○
政府委員(
鈴木俊一君) それでは
地方税法案の概略につきまして
お話を申上げたいと思いますが、
前回大臣から
提案理由の
説明の中で
相当詳しく申上げておりまするので、
前回の案につきましてはそれぞれ御
承知のことと思いまするので、その後今回
原案につきまして
政府として
訂正を加えました点を、中心にいたしまして、
お話を申上げたいと思います。お手許に差上げてございます
地方税法案修正要綱というのがあると思いますが、
修正につきましては、この
新旧対象表の赤黒刷りの両案の
対象のものもございますが、その外に
地方税法案修正要綱というのがございます。これにつきまして大体
お話を申上げたいと思います。
今回の
地方税法案につきまして、前
国会で御
審議を頂きました
法案に対して
訂正を加えました点は、大別いたしますと三点あるのでございます。第一点は、
附加価値税の
実施を一年間延期いたしまして、その
代りに
現行の
事業税と
特別所得税を取る、こういう
関係の
訂正が第一点でございます。第二点といたしましては、
固定責産税の
税率とそれから
償却資産の
評価の点に関しまして若干
訂正をする、
修正を加える、これが第二点であります。それから第三点といたしましては、
提案の時期が遅れました
関係で、
賦課期日なり
納期なりにつきましてそれぞれ
訂正を加える、これが第三の
訂正点でございます。大体この三点の入
つておりまする点につきましてだけ
訂正を加えまして、御
審議を頂くように
提案をいたした次第であります。
先ず第一点の
附加価値税の
実施を一年間延期するという点でございますが、これは諸般の
情勢に鑑みまして、
政府としては一年間延期いたしたわけでございますが、その具体的な問題といたしましては、八月に入りまして、仮にこの
法案が
国会を通過いたしました場合に、遡
つて一月一日からの
附加価値を捕捉して
徴収し、而もこれは
転嫁を予想いたしておりますから、その後において
転嫁をいたして行くということは、技術的にも非常に困難でございますし、又従来全然ありませなか
つた全く新らしい税でもございますので、準備について万全を期したいというような諸種の
情勢を考えまして一年間延期をいたしたような次第でございます。この
代りに取りますところの
事業税につきましては、どういうふうに然らば
調整いたしたかと申しますると、大体
附加価値税において予想いたしておりまする
税額は四百二十億でございます。
事業税につきましてもこれと同様に四百二十億という
限度におきまして、これを
徴収をするという
建前で、先ず第一に
税率の
軽減ということを考えました。それから第二には、
課税の
対象を
附加価値税と同様にするということでありました。第三には、
免税点を
引上げたのであります。
先ず
税率につきましては、
普通法人、
特別法人、
個人、それから
特別所得税の第一種、第二種いずれも一律に、これは法定の
府県市町村の本税、
附加税を合せました率に対しまして一律に二割
軽減をいたしております。更にこの
都市計画割というのが、それぞれ
事業税、
特別所得税について現在課せられておりまするから、そういうものを合せまするというと、ここにございまするように、百分の十八というのが
個人の負担になりまする
現行の率でございますが、それに対して百分の十二まで下げるということになるわけでございまして、大体三割三分の
軽減になります。これはいずれも皆
法人、
個人同様でございます。尚
事業税の
電気ガス、或いは
運送業というようないわゆる
外形標準の
課税制度をと
つておりますものにつきましては、やはり同様に二割の
軽減をいたしております。現在は
収入金額の百分の二ということにな
つておりまするが、それを百分の一・六というふうにいたしておるのであります。その点はここに書き加えてございませんが、同様に下げておる次第であります。
それからその次は
課税の
対象でございまするが、これは大体
附加価値税と同じように農業、林業を
課税除外いたしまして、更に主として
自家労力によ
つて行う
原始産業即ち畜産とか
水産業のようなものでございますが、これに対しましては
事業税を課さないということにいたしました。主として
自家労力と申しますのは、年間の
労働日数を考えまして、その三分の二を
本人並びにその
家族等の雇用によらない
労力によ
つてその
事業をや
つておるというような、主として
自家労力によ
つて行う
原始産業、こういうふうに運用をいたして参りたいと、こういうふうな
考え方で立案いたしております。それから
免税点でございますが、これは
現行は四千八百円でございます。これを約五倍
方引上げまして二万五千円にいたしまして、これは
所得税の
基礎控除と大体同じような線で抑えておるわけでございます。
それからその次に、
市町村民税のことがございが、これは最初に申上げました第三点の、
提案の時期の遅れました
関係での
訂正でございます。即ち
賦課期日を、
原案では六月一日にな
つておりましたのを八月一日にいたします。と同時に、
納期につきましては、四期のものを三期にいたしました。そうして九月、十一月及び一月の三期にいたしておりますが、これは後刻申上げます
固定資産税との
調整の
関係を考えまして、かようなふうにいたしたのであります。二十六年度におきましても
同様固定資産税の
徴収時期との
調整を考えておるわけでございます。
それから
固定資産税でございまするが、この第一の
税率の点でございます。これは
標準税率を、
原案におきましては百分の一・七五ということでありましたが、これを一律に百分の一・七というふうに引き下げたのであります。これが
訂正の最も大きな点の
一つでございます。それから二十五年度分の
固定資産税の
税率は、御
案内のごとく
原案におきましては百分の一・七五の
固定税率、
一定税率を取
つてお
つたのでありますが、これを百分の一・七の仮
税率ということにいたしたのであります。仮
税率と申します観念は全く新しい行き方でございますが、それは
昭和二十五年度分の
固定資産税の
収入見込額が、全体といたしまして五百二十億を取れるか取れないかということを
判断の
基準にいたしまして、五百二十億を大体取れるということであれば、この百分の一・七という
税率を来年の一月になりましてそのまま
確定する。併しながら五百二十億を
相当に上回る、或いは
相当に下回るという私共の立案の過程におきましては、
相当に上回る、下回ると申しますのは、例えば五百二十億が五百三十五億になり、或いはこれが
減つて五百五億というふうになりました場合におきまして、五百二十億取りますために、一・七の
税率を或いは一・七五にし或いは一・六五にすることを
財政計画上考えております。そして五百二十億の線に収まるようにしようということであります。要するに一応百分の一・七とありますが、その取れ方を見ました上で百分の一・七というものを再検討してそして
確定する。そういう意味で仮
税率を考えておるわけでございます。この
相当に上回るという
考え方といたしましては、大体〇・〇五ぐらいな
税率の
移動を生ずるようなものを
相当に上回る、或いは
相当に下回ると考え、
金額で申しまして十五億ぐらいのもので考えて行きたい。それ以下ならば特に変える必要はないと思いますが、それ以上の変動を生ずるような場合におきましては、これを変えるという
考え方でございます。併しながら私共の
考え方といたしましては百分の一・七、五百二十億ならば殆んど取れるであろう。かように考えておる次第であります。然らばこの五百二十億という
数字の
算定が非常に問題にな
つて来るわけでございますが、これは法律のうちに書いておりますのと全く同様の言葉で
算定の
方法を書き示しておるのであります。即ち
新税の
固定資産税のうち、
土地及び
家屋に対して課する
部分の
調定見込額の百分の九十の額と、
償却資産に対して課する
部分の
調定見込額の百分の八十の額との
合算額とする、更に旧税の
地租附加税及び
家屋税附加税に係る
昭和二十五年度における
過年度分の
制定分及び
滞納繰越分の
収入見込額、これらの
新税、旧税の
固定資産に
関係のあります税全部を合算いたしまして五百二十億取れるか取れないかという
計算をする。こういうふうにいたしておるのであります。この
計算は
地方財政委員会が
地方税法執行の責に当るわけでございますから、そこで
地方財政委員会が
地方財政委員会の規則で、この
税率を変更する、そういうふうに考えておるのであります。それから(3)でありますが、これは
地方財政委員会がこのようにいたしまして、若し
税率を変更したというような場合におきましては、
内閣と
国会に報告せよということを
規定いたしておるわけであります。
その次は、
地方財政委員会が五百二十億という
数字を
計算いたしますための資料の収集の
方法を書いておるのでありまして、即ち本年の十二月末現在の
固定資産税なり、
地租附加税、
家屋税附加税の
収入見込額というものを来年の一月十日までに
市町村長は
知事に報告する。
知事はそれを取りまとめまして来年の一月二十日までに
地方財政委員会に報告する。
地方財政委員会はそれを又集計いたしまして、一月中に
税率を如何にするかということを決めるというふうにいたしておるのであります。
それからその次は、
固定資産の
評価及び
固定資産税の
納付の
方法であります。この点につきましても
相当大きな
修正を加えておるのであります。
先づ二十五年度の
償却資産に対して課する
固定資産税でございますが、これは
償却資産に関しましては、前
国会におきましても大変御論議があ
つたところでございまするので、この
償却資産の
価格はこれを仮に
決定をいたしまして、来年の九日か三十日までにこれを客観的に決めるということにいたしておりまして、本年といたしましては、できるだけ簡便な機械的な
価額の
決定の
方法をとることにいたしたのであります。その点は後に申上げまするが、とにかくさような仮
決定をいたしました
償却資産の
価格を
課税標準としまして、今の百分の一・七を掛けました税を本年の十二月、来年の二月に二度に分けて
償却資産の方は納めて貰うことにいたしておるのであります。それから来年の九月になりまして、正式に
償却資産の
価格を
決定いたしました場合におきましては、来年の十二月中にこれを精算をして、或いは
可能額はこれを還付し、或いは充当する。足らなければ更に
納付させる、こういうふうにいたしておるのであります。そこで問題は
償却資産の
価格の
決定の
方法であります。これはやはり
建前といたしましては、いわゆる
時価によりましてこれを
決定するわけでありまするが、その
時価の測定の
基準といたしまして、ここにございまするような
帳簿価格、
資産再
評価法の
規定による再
評価額、それから
納税義務者の申告した
見積り価格、それから更に
資産再
評価法の
規定による再
評価限度額又はそれの
相当額の百分の七十の額、この
四つを
判断の
基準にいたしまして、
償却資産の
価額はこのいずれの額をも下ることができない、こういうことにいたしておるのであります。これを更に砕いて申上げますと、要するに
減価償却の
基礎にな
つておりまする
帳簿価格なり或いは再
評価を行
なつた場合の再
評価額なり、或いは再
評価を行わない場合におきましては、
納税者自身の申告した
見積り価格、こういうようなものが若しも
資産再
評価法の
規定によりまする
限度額の百分の七十を上回
つておりまするならば、例えはこれらの
帳簿価格なり再
評価額が百分の七十五とか或いは八十ということでありまするならば、それをそのままと
つて課税標準にする、こういうことであります。併しこの
限度額につきましては、
陳腐化等の
事情のあるものについてはその
事情を考慮して定める。これは
資産再
評価法の
規定と全く同じものを考えておりますから、そういうふうに
陳腐化等の
事情がございますれば、百分の七十という
限度額自体が
相当実情に即するごとく定められると思うのであります。この点において
償却資産の
評価の
調整が
一つ考えられております。
併しそれでも尚遊休未
稼働資産等につきましては、足らん
部分があるであろう、
事情が非常に気の毒な点があるであろうという点を予想いたしまして、更にこの百分の七十という額を下す
方法を考えておるのであります。これには二つございまして、
一つは、
地方財政委員会が
価格を
決定をいたします場合に、百分の七十を下すという場合であります。
一つは、
市町村長がこの
価格を
決定いたします場合に、この百分の七十という額を下すという
方法であります。前者の
地方財政委員会がこの
価格を決めますものは例外で、これは御
承知のごとくに二
市町村以上に
亘つて移動をいたしますところの例えば船舶でございますとか、
鉄道の車両でございまするとか、或いは
建設用の資材とい
つたようなものであります。或いは
鉄道軌道というような二
市町村以上に
亘つて所在をいたしておりまするような、そういうようなものであります。こういうものは
地方財政委員会が直接
価格を決めて配分をするわけであります。又いま
一つは、大
規模な
発電施設でありますとか、大
規模の工場でありますとかいうようなものでありますが、これも近隣の
市町村にその
価格を配分いたすわけであります。こういうよう
なつ地方財政委員会が直接決めますところの
償却資産の
価格につきまして、百分の七十の線で抑えるのが如何にも気の毒であるというような
事情にありますものにつきましては、
納税者本人の
申請を
前提といたしまして、百分の七十の額を更に下し、或いは百分の六十五、或いは百分の六十というところで
価格を
決定するということを認める
方法を考えておるのであります。これが第一の場合であります。それから第二の場合といたしましては、
市町村長が
価格を
決定する場合で、これが
原則の場合でありますが、この場合におきましても大体この
限度額が一千万円以上ぐらいの、
事態の重いものにつきましては、
市町村長が
議会の
議決を経まして、更に
地方財政委員会の
許可を得た上で、この百分の七十の額を百分の六十なり六十五に下すということを認めるようにいたしたのであります。それから
限度額が例えば一千万に達しないというような、
事態の比較的軽いものにつきましては、
地方財政委員会の
許可を要せずして、
地方議会の
議決だけで
市町村長がこれを低く
評価することができるというふうにいたしております。このような
方法によりまして、
償却資産の
価格の
決定につきましては、
相当実情に即する
決定が可能ではないかと考えているのであります。併しこれはいずれも仮にやりますところの
決定でございまして、これを更に来年度になりましてから最終的に
価格を決めることになるのであります。
その次は(2)のところの二十五年度分及び二十六年度分の
固定資産税に限り、
免税点は、
土地、
家屋及び
償却資産ごとに各一万円とすること。これは
原案におきましては、
免税点を三万円というふうに引つくるめて
規定をいたしておるのでございますが、今申上げましたように、
償却資産の
価格が来年度になりましてから最終的に
決定をいたしまするので、途中で動いて参ります。そこで今年度仮に三万円に達しないということで、
免税点以下のものとして
坂扱つたものが、来年最終的に
決定をする場合には三万円を超過する、或いは逆に、一応仮
決定の際は三万円をオーバーしてお
つたものが、来年になりますると三万円以下になる。
従つて免税になるというような
移動があるわけでありましてその
移動を
土地、
家屋の
税額についてまで及ぼすことは如何にも不安定でございますので、
従つて各別に
免税を点それぞれ
計算するといとうことにいたしたのであります。則ち
土地、
家屋、
償却資産ごとに一万円ずつ、かようにいたしたのであります。
それからその次は、
固定資産税の
納期でございますが、二十五年度分は、
土地、
家屋につきましては八月と十二月と二月、この三回に分けて納める、かように
納期を変更いたしました。併しながら
償却資産につきましては、その
前提として
価格を仮に
決定をいたさなければならぬ手続がございますので、八月に取ることは困難であります仮
決定をいたしましてから取るわけでございまするので、十二月と二月というふうに、二回に分けてこれを取るようにいたしております。
それから二十五年度分の
固定資産税を課すべき
償却資産及び二十六年度分の
固定資産税を課すべき
固定資産の
価格は、二十六年九月
末日までに
決定をする。二十五年度分の
土地、
家屋につきましては、九百倍の倍率ですでに
確定したものとして、これは八月、十二月、二月に取ることになりますが、
償却資産は、今申上げましたようにまだ本決りになりません。それから二十六年度分は、
土地、
家屋につきましても九百倍というので一応取りますけれども、客観的にこれは
価格を
決定いたしますから、
土地、
家屋並びに
償却資産のすべてにつきまして、
価格を新たに
決定する必要があります。そこで二十五年度分の
償却資産、来年度分の
土地、
家屋、
償却資産のすべての
価格は、来年の九月
末日までに
決定をする。そうしてこれを台帳に登録して十月一日から十日間、住民の縦覧に供して
確定をする、かよういたしております。
それから二十六年度分でございます。これは四期に分けて取りますが、
価格の
決定等の
関係を考えまして、一番
最後の十一月というのを十二月にいたしております。そうして四月、六月、八月は、
農地以外の
土地及び
家屋に対して課する分にありましては
賃貸価格の九百倍、一応九百倍という
価額でこれを取ります。それから
農地につきましては、例の
公定価格を
基礎にいたしまして取るのでありますが、これは千倍に
相当する、九百倍に
相当するものでありますが、これは
公定価格でそのまま
確定をしてしまうわけであります。それから
償却資産に対する
課税分につきましては、前年度の仮
決定の
価格を一応そのまま使
つて参りまして、そうして四、六、八は、更に仮
納付をさせることにいたしておるわけであります。そうして九月
末日までに正式に
価格が決まりまするから、それに基きまして
税率を掛けて、十二月に
清算をするということにいたしておるわけであります。従いましで来年十二月におきましては二十五年度分の
清算と二十六年度分の第四期の
清算ということが行われるという案にいたしておるわけであります。
以上が今度
原案につきまして
訂正を加えました要点でございます。その他は極く事務的な点が数点あるだけでございまして、これに盡きるのであります。尚これに関連をいたしまして、
地方財政法の一部につきまして、強制的の寄附を禁止するという
規定と、それから
地方債を起します場合の
條件といたしまして、
標準税率を超えること二割
超過課税をしてはいけないという
制限規定を外しまして、
標準税率で
課税をいたしておりまするならば
起債をすることができるというふうに
制限を緩和しようということでございます。
以上が大体今回の
地方税法案につきまして
訂正を加えた点でございます。