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1950-11-20 第8回国会 参議院 水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十日(月曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (調査報告書に関する件)  (漁業金融制度に関する件)  (中央市場手数料値上げ反対に関す  る陳情の件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。水産物増産対策に関する調査を議題に供します。予め御相談いたしますが、継続調査の日も本日で終りでありますので、この休会中に水産物増産対策に関する諸種の調査をいたしまして、又委員を青森、岩手、宮城、福井、京都、島根、長崎大分、等の東北、北陸、近畿、山陰、九州の各県に派遣いたしまして、漁業災害補償制度に関する調査その他水産事情に対する現地の調査を行なつたのでありまして、又休会中に数回委員懇談会を開きまして、漁業共済基金制度の問題、漁業災害復興資金補償制度の問題、農林漁業金融公庫設置の問題、漁船災害補償制度の問題、漁業協同組合共済制度の問題、漁業用無線通信制度の問題、中央卸売市場法の改正問題その他いろいろの漁業用燃油漁網等漁業用資材需給対策その他につきまして、いろいろ検討いたしましたが、委員懇談会といたしましては、これらの問題につきまして至急制度を制定するということに意見一致を見たのでありますが、尚具体的内容については結論を得なかつたのでありまするので、引続き調査を行う必要があると存じまするので、この際議長に対して調査報告書を提出いたしたいと存じます。その要綱は、以上の諸件に関しまして未だ調査を終えないので、一応ここに多数意見者の署名を付して、その経過並びに結果を報告するという意味報告書を提出いたしたいと思います。御異議がございませんければ、その案文等委員長に御一任をお願いいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めまして、さよう取計らいます。   —————————————
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本日は、休会中のこの委員会におきまして、大体意見一致を見まして、制度確立までに至りました漁業共済基金積立保証法案、これは大体漁業手形裏付になる制度でございまするが、これに対しまして、水産庁当局から一応簡單にその要綱について御説明頂きたいと思います。奥田課長にお願いいたします。
  5. 奧田孝

    説明員奧田孝君) それでは漁業共済基金積立保証制度につきまして、水産庁考えておりまする構想の概略を御説明申上げます。これはまだ水産庁の内部の一試案とも言うべきものでありまして、関係の各省その他の方面にもまだ交渉いたしておりません。ほんの素案でありますので、今後各方面の御意見を聞きまして、段々固めて行きたいと、かように考えておるわけでございます。それで水産庁といたしまして、漁業金融の問題を考えます場合に、長期設備資金と、それから短期運転資金と、この二つに一応分けて対策考えておるのであります。それで漁業手形制度というのは、御承知のように短期運転資金を確保すべき制度でございまして、金融対策のうち、短期運転資金解決策といたしましては、漁業手形制度を拡充して行くという方向に持つて行きたいというふうに考えておるのでございます。それで長期資金につきましては、これは例えば農林漁業金融公庫というような制度、或いは預金部資金によりまする金融債の引受けによりまして、低利資金源の獲得というような方向に進むべき途であるという工合考えておるわけであります。この漁業共済基金積立保証制度と言いますのは、その短期金融対策であります漁業手形制度によりまして活を入れまして、その手形制度を一層しつかりした確かなものに仕上けて行くということを目的とするものであります。大体の考え方といたしましては、次のようになつておるわけであります。  御承知のように、漁業手形制度におきましては、先ず基金グループ積立目標を設定いたします。そうしてその積立目標額の二五%の積立をいたしますると、銀行からその目標額の二倍までの繋ぎ融資を受けることができるという建前なつておるのであります。ところが実際の漁業手形制度実施状況を見ますと、この基金積立が完全に行つておらないわけであります。この原因には、例えば不漁のためとか、或いは漁期にまだ達しないためとか、或いは漁業者のそういう基金積立に対する熱意が足りないとか、いろいろ原因はございましようが、まあ大体考えますところでは、漁業経営が非常に苦しいというようなことのために、この基金積立満足に行かないというような事情が多いように見受けられるわけでございます。そこで水産庁といたしましては、この基金積立に対しまして、政府が何らかの援助を與えまして、この基金積立を完全にいたしまして、これを裏付けにいたしまして繋ぎ融資が円滑にできて行くようにいたしたい、かまうなことがこの考えの骨子になつているわけであります。そこでそのやり方といたしましては、先ず法人格を持つておりまする漁業共済基金というものを設定いたしまして、これに政府が或る金額を醵出いたします。そしてその基金によりまして、漁業手形制度による積立金目標額に達しない部分だけを保証して行くという考え方でありますが、具体的に申上げますれば、或る基金グループで百万円という目標額を設定したといたします。そうしますと、百万円の二五%の二十五万円を積立いたしますると、そのグループは二百万円を限度といたしまして、繋ぎ融資を受けられることになつているんでありますが、実際はその百万円の積立が、さつき申上げました事情でなかなかうまく行かないということになつておりますので、そこでこの基金がこの金融機関と約束をいたしまして、その基金グループが百万円を必ず積立てるということを保証してやるわけであります。そこで例えて申上げますと、そういう保証をした結果、その基金グループ積立をいたしましたが、例えば不漁とか、その他の事情で八十万円しか積立ができなかつたといたしますと、二十万円だけ積立に穴があくわけであります。そういう際には、その二十万円だけをこの基金保証いたしまして、それだけの金を出してやりまして、積立金の中に繰込んでやるということにいたしまして、初めに設定いたしました目標額が一〇〇%完成されるというようにするわけであります。そういう契約を予めやつて置きますれば、銀行といたしましては、初めに目標額の二五%だけ積立てましたグループに対しましては、安心してその繋ぎ融資が出せるということになるわけもあります。そういうことによりまして、との繋ぎ融資の円滑を図るということでありますが、それでは基金積立を怠けた人はどうなるかということになるのでありますが、それに対しましては、基金が実際に保証いたしましたときは、何らかの強力な方法を以ちまして、その基金保証いたしました金の回收を図るようにすると、こういうように考えておるのであります。例えば一応の案といたしましては、ここに国税徴收法の規定を準用して取立てるという工合考えておるのでありますが、そういうような何か強力な方法を用いまして、その保証額を取立てるということにいたしまして、基金積立を怠けた人は、あとで又嚴して取立てられるのだという工合にいたしまして、漁業者基金積立に対する熱意を殺さないようにして行きたい。かように考えておるわけであります。大体そういうような構想の下に進めて行きたいと考えておる次第でございます。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この漁業共済基金積立保証制度の問題は、委員懇談会においても非常に掘り下げて研究いたしまして、大蔵省課長、局長、銀行局長船山氏あたりも、この問題については非常に同意しまして、若し水産庁でこういうことを立案するならば、大蔵省は全面的に応援しようということまで言明されておるのだそうで、是非この制度は、基金が十億円要るのでありますけれども、次の通常国会には、できるならば法案にいたしたいと、かような委員全部の意見であります。若しこの制度について御質問がありましたら、御発言を願いますし
  7. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この積立状況の最近の実績は分りませんか。細かくは必要ありませんが。
  8. 奧田孝

    説明員奧田孝君) お答え申上げます。七月末現在のがございますので、七月末の数字を申上げます。先ず積立額でございますが、これは昨年の十二月末までに設立しました基金と、それから本年になりましてから設定いたしました基金成績と、二つに分れてそれぞれ成績が出ておりますが、これを引つくるめまして、全体について申上げます。そういたしますと、基金目標額は十四億二千四百万円ほどになつております。それに対しまして、七月末の積立実績は六億五千万円になつております。そういたしますと、目標額に対しまして、積立額は四六%の成績なつておるわけでございます。それからそれに基きまして、繋ぎ融資が幾ら出ておるかということでありますが、七月末におきまして、繋ぎ融資残高は十三億九千七百万円出ております。それから繋ぎ融資から漁業手形に切り替りました分、これの残高が七月末におきまして四億三千七百万円になつております。そういたしますと、繋ぎ融資漁業手形と両方合しまして、十八億余りのものが融資されておる、こういう結果になつております。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 昨年の十二月に設定されましたものの中で、積立金の、あれは六ヶ月でございましたね。
  10. 奧田孝

    説明員奧田孝君) はあ。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その六ヶ月も経過し、更に何ヶ月かを経過しても、尚且つ達成しないというものが相当ございますか。今以て達成しないというようなものがありますか。
  12. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 昨年十二月まで設立いたしました基金について申上げますと、基金目標額が七億五千三百万円であります。それに対しまして、七月末の積立実績は四億三千四百万円になつておりまして、積立の比率は五八%ということになつております。それで只今おつしやいましたように、大体六月で一〇〇%の積立を完了せねばならん筈でございます。でありますので、昨年中に設立されました基金は、少くとも六月末までには一〇〇%の積立が完了しておらねばならんわけでございますが、それが七月末におきまして、僅か五八%という積立実績であります。地方的に申上げますれば、非常に成績のいいところと悪いところがございますが、例えば新潟県、静岡県、長崎県、山口県、そういう県は非常に成績がいいのであります。成績の悪いものでは千葉県の一六%、三重県の一八%、福岡県の八%、香川県の八%、大分県の一〇%というように非常に悪い成績の県もございますが、個個の漁民グループ成績は調べはありますけれども、只今ちよつと持つておりません。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういうふうに非常に悪いところもあるようでございますが、繋ぎ融資返済して行く面はどうなんですか。
  14. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 返還額の合計はちよつと計算したものを只今つておりませんので……。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 状況はどうでございますか、大体返済額はやつて行けるかどうか、それもこのような状態に滯つておるかどうか。
  16. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 返済状態も概括いたしまして、よくないのでありますが、この点は一応数字を整理いたしまして、又御回答申上げたいと思います。概括いたしまして、余りよくないのであります。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この保証制度ができますととは大変結構でありますが、今御説明のございましたように、非常に成績の悪いところが多い、併し七月末でありますから、まだ積立期間を経過して幾らも経つていないという状態であつて、すでに現在は、十月と言えば三ヶ月経つておるので、その間に五八%というものがどういうふうになつておるか、或いは四六%がどういうふうになつておるか、これがぐつと進んでおるかどうかということは非常に重要な問題だと思うのでございます。これは余程期間がなければ分らんのでございますか、毎月の月額のものがいつ頃分りますか。
  18. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 大体二月ほど遅れて分りますが、県からの報告が非常に遅いものでございますので、非常にこちらも督促しておるわけでありますが、大体三月ほど遅れて分ります。只今八月分の集計をいたしておりますので、これを取急ぎまして、御回答申上げたいと思います。
  19. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この法案は是非我々は通過させたいと考えておりますが、現在の実績は誠にこれを通過させるに都合の悪い状態にあると思います。従つてこの三ヶ月、通常国会になりますと、十一月も済んでしまうわけでありますが、特別に一つ、経過したところの状況をおまとめ下さいまして、いい資料にまとめて、この際に限つて極く最近のものまで調べる御努力を願つて、その資料を以て関係当局にぶつからないと、この状況では非常に條件が悪いと思うのです。私共としまして、是非通過させたいと思いますために、この資料の完備ということに特に御霊力願いたいと思います。そうしませんと、この状態では積立もさることながら、返還の方も滯つておるということになりますと、何度やつても同じじやないかという議論が出て来るのじやないかと思います。そこを調べて見なければ分りませんので、この三ヶ月の間にどれだけこれが進んで来ておるか、まだ本年になつて設定したものは勿論期間前でありますから、問うところではありませんが、すでに昨年の十二月末に設定したものであつて、この期間を経過しておる。この状態ではまだ一ヶ月か、二ヶ月か経過しておりませんから、これは悪いと言つても或る程度のものであります。これが三ヶ月を経て更によくないということになりますと、悪い條件になります。さようなことでないことを希望しますが、どうも止むを得ませんので、調べ上げて見ませんと論拠は立たない。その点を一つ、特にとの法案を通過させるために資料を特別に命じて集めて貰いたいと思います。
  20. 千田正

    千田正君 この法案議員提出にするのですか、それとも政府提案にしますか。
  21. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 議員提出にいたしたいと思います。
  22. 千田正

    千田正君 政府の長官に御質問しますが、先程から当局の御説明を聞くと、十分な積立金もできておらない。今秋山委員からの御質問もあつた通り、なかなか一ヶ年経過しても十分でない。過去の漁業実績を見ましても、十分な積立というものは相当至難な状況であります。ということは、いろいろな原因があるかも知れませんが、一番この不漁に対して、農業に対しては補償制度のようなものが設けてありますが、水産に対しては何らそういうことを政府考えておらない。これを、不漁或いは潮流異変その他に関する問題に対して、政府当局としてはこれを災害とみなすか、天災とみたすかどうか、そういう点につきまして、水産庁の御意向を伺いたいと思います。
  23. 家坂孝平

    説明員家坂孝平君) 水産に関しましての災害補償制度の少いということは、非常に私共も憂慮に堪えない次第なんでありまして、農業が相当の補償制度を持つているにも拘わりませず、この水産方面には全然今のところない。この点につきまして、私共も何とかこの制度を早く確立いたしたいと考えまして、先ず比較的データーのとりやすい漁網漁具関係の方から、主として定置漁業ということでございますが、そういつた点から一つ取上げて見ようじやないかというようなことで、いろいろデーターを集めているような状態であります。先ずこの点から手を付けて発足したら、或いは沖合の漁業或いは遠洋の漁業、そういつた方面などにも手を伸ばし得ることができるのじやないかというような考えで、目下進行しつつあるわけであります。それで先程のお話の中に、海流異変とか、そういつた点どうであろうかというような点でありまするが、農業におきましても、風水害その他の異変によりまして、非常にこの補償制度が有効に立ち働いておりまするので、海におきましても潮流異変或いは風水害、そういつた点に関しても同様な措置がとれれは非常に満足であると考えまするので、我々としましても、いろいろ考究しておりますけれども、まだ潮流異変ということにつきましては、我々としまして確然たるデーターも取まとめもできませんので、目下はつきりした考えは持つておらんような状態であります。併しこれはできるだけ一つ補償に乗せ得るようにデーターを集めて見たいと、かように考えている次第であります。
  24. 千田正

    千田正君 この不漁に対する原因が何かということについて、水産庁ではどういうふうにお考えになるか、いろいろな新聞或いはラヂオ、或いは皆さんの御調査によつては確実なお答えがあつたと思いますが、一番問題になるのは零細漁民であるところの、早い話がもう明日からも食つて行けないというような漁民が相当多数ある。これに対する調査、恐らく潮流の問題もあるでしよう、或いは人口過剰の問題もあるでしよう。併しながらその因つて来る原因が、いわゆる天災である場合、農業において言えば霜害であるとか、或いは雹が降つたとか、或いは暴風雨が来たとか、直ちに調査員行つて一坪なら一坪の坪刈をして見て、それに対する補償制度が十分に行われておる今日において、漁業だけが尚且つまだ十分なるその原因調査のできないということは、これは行政上非常なる欠陷だと思いまするから、その点につきまして、共済金庫も勿論全面的にこれは賛成しますけれども、やはり国として原始産業の一部であるところの水産業に対するところの立法措置を十分に考えて頂きたい。その点について材料或いは統計の数、或いはいろいろな原因調査、そういう点におきましては、特に水産庁におきましては意を用いられまして、農業と同様に並行して行わるような行政をやつて頂きたいということを特に強く要望いたします。
  25. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 委員外議員小林政夫君から発言を求められておりまするが、発言を許可してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではどうぞ……。
  27. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) この漁業共済基金積立保証法案については、勿論全面的に賛成なんでありますが、ただこれを作る場合、先般の懇談会において話した結論的な話というのは、現行漁業手形制度というものが要綱によつて行われておるので、現在の共済基金制度並びに漁業手形繋ぎ融資というこの一連の制度立法化する、全部法律化して、その際にこういう保証を織り込んだものに切替えて行く。こういうことで考えて、全漁業者を一応引つくるめた保証考えるようなところに持つて行かないと、十分現在の漁業共済その他の解決にならないのじやないか、こういうことであつたわけで、この法案だけで行きますと、要するに任意に作つたものだけを保証する、こういう結果になりはせんか、で全然これを利用しない漁業者もできる。或る程度強制的な意味を持たして考える、こういう結論のように思つたのです。不十分だと思うのですが。
  28. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 只今の御意見私共も全く同感でありまして、この漁業共済基金積立保証制度実施いたしますのに、これ自身立法化することは勿論必要でございますが、関連いたしまして、必然的に漁業手形制度も同時に法制化しなければできないことになりますので、小林さんのおつしやいましたように、結果的にはなるという工合考えております。
  29. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 二本建で行くわけですか。
  30. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 大体一本の法律漁業手形制度法制化と、この積立保証制度立法化というものがまとめられるようになるのじやないかというように考えております。ただその際に漁業手形制度を強制的なものにいたしますかどうかにつきましては、尚よく研究しなければならないというふうに考えております。
  31. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) 保証考えるという建前から言つて、できるだけ私の希望としては、苟も漁業をやる者は全部基金制度を利用する、利用さしてやるということで考えた方が、この国家資金を使う上においてもいいのじやないか、是非そういうようにお考えを願いたいと思います。それから遅れて来たので、すでにお話なつたかも知れませんが、こういう方法で以て現在すぐこれを適用するとして、どれだけの保証額を要するか分りますか。
  32. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 私共のざつとした計算では、十億円程要るんじやないかと考えております。
  33. 小林政夫

    委員外議員小林政夫君) それは七月末の、先程発表になつ数字を基礎としての資料によつて推定された数字ですか。
  34. 奧田孝

    説明員奧田孝君) それ以後積立てられました額を推定いたしまして、そういう工合数字を一応出しておるわけであります。
  35. 千田正

    千田正君 さつきの説明によるというと、これは漁業手形法も一括これに含んでやるように水産庁の方のお考のようですが、漁業手形法についての大体の要領は作つておられますか。
  36. 奧田孝

    説明員奧田孝君) それは現行漁業手形制度法律でなくて要綱でできておりまするが、あれをそのまま立法化して行くような考え方で行きたい思つております。
  37. 千田正

    千田正君 漁業手形制度を作る場合は、我々はこれはあなた方と非常に苦心して大蔵当局と折衝した結果、どうやらこうやらあそこまで漕ぎつけたわけですが、相当これは漁業手形法というものを一応完備した法案として作るならば、相当研究をしなければならない問題かと思うのです。でありますから、この漁業共済基金積立保証法案漁業手形というものと食つ付けて、或いは裏付け方法としてやるとするならば、関連した法案というものを作らなければならん。そういうものが若しおありになるとすれば、今までのような要綱だけのあれで以ては私は不十分だと思います。法的な、実際にこれを法文化してやるとするならば余程研究してやらなければならない。その点に対して十分に御用意があるかどうか、一応私は伺いたいと思つております。これは他日でよろしうございますが……。
  38. 奧田孝

    説明員奧田孝君) 私共といたしましては、先ずこの積立保証制度を固めまして、それの前提といたしましての漁手制度法制化ということを考えて行きたいと思つております。先決問題といたしまして、この積立保証制度実現を、実現と申しますか、これの実施を確定することに先ず力を注いで行きたいと、かように考えております。
  39. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問もなければ次に移りますが、休会中にいろいろ問題になりました臨時漁業災害復旧融資及び損失補償法案についての、これは確か第八国会においてちよつと説明を聞いたと思いますが、そうでなかつたか……。それではこの問題の構想について一応簡單に御説明願います。只今お手許に配付いたしました臨時漁業災害復旧融資及び損失補償法案、この案はこの休会中にいろいろ検討いたしまして、法文化した案でありますが、でき得るならば、これも議員提出至急に提出いたしたいと思つております。この法案内容について專門員から一応御説明いたします。これは逐條審議しなくとも、その要領は大体において漁業災害を受けました漁具について災害の二〇%、それから漁船については一〇%を補償する、その基金に対しては、基金を大体三億円を予定しております。これはまだほんの案でありますからして、この臨時国会が始まりましたら、逐條審議いたしまして試案を完備いたしたいと思います。一応これは各議員におかれまして、十分内容を御検討願いまして、本日は時間もありませんので、一応この程度に止めまして、次は休会中にいろいろ検討いたしました漁業用無線通信の問題、これは電波委員の方々をここに招致をいたしまして、いろいろ検討を加えた問題であります。これは目下重要問題でありまして、現在の状態で行きますれば、漁業協同組合でやつておりまする、設置いたしておりまする無線電信は十二月末で殆んど停止せんければならん非常な事態に遭遇しておりますので、その対策をいろいろ検討いたしまして、水産庁とも打合せをして、漁業協同組合で、やはり設置し、使用し得るように組合法を変えたいというような問題であります。  それから次は、漁業用燃油の増配に関する問題でありますが、これは再々この委員会においても先々回国会から検討いたしましたが、どうも現在の漁業統計では、昭和二十一年から今日まで余り漁獲は増産していない、現在の農林統計によつて油を殖やしておるので、これ以上油を殖やせない。だから本当の統計をとつて、現在これだけ殖えておるということを現わさん限りは燃油の増配はできないというような事態になりましたので、この委員会で十分検討した結果、水産庁と打合せしまして、水産庁自身で至急漁業統計を作る、それに対しては今成案もできておりますが、水産庁において統計局とも折衝して、それから関係方面とも折衝を遂げて新発足するというような事態になつておるようであります。これも明日から第九国会が開かれますので、国会中に尚詳しく検討いたしたいと思います。  それから水産業協同組合法の改正であります。これは漁業協同組合で共済制度実施することができるように法律を改正したい、かように思うのであります。これは今の私設無線電信の問題と共に、協同組合法を改正するという問題でありますが、これはできるならば、臨時国会でやりたい、かように存じますので、これも明日からの第九国会の劈頭から一つ御審議を願いたいと思います。  それから漁村経済協会から陳情したいと言つてつておるそうでありますが、ここにおいて審査して御異議ございませんか。お差支えなければ、今許しますが……。
  40. 千田正

    千田正君 一応委員長の今の御説明を伺いましてですね、それからやられたらどうですか。
  41. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) さよういたします。  それから次に中央市場法の改正問題でありますが、これも前国会から委員を各地に派遣して十分検討いたして法案を作ることになつておりましたが、たまたま現在の中央卸売市場の卸売の手数料五分を七分に値上げをするという問題が出まして、現在生産者が猛烈に反対いたしまして、いろいろ折衝いたして、いろいろ折衝いたしておりましたが、結果は、東京都長官がすでに七分に値上げすることを許可して、中央卸売市場長にその実施を命じたということを聞きましたので、漁村経済協会並びに経営者団体からいろいろこれに対する陳情になつております。これも委員会といたしましては至急この中央市場法の改正を企図いたしたい、かように存じております。  それからもう一つは、水産業会から協同組合の方に財産の引継をした場合の、その多額の引継資金に対する利子補償の問題でありますが、これは農業団体と一致して利子を補給する、政府は補給するということで、今成案を得ておるようであります。これも明日からの第九国会において検討をお願いいたしたい、かように存じます。只今申上げました漁村経済協会から陳情が参つておりますから、お差支えがなければ入場を許したいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。暫く休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩    —————・—————    午後零時十二分開会
  43. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 休憩前に引続いて会議を開きます。只今漁業者団体から陳情に見えております。陳情を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。陳情を許可いたします。
  45. 小濱八彌

    ○参考人(小濱八彌君) ではお許しを得まして、今日罷り出ました陳情の趣旨を申上げたいと思います。  今日生産者が大勢集まりまして陳情に上りましたのは、東京市場の手数料の問題なんでございます。すでに皆さん御承知のことと思いますが、東京市場におきましては、市場で扱いまする魚の販売の手数料を、従来五分でありましたものを七分に値上げをするということに相成つたのでございます。この問題につきましては、この夏以来生産者団体に対しまして、荷受の団体の方からその話があつたのでございますが、現在生産者の経済状態は甚だしい窮迫の状態にありますので、この際手数料の値上げに応じ得るような経済上の余裕がございません。併しながら生産者の荷を市場で捌いて貰わなければならんのでありまするから、市場が成立たないという場合については、生産者と雖も無下に手数料の値上げはどうしてもいかんということ一本槍では参らない筋合のものでございます。併しながら市場においてこの際従来五分の手数料を何が故に七分に上げなければならんかということにつきましては、生産者といたしましては、その理由がどうしても納得が行かないのでございます。市場側の言うところによりますと、従来の五分の手数料では荷受機関の経営が成立つて行かない。だからどうしても七分に上げなければ荷受機関の経営が成立つて行かない状態にあるということを言われるのでございますが、生産者側の見ますところによりますと、荷受機関の経営は手数料を七分に上げなければやつて行けないというふうには、どうしても了解が行かないのでございます。現在東京市場で経営いたしております荷受機関の中で、相当数の荷受機関は、五分の手数料で立派に経営が成立つてつておると承知いたしております。荷受機関の中にはいいものもあり、悪いものもございます。それで経営の良好ならざる荷受機関につきましては、手数料を上げなければやつて行けないという状態にあるものがあると考えます。現在東京市場にあります荷受機関は十九でございますが、現在経営しておりますのは十七と承知いたしております。この十七の荷受機関全部をそのまま守り立てて行かなければ、東京市場に集まりました荷を捌くことが困難であるかどうかということにつきましては、生産者はさようには考えないのであります。十七の荷受機関は多過ぎると考えております。この十七の荷受機関をそのまま存続いたしますがために、市場の手数料をこの際値上げしなければならんということには、どうしても了解いたさないのでございます。荷受機関ももとより経済上非常に困つております。生産者も非常に困つております。それならば市場の内部の荷受機関を整理いたしまして、それでも尚やつて行けないという場合に手数料を上げる必要があるかないかという問題に入るのであつて、市場の手数料を上げることを前提として、かれこれの話合いは生産者としてはどうしても納得行かないというのが生産者の主張なんであります。この主張に基きまして、荷受機関の市場側と折衝を重ねて参つておりましたのであります。荷受機関の市場側の方では、どうしてもこの際上げなければならんというので、市場の監督権が東京都長官に属しておりますが故に、東京都長官の認可を受けて市場の手数料を七分に引上げるということを頻りに都の方に市場側は迫つてつたのでありまして、生産者は又としてもこの際値上げをしなくちやならんということは納得いたしません。何が故に上げなければならないかということについて生産者側の立場を詳しく説明もいたし、陳情もいたして参つたのでありますが、都の方では生産者の意見を聞かずして、この際手数料を七分に上げるということについての認可を出されたのでありまして、すでにそれが実施に入らんといたしております。まだ実施にはなつておりませんが、実施に入らんといたしておるのでございます。申上げるまでもなく、市場は生産者のとりました魚を捌くところでございまして、これは生産者のみの市場でありませんのみならず、消費者のみの市場でもございません。況んや市場の中にあります荷受機関の市場では断じてないのであります。然るに市場の運営につきましては、生産者の声を何ら聞くことなく、生産者の方ではこの際手数料の値上げは理由なしと申しておりますに拘わらず、市場側においては荷受機関の経営が成立つて行かない、而もそれは成立つて行つておる荷受機関が現在相当にございまして、それだけで、成立つて行くものだけで市場に集まつて参ります荷を捌くことは何ら差支えないと、生産者の方では考えますが、経営の悪い荷受機関を継続せしむるがために、生産者の負担において手数料を七分に引上げんとしておるということにつきましては、どうしても生産者の納得いたさないところであります。而も東京の市場が手数料を引上げますると、六大都市の市場は全部手数料を引上げるのでございまして、六大都市の市場の手数料が引上げられれば、各地方に存在いたしまする小さな市場は、みんな手数料を引上げるのでございます。それで我々漁業者は六大都市及び地方の市場において荷を捌いておるのでありまするが、それの一番多く荷の集まりまするのは、申すまでもなく東京都の市場であります。この市場において手数料を引上げる。それで現在五分の手数料を七分に引上げるということは、四割くらいの引上げに相成る次第でありまして、二分の手数料の増加によりまして、東京市場のみについて計算いたしましても、約三億円くらいの増徴に相成るかと考えなければなりません。生産者が赤字の経営に悩んでおりまする今日、さような余分の余裕はございません。而も値上げをしなければならんという理由がはつきりいたさないのに、一方的に値上げを決定して、生産者に対してお前達の荷は七分の手数料をとらなければ売捌くわけには参らないということで通告されることは、生産者としてはどうしても堪え得られないところでありまするので、水産庁に対しまして、水産行政の見地から、この問題の善処方をお願い申上げておるのは勿論、東京都に対しましても、その善処方を申入れておるのでありまするけれども、すでに断行するという場合に立至つておるのであります。つきましては、生産者の実情をよく皆さん御吟味願い、市場手数料は上げなければならんものであるかどうかということについて分の御吟味を願つて、市場手数料の引上げは妥当でないということでございますれば、本委員会の御意見としても、水産行政上全国の生産者に影響を持ちますものでございまするが故に、十分の御審議を願つて善処をして頂きまするように、生産者は切にお願いいたしておりまするような次第でございます。それで生産者の衷情をこの委員会に率直に申上げまして、皆さまの善処方を特にお願い申上げたいと、かように考えまして、多数陳情に上りましたような次第でございます。
  46. 千田正

    千田正君 只今全国漁業化産者代表からの主要市場の鮮魚取扱手数料値上げに対する反対の陳情がありましたが、これは單に漁業生産者のみならず、蛋白給源として攝取しておるところの庶民階級に対しても重大なる問題であると、私共は考えるのであります。そもそも統制撤廃の当初におきましても、この市場の問題は非常に論議されたのでありまするが、需要者の立場から、或いは生産者の立場から、中間的存在であるところのこうした市場が、單なる自己の利益の追及のために、そこに手数料の値上げというような問題が起るとするならば、これは決して民主政治におけるところのよき政治のあり方ではないと、かように考えるのであります。生産者も需要者も共に納得の行くような方法によつて行わなければならない。今日に至つて單に自分らがやつていないからという理由の下に二分の手数料を上げるというようなことは、どうも我々としては納得行きませんので、それでこの問題に対してはいろいろ或いは法の欠陷を利用してのやり方のようにも見られますので、政府当局を代表しまして家坂長官からこの問題に対して御意見を拜聽したいと思います。
  47. 家坂孝平

    説明員家坂孝平君) この手数料問題につきましては、この夏以来いろいろ問題が提起されて参つたのであります。それで九月でありましたか、日にちははつきり覚えておりませんが、六大都市の市場長会議がありまして、確かその会議の結果だと思いまするが、私共の方に値上げを是非して欲しい、これを一応御通知申上げますというような通牒が来たのであります。それで私共としましては、生産者の非常に困窮の状態にある際に、そのとき二分とか何とかいう値上げの率は書いてありませんが、値上げをするということについては非常に愼重にやつて貰わなければいけない、そう簡單に考えてやつて貰つちや困るということを六大都市の各府県の知事に通牒を出したわけであります。それからその後尚相当執拗に値上げの問題につきまして話が参りますので、第二回目には生産者とよく懇談を遂げられて、そうして納得の行く線において話を取極められるよう要望する、こういう通牒も出したのであります。ところが先程の御説明にありましたように、去る九日の日でしたか、都議会から都の理事者の一任に任すというようなことで、理事者は七分の値上げはこれを実施する、こういうことを知らして参つたのであります。それで私共としましては、それは今までの経過から見ると、生産者側から開設者によく納得の行くようにしなければならん、整理統合の再建整備の計画を示して貰うとか、或いは本当にどのような具体的な経営の内容なつておるのか、そういつたことのまだ生産者に対する説明の納得が十分行つておらないのじやないかということと、今一つはこの値上げの率というものは妥当のものじやないと、我々は考えるということを挙げまして、尚再考を促すという通牒を都長官に宛てて出したのであります。ところが最近話を聞きますると、十五日の日に都としては値上げを七分にするという通牒を各荷主、生産者側に出した、こういう話を聞いたのであります。それで大臣としましても、非常にこれを憂慮されて、十八日ですか、都の理事者と、それから私を呼ばれまして、いろいろ事情を聽取されて、尚都に向いましては、この案を一応延期して呉れというような勧告をされたのであります。ところが都としては、都議会からもいろいろ揉みに揉んで、そうして最後に都理事者に依頼された結果、この間の十五日の案を各地方にも流した際であるから、この際延期するわけになかなか行かないというような返事があつたのであります。それで現在に至つておるわけでありまするが、私共が考えますると、これは卸売機関におきましても、それは過去の戰争当時或いは終戰直後のいろいろの痛手を蒙むつておると思います。併しこれを現在何とか整理しなければいかんという立場に置かれておるということは、我々も考えられるのでありまするが、この点につきましては、私共政府当局としましては、この整理統合に要するいろいろの資金、そういつたものは、この手数料値上げと別個に、我々においても何とか方法を講じて整理統合の円滑に進み得るように善処をしようと、こういうことに考えまして、いろいろ日銀当局にも当つておるのであります。それでできるならば、この際手数料問題と切離して、この整理統合をやらして上げたいと、かように考えておるのであります。併しそのお話しもまだ判然と決定いたしませんので、整理統合に着手するという形には相成つておらないのでありますが、私共は大体そういう考えで、先ず整理統合を何とか完成してやりたいと、かように考えておるのであります。それで卸売機関といたしましては、この手数料値上げによりまして、自分達の更生を図り、そうして尚生産者側にも己れみずからの健全化した立場において便宜を図つて参りたいと、かような考え方でおるようでありますが、この二分というものは、全く現在の五分の手数料に比較しますと、四割の値上げになるというので、私共としましては過重の値上げだと、かように考えておるわけであります。併しこれを一旦出したから是非やるんだというような立場でおられることにつきましては遺憾に考えておるのであります。それで御承知でもありましようが、この都の手数料の値上げということにつきましては、業務規定において、一割以内に限つて卸売機関から承認を求められたときには、それを認可することができるという業務規定があるのでありまして、その業務規定を政府におきまして認めておりまする関係上、政府としましては、六分が悪いとか、七分が悪いとか、或いは一割が悪いという、はつきりしたこれは抑制を與えるということも法規上困難な立場にありまするので、私共としましては、今までの経過を辿つておりますいわゆる勧告の形で、常に指導監督の立場をとつてつたのであります。今この七分の値上げになりましたことにつきましては、甚だ私共としましても懸念に堪えないのであります。生産者側の困窮される現在におきまして非常に心配するわけでありまして、尚この後も生産者並びに卸売機関とよく話合いまして、できるだけこの内容につきまして、実質的につきまして、生産者側の不利にならないよう善処したいと、かように考えておるのであります。
  48. 千田正

    千田正君 今の長官のお言葉、大体分りますが、併しこれはやはり庶民階級の食糧の一部であるがために、安本、物価庁その他と折衝も必要だと私は思います。同時に生産者側にとつては、生産資材、原料であるとか、或いは漁具、或いは漁網というようなものは、悉くこの問題に関連しておるものでありまするから、水産庁として、生産者側の只今の陳情は單なるお座なりの答弁では納得の行かない問題であると思いますので、当委員会としましても、委員長に特にお願いしたいのは、この問題は愼重に各委員に審議の方法を講じて頂きたいと、かように私は考えます。尚できれば安本、物価庁その他の責任者を呼んで頂いて、この問題については愼重に御討議願いたいと思います。
  49. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちよつと陳情者の方にお尋ねいたしますが、聞くところによりますと、今日から確かその許可は効力を発生するというふうに聞いておりまするが、その点はどうなつておりましようか。現在もうそういうようになつてしまつて進んでおるのでしようか。
  50. 丹野實

    ○参考人(丹野實君) 大阪は二十日から値上をするという通知を出しておりますが、東京は二十三日にするという通知を出しております。それから全国の各都市における卸売会社も、二十三日頃から東京に倣つて一斉に値上をするということです。全国的に七分の値上の情勢というわけです。
  51. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その問題は可なり以前、昨年頃であつたかと思いますが、確か八分に値上するという問題があつて政府当局において、これを阻止したということも伺つております。  それから漁業状態が非常に困つておるときに、而も只今陳情にございましたように、多数の都内の荷受機関及び全国にも立派に現在の手数料で賄つて配当までしておるものが沢山あるさ中に、一部の者を救済するために値上ということは、我々といたしましても絶対に納得の行かないところであります。併しながら法規の点から申しますと、都長官にその権限を與えられておる。従つて都長官が権限内において、これを処理するということについては、如何なる方法を以てこれを阻止するかということに、私共多分の懸念を持つております。水産庁なり、或いは農林大臣が勧告をいたしましても、勧告を受入れられないとすれば、法規上如何ともいたし難いといつたようなことは、これは勧告も、政治の行き方からすれば不備な点があるんじやないかと思いますが、ともかくもこの市場法は近く改正されようとしておりますが、その間相当期間もありまして、若しその改正前において、この事実が既成事実となつて、七分のものがすでに実施されるということになりますと、その法規において五分引下げることは非常に困難を感じるのじやないかと思いますので、何とかこの際値上を停止させまして、この法制化されるこの市場法の改正まで現行でやつて行けるような措置を講ずることが是非とも必要だと存じます。この方法について如何なる方法をとるか、我々も今はつきりした方法を見出し得ないのでありますが、委員長におかれましても、是非この点を御研究下さいまして、現在の業者の苦しみを救うというふうに善処方を要望する次第であります。
  52. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 大体陳情の趣旨はもうすでに十分分つておりますからして、一応陳情者の御退室を願いまして、委員だけで協議をいたしたいと思います。
  53. 丹野實

    ○参考人(丹野實君) 七分がですね、どうして不当であるかということについて……。
  54. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これはよく分つておりますから、委員だけで協議いたしますから……。  只今千田委員からの御意見で、物価庁、安本、農林当局その他を招致して、十分検討いたしたいという御発言がありましたが、他に何か御意見ありませんか。
  55. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 物価庁、安本を呼んだり、実情を調査している間に、只今の陳情を承つておりますと、どんどんその引上げを強行するように見られるのでありますが、これについて、例えばこの問題の解決までは引上げてはならないというような措置を緊急に、そういう法で縛るより仕方がなければ、それも止むを得ないと思うのでありますが、そういう方法を講じて置いてやらなければ、どんどん引上げを強行してしまう、かように私は考えさせられます。
  56. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつとお諮りいたしますが、この委員会といたしまして、この手数料値上を適当でないという申合せをいたしては如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは現段階におきましては、中央市場の手数料の値上げをすることについては、適当でないという委員会の決定事項にいたしまして、直ちにそれを農林大臣並びに都長官に通告いたしまして、その上で尚中央卸売市場法の改正その他について、各方面関係者を招致いたしまして、検討することにいたしたら如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めますので、さよう……。
  59. 千田正

    千田正君 今櫻内委員のおつしやる通り、その程度の通告をしただけで、今もう値上りつつある問題が一応阻止できるかどうか、これは相当問題じやないかと思うのですが。
  60. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 委員会でそう決定いたしまして、そうしても聞かなければ、今のところ何とも方法はないと思います。併しとにかく国民の代表として、委員会が一応その申合せをして、都長官及び農林大臣に通告することは、これは適当だと思いますので、そういたしまして、そうして次の段階といたしましては、この市場法を改正して、これに対応するというふうなやり方をとりたいと思います。まあさようにいたします。
  61. 千田正

    千田正君 これは物価庁その他における取締規則か何か、或いはその他において一応今も、市場法改正の法案ができるまでは、現行法を適用するというようなことの、都長官に対してのあれはないですか。
  62. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 農林大臣は私分懇談しましたときに、これはどうも現在の段階として、法律の段階としては勧告以上の権能はないように思う。だからそういう意味において延期を勧告するということを答弁しておられましたが、どうも現在はそれ以外にないだろうと思います。すでに業務規定において一割以内において手数料を取ることを農林大臣は認可しておりますので、認可の範囲内においてやつておりますから、一つも違法じやないように思うのですがね。
  63. 千田正

    千田正君 私はそこに一つの法的欠陷があると思いますね。例えば対象であるところの国民大衆並びに生産者大衆に利益を及ぼさない、或いは何かしらそうした生産意欲を低下させるような法案であつた場合には、阻止することができるという法文が一つもなかつたというところに非常に欠陷があつたと思います。であれはそういうことは、我々は委員会において議院立法も又できる筈です。であるから、この点は一つ愼重に、今委員長のおつしやる通り勧告は勿論必要でありますが、尚愼重に審議しまして、そういう方法が講ぜられれば、善処するという方向に進みたいと思います。
  64. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 古い法律が生きているのですね。これが生きているということがそもそもおかしいのです。それに引つかけてしまつて……。
  65. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは取敢えず決議事項を作りまして、都長官並びに農林大臣に通告いたしますが、その案文は委員長の方に適当にお任せ願えますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは御異議ないと思いますから、委員長の方で適当に作りまして提出いたします。 それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            櫻内 義雄君   委員外議員            小林 政夫君   説明員    水産庁長官   家坂 孝平君    水産庁漁政部経    済課長     奧田  孝君   参考人    漁業経営者連盟    会長      小濱 八彌君    宮城県漁業協同    組合連合会長  丹野  實君