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1950-07-17 第8回国会 参議院 地方行政・大蔵連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十七日(月曜日)    午後一時二十五分開会   —————————————  委員氏名   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            堀  末治君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            吉川末次郎君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            竹中 七郎君            石坂 清一君   大蔵委員    委員長     小串 清一君            愛知 揆一君            大矢半次郎君            岡崎 真一君            九鬼紋十郎君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            佐多 忠隆君            野溝  勝君            松永 義雄君            森下 政一君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            木内 四郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣送付)   —————————————    〔岡本愛祐委員長席に着く〕
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政大蔵連合委員会を開会いたします。地方税法案の審査を行います。本日は岡野国務大臣出席予定でありましたけれども、只今衆議院の本会議に出ております。尚衆議院におきまして地方行政、農林その他四つ委員会連合委員会がございまして、それに出席を要求されておりますので、こちらへいつ上れるか予定が付かないと今言つて参りました。それで今日は地方税法案につきつまして政府委員から要綱説明並びに第七国会におきまして提出されて否決になつ地方税法案と本法案相違点、そういうものにつきまして先ず説明を求めます。
  3. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それでは地方税法案の概略につきましてお話を申上げたいと思いますが、前回大臣から提案理由説明の中で相当詳しく申上げておりまするので、前回の案につきましてはそれぞれ御承知のことと思いまするので、その後今回原案につきまして政府として訂正を加えました点を、中心にいたしまして、お話を申上げたいと思います。お手許に差上げてございます地方税法案修正要綱というのがあると思いますが、修正につきましては、この新旧対象表の赤黒刷りの両案の対象のものもございますが、その外に地方税法案修正要綱というのがございます。これにつきまして大体お話を申上げたいと思います。  今回の地方税法案につきまして、前国会で御審議を頂きました法案に対して訂正を加えました点は、大別いたしますと三点あるのでございます。第一点は、附加価値税実施を一年間延期いたしまして、その代り現行事業税特別所得税を取る、こういう関係訂正が第一点でございます。第二点といたしましては、固定責産税の税率とそれから償却資産評価の点に関しまして若干訂正をする、修正を加える、これが第二点であります。それから第三点といたしましては、提案の時期が遅れました関係で、賦課期日なり納期なりにつきましてそれぞれ訂正を加える、これが第三の訂正点でございます。大体この三点の入つておりまする点につきましてだけ訂正を加えまして、御審議を頂くように提案をいたした次第であります。  先ず第一点の附加価値税実施を一年間延期するという点でございますが、これは諸般の情勢に鑑みまして、政府としては一年間延期いたしたわけでございますが、その具体的な問題といたしましては、八月に入りまして、仮にこの法案国会を通過いたしました場合に、遡つて一月一日からの附加価値を捕捉して徴収し、而もこれは転嫁を予想いたしておりますから、その後において転嫁をいたして行くということは、技術的にも非常に困難でございますし、又従来全然ありませなかつた全く新らしい税でもございますので、準備について万全を期したいというような諸種の情勢を考えまして一年間延期をいたしたような次第でございます。この代りに取りますところの事業税につきましては、どういうふうに然らば調整いたしたかと申しますると、大体附加価値税において予想いたしておりまする税額は四百二十億でございます。事業税につきましてもこれと同様に四百二十億という限度におきまして、これを徴収をするという建前で、先ず第一に税率軽減ということを考えました。それから第二には、課税対象附加価値税と同様にするということでありました。第三には、免税点引上げたのであります。  先ず税率につきましては、普通法人特別法人個人、それから特別所得税の第一種、第二種いずれも一律に、これは法定の府県市町村の本税、附加税を合せました率に対しまして一律に二割軽減をいたしております。更にこの都市計画割というのが、それぞれ事業税特別所得税について現在課せられておりまするから、そういうものを合せまするというと、ここにございまするように、百分の十八というのが個人の負担になりまする現行の率でございますが、それに対して百分の十二まで下げるということになるわけでございまして、大体三割三分の軽減になります。これはいずれも皆法人個人同様でございます。尚事業税電気ガス、或いは運送業というようないわゆる外形標準課税制度をとつておりますものにつきましては、やはり同様に二割の軽減をいたしております。現在は収入金額の百分の二ということになつておりまするが、それを百分の一・六というふうにいたしておるのであります。その点はここに書き加えてございませんが、同様に下げておる次第であります。  それからその次は課税対象でございまするが、これは大体附加価値税と同じように農業、林業を課税除外いたしまして、更に主として自家労力によつて行う原始産業即ち畜産とか水産業のようなものでございますが、これに対しましては事業税を課さないということにいたしました。主として自家労力と申しますのは、年間の労働日数を考えまして、その三分の二を本人並びにその家族等の雇用によらない労力によつてその事業をやつておるというような、主として自家労力によつて行う原始産業、こういうふうに運用をいたして参りたいと、こういうふうな考え方で立案いたしております。それから免税点でございますが、これは現行は四千八百円でございます。これを約五倍方引上げまして二万五千円にいたしまして、これは所得税基礎控除と大体同じような線で抑えておるわけでございます。  それからその次に、市町村民税のことがございが、これは最初に申上げました第三点の、提案の時期の遅れました関係での訂正でございます。即ち賦課期日を、原案では六月一日になつておりましたのを八月一日にいたします。と同時に、納期につきましては、四期のものを三期にいたしました。そうして九月、十一月及び一月の三期にいたしておりますが、これは後刻申上げます固定資産税との調整関係を考えまして、かようなふうにいたしたのであります。二十六年度におきましても同様固定資産税徴収時期との調整を考えておるわけでございます。  それから固定資産税でございまするが、この第一の税率の点でございます。これは標準税率を、原案におきましては百分の一・七五ということでありましたが、これを一律に百分の一・七というふうに引き下げたのであります。これが訂正の最も大きな点の一つでございます。それから二十五年度分の固定資産税税率は、御案内のごとく原案におきましては百分の一・七五の固定税率一定税率を取つてつたのでありますが、これを百分の一・七の仮税率ということにいたしたのであります。仮税率と申します観念は全く新しい行き方でございますが、それは昭和二十五年度分の固定資産税収入見込額が、全体といたしまして五百二十億を取れるか取れないかということを判断基準にいたしまして、五百二十億を大体取れるということであれば、この百分の一・七という税率を来年の一月になりましてそのまま確定する。併しながら五百二十億を相当に上回る、或いは相当に下回るという私共の立案の過程におきましては、相当に上回る、下回ると申しますのは、例えば五百二十億が五百三十五億になり、或いはこれが減つて五百五億というふうになりました場合におきまして、五百二十億取りますために、一・七の税率を或いは一・七五にし或いは一・六五にすることを財政計画上考えております。そして五百二十億の線に収まるようにしようということであります。要するに一応百分の一・七とありますが、その取れ方を見ました上で百分の一・七というものを再検討してそして確定する。そういう意味で仮税率を考えておるわけでございます。この相当に上回るという考え方といたしましては、大体〇・〇五ぐらいな税率移動を生ずるようなものを相当に上回る、或いは相当に下回ると考え、金額で申しまして十五億ぐらいのもので考えて行きたい。それ以下ならば特に変える必要はないと思いますが、それ以上の変動を生ずるような場合におきましては、これを変えるという考え方でございます。併しながら私共の考え方といたしましては百分の一・七、五百二十億ならば殆んど取れるであろう。かように考えておる次第であります。然らばこの五百二十億という数字算定が非常に問題になつて来るわけでございますが、これは法律のうちに書いておりますのと全く同様の言葉で算定方法を書き示しておるのであります。即ち新税固定資産税のうち、土地及び家屋に対して課する部分調定見込額の百分の九十の額と、償却資産に対して課する部分調定見込額の百分の八十の額との合算額とする、更に旧税の地租附加税及び家屋税附加税に係る昭和二十五年度における過年度分制定分及び滞納繰越分収入見込額、これらの新税、旧税の固定資産関係のあります税全部を合算いたしまして五百二十億取れるか取れないかという計算をする。こういうふうにいたしておるのであります。この計算地方財政委員会地方税法執行の責に当るわけでございますから、そこで地方財政委員会地方財政委員会の規則で、この税率を変更する、そういうふうに考えておるのであります。それから(3)でありますが、これは地方財政委員会がこのようにいたしまして、若し税率を変更したというような場合におきましては、内閣国会に報告せよということを規定いたしておるわけであります。  その次は、地方財政委員会が五百二十億という数字計算いたしますための資料の収集の方法を書いておるのでありまして、即ち本年の十二月末現在の固定資産税なり、地租附加税家屋税附加税収入見込額というものを来年の一月十日までに市町村長知事に報告する。知事はそれを取りまとめまして来年の一月二十日までに地方財政委員会に報告する。地方財政委員会はそれを又集計いたしまして、一月中に税率を如何にするかということを決めるというふうにいたしておるのであります。  それからその次は、固定資産評価及び固定資産税納付方法であります。この点につきましても相当大きな修正を加えておるのであります。先づ二十五年度の償却資産に対して課する固定資産税でございますが、これは償却資産に関しましては、前国会におきましても大変御論議があつたところでございまするので、この償却資産価格はこれを仮に決定をいたしまして、来年の九日か三十日までにこれを客観的に決めるということにいたしておりまして、本年といたしましては、できるだけ簡便な機械的な価額決定方法をとることにいたしたのであります。その点は後に申上げまするが、とにかくさような仮決定をいたしました償却資産価格課税標準としまして、今の百分の一・七を掛けました税を本年の十二月、来年の二月に二度に分けて償却資産の方は納めて貰うことにいたしておるのであります。それから来年の九月になりまして、正式に償却資産価格決定いたしました場合におきましては、来年の十二月中にこれを精算をして、或いは可能額はこれを還付し、或いは充当する。足らなければ更に納付させる、こういうふうにいたしておるのであります。そこで問題は償却資産価格決定方法であります。これはやはり建前といたしましては、いわゆる時価によりましてこれを決定するわけでありまするが、その時価の測定の基準といたしまして、ここにございまするような帳簿価格資産評価法規定による再評価額、それから納税義務者の申告した見積り価格、それから更に資産評価法規定による再評価限度額又はそれの相当額の百分の七十の額、この四つ判断基準にいたしまして、償却資産価額はこのいずれの額をも下ることができない、こういうことにいたしておるのであります。これを更に砕いて申上げますと、要するに減価償却基礎になつておりまする帳簿価格なり或いは再評価を行なつた場合の再評価額なり、或いは再評価を行わない場合におきましては、納税者自身の申告した見積り価格、こういうようなものが若しも資産評価法規定によりまする限度額の百分の七十を上回つておりまするならば、例えはこれらの帳簿価格なり再評価額が百分の七十五とか或いは八十ということでありまするならば、それをそのままとつて課税標準にする、こういうことであります。併しこの限度額につきましては、陳腐化等事情のあるものについてはその事情を考慮して定める。これは資産評価法規定と全く同じものを考えておりますから、そういうふうに陳腐化等事情がございますれば、百分の七十という限度額自体相当実情に即するごとく定められると思うのであります。この点において償却資産評価調整一つ考えられております。  併しそれでも尚遊休未稼働資産等につきましては、足らん部分があるであろう、事情が非常に気の毒な点があるであろうという点を予想いたしまして、更にこの百分の七十という額を下す方法を考えておるのであります。これには二つございまして、一つは、地方財政委員会価格決定をいたします場合に、百分の七十を下すという場合であります。一つは、市町村長がこの価格決定いたします場合に、この百分の七十という額を下すという方法であります。前者の地方財政委員会がこの価格を決めますものは例外で、これは御承知のごとくに二市町村以上に亘つて移動をいたしますところの例えば船舶でございますとか、鉄道の車両でございまするとか、或いは建設用の資材といつたようなものであります。或いは鉄道軌道というような二市町村以上に亘つて所在をいたしておりまするような、そういうようなものであります。こういうものは地方財政委員会が直接価格を決めて配分をするわけであります。又いま一つは、大規模発電施設でありますとか、大規模の工場でありますとかいうようなものでありますが、これも近隣の市町村にその価格を配分いたすわけであります。こういうようなつ地方財政委員会が直接決めますところの償却資産価格につきまして、百分の七十の線で抑えるのが如何にも気の毒であるというような事情にありますものにつきましては、納税者本人申請前提といたしまして、百分の七十の額を更に下し、或いは百分の六十五、或いは百分の六十というところで価格決定するということを認める方法を考えておるのであります。これが第一の場合であります。それから第二の場合といたしましては、市町村長価格決定する場合で、これが原則の場合でありますが、この場合におきましても大体この限度額が一千万円以上ぐらいの、事態の重いものにつきましては、市町村長議会議決を経まして、更に地方財政委員会許可を得た上で、この百分の七十の額を百分の六十なり六十五に下すということを認めるようにいたしたのであります。それから限度額が例えば一千万に達しないというような、事態の比較的軽いものにつきましては、地方財政委員会許可を要せずして、地方議会議決だけで市町村長がこれを低く評価することができるというふうにいたしております。このような方法によりまして、償却資産価格決定につきましては、相当実情に即する決定が可能ではないかと考えているのであります。併しこれはいずれも仮にやりますところの決定でございまして、これを更に来年度になりましてから最終的に価格を決めることになるのであります。  その次は(2)のところの二十五年度分及び二十六年度分の固定資産税に限り、免税点は、土地家屋及び償却資産ごとに各一万円とすること。これは原案におきましては、免税点を三万円というふうに引つくるめて規定をいたしておるのでございますが、今申上げましたように、償却資産価格が来年度になりましてから最終的に決定をいたしまするので、途中で動いて参ります。そこで今年度仮に三万円に達しないということで、免税点以下のものとして坂扱つたものが、来年最終的に決定をする場合には三万円を超過する、或いは逆に、一応仮決定の際は三万円をオーバーしておつたものが、来年になりますると三万円以下になる。従つて免税になるというような移動があるわけでありましてその移動土地家屋税額についてまで及ぼすことは如何にも不安定でございますので、従つて各別に免税を点それぞれ計算するといとうことにいたしたのであります。則ち土地家屋償却資産ごとに一万円ずつ、かようにいたしたのであります。  それからその次は、固定資産税納期でございますが、二十五年度分は、土地家屋につきましては八月と十二月と二月、この三回に分けて納める、かように納期を変更いたしました。併しながら償却資産につきましては、その前提として価格を仮に決定をいたさなければならぬ手続がございますので、八月に取ることは困難であります仮決定をいたしましてから取るわけでございまするので、十二月と二月というふうに、二回に分けてこれを取るようにいたしております。  それから二十五年度分の固定資産税を課すべき償却資産及び二十六年度分の固定資産税を課すべき固定資産価格は、二十六年九月末日までに決定をする。二十五年度分の土地家屋につきましては、九百倍の倍率ですでに確定したものとして、これは八月、十二月、二月に取ることになりますが、償却資産は、今申上げましたようにまだ本決りになりません。それから二十六年度分は、土地家屋につきましても九百倍というので一応取りますけれども、客観的にこれは価格決定いたしますから、土地家屋並びに償却資産のすべてにつきまして、価格を新たに決定する必要があります。そこで二十五年度分の償却資産、来年度分の土地家屋償却資産のすべての価格は、来年の九月末日までに決定をする。そうしてこれを台帳に登録して十月一日から十日間、住民の縦覧に供して確定をする、かよういたしております。  それから二十六年度分でございます。これは四期に分けて取りますが、価格決定等関係を考えまして、一番最後の十一月というのを十二月にいたしております。そうして四月、六月、八月は、農地以外の土地及び家屋に対して課する分にありましては賃貸価格の九百倍、一応九百倍という価額でこれを取ります。それから農地につきましては、例の公定価格基礎にいたしまして取るのでありますが、これは千倍に相当する、九百倍に相当するものでありますが、これは公定価格でそのまま確定をしてしまうわけであります。それから償却資産に対する課税分につきましては、前年度の仮決定価格を一応そのまま使つて参りまして、そうして四、六、八は、更に仮納付をさせることにいたしておるわけであります。そうして九月末日までに正式に価格が決まりまするから、それに基きまして税率を掛けて、十二月に清算をするということにいたしておるわけであります。従いましで来年十二月におきましては二十五年度分の清算と二十六年度分の第四期の清算ということが行われるという案にいたしておるわけであります。  以上が今度原案につきまして訂正を加えました要点でございます。その他は極く事務的な点が数点あるだけでございまして、これに盡きるのであります。尚これに関連をいたしまして、地方財政法の一部につきまして、強制的の寄附を禁止するという規定と、それから地方債を起します場合の條件といたしまして、標準税率を超えること二割超過課税をしてはいけないという制限規定を外しまして、標準税率課税をいたしておりまするならば起債をすることができるというふうに制限を緩和しようということでございます。  以上が大体今回の地方税法案につきまして訂正を加えた点でございます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上の説明に対しまして御質疑ございませんか。
  5. 野溝勝

    野溝勝君 二点ばかりお聞きしたいのですが、今の固定資産税の中で、市町村長価格決定するときは、それに対して百分の七十の額の以下にすることができるという、そう具体的の内容はどういうものがありますか。地方財政委員会については分つたのですがね。地方財政委員会の方は、あれは軌道であるとか、発電所とかいうことは分つたのだが、市町村長のあれは例えばどういうようなものです、あなたの考えているあれは……
  6. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 償却資産の中で、先程申上げました地方財政委員会がやりますもの以外は、すべて事業の用に供しまする資産市町村長価格決定することになりまするから、こちらの方か原則でありまして、大体殆んどすべでのものが市町村長決定ということになつておるわけであります。
  7. 野溝勝

    野溝勝君 そうするとですね、市町村長申請をするというだけですね。申請をして、地方財政委員会がそれを認める、こういうのですか。
  8. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 市町村長価格決定いたしますものにつきましては、大体この百分の七十という再評価限度額が一千万円見当ぐらいのもの、その辺で線を引きまして、一千万円以上のような相当価格の重い、高い償却資産につきましては、市町村長から地方財政委員会許可を得てやる。その場合地方議会議決を経た上でやる、それ以下のもの、一千万円に達しないようなものにつきましては、地方議会議決だけで市町村長がこれを下すことができるというふうに考えております。
  9. 野溝勝

    野溝勝君 もう一点お聞きして置くのですが、第五のところですね。これは新聞や何かに出ておらなんだが、これを見ると今度は土地家屋賃貸価格の九百倍、私は農地はこれは外ずされておると思う。ところが農地もこれじややはり課税せられるわけですな。
  10. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 農地につきましてもその通りでございます。
  11. 野溝勝

    野溝勝君 それからもう一点聞きます。最後地方税標準税率ですが、これは従来の私共のときとは違つて来たのですが、地方債に求めることができることになつておるが、地方債の大体枠というものがあるわけです。ただ抽象的にこれを地方債といつても或る程度の限度があると思うのですが、大蔵当局とあなたの方との間における見解は、大体どのくらいの地方債かあるという見通しなんですか、予想は。
  12. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 地方債に関しましては、現存関係当局と話合いが完全についておりまするものは三百億であります。これを大体、三百七十億までの線に引上げるということにつきましては、ほぼ了解を得ておりまするが、政府といたしましては更にこれを殖やしまして四百二千億の線まで持つて行きたい、かように考えておるのであります。御案内のごとくシヤウプ勧告によりましては、起債の漸増を三百五十億というふうにいたしておりまして、本年度勧銀の償還分がそれより更に七十億はございますから、三百五十億プラス七十億といたしまして四百二十億というところまでは一つ本年度の起債の枠として拡げるように努力をいたしたい、かように考えております。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質疑ございませんか。……それでは続いて地方税法案要綱につきまして、大臣の趣旨説明と重複しない範囲において説明を願いたい。
  14. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この要綱相当詳細に書いてございまするので詳しく申上げますと大分時間がかかると存じますので、大体要点を一つ申上げたいと思います。それでは地方税法案要綱というのについて申上げます。第一の目標でありますが、これは大臣の先般の提案理由の中に書いてございますので、要するに今回の眼目といたしましては、シヤウプ勧告基礎にいたしまして地方税の税源を拡充いたしますると共に自主性を強化する。要するに沢山税が取れるようにして、且つ税につきましていろいろの制限を排除して自主性を強化する。これが第一の根本目標であります。第二の点は、そのようにいたしまして国民の地方税負担の合理化と均衡化を図る、これが第二点でございます。そのような目標に従いまして、方針といたしましては、ここにございますように、財産課税の重課、土地家屋の負担というものが、事業に対する負担に比較いたしまして非常に軽いというところから全体の均衡を品つためこれを重課する、或いは流通課税の制度といたしましては不動産取得税の廃止でありますとかいうようなものであります。消費課税の減少、軽減、これは酒消費税をやめますとかいうようなこと、或いは入場税、遊興飲食税の比率を引下げるというようなことかこれに相当することでございます。又所得課税の増加、これは市町村民税資産割、所得割、均等割というようなこの分け方につきましては、資産割を落しますと共に所得割を所得税なり所得額に応能いたしまして課税できまずように所得割を殖やしたという点でございます。又事業課税軽減、これは取引高税や事業税というものを附加価値税というふうに切換えて行くというような意味におきまして事業課税軽減、雑税の整理、現在地方団体の法定外の普通税といたしまして相当多数、百八十くらいございます、これを課しておるのが確か二千くらいの団体がございますが、そういうような法定外の税を根本的に整理をするというふうにいたしまして、全体として負担の合理化と均衡化を図るということが第一でございます。それから課税標準とか税率につきましては、従来国税の所得というようなものを基、礎にいたしまして事業税を取つておるわけでございまするが、そういうような課税標準の選び方につきましても自主的にこれを決定するような、例えば附加価値についで附加価値額というようなものを抑えて行こう、又税率につきましても標準を超過いたしました場合には報告を要するとか、その他許可制等があつたわけでございますするが、そういうようなものを落して、税率につきましても市町村の、或いは府県の自主的決定権を認める、こういうようなことを考えております。更に道府県税、市町村税のそれぞれ附加税の制度をやめまして、税務行政の責任を分離いたしまして明確にするというように考えております。又市町村民税等の、或いは固定資産税というような有力な直接税、市町村の税といたしまして、地方自治の一番基礎でありますところの市町村というものの確立を図つて行く、又特別徴収に関する規定につきまして、例えば遊興飲食税でありますとか入場税でありますとかいうようなものは、それぞれ特別に徴収の便宜を有するものを指定をいたしまして徴収するわけでありまするが、こういうものにつきましては特に特別徴収の証票を交付いたしましたり、又特に申告納入の制度を新らしく設けたりいたしまして、納税秩序を強化いたしてございます。それから税率を、従来すべての税目に直つて書いておりませんでしたが、今度は全税目に亘りまして一定税率なり、標準税率なり、制限税率なり、何らかの税率規定をいたしまして、地域間における負担の衡平化を期して行く、こういうのが具体的の方針でございます。それから税目の配分でありまするが、大体道府県につきましては附加価値税を中心にいたしまして、これに配するに入場税、遊興飲食税といつたようなものを中心に考えております。これは大体市町村に普遍的な税目を選びましたので、府県につきましては多少偏在をしておるようなものにつきましても、全府県の単位で取れるようなものを選んだわけであります。どちらかと申しますと、府県には流通税的な性格の税目を與えておりますのであります。それが普通税でございますが、その外に目的税として水利地域税を考えております。市町村の方は大体直接税的な市町村民税固定資産税というような、この二つを大宗にいたしておりまして、これはそれぞれ各市町村に普遍的にありますようなものを押えております。尚鉱産税とか木材引取税或いは入湯税というようなものは非常に特殊なものでございまするが、これはそれぞれのものの所在する市町村にとりましては引離し難い税源でございますので、これを市町村の方に廻しております。このようにいたしまして府県が七つ、市町村が十、これが基本的な税目でありまして、従来の百十数ありました税目がこのように整理せられることに相成るわけであります。法定外普通税のことをここに書いてありますが、これは地方財政委員会許可を受けて府県と市町村は取ることができるのであります。これにつきましてもいろいろ條件が法律の中に規定してございます。  それからあとは少し簡単に申上げたいと思いますが、徴税手続の合理化のことでありますが、この中で徴収方法とか徴税手続、滞納処分、それぞれ詳細に規定を設けで納税者の理解に便ならしめる。その第二点の過納の地方団体の徴収金がありました場合には、これを還付したり、未納の徴収金に充当いたしましたり、加算金を付ける、百円について一日四銭の加算金を付けるということは、これは納税者の立場を非常に考えての規定でございます。それからその次の滞納処分の場合の国税との優先の関係でありますが、これは従来地方団体が滞納処分といたしまして或る物を押えました場合でも、国税が交付の要求をいたして参りますと、国税に取られてしまう。これは国と地方団体と非常に不均衡を来たすのでありますので、今回は苟くも財産を差押えました場合には、この税に関する限りは、国税、地方税をその立場では同一の立場に置いて早いものがちで優先をする、かようにいなしておるのであります。併しながら破産宣告とか競売等の場合において交付要求かせられました場合におきましては、同じ手続で国と地方団体が交付要求をいたしましても、やはり国税の方が優先するということになつております。この点は尚今後検討を加える必要があると思うのであります。それからその他徴税令書につきましては非常に詳しく、どうしてこの税額が決つたかというようないろいろな点を注意深く規定をして交付しようということであります。大体二の所はそのくらいにいたしまして、次に新たに設ける税目で附加価値税でございますが、附加価値税につきましては、第一種から第三種まで大体従来の事業税所得税課税対象を概ねそのまま持つてつたのであります。ただここにございますように、農業と林業というものを抜いております。これはいずれも土地対象にする事業固定資産の重課ということを考えまして附加価値税課税対象からこれを抜いておるわけであります。  それから課税標準は、法人につきましては各事業年度の附加価値額、個人につきましては歴年の一年間、又は事業の廃止のときまでの附加価値額とするわけであります。そこで附加価値額は何であるかということでありますが、これは要するにそれぞれの事業を経営をいたします者が、原料を買入れまして、そこでこれに資本をつぎ込み労力を加えまして価値を創造し、それに価価を附加した、その附加した価値というものを押えまして、それに課税をするわけでございます。その附加価値額というものの計算方法をここに規定をしているわけでございまして、この点はすでに前国会以来非常に論議のございました点でございますから、特に申上げることもないと思いまするので、この点で御了承願いたいと思います。  附加価値税つきましては、今回実施を一年延期したというだけで、内容的は特に変更いたしておりません。  それから八ページの所へ参りましで、市町村民税でありますが、その市町村民税に関しましても、今回は、先程申上げましたように賦課期日を六月一日を八月一日に変えたというだけでありまして、あとは納期調整しただけで何ら実質的な変更はいたしておらないのでございます。  それから固定資産税に関しましては、今回一番多く修正を加えたのであります。これは先程詳しく申上げましたので、その点をここに書き加えておりまするから申上げないことにいたします。  それから十五ページの現行の税目に左の変更を加えることであります。この入場税でありますが、この点も今回は特に変更を加えておりません。全く前と同様でございます。遊興飲食税に関しましても全く同様であります。入湯税、漁業権税、いずれも同様であります。ただその次の自動車税につきましては、納期を変更いたしておりまして、納期はここに書いてございませんでしたが、確か第一回の納期か四月、八月というようなことになつてつたと思いますが、これを変更いたしまして、第一回の納期が、八月を第一期にいたしまして、十二月を第二期にいたしました。四月、八月というのをそういうふうに変更いたしたのであります。それから自転車税、荷車税、これらの点にきましては、今回特に変更を加えておりません。広告税、接客人税、いずれも同様でございます。大体その後の廃止税目につきましても、勿論変更ございませんし、附則には先程申上げましたように財政法の改正を書き加えたのであります。  大体非常に大ざつぱで恐縮でございますが、以上が今回提案をいたしました地方税法案の大体の内容でございます。尚この外に固定資産税に関する要綱市町村民税に関する要綱附加価値税に関する要綱、この三つを差上げてございます。これはいずれも法律の関係の場所の抜萃をいたしたものでございまして、下の運営要領のところで政令で規定いたしたいと考えております事項を書き加えております。  それから尚この表にいたしました新地方税制案一覧というのを差上げてございますが、これは大体税率なり、課税標準なり、賦課期日というものを総括的に規定をいたしておりまするので参考にお願いいたします。  それからついでに資料の御説明を簡車に申上げますが、数字の方の資料は現在三つ差上げてございますが、尚いま一つ(1)、(2)、(3)、(4)という計数資料を差上げることになつております。これは間もなくお届けけいたす予定でおります。この(1)、(2)はそれぞれこの目次にございまするように、税なり地方財政計画なりにつきましてのものでございます。(3)はこれは專ら税関係の計数資料でございます。それから尚(4)といたしまして、この(3)の要点を抜卒いたしましたのを見易いように差上げる用意をいたしております。  大体以上でございます。
  15. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今までの説明に対しまして御質疑を願います。
  16. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今の鈴木政府委員説明を聞いていますと、その中の言葉に、附加価値税なるものの説明で、先の国会説明したからして簡単に止めるとこういうことが言われております。その言つている意味は分ります。私達はそういうことが一つあるからして、今度この国会に新らしく送り出されてここに参り、そうしてこれは又法案の提出の手続上から言つても新たにここに提案されておる。併し我々も又今の置かれておる立場から、前の関係も知りたいからして公聴会の記録であるとか、特に参議院において廃案になつたのであるから、その反対討論の代表的なものであるとか、そういう参考意見等を資料として欲しいということを私は地方行政委員会の方において要求して置きました。それに対する資料も與えられずに説明のところへ行つて、先の国会において説明したから簡略にするというのは私共は心得難い、従つて改めてその資料を早急に我々のところに提示することを要求すると同時に、新らしくこの法案提案されておるという観点に立つて、特に今後注意して、重大なる問題については時間の節約その他もあるからして、そちらから積極的に十分にして我々をして満足せしめる説明して呉れることを要求、希望して置きます。
  17. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 相馬君に申上げます。御要求のシヤウプ勧告案、それから第七国会における地方税法案に対する公聴会の記録、これは集めております。これは全部が事務局にありませんで、今方々探して集めているので、あります。シヤウプ勧告案の方も今政府に要求いたしましたところが、これも余部がないということで今集めておりますからもう少しお待ちを願います。
  18. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 固定資産税を府県税から市町村民税に移した理由を妥当と思われるかどうかについてお尋ねいたしたいのですが、土地家屋は大体偏在の傾同が少いのですが、償却資産につきましては極めて地域的偏在の多い種種なんであります。こういうものは私はむしろ府県税として保留した方が妥当ではないかという考えを持つ者でありますが、これに対するお考えを承わりたいと思います。尚イギリス、アメリカその他の先進諸国は、この税をどのような団体に配分しておるかということもお尋ねいたしたい。尚固定資産税を府県税から市町村の普通税に移しましたために、工業の発達していません府県におきましては、附加価値税と入場税と遊興飲食税が都道府県税の主体となりまして、殆んど農村といたしましては府県税を納めないということになるわけであります。そういう点では、上から国税、府県税、市町村税と、ずつと個人関係から見ると、税の均衡はとれておるわけでありますが、農民と中小企業者、則ち都市なんかの税の均衡が非常にとれんようになりまして、地方自治体としての府県の運営に非常な支障を来たすと思うのであります。例えは鳥取県なんかにおきましては、さしたる工業がありませんので、農村の人は殆んど府県税を拂わない。然るにも拘わらず県会議員は都市代表より農村代表の方が多くて、その予算の配分についてはその方に持つて行くし、税は納めないという関係から、非常に地方自治体の運営に対して支障を来たすと思うわけでありますが、そういう関係についてのお考えを承わりたい。
  19. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 固定資産税をどうして府県から市町村に移したかというお尋ねでございますが、固定資産税は、従前の地租、家屋税に更に償却資産に対する課税を加えましたこの固定資産税は、やはり地方税の中では市町村民税附加価値税と共に、まあ三大税目と考えていいものと思うのであります。そこで今御意見の中にもございましたが、諸外国等はどう考えておるかということでございますが、大体アメリカ等におきましては、市町村の税源の最も主要なるものがこの財産税であり、大体多いところでは七、八〇%、少いところでも四、五〇%というものがこの財産税に依存をしておるというような状況でございまして、シャウプ勧告の精神におきましても市町村を飽くまでも地方自治の中核と考えまして、市町村を先ず第一義的に強化する。従つてここに四百億の新たなる税源を與えるというようなことから考えまするというと、やはりこの三つの税の中で、どれをどういうふうに分けたらよろしいかということになりますならば、勢い固定資産税というようなものは、府県よりもやはり市町村の方に分けざるを得ないのではないか。少くとも附加価値税市町村に持つて行きますよりは、固定資産税市町村に持つてつた方がむしろ合理的である、かような考え方固定資産税を專ら市町村が取るような形にいたしたのでございます。  それから第二点の農業県等におきまして、工業なりが発達しておらず、又都市の少いような県におきましては、府県に対する税を納めるという割合が非常に少くなるという御指摘は全くその通りでございます。この点は確かに一つの将来考慮しなければならない点と申せばそうだと思うのでありまするが、ただ今回は地方税負担の全体の負担の合理化、均衡化ということを一面において考えておりまして、やはり飽くまでも応能的に全体の国民が均衡のとれた税負担をする、こういう点から考えまするというと、やはりこのようなところで、そのために特別に何か税を考えるということは必ずしも適当でない。地方団体の財政力の不均衡を調和いたしますための方策としては別に地方財政平衡交付金という制度を持つておるわけございまするから、それによつて調整をして行くというふうにまあ考えておるわけでございます。
  20. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 附加価値税実施を一年延期して、それに加えるに事業税を以てしておる。従来の事業税税率を或る程度軽減いたしまして、総額において四百二十億というのは分りますが、併し附加価値税事業税とは、その内容、課税標準は違つているからして、従つて全国のトータルにおいては同額でありましても、各府県別に見ますと、大分でこぼこがあると思うのでありますが、そういう方面に対してはどういうふうに処置して行かれるつもりでおりますか。或いは平衡交付金の配分の基準を変更するというような必要が起つて来るのでなかろうかと思いますがこれに関してお答えを願います。
  21. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ちよつと御質問の趣旨を、或いは誤解いたして申上げるかも知れませんが……ちよつと恐縮ですがいま一度お願いいたします。
  22. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 附加価値税実施を一年延期して、これに代るに事業税を以てする、而して従来の事業税税率を或る程度軽減いたしまして、総額において附加価値税を本年度から実施したのと同額を徴收するということは分ります。四百二十億を目標としておる。然るにそれは全国の総計においてはそうなりますけれども、申すまでもなく附加価値税でも、地方税でも各府県で徴収するのでありますからして、各府県ごとに見ると、可なりでこぼこが出て来ると思うのであります。この調整を図る必要があるのではなかろうか。
  23. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今御指摘の総額において四百二十億を取るにいたしましても、附加価値税事業税とでは、それぞれ各府県の実際の取れる額というものは、まさにお話のごとく違つて来るわけでございます。殊に收益を基礎にするとか、附加価値額を基礎にするということでぎざいまするから、御案内のごとく、まさに違つて来るわけでございますが、これの徴税は、やはり、地方財政平衡交付金におきまして、これをいたすことにいたしております。地方財政平衡交付金は基準の財政收入額と基準の財政需要額とこれを両方算定をいたしまして、その需要額に達しない差額を平衡交付金という形で補填をするわけでございます。この基準財政收入額を測定いたします際には、法定の税目につきまして課税標準をどういうふうに抑え、徴收率をどういうふうにするかということを私共計算をいたしまして、それでやつて参るわけでございます。それで今年度原案を変更いたしまして、事業税を取るということにいたしましたので、若しも事業税を取るという場合におきましては、どういうふうに課税標準を抑え、どういうふうにして行くかということは、今地方財政委員会の方でそれぞれ実際の計算方式を立案中でございます。この法案が若し通りまするならば、それを実施の段階に移して行きたいというふうに考えております。
  24. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 次に固定設備の購入費を一遍に特定支出を立てることについて、大変に論議があつたと思いますが、これも実施を一年延期することによつてその弊害が顯著に現われて来ると思うのでありますが、例えば本年から実施しますというと、本年買收した場合には、全額特定支出になりますけれども、本年から実施せられますと、本年購入したのは将来永久に特定支出に見られないということにもなる。それは全く立て方の根本が、適当でないからだと思いますが、再考の余地はないでしようか。
  25. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御指摘の点は前国会以来非常に御論議のあつた点で、非常に問題のある研究点であると私共考えておるのであります。来年度から施行いたしますとするならば、お話のごとくまさに来年度におきましてそうした附加価値額に対して税率をかけられるわけでありまするから、そうしてその総売上金額或いは特定の支出金額というものを、それぞれ来年度も押えて行くわけでございまするから、本年度の支出額というものは、これを見て行かれない。そこで或いはこれに対して減価償却額と来年度において残します償却額を差引いた残存価額だけでも引いたらどうか。或いはそれを売却いたしました場合に、その部分を売上金額に見ないようにしたらどうかというような調整の案もあると存じまするが、私共といたしましては、やはりその前年の附加価値額を抑えて行くということを根本に考え、又一面今後売却をいたした場合にこれを差引くというようなことにいたしましても、果してそれはいつ買つたものであるかどうか、場合によりましては非常に明確を欠くようなこともございましようし、或いは非常に悪く考えますというと、何か差引くというような場合にはこれをわざわざ売つて買直すというようなことも考えられまするし、いろいろ考えまして、私共といたしましては、現在提案をしてございますような、その点について何ら措置をしないという形のものが一応適当ではないか、かように考えておるようなわけであります。
  26. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 次に銀行案とか、無盡業につきましては、経過的に一年特別の課税標準算定を用いておりますが、これは一年実施を延期しても尚こういうことを認める必要があるのでありますか。
  27. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 附加価値算定の特例を運送業でありますとか、銀行業、要するに金融業等につきまして認めておるわけでございますが、これはやはりその業態の性格から申しましても、非常に人件費の特に多いようなものにつきましては、若干の負担の軽減調整を図るというような考え方で、ただ一年間の特例として原案においても残しておつたのでございまするが、一年実施を延期いたしまして、準備につきましては万全を期し得られると存じまするが、やはり負担の軽減につきましては、原案を初年度においてはそのまま維持して行きたいというような考え方から、二十六年度につきましては、同様にこれを認めるということにいたしたのであります。併しこれは飽くまでも本来の附加加価値の算定方法の選択でございまして、従つて私共としてはこういうものを残しましても、左程大きな不均衡はない、かように今考えておる次第であります。
  28. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 最後に今の問題に関連しまして、地方財政に関する参考計数資料の中にありますが、附加価値税と取引高税、事業税事業税及び特別所得税との税額に関する比較を見ますと、他の種目は大体附加価値税の方が軽減になつておりますが、農業協同組合に対する附加価値税は非常に増額になつております。従つて今の銀行、保險、無盡に対する考慮が適当とするならば、やはり農業協同組合方面に対しても同様の考慮をする必要があるのではなかろうかと考えまするが、この点は如何でしようか。
  29. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御指摘の点はまさにこの表にございまするように、二、四九倍ですか、そのくらいになつておるわけでございますが、農業協同組合に関しましては、附加価値税算定の方式の中に公益事業と申しますか、そういう方面に農業協同組合がその経費を支出いたしました場合におきましては、その部分を特定の支出金額として附加価値額から控除することにいたしておりまするし、又更に農業協同組合がその事業分量等に応じまして、組合品に配分いたします分配金等に対しましても、これ又特定の支出金額から控除するというようなこともいたしておりまして、そういうことによつてやはり或る程度の負担の軽減が考えられておると思うのであります。又同時に農業協同組合を構成いたしておりまする個々の農家につきましては、附加価値税を全く、單に従来のように所得だけでなく、農業につきましてこれを全然取らないというような形にもいたしておりまするし、かれこれいたしまして農業につきましては、二十四年度に比較いたしまして大体六八%、七〇%くらいの程度の税負担にしかならないような相対計算になつておりまするし、個別的に農業者の所得に対する税負担を考えましても、これは商業者、工業者或いは勤労者に対しましてより、とにかく一番負担の軽減が行われておるような状態でございまして、そういう点から考えまして、農業協同組合自体には或る程度の課税は止むを得ないと思うのでございますが、一方その構成員に対しましても負担の軽減を考えておるというようなことをかれこれ考えまして、その附加価値税だけをとりますると、そのような形になつておりまするが、全体的にはやはり軽減されておる、かように私共は考えておるのであります。
  30. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 地方財政委員会に出された大臣の提案理由説明を見たのですが、これを拜見しますというと、この前の国会におきまして一体どういう点が国民のいわゆる代表である国会において反対されたかということが少しも謳つてなくて、ただ簡單にまあ地方財政の成立が遅れたから又改めて出したと、こういうようなことを言われておる。結局今回出されたこの法案の根本趣旨というものは、一体国会において、非常に税負担が高いので、それを修正するためにああやつて反対されたというところを取入れたのか。或いは取入れなかつたのか。その点事務的の方の立場から一応御見解を承わつて置きたいと思います。「しつかり答えて下さい」と呼ぶ者あり)
  31. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の負担が多過ぎるから軽くせよという趣旨と、前国会の論議をどの程度考えたかということでございますが、これは先程来御説明申上げましたように、固定資産税につきまして、先ず標準税率を一・七五というのを百分の一・七に〇・〇五だけ落しておるわけでございます。それから二十五年度につきましては、特にこの五百二十億というふうに固定資産税の総額を計算しておるのですけれども、償却資産等については恐らくもつと沢山取れるのではないか。従つて五百二十億の税收を確保するためだけならば、もつと税收を得られるのではないかというような御論議があつたかと思うのでありますが、そういうようなことも考えまして、財政計画上考えておりまする五百二十億というものをめどにいたしまして、五百二十億以上取れるならばこれは更に一・六五なり一・六以下に下すということもこの案としては考えておるわけでございます。従つて固定資産税に関しまする限りは、財政計画上の要求に完全にマツチいたしまするように、又これ以上は決して取らないように調整を図つておるわけでございます。これらの点におきまして、負担軽減につきまして政府としてはできるだけのことを努力いたしたような次第でございます。
  32. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今の答弁中、固定資産税が收入においては実際において三%だけ切下げられた。一・七五から一・七に下つたのですから一・七五から見れば三%の切下げです。それは金額にしてとれだけの切下げになるか。それから又あなたの方から提出された地方財政に関する参考計数貸料の中の(3)の改正前後の地方税收入比較表を見ますというと、改正前が千八百四十八億です。改正後においては千九百八億です。六十億も殖えておる。これで以て軽減をするような方策をとられたということは、これは正反対の結果を生じておるとしか考えられないのですが、この点について説明して貰いたいと思います。
  33. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の〇・〇五%だけ固定資産税税率を下げ得ることによつてどれぐらいの税額金額上の違いが出て来るかということでございますが、これは大体十五億見当であろうと思います。  それから今の表につきましての御指摘でございますが、二十五年度が、この新らしい税法案を施行いたしましたと仮定いたしますと、千九百八億でございまして、若しも現行地方税法をそのまま継続して参りますというふうに仮定いたしました場合に取れますものが千八百四十八億なのであります。私共といたしましては、国税、地方税全体を通じまして大体三百億余の減税になるということを考えております。国税において約七百億減税いたしますが、地方税において約四百億増税いたしますと、大体差引三百億の減税ということになるわけであります。従つて国民の綜合的な負担といたしましては軽くなると、こういうことを申しておるわけでありまして、地方に関します限りは、これは来年度は、ここにございますように、昭和二十四年度は千五百二十四億の税收入が見込まれるのでありますが、それに対して千九百八億でございますから差引大体三百七十四億余の増收になるのであります。この増收は專ら市町村にこれを與えるという形にしておるわけでありまして、これは従来からの市町村の財政の窮乏を救い、又シャウプ勧告の線に基きます地方自治の確立を期そうと、こういうためにさようにいたしておるのでございます。
  34. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと結論において、第七国会に出された地方税法案と、今回出された法案との、実施された曉における相違というものは、むしろ殖えておるというだけであつて一つも減少されていないと、こういうふうに我々解釈していいわけですね。
  35. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この地方財政全体の計画といたしましては、只今御指摘のごとく何ら変更いたしておりません。今の固定資産税が余計取り過ぎるであろうという、その御心配からの見地に立つた修正をいたしておるわけでありますが、これはやはり五百二十億という数字は前のままで押えております。又事業税附加価値税を切換えましたけれども、これはやはり附加価値税と同じように五百二十億といたしておりますが、全体としては変りはありません。
  36. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に平衡交付金の交付は実質的に大分遅れております。実際的に最近漸く平衡交付金が地方に廻つて来た。その間における地方財政のいわゆる借入金といつたようなもので賄つておる実費等についての、政府における将来の負担をどこに帰属させるか。そういう点は現在どんなふうになつておりますか。
  37. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この地方税法案が不幸前国会で成立をしなかつたために、現行税法につきまして随時税的なものはそのまま徴收を認めますが、新税に切り換わるような、或いは根本的に改正しておりまするものは一時徴税を停止しておるわけでありますか、そのための臨時措置といたしましては、政府では四月に、第一四半期におきまして地方財政平衡交付金を四百億、それから短期融資を二百億、合せて六百億を考えております。その外に長期債として四十億のものを考えております。第一四半期はそのようなことで大体財政計画上は辻褄が合うようにいたしております。第二四半期におきましては、七月に地方財政平衡交付金を二百十八億出すことにいたしておりまして、これはすでに手続を運んでおります。それから更に短期融資といたしまして、八月、九月に九十億ということを予定いたしております。これはまだ関係方面と短期融資の点につきましては最終的な決定になつておりませんが、そういうふうに考えております。これらの臨時的な措置によりまして、それから第二四半期におきましては、向長期債を百十億考えておりますが、これらの金融措置、並びに財政平衡交付金の暫定交付金よりまして、大体全体の財政計画として辻褄が合うようにいたしておるのでございますが、何分一万有余の地方団体でございますから、必ずしも痒いところに手が届くようなことに行かないので、御指摘のような点は、或いはあるかと思いますが、政府といたしましては、地方財政委員会と連絡をしまして、支障がないように努力して参りたいと、かように考えておるわけでございます。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 油井君に申上げます。只今御質問の点は地方財政委員会の第七国会の継続審査で一応政府から表を取つております。それは古くなつておりますから、新たに取直して皆さんのお手許に廻すことにいたします。五月十一日現在のがございます。最近のものを調べて出して頂きたいと思います。
  39. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の資料でございますが、それはお手許に差上げました中にあるのでございます。それは十八頁ですね。(「どの貸料ですか」と呼ぶ者あり)この地方財政に関する参考計数資料の(2)の十八頁のところに地方財政第一四半期及び第二四半期月別收支状況調というのがございます。これで申上げますと、歳入の方が、平衡交付金が総額千五十億円、四、五月二百億、六月百十八億、合計三百十八億というのが当初の計画であります。地方債が四十億であります。これが元の計画であります。歳出の方はその下の方にございますが、計といたしまして第一四半期は千二百四十八億、この千二百四十八億と、今の歳入計の九百六十六億との差額の二百八十二億が不足いたしまするので、その措置といたしましては、八十二億の平衡交付金、短期融資を二百億、そうして二百八十二億出しまして、過不足を消すと、こういうことになるのであります。これを引くるめて申上げますと、本来の計画は平衡交付金三百十八億、追加があつて八十二億、合せて四百億であります。それから短期融資が三百億、それでさつき申上げましたような数字になるわけであります。
  40. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私の質問の半分は分つたのでありますが、残りの半分ですが、この交付金の交付が遅れているために、地方では利子の負担等において相当悩んでおる。その利子の額はどのくらいになつておるのか、或いはその負担はどういう方法で以て処理するか、この点を更に一つお聞かせ願いたいと思います。
  41. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この短期融資の関係でございますが、第一四半期、第二四中期を合せまして二百九十億あるわけであります。これは年度内に無論償還をするわけでありますが、仮に六ヶ月ぐらい借入れて置くというようなことで計算をいたしますと、十億前後ぐらいになるのではないかと考えておりますが、この短期融資の利子と申しますか、利子の財源措置につきましては、これもこの御参考の十九頁の3のところでありますが、ここに「前項の短期融資に依る地方団体の利子負掛に伴う地方財政需要の増加に対しては、別途必要な財源措置を講ずること。」こういう点政府としては方針を決定しておりまして、今これの具体的措置を如何にするかということを研究中の次第であります。
  42. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次にもう一点承わりたいのは、第七国会地方税法案が廃案になつた結果、まあ政府與党の方では地方財政に非常に影響を反ぼし、これは野党の反対によつて非常に迷惑を被つたのだということを頻りに言つているのですが、今まであなたの御説明を聽くというと、何らそういう点は懸念なく措置されておつた、こういうふうに聽かれるのですが、この二つの食違いはどういうところに現われているのですか。これは或いは大臣に聽いた方がいいのかも知れませんけれども、事務的にそういうことがあり得るかどうか。
  43. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ちよつと御質問の趣旨が……
  44. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 趣旨は要するに地方税法案が参議院で反対されて成立しなかつた。そのために地方の財政は非常に苦労をしてやりたい仕事もできなかつた。そういう点について地方財政の衝にある人々から、我々参議院で反対した組は非常に非難を被つた。ところが政府側においてはあの選挙中においても決して、まああなたが今おつしやつたように、迷惑のかからないような措置をしたということは聽いていないのです。ところが今あなたのお話によつてみると、何にも支障なく今まで来ていると、こういうのです。大変その間食違いがある。
  45. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の点でございますが、これは何と申しましても、この短期融資ということは結局年度内に償還をいたさなければならんものでありまして、地方団体としてはそれを貰いきりになるものではないのでありますから、これを返さなければなりません。従いましてやはりこの地方税全体として速かに徴收し得る状態に置いて頂くということが、根本的な解決の要点でありまして、この点は大臣の提案理由説明の中にも、これは如何にも止むを得ない暫定措置であつて事態の根本的解決はどうしても新地方税法案の速かな成立をおいては、外にこれを求めることができないのである、ということを大臣も申上げておる次第であります。私共といたしまして、一応辻褄は合つておりまするけれども、今の場の辻褄を合しているというだけであります。今後の問題といたしましては、どうしても一刻も速かにこの地方税法案を通過さして頂きたい、かように考えている次第であります。
  46. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 どうも今の説明は納得いかないのですが、これから先は大変懸念されるような話ですが、すでに四月から今日までの間に相当の支障があつたかどうか、あなたの先程の説明では何ら支障なく地方財政は行つているというふうにしか聞こえないのです。その点はどうなんですか。
  47. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今日に至りますまでの間におきましても、先程ちよつと申上げましたように、全体の中央の財政計画といたしましては辻褄を合しているわけでございまするが、例えば短期融資の借入の問題といたしましても、地方団体としてはそれぞれ所定の手続を踏まなければなりません。従つてそのためにいろいろ時間がかかるというようなことで、借入れらるべきものも借入れられないというようなことで、やはり現実には数多くの市町村でございますから、非常に困窮をしているものが相当ある、かように考えております。
  48. 相馬助治

    ○相馬助治君 鈴木政府委員一つお尋ねしますが、一昨日の本会議で岡野大臣が、今度提案された地方税法案国会において成立しなかつた場合にはどうするのだという同僚岡田議員の質問に答えて、そのときには何らかの方法で善処するという意味の答弁をしておる事実をあなたは知つておりますか、知つておりませんか。
  49. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私はその時には遺憾ながら議場におりませんので、そのお話は伺つておりません。
  50. 相馬助治

    ○相馬助治君 甚だ大事なことを不勉強であることを遺憾としております。そういうことを言つております。そこでこれは前に、成立していなかつたときには地方財政平衡交付金の六百二十億を概算交付したり、それから不足資金については大蔵省の預金部より短期融資をして暫定措置をやつております。でそれに類するようなことを、いわゆる大臣のいう善処するという具体案をあなたの方では事務的な立場からどういうふうに考えておられるかどうか、その内容について予めお聞きして置きたいと思います。
  51. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 私共事務当局といたしましても、今度の国会におきましては何といたしても一つ地方税法案を通過さして頂きたいという念願に燃えておりまして、まだ事務的にはそのような事態の場合に処します方法としては何も考えておらないのであります。
  52. 相馬助治

    ○相馬助治君 その念願に燃えておることは非常にまあ御自由であり結構でありまするが、現実の問題として私共の承知しておりますることは、前の国会において成立しなかつた、即ち議員諸公がこういう法律案ではいけないとして、そういう結論に達した、その反省の上に立つて政府は今般の地方税法案提案するものと我々は了解していた。(「その通り」と呼ぶ者あり)ところが現実には只今同僚油井議員の質問のように、そういう反省の上に立つていない、従つて私共といたしましてはこれが不成立に終るということは單なる杞憂でなくて十分考えられる。それで賢明なる主管大臣は、その場合に善処するとこう言つておるのであるからして、私は大臣がいる場合において再び大臣に対して質問すると同時に、事務当局に対して質問する用意を持つておりまするが故に、十分なる準備をされることを要求して置きます。  次に私の聞きたいことが一つ、この教育財政の問題について本日は大蔵委員の方もいらつしやるので、関連しておると思うのでその点を一点事務的の面からお尋ねして置きたいと思います。今度の改正法案によりまするというと、義務教育費というものが全額地方財政によつて賄われることに相成ります。でこれは現在の日本の置かれておる地方財政の現実、教育の現実、この二つの上に立つてこの地方財政に賄わせることによつて我々は教育の機会均等、即ち憲法に謳つておるところの教育の機会均等が破れるという見解に立つておるのでありまするが、これについて地方自治庁においてはどういう見解を持つかということを基本的に先ず一つお尋ねいたします。その理由は、どうあつても各県がこれは財政の面から不統一になる。そうして現実には市町村においては負担でき得ない限界にまで達することが、その特殊な、曾て貧弱町村というような言葉で言われた村においては現われることがはつきりしておる。そういう観点からあなた方はこの問題をどう考えるかということを一つお聞きしたい。  第二は、新らしい財政計画によるというと、この教育費を市町村に何%賄わせる、府県に何%賄わせるということを具体的にあなた方は指示する用意があるかどうかということ、指示する用意があるとすれば、大体府県に何%、市町村に何%これを持たせるというふうに考えておられるかどうかを、数字の上から御説明願いたいと思います。  第三は、この提案理由を見ますというと、従前地方民が寄附金のために苦しんでいたその状況を打破すると、こういうふうに謳つてあります。ところが現実の問題としては、教育の人件費その他は法律的にはつきりして参りまするが、いわゆる経常的経費、内容的に申しますれば校舎の維持費であるとか、教材、教具、校具等の修繕、購入費であるとか、或いは特殊なものとしては給食に関する設備であるとか、こういうものに対して地方自治庁としては財政の面から監督的な措置をなさる用意があるかどうかということ、則ち市町村にこういうことを勝手にするものはしろ、しないものはしないでよろしい、即ち場所によつては寄附金によつて賄うことを許すという、そういう放任的態度をとるかどうか、これが質問の第三点。  第四点は、六・三建築費です。この六・三建築費はこれは前の国会においても自由党と言わず、国民民主党と言わず、社会党と言わず、これは超党派的に現在の六・三建築費というものは殆んどが地方民の強制寄附によつて賄われておるという現実を打破しなければならないということが言われて来ております。政府においても二十五年度から二十九年度にかけてその半額は起債によつて、又半額はこれを政府の交付金によつて賄うという態度を以て来られて、本年度においても補正予算において十五億、本年度の一般予算で四十五億、合計六十億というものがここに計上せられておるという事実を私共は知つておりまするが、今後この問題は計画通り地方税法案が成立すると否とに拘わらず、六・三建築の費用というものを政府が賄つて行く用意があるのかどうかということ、こういうことについてお聞きいたします。尚具体的にこの教職員の定員に関する費用その他のことがありまするが、これは非常に細かいことになりまするので、これは私は地方財政委員会の方で別途質問したいを思いまするが、以上四点について鈴木政府委員の御答弁をお願いします。
  53. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 義務教育費の関係について今後の運営が一体どういうふうになるか、貧弱町村等におきましてはいよいよ教育費の支出というものが窮屈になりはしないかというような趣旨の御心配が第一点であつたと思いますが、この点に関しましては地方財政平衡交付金におきまして教育費測定の一つ対象として確保いたしておりまして、児童数なり学校数、学級数というような三つの測定の尺度によりまして、教育費の算定をいたすことにいたしております。これの具体的の算定の方式その他につきましては地方財政委員会で研究中でございまして、これは文部省とも勿論打合せをいたしまして、最終的に決めることになると思います。従いまして仮に貧弱町村でございましても、教育費につきましては最低の基準は維持され得るであろう、かように私共は考えておるのであります。  それから教育費につきまして、府県と市町村との割合をどうするか、どういうふうに考えるかということでございます。これは今御案内のごとく、市町村の教育委員会というものは昭和二十七年までに設置せられることに相成つておると存じますが、今年なり来年なりそれぞれできて来るわけでありますが、その場合に一体教員の俸給というものを現在府県が負担をいたしておりまするがごとく、そのままの形態を持続して行くか、或いはこれを市町村の負担にするかということで、府県と市町村に対する財源の配分の問題につきまして、非常に大きな振り変りがあるわけであります。教育費は今極く概略申しまして七百億くらいあると存じますが、そのうち教員俸給が大体五百億見当ございますから、これが現在府県負担になつておりますものが、仮に教員の俸給をすべて府県から市町村に移すということになりますというと、五百億の財源を府県から市町村に廻さなければならないというような結果になります。これはまだ今後の研究の問題でございまするし、又地方行政委員会におきまして、この問題につきましても事務の配分の一つの問題として今後検討を加えられると思います。そういうような結論を得ました上でございませんというと、この府県と市町村との間の教育費の最終的な配分というものは困難であろうと思いまするが、只今のところは今ちよつと概略申上げましたように、教員俸給の五百億は大体府県の負掛、後の三百億は市町村の負担、こういうふうにまあ極く概略数字を申上げておきたいと思います。  それから寄附金の問題でありますが、強制寄附につきましては地方財政法の中に今回この点を書き加えまして、強制的な寄附は建前としてこれをやめるようにという趣旨を表わしておるわけでございますが、これは何と申しましても地方財政法は、地方財政運営の根本方針を規定した法律でございまして、従つてその通りやらないから直ちに然らば罰則が働くというような形のものではございません。地方議会なり或いは市町村長なりの地方財政運営の心構えを規定したものでありまして、そういう法律の中に強制的な寄附金を禁止する、こういう規定を書き込んで貰いたいと私共は考えておるのであります。これを然らば現実の問題として強制寄附を一切加えてしまつて、そのために市町村の財政が成り立たなくなりはしないかということでございますが、これは全体の財政計画におきましても四百億の寄附金のうち、強制的な形の寄附金の三百億というものはこれを予算化し、税の中に取り入れておりますので、私共といたしましてはこれも極く総括論でございますが、強制的寄附金の制度を、建前として廃止いたしましても差支えないのではないか、又そういうことは考え方としては望ましくないのでありまするから、このような税に代る寄附、代税寄附というようなものはやめたい、かような考え方を持つております。そのため特に又財政上支障がないであろう、かように期待しております。  それから第四番目の六・三制の建築費の問題でありますが、これは今後の問題とも存じますが、文部省、大蔵省等の政府部内におきましては更に研究をいたし、できるだけ地方財政の需要に即応いたしまするように考えて行きたい、かように考えておるのであります。
  54. 相馬助治

    ○相馬助治君 答弁の趣旨が大体分りましたが、ただ一点だけ改めてお聞きしておきます。というのは、この地方税によつて教育財政を賄つても、現実の問題として貧弱町村と雖も教育の機会均等の原則が破れるようなことはない予定である、こういうふうにおつしやつております。というのは多分この地方財政平衡交付金によつて調節を計るからだ、こういう意味だと了解いたしますが、さようですか。
  55. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の点は正にその通りでございます。
  56. 相馬助治

    ○相馬助治君 それならばお聞きいたします。御承知のように地方財政平衡交付金は千五十億と私は了解しております。只今鈴木政府委員説明を聞いても分る通りに教員給だけ五百億と鈴木政府委員は言つておりまするが、これは五百二十億です。五百二十億かかつている。これを別途文部省が出しておりまする基準に照らして定員を埋めて参りまするというと、概略でなくて七百八十億の金が必要であります。そういたしますというと、数字の問題から見て千五十億の地方財政平衡交付金を以てしては十分なる調節は到底不可能である、従つてこれは一歩進めて教育費は何らかの形において平衡交付金を紐付きにするとか、具体的に申しますると、先の国会でも問題になつたかに聞いておりまするいわゆる標準義務教育費確保に関する法律案という、そういう法的措置を行う意思ありや否や、即ち千五十億の地方財政平衡交付金の操作によつて十分であると思うかどうかということが一点と、それから進んで法的に平衡交付金を紐付きにするか何かして教育の機会均等を飽くまでも保持したいという用意があるかどうか、この二点についてお尋ねいたします。
  57. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先般政府におきまして用意をいたしました標準義務教育費確保に関する法律案、これを如何ように考えるかということでございますが、この点につきましては、政府としては目下検討中でございます。又これに代る考え方として地方財政平衡交付金につきまして何らか、紐付きと今仰せになりましたが、そのような措置を考えるかどうかという点のお尋ねでございますが、この点につきましても、第一の問題と関連をいたしまして、政府としては目下如何ようにいたしますか研究中でございます。
  58. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 第一番目に平衡交付金の概算交付についてお尋ねいたしたいと思います。六百十八億の平衡交付金が概算交付されていますが、これは平衡交付金の交付規則によつて出されたものと思いますが、ここにも交付の基準額が示してありますが、我々といたしましては相当額出ておると思うわけであります。そこで選挙に際して政治的な立場を有利にするために必要以上に出されていはしないか、或いは行政庁が自主的な立場をとられまして、法の示すところによつて出されたかどうかという点についてお尋ねいたしたいのであります。ここにも書いてありまするが、第一種、第四種の納付金と、それから平衡交付金制度が創設されたために、補助金がなくなつたからその額を出すというように規定してありますが、そこに私は問題があるのではないかと思うわけでありますが、その点で、政治的な立場を離れて、行政的の立場を強く打出されたかどうかという点について一点お伺いいたしたいと思います。それから地方税中の法人税についてお尋ねいたしたいと思います。御存じのように国税におきましては、従来ドイツのような立場をとりまして、法人と株主を二つに分けて、両方に課税しておつたわけでありますが、シャウプの勧告によりまして、イギリスのような立場をとりまして、法人と株主は同一の担税主体であるという立場をとつて、非常に法人所得税軽減されています。ところが今度出されました案によりますと、地方税においては百分の十八から百分の十二に、非常に減額されています。更に住民税におきましても、均等割だけで非常に上から下に至るまで、一貫して減税されているわけでありますが、平衡交付金が千五十億の枠といたしまするならば、そういうふうなものが非常に減額されたものは撥ね返つて一般の住民、法人の少いところの農山漁村を主体とする府県に転嫁されるというようなことはありませんでしようか。その辺の関係を承わりたいと思います。  それからもう一つは、固定資産税の内訳を、分つていましたら今日でなくても結構でありますからお伺いいたしたいと思うわけであります。固定資産税は五百二十億でありますが、農地に幾ら、家屋に幾ら、償却資産に幾らというような内訳を一つお示しして頂いたら結構だと思う。  それからもう一つ忘れましたが、平衡交付金の概算交付について、千五十億のうち六百十八億交付されたわけでありますが、残りの額を各府県別に、一つ分りましたら大体のところを、本日でなくても結構でありますからお示しして頂きたいと思うわけであります。
  59. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 最初の交付金の配分の方法でございますが、これは御心配のごとく、何と言いますか、行政的立場と政治的立場を混淆いたしましたようなことは、全然ない筈でございます。地方財政委員会がその責任を持つてつておるわけでございまして、むしろこれは超党派的な委員会が処理しておるわけでございますから、御心配はないであろうと、かように考えておる次第であります。  配付の基準は正に法律に書いてありまする通り、前年度の配付税の額と、それから平衡交付金の中に繰入れられました補助金、こういうようなものとの按分によつて出しておるわけでございまして、機械的にこれを彈き出しておるわけであります。従つて特別な取計らいをするというようなことは全然ございません。  それから法人につきましての課税の基本方針は、只今御指摘の通り、法人はやはりシャウプの精神といたしましては、飽くまでも一つの手段であつて税は個人に帰属したところで抑えるとうい建前でございまするので、今御指摘の通りでございまするが、法人につきまして特に附加価値税を下げたというわけではございません。これは法人でも個人でも同じように、同じ基準を考えるわけでございまして、全体として負担が軽減されることになるわけでございます。又市町村民税の均等割の点でございますが、これはシャウプ勧告におきましては、法人に対しては均等割をかけないような勧告がなされておるわけでございます。併しながら私共といたしましては、法人に対しましては所得割が今度なくなりますから、それだけ非常に実は負担の軽減になります。約従来の市町村民税に対して一割乃至一割五分くらいの負担で済むことになる。均等割だけですとそういうことになるのでありまして、それ以上に更に均等割までやめるということは、余りにも負担が楽になり過ぎるということと、又地方税は法の原則と同時に、地方団体から受けておりまする各種のサービスに対する反対給付というような受益原則をも考えて行かなければなりませんので、そういう見地から少くとも法人事業をいたしておりまつる以上は、その事業分量に或る程度応じた建前の均等割ぐらいは出して貰つてもいいのではないか、かたがた市町村民税に期待しまする税額の上から申しましても、これを取りませんと非常に額が少くなりますので、法人につきまして特にシャウプ勧告と違いまして均等割は取る、こういうふうにいたしたようなわけでございまして、法人にだけ従つて特に考えておるということではないのであります。そのために農村の一般住民に対する負担がそれだけ重くなりはしないかということでございますが、この点につきましても、農業につきましても、或いは林業につきましても、附加価値税としては免税を考えておりまするし、全体として今回は負担の均衡化、公平化を考えておりまするので、先ず私共としては御心配のような点はあるまい、かように考えておるのであります。  それから第三点の固定資産税の内訳でございますが、これは只今差上げました大きな表の中にそれぞれ詳しい数字が出ておるのでございます。このローマ字の四のところに固定資産税に関する調というのがあります。一番上の目次のところを見て頂きます。ここの中に今お尋ねの数字がございまするので、それを見て頂きたいと思いまするが、大体概略を申します。土地に付きまする税が二百八億、家屋がやはり同額、償却資産が九十九億でございますか、それくらいの数字になると思つております。  それから交付金につきまして、最後の質問はどういう……。
  60. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 交付金の残りの各府県別の……
  61. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は実は八月三十一日までに交付金の額を地方財政委員会決定いたすようになつております。従つてその額が決定いたしませんというと、あとどれだけやるかというようなことが分らないわけでございまして、只今はちよつとその資料は提出することが困難でございます。よろしくお願いいたします。
  62. 野溝勝

    野溝勝君 只今の中田さんの質問とさつきの相馬さんの質問ですね。これは政府委員一つ注意を項きたいと思うんですが、この平衡交付金の問題その他預金部資金ですね、心配のないようにするということを地方財政所管の大臣が言つたんですよ。あなたはあとの平衡交付金の処置その他が分らんという状態でしよう。かような無責任なことを大臣がああいう本会議の席上で言うに至つては誠に我々としても迷惑です。ですからこの点も本当に平衡交付金を一千五十億以上に殖す用意があり、平衡交付金法を改正する用意があつてさようなことを言うのか、或いは大蔵当局との間に何かの緊急的財政措置を講ずることに話ができておるのか、こういう点を十分話合つて見ないとあなたのような事務的の答弁と、ああいう正式の答弁と食い違つては誠に我々は審議の上に迷惑ですから、この点をはつきりお願いいたしたいと思います。
  63. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御注意の点は十分拜承いたしましたが、御趣旨は大臣とも十分連絡いたします。私も大臣からのまだじきじきの話を伺つておりませんので、大臣が如何ようにでも考えよということであれば或いは又考えまするけれども、只今のところはまだ……、昨日も議場にい合せなかつたような状態でございまして、特にまだ話をしていないような状態でございます。
  64. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ちよつと申上げとます。鈴木政府委員は三時半に総司令部に出願を命ぜられておりますので、それで政府委員といたしまして、地方財政委員会の事務局長荻田政府委員が参つておりますので、地方財政委員会関係につきまして、荻田氏に御質問をお願いいたしたいと思います。
  65. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は極めて簡單なことで事務的なことを一つお聞きしておきたいと思うんです。それは地方税法案の不成立に伴う地方財政善後措置に関してのことでありますが、その第一点のいわゆる暫定的な短期債を以て、短期債を地方団体に融資して、そうして今やつておるわけでありますが、これに対するところの利子の補助その他につきましては、別途必要な財源措置を講ずるという閣議決定があるという先程の説明によりまして、期待を持つて了承いたしておるのでありますが、更にもう一つ現実の問題といたしまして、先般私と三木治朗議員と二人でもつて北海道を十二日間地方行政委員会から派遣を命ぜられまして、市町村を視察したのでありますが、その際に、どの市町村におきましても、同じように我々におつしやつた点があるのであります。それは大蔵省預金部資金から短起債、或いは長期債も加わるのでありますが、問題は短期債でありまするが、それを融資するということになつておる。従つて割当等も事務的にはあるけれどもこの短期債、預金部から市町村に金を融資するという際に、非常に事務的に手続が非常に困難である。こういうことであります。従つて極めて簡單にこれが融資され得るならば、市町村におきましても、非常にこれは止むを得ないことであるからして、喜んでおるのであるけれども、現にこれの融資を受けようとすると、手続が非常に煩雑であり條件が加えられ、官僚主義的な、属僚主義的な煩らわしさのために実質においては、これが非常に実行困難に陥つておる。従つて市町村当局等かわざわざ東京まで二回も三回も来なくてはならんということにもなつてつて非常に費用もかかる。こういうような状態である。若し全国の市町村が全部大蔵省まで出頭して、手続しなければならんということになれば、非常に町村が多いのでありまするから、而も出頭するだけならそれでよろしいが、非常にこの手続上困難であるために、まあそれなら借りないで、高い利子でも近くの銀行から一時借りてやるしかないという気分になつておるということを、いずれの市町村の当局からも聞いておるのであります。政府といたしましては、これは短期債は大蔵省の預金部員金として五月までには百十億、六月までには九十億と二百億、それらによつて賄うのである。或いは八月については七十億、九月については二十億というように、非常にこれは楽々できて、そうして現実的に市町村においてはこれによつて喜んでやつておられるように説明はなつておるけれども、実際はそうでないという現実のよりであります。これについて実際においてこの通り全く極めて簡單にこれが町村問において融資が行われておるという事実であるかどうか。この一点をこれは暫定措置として当然行われつつあることであり、本日も恐らく全国の市町村において、そういう手続が行われつつある問題でありまするから、一応お聞きしておきたいと思います。
  66. 荻田保

    政府委員(荻田保君) おつしやいましたこと誠に御尤もでありまして、実は我々の方でもそういう声を先般開きましたので、調査してみましたところ、手続の関係等が非常に煩わしくて借りるべきものも借りない。従つてこの計画だけの数字も出ないというような事例がございましたので、至急大蔵省の預金部当局と打ち合せまして、この手続の簡易化、迅速化を図るよう目下努力しておりますので、最近は余程改善されたと思います。
  67. 鈴木直人

    鈴木直人君 努力中だということでありますが、財政の逼迫は現段階において市町村が一番困つておると思います。これは一二ヶ月前までにおいては別だと思いますが、現段階においては相当市町村とも地方の銀行から臨時的に市町村の信用によつて一時借りておるような現状で、それも段々と日にちが経過するに従つて地方銀行においても貸すところの限度がなくなつて来ておる。勿論八月一日から税法が実現するという期待であつて、仮にそれが成立いたしたといたしましても、現にその税が市町村に入つて来るというのは北海道においてはずつと遅いその間においては、やはりどうしても借入金、或いは平衡交付金等によつて行わなければならんということになろわけであります。勿論いわゆる一つの税法か確立いたしますれば市町村議会において年間の一定の計画を立てて、そうして基本的な一年間の計画の下に根本的な事業の計画を以て再出発をすることかできろということは、地方税法の成立によつてそれが可能なことでありますけれども、そういうことが市町村議会において議決されてありましても、税が入らないというようなことになりますると、現実に金か手に入らない、こういうことになる。それはどうしてもこの措置によつてやらなければならないということになる。その政府から借りるところのものがなかなか将があかない。今研究中ということでありますけれども、いわゆる非常に役人の事務ということに煩わされ乙ということが非常に多いと思うのです数ヶ月はそういうことになると思うのでありますが、もつと具体的にどういう点が悪いので、そうして今こういう点を除去しようとしておる、そうしていつ頃からそれが打開できるかという御答弁を今でなくともよろしうございますから近い機会において伺つて輝きたいと思います。
  68. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 後で……
  69. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私はこの際荻田さんに前国会以来の地方税法の推進隊長であつた役柄において一つお聞きしたいのですが、否決されてから地方自治体が只今鈴木委員が御指摘になつたような工合に、非常に困難な状態になることは分り切つている問題であります。これに対して政府は責任をどのように感じておるのか、その責任の所在はどこだと、あなたは見ておられますかを、聞いて置きたい。
  70. 荻田保

    政府委員(荻田保君) ちよつと非常に大きな政治の問題でございまして、私共事務官において申上げる限りでないと思います。いずれにいたしましても地方団体といたしましては、非常にこの点にりきまして迷惑を蒙つておるのでありますけれども、何といたしましても早く恒久的な地方税法の成立することを望んでおるだろうと思います。
  71. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 この地方税法が通らんと迷惑するか、この地方税法が通らんでも地方自治体の財政が確立をすればそれでよいのか、どつちがよいのでありますか、国民と天秤にかけて、よく胸に手をあてかつて勘定してみておつしやつて頂きたい。
  72. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 政府といたしましては国民の負担のこと、地方財政のこと、その他内外の諸情勢を考えまして、この案が政府原案通り且つ期待通り八月一日から施行されることが最も適当だと考えております。
  73. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 まあ希望点はよう前から分つておるのですが、只今鈴木議員から御指摘になつたように、八月一日から仮に施行されましても、実際地方自治体の潤う時期は八月から二三ケ月以上以降であろうと言われておるようでありますか、その間に更に又もう一回いろいろの短期資金であるとか、或いは平衡交付金の災繰上であるとかいうようなことをしたければならんと思いますが、そういう場合には何百億要る想定でありますか、これはあなたは事務局長である専門家であるから、一審よくお分りだろうと思いますから一応伺います。
  74. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 只今のところは八月から新らしい法律が施行されるものといたしまして、九月までのその資金計画を立てておりますので、この通りやれば、仮に税法さえ通過いたしますならば差支ないと考えております。
  75. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それは差支えないということは御希望であるが、実際問題として十月か十一月じやないと地方自治体の手許には市中資金が集まらない、又政府から借りておるものを返さにやならん、一般市中から借りておるものも返さにやならん、返さなければ又利子がかかつて来る。こういう事態でありますから、九月までの措置がしてあるから大丈夫だということはちよつと受け取れんのですが、少くとも二ケ月分ぐらいは更に追い討ちをし々ければならんのだと思いますが如何ですか。
  76. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 今のところは政府の期待しておりますように、法案さえ成立いたしますならば徴収に要しまする期間も見込みまして、この通りで差支えないと考えております。
  77. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 前の議会においても政府は通ることを希望しておるということで、結局こういうことになつたのですが、今度も通るか通らんかこれは分らんのでありますが、やはり旧税法による措置はやつて置く必要があると思うのでありますが、どうですか、万が一のことを想定して……
  78. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 只今のところ政府といたしましては新らしい法律か八月に施行されると考えておりますので、旧税法のことは考えておりません。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して事務的なことをお伺いしまするのですが、資料の(2)の二十三頁、今夜で先渡しした平衡交付金は二十四年度の配付税額と、それから従来の国庫補助金の全額を渡したということにたつておるのですが、これは二十四年度に渡した通りなまのまま各府県に渡したのでしようか。
  80. 荻田保

    政府委員(荻田保君) これはここにも書いてございまする通り、二十四年度に現実に渡しました第一種乃至第四種の配付額の合計額と、それから交付金制度の創設によりまして廃止された国庫補助金、或いは長州金の交付額、これに総額を按分しておるわけであります。ただ四月に交付いたしました場合には、これは新地方税法が通ると予定しておりました当時でありますので、新地方税法によりまして特に税収入の殖えまするような六大都市、或いは六大都市所在の都道府県は大体その額を半減いたしております。そうしてその半減いたしましたものは他の県に廻す。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、今後あと残つた四百幾億という残りの部分は税の状況を見て、財政委員会でそれぞれの予算費目で單価を出して交付する、調整するための金に充てるというふうに考えていいのですか。
  82. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 本年度の千五十億は、只今申しましたような前年度におきまする配付税とか、交付金というようなものと全然關係なく、先般の国会で成立いたしました地方財政平衡交付金法によりまして算出をするのでございます。これはやはり新らしい地方税法ができませんとその算出が確定いたしません。八月から新地方税法ができるものといたしますれば、八月までにその正確な額を決定いたしまして、その額からすでに交付いたしました額、各団体の、各団体ごとに計算するのでありますが、その額の残額を後二回に亘りまして交付いたします。仮に行過ぎておるところがございましたら還付して貰うことになつております。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その最後の言葉でございまするが、従来ならば比例配分でもよかつたでしようが、今度は全体配分になるわけで、やり過ぎてもう使つてしまつておるというところを還付させるということは、実際上強硬にやれるのですか。
  84. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 還付しなければなりませんところは、今申しましたように新らしい地方税によりまして、それだけの税を徴収できるという計算の出る考えでございますから、従いまして新らしい地方税徴収いたしますならば、それによりまして過去の行過ぎの分を返すだけの余力が出て来るものと考えております。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじや最後に変な話ですが、先程の御答弁では実際のこの基礎的な計算はこの地方税法が通つた後に財政委員会で検討して結論を得るのだというのですが、現在この地方税法よつての収入見込、或いは各府県市町村の予算関係を見て、そうして相当基礎資料というものができておるのでしようか。若しもできておるとすれば各費目について中間的な計算基礎資料というものを出して頂きたいと思うのです。
  86. 荻田保

    政府委員(荻田保君) まだ全国的な基礎資料を調査いたしておりません。それを調査する段階といたしまして見本を、都道府県は一応全部でございますが、市町村は只今一割か二割のものを見本的に出しまして調査いたしまして、それによりまして大体どういう見当で以て、本格的な調査をしたらいいかというのを調べておる段階でございます。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一点だけお伺いしておきたいのですが、今度附加価値税代りに、事業税の改正という形で出されておる税につきまして、先程来の政府或いは又大臣の説明でも、附加価値税は流通税であつて、返還が困難だから事業税の改正という形で出した。これが大きな理由になつているようですか、この附加価値税の性格については、前の国会でも伺つたわけですが、大臣の答弁は、政府は流通税というふうに規定しているのですね、それでよろしいのですか、事務当局の考えを伺いたいのです。附加価値税は取引高税のように流通税なのかどうか、この点はつきり一つつておきたいのです。
  88. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 流通税、収益税というような学問的な分類もあると思いまするが、実際問題としまして、いずれにいたしましても附加価値税事業に対しまする税でおることは間違いないのでありまして、ただ事業に対しまする税の中、まあ分けまして、一つは純益から支拂うというものと、もう一つは経費、コストから拂うという性格の税と二つあると思いますが、この附加価値税は後者の、要するにコストから拂うという税でございます。従いまして原則としましては、そのコストでございますから、原価から逃れまして消費者が負担するのでありまするが、これは理論でございまして、実際問題としましては経済界の変動によりましては消費者に転嫁するという場合が稀にはあると考えております。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは純然光る流通税じやないわけですね、大臣は簡單に流通税であるから転嫁できないので、附加価値税という形でない事業税の改正ということで出した、こういうお話ですが、これについては御承知のようにいろいろ議論があるわけです。いつ流通税というように政府が統一されたか、そうしますと事務当局は必ずしもそう割切つて関連統一……そういうふうには解していないわけですね、今までいろいろ議論があつたのに、大臣は簡単に流通税だと言いましたから、いつそういうふうに統一されたのか、その点々伺つておきたかつたのです。
  90. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 流通税という非常に正確な学問的な言葉はともかくといたしまして、要するに大体消費者に転嫁するのだという考えの税でございます。従いまして、それを簡單に表現するために、所得税、収益税でなくて流通税と、こういうふうに簡單に申されておるのだと思います。
  91. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 前の国会で否決されまして、今度その修正案が出たわけでありますが、総司令部といろいろ折衝されたように新聞紙上でも拝見いたしていますが、ここに出されました案は、国会修正権というようなものを認めるようなものでありますか、或いは最後的なものでありますか、折衝の過租においてどういう経緯になつておるか、その点を一つ承わりたいと思います。  それから第二番目に、今度の地方税はいろいろな点で大きい改革がなされましたが、徴税技術といたしまして都道府県税はその徴税を市町村に委任することができないという規定も、画期的な変化の一つであると思うわけでありますが、この点にはいろいろ多くの問題があると思うわけでありますが、そこで例外規定がいろいろ設けてありますが、どういうような税は都道府県が委任せんでもやれるし、どういうような内容は委任しなくてはならんかというような調査でもありましたら、一つお知らせ願いたいと思います。
  92. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 第一の御質問の点でございまするが、いろいろ司令部とも修正の点に折衝いたしましたが、最後的にこれが政府も最善であり、司令部も最善であるという意味におきまして提案しておるのでございます。従いまして、この原案国会におきましても通過せられんことを望んでいるわけでございまするが、勿論国会修正権は完全にあると存ずるのでありまして、これを案をお決めになりまして司令部と折衝されましたとき、更にそれが認められるかどうかお前の見通しを言えとおつしやつたようでございまするが、これは私からちよつと申上るべき限りでもないと思いますので、差控えたいと思います。  それから第二の道府県税を市町村に委任するという問題でございまするか、これは原則といたしまして、道府県税は市町村にその賦課徴收を委任しないのでありますが、ただ例外的な場合、法案に列記したような場合に委任するのでありますが、これは只今御質問にありましたように、どういう種類の税目というように、税目によりまして区別するというような考えは持つておりません。むしろ非常に辺鄙な所であつて、道府県でみずから行つて徴収することが適当でないとか、或いは賦課徴収の通称のうち現金の拂込み、つまり県まで納めて来ずに、市町村の収入役に納めて置く方がよいという意味におきまして、徴収の一部を委任しても差支えないと考えます。
  93. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その問題ですが、非常に人口の集団したような所は大体よいと思うのですが、非常に農山漁村の多いような所ではこの例外規定が一般化しやせんかと思うのですが、それについて御見解どうですか。
  94. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 御承知のように、今度の改正税法の建前は、道府県も市町村もそれぞれ自分の徴収します税金につきましては、完全なる権限を持つております。逆に言えば、完全に自分で責任を負うという建前になつておりますので、徴収市町村に委任するということは、例外的に考えておるのであります。併し一方納税者側の使官という問題もございまするので、お説のように非常に辺鄙な所等におきましては、むしろ市町村に委任した方がお互いの便宜になるというような問題もおのずから出て来ると思います。
  95. 石川清一

    ○石川清一君 先程鈴木委員の申されました中にたまたま北海道のことがありましたのですが、北海道のように一年を通じて半分が積雪地帯のような所では、この地方税法の不成立に伴うところの財政資金の関係で土木建築の工事が八月以降値か三ヶ月間しか行う期間がないのだからして、このことについてすでに町村長は過中数くらいは上京しているような事情でございますが、この法案の不成立に伴うところの財政的な欠陥を補う、利子を或る稚度、十億近いものを何とか考えるというような建前の下にお考えを持つておるかどうか、お伺いしたい。
  96. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 先程も他の政府委員から御説明がありましたように、この法案不成立によります一時借入金のための利子負担額は、これは形はまだ決まつており度せんが、如何なる意味合におきましても地方財政の持込みにならんようにということは決定しております。
  97. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、その利子負担は追加予算その他の形でやるつもりでございますか。
  98. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 勿論追加予算を出すということも一つ方法だと考えまするが、必ずしもそれには限つておりませんです。
  99. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣は今日はもう見えないのですな。
  100. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今連絡をとらせましたが、まだ本会議に出ておるそうです。政務次官は……、間違いました。今司令部へ行つたそうです。
  101. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 では暑さの折この辺で散会せられんことを……
  102. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に何か御質問ございませんか。
  103. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つ、済みませんが……、実は利子が政府負担という点でありますが、念のためにお聞きして置きたいのは、現在予算で決まつておりまする一千五十億の中からその次にそれを出すということは、何等の意味をなさないのでありますから、そういうことはしないのであるという点を、応はつきりして置きたい。
  104. 荻田保

    政府委員(荻田保君) それはその通りでございまして、要するに一千五十億と申しますより、四千九百億の総額、これをそれかけ殖す、或いは他の歳出を減らすということによつて処置したいと思います。
  105. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは今日はこれで散会いたします。次回は明日午後一時の予定でございますが、大臣の出席のできるときにしたいと思いますから、午前十時からにお願いするかも知れません。御了承願います。    午後三時四十八分散会  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            堀  末治君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            吉川末次郎君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   大蔵委員    委員長     小串 清一君    委員            愛知 揆一君            大矢半次郎君            岡崎 真一君            九鬼紋十郎君            黒田 英雄君            佐多 忠隆君            野溝  勝君            松永 義雄君            森下 政一君            小林 政夫君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            木内 四郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   政府委員    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君