運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-18 第8回国会 参議院 地方行政・大蔵・農林・通商産業・予算連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十八日(火曜日)    午後一時二十四分開会   —————————————  委員氏名   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      岩木 哲夫君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            竹中 七郎君            石川 清一君   大蔵委員    委員長     小串 清一君    理事      大矢半次郎君    理事      佐多 忠隆君    理事      山崎  恒君    理事      木内 四郎君            愛知 揆一君            岡崎 真一君            九鬼紋十郎君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            野溝  勝君            松永 義雄君            森下 政一君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   農林委員    委員長     岡田 宗司君    理事      西山 龜七君    理事      片柳 眞吉君    理事      岩男 仁藏君    理事      岡村文四郎君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            土屋 俊三君            平沼彌太郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事      古池 信三君    理事      廣瀬與兵衞君    理事      栗山 良夫君    理事      結城 安次君            上原 正吉君            小野 義夫君            重宗 雄三君            松本  昇君            小松 正雄君            島   清君            下條 恭兵君            椿  繁夫君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            山内 卓郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君            西田 隆男君   予算委員    委員長     波多野 鼎君    理事      石坂 豊一君    理事      野田 卯一君    理事      羽生 三七君    理事      伊達源一郎君    理事      藤野 繁雄君    理事      中井 光次君    理事      東   隆君    理事      木村禧八郎君    理事      岩間 正男君           池田宇右衞門君            泉山 三六君            大島 定吉君            工藤 鐵男君            中川 以良君            長谷山行毅君            一松 政二君            平井 太郎君            平岡 市三君            深水 六郎君            安井  謙君            山本 米治君            内村 清次君            若木 勝藏君            河崎 ナツ君            佐多 忠隆君            下條 恭兵君            岩崎正三郎君            山田 節男君            原  虎一君            吉川末次郎君            飯島連次郎君            楠見 義男君            高良 とみ君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            前田  穰君            菊田 七平君            櫻内 義雄君            鈴木 強平君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            森 八三一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣送付)   —————————————    〔岡本愛祐委員長席に着く〕
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政大蔵農林通商産業予算連合委員会を開会いたします。  地方税法案予備審査をいたします。都合によりまして御通告順により御質疑をお願いいたします。御発言の方は速記都合によりまして、成るべく前の席にお進みになつて発言をお願いいたします。
  3. 楠見義男

    ○楠見義男君 地方税法案に対しまして私は大臣に極く簡単なことを一二御質問申上げたいのであります。それは先般の十五日の本会議における岡田宗司君の質問に対して大臣が御答弁なつたことに関することが先ず第一でありますが、その際に地方税法案不成立後の措置として平衡交付金から六百十八億、それから預金部資金から二百九十億、この金を四月乃至九月の間の見通しを立てて措置をした、こういうような御説明がありました後に、速記録から拝見いたしますと、こういうことを言つておられるのであります。それは「十月以降の見通しにつきましては、多分この税法案を通して頂けると存じておりますが、不幸にして通らないようなことがありましても、そのときに応じまして、政府は過般いたしましたような適当なる処置をする考えでございます。云々」こういうように御答弁になつておるのであります。そこで不成立になりましても、過般いたしたような適当な措置をする考えであるということでございますると、その方法如何によりましては、先般の国会で通過いたしました予算の施行の問題に関連いたしましても極めて重要な問題であると存じますると同時に、新らしい地方税法案審議に当りましてもその適当なる処置をお聞きして置くことがその審議の上の参考にもなると考えますので、先ずこの点をお伺いしたいのであります。
  4. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 楠見議員の御質問にお答え申上げます。先程もこの点につきましては地方行政委員会において私から又重ねて申上げた次第でございますが、私は無論この法案を是非通して頂きたい、又現段階におきまして客観情勢上これ以上の案はできないということになりましたので、政府といたしましては提出いたします最良な案と心得て是非通して頂きたい、こういうことを申上げ、同時に考えておるのが信念でございます。ところがその先の見通し如何とこういうことにつきまして、実は私の考えとしましては、政府が幾ら通すということを申しましても、国会には自主権があるわけでございまして、国会自主権を以てこれに対して不成立という断案をお下しになるというと、これはどうもいたし方がない、そんなことをつい予見いたしまして理論的に考えれば、自主権を尊重する意味において不成立考えられる、そのときにはどうすればいいかということは政府はやはり責任を以て地方財政が立つて行かなければならない、こういうふうに考えて適当な処置考えるつもりでおつたのです。後から聞きましたらとてもそういうような処置はとれない、財源がないからやつて行けないのだ、どうしても通して頂かなければならないのだ、こういうことで各方面からお叱りを蒙つたわけであります。私あの当時の不成立について将来適当な処置をとらなければ政府責任はとれないという観念から申上げましたけれども、あれはこの際取消しまして、是非あれをお通しになることをお願い申す次第であります。
  5. 楠見義男

    ○楠見義男君 この問題につきましては、所管の大臣とせられてその信念に基いて御答弁なつたことと思いますので、従つてお伺いをしたわけでありますが、併し今その言を取消すと申しますか、今お答えになつたことによりますと、これ以上更に突込んでお聞きすることは如何かと思いますので、次の問題についてお伺いいたします。  次の問題も結局簡單な事柄でありますが、同じく十五日の本会議における御答弁の中で、附加価値税実施延期理由一つとして「附加価値税は御承知通り流通課税でございまして、負担転嫁があります。そういたしますと、只今のごとく本年の一月一日から徴収しなければならないので、そういたしますと、非常に時期がもう進んでおりますから、この転嫁ということが非常にむずかしくなります。云々」こういうふうに御答弁になつておるのであります。附加価値税流通課税であるかどうかということにつきましては、先般の国会における委員会審議状況等速記録によつて拝見いたしましても、非常に問題があつた点でありますが、この点について「御承知通り流通課税でございまして、」と、こういうふうに御断定になつておるのでございます。実は附加価値税の問題に関連してこの点が、非常に問題であつたのでありますが、流通課税であるということがはつきりと御断定のごとくでありますと、随分問題が、更に生じて参るのでありまして、例えば私共関係いたしております農業関係農業協同組合に対する附加価値税が先般の国会におきましても農林委員会としては非常に問題があつたのであります。例えば単純な指導事業をやつておるような農業協同組合、或いはその他の農業協同組合においてもそれに対する税は流通課税として観念するには如何ように観念しても観念し難い性質のものが多いのであります。そういたしますとこういうふうに流通課税であるという断定であれば当然農業協同組合に対する附加価値税というものは免除せられて然るべきである、こういうふうに考えまするが、それに対するお考えをまず第一点として伺いたいのであります。  それから第二点の問題として附加価値税実施延期理由として先程速記録によつて読みましたように御答弁になつておるといたしますと、今回政府が御提案なつ地方税法案において一年延期、即ち来年の一月一日から実施するのだ、そうしてこの問題については若し不当な、又考慮すべきごとがあればその間においてやるのだ、研究をしてそうして新たに通常国会においてその改正案を取上げるのだ、このことは実は先国会における両院協議会における衆議院側の御意向も一時そういうような御意向があつたようでありまして、即ち御承知のようにあの税法案の附則において来年までの間に若し不適当なものが発見されればその際に改正措置を講ずるものとすという但書を入れようじやないか、こういうような意見も衆議院側としてはあつたのであります。併し参議院側といたしましては附加価値税は当然に予見せられ、又確信し得る不当な、又適当でない点が多々あるのだ、従つて一応白紙に戻して、そうして十分に検討して、いい法案を作ろうじやないか、こういうのが参議院側の一年延期説であつたのであります。ところが衆議院側のそういうような延期説を取入れて今回政府只今提案になつておるような行き方になつておるのであります。そういたしますと一月一日から施行した場合に仮に百歩を譲り、衆議院側或いは政府が今お考えになつておるような改正すべき点が出て参るといたしますと、その修正を来る通常国会でやるといたしますれば、同じく法律が施行され、そうして修正或いは改正措置が実際に講ぜられるのが法律が施行されてから二ケ月或いは三ケ月の後だといたしますと、先般の本会議大臣実施理由一つとして延期理由一つとしてお述べになつだように、そのときにはすでに転嫁が困難な時期に逢着しておる、こういうことになりますと、不完全な法律がそのまま適用されて参る、こういう懸念があるのでありますが、この点について第二段としてお伺いいたします。
  6. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。第一点の附加価値税性格の問題でございましようが、これにはいろいろ学問上の議論もございまして、収益税であるとか、流通税であるとかということがあるのでございますけれども、私共といたしましては流通税考えて仕組んでおる次第でございます。それにつきまして今農業協同組合のことを御例示になりましたが、流通税性格合つたよう農業協同組合附加価値税をするように仕組んでございます。この詳しい点は事務官から申上げます。でございますから、只今の第一点のお説に従いましては、私は流通税という考えを持つて仕組んでおつて、そうして流通税性格に合うように課税客体にいろいろの工作をしてある、こういうことを御了承を願いたいと思います。  それから第二点でございますが、この延期の点でございます。御承知通り附加価値税は世界にも例のない全く新規な税でございまして、いろいろ御議論もございましようし、御批評もあろうかと思いますが、只今まで政府といたしましてはできる限りの努力をいたしまして、日本国情に合うようにと思つてつたのでございますけれども、御承知通り客観情勢がこういうところへ落ち着かざるを得ないようなことになりまして、そうして差出しているのでございます。併し日本国情を抽象的に申しましても、それは理論的に或いは通らんかも知れませんから、実施しまして、その実施した上で適当な時期にこれを修正するということを私は考えております。
  7. 楠見義男

    ○楠見義男君 簡單に……大臣流通課税ということでございましたが、極く簡單でようございますから、流通税として、流通税というのは大臣はどういう種類の税を流通税とお考えになつているのか、極く簡單でようございますから、それを先ず伺いたい。  それから二番目の点は、先程の、私申上げましたのは一月一日から実施をして、そうして今お話になりましたように、又先程申上げたように、若し修正すべき点があればそれは修正するということでありますが、先程申上げたように、その修正が実現するときにはすでにこの税が発足している。従つて会議実施延期理由として述べられたように、転嫁が非常にむずかしくなる、従つて延期をしたのだと、こういう理由と同じような結果になつて、結局政府が、又我々が主張し、考えているようなふうに、いい税としてこれを発足させるということができなくて、先ず悪い法として、或いは不適当な部分をそのまま実施して行く、こういうことになりはしないかということを懸念するのでありますが、もう一度その点をお伺いしたい。
  8. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。流通税の定義はやはり流通税でございまして、負担転嫁をして行くということに御承知置きを願いたいと思います。  それから流通の点でございますが、先程も申上げましたように新らしい税でございまして、何分いろいろ我々の体験をしない税をかけるわけでありますから、想像的にはいろいろなことも、故障もあろうかと思いますが、先ずとにかく一応実施してしまつて、そうして実施した結果を見てからということにして頂きたいと思います。そのためにシヤウプ博士も二十九日に来られるそうでございますが、シヤウプ博士はこの案に対しては絶対的にこのままでやつて行けという勧奨をしている。そうして私先般シヤウプ博士意向なんかも間接的に探つて見たのでございますが、一応これを実施して見なければ本当にそういうことが不便であるか、工合が悪いのであるかということが分らんから、実施した後に初めて再考慮すると、こういうような意向だということを洩れ承つております。その点御了承願いたいと思います。
  9. 楠見義男

    ○楠見義男君 後の方の問題はこれ以上は議論になりますから省略いたしますが、最初の流通税というのは負担転嫁のできる税だと、こういう御答弁でありましたが、そういたしますと、先程申上げましたように、例えば單純な指導事業農業協同組合で農民の生産上の技術指導をするとか、或いは必要な調査研究をするとか、こういうふうにいわゆる経済事業でない、従つて負担転嫁という問題が当然起らない、こういうものは流通課税である、附加価値税対象にならんと考えますが、この点についてお伺いいたしたい。
  10. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。その点につきましては詳しく農業協同組合がその通り技術指導であるとか何とか、いわゆる公益的のことだけをやるものにつきましてはかからん筈でありまして、又農業協同組合事業を進行して行きます間にやはり流通課税して課税としてもいい部分だけにかけるようなつております。詳しいことは事務官から申上げます。
  11. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 農業協同組合に対しましては、只今大臣から申上げましたように、若しも農業協同組合附加価値税のかかりまする対象としての事業の中に相当いたします事業をやつておりません限りは、御指摘のような指導事業でありまするとか、調査研究というようなことのみをやつておりまするのでございますならば、勿論これは附加価値税はかからないと存じます。荷その外に例えば加工業であるとか、製造業であるとかいうようなことをやつておりました場合につきましてはこれがかかるわけでございますが、そういうことの結果として、得ました附加価値の中から或る部分公益事業に支出するとかいたしました場合におきましてはその部分は今の附加価値から差引かれるわけでありますから、それだけ軽減せられることになるわけであります。
  12. 楠見義男

    ○楠見義男君 最後にもう一点大臣にお聽きしたいと思います。実は農業関係で、今回の地方税法案政府の御宣伝にも拘わらず非常に憂慮しておるのであります。ということは結局御宣伝のように税は決して高くならない、特に農地改革後の農村の実態は結局多少なりともそれぞれ土地を持つに至つております。従つて固定資産税の問題は非常に関心の深いことになつているのであります。で、これも先般の第一国会における、衆議院及び参議院における公聴会公聽人陳述等速記録を通じて拝見いたしましても土地評価額というものは、日本全国に亘りますとピンからキリまであるのであります。一応原案は九百倍ということになつておりますが、東京においても高きは二千倍、安きは三百倍、こういうようなことでたしか平均はこれは日産協の方でありましたかの陳述書を拝見しますと、六百何倍かになつておる。それが千葉県に行き、茨城県に行き、宮城県に行き、岩手県に、青森県と地方に行くに従いましてその倍率は低くなつております。これは常識的に考えましても、東京の銀座の真中と岩手の九戸郡の山の中とは当然違うのは当り前の話であります。ところが一応それを一座に九百倍というふうにかけられまして、この関係土地同様家屋においても同じようなことは、当然常識的にも考えられるのでありますが、実際の数字に徴しましてもその通りであります。ところが地方税法案修正要綱として地方財政委員会から、これは参議院地方行政委員会に御提出になつた書類だと思いますが、その中で、若し五百二十億を相当に上廻り、又は下廻ると認める場合においては、地方財政委員会規則でその収入見込額が概ね五百二十億となるように昭和二十六年一月中において、この税率を変更するものである、こういうふうになつております。従つて総額においては仮にこういうようなことがあり得るといたしましても、実際に、例えば百倍、或いは百五十倍の倍率しか実際問題として考えられない、又、そういうふうにしか取引されておらないような地方でそれが九百倍の倍率をかけられて、仮に、一・七五が一・七に減じましてもこれは微々たるもので、従つて、結局これはそういう零細農家は勿論、地方農村、特に純農村においては、土地固定資産税及び家屋固定資産税は、実は経営基礎でありますが、この経営基礎根抵から覆えすようなことになると思うのでありますが、この点について大臣は一体、そういう事実をお認めになるかどうか、又お認めになるといたしますれば、それをどういうふうに調整或いは是正すべきであるか、この点の御所見を承わりたいと思います。
  13. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。只今の点は、多分固定資産税のことだと思いますが、固定資産税をかけますにつきまして、賃貸価格というものを先ずこの際標準に取りましたことは、外に拠るべき、資産評価する頼りがございませんから、よかれ悪しかれ今まで長年あつたところの賃貸価格というものを基礎にしてやつたわけでございます。そのために九百倍を一律にしたということにつきましては、私は楠見さんのおつしやることは至極事実上は御尤もな点があると思いますが、法制上といたしましては、拠るべきところは賃貸価格が決まつておるからそれに拠つたと、とう考えるのであります。併しながら賃貸価格によつて一応は、お納めを願つて置きますけれども、来年の一月になりまして、それと時価をよく算定いたしまして、そうして、時価が非常に公平に決まるようにして、そうして、その時価によつて算定いたしまして、或いは賃貸価格が不当に高かつたために、余計に納めたというのなら割引きする、又賃貸価格が上下しまして、時価に合わないという場合には、又これを調整する、こういう措置をとりますから、一応本年度の、本年中はお納め願つて置きまして、来年の一月に、時価を出しまして、その時価全国の各種の事業を勘案いたしまして、適当な時価を決め、その時価によつて算定したもので、固定資産税最後の決定をして、割戻しするなら割戻しをし、増して貰うなら増して貰う、こういうふうにして貰いたいと思います。  それから先程もお話がございました、上廻る場合があるとか、下廻る場合があるとか書いてございますのは、この前の議会のときに、償却資産評価が一体どうなるか、又それが非常に沢山出て来るのじやないかという御説がありましたものですから、それも償却資産も大体見当が付いておりますけれども、果して、実際上にどう出て来るか分りませんものですから、そのために、若し、非常に上廻るようでありましたら、一・七を下げてもいい、こういう含みを持つて考えておる次第でございまして、一・七以上に取ることはございませんで、一・七若しくは、再評価資産あたりが随分沢山出て来まして、非常に沢山余計の税収入が多くなつた場合は一・六五ぐらいにしてもいいという下心を持つております。御了承願います。
  14. 楠見義男

    ○楠見義男君 実は只今大臣から御答弁になりましたような趣旨の訂正と申しますか、修正といいますか、調整といいますか、そういうようなことが行われるべきであるというので、緑風会から修正案を出しましたときも、そういうことを実は考えておつたのであります。というのは具体的の事例に即して、正確に時価を調べて、そうして非常に不当である、又取過ぎであるという場合にはそれを返すとか、調整する、こういうことを我々も主張しておつたのであります。ところが先程申上げましたようにこの税法案要綱を見ますと、先程も申上げましたが昭和三十五年度分の固定資産税収入見込額地租附加税及び家屋税附加税にかかる昭和二十五年度における過年度分の調定分及び滞納繰越分の収入見込額との合算額が五百二十億円を相当に上廻る、又は下廻る云々と、こういうふうになつておりまして、結局総額の点でそういうような措置考えられて、個個の具体的な事例についてはそれは考慮されておらないようにこの要綱では拝見されますのでお伺いしたのでありますが、大臣が個々のそういうような場合についても調整が当然考えられるのだと、こういう御答弁でありましたからその点は了承いたしました。  それからもう一点農地の問題でありますが、これも先般の国会における農林関係の者共の間で随分論議をしたことでありますが、農地の価格であります。農地の価格を現在政府考えておられますようにたしか二二・五倍でありましたか、そういうような率で参るのでありますが、一方農地改革における政府の農地政策としては先般も小作料の七倍の値上げをすることに内定せられたのであります。現行小作料を七倍にいたしまして、それから資本還元をいたしますと、政府の税の関係で考慮せられておるのは二二・五倍。ところが農地政策の観点から資本還元をいたしますと、大体十二倍になる。同じ政府の施策で農地の行政の面から行けば十二倍、それから税の面から行けば二二・五倍、こういうことは如何にもおかしいじやないか。勿論税の方から申しますと、一般の土地家屋との均衡の問題もありましようが、特に農地の関係は御承知のように大きな農地改革を基点といたしました一連の農地政策を政府は遂行せられようとしておるのであります。而も趣く最近にそういうような小作料の改訂をされて、それを資本還元すれば甚だしく税法と、今回の税法における評価額と違つて来る。一体政府はどちらをお採りになるのか、政策として。そして仮に税法の方に鞘寄せするといたしますると、地代というものはべら棒に高くなつて、これでは農業経営は全くそれこれ危殆に瀕するというような重大な問題になつて来るのであります。その辺を政府は一体どういうふうにお考えになつておるのか。参考のために伺いたいと思うのであります。
  15. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。只今も申上げましたように地方税法としましてはやはり土地家屋に対しまして今までの賃貸価格を採りますけれども、併し先程申上げましたように来年の一月中に適正なる時価を算出しまして、それによつて課税をして行きたい。そういたしますれば地方団体の財政の立場からそれが基礎になりますから、小作料とか何とかの問題はそれに追随して行かなければならん問題かと思います。併しこれも農林行政とも関係がありますから私独自の見解だけを申上げ……又農林大臣ともよく相談することにいたしたいと思います。
  16. 加藤正人

    ○加藤正人君 この附加価値税の問題でありますが、徴税技術に関することについてちよつと承わりたいと思います。附加価値税については従来地方自治庁の案によりますと、その課税対象が明確でなく、理論上附加価値認められないものまで混入するというような危殆があるのであります。即ち地方自治庁案の控除式方式をそのまま採られるのであるか。税率等の問題も相当無論重大でありまするが、業者の納税手続というものが非常に煩雑になりまして、この点から非常に困難を予想されるのであります。若しこれを加算方式といたしますと、損益計算上の利益に棚下し資産及び固定資産の増減並びに減価償却についての調整を加えて、附加価値上の利益を算定する必要がある。若し地方自治庁案の通り控除方式による場合には、旅費、交通費、雑費、交際費、租税課金等を控除項目とすべきであると思います。然らざる場合には附加価値が二重にかかることになる。かような次第で納税者の手続をできるだけ簡單にするということが徴税上の目的に副うわけであります。例えば控除項目を現行の勘定項目と一致させることが必要であると思いますが、やはり地方自治庁案のように控除式の方式を採るのかどうか。この点について伺いたいと思います。
  17. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 只今のことは技術士のことでございますから、詳しい事務官を以て御答弁申上げます。
  18. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 附加価値税附加価値額の計算方法の問題についてのお尋ねのように伺つたのでありますが、今の政府原案として出ております原案では、御指摘の控除措置と申しますか、その方式を探つております。これは加算式と申しますか、それぞれの利潤なり、地代なり、家賃なり、利子なりというようなものを集計をいたしまして見て行きます加算式を採らないで、なぜ控除式を採りましたかと申しますれば、今回の地方税の改革の狙いの一つは、やはり地方自治に寄與するということが大きな狙いでございまして、そのためには地方税の自主的な性格、自主性をできるだけ強めて行く、こういうことを狙いにいたしておるのであります。従来地方税の一つの欠陥といたしましては、国の決定をいたしました所得というようなものに依存をいたしまして、それに対してそれを課税標準として税をかけて行くというようなこと、或いは市町村で言いますというと、府県の決めましたものに便乗して課税をするというようなことで、税自身に対する自主性が非常に少かつたわけであります。この点を私共いろいろ勘案いたしまして税務行政の分離、独立、それに伴う自主的な責任の確立ということを強く考えましたので、やはり加算方式によりますというと、結局従来の事業税と同じように、国が所得の基礎にいたしております所得税の課税標準をそのまま持つて来るようなことになりまして、地方自治、殊に税制の自主性を確立するというような点から申しまして、これはやはり適当ではないのではないかというところに主たる狙いがあるわけでございます。或いは加算式によりました方が簡便であるというようなこともあるでございましようが、私共の考え方といたしましては、かような考え方に立つた次第でございます。尚その場合に旅費とか雑費とかを支出項目として引くべきではないかというような御意見でございますが、その点につきましては総売上の金額の中から事業に直接必要な外部に支出すべき金額を差引くという法律の規定でございまするが、この事業に直接必要であるかどうかという点が判断の基準でありまして、そういう見地からこれはそれぞれの徴税団体において処置することでございまするが、尚地方財政委員会等とも連絡をいたしまして、実状に即するような方式を立てるようにしたいと思います。
  19. 加藤正人

    ○加藤正人君 これは議論の相違でございまして、我々は随分この問題について研究したのでありますが、尤もそういうようなことは二重課税の弊に陥られるということであります、若しそういうふうにおやりになるならば、是非ともこの地方財政委員会等の嚴重な監督が非常に必要だと思います。私はこの控除式にそのままやられるならば、今私の申上げた通り、控除項目は現行の勘定科目に一致するように成るべくして頂きたい。これが要するに納税者の便宜は結局徴税目的に副うゆえんであります。この点について特に御研究を頂きたい。
  20. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 川崎恒君……それでは森下政一君。
  21. 森下政一

    ○森下政一君 岡野国務大臣にお尋ねいたします。
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 森下さん、前へどうぞお出で下さい。
  23. 森下政一

    ○森下政一君 先般吉田総理の施政方針演説の中に今回提案されました地方税につきまして、前国会で不幸にして不成立に終つたのであつたが、各方面の意見を徴して修正を加えて提案をしたというお言葉があつたようであります。更に今回の提案に際して地方行政委員会における岡野国務大臣の御説明の中にも、前国会における論議に鑑みて原案に若干の修正を施したというお言葉があるわけでありますが、前国会地方税法案不成立に終りましたのは、主として参議院政府案に対して甚だ不満足の意を表したことであり、両院協議会におきましても遂にその意見の妥結を見なかつたということは、参議院側に可なり原案に幅の遠いところの修正意見があつたということのために両院協議会不成立に終つたわけであります。その辺の事情は国務大臣も十分御了承の筈なのでありまするが、さて今回提案されました、若干の修正を加えたと言われるところの地方税法案なるものを要綱を通じて拝見いたしまして、総理大臣のいわゆる各方面の論議に鑑み、或いは岡野国務大臣の、前国会における論議に鑑みて、原案に若干の修正を施して提案されたと言われる、いわゆる論議に鑑みての修正というものがどこに施されているのであるか、これを私は発見し、これを了得するのに甚だ困難を感じているわけなのでありまするが、どこが一体世間の論議に鑑みて、殊に前国会において熱心な論議をいたしまして政府案を批判した参議院最大多数の意向に鑑みて修正を施された点が一つ承わりたいと思うのであります。
  24. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。前国会で非常にいろいろの御議論も出ましたし、御批判も出ましたので、そうして修正を加えたという意味でそういう字句を使つたわけでございますが、その点におきまして原案よりも変つているということは御承知下さることと思います。そうして原案より変つている点につきまして政務次官から御説明申上げます。
  25. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今大臣から説明いたしましたように、今回の地方税法案におきましては先ず第一に附加価値税の問題について再検討を加えたのであります。御承知のように附加価値税が消費者に転嫁する性質を持つている税でありますので、地方税法案不成立に伴いましてその施行時期でズレて参りました関係上、年半ばを越えた今日におきまして、これを昭和二十五年一月一日から施行するということは納税者、即ち事業者に対する負担の問題から言いましても妥当でないと考えましたので、遡及してこれを施行することを避けまして、昭和二十六年一月一日からこれを施行すると改めたのであります。尤も附加価値税は新税でありますので、相成るべくはこの準備につきましてもできるだけの措置を講じたいという気持をも持つておりますので、これらの事情から附加価値税の取扱につきまして再検討を加えたのであります。これに代りまして御承知のごとく現行地方税によりましては事業税及び特別所得税が行われておるのでありますが、御承知のごとく地方団体の歳入の状況から考えましてこれが財源の確保をいたすことは焦眉の急務でございます。従いまして附加価値税の一年実施延期を行いますと同時に、これに代るものといたしまして、現行税法において行われておる事業税及び特別所得税を暫定的に施行することといたしたいのであります。併しながら若し現行の事業税及び特別所得税を現行税率のままで昭和二十五年度において施行するといたしました場合におきましては、その予定税収額は大体七百億に近いものに相成るのでございまするが、昭和二十五年度における地方財政計画は御承知のごとく地方税収入において千九百八億を計上いたしておりまして、その枠の範囲内にそれぞれの税種類によつた税収見込額を立てておるわけでありますので、仮に事業税及び特別所得税を暫定的に施行するといたしましても、その予定税収額は附加価値税と同様に四百二十億の程度に止めたいという考えを以ちまして、これに応じて税率の上に一律に二割程度所得割税額を加算いたしまして、大体三割五分程度の税の軽減を図ることにいたしたのであります。のみならず附加価値税考え方といたしましては、農業、林業及び主として自家労力を用いて行う第二種事業、即ち原始産業につきましてはこれを非課税とすることが適当であるという考えを持つておりますので、この考え方を暫定的に施行する事業税及び特別所得税にもこれを当嵌めて参りたい、かような考えを持つておるのであります。  更に免税点につきましては、現行は四千八百円になつておりますが、これを所得税との関係もございますので、引上げまして二万五千円といたしたいと考えておるのでございます。附加価値税につきましては大体以上のような点に訂正を加えて参りたいと考えております。  次に固定資産税の問題でございますが、上地及び家屋につきましては先程来質疑もございましたように、その価格の課税標準の算定の基礎は、賃貸価格に求めることに相成つておりますので、土地及び家屋につきましてはその価格の捕捉が極めて可能なのでございまするけれども、償却資産につきましてはこれらの評価の問題等につきましてもいろいろと工夫をいたさなければならない点もございまするし、尚昭和二十五年度における予定税収額が固定資産税においては五百二十億ということに相成つておりますので、これらの点を見合い、又評価の問題とも兼ね考えまして、仮に税率を百分の一・七といたしまして、更に清算をいたしまして、これらに対する適切な措置を講じて参りたい、この点につきましては先程来の質疑応答によつて承知かと存ずるのであります。更に今回の訂正の内容としましては、賦課期日の問題並びに納期の問題でありまして、御承知のごとくにこの税法案が成立されますことを私共は確信はいたしておるのでございますが、その実施時期がズレて参ります関係上、国税地方税を通じまして納税の期日につきましては調整を図つて行く必要があろうかと考えまするので、納税者のお立場をも考慮いたしまして、納税の期日につきましては、所要の調整を図ることにいたしたのであります。  以上が大体大掴みな御説明でございますが、更に附加えて申上げたいことは、前国会において、いろいろ論議に相成りました強制的な寄附の問題でございまして、この点につきましては、今回の税制の改革によりまして、十分とは申せませんけれども、地方団体に対しまして相当の財源の措置が講じ得ることに相成りますので、強制的な割当寄附は、これを取ることを止めることが必要である。こういう考え方から地方財政法の一部を改正いたしまして、この種規定を設けることといたしたのであります。更に又、地方債の許可に当りまして、従来は大体各地方団体において課税標準税率の二割増を取らなければ許可をいたさないということを規定いたしておつたんでございますが、これを再検討いたしまして、標準税率を取る場合においては、起債の許可を行い得る途を開いたような次第でございます。附加えまして御説明をいたして置きます。
  26. 森下政一

    ○森下政一君 只今小野政務次官から御職明を承つたのでありますが、岡野国務大臣の言われる前回提案したものと多少変つておるということは、事実だと、これはいかさまそうに違いないのでありますが、それだからというて、前国会における論議、或いは各方面の論議に鑑みて、修正が原案に施されて、再検討されて、新たに提案されたとはどうも了承いたし難いのであります。只今の小野政務次官の説明に徴しましてもです、論議に鑑みて提案された、修正されたというかどはどこにもない。僅かに最後地方税法の改正に即応するための地方財政法の一部に、只今お述べになつたような改正を加えて、そうして強制的な割当による寄附の徴收を阻むというふうな措置を講じられたということは、これはいかさまこの点だけは前国会における特に参議院の論議を、私は取入れられたと思うのであります。この点に関しましては、本員のみならず同僚の多くの委員諸君が、時の本多国務相に対して、大体これまで寄附を相当額取つてつたと思うが、今度その寄附に該当するものは、地方税による税収の中に見込まれておるので、今度は寄附を取らないつもりであるという御説明がありましたについて、然らば政府当局としては、各地方公共団体に対して、さような寄附を禁止するような措置を講ずるかということを両度も駄目を押したのでありましたが、当時の回答は甚だ曖昧模糊といたしておりまして、政府はそうしたいと思うておるというぐらいのことで、或いは通牒を出そうかと考えておるというぐらいのことで、確たる返事をされなかつたのでありますが、今度地方財政法の一部に改正を加えて、当時の論議に鑑みた措置を講ぜられるという点だけは、明らかに私はこれは認めることができると、こう思うのであります。併じながら非常な論議の対象になりました附加価値税のごときもです、これを政府はいつのまにか流通税である、転嫁を前提とする税金と考えるというふうに考え方を統一されたということでありますが、その転嫁を前提とする関係上、丁度年度を余程過しておるので賦課期日のズレから転嫁が思うように捗らないであろうということのために、実施期を繰下げられたというだけのことでありまして、これは政府一つ方的な見解による便宜的な手段であつて、各方面の意見、或いは特に参議院の意見を尊重したという改正では微塵もないと思うのであります。むしろ参議院意向はかくのごとき悪税はとらない方がいいというのが大多数の意見であり、若し仮にこれを実施するといたしましても、そこに相当幅のある二年なり三年なりの段階を設けまして徐々に原案に近いものを実施するということの方が適当ではないかという議論が熱心に唱えられたことは御存じの通りである。然るに今度来年の一月から実施しようというのは、政府の便宜によるところの單なる賦課の期日をズラしたということだけのことでありまして、而もその埋合せとして暫定的のものとして事業税なり特別所得税を取ろう、こういうことを考えておられるというふうに思えるのであります。そこで私はますます奇異に感じますことは、今回この国税、地方税を通じましての税制改革というものはシヤウプ勧告によつても明らかな通りに、自由党は減税を選挙の公約に掲げて、税制改革即減税のように世間に吹聴したのでありますが、シヤウプ博士はそうでなかつた。税制改革は必ずしも減税を前提としていない。国民の負担を適正化するということが狙いである。甲に偏頗に重くかかつておるものを、その一部を乙に肩替りせしめる、或いは丙の肩に移して行くというふうにして、国民がそれぞれのカに応じて負担をなさしめるために税制を適正合理化せしめようというのが狙いであるということは明らかに報告書に示されておられるのであります。こういう観点から考えますると、一体今度政府が企図しておいでになる附加価値税実施を来年一月に延し、その間の穴埋めとして暫定的な改革をしておられる。現行税法による事業税或いは特別所得税、尤もこれらの免税点或いは税率等に対しまして、現在の財政需要等を睨み合せて幾分改正をしておられるようでありますけれども、附加価値税流通税として転嫁を前提とする税金だと言われるが、事業税及び特別所得税のごときは、これは私は転嫁を前提とせざる税金だと思う。事業税は純益のあるものに対して賦課する税金である。従いましてこれは転嫁しない。特別所得税又同様である。負担を適正化するというのが税制改正の根本であるとするならば、政府附加価値税という税金を課することは、而もこれは今日一般的な世論といたしましては、大企業に対しては相当の重い税金がかかるであろうということが言われ、或る種の企業はこれがために破綻に陥るのではないかと言われるぐらいでありまするが、転嫁されるということになりますならば、結局私は一般大衆が大企業に賦課される税金を負担することになるのではないかということを考えるのであります。ところで政府の見るところが正しいとするならば、大衆に転嫁されることによつて負担が適正化されるのだということを前提にしておられると思うのでありますが、事業税並びに特別所得税の場合において大衆に転嫁せしめることによつて税の負担を適正合理化する、こう考えておられる政府が、暫定的にもせよその穴埋め策として計画しておる事業税並びに特別所得税を転嫁しないものとするならば、私はこれは理論の一貫しないものがあると思うのでありますが、政府の御所見は如何でありますか。
  27. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。附加価値税がこの二十五年度から実行されますれば甚だ結構な次第でございますけれども、先程申上げましたようにいろいろの事情でこれを一年延ばした方がいい。又そういうことが前国会でも議論があつたそうでございまして、そうして附加価値税を一年延ばすということにしました。そういたしますというとそれに代るべき税源を発見いたしますのには、どうしても今までありました事業税、特別所得税というようなものを賦課して来るより外に方法はございませんから、臨機の措置として取つたわけでございます。でございますから、これが一貫して行きますのには、来年度から我々の趣旨が一貫するわけでございまして、今回の措置は本当の臨機の措置である、お説の通りに一貫しないものが出て来る、それは事情止むを得ないことと御了承願いたいと存じます。
  28. 森下政一

    ○森下政一君 一貫しないものがあるのは事情止むを得ないものと了承せよということでございましたが、大体その点は賛成はしませんが、政府の意図はわかりました。そこでもう一つ念のためにお尋ねして置きたいのですが、先刻も申しましたように、この附加価値税という税金は非常な悪税であり、東京商工会議所のかねて調査し、発表したところによりまするというと、従来事業税であれば年額仮りに一万円で済んだものが、百五十万円も二百万円も負担しなければならん企業があるというふうな発表があつたのでありまするが、前国会における委員会での政府委員の説明では、さような極端なものはないと考えておるというような御答弁があつたのであります。併しながらこれを要するに企業の面においては附加価値税負担というものが、相当重いものであるというので、論議の対象になつてつたようでありまするが、これは転嫁を前提とするということになると必ずしも企業それ自体の負担ではない。例えば電鉄会社が附加価値税負担によつて相当重い多額の納税をするという場合には、直ちにそれが料金の引上げによつて、電鉄を利用します一般大衆の負担転嫁されるという可能性が非常に多くなつて来る。従いまして附加価値税というものはそういうふうに大衆の負担に帰する傾きが多いものだ。政府の見解はさようでございましようか。尚念のためにお伺いして置きたいと思います。
  29. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今森下さんから附加価値税が消費者に転嫁する性質を持つておるという政府の見解に対して種々御意見があつたのでありますが、勿論この転嫁性を持つておりますために、場合によりましてはこれが一般消費者に転嫁するということは想像に難くないのであります。併しながら一面この事業経営上の問題からも考えて行かなければならない点があろうかと思うのでありまして、或いは附加価値税実施に当りましては、相当の設備の購入等に当りましては、これを支出金額として控除されるような途も開かれておりますので、或いは経営設備等に対する更新等を促進する場合も想像いたされまするし、又経営自体の合理化を推進することによりまして、或いは一般に転嫁を見ずして終る場合も考え得るのでございまするので、個々の具体的な場合について論議をいたすべき必要があろうかと存じまするが、税自体の性格から考えましては、他に転嫁する性質を持つておるということを申上げておるような次第でございます。
  30. 森下政一

    ○森下政一君 最後にもう一点だけ確めて置きたいと思います。先般の本会議におきまして岡田宗司君の質問に岡野国務大臣がお答えになつておる。若し今度再提案されました地方税法案が、不幸にして不成立に終るというようなことがありました場合でも、前国会不成立に終つた場合に平衡交付金を大体相当額先んじて交付するとか、或いは大蔵省預金部の資金で以て短期融資の途を講ずるとかいうわけで、地方団体の財政にことなきを得たのであるが、そういつた計らいをする用意があるかのごとく言われたと本員は承知いたしたのでありまするが、さように了承してよろしうございましようか、もう一度確認して置きたいと思います。
  31. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。森下さんは先程御列席がなかつたと存じますが、楠見委員からそういうお尋ねが出まして、それに御答弁申上げて置きましたから、それで御了承を願いたいと存じます。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 私が過日本会議におきまして御質問いたしました第一点につきましては、すでに桶見君にもお答えがあつた由でありますので、私は敢えてその問題について更にお伺いすることはいたしません。併しこの地方税の問題は、本国会におきましては中心の問題になつておるのであります。そうして政府が出されましたところの案を見ておりますというと、先程森下君が指摘されましたように、その修正というものは決して前国会における論議の多くの部分をとり入れておるものとは私共には考えられないのであります。これは岡野国務大臣並びに政務次官のかたから縷々と御説明がございましたけれども、私共といたしましてはそういうふうには感ぜられない。あの前国会最後両院協議会に私共が出席いたしまして、その際に自由党側の委員諸君から提案されました最後修正案でさえ、尚これ以上に大幅の修正があつたように思つておるのであります。それさえも出て来ておらないのでありまして、私共は政府がどれだけの考慮を拂つたかということにつきましては、政府の誠意を疑わざるを得ないのであります。これは或いは岡野国務大臣責任ではないかも知れない。併し私共といたしましてはそう認めざるを得ないのであります。  さてこの法案が否決された場合の措置につきましてはお答えがあつたそうでありますから、私は繰返して申上げませんが、只今参議院におきましても、或いは衆議院におきましても、この論議の過程におきまして、特に国民民主党あたりからは相当大幅の修正案が示されておるのであります。この修正案も先の国会におきまして相当やはり主張せられる方からも説明があり、又これを繞つていろいろの論争も行われたことでありますが、今国会におきましても政府が出されました修正がこの程度でありますというと、やはり国会側からも修正案というものも提出されて来る。そうして場合によりますというと、その修正案というものが或いは院議にならんとも限らんのであります。そういう場合におきまして政府はその修正案をお認めになるおつもりがあるかどうか、その点について先ずお伺いしたいのであります。
  33. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。先程も申上げましたように、政府といたしましてはできる限りの努力をいたしまして、やつとここまで漕ぎつけたわけであります。これは客観情勢の然らしめるところでございまして、棒程願つても針程しかかなわんことは誠に遺憾に存じますが、併し政府といたしましては、その針が全力を挙げた結果であることを御同情願いたい、こう存じます。  次に修正の点でございますが、私は自分の信念といたしまして、国会法律を作ることが権限でございまして、その国会自主権というものに対しては尊重いたしておりますから、若し皆様方において修正を是非しなければならんと、こういう場合が出て参りますならば、私はできる限りの力を挙げてその修正関係方面に容れられるように努力をすることは誓つて努力したいと存じます。併しその点におきまして、私がお誓い申上げても通るか通らんかということに対しては、私はどうしても責任は負えませんから、この点は一つ
  34. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 只今国務大臣の御答弁の中に、甚だ聞き捨てならんことが一、二あつたと思うのです。即ち今度の地方税法案を拠出するに当つて政府としては尚これ以上原案に修正を加えたものを出したかつたのだが、それはできなかつた、この案は甚だ遺憾な案であるが、御審議を願いたい。こういう趣旨のことがあつた。更にもう一つ参議院において修正意見が出れば喜んでそれが通るように協力するという言葉がある。つまり政府は確信なくしてですよ、確信なくしてこの案を出しているということになると思うのです。そういう案を出して我々に審議を求めるということは不届きだと私は思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり)御答弁が願いたい。
  35. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。確信があることと、国会自主権を尊重するということとは、私は別問題だと思います。私はこの案に対しては一番いい案だと、その一番いい案というのは、客観情勢下において政府が努力してこれ以上の案はできなかつたという意味において、一番いい案だという確信を持つております。その点を御了承願いたいと思います。
  36. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 国会自主権を、審議権を尊重する、これは当り前のことなんで、こんなことを今更お聞きしなくたつてわかつております。ただ政府として国会に出す場合には、これは政府が最善の案と考えて出さなければならん。然るにですよ、国務大臣の腹の中には、尚これは遺憾な点があるということがちやんと含まれている、そのことを告白しておられるのです。だからこそ参議院の方の修正意見がまとまれば、それが通るように全力を挙げて努力しますと、こう言つておるのです。そこを私は言つておるのです。
  37. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 議論のやり取りになりますけれども、私としましてはとにかくいろいろ議論があつたのでございますが、その御議論を通そうと思つて一生懸命努力したのでありますけれども、それができなかつたという点において、遺憾を感ずるのであります。併しここまでできました点におきましては、これが一番いい案である。(笑声)もうこの情勢下においてはこれ以上の案は出せないという意味において、確信を持つておるわけであります。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちよつと速記を止めて頂きたい。
  39. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。
  41. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 次長の申上げましたことは次長の立場の交渉の経緯でございます。(笑声)国務大臣としては基本方針に対しても折衝を続けておつたのです。これは前国務大臣の本多国務相でございます。併しながらそれは容れられませんであつたということを承つております。それでございますから私といたしましては、私の申上げた通り、それから事務的に御答弁申上げたことは事務的に御答弁申上げた通りでございます。以上。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと前の本多国務大臣が政治的な折衝をしておる、こういうことになる、私はその折衝はしておらん。これは時期的に或いはそうでしよう。併しながら今度の内閣は吉田内閣が倒れて別な内閣ができたのじやない。吉田内閣の改造によつて引継がれた内閣である。で国務大臣も同じ立場に立たれる方である。当然事務引継ぎがあるわけでありますから、本多国務大臣が交渉せられた内容というものは、あなたにも引継がれて御承知の筈である。そういたしますと、その基本線の交渉のあるものはよく御承知であろうと私共は考えるのであります。その基本線なるものの交渉は、如何なる程度のものを交渉せられたか、それをお尋ねしたい。
  43. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。その点については、話を承わりましたけれども、これは外へ発表してはならないものという口止めの下に引継ぎを受けたわけでございます。(「そんな馬鹿なことがあるか」と呼ぶ者あり)
  44. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  45. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。只今岡田宗司君から秘密会の御要求がありましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは秘密会にいたします。参議院議員、国務大臣政府委員及び事務に関係する職員以外の方は御退出願います。    午後二時四十四分秘密会に移る。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより秘密会に入ります。速記を止めて下さい。    午後二時四十五分速記中止    —————・—————    午後三時七分速記開始
  48. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を付けて下さい。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今岡野国務大臣の御意見を承わり、修正案が若し国会において成立する、こういうことになつて参りますというと、これは予算の面に必ず響いて来る、今次の修正案は、政府提案しました修正案は、これは全然予算の上には関係のないということになつておる。従つてここでは補正予算というものは出ておりません。ところが国会におきまして若し修正を加えるということになりますと、これは予算上に大きな関係を持つて来る、例えば地方財政をしてこの規模のものを続けさせるということになりますれば、或いは平衡交付金を増すという問題も起つて来るだろうと思うのであります。いろいろな問題も起つて参りますので、この修正案が若し成立いたしました場合には、政府といたしましては、直ちにそれに基いて引続きまあ補正予算を出すかどうか、この点は今岡野国務大臣修正の問題についてそこまでいろいろ御研究になつてつたといたしますならば、その点も同時にお考えになり、又閣内におきましても、その点につきましては御了解も得られておるものと私共は思うのであります。その点に関する岡野国務大臣の御所見を承わりたい。
  50. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。国会は一体でございまして、仮に一つ法律を作りますにつきましては、御承知通りに若しこれに予算措置が要りますれば、やはり予算措置考えなければなりません。でございますから御修正を下さる場合には、御修正下さる方も、予算措置をお考えになる方もやはり国会議員でございますから、その辺を皆様で御勘案下すつて修正下さることを望みます。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますれば、その場合における、例えば我々の方におきまして予算の問題についていろいろ考えて案を出すというような場合において、政府はそれに対してどういう態度をとられるか、それをお伺いしたいと思います。
  52. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) それにつきましては私の所管外の大臣意向もありますので、国会がそういうふうになりますれば、所管外の大臣をお引出し下さいまして御意見を御検討下さることを望みます。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは後に池田大蔵大臣及び吉田総理大臣においでを願いまして、その点についての御質疑をいたしたい、こう思いますので、さようにお取計らいを願います。私はこれで以て私の質問を終りますが、尚波多野君の方から関連質問があるそうですから……。
  54. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 先程からいろいろ聞いておりますと、一体政府はこの原案ですね。修正されたこの原案を通してくれといつておるのか、国会修正をしてくれ、修正をして貰つた方が尚よくなるのではないかという考えを持つておるのか、よくわからなくなりましたから、その点を一つはつきり……。
  55. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) はつきり申上げます。これはもう修正して頂かないことを希望します。必らずこの通り通して頂きたいことを念願しております。
  56. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それでは免租この提案には遺憾な点があると言われたし、参議院修正の決定をすればそれが通過するように全力を挙げて最善を盡すということを言つておられる、どちらが本当ですか。
  57. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 遺憾の点と申しますのは、先程申上げましたように、関係方面との交渉のつき次第で、我々が本多国務相以来いろいろ折衝しておつたができなかつたから遺憾であつたのであります。併し遺憾は潰憾でございますが、客観情勢上これ以上の案はできなかつたのでありますから、このままこれを通して頂きたい、こう考える次第でございます。
  58. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 祕密会のうちに外に御質疑のある方は御発言願います。——速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  59. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。それでは祕密会を解きます。    午後三時二十七分祕密会を終    る。
  60. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 祕密会に入ります前に引続きまして質疑を行いまする
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 総理の施政方針演説、或いは岡野国務大臣提案理由の説明によりますと、地方改正の目標は地方自治の確立であり、その前提條件をなすものが地方財政の強化であるという説明であつたのでありますが、シヤウプ勧告の報告書によりますというと、更に地方財政の強化のためにはその前提條件として地方の財力、地方の経済力が増強されていることが必要であるということを申していると記憶いたしておるのでありまするが、然らば政府は現在ああいう、大掛りな地方財政の強化をおやりになるのにふさわしく地方の財力なり、経済力が増強されておるかどうか。私たちが地方において経験するところは、むしろ逆に、この一、二年の間に地方の財力なり、経済力は非常に弱つて、瀕死の状態に追い詰められつつあると思うのですが、その点に対する国務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  62. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。御説至極御尤もでございまして、地方に限らずどこでも、日本全国今非常に経済的に困つております。その点におきまして、御詮の通りに納税に対しては非常に困難の途を辿らなければならん国民の立場でございますが、併し今度の税制改革は、御承知通りに国税と地方税と両方ともやつたのでございまして、抗う懐はやはり一つでありますから、地方税は増税になりましたけれども、国税の方で減税になりまして、そうして差引は減税の方が三百億程減税されておるということになりますから、今までよりは負担が少し軽くなつておるという考えでおります。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 併し地方税において相当の増税、例えば四百億程度の増税になつておりまするが、地方に関する限りは税の負担が重いと思うのですが、その点はどうですか。
  64. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申し上げます。地方におきましては、やはり負担は原則として軽くなつております。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 もう一つ総理大臣は、その施政方針演説のなかで、地方財政は今後緊縮、節約されるであろうという期待でありますか、見通しを述べておられたのでありますが、政府の方からお配りになつた資料によりますと、地方昭和二十三年の歳出は、二千八百五十八億、三十四年度が四千十九億、二十五年度が四千八百八十七億、次第に増加いたして参つておるのでございますが、どういう見通しから来年からは相当節約されて行くというふうにお考えになられたのか。その点を一つお聞きしたい。
  66. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。もともとその地方の財政の方が平和時代には中央の財政よりは多かつたのでございます。それが戦時中から終戰後の統制経済が非常にまあ何といいますか、情勢に移つて来まして、だんだんと中央の財政の方が大きくなつて地方の財政の方が少くなつておるわけです。そこで今度増税しましても、その点において国家全体としては、余り地方の財政、いわゆる財政としては多くならないのであります。今後我々の考えといたしましては、地方における事務の配分ということを、しきりに今研究しつつあるのでありまして、そうしてその事務を非常に簡素化し、同時に又中央から余り補給金を貰わないで、そうして事務経費なんか、使わなければならんような仕事が沢山あるのですが、そういうものを整理いたしまして、地方地方責任において自分自身の仕事をする。こういうふうにして行きますから、行政機構の改革がことなく行われなければならない方向に進んでおりますから、そういう意味で段々節約もできて行きましようし一又自治庁といたしましても、今度新税法案を施行するにつきまして、冗費の節約ということを勧奨して参りたいと存じております次第でございます。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 地方財政の緊縮節約は、今後行政整理に、或いは冗費の節約にというお話でございますが、その予定されておる行政整理なり冗費の節約は、どういうところにお求めになりますか。
  68. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今地方の行政整理についてどう考えておるかという御趣旨のお尋ねでございますが、行政整理に対しましても、地方団体は何と申しましても建前が自主的に、自己の必要とする職員を定め、これの給與を考えて行くという建前に逐次して行かなければなりません。ただ現在のところ給與につきましては官吏の例によるという建前でございますし、又その他の制度につきましても、大体従来の官吏の制度が当嵌つておるような状態でございまして、この点は地方公務員法の制定を俟たなければ、新らしい規準の上にのせるわけには参りませんけれども、建前はあくまでも地方の自主制によつてこれは処置する問題であります。中央の方から一方的に行政整理をどうせよというようなことは、なかなか言いにくい問題だろうと思うのでありまして、やるにいたしましても勧奨ということになると思います。併し地方は何と申しましても、第一線で国からのいわゆる委任事務でありまする脚が、その他どうしても法律上やらなければならん仕事をやつておるわけでありますから、なかなか行政整理の場合におきましても、その実情に即するような措置考えなければならない。かように考えております。
  69. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと現実の問題としては、行政整理は方策としてはできないのだということになる、殊に今度の地方財政が確立をいたしますと、むろんそれに関連して人員その他の増加があるので、そういう意味において、そういう点からの節約は望めない。むしろ定員が増加するのじやないかと思うのですが、その点に関して国務大臣に……。
  70. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今度新税法を施行いたしますにつきましては、約徴税員としまして、全国で三万人くらい増加しなければならんという見込を持つております。それにつきましては六十億くらいの予算が要る筈でございます。これは増税の中に織込んでございます。やつて行けると思います。ただ先程も仰せのように、将来は地方自治団体をできるだけ自主的立場に立つて賄いをして行かそう、こういう政府指導方針でございますから、それにはやはり確たる財源を與えて置くが、併しできるだけこれを節約して、裕福に……。又事業の実行できるような方向に進めさせるために冗費の節約なんかも勧奨したいと、こう考えておるのであります。
  71. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 政府の方から頂きました資料の二の一頁、国庫支出金がシヤウプ勧告の基礎なつ昭和二十四年度当初財源において千四百三十億でございます。それを基礎とした場合にもシヤウプ勧告によりますと千六百五十億の国庫支出金が必要であるということであつたと思うのでありますが、ところが昭和二十四年度の最終を実績的に検討いたして見ますと、そこの数字にもございますように、千六百五億になつて、当初の予算千四百三十億より相当増加しておる。そうだとすれば、すでに千四百三十億のときに次の年度には千六百五十億を必要としたのでございますから、実績が千六百五億に上つたとすれば、シヤウプ勧告の千六百五十億よりも、更に殖えなければならない勘定になると思うのでありますが、昭和二十五年度の政府原案によりますと、シヤウプ勧告よりもむしろ減つて千六百七億ということになつておる。シヤウプ勧告に非常に忠実に則ること、そうして殆んど変更はできないというようなお考を固執しておられるに拘わらず、この国庫支出金についてはむしろ減額をしておられる。これはどういう御意図でこういうふうになつたのか、特にこれは非常に大きな政治的な問題と思いますので国務大臣に御答弁願います。
  72. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 数字の点まだよく頭に入つておりませんから事務官から申上げます。
  73. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今御指摘の資料でございますが、国庫支出金は今御指摘のごとく、シヤウプ勧告の基礎になりましたものが千四百三十億、勧告ではこれを二百二十億殖やしまして、千六直五十億ということでございまして、二十五年度の当初におきましては、それが千六百七億になつておるわけでありまする約四十三億ばかり違うわけでございますが、これは全体といたしましてはそう大きな違いではない。大体前年度の線に副つておると思うのであります。その他全体といたしまして、シヤウプ勧告がこのままの形では実現はいたしておりませんけれども、できるだけまあその線に副うように努力をいたして、今日の状態になつておるわけであります。
  74. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでは、その点をもう少し内容的に申上げますが、一般平衡交付金はシヤウプの勧告によりますると、千二百億を盛つておる。それにも拘わらず、二十五年度の政府原案においては千五十億しか盛つていない。これはさつきの総計においては余り大した額ではないとおつしやいましたが、千二百億と千五十億の相違は、金額としても相当大きな相違であると思いますが、これが減になつた大きな原因あ一つであると思います。シヤウプ勧告を金額的にも殆んど修正できないというような御意思の案であるに拘らず、こういう重要な点においては非常に大胆な御修正をなさつておるのはどういう意図に基くもであるか。特にこれも一つ国務大臣にお願いいたしたい。
  75. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) あれは生活保護費の方に廻した次第でございます。
  76. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 大臣の申上げましたことに更に付け加えて申上げますと、千二百五十億の中にありました約千五十億の額を占める生活保護法の関係負担金があるわけでありまするが、この部分はこれはいろいろのいきさつがございまして、シヤウプ勧告におきましてはこういうような補助金を廃止いたしまして、平衡交付金の中に繰入れることになつてつたのでありまするが、それを補助金の姿のまま、これを存置して置くということになつたのであります。従つてこの表で申上げますと、普通補助金の方は、シヤウプ勧告にお雪ましては百五十億に減つておるわけでございまするが、二十五年度の政府原案におきましては、それが二百八十億になつております。それから尚衛生関係の経費につきましても平衡交付金の中に入れらるべきであるようなものが普通補助金として残つておるようなものがあるのであります。そういうようなことで、当初は実は千二百五十億というような数字を考えておつたのでありまするが、それが千五十億というようなところに最終的に落ちて来ておる次第でございます。
  77. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、これは純正に計数整理と言いますか、計算上の技術的な相違だけであるというふうな御意向でございますか。
  78. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) そうでございます。
  79. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから地方債の方でございますが、地方債がシヤウプ勧告によりますというと、三百五十億を予定されておりますのに、この政府原案によると二百三十億に落ちておる。この点はどういう意味で、こういうふうに減額されておるのか。
  80. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この地方債は、前年度は三百十億ということになつておりまして、まあいわばドツジ・ラインと申しますか、均衡財政と申しますか、そういうような見地から、これを大体前年度の額を踏襲いたしまして、今年度当初におきましては、一応三百億という数字にいたしておるのであります。ただここでは純増だけを見ておりますので、その三百億の中から今年度元金償環の予定にいたしております七十億を差引きました一旦三十億が、本年度当初の起債の総額、こういうふうになつておるのであります。この点はシヤウプ勧告では、ここにございますように三百五十億にせよということになつておるわけであります。これは元金償還分を除いた純増分を三百五十億にせよ、こういうことでございますから、今年度の元金償還予定の七十億をプラスいたしますと、四百二十億になるわけであります。目下政府といたしましては三百億に七十億の元金償還分をプラスいたしました三百七十億という数字につきまして大体先方の了解を得ておりますが、更にそれを五十億増しまして、シヤウプ勧告通り三百五十億に七十億を加えました四百二十億の線まで持つて行きたい、こういう努力を今拂いつつある次第であります。
  81. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点については、地方債の財源も相当部分あることだと思いますので、是非一つ努力して頂きたい。  それから政府のお配りになりました資料の第三でございますが、これは第三の一項……、しばしば御説明がございますように、昭和二十五年度は千九百八億の税収になると思うのですが、これは前年の昭和二十四年度、千五百二十四億に較べると、三百八十四億の増税になる。この増税はどこで負担しているかという問題でございますが、例えば附加価値税等はむしろ三百十六億の減になつているに拘らず、市町村民税において二百九十九億、殆ど三百億の増になつているのであります。そういう、いわば附加価値税というような資本課税事業税、その方面においては非常な減税が行われているに拘らず、大衆課税、特に市町村民税、そういう庶民大衆だけが三百億の負担をしているという結果になつておると思うのですが、この点をどういうふうに……。
  82. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 附加価値税につきましては必ずしも庶民大衆に関係のないもので、これが軽減されておるというふうに私共考えませんので、従来大企業でありましても、赤字でありまするならば附加価値税を納めない。従つて事業税を納めないというようなことでありまして、勢い事業の規模から申しますると相当の規模を持つ、ておりまして、而も所在の市町村等から、或いは府県等からはいろいろサーヴイスを受けておる。そういうことに対する反対給付としては何らこういう事業に対する応益の原則に従つた税がないということでは、地方自治という建前から申して面白くないということで、附加価値税一つ考えておるわけでございまして、これはそれぞれの事業の分量なり、規模に応じて、地方団体が行いまするサーヴイスに対する応益的な反対給付という意味で出しておるわけでございまするから、特に大企業に対してどう、中小企業に対してどうという観念はないわけでございまするが、従来の事業税に比較いたしまするならば、一般的に申しましてやはり中小企業者等につきましては非常に減税になるというふうに私共は計算をいたしております。  それから市町村民税に関しましては、これは国税の所得税のようなものと睨み合つて考えるべき問題であろうと思うのであります。所得税につきまして減税をいたしましたということは、市町村民税の税額を又半面所得税的なものにいたしまして、いわば国税の所得税から市町村民税に肩替りをして行つた。併しそれでも総体的には、国税の所得税と市町村民税と合せて考えまするというと、従来の大体九割くらいの程度の税額になるのでありまして、そういう意味で全体の負担といたしましてはやはり地方住民の負担は減る、かように私共考えておるのでございます。
  83. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私のお聴きしたいのは附加価値税の項目でございますが、これは今年度は若し事業税、特別所得税の形で取れば、七百三十五億取れる予定でございますが、それを四百十九億に減にするという意味で三百十六億の減税がなされて来ていると思います。にも拘らず市町村民税はさつき申しましたように、三百億の増になつておる。国税と地方税とを両方勘案して、非常な減税になつている点においては、附加価値税事業税、或いは特別所得税等と市町村民税と同じことでございます。この問題は一応捨象して、これ自体として問題を考えていいというふうに考えております。そういうふうな見地からすると、今度の地方における増税の大部分が市町村民に、従つて大衆に賦課される、その点をどういうふうになさるか。
  84. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 事業税の二十五年度の改正前の現行制度で参りましてやつて見ますと、七百三十五億取れることになるわけでございますが、これは大体前年度の所得が所得税、法人税の関係で概ね総計が決まつておりますから、それによつて計算いたしますとこのようになるのでありますが、併しこれは現在のまま行つた場合の仮定の数字でございまして、前年度に直接比較いたしますと、四百三十一億のものが四百十九億になるということでございます。それでこの点は何れにいたしましても事業税、附加価値税を比較いたしましても減るわけでございますが、市町村民税の方は市町村民税だけとしてこれを取りますならば、正に御指摘のごとくそれは大体二倍強殖えるのであります。ただ所得税におきまして二割の減になりまするが、この所得税の二割減と市町村民税の二割増というものを相対計算いたしますと、大体その両者の総額の九割程度になる。要するに一割程度の減税になるということであります。この政府案におきましては、シヤウプ勧告におきましては法人税については均等割を採らないこういうような建前であつたのでございますが、その点はやはり全体の調子を考えまして、法人に対して所得割を掛けないというようなことも考えまして、法人に対しても均等割を掛けるというように訂正をいたしております。そういうような点におきましてシヤウプ原案よりは更に今お考えの方向に調整をいたしたような次第でございます。
  85. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 政府提案理由の説明によりますと附加価値税をお取りになる理由が、しばしば御説明があるように流通税性格であつて従つてこれは転嫁が可能なんだ、転嫁ができないとすれば非常に過重なものである。転嫁ができ得たら必ずしも過重でないのでこれを取ることになるんだというような御説明であつたと思いますが、そうだとすればこれは先程から申しますように、やはり労働者なり大衆に転嫁できるからその限りにおいて過重でないんだという、裏から言えばそういう結果になる。その点を大臣はどういうふうにお考えになつているか、お聴きしたい。
  86. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申します。転嫁されまして、その生産物が消費者の手に移りますときその物価がどう動くかということは、これは経済上の観念に従いまして上下するだろうと思います。でございますから、転嫁したら必ず消費者に、即ち大衆に非常に負担が大きくなるということは経済観念としては言えないだろうと思います。我々の望むところは転嫁課税でありますが、併し企業の合理化をして、そしてこれを安い物にして売つて行く、即ち転嫁の形になりますけれども、外の方面で企業の合理化によつてそれを生み出す、併し転嫁はされております。その生産費の中の割当をしますが、そういうふうに進んで行くものと考え、又行かしたいと考えます。自由経済になりますれば、税金だから転嫁しろ、そうして消費者はこの負担をしろということになつて、昔のように売手の市場ではなく買手の市場になりますから、自然そういう点からも余り大衆に対して大衆課税をしたということには意味が少し違いはせんかと、こう考えております。
  87. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは、転嫁をお認めになる限りは、本来ならば収益も利潤から差引かるべきものが、転嫁することになればその他のものが負担しなければならない。そういう意味では大衆に、特に労働者に転嫁されてそつちの負担が重くなるという結果になると思います。従つて流通税であるということをお認めになる限りはその理論を承認されなければならんと思います。
  88. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。その前に取引高税でございましたか、あれは完全に消費者即ち大衆にそれだけのものがかかつて来るのでございますけれども、併し今度の税は、その企業自体が自存して行かなければならんというのが自由経済の一つの原則でございますから、これをすつかり大衆に負担さしてしまつて、そうして立つて行くかと言えば、行けなくなると思います。でございますから、只今のところでは無論生産費のうちにはその税金が含まれてはいますが、併し一般市場におけるものの裏で行くと、即ち買手市場になつた自由経済の時代になりますというと、そう大きく響かないという見通しを持つております。
  89. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 もう一つ、この間総理大臣の施政方針演説に対する岡田君の質問に対して、大蔵大臣は、地方税がこの間成立しなかつたために、公共事業費その他の支出に非常な支障を来たしたために金融の梗塞が出て参りておるというような御答弁であつたと思うのでございますが、政府の方から頂きました資料(2)の十八頁によりますと、歳出のうちで公共事業費は普通が百三十二億、災害が百六十三億、第一・四半期にこれだけ出ておりますし、第二・四半期も相当出る。従つて合計すると普通が二百八十五億災害が二百八十億、合計五百六十億以上で、年間予算の一千三十五億の半分である。従つて上半期の出方としてはそんなに支障を来たしていないというふうに考えるのでございますが、その点どういうふうにお考えになりますか。
  90. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今の資料にでております点はその通りでございますけれども、何を申しましても臨機の処置として平衡交付金なんかを交付して地方財政を賄つていたものでございますから、今度の新税法案通りまして歳入を得られるだけの金は無論行つていない。それだけ新規事業とか、今までの継続事業が止つておることは事実でございます。それだけは承認いたします。
  91. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと政府が当初地方税が成立するものとしてお立てになつた公共事業費の使い方の第一・四半期、第二・四半期の予定計画と、地方税の成立しなかつたためにに齟齬を来たした数額とはどういうふうに食い違つておりますか。
  92. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ここの第一・四半期、第二・四半期の、何と言いますか、月別収支状況、これは地方税法案小成立に伴います一応の地方財政全体の第一・四半期、第二・四半期の計画として政府の作つたものでございます。それで今の平衡交付金等につきましても、例えば第一・四半期におきましては本来ならば三百十八億で行くべき形でありましたものが、歳出の方におきまして、例えば今の公共事業費の補助金とか、その他本来計画をしておりましたものが必ずしもその通り出ませんので、政府の収入がその通りなかつたというようなことからいたしまして、その差引の過不足の二百八十二億というのにつきましては、八十二億の平衡交付金を更に追加して出す、従つて合せて第一・四半期におきましては四百億これを出しておるわけであります。その他に更に短期融資を二百億出しまして収支の辻褄を合わせるというような、いわば彌縫策でありまするが、措置を講じておるわけであります。第二・四半期につきましても、七月分につきましてはこの計画の通りた体二百十八億の平衡交付金の交付をすでにいたしておる次第であります。
  93. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の御説明によりますと、従つて歳入として、財源措置として特別な方法を講じたと言われるだけで、公共事業費の歳出の方には殆んど支障を来たしていないと思うのですが、その点について……。
  94. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 公共事業費につきましては、これはそれぞれ地方団体の実情によりまして多少違いがあると思いまするが、この補助金に対しましては、それぞれ地方におきましては或いは起債をつけましたり、或いは一般の債券を以て裏打をしなければならないような関係がございまするので、今の財源措置によりまして交付金なり、或いは短期融資を貰いましたものは補助金と合せてそういう公共事業に若手しておるものもあると思いまするし、又起債の枠が未だに決定しない、起債が貰えないということで、従つて補助金は来たがまだ事業に著手しないというものもあるかと思います。併しこれはそれぞれのその実情によつて多少違つておると思います。
  95. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、大蔵大臣の言われるよとうに、非常用にこれが支障になつていて今の金詰りの一番大きな原因であるということにはならない……。
  96. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この第一・四半期、第二・四半期の財政計画を作りますにつきましては、預金部資金の融資の関係もございまして、大蔵省の事務当局とも十分打合せをいたしました上でいたしたものであります。従つて国の資金計画全体の問題といたしましても地方財政につきまして、このような収支があるということは大蔵事務当局としては了承しておるところであると存じます。
  97. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 もう一点、次のページに地方財政善後措置要綱第一・四半期、第二・四半期のものでございますが、この第一・四半期の方ですか、3に「前項の短期融資に依る地方団体の利子負担に伴う地方財政需要の増加に対しては、別途必要な財源措置を講ずること。」という項目がある。その次の第二・四中期のときも同じことが繰返し議論されているのでございますが、この大体利子負担は一体どれくらいとお見込みになつておるのか、それから財源措置を今お考えになつておるのは具体的にどういうものをお考えになつていて、どういうふうな話合になつておるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  98. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点につきましては、政府といたしましてはこの短期融資の関係の利子に対しまする財源措置考えるということで方針を決定いたしておるわけでございまするが、この利子の額は極く大雑把な計算をいたしまして、大体六ケ月くらいの期間を以て借りるといたしまして、一・四半期の二重億、それから二・四半期に予定をいたしております九十億を見合いますと、大体十億ぐらいの見当のものと考えております。これに対しまする財源措置といたしましては、方法はいろいろあろうと存じまするが、目下政府としてはどの方法によるか、これを研究中でございます。或いは利子を軽減するとか、或いは交付金を増額するたか、いろいろ方法があろうと存じまするが、これは目下関係方面との折術等もございまして、政府としては対策を考究中でございます。
  99. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その財源措置についてはまあいろいろな方法が考えられるのでございましよう。それに関連して追加予算なり補正予算をお考えになつておるか。お考えにならなければならないと思うのでありますが。
  100. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。只今の利子補給の問題は閣議でも決定しておりまして出すことにはいたしておりますが、併しその方法といたしましては今次長が申上げましたように勘案中でございます。併し十億でございますから、恐らく補正予算を出さなくつてもやり繰りがつくように思つております。御了承願います。
  101. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 岡野国務大臣提案理由の説明によりますると、事業税は本来応益的に負担すべきものであつて、そうして大事業に不当に軽課されているというふうにお述べになつておるのでありますが、これを一つ具体的に、計数的に御証明願いたいと思います。
  102. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) もう一度お読みを願えませんか。
  103. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 読みますと、提案理由の説明の書き物の中に「第二には本来応益的に負担すべき事業税が大企業に不当に軽課されている」そのために事業税を附加価値税に変えたのだという御説明であると思います。それを一つ具体的に、計数的に御説明願います。
  104. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今まで大きな会社とか工場が公共団体の区域内にございましても、事業税でございますと収益が挙がらなければ税金は拂わない。併しながら大きな企業がその公共地方団体の範囲内におりますというと、やはり公共団体のいろいろなお世話になつておる著なのでございます。でございますから、お世話になつておるけれども収益が赤字で、赤字で進んで行くから、その地方公共団体には何らの寄與をしないということは、これは合理的でないと存じますので、やはりこれは大きな事業が県とか町村とかいう所にありますならば、やはりそこへは相当な自治団体に対して負担、寄與をすべきものだと私は考えます。その意味におきまして附加価値税は收益があつてもなくつても相当な即ち附加価値を生み出すような事業をしておるところでは応分の負担地方公共団体に出す、こういう趣旨からやつておる次第でございます。
  105. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その問題はもう少し後で承りますが、宴の前に私がお尋ねしているのは、現在の事業税によると大企業に不当に軽課されている、この事実を、なぜこれがこういうふうになつておるか、それから具体的に数字的に言つてそういうものが現れているのか、その点をお答え願いたい。
  106. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今までの事業税でございますというと、こういうことになるのでございます。大体小さい企業をしている人から出した税金が地方団体へ入りますパーセンテージが九〇%であつて、大きな事業会社が出しますパーセンテージが一〇%であつたのでございます。これを附加価値税に変えますというと、小さい事業者が負担するパーセンテージが四〇%になつて、大きな事業会社が負担する率が六〇%になる。こういうような想定の下に作られておるわけでございます。
  107. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それと、なぜ事業税ならばそういうふうに大企業には非常に軽課されていたか、その原因及び実際に具体的に言つてどういう大企業、どのクラスにはどういうふうに軽課されているか。
  108. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 先程申上げましたように、事業税でございますというと収益税でございますから、赤字にちやんとバランス・シートを作りますというと、収益がありませんから税金はかからない。併し小さいところも無論赤字のところもありましようけれども、大体において収益が出て来るというような数字になつて参りますのでございますから、今までは大企業は、大企業の割に収益が少く、隠されているとは私は申しませんけれども、やはり収益が割合に少い。その意味におきまして、事業税としましては、小さい方面では收益税として非常にとられておる。大企業は收益税として納めていなかつた。こういう現実の事実がございます。
  109. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 收益を大企業がより多く挙げているか、中小の企業がより多く挙げているかという問題は、いろいろ統計上の操作の問題で、はつきり分らないかも知れませんが、必ずしも大企業だから収益がないということは言えないので、むしろ常識としては、現在の最近の状態から言えば、大企業の方がむしろ利益を挙げている、中小の企業は皆利益がないために破産し、整理されて行つておる状態だと思うのであります。そうだとすれば、大企業に不当に軽課されておるというのは、利益がないからではなくて利益があるに拘らず、それを隠しておるのだ、それを厳密に捕捉していないのだ、政府がそれを捕捉することの努力が足りないのだということになると思うのですが、その点は……。
  110. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お説の通りに、或いは多数の会社の中には利益を隠して、収益が出ていないような形にして、収益税たる事業税を納めておつたという事実もあるかも分りません。併しいずれにいたしましても、先程申上げましたように、大企業というものが事業税としては地方団体に寄與するパーセンテージは一〇%であつて、そうして小さい中小企業の事業者というものが事業税としては九〇%も納めておる。これを附加価値税にいたしますと、大企業の方面で六〇%を負担して、中小企業の事業者は四〇%の負担で済むと、こういうことになりますから、社会政策的にはよい税だと、こう考えております。
  111. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点になりますと、むしろ大企業の利益をば正確に掴み出すことの努力が足りないということだけであつて、これは技術的な問題で、むしろそれならばそこを徹底的に追究して、そこからとることを努力すればよい。技術の変更によつて可能な問題だと思う。従つてその代りには附加価値税を設けて中小の企業者になるべく負担を少くするのだとおつしやるのでありますが、併し附加価値税の場合は、若し非常に儲かつている会社があつて、そうしてそれが新設拡張をどんどんする場合には、それらのものは全部附加価値から落されるわけでありますから、附加価値が何もなかつたという意味において、むしろそういう利益の多い企業がそういう新設増設を積極的にやる、それを奨励することにはなつても、中小商工業の方への負担を軽課する、軽くするという結論にはならないのじやないか、むしろ今はさなきだに利益のない、そういう中小商工業者にも、利益がないに拘らず附加価値税が賦課されて、むしろそれらの整理なり破産を租税的に促進して行くという結果に相成るのじやないか、その点を……。
  112. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私はそうは感じませんで、やはり事業が大きくなれば、附加価値税に出ておりますように、総売上げ高というものが一種の目標になりますものですから、結局税は沢山拂うようになることになります。それから中小企業に至りましては、まあ附加価値税というものが一団となつてこれだけとろうという分でございますから、事業税でこれだけとろうというときに、その事業税の九〇%を拂つてつた者が、附加価値税となりますというと、六〇%を大きな企業が拂わなきやならんということになりますから、どうしてもやはり小さい事業者の方が税が軽くなると、こういうことは理論的に申せるわけでございます。
  113. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御通告順による質疑は以上で以て終了いたしました。外にこの際御質疑でございませんか。
  114. 野溝勝

    ○野溝勝君 一つだけお聽きして置きます。私の質問通告は明日になつておりますが、一点だけ大臣に……。先程佐多さんから附加価億税の問題で大臣質問があつた際に、これは転嫁税であるというお話がありました。併しこの転嫁税は大衆課税でないというお話をされたのでありますが、大衆課税でないとすれば、この附加価値税課税対象は一体どうなるのですか。私の聞いておる範囲では、原料や材料にはかけないということになつておる。原料や材料にかけないというと、何を対象にしてかけるか。そういう点について詳しくあなたの御答弁を聞かないと、大衆課税でないという理論的なことが裏付けができない。その点を一つお聴きします。
  115. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 今細かいところを事務官から申上げさせます。
  116. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) お手許に差上げました要綱にございまするように、附加価値の計算の方法と申しますか、総売上金額から特定の支出金額を引いたものが附加価値額である、こういうことでございまして、今お話のございましたように、原料の職人代とかそういうようなものは、売上金額の中から事業に直接必要な支出金額としてこれは差引かれることになるわけであります。要するに取引高税のように売買の都度その総額に対して百分の一をかけたものを取るということではなくて、附加価値税はそれぞれの段階毎におきまして、その段階において附加いたしました価値に対しまして税をかける、こういうことが本質でございます。その意味で取引高税のような何倍にもなつて雪達磨式に税かかかつて行くということでないことが取引高税よりは進展しておる税であろうと思うのであります。又地方団体と税というものとの関係考えますると、事業が収益が多いからそれで余計地方一体に対して税金を出す、或いは収益がないから地方団体に対して税金を出さないということは、半面地方団体が凡そ事業主体として工場なり事業場を持つておりますものに対しまして、或いは警察、或いは消防、或いは学校施設というようなことでそれぞれの経費を規模に応じて負担をさせておるわけでございまするから、仮に收益がございませんでも、やはりそういうことに対する反対給付の意味におきまして応益的に地方団体に対して事業が何分の負担をするというのは、これはやはり地方自治の建前から申しまして当然であろうと思うのであります。そういう点を考え合わせまして、これはいろいろ理論的には問題もございましようが、地方自治との結びつきという点から考えますると、こういう形で、外形的に事業の規模というものを押えまして、そうしてこれに対して地方団体で課税をするということが適当なものではなかろうかと、かように考えておるわけであります。
  117. 野溝勝

    ○野溝勝君 結論的に申すと、大体外形標準的な課税のように私は聴き取れます。大体総売上から仕入を引いてそれにかけるというわけです。そうすると、それだけではよく分らんのですが、どうなんですか。人件費などにはかからんのですか、かかるのですか。  それからいま一つ聴いて置きたいことは、附加価値税をかける場合は、地方公共団体の厄介になる、一体利益があるのかないのか分らんものを、公共一体に厄介になつておるという理由でかけるのなら、シヤウプ勧告をむしろ私は反対されたほうがいいと思う。要するに寄附ですね。寄附というものは取つてはいかんということをシヤウプ勧告が言つておる。そうすると、外形標準であるから、地方の公共団体が財政が不如意のため寄附を含めた意味の私は課税だ、こういうふうに解釈することができる。そういうような意図があつてかような附加価値税を設定しようという御意思なのかどうか、この二つをお聴きしたいと思います。
  118. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 附加価値と申しますのは、結局、まあ御承知と存じまするが、要するに附加価値の内容をなしまするものは、或いは投下いたしました資本に対する利子でありまするとか、或いは地代、家賃でありまするとか、今お話のような人件費でありまするとか、企業の利潤というようなものが集まりまして、いわば分配国民所得というような形においてありまするものが附加価値ということが反面から申すと言えると思います。これを表向きに申しまするならば、要するに総売上げから事業に直接必要な経費を差引きますものが附加価値、こういうふうに考えるわけでありまして、考え方としては両様の考え方が立つわけでございます。従いまして特に人件費にかけるというような形ではなくて、要するにそれぞれのフアクターに対しまして、これをフアクターから成り立つておりますところの附加価値に対してかけて行く。こういうふうに考えるべきであろうと思うのであります。  それから第二番目の寄附金の点でございます。これは寄附金は成る程代税寄附、税の代りの寄附というような言葉もございまして、寄附金も税も同じだというような面も無きにしも非ずでございまするが、何分寄附は成る程外形標準で見立割見たようなものでありまするけれども、併しそういうような任意的な形よりも、やはり法律なり條例に基きました明確なる客観的な基礎に立つた合理的な負担をかける方がより適正であろう。寄附というような非常に任意的な要素の多いものになりますと、やはり負担の適正は期し難いと思うのでありまして、シヤウプ勧告におきましても、やはりそういう負担の公平を期するという見地から、この強制寄附の廃止を勧告しておると思うのでありまして、私共もそういう考え方で附加価値税の場合に一種の外形的な附加価値を押さえる場合に強制寄附等の場合におきまして、いわゆる見立割式の外形標準とする、言葉は同じ外形標準ではございまするけれども、内容的には非常に押さえ方が違う、かように考えておるのでございます。
  119. 野溝勝

    ○野溝勝君 大体人件費にもかかるということはこれは事実ですね。
  120. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 人件費にもかかる、もというところに非常に強い意味があるわけでありまして、要するにそれぞれのフアクターを以て構成しておるところの附加価値にかかる、かように考えております。
  121. 野溝勝

    ○野溝勝君 そういうような廻りくどいことでなく、鈴木さん、(笑声)そういうものにもかかるならかかるとお答えをしておかんと、私共も大衆に対して説明するに非常に困りますから、その点はやはりはつきりして頂きたいと思います。
  122. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 人件費とか……人件費という言葉がちよつと考え方として何でございますが、とにかく地代なり家賃なり或いは利子なり、今の支拂給與額というようなものにかかるということでございます。従つてその意味では支拂給與額にかかることになるわけであります。
  123. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこで私は、大臣答弁が大衆課税にならないというような見解は違うと思う。負担分任の精神はよく分つておる。労働者の方は、勤労の場合は勤労所得がかかるのでありますが、そこで又これが我が国でありますと、結局大衆課税転嫁されることになる。ですから私は佐多君の質問に対して大臣が大衆課税でないというような決定的に申される考え方はどうかと思う。その点をはつきりしてくれれば私は質問を打切ります。
  124. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私はやはり大衆課税にならんとこう考えております。ただ大衆課税になりはせんかという虞れは、これは物価に影響しまして物価が高くなつた場合に、大衆に間接的に課税なつたという経済理論は成立つだろうと思いますけれども、それは経済理論でございますから、経済理論の方から申しますれば、今度は、自由経済になつて、そうして今までのように売手市場でなくなつて、何でも作つた者が決めた値で物を買わせた時代でなくて、やはり買手市場になりまして、買う方が自分自身でこれは適当だという価格でなければ物が売れなくなりた時代でございますから、そうお虞れになるような負担が消費者にかかつて来るとは、私は経済的に考えておりませんから、経済論と財政論と少し私は違つておる立場にございますから、御了承願います。
  125. 野溝勝

    ○野溝勝君 最後に一言申上げておきますが、これは大衆課税にならんという見解ならばこれは致し方ないのでありますが、今のように統制経済と言いましようか、価格統制が取れた今日におきましては、その点に対する的確な数字を個ねことはできませんが、勢い給與に対しても或いは分ちないような瞬味なものに対する税を織り込まれたような附加価値税は、これは間接的にはやはり大衆課税と言いましようか、転嫁されるのです。転嫁されることは事実なんです。転嫁されれば結局消費者にこれは何かの形において影響して来るのであります。これは経済学なんかのABCをやつた者には大体分ることでありますから、こういう点は私共影響するところが非常に大きいのでありますので、附加価値税につきましては、今少し明確に大衆課税にならないという筋書を十分我々に明らかにして貰わんことには納得ができないと思う。一年延期されたからそれでいいということにならない。延期されて、反対されたという理由というものは、如何に附加価値税に対する脅威を起しているかということを御承知願いたいと思います。議会においてとにかく反対されるところの中心の課税がこれなんだ。これが大きく心配をしているということは、この問題に対する国民的監視の問題でございます。であるからこの点は十分に明らかにして頂くことに私は希望を申上げまして、私の質問を打切ります。
  126. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質疑ございませんか。それでは今日はこの程度にいたしまして、明日は連合委員会を午後一時から開きます。連合委員会は明日午後一時からと木曜日の午前十時から、この二回で御勉強願いまして終了にいたしたいと考えております。さよう御承知を願います。これにて散会いたします。    午後四時二十八分散会  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            石川 清一君   大蔵委員    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            佐多 忠隆君            山崎  恒君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            清澤 俊英君            野溝  勝君            小林 政夫君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            森 八三一君   農林委員    委員長     岡田 宗司君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            土屋 俊三君            平沼彌太郎君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小松 正雄君            椿  繁夫君            加藤 正人君            山内 卓郎君            山川 良一君            駒井 藤平君            境野 清雄君   予算委員    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            野田 卯一君            羽生 三七君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            中井 光次君            東   隆君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君            大島 定吉君            長谷山行毅君            山本 米治君            楠見 義男君            新谷寅三郎君            櫻内 義雄君            堀木 鎌三君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方財政委員会    事務局長    萩田  保君