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1950-09-02 第8回国会 参議院 大蔵委員会金融政策並びに制度に関する小委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二日(土曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○金融政策並びに制度に関する調査の  件   —————————————
  2. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) 只今から大蔵委員会金融政策並びに制度に関する小委員会の第二回を開きます。  本日は先ず外国為替管理委員会委員大久保太三郎氏、同じく杉原雄吉氏の御両氏が見えでおりますので、最初外国為替管理委員会委員の方々から、最近問題になつておりまするところの輸入計画の問題、それからいわゆるユーザンスビル期限附輸入手形の問題、それから輸入についての指導、承認制の今後の運営見込み、それから外貨予算、なかんずく長期外貨予算計画というようなことについて、委員会委員の方から概略御説明を願いまして、それに対して御質疑をお願いしたいと思います。  尚十一時頃から貿易業者の代表として第一物産社長の新関さんも出席される筈でございます。それではどなたから御説明願えますか。
  3. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) 私からユーザンスのことを御説明申上げたいと思います。
  4. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それでは最初ユーザンスビルのことを中心にいたしまして、外国為替管理委員会杉原委員から御説明願うことにいたします。杉原委員
  5. 杉原雄吉

    説明委員杉原雄吉君) 最近輸入が、非常に輸入しなければならない量も沢山ありますし、輸入をする必要が非常に起つて参りましたことにつきまして、今まで行われておりました輸入方式というものは、スキヤツプ時代輸入貿易の遺風をそのまま受けておりますために、手形が参りまして、それから荷物が参りますと同時に業者の人が円を拂つて手形決済して、直ぐ荷物を引取るというふうな組織になつております。従つて業者といたしましては、非常に早く円を用意しなければ仕事ができないというふうな状態になつております。これでは今は非常に円資金不足している。それから又日本金利は少し国際的に見まして勿論今は非常に高い。こういうためにコストもかかりますし、金融も甚だ困難である。そういうのでこれは戰前からやつていた国際貿易慣行であるユーザンス手形を工夫しなければいかんということになつたのであります。  ユーザンスというのをちよつと御説明した方がいいかと思いますので、勿論御承知かも知れませんが一応お話いたしますと、これはアメリカから日本輸入する場合のことを申しますと、綿なら綿をアメリカから輸入いたします場合に、向う輸出業者船積みをいたします。船積みをいたしますと、それの必要のある書類銀行に提出する。そうしますと銀行信用状を受けておりますので、その信用状條件に基いている船積み書類を提出すれば、そこで直ちに金を拂つてしまう。そうすると銀行はその拂つた荷物を、つまりB・Lその他の船積書類でありますが、これを日本へ送つて来る。日本信用状発行銀行へ送つて参ります。そうすると信用状発行銀行は今まででしたらば、直ちに円を取つて業者にその手形決済して荷物を渡してやつたわけでありますが、これをユーザンスが付きますと、つまり期限が付きますと、例えば三ケ月なら三ケ月そこに余裕ができまして、三ケ月経つでから業者は円を拂つていいので、で、荷物銀行業者に対してこれはトラスト・レシートと言つておりますが、これは荷物貸渡しになります。單に荷物讓つて、而も業者はその間にその荷物を直ちに売捌くことができる。それでそこに二ケ月なり何なりの期日がありますから、その間に所要の円を取得いたしまして手形決済する。非常に楽になるわけであります。こういうことが国際慣行でありまして、ユーザンスという言葉自身もこれは習慣といいますか、つまり綿なら綿についてはこういう取引方法でこういう延拂になるということ。それから或いは、例えばアルゼンチンとアメリカとの取引はこれを何ケ月でやるとか、こういう大体の国際上の決めがあつたわけです。一番商習慣に合うような取決めがあつたわけです。それに応じて何ケ月の延べになりますか、延べといいますか、そういうような取引をするという慣行になつてつた。それでユーザンスという言葉ができて、ユーザンス手形となつておるので、期限付に違いありませんが、ユーザンスというものは慣習という意味、そういうようなことで戰前からずつとやつて来たわけであります。それをやりますためにどういう利益がありますかと申しますと、アメリカ輸出業者というものは、非常にニユーヨーク東京の間はこれは距離的に離れております。自分船積をしてそうして東京まで荷物が来て、そうして円を取つて、そうして外貨を又送つて貰うというのでは非常に時間がかかる。そうして為替のリスクも含みます。それで今言つたようなユーザンスをやりますと、ニユーヨーク一定書類さえ提出すれば、直ぐそこでその取引のけりがついてしまうというこういう輸出者としては非常な利益があります。それで又輸入者としましてはどうかと申しますと、円を拂わないで荷物受取れる。そうしてそれを何ケ月かのユーザンスがあれば、その間に売捌くことができる。売捌いてそうして円を拂つて決済すれば非常に貿易がしやすくなります。殊に現状日本においては円が足りない、金利が高いという場合に、低い金利で円の心配なしに商売ができると、こういう利益があります。而もその間に為替銀行というものが立ちまして、結局為替銀行というものはニューヨークで金を拂つて荷物を担保に取つて、そうして貸付金をしたということになる。その貸付の元になるものは外貨であります。従つてその外貨というものは日本金利より低い、低いのみならずそれを為替銀行としてはロンドンニユーヨークの世界で一番低い金利を利用して業者に均霑させる操作をしますので、従つてその間の金利というものは当然低くなります。それで為替銀行がつまり仲に入る、これが為替銀行為替銀行たる一番主要なる業務ではないかと思うのであります。そういう利益があるために国際貿易においては必ずユーザンス手形というものを普通使つて仕事をしておるわけであります。先程申しましたように、日本は初めに何といいますか、キヤッシユ・ベースのような取引で終戰後スタートしたためにその利益というものが得られなかつた。そこで今度はどうかしてそのユーザンスという方式を又元の通りに復活したいと、こういう要望があるのは当然なのであります。そこで、それではどうしたらそういうユーザンスというものが出せるかと申しますと、これは為替銀行外貨資金を持たねばできない。つまりニューヨークで先に金を拂う資金を持つていなければならないわけであります。そうすると、日本側銀行の位地を考えてみますと、この外貨資金を得てから借りて来るかという方法があるわけです。ところが今の為替銀行日本為替銀行というものは勿論ついこの間国際為替市場に乗り出して、而もこれは非常に厳選をしなければ、これは信用第一の仕事でありますから、ならんというので、その資格を審査した結果、十一行というものに限り、而も今まだ独力でやつておりません。すべてスキャップがその取引に対して責任を負う。スキャップ並びに為替管理委員会がその責任を負うという條件の下にやつとこの間七月から仕事をスタートして来たわけです。従つて又支店もありませんし、預金がとれるわけがない。又借入金をするといつたところで、そういう状態銀行が安い外貨を、又それを十分ユーザンスなんかに使うだけの金額を調達し得るわけがないのであります。そこで独力で外貨を持つことができないということになれば、それじや日本として外貨を持つているのはどこかと申しますと、今は為替管理の必要上、偽替管理委員会に大体において外貨を集中しております。従つて為替管理委員会外貨を持つておる。これを何とかして利用したらいいじやないか。こういう考が浮かぶのは当然であります。ところが最初にそれをなぜやらなかつたかと申しますを、我々の為替管理委員会資金運営というものは、これは成るべく銀行と競争してはいかん。單純に資金を受佛いする。つまり外貨を買つたらば直ぐ円を拂え、外貨を売つたらば直ちに円を受けとれとこういうのが我々の本来の行く道であるという考えでスタートしておりました。勿論この為替会計法では外貨を貸すという行為は許されておりましたが、それが本旨は直ちに円の受拂いをするというのが本旨であろうというので、そういう主義を貫いていたわけであります。ところがこれは割合に最近でありますが、外国銀行がこのユーザンスということを始めて参りました。自分外貨を使用いたしまして、このユーザンス取引というものを始めて参つたんであります。そうすると、どういう結果になつたかと申しますと、我々は比較的現状におきましては余裕のある外貨を持つておりますにも拘わらず、それを使うことができないで、外国銀行自分外貨使つてそういう延取引をやつて来る。そうしますと、日本としてはそれに対して金利拂つてやらなければならない。そうすれば結局外国銀行に対して我々の金を寝かしておくに拘わらず、それに対して金利を拂わなければならんということが起つて来た。それでスキヤツプその他関係の方面で、それは余りに馬鹿らしいじやないか、それならF・E・C・Bの金を使つた方がいいんじやないか。こういう考が強くなりて参りました。我々の資金操作もそういうことをしたらいい。こういうことになつて初めて我々が提案するような、我々め資金使つてユーザンスをやろうという案になつたわけです。それはどういうふう形で使わせるかと申しますと、我々は日本側銀行預金をしてもよろしいし、或いは貸付金にしてもいいわけです。それで我我はそれでは日本側銀行預金するというにいたしますと、日本側銀行というものは支店がないのですから例えばバンク・オブ・トウキヨウ、東京銀工外貨預金をするということは結局その尻は外国銀行へ持つて行かなければならん、又どつかの銀行へ預けなければならんということになります。又今度我々の外貨資金というものはこれは一定のやはりコストがかかつております、田本銀行から借入をしてやればやはりそこに八厘、或いは近頃みたいに証券を出せば—銭三厘というコストがかかつている、だからこれを只で預金することはできない。それから、又その日本側銀行に預けたところでやはり余裕の金は外国銀行へ預けなきやならん。それならば必要な金だけを、所要の金を日本側銀行に利用させて一定国際金利並の安い金利をとつてやればそれで目的は達する、こういうので、主として貸付金でやろうという提案になつたわけであります。そこでそういうわけでこのユーザンスというものを外為の持つておりまする外貨貸付てやるという案になつたのでありますが、そういたしますと、今度我我為替管理委員会というものは為替特別会計運営して、これは円の会計でありますが、これを運営して外貨の売買をしてい為政府機関でありますから、これは円の問題に当然ひつかかつて来るわけであります。ユーザンスをする結果どういうことになるかと申しますと、昔のようにつまりキャツシユ取引をている場合には例えば七月ならば七月にお金を拂つたならば大体船の来るのが一月後ぐらいでありますから、一月後には円が入るというこういうわけで組んでおりました、ところがそれがユーザンスを與える結果といたしまして、それが二カ月なり何なり円の受取というものが遅れます。従つて我々の円というものが足りなくなつて来るというのは考えられるわけであります。そこで今特別会計は約五百億の借入限度を持つておりますが、その借入限度では足りないという結果を来すわけであります。併しこういう特別会計でこういう仕事をやるということは非常に無理があるのではないか、と申しますことは、我々の会計貿易が殖えれば、例えば輸出手形なんかが殖えれば当然買わなきやならん、円がないからこれを止めるというわけには行かないのでありまして、非常に受身の会計で、輸出輸入の量が殖えればそれに従つて円の出し入れというものは殖えて来る。それから又例えば今のような特需朝鮮関係日本外貨が非常に落ちるといろ場合にはこれを予算以上に買わなければならん、そうすると円が足りなくなります。そういうわけで受身の会計であつて貿易の消長と共に増減して行く会計一定予算の枠に入れまして買為替はこれだけ、輸入為替はこれだけという一定の枠があつて、それの見合で足りない分は拂うという、限度幾らとこういうふうにしでありますから、その予算数字を越えて輸出が殖えるというような場合には足りなくなつてしまう、まあこういう生きた仕事をしている会計としては、この予算でやるということは、そこに相当の伸縮性を持たないと非常な不便を来すのではないかと思うのでありますが、それにつきまして、今我々の会計がどうして五百億では足りなくなつたか。それから将来ユーザンス手形をやつたらばどれだけの所要の金が要るかというようなことを掘り下げる作業を今司令部に、大蔵省関係通産省、こういうところとやつておりますので、また数字が本当には固まつでおりませんのです。現状は一体どのくらい足りないのかということがまだ固まつておりませんのです。これはどうしてそんなに固まらないかと言いますと、ガリオアの金が出たり入つたりする。それから通産省との関係が、元通産省ガリオアで先に入れて、あとからガリオアの金を返して貰うというような取引がありますし、前前からスキャップが円を考えずに外貨だけで取引をしていたというようなものの残りもあつたりして、いろいろ通産省との関係は整理しないとしつかりした数字が出ないのであります。それを今やつております。それから今度は我々の将来の円がどのくらい足りないかというようなことは、予算や何かと睨合せて、予算というのは外貨予算でありますが、それを決めて、それからそれに対する円の供給がつくようになるまで、ユーザンスというものは円の会計から言えばできないという結論になつております。以上ユーザンスを我々が提案いたしました理由であります。
  6. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それでは引続いて大久保委員から、外貨予算の問題その他につきまして御説明願いたいと思います。
  7. 大久保太三郎

    説明員大久保太三郎君) 今の委員長のお言葉でございますが、外貨予算につきましては、閣僚審議会幹事会に私の方の奥村委員が出席しております。そうして閣僚審議会の方には諮問委員としまして木内委員長が出席しております。外貨予算の二とにつきましては、私今日両委員から資料を預からずに参りましたので、現在政府で考えております長期予算の編成の問題その他につきましては、残念ながら資料を以て御説明する用意をいたしておりませんので、この席では御容赦願いたいと存じます。  只今杉原委員から御説明申上げました期限付手形制度を実施するについて、外為特別会計資金繰りが、円の資金繰りがどういうふうな状態になるであろうという一応の見込につきまして御説明申上げたいと思います。尤も只今杉原委員が申しましたように、昨今関係筋の方で私の方の者、大蔵省通産省の方と共同たまして、この問題は今検討中なんでございまして、まだしつかりした見通しを立てかねてかるのでございますが、為替管理委員会といたしまして、どういうふうな見通しを持つているかということを、簡單に申上げてみたいと存じます。  それで、先ず支拂の方でございますけれども、まあ仮に資料の便宜上八月二十一日から九月の末日まで、この四十日間を基準にいたしましたのでございますが、只今の施行されております外貨予算資料、それからガリオア資金委員会に預つておりますスキヤップ・コンマーシヤル・アカウントに返済されます見込量、そういつたものを基礎にいたしまして一応算定いたしますと、九月末までに約三百七十億程の支拂があるだろう、そう考えております。それから—方受取の方でございますけれども、これは輸入資金決済、それから政府の旧時代通産省政府輸入をいたしました分の決済資金が入つております。それからいわゆるインヴイジブル・インポートでございますが、これはインヴイジブルでいろいろな運賃、保険料その他を支拂う分、そういうものを加えまして大体この申上げました期間受取が二百十億ぐらい予想いたしております。それから大体この差額はどういたしましても約百五十億見当のものがこの九月末には為替特別会計といたしましては、円の資金不足じやないか。そういうふうな見通しを一応持つております。尤もこれはいろいろな資料によりまして、吟味いたしたのでございますけれかも、例えばこの支拂の方におきましても、輸出数字は刻々変つておりますし、殊に特需関係は一週間に大体—回乃至二回ぐらい私共の会計から円を米軍の方に渡しておりますが、非常事変動たしてまして、ちよつと見通しが困難な性質のものでございます。それで只今申上げました数字は、実際の数字といたしましては今後相当変る可能性十分ざいますのですが、一応の見通しといたしまして、そういうふうに考えております。  それから只今申上げましたのは、現在やつております決済方式そのままを踏襲しての話でございますが、これを只今杉原委員が御説明申上げましたいわゆるユーザンス制度をこの際実施いたしまして、為替管理委員会から利用させました資金による期限付手形決済を延す、そういたしましてもこの九月末までの期間におきましては、円の收支の状況は全然変らない、そういう見通しでございます。それからもう少し長期見通しといたしまして、例えば十二月末を見まして申上げますと、現在の方式で参ります場合と、ユーザンスを実施いたします場合と、これを比較いたしますと、円の不足の増加が凡そ年末におきましては百七十億ほど殖えるであろう、つまりこれだけユーザンスの実施によりまして円の不足が殖えるのじやあるまいか、そういう見通し只今つております。只今申上げましたように九月末現在を標準にいたしましても、円の不足が百五十億程度生ずるという原因でございますか、一つ輸出は御承知の通り非常に好調でございまして、委員会輸出ビルの買取りは依然として多いのでございますが、一方特需の方の支拂いも引続いてございます。そのために委員会といたしましては、平均極く昨今の模様を申上げますと、千億ぐらい佛い超になつております。それから受取りの方でございますが、受取りがこう少いと申しますのは、先程説明申上げましたように、外銀ユーザンス制度を実施いたしておりまして、この制度日本側為替銀行が全面的に利用いたしております。外銀が與えました信用許容限度まではこれを利用いたしておりますために、決済が後に、円の決済外貨決済もでございますが、繰延べられておりまして、現在でもやはり円の支拂いが遅れておるという状態が生じておる結果でございます。簡單でございますけれども、存じておりますところを申上げました。
  8. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それでは只今までの御説明に対しましての質疑をお願いいたしたいと思います。
  9. 松永義雄

    松永義雄君 昔やつてつた取引アメリカ輸出者が同じ証券を持つて行つてそれに手形を附随させるわけですね。それは支拂い期日はどのくらいの期間があるのですか。
  10. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) そこは昔のようなところとちよつと違う点がありますのです。それはこういう今の輸入と申しますものは、つまりユーザンスを付けるということは、昔のことでございましたら三ヶ月延拂いとかいうふうな形になりまして、アメリカ輸出業者は本当は三ヶ月後に金を貰うことになりますのですね、そうしまと、どうして直ぐ金を貰えるかと言いますと、三ヶ月後に貰うのを銀行割引して貰つて直ぐにお金を貰つてしまつていたわけです。ところがそうするとその向うにおける割引利益向う輸出業者が、つまり割引というのはニューヨークならニューヨークは安い金利でございますから、安い金利というものは向う輸出業者が貰うつわけです。併し今スキヤップがやつていたような取引は、これは日本信用がなかつたために向う直ぐ金を拂わなければ応じなかつたわけです。そこで今までの取引というものはすべてユーザンスと言つておりますが、実はサイトであります。取引の基になります売買契約というものは、ニューヨークで直ぐに金の貰えるという契約なんです。従つて昔で言いますようなユーザンスとはちよつと違つたサイト取引をしまして、そうして向うで金をいきなり現金拂いの相場で物性買つてつたわけです。そうしてそこでやりますから、従つて日本輸入業者は物を安く買えたわけです。それでこれを延ばしますためにニユーヨークにおける安い金利を享受するのは日本側が享受したのです。そういう取引でやつております。従つて今もそれを踏襲いたしまして、やはり取引の基になる売買契約というものはキヤツシユ拂いです。それでその間の外貨日本側銀行金融業者金融してやつて、つまり国際金利並み割合に安い外貨金融してやつて、そうして何ヶ月か後に業者から金を取つてろう、こういう組織を今原則としてやつております。でありますからユーザンスと申しますが、輸出業者自身輸入業者自身に與えるユーザンスではなくして、銀行自身が與えておるユーザンス、これをニユーヨークの安い金利を享受するのは日本側の方が安いものが買えるという建前でそれをとつております。勿論昔やりましたような、輸出業者に與える延拂いという取引もやつてはおりますがそれは外国銀行なんかがやつておる取引で、我々が今やろうとする取引はやはりスキヤツプのやつていたときのように、その方がちよつと得になりますものですから、大体それでやるつもりでおります。
  11. 松永義雄

    松永義雄君 手形は附属しないんですか。
  12. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) それは信用状にいろいろなフオームがありますので、大体附属しております。附属しないでも昔のようにニユーヨークのアクセプタンスとか、ロンドンのアクセブタンスとかいう場合に、例えば濠洲から日本輸入するという場合に、ロンドンならロンドンでポンドで拂いますから、ロンドン宛て濠洲業者手形を切つたわけです。そこで日本にはただこれは荷物が直かに来るわけです。手形そのものロンドン行つて荷物日本へ来る。そうしてそういう通知が参りましたらこちら側で外貨手形を作りまして、銀行作つて輸入業者に引受けを求めてやつたわけです。場合によりましては直接手形がここへ来ないというような普通の取引もあります。一概には言えませんで、信用取引の内容によつて、来るようにしようと思えばできますし、来ないのがそういう場合には建前であるということになります。それは信用状條件並びに工夫一つでできることだと思います。
  13. 松永義雄

    松永義雄君 これはよく分りませんが、デリヴアリー証券渡つて銀行へ持つて行けば輸出業者ヘキヤッシュ拂つて、それで決済が済んだということになりますか。
  14. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) 向う輸出業者手形の上の債権も何もなくて、そこで全部終つてしまう、つまり信用状を出す習慣にしております。
  15. 松永義雄

    松永義雄君 デリヴァリーは、例えばニューヨークならニューヨークで終つてしまつておるわけですりね。
  16. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) そうです。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 CIFというのは、昔は横浜なら横浜でデリヴァリーしたんじやないですか。
  18. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) それは銀行が仲に立つておりますから、外貨向うで拂われることは同じであります。ニューヨーク輸出業者が金を受取るわけですが、幾ら受取るかということが問題です。つ
  19. 松永義雄

    松永義雄君 現金支拂の方は別にして、支拂いがあればすでに受渡しが済んだということになりますか。
  20. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) それは手形條件によります。手形條件によりまして償還請求権のある手形を組んでいれば、こちらで輸入手形が落ちるまでは輸出業者手形関係に入つてやる、まだ落ちないわけです。今の我々がやる場合は、もう向う外貨をそのまま拂つてしまいますから、日本外貨拂つてしまいますから、そこで手形上の責任はないような形になつております。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 手形譲渡と、品物受渡しということですね、もう現金拂つてしまえば品物は受渡しが済んだというのがこれが常識です。そうすると船積み、その品物がすでに輸入業者のものになつちやうんですか。
  22. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) その間は銀行のものになつております。信託譲渡を受けた……これはいろいろむずかしいことがあると思いますけれども、大体銀行の担保、銀行のものになつて来るわけであります。その間銀行拂つておりますから……。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 船はどうなんですか。日本銀行は今支店がない。
  24. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) それは取引銀行がやります。我々の勘定が向うに置いてありますから、ニューヨーク日本の我々の勘定から拂つて呉れるわけです。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると、日本の船が向うへ自由に往復できるようになれば、日本銀行向うに委託して、向う銀行日本の船に積んで呉れるということは言えますね。
  26. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) 言えます。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 保險の方も一切そういうことになるんですか。
  28. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) 保險もそういう條件をつけて初めから契約すればいいわけです。
  29. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 ちよつとお伺いしたいのですが、最近ユーザンスビルに関して大蔵省と、それから外国為替管理委員会との間で以て何か意見が一致しないということで、業者の非常に要望されている方式が延び延びになつているという点も承つております。どういう点で意見が一致しないのですか。或いは日本として利害得失というものがどの点にあるか、もう少し説明して頂きたいと思います。
  30. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) それは大蔵省のお考えは、実は大蔵省の方から御説明つた方がいいと思いますが、私の了解している範囲では、大蔵省は我々の案で行きますと、外貨を貸すという案であります。併し大蔵省はこれは国内的に見まして、外貨を貸さずに円を日本側銀行に貸してやつて日本側銀行はその円で外貨を持つていたらいいじやないかと、そういうお考えだと思うのです。初めはところが我々が何故外貨を貸すかということを考えました理由は、これは日本側銀行としては、この円を借りる場合はこれは確かに本筋であります。こうやつて行くのが常道ではありますが、円を貸すとすれば、これは国際金利並みの円を貸してやらなければならん。これは或いは一銭かも知れません。一銭ぐらいでやらなければとても追つつかんと思いますが、そうなるとこれほ日本銀行は今の、金利体系から言つてそういう安い金をこういうものだけへ貸すことはできないと、こういうお考えです。従つて我々がそういう案を提案いたしましたのも、実は日本銀行と相談の上で、日本銀行はそれは無理だから外貨貸付けにしてもよかろうという意見でありましたので、我々の提案になつたわけです。この点はその後大蔵省日本銀行とお話になりまして、大体少くとも現在は、将来の問題は残つておりましようが、現在はその問題は解決していることと私は思つております。ここにユーザンスをやるに当つて二つの問題があるわけです。どうしやるかということと、我々の会計の円をどうして得ようかということと、二つの問題があるわけです。で、ユーザンスをどういう方法でやろうかということは大蔵省も大体我々の案でさしずめやるということを了解しておられると思います。ただ円の点について今問題が残つたわけです。円をどうして我々の会計にやるか。むしろ我々の会計が円を獲得できなければできないから、従つてそれは又予算上の見地から我々の方は円を出せるか出せないかという問題があると思いますから、その点で今問題が残つているわけです。
  31. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それに関連して、大体最近の日本の状況は輸出超過で以て相当外貨が国内に保有されているのです。それはどんな趨勢で三億とか四億というふうな厖大なドルに達したのであるか、その点をちよつと御説明願いたいと思います。
  32. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) その点はまあ今あります外貨数字を申上げることは関係筋の方で実は禁止せられておりますので、正確な数字を申上げることができないのは甚だ残念でございますか……。
  33. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) 杉原さんにちよつとお諮りいたしますが、速記を止めてもその数字はお話願えませんでしようか。
  34. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) 実はその点やつぱりいけないと言われました。今のところそういう点も相談いたしましたが、正式に発表のできないということを言われておりますので、その点は誠に残念ですが……どうして殖えたかと申しますと、これは根本的には輸出が予想以上に伸びたということ。もう一つはこの一月から輸入予算を始めましたですね。ところがその時分はなかなか計画がああだこうだというのでまとまらなかつたために、プランができたのが確か一月の半ばか、或いは終り、実行するのは又少し延びたというわけで、一——三の予算というものが一——三の間に使われたという金額は極く一〇%とか何とかしかこれはキヤツシユは出なかつたと思う。従つてその間に輸出の金が溜つたわけです。それからもう一つはその後になりましても外貨予算が非常に窮屈であります。というのは外貨予算というものはこれだけのファンドが使える。それではそれをこういうふうに割当ててこれだけ使うと言いましても、当然これは使い残りというものが起ります。殊に———三の予算が使われた数字というものは非常に少い。約半分くらいしか使われなかつたのは、この輸入計画に基くスキップが我々に譲る前に去年の暮に猛烈に買つた。うんと買つたもんですから多少我々の計画とダブつていた点もありましようし、それから又、一旦こう決めて、例えばこれが或る一定の地域で買うとしても、そこから値の関係や何かで買えないという場合、それをスイッチして買うというのでになくて員わないでその儘そこに残つてしまうわけです。幾ら買おうとしてもプライベートのあれですから、従つて買えないものもありましようし、従つて予算数字そのものが実行される場合は割合少ない数字で実行されていた、こういうようなために我々の考えているよりか予想以上に外貨が殖えて来たのだと思います。それでそのために今度は一つそれを割合に使うのではないかということで、割合沢山の輸入計画をいたしまして、外貨予算を組んだわけであります。ところがその前に解決しなければならん問題は、一体日本輸出入に対してどのくらいの外貨を持つていたならばこの貿易というものを賄い得るかという数字を決めてかからなきやいけないだろうと思う。この数字は大体のところ決つておりますが、まだスキヤツプの方でもそれに対してそうだということを確定した数字はまだ出ていないわけです。従つてどのくらいまて使つたらいいか、どのくらいオペレート、運営して行くのにフアンドが幾らかということが分らないと、或る一定限度があると言つてもないかも知れない。多少そういう目の子の数字から言えば余裕があるだろうということなんです。
  35. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それでちよつとそこで不思議に思われるのは、日本が今まで大体輸入超過を戰後続けているのですね。その関係から言うて相当ドルのいわゆる借入残が残つているのじやないかと思うのですが、それほどういうふうに処理されているのが、もうそれは円に換算して、円で一応借ということになつておるのですか。或いはドルで借になつているのですか。その点と、もう一つはいわゆるローガン構想によつて輸入優先というような、まあ方式日本に採用されるということで、我々も同感の意を表しためで歩が、その輸入が思うようにならないので、折角輸出されたドル資金が無駄に蓄積されていて、而も物価がどんどん朝鮮動乱なんというものを契機として世界的に上つているために、折角のドル蓄積がまあ価格が下つているというふうに考えられるのですね。こういうことでは日本としては非常に損失だと思うのですが、その二点についてお分りになるだけを御発表願います。
  36. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) 先程の円でなつているかどうかということは、今我我外貨が溜りましたのは、結局ガリオアの援助資金があつたためです。アメリカの援助資金があつたから我々の外貨は溜つたんだと思います。だから我々ガリオアを除けました貿易かち言つたならば、やはり輸入超過になつておると思います。それからもう一つ今のローガン構想でありますが、ちよつと今数字は何ですが、ローガン構想は、主としてこれはオープン・アカウントのことで、オープン・アカウントはローガン構想によつて非常に買進みまして、それで残がちよつと私覚えておりませんが、何しろ前と比べまして三千万ドル近く買い越して来たと思うのです。その点ではローガン構想を実行したことになると思います。
  37. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それが急に三億ドルも四億ドルもドルが蓄積されたというのは、どうも腑に落ちないのですが、大体そういうふうに転換した期間はここ半年かそこらでしよう。
  38. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) いや、それは徐々に殖えております。
  39. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 いつ頃からどんな数字……。、
  40. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) それは我々が受けたときから殆んどずつと絶えず割合同じような歩調でずつと殖えております。殊に今は蘭印のユーザンスというものが輸入におきましては約四分の三は外銀なんです。四分の一が外銀でないいう状態です。従つて外銀使つて或る部分は支拂にならないので外貨が落ちないのですが、今キャツシユ・バランスがあつても、実際我々がやつたら先や落ちていた外貨というものが相当あつたわけです。だから今のキャッシュ・バランスだけが多いということは、そういう貸借がありますので一概に言えないだろうと思います。今キャッシュが幾らあるが、これは多いと言つてもそれを洗つて見なければ、我々が本当に余裕の侮る外貨というものは出て来ないと思います。
  41. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 速記を止めて懇談的にしたいのですが……。
  42. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  43. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それでは速記を始めて。
  44. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 もう一点だけお伺いしますが、向さつきのお話のうち、例えばユーザンスビルがあなたの方の構想通りの方式で実行されるという場合に、日歩の関係はどういうふうになつておりますか。例えばアメリカでは非常に安い日歩で似て金融というものが行われる。日本では相当日歩が高いのですが、その間の調節はどういうことになりますか。
  45. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) これは私達が考えました点は、このユーザンスをやる場合の輸入業者金利幾らかと言いますと戰前も御承知りように五%というのは一番低い金利であつた。五分半から六分くらいです。だから若し五分で業者に均霑させるなら、これは日本にとつて現在に比較しまして非常に有利だということを考えました。それでいろいろ向うの様子を探つて見ますと、イギリスは協定をしておりまして、最低が五分です。それからアメリカの方ほこれは協定はああいう国でありますからございませんが、大体五分でやつておるということが分りました。だから我々も一つ成るべくならば五分で全部やれば日本のために非常によいだろうというので、先ず業者負担は五分というところに目を付けました。それから、それでは五分でやるためには幾らで我々が外貨を貸したらよかということを考えました。そうして外国銀行資金コストはどのくらいかということを見ますと、これはちよつと分りませんがへこちらにおける銀行コスト二分か二分半ではないかと想像したわけです。それからもう一つ考慮に入れましたことは(若し日本側銀行が将来自分で独力でファイナンスを受けた場合は一体どのくらいでフアイナンスを受けられるだろうか。現状ではとても駄目ですが、もう少し信用を得まして、内容もオーヴアー・ローンなんかのあれも精算して多少でもよい姿になつた場合に、どのくらいな金利で一体得られるかどうかということを考えますと、先ずニユーヨーク金利を申しますと、今外国銀行ニユーヨークで金を借りております。つまりフランスとかそういうところで借りております金利額というものは大体低いところが三分、それから普通三分五厘、それから少し高いところは約四分でございます。四分くらいで金融が得られるわけです。そうすると向うは帰本側銀行の今のスキヤップや何かの頭をかぶつて、つまり保障の下に仕事をしている場合には四分ならばよいではないか、四分で貸せば五分に一分の差があるから、そのくらいのところで採算がとれるだろうと、殊にその差は成るほど一分で割合に少い。併し利はある。或る意味では右から左へ金を借りて一分取つて、その間の手形上の責任は負いますけれども、一分ならばよろしいというところで四分という数字を出して、大体四分で貸そうというようなことを決めたわけです。
  46. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 最後にもう一点この外貨を貸出しするときの割当と申しますか、どういつたような基準で以てそれはなされるのです。
  47. 杉原雄吉

    説明員杉原雄吉君) これは成るべくそういう幾ら限度を決めるとか何とかということは実はすべきでない。成るべく自由にやらそう。而も日本輸入目的は、輸入のライセンスをとつているので、銀行仕事をとつたらそれについてはどこの銀行幾らというような限度を設けませんで、とつただけ我々は外貨を貸そう、こういう考えであります。
  48. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと速記を止めてお願いしたいことがあるのですが……。
  49. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) では速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  50. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) 速記を始めて。それでは大体為替管理委員会委員各位の御説明と、それに対する質疑は一応これで終了いたしたいと思います。先程申上げましたように第一物産の新関社長が御出席の筈でありましたが、急なお差支えで、第一物産の業務部長万木仙君がお見えになつております。折角おいででありますからお話を伺うことにいたします。  万木さんお忙がしいところ誠に御苦労でございます。本田は本小委員会の各位の希望で、最近の、特に朝鮮動乱後におきまする輸出入の関係について業者の側から御覧になつて、この小委員会の性質上主として為替金融の問題についていろいろの御意見を伺いたいということでありますが、為替金融の問題に必ずしも限定いたしませんで、今後の輸出入の貿易、或いは現状等について業者側から御覧になつて、こういう点が改善を必要とするというような点を中心にして、概略最初にお話を願いたいと思います。
  51. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) 先程からユーザンス手形の問題が大分論議されておりましたようでありますが、この問題について業者の希望を申上げます。ストレートのユーザンス手形であろうと、一覧拂の手形であります輸入の貿手のリレーされた金融であろうと、業者の側から見ましたならば、正直に申上げますと、いずれにしても安い金利支拂が成るべく延して頂けるのが一番の眼目であります。理屈は如何にあろうとも要点はそこにあります。そこで、もう一つ業者の立場から申上げますと、輸入業者というものは自分で消費するものでもなし、自分で食つてしまうものでもなし、全部これは国内の実需要家に輸入品を売繋いでおります。従つて如何なる過酷な條件決済條件を押付けられようとも全部これを実需要家に転嫁するのが我々の偽らざる立場であります。併しながら非常に苛酷な條件決済條件その他を押付けられた場合に、実需家にこれを完全に転嫁できるかどうか、完全に転嫁できたとしても実需家がこれに堪え得るかどうかということは非常に疑問であります。従つてその撥返りが我々の体に振りかかつて来るところに業者としての非常に辛いことが多いのであります。これを具体的に申上げますと、輸入品の場合には先ず輸入契約ができました場合に、我々は銀行に担保金を差出さなければならない。或いは二%である、或いは一割である必らず担保金を差出さなければならない。或いは現金で積めと言われる場合もあります。その場合に我々のやり繰り状態というものは、皆銀行から借金してやつております。昔と違いまして自己資本というものは殆んど貿易会社の経営の側分の一にも何十分の一にも当つておりませんので、全部銀行の借金でに振廻しております以上、それだけ借金が殖えるだけでありまして、実需家もこれだけ我々の所は銀行へ担保して、お前の所から見返りの担保金をこれだけ呉れと言つてもなかなか全部がそれでカヴアーできるわけではありません。やはり一部身銭を切らなくては担保金が出ないということになつて来ます。非常に寛大な條件にあればあるだけ我々も仕事がし易いし、実需家もそれを喜ぶでしよう。それから船が一般満船で入つて来たような場合に諸掛りの立替が非常に嵩みます。その場合に現下の決済が早急にやつて来る船の諸掛りの決済も早急にしなければならないとなりますと、あれやこれやダブりまして、いよいよ貿易業者の立替は多く、立替えても金が来ないということでいよいよお互いに皆困つてしましましてうまく行かなくなる。殊に緊急輸入と称せられております今度いよいよ始まるように聞いておりますが、輸入品がどかどか入つて来ますと、従来例えば実需家が二ヶ月のストツクを持つて操作をしておつたのを、備蓄の意味もあるでしようし、動乱によつて原料の壮絶を考慮して少し余計に持つて置かなければならんという場合には非常に手持を殖やしましようから、そういうものの輸入やる場合には実需家も参つてしまうだろうし、我々もとでも賄い切れなぐなつて来るということになつて来る。勢いできるだけユーザンス手形であろうと貿手であろうと構いませんがら、成るだけ寛大な條件でやつて頂きたい。原則はやはり我々考えますのは、民間貿易輸入をやつて頂いて、どうしてもいけなくなつたならば政府の御厄介にでもなつてこれを貯蓄して置きたいと思うのであります。  もう一つ非常に制度の上で矛盾した現象がありまして、皆様に訴えておきたいことは、現実の例を申上げますと、工業用の塩であります。外国から塩を買つて輸入しておりますが、CIF日本沖着で今まで買つておりました。日本船がいよいよ出ることになりまして、今度は日本船を使つて一つ輸入しようじやないかという話が非常に起つて来ますと、外国の港渡しで我々が外貨で買うとすると、例えば外国の港渡し五ドルで買つて、運賃があと五ドルかかる。これを一つ日本船を使つて節約しようじやないか、円でこちらで拂つて外貨を節約しようじやないか、というのは誠に理論上御尤もな話であります。併し実際にやつてみますと、CIFなら十ドル外貨を拂わなければならん。FOBなら五ドルだけ外貨であとの五ドルは円で拂えばいいのですが、今の輸入金融から行きますと、CIF十ドルで買うと十ドルそのまま輸入金融のラインに乗つて来ます。FOB五ドルで買つた場合は、五ドルだけは輸入金融のラインに乗つて我々は恩恵に浴しますが、運賃だけは誰も金融して呉れません。我々は自分銀行から借金して佛うか、実需家から拂つて貰うか、何らか都合して拂わなければからん。となるとこれはどうも国策上甚だ外貨を節約していいように思いますが、我々の懐勘定から見ると大変どうも悪くなることになつて来まして、こういうところにもう少し今後考えなければならんことが起るんではないかと思つております。  それから朝鮮動乱の発生後どういう変化があつたかという御質問でございましたが、輸出の面から見ますと、朝鮮の動乱発生前からアメリカの動向が非常に好景気の方に向つて進んでおつた、その好景気の兆しはどこから出て来たかと言いますと、割合に堅いものから出て来たのでございます。金物その他からや出ておつて、繊維製品その他の軟いものは比較的落着いておつた。どうしてこの堅いものがどんどん上つて行くか、おかしいと思つているうちに、朝鮮動乱を契機として堅いものも軟いものもみんな上つてしまつて、一時に買付いて来た、かたがたクリスマス前の商売が盛んに行われて来た、それまで印度方面でもぼつぼつ日永の物は何時でも値切つて買えるからゆつくり買つていいだろうというようなのつもりでじわじわやつてつたのが、みんな慌てて買付いて来たというようなことで輸出が非常に一時に進展して来ました。その上に例えば繊維製品その他は戰前二千万錘からありました時代の頭で紡績会社も割合に物を計画しております。我々も少くなつたとは言えども、日本の紡績というものは大したものだと思つております。海外でも日本は相当な能力があるから何時でも物は買えると思つていたのが、案外この上り坂にやつて見たところが根が浅くて、少し買つて見たらもう無くなつてしまつたというようなことになつてしまつて、誠に貿易業者として、日本輸出余力経済基盤というものが余りに薄かつたというような感じを持たされたわけであります。  それからもう一つ特殊需要といいますか、アメリカの陸海空軍の買付が始りまして、ダブつてつたストツクが大した金額でもありませんが、吸上げられてしまつたので、その心理的な影響も手伝いまして、どんどん値段が上つて来た、アメリカでは一度に三割も値段が上ることはないのに、日本ではどうして三割も上がるのかというふうな質問を受けるくらいに急に撥上つて我々はどうも日本の基盤は弱いのだなというような感じを受けたわけであります。逆に輸入の面から見ますと、砂というようなことで、いろいろ契約が取決められて進んで参りました、ところがこれたるや実に不手際な結果に終つております。物が下り坂になつておりましたときには物々交換を契約いたしまして、日本輸入を先にしろということでありますから、契約をしたときと船積みするときと、大分船積みするときの方が値段下つておる。そこで契約の値段より安い値段で外国商社が物を買付けて日本へ積んで来る。日本へ品物が入つて見返品を出すときは二、三ヶ月後ですから、日本のものはそれよりも下つてしまう。日本が買つたものは高いものだ、売つたものは安いものだというので、バーターは困つたものだと思つておりましたところが、世界的な物価騰貴に遭遇したときに、この契約はどうなるかと言いますと、キューバの砂糖なんがを日本がバーターで契約したときに、日本へ積ままないで、上つたものですからニユーヨークのマーケツトで利食いして、何十万ドルが儲けて、日本へはもう積みませんと言つて知らん顔されてしまう。これは下り坂で日本が損をし、上り坂に安いときの契約の品物は手に入らんというようなことでの、金のない人間が苦しまぎれに考えたバーターという一つの重宝な貿易組織でありますけれども、上り坂にもうまく行かん、下り坂にもうまく行かんというような誠に不便な制度であるということが、今回身を以て実験されたわけであります。差当り御報告申上げることはそのぐらいにいたしておきます。
  52. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それでは質疑に移りたいと思います。
  53. 松永義雄

    松永義雄君 今バーターのお話があつたのですがこれはクレイムはできないのですか。
  54. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) クレイムはできないのです。それは利食いで三十万ドル儲けました。日本へ十万ドルぐらいはらつて、やはり二十万ドル儲けておる勘定になる。
  55. 松永義雄

    松永義雄君 それは拂うのですか。
  56. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) 拂うチヤンスはありますが、併し知らん顔して逃げられたらもうおしまいです。絶対にクレイムはとれるという保証はございませんから……。
  57. 松永義雄

    松永義雄君 契約書というものは各会社によつて違うわけでありますが、大体型があるのですか。
  58. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) 各社によつて違います。それに正式にやかましい契約書、日本の商社が外国へ英文のやかましい契約書を送つておるという例は極く稀です。それ程英法に通じた人も少くなつたし、巖格にやつて、果して向う人がわざわざ行つて解決するわけに行かず、支店もなく、なかなかうまく行かないのです。
  59. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今万木さんのお話誠に御尤もだと思うのですが、日本一の貿易商としておやりになつておる関係上、実際的に見て防鋭気の上において輸入優先という場合に資金関係で一体思うように輸入できなかつたのですか、それとも何か他に原因があつたのですか。
  60. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) バーターの話ですが。
  61. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 バーターというふうに限らず、総括的に資金がありさえすれば幾らでも輸入ができた、こういうふうなことなるのですか。資金繰り関係が悪くて、折角輸入しようとしても輸入するチヤンスが捉えられなかつたのですか。
  62. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) 一つの原因は制度でありますが、商売はもともと御承知の通り秘密裡に商売のチヤンスを逸しないで迅速にやつて行くのが商売であります。ところがこれが統制経済、外貨関係は全部統制経済とみなしておりますが、完全に統制されております。国際経済は御承知の通り自由経済であります。統制経済と自由経済が交流した火花の散るところが貿易であります。輸入に関する限り、通産省輸入公表ということをやりますが、天下に向つて日本はこれだけのものを買うぞということを言うことで、頗る商売の側から見れば拙劣極まりない方策と申して差支えないでしよう。商売の側はもつと秘密に、誰がいつ買つたか分らないようにやつて行くのが商売であります。それでありますから、外国人の側から見れば、日本はこれだけ買う、現在の世界需要はこれだけ、供給はこれだけ、日本がこれだけ買うなら、相場はこれだけ上る、よろしい、高く売りつけてやれということで来るから、昨日まで五銭で買えたものが七銭になる。その外ちよつとした動乱でも起りました場合に、もつと極端に言うと時間的に動いております。そうなつて来ると、今の輸入方式なんかから言うと、どうしても、二日間ぐらいは、とにかく向うから動かさない値段、英語で言うとファーム・オルフアーを向うから貰つて通産省から持つて行つて交渉しないと決まりません。昔の商社なら電報一本、電話一本でどうですか、これで買いませんかというと、それじや直ぐ買いましようという返事を二十四時間以内にする。それが今は二日間かかる、やつとこすつとこ商売を始めて見ると、その話は高くなつたから駄目だということになる。それじや話にならん。殊に上り坂の相場に向つては買つたら直ぐ信用状を開く、そうしませんと、できた契約を確認したことになりません。今この状態ですと、あれだこれだというわけで、どんなに早くても一週間かかります。それじやとてもうまく行きません。そういうようなことが原因であります。
  63. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 尚今朝の新聞紙に、輸入についても大幅に自由経済主義に移行するような、そういつたような発表がありましたが、あれはどんなことですか。
  64. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) 自動許可制へ移行する、これは今申上げたような三ヶ月にこれだけの品物をこの地域からこれだけ一社限度で、担保金はこれだけでこれだけの金額或いは数量を買うというような公表をしないで、ずつと長い目の金額を明示して随時買えるということでやつて行く。そこでよく新聞の話題になりましたゴムの輸入ということで、日本銀行へうず高く風呂屋の三助の名前まで使つて、それ程やつたということで非常に顰蹙を買つたのですが、あれが自動許可制になりますと、いつでも買えると思うので、この頃さつぱりゴムを使う人が註文を出して呉れないで、我々はいささか慌て気味でありますが、そういうように心理的な影響が強いものでありますから、ああいうようにして頂ければ、輸入も適時なときに買えるということで結構と思います。
  65. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 輸出の方は最近どんな状態になつておりますか。殊に金融関係に関連した状況……。
  66. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) 輸出はもう再開後大分年数も経ちましたし、輸出方式並びに輸出金融という二つの面においては非常にスムースに行くようになりましたけれども、一部まだうまく行かない点がありますので申上げますが、今、昔の観念から行きますと、契約ができまして信用状をとりますと、その信用状にレッド・クローズ、輸出前借條件附の信用状というものが参つております。現在は殆んど参つておりません。一部参つたのがありますが、それによりまして銀行から信用状を担保に金を借りております。前借りをして製造の手配なり何なりしたものでありますが、現在の制度から行きますと、そういうことは一切お構いなしに行く、信用状につきましても、信用状が来ますと、貿易手形銀行で発行してやろうということで、最高九割五分、最低二割、三割の融通を受けまして、製造手配なり何なりしております。ところが誠に結構な制度で円滑に運用されておりますが、信用状が来て初めてそういうことはできるのであります。ところが契約ができましてから信用状が来るまでの間の期間というものは、全然我々の手許資金で製造の手配なり何なりやらなければならん。それが非常に苦しいのであります。殊に外国人の側から言いますと、日本人というものは商売をしたら、その瞬間から信用状をよこせ、信用状をよこせと言つている。何にするのだと皆不思議がつております。それは今言つたような日本における制度金融の苦しさを知らないところからの質問でありまして実際の面においてはそういう面で非常に困つているということであります。  それからもう一つの問題は、輸出の検査の問題であります。大変最近改善されて来まして、一時フロア・プライス、最低値段がありまして、これを割つたならば売つてはいかんという制度がありましたが、撤廃になりまして以来非常によくなりました。非常に円滑に行きますし、ダンピングをチエツクするという通産省運営も非常に円滑に行つているように聞いております。その方面においては弊害はもうなくなりました。現在輸出の面においては、今申上げました貿易手形を発行する前の手許資金による金融ということが一番の業者の問題であります。
  67. 松永義雄

    松永義雄君 輸入して入つた品物の検査なんがやるのですか。
  68. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) やります。これは御承知の通り積出地の検査もありますし、買付條件もありますし、それから中共から入つております大豆なんかは食糧会計に入れまして、それで油分を検査して、そこで金額を出す。塩なんかも専売公社に入れまして、塩分を検査して値段を出します。
  69. 松永義雄

    松永義雄君 輸出の場合はどうですか。
  70. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) 輸出の問題は、例えば八十%保証ということで一応それで信用状を組んで行きまして、それの八割、八掛を手形に組みます。それで金を取つております。後はアメリカへ着きまして、アメリカの一流の分析業者が分析しまして、その差額を後から決済いたします。
  71. 松永義雄

    松永義雄君 輸出のことでトラブルが起きておることが新聞に出ておりますが……。
  72. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) それで我々から見ますと八割貰つて、後の二割が貰えるかと心配するのですが、私は今年の二月までアメリカ行つてつたのですが、向う業者の言いますところによると、八割がまだ切れるのではないが。日本業者はどうも信用できんから、八割が切れるのではないかと言つております。
  73. 松永義雄

    松永義雄君 余りやかましく言つてもしようがないでしようし、それかといつて検査もしないと金が受取れないとなつては困るから……。
  74. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 最後にもう一点、ポンド地域とドル地域との最近の関連はどうなのですか。
  75. 万木仙

    ○参考人(万木仙君) 御承知の通りポンド地域と申しますのは、日英通商会談で以で地域が決められております。約九十三ヶ国……九十三地域と申しますかが入つておりまして、それ以外の所をドル地域と申しておりますが、実際においては中共なんかもドル決済の地域と申した方が適当でありましよう。朝鮮もそうであります。沖繩もそうであります。これは両者の関係は殆んど独立に動いておりまして、何らフリクシヨンがありません。但しペルシヤ、アラビア方面に行きますとドルの方が通りがよろしいのでございます。世界的な通貨であるから……。ポンド・スターリングの場合は英本国で以て非常に嚴重な為替管理夢やつております。フリー・ダラーに相当するフリー・ポンド・スターリングを獲得するのがなかなか骨であります。全部バンクに行つて許可を得なければならんというので、なかなか円滑に行かない、利害得失がございます。
  76. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) 外に御質疑はございませんでしようか……。それではこれを以て本日の小委員会は閉会といたしたいと思います。    午後零時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     愛知 揆一君    副委員長    油井賢太郎君    委員            大矢半次郎君            小串 清一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            森下 政一君            清澤 俊英君            松永 義雄君            小林 政夫君            森 八三一君            木村禧八郎君   説明員    外国為替管理委    員会委員    杉原 雄吉君    外国為替管理委    員会委員   大久保太三郎君   参考人    第一物産株式会    社業務部長   万木  仙君