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1950-09-15 第8回国会 参議院 人事委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月十五日(金曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給與問題に関する調査  の件  (給與改訂問題に関する件)  (寒冷地手当及び石炭手当に関する  件)   —————————————
  2. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それではこれから委員会を開きます。皆さん休会中わざわざおいで願いまして誠に恐縮でありまして、実は御案内の通り人事院から先月の九日に給與ース改訂について国会勧告なつております。尚意見書も出ておりますので、この機会に懸案なつておりまするベース改訂のことに関して当面政府が、これも御承知通り予算の編成も段々進んで参つておるような事情もありますので、この場合国会といたしましてもいろいろ調査をして置く必要があると考えまして、それでお集りを願つた次第でありますが、委員会の運営については大体給與の問題に関する技術的な面を先ず調査をいたしまして次に政治的な問題、財政上の問題というようなことを調査して委員会結論が何らかの形で出まするならば、更に進んで委員会としての結論を実行に移すためのいろいろな方法を講じなければならんとかように考えております。先ず只今申上げたように人事院勧告が契機でありますので、人事院から本日人事官の御出席を求めておりましたところ、人事官がまだお見えなつておらないで給與局長見えております。給與局長についていろいろ御質問をお願いし、更に国鉄からは片岡職員局長見えております。運輸省からは星野労政課長見えております。本日出席を求めておつたのは、大蔵省関係では主計局長見えることになつております。政府関係では午後に官房長官見えることになつております。以上でございますから適当に一つ質問を願いたいと思います。
  3. 川島孝彦

    專門員川島孝彦君) 閉会になりましてから今までの間に起りました主なる問題につきまして申上げます。先ず給與問題に関しましては、先程委員長が申されましたように八月九日に給與水準改訂に関する人事院勧告国会内閣に提出されました。八千五十八円べースにするという案でありますが、これは各委員のお手許に私の方からその書類を差上げたわけでございます。それから八月十四日、月曜日には池田大蔵大臣が談話を発表されまして、この給與問題に関しまして記者団に対して、給與を千円程度引上げて来年の一月から実施したいというような意向を表明せられました。それから九月九日の土曜日には、これは給與水準改訂に関する勧告のときに附加えてありましたが、現在の一般職職員給與に関する法律の一部改正案法律文として後に意見を提出するということが書いてありましたが、九月九日に人事院から意見申出内閣及び国会に対してありました。第二の問題といたしましては、寒冷地手当石炭手当に関する問題でありますが、これは八月十七日に寒冷地手当支給地域の一部改訂に関する勧告内閣人事院から提出されたのでありますが、八月二十八日、月曜日に寒冷地手当及び石炭手当支給に関する総理府令が公布されました。これは去年公布されました総理府令全部改正形式で出されております。  それからその他の問題で、当委員会関係がありますものといたしましては、八月四日にGHQの公務員制度課長でありますフーヴァー氏が御郷里で逝去されました。これに対しまして木下委員長から八月六日にフーヴァー夫人に対して弔電を出されました。八月五日には前々から懸案なつておりました飯山水産庁長官不当処分の審査の結果が発表されまして、水産庁長官免職処分取消という判定を見たのであります。八月十日には警察予備隊令が公布されまして、これは直接には関係ございませんが、警察予備隊公務員はすべて特別職にするという点で、国家公務員法一つの特例をなしております。八月二十日前後から公務員の赤の追放が問題となりまして新聞紙を賑わしております。  それからこれは当委員会の方へ緊急陳情書という形式で出された陳情でありますが、全逓信従業員組合永岡光治君から公務員給與に関する陳情が出ております。簡單でございますからちよつと読み上げますと、「緊急陳情書公務員生活は六・三ベース実施以来約一年八ヶ月の長きに亘り、低賃金のまま放置され、この間二回に亘る人事院勧告はその引上げ勧告したが、遂に実施に至らず、最近における物価の値上り及び地方税徴收等より全く崩壊寸前にある。従つてこの窮状打開のため、左記俸給支給日変更による繰上げ支給陳情する。一、現行八日、二十三百を一日、十五日。二、実施期日十月一日より。全逓信従業員組合永岡光治参議院人事委員会委員長殿。」こういう陳情が出ております。  それからその外に委員会といたしまして、現地調査議員派遣がございましたが、第一班は北海道へ向けまして八月十四日から十日間、千葉委員重盛委員が御出張になりました。第二班は青森県につきまして石炭手当寒冷地手当に準ずる手当支給されたいという陳情に関する調査でありまして木下委員長が六日間行かれました。第三班は四国に向けまして林野庁の山林労務者状況調査でありまして八月十二日から八日間、加藤委員吉田委員が出張されました。以上であります。
  4. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 只今の報告に何か御質問がありませんか。ありませんければ先程のプランに基いて御質問を願いたいと思います。尚只今大蔵省主計局長見える筈でありましたが、よんどころない事情のため、給與課長の磯田君が見えております。
  5. 千葉信

    千葉信君 人事官にお尋ねしたいと思うのですが、あいにくお見えなつておりませんので、瀧本給與局長にお尋ねしたいと思います。問題の性質答弁される立場が少々困難ではないかと思いますが、人事官がお見えになるまでお尋ねすることといたします。  今度の八月十日に出されました給與ベース勧告に関連して、九月の九日に更に給與ベース勧告に伴う法律の一部改正に関する意見というものが人事院から内閣並びに国会の方に提出されておるようですが、この問題に関して、新聞の報道によりますると、淺井総裁官房長官を訪問されていろいろと更に意見を敷衍されておるようでございますが、一体それと同時に衆参両院の議長に対して、特に国会に対して同様な措置をとられたかどうか。これをお尋ねいたしまする原因といいまするのは、御承知のように昨年の七千八百七十七円ベース勧告が非常に困難な状態に陥つた一番大きな原因としては、二月の三日に政府から発表されました給與白書の、いわゆる給與白書と呼ばれているものの、非常に一方的な、独断的な意見というものが、相当国内の輿論を支配したり、或いは特に国会における給與問題の論議が非常に低調だつたということの大きな原因としては、こういう政府の一方的な意見というものが、非常に簡單国会議員諸君の中に鵜呑みにされていたという状態が非常に多かつた、そういう情勢のために、昨年の勧告が実現しなかつたということも、私は一つ原因であろうと考えているわけですが、そういう状態から勘案して見て、今度の勧告を是が非でも実現させるということのためには、どうしてもこれは国民一般のこの問題に対する正しい認識と、同時に国会議員諸君のこの問題に対する正確な認識ということが非常に大きな要因となるのではないか。そういう点から、私は人事院立場からこの法律改正意見というものもどの程度具体的に国会の方に申出られたか、或いは又どういう程度の方策を今日この問題に対してお持ちになつておられるか。その点についてあらかじめ承わつておきたいと思います。
  6. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 人事官がお見えになつたのでありますが、ちよつと前のお話を私が聽いております関係上、この問題につきまして私の答えられる限りのことにつきましてお答えいたします。  九月九日に淺井総裁佐藤事務総長と一緒に官房長官を訪ねられましてそして確かに法律案改正につきましての意見申出をされました。それと同時に私は衆議院並び参議院事務総長をお訪ねいたしまして公文書をお渡ししたわけであります。尤も両院とも丁度その時刻に事務総長がお見えになりませんでした。更に重ねまして私は両院人事委員会の方に参りまして御説明申上げました。この人事委員会の方におきましても、委員長はどちらもお見えになりませんで、專門員の方がお見えになりました。参議院の方は專門員の方に御説明申上げ、尚今後人事院といたしましては、国会におきまして十分この趣旨を御説明申上げることになつておるというふうに御承知願いたいと思います。
  7. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁で了承いたしました。結局この問題の正しい解決ということも今年、第七国会における給與問題の審議の経験から考えましても、どうしても今度の問題については人事院でもう少し積極性を持つて貰わなければならない。殊に先程申上げたように政府の発表した給與白書も独善という傾向が非常に強いということは言えましても、人事院立場としてはこれに対して真正面から反対の声明をしたり、或いは資料を発表することができないということが、当時人事院立場として申述べられたようでありますが、そういうように政府に対して人事院が正面から自分の意見を言えないという形にあるという以上、尚我々としては人事院立場としては衆参両院に対してその資料が要求される、されないの如何に拘わらず、問題審議一つの素材としても人事院の主張というものを明確にこの際持出して頂きたいということを私は人事院に希望せざるを得ないのでございますが、結局人事院の従来の考え方というものは、勧告をすればもうそれで足りるんだというふうな消極的な態度というものが非常に濃厚だつた。そういう点が私は十分指摘されるべき点ではないかと思うのです。従つて給與局長からお話がありましたように、人事院としても或る程度これに対する資料を用意されておるようでございますから、できればこの際一応今日出席委員諸君の御参考のためにも、大要について給與局長から法律改正に関する意見を更に敷衍してお話を承わりたいと思います。
  8. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) それでは法律改年につきまして大要を御説明申上げ、併せて今度の勧告趣旨というようなものを簡單に御説明申上げたいと思います。人事院といたしましては今回人手五十八円という勧告をいたしたわけであります。勿論我々は八千五十八円という数字そのものにそれ程囚われているわけではございません。八千五十八円というのは今度の勧告の符牒であるという程度考えております。と言いますのは、以前二千六百円べースというような場合におきましては二千六百円というような数字が初めから決まります。それに公務員の数を乗じて総枠を考え、その総枠の中で如何に配分するかということが考えられるのでございますが、人事院勧告いたしておりますのはそういう方式ではございませんで、最低生活費が幾らかかるかということを研究いたし、又俸給というようなものは如何に定めたらいいかというようなことを研究し、又扶養手当は現在どの程度が適当であるかというそういう基準を定める。又地域給につきましても同様な研究をいたしまして、そうして個々に給與体系基準というものを決める。即ち俸給表扶養手当寒冷地手当地域給支給基準というものを決めるのでございますが、それでもういいのでございますが、それでは勧告内容を一々説明しなければなかなか分りにくいという点もございますので、従前の例に倣いまして、若しそういうような支給基準を適用いたしましたならば、それが一体公務員一人当りについてはどのくらいの額になつておるかということを参考のために算出いたしました。その算出いたしました額が八千五十八円ということになつておるわけであります。全然これは意味が違うということをよく御了承願わなければならんと思います。それでそういうわけでありますけれども、この表というものはやはり試表であります限り勧告内容というものにつきまして或る程度の性格を示しておるわけであります。で、私はその内容について極く簡單に御説明申上げますると、今回の勧告におきまして今のようにして計算いたして見ますると、一人当り八千五十八円ということになつておりまするが、これを仮にその八千五十八円を構成いたしておりまする比率を、内容に分けまして比率を申上げて見ますると、俸給というものはそのうち六千二百九十六円、こういうことになるのであります。これは全体の七七・五%ということになります。扶養手当が八百三十円、これが全体の一〇・三%、勤務地手当が七百二十四円、八・九%、特殊勤務手当が三百四円、三・三%、こういう数字なつております。これを例えば六千三百円ベース内容と比較いたして見ますると、ここにどういう変化があるかと申しますと、例えば俸給は六千三百七円ベースのときは全体の七五%、それが今回七七・五%に殖えております。このことはどういうことかと申しますと、大体給與というものは多くの細々いたしました手当が濫設されるということはよくないので、成るべくデユーテイ・アンド・レスポンシビリテイというものに基きまして決められまする俸給というものの部分が拡大して行く、そうして給與体系が單一化されて行くということが望ましいのであります。併しそれはどうやればできるというわけではない、やはり実質賃金の回復の段階に応じましてできることであります。又現在の状況においては七七・五%というところに決めるのが適当であろうということになつて、これを俸給部門を拡大するというような努力を試みたわけであります。  次に扶養手当でございますが、今回は支給基準を変えておりません。併し全体が殖えましたので、従いまして扶養手当の全体の占める割合が減つておるわけであります。勤務地手当につきましては六千三百七円のときには地域給が三割、二割、一割ということになつておりましたが、今回は非常に慎重な研究を以ちましてこれを二割五分にいたすのが適当であろうという結論を得ましたので、そのために地域給の幅が狭まつたのは当然であります。これが将来は地域給扶養手当というものが漸減いたしまして、俸給部門が殖えて行くということは当然であります。我々は現在の段階においては三割五分が適当であるという結論に達しましたので、それで特殊勤務手当については将来このようにいたしたいということであります。特殊勤務手当につきましてはちよつと例外になつておりまして六千三百七円のときから特殊勤務手当の実際の支給状況というものがよく分らなかつたのであります。このことは甚だ遺憾のことでありますけれども、そういう実情でございます。で、特殊勤務手当というものはこれは本俸に繰り入れるという観念が強かつたので、それで六千三百七円ベースというものにつきましては極度に圧縮しようという考えが試みられておつたのであります。併し実情はなかなかよく研究して見ますると、それをすぐ俸給の中に繰入れられるという性質のものでもございません。それで現在支給されておりまする特殊勤務手当の中から二割程度本俸へ入れるのだ、併し全体を今すぐ一挙に入れるということはいたしませんで、現実にあるものはこれを残して行こう、差当りのところ、こういうことになつております。只今申上げましたことがこの八千五十八円の大要でございますが、更にカロリーについて申しますると、マーケット・バスケットを構成いたしておりまする基礎なつておりますカロリーについても又六千三百円の場合におきましては、成年独身男子が二千二百カロリーということであつたのであります。ついでに参考でございますが、七千八百七十七円の場合には二千三百八十五カロリーという数字なつております。今回の八千五十八円のときには二千三百十一カロリーと、こういうことになつておりますが、この生活内容というものは漸を追いまして充実しつつある、こういうことが申し得るのであります。従いましてこの八千五十八円の構成の基礎におきましては、我々は六千三百七円、或いは七千八百七十七円の場合よりも尚生活内容が充実しておるのである。このことは十分認めて頂かなければならないというふうに考えます。尚この二千三百十一カロリーに相当いたします金額というものが今回は三千三百四十円という数字なつておるのであります。これは昨年の七月に比べまして、本年の六月は物価が下つておるという事情があるのでございまして、カロリーは充実しておりまするけれども、その値段は例えば七千八百七十七円の場合の二千二百八十五カロリーを確保いたしますために必要であつた三千六百六円に比べますとこれは低いのであります。三千三百四十円でありますから……。併しながらその内容は確保されている。どうしてそういうことになつておるかというと、これはその間にこういう消費財についての相当の値下りがあつたということになつております。ちなみに我々はこの計算をいたしましたときにすでに六月の資料を持つでおりました。併し年間季節変動というようなものをいろいろ研究して見ますると、六月の数字を使うより五月の数字を使う方が適当であるというような結論に到達いたしておりますので五月の数字使つた、こういうことになつております。極く大ざつぱに申上げますると今回の勧告内容はそういうことになつておる。でこれを九月九日に更に意見申出をいたしました法律案に、これがまあ最後の締括りになるわけでございますからそれについて申します。どういう点が変つておるかと申しますと、俸給表が変ることは勿論であります。そうして勤務地手当割合が従来の三割、二割、一割、零ということから二五%以下五段階、五%刻みになつておるという点が大きく違つておる。尚勤務地手当支給地域区分につきましては只今すぐに我々その別表を発表いたさなかつたのであります。これはいずれ正式に国会が開かれます際に、そういうものを提出いたしたいというふうに考えております。それから今回のこれは勧告の際にも申出たところでありますが、今回の法律案改正についての意見申出ではつきり明記いたしました点は、いわゆる頭打或いは枠外者、こういう者につきまして従来は昇級が不可能である。これを長期間良好な成績勤務いたした者、そういう者に限りまして各俸給表における今日の俸給最高額から尚三つ上位号俸まで人事院の定めるところによりまして昇給ができるという規定を設けました。こういうことによりまして現在の頭打の大半は救われるというつもりでおります。荷我々は今後一年或いは一年半の後に給與準則というものを作成いたしまして、国会並びに内閣に提出する予定でおります。従いまして現在意見申出をいたしました法律案が有効である期間というものは大約今から一年乃至一年半というふうにお考え願いますれば、こういうふうな規定によりまして今の頭打枠外者というものが救われまして、給與準則に移ります際に尚根本的な問題は解決して行きたいと、こういうふうに考えております。超過勤務手当につきまして従来は実働一日八時間以上になりませんと超過勤務手当というものが支給されなかつた従つて日曜日の勤務等につきましてはこれは百分の百というものしか支給されなかつたのでありますけれども、今回は日曜日の勤務並びに所定就業時間を超えまする勤務につきましては超過勤務手当支給するというように改正いたしたのであります。それから一番大きな点といたしまして年末給というものを制定いたしました。この年末給というものは毎年十二月に支給する。そうしてこれは俸給扶養手当及び勤務地手当というものから構成される、即ち毎月の給與をもう一遍年末にやる、こういう考え方であります。でこの中には成績を考慮して額を調整するというような考え方が含まれておりません。年末給というのは、これは飽くまで年末給與法律の上で確定されたものでなくてはならない、又このために特に予算が取られたものでなくてはならない。年間予算の余りをこれに充当するというような性質のものではないのであります。又組合の方から要求があつて、それではというので話をつけて出すというようなものでもない。ただ従来の我が国状況を見ておりますると年末の出費というものが確かに要る。これはもう方針といたしまして年末ボーナスというようなものは認めないのだということになつておるのにも拘わらず実情におきましては毎年出ておるのであります。そういう支給の形態というものが我が国賃金水準においては是非必要であるという実情なのであります。そういう事実に即応いたしまするためにこういうものを置こう、こういう意思であります。飽くまで法律でこれを確定して確定された給與体系の一部分として支給しよう、こういうことになつております。  只今まで申上げました点が今回の法律改正の主な点でございます。その他小さい改正等はございまするが、その点は省略さして頂きます。
  9. 千葉信

    千葉信君 大体了解いたしましたけれども、今度の勧告について私共が不満を表明せざるを得ない点が二点あるわけであります。只今の御説明によりますると、前の七千八百七十七円ベースのときのカロリー計算は二千二百八十五、今度は二千三百十一と、こういうふうに言つておられます。そうして今度の勧告の場合においてはいろいろの物価調査によつて或る程度値下りがあるから十分今度の俸給表によつて最低生活が確保されるというふうなお話でございましたが、私はこの点について聊か所見を異にせざるを得ない。御承知のように公務員諸君の場合におきましては一般エンゲル係数と比較すると食糧の指数が非常に大きくて、一般の場合には五〇%でありながら、賃金水準の低い公務員の場合には六〇%をオーバーしておる。こういう状態と更に本年の一月に主食の配給価格が一〇%程度引上げられているというこういう事実から言いましても、私は只今意見に俄かに承服し得ない点がある。特に問題としなければならないのは、今度の勧告によるところの別表第一の一般俸給表の場合におきまして、各級における一号の俸給を比較いたして見ますると、一級から五級までの一号俸の場合にはおおむね七千八百七十七円ベース俸給金額よりも少くなつておる。例えば一級一号の場合には前の勧告では三千四百三十五円であつたものが、今度は三千百六十円、二級の場合には三千六百六円であつたものが三千三百四十円、それから三級が二千九百九十七円であつたものが三千七百四十円、同様に四級も五級も減つて来ておる。そうして六級以上の場合にだけ殖えておるという状態でございますが、一体こういうふうに公務員の中の最大多数を占める下級従業員俸給を切下げて勧告したということは一体どういう考えに基くものであるか、この点について御答弁をお願いしたい。それからもう一つは、地域給支給区分別表を今度は法律附則として勧告されておるようでございますが、この点につきましては前に職階法法律制定に当つて、できるだけ人事院が実際の実権を握るというような形において、例えば職種分類であるとか、職級明細書というようなものを法律から取り除いて人事院一つの行政の中に問題を取運ぶというような形に考えておつた人事院態度から言うと、この地域給支給区分というものを、国会審議するという形において法律附則に持つて行つたということは一つの大きな進歩であろうと、私は考えておるわけなんですが、併しそれならそれで人事院としては、なぜこの勧告と同時に地域給の方の支給区分別表を発表しなかつたか。只今お話によりますと、国会が開かれる直前に切めてこの別表を発表したいとこういう御答弁でございましたが、最も民主的な状態において論議されるためには、あらかじめこういう別表のようなものは当然国民の前に公にして、そうして国会の民主的な結論、民主的な論議を期待するという形の方が望ましいのではないかと、私はこういうふうに考えておるのですが、これに対する人事院のお考えを承わつておきたいと思います。
  10. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 先程私はベースというものがこの人事院勧告いたしまする際には、従前のものと意味が違うということを申上げたのであります。即ち我々はこの八千五十八円或いは七千八百七十七円の枠の中で下の方を下げまして上に持つて行つたというわけでは決してないのでありまして、これは本年の五月の実情に基きまして、マーケット・バスケットを計算いたしますと、こういうふうな下つた数字になるのであります。これは止むを得ないところではないかと考えております。従いまして、下の方を創つて上の方を高くしたというのでは決してないのであります。その点は御了承願いたいというふうに考えるのであります。尚地域給につきましては現在我々が作業を進めております。この国会が開催されましたときに、この別表勧告いたしたいと考えておるのでありますが、現在我々作業いたしておりまして、尚一層合理的なものにいたしたい。このように考えて作業を続けておるのでありまして、これがまあ私は大体特別地域ベースというようなもの、或いは府県から答申されておる資料に基いて偉業をいたしておりますけれども、実際問題といたしましてはなかなか細かい点等について分らん点も多いのであります。そういう点について鋭意作業を続けておりまするから、これが実際の作業の現状から言いましても、そのようになるのではないかと考えておるのであります。
  11. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁によりますと、一級乃至五級における今度の俸給表のこの減額という問題は、マーケツト・バスケットによつて、大体これでも可能だというお考えで以て出されたということでございますが、併し一方におきましては、六級から十五級まで、特に十五級のごときは第四号において三万二千四百円になつておる。こういう状態は、一体人事院の今度の勧告に対する考え方として、この勧告した賃金水準というものを生活給という形において考えて、一級から五級まではこれはマーケット・バスケットによつて生活が可能だ、こういう考えで一方は減額しておきながら、一方は能率給の形において……恐らくそう答弁されるだろうと思いますが、能率給という形において非常に金額が増嵩しておる。一体人事院の今度の勧告人事院が提出されたいろいろな資料を検討して見ましても、民間の給與水準に比べるとまだこの勧告でも非常に低い水準だ。恐らくはこれは今度の八千五十八円の勧告というのは、正しく科学的な基礎によつて結論付けられた金額ではなくて、むしろその科学的に検討して結論付けられた金額に対して、数字的な考慮を加えた金額が八千五十八円というふうに私共は見通さざるを得ない。こういう点から言いますと、人事院自体が民間の給與水準から遥かに低いこの給與水準勧告しておる。而もそれが一方においては生活給の考え方で以て減額しながら、一方で以て能率給という形において殖やして行く。実際の全体の八千五十八円の給與水準というものが今の状態においてはまだまだこれくらいのベースでは決して能率給という状態をそれ程大きく加味すべき性質のものではない。やはり根本にはこの総体のベース生活給であるというふうな水準が依然として取られておる。そういう状態の中で、下級吏員に対するこの俸給表の減額ということは相当大きな問題を胚むものではないかと思うが、これに対して給與局長の御答弁をお願いしたい。
  12. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 人事院資料を民間給與或いは消費者価格調査というようなものに基きましてその数字を検討いたしまして、そうして作つておるのでありまして、我々はやはりやり方は非常に科学的であるというふうに考えております。民間の例えば一級一号に相当いたしまするような職務並びに十四級の六号というようなものに相当いたしまする給與というものを比較いたして見ますると、上の方程これは開いております。その十四級六号というようなところの理想といたしまする民間の職務の給與の幅というものは相当広いのであります。下の方は狭いということはあります。併しながらその平均値或いは中位数というようなものを取つて見ますると、これはやはり一つの傾向がある。そういうふうにして見ますると、この民間給與においては一号乃至七十号というものの幅が大体におきまして七・二倍ぐらいになつております。で、こういうことはやはり一つの傾向ではないかというふうに我々捉えております。で、六三べースのときには、それでは一体この幅がどういうふうになつておつたかと申しますると、これは約七倍になつております。で、七八ベースのときにこれを五・九倍といたしたわけであります。五・九倍といたしましたが、七八ベースの折には、我々比較的上級官職につきまして調査が手薄であつたのであります。従いましてそういうところの資料を十分使えなかつたという実情があるのであります。今回の調査におきましては、そういう点を特に入念に調査いたしまして、十四級六号あたりに相当いたします民間給與状況を非常によく調査いたしておるのであります。従いましてそういう資料に基きまして、我々は大体中位数というあたりを取りましてこれを用いたのでありまして、これはやはり資料に忠実にやつたものであるというふうに我々は考えるのであります。
  13. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 賃金に対してその他御質問ございませんか。
  14. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 総裁は来るのですか。
  15. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 総裁は見えないのですけれども、人事官の上野さんが見えております。
  16. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 総裁は今日は来ないのですか。
  17. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 今日は来ません。
  18. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 地域給の二五%が適当であるという根拠を少し御説明願いたい。
  19. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) それでは御説明を申し上げますが、八月九日の勧告の際に説明資料というものを差上げてあるのです。それは御覧置き願つておるだろうと思いますが、お手許にございましたらちよつとお開きを願いたい。この中の七十六頁、七十八頁あたりを御覧願つたら早いと思います。七八ベースのときには我々地域給二割というふうに勧告いたしたのであります。これは消費者価格調査の結果に基きまして、CPI、消費者価格指数というようなものを検討して見ますると、大体この地域給の付かない地域と、地域給の付いておりまする、最高の地域給のついております東京というような地域と比較いたして見ますると、その差というものは漸次減少して来たということはある。そしてその差が大体二割程度に落ち着いたということがある。従いましてそういう角度から七八ベースのときには地域給の差を二割にするのが適当であろうという結論に達したのであります。併しながらその後の検討におきましてこれは二割にするのは余りに狭過ぎるということが出たのであります。と申しまするのは我々が地域給考える根本は生活程度に差がある。生活費に差がある、即ち生活における苦痛に差がある。そういう点を問題にしなければならない。この点は物価差ということだけに着目してそういうことを考えて行くべきであるかどうかということが再検討されたのであります。その結果我々はそうではない、やはり価格が高いというような地域においては総体的に使用する物量並びに労役も多いということが明らかになつたのであります。これを具体的に申して見ますると例えば東京都というような大都市におきましては、これは住宅が実際上柳底しておりますが、そのために多くの公務員の人人は大体一時間半くらい通勤にかかるというような所に居住しておられる。そうするとこれはどうしても交通機関を利用せざるを得ない。その交通機関というものを利用すると交通費というものがかかる。交通機関を利用することは絶対的に必要なことであります。ところで一例を交通費にとつて見るのでありますけれども、そういうふうに都会においてはどうしても必要であるという支出の量が多い。これが田舎においてはそういうことがない。そういう点におきまして消費量並びに労役においてどうしても都会地においては量が多いということが結論付けられたのであります。その詳しいことにつきましてはそこの七十七頁に我々が結論付けました理由を書いておりますが、このことはちよつと面倒になりますから省略いたしまするが、そういうふうにいたしまして、この地域給の差というものは物価指数だけでなしに、これはやはり物量というものを或る程度これに加味して考えるのが適当ではないかというようなことで、そうなればその物価差、使用量の差というものをどの程度に見たらよいかという点を研究した結果大体五%に見たらよい。即ち全体といたしまして二五%程度差を付けるのが適当であるという結論に達したのであります。尚物価指数だけについて申しますと七十八頁に図がございますが、それをちよつと御覧願いたい。そういたしますとこの下に書いてありますのが東京を百とした場合の地域差指数ということになつております。そうして縦の欄がこれが都市の価格であります。これで以で見ますると大体東京というものが右の端にあるのでありますが、八十四乃至八十六というのが大体真中辺になつておる。こういうところが一番多い。即ち八十五という数で百を割つて見まするとこれが一・二になりますか、こういう地域の分布がありまする際に、地域給をどこまで付けたらよいかという問題になります。全体に地域給を付けるということは意味がない。それでは一体どの辺まで地域給を付けたらよいかということになりますと、先ず大体この分布においては真中くらいの地域給が妥当である。又外から考えましてもそういう考えが出て来るのでありますが、そういうことがこの図から地域差指数だけから見るならば地域給の差は二割程度でよいという結論が出る。その前頁にありますような結果から五%程度やはり物量という面を見なければならないのじやないかというようなことから、地域差というものを現在においては二五%程度にするのが適当であるたいう結論に達した次第であります。
  20. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 それで地域給はさつき一番初め承わりましたが、どこは幾らにするかということははつきりされなかつた。これは結局今度のベースの中に含まれておる地域給の総トータルの中でどこがどういうふうになるか。例えば東京が今まで三であつたのが二・五になつた、こういうふうに減つた分が北海道に出るか、愛知に行つて殖えるか知らんが、そういうトータルは変りがない。予算地域給の中で二・五にしたり、今まで例えば零であつたところでも今あなたが言うように物価差だけでやるのでなくて物量を考えて深く突つ込んで行けば、風速や気温などを考えて一番適当なところに行くべきだね、完備する必要もあるということになりますね。地域給を決める基本として、そういう場合に予算の上でも若干あなたの関係とは違うが、その面で地域給という給與を取つたから、総トータルの中で凸凹を直すというだけでは意味がないと思うのですね。
  21. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 総トータルの中でと言いましても、一番初めに申しましたのは、大体八千五十八円の中で大体のことを申上げれば、地域給に相当する部分が八・九%に相当しているということを申上げたのでありまして、併しこれはそれだけ予算が取つてあるということを申上げたのではない。併しながら来年度の予算を組む関係もありまするので、そういう点が十分分つていなければならんというので、我々は大体の目安をつけております。そうしてそういうものはこの予算を組む都合上我々が必要である場合にはいつでも使用し得る状態にしてあります。併しながら細かい点に至れば研究の結果上げ下げするのが適当であるという場合にはそういうことを操作するのであります。この点は初めから予算がどれだけしかないから、こつちが上がればこつちを引下げるというわけではないと理解しております。尚今度二割五分にするということはどういうことかというと、総体的にはあらゆるところに地域給はついていなかつた地域給がついていなかつた地域と従来の地域給がついている地域というものが、随分でたらめであつたと言えば言い過ぎになるかも知れませんが、適切でなかつた従つて今回修正が行われなければならないと考えるのでありますが、今後地域給の付かない地域というものは従来の考え方からするならば、すでに五%の地域給が付いているというふうにも考えられるのであります。それから又先程お話にございました風速でありますとか気温の程度でありますとかというようなところにつきましては、これはむしろ寒冷地給或いは石炭手当というようなものを考えます場合にはそれは必要であろう。我々がこの問題を地域給に限つて取扱います場合には、これはやはり生活費の差ということのみに着目いたしまして考えて行くのが適当であると考えます。これは一つの決つた枠の中で操作するというような厳格なものではない。大体の目安をつけておりまして、そうして我々は作業を進めて行けばよい。現在全部の作業は完了しておらないという状態であります。
  22. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 この問題はやはり予算関係して来るわけですね。
  23. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 勿論そうです。
  24. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そういうときに従来地域給のなかつたところに当然一割なり二割の地域給を付けなければならないという問題は当然考えられますね。
  25. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) そういうところもあります。
  26. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 大体そういうことになりますね。ただ表面的にこれが理想的だというような考えでなしに、全般的の予算のトータルの中で辻褄を合わせるということは一つも進歩していないということなんです。委員長、これに局長だけでいいかどうか、さつき僕が総裁が出て来ないかということを聞いたのも基本的な問題になろうと思うが、この給與ベースの八千五十八円を出した考え方と、これに対するまだ不満だという言い方はあろうと思うが、これを出したときの本当の考え方に前との関連が相当あるだろうと思う。前の議会の開会中に八千五十八円を出したとすれば、一応理屈があるだろうと思う。どうあろうとも……。あの当時には予算が取れないということを口実にして当初の議会において当然給與ベースを出すのを、後になつ予算が取れないから出せないのだということを言つておられたのですね。淺井さんも山下さんも……。たまたま今日は上野さんが代つて来たから、こういう点の基本的な問題なんだが、八千五十八円なんかは先程から言うように今日の経済状態から見れば極めて少いものであるが、これならば当然予算が取れて、政府も実行して呉れるだろう。議会は勿論賛意を表するだろうという確信の下にやられたものであるかどうか。
  27. 上野陽一

    説明員(上野陽一君) 勧告はいつしなければならないということはありませんので、国会開会中でも、或いは国会開会中でなくても、私共が一番適当であると認めるいわゆる潮時を見て出すのが一番有効であるという大きな原則の下に提出の機会を決めるわけであります。これは一般論でありますが、先だつての場合はこういう場合であります。それは私共もできれば国会開会中に勧告しなければならん、こう考え薫りまして、いろいろ関係方面とも折衝いたしたのでありまするが、その結果国会開会中には出さない方がいい、こういう結論に達しました。それはこの国会には絶対に補正予算は出すことになつていないということが明らかになりましたので、そういう情勢のときに勧告をするよりも、もつと適当な潮時を見て勧告する方がよくないか、同時にそれが関係方面との申合せとも一致することになるから、こういうわけで延したわけであります。御了承願います。
  28. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 いやそういうことになるから、淺井さんや山下さんが一緒にいるところで答弁を願いたいということはそこにあるわけで、上野さんの考えておるごとく人事院がえらい使命を果しておらん。言い換えるならばこの前の国鉄の裁定、それから七八ベース勧告のときに、それの実施ができなかつたというとき以来、人事院の存在価値というものが疑われるところまで追込まれた。更に八千五十八円なんというものは人事院が本当にやつて貰えるのだという確信の上に立つてつたかどうか。従来と同じように適当な時期というようなことを考えているならば、最も風当りの少いときに、議会が直ぐ開けないときにゼスチユア的に勧告を出してやるのじやなしに、本当に給與引上げてやろうというのならば、もう少し基本的なものから決めてかからなければ、幾ら人事委員会で議論しても無意味です。この前やつたようなことを繰返しても……。そこでお聽きしなければならんのは、補正予算を出されないからやらなかつたというのならば、あのときには吉田首相も大蔵大臣も全部が給與の引上をやると見栄を切つた人事院総裁は早速勧告をやるのだという。ところが関係方面のサゼスシヨンか何か知らんが、いずれにしても出せなくなつた。今度は議会が済んだら直ぐ出す。併し出すときはこの程度の補正予算なら組んでもいいという政治折衝をやつて、それで出すのかということを考える。従つて八千五十八円ベース、このいい惡いは別として、そこまでは当然直ちに引上げて呉れ。そうしてあとの問題にかかつて来る段階に来ているのじやないかと思います。そういうふうに皆が考えているのに、そこで淺井さんや、山下さんや、或いは大蔵大臣や、この前公約した人達にも話をして基本的な問題に遡つて、あなた方の今までの考え方では人事院の存在価値がなくなつているから、もう少し飛躍して本当に人事院ができたときの元の姿に引返して再出発しようじやないかという、ところがこれに対しては相当責任を持つてやられるのか、一切勧告しつ放しで人事院は使命を終りましたというのではなく、本当にこの実現にどれだけ肚があるのかということを聽いて置きたい。
  29. 上野陽一

    説明員(上野陽一君) 御尤もなお尋ねでありますが、人事院といたしましては法的に勧告をするということが義務付けられておるのでありまして、その義務を果すということと、それから実際に給與勧告が実現するということとは別物でありまして、勧告というと何となく非常に力が輝く、勧告したものは実行の上に実現されなければ、勧告しただけでは駄目じやないかという……。
  30. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そういう説明だから……、そういう説明は今までも聞いたのです。聞いたのだけれども、そういうことならなぜこの前の国会の前に人事院の見た姿で当然ベース改訂しますと言つてあのときなぜしなかつたか。ところがあのときは補正予算は許されず、予算との睨合せがあるから出せない。出せる段階なつて今度は出したということになるのだから、従来の人事院の義務的な域を脱出して、政治的にも可なりく事院が動いて来るところまであのときの約束から言えば来ておると思うのです。従つて八千五十八円というものを出すからにはこれに対する裏付けは相当確信があつて出された筈だと思うのです。
  31. 上野陽一

    説明員(上野陽一君) それは人事院としては予算のことは、一切考えることはできないのであります。ただ公務員としては最小限度せめてこれだけはなければならんから、政府及び国会においてもどうぞお考えを願いますという資料を提供するだけが人事院の正面の仕事になつておるのでありまして、勧告したものは実現しなければ勧告したのに役に立たんじやないかというお叱りはちよつと頂きかねるのであります。
  32. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そういう感覚だから、失礼だけれども上野さんや山下さんは淺井さんに一遍代つて貰おうじやないかということを、我々は甚だ失礼な言分だけれども、そのときどきのその場あたりの考え方で、人事院というか、人事院の最高主脳部の立場だけを擁護する答弁をやつておるのでは、官公吏の給與一つも引上がらない、日本の産業の再建はできないのです。そういうあなたのような考えならば、この前のとき一遍ぐらい来て答弁をして、議会の直前に勧告を出さなかつたのか。そのときを済ましちやつて、議会が十月始まるか十一月始まるか分らない、自由党の偉らい人達も大分いるようだけれども、いつ始めるか、私達は一日も早く開いて貰いたいが、吉田さんは箱根にいて相当押詰まらなければ臨時議会もやらないような状態のときに、こういう勧告を出した。そうして予算関係ない。予算関係なければこの前のとき出せたのです。予算に制約されておるというので延ばしておるのだ。その後これを出したのだから、今度はお前達の出す程度は何とかしてやろうということの見通しの上で出したのだろうと思う。
  33. 上野陽一

    説明員(上野陽一君) これは先程の私の言葉が徹底していなかつたと思うのですが、予算というのは給與引上げに必要な予算的措置という意味ではなくして、あの臨時国会の場合には補正予算は出さないということになつておるからというわけで、それでは出しても同じことだから尚一層適当なタイムを見ようじやないか、逆に言いますとあのとき出せば引止がる筈なのに、世さなかつたからベースが上らなかつたという責任は私はないと思う。恐らくあのときに出しましても決して給與ベースは上つていない。だから結果においては何ら実害がなかつたということになるのじやないかと思います。
  34. 千葉信

    千葉信君 今重盛委員質問に対する御答弁の中で到底私は默つて聞いておれないような、頂けないような御答弁が可なりございましたので、浅井総裁が前に委員会においでになつたり、山下人事官の御答弁の際にも、国家公務員法の第二十八條の勧告云々の問題については、今答弁された点とはいささか食違つていて、勧告なんかはこれはもうしつ放しのものでいいんだとか、或いは又自分達が勧告した以上、それでもう責任がないのだという形で、それに対する実現の責任云々については、これは国会なり政府でやればよろしいんであつて、それ以上のことについては私共は頂けないというふうな上野人事官の御答弁でございましたが、この点については私は国家公務員法第二十八條そのものに対する考え方が非常に間違つておるということ、更に又国家公務員法改正の経過から考えても、それから又第三條にあるところの国家公務員法を擁護する人事官立場というもの、結局国家公務員法を擁護するということは、この国家公務員法に約束されている公務員諸君の利益を擁護する役割というものが人事官に負荷せられておる。そういう立場から言つて只今の上野さんの御答弁は、これこそ頂けない答弁だと思つておりますが、併しこれは今ここで蒸し返して見ても、結局我々が最後に腹をたてて大きな声をたてて終ることでありますから、私はこれ以上この問題に触れるつもりはございませんが、ただそういう問題を拔きにして今度のこの勧告の中で人事院が年末給の問題を取上げたということは、これは今までの人事院のやり方から言うと、一つのヒットだというふうに、しよつちゆう非難ばかりしておるので、この点だけは率直にお褒め申したいと思います。ただ先程瀧本さんのこの問題に対するいろいろな御説明なり何なりは、従来年末にはいつでも法律があるなしに拘わらず、どうしても年末給を支給しなければならないというような実情があつたし、そして又実際に支給されたのだから、これに対してやつぱり人事院としても法律の中でこういう問題を明確にする必要があるという御答弁でございましたが、私はこういう年末給の問題についても、やはりこれは勧告が出された以上、そして又勧告している以上、それをどこまでも実現させるというような方向で人事院考えて貰わなければならない。そういう点から言つて、私は先程御説明になりました程度の、実績があるから、或いは又前からそういうふうに支給せざるを得ないどいうような段階があつたから支給したんだ。これについてはやつぱり立法化の必要を痛感して出したという程度ではなく、もつとこの年末給を支給するについての理論的な根拠を明らかにされた方が問題の解決に有利じやないか。例えば私共考えましても、私共の場合には、現在の給與状況を見ますと、一ヶ月を二つに分けて半月分ずつ支給しておる。ところが外国の例を見ますと、週給というような形で支給されておるような状況にありまして、かように二週間に一回週給が支給されるということになりますと、一年間に二十六回週給が支給される勘定になる。ところが日本の月給の場合においては一年に二十四回しか支給されない、こういうことになります。週給制の考えを若し加味することになれば、当然一年間に二十六回支給される。日数にいたしましても、現在の週給制度の十四日を、これを一年間に二十四回として計算いたしますと、これは三百三十六日、従つて三百六十五日の計算から言いますと、二十九日というものが一年間にはみ出ておる。こういう二十九日というものに対して週給の考え方から征けば、当然一ヶ月分程度の、つまり週給を二回支給する程度金額支給するという考え方が生まれて来るのではないか。こういう点からも或いは週給に対する一つの理論付けというものが出て来るのではないか。こういう点を考えますと、私は折角人事院で年末給の問題について勧告をされたのですから、この実現についてやつぱりもう少しみんなが納得されて みんなが賛成できるような方法で人事院がこの理論付けをお考え願いたい。勿論宣伝もお願いして置きたい。  それからもう一つは年末給に関達する問題ですが、従来公務員諸君が現在の賃金ベースが据置かれておるために生活が困難である、従つて常に、現在の給與でもよろしいから繰上げて支給しろということが相当強く要望されております。ところがそういう繰上支給の要望には、やはり法律改正されなければ出せないとか一或いはその法律改正は相当関係筋との折衝では困難だとか、こういうことが理由となりまそ、なかなか実際上の繰上支給の問題が実現しなかつたわけです。併しそういう考えの中には、一定の繰上支給をして行つた場合は、やはり繰上げただけのそこに大きな穴があいてしまつて、何らかの給與支給しなければならんという必要が起つて来るために、繰上支給の問題については、実際上のその支給も、又法律改正という問題も、非常に困難視されておる。ところがここに年末給という問題がはつきりと明確に出て来ておる。これが実現の目安ということが具体的になつて参りますと、年末給の問題に関連して、繰上支給の問題は非常に有利な見通しが出て来るのじやないか、こういう点を私は考えておるのですが、繰上支給の問題について年末給と関連して、人事院ではどういうふうにお考えなつておられるか、この点について御答弁を願いたいと思います。
  35. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) 繰上支給につきましては、なかなか困難なようでございます。というのは、やはり給與というものは後拂いの原則であるというような観念が普通にあるわけでありまして、そういうことのために繰上支給とうことがなかなか困難のように我々は承知いたしております。先程も千葉委員から御質疑がございましたように、繰上をやりますと、どこかで穴埋めをしなければならんのじやないかというような問題が関連しておると考えます。どういうふうになりますか、我々今給與制度というものを考えておりますが、これは現在は八日、二十三日というような、むしろ中間的な日に支給されております。これをできれば十六日それから翌月の一日というふうに繰下げるということがむしろ考えられて然るへきじやないかというような、これは理論的なことになりますけれども、そういう問題があります。併しそういうことをやりますためには、やはり財源が要る。この財源を使つたらどうかというお考えがあるのですが、そういうことを我々は勿論考えておるのですが、併しながらその財源を使うにしましても、余程慎重にやりませんと、折角年末出たものが何のためか分らなくなるというような心配もいささかあると思うのです。そういう問題も勿論考えなければならんと思いますけれども、直ぐその問題と結び付けて今考えるのがいいかどうかという問題につきましては、尚研究いたしておる次第であります。
  36. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁から感ぜられますことは、人事院当局は実際の公務員諸君生活の窮迫した状態を知らないから、あとのことをのんびり考えておるというような傾向もございますから、公務員の実際の生活の現状をお考えなつて、この問題について人事院としてはできるだけ積極的なお考えを持つて頂くように、私から特にお願いいたしておきます。
  37. 木下源吾

    委員長木下源吾君) もう十二時ですが、国鉄の当局に対する質問だけを午前中の分としてやつて頂きたいと思うのです。国鉄から見えておりますから……。そうして当初に申上げたように、できるだけ技術的な面について……、政治的な面に関係しておる者が今来ておりませんから、そういうふうに一つお願いします。
  38. 千葉信

    千葉信君 国鉄当局にお尋ねいたします。私共の承わるところによりますと、国鉄当局の考え方として、御承知一般職職員支給されておる法律第二百号による寒冷地給の支給の問題について、第一回の八月分は支給するけれども、第二回の十月分に対してはこれを半分に減額して、そうしてその原資は普遍的に全国に給與の原資として流用する、こういうお考えがあるということが情報として出ておりますし、更にもつと積極的には、十月分からは全然寒冷地手当は止めるという考えを国鉄当局としては実は持つてつた、こういう話もあるようであります。併しこの問題につきましては、私は前国会中に加賀山総裁と会見いたしまして、加賀山総裁にこういう措置が如何に不当であるかということについていろいろお話申上げたときに、加賀山総裁の意見としては現在の非常に低い賃金ベースのままで推移しで行つた場合に、そういう寒冷地帶の職員に対する既得権を侵すような、そうして又実際に生活を困難に陥れるような措置は自分としては取らない。たた併し自分としては次期臨時国会等において国鉄の裁定が実施されるというような段階、勿論国鉄としては裁定実施のための予算を現在検討中であるから、そういうものが実施された曉には寒冷地給の問題についても一応自分達としては新らしい立場に立つて、新らしい角度から考えて行きたい。併しこの安い賃金ースの中で、つまり裁定の実施以前にはそういう措置については全然自分達としては取らないつもりであるというような御意見を私はつきり二度も承わつておるのでございます。ところがいろいろな経過を見ますると、例えば国鉄の本年度大会におきまして寒冷地給、石炭手当の問題について特に従来の寒冷地給、石炭手当の既得権というものを尊重して、これの実施を変更するというようなことはやらない。どこまでもこういうふうな給與というものを将来存置することを我々として決定するというふうに大会の決定がなされておるわけです。こういうふうな従業員全体の意見というものと関連して、一体国鉄当局ではこの寒冷地給に対して現在どういうふうな意見を持つており、どういうふうに措置されようとお考えなつておられるか、その点承わつておきたいと思います。
  39. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 申上げます。御承知のように国鉄の給與につきましては賃金に関する団体交渉が行われておりまして、そうして予算の範囲によることは勿論でありますけれども、交渉をいたしましてそうして制度を決めて行くわけでございます。今お話の寒冷地給の問題、石炭手当の問題についてでありますが、寒冷地給につきましては私の方で調査いたしましたもの、その他CPS等によつて見ますると、暖地の方と寒地の方との年間におきまする寒暖の関係のために生活費の開きというものについて見ますると、現在支給されておりまする程の開きはないのでありまして、むしろ考慮の必要がないと言つては何ですが、廃止してもそのくらいのでこぼこは元からあつたのではないかと思われるような数字が出ておる次第であります。そういうふうな点から考えましてこの寒冷地給について根本的な考えをいたして来たのでありますが、勿論この現在の既得権というような問題もありますし、又この寒冷地とは別に地域給の情勢についての変化と申しますか、地域の差が余りに前程でなくなつたというような点等をも考えまして、先程もお話がありましたように将来この八千二百円の裁定によります給與ベース・アップを実施いたします場合に根本的に考えてはどうかということをかねてから考えておつたのであります。そういう事情で参りました際、人事院等におかれましても勧告に基いて政府一般公務員につきましても寒冷地手当実施される、支給されるということに相成りましたし、根本的な交渉ということも完結いたしませんでしたので、前半につきましてはこれを九月に支給いたしたのであります。そして後半につきましては組合と根本的な、将来ベース改訂される際に対して現在の支給されておるものをどういうふうに織込んで行くかということを根本的に検討しようじやないかということを申したのであります。それでそれに対して組合は後半についても人事院勧告によつて公務員と大体同様にやつて貰いたいということを申しておつたのでありますが、最後に根本的な検討は両者においていたしましようと、こういうことに了解しまして、そしてこの支給をいたしたのであります。後の分につきましては今後行われます八千二百円ベース改訂されるということも考えまして、そうして今まで支給されておりました分を一ヶ月ごとの月割の割合ということに考えますか、そういうような方法で本給に将来だんだんと織込んで行くという方向で考えて見ようではないかということで、組合と実は話をしようということになつております。この点は交渉をいたしまして、そして結論を得て行きたいとこういうふうに思つております。それから尚北海道に関しましては先程申しました全然廃止してもいい状態ではないかということが当嵌らないのでありまして、北海道と青森の一部、こういうように思うのであります。この従来の支給地で八割支給しておりました地域について、この点も考えられますが、これについては寒冷地給を廃止したという場合については燃料費としての面を或る程度増額するという面で考えて行つてはどうか。これも組合の方に話を進めるということ、そういうことで進めましてそうして後半の結論を得まして支給するようにしたい、こういうふうに考えております。
  40. 千葉信

    千葉信君 そういたしますると、只今の御答弁によれば前半の分はもうすでに支給済みである、そうして後半の分については組合側と話合いの上現在の状態では月割にして支拂うというような形で行くであろう、こういうふうになつておるというふうに了解して差支えございませんか。
  41. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 差支えありません。
  42. 千葉信

    千葉信君 只今答弁がありました中で、寒冷地給に対する職員局長の御意見がありましたが、この点については私共非常に意見を異にしております。今職員局長の話によりますると、従来の寒冷地給のいろいろな自分達の基礎調査によると、この程度給與実施する必要がない、その程度の地域の差はないというふうなお話でございましたが、恐らくそういう御意見基礎なつておりまするものはCPSだろうと思うのでございます。而もそのCPSも年間の抽象的な数字を御覧になつてそしてそこからそういう結論を出されたものというふうに私共了解せざるを得ないわけです。という意味は現在のCPSによりますると、成る程消費者価格の価格の調査は重点的に扱つておりまするけれども、実際上消費物資の数量とか、その他については余り正確にこの数字は出ておらない。そういう点から簡單にこういうふうなCPSを基礎としてはならない。それからもう一つ年間の月別の数字を御覧になつても、よく御覧になればお分りになると思うのですが、少くとも寒冷地帶における十月、十一月以降翌年の二月三月までの支給というものと、それからその他の月別の支給というものとが非常に違つておるということ、そうして又実際上寒冷地滯におけるこういう支出の多いということは、CPSですらこういう数字が出ているということを我々は忘れてはならない。CPSの場合におきまして、価格調査の統計においてもそういう冬期間の増嵩した数字が出ているということについて、我々はもつとこの問題を根本的に考える必要があるのではないか。こういう点について私共相当精密な資料も我々自身の手で作つておりますので、こういう点については将来の参考にも差上げる必要があると思うし、それから又いろいろ今後国鉄の方々とお話合をする必要もあろうかと思います。そういうことを私が申上げなければならないのは、單にこの問題は国鉄の従業員諸君の問題ではなく、一般公務員なり、或いは地方公務員諸君に直接に関係する問題若し仮に国鉄当局がこの問題について国鉄当局の独自な考えで処理されるということがあれば、現在人事院等では相当愼重に寒冷地給、石炭手当の問題を考慮して研究されておるにもかかわらず、国鉄当局が自分達の独自な考えからそういう措置をお進めになるということは、單に国鉄当局の寒冷地における従業員が不当な取扱を受けるという結論に陥るばかりではなく、そういう国鉄当局の取扱が他の一般公務員諸君に非常に大きく影響する危險性がある。こういう点から私共はできるだけ單に団体交渉の席上で出た結論を鵜呑みにするというにとではなく、一般的な情勢や、人事院考えだとか、或いはもつと深く掘り下げた研究というような点について、この際十分なる御考慮をお願いするように私から希望して置くわけです。
  43. 木下源吾

    委員長木下源吾君) お答えがなければ、運輸省の星野労政課長見えておられるのですが、何かお尋ねありませんか。
  44. 千葉信

    千葉信君 重ねてお尋ねいたしますが、御承知のように只今寒冷地給のことについてはお話を承わりましたけれども、実は石炭手当の問題につきましては、御承知のように現在内閣においても一トン当り三千円の金額を或る程度増額する、五百円程度増額する必要があるだろうというので、閣議等でもこのことが問題になつたようでございますが、承わるところによりますると、国鉄当局の予算関係でこの問題が停滯しておる。こういうふうな私お話を承わつておるのですが、一体国鉄当局ではこの予算の問題についてどういう現在見通しを持つておられるか。その点について御答弁をお願いしたいと思います。
  45. 星野守之助

    説明員(星野守之助君) その問題につきましては、大蔵省の磯田給與課長見えております。そのいきさつをお話し願えるかと思うのですが、別に国鉄の予算のためにというふうなことではないように私承知いたしております。
  46. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それではもうございませんか、運輸関係には……。
  47. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 少し僕は内容をよく知らんから、外れているかも知らんが、昨年の暮に官公吏の給與ベースの引上を要請したときに、ベース改訂はできないけれども、実質給與引上げで行こうということを増田官房長官初め確約して、そういう方向で各官公庁が進んでおるのですが、国鉄の場合にはいわゆる実質給與というものを、ベース改訂は勿論でありますが、実質給與というものはどういう方法によつて引上げられておるのですか、差支えがなかつたお話し願いたい、簡單でいいです。
  48. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 今金に計算して幾らになるかという数字を持つておりませんけれども、例えば被服を貸興しておるというようなことにつきまして、今までは一着貸與いたしますと三年目に交換してやるというようなのを、期間を短くしておる。実例を申しますとそういうような方法で待遇の向上をやつております。今ちよつと数字を持つておりませんけれども……。
  49. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 これは各官庁共少くとも官房長官が表明し、政府がそういう考え方でやつたので、実際には苦しい生活なつておるのだからできるだけ面倒を見てやろうという考え方政府にもあり、関係官庁にもあつた筈である。ないことは言えないし、そういう考えの上に立つて言われたのではないかと思つて、私共関係しておる方面はそういうことを要請し、満足な点までは来ておらんが、そういう方向付けがなされつつ、やや実質給與の引上ができておる。併し今国鉄さんのやつを聞くと、これもいろいろな関係で言えない点があろうかとも考えるけれども、すでに昨年の暮に専売の裁定が実施せられ、あの時にいま一歩で国鉄の裁定が実施せられる段階まで来たやに考えられるのだけれども、国鉄当局の、何と言いますか、首脳部の人達がいま一つ決断を以て本当に組合と一緒になつて体当り政府に対し、その他関係方面に対しやつて頂いたならば、あの裁定も行けたのではないかというふうに考えております。而も又国鉄の裁定がなされなかつたために、全官公吏に対する非常な悪影響というものは、ただに国鉄の給與問題だけでなく、極めて重大な問題になつておるということは、官公吏全体が給與問題のベース改訂がつかないことのために、殊更退嬰的、殊更消極的ではないけれども、おのおのの立場におけるところの国家再建という面に対する協力が何と言つても稀薄になつておる。こういう根本は、あの場合、極端に言いますならば、国鉄最高首脳部の決断がつかなかつたことのために、全官公に及ぼしておるのではないか。私は国鉄に関係しておらんのでありますので、全官公の方に関係しておつたのでありますけれども、専売が裁定がなされたならば国鉄もしやにむにあの線まではやつて行くという御決意を持つて、そういう方向付けをして頂いたならば、今日官公吏の問題もやや平穏に復しておつたのでありましようし、国の内外の情勢も可なり好転しておるのじやないか、官公吏の生活安定が一番大きく政治面に関係しておるのではないかと私考えるので、あなた方のお立場がどういうお力とどういうお資格があるかは知りませんけれども、こういうような観点に立つて給與問題もただ国鉄の予算だけで、国鉄の従業員だけでいいというようなことでなく、日本一の大きな労働組合を抱えておる国鉄の動きがどういうふうに影響するか、いわゆる政府考える方向にのみ影響力を考えないで、逆な労働組合全部に対する影響、国家全般の目に見えない損失というようなことをお考えなつて、一つ給與ベース引上げに格段な努力を拂つて頂きたいということをお願いしておきたいと思います。これに対するお考え方か、何か御返事が頂ければ幸いです。
  50. 木下源吾

    委員長木下源吾君) ありませんか。
  51. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 裁定に関しましてべース改訂と、実質賃金の向上、ベース改訂ということにつきまして、来年度の予算の編成、今年度の節約等による可能なる方向という面に対しまして……。
  52. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 皆さんどうですか、ありませんか。それではちよつと私お聞きいたします。あの国鉄の場合寒冷地手当を後半の分は、組合との団体交渉で決めるというのは、組合が希望してそういうことになつたのですか。国鉄が寒冷地手当をなくそうという考え方かどうか一つ……。
  53. 星野守之助

    説明員(星野守之助君) 国鉄は寒冷地手当を今申しましたように、本給に織込んで行くというようなことで、組合に申入れまして組合も検討しようということで、その方向に進んでおります。
  54. 木下源吾

    委員長木下源吾君) その場合、なくそうという強い線を当局から出したのではないのですか。それはどういうことですか。
  55. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 根本的にこの給與改訂考えようではないか、こういう提案をいたしたのです。
  56. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうすれば国家公務員との関係はどうでもいいというようには考えておらないと思うのですが、やつぱり国有鉄道法によりやりますから……。
  57. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) どうでもいいとは考えておらないのであります。国鉄が国鉄の独自の立場から考えるということもできると思う。こういう点で……。
  58. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それではそういう基礎調査資料ができておると思うのですが……。
  59. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) はあ、基礎調査をいたしております。
  60. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 一つそれを出して頂きたいと思います。それから国鉄の来年度予算は、現在の人員を減らすような予算で組まれておりますか。
  61. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 数字は今はつきり……、持つておりませんから。
  62. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それも一つ出して頂きます。来年度の損益計算はどういうように見込まれておりますか。今分らんければそれも一つ。それから来年度の建設勘定、今分られんければそれも一つ出して頂きます。  それから二十五年度の剰余といいますか、節約による物件費、人件費等の節約による金額、大体分つておりましたらそれも一つ出して頂きます。  それから石炭手当については公務員の場合には大蔵省の方では補正予算によつて増額しようということを言つておると言つておるのですが、そういう場合には国鉄も公務員なみにやるという考えを持つておるのですか。この点だけは一つ今お答を願います。
  63. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 一応予算を検討した上で……。
  64. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうすれば一方は補正予算でやるということを言つておるのであります。そういうのが例であるのに、それはやはりあなたの方は公務員が増額する、しないは独自だという、やはりそういうことになるだろうと思いますが、そういうことは常識上通らないと思いますが、当局は言つておるのでありますが……。
  65. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 裁定の履行の問題で今年度にも引つかかつておるのでありますが、それとも関連があるのじやないかと思います。石炭手当いずれも給與の総額の中で支拂われております。
  66. 木下源吾

    委員長木下源吾君) いやその点の裁定の関係は別にして、石炭手当増額ということは政府もしなければならないということを言つておるのでありますし、これは自由党も主として主張しておるのであります。政府の方もそういうように我々には非公式ですけれども官房長官も話しておるのであります。そういう場合には俺の方はやらないというふうには労政当局としてはやれないと思いますが、そういう点を一つ考えて頂きたいと思います。今答弁で俺の方はこういうふうにやるのだということを言われれば言つて下さい。言われないならば言われないで差支えないですけれども、その点はどうですか。
  67. 千葉信

    千葉信君 その問題については前の国会の最中に委員会ではございませんけれども、加賀山総裁とお会いしたときに石炭手当の増額の問題については若し一般職職員が増額になれば、国鉄当局としては一般職職員よりも不利な取扱はしないということをはつきり言われておりますから、これは一つあなたの方ではつきりとそのおつもりで……。
  68. 片岡義信

    説明員(片岡義信君) 私もそのつもりでおります。
  69. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 公務員の場合は新らしい事実ではないが、その点を考えておいて下さい。それから上野さんの方ですがね、この前には補正予算を出さぬ、二十六年度予算には間に合うように出すと言われた。今度は補正予算をこの次の臨時国会を控えて恐らく出されるという見通しがついておるのか、例えば十五ヶ月予算であつても、その点どうですか、工合が悪ければ明日でも……。
  70. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) そうしましよう。
  71. 木下源吾

    委員長木下源吾君) この点は局長でもいいと思うのだが、この前政府給與改訂をしないという白書、この條件はいろいろあるのでありますね、物価賃金との悪循環だとか、或いは昨年の三月以降は物価は横這いだとか、いろいろ勝手な理屈を言つておるのでありますが、あの理屈に対しては考慮することもなく今度やられるのでありますか。
  72. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) そうでございます。
  73. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 然らばあの理屈に対しては何も考えておらん、再び政府はそういうことをいう可能性があると見るのだが……。
  74. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) そのような場合におきましては我々はやはりそういうことに対しまして反駁すべき材料をいろいろと持つておりまして、これは考えております。先般の場合におきましても我々が事務的には用意いたしたのであります。用意はいたしたのでありますが、やはりいろいろな情勢がございまして、人事院としてはそれの反駁をいたさないということになりまして、今回の勧告におきましても次期国会において取上げられましていろいろ批判が行われるとか、又国会の御質問等がありますれば我々の方といたしましてはそれについていろいろ我々の方の主張の理由を申上げるいろいろの資料も持つておりますし、又その主張もいたすつもりであります。
  75. 木下源吾

    委員長木下源吾君) そうですが、恐らくあなた方からは今技術的な事務的なことを皆さんお伺いしておるのですが、いよいよ政府と議員諸君がこれからおやりになると思うのです。そういう場合にはそういう資料もやはり必要だろうと思います。できれば一つ用意しておいて頂きたい。もう一つは先程千葉君から言われた年末給與の科学的根拠ということを言われたが、あなたのお話では科学的な根拠というよりも一つの習慣というか、伝統的なものが失われていないということでありますけれども、何かその中でも科学的な根拠のある説明資料があるならば出されたらどうか、こういうように考えます。
  76. 瀧本忠男

    説明員瀧本忠男君) その点につきましても先程の説明で習慣という点を強調したようにおとり願つたわけですが、我々の方といたしましては、やはり科学的根拠がないことにはできませんので、その点についても大ざつぱな見通しはすでに立てております。細部に亘つて資料の蒐集を現在いたしております。適当なときに提出することができると思います。
  77. 木下源吾

    委員長木下源吾君) もう一つ、先程委員から非公式のお話があつたのですが、ンヤウプ博士の方はやはり従来の態度からちつとも変つておらんのですか。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  78. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を始めて。ではこの程度で休憩することにいたします。午後は一時半に再開したいと思います。    午後零時三十四分休憩    —————・—————    午後二時二十八分開会
  79. 木下源吾

    委員長木下源吾君) それでは休憩前に引続いて開会いたします。小野委員と草葉委員ちよつと外の会合に行つております。官房長官見えておりますので、御質問を願いたいと思います。
  80. 千葉信

    千葉信君 官房長官にお尋ねいたしますが、石炭手当のトン当り金額の増額の問題について、閣議でも一応の論議が出されたようでありますが、自由党の方からも八月七日に総務会で決定して、内閣の方に申入れしてある、私共の入手した情報では補正予算を作成していないというところにまで問題が行つているということを聞いております。この際官房長官からこの問題の現在の状態と見通しについて先ずお伺いしたいと思います。
  81. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 石炭手当は、御承知のように二千五百円が三千円になりまして、今それに対して五百円増という要求が出ている。根本的の数字につきまして政府部内には必ずしも三千五百円ということを納得していると申上げるわけに行かんのであります。成る程二千五百円という初めの勘定は大口需要者に対する値段であつて小口のはもつと余計かかるとか、その後石炭の値段が下ると思つたら案外下らなかつたとか、いろいろの理由はあるようであります。併しいずれにしてもこれは数字を突き合わして見なければ分らないのでありますが、それともう一つは実際に買つたトン数が二ドンに足らないものであるか、それともそれは公定でなくて買つた値段であつて、実際は闇で買つて四トン要るものであるか、実際についてはおのおの数字を出しておりまして、どちらとも本当のことを言うとまだ分らないのではないかと思います。ただ自由党の方面からも五百円増しという要求が出ておりますので、閣議にもこれが上りまして、まじめに検討されております。併しながら初めに二千五百円を三千円にいたしましたときは、寒冷地手当の方の前半の予算に余裕があつたので、大蔵大臣の裁量でこれは大蔵大臣の決定によりまして五百円を石炭の方に廻すということができたのでありますが、更に五百円増しということにしますと、これはもうその方面の財源の余裕はないわけでありまして、大蔵大臣もまだ深く研究はしてないと思いますが、一応の見解では補正予算を組まなければ仮に出すとしても困難じやないかというような意見もあるようであります。それで只今段階としては初めの半分の前佛い、初めの半分を拂う場合には、もうすでに間に合わないのでありますが、この次に拂う場合までに十分検討して結論を見出だそうということが一つ。これはその五百円増しということの可否そのものについての結論であります。仮に成るべくならば増した方がいいということになりましたならば、補正予算については御承知のように大蔵省の意見だけで決定できないものがおりまして関係の方面とも協議をしなければならん。そこで只今のところはこういう数字について検討中である。こう申上げるより外に仕方がないと思います。
  82. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁にもありましたように閣議にも一応この問題が上程されていろいろ論議をされたということでございますが、そのときに補正予算の問題がいろいろ日程に上つた場合に、主として国鉄の予算の中に石炭手当を増額するのに非常に困難な見通しがあつたために、第一回分の支給には間に合わないで、従来の三千円で一応第一回には支給をした。こういう話でございましたが、これは非公式の話で承わつておることでございますが、今日午前中当委員会で国鉄当局の方に御答弁を願いましたところが、必ずしも国鉄の予算関係で問題が解決しなかりたわけではないと思う。こういうふうなお話でございました。実はこの点についてはもつと具体的に大蔵省の方からも御答弁願う予定にはなつておりますが、この点について官房長官の方から若し承わることがで奉れば幸いと思いますが、如何でしようか。
  83. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) お説の通り国鉄の方の困難があるであろうということは議論になつたのであります。併しながら国鉄側からできないとかできるとかということをはつきり示されたことはまだありませんでした。国鉄の方でできたといえばそれでいいのだろうと思いますが、それにしましても只今申しましたように、その五百円増しということ、それ自体の可否については大蔵当局と要求する方の数字とを突き合わせて見ますると、なかなか隔りがあるようであります。これは私も今細かい資料を持つておりませんが、大蔵当局から出されればはつきりすると思います。單に国鉄の困難ということが理由ではないんで、その方が解決すればそれで非常に大きな障害が一つ除かれたということにはなるのです。
  84. 千葉信

    千葉信君 それでは次に給與ベース改訂の問題についてお尋ねいたしますが、大蔵大臣の談話として人事院給與ース改訂勧告金額ではなく、大蔵大臣の方で独自の立場において一千円程度給與引上ならば可能であるというので、そういう数字について具体的に検討がなされておるような情報でございますが、この点について現在内閣における給與ベース改訂に関する現在の進行状況お話し願いたいと思います。
  85. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 給與ースにつきましてはまあいわば公約のようなものがございまして、来年度からは必ず改訂するつもりであるということを発表しております。で、どの程度上げなければならんかということにつきましては、人事院勧告もあり、又その他にもいろいろな意見があるのであります。ただ大蔵省としましては財源の許す範囲でやらなければならんということは又当然のことであります。この外の方の理由を一切考えないというわけじやございませんが、先ず財源の方から割り出して見ると、今のところ一千円くらいがせいぜいではないかというようなことでありまするが、人事院勧告そのものにつきましては、実はまだ初めの勧告も実行していないのでございましてその点は恐縮でございますが、初めの勧告のみならず、先般の勧告につきましても、可なり慎重に研究はしております。ただ一つ極く最近に疑問になりましたのは、人事院勧告の中に八千五十何円という数字が出ております。これについては細かい数字が出ておりまして、まあその基礎数字を肯定すれば八千何円ということになるのだろうと思います。ところが先般更にそれに基く改正法律案のようなものを起草されまして、それには今度は八千何百円を十三回やる。こういうことになつておる。そこで十二ヶ月ではなく十三回やるというと八千何百円が月に平均すれば又殖えるわけですが、これは如何なる数字の根拠があるのか、どうもまだはつきりしていないような点もありましてこれは單に一例として我々が人事院勧告をただ棚に上げて放り出しておるのではない。まじめに考えておるということの例に申上げたのですが、そういうような点がちよつと分りかねておる次第のものもあります。ただ今申上げました通り給與ベース改訂しなければならんという気持は非常に強いのであります。又この額についても成るべく財政の許す範囲では上げるようにしたいという気持もおるのでありますが、今大蔵大臣の報告によりますれば千円程度が漸くであろうということであります。  尚地方財政委員会意見によりますれば、将来地方の方のべース改訂を許しますると、地方財政の方に非常な圧迫が来る。そこでこれは国の方で改訂分だけ地方のものも負担して呉れるのが当り前である、こういうような意見もあるようでありますが、これは国家の財政から言うと殆んど不可能に近いと思いまして中央、地方を合せていろいろ考慮しなければならんというようなことがあるような気がいたしております。
  86. 千葉信

    千葉信君 そういたしますると、政府の方の現在の到達いたしておる状態から見ると、仮に大蔵大臣が考えておるような一千円程度増額するというような場合に、人事院勧告した趣旨、つまり本俸であるとか、或いは又勤務地手当であるとか、特殊勤務手当であるとか、賃金ベースの要素となつておるところのものについての人事院勧告基礎として、そのうちから人事院勧告と、政府の持つておる見通しのある予算との開きをどういうふうに按分するかということについても、まだちつとも政府考えとしては、或いは又政府の計画としては進んでおらないわけですか。
  87. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 政府の方といたしましては結局その財源がなければどうすることもできないわけでありまして、財源の捻出で只今予算を検討しております。それに計上しておりますのは大体一千円ということでやつておるわけであります。尤も公約みたいなことは厳格に言えば来年度、つまり四月以降ということかも知れませんが、十五ヶ月予算でもありますので只今のところは一月からとして計上しております。それ以上に行くか行かないか、ちよつと私共の聞いた説明によりますれば、これ以上は無理じやないかというふうに思つております。
  88. 千葉信

    千葉信君 官房長官の御説明を承わりますると、給與問題に関してはもう一切合切政府としては大蔵大臣の意見と言いますか、或いは又その予算上の理由といいますか、そういう点以外には何ら考慮されておらないようでございまするが、併し勧告に伴つて九月の九日に人事院総裁が官房長官を訪問されて、勧告従つて勧告通りに給與改訂実施される場合の法律改正についても官房長官お話合をされたはずでございます。そういう場合に官房長官立場として一体この給與改訂の問題を、予算の問題を一応拔きにしてどういうふうにお考えになられたか。私共の考えからすれば成る程給與改訂の問題について一番大きな制約が生じ、或いは又根拠となる点は財源の問題であることは一応了解いたしますけれども、併しながら給與改訂の問題に対して内閣総理大臣の責任、或いは官房長官立場における責任というものはやはり財源の問題如何に拘わらず先ず給與改訂が必要であるかどうかということ、それから給與改訂をするとすればどういう形において改訂すべきかということについて、一応のお考えがあつて然るべきだと思う。そうして又そういう理由が仮に正しいという結論が出ればそれに対する財源は決して固定的な、客観的な事実ではなくて、或る程度の財源というものは官房長官や総理大臣の政治力を以てすれば浮かないわけではない。そういう点から見ますると、私共総理大臣や官房長官給與改訂に対する考え方について一応どういうふうに淺井総裁とお会いになつて、法律改正の問題についてお話になられ、そうして又それから数日経つておりまするその間に、官房長官としてはこの問題に対してどういうふうな意見を現在持つておられるか、官房長官の個人の意見で結構でありますから、この際一応承わつておきたいと思うわけです。
  89. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 淺井人事院総裁が訪ねて来られたときのことを正直に申しますと、淺井さんは今日持つて来た法律案の形のものは勧告をやるたんびに始終出しておるもので、これはもう前例によるものであります、見て置いて頂きたいと、これだけ非常に簡單説明されて帰られたのです。でそのときに無論内容を全部調べるわけに行きませんからそのまま頂いて後で調べて見たわけです。調べて見ますると先程申しましたような一年に十三回、八千何がしの給料を拂うように書いてありますので、この点などは甚だ私共は疑問に……、どういう数字の根拠であるかは疑問に思つてこれも人事院一つ聞いて見ようと思つておるわけですが、淺井さんとの話はそういう非常に簡單なことで、極く短時間に帰つてしまわれたわけです。私自身はやはり検討は十分加えておるつもりでありますが、如何にせん財政上の制限もある、他方においては減税というような問題も考えられる。まああれやこれやで結局今のところは千円ぐらいという結論に来ておるのであります。
  90. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁については、これは官房長官だけではなく、淺井総裁からも少しお尋ねしなければならない点が生じて来たように思うのですが、それはこの法律改正についての意見書を持つて訪問されたときにこの法律案の提出というか、法律案を差上げるということは、これは慣例上のものであるというようなお話でございましたが、実は従来人事院では勧告いたしましても、法律案を必ずしも慣例として出してはおらない、従来も参議院における人事委員会におきましても、この勧告内閣国会と両方になされるものでございますが、政府に対してなされた措置と、国会に対してなされた措置とは違うはずがない。従つて私共参議院におきましては給與ベース改訂に関する勧告が出ました後で必ずしも慣例として人事院の方から法律案の提出というものは従来なかつた。そういう点から言いますると淺井総裁が果してそういうふうに言われたかどうかということについては一応私疑問を持たざるを得ないと思うのでございまして、この点については後で総裁からも確かめて見たいと思うのですが、併しいずれにいたしましてもこの法律案を持つてつたときに同時に意見大要というようなものを持つて上られたはずでございます。これはリーフレツトにして持つて参られるようなものでございまして、非常に短時間に会談を打切つてお帰りになつたということでございますが、その場合にもこの意見大要程度のものは恐らくお話になつたのじやないかと私共推測しておつたわけですが、そういう点から言いまするとこの今問題になりました官房長官が特に疑問を持たれた、十二月年末給として支給する問題云々について疑問を持たれたということでございますが、この点について総裁から官房長官に何ら申入れがなかつたのでございましようかどうでしようか。その点もついでに御答弁願いたいと思います。
  91. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 総裁からは内容については何にも御説明がなかつたのであります。これを見て置いて呉れと、こういうわけなんです。
  92. 千葉信

    千葉信君 それからこれは現在の段階では一応仮定の上に立つて質問申上げる形になるのですが、実は官房長官も御承知のように、公務員諸君の中から現在の非常に窮迫した状態を何とかしたいというために俸給の繰上支給という要求が相当熾烈に出ていることは、これは官房長官も御承知だろうと思います。ところがこの繰上支給という問題につきましては従来会計法の関係があるとか、或いは又繰上支給をどんどんやつて行けば、いずれは非常に何らかの大きな穴が開いてしまうために、その穴埋めのために又更に問題が起るということが予想されるし、従つてそういう点から繰上支給という問題が非常に困難な見通しにあつたわけですが、今問題になりました年末給與というようなものが若し仮に実現するという建前に立つて考えますると、現在の情勢からすれば必ずしもこの年末給の給與というやつは不可能ではない。従来のいろいろな実績からいいましても法律には恒常的な法律がなくとも、大体毎年年末給與というようなものは支給されておつた。そういう点からいいますると特に今度は人事院からも年末給に関する明確な勧告が出ているという状態から考えて、相当これは仮定とは言うものの実現性を持つて来ておる。そういう点からすれば、私は従来繰上支給の問題が、繰上支給して行つたら最後に大きな穴が開くから非常に困難だというような意見で、なかなか繰上支給が実現しませんでしたけれども、今度仮にこの年末給をはつきりと実現するという段階になれば、もうそろそろ現在の公務員諸君の非常な窮迫した状態から考えて繰上支給という問題に対しても従来とやや異なつた角度から、これを考える必要がないか。そういう点から私は官房長官に繰上支給の問題について現在政府はどういうふうに考えておられるか。或いは又どういうふうな状態においてこの問題を取上げておられるか、一応御説明願いたいと思います。
  93. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 繰上支給は地方税の支拂に伴いまして、実は政府としてはやりたい。それでいろいろ法律研究いたしまして、この政府側では、政府側と言えば人事院政府側かも知れませんが、法制意見長官のところで研究して貰つた意見では繰上支給を政令で決め得る。こういう解釈を一応作りまして、これは無理な解釈であることは我々も承知しておつたのですが、法律は人間のためにできておる。必要な場合にはこれを適当に解釈することも止むを得ないではないかというつもりでそういう解釈を作つた。そうして人事院と協議いたしましたところ、人事院側は法律上これは到底できないということでありまして、先ずその月を越す支給でありますが、月を越して、つまり十月分を九月に拂うというような支給の仕方は駄目だという解釈である。そこでこの問題は元来人事院が主管することでありますので、人事院意見に従いまして月を越す支給はできない、法律改正するにあらずんばできない。政府意見もこれに従つたわけであります。そこで今度は月の中で繰上支給をやることはどうだ、例えば今やつておる八日、二十三日ということを一日、十五日とやる。そうすると地方税の支拂が九月の末日であるならば一日延滯を抑えば十月一日に金が入つて支抑える。これはどうだろうかと思つて人事院に相談したら、人事院もこれに賛成してくれた、その法律人事院規則案を作つて関係の方面に協議したのでありますが、俸給はやつと今常道に戻つたのであつて、若しこれを又戻すということは甚だ好ましくない。又俸給性質から言つて、一日に拂うことは何にも仕事をしない前に半月分を支拂うということになる。今のように八日に拂うということになれば、大体半分仕事をしてあとの半分を前拂ということになるので、まだ我慢ができるが、全然先に拂うということは俸給性質上、ちよつと工合が悪いというような結論でこれも見込みがないと聞いております。併しこの点では人事院側の希望もありますし、政府側としましても、更に研究をいたしまして関係方面とも協議しよう、こういうつもりになつております。但し今おつしやいましたように、年末に何かがなければ繰上支給をすればする程年末になると苦しくなるわけであります。ところが今おつしやつたように、人事院勧告なるものが仮にできるといたしましても、それは法律改正してやるのでありますから、来年度年末には適用ができるといたしましても、本年の年末に適用ができるということにはならないのであります。そこで先ずその点を何とか解決しなければならない。政府としてもでき得るならばこれはなかなかできそうもありませんが、十二月でも、或いは臨時国会乃至通常国会に急いで法律案を提出いたしまして、本年内におけるベース改訂ということを御承認を得れば例えば十月から遡つて拂う。但し十一月、十二月は過ぎておるからそれを十二月に、千円なら千円をまとめて三千円にして沸いたいという気持は持つておりますが、遡つて効力を発生するような法律案を作るということはなかなか困難があるということであります。そうかと言つて年末にいわゆる年末手当というようなものを拂うということは、これは昨年を限りとして一回だけということでやつたのでありまして、本年再び繰返すということもなかなかむずかしいのではないか。むずかしいというよりもむしろ不可能ではないかとさえ思つておりまして、この点はまだ十分話を進めでおりませんから先のことは分りませんけれども、政府としては何とか本年の十二月に穴が埋められるような方法が発見できれば、何とかしてこの月の中においての繰上支給でもやる方法はないか。尤も年末に多少共穴が埋まるということになれば、仮に繰上支給をしなくても、それだけでもまあ多少のことにはなるのですから、第一にはその年末に色をつけるということをやつてみたい、こう考えております。更に繰上支給につきましては、そうやつて例えば十月の分を十月の一日と十五日に拂うといたしましても、九月の終に拂わなければならん税をその中から拂いまと、十月はなかなか苦しいのであります。ところが十一月に又その地方税が支拂期日になります。そうすると、九月の地方税の方は何とかやりくりをつけて拂つても、十一月の分は全く苦しいということになりまして今のところは納税日が非常に接近して一月置きになつておりますから、繰上支給をすることが非常に効果があるかどうかは却つて苦しいような思いをさせるかも知れない。年末の方に今力を入れて努力をしております。まだ結論は何とも申上げかねます。
  94. 千葉信

    千葉信君 官房長官お話を承わつておりますると、繰上支給の問題にしても、年末給與の問題にいたしましても、結局は只今お話では、自分達で非常に高く決めた地方税を何とかして支拂わせることをいろいろとお考えなつておられるようで、実際方面の窮迫した生活状態を救済しなければならないという考え方よりも、そちらの方に重点が行つているような感銘を受けて非常に私は遺憾なんですが、併しそれはさておいて、只今官房長官お話になりましたように、結局繰上支給の問題も年末給が成立するか、しないかというような問題に関連して来るわけでございまして、従いましてはつきりと年末給が支給されるようになるかどうかということについては、やつぱり私共現在我々国会議員が多数署名して政府に要求してある臨時国会を開催するかどうかという問題にも関連を持つて来るわけでございまして、勿論私共の臨時国会開催の要求を蹂躙するということになれば、これは憲法をふみにじることになるのでございまして、恐らくはそういうことはなさらないだろうとは思いまするけれども、国民の間に伝つているいろいろな考え方の中には、現在自由党内閣では臨時国会はどうしても開きたがらない。若し開いてもやつと最低の線で、国会議員諸君の要求している臨時国会の開催要求に対して一応憲法にあるから、或る程度申訳のように開く。その開くべき時期というのは、通常国会に直ちに飛び込めるような非常に切迫した十一月の下旬頃に開くようになるだろう。而も臨時国会の大体の目安として考えられておつた地方公務員法の問題であるとか、或いは電力再編成の問題であるとか、特に臨時国会の中心になるべきであつたこの給與問題にさえも臨時国会の開催が今申上げたような考え方のために非常に大きく犠牲にされようとしてる。そうしてその内閣において臨時国会を成るべく開催したがらない大きな理由としては、現在なされているいわゆる超党派外交という問題に関連があつて、現在の全面講和であるとか、或いは多数單独講和であるとか、こういう問題に関連して国内の世論をできるだけ自由党の考えているような方向へ引きずつて行く。そしてその態勢が十分できてから初めて国会を開くという態度をとりたい。その態勢ができないうちに臨時国会を開催すれば又しても全面講和や單独講和で非常に講和に対する論議が活発になつて来る。従つてそこで超党派外交の考え方が崩れて来る。従つてそういうふうに臨時国会を延ばして置くということは現在の強硬に全面講和を主張しているところの政党に対して、できるだけその意見の崩壊を待つている。その態勢の崩壊を待つている。その崩壊を待つために、或いは又これに対して相当な圧力や断圧を加えて、そうして單独講和の方向に持つて行くために臨時国会の開催を忌避しているのだ。こういう意見が相当国民の間に流布されているようですが、内閣は一体これに対してどういうふうな弁解を持つておられるか、どういう考えを持つておられるか。こういう問題も給與の問題と関連がありますので、臨時国会開会の時期の問題、開会する意思があるかどうかということについて明確に御答弁を承わつて置きたいと思います。
  95. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 臨時国会を開催しないということは全然考えておりません。必ず開催いたします。但しこれは憲法等にあらかじめ規定されてありますように、期日については政府側の準備のできたときでなければ開けませんから、その点は政府側の期日の決定を認めて貰つておるわけであります。従いまして我々としては準備でき次第開催するという立場をとつております。準備ということはその中に自由党の主張する講和に関する方針をよその党にも押し付けるその時期だというふうなことは毛頭ありません。況んや他党の意見を圧迫するなんという考えは毛頭ありません。又新聞でも御承知のように超党派外交と称せられるものについては必ずしも自由党全部賛成しておるわけでもないように見受けられるのであります。決して超党派外交を押し付けるために、その時を稼ぐために延ばしておるということはないのであります。
  96. 千葉信

    千葉信君 大体了承いたしましたけれども、その準備云々の点についてもう少し明確に承わつて置きたいと思います。例えば予算の編成の問題であるとか、或いは電力再編成の問題であるとか、こういう一連の臨時国会に付議せられることのあるべき法案の準備でございますか、それともその他の何かの準備であるのか、その準備の内容についてもう少し具体的に御説明を承わつて置きたいと思います。
  97. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これは各般の準備でありまして、朝鮮のああいう事変が起つたということは我々予期しないことであります。そのために国内の特需関係というようなものも生じて来まて、輸入の計画もいろいろ建て直さなければならん点も出て来る。又これによつて国内の産業に対する方針もいろいろ変更を加えて来る。それやこれやで必ずしも或る法案、或る計画一つということでなく全体としての見通しを或る程度までつけませんと、予算につきましても必ずしも実行のできるきちんとしたものはできかねる場合がある。従いまして国内の情勢、世界の情勢、これを見通しましていろいろの準備が新たに考えられなければならん、こう思つております。具体的に申上げることはちよつと困難だと思います。要するに予期せざる事変が起りましたための遅延、こうお考えなつて頂きたいと思います。
  98. 千葉信

    千葉信君 いろいろ広汎な問題に亘るというようなお話でございましたが、今の御説明から言いましても、例えば特需の問題にいたしましても、輸出入の問題にいたしましても、これはいずれも予算の問題と関係ある問題だろうと思います。従いましてその他のいろいろな問題について国会において論議せられる対象外の問題について見通しが立たなければ、国会は開かないということはこれは私は理由にならないと思います。併し今官房長官からお話がありましたことを仮に了承するといたしましても、今申上げたように憲法上要求されている国会は、これは当然自由党内閣においても開かなければならない。併し今官房長官がおつしやつたように、非常にいろいろな問題について準備が整わなければ困るということでありますが、この点については一体憲法を蹂躙することがないように通常国会までに臨時国会を開く。その臨時国会を開く大体の時期については今お話になりまたいろいろな問題について準備ができるまでという結論にならざるを得ないのでございますが、その時期は一体いつ頃とお考えになられますか。その点についても伺います。
  99. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) この準備はできるだけ早くするつもりで今進めておりますが、憲法の規定がありますから、仮に準備ができなくても、一定の期間が来れば国会を開くことはこれは当然であります。
  100. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 大体千葉委員からいろいろ御質問があつたのでありますが、折角官房長官予算編成なりのことについてお話に来て下さつたのですから、今度はこの前のような理論闘争は止めて、実質問題の扱いをやるという意味でお聞き取り願いたいと思います。第一番に石炭手当の問題でありますが、今度の議会の決定といたしまして人事の調査委員として北海道に参りましたが、御承知のように組合にも関係しておつた関係上、あらゆる奥地まで行つて本当の石炭手当事情調査して、その調査資料を作つたのでありますが、これは省略いたします。これは人事院にもあります。この調査により私共東京の者が行つて北海道を調査すると、基本的にはあらゆる面で政府がやらなければならん仕事が沢山ある。例えば住宅問題でも先ず解決をつけなければならん問題として考えます。他面石炭手当考えますと、人事院が出した四千二百円というのは最低のものであります。成る程一部の例えば函館のような、函館の而も一部の最も健全家屋の場合には二トンなり三トンで済むが、おおむね四トンから……網走、釧路、ああいつた方面に行きますと四トン半(五トンも消費している。これは気候の関係と住宅の関係と両面から出ている。こういう意味合から考えますならば、今政府がやつているのは最低のものをやつている。少くとも今度の三千円をさつき説明せられた五百円殖やすことについては特別の予算を取らなければならないから困難であるというお話がありましたが、政府立場におけるそういう実情は分らないこともありませんけれども、この点については是非とも五百、円、千円くらいは一つ端的に御努力願つてつて頂きたい。而も折角五百円は来たけれども、金をやる時期がとても遅くなつてしまつたというのでは、私が説明するまでもなく、遅くなつてからの五百円より早く貰つた方が早く石炭を買わなければなりませんから、それが実情でありますから是非御努力願いたい。将来の問題としては私の申上げるような状態があるのですから、石炭手当についてはもう一遍前進してお考え直しを願いたいと思います。かように考えるのであります。それから今度の給與ベースの問題でありますが、これは我々今までいろいろ研究した結果、まだ完全な研究の域に達しておりませんが、少くとも人事院勧告は今の物価指数、或いは民間給與等から考えれば、我々が考えた額より少くて不満ですが、これを前の比較ということに考えますれば、給與ベース全般の問題の一歩前進であると考えます。特にあなたが言われる十三ヶ月予算というものはおかしい予算です。このいわゆる十三ヶ月予算の最後の年末給與一ヶ月分を支給するという、この考え方法律的には非常に私はむしろ進歩していると考えます。あなたがさつき公約云々と言われましたが、公約については勿論公約を実施して貰わなければなりませんが、ただ公約を果し得たのだというような、いわゆる名目的なことじやなくて、現実を実際把握したところの給與ベース改訂が行われなければなりませんし、これをやることが今日の日本のあらゆる條件を相当有利にして行くことではないか、こういうことであります。曾て私はこの問題であちらに行つたときに予算の問題でドツジ・ラインとの関連もあるから、そういう意味合から給與改訂がなされない、困難だということを言いましたが、今官公吏の給與の僅かの予算を出して頂くことによつて、全官公吏が奮起して日本の民主再建をやろうという覇気を盛立てることの方がどのくらい効果があるか分らんということを実は申上げて来たことがありますが、政府千葉委員が言うように、実際には官房長官や首相に権限がありながら、何か大蔵大臣に任して、大蔵大臣の言うことを紹介しているような状態が若干見受けられるのですが、今一歩踏切つて頂いて、今回の給與ベース人事院勧告ぐらいは一つ誠意を持つて実施して頂きませんと、人事院そのものの存在価値も極めて稀薄になつて来るということは、これは私が申上げるまでもありませんけれども、労働組合関係といたしましても、そういう状態政府の方策を押切ろうとすれば可なり今の国の置かれた立場を不利にするような問題が起つて来るような危險すらあるのじやないかというふうに思うので、どうかそういう意味で一歩進んだ……、予算編成前に当つて増田官房長官は、俺は吉田首相の代りで諸君と会つているのだということを言われました。岡崎官房長官の場合も当然吉田首相に代るべき立場にあられるので、そういう一つ気構えで御努力願いたい。繰上支給については、勿論これは給與ベース改訂はしないが、実質給與引上げてやろうじやないかというようなことを前から政府が言つておりましたから、成る程十月のものを九月のうちに出すことは困難だろうと思います。併し十月一日になれば十月分の給與支給することは法律上できたわけであります。関係方面の意見があるかも知れませんけれども、そういう程度のことは早急に手を打つて頂かないと、実質給與の引上もなされていない。ベース改訂もなかなか予算も来年度でなければ困難であるというようなことを言われておりますが、これはできるものからどんどんやつて頂いて政府の誠意をどんどん出して貰わなければならんと考えますが、これは大体皆御註文のようなことになりますけれども、そういう覚悟で一つつて頂きたい。それから私のこういつたような申上げる点につきまして岡崎さんは一体どういうふうにお考えなつておられるか、その大綱だけでも聞かしておいて貰えば非常に結構だというふうに考えております。
  101. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 只今お話はいずれも御尤もなことで、私共も労働組合からも始終同様のお話を聞いておるのであります。石炭手当につきましては今申上げたような事情がありまして、只今大蔵大臣の言うことばかり聞いていても困るというようなお話でありましたが、やはりこれは数字等は私が自分でやろうとしてもできないのであります。結局材料は大蔵大臣に提出して貰うより仕方がないのであります。ただそれを決して盲従しておるわけではありませんから、その点は御了承願いたいと思います。月の中における繰上支給ということもなかなか人事院としてはまじめに考えて、数回関係の方面にも行つて話をしてくれたのであります。人事院総裁も行かれたようでありますが、結局話は成立しなかつたのでありますが、我々考えますこと、例えば公務員が十月の一日に辞職をいたしますと、普通の慣例では十月分の月給は貰つておるのであります。そういうようなこともありますので、必ずしも絶対にできないということじやないのです。穴埋めさえできれば一時は給與の期日が混乱しますけれども、十二月までであつて一月から又元の通りになるのでありますから、必ずしも理論的にいかんということでもないと思うのですけれども、人事院の方ではさじを投げておりまして、この上は政府の方でやつて貰うより仕方がないということでありますから、政府で取上げて見ようと思つておるのであります。  それから給與ベースの額につきましては、これも又大蔵省の数字を挙げると叱られるかも知れませんが、今の大蔵省の計算では現在の平均が六千三百円ではなくして六千七百円ぐらいに行つているということであります。そこで千円上げれば実際には七千七百円ぐらいに行つている。こういう数字でありまして、これは正直なところ私共にはどの数字が正しいのか計算の方法がいろいろあつて分らないのであります。大蔵当局を呼んで検討されたらはつきりして来ると思いますが、そういうようなことも考慮の一つには入つておると思うのであります。
  102. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 ちよつと速記を止めて頂きたいと思いますが。
  103. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  104. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を始めて。  大体長官も、もう大分時間が切迫したようですから、どうですか……。私からちよつと、これは長官の話を聽いて見ますと、公務員給與というものは財源がもう中心で、財源がなければ今よりもつと苦しい生活もして貰わなければならないというように聞こえるのです。そこで財源ということになれば大蔵大臣が決める。そういうことになれば政府というものは要らないように考えられる。やはりそうではなく政府としては全般に人事院勧告等を十分に考慮され、そうして公務員実情を見、仕事が又十分にできるようにやられるのが妥当だと思うのですが、政府としての見解は一体どういうところにあるのですか。私共大蔵省のいうことを常に聞いておるのですが、これは又何でも財布の紐をゆるめないで、金を出さんことばかり算段しておるので必ずしも政治をやつておるとは思えないのです。そういう点で長官を非常に信頼して皆こうして来て貰つて話合つておるのですが、政府としてはどういう考えを持つておられるか。実は人事院勧告について我々皆集つて、いいか悪いかを調査してそうしてそれぞれあなたの言われたように必要があればE・S・Sなり、或いは又政府の総理大臣なり、いろいろのことをしなければならんと、こう考えておるわけですが、政府としてはどういう考えを持つておられるか。大蔵省ばかりに頼つて財源がないからやられないということでは、これはどこも通らないと思う。この点一つ
  105. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) これはお説の通りでありまして、個人の経済なら無論入るを計つて出ずるを制するわけでありますが、国家の経済は先ず出ずるを計つてそして收入をそれに按配する、これはもう当然のことだと思います。併しながら收入といいましてもやはり国民の税金がその大部分でありますから、政府の賄うだけ要るに任せて税金を余計取るというのもこれはできないことは当然であります。従つて是非どうしてもやらなければならんというものだけを計上しましても、今の計画では今度の予算なんかはその三分の二にも到達しないわけであります。治山治水についてももう手の廻らないところばかりであります。家の問題にしてもそうであります。今度の台風の被害にしましてもやりたいことは山々でありますが、金がないのでできない。そうかと言つて増税をこれからやつて行くということもこれも殆んど不可能であります。原則としては無論要るだけのものを、財源を工面するという建前で来ておりますけれども、今の実際の状況からいうとやはり財源に縛られるという点もお認めにならないとどうにもなりらないわけです。併しできるだけ財源に縛られてやれないということはなくしたいと思つてはおるのであります。
  106. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 重ねてですが、地方の負担を十分に御考慮のようにさつき言われていますが、これはもう当然なんです。ところがこの点は地方に勝手にやれと、政府は今度の給與引上げについてもこういう話を大蔵大臣は言つておるのですが、その時々でいろいろな話の都合のいいようにばかり持つてつておるのじやないですか。この点は地方がべース改訂をしようという場合には財源は国が面倒を見るのかどうかという方針をこの際明確にして頂きたいと思います。
  107. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) このベース改訂ばかりじやありません。公共事業その他厚生関係の仕事、失業保険等で只今財政委員会計算しておりますところの地方の負担分の増加は六百九億ということになつております。但しその中で百三十億は若し災害復旧費を全額国庫負担とすればそれだけ減るわけであります。三分の一地方に廻したときに百二十億殖えてこれが合計して六百九億になるのです。これについてはもう三つの方法しかないのです。一つは平衡交付金を殖やすということ、一つは地方債の起債の枠を拡げるということ、第三は地方の行政費を減すということ。ところが平衡交付金は殆んど殖やすことが不可能なような状態なつております。地方の行政費の節約額がどのくらいになりますか、大体八十何億ぐらいであろうとこう言つておりまするが、それをやつてもまだ可なり大きな穴があくのです。これを地方の起債でやらせるといつても事実はできないのじやないかと思うのですが、仮にできたとすれば相当のこれは赤字財政になつてしまうのでありまして、折角のインフレーシヨンを今まで食い止めて来たのが、又逆戻りしないとも限らないというので非常に苦慮しております。今申上げた数字等はこれは地方財政委員会数字でありまして、政府計算したものではありません。そこで地方財政委員会とも連絡して何とか地方で以て賄い得るようにしなければならんわけであります。この上に例えば今よく言われておりますように公共事業費をもう二百億殖やすとか何とかいうと、ますます地方の財政に非常な皺が寄つて来るわけであります。この点は地方は地方で勝手にやれといつてつて置くわけに行きそうもありませんので、地財委等と今連絡をして方法を考えております。どういうふうか今ちよつと名案もないので非常に困つておる次第であります。
  108. 木下源吾

    委員長木下源吾君) もう一つ、なんですが、この前のベース改訂はできないということに対しては増税しなければならんと只今お話のようなことを言われておるが、尚その当時は債務償還か、やはり歳出は多かつた。今度は債務償還は少い、そんなにないわけです。又補給金も減額されておる。逆に今度は米価が上るわけです、何割か上るわけです。こういう事情がむしろいわゆる公務員に皺寄せをするのが非常に多くなつて来るのじやないか。例えば千円ぐらい上げて見たところがこれらの皺寄せで以前よりもつと足りなくなるのじやないかということはもう素人でも大体考えられると思うのですが、私はそういう点で一つ政府にどういう考えを持つておられるかということを聞いておるわけなんですが、肝心なことは大蔵省は現在六千三百円だといつておるのですが、これは我々の何によればやはりその後昇給等をやりまして、六千六百円ぐらいになつておるという見当をつけております。この千円というのはそれに上積みしての千円なのか、六千三百円のベースに千円なのか。こういう点が、これは頗る曖昧なんです。先程のお話では現在の支給ベースに対して千円上積みするようにお話を承わつたのですが、そうでないとすると今度千円上げても実質上は幾らも上らんことになるので、この点だけ一つ明確に……。現在支給されておる額のベース、その後昇給等によつてそれに千円を加えるというお話なのかどうか。これを一つ
  109. 岡崎勝男

    説明員(岡崎勝男君) 今おつしやる通りであります。今支給されておるものが自然千円ずつ上つて行く。だから六千三百円というものであつても実際には六千六百円なり七百円なり貰つておるとすれば、六千三百円のベースが千円上るということは、六千六百円貰つておる人は七千六百円、つま千円だけ上つて行く……。
  110. 木下源吾

    委員長木下源吾君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後三時二十七分速記中止    —————・—————    午後四時二分速記開始
  111. 木下源吾

    委員長木下源吾君) 速記を始めて。  それではこの程度で本日は散会いたします。    午後四時三分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            千葉  信君    委員            草葉 隆圓君            重盛 壽治君            小野  哲君            大隈 信幸君            紅露 みつ君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君   説明員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    人  事  官 上野 陽一君    人事院給與局長 瀧本 忠男君    大蔵省主計局給    與課長     磯田 好祐君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部労    政課長     星野守之助君    日本国有鉄道運   輸総局職員局長  片岡 義信君