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1950-08-02 第8回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年八月二日(水曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○未復員者給與法の一部改正に関する  件 ○最近の引揚状況に関する件 ○理事の辞任及び補欠の件 ○特別未帰還者給與法の一部改正に関  する件   —————————————
  2. 千田正

    理事千田正君) 只今より委員会を開会いたします。  昨日の議題に引続きまして未復員者給與法改正に対する問題を議題に供しまして、只今大蔵省より岩動主計官がお見えになつておりますから、今までの問題の質疑応答をして頂きたいと思います。主として未復員者給與法の一部改正についての問題を議題に供します。
  3. 内村清次

    内村清次君 この未復員者給與法は過去の経過を見てみますると、昭和二十一年からこの給與法の設定がなされて、漸く月三百円、これは第三條の未復員者給與額は月額三百円という額に引上げられましたのが二十四年の十二月の一日ですか、となつているようでありまするが、とにかくこの未復員者に対するところの給與がこれは三百円という法外的な安い支給額だということはこれは、万人認めるところでありまして、大蔵省といたしましてもこれは管轄は大蔵省の省令で出して、法律で規定してある通りでありますが、一般給與問題につきましては、これは最近の吉田総理施政方針演説におきましてもはつきりとやつております。引上げの問題も出て来ておる今日におきまして、大蔵省としてもその一環として未帰還者に対する給與引上げを実施しようという御計画があるかどうか。又財源関係につきまして、この給與引上げに応ぜられる財源措置考えられてあるかどうかという点につきまして、詳しく説明して貰いたいと思います。
  4. 千田正

    理事千田正君) 尚磯田給與課長が見えております。……それでは岩動主計官説明を願います。
  5. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 未復員者給與俸給が百円から三百円に昨年の十一月から引上げられて、適用、支給を開始することになつたわけであります。この本俸を百円というのは非常に、非常識に低いという考え方は勿論あり得るわけであります。又それを三百円に引上げても尚非常識に低いではないかという御意見も当時からあつたわけであります。ところが一方この未復員者関係は、一般の正常な雇傭関係或いは勤務状態にあるという性質のものではなく、非常に特殊な性格を持つた立場にある関係にありますもので、この給與を如何に決めるかということは、合理的な数字というものはなかなか見つけがたいのであります。それで今日このように百円或いは三百円という低いと申しますか、少額のものになつておりますが、これが只今申しましたような、非常に持株な関係にある身分の人に対しては、低いか高いか、或いは多いか少いかということは、なかなか決めがたい点であるように私共考えております。そこで昨年百円から三百円に上げましたときも、その適正な基準というものは見つけがたくて、結局最後には当時の予算残額、つまり財源基準といたしまして、その程度であれば二十四年度予算実行にも一応差支ない程度実行できるであろうと、更に二十五年度以降においても、その程度財政負担であれば何とか今日の国家財政状態でやつて行けるだろうというような見通しで三百円というふうに決めたわけであります。そこでこれを更に引上げるかどうかは、又本年度予算実行状態、又二十六年度以降の予算の全体の計画等関係いたします。又三百円を更に上げるためには、やはり相当の財政負担を来たすわけでありまするから相当しつかりした、国民が全部が納得できるような、やはり基準を求めたい、求めなければできないのじやないかというふうに考えております。そこで今日まで未復員者給與は、帰つて来ない人につきましては、毎月原則としましては積立てて置いて、帰つて来たときにこれを一時に渡すという建前になつております。そこでこれを二十五年度末までに帰つて来ないものとして、従来かちの俸給積立金計算いたしますと、約八千円見当のものが積立てられることになつております。更に二十六年度の末、二十七年三月には一万二千円程度のものが積立てられて、帰つて来たときに一時に支給されるという計算になるかと考えます。従いまして本人が婦つて参りましたときには、相当多額のお金が一時に手渡されるというようなこともあるわけでありまして、只今のところ私共といたしましては、三百円の俸給を上げるという計画は持つておりません。又財源見通しもつかないという現状であります。
  6. 内村清次

    内村清次君 先程の説明によりますると、この財源関係でありまするが、これは三百円に引上げた際におきましては、いわゆる財源は、財源剰余を以て充てて、而もこれが財政余り影響がないというような方法によつて引上げたというお説でありますが、そうすると主としてこの財源は別途大蔵省予算を立てて、年度限りの予算を立ててやるという御計画でなくて、いわゆる年度末における剰余金額を以て、これを充てるというのが、大体の大蔵省方針でありまするのですが、そういたしまするとですね、問題は年度末の剰余金額がどこに一体どれくらいあるかという点を我々は調査しなくちやならん、こういう関係にもありまするのですが、方針としては、どういう点を目的としてやつておられるか、明確にして頂きたい。
  7. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今予算残額を以て昨年三百円に引上げを行なつたお答え申上げたわけであります。それは当時引揚者の予算が四十数万の人が帰つて来るという計算予算を組んであつたのであります。ところがだんだん月が経つて参りますると、帰還者が非常に少い、昨年のソ連の発表によりますと九万五千という数字が明らかにされて、大体その程度の人しか帰つて来ないという実績でもあり、又大体の見通しになつたわけであります。従いまして、当初に計上いたしました予算が相当額余るという状態が出て参つたわけであります。そこでその余つた当然不用に帰すべき財源を、その給與引上げの方に或る程度流用して使つたというのが実情でありまして、年度末になつて一般の会計の予算剰余額が幾らあるから、それに対しての給與引上げ考えるという筋合で考えてはおらないのであります。従いまして、それは年度の途中において給與を改訂しましたのが、たまたまそういう財源があつたからできたわけでありまするが、そうでなければ追加予算を計上して、その実行をするということになるのでございます。ただ大蔵省といたしましては、毎年予算を編成いたしまするときに、その際全体の計画からこの程度給與でやつて行くという方針を立て、当初の予算を国会に提出いたしまして、それで給與額を決めて行く、年間にそれを変更するという考えを持つておらないのであります。
  8. 内村清次

    内村清次君 そうしますると、只今三百円に引上げたことについて、適用されて今日まで支拂しておるところの員数ですね、それと予算にどれくらい見積つてつて、而もそれがどういうふうに使われておるかという数字がありますれば一つ説明して頂きたい。
  9. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今の御質問でありまするが、非常に申訳ありませんが、私、手許に数字を持つて参りませんので、お答えをいたしかねます。又別の機会にお答えを申上げたいと思います。
  10. 内村清次

    内村清次君 では一番近い委員会のときに提出をして頂きたいと思います。ただ今の御説明では、財源によつて引上げ考えがないということでしようか。これがやはり三百円の金額というものが、先程政府委員の言われたように、これは法外的な、非常識的な金額であることは政府自体も認めておる。勿論これが内地の職業に就いておられないという、そういう事態も、これは僕達も万々承知であるが、併し三百円の価値ですね、価値というのが、それは現在の経済情勢からいたしまして問題にならない、而も又、これが留守家族方々に対しましても、期待ができない、本当な温かい期待ができないというような考えもあつて政府がこれはもう引揚げをしないというような方針、その方針はこれは一つ引上げた当時において何と申しますか、三百円に引上げた当時の理由におきましても、国民の納得が私は行くだろうと思う。こういう考え方からいたしまして、今回の予算を丁度今組んでおられる最中であると思うが、考え直したらどうかというふうに私は考えておりまするが、この点は何か大蔵省としては省議におきましても話は上つておらないかどうか、そういう熱意の点は見えておらないかどうか、こういう点を今一つ明白にして頂きたい。
  11. 岩動道行

    説明員岩動道行君) その点につきましては只今お話がございましたように、丁度各省から予算要求提出がありましたところでありますので、大体この給與の実際の具体的な支給、或いはその面倒等はすべて厚生省がみておりますので、厚生省の方の予算要求等もよく伺いまして、その上で決めたいというふうに考えております。
  12. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今説明しておられるのは誰ですか。
  13. 千田正

    理事千田正君) 岩動主計官です。
  14. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 名前よりもその役所における資格はどういう人ですか。
  15. 千田正

    理事千田正君) 主計官です。
  16. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 大蔵省主計局の……。
  17. 千田正

  18. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 主計官でありますか。主計局の中でどういう仕事をしておられるのでしようか。
  19. 千田正

    理事千田正君) 予算査定です。
  20. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 予算査定をやつておられるのですか。未復員者給與法について突込んで仕事をしておられるようでないですね。
  21. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 岩動君は主として厚生省方面の担当をしておられる予算関係主計官です。
  22. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今あなたの説明によると、あなたと議論してもしようがないと思うのですが、八千円乃至一万二千円溜つていて非常に多額の金だと言つておられますが、本気でそう言つておられるのですか。今日自由労働者が一日二百四十円、自由労働者が月に七千円なり八千円なり貰つておるのだが、一個の一人前の人間が五年間も祖国へ帰えられないでその間三百円ずつ月に溜めた金がたかだか八千円になろうと一万二千円になろうと、あなたは一と月幾ら月給を貰つておるのですか、お尋ねしたい、そうすると多額だというようなことは先程言われたのはどういう意味ですか。あなたの常識を疑いますよ。そういう主計官常識を……。
  23. 千田正

    理事千田正君) 磯田給與課長からお答えいたします。
  24. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 明確にして下さい、多額という理由を……。
  25. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 当初百円から昨年の改正によりまして三百円というふうに決まつたのですが、当初本来の給與といたしまして、先程岩動主計官からも御説明いたしましたように、極めて低い金額であります。極めて特殊の給與であるからその基準が定めにくいという説明があつたわけでありますが、然らばこの当初の百円という俸給が如何にして決まつたのであるかという問題でございますが、その当時の問題に遡りまして、聊か説明を補足してみたいと思います。御承知のように、この未復員者給與法によりますと、俸給扶養手当帰郷旅費遺族引取費その他のものを支給するように相成つておるわけであります。当時俸給を決めます際におきまして、御承知のように、戰時中軍務に服しております者につきまして、いわゆる下士官以下の者につきましては、御承知のように給與というものが原則といたしまして現物支給に相成つていたわけであります。従いまして当時の給與というものはほんの煙草銭程度のものが出ていた、即ち下士官以下の給與は当時の基準によりますると、概ね九円程度であつたというふうに記憶いたしております。従いまして、これは本来軍で現物支給を受けていたときのほんの小遣銭という形において出ていたわけでございます。本来今内地で未復員者給與法支給いたしておりまするように、別途出ておりまする扶養手当というふうに留守宅におられる方々生活の補給になるべき性質のものではないわけでありまして、御承知のように全公務員について申上げまするならば、現に公務員であつて、未復員である方がおられるわけでございますが、こういう人々に対しましては、その本来の俸給に相当するものはこの俸給の外に差額が出ておるわけでございます。即ち本来の俸給はそれぞれの公務員なり、これは会社で申しまするならば、会社に出ておつた復員者であつたものはその会社において給與支給するという建前になつておる。従いまして未復員者給與法に規定してありまする俸給というものは極めて低い金額ということになるわけであります。当時百円と決めました事情も先程も申上げましたように、戰時中におきます小遣銭程度給與であります。その九円程度のものを昭和二十二年十二月の五日に未復員者給與法ができましたときにおきまして当時給與ベースまでに一応引直して見ればこういうことになるということで、各般の事情を研究勘案しました結果百円ということに決まつたわけでございます。それから昨年三百円と決めました。昨年の十一月に三百円というふうに法律改正によりまして引上げられたわけでございまするが、これは基本的に岩動主計官からも御説明いたしましたように、予算財源のある範囲内におきまして一応基準を定めたわけでございまするが、それと併せまして昭和二十二年の十二月の十五日におきまして、当時の給與ベースがたしか千八百円であつたと記憶いたしております。その千八百円のときの本俸と昨年のいわゆる六千三百円ベース本俸との倍率を検討いたしまして、大体三倍ということに相成つておるわけでございます。従いまして、その概ね三倍というものを昨年の三百円というふうに俸給を決める際におきまして決めたわけでございます。繰返して申上げまするようでございまするが、この俸給と申しまするのは、先程も申上げましたように、本来内地において支給すべき性質のものではない、即ち軍務に服しておる場合におきまして、その現物支給では足りない煙草銭、或いはお茶飲み銭という形におきまして極く少額給與が出ておつた。それを一応内地において支給するという形にしてあるわけでございまして、本来ならばこれは法律に入つておるのでございまするから現在これを私共敢て否認申上げるわけでもなんでもないわけでございまするが、内地において支給すべきものであるかどうかということは、理論的には非常に議論があるわけでございます。言葉足らない点があるか知れませんが、この俸給というものが当初においてそういう事情によつて決まつておるということを御参考のために補足して御説明いたしたわけでございます。
  26. 鈴木直人

    鈴木直人君 実は私はこの委員会が最初なので、詳しいことは知らないのでありますが、只今の御説明によりまするというと、三百円というものはいわゆる家族生活を、俸給というような意味において家族生活を維持させて行くというような、そういうような性質のものではなくて、まあ家族生活を維持させるというものはそれぞれ会社なら会社において俸給が出ている筈である、こういうようなものであつて、それはやはり生活の基本になるものであるけれどもこの三百円というものは煙草銭程度のものが曾て外地において受けていたものがこれを内地に移してそれを出すというような性質のものである。こういうことでございます。
  27. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) そうでございます。
  28. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、現在未復員者給與法でいわゆるその人が外地におるわけですが、その人が外地において受くべき程度俸給は別に国からその家族に出しておるという現状でございますか。
  29. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) その点につきましては先程もお話いたしましたように、この公務員である者につきましてはこの俸給とその人が現在のこの未復員者給與法によつて、百円というものをその人が仮に六千三百円ベースの当時の俸給に直して見まして、仮に五千円なら五千円と仮定いたします。その五千円からこの百円なり、或いは今度改正になります三百円を引きました四千七百円というものは、それは公務員給與として支給されております。
  30. 鈴木直人

    鈴木直人君 公務員の場合……その場合にその家族に、本人支給すべきものは外地におるからして、本人支給する代りに家族支給している、こういう現状ですね。
  31. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) それから会社の場合におきましては、現にその勤務しておつた会社がなくなつた場合もあるかと思います。それから何らいわゆる俸給生活者でなしに、例えば家で百姓をされておられた、農業をやつておられた。いわゆる俸給生活をやつておられなかつた方、そういうものは本来こういう給與によつて生活をされておられなかつたのです、従つてそういう方には出されていないわけであります。建前におきましてはそういうことになつておるので、会社におきましては一部は支給してないところもあるように聞いております。建前としては一応支給することになつておる筈であります。従つて俸給は低い、先程も話しましたように、この給與目体では発生的には飽くまでも本来の給與というものは現物給與支給されておりまして、ほんの煙草銭というものになつておりましたので、これは非常に低くなつております。これは数字を申上げたわけでありまして、先程からの御質問趣旨に合うかどうか聊か議論があるかと思いますが、一応その沿革的にこれが低いという理由参考のために御説明いたしたわけであります。
  32. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、公務員に連繋をして考えて見ると、一定給與を貰える。これは今貰つている。併しながら百円の場合には百円だけその給與から減らした額を貰つている。今度三百円になれば三百円だけを引いた金を公務員給料からやつておるのだ。これを千円にすれば千円を引いたものを公務員給與として家族にやる。五千円にすれば五千円を引いたものを公務員給與として家族にやる。こういうことに公務員の場合にはなりますか。
  33. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) そういうことでございます。
  34. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、これは給與額というものははつきり決まつている。内訳として基本的な給與としてやるか、煙草銭としてやるか区分けがつかないというようなことに公務員についてはなるのだろうと思います。そこで公務員以外の会社、或いは農業等をやつておられた方々というものは、これは会社が果して現在、従来支拂うべきところの給與を今も支拂つておるかどうかという点でありますが、この点については終戰当時支拂つてつたという事実があるならばその会社はその人が帰還するまでの間は支拂わなければならないというような法律でもございますか。
  35. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 只今申上げました公務員の場合につきましては現に支給いたしております。それから会社の場合につきましては先程話しましたように、これは私の記憶が或いは間違つておるかとも思うのでありますが、戰時中におきましてこれは閣議決定か何かによつて支給するようになつていたのじやないかと思います。現在におきましてそれの法律上の根拠はないと思います。
  36. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、会社銀行等におきましてはその会社銀行の自主的の処理に委せるために勿論そこには労働組合その他の関係があつて団体協約ということをやつておるところもあるだろうし、ないところもあるだろうし、その会社によつて違うし、又会社が潰れたとかいうようなものについては退職金等労働組合等話合いの結果話合いがついて一種の解決がついているものもあろうし、或いは話合いがつかないものがあるかも知れませんが、そういうふうにして話合いがついているものがあつで国家においてはそういうものには何らの責任は持たないというこういう段階になつておるのでありますね。
  37. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) はい。
  38. 鈴木直人

    鈴木直人君 そこで次に僕はよく分らないからお聞きしたいのでありますが、軍人につきましてはこれは戰時中には公務員と同じように外地に行つておる者は一定生活を支えるだけの俸給外地において受けていたと思うのであります。そういう関係であつて煙草銭程度のものは内地で受けたといたしましても公務員と同じような性質のものにとつて軍人或いは高級軍人等は別でございますが、召集応召の方方は当然公務員と同じような取扱の下に現在も外地で曾て受けていただろうと思われる程度基礎報酬というものは受けて然るべきであろうと思われるのでありますが、その点の措置は今やつていないのでありますか。
  39. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 只今お話の点は軍人一般について他の公務員と同じ程度給與支給して然るべきではないかというような質問の御趣旨に承わつたのでありますが……。
  40. 鈴木直人

    鈴木直人君 軍人一般でなくて応召召集……。
  41. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 応召召集を受けた軍人につきましては他の一般公務員と同じ俸給支給するのじやないかと承わつたのでありますが、この点につきましては当時の軍人給與というものは原則として現物支給である。それからその現金給與というものは先程も話しましたようなほんの煙草銭程度のものである。それで内地留守家族につきましては先程話しましたようにこれを一般公務員であつて召集された者につきましては従来その家族はその公務員給料によつて生活を支えていたわけであります。従いまして急にその公務員であつた者軍務召集されたために、その家庭の收入が全くなくなつてしまうということになりますと、その公務員家族としては生計の途が立たない。そういう観点から先程話しましたようにその公務員として受ける給與としての、いわゆる公務員給與軍務に服して受けるところの軍の給與との差額の分だけを公務員給與として支給して、それによつて留守家族生活を安定させる、それと同じ性格といたしまして、他の一般会社銀行などに勤めておりまして、その收入によつて生活をいたしておりましたところの民間賃金生活者につきましては、やはりその差額に相当する額をその会社において支給して、その家族において困らないようにするということは戰時中つていたわけであります。現にまだそういうことを続けてやつておるところもあるというふうに私共は聞いております。併しそれは全部が全部支給しておるということを申上げるわけではありません。そういうわけで、先程お話のように応召された者が他の公務員と同じように皆納與支給する、他の公務員と同じような給與基準によつて給與支給するということにはならないのじやないかと私共は思つております。
  42. 鈴木直人

    鈴木直人君 今のお話によつて筋道というものはよく分りました。そこで然らば筋道はそうであつても、例えば未復員者軍人について見れば、家族を持つていて、そうしてやはり公務員と同じように生活がやつて行けないという事情のものはおるわけです。公務員であろうが、公務員だけがそういう生活をやつて行けないものがあるのではなくて、未復員者軍人においてそういうものがあるわけです。従いましてそれにつきましてはいわゆる俸給というものは現物支給であつたからして、それはやれないので、煙草銭程度のものきりやつていないというその筋道も分る。併しながら国の関係公務員であり、而も生活は同じような生活をして行くという場合において、この煙草銭というような性格のものを、もう少しそういう性格を変えて、そうしてそういう方々に対してのみ特にいわゆる俸給現物支給程度の、或いはそれ以下でも、とにかく最小限度の安心が得られる程度のいわゆる支給といいますか、そういうようなものをやることがこれ又現実に即して必要である。こういうふうに考えられますが、勿論それは生活保護法があつて、そういうものに関係なく生活保護法というものによつて救われておる形になるからそれでやつて行けばいいというお話があると思うけれども、併しながらそれならば今の三百円というものも余り必要でない。こういう観点でいろいろ事情を勘案した場合には、この三百円の額を以て一千円とか一千二百円に上げるというようなことがやはり社会政策的に妥当な政策であるように感ぜられますが、それについての御意見を伺いたいと思います。
  43. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 只今公務員応召した者、それから民間会社に勤めておつて応召された者、それ以外の者についてもそれを引上げるべきではないか、これを引上げて社会政策の観点から面倒を見て行かなければならんのじやないかというお話でありますが、この点は繰返すようでございますが、発生的に見まして、先程御説明いたしましたように、公務員なり、或いは会社に勤めていた会社員なりのように、明らかにその家族俸給によつて生活をいたしておつた、そういうところに対してはその差額を出すという考え方に立つているわけです。即ち会社以外で生計の途を立てていた者、或いは家で小売業者をやつていた方もあるでしよう、或いは家で農業を営んでおつた方達もあるでしよう。そういう方方の生計というものは飽くまでも給與以外のものによつて一応生計が立つていたという形になつているわけです。従いましてその分については、本来から申しますと、社会政策的な観点から見るといたしますにいたしましても、その分は理論的には皆やる必要はない。即ち他に生業がある筈だ。若しそれで著しく生計困難な場合には、先程お話のように、生活保護法なり何かによつて救済さるべき問題でありまして、その方が軍務に服せられたために生活が困難になつたということには必ずしもならない。外に生計の途があるからということでございます。勿論それと、この俸給の現在の三百円を別個の観点から引上げろというお話ならば全然別の問題でございますけれども、理論的に申しますと私共はさように考えるわけでございます。
  44. 高良とみ

    ○高良とみ君 私は少し違う観点からお伺いしたいのでありますが、過去の日本の国家の形態はそういうことであつたでしようと思いますが、それは暫く問わないとして、現在及び未来の問題があると思うのでその点のお考え方を伺いたいのです。別に福祉国家になるというような高い理想からではないのでありますが、例えば過去にもあつたことですが、外務省或いはその外商工省あたりの出張職員等がある。只今でも在外事務所というのがあつてそこに出掛けておりますが、それは公務員としてでありますけれども、その人の俸給によつて家族生活している場合に在外にあります公館の職員の家族に対する手当というのは、従来外地支給するから内地の者は内地送金のできる範囲でやれ、というような方針で今まで支拂つて来られたのか、或いはこれからも国家仕事によつて在外にいる者に対してその家族生活に対する俸給内地支拂うという方法はなかつたのかどうか、それを一つ伺いたい。それからもう支拂いをしておられるでありましようから、今まで在外未復員者給與法によつてつた人の頭別の数だけは大体お分りになるのじやないか、細かいものも頂きたいと思いますが、それはあとにしても、どれくらいのものを総額として拂い、それは何人分のものであるかということは分りますか。
  45. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 先程お話の在外事務所あたりに勤務している者の給與体系がどういうふうになつているかという問題でございますが、現在の在外事務所に勤務いたします公務員給與につきましては、いわゆる在勤手当というような形で、例えば米国におきましては米国におきます在勤手当というものが決まつております。それとは別に本俸内地には出ております。それからあとの問題につきましては、ちよつとここに資料を持ち合せませんので……。
  46. 高良とみ

    ○高良とみ君 総額がどのくらいになるか……。そうでないと漠然とした問題を取扱つているように思われますので……。
  47. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 二十五年度予算で三十六万人の人が逐次帰つて来るといたしまして、この帰つて来るまでの給與を皆全額支拂うということと、その外に病気で帰つて来た場合にその療養費を見るといつたような経費を合せまして、三十一億を予算上計上いたしております。
  48. 高良とみ

    ○高良とみ君 それについて伺いたいのですが、給與というのは今の煙草銭程度のもので、実は煙草も外地では実物給與だろうと思いますが、それをこの三十一億で以て積立てておられるという意味なんでありましようか。先程八千円乃至一万二千円の積立てがあると言われますのは、帰つて来たときにそれを渡すという御趣旨で積立てておられるのでありましようか。
  49. 岩動道行

    説明員岩動道行君) さようであります。つまり本人が今まで毎月百円ずつ、昨年の十一月から三百円ずつ毎月貰う権利があるわけであります。但しこれは本人家族に渡さないのを原則として、本人内地に帰つて来た際に渡すということになつております。従いまして過去半年間に亘つて貰う権利で一応積立てられているような状態になつておるわけであります。それを支拂うために必要な経費が三十一億というふうになつております。
  50. 高良とみ

    ○高良とみ君 それならば伺いたいのは、本人でなければ渡さないという考えは、やはり旧軍政時代においては、軍の支給の單位は個人にあつたのであつて、そしてその家族のことは、もう一切召集令が来た場合には全然考慮しない、こういう建前になつていた。非常に個人主義的な考慮にあつたのか、或いはむしろ私共が考えておりますように、家族生活を支えておつたという社会的な、福祉的な考えの下にあつたのか、その点が私も記憶して、覚えて置きたいことであります。その点一つお伺いしたいと思います。
  51. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今本人内地に帰還した際に渡して、従つて家族に前渡しをしないというのが建前であつたというふうに申上げましたが、これは法律にそのような原則で書いてあるわけであります。但し本年の四月からは一般的に扶養家族内地におつて、その扶養家族が希望をすれば、本人が帰つて来なくても月々その給與の前渡しを受けられるという建前改正をいたして現在実施をいたしております。
  52. 高良とみ

    ○高良とみ君 更にそうすればこの日本のように、今までそれが軍政の下における給與法であつたという、つまりそれは実物給與は現地において軍がする、ただ小遣銭だけを本人に渡すというようなことが残つてつた。その残つているというそのことがおかしなことと思うのでありますが、そうすれば今後憲法に規定されたように、軍政及びそれに対する支給がないとすれば、私などお伺いするところでは、シビリヤンと軍部に属する人に今まで判然と分けておられた。そうすれば軍務に属していた人達も、非軍事的な公務に属していた人々も、同じような一体の法律で行かなければならないように、すでにお認めになつているものと思うのであります。その点一つ。従つて今後ともに海外に行きまする人においては、外国手当は別に本人に渡さないものとしても、その家族、その人の扶養しておつた家族に対しては旧軍閥時代の、或いは軍政時代の法律は今日はもう死文と化しているのじやないかということがもう一つ。それをお伺いしたいと思うのであります。
  53. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 只今お話は結局本人内地を離れて海外において任務についた場合に、その内地に残つた留守家族生活を支えるためには、原則としてむしろ本人の方に外地で渡さないで、内地家族の方に渡して生活の安定を図るのが趣旨で、それが軍国主義的な考え方とは違つた新らしい行き方ではないかというような御趣旨に承わつたのでありまするが、只今問題になつておりまする、この未復員者給與につきましても、先程申上げましたように、扶養家族内地におりまして、そうして扶養家族が希望いたしますれば、少額ながら本俸はその家族本人が帰つて来る前に前渡しとして支拂いをするという建前になつております。それでも本人が帰つて来るまで若干残るものがあるわけでありますが、これは別に軍国主義的な考え方とか、或いは旧来の法律というわけではありませんので、給與性質がそのようなものであることがら起つて来るものであるというふうに考えております。
  54. 高良とみ

    ○高良とみ君 尚それなら確かめて置きたいのでありますが、私共は例えば今度の未復員者給與法改正を加えるという場合に、その未復員者給與法の元になつております給與法というものが、新らしい憲法以前のものであるとして、先程御説明があつたように、それが尚残るというようなお考えならばそれを無効にする立法をして、そうして新らしい新憲法による、又新らしい社会福祉的な思想によつて、そこに給與法を作らなければならないかと思うのでありますが、その点如何ですか。
  55. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 私共は本人の意思を確かめずに本人が当然直接貰うべき給與を、本人の知らない間に、本人との連絡もなしに、誰かが貰つてしまつておくということは、むしろそれこそ非民主的な行き方ではないかというふうにも考えられるわけであります。従いまして本人との連絡がついて、本人の方で、自分は内地におらんけれども誰某にその給與を渡して呉れという正確な何か記録でも出て参れば、これは又別の問題かと思いますが、今日においては一応扶養家族があつて、その扶養家族が希望した場合にそれを渡すというふうに、相互の連絡が仮にとれなくても、扶養親族、扶養家族があれば、その扶養家族との間では、本人の承諾がなくても扶養家族のその希望に従つても、将来において問題は起るまいというふうに考えて、その限度においてやつて来たわけであります。
  56. 高良とみ

    ○高良とみ君 その只今の御説明で少し分らない点があるのでありますが、ちよつと論理の錯綜があるように実は伺つたのです。それは勿論お渡しになるものとすれば扶養家族にお渡しになるのでありまして、今まで知らない人に渡すということは例がないのであるとこう考える。そうすれば知らないうちに知らない人に行つておるということはないのでありまして、そうすると扶養家族がある場合はこれを渡す。扶養家族が勿論ない場合には、曾ての貯金は大蔵省がそのまま無断で頂戴してしまうというわけになりましようか。海外で死んでしまつたという場合にそういうことになりましようか。それで只今の御説明の後の方を御答弁願いまして……さつきの御答弁で気になるのは、法律によつて本人に渡すというその法律支拂の根拠はいつ頃できたもので、そうして又戰争前からこう続いておるものでないかということを伺いたい。それをどつかできちつと打切つてできておるものであるかどうか。
  57. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 家族渡しを原則にしないで、その僅かな煙草銭程度のものにしても、とにかく本人に渡して家族に渡さないという制度は、これは恐らく私詳しいことを存じませんが、軍のできた当時からあつたのではないかというふうに考えております。それでただ将校以上になりますと、それは本人家族がおります場合には、家族渡しをするということは従来からもやつてつたわけであります。
  58. 鈴木直人

    鈴木直人君 それに関連してお聞きしたいのですが、そうしますとどうもこの未復員者給與法というものの建方ですね、法律の権利、義務の建方。何故、どういう意味で貰つているかという建方は、まだ軍人の身分とて曾て貰つていたところのものを、戰争が終つて軍人がなくなつて新らしい憲法の現在になつてもですね、国と個人との法律上民法上の、民法上と言いますかそういう契約ですね、公法上の契約ですが、いわゆる自分は軍人となつている場合には現物支給というようなものの外に、煙草銭程度のものを貰うのだといういわゆる公法上の契約が、軍人としてそういうふうになつていたけれども、それが軍人でなくなる、それが廃止ざれ新らしい憲法の時代になつてもそれが継続されて、そうして現在にまで来ているところのものである。その契約は家族にやる契約でなくしてその個人に国からやるものであつて、その個人が家族に、貰つた分をどういうふうに分配するかということは、貰つた個人と家族との関係において行われておつたんであるが、そういうことについて今家族にやるとかということは、従来のその軍人国家との契約を破棄するということはできない。それはその個人は今どこにおるか分らん。だからしてその人がもう一度契約を仕直すことを納得すればできるけれども、そうでない限り曾て軍人であつた時代の国家の義務を、そのまま継続して行かなければならないのであると、こういう説明でした。そういう性質のものであるということは了解した。そこで第一点はですね、今高良さんから一体戰争前のそういう国と個人との契約が今も続いているというのはおかしいではないか、いわゆるそういう契約は終戰と同時に個人と国との関係においては、そういう契約は終つたのではないか、一応そこで御破算になつたのではないか。併しながらそういう意思を承けて……、そういうような終戰前における、そういう国家と個人との契約の意思を続けて行く新たな給與法というものができたのではないか。そうであるとするならば、その給與法というものは、性質は、必ずしも曾て軍人であつた時代におけるところの、個人と国家との公法上の契約をどこまでも厳守する必要はないのではないか。現在その本人はどこで生きているかちよつと分らない状態家族生活をすることもできないという現実にある場合に、新らしく憲法に基いてできたところのその給與法の内容が、やはり新らしいところに盛つて行くということが必要ではないか。こういうことだと思うのですが……そこでそれについての私ら是認し得る点があると思うのです。その点について一つお聽きしたい。  もう一つ、それが是認せられないとするならば、曾て戰争中においてされたところの契約の本旨が現在も継続されなければならないということであるとするならば、私は煙草銭だけ国家が負担するというのでは十分でないところがある。現物支給として幾らかのものを毎月国が本人支給していた筈である。これは相当の額に達するものと思う。その現物支給に匹敵するところの金額は現在のベースに応じて計算されて、そして現在の本人に引継ぐべき性質のもので、そういう意味のことは公務員についてすでになされておる。軍人においても煙草銭だけが、そういうふうに本人国家関係であるということを強く主張するならば、その現物給與もやはり同じような性質の下に支出せらるべき性質のものである。決して戰争と同時にそれは消えてしまうものではないと思う。その点について、どうして現物支給というものは戰争と同時に消えてしまうという理論が出て来るのか、それをお聽きしたい。
  59. 岩動道行

    説明員岩動道行君) どうも極めて理論的にむずかしくなりましたので……。
  60. 千田正

    理事千田正君) これは多少食違いがあるのです。未復員給與の問題を取上げたのはヒユーマニテイーの問題に発しておるのであります。というのは、好まざる絶対的な召集によつて召集され、或いは不法の侵入によつて抑留された人達に、日本国民は何か報いなければならない。それには公務員同様の支給をすべきである。そういう要望があつたわけであります。そこでそれに対して関係筋との折衝が十分でなくて、結論において生れたのは、いわゆる軍人給與法に準拠して、この方法以外になかつたというのが、今出ておるところの未復員者給與法であり、特別未帰還者給與法であります。我々委員会としては飽くまでもヒユーマニティーに基礎をおいて、この人達の不幸をカバーして行くかということに立法の精神が置かれたわけであります。ところが大蔵省のいうのは、給與法という今までの査定の基礎に準拠しておるところに食違いがあるわけであります。でありますから並行して、今鈴木さん、高良さんから御質問の点も附加えて大蔵省お答えを頂けば多少解決の途があると思います。
  61. 高良とみ

    ○高良とみ君 それに附加えて伺います。それならば将校以上の未帰還者家族には煙草銭以上の俸給に相当したものを給與しておつたかどうか伺います。
  62. 千田正

    理事千田正君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  63. 千田正

    理事千田正君) 速記を始めて下さい。
  64. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 一般の場合はとにかく扶養家族があれば、長子六百円、その他四百円渡しておつたわけであります。ところがそういうふうにそういうものが出る前に、それが百円が三百円に上がるその前に、将校の給與がそれにより若干多かつた人もあつたわけであります。従つてその差額については、やはりこちらから差額支給をして、旧来の俸給にマツチするものをやつてつたわけであります。ところが今日においてはそれが三百円に上げられて、六百円、四百円というような基準支給されることになりましたので、従来の俸給以上に多少出るということになつておりますので、今日においては皆一律に兵隊も将校も同じ金額で……。
  65. 高良とみ

    ○高良とみ君 その同じ金額は三百円でございますか。
  66. 岩動道行

    説明員岩動道行君) さようでございます。
  67. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうすると現物支給を受けていない、いわゆる公務員と同じように給料を受けておつたような将校については、曾ての給與を基礎としたものが、今も継続されて支給されておる、こういうことになるのですね。そうすると、現物支給を受けたものだけがそれをちよん切られてしまつた、こういう現状になつていますか。
  68. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) その点現在においては、取扱は全く同じであります。
  69. 鈴木直人

    鈴木直人君 将校も三百円ですか。そうすると今の主計官お話で……。
  70. 岩動道行

    説明員岩動道行君) それは三百円になる前の仮に中将で俸給二百円貰つてつたが、ところが仮に百円しかこちらの方では出ないから、その差額の百円は別個にプラスしてやつておる、こういうわけであります。
  71. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今そこで説明しておられるのは同省の何課長ですか。主計官の横におられるのは……。
  72. 千田正

    理事千田正君) 大蔵省給與課長です。
  73. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どうも給與課長の方もだまつて聞いておると変な事を言つておる。理論的などという言葉を使つておるが、理論的な説明などということは馬鹿々々しいことだ。一体理論的というのはどういうつもりか。私は理論とは国民及び国民の代表という我々の納得できるようなことが原則で、社会の発展の法則で、自然科学の法則に一致しておるならば理論ですが、あなた方の言うのは自分勝手な煙草銭という前提を立てて置いて、それに一致するものを理論と言つておる。或いは高良議員からお話があつたような質的に変化を考えないで、戰争前の状態を前提にして置いて、戰争後も引続いて理論理論と言つておる。理論という言葉は軽々しく弄ばれるということは遺憾だと思います。併しそれはそれとして、君達の理論というものに一致させるために煙草銭三百円というのでありますが、僕は軍隊の生活を知つておるのだが、下士官以下の仮に九円時代二十本入りの「ほまれ」が、四銭三厘か四銭五厘で買えた、それで九円貰つてつた。そうすると九円と言えば二十本入りが二百箱乃至二百二十箱、それでこれはバットに相当する煙草である。一体バットを二十本入りの煙草が、二百箱乃至二百二十箱ならば幾ばくになりますか、答えて下さい、具体的に、理論的に……主計官でもよいよ。煙草銭の理論で一つ行こうではないか。
  74. 磯田好祐

    説明員磯田好祐君) 先程私が俸給の百円、或いは三百円と決まつた基礎を御説明いたしたわけでありまして、従つて百円とそれから三百円というものが一般給與と比べて低く決まつておる。そういう事情を申上げたわけでございまして、従いましてそれが当時幾ばくになるか、現在幾ばくになるというようなことで御説明したつもりはなかつたのでございます。それから、先程お話のありました戰事中の給與をそのままもつて来るのはおかしいじやないかというような話があつたのでございますが、この点につきましては、先程委員長からもお話がありましたように、この未復員者給與法ができました当時におきましては、こういう形でなければ各方面の関係がうまくいかなかつたという形において、こういうふうな関係において未復員者給與法ができておると私共は了解いたしておるわけであります。それから現物の給與の分については現存支給されてないわけでありますが、その分も現在の給與として支給したらいいじやないかというお話でございますが、この分につきましてはこれは又議論になるかとも思うのでございまするが、現実に軍務に服しておられた方々であつて、現在未帰還の立場におられる方々は現に生活を他の財源によつておられるわけでございまして、従いまして問題として取上げるといたしまするならば、留守宅の現に生活しておる方々をどういうふうに扱うかという先程委員長から話がありました社会政策的な観点、或いはヒユーマニテイーの観点、そういう観点から問題を取上げるべきだと思うのでありまして、現にこの未復員者給與法におきましても俸給の方は先程申上げました事情によつて低く決まつておる。併しながら扶養手当の方につきましては他の一般公務員と同じ基準によりまして、妻につきましては六百円、その他につきましては四百円という形におきまして、勿論これは私共は十分であるかどうかにつきましては問題はあるかと思うのでございますが、少くとも扶養手当という考え方からは現在の公務員と同じ基準で見込んであるわけであります。
  75. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は一体両君の国会に出て来る心構えが間違つておる。君らから議論を聞いておるのではない。上滑りな官僚的な自分らの言葉の先で問題の本質をごまかすような、非民主的な課長、或いは主計官諸君と議論をしに来ておるのじやないのだ。諸君は我我の聞いておることを簡明率直に事実を答えて貰えばいいのだ。ところが実際の数字は殆んど答えられないで、徒らに駄弁を弄しておる。委員長注意して下さい。こういう官僚的な駄弁を弄して人民の生活国民生活、或いは先程から公務員、それから会社員、その他労働者、農民、商工業者というものが一家の支柱を失えば食つていけないというようなことは全然考えられないことが当然だとか、そういう取るに足らない、或いは問題にならん官僚的な説明を聞くのでなくて、この法律がどういう事情でできた、そのときの物価指数はどうであつた、九円という数字がどういう関係でどういうふうにそれが物価指数でなるか。君達大蔵省にいるならば経済学なり、財政学なり勉強しておるのだろうから、そういう具体的な事実を説明して貰えばいいので、議論に亘つてお説教を受けようとは思つていない。我々の数字にはちつとも答えることができなくて、徒らに駄弁を弄しておる。これは委員長から注意して欲しい。こういう愚劣な説教を聞こうとは思つていない。打切ります。
  76. 森崎隆

    ○森崎隆君 結局この問題については我々の意図するところは未復員給與法といいますけれども、遺家族を中心にした現状に即して三百円というものがどこから考えてもこれは不合理極まる。何とか改訂して頂かなければならないという、我々気持を持つておるわけでございますが、今ここでこれ以上議論をいたしましても一向に一番大切なポイントがいつまでも触れないのだろうと思います。又お二方でここではつきりとお約束もできないだろうと思います。その点一つ大臣が出席されまして、本当に誠意を以てこの問題を取上げて改訂するか、又この三百円を改訂するに必要な給與法を改訂する意思を持つているかといつたようなことにつきまして、はつきりした意思を御決定して、次の機会に発表して頂きたい。尚その上には是非ともそういう意思で具体的な研究を一つやつて頂きたいと思うのです。今日ここでこれ以上やりましても、結局発展はしないと思いますから、そういう点で一つこの問題は如何でございましよう。
  77. 千田正

    理事千田正君) 今森崎委員から提案がありましたが、問題はこれは堂々廻りして、今のような状態ではただお互いに議論し合つてもしようがない。それは我が委員会として要望するところは、常識考えても今の給與法は当嵌まつておらない、何とかしてそれを改正して、そうしてできるだけこの国民の要望するような方向に政府当局に応えて貰いたいという意思なのでありますので、その点については改めて又委員会を開いた際に、総括的に質疑応答をさして頂くことにして、この未帰還者給與法の質疑はこれで打切つてよろしうございますか。
  78. 高良とみ

    ○高良とみ君 一言希望があります。それは先程委員員から今までの経過についてお話頂いたので、人道主義に立つて給與法を決めたという御努力には非常に感謝しますけれども、私この給與法を今後改訂して行く基礎として、人道主義に立つて行くのではどうも弱過ぎると思うのです。今後一つ大蔵省でお考え願うときに、法律から行けば生活保護法もあります、今日社会保障法もあるというような、そういうところへ逃げられると、ちよつと違うと思う。それはやはり先程皆さんからお話のあつた通り、国家の責任において、而もいやいやながら人を出したというところに問題がある、それを逆に言えば、今後国家がどういう事変があるか知れませんが、そういうときに国家は責任を負わん、後は野となれ山となれというようなことになると、私達はそれ以上外の問題もあつて拒否するというようなことが人権の上から言えると思うのです。それから国家は今後在外事務所員とし、或いは大公使とし、或いはその外商務官とし、その外の調査研究に海外へ人をやると思う。そのときに家族は餓えると思えば、誰も行く人がなくなると思う。その点で一つ国家が責任でしたことは国家が尻拭いするというようなことでやつて頂きたい。  もう一つ御研究願いたいのは、人権憲章というものが、御存じの通り国際連合等でやられておりますから、これは戰争等の場合も考えての人権憲章でありますから、そうなれば広く人道主義ということより、もう少し立法的な基礎があると思います。将来日本も国際連合に入る、入らんはとにかくとして、世界の人はそういうことは常識として、人権の保護すべきもので、戰争があつてその災害に対してはどうということを考えておりますから、その立場で一つこの給與法というか、もう一つ名前まで変えてやつて行くように国家の責任を明らかにしたいと思うのです。更に言うまでもないことですけれども、戰争中の軍閥の家族に対する手当だというと、関係方面も通りにくいと思いますので、今までの御苦心は多としますが、どうかそうでない建前でやるように一つ研究して、そのときに……。
  79. 千田正

    理事千田正君) 勿論この委員会としては当然そう行くべきであつて、ただこの法案が通過する以前の状況は、そういうわけであらゆる手を盡したけれども、頑として関係筋は応じなかつた。方法の一つとして残念ながらこの給與法以外によるべき措置はなかつたので、意に副わなかつたけれども、当時の状況で止むを得なかつたという事情だけは御了承願いたいと思います。
  80. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 希望意見として私はこの未復員者給與法改正問題に関する資料の提供をお願いいたします。  それは第一はこの給與法案そのものをこの次の委員会に配付して、できればそれ以前に我々委員に送付して頂きたいということです。  それからもう一つは、これを改正するに必要なる骨子は、やはり対象になる未復員者家族、これを一つできるだけ正確な数を提出をして頂きたいと思う。現在まで支給の対象になつておる人達と、それから支給開始以来の実績の資料を一つ大蔵省から提出して頂きたい。この二つの資料をお願いします。
  81. 千田正

    理事千田正君) 只今飯島委員からの御要求がありましたので、給與法関係の資料の御配付を願います。
  82. 内村清次

    内村清次君 先程話を聽いて総合的に感じましたことは、この未復員者給與支給に対しまして特別未帰還者、即ちもと陸海空軍に属しておらない方、こういう方で現実公務員であつた人は、その公務員法によつて給與支拂つておる、即ち差額支拂つておる。それから会社に入つてつた人は会社からも拂つておるというようなこと、これは特別未帰還者給與法ですか、これをこう正面に出して、そうしてお互いのこの気持を当面の一つの、何と申しますか、連合的に訴えておるような状態であるが、そこで私は資料を一つお願いしたい。それは公務員であつた人も、当時徴兵をせられ或いは外地におつて、そうして軍関係のそれに関した仕事をやつておられたというような方々給與が決して引上げておられない筈です。そのときには千八百円ベースかそれ以下だつたと思うのですが、まだベース改訂もその後何回かやつておるのですから、そういうような引上げを本当にされておるかどうかということの調査と、それからそういう公務員関係が何人おられたか、先程質問の中にもあつたように、すでに五ケ年も経つた今日において、そういう会社も潰れておる、この調査もなかなか政府としては困難であろう。だから現在公務員としてのそういう該当者に対してその後引上げがあつて、どれだけの給與額差額を渡しておるかということ、この数字大蔵省にあるだろう、この数字を一つ出して貰いたい。それから先程も言われましたように、全体の未復員者の数、それからこれに応じたところの給與額、毎月支拂をしつつあるところの趨勢、即ち二十一年度からの趨勢、この点是非どうか……この給與法というものが、政府が先程言つておるように、今考えておらない、財源見通しもないというような冷淡なことでは、現在の留守家族の熱望のほんの一端ですが、その一端でも実現ざせることはできんと思う。だからどうか政府職員の認識を私は改めて貰いたい。これだけは一つ資料の提出を希望いたして置きます。
  83. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つちよつとお聞きして置きたいのですが、この未復員者給與法の主管官庁は厚生省じやないのですか、大蔵省ですか。大蔵省が直接給與課の方でやつておりますか。それを聞きたいのですが。
  84. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 法律の制定或いはそれの将来の改正等は大蔵省主計局給與課が所管いたしております。その実施につきましては厚生省が全部やつております。従いまして地方におきましては府県に世話課というのがありまして、そこで具体的な支給をいたしております。
  85. 高良とみ

    ○高良とみ君 もう一つ伺いたいのです。その三百円の支給を一年に一回か二回に支給しておられるか、或いは一月一月やつておられるか。もう一つは、それを取りに行くのですか。為替で送られるのですか。その為替料にしても、そのうち幾らか差引かれるのじやないかと心配しております。費用は全部支拂官庁の負担であるかどうか。
  86. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 四月一日からは扶養家族手当と本俸を扶養家族が貰うという建前の場合には、三ケ月ごとに三ケ月分を本人の手許に送るということにいたしております。
  87. 高良とみ

    ○高良とみ君 費用はどうなつておりますか。
  88. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 費用はこちらで……。
  89. 高良とみ

    ○高良とみ君 世話課でやるのですか。
  90. 鈴木直人

    鈴木直人君 世話課に出頭して貰うのですか。
  91. 岩動道行

    説明員岩動道行君) 世話課から送つてやるわけです。
  92. 千田正

    理事千田正君) それじや先程内村委員、飯島委員からの資料の提出方の懇請がありましたので、大蔵省としましてどうぞお願いいたします。それでは未帰還者給與法については一応これで質疑を打切りたいと思います。   —————————————
  93. 千田正

    理事千田正君) 次の案件は特別未帰還者給與法の問題でありますが、その前に只今草葉外務政務次官が急用がありまして時間が余りないので、できれば一般引揚の問題の最近の事情についての議題についてお答えをしたいということでありますが、そちらに行つてよろしうございますか。御異議がなければそういうふうにいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 千田正

    理事千田正君) それでは御異議ないと認めます。
  95. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 最近の引揚事情ですね。
  96. 千田正

    理事千田正君) 最近の引揚情況についてという議題の下に進めて行きたいと思います。この問題で御質問がございますれば、今担当としてお見えになつておりますのは政府側からは草葉外務政務次官、それから引揚課長の武野事務官お二人が見えておりますから……。
  97. 高良とみ

    ○高良とみ君 それは厚生省ですか、それとも復員局ですか。
  98. 千田正

    理事千田正君) 外務省であります。
  99. 高良とみ

    ○高良とみ君 分りました。私暫く留守にしたものですから最近の引揚の事情、殊に昨年秋の季節以後のものを総括して伺えれば大変仕合せであります。
  100. 武野義治

    説明員(武野義治君) 昨年六月からソ連の引揚げが始まりまして、今年の四月二十二日にナホトカから信濃丸で帰つて参りました千二百四十四名の帰還者を最後といたしまして集計をいたしますと、昨年の六月以降は今年の四月末まで送還合計十万二千五百二十名となつております。シベリアだけにつきましては、九万四千九百四十九名となつております。従いまして只今まで引揚げて参りました総数は五月一日現在で、昨日草葉政務次官も申されましたように、六百二十四万九千二百八十六名帰つて参りまして、未だ引揚げの対象となつて外地に残つておると想定されるものの数は、合計三十六万九千三百八十二名でございます。その内訳は、満洲に六万三百十二名、ソ連支配地域と我々申しておりまするが、大連、樺太、千島、北鮮、シベリアを合計いたしまして三十万九千七十名でございます。三十万九千七十名の内訳は、樺太、千島に七万九千四百二十六名、シベリアに二十三万九千六百四十四名、北鮮、大連は零となつておりまして、合計いたしましてソ連支配地域及び満洲におきまして三十六万九千三百八十二名が残つておる勘定になつております。数は大体そのようになつております。
  101. 高良とみ

    ○高良とみ君 中華は入つておりませんか。
  102. 武野義治

    説明員(武野義治君) 中国は私共の統計では零になつております。
  103. 鈴木直人

    鈴木直人君 一人も中国には日本人はいないのですか。
  104. 武野義治

    説明員(武野義治君) 情報によりますと相当おることになつておりますが、はつきりした数がなかなか正確に掴めないのでございます。ここに挙げました我々の報告は関係国から正式な報告を得ましたものを中心といたしました数字でございまして、後は報告が全然ないために、或いは若干非常に不正確なために我々はそれをとり得ないというものがございまして、ですからこれは全体の統計は約となつております。
  105. 鈴木直人

    鈴木直人君 日本政府の外務省ともいうべき……、外務政務次官も、同僚が来ておられますけれども、いうべきところの統計が、中国に零だというような統計では、私はまじめに考えられるものじやないと思う。だからして、こういうような統計をするからいわゆる兼岩君の共産党でも、こういう統計は何にもならんというようなことを言われることになるのじやないかと思うが、明らかにこれはどうも我々は正確じやないと思われる。関係方面が言うのでその通りとつてそういうのだというだけではどうもこれははつきりした統計とは思われないのですがね。
  106. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 お尋ねします。教えて頂きたいのは、中国、台湾、南北朝鮮、フイリツピン、マレー、ビルマ、仏印、ジヤワ、スマトラ、ボルネオ、ニユーギニア、これを一つ教えて頂きたい。
  107. 武野義治

    説明員(武野義治君) 中国は私共の統計は、とにかく終戰直後の数字を根拠としておりますので申上げます。中国は今のところ零でございます。これは百五十万ございまして……。
  108. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あなたは今まで理由なしに説明しておいて、シベリア何人、大連何人、何故僕の質問についてだけ前置を述べるか。同じ根拠で答えなさい。
  109. 武野義治

    説明員(武野義治君) どなたにもそう申上げておるわけです。中国は百五十万千二百六十五名帰つて……。
  110. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 いや、何人残つておるかということ……。
  111. 武野義治

    説明員(武野義治君) 零でございます……。中国は帰つて来た者の数は百五十万一千二百六十五名、未引揚者の数は零とこうなつております。
  112. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 台湾は中国の中ですか。
  113. 武野義治

    説明員(武野義治君) 入つておりません。帰つて来た者は四十七万九千三百三十九名おりまして、引揚者零となつております。
  114. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 南朝鮮、北朝鮮から願いましよう。
  115. 武野義治

    説明員(武野義治君) 北朝鮮は只今申上げましたように三十二万二千五百四十六名、帰つて来ない者零となつております。南朝鮮、帰つて来た者は五十九万五千四百七十九名、残つている者は零。
  116. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ビルマ、フイリツピン。
  117. 武野義治

    説明員(武野義治君) フイリツピンは帰つて来た者十三万二千九百十七名、未引揚者零。
  118. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 マレー。
  119. 武野義治

    説明員(武野義治君) マレーは東南アジア地域と包攝いたしてございまして……。
  120. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 その中で僕が聽くのは、マレー、ビルマ、ジヤワ、スマトラ、ボルネオ、ニユーギニア、大きなところだけ聞いているのだが、どういうことになつておるか、表を貰つてもいいのですよ。これから先は表を貰つて、その根拠を全員が納得できるように説明して貰つて、討論はその先にしたいと思います。
  121. 武野義治

    説明員(武野義治君) 今御指摘の地点は、大体東南アジア地域に含まれておりまして、ボルネオからあれは……数字は、今のところ詳しいのはございません。我々は東南アジア地域と一括しておりまして、帰還者は七十一万七百二十七名、未引揚は零となつております。
  122. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 東南アジアの範囲、ちよつともう一遍言つて下さい。重なる国々の……。
  123. 武野義治

    説明員(武野義治君) マレイ、シンガポール、ビルマ、これが主な国でございます。
  124. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それじや仏印、ジヤワ、スマトラ、ボルネオ、ニユーギニア、説明して下さい。
  125. 武野義治

    説明員(武野義治君) 仏印を申上げますると、三万二千三十七名が帰つて参りまして、未帰還者は零となつております。ジヤワは蘭領東印度と一緒になつておりまして、ジャワ、スマトラ、セレベス、ボルネオが入つております。ニユーギニアは別でございます。で、これは今のジヤワ、スマトラ、セレベス、ボルネオと言いました蘭領東印度は、一万五千五百九十となつております。未帰還者は零でございます。
  126. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 詳細な報告書、その根拠を書類で提出されることを要求します。そういう表を政府政府の責任において出すだけの科学的の根拠、それを文句で説明したものを一緒に表として貰いたい。全員に配られることを要求します。そうしてその上で討論をやりたいと思います。
  127. 武野義治

    説明員(武野義治君) 私共発表し得る限りの数字をお送りしたいと思います。
  128. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 プリントにし、且つその根拠を書いて頂きたい。どういう根拠で、つまり主権というものには政府が附いておる。ただ漠然と数字を列べられては困る。どういう統計、どういう推定、どういう根拠から政府がこういう数字を提供されるかという根拠を、簡單明瞭でいいからよりどころのある数字が、どの程度の正確度を持つておるか、明確に我々全員が判断できる資料をプリントにして提供されることを望みます。
  129. 千田正

    理事千田正君) ちよつと、今兼岩委員の……。
  130. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 無用な議論を避けるために科学的な討論をやりたいのだ。従つてその根拠のある、どこまであなたが責任を持てるかということを明確にしたその数字と同時に、その数字がどれだけの信頼度を持たれるかという点、書いて出して頂きたい。
  131. 武野義治

    説明員(武野義治君) ただ私共申上げられる範囲が、やはり御希望の趣旨に副うだけ余すところなく差上げられるかどうか、甚だ疑問でございまして、一番肝腎のソ連支配地域のごときは、とにかく帰還者ははつきりしておりまするけれども、一切のデーターは不明のままになつておりますので、科学的に説明するレフアレンスの問題は、他の地区については、日本政府が司令部を通じて得ました正確な情報に基いておるというものでございまして、ソヴイエト関係においてはそれはございませんので、科学的のと申されましても、私共は御満足の行くような御回答になるかどうか、甚だ疑問でございます。
  132. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつと僕の要求とあなたの説明と二重に食違つておる。  一つは正式の発表があつたのはソ連、ソ同盟だけで、僕の知つておる限り中国、台湾、南北朝鮮、フイリツピン、仏印その他は、正式の発表が相手国家としてないように理解しているが、それは如何ですか。
  133. 武野義治

    説明員(武野義治君) 私共今までの情報では、他の地域からは極めて親切なお答えを得ておるのでありましたが、ソ連関係の方では何ら正式な回答を得たわけではなく、情報は入手しておりません。
  134. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これは変だ。そうすると訂正願います。台湾の主権、それから南北朝鮮の各主権、フイリツピンの主権、それから仏印の主権、その外蘭印その他から国家として正確に発表された資料を併せて提出願います。
  135. 武野義治

    説明員(武野義治君) 問題は非常に重大な問題がありますので、私限りでお答えするわけには行きません。上司と篤と相談いたしまして、どの程度にまで御申越の点に触れ得るか、それを相談いたしました上で御回答申上げます。
  136. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは非常に怪しからんと思う。それならば先程の発言を取消しなさい。ソ連だけは不親切であるが、他の国は親切な回答を頂いておるというあなたのさつきの速記を取消さないですか。それを取消さなければ、我々国民の代表に対して一方には不親切であり、他の国々は親切だと言う以上は、それを実証しなければ、あなたは僕に対して責任を完うすることはできんじやないですか、答弁を求めます。
  137. 武野義治

    説明員(武野義治君) 私はただ事実を申上げたので……。
  138. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 だから、事実の発表を望む。
  139. 武野義治

    説明員(武野義治君) その事実の発表は、全体の問題と関連いたしますので、私が簡單に引受けてそれを出すとか出さないとかということは申上げられません。
  140. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 次官の答弁を求めます。
  141. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) これは帰還者の数並びに未帰還者の数という問題は、この特別委員会でもこれはしばしば問題になりましたが、併しその問題になりまする中心は、おのずから従来一点に集中しておつたと存じます。外のいわゆる太平洋戰争の地域について、今ここで過去の数字の基本から全部やり直しますと、これは又おのずから趣きが変つて参ると存じますが、日本政府といたしましては、従来持つておりまするあらゆる立場からの、これで最大の能力と考えられる立場からの資料を、只今引揚課長が御発表申上げた次第であります。
  142. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 答弁が違うよ。
  143. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) これはどこの国が、例えば今鈴木委員からもお話がありましたが、我々の常識的には、甲の地区にまだ残つておる事実もあるし、風評もある。それが今は零になつておるじやないか。併し、その後いろいろ移動もありますし、殊に中国地区、中共地区等におきましては、その後における戰闘状態、国内情勢からの移動もありましようし、これを一々今までは、例えば満洲におつたのが、今度は北支に廻つたというようなものが、統計的にはつきりと掴み得ないのは、これは事実であります。従つて、これは最初からずつといたしておりまするこの基本表というものが、現在はそのまま基本数として日本政府としては取扱つておる数であります。
  144. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 草葉次官の御答弁は、甚だ問題を逸らしておる。あなたのお得意の仏教の法典ならばそれでよいが、我々は科学者として、科学的な答弁を求めておるのです。つまりあなたの部下である武野課長が、ソ連は不親切で殆んど答弁がない。ところがその他の国々からはそれぞれ親切な回答があると、それを基礎にしての発表であるようにとれるようなことを言つておられる。ところが僕の知つているのは逆で、ソ連は受入れした人数と帰えした人数を国家の責任として発表しておる。台湾、南北朝鮮、仏印、ジヤワ等等は、一つも国家としての正式な発表の事実はないじやないか。それをあなたの部下の武野課長が逆な発表をしておるから、若しそうだとすれば、その回答の資料を提出して下さいと言つておるのです。僕は討論をしておるのではない。討論は、その資料を貰つてからやります。つまり、公正な資料の提出を求めておるのです。それを答弁して下さい。ソ連は不親切であると君の部下が言つておる。その他の国々は親切だという、その親切な回答を提示して欲しいのだ。
  145. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 今まで私共の取扱つて来た、又この委員会でお取扱いになつて参りました引揚問題の、未復員の問題につきましての中心は、いわゆるソ連勢力下のソ連地区を初め、中共地区、これが問題の中心であり、これが引揚促進の中心であつて、南方地区その他の問題については、未復員者給與法、特別未帰還者給與法等におきましても考慮いたしておりまするように、何ら問題がなかつたと存じます。従つて、むしろこの在外の議論の中心は、今申上げました二点に結着するのではないか。従つて、更に今申上げましたように、この数字の本質に遡つての、全体の太平洋戰争からの基本から論議することは、むしろ煩になりはせんかと存じますが、私は今の兼岩委員の御質問の点に対しましては、さような点を御考慮願つてお進み願う方が結構ではないか、かように考えます。
  146. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕はね、今の発言は速記に載つておる、而も政務次官としての発言ですね、それから言いましよう。駄目を押して置いて……。曾ての引揚委員として言つておられるのか、政府の政務次官として言つておられるのか。
  147. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 政務次官として言つております。
  148. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 よろしい。政務次官として、我々が自主的に運営して行くであろう今後の引揚委員会に対して、前にこうこうであつたからこうこういうふうに運営したらどうだ、ソ連と中共の共産主義諸国だけに限定しろというようなことを、自主的に我々委員に言うことは、政府として国会に対する甚だ越権的な言動ではないか、取消したらよいでしよう。
  149. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 決してそうではないのであつて、引揚問題の中心は、兼岩委員もよく御承知と存じまするが、従来外の地区は何ら今まで問題にはならなかつたのであります。引揚問題の中心は、どこまでもソ連地区とソ連圏内における中共地区が問題の中心であり、併せてソ連、中共圏内の朝鮮を含むということに進んで参つたのでありまして、私共も曾ては委員でありましたし、現在政府の立場におきましても、同様な観点から進めて参つておるのであります。
  150. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そういうことに政府がおせつかいすることは、お断りしたいと思う。そういう間違つた方向に、ただこの引揚委員会を反ソ反共の具にするような運営方法が前国会に行われておるということを……。我々は、ソ連地区勿論問題にします。ソ連地区も、中共地区も、北朝鮮地区も問題にすると同時に、海外にあるすべての未復員者の問題を公平に問題にし、且つその受入態勢、それからすでに受入れられた人達の生活の問題、こういう点を全面的に推し進めようということは、大体この委員会では一致したのです。それを今ここにのこのこと出て来て、そこらをもう一遍元の通りロシアと中共の問題だけにして練り上げて呉れなんということを、これは速記に載つておるが、そういうことを君が政府として言われることは、この委員会として非常に迷惑だと思う。
  151. 千田正

    理事千田正君) 委員会及び委員長は、この問題については、初めから公平に運営して行くつもりでありまするから、皆さんの御協力を願います。
  152. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 すべての資料を改めて要求します。日本の四つの島以外からどういうような引揚げ状態であり、どういう人達が残つておるかという資料の提出を要求します。又、それらの数字はどういう根拠を以て政府が発表されたかという、明確なる根拠をお示し願いたい。若しそうでなくてこれを発表しておられるならば、つまり僕は、正確な数字を要求するのではないので、出される数字の正確度を正確に説明できるような資料をはつきり附けて出して貰いたい。それから第三に、各国から親切な及び不親切な回答が来たという、そういう課長の答弁も取消されないようだから、それを裏付ける資料の提出を願います。この三つ。
  153. 千田正

    理事千田正君) 只今兼岩委員からの御要求がありましたが、外務省としては何かお答えがありますか。
  154. 高良とみ

    ○高良とみ君 関連して……少し拔けていた部分もあると思いますから、濠洲、ニユージーランド及びその他の国からもあると思います。今回の委員会は、前からのお約束通り、世界中にちらばつておる戰争の後始末のできないでおる同胞の帰還を促進するという目的の下に、外の国のもあると思いますから、その点も全面的にお願いいたします。
  155. 鈴木直人

    鈴木直人君 それに関連して、今未帰還者の残つておる者の数をお願いした際に、いわゆる引揚げて来た人の数について御報告を一緒に頂いたのでありますが、そうなりますと今中国、台湾、北鮮、南鮮、フイリツピン、東南アジア、仏印、蘭領インドシナ、これは御報告頂いたのですけれども、これを合計しますと、三百七十八万九千八百、それくらいしかないのです。ところが引揚総数は六百二十四万九千二百八十六、これは先程のやつは三百七十八万九千八百、これだけしかないので今高良さんから言われたように、その他の国々からの引揚げがあつて、それを合計したものが六百二十四万ということで、その六百二十四万の内訳を一つ今でなくてもいいですが、説明か何かをお願いしたい。
  156. 千田正

    理事千田正君) 只今兼岩委員、高良委員、鈴木委員からそれぞれ資料の御要求がありました。
  157. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) これは現在政府といたしましては、いずれ表で御覧に入れまするが、その表で引揚課長が只今申上げました範囲以外には、実はないのであります。実際上の問題として、高良委員のごときは特に最近印度方面にまでお出でになりまして、実情をよく御覧になつたところであります。実情に即されまして、或いは御疑念の点もあろうと存じますが、こちらといたしましては何らそれを具体的に掴み得る方法がないのであります。で、この数を以て現在は進んで行く以外に方法がない、この点は御了承願います。
  158. 鈴木直人

    鈴木直人君 私申しましたのは、そういう広いところはそれはその他でいいのですが、引揚総数が六百二十四万九千二百八十六ということになれば、その内訳があるのではないかと思うのです。それで今お聽きしたのは、中国以下の国ですが、満洲とかソ連とか、そういう方面からの引揚げが報告はないですが、或いはそれはお分りでございましよう。そういうものが外にあるのではないか、六百二十四万の内訳は大掴みでもいいのですが……。
  159. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) その点了承いたしました。
  160. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうすると引揚げというのは軍人、軍族それから軍関係で行つていた人と、その他の普通の人の引揚げもこの中に入つての引揚総数なんですね。それから海外から引揚げるべき同胞の残つている数が少しも資料がありませんね、南米とか。
  161. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 現在の表の中には入つておりません。それ以外に仮に万一あるといたしますれば調査が不十分だということになりますが、この表の中には含んでおらないわけであります。
  162. 高良とみ

    ○高良とみ君 この表に含まないことは大体分つておりますが、外務省として在外の本当は終戰と共に引揚げるべきであつた人達の中で引揚げていないのは……。
  163. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) これは実は太平洋戰争関係の分としての問題であります。それ以外のものはこれは従来からもある在留邦人、勿論アメリカにもおります。ハワイにもおります。これは私の説明が不十分であつたかも知れませんが、それは別でございますからどうぞ……。
  164. 高良とみ

    ○高良とみ君 勿論濠洲、ニユーギニアは戰争関係としての引揚げを指摘しているのです。
  165. 千田正

    理事千田正君) 外務省に対する御質問はございませんか。それでは改めて資料が出た上で次の機会に譲ることにいたします。  特別未帰還者給與法の一部改正の問題で、その前に……。
  166. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) それから先に兼岩委員からの御質問、御要望の中に、実は外国からの引揚問題についての回答でございますが、それは日本政府は現在直接の対等の立場でないから、日本政府に対しての報告じやなしに総司令部宛のもので総司令部を通じて聞かされておる数であります。日本政府がどの政府からこういう文書がこう来たということはありませんのでございますので、この点は御了承願いすす。
  167. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつと引揚課長にその点一つはつきりして頂きたい。何かソ同盟だけが、あなたの話によると、回答がなくて……。ソ同盟は明らかにタス通信を通して国家としての責任において発表しているでしよう。ところがその他の国はないじやありませんか。それだのに、あなたの口から言うとそうでないというふうにとれる。あなたは発言しているでしよう。あとで速記録を調べますけれども、明確にして下さいその点を。
  168. 武野義治

    説明員(武野義治君) これは申すまでもないわけでございますが、四月の二十二日にタス通信が発表されたということの問題から、林副総理から、岡元参議院議員の緊急質問に対するお答えの中にもはつきり言つておりまするし、又四月二十六日と記憶いたしますが、内閣官房長官談話の形で、この問題についても触れておりますが、それによつて御了承願いたいと思います。
  169. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 君はものの半ぺらばかりをさつきから言うけれども、他の半ぺらを言い給え。他の国々は非常に親切な回答を頂いていますと、あなたは言つたじやないか。それを説明し給え。要求いたします。自分の言つたことを勝手にああいうふうに他の半ぺらだけを答えるような不誠意な政府委員に対して忠告あらんことを要望します。然らざれば退場を命じて下さい。
  170. 武野義治

    説明員(武野義治君) 私共の申した言葉が、特に誤解をされているような気がするのでございますが、私共は総司令部を通じていろいろ情報を得ておるということを申上げて置きます。日本政府は正式にオーストラリア政府とか、或いは外の政府から回答を得ておるとか、そういう形ではないのでありまして、私共の申上げるのは、やはりこういつた帰還者に関する問題等の情報は、総司令部から得ております。
  171. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 だからあとで……。委員長、これ以上議論してもしようがないから、この問題を保留します。だから速記録を調べて、あの課長が何とあのとき言つたか、その点を明らかにして、この次の委員会に出してその上で討論しましよう。僕は、ソ同盟は非常に不親切だが他の国々は非常に親切な回答を貰つているという意味のことを課長は言つたから、僕は取消せ。取消したらどうか。それを主張するならその事実を裏付けるだけの証拠資料を委員会提出しろ、こう言つたわけです。だからこれは一つあとで速記録を調べて、この次の委員会提出願います。
  172. 千田正

    理事千田正君) 委員長から武野課長にお伺いしますが、若しもここで、今の兼岩委員に対するところの釈明がつくとするならば、私の聞いた範囲内では、ソ同盟はタス通信で発表しておる。その他の国は連合国司令部を通じて日本政府に通達があつたという意味のことだろうと思いますが、武野課長の言い方が、その点においては、速記録に残つておると思いますけれども、他の国からは親切なる通報があつたというふうにお答えになつたようでありますので、若し御訂正なさるならば、委員長が今言うたような方が穏当ではないかと思います。
  173. 武野義治

    説明員(武野義治君) 私は委員長の申されたような意味で申上げたつもりでございますから、そのように御解釈頂きたいと思います。
  174. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それだつたらその政府への提示された文書をこの委員会へ提示願います。
  175. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 私から一つ改めてお答え申上げます。只今申上げましたように、総司令部を通じての問題でありますし、又本日の対日理事会におきまして、ソ同盟の問題につきましては、シーボルト議長が……。
  176. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 委員長、本論から逸脱しないように注意して下さい。ソ同盟を除く他の国々を話しているのに、ソ同盟のことを言うから聽きたくないのです。
  177. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 発表されている通りでありまして、従つて今の只今引揚課長が申されました通りに、現在の日本は一々の国から直接に資料を取つたという意味じやなく、総司令部を通じておる、そういう意味でありまするから、従つてその文書の写しを呉れと言われても、文書はこちらの方へ来ておるのではないのであります。この点御了承願いたいと思います。
  178. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうだつたら課長、もう一遍先程の言を取消されたらよいと思います。この千田委員が言つておられるように、ソ連は正式機関で、タス通信で発表しておるが、他の国々は直接の発表はないけれども、総司令部を通じて日本政府に通達があつたというふうに理解していい、又そのように引揚課長は修正された筈でしよう。どうでしようか。
  179. 武野義治

    説明員(武野義治君) 委員長の申されたように、我々の方は総司令部からそういう情報を聽いております。
  180. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 従つてその総司令部から政府に受けた資料を、政府からこの委員会へ提示願いたいと思います。皆さんで論議するのであつて、僕だけが論議するわけではない。
  181. 武野義治

    説明員(武野義治君) 別に公文書でこうこうという場合もありますけれども、そうじやない場合が多いので、むしろ今の数というものが、その数になつて参ります。さよう御了承願いたいと思います。
  182. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 何を言つているのですか、あなたは。僕から廻りくどいことを言うより委員長から御注意願います。それで文書で来ているもの、口頭で来ているもの、口頭の場合はこうこう、何月にこうこうであつた、文書であればこうこうと、事実を提示願えればよい。事実に立脚しない議論は避けたい。すべて提示を願つた上で、事実に従つて議論を進めたいと思いますから、文書の提示を願いたい。委員長御通訳願います。どうも日本語が通じないらしい。
  183. 千田正

    理事千田正君) 只今の兼岩委員の要求に対して、外務省は国会の要求に応ずるだけの用意があると思いますが、その用意をして御提出をお願いしたいと思います。
  184. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 只今の最近の引揚情勢につきましては、大体兼岩委員の非常に御熱心な発言によつて、大体我々の希望も通つております。日本の現在の外務省その他において提出し得る最も適当な資料を、説明附でやつて頂きたい。それをやつて頂けばこれ以上同じことを繰返さなくてもよいと思います。
  185. 千田正

    理事千田正君) 只今飯島委員からの御要望がありましたが、先に委員長から申上げました通り国会からの要望に対して外務省としても各委員が納得できるように資料を提出して頂きます。
  186. 鈴木直人

    鈴木直人君 国民が納得するようにすべてのものをやつて行くことが一番政治の要諦なんですから、これを勿論発表できない国もあるだろうが、こういうものは何も発表できないというものではないのではないかと思うので、余り疑心暗鬼といいますか、無理に疑心暗鬼的な考え方を起させないような方法で引揚委員会が今後行きたいと思うのですが。
  187. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 只今お話のように別に発表できないというのではないのです。数字その他只今の御希望の点は発表できると思います。
  188. 千田正

    理事千田正君) それでは外務省に対する質疑応答はこれで打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 千田正

    理事千田正君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  190. 千田正

    理事千田正君) 先程緑風会から正式に申込がありまして、理事の変更の要望がありました。杉山委員が理事になつておられますが、他の小委員長も兼ねておりますので、代りに高良委員を理事に推薦して参りましたので、皆様の御賛成を得られますならば御決定を願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 千田正

    理事千田正君) それでは杉山理事の代りに高良委員が理事に就任することに決定いたします。   —————————————
  192. 千田正

    理事千田正君) それでは最後にさつき未復員者給與法と続いてお願いするということでありましたが、特別未帰還者給與法の一部改正につきましては、主管が主として援護局の方になつておりますので、特別未帰還者給與法の一部改正についての御説明を援護局の山本援護課長が見えておりますので、この点について御質疑がありましたならば各委員から御質問願います。大蔵省と管轄が給與の場合は違つておりますので、特別未帰還者に関しては援護局の方が担当しておるわけであります。
  193. 高良とみ

    ○高良とみ君 初めにお伺いしたいのは、少し留守にしたので少し機構の関係をお聞きしたいのですが、援護局は厚生省の方にあつて、そうして特別未帰還者給與の実施をなさると共に、又普通の給與法の実施もなさると先程伺つたのですが、そうすると両方を実施するわけですか。それとも監督官庁が違うのですか。その辺のことを説明して頂きます。
  194. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) お答え申上げます。未復員者給與法は、法律の制定等基本に当る骨格といいますか、そういうものは大蔵省給與局で行なつておりまして、その具体的な給與施行事務は、引揚援護庁復員局の方で所管し、それが先程説明ありましたように、都道府県では世話課が実際に管掌いたしております。特別未帰還者給與法は、その給與の内容は全部未復員者給與法を準用いたしておりますが、対象が一般邦人でありまするので、法規の制定並びに給與の施行事務は、全部引揚援護庁援護局で行い、地方における末端の業務は未復員者給與法と同様に世話課をして行わしめております。
  195. 高良とみ

    ○高良とみ君 特別給與法の内容が、その復員局で扱つておられるものとの違いを少しはつきり教えて頂きたい。その未復員者給與法一本でやるのですか、それとも特別未復員者というもう一本があるのですか、その点を……。
  196. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 迂濶でございましたが、後で法規を早速お届けいたしますが、特別未帰還者給與法という別の法律がございます。これは立法、それからその他の改正、全部国会でおやり頂いておりまするが、特別未帰還者給與法という別な法律がありまして、條文は四條までの極めて簡單なものでありまするが、その第二條に、「特別未帰還者には、未復員者給與法の規定を準用する。」という規定があります。そういうふうになつております。
  197. 高良とみ

    ○高良とみ君 それでは両法案の待遇の違いがあれば、それを伺いたい。対象の違いは先程御説明があつたのですが、いずれも同じく三百円の給與をしておられるのか、その点を伺います。
  198. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 先程ちよつと申上げましたように、未復員者給與法は、もとの軍人、軍属であつたものでございます。特別未帰還者給與法は、そうしたものでなくして、一般邦人であります。これは第一條に書いてありますように「もとの陸海軍に属していない者で、昭和二十年九月二日から引続き海外に在つて、まだ帰国せず、且つ、ソヴイエト社会主義共和国連邦、樺太、千島、北緯三十八度以北の朝鮮、関東州、満州、又は中国本土の地域内において、ソヴイエト社会主義共和国連邦の地域内の未復員者と同様の実情にあるものをいう。」後段の方の説明をいたしますと、抑留せられておるという状況にある一般邦人、早く申しますと、そういうものを対象といたしております。尚この機会に先程数字の間合わせがありましたので、お答えいたしますと、特別未帰還者として認定いたしておりまする数字は、六月末現在におきまして、シベリアが二千五百五十四名、樺太、千島が二百九十四名、それから満洲五千五百九名、合計八千三百五十七名でございます。尚これは特に中国からの通信が昨年末から開始せられまして、最近に至りまして、非常に現地からの通信が多くなつておりますので、相当今後増加するものと我々は想像いたしております。
  199. 高良とみ

    ○高良とみ君 只今の御説明で増加するというのは、この数以外に増加するというのですか、それとも満洲にいた人、或いはシベリアにいた人が、中国方面に行つておると、こう推定なさるのですか。
  200. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 先程読み上げましたように、この特別未帰還者給與法は、單に残留しておるという一般邦人だけでは、給與の対象にならなくて、具体的に抑留せられておる。一口に言いますとそうでございますが、生活、居住の全体を総合判断いたしまして、本人の自発的な意思によらなくて、政府とか或いは軍とか或いはそれに類似する機関に抑留、留用せられておるというような具体的な事情が分つたときに、初めてこの対象になるわけでありまして、もともと私の先程申上げました、この外増加するというのは、残留見込数が増加するのでなくて、残留者の中でそのような具体的な事情が、通信等によつて、今後判明して、この法律の対象者として認めていいというものが殖えて来るであろうという意味であります。説明が足りませんでした。
  201. 高良とみ

    ○高良とみ君 この中には赤十字の看護婦等も入つているかどうかということを伺いたい。それは前の特別給與法でない方の軍人、軍属に入るのでしようか、その点は。
  202. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 赤十字にもいろいろあつたと思いますが、軍属の身分を持つておる方は別でありますが、然らざる場合は、この給與法の適用を勿論受けます。
  203. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうするとこの財源がどれだけの予算を立てて、どれだけずつ拂つておられるかということ、この遺家族、或いは残留家族に対して。それをお伺いしたい。
  204. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 昭和二十五年度予算は、三億四百五十六万八千円でございます。それに対しまして、六月末までに支出いたしておりまする額は千六百七十四万四千九百六十八円でございます。
  205. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、現在支出しているものは、積立てているのですか、或いは留守家族支給していますか。
  206. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それは未復員者給與法と同じでございまして、俸給それから扶養手当、帰りました場合の帰郷旅費、療養費、傷害一時金、埋葬料等いずれも全部、例えば特別未帰還者でありました者が、今年の四月に引揚がございましたが、ああいう場合に帰りました場合には、特別未帰還者であることが判明しておりますれば、帰つたときに俸給を貰う、帰郷旅費を貰う、それから帰つてから後に、帰つてから療養を要するという者でありますれば、帰つてから三ケ年間療養をして上げる、こういうことでいずれも全部俸給扶養手当、傷害一時金、療養費……。
  207. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 幾らぐらいになりますか。
  208. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それは先程言いましたように、総体の対象が八千三百五十七名と申しましたから、それで割つて頂けばよろしいのです。
  209. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると幾らになるんですか。
  210. 鈴木直人

    鈴木直人君 七千円ぐらいだろう。
  211. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一人七千円ぐらいですか。
  212. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、給與の方法は、月三百円というだけじやないんですね。その外の複雑なものを給與することになつておりますか。
  213. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 俸給はやはり三百円でございます。その外に予算といたしましては帰る場合を想定して、帰郷旅費という予算を取つておりますし、扶養家族があります者につきましては、扶養手当という予算も組んでおります。
  214. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、この法律の中に準用されておるわけですが、未帰還者給與法の中に、三百円の外に、帰つて来た場合には何々をやると、こういうことが全部含まれておるわけですね、その給與法の中に。
  215. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) さようです。
  216. 高良とみ

    ○高良とみ君 少し分らない点があるんですが、家族のある者には給與もあり、それから旅費その他があるんですけれども、それと埋葬料とか、遺骨引取料というものは、それとダブつておるわけですね、ですから若し死んで帰つた場合には、給與が埋葬料になり、遺骨引取料になるわけですね。
  217. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) こういう対象がありますれば、勿論ダブつて出るわけです。ダブつてというと語弊がありますが、今までの俸給は貰いまするし、遺骨埋葬の経費が要るような事態でありますれば、埋葬費として千五百円出る。
  218. 高良とみ

    ○高良とみ君 療養費は。
  219. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 療養費も現地で自分の過失に基かない原因によりまして負傷をして、その負傷が内地に帰つてから後も療養の事情が続きますような者につきましては、療養費が支給されるわけでございます。これは勿論俸給とは別に出るわけであります。
  220. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうしますと、埋葬費に相当のもの、遺骨引取料に相当のものと、又別な項目で療養費があるとすれば非常に複雑なんで、その一つ詳細な明細な項目別な支出表を少し拜見したいと思うのです。予算が一人当り何千円と言つても概算では分らないです。
  221. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 先ずこれは法律を読めば分ることでございますが、念のために申上げますと、俸給は三百円でございます。一人ですね。
  222. 森崎隆

    ○森崎隆君 俸給に帰還までの年限を掛けたものを渡すわけですね。
  223. 鈴木直人

    鈴木直人君 俸給三百円に掛ける行つてから帰つて来るまでの月ですね。
  224. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) この法律は、昭和二十四年一月一日から施行するとありまするので、昭和二十四年一月以降帰還時までの月数を掛けるわけでございます。
  225. 鈴木直人

    鈴木直人君 それからもう一つお伺いしたい。要するに死んで帰つても、遺骨になつてつても、通知があればその人は貰える、こういうことになりますね。
  226. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) お話の通りでございます。
  227. 鈴木直人

    鈴木直人君 これはやはり三百円ですね。
  228. 森崎隆

    ○森崎隆君 それでは一つ伺います。二十四年の一月一日以前の年数につきましては、百円をやはり計算に入れるわけでありますか。
  229. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それは入りません。
  230. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 この八千人で三億というのを、僕が計算をすれば、一人四万円となるのですが、約四万円ですが、四千円じやなく四万円です。
  231. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) ちよつとお答え申上げますと、先程特別未帰還者として認定される者の数、八千三百五十七名と申上げたのでありますが、御承知のように、一人の特別未帰還者につきまして、扶養対象が二人あり、三人あるという場合もございますね。例えば妻、そういうことで現実に一人そうだというふうにはならないのでございます。
  232. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 じや逆に質問しましよう。どういう根拠で四万八千人余りに対して三億の予算を掲げておるか、明快にして下さい。先刻からの質問も要するにそういうことでしよう。
  233. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 八千三百五十七名と申しましたのは、六月末現在までに認定済みの数が八千三百五十七名でありまして、昭和二十五年度予算として特別未帰還者として推定される予算の範囲と言いますか、それは次に申上げるような数字でございます。読み上げますと、シベリアが四千四百七十四名、それから満洲が一万一千名、樺太が八千六百七十一名、合計二万四千百四十五名、これだけについて三億であります。これは御承知のように、特別未帰還者給與法が国会で立法して頂きましたときに、果してこの対象が何人あるかということは、特に中国地区からの通信が認められておらなかつた状況でありますので、はつきりこれだけという積極的な根拠はなかつたのであります。これで足りるか或いは足らないか分らない状況でありまして、若し足らなければ、適当な補正をして頂くというような了解で一応立てた架空百の数字でございます。
  234. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もつと我々の納得行くように、何が幾ら、何が幾らというように、数字的に説明して下さい。
  235. 鈴木直人

    鈴木直人君 予算の組み方をこういう項目幾ら、こういう項目幾らというように……。
  236. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それじや係から申上げます。
  237. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) 俸給が八千百八十七万七千百円。
  238. 鈴木直人

    鈴木直人君 これはどういう基礎ですか。三百の十二倍の年限、こういうことですか。
  239. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) そうです。單価に期間を掛ける。それから帰郷旅費三千三百五十三万四千五百円。
  240. 鈴木直人

    鈴木直人君 これはどこからどこまで。
  241. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) 上陸地から帰郷先まで。
  242. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 千円から三千円の平均を取つて置く。
  243. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) 療養費一千四百八十六万一千五百円、埋葬料七万九千五百円。
  244. 鈴木直人

    鈴木直人君 これは一人幾らですか。
  245. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) 一人千五百円であります。傷害一時金千五百円。
  246. 鈴木直人

    鈴木直人君 それは予算ですか、一人当てですか。
  247. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) 一件を計上しているだけであります。
  248. 鈴木直人

    鈴木直人君 これは一人きりないというのですね。
  249. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) 扶養手当一億七千五百二十一万三千九百円。
  250. 鈴木直人

    鈴木直人君 扶養手当というのはどういうものですか。
  251. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) これは妻が一人一月六百円、長子が一人一月六百円。
  252. 鈴木直人

    鈴木直人君 幾ら年をとつた人でもいいのですね。
  253. 森山喜久雄

    説明員(森山喜久雄君) 十八歳未満の者です。
  254. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それと上は六十歳以上でございます。
  255. 千田正

    理事千田正君) 六十歳以上の両親です。
  256. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それと不具廃疾の事情にある者。
  257. 森崎隆

    ○森崎隆君 次男、次女は。
  258. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) その他の家族は四百円ずつ。
  259. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これで三億幾らになるのですね。
  260. 鈴木直人

    鈴木直人君 ちよつとこれに関連して聽きますが、これは未復員者給與法も同じですか。
  261. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 同じです。
  262. 鈴木直人

    鈴木直人君 それはさつき言つた煙草銭というのと違うのじやないですか。
  263. 高良とみ

    ○高良とみ君 これはすでに本人の希望、扶養家族の希望があれば拂つておりますね。
  264. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 勿論拂つておりますし、特に特別未帰還者給與法は昨年十一月中国地区に法律適用地域を拡張いたしましたときに、世話課といたしましても、我々といたしましても、こういうような法律改正があつたことは、あらゆる機会に留守家族と思われるような人に通知する努力をいたしまして、現在該当者には成るべく迅速に拂うようにいたしております。
  265. 高良とみ

    ○高良とみ君 もう一つ伺いますが、それは妻があつて、十八歳未満の長子があつて、それから六十歳以上の父母とがあつて、それから更に不具廃疾の、更に次の息子があつてというような場合に、相当の額になりますね、それを全部加算しますか。
  266. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) お論の通りでございます。
  267. 鈴木直人

    鈴木直人君 それからこれを受け得る権利者は妻や子供については何ですか、やはり未復員者ですか、未帰還者ですか。
  268. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 「特別未帰還者内地に残しているその配偶者並びに左に掲げる」と言いましたのは、先程申しました十八歳未満又は大十歳以上の者、不具廃疾者、「左に掲げる二親等内の血族及び一親等内の姻族でその特別未帰還者と生計を一にし、且つ、主としてその收入によつて生計を維持していたと認められるもの」そういう者でございます。
  269. 鈴木直人

    鈴木直人君 その貰う権利者です。いわゆる貰う権利を持つておる者は未帰還者ですか、或いは妻は妻、長子は長子、或いはその他の子供は子供、或いは不具廃疾者は不具廃疾者自身ですか。法律上の恩典を受ける権利を持つておる者です。
  270. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 扶養手当につきましてはその家族に……。
  271. 鈴木直人

    鈴木直人君 個人ですか。
  272. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) ええ、家族が権利者になつております。
  273. 鈴木直人

    鈴木直人君 両親なら両親自身が権利を持つておるのですか。国に対する請求権、長男は長男として請求権を持つておる、妻は妻として請求権を持つておる、こういうことですか。
  274. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) はあ。
  275. 鈴木直人

    鈴木直人君 俸給本人ですか。
  276. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 先程申上げましたように、その未帰還者と生計を一にし、且つ、主としてその收入によつて生計を……。
  277. 鈴木直人

    鈴木直人君 それは條件です。
  278. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 維持していた……。
  279. 鈴木直人

    鈴木直人君 條件でなくて貰う権利を持つておる人、国から貰う権利を持つておる者。
  280. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 勿論條件でございますが、その條件が満たされて初めて権利者になる。
  281. 鈴木直人

    鈴木直人君 権利者は誰ですか。
  282. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 今お話の……。
  283. 鈴木直人

    鈴木直人君 妻自身が未帰還者の扶養家族の全部を貰う権利を持つておるのか。
  284. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 扶養手当につきましては先程申上げましたように家族でございます。
  285. 高良とみ

    ○高良とみ君 もう一つ伺いたいのは、これは特別未帰還者家族で、そうして妻の方が何か職業を持つておるような場合ですね。両親の方じやない、妻が生計を外に立てておるような場合でも、これは当然の権利としてすべての特別未帰還者家族として貰う権利がありますか。
  286. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) これはまあ扶養手当建前から言いますれば、その者がはつきりと收入が、例えば会社なり、公務員として出ておるという場合には出ないのが建前であろうと思われますけれども、実際におきましては成るべく留守家族援護という趣旨に副いたいということで、收入の有無に拘わらず出しております。
  287. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから権利の発生する時期は二十四年の一月一日から当然発生して来ておるのか。本人が帰つて来て初めて権利がそのときから出て、遡つて出て来るのか。
  288. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それはこの法律が出ましたときに一定の届出期間というものがございますが、その届出期間内に届出ましたものにつきましては法律制定、或いは改正の初めから適用になりますが、その届出期間を過ぎまして届出ましたものにつきましては、その届出の日に属する翌月から支給されることになつております。
  289. 鈴木直人

    鈴木直人君 よく分つたのですが、その際に俸給について積立てて置くということは法律の中に加わつていて、いわゆる家族はそれまで、本人が帰つて来るまで取ることができないのだ、帰つて来て初めて本人に渡すのだ、というような法律があるのですか。
  290. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 俸給につきましても、先程未復員者給與法説明がありましたときに出ましたように本年四月から前拂いの制度を同様に行なつております。
  291. 鈴木直人

    鈴木直人君 前拂制度というと……。
  292. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 本人が帰還しない前に……。
  293. 鈴木直人

    鈴木直人君 帰還した場合に当然貰うようになつていて、帰還するまでは貰えないのですが、併しながら前拂いすることができる、こういう法律でございますか。
  294. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) そうです。
  295. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 療養費はどういう單価で組んでおられますか。一月幾ら……。
  296. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) これは御指定の計数が細かいのがございますが、現在は平均いたしますと一人一ケ月約六千円というふうに御了承願います。
  297. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それから高良委員が聽かれたこととダブルと恐縮ですが、特別未帰還者というものがちよつと分りにくいのですが、よく分るように話して下さい、簡單でいいですから。そして認定するということはどういうことか。この二点ですな。
  298. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 先ず特別未帰還者の対象は一般邦人であるということが一つの條件です。それから先程読み上げました特定の地域、ソヴイエト、樺太、千島とか、北鮮、関東州、満州、中国、こういう地域に残留しておるということが第二の條件と考えられます。それから第三は、昭和二十年九月二日から引続きその地域にあること、最近行つたというような者は勿論除くという意味です。それから次の條件としては、これからが実体的なむしろ條件になると思いますが、ソヴイエト社会主義共和国連邦の地域における未復員者と同様の実情にあるという法律の定義がございますが、これをもつと分り易く申上げますと、本人の意思に反して一定の地域、場所に抑留され、或いはその仕事の内容が本人の意思如何に拘わらず指定せられておる者、その生活環境を通じて見ると多分に外部的な力が加わつておる者、こういう者でございます。
  299. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 戰争犯罪人でもいいのですね。この條件には嵌まらんわけですね、名前を発表していないから。それじや一言で言えば、抑留、強制的に抑留されておるという人間ですね。それで認定はどういうところでされますか。
  300. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) ソヴイエトは法律がこういうふうになつておりますから、ソヴイエトに残つておる邦人につきましては全員該当で問題はございません。それから……。
  301. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると二十何万人いる筈じやないですか、政府で言うと。
  302. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) ちよつと待つて、他の地区につきましてはこれは邦人でございますから、軍人じやございません邦人でございます。
  303. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 軍人は除く……。
  304. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) その他の地区につきましては本人からの通信が現実に一番大きな認定の材料になつております。御承知のように昨年の暮から本人の通信によりまして、自分はどういう所で、どういう状況で働いておるという通信が家族宛に参りますので、それに基きましてそのような強制抑留という事実が我々の方に判断いたされますと、それを認定するわけでございますが、現実には留守家族からその手紙を持つて世話課に来て貰いまして、世話課から本人の申出尤もであるということで復信を附けまして私共の方に申請が参りまして、外務省と協議した上で認定をいたしております。
  305. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうするとソヴイエイト以外にフイリツピンその他にはないというのですね。ソヴイエト関係だけですね。
  306. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それはこの法律自体がそういう地域は適用地域として考えておりませんのです。
  307. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうですね。
  308. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 問題が起らない……。
  309. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これは非常にむずかしいので、何か援護局長名で今年の一月に指令を出しておられるそうですが、その指令を発表して下さい。出てませんか……、私共の方の報告にはその指令が出ている。
  310. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 今年ですか。
  311. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ええ、今日分らなければこの次にでもいいから、その指令の内容を、知事宛に一月に援護局長からこれの運用について或る指令が出ているようですが……、去年ですかね、去年の何月ですか……、去年の一月ですか、その内容を知らせて下さい。若し何かの何頁を見ればよいというのであれば結構ですが。
  312. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) これは法律ができましたときに一般的な解釈を書いたものであるのであります。指令と言いますか、通牒でございますね。
  313. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは何かに載つていますか。
  314. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それはあとでお届けいたします。
  315. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ああそうですが……、二回出ていませんか、それは一回だけではなくて、もう一遍何か出ておりませんか。
  316. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 法律改正ができましたときに、こういう趣旨でこういうふうになつたのだという改正の通牒が昨年のと同じような趣旨で出ておりますから、恐らくそれだろうと思います。
  317. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは頂戴できますね。
  318. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) はあ。
  319. 鈴木直人

    鈴木直人君 先に認定の四つの要件がありましたが、予算には埋葬料というのがありますしね、先程の説明では死んでしまつてお骨になつていてもいいんだということでありましたが、いわゆる曾てそういうふうに抑留されていたということが分れば、まあ二十四年一月一日以前において死んでいてもいいわけですか。支給するのは二十四年一月一日から支給はするけれども、それ以前において死んでいた、抑留されていたという事実があれば。
  320. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) この埋葬料は、現実にはお骨等が参りますれば、そういう引渡しのときが基礎になりますので、たとえその前に帰つて、ずつと前に亡くなつた、こういうお方でありましても、引渡しの時期が法律適用後であれば埋葬料は拂います。
  321. 高良とみ

    ○高良とみ君 先程御説明のあつた予算の内訳ですね。扶養料のところまでを問題が行つたのですが、扶養手当、それでお終いですか、それ以後はありますか。
  322. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 事業費はそれで全部であります。
  323. 高良とみ

    ○高良とみ君 それから事務費はそれに入つておりませんか。
  324. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 入つておりません。
  325. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうすると、予算が二十五年度予算が三億であつて、六月分支出が七百四十八万円ですね。
  326. 鈴木直人

    鈴木直人君 七千四百八十八万だ。
  327. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 七百だね。
  328. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 七百でございます。七百四十八万八千六百七十円でございます。これは先程申上げましたように、中国地区の認定がぐんぐん現在進んでおりますので、将来もこのように少いとは申されません。相当殖えるというふうに考えております。
  329. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうしますと、初めは二万四千百四十五人というので予算を取つたのがこういうことなのでありますから、而して認定が進んで来るとしてこの法律で余程拡張し得る、二万四千人程度まで拡張し得るとすれば、認定その他でもつて非常に手心があると思いますけれども、来年度におきましても、これをもう少し殖やして、いわゆる特別の未帰還者で非常に苦しんでおる人を全部カバーして行くようなお心持がありますかどうかということについて伺います。
  330. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) これは先程申しましたように、特別未帰還者の対象になるというものは、現地からの詳しい事情が分らないと分らないのでありまして、二十五年度予算を作りますときには、そういう事情が通信で許されておりませんために分らなかつたのです。それでこういう数字を仮り……仮りと言つては語弊があるかも分りませんが、まあこの程度ということで対象を立てたのでありまして、本年これが余るからと言つて、仮に余るという具体的な見通しが立ちましたときに、先程言いました認定の條件を変えるということはできかねると思います。結局扶養額に出せるという建前にはなると思いますが、まあ若干の、運用の妙味と言いますか、そういうものは若干可能かと思います。
  331. 高良とみ

    ○高良とみ君 非常に支出が少くて予算が多かつたわけでありますから、削られてしまうと仕事が非常にしにくくなると思います。その点は額を上げれば、その点で認定の方は立法の精神で決まつておりますけれども、一つできるならばこの範囲で……、まだ申告しないでいる人があるというふうに考えます。田舎などでもつて、そういう状態にある人のためにこういう法律ができたということを……、昨年の一月からの支給がまだできてないところがあるのです。それに対してもう少し調査を徹底して、そうして拡げて行くような御意思がありましようか。まだ御調査の上では申告しない人達がありやしないかということを……その可能性は如何ですか。
  332. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) お話の通りいろいろラジオ、新聞その他集会等の機会に都道府県にこの法令の周知を図つておりますが、若干お話のような、こういう対象を作りながら届出がないというものがあろうかと考えます。尚その他の点につきましては、我々が都道府県を監査いたしますときには、十分周知方を都道府県にお願いしております。尚御趣旨の線に沿いまして努力いたしたいと思います。尚通信が、先程も何度も申上げますように、昨年の暮から開始せられまして、現在も盛んに参つておりますので、その通信を得てから初めて届けられる、條件が満たされるという人があろうかと思います。相当今後増加が期待されるという考えでおります。
  333. 高良とみ

    ○高良とみ君 それならば通信のどんどん増加しつつある場合に、それだけを証拠にして、條件附けて、対象にして殖やして行かれる方針でやつておられますか、現在。
  334. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 現在までのところ通信が一番大きいものでございますが、その他昨年八月に大連、それから満洲から二千程帰りましたが、そういう人達の情報も極めて重要な役割を持つております。
  335. 鈴木直人

    鈴木直人君 それから、この法律の適用を受けて、そうして妻とか子供が六百円、四百円というものを貰う方は、生活保護法を更に適用を受けて、その法律から又貰う資格がありますか。我々はこつちの方で貰うと、あつちの方は貰うことはできないという関係がありますか。
  336. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) お話の通りでございまして、遺憾ながら現在の生活保護法建前から、三重に出るということはできません。生活保護法は他の一切の收入生活ができないという線を引きますので、特別未帰還者給與法、未復員者給與法と同様でございますが、これによつて支給される額は当然生活保護法から控除されるという建前になつており、二重には出ないのであります。
  337. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、生活保護法の適用を受けておる者には、この分だけは削られるけれども、生活保護を受けていない階級にはまるまる貰える、こういうことになるわけですな。
  338. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) まあそういうことになりますね。
  339. 鈴木直人

    鈴木直人君 それは勿論生活保護法は、他の收入を得る場合においては、これは最低限度の生活を保護するのですから、まあいいわけです。最低限度の生活を保護するという意味において、生活保護法は他の收入がある場合には、その收入の部分を、これは減らして支給するということになつておるけれども、少くともこれについては生酒の保護があろうがなかろうが、要するにこういう資格によつてそれだけの補助を受けるのであるから、これの收入生活保護法から引くということは非常にいろいろな矛盾がありはしないかと思う。生活保護法を受ける者はこれを引かれる、そうでない相当の金持といいますか、ここには資産があるとか資産がないということが余りないようですから、妻であるとか、或いは十八歳未満の者を持つていれば、これは相当の收入があつてもこれはいいのだろうと思うから、そうするとその收入のある者の方にプラスされる、こういうことになつて、社会政策上ちよつとおかしいじやないか。この点どうですか。
  340. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 生活保護法は御承知のように無差別平等ということを言つておりますので、建前を崩すことは困難と思いますが、ただ金額は必ずしも生活保護法とこの特別未帰還者給與法、未復員者給與法と同じでありませんので、仮に若し未復員者給與法なり特別未帰還者給與法金額の高い場合は、その額は勿論引かれるということは申すまでもありません。その外、療養を三年続けられるという規定もございますので、生活保護法との関係につきましても、若干の意味がないということにはならんと思います。勿論大きな面におきましては……。
  341. 鈴木直人

    鈴木直人君 私の聞いているのは違うのです。生活保護法を受けている人で而もこの資格を持つている未帰還者であつた場合は、生活保護法の中からこれを引かれてしまうということになる。ところが生活保護法を全然適用のない者は相当生活が高い者である。そういう者にこれを適用されるのは、全部貰えるということになるので、社会政策的におかしいじやないか。
  342. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それは生活保護法を受けておつた者で、この対象になります者は、生活保護法を止めてこの法律が優先するのです。ですから結果は同じことになりますけれども、建前は未復員者給與法なり、特還法によつて先ず給與を受けて、それで生計の維持ができないという場合において、最終的に生活保護法がその差額について見る、こういう建前になる。
  343. 鈴木直人

    鈴木直人君 生活保護法を受けてない場合はどうですか。
  344. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 勿論全額を控除という問題は……。
  345. 鈴木直人

    鈴木直人君 そこに何だかおかしい点がありはしないかと、こういうことを聞いているのだが、それについてのお考えはどうですか。生活保護法を受ける資格のある者は、生活保護法かこれか、どつちか取ればいいということになる。ところが生活保護法を受ける必要のないところの生活階級の者には、自分の生活とこれと、両方貰えるということになる。そういうことから見れば生活保護法も貰う、これも貰えるということが本当ではないか。両方のどつちを取れということはおかしいじやないかと思います。
  346. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の先生のお話は、私は矛盾はないと思う。当然どちらかを棄権すべきだと思う。只今は両方一緒に貰う権利を主張するという意味でなくて、この給與自体が非常に安過ぎるという問題、これはそうかも知れない。こんなことでは食えないからというのです。高いとすれば当然どちらか棄権しなければいけない。だから生活保護法、両方の権利を主張するということは、これはどうかと思う。せなくてもいいように、このレベルを改訂して上げなければならんということは、今のような我々あなたのおつしやる気持は、私は同じだと思つております。こういう気持でおります。
  347. 鈴木直人

    鈴木直人君 それに関しては私も賛成です、その点については、然らば生活保護法を受ける程度でない抑留邦人にはやる必要がないということになる、あなたの説から言えば。要するに生活保護法を受ける程度の者には生活保護法でこれもやるべきだ。併しながら生活保護法の適用を必要としないところの裕福階級にはこういう法律は要らないと、こういうことになる。それは要らない、どつちか。なぜかというと、そういう階級はこれを貰えなくても食える階級であるから、そういう人達は当然やる必要がないのじやないか。それにもやれば両方貰うのが本当じやないか。こういうことを……。
  348. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕の論拠は鈴木君と結果は同じだが、一家の生計の支柱をなくした者、生活保護を受ける階級にあつてこれに該当する者は、当然一家の支柱たる人の受けるべき権限を認め、生活保護法の継続をするということは私は両立すると思うのです。
  349. 鈴木直人

    鈴木直人君 僕は森崎君の言うようなそれでもいいのだ。ところが生活保護法を受ける階級にも、この一方抑留邦人にもやつておるのだから、そういうものを生活保護を受けておる人にも平等にこれをプラスしていいじやないか、でないと矛盾が起きやしないか、上げることは賛成なんです。
  350. 千田正

    理事千田正君) 大体論議も盡きておるようですが、これを打切つて……。
  351. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 細かい問題ですが、中共地区の残留しておる人達が家族諸共向うに徴用されておる人、これに対しては適用されますか、本人家族共に向うに抑留されておる……。
  352. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それは帰りましたときに認めます。帰つたら認めるのであります。
  353. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 それは効の発生はいつからになります。それは何で認定しますか、いつからと……。
  354. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 帰つたときに判明しますれば……。
  355. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 遡るのですか。
  356. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 中共につきましては昨年の十一月以降です。
  357. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 但しその場合自発的に働いた人は貰えないわけですね。余儀なく抑留されておる人でなければならんということがくつつくのですね。
  358. 内村清次

    内村清次君 そこで大蔵省の方の話ですと、この取扱は未復員者の方もそれから特別未帰還者の方も復員局の方がやつておるのか、又別々に未復員者の方は大蔵省、こういうことになつておりますかどうですか。
  359. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 実際的には未復員者給與法は引揚援護庁の復員局がやつております。こちらの方は援護局の方がやつておる。復員局と援護局ただ法規的のものは、いきさつがありまして大蔵省給與局が未復員者給與法だけは扱つております。特別未帰還者給與法の方は援護庁の援護局がやつておる。
  360. 内村清次

    内村清次君 そこで先程大蔵省厚生省の方からこの予算措置の手続もやるからして、その節にこの法に示してあります給與額引上げを今回の予算の面におきましても含めて置けば又何とか考慮しようという話も出たようですが、あなたの方はどうです、引上げようという御意思があるかどうか。
  361. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) これは我々としては勿論留守家族の援護、引揚者の援護を所管する役所でありますので、できる限りこの増額を希望しておるのでありますが、従来国会も関係方面と十分御折衝せられてお骨折を頂いた結果が現状でございますので、差当り今考えておりますのは埋葬料の千五百円というのを二千八百円に改正したい。それだけははつきり申しておるのであります。後は一応現在の額を基礎にいたしております。埋葬料、現在千五百円でありますのを三千八百円に増額したい。
  362. 高良とみ

    ○高良とみ君 この妻が六百円、子供が四百円支給されるということは、何かカロリーか何かから基礎を出しておりますか。つまり配給のカロリー、千九百カロリーに幾ら要るか、六百円月に貰えば餓え死にしないという基礎があるのですか。
  363. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 扶養手当公務員の例と同じなのでございます。
  364. 高良とみ

    ○高良とみ君 そうすると公務員の例にすると一月六百円ですか、一人の生活費が……。
  365. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) 生活費と言いますか、公務員給與全体がそういうことになつておるわけで、それに同調しておるものと思います。
  366. 高良とみ

    ○高良とみ君 併し妻があり、長子があり、たかだかまあ多少月に千六百円ですね。それから多くて二千円ですね。それでこの最低限の配給だけの費用のうちから計算が出ますか。出るようになつておりますか。昨年作られたときに……。
  367. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) それは公務員給與改訂全体の問題でございまして、これは……。
  368. 高良とみ

    ○高良とみ君 家族手当に準ずる……ああ成る程。
  369. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 さつきの私の、まだ向うに抑留されているというか、働いておるというか、我々の直接知る限りにおいても可なりの数があるのでありますが、そういつた人達はこういう法の適用を受けられるか否かというこの認定の限界が非常に問題だと思うのです。と言うのは向うに残つている人達の中には、帰りたいのだけれども、むしろ向うにおつた方が生活もいいのではないかというような想像から残つておる人、そのうちには例えば炭鉱で働いている人もありますし、農業労働者として働いておるような者もある。それから科学技術を持つておる人は研究機関その他で正規の月給を貰つて働いている人達もある。いろいろな給與程度には違いがあるわけですね。従つてそういつた人達は日本に帰つてからどういう取扱と、どういう給與を受けるか、家族も諸共向うにいる人のごときは、自分達が向うで直接の強制抑留若しくは半強制……、大体がそういう状態の下に留まつている人達が大部分だと思うのです。本当に喜んで向うに留まつている人達の数とどちらが多いかということは、ちよつと軽卒に判断はできませんけれども、我々の知る限りにおいては、強制若しくは半強制的に留まつている人が多いと思うのです。そういつた人達が帰るべきか、帰るべからざるか、或いは帰るとすればどういう方法でいつ頃帰るかというこの判断に非常に日夜迷つておると思うのです。そういつた場合に、その限界をどこで切るかということが非常に問題だと思う。ただ日本に帰つて見ても、全然何らの給與も受けることなしに裸でこの焼野原に放り出されてしまうということなら、多少の不便があつてもやはり向うで一生を終ろうという最後の決心をつける筈ですし、こつちへ帰つて来ることによつて留守中のこういつた給與も受けられるしということになれば、或る程度のこちらへ帰つて来てからの経費も出るし、そういうことも明確に分れば、これならば何とかして帰り得る早い機会に帰ろう、こういう決心もつくわけであります。その最後のところの限界ですね。そこのところをこの法で許されておる最大限の解釈の範囲を一つ伺いたい。
  370. 山本浅太郎

    説明員(山本浅太郎君) お話の通りこの認定は非常にニユアンス……、適当にはつきり白か黒かということでは引けないと思うのです。非常に切りがたい線は……、どちらにすべきかという場合が多いと思うのであります。その点はいろいろ外務省とも相談して愼重にいたしておりますが、私共の立場では紛らわしい場合は留守家族の利益に従うという気持で現在認定を進めております。それからどのような事情で残つておるかということは外務省の仕事なんで、私共よく分りませんが、留守家族から参りました通信なんかを見ますと、やはり帰りたいというような気持を縷々述べたものが大部分でありまして、積極的に残りたいというような手紙はそう見かけません。これはまあ十分手紙の全体を通じて見ておりませんから、いろいろの人があり得ると思います。が、できるだけ私共としては本人及び留守家族の利益に従うような、でき得る限りそういう気持でこの法の運用に当つて行きたいというような気持を持つております。
  371. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一言だけ……。今のお説は私これは引揚問題の最も奥深い根抵に触れていると思うのです。つまり海外の人が喜んで郷里へ帰つて来られるような状態、そういうような受入れ方を確立するということに、私はこの委員会を進めて行くというところに問題は……。それで尚且つ留まりたいという人はこれ又自由に留まる。帰つて生活は必ずできるというように行かにやいかんのに、遺憾ながら過去の実際はそうでないというところに最大の努力を私はいたすべきだということを、私は特に御高配願いたいと思います。
  372. 千田正

    理事千田正君) 大体一応当局からの御説明も承わりましたし、尚又今日御出席にならない委員の方もありますので、この未復員者給與法は、或いは特別未帰還者給與法の法案についての改正問題は、相当愼重に考えまして、今後来るべき国会に、或いは議員提出、或いはその前に各方面の了解等、それぞれ委員として活動しなくちやならないというような点があると思います。つきましては資料は是非各委員にお渡し願えるように御配慮願いたいと思います。
  373. 鈴木直人

    鈴木直人君 この問題は予算を伴う問題なんです。予算はもうすでに各省からそろそろ出まして、折衝の段階に入ろうとするくらいになつている。従つて予算が優先か、法律が優先かという場合においては、どうも実際予算優先的な考え方が強い法律なんです。従つてこれは予算が確定した後において法律を作ろうとしても、これは関係方面の了解を得ることはできないでありましようし、又政府部内においても非常に問題だろうと思います。従つてこれは余り遅くはできないと思います。ですからこれは予算に関連する法律なんですから、委員長においてはその点を常に行政部面と連絡を取つて、そうしてそれが行政部面だけで決定してしまうような段階にならないように、そう遅くならんように、やはりこの委員会の決定を進めて行くように希望いたします。
  374. 千田正

    理事千田正君) 今鈴木委員のおつしやるのは御尤もでございますが、この特別未帰還者及び未復員者給與法改正問題は、非常に論議が前から継続されて、相当強硬に各関係方面との折衝をしておりますけれども、なかなか容易にそのOKは得られそうにありませんが、併しそうかといつて我々はこの問題を等閑に附するわけには行きませんから、これは皆さんの御協力によつて一日も早く立法の実現ができるように、是非皆さんに御協力を願いたいと思います。
  375. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 鈴木委員にちよつと僕は質問を出したいのですが、賛成であります、あなたの説はもう無條件に賛成であります。ただそのことは無條件に賛成ですが、政府の発表でさえも引揚げた人が六百二十五万、引湯げられない人、これはこれから徹底的に論議しなきやいかんと思うけれども、三十六万、非常に極く僅かなんです。だからこの僅かな部分について手厚い受入れをするということは無條件に賛成です。併し今まで引揚げられた六百二十五万のうちの大部分は非常な困難な生活にあると思います。その点はどういうふうにお考えになりますか。
  376. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は未復員者給與法及び特別未帰還者給與法、これの改正について委員長から話がありましたから、その改正を前提とするならばこの内容は予算的なことになるのであるから常に予算方面から遅れないような手を打ちつつこれは検討する必要があるということを、それだけのことを今申上げたのです。そこであなたから別途のこれは質問なんです。
  377. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それには賛成です、全面的に……。
  378. 鈴木直人

    鈴木直人君 この二つの法律以外のことだ、引揚委員会として更に重要な問題があるのではないかという点なんですね。いわゆる帰還しておる人達に対するところの住みよい国を作るという点、これは昨日住宅問題とか失業問題とか、それから何でしたか、あれは……、開拓の入植の問題というものは、具体的な問題として今日実は現われて来ておるのですね。そういう問題は昨日いろいろ事情は聞きましたからこれもやはり法制的措置を必要とするけれども、住宅も予算の問題ですから、そういういろいろの問題とかそういうことに関連して来る問題ですから、これはやはり昨日研究したと同じように引揚委員会としてはこれは重要なことであるから、これから私共やつて行かなければならん問題だと思う。ただ私がこれより積極的にしない部面についてはこの前私言つたように政治……何的といいますか、ただもう徒らに徒らではないが、まじめではありますが、委員会の中におきまして闘争を事とし、それから先程君が盛んに言われたように、引揚問題に対する引揚者の数がどうであるとか、こうであるとか、それの政府への責任追及、或いは国際的な二、三の国の責任追及というようなところにこの鉾先を持つて行くということについては私は非常に積極的にしないのです。僕はそういうようなところに主力を注いで行くくらいならば、それは非常に反対だ。ただ君の言われるようにここにおる帰還しておる人のことをよく考えて、そうして住宅問題或いは失業問題をもつと地味にその人達のために特別なるいわゆる盡力をするということで特別委員会ができておるから、そういうことであるなら私はどんどんやつて行きたいと思つております。従つて住宅問題が予算に関連しますから、そういう問題もやはり遅れないように手を打つて行く必要があると、こういう考えです。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  379. 千田正

    理事千田正君) それでは次の委員会をいつ開きますかを皆さんにお諮りいたします。
  380. 鈴木直人

    鈴木直人君 これは理事方々がおられるでしよう。その方々で、具体的にそういう具体的の問題を取上げて、必要であるという部面については成るたけさつき言つたように遅れないようなふうにやつて頂きたいと思います。
  381. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 理事がいなくても、理事会にこのような内容をされたらどうかというようにアドバイスされる運営の仕方も十分……、むしろその方がいいと思います。
  382. 鈴木直人

    鈴木直人君 尚この委員会は休会中でありますから、いろいろな都合で全部出られるということもないわけですから、その点は出られた方だけで熱心な方々、そういう人もありますから、そういう方だけでも委員会という名前において、その都度必要な結論を出して行きたい、そういうふうに考えております。
  383. 千田正

    理事千田正君) 只今鈴木委員並びに兼岩委員から休会中のこの委員会の持ち方についての御希望がありましたが、さよう取計らつてよろしいですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  384. 千田正

    理事千田正君) それではさよういたします。次回の委員会は追つて通知をいたします。それでは本日の委員会をこれで閉じます。    午後五時五分散会  出席者は左の通り。    理事            内村 清次君            高良 とみ君            木内キヤウ君            千田  正君    委員            森崎  隆君            飯島連次郎君            鈴木 直人君            紅露 みつ君            兼岩 傳一君   説明員    外務政務次官  草葉 隆圓君    大蔵省主計局主    計官      岩動 道行君    大蔵省主計局給    與課長     磯田 好祐君    外務省管理局引    揚渡航課長   武野 義治君    外揚援護庁援護    局援護課長   山本浅太郎君    引揚援護庁援護    局援護課    森山喜久雄君