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1950-10-14 第8回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月十四日(土曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (台風災害救助に関し証人証言  あり)  (厚生省関係予算に関する件) ○派遣議員報告   —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今より委員会を開会いたします。本日は社会局関係につきまして質疑を続行し、派遣議員報告に関連したる事項につき御審議を願いたいと存じます。先ず社会局所管事項、特に昭和二十六年度予算に関連いたしまする政府の施策につき、これを議題に供します。この際前回の委員会におきまして、近畿地方における台風被害状況視察議員報告中に、同地の災害救助につきまして特に盡力活動せられました方々から当時の実況を聴取いたしまして、一つには関係者の御努力に対し感謝の意を表すると共に、一つには今後の災害救助に関する施策の参考に資せられたいとの意見がありましたので、これを実施することに決定いたしました。これに基きまして本日は証人といたしまして、民生委員代表大阪西淀川民生委員協議会常務委員池永辰次郎君、及び大阪大正民生委員協議会常務委員朝野米吉君、財団法人白鳩会会長片桐よしのさん、財団法人白鳩会会員小松登史子さん、日本赤十字社大阪支部奉仕部長杉本好太郎君、大阪市港区奉仕団委員長北川周一君、及び大阪学生奉仕団委員長山崎節郎君の七名の方に御出席願つた次第でございます。先ず当時の派遣議員中山委員発言を願います。
  3. 中山壽彦

    中山壽彦君 先般の台風被害は紀伊、京阪神が最も甚大でありました。私共大阪に参りまして、知事及び市長より当時の被害状況を詳細に聴取をいたしました。又これに対する各種社会事業団体方々が連日連夜に亘り或いは医療救護の面、或いは物資配給の面に連日連夜不眠状態において活動をされましたことを詳細に聽取いたしたのであります。時間の都合で現地を観察することは非常に制限をされましたが、私共市の社会課長の案内によりまして西淀川区役所に参り、区長室におきましてたまたま民生委員方々ララ物資配給に非常なるお骨折をされた現状をまのあたり見まして、非常に感激に打たれたのであります。又次いで白鳩会、これは婦人方々社会事業団体でありまするが、この幹部の方よりも、いろいろこの救済現状を詳細に聴取することを得たのであります。私は両所におきまして私個人において非常に今日までの御努力に対し感謝言葉を述べて置きましたが、その後先回の厚生委員会におきましてこの御報告を申上げ、同委員会において今日私の報告に基きましてこの会議が特に催され、関係方々の御出席を得るに至りましたことは、私視察一つ人といたしまして誠に感謝に堪えないのであります。どうかお見えになりました各方面方々から、救済現状、或いは実情等につきまして詳細お聞き下さることを得ましたならば、私共誠に仕合せと思うところでございます。
  4. 山下義信

    委員長山下義信君) これから証人から災害当時におきまする救助活動状況につきまして証言を願いたいと存じます。先ず証人証言をお願いいたします前に、宣誓をお願いいたします。宣誓書は各自御朗読願います。皆様の御起立をお願い、いたします。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつて〕    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 池永辰次郎    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつげ加えないことを誓います。         証人 朝野 米吉    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 片桐よしの    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 小松登史子    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 杉本好太郎    宣誓書   良心征つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 北川 周一    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 山崎 節郎
  5. 山下義信

    委員長山下義信君) 先ず大阪西淀川民生委員協議会常務委員池永辰次郎君から御発言を願いたいと存じます。
  6. 池永辰次郎

    証人池永辰次郎君) 池永でございます。本日お招きに預りまして極めて光栄に、西淀川区、そうして大阪市といたしまして厚くお礼を申上げる次第であります。只今発言議員中山議員さんが親しく厚生委員代表として、丁度十六日かと思いまするが、西淀川区にお越し下さいまして、当時ララ物資配給をいたしておりましたのをまのあたり御覧下さいまして、御承知のように西淀川区は罹災地区におきまして、大阪市内における最大被害地区であります。人口七万七千九百二十名、世帯数一万九千四百六十七戸のうち殆んど全世帯床上浸水の悲惨なる状態に陥りまして、六万戸の罹災民を見た。かような空前絶後の被害を見たわけであります。この意味におきまして民生委員は常に生活保護法に基いて、要援護者を把握しておりますが、一朝有事の際はすべてを超越いたしまして日赤奉仕団と唇歯輔車の立場におきまして、頂きました、而も沢山全市で一番多い九千七百七件という偉大なる、厖大なるララ物資を頂いたのであります。これを全壊家屋、勿論要援護世帯には優先的に、更に半壊家屋床浸水、家財を流した家族、かように枠を掃えまして、至れり盡せり配給を成るべく早急に即刻にいたしたようなわけであります。ただ遺憾なことはこのララ物資を十六、十七、十八の三日間に配りましたが、一応は区役所テントを張りまして、警察の護衛を願つて救援隊盡力のうちにお配りしたのでありますが、臨海地区は二部落ほど約二千世帯が水につかつて来られない。ここにおいて舟を浮べて民生委員並びに私共相次ぎまして、その収容所として学校を使用いたしておりますので、学校に向つてこれを配給しに持つてつた。かようなことで餓死に瀕した方々応援したために皆が感涙されたという状態であつたわけであります。ララ物資配給にいたりましては気持において先ず一番早く、而も一番迅速にこの配給物資が各罹災方々に配られたということを、当西淀川区は申上げても憚からない、かように存ずるわけであります。それ以外に、あらゆる救援物資は着々と参りまして、これ又救援隊と相共に、民生委員、更に日赤奉仕団相共に協力いたしまして、あのトラックの輪が殆んど見えないというような浸水の所まで物を持つて行つて、それからその上は舟で運ぶというような状態で配りまして、成るべく、そうして一刻も早くこの罹災者方々に潤したいという気持に懊悩として日夜かかつた次第でございます。これに間違いないことを証言します。更に御承知のように西淀川区は臨海地区でございまして、今度の大被害は、応急防潮堤というのが臨海地区にあつたのでありますが、これが破壊されまして、一度に水が入つたために二十七ケ所堤防が切れ、そうして氾濫したというような状態になつておりますので、是非とも厚生援護事業については十分に御理解を下さる参議院厚生委員会でありますが、更に援護事業をするよりも一歩進んでこの災害を起さないようにするために御盡力下さることを切にお願い申上げる次第でございます。いろいろ申上げたい次第でございますが、委員長さん、時間はまだございますか。
  7. 山下義信

    委員長山下義信君) 次に大阪大正民生委員協議会常務委員朝野米吉君の御陳述を願い起す。
  8. 朝野米吉

    証人朝野米吉君) 私はここで皆様御礼を申上げたいと思います。あの水害の中をいろいろ御視察を願いまして、その際は有難うございました。私の区も二米あまりの水が浸水したのであります。ところが非常に今度有難く思いましたのは、ただ罹災に遭うた地区より、又罹災のあられない地区でも非常に被害は沢山あるにも拘わらず、我々のところへあの救援物資を送つて貰つて誠に有難うございました。これは被害に遭うたところに、被害に遭わんところから物資を送つて頂いたということは誠に私は感謝に堪えないのであります。ここにおられる白鳩会の方からも日に、大阪市で百万の握飯を拵えられて、私の区も六万の区民がおられますが、これらに食わす、食糧は全部こういう方から送られたのでありますが、これは百万のむすびを拵えるということはなかなか晝夜兼行で、我が身を忘れて、そうして拵えて頂いたと思うのです。これは感謝せずにおれないのであります。いろいろこれには又ララ物資もありましたけれども、私のほうは二、三日遅れたのであります。なぜ遅れたかと言いますと、配給する場所がないのです。お役所等も六尺あまりもつかつたものでありますからどこもない。それで大正橋の一部がまだ水がなかつた。そこへテント張つて、そうしてそこを本部として救援物資を日に十数台のトラック又オートバイで送つて来られて、その受入に忙殺されてみな日赤奉仕団、又民生委員が手を繋いで、一体となつて活動されたということは、私は今度は感謝せずにおれないのであります。これらにつきましても非常に皆さんにお世話になつておりますが、大体は私は書面を以て書いてありますので、あの通りに違いはありませんです。甚だ簡単でございまするが……。
  9. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は白鳩会会長片桐よしの君から災害当時に活動せられました模様をお話願いたいと存じます。
  10. 片桐よしの

    証人片桐よしの君) 大体白鳩会会員制度から一言申上げます。白鳩会は、この戦争によつて未亡人になられた方又外地から引揚げられた御婦人、内地にあり外地にあつて両親をこの戦争によつて亡くされた未婚の女性という不幸な女性達のみによつて組織された会でございます。これから直接お答えいたします。過日の風水害のときは、私のほうもやはり同じように約四十万円ほどの損害を被りまして、ネオン、ガラスそれから屋根、相当荒されましたのでございますが、翌四日の日からかかる不幸な御婦人のみによつて立ち上りました会であるがために、皆さんの御不幸は皆さんよりか余ほど感じるらしく、会員自体が自発的に相談いたしまして、四日から救済に出ようということに意見が一致いたしました。いち早くいろいろの物資代用食のパン、乾うどん、それから子供年寄用のお菓子、野菜、果物、たくあん、梅ぼしというような品々を買集めまして、四日の日から約五日間会員ロマン座を経営しつつ第五班に分れまして、一班五人ずつが出動いたしました。初めは先ず浪速区、西成区の浸水した地方、先ず北の方から救済に当りまして、このあたりは新聞でも御承知のように最も被害の多かつたところは塩草と申しまして、市営住宅のあつたところでございますが、私共参りましたときには板片が積んであるかと思うような家の倒壊の有様でございました。それから木津川尻の水が氾濫いたして参りまして浸水した跡、引揚げた跡はどろどろのどふろ土というようなものが箪笥、衣類の上に残りまして、その後始末は、風を受けて荒されたところより最もみじめでございました。それから三日四日五日と、これは港区、今日御出席になつておられると思いますが、この地方に参りました。この地方浸水の非常に激しかつたところでございまして、私共参りましたときにはまだまだ水が来るくらいでございました。そうして物資は比較的交通の便利な大道路のみに配給された傾きがございます。私共はこれをいち早く感じましたものですから、三日目から府の御援助によりましてトラックを拝借いたしまして、そのトラックにボートを乗せまして、そして個別的に物資配給しましたようなわけでございます。殆んどが一階にお住いになれず屋根や二階にお住いになつておられました。交通が杜絶しましたために非常に物資は不足しておりまして、お家によりますとその日食べるのにも事を欠くお家もあつたらしく患われました。私共は会員が協力いたしまして、そして一軒々々廻り物資を差上げましたのですが、どうも初めは容易に二階や屋根から降りていらつしやらない、早くして頂かないとなかなか配る時間がかかりますので、早く来て下さい、これを差上げますと申しましても、お金が要るのですか、それは只で頂けるのですかと数回念を押されました。そこでこれはお金は要りませんと申上げたら、やつと安心して降りていらつしやつて手を差しのべられました。後でそれを聞きますと、何か不正な物売がありましてたくあん一本百円ぐらいで押付けられたというようなことも聞きました。こういうことがあつたために非常に貰うということに逡巡されたように思われます。こういつたふうに私共会員は五日間商売片手間に手分けをしまして、女でございますので、中には子供を四人も五人も抱えた未亡人もございますので、相当困難も伴いましたが、同じような不幸な方をお救いするという気持から差上げましたので、非常に皆様が張切りましてやりましたので、罹災者から涙を流して感謝されました。昭和九年の水害のときには相当救済の手も差しのべられましたそうで、白鳩会のやりましたこともその当時に比べましたら誠に微々たるものでございますが、今回は民間があまりお立ち上りがございませんでしたので、非常に取上げて頂きまして今日この席に御招致頂きまして身に余るお言葉の数々を頂戴し誠に感謝に堪えません。その点厚く御礼を申上げます。
  11. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は日本赤十字社大阪支部奉仕部長杉本好太郎君から当時の活動状況を御陳述願います。
  12. 杉本好太郎

    証人杉本好太郎君) 赤十字杉本でございます。常に参議院の各位におかれましては、日赤の進歩と力に大きな御後援を賜わつて頂きまして誠にこの点感謝に堪えない次第であります。殊に今回の関西の暴風雨につきましてはいろいろと御援助を賜わりまして誠にこの点も深く御礼を申上げます。只今から日赤大阪支部としての活躍状態の概略を申上げます。殊に今回のジエーン台風戰後復興の途上にあつただけ、ぞの被害規模は極めて大きく、先の昭和九年の室戸台風関西を襲いましたのと劣らない状況でありまして、邦家のため誠に遺憾に堪えない次第であります。台風の暴威は一瞬にして家屋を倒し、又電柱をなぎ、交通通信機関をズタズタにして杜絶せしめたため被災地一帯は文字通り暗黒世界となりまして、人心の不安は増大するの止むなき状態に陥つたのであります。かてて加えて西大阪全体に亘る高潮の来襲は凄惨と恐怖を現出し、貴重な人命と財産を容赦なく一瞬にして奪う惨状でありまして、救護活動は寸時の暇をも與えない火急を要請されたのであります。このとき大阪府におきましては、知事公舎におきまして各救助隊隊長をお集めになりまして、知事が親しくこの企画を立てられたときに、食糧問題から次に救護問題に移つたときに、日赤はどうか、こういう知事お話がございましたときに、もうすでにあのときは午後の五時でありましたが、一班、二班と日赤救護班を西大阪に出しておつたのであります。こうした混乱と絶望の最中にありまして日赤奉仕団活動は極めて迅速適切に行われたように思うのであります。即ち特別被災地区浸水家屋に急遽応援部隊編成されたのであります。これは平素災害時において奉仕団はどういうふうに働くかということで日頃から班を拵えて編成をしておつたのでありまするが、これを更に編成をいたしましてその救助に当つたのであります。又比較的被害の少い地区からの炊出し及び物資配給は、それこそ本当に自己を滅却したところの涙ぐましい奉仕団活動が行われたのであります。この炊出し並びに物資配給はこの奉仕団の強固なる日常の組織が何よりもものを言つたと私は思うつであります。旧町会を解消した今日では日赤奉仕団が唯一の細胞機関であり、今後の救援物資は一句日赤奉仕団を通じて行いますと掲示されました区長の布告は、明らかに奉仕団活動を認め、全幅の信頼と安心を寄せられた証左に外ならないと存ずる次第であります。殊に奉仕団員は殆んど我が家災害自分自身被災民であることも顧みず、浸水地では舟の不足などに筏を作つて避難民の救出に当たられ、合せて災害救助隊全部門に奉仕協力を続け、被災地の末端まで救護の温い手を差しのべたのであります。又とりわけ停電による暗黒の不安も奉仕団による治安維持協力によりましてこれが完全に行われて市民に大なる安心感を與えたのであります。赤十字のマークの入つた提灯を各場所に設置いたしまして、そうして町々の夜警をしたのであります。この点も非常に大きな存在であつたのであります。救助について当然起る復興作業にいたしましても、先ず倒壊家屋の建直し、残骸の取片附けなど、団員各自がお互いに助け合い、稀に見る博愛と隣保共助の精神を生かし、極めてこれが自然に町から町へと行われて行つたのであります。この相互扶助の心に燃える日赤奉仕団の力が源動力となつたことは言うまでもないのであります。やはりこれは日頃からの組織が完全に行つてつたためと思うのであります。各地とも非常災害における救助活動は、期せずして日赤奉仕団に頼る外ないということの事実を決定付けたことは我々のひとしく誇りとし、喜びといたしておるのであります。これを要するに我が大阪といたしましては、全国に卒先して奉仕団結成がいち早くなされていたためでありますが、顧みまして結成当時からの苦難と努力が漸くここにその実を結び得たことを最大の喜びとしておるのであります。市民の熱烈な意気と闊達な実践とがこの確固たる基礎を築き、遂にかかる立派な真価が発揮されたものでありまして、絶望の暗い災害地の中に光明を放つて多くの人々から感謝されておるような次第であります。日赤奉仕団の今後の活動は極めて大きな期待と刮目を寄せられておるのでありまして、更に社会奉仕のために一層の発展を要望されておる次第であります。殊に先ほどもお話になりましたように、炊出し奉仕におきましては、婦人方々の並々ならん御努力があつたのであります一ケ所で約十石の米を朝の八時から晩の九時まで炊いて、それを握る手がふやけて非常に困つたという話も聞いておるのであります。又更に東住吉区の婦人団におかれましては、十三日の日でありまするが、四万世帯から集めた下着、おしめ、ゴム長、鍋、釜というような、新古品取り混ぜて七万六千四百余点をトラツク三台に積んで大阪市庁に渡されたのでありす。港、大正、此花、西淀川というような特別被災地区に送られておるのであります。奉仕団の延人員として十六万三千三百八十五人というものは確実に動いておる数字でございます也以上簡単でありまするが、証言といたします。
  13. 山下義信

    委員長山下義信君) 次に大阪市港区奉仕団委員長北川周一君から当時の状況についてお述べを願いたいと思います。
  14. 北川周一

    証人北川周一君) 私北川でございます。九月十三日に参議院議長代理として参議院議員井上なつゑ女史先生が私共のところにお見舞に来て頂いたのであります。区民一同感謝感激をいたしましたので、この席を以ちまして御礼を申上げたいと思う次第であります。つきましては日赤奉仕団として私のほうの港区の災害救助に対しますところの状態只今より申上げたいと思います。御承知通り奉仕団は昨年の八月に結成されまして誠に日が浅いのでございます。災害救助ということにつきましての体験も非常に浅いのでありまして、実は組織を持つておるだけのような状態でありましたが、丁度この三日のジェーン台風に対しまして、即日救助隊隊長の命によりまして招集を受けたのであります。そのときの組織といたしまして、奉仕団協力部というものを設けました。委員長協力部長になりまして活動に入つたのであります。御承知通り委員長以下全部がその災害を受けておりまして、自分の家は倒れ、或いは床上浸水いたしまして、本当に全部我が家を捨てまして、そうして救助隊本部に集合したのであります。私共のほうは四連合に分けまして、四連合の下に三十分団の組織をいたしまして、三十分団の下に約百班の班の組織をいたしました。そうして当港区の四万八千人の人口に対する救助に当るわけであります。災害と同時に警察の消防の警鐘が鳴りまして、と同時に又サイレンによりまして一般区民災害状況報告したのであります。そうして第一番に駈けつけたのは避難誘導班であります。常にそういう場合には如何なる所へ避難するかということは常に組織でできておりまして、特にこの港区におきましては、昭和九年以来四回こういつた大小の被害を受けておりますので、聊か避難ということにつきまして組織が非常にうまく行つておりました関係上、三十ケ所の避難所を担えてあつたのであります。そうしてその避難所に何地区はどの通路を経て避難するかということを、ちやんと各避難民に全部それを周知徹底しておりました関係上、中には自分の家にあるトラック、或いはいろんなものを以ちまして救助に当つたのであります。そういたしまして丁度日が暮れでありました。電燈も消え、もう暗黒たる街になつてしまつたのであります。床上浸水八尺に及びまして、私のほうの地区が一番被害が大きいのではなかつたかと思うのであります。どの家もこの家も最低床上浸水三尺以下というものはなくして、全部が下の壁は落ちてしまうというような実情であつてのであります。ところが今度赤十字奉仕団というものが、初めて一般区民の方に認識をして頂きましたことはこうした活動状態が、協力部として活動をした関係上、すべての救援物資に至りましては勿論、全部奉仕団の手を通じまして、皆様配給をしたわけであります。又救援物資におきましても、四連合委員長の宅を本部といたしまして、そうして各分団の宅を連絡場所といたしまして、そうしてその方面に向つて一括して救援物資配給いたしたのでありますが、なかなか五尺乃至八尺の床上のところを歩きます関係上、到底行けないので、筏を組みまして、そうして筏の上に載せまして、それを持つて、一応第一回は四日の早朝救援物資配給に当つたのであります。そうしてその後におきましてもなかなか減水はいたしません。依然として四、五日はそのまま現状を続けたのでありますが、いろいろと給水所関係なりと連絡をとりまして、私のほうの減水がぼちぼちと見られました。お陰様で十日頃に初めて大体減水をしたような実情であります。併しこの間におきまして、我々奉仕団活動によりますところの区民気持というものは、非常に感謝を受けまして、この人員が、各班長までが全部本部に集まりまして、救護物資配給に当つてくれました関係上、非常に円滑に、配給が受けられたのであります。又他地区奉仕団が、被害の少なかつたところからは特に応援を得まして、炊出し、並びに衣料の御寄贈を願いまして、非常に結構な贈物を頂いたというようなことであります。やはり奉仕団つてこの救援物資が集まつたのであるということを、我々は痛切に感じておる次第であります。現在に至りましては、収容者といたしまして、まだ収容所に残つております者は、いろいろの関係当局の御盡力によりまして、仮設住宅を七百戸建築して頂きまして、そうしてそれにようよう昨日あたりに全部收容ができることになつたのであります。お陰様で大きな伝染病も発生いたしませず、衛生におきましても……又最後の結びとしまして、赤十字病院が九月の末日まで皆様救護に当つて頂きましたので、非常に区民感激いたしておるような次第であります。何だか途轍もつかないようなことを申上げたようでありますが、現状のままを御報告さして頂いたような次第であります。
  15. 山下義信

  16. 山崎節郎

    証人山崎節郎君) 昨年十月大阪学生赤十字奉仕団として発足いたしまして以来、社会福祉事業、或いは医療福祉事業に私達はささやかな奉仕を続けて来ましたが、今回のジェーン台風に際しては災害救助法に基きまして、学生赤十字奉仕団も微力ながら全力を盡してその奉仕に当つて参りました。九月五日より九月十日までの日々の奉仕状況は、一応皆様のお手許にプリントにしてお渡ししてありますから、詳しい説明は省かせて頂きますが、その奉仕活動内容といたしましては、主として日赤救護班と協力し、その中に編成され、医員助手としての医療奉仕でありました。救護状況といたしましては、港、大正西淀川浸水地区には、舟或いは筏で蒲団まで汚い水に濡らしながら外傷患者、内科の患者を、被害の多い地区を求めて転々と奉仕を続けて参りました。区からの指定区域が終りますと、その周囲へも救護の手を差しのべ、できるだけのことはいたしたつもりでおります。実動人員は十七名でありましたが、九月五日より九月十日までの延人員は四十七名でありました。ただ試験や休暇、帰省等の関係で学生奉仕団全体としての活動ができなかつたことを今残念に思つております。簡単ですが、これで災害救助の説明を終らせて頂きます。
  17. 山下義信

    委員長山下義信君) 以上各証人の陳述に対して御質疑等ありましたらどうぞお述べ下さい。
  18. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 私は過般のジェーン台風に際しまして、参議院代表しまして大阪府に参りましたのでございますが、曽てございました災害時におきましては、赤十字救護班が出ておりましても、人々は改めて赤十字のことを申されることはございませんでしたが、この度の災害には大阪府庁において、大阪市庁において、区役所においても、あらゆるところで赤十字奉仕団に対する賞讃のお言葉が出たのでございます。私は実に赤十字奉仕団に対しましてそのとき嬉しく存じましたのでございます。先ほど三人の証人の方からもよく述べられましたのでございますが、大阪市におきまして特に申されましたことは、六十万人分の炊出し赤十字奉仕団の方が中心におなりになつて頂いたり、それから婦人会の方は勿論、民生委員の方が御連絡になつて下さつたのでございます。戦争においても曽て六十万人の炊出しをしたことがないとおつしやつた。大変な備蓄の米の炊出しをして、炊出しは非常に困難でございますのに極く円滑に、あまり災害を被むつておられないお宅とか、料理屋、その他の施設を使つて炊出しをして、大阪府民に対して安定感を與えられたということは、実に大きな力であるということを承わりまして、又その活動を見せて頂きまして、実に嬉しく存じたのでございます。それから又その次に物資でございますが、罹災の激しい家畜に対しまして、十四区の大阪府の方々が、衣類だの日用品をお集めになりまして、その中心はやはり赤十字の方が奉仕気持で、そういう本当に尊い奉仕気持でお集め下さいましたので、実にこれは有難いと存じましたのでございますが、それからその上、今度は只今お話のございました港区を見せて頂きましたときに、少し減水しかかつておりました。減水しかかつておりましたので、非常にあの水害の後の泥というものは不衛生なものでございますが、幸いに港区は伝染病が非常に少のうございましたが、水あとは石灰、クレゾール、DDTなどを以て消毒しておられまして、それらの衛生保健方面にも奉仕団の方が非常に協力をなすつて下さつたので、私共視察いたしましても嬉しく存じましたのでございます。かれこれ想像いたしてみまするのに、本当にこの災害救助法を本委員会が第二国会において取上げましたときに、救助法の中にございます赤十字に対する観念は実に何と申しますか、不安なような気持で討論されたのでございますが、赤十字がこの災害救助法をどんなに、運用でございますか運営の面においてうまくして下さるか、厚生省と各都道府県と連絡をとつて下さるということは、その当時の委員会の速記録を御覧になつても分るのでございますが、非常に不安な気持で討議されたのでございます。それから後に二年後に私大阪市に参りまして、或る保健所へ参りました。丁度赤十字奉仕団ができた当時でございましたので、その赤十字奉仕団活動はどうでございましようかと、保健所の方に伺いましたが、井上さん、あれは隣組の変化でございますよ。と一口に言われ、ちつとも説明を承われなかつたのは悲しく思つたのでございまして、それが今回のこの台風による皆様奉仕団方々の働きは、そうした人々の不安を一掃するだけの大きな力強い働きをいたしましたことに非常に感謝しておるのでございます。今後この国会が災害救助法を運営するに当りまして、どんなにか今回の赤十字関係奉仕団の方のとられました行動は、この運営を円滑にならしめ、それから政府の施策も本当に完全になつて行くのじやないかと思つて、私は本当に皆様奉仕団の方に対しまして感謝気持で一杯でございます。御質問も申上げたいことはございますけれども、私、奉仕団の方に厚く御礼を申上げまして、発言を終らせて頂きます。
  19. 藤原道子

    ○藤原道子君 私も今回の災害に対しまして、各証人皆様方が、大変にお働きを頂きまして、そのことを御報告を伺い、非常に感謝いたしております。それは、私はこの際とかく民間団体と申しましようか、そういうものも災害救助法ができてから、そういう既設の団体がやるものだというような風潮に陥り勝ちなときに、女性の団体であり、而も女ばかりで新しい社会事業をというふうなことを計画され、いろいろとふだんから社会事業に挺身しておいでになつておるということは伺つておりましたけれども、今回のこの災害で男の人さえ躊躇するようなあの困難な災害救助のために、女性ばかりで挺身して下さいました白鳩会皆様、その他又婦人団体の活動は特に嬉しく存じておるのでございます。殊にここで写真を拜見いたしまして、皆様方の御苦労のところをまのあたりに見るように私は感じまして、非常に嬉しく存じました。とかく女性は力がないとか、口ばかりとかと言われ易い今日、身を以てこれを行なつて下さいました皆様に心から感謝申上げたいと存じます。この際に私白鳩会の事業と申しましようか、現在どういうことを目標としてやつておいでになるか、今後のお心構えなどについて少し伺わして頂きたいと思うのでございます。
  20. 片桐よしの

    証人片桐よしの君) 只今の御質問にお答え申上げます。白鳩会は、先ほど申上げましたように、あらゆる不幸な御婦人の間に組織されたものでございます。勿論これを私が思い立ちました動機は、私は先の満洲事変、昭和七年から兵隊さんなり、その御遺族の方のお世話をさして頂いておりました関係で、終戦直後やはりその遺族、家族の方が頼つて来られます。初めは誠に微々たる私費で以て三家族、五家を族御援助申上げておりましたが、だんだん世智辛い世の中になつて参りまして、なかなか限られた私費で沢山の方を救済、お世話することはできないということを痛感いたしました。それで何かこの経費を捻出する企業体を持ちたいという念願を持つておりました矢先に新世界の一部に、これは東京の浅草とも言うべき歓楽街でございまして、その一部に戰災によりまして焼けました花月劇場というのがございます。その焼跡を日劇株式会社がお買取りになりまして、新たに映画の常設館を建てたいという御希望を持つておられまして、私はこのお考えに便乗さして頂きまして、そうしてここに女性のみ、而もこういつたような不幸な女性のみの手によつて経営する映画の常設館を経営、運営して行きたいということを思い立つて、これによつて挙げました利潤を以ちまして、そういう不幸な女性のために一番問題にされております住居、この住居がないために子供がだんだん不良化して行くということはお母様方の一番悲しんでおられることでございます。その住居を建て、それから又それに附帯して後の心配なく子供を委して十分に働き得るような私設の託児所、これを建てたい。それからいろいろの基準法により、殊に女性なるが故に厳しうございますが、基準法はそれがためにもう少し働いてもう少しまあ賃金を頂きたいと思いましても、そういつた規則のために十分に働けないで月々生活に困つていらつしやるというような方のために内職が、まあ授産場と申しますか、極くお素人さんでもできるようなことを選んでその補助にいたしたいという気持を以ちましてこれを思い立つたのでございます。勿論これは企画、運営全部婦人であつて婦人では今まで至難とされておりました映写技師、それから舞台装置、アトラクシヨンのあるときにはライト全部女性達の手によつてやられております。初めはそういつた歓楽街でございますので、多年この道で経験され、地盤を持たれたそういう興行家の間に伍してか弱い私共女性、而も素人のみによつてこれを運営するということは相当困難であり、又冒険なことであるということは十分覚悟して乗り出したのでございますが、幸い日劇の社長は私の主人に当りますので、この道には過去三十年の経験を持つております関係で、先ず無難なことと思つてこの至難とされました映画の常設館を経営して行くということになりました。まだ開館いたしまして僅か五ケ月でございますので十分な見通しはついておりませんが、只今のところは非常に私共は明るい気持でこれに日々携わつております。第一にこれに携わりました未亡人方は非常に明朗になり、その健康も非常に良好でございます。そうしてそういうた不幸な境遇を持合わせた者のみでございますからお互いに大変に思いやりが深うございまして、若し子供が熱が出たとか、家庭にいろいろ支障が起つた場合にはお互いにその職場を補充し合いまして助け合うということは他の映画館には見られない美しいことでございます。私は現在若し不振でありましても業績の挙らないことは少しも私は心配しておりません。それはこれに携わつておられるこの未亡人とその他の女性が非常に真劍で、一生懸命になつておやりになつておられ、やがて曙光を見ると確信いたしております。従来の社会事業団とは全然趣を異にしておりますので、これを設立いたしますときには官庁方面との折衝もなかなか骨が折れまして、その衝に当られた方も相当お困りになつた面もあつたようでございます。併し今後の社会事業はこういつたふうな何か経費を捻出して行く企業体を持たなければ永久性も将来性も存しないのじやないかと思います。持てる資金にも限度がございます。何か運営して行きまして、そうしてその利潤を生み出して経済方面を補充し七行くということをしなければいけないのじやないかと、まあこれは大変おこがましい私の考えではございますが、考えついたわけでございます。今後とも会員は一層協力いたしまして、日本に先例のないこの社会事業団をすくすくと生い立たせて、少しでもそういつた不幸な女性救済して行きたいと覚悟いたしております。
  21. 藤原道子

    ○藤原道子君 いろいろ伺いましてよく分りましたが、新しい企画でございまて、いろいろ困難もあり、その他中にはお互い又研究する点も多々あろうかと思いますが、とかく女性の事業は中折し勝ちであるとか、或いは女ばかりでやりまする場合はとかく途中において感情の縺れもあり勝ちだと社会では言われておりますので、そういうことのございませんように折角のそのお心持を十分に生かして本当に女性同士が助け合い不幸な人々を真に涙を似てやる母心をますます発揮して頂きたいと思います。又いろいろと御研究を願つてますます初志を貫いて頂きますよう、併せて今回の御活動に対しまする皆様への感謝を含めまして私の質問を終ります。
  22. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 過般のジェーン台風につきましては先般視察委員の方々から詳細な御報告を承わり、又只今証人方々からも詳細な現状報告を伺いまして、非常に機宜に適した又迅速且つ統一された救助の手が延べられたことにつきましては、各委員も申しておられますように、私共もひとしく感謝する次第でございます。由来災害につきましてはその中に隠れたいろいろの涙ぐましい奉仕或いは美挙があるのでございますが、これがややもすると隠れまして表面に出ておりませんことにつきましては、我々常に遺憾の意を持つてつた次第でございます。今回のこの大阪奉仕団におきましては非常な大活躍をされましたことは、我々の最もこれは特筆して賞賛しなければならんことと考えます。つきましては私はここに動議を提出しましてこの功績を長く称えたいと考える次第でございます。幸い今日は厚生大臣も当委員会出席しておられます際でございます。即ち今日証人として出席されました大阪西淀川民生委員、同じく大正民生委員、財団法人白鳩会、日本赤十字大阪支部大阪日赤奉仕団大阪日赤学生奉仕団等、六団体に対しまして、ジェーン台風の際の災害救助活動の功績について深く感謝の意を表する決議を本委員会においてせられんことを希望します動議を提出したいと存じます。どうぞ委員諸君の御賛同をお願いいたします。
  23. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 九月三日の災害体験者、京都在職議員といたしまして私はその当時を想い起して、只今最大災害地大阪の諸団体代表者七名の方々の御出席を得て、当時の惨状を詳細に御説明を受けまして、その当時困難なる状況を押し切つて救援に御盡力、御奉仕下されましたことは、一方ならぬその御苦労に対し一層感謝の意を新たにするものであります。この諸団体の不惜身命の御活動に対し、厚生委員会災害被害者と共に敬意と謝意を表することは当然であると存じまして、只今の決議をすることに賛成をいたすものであります。
  24. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今の動議に対しまして、私は満腔の意を以て賛成いたしたいと存じます。
  25. 山下義信

    委員長山下義信君) 藤森君の当委員会におきまして如上の六団体の今回の活動に対しまして、感謝の意を表しまする決議をするとの動議につきましては御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。つきましては決議の案文は如何取計いましようか。
  27. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 動議の提出者とし七案文を持つておりますが、お差支なければ朗読いたしまして、御賛成願いたいと存じます。
  28. 山下義信

    委員長山下義信君) よろしうございます。
  29. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それでは案文を朗読いたします。     決 議  去る九月三日襲来したジェーン台風関西、四国方面に甚大な損害を與えたが、特に大阪府下の風水害は未曽有のものであり、折柄の高潮襲来により大阪市の低地一帶は泥海と化する惨状を呈した。  このときに当り大阪西淀川民生委員協議会、大正民生委員協議会、財団法人白鳩会、日本赤十字大阪支部大阪日赤奉仕団大阪日赤学生奉仕団の各位はそれぞれの使命に鑑み、交通、通信の杜絶せる中を泥棒を冒し浸水に入り、物資配給に、医療救護に、人命救助に、警備連絡に、仮設住宅の建設に或いは又罹災者の生活援護等に不眠不休の努力を続けた。その迅速適切な献身的活動は深く感銘するところである。  参議院厚生委員会は前記諸団体の各位に対し深甚な敬意と謝意を表する。  右決議する。   昭和二十五年十月十四日  以上の案文でございます。
  30. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今藤森委員の朗読せられました決議の案文につきまして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。よつて右決議案は全会一致を以て決定せられました。
  32. 山下義信

    委員長山下義信君) この際厚生大臣の御発言を許します。
  33. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) お許しを得まして、奉仕方々に対し御礼とお願いの御挨拶をいたします。  この度近畿地方を中心に襲いました、ジェーン台風は各地に甚大な被害を與え、昭和二十二年公布になつた災害救助法制定以来最も大きな被害でありました。  被害を受けました各府県は、直ちに災害救助法を発動して迅速適切な応急救助を実施したのでありますが、大阪府においては、昭和九年以来の大災害で、通信、交通、電気、ガス等あらゆる機能を全面的に失つたため、大阪府が中心となり実施した罹災者の応急救助については、厚生省といたしましても、非常に心配いたしていたのであります。  然るに大阪府の応急救助は、市内の各種団体の協力を得て、救助の万全を期している旨報告をうけたのでありますが、特に日本赤十字社、奉仕団民生委員協議会、財団法人白鳩会の各位が卒先自己の罹災をも顧みず、五十五万の罹災者救助について災害救助隊に協力され、機敏なる活動と、臨機応変の措置によつて所期の目的の達成に遺憾のないよう御盡力下さいましたことについて、本日御参集の日本赤十字社大阪支部奉仕部長杉本好太郎氏、大阪府港区奉仕団委員長北川周一氏、大阪学生奉仕団委員長山崎節郎氏、大阪西淀川民生委員協議会常務委員池永辰次郎氏、大阪大正民生委員協議会常務委員朝野米吉氏、財団法人白鳩会代表片桐よしの氏、小松登史子氏の皆様とこれらの三団体に属しておられる団員の各位に対して厚く御礼申上げる次第であります。  非常災害時における救助につきましては、過去の経験によりますと、混乱時に救助態勢を整えるのには、相当の日時を要するため、直ちに実施する炊出しの給與、避難所の開設等に一時支障を来たしておつたのでありますが、今回の皆様の秩序ある協力により、これらが直ちに開始することのできましたことは、皆様の団体内の平素の連絡の密接なことと、一朝事ある際の団体員の平素の訓練の賜物と深く敬意を表する次第であります。この度の皆様活動状況につきましては機会あるごとに広く全国に紹介いたしまして、災害救助について各種団体の協力の方法についての範としたいと存じております。  尚皆様方におかれましても、今回の貴い体験を通じて、災害に対する関心を深められ、一朝有事の際の国、及び地方災害救助活動に全幅の御協力あらんことを切に御願申上げる次第であります。   昭和二十五年十月十四日        厚生大臣 黒川 武雄
  34. 山下義信

    委員長山下義信君) 以上を以ちまして証人関係事項を終ることにいたします。速記を止めて。    〔速記中止〕
  35. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を始めて。続いて社会局関係昭和二十六年度予算につきまして審議を開始いたします。社会局長から説明を願います。
  36. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 明年度の予算につきまして、只今話合いの一応内部的につきましたことにつきまして、御説明申上げたいと思います。御手許にございますが、昭和二十六年度歳出事項予算書の案でございますが、これを御覧願います。五枚目のところに厚生省社会局とございますが、来年度の予算の重点は社会福祉主事の設置並びにそれに伴なうところの社会福祉に関する事務所の充実という点と、生活保護の内容の改善並びに身体障害者福祉法の施行について必要なる経費をできるだけ盛込むようにいたしたい。主としてその点を中心にいたしまして、尚その外に従来の援護の外に新しく防貧対策としての公益質屋、更生資金、住宅といつた点につきまして重点を置きたいというふうに考えておる次第でございます。予算書で御覧になりますると、百二、社会事業に関する調査企画等に必要な経費、百三、社会福祉審議会に必要な経費、百四、社会事業学校経営委託に必要な経費、百五、社会福祉事業職員研修所運営及び職員研修に必要な経費、百六の現任訓練に必要な経費、これだけのところは大体社会福祉主事設置に関連いたしまして、従来の経費を振替えまして、新たに設置せられまする社会福祉主事を現在各県で逐次設置いたしております。明年度におきましては、更に地方自治庁の方面で持つておりまするところの平衡交付金の中に入つております地方におきまする社会福祉主事の増員、これに対応いたしましてその内容といいますか、質と申しますか、それらを拡充するようにいたしまして、社会福祉の仕事が遺憾なく行くようにいたしたいと考えまして、この点につきましては主としてこの予算に盛られておりますのは研修所運営及職員研修に必要な経費を新たに六百五十一万円計上いたしているのであります。又現任訓練に必要な経費におきましても前年度よりは相当の増額をいたして百九十八万円という経費を含んでおります。それから次に生活保護につきましては、昨年度は保護費といたしまして百六十一億七千五百万円、この中で一部外のものが入つておりますから、百五十二億ぐらいになりますが、大体保護費が百五十二億ぐらいに去年なつておりましたのを、今年は二百十億、大体去年が百五十億ぐらいでありましたものを明年度は二百十億というところに、約五十億の増額をいたしております。その内容は最近におきまする生活保護の該当者の増加及び最近の各種の情勢に鑑みまして、又国会、各方面からの御要望もございまして明年度は保護費の基準の引上げをいたしたいというふうに考えております。大体本年五人世帯で以て五千三百円でありましたものを、五千八百二十円ばかりに引上げることにいたしたいと考えております。これには米価の引上げに伴いまする経費も含んでおります。  それから次は身体障害者の保護更生に必要な経費、この点におきまして、昨年度当初予算五千四百七十六万円、補正が五千百六十六万円となつておりますが、合計しまして一億六百四十三万円ばかりのものを、明年度は一億七千二百六十万円というところまで増額いたしたいというように考えております。  それから次に先程申しました公益質屋に関しましては、従来公益質屋の育成に関しましては單に質屋で必要でありますところの資金の融資という面に重点を置きまして、本年におきましては約一億七千万円ばかりの融資をいたしておるのでありますが、更に明年度におきましては新たに新設いたしまする公益質屋に対する設備費の補助をいたしたい。かように考えまして約一千万円の設備費の補助を計上いたしております。尚これに関連いたしまして明年度は生活困窮者その他生活困窮に陥る虞れのある者、未亡人とか或いは身体障害者等を中心に、尚引揚者のことも考慮いたしまして更生資金の貸付に必要な経費約三億を計上いたしておるのであります。  尚住宅に対しましては厚生省といたしましてはまだ決定いたしておらないのでありますけれども、低家賃の住宅、つまり普通の庶民住宅よりは規格を落しまして低家賃で以て入れますところの庶民住宅を建設するようにいたしたい。特に生活保護に該当いたしまする者が入り得る住宅というものを是非できるならば厚生省の手でやるようにいたしたいというように考えまして目下折衝いたしておりますけれども、これにつきましては現在まだ決つておりません。  それから後の方に参りまして八枚目の裏のところに国立光明寮、それから国立身体障害者更生指導所、この二つございますが、国立光明寮は従来東京と塩原にあつたのでございますが、地理的な関係からいたしまして、東京と神戸に設置したほうが適当であるというふうに考えまして、神戸に光明寮を本年の公共事業費で建物を建つておりますので、明年からこれを開設するようにいたしたいというように考えております。この経費を改めて計上いたしております。尚塩原の光明寮は東京光明寮の分室といたしまして継続するという予定を以て、明年昭和二十六年度限り塩原光明寮は廃止するということにいたしたいと考えておりますが、尚東京の分室といたしまして継続したい。昭和二十六年度にはそのつもりでおるわけでございます。尚これに収容いたします人員につきましては今後充実いたして行くようにいたしたいと考えております。  それから国立身体障害者更生指導所につきましては、その経費が減つておりますのは、昨年度何と申しまするか、臨時的に必要でありました経費が減つておるという点がその理由でございます。内容につきましては定員を百五十名から一百名に増員するような措置を講じております。  尚社会福祉主事の設置につきましては、明年度におきましては大体現在ありまするものを合せまして約一万一千名の人数を得るように大体見込んでおるつもりなんでありますけれども、これにつきましてはまだ正確なことが地方自治庁との間に話合いがついておりません。明年度におきましては新たに四千名ばかりの増員をいたしまして合計一万一千名ばかりの人員にいたしたいというふうに考えております。
  37. 山下義信

    委員長山下義信君) 御質疑はございませんか。
  38. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 社会福祉主事につきましてもう少し詳しく承わりたいのでございますが、幾つ学校ができまして、そうしてどういうふうに経費が出ますか、承わりたいと思います。
  39. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 社会福祉主事につきましては現在学校を新たに作りましても今度の増員には直ちに間に合わないのでありまして、我々といたしまして、これに対しまして、新たに社会福祉事業職員の研修所を作りまして、その研修所におきまして短期間にこの講習をいたしたい。尚職員の研修には地方におきましても研修をやらせるようにいたしまして、これと両々相俟ちまして、現在資格のない者に対しまして、明年度中に全部の資格の認定を受けられるだけに必要な講習を完了するように計画をいたしております。大体只今差上げてありまする書類にございまする予算で以て一応現状は資格のない者につきまして、資格の認定が全面的にできることに計算上は相成つております。
  40. 山下義信

    委員長山下義信君) 今の研修所というのは別に新たに中央に作るんですか。
  41. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 中央に設置する予定でございます。これは何と申しまするか、官制上の施設としてではなしに、実際上これを作るということにいたしております。
  42. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 結核患者の後保護施設について曽て社会局の方から何かお考えを進めておられたように伺つておるんですが、ところがその後一向表面にも出て参りません。結核患者の後保護については今結核対策としましても重要な問題でございますし、何か社会局のほうとしてお考えの点がございましようか、その点を承わりたいと思います。尚先般新聞で見ますると、労働省のほうで結核患者に対する職業補導の施設を作るというようなことが新聞に出ておりましたのでありますが、これについての厚生省としての関連性と申しまするか、これについてどういうふうなお考えがございましようか、併せてお伺いいたしたいと思います。
  43. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 結核患者に対しまする後保護施設の必要なことは十分考えられるのでございまして、結核対策といたしまして、この後保護施設というものも含めて対策を立てるようにいたしたいと考えたのでございますが、明年度の予算におきてましては、現在のところ結核対策といたしましてはそれよりも急ぐ問題のほうに重点を置きまして、財源の都合上後保護施設まで手がのびておらないというのが実情でございますので、社会局で以て現在の状況において後保護施設をやろうといたしましたならば、やはり生活保護法の限度においていたさなければならないということになるのでありまして、そういたしますると、生活保護法に該当する者のみを入れなければならないということに相成るわけであります。従いまして後保護施設としては何と申しまするか、完全なものには成り得ないかと思いますので、やはり後保護施設として特別に計画するのが適当じやなかろうかというふうに考えております。尚身体障害者福祉法の方を拡充するということになりますれば尚別途その点が考えられることになり得るのでありまして、これにつきましては先程申しましたように、結核対策というものの取上げ方が現在では急を要するものが先になつておるというようなことで遅れておるという誠に遺憾な状況にあるような次第であります。それから労働省のほうでやつております結核の治りました者に対する職業補導所、これは恐らく労働省で従来行なつておりまする経緯から考えまして、相当補導の容易な者のみを対象にしておやりになることと存じまして、我々といたしましては、それができることは至極結構である。向うが一般職業補導所の充実といたしまして、そういうものに手を出しておられるようでありますが、我々といたしまして至極結構なことと思います。ただこれにつきましては、直接の連絡は何もいたしておりません。
  44. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 結核患者の後保護を要する者は、大体におきまして結核の治つたという状態の者が大部分でございますので、いわゆる医療面から離れて、これを医療の方面の監督をすればいいという状態になつておる者でございますので、労働省のほうで職業補導をするということに関連して、後保護を要する人達のための施設が必要になるのではないかと思われるのですが、労働省にそういうふうな企てがあるのを幸いに、何かここで厚生省のほうとしてお考え願つて、これと相関連して運営されるということになりますと、非常に結核患者に対しては大きな福音があると思うのですが、お話通り緊急のほうへ廻わしたという話でございますが、結核患者の現在の後保護を要する者に対するもの、これも全く急を要するものであつて、このまま置いておきますということは、中には療養所にそのままいわゆる結核アパートのようになつて療養者が占拠しておるものもありますし、いろいろな状態に置かれておりますので、何とかここにただ急を要するという簡單な意味でなくて、もう少し深く実情を考えて頂いて、二十六年度においてもどこからか一ついい智慧を出してそのほうに向けて頂くというような御構想はありませんか。
  45. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 労働省にありまする職業補導所では恐らく一般の通勤のできる、そこへ通つてできるような程度の者だけしかお扱いにならないのが従来の状況のようであります。これと我々のほうで収容いたしまして、保護施設としてやるものと結びつけてやるということは、現在身体障害者の更生指導所の実際の上から見れば適当でないと私は考えております。若しやるならば厚生省一本で以て適当な後保護施設をやるのが妥当ではないかということに考えております。恐らくそういう程度のもの、そういうような後保護施設で以てやらなければならないというのは、労働省ではできないと私は信じております。従いまして向うでおやりになるものは非常に軽易な、一般職業補導所よりも少し程度の重い者だけしかお扱いになれないのではないかというふうに考えております。従いまして我々としまして、我々自体で以て適当な後保護施設というものを持たなければならんというふうに考えておるのでありますが、何を申しましても、いろいろ結核対策を外でやらなければならん経費すらなかなか十分に得られないというような今年度の予算でありまして、我々のそのほうの主張というものが取入れられなかつたということは誠に残念であります。現在の予算で以て許される、或いは現在の機構で以て許される範囲におきまして、そのほうができますることにつきましては、何とか考究いたしてみたいと考えております。
  46. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 身体障害者に対しましての保護のことにつきまして、今度は一億七千二百六十五万円でございますか、そういうふうな準備のようでございますが、それで来年度はどの程度にやられるのですか。もう少し詳しく伺いたいと思います。それから未亡人、生活保護者、或いは身体障害者、そういうような人達に対しまして、まとめて更生貸付資金として二億円を御準備のようでありますが、これは大分未亡人方々は非常に喜ぶと思うので、私も、非常にこういうことは嬉しいと思うのでございますが、これにつきましてはどれくらいの具体的な條件、どれくらいでということが分れば、そうしますれば、何人ぐらいに貸付ができるという見通がつけられるのでございます。或いは且つ個人か、或いは未亡人なんか大分会ができておりますから、そういうふうなまとまつて適当な企業ということの基礎にもなります。引揚者の方々なんかもそういうふうな借り方の方法もあるようでございますが、この際におきまして、この三億円がどういうふうな條件の下にみんなが利用できるようになりますか、その辺のところも聽かして頂きたいと思います。
  47. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 身体障害者につきましては、更生援護措置費といたしまして、本年度五千万円でございましたのを来年度は一億七千七百五十八万円にいたすつもりでございます。これによりまして盲人安全杖、補聽器、補聽器用の電池でありますとか、義肢、その義肢の修理、車椅子等を支給するというように大体考えているのであります。その数につきましては一応ここに数字は持つているのでございますけれども、この数字も大体盲人安全杖は一万一千七百本、補聽器は二千二百六十、義肢は三千七百六十八、大体そういうようなものを予算で組んでおります。これで以て実際にこれは無償で支給する分の数量ということになります。従いましてその他有償で支給するというものも加わりまするからして、実際の支給というのは相当多くなるのじやないかというふうに考えております。これで十分であるかどうかということにつきましては、現在身体障害者の実態が十分掴まれておりませんので、我々としてこれで十分であるということは必ずしも言えませんが、現在手帳等を渡しておりまする状況から見まして、まだ手帳を受けていない人が相当沢山あります、従つて手帳の交付が完全に終れば、実際の実情というものが分るし、これを基礎にして、更に若し足りなくなりますれば、適当な措置を講ずるようにしなければならんというように考えております。それから身体障害者につきまして、施設に収容いたしましてやる経費もその外に別途ございます。  それから更生資金につきましては、従来引揚者に対しましてやつておりました更生資金、これを今度は大体引揚者以外のものをも含めまして広くやるということにいたしたい、特に今後の状況に対しましては、未亡人、身体障害者その他の後保護を必要としまする方々に対しまする更生資金といたしたいと考えております。従つてその貸付のいたし方につきましては、従来引揚者に対してやつておりましたのと同様な方法を以てやることであります。やりまするには、やはり従来と同じように国民金融公庫を通しまして貸付けるということで相成る筈でございます。尚三億というのは今年度新たに予算を組みましたのが三億であります。従来貸付げてありまする引揚者に対しまする更生資金の返つて来ました金が、これは少く見積りましても五億はあるわけであります。それが合わさりました金額というものが貸付されるということに相成る筈でございます。団体に貸すかどうかという問題でございますが、これは協同していろいろ事業をやりまする場合には、協同して借りることができることに従来引揚者はなつております。それと同じことでございます。
  48. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 先ほどからいろいろお話を承つておりますが、災害救助のことをちよつと伺いたいと思います。災害救助費が非常に殖えておりますが、これは先般の災害救助にもいろいろ問題があつて、備蓄ということが非常に問題になつております。幸いに今度皆さん活動されて頂いたにも拘わらず、非常に活動して頂いたということは結構ですが、どういうように備蓄の問題を考えておられるかということ、そうしてこの費用の中に幾分でも政府としての備蓄の費用が取つてございますか、伺いたい。
  49. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 災害救助の費用の中に殖えておりますのは、応急救助費の事務として持つております費用が殖えただけでありまして、備蓄の費用は殖えておりません。全然備蓄は殖えておらないわけです。現在備蓄はどうしていいのか、一番適当であるのかという点につきまして話合いがつかないという関係で、備蓄の必要であるということは認めてられておるのでありますけれども、予算を組むところまで至つておらないのであります。尚本年度におきましては実際には応急救助費は、現在決つておりまするのは三億六千四百九十五万円ばかりで、新たにこの次の国会で補正予算に計上したいと考えておりますので、予備金等を加えますと、四億五千八百万円の経費を今年度支出し得るように予算上は相成つております。従いまして来年度の五千万円という数はこれは十分であるとは考えないのでありますけれども、これはやはり本年と同じように必要に応じまして支出することを考えなければならんということになつております。
  50. 有馬英二

    ○有馬英二君 先ほど藤森委員から御質問がありましたが、結核患者の後療法のことをもう一度伺いたいのであります。この前の第八国会のときも厚生委員会で質問をしたこともありましたが、只今藤森委員から概念的に結核患者の後療法というような言葉を使われた。私はもう少しそれを言及して身体障害者としてということを、そこに附加えたいのであります。結核患者の後療法というと患者というように聞えるのでありますが、藤森委員から言われたように、これは患者ではない、治つてしまつた後の人であるから患者ではないのである、身体障害者として取扱つて頂きたい。御承知のように当今は結核の治療法が大分変りまして、外科的の治療が非常に多く使われるようになりました。前には死の宣告を受けるよりしようがないと言われておりました、重病患者が、この頃では外科的治療によりまして殆んどと言つていいくらい病気が治つておる。ところがこれはこの前にも一応諾したのでありますが、病気は治つたが体は治らない。体にそれだけの結節が残る、即ち身体障害者であります、これは患者ではない。そこでもう一つ、これは身体障害者として社会的に取扱つて頂きたい。これは結核対策の一環の中に織込んで頂いて結構でありますけれども、例えばストレプトマイシンの購入等で全然違つた方法で社会的に存在を今非常に危ぶまれていると言いましようか、彼らは治つたがどうして食つて行くか、或いは生きて行くかということについて非常に苦労しておるのであります。そういうような人達が只今どれくらいおりましようか。確かな数字は分りますまいが、各療養所に数十或いは百を以て勘定することができるぐらいはいると私は思います。先ほど藤森委員も言われたように、治つたが出て行きようがない、出て行くと生活ができないということで、これは社会的の問題であります。彼らにどうかして職を與えなければならん、中には立派な人もいるのでありますが、すでに身体に相当の障害を受けておつて、なかなか出て行きましても普通の人と同じようには働けない。そこでどうかして、アフター・ケヤーの問題を社会的に解決したいと私達は思つておるのでありますが、この点一つ社会局で十分お考えになつて、新しい予算にこの方面救済のことを織込んでやつて頂かなければならんと私は考えるのでありますが、実はこの前の国会のときも結核患者の治癒後の人を身体障害者として、その中には加えるかということについて質問をしたのでありますが、只今はそういうことは考えておらないという、こういうような…だしか医務局長と思いますが、そういう御答弁があつた。社会局長はこの点どういう工合にお考えになりますか。今私が申しましたような、つまり外科的に治療を受けて……障害を受けた、それを一般の身体障害者とお考えになりますか、この点を一つお伺いいたします。
  51. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 結核によりまして外科手術を受けまして、そのために機能障害が出ております者は現存の身体障害者福祉法によりまして身体障害者という中に入つております。その他の一般の結核の治癒いたしました者につきましては、これに関しまする症状の認定ということが極めて困難であるという医学上の立場よりいたしまして、現在は身体障害者の中に法律上含まれていないのであります。これは実際上身体障害者であるということは言うまでもないと思います。やはり身体に障害がある者であります。これは結核のみならず他の疾病につきましても、それで機能障害を来しております者はやはり身体障害者というふうに考えます。ただこれは一定のいろいろな措置をいたしまする際におきまする認定は、医学上現在は困難であるというところから、まだこの中に入れないというだけでございまして、これはできるだけ早い機会において連絡をとりまして法律上の身体障害者の中に含まれるようにいたしたいと考えておるような次第であります。尚保護施設につきまして給付をしないというふうに考えておるわけではないのでありまして、ただ一つの結核対策の重点が早期の治療という点に非常に重点を置きまして、そのほうに必要な経費のみを重点として認められておるという関係からいたしまして、その他の経費というものが一応後廻しになつたということを申上げたのであります。決して我々といたしまして結核治癒者の保護施設というものを不用というふうには考えていないのでありまして、それよりも最も急だとされる……これは私がしておるのではありませんが、急だとされている方面というものは資金が重点的に廻つておる。我々といたしましては若しこの点につきまして我々の努力の及ばなかつたところは国会におきまして適当に御考慮願うということは極めて結構なことだと考えます。是非やりたいという気持は持つておる。ただ今のところ予算の範囲には組込まれていないという状況でございますということを申上げて置きます。
  52. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 保護施設ということについては具体的に社会局として御研究になつておられますか如何でございますか。ただここでの話でなく実際にやろうという意味での御研究を進めておられるかどうかということでございます。
  53. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) これにつきましては現在民間でやつております保護施設もございまするし、又新たに県等でも計画しておるものがあるようでございます。それらのものを基礎にしまして、我々としましても必要な経費というものを予算に組みたいというふうに考えまして、本年度の当初の要求はいたしておるのであります。ただ結核対策の全般の面から、厚生省といたしましては一応後廻しということに相成つておるのが実情でございます。
  54. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと伺いますが、生活保護関係の事務費を三億二千五百万円ですか計上されてますね、あの事務費の補助の比率はどういうふうな比率になつておりますか。
  55. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 生活の保護の事務費を新たに本年計上いたしたのでございますが、只今お話通り、これは現在考えておりますのはこれによりまして生活保護法の施行につきまして、指導監査をするために必要な経費としてこれを使いたいというふうに考えております。主として生活保護が適正に運用されまするようにこの経費を以ちまして十分指導いたして参りたいというふうな考えで以て予算を組んでおるのであります。従いましてこれを配分いたしますにつきましては地方のそういう計画というものを基礎といたしまして、配分するようにしたいという考えを持つております。
  56. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは今までにですね、生活保護関係の事務のいろいろ従来言われておるような事務費を国で見てくれるといつたようなものとは多少違うのですね。蔵つて置くような建前で新しい仕事の殖えるそれに対しての補助というものが出ておりますか。
  57. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 大体そういうふうにいたしたいというふうに我々としては考えております。従来のいろいろな経費につきましては社会福祉施設の設置に関連いたしましてこれに必要なる事務費というものを地方財政委員会のほうに何いたしまして、地方的に従来通り組んで貰うようにいたしたいと考えております。今回考えておりますものは新たにこれに加える費用というふうな考えを持つております。
  58. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつとお伺いいたしますが、婦人保護更生に必要な経費というところで、百二十四万円減になつておりますが、これは現在婦人の保護車生についてどういうことをしておいでになるか、そして相当効果が挙つているのかどうなのか。それから予算を減らされたその理由などをちよつとお伺いしたいのです。
  59. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 婦人保護更生の事業というものはなかなかむずかしい事業でございまして、当初は何と申しまするか特殊婦人と言いますかそういう醜業に従事いたしておりました者をその方面から更生させるというのが趣旨でありまして、実際にそういうところに陥ち込んだ人を更生するということで以て始めたものでございまするけれども、相当長期間そういう仕事をいたしておりました方を更生させるということは非常に困難でありまして、現在主としてやつておりまするものは、そういうことになりそうな危険のある者というものを主にいたしております。家出をいたしまして浮浪しておるといつたような方を主にいたして保護いたしておるような状況であります。従いましてその成績は悪くはない。実際に保護いたしました後の更生成績というものは、そんなに悪くない状況であります。これは非常に易しい仕事のほうに変つた関係もあろうかと思います。尚経費は実際のこれに必要なる定員と申しまするか、必要な人員というものに応じまして組んだわけでございまして、これが減つておりますのは従来定員が多くあつたものが少くなつたという点であります。内容といたしましては米価の値上げ等、経費の増加というものを組みまして、やはり必要経費の八割を以ちまして保護しておる。大体それだけ減りましてもこれを経理いたして行くということについては支障がないというのであります。
  60. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつと伺いたいのですが、それでは長年そういう仕事をしていた者は非常に困難なということは分るのです。困難だからそれは全然止めちやつたんですか。それは放棄してしまつていいということになつたのでありますか。
  61. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 放棄していいということではないのでありまして、実際に入つて来ないのであります。縛つて引つ張つて来て入れるわけではないのでありまして、実際そういう人は幾ら勧誘しましてもこういう施設に入つて来ない。従つて止むを得ずに止めておるのです。
  62. 藤原道子

    ○藤原道子君 それではもう一つ、極く初期の者を指導する。それはどういう仕事をやつておりますか。
  63. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) これはいろいろな仕事があるのでございまして、施設によりまして仕事も違いまするし、又施設の中でも人によりまして違つた仕事をいたしております。ミシンなど教えておるところもございますし、必要な家事に従事できるように仕上げておるところもございますし、又そうでなしに職場にそこから通わせまして一定の期間経ちますれば改めてどこへでも行くというふうにやつております。場所によりまていろいろ違つております。
  64. 藤原道子

    ○藤原道子君 この問題については非常にこの頃もパンパンが殖えて憂慮される状態にありますので、今の御説明では納得できないのでありますが、所管が違いましようから又改めて質問することにいたします。
  65. 山下義信

    委員長山下義信君) 家庭内職関係について社会局の御調査御研究になつておられます概況、大体申上げますと内職を奨励する方針でいるか、内職はやらさないといつた方針でいるか、内職関係についてのいろいろ社会局として調査研究されておりまする方針等々につきまして、若し資料がありましたら委員会に御提出願いたいと思います。ただここで御答弁できます程度は承つて置きたいのであります。
  66. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 家庭内職につきましては、一般の事業といたしましてやつておりますものにつきましては、相当何と申しまするか低賃金に代るようなものが多いのでありまして、我々としましては若し家庭内職をやります場合には適当なる監督を以てやらなければならないというふうに考えております。従来授産場におきまして場外授産といたしまして、家庭内職的なものをやつてつたのであります。最近授産事業というものにつきましての各種の規格が面倒になつてつておりまする関係かと存じまするが、それともう一つは授産場へ出て来るということが極めて困難であるというような状況のものが相当多い。又家庭におきまする生計費の足りないというような点を補うという方正面におきまするものが多い。こういつたような事情によりまして、各方面で家庭内職の希望があるようであります。これにつきましては地方庁を指導いたしまして、できるだけこれを適当なる仕事を見つけまして、そうしてこれに適当な賃金が拂われるようなふうに運営されるといつたようなものを奨励するように指導いたしておるのであります。現在各県の中で数府県がそういうようなことをやつておるのであります。これらの資料につきましては厚生省が持つておりますけれども、一般の家庭内職全般につきましての資料は厚生省では持つておりません。
  67. 山下義信

    委員長山下義信君) 調査はどこでやりますか。政府部内でやつておるところがありましようか、内職関係……。
  68. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 先ほど申しましたように、公共団体或いは社会事業団体がやつております。又我々のほうで認めております家庭内職につきましては、厚生省として調査いたしております。ただその他のものにつきましては恐らくどこにおいてもその資料は政府としては持つていないのじやないかと思います。
  69. 山下義信

    委員長山下義信君) 社会局としては御調査になるが完全なものはできないでありましようけれども、一応我が国の現状というようなものを内職等について御調査になる御意思がありますか。御調査願いたいと思うのですがそのほうを……。
  70. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 一般にやつておりまする内職を調査いたしますということが正確に何かの資料になりまするような調査ということは、現在では極めて困難ではないかと私は考えております。相当な経費を使いましても非常に正確なものは入らない。身体障害者の調査をいたしましても、一般調査をいたしますると極めて不正確な調査しかできないのでありまして、今度手帳を交付いたしまして、その手帳に或る程度の、何と言いますか見当が付くということで、初めて調査がだんだん徹底して来るようになるというような状況でございます。この内職の調査をいたすにつきましても、実際に内職を出しているところというものを調査したのでは正確には出ないのではないか、実際に内職をやつている世帯を調査しなければならん、そうなりますと全体としてそういう全家庭を調査しなければならんというので、相当多額の経費がかかるのではないか、而も内職といつたようなことはなかなか表に出すことは嫌がるといつたようなことで、広い意味の調査ということは困難じやないかと思います。ただ地域的に抜き調査をする、そういうことは全国的な資料にはならないと思いますが、そういうことはやつてできないことはないと思います。
  71. 山下義信

    委員長山下義信君) 研究して見て下さい。外に御質疑ございませんですね。   —————————————
  72. 山下義信

    委員長山下義信君) 次に派遣議員報告が残つておりましたので、第一班の分の御報告を小杉委員からこの際簡單にお願いいたしたいと思います。
  73. 小杉繁安

    ○小杉繁安君 私は院議に基きまして、社会福祉、社会保険、医療の実情及び国立公園管理状況等の厚生施策全般に亘りまして、山形、秋田、新潟の二県を視察して参つたのであります。  視察の結果につきましての詳細なことは関係者より提出されました書類を御覧願うことといたしまして、極く簡單に御報告申上げたいのであります。  先ず山形県の政情につきましては、農業単作地帯でございまして、県民の所得は非常に少いのでございまして、全国平均の約五〇%に位する貧弱財政の県でありまして、一般の県民の生活水準も低いのであります。  生活保護法による保護の状況は被保護者の数は八千九百六十五世帯、人数は三万一千二百五十七人でございまして、人口千人に対しまして被保護者の数は二十三人の割合でございまして、全国平均より相当低いことが窺われました。又本年四月一日より施行されました身体障害者福祉法に基きまして、身体障害者の実態調査の結果、六千七百一人の身体不自由者を数え、このうち二千六百三十四人は手帳交付申請手続によりましてすでに身体障害者の手帳が交付されておりました。厚生省の計画によりまして八月十一日、十二日の両日、東大高木博士外六名の権威者を山形県に派遣いたしまして、身体障害者を対象とする巡回診療、職業、生活相談に応じ、相談を受けました人員は百一名でありますが、そのうち整形外科手術等によりまして機能回復する見込のある者が六十二名に達する好成績を挙げておりました。山形県では今後ともこのような実施を継続されたいという強い要望がありました。  次に一般引揚者更生施設は山形県では四十三施設でございまして、千九百十七世帯、四千八百五十二人を収容しておる状況でございますが、本年度引揚者住宅の設置の割当要求三百二十戸に対して百十戸の割当だけでございますから、この点私はもう少し殖やして頂きたいように感じて来ました。  又樺太無縁故引揚者収容施設は二十八施設でございまして、二千七百七十四人を収容しておりました。この収容施設のうち福原新生寮外十一施設は国有の建物でございますが、この建物を収容施設に改造整備するに当りまして、近く地方公共団体へ無償で拂下げすることを口約して来まして、改造その他に要したる相当の経費を全額地方費で負担されております。現在尚経営管理費、火災保険料まで地方が負担しておるのでございますが、この不合理の点を是正する意味におきましても速かに口約の実行を要望しておりました。  次に引揚者並びに生活困窮者の更正資金は、一般経済情勢の影響によりまして増加の一途を辿り、申込の僅か四〇%を満たし得るに過ぎないので、名実伴わざる現況を見て参りました。現在では、貸付最高額が一万五千円でありますが、これを三万五千円に引上げ、又国民金融公庫支所を県單位に設置し、事務の円滑を図られたいという要望もございました。  次に公益質屋法による公益質屋は山形県には五ケ所設置されてあるに過ぎないのでありますが、現情勢下における庶民階層の唯一の金融機関であるこの種質屋の設置は、各方面より強く要望され、現在各地に設置気運が活発でありますが、創設費、その他運転資金の獲得に隘路があり、国はこの点について張力に援助をすべきであることを痛切に感じたのであります。  次に公共事業による児童福祉施設の設置認証が非常に遅れている。寒冷地方の特殊事情を考慮して促進すべきである。本件については山形県のみならず新潟県でも同様の要望がありました。  次に政府管掌の健康保険におきましては、平均標準報酬月額五千七十四円で、全国平均標準報酬月額八千円に比較して非常に低いのと、健康保険の利用者が多くなつて保険経済は相当赤字を出しておる現況であります。国民健康保険の現勢は県下二百二十三、市町村中、国民健康保険の保険者は二百十六、即ち九四%の普及率を示しており、尚本年中に一〇〇%になるように普及徹底に当事者が盡力されているのであります。この国民健康保険の普及は、山形の県民性と経済面の一つの現われであると伺つたのであります。この国民健康保険の育成強化のために一、国民健康保険事業に対する国庫補助の増額、事務費に対し全額、給付費に対し三割以上、保険施設費に対し五割、診療施設創設費に対し五割。二、国民健康保険税を創設すること。三、国保事業に対する融資については組合及代行法人を含め且つ長期融資の途を開くこと。四、連合会の事務費に対し当分の間一連合会当り百万円を助成すること。五、社会保険を一元化する暫定措置として被用者の被扶養者を一般国民健康保険に包含すること。六、医療報酬の支拂方法は定額拂を原則とすること。以上のような要望がありました。  次に衛生部面においては、公衆衛生の指導取締機関であり、伝染病予防の中枢機関でもあり、更に性病、結核、歯科、疾病の治療機関として衛生行政の第一線機関である保健所の整備拡充に努めておりました。この保健所の運営に当る医療従事者を確保するため、医育機関のない山形県においては医師の待遇改善に留意して、県職員として採用する医師である技術吏員に対して一人月四千円宛の医学研究費を支給しておりましたが、尚質的、人的内容を充実するに至つていない実情でありました。医療関係者の待遇改善については、厚生省でも大いに努力して頂きたい。又結核予防対策として本年春期BCG接種を実施すると共に、教職員の結核対策、家族の検診及び「ツベルクリン」陽転者の指導を行なつておる。尚在宅患者に対しては「療養ノート」を配付して、医師と保健婦と患者の密接な連繋を図ると共に、九日一日より滋養品の加配が実施されておりました。結核病床は山形県の総人口百三十五万に対し、結核療養所二、結核病床を有する病院二十六でありましたが、病床数の人口割は、他の県に比較して非常に低率を示している現況でありました。従つて病床の増加の急務なることを痛感しましたので、厚生省においても努力して頂きたい。県内における唯一の国立の山形病院を視察いたしましたが、患者の定員百九十名に過ぎない小規模のものでおりました。この病院は院長以下職員が一体となつて献身的に運営に努力しておりましたが、予算がこれに伴わないため相当困難の模様で、次の事項について特に要望されておりました。一、戰時中、間引疎開病棟の復旧。二、看護婦寄宿舎の新設。三、職員宿舎(現在は院長以下皆無)の整備。四、医師の待遇改善。五、医師の内地留学。(医育機関が地元にないため)六、社会保険の統一簡素化。以上であります。  秋田県では医療機関の整備の一環として県立中央病院の建設計画が進められておりました。この計画は現在の県立病院があまりに貧弱なので、昭和二十五年度より二十八年度に亘る総工費二億二百九十四万八百円の年次計画が樹立されておりました。この財源のうち伝染病予防法による国庫補助九十万三千円、区医療法による一般病院国庫補助七千二百万円合計七千二百九十万三千円を昭和二十六年度より二十八年度の年次区分により、国の財政的措置即ち補助が強く要望されておりました。  現在の秋田県の病院には完全看護を実施し得る実習施設の完備している病院は殆んどないため、病院の業務遂行上看護婦の補充に支障を来しておる現状で、今後一段と厚生省におかれても力を入れてやつて頂きたいと思います。  次に保健所の整備拡充は逐次軌道に乗り、A級二、C級八、合計十ケ所開設されておりますが、いずれもその内容充実には尚一段の努力が必要と思います。  次に結核予防対策の病院、療養所等の施設は療養所四ケ所と、一般病院で結核病室を併置しているものが二十、及び個人経営の診療所六で、計三十ケ所で、結核病床は一千七十一床に対し、現在入院患者数は一千百六十四名で、一般病院では結核病室以外の病室にも収容し、結核患者にとつては正に非常時状態で、各施設とも患者の収容には相当苦心しており、患者の大部分は家庭で療養しておる。これでは結核予防対策上憂慮すべき実情にありますので、療養施設の拡充等適当な措置を講ぜられるように政府に対して要望がありました。  次に上水道関係については、秋田県内の飲料水源は、上水道簡易水道によるもの約一一%、井戸によるもの約七〇%、流水によるもの約一四%の比率でありまして、県内の主要市町村において飲用に供されている井水の水質検査を実施した結果、飲用不適の井戸が非常に多くて水道敷設について国の助成が強く要望されておりました。公衆衛生の根本問題である上下水道の整備拡充について、厚生省はもつと真剣に取組み、適切なる措置を講ずべきであると思います。  次に児童福福関係事項については、県首脳部の強力な推進により、延五百七坪の児童会館、約五百坪の児童遊園、及び児童動物園を一挙に建設して、現在新装の施設を一般に開放して、県民は感激を新たにしている状況を見て参つたのであります。他に児童福祉施設として、教護院一、養護施設二、乳児院号、母子寮四、保育所二十六で、収容人員三千二百四十三名でありました。  次に身体障害者福祉法の実施状況は、この対象人員は四千百二十九人で、すでに手帳を交付されたものが四百十人でありました。事業計画としては身体障害者福祉司の設置、及び秋田県中央身体障害者更生相談所設置、並びに秋田県義肢修理所の整備拡充等が挙げられておりました。  次に新潟県では生活保護法の施行に当り、冬季間生活保護費基準額の増額について、特に被保護世帯にあつてはその保障された生活は最低限度であるために、その基準を暖い地方と同一に律せられることになると最低生活の維持も不可能となるのが実情であるから、今後生活扶助費基準額限定については、この地理的特殊性を十分考慮願いたいとの要望がありました。又授産事業について、授産事業の刷新の結果、二十四年度において二十四ケ所あつた授産所も適格と認定されたものは十一ケ所となり、この健全な社会事業施設の円滑なる運営を図るために県費を以て社会事業運転資金貸付制度を設け、事業資金の貸付を実施している。社会事業団体活動は事業の裏付けとなる経済的基礎が薄弱のため、全般的に積極性がなく、各団体の整備統合が提唱されてその動きが具体化しつつある状況であります。  次に国民健康保険の普及の状況は、市町村公営のものが三百二十五市町村で、全市町村の八五%、その他普通組合、農業協同組合代行特別組合によつて事業を行うものが十二となつており、合計三百三十七市町村で、全県の八九・六%の普及率となつておる。国保の被保険者数は百九十万人となつており、県内総人口の約八〇%に相当する現況でありました。保険経済は収納状況が低率であるために、診療機関に対する未拂額二千八百万円が集計されておりました。  次に衛生部面において、特に本年は東京に次いで赤痢及び疫痢の発生を見ている。その原因は上水道設備のない地方は天然ガスが発生して井戸水の使用が不可能のため、流れ水を飲み水に使用することに起因する実情にありますので、簡易水道施設を設ける等、適切な対策が必要と考えられます。  次に国立内野療養所を視察しましたが、この施設は未完成のまま患者を収容し、医療団から厚生省に移管になつたもので、二十四年度に看護婦寄宿舎と、増床に伴う職員官舎が新築されているが、未だボイラー設備もS・K消毒器もなく、結核療養所の運営に甚だ寒心に堪えない現状でありました。結核予防対策として増床計画も重要な問題でありましようが、同時に内容の整備にも重点を置くべきであると考えます。これに関連して医療団解散に伴う清算剰余金を施設買収都道府県に還付方の請願もありましたが、この問題に関しましては本員といたしまして他の機会に取上げたいと考えます。  尚附加えて秋田県に対しましては、井上議員も参加せられまして視察頂きましたについて、井上議員からも御視察報告を願いたいと思います。  それから私が一番お願いしたいことは、三県を見ましたが、との厚生という仕事は皆が重要だということを知つておりまするが、私は山形県から出ておりますので、山形県に行つて見ましても、非常に虐待されているような現状を私は見て来ました。というのは、外の土木部とか、或いは外の部は……、自動車の部で言いますれば、とうからこの自動車は一つあてがわれておるに拘わらず、民生部なんてものは去年あてがわれた。予算の点においても非常に少い。それから県会議員なんかも、選挙に絡んであまりぱつとしないので、委員になることも避けているような現状で、私自身も又この国会に臨んでも、そういう感じが実際しておるので、私としてもこの点は非常に遺憾だ。殊にこういうふうな戰後文化国家だとか叫んでいる最中に、私は厚生国家を作りたいというような考えを持つておるのでございまして、どうしてもこの厚生事業というものを盛んにして、強力な皆の力でこの厚生をやりたい、こういう念願でございます。殊に秋田県においてもそういう実情を体験して来ました。ただ新潟県に行きましたところが、知事、市長初め非常に厚生というものに対する熱意がございまして、是非とも厚生大臣を通じて、この県下の県民に、厚生事業が実際大切だということを反映させて頂きたいというわけで、今度厚生大臣もその煮を酌んで頂きまして、二十三日に新潟県に参ることになつて、厚生のことに対しては、大臣初め非常に力を入れるというようなことでございます。私もこれから三年ございますが、厚生をみつちりやりまし、一つ皆さんと一緒にこの厚生という仕事を日本の国政に反映して行きたいと思いますが、どうぞ御協力願つて御指導を賜わらんことを、この視察に対しつくづく実感して参りましたから、どうぞお願いいたします。私の報告はこれで終ります。
  74. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 秋田県の方は、只今おつしやいましたが、後日書類報告をいたしたいと存じますので、本日は失礼させて頂きます。
  75. 山下義信

    委員長山下義信君) 承知いたしました。それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時二十九分散会  出席者は左の通り    委員長     山下 義信君    理事            小杉 繁安君            井上なつゑ君            有馬 英二君    委員            大谷 瑩潤君            中山 壽彦君            河崎 ナツ君            藤森 眞治君            星   一君            松原 一彦君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君   説明員    厚生省社会局長 木村忠二郎君   証人    大阪西淀川区    民生生委員協議    会常務委員   池永辰次郎君    大阪大正区民    生委員協議会常    務委員     朝野 米吉君    財団法人白鳩会    会長      片桐よしの君    財団法人白鳩会    会員      小松登史子君    日本赤十字社大    阪支部奉仕部長 杉本好太郎君    大阪市港区奉仕    団委員長    北川 周一君    大阪学生奉仕団    委員長     山崎 節郎