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1950-07-30 第8回国会 参議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月三十日(日曜日)    午前十時二十三分開会   —————————————   委員の異動 七月二十九日委員加納金助君辞任につ きその補欠として長島銀藏君を議長に おいて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (医薬分業に関する件)  (報告書に関する件) ○地方自治法第百五十六条第四項の規  定に基き検疫所設置に関し承認を  求めるの件(内閣提出・衆議院送  付) ○医師国家試験受験資格特例に関  する法律の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○歯科医師国家試験予備試験受験資  格の特例に関する法律案衆議院提  出) ○狂犬病予防法案衆議院提出) ○継続調査承認要求の件 ○皇居前広場の保存問題に関する件   —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) これより本日の厚生委員会開会いたします。  日程の順序を変更いたしまして、社会保障制度に関する調査関係といたしつまして、かねて医薬分業に関連いたしまして、堂森委員から政府厚生省内に設置いたしました医薬分業関係調査会権限、並びに本会議における厚生大臣答弁、及び当委員会におきまする医務局長答弁等々と関連いたしまして、この問題につきまして厚生大臣所見を求めるということに前回の委員会で相成つておりましたので、本問題を先ず日程に上げますることに御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。それでは本件につきまして堂森委員の発言を許します。堂森委員
  4. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 この前の委員会で、東局長から前例もあつたの法的根拠がないけれども、あのような調査会によつて厚生省態度を決めるような委員会云作つたという御答弁であつたのでありますが、厚生大臣もやはりそういうお考えでありますかお伺いしたいと思います。
  5. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 名前通り臨時調査会であります。その結論が出ましたならば、それを参考にして厚生省結論を出し、そうして国会の御審議を頂きたい。そういう考えであります。
  6. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 この前の本会議の質問の際の大臣の御答弁によりますと、速記も持つておりますが、「政府といたしましては、右調査会結論を待ちまして、所要の措置を講じ、国会の御審議をお願いする。」こういうわけでありまして、まあ読んでその通りでありますが、非常にこの法的根拠のない調査会に、この重大な問題の結論を委ねるような態度を取るように思われるのでございますが、その点如何でございますか。
  7. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 法的根拠のない調査会にそういう重大な権限を委ねるというような意思は全然ございません。どこまでも参考としてこの結論を得たい、こういう考えであります。
  8. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 厚生省はなせ政令によるとか、或いは法的根拠を与えるとかいうような方法で、そうした重大問題の調査会お作りにならなかつたかという点をもう一度お伺いいたします。
  9. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 御承知通り或る筋からの非常な要望がございまして、早急に携える必要があつたものでございますから、そういうことを考えないで、臨時に拵えた次第でございます。
  10. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 関係方面のそうした指示と申しますか、私の調べた範囲では必ずしもそうした公的オーダーというふうなものではないと解釈しておりますが、厚生大臣はどうお考えになりますか。
  11. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 私も交渉の結果を聞いているだけでございます。噂程これは……私はつきり申上げることができないかも知れませんが、なかなかむずかしいデリケートな問題らしいのでございましてそう騒がれた程又強硬であるかどうかということは、まだ私直接聞いておりません。段々に……この七日に調査会発会式をいたします。そのときも向うさんからおいで頂きまして、御意思を伺うようになつておりますから、その上で御了承願いたいと思います。今のところは直接私その話を聞いておりません。
  12. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 大臣の御答弁を伺つておりますと、厚生大臣として非常にその点お手拔かりのように思うのでありますが、もう少しこの点はつきり御答弁願えんでしようか。
  13. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) はつきり申さないところにうま味があるのではないかと思います。その点は堂森委員も十分御承知のことと思いますから、わざとお答えいたしません。
  14. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 それでは、今度の調査会というものは強制分業をやるという前提の下に作つているのだというふうに解釈して、必ずしも強制分業をやるという前提としての調査会であるという、必しもそうじやないのだというふつうに解釈していいかどうか。その点について。
  15. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 私は医薬分業すべしという考えも持つておりませんし、調査会もその点を研究する調査会であろうと思います。
  16. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 それでは臨時診療報酬調査会或いは医薬制度調査会というふうなものに対する委員メン八丁を、お決まりでございましたら、御発表願いたいと思います。いや大体で結構です。
  17. 森本潔

    説明員森本潔君) 私より委員の構成につきまして考え方を申上げます。二つございまして、最初臨時診療報酬調査会メン八丁でございますが、これは委員の数は三十名でございます。そうして半数の十五名は医療関係者、それから残りの半数の十五名は医療を受ける立場にある者と、それから学識経験者及び関係行政機関職員、こういう顔触れで構成いたしております。それから第二の臨時医薬制度調査会委員でございますが、これは委員の総数が四十名、これが四つのグループに分れまして、最初グループは十名が医療関係者、それから第二が医療を受ける立場にある者、これが十名、それから第三が学識経験者及び関係行政機関職員、これが三十名、合計四十名、こういう顔触れで構成されております。
  18. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 それではいつ最初の会合をやつてですね、そうして大体いつ頃までに一応の決案を出すか、その予定がございましたら、御発表願います。
  19. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 第一回は八月七日に催します。その後いつという期限は考えておりませんが、成るべく早くということを考えておりますから、六ケ月か、或いは長くても一年くらいではないかと存じます。
  20. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと委員長から伺いますが、委員委嘱形式はどういうふうになつておりますか。誰の名でこの委員委嘱しているか、或いは委嘱状というものを発送しているか。ただ委員になつて呉れというような、口頭で頼んだというだけになつておりますか。その手続きはどうなつておりますか。
  21. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 厚生大臣名前を以ちまして、非公式の委嘱でございます。
  22. 山下義信

    委員長山下義信君) 非公式ということは委嘱状の中に何かありますか。 非公式ということはどうして分る。厚生大臣委嘱状に非公式ということが、どうして分るのですか。
  23. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 公式の委嘱状は出しておりません。それで、そういう意味において非公式ということを申上げました。
  24. 山下義信

    委員長山下義信君) ですけれども、委嘱状は今厚生大臣の名で出ているのであれば、それが非公式ということはどういう意味ですか。
  25. 森本潔

    説明員森本潔君) 今大臣が非公式と申されましたのは、いわゆる法律でありますとか、政令であるとか、そういう法律政令根拠のない委員会であるからという意味だと思いますが、委嘱状の形としましては、大臣名を以ちまして、この審議会委員委嘱いたしますからという形式になつております。
  26. 山下義信

    委員長山下義信君) 調査会はですね。調査会法的根拠がなくて非公式であつても、委嘱状というものは苟くも厚生大臣官名を用いての委嘱状ということは、公文書のものが非公式というのはどういうわけですか。
  27. 森本潔

    説明員森本潔君) 今非公式と申されましたのは、今申したような意味でありまして、大臣名前で出したい……。
  28. 山下義信

    委員長山下義信君) 公式ですね。委嘱状その他その調査会に何か規定がありますか。
  29. 森本潔

    説明員森本潔君) これは大臣の決裁による、役所の言葉で申しますと伺定めと申しますか、その形式によりまして一応の内規作つております。
  30. 山下義信

    委員長山下義信君) その内規資料として、委員会に提出して貰いたいのです。
  31. 森本潔

    説明員森本潔君) 承知いたしました。
  32. 山下義信

    委員長山下義信君) これは大臣に伺いますが、国家行政組織法の第八条によりますと、これは第三条に定めた委員会以外の諮問的或いは調査的な審議会協議会は、法律によらなければ設けられないことに国家行政組織法でしてありますことは言うまでもないことであります。実際問題としては、先刻堂森委員質疑応答を重ねておられましたが、この調査会というものは非常に重点を置いておられる。その答申の結果、調査会結論については大臣はこれを重視しておられることは言うまでもない。本会議やこの御答弁にもあるわけであります。さもなければこれはほんの茶飮み会であつて、その結論がなく、どう出ようと殆んどそれは敢て重大な関心を持たんとおつしやればそれまでである。重大な関心を持たんとおつしやるならば、何が故に仰々しく二大調査会を設けるのか、これは非常に重大に世間が見ていることは新聞紙が非常に大きく報道しておることによつても極めて明白なのである。従いましてそれ程重要な調査会法律的根拠を持たないで私的に作られたということは、全く法律無視と言わざるを得ないのです。時間的な関係で急いだとおつしやつても、国会開会中で、一時間でも二時間でも必要な調査会でありますれば、国会はこれに対して議決をいたしまするのにやぶさかでない。何故に法律を無視して私的な調査会お作りになつて、而もその調査会結論を重視するというお考えをお取りになつたということは、国会を無視せられたのではないかという当委員会におきまして不満の心持があるわけであります。その点まだ釈然といたしませんので、明白に何が故に法的根拠を持たない調査会お作りになつたのか。若し私的な調査会なれば、その結論に対して厚生省は重大な関心を持たないとおつしやれば、それでよろしいわけでありますけれども、その結論相当重視するというお考えならば、甚だ奇異と言わざるを得ませんので、その点を明白にいたしたいというのがこの委員会の問題になつておる点でありますから、厚生大臣の御所見を一つ詳細にお述べ願いたいと存じます。
  33. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を止めて。    〔速記中止
  34. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を始めて。
  35. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 この点僕は非常に重大だと思うのです。厚生大臣がさつきの答弁の中に、この結論は半年後か一年後か分らんという点から考えましても、調査会を急いだから非公式で、非常な非公式なものであるけれども作つた。急いだから作つた。これは結論が一月か半月で出すならば我々は合点行くが、半年かかるか一年かかるか分らない先の結論を出すのにあわてて、この国会を無視したそのような法的根拠のないものをお作りになることが、我々は合点できないのです。又このような問題は関係方面指示があつたといたしましても、これは飽くまで政府の責任においてやるべきことなんです。これを恰かも関係方面の庇護の蔭に隠れて、そうしてそういう国会を無視したような、法的根拠のないものでお茶をにごす態度が根本的に、日本の主権というふうなものを確保しなければならんという我々から見ますれば、非常に遺憾だというふうに考えます。大臣の見解を一つ伺いたい。
  36. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 先程半年か一年ということを言いましたのは、ちよつと言い過ぎでございまして、通常国会の始まります前までには大体終了して貰いたい意思なのです。
  37. 山下義信

    委員長山下義信君) 尚、私から重ねて伺つて置きます。政府は今でもこの調査会設置法的根拠を求めなかつたのは遺憾とは考えていないのですか、これが当り前と考えておりますか。当り前でないと考えておるか、変則的であると考えておるか、こういうものを作つて、こういうやり方をするのが当り前と考えておるか。その点について厚生大臣所見を求めます。
  38. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 変則的でありまして、誠に手続において遺憾の点があつたと考えます。
  39. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは本問題は一応この程度に止めて置きまして、尚必要がありますれば、後日継続いたすことにいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  41. 山下義信

    委員長山下義信君) 次に、日程に帰りまして、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、検疫所設置に関し承認を求めるの件を議題に供します。本件につきまして御質疑がございましたならば、どうぞお願いいたします。
  42. 有馬英二

    有馬英二君 質疑を省略しまして、直ちに採決をお願いしたいと思います。
  43. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今有馬委員動議に賛成いたします。
  44. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今有馬委員動議は、質疑打切つて討論も省略して、直ちに採決するという動議でございますか。
  45. 有馬英二

    有馬英二君 そうです。
  46. 山下義信

    委員長山下義信君) 有馬委員動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。質疑を打切り、討論を省略しましてこれを採決いたします。本件に対しまして承認することに御賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立
  48. 山下義信

    委員長山下義信君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り承認することと決定いたしました。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に報告する報告書には多数意見者署名を附することになつております。本案を可とされる方は順次御署名願います。   多数意見者署名     小杉 繁安  井上なつゑ     有馬 英二  長島 銀藏     中山 壽彦  大谷 瑩潤    池田七郎兵衞  河崎 ナツ     堂森 芳夫  深川タマヱ     松原 一彦
  49. 山下義信

    委員長山下義信君) 署名漏れはございませんか。署名漏れはないと認めます。  尚その他の手続につきましては、すべて委員長に御一任願いまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  51. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は、医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律の一部を改正する法律案歯科医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律案、この際右の二件を一括して上程することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。右二件を議題に供します。先ず提案理由説明を求めます。
  53. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 只今議題となりました歯科医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律案並びに医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申上げます。  現在我が国において医師並びに歯科医師医業を行います場合には、然るべき医学校を卒業いたしまして、而も国家試験に合格した者のみに限られておるのであります。然るに、太平洋戰争終戰によりまして、多数の医師並びに歯科医師海外より内地に引揚げ参つたのでございますが、この中には尚相当の数の者が、いわゆる正規の医学校を卒業せずして、海外の然るべき適地において現地の免許を受けて、いわゆる現地開業医として医業に従事しておつた者がございまして、こういう人々が現在国内においては現在の日本法律によりまして何ら医業を営むことができず、空しくその技能を死蔵しつつ、尚生活苦に喘がなければならん現状でございます。従つてこのような窮状を防ぎますために、昭和二十一年に勅令第四十二号の国民医療法施行令特例によりまして、特別試験を受けることによつて、それに合格した者は医業を営むことができるということに相成つたわけでございます。然るにそれにも拘わらず、尚いわゆる蒙疆地区において医業に従事せられた現地開業医、或いは更に進んで南方のマライ、シンガポールの方面、又進んで朝鮮における正医師試験及び歯科医師試験の第一部試験に合格した者等につきましては、何らこれらの特例試験を受けることができませんで、終戰後五年に至る今日においても荷生活苦に喘いで、医業に従事したいという念願を持つている者が相当にあるわけでございます。従つて今回は、昭和二十一年の勅令特例に洩れました者を救助いたしまして、これらを是非とも然るべき試験を受けさせまして、それに合格した者に国民医療の一端を担わせたい、こう念願いたしまして、この法律案を提出いたした次第でございます。尚先程申上げました昭和二十一年の特例による試験においても、これは五年間しか受験することができませんで、而も二回落第した者は何ら試験を受けることができなくなるわけでございます。従つてこれらの者まで是非救助する考えで、これらの者の受験資格を認めることにいたした次第でございます。何とぞ然るべく御審議上速かに御議決下さらんことをお願いいたす次第でございます。
  54. 山下義信

    委員長山下義信君) 本案審議は如何いたしましようか。御相談申上げますが、御質疑がございますれば続行いたしまするし、御十分御検討願いますためには、審議を次回に廻しましようか。如何でございましようか。
  55. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 この問題は相当複雑な内容を含んでいるらしうございますので、暫らく研究さして頂きたいので、次回に延期せられる動議を提出いたします。
  56. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今深川委員動議の次回に延期することに異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。では審議を次回に廻すことにいたします。尚関連して資料の御要求がございますれば、この際おつしやつて頂きたいと思います。該当者の数なんかの資料は……。
  58. 東龍太郎

    政府委員東龍太郎君) 資料といたしましては、直接今回の改正によつて受験をするであろうと思われる人数については的確なものはございません。ただ各方面からの言葉によつて推定するだけでありますが、但しそれに関連した今までの特例試験等受験者成績等についての資料はございますから、これ又何らかの参考になると存じますので、すでに差上げたものもございますが、尚追加いたします。
  59. 山下義信

    委員長山下義信君) その資料を至急に一つ御提出願います。では本案審議は次回にいたすことにいたします。
  60. 長島銀藏

    長島銀藏君 医師法第三十六条第三項というものの拔萃なり何なりの資料、それから歯科医師法三十三条第三項、或いは歯科医師法十二条の規定と、こう書いてありますが、これらの拔萃で結構でございますから、参考資料を一つお願いいたします。   —————————————
  61. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は狂犬病予防法案議題に供します。先ず提案者提案理由説明を求めます。衆議院議員原田雪松君。
  62. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 只今議題となりました狂犬病予防法案に対する提案理由説明をいたしたいと思いますが、御承知通り最近非常に狂犬病が大猖獗を極めまして、社会不安を非常に喚び起しております。すでに現在で昨年の発病頭数の三倍強になつておりまして、発病頭数も現在五百八十頭を数えております。そうして咬傷された人方は千百九十八名の多数に上つて、現に死亡者が三十一名を出しております。そういう関係から急にこの法案を御承認頂きまして、社会不安の一掃に努めたい、そういう理由であるのであります。只今審議を願います狂犬病予防法案提案理由は、国民の福祉を増進し、社会の安寧を図るに当りまして、公衆衞生の向上が重要な役割を演ずることは多言を要しません。そのため、公衆衞生脅威を与える疾病予防のため、現在種々の施策が進められておりますが、人に感染する家畜疾病につきましては、飮食用に供せられるものは、屠場法(明治三十九年法律第三十二号)、食品衞生法昭和二十二年法律第二百三十二号)によりこれを防止し、人に直接危害を与える家畜疾病につきましては家畜伝染予防法(大正十一年法律第二十九号)により予防撲滅対策が講ぜられる等、種種の対策が講ぜられて着々その効果を挙げておりますことは、一般に認められているところであります。犬の狂犬病は元来犬の疾病であるに拘わらず、人及び他のすべての家畜は勿論、各種の温血動物にも感染する疾病でありまして、従来家畜伝染病予防法によつて予防撲滅が図られて参つたのでありますが、最近犬の飼養頭数及び野犬数が急増するに、従つて、曾て殆んど根絶されんとしておりまいた狂犬病関東地方を中心といたしまして猖獗を極め、社会の不安を醸しておりますことは各位の御承知通りでございます。狂犬病は現在までのところ、一たび発病すれば全く不治の伝染病であり、症状悲惨を極め、目を覆わしむるものがあり、速かに本病を一掃して、全国民の安全を期する必要切なるものがあると存じます。このときに当りまして、狂犬病は他の家畜伝染病と性格を相違し、防疫措置も全く趣きを異にいたす点が多いのでありますので、その万全を期するため、特に家畜伝染病予防法と別個な法律によつて適切な防疫措置をなし得るよう規定し、一刻も速かに本病を絶滅いたしたいと存ずるのであります。  以下本法案の主要な内容についてその概略をお説明いたしたいと存じます。  第一に、予防についてでありますが、国民狂犬病脅威から守るためには、先ず犬の狂犬病発生を防がなければなりません。その最も有効な方法といたしまして、現在予防注射実施されているのでありますが、これを徹底するため、すべての犬の登録を行い、定期的な予防注射義務を課した点であります。又これと関連し浮浪犬抑留を行いまして、根本的に発生防止措置ができるようにいたした点であります。  第二に、狂犬病が犬の間に発生した場合に、この初発の時期に絶滅しなければなりませんので、罹患した犬が早期に発見、報告され、それに対する処置が完全に行われるよう届出、隔離の義務を課することにいたしたのであります。併し、本病に罹患した犬は、御承知のごとく、狂暴性となり勢の趨くまま人を咬傷して廻るものでありますから、人畜がこの罹患犬と接触することを防ぐため、より徹底した浮浪犬の捕獲をなし、又緊急予防注射実施し、運動の禁止、移動の制限、更に交通遮断等を必要といたしますので、これに関する規定を設けたのであります。  第三に、本病の診断には、先ず症状の観察が必要で、更に脳の病理組織学的検査等が必要となる場合もありますので、罹患犬及びそれを疑われる犬の殺処分を禁止して予防員をして検査をさせ、診断を確実にして事後の対策を樹てる措置が必要であり、又必要に応じて病性鑑定しなければならない場合も考えられますので、これのできるような規定を設けたのであります。  第四は、厚生大臣緊急防疫措置として都道府県知事に必要な防疫手段実施を命じうるよう規定した点であります。  第五は、公衆衞生又は治安維持の職務に携わる公務員及び獣医師に対して予防員から協力を求められたとき拒んではならない規定を設けた点であります。  第六は、抑留した犬を收容するための抑留所設置都道府県知事に命ずる規定を設けたのでありますが、この措置狂犬病発生上最も危険と考えられる未登録犬、未注射犬浮浪犬等抑留した場合これを收容せんとするものであります。  第七は、登録手数料予防注射の実費以外に犬の所有又は管理に関して国又は地方公共団体の課税することを禁じた点であります。これは飽くまでも、犬の所有者に積極的な登録予防注射実施等を期待せんがためであります。  第八は、家畜伝染病予防法から犬の狂犬病を分離いたしましたので、これに伴なつ家畜伝染病予防法中必要な改正をいたした点であります。  以上が本法案の大要であります。何とぞ御審議上速やかに御可決あらんことをお願いして説明を終ります。
  63. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと御相談申上げますが、この法案は昨日衆議院を通過いたしまして、今日本委員会開会せられる以前にこの法案が我々の手許に廻つて参りましたのでありまして、皆さんも御熟覧の時間が十分おありにならなかつたのでありますが、如何いたしましようか、この際本法案内容につきまして、逐条とまでは行かなくても、大体法案につきまして、只今提案理由で述べられましたことをもつと詳細に承ることにいたしましようか、如何いたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは提案者でもよろしうございますし、便宜他の人でもよろしうございますが、法案内容につきまして総則についてはこうしてある、第二章にはこうしてあるというような大体の説明を具体的に法案と照し合わせて簡單に一つ御説明を願いたいと思います。
  65. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) ただ法案内容は御覧頂きますと分ると思いますが、疑義を挿まれるのではなかろうかという点を気付いたまま御説明申上げて見たいと思います。  特に衆議院の方で質問を重ねられましたその問題等も必要であろうかと存じますので、その点だけを申上げて見たいと思います。  この第十六条が非常に問題になつたのであります。都道府県知事狂犬病発生した場合には緊急の措置、それが交通遮断の問題と制限の問題でございますが、人の伝染病でさえ交通遮断をする種類のものは極めて少いのだ、犬について人までも遮断することは当を得ていないのではないか、こういうふうな質問の要点だつたと存じます。これは御承知通り、人間であればいろいろな予防法であるとか、いろいろなもので厳守ができますから差支えないのでありますが、犬であるが故に一層こういう遮断の要があるのだという、こういう説明をいたしておるのであります。勿論御承知通り、これは地方長官の権限によりまして禁止をやるには殆んど私共は今まで携わつて経験をしておりませんが、大部分は制限でありますが、若し爆発的にその附近に狂犬が五頭も八頭も出た、咬傷人員が少くとも三十人も四十人も出た、特に咬傷というものは可憐な子供に多いので、実際非常に痛ましい有様になつておるのでありますが、そういう意味から非常時を察してのことであるという説明をいたしております。而も御承知通り犬というものは、どんなに人の隔離をやりましても、若し発情期の場合でありますというと、一頭の牝犬がおりますと、野犬が何十も襲来いたし、こういう場合には防止できない、そういう場合にはこういう措置をやらなければ絶対に防圧の手段はない、このように考えるのであります。そういう意味からお答え申上げまして御了承に与つたのであります。これは地方長官の権限によつて三日としてありますけれども、適当に伸縮ができる、そうしてその実際に即した方法によつて禁止でなくても制限をしてやることができるのじやないか、こういう意味であるのであります。  それから第十九条の厚生大臣のその権限の問題でありましたが、これもこれは現在ではまだ民主化しておらないけれども、仕方があるまいというようなことで呑んで頂いたのであります。  それから課税の禁止の問題でありますが、二十二条で「国又は地方公共団体は、犬の所有又は管理に関して税を課してはならない。」これが地方税関係と関連いたしまして、この項目だけはとらなければならないというようなことで、これだけはOKのときに修正、抹消でOKを取つております。これだけがお手許にあるのと違うのではなかろうかと存じます。  それから第三条の予防員の質問がございましたが、これを予防員職員、即ち獣医師、防疫員、そういう者が急な場合に間に合うだろうかどうか。それだけの直ちに陣容の裏付ができるかという質問がございました。これは御承知通り予防員厚生省関係でございませんで、食肉衞生食品管理員というような人達が一県ごとに約三十名おられるようであります。そういう方々が予防員になられて、そうして権限を持たれる。それから開業獣医師が果して直ちに役に立つかというお説でございますが、現在では開業獣医師の方では無医村は殆んどございません。大きな村になりますと一ケ村に三人か五人おりますので、いつ何時でも非常時の場合にはそれに応ずることができる、こういうことによつて説明申上げまして、了承願つたのであります。  その他大した質問はござついませんで、原案のまま委員会では御承認を頂いた次第でございます。その他にお気付の点がございましたならば、私の知つた範囲内ではお答えさして頂きますし、よく分らない点は厚生省からお見えになつておりますから、お答えをして頂くようにお願いを申上げたいと存するのであります。
  66. 有馬英二

    有馬英二君 全国の犬の予防注射の現状を一つ御説明願いたい。
  67. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 現在予防注射実施しておられますのは、これは三ケ年の計でございまするが、昭和二十三年度は二十四万七千九百三十二頭の予防注射をやつておられるようであります。それから二十四年度の十月現在で七十四万八千六百二頭、それから本年二十五年度は六月までの総数でありますが、九十六万二千六百四十頭でございます。これは本年はまだ半年しかなりませんが、これだけの実績を挙げております。以上。
  68. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 提案者の御説明を伺いますと、大体これは狂犬病に対する予防的な措置のように存じますが、一度咬まれましたら永久に治らないような恐ろしい病気といたしますと、根本的にやはり治療の方法を考究しなくちやならないと思うのでありますが、今日国家でこの狂犬病を治療いたしますについて、特に何か経済的な援助でも与えて研究さしているのでございましようか。実情を一つ。
  69. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 現在では予防注射による以外にはないようでありますが、お話の通り非常にこわい病気でありますので、これに一度罹りますと、本当の狂犬でございますと、コルサコフ病か、半身不随になつて余り役立たないというふうな人が多いようでございます。ただ時間的な処置が非常に重大な問題でありまして、ここらの都会地は非常な準備も整つておりますが、田舎になりますと、八時間以内にこれらの手当をしなければ全然駄目だ、こういうことを言われているのであります。現在のところではパスツール・ワクチンを注射いたしております。それにマフアゾール・ワクチンを併用いたしまするので、治療は完全なり、予防も完全なり、こういうことを言つております。まだ血清のワクチン製造上に多少の隘路があるのじやないか、こういうことが考えられるのでありまして、これは従来のワクチンは、御承知通り金がかからないように野犬に接種をしてやつてつたのでありますが、この頃はGHQの方でも注意いたしまして、山羊とか、或いは緬羊であるとか、兎であるとかいうものを試験動物にしなければならない、野犬ではまだ危険がある、こういう指示をしておられるようであります。これは厚生省のお役人もおいででありますから、よく御存じと思いますが、私はそういうことをまた聞きしております。そういうことで完全治療の検出に大童になつて研究せられているようであります。これが今の段階のように考えるのであります。
  70. 有馬英二

    有馬英二君 何故東京或いは関東附近だけに狂犬病が流行しておるのですか、その点を一つ御説明願いたい。
  71. 石橋卯吉

    説明員(石橋卯吉君) 狂犬病発生地区が関東地区だけで、外の地区には発生しておらないのであります。今から三週間ばかり前に大阪に一頭出たのですが、非常に地区が限られているのであります。この点につきましては、どうもその原因が突きとめられないのであります。結局疾病の流行の波が関東地区にある。この点は話はそれますが、赤痢におきましても、やはり関東地区に流行の波があつて、従来相当に多かつた九州地区辺りでも比較的少いというような一つの疾病の波の現象がありまして、その原因についての巨細な究明については、未だ学者の間でもこうであるという確論を得ないような次第でございます。
  72. 有馬英二

    有馬英二君 この狂犬病は御承知のように犬に咬まれて発生する病気ですから、犬を経由しない、或いは犬に咬まれないようにすれば、病気は起らないわけであります。伝染しないわけでありますが、目に見えない細菌の病気とは違つて、非常に予防が簡單であり、又完全に行われ易い性質のものであると思います。従つてこれが特に交通の頻繁であり、又人間が最も密集しておるところの東京を中心とした関東地区にかように起つておるということは、犬の処置に非常に不完全な点があるに違いがないと察せられるので、この点についてどういうようになつておるか、御説明を願いたい。
  73. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 御尤もな御質問と思いますが、関東地区に限定しておるような傾向が今お話の通りあるのでありますが、私はこの法案によりまして登録というものを完全に実施いたしまして、未登録犬を野犬に取扱う、こういうことにしてやるということが一つと、もう一つつは早期診断をいたしまして、そうして完全な防疫陣営を強化いたしまして、これによつて完璧を期す、こういう点であると思います。関東地区に多いのは比較的に野犬が多いのでないかという感じもいたすのでありますが、これは勿論九州方面にも相当あるのでありますが、実際上の数から言いますと、私の県あたりでも畜犬として畜犬税を出しておりますのは三分の一に過ぎないのであります。その他は殆んど野犬と同様でありますので、本則によつて野犬と畜犬との区分をはつきりする、そうして不明瞭なものは抑留所を作りましてそれによつて早期発見の途を講ずる、診断を正確に期す、こういうことでいいのではなかろうかと思つておりますが、こうやらなければ従来の伝染病予防法の一部に加えただけでは、これの完璧は期し難い、こういう点から実はこの法案審議つておるわけでありまして、おつしやる通り、咬まなければ実際にこれはうつらないのでありますが、併し猫が掠つて人間がうつつた実例が幾らでもございます。そういう関係からこの登録ということを正確にやりまして、野犬との区別をつけて、むしろ野犬であるものは場合によつては撲殺をする。今も野犬撲殺の方法厚生省でとつておられるのでありますが、今尚欠陥な点が沢山あるように思つております。現在私共の見解では、今申上げました通り予防注射を受けるのが百万頭おりますので、野犬というものが百五十万以上もあると考えております。これを整理いたしますことにおいてそこに正しい見方が現れて来るのではなかろうか、さように存ずる次第であります。
  74. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 第三条によつて狂犬病予防員を置かれまするのでございますが、大体予防員は保健所に置くのでございましようか。実はこの間近県を歩いておりましたら、一頭の浮浪犬が附いて来て仕方がない。こわいから横に行くと横。左へ行くと左、一町程待つておりますと、ちつとも先へ行かないで、又後を向いて帰つて来るのですが、どこの犬か分らない。鑑札も何も下げていない。こわいものでございますから、こちらで引つこむと又戻つて来る。少し頭が狂つているのじやないかという気がしてしようがないのですが、こういう犬がいるときはどこへ言つて行つたらいいのですか。予防員はどこにいるのですか。連絡に行つている間に逃げてしまうのではないかと思います。
  75. 石橋卯吉

    説明員(石橋卯吉君) 只今狂犬病予防に従事いたしておりますのは、保健所の職員がやつております。保健所の指揮を受けて捕獲員が歩いておる筈でありますけれども、非常に数が少いので、御存じのように犬がやはり相当におります現状でございます。
  76. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 予防注射の先程数字をお示しになりましたのですが、これまでどこで予防注射をやつて予防注射をやりました経費はどのくらいのものが今までかかつておるのですか。それをちよつとお聞きしたいと思います。
  77. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) これは各県によつて多少違うのではないかと存じますが、国自体がやつておるのではないようであります。大体予防注射は一頭百五十円見当で、県費で徴收いたしておるようであります。それを財源といたしまして、県の防疫陣営を強化しておる、こういう実情であります。
  78. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 県でやつておるのでございますか。
  79. 石橋卯吉

    説明員(石橋卯吉君) そうです。
  80. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 県でやつていると、つまり保健所にでもやらしておるというわけですか。その所管はどこの所管になつておるのですか。
  81. 石橋卯吉

    説明員(石橋卯吉君) 保健所を單位に大体やつておるのでありますが、大概の保健所は県の直営になつております。ただ大きな市にあります保健所のみが、市長の下に属しておるというような形になつております。大体そういう仕事は全部保健所でやるようになつておりまして、今度の法律もその線でやるように仕事をお願いしておるわけであります。
  82. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 これは逐条的にお伺いしたいのですが、第二条の「公衆衞生に重大な影響があると認めるとき」とあるのでありますが、これは何故特にこの重大ということが書いてありますのでしようか。公衆衞生に影響があると認めるときは云々、こういうことでいいのじやないのですか。重大ということはどういう点に限界を置いて重大とお決めになるのでしようか。
  83. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 重大と言いますのは、今おつしやるように、これは少し言い過ぎかも知れませんが、非常時を指したものであつて、普通はまあ影響があるという程度に解釈してもいいのではないかと存じます。
  84. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 仮に狂犬病が一頭発生しても、これは考えによれば重大でもある。ただ数の上から言つて一頭二だからと言つて、軽く考えることにもなります。これは重大というよう着、特にこのような形容詞を入れないで、公衆衞生に影響があるということでよく分るのじやないか。この重大ということがあるために少し解釈に困るようなことはありませんか。
  85. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 私の説明が非常にまずかつたんで、補足いたさせます。
  86. 福原忠男

    ○衆議院法制局参事(福原忠男君) 只今の点は、実は第二条の但書というのは、本法が犬の狂犬病のみに限定しているのに対して、厚生大臣に或る特殊の場合に犬以外の狂犬病についてこの法律で認めるような相当強力な措置を講ずることを委任している個所なのでございます。それ故実はできますことならば、この点も法律に明文を以てこのような国民の権利義務に影響することなんでございまするから、書くべきが至当でありますが、現在の段階においてはこのような家畜伝染病予防法の第一条第一項に掲げる家畜以外の動物について狂犬病発生した場合、どの程度の限定を書くかというのが法律相当技術を要しまするものですから、これを厚生大臣権限に委ねたのでありますが、必ずしも厚生大臣権限に委ねたことについて、法律規定すべきことをそのような行政官庁に委ねたということについては、或る程度の制限をする必要がある、そのような点から、この重大な影響があるということで一応の制限をし、且つ又そのような場合にもその期間を一年といたしまして、そのような重要な措置を講ずるならば、それぞれ立法措置を講ずる必要がありますので、この一年間の適当な期間に立法措置を講ずるということを要件としてこの但書を置いた、かような次第であります。
  87. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 次に第三条の予防員ですが、大体予防員はいつもどこかに常置、今井上議員からも御質問がありましたが、常置してありますのでしようか。それとも今定員があつて、何人程置いてあるというふうに決まつておりますのでしようか。それから尚先程、若し急な場合には食品衞生の方面職員も入れるという話でしたが、そういうふうに急にその方へ振り替えて行つて、果して予防員としての仕事ができるのでございましようか。その辺の見通しは如何でございましようか。
  88. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 私が実際に当つた面をお答え申上げたいと思いますが、保健所を主体といたしておりますが、保健所は現在までは余り行き渡つておりません。それだから大体これは厚生部門に属しますので、例えて申しますと、各警察ごとに衞生技手がおります。それのみでも本当に突発の場合はどうにもなりませんので、警察獣医或いは地方事務所におりますそういうもの、或いは地方の地域的の開業獣医師と協力をいたしまして、急に仕事をするわけでありますが、勿論その監督その他の指揮はそういう防疫員の方でやりますけれども、全体の下働きは開業獣医師が当る、そうでなければ、仕事の面に非常な支障がございますので、そういうことを実際面にやつて完璧を期しておる次第であります。
  89. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 只今のお話で、開業獣医師予防員になさるというお考えなんでありますか。
  90. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 予防員ではございませんが、協力者としてやるという意味でございます。
  91. 山下義信

    委員長山下義信君) 予防員の常置の問題或いは定員等はどうなつておりますか、まだお答えがないようですが。
  92. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 定員はまだはつきりいたしておりませんが、先程申上げました通り、保健所と、それから食肉関係職員の方は直接厚生省関係があるので、これはそれぞれこの法案が御承認を頂きましたならば、地方長官が適当な処置によりまして完璧を期する、こう存じております。
  93. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 第四条についてですが、登録の申請でございますが、都道府県知事登録の申請をするということになりますと、実際問題としてはどういう登録の仕方をするのでございましようか。犬の所有者登録したいということの実際の手続きでございます。それと、若し犬の所有者が変つたときはどういうふうにいたすのか、犬の移動の場合、その二つについて伺います。
  94. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 今おつしやいました地方長官への届出ということは、これは町村を経由しなければならんと思います。それによつてこれは別に省令を以て定める、ついでにそういうことを謳おうという考えであります。それから変更の場合は勿論変更届ということが省令なり或いは県条例で決められるものと存じております。
  95. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 町村経由といたしますると、犬を一匹飼つても申請して登録されるのに相当な日にちがかかるのではないかと思われますが、殊に予防員が保健所に大体常駐しておるという建前があるとすれば、むしろ保健所を通じて保健所で直ぐに登録をするというようなお考え方はありませんか。
  96. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 只今の御意見御尤もと思いますが、現在までは保健所の数は少いのでございまして、一応この目的達成のためには少し無理がありましても、一応のところは省令或いは条例等が設けられます間は、その方法をとる以外には先ずないのではないか。御意見の趣旨はよく分つております。将来そういうふうに考えたいと思います。
  97. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 そうしますと、これは成るべく便宜なように町村経由ということと、一般保健所経由という二本建は如何でしようか。
  98. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) この保健所が強化されまして、数が殖えますとおつしやるような通りにやつても結構ではないかと存じております。
  99. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それでは、この注射済の鑑札とか或いは登録の証を犬の首につけて置かなければならないということになつておりますが、何せ相手は動物のことですからよく紛失いたします。現に犬を飼つておられた人はこれの経験は随分おありになりますが、そういう鑑札を失つた場合はどういうふうなことになるのでございましようか。これはこの野犬と間違えられる関係がありますので、しかと承つて置きたいのです。
  100. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 紛失をいたしますと、その番号と氏名を記しまして届出をいたします。と同時に鑑札の再交付願いをいたします。こういうことによる以外はないと思います。
  101. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それからこの犬の死んだ場合には一登録はしますが、死んだ場合の規定が何もないのですが、これはもううつちやらかして置いてよろしいのですか。これはやはり死んだということを報告するなり何かしなければならんのでございますか。
  102. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) これは別に規定があるのでありますが、常識的に考えまして、死んだ場合は埋歿、焼却ということに大体常識ではなつております。狂犬病に罹つた疑いのあるものは、これはその保健所において科学的に解剖をいたしまして、さつき申し上げましたように、ノーマルを調査するということになつております。そういうもの以外のものは、常に理髪並びに焼却ということは常識的になつておるようでありまして、町村でも、そういう埋歿所というものが設けてありますから、そういうことをいたしております。街、狂犬病が附近で、或いは県内に流行したという場合は焼却でもいたしましようし、別にその点は間違いを生ずることはないと思います。
  103. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それから第六条の捕獲人のことですが、現在はどういう捕獲人を使つておいでになりますでしようか。よく捕獲人の中には必ずしも善良な者がいないということで、大切な犬が盗まれる、或いは殺されるということがあるのでございますが、これが又捕獲に行きまするのにも、これは別に捕獲人であるというような第三条第二項の規定があるのでありまするが、これの標識も何も持つておらないということでは果して捕獲人かどうか分らないのですが、そういう点については如何なお考えでございましようか。
  104. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) その点は私共もみずから体験をいたしております。捕獲人の資格につきましては、これは県の方で厳選をいたし、のみならず今お話になりました通り、必ず早く見易いところに腕章でも付けるとか何とかということを省令なり、或いは県条例で設けて、所期の目的を達成いたしたいと思います。
  105. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それから第七項のところで、「処分によつて損害を受けた所有者に通常生ずべき損害を補償する。」というのですが、「通常生ずべき損害」と言いますのは、どういうふうな意味でございましようか。
  106. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) これは、こういうふうに書いてありますけれども、事実こういうことは恐らくあり得ないと存ずる次第であります。ただいろいろ御相談申し上げました結果、憲法上こういう字句を入れて置かなければいけないと、こういうことで入れたに過ぎませんので、実際上はこういうことはあり得ないということが考えられる次第でございます。
  107. 山下義信

    委員長山下義信君) あり得ないのならば、この条項は削つてもよいのですか。
  108. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) これは憲法上入れなければならないのだという話でございます。
  109. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 この「通常生ずべき損害」と、こういう表現をしなければならんのでしようか、ただ損害を賠償するというそこらの違いはどういう点であるか、どうも分らないのですが。
  110. 福原忠男

    ○衆議院法制局参事(福原忠男君) この点は新憲法による私有財産権の補償の際の……新憲法の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」というこの精神を酌みまして、この本法におきまする未登録犬或いは未注射犬抑留従つて抑留後の措置から犬の処分をすることができるということを六項に認めておるのでありますが、これは一種の所有権に対する公共の必要上生じた損害だと考えるのであります。これに対しまする関係から正当の補償をするというので、第七項を置いたのでございます。又今お尋ねの「通常生ずべき損害」という表現がどうかということですが、これは先の第六国会でございましたが、文化財保護法などのときも同様の表現を用いましたので、それを踏襲しました。その趣旨とするところは、正当な補償ということを条文上表現したいということでございます。
  111. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 次は第九条の隔離についてですが、獣医師又は所有者は、その所在の場所で犬を隔離しなければならないということになつておりますが、これはこういう場合が考えられる。獣医師の所に犬を連れて来て、それが狂犬であるということが発見された場合には、獣医師の所で隔離するのですか、或いは所有者の所でされるのか、或いは適当な所に持つて行くか、これは実際の面に当つて非常に面倒な問題が起りますが、そこらは如何でしようか。
  112. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 私共の考え方といたしましては、獣医師は大抵艦を持つておりますので、その所でそういう危険なものは繋留する、そういう見方が正確だと思つております。事実そうやつております。
  113. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 そうしますと、たまたま獣医師がどこかで狂犬を発見したというような場合に、そうするとそこで隔離しなければならんというような窮屈なことが起つて来ますね。これは何か或る一定の場所に対する……その場所ということが余りに窮屈になりはしないかと考えられるのですが、いろいろな場合が出て来た場合に非常に窮屈だと思いますが、如何ですか。
  114. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 獣医師が往診をいたした先で若しそういう病気を発見した、こういう場合は勿論所有者の家に繋留もできると思います。尚又保健所において将来はそういうものを收容するプール等もできるのじやないかと思つておりますが、大体に総括的にプールができるようになつております。抑留所は、罹病犬のみに対しこの取扱を規定したはつきりした明文がないようですが、常識的に考えて必ずそういう処置がとられ得る、こういうことで御了承を願いたいと思います。
  115. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 第十一条で伺いたいのですが、第十一条の終りの、「予防員の許可を受けなければこれを殺してはならない。」これと九条との関係は如何になりますか。「人命に危険があつて緊急やむをえないときは、殺すことをさまたげない。」ということは許可も何もなしに殺せるということでありますが、こちらには殺してはならないというふうになつておりますが、その関係はどういうふうに解釈したらよろしいのでございますか。
  116. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 十一条の問題はこれは隔離をしておる場合の問題であります。前の方は隔離をしない場合の問題であります。
  117. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 この法案に連関いたしまして、当然野犬狩が行われると思うのでありますが、具体的にどういう方法でなさるのか。私達がよく見聞きいたしますのは、毒饅頭なんか喰べさしてその場で殺して連れて行つたりするようなことがあるようですが、動物愛護の精神から、子供の教育に及ぼす影響も考えなければならないので、どういうふうにして捕獲なさるのかということが一つと、それから連れて行つた犬の処置でございますが、野犬は相当多いと思うのでありますが、連れて行つた犬の処置はどうするのか、殺して肉にしてお売りなさるのか、或いは盗人の予防にでもするということで希望者にお譲りなさるのか。それからもう一つ、これは北海道に私が昨年参りましたときの経験でありますが、これは図体相応に、大きな犬には牛乳箱や魚箱を引かしております。それは相当重労働で、休んでおるときには疲れてぽかんとしております。これに反して内地では全く有閑マダムのような印象を受けたのであります。内地では犬を使う希望者がないのか、それとも何かの法律で許していないのか、若し許していないとすれば、やはり動物愛護という精神で許さないのか、それなら何故北海道で許しておるのかということも一つついでにお聞きしたいと思います。
  118. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 動物虐待ということでありますが、犬も或る程度の能力的なものは発揮させることができるのじやないかと私は思います。御承知のように北海道等は犬が冬におけるところの橇の唯一無二の労働者であるのでありまして、これによつていろいろな仕事を授ける、又田舎に参りましても、都会の一部でも相当多いと思いますが、いろいろな運搬いたします場合に犬が人間の先引きをする、或いは厚生車の先引を犬にやらせるということは幾らでもあるようであります。併しこれはやはり畜犬としてそれだけの飼養管理を施して愛撫の傍ら業務に携わらせるということでありますから、動物虐待にならないのではないか、さように考えます。それから捕獲をどうするのか、殺した犬まで肉にして売るのじやないかというお尋ねでありますが、さようなことは絶対にあり得ないのであります。大体肉を売ります場合は、食肉関係の規則があるのであります。それによつて検査を受けて検印を貰わなければ巷間に販売することができないのです。参考に申上げますが、本年度の一月以降現在まで犬を捕えておりますのは六万九千九百七十九頭でございます。そのうち処分しておりますのが四万二千三百十三頭処分しております。又持主が分らないものにつきましてはプールを作りまして飼養管理をやつて、通知いたしましても引取手がないという場合には野犬として処分しなければならないということであります。その場合の肉はどうするかということは、それらの肉は食用には供しないのであります。併し皮のみは犬皮犬毬と申しまして、そういう面で幾らか金になるのじやないか、そういう收入はどうするかということが起つて来ると思いますが、これは県の方で何とか処理をする。個人には絶対にタツチさせない、個人にはタツチさせてはならないということになつております。それは明瞭に運営が行われる、さように存じております。
  119. 山下義信

    委員長山下義信君) お諮り申上げますが、本案は明日続行いたしたいと思いますが、如何でございましようか。本日はこの程度で止めて置きまして、本案審議は明日続行いたします。尚この際御相談申上げることがございます。社会保障制度に関する調査につきまして、右はいずれも調査進行中でございますが、今期国会開会中には調査が完了いたしませんので、未了報告書を提出いたしたいと思いますが、如何でございましようか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。次に本調査の閉会中の継続調査要求書を提出いたしたいと存じますが御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。つきましては、未了報告書要求書等の作成その他につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。つきましては、本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に報告する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますので、御異議のない方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     小杉 繁安  井上なつゑ     有馬 英二  長島 銀藏     中山 壽彦  大谷 瑩潤    池田七郎兵衞  河崎 ナツ     堂森 芳夫  深川タマヱ     松原 一彦
  123. 山下義信

    委員長山下義信君) 御署名洩れはございませんか。——御署名洩れはないものと認めます。
  124. 山下義信

    委員長山下義信君) 荷この際先程委員長、理事の打合会で御承認を得まして、委員外議員としまして山田節男議員から皇居前の広場に関連いたしまして、当委員会への陳情なり又御発言がございますので、この際許可いたしたいと思いますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは皇居前広場に関連いたしまして、山田議員の発言を許します。
  126. 山田節男

    委員外議員(山田節男君) 只今この席を拝借しまして御質問申上げたいことにつきまして、丁度厚生大臣が席を立たれましたので、途中捉えて大臣に対しては一応私の今質問する要項を申上げて置いたわけであります。午後衆議院の厚生委員会では、大臣並びにこの質問に関係する厚生省関係公務員を招致して質問するということになつております。実は今委員長が申されましたように、私が今質問申上げたいと存じますことは、この皇居前、二重橋前の広場の保存問題であります。この問題につきましては、すでに衆参両議員が主体になりまして、皇居前保存協会というのがございます。そしてすでにこれの全国的な運動をいたしておるわけであります。尚もう一つ皇居外苑整備奉仕会というのがございます。これは前国務大臣の一松君が会長をやつておられるわけであります。ところが今回この七月の初めに皇居外苑整備保存協会というものができまして、すでに発会式も遂げたということであります。その経緯をいろいろ本院で調査したところによりますというと、これには本院の議員である高橋龍太郎君が会長となりまして、その他経営者、観光人等も入つているのでありますが、特に厚生省の公園部長とか、公園課の管理課長、公園部の計画課長、部長初め公務員が三名もこれに入つて、而も理事、幹事という役をやつているのであります。かようなことはもとより目的はいいのでありますけれども、全国的に言えば猫の額のようなあの地域に対しまして、厚生省の公務員がこれの執行部に入り、更に一つの団体を設けるというようなことは、これは私は非常に解し難いのであります。若しここに説明員としてこれに関係している公園課の森、或いは石神両君おられますならば、この団体を設けるに至つた経過はどうか、これを一つ報告願いたいと思います。
  127. 森直一

    説明員(森直一君) 只今お尋ねがごさいました通り、皇居前の広場につきましては皇居前保存協会、それから皇居外苑整備奉仕会、それから今度厚生省が斡旋したと申しますか、話は別の方面から参つたのでございますが、一応私共が幹事なり何なりに入つている皇居外苑整備保存協会、この三つの団体があるということは今お話の通りでございまして、先ず外苑整備奉仕会はずつと厚生省にあの広場が移管になりましたときに、まあペンチ、或いは屑籠というようなものを整備して、非常に汚いからそういうものを備えたいという話がございましてその会は前の厚生大臣だつた一松さんの総裁の会でございますが、その後その会が当初予定しておりましたような仕事ができません関係もありますし、国の予算も少い関係上、段々あの広場が荒れて来る、殊に五月のメーデーその他の関係で大分木或いは芝生というそういうものが荒れましたのと、もう一つはあすこの広場に野球、いわゆる球戯をやつているのがあるわけでございますが、この方の関係等で大分荒れておるということから、あの附近の人達の間から何かその清掃について協力する団体を作つたらどうかという話が出まして、そこであの附近の会社とか或いは銀行とか、そういつたような方面の御意見を尊重いたしまして、そこで一応清掃に協力するというふうな団体を作る、これはただ発足したということだけで、実際予算に伴う財源等はまだ集めておりませんのです。そういうようなことで皇居外苑の整備保存協会というものができたという形になつておるわけであります。
  128. 山田節男

    委員外議員(山田節男君) そうすると今の森課長は、現在すでに一松君のやつておられるもの、並びに国会議員の多数のものがやつておるこの皇居前保存協会というものについては十分認識をしておられる筈であります。それに更に屋上屋を重ねるようなそういうようなものを作らざるを得なかつたというのはどこに理由があつたのですか。
  129. 森直一

    説明員(森直一君) 整備保存協力協会と申しますか、只今お話のございました皇居前保存協会があるということは私共薄々は存じております。その内容についてこの前の参議院の方の請願の関係で出ておりましたのですが、皇居前一帶の管理を民間に移管して貰いたいというふうな、実は請願も出まして、それが保留になつておりました関係上、その会があることは承知いたしております。併しその協会の内容と申しますか、そういうようなものと、それから仕事の内容等につきましては私共はつきりはいたしませんのでございます。それから実はこの間この三つの団体があるのはおかしいということで、おのおの代表者でございます一松前厚生大臣、それから皇居前の保存協会の総裁であられます大隈先生、それから高橋龍太郎先生、それからうちの大臣と四人がお集まりになりまして、一本のものにしたらどうかということでやり方を今研究中でございます。
  130. 山田節男

    委員外議員(山田節男君) これは今森課長の話では薄々知つているというようなお話でありますが、私はやはりこの会員として、すつと会合に出ているわけですけれども、今までの経過を見ると、例えば請願を出したいというようなことについても厚生省当局は極端にこれを嫌う、それから又我々の今まで得ている情報では、どうも厚生省は折角衆参両院の者が主体になつてつているものに対して好意を持たない、中にはそれは森課長とは言わないけれども、国会は何ができるか、政治家は始終変るし、政治家はこんなことをするものではないという者さえ出て来る、従来の経過を見ると、どうも皇居前広場の保存協会というものに対して好意を持たない。今課長は薄々知つておると言つているけれども、そのあとの言葉を聞くとよく知つている。さような私は答弁を得るということは、厚生省自体がどうもおかしい団体を設けたということに対して疑わざるを得ない。殊に理事になつておる公園部長の飯島君は、今度の本当の公務員の試験を受けなかつた、今外遊中であると言つておりますが、これが理事になつておる。森課長並びに石神課長、これが幹事である。これは明らかに官製であります。今日の憲法の建前から見ても、こういつたような外郭団体みたいなものを設けることはこれは実に時代錯誤である、一昨日か朝の放送でこの皇居前保存協会がやつておることに対して、国民を惑わすごとき放送をやつておる。これは一つの国民の声として明らかにこの皇居前の保存協会に対する中傷的なことをやつておる。これは原文全部筆記してあります。こういうような経過を見て、一体更にこういつたような団体を作り、今森課長はこれに対して一松君、大隈君、黒川大臣、高橋君その他を集めてそういう一本建てにするというようなお話をしたという話でありますが、今私が黒川君に聞いて見ました。黒川君もこの皇居前の保存協会のこれは理事である、非常に熱心なる会員である。厚生大臣の話を聞くと、非常にその点曖昧である。仲よくやろうというようなつもりだつたというようなことを言つておる。今の森君の答弁と非常に食い違いがある。こういうようなものを屋上屋を重ねて、而もこれは惡く解すれば、従来とかくあり勝であつた厚生省関係……これはすべての官庁関係でやつておつたことであるが、自分が馘になつた場合に一つの自分の行く場所を作る通弊がある。その通弊は今日極めて大胆なる官僚主義的なやり方じやないかと思う、今のように厚生省が若しこれを一本に統合するという親心があるならば、なせ事前において皇居前保存協会なり或いは一松君のやつておる皇居外苑整備奉仕会の会もあることである。なせ正規の手続を取つてやらないか、そこに私は厚生省の非民主的なところがある、官僚主義の惡いところを極端にはつきりとした今の森君の答弁では論旨が一貫しないのみならず、その動機において極めて明瞭になるように、我々は従来官庁のいわゆる外郭団体を作つて足溜りを作るという通弊を暴露した何ものでもない、こういうように私は考えざるを得ない、であるからしてこういうものを作つたというのでありますが、そういつたような従来の通弊をすつかりなくして、むしろこういうものは民主的な自主的な団体に任せる、若し一松君がやつてもできんものだ、或いは皇居前保存協会でも十分できないならば、厚生省としてはむしろこれを指導して、でき得べくんばこれに対して助成金でも与えてやらせるというのが、これが今日の建前である。これを逆行してやるというようなことは、これはどうしても解せない。厚生省としてはどうしても今皆で一緒になつて作つた皇居外苑整備保存協会、これで一本建で行く自信があり、又そうしなくちやならんのかどうか、ならない理由はどこにあるか、もう一遍はつきりと一つお答えを願いたい。
  131. 山下義信

    委員長山下義信君) 答弁の前に委員長として注意いたしますが、公園並びに皇居前の問題も当厚生委員会の所管事項である。ですから、答弁は率直にありのままに、今山田議員から御質疑のありました御答弁については、当厚生委員会の席上から、包みなく、忌憚なく、遠慮なく答弁せられんことを希望します。
  132. 森直一

    説明員(森直一君) 今の協力会を作るという話につきましては、実は前にちよつと申上げましたように非常に言われておる。それで前の厚生大臣のときに、何か協会を作つたらどうかという話が実はございました。それでまあ商工会議所の高橋先生とか、或いは石坂先生に御相談を受けまして、そこで協力会というふうな、本当にその結露にするだけの団体を作つたらどうかという話があつて、実は進んで来たわけでございますが、今の大臣になりましてから、今お話がございましたように協会の理事でもあられるので、三つの団体があるのはおかしいじやないかということで、まあまとめるようにしようと、その辺はお前達の方で至急研究したらどうかというふうなことで、この間実は七月二十五日か六日かと思いますが、そういうふうな会合を設けたわけでございます。別に足溜りとか何とかということではなしに、本当にまああの附近の銀行会社の人達が昼とか、或いは帰りにあれを利用すると、非常にそのあと散らかして帰る。まあそればかりではないと思いますが、そういうようなことから話が出たようでございますので、あれはまあ私共が入ること自身は多少疑問がございますけれども、まあそういうようなことで作つて、でき上つたのを見ましたが、まあ一本にするようにしたらどうかということについて、まあ今度一本にまとめるという方向に進めておるわけでございます。  それからその整備奉仕会の方は会員といたしましては大体中央区、あそこは大分離れておるところでございますが、中央区の方に住んでおられる方が多いようでありますが、その方も満足で、それでは一緒にしようと、それから協会の方も大いに一本になつてやろうということの話合の結果、一本にするようなことで今進めておるわけでございます。別にこちらの方が指示をしたり、どうこうということで協会ができたわけじやございませんから一つ。
  133. 山田節男

    委員外議員(山田節男君) 大変時間を取つて済みませんが、これは厚生委員の方々がいらつしやるから、特に厳正に御批判願いたい。先程申上げましたように、私も会員としてこの問題について厚生委員会の御審議を仰ぎたいということを、再三我々は会として要望しておつたが、これを厚生省がどうも好意を持たない。どうも今の課長の答弁を聞いても全くそれを裏付るような答弁である。なぜうすうす知つているそういう団体で、今森課長の言われるような世論があつて、あそこを片付けるという世論があつたとするならば、なせもつとこの既存の二つの団体に対して要望しないか、そこなんです。そこに殊更にこの新らしい団体を作つて、而も公園部長、課長だの、君達が理事、幹事に入る、そして一本建てにしよう、その根性がいけない。そこはもうすでに君達のイデオロギーそのものが非民主的である。こういう国会の、参議院の厚生委員会においてそういうことがよく言えたものだ、この頭がいけない。こういうことになれば、これは私は追つてこの厚生委員会で厳正な御審議を願いたいと思う。こういつたような、明らかに森課長が言つたようなその精神がいけない。なせ新しく作つて統合してやろう。僣越極まる。私はこれは後程成規の手続によつて厚生委員会の御審議を仰ぎたいと思いますが、かくのごとき厚生省の下級官吏、下級公務員が、今課長の答弁によつて明らかに自白しておる。これは私は成規の手続を取つてやります。これはよろしく十分御検討を願い、むしろこういう出過ぎた行為は厚生省は控えて、既存の団体を助成して、指導して、監督して行くのが、これが民主国家における、殊にこういうサービスの団体に官庁から直接人まで入れて喙を容れるべきものでない。こういうような点、私は今森課長の答弁によつて私の疑つておることがはつきりしたと思う。これは追つて大臣に、後刻衆議院においてでも明瞭にしたいと思いますが、この答弁によつても分りますように、どうぞ厚生委員の諸君におかれましても、深くこういうような目的を以て団体が作られ、国会の多数の皆さんの御援助を得て、而も私今朝報告によりますと、七十何万円かの金を集めておるようです。全国に訴えるこの団体に若しスキヤンダルがあつて、不正な事実があつたならば、もとより厚生省のみならず、我々会員自体がこれは自粛して行かなければならん。どうもこの問題に関する限り厚生省の従来の態度というものは実に不親切で、そのことは今の森課長からの答弁によつてはつきりしたと思うのであります。そのことを国会厚生委員会においつて返答されておる。以ての外です。私はもうこれ以上の質問を繰返す必要を認めませんが、又衆議院におきまして、或いは又他日その後における厚生省のこういう公務員の行動につきまして、更に質問をさして頂くということを委員長にお願い申上げまして、一応私の質問はこれを以て打切ります。
  134. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今の山田議員の発言に関連しまして、皆様の方で何か御質疑がございましたらお願いいたします。外の委員の方で御発言の方があれば……。ございませんか。
  135. 石神甲子郎

    説明員(石神甲子郎君) 只今の皇居外苑の三つの会の歴史につきましてちよつと申上げて見たいと思います。最初整備奉仕会ができましたのは、当時警視庁の協力を得まして、地方に火災防止とか盗難防止とかいうような看板と申しますか、ああいうようなものを立てておりました方々が、皇居前にやはりベンチとか紙屑籠とかいうようなものを寄附いたしまして、それに若干の奉仕者の名前を付けさして貰いたいと音つて参りました。当時それらの施設がございませんので、そういう施設を寄附されることは誠に結構ではありますが、名前を入れるのは広告に亘りますので、工合が惡いというようなことを申上げたところが、いろいろとその関係の方々が協議されまして、整備奉仕会という一つの団体を作りまして、前の一松先生を会長にされまして、会を作りまして、名前は入れなくてもいいから、それらの施設を寄附さして貰いたいと言つて参りました。それで私共の方も或る程度の極く僅かな施設でございましたが、極めて僅かな施設を認めることにいたしました。但しこれはあなたの方の会の独占ではありません。更に又そういう会ができるかも知れません。一応この程度の寄附は認めましよう。尚その整備奉仕会におきましては、将来は便所とか、その外大きなものも寄附したいというような希望がございましたが、一応極く小規模のベンチとか屑籠というようなものを認めたわけなんです。  次にこの保存協会のことでございますが、岩隈氏が参りまていろいろお話しがございました。その際に皇居外苑に施設をしたいというようなお話がございましたが、皇居外苑の施設につきましては、皇居外苑を国民の公園といたしますことに関しまする閣議決定の趣旨もあり、又その閣議決定の趣旨によりまして、皇居外苑審議会というものができまして、その決議によりまして、皇居外苑にこの程度のものはしてもよろしいというような方針を答申して参りました。その趣旨に従いまして、これを維持管理することになつておりました。従いまして、その範囲内のものならば受入れる余地がございますが、例えば記念碑を建てるとか、建物を建てるというようなことは受入れ困難であります。従いまして、そういうことは困難である。会を作られるにしましても、こちらとよく打合せて施行して頂きたいという、我々の希望いたしますことは、厚生省といたしましては、維持、保存、清掃というものをやつておるのでございますが、これに御協力して頂ければ結構でございますということを申上げて置きました。それが一、二度おいでになりましたが、私の方の整備奉仕と十分打合せの上会をお作りになりました。保存協会の方は私共の方の了解を得まして会をお作りになりまして、発足になつておるわけです。それは御発足になりまして私達が承知いたしましたのは、学校に寄附の何と言いますか、寄附に関係いたします印刷物をお配りになりました。たまたま私の子供がそれを貰つて参りましたので、初めてその協会がそういうふうに発足したということをはつきり承知いたしました。そこで岩隈氏を呼びまして、これらのその中に約二億円の計画がございまして、宿舎を拵えるとか、その外の施設については、当方としては閣議決定の線並びに寄附行為審議会の線から受入れられないから、こういうことは前に申上げた通りですからということを御注意申上げてあつたわけであります。そのようなわけでございまして、先般のラジオ放送にもなつたわけでございますが、私の方といたしましては、この印刷物に書いてございます線は全く承知いたしておりませんので、我々が希望いたします点は先程も申上げましたように、外の国民が利用いたしますメーデーとか、その外集会に使いまして、できるだけの清掃、現状を維持して行く、現状維持は不足なものでございますから、これに対して協力する団体を希望いたしたいというふうに考えておりましたが、たまたま整備奉仕協会ができましたので、これは私達の希望いたします、団体でありますので、大変結構であると申上げて協会もできたのでございます。できます以上三つもあるのはおかしいから、これはよく話合いまして、一本にして全国的な団体にして頂いたら結構であるという趣旨でお話申上げたわけであります。大体できました会の歴史はそのように私承知いたしております。
  136. 山田節男

    委員外議員(山田節男君) 今のお話ですが、それじや何故この公園緑地課長が理事になつたり、或いはあなた並びに森課長が幹事になつたりそうせざるを得ないのですか。その理由を一つお聞きしたいと思います。
  137. 石神甲子郎

    説明員(石神甲子郎君) 私計画課長、それから東京都の公園緑地課長、それから千代田区役所の助役とこういうようなことで実は会の内容といいますか、規約の作成とかいろいろなことをやれと言われたものがそれに当つたわけでございますが、そのまままあ会の発足と同時に幹事になるということになつたわけで、特別な理由と申しましようか、ないのでございます。
  138. 山下義信

    委員長山下義信君) この問題はこの程度で打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    理事            小杉 繁安君            井上なつゑ君            有馬 英二君    委員           池田七郎兵衞君            大谷 瑩潤君            長島 銀藏君            中山 壽彦君            河崎 ナツ君            堂森 芳夫君            深川タマヱ君            松原 一彦君   委員外議員            山田 節男君   衆議院議員            大石 武一君            原田 雪松君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君   政府委員    厚生省医務局長 東 龍太郎君   衆議院法制局側    参     事    (第二部長)  福原 忠男君   説明員    厚生省大臣官房    総務課長    森本  潔君    厚生省国立公園    部管理課長   森  直一君    厚生省国立公園    部計画課長   石神甲子郎君    厚生省公衆衞生   局環境衞生部長  石橋 卯吉君