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政府委員(小野哲君)
只今大臣から説明いたしましたように、今回の
地方税法案におきましては先ず第一に
附加価値税の問題について再検討を加えたのであります。御
承知のように
附加価値税が消費者に
転嫁する性質を持
つている税でありますので、
地方税法案の
不成立に伴いましてその施行時期でズレて参りました
関係上、年半ばを越えた今日におきまして、これを
昭和二十五年一月一日から施行するということは納税者、即ち
事業者に対する
負担の問題から言いましても妥当でないと
考えましたので、遡及してこれを施行することを避けまして、
昭和二十六年一月一日からこれを施行すると改めたのであります。尤も
附加価値税は新税でありますので、相成るべくはこの準備につきましてもできるだけの
措置を講じたいという気持をも持
つておりますので、これらの事情から
附加価値税の取扱につきまして再検討を加えたのであります。これに代りまして御
承知のごとく現行
地方税によりましては
事業税及び特別所得税が行われておるのでありますが、御
承知のごとく
地方団体の歳入の状況から
考えましてこれが財源の確保をいたすことは焦眉の急務でございます。従いまして
附加価値税の一年
実施の
延期を行いますと同時に、これに代るものといたしまして、現行税法において行われておる
事業税及び特別所得税を暫定的に施行することといたしたいのであります。併しながら若し現行の
事業税及び特別所得税を現行税率のままで
昭和二十五年度において施行するといたしました場合におきましては、その予定税収額は大体七百億に近いものに相成るのでございまするが、
昭和二十五年度における
地方財政計画は御
承知のごとく
地方税収入において千九百八億を計上いたしておりまして、その枠の範囲内にそれぞれの税種類によ
つた税収見込額を立てておるわけでありますので、仮に
事業税及び特別所得税を暫定的に施行するといたしましても、その予定税収額は
附加価値税と同様に四百二十億の程度に止めたいという
考えを以ちまして、これに応じて税率の上に一律に二割程度所得割税額を加算いたしまして、大体三割五分程度の税の軽減を図ることにいたしたのであります。のみならず
附加価値税の
考え方といたしましては、農業、林業及び主として自家労力を用いて行う第二種
事業、即ち原始産業につきましてはこれを非
課税とすることが適当であるという
考えを持
つておりますので、この
考え方を暫定的に施行する
事業税及び特別所得税にもこれを当嵌めて参りたい、かような
考えを持
つておるのであります。
更に免税点につきましては、現行は四千八百円にな
つておりますが、これを所得税との
関係もございますので、引上げまして二万五千円といたしたいと
考えておるのでございます。
附加価値税につきましては大体以上のような点に訂正を加えて参りたいと
考えております。
次に
固定資産税の問題でございますが、上地及び
家屋につきましては先程来質疑もございましたように、その価格の
課税標準の算定の
基礎は、
賃貸価格に求めることに相成
つておりますので、
土地及び
家屋につきましてはその価格の捕捉が極めて可能なのでございまするけれども、
償却資産につきましてはこれらの
評価の問題等につきましてもいろいろと工夫をいたさなければならない点もございまするし、尚
昭和二十五年度における予定税収額が
固定資産税においては五百二十億ということに相成
つておりますので、これらの点を見合い、又
評価の問題とも兼ね
考えまして、仮に税率を百分の一・七といたしまして、更に清算をいたしまして、これらに対する適切な
措置を講じて参りたい、この点につきましては先程来の質疑応答によ
つて御
承知かと存ずるのであります。更に今回の訂正の内容としましては、賦課期日の問題並びに納期の問題でありまして、御
承知のごとくにこの
税法案が成立されますことを私共は確信はいたしておるのでございますが、その
実施時期がズレて参ります
関係上、国税
地方税を通じまして納税の期日につきましては
調整を図
つて行く必要があろうかと
考えまするので、納税者のお立場をも考慮いたしまして、納税の期日につきましては、所要の
調整を図ることにいたしたのであります。
以上が大体大掴みな御説明でございますが、更に附加えて申上げたいことは、前
国会において、いろいろ論議に相成りました強制的な寄附の問題でございまして、この点につきましては、今回の税制の改革によりまして、十分とは申せませんけれども、
地方団体に対しまして相当の財源の
措置が講じ得ることに相成りますので、強制的な割当寄附は、これを取ることを止めることが必要である。こういう
考え方から
地方財政法の一部を
改正いたしまして、この種規定を設けることといたしたのであります。更に又、
地方債の許可に当りまして、従来は大体各
地方団体において
課税標準税率の二割増を取らなければ許可をいたさないということを規定いたしてお
つたんでございますが、これを再検討いたしまして、標準税率を取る場合においては、起債の許可を行い得る途を開いたような次第でございます。附加えまして御説明をいたして置きます。