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1950-09-22 第8回国会 参議院 人事委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十二日(金曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員吉田法晴君辞任につき、その 補欠として森崎隆君を議長において指 名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告国家公務員給與問題に関する調査  の件  (給與改訂勧告に関する件)   —————————————
  2. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それではこれから開会をいたします。委員出席通告は、お出でになつている外に、加藤君、それから西川君、大隈君等がありますので、やがて見えられると思いますが、今政府委員もまだ来ていませんから、この場合調査報告一つお願いをいたします。  先ず千葉さんから一つお願いします。
  3. 千葉信

    千葉信君 私共給與実態調査のための視察の命令を受けまして、重盛議員森田調査員と三人で参つたのでございますが、特に人事院からは慶徳次長荒木事務官が同道されまして、私共できるだけこの機会北海道における給與実態を完全に把握したいということを考えまして、いろいろな具体的な計画をしたわけでございますが、先ず第一番には御承知のように北海道各地には理事者諸君市長会議という連絡機関が設けられているということ、それからもう一つは全官公労働組合協議会各地に結成されておりまして、この両者との十分な話合の結果が我々の期待通りに行けば目的を達することができるという考え方を以ちまして、先ず札幌、釧路網走旭川、この四地に対して十分な連絡を取つたのでございます。現地におきましても十分我々の考えを御了解下さいまして、各地における懇談会の開催の状況は常に熱心な理事者諸君或いは全官公労関係組合員諸君が多数出席して呉れましたので、私共その内容はとにかくとして各地における御協力の状態については十分感謝すべきものがあつたというふうに考えておるわけでございます。特に私共の場合百には人事院から二名の方々が同行されました関係上、常に懇談会の席上において人事院当局給與に関する具体的な計画乃至構想について、その場において率直にお話を承ることができたということで理事者並びに組合側においても非常に喜んでおられたということを私共は申上げたいと思うのでございます。そして特に四地区において開催されましたときには、その地域に比較的懸絶する地方から、例えば釧路における懇談会に対しては、根室、帶広等から、或いは網走懇談会においては北見地方、或いは旭川地方懇談会におきましては二百八十キロも遠隔の稚内からはるばる参加され、或いは又留萌、名寄事からも参加を頂きまして、私共北海道における市長会議幹事諸君或いは全官労事務局長のお骨折に対しては十分この点については感謝をしておるわけでございます。全般的に申上げて、従来北海道職員諸君に対する給與というものは戰前におきましても、乃至は又戰後においてべース計算を以て全国一律の給與体系がとられまする以前には、御承知のように樺太等におきましては給與全体の八割の増額が行なわれておりましたし、北海道におきましては初任給増額の問題、或いは昇給率が非常にいいというような問題、並びに年末において北海道におけるいろいろな労働條件も劣悪であるということをカバーするために、非常に年末の給與が多かつた。こういう形で北海道における従来の給與というものは少くともべース計算給與が與えられる以前における給與の取り方というものは適正な状態において行なわれておつた。ところが二十一年七月以降におけるベース計算におけるところの全国一率の俸給支給という形のために、北海道が非常にこの問題が現在も続いているために困難な状態にある。例えば現在北海道における労働基準監督署関係のごときは全国における欠員数の六〇%というものを北海道で抱え込んでおる。つまり全国労働基準監督署関係欠員が百人あるとすれば、そのうち六十人は北海道で抱え込んでいる。こういうことが單に労働基準監督署ばかりでなく、他の官庁においても非常に顯著に現われて来ている。而もそういう状態が現在の状態では大体において上級職員諸君に多い。そのために各官庁ともできるだけ有能な人材を北海道に招聘するためにいろいろと工作をしたり、或いは個人交渉をやつても、結局最後の結論というのは北海道内地府県との給與が同じであつて、而も北海道における生活の條件というのは非常に劣悪だと、こういう状態では北海道へ赴任しても到底自分達生活が成り立たない。こういう考え方が、こういう返事がどこからでも来る。そして又その外にも戰後における北海道のいろいろな條件というものは、例えば内地府県に比べると、食糧事情その他においていささか北海道の方が有利な状態。ときが極く短期間ありましたけれども、最近の状態では北海道の方がCPSによりましても乃至は特別CPSによりましても内地よりはずつと割高になつて来ている。而も依然として地域給すらも北海道は現在取られているところの乙地という形の地域に指定されている。こういう形のために北海道における人事行政給與の問題が非常に影響を持つているというようなこと、例えば福岡かち転任されました北海道の某局長のごときは、今年の七月北海道転任をした、ところが福岡においては地域給が三割支給されておつた。ところが北海道へ来た途端に地域給は一割減つている。加うるに北海道においてはもう九月頃になれば大体越冬資金という形において少くとも最低二万円程度のものは用意しなければならんということを聞いて、非常に転任して来たことを後悔している。人事行政責任を負う人自身自分のこういう一身上のことを非常に明確に懇談会の席上でもこぼしておられた。こういうふうな状態北海道では非常に今後の人事行政に懸念される要素として私共把握して帰つたわけでございます。それから、又網走におきまして郵便局長懇談会におけるいろいろな発言の中で、こういう事項がございました。それは網走郵便局下僚諸君が特に二十五年乃至三十年勤続して、そうしてもう大体において課長級或いは地方における局長級という形に資格がなつておる諸君集つて網走郵便局長に対して課長局長に任命してよそへ行くということをこの際見合わして欲しい、そういうふうた申入れがあつたので、網走郵便局長はすつかり驚いてしまつて、一体それはどういう意味局長課長になることを断わるのか、こういつて聞いたところが、その人々が言うのには、成る程私達の資格から言うと、大体地方課長乃至は局長になれる段階に来ておるけれども、併し自分達が若し仮に課長局長に任命されて同僚諸君に送られて駅頭に立つときのことが非常に心配になる。自分達は従来非常に極端な給與の中で、いわゆる筍生活という形において自分達の持つているものは片端から売捌いて生活に当てているし、況んや沢山いる子供達服装などというものに対しては全然手が廻らないで来ている。従つてこういう状態の中で自分達の曾ての同僚地方課長局長になつて駅頭で家族と一緒に多数の同僚諸君から送られて行く姿を見たときに、自分達は俺もやがてこういう立場に立たされることがあるかも知れないと思うとぞつとした、非常に惨めな恰好子供連を連れて行く、その服装状態やその他の状態を見て、こういう状態では、自分達転任ということが、一応課長局長になるということになれば出世の感じがあるけれども、併しこの駅頭状態というものは全く恥かしい惨めな状態である。こういう恰好で送らなければならない立場考えると、課長局長にはなりたくない。そんなことよりむしろこういう恥かしい目に子供連を合わせる方が、却つて自分達としては苦痛だ。だから課長局長に出世するというような考え自分達を引立てて呉れる気持は有難いけれども、こういう状態では自分達は当分の間転任ということについては、願い下げをしたい、こういうことを網走郵便局長に対して下僚諸君が申合せて申出て来た。こういうふうな状態があるのでございます。  大体全般的な問題としては以上の状態でございますが、さてその次には具体的な問題に入るということになりますと時間を要するので、簡單に申上げたいと思いますが、新しく人事院勧告しておるところの地域給に対する新しい給與が與えられれば、北海道の各都市、若しくは非常に現在物価高で悩んでおる地方の吏員か救済されるとは思うのですが、併し従来まで北海道地域給というものが都市においてすらやつと乙地という形で一割しか支給されておらない。こういう状態に対しては至急地域給是正について、勿論賃金ベースの修正と関連ある問題ですが、至急地域給是正方について適当な処置をお願いしたいということが各地とも要望される問題でございまして、それから又石炭手当の問題ですが、石炭手当の問題につひては一応現在の状応では、この外に三千円という形になつているけれども、その石炭手当の問題に関する国会論議状況諸君十分知つている。そうして例えば大蔵省当局等考えている北海道年間所要量が一トン六分乃至一トン七分というようなことについては、これはもう理事者諸君自身ですら憤慨に堪えないということを言つており、私共の調査したところによりますと、北海道年間所要量三トンというのは北海道におきましても一番温暖な地方、例えば函館、或いは室蘭地方におきましても、カロリーの高い石炭を焚けば三トン程度で間に合いまするけれども、併し奥地に入りますると、四トン程度でも尚且つ足りないという地方が沢山ある。特に北海道東北部におきましては、四トン半或いは五トンという計数がはつきり出ている。こういう状態のために、北海道石炭手当が一トン六分と、いうような基本的な考え方で決められたということに対する不満であるとか、或いは又政府計算によるところの五千二百カロリーの炭価に対する石炭手当支給方法などにつきましては、私共いろいろな陳情を受けますと同時に、石炭販売業者について実情調査した結果によりますると、五千二百カロリー程度石炭などというものは、現在では御承知のように中小炭鉱が非常にどしどし、破産して廃坑しつつあるということ。それからもう一つは、どうしてもカロリーの悪い石炭は採算上コストが高いために経営が成立つものではないという関係上、大炭鉱におきましても、カロリーの低炭層に対してはもう発掘を止めている、採掘を止めている、こういう関係で五千二百カロリーなどという石炭現実北海道では掘出されておらないばかりでなく販売せられておらない。こういうふうな状態があるということについて、私共業者についても十分調査いたしましたし、又一般公務員諸君からもこの問題については十分な陳述を受けて参つているわけでございます。  それから又もう一つは宿舎の問題、官舎の問題ですが、例えば北海道における国有鉄道官舎数というのは、従業員三人に対して一戸当り官舎が立つている。ところが一方同じ国家事業でありながら、郵政電通関係などにおきましては、北海道における官舎数というのは、これは二百四十人に対してたつた一戸、非常に極端な開きがある。現在のように賃金ースという形において、各官庁における給與というものがその官庁だけの考えではどうにもならないという形になつておる状態の下においては、いろいろな福利厚生施設というものが給與と同様の問題として考えられなければならない形になつて来ているに拘らず、こういう甚しい懸隔が同じ政府事業の中にあるということについては、十分これは国会としても又政府としても考えなければならない点ではないか、かように私共把握して参つたわけでございます。尚いろいろ地域給寒冷地給石炭手当、或いは又一般賃金ベースの問題につきましても御報告申上げたいことがございますが、細部に亘りますので、その点については文書を以て国会報告したい、かように考える次第でございます。
  4. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 何か今の千葉さんの報告について、特にお聞きしたいというようなことがありましたら、この機会一つ……。ございませんか。それでは大蔵大臣が今向うを立つたそうです。大蔵大臣は、昨日政務次官を通じまして来られないというわけでありましたけれども、今重要なこのベース改訂の問題で、諸給與の問題で、いろいろ殊に政府は今予算の編成の時期でもあるしということで、是非一つ方針だけでも、考えだけでも委員会は聞きたいというので、三十分ぐらいということを約束して私から何しましたから、その点一つ了承になつてお願いしたいと思います。更に今人事院総裁も見えますから、何でしたら今来るまでちよつと……。
  5. 千葉信

    千葉信君 三十分というのは了承成りがたいけれども、仕方がない。
  6. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうだと思いますけれども、まあ私の約束だから……。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  7. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を始めて下さい。大蔵大臣は大変時間を切り詰めておられるようですから……、一つ質問を願います。
  8. 千葉信

    千葉信君 簡單な問題から先にお尋ねしたいと思いますが、大蔵大臣も御承知のように法律第二百号による石炭手当トン当り給與の問題につきましては、人事院勧告政府支給額の間に非常に大きな開きがございまして、この問題については先の国会において当委員会でもいろいろ論議の対象になりましたけれども、何といいましても北海道における実情から言うと、五千二百カロリー石炭というものは現実北海道では採掘もされていなし、又市販にもないという、こういう形で実際に焚く石炭カロリーというものはこの程度では間に合わないということと同時に、非常に困難な状態北海道では出て参つております。できるだけ増額して頂きたいといことについては私共もいろいろ陳情もやつてつておりまするし、又自由党総務会においてもこの問題については一応政府要望するところがあつたようでございます。承わりますと、五百円の増額の問題については大蔵当局でもいろいろのお考えのようでございますが、この問題について補正予算に計上されるおつもりであるかどうか、大臣から先ず承わりたいと思います。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 石炭手当の問題につきましては、先の国会におきましても本委員会質疑応答を重ね、その後も我々としては調査研究をいたしておるのであります。お話のように、自由党の方からも五百円の引上げ方要望が出ております。私はこういうことを聞きまして、只今検討を加えておるのであります。御承知通りこの石炭手当は当初予算には一トン二、千五百円に組んでおります関係上、若し自由党或いは本委員会意見等を参的いたしまして、上るということになれば補正予算を要することになると思います。只今今日午後から補正予算の方にかかろうと存じておりますので、補正予算の点は今までの皆さんの御要望について検討を加へ、そうして組むか組まないかということはここでは今申上げられませんが、事情もよく分つておりますので、只今研究を重ねておる状態であります。
  10. 千葉信

    千葉信君 次には給與ベースの問題でございますが、大蔵大臣のお考えとして給與ベースの一千円程度引上げということが言明されておるようでございますが、大蔵大臣立場において人事院から勧告されました八千五十八円の賃金ベースに関する勧告について大蔵大臣はこれを検討されたかどうか、その点を承わりたいと思います。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 人事院勧告につきましては、大蔵省関係部局において検討を加えております。殊に先般又年末の賞與という勧告を附加えておりまして、こういうものを併せまして給與ベースというものでなく、支給方法等につきまして実は検討を始めております。この問題は来年度予算のみならず今年度の補正予算につきましても考慮しなければならん点があるのであります。即ち来年の四月から給與を上げるということでなしに、私としてはできるだけ早い機会に上げたいという気持を持つておりますので、これ又実は昨夜からいろいろ検討する予定になつておりますが、昨夜資料が集まりませんで、帰りまして直ぐ補正予算給與の問題について省議をしたいと思つております。
  12. 千葉信

    千葉信君 そこで大蔵大臣に一応御意見を承つて置きたいと思うのですが、人事院当局勧告しました八千五十八円というものと、仮に大蔵大臣が言明されました一千円ということになりますと、この間に相当開きがあるようでございます。大体七百五十円程度開きがあるようでございます。こういう開きのある場合に一体大蔵大臣として人事院の今度の勧告に盛られておるように、例えばいろいろな要素を申上げますと、第一点といたしましては第五級職までの今度の奉給額を見ますると、五級職までは前の勧告に比べて減つておる。併し六級職以上は相当増額という点がございますが、こういう点については人事院勧告大蔵省考えている点とについて、一体こういう各級別俸給の差額というようなものをどういうふうにお考えになつておられるか。それから又この千円の増額の問題については大体人事院勧告を標準として、それに対する金額の按配をお考えになつておられるのか。それとも又大蔵省当局として人事院のこういう基本的な勧告を一応考慮に入れないで、大蔵当局独自のお考えによつてつているか。この点を伺つて置きたいと思います。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは従来何回も話したように、人事院勧告につきましては十分その趣旨などを尊重して給與の問題を考えますが、他にやはり財政上の問題もありますし、彼此勘案しながら適当な方法で行きたいと思います。ただ給與級別の問題につきましては、私は先程申上げましたところのベースの問題、給與支給あり方等検討すべき重要な問題であると思つております。併し今の六給俸以下或いはそれ以上の問題についてはどうかどいうことについては、只今申上げない方がよいかと思います。
  14. 千葉信

    千葉信君 只今大臣のお言葉にありました申上げない方がよろしいじやないかというお話でございますが、私共実はこの点がたとえ人事院勧告通りになるにしてもならないにしても、又大蔵当局考えている千円程度増額しか実現しないという場合においても、一つの問題があるのじやないかと思う。現在の六千三百七円の賃金ースというものは、これはもう誰の目から見ても非常に低い生活給という形でございます。而もこの六千三百七円が実施されましたあとには、例えば主食の問題にしても今まですでに三回上つ  て、而ももう一回上ろうとしているような状態になつております。又電燈料金値上り、醤油、味噌の値上りにいたしましても、その他地方税法等における相当の問題が起きておる現在から言いまして、現在の六千三百七円がたとえ人事院勧告通り八千五十八円となつても、生活給という体系から一歩も出ないじやないかというそういう際に、その人事院勧告にも或る程度そういう疑念はあるのでございますが、比較的下級職員に対しては七千八百七十七円の勧告のときよりも今度は逆に減つて来ておる。そして六級職以上の諸君に対しては非常に大巾の増額が行われようとしている。而もこの人事院のこれに対する釈明を承りますと、民間給額との比較において非常に高給者俸給額或いは又給料額が差がありすぎる。それを或る程度鞘よせする必要があるという関係で今度の勧告なつたという話でございましたが、今度の六千三百七円から八千五十八円になるにしましても、或いは大蔵大臣考えている千円増額の問題につきましても、その段階はやはり生活給段階だろうと私は考えております。この点に対して大蔵大臣は少くとも人事院勧告した程度以上の開き上下の中にその開きを持たせるつもりか。それとも人事院勧告によるところの上下開き以下にこの差を縮めるつもりであるか、この点についてだけはこの際承つておきたいと思います。
  15. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先程申上げました通りに、大蔵省事務当局で案を作成しておるのをこれから私見ようというところでございまして、今人事院考えております今の下級のものと上級のものとの差を変更して行こう、或いは人事院以上に大蔵省はやるか、或いは人事院以下にするかという問題は重大な問題でございますので、只今ここで答弁いたすわけには参りません。検討の上で答弁いたします。
  16. 千葉信

    千葉信君 それでは大臣もまだちつとも検討されておらないようですが、検討でき次第私共の方へ、この問題は非常に重要でございますから機会を又改めて御答弁を願いたいと思います。  次には年末給の問題でございます。御承知のように現在公務員諸君から非常に苦しいから繰上支給を何とかして呉れという要求が相当強く出ておるのでございますが、従来繰上支給が実現しなかつたのは、繰上支給を続けていくうちにどこかに大きな穴があいて、その分に対する支給が困難であるから繰上支給はいかん。こういうようなことが一つの論拠になつておるようでありますが、若し仮に今度の人事院勧告のように、年末給というものが考慮されることになりますと、併せて繰上支給の問題についても年末給との関連において相当考慮の余裕ができて来たのではないかと思うのですが、この点については大蔵大臣は年末給をどういうふうにお考えになつておるか、お伺いいたします。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 只今お答えする段階に至つておりません。これは補正予算の問題にからんで参ります。今後検討して行きたいと思います。尚先程御質問給與ペース改訂に伴いまして、各級別増額の割合、或いは減るものもあるかも知れませんが、その問題については検討していないのではありません。私は十分今までにいろいろな検討を加えでおりますが、事務当局の案もまだ見ておりませんし、ここで申上げる段階には至つていない。尚今までの検討を今後も続けて行つて結論を得たい、こういう意味でございますから、御了承を願います。
  18. 森崎隆

    森崎隆君 大臣ちよつと一つ希望と又お尋ねをいたします。  大臣の顔をこうして間近に見ますと、私先だつて参議院選挙を思い出すのでございます。あの末期に当りまして、御存じのように附加価値税の延期並びにベース改訂という問題は大きく公約として出されたのでございますが、私共大体常識を以て考えますると、外の大きな大綱はいざ知らず、ベース・アップといつたようなこういう問題につきまして苟くも責任ある政府方々公約をいたしました以上は、その選挙の直後に参りましたこの議会に対しては、当然それ相当の政策を立ててこれを議会に出すべきじやないか、私ははつきりこういうふうに考えていたんでございますが、こういう点どういう意向でありますか、私その点大変遺憾でございますが、今後ああいうような公約を出されるにおきましては、もつと責任を持つて本当に実現すべき努力の裏付けのあるような公約をいたして頂きたい。これは私の希望でございます。  第二に申上げたいのは、人事院の方にお願いいたしたいのは、特別俸給表が若干出ておりまするが、私達の観点から見ますると、例えば全逓従業員人々、又教職に携わつている人々につきましては是非ともやはりこの特別俸給表というようなものを作つて貰わなければならない立場に私は立つておる人々であると考えております。全逓方々につきましては御存じのようにやはりこの何と申しますか、労務職とか業務職、又は技術職といつたような特別のそういうような系統が非常に多い。現在今までは頭打ちで非常に困つている。言換えれば業務それ自身に対しても意欲、希望というような点で熱意が殺がれるような関係になつておる。この点でやはり特別職俸給表を作つて頂きたい。これは人事院に申上げたいのであります。ただ一つ教職関係の方につきまして申上げると、是非共特別俸給表を作つて頂きたいということは人事院に申上げたのですが、現在のところ非常に困難なようでございまして、現在勧告なんか出ておりませんが、この教職員のことにつきましては、御存じのように業務自体の性質というものが、警察官の方々と同等以上に特殊な関係に立つております。即ち業務内容は、これは実は私が教職にいた経験もございますし、又官庁にいた経験もございまして、はつきりそれは身を以て体験したのでございまするが、端的に申上げますると、教職員というものは学校におけるいわゆる現業としての授業時間、実労働以外に家庭でありましようと、又学校内でありましようと、図書室でありましようと、それ以外に相当時間の研究、いわゆる教材研究、又は教授の研究、如何にして子供にこの教材を分り易く教えるか、どうすれば効果が上るか、又その成績についてのいろいろな判定といつたような、随分そういう表に見えない特別のまあ勤務時間が実際あるわけであります。そういう点に考えられまして、基本的にやはり特別俸給表というものが作られなければならんということははつきりお認め頂いておるわけなのでございまするが、残念ながら……
  19. 木下源吾

    委員長木下源吾君) ちよつと森崎さんお話中ですが、今人事院が又後で参りますから……。
  20. 森崎隆

    森崎隆君 それについて一つ大蔵大臣に関連がありますから申上げたいのです。そういうような関係になつておりますので、勿論この特別俸給表がむずかしい、不可能といたしました場合には、それ相当のやはり超過勤務手当といつたものを他の官庁に勤めておられるものと同様に是非とも一つ責任を以て計上して頂きたいと存ずるのでございますが、その点特別俸給表と超過勤務手当の関係につきまして、大臣の御意見をお伺いいたしたいのであります。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問か御希望か、要望というお話でございましたが、給與引上げ政府の声明はあれをお読み頂いたら分りますように来年度はこういうようにやる、こういうことを前以て言つておるのであります。私選挙に臨みますときに、我が党の政治財政経済政策を公表して国民の批判を受けるということが是非とも必要だという考えの下にあれを掲げたのであります。今までは給與ベース引上げはやらないと言つてつたわけでありますが、諸般の状況を勘案しまして来年からはやりますと、併し又できれば今年からもやりたいということは言つて公表したのであります。私は適当なる公約として実行して行くべく努力を重ねている次第であるのであります。  第二の学校教職員に対しましての超過勤務手当云々の問題につきましては、只今私は考えておりません。人事院特別職と申しますか、特別の号俸でおやりになるかならんかということはこれは人事院の所管でございまして、私からどうこう申上げるわけでございません。超勤につきましては只今のところ考えておりません。
  22. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 大臣一つ質問がありましたらば……。
  23. 千葉信

    千葉信君 先程私の質問に対する大臣のいろいろな答弁は、まだ人事院勧告に対して大蔵省としてはどういう方針で行くかということ、或いは又勧告内容について人事院ではどういうふうな考え方でこの勧告に対処するかということもまだ具体的な結論が出てこない。目下研究中ということでございますが、この問題は非常に焦眉の問題なので、私共委員会としてもできるだけ早い機会にその問題についての具体的な大蔵省の態度についていろいろ御質問申上げたいことが沢山ありますので、大蔵省としては、現在補正予算の問題について、いつ頃になれば当委員会に出席して明確な御答弁を頂けるようになるか、お見通しをちよつと承つて置きたいと思います。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 補正予算の問題につきましては、いつからどの程度給與引上げをやるかという問題になりまして、今の号俸別の問題になりますと、少し延びるのじやないかと思います。で、これは来年の四月からの分につきまして今の号俸の改正の分をやつて行くか、或いは又それ以前においても給與引上げをだんだんやつて行くか、或いは今年度におきましては暫定的に或る程度引上げで行こうか、いろいろな問題があると思います。だから私から予算の金額上の何は問題はありますけれども、号俸まで立入つて補正予算のときに考えるという問題は今のところ申上げられんと思います。補正予算につきましては成るべく早い、やはり十五ヶ月予算という建前で、早く決めて出したいという考えでおるのであります。尚、この号俸の問題を含めた給與問題につきましては、大蔵省が決めるとか何とかということは私はあり得ない。内閣で決めるべき問題でございまするから、大蔵省で大体の肚を決めました場合に、大蔵省意見として発表はいたしたくないと思います。
  25. 木下源吾

    委員長木下源吾君) なければ私一つ……。今度のあの補正予算の財源は一体どんなものであるか、ちよつとお分りになつておれば、お差支なければ一つ……。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 財源の問題で先ず第一に問題になるのは、今年度の租税收入が確保できるかどうか、赤が出るか黒が出るかという問題が大きくクローズ・アップしております。それを除きましては価格調整交付金が大体百五十億乃至二百億出るのではないか。今その金額を検討しております。これ以外の財源といたしましては、物件費その他の節約で二十億円程度出るひじやないか、それから配炭公団の損失見込額四十二、三億円のうち可なりその損失額が少くなりまして、十億余り出て来るのじやないか、それからいろいろな細かい問題がございますが、価格差益金で御承知の生糸が相当高く売れましたので、差益金が出て来るのじやないか。併し外にマイナスの面もございます。こういうものが主なる財源です。  尚国債の利子支拂の金額において、御承知通り大蔵省証券の発行が殆んどないようでございまするが、これにつきましての剰余の見込みも出る。あれこれで相当の金額になると思いまするが、例えば片一方では失業対策費の増額だとか、失業保険の増額だとか、或いは農林省関係でいろいろな問題、即ち農業協同組合の報奨物資の損失金だとか、或いは進駐軍の演習によりまする漁場の廃頽によります補給金だとか、或いは以西底曳網の補償金だとか、それから又租税拂戻金、これも六、七億あると思います。いろいろな細かい問題で相当になります。給與引上げの財源、或いはジエーン台風、キジや台風、例の災害の復旧も或る程度見込まなければならんという問題があるのであります。御承知通りに租税收入の大宗をなしております申告所得税の徴收状況が非常に悪く、千五百億円の予算に対しましてどれだけの赤が出るかという問題に今一番悩んでおるのです。即ち先ず第一に租税收入を確保できるか否やという問題、それから煙草の益金の赤がどれだけ出るかという、こういう大きい問題がありますので、はつきりしたところは申上げられません。
  27. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それで申告税の問題が一番これは最後的な問題になると思うのですが、今日のシヤウプ勧告でも三月までにやつちまえ、こう言つておるのですが、これについて大体併し見通しが付かんというと、補正予算の財源が非常に狂つて来るのじやないかと思うのですが、この見通しはやはり申告税は取れないものという部分を見ておるのでございますか。
  28. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今千五百億円の徴收はなかなか困難だろうと思つております。併しどれだけ取れないかということは私として今ここで申上げる段階に至つておりません。
  29. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうして今十五ヶ月予算補正予算とすれば、ベース改訂で仮に人事院勧告通りやるとして三十億ぐらいあればいいのじやないかと思います。一般会計においてはそう考えられるのですが、どのぐらいにお考えになつておるのですか。
  30. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ちよつとこれはデリケートの問題でありますので、もう少し待つて頂きたいと思います。
  31. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 二十六年度予算は大体閣議では決つたようですが、ベース改訂には百億と見ておるように新聞で拝見しておるのですが、このやはり額は決定しておるのですか。
  32. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体月千円引上げるといたしますと、一般会計とそれから郵政特別会計でその程度要る。国鉄、専売、電通の特別会計は、事業特別会計は大体賄えるのであります。郵政の方は十一億要ります。郵政自体が十五六億の赤字でありますから、給與引上げ一般会計から補給しなければならない。そこでこれは郵政事業特別会計の繰入れを二十六億円見込んでおります。
  33. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 今年度の剰余金は伝えるところによれば来年度に歳入を繰越すと聞いておるのですが、やはりそうでありますか。
  34. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 前年度の剰余ですか。
  35. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 前年度の剰余。
  36. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 前年度の百九十五億は来年度に繰越す予定であります。
  37. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 二十六年度予算では給與に対しては一般会計では全歳入のどのくらいのパーセンテージを見ておられますか。
  38. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問の点ちよつとはつきりいたしませんが……。
  39. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 歳出に対しての中で給與の総額はどれくらいのパーセントに行つておりますか。
  40. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これは歳入は御承知のように、従来よりも六百数十億円減つております。給與は今のように千円引上げ一般会計負担分だけで百十億円も値えております。御質問の歳出に対する給與の割合というのは余り意味をなさないのじやないかと思います。歳出にはいろいろなものが含まれておるのです。
  41. 木下源吾

    委員長木下源吾君) いや意味をなしてもなさんでも、大体金額を出す上においては、見る上においてはパーセンテージがないと……。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私はそういうパーセンテージを今まで計算したことがございません。それは今の一般会計だけでおつしやるのか……。
  43. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 一般会計だけです。
  44. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 一般会計だけで六千三百七円ベースは、大体支給は超勤を除きまして六千八百円程度であります。その一般会計の人員が四十九万、約五十万でありますので、それで計算すれば大体分ることと思います。
  45. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 大体と申しますのは、その財源がないからというので人事院勧告などがいつでも行われないということになつておるので、そういう点で財源がない財源がないと言いましても歳入というのはやはりあるのですから、ただ緩急の問題だと思うのですけれども、この点は意見によつて違うと思いますけれども、ただ財源がないということだけでは国民が納得しない点がある、こう思うのです。いろいろの観点から大蔵大臣からこれは合理的なんだということを話すことがいいんじやないかと、こう思つております。
  46. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は歳出に対しまして、公務員の給與の金額の割合を考えたことはございません。歳出査定の上におきましてその割合でどうこうという問題は恐らくはないと思います。従いまして今何%になるかということは答えられませんが、これは今のように歳出に対する割合も今年のように七万五千の警察予備隊の人が殖えて、これは百二十億の中の相当の部分を占めている人員が殖えた割合に対して歳出が多くなつておるということで、給與引上げ考えるということには行きません。それから価格調整費が来年度六百億になつておる、こういうフアクターかありますので、歳出に対する人件費の割合でどうこうということを考えますと非常なミスを起しますから、私はそういう計算を今までしたことはございません。
  47. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは今度の補正予算には債務償還というやつは、財源としては債務償還の既定予算の財源は入つて来ませんか。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は只今のところ一般会計で見ておりますが、国債償還費八百何十億円のうち、警察予備隊或いは海上保安庁で使いました残りの債務償還を一般歳出の財源に充てるということは考えておりません。
  49. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうしますと、後の何とかして調節がつく予算で補充して給與をやり得る、又その前にもやりたい、こういうように考えられておる財源に対する配慮と言いますか、そういう点は別になくて、何か余つたらばやろうというお考えなのか、やはり物件費その他の節約等が人件費と関連をしておるから、一つこういう面で財源としてやるというように、何かそういうお考えがあるだろうと思うが、その点はどうですか。
  50. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は給與引上げを余つたらやろうというように考えておらん。節約をして給與の財源に充てよう、こういうふうに積極的に考えておる。従いまして六月頃から物件費その他につきましてもできるだけ節約して呉れ、又欠員補充につきましてもできるだけ補充を少なくするようにやつて呉れと、こういうふうに要望を各関係省にいたしております。御承知通り鉄道なんかにつきましても、殆んど欠員不補充という関係で二万人の実員が減つておる。そうして鉄道においても一般会計からの繰入れもなしに、或いは又料金の引上げなしに千円上げております。特別会計におきましてもそういうように努力をし、一般会計におきましても二十億円の物件費の節約ということで給與の財源を満たすことに今まで努力して来ている次第であります。私もできるだけ早く補給金を切つて、そうして一般に必要な財源並びに給與引上げの財源を捻出しようというので節約して来ている次第であります。
  51. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 今の財源を、二十六年度予算の百五億だけ又増せばベースとして幾らになるのですか。
  52. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) その計算はこれから研究しようと思つております。
  53. 木下源吾

    委員長木下源吾君) まだできておらんのですか。
  54. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) まだできておりません。
  55. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 外にございませんか。それでは大体お約束の時間ですから……。西川政務次官に何かお聞きになることがあれば、……それでは私から何して、石炭手当の問題、官房長官もこの前今度の補正予算に大体組み入れたいというような希望を持つていることを労組の代表諸君にもそういうふうに先般答えているのですが、その後の進行状態並びに現在から見ての予想というようなことについて一つ政務次官からお聞きしたいと思います。
  56. 西川甚五郎

    ○説明員(西川甚五郎君) トン当り三千円というのを三千五百円に伸ばそうというので、この二十六年度の予算におきましては組んでおります。そういたしまして二十五年度の分に対しましては、今度の補正予算において歳出面の中で最も取るべきものとして現在取扱つております。政府といたしましても又私といたしましても、懸命に努力いたしましてその方に持つて行きたいと思つております。
  57. 木下源吾

    委員長木下源吾君) その他ありませんか。……それではよろしうございますね。人事院給與局長が来ておりますから……。
  58. 森崎隆

    森崎隆君 先程大蔵大臣をお願いするきつかけとしてお話したことでありますが、改めて人事院の方へお尋ねして置きます。特別職に関しまする俸給表の問題でございますが、だんだん検察官その他警察職員、税務署員、これは出ておりますが、逓信従業員方々に対しまする場合、並びに教職員に関しまする特別職俸給表が全然出ていない。これにつきまして私共の方から是非出して頂きたいという意味で多少申上げたいのでありまするが、逓信従業員方々につきましては、これはやはり業務の性質上労務職の方も多うございまして、又技術職の方も多いわけでありまして、現在のあのままでは頭打ちが非常に多い。大体七級あたりから大半頭打ちで止められている。その結果どうなつているかというと、業務に対する意欲、熱意というものが、どこまで働いてもこれで天井打ちだという気持相当ある。これが今のところ非常に内部として困つた問題だと我々考えております。何とかそういうふうな人々に対しまして、これは大半でございますので、やはり特別俸給表というものを作りまして、希望を持つて熱意を持つて業務に従事できるような意味で是非ともこれは出して頂きたいというのが一つなんであります。  もう一つ教職員につきまして申上げたいのは、教職員につきましては当然これは特別俸給表を出さなければいけないということを考えているのであります。人事院責任においてこれは出して頂きたいと考えておりますが、今度の勧告案ではこれは出ていないのであります。非常に残念に考えておるわけであります。これにつきましては、自分の経験から申上げますると、私も長い間教職員の立場もありましたし、又官庁に勤めた最近の経歴もございますが、この二つで、感じから申上げますると、私官公署に勤めましてから非常に朝の八時から夕方の五時までは実に忙しかつたのでありますけれども、或る意味気持が非常に軽く働いた経験を持つております。といいますのは、五時のサイレンが鳴つてからは本当に家庭に帰り得る、家に帰つて何も考えなくてもいいという実は気持を持つてつた教職関係は絶対にそうじやなかつた。何十年もやりましたその間の経験を振り返えりましても、大体先程も申しましたが、教材研究、これは先生方がないだろうと言われればそれまでかも知れませんが、そうじやなくて、隅々までよく考えて、これと一連の関係におきまして教場の研究、どうしてあの子供連にこのことを教えて分らせて行こうか、又大半の者が分りましても、特殊事情にある特殊児童に対しましては、これをどう説明し、どう導いたらいいかという気持が要るわけであります。これは学校の校舎内におりましても、家庭におりましても、寝ておりましても、どこかで相当時間の勤務外の勤務、特殊勤務というものが教師には絶対に離れられない。でありますから総合的に申しますと、教職員に対しては、超過勤務の性格を持つたものが二つある。その一つは、いわゆる決められましたところの勤務時間以外に職員会議、その外必要に応じて特殊指導とか、又家庭訪問に行くという公的な意味の超過勤務手当と、もう一つは、自分が学校で生徒と相対して教室の勤務をするための準備措置といたしましての教材研究並びに教場の研究、特殊的なそういう研究の時間がどうしても必要だ。だから結局超過勤務的性格を持つておるものは実は二種類ある。こういう点を考えられまして、人事院におきましては、特別表で相当上廻つた、納得の行く合理的な表を作つて頂くことになつてつたのですが、これが出ていない。是非共私共の熱望といたしましては、教職員並びに逓信従業員に対しましては、これに合理的なる特別な俸給表を作つて頂きたい。若し今度、どうしても勧告案にもございませんし、これであなた方で、頑張られまして作る必要はない、作れないと申されますならば、この超過勤務に値いする、これに対しまするいわゆる超過勤務手当というものは責任上どうしても組んで頂かなければ、他の県庁職員、その他の人とバランスが絶対にとれないわけであります。どちらかで何とか実際合理的な、実質的な措置をとつて頂きたい。特に強く要望いたしたいのですが、これにつきましては、人事院で現在どんなお考えでございますか、承りたいと思います。
  59. 瀧本忠男

    ○説明員(瀧本忠男君) 逓信従業員特別俸給表の問題でございまするが、現在のところ、そういう勧告をいたしておらないのです。逓信従業員の方から、そういうことをして貰いたいというお話でございまするが、資料も提出されまして、我々の方もその資料を検討いたしたりしております。併し一番問題となつております頭打ちの問題は、今回は逓信従業員を含めまして、すべての一般職の職員につきましては、一応これで解消し得るという見当を持つております。で、更に我々がこの一般職の給與法をやつて参りまするのは恐らくは来年の三月或いは来年の六月くらいまでだろうと思いますが、その後におきましては、職階制を基礎といたしました給與準則というものができる予定になつております、そういうときになりますれば、逓信従業員の特殊性というものを十分考慮いたしまして、そうしてそれに適応したような俸給表が作られるのではないか、責任並びに職務内容という観点からそういう見当を持つております。従いまして、まあ差当りはそれで行くことができるのではないかというふうに思つております。  それから教職員の方につきましては、特別俸給表を作るかどうかということは、人事院当局といたしましてもこれはうつちやらかしにしておつたのではないわけで、この問題は絶えずどうするかという研究を続けて参りまして、そうしてその研究の途中においていろいろ方針が変つたりいたしました。そうして現在に至つておるような状態でございます。で、この教職員に特別俸給表を作るということになれば、どういう点が一番問題になるかと申しますると、教職員の職務内容というものは、学校を卒業されまして初めて教職につかれた場合、それから数年乃至相当年月経たれまして、そうして教員として仕事をされます場合、いろいろな点で進捗はありましようが、その職務内容というものは余り変らんわけです。そういう意味から職務内容のみに立脚して考えまするならば、教職員には一本の俸給でもいいのじやないかというようなことすら考えられる。従いまして、そういうことから更に現在のように職務内容は同じですから、そこにこの俸給表における等級というようなもの、そういうものがあるのは無意味じやないかというような議論がございまして、現在俸給表には一級から十五級までございますが、そうしてその等級に従いまして俸給の幅というものがある。この下の等級から上の等級になかなかなれないというようなことが、職務内容が同一である教職員にはそういう俸給表を適用するのは適当でない、こういう考えが非常に濃厚にある、その点は誠に尤もであるというふうにも考えられるのでありまするが、悪くいたしますると、昔の制度に逆戻りをするというようなことにもなりまするので、我々がまだ現在特別俸給表を作らないということを断定しているわけではないので、現在のままでそういうことをやりますと、又元へ戻す虞れがあるので、そういうことでは詰らんということで研究を進めております。特別俸給表を差当り直ぐ作るという予定はございませんが、併しながら教職員につきましては、初任給なり或いは昇給というようなことで相当考えるという具体的措置を目下考慮いたしております。只今状況はそういうふうでございます。  それから超過勤務のここにつきましても、これは教員について、例えば家庭訪門或いは教材のための勉強をされる時間が当然超過勤務だということが当然の主張として言い得ると思うのでありますが、併し役所におりましても実際上相当責任の地位におられます人は、これは非常に役所の時間だけでなしに家に持つてつて実際問題として仕事をしております。なかなかむずかしいと思うのであります。併し実際問題といたしまして、教職員の給與一般より少々高くても、例えば教務を帶びて出張をするというような機会もそれも仕事の性質上少いわけでありますし、それから又今御指摘の超過勤務というものが実にないわけでありまして、この点は現在の超過勤務というものは必ずしもその仕事に応じて支給されるというような態勢になつていないのであります。これは言換えれば、給與ベースが低いからそういうことになりますが、そういう点は十分何かの形で考慮しなければいけない表面上取上げて議論するわけには参りませんけれども、そういう実情もどこかで見なければいけないというようなことは我々の方といたしましても考えております。
  60. 森崎隆

    森崎隆君 今の御答弁につきましては、給與ベース推定表といつたような面で、一応特別俸給表の代りの役目を果すというような意味なんですね。一つは……
  61. 瀧本忠男

    ○説明員(瀧本忠男君) 直接にその代りとはなりませんが、そういう面で考慮して行こう。
  62. 森崎隆

    森崎隆君 それでありますれば、それにつきましては十分一つ合理的にお考えを願わなければならないと思います。  それから今一点の超過勤務手当の問題につきましては、実質的にはやはり或る程度考えを頂いているものと確認してよろしうございますか、今の御答弁の結果から。
  63. 瀧本忠男

    ○説明員(瀧本忠男君) そういうものを考慮して、そうしてそういうことを決めるというようにですか、直接結びつけてお考え願いますと工合が悪いのですが、将来に向つてそういうことも十分考慮して行きたいと思います。
  64. 森崎隆

    森崎隆君 それから地域給の問題でございますが、これは現在各地方からこの勧告案が出まして後に非常に意見があるのでございまするが、今度の人事院勧告に従いまして五段階ございますが、これは結果的には今までよりもずつと悪くなるということは御承知の上で五段階に決められたのですか。
  65. 瀧本忠男

    ○説明員(瀧本忠男君) 悪くなると言いますとどういうことなんでございましようか。
  66. 森崎隆

    森崎隆君 一つの例をとりますれば、私の住んでいる香川県、特に高松といつたところは、今までよりうんと悪くなつて零になる、基準というものは非常に変つております。
  67. 瀧本忠男

    ○説明員(瀧本忠男君) 地域給の問題につきまして、我々はまだ現実地域の格付を発表いたしておらないのであります。それは大体の作業は勿論我々の方で原案は持つておりますが、併し最近、本年の五月に総理府統計局で行いました特別消費者価格調査の結果がもう大分出ているのであります。そういう細心の思慮を以ちましてもう一遍それを見るということをいたしております。そういう関係でまだまだ作業は完遂しておらない。ところが巷間に人事院が発行したかのごとき資料が流れているのであります。この点につきましてちよつと釈明いたしたいと思います。それは今回地域給の幅を二割五分にするということを、これは理論的に申しませんとなかなか通らないわけであります。そういうことの必要上、地域給を二割五分にするということと結びつけまして、特別CPSの指数というものがどういうところから地域給がつくとか、つかないかということを言つたのであります。それを申しましたところが、それからつくとすれば、そこから上を五段階に割つてみて、そして指数の見当をつけられまして、それから一方で総理府統計局に出ております特別CPSの指数をそれと対比してどこが下るということをひとり決めされまして、そうして一部資料が流れているというような実情があるのであります。併しながら我々の方といたしましては、これは勿論不公平というようなことはやりませんが、併し昨年の五月のCPS、昨年の十一月、並びに本年の五月のCPS、これは三者をいろいろ比較検討いたしましてやるわけでありまするから、或る特定の数字が直ちに基準になるというようなことにはならないのであります。それから又例えば調査してみまして、或る特定の地域が非常に我々の常識を離れた数字が出て参るというようなことがありますれば、これはやはり元の資料につきまして調査してみます。どうしてそういうような安い数字が出ているのかどうかということ、それから又或る特定の地域におきまして、例えば炭鉱地域というようなところ、炭鉱に勤めておられまする方々は何かと購買組合なり、或いは炭鉱に勤めているという事情のためにいろいろ生活上の便宜がある。そういう人が勤務地手当をつけます基礎になりますところのCPSにとつてあるといたしますと、そういう数字が出て来たのではこれはやはり不公平であります。そういう点は是正すること。又その地域は一緒に考えてみた方がよろしいという場所がある。そういう場合には個々の地域CPSを用いませんで、全体をもう一遍繰り直してみていろいろな操作をする。従いまして特別CPSに現われております指数だけでやつて行くというわけでは決してないのであります。又その他に現実状況というものから余りに甚しく下るというようなことがありますれば、べースアツプしたのにも拘わらずそれが却つて低くなるということがありまして、これは非常に実際問題として工合が悪いのでありまして、そういうことをしてはいけないというので、これはそこにも一つの基準が入つて来なければならない。そういうことでいろいろございまして目下研究を続行いたしております。併し我々が出します結果はそんなに非常識なものになるというふうには考えておりません。  それから全体が下るかどうかというお話でありますが、これは我々はむしろこういうふうに見ております。従来・地域給がつかなかつた地域でもこれは五%はついたのだ、こういうふうにお考え願うべきではないだろうか、というのは何も地域給を今度下げようというのではないのであつて、ただ従来地域給の部分であつたものをこれを本俸の方に廻しておるわけでありますから、全体的に見ますと、だから下げようということではなく、全体といたしまして将来に向つて地域給の幅というものが漸次縮小されまして、本俸に繰、入れるというようなことも考えられております。目下の作業の状況なりは只今申上げました通りであります。
  68. 森崎隆

    森崎隆君 そういう御趣旨でございますればよく分りました。よろしくお願いいたします。
  69. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 総裁がお見えになりましたが何か……。人事院総裁一つ、例の繰上げ支給の問題はその後やつて頂いておるかどうか、人事院として……。
  70. 淺井清

    ○説明員(淺井清君) 給與の繰上げ支給につきましては、人事院といたしましては今も尚努力をしておる次第でございますが、只今のところまだ見通しがつかないという状態にあるのであります。
  71. 木下源吾

    委員長木下源吾君) いわゆる年末賞典との関連があろうと思うのだが、折角年末賞典をああいうふうな意見書を出されたのだが、繰上げ支給が巧く行かなければ説明が少し困難になるのじやないかと思われるのですが、どうなんでしようか。
  72. 淺井清

    ○説明員(淺井清君) 今度勧告いたしました人事院給與法の改正案の中に、年末に一ヶ月を支給する、一年を通じて十三ヶ月の給與を支拂うという点についての御不審がございましたが、前に勧告をいたしました際には年末給については何ら言及はいたしておりません。然るところ今回これを勧告いたしましたについては、人事院勧告の科学性が少しくなくなる慮れがあるかとのお疑いもあるように思いますけれども、一体人事院給與ベース計算いたしまする際は、民間の給與との釣合ということを考えてやつておりますけれども、この民間の会社で支給されておりまするいわゆるボーナスということは、これは計算が非常に困難でもあり、その他の事情もございますので、この民間会社の給與との比較においては全然考慮いたされていないのでありました。勿論中小企業その他におきましては現在給與の不拂いさえある状態でありますので、ボーナス等については何らないかとも思いますけれども、一体政府は百万人に近いところの使用人を持つておるわけでありますから、模範的な使用主でなければならない、従つてそのような中心企業と比較すべきものではなく、少くとも大会社の民間給與と比較することが妥当である。然らばこれらの大きな会社におきましては、自然ボーナス等の制度があるのでありまして、国家公務員に対しまして一ヶ月の年末給を與えるということは私はこれは決して科学性を欠いておるものではない。かように考えておる次第であります。
  73. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 次に、もう一つお伺いいたしますが、政府がすでに閣議の決定を見た百五億給與予算を今年度は増額するということを発表されておるのだが、これについて果してそうであるならば、只今ベースは一体幾らになるのであるかということについて、何か御研究なりしたことがあつたなら一つ聞かして頂きたいと思います。
  74. 瀧本忠男

    ○説明員(瀧本忠男君) その問題につきましては、大蔵省で発表されております基礎になる数字というものと、人事院が持つております数字とは相当違いがあつたりいたす実情であるのであります。従いましてそういうことについて目下研究しております。それでまあ百五億上げれば大体どのくらいになるかというお話でありますが、若し人事院考え方のようにこれを考えてよろしいならば、例えば政府機関だけで人事院考え方のようにこれを考えてよろしいならば、例えば政府機関だけで人事院考え方によりますと、百七十二億円この一年間で経費が増額になるのであります。これは我々の方の雑な計算でありますが……。従いまして今度百五億と言われますとその十七分の十というぐらいなものでありまして、約三分の二程度しかしらんと、こういうような結果になるのであります。的確な計算はいたしておりませんが、大体の見当はそういうことになります。
  75. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 物価庁の第一部長が見えまし六が、御質問がありましたら……。
  76. 千葉信

    千葉信君 ちよつとその前に淺井総裁にお尋ねいたしますが、給與ベース勧告も、この給與ベース勧告従つての法律案の改正について更に人事院としては勧告されたようでございますが、それ以外に人事院当局として給與ベース改訂に関する何らかの措置をお取りになつたかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。お尋ねする意味は、何かこの間淺井総裁が官房長官と会談されましたときに、御承知のように今度の法律改正についての人事院意見書ということについては、一応前の勧告の中に一つの相違がございます。それは申すまでもなく年末給與の問題でございますが、会計法等を拔きにいたしましても、この改正についての意見書を内閣若くは国会にお出しになる際に、淺井総裁は御自身で官房長官と御懇談になつたということでございますが、その官房長官に年末給與その他についていろいろ御質問申上げた。ところが実はこの人事院の改正のときの意見の中にある年末給與については、自分の方では非常に了解に苦しむ点が多々ある、こういうことを官房上長官は言われましたので、そういう点については淺井総裁が自分から持つて行かれたのであるから、その点については何か説明がある筈であるとこう言つた。ところが官房長官は先程淺井総裁は成る程見えたけれども、こういう意見書を持つて来たから一応見ておいて呉れ、こういうことを言つてただ單に置いて帰られただけだ、こういうことを官房長官は当委員会の席上ではつきりと言われたのでございます。私共前の七千八百七十七円の勧告の問題にいたしましても、非常に人事院当局が問題解決についての努力が足りない。非常に態度が消極的であつた。そういう点から二月の三日に発表された政府給與白書というものが、少くとも国会においては大勢を制するという度が非常に多かつた。こういう点から言いましても、私共は人事院当局としては勧告をする母上、その勧告が実現するようなあらゆる努力がなされて然るべきである。そう考えておりますので、特に官房長官との会見の席上で、果しで態井総裁はそういうような消極的な態度をお取りになつたかどうか、その点を先ず承わりたいと思います。
  77. 淺井清

    ○説明員(淺井清君) 先ず第一にお答えに入る前に申上げたいのは、この法律上、人事院といたしましては勧告以上のことをやることはできないということは御了承願いたいと思いますが、但しそれは私共がこの勧告に対していわゆる出しつ放しで以て消極的な態度を取つておるということにならないのでありまして、私共は勧告をやりました以上その実現を期しまするためにはあらゆる努力を拂つて参りましたし、又拂いつつあることは御了承願いたいと思います。そこで官房長官との会見の御質問がございましたが、実はあの場合私は総理大臣に会うべく会見を申込んだわけでございまするが、総理が東京におられませんで、お会いできなかつたので、そこで官房長官にお会いした次第であります。ただその席上でその勧告しました法律案の内容の詳細を説明するような段階には至らなかつたということは事実でありまするが、それを以て人事院が決して消極的な態度を取つておるということにはならないのでございまして、ともかくまだ内閣官房長官もよく勧告いたしました給與法の改正案をお読みにならない前でございまするから、あの席上で詳細な説明をするということはこれは時機を得たものではない、このように考えましたが、ただこれだけのことは申したつもりでございます。この政府部内の者の間におきまする会談の内容国会で申上げていいかどうかは甚だ疑問であるのでありますけれども、ただ私は官房長官に対しまして、内閣はベースを幾ら引上げ考えであるかということを申しました。これに対して官房長官は千円の予定であるということを申しました。これに対して私は勿論千葉さんの御予想をなさるごとくそれは少い。人事院勧告は八千五十八円であるということを申しました。それから年末給與につきましては、年末の給與という制度をこの中に設けてあるということだけは注意したつもりでございますが、それ以上詳しいことは申しませんし、その官房長官が当委員会において述べられましたことに対する私共の反駁というものは、先程申上げた通りでございます。
  78. 千葉信

    千葉信君 今の淺井総裁の答弁は私は了承いたします。私の今御質問申上げたことは、今度賃金ベース改訂の問題について、人事院がどういう積極的の考えを持たれるかどうかということは非常に重大な関心事でございまして、その点についての足掛りとして只今質問申上げた次第でございます。そこで本論に入つて質問申上げたいことは、前の七千八百七十七円の勧告の問題が非常に見通しが困難だ。而も国会における論議の点から言いましても、一般の国民のこの問題に対する関心の度合の程度から言いましても、不利に陷つた大きな原因というのは、これは御承知通り先程も申上げたように、政府が発表いたしましたいわゆる給與白書、この中に非常に国民を欺髄するような資料が含まれておる。更にその主張するところの、少くとも我々の眼から見れば決して正当なものでなかつたに拘わらず、多くの国民がこの給與白書に対して的確な批判を持たなかつたということ、或いは又国会議員自身すらも政府の発表した数字を鵜呑みにこれを信用するという態度があつたために、非常に賃金ベース改訂の問題が不利に陷つた。私が申すまでもなく当時政府はこういう賃金ベースを実行するということは、折角收束したインフレを再び爆発させるものである。或いはインフレに移行するものである。或いはこういうような給與ベース改訂するためには、財源を求めるために或る程度の税金の引上げが必要である。或いは又公務員を整理しなければ賃金引上げの財源は出て来ない。或いは又現在昭和二十四年の官公吏平均賃金というものも七千三百円になつておる。二十五年度は七千四百円になる概算である。こういうような点なんかについても非常な数字のごまかしがあつた。而もそういうごまかしに対して、政府の発表しておるところのいわゆる平均賃金というものと給與ベースといものがごつちやにされて考えられておる。そういうために非常に問題が不利に陷つたわけでございます。その当時ああいう政府給與白書に対して人事院から当然これに対して反駁を加えるならば、若しか人事院が独自の見解を堂々と発表することによつて問題を好転させることができると私共は考えたのでありますが、人事院はそういう要望があつたに拘わらず、同じ政府の機関の一つである以上、こういう問題について政府と争いを展開することは自分立場上できないとこういうお話で、結局は最後は国会議員の要求に対して、国会に対して人事院の主張なり、人事院の主張を裏付けるような資料というものをお出しになつたようでございます。併しこのときはもう時遅くて問題の解決については何ら貢献することができなかつた。こういう点から見ますると、現在御承知通り政府の方からは少くともこの前の給與白書のようなものは発表されておりません。政府の方では一千円増額というようなことを言つておるようでありますが、少くとも人事院の今度の勧告に対して、これに対して反駁するような意見書というものは政府の方からまだ公けに発表もされておらない。こういう状態から言いますと、少くとも人事院はこの勧告を国民一般に納得させるような、或いは又国会議員に周知徹底させるような意見書を発表することはちつとも政府に対して対立したというような形にはならない。少くとも政府の方ではそういう意見書というようなものも発表されておらない段階ですから、現在ならば人事院としてはそういうようなものを人事院立場を正当に主張するものは主張することができるのではないかというような点から、私は人事院ではこの勧告実現のために何らかの人事院の意思表示を一般国民なり国会なりに対して明確にされる御用意があるかどうか、この点について淺井総裁の御答弁をお願いします。
  79. 淺井清

    ○説明員(淺井清君) 尤もの御質疑でございまするが、ただこれは内閣の所轄の下にある人事院立場としてお考え願いたいことは、人事院は御承知のごとく国家公務員法百二條に基く政治活動の制限に関するところの人事院規則を出しまして、一般職にある公務員が政府で決めました政策に反対する意見を公表することを禁止いたし、且つ違反者に対してこれを取締らなければならないところの立場にあるわけでございます。勿論我々は特別職でありまするし、人事院は独立性を持つた機関でございまするけれども、この点におきまして人事院としては、この政府給與白書に対し、更に白書を出しましていわゆる白書戰を演ずるということはできない。ただ幸いにして人事院は公務員法によりまして国会と直接に交渉し得る権限を與えられておる。故に私共は直接国民に対してではなく、国民の代表者であられるところの国会に対しては堂々と意見を発表し得るのである、こういうふうな見解に立ちまして、国会に対する資料の提出の形を以て十分人事院立場は申述べたつもりでございまして、今回の勧告につきましても、そのような必要があればいつにてもいたしたいと思つておる次第でございます。
  80. 千葉信

    千葉信君 特別職ではあるけれども、一応政府の職員であるからというお考えの下に考えておられることについては、私共柳か公務員法の特別法としての形における公務員の利益或いは又福祉を擁護するという立場については、もう少し積極的なお考えを持つて貰わなければ、人事院本来の目的又人事官本来の職責を全うすることは頗る困難ではないか、こういう点から私は人事院総裁只今の御意見とは一応同調しかねる考を持つておるのではございますが、併しぞれはさておき、一応現在淺井総裁から御答弁がありましたように、国民に対して或る程度意見を発表するとか、或いは政府の政策と対立するような形における行動は困るということでございまして、その点についてはこの際私はこれ以上追及いたしませんけれども、少くとも今度は問題は国会ということになつて来るのでございます。淺井総裁も御承知のように、第七国会における人事院の発表しました資料というのは非常に手遅れの形において国会に提出されたために、従つて国会議員全体は勿論のこと、参議院における人事委員会委員の中でも、人事院の提出しました資料を心から了解しているという点が非常に稀薄だつたのではないか、こういう点があるということが、私は今度の問題にも非常に考えなければならない点ではな、いかと思うのです。従つて今度人事院で新らしく勧告された給與ースの問題についての人事院考えなり意見なりというもの、少くとも問題の解決に有利だと思われるような方法については、單に当委員会委員ばかりではなく、国会議員全体に対してできるだけ分り易く、できるだけ分り易くということを言うのは失礼な言い方かも知れませんけれども、少くとも現在まだ国会議員の中には、公務員の平均賃金というものと給與ベースというものとを混同しておられる方が相当見受けられる、こういう点なんかについてももつと人事院としては平易に分り易く、こういう問題についての国会議員の正確な認識を得るように何かの意見書を発表するというような形において今後お考え願いたい。この点についての具体的な計画が若しおありになればそれを承つて置きたいと思います。
  81. 淺井清

    ○説明員(淺井清君) 御尤もの点でございまして、すでにその点については人事院給與局において只今具体的な用意をいたしております。殊にその一つは恐らく来週中弘報局から何か差上げるものがあるように思つております。
  82. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 政務次官と物価庁の第一部長が参つておられますから……それでは私から一つ、今度のいわゆる給與ベースですね。人事院勧告政府に出されておりましたが、安本の方ではどういう御見解を持つておられるか、更に当初からこのベースについてのいろいろの作案されたと思うのですが、そういうことについての内容一つ御説明願いたい。
  83. 渡邊喜久造

    ○説明員(渡邊喜久造君) 給與ベースの問題につきましては、これは先程来お話がありましたように、人事院でもやつておられます。で物価庁としましては、数年前の千八百円べース、三千七百円ベースといつたようなことで物価の体系考えておりました当時におきましては、公務員の給與ベース、それから民間給與ベースという問題は非常に密接な関連を持つておりまして、結局公務員給與ースが物価に織込まれます場合の民間の給與ベースというものとおのずから一定のバランスをとらなければならんという意味におきまして、重大なる関心を持ち、いろいろ話合いをして参つたのでありますが、ドツジ安定計画以来インフレがずつと收束して参りまして、従つて公定価格というものに関しましても、その品目がずつと減つてつたという現在におきまして、民間給與というものがおのずから自由なといいますか、需給関係の間に決定されて行くという姿になつて参りまして、従来程公務員の給與というものが物価と直接影響するという関連がなくなりましたので、現在におきましては、公務員の給與ベーが上つたということによつて直接連繋がないだけに、その問題につきまして特に関係を持ち検討して行くというようなことはしておりませんのであります。
  84. 木下源吾

    委員長木下源吾君) この前の国会の七千八百七十七円ベース人事院勧告があつた際に、政府から白書のようなものが出ておりまするが、このベースを上げればインフレが再発する、折角インフレを今抑えておるのだからというような意味のことを政府が言つてつたのですが、この点については今回八千五十八円の勧告が出ております。これについてやはり同一に、インフレとの関係を以前と同じに考えておられるのか、これは一つ安本の見解を質したいと思います。
  85. 郡祐一

    ○説明員(郡祐一君) 只今第一部長から申しましたように、現在物価庁で扱つておりまする公定価格を持つておりますみ物価と公務員の給與との関係は稀薄になつてつたということは申せるのでありまするが、只今物価庁として一番動向を注意しておりまするのは、朝鮮動乱による物価への影響、これは影響はございまするけれども、最終消費者価格に及ぼします影響は只今のところさして顕著な影響は見ておりません。併しながら他の原因、世界の再軍備の気構えでありますとか、輸出の引合いの状況、これらから参りまする物価の影響というものは、今後も今までの傾向を相当続けて参るのではないかと思つております。従いまして給與の問題がインフレーシヨンを直ちに引起こすべきや否やというような点について白書のごときものと委員長から例を引いてのお尋ねでありますが、むしろそれ以外のいろいろの問題、輸入の状況等、今後の進み工合によりまして、物価のいろいろな問題とインフレーシヨンという問題との関連は起つて参ると思います。併しながら給與の変え方でありまするとか、公務員の給與が直ちに一般俸給へ強い影響を及ぼすとも断言できないと思いまするし、従つて給與だけを切離しましてインフレーシヨンとの関係というようなことは、只今余り深刻に考えておる状態ではござません。
  86. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうしますと、結論からしますと、八千五十八円のベースを実施いたしましても、インフレというものには何ら関係ないというように承知して差支えありませんね。
  87. 郡祐一

    ○説明員(郡祐一君) 具体的の数字につきまして、これとインフレーシヨンとの関係は物価庁といたしましては未だ十分な検討をいたしておりません。
  88. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは本日はよろしうございます、私は。……どなたか外にありませんか。……ではなければこれで閉会いたします。    午後三時三十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            千葉  信君    委員            森崎  隆君            小野  哲若            大隈 信幸君            紅露 みつ君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   説明員    人事院総裁   淺井  清君    人事院給與局長 瀧本 忠男君    大蔵政務次官  西川甚五郎君    物価政務次官  郡  祐一君    物価庁第一部長 渡邊喜久造君