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説明員(
瀧本忠男君) それでは
法律改年につきまして
大要を御
説明申上げ、併せて今度の
勧告の
趣旨というようなものを
簡單に御
説明申上げたいと思います。
人事院といたしましては今回人手五十八円という
勧告をいたしたわけであります。勿論我々は八千五十八円という
数字そのものにそれ程囚われているわけではございません。八千五十八円というのは今度の
勧告の符牒であるという
程度に
考えております。と言いますのは、以前二千六百円べ
ースというような場合におきましては二千六百円というような
数字が初めから決まります。それに
公務員の数を乗じて総枠を
考え、その総枠の中で如何に配分するかということが
考えられるのでございますが、
人事院が
勧告いたしておりますのはそういう方式ではございませんで、
最低生活費が幾らかかるかということを
研究いたし、又
俸給というようなものは如何に定めたらいいかというようなことを
研究し、又
扶養手当は現在どの
程度が適当であるかというそういう
基準を定める。又
地域給につきましても同様な
研究をいたしまして、そうして個々に
給與体系の
基準というものを決める。即ち
俸給表、
扶養手当、
寒冷地手当、
地域給の
支給基準というものを決めるのでございますが、それでもういいのでございますが、それでは
勧告の
内容を一々
説明しなければなかなか分りにくいという点もございますので、
従前の例に倣いまして、若しそういうような
支給基準を適用いたしましたならば、それが一体
公務員一人
当りについてはどのくらいの額に
なつておるかということを
参考のために算出いたしました。その算出いたしました額が八千五十八円ということに
なつておるわけであります。全然これは意味が違うということをよく御了承願わなければならんと思います。それでそういうわけでありますけれども、この表というものはやはり試表であります限り
勧告の
内容というものにつきまして或る
程度の性格を示しておるわけであります。で、私はその
内容について極く
簡單に御
説明申上げますると、今回の
勧告におきまして今のようにして
計算いたして見ますると、一人
当り八千五十八円ということに
なつておりまするが、これを仮にその八千五十八円を構成いたしておりまする
比率を、
内容に分けまして
比率を申上げて見ますると、
俸給というものはそのうち六千二百九十六円、こういうことになるのであります。これは全体の七七・五%ということになります。
扶養手当が八百三十円、これが全体の一〇・三%、
勤務地手当が七百二十四円、八・九%、
特殊勤務手当が三百四円、三・三%、こういう
数字に
なつております。これを例えば六千三百円
ベースの
内容と比較いたして見ますると、ここにどういう変化があるかと申しますと、例えば
俸給は六千三百七円
ベースのときは全体の七五%、それが今回七七・五%に殖えております。このことはどういうことかと申しますと、大体
給與というものは多くの細々いたしました
手当が濫設されるということはよくないので、成るべくデユーテイ・アンド・レスポンシビリテイというものに基きまして決められまする
俸給というものの部分が拡大して行く、そうして
給與体系が單一化されて行くということが望ましいのであります。併しそれはどうやればできるというわけではない、やはり
実質賃金の回復の
段階に応じましてできることであります。又現在の
状況においては七七・五%というところに決めるのが適当であろうということに
なつて、これを
俸給部門を拡大するというような努力を試みたわけであります。
次に
扶養手当でございますが、今回は
支給基準を変えておりません。併し全体が殖えましたので、従いまして
扶養手当の全体の占める
割合が減
つておるわけであります。
勤務地手当につきましては六千三百七円のときには
地域給が三割、二割、一割ということに
なつておりましたが、今回は非常に慎重な
研究を以ちましてこれを二割五分にいたすのが適当であろうという
結論を得ましたので、そのために
地域給の幅が狭ま
つたのは当然であります。これが将来は
地域給、
扶養手当というものが漸減いたしまして、
俸給部門が殖えて行くということは当然であります。我々は現在の
段階においては三割五分が適当であるという
結論に達しましたので、それで
特殊勤務手当については将来このようにいたしたいということであります。
特殊勤務手当につきましては
ちよつと例外に
なつておりまして六千三百七円のときから
特殊勤務手当の実際の
支給の
状況というものがよく分らなか
つたのであります。このことは甚だ遺憾のことでありますけれども、そういう
実情でございます。で、
特殊勤務手当というものはこれは
本俸に繰り入れるという観念が強か
つたので、それで六千三百七円
ベースというものにつきましては極度に圧縮しようという
考えが試みられてお
つたのであります。併し
実情はなかなかよく
研究して見ますると、それをすぐ
俸給の中に繰入れられるという
性質のものでもございません。それで現在
支給されておりまする
特殊勤務手当の中から二割
程度は
本俸へ入れるのだ、併し全体を今すぐ一挙に入れるということはいたしませんで、現実にあるものはこれを残して行こう、
差当りのところ、こういうことに
なつております。
只今申上げましたことがこの八千五十八円の
大要でございますが、更に
カロリーについて申しますると、マーケット・バスケットを構成いたしておりまする
基礎に
なつております
カロリーについても又六千三百円の場合におきましては、
成年独身男子が二千二百
カロリーということであ
つたのであります。ついでに
参考でございますが、七千八百七十七円の場合には二千三百八十五
カロリーという
数字に
なつております。今回の八千五十八円のときには二千三百十一
カロリーと、こういうことに
なつておりますが、この
生活内容というものは漸を追いまして充実しつつある、こういうことが申し得るのであります。従いましてこの八千五十八円の構成の
基礎におきましては、我々は六千三百七円、或いは七千八百七十七円の場合よりも尚
生活内容が充実しておるのである。このことは十分認めて頂かなければならないというふうに
考えます。尚この二千三百十一
カロリーに相当いたします
金額というものが今回は三千三百四十円という
数字に
なつておるのであります。これは昨年の七月に比べまして、本年の六月は
物価が下
つておるという
事情があるのでございまして、
カロリーは充実しておりまするけれども、その値段は例えば七千八百七十七円の場合の二千二百八十五
カロリーを確保いたしますために必要であ
つた三千六百六円に比べますとこれは低いのであります。三千三百四十円でありますから……。併しながらその
内容は確保されている。どうしてそういうことに
なつておるかというと、これはその間にこういう
消費財についての相当の
値下りがあ
つたということに
なつております。ちなみに我々はこの
計算をいたしましたときにすでに六月の
資料を持つでおりました。併し
年間の
季節変動というようなものをいろいろ
研究して見ますると、六月の
数字を使うより五月の
数字を使う方が適当であるというような
結論に到達いたしておりますので五月の
数字を
使つた、こういうことに
なつております。極く大ざつぱに申上げますると今回の
勧告の
内容はそういうことに
なつておる。でこれを九月九日に更に
意見の
申出をいたしました
法律案に、これがまあ最後の締括りになるわけでございますからそれについて申します。どういう点が変
つておるかと申しますと、
俸給表が変ることは勿論であります。そうして
勤務地手当の
割合が従来の三割、二割、一割、零ということから二五%以下五
段階、五%刻みに
なつておるという点が大きく違
つておる。尚
勤務地手当の
支給地域の
区分につきましては
只今すぐに我々その
別表を発表いたさなか
つたのであります。これはいずれ正式に
国会が開かれます際に、そういうものを提出いたしたいというふうに
考えております。それから今回のこれは
勧告の際にも
申出たところでありますが、今回の
法律案の
改正についての
意見の
申出ではつきり明記いたしました点は、いわゆる
頭打或いは
枠外者、こういう者につきまして従来は昇級が不可能である。これを長期間良好な
成績で
勤務いたした者、そういう者に限りまして各
俸給表における今日の
俸給の
最高額から尚
三つ上位の
号俸まで
人事院の定めるところによりまして昇給ができるという
規定を設けました。こういうことによりまして現在の
頭打の大半は救われるというつもりでおります。荷我々は今後一年或いは一年半の後に
給與準則というものを作成いたしまして、
国会並びに
内閣に提出する予定でおります。従いまして現在
意見の
申出をいたしました
法律案が有効である期間というものは大約今から一年乃至一年半というふうにお
考え願いますれば、こういうふうな
規定によりまして今の
頭打、
枠外者というものが救われまして、
給與準則に移ります際に尚根本的な問題は解決して行きたいと、こういうふうに
考えております。
超過勤務手当につきまして従来は実働一日八時間以上になりませんと
超過勤務手当というものが
支給されなか
つた。
従つて日曜日の
勤務等につきましてはこれは百分の百というものしか
支給されなか
つたのでありますけれども、今回は日曜日の
勤務並びに
所定就業時間を超えまする
勤務につきましては
超過勤務手当を
支給するというように
改正いたしたのであります。それから一番大きな点といたしまして年末給というものを制定いたしました。この年末給というものは毎年十二月に
支給する。そうしてこれは
俸給、
扶養手当及び
勤務地手当というものから構成される、即ち毎月の
給與をもう一遍年末にやる、こういう
考え方であります。でこの中には
成績を考慮して額を調整するというような
考え方が含まれておりません。年末給というのは、これは飽くまで年末
給與は
法律の上で確定されたものでなくてはならない、又このために特に
予算が取られたものでなくてはならない。
年間の
予算の余りをこれに充当するというような
性質のものではないのであります。又
組合の方から要求があ
つて、それではというので話をつけて出すというようなものでもない。ただ従来の
我が国の
状況を見ておりますると年末の出費というものが確かに要る。これはもう方針といたしまして年末ボーナスというようなものは認めないのだということに
なつておるのにも拘わらず
実情におきましては毎年出ておるのであります。そういう
支給の形態というものが
我が国の
賃金水準においては是非必要であるという
実情なのであります。そういう事実に即応いたしまするためにこういうものを置こう、こういう意思であります。飽くまで
法律でこれを確定して確定された
給與体系の一部分として
支給しよう、こういうことに
なつております。
只今まで申上げました点が今回の
法律改正の主な点でございます。その他小さい
改正等はございまするが、その点は省略さして頂きます。