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1950-07-20 第8回国会 参議院 地方行政・大蔵・農林・水産・通商産業・運輸・予算連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十日(木曜日)    午前十時三十一分開会   ―――――――――――――  委員氏名   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      岩木 哲夫君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            竹中 七郎君            石川 清一君   大蔵委員    委員長     小串 清一君    理事      大矢半次郎君    理事      佐多 忠隆君    理事      山崎  恒君    理事      木内 四郎君            愛知 揆一君            岡崎 真一君            九鬼紋十郎君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            野溝  勝君            松永 義雄君            森下 政一君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   農林委員    委員長     岡田 宗司君    理事      西山 龜七君    理事      片柳 眞吉君    理事      岩男 仁藏君    理事      岡村文四郎君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            土屋 俊三君            平沼彌太郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    理事      青山 正一君    理事      千田  正君            秋山俊一郎君            入交 太藏君           大野木秀次郎君            松浦 清一君            佐藤 尚武君            櫻内 義雄君            細川 嘉六君   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事      古池 信三君    理事      廣瀬與兵衞君    理事      栗山 良夫君    理事      結城 安次君            上原 正吉君            小野 義夫君            重宗 雄三君            松本  昇君            小松 正雄君            島   清君            下條 恭兵君            椿  繁夫君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            小川 良一君            山内 卓郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君            西田 隆男君   運輸委員    委員長     佐々木鹿藏君    理事      植竹 春彦君    理事      小泉 秀吉君    理事      高田  寛君            岡田 信次君            山縣 勝見君            内村 清次君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君            鈴木 清一君   予算委員    委員長     波多野 鼎君    理事      石坂 豊一君    理事      野田 卯一君    理事      羽生 三七君    理事      伊達源一郎君    理事      藤野 繁雄君    理事      中井 光次君    理事      東   隆君    理事      木村禧八郎君    理事      岩間 正男君           池田宇右衞門君            泉山 三六君            大島 定吉君            工藤 鐵男君            中川 以良君            長谷山行毅君            一松 政二君            平井 太郎君            平岡 市三君            深水 六郎君            安井  謙君            山本 米治君            内村 清次君            若木 勝藏君            河崎 ナツ君            佐多 忠隆君            下條 恭兵君            岩崎正三郎君            山田 節男君            原  虎一君            吉川末次郎君            飯島連次郎君            楠見 義男君            高良 とみ君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            前田  穰君            菊田 七平君            櫻内 義雄君            鈴木 強平君            一松 定吉君            堀木 鎌三君            森 八三一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政大蔵農林水産通商産業運輸予算連合委員会を開会いたします。地方税法案予備審査でございます。後程吉田総理大臣が見えますが、約一時間ここにおられます。それで総理に対する質問通告者が七人ございます。その七人の方々で一時間を分け合つて頂きまして、つまり御一人の質疑応答が十分以内で済むようにお願いしたいと思います。先ず岡野国務大臣に対する御質疑をお願いいたします。
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は先ず市町村民税についてお尋ねしたいと思うのであります。地方自治法の二百九十六條によつて見ますというと、土地改良区というものに対しては、市町村民税を課せないことになつておるのであります。而して土地改良事業を行うのは、土地改良法によつて土地改良区及び農業協同組合が行うのであります。又土地改良区の行うところの土地改良も、農業協同組合の行うところの土地改良も全く同一仕事をやるのであります。同じ法律によつて同じ仕事をやるところの二つの団体があるのに、一方の土地改良区には課税しないで、農業協同組合には課税する。こういうふうな異なつた取扱をせられる理由はどこにあるかお尋ねしたいと思うのであります。
  4. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これは先日来農業協同組合課税する理由につきましては、しばしば御説明申上げておるのでございますが、御承知通りに収益を挙げるような、即ち全くの純然たる公共性事業というような性質のものにはかけないことになつておりますので、片方非課税になり、片方課税があるということは、片方純然たる公益的の仕事ばかりに沒頭しておる。併し片方は或いはその組合仕事として普通の課税客体になるような要素を備えておりますから、その要素に関する限り課税するということになつております。詳しい点は事務官を以て申上げます。
  5. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 只今大臣お話になりましたような趣旨でございます。併しながら市町村におきまして尚公益的な法人その他につきまして課税を免除した方がよろしいというふうに考えるものもあると思うのであります。それは町村が適宜政策的な意図を持ちまして減免することは、これは支障ない。併し法律的に一律に課税権を奪うといたしますならば、やはり農業協同組合でありますと、物品販売業的なことも行いますので、土地改良区と同じような規定の仕方をすることは穏当でなかろうというような考え方を持つわけであります。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今の御説明通りといたしましたならば、協同組合が行うところの土地改良事業に対しては、土地改良区と同様に免税であると、こう確認して差支ないのでありますか、お尋ね申上げます。
  7. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 市町村民税は、法人人格に対して均等割しか課せられないものでありまして、これは事業に対する税金ではございませんで、法人人格に対する課税でございますので、そういう区分はちよつとし難いのじやなかろうか、というふうな考え方をいたしております。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は農業共済組合のことでありますが、農業共済組合も殆んど土地改良区と同様に、公共的の性質を持つているものであるのであります。もし土地改良区に対して免税するということだつたならば農業災害補償法によつてできているところの農業共済組合にも同様に免税にすべきものであると、こう考えるのでありますが、この点如何であろうかとお尋ねするのであります。又農業災害補償法によつては、すべての方面政府から再保険をやつて、いろいろ助成しているところの仕事であるのでありますから、この助成しているところの方面から考えて見ましても、農業災害補償法によるところの共済組合非課税とすべきが適当であろうと思うのであります。この点お伺いしたいのであります。
  9. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この地方税法案を御覧頂きます際に、国税とは根本的に違つている要素を御了承願いたいのでありまして、国税の場合には、課税禁止規定を置いておりません限りには、みんな課税されるわけであります。地方税の場合には、課税を禁止している場合には、もとより課税できないわけでありますけれども、その他の部分につきましては、尚公共的な事由その他から更にその市町村としては社会的政策的な見地も加えまして、課税を除外することは差支ないことであります。その趣旨のことをたしか第六條でありますか、総則のところに規定いたしておるわけであります。只今お話になりましたような点、誠に御尤もなのでありますけれども、同じような問題が例えば民法第三十四條の公益法人についても言えるのでありまして、概念的には大体同じようなことになると思うのでありますけれども、実体は非常に区々でありまして、中には課税した方がよろしいというようなことが他の均衡から生じて参るのでありまして、従つてそういうものにつきましては適宜市町村の判断によつて課税するか、課税しないか決めさせたい。法律的に一律に課税権を奪いますことは成るたけ少い範囲に止めて置きたい。こういうような考えを持つておる点を御了解願いたいと思います。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私の考え方といたしましては、二百九十六條によつて土地改良区というものができておるのであります。土地改良区の行う事業農業災害補償法によつて農業共済組合のやる事業は殆んど法律的に考えて見ても同一のものではないか、こういうふうに考えられるのであります。若しそういうふうなことが考えられるといたしますならば、一方の土地改良区の方は免税することを明示してあるが、やはり農業共済組合の方も免税することを明示するのが適当ではなかろうかと思うのでありますが、この点お尋ねいたしたいと思います。
  11. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 農業共済組合に対しましては、一般的に私はそういつて差支ないと思うのでありますけれども、組合の中には他の課税客体となるものと同種の性格を持つた仕事をしておる場合も予想せられないことはございませんので、特にここに規定することを差控えたわけであります。これは單に農業共済組合だけでございませんで、民法第三十四條の法人につきましてその性格に鑑みまして、必要なものにつきましては市町村自体において或いは減税或いは免税する措置をとるべきである、こういうような指導方針をして貰いたいという考え方であります。
  12. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 吉田総理大臣がお見えになりましたから、総理大臣質問通告順によりまして行いたいと存じます。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 地方税法案につきまして吉田首相に二、三の点をお伺いしたいと思うのであります。  第一にお伺いしたいのは、前国会におきまして地方税法案参議院において否決せられ不成立終つたのであります。その結果、政府はそれに若干の修正を加えまして今議会にこの法案を提出したわけでありますが、前議会において何故にこれが参議院において否決されたか、その点について首相はどう御認識か、この点を先ずお伺いしたいのであります。
  14. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) この前の議会において参議院において否決されたにつきましては、政府としては関係筋との間の交渉が手間を取つたために、たしか四月二十日でありましたか、議会の末期に提案をして十分説明の時間もなし、又政府として説明の十分足りなかつたところもあるであろうと思います。要するに余りにどうも関係筋との間に交渉が手間取つたために甚だ時間を取り過ぎて、政府として諸君の御了解を求めるに十分でなかつたと、こういうふうに考えて実は参議院において否決になつたと思つております。この度は当時の参議院の御意見その他について十分考慮いたしまして、施政方針の中に述べて置きました通り、種々関係意見等を十分取入れてやりましたつもりであります。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今総理お話を伺つておりますというと、GHQとの交渉に手間取れ、そうして議会側の十分な了解を求め得ることができなかつたために否決されたのである、こう言つておられるのでありますが、私共がこれを否決いたしましたのはよく法案を吟味いたしました結果、この内容について重大なる疑義があり、国民の負担を増すからこれを否決したのであります。従いましてその点総理との見解を非常に異にしているのでありますが、更に第二点において総理は本法案を提出するについて議会側の当時意向も十分に参酌してお出しになつた、こう言つておられるのでありますが、私共は過日も岡野国務大臣といろいろ論議いたしました際にも申上げましたように、この法案について当時の状況、それが少しも参酌されておらん、僅かに附加価値税を来年の一月一日まで実施を延期したという点である。それから固定資産税税率を〇・五%低めたというだけでありまして、それ以上さつぱりこれというふうな参酌はない。内容については依然として不満である、こう考えておる。この点につきまして総理はどの程度まで参酌されたのであるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  16. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 只今御指摘になつただけでも相当政府としては当時の意見を参酌して、(笑声)そうしてこれが政府として最善考えて提出したわけであります。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、政府としてはこれが最善な案である、こういうふうにお考えになつておるようでありますけれども、併し最近ここ一、二日の国会動きを見ておりますと、民主党修正案民主党がこの法案修正するという動きがあるのあでる。然るに自由党の幹事長民主党幹事長に会われまして、その修正に同調されるようなことも伝えられているのであります。こういう点から見て参りますと、果して政府が十分に参酌して、そうして修正を許さないという不退転の決意を以てこれが最善の案であるとして臨まれているようには受取れない。甚だ曖昧なものである、こういうふうにしか私共にはとれないのでありますが、若し議会におきまして本法案に対して十分でない、この点とこの点と修正すべしというような意見が出まして、それが院議になりまして現われました場合には、総理はそれに対して如何なる態度をとられるか、お伺いしたいのであります。
  18. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 国会のことでありますから、討議は自由であります。国会としてどういう意見が出るか、その場合には意見として参酌いたしますが、併し政府としてこの案を提出するときには、最善を盡して提出いたしたのであります。又今後如何なる議会において論議が討わされるか、或いは民主党との間に、或いはその他各派との間に話合の結果どうなるか、その結果について政府考えますが、今日においてはその場合には拒否するとか、拒否しないとか、若しよい提案が出れば、政府は喜んで採用いたしますが、今日において予めその場合にはどうするということは断言しにくいのであります。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 政府はこの地方税法案が先に否決され、今度新たに若干の修正を加えて提出されるまでにおいてGHQ方面折衝をされたようであります。過日岡野国務大臣に対する御質問によつて明らかにされたことは、地方行政委員会においての技術的折衝はあつたようであります。又本多国務大臣が若干折衝されたようでありますけれども、本法案を提出するにつきまして岡野国務大臣から十分法案内容についての政治折衝は行われなかつたようであります。又否決されましてから後のいろいろ事情等について、更に再提出されるものが議会において相当論議になり、或いは又政府考えておるような結果にならないようなことも予想される場合におきまして、当然首相といたしましては本法律案につきましてはGHQと相当な政治折衝をなされておらなければならん筈だと私は思うのであります。その点につきまして総理がどういうふうな形でどの程度まで政治折衝をされたか、それについてお伺いしたいのであります。
  20. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お話政治折衝という意味は分りませんが、GHQとの間には十分打合せをし、又お互い説明もし合つて、一致したのがこの案であります。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 本法案が今月中に成立をいたしまして、来月一日から施行されることを政府は希望しておられるようであります。伝え聞くところによりますというと、シヤウプ博士は七月二十九日に来られるようでありますが、政府といたしまして本法案議会において相当内容論議されておることはよく御承知のことである。そこで政府といたしましては、二十九日に来られるシヤウプ博士と本問題について更に折衝を重ねてこれが国民が納得のいく、そして受諾のできように努力するつもりはないか、その点首相にお伺いしたいのであります。
  22. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 只今シヤウプ博士がいつ来るかということについて私は実は存じません。ただ新聞で来るということでありますつが、今日においてはシヤウプ博士が来られたならば直ちに交渉に入るという予定はございません。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 本問題につきまして私共議会の方の側といたしましては、内容に十分なる検討を加えまして、そうして修正すべき個所があれば、これに対して修正を重ねて行きたい、こう考えておるのであります。過日岡野国務大臣は我々がその点につきまして御質問申上げましたところ、その議会修正されました場合においては、その点の交渉については十分GHQに対して折衝する場合に協力するという御見解の発表があつたのでありますが、この点につきまして首相も同じ考えであるかどうかお伺いしたいのであります。
  24. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) いい修正であると政府考えれば無論政府はその成立に努力いたします。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 若し修正がなされまして、その結果として予算に響くような問題も起つて来ないとは限らんのであります。そういう場合におきまして、その修正に基いて予算に変更も起るような場合には直ちに補正予算を出されるか、その点お伺いしたいのであります。
  26. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは将来に属することでありますからして、如何なる予算修正を要するかという実際について考えますが、今日予言は、こういたすとかああいたすとかいう予言はできないのでございます〇
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 時間が参りましたからこれで……。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 総理大臣に若干御質問申上げたいのでありますが、この首相施政演説におきまして、地方税法案は前国会不成立なつ事情を十分考慮し、その後の事情の変化に即応し、且つ各方面意見を尊重し、可能な範囲で必要な修正を加え再び本国会に提出する、こういうふうにお述べになつております。このうち、不成立なつ事情を十分考慮する、或いは可能な範囲で、各方面意見を十分尊重したと、こういう点については岡田議員から只今質疑がございましたから、又重複いたしますのでくどく御質問申上げませんが、ただその点について一点、総理はこの前に不成立なつ事情について、只今説明がありましたが、誤解されておるのじやないかと思うのです。この点はやはり明らかにして頂きませんと非常に又今後の審議その他についても支障を生ずるのではないかと思うのです。御承知通りこれが不成立になりました事情は、最後において両院協議会が開かれまして、両院協議会において衆議院側からも修正案が出ました。又参議院側からも修正案を出したわけです。あの点で非常に食違つてつたわけです。住民税につきましても、附加価値税につきましても、固定資産税につきましても非常な開きがあつたわけです。その問題は單に抽象的な問題じやなくて、法案自体それに非常に具体的に食違いがあつたのでありまして、若し首相がこの不成立なつ事情を十分考慮されたとおつしやるならば、あの食違いについてどの程度国会休会中に、又ここに法案を出される前において総司令部折衝されたか、これは又くどいようでありますが、この点はちつとも努力されていない。又各方面意見を尊重したと言われますが、一つも尊重していない。附加価値税事業税という形で出されたのはこれは修正ではないのであつて、転嫁されて取れないから止むを得ず事業税という形で出したので、修正でも何でもないと思います。従つてただ〇・五%のあの固定資産税税率を下げたというだけであつて、この点首相施政演説におきましてお述べになつておることば私は嘘であると思います。これは事実に相違しておると思います。従つて若し首相がそうでないとおつしやるならば、具体的にどの程度に各方面意見を尊重されたか、或いは又穂司令部に対して、この前不成立なつたあの開きについてどれだけこれを縮めるために努力されたか、この誠意についてお伺いしたいと思うのであります。くどいようでありますが、この点は今後の審議についても相当影響を及ぼすと思うので、その点先ずお尋ねいたしたいと思います。
  29. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私の説明を嘘なりと考えて御信用にならん以上は、私が説明を加えても致し方がないのでありますが、いろいろ勘案いたしました結果の成案が即ちこの度提案いたしました修正案であります。これについてGHQとどういう交渉をいたしたか、交渉内容等は申すわけに行きませんが、全力を盡してこの結論に至つたのであります。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は感情的或いは抽象的で議論することを避けたいと思いますが、もう少し具体的に事実に基いて御質問しておるわけなんです。この最善の案というふうにおつしやいますけれども、岡野国務大臣の御答弁によりますと、とにかくこの法案をここで通過さして下さい、通して下さい。その後で又固定資産税についても悪いところがあつた修正する、こういうふうな答弁です。これは最善として考えておらない証拠であると思います。私は事実に基いて、総理大臣のお述べになつておることが事実に相違しておるということなんです。本当に誠意を以て努力していないと思います。ただ殆んどあちらに対して……その誠意を我々は問題にしておるわけです。ちつとも誠意が認められないと思うのです。それでも総理はやはり誠意を以て十分各方面意見を尊重して出しておるとそういうふうにお考えになつておるのですか。
  31. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 只今申した通り政府は誠意を以て各方面の状況を勘案して、この成案を得たのであります。この成案そのものが具体的な案であります。これ以上私が附加えることはないと思います。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それではこれは議論になりますから止めます。事実に基いて誠意を以てやつていない、これは我我もそう認めざるを得ない明らかな事実なのであります。  そこで次にお伺いいたしたいのでありますが、この施政演説におきまして、その後の事情の変化に即応してということをお述べになつておりますが、その後の事情の変化ということは具体的にどういうことを内容としておられるのですか、この点について伺いたい。
  33. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私の只今申した通り、誠意を以てその後の事情を勘案してと申した通りで、具体的に言えといつたところがこれは私は言う責任を持ちません。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 総理も一国の総理としてその後の事情の変化。我々の解釈によればその後非常な大きな変化が現われておると思います。朝鮮事変が起きて、財政経済に大きな影響が現われて来ておるわけだと思います。私のお伺いしたのは、恐らくそういう朝鮮事変以来現われておる財政経済金融方面における重大なる変化を十分考慮されて提出されたと、こういうようなことと私は解釈いたしましたので、そういうことについて朝鮮事変以後生じておる財政経済金融の変化についてどうお考えであるかということを私は御質問しておるわけなんです。ただ抽象的に我々は伺つておるわけではないのです。そういう文句がありますから、常識として今の実情において国民としては当然そういうことを考えるのは当り前です。地方税法を考える場合にも当り前だと思います。そこで朝鮮事変以後における日本の経済情勢或いは財政金融、そういうものの変化についてどういうことをお考えになつてこの地方税法案を又提案されたか、この点をお尋ねしておるわけです。
  35. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 朝鮮事件については今後どう発展するか、これが金融その他においてどういう影響を及ぼすかということは、今後の事態について見るより仕方がないのであつて、この地方税法案を提出する場合においては、それまでの事態について相当考慮いたしたということは先程から申しておる通りであります。一々この事件あの事件といつてからに、この事件を考えた、あの事件は考えたというようなことはこれは説明のできないことであります。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは総理の御答弁としては余りに無責任だと思うのです。朝鮮事変が起きてから、いわゆる終戰処理費以外に特殊需要として非常に沢山の物資需要が起つておりまして、新聞の伝えるところによりますと、本年度において二億ドル乃至三億ドルも物資が買上げられるのじやないかという報道もありますが、物は片方で吸上げられて、そうしてそれに代るお金はどんどん出て来る。これは部分的な問題じやないと思います。三億ドルとすれば一千億円に達するところの物資或いは労務の需要だと思います。これは日本経済に対して非常な大きな変化が来るわけです。こういうことをお考えにならないということはおかしいと思う。これは部分的なことではないと思います。荷くも総理大臣として日本の政治を担当する場合、一番その政治の基礎になる財政経済金融事情についての見通しと計画についてはつきりした方針をお持ちにならないというのはおかしいと思う。これまでのような経済政策では全く駄目なんです。事情が変つておるのです。そういうことを十分御認識になつておるかどうか、部分的な問題じやないと思う。この影響と見透し等についてこれが若しないとすれば、これでは行き当りばつたりで、こんな心許ないことはないのであります。これについては大体の今後の見通しと、それに即応する政府の大体の政策というものはおありだと思います。
  37. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) よく見通し見通しということのお話がありますが、これも見通しということは程度問題であります。主観問題であつて、見通しがついたと言えばついたとも言えるし、見通しがつかんと言えばそれまでの話であります。又この朝鮮事変について今後どう事態が発展するか、その事態に処して政府は善処いたします。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこの問題を、そう部分的な問題とか、或いは一時的な問題とか簡単に考えて頂きたくないのです。そういうような考えで行くとこれは大変なことになると思うのです。特にこれまでにもうすでに現われておる。今後じやないのです。今後じやなくて、この朝鮮事変が起きてから民間ではどういうことが行われていますか。食糧は政府が需給が足りて十分大丈夫だと言つても、食糧の買い漁りが起つております。そういうような状態になつて来ておるんです。又片方で今言つた特殊需要が起つて来て物価が段々騰貴しつつあるのです。そこでこれまでのように吉田内閣の自由経済政策でどんどん統制を外してやつて来ているんです。そうして金のある人がどんどん思惑買いをして投機が段々助長される、そういう状態でも今までのような政策でよろしいと考えられますか。この自由経済にどんどん持つて行く、そういう政策で対処し得る、そういうふうにお考えでありますかどうか。
  39. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 只今申す通り政府として事態が起つた場合にその事態に善処する、物価が上つた場合にはこれを抑えるとか、或いは物資が足りなくなつた場合には輸入を増進するとか、現に善処するために各種の方法を考えて、そうして当局としては具体案を練つております。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間が参りましたのでもつと具体的なことについては各担当大臣に御質問することにしましてこれで……。
  41. 野溝勝

    ○野溝勝君 吉田総理に二三点御質問をしたいと思います。  先ず第一は、総理施政方針の演説の中でその末尾におきまして、中央地方の税の負担の軽減を行うということを言明されております。中央におきましては一応数字的な減税は行われております。併し地方におきましては数字的な減税が現われてないのですが、かような中央の減税と地方の増税との食違いに対して総理の演説の所見の趣旨とは食違うと思うのでありますが、この点どういうようにお考えになりましてああいう演説をされたか、その点お聞きしたいと思います。
  42. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 今日最も国民の必要とするところは、行政の簡素化であり、減税であり、この経済を調整するためには地方の財政も緊縮せしめなければいかんと思うのであります。この度の地方税法の特質は財政の自治であり自立である。若し地方が歳出を節減するという気持があるならば、従つてこの課税も軽減せられる。これは只今申す通り、この地方中央を通じて行政は簡素化せられるためには地方団体においてその趣旨了解せられたならば自然歳出は少くしてそうして課税を軽減する。かように関係地方においてかく考え得るであろうと思います。ここに地方税法の特質があるので、その自治の力によつて歳出を少くし、従つて負担を軽める。この自治の狙いが即ち新税法案であります。故に私は地方においても一層行政の簡素化なり、又負担の軽減なりということは直接に最も考えらるるでありましようから、この税法の施行せられた後においては各地方においても行政費は成るべく少くする、そうしてできるだけ負担の軽減を図るということになるであろうと私は考えるのであります。故に施政方針においてかく申したわけであります。
  43. 野溝勝

    ○野溝勝君 負担の軽減を図り節約されるということはよく分るのでありますが、実際に地方税の地方における負担の率と中央の国民負担の率は大きな違いがあるので、あります。政府の発表したように数字的に見ますると、中央におきましては七百億円の減税、地方においては四百億の増税ということになつております。この食違い只今総理の所見とは少し違うのではないですか。
  44. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 只今お話なつた四百億と七百億との間の関係から申しましても、すでに三百億の違いがあるのであります。即ち国民の負担と言えば結局中央地方を通じての話であつて地方税においても中央税においてもそれを総計において国民の負担が軽くなれば即ち軽減されたと言うべきである、こう私は思うのであります。
  45. 野溝勝

    ○野溝勝君 首相にお聞きしたいと思うのですが、一体数字による負担の軽減ということは、国民生活における負担の軽減にはならんと私は思うのです。今回の負担の軽減の政府の発表した数字的の減の主なるものは価格差補給金の減が要するに今回の減税の主なるものになつております。して見まするとただ單に数字におきましては減税という形になりましても、国民生活の上から見ると、これは減税ではないのであります。減税という観念が総理と私との間では少し違うのではないかと思います。その点について総理はただ数字上における軽減になつておれば、それですべて解決される、あなたの減税観が解決されるというような考え方であるとするならば、数字技術家であつて、これは見解の相異でありますから、これは致し方ないと思います。何故かく言うかといえば今日の税制から見ました負担の状態等を織込んだ内容を数字検討し首相の反省を促したいと思いますが、時間の関係もありますので、この点は大蔵大臣と国務大臣の方からお聞きしたいと思うのです。先程同志岡田君並びに木村君から質問がありましたが、総理の答合弁が不明で分らんのです。一体朝鮮事変が起つて以来日本の経済界に及ぼす影響は相当大きいと思います。先程総理は将来を見なければ分らんようなお話でございましたが、現に肥料の問題、米の問題、これは直ぐ日本の経済に影響しておるのであります。尚貿易上におけるところの輸出六億三百万ドルと、輸入六億二千万ドルも変化を来しておると思います。こういう現実に日本の経済に影響のあることを将来になつてみなければ分らんというようなことでは、政府の財政計画もあやしく且つ寒心に堪えないと思います。特にこの点に対して総理はいま少しく親切に日本の経済の事情がどういうように推移されるかこの際首相私観の骨子だけでもよいから一応その構想をお話し願いたいと思います。
  46. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 朝鮮事変は去る六月二十五日でありますか勃発して今日に至つたのでありますが、さてその見通し如何。軽々しく見通しを立てて、これに策を立てるということは、これは財政家はできるかも知れませんが、我々はそういうことはできないのであります。現在起つた問題について善処する、これが現在の政治であり現実の政治であると思います。見通しに従つて策を立てる、大変結構のようでありますが、往々にしてこれは間違いの始めであると私は思います。故に事態が起つた場合に現実の事態に処してどう処するかということが即ち政治であると私は考えております。
  47. 野溝勝

    ○野溝勝君 それならば現実の事態といたしまして朝鮮へ肥料を輸出して向うから米を入れるという、この米の食糧需給の関係だけでも現実に大きな変化になつておることは御承知でしよう。かような現実の問題に対しての経済的な影響がどうなるかということは、政府の責任者である総理が知らんわけはないと思います。かような現実問題を目の前に控えて、あなたが現実を見なければ分からんということは、この現実は何と見るか、かような現実を否定してのあなたの現実論ですか。
  48. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 代つてお答え申上げます。お話通りに朝鮮から米は輸入する計画がある。又或る程度実行しておつたのであります。併し日本の食糧は朝鮮ばかりに頼つておるわけじやないのであります。九十万トンの米の輸入がビルマ或いはシヤム、最近は又エジプトから入つて来る状況であります。朝鮮の米が入らないということになりましたら、それの代りの手配は十分つけておるのであります。でそういう個々の事態に処しましては、我々としては万全の策を講じておるのであります。
  49. 野溝勝

    ○野溝勝君 大蔵大臣が代つて答弁されたようですが、食糧計画が五十万トンでも九十万トンでも変更されたことは日本の経済の一環じやありませんか。それだけ日本経済に影響しているのです。朝鮮からそれだけ来んでも、よそから輸入する計画を万般立てておるから差支ないというが、差支あるないというような結果論ではない、現実にはさような問題が起つている、これは長期になるか短期になるか一体どういうように日本は即応して、日本の財政経済を立てているか、その骨子を話して呉れと、こう申上げたのであります。併しこの点は意見が相当長くなりますので省略いたします。  最後に一つこの点を御質問して置きたいと思います。今回新らしい警察制度ができることを見聞しております。日本にはこの新らしい警察制度ができると、国家地方警察、自治警察、更に新らしい警察制度、この三本建になるわけであります。そうすると、一体この間の調整をどうするかということが問題になるのでありますが、私は財政面からこの点を総理にお聴きして見たいと思う。今までも国家地方警察と自治警察の間には経済上随分問題がありまして、すでに総理も御承知のことと思いますが、地方におきましては、財政計画の裏付けがない今日にありますので、この自治警察に対しましては、非常に心配をされたのであります。特に自治警察が犯罪の捜査のような場合に、国家警察に援助を請うた場合には国家警察から応援に行きます。その場合は、自治警察の方で即ち自治体で負担しなければならん、かようなことがたびたびありまして、自治体は全く弱つております。今回新たなるこの警察制度ができますると、勿論これは国家予算でございまして、地方の予算とは直接関係がないのでございますが、過去の国家地方警察と自治警察の状態から見ても、又かような問題が起りはせんかということを、地方においては相当心配されておるのであります。この点総理大臣の所見が如何でありますか、お聽きして置きたいと思います。
  50. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 従来の警察制度についてはいろいろ非難があり、又苦情があり、今お話のような点についても、我々はしばしば聞いておるのであります。従つて警察制度全体についてどうしたらいいかということは、これまでいろいろ研究させており、又委員と申しますか、主管者、係を置いて研究させておるのであります。ところがこの度更に予備員を置くということになつて、この予備員の制度を差当り考えますが、この度の予備員の制度については十分考案ができましたならば、お話のような警察全体について更に考えを進めるつもりでおります。
  51. 野溝勝

    ○野溝勝君 今の答弁質問の要旨とは違います。自治警察の負担の加重されることを心配しているのです。過去の国家地方警察の間に経済上の問題を起しております。この点は総理は明確に将来地方自治体に心配をかけるようなことは財政上しないという言明をこの際しておいて頂かんと、今後地方税法の審議に当りまして相当障害となるところが大きいと思いますから、この際はつきりして置いて頂きたいと思います。
  52. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは私は将来どうするということは、これは成案を得ませんから、直ちにどうということは申しませんが、併し地方の財政その他に迷惑をかけないで以て考えております。
  53. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 木下辰雄君。
  54. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 私は許された時間内におきまして総理大臣見解を伺いたい。細目については主管大臣から御答弁頂きたいと思います。総理大臣に対しましては総体的な問題について簡單にお伺いいたしたい。我が国の漁業は最も重大なる産業の一つでありまして、戦前においてはもとより世界一の水産国でありました。職後においても一番先に立てられたのは水産業であります。現在私共の推定によりますと、約十二、三億貫、金目にいたしまして今低落いたしましても約二千五百億円程度上げているのでありますが、農業生産におきましては約一年間に七千五百億円と聞いております。その約三分の一は漁業生産であります。かような重大なる産業をマツカーサー・ラインの内枠においてやつている。従つて将来にもつと伸びる産業である、かように存じます。然るに歴代の政府水産業に対する施策、助成が非常に少い。まるで差別待遇をしているのであります。或いは公共事業の使途において、或いは政府の助成において、その他万般において水産業に対する政府の施策は非常に貧弱であります。この貧弱なる施策が税の方面においては非常に大きい、非常な負担をかけているのであります。例えば農業、林業或いは農業の営むところの畜産業については附加価値税、又今度の事業税免税、併し漁業においては原則的に附加価値税或いは事業税をかける、ただ單に主として自家労力を以てなす業種に対してはかけないとなつておりますが、この限界も甚だ困難であります。それでこの前から……前は野溝氏の時分から本多君の時分にも、水産業の実態を具さに申しまして、この点の考慮を煩わしたのであります。それから又固定資産税、これは農業においては私共の計算では約三倍半ぐらいの増加になります。然るに船舶においては、農業の地租と殆んど同じ船舶は十二倍乃至十八倍以上の増加になります。そうしてその課税が船舶の時価に対して百分の一・七をかける、こうなつております。その時価の標準をどこに置くか、又評価員がどういうように算定されるかということが一向分りません。従つて私共は非常に不安に思います。それから又漁業権税というものがあります。これは権利に対して税をかけるということは非常に少い。これは鉱業権におけるばかりで、殆んどないようであります。その零細なる漁民の漁業権に対しても課税している。而も昭和二十七年からこの許可料、免許料というものが取られる。そうするとこれは従つてダブる。さなきだに高税である漁民に対して二重課税のような税がかかつて来る。現在漁業に対しては補給金の撤廃によりまして非常に困難している。それにこういう場合の大きな課税をいたしますれば、折角伸びつつあるところの水産業が非常に挫折する、打撃を受けるというような私共非常に危惧いたしておりまするが、こういう全般の水産業に対する負担の加重並びに助成の非常に少いということについての首相の御見解をお願いいたします。
  55. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私代りまして御答弁申上げます。水産業の地方税法上の区取扱につきまては、いろいろ御意見を拜聽し、父御論議も拜承いたしたのでございます。今回提案いたしております地方税法案中におきましても、水産業に関しましては、種々考慮を拂つているつもりでございます。例えば附加価値税につきましては只今御指摘になりましたように、主として自家労力によつて事業を行いますような、いわば零細な漁業者につきましては、大体において大部分これが附加価値税非課税の措置を講ずべきものと信じている次第でございます。又固定費産税につきましては、御承知のようにその事業性質から考えまして、漁船等の取扱いにつきましても、或いは修理の関係等につきましては、附加価値税において、特定の支出額に修理費を入れまして、附加価値額の算定の場合に考慮を拂つておりまするし、又或いは陳腐化であるとか、或いは未稼働、遊休というふうな場合に関しましても、将来昭和二十六年度において、時価に評価をいたします場合における価格の評価に際して、適当に考慮を拂いたいと考えている次第でございます。かような考え方で、勿論水産業が特に漁業が自然的な、或いは天災その他によりまして、事業が経営できないというふうな場合に、漁民諸君の生活に與えますいろいろの支障等をも考え得るのでございますが、これは別途各地方団体におきまして、その生活の実態に応じまして、地方団体が、或いは減免の措置を講じ得る途をも考えているような次第で、只今御指摘になりましたように、農業と水産業とが、全然同じであるという考え方は如何なものであろうかと存ずるのでございまするけれども、いろいろ御意見の次第もございまして、この税法案におきましては、種々考慮が拂われているということを申上げて置きたいと存じます。
  56. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 そういう細目の点については所管大臣なり政務次官なり、又私質したいことが相当あります。ただ私は吉田首相水産業の重要性について、どうお考えになつているか、又水産業に対するいろいろな施策が非常に少い、又税が非常に高いということについてどう考えますかということを、総理大臣からお伺いしたいのですが……。
  57. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 日本の水産業については、決して政府は軽視いたしているわけではないのであります。のみならず今日我々の最も関心を持つているところは漁区であります。従来は南極、北極の両極の間に日本の漁船が自由に漁業を営んでおつたのでありますが、これが非常に限られた範囲に、いわゆるマツカーサー・ラインの中に限局されたのでありますが、これも御承知通り、いつでありましたか、数ケ月前に赤道近くまで拡張せられ、更に又近く一層の漁区の拡張ができるであろうと私は考えております。先ず漁区の拡張が第一であり、而して又漁船の改良とかというようなことも問題にいたして、相当に注意を拂つているつもりでありますが、併し尚足りないとお考えになりましたことは御遠慮なく御提案を願いたいと思います。
  58. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 後は国務大臣その他に御質問いたします。
  59. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 私は今回この地方税に関しましては、現在の地方行政の現状から見て、本国会においては通過を期したいと考えておるものでありますが、ただこの地方税が、日本の各産業、殊に日本再建の基盤をなします産業の中で重要な産業を根本的に破壊するというような点が若しありますならば、これは将来政府において深甚なる考慮を拂つて頂きたいということについて総理に御希望申上げたいと思います。殊に今回の地方税に関しましては、一番大きな現実の問題は海運であります。只今の御発言は水産方面からでありましたが、私はこの問題を今回国会において取上げるについては、全体的な考えから将来の修正を期したいと考えるのでありますが、ただこの問題について私は党派を超越して、現在日本の最近非常に大きな問題であります海運貿易、この基盤をなす海運問題に関して、私は総理のお考えを簡單にお伺いしたいと思うのであります。今回のこの海運の重要性につきましては、先般衆参両院において決議案まで出たのでありますから、この短時間に改めて申上げません。ただ今回の地方税におきましては、例えば船舶税でありまするが、先程十一倍というお話がありましたが、現在の日本の海運にとつて一番大きな問題は外航でありますが、外航に通船であります新造船につきましては、実に三十二倍であります。従来一隻あたり三十二万円でありましたものが、これが今回の改正によつて実に一千万円になるのでありますが、それらの些細の点についてこれ以上申上げませんが、日本の海運貿易、これは日本再建の基盤をなすものでありますから、その地方税のときに税制的の見地から見ないで、日本再建の見地からかような重要産業に対しては、適当に深甚なる考慮を拂つて考えを願いたいということを、特に総理にお願いをいたしたいと思います。
  60. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 御意見は篤と承つております。将来御指摘のような欠点が明瞭である場合には無論政府としては考慮いたすことに決して吝かでないことを今日言明して置きます。
  61. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 先の国会において地方税法案が否決されたことについては、その責任は参議院及び野党にあると言います。併し地方自治、財政の窮迫、困惑についての責任が今日いろいろ論議せられておることはありますが、この問題とはおのずから別途だと思うのであります。然るに政府又は與党、自由党の方々は、前の選挙においても、又今日においても、地方自治財政のこのような窮迫を来しているのは参議院及び野党の責任だということは、前に本多国務大臣議会終了後各地の演説においても歴然たる事実であると共に、政府の各位においても、與党自由党の方々においても同様な意見を以て全国天下に遊説せられたことは正に公然たる事実であります。今日地方自治財政が非常に困惑いたしておるということについては我々もその実情はよく認識するのでありますが、その責任は先に申上げましたる通り、野党にあるのでなくして、或いは参議院にあるのではなくして、政府にあるということを我々は指摘いたしておるに拘わらず、依然としてこういう見解を最近の地方自治のあらゆる会議においても、政府の方々が出られ、或いは各関係方面の方が出られても同様な見解を述べられておるということは非常に大きな問題であろうと思うのであります。地方税法が通過するとせざるに拘わらず、仮に通過いたしましても、今後国税が相当滞納しておる上に地方税が千九百億の増税という問題はなかなか現在の経済実情から見ましてその初志貫徹を期することは、大蔵大臣は先般大丈夫だと言われましたが、担税者の立場から見ますとなかなかそうは行かない実情は万人これを肯定するところであります。こういう実情から地方自治の財政が更に一層困惑されるであろうということについて、或いは預金部資金の更に大幅流用とか、平衡交付金の繰上げ支給であるとか、諸般の準備態勢が必要であることは、恐らく政府御当局も御認識だろうと思う。こういう実情等から仮に地方税法案が通過いたしましても、地方自治財政の困惑というものは非常に避け得ざる問題であろうと思うのでありますが、これは当然先の地方税法が否決された当時には暫定的に旧税法、即ち現行税法の復活措置をとらなければならないというところに、我々は挙げて政府の責任だと深く信じておるのでありますが、然るに政府はそういう見解を持つておらない。これは地方税法が私が今申上げました通り仮に通つた場合でも起る問題であります。通らざる場合においてはましてやの問題でありますが、こうした事態に対する政府見解をこの際明らかにして置いて頂きたいと思います。以上お尋ねいたします。
  62. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話のごとく地方税法案不成立のために地方自治団体の財政上の窮迫を緩和するために、平衡交付金から四月乃至六月の間に四百億円、預金部資金を百八十九億円出しておる。而して七月になりまして平衡交付金の二百十八億円を支出することにしました。殆んど大部分只今までに出ておるのであります。で、地方税法案が通過いたしまして八月から納期になりまするが、割合といたしましては収入の状況その他を考えまして平衡交付金の出し方、或いは又今まで出しておりまする預金部資金の引揚げ方について適当なる措置をとろうといたしておるのであります。又納期が非常に少くなり八月から三月までに千九百億円の徴収をするということは大丈夫でありまするが、納税者におかれましても相当困難な点があろうと思います。従いまして収入見込につきましても、不動産税の方につきましては、土地、家屋につきましては九〇%、或いは償却し得るべき固定資産につきましては八〇%、こういうような見込を立てておるのであります。私は国民の協力を得まして三月末までには千九百億円は徴収できると考えておるのであります。
  63. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私が総理にお尋ねいたしましたこの問題の……現在はもとよりでありますが、将来においても当然起る問題の所在の点を明らかに首相に伺いたいと思いましたが、総理のお答えがないし、且つ又只今大蔵大臣のお答えは私の質問した要点とは外れております。外れておりますが、今それを時間の少いのに追掛けて私は質問しようとは思いませんが、この見解については篤と御認識を願いたいということを重ねて申上げます。  それから次に総理大臣への質問演説にもありました、只今木村禧八郎氏からも質問がありましたが、政府は中央、地方の税制改革によつてその平衡化を図る、中央地方を通ずる平衡化を図るという趣旨を謳われて、現にそのことを強く主張し、且つ信念付けられておるのでありますが、これは中央において減税、これに従つて財政の歳出面におきましては緊縮する面が現われておりますが、地方自治体は約九百億の歳出増であります。もとよりこれには公共事業費、その他平衡交付金以外の資金によつてその相当の部面があるけれども、地方自治においてはシヤウプ使節団のこれらの税制改革案が政府與党の絶対多数で通るという見通しから、昨年の三月から地方税法が通らない前から、悪く言いますれば便乗的に、いろいろ必要な費目もありましたが、そう急に必要でない費目まで歳出面を増加計上してそれぞれ地方議会では通過いたしておるのであります。この見解に基いて今回千九百億という歳入面の辻褄が合わされておるのでありますが、ところが地方自治体の歳出面の増加というものは、先に政府及び総理大臣が指摘されておる中央地方を通ずる財政の緊縮、平衡化ということはその歳出面においても著しく食違いがあるのであります。これを内容盡く私は今時間がありませんから指摘はいたしませんが必ずしも適切な歳出予算の増大はないと思います。極めて不健全な支出が沢山あるのであります。政府は平衡交付金の千五十億を査定する場合においても、或いは中央地方を通ずる税制、或いはそれらの財政の平衡化を図るという建前におきましても、これら地方自治体の予算、特に歳出面における検討というものは地方自治体のこれらの要求を鵜呑みにしているのか、或いは具さに検討した結果、千九百億という地方税の収入が必要であるという見解に立つたのかどうか、これは相当大きな問題でありまして、歳出面を鵜呑みにしてやつておられる千九百億の増税というものは、相当検討すべき問題があるのではないかということが一点であります。これらの地方財政の膨脹に対しましては、政府施政演説におきましても、又総理の御方針におきましても著しく食違いがありまするが、この点は総理は如何ようにお考えでありますかを承わりたい。
  64. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話通りに、地方財政の歳出面は昨年度三千五百億円、今年度四千五百億円を見積られておるのであります。ンヤウプ博士が来られまして一応の調査はされて、千九百億円の徴収が必要であるということになつたわけであります。併しここに詳細に調査いたしますると、お話のような点もあるやに聞き及んでいるのであります。政府地方行政委員会、地方財政委員会等を設けまして、今後地方の歳出につきまして検討を加えて行きたいと考えておるのであります。先般シヤウプ博士も、今度日本へ来たならばこの方面に主力を注ぎたいというような意向を漏らしておられたのであります。
  65. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 その点につきましても総理の責任のある御回答が得たいと思いましたが、今日得られませんが、この点につきましては総理におかれましても、施政演説で行われておる実情とは著しく違うという点を認識を願つて置きたいと思うのであります。  次にお尋ねいたしたいのは、池田大蔵大臣は明年度の国税におきましても七百億減税するということを、昨日の衆議院の大蔵委員会でも声明されておつたのであります。然るに仮に今般地方税法が通りますれば、只今申します通。非常な地方税としては増税になるわけであります。ところが結局担税者の立場から見ますれば、仮に八月一日に通りましても十月、十一月乃至は十二月から来年の春にかけて漸く税金を納めなければならないというような実情も、しわ寄せの固まつた担税を如何に地方住民がするかというところは、政府も困られておれば、地方自治体も困られておれば、担税者も困つておる。ところが更に国税におきましては七百億減税するというのは、国税の主眼は、事業応益に応じた減税をするということであります、主として……ところが今般の地方税法は、事業応益に課する税金の割合というものは著しく少くて、いわゆる附加価値税のごとく、或いは固定資産税のごとく左にあらざる一般総花的な、いわゆる税法を主体としたのが、特に固定資産税附加価値税性格であります。そういたしますれば、同じ懐から出る金にいたしましても分野が違う。個人の台所の所得から出る税金と事業者が出す税金と、事業応益に応じて出す税金とは、同じ国民暦が出す場合においても、経済層というものの食違いがあるのであります。でありますから地方税法で拂う部面は増税が増税でますます増税であるが、国税面で拂うものはますます減税だということと思うが、果して中央、地方においでその税制に、いわゆる平衡統一化という点におきましては著しい食違いが生じて来つつあると思うのであるが、政府はこれらに対してどのようなお考えを持つておるかも併せて承わりたい。
  66. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 国税にいたしましても地方税にいたしましても、同一国民の懐から出るのでありますので、先程総理が言われましたように、我々は国税地方税を一体として考えておるのであります。来年度におきまして私は七百億円程度国税の減税をいたしたいという強い希望を持つて、その方向において努力いたしておりますが、地方税におきましてもできるだけお話のように歳出の要らないものを減らして、そうして減税に充てられることが望ましいと考えております。政府は重ねて申上げまするが、国税地方税も一体として考えるという方針に変りはないのであります。
  67. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それじやもう一点だけ……。
  68. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 総理大臣に対する御質問ですか。
  69. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 総理大臣に対する質問であります。非常に衆議院も参議院地方税法に、又国民といたしましても非常に関心を持ち、おのおの責任を盡していると思うのでありますが、政府におきましても非常な関心を持つておられることも、関係方面におきましても同様であるということはよく分つてもおりますし、又極めて重大な時局に即応するいろいろの管轄におきましても極めて重大な問題だということにつきましても、よく我々は考えておるのでありますが、政府が今回再提出された地方税法案は、前の国会において否決されてから後のいろいろな客観情勢、その他いろいろよく検討して最善のものをここに出しておるのであるということを重ねて強調されておるのであります。  ところが先程木村委員からも御指摘のありましたように、両院協議会に出された、衆議院側を代表された政府與党の修正意見と、今般出された政府案とは著しく相違しておることは政府も御認識であろうと思うのであります。ところがその後情勢が変つてからあれやこれやの検討の結果これが最善だと政府はおつしやる、ところが今般民主党において相当程度修正意見を以て関係方面折衝し、これと併せて社会党及び自由党各位におきましてもそれぞれ連絡をとり、又自由党からも我が民主党に申出があるのであります。その中出の内容を今私はここで披瀝する必要はありませんが、今民主党修正案が若し入れられるならば自由党も全幅の賛成をすると、かようなことは総理も御承知であろうと思うのであります。党の責任者からの申出もありますし、我が党からの自由党に対する交渉経緯におきましてもこれは明確であります。  でそうでありますれば、これは関係方面の承認を得られるかどうか分りませんが、仮に得られた場合にこれに対して自由党は全幅の支持をし、同調するということであれば、両院協議会において出された自由党の最終修正案なるものの意味合から見ましても、又民主党の今回の修正案関係方面の承認を得られたという場合においては、自由党がこれに同調せられるということであるならば、自由党を基盤とする政府考えといたしましてはこれが最善最後の案でない、交渉次第によつてはもう一歩余地があるという点も含みを以ておる点だと客観情勢では、第三者におきましては考えられる点があるのであります。そこで政府は最終の案だと井言つてしばしば繰返されておる断言的な声明と、今こうした事態に対する自由党のお立場、御意見とは非常に違うし、こうした最終最善の案だと言つてつて修正が通ればどうするか、若し修正が通らない場合にはどうするかという問題等を含めまして、極めて時局下重大なる政治問題であるのでありますから、こういう問題に対しまして総理はどのような見解とおつもりを持つておられるかを承わりたい。
  70. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私からお答え申上げます。政府といたしましては只今提案いたしております税法案が現段階においては最良の案であるということを確信して出しておるものでございます。併したびたびこの委員会においても私が申述べました通り国会には自主権がおありになるのでありまして、国会全体がこう修正しようということにその決議がまとまりましたときには、政府としてはそれに対して十分なる努力をすることをお誓いいたします。
  71. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 冒頭に申上げましたように一時間余を経過いたしました。総理大臣は渉外関係で退席をされますからさよう御承知を願います。大蔵大臣に対しまして御質疑をお願いいたします。
  72. 岡田宗司

    岡田宗司君 大蔵大臣に先ずお伺いいたしたいのでありますが、今次の修正案は大体取立てますところの税額においては全然変りはない、附加価値税を延期いたしまして、その代りに事業税を続けて行く、事業税税率も下げた、又固定資産税税率も下げたが、これは取上げる、地方税総額については変りはない、こういうことになつており、補正予算も組まれなかつたことになつておるのでありますが、併し只今岩木君も言われましたように、若し国会の意向によりましてこの法案修正が加えられ、更にGHQにおいてもこれを認めるということになつて参りまして、これが税額全体に響くということになりますれば大蔵大臣は直ちに本国会にその予算を、修正したところの補正予算案を出されるつもりであるか、その点お伺いしたいと思います。
  73. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 先程総理大臣がこの問題についてお答えなさつた通りであります。
  74. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、池田大蔵大臣は前国会におきまして地方税法案が否決されましたときには日本においでにならなかつた。その際の事情につきましては十分御承知にはなつておらなかつたと思うのであります。併しながら国会方面の意向、特に参議院の意向というものはあの否決にも現われました通り、又そのあとで開かれましたところの両院協議会でも現われました通り、随分政府見解を異にしておるのであります。この点につきまして蔵相は勿論御報告は受けておられることとは思うのでありますが、今回出ましたところの法案が、前国会の意向を参酌したということを先程総理も、或いは前々から岡野国務大臣も言われておるのでありますけれども、なぜ税額の点につきまして、国会が非常に重いが故にそれについての見解をああいうふうに決めたのに対し、なぜその点についての修正をお加えにならなかつたか、それをお伺いしたいと思います。
  75. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話通りに否決になつた当時はこちらにはいなかつたのであります。併し電報或いは電話で知り、又大体の内容は新聞を取寄せて向うで見ておつたのであります。こういうことは向うの陸軍省或いはシヤウプ博士も十分事情を御存じであつたのであります。従いまして私が向うでシヤウプ博士と前後十時間に亘つていろいろな折衝をいたしました、いろいろな考え方も申述べた、そうして只今のような案になつたわけであるのであります。附加価値の延期という議論のあつたことも聞いております。又向うに立ちます前に倍数が多いということも、九百倍ということが高過ぎるという議論のあるのも聞いております。又税率の標準税率を或いは又もつと下げなければならんということも聞いておるのであります。併し私としてはできるだけ千九百億円を確保する前提の下にできるだけ国会意見を容れるよう努力いたしたのであります。今岡田委員からどういうところが変つたかとおつしやいましたが、附加価値税の延期とか、或いは固定資産税税率の変更その他につきましては、我々の意見が或る程度聞かれたものと考えております。
  76. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、地方財政の問題について、大蔵大臣は今後これは緊縮しなければならんということを言われておるのであります。で、今後の地方税が相当大幅に地方税の増額になることはもはや繰返して申上げることはないのでありますが、これが非常に重く感じられる。これを軽くするのは地方財政を緊縮しなければならない。その上でこの地方税を軽くするのがいい、こういうふうに言われておるのでありますが、一体今日の地方財政がどういう点で以て非常に放漫であり、又どの点が緊縮さるべきものであり、荷どの程度の緊縮が望ましいものであるかという点につきましての大蔵大臣の見解を承わりたいのであります。
  77. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は不敏にして地方財政の底から底までを知つているわけでないのでございます。ただいろいろな感じから申しますると、会議費とか、旅費とかその他人件費等におきましても、できるだけ歳出を少くして貰いたい、又その余地があるのではないかと考えておるのであります。こういう問題は、国と地方の事務の調整の問題もありましよう。又地方団体自体の問題もあると思いまするが、先程答えましたように、地方行政委員会、或いは地方財政委員会等のお働きを願いまして、今後十分検討して行きたいと考えております。
  78. 岡田宗司

    岡田宗司君 若し今度の税金が相当地方税の増額になり、それが地方民の負担が多くなるということになつて参りますれば、この税金を拂う問題について相当摩擦を生ずるかと私共は考えております。これは好ましいことではないのでありますけれども、客観的に見ましてそういうことが予想されておるのであります。この税金を上げる、これだけのものを上げるということがむずかしいということになつて参りますと、これは非常に重いということを客観的に立証したことになると私は思うのでありますが、それはまあこの税法が実施されてからの問題でありますが、若しこれが重いと、随分税額が引上げになつて、これが重いということになりますれば、これを当然軽からしめるような措置が先に否決されました後において、こういう法案が出るときに考慮を加えられなければならないと思うのであります。又今大蔵大臣が言われたように、隅から隅まで地方財政のことは知らないけれども、尚それについて緊縮する余地もあり、いろいろ検討の余地もあるというならば、この修正案が出されるまでの間に、その点において十分に検討を加えて、そうしてそれに見合うだけの税額を少くするようにすることが当然ではなかつたかと思うのでありますが、何故その点について大蔵大臣は考慮なさらなかつたか、その点についてお伺いしたいのであります。
  79. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) そういう問題は、第一のあれは地方議会であると考えておるのであります。各地方団体につきまして、個々に調べる余裕を実は持たなかつたのであります。一応歳出を四千数百億円と見まして、政府からの交付金、或いは地方自治体の収入金等から、千九百億円という前提の下に、法案を作成したわけであります。今後地方の方々の負担を軽減する上におきましては、税率におきましても、標準税率等の分もあるのでありまするから、地方議会において、十分国民負担の軽減に御努力願いたいと考えておるのであります。
  80. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今大蔵大臣のお話を伺つておりますというと、非常に努力が足りなかつたということが私共に感じられるのであります。この税額を低めて、そうしてそれに見合うように今度の地方税法案を改正して出されることが、当然政府のなすべき措置ではないかと思うのでありまして、この点につきましては、国会としては、尚細かい点は、更にそれぞれの委員会におきましても検討をし、そうして、地方行政委員会の方にも申入れいたしまして、この法案について、国民の納得の行けるような程度までに私共は修正を希望したいと考えておるのであります。政府の方におきましてこの法案を飽くまでも固守するということになつて参りますというと、又非常な大きな問題になろうかと思うのでありますが、すでに自由党の庁におきましても民主党に申入れをして、この法案修正をするというような態度を明らかにされておるのでありますが、政府といたしましてはそれにつきまして、更にみずから進んでこの法案を一応撤回して、修正して出される意思はないかどうか、それをお伺いしたいのであります。
  81. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。たびたび委員会で申し上げました通り政府といたしましてはこれを修正して出すという意思は毛頭持つておりませんから御了承願います。
  82. 岡田宗司

    岡田宗司君 じや私の質問はこれで終ります。
  83. 野溝勝

    ○野溝勝君 大蔵大臣に数点質問して見たいと思います。  シヤウプ勧告によりますと、中央地方の税体系は成るべく一体化して行けという勧告があつたと思います。して見ますると、中央におきましては先程も申した通り減税を数学的にはしておりますが、地方的には増税になつております。かような考えはシヤウプ勧告の税体系の一体化精神とは違うんではないかと私は思う。先ずこの点に対して大蔵大臣は両者とも併せてその上に減税になつておればこれは減税だという御解釈を声明されておりますが、かようなことでは私はシヤウプ勧告の本質とは一致しないと思いますが、この点の見解如何ですか。
  84. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 大体シヤウプ博士の勧告に基きまして国税地方税の改正をいたした次第であります。
  85. 野溝勝

    ○野溝勝君 さような御見解であるとするならば、私は大臣に特に質問をしなければならんのですが、大体大臣は今の地方における経済の事情を御承知の筈だと思います。先程同僚岡田議員質問に対しまして地方の財政は余り知らんような御答弁もありましたけれども、地方の財政の状態を私は知らなくてかような案が出せるものではないと思つております。と申すのは、昨日も地方財政の岡野大臣からのお話もありましたが、特に地方における徴税の成績というものは非常に悪いのであります。ここに提示された徴税成績資料から見ましても事務当局の未徴収一割説は上廻つております。私が数字の検討の結果からしますると一割五分以上になつております。かような徴税の不成績であります。即ち徴税の不成績の事情というものは地方の財政が、財源が貧困で、税負担には到底堪えかねるという事情がかような不成績な数字となつておると思います。かような事情の下におきまして今回の地方税内容は非常に不均衡不正確であり、不穏当であると思う。中央におけるところの所得税は最も国民的関心を直角に現わしておりますので、やかましいからこの点を避けるために地方税に転嫁したとも考えられるのであります。私はこういう点から大蔵大臣が特に地方税に対する考え方というものの認識が間違つておるのではないかと思います。そこでシヤウプ勧告の考え方からいたしますならば、何といつても私は地方に対する確乎たる財源を確立するという精神から出ておると思います。確乎たる財源を確立いたしまして、そこに中央地方の税体系の一体化、均衡化を図ろうという趣旨に出ておると思います。して見ますると、今日のいわゆる地方における財源というものは、今回政府で発表された財源中住民税固定資産税附加価値税は一年延期をするということでありますが、事業税の問題、事業税中原始産業に対する課税をなくしたということは一歩前進であると思います。この点は我々も感謝をいたします。併し他の財源でありまする固定資産税、並びに住民税、名を変えました平衡交付金、これらの内容を検討して見ると、これは殆んど均等割を中心とした、人頭課税を中心とした税ではありませんか。今日地方における財政窮乏が、数字の上において、お示しになつた資料の上においても明らかになつておる。その上に更に住民税を中心とする人頭課税を重点にした、かような財源的処置というものはシヤウプ勧告の精神とは私は一致しないと思います。若し仮にこれが一致しておるというならば、敢えて政府は大衆課税を以て今日の税の最上の解決として行こうとする意思であるかどうか、この点を一つはつきりお答えを願いたいと思うのであります。
  86. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) シヤウプ博士の勧告を御覧頂ければお分りだと思うのでありまするが、何と申しましても地方の自治を十分ならしむるためには財政の確保を図らなくてはならんと、こういうので住民税固定資産税、或いは附加価値税という、こういう大きい三つの柱でやつて行こうといたしておるのであります。お話が非常に大衆課税、こういうようなお話でございまするが、これは物税的のものを見込んでやつております関係上そういうようになつて参ります。住民税に人頭割ということをお話になつておりますが、これは前の住民税市町村民税時代から或る程度の人頭割があるのであります。それはそこに住居しておる人の負担分任の精神から或る程度の人頭割をする。そうして大部分というものはやはり所得割によつてつておるのであります。決して私は大衆課税とか、何とかいうことではないし、又シヤウプ博士の勧告もそういうふうになつておるのであります。
  87. 野溝勝

    ○野溝勝君 具体的にお話がありましたから、具体的に私は質問いたします。大衆課税でないというようなお話もありましたが、私は今度の財源は大衆課税に基礎が置いてあると思うのであります。成る程、住民税は前からありました。併しその当時におきましては、あなたも御承知通り、大体資産、所得、均等割、五分の二を資産、五分の二が所得、五分の一を均等割、かような資産、所得、人頭割を、三本足を課税の対象にして参つたのであります。住民税のごときにおきましては、たしかに課税をしておりましたが、世帯主を中心にしております。然るに今回は、世帯主だけではありません。殆んど少額所得者全部を皆対象にしております。一方におきまして、僅かばかりの収入のある者に対してでも住民税課税するという方針を立てておきながら、法人に対しましては、所得割をも取らないという考えでなかろうかと思います。これを見ても如何に、これが勤労者に対する収奪課税を強化したものかということが如実になつたと思います。更に、固定資産税のごときにおきましても、すでに農村におきましては、政府から発表された経済白書にも露骨に示してあるではないか。経済白書によりますというと、農業の総経費、昭和十七年、二十四年これを百と見まして、農業経費は、昭和十七年が三六・二%、昭和二十四年が一〇・一%、農業経費は、昭和十七年度が多くかかつております。昭和二十四年におきましては、ずつと引下げております。ところが農業外の経費におきましては、昭和十七年は一・九%、昭和二十四年は四・三%、租税公課におきましては昭和十七年が二・九%、昭和二十四年におきましては一一・五%、更に家計費におきましては、昭和十七年は五・九%、昭和二十四年におきましては六九・一%、かように農業外の経費は、昭和二十四年度においては非常な累進率を示しでおるのであります。かような現状から見て、政府の発表された経済白書に示されたところの数字から見ましても、農村の窮迫というものは明白なのであります。かような明白な事実の上に立つて政府としては一応原始産業に対する課税はこれを止めることにして貰いましたが、別の方面で農村には重圧がかかつておる。例えば固定資産税のごときにおきましては、御承知のごとく農村に対する大負担でございます。家屋におきましても、土地におきましても税増額です。事業税税率において〇・五%ぐらいを減じたぐらいでは、到底この負担には堪えかねるのであります。固定資産税の家屋税が上るならば、前年度におきましては、大体七十二億であります。地租におきましては七十四億であります。これが三倍以上になる。家屋が若し上るということになりますならば、これは結局、家賃、借りておる勤労者は家賃が上るし、地租が上れば、勢い小作料が上る、段々と勤労者の中の、最低勤労者に転重荷されて来る方向になつて行くのであります。かような内容を持つ固定資産税は、農村に対しましては、特に苛酷であると思います。更に細かい問題については、国務大臣の岡野さんからこの固定資産税課税に対する内容につきましては、あとで御質問いたしたいと思うのでございますが、かような事情でございます。更にあなたは先程平衡交付金を自治体の運営に対して、これを向けた、たしかに六百十八億向けてあります。併し四月から七月までの間にこの六百十八億をどこを根拠にしてこれを流用したのですか。地方税法が議会において否決になりましたから、地方の財政運営に事を欠く緊急の処置としてやつたその気持は分るのでありますが、政府が示された平衡交付金法による内容から見ると、さように簡單に処置ができない筈でございます。どこに根拠を置いて、六百十八億の平衡交付金を一体行政処置したのですか。行政措置とは言え、政府で示された平衡交付金法の内容から見ますると、交付金の総額の決定、その内容から見ると、さような処置はできない筈です。尚この平衡交付金の性格というものはシヤウプ勧告によると、最低行政費に対する保証を意味しております。千五十億のうち、六百十八億の三分の二近くのこの平衡交付金を出した。今後一体平衡交付金の支給に当りまして、最低行政費として、各地方団体から申請があつた場合、どういうふうにこれを調整して行くのですか。こういうことをいろいろ検討して見ますると、地方の財源というものは、大衆に対する重圧を以て財源としておるのでございます。かような財源が、今の自治体として、公共団体として堪え得るでありましようか。こういうことを総合して見る場合に、政府といたしましては、この際、今日の地方税法は完全なものなりというような見解の下にこれを出されたとするならば、断じて私共はこれを承認するわけには行きません。この点十分御勘案を願いまして、今一応地方の公共団体の活き立つような、有力な財源を出すか、或いは国家におきまして、地方の公共団体に対する活きる案を立てる、これをお考えを願いたいと思うのであります。特にこの点は、地方財政の主管大臣としての岡野さんには、いろいろ意見があつても、大蔵当局との財政上の関係もありますので、大蔵大臣に特にこの点に対する見解を詳しく一つお答えを願いまして、更に、私は具体的に質問を継続して行きたいと思います。
  88. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 御質問の第一点は、住民税についてでございまするが、従来はお話通り、世帯主を原則といたしました。併し所得のあるところに、而も又そこに住居しておられる場合に、負担分任の精神から見まして、拡張することは適当であると考えておるのであります。而して、法人に対しましては、所得割というものを考えていない、こういうわけでございます。従来は個人と法人というものを別個の経済主体として考えておつたのでありますが、先般の税制改正によりまして、法人は個人の投資から成つておるものだ、という考えに変つて参りました。従いまして法人の方は所得割をかけないことにいたしておるのであります。  次に農業をしておられる方の負担についてお話がございましたが、この負担は全体を見てお考えを願わなければならんと思うのであります。国税の方におきましての減税は農業に最も多くいたしたと私は考えておるのであります。二十四年度までは農家は相当の負担でございましたが、今年度からは国税地方税を通じまして農家の負担は相当軽くなつておると考えております。  次に平衡交付金を四月から七月までに六百十八億円出したのは違法であるというようなお考えでございますが、私は違法とは考えておりません。あの場合これを早期に配付することが適当であるというので処置いたしたのであります。  次に地方公共団体の活きる案について考えろ、勿論我々は国も地方公共団体も同じであると考えております。従いまして地方財政の確立を図る意味におきましても、今回の地方税法案に対する地方公共団体の活きる案だと考えておるのであります。
  89. 野溝勝

    ○野溝勝君 只今三点だけの御答弁がございました。住民税の点でございますが、住民税は負担分任の精神からといいますが、前には世帯主だけですよ。それが今度は恐らくどんな少い所得税があるものまで全部かけられるようになつた。これは全部小さいものにかかる。一方法人の方は一切がこれは所得に対する課税に除かれる、ただ法人には、個人対象としての課税がされるだけであります。こういう点は負担分任の精神に合つておりますか。
  90. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 一致していると考えているのであります。でこれは法人をどういうふうに取扱うかということにつきましては、昔から議論のあつたところであります。日本は大陸系の税法を採りまして、個人と法人は別個の経済主体なりという考えの下にやつてつたのでありますが、今年度からの税制改正、いわゆるシヤウプ勧告案によりまして、英米流の考え方法人というものは、個人の延長であるという考えで今までのような別個の経済主体として考えないという考え方に立ちました。従いまして法人につきましては、所得割を課税しないということになつたのであります。
  91. 野溝勝

    ○野溝勝君 これはドツジ・ラインの精神を受継いだシヤウプ案としてこれは考えておられるが、大体資本の蓄積論という問題になつて来ると思いますが、こういう考え方であなた方が日本の財政を処理しようということがすでに誤つておると思う。私は日本のいわゆる現状というものが日本の財政状態がどういう状況にあるか、ということは、これは経済学に明るいあなたが知らない筈はない。例えばドツジ・ラインがどうあろうと、シヤウプ勧告がどうあろうと、日本の経済の現状を分析して、その上に立つて日本の再建復興が勤労者の双肩にかかつていることが重大である。かようなあなた方が情熱を持つておられるならば、私は、かような資本蓄積論に対するところの法人免税論というものを今あなたは努力して行かれる筈だと思う。この点に対するあなたの考え方が、あなたは独占資本蓄積論を大体考えておるらしいのでありますから、それはあなたとの見解の相違としてこれは言いません。かような点について私はあなたの見解とは相違をしております。  更に平衡交付金のお話でございますが、私の質問に対してお答えがありません。平衡交付金を今まで六百十八億を処理して参つたのですが、今後平衡交付金を出す場合に最低行政費としての保証をしろという意味において公共団体から交付申請をして来る場合に残額分だけで処理して行くのか、前に流用と言いますか、行政処置したその六百十八億の金をどういうふうにして今後これを調整して行くのであるか、この点をお聞きしたいということです。今まで出したやつは出しつ放しでよいのか、今後残つておる金で年度分を間に合せて行くか、こういう点であります。
  92. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 平衡交付金につきましては国会予算を御審議つておるのであります。予算範囲内でやつて行きたい。従いまして後の残りの三百数十億はこれから出て来ることになります。今まで出した分は出しつ放しするあの金額と別に予算に要求してとる考えはございません。
  93. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうすると千五十億から六百十八億引いた残金ということになるのですか。
  94. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) さようでございます。
  95. 野溝勝

    ○野溝勝君 大蔵大臣は農村に対する減税は続けると言われますが、実際上においては減税になつておらんのであります。計数学的に言いますと、百八十六億を減税したことになつております。併し肥料の値上りだけですでに二百三十九億値上りになつております。そうすると差引五十億の増になつております。たしかに政府の数字の上にはこれは出ておりません。併し私共の減税、増税という解釈は所得生活を電位にして考えております。生活を單位にしない税体系というものは、これは技術的予算であり、技術的数字であると思います。生活に根拠のない予算編成というものは、これは架空なものである。併しこの点は政府は数字上におけるところの見解の相違というわけで言われわればそれまででございますので、私はこの点は深く追及はいたしません。併しさような事実の上に立つておるということを御承知願いたいと思つております。  最後にこの点は大蔵大臣に二、三御質疑いたします。大蔵大臣は今後日本におけるところの地方財政の財源につきまして有力なる財源を発見しなければならないというお考えがあるかないか。今日のこの財源だけで妥当だと見るかどうか。この点を一つお聞きして見たいと思います。
  96. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 肥料の値が上つたために農村の支出が殖えたことは事実でございますし、これは肥料は農産物を売りまして農家の所得計算の場合に必要経費になりますから、これは税の問題では負担が重くなる数字にはならんと思います。  次に農村の地方団体の財政の今後でございまするが、私は今回の地方税法案でやつて行けば地方財政は大体賄つて行けるという見通しを持つております。
  97. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は非常に心外の御答弁を聞いたのですが、大蔵大臣は肥料の値上りは必要経費に申告すればそれだけ省かれるというのでありますが、一体あなた方の考えではすでに昭和二十四年の前年度の所得より以下の申請をする場合は税務署長の了解、許可を得ろというような通達まで出しておるじやありませんか。必要経費の問題は、あなたに言われるまでもなく、今日まで農村の団体は税務署を通じ、税務監督局を通じ、それぞれ努力して参つたのでありますが、一方的な処置のために絶えずこれは抑えられております。そこで問題になつて、今回は青色申告のようなことになつたのであります。かようなことは一応机上のプランといたしましてはあなたの御所見はそれで成立つかも知れませんが、原則的に二十四年度の所得以下の納税申告をすることができないということは一体どういうお考えなんですか。
  98. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) それは所得税法に規定がございまして、原則は前年の所得以下には申告するな、これは原則でございます。特別の事情によりまして所得が減つた場合には前以て税務署長に自分はこうこうこういう事情だから前年度通りの申告はできないということに法律ではなつております。
  99. 野溝勝

    ○野溝勝君 この点は議論の相違でございますからこれは一応打切ります。先程大蔵大臣から今の財源が一番正しいというふうに信じておるとこう申されておりますが、私はこの問題は地方公共団体から長い間叫ばれておる問題であります。これは真劍に池田さんとしても考えて貰いたいと思う。私は岡野さんもこれには相当苦心されておると思うのであります。これは長い間の中央、地方の財政均衡分配の問題に関して大蔵省と地方財政委員会との間における物議をかもしておるわけであります。あなたは知らん筈はない筈であります。私はこういう地方に対するこの無理な財源というものは到底長く続くものではないと思います。政府といたしましては正しいということに信じておるとこう言われますが、私は恐らくこの地方税は仮に通過するといたしましても八月から徴税を実行する場合におきましては、今日でさえ一割五分からの徴税未納額があるのであります。それを八月からいよいよ新しい税法に基く徴税を強行するという場合になりますると、農業協同組合は三万有余あるうち、一万有余に半身不随なんです。農村における経済は破綻なんです。更に地方公共同体は自治運営が不能になる危險を身近く感じておるのであります。かようなことになつて来る危險性をあなた達は感じませんか。そこであなたが地方に対するところの財源に対してこの際有力なる財源である所得税を元の附加税というものを止めて中央に所得税を取り、それから地方においても所得本税を取るというような有力なる所得財源の中央、地方の按分をするというようなお考えはないか。若しそれができないとするならば私は酒、煙草等の有力な財源を地方に委譲してやる意思はあるかないか、こういう点を一つお伺いいたしまして私の質問を打切りたいと思つております。
  100. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 地方の財源として所得税の一部を委讓する考えはないかという御話でございまするが、今の住民税は相当部分が所得割になつておりますので実質的には委讓と申しまするか所得的の課税をいたしておると考えております。尚又酒、煙草を地方の財源とする考えはないか、私は私見といたしましてはそういう考えはございません。
  101. 楠見義男

    ○楠見義男君 税の問題に関連しまして一つだけお伺いしたいと思います。総理大臣にお伺いいたしたいと思つておりましたが、御退席になりましたので代つて国務大臣からお答えを頂きたいと思います。  それは北海道、東北、北陸等の積雪寒冷地帯に対する政府のお考えについてお伺いしたいのでありまするが、これらの地方が産業経済及び消費生活の面において他の暖国地方に比べまして極めて危険の状態にあることは御承知通りであります。従つて第一国会において参議院では積雪寒冷地帯における税制その他行政の各部面に亘りまして、政府の適切なる措置をとられるように決議いたしたのでありますが、これに対して政府もその決議の主旨を十分尊重すべき旨の意思の御発表があつたのであります。今回の地方税法案を再び御提案になるに当つて、その点についてどういうふうにお考えなつたか、この点をお伺いしたいのであります。申すまでもないことでありますが、これらの地方の特殊性に鑑みて、政府は国家公務員については、寒冷地手当が支給されております。これを他の部面の、單に農業の部面のみから見ましても、これらの地方は御承知のように水稲單作地帯でございまして、農業恐慌の荒波をかぶる最前線に立たされておるのでありますが、米価は必ずしもその生産費を償うに至つておりませんし、従つて国内の食糧自給度を極力高めなければならん、こういう重要な時期に再生産を確保するのにも非常な困難を感じておる事情であります。又只今も話が出ましたが、一方においては肥料補給金が廃止されて肥料が値上りになり、或いはこれらの地方の従来の特別の措置として、実は二重米価的な意味合を持つた早場米奨励金の問題は、本年はとにかく従来通り継続されそうでありますが、今後の将来の在り方については非常に危惧の念を以て見られておるような状況であります。折角農地改革によつて自作農が全国に創設されましたにも拘わらず、この自作農の維持をいたして参りますに必要なる適切なる対策が、政府の面において欠除いたしておりますために、これらの自作農も、正に崩壊の前夜に直面しておるような状況でございます。農業以外の一般の消費生活において困難を感じておりますことは申すまでもないことでありまして、單に冬の雪囲い、或いは防寒用のいろいろのことを考えて見ましても、事柄は極めて簡單であるように思うのであります。そこで今回の改正せられた国の所得税法におきましては、特別の出費として医療費、或いは災害等に要する特別の費用については控除の途が設けられておるのでありまして、これは誠に結構なことと思うのでありますが、併し自然的な恒久的な條件によつて、非常に不自由を感じておるこれらの地方は宿命的なりとして諦らめるには余りに負担が多いと思うのであります。そこで参議院の先般の決議のごとき措置をとることが絶対に私は必要であると同時に、このことは單に国内の一部の地方に属しておるように考えられますけれども、併し食糧について申しましても穀倉地帯でありますし、これらの地帯について、單に農業という面のみに拘わらず、中央地方のこの税制の面において特別の考慮を拂うということは大きな政治であろうと思うのでありますが、この点について政府としては特別の考慮をなされる御意思があるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  102. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) この問題は数年前から可なりやかましくなつて我我も検討を加えておるのであります。先般の決議がございましたが、具体的にどういう案にするかというところまで行つておるのでありますが、実際問題といたしまして、所得税の収入見込額は、寒冷地帯の方に特別の控除をするか、或いは逆に暖かい地方では経費が少いから減らすかという問題もありますし、又区分が非常に困難なものでありまして、まあ日本のように寒いところと暖かいところ、非常に違いのある国は外には少いのであります。各国にはそういう例はございませんが、我我といたしましては先程お話のように、個人的事情も或る程度税率その他に入れなければならんという考えの下に、医療費とか災害費の中に入れているわけであります。併しこの事柄は今回の寒冷地帯の農業或いは商業、その他一般に差等を設ける点は理論上はいいのでありますが、具体的の問題としては相当厄介な問題がありますので、いま暫く検討を続けたいと思います。
  103. 楠見義男

    ○楠見義男君 この問題は早急に御考慮の上で善処して頂きたい。このことが参議院の満場一致で以て成立いたしました決議の趣旨を尊重して頂くことを希望するゆえんでありますから、どうぞ十分に御検討頂きたいと思います。
  104. 野溝勝

    ○野溝勝君 関連して……。これは丁度大蔵大臣と地方財政大臣お二人おられますから特に私からも要望して置くのでありますが、私が立案した地方財政配付金の中で、東北北陸北海道單作積雪冷害地帯の地方には〇・二%配付金を多くしたのであります。それは只今申したような食糧の増産、特に食糧問題については非常に努力しているという点、いま一つは非常に努力しても惠まれない地帯でございます。非常に財政的に気の毒な地帯、いわば單作地帯でありますから、経済的に弾力性はございません。かような地帯においては精魂を打込んで仕事をやつているのでございますが、能率が上りません。かような地方団体に対しましては、特に政府が目を開くという意味において、前回におきましては地方配付金の中から〇・二%の増配をいたしたのであります。以上の歴史もありますから、或いは平衡交付金の最低行政措置、或いは外の方法でもいいのでありますから、この点は両大臣におきまして十分御検討、善処を願いたいと思います。
  105. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 野溝委員の御質問に対して私から一言御答弁申上げます。丁度大蔵大臣ここにおられるのでございますから、実は寒冷地帯に対しては、私も非常に貧村が困つているということには同情もし、又負担の均衡化を図ることが今度の地方税法案趣旨でございますから、その点におきまして折角鋭意地方団体の財政需要というものの測定を今いたしつつあるのでございます。それは地方財政委員会でやつている次第であります。その地方財政委員会の勧告がありましたら、その勧告を私は大蔵大臣に取次ぎまして、その点に不公平のないように、又寒冷地帯がうまく行くように、こういうことを努力したいということを考えておりますことを一応申上げます。
  106. 村上義一

    ○村上義一君 私は公益事業、特に鉄道事業等につきましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。時刻も大分過ぎておりますので、ただ一、二点だけ簡單に伺つて置きたいと思います。前国会当時に地方税法案政府国会に提出せられる前に、政府内におきまして民営鉄道事業の現下の困窮せる実情に鑑み、特に国鉄公社が免税であるという点に鑑みて、民営鉄道に対しましては軽く課税をするというふうに一旦決まりましたが、関係方面了解を得ることが遂にできなかつたというふうに聞いているのであります。然るに今回におきましても、この民営鉄道事業にとりましては、殆んど致命的の重税であるといつて差支えない程になつているのでありますが、これは関係の向に御提出せられました実情調書、又データーが適確でなかつたというためではないかと思います。そのために関係の向をして実情の把握を誤らしめた、又誤つた基礎数字の上に判断をせしめたという結果ではないかと思うのであります。又かく信ずべき事由もあるのであります。これは長くなりますので午後に讓ります。で私お尋ねしたいのでありますが、政府はこの国会におきまして関係方面了解を更に得るために適確なデーターと実情を明らかにして、もう一度努力をせられる御意思はないか、この点を先ず伺いたいと思うのであります。
  107. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。御説の通りでありまして、只今の段階では私鉄なんかの点におきまして、現行法即ち立案いたしまして提出いたしております法案通りにするより外に途がなかつたのでございますが、正確な、又向うを納得し得るデーターを作ることに御協力を願いましてそうしてこれをできるだけ御希望に副うように政府としては努力いたしたいと存じます。尚一言附加えますが、只今日本国有鉄道の問題につきましても政府としては研究している次第でございます。
  108. 村上義一

    ○村上義一君 シヤウプ税制使節団の勧告では国税において六百億余り減税になる、地方税においては約四百億増徴になつて、結局二百億余りの減税になるということが記されているのでありますが、この四百億の増税というのは、大体地方税の三割五分程の増額になる。つまり増額は約三割五分だというふうに解釈されるのでありますが、民営鉄道に対する地方税法の改正案による税額は、地方税におきまして大体四・八四倍つまり三十八割四分増だというふうに相成るのであります。国税地方税を通じまして三・七倍になる、即ち二十七割増というふうに相成るのであります。勿論この数字につきましても、後刻時間を與えられまして十分政府御当局にお尋ねして、その的確さを明瞭にしたいと思うのでありますが、このような税の負担の能力のない今日窮迫している民営鉄道事業に、又この公益事業に対しまして、平均増徴率三割五分の十数倍になる増税を課すということは、いかなる観点から見ましても妥当でないと思うのでありますが、この点につきまして更に政府の御意見を伺いたいと思うのであります。尚鉄道事業は御承知のごとく非常に厖大な施設を創業に当つて完成する。そうして多数の従業員がこれを運用することによつてサービスを生産する、この生産されたサービスの価格である運賃というものは、非常に厳正なる規制をせられておることは事業性質上当然であり、又多言を要しないところであります。平時におきまして、普通の年次におきまして年間の収入は固定費魔価格の大体一二%乃至一三%程度に過ぎないのであります。外に実例を見ないというてもいい程その資本回転率は微弱なのであります。今度の固定資産課税は従いまして非常に収入からいい、収益からいえば勿論のことでありますが、著しい負担に相成る次第であります。これは結局最終的には大衆課税となる性質のものでありまして、こういうことは甚だよろしくない。特に先刻も国務大臣が一言お触れになりましたごとく、同一のスタンドポイントに立つべき筈の国有鉄道が免税されておるという点とも睨み合せまして、益々当を得たものでないと信ずる次第であります。従いまして特にこういう意味からも課税の是正をし、軽減をすべきものだと思うのでありますが、政府の御所見を承りたいと思うのであります。
  109. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。その点は将来考えなければならん点と考えます。午後から御資料を頂きまして、事務局によく検討さしたいと思います。
  110. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 木下君、大蔵大臣に対して……。
  111. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 極く簡單に両大臣に……。先に小野政務次官からちよつとお答えになりましたが、概点は、附加価値税、即ち事業税に関する問題であります。この法においては水産業に附加価値を課することとなつております。但し主として自家労力を用いて行う事業で、政令で定めるものはかけない、こうなつています。ところが主として自家労力で行う事業というものは何千と、或いは何方とありまして、それを一々政令で定めるということは非常に不可能ではないか、これはむしろ漁業の実情を知らない人が立案したのではないか。私としてはむしろ漁業には附加価値税を課さない、但し政令で定めたものはこの限りに非ずといつて、課するものを政令で決めてやつた方が遥かにうまく行く、実際において同じであると存じておりますが、それに対する政府の御見解を伺いたい。
  112. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 木下さんから只今仰せになりましたように、企業的な経営をやつておりまする水産業等について課税する、その他のものについては非課税の方法をとつてはどうか、又そういうやり方を法律案の中に明示してはどうか、こういう御意見のように承つたのであります。この点につきましては、政府におきましても他の事業、特に農業等との関係において研究をして参つたのでございます。その結論といたしまして、勿論トロール漁業であるとか、或いは捕鯨漁業等は企業的の経営をするということで、これは勿論御異存のないところでございますが、併しながら沿岸漁業等におきまする一般の漁民の実態を考えてみますると、大体主として自家労力を用いる場合におきまして、これを非課税の対象とすることによつて大体御趣旨に副い得るような措置が講じ得るのではないか。そして自家労力を用いますということは、如何なる程度であるかということが主としての考え方でございまして、この点につきましては、その程度内容を政令によつて規定をいたしたい。従つて大体年間を通じて三分の二以上くらい事業を行う御本人、或いはその同居の親族の労力によつて行われておるというふうな場合におきましては、これを非課税の対象といたしました際において、御趣旨に副うような措置がとり得るのではないか、こういう考え方からこの税法案におきましてはさような規定を入れたような次第でございます。
  113. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 もう一点伺います。固定資産税の問題ですが、これは水産においては漁船ですが、これが時価の百分の十をかけることになつております。時価は一体どういう標準であるか。これは船というものは千差万別、大小皆違うのでありまして、なかなかその標準は決めにくい。而もこの方法においては市町村に委員会を作つて大体その評価をする。さようになつておるようでありますが、市町村というものはどちらかというと税を取る方の側でありまして、漁村部落あたりは殆んど取る側でない。若しこういたしましたならば、時価の算定が非常に不公平になりはせんか、こういろ考えを持つておりますが、一体時価の標準及び委員の選定方針はどういうふうなお考えであるか、これを一つ……。
  114. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 木下君の御懸念になつておりますように、数多い漁船の時価を評価いたしますことは、なかなか容易ならん仕事であろうと考えております。今回の地方税法案におきましては、御承知のように各市町村に評価委員を置きまして、その評価委員は当該市町村長がその地方議会の同意を得まして、適任者を選定することになつておるわけでございまするが、勿論その他の結果の責任は当該市町村が持つことの建前を取つておるわけでございます。併しながら漁船の評価は御承知のように売買価格を基準として行いたいと考えておるのでございますが、全国に亘つて多数の漁船がある事情に鑑みまして、中央におきましては地方財政委員会におきまして、一応の評価基準を定めまして、余りに各市町村においてちぐはぐな評価が行われないように適切な指導をいたして参りたいと、かような心組で目下地方財政委員会で準備を進めておるような次第でございます。
  115. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 木下君に申上げますが、大蔵大臣にですか。
  116. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 両大臣にお伺いいたしたいと思いますが、ちよつと二分ばかり……。漁業権に対して税を課するというのですが、この前の国務大臣本多国務大臣は、二十七年度から漁業権及び許可料を取る。そういう場合においては、相当漁業権に対しては考慮するつもりだというお答えがあつたようですが、一体大蔵大臣は漁業権に税をかけることが至当であるかどうか。殊に権利上許可料を取りました場合においても、漁業権の税を取るという点についてお伺いをいたします。
  117. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は詳しいことは存じませんが、漁業権として物件として認められる場合において財政上の需要によりまして課税するということは、そう無理な税制ではないと思います。これはやはり全般の財政需要の点その他いろいろの独立税、いろいろな税との兼ね合いの問題でございますから、これだけでどうかということはなかなかむずかしい問題でございます。財政需要或いは地方税でどんな名目の税をかけておるか。全般から考えて見なければならんと思いますが、漁業権という一つの物件に対して課税するのは、そう大した無理な税制ではないという基本観念を持つております。
  118. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 中田君に申上げますが、大蔵大臣は十二時半渉外関係で退席のつもりでありましたから……。
  119. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 簡單に大蔵大臣にお尋ね申上げたいと思います。この地方税法案が、仮に通りましても、私は現在の地方の財政経済の実力の点から申しまて、なかなか適応できにくいものである。従つて極めて近い将来に、又改正しなければならんと思うわけでありますが、これに関連いたしまして大蔵大臣は現在の財政経済の段階を、どういうふうに御判断されるかということについて、お尋ねいたしたいと思うわけであります。このシヤウプ博士の勧告に基きます税財政の改革は、ドツジ公使の経済安定九原則と表裏一体の関係をなしまして、一つの体系をなすものであるとまあ考えるわけであります。ドツジ公使の貫くイデオロギーについては、私の申すのも僭越でありますが、何といたしましても、インフレーンヨンを抑制いたしまして、資本を蓄積すると、こういう大きな筋で貫かれておられるわけであります。シヤウプの税制によりまする勧告も、殆んどこれと歩調を一にするものでありまして、これがドツジ公使の経済安定九原則と同時に行われましたならば、私は非常に日本の再建について効果的な役割を果すのではないかと思うわけでありますが、非常な時間的にずれているわけであります。そういう点で問題があるのではないかと思うのであります。それはドツジ公使の方式に対しまして、いろいろな批判がありますが、インフレーシヨンが或る程度収束いたしまして、資本が蓄積いたしまして、生産は政府の白書を見ましても増大いたしておるわけであります。この段階におきまして、問題なのは更に飛躍的に生産を、即ち資本を蓄積いたしまして、生産を増大するというよりかも、有効需要を喚起いたしまして、経済不況の根源を絶つということが、私は日本の財政経済の当面の大きな目標ではないかと、まあ愚考するわけであります。例えば、現在何といいましても、皆があからさまに言わないといたしましても、日本人全体が苦境の打開策といたしまして、戦争が拡大することを、望んでおるということは、如何ともいたしがたい点であります。そういう点はやはり生産は増大したが、商品の捌け口がない。経済恐慌をそういうふうに打開したいということは、これは公にはできませんが、それぞれの経済人の心の中にあるわけであります。そういう点で私は経済政策を大きく転換いたしまして、そのためには、先ず賃金べースをある程度上げるとか、農産物の価格を適当な水準にするとか、枯れ切つた地方財政に有力な財源を與えまして、そうして、有効需要を喚起いたしまして、不況を絶つ、資本の蓄積と有効要需をじぐざぐに切換えて行くことが必要でないか。まさに私は現在の段階が、そういう時期に達しておるのではないかと思うわけであります。現有の一年といいましたら、平常な時代の数年間に当るわけでありますが、そういう点で私はドツジ公使の方式と、一年有余遅れて行われるこの改革とが、あまりにも時間的ずれがあつて、そういう点から早くこの地方財政の改革の制度が躓くではないかと、こういうふうにまあ考えるわけであります。そういうふうに資本の蓄積と、有効需要の喚起をじぐざぐにやるがいいと思う。そういう点で私は現在の段階が到達しておるのではないかと思うわけでありますが、大臣はどういうふうにお考えでありますか。
  120. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 経済安定九原則の線と、シヤウプ博士の税制改正案とは、私は時間的なずれはないと思います。シヤウプ博士もあの安定政策は十分頃に入れてお考えになつている点だと思います。ずれと申しますと、不成立によります二、三ケ月のずれはこれは止むを得ないのでございます。大体一環して行つていると思うのであります。そういうお二人の考え方を入れまして私は適当な方法として進んでおるのであります。今の経済の段階をどうかといわれるが、大体仰せの通り考えております。インフレも止つて安定から自立に向いつつある。そこでじぐざぐというわけではございませんが、世界の経済情勢を見ながら、国内におきまして生産を殖やすと同時に、或る程度直接消費もやつて行かなければならん。これは今の日本のインフレが消費インフレであるということを常に頭に入れて適当な度合に適当なときに、そういうことを考えて行きたいと思つております。
  121. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは午後二時まで休憩いたします。    午後一時二分休憩    ―――――・―――――    午後二時二十五分開会
  122. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 休憩前に引続き連合委員会を再開いたします。質疑を続行いたします。
  123. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 市町村民税について続いて質問をいたしたいと思います。改正の所得税法では、農家の中で、農業の専従家族に対しては、扶養家族として取り扱つておるのであります。一方のほうにおいて、扶養家族として取り扱つておるにも拘わらず、地方税では扶養家族として取り扱つていないということは、片手落ちではないかと思うのであります。市町村民税においても、所得税法と同様に、農業専従の家族に対しては、扶養家族として取り扱われる意思はないのかどうか、お尋ねしたいのであります。
  124. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今お話になりました農家の家業に専従しておる者につきましては、大体御所見の通り考えを持つております。
  125. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今答弁によつて見まするというと、農業の専従家族は、扶養家族として取り扱われるということに解釈して差支ないと、こう思うのでありますが、どうであるか、いま一度確認したいと思うのであります。
  126. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 専従者につきましては、御承知のごとく所得割は課税しない考え方を持つておりますし、又均等割につきましても、考慮を拂つておる次第でございます。
  127. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に、固定資産税についてお尋ねしたいと思うのであります。各種の協同組合が持つておるところの固定資産の大部分は、中小資産者の施設を増進するために持つておるのであつて、この固定設備によつて国民経済の発展に寄與するようにいたしておるのであります。従つて政府協同組合の固定設備に対しては、あらゆる方法を以て過去において奨励をしておられるのであります。又将来も奨励せられることだろうと考えるのであります。例を挙げて見ますならば、例えば農業倉庫のようなものに対しては、戰時中殆んど補修ができなかつたために保管に支障を来しておるような現在でありますから、政府は農業倉庫に対しては今後できるだけの助成をしようという考えのように聞いているのでありますが、若し一方においては奨励金を出し、一方においては固定資産税を賦課するというようなことになつたならば、奨励が徹底しなということになるように考えられるのでありますが、農業倉庫その他の協同組合が有する固定設備に対しても、固定資産税を課せられるお考えであるかどうかお尋ねしたいと思うのであります。
  128. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今藤野さんが仰せになりましたごとくに、農業協同組合が持つておるような倉庫設備につきまして、政府全体の立場におきまして、これが助長政策を考えるということは御所見の通りでございます。併しながら一面農業協同組合が、その施設として持つておりまするいわゆる固定資産税の対象となるべきものにつきましては、これは税の負担の方面から考えますと、他の法人その他の均衡をも考えまして、これはやはり課税の対象とするのが筋ではないかと考えております。
  129. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は附加価値税についてお尋ねしたいと思うのでありますが、附加価値税に関する要綱によつて見ますというと、第二の二十三に出版業と書いて括弧して「政令で定める新聞業を除く」と書いてあるのであります。それで政令で定める新聞業とは概ねこういうものであるということを書いてあるのであります。それから第三種事業の十八に新聞業と書いて「政令で定めるものに限る。」こう書いてあるのであります。それで私のお尋ねしたいのは、実際の例で申上げますというと、全国の新聞情報協同組合連合会というものが発行している日本農業協同組合新聞、こういうふうなのがあるのでありますが、これはどれに該当するのであるか、先ずお尋ねしたいと思うのであります。
  130. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今御指摘になりました新聞業の範囲でございますが、これは大体大掴みに申上げますと、ニユースの提供であるとか、時事の報道を主眼とするものを考えておるものでございまするので、若し只今お話しになりましたものが、そういうものに該当するか否かによつて判断しなければならんかと考えております。
  131. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 日本農業新聞というものは、農業に関する時事の事項を所属組合及び組合員に限つて配布しているのであります。一般のものに配布してないのであります。こういうふうな特定のものに、その組織者に配布するというような新聞というものは、一般の新聞と特別の取扱いをするのが当り前ではないかこう考えるのでありますが、やはり特定の組織者によつてできているところの、その組織者に配布するところのものも新聞として取扱われるのであるかどうか。この第一種事業、或いは第三種事業というものに該当するものであるかどうかお伺いしたいのであります。
  132. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今伺いましたような時事の報道を目的とするような性質を持つておる場合におきましては、具体的にその内容等をも検討いたしまして善処いたすことにいたしたいと考えております。
  133. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次には各種の団体は各各団体の機関紙を出しているのであります。その団体の出しているところの機関紙というものは事業税としては、附加価値税は第何種の事業に属するのであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  134. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。大体機関紙なるものの考え方でございますが、只今は新聞業を中心としての考え方から申上げたのであります。これが果して第一種事業であるか、出版業として考えなければならないかというふうな問題になろうかと思います。只今お話のようなものは如何なる内容を持つておるかということによつて第一種か、或いは第三種かというような区別を立てて参らなければなりませんので、これは具体的に内容をやはり検討して見ないと直ちに第一種事業であるというようにお答え申すことは如何かと考えておる次第であります。
  135. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それであつたならば具体的に申上げますが、社団法人の家の光協会が「家の光」及び「地上」という雑誌を出しておるのであります。これは協同組合で組織しておるところの社団法人であつて、会員に限つて毎月「家の光」及び「地上」を発行しておるのであります。この家の光協会が発行しておる、この発行事業は第何種事業に属するのであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  136. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今の御説明によりまして、大体内容が了知できたのでありますが、そういうふうな種類のものでありますと、会員のみに頒布するというようなことに拘わりませず、原則として第一種事業にすべきものと考えられます。
  137. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 「家の光」はそれであるのでありますが、その他いろいろの団体がさつき申上げたようにできておつて、その団体が組織員のみに発行するところの会報もやはり第一種事業に属するのであるかどうか、その点お伺いしたいのであります。
  138. 小野哲

    政府委員(小野哲君) この点につきましては、政府において新聞業とはどんなものであるかということによつて判定をいたさなければなりませんので、抽象的に機関紙等につきまして第一種事業であるということは断定が抽象的には下しにくいと思うのであります。従いましてこれらは政令を立案いたします際に十分検討を加えたいと思つております。
  139. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 附加価値税に関する要綱の九頁によつて見まするというと、「公益法人とは、民法第三十四條の法人、学校法人、宗教法人、各種協同組合、……農業共済組合及び同連合会」と、こう書いてあるのであります。この公益法人説明からいたしましたならば私は一般の観念から公益法人というものに対しては課税すべきものじやない、こういうふうに考えるのでありますが、ここにいうところの公益法人は特別な公益法人であるから、これには課税するのである、こういうふうなことであるかどうか、この公益法人に関する御説明を願いたいと思うのであります。
  140. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 公益法人であるならば、附加価値税を課してはならない、こういうふうな考え方は持ちませんで、やはり公益法人がどんな事業をやつているか、だからそういう事業には課税しちやならない、こういうような考え方を取りたいというふうな見地から立案をいたして参つているわけであります。併しながら公益法人につきましては、その目的を達成するように、税制の面からも、力を注いで行きたいというような面で、公益法人附加価値税課税対象になるというような事業をやつておりましても、そこから得られました収入を、公益的な方面に充てております場合には、それを支出金額と見て行きまして、言い換えればそれだけ附加価値額を少く計算をいたしまして、課税の計算をいたして参りたい、かように考えておるわけであります。
  141. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 第七国会において、参議院では農業金融疏通並びに農業協同組合育成強化に関する決議をいたしまして、これに対して総理大臣は五月の二日附で議長に報告しておられるのであります。その報告によつて見まするというと、いろいろあるのでありますが、農業協同組合はあらゆる方法を以て育成強化をする、こういうふうになつているのであります。又各種の委員会の農文大臣その他の答弁によつてでも農業協同組合の育成強化については、あらゆる努力をすると、こういうふうに言明しておられるのであります。然るに今回の地方税を拜見して見まするというと、私などの計算によつて見ますれば、附加価値税において約十億円、固定資産税において約二十億円の増税になるのであります。一方の方において農業協同組合は育成強化をする、こういうふうなことを言つて置きながら、一方の方においては従来よりも三十億円も増税になるというようなやり方をやるということは、育成強化の言葉と正反対の結果を来たすのではなかろうかと、こう考えるのであります。私は総理大臣の報告、或いは委員会における農業協同組合を育成強化するという答弁の要旨から、こういうふうな附加価値税であるとか、或いは固定資産税であるとかいうようなものは、育成強化のために非課税にして、或いは減税にして、農業協同組合が立つて行き、又そのために食糧増産もでき、すべて国家再建ができるようにし向けるのが適当ではないかと思うのでありますが、この点に対して御意見を拜聽したいと思うのであります。
  142. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 藤野さんの御意見は誠に御尤もでございまして、農業協同組合を育成強化して行くという考え方については何ら変りがないのでございます。又今回の地方税法案を立案するに当りましても、これらの点をできるだけ許さるる範囲において考えました結果、附加価値税におきましても、農業協同組合については特例の措置を講じまして、幾分なりとも御趣旨に副うように、又負担の点で軽減を図り得るようにという考慮を拂つたような次第でございます。ただ地方税制の全体の体系を考え合せまして、特に農業協同組合のみを育成助長の手段として非課税の対象にするということは、全体の均衡上から言つてそういうことができなかつたことを御了承願いたいと存じます。
  143. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 新地方税法案提案の要旨によつて見まするというと、附加価値税は昭和二十六年度では四百十九億円、平年度では四百四十一億円、市町村民税は昭和二十五年度では五百七十五億円、平年度では四百七十億円、固定資産税では二十五年度で五百二千億円で平年度で五百九十三億円、こういうふうな関係でありますが、これを見て見まするというと、初年度は常に附加価値税、及び固定資産税共に初年度は平年度よりも少いのであるのにも拘わらず、市町村民税だけが、初年度が平年度よりも多いところの理由を承わりたいと思うのであります。或いはこれは市町村民税が昭和二十四年度の税金が、所得税が高かつたからこういうふうなことになるのかも分らんと思うのでありますが、この点お伺いしたいと思うのであります。
  144. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) お説の通りであります。
  145. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 若しそうであるといたしましたならば、私の考えといたしましては市町村民税も或る程度減税をして、附加価値税及び固定資産税と同様に、初年度においては平年度よりも少くするのが理想ではなかろうかと思うのでありますが、そういうふうなことができなかつたところの理由がどこにあるか。お尋ねしたいと思うのであります。
  146. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 御承知のように、予てから御説明いたしておりますごとく、昭和二十五年度の地方税収入額が千九百八億と相成つておりまするので、全体にこの枠の中でどの税にどの程度の税収を組み込むかということに問題がかかつて来るわけでございまして、従いましてこれらの点から考えますと、只今の御意見は御尤もとは存じますけれども、財政計画の見地から申しまして、只今考えておりますることが適当であると考える次第であります。
  147. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私は新聞全体の、この一般新聞のことについて政府の御意見を承わりたいと思います。  先ず最初に政府は新聞を公共事業と認めておられるかどうかという点であります。今まで新聞は公共事業と認められ、占領政治におきましてもプレスコードを作りまして、新聞は公共事業である。殊に民主主義を推進して行きます上に非常な重要な事業である。そのためにこれだけの義務、責任を負わねばならんという義務、責任を明かにしまして、そうして公共事業として統制して来たのであります。吉田総理も今日本は外交の何らの機関も持たず、何らの報道情報を持たない。一に新聞によつておるということすら述べられたごとく、今日日本の民主主義を推進して行きます上に、新聞の役割は非常に重大であります。これを政府は單なる営業、営利事業として見られるか。公共事業として見て、そうして課税の問題等もせられるか。そう公共事業として認められるか、認められないかという根本のお考えを先ず最初に承わりたいのであります。
  148. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。新聞事業がその公共性を持つておるものであるという点に関しましては全く同感でございます。ただ従来から新聞事業につきましては、或いは取引高税の対象とし、又は事業税の対象とされておつたことは御承知通りでございます。併しながら今回附加価値税を施行するに当りましては、その経営の規模なり、或いは分量というような点を主として対象といたしましてそれによつて生じました附加価値を課税の標準として捕捉するという考え方からいたしますと、従来の考え方と相合せまして、これに対しまして課税をするということに相成るのでございまするが、政府といたしましても新聞事業の特殊性に鑑みまして、できるだけその負担の軽減を図るようにいたしたいという見地から、今回は第三種事業として扱うことに現段階においては決定をいたしておるような次第でございます。
  149. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 昨日、一昨日のいろいろな質問に対して政府の答えられましたところでは、農業組合等におきましても、公共的性質を帯びているものは非課税とするということが言われております。新聞を公共事業と見られるならば、原則として非課税にするのが適当でないか、そうすべきものでないか、又課税すると非常に沢山の弊害が起つて来るということをお考えになるかならないか、その点を一つ。
  150. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お説のように新聞事業は勿論一般の出版業につきましても、或程度までの公共的な性質あることは否めないだろうと思うのであります。特に御指摘の新聞事業につきましては、時事の報道、ニユースの提供等、特殊な事情のあることは重々承知いたしておるのでございまするが、只今のところは政府といたしましてその負担の軽減を図る意味において、その事業の指定を第三種事業といたす程度の措置をとらざるを得ないような事情にあること忍御了承を願つて置きたいと存じます。
  151. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 それではたとえ非常に大事な公共事業であつても、財政の都合上課税をしなければならんというお考えでありますか。(「もう少し大きな声でおつしやつて下さらないと聞こえないです」と呼ぶ者あり)私は根本の思想についてお尋ねしておるわけであります。
  152. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お説は誠に御尤もで、先程来お答えいたしておりますように、公共性というものを無視するという考え方ではないのでございます。ただ公共性を持つておるというがために、課税の対象に絶対にならないという結論は出てこないのではなかろうか、これらの点につきまして、いろいろと他の事業との関連、或いは均衡等を愼重に考慮いたしました結果、新聞事業につきましては特別に配慮いたしまして、その税率を軽減する措置をとつたという経過をお話申上げまして御了承を賜わりたいと思うのでございます。
  153. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私はその軽い重いは第二の問題でありまして、根本に新聞は保護すべきものである、むしろ保護しなければならない、それだけの責任義務が課せられておるのであります。それを課税の対象としなければならんということは、新聞の公共性を認めない、今の新聞に課せられている非常な重い義務、負担のかかることに対して、それを無視して課税しなければならんということは、新聞の重要性、公共性を無視したことではないかということをお尋ねするのであります。
  154. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 御意見は誠に一々御尤もでございます。ただ私共の考え方といたしましては、公共性考えておりますがために、税率等についての軽減措置をとつたとこういうふうに実は申しておるのでございます。特に新聞事業を経営いたしております場合におきましては、一面地方公共団体との関連をもお考えを願う必要があるのではないか、相当大規模の施設を以ちまして、又多数の従業員を擁しておりまするような経営規模の事業でございますので、やはり如何に公共性が強いとは申せ、当該地方団体から受くる利益の限度におきましては、応分の御負担を願うということが、やはり今回の税制の一つの目的にも相成つておりますので、これらを彼これ考え合せまして、只今申しましたような、現在のところ取り得る限度における新聞事業に対する取扱をいたしておる、かように御了承を願つて置きたいのでございます。
  155. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私は同じことを繰返すようでありますけれども、その軽減したということをおつしやる前に、新聞は課税してはならない程困難な事業であり、又この場合日本においては非常に重要なものである、その新聞の機能を阻止しても課税せなければならんという程な理由があるかどうか、殊に附加価値税におきまして新聞の課税せられる点は、主としてニユースに税を課けることになるのであります。原料等は新聞では比較的軽いアイテムでありまして、大事なのは報道のため正しきよきニユースを集めるということであります。これに最善の努力をしておるのでありますが、附加価値税は主としてニユース課税であります。ニユースに税を課けるというようなことは世界のどの国にもありません。デモクラシーの国にないことであります。それをも押切つてやらなければならん程な財政上の重大な理由がありますかどうか。
  156. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今ニユースに課税するという御意見を伺つたのでございますが、私共の今回の税の立て方から申しますと、その事業がいろいろの要素によりまして価値を増加した、言換えればもう少し大きく申上げますと、国民経済に価値を増した、こういうふうな観点から申しまして、その価値をとられて課税標準にいたしたい、こういう考え方なのでございまするので、單にニユースを対象として課税するという意図は持つておらないのでございます。この点につきましては尚十分に御意見は拝承いたしまして私共の参考にはいたしたいと存じまするが、私共の考え方のそこにあるということをよく御了察を願いたいと存じます。
  157. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私の言葉が足りなかつただろうと思いますけれども、原料などを引きまして残るところの価値を加えることは、直ぐそれはニユースというものが主体になつて、結局ニユース課税であるという結果となるということを申上げるのでありますが、今日本国民の生活において最も大事なニユースに税を課けて、そのニユース報道の機関をまずくしてもかまわんというお考えであるかどうか。
  158. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私共の考え方は先程から再三御説明を申上げたのでございますが、事業の分量、そういうふうなものから考えまして、單にニユースのみを対象としてこれに課税するというふうな考え方ではないのでございます。併しながら御意見の点は十分に拜聴いたしまして、尚今後研究の場合におきましては参考とさして頂きたいと考えております。
  159. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 附加価値税は主として消費者に転嫁される税であるということの御説明がありましたが、新聞の場合におきましては転嫁すると言えば購読料を上げて読者の負担にすることだろうと思いますけれども、今新聞は御承知のように統制されておりまして、販売値段というものは決つております。自由に上げ下げはできないことになつております。そういう現状においてつまり統制が解ければ別問題でありまするけれども、統制下において勝手に外に融通し転嫁するということはできない情勢にあることは御存じと思いますが、そうすると、それはすぐ新聞のニユースの価値を減ずるより外に方法はないという結果になりますが、それでも仕方がないというお考えであるか。
  160. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 附加価値税性質が転嫁性を持つておるということは先般来お聞き及びの通りでございます。従いまして理論上の問題といたしましては新聞料金等に、言い換えれば一般の消費者に転嫁し得る場合が予想される次第でございます。
  161. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 転嫁され得ることが予想されるとおつしやいますが、新聞のごときは転嫁され得ない事情に現在あるということは御承知のことだと思いまするが、その点について……。
  162. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 御承知のように従来取引高税がございます。これは転嫁されておつたと思います。それから又新聞に附加価値税を課しました場合に、どこに転嫁されておるかということも、これも又必ずしも購読料金に転嫁されなければならないことはございませんで、或いは広告料金を上げるというふうな場合もあり得るわけなんであります。これは絶対に転嫁できないものだというふうに簡單には言い得ないのじやないか、もとより我々は新聞事業が公共的な事業であり、その負担はできるだけ少くしたいという気持は持つておるわけでございますけれども只今おつしやつたように一律にこれは絶対に転嫁できないものだ、又転嫁することは絶対にいけないものだ、かように言われることは我々としてはどうであろうかというふうな考え方を持つわけであります。
  163. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 今のお話でございますと、広告料その他に転嫁したらいいじやないかということと思いますけれども、こういう費用は広告に転嫁されていないのであります。広告料というものは字数によつて大体決まるものであります。転嫁し得るとすれば読者の購読料に転嫁するより外に方法がない、それは現在縛られておつてできないことであるということを私は申上げたのであります。
  164. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私は実は広告料を一例に申上げたのでありまして、転嫁するのは常に広告料金でなければならないということはないのであります。という意味合において実は申上げたのであります。或いは企業をもつと合理化いたしましたり、いろいろな方法があるだろうと思うのであります。絶対できないというふうに言つてしまいますともうみんなそうなつてしまうんじやないかというふうな気持を持つておりますから一例に申上げたわけであります。御了承願つて置きたいと思います。尚いろいろ言えば切りがないのでございますが、先程から政務次官がお話になつておりますように現に事業税が賦課されております。それから取引高税も課税されております。又或る意味合においては新聞業の大部分が株式会社組織をとつているのではないか、或いは配当金も出している所もあるのではないか、こういうふうなこともいろいろ言えるのでありまして、それを実際総合的に考えまして十分他の事業とも考えまして、特に第三種事業にするというふうな措置をとつている、こういうことを再三申上げているわけでございます。
  165. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 私の申上ぐるのは、主義として言論機関を保護して行くということが、占領軍の日本を民主化する上における極めて重大な政策の一つになつておると思います。それから新聞に與えられておるところの使命任務というものは、現状におきましては非常に重大であつて、税制の單なる措置からこの大方針がゆがめられてはならぬというのが私の立場であります。それで第一種から第三種に下げてやつたらそれでいいじやないかということは、金額の上から行きますれば、或いはそのパーセンテージの上から行きますれば、非常な御考慮がそこにあることは分りますけれども、その單なるパーセンテージの滅らされたことよりもつと重大なことは、新聞というものを保護して行かなければならぬということは、恐らくは政府の立場でもあろうと思いますが、そういうことはいうに足らんことであつて、税制の上において算盤がよく行けば、それで新聞の発達を図るという考え方を蹂躙してもいいというお考えであるか、そこの根本方針を明らかにして頂きたいと思うのであります。
  166. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 新聞事業課税をすると税負担が重くなつて購読料に転嫁される。その結果本来の新聞事業の遂行が困難になる、こういうような趣旨でおありのように思つたのですが……。
  167. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 転嫁され得ない……。
  168. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) それじやいつたい転嫁するとすればどれだけの金額が転嫁になるかということを申上げたいのであります。附加価値税がいつたい総売上金の何パーセントくらいに当るだろうか、これが一つの問題であります。仮に大雑把に四十%くらいだろうと仮定いたしますと、税金が三%でありますから総売上金額の一・二%であります。新聞紙一枚が一円五十銭といたしますと、これに一・二%でありますから二銭にならぬと思います。一円五十銭の新聞を命部転嫁いたしたといたしますと一円五十二銭であります。一円五十二銭になると新聞は売れないのであります。或いはそれが国民生活を非常に圧迫するのだ、こういうふうな考え方は我々は持ち得ないような感じがするのであります。更に又新聞が公共事業の上に、形式的なことを申上げまして非常に恐縮に感じておるのでありますけれども、まあ政府も負担して頂いて、公共的な役割をやつて行ける、こういうような感じもするのでありまして、そういう意味合いから又曾ては取引高税や事業税も負担しておつたのでありますから、今回の附加価値税も或る程度負担して貰いたい、かようなお願いを申上げておるわけであります。
  169. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 同じことを繰返しますけれども、どうも原則としてこの附加価値税というものはニユースに課することになるのであります。それは主として人件費等が多いのでありますけれども、この人件費はニユースを作り出すものでありまして、新聞事業のごときは人を沢山使つており、その人の頭脳の働きによつてニユースを拵え、それが附加価値になるのであります。この人件費が如何に現状において経営上困難を與える要素であるかということは御存じでありますが、それに対して税を課し、ニユースの価値を下げて行くようなことは非常に困つたことでありまして、新聞社全体がこれには非常に反対しておるということは御承知の筈であります。そのために第一種から第三種にお下げになつたという、そこに御苦心のあることも私はよく存じておりますが、私はそれよりも根本においてニユースに税を課する、新聞の働きに税を課するという結果になる税金のことについては、もつと根本的に御考慮を願いたいと思うのであります。同じことを繰返しましたけれども、これを以て私の質問は終りますが、どうぞそこにもう一段の御考慮、新聞のニユースに課税するということの結果になることを避けるという方針においての御考慮をお願いする次第であります。
  170. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今伊達さんから懇々と新聞事業の本質につきましてのお話を伺つたのでございますが、私達も十分に御意見を拜聽いたしまして尚今後の参考といたしたいことを申上げたいと存じます。
  171. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 石川君関連質問ですか。
  172. 石川清一

    ○石川清一君 関連です。私初めて参議院に出て参りましたので皆さんからいろいろな経過を聞きまして、これを後で纏めまして農業協同組合関係と一緒に御質問を申上げようと思つたのでありますが、只今の新聞の公共性についてニユースが問題になつておるようでありますが、この新聞事業協同組合は別に又申上げますが、新聞事業のニユースはでき上るまでそれぞれ支局をもちまして、それから本社の下に集まりまして、印刷に付すまでは、これはこの三十條の第七項に定められてあるところの現在の補助材料としてこれに使われておるところの労働賃金、これを附加価値に含めないのが原則的な新聞事業事業としての建前だ、こういうように私は考えるのであります。この法律につきましては農業協同組合その他の法人、私法人にいたしましても、その法人的な性格というものは、單にその法の上ででき上つておるものが、こういう形で原材料、或いは補助材料として我々は確認をした上で、この課税を理想的に取運ばなければならんと思うのでありまして、新聞事業の中の材料、原材料は何かと申しますと、これはニユースでありまして、このニユースの蒐集に要しました支局通信員等の経費は、これを原材料、補助材料であると私は考えておるのですが、こういうような考えの上に立つて今後の第三種の事業課税をされるかどうか承つて置きます。
  173. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 例えば新聞事業が共同通信からニユースを買つております。それは支出金額として控除することにいたします。それから支社の人達が活動してニユースを集めましよう。併しこういうものは別に外部に支拂つた支出金額でございませんから控除いたしません。併し支社を建設いたしますために建築費をやつたりいたしましようし、或いは金もやつたりいたしましようが、そういうものは全部支出金額になります。いずれにいたしましても、支出金額となりますものは、外部に支拂つた金額でなければならない。内部において支拂つた金額は収支の計算の中に入れないということにいたしております。
  174. 石川清一

    ○石川清一君 それはそういう解釈も一応成立ちますけれども、この項目から見まして、新聞事業が何を原材料にしておるかということを考えました場合に、あらゆる事業はこういうような立場の上に立ちまして、原材料を公認したわけであります。同じような同一原理の中に明確に原材料、或いは補助材料として認められるものは当然私は控除すべきものだと思います。これはあとで他の地方行政委員会において委員だけの会合において、十分究明して納得の行くまで政府委員説明して頂きたいと思つておる点でございます。これはどこまでも新聞事業のニユース蒐集に要する費用は原材料であり、補助材料であると私は考えております。
  175. 伊達源一郎

    伊達源一郎君 ちよつと関連して一つお伺いいたします。只今の御答弁を伺つておりますと、新聞が共同通信からニユースを買うというお言葉がありまして、何か商品を買うときと同じようなお考えのようでありますけれども、共同通信というものは、新聞社がニユースを集めるために共同で作つておるわけでありまして、そこからニユースを買つておりません。会費を出して共同の経営でやつておる仕事だと御了承を願います。
  176. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 大変平易な言葉で申上げましたために御説明を煩わしてしまつたのでありますが、その通りと心得ております。で協同組合に会費を支拂いますが、この会費を新聞事業におきまする附加価値税の計算に当りまして、支出金額として控除するかしないかということが一つの問題であるわけであります。若し控除いたしません場合には、その代り共同通信社の方については附加価値額はもうない。新聞業で落しておるから共同通信社の方に附加価値がない。こういうような考え方ができるわけでありますが、会費は新聞事業から控除する。その代り受取つた共同通信社の会費は収入金額として附加価値税をやはり課けて行く、こういうような考え方をしておりますので御了解を願いたいと思います。
  177. 岩間正男

    ○岩間正男君 総括的な二、三の問題につきましては、大臣が見えられてからお聽きしたいと思うのでありますが、私は主として住民税の問題について以事数点お伺いしたいと思うのでありますが、住民税の問題は本委員会で、今までのところではよく分りませんが、余り今度の問題は問題にならなかつたのではないか、こう思うのでありますが、併しこの大衆的な影響というものを考えますときに、非常に直接費が関連を持つものと思うのであります。而も今度の税制改革によりまして、この大衆負担がどのように大きなものであるかというようなことについては、現在一般の国民大衆が分つていない事情にあると考えられるのであります。以下こういう関連からいたしまして、数点お話したいと思うのであります。  先ず第一に住民税に関しまして、免税点とか、基礎控除というようなことは認められていないのでありますが、これはどういう税法の建前から、こういうような建前を採られたか、その点を先ず最初にお聞きしたいと思います。
  178. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。今年の地方住民税におきまして、この取り方が所得割と、均等割になつておるということは御承知通りでございます。所得割はいろいろの徴収の方法がございますが、昭和二十五年度におきましては、前年の所得税額によるということに相なつておりますので、従いまして、すでに所得税額につきましては、控除の問題が解決されておりますので、この点は一応市町村民税につきましては考えなかつた次第であります。
  179. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に伺いたいのは、今年のまあ課税の対象になるのは、住民税の場合は昨年度の所得税ということになるのでありますが、現在のような非常に経済的変動が激しい時代におきましては、昨年の所得税というようなものを、それを対象にして、課税する場合は現在のような、失業者が非常に殖えておる。或いは又事業の倒産が相次いで起つておる状態と、一年前の情勢では非常にそこにズレが起つて来るというふうに思うのであります。従つて現在失業者や、倒産のために非常に苦しんでおる大衆の生活を見ますときに、昨年の所得税を基礎にしましてそうして課税するというような方法を採られるときには、そこに実際抑えないというような事情が瀕々として起るのじやないか、この点を非常に心配するものでありますが、この間のズレは政府はどのように調整されようとして考えておるか、その点についてお聞きしたいと思います。
  180. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今お話がございましたように、市町村民税の徴税をどういうふうにするのが、一番合理的か、又納税者の側からも考えまして、どの方法がいいかということにつきましては、いろいろと意見もあり、又研究もして参つたのであります。例えば、給與所得に関しましての源泉徴収というふうなことも考え得るのでございまして、即ち前年の所得を基礎といたしまして、課税するというのが、最も望ましいじやないか、こういうふうに考えるものでございます。ただ併し現在の市町村における徴税の状態、或いは又源泉徴収等を行いました場合における居住地の市町村と、勤務地の市町村、その間におけるこれらの調整の問題等を考え合せますと、差当りの措置といたしましては、まあ前年の所得税額によるということが、やむを得ないのではなかろうか、これらの点につきましては、尚今後徴税の実績に徴して検討を加えなければならない問題もあろうかと思うでありますが、さような考え方から只今のような前年の所得額による徴収の方法をとるに至つた次第であります。
  181. 岩間正男

    ○岩間正男君 先程私のお伺いした点、あとの方の点についてお答えがなかつたと思うのでありますが、そこに現実にズレが起る、まあ失業どか倒産によりまして事実昨年の所得税を基礎にいたしましたのでは納められない、そういう実情についてはこれは飽くまでも税法通りつて行くのですか。政府はそういうものについて一体どのような計画を持つてこの徴税を実行される考えであるか、その点を伺いたい。
  182. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私言葉が少し足りませんので、その辺までの説明は残したのでございますが、若し只今仮に岩間さんが言われましたような倒産であるとか、或いは失業というふうな事情が起りまして生活の状態が非常に変つて来た、こういうふうな事情がありました場合におきましては、地方団体におきまして、或いは減免の措置も講じ得ることになつておりますので、御心配の点は解決されるのではなかろうかと考えております。
  183. 岩間正男

    ○岩間正男君 成程一応三百二十三條にはそのような規定があるのでありますが、これは従来の市町村の徴税の状態から見まして、こういうものは非常に実際適用されることが活発でなかつた、そうしてそこに現状に合わないところの徴税というものがなされておつたと思うのであります。更に又今度は徴税機構というものが、市町村という場合には非常に大きな問題になるのでありますが、それが初年度の場合には十分にかような機構が整備されていない、こういう事情から事務が非常に煩雑になつて来るので、ともするとこれに当る当事者が、こういうものを先ず住民大衆に押しつけるという形で、苛酷ないわゆる池田放言のような事態が起つて来るのではないか。こういうふうに考えられますが、これは只今の漠然とした御答弁だけでは我々は了承できない。もう少し具体的にどのような措置を採るのであるか、もう少し突込んだ御答弁を頂きたいと思います。
  184. 小野哲

    政府委員(小野哲君) これは御承知のように国税とは違いまして、最も身近な市町村住民との繋りにおいて運用されなければならない税でございます。従いまして政府が劃一的にかくすべきであるということを申すよりも、むしろ身近に住民の生活の実態に触れておりまする市町村の機関即ち地方団体の議会等において、十分に論議反映さるべき性質のものでございますので、そういうような場合におきましては、適正な地方団体の議会の運営によつて措置さるべきことを、政府といたしましては期待をいたしておる次第であります。
  185. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ国税の所得税の場合は減額申告というようなものが一応認められて、実施されておる状態になつているのですが、これでは異議の申立をするというようなことになつて事前にそのような減額申請のようなものを、地方市町村民税の場合には謳われていないのでありますが、こういう点は進んでもつと事前にそのような当事者から申請をするというような方法については、これは考慮されなかつたのですか。
  186. 小野哲

    政府委員(小野哲君) そういうふうな点を考慮いたしまして、同時に地方団体の自主的な財政運営なり徴税の点に鑑みまして、減免の措置を地方税については取入れているような次第であります。
  187. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますというと、これは国民の側におきましては、そのよう政府の方針を、これはどんどん市町村側に大きくされるような配慮について、これは迫つて行けばいいわけですね。
  188. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今御心配になつておるような諸点につきましては、この税法がまだ成立はいたしておりませんけれども、予ねてから研究の目的で、市町村吏員等の会合等にも種々話合を進めておるような次第で、この運用の適正を期するように、尚一層の努力をいたしたいと考えております。
  189. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく当初政府が発表した国民所得が、その後安本によつて修正されておるような実情でありまして、更にこれは予算委員会の方としましては、この国民所得の資料の提出を只今要求しておるので、この明細は分らないのでありまするが、現状におきましては非常に事業不振、それから金詰り、倒産、失業、こういうようなことのために所得が大衆の生活におきましては、所得減になつておると思うのであります。そういうような点から、こういうような検討の上から、ただ一つ一つ偶発的に問題が出て来たときに処置するというような、そういう姑息な方法でなくして、今の問題を大きく検討した一つの方策を政府は持つておられるのかどうか、その点を承りたいと思います。
  190. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 御承知のように昭和二十五年度の、地方財政計画は千九百八億の税収額を見込んでおります。従つて二十五年度における地方財政の計画的な運営を計つて行きたいと考えておる次第でございます。従つて法の趣旨に応じた計画を立てまして、全体としての見通しを付けながら進んでおるような次第でございます。只今お話しになりましたように、税徴収の方法が前年度所得額による場合と、又現年度所得額による場合におきましては、その間においてどうしても国民所得の変更等に応じました一つのずれが起つて来ることは、真に止むを得ないのではないかと思うのでございますが、この徴収方法の将来につきましては、尚実績に徴して更に研究を続けて参りたいと思つておる次第であります。
  191. 岩間正男

    ○岩間正男君 政府も前年度の所得を基礎にして徴収することの不合理性については或る程度認めておられるのです。実際これは昨年度の所得税の徴収方法については、今年度のすでに改革があることを以て見ても、政府がそれを認めていられると思うのですが、それにも拘らず昨年度の所得税を基礎にして、ここに地方税を徴收する、こういう形になつておるので、やはり依然としてその不均衡は免れ得ない、こういうふうに思うのでありますが、何故その点は進んでむしろ現状をもつと捕捉する……。今年の国税における所得のような方法を便宜的な手段として取られないのか、或いはそこに本質的な意義を認めておられるのか、その点はどうなんですか。
  192. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今の御意見は結局当該年度の所得を取らない結果から生ずる問題でございまするので、只今市町村の状況なり、或いは先程申しましたような実情から勘案いたしまして、前年度の所得額に基礎を置くということにならざるを得ない状況にありますので、只今申しましたように、荷今後もこれらの点につきましては、実態に合うような工合に研究をして参りたいと思うのでございます。
  193. 岩間正男

    ○岩間正男君 結局まあ便宜的な方法というふうに解釈していいわけでございますね。そういうふうに考えられるのじやないかと思いますが、とに角まあ今までの申告所得とか源泉徴収の場合、それからいろいろな場合に税の負担の不均衡ということが非常に大きな問題になつたのですが、而も今度の地方税法でも大衆的な影響を持つところの市町村民税、こういうものがそういうような不均衡なものを土台として課せられる。而もそれは便宜だ、一時的なものだ、研究する、将来に残すのだ、こういうような形でありますけれども、この点については非常に多くの問題が依然として残つておるのじやないかと思うのであります。  更に問題を進めるのでありますが、政府国税とそれから地方税との関連におきまして、本年度は三百億の減税だということを一応謳つておるのであります。併しこの三百億の減税を受ける部面が国民の各層別に考えて見るときに、どの層に行くのであるか、この点が非常に大きな問題になるのじやないか。例えばこれを市町村民税の場合に求めて見ますときに、ここにちよつとした資料がございますが、例えば定額所得者の場合は住民税が非常に大きなものになります。例えば東京都の例をここに引いて見ますというと、まあ六万円、月給で五千円ですか、の場合は昨年は三百五十円というような住民税でございましたが、今年度はこれに対しまして三千一百円、約九倍近くであります。それから八万円の場合を引きますというと、これは四百二十円であつたものが四千三百円、それから十万円の場合を引きますというと、六百円であつたものが五千六百五十円、実に十倍、九倍というようなこれは負担になつて来るのであります。このような定額所得者のところに非常に大きな負担が出て来るのでありますけれども、まあ高額所得、それから法人、こういうような場合におきましては、これは割合から見まして非常にこれは低い、こういうような形になつて来るのであります。従つて政府が三百億減税……、総括的にこれは宣伝用としてこういうものを宣伝しておるのでありますけれども、その減額は非常に高額所得者に対してだけ行なつて、そうして低額所得者の場合には、むしろその場合には曾て第七国会において政府側から出された資料によつても分るのでありますけれども、国税それから地方税を総括して考えて見ても尚増税というような例が出ておるのであります。或いはここに資料を持つておりませんから細かいことは説明はできないのでありますが、こういうような点について政府はどういうお考えを持つておるか、その点伺いたいと思います。
  194. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 岩間さんが言われましたように、政府といたしましては国税地方税を通じまして三百億の減税を見込んである。これは数字上はつきりと出ておるのであります。だが税種によりましては或いは従前よりも高くなつて来る、或いは固定資産税であるとか、或いは市町村民税につきましては高くなるということは昨日来のこの委員会において、いろいろ御議論のあつたところであります。併し国民の負担の軽減は私共の見解としましては国税地方税を通じて見なければなりませんと同時に、地方税につきましても全体としての地方税がどの程度まで負担の軽減が行われるかということを御覧願わなければならないかと思うのであります。只今御指摘になりました六万円所得者の市町村民税が現行に比較いたしまして、数倍乃至十倍になるという算定の基礎がどこに置かれておるかは承知いたしませんけれども、必ずしも市町村民税そのものだけを捉えて考えますと、現行に比較いたしまして重くなることは明らかでございます。併し全体として考えますると、必ずしも増税にはならないでむしろ軽減される、こういうふうに考えておる次第であります。
  195. 岩間正男

    ○岩間正男君 この税種によつてというお話がありましたけれども、併し附加価値税固定資産税というようなものが、先程から御議論になつておりますように、非常に大衆の負担になる。政府の資料によりますとこの外に間接税による、いわゆるその軽減によるところの税負担の軽減が資料に出ておるのでありますけれども、最近においてはむしろ公定価が相当値上りを示しておる、今申しました固定資産税におけるところの地代、家賃の値上り、それから物価の値上り、こういうものは全部大衆にしわ寄せされるようにできている。そうして最も大衆が一番大きな直接関連を持つものは市町村税でありまして、市町村税におきましても今政府側から御答弁がありましたように何倍も大きな負担になつておる。こうしますと彼これ総合いたしますと、税種によつてというお話でありますけれども、これはこういうものを総合すればもつともつとこの犠牲が大きくなるというふうに考えられるのです。今の税種によつて違うのであつて、それを総合的に見なければならんという御説明はむしろおかしいと、こういうふうに考えております。この点如何ですか。
  196. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 資料によりまして奥野君の説明をお聞き取り願いたいと思います。
  197. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 総合的な租税負担の表が所得段階別に出ておりますので、すでに御覧頂いておると思います。ただ先程市町村民税の負担で何倍かというようなお話があつたのであります。お話によりますと、東京都の例によつて計算しておられるようであります。政府の資料も従前の住民税は東京都の例によつて計算いたしております。どこに喰い違いがありますか。資料を後で教えて頂きまして私後で検討いたしたいと思います。政府の資料が我々は決して嘘をついた資料を出しておるつもりではございませんが、その間の喰い違いを検討いたしたいと思います。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 次に均等割の問題でありますが、これは所得を持つておるところの成年に課する、こういうことになるのでありますが、この所得の限界ですが、これについては別に法案には謳つていないようでありますが、これはどの程度政府は限界を見ておるのですか。
  199. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 大体所得といいます場合には、収入金額から経費を控除して算定するということになるであろうと思うのであります。で所得税の場合にはそこに基礎控除とか、扶養控除とかございますので、一応所得があるという場合には、必ずしも所得税を納めませんでも、所得があるということになるわけであります。併し形式的に所得が幾らあるとかいうふうなことにいたしましても、必ずしも課税上公平を期することはむしろできかたいのだろうというような考え方をいたしておるのであります。そこでどうしてもやはり市町村が、その人の生活の実態を把握いたしまして、均衡の取れたところで所得があるという認定をしながら、無理のないところで均等割した方がよかろうというふうな形を取つておるのであります。形式的に細かい規定を置くのも一つの方法でありますが、これが却つて市町村の適切な運営を縛り過ぎることになるというふうな心配を持つているわけであります。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 例えば学生のアルバイトによる所得のごとき、こういうものは課税の対象になるでしようか、その点これに類したことが沢山あると思うのです。その点はどうでしようか。
  201. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 学生には課税すべきでないと思つております。アルバイトをいたしておりましてもいろいろな面から考えて見ますと、所得があるというような認定をするのは穏当ではない、まあ経費をどう見るかというような考えがあると思うのであります。特にそうした細かい点につきましては、地方財政委員会から市町村に対しまして指導的な方針を示したいと考えております。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 従来は、所得税なるものは別ですが、学生のアルバイトにも課税されたことがあるようですが、この点は政府が今後はつきり今申しました点で、念を押せと、こういう処置を取られるのですか、もう一点その点を……。
  203. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今奥野政府委員から御答弁いたしましたように、地方財政委員会におきましてこれが指導をいたして参りまして、できるだけ御懸念に亘ることのないようにいたしたいと思つて考えております。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体の見込みの五百二十億と思いますが、これよりも遥かにオーヴアするというふうに考えられるのでありますが、これは今まで政府説明もあつたのでありまするが、殊に最近の日本経済の状況、一方におきましては警察軍、これは軍という言葉はどうか……。まあ警察を増強する、そういうことが非常に強化される、又は朝鮮の事件によりまして、やはり国民経済というものが非常な影響を受ける、国家財政が従つてそういう点から大きな制約を受けるという面も考えられる。それが地方財政の方に当然これは皺寄せられて来るのじやないか、従つて今の法人税率、それから制限税率の問題もそうですが、地方によりまして、殊に逼迫しておりますところの地方財政においては、非常な苛酷な税負担、こういうものが今後強行されるのじやないか、こういうことを考えるのですが、これはまあ国務大臣に後にもつとこの点を質したいと思うのでありますが、こういう点について、関連してどう考えておらつれるか、大体の見当を承つておきたい。
  205. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今お話になりましたような事柄を実施するに当りまして、地方財政に、どういう影響があるかという御質問でありますが、これらの事項は、国費で以て支弁することに相成ると考えております。地方財政の面につきましては、昭和二十五年度千九百八億の税収見込みがありまして、これを確保することによりまして、地方財政の運営に成る程度の余裕を與え得る途が開かれることに相成りまして只今御指摘になりましたような問題は、地方財政に悪影響を及ぼすものとは考えておりません。
  206. 岩間正男

    ○岩間正男君 無論、警察の増強のごときは国税で賄うということは承知しておるのでありますが、そういうような、戰争的な支出、戰争の状況に対応する支出といいますか、そういうものが非常に強化されて来ることによつて、当然、例えば、平衡交付金のようなものが影響を受けるのであります。従つて、それから来るところの地方財政の影響の問題であるとか、それから国家財政がそういうような余裕のないところに追い詰められることによつて、当然いろいろな事業がやはり地方の方に押付けられるというような形を取らざるを得ないのであります。然るに、国家からの補助が将来非常に削減される傾向を持つというのに、而も、一方におきましては、当然そうなれば地方の徴税というようなものは、非常にぎりぎり一ぱいまで取らなければならない、苛酷なところまで追い込まなければならない、そういう態勢が出て来るとこう考えられる。今の警察の費用を国税から直接賄うから、従つて地方財政に対しては、直接的な影響はない、こういう点について私は承つておるのではない、総合した立場から当面国家財政がそういう一つの臨時的な性格を持つて来る、こういうところから来るところの地方財政に対する影響、これについてどのように考えておられるか承つておるのです。
  207. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私が先程千九百八億の予定税収を見込んでおるということを言つたのは、総合的な財政計画の見地から申しておるのでありまして、例えばお話になりましたような、あの警察予備隊の費用等につきましては、別途債務償還費から支弁されるものと伺つておりますので、この点に関しては、地方財政には何らの影響はないものと考えておるのであります。
  208. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点については、いろいろ我々には異論があるのでありますが、予算委員会の方に移したらいいかと思いますので余り言いません。債務償還費の方からこれを支拂うから影響はない、こういうように單純には話は行かない。この点は保留しておきます。
  209. 野田卯一

    ○野田卯一君 簡單に御質問いたしますが、今回の地方税改正法案におきまして、製塩事業、即ち塩を作る事業の取扱いについて、政府の明快な御見解を承わりたいのであります。御承知のように製塩事業は農業、林業と非常に似ておるのでありますが、今回の改正法案におきましては、これらの事業非課税となつており、特別な保護を受けておるのでありますが、製塩事業につきましても、その類似性からいたしまして、当然非課税の取扱いを受けるべきものだと考えておるのでありますが、これに対する御意見、又製塩事業は、塩の専売法の規制を受けまして、その製塩したものが、生産物全部が公社に買上げられる。又価格の点につきましても、公社が法律によつて一方的に定めますものによるという特別な性格を持つておるのでありますから、この点から見ましても特別な御考慮をして頂く必要があるというふうに考えておるのでありますが、これに対する御見解を御開陳願いたい。
  210. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。先ず製塩に対する附加価値税を課するかどうか、この点から申上げたいと存じますが、塩田を中心としております鹹水製造業乃至塩田業は第二種事業に類するものと考えているのでございますが、塩田に対する固定資産税を徴収するような関係もありますし、農業と同様課税しない方針を取りたいと思つております。従いまして塩田業は第二種事業としては指定しない方針を取つている次第でございます。併しながら鹹水から塩を作りますところのいわゆる煎熬の段階になりますと、これは第七事業の製造業に属するものと考えられますので、この部分につきましては附加価値税が自からかかつて来る、かように御了承願いたいのでございます。尚事業税につきましても、全く同じような方針で取扱いたいと考えております。
  211. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 市町村民税について二三点お尋ねしたいのでありますが、先程藤野委員も述べられましたように、市町村民税は昭和二十五年度は五百七十五億、二十六年、二十七年になりますと四百六十億というふうに減少して参つておりますが、どういう原因で減少しているのでありますか。
  212. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 市町村民税は御承知のように前年の所得を課税標準にいたしまして所得割を徴収するわけであります。昭和二十五年度の市町村民税の所得割は、昭和二十四年の所得税、言い換えれば減税前の所得税額を課税標準に使つているのでございます。来年度以降は減税後の所得税額を課税標準に用いますので、百億以上の減税を生ずるというふうになるわけでございます。
  213. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、先程岩間委員も触れたのでございますが、前年度の所得税額を基準にするということになりますと、その後いろいろな事情の変更その他があり、現在のように非常に激変する時代においてはこういうやり方がいいかどうかということに、いろいろ疑問はあると思いますけれども、事実上どうしてもそれ以外に方法がないとなれば、これは方法として致し方ないかとも思いますけれども、その激変の原因が、今度のように税制の大改革のために行われた激変であるとするならば、それを考慮して適当な、いわば過大な所得税額を見合にして税を取る結果になるのでありますから、その点は国税の方で減額したのに併せて、その精神を汲んで何か調整なすつて然るべきだと思うのでありますが、そういうお考えはないのでありますか。
  214. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 昭和二十五年度の市町村民税につきまして、所得割の課税標準を本年度の所得税額に求め、或いは所得額に求めるというふうなことにいたしますれば、大体佐多さんのおつしやる御意見に合致するのではなかろうかと思うのであります。ところが当該年の所得を取るというようなことにいたしますと、果して只今の状況が今年一年間を通ずる状況であるかどうかということも、個々の人にとりましては相当疑問だろうと思うのであります。従いまして今年一年間の所得が幾らであるかということが確定いたしますのは、どういたしましても来年にならなければ分らないだろうと思うのであります。そういたしますと、今年の額を基準にして所得割を徴収して行くといたしますと、どうしても現実に市町村の收入になつて参ります部分が来年以降になるわけであります。その間にいろいろありまして、現に国税の所得税がそうでありますように、非常に徴収が困難になる。そういう欠陥が一つあります。  それからもう一つは、国税は今年の所得の見込を基礎として、今年の所得税を徴収しているのでありますが、市町村民税もやはりその所得割で徴収して行くということになりますと、個々の国民の所得額を国は国の見地から調査する、市町村市町村の見地から調査するということになりまして、調査される国民は非常な迷惑を蒙ると思います。やはりどちらか一つが調査の主体になつて責任を持つ方がよろしいのじやないかというふうな点も考えられるのであります。そういう見地からやはり前年の所得額を市町村民税としてはとる。その方が非常に徴収の上にも簡單にできるのであります、何分税制の改革が根本でありますだけに、特に徴税事務が簡素に行われるということにも重点をおかなければならないだろうと思います。そういう意味合におきまして、現在前年の所得税額というものを課税標準にして本年度の市町村民税を徴収して行くという方針に出たものでございます。併しながらもとより先程政務次官からいろいろお話がありましたように、これを解決いたしますのは小さな区域毎において解決して行くわけでございますので、個々の納税義務者の状況というものは、市町村議会におきましても、市町村の当局におきましてもよく分つている筈でございますので、十分そこに注意をしながら個人的な事情というものを課税の上に反映さして行くように斟酌して行くように我々も要請して行きたい、当然そういうことも行われるということも期待しているわけでございます。
  215. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の御説明によりますと、所得税額そのものを今年にかけるというようなことは事実上不可能であることは了承いたすのでありますが、それにも拘わらず過大の所得税額にかけているということは、これは否めない事実だろうと思います。それならば所得税額をいじることなしに他の調整の方法が考えられるのではないか、例えば税率を引下げるというような問題で調整ができるわけです、それくらいの減はむしろなさつた方が適正な金額になるのではないか。その点はどうですか。
  216. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 政府地方税制の改正案につきまして第一に考えました点は、昭和二十五年度において千九百億程度の収入を得たい、こういう問題が一つあるわけでございます。今佐多さんのおつしやつたように、仮に税率を下げるというような方針を取りますと、昨年ありました所得願が今年はいろいろ変つて参るだろうと思います。併し税率を引下げただけではその変化の仕方というものが各納税義務者によつて同じ状況にはならない。ところが佐多さんの言われるのは、非常に殖えるものもあるが、減るものもある、減るものにはいいが、殖えるものには心配しなければならない、こういうことだろうと思いますが、それならば税率を引下げただけではこの目的を達することはできないのではないか、こういうように考えているのでありまして、やはり殖える人も減る人もいろいろあると思います。そこは市町村がその生活の実態に即して課税を按配して行くという考え方を持つているわけでありまして、先ず第一に前年の所得税と市町村民税、府県民税その三者を合体いたしましたものを本年度の所得税と市町村民税を合せましたものと比較いたしました場合におきましては、原則として若干軽減になる。来年は一層軽減になる、こういうことでありますが、今年はこの程度で一つ我慢して頂きたい、かように考えて十九百億の徴収目標と睨み合せて考えているわけでございます。
  217. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 個々のいろいろの凹凸がありますから、是正まではできないというような意味では、おつしやる通りの実情だと思うのでありますけれども、ただ問題は例えば所得割で、所得割だけで参りますと、二十五年度が四百八十八億、二十六、二十七年は三百七、八十億、ここで百億若干の取過ぎはどうしても出て来るという結果になつておりますので、これはひたすらさつきいつたように、所得税額が過大に見られている結果であるこの経過的な調整だけは是非何とかやられなければあとの年度との対比、殊に今年度国税を相当減額されたその精神にも悖るものであります。これを今年から実現して行かれた方が適切ではないか、それは簡單に例えば、今年の所得割を三百七、八十億程度見るとして、それから比率を逆算して行けば、最も簡單に済むことであるというふうに思いますので、そういうふうにお考えになる意思はないか。
  218. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 先程申上げましたように、今年度現実に府県や市町村の收入になります額が千九百億である。こういうふうに考えておりますので、お話になりましたような措置を講じますと、明らかに百億円減収になるのではないか、従つて財政計画も狂つて来る、こういうふうに考えておるわけであります。それと先程申上げましたように、先ず昨年と今年と所得額が変らない人を考えます場合には、多少減税になつて来るのだから、御了承を願いたいというふうに考えております。来年度以降收入金額につきまして、多少増減はあるだろうと思いますが、それは一方には地方財政平衡交付金額を如何に決めるかというふうな問題もございますし、或いは又国の経済界の状況と睨合せながら、地方債計画をどうするかという問題もございます。地方財政の收入になりますと、税收入額だけでございませんので、総合的に考えて行かなければならんだろうというふうに考えておるわけであります。
  219. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その市町村民税で、所得割が四百八十八億を百億程度減少することのできない一番主なる理由は、先程から御説明のように千九百億の枠の問題だろうと思います。この枠自身についていろいろ意見を持つておりますが、これは一応今触れないといたしましても、仮に千九百億の枠があるとすると来年から百億ずつ減ることは現実に否めない事実であるので、それに基いて配分をされなければならん。そうだとすればすでに今年からその考慮をされて、この百億程度のものはそうむずかしいことでなしに調整ができるのではないか、殊に先程から岩間委員も言つておられましたが、市町村民税が非常に高いということは、これは衆目の一致するところでありますから、そういう不合理に基くものだけは、何とか綺麗に調整して行かれることの方が筋が通るのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、どういうふうにお考えでありますか。
  220. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 市町村民税が高過ぎるから減税しなければならん、枠が昨年から比べて非常に高いことは御尤もであります。ただ併しながら我々はこういう考え方を持つておるのでありまして、もつと所得税を少くして貰つて市町村民税をもつと多く取ることができないだろうか。その代り国から補助金を貰つたり或いは平衡交付金を貰つてつた。こういうものはできるだけ圧縮して行く。そうしてこの市町村民が国に納税するもの、市町村に納税するもの、国と町村の財政の需要をある程度考えて行かなければならんのであります。市町村に必要な経費というものは、原則として住民の醵出するもので賄つて行くのだ、それによつてその使途を通じて住民が自治運営を監視しながら、その自治行政の進展に協力し合つて行く。こういう態勢を培つて行きたいものだ、こういうことを根本にいたしまして、やはり住民負担は国税地方税考えなければならん。而も市町村に必要な財源というものは原則として市町村住民税で賄つて行くということに切換えて行きたい、こういう考えを持つておるわけであります。
  221. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 原則的なそういう問題については私も同感し得るのですけれども、今のこの百億の問題はそういうふうな原則的な問題でなくて、租税、税制の改革を今年やつたに拘わらず、今年の状態を正確に反映しないがために技術的に不可能であるがためにこういう不合理ができておる。それならばもう少しこの技術的な不合理が直せるような努力なり配慮はされて然るべきじやないか。而もそれはさつき申上げますように所得割の税率を少し引下げられて徴税をされれば簡單にできるのではないかしらん。その程度のことならば是非御配慮を願いたいと思うのですが、如何がですか。
  222. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 佐多さんからいろいろ有益な御意見を拜聽いたしたのでございますが、二十五年度の市町村民税の実施に当りましては、政府も実はいろいろと検討を加えて参つたのであります。只今御指摘になりましたような所得税、前年度の所得税額ということによる徴収上の問題がやはり考え得るのでございまするが、若し併しながら御指摘のように税率をこの場合講じて参ります措置をとりますと、昭和二十五年度における税収額の上に相当の影響を與えることに相なりまするので、計画的な運営の上にも齟齬を来たすことも考えられまして、この際はこの方法を過渡的な措置として御了承を願つて、更に今後の徴収方法、その他の点につきましても十分な研究を進めて参りたい、こういう心組みをもつておりますことを御了承願いたいと思うのでございます。
  223. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 過渡的な私もその税率の引下げについてはむしろ私のほうが過渡的にそういうことをお考えなつたほうがいいじやないか。過渡的な不合理な問題であるから過渡的にそういうことをお考えなつたほうがいいじやないかという意見なのですが、この点は意見になりますので一応これで中止いたしますが……。その次にもう一点お尋ねいたしたいのは、この間頂きました資料の五の二に出ております、所得税と住民税と負担額調べの資料についてでございますが、これによりますと、法人と個人に分けて調べたものがでておるのでございますが、大体私は法人を大体においてまあ資本家的なものと個人のほうを、個人にはいろいろな対象がありましようから、これを單一に大衆的なものということはできないかも知れませんが、まあ大体において大部分が大衆的なものというふうに考えますと、法人の方では昭和二十四年度の五百四十七億から、二十五年度は三百九十二億に減税になつておりまして、対比いたしますと七二%ということになつております。ほぼ三割の減になつておると思います。個人について申上げますと、二十四年度は三千二百八十四億、二十五年度が三千五十五億ということになつて、パーセンテージは九三%、従つて一割も減少していないということになると思うのでございます。政府は屡々口を開かれると国税地方税と総合すると全体として相当な減税になつておるということをおつしやるのですが、一応政府のお調べによつては両方総合すると減税にはなつておりますが、同じ減税をやられるにしても、法人の方は非常な減税になつておるに拘わらず個人の方は、従つて又大衆の方はそれ程減税になつていないというような数字になつておるのではないかと思うのですが、その点について政府はどのようにお考えになつておるのか、お答え願いたいと思います。
  224. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) この原因は資産再評価法の結果、資産の再評価ができて、その再評価された額に基きまして減価償却の計算をして行くことができる。自然法人税におきましてさ所得額の計算は少くなつて参るわけであります。その影響からこういう結果が生じて参るわけなんでありまして、これは併し一方には資本の蓄積を図ろうとする特別の政策と考えられておる、或る意味においては、過去において徴収されておつた法人税というものは名目的なものでなかつたかというようなことも言える、資本のすり減らしをやつておるのが法人税になつておるのじやないかという言い方もできるというふうに考えられるわけであります。過渡的な問題に入つておりますので、前年度と本年度のものだけの比較では、法人に軽課で個人に重課だというふうには言えないと思います。根本の原因はそこに出発しておると思います。
  225. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 経過的であるにしろ、それから評価の仕方の変更によつてであるにしろ、とにかく法人についてはそれだけの軽減が行われておることは確かなんですね。
  226. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 所得税、法人税の関係においてはそういう結果が現れておることは確かでございます。ただ半面大企業の方からは固定資産税の負担が非常に重いというような意味の非難が非常に多いのでありますけれども、例えば、償却資産に対する課税が百億円ある、これは大体法人に対する課税だというように考えて頂いても差支ないのじやなかろうかというふうに考えております。
  227. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうするともう少し総合的に、所得税と住民税等を総合しただけでなくて、法人と個人に分けて、所得税、それから地方税住民税附加価値税固定資産税等を総合して、法人と個人とでどういうふうに軽減の割合になつておるか、その点を説明して貰いたいと思います。
  228. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 数字を研究いたしまして、後刻お答え申上げたいと思います。
  229. 楠見義男

    ○楠見義男君 昭和二十五年度の固定資産税について昨日もお伺いいたしたのでありますが、甚だ重複するようでありますけれども、もう一回伺つて置きたいのであります。昨日も申上げましたように、昭和二十六年度分については固定資産の評価審査委員会の審査の結果によつて調整をせられることになつておるに拘らず、昭和二十五年度分についてはその途が講ぜられておらない。而も昭和二十五年度分の固定資産税中で、償却資産に対して課するものについては、昭和二十六年度分と同様に調整の途が講ぜられておるのであります。こういうような点から見  て、そうして又シヤウプ勧告が租税の負担の衡平ということを一つの大きな狙いにしておる点から申しましても、こういうふうに償却資産に対して課するものについては調整の途が講ぜられておるということは、一面一昨日来問題になつてつたように、主として今回の地方税が大衆課税に堕する虞れがないか、こういうようないろいろの御議論もあるのでありますが、その一つの裏打ちをなしておるようにすら考えられるのであります。この点について国務大臣は、とにかく不合理な点は分るけれどもこの法律は通して貰いたい、こういうような意味の御答弁があつたのでありますが、それではどうしても我々は納得し兼ねるのでありまして、二十五年度分について、どうして償却資産以外のものについてはこういう途が構ぜられないか、この点を事務当局の方からよく分るように御説明をして頂きたいと思います。
  230. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 昨日も申上げました点で、多少重複すると思うのでありますけれども、お許しを頂きたいと思います。第一に、今年の固定資産税は、土地と家屋につきましては賃貸価格が基礎になつております。償却資産の方は価額が基礎になつております。根本において違つておるという点を先ず了解して頂きたいのであります。それから土地と家屋につきましては、今年直ぐ価額は採りがたい、これも御了承願えると思うのです。それじや賃貸価格は今年初めて課税標準に使うのかといいますとそうじやございませんで、言うまでもなく昨年は賃貸価格の六倍に課税いたして参つたのでありまして、今年は賃貸価格の一五・五倍に課税をする、大体二・五五倍くらいに上つておるわけであります。昨年も調整の方法を講じませんでしたように、今年もやはり調整の方法は講じない、といいますのは、一応現在の賃貸価格がそれでいいのだという仮定に立つておるわけであります。結局今年は賃貸価格の九百倍に一・七%を掛けるわけでありますけれども、根本は賃貸価格をとつておりますので、この賃貸価格というものは一応均衡のとれたものという仮定の下に立つておるわけであります。そういう意味において、昨年調整しなかつたように、今年も調整をしない。併しながら来年は価額を採ることにいたしております。価額を採ることにいたしますので、賃貸価格を基礎にして税額を算定した場合とは相当の狙いが生じて来るだろうと思います。従つて今年償却資産について仮評価をいたしますので、来年正式に決定した場合に、今年の償却資産に対しますところの固定資産税につきましても来年調整いたしますように、来年度当初土地や家屋につきまして仮評価額で徴税いたしますので、後で差額を調整するということにいたしておるわけであります。これが根本の問題でございまして、それじや今年すぐ価額に直す、これはまあ直せないわけであります。而も賃貸価格を採つておりますので、現実的には、賃貸した収入からその税金が携わるべきものだというような建前に立つておるのだろうと思うのでありますけれども、それじや賃貸料というものは一体どういう統制がとられておるかといいますと、土地や家屋につきましては大体現在の賃貸価格がその基礎になつておるわけであります。従つて賃貸料収入というものを基礎に考えて行きます場合には、賃貸価格というものを一応基礎に使いましてもそう不合理はない、かようなことが言えると思うのであります。今年は賃貸価格を課税標準にいたして参りますので、家賃の統制方式につきましても、上地や家屋の賃貸価格を基礎にいたして参りましても、別段それ程不都合はないと思います。併し来年土地や家屋に対します課税を、価額を課税標準に使うことに置き換えますので、来年における土地や家屋の地代や家賃の統制、これも若し実施されて行くといたします場合には、今年と同じように賃貸価格を基礎にするところの統制方式は、これは改めなければならないという問題が起きるだろうと思います。やはり価額を課税標準にして、課税標準が変つて参りますので、価額を基礎にするならば何らか統制方式に改正を加えなければならない。現在の土地、家屋の統制方式というものは、土地や家屋の賃貸価格を基礎にいたしております限りにおいて、土地や家屋に対します固定資産税が土地や家屋に対する賃貸価格を基礎にして算定されるということは、先ず止むを得ないのじやないかと、かような考え方をいたしておるわけであります。
  231. 楠見義男

    ○楠見義男君 二十五年度分について経過的に賃貸価格は従来使用しておつた賃貸価格を採用することについては、私は別に問題はないと思うのであります。ただ問題は、その倍数が九百倍という大きな倍数である点において問題が生じて来るのじやないか。而も昭和二十六年度においては仮に価額を決めますけれども、併しこの要綱にもありますように、昭和二十五年度分におけると同じ算出の方式の例によつて定められた価額を一応基礎にして、そうして納期別に割つて一応出しておいて、それから資産評価審香委員会の審査を経た価格で以て後で調整して行くということになるわけなんで、結局問題は、二十五年度分において問題になるのは、今申しましたように倍数が高いという点に問題がある。而もこの倍数が高いという点は、実際の実例に徴して見れば勿論これよりも高いものもありましようけれども、少いものも多い。特に地方の、東京を離れて段々地方へ行くに従つてこの倍数が非常に不合理になつておるのじやないか、こういう点において問題があると私は承知しておるのであります。従つて二十六年度においてできるものであれば、二十五年度においてもやるべきではないか、何も二十五年度分の調整は必ずしも二十五年度内においてやる必要は……これは実際問題として不可能だと思います。従つて後年度においてこれをやつても、そのやつた部分を更にそれからの後年度における徴税額を調整することによつて可能ではないか、勿論非常に件数が多いので複雑ではあると思いますが、併し負担の均衡ということがこの税制改革の一つの大きな狙いであるとすれば、それくらいのことは政府としては案を立ててやるべきではないかと、こういうふうに思うのでありますが、もう一度御答弁願いたいと思います。
  232. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 私は先程も申上げましたように、今年の土地や家屋に対しまするところの固定資産税は、賃貸価格を基礎にして、そうしてその固定資産税は、賃貸価格を基礎にする範囲においては土地や家屋の賃借り、賃貸し収入から支拂えということを一応建前にしておるということを申上げておるのであります。而も地代とか家賃とかいうものは何を基礎にして統制しているかといいますと、やはり土地や家屋の賃貸価格を基礎にして統制しておるのであります。それで価額を基礎にして課税をした場合と、賃貸価格を基礎にして課税した場合と、その間に増減はあるだろうと思います。一体それはどちらの方が今年の実情に即応しているだろうかということを考えて見ますと、賃借り、賃貸し収入から支拂わなければならないから、賃貸価格を基礎にした課税の方法の方がより適切ではないか、だから調整の必要がないのではないか、かようなことが言えるのではないかということを申上げるわけであります。
  233. 村上義一

    ○村上義一君 午前に一般的な質問をいたしましたので、少しく細目に亘つてお尋ねいたしたいと思うのであります。  一般の運輸業及び関連事業についてお尋ねしたいのです。先ず自動車事業、通運事業についてお伺いしたい。自動車税を、独立税を新設して一輛について乗用車、トラツクを問わず二万円という税率が決定せられておるのであります。この税率はどうも非常に高きに失しておるのではないか。むしろ大正時代、明治時代の自動車に対する観念、贅沢品であるという観念が禍いをしているのではないかとも想像されるのであります。自動車事業にしましても、通運事業にいたしましても、今回の税制改正によりまして非常に重税に相成りまするので、特にこの人件費の営業費中に占むる割合は他の事業に類例を見ない程多いことは御想像に難くないと思うのであります。従いまして附加価値税関係でありますが、附加価値税にしましても、一年延期ということにはなつておりますが、これと同様な額が特に収入金額に対して賦課せられる。その結果は附加価値税と全く同額が、二十五年度においても賦課せられるということに相成つておるのであります。又この事業に対しましてはガソリン税の非常な重課という問題もあるのであります。勿論これは国税でありますが、ガソリン一滴は血液一滴と等しいというようなスローガンの下に代燃を奨励せられた戦時時代の観念が、これ亦残つて、非常に重税を課すことに相成つたのではないかと思うのであります。更にこの自動車事業にしましても通運事業にしましても、生産品の価格である料金は平常時におきましても巖正な規制をしておる公益事業であるのであります。とにかくこの両事業に対しましての今回の重税は誠に苛酷であると言わざるを得ないと思います。せめてこの力説された自動車税、つまり車輛税を半減して五千円にするということは是非共必要であると考えるのであります。そうしてこの公益事業が健全な維持発達のできるように仕向けるということにせなくてはならんと思うのでありますが、これについて、かく重税を課せられたということについての政府考え方を先ず以て伺いたいと思うのであります。
  234. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今村上さんから自動車事業或いは通運事業につきまして、今回の税法案附加価値税を中心としての御意見を拜聴いたしたのであります。附加価値税につきましては只今仰せになりましたような点を或る程度斟酌いたしまして、その課税標準たる附加価値額を算定いたします場合に、昭和二十五年度につきましては特別な措置を講じておることは御承知通りでございます。尚自動車税その他の点につきましてこれが税率の算定の基礎等につきましては奥野政府委員からお答えをいたしたいと存じます。
  235. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今御指摘のような事業に対しまして、今回の地方税制の改正が可なり強く響いておることは事実でありまして、その点においては誠に遺憾でありますが、大体自動車の負担は、従前ありました自動車税の負担と似たり寄つたりなところで今の標準税額を決めて参つておるわけであります。  それから通運事業の問題、これは負担が相当固定費産税との関係からも殖えて参りますので、附加価値税課税に当りましては若干特例的な計算方法を定めまして、若干でも負担の軽減を図りたいというような試みを、運送業に対する特別課税の方法として採用いたしておるわけであります。
  236. 村上義一

    ○村上義一君 今御両所から御説明のごとく、附加価値税については他の事業と異にして若干の心持を表わしてあるという御説でありまして、誠にこれは政府当局の御努力のためだと敬意を表しておる次第でありますが、ただ併しながら一般の算定方式によるか、若しくは総水揚げの五〇%によるかという程度でありまして、その他の各種の税目を総計して見ますると、非常に重い税を押しつけるということに相成ります。これらの国民生活の上に欠くべからざる事業が、従来の運営に対して混乱を来たすものと考えるのであります。余りに重税であるが故に何らかの方法を講ぜなくてはならんと思うのであります。これにつきましてはやはり自動車税及び通運事業税ばかりではありません。後刻に譲りたいと思うのであります。  倉庫業につきまして次に。尋ねいたしたいのであります。倉庫事業につきましては、固定資産税を課する際に、やはり一般の固定資産税賦課の場合と同じく登録貸借価格の九百倍ということに相成る次第であります。これは倉庫業にとりまして非常な負担であるのであります。現行の家屋税の大体四倍ぐらいになるのであります。これについても何らか特例を設ける必要があると思うのであります。政府当局の一つ所見をこれについても伺つておきたいと思うのであります。
  237. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。倉庫業につきましては、大掛りな固定資本を擁しておりますことは御指摘の通りであります。この点につきましては、固定資産税自体について、特に倉庫業につきましての特例措置は考えられておらないのでございますが、附加価値税との関連におりきまして、運送業等において認めておりますような特例の措置を、倉庫業についても探つて参りたい。かような考え方を持つておる次第でございます。
  238. 村上義一

    ○村上義一君 午前にも触れたのでありますが、政府は、シヤウプ・ミツシヨンの勧告に基いて本税法を前国会当時起案せられるに当りまして、いろいろ公益事業については、税の軽減特に私鉄、民営鉄道につきましては、国営鉄道の地方税免除という点をも睨み合せて、軽い税を課すことにしたということで、熱心に交渉関係向きにせられたということは聞き及んでおるところであります。ただ政府が参集両院に配府せられましたこの地方税関係の資料によりますると、非常に民営鉄道に関する数字が間違つておるということを遺憾に思うのであります。鉄道に対する課税は、最近実績が十九億二千三百万円である。これが改正後は十四億七千三百万円になる。負担は七七%に軽減になるんだ、こういう数字を示しておられるのであります。勿論これは国税地方税合算した金額であるのであります。地方税はこの十九億二千三百万円が最近の実績であるということでお示しになつた。十九億二千三百万円の中で地方税は九億六千八百万円である。それから改正後においては双方合計十四億七千三百万円の中で、地方税は十四億六千一百万円であるという数字をお示しになつて地方税関係審議の資料として両院に提出せられておられるのであります。即ち地方税関係においては増加しまするが、国税地方税の合算額においては最近の実績よりも減少して七七%になるのであるということに記載せられてあるのであります。これらの数字の内容を検討して見ますると、どうも最近における税負担額実績は、実績の方は不当に大なる数字を記載せられてあるのであります。又改正後の税負担予想額は、これは不当に小さい額を計上せられておるのであります。この問題につきましては、前の国会当時からしばしば当局に注意を促したのであります。特に監督官庁である運輸省からは正式に申入れがあつたやに、仄かに伺つておるであります。併し今日まで何ら訂正が行われてない。私はこういう数字について特に遺憾に思いますのは、シヤウプ・ミツシヨンに対してもこういうデーターを提出せられて、シヤウプ・ミツシヨンをして実情の把握を誤らしめておるという結果になつておるのじやないか、又こういう数字によつて閣議も誤つて認識を持つておる、又更に参衆両院をも誤らしめる虞れがあると思うのであります。誠に遺憾に堪えないのであります。それで、内容についてなるべく簡單に申しまするが、最近における実績だというて示されておる数字の中で、通行税というものが入つております、この数字は七億三千四百万になつておりまするが、大体通行税というものは、鉄道事業の負担ではないのでありまして、ただ單に徴収義務者に過ぎないのであります。先般の鉄道運賃の改正におきまして、通行税は御承知通り五分であつたのであります。税込一円三十銭という運賃を持つておる会社に対しては、一円二十四銭という運賃であるということで、運賃の是正が行われたのであります。又一円二十銭の場合には、一円十四銭という運賃が現行運賃であるとして、運賃の是正が行われた次第であります。全くこれは通行税は、單に徴収義務者に過ぎないのであります。のみならずこの運賃改正全般に当りまして、長期定期運賃の値下、割引率の増大ということによつて又調整を政府はせられたんであります。従いまして通行税の廃止によつて鉄道事業の税の負担が殖えも減りも何らしないのであります。にも拘らず最近における実績だとして計上してあるのであります。取引高税、これは僅かな金額でありますが、二千八百万円を計上してあるのであります。これ亦通行税と同じく計上することが誤りだと思うのであります。更に政府提出の資料によりますれば、地方税事業税でありますが、これは六億円ということに計上されておるのであります。我々の調査によりますれば、収益課税として現実の負担は、八千六百万円に過ぎないのであります。又一方におきまして、改正後の税負担というものは、これは過小に掲示されておるのであります。固定資産税は、政府提出の資料によりますれば、九億四千二亘方円ということになつておるのでありますが、この算出の数字を検討しました結果、鉄道の電気施設であります通信施設とか、又は隧道、橋梁等の資産は全然考慮に入つてないのであります。又鉄道用地の関係も、一切土地の関係も入つてないのであります。それでこれらを計算に加えまして、政府の計算方法通り八割は償却済であるということにして、二割だけを計上して、これを課税の対象といたしましても、尚六億円余の増加に相成るのであります。固定資産税額は結局十五億五千七百万円となると思うのであります。それから又電気ガス税、これは八千八百万円を計上してあるのであります。これは最近の実績と同額に計上しておられるのであります。勿論電気ガス税の税率は増加しないのでありますが、或いは誤算かとも、その他の誤謬かとも想像されますが、併し料金が非常に厖大になるために、電気税の税率を用いますれば一億  緯九千八百万円、大体一億一千万円増加することに、倍額以上になることに相成るのであります。又国税法人税におきまして、最近の実績は一億八千万円納入しておるのであります。これが改正後の税負担額という方には、ゼロになつておるのであります。併しながらこれは当然営利事業であつて、今日極めて一小部分しか配当等はしておりません。多くは赤字の決算をしておるのでありまするが、とにかく営利事業である以上、国税法人税は従来通り納付する、成績を挙げるものとみなすのが至当であると考えるのであります。これが改正後の税負担額という方にはゼロになつておることは適当でないのではないかというふうに考えるのであります。  要するに結論的に数年を申し上げますと、地方税だけで申しますると、自治庁の計算せられた額は九億六千八百九十八万円となつておりますが、只今申しました点を是正しますると、四億五千五百五十二万円に相成る次第であります。それから改正後の税額について自治庁の計算額は十四億六千百万円となつておりますが、これは只今指摘しました通りの数字を用いますと、二十二億五百八十万円に相成るのであります。それで地方税だけで申しますると、現在の、最近の実績、二十四年度の実績に対比しまして改正税額は四八四%ということに相成る次第であります。で国税只今申しました点を修正いたしますると、一億九千二百十八万円、これは最近の実績も、又今後の納付すべき税額も、同額に相成るのであります。結局合計しますると、正当なる最近の実績というものは六億四千七百七十万円でありまして、これに対して改正税額は二十三億九千七百九十万円に相成るのであります。結局最近の実績に対して三七〇%に相成る次第であります。とにかくこういう数字上の誤謬があると思うのであります。若し私が只今申しましたことについて、私の計算が、考え方が又間違つておるという点があるなら、一つ御教示を願いたいと思いまするし、私の申したことが正しいということであれば、速かに関係の資料の是正を願いたいと思うのであります。その点について御当局の御所見を伺いたいと思います。
  239. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今村上さんからいろいろ資料の点に関しましてお話を承つたのでございますが、一応政府側で用意いたしておりまする資料につきまして、奥野政府委員から御説明をいたしたいと存じます。
  240. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 村上さんのお考の如く、数字の御指摘はその通りでございます。併しながらこれが又税制を改正した結果負担がどう変るかというような見地から、備考に掲げておりますような意味合において計算をいたしておるのでございまして、ここに挙げております数字の基礎も御了解を願いたいと思います。決して私の申上げる意味において間違つておるものではないと考えておるのであります。例えば、運輸省からたびたび意見を出しておるのに地方自治庁は数字を変えていないじやないかというふうな意味の御意見もあつたようでありますけれども、村上さんも電気ガス税を一例に挙げられたようでありますけれども、電気料金が高くなつたから電気ガス税が殖えた、こういうことは計算の基礎に入れるべきではないという考え方を持つておるわけであります。若しそういうものも入れて参りましたならば、収入金額が料金の関係もありまして殖えて参つて来ておるだろうと思う。過去の料金額が、将来におきまして物価が変りましても同じだというわけではございませんので、こういう物価の変化によりますところの収入支出の変化、或いは又それに伴いまして起きますところの税額の変化、これはこの計算の中に入れておりませんので御了承願いたいと思います。それからもう一つは、これは現行税制で地方鉄軌道の負担が改正したらどれくらいの負担額になるかということを知るわけでであります。現在の税制を変えるわけでございますので、現行税制によればどれだけの負担をするかというような比較でございますので、例えば事業税におきにましては総売上金額の何パーセントというふうな計算方式を採用いたしております。で、総売上額の何パーセントを以て事業税とするという規定は、物価統制令による統制価格がありますものについては、御承知のように料金統制が行われた以後でなければそれが適用になりません。従つて料金統制の改訂の遅れましたものはそれだけこの規定の適用がありませんので、その部分については純益の何パーセントであるという計算をしなければならんと思います。併しながら現在の地方税法では、原則として運送業につきましては、売上金額の何パーセントだというふうな課税方式を採用しておりますので、それに基いたら幾らの金額になるか、これを止めてしまつて附加価値税のような計算方式になつたら幾らの金額になるか、こういう計算をいたしておるわけであります。飽くまでも税制を改正したら負担がとうなるかということで、現行制度と改正との比較を行なつておりますので、その点も御了解願いたいと思います。  それから固定資産税はもつと収入が上るのじやないかというふうな御意見であつたのでありますが、もつと沢山評価できれば非常に仕合せだと思つております。実際問題としまして、この際地方鉄軌道はどれくらい評価できるかということを各方面にお尋ねしているのでありますけれども、どうも分らないのであります。第一には、運輸省に対しまして現在の帳簿価格を基礎にして資産再評価による軌道を一本評価したら幾らになりますかということを伺つておりますけれども、これも分らないのでございます。それじや地方鉄軌道の会社がどれくらいの評価をするだろうかということを伺いましても、これも分らないというお話なのであります。それで私は或る関係の人に一度聞いたことがあるのでございますけれども、大雑把に五億内外じやないかということを伺つたことがあるのでありますけれども、とにかくこの点につきましては、私は異存はないわけであります。併しながら、基礎的に一応の方式に基いて計算をいたしているのでございまして、その計算方式は資料にも出ておりますけれども、例えば鉄軌道につきましては、建設費は一キロ当り千百万円という数字を使つております。これは現在建設するのにそれ位だろうという運輸省の計算に基きまして、こういう計算をいたしているのでありますけれども、その後の陳腐化の問題その他を考えた場合に一体どの位評価できるかということを、第一に私は鉄軌道会社自身がどう評価するかということを、数字を教えて頂かないと、勝手に評価はできないのじやないかと思う。従いましてこういう数字は相当多くなつて来ることと考えております。これよりもつと多くなるもの、或いは若干少くなるものもある。その点は私も見当がつかないのじやないかと考えますので、村上さん、これは私の方で提出しております資料にもいろいろの欠陥がございましたらお教えを願いたいと思います。  それから法人税につきまして、改正の結果零になるというのはおかしいじやないかという。話でありますが、これは私も御尤もたと思います。併しながら過去に挙つてつたような利益金額でありますが、今回の再評価額を計上した結果、減価償却が非常に殖えます。減価償却が殖えましたら、それで一応利益が零になるという計算であります。それで法人税は零という計算をいたしておるのでありますが、減価償却をそれだけ上げても配当計算その他の関係から、もつと利益は計上しなければならないのだというような関係で、法人税額をやはりそれだけ殖やさなければならないのじやないかというふうに考えるのであります。そういたしますと、差引き零になつたのと、余り変りはないじやないか、こういうふうな考を持つておるのであります。それから又取引高税、通行税を入れておるのはけしからん、こういうふうなお話であつたのでありますが、この予算関係は、鉄軌道関係者が納税する額がいくら過去においてあり、将来の税においていくらあるという比較でございまして、誰が負担するかということは、計算により認めていないわけであります。この中には法人税のように、所得の中から拂わなければならないものもございます。経費の中から拂わなければならないような固定資産税、その他もあるわけであります。そういう意味において附加価値税は我々は恐らく旅客に転嫁されるのであろうと考えております。同様に通行税も取引高税もそうであるだろうと思います。そういう意味合において、所得の中から拂われるものである。或いは経費の中から拂われるものであるにも拘らず、鉄軌道関係者が納税者として、ここに私共は対象を求めているわけであります。我々も鉄軌道の関係の負担が相当あるということはこれは否定いたさないのでありますけれども、税制改正がどういう影響を及ぼすかということだけを考えて参りましたならば、やはりこういう恰好になるのではないか、こういうふうな考え方をいたしておりますことを御了解願いたいと思うのであります。
  241. 村上義一

    ○村上義一君 只今詳細に奥野さんから御説明を承りまして、どうも私として納得が行かないのであります。勿論電気ガス税については、これは意見の相違だと考えるのであります。併しながら通行税のごとく国の立場としての私鉄事業に関連しての収入だということでありますれば、これはもう御説明通りであります。併し私鉄事業者の負担の比較という精神であの資料をお示しになつておる。その点を考えますれば、通行税を提出せられたということは、全然これは間違いだと堅く信じておる次第であります。一面尚御説明事業税六億の計上の点もそうであります。要するに最近の実績として、而も何月から何月までというような断り書きが書いてあつたと思います。その間にそういつたような納税は、私鉄業者は、少しもしておらないのであります。全く見る者をして誤らしめると思うが故に断り書きが出ておるのであります。今御説明のような数字に書き換えて頂くならば、相当こういう数字をお書きになつてもこれは結構だと思うのであります。尚こういうことで長い時間をかけましては、他の方々にも恐縮であります。もう一応すべての点においてよくお知りの奧野さんにお考えを願いたいと思うのであります。そうして私の惧れる点は、こういう数字が参衆両院において、過つてその結論の基礎になるということを惧れるのであります。又更に惧れることは、近くシヤウプ・ミツシヨンが来て、もう一遍この税制の実施模様を見るために、特に来日せられるやに聞いておるのであります。結局政府からの諸種の調書と共に、そのデータがやはり判断の基礎になろうと思うのであります。その点について、非常に誤解の基礎になりはしないかということを惧れるのであります。現に前国会当時にも、ミスター・モスに数回面談をいたしまして、つぶさに話し合いまして、初めはどうも話が合わなかつたのです。二回目からはよく理解してくれたのです。この基礎数字に基く実情の把握がミスター・モスにおいてできたというために、改正意見について理解を得ることができたと思つておるのであります。従つてシヤウプ・ミツシヨンに対しまして、誤解を招くような数字を出さないように、一つ適正な理解を與えるようなデータを出して頂くということを附け加えて、次に移りたいと思うのであります。  この電気ガス税でありますが、これは鉱山業でありますとか、一般重工業、或いは化学工業などの重要産業に対しては、現に免税に相成つておるのであります。で鉄道事業は、只今申し述べました事業以上に重要な公益事業であると信ずるのであります。且その使用する電力料金も、営業費の中に含むものは十数パーセントに当るのであります。免税にするということがこれはもう当然だろうと思うのであります。従つて関係條文の四百八十九條を若干整備する必要があると自分は思うのであります。これについての政府の御所見を伺いたいと思います。尚この鉄道は、この特長として莫大な固定資産を以て経営せられておることは午前にも申し述べました通りでありまして、この固定資産税を一般営利事業並みに賦課するというときは、税の負担がどうしても非常に重大に相成るのであります。経営が困難に追い込められるということに相成る次第であります。で固定資産の代りに、鉄道施設税、現在でも軌道税、電柱税というような独立税があるのであります。これらを併合し、尚橋梁、水道等の敷設資産をも含めて、大体一メートル十二円という程度の鉄道施設費を設定し、又車輛にも自動車税と同じく車輛税を特設して、一輛五千円見当のものを課する、そうしてその以外に対して一般固定資産税を課するということは是非共必要だと思うのであります。三百四十一條なり四十二條なり二、三の條文の整理を必要とする次第であります。是非こういう税制が必要だと思うのであります。  鉄道用地は尚従来から免税になつておりまして、他の公共用の土地つと同様に免税されておつたのでありますが、今後も引続いて免税することはこの事業性質上又今日事業の財政的に窮迫しておる情勢に鑑みて必要だと考えるのであります。  更に附加価値税はまあ明年まで延期されることになつたのでありまするが、この附加価値税も延期の事由に鑑みまして、更に又運輸事業のこの窮迫しておる現状に鑑みまして、本年中課税せられる事業税は、たとえ運賃料金の改正を行いましても、運賃中に収入課税である事業税を織り込むということは所詮困難であるのでありますから、運輸事業に対しましては従来のごとく収益課税とする必要があると思うのであります。これは民有鉄道のみならず通運事業につきましても、又自動車事業につきましても、船舶関係につきましても、同様に収益課税にする必要があると思うのであります。  更にいま一点、法人に対する市町村民税の問題でありますが、これは事業所毎に課税する建前になつておりまするが、事業所の解釈が非常に問題に従来からもなつております。地方的にこれは区々であります。併し一般に非常に拡大されつつ今日に至つたのであります。例えば鉄道の踏切番或いは保線工事の箱番小屋というようなものまで事業所だという解釈をせられておる地方も少くないのであります。大体鉄道の駅その他の現場機関は他の事業との均衡から見ましても、又その事業の公益的性質から見ましても課税上、事業所と見るのは穏当でないと考えるのであります。  この只今申しました五点につきまして政府の所見を伺いたいと思うのであります。尚御参考に申しまするが、只今申しましたようなふうに修正をするとしましても、その金額は、地方税のみで申しますれば八億七千万円に相成るのであります。現在までの二十四年度の実績四億五千五百五十万円に比較しまして一九一%というものに相成るのであります。で国税をも加えて比較しましても、最近の実績は六億四千七百七十万円、これに対して只今申しましたような修正をしまして十億六千三百万円という数字でありまして、一六四%ということに相成る次第であります。で午前にも触れましたがシヤウプ勧告では、中央税は三割五分の増額、これはまあ相対的の率でありますけれども、平均率と申してもいいかと思いますが、然るに只今私の申しました五点を是正するとしても尚九割一分の増額ということに相成る次第であります。この程度修正は是非必要だと思うのでありますが、政府の御所見を一応伺つておきたいと思います。
  242. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。先ず御質問の第一は、電気ガス税の取扱と存じますが、電気ガス税の非課税範囲につきましては、今回の地方税法案中に明らかに定められてあるのは御承知通りでございます。地方鉄道軌道事業に関しまして、電気ガス税をどう扱うかということにつきましては、政府におきましても種々研究を加えたのでございます。と同時に電気ガス税につきまして非課税の制度を設けることは果してよいかどうか、こういう根本の問題につきましても検討を加えたいと考えておるのでございまして、私の考え方を率直に申上げますと、むしろ電気ガス税の非課税の問題は、或いは価格調整の問題、即ち価格調整制度等との関連の問題及び基本産業であるというふうな考え方、こういうふうなことが原因となりまして、こういう措置を採つて来たものと考えられまするので、諸般の経済事情の変化に伴いまして、むしろ電気ガス税につきましては非課税の問題を根本的に再検討いたしまして、公平な税の負担をお願いする代りには、税率において極力これを軽減して行く、こういう措置を採ることも一つの方法ではないかと思うのでございます。併しながらこの点につきましては、電気ガス税といわず、例えば日本国有鉄道を非課税といたしておりまするような関係、その他非課税範囲等の問題につきまして全般的にこれが検討を加える必要があるものと考えまして、地方財政委員会設置法の中に規定を設けまして、この委員会が研究をいたしました結果を次の通常国会に報告することにいたしておる次第でございます。従いまして地方鉄道軌道につきましては、政府も十分愼重に考慮はいたしたのでございまするが、只今の段階におきましては、今回の地方税法案としてはこれを明らかに規定するに至りませんでしたので、全体の非課税の問題を研究いたします場合におきましては、地方鉄道軌道の点につきましては十分に研究をいたしたいことを申上げて置きたいと存じます。  御質問の第二点は、固定資産税の代りに或いは車両税であるとか、軌道税であるとか、即ち鉄道の施設に関しまして独立税を設けることが必要ではないか、こういう御質問と承つたのでございます。この点につきましては、例えばダムであるとか、或いは船舶等につきましても同じような考え方が研究の対象になり得ると考えられるのでありまして、これらにつきましても一応政府としては研究はして参つたのでございまするが、税の負担の均衡、その他者事業間における調整を図る意味合からおきまして、今回の税法案におきましては固定資産税一本の形でこれを定めることにいたしておるような次第でございます。即ち御指摘になりました軌道敷の問題につきましても、さような意味合において免税をいたしておらないのは御承知通りでございます。これらの点につきましても、尚将来徴税の実績なりその他の点につきまして研究を加えて参りたいと考えておる次第でございます。  次に附加価値税の問題と承つたのでございますが、今回附加価値税がその実施を一年延期をいたすことに考えられておるのでございますので、その場合において事業税を施行することになるのでありまして、この際鉄道軌道、或いは海運事業等におきましては、特に収益課税の方法を取ることがその事業の助成、その他の関係から見て適当ではないかと、こういう御所見のように承つたのでございます。事業税の本質が所得、即ち収益を対象とした課税であることは御承知通りでございますが、或いは、電気供給事業、ガス供給事業、又は運送事業等の価格の統制を受けておるようなものにつきましては、單に収益課税ということでなしに、地方団体に対する応益の関係から申しまして、相当大規模の経営をされておりまするような事業でございまするので、これらの点から考えますると、収益課税で参りますると、収益なきところには課税がないと、こういうふうな極端な場合にまでなつて来るのでございまして、それがために当該所在地方団体の財政運営に対しまして、応分の負担を願わなきやならない状態に置かれておるに拘らず、その御負担が願えないというふうな事情にも相成つて参りますので、御説の点は御尤もな点があるのでございまするが、地方税法の建前といたしましては、外形標準的な課税方法を今後も採用して参りたいという考え方を持つて起るのでございます。尤も物価統制令による統制価格の改訂が行われません場合におきましては、経過的な方途といたしまして、従来の事業税課税方法によるということに相成つておりますことは御承知通りでございます。  次に市町村民税法人課税でございますが、これは今朝来もいろいろ御議論がございましたが、政府といたしましては税法案にもございますように、法人に対しましては均等割を課するに留めておるのでございます。この場合におきまして法人事業所というものに対する考え方でございますが、私共の考といたしましては、先程村上さんが仰せになりましたような、例えば踏切番所であるとか、そういうふうな詰所的なようなものは、これは大体課税対象にする必要はなかろうかと考えておるのでありまして、要は営業事業を経営して行きます場合に、人的にも物的にも必要な施設、こういう考え方がなされるのでございまして、御指摘になりましたような踏切番所はこれに課税することは適当でないという点につきましては関係地方団体に対しましても指示をいたしておるような次第で、今後の措置につきましてもかような考え方で取運んで参りたいと存じますので、御了承を頂きたいと存じます。
  243. 村上義一

    ○村上義一君 ちよつと只今の御説明によりますと、駅等は課税対象にする方針だというように伺うのですが、これは更に保線区でありますとか、機関区とか、この現業機関についてどういう御見解を採つておられるか、一応伺つて置きたいと思います。
  244. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。私の説明を今度は逆に申上げますと、駅のような、その事業を行うために必要な施設は、これは課税の対象にすることに相成るのでございます。但し同一市町村内に二駅以上あるような場合におきましては、その課税につきましては軽減する措置を講じて参るようにこの税法案にも織り込んでおる次第でございます。
  245. 村上義一

    ○村上義一君 どうも明確に理解できないのですが、又他日に讓りまして今度は全然観点を異にしてお尋ねして見たいと思うのであります。只今申述べましたような各税目についてそれぞれ適正に是正する、公平に是正するということは極めて必要と信ずるのでありまするが、併し今日に至りましては地方自治機関の財政状況というような点に鑑みますると、地方税法を速かに何らかの処置を採らなければならんのじやないかということを痛感する次第であります。従いまして今回の地方税法の改正におきまして具体的に、只今申しますごとく各種の税目についてそれぞれ適正に是正するという方策をすることが不適当であるとしましても、午前から申述べておりまするごとく、民営鉄道その他に対しましては一般の営利事業と異つた特別な運用上の、課税上の手続においてと申しますか、とにかく特別の運用上の考慮を拂う必要があると思うのであります。即ち税の運用上におきまして、法律案の第六條の規定に基いて固定資産税の一般税率の二分の一にする、或いは算出した税額を半分にするというようなことが運用上においてでき得ないかということを考えるのでありますが、これらは同じく公益事業であり、殆んど同様の実情に置かれております海運事業、自動車事業というようなものに対しても民営鉄道等に準じて同様に運用をする必要があると思うのであります。この点について政府の所見を伺いたいと思います。
  246. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。村上さんも御指摘のように、今回の地方税法案が画期的な改革を目的といたしておりますのに鑑みまして、これが税率実施に当りましては、できるだけ実情に即するように処理して参るべきであろうと考えておるのでございます。つきましては、地方財政委員会が地方税法の施行に当りましてはその具体的な運営の衝に当ることに相成りますので、先程来各税目につきましていろいろ御意見を拜聽いたしたのでございますが、この法律運用に当りましては地方財政委員会において慎重に研究をいたし、且つ父御意見のあるところを参酌いたしつつこの法律の実施に当るように、私からも十分に連絡をとりたいと考えておりますので、御了承を頂きたいと存じます。
  247. 村上義一

    ○村上義一君 只今お話になりました趣旨は、法案の三百五十條に関連して御説明を願つたのだと思うのでありますが、三百五十條の二項には、固定資産税の収入が五百二十億円を上廻つた場合には、地方財政委員会において地方財政委員会規則に基いて昭和二十六年の一月中において税率の変更をするということを規定しておるのであります。この地方財政委員会の規則と、三百五十條に掲げておりますこの規則はすでに御決定になつておるのか、なつておらないとすればどういうことを内容とするものであるか。で、私が特に伺いたいのは、民有鉄道のごとき公益事業で、而も負担力がない、ないに拘らず、今回の改正法によりまして非常な重税を背負わんならんことになる。一般の事業は、一般的に言うて三五%だけ、つまり総額四百億円だけ増額になるというに拘らず、民営鉄道としましては三八四%の増額になるという致命的な打撃を受ける次第であります。こういう事業に対しては格段なる御考慮を願えるというような内容になるものであるか、その辺の御所見を伺つておきたいと思います。
  248. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今村上さんから仰せになりました法案第三百五十條第二損の地方財政委員会規則で云々という言葉がございますが、これはお説の通りに、昭和二十六年一月中において税率の変更をする場合に、地方財政委員会規則で決めることに相成りますので、その際に規則の制定をすることになると存じます。従つて只今どういうふうな内容を持つた委員会規則を作るかということにつきましては、未だ申上げる時期にまでに至つておらないのでございます。尚この委員会規則で税率を変更いたします場合におきましては、個々の具体的な問題についての調整というよりも、五百二十億円という収入見込額に照し合せました意味合において、総合的な立場での税率の変更、こういうことになることと想像いたすのでございますが、目下のところ規則の内容につきましては決まつておりませんので、ここでお答えすることができないのを残念に存じます。
  249. 村上義一

    ○村上義一君 尚もう一点伺つて最後にしておきたいと思うのでありますが、七百四十九條に「電気供給業、ガス供給業及び運送業に対する事業税課税標準」云々という規定があります。要するにこれらの事業は一般の事業と異なつて、各事業年度の収入金額、つまり売上の総収入に対して賦課するのであるという趣旨を決めまして、そうしてその率は百分の一・六であるということが決められておるのであります。この電気供給業やガス供給業につきましては括弧で説明がしてありますごとく、本年の八月三十一日までは収入金額で計上する。恐らくこの九月一巳以降は、来年一月一日から実施せられる附加価値税でアジヤストせられるという趣旨じやないかと思うのですが、その意味がよく分らないから御説明を願いたいと思います。  それからこれに関連しまして、電気供給業とガス供給業だけこういうように規定せられ、そうして運送業につきましては何らの規定がない。ないとしますれば、七百十二頁の附則の第一号の但書でアツプライせられるものじやないかと思うのであります。但書でこの附則の施行期日1と書いてあるところ、この一の但書で、運送業に対しては施行せられるということでありますれば、御承知通り、運送業は旅客の輸送事業があり、貨物輸送事業がある。又統制価格即ち運賃の変更につきましても貨物、旅客それぞれ別個に変更せられるということが普通であるのであります。それらの場合に、常に変更せられた事業年度の初めからこの七百四十九條が適用せられるものだということは非常に不合理であり、例えば二月に運賃の是正が、いわゆる更正額の変更があつた。ところが前年の四月一日に遡及するのだということは、非常に不合理だということを思いますので、今一つは非常に計算上、適用上の混乱を避けることが至難だと思うのであります。何だか非常に特にむずかしく規定せられたように、規定せんとせられておるように感ずるのでありますが、御説明を願いたいと思うのであります。
  250. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 法律案にありまする規則の考え方につきましては奥野政府委員から御説明をいたします。
  251. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今お話のありましたように、更正料金が改訂されましたときには、その改訂する日の属する年度分から、この時期の規定を適用するようにいたして参つております。従いまして料金を改訂いたします際には、法律の建前上このような計算の下に課税されるということを考慮に置いて更正料金が改訂されなければならない。大変むずかしい要求をするようでありますけれども、法律の建前上そういうことを考慮に置いて改訂料金を計算して貰いたい。かような考え方をいたしておるわけであります。
  252. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 時間が余りありませんから、簡單に要点だけ御質問を申上げたいと思います。今回の地方税法に対しての考え方なり、或いは政府に対する要望の事項につきましては、午前中総理に要点だけ要望し、又御質問申上げた次第であります。私は総論的に考えて、現在の地方財政の現実から見、いろいろな点から申しまして、今回の地方税法案に対しては、午前中に総理質問の際に申上げました通り、大体その通過を期する一人でありますが、ただ先刻小野政務次官の御答弁のように、今回の地方税法案に関しましては各産業の中で運輸事業が一番大きな関連を持ち、又一番大きな問題を蔵しておりますのであります。その関係上、私は陸上関係運輸事業に関しては村上委員の御質問に任せ、海運業を中心とした問題につき御質問申上げたいと思うのでありますが、先程、船舶に関しては、負担の均衡を期するために今回の地方税法案においては独立税としないで一括その中に包含したというお話でありますが、私はその点は多少間違つていやせんかと思うのであります。私が午前中総理に要望し、総理に御質問いたしたのは、現在の地方における財政の現状から見、日本の現状から見て、この地方税法案に対しては、今議会において通過を期する一人であるけれども、日本の税収入を確保するためには、どういたしましても、担税力の点よりして最も重要なる関係にある基礎産業、重要産業というものの基礎の確立を図り、その担税力の培養を図らなくちやいかん、そういう点から見まして、今回の地方税法が日本の重要産業、各産業はもとよりでありまするが、殊に重要産業に対してフエータルな、よれを破滅に導くような要素を若し持つておるなれば、政府は虚心担懐にこれらの点については十分留意して、できるだけ早い機会においてその修正を図るべく万全の努力と御研究を願いたいということを私は要望いたし、総理からもそれに応ずる旨の私は御返答を頂いたのでありますが、その意味において、この運輸事業におきましては、軌道等についても種々の問題がありますが、一番大きな問題は船舶についてであります。午前中にも申した通り、昭和二十四年度の地方税によつて船舶税として課せられた総額は八千四百万円でありますが、今回の改正税法によりますると、一躍十一億になるのでありまして、約十三倍、殊に今朝程も申しました通り、日本の当面の一番大きな問題でありまする外航則般、この外航配船のための基本的な要件をなしまする新造船に関しましては、一ケ年一隻約一千万円の地方税固定資産税としてかかるのであります。殊に日本の現状におきましては、海運界は、外航面においては幾多の制約があつて、外航配船上の多大の困難があり、内航面においても著しい船腹過剰の現状でありまして、現に百万トン近くの繋船をいたしておる実情であります。この繋船に対しましては、四月一日以降民営還元になりまして、繋船補助金が一応出ておりますが、大型船について申しますと、月額僅か七十一万五千円、今回の地方税法案通りますと、普通の従来の戰標船等の大型船において月額約三十九万一千円、傭船料の約五割一分が地方税によつて徴収されるのであります。そのために折角繋船補助金の支給を受けましても、僅かに船員費、保険費、船費が漸し支拂われるのでありまして、十分経費を支拂うことができません。況んや新造船のごときは年額一千万円の地方税を支拂わねばならないのでありまして、如何に今回の地方税が船舶に対して苛酷であるかが分るのであります。尚海運造船は日本の基礎産業の中でも最も重要なるものとして、例えば見返資金の貸出のごときは、御承知通り船舶に優先されておりますが、折角さような見地から船舶に対して政府その他の関係方面においてその再建を期しておられるに拘らず、他面において不合理不適正な船舶税のために、折角の措置が却つて何倍か消えてしまうというような結果となるのであります。私はこの点に関しましては、政府に対して午前中、又当初申しました通り、全体的の見地からこの地方税法案に対して私は特に今回は忍んでその根本的な修正は要求いたしませんが、先程政府の御答弁の中に、船舶に関しても負担の均衡を期するために、地方税法案の中に一括これを包含したということに対しては、午前中総理が、重要産業については、その産業の基礎を危くし或いはその再建に支障のある点については将来修正をいたすという御答弁があり、尚又船舶に関しましても、これは関係方面その他政府においても、すでにその妥当でないという点は十分認めておられる点であります。さような点から、私は是非共船舶、特にこの運輸業の中の船舶に関しましては、單に海運業の立場ということでなくして、日本経済の再建という立場から申しまして、是非これはできるだけ早い機会に修正の措置を採られたいということを御希望申上げたいのであります。  それから、時間がありませんから要点だけ申上げますが、先程独立税に関して村上委員から御質問がございましたが、私はどういたしても、殊に船舶に関しては、地方税性質上、父船舶の本質上から、どうしても独立税とすべきものと私は思う。と申しますのは、船舶は最も国際性を持つているものであります。尚又移動性を持つているものであります。尚又そのオペレーシヨンの地域が、非常に広範囲に亘つておる性質の産業であります。この固定資産税は、承りますると、いわゆる収益に対して課するものでなくて、いわゆるプロパーテイに課する性質を持つておるということは、かねて関係方面その他からもダイレクトに聞いておりますから、承知いたしておりまするが、但し、私は船舶はどういたしても、例えば卑近な例を申上げますると、他の軌道でありますとか、電柱でありますとか、いろいろな固定の資産は、その地域に固定いたしておるものでありまするが、船舶は日本の近海のみならず、外国の至るところに参るのであります。定着いたしません。殊に船舶は、御承知だろうと思うのでありますが、定繋港がありまして、船舶が新造されて廃棄されるまで一回も入らないような港に定盤港を持つておるのであります。その港の住民が一回も見ないような船舶がその港、町、村に定繋港を持つておるのでありまして、先程地方税性質として応益原則についてお話がありましたが、さような見地から申しますと、その地方団体には何等の利益を受けていないのであります。尚又いろいろな点から見まして、外国におきましては船舶に関しましては、殊にオーシヤン・ゴーイングの船舶につきましてはかかる種類のタツクスはかけておりません。船舶税に関して関係方面折衝した際におきましても、日本においても船舶が外国に就航した際に当然免税すべきものだということを責任ある方面より了承いたしておるのでありまするが、そういう点からして政府はどういうふうにお考えになりまするか、承りたいのであります。私は尚これは独立税といたすと共に、例えば船舶は先程も申しました如く新造船を三隻持つておりますると、小さな村に定繋港を持つております際には三千万円近くの地方税がその村に入つて行くのであります。さような大金をその村がどういうふうに使うかということについては、将来の租税政策の関係から見ましても大きな問題であります。尚又一方におきましては船舶の固定資産税による地方税の収入が非常に偏頗になりますために、一方において煩わしい別途の措置を採らなくちやいかんということがあります。そういうふうな船舶の特殊の性質から見て、どうしても私は国税として独立税にすべきものだ、これはかねて主張しておるのでありますが、この問題につきまして、私は今回とは決して申しませんが、できるだけ近い機会において政府は熱意を以て解決を図られたいということを特に要望いたしたいのであります。これに対して、先程の小野政務次官のお話とは或いは言葉の綾で多少違うかと思いますけれども、船舶に関して絶対に、負担の均衡のために包含されたというお話でありますならば、この点はお考え直しを願いたいということを先ず以てお伺いしたいのであります。
  253. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今山縣さんから海運事業の点につきまして縷々御意見を拜聽したのでございますが、私も全く同感でございます。今朝吉田総理からも御答弁がございましたように、海運事業の助成政策につきましては政府として十分に考えなければならない諸問題があることと存じます。又地方税関係におきましては、只今お話になりましたように、例えば固定資産税から独立税としての船舶税を創設するということにつきましても、政府も亦従来研究をして参つてつたのでございます。併しながら今回の税法集中にこれを規定する段階まで至らなかつたのは、その経過等については如何かと存ずるので、更に私から御説明申上げることを控えたいと思うのでございます。又船舶が、その定繋港等の関係から、地方団体との繋がりにおいてこれが取扱い方を再検討する必要がないか、こういう御意見でございますが、船舶と申しましていろいろと大小数々ございますが、特に只今御指摘になりましたような外用船等のごとき大型船舶の取扱い方につきましては、お説のように中央においてこれが評価等につきましては考えて行かなければならないと存じまするので、この法律案の中にも可動性或いは移動性のあるようなものにつきましては十分にこれらの取扱を慎重にいたして参りたいという趣旨の下に規定も置きたいと考えておるような次第でございます。要は今後の措置に関していろいろと示唆のある御意見を拜聽いたしておりますので、総理の御趣旨をも体しまして、今後更に地方財政委員会におきまして地方税法の実施に当りましては愼重に研究を進めて参りたいことを申し添えたいと存じます。
  254. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 只今、船舶に関する地方税に関して率直に将来の船舶の特殊性を認められて、今後尚又御研究になつて施策されるということでありますから、その点につきましては了承いたします。尚ちよつとお聽きいたしたいのでありまするが、本年度の船舶に関する地方税の徴収収入、これをどの程度見込んでおられまするか、承りたい。
  255. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 船舶関係をどれくらいに評価できるかということは非常にむずかしい問題でございます。従いまして船舶としてこれくらいは入るだろうというようなことを正確に見積りますことは、先程もお話に出ましたように、その所有者自身がどの程度に再評価するかという問題も承りませんと見当つきにくいだろうと思うのでありますけれども、一応船舶関係につきましてこれを時価に評価して行けば、四の五の所に書いてありますように八百億円になりはしないかというふうな計算をいたしております。
  256. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 それは八百億円というのは資産の評価額でありますが、私のお聽きしたいのは把握率を幾らと見られて、実際の収入に幾らと見込んでおられるかということを……。
  257. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今申上げましたのは、我々が一応平年度において見込んでおります数字でございますので、償却資産に対しまする平年度の額と本年度の額との開き程度の差があるわけでありまして、今直ぐ計算いたしましてお答えいたします。
  258. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 私はその詳細の数字を知ることが目的ではありませんで、地方自治庁においては、現在では違つておるかも知れませんが、初年度の船舶に対する地方税の収入見込を六億ぐらいと見込んでおられると聞いたことがありますが、その点を質したい。要するに考え方の問題でありますから、而もそれは把握傘を五割と見込んでおられる。この把握率の点を実は質問いたしたいのであります。把握傘をどう見ておられるか。
  259. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 今年の収入見込は、今回は一応企業の再評価額、或いは再評価額の限度額を基礎にとつて参ることになつておりますので、どれくらいになりますか、正確な数字は出て来ないだろうと思いますけれども、大体船舶関係において八百億円くらいを評価額として考えておりますので、全額といたしましては十数億円というふうな程度になるだろうと考えております。
  260. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 十数億円と算出されておるが、その把握率を五割、収入見込を六割と指定されているように拜聽したのでありますが、船舶関係につきましては把握率問題云々ということは起つて来ないと思います。他の固定資産税におきましては把握率の問題は起つて参ります。併し船舶に関しましてはさような問題は起つて来ない。これは十割と見られていいので、その際に把握率を五割と見られるために率、算定その他において多少のことを考えておられるから、負担の均衡というものが総額、グロスにおいて出て来るのではないかと思うから、船舶に対しては十割と見て然るべきだと思う。そうなつて来ますと、さつき言つたように従来八千四百万円のものが一躍十一億になります。これを以て負担の均衡とは決して言えんのであります。だからこの点は私は御注意申上げたいと思います。  それから、その次に簡單にお聽きしたいのでありますが、附加価値税の問題でありますが、附加価値税に関しましては、これは運送業、運輸業に共通の問題でありまして、私先程村上さんから種々お話がありましたから、重複を避けます。その他船舶に関しましては、最近の情勢から世界の水準以上の高い船舶を今新越している。その新造が国家の要請に基いて殆んどされなくちやならないという情勢であります。而もその後におけるオペレーシヨンは主として船員、従業員を主たる要素とする公共性サービスを提供するものであるから、さような点から見て、どうしても船舶に関しましては、先程村上さんからの、他の運輸の部門について又同様な問題がより以上に船舶にありますので、この附加価値税の問題に対しましては是非共これは御考慮を願いたい。尚又これは多少技術的の問題になりますが、赤字附加価値の繰越をどういうふうにお考えになつておるか。勧告案におきましては次年度以降認めておるようでありますが、これは地方自治庁案においては、二年に限つておられるようであるが、この点どうでありますか。それから外国における附加価値に対しては当然非課税といたすべきだと思うのであります。実際の捕捉が非常に困難であるのであります。尚外国におけるかような収益については当該外国において課税されておりますから、外国における附加価値には当然非課税といたすべきだと思いますが、この点如何でありますか。
  261. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 赤字附加価値額の繰越は五年間ということにいたしております。それから外国における附加価値額の問題がございましたが、外国だけの営業行為については課税されないと思います。併しその運賃収入が外国で得られた半面に、それに伴う支出金額がこちらで支拂われることになる、こういうような問題もございますので、本邦内において収支を帰属させて計算されるようなものは一体にして計算しませんと片手落になるのではないかという考え方をしております。併しながら明確に区分できるようなものにつきましては、固より課税の対象にする考はないのであります。
  262. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 この外国における附加価値の問題は恐らく、船舶だけとは申しませんが、船舶が一番大きな問題だと思います。殊に今後は第三国関係、第三国の間における航路が段々開けて行くのでありますから、この点につきましては他の一般と同じような基準、考え方で行きませんように、是非御研究を願いたいと思います。  それから最後に、もう時間もありませんから、簡単に申上げたいのは、事業税の問題でありますが、先程村上委員から御質問なつた第七百四十九條の問題でありますが、今回附加価値税が延期になつて地方税を課するということでありますが、この電気供給業、ガス供給業、運送業には特別の措置を拂つて第七百四十九條の規定ができたのであります。ただ私は勿論他の運職業に対しても第七百四十九條の妥当でない点が指摘されるのでありますが、而も運輸業のうちでも最も船舶に関しましてはこの点が妥当でありません、と申しますのは、先程小野政務次官のお話がございましたが、価格の統制を受けておるものにつきましては、地方自治団体に対して外形標準的に課税するといいますが、他の電気或いはガスは価格の統制を受けておりますが、現在の海運業は価格の統制を受けておらない。全く自由企業形態であつて、殊に四月一日以降は全くの自由運航をいたしております。殊に現実は御承知通り百八十万トンの船舶のうち百万トンが繋船しておりまして、恐らく最近におきましては現在のサブシデイというものが全然なくなると思います。さような際に電気、ガスは、例えばその価格の中に事業税を転嫁することもできますし、尚又先程お話のように価格の統制を受けておるのであります。価格の統制を受けてないもので、而もそれが相当の現在マーケツトがアツプワードのとき又はいいときには、状況のよろしいときにはいいのでありますが、全く現在の海運運賃或いは傭船料というものは非常なものであります。さような際に全く本質的にも経済的にも釣合う電気供給業及びガス供給業と同じような範疇の下に、尚又先程のお話のように地方自治団体に対する応益主義からこれをかけるということになりますと、現在の海運運賃、海運傭船料の本質及び船舶の地方自治団体に対する応益主義によつてそれを支拂うべきではないという二点から、私は第七百四十四條におきましてはどうしても私は運輸業の他の部門におきましても考慮さるべきでありますが、私は特にこの船舶に関しましては、今申しましたような二点から、むしろ先程の政府委員の御答弁理由によつて、むしろ、これは特別の措置を講ずべきが妥当ではないか。この点に関する御意見を承ります。
  263. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。先程からガス供給業、或いは電気供給業、運送業に関する事業税課税標準についての御意見があつたのでありますが、これらの問題につきましては、従来の事業税が収益課税になつておる点を逐次是正いたしまして、附加価値税考え方であるところの外形標準による課税の方法を取ることに今回の法案といたしましても考えられておりますので、特に海運業のみについて収益課税の措置を取るということはこの法律の適用上果してつ妥当であるかどうかということにつきましては疑問があるのでございます。従いまして法律の建前といたしましては収入金額を課税標準とすることに取扱つて参ることになつておりますことを御了承願いたいと存じます。
  264. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 只今答弁がございましたが、本質的な問題につきましては御答弁が私の期待する程度にございませんでしたが、ただ私が当初申しました通り、今回の地方税に関しましては、大局的に見て、現在の諸事態における現状その他から見て、私はこの通過を期する一人であることは度々申す通りでありますが、負担の均衡を期し、そうして本当に将来の財源を培養するためには、産業の育成ということを、どうしても税制を考える際には十分考えなければならんということを痛感いたすのであります。さような点から私は單に海運業を一例に挙げただけでありまして、将来この地方税を單に税制の見地からのみ考えないで、その担税力を負担しておる重要産業、各産業の育成再建という見地から十分御考え下さつて、将来の創意なり政府委員の方々の御答弁に基いて将来の善処を特に要望いたしまして質問を終ります。
  265. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 以上を以て御通告順による質疑は終了いたしました。他に御質問ございませんか……。なしと認めます。よつて連合委員会は以上を以て打切りにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。それではこれで連合委員会は打切りにいたします。今日はこれで散会いたします。    午後五時五十五分散会  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            竹中 七郎君            石川 清一君   大蔵委員    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            佐多 忠隆君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            清澤 俊英君            野溝  勝君            松永 義雄君            森下 政一君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   農林委員    委員長     岡田 宗司君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            土屋 俊三君            平沼彌太郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            三輪 貞治君            赤澤 與仁君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            櫻内 義雄君   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            小松 正雄君            椿  繁夫君            加藤 正人君            西田 隆男君   運輸委員    委員長     佐々木良作君    理事            植竹 春彦君            小泉 秀吉君    委員            山縣 勝見君            内村 清次君            小酒井義男君            菊川 孝夫君            村上 義一君   予算委員    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            野田 卯一君            羽生 三七君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            中井 光次君            東   隆君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            泉山 三六君            大島 定吉君           池田宇右衞門君            長谷山行毅君            一松政二君            深水 六郎君            安井  謙君            内村 清次君            佐多 忠隆君            岩崎正三郎君            山田 節男君            原  虎一君            楠見 義男君            高良 とみ君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君            櫻内 義雄君            堀木 鎌三君            森 八三一君   国務大臣    総 理 大 臣 吉田  茂君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君