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1950-10-04 第8回国会 参議院 大蔵委員会租税行政に関する小委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月四日(水曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税行政に関する調査の件  (関税法改正に関する件)   —————————————
  2. 森下政一

    委員長森下政一君) それでは只今から小委員会を開くことにいたします。  本日はかねて公報を以て御通知のしてありますように、関税法改正に関して税関部長の石田君から御説明を聞くことになつておりますので、その御説明をお願いすることにいたします。尚税関部長の御希望で本日の説明ちよつと公表をまだ憚るところがあるそうでございますから、速記を中止して頂きたいという希望がありますから、さよう取計いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森下政一

    委員長森下政一君) それでは速記を止めて下さい。    午前十時二十八分速記中止    ——————————    午前十一時五十六分速記開始
  4. 森下政一

    委員長森下政一君) 速記を始めて下さい。  それでは関税法改正に関する御説明は以上を以て終了いたしましたので、引続いて税制改正について平田主税局長から一応の御説明を承ることにいたします。
  5. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) それでは目下政府考えておりまする改正要点につきまして御説明申上げます。但しこれは大体閣議で内定いたしまして目下関係方面に提出いたしまして、向うで審査を受けておるものでございまして、いずれドツジ公使がお見えになりまして、その際に政府としましても本決りになる、こういう運びになるものでございますので、その意味において御説明申上げますことを御了承願いたいと思います。  税制につきましては、大体今のところにおきましては、先般閣議で二十六年度の分につきまして大綱を決め、それから更に昨日補正予算と関連いたしまして、それをいつ行うかということにつきまして大綱政府としまして一応内定して関係筋に出すということに相成つたのでございます。その内容を概略申上げるわけでございまするが、大体私共前かけ考えていた方針で極力実現を図るという趣旨でできております。新聞紙等で現在書かれておりますように、所得税中心にしまして国税としましてはできるだけの減税を行う。殊に所得税税率控除等税自体としても合理的でない要素が多いから、そういうものを十分合理化することによりまして、税の運用をスムースにして税の負担もより一層公平ならしめようという見地を重んじまして、所得税中心にしまして減税を図るという考えが出ております。そういたしますと、今のところといたしましては、当初の考え通り基礎控除は二万五千円を三万円程度引上げる。扶養控除は現在一万二千円でございますのを一万五千円に引上げる。税率もやはり順次段階をずらしまして百万円ぐらいのところで最高は行くようにしたいという考えでございまして、そういう考えの下に一応計算を作りまして、資料を整えて目下関係方面と話をしておる次第でございます。その他の点につきましては、物品税についてはこれもやはり生活必需品的性質の強いものはできるだけ課税から排除する。それから主として事務にのみ使われるようなものは極力課税から排除するということと、それから税率もできれば最高七〇%でございますのを最高五〇%ぐらいに下げまして、順次下げて行くというような体制を取りたいというふうな考えでおります。それから揮発油税につきましても、大体一般要望が強うございますので、今十割ですが、それを七割程度引下げる。尤もこの揮発油税は一面軽度の関税課税しますので、それとも併せ考えまして七〇%程度に下げると、こういう考えでございます。併せ考え……と申しましたが、国税を七〇%に下げまして、その外に関税がかかるということでございまして、関税がかかるということを考慮に入れまして、七〇%程度国税引下げるという考えでございます。それからその外はまあ砂糖につきましても、若干の課税するものにつきましては軽減を図りたいと思つておるるでございます。それから輸入砂糖課税するかしないかという問題といたしましては、まだ私共は成案を得ていないのでありますが、できますれば税率を下げて輸入砂糖にも持つて行きたいと思つておりますが、この点ははつきりいたしておりませんので計算には入れておりません。目下のところ一番問題なのは酒税引下げでございますが、酒税は大体私共は今の見方からいたしますと、すでに獲得しておる原料でできておる酒、或いは獲得いたしております原料を以て酒を十分造りますれば、相当程度税率なり値段を引下げましても、大体現在予算で計上しておりまする千三十億から千五十億前後の収入は確保できるんじやないか、こういう計算をしておるのでございますが、まあそういう考え方は現在でも尚同様に持つておることでございまして、できるだけ当初新聞に発表しました通り引下げを行いまして、同様の結果をもたらすようにいたしたい。従いましてこの点は今の予算から見ますと大した減にはなりません。ただ放つておきますと、来年は若干の自然増が出るのではないかと考えられますが、その自然増くらいは減税するという考えでございます。  税につきまして主な点は大体そういう考え方目下進んでおるのでございます。問題が尚残つておるものもございますが、制度のいろいろな細かい改正につきましてはシャウプ勧告がまだ出ておりませんので、それを見た上で相当細かに検討をして、それぞれ採用すべきものは、採用しまして、すべてこれは通常国会になるかと思いますが、通常国会に提案しまして御審議を得るつもりでございます。それから今の減税実行期日につきましては、少くとも勤労所得税につきましては来年の一月から実行する、これは殊に米価の引上げ等との関係もございますので、これは何としても実現を図るように持つて行きたい。それから法律の形態としましては或いは一月から三月までの暫定立法という形にならざるを得ないかと思いますが、いずれにしましても勤労所得税軽減ということは時期といたしまして何と申しましても補正予算一緒に出さなければならんという考えであります。それからその他の間接税につきましてもできるだけ一月一日から実行できるようにいたしたいという考えで進んでおります。ただそのうちに酒は正月需給関係がありますので、十二月一日から実行できよるうにいたしたい。ただこの間接税実行時期につきましては尚若干いろいろ問題がございまして、果してその通り行きますかどうか、これは相当疑問があるようでございますが、まあできるだけ私共としましてはさような方向に行きますように努力いたしたいと考えておる次第でございます。それから問題として若干残つておりますが、それは二十六年度の本予算を決める際においても残つておるのでございます。平衡交付金を幾ら殖やすかということでございますが、シヤウプ勧告では最小限百二十億、荷余裕が出れば二百二十億程度殖やしたらどうかという勧告が出ております。この点につきましては目下大蔵省主計局荷歳出面をいろいろ検討しておりまして、今までの検討の結果によりますると、全体としてはそれ程殖やさなくても配分の方法をうまくやりますれば、大体今後増加する財源地方団体で或る程度つて行けるのではないか。来年度予算としては大体におきまして教員俸給増俸分の半分、これは平衡交付金を殖やすという考え方になつております。まあその他の分は原則として各地方団体が自弁するという建前になつておりまして、成るべく地方自治体がそれぞれ自己の財源で節約なり或いは必要な措置を講じましてやる建前にいたしておるわけでありますが、その辺がなかなか簡単には参らない。もう少し増額すべきであるという議論がございまして、最終的にこの点はまだまとまつておりません。ただ一応先般の閣議ではその点或る程度検討するということは言われておりますが、一応決めておりますので、その決つた線目下作業を進めておる状態であります。従いまして、この平衡交付金を或る程度増額しなければならんという議論が出ますその際には、減税は或る程度少くするか、或いはこの外の歳出を少し少くするかという問題を検討しまして、若干の補充を必要とするのではないかと考えます。それは今後の関係方面との折衝の過程におきまして、できる限り妥当を期するように持つて行きたいと、こういう考え目下進めておる次第でございます。そうしまして、来年は大体所得税が大部分でございまして、六百二十億程度減税になります。それから酒の税が今年より五%くらいの自然増が出るというふうに一応計算できそうですが、そうしますと、それに対しまして約四十億ぐらい減るが、本年度予算と比べますと余り減らないのでありますが、そういう考え物品税は来年百八十億くらいになりそうなのを百億程度減税する。まあ揮発油税その他若干増収になりますものの一部を減税することになりますが、今年の予算大差はございません。全部合せまして七百五十億程度の減少になるという計算であります。本年度におきましては、勤労所得税は大分出ておるが、約三ケ月分で五十億くらいの減を来すのではないか。それから物品税が一ケ月乃至二ケ月分の減で十四億、それからその他今年の収入を若干見積り変えましたところによりまして計算いたしますと、尚二、三億ありまして、全体で七十億ぐらいの減収になる。ただ公務員の給与の引上げその他によりまして例のはね返りがございますので、或る程度租税収入自然増が出て来はしないかと思つております。それを二十五億程度増収に組んでおりますから、増収を差引きました分が四十五億という程度に相成るわけでございます。大体まあ先程申上げましたものを本年一月あたりから実行しますと、そのようなことになると、かように考えております。従いまして問題の点は荷若干残つておりますことを御了承願いたいと思います。  尚平衡交付金財源がどうしても減税財源に食われた場合はどうするかという問題でございますが、この場合につきましては、やはり所得税が大部分でございますから、所得税控除なり税率等調整によつて税を減らすより外ないということになるのではないか。或いは外の歳出を削つて貰うとか、その辺は先程から申しましたように今後の問題と思いますから、一応閣議といたしましては、先般決定いたしましたラインで進めるということになると思います。  大体要点は以上でございますが、お尋ねがありましたらお答えをいたしたいと思います。
  6. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この補正税制改正は二十六年度予算にそのまま適用するつもりでいらつしやるのですか。
  7. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 大体二十六年度予算が実体的に姿が決りまして、それを前提にしまして一月から実行できるようにしたいと思います。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今交付金が殖えると減税の方の所得税或いはその他の税の方ですね、それを変えなければならん。ですからやはり二十六年度からそういう変えた形になつて行くのですか。
  9. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 交付金が償えた場合に外の歳出を減さないで減税の方を減すということになりますと、やはり二十六年度を減らすということになりますと、二十五年度の分もそれと合せて減らさなければならん。従いまして補正予算が決まりますのは二十六年度骨格予算が少くとも政府として最終的に決りましてから……、その程度になると思います。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今申しました補正の問題ですが、補正予算において今平衡交付金を殖やす場合に予定の税の体制が変る。その変つたのを又二十六年度にそのまま適用するのかどうか、お伺いします。
  11. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 補正予算におきましては、平衡交付金余り修正を加えなくてもいいのじやないかと思います。昨年の義務教育費国庫負担金の不足が約七百億近くあります。これは補正予算追加支出として認めよう。それから今年の義務教育費の職員の分の年末手当、べ一ス・アップ等もこれは補正予算で見て頂きますが、その外の場合は一般的な交付金の増というものはこれは余り考えなくていい、来年は少し足らなといいう説がありまして、足らないからどうしても殖やさなければならんということになりますと、今申上げましたように一般会計の他の支出を削るか、或いは減税を削るより外ない。減税を削るということになりますと、それと睨み合せまして今年の補正予算においても同じく減税も或る程度縮小せざるを得ない、こういうことになるかと思つております。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから酒税税率について具体的に内容をお話願いませんか。
  13. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 一応私共の方針を変えないで進めておるのでございますが、それによりますと、先般新聞にも出ましたように、酒税の方は一番注目すべきところは清酒二級だろうと思いますが、只今自由販売価格が六百四十五円ですが、それを四百六十円程度引下げたい。小売価格が下がるように税率修正いたしたい。焼酎は四百五十円ですがこれを三百三十円程度にし得るような税率にいたしたい。ビールは沢山飲まれておりますが、下げ方を若干弱くしまして、今百三十二円かでありますのを百二十五円程度に下がるようにして行きたいと思つております。勿論その他の酒類につきましても、高級酒は比較的下がり方も少うございますが、それぞれ小売価格が下がるような体制をとつております。それから税率につきましては大体最高は百万円くらいのところに持つてつたらどうかと思います。これは歳入には余り響きませんので、或いは場合によつて調整を要するかも知れませんが、考え方といたしましては例の八万円とか十二万円というような細かいところは削りたい。上に行きまして十五万円ですね、その辺も削りまして二十万、三十万、五十万、七十万、こういうふうに五%ずつとつて行きますと相当いいのではないか。二十万円、三十万円程度、或いは五十万円程度、その辺の税率が今どうも少しやはり重過ぎはしないかという感じを持つておりまして、その辺を引下げたい。この点はシャゥプ勧告にもありますように、シャゥプ勧告は専ら三十万以下のところの税率引下げを強調していますから、上の方はそう同情的ではありませんが、これは財源関係もあつたろうと思います。従いまして減税を圧縮するとなりますと、この辺を場合によりましては減さざるを得ないと思います。今のところはこのような改正ができるようになるのではないかと考えております。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 シヤウプ勧告によりますと、金額の少いものを減税しますと、税率を動かすのでは非常に手数がかかり、非常に煩雑になるということを言つておりますが、どういうわけですか。
  15. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) こういう意味ですよ。控除引上げるということにいたしますと免税納税者関係は、例えば最低税率の二〇%という税率を仮に一〇%にして見たところで納税者の数は少しも減らない。一人から徴収する所得税も非常に零細になるわけです。従つて非常に手数だけかかつて能率が上らない。むしろ下の方の所得者の税の負担軽減控除引上げによつてつた方がいい、こういう意味でございます。その意味からいたしまして、基礎控除家族控除引上げにより下の方については減税して行きたいということであります。家族控除につきましても二人までに止めて、あとの分は増額しなくてもいいという意見も私共聞いております。勿論これも財源睨み合つてのことであります。私共は七百五十億円程度減税財源があればそういうところをへし折らなくても全般的について一万五千円の扶養控除ができると思つております。併し扶養控除は額が多うございまして、千円上げますと七十億響く。先般は六十億上と申上げましたが、よく計算しましたら殖えまして七十億殖える。頭数が多いから非常に殖えるのであります。
  16. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 二点についてちよつとお尋ねしておきたいのですが、第一点は酒税なり或いは物品税の引下を相当強く行う、この前から織物消費税が問題になつたのでありますが、業者手持品に対する措置はやはりお講じになるか、講じられないのか。これははつきりされた方がいいと思うのですね。それから第二点として物品税内容ですけれども、さつきのお話によると、この春大蔵省で公約した輸出適格品の比較的価格の低いような、例えばライターとか玩具だとか、そういつたようなものの免税或いは免税点を設けるというようなことに相当大蔵省としては意を用いられているということでありますが、そういう点も今度考慮したわけですか。その二点だけお伺いしたい。
  17. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 第一の点につきまして、実は油井さんから大分毎々強い御要望を受けておりまして、前回ののちも大分研究して見たわけでありますが、どうも私共といたしましては、なかなか実行し得るような成案を得ないで延び延びになつて来ているわけでございますが、今の段階におきましても、自信のある案が出来かねておりまして、今のところといたしましては諦めざるを得ないという考えでございます。殊に物品税を減じたり或いは一部廃めたりするわけでございますが、理論的に申しますと、ひとり織物についてだけ考えるという理由が立たない。そうしますと、前回物品税の場合においても若干細く考えますと、類似の現象が相当つたのではないか。織物一般の値下りと一緒に下げましたときに四割一挙に外れたというためにひどく市場に響きまして、業者としましても誠に御迷惑の向きも多かつたと思いますが、準備してやるというふうには私共としては行えないのではないか。そうしますと、到底これは技術的にも或いは実際問題としましても実行困難でございまして、諦めざるを得ないというように考えている次第でございます。物品税につきましても、課税廃めたり、税率引下げたりいたしますが、その際にもどうも業者の方はできないという考えでございます。又酒につきましても同様でございます。公定価格のあるものにつきましては、マル公改正業者の手持ちしている間くらい引延ばしておく。下げるのを経過的に一週間とか十日延ばす。今までそういう方法をとつているのでありますが、そういうことをできるだけ考えまして、不当な損失を与えないようにいたしたいと、配慮は十分いたしたいと思います。返えすというような方法はなかなかむずかしいのでありまして、その点は御了承願いたいと思います。  第二の問題としましては、極力考えるべく目下研究いたしております。ただ輸出適格品なるが故にということは余り理由にならないと思います。玩具でもその他の物につきましても、それぞれ物の性質に応じまして、実用品性質の濃厚なものは課税から極力除外するか或いは免税点によつて除外する、そういう考え方で妥当な案を作りたいと、このように考えているのであります。ライターの場合ですと、どうも免税点を設けるのがいいかどうか問題となつておりますが、玩具だとか家具漆器陶磁器とか相当奢侈品でもあるが又実用品として使う、こういう場合のものにはできるだけ免税点を妥当に置きまして、さつき申上げました趣旨実現して参りたいと思つております。
  18. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 併しこれはこの春政府側では公約しておるのでございます。輸出品で以て止むを得ず国内に転用しなければならなくなつたようなものについては、課税の外へ置くように考えたいということをはつきりと公約しているのです。
  19. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) それは恐らく輸出適格品であつて、如何にも奢侈品と申しますか何といいますか、そう言えないようなものを外すという意味だろうと思いますが、普通の国内品みたような場合、輸出適格品なるが故に特に免税をするということはどうだろうか。そこまでは申していないのではないかと思いますが、結果に従いまして一致するかも知れませんが、又私の説明が少しむずかしく言い過ぎているかも知れませんが、結果は全体としましてできるだけそういうことが実現できるようにいたしたいというふうに考えております。
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 物品税改正案実施は来年一月一日からですか。
  21. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) そのようにいたしたいと思つております。
  22. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから酒はいつからですか。
  23. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 酒は十二月一日ということで進めたいと思つております。これは御承知のように酒は正月の需要が非常に多いのでございまして、一月一日から行いますと、一番大事なときに需給の変調を来すということになりはしないかということを心配しておるのであります。この間接税実施方につきましては、或いは酒は私共の希望している通り行きますかどうですか、この辺はもう少し全体の、来年度予算、本年の予算の進行が、更に一層論議が尽くされたあとでないと自信のあるお答えは申上げにくいということを一つ御了承願いたいと思うのでございます。
  24. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この所得税軽減ですが、シヤウプの案によつた場合には幾ら減になり、それから今度政府でお決めになつた案によれば十五万円以上ですか、二十万円から三十万の辺を下げる場合ではどのくらいになるのか、その両方の減税額の比較はどのくらいになるのでございますか。
  25. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは今研究しているのでございますが、シヤウプの案が実は税率はつきりしていないのでございます。下の方の税率を下げるということは言つておりますが、従いまして正確な計算がどうもむずかしいのではつきりしたことは申上げにくいのですが、ただ扶養控除を二人に止めますと、止めない場合には約二百十億ぐらい減るところが二人に止めますと、百四、五十億ぐらいになる。半分にもなりませんが七、八十億違うようでございます。税率の点はシヤウプ案はつきりいたしませんので、余りはつきりした計算はできませんのですが、上の方は緩和してもしなくても歳入としては大差はございません。二十万ぐらいのところまでの税率をどうするかによつて税収は大分動かされるという関係になるのでございます。尚その辺はもう少し附録で或いは相当詳細に検討しておるかも知れませんが、出ました上でよく研究はいたして見たいと思います。
  26. 小林政夫

    小林政夫君 物品税免税点の決め方、これはどういう基準によつて……、税収の問題と睨み合せてですか。
  27. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは税収の問題もあると思いますが、例えば家具のようなものは、大体家具のうち日用品的なものは外そう。箪笥の場合、それは総桐箪笥はまだ課税していいのではないか。三万桐ということになりますと、特別いい物以外は外せるようにする。それから整理箪笥課税すべきではないと、相当細かに行きましてバランスをとつて行く。漆器陶磁器等の問題でも普通の家庭で使うようなものは外して、料理屋等で使う高級のものはかかつてもいたし方がない。そういうライン相互バランスを図りましてそれぞれ決めるという考えでございます。
  28. 小林政夫

    小林政夫君 物価指数から考えると、前年度のものと比較して免税点が少し低過ぎるというそういう陳情があるのでありますが、その点どうですか。
  29. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) それは物品税も段々控除が拡張されまして、最初決めたやつはむしろ下げて来ておりますから、いつの物品税免税点が妥当であつたか、そこから議論して行かないと分らないのでございます。そういうものも一つの参考にはなろうかと思いますが、むしろ現在の実際の済費状況も見て相互物品バランスを見て妥当なものを決めるという考え方検討をいたしておるのでございます。
  30. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 物品税の問題ですが、今までの税率を一律に引下げるのか、そこにいろいろ不均衝がありますね、類別その他についても相当改正をしにおりますか。
  31. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 不均衡な点は直したいと思いますが、大体におきましてはやはり率直に申しまして、九〇%は今の配列でございますね、状況変化によりまして少し変えなくちやならんのが大分あります。例えば今までは統制がきつく闇で売られた、そういうものが少し高くなつておる、自由販売で買える、そういうものは税率の下げ方をきつくすると、状況変化ということによつて権衡を失するというものは修正をいたしたいと思います。大体今の甲類は奢侈品の代表的なものである。それは七十から五十に下げるということに大体におきましては配列を下げて行つて、お話の通り不権衡なものを若干調整して合理的な税率を出してバランスしようと、こういう考えであります。
  32. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 例えば具体的にいうと、蓄音器とレコードというようなものがありますね、その場合に両方は類別が別になる、ところが楽器はより下であるに拘わらず蓄音器は上になつておるというような問題があるのであります。
  33. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) その点は今検討をいたしております。
  34. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ああそうですが、こういう非常に我々から見ても我々不合理だと思われる点があるので、それらの点は特別にお考え願いたいと思います。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 物品税を下げますと、所得税と直接税と間接税の割合どのくらいになるのでありますか。
  36. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは所得税相当大幅に減りますから、結果から申しますと、直接税が減りまして間接税は減らない、物品税は減りましても七、八十億、所得税は五、六百億。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 比率は逆に上りますか、直接税が下るという傾向になるわけですか。
  38. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 比率は間接税が上つて直接税が下るという傾向になるわけでございます。それは先程申しましたように、所得税が一番いい税で、所得税中心にしたいということでございますが、今の控除税率は今の国民生活の実情からして所得税自体として少し高過る或いは控除が安過る、もう一辺この辺でやりますと余程よくなると思います。若し私共が今考えております通りのところで行きますと、今後賃金、物価が余り動かないと所得税相当いい姿になるのではないかと思います。勿論控除その他はまだ或いは余地があるかも知れませんが、そういう気持を持つております。
  39. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今度の二十六年度予算だと租税収入、印紙収入まで引つくるめて租税収入百八十一億去年に比べて増になつておりますね、ところがこれは九月二十日の閣議決定案によつてそれだけ増になつておるのだが、その前の発表になるかどうか知らんが、新聞で我々が知つた大蔵省原案というものは五千A百六十九億、むしろその場合には前年度よりこれだと少くなつておる計算になるのではないのでありますか。
  40. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) いえ少くなつていないのであります。五千九百三十億という……。
  41. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 五千九百三十億ですか。
  42. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 税は今年四千四百六十億でございます。それは最初見積りました額は四千五百九十億という数字……。
  43. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 四千五戸九十億……
  44. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 三十億が減りましたのは酒は内輪に見積つたのですが、やはり所得の増加などによる自然増は出るものとして歳入計算して行くのが合理的だろうと思うので、五%ぐらい増を見て一応改正前の収入を見込んでおるのであります。さつき申しましたようにそういう見込方をいたしますと約三十億円ぐらい殖えて四千六百二十七億円ぐらいになる。それからさつき申しました減税で来年度は三千八百七十五億円程度になる。こういう計算です。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税法上の譲り論ですか。
  46. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 今のままで放つて置くならば来年度は国民所得の変動、それから消費の状況によつてその見積つたものに対して改正案を適用して来ると幾ら減るかという計算であります。今年の予算に対しては自然増収と相殺されまして、五百七十億円程度の税の減少ということになります。
  47. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 所得税の滞納が非常に多いので問題になつておりますが、本年度の申告所得税の実際の収入額はどの程度の見込か、又来年度予算において現行法のままで行けばどの程度に見積られておりますか。
  48. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 本年の租税収入については検討しておりまして、補正予算で見積額を出すようになつております。その大体のことを申上げますと、勤労所得税がやはり相当自然増収が出ておる。勤労所得税予算が九百八十三億、それに対して千百四十八億でございますね。約百六十五億程度増収になるそうです。この頃毎月百億程度つておりますけれども、これだけは十分に入つて来ると見込んでおります。それから申告がこれに反して成績が悪くて千五百億と見込んでおりますが、大体千二百億程度じやないか、これは成績が悪いということにはいろいろあるのでございますが、実は最初見積つたときに比べて法人になりましたのが大分多いようでありまして、法人になると源泉所得税と法人税に申告所得税が分れて行くわけでございますが、そういう要素が相当あるのと、それから減税、税法改正によつて合算等の効果が私共が考えましたよりは少し大きかつたのであつて、最初の見積りが少し無理があつたのじやないかと考えます。千二百五十億、千二百億程度、そこに法人税が約五百九十億円程度に殖えるのじやないかということであります。あとは大体異動はございません。市町村民税は程度が低くなつて百五十億見積られておりますが、本年度は減るのじやないか、七十億程度じやないかと思つております。これは例の日発とか、大きい配電会社が執行を繰り延べたので、それが大分影響があるのじやないか、それで一般に小法人がやつていないというようなことで減りました。併し全体はさつき申しましたように、給与の撥ね返りで、来年度は二十五億ぐらいの自然増収になる、こういうふうに思つておるのでありますが、さような傾向を持つておりますが、申告所得税が千二百九十五億、税法を改正しない前でございます、……という工合になります。勤労所得税はさつき申しましたように千百四十八億であります。
  49. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 シヤウプ勧告では農業所得などに勤労控除を認めたらというふうになつておりますが、あの点に対しての考えはどうか、それから商工業者については控除しないのはどういうわけか。
  50. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) シヤウプ勧告で商工業者を考慮しないのは、恐らく商工業者も理論上は認めてもよいだろうが、一番大きい理由は、まだ申告が税法通りなされていない。税務署の把握もそこにいつていないというところに注意したのだろうと思います。それからもう一つは何と言つても農民、漁民の所得に一番勤労的分子が強い。だからそれをやるにしても農民、漁民からの状況がよくなつてから理論上は私は商工業者にやつてもよいのじやないかという意見だろうと思います。そういう考えだろうと思います。これに対して目下いろいろ研究いたしておるということでありますが、勤労控除の一五%、暫くおいてやるのがよいのじやないか、今お話したように商工業者にやるべきかどうか、その辺を検討して結論を下したいと思つております。それをやりますと、四十億ぐらい減りますので、何か代り財源を求めて来ないと、さつき申しましたように所得税をどこかでへし折らなければならんということになりますので、砂糖課税の問題等とも関連して、最終的結論を得たいと、その辺は若干問題を残しております。御了承を願います。
  51. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 今の問題は、非常に大きな検討を要する点を含んでおると思います。併しシヤウプ勧告においては青色申告の制度を設けまして、真実の所得を把握するというのが建前になつておりますが現実なかなかそうはいかないから、今のようなことが考えられたことじやないだろうか、そうすると昨年四月シヤウプ博士が考えたのと、今年考えたのと大分開きがついて来たようで、税制全体の問題として再検討を要するのではなかろうかというように考えます。その点についてお答え願います。
  52. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 御尤もですが、やはり一挙にして完璧になるということは私共最初から考えておりません。恐らくシヤウプ勧告と雖ども考えていないのじやないか、徐々によくなつて行くだろう。成るべく早くよくするようになることが望ましいと思います。今年から直ぐ一挙にして全部税法の通り課税するということは、理想通りということなかなか期待できないし、従つて時期をずらしてそういう問題の解決を図る、こういうのじやないかと思います。従つてやはり理論上は農民だけにするという理論はない。どつちかと言うと、農民が一番勤労的分子が強いという意味において先にやるのはよいと思いますが、いつかは揃えて然るべき問題じやないかと思います。
  53. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 私の申上げるのは、勤労所得の控除の割合ですね。そういうものも再検討する必要があるのじやなかろうか、それから青色申告所得者課税についても相当措置を講ずる必要があるのじやなかろうか、そういう点が新しい問題として出て来るのではなかろうかと思いますが。
  54. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) ただ又逆戻りをするということはなかなか考えにくいのでありまして、勿論一遍に理想状態には到達しないが、徐々に理想の方向に持つて行くという考えを持つておりますので、勤労控除を逆戻りにして余計にするということには行きがたいのであります。農民から控除を認めて、それから状況がよくなつたから、一般控除を認めるというような方向で問題を解決すべきじやないかと、こういうところじやないかと思いますが、確かにお話の通り問題の点だろうと考えております。
  55. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 本年の補正予算ですね、仮に減税するとすると、差引四十五億ですか、減税になるというお話でありますが、これが全体の予算から言つて相当カヴアーし得る見込ですか。
  56. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) これは併し大体財源価格調整費が二百億ぐらい、それから一般歳出の縮減で五十億ばかり出す、国債費が十三億程浮いて来る、その外いろいろ財源が出て参りまして、煙草は八十億ぐらい出ると計算をいたしましても三百三十九億円程度の余裕財源が出て来る、税の二十五億の新規の増を見まして、そうしましてそれに対して追加すべき財源が失業救済費とか災害とか或いは給与改善費等全部入れまして二百六十九億、差し引七十億円程度税を減らしてもいい、こういう大体の計画でございます。
  57. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 そうしますと、先程物品税等の施行時期は何か歳入関係等も考慮して多少今考え直さなければならんというようなお話もありましたが、果して歳入の点だけについてでございましようか、外に何か理由がございますか。
  58. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 例えば歳入に専売益金の減少三十億となつておりまして、これはいろいろ調べた結果更にもう少し減るといつたような心配が出て来ますと、財源が出て来ないということになりますので、尚まだ政府としましてはこれで行けるつもりでございますが、まあいろいろな方面に意見があるかも知れませんから、そういうはつきりもう何びとと難も疑問の余地がないということだけでなくて、相当中にはまだ意見の差によつて食い違いが出て来るというフアクターがございますので、そういう事情が出て参りますとやはり物品税実行といつたようなところを延ばすか、或いは歳出でも災害関係費なんかはまあ十億余計今年出すか、来年出すか、この辺は或る程度ポリシーによつて決ると思いますが、その辺で調整するか、併し問題は残されておる、こういう意味で申上げたわけでございます。まあ私共のところの今の計算といたしましては、政府としましては大体できるという意味でございます。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 資料ですが、閣議で決定をなさつた税制改正に関する基本方針なのですが、或いは改正の要綱でありますね、来年度のもの、補正予算のもの、若しありましたら、資料として頂きたいのでございます。
  60. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 要綱の方はございますから、後でお届けいたします。
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 九月十五日かにお決めになつた基本方針、それらも一つお願いいたします。
  62. 森下政一

    委員長森下政一君) 外に御質問ございませんですか。それでは一応これを以て租税に関する小委員会を閉じることにいたします。    午後零時四十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     森下 政一君    副委員長            杉山 昌作君    委員            愛知 揆一君            大矢半次郎君            小串 清一君            黒田 英雄君            佐多 忠隆君            野溝  勝君            小林 政夫君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   説明員    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主税局税    関部長     石田  正君