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1950-07-20 第8回国会 参議院 人事委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十日(木曜日)    午前十時五十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給與問題に関する調査  の件(給與改訂勧告に関する件)   —————————————
  2. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それではこれから委員会を開きます。御報告申上げることは、昨日総理大臣出席を正式に国会法による文書で要求して置きましたが、本日は都合が悪いそうです。そこで出られる日時を今確め中であります。又総理大臣が出られなくつて官房長官の必要があると認めますので、官房長官出席を今要求しております。それから予めお諮りして置きたいと思いますのは、委員外議員発言を適当な時期に許してもいいかということです。それから専門員発言も同様です。これをお諮りします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木下源吾

    委員長木下源吾君) では御異議ないと認めます。それでは人事院総裁が見えておりますので、質疑をお願いいたします。
  4. 千葉信

    千葉信君 委員会に先立つて議事進行について一言申上げたいと思うのは、今問題になつており、公報にも掲載されておる国家公務員に対する給與問題の調査という事項は、申上げるまでもなく、昨年十二月四日の人事院勧告並びにその後における諸情勢の変化に応じて、参議院人事委員会として、給與問題に対する最も適切な結論を出すということのための努力を続けておりまするし、又この問題は殆んど全国的な注視の的であるに拘わらず、本日の委員会も、登院議員数は何人いるか分りませんけれども、この委員会出席しておられる正式の委員は、吉田法晴委員並びに重盛壽治委員と私の三人、委員長を除いてはたつた三人でございます。こういう恰好でこの重大な問題を審議するということは、誠に我々人事委員として国民に対して申訳ない感じを持つのでございます。こういう状態は、結局は委員自身の自覚に俟たなければならない点もあるとは思いますけれども、一応は委員会の運営の直接の責任を持つておられる委員長責任でもあり、委員長が十分な措置を事前に講ぜられたかどうか、この点について委員長から御答弁をお願いします。
  5. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それは公報を御覧になれば分りますように、尚又そういう法規以外に出席の督励をしておりますので、これ以上方法があつたら、千葉委員からお聞きしたいと思います。
  6. 千葉信

    千葉信君 公報に掲載されておることは、これは当然でございますし、それ以外に委員長としては或る程度の事前工作をしたというようなお話でございますが、事前工作が完全に行われておれば、こういうふうな結末には陷らないで、私はもつと委員諸君が出られる筈だと思うのです。従つてそういう具体的な方法については、委員長の良識に俟つことにして、私から委員長に指図するような具体的なことは、これは申上げない方がよいと思いますが、十分この点については善処方を私はお願いする次第です。
  7. 重盛壽治

    重盛壽治君 その問題は、やはり僕はこれは委員長責任もあろうと思う。あろうと思うが、最近の人事委員の全般の性格に関して、折角人事委員になられた諸君も、この実態の姿の中に入つて人事委員使命が遂行できるかどうかというと、基礎のゆるんだ人事委員会の姿に希望を失つて出て来ないのだと思う。そこで今日は人は少いが、初めて総裁が来られたので、甚だ申訳ない次第ですが、一応総裁の御挨拶を頂戴したいと思う。
  8. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 今千葉君のお話は御尤もなんで、これは私はこう考えておるのです。人事委員に関して、こういうことをやるものだということりを、委員が分らない人が多い。これは現に私共の方で、最初人事委員ができたときに、人事委員なり手がない。本当になり手がない。それで仕方がなくて無理矢理にこの前も私と赤松君とがなつた。他の方の話を聞いても、人事委員は軽いからというような話が沢山あつた。それですから、大体他会派人事に関することを眼中に置いておらないのです。こういう点を人選においてもつと他会派に交渉しまして、実際に関心のない者でなく、ある者に入れ替えて貰うということをやるよりしようがないと思う。そういうようなことを進めたいと思いますから、委員諸君一つ協力願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)只今重盛君からの希望もありまするので、総裁一つお願いいたします。
  9. 淺井清

    政府委員淺井清君) 只今委員各位出席のことについてお話がございまして、これは私拜聽いたしておりまして、非常に私自身も恐縮に存じております。それはこの国会になりまして、本日初めて出席するような状態になりましたことをお詫び申上げまするが、これは最近いろいろの問題につきまして、どうしても処理しなければならん仕事がありましたためでありまして、今後は勉強いたすつもりでありまするから、どうぞこの点は御容赦を願いたいと存じております。  さてこの人事院の非常な大きな力となるものは、この国会両院人事委員会であろうと、私共は確信をいたしておりまするので、過去においてそうであつたごとく、将来におきましても、どうぞ人事院を御鞭撻下さいまして、人事院の職責が果し得るようにお願いする次第でございます。
  10. 千葉信

    千葉信君 只今の御挨拶もありましたので、早速総裁に対して御質問申上げます。ここに持つて参りましたのは日本経済新聞でございますが、これ以外の新聞にも殆んど同日に掲載されておるようでございますが、七月十九日の新聞記事によりますると、淺井人事院総裁談として、決のように報道されております。「人事院給與ース勧告に関し検討中のところ、本年度予算は確定しているので、今国会には如何なる給與法案補正予算も提出し得ない事情が明らかになつたので、人事院としては尚調査研究を続け、明年度予算編成に間に合うよう国会及び内閣給與改訂勧告を行う予定である」、こういう報道がなされておりまするが、人事院総裁はこの報道を確認されますかどうか、お尋ねいたします。
  11. 淺井清

    政府委員淺井清君) それは私の方から公式に出しましたものでございまするから、只今お読上げになつた通りでございます。
  12. 千葉信

    千葉信君 今月の十四日の当院本会議において、淺井人事院総裁自身が、岡田議員質問に対して、給與問題に関する御答弁をなされたようであります。このときに私は淺井総裁答弁として、給與ベースに関する勧告は必ずやると、特にこの勧告に関する最終の結論国会において出されるものであるから、従つて国会の会期中にこの勧告をするということを言明されたようでございます。今新聞報道されておりまする正式な淺井総裁談話と、参議院における人事院総裁の御答弁とは明らかに食違つている点があるのでございますが、これに対しては淺井総裁はどういうふうにお考えになりますか。
  13. 淺井清

    政府委員淺井清君) 私が岡田さんの御質問にお答えいたしましたのは、その当時私共人事院といたしましては、そのような決心で進んでいたわけであります。然るところ、ここに一つ事情が起りまして、少しく勧告を延期しなければならないような状態になりましたことは、私としては、非常に遺憾であり、恐らくは最も遺憾に考えておるものでございます。それで実は最初国会においてそのような事情お話申上ぐべきところ、これは何分にもいろいろの流説もございますので、至急に総裁談として発表いたすべきとも思いまして出した次第でありまして、それより前に国会において前と食違つた点を申上げる機会を得ませんでしたことは誠に相済まない次第と思つております。
  14. 千葉信

    千葉信君 問題が非常に重要でございまして、單にこの勧告の問題は国家公務員九十二万に関する問題ばかりではなく、公務員に対する特に一般職の職員に対する給與問題の解決が、その他の地方公務員諸君或いは公共企業体従業員諸君並びにこの問題の発展するところは一般産業労働者給與にも関係を持つておりますので、そういう点からいたしますると、この問題に関する只今淺井人事院総裁答弁に関しては我々その答弁だけでは到底納得することができないし、問題の重要性に鑑みて、これに対しては、たとえどういう事情があるにせよ、我々は最終的には徹底的に追及しなければならないのでございますが、その問題は一応いろいろな今後の質疑応答の中から、どういう形において責任を追及することが正しいかという結論が出て来ると思いますので一応……。次の質問は現在いろいろな事情の下において淺井総裁結論として発表された談話についての部分に関して私は御質問申上げます。先ず第一番にこの談話によりますると、本年度予算は確定しているので、今国会には如何なる給與法案も、補正予算も提出し得ない事情が明らかになつた、そのために勧告しないのだということを言われておりますが、一体国家公務員法の第二十八余によるところの人事院勧告は、補正予算が出せるか出せないかという、そういう見通しの上に立つてなすべきものであるかどうか、そうして又今後もそういう態度人事院としてはおとりになるつもりであるか、そうして又もう一つは、明らかにここでは補正予算の提出し得ない事情ということを楯にとつておられますけれども、人事院は御承知のように六月十七日に寒冷地手当石炭手当に対する勧告をなされております。而もその中の石炭手当部分には、本年度予算として計上されておるところに、トン当り炭価は二千五百円を見込み、人事院勧告は四千百五十円と見込まれております。そうなりますと、この金額は明らかに一応補正予算を計上する以外途がないという結論が出て来るわけでございます。一方においては補正予算を当然必要とする勧告を行なつて置きながら、一方においてはこの談話にありますように、補正予算を提出し得ない事情が明らかになつたという理由で勧告を差控えられる、この点について淺井総裁の御答弁を私は要求いたします。
  15. 淺井清

    政府委員淺井清君) 先ず第一に千葉さんに申上げたいことは、一体この国家公務員法二十八條に規定しておりまするところの給與勧告権は、私共は御指摘せられるまでもなく非常に重大なものだと思つております。これは曾てのマツカーサー元帥の書簡にもありますように、一方におきまして労働者争議権等を抑えましたその代りとして挿入されておりまするので、人事院といたしましては、この権限を行使することについて決して卑法であるわけでございません。然るにこれまで三回の勧告をいたすような段階に立ち至りましたが、その度ごとにいつも困難が起つております。六千三百七円の勧告をいたしまする場合も、又七千八百七十七円の勧告をいたしまする場合も、又今日の勧告を企てます場合も、いつも困難な事情が起つておりますることは千葉さんも御承知通りでございまして、私としては非常に遺憾に思つておる次第でございます。これだけのことを第一に申上げておきたいと思いまするが、それからその予算関係のない、人事院勧告予算関係がなくやれるものだという建前は御指摘通りでございます。ただ石炭手当との関係を御指摘になりましたが、これは恐らく私は予算技術上の問題を存じませんけれども、これは片一方は数百億の金を要することであり、片一方は少額であるかとも思いまするが、この辺は私は責任を以てお答えすることはできませんが、ただそこの声明書に記載されてございまするところの補正予算給與法案も出せないということは、これは人事院のやつたことではなく、そういう事情が判明したということを最初に書いた次第でございます。
  16. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 只今官房長官が、先程申上げたように、見えられたのですが、十一時半にどこか外に行かんならん、そこで時間の制約がありますので、官房長官に対する質問をお願いしたいと思いまするが如何でしよう。
  17. 吉田法晴

    吉田法晴君 昨日も官房長官が三時四十分に来る、逃げも隠れもせんというお話つたが、二十分いわばまけて、四時からそれでは再開いたします。こういうお話をして帰られで、そうして四時になつて、来るとも、来られぬとも何とも御連絡がなかつた。そこで淺井総裁も来られぬし、我々としては非常に遺憾に存じて昨日は流会をした。今日お出でになつて三十分しかできない。これは外の用事もありましようから三十分ということについて突込んで云々はいたしませんけれども、併しながら三十分やそこらでこの給與問題について十分の政府の方針を述べ、責任が果せると思つておられるのかどうか。問題について極めて官房長官としても軽視しておられる。或いは内閣全体としても軽視しておられるように私は思えるのですが、その点について先ず承わりたい。
  18. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 昨日はお約束通り午後四時には二階で以てお待ちしておりまして、祕書官に開会はいつかということを問い合せましたところが、流会されたというので、そのままになつてしまつたのです。但し昨日は午後八時まで時間をあけて、外の約束をせずにおりまして、結局何もなかつたので、午後八時まで総理官邸仕事をしておりました。本日は実は思いがけない御要求でありまして、十一時半には自由世界労連代表者方々が見えられまして、これと会見する、十二時ちよつと過ぎには引揚促進全国連合会代表者数十名と会合するというわけで、どうも都合が付かないのです。
  19. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の官房長官の御説明によると、四時前後には待つてつたということですが、昨日の委員部の報告ではそういうことはなかつた。尚四時から新聞定例会見があつたということはこれは外から聞いたわけですが、四時に人事委員会出席するべく待つておられたとは考えられないのですけれども、それは十分かかりましたか、二十分かかりましたか知りませんが、その頃まで待つてつて問合せたら散会になつてつた。これは昨日の経緯と御答弁との間には食違いがありますから、御答弁して頂きたい。
  20. 木下源吾

    委員長木下源吾君) あと調査します。
  21. 千葉信

    千葉信君 官房長官も御存じだと思いますが、実は当委員会として本日午前十時に吉田総理大臣出席要求しございます。ところがいろいろ本日になつて承わるところによりますと、地方行政委員会の方にお出でになつておられて、十一時半頃までちよつと出席が不可能である。こういう事情が一応判明いたしました。只今官房長官の御答弁によりますと、自由世界労連その他の団体とお会いになるために当委員会の方には恐らく又出席できないということになるのじやないかと思いますが、このことは先程非公式にもこちらの方にそういう返事があつたようですけれども、併し法治国の国民立場から申しますと、どちらかを重視せよという意味ではございませんが、一応当委員会は正式に国会法に基くところの出席要求を出してある筈でございます。こういうときに一体官房長官の見解として、どちらに総理大臣出席する必要があるかということについでどうお考えになるか、一応御答弁要求いたします。
  22. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 無論国会を軽視するわけには参らないのでありまして、国会の御要求にはできるだけ応ずることは勿論、ただ自由世界労連方々が三名おいでになつておるのですが、これなどもやはり日本の将来から考えますると非常に重大な使命を持つておられます。やはり総理大臣は同時に外務大臣でございます。この方面の仕事もやはり任務の一つであります。国会出席すると同様に外務大臣としての行政の部面も同様なのでありまして、その点は十分御了解を得たいと思つております。尚総理大臣若しくは外務大臣としての出席要求は、参議院の各委員会のみならず衆議院の各委員会からも非常に沢山来ておるのであります。実は衆議院の方にもお願いしてあるのでありますが、各委員会お話合いの上時間を繰合して頂かないと、出たいと思つても出られなかつた場合が非常に多いのであります。参議院の方にはまだお願いしておりませんが、まあそういうわけであります。
  23. 千葉信

    千葉信君 只今官房長官の御答弁の中に自由世界労連代表が五名お出でになつてつて、それとの会見が非常に将来日本の趨勢に関する大きな問題でもある、こういうお話でありました。私もその点は率直に一応認めまするが、そういう自由世界労連その他の団体ということを指しておられますが、自由世界労連代表のみならず、或いは仮説として世界労連代表がお見えになつたような場合にはやはり同様なふうに官房長官としてお考えになるかどうか。その点も参考上一応承つて置きたい。それからもう一つは、実際問題として今日いつぱいそういう方方内閣総理大臣が面会されるとして、当委員会にはいつ頃出られる見通しがあるかどうか。この点二つ御答弁をお願いいたします。
  24. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今最初の方の御質問に対しては、そのときの来られた場合のことにいたしたいと思います。余り仮定の問題はどうかと思いますので、御答弁を差控えたいと思います。尚委員会出席の問題につきましては、今申しました通り、各委員会から実は出席要求がありまして、すでに私が知つておるだけでも可なりの数に達しております。そこでやはりその間の時間を調整する必要がありますので、やはり具体的についいつかということで御要求になりますと、そのときにあいていれば幸いであります。あいていない場合もあるのであります。何しろ随分前から先口だと言つて要求されておる分も沢山ございまして、私今ちよつと記憶しておりませんけれども、やはり御要求を見ました上で御相談しなければはつきりした御答弁はできないと思います。
  25. 加藤武徳

    加藤武徳君 これまでの質疑応答は本委員会使命より相当逸脱したように考えられるのですが、官房長官も御貴重なる時間を割いて御出席つておるのでありますから、約束の十一時半も次第に近付いておりますので、本論につきましての質疑応答をお願いいたします。
  26. 木下源吾

    委員長木下源吾君) はあ。
  27. 加藤武徳

    加藤武徳君 本論につきましての若干本委員会使命より逸脱した質疑応答が繰返されておりますので、本委員会使命に副う質疑応答に持つて行くように委員長としてお願いします。
  28. 千葉信

    千葉信君 私共の質問申上げておることは、当委員会の本筋から離れておる、又或いは本論から離れておるという御意見でございますが、私は柳か所見を異にしております。そして又官房長官に特にお願いして置く事項なんですが、只今お話では各委員会からいろいろと出席要求を受けておつて、時間の関係上、それとの按配を図りたいというお話でございますが、私共は決して他の委員会で審議されておる案件を軽視するわけではございませんけれども、この刻下の重要問題である給與問題解決如何の問題は、その動向如何に対しては吉田内閣が潰れるか潰れないかという重要な問題にまで発展する問題でございます。従いましてそういう認識の上で総理大臣出席に対する態度をお決め願いたい、以上私は官房長官に御希望申上げて置きます。
  29. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 只今千葉君のお話の件は今官房長官からの御答弁によつて、こちらでやはり各委員会との連絡、又衆議院との連絡等調査して、そうして申込み順位等を決めていたしたいと思いますが、その調査をやることにいたします。さよう御了承願います。
  30. 千葉信

    千葉信君 了解
  31. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 一応官房長官に対する質問をお願いします。
  32. 重盛壽治

    重盛壽治君 官房長官総裁両方に対する質問になろうと思いますが、至極廻りくどくなるが、先程総裁が言われたように、先般労働組合法が改正せられまして、労働組合基本的人権確立、或いは待遇の改善問題等労働組合自体の手ででき得ないような、いわゆる団体行動が制約せられた。併しそのことは労働組合が好むと好まざるとに拘わらず、政府立場から見るならば、そうすることが日本公務員として妥当であろうという、可なり考え方が違うが、そういう考え方に立つて改正せられたかと思う。併しその反面、そのことのために先ず公務員給與の問題、福祉増進の問題、一切の問題は人事院がこれを背負つて立つ。いわゆる人事院が毅然たる立場において公務員協力を求め、公務員努力して貰う、今の日本の実情が公務員協力努力なくしては日本の民主的な確立なり、自主的な日本確立もできない段階に来ておるのは当然のことでありまして、その意味から人事院としては飽くまで毅然たる立場に立つて、これら公務員給與問題、福祉問題を保護すべき立場にある、こういう見地に立つて先般来人事院給與ース改訂等を出した。然るに六三べース勧告を出すときは、人事院使命を立派に完遂して、公務員自体はいつも労働組合法で制約されたが、人事院ができてこの点について極めて公平にやつて貰えて、これによつて埋合せが付くという希望を持つておる。然るに第二回の勧告、先般の勧告に対しましては、これは政府の一方的な処置によつて、いわゆる握り潰しをした。併しその当時我々は労働組合として前官房長官の増田氏や大蔵大臣に交渉した埓内においては、給與ース改訂はしない、併し実質賃金の引上げをしようということを約束し、人事院においては政府が取上げて呉れないから、第二の勧告をする予定であるということをあなたが常に言うておられた。従つて今度の議会が開映されて、十四日の施政演説の中で、実質給與を更に飛躍して、政府としてもこの際給與ベース改訂を極めて早急にしなければならんということを言うておる。又人事院総裁は、先程吉田委員その他から言われた通り、やはり給與ベース改訂勧告は頻りにやると言つておる。そこで人事院か本当に給與ベース改訂政府と別の立場に、人事院独自の立場に立つてやられるとするならば、予算或いはその他の面、その他の面ということはあとで御説明申上げますが、そういう考えに対し、何か制圧があつたか知りませんが、毅然として今日の実態に即応した給與ベース勧告をしなければならんのである。昨日も質問の中で、官房長官人事院に対して何らの制圧も加えたことはない。人事院総裁も、ややそれに近い先程も返答をしておると存じますが、若し政府人事院制圧を加えて、人事院も又人事院の本来の姿の上に立つて給與ベース改訂勧告をしようという意思があるかないか。このことだけ先ず前以てお聞きしておきたい。人事院本来の姿は、残念ながら地方公務員或いは官公吏政府直属公務員最初の六三ベースのときには、人事院のやり方を可なり期待しておつたのでありますが、今日は人事院の在り方に対しては、実際もはや人事院の存在の意義を喪失しておるのではないかというふうに、極めて悲観的な考え方をしておる反面、人事院が相手にならぬとすれば、今日の労働組合法では、労働組合の実際の生活権確立ができ得ない段階に置かれておるから、別な角度で闘争しなければならんというような、極めて險悪な空気を釀し出しておる。先程向うの委員の言われたように、吉田内閣の運命を決するまで行くような事態を釀し出しておる重要な問題である。それに関して果して政府人事院に対して何らの制圧を加えておらぬかどうか、人事院は独自の観点に立つて、この給與ベース改訂勧告を出す意思があるかどうか。それから今日仮りに若干の制圧があつたということは、私は察知できるのであります。仮に今日なかつたとしても、将来に対しては官房長官人事院をどういう立場に置くか、本来の使命を全うせしめるような立場に置く意思があるのか、それとも政府直属機関のような立場でやつて行きたいという考えがあるのか、この点を官房長官人事院総裁両方から明確にお聞きして、あとの問題をそれに引続いてお伺いいたしたいと思います。
  33. 淺井清

    政府委員淺井清君) 御指摘の点は誠に御尤もと私共は思つております。人事院といたしましての本来の姿は御指摘通りでございまして、私共はいつもその線で進みたいとも思い、これまで進んで参つたのでございます。それから又政府から制圧を加えられた云云のお言葉がございましたが、私はそういうことは全然ないということをはつきり申し上げます。人事院は決して政府制圧によつて屈したものでないということは、私は官房長官の裏書を俟つまでもなく、確信を持つて申上げられることでございます。
  34. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 政府制圧云々につきましては、昨日吉田総理大臣も本会議ではつきり申されております。今淺井総裁も言われた通りでございまして、何か多少あつたんだろうというお話のようでしたけれども、そういうことは全然ありません。将来におきましても、政府人事院に対して、とやこうしようという考えは全然ございません。
  35. 重盛壽治

    重盛壽治君 それならばお聞きしますが、総理大臣は、給與ースを可及的速かにやろうということを総理大臣自体が言つておるのだから、これはあなたが時間がないようだから、人事院総裁にはあとでお聞きしますが、その点は政府はどのように考えておるのか、どのような用意があるのか、どのようにやるのか、仮に先般の施政演説にある限りは、仮にいつこういう方針でやりたいという考え方がなければ、先般の施政演説はなされないわけだと思います。その点を官房長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  36. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは昨日もたしか申上げたと思うのですが、はつきり言えることは、来年度において給與ベース改訂するということなんで、その前にやれるかやれないか、又やれるとしてどのくらいの額になるかということは、総理の施政方針演説にある通り、財政の許す時期及び限度においてということ以外に申上げようがない。その理由は財源も一生懸命今節約して溜めていると言つちやおかしいですが、捻出すべく努力をしておりますが、一方においては国民全体の強き要望として減税ということも言われております。で彼此相勘考してこの財源の余つたものがある場合に、如何にこれを利用するかということは、只今政府としては非常に頭を悩ましておる点であります。従いましていつやるかということをはつきり申せとおつしやれば、来年度というより外ありません。
  37. 重盛壽治

    重盛壽治君 官房長官の御返事は少し角度が外れていやしないか、来年の予算給與の引上問題をやる。それを今年の臨時国会で首相が大見得を切る必要はない筈である。当然このことは後の臨時国会か何か、あとでやればよいことで、今日給與ースを引上げるにしても、引上げるのに別な困難な事情があると考える。いわゆる別な事情ということは渉外対策の問題である。この問題が、吉田首相が先日来、我々が言うように、給與ースが安定して公務員が真に自主的に国の再建に協力するような姿に立直すことのためには、こうして欲しいということを明確に関係方面に持ち出すことにおいて解決する問題である。この前の問題の專売の裁定においてもそういう方法がとられておる、可なり優柔不断な交渉をしておつたのです。可なり追いつめられた段階で止むなく交渉した結果の裁定ということになつたので、今度の問題においても、この国会給與ース改訂をしようと大見得を切つて、実際にやるのは来年だ、来年のことを言うと鬼が笑うということを申されますが、来年のことを言うくらいのことなら、今更来年のことをお聞きしなくてもよろしいのであつて、本当に向うにぶつかつて、而も反面朝鮮問題が惹起しておる今日、国民の要望は、そのことは強く勇敢に打ち出すべきときに来ておるのじやないか、そうすれば單なる給與ースの問題でなく、今日政府は地方税の問題その他の問題で可なり引かかつておるのだから、これらの問題もスムーズに行くのではないか、今日の国民の要望を、希望を十分に打込んで行くという決意を持つておられるかどうか、この決意なくしては実際の問題が解決せぬのではないかと考えるが、官房長官はどういうふうにお考えになつておりますか。
  38. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 先ず来年のことを言つちやおかしいという話がありまして、これはそういう考えは無論あると思いますが、少し詭弁のようにも聞えるかも知れませんが、昨日もお話しましたように、早期講和ということをこの施政方針の中にやはり謳つておるのであります。併し今国会にできるとは私も全然考えておりません。併し遠い目標を置いておいて、早期講和は実現するよう国民に伝えておるのだが、それと何様だということを昨日も申上げたのです。(「牽強附会だ」と呼ぶ者あり)尚関係方面云々お話がありましたが、私自身としても、又政府としてもいろいろよい政策があるのだが、皆関係方面で抑えられてできないのだというようにおとりになると、私共は大変困るのでありまして、そうじやないと思います。やはりこれは今申されました通り、仮に財源ありとするとも、私の属しておる自由党におきましても、減税を先にやれという議論も非常に強いのです。これは正直のところ彼此勘案としてやらなければならん問題でありまして、決して我々はよいと思つて関係方面に行つておるが、関係方面に抑えられてできないのだという、こういう逃げ口上を申上げておると思われては私は困るのです。
  39. 重盛壽治

    重盛壽治君 関係方面に抑えられておることはですね、勿論全部の日本の国の政策が今日我々の議論しておるところの公務員の問題や、いわゆる勤労階級の給與の問題ではないので、一部は関係方面は喜んで認めることは当然であります、併し本当の勤労階級の考え方日本国民の九〇%を占めるところの者の考え方は、この際打ち出すべき時期に来ておるのではないか。これらに関連してここで勇敢に打ち出さなければ、あなた方のお考えはどこに中心が置かれるかも知れないけれども、社会党の言つておるような全面講和論は空論に過ぎないというようなことを言われるのだが、そういう角度から行くと、少し角度が違うのかも知れないけれども、本当に日本の平和を恒久的なものに確立して行こうとするならば、こういう機会を捉えて、自説を少し曲げても本当に国民の声のあり方を打ち込んで行くという決意を持たなければならないのではないか。勿論関係方面に全部牛耳られておるとは考えられないが、概ね特に給與の問題に関しましては、牛耳られておることは明瞭である、今日は我々も関係方面に交渉し折衝しておる。あらゆる角度で折衝しておる。失礼だけれども、岡崎さんより余計我々の方が関連性を持つておる。そういう場合に察知するものは、すでにもう少し政府が勇敢に実際の公務員立場を講じて欲しいということを打ち出されたならばできるのではないかということを常に痛感しておるのです。そういう点をもう少し強くやつて頂いて、公約を、この前の約束を果すように、一旦政府の、首相が言つたことを人事院総裁自身がやることができないというようなことを発表して、平然としておられるような人達が、一旦約束したのだから一時これはできなくなつたけれども、又やることになつたのだと言つても、決して国民は笑いませんから、そういう方向付けで一つ更にこの給與ベース改訂の問題には、急速に考えて角度を打ち立てて貰いたいと最後に要望します。
  40. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今の御意見は十分承わつて置きます。
  41. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 官房長官、時間は……。
  42. 吉田法晴

    吉田法晴君 聞きますと、総理は本日の国会出席のために取つてある時間が僅かに一時間で、今日当委員会要求に対して事実上出て来ないということもはつきりしておる。代りに出て来られた官房長官も三十分、三十分について文句を言つている間には十分、十五分過ぎてしまう。十五分や二十分でこの問題を十分論議することはできません。総理大臣出席要求いたしますと共に、代りに出て来られるならば、もつと時間を割いて出て来て貰いたい。こういう点を要望いたして置きたいと思います。
  43. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 今総理大臣委員部の方を調べさせております。他の委員会との関係を……。それから官房長官は今時間が約束の時間だが、あと何時頃にお出でを願えるか。
  44. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今連絡ではちよつと関係方面側の人に話す用事がありまして、はつきり向うの時間が取れないそうでありまして、はつきり分りませんが、それ以外のところは今日は五時まで大体あいております。その間に三十分ぐらい拔けることがあります。今日は次官会議がありますから、二時として二時から五時までの間にちよつと間が拔けることがあつて、五時頃まで間があります。
  45. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは二時に一応お約束しでおいて、そういうことにお願いいたしたいと思います。そこで一つお伺いしておくのは、只今の来年度予算と言つても、あれは十五ヶ月予算のことを意味しておるのか、通常の年度予算意味しておるのか、その点ちよつとお聞きして置きます。
  46. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今私の申上げましたのは来年度ということでありまして、これだけは確実、つまり来年度予算、一月から三月までは十五ヶ月予算で入るわけであります。この方はでき得る限りこれに入れるというふうに努力いたしておりますが、はつきり申上げたのは、来年度ということなんであります。一月からのやつはできるだけ努力するという建前で、少しその前にもでき得ればということの含みは無論あるわけであります。
  47. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 分りました。
  48. 重盛壽治

    重盛壽治君 最後に、仮にあなたの言う通りとすれば、来年度予算給與ベース改訂をする。それまではこのなり放置して置く方針であるかどうか、一つその点を……。
  49. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) それは只今申上げました通り、でき得る限りの努力はするという意味で、それで施政方針演説の中にも入れたと私は考えております。
  50. 重盛壽治

    重盛壽治君 将来やろうとする考はないわけじやないということを匂わしたに過ぎないというわけですか。
  51. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) そういうことです。
  52. 千葉信

    千葉信君 先程私の質問に対して官房長官は、大体他の委員会との振合もあるから、その点を考えておるというお話で、今日出席されるかどうかということについては頗る曖昧模糊とした形でございましたが、私は一応希望を持つてその答弁を了承したのですが、今吉田委員から発言されたように、今日、少くとも今日は吉田総理大臣参議院出席する時間というのは一時間というふうにはつきりしておるそうでございますが、事実でございますか。
  53. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) そうでございます。今私が申上げましたのは私自身の時間でございまして、総理大臣の時間ではないのであります。
  54. 千葉信

    千葉信君 今委員長がこう言われたのです。総理大臣出席については今委員部の方から連絡をとつておるからというので、委員長ははつきりそういうことをおつしやらないので、言われたようですが、委員部の方を調べましたところが、今日は一時間というふうなことがはつきりいたしております。そうなると、先程の官房長官の御答弁は、目先の苦しいところをごまかして逃げようとする態度であつて、私は今日一時間しかないならば、当然もう地方行政委員会の方に一時間出席することになつておるということを承わりますと、今日はもう当然初めからこの委員会には出席できないということは明らかなわけです。私共はそういう時間の割当に対しては衷心から不満を持つておりまするが、今日出られなければ少くとも明日は必らず出れるかどうかということについて、官房長官から、今ここでなくとも結構ですから、今日中に明確に私の方へ御答弁を願つて置きたいと思いますが、如何でしようか。
  55. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) それは事前委員部からも連絡があると思います。御要求があれば時間の点については……。
  56. 千葉信

    千葉信君 委員長にお任せをいたします。
  57. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 今のここのやつは早速あなたのあれで調べまして、もう一つのやつぱり国会関係衆議院にありますから、衆議院を調べてこちらもやりますから……。
  58. 千葉信

    千葉信君 質問続行。淺井総裁に対する質問を続行いたします。先程の私に対する御答弁で一応はつきりと判明いたしましたのは、この談話にありました件について、将来予算上の問題について勧告をどうするかということは考慮しない。これは当然補正予算如何に拘わらず、人事院としては勧告すべきものは勧告する。こういう点についてははつきりいたしました。併しその間従来の六千三百七円ベース、或いは七千八百七十七円べース、その他勧告の場合において、非常に見通し上苦労をしたというお話でございまして、その場合に補正予算云々の問題、或いはその他予算の問題についてはこれと拘わりなしにやつたとか、やらないということについては明確さを欠いておりますが、確認するために、そういうことを従来の勧告においては考慮したかどうか、この点を併せてはつきりとこの際承わつて置きたい。
  59. 淺井清

    政府委員淺井清君) ちよつと間が明きましたので、続きが悪くなる慮れかあることを心配いたしますが、人事院の建前といたしましては、お示しのごとく予算関係なくこれまでもやつて参りましたし、今後もやつて行く。若しも予算があるときだけに勧告ができる、こういうことになりますれば、これは独立の勧告ということは余程効果がなくなるのじやないかと思つております。ただ私の申上げましたのは、これまでまあ三度勧告をするようなことになりましたが、そのたびにいつも困難が起つて来ておる。それは予算等の問題であるが、これは人事院自身都合ではなくて、皆周りから起つて来る問題であるということを申上げただけでございます。
  60. 千葉信

    千葉信君 一応次の問題に入ります。この人事院総裁談の中で、予算の問題と関連して併せて給與法案も提出し得ない事情が明らかになつたというふうに出ております。十四日の本会議における淺井総裁答弁から見ましても、最終の結論国会である。勿論予算の編成権は政府の方にありまするけれども、少くとも法案に関しては、予算に関する法案におきましても、これは單に政府の方から法案を提出するばかりでなく、御承知のように国会法の第五十六條によりましても、議員の提出する法案がある、而もそれも予算関係する給與法案を提出するということも可能なわけです。従つてこういう点について淺井総裁はどういうふうに考えてこういう談話を発表されたか、この点も明らかにして頂きたいと思います。
  61. 淺井清

    政府委員淺井清君) それは声明書の前の部分事情を申述べた部分である。ここに我々が直面しておりまする事情は、如何なる給與法案、その法案は政府提出案でございましようと、或いは議員提出法案でございましようと、それは両方共含む、そうしてそれが提出し得ない事情がある、こういうことを申上げただけでございまして、決して法案の提出が不可能であるから、人事院に法案の提出権がないとか、あるという問題とは別問題でございます。
  62. 千葉信

    千葉信君 只今総裁答弁で問題が段々はつきりして参りましたが、淺井総裁お話によりますると、給與法案補正予算も提出し得ない事情があるということでございますが、一体それは何でございましようか、この際はつきり承わりたい。
  63. 淺井清

    政府委員淺井清君) その点につきましては、私の立場といたしまして、これ以上申上げることができないことを非常に残念に思いますが、さように御了承願いたいと思います。
  64. 木下源吾

    委員長木下源吾君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  65. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を始めて……。
  66. 千葉信

    千葉信君 重ねて御質問申上げますが、人事院としてはこの談話にもありまする通り、それから又本会議における答弁にもありまする通り、一応現在の段階において公務員給與ベースがどうあるべきかということについては将来も研究されるということでございますが、一応現在の結論が出ている筈でございます。この結論については、事情があつたために勧告するしないということについては、私共又別の機会にこの問題を論議したいと思いまするけれども、その結論の出ましたいろいろな基礎、調査の研究資料もありましようし、その他結論に到達しましたものも一応は人事院で持つている筈でございますが、それを至急国会に提出願いたいと思いますが、如何ですか。
  67. 淺井清

    政府委員淺井清君) それはちよつと私ここで答えられないと思います。と申しまするのは、その提出するという点についてでございます。ただ大体のことは申上げることができるだろうと存じております。つまり人事院といたしましては、もつと早く勧告をいたしたい。つまり今度の勧告は、すでになされました七千八百七十七円の勧告は私共は決して死んだものとは思つておりません。現に参議院においてはこれを取上げて継続審査をお願いしておるわけでございますが、ただ問題はその基礎資料が如何にも古い。昨年七月の資料になつておる。そこで人事院といたしましては、できるだけこれを最近のものに改めて最近の実情に適するようにしたい。そういう努力を重ねて来たわけでございます。これは本会議にも申上げた通りであります。それから又本会議で申しましたように、国会が開かれているときに勧告をいたすことはなぜ悪いかという点については私は了承できます。それはつまり国会内閣へ同時に勧告するというならば、国会開会中は誠にふさわしい。それから更に総理大臣給與ベースの引上げをやるとおつしやられておるのでありまするから、給與を司る政府機関としての人事院がこれを傍観するということはこれ又職責に反するものであろう。このようなことで極めて近き最近に勧告をいたすというつもりで進んで参つたのでございまするが、そのような事情になつて一時延期しなければならない情勢に立ち至りましたことは、私は非常に遺憾に思つております。が只今準備しておりまする勧告は大体五月を基準としておるのであります。そうしてその後の昨年七月の物価等に比べまして、只今最近の資料といたしましては、さまで上つていないという結論に達しております。でございまするからして、七千八百七十七円より下廻ることはないのでございまするが、さして多く十廻るものでない。ただ問題は特殊勤務地手当という極めて特殊なるものをどう取扱うかという点がちよつとまだ結論に達しておりません。現行給與法第一條によれば、特殊勤務地手当はこれをベースの中に含むということになつておりまするが、この特殊勤務地手当は人事院の現在ありまする勧告では非常に少いのでございます。ところが大蔵省の予算におきましては、これが二百八十円が計上されているように私は承知いたしております。そこでこの特殊勤務地手当を如何に見て如何に加えるか、或いは加えないかということによつて金額が違つて参るように思つております。それから地域給につきましては、二割を基礎といたしておりましたのを、これを最高二割五分から五分刻みに改めよう、こういう考えを持つております。そうしてその地域給を支給すべき地域はこれは法律の別表として国会で御審議を願いますが、大体の骨子はそれで、それ以外の点につきましては、大体すでに御承知勧告と余り大した違いはないように思つております。
  68. 千葉信

    千葉信君 大体現在人事院で第二次勧告をしようとしておられた調査結論についても概略は分りました。併し御承知のように総裁も言われておるように、この問題の最終の決定は我々国会が負うべきものでなければならない。その責任上から言いましても、一応現在の段階においては、総裁の御意見ではこの国会が済んでから勧告するというようにお考えになつておられるようでありますが、私共は先の勧告がああいうふうに半年以上もすでに棚ざらしになつているという現状は、結局はこれは国会における審議が十分なされなかつたというところに原因もありまするし、従つて我々は未成熟なもので仮にあつたといたしましても、人事院のそういういろいろな調査に対しては十分尊重もするし、又研究もしなければならない。それが将来この問題をたとえ人事院でいつ勧告を出されるにしても、早く問題を解決するゆえんである。こういう立場から今の総裁お話を聞いておりますと、私共の要求に即座に応じて提出するということは、少々総裁立場上困難なような御答弁でございます。私はそういうことになりますれば、正式に今度は日本国憲法の第六十二條並びに六十三條及び国会法の第百四條「各議院から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」私はこの條文を引用して、人事院に対してその書類の提出を求めなければならないことになるのでございますが、こういう処置を人事院総裁はお望みになりますかどうか。
  69. 淺井清

    政府委員淺井清君) 国会の国政調査権に基く資料の提出には心よく応ずるつもりでございますが、ただこの問題は少しくここで直ちにお答えするわけには行かない点がございます。つまりそれは人事院只今勧告国会に提出し得ない現状におきまして、直ちにその内容を国会要求に応じて提出するということは、これは政府機関である私共の立場としては困難であろう、このように考えております。
  70. 千葉信

    千葉信君 御答弁了承いたしました。総裁としてはそれ以上は不可能だと思いますから、私共の方から国政調査権に基いて正式に要求いたします。それから次の質問に入ります。
  71. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 千葉ちよつと……先程お話の、この委員会出席率が悪い。そう申しては何だが、これに私やはり新らしい諸君にも発言の機会を一つ與えて頂くように御配慮を願いたい。やつぱりあなたは古いから、いろいろ沢山材料もあろうと思いますけれども……。そうでないと、出ても我々は発言の機会も何もないのだというので、若しもそういう事情があれば何だから、来て貰うにはそういう機会を與えてやるようにあなたも一つ御配慮を願いたい。
  72. 千葉信

    千葉信君 その問題は、委員長のお考えが少し逆なんじやないかと思うのです。私の質問が長いとか、いろいろ材料を持つておるとか言うが、皆さんも職つてやらしておつたら私以上にやると思う。私以上の材料を沢山お持ちになつておる筈です。又出席されない方々は、一体私の発言が時間を要するとか、長いということのために出席されないということは、私は断じてないということを確信しております。恐らく私の考えからすれば、御意見がないから出席されないという状況が実際の状態ではないかと思います。そういう場合も、委員長の方から成るべく職責上でも出席するように取計つて貰うという方法が一番いいのじやないかと私は思う。
  73. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 委員長はどうしたらあなたの言われるように多数の委員諸君が関心を持つて来られるかにいろいろ苦慮しておるわけです。これは何もあなたの質問が長いからどうのこうのと言つて制限するわけじやないですけれども、しばしばこの委員会の記録を見ますと、殆んど千葉委員の独占委員会のような感じを誰しも持つておる。賢明な千葉委員に多少その点は御留意を願つて、できるだけこの委員会に多くの委員が来られるような機会を與えて貰いたいという軽い意味です。
  74. 千葉信

    千葉信君 分りました。最後に、それでは、発言を統制されておるようでありますから……。
  75. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 自主統制をお願いいたしたい。
  76. 千葉信

    千葉信君 お尋ねいたしますが、いろんな今後の問題の解決については、これはもう勿論人事院当局の積極的な御努力に俟たなければなりませんけれども、一応現在の段階から言いますると、この給與ース勧告云々の問題については、参議院の本会議並びに衆議院の本会議における淺井総裁答弁と、それから旬日も経たないうちに発表をせられた人事院総裁談というものは非常に矛盾をしております。矛盾していないまでも、非常に違う形を以て問題の解決の方向に進められております。こういう点について、少くとも人事院としては問題が非常に重要であるという立場から考えますと、單に先程御答弁になつたように、止むを得ない事情があつたんだというだけでは、我々は納得できないばかりでなく、国民諸君も納得できないし、それから又実際に被害を蒙むる全国における二百数十万の公務員諸君地方公務員諸君にとつても、ただこれだけでは納得できない。そういう点に対しては淺井人事院総裁はどういう責任をおとりになるつもりか。この点について総裁からお答え願いたいと思います。
  77. 淺井清

    政府委員淺井清君) これは誠に適切なお考えで、私も非常に苦慮しておる問題でございまするが、ただ私はその声明におきまして、決して単に勧告ができないとか、延びたとかということだけを申していなかつたつもりでございます。つまりその声明の積極的な部分は、要するに来年度予算の編成に間に合うように人事院として勧告するということを明らかにしておる点でございまして、参議院の本会議で申しましたように、極めて近き将来においてということよりは、時間的のズレができた。もとよりそれは重大な段階においてのズレでございますから、私共は非常に責任を感ずるのでございますけれども、これは只今つたような事情によりますので、我々といたしましては、その積極的な部分である来年度予算の編成に間に合うように、再び立上つて勧告し得るということを一つ公務員諸君に知らせたいということが声明の主眼でございます。
  78. 千葉信

    千葉信君 この問題については、今委員長からの御注意もありましたので、又日を改めて私は総裁にお尋ねしたいと思いますが、次の問題は、非常に簡単な問題であります。御承知のように寒冷地手当石炭手当の問題に関して、二十三年度大蔵省当局が実施しました当時に支給された地域で、昨年度の実施には、人事院でやりました当時には勧告から洩れておる、こういう点がございました。これは恐らく二十三年度の実施の当時に大蔵省があとで訂正された部分が、昨年の人事院勧告から洩れておる、こういう事情実態だろうと思うのですが、その問題について人事院では、今度二十五年度の問題としては、追加地域等の問題について勧告する用意があるかどうかということが一つ。それからもう一つは、この第二百号の法律によりますると、第三條で、「内閣総理大臣は、前項に規定する定をするについては、人事院勧告に基いてこれをしなければならない。」、つまり寒冷地手当石炭手当の地域別の決定或いは支給額、支給期間等については、国家公務員法の第二十八條においてよりも、もつと具体的に人事院立場というものを示しております。従いまし二十五年度における寒冷地手当石炭手当の問題について予算上今問題が起つておりますことは、人事院当局がこの二百号に基いて予算編成以前に勧告するという方が妥当であつた。そうして又二十六年度に対しても、政府予算を編成する以前にこの二百号の法律による勧告をするという方がより適切な方法であると私は考えるのです。そうして又それが正しい法律の考え方だろうと私は考えております。この二点に対して、総裁はどういうふうにお考えになつておりますか。
  79. 淺井清

    政府委員淺井清君) 第一点におきましては、御指摘通りでございます。人事院といたしましては、地域給及び寒冷地手当については全部一度やり直しまして、科学的な基礎による、科学的な基礎と申しますのは、積雪でございますとか、温度でございますとか、これは千葉さんに御説明するだけ野暮だと思つておりますが、それに従いまして一つの科学的なものを拵えております。ところがこの科学的なものによりますれば、現在より寒冷地給が増すところもございまするが、又少くなるところも出るわけでございます。併し只今ベースもまだ現実に上りませんのに、これを実施いたしますと、これは或る地方において減俸になると思つております。そこで私共はそれが嫌でございますので、従前の例によるというのをこの度限りはやつて行きたい、こういうふうに思つておりまするが、ただ従前の例によるということになりますと、下るものは下らないが、同時に上るものが上らないという結果になるのでありまして、これは非常に私共苦心をしております。つまり下げるところは下げないで、上るところだけ上げろというのが大体地元の御希望でありまするが、これは全体としての立場から見ますると非常に困難であると思います。それから第二点の石炭手当の問題につきましては、私は内閣、殊に大蔵当局の措置を非常に不当と考えております。人事院が昨年度におきましても勧告いたしましたのに拘わらず、当局はそれより低いものを支給いたしました。殊に今年度におきましては絶対にできないところの、つまり石炭を購入できないところの金額を支給しておる。殊にその法律によりますれば、トンということがそこに謳つてあるのでございます。ところが内閣で決めましたものは、一体何トンを支給するということが書いてない。ただ九千円とか、三千円とかという数字が現われておるのである。これは要するに、制が解ければ炭価は下るという見通しに立つておるのでありまするが、その見通しは今日すでに外れておると思いますけれども、私はこれに対して不満でございます。それにつきましては人事院といたしましては、人事院の持つておりまする立場においてできるだけ努力を続けたいと考えております。
  80. 千葉信

    千葉信君 第一点につきまして、従前通りという中に、その従前通りには二十三年度大蔵省がやつたのと、昨年人事院がやつたのが追加されて行くいうことになつておりますが、この点に食違いがある。これに対して人事院勧告する用意があるかどうかということを簡単に御答弁願いたいということ、それからもう一つは、二十六年度予算編成以前に二十六年度分の勧告をすることの方が問題の解決に非常に有利だと思うし、又それが法律の指向しておるところであるから、それに対してはどういう態度をおとりになるかその点を……。
  81. 淺井清

    政府委員淺井清君) 第一点は、その地域等についてちよつと私記憶がございませんが、これは本日午後にでも調べまして御答弁したいと思います。弟二点は、一つこの際研究さして頂きたいと思います。
  82. 重盛壽治

    重盛壽治君 今日の総裁答弁は端的に申すと一貫性を欠いておる。千葉委員の打切られたのも、この上あなたに追及しても仕方がないという諦めから打切られたものではないかと思いますが、実際にはお話を聞いて見ると、この前出した七千八百円ベースは去年の七月のものである。今年の五月を基準とするものを出すというのですね。而もその内容については余り変りない方針である。その反面今度は来年度予算に間に合うように出したい。政府とは何ら関連性を持たぬと、拘束されておらぬと言いながら、先程の官房長官の答と全く符号を合すような答えである。やはり関連性を持つておるということが言える。去年の基礎と今年の五月の基礎と余り変りのないことを勧告しろというところには、どこに障害があるかということをもう少し大胆率直に披瀝して貰いたい、本当に出したい意思があるのかないのか。若し出したいという意思があるならば、どこに障害があるか、障害があるならば、人事委員会諸君にもこの点に協力して貰いたい、こういう面で努力して貰いたい、もつと率直に何と言うか討論会のように、この場合答弁して、うまく答弁が切抜けられれば済むのだという感じがあるように考えられる。その点をもう一歩進んで率直に障害になつた点を、十四日からすぐに一週間を経たないうちに豹変しなければならないという現実を……若し速記を止める必要があれば速記を止めて、傍聽されては困るというならばその人にも出て行つてつて率直に話の内容を述べて貰う、こういう事情だから、人事委員会としてはこうして貰いたいということを、突込んで話合う熱意があるかどうか、その点を、そういう考えをもう一遍話をはつきりして貰わなければ、議論倒れになると思いますが。
  83. 淺井清

    政府委員淺井清君) 私はただここで言い抜ければいい、少くとも人事委員会に対してはそういう気持は持つておりません。当初御提案のように、お互いに話合う機会を持てれば私は持ちたいと思つております。それは別の問題でありますが、そう高くないとか、低くないとかいう御指摘がございましたが、これはどうも人事院の意向によつて高くなり、低くなるものではございませんので、これは数字として出て来るものでございますからして、ちよつと高くなることもあるし、非常に安くなることもある。これは止むを得ないことだと思つております。その点は御了承願います。それから来年度予算に間に合うようにということにつきまして、何か内閣と歩調を合してということは、これは全く心外に堪えないところと考えるのでございます。それは人事院が今一時延ばされておる勧告がいつできるかということを明確にするために入れた字句でございまして、来年度予算の編成がいつなされるかということは、これは申上げるまでもなく御承知のことであると思います。
  84. 重盛壽治

    重盛壽治君 どうもやはり自分で言い抜けさえすればいいという態度でないと言いながら、現実には言い抜けの言葉ではないかと思います。その間に十四日にああいう考え方を以て、それから今度は新聞に、つまり本会議の上でこういう事情になつたということを釈明するのが順序である。それも間に合わぬほどその余裕のないほど急いで新聞に発表しなければならないという、この経過を明確にして置かないと、ただどの方面とか、関係方面とかいうことはいかぬと思いますが、それでさつき千葉委員が言われたように、委員会があなたを呼んで対外的にどういう発表をするのか。ただ事情によつてとか、何とかいう発表は人事委員会としてはできない。それをもう少し明確にして貰いたい。明確にするためには若し速記がいけなければ速記を止めても、もつとざつくばらんにして行かなければ……我々の考え方では冒頭に言つたように、何と言つて人事院の出発当初よりは今日の人事院の存在は政府から可なり軽視されている。あなたが関連性を持つておらぬと思つても可なり軽視されているのは明確である。その軽視されている人事院のあり方をもう少し出発当時のものにして行きたいというのが我々の考え方であります。そういうことのためにどうであるかという意味においても、もう少し明確にあなたの方から言つて貰わなければいかぬと、こう思います。
  85. 淺井清

    政府委員淺井清君) 誠に御尤もの仰せでございまして、私共としてはそのような趣旨で進みたいと思つておりますが、ただ何分にもその事情については、すでに申上げましたところから御推測を願うより外ないと思いますが、これは又最前御提案になりましたような別の機会に正式にお話をいたし得る機会もあろうかと思つております。
  86. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 大体十二時過ぎましたから、今はこの程度にして、二時から官房長官との話があるから、そういうふうにしたらどうですか。
  87. 吉田法晴

    吉田法晴君 総裁は……。
  88. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 総裁も見えます。
  89. 千葉信

    千葉信君 非常に失敬な言い草かも知れませんけれども、あれ以上官房長官に言つて官房長官からは責任ある答弁は得られないし、而も官房長官自身で今月の十七日の委員会で言われたように、勉強不足で答弁がなつておらんことも非常に多い。これは問題の解決のためには幾ら呼んで見ても同じ結論しか得られないので、堂々廻りをするに過ぎない。私はできるだけ責任ある総理大臣出席要求して、その席上で問題を解決の方向へ進めて行きたいというふうに思いまして、今日二時からのことは敢て主張いたしません。
  90. 加藤武徳

    加藤武徳君 やや同感の点がございますね。
  91. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 先程二時という約束をしたので、私は若干の質問をしたいと思いますから、二時ということを一つ御了承願いたいと思います。それから又運営についても御懇談を願いたいと思います。
  92. 吉田法晴

    吉田法晴君 二時から官房長官約束があるから二時からやる、それは異議がありません。それから淺井人事院総裁質問したいことは、大半は千葉委員から質問して貰いましたが、私にも若干は残つておりますから……。
  93. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それは二時から……。総裁にこの際一つお聞きして置きたいのは、これは先のこととも存じますが、国会勧告すべしという決議をしたらば考える余地があるかどうか。この点を一つ……。
  94. 淺井清

    政府委員淺井清君) 只今委員長からの御指摘につきましては、一応考え一つ研究して行きたいと思います。
  95. 木下源吾

    委員長木下源吾君) もう一点、それはさつき千葉君からの寒冷地、石炭手当という点でお話があつた中に、勧告ばかりではなく、勧告を実行させるために最善の努力を盡すという、こういう御答弁がありました。これは人事院として今までよりも一段の進歩だと思つておるのでありますが、一体どういう具体的には手段を盡されるか。実は昨日もここへ主計局長を呼びまして話したところが、どうも大蔵省が給與を自分で見計つて決めるような全般の話ぶりなんです。それでは人事院は要らないのです。大蔵省にそんな権限はあるわけはないと思つておりますが、現実にはそういう事情になつておるのでありまして、今あなたが勧告を実現するために努力せられるということは非常に結構なことです。殊に大蔵当局は、非公式でありますが、人事院は怪しからんと言う、あなたは大蔵当局は不当だと、遺憾だと、こう言つておられるので、同じ日本政府の中の機関がそういうことでは国会は誠に了承しかねるわけです。そこであなたが今言われた、実現するために適当な努力をせられるということは、この問題解決の一歩前進だと思いますが、具体的にはどういうことをなさつたか、又これからどういうことをなさろうとしておるのかをお聞きして、我々もその点には協力をしたいと思つておりますが、一つ考えを述べて頂きたい。
  96. 淺井清

    政府委員淺井清君) 大蔵当局のやり方を不当と申しましたことは、私は別に取消す必要はないと思つております。これはまあ人事院立場でございますから……。そこでこれまでどういうことをなしたかということは、人事院といたしましては、大蔵当局に対しまして、どういうわけでこういう数字が出て参るかということを問い質し、尚交渉を続けておる次第でございまするが、場合によりましては、内閣ともやりたい、こういうふうに思つております。まだ具体的にはそれより以上ちよつと申上げられません。
  97. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは午前中の委員会はこれで閉じます。午後は二時から一つ……。又不要でありましたら、開いてから直ぐでもお止め願いたいと思います。休憩いたします。    午後零時十三分休憩    —————・—————    午後二時四十一分開会
  98. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それではこれから開会いたします。官房長官から二時二十分に今から司令部に行つて一時間かかる、こういう返辞がありましたから、総裁に引続き御質問願います。
  99. 吉田法晴

    吉田法晴君 午前中千葉委員、その他から私が聞かんとする大半を聞いて貰つたのでありますが、午前中の質疑を通じても明らかになりませんところがありましたので、質しておきたいと思います。  第一に十五日の本会議岡田議員の御質問に答えられた淺井総裁ははつきり極めて近い将来において勧告をいたしまして、国会の御考慮を仰ぐ用意を有するものでございますと言い切つて、少くとも野党の嵐のような拍手を受けられたことは記憶に残つておるところでございます。それを十八日になつて全くその二、三日前の言明を覆されたのでありますが、この総裁談の発表について時日がなかつた、こういう午前中の言明でありましたけれども、御承知のように十八日は尚総理大臣の施政方針演説に対しても質問が続行中でありまして、いわば総裁が本会議出席をして発言を求められた、そうし  て十五日にはああいう工合に言つたけれども、こういう工合に事情が変化した、或いは近い将来に勧告をして国会の御考慮を仰ぐ用意を有するということを言うたけれども、こうこうであるというような説明を、或いは答弁を訂正される機会があつたのであります。然るにそのことはなくして昨日も或いは本会議における私の緊急質問に対して答弁されることができなかつた。或いはこの委員会においても出席を求めて説明、答弁を求めたのでありますが、それもできなかつたということは、これは午前中の答弁の中には国会を重視したい、或いは民主主義を擁護したいという真意はあるように見えますけれども、少くとも昨日までの国会に対しまする総裁態度と申しますか、或いは言動というものを通じては、その誠意は認められなかつた。その点について、これはどういう工合に考えておられますのか、これはひとり私の質問だけでなくて、恐らく全議員が、或いはここにおります人事委員の全員にしても、同様に感じておるだろうと思います。その点について総裁の御明答をお願いいたします。
  100. 淺井清

    政府委員淺井清君) 誠に御尤もな御質疑でございまするが、あの声明は、あの当時といたしまして、一刻も早くこれを新聞紙等に発表することを必要と認めたわけでございます。尚今日まで国会出席できませなかつたことは同じ問題に関する善後措置につきまして、少しく仕事があつたのであります。まあこれだけしか申上げることができないのでございまするが、その結果といたしまして、只今指摘のような印象をお與えしましたことは、誠に恐縮に存ずる次第であります。
  101. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点については今答弁がありましたけれども、我々としても遺憾に存ずるわけでありまして、今後とも総裁考えておられます国会の尊重と申しますか、民主主義の擁護と申しますか、そういう点について格段の一つ御留意をお願いいたしまして、次の質問に入るのでありますが、午前中の答弁淺井人事院総裁の意図と申しますか、意中というものはほぼ想像ができるのであります。併し私はこれは個人のことに亘りますけれども、淺井総裁が真理を護る学徒であられた意味において、民主主義の擁護と申しますか、或いは国法擁護のいわば守り本尊と申しますか、その権威の擁護は、これは人事院にある。而も人事院総裁としてそれを護る意図がおありになると考えますが故に、更にお尋ねをするわけでありますが、実際問題として、これは総裁の意図を拘わりませず、或いは弁明に拘わりませず、客観的には国家公務員法の全文が危機に瀕しておる。或いは人事院の権威というものが、或いは存在そのものが疑われるような事態に至つておるというこの事実は、これは否定することはできないと思います。総裁如何にしてこの勧告問題に関連をいたしまして具体的にどうすることによつて人事院使命、存在の価値を守る、或いは国家公務員法をめぐるところの民主主義を守る方法をとられようといたしますのか。この辺具体的にお答えを頂きたいと思います。
  102. 淺井清

    政府委員淺井清君) これは誠に根本的な問題でありまして、私はこれに対して答弁の機会を與えられたことを感謝するものでありますが、お示しのごとく私共は従来御指摘のような考え方国家公務員法を守るべく努力して参りましたし、それがためには給與ース以外の問題についていろいろなことが起つておりました。例えば高級官吏の試験の問題につきましても、その他につきましてもしばしば人事院というものの独自性に対する脅威があつたことは御承知通りでございます。その度ごとに私といたしましては只今仰せになりましたような精神で国家公務員法を守つてつたのでございます。ただ今回起りましたこと、而も本会議で私が申しました後において時間的に起つて参りましたことによりまして、只今お示しのようなことが起つたということは非常に遺憾でございますが、何分にもこの人事院も又占領下にあるところの政府の一機関であるという枠は外すことができないわけでありまして、私といたしましては最後まで十分お示しのような考え方努力して参つた。そこであの声明を一刻も早くと考えましたのは、むしろその後段のところにあるのでありまして、人事院といたしましては、近き将来において勧告をなし得るという線を確保するということを明らかにしておると御了承を願いたいと存じます。
  103. 吉田法晴

    吉田法晴君 午前中の千葉委員の言葉が出ましたけれども、今の御答弁でも私のみならず、これは全国民が納得し難いと思うのであります。少くとも今までの経緯で、成る程と言う者は恐らく一人もおらぬと思うのであります。その結果疑問、或いは疑惑が我々にも、国会議員にも、或いは国民にも残つておる。それが結局先程申しましたような人事院使命、存在価値、或いは国家公務員法に現われております民主主義の危機という問題となつて現われて来ておるのでありますが、今の御答弁のような声明、声明じやありません、総裁談ということであります。総裁談のような後段の、尚調査研究を続けて、明年度予算編成に問に合うように国会及び内閣給與改訂勧告を行う予定であるということで以て疑惑を解く、或いは先程私が申しましたような人事院使命なり、或いは国家公務員法を守る具体的な解決にはならぬと思うのであります。もう少し具体的にその点について一つ御意見を承わりたいと思います。
  104. 淺井清

    政府委員淺井清君) 具体的にと仰せられまするが、私はこれ以上ちよつと具体的に申上げることが只今のところ見つからないのでございますが、尚いろいろな角度から御質疑がある間に、自然にそのお答えに当る点も出て来るかと思います。
  105. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは最後になりますが、この予定され、或いは用意された勧告は、実際にすることができなかつた。それでは別の形の勧告はできないものか。国家公務員法の第二十八條によりますと、申すまでもなくこれは中心は「国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。」という、これは国会が中心になつておる。その国会が情勢適応の原則を具体化するために人事院勧告がなされると、こういう工合に解状するのでありますが、この勧告方法、これについて御研究を願つて、或いは今度考えられました勧告の内容、方法等を多少変えることによつて、言い換えますと、勧告の形だとか、或いは方法を変えることによつて人事院の意図された、或いは使命とされる国会に対する勧告ができないかどうかという点が一つ。それから総裁談の中にあります前段でありますが、理由として挙げられております、本年度予算は確定しておるので、今国会には如何なる給與法案補正予算も提出できない事情が明らかになつたと書いてありますが、その中の給與法案というのはむしろ従であつて補正予算の提出できない事情が明らかになつた、この点がむしろ前殿の中心じやないかと考えられるのでありますが、そういう補正予算の提出し得ないような事情と言われておりますものについて、矛盾或いは抵触しないような方法勧告をすることはできないかどうか。この点についてお尋ねいたします。
  106. 淺井清

    政府委員淺井清君) お尋ねの点が二点あつたように思いまするが、第一点は国会給與に関する権限の問題でございまするが、これは申すまでもなく人事院勧告がありましようと、又ない場合でございましようと、国会はみずから独自の立場によつて給與改訂をなされる。それがためには国会自身給與法案を御提出になる、又その予算についても御考慮になる。これはもとより当然のことでございまして、現に私共の考えでありますれば、七千八百七十七円の勧告はまだ活きておる。こういうふうにさえ思つておるわけでございまして、これは人事院勧告がなくとも、国会給與立法をなされますることは、もとより国権の最高機関たる国会の御権限であろうと存じます。ただ人事院勧告をいたします方が万事便利であろう。つまり給與政策を司つておりまする人事院が、何が適切なる給與であるかを勧告いたし、それを国会においてお受け下さることを我々は希望しておる次第でございます。  第二点といたしまして、私の談の中の給與立法も、それから補正予算も出し得ないという点について、或いは補正予算の方が重点でないかと、こういうお考えでございまするけれども、これは両方共もうどちらが重し軽しということではないように思つております。給與立法の改正をいたしますれば、当然補正予算はこれは伴うものでございまするし、ただ補正予算だけでは給與改訂はできませんので、どうしても給與法の改正が要る、これは恐らく表裏一体をなすもので、どちらが重いということはできない、このように考えております。
  107. 吉田法晴

    吉田法晴君 前段の質問に対しまして、総裁は誤解されておるのでありますが、私が今御質問申しております主眼点は、人事院の権威と申しますか、使命と申しますか、これをめぐる危機に対して人事院から国家公務員法を守るための勧告がなされなかつた、それに対して権威なり使命なりというものを維持するために、人事院として更に考える具体的な方法はないか、御答弁の中には国会の問題を言われましたけれども、国会として、或いは国会議員として我々が法律を擁護する、或いは民主主義を擁護するという点について、これは総裁に今ここで何と申しますか、お説教を聞かなくても心得ておる。そうじやなくて、人事院の権威維持のために一応用意された勧告がなされなかつた。なされなかつたことによつて人事院の存在そのものがこれは疑われておる。その人事院の権威の維持のためにこの條文から考えて見まして勧告方法、或いは形式と申しますか、そういう点について人事院として別な形はなかつたか。或いはないかということについて総裁としてお考えにならなかつたかということをお尋ねしたわけです。
  108. 淺井清

    政府委員淺井清君) 実はちよつと御趣旨を取り違えておりまして、重ねてお尋ねを蒙つて恐縮に存ずる次第でございますが、その点は私も至極同感でございまして、十分考えて参りましたし、又これからも考えて行きたいと思つておりますが、ただ今日只今この席上において、然らばどういう方法があるかという点につきましては、ちよつと申上げかねると思つております。
  109. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは外に御質問もなければもう少し質問を繰返してもいいですが、それよりもむしろこれは総裁にしても、速記があればお話もしにくい点もあるように私は考えます。私共ももつと速記なしで、或いは必要でありますれば祕密会にしても、もう少し総裁の肚を割つてお話を願いたい。それから我々としても又話を聽いて、そうして人事院として教育をすべき点については教育をする。こういうことにした方がいいと思います。議論と言いますか、或いは質疑なり何なりが効果的だと考えますので、その点について一つお諮りを願つて、できればそういう工合にお運びを願いたい。
  110. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 吉田君の御意見もありますが、私からも一つ総裁にお聞きしたいのですが、この勧告ということについてやはり人事院では従来政府が取扱つてつたような意味勧告考えておるかどうかというのはマ書簡の内容にあるように、公務員の利益の確保はつまり一つの手段、この手段であるならば恐らく今まで政府が取扱つた勧告と違つておると考えられる。ここが非常に重大だと思つておりますので、その点を一つ総裁はどう考えておるか。
  111. 淺井清

    政府委員淺井清君) その点は午前中ちよつと申上げましたように、私共といたしては、この勧告の権限というものは非常に重大視いたしております。この国家公務員法第二十八條の規定は、午前中にも申しましたように、一方において政府職員の争議権等に対して大きな統制が加えられておる、その代りそのような争議行為をしなくても、給與については人事院がやり得るんだと、こういうところから出ておるのでありまするから、木下さんからお示しのように私共はそれを非常に重要視し、この二十八條を守るためには従来しばしば努力を繰返して来たと、こういうふうに考えております。
  112. 木下源吾

    委員長木下源吾君) では重ねてお尋ねしますが、勧告の意義ですよ、勧告が手段であるならば、これは財政も予算も皆伴わなければ、表裏一体と言われたのですが、そうならない。そうして財政的なものの付かぬ勧告は、それはもう單に文字の勧告になつてしまう。勧告を出されないという理由が、その勧告には財政がくつ付いて行かなければならんものだということがやや明瞭になつて来たと思うのです。でありますから、この勧告というものの意義が、従来政府が取扱つて来た勧告と違つて来たと思うのです。人事院ではこの勧告をどういうふうに考えておられるかということをお聞きしておるので、それをもう一遍明確にお答え願いたい。
  113. 淺井清

    政府委員淺井清君) 人事院といたしましては勧告というものは、そもそも人事院予算に対する権限がないわけでございまするからして、これは予算と無関係にやり得るものだと、こういうふうな考え方でこれまでやつてつた次第であります。
  114. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それではお尋ねしますが、一体予算関係のない勧告をやり得るものだという消極的な意味でやつて来たとして、勧告の効果が上らなかつた場合には、人事院は一体どういうようにお考えになるか。
  115. 淺井清

    政府委員淺井清君) その点は決して人事院責任を逃がれるものではございませんけれども、人事院が法律上なし得るところは、勧告に止まるのであつて、それ以上これに対する予算の表打ちをするということは、これは内閣予算の編成権を持つておりまする故、その最高の決定権は国会にある。この建前は私はどうも憲法上動かすことはできないように考えております。
  116. 木下源吾

    委員長木下源吾君) ではもう一遍、曾て人事院の設けられるときに、予算の権限までも人事院が持つべきである。こういうようなことが論議されたのであります。今に至つてそのことが思い当るのです。この予算の権限を持つておられれば、勧告は即ち生きて来るのであります。いわゆるマ書簡によるところの救済の手段となるわけです。どうも今まではそれがはつきりしないというところに欠陥があるのではないか。従つてこれはそういうふうに改正せなければならんような点があるのではないかということを気付いたのですが、その点についてはどうお考えですか。
  117. 淺井清

    政府委員淺井清君) これは非常に重大な問題でございまして、結局行政権は内閣にあり、そうしてこの行政権の行使につきまして、国務大臣は連帶して国会責任を負うておる。そうして人事院はその内閣の所轄庁である。そうしてこの憲法によりますれば、本来公務員に関することは内閣の権限として憲法の七十三條に書かれてある。ただその憲法の規定に従いまして本来内閣の持つておるところの仕事を、人事院がやつておるんだ。又一方予算の編成権は内閣にあることも憲法に書かれておる。こういうふうな状態でありまするし、一方において人事院は甚だ独立性を持つた官庁である。こうしまするならば、一体人事院勧告するだけの権利にしておくべきものであるか。それとも予算まで付けて人事院勧告し得るものであるかということは、これはいろいろ問題があると思うのでありまして私といたしましては、先ず現行制度の外いたし方ないんじやないかと、こう考えております。併し私はそれがためにこの勧告が決して弱いものだということを考えておるものではございません。ともかく歴代の内閣いずれもこの勧告の出ることを非常に或る場合には厭がつておる形もございまするのは、やはりそこにこの勧告に権威があるんじやないか、正しいことを言う機関がここに一つ存在しておる、こういう意味においては効果があるものだと考えております。若しも人事院予算まで決める権限があるものといたしますれば、これは国会又は内閣の権限とその辺が如何に調整せられるのであるか、これはよほどむずかしい問題になろうかと存じます。
  118. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 今吉田君から祕密会にということを言つておられますが、その前にもう一つ明らかにしておく方がいいと思う点がありますから、お尋ねしますが、今まではフーヴアー・セクシヨンですね、そうして事実を考えて、あなたの方で勧告をいいとされてやられた、今回如何なる補正予算も提出できないという事情というのは、GSの方からそれを言われたのか、ESSの連絡でやつたのか、或いにファイナンスとの関係が含まれておるのかどうかということを一つお尋ねして、そうして吉田君の提案を容れたいと思います。
  119. 淺井清

    政府委員淺井清君) その辺は私といたしましてここにお答えをする自由を持たないことを遺憾に思う次第でございます。
  120. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  121. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を始めて。
  122. 吉田法晴

    吉田法晴君 最後に一つ人事院総裁に決意を承わりたいと思うのでありますが、国民に法を守らせる、民主主義を守るというのであるならば、これは人事院みずからが法を守り或いは勧告をなすべきであると考えるのでありますが、それらの点について決意を伺いたいと思います。私は昨日の緊急質問においてこういうことを申したのであります。第七国会においてさえ、人事院なり人事官が政府の方計に屈従し、政府を暗に弁護するような態度を見せられた。今や全く人事院政府の権威の膝に屈し、無用の長物に化そうとしておる。国家公務員法の全條文が空文と化し、民主主義が危機に頻しておるのでありますということを申したのでありますが、少くとも私共はこの今までの経緯から考えまして、そういうふうな根本的な点を考えるのであります。これは昨日あたりの委員の意見、空気等を見ておりましても、公務員法その他の法の権威を守り、人事院使命、存在の価値を守石か、或いは法を空文化し、人事院をやめるか、或いは人事官をやめるか、その二者選一を取るべきような段階に来ておるのではないか、こういう意見も出たのであります。重大な段階だと考えますが、それについて人事院総裁の決意を一応この席を通じまして、国民一つお示し願いたいのであります。
  123. 淺井清

    政府委員淺井清君) 決意という言葉でございますが、私共はそもそもこの仕事を始めました時から重大な決意を以て当つておるのでございまして、それはこの公務員法を守つて行くということでございます。たまたま今回の事件が、それを裏切るような事実になりましたことを御指摘になりましたけれども、これまでそのようなことはしばしば起つておるのでございます。その度ごとに、私共はこの国家公務員法を守つて行くという点に及ばずながら努力をいたして来たつもりであり、又今後もその方針でございます。今回少しく勧告の遅れるということについては、大いに責任を感ずるわけでございまするが、併しながら最前も申しましたように、私共は必ずその声明にありまするように、来年度予算編成に間に合う時期にはこの勧告国会に提出する。こういう考え方でいるのでございます。
  124. 千葉信

    千葉信君 只今吉田委員質問に対する浅井総裁の御答弁の中で、非常に私は不満に思う点があつたのでございます。それは先程の御答弁の中で国会としては当然給與法案を提出するの意味も持つているし、現在人事院から、昨年の十二月四日に出された勧告が、そのまま存続しているから、これは今以て有効である。こういう言葉を総裁の意見として私は一応尤もだと思うけれども、今起つておる事態から考えれば、これは非常に私は責任逃れな言葉に連なるものだ、こう考えざるを得ない。申上げるまでもなくこの前人事院として勧告いたしました当時は、昨年七月における大体C・P・Iを基礎とした勧告のようでございますが、今人事院でいろいろ計画されておりまする勧告の基礎にいたしましても、総裁の御答弁によれば本年の五月ということでございました。私共の調べによりましても成る程C・P・Iの方は昨年の七月に比べますると一二七という数字を示しておりまするが、併し一方日銀の調査によるところの食糧の小売価格の計数から言いますると、昨年の七月を一〇〇として現在は一九〇以上に上廻つておる。こういう状態から言いますと実情にそぐわないところの先の勧告ベースを基礎として問題を今考えて、それに対する結論を出すということは実際上これは非常に残念なことではないかと思います。はつきりそういうふうに現在の数字が出ておるとすれば、そういう数字を基礎としなければならない。尤も我々はこういう場合には人事院の従来いろいろな状況から見て、人事院の達する結論に対して一応の敬意を拂つておりまするし、いろいろな情勢上から言つて人事院勧告を主にしてこの問題を考えた方が、一番適切な結論が出るのじやないか、こういうふうに考えるために私共人事院が今後勧告するかしないかということには非常な関心を持つているわけなんですから、そういう情勢のときに淺井総裁の方から昨年の十二月四日に出した勧告はまだ生きているのだ、この現在の状態の下における御発言を私としては誠に不満に堪えないと思うのであります。従つて私は午前中にも正式に要求したわけでございますけれども、どうしても情勢上、人事院としてこの国会開会中に勧告を出すことができなければ、先程も吉田君から何かこれに代る措置という言葉がございました、何かこれに代る方策という言葉がございましたが、これは私が現在人事院がたとえ勧告として出すことができない情勢に落ち込んでいても、それに代るところの措置としては現在人事院結論に到達しておるものを国会に出して貰うということが問題の解決に貢献するのではないか、そうして又誤りのない適正妥当なる線が出せるというように私は考えるので午前中にも資料の提出ということを要求したわけですが、私はこういう点からも是非人事院にざつくばらんの形で資料の提出を重ねてお願いする次第であります。併せて先程の淺井総裁の言葉に対して私は釈明を要求いたします。
  125. 淺井清

    政府委員淺井清君) 千葉さんから大変恐縮なお言葉を頂いたのでございますが、第一点の昨年の勧告が生きている云々は、最前吉田さんからお尋ね頂きましたこの国会で、自分で立法をやり得るかどうかというものの例に引きましたばかりでありまして、私は決してそれで満足をしておるわけではありません。若しそれに人事院が満足しておるならばどうしてこんな議論をいたしまして新らしい勧告を意図しましようか。その点は最早申上げるまでもなく、あれは少しく吉田さんの御質疑を取違えた点もありますが、国会自身立場を申上げるときに、物の例に引いたばかりでありまして、決して七千八百七十七円の勧告をそのままでよいと考えておる次第ではありませんから、どうぞこの点はお取違いのないように願いたいと思います。それでこそ我々は今日まで苦労して参つておる次第でございます。  それから第二の点は人事院といたしましては、この勧告というものを国会に提出することができない客観的な情勢の中に問題はあるわけでございまして、国政調査権で御要求になりました場合に果してその内容が出せるかどうかということは相当疑問のように思いますが、これはよく研究してみたいと思つております。
  126. 千葉信

    千葉信君 それから次にお尋ねしたいことは、先程国家公務員法の二十八條による勧告の問題で、淺井総裁の言葉は大体人事院が従来勧告に対して取つて来られた態度でございまして、人事院としては、政治的な干與に亘るような事項、例えば具体的に申上げますれば、予算の問題に対して人事院はこう考える。ああいうふうに考えるということまで、人事院としては言うことができない。こういう形の御答弁でございましたが、私は一応表面通りの形において国家公務員法の二十八條を読めばそういう解釈が出て来るかと思います。併しひるがえて考えますのに、昨年の十二月四日勧告が、あの勧告通りに実施されずに、六千三百七円に据え置かれたという一つの大きな原因として、私は政府が二月の三日に発表しましたいわゆる給與白書というものは、非常に大きく左右して来るのであります。而も給與白書に盛られておるところは、給與引上げの困難性という点におきましても、その他まだいろいろな財政の問題につきましても、非常に一方的表現をしておる。勿論あの表現の中に盛られました給與改訂の困難であるということの理由の大半は、現在の段階においては殆んど消滅しておりまして、そうして究極するところは單に財政という問題だけ残されておる。こういう点から言いますと、私はやはりああいう給與白書というようなものを発表されたときには、人事院人事院としての立場から自分の勧告というものはこれが実施されるということを建前としなければならないという点から言いましても、それから又国家公務員に対して、公務員の事実上の団結権さえ剥奪されたところの代償として與えられておるところのものである。こういう立場から言いますと、私はああいう給與白書に対しましては、人事院人事院の自分の職責の立場から十分これに対して反駁を加えることが実は至当と、私はこういうふうに考えております。ところがあのときには人事院では国会の方からの要求があれば政府給與白書に対して反対するに足るだけの資料は提出できるけれども、遺憾ながら人事院としてはこれは人事院の行き過ぎになるから出せないという、こういう御答弁でございました。従つて只今総裁が御答弁されたように政治的行為に亘るような事項につきましては自分の方としては遺憾だ、こういう恰好で考えておられるから、この前の給與ベース勧告は実を結ばなかつたし、更に又そういう考えでは今後幾ら人事院が、情勢が変化して自由に勧告が出せるような時期が来たとしても、人事院勧告は決してこれは單なる勧告に押えられて実現不可能だ。やつぱり私は人事院における二十八條の勧告云々の問題は、單にそれを勧告すれば我が事足れりというのではなく、国家公務員法がどういうふうに改正されたというあのマッカーサー書簡の趣旨から言つても、当然それの実現に対しては十分努力をしなければならない。こういう点について私は非常に淺井総裁のあの勧告という字義の解釈について表面的な解釈をとつておられるということは非常に遺憾に堪えない次第です。この点について総裁から、もう一回所見を承わつておきたいと思います。
  127. 淺井清

    政府委員淺井清君) 勧告の意義につきましてお尋ねがございましたが、これについてはすでに申述べた通りでございまするが、ただその例としてお引きになりました内閣給與白書に対して、なぜ人事院が反駁をしなかつたかという点についておのずから問題があると思うのでございますが、お示しのごとく、あのとき人事院はこれを反駁いたしませんでした。それは一体国家公務員法に基く政治活動の制限に関する人事院規則によりますれば、少くとも一般の公務員というものはこの内閣の方針に従い、言論を相当抑えられておるのでございます。これは人事院が抑えたと申されても止むを得ないことでございます。もとより人事院一般職政府職員とは又違つた独立性を持つておるものでございまするが、人事院は少くとも法制の上におきましては、これは内閣の所轄に属するところの機関でございまして、人事院のやりましたことにつきましては、内閣は連帯して国会責任を負わなくちやならん、そういう立場にありますので、この内閣が意見を発表いたしましたことに対して、人事院が忽ち反駁書を世間に発表いたしまして、そこに文書戰を演ずるというようなことはこれは私共は実は賛成できないのでございます。但し只今お示しのように、人事院は相当の独立性を與えられておりまするから、国会に対して独自の見解からいろいろ物が言えると思つておりまするので、直接白書に対しては反駁はいたしませんでしたけれども、その反駁に値するものは悉く国会の本会議及び委員会の席上において十分申上げてある、こういうふうに考えておる次第でございます。これによりまして、おのずからその勧告というものの地位もどういうふうに考えておるかということについて御了承を願いたいと思います。
  128. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは先程吉田君の提案の祕密会をやりますか。
  129. 重盛壽治

    重盛壽治君 その前に、速記を止めて貰つた方が……。
  130. 木下源吾

    委員長木下源吾君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  131. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を始めて下さい。
  132. 千葉信

    千葉信君 先程からの各議員の質問に対する淺井総裁答弁を聞いて見ますと、大体淺井総裁がどの程度の決意を持つておるかということは私はやや分つたわけでありますが、併し重ねてその問題について私がお尋ねしたいことは、午前中の私の質問の中にもあつて総裁からも一応の答弁を頂きましたけれども、今度の十四日の本会議における淺井総裁答弁と十八日に淺井総裁が発表されました談話との中にある明らかな食違いに対する淺井総裁責任については、事態の発展如何によつて私は考慮するからということで、一応総裁に対する責任追及はあとに延ばしたわけです。従つて私はこの問題に対する淺井総裁の今後執るべき態度並びにそれに関連して給與改訂の問題に対する総裁態度等を勘案して、具体的に問題の解決を図つて行きたいというふうに、責任追及の問題を考えて行きたいというふうに私は考えておつたわけですが、たまたまその問題に関連する淺井総裁の今のお言葉として、自分の給與ース改訂の問題に対する勧告に関する考え方なり苦労なり、それから又決意というものは、六千三百七円の勧告の当時から毫も変つておらない、同様な決意を持つておる。こういうお話でございましたが、併し私は單にそれだけの決意では、今度の場合は乗り切れない。申上げるまでもなく今度の場合は従来の勧告というものとは非常に違つた意味を持つておる。何故かと言いますと、はつきりと給與ース改訂しなければならないという結論の上に立つて人事院では国会においてもはつきりとそういう答弁をしたのです。而もそれから旬日以内にそれと相反するような、相反しないまでも非常に時期的にズレのある勧告を行うというような、そういう表現をなされたということに対しましては、私は非常にこのために問題がむずかしくなつて来ておる。例えば今私共一番心配いたしますことは、総裁はこの国会が済んだら、そのときになつてから勧告するというような態度を執つておられますが、併し実際上従来の例から見ても容易に勧告が出ても給與ベース改訂されない。況んやその勧告がどしどしこういうような客観的な事情によつて遷延するということになりますると、我々は單に勧告そのものばかりではなく、給與ベース改訂そのものについても、非常に不安を持たざるを得ない。客観情勢を考えて見ました場合にも、今朝鮮に事件が起つております。ああいうふうな事件がこのまま終熄するか、それとも発展するかということについては、我々十分な関心を持つておりまするけれども、予測はなかなか立ちません。従つてこの前の七千八百七十七円べース勧告の際に、政府はこの給與ース引上げを拒否する理由として、給與ベースの引上げは必然的に一般労働者の賃金べースの引上げに発展する。更にそういう事態は折角収束しているところのインフレが再びぶり返すというような懸念があるため、つまり自由党の探つている、自由党内閣の採つている経済政策がそこから破綻して来るという虞れがあるからいけない、こういう理由で拒否された点もあつたのですが、若しも今起つておるああいう朝鮮の問題が発展するということになれば、そこには現在の滞貨の一掃ということもございまするし、更に又いろいろな需要の増嵩ということが或る程度インフレ的様相へ追込むという段階がないとは限らない。そうなればそれ以外にもいろいろな事情が起つて来るのではないかという懸念を持ちますが、この一点を捉えて見ても、この国会のうちに、例えば勧告がこの第八国会に出されて、それに対する或る程度の先の見通しが立つということと、それから又そういうものが全然立たなく、国会が済んでから初めて勧告をする、勧告をするがこの次の国会においてどういうふうに論議されるか、そういうふうな点についても時期的にも見通しが付かなくなつて来る。そうなりましたら、私は相当公務員諸君の動揺が起るであろうし、又それに対する地方公務員公共企業体の従業員の動揺も考えられる。従つてこういう方面からも私は今度の問題は單に勧告が或る程度ずれたというだけに止まらない。こういう事態を引き起したところの、はつきり国会に対して勧告をすると言つて置きながら、而も国会の会期中に勧告すると言つて拍手まで浴びた総裁が、一週間足らずの間にああいうふうな裏腹な態度に変られたということに対する責任の追及というものは、これは結局我々としてはその点は考えなければならないし、更に又この問題は総裁が六千三百七円当時から持つていた決意だけではやはりこの問題は解決できない。従つて私は今吉田委員も言われたように、この問題に対して淺井総裁の形式的に六千三百七円当時から人事院総裁としては、そういう決意を持つてつたという程度の決意を聽いただけでは、私達は断じて了解できない。こういうふうな段階に追込んだ淺井総裁責任というものも追及しなければならないけれども、一方我我としてはこういう事態からどういうふうにすれば、この状態を修正して、この問題の解決がスムースに行くようになるために、総裁がどのような具体的な考慮を持つておられるか、どういう具体的な決意を持つておられるか、その点を私は一応ここではつきりと知つて置きたいと思います。
  133. 淺井清

    政府委員淺井清君) その具体的な問題について、私はまだここで申上げかねるのでありまするが、ただ私が十四日の本会議で申上げましたこと、それがあとでひつくり返つたということについての責任は勿論感じます。併しながらそういう点、これはともかく只今状態といたしまして予測し得ざることも又起つて来るわけでございますからして、そういうふうに御追及になりますと、我々は先のことは本当の気持、又その場の気持を申上げることができないという窮境に追いやられるのであります。若しも私がずるい立場に立ちますれば、十四日の本会議ではあのようにはつきり申さんでもよかつたのであります。併しながら私は従来の官僚的なずるい答弁を好まないのでありまするからして、人事院は今どう思つておるかとおつしやれば、正直にその通りに申上げる、そうするときには却つてあとではそのずるい答弁をした者よりも、より多く責任を追及されるということになりますれば、これは非常に私共は困るのでありまして、私は不幸にして官僚生活をやつたことがないものでございまするから、国会に対しては極めて正直なんでありますから、(笑声)十四日の現在におきましては、本当にあのつもりでおつたのであります。本当のことを言つた者が嘘のことを国会に言つていた者よりも重い責任を追及されるということは、非常に私は辛い。(笑声)こういう始末になつたことについては勿論責任を感ずるのであります。それを言つておるわけではないのであります。    〔重盛壽治発言の許可を求む〕
  134. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 今、官房長官出席されています、御案内の通りに。先程も余り時間のないようなことを申されておつたので、官房長官に対して質問をお願いしたらどうかと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  135. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私は先程も言いましたが、今日は五時までしか時間がありませんから………。
  136. 木下源吾

    委員長木下源吾君) なかなかこの委員会は重大でありますから、時間が遅れると思うのであります。そこで官房長官一つお願いします。
  137. 吉田法晴

    吉田法晴君 官房長官に対しましては、前回も多少問うたのでありますが、総理大臣出席を求めて、そうして総理大臣出席が少くとも今日はない。こういうことで質問の遷延を許しませんので、内閣代表した官房長官として一つ質問を受けて貰いたいと思うのであります。  第一は給與水準の引上げという問題が吉田内閣の当面の緊急の課題の一つではないかという点、その点を一つ最初にお伺いして置きたいと思います。給與ベースを引上げないということが、今度昭和二十五年度予算審議に当つて政府が堅持した方針であります。言い換えますと、昭和二十五年度給與ベースは引上げないという方針であつたのであります。然るに昭和二十五年度に入らん前に、昭和二十五年度予算の審議中に、専売職員の給與が事実上これは上つたのであります。そこで政府は国鉄公共企業体の職員も、一般公務員給與も何とかしたい、これはこの前いろいろそういう意向といいますか、方向、政府の方針だということであります。このために昭和二十四年度年度末に予算残と申すか、或いは余剰金を以て特別手当、特別賞與、或いは超勤料の増加とか、昇給等が実際に考えられたようであります。言い換えますと、専売裁定の承認以後今日まで鉄道公社の職員及び一般公務員給與ースの引上げが政府にとつても懸案となつておるということは言えると思う。その後自由党としての選挙の公約に、給與水準の引上げを入れ、これを閣議に取上げて政府の方針に取上げたということは先程官房長官の言われた通りであります。今次の国会の施政方針演説にもこれを盛り込み、池田大蔵大臣もできるだけ早くやりたいということははつきり申上げられると本会議で言つておられる。以上の経緯からいたしますならば、最初申上げましたように、給與水準の引上げという問題が吉田内閣の当面の課題の一つになつておるということは、これはお認めになりますかどうか、その点先ず念を押して置きたいと思います。
  138. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今おつしやつた点は、吉田さんの御意見の通りであります。
  139. 吉田法晴

    吉田法晴君 それではドツジ・ラインとそれから給與水準の引上げ問題でありますが、前のことは省略いたしまして、池田蔵相が渡米の結果、給與問題を含むドツチ・ラインには幅があるということが明らかになつた考えるのであります。ということは給與ベースを引上げても必ずしもインフレにはならないということが……。言い換えますというと、人事院の従来の説明のような事態が認められる時期になつたのではないか。即ち政府給與水準を引上げれば必ずインフレになるという給與水準引上げ反対の理由がなくなつたのではないか。逆に或る程度の給與水準の引上げは、滞貨が一千億以上に上つて、生産が停滞しておつた従来の日本経済にとつては、むしろ国内購買力、有効需要を増す政策になると考えられるかどうか、この点伺つて置きたいと思います。
  140. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今おつしやつた初めの方は私はその通りだろうと思います。確か総理の施政方針の中にも、今や物価も安定の域に達しておる。インフレの懸念も去つた従つて給與水準も考慮することができるという、言葉はちよつと違いましようがあつたと思います。現在におきましては給與水準を、これは無論上げ方にもよりますが、或る程度上げるということはインフレの懸念を起すような状態になつておらん。言い換えれば財政経済政策が或る程度安定の方向に持つて行くことに成功したと言われるのではなかろうか。第二の御質問につきましては、国内有効需要を増加するかどうかという問題は、これは無論経済学者としてはいろいろ意見があるだろうと思うのでありまして、これについて私のような素人がとやかく言うのはどうかと思いますが、我々の考えておりますことは、そういう有効需要を増すから上げようとか、上げないということでなくして、インフレの懸念がなくて、従つて財政に余裕があるならば、公務員給與というものは前からよくないのだから、財政の許す範囲においてとにかく給與ベース改訂することに努力しよう、こういうだけの意味努力しているとお考えになつて結構だと思います。
  141. 吉田法晴

    吉田法晴君 次には、現在の客観情勢の下において、政治的な考慮からも速かに給與水準を引上げるべきではないかということについてお尋ねしたいと思います。第一は、治安の維持或いは民生の安定という点からいつても、不当に低い一般公務員、公社職員の賃金は引上げるべきではないか。この点について本会議において奥むめおさんからも質問演説の中で言つておられましたけれども、これはここで繰返すまでもありませんけれども、特別警察除を作るのもいいが、国内における特別警察隊を必要としないような国内治安維持或いは民生の安定のためにも、不当に安い賃金を上げるべきではないか、給與水準を上げるべきではないかということを言われましたが、そのことが一つ。それからこれは、我々しばしば従来言つて参りましたことでありますが、これは淺井人事院総裁もおられますから篤とお伺いしたいと思いますが、民主的な労働組合の動静と申しますか、或いは力の限度に来ておる現在、その点からも速かに給與ベースを上げるべきではないかと私は考えるのでありますが、その点どう考えられるかであります。これは十七日の日であつたと思いますが、危機突破労働者大会を十五日の日に開催しまして、その代表が林副総理、官房長官もそのときにおられましたので御承知のことでありますが、組合の中央の指令に基かずして、下から或いは定時退庁とか或いは時間外の拒否とかいつたような事態が現われておる現状であります。で従来社会党と民主的労働組合は、合法的に民主主義的な方法によつて三月闘争においては給與水準を上げることに努力して来ましたが、それが成功しませんでした結果、その後左翼の労働組合或いは共産党の組合内における勢力が全国的に強まつて来た、進出したということはこれは事実であります。社会党及び民主的な労働組合と雖も深刻に考えざるを得ない今日の実情なのであります。そのことを先般労働者大会の代表も申したことでありますが、私は本会議質問においても民主主義的な枠を越したとしても、その責任のすべては政府及び人事院にあると申したのでありますが、政府が深刻に民主主義を守ろうと考えるならば、速かに給與水準を上げるべき段階に来ておると考えるが、どうでありましようか。吉田ワン・マン内閣と言われておりますが、ただ彈圧しさえすればよいと考えておりますかどうか。経済的裏付けのない彈圧政策が如何に弱いものであるかということは、これは中国、朝鮮の例を数えるまでもなく、世界の現状が明らかにこれを物語つておるのであります。繰返して言います。事態は断崖の渕に来ておる。政府はこの給與水準を速かに引上げるべき段階ではないか。この点について官房長官から明確に一つ答弁願いたいと思います。
  142. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私共は單に弾圧などということで何かしようということは全然考えておりません。この点は特に明確に申上げます。  尚今給與水準を上げなきやならん段階が来ておるかどうかという御質問でありますが、これは少くとも私の属する自由党におきましては、党員、今ワン・マンなんというお言葉がありましたが、党員全体の多数の意見によつてどちらにもなることでありまして、その党員の多くの意見はまだ決定しておらないのであります。先程給與ベース引上げは政府の大きな今の政策じやないかとおつしやいましたが、その通りであります。が同時に減税ということも同じときに発表した政府の大きな政策であります。且つ党としての大きな政策であります。党としてもどちらをどういうふうにやるかということについては、今政調会等で研究中なんであります。この多数の意見に基いて党の意見が決まりますると、政府もそれを検討し、それが正しいとなれば無論これに同調して努力するという、これは恐らく政府と党との関係は、社会党内閣についても同じことだと思うのでありますが、党の政策が一番の根幹をなすものであります。
  143. 吉田法晴

    吉田法晴君 先程もそういうお言葉でありましたが、今日は政党の役員の話を聞いておるわけではない。勿論官房長官として、これは自由党の政策も考慮せられながら話をせられておると思うのでありまする余りに自由党の政策をここで云々されるということについては、不満を表明したいのであります。問題は、政府として今日の段階において、我々が、或いは民主的な労働組合が辛抱に辛抱を重ねて来て、そうして限界に達した。すでに先程申しましたような事実も下の方から起きて来ておる。いわば今まで合法的な方法でやつて来た。だから今後も給與ベースをここで上げなくても、このままで押切れるのではないか、こういうやり方について私は弾圧と申したのであります。或いは一般公務員から罷業権を奪い、或いは団体交渉権を制限し、或いは一般組合についても事実上争議権というものが制限され来たつた現状であります。そういう一般を指して私は彈圧と申したのであります。そういうやり方で以て問題は解決しない。而も解決しないという実情がすでに現われつつある。そこで問題は崖の渕に来ていると申しましたが、政治的に見ましてすでに限界に来ておる今日において、給與ベースを上げることが急務ではないか。これは自由党の減税問題云々ということを言いましたが、減税問題について我々がここで論議しておれば更に長くなると思います。自由党は減税と言うても上の方を軽くして下の方が重くなる。これは地方税においても明かでありますが、そういう問題については我々は反対でありますが、そういう税金問題については一応論議を抜きにいたしまして、給與ベースの問題について、今日の事態は限界に来ておる。その限界の現状の上に立つて政府は速かに給與ースを引上げるべき段階ではないかということを申したのでありますが、その点についてはもう少しはつきりして、置きたいと思います。
  144. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 只今お話御尤もでありますが、賃金べースの引上げということも、目下非常に重要な事項であることは勿論これは認めます。併し御承知のように、農村の方におきましても、或いは中小企業の方におきましても税金に悩んで非常に苦しんでいる人もあることも事実であります。これもやはり何とか解決しなければならぬことは、これはやはり同じく目下の急務であります。彼此相考慮して、この戰後の苦しい敗政の中からできるだけ公平に何とか処理をしたいというのが僞わらざる現在の政府立場であります。こういうふうに御承知を願います。
  145. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは政策論議になりますから、余りに長く時間をかけると、自由党と社会党のこれは政策論争になつて参るので控えたいと思います。只今言われましたように、或いは農村、中小企業者の窮状についても私共も勿論知つているところでありますが、ここでは賃金問題、給與水準の問題を問題にしておるのでありますが、その点にいわゆるドツジ・ラインの修正問題が全般としてかかつておる。一般公務員だけでなしに、賃金を上げる。或いは一般の労働者の賃金を上げる。或いは農村、中小企業者の問題についても、従来の自由党のやり方は訂正せらるべき段階にあると申し、又その可能性も私はあると考えるのであります。問題は、一般の公務員の賃金について政府もはつきり認められているように、一般労働者に比べて政府職員なり、或いは公社職員の賃金が甚だしく懸隔がある。これは第七国会の当時よりもその後、或いは産業によりましては、食料品産業等についてその後も更に上つてつて、或いは一万八千円或いは一万三千円という賃金もありますが、この一般労働者政府職員の給與水準の懸隔に応じて、今まで問題になつて来た賃金問題が解決段階に迫られている限界になつている。こういう点を申上げて、而も政治的な要素、これは国外の問題もあります。それを含めて国内的な情勢として直ちに給與水準を引上げてやるべき情勢ではないか。この上に立つて政府の意見を聞いております。その線に沿つて答弁を願いたい。
  146. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 同じような私の答弁で恐縮でありますが、できるだけ早く賃金ベース改訂を行いたいという気持は変りがないのであります。併しながら今直ちにやるかと申しますと、それは直ちにはできない情勢にあると考えなければなりません。いろいろ考究すべき問題がまだ多々あるように思つております。これは先程人事院総裁お話でも片鱗が現われておりますから、いろいろむずかしい問題はあるのでありますが、政府で言い得ることは、成るべく早く予算の許す範囲、時期及び限度においてやりたい、こういうこと以外には只今のところ申上げることはないのであります。
  147. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう一、二点だけ……、そこで結局財源問題と申しますか、或いは補正予算等の問題に関連して参ると思うのですが、この許される財源がありさえすれば、給與を引上げ得るかどうか、この点についてお尋ねしたいと思うのですが、(「財源は沢山あるよ」と呼ぶ者あり)大蔵大臣答弁の中にありますように、給與水準を引上げる段階に来ている云々ということ、或いは大蔵大臣自身給與引上げを言出したということは、財源が現実にあるという証拠である、こういう工合に考えられるのであります。従来債務償還費の一部が給與水準引上げの財源として論議せられたのでありますが、先日からの本会議で明らかにせられました債務償還の実情から言いましても、或いは今後の特別警察隊創設の財源が債務償還費から出されるということから見ましても、少くとも前国会において我々の主張した債務償還費の一部の中から給與財源を生み出せという主張の正しさを証明しているのであり、或いは給與引上げの財源がここにあるということを言い得るのではないか。或いはその外に食糧輸入補給金の減少なども言われているし、或いは物件費の余裕も現にあると考えられます。問題は補正予算を組むことができるならば、財源はあると考えられるのではないかと思うのでありますが、そういう財源が考えられるに拘わらず、何故給與ベースの引上げ問題が今国会で取上げられないのか、その点官房長官から一つ答弁を願いたい。
  148. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 財源の点については私も詳しいことは存じません。これは大蔵当局に聞いて頂くより外仕方がないのでありますが、或る程度のものはあると了解しております。そこで先程申上げましたように、この財源を如何に使うのかという点は、只今減税問題にも絡んでいろいろ研究中なのであります。
  149. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは問題は人事院勧告問題でありますが、これは私は人事院勧告云々という問題につきましても、それが人事院内閣の下にあるという意味において、これは政府責任でもあると思うのでありますが、政府が民主主義を守ろうとするならば、人事院に圧力を加えず、人事院勧告をなさしむべき責任が、これは政府にもあると考えるのでありますが、その点をどういう工合に考えられるか伺いたいのであります。人事院勧告をすると、総裁が十五日の本会議の席上明言されておりながら、十八日になつて言を飜されたのは、これは何らかの掣肘と申しますか、いろいろな言葉が使われましたが、そういうものが加えられた、こういう印象を受けるのであります。政府人事院に対して何らの連絡もせられなかつた。これは先日お尋ねいたしましたときにそういう事実はないということを言われましたが、制圧じやなくても、何らかの連絡政府から人事院にされなかつたかどうか。或いは政府人事院と打合せて、或いは賃金問題について前国会においても官房と、それから人事院との関係等についても私共突込んで質疑をいたしたのでありますが、官房において調査をし、数字を出したことはあるのでありますかどうか。それからこれは先程も人事院総裁にもお尋ねしたのでありますが、国民に法律を守らせるというのであるならば、人事院をして法に従つて勧告をなさせるのが政府責任ではないかと考えるのでありますが、その点お伺いいたします。
  150. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これはたびたび申しました通り淺井人事院総裁もここで明言されたと思いますが、政府として人事院に干渉がましいことをしたことは全然ありません。尚私の考えでは、政府人事院勧告が出そうなときにこれを邪魔するような措置はとるべきでないことは勿論でありますが、同時に出せ出せというふうに人事院に申出でたりなんかすることも、やはりこれは一種の逆な意味の干渉でありますので、人事院人事院で独立の考えから適当の措置を講ぜられるのが一番組織の運用を図る上にいいと思いまして、どちらの意味でも人事院に申入れはしない方がよろしい、或いは申入れといつては語弊があるかも知れませんが、人事院を自由な立場に置いておくことが一番よろしい、こういうふうに私は考えております。
  151. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は政府から人事院勧告をせいということを申上げておるのではないのであります。人事院人事院の與えられた使命に鑑みまして勧告をするという言明を本会議でせられた。それがその後できなくなつた、これについては我々にしても、国民にしても疑惑を持つておるわけでありますが、人事院国家公務員法に基いて勧告をしなければならん、或いはする態勢に立つております際に、この人事院をしてその使命を達成せしめることは、これは政府の大きな政治的な責任ではないか、こういう点をお尋ねをしておるわけであります。
  152. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私は政府といいますか、まあ人事院政府の一部といえば一部でありましようが、人事院に対しては余計なお世話を上なくても、人事院は立派にその機能を果し得るものと考えております。人事院が独立の考えで行動されるのを、これを自由にさえして置けば、それで一番運用がいいのだろうと自分は考えております。尤も淺井総裁の前で勝手なことを言つて甚だ恐縮でありますが、私はそういうふうに考えております。
  153. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは人事院勧告をしなければならん、或いはしようとしてできないようになつた事態に対して、政府としては責任を全然感ぜられないのかどうか、その点重ねてお伺い申上げます。
  154. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これは人事院勧告をされるということを正確に政府が知つたのは、やはり淺井総裁が本会議でそのことをおつしやつたときなのであります。又勧告をしなくなつたということは、これは直接淺井総裁から聞いたのでありませんが、新聞にそういうことが出たので初めて承知したのでありまして、事前に御相談もなければ、事後に御相談もないのであります。従つて政府としては別にこれに対してどうということはないと考えます。
  155. 千葉信

    千葉信君 当人事委員会としては連日に亘つて岡崎官房長官から御答弁を頂いておりますが、なかなか私共の納得行かないような御答弁しか頂けない形でございますし、総体として私共やはりこの状態では隔靴掻痒の感を免れない、従つて昨日も当委員会としては吉田総理大臣出席要求してございますが、今日おいで願うことになつておりましたが、今以てまだはつきとした御返事がないので、先程国会事務局の方を調べましたところが、総理大臣に対して面会を申込んでも、手続は、單に官房長官のところに文書を置いて来るだけだ、従つてその後のことについては、やはりこれは官房長官責任を持つて頂く以外に召喚の、召喚という言葉は失礼かも知れませんが、おいで願うことの手続は十分でないと思う、そういうお話がございましたが、先程官房長官は、自由党と難も民主的な政党であつて、党員多数の意見によつて物事が決まるのだというお話でございますが、私共の受けておる感銘では、一応ワン・マン・パーテイーの感を免れないし、更に、そういうこちらの方からお呼出しを申上げたときに、どういう態度をとられるかということを、私共想像いたしまするのに、実はそういうこちらからの要請に対して、十分官房長官の方では総理大臣の方へ連絡をとられないで、連絡をとればむしろ怒られるというような懸念から、連絡の不十分なためが相当あるんではないかと、こういうふうに私共考えておりますので、どうしても当委員会としては、やはり連日の質疑応答から見ても、総理大臣出席は頂かなければならないと思いますので、この席上で官房長官から一体いつ私共が要求している総理大臣出席が実現するかどうか、実際に出席になれるかどうか、見通し約束を私ははつきりお願いしたいと思います。
  156. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今のお話は大分誤解をなすつている点もあると思いますが、別に総理に出席要求したから叱られるわけじやないので、それはどうも少し妙だと思います。ただいろいろな委員会出席要求されておることは事実でありまして、明日も或る委員会に出ることになつております。明後日も或る委員会に出ることになつておると私は承知いたしております。そういう点をいろいろと見てみまして、又総理は外の仕事も多くやつておるわけでありまして、時間の都合を見ては、例えば或る委員会にはこれは無理だから明後日に延ばして呉れとか、これは無理だから暫くやめて呉れとか、これは是非出なければならんからこつちを止めてこつちに出なければならんとか、又それから外にも、司令部の人と会うから時間を少しズラして呉れとか、いろいろなことがあるわけでありまして、これは私自身もそう一一時間割を見てやつておるわけではないのでありまして、その役をやつておる秘書官が專門にやつておりますので、その方に行つて話をするというか、要求を沢山出しまして、秘書官の方で適当に按配してやつておるわけでありまして、勿論その間には党の方と連絡をして、三つも四つもある場合には、その中どれに出るかというようなことは、党の方でも相談して決めておるようなわけであります。只今のいつ幾日に出られるということは私にも実は分らないのであります。
  157. 淺井清

    政府委員淺井清君) 只今官房長官の御答弁に、ちよつと補足をさせて頂きたいのでありますが、官房長官は、人事院は独立性を持つておる機関であるからして、勧告をするならばしろ、しないのならばしなくてもよい、こういうふうなお言葉で、誠に有難く拜聽したのでありまするが、然らば七千八百七十七円べース勧告をまだいたさん先から、吉田総理は施政方針の演説中におきまして、もうべースは上げないということを頻りに申されておつたように思います。これは一種の牽制のようにも我々は考えておるのでありまするが、これは只今の結構な御方針と反するようにも、私共は受取れる次第でありまして、(「異議なし」と呼ぶ者あり)この点は一つ官房長官において十分御留意願いたいと存じます。
  158. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点なのでありまするが、これは事実はあとから問うことにして、法理論を先に、これは淺井先生もおられますから、一つ一緒に御答弁を願いたいと思います。人事院が法律に従つて勧告をしようとした、それができなくなつた、或いはしなかつたということについて、先程官房長官は、内閣には責任がないと、こういう工合に言われたのでありますが、我々が読みます憲法には、七十三條に「法律を誠実に執行し、国務を総理すること、」というのは、これは内閣仕事一つであります。或いは六十六條の第三項は、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と、これは憲法の條文を続上げるまでもありませんが、人事院が法律に従つてその職務を遂行し得るかどうかという、こういう問題について、それは、或いは向う様からどういう話があつたかどうかという問題でなくて、私は政府責任だと思うのでありますが、それらの点について、一つ官房長官から改めて御答弁を願いたいと思います。
  159. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私は法律を余りよく知りませんので、余り明確にはここに條文を持つておりませんからはつきりいたしませんが、私の了解しておるところでは、人事院勧告をすることは当然でありますが、本国会中に極めて早い時期になさるというのは、これは総裁のお考えであつて、必ずしもこの時期にしなければならないという法律上の義務はないのだろうと思つております。
  160. 千葉信

    千葉信君 官房長官にお尋ねしますが、そうしますると、総理大臣はいつ人事委員会出席することができますか。
  161. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) それは只今申上げました通り、私にはここでは何とも申上げられないのでございます。
  162. 千葉信

    千葉信君 いつその点について官房長官の方から御返答得られまするか。
  163. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これはやはり委員長の方で、議事部その他と御相談を願わなければならないのではないかと存じます。
  164. 千葉信

    千葉信君 この問題は、今要求をされたり持出されたりしておるのではなくて、昨日からすでに内閣に対して通告済でございまして、今に至つて人事委員長の方から事務当局に連絡云々ということは少しおかしいのではないか。これに対する回答がはつきりできなくても、もうすでにそういう通告がなされておるわけですから、それに対して、いつ頃までに出席できるかどうかということについての官房長官の返事くらい、今すぐここで貰えなくても、少くとも今日中ぐらいにその返事ができないということは、少しおかしいと思いますが、その点はどうですか。
  165. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私は、間違えておりましたらお許しを願いますが、忙しいものですからついいろいろ抜けたり何かしますが、昨日遅くなつて見ました書類は、今日の午前十時に出席要求されておる書類だと記憶しております。これはまあ御承知のような事情出席できませんというお答えをしたと、こう記憶しております。それから何か非公式には、それではいつ出席できるのかというお話はあつたようでありますが、それはただ口でそういうことがありましたというのを聞いただけでして、正式のお話は今日の午前の人事委員会に出て貰いたいという要請と私は了解しておるのでありまして、それについては先程御説明したようなわけであります。今後もそういう要請がありますれば、いろいろと取り混ぜなければなりませんので、外の方との振り合、時間の都合とかを考えないと分らないと申上げたつもりであります。
  166. 千葉信

    千葉信君 言葉尻を捉えるようで甚だ恐縮なんですが、今朝十時に出席要求してあつて、十時に来れないということは、今朝の質疑応答の中にありましたように、十一時まで地方行政委員会の方に出る、それから後は自由労連その他の代表と会うというのですが、併し私共人事委員会は、御承知通り、午後二時から再開するということは、官房長官も御承知でございますし、そういう状態からすれば、今日一日は引続いて開催される、そういう状態から言いますると、今日午前十時に開会するから、出席要求するというのは、午前十時に来れなかつたあとは来なくてもいいという要求ではなくて、少くとも十時以後、総理大臣の方でできれば今日中にでも出席しなければならない筈で、決して我々の要求はここでもう消滅したというふうにお考えになつておられる官房長官のお考えは、私は聊か腑に落ちない。併しそんなことを私共今取上げて追及して見ても仕方がありませんから、できるだけ問題の重要性を十分お考えになつて、結局そういうふうに出席が熱心か不熱心であるかということが、この問題に対する自由党内閣考え方をそのまま反映するものだというふうに考えると、非常に私は今の答弁も不満なんですが、少くともこの論議の中にもありましたように、官房長官におかれても、大体問題の重要性は十分御認識だと思いますので、でき得るだけ早期に他の委員会の方は少々延して頂いても、この委員会に御出席するようにお取計らい願いたいし、又それに対する明確な御答弁を、私はこの委員会の席上でなくても、今日中には御連絡をとつて頂きたい。その点について官房長官の御答えを願いたい。
  167. 吉田法晴

    吉田法晴君 話が途中で切れたのですが、それでは官房長官に話をしても法律をよく知らんから云々と、これは一国の政府官房長官とも思えんのでありますが、人事院総裁がおられますし、人事院総裁にお尋ねするのでありますが、私はこの人事院勧告をしようとしてできなくなつた、そのできなくなつた原因について、政治的の原因について、これは政府責任を負うべきものだと、こういう工合に考える。我我は日本国憲法に従つて政治が行われておる。或いは国会も存在するし、或いは憲法に基く法律に基いて人事院の活動もなされておると考える。従つて人事院勧告がなされなくなつた原因が、或いは関係方面にあるとか何とかそういう問題ではなくて、政治的な責任は、これに政府にあると私は考える。問題は憲法上の問題になるかと思いますが、その点について一つ人事院総裁にお尋ねをするのであります。私が申上げるのは、事態に対して国会も、或いは国民も納得し得ない段階である。これは一つ国家公務員法の施行に関します問題だろうと思うのでありますが、その国家公務員法の施行に関して問題が起つておる。その問題の起つておるものについて、それでは我々はその人事院に対してどういう工合にこの法律論を以て行くかということについて質疑を重ね、或いは論議し、或いは政府に対してその政治的な責任を問うておるのでありますが、政治的な責任がないかのごとく官房長官は言われております。この問題について人事院総裁の御意見を承わつて置きたいと思います。
  168. 千葉信

    千葉信君 その前に、先程の質問に対して、官房長官答弁がなされておりませんから、それを一つ……。
  169. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今申します通り、今日といつてもできないかも知れません。できるだけ早く御答弁をしようと思つております。
  170. 淺井清

    政府委員淺井清君) 只今お尋ねがございましたが、これはむしろ法務総裁からお答えを申上げるのが、内閣としての立場だろうと思いまするが、只今私を名指してのお尋ねでございまするから、私の所見として申上げますが、およそ行政権は内閣にある。そしてこの行政権は内閣を構成しておる国務大臣が連帶して行い、且つ内閣を組織しております国務大臣が連帶して国会に対して行政権の行使について責任を負うということになつておりまして、人事院はその内閣の下にある一つの機関でございまするからして、どのようなことが起りましても、その政治上の国会に対する責任は国務大臣が連帶して負うものだと、いわば内閣責任だという点は、一応憲法の問題として出て来ることだと思つております。ところが実は私事を申上げて恐入るのでありますが、私もこの憲法を拵えまするときに貴族院議員として、それに預つたのでございまするが、そのときに人事院でございまするとか、或いは電波監理委員会でございまするとか、地方財政委員会でございまするとかというような非常に大きな独立性の機関が出て来るということは、私共は予想いたしませんでございました。従いましてこういうふうな独立性を持つておる機関があつて、例えば人事院につきましては、ただ私から総理大臣に報告するところのこと、或いは総理大臣人事官の任命について権限を持つておるということの外には盡く独立したものである。電波監理委員会、地方財政委員会についても殆んど同様の独立性が認められておるのでございますが、このような独立性のある機関におきましては、人事院については、私共も又相当責任を有する地位にいなければならないと、そのように考えておりまするので、これは只今のお尋ねではちよつと割切れないのが現状だろうと、こういうふうに考えております。
  171. 吉田法晴

    吉田法晴君 話の要点は只今割切れないものがあるということは、事実知つておるのでありまして、問題は日本のこの国の政治の中で起つた問題について、内閣責任を持たんということはない筈であります。憲法に基いておる行政機関の一つであるその人事院が、法に基いてその使命を果し得るかどうかという段階になります場合は、これは今申しましたけれども、関係方面からどうこうあつたという問題じやなくて、責任政府が持つべきだ、その人事院使命を達成させる役割だ、或いは全体の責任というものは政府が持つべきである。こういうことは、日本の民主政治、憲法政治の建前に立つて責任の所在はこれは内閣にあると私はこう考えますが故に、この国家公務員法の危機と、人事院存立の危機に立つて、その危機の責任政府としては如何に感ぜられるか、それを如何に打開せられるかということを聞いておるのであります。
  172. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 例えば人事院で以て勧告をなさろうというときに、政府はこれをしてはいけないとか、しろとかいう干渉がましいことをいたしましたならば、非常に非難攻撃が来るだろうと思います。又どういう勧告をしろとか、いつしろとか……。
  173. 吉田法晴

    吉田法晴君 そんなことを言つておるのではない。
  174. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) というようなことも、非常に非難攻撃が来ると思います。そうしますと、政府としては人事院に対して何ら容喙する立場にないものでありますから、人事院でやることを内容も知らなければいつどうやつてやるつもりか、それも知らない、そういう行為に対して責任の負いようは私はないと思います。
  175. 吉田法晴

    吉田法晴君 そういうことを言つておるのではなくて、憲法の第七十三條に言う、法律を誠実に執行する、という点について、誠実に執行できなくなつたその責任内閣が負うべきではないか。これは細い、とにかく勧告をしろとか、するなとか、内容の問題じやなくて、法律を誠実に執行し得なかつたその大きな責任政府が負うべきじやないか、その点を問うておるのであります。それではもう少し具体的にお話を申上げますれば、先程人事院総裁からは七千八百七十七円べース勧告の際における総理大臣の演説を引かれましたけれども、これは先程否定せられましたが、先日も否定せられましたけれども、或いはこれは自由党の人間として行かれたか、自分で行かれたか知りませんけれども、廣川氏がこれは大臣の資格であるか、個人の資格であるか、自由党の党人であるか知らんけれども、人事院を尋ねられたことは事実だと思います。そういう点について、いわばこれは或いは人事院或いは関係方面に自由党なり或いは政府の一メンバーが行かれたということは事実であります。こういうことは、これは人事院の行動に対して政府が何らかの、或いは自由党としてかも知れませんけれども、そういう動きがあつた。而もそれが直接の原因であるかどうか分りませんけれども、結果として、人事院勧告しようとしてできなかつた。その法律を誠実に執行し得なかつた大きな責任は、これは内閣にあるとするならば、内閣としてこの問題について責任がないということはできぬのではないかということを申上げておるわけであります。
  176. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 先程も申しました通り政府としては人事院に対して何ら口を出したことはないのであります。又法律を誠実に執行するということは、これは無論我々の務めでありますが、法律自体は私の解釈では、人事院は何も今直ちになさなければならんという法律の義務もないと考えております。
  177. 吉田法晴

    吉田法晴君 これはひようたんなまずで、幾ら話をしても逃げて行かれる。この間の新聞記事にありましたけれども、途中で道端に繩が落ちておつたから引いて帰つたところが、その先に牛がひつついておつたという言訳と同じように思うのでありますが、ああしろ、こうしろという点について、勧告の内容云々じやなくて、いわゆる国内の政治について行われたその責任は、これは政府が負うべきではないか。問題はいつやる云々ということを言われますけれども、国会の席上で、本会議の席上で勧告を近い将来にやる、而もその日にちはそのときは言われませんでしたけれども、あと十八日というようなことも新聞で報ぜられましたけれども、少くとも極く近い将来において勧告をするということが人事院によつて政府の一機関によつて言明せられた。而もそれができなかつた。そのできなくなつた問題について政府としては、これは内閣として、日本行政全般について責任を負うべき政府として責任があるのじやないか、こういうことを申しておる。答弁を聞いても同じような答弁をするので答弁は求めませんけれども、私は責任があると考えます。そしてその責任を問うておる。
  178. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 先程千葉委員から総理大臣出席要求せられておるのですが、その点について今委員部とも連絡しております。そこで大体御質問はもう今日はこの程度で打切ります。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 私も官房長官ちよつとお伺いして置きたいのですが、先程長官が自由党で今減税か、ベース改訂か、どちらを選ぶかというようなことについて、どちらでやるというような、そういうことについて今折角研究中だとおつしやつてつたのですが、自由党が若し給與改訂すべしということに決まれば、これを実施させられる見通しがございますかどうか、それをちよつとお伺いして置きたい。
  180. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 見通しということは、まだいろいろこれは見通しの狂いもありますからはつきり申上げられません。私の申上げることは、そういうことになりますれば、全力を盡してこれの実現に邁進する、こういうことだけははつきり申上げられると思います。
  181. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 更にお伺いしますが、総理大臣が施政方針演説又その他でも公務員給與は改善しなければならんということを言われておるのだが、現実に公務員が今の給與では生活ができないと真実に総理大臣並びに政府、自由党の諸君考えておるのですか。その点を一つ……。
  182. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 非常に公務員は同情すべき事情にあるということはよく存じております。
  183. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 然らば公務員政府都合によつて給與を抑えておつても、何か外に筍生活なり或いは借金なり、そういうことをして生活を続けて行かれる余裕があるとでも考えておられるか。
  184. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) それはまあ閣僚全部の意見を聞いたわけではありませんが、そういうことは考えておらないと思います。ただ我々が非常に心配しておりますことは、公務員の給料というのは、無論税金の中から支拂うものでありますから、国民一般の負担を増さないで、できれば減税もした上で給與を何とか考えたいという点に苦労があるわけであります。
  185. 木下源吾

    委員長木下源吾君) その点は、現実に生活のできないものならば、これは幾ら言うても、今のような恬然としたことは政府は言つておられないと思います。現実にまだ生活ができると考えられているから、悠長なことを言つている、こう考えるのですが、それをお尋ねしている。而もそのことは閣僚の頭の中で判断するのでなくて、何らかの機関によつて、或いは閣僚自身の生活でもよろしい、具体的なもので一つ調査をしたことがあるのか、その点を一つお尋ねしたい。
  186. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) これはその方の專門にやつておりまする労働省の労働大臣等では十分調査しております。
  187. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 私は国家公務員の生活並びに給與に関する問題は、労働省というのは筋違いであつて人事院こそその具体的なものを調査している。そうして人事院こそ核心に触れた答えを出すのだ、こう考えているのであります。やはり人事院などはそういう面では別の機関であつて、労働省の言うことが本当だ、こう考えているのですか。
  188. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) その点では人事院の御協力を願えると思いますが、我々は怖いものですから、成るべく人事院には寄り付かないので、労働省、つまり政府部内、内閣の中で材料をできるだけ集める、こういう手段を探つてるわけであります。
  189. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうすると、総理大臣でも、政府でも、この給與の改善は必要と認めるというのは、頭の中だけで、人事院へ行けばよく分るのだということは分つている。でも怖いから人事院のところへ寄り付かんというのであるが、これ程沢山の公務員の生活が窮迫を告げていると言つて、これはもう声は聞えていると思う。何ぼ怖くても人事院に一遍ぐらいそういうことを御相談、或いは調査の結果はどうというようなことをお聞きになつたことがあるかどうか、それを一つお伺いしたい。
  190. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私が怖いと申しましたのは要するに人事院に干渉するのじやないかという世評が怖い、人事院のやり方が怖いということでも何でもない。尚人事院の方に私の代りになりましてからはまだお願いしたことはないと思いますが、若し人事院の方で資料を提供して下されば、これは喜んで頂いて十分参考にするつもりでございます。
  191. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでお尋ねしますが、人事院が、あの十四日の本会議総裁が最も近い機会に勧告する、これこそ極めて御希望の資料なんですが、これが出ないということに対してどういうお考えを持つておられるか。これは常々そういう参湾資料を欲しいとお考えになつている政府は、喜んであの人事院総裁の言明を受取り、直ぐにもう資料を見せて呉れ、どういう状態になつているかということの手順が運ばれるのが、今の答弁の具体性だと、こう思うのですが、それはどういう考えですか。
  192. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 何か先程人事院総裁の話を聞きますと、そういう資料はまだ出す段階にないようなお話でありまして、人事院の方で我々の方に下さる段階になれば喜んでそれを頂くということになると思います。併しその段階にないのに、無理によこせとか何とかいうことは、これは差控えなけばれならん。こう考えております。
  193. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうすると、人事院が資料を出せというのはこの委員会の話です。政府は同じ仲間ですね。而も政府職員の多数の生命、その生活を維持するために、みんな政府の手先になつて使つている者に対するそのくらいの親切があつて政府が進んで人事院に相談するということは当然だと思うのですが、それをやらんということは、政府が大体口では公務員給與を改善しなければならぬということを大見得切つてつているが、実は心の中では、これは左程に考えておらないのじやないかと思われるのですが、そうでないとするならば、具体的な一つ例証を上げて頂きたい。
  194. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 人事院の方に何か申出ますと、ややもすると、干渉というふうにとられる心配もありまするし、人事院の行動を何の意味で抑制するようなことは極力避けますから、人事院側から自発的によこして下さる資料は、これは喜んで頂戴いたして参考にしたいと思つております。こういうのが私の考えであります。尚政府はまじめに考えているかいないかという例証は、これは吉田総理の施政方針演説の中に、特にこの一項を入れた事実によつて御判断願いたいと、こう考えております。
  195. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは又お尋ねいたしますが、その一項を入れたぐらいでは、公務員の一晩のうどん一ぱいにもならんのだから、それは何にもならない。先だ問題は人事院総裁は本会議で言つたところが幾ばくもせずしてこれを覆えなければならん。この事実の蔭には、政府の干渉圧迫は何もなかつた、そういう強い言葉でなくても、何にもなかつた。だが併し巷間伝えるところによれば、自由党の力のある者が、関係方面に対して何らかの活動をしたということが新聞に出ている。政府は、直接でなくても出ている。これはどういうことを言つたかは我々は分りません。けれどもそういうことが新聞に出ておつたということの、その事実だけは官房長官はお認めになりますか。
  196. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 新聞に出ましたのは見ました。
  197. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そこで官房長官は、その新聞に出ておりましたことの真偽を確める程の価値のない、重要性のないものだとお考えになつたかどうか。
  198. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 私は別に重要性があるとかないとかということは考えませんでした。事実は何も聞きませんでした。
  199. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 非常に私はそういう点は怠慢だと、遺憾に思うのですが、この委員会において繰返し繰返し、各委員から言われていることは、成る程表面上は人事院に対して政府は何らの干渉も圧迫もしておらん。人事院総裁も何らそういう事実はないと言われておりますが、従来人事院勧告関係方面のOKによつてつている。今日、はしなくも私はお尋ねしましたところが、今回はその外に財政方面の御意見も加わつておるかのごとき御答弁があつた。これは新らしい事実なんです。そうすると今回に限つて給與に関する補正予算はまかりならん。こういうことを一連の事実を符合して行きますというと、何らかの、政府とは申しません、よく新聞に書かれているような事実と何らか一連の関係がないということは、これはできないと思う。殊に人事院が、総裁がああいうように本会議で言う前には、必ずこれは従来の慣例によれば関係方面の了解の上において、できているものを勧告するのだというその事実だけではなく、勧告する事前から、勧告するためにこれこれのことをやつていると、又やらせているということが事実なんです。実際において。その一方の関係方面の機関が、そういうように運んでおつたと我々は見なければならない。又人事院に対してそういう了解を與えておつたと我々は見なければならん。又了解よりももつと強い勧告に対する考えがあつたと私は思う。これは従来の慣例からずつと見ますと、そう考えるのが当然なんです。ところが今回財政方面の御意向もあり、かたがた中止しなければならないという、総裁のお流れになつたというような御答弁です。そうして自由党の諸君のうちで、誰かが新聞にあるがごとく当局へ行つて、何かお話かあつたというようなことと関連いたしまして、私は政府とは書しません、こういう事実をやはり誰が考えても、これは釈然としない問題であり、これを明らかにする私は必要があると考えるのです。そのことが、ここはそういうことの事実を明らかにするというだけではなく、数十万、或いは二百数十万の公務員諸君の生活は切実なる問題の中には、このようなことがすつかりもう血となり肉となつて食い込まれている。この事実からしてこれは是非明らかにして頂きたいと思うのですが、それを明らかにする努力をせられるというお考えが長官にありますか。
  200. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 繰返して申した通り、私も国会議員ではありますが、政府の一員になつております。そこで政府側の方で苟くも人事院に干渉か否か……、そのことはしないようにという努力は我々は極力いたしております。併しながら国会議員として、政府に加わつていない国会議員がどういう行動をとろうとも、それは国会議員なり或いは国会委員会なりの行動であります。これは政府としては別に関知するところではないし、又その意味では関知すべきではないと思つております。従つてこういうことについてもできるだけ政府は、政府側の方を引締めて干渉しないということに極力努力しておるのが現情であります。又同じ党員であるから、政府と党員と違つてつても、或いは国会議員がいわゆる、まあ馴れ合いでやつておるのだろうというような御心配があるかも知れませんが、少くとも今回のことについては、そういうことは断じてなかつたと私は断言できる。
  201. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そこで、それまで行けば、私は総裁ちよつとお伺いするが、総裁のところへ、お病気のところへ廣川さんが訪ねて行かれたという新聞記事がありましたが、そのことの真偽は……。
  202. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) それはちよつと、正確な日はよく記憶いたしませんが、確か七月六月であつたと記憶しておりますが、私が病気で寝ております所へ突如として廣川農林大臣が参られたのは事実でございます。その会談の内容は決していろいろ新聞紙上において揣摩臆測せられておるようなものではありません。廣川農林大臣は極めて例の磊落な調子で以て、人事院は再び勧告をする意思があるかどうかということをお尋ねになり、私はこれに対して勧告の準備をいたしておるということを申上げておる。然らば今度は幾らになるかというお尋ねに対しまして、私はまだ幾らになるかは計算中であつてそれは分らんということを申上げたのであります。その点は廣川さんの来訪の最も重要なポイントであろうと思うのでありますが、それは政府としても給與の引上げを十分考えておる、そこででき得べくんば政府としては率先してこの給與の引上げに努力したいと思うということを私に知らせに来られたのであつて、決して人事院勧告をやめろとか、或いは延ばせというようなお話合いではなかつたのであります。これは官房長官も御存じのことであろうと思いますが、ここではつきりと……誠に私との会談の内容をこういう公の席上で申述べることは悪いのでありまするけれども、これが誤解を招いておりまする関係上、申上げて差支ないと思いますので、申上げた次第でございます。
  203. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 官房長官ちよつと申上げたいのですが、今度のあの政府の方針の、給與のことについては如何なる補正予算もいけないと、こういう人事院総裁の話でありますが、この国会きりでありますか。或いは次の臨時国会でも開かれる場合にはそういうことも許されるかどうかという見通しはありますか。この点一つ官房長官に伺いたい。
  204. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 今のところは何ともそれは言いかねるのでありますが、その頃までには恐らく私の属しておる自由党なり、政府なりの態度は、今は一部研究中という点もあるのですが、固まるだろうと思う。そうすれば政府、或いは党としても極力、どちらに固まるか知れませんが、努力をすることになろうと思います。併し正確なことは今のところ何も申上げられません。
  205. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 私のお尋ねしているのは、補正予算というものが、給與に関する補正予算関係方面の了解が得られるかということですよ。
  206. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) この次の国会ですか。
  207. 木下源吾

    委員長木下源吾君) この国会はいかんということを言われておるのか。
  208. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) いや、だからそのときの情勢にならないと、どうもまだはつきりしたことは言えないような事情だろうと思つております。
  209. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 情勢によれば、或いはそれは可能だというお考えを持つておられるのですか。
  210. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 情勢によれば可能だと思います。
  211. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そういたしますと、二十四年度均衡予算というものも、当初から給與を引上げない、改善しないというわけではなかつたのですか。
  212. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 初めのことは、実は私よく知らないのです。併し最近になりますと、これはとにかくインフレというような点の危惧も非常に多かつたのです。そういうものを崩さないでできるということとになれば成るべくやりたいというのは、これは自然当り前であります。最近では、私の知つておる限りでは、仮に大蔵大臣の説明によれば、ドツジ・ラインと言いますか、それも幅のあるものだということでしたから、初めからそう考えておつたのかも知れませんが、私としてはその点ははつきり御答弁できません。
  213. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうですか。
  214. 千葉信

    千葉信君 簡単な問題ですから、単に確認事項ですから御答弁願いたいと思います。委員長質問に対して、先程官房長官公務員の実際の生活の状況は非常に苦しいから、これは何とかしなければならんというようなこの御答弁は、連日御質問申上げているうちの御答弁としては非常に大出来な御答弁でございまして、私はこの点非常に感謝するものでございますが、ただ併し遺憾ながら確認しなければ、單に閣内不統一という恰好で印象が残つては困るので、お尋ねしたいと思うのですが、それは吉田内閣が二月の四日に官房長官審議室から発表いたしました給與白書というものの中でも、現在の公務員給與をこのままに据え置いても、先行き必らず実質賃金の向上となつて現われて、生活が楽になる、こういうことが給與ースの引上げを停止する一つの理由になつておりました。それから又三月の下旬になりまして、前人事委員である市來乙彦議員の文書質問に対する政府答弁書の中にも、政府見通しとしてはいろいろな生活資材の値下り、或いは又食糧配給量の増大、減税とか、こういう問題を具体的に文書の中で回答いたしまして、結論としては、実質賃金の今年度内における五・六%程度の向上があるのだ、従つてそういう点からも賃金ベース引上げは無意味であるし、必要はない、こういうことを答弁しておりますし、この答弁は今官房長官がおられる審議室から答弁書として出されております。従いまして先程官房長官の、何とかしてやらなければならない程苦しいものだという御答弁を私は非常に感謝するわけですが、ただそういう官房長官の御答弁が、單に官房長官の頭の中でなされた答弁であつては私は非常に困ると思うのです。従つてそういう給與白書や、或いは文書回答を出されましたときの公務員の生活状態に対する見通しや、それからそのときのお考えは、現在においてはつきりと官房長官只今ここで答弁されたように変つておられるということを確認してよろしいかどうか、この点を私簡單にお答え願いたいと思います。
  215. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) それは総理の施政方針演説の中に、特に入れてある通りでありまして、最近の事情に鑑みて、変つたと申しますか、どうか知りませんが、今はとにかく給與ベース改訂すべきであるという考えになつており、ただ時期、限度が分らない、こういうわけだと思います。
  216. 木下源吾

    委員長木下源吾君) じやこの程度で本日は散会いたしますか。お諮りします。
  217. 重盛壽治

    重盛壽治君 大体いいと思うのだが、そうすると実際には総裁の場合にも、それから官房長官の場合も、現在の公務員給與を改善しなきやならんということは、勿論もうはつきりお掴みになつておるわけだ。ただそれがいろいろな情勢からでき得ない段階だということが言われておるので、そのいわゆる情勢を打破して、そうしてこれを実現さすように、総裁の方も、長官の方も一層努力して貰うということを、今日の場合私は特に附加えて置きたい。特に総裁の場合は、何度も官房長官の言うように、決して拘束していないし、そういう関係も持つておらんというのですから、予算の面やら、いろいろな面を十分強く折衝された上に立つて、至急にべース改訂勧告を中止するという決意を飜えして私は貰いたい。あとは又あと委員会で伺いたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  218. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それではこれで散会いたします。    午後四時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            千葉  信君    委員            西川甚五郎君            重盛 壽治君            吉田 法晴君            大隈 信幸君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    人事院総裁   淺井  清君