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1950-09-01 第8回国会 参議院 大蔵委員会金融政策並びに制度に関する小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月一日(金曜日)    午前十時四十七分開会   ————————————— 昭和二十五年七月三十日大蔵委員長に おいて、左の通り小委員を指名した。            愛知 揆一君            大矢半次郎君            小串 清一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            佐多 忠隆君            森下 政一君            清澤 俊英君            松永 義雄君            野溝  勝君            小林 政夫君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            山崎  恒君            木内 四郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君 同日大蔵委員長は左の者を正副小委員 長に指名した。    委員長     愛知 揆一君    副委員長    油井賢太郎君   —————————————   委員の異動 七月三十一日委員野溝勝君は辞任し た。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○金融政策並びに制度に関する調査の  件   —————————————
  2. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それでは只今から金融制度並びに金融政策に関する小委員会を開催いたします。  最初に大蔵省側から現在立案中のいわゆる金融業法案につきまして説明を聴取することにいたしたいと思います。銀行局長只今ポリシー・ボードヘつておるそうであります。暫時遅れますので大月銀行課長から先ず法案概要説明し貰いたいと思いまする。
  3. 大月高

    説明員大月高君) それでは今お話のございました新金融業法の最近の経過を御説明いたしたいと思います。この間局長から大体のあら筋は、ここにお配りいたしました第三次案の概要というので御説明を申上げてございますので、その後重要な問題につきまして変更のございました点を主にして、個個的な問題について御説明申上げたいと思います。  一つは、この金融業法に盛り込まれております内容でございますが、第三次案におきましては、信用組合と無盡会社、これをこの法案で一括いたまして、信用協同組合、こういう章を設け、無盡会社はこれを改組いたしまして、貯蓄銀行と無盡会社とを兼ね合わしたような性格を持ちました相互銀行にするということが入つております。その後の関係方面との話合いにおきまして、この二点は場合によつては別の法律にして出そうか、ただ考え方としてはその第三次案に盛られた方向考えようという程度なつております。で主な内容はどうしても銀行にあるものでございますので、目下は銀行法プロパー内容につきまして個別的に重要な問題について話合いを進めておる段階でございます。狭い意味銀行法では、銀行信託会社を入れまして、先程申上げました相互銀行信用協同組合を拔いたかつこうで第四次案的なものができるという考えでございます。この間御説明申上げました中でむずかしい問題は、一つはワン・ボロアの問題という問題でございます。銀行貸出をいたしますときに、無制限に誰に貸してもいいというわけでなくて、一人に対する貸出は或る一定限度内に限る、こういう原則でございます。この点につきましては、第三次案同様資本金の二五%を限度とするということに今のところなつておりれますが、ただ形式的に資本金の二五%ということで切つてしまいましたのでは、現在の産業界需要に応ずるという点において非常に困難を生じますので、自体的に差支えない範囲健全金融原則に反しない限りにおきまして、この三五%の例外を認めるという方向に進んでおります。その考え方といたしましては、銀行資産流動性を確保するという点に主眼を置きまして、少くとも貸出の中で流動性を持つておるものについてはこれを制限外にするという大原則でございます。御存じのように銀行原則として商業金融をやるべきものであり、その商業金融短期でなくちやいかん、その短期貸出は直ぐに回收し得るものでなくちやいかん、こういう原則を立てますと、今一般に行われております商業手形、而も短期のもの、今商業手形は大体二ケ月乃至三ケ月というものを原則といたしておりますが、法律におきましては六ケ月ということを一応枠といたしまして、期限六ケ月以内の商業手形、これをこの制限の枠から外す、こういう原則を立てております。それから銀行が引受ける手形もあるわけでございまして、これは支拂が完全なものでございますので、それの銀行引受手形の割引、これもこの制限から外して行く、それから勿論地方公共団体に対する貸出も、課税権を持つております建前から完全に安全なものでありますので、これも制限から外す。それから国債及び地方債担保にした貸出、これも十分流動性を持つておるということで制限から外すことになつております。それから貸出の中でも、現在はございませんが、政府元利保証をしておる貸出、或いは政府元利保証をいたしております有価証券、現在はございませんけれどもこれは将来は予想されておるのでありまして、そういう元利保証債券担保とする貸出、これは制限から外そう、それから勿論一般商業手形以外におきましても、担保流動性があつて、而もその期限が短い貸出についてはこれを外そう、こういうことになつております。これでこの制約を外すことによりまして、現在普通銀行として実行いたしております貸出の健全なものは、大部分制限から外れることになりまして、銀行業務としては支障のない、而も健全なものになるということが期待されておるわけであります。ただ現在の銀行といたしましては、或いは資本金の二倍、或いは三倍の金額貸出をやつておる、一人に対しでそれだけの金額貸出しておる場合もございますので、経過規定といたしまし三二年間はこの規定の適用をしない、後の二年間、四年目、五年目におきましては二五%という数字を五〇%にする、で五年経過いたしまして初めてこの規定を完全に適用するというように経過規定考えておるわけであります。この外、社債株式等につきましても、一定制限を設けまして、一会社株式或いは一会社から発行した社債の保有を制限しようという話になつおりますが、そのパーセントについてはまだ決まつておりません。或いは貸出と同じ二五%にするか、或いは五〇%或いは一〇〇%にするかということで、今計数的に検討をいたしております。この社債制限するという問題で最も大きな問題は、金融債をどう処置するかという問題でございまして、御存じのように興業銀行勧業銀行等金融椿町を発行して、それを銀行に持たしております。その金額相当金額に上りますので、例えばAという銀行興業債券を持つ、それが自分資本金の例えば二五%ということになりますと、もうすでにその制限を超えているわけでありまして、現在では興業債券は現在の銀行資本金の二八八%という数字なつております。従いましてそういう制限を置くといたしましても、十分な経過規定を置きまして、金融債発行状況或いは証券市場状況、その他一般経済状況と睨み合せてこれを適用して行く、その間に経過的な措置を講ずるということが必要であろうと考えております。  それから第二点として非常に大きな問題は、不動産担保貸出の問題でございます。御存じのように現在不動産金融が非常に詰まつていると言われているのでありますが、幸い最近金融債発行ができまして、最近統計をとつたところによりますと、勧業銀行におきます不動担保貸出は、大体月十億程度殖えております。この三月末から七月末までの統計をとりますと、七月末で五十二億ばかりの不動産担保貸出、六月で四十二億、五月で三十億、そういう数字なつつておりまして、丁度金融債発行の七、八〇%ぐらいのところが不動産担保として伸びている状況でございまして、銀行をして金融債発行せしむるという制度は、或る程度機能を発揮して、いると考えているのでありますが、一方逆に商業銀行という立場から考えますと、徒らにその資金不動産担保貸出に固定するということは避くべきことでありますので、一定制約を置く、それが実際の需要を梗塞しないで、而も銀行貸出健全性を保つ、この点に焦点を置きまして、種々検討を続けております。現在の段階におきましては、銀行不動担保貸出総額制限一つ置くことにいたしてありまして、それは定期的預金総額債券のり総額との合計金額の百分の六十、六〇%に相当する金額か、或いは資本金金額かのいずれか高い方の金額制限にしよう、こういう総額制限をやつでおります。勿論この数字は今の不動産担保貸出数字といたしましては十分な数字でございまして、現在この制限にかかつている銀行はございません。それから次に個々の貸出につきましては、その担保といたします不動産担保掛目を七〇%に押える、こういう規定一つ置いております。大体銀行が実行いたしております掛目も六十乃至七十或いは七十五程度のところでございまして、これはアメリカ制度等におきましてもこの数字で採られておりますし、日本においても妥当なところだと考えられております。  尚第三点といたしまして、商業銀行長期資金を固定すべきでないという原則をとります建前上、一般不動産担保貸出は五年以内に限るという原則一つ立てております。併し不動産担保貸出でございまして長期のものでありましても、毎月或いは毎年に均等に償還されて行くものは、そう不健全なものでもございませんし、曽ての勧業銀行法におきましても割賦償還貸出につきましては特に例外を認めて、相当長期のものを認めておりましたこともございまして、この不動産担保貸出が五年を越えてはいけないという制限例外といたしまして、期限二十年以内の割賦償還貸出であつて貸出の日から十年以内に貸出金額の百分の六十に相当する金額以上の金が返され、且つ期限内にその残額が返済されるものについてはこの制限外とする、割賦償還貸出であれば、大体二十年以内の期限不動産貸出はやつてもいいという規定を置いたわけでございます。  それから不動産担保といろ意味でございますが、例えば根抵当といいますように、普通に当座貸付契約を結びまして、その根抵当として置いておりますような担保は、この制限の中に入れない。日本では残念ながら今有価証券市場も発達しておりませんで、大体担保に入れるというと、先ず建物とか土地とかいうものが多い状態でございますので、一般商業金融根抵当としたもの、これは不動産担保という概念の中には入れない。ただ今この家を抵当に入れるから金を貸して呉れというものを不動産担保貸出として制限するという建前をとつております。  それからもう一つ不動産概念として重要な点は、不動産日本では相当広い意味を持つておりまして、例えば船舶であるとか、或いは立木であるとか、或いは工場財団工業財団鉄道財団、こういうものが全部不動産とみなされ、或いは物とみなされ、少くとも不動産なみに取扱われております。この金融を梗塞するという意図はございませんので、ここでいいます不動産というのは、土地及び建物その他の土地定着物、いわゆる土地建物というものを意味している不動産抵当でございます。船舶その他の金融については支障がないように、先程申上げました一、二に対する貸出制限はございますが、不動産担保という面では抑えない、こういうことにしてございます。それから先程申上げました短期金融については、銀行として制約を蒙らないという意味をはつきりいたりしますために、この不動産担保貸出でございましても、期限が短いものについては、これは適用しない。今これを六ケ月にするか、一年にするかということで検討いたしておりますが、そういう短期貸出については幾ら不動産抵当のものであつてもこの制約の下に置かない、こういうことでございます。  それから第七点といたしまして、例えば無担保で今金を貸しておる、ところがどうも危くなつたということで、この債権を保全するために急に不動産抵当に取るということがあるわけでございまして、これまで抑えることはこの立法の趣旨ではございませんので、いわゆる追担保といつている分につりいてはやはりこの制約から外す、こういう実情に応じた例外を認めることによりまして、不動産担保というものは十分に愼重にしなくちやいかんということと、それから実情にはできるだけ応ずつるように貸すという趣旨相当はつきり出ておるのではないかと思いますが、不動産担保貸出制限というものが、こういう恰好で今ほぼ結論出たことになつております。  それから銀行業務といたしまして、如何なる範囲を認めるかという点について相当むずかしい問題がございます。それはアメリカ銀行制度をいろいろ研究いたして見ますと、銀行債務保証をすることがないということが一点、それから有価証券貸出という業務をやつておらないということ、それから外の銀行のために預金とか或いは貸出代理業務をやらない、こういう三つの問題がございまして、これにどうしても近代的な銀行のり考え方としては、いずれもこれを外すべきだ、こういう意見がございます。債務保証の問題につきましては、現に具体的な事例といたしまして、各地で銀行が損を被つたという例がございますけれども、それは大部分の場合が債務保証をやつたことに起因するものが多いのでございます。具体的な例は差障りがございますが、要するに普通の貸出であるならば自分の持つている金を貸す、従つて十分愼重にやりますけれども、保証をするということになりますと、現に手金がなくても保証をする、判をすればいい、その上手数料は入つて来るということで、つい安易な気持で債務保証をするということで、銀行で非常に損失を蒙る慮れがあるわけでございまして、この制度を是非やめたいということであります。勿論この保証につきましては、国税その他の関係におきまして、例えば酒税の延納担保織物消費税延納のための担保或いはアルコール、或いは塩の関係その他政府関係におきまして、銀行保証さえあれば延納してやつてもいいという制度がありますので、これらの制度だけを認めるか、或いはこれらの制度について例えば保険会社に保險をかけるということで政府の方で延納を認めるか、別途の措置を講ずる必要があると思うのでございますが、そういう制限を設けることによりまして一般債務保証というものを禁ずる、こういう方向に今考えられております。勿論債務保証と申しましても、例えば外国貿易関係信用状発行するとか、或いは手形を引受けるということは実質の債務保証でございますので、こういう点を正常の取引として禁ずる趣旨ではございません。そういう意味保証はこれを実行してもいいことに例外考えられております。それから有価証券貸出の問題でございますが、銀行は現に大体の場合は、やはり国税関係と関連いたしまして国債担保にさえ入れて置けば延納を認めてもいい、こういうことになつておりますので、銀行から一般の八は国債を借りましてそれを担保に入れている、こういうことがあります。銀行としても有価証券を寝かして置くよりも有利だという意味においてこれを貸して税金の担保に入れているわけでありますが、最近は御存じのように国債が次第に減るという傾向にありまして、この制度に合せて、先程申上げました銀行保証すれば税金の延納を認めるという制度に切換えておりますけれども、現に若干の有価証券貸出というものは残つております。これも銀行の本来の仕事としては、金を貸すべき仕事であつて有価証券を貸すということは異例であるということで禁じたいということであります。この需要に応じますためには、信託会社としては十分その業務はやり得るわけでありますし、それから必要な面については今の保証について別の制度を置くとか、政府関係において手を打てば、この制度もそう一般には支障なくして行われ得るのではなかろうかと考えております。  それから代理貸の問題でございまするが、御存じのように現在地方銀行勧業債券を持ちまして、その持つて貰つた二十五%の範囲内で地方銀行勧業銀行代理として金を貸しておることがあります。これは地方の不動産金融のためには相当有益な機能を果しておるであります。その他例えば復興金融金庫代理貸であるとか、或いは現在行われております住宅金庫代理貸とか、そういうものについては銀行が現にやつておるのでありますが、その中で例えば復金だとか或いは住宅金庫といつたような政府機関につきましては、これは問題ないといたしまして、銀行同士代理業務をやるということは、要するに自己責任原則に反する、人の名前で貸すということはおかしいじやないか。それなら自分の金で貸せばいい、若しそのために金がない、資金がないから代理貸という名前でよそから金を貰つて貸すならば、それは貸金の預託でも受けて自分の責任で貸す。こういう方向に持つてつたらいいじやないか、銀行一つ銀行として独立した機能を営むべである、そういう理念からいたしまして、銀行相互において代理貸或いは預金代理で受け入れる、こういう制度を禁止しようという方向に向いております。現在行われております例えば勧業銀行地方銀行との間の代理貸につきましても、例えば勧業銀行から地方銀行資金を預託してそれを地方銀行の名において貸すということにすれば、現在の制度と実質的に変りなく運用されるものと考えております。  その他銀行について特に現在の機能を変えて行こうという点はございませんが、第三次案の第二章にもございますように、債券発行を各銀行に認めることによりまして、或る程度長期金融に見合う資金の吸收、これを図るという制度なつております。いわば証券市場の発達いたしておらない現在におきまして、商業銀行を主体としながら、一部長期金融にも乗り出してもいいということを折衷的に認めておる制度でございます。  それから信託会社銀行との関係でございますが大体におきまして現在の信託業務について認められております制度をそのまま持つて来る。ただ考え方といたしまして信託業務は、本来銀行がやるべきものであつて、独立した信託という仕事というものは大体において必要がないであろう。特に日本の戰後におきます財産及び資産状況におきましては、信託本来の会社として成り立つということも非常に少いという現実もございまして、銀行信託業務を兼営できるということを本筋といたしまして、ただ兼営するにつきましては、特に大蔵大臣の認可を経た場合に限るということになつております。勿論專営の信託会社を作ろうという時には、專営の信託会社を認め得るという建前なつておりますが、原則として、現在ございますような信託銀行のアイデアーをそのまま立法化したいということでございます。  それから大きな問題といたしましては、日本銀行預け金つまりレザーブ・システムの問題があります。御存じのようにアメリカにおきましては連邦準備制度を採りまして、いわゆるレザーブ・システムというものを採り、各銀行はその準備制度に加盟することに上りまして、一定金額連邦準備銀行に預託するという制度を採つております。この制度日本において採るべきかどうかという問題につきましては、根本的な問題があると思います。御存じのようにその制度趣旨は、一つ金融の調整にあるわけでありますが、一つ支拂準備を確保する。いざという時の預金貸出に準ずるという三つ機能を持つております。支拂準備意味におきましては、現在の観念といたしまして国債を持ち、社債を持ち或いは株式を持ち、現金を持つということによりまして、流動性を確保する建前を採つております。これはイギリス的な考えでありますが、アメリカ的な考えで申しますと、先程申し上げました連邦準備銀行預金をすることによつて、いつでも引出し得る預金を常に一定金額つておる。こういうことであります。その外金融の調整という意味におきましては、確かにこの預託金預金制度が有効なわけでありまして、この預託する金額割合を上げ下げすることによりまして、或いは金融を引締め、或いは金融をゆるめるという作用を持ち得るわけであります。ただ日本の現状といたしましては、御存じのように日本銀行貸出が現在千四百億とか或いは千五百億とかということでありまして、各銀行預金義務を負わすことといたしましても、それが逆に日本銀行貸出によつて賄われることになつては、結局貸出預金とが両建になつて、金融的にも單に銀行の負担を増すに過ぎないじやないか、こういう考え方もあるわけでありまして、その辺の考え方を如何に調整するかということがポイントになつておるわけであります。制度としては非常に結構な制度でありますが、果して直ちに日本金融界にこれは適用できるかどうか。或いは適用するとして如何なる程度にこれを調整して適用するかというところが問題であろうかと存じます。現在考えられております制度といたしまして、銀行を二種類に分けまして、いわゆる大都市銀行地方銀行とに概念的に分けます。一つは東京都、大阪市又は人口五十万以上、これは六大都市でございますが、その他の市に本店を有する銀行と、大蔵省の指定するもの、例えば全高田農商というような銀行がございますが、東京都の中にございます。資本金は三百万円でございまして、こういうものを大銀行として扱うのは適当でないので、大都市に本店を持つております銀行でもAクラスから外せるように今のような規定をしたわけでありますが、そういういわばAクラス銀行につきましては、定期的預金総額の百分の一に相当する金額と、当座預金総額の百分の五に相当する金額との合評額以上の日本銀行頂け金を保有しなければならない。こういう規定にしてあります。それからBクラスにおきましては、この定期的預金総額の百分の一という数字は同じでございますが、当座預金総額は百分の三という数字をとりまして、若干その義務を軽減いたしております。そういたしまして金融の情勢によりましては、大蔵大臣におきまして今申上げました百分の一或いは百分の三、百分の五という数字割合を変更することができる。併しその割合につきましては、今申上げました数字の三倍に相当する割合を超えてはならない。こういうように規定いたしております。例えて申上げますと、定期的預金につきましては百分の一を最低として百分の三を最高とする。当座預金につきましては、Aクラス銀行におきましては百分の五を最低とし、百分の十五を最高とする範囲におきまして、この割合において適宜変更する、こういうことであります。現在アメリカ割合では、この定期的預金割合が百分の三になつておりまして、当座預金におきましては百分の五とか、百分の七というふうになつておるかと存じますが、その倍率は二倍ということになつております。日本の現状から考えまして、その最低限を低め、その彈力性を殖やすという意味におきまして、二倍を三倍にするということにいたしております。現在アメリカの大銀行におきましては、この支拂準備率は非常に高くなつておりまして、全体で二七%くらいになつておるかと思います。それからこれだけの義務を課しましても、いざ地震があつたとか、或いは全国的な取付けがあつたというような場合には、本当の意味のリザーブとしてこれを預金さして置く必要もないわけでございますので、その状況を認めましてこの預け金義務を免除し得ることになつております。こういたしましてこの計算の基礎といたしましては、毎日の平均残高を、各銀行の毎日の預金の毎月の平均残、これを計算いたしまして、その月の預金義務額の計算の基礎にするわけでございますが、銀行が若しここに決められました金額預金することを怠つたというような場合におきましては、過怠金といたしまして一定金額を国庫に納付する、今の考えといたしましては日本銀行の割引適格商業手形についての割引歩合がございますので、それに年四分の割合を加えたものを過怠金として取ろうということを考えております。これは考え方といたしましては、一定預金義務があるのに、そこまで達しないという場合には、逆に申しますればその金を貸出なり、有価証券を持つなりに運用したと仮に考えることができるわけでありまして、義務を違反して他に転用したことによつて運用益を得る、それの方が得だということになりますならば、経済的にこの制度が護りにくいということになりますので、預金義務を懈怠した場合には決して得にならないだけの経済的な罰則を加えるという考え方でございます。これはこの支拂準備は、制度趣旨から申しまして、いつでも引出し得るということが趣旨でございますので、いつでもそれを引出し得る。或る人におきましてはゼロになることも勿論可能でございますが、平均残においてはこの規定にかなわなくてはいかん。従つて銀行としては自己の金繰りに応じまして、この義務を眺めながら調節をし得るわけでございます。ただ銀行といたしまして意識的にこの義務を怠るということになりますれば、大蔵大臣におきまして役員に対して、警告を発する。常にこの義務に違反しているということでございましたならば、役員の解任とか、営業の停止とか、その他の措置をとり得るという行政措置考えられております。それから又先程申上げましたように、日本の現状といたしまして、直ぐにこの制度を採ることがいいかどうかという根本的な問題がございますので、現在のところでは、この施行時期は日本銀行政策委員会の意見を聞いて、大蔵大臣が適当だと認めた時期から施行する。大蔵大臣といたしましては、日本銀行貸出状況とか、通貨金融の情勢、それから根本的には日本の資本の蓄積の問題でございますので、資本の蓄積、その他経済一般状況に照らして適当だと認める時期から施行するということにいたしたいと存ずるのでありますが、ただ見通しといたしましては、この経過期間はどのくらいにしたらいいか検討いたしておりますが、五年くらいではどうであろうかということを今検討中でございます。  それから信用調整の一つの手段といたしまして有価証券を買う、株を買う場合に、一つの仮に株式の、ブームが起きました場合にどんどん株価が上る。それを担保として金を貸し、それで株を買う。それによつて株価か上る。又それを担保にして金を貸すということでございましたのでは、金融的な操作として非常な不都合を生じますので、株を買い……株だけじやございません。有価証券を買い、それを買うために必要な資金を供給する場合におきましては、その担保掛目につきましては、大蔵大臣が適宜の割合を決めることができる、こういう制度一つつております。アメリカでマージン・リクワイアメントと言われておる制度でございまして、一つの信用調整の手段として考えられておるところでございます。それから現在臨時金利調整法におきまして、預金及び貸出の金利の調整をなし得ることになつておるのでありますが、この金利の調整の手段も新日本銀行法にこれを取入れて、臨時金利調整法はこれを外したい、廃止したいというように考えられております。勿論金利を外して自由に放任すべきものであるか、或いは現在やつておりますように法的な調整を加えるべきものであるか、或いは法的な調整を加えるべきものであるとしましても、これは止むを得ない臨時的な措置とじてやるべきものであるか、或いは本来法的に規制すべきものであるか、相当根本的な議論があるわけでございますが、独禁法の精神もございまして、昔のように金利の協定というものが許されておりません現状におきまして、而も金利を完全に自由にするということは、金融的に申しまして適当であるまいという観点から、この恒久立法の中に取入れるという方針で進んでおります。勿論この金利の問題にいたしましても、有価証券担保掛目の問題にいたしましても、いわゆるリザーブ・システム、支拂準備金の問題にいたしましても、信用調整の根本に触れる問題でございまして、これが現在ございます日本銀行の政策委員会、或いは日本銀行自体と大蔵大臣との間の関係を如何に調整するかということが、根本の問題として残つておると思います。いわば財政と金融との調整、或いは金融自体における大蔵大臣日本銀行政策委員会との関係ということで、非常にむつかしい問題であろと思います。まだ最終的の結論にも達しておりませんが、少くとも意見を徴する程度には持つて行かなければならんのであろうかと事務的には考えておるわけであります。  それから一つ新らしい観念といたしまして採られておりますのが実質資本という観念でございます。この法律をお読みになりましてお分りになりますことは、とにかく貸出しにつきましても、先程申上げましたように、資本というものを基礎にしてその二五%に制限する。それから不動産担保貸出にしましても、定期的預金の六〇%と資本の金額といずれか高き方という制限がとつてございます。それからまだ、省略いたしましたが、1銀行資産流動性を確保するという意味におきまして、銀行が所有いたします不動産について制限を設けております。銀行不動産として必要なものはいわば店舖でございまして、この店舗は不動産として欠くわけに行かないわけでございますが、その他仮に森林を持つとか、或いは田畑を持つというように、不動産に投資をするということは、資金流動性という面から避くべきことでございます。従いまして担保流れ、その他止むを得ない事情があります場合の外は不動産の所有を禁ずる、必要な業務用の不動産につきましても資本の七〇%という制限を置く、こういう案になつております、そういうように不動産所有につきましても資本を一つの基準といたしております。従つてその基となります資本を如何に管理するかということがこの銀行法の運営上非常に重要な観念となつております。この新銀行法で採つております資本の観念は、実質資本という観念でございます。実質資本というのは英語で申しますとアンインペアード・キャピタルインペアードというのは毀損する、毀つという意味でございますから、壊れていない資本という意味でございます。仮に自己資本が一億といいましても、若しこれに欠損を含んでおつたならば一億の実質的価値かない。従つて実際上は自己資本に相当するものでありますが、それは十分に怪我のない、傷のない内容の充実した資本であるべきだ、こういう観念であります。これの本質的な問題といたしましては、いわゆる償却の問題でございまして、銀行預金を預つて人に金を貸しておる、その貸金は必ず一〇〇%回收できるものでもございませんので、各銀行の内部におきましても十分に監査をいたしておりますし、銀行検査におきましても一件々々これを審査いたしまして、果してこれが十分に回收し得るかどうかということを嚴重に監督いたしておりますが、併し何分にも人のやることでありますし、経済界の変動もあるし、いろいろな間違いもございまして貸倒れということは避けられないものでございます。これがためにシヤウプ勧告に基きまして貸倒準備金の制度も法人税に認められまして、現にこの九月決算かち認められることになつておるのでありますが、貸倒準備金を認めます一方、現にはつきり取れないと決まつたものにつきましてはどんどん利益から落として行くべきものであります。銀行法といたしまては常に淨化作用と申しますか、そういう欠損であつた資産は逐次決算期ごとに切取りまして健全な姿にして置く、その結果出た利益は結局株主に配当になる、その地積立金になるわけであります。表面に出ておる帳簿価格としての資本が、資本金及び準備金が完全な欠損のないものである、怪我のないものであるということをこの法律において要求するわけでございます。従いましてこの実質資本の概念を採りまして、この法律において実質資本の金額とは、銀行の資本、準備金その他株主勘定に属するものの金額として前項の金額は決算期において不良資金の適正な消却を行なつて決定されなければならないということにいたしまして、十分なる消却を行なつて後に、尚且つ株主勘定に乗つておる資本金及び準備金、これを実質資本と名付けまして、これを基準といたしまして銀行運営の諸般のケースの基礎にしたいという考え方でございます。この実質資本の観念はアメリカ法律において採られておりますが、ニューヨークの銀行法、それから昨年の十月一日から施行になりました、最も新らしいアメリカでの銀行法でございますカリフォルニアの銀行法におきましては、実質資本という観念が採られておらないのでありまして、自己資本という観念に置き換えられております。この点は種々検討をいたしておるのでありますが、要するにニューヨーク等におきましては、銀行は最も発達したものでありまして常に法律規定を待つまでもなく、自己資本というのは十分に充実したものである、償却すべきものは十分に償却したものであるという観点から特に実質資本という観念を掲げる必要がない、ただ日本の現状、或いはアメリカの全体の何からいたしますと、いろいろのレベルの銀行があるわけでありまして、或る程度レベルの低い銀行を含んでおる日本の場合におきましては、実質資本という観念、その指導理念をはつきりいたす意味において適当ではなかろうかと考えまして実質資本という観念を採つておるわけであります。  それから最後に預金着の保護の意味におきまして、少額預金者に優先権を認めてございます。これはアメリカ銀行法には勿論ございませんが、アメリカにおきましては預金保險制度がございまして、各銀行預金保險会社一定の保險料を拂込む、それで銀行が破産でもいたしました場合には、今五千ドルになつておるかと思いますが、その金額までは預金保險会社が拂つてやる、従つて少額預金者としては何ら心配がない。銀行が潰れることによつて何ら心配がないということになつております。日本におきましては、やはり保險料の負担の問題もありますので、これに代る制度といたしまして法律的に少額預金に優先権を與えるということで制度を運用いたしたいと考えるのでありまして、現在のところ預金の十万円以下の部分につきましては個人ごとに名寄せをいたしまして、銀行の破産の場合におきましても優先権を與えるという制度考えております。  それか外国銀行の問題といたしまして特別本店勘定というものを設ける制度が採られております。現在外国銀行有価証券を供託することになつております。初めてこれによつて日本国内における銀行業務を適正に行わしめるという建前なつておるのでございますが、供託という制度は、いわば非常に不経済な、銀行の立場から申しますと不経済な制度でございますので、常時自分の持つております金を自由に運用し得る建前にして、而も弊害がないという意味、それから外国銀行日本に進出いたしますことにつきましては、その必要な金は日本で借入れたり或いは日本預金をとるだけで仕事をしないように、必要な資本金日本に持つて来て欲しいという意味を表わしますために、日本銀行の資本の最低限度相当いたします三千万乃至五千万につきましては、これは特別本店勘定としてこちらへ持つて来ておいて欲しい、常にそれだけの金額は本店勘定としてこちらへ持ち込んでおるということを要求いたしております。  それから銀行の監督及び検査の問題でございますが、主として銀行の監督は検査に待つより外にないのでございます。アメリカ制度にいたしましても、銀行検査に非常に重点をおいております。日本におきましても戰争中は、検査というような無駄なことはよしたがよかろうということで、検査という機構は殆んど動いておらなかつたのでございますけれども、そのために実際には銀行の経理も乱れがちでございますので、最近では新しいアメリカの検査様式を採用いたしまして人員も充実し、徹底的に検査を始めております。その意味におきまして今度の銀行法におきましては、銀行の検査は年に一回必ずやるという規定をここへ織込んでございますのに、ここの規定としては、それでは余りに人が要り過ぎる、予算の関係もあるということで、三年に二回というような表現が使つてございまして、非常に堅実と認められる銀行は若干その間の期間を置いてもいいように考えておりますが、原則としては年に一回必ず検査をしたい。そのための人員を十分に充足したいということを法律に織込んでおります。  それから最後の問題といたしましては、御存じのように、税と銀行との関係でございまして、現在税務官吏が銀行に不必要な調査なり臨検をする、そのために預金者が動揺いたしまして、預金がなかなか集まらないという問題がございます。この検査と銀行の経営とを如何にするか、勿論税を取るということは絶対的の要請でございまして、税金が取れないというような制度は絶対にとるべきではないと思いますが、又一方不必要に預金者に不安動揺を與えることも適当でございませんので、その間に何らかの調整をとり得る法規を入れたい、勿論その中身についてはまだ確定した成案はございませんけれども、今検討中でございます。アメリカの運用では、やはり法規的には税務官吏は自由に支店長に質問をし、調査をするということをし得ることになつているのでございますが、現実には例えばお前の店の十万円以上の預金者は全部調査してつけ出せというような調査はいたしておりませんので、現実の問題として、特に必要な人の預金を調べるというように、非常に紳士的に運用されているようであります。そこらを法的にどういうように規制するかという非常にむずかしい問題があると思いますが、まだこの点は試案の域を脱しておりません。従つてそれに関します條文も、ただそういう趣旨の條文が入るという意味において御了解願えれば結構かと思います。  まあ大体問題になりますところは、以上のような点でございますが、最後に銀行の役員の制度といたしまして、御存じのように新商法におきまして監査役の制度考え方が非常に変つております。アメリカにおきましては監査役というものはございませんめで、会社は年に一回公認会計士の監査を受けなくちやならん、こういうことになつております。ただ銀行御存じのように銀行検査の制度もございますし、内部は経理の、いわば專門家でございますので、できるだけ自己監査の制度を残して置きたい。そういう意味におきまして商法の特例といたしまして、新しい監査役の制度を採用し、その監査役が経理の面から銀行業務を調査し、或いは取締役にいろいろな意見の具申をする、その他商法にない経理的な権限をここで規定いたしたいということになつております。それから今の取締役に勧告する外、例えば銀行大蔵大臣に提出する経理に関する書類を監査する、そういう点におきまして公認会計士の関與を排除いたしまして、監査役の制度乃至地位を高める、これによつて銀行検査と相待ちまして銀行の経理を適正ならしめるということが考えられております。  以上大体重要と思われる点について御説明申上げました次第でございますが、大体の考えといたしましては、この本文をなします銀行法規定には、相当理想的な形態を織込みまして、これに別に銀行法施行法というようなものを付けまして経過的な措置を講じ、実情に無理がないようにして、而も近代的な銀行のかつこうに指導して行くという方式をとりたいと存じます。現在の銀行法ができました時、例えば資本金規定は東京と大阪市におきましては二百万、一般の所におきましては百万という制限が付いているのでございますが、それが当時ございました銀行から申しまして非常に強い制限でございまして、その規定を運用して手数百ございました銀行を目近くに減らして来たわけでございます。その経過規定が五年という経過規定か附いておるような例もございまして、何分一つの大きな金融制度の流れにおける一つの機構といたしまして相当の目標を掲げ、且つ又相当の猶予期間を置きまして、その間に無理のない行政と正しい銀行のあり方というものを両々兼ね合せるという所にポイントがあるかと存ずるのであります。取敢えず以上で説明を終りたいと思います。
  4. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それでは銀行局長もお見えでございますが、質疑に入ります前に、引続いて本案に対する関係方面等との協議の実情をお差支えない範囲にお漏らしを願いたいと思います。  それからいま一つは、只今の御説明銀行を中心にして御説明があつたのでありますが、これから取除くかどうかは別といたしまして、ともかくこの案の中にも相互銀行信用協同組合の章がございますが、この点について局長から簡單に御説明頂きたいと思います。
  5. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 或いは大月課長から一部分申上げたかも知れませんが、今度の金融業法の改正につきましては関係方面の示唆によるところが非常に多いのであります。申上げるまでもございませんが、経済情勢というものが段々落ち着いて来た、そこで金融政策に関しまする最後の仕上としても金融制度を理想的な形態に整えることが必要である、こういうような観点から、昨年の冬の国会にはまさに提出されんとしまして提出されなかつた金融業法を今度の通常国会には是非提出するようにという話かあるわけでございます。それで当初話かございましたのは、特殊金融機関に対しまして一般的な金融機関とも申すべきもの、即ち現行法の制度で申しますれば銀行とそれから信託会社、無盡会社信用協同組合、こういつた一般的な金融機関に関しまする法制を一本の法律の形に整備するということに話がおのずから落ち着きまして、そこで我々の拵えました当初の金融業法の草案と申しますものは、御案内のごとくこれらの諸金融機関を網羅して規定したのでございます。併し関係方面の人員或いはやり繰り等の問題もございまして、現在まで進行しておりますのは、現行法で言う銀行及び信託会社に関する部分だけでございます。そこでこれは関係方面でもまだ思想は統一されておらんかとも見受けられるのでありますが、現在の無盡会社或いは信用協同組合に関しましては或いは別個の法律で以て規制するようにというようなことになるかも知れんという気がいたすのでございます。ただ一部の方面におきましては、やはりこれは一本の法律銀行と一緒に規制すべきであるという意見もあるようでございますので、この点はまた見通しが付きかねます。これを要しまするに、銀行及び信託会社部分に関します限り、関係方面と私共の事務当局と折衝いたしまして、只今課長から申上げましたようなラインにまで歩み寄つて来たと御了承願いたいのでございます。私共交渉に当りましては、これは大体銀行局試案とも言うべきものである、その程度考えて貰いたいという留保を付けて交渉しておるのでございます。大蔵省或いは国会初め、輿論の御注文というようなものは時々織込んでおるつもりではございますが、最終的に決定的に織込んでおるわけではないのでございます。  次に、只今申上げましたように、当面関係方面から立法によつて最終的な決定を要請せられておりますものは、銀行に関する部分、これに附随いたしまして信託会社それから無盡会社信用協同組合でございますが、この外保険業法につきましてもこれが改正は関係方面との関係においても数年来の持越の懸案となつておるのでございます。それから特殊金融機関といたしましては、農林中央金庫、或いは商工中央金庫というようなものも早晩改正をしなければならないということになつておるのでございます。ただ先程も申上げましたように先方の仕事の都合ということもございまして、順次片つぱしから片付けて行くという態勢を取られておるものと推察いたすのでございます。  話は少し戻りますが、無盡会社につきましては、私共の当初の草案におきましては、これを相互銀行という名称を付けまして、大体において昔の貯蓄銀行制度を復活することによりまして、現在の無盡会社のこれが適格性を有するもはの銀行或いは相互銀行に昇格と申しますか、形を変えることを考えておるものでございます。それから信用協同組合につきましては今後の中小金融の機関といたしましても、やはり組合組織による小規模の金融機関というものは是非とも必要であろうと考えまして、ただ現在は中小企業等協同組合法によります信用協同組合の行き方では、信用協同組合の実際上の運営につきましていろいろの支障があることか経験を以て痛感せられておりますので、これらについては所要の改正を加えたいということを考えておるのでございます。繰返すようになりますが、これらを通じまして一本の法律で行くか、或いは三本乃至三本の法律で参りますかということにつきましては、只今のところ確定的なことを申上げる段階には達しておらないのでございます。  以上簡單でございますが関係方面との関係その他につきまして一言申上げて置く次第でございます。
  6. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) 只今までの説明に対しまして御質問がございましたらお願いいたしたいと思います。
  7. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 有価証券に対する貸出の條項についてもうちよつと詳しく、どこのところに條件があるのですか。
  8. 大月高

    説明員大月高君) 有価証券の保有に関する……。
  9. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 いや、有価証券担保貸出という……。
  10. 大月高

    説明員大月高君) 有価証券担保貸出というものは制限しておりません。先程申上げましたマージン・リクワイアメントという問題は信用の調整のところにございます。第七章の七百七條でございますが、この規定は現在動いておりまして、先程申上げましたような段階なつております。ちよつと直つたところを読んで見ます。有価証券担保の価格といたしまして、七百七條に相当する條文でございますが、ちよつと読み上げて見ます。ここの七百七條では、銀行とか信託会社、それから相互銀行信用協同組合貸出をする場合に担保として徴收する有価証券の種類及び担保の価格の限度を定め、又は変更することができる、ということになつておりまして、あらゆる場合におきまして有価証券担保の場合にはその掛目を決め得る、こういう制度でございます。これは種々検討いたしました結果、広過ぎるのではないか、実際には株式部分その他の場合にこれの調整がきけばいいか、そうなれば要するに株を買い、社債を買うために、それを担保として金を貸すという場合を抑えたらいいのではなかろうかというような意見になりまして、こういうような規定に現在のところなつております。大蔵大臣は、通貨金融の情勢に顧み必要があると認めるときは、銀行有価証券の取得又は保有のため必要な資金貸出をする場合に、担保として徴する株式社債その他の有価証券担保価格の時価に対する割合限度を決定し、又は変更することができる。こういうことになつております。
  11. 森下政一

    ○森下政一君 先程課長の説明の中に、銀行債務保証の問題かありましたね。そうしてその例示を具体的なものをなさつて、例えば織物消費税とか酒税なんかを返納を求めるのに銀行保証すればできるということをおつしやつたが、その外に何か銀行債務保証をやつておる具体的な例があるのでしようか。
  12. 大月高

    説明員大月高君) これはやはりそういう政府関係以外におきましてやはり保証する。例えば或る人が公団から織物を買う、それで手形を出す。その手形保証するこういう場合があるのであります。
  13. 森下政一

    ○森下政一君 そういう場合は支拂保証ですか。預金がなくてもやつているわけですか。
  14. 大月高

    説明員大月高君) やつておる例があるのです。本来そうするためにはその人から預金を同額とつてそれで保証すれば最も確実だと思いますが、その預金もないのにただ保証料をとりまして保証しまうということで保証しておる例がございます。こういう点は非常に危いものと考えます。
  15. 森下政一

    ○森下政一君 そういうものは、私は迂闊でよく知らなかつたのですが、相当範囲に各銀行で行われておるのですか。
  16. 大月高

    説明員大月高君) そうひどいものじやございませんが、制度としてございまして必ずしも少いものじや、ございません。
  17. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今度の改正で各地に銀行が、今まで例えば一県で一行しかないから二行にしてもいいようなことに緩和されるということがあるのですか。  それから或いは又支店の設置ですが、地方銀行東京あたりに支店がなくて非常に不便を感じているというようなものは、今後は出してもいいようなそういつたような緩和するような方針はあるのですか。
  18. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) この新金融業法におきまして、銀行自体につきましては、例えば最低資本金関係から増資或いは統合しなければならん銀行があるかも知れませんが、それは極めて少数でございまして、銀行自体については政策監督上、大した変動はないと考えてよろしいかと存じます。もう一つ相互銀行という一つのグループを認めますと、無盡会社或いは信用協同組合のうち有力なものがこれに転換をいたしまして、銀行という名前を冠します金融機関が殖えることになるかと存じます。これは私共の考えではもう実態は銀行に近い機能を営んでおるのであるからむしろその実と名を一致せしめまして監督をした方がよろしいという考えをもつておるのでございます。  それから次の支店その他の営業所の設置の認可方針その他につきましては、その時々の経済の実情に合せるわけでございまして、今からいろいろと比べまして非常に変わるということは想像しないでいいんじやないかと考えております。
  19. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に外国に日本の商社が今度は進出するようですが、商社だけ進出しては実際日本の場合についてどれだけ効果があるかということはちよつと疑問なのです。これには必ず金融機関がやはり共に海外進出しなくちやならないと思うのですが、そういう点については政府として只今どんな見解を持つておりますか。又海外進出のチャンスというようなものも與えられるものなんですか。
  20. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 銀行の営む外国為替業務につきましては、やはり銀行が海外に自分の支店を持つということでなければ本格的な活動ができないと思う。銀行方面にもその希望がございます。併し只今のところ銀行が海外に支店を設置するといたしましても、そういう経費等が非常に莫大なものだといつたようなことがございますし、又專門的な知識、技術というものも持つておらなければならないということでございます。商社が海外に進出するに伴いまして漸次銀行の方も特殊のその方面に関心を持つている銀行の支店を設置することを計画するようになるだろうと考えております。
  21. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ついでにこの際伺いたいのですが、最近日本で輸出が相当予定以上に振興していて、而も輸入が思うように入らないという関係上、ドル資金相当手持になつておるわけです。これは現在どの程度に手持されているのか、或いはそのドル資金というものは、どこにどういう形態で保有されているか、これを一つ今日御意見御発表願いたいと思います。
  22. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 我が国の手持の外貨は、御承知の通り、外国為替管理委員会の勘定に集中されておるわけでございます。これは手持はどのくらいありますか公式に発表されておるものかどうか存じませんけれども、約三億ドル近く溜つておるというようなことが伝えられておるのでございますがこれらは外国為替管理委員会勘定として外国銀行預金なつておるのでございます。
  23. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それは相当の利息が付いているのですか。外国銀行というのは、大体預金に対する利息というものは極めて低廉なのですが、日本の利率とは比較にならない筈です。それに対してはどういう利率で以て預金されておるのか。或いは外国銀行はそのドル資金を流用と申しますか、利用しようと思えば、これは自由にできると思うのですが、そういう点については現在どういう状況なつておりますか。
  24. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) アメリカ銀行では当座預金、つまり要求拂い預金につきましては、利息を付けてはいけないという法律上の規定があるのでありますが、外国為替管理委員会の保有しております外貨について、その相当部分は直ぐには使わないという見通しが付きますので、これはタイム・デポジツトにしておるというふうに聞いております。その他当座の用に使います分につきましては、要求拂金につきましては利息は付けていないと思います。それらの利率、その金額等につきましては所管外のために今資料を持合せておりません。
  25. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) 油井委員に申上げます。が、明日午前十時から外国為替管理委員その他の諸君をお呼びいたしておりますから、只今の問題については明日の午前十時から詳細に御質疑をお願いいたしたいと思います。
  26. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 了承。
  27. 小串清一

    ○小串清一君 これは講和條約ができなければいけないのでしようが、銀行方面ではそういうことを考えておるかどうか知りませんが、今の正金銀行のようなものを復活することにしなければいけないじやないですか、銀行の場合は結局……。
  28. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 特に正金銀行自体について関係方面はどう考えておるかは私詳細存じませんが、銀行全般について向うの考え方を付度いたしますと、特に国家の庇護を受けた特殊銀行というものの思想を否定しております。そこで旧正金銀行につきましても、相当風当りが強かつたというように聞いておるのでありまして、これは国外で業務を営みますものでも、又国内で業務を営みますものでも特殊銀行という思想は好ましからんと考えておるようでございます。
  29. 小串清一

    ○小串清一君 そうすると日本銀行の支店みたようなものを作るか何かしなければ、やはりそれは普通の市中銀行でも支店を出せばできるのですけれども、相当大きなバツクか、さもなければ大資本がなければ世界中の金融をやれんこともあるのじやないですか。
  30. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) これからは外国為替銀行の認可を受けておりますものの中特定のものが、即ち資力もあり又技術も持つておるといつたようなものが徐々に世界各地に進出して行くとうことが想像せられるのではないかと思うのであります。
  31. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 よく似たことなんですが、ドル資金のこと、今の日本銀行の金の地金の価格ですね、あれはどういう見積りになつておるのですか。あの改訂した金の価格の値になつておるのですか、分らんですか。
  32. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) ちよつとその辺只今詳らかにいたしませんが、尚調べまして申上げます。
  33. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 外国銀行の支店というのは、一体日本法律従つて行くものなんですか。外国本店の所属する本国のつまり法律に従うのですか。その関係はどんなことになつておるのですか。
  34. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 国内に外国銀行が支店を設置します限り、その支店につきましては日本法律の適用を受けるわけであります。その他海外に支店を出していいかどうかにつきましては、それぞれ本国の法律に又規定があることと思います。併し日本に出します以上、その支店につきましては日本金融に関しまする法規の適用を受けるのであります。
  35. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それでやはり例えば日本銀行なら日本銀行金融政策の一環としていろいろ指令なり何なりを遵法しなければならないということに現在でもなつておりますか。
  36. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) その点は、内地銀行、外国銀行一律に扱うべき建前でございます。
  37. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) ちよつとお諮りいたしたいのでございますが、本日の午後は如何いたしましようか。この小委員会を継続いたしましようか。若し午前中で打上げることにいたしますれば、他に御質疑がございますれば、この際続けてお願いいたしたいと思います。  尚御参考までに申上げますが、明日は当面の輸出入問題に関する外国為替の問題、それから輸出、輸入等に関する手続上の問題、貿易金融の問題というようなことに関しまして、外国為替管理委員会委員、それから業者側といたしまして、第一物産の新関社長をお呼びいたしまして、いろいろと実情を伺うことにいたしたいと思つております。
  38. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 もう午前中で打切つたらどうですか。
  39. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それならば如何でございましようか。本日は午前でこの小委員会を打切ることにいたしまして、他に御質疑がございますればお願いいたします。
  40. 小林政夫

    ○小林政夫君 いろいろ銀行法案についての質問があるのでございますが、時間がないので中小企業の今度信用保險制度について考えられておるようですが、これについて現在までまとまつておる内閣の構想を聞かして貰いたいと思います。
  41. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 中小金融保証乃至保險制度につきましては、前国会に提案いたしたいと思いまして骨折りましたのでありますが、関係方面の了承がそれまで得られませんので遅れておるの、あります。その後尚この交渉を継続しておるのでございまして、先方といたしましては、関係方面が広い、それから若しこれは見返資金から保証基金を出すとしますれば、財政の方に関係がある。それから金融銀行関係の方面にも関係がある。又公正取引方面、これは中小企業者をパツクとしておる方面でございますが、こちらにも関係があるということで、なかなか意見もまとまりにくいのでございます。前議会当時に考えておりました我々の構想は、大体まあ一定金額以下の中小金融というものを想定いたしまして、これに対して貸付けの損失が起りました場合に、貸付けました当該金融機関、それから中央の保証基金というものが大体七割五分と二割五分の割合で損失を負担し合う。そのためには金融機関は中小金融をなすに当りまして、大体年利にしまして二分程度保險料というものを基金に拂い込むというような構想でおつたのでございます。その後この考え方につきましては年二分の保險料というものをどの範囲の中小貸付から取るか。これを裏から市しますれば、こういう制度ができたために元来金融機関からそう無理しないでも金が借りられた中小業者も保險料を拂わなければならなくなる、金利負担が高くなるということであつてはまずいのでにないか。それからもう一つは、この金融機関の側からいたしまして、二割五分の基金負担をするということでは金融機関は卒先してこういうような金融を扱わんのではないかといつたような点を反省いたしまして、そこで現在のところではこの七割五分を九割というくらいにしてはどうか、それから尚悪いものを保險に持ち込まないために中央において一つ一つ銀行についてやはり審査をしたらどうかというようなことに考えを向けておるのでございます。  それから扱い機関といたしましては、大蔵省考えとしては、国民金融公庫あたりが扱うのが適当ではないかというふうにも考えたのでございますが、これらにつきましては尚いろいろの意見がございまして、まだまとまつておりません。これを要しまするに、前議会当時に考えておりましたこととは多少趣きを変えまして研究中であるわけであります。
  42. 小林政夫

    ○小林政夫君 どのくらいの基金でやる予定になつておりますか。
  43. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 前国会において当時考えておりましたのは、見返資金から十億ぐらいを出して貰つてこれを基金とするという考え方でございまする
  44. 小林政夫

    ○小林政夫君 すでに載る府県の保証協会等と多少関連を持つたやり方と考えられるのですが、国民金融公庫で扱つて今度は別個に直接国家として、中央としてやつておるということなのか、その点を……。
  45. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) この問題はすでに古く遡りますと地方ごとにございます信用保証協会と結び付けて一つの信用保險制度考えたらばよいのではないかと考えておつたのであります。これを具体的に申しますと、各地、各府県にあります信用保証協会の保証いたします貸付を、中央に再保險ともいうべき機能を営む団体又は基金を拾えまして再保險して行くという考え方でスタートしたのであります。ところが、この各地にあります信用保証協会というものが、これは府県の出資のために外の銀行等へも出資しております。そこでこれは事業者団体法に触れるのではないかという嫌疑が極めて濃厚なのでありまして、現状のままでやつておる程度ならまだ黙認せられますが、これを法制化するということはとても認められないという情勢にあることが分つたのでございます。そこでこの中小金融保險制度考える場合に当りましては、これとは別個にこれと並立いたしまして一つ保險制度を拵えた方がよいのではないか、そうしてその構想は只今申上げたことでございますが、一体地方の信用保証協会では例えば短期金融について保証するということであれば、中央の保險についてはやはり長期金融保險をする、或いは金額を中央と地方と振り分けるといつたようなことで並立することも非常に面白い行き方ではないかというふうに今は考えておる次第であります。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 丁度ついでですからお伺いしますが、農林金融に対しては非常に特殊性を持つておるというふうな長期的なものが非常に多いのだが、そういうものに対して今の中金等を中心にして御構想はあるのかそれを伺いたい。それで今の御説明普通銀行として中金などを一体に取扱われておるが、銀行の性質が非常に違うのじやないかということ、そういう点に対してお考えがあれば承わりたい。
  47. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 農林中金の今後の行き方につきましては、只今国内的にも又関係筋との関係におきましても議論を闘わせておるところでございます。その大体の結論の方向といたしましては、やはり農林、漁業の金融というものは特殊の金融である。それであるからこの一般銀行法で律しまする普通金融の行き方ではいけないのではないかということは、大体において一致したところでございます。然らばその農林中金をどう具体的に改組するか、或いは現状のまま認めるかということにつきましては、まだ結論が出ておりませんが、大体農業、漁業関係で要求いたします長期低利の資金を如何にして賄うかという問題につきましては、これを金融市場において普通の方法で調達するということはなかなかむずかしいのではないかと考えられます。一面農林中央金庫といたしましても、これは特殊金融機関でありますけれども、国家が余りにこれに特権を與えるということは、又現在の金融制度の行き方として好まれざるところではないか。そうしますと農林中金としては、普通の方法で市場から資金を調達いたしまして、これを自己の責任と損失負担においてこれを貸出すということに徹底いたしますと、農林、漁業関係金融の疏通を欠くとついう場合もあるのではないか、然らばどうしたらいいか、一方において預金資金等がございまして、事変前はこれが各種農業関係、漁業関係長期低利に提供されておつたのであります。一方預金資金の運用につきましては、只今のところ当局が長い間希望を表明しておりますに拘わらず、現在のところ運用の方向について打開を見ておらない。これと農林中金の発動とどう結び付けるかということは今後の問題として相当研究しなければならんのではないかと思うのであります。一方最近農林省方面におきましては、農林金融公庫といつたようなものを特に拵えまし見返資金或いは財政資金で以て出資をする、預金資金を借入れられることにいたしまして、只今申しましたような長期低利の資金を供給いたしたいという構想もあるのであります。これらにつきまして農林当局と私共の方と今相談中でございまして、果してこういうふうな公庫が要るのか、或いは農林中金に若干の制度の改正をいたしますれば、立派にやつて行けるものであるかどうかという点につきまして研究中でございます。
  48. 小林政夫

    ○小林政夫君 今のお話と関連するわけですが、漁業手形の面につい現在の漁業手形というのは一定の金を積立てて出すということで、当初では繋ぎ融資も考えられたが、実績は悪いということでやめになつたので、大体において先積立をしその倍額の融資を受けるということで農業手形とは大分趣きが違う状態になつておる。水産の状態は非常に資材の値上りに対して魚価が伴わないということで、各漁業家いずれも資材の調達資金に困つておる。今のような構想の水産金融については、特別に考えられる金融機関等ができれば又別途考えられるでしようが、差当つて当面の措置として何か考えられておられるか。
  49. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 漁業手形の問題は、これは私は制度全体としては非常にうまく考えられておる。そうして将来うまく運営さるべきものだと思います。ところが発つ足以来一年有余の実績を見まするというと、地方によつては積立が非常にうまく行つておらんということで、銀行方面の心証を害しておる事実はあるようでございます。又地方によりましては積立も非常に円滑に行つおるのであります。そこでやはり危險率の多い漁業方面に貸出します金融の方法といたしましては、漁業手形制度は非常に面白いのではないか、是非これを育成して参りたいという気持でおるのであります。その他の方法と申しましても、特に具体的なものはなかなか思い付かないのでありまして、まあ差当つて漁業手形制度を完全に動くようにしたいと努力しておるのであります。
  50. 小林政夫

    ○小林政夫君 勿論長い目で見れば、私も局長と同じような考えを持つのです。段々積立てて行つて、概ね所要の資金がその漁業手形によつて賄われるという状態には何年か先にはなるわけであります。ところが現在の漁業の状態は差当つて当面困るわけです。これによつて資材の代金の何分の一かに相当するには、本当に九牛の一毛の金融に過ぎない、成る程度金を持つておるものは、百万円持つておれば百万円積立てれば二百万円の融資が得られるということになるけれども、差当つて資金がないというようなところでは、非常に利用の途が塞がれるわけです。これについてどうしても少くとも農業手形なみの措置が漁業手形につついても、漁業金融についても考えられなければならんのではないかというふうに私は思うのですが、どうでしようか。
  51. 舟山正吉

    説明員(舟山正吉君) 経済界各方面につきまして金融を受けるためには非常に困難があるという情勢下におきまし漁業金融のごときは特にその困難性があると思うのでありますが、私は制度として非常に妙案があるということの以外には、やはり何と申しましても資金の借入を希望される事業者の個々につきまして、やはり金融機関に十分事業の性質その他を御説明なつて借りられるようにして行く以外に手はないのではないかと考えるのであります。それらについて金融機関の方で以て余りに無理解なことを言うということでありますれば、当局なり日本銀行からして十分斡旋の労はとるべきかと思いますが、ただごうすればどの漁業金融も円滑に行くのだというような制度はなかなか考え付かない、又それを期待はできないのではないかというふうに考えております。
  52. 愛知揆一

    委員長愛知揆一君) それでは外に御質疑がございませんければ、本日の小委員会は閉会といたします。    午後零時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     愛知 揆一君    副委員長    油井賢太郎君    委員            大矢半次郎君            小串 清一君            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            森下 政一君            清澤 俊英君            松永 義雄君            小林 政夫君            杉山 昌作君            森 八三一君   説明員    大蔵事務官銀行    局長      舟山 正吉君    大蔵事務官銀行    局銀行課長   大月  高君