運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-09-21 第8回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十一日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政改革に関する調査の件  (競輪問題に関する件)  (地方行政調査委員会議に関する  件)  (シヤウプ勧告に関する件)  (ジエーン台風による被害の地方財  政に及ぼす影響に関する件) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会開会いたします。  今日御審議を願います案件競輪に関する事項でございます。先ず競輪概況につきまして、通商産業省当局から説明を求めたいと思います。概況は書面に出ておりますから、要点説明をお願いいたします。
  3. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 車輛部長でありますが、競輪概況について要点を御説明申上げます。  自転車競技法昭和二十三平八月一日から施行されております。これは民自、民主、社会、国協、四党の共同提案で、目的は地方財政收入増加を図ることと、自転車産業振興を図ることが特に法律に謳われております。第一回の開催は二十三年十一月小倉で行われまして、今日までまだ二ケ年足らずの期間であります。競輪場の数は既設のものが五十、建設中のものが十一でございます。施行者の数が都道府県十九と指定市町村八十三であります。選手の数が男女を併せて六千、車券の売上げが二十三年度は二億円余り、二十四年度が百三十五億、二十五年八月までが百七十三億、二十五年度予想が四百十億、こういうふうに上昇カーブを辿つております。地方公共団体純益といたしましては、二十三年度は十四百十万円、二十四年度が十二億であります。二十五年八月までが十四億、二十五年度全体の予想としましては三十四億であります。国庫納付金は二十四年度三億九千九百万円、二十五年度の予想が十八億余りであります。この国庫納付金自転車産業振興に使わなければならない、こういうふうな法律の制約があります。入場人員はこれは省略します。開催回数は今日まで三百八十回ばかりでございます。競輪の業績としましては、地方財政に対する貢献としては、本年八月までに約二十七億の純益を上げておるわけであります。二十六年度の予想は約四十五億であります。地方公共団体はこれらの收入庶民住宅建設、その外学校建設、その他大衆的な施設建設復旧に当てております。自転車産業振興といたしましては、国庫納付金の中から産業振興費が配付されまして、二十四年度は三百万円、二十五年度は二億円、二十六年度は只今まだ未定でございまするが、大体四億二千万円程度のものは計上されると見込んでおります。その自転車振興費の使途といたしまして、輸出振興のために海外市場調査宣伝用のカタログの製作、見本自転車の頒布、これは無料で頒布するのであります。  その他研究助成費設備近代化補助費発明奬励費中小企業振興のための共同施設補助金金融等に当てられております。尚オリンピックの参加のための競輪開催計画しておりますが、計画によりますと約一億七千万円のものがそのために寄附できるということを考えております。事故対策でありますが、競輪事故として最初世間の耳目を聳動させましたのは川崎事件であります。二月五日、そのときに政府としましては主として四つの手を打つためでありますが、違反の拂戻を行なつた、事故が起つたためにそれを收めようとして当らなかつた車券に対しても拂戻をするということでありますが、その施行者に対しては一定期間投票券販売停止を行う、これはつまり競輪開催停止させるということであります。これは法律に基いてできるわけであります。この措置をとることによりまして、今後騒動を起しても何ら観客は利益することがないのだということを徹底させようとしたのであります。競馬の初期においてこういう対策をとつて非常に効果があつたということを参考といたしております。第二は選手登録要件を引上げて粗惡な選手を入れないようにするということ。第三が、ボス等不当勢力の排除を行わせるということです。第四が、公認審判員制を確立するために、全国の各審判員に科学的の適応検査を実施いたしました。これは終了いたしておりますが、その結果落第したものは本年末までに全部入換えるということになつております。誤審がしばしば騒動の緒となつておるわけでありますが、これを防止するためであります。宇都宮事件、これが八月の中旬に起りましたが、このときには施行者非違行為に対しまして、それが必ずしも法律に違反してなくても不適当な措置であつた場合におきましても、結果の重大なものについては一定期間開催辞退責任者更迭等勧告を行うことといたしました。これは法律によつて開催停止を命ずることはできない状態になつておりますが、開催辞退勧告するということになるわけであります。振興会非違行為に対しましては、解散、役職員の解職等厳重な措置をとる旨を明かにいたしました。第三が競輪をして單なる賭博に堕することなく、健全娯楽として発展させるために運営或いは競輪場施設についての明朗化対策を進めることにいたしました。最近の鳴尾事件の後、九月十四日の全国競輪界指導者を招集いたしまして次のような指示を行いました。第一は、鳴尾競輪場に、競輪場を明朗化するため設備の改善を完了するまでは自粛して競輪をやらないように。第二は、風水害罹災地帶におきましては人心が非常に動揺して起りますし、又設備も非常に不完全なものであつて事故を起し易いので、当分の間自粛して競輪開催しないということであります。第三が、鳴尾競輪場以外の競輪場に対しましても暫く設備の……次のページにありますが、この基準従つて設備改修を促進させ、十一月末までにこの基準を適用するように。設備改修しない競輪場に対しては設備の完了するまで開催停止するものとする。これも又やはり自粛でありますが、そうして又改修工事中は事故を起し易いので、原則として開催をしないようにするということであります。従来の騒動設備が非常に不備であるということから事前に予防できなかつた点を遺憾としまして、この改修方針といたしましては設備を非常に明朗化して観客の気分を落着かせるということ、設備要点は堅牢なものといたしまして、騒動を起そうとする者もこれではちよつと計画を放棄せざるを得ないというような形を作ることが眼目であります。第四は、選手身体検査基準を引き上げて調子の惡い者は絶対に出さないようにする。それから自転車科学的検査を厳密に実施しまして、競争中におきましても車の事故の起らないようにするが、尚又健全なスポーツ精神を欠くような選手八百長の慮れをしばしば抱かせるものでありますので、そういうようなものの登録取消しを行うようにするというのであります。次は、主催者振興会におきまして、場内取締りを強化させまして事故未然防止を図るということであります。次が、観客に対する措置でありますが、観客健全娯楽として競輪を楽しむように要請すると五六に、紛争を起してもこれは観客には何らの責を負わせないのだ、これが惡いので、これは問題があれば施行者協議によつて解決することが適当であるということをもう少し宣伝しようということであります。  次に、執務員の訓練を徹底的に実施して執務員のちよつとした過失が事故の端緒とならないように努める、又事故の起つた場合には迅速的な行動を取るように常時訓練するということであります。尚その後におきまして、全国競輪場振興協議会申合せによりまして、一斉に当分休止をするということになつたのでありますが、若干これに従わないものがありますので、通産省としましては九月十九日に大臣名開催を当分自粛するように希望する旨電報を発しました。尚その官報にも拘わらず尚強行しようとする二、三の競輪場に対しては、昨日通産省の方へ招致するという電報を以て話をしてこの際一斉に中止をして、その間に再建のための準備を大いに進めて行く、こういうことになつております。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問は後に願いまして、次いで国家地方警察当局から騒擾に対する取締状況、それから国警当局公安委員会連合協議を開いて今後競輪をどういうふうにするかという対策を立案されたという話でありますので、それに対する説明、そういうことを求めます。国家地方警察本部武藤刑事部長
  5. 武藤文雄

    説明員武藤文雄君) 警察の面から見ました競輪の問題について御説明申上げます。  御承知通り只今も御説明がありましたように昭和二十三年にこれに関する法律ができました。爾後これ程急激な発展をしたものは恐らくないだろうと思いますが、昭和二十三年末には全国に初めて二ケ所の競輪場が作られた。ところが昭和二十四年の十二月になりますと全国で二十一ケ所、ところが本年の六月末になると、すでに五十四ケ所というふうに非常に急激な発展を遂げ、現在競輪場を持たない県は全国で九つしかないといつた状況で非常な盛況振りであります。これに伴いまして競輪開催回数も非常に殖えておりまして、例えば昭和二十四年の一月、その一ケ月間においては一ケ月の開催回数が三回であつた。ところが同じ年の暮の十三月になりますと開催高数が二十回になる、今年の七月においては開催回数が四十八回というふうに非常に殖えておる、これに伴つて只今説明もありましたように車券売上高も非常に増加を示しておる。昭和二十四年の一月から十二月までの一年間の開催回数が九十六回、これに対して本年は一日から七月までにすでに二百四十二回という開催状況であります。競輪に伴いましていろいろな紛議が起つておるのでありますが、私共の報告を受けました主なるものを拾つてみましても、昭和二十四年においては二十二件、検挙送致人員が六十三名というふうになつております。ところが本年に入りましてから一月から九月の現在までにすでに二十四件検挙いたしました。件数は九件で三百七十七名というふうになつております。最近の競輪に伴う紛議状況を見ますと、その傾向といたして非常に大規模となる傾向がある。又惡質化しつつある傾向があるということが窺われます。例えて申しますれば、本年の二月発生いたしました川崎競輪事件、これには警察官出動数が四百名、これが今までにおいて最大の不詳事だと言われたのでありますが、六月の村山競輪事件においては建物を破壊する、或いは選手の控室に火をつける、食料品を略奪する、或いは所轄の警察署長の制止を聞かずに却つてこれに石を拡げて怪我をさしたという非常な不穏な形勢を惹起いたしました。これには警察官が遂に千三百名という今までにない多数の警察官出動せしめざるを得なかつたという事態が発生したのであります。次いで八月十三日の宇都宮競輪事件におきましても器物毀棄破壊、或いは火をつける、そのために消防ポンプが六台これに出動しております。遂に止むを得ずして警察側催涙ガスを使用してこれを鎮圧したというような不詳事態が発生しております。最近の九月九日の鳴尾競輪事件に至りましては、放火、器物損害等はもとよりのこと、駈けつけました消防自動車二台のうち、一台は群衆でこれを追い帰してしまつた。他の一台についてはこれを活動できないようにしてしまつてガソリンを抜き取つてそのガソリンに火をつけるというような行為が発生いたしました。警察官でも負傷者三十名を出し、遂に群衆の中から一名の死者を出すというようなことまでの不祥事が発生いたしたのであります。  で、なぜかように競輪紛議が多いか、いろいろ理由があると思いますが、施設画等欠陷もありましようが、一つは競技自体が非常に人為的に左右される面が多いという点が言えると思います。川崎競輪でも明らかになりましたように、競輪ボス選手に贈賄して不正レースを行わしめ、或いは選手を脅迫して不正レースを行わしめる。岐阜の競輪事件で起りましたようにこれは昨年の十月でありましたか、選手自身が相互に談合をして八百長レースを行う。かようなレースが行われておる。非常に人為的に左右され易い、而も例えば自転車のピンが不完全であつたがために、途中で事故競技ができなくなつたというような場合に、果して八百長か或いは自然発生事故であるか、非常に判定に苦しむような事故も起つております。人為的に非常に左右され易い競技であるということが言えると思います。  第二は、これに関連いたしましていわゆる大穴が多いということ、自転車振興連合会調査によりますと、本年一月から六月末までに行いました競輪の延日数千五十一のうち、一万円以上の大穴が出たレースが四百六十六あります。一万円から二万円の大穴が出たものが二百九十、二万円から三万円の大穴が出たものが八十五レース、以下最高は十万円以上の大穴が十三レースというように非常に大穴が多い。これは人為的左右とも関連いたすと思いますが、こういつた大穴が出るというのが一面においてはこの競技の面白さでもあると思いますが、非常に事故を起し易い、紛議を起し易いものを含んでいると思います。  第三は、従来からの主催者側紛議に対する態度の問題があると思うのでありますが、紛議が発生いたしますと、主催者側で頗る微温的な態度をとる。妥協的な態度をとる。で、八百長レース或いは審判の誤りというこういうものに対しては真僞を質さずして或いは車券拂戻しをする。或いは選手審判員に謝罪をさせる。或いは煙草なんかをファンに渡していわゆる色をつけるというような措置で微温的に結末を付ける。こういつたことが結局騒げば得をするのだというような印象を大衆に與えるといつたようなことが、非常にこういつた妥協的な微温的な態度競技自体に禍いしていると言えると思うのであります。  もう一つ申上げることは、競輪場においてその警備に当るものが必ずしも好ましくない人間警備に当つているということが言えるのでありまして、主催者側から委託を受けて場内整理に従事している者の中に必ずしも好ましくない人間が採用されている。で、これらの者がいわゆる場内あたり飮食店とか附近の飮食店等からごみ銭を取る。或いは甚しき至つて大穴で当てた者に対して金品をせびる。或いは選手に因縁をつけるというようないわゆる警備員という名の下に好ましくないことが行われておるということも窺われるのであります。かように競技自体紛議をかもし易い要素があるんでありますが、一面競輪によつて非常に犯罪の温床となつているということも幾多事例で我々見ておるのであります。これは大阪市で調べたものでありますが、本年の一月から六月二十日までのいわゆる競輪日体ではありませんが、競輪が因となつておる事故が、犯罪が起つたというのが、競輪場内で発生したものが三百三十三件、それから競輪場以外で発生したものが百七件、今計四百四十件というものが発生しておる。これは競輪そのものからではなくて、競輪原因なつて例えば金に困つて盗みをした、詐欺をした、恐喝をした、甚しき至つてはこれが原因なつ夫婦喧嘩が起つて細君を殺したというような殺人事件まで起つております。このようにこれが原因していろいろの犯罪が発生しておる。窃盗、詐欺恐喝、横領、それから今申しました殺人が一件、殺人未遂が一件、これは繰返し申しますが、競輪そのものからではないが、それが原因なつて起つた犯罪であります。  特に考えられますのは青少年に対する影響であります。確か競馬法には学生未成年者には馬券は買つてはならないという規定があつたと思いますが、証拠画にはこの規定がない。そこで青少年に非常に惡い感化を與えているということが肯けるのでありまして、これも大阪方面調査をいたしたのでありますが、学生未成年者が相当多数に入つている。本年の三月から六月まで調べたのでありますが、その中で一二御紹介をいたしますと、この未成年者等について警察として補導をいたしましたが、その内容について考えてみますと、一体誰の許しを得で入つて来たかというのに対しまして、これらの中の三五%というものはおやじさんから許しを得た。二九%がお母さんに許しを得て来た。ところが無断で来たというのが三〇%、三割はつまり親その他に無断でやつて来た。誰と一緒に来たかというのを見ますと、一人で来たというのが三三%、友達一緒に来たというのが三五%、その他は親とか近所の人、兄弟と来なというのでありますが、結局一人で来たとか友達と来たというのが全体の七〇%近くを占めておるというわけになるのでありまして、これからもいろいろ青少年に対して好ましくない影響があるということが窺われると思うのであります。その次に、どうして入場したかというのに対しては、これは驚くべきことでありますが、入場券買つてつたというのが五四%、残りは塀を乗り越えて入つたとか、監視人の隙を窺つてつたとかというものが多い、動機としてはどういう動機でやつたかというと、五六%が面白いからという動機で入つておる、車券を買うためというのは僅かに六%そこら、つまり面白いからというなにげなしにただ引摺られて入つて来たというのが過半数を占めておる、これはやはり我々として真劍に考えなければならん、かように考えるのであります。年齢別に考えて見ますと、未成年者年齢別でありますが、その内の五・五%というものが十歳未満の者であります。これは例もあるのでありますが、十一歳の子供と九歳の子供兄弟で入つて車券買つていたという事例も窺われる、青少年がかようにしていろいろ好ましくない事例が起つております。これは大阪市で発生した事例でありますが、やはり少年が車券を買うために、店員でありますが、集金した金を横領して車券買つてしまつたという事例、或いは車券を買うためにお金がなくなつてしまつて一緒に住んでいるをばさんの預金通帳を持出してこれを取つてしまつたという事例がある。或いは怠けて競輪場に行つていて、そうして見物人からお金を盗んだというような事例とか、或いは競輪場で無効の車券を改竄してお金を取ろうとしたとか、或いは物を買うからと言つて親からお金をごまかして取つて来たとか、とにかく幾多の好ましくない事例青少年の間に発生しておる、これは何も競輪自体の罪と言うことはできないかも知れませんが、競輪から発して青少年に好ましくない影響を與え、ておるということは言えると思うのであります。そこで警察といたしまして、競輪紛議が発生する、これは先程も申上げた通り八百長か否かということの判定が非常にむずかしい、又事故はいわゆる群衆心理といいますか、それに駆られて突発的に紛議が発生するといつたようなわけで、警察としては捜査検挙にも非常に難儀をいたしております。紛議が多い割に検挙件数が少いというようなこともかようなところに影響されておる。これに伴つて突発的に紛議が発生するために、警察官出動というものが非常に苦しい、又これに備えておかなければならないというような問題で、警察としても非常に大きな負担なつておるということが申上げられると思います。勿論競輪の大小によりますが、ふだんから警備警察官を派遣しておかなければならん、一旦紛議が発生いたしますと、直ちに警察官を多数出さなければならん。先程申上げた通り村山事件のごときは千三百人の警察官を出さざるを得ないというような実情である、現在までに警察官を頼りにして競輪のために出動させた警察官は二十数万に上つております。又一方例えば鳴尾を例に取つて見ますと、鳴尾の村の警察署の署員は僅か三十五名であります。或いは村山競輪場を持つております所沢町の警察署は五十三名という警察官の定員でございます。従つてかようなところにはよそから応援の警察官を出さなければならんというような状況でありまして、警察として非常に負担なつておるということが申上げられると思います。で、競輪につきましては只今委員長からお話がありましたが、全国国家警察府県公安委員会連絡協議会が東京で開催されました。そのときも各地から挙つてこれの廃止の要望がありました。併し何しろ国会で定められた法律でありますので、如何なる形式になりますかは存じませんが、とにかく公安委員会としてはこれを何とかして貫いたいという声は非常な切なるものがあつたということを申上げて置きたいと思います。  尚現行法につきましても、例えば場内秩序維持及びこれに関する責任を明らかにするという点、或いは只今二三の例を申上げましたが、未成年者に関する問題、或いは選手の厳重な監督、又罰則の整備等幾多の問題を含んでおるものがあると、かように考えます。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 術地方財政委員会地方自治庁から見えておりますが、地方自治庁乃至地方財政委員会競輪に対する地方財政上の意見、その他地方財政委員会施行の都市を指定する権限を持つておりますから、競輪の将来に対する考え方、それについて御説明願いたいと思います。
  7. 小野哲

    説明員小野哲君) 地方財政委員会考え方といたしまして、私から御説明をいたしたいと存じます。  只今通産省当局から詳細に亘つて競輪取扱いに関する説明があつたわけでありますが、地方財政委員会といたしましては御承知のごとく法律の定めるところによりまして、当該市町村指定すると、こういう権限があるわけであります。ただ問題は競輪現状から考えまして、これを如何に措置するかということが重要な案件と相成つておりますのに鑑みまして、すでに指定をいたしておるものもありまするし、又指定申請を受付けておるものもあるわけであります。これらの処理を如何いたすかということにつきまして、通産省当局ともよりより協議もして参つたのでありますが、地方財政委員会といたしましてはこの指定申請に対しましては、諸般の情勢を十分に考え合せまして慎重に取扱うことが必要であろう。従いまして新規に申請をいたしましたものにつきましては、一応これが処理停止する。尚現に申請をいたしておりますものにつきましても、通産省とよく相談をいたしまして愼重な取扱いをいたしたい。将来の見通しが付くまではこの際指定等の処分をいたすことは避けて参りたい。こういう考え方に相成りましたような次第でありまして、一応地方財政委員会現状処理模様を御報告いたして置きたいと存じます。  尚、競輪によりまして得ました收入市町村等地方団体財政の方に寄與して参つておるということは、これは否めない事実でございます。然しながら競輪事業の経営の本質論から考えまして、果して将来これを在続すべきか否かということは国会においても十分に御審議を頂いた上で、政府といたしましては善処をいたすことが筋合いであろう、かように考えておる次第でございます。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚各委員に申上げますが、横尾通商産業大臣委員会に招致いたしましたが、今日は公用のためにこちらへは出られないという回答がありました。  尚、通商産業省、それから国家地方警察本部地方財政委員会当局に対しまして御質問を頂きます。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 先般来いろいろな紛争事件が起きまして、その結果新聞紙上等においても政府態度とか、主催側等いろいろな意見が出て、輿論調査なんかによりましても、可なり廃止すべしという意見が強いのであるけれども、その法案に対しましては、この委員会でもこういうような賭博的な要素を含んでおる競輪が最善の策であるというのでなく、地方財政の窮乏に鑑みてその幾分でも財政に寄與させるというふうな意味からこれを通した訳なんでありまするが、最近特に政府意見というものを新聞で見てみますと、国会において通した法案に対して総理大臣がこれは廃止すべしというような意見だとか、それに対して又通産大臣は箱根詣りした結果、そうでなく存続するのだ、こういうようにまちまちな政府意見が出ておりました。私は第一に政府当局は一体どういうふうなお考えを特つておるのか、存続するのか、廃止するのか、そういうふうな態度、先ず政府態度から我々が新聞紙上から見てみますと非常にまちまちで、通産大臣は箱根詣りの結果総理の意見も変つてこれを存続するのだ。文部大臣談としては、かかる性格のもので地方財政に寄與せしめるということは好ましくない、こういうものは即時止めて欲しい。文部大臣談という意見も出ております。政府は一体どういうふうな所見を持つておられるかはつきりしない。その点につきまして実は通産大臣から直接話を聞きたかつたのですが、今の委員長のお話で通産大臣が出て来ない。殊にそれに関連した事柄で読売新聞の十九日の記事によると、中止を、きかないどころか、伊東の競輪場では通産大臣の祝辞まで通産省の役人が行つて代読したというようなことまで出ておるのです。そういうふうな点を考えますと、一体どういうふうなことを政府は覆えておるのか。それがますます分からないので、今日ここへ来ておるのは通産省の一車輌部長でどうも返事したくないと思いますが、車輌部長以外に来ておりませんので、それですから車輌部長からそういうような点について意見を聞きたいと思います。
  10. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 政府全体のことにつきましては、私から申上げることはできませんですが、通産省の方針といたしましては、従来からいろいろ露呈いたしておりまする欠陷を是正するために相当な今後の運営上の改善を図りまして、それによつて存続して行きたいという方針でございます。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 車輌部長でどうも気の毒だと思いますけれども、新聞に出ておるので、そういうことがあつたのかなかつたのかぐらいは通産省の役人だから分ると思うのですが、それはどうなのですか。
  12. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 伊東は十七日に初めて工事が完成した後の第一回の開催をすることになつておりまして、それで当分競輪を中止するという申合せ指導者協議会でやりましたのが十五日の夜であります。我々もそういう当分中止をするという方針については賛成でございまするが、十五日から直ぐ間もなく翌日から直ちに停止ということにするのは、そのそれぞれの土地の事情によりまして非常に酷に失するところがあると考えまして、伊東の場合は第一回の開所式には通産省としてもすべてどこでも開所式には大臣が祝辞を出しておるのでありますが、その手続を取るのがいいだろうということで参つたのでございまするが、併し全般的に当分中止をするという方針に反するつもりなのでございまして、第一節三日をやりまして、それから後は中止することを希望するという旨を伊東に対しまして明らかにしたのでございます。丁度全国一斉にやめるということがなかなか画一的に行うことは困難でございまして、若干のそういう紊れがあつたのは誠に申訳のないことでございまするが、大体今日では殆んど全国か中止しておるという態勢に相成つております。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 通産省意見をもう少し聞きたいのですけれども、一車輌部長ではどうもお答えにくかろうと思いますので、大臣があれならば次官には少くとも出て貰わなければどうにもならんと思います。
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 昨日は政務次官は参つていたのでございますが……。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねてそれぞれ至急政務次官でも事務次官でも招致されて……、その間に丁度小野政務吹管がおりますから、奧野さんはおられませんが、自治庁としては、財政委員会は大臣がおらんから閣議に出ておりませんからその示達はよく分らんと思いますが、自治庁の方は岡野国務大臣がおるから大体の意向というものは分つていらつしやると思いますので、便宜的に小野政務次官にそれらの意見を一つ知つている限りにおいて話して頂きたい。
  16. 小野哲

    説明員小野哲君) 競輪の問題につきまして只今西郷さんからお話がありましたように、存廃論が起つているということはお話の通りであります。新聞紙上で甲の大臣がこう言つた、乙の大臣がこう言つたというふうに書かれておりますが、閣議においてこれを取上げて決定をするというふうな態度に出たかどうかということにつきましては、私詳細を知り得ないのでありますが、競輪の事業運営の現状に鑑みまして、或いは振興会が自粛的な意味合におきまして、政府のこれらの論議に鑑みて協力をするという態度に出ておるようにも考えられるわけであります。地方自治庁といたしましては、岡野国務大臣が閣議に出席しておりましこれらの問題についても種々相談に與つてつたものと考えるのでありますが、地方財政現状に鑑みましてこれを直ちに一斉に廃止するということがその影響において相当大きいものがあるのではないかということは大臣ともよりより話合つたような次第であります。併しながら一面教育の関係或いは警察警備の点等も総合的に判断いたしまして、現状のままで、現状のような運営の方法によつてこれを存続せしめるということはその影響においても寒心すべき問題があると考えられますので、地方自治庁といたしましては地方財政委員会の意向を十分に尊重いたしまして、先程申しましたような指定の処分は極めて慎重な態度でこれを停止する方法をとることによつて今後の推移に対処して参りたい、かような結論になつておるような次第で、先程申し述べました地方財政委員会の意向を尊重いたしまして、地方自治庁といたしましても全般的の政府の政策と睨み合わせをいたしまして、将来も善処して参りたい、かように大臣とも相談をいたしておるような次第であります。
  17. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 小野政務次官の今の意見は分りますが、通産大臣に本当は出席いたして貫いたいのですが、通産大臣は出ませんから、自治庁の岡野国務大臣がおられると思うのですが、どつちか代りに出て貰えるようにして貰えませんか。それを委員長と小野さん協議して貰いたいが、私は重ねて刑事部長に伺いますが先程来通産省はじめこれの対策として堅牢な建物を作るとか、いろいろ御意見がありましたが、先程刑事部長の御意見もありましたが、今のそういうような対策、堅牢な建物を作るとかその他いろいろあつたと思いますが、そういうようなことをしたならばどうであるかというような点についてお伺いしたいのですが、現在いろいろなことで紛争事件が起るのですが、堅牢な建物を作るとか、いろいろありましたが、そういうようなことで将来開催後において過去のような紛争事件が起きないですか、それともそんなことは問題にならんというふうにお考えになるか、その点をもう一度伺つて置きたいと思います。
  18. 武藤文雄

    説明員武藤文雄君) 私が申上げておりますのは、專ら警察の角度から見た競輪に対する我々の見方を申上げておるわけであります。施設が不完全なために事故が起り易いという面も確かにあるので、そのために紛議が大きくなつておるということはございます。その点は施設をよくすれば或いは非常によくなるのじやないか、併し問題は先程申上げたようにまだ外にも沢山あるように考えております。
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつとお諮りいたします。この競輪の問題は実は主管は通商産業委員会であります。通商産業委員会におきましては、二十六日にこの競輪問題につきまして委員会開催するということであります。それで今回この委員会で取上げましたのは、競輪に関する地方財政の問題、又治安に関する問題、それを生として取上げたのでありまして、西郷委員からいろいろ通商産業大臣等に御質問をなさりたいというので今日呼びましたが、都合で参りません。政務次官も今招致しましたが、外出いたしております。事務次官は出張をいたしておるそうであります。それで二十六日の通産委員会に連合委員会を申込みましてそこにおいて質疑、御検討願つたら如何かと思いますが、如何でございましようか。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 それも勿論結構であります。連合も結構ですが、今日競輪関係としてはまだ全然発言をしていない委員もあり、主催者側も来ておるのですか、そういうふうなものが来ておるならこの際前以てそういう方の意見を聞きたいと思います。
  21. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今政務次官を探しあてまして、来るそうです。
  22. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 実はちよつとこれは新聞で見たことでございますが、豊橋の競輪問題に対しまして、これは東京ダービーもそれが中止になつておつたところが、いろいろ市会議員も来て、相当金をかけてやつた、それだから何とかしようということになりまして、通産大臣のところへ行つて陳情したらやつてもいいということになつた、ところがそこの通産局の方がそんな馬鹿なことはないということが出ておるのですが、これは許可になつたのでありますか、どうでありますか。
  23. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 豊橋の点につきましては、各地にそういう希望があつたのでございまして、それに対してはまあ大臣の御意向としては、命令を以て今通産省が中止を行わせる権限はないというので、相当柔らかい表現でお答えをせられておつたのだろうと思います。併し十九日に全施行者に対して電報で直ちに自粛することを希望するという向きの電報を発せられましたので、これで通産大臣の御意向は大体徹底したことと思つております。尚豊橋は昨日中止をするということを申出て来ております。
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 自転車振興会の方に今西郷委員から御質問がありますから……。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 主催者側の今問題が起きて、存続、解消というような問題が起きておるのですが、それに対する意見を、振興会ですから廃止の方に賛成は勿論しないだろうが、まあ何か意見があると思う。政府に対する考え方かあると思うので、それを聞きたいと思います。
  26. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 主催者は府県又は都市であります。自転車振興会の方で委託を受けて確かこの自転車競技法によりまして、その業務を委託を受けてやるのでありますが、自転車振興会のどなたですか、鈴木総務部長から今後自転車振興会連合会としてどういうふうに考えているのか。それを一応説明を求めます。社団法人自転車振興会連合会常務理事兼財務部長鈴木茂之君。
  27. 鈴木茂之

    ○参考人(鈴木茂之君) 自転車振興会連合会といたしましては、大体各府県の施行者から各府県の振興会が委任を受けまて、競技の実施面を担任しておるのであります。これにつきまして急激なる発展に件う現在の競輪に対しまして、いろいろ自己批判を下した結果、施行者協議会と振興会連合会との協議におきまして、通産省と三者協議いたしまして、十五日に一時中止をいたしまして、通産省の指示に従い施設の改善を十分行う。この間選手の訓練所がこの十五日に竣工いたしましたので、この二十九日から選手を訓練所に一応入れまして、全部選手の訓練をいたしまして、そうして又開催執務員の再訓練、その他いろいろ競技面における改善を整えまして、そうして来るべき時期を待つて再出発いたしたい。この間におきまして、従来ともすれば選手のいろいろな非難がありましたのを、この日本サイクリスト・センターという名前を付けました訓練所によつて選手を全部ここに一応百二十人ずつ区切つて入れまして、約十日間の訓練をいたしまして、品性の向上とプロ選手としての面目を保持できるような素養を持たしたいということで、これを開始することに相成つておるわけであります。以上連合会といたしまして今後の処置について簡單に申述べます。
  28. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今の方にお伺いしたいのですが、この二十三年度以降本年の何月になりますか、今のところ入場券車券の総売上高、それの国、地方団体、それから振興会の分け前、これを一応御説明願いたいと思います。
  29. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 私から……、第一の車券売上高の実績につきましては、お手許にお配りいたしました資料に書いてある通りでございますが、この売上げがこちらの概況の方の二頁、三項の表でございますが、念のために申上げますると、二十三年度は二億四千万ばかりですが、二十四年度には百三十五億円、二十五年八月までには百七十三億円ということになつております。只今の御質問はこの売上げがいろいろどういうところへ入つて行くのであるかという点だと思いますが……。
  30. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうです。
  31. 森誓夫

    説明員森誓夫君) この車券の売上げの中の七五%は観客、的中したものに拂い戻すことになります。従つて残りますのは二五%でありますが、この中で先ず三、二五%の三%でありませんで、数字で申しますと二十五の中の三でございますね、二十五の中の三が実施委託料として振興会の方へ施行者から交付されるわけであります。で残りが二十二になりますが、二十二の中で大体七乃至八ぐらいの数字が施行者の経費ということになります。そうして十五ぐらいが残るわけでありますが、そのうち三分の一、即ち五近くのものが国庫へ納付されることになるのであります。これは純益の三分の一を国庫に納付するということになつております。従つて施行者純益としては大体十ということになります。これは非常に大雑把な数字を申上げましたのですが、正確な最近の一年ぐらいの平均では、それが八・六ぐらいの数字になつております。従いまして施行者純益車券売上額の大体一割見当で、これは所によりまして、非常に車券の売上の多い所と小い所によりまして違いますが、極めて平均的な数字として申上げた次第であります。尚例えば一回、つまり六日間開催いたしまして三千万円ぐらいしか売上がないという所はむしろ赤字を出すのでありましてて、大体我々としては六日間で五千万円ぐらいの売上がないと、施行者としてはそういう程の利益がないということを考えております。
  32. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のお話の中の三というのは……。
  33. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 施行者から自転車振興会に交付する金であります。
  34. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その振興会の貰つた三ですね。それを振興会がどういうことに使うのですか。その点が小笠原君の御質問であると思います。
  35. 鈴木茂之

    ○参考人(鈴木茂之君) 申上げます。競技実施を委任されまして、施行者から交付されました百分の三の中で売上によつて通産省の指示によつて、宣伝費、それから穴場の経費一切を賄つておる振興会もありますし、先程申上げましたように、売上が三千万円以下の振興会におきましては殆んど赤字でありますので、そういうようん点は施行者協議の上に開催経費を分担しておるのであります。現在七千万以上の売上のある所は殆んど宣伝費と穴場費用、全部開催費用を振興会側で持つておると、こういうことであります。
  36. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 ちよつり伺います。そういたしますと、この七%乃至八%と只今申されました経費はどういうところに使うのですか、大体あなたの方の……。その他は全部施行者の市、県が皆同じようにやつておるものであり ますが、そうすると三%は皆あなたの方へ入るのではありませんか。
  37. 鈴木茂之

    ○参考人(鈴木茂之君) 全額でなく、開催選手の宿泊料、旅費、参加賞、  こういうものは振興会で支拂うようになつております。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 選手ですか。
  39. 鈴木茂之

    ○参考人(鈴木茂之君) はあ。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 穴場の費用というのは何ですか。
  41. 鈴木茂之

    ○参考人(鈴木茂之君) 申上げますが、これは車券、勝者投票券の売場の  一切の使用人の費用、給料その他です。
  42. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 使用人の……。
  43. 鈴木茂之

    説明員(鈴木茂之君) はあ。
  44. 相馬助治

    ○相馬助治君 通産省の次官も来ておられるのでお尋ねしたいのですが、一時中止と言つておりますが、これが法律が廃止になつて、競輪というものは一切やらせないということになつた場合に問題が幾つか残つて来る中で、私は宇都宮ですが、宇都宮なんかでは他の競技場に直ちに直るような考え方を十分に盛り入れてあのちやちな競輪場ですが造つておりますが、そういう所でない所もあると思いますね。そういう所でぽんと廃めさせられると、地方が財政の面から破綻を来たす場合がありますね。そういう仮定では答えられないかも知れませんが、そういう場合に通産省では地方財政に対して弁償的な措置をやらなくてはなりませんか。又やる意思があるのですか。
  45. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 先程政府側に質問したのに対して政務次官が見えたからそれに答えて貰いたいと思います。一般的な政府態度です。
  46. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先程政務次官は御不在中に西郷委員から御質問がありまして、通産省、つまり競輪の主管省としてこれだけの大きな事件なつておる競輪を将来どうするつもりなのか、又新聞紙上総理大臣は廃止せよと言い、又文部大臣は是非廃止しなければいかんと言い、増田建設大臣もそう言つた。それに通産省の大臣の方が懇請をして存続したというような事情があるようだが、そういうことについてどうなつておるか、政府の方から聞きたい、将来の方針はどうだという御質問があつた、それに対してお答えを願いたい。併せて相馬委員からの御質問にもお答えを願いたい。
  47. 相馬助治

    ○相馬助治君 西郷委員質問に対する答弁を先にして下さい。それが基本ですから……。
  48. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 大変遅刻いたしまして誠に申訳ありません。お詫びいたします。只今の御質問にお答えいたしたいと思いますが、通産省といたしましては、御承知のごとくこの法案は議員提出でありますが故に、国会で廃止することを決定いたしまするまでは通産省として自発的にこれをやめる意思は現在持つていないのであります。成る程最近宇都宮の騒擾に次ぎまして、兵庫県の鳴尾に騒擾がありました。これがために非常に輿論が沸騰いたしておりまするけれども、競馬或いはその他のものと違いまして、競輪は昨年の春から大体始まつたのでありまするが、而も短期間に凡そこれ程急激に発展したものはないと思われるくらい急速に発展をいたしたのであります。従つて観覧層に対する一つの訓練というものがまだ徹底していない憾みがあると思います。従つて今後この価に十二分な注意を拂いまして、観客層の認識と理解を求める面に力をいたすと同時に、又競輪場設備を完全にいたしまして、仮に不心得な観衆ができましても、そういう目的を達し得られないような設備をすることがいいのじやないか。更に又かように考えますることは、過去一年の間の経過から考えましても、自転車振興そのものに対しまして相当顕著な寄與をいたしております。又地方財政に対しましてもこれ又相当寄與をいたしておると我々は考えておるのであります。更に又現在の状況から判断いたしますると、将来はもつと大きな寄與ができるのじやないかというような考え方も持つております。一面においてたびたび騒擾を起しましたけれども、併しながらこれは先程申しましたごとく、始めてから期間が短い関係上、観覧層の認識が薄いことと、もう一つは回数が非常に多いのであります。これは競馬その他に比較いたしまして殆んど七八倍から十倍の回数をやつておるわけであります。従つてこの回数に比較いたしますると事故が必ずしも多いとは私は考えていないのであります。かような関係で、それだからと言つてこのまま放任するわけには参りませんけれども、先程申しましたような対策を講じたい。もう一つは成る程そういう惡の面もありまするが、同時にこれが急激に発達いたしました関係上、従来各都会の辻々に見かけましたいわゆる伝助賭博ですか、ああいうような賭博行為が殆んど絶滅いたしまして、そういう部類は相当競輪そのものが効果を挙げていると実は考えているのであります。従つて今度の休業も、これは業者が自粛的に止めるということにいたしておるのでありまして、政府は法令上これに対して中止命令をいたすような権限は持つていないのであります。ただ余り輿論が沸騰しておりまするので、この輿論に応えるべく自粛するということでありますので、政府はそれに賛意を表して、尚その方法にできるだけの援助を與えておるという形を現在取つておるわけであります。更に若しいよ若しいよ国会でこの法案が廃止になつた場合にその設備を買收するかどうか、これは一にかかつて国会が御判断なさつて決定すべき問題だと思うのでありまして、私の方で今これに対してはそういうことはならんだろうというような考え方から検討いたしていないのであります。
  49. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今首藤政務次官から意見を述べられたのですが、御承知のごとく競輪が寄與しておる面も確かにあるんですが、今の政務次官の説明で、第一に議員提出であるから、国会においてこの法律を廃止しない限りはこれを止める意思はないんだというお話で、心構えとしては誠に愼重であつていいと思いますが、実際にいろいろの立場から意見も聞き、国警なりの意見も、又公安委員としての意見も伺つたのですが、御承知のごとく非常に紛争が段々増大して来まして、一方には今日共産党に対する追放問題等もいろいろあつて、そういうようなことを考えて行きますと、今の次官のお話に町の中の賭博が消えて、何だか競輪場に博徒が集中したようなお話でしたが、そういうことになつて来ると町の方はなくなつたということはいいかも知れませんが、そういう與太者的な心得の者が競輪競技をいいこととしてそういう無頼の徒が集まつて、善意な観客が非常に迷惑する、従つて計画的な暴動が起きて非常に治安上面白くないという結果が出たのですが、そういうふうな面もありますので、さつき車輌部長のいろいろの対策も聞きましたが、そういうことではやはり今後もますます紛争が大きくなつて行くんじやないかという懸念があるのですが、そういうふうなことについてもう少し確たる自信をお伺いしたいのですが、その点は競輪場競輪の問題は輿論の調査でも次第に廃止論も強くなつて来ましたが、存続論もいろいろな意味においてありますが、これは余程愼重にこういうふうな国際情勢等も勘案して、このことだけはいいけれども、それによつて或いは暴動的なことが起るようなことがあつては非常に面白くないと思うので、そういう点をもう少し成る程と肯けるような対策通産省にあつて然るべきだと思いますが、そういう点を更に政務次官から御意見をお伺いしたいと思います。
  50. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 部長からは設備の改善その他の御報告があつたと存じておるのであります。尚私らの現在考えておりまするのは、それ以上に回数を或る程度この際制限することもいいんじやないか、或いは又車券のいわゆる種類がいろいろありまするが、特に観衆の最も大きな魅力とでも申しますか、最も関心を持つておりまする連勝式というようなものもこの際一応廃止するような措置を講ずることもいいんじやないかというような実は検討もいたしておるのであります。大体今日までの経過から騒擾の原因、或いはその過程を顧みますると、穴場の設備を最も頑丈にするということが一番有効な措置じやないかというふうに今までの経験から私共は考えておるのでありますが、この点に万全の措置を講じまするならば、大体今までのような騒擾は免がれ得るのではないかというような気持を現在持つております。
  51. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 先程からの御説明をお聞きすると、競輪を行う、而も現在のようにいろいろな不祥事が勃発しながらも行うという目的といいますか、趣意がどうもはつきりしない。競輪健全娯楽として発展させたいという話もあれば、地方財政に寄與しているから止められないという話もある。又このことは自転車産業振興に厖大な寄與をしたものである、こういうことを言つておるのですが、この競輪の根本の趣旨は地方財政を確立するという方にウエイトがあるのか、自転車産業振興ということに名を借りて国民の健全娯楽というものを與えようというのに重点があるのか、どうもはつきりしない。政府側としてこれは並行して考えられる問題ではありましようけれども、現在不祥事が起りながらも継続したいというこの意図としては、この趣旨のどつちかに相当のウエイトをかけてお考えにならなければ趣旨が徹底しないのじやないかというふうに思うのです。この点について政府側の御意見もお伺いしたい。
  52. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) お説のごとく地方財政の寄與、それから自転車産業振興、併せて国民の健全娯楽という三つの目的になつておりまするけれども、そのウエイトは地方財政の寄與が主でありまして、その次に自転車産業振興ということになつておるのであります。何となれば、御承知通り自転車産業振興に使いまする費用は国庫納金の中に限られておるのであります。その国庫納金は総売上高の五分であります。これが国庫納金でありまして、この中から自転車産業振興費としてその費用に使うということになつております。地方の財政寄與の面は大体二五%の中から国庫納金の五分、並びに振興会の三分、この八分を引きました一割七分が地方財政收入になるわけであります。尤もこの中から宣伝費或いはその他の費用を差引きまするから、実質中には、一割、或いはいいところで一割二、三分、売上の少い所は或いは五分か六分くらいになつておるかも知れませんけれども、いずれにいたしましてもこの振興会と国庫納金の八分を引いた残りは全部地方財政に入るという建前になつておりますから、ウエイトは地方財政の寄與が一瀞大きいと考えております。
  53. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、自転車振興会の方の費用、それから施行上の経費等においては失業対策費的に相当数の人の生活を保障できる向もありますけれども、大体二十五年度で四十一億という純益予想せらるるのでありますが、四十一億程度の金が通産省の報告のように地方財政に貢献する内容としてそれが使われる向を考えると、庶民住宅建設、或いは小中学校の建設、公共事業費、こういう向なんでして、これは国或いは地方のそれぞれが予算上本質的には財源を求めて賄うべき筋合の金であろうかと思うのです。それからこの競輪を以て四十一億の金を上げるがために先程から国警の方からの話にあるような治安上のいろいろな不祥事をあれし、而も青少年に  対する影響が非常に重大であるというようなことか世論に強く謳われておる今日、地方自治庁なり地方財政委員な  りが、この四十一億程度の金を国の公共事業費或いは地方財政を賄うため平衡交付金なり或いは起債等のそれによつて、賄い得ないという話はないのじやないかということを考えるのでありまして、一つ地方自治庁なり、財政委  員会においてこういう競輪を廃止して、而も四十億程度の財源を見出すことについて考究されたことがあるのか。又そういう場合においてもこうした競輪を行わないでもいろいろと財政の緊縮、或いは脱税等の防止等によつてこのくらいの金は上げて賄なえるというような御研究等をなさつておられるのか。もう少し積極的に地方財政をカバーして下さる方の政府側なり、財政委員会の意向というものをお伺いしたいと思うんです。
  54. 小野哲

    説明員小野哲君) 私から地方財政関係についてお答えいたしたいと思います。先程首藤政務次官から御説明がありましたように、競輪施行によつて地方財政の上に相当寄與しておつたということは資料によつて説明がある通りであろうと私も考えております。ただ競輪事業をやつて、その收益によつて地方財政を賄わなければならないかどうかということについては私は意見を持つておるわけであります。尚又競輪事業等のごときは国全体の経済事情、言換えればインフレ等の関係におきまして、相当浮動購売力があるというふうな場合においてこれを吸收する一つの手段として考え得ることは私も肯けることと思うのであります。ただ地方財政をあずかつておるものといたしましては、或いは富くじであるとか、或いは競輪その他の国民の射倖心に依存して地方財政の確立を図るということは決して理想とは考えておりません。ただ従来の地方財政状況が、御承知のような経過を辿つて参りまして、極めて窮迫した状態に置かれておりますがために、又国会におきましても、それらの事情を十分に斟酌をされまして地方公共団体競輪事業等のごときものを主催することによつて施行することによつて少しでも地方財政に寄與さしたいという気持から法律を制定されたものと考えるのでありまするか、地方財政の基本的な考え方といたしましては、その確立を目途といたしまして、一般財源によつて財政運営を行なつて行くということが最も望ましいことであろうと思うのであります。併しながら競輪事業そのものの存廃論につきましては、現にすでに大体々一億円程度の收入を上げまして、最も地方住民の要望しておりますような或いは学校の建築であるとか、或いは庶民住宅の建築等の財源に充当されておるという現状は一概には無視はできないであろうと思うのであります。併し例えば公共事業費の額を殖やすという場合における地方負担分をどうするか、或いはその他の新らしい財政需要が起ることによりまして平衡交付金の増額について如何なる影響があるかということ、或いは競輪の事業が仮りに廃止されるという場合におきましての措置をどうするかということについては、勿論財政を担当しておる者としては大きな関心も持ち、又措置も考えて行かなければならんかと思うのでございますが、お説のような地方財政の運営、地方自治の自主的な運営を確立して行くという目的に副うための財源を確保するためには、能う限り一般財源によつてこれを充当するという基本的な考え方につきましては、私共もお説のような考えを持つておる次第であります。
  55. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今のお話を聞いて、相当地方財政の方の担当側の意見というものが了解できるのでありますが、これは治安上の問題からしか我々地方行政委員会が審査できないような制約されている部面もありますので、ちよつと話が外れるかも知れませんけれども、日本の国並びに地方の全体の予算、財政、それから見てこの競輪の收益というものは殆んど零細なものであると申上げていいのじやないかと思うのであります。で、金銭上のこうした問題で尚收益を上げるためには当該自治団体の自治体警察か或いは国警が、設備その他を競輪において充実しても尚且つ予測せられざる騒擾犯罪の防止のためには、今後相当の費用を必要とするということはこれは絶対申上げていいことじやないかと思うのです。射倖心に訴えて而も收益を上げる。それに警察力を以てこれを守つてまでも收益を上げなくてはならんということは、我々一般国民として非常に考えさせられる点があるのであります。と同時に又教育上の問題から言いますと、文部大臣の新聞における談話の中にもある通り、廃止する方に御賛成の意図のようでありまするが、一般の国民として、父兄としてそうしたことによつて学校は建てられるということであつても、兒童、生徒の教化、教育上こうしたものは廃止して、別途財源を他に求めて欲しいというのが偽りない真情じやないかと思うのであります。こういう国民の現在の何といいますか、精神的な方面或いは犯罪防止という方面と、地方の財政上の中からこれだけの收益を上げなくてはならんとして行う事業との間において、政府側としてはどういうこの間において何といいますか、どういうふうな調整をとつて政治、施策をこの方面において考えて行くのがいいとお考えになつておられるのか、この点どうも通産とか財政とか、或いは国警とかいうふうに分離しては御答弁できないでありましようけれども、総括して各省の意見を持ち寄つて最後的に判断を下す通産の方のお方からでもお伺いしたいと思います。廻りくどくお話しましたが、財源を求めたいというこの事業と、国民一般の社会教育或いは犯罪防止、治安確保という観点に立つた政策というものと勘案して、そしてこの競輪というものの将来について通産当局はどうお考えになつておられるかということをもう少し掘り下げてお伺いしたいと思うのであります。
  56. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) これは私は要するに程度の問題じやないかと、こういうふうに一応考えるものでありますが、一面において地方財政に対して相当寄與しておる。同時に又これがために自転車産業振興にも相当役立つておるが、一面におけるところの騒擾と睨み合わした場合どういうことになるかという振合いに最も重点をおいて考うべきだと我々は考えておるのであります。成る程治安を害するようなことが頻々として起る、又且つ今後におきましても、これが防止できないんだというような結論に達するような情勢にありますならば、この際中止ということも重点を置いて考うるべきでないかと考えまするが、今までの経過並びに今日の情勢から判断をいたしますると、先程来申上げましたごとく、設備の改善或いは観客層に対する理解を深くして貰うというようなもろもろの対策を請じまするならば、恐らく今日まで参りましたような騒擾は大体根絶し得るのではないかというような考え方を持つておるのであります。若しかような措置によりまして根絶し得るということに相成りまするならば、一方におけるところの財政面の寄與、或いは産業面の寄與ということが高く評価されてもいいのじやないかというような気持を持つておりまして、従つて今我我の気持は率直に申上げて、先ほど申上げておりまするように、設備の改善その他を急速にやつて見て、尚且つ騒擾が絶えないのだということに相成りまするならば、そのときに廃止ということを真剣に考慮すべきじやないかというふうに考えておるわけであります。
  57. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それでは次の質問をするために、国警側に先程の説明について尚重ねて御質問したいのでありまするが、大阪においてこの競輪原因として間接、直接に場内外において四百数十件の犯罪が起つておる。このことは時期的にいつからいつまでであつて、そしてそれは大阪競輪のどことどこの競輪を取巻く直接、間接の犯罪であつたか、その期間における競輪開催回数等もお分りでしたらお伺いしたい。で、その御説明はいろいろ伺えると思うのですが、只今のこの通産省の政務次官のお考えに私腑に落ちない点がある。現実に騒擾というものが起らないならば、競輪というのは健全であるというお考えは私は即断ではないかというふうに思うのであります。競輪は本質的には如何にその名目を変えようとも、人間の射倖心を煽り、そのことのために競輪場においてではなくて、場内外を問わず確かに直接、間接の犯罪というものが絶えないということはこれは事実であろうと思う。而も犯罪とはならなくとも、競輪場に入場し、或いは競輪のことについて関心を持つ父兄等から受ける兒童、青少年に対する射倖心増長等の影響は重大であろうと思うのであります。こういう点は單に騒擾がなくなるならば、それで財政或いは自転車産業振興ということでプラスになるというだけには私は言い切れないものがあろうと思う。そういう観点に立つて騒擾のみでなくして、こうした各種犯罪の予防的な 地に立ち、或いは将来の青少年の教化育成の問題からして競輪をどう考えるかという点についてもう一度御答弁がお願いしたいのであります。以上二点……。
  58. 武藤文雄

    説明員武藤文雄君) 先程申上げました数字は大阪市警視庁において知り得たものの報告でありまして、期間は本年の一月から六月二十日までであります。で、競輪場内でいろいろ警察官が出て取締りをしておる、或いはその他いろいろ犯罪の発生を調べて行く際に、原因がこれに帰しておつたということか判明したということで、警察で知り得たものの数字であります。
  59. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 ちよつともう一度お伺いいたしますが、大阪市の警視庁におけるこの犯罪件数は、これらと同等に考えられる窃盗、詐欺等の犯罪件数に入つておる種別と同様に、競輪原因としない犯罪件数をお伺いしたい。即ち比例的に何%くらい、一般の犯罪件数からこれが占めておるかということをお伺いしたい。
  60. 武藤文雄

    説明員武藤文雄君) 只今手持がございませんので、若し御要望でございましたら尚調べて……。
  61. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 相当数に上るというくらいのことは考えられるのですか。
  62. 武藤文雄

    説明員武藤文雄君) それは全体の犯罪から調べたら、競輪に基く犯罪というパーセンテージはどのくらいになりますか、今私見当つきません。ここでは一応調べた中で競輪原因として起つたということか判明したものというだけであります。
  63. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 今の御質問は本質的な、いわゆる射倖心を利用することによつて收入を上げるような行為がいいか惡いかという御質問の趣旨だと了解するのであります。これは風教上或いは文教方面、そういうふうな潔癖性から考えましたならば、確かに私は批判の対象になり得ると存ずるのであります。従つてこういうことをしなくても国家の收入が十分であり、又地方公共団体のもろもろの行政が満足に行けるような收入が得られますならば、好んでこういう措置を講ずる必要はないと思います。ただこれが行われますということは、或いは政府の勧業債券といい、或いは宝くじといい、或いは又競馬といい、結局国家の財政面がこういうことでもしなければいろいろな施設はできない、これらの盡くを国民の負担に帰することは容易でない、従つて先程小野政務次官から御答弁されておりましたが、いわゆる浮動的な購買力、こういうものをこういう方法によつて吸收することは一面においてインフレを抑制する、一面において財政に寄與するということからこういう法案ができたのだと我々は了解しておるのであります。ただこれは見方であります。無論御質問通り、御意見通り風教上或いは文教面から考えまするならば、ないことに越したことはないと我々も考えておりますけれども、ただ現実の国家財政がそこまでは許さんのじやないか、従つてそれかためにこういう面にこういう法案ができた、こういうふうに考えておるのであります。
  64. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それは私はおかしいと思いますし、私の話も誤解を受けている点があると思うのであります。射倖心を煽るものは現実の問題に目をふさいで一切いけないということを私は申上げようとしているのじやないのであります。第一の点から申しますと、真に地方財政確立という部面からこの年間四十数億の收入というものが必要であるという断定の下に、この競輪というものが考えられたかどうかというところに問題があるのであります。而もそのことは財政平衡交付金なり或いは起債なり或いは公共事業費の地方への補助金等々と絡み合せて、年間これだけの財源を求めるごとによつて地方財政の需要を満たし得るという計画的な立場に立つて、この競輪が経営されているものとは私は必ずしも考えないのであります。而もそれは若しも只今の政務次官が話される通り、このことによつて財政需要を賄うのであるという観点に立つならば、如何なる地域においても、各地域の団体の財政が公平に財政需要が満たされるようにこの競輪場その他の指定、配置等も考えらるべきものであろうと思うのであります。然るに特殊なる地域において、或いは特殊なる地域であるが故に特殊なる団体が国家財政の応援を得ることなしに、地方の税源以外にこうした收入を持ち得るという、單に偶然的なる好影響を受けるというだけの競輪法であろうと思うのであります。そうした現実の計画的でもない、單に幾許でも收入が上れば上るだけ国なり地方なりの財政がカバーできるのだという、そういう考えで行うこの競輪というものと、この青少年その他一般国民  に與える精神的な影響なり、これがなければ犯罪も起らないだけの犯罪が余計に起るというこの問題と絡み合せた場合に、現実の問題として結論付けられるものはどういうものであるか、政府側の考えはどういうものであるかということをお伺いしているので、私は原則論をお伺いしているのじやないのであります。
  65. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 地方によつてその收入の程度がまちまちである、いわゆる特殊の都市は特殊の收入がある、全くお説の通りでありますが、我々といたしましては、この都市の指定をいたしまする場合には、必ず前提條件といたしまして、地方財政  委員会に諮りまして、地方財政委員会の方でその都市の財政状態その他を検討されて、そうして是非を決定して頂くということに決めているので  ありますが、いずれにいたしましても、何と言つてもこれはその都市の  人口の程度そのものが直ちに売上高にそのまま反映いたしまするので、如何に地方財政委員会で検討いたしましても、このことだけは如何ともすることができないと存ずるのであります。伴いわゆる平均的な收入を上げるということは不可能だと存じます。そこで本質的なものは射倖心を利用するという問題でありまするが、結論的にはこれも程度の問題である、要するに宝くじ或いは勧業債券というようなものはやつても別に半面におけるところの弊害というものは全くない、又あつても極く微弱である、この問題は非常に深刻であるということに問題があるかと存ずるのであります。これは先程来我々も申上げております通り関心を持つているのでありまして、できる限りかような弊害を除去する方法を急速に確立いたしたいというふうに考えておるのであります。尚又同時にこの地方財政委員会の方で、こういうことをしなくてもいいような財政の方法をしたらばいいという御説であるが、これも御尤もでありますけれども、併しながら少くとも現在の建前から行けば仮にそういう財政の問題がありましても、自治体としてよりよい都市を拵えよう、或いはより多く住民の負担を軽減しようというような考え方からこれをやつたからと言うて、それがためにかような催しが盡く中止されるというようなことも一応考えられんのじやないかというふうにも考えておるのであります。
  66. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 大体通産省側の御意見は分りましたが、財政面について地方財政委員会或いは自治庁の方にお伺いしますが、私素人でよく分らないのですが、競輪競馬等の收入は当初予算において收入見込を立てて予算面に載せるものであるかどうか、各地方の団体が載せるものであるかどうか、それから聞くところによると、地域によつては赤字であるというような結果を生ずるそうでありまするが、赤字になる場合において、若しも仮にこれは予算上收入財源として盛り込んでいるのであるならば、それの帳尻の決済はどういうふうにするのであるか、財政委員会はそうしたことについてどういう指導を與えているのであるかというふうな点をお伺いしたいのであります。
  67. 小野哲

    説明員小野哲君) 只今の問題は恐らく個々の地方団体においてこれが予算的な措置をどうするか、或いは会計整理に当つて一般会計と特別会計どの区分をどうしておるか、或いはその帳尻においてはどうなつておるかというふうな問題につきましては、地方財政委員会の奧野課長から説明をいたしたいと思います。
  68. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 競輪競馬によります收入ももとより予算に計上いたして使用しておるわけでございます。その結果赤字が出ました場合には、もとより他の税收入その他一般財源によつて補填しなければならないわけであります。ただ地方財政全体の上においてどの程度の收入を見込んでおるかというふうな問題になつて参りますと、大体競輪收入を得ております地方団体というものは二百足らずではな  かつたかというふうに思つております。従つてこういう経費は先程通産省の方からお話になりましたように、学校を建設するとか、或いは又道路の修築に当てるとかいうふうに、臨時的な経費に当てられて参つておりますので、地方財政一般に、おしなべて期待せられる財政需要という中には、必ずしもその財源に予定しなければならないものでもないのでなかろうかというふうな見方もいたしておるわけであります。併しがなら財政收入を見込みます場合には、例年の傾向からいたしまして推計いたして参つておりますので、そのいわゆる雑收入の中でやはり数字を予定しておることは事実であります。併しそれに当てられる歳出といたしましては、只今申しましたようにそれが教員の給與費に当てられるかどうか、或いは一般的な道路の修繕費に当てられるというようなことは予定していないわけであります。
  69. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その場合に、そういう特殊な地方は、財政收入が多くなるわけでありますが、それが平衡交付金の配付にどういう影響を及ぼすというように、基準財政收入の算定の基礎に使つているのですか、これは別途にしているのですか。
  70. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 簡單にそれに面接お答えしてもよろしいのでありますが、いろいろ先程来の論議を開いておりますと、国会で判断して貰います資料として、私は事実をお話さして頂いた方がいいのではないかと思いますので、少しくどくなりますれどもお話さして頂きたいと思います。  もとより地方財政は全体に歳入の不足に悩んで参つて来たわけであります。その意味におきまして競輪法が一昨年制定されましたときに、地方財政の確立ということもその目的の一つに掲げたことも大きな意義があつただろうと考えております。従つて地方団体財政收入を必要だといたしまする場合、どんな方便を以てしても差支えないのだというようにはならないだろうと思うのでありまして、当時それではどういう状況があつたかと言いますと、一つはインフレーシヨンの問題があつただろうと思います。先程政務次官からお話がありましたように、浮動購買力の吸收ということが一つの方便であつたろうと思います。或いは宝くじの発行が地方団体に認められたのでありますが、そういう問題がございました。もう一つは戰災地地方団体におきまして、戰災復旧に非常に多くの財源を要しておつたわけであります。学校の戰災に遭つたのを復旧いたしますとか、或いは街路の復旧でありますとか、いわいわな問題があつたわけであります。そういう状態が当時と今日とでは同じかという問題であります。今日はもとより通産省からお話がありましたように、尚必ずしもこれらの学校の復旧その他の問題がなくなつたとも私は言えないと思いますが、そういうことは比較して総合的に御判断願えればよろいしと思つております。もう一つは当時の地方財政の制度と、今日の地方財政の制度とが若干違つている点がございます。それは当時は地方団体間の財政調整の制度といたしまして、地方配付税の制度をとつておりました。今年度からは地方財政平衡交付金の制度をとつて参るようになつたわけであります。従いまして、或る団体に特殊な必要な財政需要があるとするならば、それがどこの団体においても充足されなければならないものでありまする場合には、もとより地方財政平衡交付金の算定に当りまして、財政需要の中に織り込むようにして行かなければならないと思つております。どれだけの生活費がかかるとかという生活費を算定いたしまして、所得等の差額を認めて、それだけのものを平衡交付金として交付して行かなければならないのだというふうに考えられるわけであります。従いまして、地方財政平衡交付金制度の設けられているときと設けられていないときとの考え方においても若干の違いがあつていいだろうと思います。で、平衡交付金の算定に当りましては、成るたけ干渉がましい態度を取らないでやつて行くようにしたいというふうな考え方から、財政收入といたしましては税收入だけしか採用いたしておりません。従つて競輪收入がありましても、これは收入の外にいたしております。その理由の一つは、今申し上げましたように、干渉がましい態度を取らないということであります。もう一つは大体に競輪施行しておりますような団体は戰災を受けましたというふうな、特に臨時的にいろいろしなければならないような仕事が沢山でございますので、かたがたそういう意味で競輪施行を認めております関係上、そういう用途に競輪收入が当てられて、戰災都市の復興が速やかになればそれでいいのではないかというふうな考えを持つてつたわけであります。併し競輪状況が今後も尚このような状況において続けられ、而も又他面戰災地方団体等の復旧が相当完成して来る、片付いて来るというようになつて参りました場合には、競輪開催するという特権を與えられております地方団体收入をそのまま基準財政收入の外に置くということは穏当ではないと思つております。これは将来尚このような状態が続いて参ります場合には、基準財政收入競輪事業によりますところの收入を全額でなくても或る一定の部分をこの中に算入しなければならないのじやないかというふうなことが、一つの研究題目だと考えておるわけであります。今申上げましたように、一昨年競輪法ができましたときと今との状態、更に今後いろいろの必要が財政上も必らずしも絶無とは言えないと思つております。ただお考え頂きたいのは、本年恐らく四十億内外の競輪純益というものが地方団体の中にあるのではなかろうかと私は思つております。この四十億内外と税收入と平衡交付金とを合せますと、三千億内外であります。従つてそれの一%内外でありますから必らずしも多いと言えないわけでありますけれども、併しこれが二百内外の団体の收入になるといたしますれば、それらの団体の財政の上においては非常に大きなウエイトを占めるものであるということも事実であります。これらを総合的に御判断願えればよろしいのじやないかと思つております。
  71. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この競輪について政府側その他からいろいろ御意見を伺つたのでありますが、まあ問題の中心はこの紛争が起きた、騒擾が起きた、そういう対策の問題をいろいろ伺つたのですが、どうもその点がはつきりしませんが、政府側の説明にも、この自転車競技というものは二ケ年くらいの短期間に非常に発展して来たということを言われるのですが、非常に急激に発展した理由をどういうふうにお考えになつておるかはつきりしませんが、私は競輪が急激に発達したということは、結局競輪がこういう類似の競技の中で一番大穴が出易い、そこに私はあると思うので、国警側なんかのお話の中に、欠点としてこの自転車競技が非常に人為的に左右され易い、そこが問題であつて、この自転車競技がああいうふうにたびたび八百長その他によつて大穴が出ないとするならば、決して今日の発展はないのであつて競馬その他に比べて常に毎回大穴が必らず出る、であるからそれを狙つて大勢の人が行く、従つて期間に非常に発展した、併しながら大穴が常に出るが故に紛争が起き易い、そういうことになつて来るので、いろいろな紛争対策を伺つたが、どうも政府側のピントが外れておるのであつて、これはやはり結局大穴が出るから紛争がある、大穴があるから競技発展して行く、こういうのは非常にそこに問題があると思うので、結局競技を行う者の質の問題であり、柄の問題であると思うのです。勿論その他の理由によつて紛争が起きるだろうと思うのですが、結局狙いは必らず今日の競技においてあいつを八百長さして、そうして大穴が出た。であるからもう短期間競馬等を凌駕して発展したと思うので、そういうようなころが非常にむずかしい問題ではないかと思うので、質の向上というようなことはやはり余程しつかりしてやらなければ、政府はさつき発展したと言われるけれども、こ発展した理由は  私は大穴が出るからなので、余りその原因はいいところではないと、こういうふうに思うのですが、こういう点を十分勘案されて行かれなければ、結局通産側の説明ではこれは国会で決めたものであるから国会で廃止案を出さなければやれんと言われるけれども、そういうふうなことで單に責任国会に転嫁するようなことであるならば、やはり国会が迷惑であつて、監督官庁というものは通産省であるから、通産省としては議員提出であろうと政府提出であろうと、それを施行した責任通産省にあるのだから、そういう点を的確に把握して行かなければならんではないか、そういうふうに思うのでありますが、そういう点を……訓練所を設けて訓練すると言われるが、その訓練の要点はどこにあるかというようなことははつきりしないのであつて子供ではありませんから、相当の年齢の者を訓練すると言つたつて私はむずかしいのではないか。これは結局飽くまでも競技ですから、プロとは言えどスポーツなんですから、その他の競技のようにフエア・プレイを行う。そういよううな点から考えるならば、これはスポーツの中で最も品性が下劣なのではないか。そこに問題があるのであつて、そういうようなものの教育をどうされるかということの内容が一つも明白でない。そういう点を十分に考慮されなければ、建物はたとえコンクリートで作つて大穴が出れば又紛争が起る。これはもう決りきつているのじやないか、さように考えますけれども、そのように政府において十分に考えて頂きたい、かように思うのです。
  72. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) お説のごとく、拂戻しが無制限になつております。従つてそういうことも一つの大きな魅力となつてこれが発展の一因となつたということも我々も了解できるのであります。従つてその点につきましても現在考慮を拂つておるのでありますが、これを改正いたしまするためにはどうしても法案を修正しなければならんことになりまするので、その準備も実は進めておるわけでありますが、この選手の、いわゆる人の問題でありまするから、八百長が非常にでき易い。これはまあ第三者として当然予想されることでありまするし、又競輪を始めました当初におきましては、そういう事実は多少あつたと見るのであります。併しながらその後観衆の鑑識眼が非常に高くなつて参つた、或いは又川崎事件動機といたしまして、峻嚴な取締りが行われた。或いは又輿論が非常に嚴しくなつて来た等々から、そういうようなことをすること自体が選手の自殺行為であるということが現在では全く徹底いたしておるのでありまして、ここ半年以上の間は殆んど八百長というものは絶無だとこの際申上げてもいいのじやないかというところまで行つておるのであります。けれどもやはり無制限拂戻しということは相当影響を及ぼすと考えますから、十二分に努力いたしたいと存じますが、この発展した大体の大きな原因は、資本の掛らないこと、それからこれが選手が全部青少年の、而も誰でもできるということが一番大きな原因じやないか。例えば競馬でありまするならば、少くとも馬を今日におきましては百五十万とか、或いは二百万円とかいうような  資本をかけなければなりません。而も毎月一万五千とか、或いは二万円の費用を掛けなければならない。自転車は五千円か一万円の自転車一台あればいい。而も自転車メーカーが広告のために無料で選手に送つて来るというようなことから、選手は一文も持たずして仕事ができるというようなこと等が相当影響しておりはせんか、こういう観点から最近日本だけでなく、タイ、仏印、フイリピン、マライ、そういうところからも是非ともこの日本の競輪に倣つてやりたいということで、タイのサラサス氏…これは商工大臣か何かやつておるのですが、サラサス氏が先先々月見えましたが、どうしても急速にタイでこういうことをやりたいということで、工事の施工、或いは選手の訓練等を日本から是非これをやつて貰いたいという実は依頼も来ておるのであります。更にフイリピンからもこの照会が来ておるのでありまして、まあ大体今のところではそんなところでありますが、東洋的な競技として国民性に少し合つているのじやないかというような気持も実は持つておるのであります。そういうふうで今後東洋でこの自転車競技というものが相当急速に発展するのじやないかというような状態にあることはこの際一応申上げて置きたいと思います。
  73. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 首藤次官がおられますので、これは地方行政委員会の所管とは少し問題が外れるかも知れませんが、お尋ねいたしますか、競輪の問題がこんなにやかましくなつているというのは、吉田内閣における閣僚の意見の不一致ということがあると思うのです。それは恰かも電力再編成の問題と揆を一にする程閣内の意見が一致しない。特にワンマンと言われて殆んど党議を決定される程独裁的な吉田総理か、この競輪廃止に賛成されていた。ところか通産大臣が箱根にお詣りになつて、それで一応通産大臣にこの問題の措置をゆだねる、こういうふうになつたように新聞紙上に伝えられているわけであります。そこで通産大臣は吉田さんが初志を貫徹してこれを廃止されたら自分は辞職しなくてはならなかつた、幸いそれによつて一名が助つた、こういうふうに言われているわけですが、一体問題は通産大臣とされてはもつと大きな通産行政があると思う。併しそれにも拘わらずこの競輪が若し吉田総理の当初の意向のように廃止されたら自分は辞職しなくてはならなかつたというその背景を一つお伺いしたいと思います。  それからもう一つ森車輌部長にお伺いしたいと思うのでありますが、伊東で競輪の会が催された際に大野伴睦氏が行かれて絶対廃止しないということを言明されたように新聞に出ていますか、その真相をお伺いしたいと思うわけであります。特に存続するように努力すると言われるのならまだ意図は分るのですが、絶対廃止しない、成る程吉田内閣は衆議院におかれては二百八十六名の絶対多数を持たれるが、参議院においては七十八名ですか、一人亡くなられたから七十何名で、三分の一にも足りないような状態なんです。一体これはどういうような、党議によつてそういうふうに決定されているのかどうかということを一つお伺いしたい。第一点は通産大臣が、吉田総理が初志を貫徹されたら私は辞職しなくてはならなかつた、幸いまあ大臣の首が助つたと言われたいろいろな背景、並びに大野伴睦氏がそう申されたのは、果してそれは自由党の党議によつて決定しているものであるか、或いは大野伴睦氏個人の意見か、その点をお伺いしたい。
  74. 首藤新八

    説明員(首藤新八君) 実は私も今朝毎日新聞でありましたか、お説のような記事を拝見いたしました。先刻大臣にこういう事実はあるのかということを聞きましたところ、全くのデマだ、こういうことは一言半句も言つたこともないし、又言う必要がないということをはつきり言われておりましたから、これはまあ新聞の誤報だと……。尚大野伴睦氏が伊東の競輪におきまして、絶対中止せないと、むしろ激励的な演説をしたということでありまするが、これも私の調べた範囲におきましては、大野氏が申したのではなく、宮幡君がさような意味を申したのだ、それにも拘わらず新聞が大野氏が申したということになつておりまするが、これはまあ新聞社が宮幡氏ではどうも影響が薄い、大野氏の方が。……(笑声)というようなことからこういうことを書いたのじやないかという実はこのことは困るような次第であります。
  75. 森誓夫

    説明員森誓夫君) 私は当日の開場式に出席いたしたのでありますが、その席上大野伴睦氏は終始席を立ちません。公式の演説はやつておりません。これはもうはつきりと申上げて置きます。(「ところが演説をしたと書いてある」と呼ぶ者あり。)非公式に一、二の人にどう言われたか私は知りませんが、公式な席上では演説らしい演説は、如何なる演説もいたしておりません。
  76. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは競輪の問題はこの程度で今日は打切りにいたします。尚連合委員会はどうしますか。    〔「やつて貰いましよう」と呼ぶ者あり〕
  77. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じや連合委員会を申込むことにいたします。それから西郷君から御質問が出ているのですが、東京都の主税部長の細田君は昨日参つておりましたけれども、今日は欠席いたしております。それで代理に主税部の享課長が参つております。御質問を願います。
  78. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 ちよつと資料の要求を……国警の方にお願いしたいのですが、先程お話したような競輪所設置地域における競輪を直接間接動機にした犯罪計数と一般犯罪計数との類別比較表、そういうものを御調製になつ て、いつかの機会に委員会の方に出して頂くようにお願いして頂きたいと思います。と同時に、自治庁の方で当該自治団体の方の收支の経理状況、これについても一応お分りになる点があつたならば、いつか文書で出して頂くようにお願いして置きます。
  79. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今小笠原委員から御要求のありました調査表、それを国警の方並に地方財政委員会からお出しを願いたいと思います。
  80. 武藤文雄

    説明員武藤文雄君) お話の点できるだけの資料を集めてみます。但し全国的に集めるということは或いは困難で、例示的に掲げるということになるかと思います。御了承願います。
  81. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は東京都の入場税の問題に関連して伺いますが、先般これも新聞等で拝見すると、東京都が突然、突然というより急に動物園に入場税を拂うようにしたものだから、料金を取るようにしたものですから、それを知らんで従来のごとくやつて来た多数の小学生が金の用意がないために入れなかつたというようなことで物議をかもしておつたのですが、その問題についてどういうようなことであつたのか、説明を願います。
  82. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 東京都の享主税課長に参考人として来て貰いました。発言を許します。
  83. 享仁

    ○参考人(享仁君) 只今のお話は税金問題では実はございませんで、小学生等の団体に対しまして先生が引率いたしまする場合には入場料を、即ち見物料を拂わなくてもよい、こういうことになつておつたのでございますが、いろいろ都の財政のやりくりの上から、そういう場合にも入場税を頂く、こういうような條例の改正がございました。そのことが問題になりましたので、元来動物園の入場に対しましてはいわゆる観物というものとは見ませんので、入場税は課しておりませんのでございます。
  84. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 あなたのお答えは全般的なことのお答えなんだが、そうでなく、現実の動物園に小学生か行つたが、料金を拂うことになつて用意がなかつたから入れなかつた。そういう問題は今後どういうふうにするのか、予報なしにそういうことをやつたために、折角の多数の小学生が入れなかつた、そういう事態がこの間新聞にも出て十分知つておると思うので、その具体的な問題を承りたい。
  85. 享仁

    ○参考人(享仁君) 只今の問題は、実はそういうことでございましたら、私でない方がよかつたのでございまして、実は本日は東京都税の問題につきましてお話をというようにございましたので私伺いましたのですが、動物園の入場料の問題でございましたならば、只今のような具体的な問題は私共の方に公園緑地課というのがございます。その方で主管いたしますので、その辺の具体的な問題はその方へ言うて頂きませんと、私共甚だ遺憾でございますが、存じておりませんので、お答えいたしかねるわけでございます。
  86. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 別の機会にいたしましよう。それでは午前中の分はこれまでにして休憩いたします。    午後零時四十一分休憩    —————・—————    午後一時五十一分開会
  87. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは委員会開会いたします。  昨日行政事務の再配分に関しまして、一応地方行政調査委員会議の神戸議長から概要を御説明つたのでありますが、もつと詳しく貸料を出して御説明しろという御要求がありました。それで第一次試案といいますか、シヤウプに出された試案の写しを各委員のお手許に差出されました。それにつきまして議長並びに事務局長から説明を承りたいと思います。
  88. 神戸正雄

    説明員(神戸正雄君) 昨日も一応の御説明を申上げましたか、その節書き物を持つてつておりませんので更に提出しろということで、今日は我々としまして一番最近の試案的なものを持つて参りました。これは始終変りますので、これは最後的なものではありません、飽くまでそのつもりで御覽を頂きたいのであります。これを全部申上げますということは煩に堪えませんから、概要要点だけを申上げさして頂きます。  ここに第一、第二、第三といたしまして、第一といたしましては再配分の前提となるべき事柄も書き記しました。即ちその趣旨とするところは、元来シヤウプ勧告の趣旨は地方自治の確立、地方自主の増強という点にありますので、その線に沿いまして考えたのでありますが、併し同時に能率的とか合理的な運営といつたようなことも考えなくちやならんのでありまして、我我は或る程度そのことも考えて問題を処理するつもりでおります。ただ自治とか自主の強化だけではいけませんから、恐らく同時にこの能率的な面も考えて行くつもりでありますが、併し何と申しましても自主とか自治ということが主眼になつておりますから、能率の面は多少二次的になるようなふうに考えておりまする。この二つを調節しますが、その間に重点が自治とか自主の確率の方に傾いておりまする。それと伴いましてここに考慮すべき問題を列記いたしましたが、段々地方団体の仕事が殖えましても、義務的の処理を建前とするもの、即ちどうしても地方団体のやらなければならんことは極力限定する。力のないところの市町村もありましようし、従いまして市町村全体としますれば、義務的な仕事は成るべく制限して、力の多いとこは力の多いところによりまして、市町村民の福利を増進するようなことを相当やつておりますが、幾らでもやればやる程ありましようが、義務的な面は極力制限するようしようという趣旨を考えておりまする。それから国なり上級団体といいますか、下の方に移りました仕事につきましては成るべく簡素化する、複雑でないように考えて見たいというふうに考えております。  それから公務員制度も無論これは同時に考えなければならんので、どうしても地方の事務を充実しまするに従いましては、地方の公務員制度をしつかりいたしまして、時代に即応した民主的な、併し能率的な公務員制度ができるようにということも考えなければならんと存じております。それから事務の再配分をしましたところで、なかなか容易に直ぐ実現ということはむずかしいのであります。従つて前の制度から新しい事務の再配分制度を実施するまでの過渡的なことも考えて見たい、こういつたように考慮しておる次第であります。殊に町村等におきましては弱小な町村かありますから、いずれ人口の相当程度な大きなものに、例えば一万ぐらいのところに平衡を取ることにしたいと思いますが、そんなことも実行上むずかしい点もありましようし、いずれにいたしましても委譲するにおきましても、それまでの間なかなか貧弱な町村ではできんこともありましようが、そういつた面はむしろ都道府県で以て補足的に処理するといつたようなことも考えなければならんというふうに思つております。  それから基本方針でありますが、基本方針は大体成るべく国から地方に、更に地方でも府県よりも市町村にという趣旨で仕事を配分するつもりでおるのでありまして、従いまして国に留保する仕事はどうしても国でなければいけないというような仕事、全国家的な仕事というものに帰りまして、できるだけ地方団体に移してやらすという建前でおりまする。従来のこの地方団体委任とか機関委任の仕事などが、これは委任というのでなくて地方団体の仕事として配分するように持つて行きたいというふうに考えております。それから国家からしてこの地方の仕事に関する関與の方式でありますが、これは成るべく権力的な関與を避けまして、基準を示すとか、勧告をするとか、技術的に援助するとか、報告を取るとか情報を公開するとか、いずれもそういつたような権力でなくて地方の仕事を指導するというような面に持つて行きたいと考えております。ただ併しながら仕事によりましては次に挙げましたような仕事、労働基準、伝染病予防、或いは物質の統制とか食糧の供出とかいうような問題になりますと、これはどうも権力的でなければ、それを随意に任しておいては国家的に見まして好ましくないことでありますから、これはむしろ相当権力的な面も残す、併しその他の面においてはできるだけ国は指導とか援助とかいうことにいたしまして、権力は成るべく使わんようにしたいと、こういう考えでおります。それから先刻申しました通り、府県と市町村の関係におきましては、市町村の方が住民と直結するところの基礎的団体であるという意味におきまして、地方団体の事務はできるだけ市町村に移す、府県の方は上級団体という意味でなく、公益団体、公益的な団体であるという意味でむしろその市町村のできんこと、市町村ではできないことだとか、或いは市町村の間の関係とか連絡とか、いろいろ世話すべき問題もありますが、そういうことをよくやつて行くようにしたい。つまり府県は市町村を包括する団体としていろいろ市町村でできんことをできるだけやるというふうに持つて行きたいと考えております。極めて簡單に申上げましたけれども、趣旨はそういう精神で考えておるということであります。一々の仕事につきましては、これは余りに多くなりまして何でありますから、説明を省略させて頂きます。  それから次に、地方財政制度につきまして、これはこういうことです。いずれ私共の行政の再配分が行われますれば、もう一度税制とかいう問題も考えてみなければならん問題があるだろうと思います。相当行政の配分から更に財政の方に問題が移る面がありますが、それは暫らく後廻しにいたしまして、ただ取敢えず現在の下におきまして、地方財政制度について何か考えて頂かなければいけないのじやないかということで、差当り解決を要する問題を取上げまして、案をまとめてみたのであります。一つは補助金のことであります。一つは災害復旧費のことであります。それから一つは地方債のこの三つの問題について案を考えてみたのであります。補助金はこれはもうすでに御承知のように整理されましたが、まだ残つておるものがありますが、残つておるものにつきまして更に詳細に亘つて考えました結果、尚その全額補助金として残すべきもの、一部補助金として残すべきものと二つに考えまして、全額補助金として残すべきものは全く国家か国として地方に渡すべきものでありますので、これは御覽頂きますと分ります通り殆んど私人の契約と同じような形式で、同じような立場で出しておるのであります。地方団体に対して税とか、賃借料であるとか等々といたしまして、これは当然に国が負担していいものであります。或いは予算外契約によつて債務になつているというもの、いろいろなものでありまして、これは当然に残していいだろうというのでこういうものは残すということにいたしております。  それから委託費は、これは国の統計の費用であるとか、国会議員の選挙の費用の委託といつたようなものは現状のまま残して置きたい。これはつまり国の仕事を地方がお世話している、国が地方に委託する、それらは全額地方にそれだけ必要な費用だけは出して頂きたい、こういう趣旨であります。それから一部補助金として残すべきものといたしましては、何か新らしい仕事で、これはシヤウプ勧告にもありましたが、奬励的な補助金というものはこれは残すべきものであります。その他におきましても、尚考えて見ますと一部の地方団体に限られるもの、或いは臨時費的に與えるといつたようなものもこれも残すべきものであるというふうに考えた次第であります。そうしてそういうこの補助というものは成るべく定率で以て、何分の一を出すというのではなくて定額で與える方がはつきりするのであります。いろいろな弊害がありまして、何パーセント出すというのはいろいろ問題が起ります。おのずから地方の行政に国が関與する、干渉する弊が相当あるようです。これを成るべくやめて定額で行きたい、こういう考えを持つております。  それから平衡交付金に移すべきものでありますが、以上挙げましたもの以外のもの、補助金を残そうというもの以外のものはこれは平衡交付金を受けるということに考えました。補助金を残すとか、平衡交付金に入れるとかいうのですが、これはこの二つ以外のものは平衡交付金に入れよう。それから補助職員の設置のための補助金、これがその問題になりまして、これはよく農林省あたりから政府の役員を出しまして、そうして地方に出してその紐つきの職員になつておる、そういうものがいろいろ弊があるというのでやめようということで、そういつたものはこれはむしろ平衡交付金の中に入れたらどうか。全部の地方団体に関係のある平衡交付金に入れても差支えないものとしよう。補助金という名前があるためにいろいろ中央政府の干渉を受けますからこういうふうに考えました。併しまあここにいろいろ問題がありますけれども、平衡交付金で入りにくいものがありましていろいろ問題がありますが、ここに詳しく申しませんけれども、とにかく何か特別の平衡交付金、一般平衡交付金の外に相当平衡交付金としては整理のできにくいものがありますけれども、そういうものは何か特別平衡交付金といつたものがあつてもいいんじやないかと考えております。問題が非常に錯綜して何ですが、そういう考えも問題になることであります。  次は、災害復旧費でありますが、これはやはり災害復旧費というものはここに挙げました通り、全額国庫補助という問題になりまして、よく御承知通りでありますが、日本のような天災地で以て災害の費用というものは全部地方団体が賄うということになりますと、これは誠に地方としましてはむずかしいのであります。どうしても国家に出して貰うという部分が多くならなければなりません。併しさりとて地方団体が全然国家に負ぶさつて行くということも、これも地方の自主性というものを却つて阻害することになりますから、そこで或る部分は地方が持つ、併しそれを超えれば国が助ける。こういう趣旨で考えております。その災害復旧費の仕事というものは先ず成るべく二年なり三年なりの間にやりますと、例えば初年度に三〇%、次に五〇%その次に二〇%とか何とか割合を決めまして、一定の率を決めてせめて三年くらいには復旧事業ができるようにということが望ましいと考えております。それから一ケ所当りの復旧費につきまして、少額は地方が持つという建前でありますが、これは現在確か十五万円を以て、それ以下は地方で持つということでありますが、段々考えまして、又小さいものは府県ならば十万円とか市町村ならば五万円くらいのものはこれはまあその地方で持つ、それくらいは地方で持つということにいたしまして、併しそれ以上のものにつきまして考えなければならんのは少額のもの以外は全部国が持つというのですが、それはどうかと思います。むしろもう少し地方で持つ部分を考えなければならんということになりまして、復旧費がその地方団体の前年度の收入見込み額の一〇%、一割くらいの見当であれば地方が持つても耐えられます。十万円或いは五万円以下は地方が持ち、更にその上のところで以て一〇%くらいは地方も持ち得るし、地方団体負担し得る。又持たなければ地方としても済まん。それ以上のところは一つ国が負担するというふうに考えたいということであります。併しそれを国が負担するにつきましても、国の負担の仕方でありますが、これは国の財政計画との関連を考えまして、例えば過去三年間の国庫の負担しておつた災害復旧費の平均くらいは国の予算に計上して貰いたい。国の予算に計上してその国が災害復旧資金特別会計というようなものを設けて、そうして復旧費を会計に繰入れて、その会計から地方団体に交付することにする、それが足らん場合には、その会計が不足額を借入れる、借入れることができる途を開いて、それからしてその三年平均の繰入れて貰つた額で以てたまたま災害が少くて余りができる。余りができた場合にはその余りには前の債務の繰上げの償還に当てるとか、尚それで余裕があれば積立てて置く、翌年度以降に繰越す。こういうことにいたしまして、何か日本のようなところではそういつた国が災害復旧費というものを見込んで、そうしていざと言えばそれ以上の大きなものを借金によつてつて行くこともできますし、余れば或いは前の債務の償還に当てるとかいうようなことにして、そうして安心して災害に応じ得るような途を開いて置く、こういうように考えたのであります。そこで一つ問題はこれは実はいろいろと考えた結果がそれでもよろしいのですが、併しこの特別会計を設けることが必ずしも唯一の途ではなくて、或いは別な方法といたしまして国庫の負担すべき額というものを一般会計から地方団体に貸付ける。地方団体に貸付けるという方法もこれも考えられますけれども、この方法よりも私共は前の方がいいと思いますが、そういうような考えもあります。そういう考えを出した人もありますが、これも考え方としては国が全部出すか、或いは貸してやるがその代り貸してやつた場合には無論平衡交付金のところで以て計算するときには、それはまあ見てやるということにしなければならんと思うし、ですから形は貸してやりましてもその元利償還費というものにつきましては地方団体が従来よりそういう負担が殖えますから、そういうことは平衡交付金で地方の負担が殖えるということで計算してやるということにいたしますれば、これも一つの方法だ、併しどちらかと言えばこれより前の特別会計を作つた方が簡便でないか。それから個人財産のような農地の災害復旧費などはこの問題とは別に考えまして、災害復旧事業の半分を負担してやるといつた別途の方法を考えるということにいたしたいと思います。  地方債につきましては、地方債は御承知のように今日中央政府財政委員会、それから大蔵省と、両方からいろいろな制限を受けまして、一々許可が要つて、地方債を借りるためにはお百度を踏んで、相当な無駄な費用も使いますし、無駄な労力を使つておる現状だから、これを何とか簡單にできるようにしたいということで考えたわけであります。そこでいろいろ考えました基本的の方法と、それから人為的な措置と二つ考えておりますが、地方債の制度といたしまして、これまで地方債に関したいろいろな法律がありませんから、何か発行、借入金に対する統一的の法律を作るということが問題となりました。それで発行限度とかいろいろな方法とか、償還年限とか、減償基金制度等を規定しまして、よるべき基準を作つてやる。こういうことが必要でないかとこう考えます。今の地方債に関する法律について何か統一的な方法がなければならんというふうに考えておるのであります。それから地方債の発行の限度といいますか、最高額の問題でありますが、これはアメリカ等にも例もありますし、やはりこれは地方団体の償還能力といいますか、能力というものの限度ということが当り前で、目的とか講釈を言つて中央で干渉するより、地方の償還能力というものを非常に重きを置く、こういう建前からしまして、先ず過去三ケ年間の平均実行予算で、歳入総額から地方債等を引いた額ですが、何か一定の地方の歳入のテン・パーセント、テン・パーセントならば各地方団体は地方債が出せるということにして置けば、力に不相応な地方債を出さない。何か地方の力というものを見て、力の限度において相当自由に地方債を出せるようにする。こういう考え方でありますが、若干そこに償還年限につきましては、目的によりましては事業であるとか、或いは普通の行政であるとか、いろいろ目的によりましてそれはその償還年限に多少区別はつけてよろしいでしよう。これは細かい問題であります。いずれにしても償還能力というものに重きを置いて地方債の発行制限をするということにして、あとはできるだけ地方に任して置く、こういうやり方をしたいと思います。ただこういうふうにしますと、大きな団体、六大都市というようなものになると、或いは有力な府県になりますと割合に楽でありますが、貧弱な地方団体、貧弱な府県、貧弱な町村ですと相当困るのですから、これはやはり一つの地方団体相互間の共済組織である地方団体の中央金庫というようなものを作つて、そこを通してやる。今であれば例えば八分とか九分、一割といつた高い利子、或いはそれ以上でなければ借りられないものを、こういうものができるなれば六分とか七分とか、或いは五分といつたような金が利用できる途がありますから、何かそういうものを考えてやらなければならん。そういうことにいたしまして、そういうような制度を設けて後は成るべく地方債発行は許可を要らんようにしよう、こういう発行総額を決定したり、枠を決めたり、許可をするということはやめたいということですが、これは若し行われるとすれば差当りの処置としてどうするかという問題を考えて見たい。差当りの処置といたしましては、先ず一番目はどうかと言えば、現行の事業別の許可制度、これはいろいろうるさい、これを一つ何とかしたい、こういうことであります。併  し地方債の今のように預金部に成るべく依存しないでもつて行きたいのですが、今のような地方債の資金を預金部に依存するようなことを前提としますれば、或いは預金部と財政委員会とが協同でこの各都道府県の起債の額とそれから各都道府県内の市町村の起債の額とを決定しまして、その額の範囲内では府県なり市町村なりの自由意思によつて行ける。枠だけを国の方で決めて後は府県なり市町村なりに任す、こういうことにしたいと思います。それから只今承知のように、地方財政法にやかましい規定があります。こういう目的以外に起債ができんとか、地方債を起すことは例えば制限外の税率の課税までやつていなければ地方債を出せんということ、無理なことですが、これは理窟になりますから申上げませんが、いずれにしてもやかましく地方財政法で目的の制限とか、或いは地方税法で起債の條件とか、随分無理なことを言つていますが、むしろそういうことはやめて、これこれは地方債はやつちやいかんというくらいのことはいいかも知れない。そんな制限外課税までやつていなければ地方債は出せん。これこれをやつていなければ地方債は出せんというようなことは、自由にした方がいい、こういうふうに考えます。それで預金部が地方債の発行額を財政委員会一緒に決めます場合に、我々は起債につきましては償還能力に応じてという建前であります。償還能力のことは十分返せるかど  うかということははつきりしなければなりません。それ以上のことはやかましく干渉しないようにしよう。それから割当額内の起債の申込みにつきましては融資の保証をしてやるというところまで親切にやりたい、こういう考え方であります。それから今のところでは地方債は預金部資金にのみ依存しておりますが、これはもつと地方債の枠を拡めまして交付する。学校とか住民の利害関係に密接なものは進んで応じてくれます。併し最近に六・三制の学校のときにもちよつと例外的に学校の起債を公募の方法でやりましたが、まあ苦情も別になかつたようですが、併し不平はあつたかも知れませんが、併し住民といたしましては子供の教育のためには進んで応じてやるというものもありますからして、できるだけ国に依存しないでそういつた方面で借りられる途は十分あるということを考えております。  以上順を逐うて説明いたしました。
  89. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上の御説明に対しまして御質問ございませんか。
  90. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 昨日も国に留保すべき事務について、その中の学校種別による設置者の話が出ておつたのですが、このプリントの十三で見ますと、国立の大学もできるだけ地方公共団体の事務として行わしめることが望ましいとありますが、この理由。それから現実の問題として種々の事情によつて一定の部分についてだけは国が留保するということがその半面においては現実に今々の問題であつても、一部地方に委讓した方がいいというお考えがあるのじやないかというふうに考えられるので、その委譲した方がいい、今でも直ちに委譲した方がいいと考えられる大学、博物館、図書館等々について具体的に御説明が願いたいし、又何故委譲が望ましいとお考えになられたか、その理由をお伺いしたい。以上二点申上げます。
  91. 大野健治

    説明員(大野健治君) 私は事務局の職員でございますから、私が申上げるのはどうかと思いますのですが、この問題は各委員会いろいろ御発言がございました。その点を私から御紹介申上げることがいいのではないかと思いまして申上げる次第でございます。  国立の大学は現在七十くらいあります。それからそのほかに公立の大学がまだ相当ございます。その中で戰後急速に今国立の大学が殖えました関係もありますので、まだ日が浅いのでありますから、なかなかその設備の充実というようなことをすべてに亘つて期待するということはそれは無理でございますけれども、委員会議における御議論、委員の諸先生の御議論といたしましては、国立の大学はむしろもう少し少くして、そうして本当に総合大学として設備の充実したものに限るということの方がいいんじやなかろうか、つまり国が非常にこの方面に金が余計出せれば結構でありますけれども、当面それ程出し得ないといたしますというと、結局遅れている方を多少でも充実するということにとられて、進歩的な施設というようなものを集中的にやることが果してできるかどうか、そういうような懸念もあるというようなことでございます。それでできれば国立の大学の中の或るものは公立の大学と一諸にするというようなことも考えられるのではないか、具体的にどこというようなことはなかつたのでありますけれども、そういうような御議論があつたのであります。博物館、或いは図書館、研究施設、医療施設とこう書いてありますけれども、これも具体的にどうということではありませんが、この中で又論議の題目になりましたのは国立病院でございます。国立病院ももう少し公立に譲るべきものは讓つて、そうして国立病院として残すものは本当に立派なものにするという考え方はどうであろうというような御議論だつたと記憶いたしております。で、要するにこれは十三番目に挙げました大学、博物館、図書館、研究施設、医療施設、この国立のものは当然国のものではありますけれども、現在ある国立のものをそのまま国の施設として残すとかどうかということについてはもつともつと研究して見たいというようなことで、そのうちには五大都市とか或いは都府県とかいうようなものに委譲して、その五大都市或いは都府県の持つておるものと一緒に統合して施設経営をするというようにした方がよくはないかという議論があつた。その結果單に国立の大学、博物館、図書館、研究施設、医療施設を当然国のものだというふうな書方をせずして、こういうもののうちでも国立として残すものは真に今国立の名を辱かしめないようなものだけというようなふうに考えて行くのがいいのではないか、又公立、五大都市なり都道府県なりも相当力があるのでありますから、そういう所に同じようなものがあつた場合にはむしろ物によつて一緒にして公立として経営さして行くということがいい。こういう御議論の結果、こういうふうな答弁が出たのであります。
  92. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 今の文部省所管になつている国立大学の経費そのものを地方に委譲する、そして地方も現在の財政からこの大学経常費の一部を負担するということで、公立大学としての維持経営ができて、十全の使命を果し得るとお考えにならなければ、原則としてできる限り地方に譲るというこういう表現はできないだろうと思われるのですが、そういうことができ得るというお考えが委員の方に強かつたのであるかどうか、お伺いしたいし、特に地方においてこの一定の部分について留保するというので、原則は地方に渡すんだということになれば、影響するところが非常に大きいと思う。最近大蔵大臣の意向として国立大学のうちでも教員養成関係の学部関係は地方に委譲した方がいいという考えもあるというようなことで、大きく地方の方々に関心が持たれておるので、是非この点は神戸議長からでももう少し詳細にその意図する点をお伺いして置きたいと思うのであります。
  93. 神戸正雄

    説明員(神戸正雄君) 今お話になりましたように、地方におきまして非常に関心を持たれるのは御尤もな話であります。先ず委員会議におきましての空気というものから察しますると、日本ではこういつたものを何もかも大学ばかりでなく一般に国家の力、国家の名前で作るというような傾向が強いのであります。即ちそういうことによつて中央集権的といいますか、そういつた機運がおのずからの間に養われることになるのでありますので、大学なりその他こういつたような種類のものができれば地方団体の力が許すならば、地方団体の力がないのに無理にやれというのではないが、できれば地方団体がやつた方が民主主義的な新らしい国家を作るには望ましいという考えが強かつたと思のであります。これを原則としてあるからして地方が主だというふうにお考えでありますが、そこにできる限りということを使いましたので、私共原則として地方団体の仕事というのではなく、できれば、できないのは無理もありませんが、できるなら地方でやる、同じものなら地方団体にやらした方がいい、国家としては直ちに今ある国立大学を地方に移したところで種々の事情から見ましてできないことでありまして、東京の大学とか、京都大学とか等々有力なる大学がありまして、これを直ぐ地方団体が譲り受けて完全にできるかと言われるとむずかしいのでありますが、併し大学によつて地方団体の力で以て維持ができる場合もあろうと思いますから、できればそつちへ持つて行きたい、こういうふうにいたして強いて直ぐ実行しろ、これこれを国から地方に移せとこういうことを申しておるのではありませんで、その趣意とする点は御了解願いたいと思います。
  94. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今事務当局の方からは地方委譲の問題として大学を少なくした方がいいという意見委員の間にあつた、第二の点としてはそうして総合的な大学にして強化する方が望ましいという意見もあつたということですか、大学を少なくするということであれば、一定の力のある地方公共団体だけが大学を持つということにこの原則上としてはなる、そうするとその力のある地方公共団体の地域の住民の子弟は入学でき、最高の教育が受けられるだろうけれども、或いは財政上の問題からその団体が他の地域に門戸を開放しない場合にはそうした最高の教養を受けられないという場合があり得るのじやないかということも考えるのであつて、この大学を少くするというようなのはこれはそういう意向であるのか、調査会議の方の委員会議の方のこれは大方の結論的なものであるか、お伺いして置きたい。
  95. 大野健治

    説明員(大野健治君) 只今の御質問でございますが、私共拝聽いたしました限りにおきましては、ただ御懸念のような大学を少くするということによつて、何県の大学がなくなるといつたようなことは当面の問題としてはとてもむずかしく、問題にはならんことだろうというようなお考えであります。但しそれは飽くまでも現在の都道府県というものを建前としておりますから、将来若しどういうようなことになりますか、或いはもつと広域な団体といつたようなものが想定せられますかどうか知れませんけれども、その研究はまだ後廻しでありまして、目下のところ御懸念のような点は十分委員の間でもそういうことになつてはならんというお話でありましたけれども、ただ併し現在のところでも一部府県の中に相当まとめ得る大学もあるのじやないか。ですから当分の間は或いは国立の大学については早急な措置はとれないかも知らんけれども、まあ併しずつと将来までを考えて、国立の大学というものはその現状からしてもう少しまとめる方がよくはないか、又五大都市なり都道府県なりの持つている公立の大学とまとめられるものはまとめた方がいいのじやないか、そういう御議論でございます。
  96. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 よく分かりました。序でですから昨日の御説明の中で教育に関する関係でちよつとお伺いしておきたいのですが、昨日の御説明では、地方団体においても高等学校は都道府県、義務教育は市町村、こういうふうにしたらいいのじやないかという御説明がありましたが、それはシヤウプの勧告による高等学校も市町村に移す方が望ましいということを御検討の上、この高等学校は都道府県に置いた方が望ましいという御結論を得られたのであるか。第二は、その高等学校を都道府県に置くということは、それは当分の問題なのであつて、市町村自治団体が育成強化せられ、一定の人口を持つような市町村というものになつた場合には、やはりシヤウプの言うごとく、下に下げた方がいいというお考えがあつて、そういう前提があつてのことであるかどうか、お伺いしておきたい。
  97. 大野健治

    説明員(大野健治君) 誠にお説の通りシヤウプ勧告には高等学校まで市町村の仕事とすることがよかろうといつたようなことになつておるのであります。併し委員会といたしましては、高等学校を市町村の責任とするということが現状からして果してどうだろうかということで、高等学校は府県の責任ということにし、ただ大きな市町村で相当能力のあるものは任せる、任意に任せるということがよくはなかろうかということのようでございました。勿論お説の通り市町村自治団体が今後ずつと育成強化せられまして、相当の能力を有し、相当の財力を有する団体ということになりますれば、高等学校まで市町村にすることが適当ではないだろうかというような御意見の先生も勿論ございました。
  98. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 よく分りました。次に、小中学校の義務教育を市町村に委譲する、市町村の責任とするということは現在のように都道府県が給與の責任者である、その給與の責任も市町村まで下げるというお考えなのでしようか。この点お伺いしておきたい。
  99. 大野健治

    説明員(大野健治君) それは実にむずかしい問題でございまして、望ましいことは市町村にまで下げるということが望ましい。併しそうした場合に、例えば俸給の支拂が遅れるとか、或い  は俸給の額が低下するとかいつたような心配もいろいろあるということで、この点も相当議論は沸騰したのでありますけれども、理想案としては、小中学校は全部設置も俸給の負担も市町村ということにして、只今の懸念のあるような問題についてはどういうふうに考えたらその心配をなくすることができるだろうかということをいろいろ今御検討中のようでございます。
  100. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 では、只今まで御質問申上げておつた点については、最終的な結論が委員会議としてまだないというふうに伺うのですが、又結論を得るということにしても、現実の今の当面の問題としては、速急に理想案通り強制し実施して行くような方向の結論は出ないであろうというふうに大体考えてよろしうございますか。
  101. 神戸正雄

    説明員(神戸正雄君) むつかしい御質問でありますか、私共の先刻から申しました説明はまだ最後快走ではありません。今検討中でありまして、これによりましてどうなるかということにつきましてはつきりしたお答えをすることができない段階にあります。実際の問題はいろいろなふうに、殊に財政面に亘りますから、容易によろしいということはできませんが、併し一つの目標とか理想はここにある、そこに持つて行くように順次準備をし、いろいろな工作をして行くということはできると思います。私共やつている仕事は、直ちにそれが実行できるところのものを考えるのでなく、一つの目標はここにあるのだからこういうふうに持つて行くようにいろいろ準備をして頂きたい、こういう希望を申すのでありますから、直ちに実行できるということにつきましては、私としてははつきり申上げることはできません。恐らく我々の委員各位もそういう確乎たるお答えをすることは誰もできないだろうと思つております。
  102. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 地方行政調査委員会議の目標なんですが、我々の理解します限りにおいては、国と地方との行政事務の再配分をするというのは遠い将来というようなことを見越しながら、同時に現段階に即する直ちに実行すべきようなことをやはり勧告するようなことが必要ではないかと思うのでありますが、全然今はできないが、遠い将来をというような自治体が行くべき方向を掴みながら、同時に現段階に直ちにその勧告従つてそれを尊重しながら具体化して行く、その辺の呼吸はどうなるのですか。
  103. 大野健治

    説明員(大野健治君) お説の通りでございまして、先程神戸議長からもお話がありましたが、財政なんかにつきましても、起債なんかについて将来は自由起債であるべきであるけれども、当面二十六年度としては先ずこういうようなところから始めるというような表現の仕方のものもあります。それから事務の再配分について只今御検討されております問題につきまして、とにかく地方委譲につきましても、一万以上ある都道府県市町村につきまして、能力その他から見ましても非常な差がある、適正規模というものが同時に考えられなければなりませんけれども、相当有力な団体になるまでは、団体によつては直ぐやれ、団体によつてはやれないというようなところも生じて来るのじやないかというふうに思われるのでありますけれども、現在の一万有余の都道府県市町村をそのままといたしまして事務再配分を考えるということになりますと、いろいろな何といいますか、団体を細分して、この程度の団体にはこの程度というようなことにはならんのじやないかというふうに考えられるのであります。そこで事務配分の目標といたしましては、ただ財源的措置等もとられるようなことになる。それから公務員制度の確立というようなこともでき上つて、能力的にも或いは財力的にも今よりはもう少し優れた団体になるということを想定して、事務の再配分を委員の諸先生の間では、お考えになつているようであります。勿論団体によつてはすぐにそういうふうに仕事に取りかかれる団体もあるのでありましようし、そうでない団体もあるのじやないかと思うのであります。そうした意味におきまして、先ず都道府県市町村は現在よりは能力的にも財力的にも程度の高い団体というものを頭に描いて、事務の再配分の立案をなされておられるように私共は拝聽いたします。
  104. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 さつき大学の問題が出ましたが、大学のことについて私共は大分意見がありますが、省略しまして、問題になつていることだけを一つお尋ねしたいと思います。  シヤウプ勧告には各府県單位に大体設立されている国立大学は完全なものにするということのために、隣接している府県が数府県集つてその一つの大学を経営して行くというふうにしたらいいじやないかということが書いてあつたと思います。その問題についてはどうですか。地方行政調査会議で何かそれについての議論があつてシヤウプ勧告に副うた具体的お考えをお持ちになつているか。
  105. 神戸正雄

    説明員(神戸正雄君) 地方として独立して一つの団体が持つという場合もありましようし、連合体で持つことも考えられる。勿論我々といたしましては、数府県によつて大学を作ろうということも考えられるし、一つの府県の中において、五つなり六つなりひとまとめにしてうまくそういつた合理化といいますか、経費が少くて済むというようなことも考えておりますが、二つの場合が考えられます。例えば京都府では京都大学の外に府立の大学なり私、立の大学がありますが、ああいうものでも場合によつた一緒にして連合体でやつて行く、四つ五つとある場合それを連合して行くということも考えられます。
  106. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 一つの大学があるという……京都なら京都府立大学、京都府内にある数個の大学が合併するということでなくして、例えば四国に四つの県がありますが、今徳島でも香川で、も高知、愛媛でもやつていると思いますが、それぞれが国立大学を設立していますが、あれは一つのユニヴアーシテイにして、日本ではユニーヴァーシティもカレツヂも一緒にしているわけです。原則的には、ユニヴアーシテイでなければならんと思うのですが、不完全な四国の県で各一県ごとに県單位の大学でなしに、私が四国に行つたときも四国四県で総合大学にするようにしたらどうだというようなことを知人が話していたのですが、それはシヤウプ勧告書でも勧告しているのですが、これを何かここでもつと具体的に促進するようなことを考えたらどうですか。
  107. 神戸正雄

    説明員(神戸正雄君) 私共もニューヨークヘ行きまして、ニューヨークのステートの中の幾つでしたか数は覚えてませんが、二十ばかりも沢山の大学を一緒にして総合的な大学を作るという計画が、ユニヴアーシテイと言いましたか、いわゆる單科的な方面が違つていたものを集めて一つのようにするという計画もあつたようですが、そういうわけで余り小さい大学が單独にあるよりは一緒なつた方が力強くなる。或いは分担といいますか分業といいますか、それぞれ専門に分けて、そこでもつて伸びて行く方が全体として大きなものになつて立派なものになる、こういう考え方もよくはないか、この議論のときにもあの例に做つて地方の大学はできるだけ多くまとまつて、つまり数を少なくして力強いものにしよう、こういう考えも出ておつたようでした。別段に私は案を作つてはおりませんけれども、そういう考えは御尤もだと考えております。是非そうしたいと思います。
  108. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 財政制度の方に移つて質問したいと思うのですが、よろしうございますか。
  109. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どうぞ。
  110. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 国と県と市町村との財政繰作についていろいろ地方に声があるのでお伺いしたいのですが、一つは起債の問題であります。委員会議の方も市町村の起債は都道府県を経由しないで、直接国と市の間で起債が自由に認められるように簡易化するような御意見が強いようですが、その後の暫定的な措置として掲げられてあるものは、事業別の許可制度は廃止するということで、大変結構だと思うのです  が、その後は国の方は財政委員会と預金部が共同で起債額を決定する、そうして市町村の個々の起債の決定は都道府県知事が行うというふうになつておるようですが、これが市町村においては絶対反対という空気も強いのです。これなれば従来と何ら変りないのです。市町村から都道府県の地方課がこれを取まとめ調査します。調整しないでその通り生のまま自治庁の方に出しておるとは言つてますけれども、出して来る場合に自治庁に都道府県の担当者が来て、お前の県の起債の枠はこれだけだと言われますと、県の担当者は県下の市町村の分については、これだけだ、これはこれだけだと言われてもはつきりここでそれでよろしうございますと、自分の県のことではないとすつと引受ける。それで県の起債の枠となると、それが枠だけとりたいために借り手の市町村の起債というものを抑えて、そうして県に借りて行つて、市町村の方には残念ながら運動したけれどもこれしか取れなかつたのだ、こういうことを言うてる事実が多い。即ち県は幾らの枠、市町村は幾らの枠ということでなくて、都道府県市町村として総体の額を貰うような関係から、運動の主体者は常に県なのですから、県の方に金をとりたいから市町村の方には渡さない、こういうような点もあるやに聞くのです。それで市町村の方では、起債については都道府県を経由しないで直接国との間で処理できるようにして欲しいという声が強いわけです。それを都道府県知事に一応委任してですね、そうしてここでコントロールする。市町村の財政を都道府県知事がコントロールするというふうな御意見なつた理由について、第一にお伺 いしたい。  それから第二の質問としましては平衡交付金の問題ですが、起債の方はこういうふうに方法のことまで愼重に御意見を出しておられるのですが、平衡交付金においてはこの文書にある通り財政需要作定方法は必ずしも地方の実情に即さないということを断定しておりながらですね、その方法についてはやはり従来のように市町村は都道府県を経由して調査表も計画も出し、そして都道府県経由で市町村に平衡交付金が渡されるということについて何ら触れておられない、ところがこれについても市町村はですね、都道府県は必要はない、市町村財政確立という点から見ればその財政委員会と直接にですね、これが意見もいくらも言え、事情も言えるように措置して貰つて交付金も府県経由でなく直接市町村に欲しい、こういう意向が強いのですが、この点についてはこの何と申しますか、委員会の方でどういう御討論が今の審議の経過に現われているのかお伺いしたい。
  111. 大野健治

    説明員(大野健治君) 最初の起債のことでありますが、将来は自由起債ということになるのが当然の筋であろうと思います。そういうことになりますというと、制限せられまする点はこの償還能力において一定の制限は考えられますが、それ以外は自由ということになりますので、問題は極めて簡單なのであります。こういうふうな状態になるのが非常に望ましいのでありますけれども、差当つてはどうしてもこの資金計画の枠というものを外すということはどうしても考えられないのじやなかろうか、そうしますと来年度或いは二十七年度までになりまするが、或いは来年度計画でもうこの日本の経済力の回復が或る程度できまして、もうそういつたような枠というものは考えなくてもいいということになります。これはまだ先のことでございますが、少くとも来年度辺りはまだ国の資金計画というものを作定する、それに従つて地方債の枠というものが決められるということは止むを得んであろう。そこで地方債の枠が今年のように四百数十億になりまするか、五百億を起えまするか、委員会議といたしましては今年のようなことでわく枠はもつと拡げた方がいいという議論のようでありますが、いずれにいたしましても来年度尚国の資金というものが止むを得ない措置として残され、そしてそれに伴つて地方自体の枠というものが決められるということになりました場合、現状よりももう少し改善策としてどういうふうにしたらいいかということを委員の諸先生方がお考えになつたのであります。そこで来年度といたしましては地方財政委員会と預金部の方で地方債の総額を先ず話合つて決めて貰う、そうしてその次には各都道府県分と市町村分というものを決めて貰う、そうして何県は幾ら、何県は幾ら、それから何県の市町村分は幾ら、何県の市町村分は幾ら、こういう程度のことだけを決めて、現在のように……現在でも財政の枠は一応あるようでありますが、それを内に伏せて置いて、そうして各地方から計画書を出して、その計画書の一々についてこの仕事は不急であるとか、いろいろなことをやつておるようです。財政委員会でやる。それから大蔵省でも同じようなことをやつておるようであります。尚その際に府県側はもとよりでありますけれども、近いところの市町村なんかはやはり自分のところの起債が認められるということを熱望する余り、大勢やはり市町村の吏員なんかも出かけて参つて、県側と一緒説明なんかに当つておるようであります。どうもこういう状態はなくした方がよいのじやなかろうかということで、差当り来年の問題といたしましては、財政委員会と大蔵省で決める総額の枠と、それから何県はこれだけ何市町村はこれだけということにしたらいいのじやなかろうか。そこで今度市町村でありますが、例えば神奈川県の市町村分として幾ら幾らと決められました場合に、市町村のうちにはもとより起債をやる団体もありますし、やらない団体もありますし、千差万別であります。尚当面学校を建てなければならんところもありましようし、或いは橋を架けるという団体もありましようし、或いはその他の施設を特別にやりたいという団体もある。これはもう千差万別でありますので、国が一々の市町村について決めるということになりますと、結局いろいろな事業計画を取寄せたり、調べたりということにならざるを得なくなりますので、恐らくお話の通り市町村分の分け前を都府県で以てやらせるということになるならば、相当市町村ではやはり不満が残るだろうと思いますので、当面の措置といたしましては、止むに止まれない事情として、神奈川県なら神奈川県の市町村分についての総額の枠は財政委員会と大蔵省で決めるけれども、その枠内で具体的に茅ケ崎市に幾うとか、或いは何とか市に幾らとかいうものはその都府県に任せる。こういう措置を取るのは止むを得んだろうと、こういうことが起債についての考えなんであります。  それから平衡交付金でありますが、勿論平衡交付金につきましては、十分研究しなければならんというのでございますけれども、何分にも今年から始められた制度で今年の平衡交付金の算定がまだのようであります。近く決まるというようなことでありまして、私共も常に財政委員会の方に出来上つたら貰いたいということを言つてくるのであります。委員の諸先生の方では今年の割振りを見て、そうしてそれがどういうような状況なつておるかということを材料として研究して行こうということで、平衡交付金の研究はもう少し後廻わしということになつておるのであります。
  112. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 よく分つたです が、そんならば事業別の許可制度を廃止するという建前に立つて、都道府県知事が市町村の割当を決めるという場合に、その査定する標準というものは事業そのものが不要不急であるとか、或いは計画内容が杜撰であるとかいうようなことまで査定して、金額を削り或いはその他いろいろ従来ありましたような操作を都道府県知事にやらせようというのですか、それとも事業計画等、市町村自治団体の議決に任せて何らそれには干渉しない、唯起債枠の関係から本年度はどこそこの市町村に要求通り許し、余つたものは来年度においてこうなるというふうに相互調整するという程度のことなんでしようか、この点お伺いします。
  113. 大野健治

    説明員(大野健治君) その点はやはり来年市町村分として割当てられる額が、要求額の何%ということになるだろうと思いますので、甚だ残念ながら府県が市町村分の割振りを決める場合にはやはりどういう仕事を計画しておるのかといつたようなことを聞いて割振るということにならざるを得んじやないかというふうに考えます。
  114. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 実は地方の学校関係の起債が多いのですが、例えば三百万円の起債をその市町村が議決し、要望したという場合に、これが百五十万円に切られて、そうして起債の枠を與えられたという具体的な村もある、ところがそうなりますると、その村の学校というものは半分建たないというふうにただ算術的にできるものではなくて、半分も建てることができない、いつそのこともう貰わないで事業が成立たんということと同然な結果になるというような場合がある。それでも尚やらないよりはやつているのがいいのだ、半分でも與えられたら仕合せじやないかというような形で、押付けられている向きもあるようですが、こういうことでは事業の遂行に非常に支障を来たすであろう。それから第二には再三運動したものは得をし、運動をしないでお任せしておつたものは損をするというのが従来の起債の決定において著しかつたのじやないかと思われるので、そういう一切のことを拂拭して公正な起債の割付をするということは非常に重要であろうと思うが、都道府県知事においてこれを操作するということは、結局事務的には総務部地方課の役人がやることになるわけなんでして、そうなれば現在の段階では市町村側から言うならば、国に決定して貰うよりも信用できないという気分が強いのじやないかと思うのです。と申しますのは、地方になればなる程、單位が小さくなればなる程、この議決機関の方々のいろいろな運動なり、その他が強いのでありますから、それでそういう疑念を抱くのではないか、貧弱な町村程又昔のそれに戻つたというような考え方で、何といいますか、安心してゆだねるというようなことにはならんのじやないかということを考えるのですが、この点も十分御留意願いたいと思うのです。次に平衡交付金の方は、どうしても不完全な算定基準に基いて実情に即しないという点が何年間か続くであろうと思われる。然るにこれも財政委員会に対する折衝の当面の地方の責任者は都道府県なんであります。  ここから公式通り計算してやるので間違いはないのだというようなことを言つても、私らの考えでは従来の配付税のような性格がなかなか拔け切れないのじやないかと思うのであります。規則案などで見ても非常にむずかしいことを言つておりますけれども、むずかしいことを言うのは一応の理窟であつて、そうして結論から、割振りの方から出して逆算して、いろいろな団体や何か考えているのではないかとさえ思われる節がある。そうなればなる程地方の政治性の強いところは余計持つて来る、政治性の弱いところは顧みられない。或いは押付けられるというような傾向が当分続く虞れがないわけではない。こういうことが地方の者が心配する点なんであります。そういう点から言つて、この交付金の操作自体を都道府県を経由しないという方法にして頂きたいということについては、さつきも申しましたが、委員会の方でどういう討論があつたのか、もう少しこの点についてお伺いしたいと思います。
  115. 大野健治

    説明員(大野健治君) 平衡交付金につきましては確かにいろいろの問題があると思うのでございます。併し委員会といたしましては、先程もちよつと私申上げました通り、平衡交付金は今年から始められた問題であり、まあどういう算定になつて、各団体にどういうような意見なり、或いは批判なり、反対なりか起つて来るか、そういうようないろいろなデータを揃えた上で十分研究して行こうということで、余り平衡交付金制度そのものにつきましては今まで御議論がありませんでございました。  それから尚このお話のような点は、例えば補助金なんかにつきましても、県を通して市町村に渡すといつた場合に、県で無用にいつまでも握つているとか何とかいつたような問題もあるのでございます。こういうような問題も  一応俎上には上りましたが、併せてそういう同種の問題につきましては今後御検討があるのじやないかと考えております。
  116. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いろいろ質問もまだあると思いますが、先に進めて頂きたいと思いますが、如何でしようか。
  117. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでちよつと伺つておきますが、現在国が直接やつている事業で、電信、電話、郵便、それから専売、国有鉄道、こういうものはやはり国が留保すべき事務だ、こう見ておられるのですが、この国有林野の経営ですね、これが入つていませんが、これはやはりどういう議論があつたのでしようか。その点を承わつておきたいと思います。
  118. 大野健治

    説明員(大野健治君) 森林の問題はまだ一回でしたか、二回程度しか確かまだございませんでした。従つてまだ漠たる論議ではございましたけれども、とにかく現在の国有林というものの分布が非常に偏しておるということが取上げられておりました。例えば東北地方のごときは非常に国有林として多くの割合を占めておる。場所によつて非常に違うというような問題もございました。尚その国有林としての経営と、民間林としての経営というような問題についても相当な問題があるのじやなかろうかということでございまして、こういう問題につきましてはもう少し関係当局を呼んで、十分論議を交えて考えをまとめて行こうという程度でございました。
  119. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それからもう一つ伺つておきますが、昨日冒頭に議長から御説明に、この勧告案は十月末ごろまでにまとめて、政府を通して国会勧告を出したいつもりであるというお話でしたが、その勧告の内容は、ここに頂いておるこれは試案でいろいろ変りましようが、この程度でもう打切りであるかどうか、或いは第二次の勧告というようなものを考えておられて、それに府県の分合とか、それからまあ道州制の問題があればその問題とか、特市の問題とか、東京都の特別区の問題とか、そういうような問題も検討され、勧告されるような手筈になつておるのか。これは実は地方行政調査委員会議設置法の項目に明らかになつておりました、私が今第二段として言つたものは……併しそれはどういうふうに考えておられるのか。この設置法案をこの委員会で検討いたしましたときに、政府当局はそういうような問題も併せて検討するのだというような説明があつたように私は記憶しているのですが、それはどうなつておりますか。その点を伺つておきたい。
  120. 大野健治

    説明員(大野健治君) 勧告は私の信ずるところでは第一次、第二次、或いは第三次というくらいに分るのじやないかというふうに想像いたしたのでありますが、できるだけ取りまとめたものから順次やつて行こうということにいたします。この行政事務の再配分の問題につきましても、御承知通り沢山の関係法律がございますので、それを全部終つてからやるということになりますと、まだまだ実は相当時間がかかるのでございます。この委員の諸先生はまあまとめて来たものだけでも逐次勧告として出して行くことも考えて行つたらいいじやないかというようなことで、私の想像ではきつとこのうちで当面の財政施策というようなことは比較的早い機会にあれは勧告という形で御提出になるのじやないか。その次に標準的な一般行政事務の再配分問題が取上げられ、そうして恐らく来年に相成りましてから町村の規程の問 題、或いは現在の府県制、更に進んでは道州制という問題に御研究が進められまして、或る程度まとまればそれをお出しになるのじやないかというふうに想像いたしております。
  121. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 ちよつと伺います が、結局あなたの方の地方行政調査会議は、仕事の主体をなすものは専門員だと思うのでありますが、専門員の方で、この委員会における法律を見ますと、それぞれテーマを與え研究を求められておるようでありますが、今までにそれぞれ各専門員が中間になるでしようが、中間報告でもまとめて出しておりますか。出しておれはまあ今まで出ておるものでも我々に一つ配付して頂きたいと思います。  それからもう一つお尋ねしたいことは、あの専門員には私の友人も非常に沢山おるのでありますが、誰が言つてたということは言いませんが、別に不平を言つておるわけじやないが、その男に君は幾ら貰つておるのだと言つたら、何だか三月で四、五千円で、一ケ月千円余りの金しか貰つていないということで、我々の委員会当局から初め法案を示されて、予算の内示もあつたと思うの一でありますが、そのときは確か一ケ月五千円だつたように僕は記憶しておるのであります。ところがそれが三月でそれくらいしか貰つていないというのだから、僕の知つておるところでは、大体現在では専門員の諸君はその道のエキスパートで相当な権威者と見られておる人ばかり集まつておると思うのでありますが、そういう人の仕事のさし繰りはどうだか知りませんが、予算が五千円くらいと思つておるのに千円か千五百円しか貰つていないというわけはどういうわけでありますか。
  122. 大野健治

    説明員(大野健治君) 専門調査員の諸先生にもそれぞれ御専門の担当部門の御研究をお願いいたしまして、報告書を出して頂いております。併しまだ当初の私共の期待よりはずつと遅れまして、届けられたものはほんの一部に過ぎないのであります。できましたものは御要求によりまして差上げるようにいたしたいと思います。  尚、専門調査員の手当の問題でございますが、まあ予算の建前は確か月に五千円であります。ただ人によりまして、たびたびお出かけになつて下さいました方が人事院と打合わせた結果一日に八百円、一日でまあ八百円ということで拂えということになつて、それで登庁回数に按分して私達はお拂いいたしておるのであります。その金は全部予算に載せられた額をそのまま専門員に役所にお出かけのときにやつたり、或いはお出かけ頂かなくても御報告を頂いたというようなわけで、仕事に応じて按分しておるような次第でございます。人によりましては非常に少額にもなりますが、又非常にたびたびお出かけになりまして沢山やつてつた人には相当額を拂つておるような次第であります。
  123. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 そんなに事務的な細かいことまで我々委員会がタッチすべきでないかと思いますが、併しそういう仕事は、一つのプロダクトに対して拂うべきである。余計来たから拂うということでなくてやつて貰いたい。来ても仕事をしたい人とか、人に対してするよりも、立派な仕事に対して拂うべきだ。月に千円というのでありますが、千円というと、物価は二百倍ですから、五円ですから、その道の権威者に対してそれは余りひどいことだと思うのでありますが、それに対して何か考え直して頂く必要があるのじやないかと思うのであります。
  124. 堀末治

    ○堀末治君 これで、地方行政の調査委員に対する質問は終ると思うのでありますが、今日出されたこの資料は大変貴重な資料でございますし、さつき神戸さんのお話は、大体項目だけお話下さいましたように思いますけれども、これを速記録に載せておいて貰うようにして頂きたいと思います。
  125. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記録にこれを載せることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そういうふうに取計うことにいたします。  それでは、行政事務再配分に関する問題は、今日はこれで打切ることにいたします。   —————————————
  127. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に、今日シヤウプ博士の再勧告が出た由であります。それにつきまして小野政務次官から、その要旨を説明願いたいと思います。
  128. 小野哲

    説明員小野哲君) シヤウプの勧告が発表されましたので御説明いたしたいと思いまするが、実はお手許へ印刷物を差上げる予定だつたのでありますけれども、時間の関係から間に合いませんで、甚だ申訳ないと思うのでありまして、取敢えず概要についてお話を申上げたいと思う次第であります。これはシヤウプ税制使節団の連合軍最高司令官に対する報告でございまして、この声明書が狙つておりまする点は、大体三つであると書いてあるのであります。即ち第一は新制度の下で得られた経験の評価、過去一年一般の討議によつて展開された新しい問題点は何であるかについての叙述及び第三点として、新年度に生ずると思われる主な問題の分析、この三つがこの報告の主眼をなしておるようでありまして、従つてこの声明書においては、全体に亘つて網羅的にしようとする態度はとつておらんということが謳われておる次第であります。  この勧告の内容は、A項からF項にまで亘つておりまして、国家予算、予想される余剩財源の使途、地方予算、所得税の執行に関する問題、歳入にさしたる変化を伴わない国税の問題、地方税の問題、国と地方団体財政関係、こういうような項目に分れまして、更にそれぞれの細目について叙述されておるわけであります。この中で順を逐つて主な点を拾い上げて見たいと思うわけでありますが、先ず国家予算、予想される余剩財源の使途、こういう項目の中で、私は主として地方財政並びに地方税を中心として申上げますので、予め御了承願つておきたいと思いますが、このA項の中で平衡交付金の問題を先ず冒頭にとり上げておるわけでありますが、この勧告書によりますと予算案の千八十億円より増額することによつて、地方税の不当に高く不公平な課税を避けることが必要であるというふうな趣旨が謳われておるのでありまして、従つて国の歳出は国税の減税と共に、この地方公共団体に対する交付金の増額をも可能ならしめるものでなければならないという態度をここで明らかにいたしておるのであります。更に国の剩余財源の問題から平衡交付金の問題に進めまして、剩余財源の見積りが尚多いような場合においては、事務用品と日常の家庭用品に対する物品税を撤廃すべきである、又平衡交付金は更に百億円を増加し、総計約千三百億円とすべきである、以上で約六百億円の余剩財源が使用されたことになり、中央政府に尚これ以上財源がある場合には、財源を残余の物品税について軽減を行なつてもよい、こういうことを国の余剩財源と平衡交付金との関係を明らかにいたしておるわけであります。  次はB項の地方予算でありますが、都道府県及び市町村は、恐らく昭和二十六年度において、その歳出総額を増額しなければならないであろうという見通しをつけているのでありまして、これに関連いたしまして、一項から五項に亘つての所見を申述べているわけであります。言い換えれば、先ず第一は、価格調整費や債務償還費はインフレーシヨンのために多額に昇つており、且つその抑制の手段であつたので、インフレーシヨンの抑制されるに従つて、今や大きく減額され得るまでになつておるのであるけれども、地方予算にはこのような重要な項目がないという点であります。  第二は、国は地方団体に対して何らかの行政をなさしめようという要求乃至は勧奬を増そうと考えているけれども、国は同時にこれらの行政の経費の全額でなくして、一部を地方団体に交付しようと考えており、この経費の残額は地方団体がその自己財源で賄うべく歳出総額に加えられる、これらの点につきまして、地方財政委員会が出しておりまする資料をここに述べておるわけでありまして、公共事業費のために百二、三十億、或いは地本団体に厚生施設のために百三十億というような追加支出が、昭和二十六年度においては地方財政委員会としては見積つておる。というところまで触れておるわけであります。  第三は天然災害による公共財産の被害の復旧費に関して述べておるわけでありますが、本年実施しておる方式を廃止することを国は提案をしておる。これは大蔵省の予算案についてであります。この方式は若干の例外はあるけれども、経費の全額を国が負担すべきものとしている、これは現にとつている方式でございますか、二十六年度の国の予算は、現に地方団体は一般にかかる復旧費の三分の一を支出していた場合の昔の建前に実質的に復帰することを前提としている、この場合において地方財政委員会は、このことは来年度の地方歳出に百六十億円の追加を要すると推計していることの事実を、地方財政委員会から提出しておりまする資料について、述べておるわけであります。  第四は、国家公務員の給與改訂の問題に触れているのでありまして、この場合において地方公務員の給與の問題について、地方自治法の附則をここに援用いたしまして述べているわけでございまするが、要は地方団体政府措置に従わなければならないものであるということが従来のしきたりのように思われる。これに対して地方財政委員会は地方歳出に百七十億円の税度の追加を要すると推計している。  次は、いわゆる自然増の問題について触れているのでありますが、人口の自然増は地方団体に対しまして二、三十億円の追加歳出を必要とする、併しながら他面地方団体の事務処理の能率化によつて節約ができることも疑問の余地がないということを指摘いたしておるような次第であります。これらの第一項から第五項を総括いたしまして、特に第二項から第五項までの追加経費の総額は六百億円であると、かように抑えております。こういうふうな理由から考えまして、若しこれらの理由から不公正に高い且つ経済的に害のあるような地方税の税率が昭和二十六年度において避けられることになるならば、国は若しそうでなければ行うことができたかも知れない国税の軽減を差控えて、そうして先ず第一に災害復旧費の多額の経費を地方団体負担に戻すということは取止めた方がよいのではないか、第二は平衡交付金の総額を増加しなければならないと思われる、こういうふうに断定しておるわけであります。国税の枠はこの計画では予定されていたよりも幾分多くなるが、これ以上国税の軽減ができなくとも、地方税が上ることに比べれば害が少ないと思う、こういうことを言つておるわけであります。  最後に、地方税の税率の合理的引上及び先に第二項で勧告した措置に関して地方団体は恐らく資金に不足することになるから、昭和二十六年度においては昭和二十五年度以上の公債発行の許可を申請するであろうということを予想いたしておるわけであります。従つて二十六年度における地方財政の見通しは、この使節団といたしましては、地方財政にとつては問題の年である。こういうことを申しておりまして、不十分な財政措置は地方自治を損うことがあり得る、これらに加えて地方行政調査委員会議の今後の報告の影響があることを考えなければならない、この委員会議の結論は地方団体の財源所要額を判断するのに極めて重要であろう。最後のところで日本の地方自治を與えるに適した地方財政制度の問題は解決への途上にあるが、依然尚その結論を得るには途遠しの観があると、こういうことを申しておるわけであります。  国税関係はこれを省略いたしまして、E項の地方税の問題に移りたいと思うのでありますが、先ず第一は市町村民税の問題であります。市町村民税は市町村の歳入におきまして来年度におきましては相当著しい減收を蒙るのではないかということを言つております。次に、徴收の方法について申しておるのでありますが、前半の所得を課税標準とする現在の制度に代えて、いわゆる源泉徴收の方法を試みることが慫慂さるべきである。第三は均等割の問題でありますが、均等割の制限税率は現在の標準税率にまで引下げるべきである。併しながらこれらの勧告は、後程申上げたいと思つておりましたが、この勧告書のほかに附録書というものが出されるわけでありまして、これは目下準備されておるようでございまするので、或いは今月の下旬になるのではないかと存じまするが、附録書の中で評価に説明をし且つその他の技術的な勧告もいたしたいと、こういうふうに述べておるわけであります。  第二の問題は固定資産税でありまして、この点については国有財産及び公益事業、これらの点に触れておるのでありまして、国有財産に関しましては特殊な問題を提供しておる。又日本においては公益活動の多くが政府によつて運営されておるというふうないろいろの点から考えまして、特殊な扱いを必要とする。この点については近く発表される附録書の中で可なり詳細に説明がされておるとこう申しております。ただ固定資産税の問題に関連いたしまして、地方財政委員会の任務と責任という項を起しまして、委員会が與えられた任務と責任を効果的に遂行し得るように他の政府機関からこれらの人員を、即ち委員会の人員を補充するための努力が行われなければならない。こういうことを申しておりまするし、又固定資産税と関連いたしまして、固定資産の中の或るものは本税のため代評価を免かれるということが起るであろう、我々直ちに全市町村が大縮尺の固定資産税地図を用意し、且つこれを絶えず最新のものとして置くために十分なる職員を揃えるべきことを勧告すると、こういうことも申しておるわけであります。  第三は、附加価値税の問題でありまして、附加価値の問題についていろいろ議論があつたということを申しておりますが、先ず第一は消費者に対する転嫁ということを語つておりまして、この問題について一般の苦情が買われておる。併しこの苦情は附加価価税が現行の事業税と同様に利益にかけられるものであると考えられたために起つたもののようであるが、逆に附加価値税はより高い価格で買受人に転嫁されるものである。即ちそれは一種の売上税であるとこういうふうに附加価値税のいわばディフィニシヨンを更にここで明らかにいたしておるわけであります。第二点といたしましては資産の償却の問題、第三点といたしましては昭和二十六年十二月三十一日以後において收得した資産に対する選択償却の問題、第四点といたしましては、売上金額の一定割合とみなされる附加価値、これは御審議を願いました際にもお聞取りのように一定の事業につきましては一定割合の附加価値に対して課税をするというやり方をしているけれども、この経過規定は幾分は必要であつたかもしれませんか、これは一つ削除するか、成いはその適用範囲を相当程度制限することを勧告すると、こう申しておるのであります。更に次の点は、差等税率、差別をつけた税率の問題でありまして、現行法が第一種、第二種、第三種というように分けてありますが、これらの事業の種類を分けて差等税率を決めるということは正当な理由があるとは思わない。こういうことを申しておりまして、すべての事業に同一な附加価値を課税して行くことを勧告するとこう言つておるわけであります。次の点は、料金統制事業及び公共企業体に関する課税の問題でありまして、この点につきまして特に問題となるべき日本国有鉄道の問題を取上げておりまして、日本国有鉄道も附加価値税を支拂うべきで、国営及び私営のこれらの企業は都道府県に相当の出費をさせているから、それらの負担分を支拂うべきであるというように申しておるわけであります。  最後といたしまして、国と地方団体との財政関係を述べておるわけでありまして、第一は平衡交付金の問題で、これは冒頭に申上げた通りに、昭和二十六年度においては千五十億円の水準から約千三百億円に増加すべきある。こういうふうに申しておるわけであります。又我々は法律に所要の改正をすることを勧告するとこういうふうなことを申しておりまして、言換えればいわゆる平衡交付金の運用によりまして富裕な地方団体と貧困な地方団体の相互間に財政の調整を図る、言換えれぱ均衡化の問題でありますが、その均衡化を図るための方式についてシヤウプは勧告をいたしておるのであります。その概要を申上げますと、先ず第一に地方団体が効率的に仕事をするのに十分な刺戟を與えるものでなければならないということであります。第二は、地方団体にその徴税を怠るような影響を與えてはならない、第三に、平衡交付金は節用、節約して使用しなければならない、こういうふうな点を述べておるのでありまして、第四に、基準財政需要額と基準財政收入額の総額の算定方法は、若し完全均衡化を達成すべきであるならば、平衡交付金は幾らにすべきかを表示するものでなければならない、こういうことを申しておるのであります。  第二の点は災害復旧費の問題でございまして、これは先程も地方の予算の点に触れられておるわけでありますが、シヤウプは、我々のこの前の報告書は補助金を復旧費の全額に増額すべきことを勧告した、こういうことを申しておるのでありますが、その後特例の法律が実施されました以後のいわゆるこの新計画は一年限りの特例法であつたのである、何らかの措置が取られないならば、災害復旧費補助金は来年度富裕な地方団体も貧弱な地方団体も同様におしなべて従来からの古い制度に戻ることになろう、そうして改正地方税制の成東は多くの都道府県市町村で危殆に瀕することになろう、こういうことを申しておるわけであります。この点につきましては妥当な解決案を得るためには次の條件を満さなければならないと考える、こう申しまして、即ち第一は、復旧事業の設計及び施行については、地方団体に殆んど完全な自由を與え得るような十分な支拂責任地方団体に委譲すること、第二は如何なる地方団体も災害復旧費とそれに関連した改良費との総額のうち、それぞれの団体の適正な負担能力以上には負担しなくても済むという保障を與えること、この二つが條件として必要である。これらの内容につきましては近く発表される附録書に述べたと思う、こう申しております。  第三は奬励的補助金の問題でありますが、平衡交付金及び災害復旧補助金に加えて、特定の方向に副つて地方団体の活動を助長する意図を持つ奬励補助金がある、我々は次のように示唆をする、即ち奬励的補助金は、一走の最低額を超えて支出された超過額の一定割合に当る額に限定すべきであり、この最低額は殆んどすべての地方団体がみずからこれを超えて支出する程度に十分低く定めるべきである、こういうことにつきましても附録書にやはり細かく述べたいとかように申しておるのであります。  第四の問題は、租税債権の優先順位の問題でありまして、御承知のごとく現行法におきましては、国税と地方税との間において先取特権の優先順位を規定することに相成つたのでありますが、更にこれらの点について、地方税即ち市町村及び都道府県の租税の優先順位というものについて一層これを進んだ考え方を織り込むべきであるというふうに申しておるようであります。  それから最後に地方財政委員会と地方自治の問題につきまして所見を述べておるわけでございます。新しい地方財政制度の整備は、多分に新設の地方財政委員会がその課せられた多くの任務を如何に能率よく且つ迅速に果すかどうかにかかつておる、委員会の職員は現在極端な不足を来しており、人員を大幅に増員することか必要である。現在の職員は相当能率的に委員会の当面している最も緊要な問題、即ち平衝交付金の配分及び地方債の割当てという問題と取組んで過重な労働を続けて来た。併しその他のそれにも劣らない重要な任務、殊に固定資産税の対象である或る種の資産の評価という問題が今や急を要るすこととなつて来ている。恐らくは現在においては地方自治のためには地方財政委員会の職員に有能の士を増員するということより以上に重要な手段はないであろう。かように申してあるような次第でございます。極めて概要でありますか拾い上げて申したわけでございます。  尚つけ加えて御報告を申上げたいと思いますが、御承知のごとく昭和二十六年度の予算概算案は、昨日の閣議で以て決定をいたしたのでございますけれども、我々地方財政を担当しておる立場のものといたしましては、これに対しては種々意見を持つておりましたわけで、従つて大蔵省その他関係当局と連日に亘つて折衝を続けて参つたのでございまするが、昨日の閣議におきまして、以下述べるような了解事項を決定いたしまして、一応閣議における政府原案を作成することに相成つております。  先ず第一は、今回の予算概算案によれば、地方財政は数百億の歳出増となり、地方財源に相当の負担であることを認める。第二は、右の地方財政負担に対しては閣議において協議する。最後にシヤウプ勧告が出た場合はこれを尊重して必要な措置を考究する。こういうことに相成つておる次第でございます。以上簡單でございますが、シヤウプ勧告の概要につきまして御説明を申した次第であります。
  129. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 今日の朝日新聞に、野村委員長が明年度は今年度よりかも七百億地方財政負担が重くなると言つたようなことは、先のシヤウプ勧告との合計なんですか。
  130. 小野哲

    説明員小野哲君) この問題につきましては、或いは給與べースの引上げであるとかその他新規事業に伴う地方負担分であるとか、いろいろな問題を集計いたしますと、地方財政平衝交付金の増額の問題が起つて来る。又公共事業費が増額されますと、それに見合つた地方負担が起つてくる、これを集計いたしますと大体六百億余り、いろいろと七百億近いものになつてくるということからシヤウプもこれを地方財政委員会の資料によつて述べておりまするし、又昨日地方財政委員長の立場でこの点を特に明らかにしておるような次第でございます。
  131. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 再勧告をあらまし伺つたのでありますが、相当明白に指示されておるような点などを考慮されますと、折角政府が昨日予算原案を策定することに決定されたそうでありますが、シヤウプ再勧告案を尊重するということであるならば、折角昨日決められた予算案も又修正せねばならないような点が多々あるように感ぜられますが、そういうことになるというのでありますか、どうでありますか。
  132. 小野哲

    説明員小野哲君) この勧告書の冒頭に述べておりますように、この勧告書は総司令部に対する勧告書である。こうなつておりますので、一応政府原案は昨日決定したのでありますが、直ちに総司令部と折衝に入るわけであります。その際においてシヤウプ勧告と考え合せて総司令部との間にどういうふうな折衝が行われて行くかということと、その折衝の模様に応じまして政府としても考究をいたすことになるとかように考えておる次第であります。
  133. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 公共企業体のうち、国鉄のみを指示しておるようですが、これはその他の公共企業、例えば公団、専売或いは放送事業等も含まれておるものと思われますが、この辺をお伺いしたいと思います。
  134. 小野哲

    説明員小野哲君) これはこの発表の中に出ておりますものとしては、国有鉄道というものが取上げられておるのでありますが、料金統制事業或いは公共企業体ということから考えますると、全体の問題がそれに該当するものに及んでいる、こういうふうに解釈していいのではないかと思つております。
  135. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 この再勧告案に基いて、自治庁は地方税法に対する修正案を出されることになりまするか、まだそれまでは考えられないのですか。こ の勧告案によれば当然出さざるを得ないことと思いますか、この場合には臨時議会に予想されますか、通常議会に予想されますか。
  136. 小野哲

    説明員小野哲君) お答え申上げますが、これは先程も申上げましたように、マッカーサー総司令部に対する勧告でございますので、マッカーサー総司令部と政府の間の今後における折衝の結果に基いて政府としては善処いたして参りたい。従つて今日、只今の状態におきましては次の臨時国会若しくは通常国会に出すということはまだ言明する段階に至つておらんわけであります。
  137. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 総司令部と折衝してから初めてそういう気持になるとか段階になるということならば、何故にシヤウプ勧告は今日出るということは分つておりながら昨日政府は予算策定を決定し、尚シヤウプ勧告案を尊重するという言著も発表されておる意味合いが何のことやら分らんが、どういうことなんでありましようか。
  138. 小野哲

    説明員小野哲君) 私は閣議に出ておりませんのでよく模様は分りませんが、とにかく地方財政の関係といたしましては、かような決定の下に了解事項を決定いたしまして、尚考究の余地を残しておるという程度でございまして、内容につきましては或いは国務大臣から答弁をする方が適当かと考える次第であります。
  139. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 県と市町村との税の配分については勧告はないようですが……。
  140. 小野哲

    説明員小野哲君) この勧告の主文を見ますると、入つておらないようであります。
  141. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 附録では分らんですか。
  142. 小野哲

    説明員小野哲君) 附録がどういうものが出るか、相当詳細なものになるようでありますが、勿論シャウプが各地方に出向いて参りました際にいろいろ意見の交換があつたようでありますが、それらの点が果して取入れられて、おるかどうか、この主文からはちよつとはかりかねる次第でございます。
  143. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 本日出たものを資料を持たないでお伺いしてもはつきりしませんし、附録書が出て又マッカーサー司令部が政府にこの前のように又これを勧告するというような場合もあり得るでしようし、折衝の経過もあるでしようから、本日はこの程度にして次の休会中においても全貌が相当明らかになつた速かな時期において十分研究するような措置委員長において取計らつて頂きたい、こう思うのであります。
  144. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 承知いたしました。尚申上げますか、午前の皆様の御意見で二十六日の通産委員会との連合委員会を申込みまして承諾されました。その日ともかく連合委員会が経つた地方行政委員会を開くことに予定はいたしております。何も変つたことがなければそういうことに計らつておきまして、それから附録書がいずれ今月中には出るという話でありますから、それが出まして、皆さんによく御検討願つた後にその方の委員会は改めて開きたい、こういうふうに思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそういうことにいたしまして今日はシヤウプ再勧告はこの程度に止めます。  尚昨日小笠原君でしたか、お話のありました平衡交付金等に関する規則の問題、それに裁定に関する規則はお手許に廻しました。これについて御質問はございませんか。御質問があれば……。これはまあ一応御研究願うことにして説明要りませんね。
  146. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 まああとで説明をして貰いたいのですが、総務部長会議で聞いた方々もどうもはつきり分らんと言い、間接に市町村に聞くと、尚分らんということが定評になりつつもるような難解な規則のようでありますので、あとで十分研究してお伺いしたい。保留いたします。
  147. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは今日は質問はないことにいたします。
  148. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 この際多少でがらしでありますが、ジエーン台風の災害に伴つて地方税の、これはひとり地方税ばかりじやありませんが、まあ地方財政上におきましては、地方税の減免という問題が従来のところ非常に大きな問題となつてなかなかこれは非常に紛糾を重ねるであろうし、又平衡交付金の交付の問題等につきましても重要な議題だと思うのでありますが、この際参議院の地方行政委員会を現地に移して頂いて、大阪でも京都でも神戸でもいいと思いまするが、災害府県のこうした関係官公吏その他の者の意見を聽取して、現地でどれだけ減免の処置を講じたら妥当であるかという一つの地財及び自治庁などと一諸に現地で委員会を開くというような御配慮か願えないものかどうか。それが最も手取早い問題で、たびたび地方に陳情で地財や自治庁又或いは国会などに多くの足を踏ますよりは、今回政府が災害復旧に対して現地に閣僚会議、閣議に準ずるような会議を二十三日大阪でやるのでありますが、もとよりこれには減免の方法がありますが、これはまあ極く付け足りのようなことになつております。基本的な減免に対する措置等はやはり地行等で、これはよく検討せねばならん問題があろうと思うのでありますが、如何でありましようか、一応お諮り頂きたいと思います。
  149. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今岩木君からこの委員会大阪又は神戸方面、つまり過般の台風で非常な被害を受けた現地に移してその方面の当局並びに方自治庁の当局者など招致してその災害補助金の問題等を審議したらどうだという御提案がありました。これに対して御意見を承りたい。
  150. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 委員会を議事堂以外のところに持つて行くということは形式的、法規的にできないわけですが、岩木君がおつしやるのはそんなものではないと思うのです。実質的に形式から言えば現地に視察に行くということになるのだろうと思うのですが、それは私も大阪の人から特に地方行政委員会でその必要を述べて是非やつてくれるようにというようなことを頼まれておるのでありますか、非常に必要だと思うのです。私今日都市問題会議に行つた報告があれば、それに附随して言おうと思つていましたが、京都に行つて三日ばかりおつたのですが、京都は大阪に比べて割合に軽微だと思いました。併し見ますと同じどこの家でも各戸において多少の被害を受けていないものはないのであります。やはり雨漏りを来し、ガラスが割れたり、瓦が飛んだり相当な被害で、昭和九年以来の台風だつたというお話でありますが、まあ被害地である兵庫県にしても、四国地方にしても和歌山にしても見に行つてやらなければいかんとは非常に思うので、その実質的な意味で勿論岩木さんは言つていらつしやると思います。その意味でそれは賛成です。
  151. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 実はこの問題は、今吉川さんのおつしやつたような御理解が出て参るのでありますが、この委員会からの調査出張ということが議院運営委員会において非常にむつかしいらしいのです。災害の方に関しては建設委員会並びに厚生委員会の方で従来視察に行つておりますので、それで又地方行政委員会から更に出張するということに関して多少難色が起ることと存じますが、衆議院でも同じような問題が起りまして、そういう難色が衆議院の方の議院運営委員会にあつたものですから、雑費はもう貰わない、つまり正式の派遣でなくして、委員会の有志者の派遣ということにいたしまして、派費は貰わないで委員長初め大阪方面を視察したというようなことに聞いております。これは委員長自身から聞きました。そういう方法ならばこれは頗る実行すべきであると思います。そういう程度じや如何でしよう。
  152. 石川清一

    ○石川清一君 特に今度九州を廻りまして感じましたことは、相当の経費を使つて各地を廻るということも大事でありますけれども、東京周辺の府県町村等と連絡をとりまして、委員会の前後に一日ぐらい府県或いは特定の市町村等が緊密な連絡で條件の違つた町村或いは市の実態を内部まで入つて調査するという方式をとつて頂いておりまして、そういうような建前で関西或いはその後における被害地に出て行く。被害地或いはそういう町村と一体になつて実態を調べるという基本的なものを作つておいて出られることが後から問題が起きた場合にも非常にいいのじやないか、こういうように考えます。
  153. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の石川委員の御意見は岩木委員の御意見とまあ関係は多少はありますけれども、別な問題だろうと思います。それでそれは東京周辺に限らず方々の府県、市町村の実態をできるだけこの委員会におきまして機会のあるごとに調査いたしまして、そうして本当に実態を把握することが当委員会としても必要だと思います。それでこれも又地方行政委員会はほかの常任委員会と違つて、地方に出張してその実態を調べなければ本当の審議調査ができないのだということを極力議院運営委員会で従来とも主張をいたして来たのでありますけれども、なかなかその点が各議院運営委員の方には徹底しないのでありまして、地方行政委員だけがしばしば出るというようなことで、特別扱いじやなかなかしてくれないのであります。これはまあ委員会から議院運営委員会の方に出て頂く小笠原君とか鈴木直人君とか、そういう方々の御奮闘を期待をいたすのでありますが、なかなか実情はむずかしい、それでまあ正式に旅費を貰わない調査ということで私は果し得る、こういうふうに考えますが、二つの問題か出て参りました。大阪の方とそれからそう旅費はかからない東京周辺に埼玉とか、千葉とか、山梨とか、神奈川等の府県の実態をこの委員会から調査に出掛けるということ……。
  154. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 この委員会の速記に、旅費を貰わないで行きましようとか、行きませんとかと論議することは如何かと思われるので、基本的に今回のジェーン台風に伴う地方行政、或いは地方財政調査ということで出掛けるか、出掛けないかということの御決定があつて、そうして技術面についてはもうどつちになろうとも決定に従つて出掛けて行くという方向で一つ委員長の御努力が願いたいとこう思うのです。  それから第二の一般の地方行政、財政、治安の調査等に関しては私もこの旅費目当が出なければ行けないのだ、或いは国会議員個人として出掛けて行けば、いろいろ資料の提出を求めたり、広汎にこの調査ができないという憾みがあるというふうな点もまあ考えるわけです。それでそういう点については旅費、日当等の問題を除外してでも委員会の決定或いは委員長の了解があれば、委員会名を以てそれぞれ各委員の必要とする地域の調査が完全にできるような方法をとる手がないものかということを常日頃考えておる次第です。こういう点については一つ委員長においてお取扱い願いたいと思うのです。
  155. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 いや、私も今のような旅費等の問題に触れて聞きたいのだけれども、そういう問題に触れるからというので私的に行つたことがあるのですがね、それで随員の者だけは公式出張にして、自分は公式出張にしないで行つたのだけれども、そういう形式、こちらはまあ多少遠慮したような気持でいるのだけれども、ところがそういう私的な、院議によらざるところの公的出張の形をとらないで行くということはいけない、こういうように又批判する人もあるのだがね。だから旅費といつても僅かな金なんだし、事実上岩期君が主張しておられるようにこの際必要なことなんだと思いますから、やはり正式の出張でできるだけ挙つてこの際被害地に地方行政委員として必要なる実施調査をやるということを一応決めて、その筋で一つやはり委員長に折衝して頂くということでどうですか。委員会としては変な曲り道の筋の違つた決め方をしないで、やはり堂々と要求するものは要求するということにしたらどうですか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  156. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 差当り災害現地では、当面する低利資金の融資だとか、或いは救済緊急費用の要望を政府にいたしているので、続いて起る問題は税金の減免の問題が大きな問題となつて来ることは必至のようであります。特別平衡交付金をめぐつての又いろいろな問題もあると思いますし、現在住民は税金は国税も地方税も引括めで納めんというようなくそ度胸を決めた恰好を皆持つている、こういう現象は非常に由由しいと思いますので、やはりこの際はつきり方針を決めて置かなければ、納税秩序の上においても心理上においても私は大きな問題を将来残すと思いますから、できることならば衆議院参議院の合同の現地会議ができれば尚結構、できなければ参議院だけでも一つ奮発して行つて頂くように是非私は要望したいと思います。
  157. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  158. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。  これで今日は散会いたします。    午後四時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            高橋進太郎君            安井  謙君            岩沢 忠恭君            中田 吉雄君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   説明員    通産政務次官  首藤 新八君    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方財政委員会    財政課長    奧野 誠亮君    国家地方警察本    部刑事部長   武藤 文雄君    通商産業省車輛    部長      森  誓夫君    地方行政調査委    員会議議長   神戸 正雄君    地方行政調査委    員会事務局長  大野 健治君   参考人    自転車振興会常    務理事兼事務局    長       鈴木 茂之君    東京都主税課長 享   仁君