下私共も大いに意を用いまして、できるだけいつも地方民の意思をよく反映し、よくサービスを提供するごとく指導いたしておるのであります。この点は必ずしも県單位の行政でこれを県立保健所が実施することがよろしくないという理由にはならんと思うのであります。  更にもう一つ、この公衆衞生行政として考えなければなりません点は、衞生行政は何と申しましても国全体が或る程度の、最小限の一定水準を持つておることが必要なんでありまして、或る地域だけが無暗に結核が多い。或る地域は結核が誠に少いというようなことは、これは実際問題といたしましては甚だ不均衡であるばかりでなく、これでは行政の全きを期し得ないのであります。これはその疾病行政の本質上止むを得んのでありまして、従いましてどういたしましても全国的に一定の水準を必要とするのであります。それからもう一つ、公衆衞生行政につきましての特徴は、例えば伝染病発生というような場合には、これはその問題が單に県だけの問題でなく、場合によつては全国的な問題にすら展開されることがあるのでありまして、かような点を考えますると、どうしても或る程度の国全体としての統制と申しますか、連絡と申しますか、さような措置が必要なのでありまして、ましてや、各個々の町村がばらばらにこの行政を行うというようなことは事業の本質からいつて不可能に近いのであります。この点は決して行政の中央集権、さような思想を離れまして、仕事の本質上必要なる問題と考えておるのであります。この点も何とぞ一つ御高見を願いたいと思うのであります。以上極く簡單でありましたが、行政の本質から考えまして、現在委員会の方におきまして進められております案が恐らく実施の曉には、著しい損失を来たすということを申上げた次第であります。
  79. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 続いて保護課長の小山事務官。
  80. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 私は主として生活保護行政の面を御説明申上げたいと思います。先ず実際上の問題をお話申上げて、それから説明に入りたいと思います。  生活保護法の施行のために使われます経費は、御承知のように総額の八割を国が負担いたしまして、残りの一割を都道府県、更に残りの一割を市町村、つまり八・一・一の割合を以て負担しております。この法律の施行のために今年度予算において国が計上いたしました費用は約百五十二億に相成つております。現在の情勢ではこの百五十二億を以てしても不足を告げる状況でありまするので、近く臨時国会を開かれます際に御審議を願う予定になつております追加予算の中には、更にこれに十億四千万用を追加するという内容が編み込まれておるのであります。昨年度の予算は百十五億、つまり一年間に約五十億、全体の費用の八割方国の負担分について増加している、こういう状況であります。明年度予算におきましては、やはり閣議決定を見たものについて申上げますと、約二百十二億に相成つております。従つてこれ又今年度の最終決定と予想されますところの百六十二億に比べますと凡そ約五十億の増加ということに相成るわけであります。このように生活保護行政の問題は常に経費の問題と離れては論議することが不可能な問題であるということを、先ず御説明申上げる最初に申上げて置きたいと思います。今手許に持つております資料について申上げますというと、今年の一月と七月との間における被保護者の比率がございます。つまり今年の一月一ケ月間でこの法律によつて保護をしましなものの数は全国で約百六十七万あつたのであります。これが今年の七月には百九十六万に激増しております。この間の増加比率約一七%強であります。非常な増加振りであります。これは全国の平均でありますが、これを些細に検討いたしますとこの間に非常なでこぼこのあることを発見するのであります。即ち最も激増しております例を申上げますと、例えば長野県のごときは実に一月を一〇〇つといたしまして一五六という比率を示しております。福岡県は一月を一〇〇といたしまして一四二であります。
  81. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 資料にあるのですか。
  82. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 資料にはございません。これに対しまして、少い方を申上げますというと、例えば香川県のごときは一月を一〇〇にいたしまして、七月は僅かに一〇三、それから富山、石川のごときは一月を一〇〇といたしまして一〇五ということに相成つております。即ち、巾から見ましても甚しいのは、もう半数以上が増加しているという県があると思うと、その半面に今度は僅かに三%程度しか増加してない、言換えますと殆んど増減なしという県があるのであります。これは県を單位に取つて申上げたのでありますので、この比率は可なり近寄つておりまするが、これを全国の一万市町村について並べてみますと、余りに甚しいでこぼこを示しているので、殆んどその間に一定の傾向を掴むことさえも断念しなければならというような状況さえあるのであります。このように、全体として非常に現在増加趨勢にあるというにとの外に、伸び方がその地域々々の状況によつて非常に乱雑になつている。これは申すまでもなくそれぞれの地域における経済力なり、その後の経済変動等によるものでありますが、こういつた状況を絶えず考慮しつつやらなければならんというところにこの行政の非常なむずかしさがあるわけであります。従つて、問題はこういつた絶えず変動うる状況の変化に対応するだけの力を市町村という小さな区域の地方団体が持つているかどうかという問題でありますが、これについては結論としては非常に無理であるという結論を出さざるを得ないのであります。  先ずその第一点として申上げたいと思いますることは、市町村單位で見まする場合においては、偶然の事情でこれが非常に大きく動くということであります。これもつ又実例について申上げます。例えば御承知の呉市がございます。呉は終戰によりまして、盛況を失いました最も代表的な都市でありますが、現在主として市民の大部分は播磨造船に職工に行き、或いは進駐軍労務者たることによつて市民の多くのものが衣食しているのであります。ところがこの呉におきまして、今年の夏頃から播磨造船における大足の解雇、及びこれは一時中止になりましたけれども、連合軍の引揚による進駐軍労務者の大量解雇ということが行われることになつたのであります。その結果、どういうことになつたかと申しますと、過去二、三年の間毎年概ね千世帶程度の被保護者しか持つておらなかつたこの呉市が、九月から更に二千世帶を増加しなければならんという状況に相成つたのであります。言換えますと、一挙に九月から三倍の被保護世帶を抱えなければならんということになつたのであります現在の国内の制度の下におきましては、失業保險によつて救われるものは別でありますが、そうでないもつのが廻り廻つて落込みます制度はこの生活保護制度以外にないのであります。  従つて、結局ぎりぎりの問題として落込むものはこれであります。こういつた事情がありまして呉市としても大問題でありまするので相談に参りつたわけでありますが、これに対しては一応国が八割を持つという建前が確立されておりますので、それに応じて取敢ずの応急的措置は目下同市において講じておりますので、大過なくやつて行くという状況ではありますが、この一例を見ましても、なかなかこういう大きい問題を市町村單位で処理することには歩常な無理があるということが窺われると思います。  又先程長野県の被保護者の増加が非常に多いことを申上げました。これは御承知のように、一月以降どういう原因か私はまだ掴んでおりませんが、あの地における製糸工場が一般に非常に不振になつて来て、相当のの解雇を出して参りました。そのために大きな町、都等で工場に通うことによつて生活しておつたものがそこから大量に投出された。こういう結果がここに現われて激増となつてつておるのであります。  ここいらで話をお手許にお配りしており示す資料に即して御説明申上げたいと思いますが、要するに今日の生活保護制度を見るのに、曾ての救護制度を見るような考え方で見ることは非常に危險であるということであります。人はともすれば言葉の類似からこういつたお互いを助合うことこそ市町村仕事であるというふうに言いがちであります。私もその言葉自体には毛頭反対するものではございませんが、少くともその言い方が非常に現実の事態からかけ離れた抽象的な言い方であるということだけは確実に申上げられると思うのであります。全ての救護法による救済制度は、御承知のように救護の対象を六十五歳以上の老衰者とか、或いは不具癈疾者とか、子供とか或いは妊婦というように非常に限定しておりました。従つて経済変動によつてこの人間が急激に殖えるとか、殖えないというようなことは余りなかつたのであります。従いましてその当時には特にこういつた対象が感情的に見ましても憐愍の対象になり易い関係もありまして、救護法の当時においてはこの仕事市町村仕事にするという建前で、この制度を発足させたのであります。このような建前で発足された救護法の時代でさえも、結局小さな町村では年負担に耐えかねるというので、あの当時の国庫補助としては破天荒とも言つていい程の七割の国庫補助というものが出されるということになつたのであります。ところが現在の生活保護制度はこれとは全く性質を異にするわけでありまして、従つて生活に困窮するものであれば如何なるものであろうとも、これを受入れて最低生活を保障するという制度であります。極端に申しますならば、日本の現在とつておりまする資本主義という体制の運行から生じて、参りますいろいろの矛盾を解決する制度、成功しなかつた最後のものをこの制度で堰止めるという制度であります。従つて経済の動きが全国的な規模で行われます限り、この制度だけでも責任を国が持たないで、市町村に持たせるというようなことは非常に無理なのであります。この点は町村自身が現在痛切に感じておるところなのでありまして、このような事情がありましたからこそ、昨今では行政事務配分の問題が起きて、多少政治的の関係もありますので現れなくなりましたが、昨年までの市町村長の会合では必ず生活保護費の全額国庫負担ということが決議もされ、政府に陳情されたのであります。それは今のような事情があるからこそそういうことになつたわけであります。このような事情から見まして、失業対策というものが全国的な規模において考えられなければならんと同じような事情において、生活保護制度による保護救済はどうしても全国的な規模で行うのでなければ不可能だということを先ず申上げたいのであります。こういつたような考え方に対する反論の一つは、併しそれは平衡交付金方法で十分処理できるじやないか、これによつてまとまつた財源を市町村に與えれば十分この負担に堪えて行けるだろう。こういうことであります。実はこのことに対して、実情に基いてそういうことが殆んど不可能でございますということを申上げるために冒頭に申上げたのであります。即ち僅か平年の間に被保護人員において一七%も増加する。こういつた動きの激しい制度で、一年間において国費負担だけでも五十億というふうに絶えず増して行かなければならんという負担の多い制度を、平衡交付金というような方法で処理することは技術的に殆んど不可能であります。申上げるまでもなく平衡交付金は四月一日現在の状態で、これは多少他の時を取ることもありますが、多くは四月一日現在の状態を基礎にして年間においてその要素に当てられる費用を概計してしまうわけであります。ところが生活保護法の施行に必要な費用はむしろその後の経済変動によつて、その時々の情勢によつて非常に大きな違いが出て参るのであります。これも実例を以て申上げます。例えば現在北海道における最大の問題の一つは、あの海洋一体において最近ひどい不漁が発生しておることであります。そのために北海道の漁民は曾て見ざる困窮の状態に現在追込まれておるのであります。そのために北海道における生活保護法の該当者は最近において急激に増加して参つておりまして、現在北海道の漁民で不漁のために保護を受けざるを得ない状態に陷つているものか実に一万二千人に達するということを言われている状態であります。同じような事情は千葉県下にもあるのでありまして、九十九里沿岸一帶は非常な不漁が続いており、このために結局漁民が矢折れ刀盡きて、これ又生活保護法に依らざるを得なくなつている。そのために或る村のごときは運般監査をいたしましたところが、全村民の四割近くがこれは一時的でありますが、生活保護制度によつて保護を受けざるを得なくなつておる。史料こういう実情なんでありまして、こういう働きの激しいものを到底平衡交付金で技術的に処理することはできない、のみならず凡そ責任を市町村に持たせておつてこれに対する経費負担を全部国がするなんていうことは土台無理なことでありまして、責任を市町村に持たせるならば平衡交付金という方法を通じましようとも、一応財政負担市町村に持たせる、ただ大枠としてそれが確保されるようにしてやるということにしなくちやならんわけでありますが、これも今申上げましたように技術的に不可能である。そういつた状態で、は全部市町村の責任において持てというがごときは、全く不可能を強いる結果となるのでありまして、この結果生ずることは、或る市町村はこのために財政的破綻に近い状態を現出するでありましようし、又或る市町村は逆に結局財政の要求が強くてその後における市町村民のうち生活に苦しむものが非常な悲惨な状態に陷つて、やがては親子心中その他の悲惨な問題を発生する虞れがあるということであります。  それからもう一つ断片的なこととして特にこの問題をお考え願う際に御考慮願いたいと思いますることは、戰争後における日本の特殊事情であります。生活保護法によつて現在保護を受けておりまするもののうち、約四八%が未亡人、母子の世帶であると言われております。この渦中がいわゆる戰争未亡人の世帶であります。で、こういつた人々に対する保護救済の方法としてそもそも生活保護法のような制度によつて救済することがいいのか、或いは外の制度によることがいいのかという点についてはこの未亡人、母子援護の問題として十分論議さるべき問題でありますが、技術の問題としてはこれによつて保護されている。そうだとしますと、これに対して国が責任を仮にでも抜くというようなことがあつていいだろうか、なかんずく市町村民の感情の問題から申しますと、困つたものを助けることは市町村民同士のお互いの仕事だとこういうことを言います。併し実際問題としてどうなつて現れるかと申しますと、生活保護法のために使われます費用市町村全部をならすと大体一割程度費用を占めているようであります。この費用は例えば学校とかその他の費用の上に金額の高が少くとも一応普遍的に使われておるという色彩の場合は余り問題は起らないのでありますが、これが生活保護法の場合には生活費に使われますために、極めて限られるもののために使われるという結果になるのであります。従つて勢いこれが使われるものは固定的となつて、何となく目につき出す。そのためにこういう人々がいわゆる土着の人々であります場合は、比較的いいんでありますが、よそから来た人であります場合は、この矛盾が非常に町村民にとつては感じられるのであります。なかんずく戰争中いろいろな事情で外から押付けられるような恰好で疎開者を迎えてしまつた。その町村で案外そういう者を被保護者として持ち続けておる町村が多いのであります。こういつたような場合に、これに対して国は責任はない、財政援助も間接的な方法でしか講じないというようなことがあつて実際上いいかという問題があり得るわけであります。その他のことはお手許に配付申上げておりまするものに一応系統的に申上げておるので、若干補足的に申上げた次第でございます。
  83. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上保護課長の説明につきまして御質問を願います。
  84. 安井謙

    ○安井謙君 只今の御説明の中で、この生活保護の関係は今金額が出ましたが、国の持つておる総額ですね、その他厚生省所管の厚生省の予算総額について、地方へ分轄して補助金としてやるといいますか、いわゆる総額は分りましようか、大体大きな部門でですね、
  85. 森本潔

    説明員(森本潔君) 今年度の厚生省所管の補助費及び委託費の現況を申上げます。平衡交付金関係が二十七億六千二百万円、百万円以下はちよつと省きます。補助金が百七十四億五千七百万円、このうちに今保護課長が申上げました百五十億の生活保護費は入つております。奬励補助金が九億六百万円、委託費関係が三億五千万円。以上でございます。
  86. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 生活保護の被保護者を決定する場合のその手続一つ教えて下さい。
  87. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 被保護者を決定します手続きを事務の申告の順序に従つて具体的に申上げますと、先ず被保護者から保護の申請書を提出して貰います。これは従来は民生委員に提出して貰つて、事後の取り進めば、民生委員と市町村当局との間の協議折衝で進められておつたわけでありますが、今度の法律改正以後は、原則としては民生委員を経由することなく直接に市町村当局に提出して貰います。この場合大阪その他大きい市で行われております社会福祉事務所、若しくは民生安定所の制度をとつておりますところは、やり方がやや複雑になります。そこでのやり方を具体的に申上げますと、先ず被保護者がその事務所を訪問いたします。すると受付がありまして、どういう目的で来られたかということを極くあつさり……そうして待つて貰つて、その次に面接委員という職名を持つた民生委員がおりまして、そこへ案内をいたします。この面接委員は、生活保護の仕事をやつておる者のうちで比較的年もとつておるし、世故にも長けておるというような者がいるのです。この人が申請をして来た人に面会をして、いろいろ先方の話も聞き、又生活保護法によつて與えられる保護の内容、やり方等について話をします。その結果問題は生活保護法ではなくて外の方にあるという、ことを発見する場合もあります。その場合はそれでそこから外の方へ手配をします。そうでなくてやはり活保護法の問題であつて、本人も保護を受けることを希望するという場合にはそこで申請書を出して帰つて貰います。そこで出されました申請書は今度は係長の所に参りまして点検を受けまして、係長からその申請書を地区担当に当員と言つて一つ地方を幾つかの地区に分けて担当している生活保護法の事務従事者があります。これを社会福祉主事と呼んでいますが、この歓会福祉主事である訪問員にそれを渡しまして簡單に方針を授けます。その訪問員がさまに申請書を提出した人の世帶を訪問するわけであります。ここで話を先程申上げたことに結付けますと、社会福祉事務所制なり安定事務所制をとつていないところでは、提出を受けた申請書をそこの事務主任が一応点検して、それから同じように訪問員に渡して家庭訪問をして貰うわけであります。そこで先方に会つたり近所に聞いたりいたしまして生活状況を聞き、收入の認定、或いは扶養義務者の関係等について調べられるだけのことを調べて帰つて参ります。尚必要がありましたならば扶養義務者に対して紹介をいたします。こういうふうな捜査を全部やりまして、その人の收入の状態、生活の状態等をすべて調べまして、これによつて保護をすべきか、せざるべきか、保護をするとすればどういう紙類の保護をするか、御承知のように生活保護法の保護には七つの種類の保護があります。生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助でありますが、この七つの扶助のうちのどれを適用するか、どの程度に適用するか、どういう方法で行うか、これを決定いたしまして係長若しくは主任に出し、爾後の進行の状況は普通の役所の内部におけると同様であります。町村の場合には町村長の決裁、大きな市で社会福祉事務所制なり民生安定事務所制を取つているところでは社会福祉事務所長若しくは民生安定事務所長の決裁を経まして、これを本人に文書で通知いたします。法律では最初の申請があつてから通知が行きますまで期間を十四日以内というふうに限定しております。従つてこの期間のうちに若しも通知が行かなかつたならば、申請をした人は申請を却下されたものとみなして、状況によつて不服申立てを、することもできます、又不服申立てをしないで勿論催促に行くという場合も多いでありましよう。大体こんなふうにして決定いたします。
  88. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今詳細な説明を聞きましてよく分りました。只今御説明をされた範囲内の事務をする場合に、市町村事務としてする場合と、国又は都道府県事務としてする場合とにおける長所短所を教えて下さい。
  89. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) この問題は、最初に申上げましたように経費負担の問題について国が……。
  90. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そうじやない。私の聞いた範囲内のことについての経費負担じやなくて、あれはよく分りました。としてやる場合において、いわゆるどちらに長所があり短所があるか、こういうことのその範囲を一つ……。
  91. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 今のお尋ねの範囲に限定して意見を申上げますならば、国の事務としてやるというやり方が一番まずいだろうと思います。その次にまずいのは市町村事務としてやるやり方であります。やはり意見書に記載しておりましたように、町村部については都道府県、市部については市の事務ということでやるのが一番実際上成立つ可能性もあり、効果的であると思います。
  92. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そこで私ちよつと考えますと、その際にいわゆる被保護者というものを決定するところの最終権限というものは只今申された人達によつて決定されるということになるわけですが、そうしますと、その人達が決心したことによつてそれぞれ妥当な決定になると思いますが、決定したことによつて自然国の出すべき金が決まつて来るわけですが、要するにこの村が千人と決定したならば千人分の八割を国が出さなければならないということになりますし、或いは九百人の数であれば九百人に対する八割を出さなければならないという、これは自然に規則によつて決まるという形になるわけですが、そこでいわゆるその決定が非常にルーズな決定をしたということを仮に考えた場合に、国の費用が非常に多くかかるということになつて出て来る。又そうではなく、かからないということが出て来る、それを町村々々でやるがために非常にまちまちの決定が出て来る、そのために国の経費が非常に多くなつたり少くなつたりする。従つていわゆる国が金を出す以上は、やはり国の何か監督の下にというか、出す方面におけるところの最後決定権をでも持ちたい、持てばその点ははつきりするわけだと思いますが、只今お話を聞きますと、国は金を出すけれども、国としての最終決定権は持たないで、個々の社会福祉主事等の決定に任せるということになりますから、その点から見ますと、町村の事務としてやりましても国の事務としてやりましても、結果は同じじやないでしようか、その点をお聞きしたいと思います。
  93. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) これは外のことを申上げなかつたわけでありますが、国としては今の決定に対して二つの方法で現在権力的に関與しております。一つは不服申立てに対する採決という方法で関與いたします。これは保護の決定が意に満たないという者は都道府県知事に不服を申立てる、それでもその決定が意に満たない場合には更に厚生大臣に不服の申立てをする、性質からいうと訴願でありますが、生活保護制度の実際に即して簡略化された訴願でありますが、これを採用しております。この方法によつて一つ権力的に関與いたします。もう一つは今御指摘のありましたような事情がありまするので、生活保護法におきましては監査ということが限定された目的のためではなく、制度そのものを動かすために不可欠なものであるという建前を取つて、特に厚生大臣と都道府県知事に対して、厚生大臣は知事と市町村長、都道府県知事市町村長に対して絶えず監査を行うべきことを法律によつて義務付けております。これは恐らく外の法律には殆んど類を見ないところでありますが、只今御指摘にありましたような点からいたしまして、特にこれは法律上規定されておるのであります。こういう二つの方法で濫給漏給の二つを抑制しつつ適度のところへ持つて行くということを現在やつておるわけであります。
  94. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は研究的な態度で今御質問しておるのですから、その点は、一つ御了承を願いたい。これを町村の事務になすべきであるか、或いは府県事務になすべきであるかという、そういう一定の主義主張を以て質問しておるわけではない、どちらが正しいかということを判断をする資料としていろいろ逆の方面とか、いろいろのことを考えて質問しておるわけなんです。その点は御了承をお願いしたいと思います。只今の御答弁によつてそれはよく分りました。そこでこれを仮に法律が最高でありますから、法律を執行するのが国がやるか町村がやるかという形になるわけですが、法律が最高なんですから法律の中に詳しく書かれておるのであつて従つてその法律をまじめに実行するのならば、どこの町村においても不公平がないように法律なり規則ができておつて、その法律なり規則の使用人として市町村のなすべきことである。そして今のように仕事市町村の方がやつて行く、そうしてそれに対して不服の申し立てがあつたり或いはそれが法律の通りに本当にやつておるかどうかということを監査するところの仕事を国がやる。いわゆる町村は町村の責任において今のような仕事をやつて行く、併しながら金は国が大部分出すのであつて又国が最終的なやはり憲法によつても生活の安定の義務を持つておるのであるからして従つてそれが厳正公平に法律乃至規則でその通りに行われるように厳重に国は監査をする、そうして不服の申立てについても善処するというような仕事を附と町村と分担してそうしてやる、それも法律の中に規定する、こういうようなやり方になつた場合にはどこに欠陷が出て来るか、それを一つお聞きしたいのであります。
  95. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 只今仰せられたやり方が、これは極荒つぽい言い方でありますか、大体現在やつておりますやり方であります。言葉の上では、従来の行政法の観念の整理の仕方に従つて国家事務でやつてこれを機関としての市町村に委任しているのだという法律構成を取つてはおりますけれども、内容から見ますと、正しく御指摘になつたような内容になつておるのでありまして、気持の上におきましては責任は国にあるけれども、やり方としては両方で分担してよくやつて行こうではないか、こういう仕組でやつておるわけであります。ところがやつて見ました結果、次に申上げるような欠点がどうしても出て参つて除き得ないのであります。その一つは今御指摘になりましたように、保護の決定に至るまでも重要な部分はどうしても実質的にこの調査をしたり判断をしたりするという社会福祉主事によつて略決る傾向が強いのであります。従つてこれには相当訓練された専門家を当でなければならんという必要が出て参るわけであります。ところがこういつた訓練された専門家を日本の一万の市町村のすべてに整備するということを求めることが実際上無理であるということを私共覚つたわけであります。具体的に申しますと、全国の市町村のうち約半数に近い市町村は被保護者の世帶が凡そ五十以下でございます。五十以下の被保護者のためにそういう訓練された右給導出の職員を一人ずつ持てということはこれはどだい非経済的なことな強要する結果になるわけであります。大体今までの研究によりますと、一人の専門家が凡そ町村部では六十世帶は持つて然るべきであろう。こういうことでありますので、全国の半数以上の町村に対しては無理を強いる結果になる、こういうところからいたしましてどうしてもこの人を整備することを全国的に確実に励行しようと思うならば、これは町村部については一段階上げて都道府県がこの仕事をやる。市部については市の力を尊重して市にやつて買う、こういうふうにしなければいけまいというようなことに相成つたわけであります。
  96. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 よく分りました。そこでですね、只今は社会福祉主事というのは相当訓練した者でなければならない、そういうような者を町村が負担する、経済的に負担するということはとても堪えられないので、府県乃至国に財政負担をさせるということもこれもよく分る、今度は更に平衡交付金制度というものができたので、府県から社会福祉主事の金を出して貰う代りに、それを町村に平衡交付金によつて配付して、そうしていわゆる事務配分といいますか、府県の方から金を出したものを府県から金を出さないということになるからその分は平衡交付金を減らして、そうして市町村で出すことになるから、その金を市町村平衡交付金として更に出してやると、そういうやり方をして市町村財政的な基礎を與え、そして市町村からその福祉主事の俸給なんかを出してやるという方向をとつたならば、どこに欠陷が出て来ましよう。
  97. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 只今仰せられた方法一つ方法であります。私共もそういう方法考えられると思うのであります。ところがこれは先程の私の説明の仕方が不十分でありましたので、その点はつきりしなかつたのでありますが、個々の市は一応別といたしまして、町村に置かせるということにいたしますと、二つの町村を兼ねて一人の人間がやるというわけには行きませんから、二十五しか保護世帶のない所でも、三十しかない所でも一人ずつ置かなければならないということになります。ところが町村部を県が直接やるということにいたしますと、いわば合計を六十で割つた人数、必しも機械的にそう行かんで、多少殖えますが、そういうことでほぼ人員が間に合うということになるわけであります。従つて県に置いたほうが遥かに経済的であるという結論が出て参りますので、それで町村部については県にやつて貰うという考え方をとるようになつたわけであります。
  98. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 いろいろ御説明を、承りまして、我々もさようなふうに考えておるのでありますが、ここにいろいろ欠陷と申しますか、まあ不平というようなものがそれでもなかなか出るということですか、それは先ず第一の扶助の割当は、町村に来ますのは扶助の人が、被保護者がある。それに対して来るのですか、大体私が聞いておりますと、一年間にこれだけ扶助が来るからこれだけの割当で被保護者を探すというようなことが相当あると私は思います。この問題に対しまするあなたのほうで、そんなことはない、出て来た申請に対してやる。けれども現状はどうもさようではないようなところが相当あるのじやないか、こういうこと。もう一つは、市町村で訓練されました社会福祉主事という人がおりますが、その人の勧告によりまして、ここのところは生活扶助の七項目の中に幾つ当るか、その判断といいますのが非常に区々であつて、この町村ではこの家は扶助を受けておるのに他の町村では受けておらない。あんな人が受けておるのにどういうわけだというような不平が今までありまして、現在では段々少くなつて、この主事なんかのほうで訓練が行届いていると思いますが、市町村の不均衡ですね、こういうものが相当あるのじやないかと思いますが、こういう点は欠陷がないとお考えになりますか。それに対する是正はどういうふうになるか。こういうことをお伺いしたい。
  99. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 第一の問題については、もうすでに申されておりますように、実はそういうことがあつては私共としては本当に申訳ない次第なんでありますが、併しそういう事例がそれでは全然ないかと言われると、どうも私はやはり残念ながら若干はまだ残つておりますということを申上げなければならないということを非常に残念に思います。これについてはこういう事情があるわけであります。現在の生活保護法のやり方、では、いわば九割までを国と都道府県負担して呉れますけれども、残り一割を市町村負担いたします。この費用が、なかなか容易ならん費用になつて来るという傾向がありますので、勢い市町村当局者としましては、年度当初にあらかじめ組んだ予算何とか攻めたいという気持をどうも持つ傾向があるように思われます。そういつた傾向が勢い何だかあらかじめ今度は何世帶だけ保護するというような感じを與えるような保護の仕方を現実にして行くと、こういうような欠点が確かに御指摘のように一部まだ残つているようであります。この点は私共も常に機会あるごとにそういうことがあつてはならんということを指示しておりまするし、又厚生委員会等におきましても、絶えずそういつたことにならんように戒められているのでありますが、今後も注意したいと考えております。で、こういうようなことをなくしますために現在努力しておりますことは、これは予算の概算交付において私共の苦心が一部現われておりますが、御承知のように普通の予算は四半期ごと、つまり三月ごとに切つて四回に亘つて地方に令達されておるのでありますが、生活保護費はこの場合四回に分けて令達することは他と同じでありますが、この月の区分の仕方が違うのであります。最初の第一四半期は、四・五・六・七の四月間第一四半期に流します。これはつまりあらかじめ三月分に対して少し余計な分だけを流しておいて、努めて財政的な点について、苦労を與えないようにしたい。この交付の時期が遅れますと、形式上は八割を国は負担するということになつておりますが、一時的には市町村が十割全部を負担しなければならんという結果になつて一層市町村を苦しめる結果になつて参りまするので、そういうふうな苦心をしておるわけであります。それから第三の点につきましては、御指摘のように現在尚府県の間においてさえ先程申しました非常なでこぼこがあるわけでございますので、市町村になりますと更にこれが激しくなります。そういう事情を現在非常に残念に思つているのでありますが、これも最近に努力いたしまして、逐次その差が縮りつつあります。ただこれをあらかじめ目標を設けてやるというよなことは、何分生活の実態に触れている問題でありますから、避けるという態度を取つておりまするので、接近の度合いが非常に緩漫になつているという現状でございます。
  100. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 大体御説明は了承いたしますが、その変動の時期ということと、もう一つ、只今申されました一割の市町村長川というこの問題が非常に問題になつて来ておるのであります。私は国がやろうというならば、この平衡交付金の中で一部は国の方へおとりになつて、そうして全額、県と国とでおやりになるならば、全部を県の方におやりになるというと公平になるのぢやないか、一割の問題で、今のような市町村によりまして一割出すということはなかなかむずかしい、これは丁度失業対策におきまして、相当問題になつておる現在、各市町村ではこういうことを言つております。市町村でいろいろな失業対策をやりますというと、外の市町村から来ておるそれを一割持つれ行かんならんというわけで、どうしても月何百万円とか割当が来るとそれは有難いけれども、それに対する一割というものは非常に難儀だとこういう問題もありますので、私は厚生省がこの問題を今強行と言つてはいけませんけれども、やろうというならばその方にお力を入れる意思があるかどうか。これはどうも全部市町村が或る部分を持たんならん。そうしてやるというところに非常な欠陷がある。それは仕方がない。又いろいろの問題で分捕り合いをやるというような問題もありますので、十分これも一つの、何と申しますか、生活保護法は変動がありますし、一時的扶助というものがあります。こういういろいろな問題がありますので、この点について課長さんの御意見はどんなふうでしようか。
  101. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 只今仰せられたような方法は現在でもやつているのでございます。一割の都道府県負担と一割の市町村負担は、これは当然都道府県なり市町村が支出しなければならない義務のある費用でありますから、それぞれの地方公共団体の最低経費を見込む場合に見込んで貰つております。これは單に平衡交付金制度になつてからあとだけでなく、地方財政交付制度の当時から特に生活保護費の負担については措置を講じては貰つているのであります。併しこれは大きく一応国としてそういう措置をしている、この点は地方自治庁も非常に理解をして呉れまして、できる限度において私共の仕事がうまく行くように助けて呉れているのでありますが、そうかといつてその一割を個々の都道府県なり市町村に紐付けにするというようなことは、地方財政交付金の趣旨から見てそれは絶対にできないというようなことで、これがずつといつも悩みの種になつているわけであります。従つてこれを抜本塞源的に解決しようと思いますと、勢い八割という国の負担を十割に殖やすという以外にないわけでありますが、これにはこれとしての別庁弊害もありまするしするので、現在の八・一・一というやり方が妥当だろうというので、今日に至つているわけであります。
  102. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 公衆衞生についてちよつとお聞きいたしますが、公衆衞生行政保健所中心の行政に移行されているわけでありますが、その理由についてはよく説明がありまして、その説明趣旨もよく了解をいたしているわけです。そこで二、三点お聞きいたしたいのですが、尤もなことなんですが、実は保健所を実地視察して見ますと、極めて貧弱なものです。段々と強化はされて来ておりますけれども、そうして又国民も保健所というものを認識して来ておりますが、どうも貧弱なものです。一方これと一緒になつている警察署のごときは並行してあるのでありますが、これは相当実力を持つている。そうして地方民からも認識されて、実際行政力を持つている。又地方事務所のごときもこれ又相当の人を擁して市町村長を指揮する能力も持つている。ところが非常に重要な公衆衞生業務をやつて行くところの保健所たるものは、その構想としては成るほど只今の説明のようなことで必要はありますけれども、実はその貧弱な行政力であつて、重要な仕事をする場合には非常に微力であります。こういうことを我々は痛感しているのです。更に行つて見ますと、殆んど医師が一人ぐらいおつてその下に二、三保健婦がおるというような形です。ところがこれは診療所ではありませんで、一つ行政機関でありますから、やはりその方針が市町村の末端にまで力強く滲透されなければならない。それには余りに力が少な過ぎるという点、もう一つは各町村に手足を持つていない、次に各町村には保健婦のごときものがあり、そうしてそれはまあまちまちに人事等が行われて、或いは国民健康保険医を持つておるような所もありましようが、それが強く保健所のスタツフとして人事権なり予算なりを握つて、そうして市町村内に強くそれが動くというような体制が整つておらないというようなことでありまして、真に医学的技術なり施設が必要であり、広汎の地域に迅速にやらなければならんというような役割にしては余りに私は今貧弱に過ぎるものである。そこで例えば仮にこれを地方事務所の保健部とか、保健課とかいうような形にこれをして、そうしてその総合力を以てこの行政をやつて行くというようなことになつた場合においてはどんなふうにやるか、そういうやり方についての一つ意見を聞いて見たいと思います。
  103. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 只今お話のごとく、現在の保健所は私共責任者といたしましても誠に貧弱という御意見に対しては納得せざるを得ないのでありまして、甚だ残念でございますが、先ず物的施設につきましては、大体本年度の予算を以ちまして最小限の施設の整備を終り得ることになつております。ただ只今御指摘の人の問題、特に行政力の問題につきましては、何分にもこの保健所が主として医師その他の専門職員で構成しなければならん関係上、人を得られないというところに最も大きな悩みがあるのでありまして、この点に関しては待遇の改善或いは訓練の実施、その他によりまして、目下大いに人の充実によるところの保健所の力の充実を図つておるのでありますが、ただこの保健所地方事務所或いは警察署等々と違いまして、権限行政は極力これを戒めなければならない立場にありまして、例えば許認可事務等につきましても、目下納得によつてこれを解決して行くという点が衞生行政の本旨であります関係上、この辺に若干の矛盾はありますが、いずれにいたしましても、そうなりますれば一層指導力、行政力を警察以上に必要とする結果に相成るのでありまして、この点に関しましては、今後一層人の養成、人の獲得に力を用いまして、仕事の万全を期して行きたいと目下努力中でありますが、何分にも保健所中心の行政に切り換えまして僅か数年を出ない関係もありまして、未だ皆様の御期待に副えない点を甚だ残念に思つておるのでありますが、この点は鋭意努力いたしておりますことを重ねて申上げたいと存じます。  次に末端にまでなかなか手が伸びていないという点も全く御指摘の通りと存じまして、実はまだ保健所仕事というものが直接国民生活に関係のある日常生活に直結しておる仕事であるにも拘わらず、保健所仕事が未だ国民生活から尚若干遊離のある点を私はどうも甚だ残念に思つておるのでありまして、この点もできるだけ末端の町村のみならず、吏に各家庭にまでも保健所の手が伸びまして、国民によきサービスを提供するようにこれ又努力いたしておるのでありますが、この点は人の不足、或いは予算の不足、或いは先程も申しましたように職員の心構え等の問題から尚御指摘の点があるということを私自身も考えておるのでありまして、この点も甚だ申訳ないと思いますと同時に、一日も速かによく国民生活に結び付いた保健所にいたしたいと努力をいたしておる次第であります。  次に御指摘の町村に手足を持たないという点につきましては、これ又御指摘の通りでございまして、実は私共少なくも各市町村に手足として保健婦の配置をかねて念願をいたしておるのでありまするが、未だ市町村におきまする保健所の手足たる保健婦の設置につきましては、予算関係或いは保健婦の養成、充足の関係等から児1ましてその目的を達しておらないのであります。ただ現在国民健康保健組合等に多数の保健婦がおりますので、運用の面におきましてはこれらの保健婦を恰かも保健所の手足のごとくこれを運用し、仕事の万全を期して行きたいと存じますが、尚その外できるだけ各市町村団体、いろいろなる病院その他とよく保健所が連絡をいたしまして、かような欠陷を除去しておるのであります。最後に御本論の保健所地方事務所の中の保健課のごとき運用としては如何という御意見でございますが、この点に関しましてはこんなような考え方も成立つわけでありますが、尚私共もかねてこの問題を真劍に検討いたして見たこともございますが、結局次に申述べますような理由から結論を申しますと、やはり地方事務所とは別に一つの独立の機関として、むしろこれらの地方事務所その他とよく通路をして行く組織がよろしかろうということになつたわけでございまするが、何となりますれば、先ず第一に保健所は全く技術行政でありまして専門的な行政であります。従いまして、若しもこの地方事務所というようなところに持つて参りますれば、包含いたしますれば、多分に他の政治的或いはその地方の実情によりますところの行政的な影響も受ける結果になる。それでは却つて保健所の運営というものに支障を来すのではなかろうか、むしろ保健所はやはり専門の全く一般行政と直接繋りのないところの専門行政であるからして、これは、やはり専門の立場で行かした方が仕事としては、やりいいのではないか。そこで御指摘のごとく、勿論衞生行政と申しましても他の行政部門とも総合性を考えなければならんことは申すまでもございません。そこで一応かような、点につきましては目下この連絡という点に重きを置きまして、その総合性を発揮して行きたい、かように考えておるのであります。それから第二の理由といたしましてはこの保健所は大部分が技術職長であります。僅かの事務職員を除きまして殆んど技術職員であります。
  104. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 だから行政力がないから、その行政力を與えたらどうか、地方事務所や何かに附随して。そういう考え方ですよ。
  105. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) そこでこの行政力という点になりますと、甚だあれなんでございまするが、ただ保健所は先程申しましたように、権限行政というものは極力避けまして、專ら国民の納得の下に立つて行くというところに立つておりますが、例えば一つの認可申請の書類が出て参りました場合にも、それを技術的に検討いたしまして、技術のスダンダード、基準に則りまして許可すべきものは許可するということで、個人自体のその権限というようなものの発動を極力避けておるのが実は保健所の使命なんでありまして、さような点から申しますると、むしろかような信頼される技術、信頼される人格によつて行政を実施して行くというのが保健所建前考えておるのでありまして、さような点から申しまして、單なる権限行政と違いまするのでこの点を……。第三には、何と申しましても保健所はサービスが中心でございます。権限というものはさることながらサービスが中心でございます。その点は多分に行政官庁と申しますよりも、他のサービス機関、福祉機関という意味がありますのでこれに又一つ特殊性を持つて行くというふうに考えておるのであります。尚この指導力と申しますか、行政力と申しますか、かような点の欠如につきましてはこれは專ら人の問題に帰着するのでありまして、この点は先程申上げましたごとく未だ発足間もないことでもありますし、従いまして職員の養成、訓練、獲得等に時間がかかる関係上、今暫く長い目で一つ御覽頂きたいというふうに考えておるのであります。
  106. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 よく御趣旨は分りましたが、今お話のように保健所はいわゆる技術的なサービスをする機関であるということ心発足しております。その性質でありますけれども、どうも最近は衞生行政を忌避する機関になりつつあるという点から見ますと、どうも今必ずしもサービス機関そのものであるというふうには我々は考えない方向に進んでおる、こういうふうに考えるのであります。  もう一つ更にお聞きしたいのは、そういう点からこの保健所というものを医学的技術サービス専門機関として、そうして衞生行政仕事は町村において町村が責任を持つて衞生行政の各般のことをやる、そうして技術的な部分についてはこの保健所がサービスをするこういう行き方を持つというと、町村としては常常に衞生行政に対する関心を持つと思うのですが、現在のところは殆んど市町村に衞生行政の責任を與えないために、一に保健所に委ねてしまうということで、非常に官僚的な、上からの行政になつてしまつて、民主的な衞生行政が行われていないというふうに思われるのですが、そういうふうにやることについては如何でしようか。
  107. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 只今御指摘の点につきましては、現在保健所は仰せのごときサービス機関であると同時に行政機関でございます。これを分立しては、どうかというお話と存じますが、ただ現在の衞生行政に関する限りはつまりサービス機関と不即不離の関係にあつて切離されないのでございます。たとえますれば、先程も申上げましたごとく、一つの各種の許認可事務が参ります。主として許認可事務或いは監視事務でありますが、昔、巡査がやつたインスペクシヨン、監視の事務であります。監視事務、許認可事務、こういう行政事務につきましては、それはすべて技術を中心といたしまして、技術の示すところによりましてこれのよし惡しを決め許可すべきものは許可するという建前になつておるのでありまして、従いましてその技術を提供することはすでに一つのサービスと考えられるのであります。かような点から考えまして、單なる行政ではなくて術に基くところの行政であります関係上、何らの検査機関、何らの技術者等を擁さないところの市町村では不可能なのであります。そこで例えば府県市町村一つ行政権限を実際は扱う、その場合にそのサービスとして例えば検査事務だけを保健所に任せ、その検査の結果によつて市町村はつまり許可するということになりますと、これは事務の煩瑣以外に何ものもないのでありまして、これを行いますれば、單に市町村は書類の窓口となるに過ぎないのでありまして、そこでどうしても市町村は若し衞生行政事務を扱うとするならば、相当厖大な大きな試験検査施設並びに技術者を擁さなければならんのでありますが、これは実際は不可能でありますので、現在はその面から申しましても、行政事務の運営の面から申しましても、これは不可分の関係と申さなければなりません。それから一方例えは健康診断を実施するとか、或いは乳幼児の指導をするとかいうようなことはいずれもこれは全くのサービス事務でありまして、保健所の大きな仕事であります。さてその結果になりますと、これは直ちに行政事務に繋がる点が多いのであります。たとえますれば、貧困者に対する問題、或いは又その他現在は物資統制委のことは外されておりますが、その他いろいろの問題で、或いは就業禁止の問題その他いろいろな問題がそのサービスの業務の結果としてこれが行政事務に繋がる点か多いのである。この点も又不即不離の関係があります。そこで全体といたしまして、我々の結論といたしましては、保健所のサービスの業務と行政事務と切り離しては仕事にならん、不可能であるという結論に到達いたしておるのでありまして、従いまして、やはり現在保健所は現在通りの形が最も理想的なものであるというふうに考えておるのであります。ただ只今御指摘のごとく、保健所が専らやるために町村が何も衞生行政を実施しない、そのためにとかく熱がなくなつて来る、勢い町村が無関心になつて專ら上からのただ指図にまあ仕方がないから従つておるというような御指摘につきましては、誠に残念ながらこの点を認めざるを得ないような場合もあるのでありますが、これらの点はやはり我々の運用努力の点によつて十分変つて来ると思いますので、実は現在も保健所の運営につきましては、專ら地方の代表者、民間その他の代表者によります運営協議会を設けまして、その協議会の意思によつて保健所の運営をいたして行くということが保健所法の施行規則、ここに書いてございます。又この方面も大いに活用いたしまして、地方民のよき意思を反映した運営の方法に持つて行くことが必要であると存じます。一方、先程来申上げましたごとく、すべてがむしろ教えることであり、納得に基いて仕事をして行くという上から、いつも職員がその心掛けでよく納得に基く仕事をして行くというようなことも実施して行かなければなりません。更に根本的には、保健所が更に努力をいたしましてもつと国民の衞生知識に関する水準を高めまして、よく保健所を理解するというような運用方法考えなければなりません。かような点に関しましては御指摘の通りでありまするので、今後一層我々といたしましては努力いたしたい考えでおるので、あります。
  108. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は何かの機会に保健所のことについて伺いたいと思つていたのですが、今日は丁度お見えになつておるときにぶつかりましたから、保健所について伺いたいと思うのですが、今御当局の御説明だと、今御説明通り保健所があるのならば非常に国民は有難いわけですが、実際は今の厚生省の課長が説明しておるのと事実が全然逆であつて、これは私自身が経験したのですから間違いないのですが、従来警察でやつておつた事務を可なり大巾に保健所に移された。そうすると新しい法律に基いて新しい機関ができたので一生懸命仕事をやるのは結構でありますけれども、今サービス機関であり、納得づくだというお話であるけれども、そうでなくもう数年前にちやんと警察で手続が済んでおるのに、今度新たに保健所ができ上つたためにその書類をいろいろ今度は新しい法律に基いてやるために、何をこうしろ、かにを持つて来いとかいうようなことで納得づくどころか非常に国民の感情を署すること甚しいものがある。これは実際そうなのですが、今サービス機関であり納得づくであるということを伺つたが、全くその趣旨は徹底しておらん、国民はために迷惑をしておるのだという事例があるのですが、この点は余程あなた方はそんなことを言つたところが、地方では非常に違う。それでは私はそういうふうな保健所のことなんかよく知らなかつたのですが、非常にやかましく言われまして遂に私自身が行つて初めて解決したのですが、そういうことは普通の人なんか行つたつてなかなか解決しない、人の財産を取上げるようなことをやる、この点を伺つて置きたいと思います。温泉の評続きなどをやる場合に、それをやろうとすると、驚くなかれ一件に付き一万円の手数料を取る、又それの名義変更ですか何か、極めて事務簡單なことでも、それをすると一件で三千円とかという厖大な手数料を取る。そういうようなことは一体どこから始まつたことであるか、而もそれは自分のものであつても、数年前、十何年前というのが沢山あるのですが、保健所ができたために警察から書類の引継ぎが十分でない結果、前に手続きをしたものを保健所が受継いでない、従つて今度は古いことをやるために人を呼出しておいて、お前のところのものは手続していないじやないか、そんなことはない、数年前にやつた、手続をしてあるのだ、いやそうじやない、警察からそういうものを貰つていない、新たに手続きしなければならん、ぐずぐずしておればお前のものは取上げるというような、えらい今のお話とは全然逆なのです。非常なる昔の官僚の惡い型で権力ずくで人を嚇かす、これは実際のことなんです。私共の事務員なんかも震えあがつて私が飛んで行つてやつと取上げられずに済んだのですが、そういうことは今のあなたの言われたことと全然逆です、不徹底極まるものである。サービス機関、納得ずくでと言われておるけれども、それはほんの口先だけのことで、実際はそういうようにはなかなか行かない、新たに機関を設ける趣旨は、あなたの今の言われるような趣旨なら非常にいいのですが、ややもすると新たな機関を設けると非常に国民が迷惑することになる。実際私は経験したの、でありますが、数年前にちやんと手続きしてあるのを再び厖大な手数料を出してやり変えなければならんという、温泉のごときは一件に付き一万円、それから名義変更ですか簡單なことなんですが、書類を出させるために保健所の規則とか何とかに基いての書類を完備させるために、我々はそれについて一件について一万円とか、三千円を納めなければならん、そういうばかげたことは何のために必要なのかと思つたのですが、私はそういう厖大な手数料を取るのはどこから出たのか、どういう根拠からか、それは保健所でそういうことが決つておるのですか、本省でそういうことが決つているのか、府県別に勝手に取つたりするのか、私はそういうことは全然知らんので、どういうわけでそういうことになつておるのか、少し伺つて見たいと思います。
  109. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) お答え申上げます。先程の御質問に対してお答え申上げましたのは、どういう考え方かと  いつたような御質問と存じまして、実は当風の考え方について申上げたのでございます。併しながらその私共の考えております点と相当隔たりがありますのに対しましては、私共もよく存じておるのでありまして、只今の御質問の点につきましても全く恐縮をいたしておる次第でございます。従つて現状はと言いますれば、全くお話のごとき点も多々あるということをよく知つておりますが、この点は何とも恐縮いたしております。一日も速かに私共の意図いたします方面に持つて行きますように努力をしておることを申上げておきたいと思います。尚手数料の点につきましては、一定の定められた手数料につきましてはそれぞれの法規に基きまして定めてあるのでございまして、都道府県に手数料條例というものがございまして、これによりまして手数料が規定せられております。併しこれはそういう厖大な経費とは考えられんのでありまして、従いまして、この点につきましては尚私共の方といたしましても十分に調査をいたしまして、かような手数條例に定められてない範囲の手数料を取るというような点につきましては、その事実を十分に調べまして、手続をしたいと考えております。
  110. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のお話でも、そういうことは実際にあるのですから。あなた方が国会の委員会でそんなことを言われても、さつき言われたように国民に納得ずくで真のサービス機関であるごとくやつて頂かないと非常に困る。これは私共が実際経験したのですが、同様のひどい目に合つてる者は沢山あるのです。幸いに私は国会議員でしたから取上げられるようなばかげたことはしませんでしたけれども、そういう嚇かしで行くので国民は迷惑をしておるのじやないか。私は心からつくづくそう思つて、何かの機会に当局に反省を促して見たいと思つていたのですが、そういうことはあなた方が中央で考えておつたところがなかなかそうは行かんので、新しい機関を作つて、そういう連中が新しい法規に基いてやるために非時に国民のサービス機関どころか、そういう機関のために経済的にも気持の上でも非常なる厭な思いをしなくちやならん。そういうことがないようによく考えて頂かないと、こういうものを作つた趣旨が没却されるのみならず全く破壊を来すと思うのですが、今の條例なども、條例などで決まつたつて多額な命じやないとあなた方が言うけれども、現実に三千や一万という手数料じやそれが安いと言うならあなた方の頭がどうかしていると思うわけで、大変了解ができないのですが、一万円というのは安い金額であると言うが、あなた方は金持ちだからそういうことを言われるのであろうけれども、一万円というのは決して安いものじやないと思います。それから尚それに関連しまして、例えば警察からの受渡しが洩れたかどうか知りませんが三年前にやつた手続を今度保健所がやるために譲渡状を持つて来いということになると、もう以前のことだからそういうものはありはしません。そんなものを持つている人は少ない。殊に戰争でこういう全国的に災害も蒙つておりますから、そういうものはないですから、手続が完了しないために非常に迷惑なことをしなくちやならんことが実際にあるのですが、そういう点は全国的に戰災で重要な書類も随分失つておる現状なのですから、もう少し現状を常識的に認識して、そういう書類がなくても泥棒したのではないということははつきり分つているのですから、そういうことを常識的に解釈して頂きたい。軍に人の感情に触れるようなことをすると、サービスどころか逆な機関になるのですから、飽くまでもあなたが言われた通りにサービス機関であつて国民に親切であつて欲しい、国民のためにプラスになつて欲しい、そう私は思うのでありますが、これ以上は言いません。が、私は実際に経験したのだから間違いないのであつて、そういう趣旨をもつと徹底して、本当に保健所ができたために非常に助かつたということにして頂かなければ、こういう新しいものを作つてもやはり国民はその度に迷惑するのだ、国民はその度に無駄な金を使わなくちやならんということのないように十分やつて頂くように私は希望いたします。
  111. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 保健所の問題でちよつと……私は叱りはしないけれども、保健所は大体がGHQの指示によつてお建てになりましてどんどんやつて来た。それが国の予算も非常に少いが、又県の予算も少ない。そこで結局保健所は建てたが内容は少しも充実してない。ここがいろいろな問題が起つて来るところだと思います。私は先ず第一に、厚生省におきまして保健所を十万單位でお作りになつたが、非常に惡いのもありますが非常に立派なのもできておる。その保健所を建てるときにはどういうことをやつたかというと、大体国が一部分を持つて後は県と地元に負担をして頂き、そうして保健所が建つたのだが、内容をもつとしつかりやつて呉れと言うと、定員がない、こういうわけで少なくとも定員数によつて縛られているのでありますから、建物は立派でも中の内容が貧弱だから非常に忙がしいので、取扱いがサービス機関であるにも拘わらず不親切になり勝ちであると思う。であります。第一に総務課長さんなんかもう少し予算を取らなければならない、県におきましても国におきましても厚生行政予算というものがなかなか取られないので、これを取つて行かなければ折角保健所ができましてもその御趣旨に反するようになつて来ると私は思います。その点に対しまして、もつと予算を取るべく努力するかどうかということをお伺いしたい。  もう一つは、十万單位に現在なつております。千五万單位で保健所ができておる所もあり、或いは又十万以下、大都市におきましては七、八万になつております。我々の方におきましても十五万位に一つであつて、分所なんというものがありますが、こういうふうに十五万位ありますところは分離して一つの單位にして作つてもいいのではないか、県に割当があつてそれ以上にいけないという点につきましては、どういうお考えを厚生省では持つておられたか、それからもう一つ行政力の弱体化という先程もお話がありましたが、これは結局保健所の宣伝か余り行き届かないというような問題があるのじやないかと思います。警察行政というものは、警察というと国民が何かしら強い権力があるというわけで非常に感じが違う。保健所になるとずつと柔かくなる、そういうことでいろいろの問題に対しましても警察には非常に協力する、おつかなびつくりで協力するのかも知れませんが、そういうわけでうまく行つておつたが、保健所になりますとそういうことがない、そこにちよつと弱体化したような面も私は見えますが、現在私は保健所が本当にうまく立ち直ればいいのではないかと思いますが、私も保健所の協議会の全長もやつておりまして非常に協力しております。各市町村もこれに入つておりまして協力しております。どうしても政党色が混るということはいけないと思いますが、私共政治というものは、全然考えておらない、何とかして自分の保健所をよくしていろいろの協力をしたいと思つておりますが、なかなかさように行かないのは結局予算の問題で、又この頃は寄附の問題が非常に問題になりまして、寄附をしておるのも問題になつてつておるような状態でございますので、どうしても県並びに国においてもう少し予算を立てなければ保健所は結局有名無実、といつてもそんなひどくはありませんが、あなた方のお考えになるようにうまく運営できない、こういうふうに考えます。これに対しまして、もう少し強力にやるかどうか、この点につきまして御答弁願います。
  112. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 御指摘のごと保健所は企画として考えておりますことを実行する際の予算が極めて不足いたしておりますために、計画と実施とが調和が取れない点があるのでございまして、この点は全く御指摘の通りであります。私共かねてこの保健所予算の獲得には十分なる努力をいたす決心であり、又事実そのように努力いたしておるのでありまするが、何分にも相手もあることであり、未だその十分な域に達しておらないのでありますが、保健所の事業は厚生事業としての重要なる施策の一つになつておるのでありますから、逐次予算は充実して来るのでありまして、例えば二年前に比べますれば、すでに今日は格段の開きがあるのでありますが、何分にも企画に予算が伴わないので御迷惑をおかけしておるのでありまして、今後私共は一層厚生省の最も大きな事業の一つとして予算の獲得に省を挙げて努力いたす決心でございます。  次に御賛同の十万未満のものにつきましては、我々の計画といたしましては、十万を單位に全国に七百八十箇所を新設いたす予定で進んでおりますが、未だ七百余りしかございませんので、更に百五十余りを近い将来に完成いたしたいと考えておるのでございまして、その暁には計画といたしましては、勿論この人口十万以下のところもあります。十万以上のところもありまするがこの大体の分布といたしましては、平均十万に一箇所という割に設置して頂きたいと考えております。尚この保健所行政と申しますような点につきましては、御指摘のごとく宣伝力の不足、その他いろいろあろうと存じますが、要するにやはり地元の皆様の御協力、御理解を得まして、保健所行政力を高めて参りたいという点につきましては深く同感に思つておる次第であります。
  113. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 それでは、二十六年度予算保健所に関しまして相当増額する意思があるのかどうか、お考え如何。
  114. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 事務的折衝の範囲におきまして申上げます。来年度におきましては約二十ケ所の新しく保健所が作られます。更に現在C級といたしまして比較的貧弱な施設のうち、九十ケ所が拡大せられることになります。次に現在職員の不足、特に医師の不足ということが日立つておりますので、来年度におきましては医者に研究費を支給いたしまして、待遇改善の一端に資したいと考えております。それによりまして医師の充足をして行きたいと考えております。特にA級の大きな保健所には、自動車を配置いたす計画でございます。それによりまして保健所の機動力を発揮しようというのが目的でございます。尚保健所が地元の協力を得て仕事をしなければならん関係上、運用面におきまして現在若干協議会の経費を持つております。今後はこれらの経費を一層拡大いたしまして、活發に各方面との協議会を設けまして、これによつて一層保健所事業の進展を図りたいと計画いたしております。次に従来学校衞生に関しましては、専ら教育委員会の方の仕事でございましたが、今後は保健所が教育委員会に協力いたしまして、学校衞生の一端をもサービスいたすことになりまして、これに若干の経費を組んでおります。従いまして総額といたしまして、支出の内容から申しますと可なり増額を見ておるわけでありますが、ただ本年度は保健所の建物が相当建設せられる関係上、公共事業費が本年は相当大幅に認められておりますが、来年度におきましてはこれらの建物か一応最小限に整備をせられる一関係公共事業費が著しく少くなつております関係上、予算総額から申しますと、約一億の減となりまして十一億の予算となります。
  115. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 それではお伺いします。三十ケ所お作りになるようでありますが、現在支所のようなものがありますね。建物はできておるが職員だけが足りない。こういうものに対しまして、それを県から申請するときに独立する御意思があるかどうかということですね、これをちよつとお伺いしたい。それから今の協議会に対します、まあ協議会は大体関連市町村長その他いろいろの業界の方が入つているので、これに対しまして経費を増加して頂くという面は非常にいいわけで、この方で宣伝いたしますれば、いわゆる市町村と申しますか、町村と保健所との連絡がうまく行つていろいろの欠陷が取れると思いますので、これは特に重点を置いて頂きたいと、かように考えておりますが、第一点の問題だけお伺いしたい。
  116. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 現在支所につきましては未だ予算的な措置がしてないのでございまして、まだ厚生省といたしましては支所に対しますところの予算というものは持つておらんわけであります。補助予算は持つておらんわけであります。従いまして地方といたしましては、運用上必要な場所に本所の一部を割いて支所を置くという恰好になつております。併しながらその場所が将来一つの独立した保健所として当然置かるべき條件にありますところにおきましては、予算の裏付はありませんけれども、我々といたしましては地方の御要望によりましてはこれを本所として認めておる次第でございます。従いまして、予算の上の帳面ずらの保健所の数と実際の我々が認可して存在いたしております保健所の数との間には若干の相違があるという結果になつておりますが、これは予算関係で止むを得ないものと考えております。
  117. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 最近厚生省からの指示で、或いは養老院とか或いは今の保健所あれでしようが、いろいろと地方に指示せられるのですが、そのときの予算が大低二分の一とか三分の一とかそういうことです。ところが実際は受入態勢の方も府県としては起債の方は認められない、平衡交付金の方は十分じやない。それから税收入の方は非常に減税になるというような態勢で、それを受入れるということが非常に困難にぶつかつて来ておるわけですね。そうするとそういう場合に府県がそれらの事務を放棄した場合に、言換えれば二分の一の補助の後の残りは出し得ないので、それらの仕事というものを辞退すると申しますか、それらをやり得なかつた場合は一体それはどうなるのでしようか、その点ちよつとお伺いしたいと思います。
  118. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 便宜私から申上げます。これは補助されるものの、性質によつて結果が違つて参ります。只今例にお挙げになりました養老院とか或いは浮浪見の收容施設についてという場合でございますれば、これは勿論補助金性質として奬励補助金でございますから、これは府県なり市町村が自分の手持ちで負担分が持てますということでやつて頂くわけですから、実際にやつて見たらどうも起債の方が思うように行かなくてできなくなつたということでありますれば、放棄されて一向差支えございません。ただ事務上の便宜といたしましてそうなりますと、その補助金を又外の地方に振向ける必要がありますから、成るべく早く御通知を願つて、国としての補助金を無駄にしないで済むようにして頂くということが、お互いの徳義上の問題として残るわけでございます。それから先程総務課長が御説明申上げた中にあつたのですが、補助金の中にも昔の負担金としての性質補助金があるわけであります。これについてはまあ例えば生活保護法がその代表のごときものでありますが、八割は国が持つ、県が一割持てないからという理由でこの仕事をやつて貰えなくなるということはこれは困るので、こういう場合は是が非でもやつて頂くということになるわけであります。
  119. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 そこで実際の通知は、例えば今の養老院或いはその外にしても、そういうような例えば養老院が入つているかどうか分りませんが、平衡交付金の中でこれは見ているのだというような通牒を頂くのですがね。ところが実際は自治庁の方ではそういうのは計算に入つておるかどうかはつきりしないというような、自治庁の方から聞くとどうも曖昧なんですが、そういう場合の取扱いというものはどうなるのでしようか。言換えれば、それを放棄した場合には平衡交付金というものはその分だけ差引かれるのですか。そこいらの一体自治庁との……いわゆる厚生省の出す通知の中でこれは平衡交付金の中に入れるのだという通知はどういうようなお考えにおいてなされるのか、その点を伺いたい。
  120. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 厚生省の方からこれは平衡交付金の中に見込まれているというふうに御通知申上げております。というのはこういう地方自治庁と打合せ済みのものについてだけ差出されたのであります。従つてそれは当然見込まれているわけであります。ただそういう通知を受けても、又県内にはいろいろ実施すべき事業の順位がございましようから、その結果どうにも実施できなくなつたという場合には、結局見込まれているという通知を受けたものについても実施できなくなるという場合があり得ると思います。この場合私共の立場としては是が非でもやつて頂くように実際上懇談いたしますけれども、法律上の問題としては仮にやらなくても、その線を命じ得ないというのが現在の地方財政委員会法の規定でありますから、そういう結果になると思います。
  121. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 そうすると、その場合には平衡交付金のその分だけの取り得ということになるわけですな。そう解釈していいのでしよう。
  122. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 取り得とおつしやられると非常に困るのでありますが、これはやはり地方自治建前から見まして、いろいろ国の方からは希望はあるだろうけれども、地方団体として自分のところで一番必要だと思う順序に従つて使つた、こういうことになるわけでございます
  123. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 そこで先程の養老院とか、浮浪兒はあれなんですが、どうも私は養老院とか、浮浪兒とかというそういう厚生施設というものは今お話の結果だと、金のある町村だけがそういうものをやり得て、府県がやり得て、金のないところはそれを持ち得ない、例えば災害があつて実際にそういう施設が非常に必要であるけれども、どうにもならんというような府県ではそれができないと思うのですね。だからむしろそういうものを厚生省が日本全体から見てどういう場所においてそれが必要かということを以て判定せられるならば、それに対する例えばそれを負担している県については起債について話をつけて行くとか、そういうようなことをもう少し国の施策としてやられるならば、地方においてもそれを受入れるところの受入態勢についてもう少し何と申しますか、温かいと申しますか、そういうことをはつきり決められる方法はないものでしようか。
  124. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 只今具体的な問題として御指摘になつた養老院の起債問題につきましては、誠に私共も非常に遺憾に存じております。これは地方自治庁側にも決して惡意があつたわけではないのでありますが、まあいろいろの事情からしてたまたま起債の認可基準を地方財政決めます場合に、ちよつと工合の惡い決め方をしてしまつた。そのために一般的な問題としては養老院だから、或いは兒童福祉施設だからということで、当然には起債の対象にならなくなるという結果になつたわけであります。併しこれはその後いろいろ相談した結果、実は決して他意があつてやつたわけでもなく、そういう趣旨のものでもなかつたのだから、個別的の問題については十分一つ相談しようということにはなつたのでありますが、もうすでに起債の枠の殆んど全部を使い盡した後でありましたので、そういうことになつたというような、一応お互いの間で了解かついたというだけのことで、どうもこの結果が直ちに十分及び得るようにならなかつたというのが実情でございます。この点は私共も非常に遺憾に思つておるのでありまして、来年度からはこういうことのないように、お話のように国の方で奬励補助金を見込みます以上は、地方何とかしてこれをやつて行けるように、極力財政面においても地方事情を損わない限度で考慮して貰うように、十分地方自治庁と相談したいと思つております。
  125. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 もう一つ先程の保健所に関連してなんですが、保健所の実情は実際問題としては医者が足りないのですね。一つの県一の例ですけれども、もう定員のとにかく六割くらいまでしか医者がいないという状態なんですが、これは何かやはり厚生省の方でそういう或る一つの医師のプールとか、或いは保健所用の医師とか、そういうようなものをプール的に配置するという考え方、そういう方法がないものでしようか、それについても何か御思索がありしますれば……
  126. 小山進次郎

    説明員(小山進次郎君) 御指摘のごと保健所一つの弱点は医者の不足でございます。そこでプール、厚生省として医者のプールのようなものを以て自由に配置するというようなことは確かに一つ方法だと存じますが、何分にもこれを実施いたたしますには、やはり相当厖大な予算が要ります。これも單なる現在の役人の給料ではなかなか行きませんので、相当大幅な待遇改善をいたしました給與によりましてプールしなければならんのであります。従いましてこの途もなかなか困難なのであります。と申しますのは、現在国家公務員法によつてべースの基準が決められております。又それが地方公務員にも準用されております関係上、給與を大幅に上げるということは極めて困難な問題であります。従いまして来年度におきましては、止むを得ず窮余の策といたしまして待遇改善とは称さず、研究費という名目で医者に支出するという苦しいことをやつておるのであります。従いましてこの点は新らしく法律を、一番私として簡單方法は、只今判検事等に認められておりますような、全く医者の俸給というものを別個に扱つて特別な俸給基準表を作りまして、これによつて給與を支給するということが一番手つ取り早いと存じておるのでありますが、これは又相手のあることで、なかなか今は簡單に取り運びませんので、止むを得ず只今申しましたような苦肉の策を講じ、医者の獲得、並びに優秀な医師の充足を図つておるのであります。併しながら例えば医者のプール、その外委託学生の制度というようなことも今後十分研究をいたしたいと存じております。
  127. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 もう一遍お聞きしたいのですが、実は先般愛知県、三重県に地方行政の視察に行きましたときに、町村長方が異口同音に言うのは、国民保險の非常な市町村財政に対する負担、これに対しては何か厚生省で政治的は手を一応考えておられるのであるかどうか、もう一遍お伺いしたいと思います。
  128. 森本潔

    説明員(森本潔君) 国民保險の問題は、お話の通り全くむずかしいものでありまして、どういう方法がいいか、結局これは簡單方法といたしましては、赤字でありますから、国とか県から相当の補助をする、結局これしかないというような状況にあると思います。事務的には事務のやり方を改善するとかいろいろございますが、手つ取り早い而も根本的な方法といたしましては、赤字があつてつておるのであるから、これに対して補助をする、こういうことであります。これにつきましては、一昨日社会保障制度審議会から勧告が出まして、事務費の全額と、それから給付費の二割、これを国が補助するのが適当であろうという勧告が出ております。従来からも大体厚生省としてはその線に沿いまして予算の要求をやつておりますが、勧告も出ましたので、来年度はどうかと思いますけれども、法律の改正をいたしまして、次の年度あたりからは更に強力な手が打てるのではないかと、かように考えております。
  129. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 最後にもう一つ伺いますが、その際町村長の意見では、診療所のある所は比較的やり易いけれども、診療所がなくて町医者だけに頼つてこの制度を運営するのは非常に困難だというお話があつたのですが、診療所の増設措置についてはどうお考えになるのですか。
  130. 森本潔

    説明員(森本潔君) 直営の診療所を持つておりますと、これは経費が安くつく、医療費が安くつく。村の人としましては自分の診療所であるという観念からしましてよく利用する。いろいろな面から利点がございますが、併し今の厚生省の考えとしましては、開業医のありますところにおいてはできるだけ開業医の協力を求める、仮りに開業医のない所につきましては直営の診療所を設けたらどうか、こういう考えで指導して参つております。来年度の予算としまして約四億円程これが補助を見込んでおるのであります。
  131. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 公衆衞生行政についてですが、地方行政調査委員会議勧告はないと思うのですが、自分は聞き漏らしたと思うのですが、これは調査過程にあると思うのですが、委員会ではどうなつているのですか、市町村に持つて行くような傾向にあるのですか、どうなつているのですか。
  132. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) お手許に差上げてあります資料に若干のことが書いてございますが、大部分の行政事業というのは市町村中心に持つて行こう。かような関係でございます。そうしてそれに伴いまして国及び府県の権限の関與を極力排除しよう、かような大体の方針であります。尚個々の業務以外の保健所につきましては、これを市町村組合によつて運用せしめる。尚これは單なるサービス機関のみとして、現在保健所の行なつております各種の行政事務はこれは市町村にすべて渡して行く。かような考え方でございます。
  133. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういうようにする理論的な根拠というものはどこにあるのですか。
  134. 小熊清

    説明員(小熊清君) 地方行政調査委員会議の第三課長から代つてお答え申上げます。  只今保健所課長の方に御質問のございました地方行政調査委員会議で、公衆衞生の関係事務についてどういうことを考えておるかという御質問でございましたが、只今保健所課長から御答弁のありました大体のラインで一応事務局としては考えております。まだ委員会といたしまして最終的に決定いたす段階に参つておりません。いろいろ他の事務との振り合いもございますし、又町村なり或いは府県なりの受入態勢その地相当考慮すべき問題もございますので、それらの一連を考え合せまして最後的に結論を出そう、こういうように考えております。そこで、今事務局で大体そのような方向に考えていると申上げましたが、その理論的根拠と申上げますその一応の理由でございますが、現在公衆衞生行政、大体保他所を中心にして運営されている模様でございますか、公衆衞生でありまするとか、或いは社会福祉、民生関係事務は、事務の本質という点から考えますると、最も住民に直結した住民と最も密接に関係した事務ではないだろうか、現に民生行政の生活保護のごときは一応国の事務という建前はとつておりますが、この実施は殆んど全面的に市町村長に委任されている次第でございまして、衞生行政におきましても、大体これとほぼ同じようなことが行政の本質から考えて言えるのではなかろうかというふうに考えます。又この場合は現在の市町村、殊に弱少な町村にその能力がないというふうに考えられる考え方もあるわけでございますが、当然行政事務全般について国から成る程度の権限を府県なり市町なりに移す、移譲するということになりますれば、これに伴いましてそれを十分受入れて能率的に運営して行く行政單位というものを又併せて考えなければならないというふうに考えております、従いまして現実の殊に弱少な町なり村なりというものをそのまま描いてそれを対象として移すというふうには必ずしも考えておらないわけでございます。又かような情勢につきましては、一応行政事務事務の施行者にとつて一番やりいい或いはやりにくいということも勿論大事でございまするが、行政を受ける国民の側にとつて便利であるかどうかという点を強く考えなければならないのではないか、こういうふうに考えております。以上のような各種の点考え合せまして、只今のところ事務局では大体公衆衞生乃至社会福祉関係事務は大筋のところは現在の市町村にやらせたらどうかというふうに考えておる次第でございます。
  135. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、市はまあ可能だと思うのですが、特に郡部なんですがね。その場合は組合でも作つて事務局のようなものを特別置いたりしてやるのですか。町村で組合を作つて。例えば一つの郡ですね。二十数カ町村を従来対象にしておるというような所はどういうふうにしてその市町村の経営に移して行くのですか。
  136. 小熊清

    説明員(小熊清君) 民生行政でございますれば組合を作る必要はないと思いまするが、公衆衞生行政、殊に保健所を中心とする保健所の運営という点を考えますると、一町なり一村なりで單独の保健所を持つというよりも、ときによつては或いは人口十万内外程度一つの組合でも設立してそれで保健所を持つという方式をとつたほうがいいのではないだろうかというふうに考えております。尤もこの場合保健所には、一応事務局の考では行政権限を持たせないで、行こうという考えでございまするので、丁度病院なり診療所なりを組合立の病院を持つといつたようなこととほぼ相似たような情勢になるのではないか、行政権限のほうは市町村長に持たせるということに考えておりまするので、組合の事務局というような所でそういう行政的な決定をするとかしないとかということは一応起らないのではないだろうかというふうに考えております。
  137. 安井謙

    ○安井謙君 水道行政はやはりまだ国が相当監督しなきやいかんですか、それが一つと麻薬行政はこれで行くと国の行政になつておるのですが、実際都なんかは都にも麻薬係のようなものを置いて、これが特殊の司法権を持つて動いておる。恐らく特別の行政官で司法権を持つておるのは麻薬関係だけだと思いますが、これはいろいろな弊害もあるのじやないかと思いますし、あれは警察へ統轄するというようなことは考えられないかどうか、その二点。
  138. 森本潔

    説明員(森本潔君) 水道は市町村がやりまして、現在厚生省と建設省両方で監督しております。それでこれを全然何らのノー・タッチにして置いていいかどうかということでございますが、大体ああいう大きな土木工事でございます。それから一度作つたならば、将来衞生の両から見たり、その他の点から見まして、非常な影響を持ちます。そういう意味市町村の計画をよく見て、いいか惡いか、惡い点を直す、そういうような意味のものでございます。そういうふうな監督でございますので、これはそういう意味からいたしましてやはり国がよく面倒を見るという意味で残して置いたほうがいいのではないか、かように考えます。  それから麻薬の取締でございまするが、これは全部各都道府県におりますが、いずれも厚生事務官又は厚生技官というものでございまして、ただ配置の場所が府県になつておるというものでございます。これを司法警察のようなものでございますので警察に任してしまつたらいいじやないか、こういう考えもございます。確かにその一つの面はございますが、尚そのほかに取締だけでなしに、いろいろな許認可でございますとか、そういうことをやつております。警察のような仕事が半分と一般行政的なものが半分、こういう二つのケースを持つておるのでありまして、麻薬という特殊な性格上両者を切り離したがいいのか、或いは一人で二つの仕事をやつたらいいのかというその辺の問題だと思いますが、現在では一人がその二つの仕事をしたほうがうまく行つていいだろう、こういう考えでございます。それからこの麻薬の取締につきましては、近く講和の話もございますがその中におきましても諸外国と同様に国が直接責任を持つて取締るということが要望されるというようなことも聞いておりますので、その筋からも話があつたので、一応現在の体制のままがいいじやないかと考えております。
  139. 安井謙

    ○安井謙君 外国は大体皆そういう形になつているのですか。行政官がやはり司法権を持つてつているのであるか、それから厚生事務官、或いは技官と言われますが、やはり都の例で行けば、係長というやつがあるのですがね。麻薬係長。あの係長がやはり司法権を持つているのですからね。あれは厚生技官ですか。
  140. 森本潔

    説明員(森本潔君) 私は詳細は外国の例は承知しておりませんが、多分そうではなかろうかと思います。麻薬につきましては行政と司法とを併せてやつているのじやないだろうかと考えます。これは正確じやございませんが、そう思います。それから東京都の麻薬の係長という名前があるというお話でございますが、あれは大体その正式な名前としましては麻薬取締官事務所というのが正式なのでございます。それで便宜係長というような名前を使つているのじやないかと思いますが、正式には麻薬取締官事務所というのでありまして、所長というものもなければ、係長という名称も公には認めておらん。便宜そういうふうな名前を使つているのじやないかと思います。
  141. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 地方行政調査委員会議の方にお尋ねしますけれども、公衆衞生行政のそういうふうな事務配分勧告というものはいつ頃を予定されているのですか。
  142. 小熊清

    説明員(小熊清君) 大体只今の事務の進行の程度でございますれば、十一月の遅くも下旬頃までには勧告いたすことができるのではないかというふうに考えております。
  143. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) まだこの外に補助金整理に関する意見なんか出ているのですか、説明を受けなかつたのでありますが、要すればもう一回調査を願つていいと思います。今日いろいろ御意見がでましたが、私からも尚幸いですから、厚生省の関係の方々に申上げておきますが、この保健所の問題がいろいろ御意見が出ましたが、保健所の評判が非常に惡いのです。これは東京都のみならず、地方に行つても非常に惡い。これはやはりあなた方の企図しておられる高度の医学的技術、施設を以てそうしてやつて行かなければならないその外に、許可認可権を持つている。これが地方としては非常な関係の広汎に亘る許可認可権であつて、劇場とか、映画館の設備とか、それから料理屋、飮食店の設備とか、旅館とか、浴場とか理髪屋、食肉製油業者、非常に広汎なんです。これと一々保健所へ行つて貰わなきやならん。それがもう半年かかつても貰えない。これは警察でやつて頂いた方が余程楽である。例えば御馳走をしなきやならない。一軒御馳走するところが殖えたわけのようなことである。而も遅くなるというような不平が非常にある。これは何とかして私は保健所本体に入られて行政といいますか、その面はやはり市町村なり何なりに返された方がいいと、こういうふうに私思つているのですが、まあそうしちやいかんという皆さんの強い御意見なり、又その方が理論的に正しいとすれば、どうか今の邪道に入つたやり方を一日も早く止めて貰いたい、そうして国民が保健所というものは成る程いいものだと思うようにして貰わなければいけないと思うのです。この点を強く要望しておきたいと思います。  それからもう一つは、厚生省関係の法律案が出て参りますが、厚生省関係の法律というと社会福祉関係ですから、どうしても府県市町村義務を課することが多い法律になるんです。できれば私共地方行政委員会もそれに審査に加わつてやるべきなんですが、どうも国会の忙がしい最中に出て来るのでその暇が実はない、今後はこの委員会にもそういう府県市町村財政とかその他のことに多くタツチする法律案を出されるときには、この委員会にも連絡を一つつて頂きたいということをお願いしておきたいと思います。で、そうなれば私共も注意いたしますし、この社会福祉のことはとかく金のかかることですから、職員も置いたり設備を拡充したり、又いろいろの経常費が要つたり、それで府県市町村財政に非常に影響を及ぼしますので、これは成るべくそれを緩和するように地方自治庁地方財政委員会議に連絡を取られるのは勿論のこと、厚生委員会のみならず地方行政委員会にも連絡を取つて頂きたいということを希望しておきます。  それからもう一つ、国民健康保険のことを先程高橋君がお話になりましたが、これは先程の社会保障制度露議会ですか、の原案によると、市町村事務にせよというらしいですね。それから健康保険の方はこれは府県事務にするという御説明でした。ところが厚生省としては健康保険の方は府県にすることは反対だ、中央の事務にしなければならないというお話で、国民健康保険の方は市町村事務でいい、こういうふうにお考えになつておるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  144. 森本潔

    説明員(森本潔君) 保健所につきしましていろいろ御注意を頂きました。先程申上げましたように保健所ができましてから間がなく、その他対策の不十分等もございますが、十分注意して参りたいと思います。  それから法律の関係でございますが、御要望の通りに連絡をして参りたいと思います。  それから第三の、国民保険の経営の主体でございますが、これはやはり市町村の方が適当ではなかろうかと考えております。これはいろいろ意見がございますが、都道府県でやるということにいたしますれば、これは都道府県全部に強制になりまして、各市町村みなやらなければならんということになります。そこまでやるのがいいか惡いかという問題でございますが、現状からいたしますと、市町村でやるところはやるやれないところはやれない、そういう行き方がいいのではないかと思います。都道府県になりますと、これは全国強制ということに実際なると思います。そこまで行けるかどうかという問題でございます。  それからこの点につきましてはもう一つございまして、関係方面の意向がございまして、勧告がございます。それによりますとやはり国民保険は市町村で任意実施した方がいいのではないかという勧告でございます。で、問題は結局国民保険を強制するかしないかという問題でございますが、現状では市町村でやる方がいいのではないかと考えております。
  145. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それから健康保険を国でしなければならんという理由ですね。
  146. 森本潔

    説明員(森本潔君) 健康保険を国でしなければならんか、或いは府県にさせたらいいかという問題でございますが、これは考えようでございまして、どちらでもいいと思います。簡單に申上げますれば、府県でやりますれば府県が全責任を持つてつて行く。国の世話にはならずに行くという行き方もこれも一つの行き方でございます。国が現在通りつて行くということもあります。これは行き方の問題だと思います。現在厚生省が国でやるのがよろしいという考えでおります理由は大体こういうことでございまして、保險には保險料を取ります。それから給付をしなければならん。これが各府県によつて非常にまちまちでございまして、例えば長野県へ参りますると、一人当りの俸給が非常に安いものですから保険料が非常に少い。使う金が多いに拘らず保険料が入らない。長野県においては赤字である。ところが東京都においては俸給が高いので保険料は沢山入る。その割に病気が少い、結局黒字になる。それを全国的にプールしてやつているのが現状でございます。それで府県ごとにやりますと、或る県では保険料は取れない、金はかかる。或る県では十分やつて行ける。こういうふうに不公平といいますかむずかしくなると思います。それで現在のように国でプールしてやるのがいいと思います。こういう考えでございます。
  147. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の問題にちよつと関連しますが、今の健康保険のことですがね、保險の事務所はこの頃大分立派になつて来たのですが、そこで結局何といいますかいろいろ不祥事件が起るということは、監督者がないということです。それであるから大きな金を預かつてストツプして置いて、自分が使つてしまつても分らない。それでありますから、あれは余程厚生省の方で監督しなければ問題が起る。それから県にやつた方がよいという問題ですが、監督者が付いていればよい、ところがあれはそうでなくて何もおらんですな。それでやつておりますからどうでも惡いことができる。非常に大きい問題が起きてから分るのはまあいいでしようけれどもあれが小さくやつているものは一々行為が分らない。そういうことがあるからこの点非常に御監督にならんといかんと思います。
  148. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは最後に小熊地方行政委員会調査第二課長に午前中の答弁を願います。
  149. 小熊清

    説明員(小熊清君) 午前中勧告の方式に従つて計算した場合に、明年度の国の予算に計上されるべき災害復旧費の額は幾らになるだろうかという御質問に対しまして、一応事務局で試算をいたしましたので御答弁いたします。明治二十二、二十三、二十四、三カ年度に発生いたしました災害につきまして、その復旧費総額を昭和二十二年と二十三年の分につきましては材料費、医療費等に分けましてそれぞれの物価指数を補正いたしまして、補正した位を求めまして三ケ年間の平均を求めますると、凡そ九百十億円程度に相成ります。一方都道府県及び市町村の税收入平衡交付金の会員算額の五%というものを求めますると、凡そ八十九億ばかりになります。常識的に考えますると地方税千九百億、平衡交付金千五十億、併せて二千九百五十億の五%でございますから、約百五十億になるわけでございまするが、町村の中には災害の全然起きない箇所も相当ございまするので、その点若干補正いたしまして推定いたしたところがございますのでその結果大体八十九億程度に……約九十億でございますが、九十億程度に相成ります。ただあの勧告におきましては地方公共団体財政状態によりましては、五%以上一〇%程度までは負担させるべきであるというふうにしてありまするので、その点も睨み合せますると、九十億乃至百四、五十億というところになるものと思います。従いまして国の方で負担すべき金額は凡そ七百五十億から八百億程度になるのではなかろうかというふうに一応事務局で試算いたした次第でございます。
  150. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。  それでは今日はこれで散会をいたします。    午後五時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            安井  謙君            高橋進太郎君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   説明員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方行政調査委    員会議議長   神戸 正雄君    地方行政調査委    員会議調査第二    課長      小熊  清君    厚生省総務課長 森本  潔君    厚生省社会局保    護課長     小山進次郎君    厚生省公衆衞生    局保健所課長  楠本 正康君