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1950-07-21 第8回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十一日(金曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員会設置の件 ○小委員及び小委員長選任の件 ○船舶公団共有特分処理等に関す  る法律案内閣送付) ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○証券取引法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。初めにちよつと申上げますことは、前回に森下委員よりこの会議の席の変更の御意見がありまして、大体出席の皆さんの御賛成を得たのでありますが、その問題が本日委員長並び運営委員連合懇談会がありまして、その席で波多野予算委員長からも意見が出まして、これは、この席を変えることは、いろいろそれには長所短所があるようだしするから、皆さんで研究して決めたらどうだという……。併しそのとき私が大蔵委員会では大体そういつたことでやつてみようかと思つて大体決めたのだが、それを少し皆さんにも相談をして決めようじやないかという意見があつて……、本日は従来のままでやります。その点を森下君に御了解願つておきます。  それではこれより本委員会請願及び陳情に関する小委員会を設置することについてお諮りをいたします。本委員会におきまして、従来毎国会請願及び陳情審査に便ならしめるために小委員会を設けて審査をいたして参つたのでございますが、この国会におきましても、小委員会を設けて審査の迅速を期したいと存じます。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議なしと認めまして、請願及び陳情に関する小委員会を設置することに決定をいたします。   —————————————
  4. 小串清一

    委員長小串清一君) 次にこの小委員の数及び小委員選任並びに小委員長選任方法を如何いたしたらよろしうございましようか、お諮りいたします。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 小委員の数は六名とし、小委員選任及び小委員長選任方法は、委員長指名に一任することの動議を提出いたします。
  6. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今佐多委員動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは佐多委員の御発言通り、小委員会を設けることにいたしまして小委員の数は六名とし、小委員は私から御指名を申上げます。大矢半次郎君、九鬼紋十郎君、清澤俊英君、杉山昌作君、油井賢太郎君、森八三一君を御指名申上げます。そうして小委員長には大矢半次郎君を指名いたします。どうかよろしくお願い申上げます。   —————————————
  8. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより本日の議題となつておりまする船舶公団共有持分処理等に関する法律案、それから証券取引法の一部を改正する法律案関税法の一部を改正する法律案、右三案は予備審査でありますが、これを一括して政府当局説明を聴くことにいたします。
  9. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 只今より船舶公団共有持分処理等に関する法律案提案理由を御説明いたします。  船舶公団は、本年四月—日を以て解散し、目下清算中でありますが、本年九月三十日までに清算結了しなければならないことになつております。而して船舶公団は、他の船舶所有者との共有契約により船舶共有しているのでありますが、この公団持分は、共有者たる船舶所有者が十ヶ年以内に買い取ればよいことになつておるのであります。併しながら現在の海運界の現状では船舶所有春公団持分を直ちに買い取ることは困難であつて、その処分は長期間に亘ることが予想され、従つてその期間中は、船舶公団清算結了しないことになるのであります。  以上述べました理由船舶公団の他の船舶所有者共有する船舶公団持分を国に引き継ぐことにより船舶公団清算を短期に結了させると共に、船型公団復興金融金庫に対する債務の弁済並びに国の復興金融金庫及び船舶公団に対する出資減少について特別の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案を提出する理由であります。何とぞ御審議上速かに御賛成あらんことを希望いたします。  次に証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  今回改正しようとする主なる点は次の二点であります。  その第一点は、証券業者登録拒否原因の整備であります。即ち昨年末以来の株式市況の不振によりまして、証券業者資産内容は悪化し、一部の証券業者については整理の必要が認められる現在におきましては、証券業者資産内容の充実を図る必要があること及び現在の登録拒否條項のみでは、従来の実績に徴し、場合によつて却つて投資者保護に欠ける慮れがある点にかんがみまして、この際、従来の登録拒否條項の外に、登録申請者資本金額又は資産の額について、証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定める額に満たない者に対しては、証券業者登録を拒否することとしたことであります。  改正の第二点は、証券業者営業保証金についてであります。即ち、営業保証金について、現行法国際証券をもつてこれに充てることができることとしているのでありますが、国債証券相当に償還されましたので、国債証券の外に、今回新たに、地方債証券、特別の法律により法人の発行する債券又は社債券を加えることにいたしたことであります。  以上が改正法案の要点であります。何とぞ速かに御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。  次に関税法の一部を改正する法律案について御説明申します。  今回改正しようといたします主な点は、次の二点であります。  その第一点は、税関職員がその職務を行うに当つて武器を携帯することができる規定を設け、最近特に兇悪化しつつある密貿易の取締の徹底を図ろうとするものであります。  その第二点は、私設の保税地域等に対する税関官吏の常時派出に関する従来の規定を整備すると共に、その定員につきましては、派出職合員の特質にかんがみまして、これを定員外といたそうとしたものであります。  以上が本法律案を提出いたしました理由であります。  何とぞ御審議上速かに御賛成あらんことを御願いいたします。  この船舶公団共有持分処理等に関する法律案につきまして管財局長から一応説明を申上げたいと思います。
  10. 小串清一

    委員長小串清一君) どうぞお願いいたします。吉田晴二君説明を願います。
  11. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) それでは政務次官から提案理由を御説明いたしました船舶公団共有持分処理等に関する法律案につきまして、概括的にこれを御説明申上げます。御手許に数字の資料が一枚お配りしてあると存じます。これについて……。只今政務次官から御説明いたしましたように、この九月末で船舶公団清算を完了しなければならないわけでございます。その場合の船舶共有持分というものは、船舶公団に残るわけでありますが、その価格はここにありますように、今年三月末で百三十五億三百万円でございまして、それから減価償却引当金十三億一千万円を引きますと、差引き百二十一億九千三百万円というものが、大体この共有持分として残ることになつております。これを国の方へ引き継ぎます場合に、船舶公団の方には、これに見合うものといたしましては、政府から出資いたしました金額が、約五十六億九千七百万円と、外に復金から借入れましたものが七十億七千八百万円ございます。特にこの借入金につきにましては、政府がこの公団から共有持分を全部移してしまいますというと、公団の方には借入金だけがあつて財産がなくなるというような恰好になりますので、同時にこの復金借入金という七十億七千八百万円を、政府債務を引き継ぐ。こういう措置を取らねばならないことになるわけであります。そこで次の行にありますように、共有持分価格、百二十一億九千三百万円から復金借入金七十億七千八百万円を引きますと、五十一億一千五百万円というものが残るわけでありますが、これが先程申上げました基本金政府公団出資しました基本金によつて公団共有持分を持つてつた分相当するわけであります。そこで現在の基本金五十六億九千七百万円から五十一億一千五百万円を引きますと、基本金の残額として、政府の方に収入として入つて来る金額になるわけであります。この数字を一応頭に入れて頂きまして、この問題の方を御覧願いたいと思います。  第一條は「大蔵大臣は、船舶公団清算事務結了を促進するため必要があるときは船舶公団の他の船舶所有者との船舶共有契約に基く持分、その他の権利義務を国に引き継ぐことができる。」という第一項の規定でありますが、御承知のように船舶公団というものは、従来から船の建造、或いは修理の場合に、船主と共同してその費用を出した。つまり一隻の船がここにありますというと「その中の仮に五割なら五割というものは、船舶公団建造費を出し、あとの残りの五割は船主が金を出す。こういうことになつております。そしてその公団の出しておりました五割というものは、どこから出したかと申しますと、船舶公団は一部は政府出資から出しまして、一部は復金から借り入れた金で出しておる。そしてその分がいわゆる公団共有持分になる。一方船主復金から借入れ、又市中銀行から借入れまして出した分が、これが船主共有持分であります。つまり一隻の船についてそういうふうに公団の方の共有持分と、船主との間の共有持分があります。而もその金の面からいいますと、公団の出した金には政府から出した分と、復興金融金庫から借入れた分と両方ある。こういうことになつておりますが、只今申上げました船舶公団の船に対する共有持分を、これを国に引き継ぐというのが第一項であります。従つてこれは船舶公団資産の分にありますものを、国の方に持つて来るわけであります。  第二項では先程申上げましたように、「前項規定により船舶公団共有契約に基く権利義務を引き継いだときは、その引継の日において船舶公団復興金融金庫に対する債務を引き受ける」、只今申上げましたように公団共有持分を持つために、一方は政府から出資金を出して貰つておりますし、又一方は復金から借りておる。そこで公団としては復金から相当に、先程申上げましたこの七十億の債務を持つておる。これをこのままに放つて置くと、公団としては共有持分である資産の分は取られる、債務は残るということになります関係上、この債務を当然このときに国に引継がなければ清算ができないわけであります。そこでこの七十億七千八百万円という債務を国の方に引受けることに規定したわけであります。  それから第三には、そういうふうにして国の方へ引継ぎました復興金融金庫債務というものは、つまり国復興金融金庫に借りておる債務ということになります。肩替りをしたわけでありますから、その結果は国が復興金融金庫に七十億八百万円の借金がある。ところが国としては復興金融金庫に対して千二百億の資本を出しておりますので、この借金を国が復興金融金庫現金で拂う必要はないので、その資本の額をそれだけ減少すればそれでいいことになりますので、特にこれを法律規定して簡便な方法を用いて債務の返済をしたものとみなして措置する。そのために第三項の規定を入れたわけでございます。  次に第四項でございますが、第四項は先程申上げましたように、船舶公団共有持分がこれで国に廻り、復金からの債務処理ができたわけでありますから、残つた政府からの出資金がどうなるか、政府公団出資しております五十六億九千七百万円というものをどうするかということでありますが、その分につきましては、つまり共有持分価額から復興金融金庫に対する債務金額を引いた分、この法律では「共有持分価額似が第二項の規定により引き受けた船舶公団復興金融金庫に対する債務金額をこえるときと書いてありますが、逆にいえば共有持分から復金債務を引いた額、先程数字で御説明いたしました五十一億一千五百万円でございますが、この五十一億一千五百万円というものを基本金減少を行う。従つて先程数字で御説明いたしましたように五十六億九千七百万円から五十一億一千五百万円を引くということをするわけでございます。これによつて船舶公団の持つておりました船に対する共有持分を国に引継ぎ、同時に公団復興金融金庫に持つておりました債務を消滅させる。又国から出しておつた基本金部分を消滅させる。残つた基本金は五億八千二百万円になる、こういう操作をするわけでございます。  そうして第五項は、これは手続を決めましたわけで、前項基本金減少のための定款変更、これは従来は運輸大臣認可を経てやることになつてつたのでありますが、今回はこれは清算に入りましてからは大蔵大臣の監督になつておりますので、大蔵大臣認可を受けて行うということにいたしました。又これを定款変更の登記をすることを規定したわけであります。  その次の第二條は、これは船舶公団法には廃止規定公団法そのものにございませんので、これは恐らくこの共有持分契約相当長期に亘る契約になつておりましたので、特に船舶公団法の中に、他の公団法と違いまして、廃止規定がなかつたものと考えられておりますが、こういうふうに国の方へ共有持分を引継ぐことにいたしますれば、船舶公団廃止しても差支えないことでございますので、これは廃止をすることにしたわけでございます。ただこの精算につきましては法律施行三前にした行為罰則の適用、それから公団そのもの清算については尚施行後も効力を有する必要がありますので、但書としてその旨を規定したということになつております。  以上條文についての御説明を終わりす。
  12. 野溝勝

    野溝勝君 今の数字は何ですか、残るのは二億ぐらいですか。
  13. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 五億八千二百万円でございます。
  14. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この国に引継ぐというと、つまり国財産になるわけですか。それは国としてどういう管理をするのですか。そういつたような明細をちよつと……。
  15. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは共有持分はやはり性質上国財産になるわけであります。その管理につきましてはお手許に又細かい、こういう一枚の船舶共有契約書という契約書がお配りしてあるのでございますが、この船舶共有契約書に基いてこの管理をすることになるわけであります。ただ政府の方針といたしましては成るべくこの契約によりますというと、共有開始後十ヶ年以内においては公団は予め相手方承諾を得ない以上その持分を第三者に譲渡することはできないという規定が第十二條にございますので、相手方承諾を得ない間はなかなかこの共有持分処理ができないような状態になつておりますが、その点についてはできるだけ相手方つまり船主との間に交渉を進めまして、成るべく早くこの持分措置を進めたい。従つて国財産として持つ期間を成るべく短かくしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  16. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと、その国有なつた場合の、国の持分なつた場合のいわゆる国の所得はどういうところから、どういうものを標準として生れて来るのでございますか。
  17. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これはこの共有契約によりまして運営船主がやることになつております。従つてその船主がその船舶運営いたしまして、それによつて何といいますかその利益を得たものを、国の方へ持分の比率によつて、多少いろいろ條件がございますが、この契約條件によつて国の方に納めるということになるのであります。
  18. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その場合必ずしも黒字ばかり出るとは限らんと思いますが、赤字のような場合どうしますか。
  19. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは赤字になりました場合には、次の期に繰越して来るということになりまして、つまり債権の形になつてつて来ると思います。
  20. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと、黒字の場合はそういうことができるのですが、何か一定の率か何か、使用料とかいうものは決めておかないと赤字になつて拂えるとか拂えないとかいうのは分らんわけですね。それはどういうのですか。
  21. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは細かく申しますと、共有契約書を或る程度説明をして行かないといけないかと存じますが、つまり大掴みに申上げますると、総益金がらいろいろの諸経費を差引きまして、その諸経費を差引いた分のうち、先ず船主金利船主が取る。その次に公団公団分金利を取る、その次に船主船主償却分を取る、その次に公団公団償却分を取る。こういうふうにいたしまして、尚これに対して繰越損になれば、更に繰越損を補填する。繰越損を補填して尚余裕がある場合には、それは船主の方が取る。こういうような條件になるわけであります。    〔委員長退席理事佐多忠隆委員長席に着く〕
  22. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 船舶は十年以内に船主が買取ることがなかなか困難のようですが、それは要するに建造費が非常に高かつたために、そういうふうになつているのですか。或いは高い建造費のものと安い建造費のものとあるわけですか。そういつたような違つた船舶についてはいろいろ又條件が変つて来ると思うのでありますが、そういう点少し詳しく御説明願いたいと思います。
  23. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは御承知通り船舶公団で造ります場合は漸次造つて参りました、或いは修理をして参りましたので、昔早くこれを実施しましたときには非常に船価が安いわけです。それからだんだんに最近の船になる程トン当りの單価が上つて来る。ですから船ごとにその状況も違つて来ております。そこで今のお話のように船価が高いから買えないというよりも、むしろ何と言いますか、現在の海運界状況が必ずしもよくない状況にもよるのだと思うのでありますが、海運界状況が非常に好転するというようなことになれば、むしろ早く船主がこれを買取るという方が船主利益になるという場合が起るだろうと思います。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 所有者が買取る場合にはいつでも拂渡しをするという、そういう原則になつているわけですね。その拂渡しの価額というものはその船々の建造費によつて皆違つておる。そう解釈していいですね。
  25. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今お話通りでございまして、いわゆる簿価で以て買取るというふうになつております。
  26. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それから非常に建造費が高くなつてつて、今造つたものよりも高いものが相当あると思われるのですが、そういう際にはもつと買取価額を低くしてやつたり、そういつたような措置は講じられないのですか。
  27. 阿部達一

    説明員阿部達一君) お答えいたします。    〔理事佐多忠隆退席委員長着席建造費から算出しました簿価になりますが、簿価が今日或いは将来建造いたしまする船価よりも高くなつた場合におきましても簿価の割引と申しますか、減価措置は取らないことになつております。それから御承知のようにいわゆる第四期造船までが公団共有持分を持つて造りました船でございまして、最後頃の最優秀船と言われます船あたりでも、大体デツド・ウエイト、総トンでございましたか、トン当り六万円台でありまして、大体現在造つております船の建造費と比較いたしまして、特に高いというものはないと思つております。
  28. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ついでにもう一つ伺いたいのですが、所有者以外の人がそれでは買取るということは絶対にあり得ないことになつていると了解してもいいわけですね。
  29. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは船主が同意すれつばいいわけでございますが、同意をしない限りはないということになります。
  30. 杉山昌作

    杉山昌作君 この表の二十五年三月末の百三十五億ですか、これは帳簿価格になつているのでございますか。
  31. 阿部達一

    説明員阿部達一君) お答えいたします。百三十五億と申しますのは、現在公団共有の対象になつておりまする船の、公団の二十四年度期首当初、いわゆる乗出しと申しますか、現在の簿価であります。十三億一千万円は本年の三月三十一日までに償却されるものでございます。それで三月三十一日の償却後の船の簿価というものは百二十一億九千三百万円、かようになつております。
  32. 杉山昌作

    杉山昌作君 そうすると、これを実際に今評価して見たら百二十一億以上であるか、以下であるかという問題が起きて来ると思います。そうするとその場合の引継いだ損得というものは船舶公団と国、国だけが実施しておるのだから構わないというような恰好になるのですか。
  33. 阿部達一

    説明員阿部達一君) 現在の簿価は、御説のように時価に換算いたしますれば低いということが言えると思います。大体三分の一以下と考えていいじやないかと思いますが、ただ国といたしましてもこの共有契約の当事者となるわけでございますが、この際にこの契約の基本的な点と申しますか、簿価で買取ることができるようになつておりますので、時価でこれを売拂うということはできないことになつております。ただ相手方承諾を得ました場合、或いは十年経過いたしまして船主の方で、その持分を買取らないというような場合になりますれば、今後は勝手にと申しますか、船を自由に処分できます。その場合は一般国有財産処分の例によつてやることになる。かように考えております。
  34. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この提出された表の基本金というのは五十六億九千七百万円となつておりますが、この数字についてもう一応御説明願いたいと思います。
  35. 阿部達一

    説明員阿部達一君) この五十六億九千万円は先程局長から御説明申上げました通りに、船舶建造をいたしますものと、それから他に細かいものでありますが、什器備品類の購入と申しますか、これの引当でありまして、これが出資いたしました金額でございまして、この内五十一億一千五百万円というものが現在船の共有持分の形に代つておるわけでございまして、この残り部分什器備品類の約百六十万ですか、百五十万ぐらいのものと、その他に償却いたされまして、現金預金の形でありますものと、それから建造の際におきましてはエンジンとか、ボイラ—その他の艤装費等につきましても、公団が他のメーカーに発註いたしまして、それを又造船所に交付いたします。建造させるという方式をとつて参りましたので、残りの五億八千二百万円、基本金に該当いたしますものは回収されました、償却されました預現金只今申上げました資材類、それと什器備品、こういうことになります。
  36. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうすると五億八千二百万円というのは時価に換算して見積つた場合には、どんな数字になりますか。
  37. 阿部達一

    説明員阿部達一君) 五億八千二百万円に見合います資産といたしまして、現在このバランスの預現金が四億七千五百万円只今でもそれだけの額はございます。それから艤装費その他が大体一億七千八百万円となつておりますが、これは持つております造機等戦前等におきましては例えば戦標船E型等主要機関の改装ということ等を睨みまして作りましたいわば用途が限定されております関係上、簿価では売れない、かように思われますが、尚これはまだ御説明いたしておりませんが、船舶運営会が三月三十一日まで総トン数八百トン以上の船を運航いたしておりましたので、それから入つて参ります使用料がございまして、これらが約三億見込まれておりますし、それから昨年の八月から自営になりました船から入つて参ります金利償却、それとこの四月一日から自営になりました船主運営によつて入りました収入から諸経費を引きました残り金利償却というものも見込まれて参るのでありますが、九月末における概算といたしましては、五億八千二百万円の基本金政府に返納いたしまして、尚五千万円程度黒字になる。かような見通しを立てております。
  38. 松永義雄

    松永義雄君 これは公団が解散し清算に入つたから、こういう処置をしようというのですか。それともこれから公団が解散するのを條件として予めこういう規定を作るというのですか。
  39. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは船舶公団は四月一日に解散いたしまして、現在清算の途中でございます。そうして先程申上げましたように、この九月二十日に清算結了しなければならんということになつております。九月三十日に当然公団がなくなりまして共有持分も国の方に来る。そうしてその場合には当然今の債務の方も引継いでやらなければならない。それにはそういう処理をするためには法律がいるということでこの処置をお願いしているのであります。
  40. 松永義雄

    松永義雄君 その解散の結果、公団の貸借対照表はプラスですかりマイナスですか。
  41. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 只今説明いたしましたように、大体において最後の九月三十日におきまして約六億三千万円程度のプラスが残つて来る。正確に申上げますれば、基本金が五億八千万円ですから大体五千万円の黒字が残るということになります。
  42. 松永義雄

    松永義雄君 公団の従業員はどうなるのですか。
  43. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは各公団も皆同じことでございますが、公団の解散と同時に或る程度人を減らしまして、それから段々清算の事務が進むに従いまして、不要になりました人は段々整理して行くということになります。
  44. 松永義雄

    松永義雄君 それらの議君の退職手当、或いは経費などはどういうふうになつているのでしようか。
  45. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) この経費並びに退職金につきましては、これは一般のり公務員と同様の取扱になつているのでございます。
  46. 松永義雄

    松永義雄君 その五千万円という金は清算費の引当というようなことになるのですか、そこまでは行かないですか
  47. 阿部達一

    説明員阿部達一君) 五千万円と申しますのは、四月一日から九月末日までの清算に要します費用を、勿論支拂いまして尚五千万円の剰余金と申しますか、それが残るという見通しであります。
  48. 松永義雄

    松永義雄君 その五千万円は清算の結果プラスとして残るという予想なんですね。
  49. 阿部達一

    説明員阿部達一君) 御説の通りでありまして、それは公団清算後の剰余財産といたしまして国庫に属するものであります。
  50. 森下政一

    森下政一君 それで、船舶公団というものが廃止になるならば、今度は船主が任意にこれを経営することになるわけですか、船の運航とか何とかいうものは……。
  51. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) これは運航の方は船主が任意にやつてよろしいということであります。
  52. 森下政一

    森下政一君 そうなりますと船に乗つております船員なんかの、別に身分上の心配というものは何もないわけですか。
  53. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) それは全然公団の解散とは別のことでございます。
  54. 松永義雄

    松永義雄君 従業員が退職手当を貰つて退くという解散でしたら止むを得ないのですが、あと始末はどうなるのか、失業のままに放つて置くというのか、その辺は何か御心配になつておりませんか。
  55. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 船舶公団につきましては実は従業員は割合に少いのです。ということは実際にはいろいろな船舶運営について従来船舶運営会というものがございまして、船舶運営会で大体のことを直接しておりました関係上、船舶公団の方は何と申しますか、非常に少い、大体最高は百八十名程度、解散後は百名以内の人になると思います。割合に他の公団と比較しましては人数が少い。勿論そのあと放つて置いていいというわけではございませんので、船舶公団清算に伴いましてこれの斡旋委員会というものを作りまして、そこでできるだけの斡旋をしながら漸次それに見合つて人を減らして行くというふうにやつて参りたいと思つています。
  56. 松永義雄

    松永義雄君 成るべく失業者を出さないように一つ気をつけて頂きたいと思います。お願いいたします。
  57. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この百三十五位というのは簿価であるわけですね。そうしますと時価で評価すれば先にちよつと出ましたが、大体どのくらいという見込ですか。
  58. 阿部達一

    説明員阿部達一君) 百三十五億と申しますのは簿価でございますが、償却前の共有契約当時の簿価ということに相成りまして、三月三十一日現在におきましては、十三億一千万円の償却をいたしておりますので、百二十一億九千三百万円ということになりますが、大体三倍程度になると思います。それは先程局長から御説明いたしましたが、終戰後公団が最初に手がけました戰標船の中につきましてはトン当り一千円の船もあります。最近のものは殆んど時価と同じでございますが、大体三倍程度ではないか、かように考えております。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、その時価で見積つて基本金残額というのはどのくらいですか。
  60. 阿部達一

    説明員阿部達一君) 基本金残高が時価でというとどういう……、恐縮ですが一つ……。
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 百二十一億を三百六十三億に置き換えて、基本金による共有持分の基本価格が一応時価で出ますね。
  62. 阿部達一

    説明員阿部達一君) お答えいたします。仮に百二十一億が三倍といたしまして、三百六十二億になりますれば、七十億だけ復金債務でございますので、これは差引くことになりますと二百九十億というふうに、要するに五十六億九千七百万円と申しますか、それよりも償却後の五十一億千五百万円というのが正確でありますが、五十一億千五百万円に相当する船価時価に換算いたしますれば二百九十億になります。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どういうことですか、基本金が五十六億と見た時価を見積つて二百九十億……。
  64. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) その点はつまりこういうことであると思います。一応の時価を見積りますと相当大きな金額になる。併し一方から申しますと船主の方に簿価で買取権というものがございます。單にこれが直ぐに処分できるものならば時価処分するということもできると思いますが、簿価の買取権があるというと、負担條件付きになりますので、必ずしもそのようにはならない。それで一応とにかくこの百二十億というもので、政府の方に引き継いでおく。その結果から仮に処分できれば船主がこれを買取りませんで、政府の方でこれを処分するということになれば、政府の方に相当利益が上るということも考えられるのですけれども、恐らく将来海運界が多少安定して参りますれば、船主の方でこれを引き取るということになるのではないかと思います。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、船舶公団或いはそれを引ぎ継いだ國家が共有持分を持つていたものが、今後船会社が買取る場合には時価が非常に上つたため、非常に沢山の莫大な利益を得るということになると思うのです。その利益を船会社だけが保有していて、それが価格の値上りになつたという場合には、これはまあ一応時価の変動による利益として、これ自体にも問題はあると思いますけれども、これは一応その海運業者に帰属しても一応の理窟は立つかも知れませんが、どういう持分相当価格高騰のために、その利益が殆んど全部船会社に帰属するという結果になるのでしようか。
  66. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) その点は、これは非常に問題のあるところかと存じますが、ただそれは従来のこの船舶共有契約、この契約書があるために、又船主が船を造つたというような関係になつておりまして、現在これを仮に法律等を直すというようなことにいたしましても、これは個人の権利を相当侵害することになるのでありまして、やはりこれは或る程度船主との間の交渉によりまして、できるだけまあ公平な結論に持つて行くことが必要だと思うのです。特にここで政府の方で勝手な措置をとるということはできないものであると思います。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 共有持分を國家が引き継ぐ際に、何か勘定の操作として適当な操作をしておくということはできないものでしようか。
  68. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) その点につきましては、これはいろいろ相手のある交渉でございますが、一応考えられますことは、仮にそれでは将来どういうことになるかと申しますと、或いは又、将来において船価が下るという場合も考えられるわけでありまして、必ずしもここでそういうふうに今までの契約を更改できるかどうかということは、非常にこれは疑問があると思うのであります。
  69. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうしますと、若しその点で考慮して何とか措置をした方がいいとなれば、この契約自体を変える問題ではなくて、引き継ぎの際の何か勘定の技術的の方法では、措置方法がないというような御意見ですか。
  70. 吉田晴二

    政府委員吉田晴二君) 現在のところそういうふうな考え方でございます。   —————————————
  71. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは政府委員の関税関係の関税部長が見えておりますから、関税法の一部改正法律案について質疑を続行したいと思います。
  72. 野溝勝

    野溝勝君 これはもうこの程度で打切るのですか、ちよつとはつきりして下さい。
  73. 小串清一

    委員長小串清一君) 今まで御質疑を願つたのは先ずこの程度で一時おきまして、又委員諸君の御希望がありましたら更に質疑をお願いいたします。  今申しました関税法の一部改正法律案に移ります。
  74. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 関税法の一部を改正する法律案につきまして関税部長が来ておりますから、一応概略をもう一度説明したら如何かと思います。
  75. 石田正

    政府委員(石田正君) 或いはお手許にまだ法律案が届いておりませんかと存じますが、一応正式に上程いたしまして御審議を願います。関税法の一部改正に関しまするところの法律案を大体御説明させて頂きます。  改正の点は大体二点ございまして、一点は税関の官吏に武器を持たせるという点でございます。これは終戰後におきますところの密貿易は戦前と非常に性質を異にいたしまして相当大規模な悪質のものが殖えて参つております。特に最近に至りましてますます密貿易が兇暴化するというような傾向が現われておりまして、税関の官吏が暴行を受けるというような事実が実際問題といたしまして頻々と起つております。そこで今回関税法の歌正をいたしまして、税関官吏が取締及び犯則事件の調査をいたしますときに、武器を携帶できるということと、その武器の携帯が許されるに伴いまして、それがどういう場合に使用できるか、必要止むを得ない場合にのみそれを使用できいるとう趣旨のことを加え、それから更にもう一條、これは本当に念のためでございますけれども、税関官吏は現行犯の場合には逮捕状なくして逮捕できる。こういうことを附加えております。  それから第二の点は特派官吏の定員を行政機関職員定員法の定員外とする点であります。税関では民間から申請がありました場合に、常時特派官吏というものを派遣いたします。これは手数料を取つておりますが……、特派官吏というものは、従来は税関の官制におきましては大体定員外の取扱をいたしておつたのでありますが、それが先般行政機関職員定員法を決めます場合に、一応定員の中に繰入れまして規定いたしたのであります。一年前ばかり前の、状況でありますとまだ民間貿易もそう活機になつておりませんで、特に輸入関係におきまして民間の方の貿易というものも余り盛んでありませんので、一応決つた定員の範囲でやつてつたのであります。ところが今年になりましてから民間の輸入貿易も活撥になつて参りまして、自然保税等の関係から税関に対しまして保税倉庫等の要員が殖えて参りました。この情勢で参りまするならば、定員法の枠の中にありますところの人員では処理しきれないという問題が起つております。又本来この特派官吏の性質というもの参が、大体要求に応じまして特派する、特派手数料を出すというようなものでございますので、こういうものにつきましては昔の原則に戻りまして、定員の外に置くことができる。併しこれは勝手に置くというのではありませんので、予算の範囲におきまして政令の定めるところに置いておくことにする。そうして経済界の実情に応じまして伸縮いたすことができるようにいたしたい。こういうのが第二点でございます。簡単でございますが、私の説明を終ります。
  76. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今の御説明に御質問ありませんか。
  77. 野溝勝

    野溝勝君 何ですか、これは部長さん、第一の方は分つたのですが、二の方は、結論的に言えば、定員法があつてどうも増員ができないから、何とか特派官吏の増員をして貰いたい。こういう意味なんですか、僕はここで法案だけではよく分らんのですが……。
  78. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体本年のこれから先の状況を見ますると、定員は現在の定員では足りないと思いまする従つて増員をしなければならんというふうに思つております。ただこの点は一々この定員法を改正いたしまして、その都度改正するというよりも、むしろ定員の枠外に外しまして、そうして予算の範囲で増員をした方がいいのではないか。こういうふうな考え方を持つております。
  79. 野溝勝

    野溝勝君 そうするとどうも行政整理のあの経緯から見るとですね、そういう余裕があるわけはなかつたわけでありますが、大蔵省では財政措置によつてそういう人員の増員などができるような弾力を持つて予算を組んだのですか。
  80. 石田正

    政府委員(石田正君) 実は財政的な、大蔵省だけの予算から申しますると、必ずしも、何といいますか非常な定員に対して余裕がある、こういうふうな状況ではございません。従つて私達は正式には追加予算によつて増員の方の予算をお願いいたしたい、こういうふうに存じております。ただ税関だけの事情を申上げますると、本年は大体百四十人ばかり増員を願つておるのであります。ところがこの人員と申しまするのは、御承知通り定員法の改正が遅れまして、年度を越すに至りました。それから又人事院の関係にもなるのでありまするが、その増員した人間をどういう級に分けるかというような点がございまして、そうして本当に行政上とり得るところの体制が完備するまでに、実は時間がかかつてしまつたのであります。そういう関係で、大体少し定員関係には余裕があるというのは……、定員関係の予算、これには余裕があるというような実情にもなつておりませんので、いずれ一般的な補正予算等があります場合には、そのときにお願いすることにいたしまして、取敢えずこういうことでやらして頂きたい、こういうふうに思つている次第であります。
  81. 野溝勝

    野溝勝君 すると、あなたの言われるのは一応補正予算を出してやるのが妥当であるけれども、臨時措置としてその予算の範囲内で増員を認めて貰いたい、こういう趣旨なんですね。
  82. 石田正

    政府委員(石田正君) 予算だけからいたしますれば、そういうことに相成ります。
  83. 野溝勝

    野溝勝君 そうですね。
  84. 石田正

    政府委員(石田正君) はあ。
  85. 森下政一

    森下政一君 この携帯を予想いたして許しておいでになる武器というのは、拳銃でございますか。
  86. 石田正

    政府委員(石田正君) 差当りそうでございます。それ以外にはございません。
  87. 森下政一

    森下政一君 今提案理由説明によりますと、税関職員に武器を携帶せしめなければならんという程、最近の密貿易状況というものは兇悪化しつつある。従つて武器を携帶しなければ取締の徹底を図る。とができんもののように伺えるのですが、差支えない範囲において最近の密貿易状況というものは一体どうなのか、私共一向審らかにしないのですが、どの程度密貿易が行われており、どういう傾向の下にあるか御説明願いたい。
  88. 石田正

    政府委員(石田正君) 最近の密貿易数字につきましては、数字を、簡単なものを用意しておりますから御配付いたしまして、それで御覧願いたいと思います。ではいずれ数字の刷りましたものを後刻お届けいたさせます。  大体密貿易の件数でありますが、これは去年の五月までの数字がここにございますが、去年の数字をとつて見ますと、大体五百九十六件になつております。それから今年になりましてからの実績は七百五十件というふうに相成つております。これは勿論検挙いたしました実績でございまして、実際に行われた密貿易がどうであるかというそういう数字はございません。それから大体兇悪化しておりますということは、これは大体の傾向から申しますと、戦後において一つの共通的な特徴とも言われるのでありますけれども、我々といたしましては、暴行事件等が多いので非常に困つてつたのであります。最近におきましても鹿児島方面におきまして、監視員が密貿易取締のために或る密貿易船に赴いたのでありますが、それが拉致されまして、そうして沖縄方面に連れて行かれてしまいました。生死につきまして非常に心配したのでありますが、幸いにいたしまして大島の方の警察とも連絡がとれまして、恙なく帰つて来るというような事件が先月も起つておるのであります。それから又波止場等におきまして、叩かれ若しくは打たれるというようなことは頻繁に起つておるわけであります。大体いろいろなカテゴリーに分れますが、暴行事件というものが終戦後千二百件を超えておる、そういうふうな状況であります。で現地の情勢等から申しまして、非常に何と言いますか、危険を感ずるような場合が多いのであります。で武器を持たせることによりまして職務の執行ができるのではないか、こういう工合に考えます。
  89. 森下政一

    森下政一君 なんですか、密貿易を企てておるのは概ね本邦人ですか。
  90. 石田正

    政府委員(石田正君) 本邦人よりもむしろ外国人の方が多いという状況でございます。
  91. 森下政一

    森下政一君 多いのですか。
  92. 石田正

    政府委員(石田正君) はあ。それから暴行事件の方は、これも外國人の方が多いのであります。
  93. 森下政一

    森下政一君 そうして、どういう場合に武器を実際に用いるか、使用するかというような判断ですね、それはこの第六十條に示してあるようですが、税関職員自体の判断ですな。
  94. 石田正

    政府委員(石田正君) これは二つの点から押えてあるのでございまして、ただ単に税関の官吏が自分の独自の考え考でそう思うという主観だけでなく、又客観的に見ましても合理的だと判断される場合に限つて使われるのだと、こういうような規定のし方をいたしております。
  95. 森下政一

    森下政一君 客観的な事態というのは、本人がこれを見ておるだけで、外に立証もできませんね。真に止むを得ざる場合であつたとかなんとかいうようなことは、本人のそういう主観だけですな。
  96. 石田正

    政府委員(石田正君) これは果して真に止むを得ない場合でありましたか、或いは主観的に発砲したかというような問題は、結論的に申しますると、又過剰防衛になつたかどうかという問題にたるだろうと思いますが、これは問題が起りました場合に、税関の方といたしましては、勿論事情は調査するわけであります。それからして又不当であるというような問題が起きたというような場合には、当然裁判所の方の判断の問題に相成ろうかと思います。
  97. 森下政一

    森下政一君 それから密貿易の大体取扱われておる品物を種類別にすると、何が多いのでございますか。
  98. 石田正

    政府委員(石田正君) 最近におきましては、ストレプトマイシンでありまするとか、サツカリンとか、そういうふうな高価品が多くなつておるように思います。
  99. 森下政一

    森下政一君 そうすると、比較的容積が小さい……。
  100. 石田正

    政府委員(石田正君) 容積が少くつて価格の高い物であります。
  101. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつとお伺いしますが、この武器を携えてやらせるというのは、特定の税関の構内でしうよ、それ以外の所でもやるのですか。
  102. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体税関の官吏といいますものは、勤務地が決まつておるわけであります。大体その勤務をしております勤務地内において持つということに相成つております。ただ犯則があります嫌疑がございまして、そうして犯則の調査に参りますというような場合にも用うるというふうな工合に規定されておるわけでございます。
  103. 清澤俊英

    清澤俊英君 これが今のような場合に、犯則があつて、構外で行われておるものも、これを万全にやるには、こんた微温的なものじや駄目じやないでしようか。
  104. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体大規模なものにつきましては、税関官吏だけによりまして、殊に今お話がございました、構外の場合におきましては、税関官吏だけでやることはなかなかむずかしいと思つております。そういう場合には税関の官吏は、国家警察なり地方警察なりの援助を求めることができるということになつております。実際問題といたしまして、税関官吏だけで危い場合には、國家警察なり地方警察なりに必ず御同行を願うという場合も多いのでございます。
  105. 清澤俊英

    清澤俊英君 私らが常識的に考えて見ますと、大体密貿易というようなものは、構内よりは他の場所で行われる場合の方が多いと思います。その点はどうなつておりますか。
  106. 石田正

    政府委員(石田正君) 最近何と言いまするか、密貿易の実際を申上げますると、構内で行われる場合の方が実際といたしましては件数が多いのでございます。それから構外で行われるものは、件数はむしろ少いということでございます。但し、大規模なものは構外で行われます。一例を申しまするならば、外国の船が入つております、そういう何と言いますか、船の乗組員などが、構内を通しまして密貿易をやるというようなものが、非常に多いのでございます。
  107. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういう場合であれば、身分も想当分つておるのですから、そう兇暴性はないと思うのですが、やはり非常に兇暴性を持つておるのですか。
  108. 石田正

    政府委員(石田正君) 外国人等の、取締に参ります場合に、税関の官吏は、大挙して行ければよろしいわけでありますが、併しながら実際問題といたしましては、そういう事件が起りました場合には、その傍におりました者が一人乃至二人行くわけでありまして、向うにわきました場合に、非常に多くの人間が出て来て、そうして殴打されたりする、そういう事件が実際問題として非常に多いわけであります。
  109. 清澤俊英

    清澤俊英君 こういう場合に、非常にそれが大きい場合であるということになれば、微温的なこんなものでは駄目なのだから、今度海上保安庁が八千名だか人を殖やすということですが、あれらと連絡を取つて完全なものにしたら如何ですか。
  110. 石田正

    政府委員(石田正君) 我々は、税関だけでこれをやろうと思つておるのではありませんで、海上保安庁なり國家警察、地方警察という方面の方々が充実されまして、そうして援助されるというふうになりますことは、希望するところでもあり、歓迎するところでもあります。ただ密貿易の取締の主体というものは、現在におきましては、税関ということに相成つております。税関は、いわゆる検束であるとか、そういう場合におきまして、海上保安庁なり警察の援助を求めることができることになつております。併し、一々援助を求めておつては間に合わないというような場合もあるわけでございます。そういう点から一つ御了承願います。
  111. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 武器の携帯をするについて、小さいことでありますが、予算上の措置はどういうことになりますか
  112. 石田正

    政府委員(石田正君) 率直に申しまして、予算的な措置につきましては、実は何挺持たせるかというような問題につきましても、関係方面とまだ話が固まつておらんという点がございますので、その話かまとまりました工合によりまして、又予算的措置は講じたいと、こういうふうに思つておる次第でございます。
  113. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 それからもう一つ伺いたいなは、税関の職員がいよいよ武器を持たなければならんという情勢になつたについては、非常にこの仕事が危險性がいよいよ大きくなるということが考えられるわけであります。特に税関のこういう危険な仕事に従事する人達に対して、特別に待遇上、或いはその他の危害行為を受けた等の場合における保障等につきまして、何か特別に考えておられますか。
  114. 石田正

    政府委員(石田正君) 今御質問の点が、二点あるかと思うのでございますが、後段の方からお答えさして頂きます。危害を受けた場合に特別の保障があるかということでありますか、危害を受けた場合には、一般の職員が公務執行上損害を受けましたと同じ扱いによりましてやつております。この点につきましては、まだ特に予算的措置を講じなければならんという事態は起つておらないのであります。尚、危険な職務につきまするについて何か給與上特別の計らいをする意思はないかということでございますが、この問題につきましては、税関だけの点から申しますれば、いろいろと希望事項も多いのでございまするけれども、これは政府の一般職員全体との関係というものも考えまして、政府部内におきまして話合をつけました上で、できることでありまするならば、何らかの措置を講ずるようにいたしたいというふうに思つておるような次第であります。
  115. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 税関職員は今全部でどのくらいおるのか、それからその中のどのくらいに武器を持たせようとしておられるのか、それは人数で言つてどのくらいか、職種で言つてどういう職種に持たせようとしておられるのか、その点を一つ。
  116. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体本年度予算で認められましたところの税関の職員の全体の数は、三千七百二十四名に相成つております。併しながら、これ全体、か勿論今度の武器携帶の対象となるのではないのでございます。この中には雇員、傭員というものがございます。これが大体両方合せまして千二百名程おるわけであります。然らば千二百人を除いた残りが全部そうなるかというと、必ずしもそうではないのでございまして、これは先程御質問のありました特派官吏というものがございます。これが四百八十人程おられて、それを除きました一般官吏の中におきましても、輸出入の関係であるとか、貨物の価格関係であるとか、或いは一般の官房的な事務に携わるというふうな者がございます。我々が対象といたしておりまするところの人間の数というものは、大体監視関係、いわゆる密輸入の取締関係をやりまする監視関係の職員を対象といたすのでありまして、これは大体千百人ぐらいの者が現在この仕事に携わつておるわけであります。尚この人間に全部一人ずつ持たせるかどうかという点でございますが、これはまだ関係方面と折衝中でございまするので的確なことをここで申上げることはできません。ただ気持といたしましては大体必要最少限度に限りたい。こういう気持でいるわけでございます。極端に申しすれば監視関係の人間はこれは、二十四時間勤務でございます。従つて千百人というものが全部毎日々々の稼働人員ではないわけであります。場合によりましては半分或いは三分の一というようなこともあるのでございます。それらの実働人員というものを考えまして、それから又配置場所、或いはその職務というようなものを考えまして、適宜配置いたしたいというような工合に思つております。ただ具体的にどうなろかということは、まだはつきり申しかねるというような状況であります。
  117. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この密貿易が最近兇悪化しつつあるという一、二の事例もあつたのですが、実際に向う側が武器を持つているとか等々のことはあるのですか。
  118. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体向う側が武器を持つて、武器によつて例えば発砲されて怪我をしたとかいうような事件は少うございます。大体先程申しましたような工合に、特定の事件の場所におきましては、こちらの数が少い。向うの方がどうしても大勢である。そこで腕力的にもその他にもいわゆる開きがあるというので傷害を受ける。こういうことが多いのでございます。
  119. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 密貿易はさつき品目を二、三お挙げになりましたが、武器の密輸入というようなことも行われておりますか。
  120. 石田正

    政府委員(石田正君) 今実際に検挙した事件の中におきましては、未だ密貿易として武器を押えたということはございません。
  121. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから密貿易で検挙されたのが本年度七百五十件ぐらいだつたと思いますが、事際にはどのくらいあるというお見込ですか。
  122. 石田正

    政府委員(石田正君) 実は我々は率直なことを申しますると、税関行政に携わつておるところの人員というものは、先程申しましたような工合に約四千人に満たないものかと思うのでありますが、最近の実情から見まして、非情に手薄で弱つておるというのが実情でございます。で官吏だけを見ますると、大体半分に近いものが監視に廻つておるというような実情でございますか、この監視はひとり税関の本署だけではございません。支署にも配置いたしておりまするし、それから主な港にも配置しておりまするので、これを全国的に見ますると非常に手薄になつておる次第でございます。海岸線が長いということは御指摘の通りでありますが、それでいわゆる密貿易の取締につきましては、税関は現在の人員を以てできるだけのことをいたしておりまするが、相当のものが漏れておるという、こういうふうな工合に我々は感じておるのであります。ただこうしたものがどれだけあるかという数字の点につきましては残念ながら資料がございませんので、お答えできないと存じます。
  123. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから場所的にいつて、どういう所が主な密貿易の場所になつておりますか。
  124. 石田正

    政府委員(石田正君) 一概には申しかねる点がございますが、極く大雑把に申しまするというと、先ず九州方面が一番多いのでございます。これは朝鮮関係、それから御承知通りに沖縄、大島、国外扱いをしております関係、台湾関係というようなこと、或いは支那大陸の関係、いわゆる隣接地という関係から申しまして、どうしても九州の方面が一番多いというような事情に相成つております。それからそれに次ぎましては、大体神戸の管轄、即ち中国から西の大体関西以西というふうにお考え頂きましたら結構かと思つております。
  125. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この密貿易の取締はよく分つたのですが、その本邦人でない者に対してもいろいろな取締はできるわけですか。
  126. 石田正

    政府委員(石田正君) 現行犯であります限りにおきましては本邦人以外においても行なつております。ただ捕えました後におきまして、いわゆる連合国人でありまするならば、これを連合軍の方へ引渡すということによりまして、処分方の点につきましては同じことでございますけれども、やはり取締るというだけの点ですね。現場における取締の点におきましては、日本人の方も外国人も区別いたしておりません。
  127. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、密貿易をやつて挙げられた人達で本邦人とそうでない者との割合、人員数、そういうものはどういう工合になつておりますか。
  128. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体これは時期のとり方によりましても違いますのでありますが、大体今年の五月までの本年におきまするところの実績を申しますると、検挙いたしました全人員は二千二百九人ばかりでございます。それに対しまして、日本人は千三百人ばかりになつております。
  129. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから第二点のこの税関吏の派出職員ですね、これは員数から言つてどれくらいという御予定ですか。
  130. 石田正

    政府委員(石田正君) 改正前の定員法に基きまするところの特派官吏として見込みました数字は四百八十名でございます。
  131. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、これを定員外とすると定員外に更に四百八十名の増員は認められるのですか。
  132. 石田正

    政府委員(石田正君) その四百八十人を定員外とするに伴いまして、定員法の定員を四百八十人落しております。
  133. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうですが。落してしまう、それは今度これに関連して落されるのですか。
  134. 石田正

    政府委員(石田正君) 定員外として認めることがお認め相成りますれば、その場合に前の定員をこのままにしておきますと、四百八十人実情は税関の官吏が殖えてよろしいということに相成りますので、その点は工合が悪いと思いますので、定員外措置をお認めになりますれば、関連いたしまして四百八十人を落すということを合わせて決定いたしたいと思います。
  135. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると定員外にするということは、どういう意味があるのですか。
  136. 石田正

    政府委員(石田正君) 今四百八十人の人員を以ちまして実際の警備に当つておるわけでございますが、それが非常に税関の業務にいろいろな圧迫を加えまして、現在非常にオーバー・ワークに全体の人員がなつておる状況でございます。それから又現に保税倉庫等の設置の申請がありましても、人がおりませんためにそれができない。こういうような実情も起つて来ておるわけでございます。そこのところを見越しまして、私共の考えとしては、本年度中にどうしても四百八十人を最低限六百八十人ぐらい、二百人ぐらいの増員をしなければならないというふうに考えております。ただそれをいつ如何なる時期に増員するかという問題につきましては、それは実際の必要が起るに従つて補充して行くというふうな工合にいたしたいと存じておる次第でざいいます。
  137. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 派出職員だけは定員外にして置いて、それの増減は法律によらないで適宜にやれるようなことにして置こうというようなお考えなのでありますか。
  138. 石田正

    政府委員(石田正君) 政令の定めるろとろによりまして、予算の認められる範囲内でやるようにいたしたい。例えて申しますと、特派手数料がありますが、特派手数が入るのでありまするから何でも増員するというのではなく、増員等ができるというふうな工合に予算的な措置相当しなければなりませんけれども、問題が起るたびに一々定員法をも改正しなければならんということが起らなくて済むようにいたしたい、こういう工合に考えております。
  139. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そういうふうに政令に委ねなければならないくらいに増減なり何なりの変化が甚だしいのですか。
  140. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体これは特派の問題は輸入方面に関係するわけです。輸出方面ではございません。輸入の方はこれはその時の経済事情によつて非常に違つて来るわけでございます。例えて見まするならば、国家貿易であるというような場合におきましては国家が入れるのでありまして、割合に税金を納めるとかいうような観念については、まあ率直に申しましてルーズに行われるわけなのであります。ところが民間貿易に相成りますると、そう暢気には行かず税金はちやんと納めなければならない。併し最近は最後の見通しがつくまでは保税のまま置いておきたい。こういう気持になりまして、そうなりますると非常に何といいますか、保税倉庫として申請して来ることが多、れなつて来るわけであります。それから又これは貿易の増減とも関連するのでありまして、貿易が、特に輸入貿易の方が計数等におきまして殖えますれば、そういうふうな要求も殖えるわけであります。又貿易が減るということに相成りますれば、そういう又保税倉庫等の申請も減つて来る。こういうわけでありまして、実に貿易の状況と、それから国営貿易か民間貿易かというようなことに関連いたしまして相当大幅に動くということが予想されるように思つております。
  141. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この際ちよつと伺いたいのですが、税関が、この前我々の調査したときに、非常に海上保安庁であるとか、通産省であるとか、運輸省であるとか、まあ錯雑な機構のために税関の機能が十分に発揮できない。これを何とか直して貰いたいというような話がどこへ行つてもあつたのですが、その後多少改善されたのですか。相変らずまあ何年か前の状況を今でも持続しているのですか。そういう点について当局の見解を一つお伺いいたします。
  142. 石田正

    政府委員(石田正君) 税関といいますのは、お話がありました通りに、港かありまして、そうしてそとから出て行つたら、入つて参りまする貨物、或いは出入りいたしまする人というものに関連するものであります。従つてその物なり人を対象とするところのいろいろな規制関係が複雑になればなる程、税関におけるところの関係事項が多くなるわけであります。で非常に錯雑しておるという点は、これは段々といろいろ関係の向と話をいたしまして、漸次そのやります仕事の範囲といいますか、そういうものが明瞭になつて来つつあるというふうに存じております。港湾法制定によりまして法案もはつきりいたしました。それから海上保安庁の関係にいたしましても、よく話合をいたしました結果、職分のはつきりいたしましたものは関税法の中にも盛込みまして、その関係を明らかにしておる。こういうふうな状況に相成つております。
  143. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それで大変改善されたという話を承わつて心強い感じがするのですが、今回の一部改正によつて税関吏も武器を使用することができるというふうになつた以上、又海上保安庁であるとか、そういう所との責任の帰着とか、そういつたところははつきりされているのですか。それともお互い協力して国家的見地からやるのですか。又は前の通りセクシヨナリズムで相変らず責任のなすり合いをするようなことがないか、そういう見通しはどうですか。
  144. 石田正

    政府委員(石田正君) 海上保安庁に関係する限りにおきましては非常に最近仕事がうまく行つているというふうに考えております。それから又海上保安庁との関係につきましては、これは関係法の中に決めておりますように、密貿易の取締には原則として税関が当られる。併し税関の官吏がいないような場所におきましては海上保安庁が主としてやる。それから税関の方の役人の要求があつた場合には海上保安庁はそれに協力する。それから尚海上保安庁が密輸事件を摘発し処分するという段階になりますれば、これは税関の方に引継ぎましてやるということで、こういうことになつております。
  145. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先程密貿易の話が出たのですが、密貿易で捕つた物資はどこでどういうふうに処分されておるのですか。どんな程度のいわゆる価格でもつて……、それをお分りだつたら伺いたい。
  146. 石田正

    政府委員(石田正君) 最近の数字につきまして金額の方を申上げますと、最近五月までの数字でございますが、大体件数は先程申しましたような工合に七百五十件でございますが、金額になりますると一億二千六百万円程の金額に相成つております。それからどういう工合に捕つた場合にやるか、こういうお話でございますが、これにつきましては、税関が押えました場合におきましては税関におきまして、軽微なるものにつきましては御承知通りに通告処分にいたしまして、そうして罰金をとりまして処置しておるわけであります。併し大きなものにつきましてはこれを検察庁に告発しまして、そちらの方で処理するというふうなことに相成つております。それから警察とか海上保安庁とかいうようなところで押えました場合には、それが直ちに税関の方に引継がれまして、先程税関が押えました場合に申上げましたと同じような具合に行われるわけであります。ただその間におきまして、いわゆる連合国人でございますが、この場合におきましては日本側で裁判管轄権がございませんので、連合軍の方に引渡すということにいたしておる次第でございます。
  147. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の五月までというのは、一月から五月までの件数ですか。
  148. 石田正

    政府委員(石田正君) はあ。
  149. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それと、ついでにもう一つ関連して人員ですね、国籍別でちよつとお答え願いたい。
  150. 石田正

    政府委員(石田正君) 人員は先程申しました二千二百人でございます。それから国籍別の点につきましては、やはり各国人別に細かい数字が必要でございましようか、大体のところでよろしうございましようか。
  151. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大体でよろしいです。
  152. 石田正

    政府委員(石田正君) 大体の点で申しますと、朝鮮人関係、これが約三百人近いものに相成つております。二千二百人の中でございます。それから中国関係が百五十人を少し越しておるような状況でございます。それから大島関係が大体百二十人くらい、沖繩関係が九十人くらい、大体そういうふうな数字になつております。
  153. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この前も何かのとき、実は委員会で聴いて、どうも納得できなかつたのですが七百五十件で一億二千六百万という金額を超えるというと、一件当りの金額は実に小さなものですね、大体一件当り二万円くらいしかならないのじやないか、実際密輸というのはそんな小さなものか……。
  154. 石田正

    政府委員(石田正君) 今申しました数字は、これは公定価格と申しますか、そういうような価格を基準にいたしまして算定いたしておるわけです。時価にいたしますれば、まあ十倍くらいになるという目算も立つわけでございます。それから尚実際問題として件数で割りまして少いという点は、これはいわゆる税関構内等におきまして船員等、その他立入る人間の密貿易が非常に多い。こういうことでございまして、そういう者が割合に早く捕まりましたり何かします関係上、そのときの金額にいたしましては割合に少いのであります。
  155. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それで今の武器携帶の件に戻るのですが、どういうときにその武器の使用を認められるのか。そういうことは十分なる訓練を施すのですか。それとも任せ放しにして置くのですか。
  156. 石田正

    政府委員(石田正君) これは政令によりまして、警察官吏の場合等と同じような工合に、詳細なる規定を設けまして、そうして不詳事件の起らないように心掛けたい。こういうふうに考えております。
  157. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さようでございますか。
  158. 小串清一

    委員長小串清一君) この質疑はこの程度にいたしまして、尚この後で続けようと思いますが、証券取引委員会の事務局長が見えておりますので、一応折角見えたのですから説明を聴きたいと思います。尚この問題は後で又お調べの上更に御質疑をお願いいたしたいと思います。
  159. 石田正

    政府委員(石田正君) 一つだけ先程政令と申上げましたが、これは訓令、大蔵省内部の規定で、警察の場合も同様でありまするので、そういうことに相成るかということを申上げまし、た。政令と申上げましたのはそれは間違いでございます。
  160. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、改正案の中の「政令の定めるところにより」云々、これも直すのですか。
  161. 石田正

    政府委員(石田正君) これはそこにございますが、「政令の定めるところにより」云々というのは国警管理関係でございまして、これは政令で勿論するのでございます。今お話がありましたのは、どういう場合にどういう人間が持てるか。どういう時間に持てるか。それを預つておる場合にはどういうふうに愼重に取扱わなければならないか。そういうような点については、これは内部の訓令で定める。こういうふうに訂正をいたす次第でございます。
  162. 松永義雄

    松永義雄君 簡単ですがね、検察庁との関係ちよつと聴きたいのですが、只今税関の方で告発してしる事件と、それから告発する事件に関連してあ他の刑法の犯罪がいろいろあると思うのですが、それが先程おつしやつた七百何件ということですか。
  163. 石田正

    政府委員(石田正君) 七百五十件という問題ですか。この七百五十件と言いますのは、これは税関内なり、海上保安庁なり、国警なり、自治体警察なり、そういうふうな密貿易の取締ができる全体といたしまして取押えました件数でございます。
  164. 松永義雄

    松永義雄君 それで、その事件の中に密貿易をやつたから罰金を課せられたとか、或いは兇悪なる犯罪で起訴ざれた場合の両方を含んでおるわけですか。
  165. 石田正

    政府委員(石田正君) 両方を含んでおるわけです。
  166. 松永義雄

    松永義雄君 そこでお尋ねしたいのですが、武器と兇悪なる犯罪との関係ですが、如何なる兇悪なる犯罪か行われて、その結果検察庁に報告が行つていると思いますから、その報告を取寄せて、犯罪者の犯罪史を、ただ暴行ということでなく、もう少し詳しい犯罪史を……。
  167. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今松永君の御要求の資料、その他は、資料として参考になるものがまだ皆さんつたら御要求なすつて、明日でも資料を出して貰うことにします。それじやこの程度でこの質疑は今日は終りとします。   —————————————
  168. 小串清一

    委員長小串清一君) 証券取引委員会の事務局長湯地君が見えていますから、一応湯地君から説明をして頂きましよう。法案の説明です。
  169. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) 証券取引法の一部を改正する法律案提案理由説明は、すでに政務次官からなされたそうでありまするから、私はこの法案について簡単に御説明申上げたいと思います。  お手許に恐らく法案が参つておると思いますが、このうちで一番最初にありまする第二十八條関係のものは、これは次の條文に関連を持つて来るのでありまするが、証券業の登録をする場合に個人のもの、今実際問題として証券業者は皆会社でありまするが、法律上は個人もできる建前になつておりまする関係上、この法案を整備する意味において、個人の会社登録の場合には、この第十号に規定する資産の額に関する調書を添附しなければならないという一項を入れたわけであります。  それからこの第三十條の二というのは、現在証券業者登録を受けなければ営業を営んではいけないという規定があるのでありまするが、この登録しないところの本店、或いは支店、そういう場所で証券業を営んで場合に、その行為自体を取締るという規定が実は欠けておるのであります。そういうような意味でこの点をはつきりいたしたのであります。それから第三十一條の第一項の関係の方は、これは実は少し複雑な関係があるのでありますが、この三十一條の第三号及び第三号の二というところに引いてありまする「この法律規定に違反した」云々と、こう書いてあるのですが、これを具体的に「第三十九條第二項、第四十條第三項、第五十七條第一項又は第五十九條」ということをはつきりいたしたのでありまして、又一面一部除外したのがあるわけであります。「この法律規定によつて」云々というところに含まれる分のうちから除外したのがあります。こういうことをいたしました一番の趣旨は、この場合の法律改正によりまして、証券業者の例えば仮に役員の中で、刑罰、懲役を受けた者、或いは証券取引法で罰金以上の刑に処せられた者は、五年間証券業を賞んではいけないという規定があります。同時にそういう人が入つておりまする証券業者は、これは登録を取消すということになつております。これに関連いたしまして、或る証券会社が、最初はそういう人がなかつたような場合に、途中でそういう人ができたというときに、証券業者は意業の取消しを受けるわけであります。その際にこの取消しを受けた証券会社の役員であつた者が、本人はその懲役を受けなくても、その役員であつた者はやはり五年間は証券業を営むことができないという規定があります関係上、今度その懲役を受けない別の役員が後になつて五年間の間に他の全社の役員になつたとしますれば、又その証券会社がその規定に該当して証券会社自体が登録の取消しを受ける。こういうふうに順々に循環する慮れがあるのであります。それでこれはそういうような懲役を受けた役員がならないことは勿論でありまするが、その役員のおつた会社の他の役員について第一回といいますか、次に会社の役員になつたというところでその循環を断ち切ろう、こういう趣旨でありまするので、これは後程又ゆつくり御説明申上げます。  それからこの九号というのは、この法案の中の改正のむしろ主体でありまして、九号、十号、これは御承知通り現在の証券取引法におきまして、証券業者になろうとする者は一応登録を申請いたしますと、その登録を受付けた時から法律で決めてありまする欠格條項さえなければ三十日経てば登録の効力が生ずる建前になつております。而もその欠格事項というのは、例えば先程も申しました通り懲役若しくは罰金の刑を受けた者とか、或いは破産の宣告を受けて復権になつていない者とか、或いは証券という文字を使わない申請書とかいうような形式的の欠格條項でありまして、いわば自由登録に近いのであります。尤も前の国会改正におきまして訓券業者が常に営業用純資本額五十万円を維持しなければいけないということがあります関係上、新規に設立する場合でも常業用純資本額五十万円という一種の経済的の制限があるわけでありまするが、併しこれも新規に会社を興して営業をするという場合に百万円の資本金でありますれば、営業用純資本額、その当時は五十万円を維持するということは簡単でありまして、これは暫く商売をやつておりまして所有しておりまする株が、値下りをしたとか、或いは社屋を買つたとかいうように固定いたしますと、営業用純資本額が割るわけでありまするが、とにかく登録当時新規に会社を興したような場合には、営業用純資本顧五十万円ということは非常に楽な制限でありまして、従つて最近のような株価の不況な時代におきましても、証券業の登録の申請が相当つておるような状況であります。それで今回昨年の六月以来株価が段々下落して参りまして、従つて株式を所有しております。証券会社がその株式の評価損により営業の内容も自然悪化して来る。同時に取引量も一割乃至二割程度つてつておるのであります。その上に更に株価が大体半分から四割近くになつております関係上、売買手数料というものがこれはやはり株式の時価を基礎にして逓減しておりますし、手数料が決つております関係上幾らか減つたことと、株の単価が減つた。これは相当つたというこの二つの要素によりまして手数料収入というものが非常に減つてつておるのであります。然るに一方先程申しました通り証券業の登録が殆んど自由登録に近かつた関係と、又昨年、一昨年と株式関係が非常に繁栄であつたということのために証券業者なつた言が相当多くて、昨年末では千百五十二、最近は幾らか減つておりますが、六月末で千八十三になつております。併しそれにいたしましても先程申しました通り、取引量及び株の単価の値下りによる手数料収入というものは非常に減つてつておりますので、この千以上の証券業者がその手数料を食い合うというような関係になりまして、従つて日々の、毎月の営業収入が赤になるというような関係もありまして、証券業者自体の中におきましても、或いは又証券取引所或いは証券業協会の中におきましても、この際やはり相当証券業者を整理しなければいかんじやないかという議論も起つておるのでありまして、そういうふうにお互いに自治的に証券業者を整理しようという際に、折角そういう話合ができて、その地区において証券業者の数が減つた従つて今後収支はうまく行くであろうというような場合でも、今までのような登録制度をそのまま置いておきますと、新らしい業者がそこへ又出て来る。それではその整理の目的も達し得ないというようなこともあります。それから今一つは今までのような登録制度でありますれば、経済的の條件といたしまして先程申しました通り資本額五十万円さえあれば大体登録ができるのでありますが、ところが暫らく商売を始めて会社の内容が悪くなつた。そういうときに委員会或いは財務局は検査をいたしまして、法令に違反しているということで、その登録を取消すことになりますれば却つて投資者保護にも欠ける。そういうようなものは初めから入れな、方がいいというようなことも考えられるのでありまして、この際純資本額五十万円ということの外にこの第九号並びに第十号で新規に証券業を営もうという場合には資本金等の制限を置こう。そうしてそれに満たないものの申請に対しては登録の申請の拒否ができるということにいたしたわけであります。  それからこの第五十六條は、これは前に関連して当然出て来る條文の整理であります。  三十九條第一項、ここにちよつとミスプリントがありますが、第三十九條第一項中「第八号」というのを「第十号」と改める。これは訂正が出ておると思いますが。
  170. 小串清一

    委員長小串清一君) もう一度言つて下さい。
  171. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) 第三十九條第一項中「第八号」を今度は「第十号」と改める。この條文の九号、十号が入つた関係の整理であります。  それからこの第四十一條第二項は、これは一つの新らしい事項でありまして、証券会社については営業保証金を納めなければならないということになつております。そうしてそれは現金か、若しくは国債証券で代用ができるという規定になつておりますが、最近国債の償還も相当出て参りまして、国債も少くなつ関係上、その国債の外に地方債証券、或いは特別の法律によつて法人の発行する債券又は社債券もこれに代用できるものとして加えよう、こういう改正であります。  それから第五十四條第一項第五号の二というのも、これは資本金の制限ができたことに関連いたしまして、届出義務を当然附加えなければならんという関係で入れたわけであります。  それから第百十一條第三項に次の一号を加えるというので、四号が加わつておりますが、これは会社が自分のところの株式等を上場する場合に、その申願書に添附すべき書類の中に、「その他証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定める書類」というのを附加えたのであります。これは実は最近会社の会計のいろいろな準則、附け方というものが、段々安本等で審議されました結果、それらにより会計の書類が変つて来るものもありますし、又新たに追加されるようなものが出て参りまして、そういうような場合に備えて、この規定を入れたのでありまして、差当つて考えておりますのは、剰余金計算書、或いは剰余金処分計算書というようなものは、やはり上場証券の登録申請の際に付けさせるということを考えておるわけであります。  それから第百七十一條第四項を削るということは、第四項は証券取引委員会の事務局の職員の任免関係、或いは一級職、二級職というようなことを書いておつた規定でありますが、これは公務員法ができましたので、任免権はその局の長にあるという建前になつたのと、一級官、二級官という制度がたくなつたという関係で、この規定を削除いたしたのであります。  それから第二百條第三号の次に一号を入れたのは、先程も申しました登録拒否原因というよりは、最初の三十條の二の行為自体を取締つたことに関連した罰則の規定であります。  それから附則の第二の方は、先程申しました通り、新規に証券業を営むときには、資本金の制限をやるわけでありますが、現在の既存の証券業者については二年間の猶予規定を設けるという規定であります。以上簡単でございますが……。
  172. 森下政一

    森下政一君 只今説明があつたのですが、もう一つ念を入れて伺つてみたいと思うのですが、三十一條の規定の九ですか、会社でその資本金額について証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認める金額を決めて、それに満たないものは登録を拒否するということがあるのですが、これは幾らということになるのです、その金額は。
  173. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) これは実はまだはつきりは決つておりませんが、今のところ一応考えておるところを申上げたいと思います。先ず証券の引受け業務をやる証券会社については、これは資本金を大体三千万円にしよう、こう考えております。それからその他の証券会社については、やはり地域的に差をつけで、地域的に而も取引所の会員と非会員とに区別して資本金額を決めよう、こういうふうに考えております。東京、大阪では、会員業者は千万円、非会員業者は五百万円、名古屋については会員業者が五百万円、非会員業者は三百万円、それから東京、大阪、名古屋以外の取引所所在地の全員業者については三百万円、非会員業者については二百万円、それからその他の地域については二百万円、こういうふうに今のところ一応証券取引委員会としては考えておる次第であります。
  174. 森下政一

    森下政一君 前国会でしたか、この証券取引法審議しましたね。そのときに三十四條に証券業者の営業用純資本額は五十万円を下つてはならないという條件があつて、一体五十万円でいいもんですかということを大分念を入れてお尋ねしたのです。ところが負担の総額が営業用純資本額の二十倍まで行ける、大体一千万円くらいまで行ける。その枠の範囲においていろいろ運用できるから、大体純資本金は五十万円ならよかろう、安心しておつていいのだというお話つたのですが、今度は引受けもやれるから三千万円というと、大分大きくなつて来ましたね。これは営業用純資本というのじやないのでしよう。そういうことになりますかね。さつきの三十四條で安心ができんということになつたのですか。
  175. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) 営業用純資本額の五十万円の意義は、これは今度改正いたしましても続けるつもりであります。それは証券業者が営業を営んでいる際には少くともこの程度のいつでも拂える金は用意して置かなければいけないという意味でありまして、そして前の国会改正をお願いした際の考え方といたしましては、証券業者登録をする場合の條件というような意味合ではむしろなかつたのでありまして、証券会社の営業を続けて行くためには純資本金五十万円は要る。従つて新らしくできるものも少くともこれは当然なければいかんというような結果的にできた制限であつたのであります。そういう意味で今まではむしろ証券業者の営業は自由だというような考え方が前からあつたのでありますが、関係方面も当初はその考え方が非常に強かつたのでありますが、最近の考え方が、今の実情等も分つて参りまして、登録の際の條件、或いは場合によつては免許営業にしてもよろしいという話もあつたのであります。併しこれはやはりこういう臨時国会に免許制度にするというような改革をいたすということは、臨時国会提案することはどうも穏当でないということで、まあ差当りとして資本金の制限をこの際やろう。まあ考え方といたしましては、この資本金額が結局最後の担保力になるとも考えられるわけでありまして、そういう意味で純資本額の外に資本金の制限を置いたわけであります。
  176. 森下政一

    森下政一君 そうすると資本金で今度三千万円とか、或いは東京大阪なら一千万円、会員業者が……。非会員業者は五百万円、そういうことに今度改正して尚且つ三十四條を置いておく値うちはどこにあるのですか。
  177. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) 御承知通り仮に千万円の会社でありましても、その会社が営業上損が出るとか、或いは持株が相当多くなつてそれが値下りをするということになると、実質的にはもうその資本額が減少するのでありますが、併し一応資本金額として残つているわけでありますからして、直ちにそれで以て登録を取消すということもできないので、常に営業用資本額、これは恐らく万一を思う数字だろうと思います。それを五十万円を維持するという必要があるわけでございまして、これを両方置いておるわけであります。
  178. 森下政一

    森下政一君 そうするとこういうことになりますね。結局資本金三千万円といい、或いは少くとも一千万円といい、登録するときには適格者であつても、その三千万円が常業用純資本ということになつて来ると、五十万円を欠けるということもあるかも知れませんから、そうすると三十四條を置いておかなければならん。こういうことになりますね。そうすると同時に三千万円を、或いは一千五百万円とか、その他いろいろ地域的な差別があつたのですが、今のお話によると、これも一定不動のものじやありませんね。そのときの状況によつていろいろ変えて行かなければなりませんね。そんなことはないですか。
  179. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) 余り変えることは好ましくないのですが、変えることはあるかも知れません。
  180. 森下政一

    森下政一君 それはどうですか、そういうときを予想して何も規定はしておかんわけですか。経済界の実情に応じて変更することはあるのだということは何もないわけですか。
  181. 湯地謹爾郎

    政府委員(湯地謹爾郎君) これはやはり委員会規則で決めることになつております。
  182. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣の出席要求をしておきます。それは大体趣旨は証券取引法関係なんですが、大体株価というものは非常に最近下つたのちよつと上つて来ておるのです。ちよつと上り始まつた政府は投機的の様相を帯びておるから取引に対して制限を加えなければならん。そういつたような意向もあるらしいのですが、どんどん下つて、いわゆる政府の方針によつて株を持つておる者が損をしておるときには頬被りをして、少し上り始まろと投機的様相を帶びて来ておる……。どうもそういう趣旨が分らない。そういう点について大臣の出席を求めて、そういう点の十分たる説明なり、今後の方針を聞きたいと思いますが、お諮り願いたいと思います。
  183. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今の油井君の御意見ですが、来週に御要求の通り政府に要求しますが、実は私も考えておつたのですが、先般ここで決議になりまして金融財政の問題について調査をすることになつておりますから、その調査の必要上大蔵大臣、若しくは日銀総裁というような人を、今非常に期間が短かいときですけれども、一応要求をして見ようと思つて、明日からやるときに御相談いたしまして早速そういう手続をしようと思います。皆さんからも御同意がありましたから……。
  184. 野溝勝

    野溝勝君 今、委員長がさような意見を持つておるのは私は非常に結構だと思うのです。忙しいと言つて期間が短かいと言つても朝鮮事件が起つて財政金融は相当変化するし、その見通しもあると思いますので、そういう見通しを一応聞いた上でやりたいと思います。
  185. 小串清一

    委員長小串清一君) それは非常に必要だと思います。明日は土曜日ですが午前中やりたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。明日やりますから、こんな計画をやろうということを決めまして早速政府に要求することにいたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            佐多 忠隆君    委員            愛知 揆一君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            野溝  勝君            松永 義雄君            森下 政一君            杉山 昌作君            油井賢太郎君            森 八三一君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省管財局長 吉田 晴二君    大蔵省主税局税    関部長     石田  正君    証券取引委員会    事務局長    湯地謹爾郎君    証券取引委員会    事務局次長   三井 武夫君   説明員    公団清算室長  阿部 達一君