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説明員(
曾田長宗君) 差上げました
資料の中に「
統計調査部の
所管行政について」という表題をつけましたものがございまするが、これに要点を載せておきましたのでありますが、大体
厚生省には
從来統計を專管する機関がございませんので、
昭和二十二年の八月から、当時の
公衆衞生局に衞生
統計課が設けられまして、これより
さき二十一年の暮に
公衆保健局に
調査課というのが設けられたのでありますけれどもこれは必ずしも衞生
統計專管ではございませんでして、
只今御
説明になりました
国立公園の
事業あたりもその
庶務課が初め
所管してお
つたというようなこそ、いろいろな他の
事務をも合せ
所管しておりまして、
統計專管の課ができましたのは二十二年の八月ということに
なつております。これより
さき司令部から早くより
人口動態統計を当時
所管しておりました
総理庁の
統計局より
厚生省に
所管督するよう、この
人口動態統計はその性質上衞生
行政その他の
厚生行政に極めて緊密な
関係のあるものであるから、ただ
国家に必要な
資料を中央で集めるということだけでなしに府県、或いは市、
郡町村というようなものにおきましても衞生
行政、
厚生行政を運営して行くというこの
資料にも使わなければ非常にむだであるというような考から、これを
厚生省に
所管替するよう
勧告があ
つたのであります。
関係の
厚生省、それから
総理庁の
統計局及び法務府
あたりと
連絡をいたしまして協議いたしました結果、
昭和二十二年の九月からこの
事務を
厚生省に移すことと相成りまして、県におきましては十月、それから保健所におきましては二十三年の一月一日からこの
事務を処理するということになりましたのであります。今日の
制度は二十三年の一月からの新しい
制度によ
つておるわけであります。
それから二十三年八月には衞生
統計部が
予防局に移りまして、そうしてこの衞生
統計課が衞生
統計部に昇格いたしたのであります。二十四年の六月に
厚生省設置法が施行されましたに伴いまして、この
所管の
事務が幾分変り、衞生
統計だけではなしに、
厚生省内全般に亘り
統計調査事務を
所管するということに相成りました。
從来医務、
薬務、
公衆衞生及び
予防というような四局の
仕事だけをや
つておりましたのでありますが、この衞生
関係諸局の
仕事だけではなしに、
社会局、兒童局その他
社会行政関係の
統計をも私共のところで調整し、取りまとめるということに相成
つた次第であります。それで今日は、二は大体飛ばしまして、三に参りまして、
指導課及び計析課、製表課という三課より成り立
つておりまして、総員は九百二十一名ということに
なつております。このうち大部分は製表課に所属いたしまして、手数のかかる製表
事務に從事いたしておる次第であります。各課の細かい
所管につきましてはここに列挙してございますので、それを御覧願うことにいたします。ただ
ちよつと変
つておりますのは
指導課という名前でございますが、これは各府県及び保健所、こういうところがまだ
統計事務に慣れておりませんので、これを十分に
指導監督するというような意味において、
厚生省に十八名の現地
指導官というものを設けまして、これが今日は全体といたしまして八ブロツクに分れておりまして、二人の一組だけは本省に直属しておるというような形に
なつておりまして、担当の各府県を廻
つてその
指導監督に当
つておるということに
なつております。
尚
人口動態統計は御
承知のように戸籍法に基く出生、死亡、婚姻、離婚という届出、それにその外死産が入
つておりますが、死産はこれは戸籍法にはございませんで、
厚生省の特別な政令に基いておるわけであります。こういうような、大体が戸籍法に基く届出、これを基礎としておるものでありまするから、この戸籍
事務が完備しておりませんと完全なものができません。又戸籍
事務を担当しておる市町村の吏員以外に
人口動態統計所管の職員を置くということは重複になります、又無駄でございますので、その市町村の戸籍係に
人口動態統計の基礎になります
調査表を作成させておるわけであります。この市町村の
人口動態統計事務を
指導監督いたしますために、戸籍
事務の
指導監督に当
つておる法務府
関係の
事務官であります法務
事務官、これは概ね三百人
余りでございますが、これを厚生
事務官兼務にいたしまして、そうしてこれに
厚生省からの人口動態現地
指導をも命じておるというような形を採
つております。こういうような現地
指導組織というものが、一連の組織がございますことを御
承知願いたいと思うのであります。
それからその次に
事務の内容について申上げますが、先ず第一に最も重要なものは
人口動態統計調査でございます。これは年間約六百万件に当るわけでありますが、從
つて月概ね五十万ずつ事件が起るのであります。この起りました事件を各市町村から保健所に
調査票を二通送
つて参りまして、その一通は県に送り県から一ケ月分取りまとめまして
厚生省に送
つて参ります。それを中央で集計する。この
事務が大体二ケ月後の末日にこの集計が完成することに
なつております。それからそれより先保健所におきまして出生、死亡、死産、婚姻、離婚という五つの事件について総数だけを保健所単位に取りまとめた
数字を一ケ月後に送
つて参ることに
なつております。從
つて二ケ月後には重要な死亡原因或いは年齢別の
関係、かなりいろいろな細かい点にまで入りました
統計が発表に
なつておるわけであります。それよりも先即ち一ケ月後には当該別の総数だけは中央に全国的集計が可能となるというような仕組に
なつております。このスピードの点におきましては
外国におきましても失して劣らない
程度に
事務は進んでおるということに
なつております。それから公表いたしましたものは、直ちに
一般の閲覧に供するわけでございますけれども、その便利のために極く簡単な謄写版刷りにいたしまして新聞発表を直ちに
行つております。それから又それと同時に本印刷に廻しまして、印刷にいたした
人口動態統計毎月概数というようなものを発表しております。本年は実は正月からこの死亡原因の分類が国際的に変
つて参りましたので、その新しい死因、それから古い從来からの死因、この照合をいたすという意味で、司令部の方で一応の指示があるまで発表を暫く待てということを命ぜられたので、この印刷が幾分遅れたのでございました。併しこれも話が最近つきましたので近く印刷にいたしまして、一月から四月分のものは皆さんのお
手許に差上げられると
考えております。その後は從来
通り毎月々々二月遅れにこの詳細な概数、それから簡単なものはそれよりも一月前に発表ができるというように
なつております。
それからその次にはそれ以外の
統計でございますが、そのうちの
一つは衞生年報として上げておきました。これはこちらにもございますのですが、毎年これは内務省の衞生局時代からこの衞生年報というものが出ておりましたが、それの継続ともいうべきものでありまして、衞生
行政関係の基礎になります
統計数及び
行政上の活動状況を示します。
数字を取りまとめたもので簡単な
説明を加えております。年に一遍ずつ発表いたしております。
それからその次は伝染病
関係の
統計でございますが、そのうち
一つは伝染病簡速
統計と申しております。これは簡単で迅速な
統計という意味でございます。これを伝染病届出規則に大体基きまして医師から届出られました法定伝染病、届出伝染病、性病というようなものにつきまして、保健所においてこれを受理いたすのでありますが、これを県に直ちに毎日送付いたしまして県において受付順に從
つて週報を作ります。その週報の
数字を中央に、遅くなります虞れのある場合には電報で通報して参りますこの
数字を全国的に重ねまして伝染病週報というものを、これは謄写版刷りでいたしておりますけれども、毎週出しております。
それから一月経過いたしますれば、この週報を軍ね、
一つの週が両月に跨がるような場合にはこれを両月に切
つて報告をさせますので、これを重ね合せますれば一ケ月分の
数字が出て参りましてそれを月報として発表いたしております。非常に厄介なのは、あとで訂正報告が参りますのでこれを加味して行くことが非常に技術的にむずかしいのでございますが、最近はまず正確にこの週報、月報が発表できるという状態に
なつております。勿論この月報は今度一年を通じまして年報としても発表いたすようにいたしております。
それからその次のハの伝染病精密
統計と申しますのは、法定伝染病及び結核の一部分かなり殆んど半分に近いと思うのでありますが、結核の一部分、それから性病、こういうものにつきましては、医師から届出が保健所に出ますと、保健所において伝染病
調査票というものを作成いたしまして、保健婦或いはその他の保健所職員及び市町村の防疫職員というものが発生地に参りまして、その患者の状況、或いは発生の状況、周囲の家庭的及び自然的、社会的な状況というようなものを取調べまして、そしてこれを伝染病防遏、或いは結核
予防、性病
予防の
資料に使
つておるのであります、そのうち重要な項目につきましては伝染病
調査小票と称しまして、この
調査小票を県を通じまして中央に送
つているのでございます。私共のところではその一人々々の単名票に基いて、この伝染病の精密
統計を又作るというようにいたしておるのであります。いろいろな細かいことは申上げませんが、例えば簡速
統計のごときは、この患者の発生地或いは診断の場所で集計いたしませんと遅く
なつてしまいますので、非常に難点はございましてもさような
方法でスピードに
重点を置いておるわけであります。精密
統計となりまするのは、その平生の居住地というようなものを基礎にしてどこに住んでおる人間からどれだけの病気が出たかというような、より正確な集計
方法を採る。その代り時期が若干ずれるというようなことに
なつております。この伝染病精密
統計も事件の起りました大体二ケ月後に集計発表いたすということに
なつております。これも印刷の上公表するということに
なつております。
それから次の病院月報は、これは全国におきましての各種類の病院について、その病院の数の増減及び病床の数及びこれを
利用しております入院患者及び外来患者の状況というようなものを毎月報告を取りまして、取りまとめ、これも印刷の上定期に公表いたしておるような次第であります。
それからその他のものといたしましては、私共のところで全面的に責任を負うておるという形ではございませんが、他の局或いは他の
所管事務、そのうち
統計事務を私共の方でお引受けをしておるというようなものが多々ございまして、そのうちの若干のものを例示いたしますれば、
公衆衞生局関係の栄養
調査、これは年に四回いたしておるのでありますが、この
調査の
統計的な企画及びその結果の取りまとめ製表というようなことをや
つております。又保健所各般の業務報告というようなものも、
統計として取りまとめますのは私共の方でいたしております。その外医務局
関係の幾多の
統計事務というようなものもお引受けいたしております。私共の人員或いは設備の許します限りはできるだけ方々の他局或いは課の御要望に副うようにお手伝いをするつもりでおります。
それからその外、今度社会福祉
統計でございますが、これは先程申しましたように割合に新しく私共がお引受けするということに
方針が決ま
つた統計でございます。今日のところ
社会局、兒童局から被
保護者世帶の
調査、或いは身体障害者の
調査、その他兒童福祉
関係の
統計調査をお引受けいたしておりますが、今のところまだ全面的に私共のところでこの
資料の取りまとめから責任をお引受けするというようになりましたものはまだはつきり決定いたしておりません。いずれ司令部の方からも御意見があるということに
なつておりますが、まだ確定は必ずしもしておりません。むしろこの第二番目のホに掲げましたごとく、むしろ他局の
所管の
仕事であるが私共の方で製表
事務、或いは簡単な
統計的な計算をお引受けしておるというような
段階が今日の状況であります。この点につきましては、この社会福祉基本法の制定というような問題もあり、
社会局方面で社会福祉
事務所の設立というようなことも
考えられてございますので、各府県或いはその福祉
事務所等に
統計職員を配置して、社会
統計の最末端、最前線の組織を強化するという必要があるものと
考えて、
予算等につきましても今折衝いたしておるのでありますが、皆さんからも十分に御研究を願いまして然るべく御援助を願いたいと
考えるものであります。
最後に社会保障
関係調査というのがございますが、これは
昭和二十五
年度におきまして社会保障の基礎になるべき各種の
統計調査がございますので、そのうちの可成りな部分を私共のところが大体主に
なつて実施するということに
なつておりまして、例えば
一つは医療
調査と申しております。これは
国民の間における疾病の量及びその疾病に対して如何なる治療を行
なつておるか、又その間医療に要する
経費が如何ばかりであるか、そうしてその
経費を如何ような
方法で支弁しておるかというような点の実態を掴みたいというのでありまして、この診療所、病院等の
施設の面から患者についての
調査をいたしますものと、今度医者にかからない患者というものも拾い出す意味で世帶の面から
調査を進めるというような、二方面からこの問題を追及いたしております。又その外必ずしも医療に要する
経費だけではなしに、この社会保障の対象厚生になるべきものの收支の状況、生活の実態を掴むという必要がございますので、特に生計
調査というものを本年実施いたすごとになりまして、九月の一日からこれを採り上げることに
なつておるのであります。なかなかむずかしい
調査でございますが、農林省で実施しております農家経済
調査、或いは総理府の
統計局で
計画いたしております。即ち今日のC・P・Sを幾分規模を変えまして生計
調査に組み替えようというような案も進んでおるようでございますが、今日、全
国民を含めた生計
調査がございませんし、又
厚生省といたしましては、被
保護者或いは結核家族、或いは母子家庭、或いは身体不自由者の家庭というような具合な特殊世帶というものに対して、
相当はつきりとした実態を掴む必要がございますが、こういうようなものは、
一般の他省におきましての
計画の中には入
つて参りませんので、これを
厚生省で実施することにして頂いた次第であります。尚この種類の
調査といたしましては、
昭和二十三年以来これに類する小規模の
調査も若干進めておりまして、又
昭和二十六年以降におきましても、社会保障の準備
調査としては一応二十三年だけしか頂けないかも知れませんが、今後社会保障を運営して行く、或いは
厚生行政万般の推進ということのためには、この種類の
調査をまだ二十六年からも継続して参らなければならんのではないかというような具合にも
考えておりまして、その外間
計画されております、
厚生省として必要と思われる、
統計調査事務は多くございますのでありますが、人員或いは機械設備というようなもので、一度には担当いたしかねますので、この
程度のことを
計画いたしておるのであります。尚本年は
事務能率を上げますために、機械川を、細かくは申上げませんが、全体を合せまして百三十七台ばかりの機械を八月から九月に亘
つてアメリカより輸入借上げをいたすことに
なつておりまして、こうなりますと、
事務の能率が
相当捗
つて参るものと思うのでありまして、ここに掲げましたいろいろの箇条というものは、実はそういう機械を輸入した上で消化し得るという
計画に
なつておるわけでございます。
大体
只今やらております
事務の梗概を御報告申上げたのであります。その個々の
統計の内容等につきましては、時間がございませんでしたので省略いたしました。御質問がございますれば、最近の
数字等についても御
説明申上げます。