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1950-10-16 第8回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十六日(月曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告地方行政改革に関する調査の件  (地方財政増額及び補正予算に関  する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日の議題は、先ず過般来地方行政財政警察等地方における状況を御視察願つた派遣議員の各位の報告を求めたいと思います。兵庫県、京都府に地方行政財政警察状況をお調べにおいで頂いた西郷委員安井委員岩木委員の御報告を、西郷委員からお願いいたしたい。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 我々は本委員会から第二班といたしまして、岩木安井君、私の三人が地方税法のその後の状況とか、地方財政平衡交付金の問題その他治安問題等現地調査のため、八月二十日から二十六日まで七日間、兵庫県及び京都府に参りました。兵庫県におきましては県庁、神戸市、小浜村、鳴尾村並びに尼崎市、又京都府におきましては府庁、市役所、綾部市、宮津、宇治、久世郡の小倉等調査いたしましたが、その内容につきましては、詳細に報告書を作成してございますので、ここに縷々述べることを省略さして頂きます。従いまして委員長におきまして、この報告書速記録記載方を御配慮願いたいと思います。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今西郷君から、詳細は速記録に別に提出される報告書を載せて貰いたい、それに御承知願いたいということでございますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。ではそういうふうに取計らいます。  次に愛知県、三重県に御出張願つた高橋委員にお願いいたします。
  6. 鈴木直人

    鈴木直人君 今の西郷さんの御報告異議はありませんが、何かこう我々が今の機会において聞いて置いた方がいいと思う二、三の点がありましたら、そういうものを参考のために一つお聞かせ頂いたら非常にいいと思います。あと速記録を見たら分りますが、何かこういうことという、特に我々この委員会で一応今聞いて置いた方が都合がいいものがありましたら一つ、一応報告を済ましてから、その後でいいのですけれども、若し頂いたら参考になると思いますけれども……。
  7. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は院議によりまして、岡本愛祐委員長、法貴調査員と共に、愛知県、三重県の両県について地方行政自治改革に関する調査について九月八日より六日間、現地調査を行なつたのであります。その詳細につきましては、別に提出いたしまする文書の報告を以てこれに代えたいと存じまするが、一、二その調査に当つて特に我々として問題にいたしました点について申上げたいと存じます。  今回の調査に当りまして、主としてその目的といたしましたのは、国及び地方団体事務配分の問題と地方財政の問題、この三つについて県当局者並びに公安委員長関係者或いは市町村当局者並び関係者よりそれぞれお話を承わつたのであります。県並びに愛知県のごとき都市におきましては、国及び地方団体事務配分の問題については、大体案も用意し、相当研究調査を行なつておるのでありまして、一日も早く国と地方団体事務配分を明確にして、従来の官治行政随性を一日も早く清算し、地方団体あり方を明確にいたしたいという熱意に燃えておるのであります。市町村におきましても、その熱意はございまするが、ただ若干その受入態勢につきましては十分なる用意があるとは思えない節があるのでありまして、これは委員の訓練及び町村財政確立というような面から一日も早くこの受入態勢を整備する必要があるやに思われるのであります。併しながら、いずれにいたしましても、県市町村を通じまして、先般のシヤウプ勧告案を主といたしまして、地方自治確立のために非常なる熱意に燃えておるということは共通した現象であります。  次に、地方財政の問題でありまするが、県におきましては、今回の地方税法改正の結果、ともすれば県の財源のために都市議員農村議員との間に摩擦を生じておるということであります。これは愛知県におきましては、農業の補助金計上の問題と絡んで、愛知県会におきまして都市議員農村議員とが対立しておつた事例等もありまして、報告書の中に書いてございまするが、今回の地方税法府県財源が余りにも都市に偏しておる、こういう点についてのお話がございました。それから町村におきましては、何せ市町民税及び固定資産税等末だ十分熱しない嫌いがございますが、誠意これの確立に当つておるようでありまするが、やはり今尚市町村財政におきましては、その国からの命ぜられた仕事、或いは従来の補助金の整理の問題、或いは災害等による処理問題等から地方財政の窮迫を訴えておつたのでございます。特に愛知県及び三重県で、目立つて地方負担の非常な嵩高となり、重圧となつている問題としては国民健康保険の問題を取上げられたのであります。併し愛知県でも三重県でも現在の国民健康保険負担金が非常に過重であり、且つ又これを納付するところの滞納者が頗る多いので、どの町村でも手を燒いておる。従つてこの保険料自体についても、国がやはりその若干を負担するとか、或いはこれら健康保険の最も大きな重圧となつておる結核療養につきましては、その全額を国において負担する等、国民健康保険の料金の問題が非常に町村財政を圧迫しておる。而も重圧つておるという点について異口同音にお話があつたのであります。以上国及び地方団体との事務配分の問題、地方財政問題等については、その他各府県並びに各町村等の共通したところのいろいろの御意見がありましたが、これは詳細報告書に提出したのでございます。尚若干府県並びに町村等において冗費がないかどうかの問題について触れたのでありますが、その際ひとしく町村並びに府県より聞きまする声は、要するに国の監督と申しますか、或いは国の施策が幾重にも重なり合つてつて、例えば町村起債の問題でも、或いは自治庁においてこれの承認を要し、更にこれは財務局の方も同じような資料を要求し、更に又現地においても調査する。そのために非常なる煩瑣と、これに対する費用が嵩高になつておるので、そういう点はそういう中央の行政あり方がもつと單純化され、もつと簡素化されて、我々が容易く且つ簡單事務処理し得るような態勢を整えて呉れという要望がどの町村においても強かつたのであります。その他の事項につきましては、詳細提出いたしました報告書の中で申上げたいと思います。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 高橋委員から別にお出しになります報告書速記録に掲載することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじやそういうふうに取計らいます。  鹿児島県及び大分県に御出張願つた小笠原君及び石川君はまだお出でになりませんから、後廻しにいたしまして、次に、名古屋市において開かれました第十二回都市問題会議に出席をいたしました議員報告を願います。石村君。
  10. 石村幸作

    石村幸作君 私は第十二回全国都市問題会議名古屋市において開かれましたので、岡本委員長吉川委員と私と三名、並びに竹中委員も参加されまして出席いたしました。資格は来賓の資格でございました。会議は九月の十四日から十六日まで三日間開かれました。場所は名古屋大学の医学部講堂で行われました。会議議題行政事務の再配分研究でありまして、第一日即ち十四日には午前十時から会議が開かれまして、主催者研究報告がありました。その報告者秋田市長外七名の詳細な報告がございましたが、これは省略いたします。第二日目は前日に引続き研究報告並びに討議が行われまして、三時三十分頃まで行われておりました。以上の研究報告並びに討議内容につきましては、別に添附しております行政事務配分研究、即ち日本都市連盟編集のものでありますが、及び追つて十一月の中旬頃に作成せられる予定日本都市連盟編集会議録、これに報告討議の速記したものが載せられておりますので、それができましてから、皆さんに見て頂きたいと思つております。それから第三日目の十六日には、午前中市内のいろいろの諸施設を見学いたしまして、午後から瀬戸市長の招待によりまして、同市役所同市主要生産品である陶製品及びその生産状況視察し、兼ねて同市財政状況の概要を市長及び助役、次長等から聽取いたしました。  大体以上の通りでありますが、極く簡單でありますけれども、後は只今申上げました速記録等内容は譲りたいと思います。
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上の派遣議員の御報告につきまして御質疑ございませんか。  尚、先般大阪、兵庫、和歌山の各府県に風水害の被害を御視察のためにお出で頂いた鈴木委員相馬委員の御報告は後程にいたしたいと思いますが、今日は派遣議員報告は以上で以て打切りといたします。   —————————————
  12. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に地方財政増額に関する問題及び補正予算等に関する問題、これは午後地方自治庁所管国務大臣が出席いたしますが、その前に事務的に政務次官並びに地方財政委員会当局に御説明願いたいと思います。地方財政委員会武岡財務部長
  13. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) それでは私から昭和二十五年度補正予算に関連いたしまして、地方財政委員会として、地方財政関係予算に関しまする措置につきまして、私共の現在考えておりますること、又現に措置をいたしておりますることを御説明申上げたいと存じます。  昭和二十五年度地方財政に関しまする当初の財政計画に関しましては、御承知通り当初予算におきまして、平衡交付金一千五十億円を御交付頂きまして、これを法規の手続によりまして、各地方団体交付をいたしまする手続きを目下つておるわけでございます。併しながらこの当初の地方財政計画におきまして措置をいたしておりませんものにつきまして、その後政府の行いましたいろいろな法規的な措置或いはその外の関係によりまして、地方負担相当増加して参つておりまするので、この関係につきましては、今回補正予算によりまして地方財政財源措置を講じなければならないのではないかと、かように考えまして、いろいろ検討をいたしたのでございます。それによりますると、先ず第一に給與関係経費増加額でございまするが、これは今回政府補正予算案によりますると、明年一月から国家公務員に関する給與ベースの改訂を行うという予定によりまして、これに要しまする所要経費が一応計上いたされておるようでございます。これに伴いまして、地方公務員給與ベースもこれに伴つて増額いたしますといたしますれば、それに上つて約四十三億程の財源を要する。それから又年末手当の支給に関しまして、国家公務員に特別な措置が行われる見込みでございまするが、これを地方公務員につきましても、この年末手当を支給するということにいたしますれば、約九十二億程の財源を要するのでございます。尚その外人事院の規則の改正によりまして、国家教職員待遇改善が近く実施される見込みになつておるのでございまするが、これに伴いまして地方教職員待遇改善を行うといたしますれば、これに伴う経費が約四億九千万円程必要なわけでございます。以上が大体給與関係に伴う増加所要経費でございまするが、その外平衡交付金及び昭和二十五年度起債額を決定いたしました後、いろいろな法令の制定、改正等がございまして、これに伴う地方財政需要増加がございます。これは計算によりますると、約百七億程に相成るのでございます。更に災害関係その外失業対策事業関係等に伴いまする臨時の地方経費負担増加百二十七億がございます。それから尚今回政府において予定しておられまする補正予算に伴いまして、地方が当然負担いたさなければならなくなりまするところの負担分増加、これが約十二億四千万円程あるわけでございます。以上のような状態でございまするので、これを合計いたしますると、地方におきまして三百八十九億、これくらい本年度において新たに何らかの財政的な考慮をいたさなければならなくなる見込みでございます。そこでこの三百八十九億というものの負担の増を、地方といたしまして、地方財政上どういうように処理をするかということにつきまして、いろいろ地方財政実態等とも睨み合せまして、地方財政委員会といたしまして、これに対する措置をいろいろ研究したのでございます。その結果国の予算におきましても、この際できるだけ節約等によりまして経費の節減を図つて行くという御方針でございまするので、当然私は地方団体といたしましても、冗費と思われる部分につきましては能う限りの節約をとらなければなりません。この節約によつて浮き出せることができまする額を一応三十九億九千万円と算定をいたしたのでございます。その外の経費は何らかの意味におきまして、財政措置が必要なのでございますが、そのうち主として臨時的な経費につきましては、従前の例もございまするが、これらは性質地方債によつて賄つて行く、その外の大体経常的な諸費につきましては、地方財政平衡交付金政府において増額をして頂きたい、その額といたしまして、地方債発行に二百十五億、地方財政平衡交付金増額に百三十四億を持ちたい、こういう結論を出しまして、政府その他関係方面に対しまして、只今いろいろ折衝を行なつておる状況でございます。  以上概略昭和二十五年度補正予算に対しまして、地方財政委員会目下考えております。措置案につきまして御説明申上げました。
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それに関連しまして、昭和二十五年度地方債一覧表が出ております。それについて御説明を願います。
  15. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 昭和二十五年度地方債発行に関しましては、全体の発行計画を三百七十億と予定をいたしまして、それをお手許の表にございまするように、公共事業関係その他のいわゆる非公共事業、即ち單独事業とにそれぞれ百八十億ずつ、その外失業対策に十億、合計三百七十億、こういう割り振りをいたしておるのでございます。これにつきましては、それぞれの区分に応じまして、各地方債発行起債の申請をとり、これを個々的に内容検討いたしました結果、お手許の表の右側の欄にございますように、今日までに三百四十億ほどを承認いたしておるのでございます。尚この外この残余の分につきましては、現在尚地方との間、大蔵省或いは又関係機関との間におきまして折衝を継続中でございまして、近く大体発行予定をいたしておりまする三百七十億は承認をいたしたいと、かような所存で事務を進めて参つておるのであります。併しながら先程もちよつと御説明申上げましたように、本年度この三百七十億の起債の枠を以ていたしましては、特に本年は災害関係等も非常に大きな災害がございました関係等もございまして、地方財政といたしましては、甚だこれでは不十分じやないかと思われる点もございまするので、更にこれに相当額の追加をいたしたいということで、関係方面といろいろ折衝を続けておる状況でございます。
  16. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上の説明に対しまして質問ございませんか。
  17. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今最初に補正予算内容について説明伺つたのですが、自治庁のお考えはそれで分るのですが、実際に補正予算を組んで、大蔵省との折衝の経過においてはこのうちどの程度認められるか、そういうふうな大蔵省との折衝内容について……。
  18. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 大蔵省の方に対しましては、地方財政平衡交付金百三十四億増加せられたいとの予算要求を提出いたしまして、主計局事務当局との間にいろいろ折衝を続けて参つておりますが、只今のところまだ最終的な結論には到達いたしておりません。いろいろまあ事務的に私共大蔵省事務担当者折衝いたしております感じから申しますると、なかなかまだ大蔵省と私共との間における地方財政に対する考え方開き等もございまして、只今のところどの程度計上見込みがありますか、ちよつと私には申上げかねます。
  19. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 例えば今のお話通り二百十五億の起債増加というふうなこともあると思いますが、ただ單に今のお話伺つても、果して関係方面関係は、根本的においては向う賛成なのか、向う賛成でも大蔵省承認しないのか、そういう見込をもう少し伺いたい、例えば措置方法一つとして、既定経費節約三十九億九千八百万円でございますが、こういうふうなことは果して実際に地方団体自治庁との間はどうなのか、これは果して実際に三十九億九千八百万円、これは地方団体自治庁との話が付き、大蔵省がタツチしないで済むのですか、例えばこの節約でも單に自治庁考えておるということだけでは、これは全く駄目なんでそれに対して地方団体は実際にこれに賛成しておるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  20. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 三十九億九千八百万円の節約額算定でございますが、これは勿論個々の地方団体と相談して決めたわけではございませんけれども、大体私共の推定をいたしましたのは、本年度地方予算のうちで、まあいろいろ費目によりましては、その金額等関係からも、又経費性質から申しまして到底節約のできないものもありますが、中には予算執行方法等改良等によりまして、何とか我慢してやつて行けるところもあるのじやないか。そういう経費一つといたしまして、例えば旅費、人件費消耗品費役務費備品費、或いは施設費交渉費或いは交際費というようなものを抽出いたして見ますると、これが大体その計が七百九十九億程、今の地方予算の中にあるという計算でございます。そのうちの大体まあ五%程節約するといたしますれば、三十九億九千万円という数字になるわけであります。これは勿論団体によりましては、必ずしも人件費或いはその他の物件費につきましても、一様に余裕のある予算を組んでおる、余裕のある財政を運営しておるとは考えられないのでございますが、特に国といたしましても、国全体の財政経済状態からいたしましても、もう何とか節約のできるところは節約するということによりますれば、これらの経費の実際五%程は何とかやつて頂けるのじやないかということで、大体計算いたした計数でございます。
  21. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この間新聞でも全国知事会議、その他市町村にも亘つて決議をして、大蔵大臣その他と折衝されたということが出ておりますが、その総額がやはりこの自治庁数字と同額の三百九十億ということになつておると思うのでありますが、その結果を新聞で見ますと、大蔵大臣は、そのくらいのものは地方団体経費総額の何%に当るから、そのくらいのことは節約で、全額三百九十億ぐらいは賄えるのじやないか。このことにも、どうかすると反対であるというふうな意見のように見ましたが、そうであると自治庁側は單に三十九億、約四十億の節約で、あと地方債発行平衡交付金増額ということを考えられて、この三百九十億の大多数の数字が、若し補正予算大蔵省によつて見込まれなければ非常に問題じやないかと思うのです。若しその二つが認められなければ、この自治庁においても既定経費節約として、今お話通り四十億を言つておられるけれども、そんなものはとてもできつこないしするので、起債の枠の増加平衡交付金増額ということは多少なりとも見込みがあるかどうか。現段階で真に関係方面大蔵省の決定になつていないから、話にくいかとも思いますが、その見込みは大体どのくらいであるのか、全然駄目なのか、私が新聞で拝見しましたところでは、大蔵大臣の言明によると、全然駄目だという結論のように見るのですが、その点はどうなんですか。
  22. 小野哲

    説明員小野哲君) 私からお答えをいたします。二十六年度予算編成並びに二十五年度補正予算編成に当りましては、私共地方財政委員会資料及びその意見に基きまして、折角内閣におきましても折衝をして参つているのであります。二十五年度補正予算につきましても、只今財政部長から説明いたしましたように、相当財源措置を必要とするということについては、私も同感でありまして、国務大臣としても、大蔵大臣その他関係方面とも連絡をとつてその折衝を続けているわけであります。併しながら政府原案只今関係方面へ提出されまして、目下検討を受けている途上にありますのと、又地方自治庁といたしましては、地方団体における輿論の状況等にも十分に耳を傾けまして、何とかこの問題につきまして妥結をいたすように努力して行きたいと考えているわけでありまして、いずれ岡野国務大臣からその間の事情については説明をすることになろうかと思いますが、私自身といたしましては、尚望みを捨てておらないと申してよいかと思うのであります。ただ西郷さんからお聞きのように、然らばどの程度金額が認められる可能性があるかということについては、尚数字的に申上げるわけには参らないのでありますが、私自身考えとしましては、望みを捨てないで更に折衝を続けて行きたいし、必ずしも望みが失われたということを言うのは、尚時期尚早ではないかと、かように考えている次第であります。
  23. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今この政務次官お話で大体分りまするが、先般の台風によつて相当関西方面も荒され、本年に入つてからのジエーン台風その他の災害というようなものも相当全国では多額に今日なつていると思うのですが、そういうふうなことの対策が不十分な折に、若し地方債発行とか、平衡交付金増額されなければ、地方団体災害復旧も殆んどできないし、非常に問題が生じて来るのではないか、そういうふうなことを心配する余り、果して自治庁大蔵大臣との折衝において多少なりとも、この三百九十億の半分でも取り得るというようなことであるならば、多少は地方団体も満足するでしようけれども、先般の地方団体知事市町村の合同の決議等もなかなか強いものがあり、そういうふうな折から、若し今自治庁の御説明の約三百九十億のものが殆んど認められないようなことになつたら、長官たる岡野国務大臣の非常に政治的に責任も生じて来るのじやないか、かように今日思うのですが、従来やはり大蔵省鼻つばしらが強くて、なかなか自治体側の希望は容れられておらぬのですが、又今段階と言われるけれども、蓋を開けて見たところ、殆んどその補正予算地方のものが盛られていないのじやないかということになりますと、非常に問題なんで、その点を我々も心配するのですが……。さつき委員長は……午後は岡野国務大臣はおいでになるのですか。
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 来られるように要求しております。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その点は今更に政務次官伺つても無理かと思うので、岡野国務大臣に伺いたいと思います。
  26. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 只今質疑に関連して、ちよつとお聞きしたいのですが、大蔵省との折衝で一番難関になつているのは、言換えれば財源というような問題なんでしようか、或いは又新聞等に見れば、地方団体の中には冗費が多くて、二百億か、四百億程度のものは節約できるのだというようなことを新聞によつて見ているのですが、そういつたような地方団体に、そういう余裕があるという意味から、これを拒否しているのか、その辺の事務的なネツク、それらはどういうところに一体大きな難関があるのか、その辺の事情政務次官にお尋ねいたします。
  27. 小野哲

    説明員小野哲君) 私からお答えをいたします。高橋さんがお話になりました、いわゆる地方財政に関する大蔵省当局と、それから地方財政委員会並びに地方自治庁当局との考え方の問題に出発点があるのじやないかと、こう思うのであります。で地方自治庁並びに地方財政委員会考え方としましては、御承知のごとく、二十六年度予算編成に伴う地方財政計画の問題になるのでありますが、その場合において相当財源地方において、いわゆる歳出増の形において考えなければならないことになるであろう、こういうことから出発いたしまして、地方財政委員会意見といたしましては、六百億乃至七百億の二十六年度における地方団体歳出増が見込まれておるわけであります。又閣議におきましても、今回の予算編成に伴うて、地方財政歳出増があるということについては、これを是認しておりまして、この点については、先般のこの委員会で閣議における了解事項の内容も、私から御説明を申上げたと思うのであります。でこれに対して大蔵省の見解を推測いたしますのに、地方団体における財政運営については、尚相当の余力があるのではないか、従つて地方財政平衡交付金等の増額に俟たないで、経費節約等によつて或る程度財源は生みだし得ると、従つて二十六年度地方財政の運営に当つては、この考え方から取運んで行くべきではないかと、こういう考えがあるようであります。ただ大蔵省自体としても確定的な数字による見解の表明はないと、私共了解しているわけでありますが、要は地方財政に関する地方自治庁及び地方財政委員会並びに地方団体考え方と、大蔵省の見方というものに或る程度の開きがある、こういうことが原因になつておるものと、私共は推測するわけであります。ただシヤウプの第二次勧告が出ました際に説明いたしましたように、地方税の増徴を極力抑えて行くという建前から、国の剩余財源地方財政平衡交付金増額に振向けて行くという考え方一つ出ているわけであります。と同時に、地方債発行総額の再検討をして行くべきではないかと、こういう考え方も出ておりまして、私共の地方団体財政を取扱つている立場から申しますと、シヤウプ第二次勧告の線が、同時に私共の考え方が表現されているのではないかと、これは偶然の符合であろうと思いますが、そういうふうな結果になつているわけでありまして、従つて大蔵事務当局と地方財政委員会事務当局との間で、そういうふうな食違いがあるということは適当でないから、よく資料に基いて内容検討をすることが適当ではないかというので、さような会合を持ちまして、双方の事務当局間において検討が行われておるような状態でございます。以上のような経過を辿つておるような次第で、私直接その会合に出ておりませんので、論議の詳細の点については聞いておりませんけれども、報告を受けた範囲におきましては、さような進み方をいたしておる次第であります。
  28. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今、政務次官お話を聞いておると、どうも大蔵省が、やはり地方団体に何かもつと節約し得るところの費用がある。従つてそこから捻出できるのじやないかというような考えが大きな原因をしておるように聞くのですが、ただまあ我々実際地方団体の実態を見まして、例えば人件費のごときにつきましては、大体地方、仮に府県の例なんかをとつて見ても、その六割五分は、国がこういう人を置けとか、或いは三分の一補助をやるから、こうやつて置けというように、或る紐付き人件費が六割五分も占めておる。あとの三割五分でどう節約するのか、或いはその他旅費につきましても、大体国の基準よりも、一人当りの單価を少く計上しておるというような実情なんですが、そういうことについて、三百億も二百億も節約し得るというようなことは到底我々としては常識的にも考えられないのですが、一体何か事務的に地方団体の中から相当財源というものが、必ず今度の給與ペースの引上げなり、何なりを生み出し得る程度の大きな財源があり得るような事務的な向う相当資料というものがあるのかどうか。そういうものに対して自治庁事務的な応酬と申しますか、そういうことは一体どういう工合にして、どうなつておるか、その辺のことを財政部長なり或いは監理課長からも詳細承つて置きたいと思います。
  29. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 大蔵省事務的の主張といたしましては、三百億或いは四百億を地方財政から、現在の地方財政の規模の中から節約ができるのではないかと主張しております計数的な根拠につきましては、勿論大蔵省としては一応の数字を、推計は持つてはおるようでありますが、併しながらこの計数につきましては、私達といたしましては、なかなか納得の行かない、その根拠につきまして納得が行かないのでございまして、一例を申上げますると、大蔵省では地方財政の実態調査を実施したと言つておるのでございますが、これも全国的一万有余の団体の中の極く僅かな団体から報告をとりまして、而もいろいろな推計によりまして、倍数その他で引き延ばした、こういうような計数が根拠になつておるのでございまして、ただ私達が事務的に聞いておりますることは、大体そういつたような数字が一応立案の根拠になつておるようなことでありまして、この数字につきましては、地方財政委員会といたしましては、自ら別個の計数の算定の根拠を持つておりますし、私共持つておりまする数字を基礎にして算定したものとの間には、非常に結論において大きな開きがあるわけであります。そこで事務的には、私共も頭から大蔵省の推計を無視しておるというわけではございませんで、私共の持つておる資料と、大蔵省が推計をし、調査をされたというその資料との間に、どこにどういう実態との食違いがあるかということについては、尚事務的に両方で研究して見ようじやないかということを進めつつある段階でございます。
  30. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚申上げますが、只今高橋君から御質問の点につきまして、今日資料を廻して置きましたが、これは全国知事会の方から廻した資料の中に、昭和二十六年度地方財政に関する意見書というものが、大蔵省意見書ですが、それが出ております。それに二十六年度地方財政委員会側の地方財政に関する見積が過大であるということを書いてあります。それを御覽願いたいと思います。尚この際二十六年度地方財政の歳出歳入の推計その他について、この書類によりまして要点を御説明願いたいと思います。
  31. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 昭和二十六年度地方財政の需要の増加に伴う地方財源措置に関しましては、お手許資料を差上げて置いたのでございますが、地方財政委員会ではこのように考えておるのであります。その考え方といたしましては、先程昭和二十五年度補正予算に関連いたしまして、地方にどれだけの新規の財源が必要であるかということを推計いたしましたものと大体同じ考え方でございますが、大要御説明申上げますと、第一は給與ベースの改訂による増、これが年間に直しまして百八十億程になるのでございます。その内訳は、学校、警察、消防職員その他一般職員、その資料に内訳に示しておる通りであります。それから次は厚生施設費の補助、その他国が新年度予算案におきまして予算計上しておられますいろいろな補助金その他、つまり国の新らしい施策に伴いまして、地方負担のかぶつて参ります分、これが計算によりますと百二十一億になるのであります。それからその次は人口或いは学校の児童等の増加に伴う自然増でございますが、これが約二十五億、それから公共事業につきましては、過般閣議で決定になりました政府の新年度における公共事業費の予算額を基にいたしまして、それに伴う地方負担分を計算いたしますと、三百二億が負担の新らしい増加となつて来る、こういう計算になるのであります。それから失業応急事業費は同様に計算いたしまして、その負担が四十六億でございます。従いましてこれを総計いたしますと、六百七十五億、これが新年度における地方財源として新たなる措置を要するところの経費総額でございます。それに対する措置といたしましては、先ず政府におきましては、新年度予算計上方法といたしまして、いわゆる災害復旧事業に対する地方全額国庫負担制度が本年限りのものとして、明年から従前の通り三分の二国庫負担をするという制度に変えるという建前にして予算計上しておられるのでありますが、これを本年通り全額国庫負担という制度を継続して頂くことにいたしますれば、その関係で百二十億程地方負担が軽くなるのであります。その分を除きまして、外の分は先に申上げましたように、大体臨時的な経費地方債、経常的な経費地方財政平衡交付金増額ということで区分けしますと、地方債には二百十三億、平衡交付金といたしましては二百五十四億程を増加して頂きたい。こういう計数になるわけであります。
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 続いて二十六年度の全体の推計を願います。
  33. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) その次にございまする二十六年度地方予算の推計は、先に御説明申上げましたような、国の予算に伴つて増加して参りまする財政規模をそのままに取入れまして、全体として地方予算というものがどういうふうになるかということを計数に示したものでございます。経常的な経費と、それから臨時経費を分けてございまするが、いわゆる普通予算、普通会計、一般会計の関係におきまして、総計は五千三百五十六億となります。それに年末手当の額を若し計上して合算するといたしますれば、五千四百六十六億、こういう計数になるのでございまして、二十五年度地方予算に比べますると、年末手当関係を除きまして、約一千三十七億程の増になる、こういう計算でございます。尚一般会計の外になつておりまする公営企業の関係及び国民健康保険事業の関係は、それぞれその下の欄にございますように、公営企業におきましては四千五億、国民健康保險の事業におきましては二百十八億、従いましてこれを全部総計いたしますると、二十六年における地方予算の総体の推計は五千九百八十億、従いまして本年に比べますると、一千九十二億の増加、こういう計数になるわけでございます。
  34. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 歳入の関係もついでに御説明を願います。
  35. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 歳入の方は、これもやはり最初の二十六年度財政需要増加のところで御説明申上げましたように、二十六年度国家予算として今組まれておりまする案を基準にいたしまして、それに計上しておりまする国庫の補助金、その他の国庫支出金、それから地方債地方平衡交付金等につきましては、先に御説明申上げましたような額が一応認められるものといたしまして、全体の歳入の計数を合せたものでございます。
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この歳入の方の地方財政平衡交付金三百億、これはあなたの方の希望ですね。
  37. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) そういうことでございます。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういうわけですね。皆そういうものが入つているわけですね。
  39. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) さようでございます。
  40. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今一十六年度地方財政需要の増加に伴う地方財源措置案のうちの地方債増額という件が僅かに二百十三億ということになつておりますが、それは何を基礎にしての二百十三億か、現在の三百七十億を基礎にしての増加額か、三百七十億に今補正予算に要望しておられるところの二百十五億をプラスしての金額ですか。基礎は何ですか。どういう金額ですか。
  41. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 二十六年度における地方債の増が二百十三億というのは、二十五年度の当初の財政計画におきまする地方債の額でありました三百億にプラス二百十三億、こういう計算であります。
  42. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 三百七十億じやないのですか。
  43. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 二十五年度財政計画におきましては、財政計画数字といたしましては、三百億が基準になつております。それを基に計算をいたしますと、二十六年度にはそれに二百十三億増額を要するという数字になるわけであります。
  44. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先程申した大蔵省昭和二十六年度地方財政に関する意見書で、地方財政委員会側の計算で、又シヤウプもそれを支持しているのであるけれども、大体二十四年度の当初の予算に比して一千億円以上の追加歳出を可能ならしめるように措置したことが間違つておつた。でそれは半分の五百億円の追加歳出でよかつた。それで五百億もタブついておるから、いろいろ不経済なことが起つておる。まあこういうことを中心に意見を出しておるのであります。これはあなた方としては承服ができないというお話だが、主だつたところはどういうところに欠点があるのですか、大蔵省の方の意見はあなた方考えてこれは徹底的に承服ができない。先程言われた二十九府県、四十二市、六十一ケ町村だけの自治体の御調査しかしないのだから、それじや妥当な結論が出ないという外に、どういうところが大きくこれは間違つておるか、五百億の食違いというのは大きな食違いだから、これは大蔵省意見書の中のどの部分があなた方から見て、非常に間違つておると言えるかという点に対して、その点を指摘して貰いたいと思います。
  45. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 大蔵省で全体的に二十五年度の当初の千億の財源措置をしたのが大き過ぎると言つておりますることの主な論拠は、シヤウプ勧告における地方財政全体の計数の根拠も、これは戰前の数字を基にして、それを一定の倍率、物価指数を基とした倍数によつて引伸したものである。そうしてそれが戰前の、具体的に申しますると、昭和九年の予算に対しまして二百倍の倍数をかけまして、それが全体的に地方財政の枠であると、こういうふうに算定をいたしておるところに、まあ誤まりがあるのだろうというところが大きい根拠になつておりますが、併しながらそれを更にいろいろ裏付けるような意味で、先に申しましたような、いわゆる地方財政の実態調査から抽出されましたいろいろな指数を基にして推計しておられるのでありまするが、この推計の仕方につきましても、必らずしもただ一律に二百倍したのが惡いというようなことではなくて、更に内容的に見ますると、そのときと現在とを比べまするというと、地方財政地方行政内容というものが大分変つておるのであります。殊に警察、消防、或いは六三制その他の関係におきまして、従来国がやつておりまして、従つて又国が負担しておつたいろいろな経費というものが、多く地方財政に肩替りして、地方が全部これを賄つて行かなければならないというように、地方行政内容そのものが非常に変つておるのであります。そういつたようなことにつきまして、必らずしも具体的な資料に基くところの一つ一つ検討というものが十分には行われていないように思うのであります。私達はやはり現在における地方行政というものの内容を見、それが戰前なり、或いは戰前の財政の規模或いは行政の規模というものと比較して見て、内容がどういうような変化があつたか、それに伴なつて財政がどう変つて行かなければならないかということにつきましての実態的な、実際に即した数字というものが必要になるのじやないかと、こう思うのであります。
  46. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。
  47. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 委員長の質問に関連してなんですが、一体大蔵省意見では、例えば一人々々の人件費について都市だけについての比較をやつておるのですね、そういつた工合に人件費とか、或いは旅費とか、そういうものについての国との比較表というようなものを自治庁の方で検討せられておるのでございましようか。
  48. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 地方の職員と政府の職員ですか。
  49. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そうですね。
  50. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) それは殊に大きな問題は給與についての比較だと思うのでございますが、その資料は持つております。
  51. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そういう比較表に基けば、一体どうなんでしようか、やはり大蔵省の言つているような地方公共団体の方が、一人当りのべースや何かが高いのでしようか。
  52. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) これはやはりその内容によつて違うのでございまして、例えば府県或いは市町村職員の給與ベースとして比較をいたしましても、例えば地方に勤務しておりまする地方職員は概して勤務年数が長いというようなことがありますると、従つて自然的にその実際の給與べースの基準となつて参りまするべースの平均額というものが上つて来るのが当然なわけであります。それから又従前から申しましても、例えば都市の市役所の職員というようなものは、大体政府の、国の職員、官吏よりは給與は基準は高かつたのでありまして、そういうふうな相違がございませんというと、なかなか市役所あたりの職員になる者も少いというふうな関係などもございまして、特に今市役所のお話があつて申上げたのでございますが、都市あたりに勤務しております職員の給與というものは、元々から一般官吏から比べて高かつたというのが常識ではなかつたかと思います。
  53. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 抽象論でなく、実際の数字としてどうなんですか。やはり平均数字は公共団体の一人当りの給與金額の方が国の職員の金額よりか高いのですか、それの比較はどうですか。
  54. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) これはただつつくるんで、全政府職員の給與基準が幾らかかるというような資料ではありませんで、やはりまあ内容的に警察職員であるとか、或いは教職員、或いは一般職員というようなものを互いに国と地方のものと比べればどうなり、それから市町村或いは府県のものと政府職員と比べればどうなるかという資料は持つております。それは必らずしも一概には言えないと思います。又中には今申しましたように、それは政府の一般職員に比べますと高い職員があるのでありますが、例えば教員なんかにいたしましても、或いは都市の勤務職員にいたしましても、こういうものを個々的に比べて申しますれば、数学的に高い基準の者も確かにあります。併しながらその反面に、町村の職員というようなものは、これは一般基準から申しましても遙かに低い職員がおります。一律に比較はできないではないかと思います。
  55. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 いずれにしましても、我々常識から考えて、大蔵省の案と自治庁の案で五百億も違うということになれば、仮にどつちに問題があるとしても大きな問題であると思います。言換えれば、五百億というものの、大蔵省の案が仮に正しいとすれば、自治庁というものは一体何をしておるのか。地方財政委員会というものに一体どんな権威があるのかという大きな問題を投げつけるものである。それから大蔵省が三百億と言つて来たものが荒唐無稽のものであるとすれば、一体国のこういう自治団体に対する一つの所管官庁というものが非常に不統一であつて、或る意味においては一つのデマを以て他を中傷するというようなことで、これは国政に影響する由々しい大事であると思います。だから五百億の数字というものを徹底的に究明する必要があるのではないかと、こういうふうに思います。一体それらの数字や何かについて自治庁としては相当のお考えがしてあるのですが、その点はどうなんですか。
  56. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) その点は先程申上げましたように、大蔵省の持つております資料と、私共の持つております資料と、それを基にいたしまして、お互いの主張のこの大きな開きが出て来る根拠がどこにあるかということを互いに究明し合うということで、協議会と申しますか、懇談会は続けておるのであります。
  57. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先程部長から答弁があつた五百億の差の大きなものは、これを読んで見ると、昭和九年と二十四年の地方財政の比較をした。それでシヤウプ並びに自治庁側においては、全地方団体の現在の、現在のというのは三十四年の予算は、戰前即ち昭和九年のこれに相当する予算よりも一一%から三〇%減少しておると、こういうふうに見ておる。ところがその減少というものは、実は減少でなくて二十四年度財政は、昭和九年に比して千二百億円の減少を示しておるけれども、その原因は交際費千四百億円の減少にあるのであります。交際費の減少に過ぎない。戰前において交際費は極めて大きな額を示していたのであるが、この二十四年においてはもう交際費は少くなつておる。だからそれを勘定すれば千億の増加は要らないのであつて、五百億でも多過ぎるのだ。こういうふうに言つておるように、ずつと見えるのですが、交際費の問題はどうなんですか、それが大きな問題だと思う。交際費のことを考えないで明和九年と三十四年の地方団体予算を比較したから間違いが出たのですが、この点をもう少し分り易く説明して下さい。
  58. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 大蔵省のこの意見書によると、只今御指摘のように交際費が非常に大きな差をなす動機になつたものだと思うのです。併しながら、そのあとの方にもございますように、反面地方財政におきまして、或いは警察災害関係、消防と言ったようないろいろの事務が殖えておるのでございまするので、そういうものにつきましても、一応の推計はここに出しておりますけれども、それらの推計の根拠、それらについて、必らずしも我々この意見には承服し難いのです。勿論交際費数字だけから申しますれば、確かに今御指摘のように非常に大きな数字にはなつておりますけれども、反面こういつたような部面で、地方行政財政的に非常に大きな負担をかけられるようになつております内容、そういつたものにつきましての検討がまだこれでは不十分なんじやないかと思うのです。そういつたようなことにつきまして、更にそれは根本に遡りますれば、一体戦前の予算額にそういつた二百或いは二百十と言つた系数をかけるという極めてラフなやり方で以て、地方財政の実態を掴むことができるかどうかという方法論自体も疑問があるわけでありますので、外の一省或いは一局の予算と違いまして、一万有余の非常にスケールも違いますし、性格も違う各団体予算を全部総計いたしますところの地方財政でございまするので、必ずしもその内容簡單ではなかろうと思うのです。従いまして、その内容につきましては、私共も趣く愼重にいろいろな資料を現在集めつつございますし、大蔵省といたされましても、更にこの意見以後いろいろ資料も恐らく御調査のことだろうと思いまするし、それらのものを更に突合せまして、一つ本当の結論を生み出すようにしたい。こういうふうなことで今協議を進めております。
  59. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは昭和二十六年度予算にも関係すると思うのですが、主として昭和二十五年度についてですが、先般のシヤウプの地方財政に対する見方からいたしまして、府県よりか市町村に重点を置きまして、特に市町村財政強化という点を狙つておるように思うのですが、その基本的の考え方については、我々といたしましても了承するようになりましたが、特に市町村におきまして、平衡交付金配分なんかを可なり不均衡を平衡にするようになされておると思うのですが、最近十月に内示されました各府県に対する平衡交付金の内示というものは、市町村のように財政の不均衡を非常に平衡していない。そこで府県といたしましては非常に財政難に陥りまして、従来起債予定したような事業を全部純県費で賄わなければならない。そこで折角国から来た補助金も、その府県の裏付がないから国に返さなければならないというような状態で、殆んど自治体としての府県の機能が停止したような弱少県が大分あると思います。まだ行政調査会なんかの事務の再配分もできませんで、非常に窮地に陥つておると思うのですが、そのことは二十六年度にもずつと引継れると思うのですが、早急にこの事務の再配分をいたしまして、こういうような自治体としての府県の把握にふさわしいような機構を整えて行かなければいかんと思うが、この関係はどういうふうになつておりますか。
  60. 小野哲

    説明員小野哲君) 只今お話になりました行政事務の再配分につきましては、地方行政調査委員会議において折角検討をいたしておりまして、本委員会に対して神戸議長よりもシヤウプに出しました中間報告の概要についても御報告があつたと考える次第であります。只今お話のように地方財政の強化と相俟つて地方行政事務の再配分の問題は、これは表裏一体の関係になると考えておりまするし、シヤウプの第一次勧告にも指摘しておりますように、市町村にできるだけ国の事務を還元するという線に沿うた調査が行われると期待するわけであります。従つて市町村事務の充実と相俟つて地方財政の強化を図ることによつて、我々が期待するような市町村の生れて来ることを望んでおるわけでありまして、私共としましては、地方行政調査委員会議が、その結果をできるだけ早い機会に内閣及び内閣を通じて国会に勧告をせられるように実は希望をいたしておるような次第でございます。
  61. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 自治体としての府県市町村をどう見るかという問題ですが、農林県におきましては、地方税の改正によりまして殆んど県独自ないろいろな施策ができないで、丁度県と市町村との間の地方事務所のような極めて貧弱な自治体になつて来つつあるやに思うのですが、府県をこういうような地方自治体として今後進めて行くということが果して妥当なものでしようか、どうでしようか。我々といたしましては今後厚生施設、社会施設のようないわゆる福祉国家のような問題に重点が移つて行きますと、市町村では到底やれませんので、やはり府県單位にこういう問題を取上げて行かなければなりませんので、シヤウプのような考を余り府県に押進めることが果して妥当であるかどうかということは非常に問題だと思うのですが、この点どうでしようか。
  62. 小野哲

    説明員小野哲君) 中田さんがお話になりましたように、今回の税制改革に伴うていろいろの批判が行なわれておる中で、府県財政問題については種種の論議があることは承知いたしておるわけであります。その場合において、一体将来の府県を如何なる形においてこれを扱うことがよいかということは誠に根本の問題になりますので、ここで簡單に私の所見を申述べるということは差控えたいと思うのでありますが、地方行政調査委員会議におきましても、これらの或いは補助制度の再検討の問題と関連いたしまして、行政事務の再配分の結果等から判断して、この種の問題も取上げられるのではなかろうかと想像はいたしておるのであります。ただ只今お話になりましたような、現在の県に対する地方事務所的な存在、言換えれば国に対する国の出先機関的な存在として県も将来考えて行くかどうかということにつきましては、立場々々、或いは観点の相違によつて必ずしも意見が一致いたしておらないと私は思うのであります。自治団体としての性格を続いて将来も府県に持せるか、或いは中央の総合的な出先機関たる性格を賦與することが適当であるか、これらの問題は事務の再配分等と相待つて恐らく批判せられ、又研究される題目ではないかと、私は考えております。併し目下のところ私共の考えといたしましては、府県も又地方団体としての性格を持ち、又その機能を発揮させるようにいたすべきことが妥当ではないか、かように考えております。
  63. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 小野次官の御見解で大体分つたんですが、併し昭和二十五年度並びに二十六年度府県に対する財政措置といたしましては、政治的な自治訓練ができると思うのですが、実際財政的の裏付けがありませんから、事実上地方事務所のような国と市町村との中間の代行機関のようなことに成下つてしまうのではないかと、私は懸念するわけなんで、そういうふうにしない総合運営の地方自治団体としての立場をとるのでしたら、もう少し財政的な考慮が必要じやないかと思うのです。それからお願いしたい点は、これは計数を午後でも結構ですから、お示しして頂きたいのですが、六百十八億並びにその残つております平衡交付金の十月に大体各府県に内示されているもの、或いは市町村に内示されているものを検討いたして見ますると、市町村に内示されている額というものは、相当貧弱な市町村財政を補強するように平衡的な作用がなされていると思うのですが、府県については必ずしもそうでないように見受けられるのですが、大体特別交付金を除いては計算ができているということですが、午後一つ府県別、各市町村別のものを内示してお示しして頂きたいのです。
  64. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この際各位に申上げますが、午後又開きますから、そのときに政府側から説明を要求される資料の御希望がございましたらこの際お願いいたします。
  65. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それでは二、三その次の資料としてお願いしたいのは、各府県、各市町村別の給與ベースの平均ですが、警察とかいろいろ内訳してお示し願いたいと思います。それから各府県、各市町村別の一人当りの旅費、消耗品費というような、地方財政が果して既定経費節約できるかできないかという判定をするために、そういうような資料も若しありましたらお示し願いたいと思います。
  66. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 大蔵省の方から意見書が出ており序すが、これに対する自治庁の数年的な反駁書と言いますか、そういう反駁意見がありましたら出して頂きたいと思います。
  67. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に……。
  68. 鈴木直人

    鈴木直人君 できるかどうか分りませんが、今度は平衡交付金を府県市町村配分する場合に、その基礎となつた数値ですか、いわゆる査定ですか、ここの町村は一・三になつたとか、或いはここの県は零コンマより下になつたとか、そういうのを実は一つ欲しいと思いますが、非常に細かなことになるので、例えば私の知りたいと思うのは、教育費なら教育費、或いは警察費なら警察費、これは町村は別として、府県ごとに数値が違うと思います。警察費一人当りの数値ですが、それがどの県についてはどういうふうな数値になつておるかということを三府四十三県について実は知りたい。教育費についても三府四十三県の教育費がどういうふうに数値が決まつておるか、或いは土木については道路一キロについて幾らという計算の基礎があると思いますが、勿論最初に決定してその次に又仕直したというのですが、或いはまだ最後の決定まで至つていない仮決定だと思いますが、その仮決定でもいいのですが、実はそれを知りたいと考えておりますが、非常にこれは細かなことになるので提出できるかどうか分りませんが、一応要求して置きたいと思います。
  69. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 只今の御要求になられました資料につきまして申上げます。平衡交付金交付、各団体に対する交付基準額でございますが、これは現在の私の方の事務の進歩状況を申上げますると、各府県分の一応の仮算定額というものが、仮決定額というものが一応出ているわけです。ただ市町村分がまだ一、二件残つておりまして、全体の集計ができておりません。従いましてその方の今体の計数が出て参りますと、それによりまして平衡交付金を基準数値に按分することになりますので、従いまして各団体交付する基準額というものはおのずから動いて来るわけです。従いまして現在のところ最終的な計数は、まだここ今週一杯ぐらいかかるのではないかと思います。現在出ておりますのは、府県分についての各府県ごとの仮決定額の一応の計数だけでございます。それから大蔵省から出ております意見書に対する自治庁考え方、私の方の地方財政委員会の見解でございますが、これは一応書いたものがあるにはございますが、ただ具体的な計数につきましては、先程から何遍も申上げておりますように、私の方もまだ最終的な資料は蒐集中でございまするので、全体的な纏まつた計数をお示しする段階までに至つておりません。ただ大蔵省考えておりますこの意見書なり或いは地方財政についての考え方、これにする私達の見解と申しますか、こういうものはすでに一応め纏めたものを持つておるわけです。
  70. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 シヤウプの第二次の勧告は印刷ができておりませんでしようか、附録はいつ頃出るものでしようか。
  71. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 過般発表になりました第二次シヤウプ勧告の資料は、これはございます。附属書はまだ私達も全然頂いておりません。
  72. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 第二次勧告のがありましたらお願いいたします。
  73. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今お話では市町村の方はまだ決まつておらないが、府県の方は決まつておるという、一応の仮決定がなされて府県に通知されておるというお話がありましたが、私は今回和歌山、大阪、兵庫方面の、ジエーン台風災害対策に関する地方財政状態、これに対する国としてどうなすべきかというような観点から調査をして来たのですが、そのついでに平衡交付金の問題についても、いろいろ調査をいたしたのですが、大体ああいう南の方のところにおいては、仮拂いにしておつたところの平衡交付金は、返さなければならんというような状態になつておるというのです。それでどうしてであろうかというので、兵庫県の詳しいものをずつと調査して見ますと、結論としましては、やはり数値の決定の仕方によつたように思うのです。それで大体において配付税の場合には四百五、六十億の配付税でどこにでも行つていたわけですが、今度の一般平衡交付金になりますと、千五十億、それから特別平衡交付金の百億を引きましても九百億ということになりまするから、従来の配付税の倍に総額としてはなつているわけですが、それを府県市町村に配付するということになるならば、どこの府県市町村でも少しは配付されるであろうというような期待をしておつたようです。ところが私がずつと廻つて来たような所を見ますと、殆んど返さなければならんような状態になつているようです。そういうようなことになつておりまするから、平衡交付金性質がそうなんでありますから、これは当然だと思いますが、この数値の決め方というものによつてそういうことが出て来たのだろう。恐らく北海道、東北の方面に重点的にウエートが行つて、そうして南の方に自然的に軽くなつて、そしてその結果南の方において非常にまあ軽減されたというようなことになつているのではないかと思うのです。そういう点から実はそういう数値を府県ごとぐらいなものでも参考のために仮決定でありますけれども知りたい、こう考えたから一応要求したわけなんです。府県ことの数値は出して頂けますか。
  74. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは只今御要求のありましたものの中で出せるものをなるべく早く出して頂く。そして午後間に合うものがあれば午後出して頂きたい。中田君から御要求の各市町村給與ベースとか、一人当りの旅費とか、これはなかなかできないかと思いますが、各府県別ぐらいはできているかと思いますから、それを先ず出して頂きたい。
  75. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 十二時になつたようですから、午後続行せられるとしまして一時休憩せられることだと思いますが、これで形式上休憩に入ることにしまして、先程委員長に要求いたしまして、大体各位の御承認を得ました福岡県の八幡市の市長、市会議長並びに市会の代表者の方々等が、税制の問題について簡單に皆さんに特に陳情したいというので見えて、さつきからここに待つていられるようですから、極く短い時間を割いて、休憩宣告後暫く聞いて上げて下さるようにお取計らいをお願いいたしたいと思います。
  76. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川委員から御提案の八幡市長、八幡市議会の議長、市会議員の方々が大工場の固定資産税の配賦に関する陳情に見えておるのであります。で委員会委員の各位に陳情したいという御要求がありますから、それでは一応休憩にいたして、休憩中に陳情を聞きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれで休憩いたします。午後は一時半に再開いたします。    午後零時六分休憩    —————・—————    午後一時五十九分開会
  78. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれより委員会を再開いたします。全国知事会、全国市長会、全国町村会におきまして、二十五年度における災害救助及び復旧対策に関する要望、それから政府予算編成方針に関する要望、そういうものをこの間議決をなさつて、参議院の地方行政委員会にも送付されたのであります。それにつきまして、今日は知事会、町村会、市長会から参考人のおいでを頂きまして、この委員会において御説明を願うことになつております。先ず全国知事会を代表されて茨城県知事友末洋治君。
  79. 友末洋治

    参考人(友末洋治君) 私茨城県の知事でございます。本日は全国知事会を代表いたしまして、私以外に広島、山口、香川、大分の知事さんと一緒にお伺いを申上げたのでございます。貴重な時間を割いて頂きまして、誠に有難く、厚くお礼を申上げます。  地方財政に関しまする問題は、相当前からの問題でございまするが、二十五年度補正予算をめぐりまして、最後的な深刻な段階に相成つてつたのでございます。そこで知事側といたしましては、去る十一日に全国知事会議を開催いたしまして、この問題についての協議をいたしたのでございます。尚府県側と市側、町村側、それぞれ同じような深刻な段階に相成つておりまするので、これらの団体とも協力いたしまして、その後各方面に強力に要請を申上げておるところでございます。そこでこの機会に問題の要点と、それから従来の滯納経過のあらましを申上げまして、皆様の御了解を頂き、今後格別の御高配と御援助をお願い申上げたいのでございます。  今一番問題になつておりまするのは、二十五年度補正予算でございまするが、この問題はただ二十五年度ばかりでなく、二十六年度予算編成にも関連を持つておりまするので、一応順序といたしまして、二十六年度の問題をごくあらましに申上げまして、次に二十五年度の補正問題を御説明申上げたいと存じます。  二十六年度におきましては、地方側におきまして、私共の考えておりまするところは約七百億程度どうしても赤字が出る計算に実は相成るのでございます。ところでこの七百億の赤字を何とも措置できないといつたような状態のままに置かれておるのでございます。これについては地方財政委員会から大蔵省にも強く要請せられたところでございまするが、大蔵省方面におきましては、その措置をとられない、で一応閣議決定がされまして、関係筋に持込まれておるのでございます。丁度持込まれましたのは、第二次のシヤウプ勧告が出ました前日でございます。御承知のようにシヤウプ勧告によりますれば、大体地方財政委員会意見を採用せられまして、来年の平衡交付金は約二百五十億程度殖やすべきだというふうな実は勧告に相成つておるのでございます。後の赤字につきましては勧告の附録書が出まして、災害復旧措置をどうするかという問題が実はあるのでございまするが、政府としては従来の災害復旧全額国庫負担を改めて、補助といたしまして三分の二補助する、あとの三分の一は地方負担というので組まれておるわけでございまするが、それをシヤウプ勧告によりましては、やはり国庫が相当部分負担するといつたような方法で要求が出るごとになつておりますが、それがまだ出ておりません。更にその残りはいわゆる地方起債の枠を拡げるといつたようなことに相成るかと思うのでありますが、これに対しまして、政府としては僅か三十五億しか平衡交付金を殖していないわけでございます。その三十五億と申しますのは、義務教育に従事いたしまするところの教職員給與ベースの改訂に要しまする費用の半分でございます。即ち約七百億の赤字に対しまするところの三十五億、五%しか措置がされていない、九五%は何ら手当がしてないという状況でございます。閣議決定の際におきましては、シヤウプ勧告が出ますれば、その線に副うて更に考え直すという実は紐が付いておるように我々は了承いたしておるのでございます。ところでシヤウプ勧告が先程申上げましたように、地方財政についてもつと平衡交付金を殖してやらなければならんし、災害に対する費用も真剣に考えてやらなければならん、起債の枠も拡げる必要があるといつたように、地方財政につきましては当然のこととはいいながら、正しい見解を表明されたのでございます。第一次のシヤウプ勧告につきましては、我々非常に遺憾に思つておりますことは、中央の均衡予算編成されまするがために、地方財政というものが非常に犠牲になつておつたということを痛感いたしておつたのでございまするが、第二次のシヤウプ勧告によりましては、この日本全体の均衡予算考える場合においては、一応中央の方はできたけれども地方の方はまだ不十分である、第一次の勧告では不十分である、それを第二次で補完してやらなければならん、補充してやらなければならんといつたようなことで、全国各地を仔細に検討されまして、さような勧告に相成つたと実は意を強ういたしておつたところでございますが、その後大蔵省とされましては、折角シヤウプ勧告は出た、それについて検討するという紐が付いておるにも拘わらず、何ら検討されておりまするような模様はございません。むしろ地方財政はゆとりがあつて、三百億減税が二十六年度はできるのだという結論を発表されておるのでございます。私共といたしましては、全く意外、怪奇そのものであるというふうに実は考えておるところでございます。そこで七百億の赤字と三百億の黒字でございまするから、その間には一千億の見解の間違があるわけでございます。そこでその三百億の黒字がどういうふうにして算出されておるかという問題に相成るのでございまするが、私共の考えといたしましては、全く了解に苦しむような基礎で以てそれがでつち上げられておるのでございます。即ち昭和九年の地方予算に対しまして、物件費については二百倍、それから人件費については八十倍という倍数を乘ぜられまして、一応の支出を四千九百億、地方であればそれで十分なのだという結論を出しておられます。歳入の方は地方税或いは平衡交付金、国庫補助金起債、それらを含めまして五千百億円実は入るのだ、そこでそれだけでもすでに二百億の黒字が出る、更に地方給與ベースが高いから給與べースの切替えをやらぬでもよろしい、そうすると五十億の黒字が出る。又物件費等の節約をすれば、これ又四、五十億は出るのだ、そこで百億出る、合計して三百億は黒字になる。実は御承知のように、ずつと前に一千億の減税案というものを民自党から出されておつたわけでございまするが、国税では七百億円、これは二十六年度においてやるのだというふうに大蔵大臣も非常に強腰しでやつておられます。残りの三百億は地方税でやるのだ、丁度その三百億に大蔵省で作り上げられましたところの数字というものが合うのでございます。三百億を何とか恰好を付けるために、さような子供だましの数字を持つて来られまして、そうして歳出の方は極力少く見、歳入の方は極端に最高を見られまして、この三百億が出ておるように思うのであります。いずれの点から考えましても、さような子供だましの基礎数字では私共は納得できないのでございます。二十六年度の問題はさような状況に相成つております。従いまして二十五年度補正予算につきましても、やはり同様な考え方で以てこれを取扱つておられるのでございます。即ち義務教育の給與ベースの改訂に伴いまするところの増額の半分、九億だけ殖やしてやる、あと地方はゆとりがあるのだから、何ら措置する必要がないというふうなお考えのようでございます。私共の方といたしましては、お手許に差上げてありまするように、二十五年度におきましては三百八十九億、約三百九十億の赤字が出ることになつているのでございます。その内訳といたしましては、給與関係におきまして百四十億でございます。その中には給與べース改訂、六千三百円ベースが一千円引上げられるのでございますが、これに要しまするところの費用が四十三億円、それから年末手当、これが一ヶ月分でございまするが、九十二億、その他教職員待遇改善に要しまするものが四億九千万円、合計いたしまして百四十億円赤字か出るごとに実は相成るのでございます。給與べースの一千円の引上、それから年末手当を一ヶ月分出すといつたようなことは、補正予算の際に大体案を立てられまして、そうして政府の方はがつちり予算ができ上つているのでございます。地方の方は当初予算からさような考え方で組んでおりません。給與べースは相変らず六千三百円ベースで組んでおります。年末手当の支給なんというものは実は認められておりませんので、何一つ組んでおらないのでございます。実は御承知のように政府では債務償還費でありまするとか、或いは価格差補給金といつたようなものをお止めになりますれば、立ちどころに出る財源というものがあるのでございまするが、地方にはさようなものはびた一文もございません。そうしてどんどん地方で組みました予算は、仕事の進行に連れましてすでに支出をいたしている最中でございまして、年度半ばになりまして、かように百四十億というふうな大きな金はどこからも実は搾り出すことが困難なのでございます。更にそれ以外に平衡交付金及び起債の枠が決定いたしました後に、中央の方面から法令の制定、改正というような点につきまして、どうしても地方としてはその執行には出さなければなりません臨時的な費用、経常的な費用があるのでございます。これらを計算いたしまするというと、百七億要するのであります。更に本年度は各地に災害が頻発いたしまして、これに伴いまするところの復旧費でありまするとか、或いは災害救助費でありまするとか、又災害につきましては、御承知のように單県の事業もあるのでございます。更に進んで失業対策事業も政府の方針に従つて実施しなければならんわけでございます。それらが百二十七億要するのでございます。尚政府補正予算で、文部省関係、農林省関係、厚生省関係でそれぞれ事業、事務というものが決定されているのでございまするが、それを執行するといたしますれば、どうしても地方としては百二十四億ばかり負担せざるを得ないのであります。これらを合せまするというと、三百九十億実は赤字が出るのであります。そこでこれを如何に措置するかという財源問題でございます。勿論地方としましても、物件費等の節約は極力やりつつあります。これを一応この五%と見ますというと、約四十億の節約になるわけでございまするが、これもすでに各地共実行し、節約をやつておりまするので、数字上は一応さように計算が出ますけれども、実際やつて見まして、かような節約財源が出るかどうかということについては疑問があるのでございますが、一応は政府の方針に従つて、極力地方費を節約するということで一応出した数字でございます。更に地方起債は約二百十五億枠を拡大し頂く、さようにいたしますれば、平衡交付金増額が百三十四億、かように実は相成るのでございます。かような次第で、この三百九十億を本年度内に何とか財源的な措置を講じて貰いたいと、かように考えておるのでございます。特に給與関係或いは御承知のように人の問題であります。国家の官吏に給與ベースの改訂或いは年末賞與が支給されますというと、地方は放つて置くわけには実は参りません。何んとかしてこれは出さなければならんのでございますが、出すにも実は金がないというふうな苦しい立場に追込まれておるのでざいます。御承知のように地方公務員といたしましては、約百二十万人こございますが、これの家族を入れますというと、五、六百万の、実は生活の深刻な問題に相成るわけでございます。そこで給與ベースの切替え、又年末賞與も出さなければならん時期が刻々と迫つてつておるのでございますが、地方側といたしましては、何ともこれはやりくりが付かない、大蔵省方面は、余裕があるから放つておいても何とかするだろうというふうな安易なお気持になつておられるように思うのでございまするが、これは余裕がないのが実際でございます。各府県知事ともこれはちつとも出せない、そこでどうするかということになりまして、十一日以来継続的に、実は肚を決めて、この問題の解決に実は邁進をいたさざるを得ないという苦しい立場に追込まれておるわけでございます。財源があるとかないか、或いは余裕があるとかないかといつたような問題を今強く論議しておるときではないのではないか。かような事務的な問題も勿論これはあると思います。併しその結論はそう簡單に短時日に出るものではない。大蔵省考えられたようなくらいの倍数でちよちよこと出して、これが地方の適当な指数である、或いはこれが地方に入る收入であるとかいうような簡單な操作で結論を出されますることは、地方側としては迷惑至極である。特に大蔵省としては、地方行政地方内容というものを一向に御存じではないのであります。昭和九年から本年まで地方行政内容というものは非常に大きく変化をいたしております。今日地方の支出で自主的な支出というものは殆んどございません。大部分が国の関係に紐が付いております。国の命令のようなもの、法令の施行に伴うもの、又国の指示によるもの、これらが、人の問題につきましても、事業の問題につきましても、施設の問題につきましても、細かい紐が一切付いております。ところがこれに伴いまするところの費用も中央から当然来なければならんものが来ていない。全額国庫負担と、名目は全額負担になつておりまするけれども、ほんの一部しか金が来てない。又二、三補助率が決まつておりましても、その通りにはなかなか来ない。更に当然国で出される費用も出されておらない。新制大学の施設の問題でありまするとか、或いは町村長の命取りでありまするところの供出の問題、これらについては政府が当然お金を全部出されなければならんのでございまするが、ほんの僅かしか来ない。それをどうしても供出問題を放つて置くわけには参りませんので、各府県ともとても大きな金を注ぎ込んで政府の施策に協力しておるのであります。さように又人の問題につきましても、地方はそれぞれ欠員の補充を得まして、條例を一歩も出ないように強い方針でかかつて来ておるのでありますが、次々と中央からこれだけ金をやるからこういう人を殖やせというふうに指令が実は参るのでございます。その金もほんの微々たるもので、大部分は地方で補わなければならんというのが実情でございます。かように、仕事にいたしましても、事務にいたしましても、又人の問題にいたしましても、すべて中央に紐が付き、又中央の施策の財政的な措置の不十分のところを漸く無理算段いたしまして、苦しい地方財政でこれを補つて来ておるというのが現在の偽らざる府県町村の仕事のやりぶりでございます。さような関係で、実はにつちもさつちも行かない苦しい状態に相成つておりまするので、何とか一つこの機会に本年を越せるように是非とも御配慮をお願いいたしたい、かような考えで私共申上げた次第であります。
  80. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 岡野国務大臣が御出席になりましたが、三時過ぎに御用があるそうですから、岡野国務大臣に御質問を願いたいと思います。  先ず岡野国務大臣に申上げますが、当委員会は午前から委員会を開きまして、二十五年度における地方財政需要額に対する財源の補正の関係、二十六年度地方財政に関する政府予算措置に対する関係、そういうことを検討しつつあるのでございます。で、今全国知事会議の代表として茨城県知事から縷々御説明がありましたが、政府大蔵省地方財政委員会乃至地方自治庁との間に見解の相違が非常にある、こういうことに関して主管の岡野国務大臣はどういうふうに大蔵省と御交渉になつておるかということを、この委員会で御説明願いたいと思います。
  81. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 只今委員長から承わりました点につきましては、私この知事会議の方から御説明があつた通りのことを報告も受けておりますし、陳情も受けております。同時に財政委員会から詳しい数字を持つてお出でになりまして、そうして何とかしなければ地方財政は行き詰つてしまうというようなお話がございましたので、実は私の立場として甚だ申上げにくいことでございますけれども、この要求が出る前に補正予算の閣議決定がございまして、その補正予算の閣議決定に対して財政委員会からそういう御要求が出、同時に又地方の情勢をよく検討した結果、只今知事会議方面で御説明があつたような情勢であるということを詳しく拜聽したわけです。で私は補正予算の閣議決定がございました当時には、残念ながら大阪の風水害視察のために関西に旅行中でございました。帰つて来ましてから、最後案決定になつたわけでございまして、その当時、これでは多分地方財政がやつて行けないだろうというような情勢を汲み取りましたものでございますから、この点については財政委員会から追つて数字が出る筈だから、その点について考慮して頂く、こういうことで実は閣議が決定したわけであります。でいろいろ詳しく調べて見ますというと、只今お話のように三百九十億余りの今年の財源を何とかしなければならんということを承わつております。それにつきましては、いろいろ数字を集めて頂いております。同時にそれを大蔵省とよく協調しまして、それに対して何とか打開策を講じたいというわけで、私は只今日夜それに没頭しておるような次第であります。ただ交渉と申しますか、どういう々うにやつておるかという御質問でございますれば、補正予算に対しては、私はまだ地方財政に関する限りはあの補正予算では満足しておりません。同時に財政委員会から十分なる数字が出ましたならば、それをもう一度閣議で研究し直す、こういうようなことでその方向に向つて極力勉強もし、大蔵省との折衝に当つておる、こういうような情勢であります。
  82. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今国務大臣から経過報告を聞きましたが、第一に国務大臣にお聞きしたいと思つておりまするのは、知事会議の代表から、この二十四年度において更に地方財政の需要としてです、三百八十九億程度の額に達するものが必要である。こういうお話であつたのですが、その三百八十九億程度金額については、政府としても一応現在認められておるという段階にありますか、その点を先ず第一にお聞きしたいと思います。
  83. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。その数字はまだ政府の方で確かに三百九十億足りないということの断定はいたしておりません。その基礎数字を検証するために、大蔵省財政委員会とで詳しい実質的の数字を集めつつある次第でございますが、財政委員会で一応大まかに出ました数字がそれでございまして、それがどんなふうに基礎付けがなつておるかということはまだ分らないのであります。それを検討しつつある次第であります。
  84. 鈴木直人

    鈴木直人君 詳しい数字についてはまだ結論に達しておらないというお答えでありますが、先程大臣のお話の中に、大体において三百八十九億、三百九十億程度のものが更に必要であるというような概念は持つておるように先程お聞きしておるわけなんですが、それが地方財政委員会において今後詳しくこれを取調べました結果、非常に少くなつた、百億とか、二百億とかというようなところにはならないだろうという考え方を持つておられるように思われるのですが、その点はどうお考えでありましようか。
  85. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。地方財政委員会は御承知通り政府から独立の立場を以ちまして、そして又地方財政を十分検討し、又同時にそういうことを絶えず役目を以て、スタツフを以て、又規則により法律によつて算出したものでございますから、一応或いは政府としてはそういうものがいわゆる取扱官庁として出した数字であるから、そういう数字政府に反映することは、これは單的にそういうことでございましたということを承わらなければならんと思います。ただ問題は、いろいろ世間で地方冗費が多いとか何とかということがいろいろなことを通じまして、そんなとでどういうふうになつているだろうという疑問もあるものでございますから、詳しい数字は今研究しつつある次第でございます。これは財政委員会のスタツフと大蔵省のスタツフが非常な緊密な連絡をとつて、今実質の調査をしておるような次第でございます。目下検討中である。これは財政委員会としては、これだけの数字になるというとにかくお申出があつたことは承わつております。
  86. 鈴木直人

    鈴木直人君 大蔵省財政委員会との緊密な連絡をとつて数字を今検討しつつあるというお話ですが、聞くところによりますと、先程知事報告によりましても、大蔵省としましては非常な黒字になる、こういう計算であるし、又地方財政委員会においては非常に赤字になる、こういう計算になつておるわけです。そしてその赤字になるというのが、三百四十億程度のものが赤字になつて来るというようなことになつておるわけでありますから、要するに大蔵省事務当局と地方財政委員会等において数字の違いがあるので、その数字の違いについて岡野国務大臣としては、この地方財政委員会で調べているところの、これは大体知事会議只今言われたのと同じように考えているということでありますから、恐らく知事会議において調べたものも、地方財政委員会において調べたものも大体において同じであろうと、こういうふうに先程から大臣の説明で聞きました。そうしますというと、いわゆる地方財政委員会及び知事会議等において調べたところの四百九十億というものが、或る程度まで是認をされるということであつて、然らば大臣としましては、この地方財政委員会において調べたものについて、相当強くこれを裏付ける資料を求めて、そうして大蔵省においてはむしろ黒字になるというので、その調査に対して黒字になるのではなくして、この程度の赤字になるのであるということを、これははつきり確信を持つて行く必要があると、こう考えましたので、一応この数字について大臣としてはどう考えておるかということを申上げたわけです。そこで第二段として一応お聞きしたいのは、この三百四十億程度の黒字を、どういうふうにして今後埋めて行こうとされるのか、今知事会議お話によりますというと、三十九億程度のものをまあ節約をする。併しながらその後の部分につきましては、起債なり、平衡交付金増額して行かなければ到底やつて行けないというような説明であつたわけでありますが、これに対しましては、大臣としましてはどういうふうに今政府の内部においてお骨折りになつておられるか、どの程度のものを以て起債に求め、どの程度のものを平衡交付金にして、そうしてこの二十五年度の不足額を補おうとされておるのか、この点をお聞きしたい。
  87. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。大蔵省事務当局が、地方財政について相当の黒字が出て来るのだ、こういうようなことが、意思が発表されたということを実は新聞で私伺つておるのでございますが、私は責任ある方面からはそういうことは承わつておりません。併しそういうようなことも私の頭に往来いたしまして、先程申上げましたように、地方財政の点については地方財政委員会というものが権威を持ち、責任を持ち、又相当な確信を以て出しておるのでありまして、而もそれは公式に伝えられておるのでございますから、その方がとにかく尊重しなければならん数字であると私は考えております。でございますから、そういたしますというと、この三百九十億になんなんとするこの地方財政の穴埋めを如何に中央政府の資金のやりくり、並びに地方起債を如何程許すかということについて、どう処置していいかということに対して検討を加えつつある次第でございまして、同時に検討を加えますということになりますれば、大蔵省の一部或いは当局者と申しましようか、そのうちには先程知事会議で御検討なさると同時に、財政委員会で出した数字相当の食違いがあるような意見も出ておりますので、これは十分両当局者が詳しい基礎数字検討合つて、そうしてこの三百九十億というものを固めなければならないと思つております。固まつた上で如何に処理するかということの方向に私は進んで行こうと、こういうことになつております。
  88. 鈴木直人

    鈴木直人君 今一点お伺いいたしますが、そうなりますと、よく分りましたが、要するにこの二十五年度におけるところの国の補正予算については、一応閣議において決定したような形にはなつておるけれども、地方財政のことについてはまた留保されておるのであるから、今後大蔵省地方自治庁その他政府部内において検討の結果、地方財政が苦しまない程度に落着かし得る余裕があるし、確信があると、こういうふうに拜聽してよろしうございますか。
  89. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 余裕がある、確信があるということを私の口から実は申上げかねるのでありますが、併しながら余裕があるないに拘わらず、地方財政が本当にこれだけ困つておるならばどうにかしなければならない、どうにかしなければならないから、私は自治庁の長官としまして、地方自治の確立のためには財政方面を十分考慮して上げなければならない。そういたしますというと、財政委員会が出しておられる数字をよく検討して、できるだけと申しますか、どうしても地方財政が立つて行くような方策を講ずることに私は加担して努力しなければならんと、こう考えておる次第であります。
  90. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今鈴木委員から御質問がありました点と大体同一点について私も重ねて大臣に伺いたいのでありますが、今の御答弁を聞いておりますと、まあ今日の段階では岡野国務大臣は非常に辛い立場におられると思うのでありまするが、どうも今の御答弁じやはつきりしないので、大臣の御答弁に、大蔵側と財政委員会数字検討しておるのだ、緊密な連絡をとつているのだと言われるけれども、我々に提示されております……大臣も御覽になつたと思うのですが、全国知事会議から出ております資料の中に、如何に考え方が両者が離れておるかということは明瞭なんであります。大蔵省の方は出すまいという見地に立つて数字検討しておるのですから、これは一致するわけがない。これは今に始まつたことじやなく、私自身としても苦い経験を持つておるのですが、やはりこれは全国知事会議でも、こういうようなことを要望し、知事会議のみならず、市長会、町村長会並びに政府から独立した財政委員会がこういう数字を出して、午前中我々も聞いたのですが、この数字は何も大蔵省数字と合わないから、片方が間違つておるというふうでなく、やはり担当しておるのが財政委員会なんでありますから、その方の数字並びにそれがこういうふうな全国地方団体数字と合致しており、それが又必要であるならば、大臣はどうしてもこれを三百九十億は確保して頂かないと困ると思います。どうも午前中の説明で私満足しなかつたのですが、それでは両者の一致はしないにしても、現在補正予算が出た場合には、この三百九十億のどのくらいの見込があるかということを聞いたのですけれども、それは目下折衝中であるというので、数字も言えないようなものだつたのです。それではそういうふうなことをやつて行きますと、相手が池田大蔵大臣ですから、或いは補正予算を出したときに、これはゼロになるかも知れないと思うのです。そういうふうなことをやつては困るのであつて、大体今日は大臣が今言明もなさつたが、地方財政の方についてはまだ決まつておらぬのだ、数字検討の上決定して行くのだというお話ですが、そうにしましても、もう今日の段階においては、大体この程度のうちからどのくらいという見込くらいをお付けになつて然るべきものだと思うのです。これは大臣の肚が三百九十億を全部生かす肚か、それはとても駄目だ、半分にする、三分の一にするとか、いろいろの考えがあると思うのですが、それを腹蔵なくざつくばらんにこの委員会に中間報告をして頂きたいと思うのです。決るまで分らないというふうなことでは、この委員会では承服できないので、今日は中間でありますけれども、中間の段階においてはどうであるかというような中間報告意味において、腹蔵のないところを伺いたい。
  91. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。腹蔵なく申上げますれば、私は三百九十億は一応御尤もな数字と認めざるを得ないのです。と申しますことは、財政委員会は完備したところのスタツフを持ち、同時に地方財政全体をずつと見て、そうしてそれをするのが役目ですから、その役目を持つた、権限を持つたところで調べ上げた数字は、それだけである、こう私は認めていいと思います。ただ問題は、先程も申上げましたように、大蔵省方面で……私は大蔵省だとは申しません。一部でございましよう。新聞にああいうことが出まして、甚だ大人気ない話でございますけれども、逆に三百億も減税ができるという程地方財政余裕があるというような空気がどこかの一部にあればこそ、新聞にも出たことと私は考えております。そういたしますというと、地方財政委員会の権威においても、それを十分検討させて、そうして間違いがない、こういうことで受入態勢をしたい、こういう考えで私は検討して貰つております。でございますから、私は財政委員会大蔵省と共同一致してよく調べて、そうしてこれが確かであるということになれば、無論その通り十分その数字を信じて、それに対して如何に処置すべきかということに進んで行きたいと存じております。
  92. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、大臣はまあ今日我々が追及すると、そういうふうにお答えになると思うのですが、我々は岡野国務大臣個人を攻撃するのでなく、地方財政全般のために強く大臣にいつも要望せざるを得ないのですが、今のようなお話の気持は分りますけれども、そういう抽象的なお答えであつてはやはり非常に不安定であり、今日この席にも知事会議の代表も来て非常に心配しておられるのですが、今私が申上げたのは、そう無理でなく、一応のそれには段階があるのですから、岡野さんとしては、これはもうむつかしいけれども、このうち三百億とか、何とかいう、そういうところの見込は、それは両者で数字を合しておるから、その骨子については俺は知らぬというのならば、これは別問題でありますが、この休会中にこれは新聞で、岡野さんが大阪でいろいろ言明せられて、例えばそういう問題でも職を賭してと書いてあつたかどうかは、それはよく覚えておりませんが、非常な意気込みでやるのだというふうな元気のある言葉が新聞に出ておつたので、私も非常に意を強うしたのでありますが、今伺つて見るとどうも非常に腰が弱い、言明もされない、中間報告数字が言えないとあつては、大蔵省はなかなか強腰ですから、それではどうも非常に私は見込みがないのじやないかと思うのであります。そういうようなことであつては、今日地方財政の面においては地方税でも我々が非常に反対したのですが、やつて見ると、何分非常な輿論となつてこれは重過ぎるというようなことで、これ以上のことはもうとてもできないのですから、何とかこれは大蔵省折衝なさつて、少くともこれは三百九十億の大部分が通るように岡野さんとしては職を賭するくらいの覚悟で以てやつて頂かないと、ただいい加減のことをお答えになつて、実際補正予算を出して見たところが、殆んど載つかつていないということでは、これは非常は遺憾だと思いますが、その点は本当にこういう場合ですから、岡野さんは総理と直接交渉でもして頂いて、国の財政のうちから幾分でもこちらに廻して貰い、来年度においても国家財政においては非常に減税をやると言つて威張つておるのですから、そのくらいならば真に必要なこの程度のものは廻して貰えるのじやないか。それに対しては地方団体も四十億ぐらいの節約を覚悟しておるのでありますから、あと大した金じやないのですから、是非その点は勢力して頂かないと困ると思います。岡野さんにも追及するのですが、ただそう抽象的なことであつては、予算ですから、どうにもならんのであつて、大体の今の段階数字も或る程度は言われても差支えないのじやないかと思いますが、どうも今のように逃げられるから困るのです。その点もう一遍どうですか。
  93. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 私は逃げるわけではございません。この予算々々と言いますけれども、これはこの数字予算ではないと思つております。丁度私は先般の来年度予算のことを伺つて、一兆幾らになつ予算を六千億以下に切下げて来年度予算ができたというようなこととは筋が違うと思います。地方財政を担当するところの財政委員会が、地方にはこれだけ金が要るということが、それが固まつて来れば、それは平衡交付金で幾ら出す、節約で幾らやる、起債で幾らやるという分け方を、私は地方負担を軽くするような意味で努力したいと思いますが、この三百九十億というものが検討されなければならないことは、先程も申上げましたが、大蔵省の或る一部の事務当局との間に食違いがあるから、そういうような疑いがあつては私もしつかりした力が出ませんから、それを大蔵省と一緒になつてよく内容を調べ、そうして確かだそれだけ要るということが財政委員会のおつしやつた通り決まるとすれば、それは無論幾らに切下げろとか、切下げられる筋合いのものでないから、切下げようとは考えておりませんが、ただ問題は中央に余裕が余りないから、それを平衡交付金でこのくらい出し、又出すのだからこれだけ節約すると同時に、あと起債でやるというふうに、内容についてはこれからの私の努力に俟たなければならないと思いますが、只今の努力は主として三百九十億というものを立派に基礎付けるということが一番大事なことと思いますから、それに没頭しておるわけであります。
  94. 相馬助治

    ○相馬助治君 この際岡野国務大臣に要求というか、お願いするが、結論的に言えば、今鈴木、西郷委員が申したことに盡きるのですが、私は突込んで、細かいところの給與関係の問題についてだけお尋ねして御決意を伺つて置きたいと思うのであります。給與関係について何故申すかと申しますと、継続的な事業その他の費用と異なりまして、国家公務員給與べース改訂又は年末手当の支給ということになりますれば、当然地方公務員教職員を含めて地方公務員も上げてやらなければならないのであります。昨年の年末に起きた事実というものを、岡野国務大臣もよく御存じだと思うのです。即ち教職員を中心としたこの各県知事を相手にとつた猛烈な労働攻勢、その結果どういうことになつたかと申しますれば、御承知のように或る府県においては、又知事と交渉の結果幾らかを出すという話になつた。或るところでは出すという段階に至らなかつた。そうして政府が一ヶ月というものを出すということになつたときに行われたものは、半ヶ月分だけ将来出すから、県で立替えておいて年末支給をしろというようなことで、結局その問題は納まりがついたのですけれども、本年度においても当然そういうことが予想せられます。これは、ベース改訂に伴う増加ということも予想せられまするし、年末手当支給に関してもその通りです。国家公務員が上つたときに地方公務員を構わぬで置くわけに行かない。又構わないで置かれて黙つていないところの今の地方公務員です、これは非常な労働不安を惹起することは火を見るよりも明らかです。尚教職員待遇改善に要する経費というものの四十何億というものについても、これは知事であるとか、教育委員が頬被りができない費用なんです。法律によつて、階段によつて、当然その経過日数によつてその俸給というものが、その地方公務員なり教職員が、重大なる勤務上のミスのない限りは上らなければならない。これはそういう仕掛けに法律でなつている。そういうことになつて来ますと、この百四十億という給與関係増加に伴う地方財政の需要額というものは、これだけはもう当然予想せられるのでございます。従いまして勿論三百九十億に及ぶところの、これについて全額岡野国務大臣としては、あなたの後ろに続いている知事市町村長、そういう人の悲願を達成する意味で職を賭して頑張つて貰わなければならないのですけれども、そのうち特に給與関係についてはこれはもうはつきりしている。従つて私はこの点についてお聞きしたいことは、この百四十何億というこの給與関係の問題については、関係の各省がございます。文部省というような、そういう方の意見がどういうふうになつておるかということ、それから又これに対して岡野国務大臣は如何なる決意を以て、どういう措置をなされんとしているのであるかということを承つて置きたいと思うのであります。尚各省の空気は、他の省の主張は知らぬということでございましたならば、後程、文部省はこれに対してどういう見解、主張を持つておるかということを、私から申す用意があるということだけを附加えて御質問いたします。
  95. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。給與費は御承知通りに経過規定ではございますけれども、中央の公務員を上げるときには、やはり地方公務員も上げるというようなことになつております。又教職員のことも他の規定で出ております。当然中央の公務員に対して待遇を改善する場合には、それにつれて地方公務員もやはりやらなければならないということは、もう法規上当然のことでございます。又常識から申しましても、中央の公務員だけ上げる、そうして地方公務員はうつちやり放しにされるということも、これはあり得ないことと存じております。でございますから、その点については私は法規の面に従い、同時に常識から考えてそうあるべきだと、こう考えて、できるだけと申しますか、一生懸命に実はやつておる、職を賭して、職を賭してということは、これは言葉としましては成程如何にも元気がようございますけれども、私は国務大臣に出た以上は、いつも職を賭してやつておりますから、そういうことは御追及下さらないように、一生懸命にやつておることだけは事実でございます。同時に百四十億というものに対しては、これは何がどうあつても是非確保してやらなきやならん、こう考えております。それにつきましても、先程申上げましたように、数字がどうであるとか、こうであるとかいう批評を受けるもんですから、その批評を全部腹に置いて、確かにこうじやないかという両者が意見を一致させて、それから私の理想に邁進したい、こう考えております。同時に文部省あたりの方面のことは、私から申上げるのはちよつと差控えさせて頂きまして、文部大臣もおられまするから、この方面は文部大臣からお聞きを願いたいと存じます。
  96. 相馬助治

    ○相馬助治君 なぜ文部大臣の意見というものをこの際ここで岡野国務大臣の口からお聞きして、而も岡野国務大臣に頑張つて頂きたいと思つてああいう質問をしたかと申しますと、先般の閣議においては、聞くところによりますると、さすがに地方自治庁の長官であるあなたは、大いにこの問題について頑張られたということを私承知しているのです。ところがその際に文部大臣は、教職員に対する年末手当支給というものは当然して貰わなくちやならないが、どこから出ても出ればいいのだ。このことは裏を引つくり返して言えば、国で早急にここで措置してくれなくてもよいのた、やがてこれはどうにかなるのだ、こういう意味の、私はこの耳で聞いたわけじやないのですが、結論的に言うと、こういう意味の発言がなされた。而も中立的な立場をとられたということを聞き及んでおる。この埃をかぶるのは誰かというと知事なんです。これは当然やるんだ、そうしてその財布はお前達がやれということになると、やつてもやらなくても知事の見解でよろしい、こういうのなら知事は腰の強い人は頑張り切るという手もあるでしようが、当然やるんだ、そうしてお前達がやるんだ、その財源はどうするのだ、それは考えろといつても、手品師でない限り出て来ない。そこで私はそれを伺つたのですが、文部省がそういう態度をとつたということが事実であるかどうか、これはよもや知らぬとはおつしやらんと思います。それで事実であるかどうか、これを先ず伺つて置きたいと思う。
  97. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 内閣のことをここで言明することは甚だ私困るのですけれども、併し文部大臣は教職員に対して非常に強い発言をなすつて、そうして私の説を賛成して下すつた、これだけは御承知置きを願いたいと思います。決して文部大臣は私が主張するのに対して知らん顔をしておつたというわけじやなしに、むしろ非常な強い御意見を持つてつておられる。その説に対しては私も非常な賛成をしておつたわけでございます。
  98. 相馬助治

    ○相馬助治君 当然なことでございまするが、それを聞いて一応安心しました。一つ給與問題に関しましては、政府でうつちやつて置きますと、年末には各府県で形の違つた労働争議が起きて、これはもうどうにもならない、蜂の巣を突ついた以上の騒ぎが起きますから、篤とこのことだけは、最低見合うだけの財源地方のために用意してやられることを重ねて要望しまして、私の質問を終ります。
  99. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は自治体、特に府県が今日のような財政難に陥るということは、シヤウプの勧告に基く税制改革から当然の帰結だと思うわけであります。それはシヤウプの税制の改革の最もウイーク・ポイントは、私は県の自治体としての基本的な性格の掴み方にあると思うのです。そこでシヤウプは府県というものを市町村と国との中間政府と見まして、むしろ重点を市町村に置きまして、府県を非常に軽く見ているような立場をとつています。そういう点からいたしまして、特に府県の主要な財源というものは七つあるわけですが、事業税と遊興飮食税と入場税の三つがまあ中心であります。而も農業県が非常に多いにも拘わらず、事業税は農業にはこれを課することができないというふうで、非常に不安定な財源の見通しの付かないようなものに主要財源が依存せざるを得ない。こういうところに私は今日の事態を招いた非常に大きな原因が潜んでいると思うわけであります。併しその際シヤウプの予定しましたことは、行政事務の再配分をやつて府県にそういう負担をかけないということを前提にしているわけであります。ところが行政調査会もまだ、調査委員会ですか、その調査も完了いたしませんし、一方税收入の方は確保できないし、事務の再配分はできぬということのために、これまでと同じように財政需要が要るにも拘わらす、財源が與えられないというところに私は大きな原因があると思うわけであります。そこで先に申しましたように、シヤウプの勧告案というものは、府県に対しまして行政事務負担をかけないということを前提にしているわけでありますが、本年度はこれまでと同じような負担をかけているわけであります。そこで私としましては、その調査が完了するまではどうしても府県は従来通り行政事務をやつていますから、この応急的な穴埋めはどうしても補正予算によつてなさるべきだと思うわけであります。そこでこれに対しまして、岡野大臣はどういうふうにお考えになるか、更にこの問題は單に本年度補正予算で解決するだけでありませず、どういたしましても来年度も同じようなことが私起ると思うわけであります。そこで早急にこの事務の再配分をやることと同時に、私は府県の税の種類の改革なしには、この問題は解決しないというふうに考えるわけでありますが、岡野大臣はどういうふうにお考えになるでしようか、お尋ねしたい。
  100. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。お説至極御尤もでございまして、先般通りました地方税法によりまして、府県が非常に税收入の点につきまして苦しい立場になつているということは、私もよく存じ、又同情もしているわけであります。でございますので、実は中田さんのお説の通り、私自身がこの際府県のために非常に努力をする理由が沢山ございますが、私の主張を通すのに有力なる根源となるのは、この税法の過渡期であるということであります。成程府県なり、市町村なりは自治を強化して税法を改正したのだから、もう勝手に一つ地方自治団体財政の切り盛りをしていつたらいいじやないか、こういうことが言われるのでございますが、それに対する府県に対する点におきましては、非常に立派な反駁としましては、只今府県財政の過渡期であるからどうしても今年度はこういうふうにしなければいかんということが力強い論拠になつていることで、今年はこの点におきましては、中田さんのお説の通りに、府県財政は困つている、来年はどうにかして行かなければいかん、又事務配分ができたらどうしなきやならんということもいろいろ考えておりますけれども、これは調査委員会議の結論が出ました上で考えなければならんことと思いますけれども、併しさしずめ今年の補正予算考える上におきましては、今お説の通りな、府県が新税法によつて非常に財政收入が減つて苦しい立場にある、ですからこの際給與べースを引上げるとか、又新らしい事業を押付けるとかいうような意味でいろいろな仕事をして、そのために負担が沢山かかつて来る、これは理窟の如何に拘わらす、何とか助けなければならん、こういうような立場で私自身は進んでおります。それだけのことを御了承願います。
  101. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それから大蔵省なんかの立場といたしましては、そういうような三百数十億の歳入欠陷に対しまして、これまでの既定経費節約という点を強く持出されておるようでありますけれども、私地方議会を三ヶ年担当いたしまして、地方財政の拠つて立つ基盤をいろいろ調査しました結果、明治維新からずつと日本は中央集権的な財政の立場をとつていまして、有力なこのインフレーシヨン下におきましては、彈力性のあるような所得税とか、法人税とかというようなもの、酒、煙草のようなああいう税金を一切中央に取上げまして、地方に対しては極めて彈力性のない貧弱な財源を與えているわけでありまして、この既定経費節約という面に多くの期待を持つことは困難であると私は考えるものであります。そういう点で一つこの点により重点を置いて、歳入欠陷を補填するというようなことは府県の自治体を破壊するものであるというふうなことを申上げたいと思います。更にもう一つ、この平衡交付金の配付につきまして、この弱小市町村におきましては相当不均衡が是正されまして、むしろそのことによつてシヤウプの狙いましたところの行政区画の再編成ということが殆んど不可能のような状態になつて来たわけであります。私の調べました相当数多くの市町村におきましても、山村地帶では可なり交付金によつて平衡されたから、これなんか合併される必要がないというようなことになつて、非常にこれは行政区画の再編成を阻害するような條件になつていますが、府県段階におきましてはそういうことが全然とは言いませんが非常に乏しくて我々といたしましてはいろいろな測定單位によつて測定されているが、むしろ極めて強い政治力によつて決定されて、それでああいう数字を……むずかしい数年によつてカムフラージユしているのではないかと思える面が府県段階においては強いようですが、そういうことはないものでしようか。市町村におきましては可なり貧弱市町村財政交付金によつてバランスがとれるようになつていますが、府県はそういうことがないので、一部には政治的な配分がなされて、それをカムフラージユするためにああいう数回に亘る計算の仕直しをやつて、むずかしい数字でごまかしているというようなことも仄聞するのですが、一つそういうことについて疑惑を晴らすような言明をお願いしたいと思います。
  102. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。私は政治的とか何とかということで平衡交付金配分が左右されているとは存じません。財政委員会は非常に公平な又拠りどころのある規則に準拠して分配しておると、こう考えております。ただ何さま平衡交付金只今から申しますれば、千五十億というものは少なかつたんじやないかという感じがするもんですから、それで窮屈な県もできているのではないかと思います。そういうところは私はどうも詳しくどこの県が圧迫されて困つているとか、どこの県は政治力によつて幾ら多く貰つたとかいうことは、そんなことは私聞いたこともございませんし、多分なかろうと思います。それからもう一つ附加えて申上げたいことは、冗費節約、これは実はその地方の方が陳情に出て来られて、又大挙して陳情に出て来られる。総じて相当な運動がされておるということがどこからともなしいろいろな人の耳に入りまして、そうして地方にはだから余裕金があるのだから、放つて置いてもやつて行なるのだということがたびたび議論が出ました。それにつきましては私実例を数字に挙げまして、よく話して置きましたが、その点は大体了承されて、交付金とか何とかという方面にそう大した冗費はないのではないかということにはなつておるのであります。ところが何さま地方財政というものは実体が直ぐ目に付かないものですから、さぞかし節約の余地があるのだろうと、こういう極く大雑把な考えから、地方の方にはそう補助を與えなくても、あれだけの増税をしたのだから何とかやつて行けるだろうということを言つておる人が多いのです。けれども府県に関する限りは、先程もおつしやつた通り、税法上の点から非常に苦しい立場にあるということはこれもよく印象は付けてありまして、それが結局私の沢山の理由がある中の一つになつて、このことは地方財政を助けなければならんという論拠にも私は使つておるわけであります。その点御承知を願いたいと思います。
  103. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この府県の税の種類ですが、次の国会、通常国会にいろいろ全国知事会議なんかでも要請があるようですが、そういう点を睨み合せて改革されるというようなお考えはないのでしようか。
  104. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 只今のところそういうような欠陷のあることを私は認めております。それから又将来事務配分結論が近いうちに出るということになつておりますから、そういうことを照し会わせて見ながら、そういう方面にもやはり考えをしなければならんだろうという肚ずもりはしておりますが、只今事務配分の確たる報告が出ておりませんものですから、まだ肚を決めてどうしようという、又どういう改正をして行こうという考えはまだ具体的にはできておりません。併し将来何とか考えなければならんということは事実であります。
  105. 安井謙

    安井謙君 先程西郷委員からもお話があつたのでございますが、地方財政委員会大蔵省から出している資料相当厖大なものであるし、相当検討も加えられておる、同時に又出す立場が非常に違つておりますし、取り方も非常に違つておる、これを更に事務的に検討されることは非常に結構だと思いますが、問題はむしろ両方の事務当局を抑えて、両大臣の折衝で決まるような段階に来ておるのではないかと思いますし、すでに閣議で一応決まつた事項であると思いますので、一つこの際地方の要望に応えられまして、国務大臣が更に政治的な解決にむしろ重点を置いて頂きたい、こう希望するものであります。同時にこういつた真正面から対立した資料が出されたわけでありまするが、一体地方財政委員会というものは、大蔵省が本年度補正予算をいろいろと検討しておる最中に、いろいろとこちらからも資料を出してやつておられるのか、外から見ておりますと、閣議で決まつたあとに反駁論を出したというような形に見えるのであります。そこらの折衝の経緯について、これは地方財政委員長一つ説明願いたいと思います。
  106. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方財政委員長は来ておりませんから、財務部長にお願いいたします。武岡財務部長。
  107. 武岡憲一

    説明員武岡憲一君) 補正予算における平衡交付金増額の要求につきましては、午前中に私から御説明申上げましたような内容数字を当初から出しまして、それで大蔵省事務的な折衝を続けて参つておるのであります。決して閣議で決まつたあとでそういう数字を出したわけではありません。
  108. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 一、二今安井委員からお話がありましたものにつきまして、私からも御質問申上げたいと思います。先程大臣から、自分は財政委員会数字を基礎にして、どこまでも折衝したという心強いお言葉がありましたことに対しまして非常に敬意を持つものであります。午前中これらの問題の一番の食違い或いはネツクになつておる点を事務当局に聞きましたところが、大蔵省考え方即ち五百億程度の剩余があるという、余裕があると、こういう考え方が未だ解消しないというお話でありまするが、全くこれなんかはおかしいのであつて、若し大蔵省のやることが正しいとすれば、財政委員会なり或いは自治庁なりに対するこれは非常なる侮辱であり、又非常なる問題であると思うのであります。且つ又仮に大蔵省のその五百億の余裕があるという断定が正しいとするならば、一体今年度大蔵省自身が認めたところの千五十億という平衡交付金に、すでにそれならば五百億の余裕があるということであつて、これ又大蔵省自身がみずから一体予算の査定権を全然ルーズにし、又放棄していると見なければならんと、私は考えるのであります。従つてこういうような五百億の余裕があるとか、そういうようなことはこれは全く問題外のものでありまして、従つて我々といたしましては、この段階におきましては多少そういう事務的な折衝なり、数字の五億なり、十億なりの違いというものはあり得るとは思いますけれども、とにかく大局においてそういう大きな数字が今まで、去年も今年も平衡交付金算定或いは配付金の算定のときに、たびたび地方財政につきましては、これは検討して参つたのでありますから、従つてその後千五十億を決めた後にいろいろの災害或いは法令の規定等によつて起きた、或いは給與べースの引上げ等によつて起きた財政需要でありまして、これらにつきましては、一つ時期を失せずに大臣から御善処願いたいと思うのであります。と申しますのは、やはりこの問題を通じて地方的には非常な公務員においては不安と動搖の色があるのでありまして、従つてこれを速かに大局的に御解決を願いたいと重ねてお願いするのでございます。どうぞその点を十分一つ御了承願いたいと思います。
  109. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 岡野国務大臣に外に御質問ありませんか。
  110. 鈴木直人

    鈴木直人君 一つだけ。これは補正予算じやないのですが、来年度二十六年度予算でありますが、先程大臣からどうも千五十億というのは少し少いようにも思われるとかいうようなお話があつたのですが、シヤウプ勧告によつても、二十六年度は少くともとにかく千三百億は交付金に計上するという勧告があるわけでありますから、二十六年度予算に少くともこの程度のものが見込まれておるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  111. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) 先般決まりました来年度予算におきましては、やはり含まれておりません。おりませんけれども、それではやつて行けないからというので、実は閣議の了解事項としまして、シヤウプ勧告でも出ましたならば、それに対して適当な、必要な措置を講ずる、こういうような申合せを実はしておるわけでございます。でございますから、十分財政委員会の方もしつかりと、どこから突つ込まれても間違いのない、又こうこうであるというような数字を固めて頂きたいと存じております。その数字さえ固まつておれば、私自身といたしましては相当発言して行きたい、こう存じます。そこで先程の何でございますが、これはちよつと速記を止めて下さい。
  112. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕
  113. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて……。
  114. 鈴木直人

    鈴木直人君 二十六年度予算として当初に一応の閣議で決定を見ましたものの中にはどうも千三百億が入つていない、こう知つておるわけです。只今の御説明、この前と同じような御説明を聞きましたが、それによりますというとシヤウプ勧告が出たならば、それに従うということであり、又あの当時の新聞を見ますというと、シヤウプ勧告が二、三日のうちに出るのだから、従つて平衡交付金及び二十六年度予算の閣議決定については、二、三日待つて呉れということを岡野国務大臣が閣議において強く主張しておられたということはよく知つております。従つてシヤウプ勧告が出ない前に二十六年度予算は決まつてしまつた。そうして千三百億に勧告されるであろうということを大蔵大臣は大体に察知しながら、その勧告が出る前に一応決定がなされた。その間において岡野国務大臣としては、これは千三百億の勧告が出るという見通しがあるからして、という見通しの下に閣議決定を三、三日待つて貰いたいというような非常に強い主張があつたこともよく了知しております。ところが閣議決定が遺憾ながら千三百億にならずして一応の決定をいたしておる。併しその際において岡野国務大臣が、併しながらこの点についてはシヤウプ勧告案が出たならば、一つその際に考えるという條件付きの下に一応閣議が決定されているということも了知しておるのでありますが、尚二十六年度予算が最終決定をする場合においては強くこの点が実現されるように大臣においても努力して頂きたい。我々は又大蔵大臣にも別の機会において強く要請をいたしますけれども、一つ努力し甲斐のあるようにお願いしたいということを念願して置きます。
  115. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは岡野国務大臣に御退室を願います。  先程の全国知事会の代表の友末茨城県知事に対して御質問ありませんか。
  116. 相馬助治

    ○相馬助治君 先程岡野国務大臣に私が質問した中にもちよつと触れました昨年度の年末手当支給に関して、知事側としてお困りになつた現実、即ちあの決定というものは閣議決定がもうよくよく年末の押し詰つて決められたということ、それから聞くところに、当時の新聞によりますると、教職員組合の代表が知事官舍の前かどこかでハンガーストライキを打つたというのがあなたの県でなかつたかと思うので、それらの状況から特にこの給與問題に連関して、昨年度のお困りになつた現実の概要並びにその困らないために政府に要望する具体的な事項、金額でなくて……。そういうことがありましたら、この際参考に承わりたい。
  117. 友末洋治

    参考人(友末洋治君) 御質問でございまするから、お答えを申上げます。昨年の年末賞與は御承知のように切羽詰りまして、政府といたしましても半ヶ月分支給するという方針が決定されたわけでございます。然るところ、これに対しましての財源的な措置は支給の決定と同時にされなかつたのでございます。そこで知事会議といたしましては、さような財源もない、何とかその財源を講ずべきだというので、昨年も相当の大きな問題に相成つたのでございます。そこで政府としては、今金がないから取敢えず来年の俸給、一月、二月、三月の俸給でも一つ繰上げて、そうして立替支弁して貰いたい。あと必ず政府が責任を持つて財源の補給をするという実は公約がありましたので、取敢えず立替支弁したいという経過に相成つております。ところがその後知事会議の度ごとにこの財源的な措置を是非公約通り実行するように強く要請いたしておるのでございまするが、今以てその公約が履行されておらない。事ごとに地方はかような関係で泣かされ通しでおるのが現状でございます。そこで昨年度府県それぞれいろいろな情勢が起つたのでございまするが、半ヶ月分では不足だ、是非少くとも一ヶ月ぐらいは支給すべきだという尤もの要求が各組合から相当強硬に実は出て参つたわけであります。そこで茨城県におきましても、約四、五日に亘りましてハンガー的な実は運動が展開されまして、県会又各方面相当てんやわんやの大騒動をやつたわけであります。これに類似いたしました状況は大体大なり小なり各府県におきまして起つたのであります。そこで茨城県といたしましては、さような財源もありませんし、又出すべきでないということで、飽くまでも半月で政府の方針通りこれを実行したのでございます。他府県におきましては、多少、当然のことではございまするが、超過勤務で支拂義務になつておるものを支拂つたというようなこともあつたのでございまするが、これは当然の法律上の義務ではございまするが、或る方面におきましてはそれは不法な行為である。又団体から一部お金を借りまして、そうして一時資金の貸付けをした、融通をしたということも、実は苦しい中からやつた府県もあるのでございますが、それが実は法律問題になりまして、或いは県庁の幹部、知事までも告発を受けて、相当大きな問題になつたという所もあるわけでございます。いずれ劣らず各府県とも県の幹部、知事相当苦しいことを嘗め、大多数吊し上げに会つたのが僞わらざる事実でございます。本年もさようなことにならぬように実はお願いいたしておるのでございまするが、今から教員組合にいたしましても、職員組合にいたしましても、この成行きにつきましては非常な関心を持つております。大騒動の起らない前に一つ手を打つて頂く、これが本当の政治である。私はかように信じてお願いを申上げておる次第でございます。
  118. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうすると、半ヶ月分のその見合う財源あとで何とかしてやるという公約が行われて未だに実行されていない。これは正規の会合で大蔵大臣の言明なんでございますか、その公約というのは……。
  119. 友末洋治

    参考人(友末洋治君) これは大蔵大臣の言明ではなく、文部当局の言明でございます。
  120. 相馬助治

    ○相馬助治君 私そこで先程も岡野国務大臣の質問のことで知事さんも御了解下さつていると思うのですが、非常にこの教職員給與の問題は御承知のように、出すのが大蔵省で、それを分けたりなんかするのは勿論地財で、呉れるというと給與を最終的に決定するのが教育委員会で、県の財源計上し、これを出すのが県会の協賛を得た知事さんの許可がなければならんというような、実にもうどうにもならんような複雑な形であるので、ああいうことをちよつと聞いて置いたのですが、その半月分出すというのは、どうでもこれはお流れになりそうなのですか。同時にこれが流れるというようなことですと、今年は知事さんはその手は食わぬぞという心理的状態に置かれているであろうと推察されますが、さように了解してよろしいですか。
  121. 友末洋治

    参考人(友末洋治君) 昨年のは実は大蔵省の方としてはにつちもさつちも財源的な措置考えられない。それで文部省の持つておりまするところの既定予算、即ち定員定額の予算を実は取つておるわけでございますが、それのやり繰りで年度内に措置をするということを実は公約いたしたのでございまするが、それが年度内に実行できなかつた。かような苦杯を嘗めておりまするので、本年こそはさような苦杯を嘗めないというので、各府県知事とも肚を決めて実はかかつておるわけでございまするが、最後の段階になつてこの肚が現実化しないように一つお願いを申上げて置く次第でございます。
  122. 相馬助治

    ○相馬助治君 分りました。
  123. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつとお尋ねしますけれども、お出でになつておる府県は大体……。
  124. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 茨城県、広島県、香川県、山口県。
  125. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大体大府県の、財政的に比較的……。
  126. 鈴木直人

    鈴木直人君 知事会議の代表、ブロツクごとの代表が来ておる。
  127. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ですからブロツクごとに相当余裕のある大府県のように見受けます。(「茨城県はそうでないな。」と呼ぶ者あり。)このたびの税法の改正で、府県としての自治体にふさわしいような独自の仕事が若干でもできておるのでしようか。
  128. 友末洋治

    参考人(友末洋治君) 茨城県の状況簡單に申上げますと、御承知の税收入が大体六億でございます。二十四年度は十億を実は超えておつたわけでありまするが、それが約四割減税で減少を見ております。県全体の予算は、原形予算は約七十億になつております。これを本年度今後の追加予算等を加えて参りますと、約六十億を突破する見込みでおるのでございます。従いまして全体の予算の一割にも減税は実は充たないというふうな状況でございます。あと平衡交付金起債その他で実は賄つて行かなければならん。年度内に不足いたしまするお金が十億を超えるのではなかろうかというような見当を立てて、目下財政收支の均衡を如何にやるかということに頭痛鉢巻の状況でございます。さような僅かな自主的な財源でございまするが、これがすべて国の支持されまするところの事業、事務、これに結び付いて来るわけでございます。自主的な財源で自主的な仕事をしておるという部門は一億も実はないという貧弱なる状況でございます。殆んど自主的な仕事は皆無と言つても差支えない、かような状況に相成つております。
  129. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは希望なんですけれども、まあ府県市町村財政難を打開するために、政府並びに執行部に対しましていろいろな運動は従来もまあ十分なされていると思いますが、我々としましても十分勉強して見たいと思いますので、一つ全国知事会議事務局は相当充実しておるように承つておりますので、一つ資料の提供をお願いしたいと思います。
  130. 友末洋治

    参考人(友末洋治君) 承知しました。
  131. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。  それでは市長会の方からも見えておりますから、市長会、ついで町村会から陳情について御説明願います。
  132. 達林正吉

    参考人(達林正吉君) 私全国市長会の達林でございます。平素自治の確立につきまして格別御配慮を頂きまして、本日も長い間に亘つて極めて御理解の深い御検討を頂いておりますことを厚くお礼申上げます。先般の問題につきましては、すでに茨城県知事から申上げております。これは市長会、町村会同時に検討いたしましたので、それで御了承頂けると思います。お疲れでございますから、簡單都市側の特別なものについて申上げたいと思います。  只今いろいろお話になりましたように、大蔵省新聞発表と関連いたしまして、給與べースの問題について、都市側の給與べースは四十二都市について調べた結果、年額十一万円を超えておるという表現がありまして、恰かも都市については給與ベースを上げる必要もない。むしろこれを引下げて、経費の節減の余地があるじやないかというようなことをほのめかしているような表現があるのでありまして、これは実は私共といたしましては、可なり事実と異なつた面が非常に多いので、どういうふうな立場からこのような数字が出るものか、大蔵当局の方から数字を頂いてよく検討して見たいということでお願いしているのでありますが、まだ数年を頂いておりません。私共の方で調べましたところによりますと、五大市は本俸、扶養手当、勤務地手当、これだけを加えまして月額約九千円、年額にいたしますと、十万八千円、十一万円を超えてはおりませんが、それと近いような数字になります。併しこれは一般職員であります。それから一般の市につきましては、同じように本俸と扶養手当、勤務地手当、これを併せまして月額六千八百七十一円、これを国家公務員と比較しますと、国家公務員の方は六千三百八十五円、若干一般市の吏員の方が高くなつている。それから警察職員について見ますと、五大市が八千大十九円、それから一般の市が七千七百一円、これに対して国家警察職員が七千四百四十七円、五大市は若干上廻つておりますが、一般の市は両者を通じまして若干上廻つております。それから学校職員につきましては、五大市が九千百八十五円、一般の市が六千四百六十五円、これを通じまして、五大市はやや大蔵当局の発表に近い数字になつておりますが、一般市につきましては遥かに低い。こういうような数字になつている。どうかいたしまして、一方的な数字で事実を誤解せられているというようなことがあつてはならんと思いますので、この点事実を正しく御認識頂きたいと思います。  それから一般的に、地方財政は昨年シヤウプ勧告に基いて税制改革の結果、都市は非常によくなつたのじやないかというふうな見解が可なり支配的だと思いますが、事実税源は如何なる例をとりましても都市に多くありますので、その傾向は一般的には認められていると思うのでありますが、併しながら世間で、と申しますか、一般にお考えになつておられるほど都市財政が充実されておらないことについて、私共甚だ意外の感を持つております。と申しますことは、根本的には一般にシヤウプ勧告の結果地方財源は一千億円増強せられた、シヤウプ勧告ではそういうふうになつておるのでありますが、併しこれが昨年の当初予算承認いたしまして、地方財政は御承知のように当初予算においてはほんの骨格予算を決めるたけで、爾後に決定されます国家予算によつて可なり実体的の予算がこれに追随して行く、従つてその後最終予算を見なければ本当の実態は掴めないのでありますが、この結果昨年と本年と比べまして、詳しい数字は何ですが、大まか言いまして、純粹に殖えたのは三百億そこそこじやないかと思うのであります。仮に大蔵省で三百億円余裕があるというふうなことでありますれば、正にこれに相当するのであつて、そうすると大蔵省の見解をとりますと、地方財政は昨年極度の窮迫のために、殊に先生方にはいろいろ御心配をかけましたが、この状態でよかつたのだというふうなことにならざるを得ないと思うのであります。いわゆる千億増強されたということの実態がこのようなことでありますので、従つて私共が世間で都市がよくなつたというようなことを言われ、自分でも初めは喜んでおつたのでありますが、蓋をあけて見ますと、殊に昨年において平衡交付金にすべてが集約されて参りまして、この方面から見ますと案外大したことはないというより外になく、市によりましては、入場税、遊興飮食税というようなものに税を移しまして、極く一部の市でありますが、却つて税收は昨年に比べて多くならぬというようなところもあるのであります。こういう点についても十分御理解を頂きたいと思います。  私共近く講和会議を開かれまして、やがて日本が国際社会に復帰する、そうしますと、結局人口問題ということがどうしても大きな問題として表に現われて来る、或いは国民の希望するようにいわゆる移民の途が開けるというようなことがありましても、これによつて解決される部分は現実の問題として殆んど微々たるもので、大部分の人口問題、これに伴ういろいろの弊害といつたものは都市に集約されて来るということを今から覚悟いたしておるのでありますが、こういう点から都市政策ということは真剣に検討せられなければならんと思うのでありますか、最近の状態を見まして、今尚この点については必ずしも一般の理解、関心というものは十分でないのじやなかろうか、こんなふうに考えられます。特殊な悩みを持つております都市行政につきましても、格段の御理解と御援助を頂きたいと思います。
  133. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次いで全国町村会上浦政務部長。
  134. 上浦種一

    参考人(上浦種一君) 全国町村会の政務部長上浦であります。一般問題につきましては市議会の代表の方からいろいろ共同で要望いたしましたことの大要を申されましたので、町村側のことにつきまして一言申上げたいと思います。  先程もお話がありましたように、政府方面地方予算節約の余地があるというふうな説が行われておるとうでありますが、これは知事会、市長会からも申されましたように、さような余地はないのであります。特に町村会におきましては、御承知のように六三制の問題、教室等がありまして、六三制の問題につきましても御承知のようにその建築でいつも困つておるというふうなことでありますので、余裕がありますれば、あのような苦しみ方はしないわけであります。向こういう余地がないということの一つの証拠といたしまして、町村吏員の給與ベースということも申上げることができるのであります。この町村吏員の給與につきましては、私共の会におきまして、全般的な資料は持つていないのでありますけれども、ここに全国二十一ヶ府県におきまする町村吏員数と、その一人当りの給與支給額、即ち給與べースの資料を持つているのであります。これはその平均としまして、五千二百九十一円ということになつておりまして、これはただ二十一府県の場合でありまして、又報告内容では一部の、手当も含まぬというところも一、二県ありますけれども、大体そういう見当になつておりまするので、このことは二十一府県だけの推計でありますけれども、官吏の給與ベースと比べますと、二千円くらいの開きがあるというふうなことでありまして、こういう一番切実な給與の引上げさえできていないということは、町村及び地方財政にゆとりがないものであるということを示す有力な証拠になると思うのであります。尚先程から両団体から説明がありましたように、今年の補正予算財源欠陷が四百億近くあるわけでありますが、これも補填法についても すでに御承知のように、再補償が出ておりますので省略いたしますけれども、平衡交付金におきまして増額して頂かなければなりませんが、ここでちよつと申上げたいことは、この地方税法の成立にズレがありまして、そのために二百億の枠で短期債を地方団体が借りているわけであります。その利子が五億なり、六億なりということになろうと思いますが、これは去る六月二十三日の閣議において、別途財源措置を講ずるということが決定されておりますので、こういう閣議で決定された金額は、どうしてもこの補正予算の中に入れて頂かなくちやならんと思うのでありますが、御承知のようにそれらの数字補正予算には出ておりません。これはどうしても相当増額せらるべきものであるのであります。尚それに関連しまして、四ヶ月ズレたということのために徴税が困難になり、年間の税收は專ら下半期に集中しなければならんということから生ずるいろいろの滯納というようなことも予想されるのでありまして全国町村会におきましては、七月の大会においても、これはどうしても平衡交付金を以てこの点を見て貰いたいということを政府方面に要望しているのであります。これは数字で幾らというふうなことは、ちよつと申上げられませんけれども、とにかくこれがために都道府県町村相当財源、税收欠陷と言いますか、財源欠陷を生ずる基礎をなすのでありますから、こういう点も一つ思い合して頂きまして、平衡交付金増額の点で考慮を願わなければならん、さように思つております。大体以上のことが町村側として簡單に申上げる要点であります。  参議院の地方行政委員会におかれましては、いつもいろいろの調査をなされ、我々の方にも立派な調査を頂いておりまして、地方財政及び地方行政一般の進行に、いろいろ御同情を賜つておるのでありますが、当面のこの補正予算従つて年度予算におきまして、我々三団体が申上げました趣旨を十分御協力下さいまして、一つ地方町村が立つて行くことができますように、及びその振興発展を期することができますように、何分の御援助を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  135. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚全国市長会の方から落したことがあるから、ちよつと附加えさして貰いたいということですから、特に発言を許します。達林事務局長。
  136. 達林正吉

    参考人(達林正吉君) 甚だ失礼でございますが、急いで申し落しましたので申上げますが、先程国家公務員に比較いたしまして、都市公務員給與ベースを申上げましたが、何故高くなければならんかということは、皆さん方とうに御存じの通りだろうと思いますが、これは第一には、御承知のように国家公務員或いは府県公務員、これは昔は官吏でありましたが、これに比べまして、権限も少い、従つて社会的地位も低い、而も同じ場所で勤務している、こういう状況でありますので、人を求めようとしましても、同一の国の公務員府県公務員に比べまして同一の賃金では求められない、どうしても高くなければならん。第二は、都市は大部分いわゆる地域としましては甲地域或いは乙地域で、従つていろいろの手当が殆んど全部のものについて高い手当国家公務員に準じて支給しなければならんということになつているのであります、これが第二。これは生活に必要な物資の価格から申しても自主的にそうなければならん。それから第三には、国家公務員は戰争中及びその後におきまして相当増員がありまして、若い人が相当つておられますが、都市市町村公務員としましては、古い人が多いので、年配者の層が相当占めておるのであります。従つて家族も多い、こういう関係から手当が多い。それから甚だけちなことを申上げるようでありますが、今日国家と言わず、地方と言わず、公務員の賃金水準というものは可なり気の毒なものであります。どうかすると、果して、これでよく生活がして行かれるかと思われる数字だと思います。可なり苦心してやつておりますが、その場におきまして、いわゆる旅費というものは、可なりこれを補充する役目を果している。旅費を貰つて、旅費の名義で給與を上げておるということじやなく、例えば汽車に乗るのに二等の旅費を貰うが三等で行く、宿屋に泊るところを汽車の中で暮すというようなことにして、極力旅費で以て俘かすというようなことが、可なりの助けになつているだろうと思いますが、都市公務員につきましては、このように勤務の範囲が狭いので振興が少い。こういう面もあ、りまして、先程申上げた国家公務員或いは府県公務員に比べまして、若干上廻つておりますが、これはこういう点を照し合せますと、むしろ実質的に高いとは言えない、こういうことであります。
  137. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 全国市長会、全国町村会に御質問ございませんか……。それでは今日の予定起債の問題について、風水害の被害と地方財政について、地方財政委員会の財務部長が来ておりまするから、御質問がございましたら御開陳を願います。
  138. 鈴木直人

    鈴木直人君 実はその問題について、今回大阪、和歌山、兵庫県の視察をこの委員会から御委任を受けまして、行つて参りましたが、その結果、相当いろいろ検討を要するところが相当あるので、これはもう四時になりましたから、明日に一つつて頂いて、ゆつくり検討さして頂きたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  139. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 鈴木君にお伺いしますが、復命は、報告はいつできますか。
  140. 鈴木直人

    鈴木直人君 報告相当具体的な計数に亘りまして、具体的な問題を取り揃えまして、それに対して実現することを大蔵或いは地方自治庁財政委員会から聞きたいという、こういうことでありまして、三人の委員が実は今それを進めつつありまして、それで三人の委員相当具体的なその後の事情を申上げまして、我々にも是非それを煩わしたいという決意を持つておりますので、只今の要領の中からお話したのでありますけれども、成るべく遅い方がいいというので、十八日になるか、十九日になるか、これも実は岩木君も十九日にしようということを大阪で打合せまして、十八日は経理の関係もありますので、十八日にするということであります。十八日か十九日、十九日にして貰えば一番いいと思います。
  141. 相馬助治

    ○相馬助治君 同時に、今鈴木委員から申しましたように、兵庫県、和歌山県、大阪の地方財政状態がこうだということを我々に報告し放しではなく、それを聞いていて、もう強い態度で地財委並に大蔵省に当らなければならない具体的な幾つかの問題がある。ここで弁慶の内威張りであつても仕方がないから、そういう人に来て貰つて報告はあつさりやつて、それに対して質問を展開しながら報告に代えたい。政府関係を究明して行きたいということを考えておるので、委員長においても私達の復命と言いますか、報告を聞きますものには、必ず出して頂かなければならないものは、大蔵省並に地財委、地方自治庁、この方に出して頂かなければならん。それを一つ勘案して、こちらからもう少し具体的に申しますが、一つ十九日にして頂きたいと思います。
  142. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではお諮りいたします。明日の午前に予定しておりました補正予算等について、大蔵省主計局長に質問いたしますること、は何か大蔵省の方が明日は都合が惡いそうでありますから、十八日の午前にいたします。それから明日の午前は、地方行政調査委員会議の勧告案ができたそうであります。これは内閣を通じて正式にするのでありますが、一応この会議で便宜的に説明さした方がいいと思いますから、明日の午前に説明を求めたいと思います。それから明日の午後は、事務の再配分について厚生省関係の話を聞く。それから十八日の午後は、事務の再配分について農林省方面の所管について聞く、十九日は午前は今お申入れがありましたように、大阪外二県に御調査を願つた委員の御報告を承わる。そして大蔵当局、地方財政委員会地方自治庁当局を呼びまして、そうして検証する、こういうことにいたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  144. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて……。それでは十八日は、先程申上げましたのを改めまして、午前は事務の再配分について農林省から説明をして貰つて、午後は大蔵省の主計局長から二十五年度補正予算等について聞く、こういうことにいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういうふうに決定いたします。今日はこの程度で散会いたします。    午後四時五分散会  出席委員は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君    委員            安井  謙君            石村 幸作君            高橋進太郎君            岩沢 忠恭君            中田 吉雄君            相馬 助治君            鈴木 直人君            西郷吉之助君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   説明員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方財政委員会    財務部長    武岡 憲一君   参考人    茨城県知事   友末 洋治君    全国市長事務    局長      達林 正吉君    町村会政務部長 上浦 種一君