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1950-07-27 第8回国会 参議院 厚生委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十七日(木曜日)    午前十時二十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○議員派遣要求の件 ○地方自治法第百五十六條第四項の規 定に基き、検疫所設置関にし承認 を求めるの件(内閣送付) ○福祉行政地方自治関にする件 ○災害救助法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) これより厚生委員会を開会いたします。  先ずお諮り申上げたいことがございます。国会休会中に当委員会といたしまして厚生行政、特に社会保障制度の問題に関連いたしまして国政調査をいたしたいと存じますので、その調査のために議員派遣要求を提出いたしたいと考える次第でございます。つきましては、一応考えておりますることは、三班ぐらいに編成をいたしまして、東北地方、秋田、新潟、福井を一班といたしまして、中部地方、長野、岐阜、群馬を第二班といたしまして、西部方面といたしましては大分、愛媛、高知を一班といたしまして、これらの三班にそれぞれ三名の議員を派遣することにいたしまして、如上の調査を実施いたしたいと存ずるのでございますが、皆様方の御意見を伺います次第でございます。
  3. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 賛成いたします。その具体的な案件については、委員長に一任します。
  4. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今堂森委員から議員派遣の件は賛成である、同時にその具体的な調査要求書作成等につきましては委員長一任動議が提出されましたが、堂森委員動議に御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下義信

    委員長山下義信君) 異議ないものと認めます。それでは委員長におきまして調査要求書作成いたしまして、成規手続をとることにいたします。   —————————————
  6. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は日程の順序を変更いたしまして、これより地方自治法、第百五十六條第四項の規定に基き、検疫所設置関承認を求めるの件を上程いたします。本件につきまして、先ず政府提案理由説明を求めます。
  7. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 只今議題となりました検疫所設置に関し承認を求める件についてその提案理由説明いたします。  現在東京港に出入する外航船舶横浜港に寄港し、横浜検疫所検疫を受けるという不便を忍んで運航されており、又羽田空港には、横浜検疫所から職員を派遣し、出入航空機検疫を実施しているという現況であります。併しながらこのような臨時的措置は決して東京港の発展に寄与するものでないことは勿論、緊急措置を必要とする検疫業務の円滑なる途行も期することが出来ないのであります。特に、最近東京港に出入する外航船舶増加は、従来のように横浜検疫所に依存し切れない程に業務の膨脹を来たし、更に又最近の羽田空港における出入航空機の著しい増加は、横浜検疫所負担を以ちましては、到底完全な業務の遂行を望み得ない程の繁忙を来たしておるのであります。かかる危惧すべき現状に鑑み当局といたしましては、伝染病の予防に万全の態勢を確立すべく今般東京港に羽田航空検疫を兼ねる東京検疫所設置し、両港における業務運営に遺憾のないようにいたしたいのであります。何とぞ慎重御審議上速かに承認せられんことをお願いいたします。
  8. 山下義信

    委員長山下義信君) 本案についての審議は次回に譲りたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山下義信

    委員長山下義信君) 異議ないものと認めます。   —————————————
  10. 藤原道子

    藤原道子君 私は社会福祉地方行政事務に関してちよつと御質問申上げたいのでございますが、昨日の朝日新聞によりますと、こういう記事が出ているのでございます。「地方行政事務を拡充、調査委員会議勧告試案作成」、こういう記事が載つておりまして、これから多く国の事務になることも……国と地方との分担でいろいろ混乱を起す等のこともあるので非常に不便である。従つてこの際地方行政全般を再検討しているが、近く次のようなことを十月末までに政府勧告を行う予定であるというようなことが載つております。その中に、これから地方行政市町村へ移す問題の中に生活保護法、例えば「生活保護法のように、国の事務であつて市町村長に委任されているため責任の所在がわからない行政事務は單純となる。」とか、或いは「小学校や新制中学のように維持、新設費市町村が行い、その運営責任の一半を国が負うという様な事務は完全に市町村のものとなる。」というような、以下いろいろと出ているのでございますが、これを拜見いたしまして私は非常に奇異な感じを持つものでございます。第一生活保護法市町村に移すというようなことになりますことは立法精神にも反することでございますし、そもそもこれは憲法二十五條精神によつて国責任を持つて最低限度生活を保障するというようなことになつておりますものを地方に移して、果してこれが円満に遂行して行かれるという見通しがあつてこういうことを検討されているのかどうか。生活保護法とか児童福祉法とか或いは衞生行政というようなものを、これを地方市町村に移すというようなことは私どうも納得ができないのでございまして、殊に現在においてすら、私は生活保護法のような法律が、市町村が十分の一を負担する、費用負担でございますが、ということにおいてすら貧弱町村とそれから富裕な町村との間には保護を受ける人達においても非常な差があるのでございます。当然これは保護を受けなければならないというような人達は、貧弱町村の場合はこれを受けることができないというので、非常に社会福祉を阻害している点があるのでございます。これを全面的に市町村へ移すということになつて、果してこの法律精神が生かされて行くかどうかというようなことについて非常に不安を感ずるものでございます。殊に今社会保障的なものが幾つもあるのを、これを一本にして、殊に新たなる構想の下に社会保障制度さえできようとしている今日、これはどうも時代に逆行するというような感じがするのでございますが、それについての一つ答弁を伺いたいと思います。
  11. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今藤原委員緊急質問は通告がございましたので、地方行政調査委員会議政府関係者を呼んでございます。それらの点につきまして先に地方行政調査委員会議事務局の関連しての説明といいますか、答弁というものを求めたいと思いますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは今の問題について、地方行政調査委員会議事務局調査第二課長小熊清君の説明を求めることにいたします。
  13. 小熊清

    説明員小熊清君) 地方行政調査委員会議調査第二課長小熊でございます。  地方行政調査委員会議は今年一月発足いたしまして以来、現在の行政事務全般につきまして、これを国、地方、結局府県市町村でございますが、国、府県市町村に適正に配分するにはどういたしたらいいかという点につきまして、シヤウプ勧告の線に一応沿いまして検討を進めているわけでございまするが、問題が極めて複雑且つむずかしい点を相当に含んでおりますので、現在のところ各方面の御意見なり資料なりをできるだけ広く集めるという段階調査を進めております。従いまして個々の、お尋ねありました、例えば社会福祉事務につきまして、これをどうするかという点について具体的な結論というものはまだ全然出ておらないわけであります。その点につきましては尚いろいろ複雑な問題もございますので、各方面の御意見を十分お聞きした上で或る程度結論を出したいと現在考えておるのでございます。まだ全然はつきりいたしておりません。
  14. 藤原道子

    藤原道子君 只今の御答弁によりますと、まだはつきりしていないという御答弁ではございましたが、この新聞記事はそれでは事実と相違するということになるのでございましようか。今年の十月頃にはすでに勧告を行うということがはつきり出ております。そうして十月といえば今月七月ももう終りでございますので、相当進んでおると考えられるのでございますが、その点について……。
  15. 小熊清

    説明員小熊清君) 只今のお尋ねでございますけれだも、その新聞に書いてある時期その他については、私共の方といたしましても又委員会といたしましても全然まだ決定いたしておりません。従いまして先程申上げましたように、個々事務につきましてはすべて今後の検討次第によるという現在の段階でござやます。
  16. 山下義信

    委員長山下義信君) そうしますとこの新聞に出たこの大綱というものは事務局の、あなたの方の試案であつて、まだ一度も正式の会議にはかけていないということですか。
  17. 小熊清

    説明員小熊清君) 一応事務局の構成といたしまして、專門調査員という制度を採用いたしまして、專門調査員から問題を決めて報告を出して頂き、それを基として事務局検討を加え、更に或る程度成案ができまして委員の方に検討して頂くという仕方をとつております。その專門調査員の方の報告の一部に、或る程度事務局考えを加えましたもの、それも勿論はつきりしたものではございませんけれども、大体国に留保するものは原則として市町村なり府県なりでできないものにしようという程度のことは相談いたしております。
  18. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと関連しまして……、これは公式なものですか、非公式なものですか。つまり公の大綱案ですか、全く私のものですか、その点はどうですか。
  19. 小熊清

    説明員小熊清君) それは公式のものではございません。
  20. 山下義信

    委員長山下義信君) 公のものではない……。これは誰が発表しましたか、あなたの方の事務局で発表したのですか。どうしてこの新聞社にこういう記事が出たか、その径路は分つておりますか。
  21. 小熊清

    説明員小熊清君) 事務局でもその新聞記事径路につきまして検討いたしたのでございますけれども、事務局自体としては発表したことはございません。
  22. 藤原道子

    藤原道子君 発表したことがないといつて、こんなものは漏れる筈がないですね。それが一つ。それはそれといたしまして、この頃何と申しましようか、機構ばかりいぢるのがはやつておりまして、実情に即していないと思います。そういう点から参りまして私達は非常に不安なんでございまして、こういう問題は真剣にどうすることが国民福祉に副うかということを考えて頂かなければならないのだと思うのでございます。殊にアメリカあたりでも一応は下へ渡して見たけれども、社会福祉の問題はうまく行かないというので段々上の方に又移りつつあるというようなことも私聞いておるのでございますが、古い面に逆行するような形があるように思えるのでございます。若しうそいうことになるとこれは由々しき問題だと存じますので、どうぞまあいろいろな点からの関係もあるかも分りませんが、実情に即した方向へ持つてつて頂かなければ断じて承認できないと私は考えておりますので、一つその点よく御研究願いたいと思います。  それから最初にあなたがおつしやいましたように、各方面意見を聞いて結論を出すということは大変結構なことでございます。どうぞこういう点は自分達の手柄とか何とかいうことではなくして、本当に国の、国民の幸福になるという点に重点を置いて一つお進み願いたいと思います。生活保護法その他に対して私達は非常に関心を持つてつてるおわけでございますのでつい憎まれ口もきくわけでございますが、その点何分……。
  23. 山下義信

    委員長山下義信君) 委員長からも地方行政調査委員会議に望んで置きますが、お願いして置くのですが、こういう新聞記事が出ますと、全国的に非常に動揺を与えるのです。それで国家扶助の問題は非常に強力に進めて行かなければならないという考え方で、当院の厚生委員会は従来その方針を以てすべての社会福祉立法等に当りまして厚生当局に対しましても、すでに国会の意思としては、国家扶助は極力強力に推進して行かなければならないという基本原則を以てやつておる。地方に行きましても、国会としての意見なり指導はその方針でやつておる。従つて社会保障制度基本原則等におきましても、国の責任においてやらなければならん部分が逐次増加するという考え方で、向うの非難等も出かかつておるというこの場合に、国の事務地方事務の分離という研究は当然あなたの方でなさるわけですが、それが公の議に上つて来る前に一つ試案が……厚生行政大分地方に行つてしまうのだという記事が全国に流れて行く場合におきましては、下部の都道府県なり市町村が、今一生懸命やらせようという国の方針に逆行して非常に混乱を招く虞れがあると私共考えて、厚生委員会では昨日からこの新聞記事が掲載されて以来、本委員会の各委員から憂慮せられて、今日急に来て頂いて緊急質問も行われたようなことでありまして、今後は相当公の手続を経て、公の会議にかけ、或る程度成案見通しのできるところまで行かれて、新聞記事に出ることは御随意と思うのでありますが、十分愼重なる態度でお取扱い願わないと、厚生委員会としても非常に遺憾と思いますので、その点一つ責任を以てこの委員会意見をお持ち帰り願いたいと思います。  この際あなたがおいでのこの席で皆さんにお諮りいたしますが、厚生省当局の意向をこの機会に聞いて置きたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。それでは社会局長代理から厚生省はどういうふうにこの記事に対して見解を持つておるかということを説明願いたいと思います。
  25. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 厚生省としましては、今のような問題に遭遇いたしましたのは、昨年のシヤウプ勧告の実施に伴つて平衡交付金制度が創始されます際に、同じようなことが政府部内において論議されたのが最初であつたのでありますが、その当時から厚生省としましては社会福祉公衆衞生を含めまして、これらの仕事は従来の歴史的な沿革から見ても小さい地域団体では到底処理できないということで、逐次上に上つて来て、結局中間的な団体である府県でもどうにもならないということで、結局国家責任ということが考えられるようになり、こういつた思想が日本国憲法を書かれます際にも、憲法第二十五條規定になつて現われておる。こういうような理解の下に厚生省は従来仕事をやつて来たわけであります。特に新憲法を特色付けておるものが憲法第二十五條であるといたしますならば、この二十五條趣旨は、聊かでも歪められたりするということがあつては到底これはいかんのじやないか、こういうような強い考えを持つておるわけであります。従いましてこういうような気持で従来とも施策を続けて来たわけでありますが、只今お話なつたようなことが近く行政事務の再配分に関連して問題になつて行くといたしますならば、当然厚生省側といたしましても、これに対して相当なる決意を持つて対処して行きたいこういうふうに考えております。
  26. 山下義信

    委員長山下義信君) この問題につきまして御発言ございませんですか。それでは一応この問題は打切ることにいたして置きます。   —————————————
  27. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 大臣がお見えになつているようでありますが、大臣に対して外の質問をしてよろしうございますか。
  28. 山下義信

    委員長山下義信君) よろしうございます。どうぞ。
  29. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 実は二、三日前に東京都下日雇人夫の中の婦人代表者が来られまして、四つの條件を持ち込まれたので大臣の御所見を伺いたいと思います。  その第一は、労働大臣と先生とのお二人の関係かと存じますが、東京都下日雇婦人に対しまして、最近労務手帳が取上げられようとしているそうでございます。その趣旨は、婦人日雇に成るべく雇わないで、その代り生活保護法によつてつて呉れるという趣旨らしいのでございますけれども、果してそれだけ生活保護法の余力があるかということと、もう一つは、二、三人子供を連れたりしている者があるそうでございますが、保護法の金が非常に少いのでやはり働かして貰いたいから労務手帳の取上げは中止して貰いたいという願い一つ。  それから第二番目は、簡易宿泊所東京都に作つて呉れというのであります。日雇人夫の家のない人が大変困つているそうでございまして、これは深く説明する必要もないかと思います。  第三番目は、朝早く電車賃割引をして呉れというのであります。昔あつたことでございますけれども、日給が少いので尤もな願いかと思います。  第四番目は、女の日雇人が、この炎天に子供背負つて戸外土木事業に参加しますのは、非常に子供のために惡いから、託兒所を、数は少くともいいから早急に一つ作つて欲しい。尤もなことでございまして、地方なんかに行つて見ますると、非常に託兒所要求は沢山ございますけれども……。こういうことは婦人団体の手でできることでございますので、少し家の広い所、或いはお寺なんかに、何人かの失業婦人を雇入れまして、これは一つの内職にもなると思います。熱心にさえ計画して呉れれば可能性は相当あると思いますけれども、これに対して大臣の御所見を伺いたいのと。これはちよつと労働大臣の方の問題かと思いますが、関連しておりますので御参考までに申しますけれども、只今失業保険というのが日雇人に下つておりますけれども、保険金は一日に三円ぐらい納めているのでございますけれども、実際は二カ月の間に三十二日間仕事にあり付いていた人間に限りまして、七日休んで八日目から初めて貰えることになつたけれども、実際貰つた人は一人もないそうであります。一人も貰えませんのでしぼられ損でございますので、この実情をよくお調べになつて頂きたいと思います。  もう一つ最後に、これは今朝こうもり傘直し団体から申込まれた件でございまして、国から生活保護法の金が出ても、実際物価に比較して非常に少いからというのでございますが、どうでございますか。
  30. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) 一々御尤もな要望と存じます。生活保護法十分日雇労働者が賄えるかどうか。これは生活保護法に定めます一定の困窮状態でありますれば当然保護するのでありますけれども、十分だとは当然私共考えておりません。それから失業保険のことは、これは又労働省とよく……。
  31. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 はあ。
  32. 黒川武雄

    国務大臣黒川武雄君) それから簡易宿泊所設置、それから早朝の電車賃割引託兒所設置、一々御尤もな要望と思いますからよく研究して努力したいと思います。
  33. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 これは東京都の民生局等新聞にもすでに公表しておるそうでございますから、こういうことは東京都が直接具体的に案を立てるのでございましようか。
  34. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 只今お話がありました五項目のうち、先程大臣から申されましたように、簡易宿泊所設置、それから電車賃割引失業保険の支給、この三項目労働省所管になつておりますので、厚生省としてはちよつと申上げかねる問題でございますが、これらのうち、例えば簡易宿泊所設置というような問題は、或いは一部東京都の方では民生局でやつているというようなことがあるかも知れませんですが、仕事の性質としては労働省系統仕事ということに相成つております。
  35. 山下義信

    委員長山下義信君) 社会局長代理に伺いますが、日雇労務者関係のいろいろな福利施設を申しますが、福祉施設労働大臣所管でしようけれども、浮浪者宿泊施設はこれは厚生省所管ですね。それらの関連から労働省との間のいろいろご連絡等がありますか。全然連絡がございませんか。日雇労務者の方の簡易宿泊所の方はそつちでやれ、今度はルンペンになつて宿泊所の場合はこつちでやると、截然と切つてあるのでしようか。どうも日雇労務者は、好ましくないのですけれども、段々とルンペン化しつつあるわけですが、そこのところの連絡調整等はどういうふうにあなたの方でお考えでしようか。深川委員質疑大分その辺だつたと思います。
  36. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 只今申されました点は、委員長が申されました通りになつておるわけでございまして、仕事の分け方としてそういうふうに分れておるだけでなく、実際のやり方もそういうような分け方に沿つて進めております。先ず厚生省側仕事の決め方について申上げますと、委員長が申されましたように、浮浪者に対する宿泊施設の提供というのは厚生省がやつておるわけでございますが、厚生省がやつております仕事現状を申上げますると、差当りそのあたりに浮浪しておる人々を收容いたしまして、三月なり半年の期間適当な生活訓練を加えまして、社会生活に馴致するようにする意味での浮浪者收容施設を作るということに全力を挙げておるという段階でございまして、いわばこの施設を卒業した人々が、或いは屑拾いとか、その他の方法によつて衣食を立てて行くという場合に必要な簡易宿泊所を整備するというところまでまだ十分手が伸びかねておるという状況でございます。但し部分的には、例えば横濱における二、三の施設等のごとく簡易宿泊施設にまで手が伸びかけておるというところもございます。いずれにせよ今後の浮浪者対策の問題としましては、最初收容保護施設だけではなく、これを卒業いたしました者の参ります簡易宿泊所施設、及びできれば簡易食堂施設まで整備するということが必要でございますので、そういつた一つの体系を持つた浮浪者対策を整備したいということで、厚生省としても目下研究し、来年度予算にもそういつた趣旨のものを要求したいということで現在内部で折衝中でございます。労働省側といたしましてやつておる現状は、簡易宿泊所についてはいろいろ努力もしておられるようでありますが、まだ十分できていないというような現状のようでございます。尚労働者を通じまして、例えばこういつた施設を利用します者の中にも、女子で子供を持つておるという人々もあるわけでありますが、こういう人々に対する保育所等は、それは当然厚生省兒童福祉施設としてしなければならんことであります。昨今の情勢に鑑みまして、大都市に、而も日雇労務者の多い地域保育所を集中的に整備するように現在心を配つております。
  37. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 厚生省のお方の御意見はよく分りましたけれども、この東京都下のでき事でございますので、いつか機会がございましたら、東京都の民生局長さんか、これに代る人に一遍来て頂いて、東京都の実情を伺わせて貰いたい、というのは、東京都のことが分りますれば、他の大都市のことも大体よく分ります。この頃は地方税をめぐつても分りますように、地方行政に際しまして地方調査移管されております法律の具体的な案を聞いたりこちらから注文したりしたいと思いますのでどうか……。
  38. 山下義信

    委員長山下義信君) 承知しました。次回東京都の民生局長を呼ぶことにいたします。   —————————————
  39. 山下義信

    委員長山下義信君) 日程に帰りまして、前回に引続いて災害救助法の一部を改正する法律案審議をお願いいたします。本案は大体本日中に質疑を終つて頂きたいという予定でございますので、お含み下さいまして御質疑の御続行をお願いいたします。  社会局長に伺いますが、この災害救助費の補助はできるだけ地方にやろうというお考えはまあいいのですが、これは災害救助費支出高をこういう今回の御改正のように百分の一なら百分の一というように定めますので、これはもう一方的な処置であつて災害救助費見積り基準を低いままで置いておいたのでは、私はこれは甚だ徹底を欠くと思うのです。幾ら災害救助費の総高をその県の收入の二百分の一というところまでまあ仮りに下げたにしても、その救助費見積りの仕方を、避難民の一日の費用を非常に低く見積つたりすればそれから低く押えられるので、これでは意味ないと思うのですが、前回小山課長はこの基準救助費の積算の基準が、倍率が三倍になつておると言つたのですが、三倍や五倍や十倍では実情に遠いのではないかと思うのです。この救助費基準額厚生省の方で、大臣で自由にこれは変更できるのじやないかと思いますが、自由に変更ができないのですか。それを自由に変更できるものをそのままにして置いて、一方府県の支出をこういうふうに改正することは、非常に不徹底と思うのですが、そういう点は厚生省考えはどう考えているのですか。
  40. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 只今の御質疑は二つに触れておりますので申上げて置きたいと思います。  先ず第一点は救助の場合の程度とか方法を変えるのは厚生大臣だけではできないのかというお尋ねでございますが、これは救助の程度とか方法を変えますと、必然的に財政支出に響いて参りますので、これを変えます場合には、厚生省と大蔵省と協議をして決めるということに相成つております。でこれを災害救助法では、従来要求しておりませんが、国の財政関係の法規から見まして、例えば国が経費を支出いたします場合には、大蔵大臣が認証することに相成つております。大蔵大臣が認証いたしまするものは、予め財政計画の上において大蔵省と協議済みのものについてだけ認証いたすということに相成つておりますので、勢い事実上の問題といたしまして、予め協議をして確めて置いたものでないと実際の経費の支出はできないということになりますので、形式上は協議を必ずしも必要とするようには規定されておりませんが、実質的に協議して協議のまとまつたものでなければ実施できないというようなことに相成つております。  それから第二点は、実質的の問題で、現在の程度では低過ぎやしないかというお尋ねでございますが、この点については率直に申上げまして、私共もでき得ればもう少し引上げたいという考えを以ちまして、昨年秋におきましては相当強い態度で折衝いたしたのでありますが、うまく話が進みませず、現在のように相成つておるわけであります。ただここで一言申添えさして頂きたいと思いますることは、現在救助の程度として決めて置いた範囲以上に亘つて、実際上地方がやらざるを得ないに拘わらず、国として経費補助の対象としての金額をあの程度に止めて置くというような事実はないのでございまして、見積りとしては、現在でも実際地方がやつただけを救助の対象として見ておるわけであります。ただ事実上の問題として救助の程度が低過ぎるために、それ以上に亘つて実施しても果して国からの補助金交付が得られるかどうかについて自信を持ちかねる地方が、勢い救助を手控えてその範囲で止めてしまうという傾向のありますことは、正しくおつしやる通りでありまして、この点はやはり救助の程度を引上げるということで根本的に解決しなければいけないということを常々考えておるところでございます。  尚最近の傾向といたしましては、この救助の程度まで実施してないという府県が、府県と申しましたのはつい言葉の走りで申しましたが、県が一、二出ております。これは專ら地方財政の事情というようなこと、それから災害がしよつちゆう重なつてつて、そうそうやつてもおられないというような気持が強いからだと思いますが、救助の程度まで行かずに、その何割かで手控えてしまうという傾向があつて、非常に私共この点は憂慮いたしまして、それらの県とその後も交渉して、そういうことのないようにしておるわけでありますが、そういつたような傾向のありますことは、誠に憂慮すべきことではありますが、一面救助の程度というものがもう曾て考えられておつた程に低くないということをも物語るものであるというふうに考えてもいいように思われるのでございます。
  41. 山下義信

    委員長山下義信君) 救助の基準が低いと結局避難民が千人であるのを三千人と書き、炊出しを五百人した分を二千人分と書くとか、いろいろ請求書に手心を加えるような弊害が出て来るので、やはり実際上に必要な基準には当然改正すべきで、今おつしやつた支出の事務は大蔵省と交渉しなければでさないでしようけれども、法規の上では厚生大臣でできることになつておるのですが、一体我々常識として聞いて置きたいのは、仮りに我々の選挙区で大火事が起きたり水害が起きたりしたら、その救助費をあなたの方に行つて請求するのに、救助費を請求したらそれが妥当であるということの認定はこれは施設課長のところでするのですか、どういうふうに厚生省がするか、その手続を簡單に教えて下さい。
  42. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 実際に災害が起きました場合には、府県といたしましては予め決められておりました救助の範囲で直ちに実施をいたします。その場合府県としては予め支出について本省の承認を求めることを必要といたしません。直ちに府県の判断で実施してよろしいということになつております。厚生省でやりますことは、府県が実施しました後で調書を以て厚生省へ金の請求をして参ります。その際に事実上基準の範囲内で行われておつたかどうかということと、実際の支出が正当に行われておつたかどうかということを、具体的に申しますと、厚生省施設課の者が検討するということをいたすわけであります。その検討が済みましたならば、直ちにこれは災害の規模によつて、時期は違います。非常に大きな災害である場合には、長く地方費で立替えて置きますことは、到底地方団体の堪え得るところではありませんので、非常に大きな災害の場合には直ちに大蔵省に予算の支出を要求する。金の支出を要求いたします。小さな災害の場合には、その年間のものを一括いたしまして、年度末に請求するということにいたしております。大蔵省は厚生省の認定したものに従いまして金の支出をする、こういう手順で実施しておりります。
  43. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと速記を止めて。    午前十一時七分速記中止    —————・—————    午前十一時二十三分速記開始
  44. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を始めて。それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後十一時二十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    理事            小杉 繁安君            有馬 英二君    委員            大谷 瑩潤君           池田七郎兵衞君            中山 壽彦君            河崎 ナツ君            堂森 芳夫君            藤原 道子君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            深川タマヱ君            松原 一彦君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君   説明員    厚生省社会局長    代理      小山進次郎君    厚生省社会局施    設課長     熊崎 正夫君    地方行政調査委    員会事務局第二    調査課長    小熊  清君