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1950-08-01 第8回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年八月一日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○引揚者及び留守家族厚生援護に関  する件 ○引揚促進に関する件   —————————————
  2. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 只今より委員会を開会いたします。  本日の議題は、引揚者及び留守家族厚生援護に関する件と、引揚促進の件でございますが、先ず引揚者及び留守家族厚生援護に関する件を議題といたします。つきましては、引揚者及び留守家族厚生援護の面で、現在最も緊急を要します住宅問題、失業対策の問題、及び引揚者の入植の問題につきまして、順次政府関係当局より一応の説明を聴取いたしましてから、各委員より質疑をして頂きたいと存じます。議事を進行して行きたいと思いまするが、このように議事を進行することに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) では、さように議事を進行いたします。先ず、引揚者及び留守家族住宅問題につきまして、厚生省援護局長より説明を聴取することにいたします。田邊援護局長
  4. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 私から引揚者住宅問題について概要を御説明申上げたいと思います。お手許にいろいろと資料をお配りしてございますが、その中で引揚者住宅問題に関する決議というのがございます。これは先般引揚同胞対策審議会を開催いたしまして、引揚者住宅対策についていろいろと研究協議いたしました結果、到達した結論でございまして、これがそのまま内閣総理大臣に勧告せられまして、内閣総理大臣から各省に対しまして、この趣旨に沿つてできるだけ早く措置をするようにという通牒が参つておるのであります。従いまして、これが現在政府において考えておりまする引揚者住宅対策の根幹をなすものでございますので、これについて御説明申上げたいと思います。お読み頂けば内容は分るのでありまするが、これの考え方簡單に申上げますと、終戰後海外引揚者が何百万と内地引揚げ参つたのでありますが、当初におきましては家を建てるだけの余裕もなく、又既存集団施設等もありましたので、取敢ずそういつた施設引揚者を收容いたしたのであります。ところが、昭和二十三年の春、ソ連からの引揚が開始されましたときに、樺太からの引揚者祖先父祖伝来土地から引揚げて参りまするので、内地に殆んど縁故のない無縁故者が多く、従いまして函館に上陸いたしましても行く先がないために、函館の港に段々と溜まるような状況つたのであります。そこで、政府におきましては、急遽予算を用意いたしまして、北海道及び東北六県に無縁故住宅という小さい新設の住宅を建てまして、そうして各県にそれを割当て、そして函館におりまする無縁故者のお引取りを願つたわけであります。この政策昭和二十四年度においても継続実施されまして、又、二十五年度におきましても、本年度五億円の予算を計上し、七千戸の住宅建設する方針であるわけであります。ところが実際を見ますると、とてもこれだけの住宅では非常に困つております引揚者住宅には焼け石に水の状況でございまして、各県から私共の方には申込みが殺到して、私共その処置に困つているような状況であります。お手許に別の資料といたしまして、海外引揚者住宅困窮状況調というのがありまするが、広くその住宅に困窮しているものを調査いたしますと、三十七万世帶あるのであります。その中で現在住宅外施設に住んでおる者だけを集めましても約十五万世帶いるわけであります。ところが現在引揚援護庁で建てております引揚無縁故住宅というものは過去において引揚げた引揚者住宅という建前ではないのでありまして、今後新たに帰つて来ます引揚者住宅を造るということが建前なつております。つまり受入態勢の問題としての応急援護ということが我々の住宅建設建前でございます。ところが実際は引揚者予定通り帰つて参りませんので、それを過去の引揚者住宅に振向けておる、こういう状況であるのであります。従つて足りない筈なのであります。そこでこの審議会におきましては、今後は引揚者住宅重点を今後帰つて来る者でなしに、むしろ既往引揚者であつて住宅に非常に困窮しておる者に重点を指向しなければならない、こういうことになつたのであります。併しながらこう変つて参りますると、住宅に困つておる者はひとり引揚者だけではなく、戰災者その他の方であつて生活に困難している者は引揚者と同様の実情にある、それに対しても併せてそういつた住宅対策を考えて行かなければならんのではないか、こういうふうになつたのであります。お手許資料を差上げてございますが、引揚者以外の生活に困窮し、住宅に困つておる者の総数は十五万世帶でございます。引揚者のそれよりも少いのでありまするが、併し事情同じようなものがありますので、両方併せて低廉な家賃公営住宅建設する必要がある、これがこの前の引揚対策審議会において出された結論でございます。その際委員から述べられましたことは、現在の庶民住宅家賃が高くて到底入れない。又先般の設立せられました住宅金融公庫はこれは自己資金相当要るのみならず、毎月の償還金が千七百円程度以上になるので、到底引揚者のような生活困窮者には入れない。そこでどうしても庶民住宅の中で家賃の安い住宅を造る必要があるということが要望されたのであります。而も一方庶民住宅に対しましては国が半額国庫補助金を出しており、後の半額地元が負担して、半額地元が負担したものの元利の償還が殆んど家賃のようになつておる関係家賃が高いのである。そこでこういつたような困窮者乃至は引揚者のような低收入者に対しましては国も同様に或る程度補助をなし、又都道府県市町村自治体設置費を負担することによつて家賃を安くすることが望ましいことではないか。社会政策的な面からもやはり庶民住宅と同じようにこういつたものに対しても国庫補助低廉家賃住宅を推進する必要がある。併し両者の均衡が取れないということが強く主張されたわけであります。これに基きまして、厚生省ではお手許に差上げておりますような資料のような規模明年度において予算を要求中でございます。昭和二十六年度公共事業費生活困窮者に対する低家賃公営住宅設置費補助に関する経費もお手許に差上げてございまするが、一番最後から二枚目に現在の状況が書いてございます。別表一としてでございます。世帶数が五十三万三千世帶であります。これは引揚者引揚者以外の生活困窮者と一緒にしているのであります。その中で取敢えず住宅を供給しなければならんものは三十万戸と押えております。それを五ケ年計画で実現するといたしまして、二十六年度においては六万戸、これに対する費用が八十一億となりまして、それに対して六割の補助が四十八億と相成るわけであります。この対象一般生活困難者とは相成つておりまするが、その七割は引揚者でございますので、これは実態調査に基いてそういう数字が出ておりますので、この政策を推進することが同時に又引揚者住宅問題を大きく解決して行くゆえんであると考えまして、引揚同胞対策審議会の立場としても、又引揚援護庁といたしましても、こういつた政策が来年度において是非実現できるように推進して参りたいとかように考えております。尚先般の引揚対策審議会におきましては、こういつた政策所管をどこにするかという問題についても発言がございまして、委員の多くの方は厚生省所管でやつて欲しいという意見が強かつたのでありますが、所管の問題は政府部内の問題でもありますし、各省設置法にも繭つてある関係もありますので、これは政府部内で決定することにして、引揚同胞対策審議会としてはその点までは触れないということに相成つたのであります。但しこういつた住宅対象特殊性から見まして、どこに配置するかということは、対象者の各地の分布状況に対応するように各都道府県及び各市町村に配置しなければならん。家賃幾らに決めるという点、又入居者の資格をどの程度にするか、所得をどの程度に見るか、又入居者選定方法をどうするかというこの点はいわゆる生活指導の諸施策と極めて密接な関連があるから、その実態的な関係においてそういうことを実施しなければならないということが強く主張されまして、その点も対策審議会決議を後段の方に謳つてあるわけであります。以上が一般的な住宅対策であります。  第二は既存引揚者集団施設は非常に衛生上、防火危險であるので、これをよく調査をして今後相当補修を加えれば或る程度建物として使える、いわゆるアパート的な建物として使えるというものと、もう手をかけても殆んど無駄であるというものとによく分けて、使いものにならんものはこの際潰してしまつてつておる人を疎開する。そのために新らしい家を建てる、それから補修をすれば使えるというものについては、相当補修を施して今後の恒久的住宅に活用するということが決議されたわけであります。この点につきましてもお手許資料を差上げてございますが、現在集団收容施設の中で補修を要するものが七百程度でございます。七百六十三あります。疎開を要する建物がこれも別途お手許に差上げてございますが、二百九十ございます。これはいずれも各都道府県からの調査に基きました資料でございまして、或る程度正確なものだと信じております。かように集団施設に対しましては補修を加えつつ、もう使いものにならんものは疎開して新らしい建物にする、又一般的な住宅としては庶民住宅の線をもつと下の方の階層に下げたものを実施して行きたい、かようなことが目下我々の方で、乃至政府の方で考えております引揚住宅対策概要でございます。尚附記といたしまして、こういつた仕事はできるだけ急いだ方がよろしいのであるから、本年度追加予算の際に政府においては考慮するようにということも附帶決議として決定いたした次第であります。  尚資料についてでございますが、一般的な生活困窮者に対する住宅対策必要性、それに関する資料をお手許に差上げてございます。厚生省といたしまして、厚生省という題名の附いたのがお手許に参つておりますが、これは生活困窮者に対する低家賃公営住宅設置必要性と、その所管厚生省として適当であるという厚生省希望意見を書きましたものを差上げてございますので、それをお読み頂きますれば、概ね大体の考え方がお分り頂けると思います。簡單でございますが、これを以て御説明を終りたいと思います。
  5. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 只今田邊援護局長より説明されましたことにつきまして、各委員より何か御質疑がございましたら、質疑をして頂きたいと思います。
  6. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あなたの説明は、三十七万世帶とそれから生活困窮者が十五万世帶、寄せて約五十万世帶ですか、そのうち三十万戸が急を要する、これを五ケ年計画でやる、そうして八十一億、その六割補助、こういうのですね。
  7. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) そうでございます。
  8. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 一戸の規模、どういうような場所に建てるか、その土地の取得、それはどういうふうに考えておられますか。一戸の規模その他ちよつとその内容について触れて下さい。
  9. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 木造の場合は七・五坪、一戸当り建設費十二万円でございます。それから防火建築物でありますと八坪でございまして、二十六万四千円でございます。
  10. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 敷地はどういうふうにして取得されますか、その勘定は……。
  11. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 十二万円のうちに若干敷地代も入つております。これは地元市町村乃至府県選定するということになつております。
  12. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 地元提供という考え方ですか。
  13. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 従来の引揚者住宅は全部土地地元で提供することになつておりました。今度の、来年度予算のうちには家賃土地代も若干入つております。
  14. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 若干ではいけない、やはり必要なだけ入れないと、ただ若干というのじや分りにくいですね。土地はやはり住宅問題の一番重要な点です。どこへ作つたつていいというわけではないでしよう。どんなふうに考えておられますか。
  15. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 従来は八割補助引揚者住宅でございまして、土地は全部地元で提供して貰うということで済んでおります。それでも各県から非常に要望が強いのであります。従来の建前より更に一般と飛躍いたしまして、更に対象を徹底しまして、地代も建設費のうちに……、ちよつと幾らでしたか今覚えがございませんが、若干土地代も含めてございます。土地代幾らでしたか、後で調べて申上げます。
  16. 杉山昌作

    杉山昌作君 二十六年度予算資料海外引揚者住宅補助経費と、それから生活困窮者に対する経費と、これは両方とも計上したいというわけですか、二つ資料がありますが……。
  17. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) そうでございます。
  18. 杉山昌作

    杉山昌作君 生活困窮者に対する方へは引揚者の方は入つていないのでございますか。
  19. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) これは五十三万のうちには集団住宅に入つておるものは含んでおりません。それから先程の土地の代ですね。敷地代資料の一番最後に一坪に六百円として計上してございます。
  20. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 どういうことになりますか。
  21. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 一戸当り一万五千円。
  22. 小酒井義男

    小酒井義男君 この二十四年度補助経費が出ておるわけですが、二十五年度は大体これのどのくらいのものが実際にやられておるかということは分りませんか。
  23. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 二十四年度とほぼ同様でございます。單価が若干高くなつております。坪数も七五坪に建ててございます。平均一万三千円乃至三千円であつたと思います。
  24. 千田正

    千田正君 過去の引揚者住宅が或る程度に密集しておつたために、引揚げて来てそこに入れられた人達が、就職或いは就労する場合において非常に不便を感じておつたという点が往々に視察した途上において見受けられるのですが、今後はそういうことは恐らくないだろうと思いますが、各県の要望によつて援護庁としても計画されたろうと思いますが、その点はどうなんですか。例えば青森県であれば、青森市内なら市内に置いてある、併しながらそこに何千人という引揚者がいるが、なかなか職は得られない、これを各郡に分散するというと、比較的職業が得られる。併し各部においてはそういうような補助もなければ何もなく、今のところはできておらない。こういうような実情で、或る県においては在来見られるのですが、そういう点についてどういうような勘案の仕方をしておられますか。
  25. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 現在の集団住宅土地建物選定に当つて、入つた人就職のためにという條件を考慮している暇もありませんでしたので、既存建物に取敢ず入れたという関係から就職等に不便を感じておる向きが一相当あるということは我々も存じておるのであります。従いまして、昨年度から新らしい住宅建設して参ります際には、本人の就業との関係を十分考慮して、立地條件を考慮して立てるようにと指導しております。又集団住宅を今後疎開するような場合におきましても、その点は十分考慮して場所選定して行きたいと思います。
  26. 千田正

    千田正君 まあ住宅は結構ですが、住宅に附随したところのいわゆる浴場であるとか、或いは衛生設備というようなものは勿論これに含んであると思いますが、どうなんですか。
  27. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) この経費の中には住宅だけでございます。その他のものは共同でそういうものを別途造つて頂くか、或いは地元の町において、建設地において考えて頂く、或いは業者に設置して頂く。そういうことで進んでおります。
  28. 千田正

    千田正君 これは恐らく過去においても十分厚生省並びに援護庁は御存じ  の筈でありますが、建ててやつて、そうして入つたところが非常に衛生設備が悪い、悪いために集団疫痢が出たり腸チブスが出たり、或いは浴場がない、造ろ呈してもなかなか貧弱な自治団体ではそう簡單にもできないということで、いろいろな問題が過去にお  いて起きておるのですが、でき得れば折角これら住宅の方にしても、或いは援護庁或いは厚生省においてもそういうような特殊な予算を計上して、この住宅に附随するようにして、こうした人達生活を守つてやる必要があると思いますが、この点については厚生省或いは援護庁としまして、どういうふうに考えておられますか。
  29. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) その点まで手が及べば非常に完全であるのでございまして、私の方でもそういうことは希望はしておりますが、何分にも日常生活しております施設自体が非常に不潔であり又危險でありますので、それの補修の方に手一杯でございまして、実情はそこまで手が伸びないという状況でございます。但し新らしく家を建てる場合におきましては、土地選定なり或いは井戸の設備なり、そういつたことにつきましては、できるだけ土地の町村と相談いたしまして、衛生上十分な施設ができるように注意はいたしております。
  30. 曾禰益

    曾祢益君 今度の計画に非常に画期的であり、結構なことだと思うのですが、引揚同胞対策審議会というのはどういう構成であり、どういう権限を持つておるのか、それの決議政府に対してどれだけの拘束力を持つておりますか。
  31. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) これは国会提出の法律で設置せられましたものでございまして、内閣に置いてございます。会長は厚生大臣、それから関係各省の次官が委員なつております。それから厚生大臣の認めた引揚者団体代表者、それから学識経験者なつております。従いまして、ここで決定された事項は一応各省関係者全部が了承した政策でございますので、それだけ実行性があるという考え方でございます。但し法律的な効果から申しますれば、單なる決議機関でございまして、総理大臣に報告するだけでございます。総理大臣に勧告されたものが政府から各省に流れまして、この線に沿つてやるように、実質上そういう取扱になつております。法律的にはそれに対して拘束力はございません。
  32. 曾禰益

    曾祢益君 それで、今度の予算ですね、これは厚生省全体としては、厚生省のいろいろな予算もあるでしようけれども、まあ省議としてやるようですが、それを決定して、それから閣議に持つて行つて大いにやろうという厚生省全体の決議であるかどうか。援護庁のあればかりでなくですね、どうなつておるんですか。
  33. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 生活困難者住宅設置は、引揚援護庁予算としてでなく社会局予算として省議を経てやつております。
  34. 鈴木直人

    鈴木直人君 住宅問題は、先程兼岩君から話されたように、私は敷地の問題に現在なつておると思うんです、土地問題は。それからもう一つ大体千田君が言われたように、職業との関連ということは、これはもう当然でありましようが、この土地が実際得られないというのが現実なんです。そこで、今東京都あたりでやつておりまするのを見ますると、引揚者だけではありませんが、非常に濕地帶の、何といいますかね、じめじめとした住宅としては最も不向きな土地を、もうわざと選んだごとく、事実はそうなんです。これは止むを得ず行なつたわけなんだろうけれども、そういうような所にだけ建つておるという状態です。勿論アパートなんか別ですけれども。そこで、この土地を入手するということが最も要点であり、難点だと思うのですが、今までのようなただ金補助するとか、そういうことだけでは解決し得ない問題で、従つて現在のところはじめじめした所に沢山のものを造るものですから、そこに入つた人が、もう入つただけで自分自身が何だかこう落伍者であるがごとき感情を持つてしまうんです。そうしてそこからいわゆる思想的な問題が自然出て来るというような状態なつております。ずつとあちこち視察いたしましても、或いは外地におきましていわゆる相当事業を営み、相当の活躍をいたして、いわゆる強い意志を持つてつていたこういう人も、引揚というような現実でまあ著のみ著のままで来てしまい、そこで帰つて来ると職もない、家もない、漸く入つた家は全くそういうような国内的に見ると殆んど落伍者であるがごとく、そういう所以外には行けないというようなヒとで、そういうようないわゆる外地において相当活躍しておつた人も、自然々々と気持がそういうふうになつてしまつて、そうしてこの引揚問題というと、非常に何といいますか、特別な感情、ひがみ的な感情というもので支配されてしまつておるという現状、これはやはり職の問題もあります。或いは生活の問題もありますから、住宅に関する限りは土地問題がやはり自然そういうようなことになつていると思うのですが、何か、ただこの予算を見ますと、六百円ですか、非常に安い、六百円でもいいでしようが、最も土地希望するようなところになるべく取り得るような、何ら法的な措置とか、そういう対策はないでしようか。
  35. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 御尤もなことだと思います。過去の引揚者に対しましては、主として集団住宅で見ております。こういう関係でございます。土地柄選定ということは考える余裕がなかつたわけであります。併し新しく家を建てるという政策が決まりましてからは、地元府県なり市町村に非常に熱心に斡旋して貰いまして、大体恰好な土地選定して興れまして、提供して頂いているのであります。それに対しては国から補助金を出しておりません。今後大きくこの仕事をやつで行くということになりますれば、お話通り土地獲得ということがいろいろとむずかしい問題になつて参りますが、よく県当局実情を伺つて取計らいたいと、かように考えます。
  36. 鈴木直人

    鈴木直人君 私の質問は、ただ各府県当局の行政的な措置に任せる、こういうことだけでは今までのような現状になる。従つてもつと優先的に土地が得られるような何らかの法的な措置というようなものを必要としないか、或いは考えていないか、こういうようなことをお聞きしているわけです。
  37. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 実は住宅対策がかように一般的に入りこんで伸びて参りますと、所管が非常にむずかしいのであります。各省設置法におきましては、住宅の供給というものが一応建設省の所管なつております。従来は引揚者受入態勢ということで引揚援護げでやつておりましたが、定着援護になりますと、やはり庶民住宅と性質において極めて似たものになつて参ります。そこでこれが果して厚生省仕事として認められるかどうか、我々はできるだけ認めて欲しいと思つてやりますが、いずれにいたしましても、政府としてこういつた政策をやつて参りたいと、かような気持を持つております。お話通り土地獲得という問題につきましては、單なる行政措置としてはいろいろ困難問題もあろうかと思いますが、お話の点につきましては、その予算実現状況と対応いたしまして、研究してやつて参りたいとかように思います。
  38. 内村清次

    内村清次君 引揚者住宅問題につきまして、先程の御説明によりますと、既往は集団的な住宅に收容して、そうして住宅問題の解決に当つておる。そうして二十五年度におきましては国家の補助はないが、別個住宅としての措置政府としてつも考えたいというようなお話でありましたが、そうすると、二十五年度におきましてこういう引揚者に対して提供せられたところの、又引揚者が住みました住宅は一体どれくらいあるのか、その数と、それから今回この五ケ年計画で一応三十万戸、来年度六万戸というような御計画を立てておりましたが、すでに引揚者の帰還されましてから毎月もあるのでありまして、漸く計画的な目鼻がついたような状態ですが、どうも所管事項といたしましてこれはただ予算として計上されておるものであつて、これがどの程度まで実現し得る見込み予算調整の場合のときにあるかどうか、私達はどうも所管省といたしましての今までの問題、この問題につきましてこれは引揚者の方々と同様に、又切実な引揚者気持からも力の点につきまして非常に私達も懸念していたわけでありますが、政府とじて又所管省としてこれをどれぐらい解決し得る見込みがあるかということについてと、それから又我々といたしましても、この計画に対しましては全面的に協力を惜しまないものでありますが、そういう点につきまして、我々も又なすべき途があろうと思いますが、先ず政府の努力の工合、見込数によりまして私共も力の入れ方もあると思いますが、そういう点についての見通しを一つ伺いたい。
  39. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 先程、今年度予算がないというふうにお話を伺いましたが、本年度引揚者住宅として五億、七千戸でございます。これは先程もお話申上げましたように、今年度引揚げを予定しておりますものの中で無縁故者に対する受入れの施設として予算に計上されております。来年度はその建前を変えまして、過去の引揚者であつて住宅に困つておる者を重点的に先にしよう。従つて引揚者以外の者についてもそのように考えて貰う。それでこういつた政策は社会政策的に、又厚生省の立場から言いましても望しいのですが、どうしてもやらなければならんという理由といたしまして委員会で強調されました点は、現在の庶民住宅都道府県乃至市町村の立場から申しますと、ぺーする事業なのであります。国が半額補助金を出して後の半額地元都道府県なり市町村なりでやつておる。その金は預金部資金を貸付けてやる。元利の償還金と修繕費、管理費で概ね千円程度家賃ということになります。そこで都道府県市町村がそういつたペーしない事業をするといつた場合五割を負担するがそのあとの二割か二割五分を家賃として徴收する。そのあとの二割五分を都道府県市町村が見ると、国が五割、そうすると千円の家賃を拂つておる者は半額補助があるという結果になります。それよりも低收入者に対しましての何らかの国家の補助がないということはこの間の権衡を失するのではないか、こういうことを言つております。この点につきましては、引揚同胞対策審議会に出席されました各省の皆さん御同意になりまして、こういつた決議をなされたのであります。従つてこの点につきましては我々もできるだけ主張して参りたいと思いますが、皆さん方におきましてもこういつた政策の推進に御盡力下さつて、そうしてこういつた政策を実現されますと、そりの大部分が引揚者でございまして、実際の引揚者住宅の解決に資するところが非常に大きいと、かように存じております。
  40. 内村清次

    内村清次君 所管厚生省なつておるようでありますが、建設省の住宅対策に対しては睨み合せてありましたか。
  41. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) これは先程申上げましたように、所管の問題につきましては対策審議会はタッチしなかつたのでありますが、これは建設省設置法に住宅の供給ということが書いてあります。ただ厚生省といたしましてはこういつた事業の性質から見まし厚生省所管するのが適当だという考え方から予算を立てたのであります。予算がどちらに入るかということは所管がどちらにあるかというまあ考えによつて決まるのであります。これは今後の問題であります。でまあ所管争いをするわけではございませんので、要すればこういつた住宅が建つて、そうしてその目的に即応するように運営されて行くことが望しいわけであります。その点につきましては厚生省としては厚生省が一番適当であろうと考えておりまが、いろいろと厚生省だけの意見で決まるわけではありませんので、その点につきましては今後とも各方面と折衝しながら進んで行きたいと、こういうように考えております。
  42. 内村清次

    内村清次君 そういたしますると、この建設過程につきましての都道府県との連絡は、いわゆる都道府県においては大体これはどういうところが所管しているのか。そうして一般住宅建設関係との相違点を明確にしてやつているかどうか。
  43. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 従来の引揚者住宅は全部民生部の所管でございます。庶民住宅建設土木部の所管でございます。
  44. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 さつき頂いた資料の中で、生活困窮者住宅困窮戸数調ですか、そのうちで隔離病舎或いは壕舎、仮小屋等に仮住している者の外に、その他世帶数で三十四万七千戸というのがありますが、これはどういうところに住つているのですか。つまり全然これは仮小屋でもなければ、集団住宅でもないし、青天井の下に住んでおる人達というのですか。
  45. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) これは間借りなどをしておりまして、差迫つた事情で立退かなければならないという者を含んでおります。主としてそれがこの大部分ではないかと考えております。
  46. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 そうすると、私は昭和二十六年度予算に計上されている六万戸という低家賃住宅は大変竿頭一歩を進めた厚生施設で、非常に賛成ではありますけれども、全体を見るとまだ急に住宅を要する世帶数が三十万戸もある。本年度はそのうちの、これは僅か六万戸しか建設計画がないということでありますから、まだ差引すれば少くとも二十四万戸の人達住宅を與えられない。而もそのうち七万戸余りは無縁故人達が更に今年度引揚げて来る予定であります。ですからそういう二十五万戸にも及ぶ全く家を持たざる人達のために、応急の施設としてはやはり理想ではないけれども、一時收容する集団施設を速急に提供する必要があろうかと思う。そういう集団施設に関しては私共の知る少い範囲内においては或いは戰時中の会社の工場なり、或いは社宅なり、或いは工員の住んでおつた集団の寮なり、こういうもので遊休している施設が可なりあります。私も現にそれを現実に知つておりますが、そういつたところを何とか国の力で開放せしめて、一時借用するなり、或いはこれに必要とする補修を加えるなりして、少くとも戰時中の工員の入つてつたところは立派にこれは人間の住める施設でありますから、そういうものに対して、この今年度予算を見ると補修以外の経費というものは大体計上されておらないようでありますが、そういうものを大挙動員をすれば、まあ少くとも十万人くらいの人達が雨露を凌ぐことができるということになりはしないか。そうしてこの資料を見ると、今年のうちに二万一千戸の人達集団住宅から疎開を必要とする、こういうことでありますから、逐次先ず家のない人を集団でもいいから屋根の下に收容する。屋根の下に收容して置いて、そうして逐次これを低住……、安い住宅ができたらこれを個個に分離して分けて移転せしめる。それから又更に第三の問題で入植という問題があるのでありますが、これは土地建物とが入植の関係で若干の別途の経費があるわけでありますから、そつちのその希望者なり、責任者を移す。こういつた三段階の方途を講じて行つて、少くとも家を持たざる人達、つまり青天井の下で毎日天を眺めながら悲惨などん底の生活をいたしている人達を收容するということ、而もそれが大多数の、二十数万戸もあるという現情でありますから、これを何とか速急に解決するために、厚生省としては昭和二十六年度においては費目の流用なり、その他の経費でどの程度の金が大体使えるか、それを伺いたい。つまり集団住宅を借用するなり、或いはこれをつまり直ちに人間が住める補修ですね。そして今あぶれている二十五万もの人達というものを何とか補修して、屋根の下に收めること。私はこれの方が急だと思う。
  47. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 各県で調査いたしました数によつて説明いたして参りたいと思いますが、一応定着した者であつて住宅らしくない施設に住んでおる者という数字が五十三万乃至三十万ということになつておるわけであります。御承知の通り集団收容施設は現在のものは非常に粗悪でございまして、いろいろの問題を惹起しております。それで今後若し金を使つて買うなり、或いは補修をするということでありまするくらいなれば、むしろ一戸建乃至は二戸建の住宅を建てさせた方が本人のためにも、又全般から言つても非常にいいのじやないか。集団住宅を作つて置きましても、結局それを疎開しなきやならん、或いは手を入れて補修しなきやならんということになれば、結局高上りになるのであります。それで取敢ず新設のものにそういつた現在非常に住宅に困つている人達の中で以て最も困つている人達を優先的に人れて行く、こういう政策をとつているわけであります。それで去年が一万一千か二千建ちましたが、二十五年度におきましては七千戸建つわけであります。これは本年度つて来る引揚者住宅でございますが、現在還つて参りませんので、結局還つて来ない場合には、先程お挙げになりました事例の該当者を入れて行く、こういうことになるわけであります。この予算通り実現するかどうか分りませんが、仮に実現したとしますれば、六万戸でございますので、今年の約十倍近くになるので、この恩典に浴する者は相当数に上るであろう、かように考えておりまする
  48. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 私その考え方とその施設には大変賛成するのでありますが、ただ現実から言うと、例えば具体的の例を一つ申上げますと、お寺のお堂に四世帶部屋を仕切つてつておる。ところが、これはどうしてもそこにおれないということで追出される、といつて今年作ろうとする六万戸の住宅は、これは全体の急を要する要住宅者に対して僅かに二割にしか該当していない。あとの八割の人達というのは依然として入れないし、而も追出されを急遽要求されておる人達がその八割のうちに可なりあるのです。そういつた人達は行き場所はない。もう四年も前から顏を見さへすれば追出されたり、迫害を加えられつつあるという現実があるのですから、そういつた人達の行き場所をどこかに探してやらなければ、これは実際一日々々の生活というのが針の褥に坐らされておるという現実でありますから、こういう者に対しては私は多少無駄があつても、一時住むべきところを與えないということはできないと思います。これが農村なら別ですけれども、都市においてはこれはもう一日も忽せにできない問題であります。そのためには遊休しておる施設があれば、何も必ずしも買收する必要はないのですから、国の経費で一時全く遊休しておる公共施設であれば借用して、本当に簡單な修理をして、住むに適するという最小限の手を加えれば私はいいと思います。そこに入れておいて、そうして今度はできたらそつちに逐次二戸建てなり、一戸建の方へ移して行く、こういうとをしないと、さつきの二十五万戸のうちの二割だけ仮に今年收容できたとしても、あとの八割に該当するやはり十七、八万、こういうのは依然としてそういう状態に置かれておるわけでありますし、尚その外に壕舎や、仮小屋等に仮住いしておる人達というものは約十六万戸もあるということであります。そういう点を考えると、私はどうしてもこの理想的の小住宅を逐次やつてつたんでは追い付かないと思う。廃石に水だと思う。その点をもう少し折角力を入れて頂いているのですから、もう一歩踏込んでこれをやつて行く、その点に関する予算措置を是非一つお願いしたいと思います。二十六年度においてそういつた予算措置がまだこれからできますかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  49. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 現実生活面から見まして、差置きがたいという実情にあるものに対しましては、別途いろいろの施設がありますので、そういうところに收容して行きたいと思つております。要はこういつた政策が強く推進されることが根本でございますので、我々としてはこれを根幹といたしまして、いろいろの他の手段を考え合せながら進んで参りたい、御希望に副うようにして参りたいとかように考えております。
  50. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 それから、もう一つ御質問したいのですが、先程の資料、二つの計数に関する資料を頂いておりますが、これによると、低家賃公営住宅設置補助の方は国庫補助が六割、ところがもう一つの方の資料では八割の補助なつておるのですが、同じ三十六年度においてこれは違う建物ですか。
  51. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 実は従来の引揚者住宅は全部八割補助でございます。これは無縁故でございますので、地元関連が非常に少いということで八割、それから補修費も全部八割になつております。それから生活困難者の問題になりますと、生活保護法の施設も五割補助でございます。併し庶民住宅補助の方が五割でございますので、我々希望としてもう一〇%ということで一応出して見たわけでございます。それから集団住宅の設置補助の方は元来土地縁故のない方がその土地に入り込んで集団施設に入つておりますので、それの延長という考えでできれば八割補助して貰いたいという希望でございます。この対象の数字は集団施設に入つておる方々は一般生活困窮者対象の数字の中に入つておりません。
  52. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつと二十五年度の七千戸の簡單説明をして下さい。戸幾ら幾ら予算……。
  53. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 一戸が七・五坪で、一万三千円、或いはもう少し……平均が一万二千円程度になるんじやないかと思います。
  54. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 総予算幾らくらいになりますか。
  55. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 五億でござ)ます。
  56. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 外に御質問はございませんか。
  57. 鈴木直人

    鈴木直人君 二十六年度予算の六万戸を建てるというのは、結局国庫の補助が四十八億六千万円、こういうことになるわけですね。これを府県とか市町村が低家賃で建てる、そうして家賃の年額は府県市町村で又補助すると、こういう建前になるのですか。それでこの住宅を例えば住宅金融公ですか、そういうようなところから金を借りて買取るというような場合は全然これはないわけですか。
  58. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) これ公営住宅でございますので、住宅金融公庫、とは全然性質が違つております。
  59. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 外に御質問ございませんか。
  60. 曾禰益

    曾祢益君 この公共事業費予算は今でもやはり安定本部で資材の何かやつておるんですか。その方面は住宅関係の資材の方はもういいんですか、安定本部は……。
  61. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 従来安定本部から事業認証をして頂いております。    〔委員長退席、理事千田正委員長席に着く〕
  62. 千田正

    ○理事(千田正君) 外に御質疑がなければ、失業対策の方に移りたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 千田正

    ○理事(千田正君) それでは引揚者及び留守家族失業対策議題に移りたいと思います。御異議がないと思いますので、これから引揚者及び留守家族失業対策につきまして、労働省失業対策課長の海老塚事務官並びに労働省雇用安定課の酒井事務官二人見えておられますので、一応今までの経過の事情を聴取したいと思います。
  64. 海老塚政治

    説明員(海老塚正治君) 引揚者就職斡旋につきましては、労働省といたしましても非常な努力を拂いまして、その荷就職が確保できるように殊に昨年度重点的に実施いたした次第でございます。で、労働省の大体の引揚者に対しまする失業対策の外貌をお話申上げますと、労働省の職業安定局が所管いたしております全国四百十大ケ所の公共職業安定所を通じまして、各引揚者が定着いたしましてからの就職の斡旋に努めているわけでございます。勿論新らしく引揚げられて来られました方々に対しましては、内地の事情もよくお分りにならないと考えまして、各上陸地に安定所の職員を派遣いたしまして、引揚げて来られて就職希望される方々に対しまして、どういうような組織で以て日本政府職業斡旋に努力いたしているか、殊に公共職業安定所の機能はどういうものであるか、又郷里に帰られましてからはどういうふうに安定所を利用されるかというような事項を一応上陸地において説明するように取計らつてつております。又郷里に帰りまする輸送の途中におきましても、関係の公共職業安定所の職員を派遣いたしまして、具体的な御相談に応ずることにいたしております。そうしまして求職者に対しましては求職申込その他の希望事項を個々別々に引揚列車の運行中に御相談いたしまして、安定所の職員は、故郷へ帰りましてからはその安定所の所在地の安定所におきまして、希望の職種がありますれば直ちに本人に葉書を以て出頭するように、安定所に来るように御連絡をする。若し御希望するような仕事がございません際には、求人開拓と申しておりますが、適当な仕事を安定所の職員が駈け廻りまして、目鼻がつき次第、本人に御連絡をするというようにいたして紹介斡旋に努めて参つて来たわけでございます。又内地状況或いは労働事情の状況によりまして、特殊の技能を必要とするような職種に引揚者就職できますように、全国に今年度におきましては三百四十ヶ所の職業補導施設というのがあるのでございます。希望者に対しましては安定所が紹介斡旋いたしますが、外に職業補導施設に入所斡旋をいたしまして、そこで短期間の技能習得を得させるようにいたしまして、その上で就職斡旋をするというような方途も講じておるわけであります。又その外に労働省といたしましては緊急失業対策法によりまする失業対策事業というのを昨年度以来実施しておりますが、その事業は主として簡易な土木事業でございますが、全国三百余りの都市、町村において実施されておるのでございますが、差当り職がない方々に対しましてはそういうような事業に就労する便宜も取計らいまして、職に就きまするまでの間一時生の活の安定を得るようにいたしておるような次第でございます。ただ御承知の通り昨年度予算以来求人の漸減、求職者の激増というような状況が昨今まで続きまして、そのために就職状況が必ずしも思わしくないということは事実でございまして、安定所の職員並びに労働省もいろいろ努力はいたしておりまするけれども、必ずしも期待通りの結果を挙げることができないのは甚だ残念に存じておる次第でございまするが、今後ともそういうような施設、或いは事業の運営を積極的にいたしまして、引揚者を含めまして、失業者の救済にできるだけの努力と拂うようにいたしたいと存ずる次第でございます。
  65. 千田正

    ○理事(千田正君) 今の失業対策に関しまして御質疑をお願いいたします。
  66. 森崎隆

    ○森崎隆君 ちよつとお尋ねいたしますが、二十四年度中に就職斡旋をいたしました件数がお分りになりますか。尚二十五年度上半期六月まで、できなければ三月まででも四月まででもよろしうございますから、具体的な数字並びに職業補導による就職斡旋につきましてもお聞きしたいと思います。
  67. 海老塚政治

    説明員(海老塚正治君) 実は引揚者職業紹介状況を、昨年七月から今年の一月まで労働省で特にその期間引揚者就職斡旋に努力いたしましたので統計を取つております。今年に入りましてからは引揚後期間も経過いたしましたので、引揚者のみの紹介状況は取つておりませんので本年度はございませんが、昨年の七月から本年の一月までの期間の分だけ手許にございますから申上げますと、安定所におきまして求職者に職業相談……本国に帰りまして内地のいろいろな求人の状況でありますとか、又自分達どうしたらいいだろうかというような事柄を安定所に相談に参つております。その職業相談や或いは職業指導のために安定所が引揚者の方々と面接いたしました数は、男女合せまして二万九千四百六十四件でございます。このうちには勿論同一人が二回、三回と来ている向きもございますが、二万九千四百六十四件となつております。そのうち安定所に求職の申込をいたしましたりした挙句、安定所が具体的にこの工場に行つて見たらどうだろうかという紹介をいたしました数字がございます。これはまあ常傭と申しているのですが、月給を支拂つて雇う者と、それから臨時的に雇う者と二つに分けておりますが、常傭の紹介者の数は八千四百十六名、これは人員でございますが、八千四百十六名、常傭以外の臨時日雇の力はその約半数の四千二百六十一人となつております。これに対しまして就職いたしました者の数は常傭が三千二百九十三人、臨時及び日雇が三千七百大十三人という数字になつております。それから職業補導所に対しまして安定所で補導所に行つて見たらどうかというので斡旋いたしました数が三百四十六人でございますが、そのうち職業補導所に入りました者の数が百七十七人、昨年の七月から本年の一月までの七ヶ月間に安定所で取扱いました状況は一応その通りであります。
  68. 千田正

    ○理事(千田正君) 委員長からお願いしておきますが、今の森崎委員の質問に対しまして、あなたがお答えになりました数字その他の引揚者状況を、若しできましたらガリ版で結構ですから、各委員に頂きたいと思います。
  69. 海老塚政治

    説明員(海老塚正治君) 分りました。
  70. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつとお尋ねいたしますが、失業者或いは半失業者も分つたら、そのうち引揚者から出ている人はどんな按配でしようか。つまり工場労働者、それからその他の全体としての日本の失業者のうち引揚者を基盤として出ておられる失業者、或いは牛失業者、そういう統計はありませんか。
  71. 海老塚政治

    説明員(海老塚正治君) そういう失業者の数は内閣総理府の統計局でとつておりますが、その前歴と申しますか、そのうち前歴が中小企業者であつた者とか、或いは引揚者であつたとかいう調べがございませんので、その点は不明でございます。
  72. 内村清次

    内村清次君 この点は、私予算委員会の第四分科では労働省関係を取扱つているのですが、これは数につきましての資料の要請はこれは労働大臣も臨席して貰つて私は要求したのです。それで昨今のごとく中小企業からの失業者、それから又は一般官庁からの失業者というようなことは非常に国民も関心を持つておりますし、私達も関心を持つておる問題でありますから、そういうようなデータは私は安定所あたりに、或いは労働基準局におきましてもいろいろできるであろうと思うのでありますが、至急にあなたの方で、大臣にも要請しておるのですから、一つお帰りになつたならばその点ははつきりして頂きたいと思います。
  73. 海老塚政治

    説明員(海老塚正治君) 現在実際に業務を取扱つております安定所におきましては分ります。職業相談をやりましたり前歴調べをやりましたり、たはその失業者を調べます統計を内閣総理府の統計局でやつておるのでありますが、それが今毎月勤労統計調査と申しまして、一月ごとに失業者の数を推計しておりまして、全国に失業者は幾人おるかということは具体的に全国の国民によつて調べることは当然不可能でありまして、推定でやるより仕方がないということでありますから、その前歴をとることもちよつと不可能ではないかと思います。又若し取るとすれば、今度は今年の十月に全国一斉に全国民について人口調査職業調査をやることになつております。そういう節はそういうような数字を入れるかどうかという問題があるわけでありますが、今のそれも三年に一回とか、この前は昭和二十二年にやつております。そのような時間の間隔がございますから、そういうような統計上の技術の問題は私も專門家ではありませんから分りませんが、全国の失業者の数字の中に、何名が前歴がこういうものであつたかということは具体的にほぼ実際上の要求に応ずるように、その資料を利用する面からいえばちよつと取るのがむずかしいのじやないかと思います。ただ現地の安定所では前歴は分つております。
  74. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 厚生省にもお答え願うかも知れないと思いますが、どちらでもいいのですが、昨年帰つて来られた十万の就職状況は分つておりますか、お調べになりましたか、生活の実態は……。
  75. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 調査したものもございます。只今手許に持つて来ておりませんが、委員会にも資料は差上げてある筈ではないかと思います。
  76. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 いつ頃ですか。
  77. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) この前の国会に出してございます。今年の何月頃かちよつと記憶ありませんが、資料はできております。
  78. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一遍出して貰つたらどうですかな、新らしいのを。十万以前のものはどうですか。ずつと五年前から引揚げて来たもののその後の生活実態は調査できておりますか。
  79. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 就職状況につきましては、昨年の六月から帰つて来た人だけの資料でございます。
  80. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それ以前のはできておりませんか。
  81. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) ええ。
  82. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 六月以後のやつだけでもこの次に頂戴した、外の方お持ちなら僕だけで結構でございます。
  83. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今説明された引揚者就職ですが、これについては引揚者以外の全体のものとの割合がちよつと知りたいのですけれども、これは今職業安定所で取扱つた数の中の引揚者だけのものをピックアップされたと思うのですが、これと全体の数をそれに応じて参考のためにお知らせ願いたいと思います。
  84. 海老塚政治

    説明員(海老塚正治君) 先程の資料と合せまして、後程一緒にお届けいたします。
  85. 曾禰益

    曾祢益君 これは質問というよりか感じを申上げたいのですが、どうも今の御説明では、殊に労働省の御説明では引揚者がいわゆる定着されたそのと叩きの職業の斡旋と補導、その程度のことであつて、実はこれは内村委員からも兼岩委員からも言われたように、我我の委員会としては引揚者というものは一つの特別なやつぱりハンデイキヤツプを持つていると思う。だからそれは長く見て本当にどういう状態にあるかということを常にこれをフォローして、そして行かなくちや困るのであります。従つて資料はおありだそうですが、常に厚生省でも労働省でもどういう就職状況であるか。一般生活困窮者の現在の失業状況は非常に甚しいのですが、特に我々の委員会としては引揚者がどの程度の犠牲になつているかということを常に現状をフォローして行かなければならない。その意味においてもつと真剣な努力を拂つて貰いたい、こういうふうに思うのであります。
  86. 千田正

    ○理事(千田正君) 外にございませんか。
  87. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これも厚生省だろうと思うのですが、引揚者と復員者というものの二つの範疇については同一に考えておられますか。戰争被害者として違つた、つまり復員者はいわば一家の生活を持つていて召集された人、引揚者生活を根底からなくなした人、こういう点についてはどういうふうに考えておられますか。この二つの範疇に対して……。一
  88. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 応急援護の面につきましては、つまり家へ帰るまでの援護の面につきましては両方平等に取扱つております。それから定着援護の面につきましては一応引揚者重点外地生活の本拠をもつていた方、それですべてのものを拠つてリュックサック一つで帰つて来たというものを一番重点において考えております。
  89. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それからその次に留守家族、遺家族の問題ですが、つまり還るだろうというので不明で未だに留守の家族と、それからはつきりもう途中で亡くなつたり、戰死したりいろいろした選家族の問題で千ね。これはその実数その他は調査されておりますか。
  90. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 引揚援護庁の私の方は援護局でありまして、引揚者の方をやつております。
  91. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あなたの方の担当じやございませんね。
  92. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) ただ留守家族の中でも軍人軍属の未復員者給與法はこれは復員局で担当しております。ただ一般邦人であつて、ソ連地域における未復員者と同様の実情にある者に対しましては、国会提出の特別未帰還者給與法というのがございます。これは対象一般邦人でありまする関係上便宜引揚援護局で担当しております。
  93. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうすると、その実数は調査されておるかどうか、あなたはお分りにならないわけですな。
  94. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 私の方ではやつておりません。
  95. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それでは委員長にお願いしておきます。遺家族、留守家族の実数とその生活実態その他が調査されておるかどうかを知りたい。次の機会までで結構です。
  96. 千田正

    ○理事(千田正君) はあ、承知しました。
  97. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 私は今の統計資料に附加えて、引揚開始以来できるだけ最近までの引揚者に関する傷病等の統計を一つ、特に死亡者とそれから病気等について、これはできるだけ詳細にお願いした、
  98. 千田正

    ○理事(千田正君) 外に……。
  99. 高良とみ

    ○高良とみ君 只今飯島委員かしありましたように、引揚過去五ケ年の年次的な数字と、それから問題の残つておるところを加えられて何か。パンフレットのようなものを作られて国民に認識させると共に、やはり輿論を起すような方向に行つたら大変望ましいと思うのです。できれば現在引揚者の居住している住宅の写真のようなものを少しお入れになつて、経費のかからないものでいいんでありますが、そういうふうなものをお作りになる意思はないか、伺いたいと思うのです。
  100. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 現在外開の方方にお見せするものを作つています。
  101. 高良とみ

    ○高良とみ君 作つておりますか。
  102. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) ええ。
  103. 高良とみ

    ○高良とみ君 それを一つ委員会にお見せ願いたいと思います。
  104. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) まあ非常に部数が少いので、委員長宛に一部差上げておきます。
  105. 高良とみ

    ○高良とみ君 それは外国語でできているのですか。
  106. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 日本文と両方でございます。
  107. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 引揚者就職間脳についてこれはお願いを申上げるわけですが、私は引揚者の中には可なり優秀な技術者若しくは技能者がおることを承知しております。私もその引揚者の一人でありますが、彼の地で沢山のそういつた優秀な科学者若しくは技術者を沢山承知しております。今日外地で日本人の技術者に対する要求がぼつぼつ起つて来ておりますのは御承知の通りであります。そういつた場合に、やはり私は何と言つても同じ程度の技術者であつたら、引揚の技術者に対しては成るべく優先的な取扱をして頂きたい。そのために向うから引揚げて、来られた方々のそういつた特殊技術と崩しますか、そういつた科学技術についてのお調べは前歴の調べから当然これはできるわけでありますから、そういつた資料を各引揚げのそれぞれの固有団体について求めれば直ちに分ることと思うのですが、そういつた資料厚生省等でお持ちになつておりますかどうか。それを一つ伺いたい。
  108. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 各人ごとに調べたのはないのでございます。私の方の考え方といたしましては、引揚者というものはいつまでも引揚者であるとは思わない。できるだけ早く一般国民の中に誘導して行くことが望ましいのではないか。逐次そういつた方向になりつつあるわけであります。そのために我々政府といたしましては、特別の更生資金という制度を作つて引揚者の人にその金を出して更生を図るとか、或いは住宅を提供して生活の地盤を作るとかそういうふうに進んで、できるだけ早い機会に引揚者のレッテルが剥がれるようにということを望んでおります。
  109. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 私はもう一つお伺いしたいのですが、つまり大体外地からこつちへ引揚げて帰つて来られた人達の恐らく例外ないといつてもいいくらい今の日本のこの社会環境においては、ここに満足して住んでおる人はないのです。ですから若し外地に途が開かれれば再び外に出たいという希望を持つておる人が大多数であります。そいつは今の日本の環境が非常によくないということと同時に、日本の島国で育つた人達の気持に対して甚だ何というか、狭い尖つた気持に対してなかなか堪え切れないという、そういつた精神的の悩みもあります。ですから私は優秀な技術者をそういつた悶々として何ら技術を用うることなしにこの島国に埋もれさせるということは、ひとり日本の損失であるだけでなしに一大きく考えれば東洋なり世界の人類のこれは文化のために惜しむべきことだと思うのです。ですから同じ海外から技術者の要求があつた場合には、そういつた外国語なり或いは外国人との交渉なり、生活なりについても広汎な知識と経験を持つておる人ですから、何とかそういう人達を優先的に一つ外地に途を開いて頂くことを私は要求したい。そういうことに対して労働省或いは厚生省その他外務省等皆関連する官庁におかれまして、そういつた要求があつたらいつでもそういつた技能者の調べが提供できるという準備をこれは厚生省でなさるのが至当かと思いますが、そういつた資料も成るべく早い機会に整えて頂きたい、こう思う。そうして、できたら成べく労働省等におかれまして、外地のそういつた要求に対しては是非一つ優先的にそろいつた人達を救済、斡旋の方途を講じて頂きたい。こうお願いして置きます。
  110. 海老塚政治

    説明員(海老塚正治君) お話の通り、最近一ケ月ばかり、そういうような労務需要が出て来まして、片つ方には失業者が出ております。その方面の要求のものは技能も例えば機械修理工、板金工ですとか、自動車修理工ですか、或いは特殊技能が大半を占めておるのであります。できるだけそうい  つたように努めたいと思います。
  111. 曾禰益

    曾祢益君 只今の御質問に関連して、これは外務省外務政務次官に伺いたいのですが、例えば現地へ技術者が行かれるとすれば、主として南方、殊にインド、パキスタンとかあつち方面じやないかと思います。或いはインドネシアなんか、その方面からの引揚者の中で技術者というようなことは大体外務省の方でもお分りじやないのですか。プラント輸出というようなときにそういう人のリストができておつて、或いは外務省の方から或いは厚生省、労働省とも御連絡があるだろうと思うが、斡旋するというふうなことは私は時宜に適したことで、何かそういうお調べがあるのじやないかと思いますがどうですか。
  112. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) まだ、まとまつた個人調査はできていないそうであります。ただ全体的なものは一応分ります。それから今のお話で、いわゆる南方、パキスタン方面からも技術者を要望してきておるようであります。まあそれと関連してまだ具体的に交渉がうまくは行つていない次第であります。
  113. 鈴木直人

    鈴木直人君 これは引揚者としての問題ではないのですが、ここに、失業問題、或いは就職問題で関係の方が来ておられるからお聞きしたいと思うのでありますが、今度の朝鮮問題が発生してから以後、職業安定所を通じて、その窓口を通じてどんなふうにいわゆる職業状態、そういうものが変化しつつあるか、それを一つ。これは直接引揚問題とは違いますけれども、ついでに聞いておきたいと思います。それを詳細に、或いは速記を止めてでもよろしいから、どんなふうに経済界に職業問題という点から見て影響しておるかということをお聞きしたい。
  114. 海老塚政治

    説明員(海老塚正治君) ちよつと速記を……。
  115. 千田正

    ○理事(千田正君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  116. 千田正

    ○理事(千田正君) 速記を始めて下さい。
  117. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 これは特に援護局長にお尋ねしたいのですが、これは極めて概括的な数字で結構ですけれども、引揚者の総数について或いは六百万と称し、或いは八百万と称し、最も信ずべき数字を一つお聞かせ願いたい。トータルと、できれば年次別とをお分りでしたら……年次別がお分りでなかつたらトータルで結構です。
  118. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 只今手許資料を持合せておりませんので、後日お知らせしたいと思います。
  119. 千田正

    ○理事(千田正君) 他に御質疑ございませんか。  それでは次の入植問題について当局から説明を聞きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 千田正

    ○理事(千田正君) それでは農林省の入植課長、野田事務官からお願いいたします。
  121. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 只今農林省でやつております開拓事業昭和二十年から始められまして、その当時は戰災者、復員者というようなものを主体に考えておつたわけであります。で、引揚者も含んでおります。ところが昭和二十一年あたりから満洲及び樺太の引揚が始まるようになりまして、いわゆる農民の引揚者というものができて来るようになつたわけであります。そこでこの開拓事業におきまして新規入植者といたしましては、主として農業経験のある引揚者重点に置くというふうに参つたわけであります。で、今日まで昭和三十四年度の終りまで入植いたしました引揚の農家というものは三万一千戸ございます。その内、満洲の開拓者から入つておりますのが二万七千でありまして、樺太の専業農家が四千ということになつております。一十五年度におきましても大体引揚者を收容するということは考えておりますが、相当引揚者の入植の勢いというものも減つて来たようでありますので、今後は農家の次、三男というような者が主体になつて開拓が進められて行くというふうに考えております。大体以上であります。
  122. 千田正

    ○理事(千田正君) 只今草葉政務次官から飯島さんに対するお答えをしてから、非常に急がれるのでお帰りになるそうですから……。
  123. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 今のお尋ねの引揚総数のことでございますが、現存総数、これは五月一日となつておりますが、その後はまあ大して移動はないと思いますが、六百二十四万九千二百八十六であります。
  124. 鈴木直人

    鈴木直人君 今後の見込はどのくらいですか、今後引揚て来る人の……。
  125. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) それは従来発表しておる通りであります。併しそれから引くわけですから、三十六万九千三百八十二であります。
  126. 鈴木直人

    鈴木直人君 それが今後引揚て来る見込なんですか……。
  127. 内村清次

    内村清次君 私はちよつと二点につきましてお伺いいたしたいのですが、先般留守家族の方が引揚促進を熱望のために東京におきまして全国大会を催されたわけでありますが、この大会に当りまして、これは一つの何と明しまするか、事件と申しますのは、当時都庁関係は公安條例に適応してこの大会を解散させた。そのために解散の過程におきまして、警官が折角全国から集まつたこういう熱望的な留守家族の男女に対しまして、相当な暴行を働いたという事件もあるわけであります。そこで私はこの問題を二つに分解いたしまして、こういう在留者の引揚関係に対しまして熱望しておる家族の気持に対する都條例というものの解散権というものがこれは適当であつたかどうかということ、これはどういう事情によつてそういうような都條例を執行するような経緯になつたのであるかということにつきまして、草葉外務政務次官におきましては、従来この委員会におきましても相当熱心に引揚問題に関しまして盡された方でありますから、その経緯の点につきまして御説明をお願いいたすことと、今一つは暴行を受けましたところの方々も当時これは各政党に対しましても相当陳情があります。又は政府に対しましても、どうかして一つ引揚問題に対するところの政府気持も聞きたいという熱望もあつたようであります。まあ私達もその斡旋の労をとつたわけでありまするが、こういうような集会問題につきまして、今後においてもお互いは、どういうふうな方向によつてこの遺家族、留守家族の方々のお気持に対しましてのとるべきこの態度、これを一つ決定しなくてはなりませんが、政府といたしましては、やはりこの集会に対しては従前通りのような、今回とられましたと同様な態度で常に臨んでおられるのであるかどうか。この二点であります。  それからこれは別枠といたしまして、この気持は皆突発いたしました朝鮮事件に対して、在留されておる即ち通信はあるので確かに生きておる。その確かにおるということははつきりしておるというような通信を受けられましたそういう留守家族の方々が、この早く引揚げを促進して貰いたいという気持からしてのこういう状態でありまするが、この朝鮮事件によりまして引揚問題というものが外務省関係におきまして察知せられておる範囲でよろしうございまするが、その朝鮮事件と引揚問題というものがどういう関連性があるかどうか。こういう点或いは遅くなる見通しであるか、或いは又如何なる方法を以てかしてこの引揚げを早く促進し得るような途がそこに打開される点はどういう点にあるかという点につきましての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  128. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 只今の七月十六日の全国留守家族奪還鬪争大会ですか。この問題誠に実は私自身もその全国大会の役員と申しますか、その一人として引続いて二十一日まで大会があるので、それを準備しながら進んでおつた一人であります。その大会の過程において十六日であつたか正午頃会合の中止が来たわけであります。私は当時の全国大会の関係者として誠に折角全国から集まられた、又手配が遅れたために全国から集まつて来られたその留守家族の方に対して、そしてあのような事が起つたので誠に留守家族に対しては只今お話なつたようなむしろ刺戟を與え、大変気の毒であつたと存じます。その後留守家族の方々がいろいろなグループ、或いは府県別、或いは数県一緒においでになりまして、そしてお目にかかりながら私共も引揚に今後も政府としては十分全力を盡すということもよく申上げて御了解を願つてお帰りを願うように努めていたしたのであります。又当時主催者の一人として、突然のああいう状態であつたようであります。私中心になつてやつておりませんから十六日の会合も出ませんでございましたが、急に中止になつて、それで大変手ぬかりがあつたのであります。段々話を主催者の会合その他で聞きますと、今後常にそういう方針ばかりではないようでありますが、主催者の方の十分な当時の計画打合せというようなことも或いは十分でなかつたかも知れませんが、とにかく結果がそういうことになつた、今後は主催者といたしましても、十分理事会と連絡を取るようにいたして参りたいと存じます。又かような問題も起らないように進めて参りたいと思つております。朝鮮問題の引揚問題につきましては、実は昨日の夕刊か何かで明日の対日理事会で或いは取上げられるのじやないかという新聞記事を承知をしておりますが、ただ朝鮮の問題によりまして引揚がどうこう、いわゆる遅れるとか、或いは早くなるとかいうようなことはまだ確実な情報を外務省としても持つておりません。ただ従来からの情報ではこれは正式なものではありません、皆さん達と同じ程度の情報でありますが、或いはラジオ放送とかで中国地区からこの秋頃から少しは引揚げて来るのじやないかという放送があり、そういう手紙が家庭の方へ来ておる。それは留守家族が大変待つておられるというような情報は開いております。それが朝鮮事件によつてどういう影響を来すかどうか、そういう情報を掴むところまでは参つておりません。
  129. 内村清次

    内村清次君 第一点の質問の御答弁につきましては、今少し深入りしてお話を願いたかつたのであります。それはどういう事情でああいう解散の始末になつたのかどうか、勿論一連の都條例で届出がなかつたからそれで無届の集会というようなことでそれへ抵触したということも私は承わつておりまするが、ただそればかりでなく私何か外の関係でなされたのか、或いは暴行者に対するところの措置につきましては、政府部内におきましても警視庁に相当問合せ、或いは又監督上の質問が大分されたことだと存じまするが、それは外務省といたしましては、直接関係者ではないのでありまするが、ただ草葉次官は当時の、主催者側であつたという点につきまして、何かそういうような、警視庁に対しましての抗議あたりをなされたのであるかどうか。これは何故私はそういうふうに質問をするかと申しますると、やはり私達の出身県からも、これは非常な期待を持つて、そうして駅頭にはその激励までも、これは官民すべて駅頭に集まつて盛大な激励の辞を受けて来た人達であります。併し来て見て全くその熱望があれで期待を外れたというようなことで、まだその真因を確かめ得ずして、又どちらかと申しますと、ああいう暴行事件を眼の辺りに見まして、非常な感情を刺戟して帰つておる。それで私達も帰りましてから、当然そういうような点に対するところの正確なる事情をお話して、勿論絶望しておられるところの皆さんに対しまして、今後の運動を又良好な方向に導くような責任観念もあるわけでありますから、その点がもう少し深く御答弁ができますれば、どちらが一体悪いなら悪いというような結末までも、一つお話願いたいと思います。
  130. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 都條例だけではなかつたと思うのであります。それは又最初許可してあつたわけなんです。二日程前でしたか、十六日でございましたか、中止の指令ですが、併しそのことは理事会でよく話してありましたけれども、私そのとき出ませんでございましたが、その事情は今記憶しておりますのは、ただ都條例だけでなしに、都條例によると今後それがやれないのじやないか、そういう意味ではないと思います。それからその次の警視庁の問題もその後報告があつたように聞いておりますので、相当主催者も警視庁そのこと強くいろいろ折衝したろうと思うのです。
  131. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 議事進行のことに関連して来るのですが、今日この委員会の二つのテーマである引揚及び留守家族の厚生に、朝政府委員がなかなか来られない。極めて不十分であるのにも拘わらずすでに引揚促進の第二のテーマに入つておる。而もそれは不十分なうちにいろいろ重要な問題が論議されているようですが、僕は草葉君の発表の、政府の外務次官として発表されておるこの引揚者の総数六百二十四万、未引揚者の三十六万九千、そういう数字について、私は国会ではもう少しこの数字の根拠について十分検討すること。私数日前衆議院の引揚委員会を傍聴しましたし、それから前国会の引揚委員会の催しもよく理解して承知しておりますが、これが非常にこの取扱い方が、我々としては従来の取扱い方を一変したい。もつと科学的な冷静な根拠に立つてこの数字を検討して、その上で引揚の促進の方策を講じて貰いたひという希望を持つております。従つて今のこの慌だしい、朝も遅れ且つ重要のテーマがろくに討議されないで、こういう重要な本論が論ぜられていりるということは、私十分今後発言の、検討の義務があるものと考えておりますので、今日はこれには論及いたしませんけれども、これに対しては徹底的な論議が必要であるということを僕は委員の各位に御了解を得て置きたいと思います。  それから第二点は奪還大会というふうな極めてこのきわものの、或る国際対立を激化させようというようなものについても、これは私その責任者の一人である現在政府の外務次官の草葉さんに一つ十分詳細を承わつて、この問題を討議し、今後さような方針で引揚の促進をやつて行くつもりであるかどうかということを承りた。先程飯島委員も今後日本の海外への技術、技能者の進出ということに関連して、考慮して慎重に取上げる必要があると言われたが、この問題も今日は時間の関係で私は発言いたしませんが、この二つの問題は慎重に時間をかけて十分討議する必要があり、同時に今日のような討議については今日は発言を控えるけれども、これに対してはその答弁を留保する。近い将来にそれを取上げるならば、本格的に時間をかけて取上げて欲しいどういうことを要求いたします。
  132. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) ちよつと私から申上げますが、或いは誤解があるかも知れませんが、留守家族の奪還闘争大会は私共関係しておらないので、たた同胞帰還救援連盟が全国引揚促進大会というものの一つのメンバーになつて参りましたので、そういう意味において關與しております。どうもその点は先の答えで或いは誤解があるかも知れませんが……。
  133. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今の第二の草葉君の釈明されました抑留同胞奪還闘争は国会の卑怯者とか、国会の腰拔け共、うじ虫というような言葉で、あのとき国会の附近をトラックの上から流しております。こういうようなことは今日でなくてもよろしいが、草葉次官もどういう団体で、どういう目的でどういうふうにしたのであるか。一つ詳細に次の委員会に報告を願いたいと思います。
  134. 千田正

    ○理事(千田正君) 外務政務次官に対する質問が終りになりましたら、時間も大分経つておりますので、又次官も急用で帰るそうでございますから、この次の機会に讓つてよろしうございますか。
  135. 鈴木直人

    鈴木直人君 そのように願います。
  136. 千田正

    ○理事(千田正君) 御異議がなければ……。前後いたしまして甚だ恐れ入りますが、農林省の野田入植課長が一応帰還者の入植問題について御説明したのでありますが、この問題について御質疑がございましたら御発言を願います。
  137. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 入植者の方々の数につきまして御報告を願つたのですが、今後は農家の次男を主としてやりたいという御方向を伺いましたのですが、今まで入植なさつた方は一体どの地方で、その中はどんな様子であるかということを伺いたい。と申しますのは新聞で北海道、私北海道につい長くおりましたので関心を持つておりますが、北海道に入植した人達が初め随分多かつたけれども、段々拔け最後に本当に自分達は欺されたと言つておる。まあそういう言葉は非常に残念なことでございますが、非常に前途に希望をなくしたことで、気の毒なことと聞いておつたのでございますが、そうして引揚げて来た、東京に帰つて来たというのが新聞に載せられておりましたが、あれはこちらの方でお扱いになつ引揚者の方々を、入植させたああいう方々とは別でございますか。別な入植者があるわけでございますか。とにかくどちらにしましても国民の方ではああいう相当大きな記事がありますと、非常に入植に対しまして不安でございます。私共北海道を知つております者は、又あの広い土地で段々と寒くはなりますけれども、併し又方法を以てすれば、殊に満洲に長くおりました者はそう様子も違わないから何とかやつて行けると思うのでありますが、あの記事は非常に前途に不安を與えることになり、殊に今度農家の次、三男という、この満洲樺太において経験を持たない人達の方向をお考えになるとしますれば、そういう経験のない全国の農家の次、三男の方々に対しましても、あの記事は非常に心細い記事だと思わせると思いますが、そんなこともございまして、御報告がごさいました、お世話頂きました入植者の方々のその後の様子を一つ伺わせて頂きたいと思います。
  138. 木内キヤウ

    ○木内キヤウ君 関連して、入植に関係のない東京の者が引揚げてそうして失業しておる関係上、北海道の空知辺りに東京の方の方が集団して行つておるという話で、今河崎さんのおつしやつたようないい面でない方の新聞紙上のことがあると共に、又一方そういう報告もこの土地の人から聞いておるのでございますが、その実際の話をお分りになるなら聞かして頂きたい。
  139. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 只今御質問の北海道におきまして開拓者の実情関連しまして、内地人達の開拓者の実情の問題でありますが、開拓につきましては、私共関係しておる者からみますると、実に意気沮喪せしめるような記事のみが出まして全く弱るわけでございます。併しながら実情をじつと眺めておりますと、大体の数といたしましては三分の一程度はこれは非常に立派な開拓をやつておりまして、この線は入植後極めて浅いのでありますが、既存農家と同一の水準にある、而もいろいろの狙いを近く実現しようとしておりますので、それが実現いたしますならば、既存農家をいろいろな意味において引離して行く可能性が非常に強いと思つております。第二の三分の一と申しますのは、これは将来生活安定の見通しは持つておりますけれども、まだ遥かに既存農家の段階に達しない、これは既存農家の段階に達する望みをもちまして働いておるということであります。最後の三分の一はこれは非常に心配すべき状態にあると思います。これらの人々はやはり開拓に自分自身希望を失つておる人もあるかと思いますけれども、やはり何とか開拓はやつて行きたい。併しいろいろ困つておるからそれを援助して貰いたいというような実情ではないかと思います。東京の新聞によく出ます北海道の東京から移住しました開拓者の実情でありますが、これは終戰当初におきまし終戰前の戰災疎開計画で入りましたのがそのまま引入つれられたわけであります。従つてこれは本当の意味の開拓というのではなくて、戰災避難というような意味で行きましたのが動けなくなつて引き継いだというような状態でありまして、この方々は成績が概ねよくないようであります。その根本の原因は何といつても、その人々が農業の経験がないということ、それからやはり東京風を吹かしまして、地元との融和が悪かつたということが一方にありますと共に、他方におきまして俄かの疎開でありますので、土地も十分な土地を與えていないようであります。例えば二町歩とか、三町歩とか、とても北海道では問題にならないような土地を與えて、殊に地味の悪いところを與えておるというようなことが原因になつておるかと思います。そこで私共としましては、これらの困つておられる開拓者を除去することが開拓の癌を除く最大の途である思いましていろいろ手を打つております。即ち再入植を広い土地を開拓しますために、外に世話を希望する場合には優先的に持つて行くというような方法を講じております。たださような途を開いておりますが、なかなか一遍定住いたしますと、小面積であつてもぬる風呂に入つておるような恰好で動かないというような実情にあるわけであります。この問題につきましては私共大いに注意しておりますが、当面の開拓者自身としましても、もう少し奮起して貰わなければならん。こういうふうに思つております。  それから先程御説明いたしました海外引揚農家の三万一千の者は、これは実に素晴らしい成績を全般的に挙げておられるようであります。で、開拓の当初におきまして混乱しておりますのに、すつきりとした筋金を入れまして、さような方式によつて開拓して国土の開発及び復興に非常な貢献があるということを実際的に示して呉れたのであると思つております。で、私共はこの前例に従いまして、今後農家の次三男の入植を促進したいと思いますが、尚今後引揚げられる引揚者につきましても門戸を決して閉じるわけではないのであります。ただ一応開拓の大きな目標といたしまして、断続する虞れのあります引揚問題を第一の看板に掲げることは如何と思いまして、農村問題を表面の看板として掲げて行く、併し必要な部分につきましては引揚者を引入れることは十分承知しておるわけであります。
  140. 鈴木直人

    鈴木直人君 三万一千戸は非常に素晴らしい成績を挙げておるというお話でありまして、これは実情はそうであるかと思いますが、併しながら又聞くところによりますと、我が国の状態は殆んど全部農耕地となるようなものはすでに開拓されておる。既墾地になつておる。従いまして特殊なものは別ですが、大体においていわゆる開拓地は開墾しましても田のようなものは余り少い。畑のようなものが多い。而も土地が余り好ましくないというような関係で、反当りの收入というものが非常に少いというようなことで、ただ單に畑を若干耕やしただけでは食糧を得ることもできないというようなことで、やはり相変わらず新らしく入植した人達は非常に努力されておるけれども、従来の既墾の土地に頼つておるところの、従来の人達が入植するということは非常に困難な状態にあります。そうして関係筋等がそれを検討いたしまして、一時は開拓局というような大がかりのものを農林省の中に作つたけれども、去年ですか、一昨年あたりからこれは再検討すべきである。やはりこれは土地改良の方面とか、そういう方面に努力を注ぐべきであるという方向に変つておる。そうして予算等も開拓局もなくなつてしまうというようなことになり、入植予算というような、開拓予算というようなものも非常に削減されて極めて少いものになつておる。こういうような国の政策が再検討されつつあるということを実は聞いておるわけであります。こういうことについてどんなふうな傾向になつておるか。予算関係なり、或いは関係方面の意向なりについて方針が転換されつつあるという話については、真偽の程を一応説明して頂きたい。
  141. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 開拓の困難性という問題につきましては、これは誠に困難な問題ではありますが、やはり開拓を科学的に研究いたしまして、それに応ずる対策を講じますならば、必ずしも困難でないという結論を持つております。即ち土地の問題でありますが、まあ水がありまして、水田を作りますと、標高が高くない限り可なり水稻の生産はいいわけであります。併しながら水がなくて畑を作ります場合に、非常に生産が悪いということは皆様御承知の通りであります。併しこの原因を探求いたして見ますと、結局のところ日本の土壌が酸性でありまして、その結果土壌の中のアルミナの活動が非常に激しい、それで燐酸肥料をやりましても、すつかりアルミナが吸牧してしまう、こういうことに原因するようであります。即ち燐酸欠乏ということと、それの前提ともなります酸性土壌という問題について徹底的な認識を欠いておりましたときにおきましては、畑地の開墾というものは極めて困難である。併しその問題が解決されますならば、後は金を若干かけるだけの問題で極めて容易になつて来るというふうに考えられるわけであります。で、私共は酸性を矯正し、アルミナを流すというふうな考え方を以て進んでおりまして、開拓者も着々とその線で成功を牧めているように思うのであります。これはお見にくいかとも思いますが、最近の二十三年の反当收量と、二十五年の反当收量を統計の上から拾つて見たのでありますが一斉作物につきまして、大体一割程度の増收を示しております。これを熟畑化といつておりまして、月々一割乃至二割くらい殖えて行くというのが現状であります。それを促進いたしますためには、やはり石灰を沢山入れまして、そして過燐酸肥料を、燐酸肥料をいわゆる肥料以上に入れまして、それから堆厩肥を入れればできるわけであります。ただ畑の作物になりますと、米と違いますので、大体の経営の重点は家畜を通して経営を立てて行くということになると思います。大体その方向で動いておりますが、これが(図示)既存農家と開拓農家との間の家畜の所有率であります。これが既存農家を一〇〇%としました線でありまして、このあたりが大家畜であります。馬、牛、乳牛になりますと、ずつと倍くらいの率になります。これは数量は絶対数は少いのでありますが、一戸当りに見ますと非常に多いのでありまして、山羊、豚は大体三倍程度おる、この趨勢を伸ばしまして、家畜を中心の経営をして行くということになりますと、日本でネグレクトされております畑地の生産というものが非常に伸びて来るのではなかろうか、私共大体三百万町歩近くの畑がありますが、それの増産対策ということが案外その政策においてもネグレクトされておるし、農民の頭には全然ないというような状況でありますので、開拓局あたりがその面から一つ刺戟剤を與えて行きますならば、それも又大きな方法ではなかろうかというふうに思つております。  最後に、未墾地の面積がどうかという御質問でありますが、現在まで内地北海道を通じまして約百万町歩の土地を移管替え取得買收しております。そのうち大体八、九十万町歩くらいは一応利用する形になつておると思います。併し図によりますと、参謀本部の地図で大体五十町歩以上固まります土地をずつと拾つて行きますと、五百万町歩くらい耕地があるようであります。それから厳選いたして行きましても、百万町歩くらいはまだ取られるのではないかというような見当を持つているわけであります。ただ土地の買收が民有地の場合に、農地改革の一環として非常に安い価格で取られるということにいろいろの問題があるようでありますが、その問題は別に考えるといたしましても、日本のように耕地利用の面積の非常に少いところにおきましては、これは当然考うべき問題ではなかろうか、で、人口が非常に多くて而も土地量は世界で非常に少いところでありますから、この問題はやはり真剣に考うべき問題じやなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  142. 鈴木直人

    鈴木直人君 私が質問した要点が拔けていますが、いわゆる入植乃至開拓を推進して、国が非常に大袈裟に開拓局のようなものを作り、或いは開拓庁を作ろうではないかというようなことで、関係筋の方面においても非常に力強く出発したところが、二、三年経つた去年あたりからそれと逆の方向になつて来て、そうしてやはり予算的にも非常にそれが削減されて、それよりも既存土地の改良の方がよろしいのだというような考え方に日本の農業政策なつて来ておるというふうに聞いておる。従つてそういう開拓或いは入植に対する予算というものが、二、三年前から毎年どんなふうに総括的に移行しているか、こういうこと、そうしてそういう事実であるかどうかということを伺いたい。
  143. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 開拓の予算の趨勢でありますが、この絶対額と申しますか、これは開拓を政策的に低めるという声にも拘わらず、絶対額は殆んど減つておりません。即ち物価の関係とそれから公共事業一般における全体的なウエイトの関係から申しますと、甚だしく地位が低落しておりますけれども、絶対額そのものは依然として確保されておる状態であります。で、開拓を止めにして土地改良一本で行かなければならんという声は農林省の内部にも可なりあるわけでありますが、農林省の公式の見解といたしましては、土地改良が極めて重要であると共に開拓事業も重要であつ並立的に行こう、そうして並立開拓事業につきましては、従来の経験から見まし少くとも一年に数万というような者を入れ、且つ農業未経験者を入れてお祭騒ぎ的な混乱を来たすことは非常に国費のロスになるので、国家の恒常的政策として一定の入植を確実に続けて行こうというふうに農林省の公式見解としては来ているわけであります。
  144. 千田正

    ○理事(千田正君) 他に御質疑はございませんか。
  145. 高良とみ

    ○高良とみ君 大分あるのですが、時間が大分行きましたので、又の機会にいたしますから、明日開くかどうか……。
  146. 千田正

    ○理事(千田正君) それでは今日は大分時間が経ちましたので、明日或いは明後日開くかどうかという点について皆さんの御意見を伺いたいと思います。
  147. 内村清次

    内村清次君 私は各委員の方々に実はお願いしたいわけでありますが、先日請願として出しました未復員者の給與法の改善であります。現実三百円の月給でやつておるということは、全くもつて現在の状態としてはお話にならんのですが、噂に聞きますと、政府の方におきましても、財源関係においても見通しがあるようなことでありました。是非一つお互い協同的にこの未復員者の給與の一部改正、これをして俸給の引上げ、又その他附属いたしつておりますところの給與、例えば傷害一時金だとか、それから遺族埋葬料というようなものの引上げを一部改正法案で以て議員提出で出したらどうであろうかというような考えを以て今日一応お諮りして、皆さん方の御賛成を得れば、政府にもこれを申出で、財源の見通し、それから額の点につきましても折衝をやりたいとかように存じておるのでありまするが、如何なものでございましようか、その点を一つお諮り願いたいと思います。
  148. 千田正

    ○理事(千田正君) 今内村委員からお聞き及びの通り、未復員者給與法、特別未帰還者給與法その他遺骨の引取料などについて非常に従来の規定したものは少い、是非これは皆さんのお力添えで引上げなければならないというので、議員提出その他で法律を作つてこういう問題を解決したいという御趣旨でございますが、御賛成でありますれば、この次の委員会において更に正式に皆さんにお諮り願うと共に、大蔵当局の今までの見解を質して御決定願いたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  149. 高良とみ

    ○高良とみ君 それは修正案でよろしいのじやないですか。修正を議員提出でやつたら如何ですか。
  150. 千田正

    ○理事(千田正君) 勿論修正案となると思います。一応大蔵省でどういう見解を持つておるかということ、その点について若しも貧弱であつた委員会として強硬に主張して修正案を作るようにやつて行きたいと思います。それで大蔵当局をこの次には呼びますが、いつにいたしますか、明日か明後日……、余り先に延びるといろいろ御都合もあると思いますので……。
  151. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 日曜がなかつたから、明日一日休んで明後日にして下さい。
  152. 木内キヤウ

    ○木内キヤウ君 私は明日にして貰いたいと思います。
  153. 千田正

    ○理事(千田正君) それでは明日午後一時に開会いたすことにいたしまして、今日はこれで散会いたします。    午後一時四分散会  出席者は左の通り。    委員長     大谷 瑩潤君    理事            内村 清次君            杉山 昌作君            木内キヤウ君            千田  正君    委員            河崎 ナツ君            曾祢  益君            小酒井義男君            森崎  隆君            紅露 みつ君            高良 とみ君            飯島連次郎君            鈴木 直人君            兼岩 傳一君   説明員    外務政務次官  草葉 隆圓君    引揚援護庁援護    局長      田邊 繁雄君    農林省農地局営    農兼入植課長  野田哲五郎君    労働省職業安定   局失業対策課長  海老塚正治君    労働省職業安定    局雇用安定課  酒井 圭二君