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1950-07-21 第8回国会 参議院 厚生委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十一日(金曜日)    午前十時十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長報告災害救助法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○社会保障制度に関する調査の件  (厚生行政に関する件)   —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) これより本日の厚生委員会を開会いたします。  まず御報告を申上げることがございます。昨日の委員会並びに委員長理事の打合会におきまして、当厚生委員会におきまして関係施設視察をいたしますことにしまして、專門員室で計画をいたしましたのでございますが、本月の二十七日並びに二十八日両日都内の適当な施設視察することにいたしまして、二十七日は明治製菓株式会社につきまして、ストレプトマイシン、及びペニシリン製造状況等視察をすることにしまして、翌二十八日は結核関係施設視察するということに大体の予定を定めましておりますのでございますが、これは委員会散会皆様方の御都合等を承わりまして最後決定をいたしたいと存じますので御了承を願いたいと思います。  本日は日程に從いまして災害救助法の一部を改正する法律案議題に供します。当院は予備審査でございます。厚生大臣提案理由説明を求めます。
  3. 平澤長吉

    政府委員平澤長吉君) 提案理由の御説明を申上げます。  只今議題となりました災害救助法の一部を改正する法律案についてその提案理由説明いたします。災害救助法第三十六條は、国庫負担に関する規定でありますが、それによりますと、都道府県災害救助のために支弁した費用合計額が前年度標準賦課率で算定した地租家屋税事業税、いわゆる三收益税合計額の百分の五を超過したとき、その超過額に対して一定の率で国庫負担することになつております。ところが、三枚益税は数次に亘る標準賦課率引上げ等のため非常な増加を示しており、昭和二十一年度昭和二十四年度とを比較しますと、五十八倍の増となつております。  これに対して、災害救助に要する費用は、物価騰貴を勘案して若干の改訂を行なつたにも拘わらず、法制定当初に比較し三倍の値上りになつているに過ぎません。つまり、法制定以後の都道府県の三枚益税増加率応急救助費用増加率との間には、今日においては著しい不均衡を生じて来ておるのであります。その結果余程の大災害発生しない限り、国庫負担がないという極めて不合理な事態を生むに至り、第三十六條の規定は実質上制定当初の意味を全く喪失していると申しても過言ではないのであります。災害は予見し得ない、而も多額の財政支出を伴うので、都道府県財政負担はただでさえ容易ならぬものがあり、又災害救助法では、非常災害時の罹災者救助は、国の責任で行う建前になつていることからしても、事実上国庫負担が停止されている現状を早急に改める必要があるとかねがね痛感されていたのであります。たまたま今国会に提出されております、地方税法案によりますと、從来都道府県税制が根本的に改変され、地租家屋税事業税はその課税主体その他すべてに亘り改正を加えられることになり、從つてこの三收益税国庫負担算定基礎とすることが不可能となりましたので、これに代るものを新たに採用せざるを得なくなつたわけであります。そこで、この機会に懸案の第三十六條の改正を行うこととし、第一には、国庫負担基礎として從来の三收益税合計額に代るものとして、地方税法案に定める標準税率で算定した当該年度都道府県普通税收見込額を求め、第二には、都道府県の支弁した救助費がその額の百分の一を超過するときに国庫負担をなし得るように改め、昭和二十五年度より適用することといたしたのであります。即ちこの改正案は、地方税法案により都道府県税制が改まる機会に、国庫負担についての前述の不合理を是正し、真に地方財政の実情に即した国庫負担をなし得るようにしたものであります。この改正により都道府県財政負担が著しく軽減される結果、都道府県災害救助活動が一層積極的に実施されるようになり、罹災者救助に万全を期し得られることと確信いたす次第であります。何とぞよろしく御審議の上、速かに可決せられるよう希望いたします。
  4. 山下義信

    委員長山下義信君) お諮り申上げます。本日は本法案の提案理由を聞くに止めまして、本案審議は次回に讓りたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。  それでは本案審議は次回に讓ることにいたします。   —————————————
  6. 山下義信

    委員長山下義信君) 次に社会保障制度に関する調査に関連いたしまして、昨日に続いて公衆衞行政について厚生省当局から説明を求めることにいたします。本日は公衆衞生局事務局薬務局の順序でお願いいたしたいと思います。公衆衞生局の方からお願いいたします。  尚井上委員から厚生大臣質疑率中出があつたのでございますが、大臣只今閣議中とのことでございますので、閣議終了次第出席とのことでございますので御了承願いたいと思います。
  7. 三木行治

    政府委員三木行治君) 公衆衞生局長でございます。公衆衞生局所管事務につきまして若干申上げたいと存じます。公衆衞生局の公課でございますが、この局には環境衞生部及び十一課ございまして、庶務栄養保健所予防防疫、研究所、検疫、環境衞生水道食品衞生乳肉衞生、こういう一部十一課があるのでございまするが、この所管は大別いたしまして、先ず健康増進に関する部門と、環境衞生部門及び疾病予防三つを含んでおるのでございます。今これ等の各課に所属いたします事務のうち特に御報告申上げる必要のあるものだけにつきまして、取り敢えず申上げたいと存ずるのであります。先ず庶務課所管優生保護指導でございまするが、これは優生保護法に基きまして優生思想普及優生手術及び人口妊娠中絶に関する指導優生結婚相談所整備というような仕事をやつておるのでございますが、特に受胎調節に関する適正な方法普及し、指導いたしますことが、当面の急務でございまするので、その普及及び指導に力を注いでいるのでありまして、特に今年度並びに来年度におきましては、一層この優生結婚相談所の設置に努力いたしたいと考えておるのでございます。御承知のようにこの優生結婚相談所機能と申しまするのは、必ずしも人口問題を解決するためにのみ役立たしめるものではないのでございますけれども、それと密接な関係もございますので、国の各方面の要望に応えまじて、私共といたしましては、この思想普及という面に各段の努力をいたしておる次第であります。これは、全国約三万五千人の人々を対象といたしまして、年に四回調査をいたしております。その調査の結果に基きまして、国民栄養指導方策を樹立せんといたしておるのであります。尚この栄養課におきましては、入院しております病人のために、病院給食ということをやつておるのでありまして、病人に対しまする栄養思想普及でございますが、これは、昭和二十四年五月から全国のすべての入院患者に対する食糧増配をいたしまして、併せて、その献立等にも十分治療目的に副うような指導を加えて行くというやり方でございます。尚在宅結核患者等に対しましても、食糧増配、或いは栄養指導というものをやりたいということで、只今準備をいたしておるのでございます。  次に保健所整備拡充でございますが、これは昭和二十二年四月七日連合軍司令部から保健所拡充強化に関する覚書が発せられたのでございまして、從来、この保健所というものは、保健所法によりまして、地方にあつて衞思想普及をやるということが第一の目的なつておつたのでございまするけれども、その覚書によりまして、この保健所というものは、いわゆる衞生郡役所は概ね一郡に一ケ所程度人口十万に一ケ所でございまするが、存在いたしまして衞生郡役所というような仕事と同時に、從来つておりました栄養思想普及でありますとか、或いは結核に対する検診、或いは衞生指導、その他乳幼兒保護の問題、性病の問題というようなサービスの面も併せてやつて行くということに相成つておるのでございます。今日公衆衞行政につきましては、この保健所というものが未端の実施機関といたしまして欠くべからざるものでございます。昭和二十五年度におきましては、七百四ケ所でございます。この保健所運営の現情でございまするが、これにつきましては、医師の定員補充が必ずしも十分でありません。そのためにこれらの職員の獲得、その身分、待遇向上等につきまして、いろいろ苦心をいたしておる状況でございます。殊にこの保健所は、今後の結核対策一つ中心とも相成りますので、我々といたしましては、鋭意その内容整備努力をいたしておる次第であります。  次に結核予防でございまするが、御存じのように我が国結核死亡者は、漸く減少の傾向になつておりまして、すでに一時人口、万対二十五というような数があつたのでございますけれども、昨年度におきましては、万対約十七というように漸次減少を示しておりまするけれども、併し一般死亡率減少をいたしておりまする関係上、依然といたしまして、結核は最も重要な疾患である。その数におきましても又或いはその死亡率につきましても最も重要なる目標と相成る次第であります。そこで厚生省といたしましては、来年度におきまして、結核に対する特別な対策を樹立するということで只今努力をいたしておるところであります。その概要を御報告申上げますというと、先ずその予防対策でございますが、これにつきましては第一線の機関でありまする保健所の既存七百四ケ所の整備をはかりますと共に、若干の新設を行いまして、又必要がある場合には支所を設ける、そして結核專任医師を現在保健所に二人でございますけれども、これの増員と保健所増加もはかつて、その機能向上を期したいと考えておるのであります。尚又健康診断徹底いたしまして、この結核予防の、一は以て作戦の地図を作り、一は以て探し出しました患者に対する、或いは不健康者に対する指導、或いは療養をやらしめようということで、先ず健康診断徹底をはかつて行こうと思うのでありまして、この所要経費全額を国及び地方公共団体負担といたしたいと存じておるのであります。現在健康診断をいたしておりまするものは約千五百万人でございます。それを約四千万人にまで持つて行きたいと考えておるのでございます。  第三番目には予防接種徹底でございます。結核に感染しておりません者に対しましては、予防接種法によりまして、B・C・Gワクチン接種をやつて行こう。御存じのようにB・C・Gワクチン接種いたしまするというと、発病を半分、死亡を十分の一に減ずることができるのでございますが、そういう有効なる方策実施いたしたいと考えておるのであります。  次には在宅患者療養指導徹底でございまするが、これは保健所中心といたしまして、在宅患者予防及び療養生活指導徹底化して行きたい、又医療社会事業とも緊密に噛み合つて一つ療養所に入れない患者につきましても、その指導徹底をはかりたいと考えておるのであります。  尚次にこれらの医療対策でありますが、これは何と申しましても、先ず第一に病床拡充であります。これは尚将来におきまして、関係各局で大いに論議いたしておりまするので、当初は一応十二万ベツドということを目標にやつてつたのでありまするけれども、今日現在におきましては、更にこれを増して行こうじやないかということで論議をいたしておるのであります。尚現在持つておりまする病床数は九万床でございます。尚この外に病床拡充いたしますために、現在の伝染病も御承知のように伝染病が非常に減つて参りましたので、伝染病院のうち一応伝染病予防上これを休ましてもいいというようなものは、これを結核療養施設に転換するというようなことも考えておるのでございます。なお病床新設につきましては、国立病床が現在五万五千、現在公共、その他の病床を併せますというと、先程申しましたように九万でございます。これを今年の規定経費におきましては、国立が八千五百それと公立が八百というものが増えることに相成つておるのでございます。尚この結核特別対策として必要な結核増床につきましては、先程申しましたように関係局課におきまして尚討議中でございます。  次にこれらの経費の問題でございますが、特に経費と申しましても患者医療に必要な経費でございますが、これらにつきましては、全額、或いは相当額を国及び地方公共団体負担とするということで、折角討議をいたしておる次第でございます。尚これらの結核対策の重要なる部分といたしまして、その外に技術者確保でありますとか或いは技術向上、或いは研究の助成でありますとか、患者保護、或いは医薬品の確保というような面につきましても、同様に結核対策の一環といたしまして目下鋭意準備を整えておるところでございます。次に精神衞生でございます。これは、同じように結核法と同様に予防課所管でございまして、第七回国会におきまして、本院の提出した精神衞生法制定公布せられたのでございますが、この精神障害者医療保護及び予防を行いますために本法によりますというと、都道府県精神病院及び精神衞生相談所を設置する、又精神鑑定医という制度が確定せられておるのでございまして、今までとかく放置せられておりました精神衞生対策が非常に具体化することになつたのであります。私共法の施行に当る者といたしましても、来年度におきまして、相当な予算の要求をいたしたいということで只今努力いたしております。  次に赤痢防疫課に移りまして赤痢対策でございますか、御存じのように我が国におきまする急性伝染病は毎年概ね十五万乃至二十万といわれておつたのでありまするけれども、一昨年は五万六千、昨年は五万三千というところまで、急性伝染病患者が激減して参つたのであります。ところが本年におきましては、昨年頃から漸くその兆候を見せておりました赤痢相当に増えて参りまして、非常に遺憾な点でございまするが、先ず全体の急性伝染病につきましての、今日現在の発生状況を申上げますというと、赤痢患者は七月一日現在のところでございますけれども約九千人でございます。これを昨年の同期との比率で申上げて見ますというと、昨年同期を百といたしまして、赤痢は二百九十一、腸チブスは八十七、パラチブスは七十、猩紅熱は百二十、ヂフテリアは七十七というような状況でございまして、赤痢猩紅熱発疹チブスはすでに終熄いたしましたけれども、発疹チブスも若干殖えておりますが、主として赤痢相当に殖えている。從いまして、法定伝染病の全体の数を、昨年同期と比較いたしますというと患者におきまして、昨年同期を百といたしますと、百八十四ということになりまして、約二倍近くに相成るのであります。これは殆んど赤痢増加による増加でございます。で、この一時減少しておりました赤痢が何故かくも三倍に近いような増加を示したかということでございまするが、これらの理由といたしまして、私共の考えておりまするのは、先ず第一番に比較的に軽症患者が多いために、届出が十分に行われていないことと、サルフア剤が手に入りますために、素人療法が行われまして、症状はなくなつたが菌は拜泄するという状況で、非常に伝染の危險が多いということ、それから第二番目には食糧事情が好転いたしましたために、外食の機会が非常に多くなつて来ている。第三番目に、食品衞生個人衞生等もまだ十分でないというようなことが原因ではなかろうかと考えているのでございます。そこでこれが対策といたしましては、赤痢のような、必ず口から入る経路の明らかな伝染病増加いたしますることは、我が国国際的信用にも関係いたしますので、本年度の私共の局の仕事の重点は、赤痢そして結核というような方面に向けて行くという決心を持つているのでありまして、厚生省及び各都道府県に、臨時赤痢防疫対策本部を設けまして、そして蝿の発生防止、清涼飲料水の消毒、食糧品衞生環境衞生等衞生教育、届出の励行というような具体的方策中心といたしまして、この赤痢予防対策実施いたしておるりであります。一応下火になりかけてはおつたのでありますけれども、尚依然として楽観を許さないという状態でございます。誠に申訳のない次第であると存じておるのでございます。  次に環境衞生行政強化でございまするが、環境衞生行政国民衞生的な生活環境を改善、向上せしめるところの施策でございまして、日本におきまする衞生対策の中では環境衞生の問題が一番遅れているということは、これはもうアメリカの視察団も指摘いたしまするし、私共もよく承知をいたしておるところであります。折角そのために環境衞生部を設置いたしまして、この環境衞生行政強化を図りたいと考えておるのでありますが、先ずこれがためには環境衞生方面であります汚物処理法でありますとか、その他の環境衞生関係する法律相当に古いのでありまして、從いまして新しい感覚の法律一つ作ろうということで、只今立案をいたしておるところでございます。  次に水道関係でございまするが、この上下水道行政につきましては、すでに御存じのように、水道行政の一元化という問題が、もう随分昔からございまして、殊に今年の初めあたりにはやかましく論ぜられたのでありますが、要するに厚生省と、建設省とで水道行政を共管しておるというような形に相成つておりますために、いろいろと実施上に不便がございまするので、これは行政管理庁にございまするところの委員会等の答申によりましても厚生省に一元化すべきだということに相成つておりますので、私共といたしましてはどうぞ早い機会にそういうふうにすつきりとした形になりますことを衷心希望しておるところでございます。  最後狂犬病予防でございまするが、この狂犬病は一時もう非常に影をひそめておつたのでございますけれども、昨年以来狂犬病増加いたしまして、昨年におきましては狂犬が六百四十一頭、人が噛まれたものが千六百十七人というように急速な増加を示しておりますが、而もこれは関東地域に限られておるのでございます、ところがそれが今年に入りましても、衞生当局が非常な努力をいたしたにも拘らず、依然としてこれらの狂犬病発生が減らないのでございまして、七月八日現在におきまして、関東地域及び大阪大阪は一頭でございましたが、その一頭が九人を噛んでいるのであります。七月八日までに今年度において犬が五百五十七頭、噛まれた者が千百六十二人というような数を示しておるのでございます。この狂犬に対しましては対策といたしまして、先ず移動制限をやりまして、関東地方の各都府県は総合的に犬の移動を禁止する。又本州ど北海道、四国、九州との間にも犬の移動を禁止するというような措置を講じておりますと共に、犬の品評会というような、犬が集まる機会を作らない、又犬は関東地方の各都府県におきましては犬を繋留させまして、運動するときには打網をかける。猫につきまして繋留することをお願いしておるようなわけでございます。尚この外徘徊する野犬を捕えまして、一切の犬に予防注射をやるということも大いにやかましくやつておるのでございまするが、而もなかなか狂犬が減らないのでございまするが、この原因は要するに野犬を捕捉することが困難だということに原因があるのでございまして、関係当局を督励いたしまして犬を捕える、そうしてこれらにつきまして悉く予防接種をやるということがなかなかやりにくい、又今日の民主思想の下でございまするので、往年のように捕えて来た犬を処分するということがなかなかできませんので、繋留をいたしまして、持主が取りに来るのを待つている、取りに来るから予防注射をして返します、そうするとその犬は依然として放し飼いなつている、すると、あの犬も放し飼いだからおれも放し飼いだということで、なかなか野犬の捕捉と、一般予防接種実施徹底しないということが、今日の狂犬病の抑制が十分行つてないという理由であると考えておるのであります。併しながら、その狂犬病、人が狂犬に咬まれまするというと、予防接種をやりますのにも十八日もかかりまするし、又若し一旦発病すると必ず助からないのみならず、非常に一般の下安を惹起いたしまして、ために私共といたしましても誠に申訳ないと同時に是非とも早期にこれを撲滅いたしたいということで、折角努力をいたしておるという状況でございます。  以上、私の所管の概況につきまして申上げた次第でございます。
  8. 山下義信

    委員長山下義信君) 公衆衞生局に対しまする御質疑をお願いしまする前に、昨日深川委員から公益質屋運用状況につきまして、御質疑がございました。それに対しまして、小山社会局長代理から御答弁申上げまして、それから公衆衞生高質疑に入りたいと存じます。
  9. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 昨日お尋ねがありましたのは三点でございまして、一つ公益質屋における利率がどうなつておるかという点、それから第二は公益質屋における流質期限がどうなつておるかという点、第三点は貸付金額がどうなつておるか、この三つでございましたが、順次お答え申上げます。  第一の利率の点は、一般質屋における利率月利で概ね一割乃至一割五分程度なつております。これに対しまして公益質屋の方は月利三分を超えてはならんということになつております。現状ではこの三分を超えてはならんという、三分で運用されておるという状況でございます。  それから第二の期間の点につきましては、一般営利質屋におきましては、預け主質屋側との契約によつて如何ようにも内容が決まるようになつておりますが、公益質屋の場合は四ケ月未満で流してはならないと、こういう規定なつております。少くとも三ケ月間はそのままにしておく。四ケ月経つて初めて流すと、こういうことになつております。尚、流す場合の方法でございますが、一般営利質屋の場合は流れれば流れつぱなしということになりますが、公益質屋の場合は流す場合にはこれを必ず競売に付することになつておりまして、その結果得られた金が貸付ました金に利子を加えました金を超えますときは、その余剩分は預け主に返済しなければならんということになつております。  それから第三点の、貸付金額でございますが、一般営利質屋につきましては勿論質物の経済的な価値によつて決まりまするので、制限はございません。これに対しまして公益質屋の方は一世帶当り五千円ということが現在の限度になつております。以上でございます。
  10. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 そういう便利なものであつたら、いつそ質屋というものは全部公益質屋にするとどうでしようね。これは質業者の人の失業対策ということも問題になるのですが。
  11. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) この問題は一般中小企業全般と、それから社会政策的な意義を持つた施策との関係におい常に起きて参る問題でありまして、なかなか一概にいずれとも決めかねる問題でございますので、まあ現状においてはできるだけこういつた施策拡充を図つて行くというようなところが一番適当なところではなかろうか、ただそれにしても現在の公益質屋復旧状況は非常に低いのでございまして、曾て全国を通じまして一千程度ありましたものが、現在その半分にも満たないという状況でございますので、昨日申上げましたように、少なくとも成るべく近い機会において、これを曾での一千まで持つて行きたいということを、まあ当局側といたしましては、差当り目標といたしまして努力をしている、こういうような事情でございます。
  12. 松原一彦

    松原一彦君 ちよつと伺いますが、その利率の計算は日にちで計算しますか、月で計算しますか。
  13. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先程申上げましたように、月で計算するのを例としております。
  14. 松原一彦

    松原一彦君 そうしますと月末に預けたものが翌月に早く取出した場合にやはり二ケ月としておりますか。
  15. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) この点は私研究不十分で正確に申上げませんでしたが、公益質屋の場合は規則で実日数と申しますか、三十日を一ケ月として計算するということが決つておるそうでございまして、その結果只今お尋ねのような場合は、それが三十日に満たなければと月という計算をすることになつております。
  16. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは公衆衞生局に対する御質疑を願います。
  17. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 局長にちよつとお尋ねいたしますが、保健所法案は第一回国会に通過をいたしまして、当時五ケ年計画で完備するというような御説明があつたように記憶いたします。私共最近地方に行つて参りまして、いわゆるモデル保健所というものを視察いたしましても非常に内容が貧弱なように思います。モデル保健所がその程度でありますから一般保健所はそれより非常にレベルの低いものではないか。保健所の使命が非常に重大化しました今日、あの程度では使命を全うすることはでき得ないのじやないかというようにまあ考えておるんです。明年度の予算には相当に適当な人を得る、施設を充実するという意味合において、相当の予算を御要求なさるお気持はありませんか、先ずそれを伺いたい。
  18. 三木行治

    政府委員三木行治君) 御指摘になりましたように、保健所内容整備の問題は私共も鋭意努力はいたしておるのでありますけれども、人の面で実は非常に当惑をいたしておるのでありますが、御存じのようにAクラスの保健所と申しますのは今年に入りまして白五十ケ所となり、七百四ケ所から百五十ケ所を差引いた残りの五百五十四ケ所がCクラス、このAクラスにおきましては職員は六十一人でございまするが、その医師を除く職員は充実をいたしておりまして、悉ぐ定員を充足しておるのでございますけれども、医師の面におきまして概ね不足をしているのでございます。この医師の採用の点につきましては、私共も或いは公舎を造ますとか、或いは研究費を與えるというようなことで待遇の改善に力めて参つておるのでございますけれども、根本的に保健所の医師だけを特別な待遇をするということは、地方公務員法は今日国家公務員法に準じて行なわれております関係上むつかしい。これはまあひとり我が国だけでなしにアメリカにおきましても、或いはヨーロツパにおきましても公衆衞関係の医師は不足いたしておるのでありまするが、併しこれは言訳に成りませんので、来年度におきましては、更に研究費、或いはその他の方法で医師の募集が楽なように一ついたしたいと考えておる次第でございます。
  19. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 それからもう一つ、この結核の問題について各方面で非常に重要視されておるのでありまするが、現在いわゆる開放結核という患者の数というものは、正確な数字はなかなか得難いと思いますが、凡そどのくらいあるのですか。そしてこの患者は病院に收容されておるかどうか。
  20. 三木行治

    政府委員三木行治君) 結核死亡は約十五万でございますが、從いまして結核患者の数は私共はその十倍の百五十万というように一応考えております。併しながら一面におきまして私共は結核患者届出を奨励をいたしておりますので、これらのどの数字を最も信頼して行くかということになりますとなかなかむずかしい。併し一応先ず結核死亡の十倍、十五万の十倍というあたりが一応結核患者の数じやないかというように考えておるのでございます。併しその中でどのくらいが結核患者であり、どのぐらいが收容されておるかという問題でございまするが、御存じのように結核ベツトは国、及び公私立を合せまして九万ございまして、而も地域によりましては必ずしもそれが一杯になつていないということもございまするので、從いまして先ず九万よりも入院しておる者は下回る。從つてその外の一般病院というものもございます。そこでこれらの数を合せましたどれだけが開放性であるかということになりますと、私はざつと三分の一だということに考えておるのでございます。と申しますのは開放性と申しましても單に菌の、喀痰の塗抹たけで見るか、或いは培養もやつて行くか、その培養も殊に精密な方法でやつて行くかということによりまして性質も変つて参りますので、大体三分の一ぐらいが開放性であろうということで行政的に目安を付けておる実情でございます。
  21. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 私共療養所にちよいちよい行つて見ますというと、非常に軽い患者が長く入院をして、自分の家のような感じでやつておるのであります。そういうこともベツトが沢山あれば非常に結構なことでありますけれども、入院を非常に希望しておる相当重い患者が入院ができなくて、軽い退院してもよさそうな人が長く病院のベツトを塞いでおるというようなことは非常に矛盾をしておるのではないか。その入れ賛えということがいろいろな事情でむずかしいと思いますけれども、なんらかの方法によつてこれを断行して頂かないと、非常に困るのじやないかというような感じを受ける。療養所に行く度に持つのでありますが、そういう関係はどうですか。
  22. 三木行治

    政府委員三木行治君) 只今御指摘になりました点は私共の結核対策におきましても最も重要な点でございまして、結核病床の廻転を早めて行くということは、結局結核増床と同じ結果になるのでございますけれども、いろいろと考えておるのでございます。先ず只今の結核対策につきましては、いわゆる廻転率を早めますために入院をいたしましても、特殊な措置等は最早やできないというような時期の者、或いは特殊な措置を必要としないというような者につきましては、いわゆる病院、療養所と違つたような簡易な施設でよいのじやないか。そして病院、療養所に入れる者につきましては、いわゆる寄宿療法でありますとか、絶えず経過を観察して行く必要のあるような、ストレプトマインンを適用する患者であるとかいうような者、そしてこれは症状が入院を必らず必要とするから入れる、必要としなくなればこれをさような先ず寄宿的な施設に移すというようなことによりまして、一つ廻転を促進して行きたい、こういうことを考えでおるのでございます。ただ具体的な実施方法等につきましては只今関係各局で相談をしておる段階でございます。
  23. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 もう一つ、この表を見まするというと、今年は赤痢の集団発生が非常に多いようでありますが、都市におきましては伝染病院というものは種々開設されておりますけれども、地方に行きますと、発生したときに開設をするというような状況であるように思います。どうもこういうふうに集団発生いたしまする原因は、医者が届出を怠つたことに主として原因しておるのじやないかと考えられます。そこでこの医者が診断を決めましても、伝染病院を開設するということになると、少くとも一日に相当な金がかかり、今日の疲弊をした町村の財政では成るべく開設したくないというような空気が僕はあるのじやないか。そういうために医者の方でも届出をすることを怠るというような事実が起つて、自然蔓延もするというようなことを想像するのでございますが、実際問題としてどうなんでしよう。
  24. 三木行治

    政府委員三木行治君) 御指摘になりました点は、私共もさようなこともあると考えております。地方によりますと、伝染病院を開設いたしましたために村の経済が非常に困るということ、それから伝染病者であるという診断をいたしますと、事後医者がその村から非常に拜斥せられるという事情もあるのでございまするが、これにつきましては、私共はそれらの事情も実際には法律違反ではあるけれども、成る程さような事情があることは了承いたしておりまして、先ず伝染病者という者を山の端つこに隔離することは面白くございませんので、既設の病院に附設いたしまして、そうして病院とは單なる隔離ではなくて治療する所だというようにいたしたい。そうして赤痢等につきましては、オーレオマイシン、クロロマイセチンを使つて見ますと一日、長くも二日で直るのであります。そういう次第でございますから、これらの治療面におきまするやり方をそういうふうにやりますと、入つた者も非常に経過が早くて敏速に直る。事後感染源という謗りを免れることができる。村当局といたしましても蔓延いたしませんために村の経済に影響することが非常に少い。届出を励行いたしますと同時に入院した者についてのみさような薬を使いまして、敏速に的確に治療を完成するというようなやり方をいたしておる次第でございます。從いましてこれらの点が周知徹底いたしまするならば、届出も自然増加して来る。村の当局の考え方も変つて来るのじやないか、かように考えておる次第でございます。
  25. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 今一つ精神衞生法案は本年の春私共の提案になつたのでありますが、これの審議に当りまして、立案当時も精神衞生研究所というものを設けたいというので、大蔵当局にも特に臨席をして貰いまして立案をいたしたのであります。今日は財政上の関係で是非これだけは設けて貰いたい。二十六年度においては何とかしたい、こういうことで、案から項目を除いて置いたのであります。それで本年度は、二十六年度におきまして、国府台の病院の敷地の中に、とにかく建物を新設して貰う、その外の人的、物的の問題につきましては漸次充実するという意味合において、明年度の予算には精神衞生研究所設置ということも若干要求して貰いたい。これは春三木さんも御存じの通りお約束になつておる。何とかできませんか、明年度の予算では……。
  26. 三木行治

    政府委員三木行治君) 中山委員から御発言になりましたことは全くその通りでございまして、私共も来年度予算におきましては、是非ともその点につきましては御指摘になりましたような方針で進めるということであつたのでございまするが、研究所につきましては厚生省内におきまする予算の論議におきまして、相当熾烈な論議をいたしたのでございますが、一般的な情勢、殊に来年度結核対策或いは社会保障という面で予算が非常に嵩むというようなことで、全部一時にやるのでなくして一つ延ばしてもらえないかというような情勢にございますので、その点誠に申訳ないと、力足らないで申訳ないと存じておりますような次第でございます。さよう御了承願います。
  27. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 そうするとこれは断念しなければならん運命になつておりますか、もう少し一押し押せば何とかできるというような段階には行つていないのですか。
  28. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕 ○委員長山下義信者)速記を始めて。河崎委員9
  29. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 B・C・Gの予防接種は今日実際のところどの位行われておりますか。殊に前の結核予防法律のときに小さな子供に、零歳の子供からするようになりましたが、あれは現在どの程度に子供の方はなされておりますか。そのことをひとつ伺いたいと思います。
  30. 三木行治

    政府委員三木行治君) 予防接種法によりまして、只今全国約七百万人に施行いたしております。
  31. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 全体としてその位ですね。この春もよく方々で健康週間がございまして、なしていらつしやいましたね。ああいう数でございましよう。それで七百万人というわけでございましよう。
  32. 三木行治

    政府委員三木行治君) 御存じのようにこのB・C・Gの検定が非常にやかましいので、そのために法律を率直にやりますというと三千万人、零歳から三十歳までございますので、三千万人になるのでございます。只今のところでは七百万人位しかやつておりません。併しこのB・C・Gの検定が通りましたものがどんどん出て来るようになりますと、法律の定めるところだけは是非やつて行きたいとかように考えております。
  33. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今の七百万人と申しますのは、一般の人ですか、或いは小学校の子供を中心にしているのですか、そういう中心の置き方ですね、今の厚生省の方針ではどんなところにございますか。
  34. 三木行治

    政府委員三木行治君) そのやり方につきましては、ツベルクリン反応をやりまして陽転率の高いつまり結核が多いところ、それから結核に危險な年齢層、中学生から壮年に至るまでの者、或いは結核死亡の多い都市、私共はそれを結核特別予防都市と言つておりますが、そういうようなところに重点を置いてやつておる次第でございます。
  35. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 結核のことでお伺いしたいのですが、大変に御努力によりまして保健所整備もでき上り、病床増加しつつあります。この際私共の考えなければならないことは、国民衞生教育をもう一度思い直さなけれげならないのじやないかと思うのです。御承知のように一遍結核にかかられまして、新らしい科学的な療法を受けられました方は非常に知識が豊かでございまして、大変結構ですが、この間も或る病院の患者さんから手紙を受取りまして、自分たちはもう少し結核に対する知識を持つていたらこういうような手遅れにはならなかつたのだが、それで国民全般に結核の知識を普及して貰いたいというようなことを書いて来ておりました。幸いこの頃の小学校の教科書なんかには衞生教育と申しますか、結核に対して科学的なものを取入れられた、健康教育を取入れられた教科書もできて、その方面の教育ができるようでございますが、現在成人いたしました人々の間には單なる展覧会とか何とかいうような、結核予防教育の方面だけでは本当の結核の治療、本当の結核の恐ろしさが分らず、本当に結核予防徹底しないのではないかと思うのです。現在成人いたしております人々に対して結核というものはどういうものだ、どういう時期に治療すればいいか、こういう薬はこうだというような再教育を衞生教育の方面から考えて行つていらつしやいますか、お伺いしたいと思います。
  36. 三木行治

    政府委員三木行治君) 井上委員から御指摘になりました衞生教育の重要性につきましてはこれはもう申すまでもないことでございまして、非常に私共といたしましては重視いたしております。殊に民主主義時代におきまして国民の納得と協力とを得られない対策というものはないのでございます。ただ併し残念なことにはこれを予算化するということが非常に困難であります。これは井上委員もよく御承知のことと思います。それで実はいろいろと考えを繞らしまして関係各省の連絡会議、或いは文部省と連絡いたしまして教科書の中に入れて貰うというような努力等をやつておるわけでありまして、又その教育いたしますヘルス・エデユケーターというものを、やはり專門的なものを作る必要があるのではないかということで、それらにつきましての立法も考えておるのでございますが、差当り年度におきましては、それの特別の職員即ちヘルス・エデユケーターを養成いたします講習会を作りたいというようなことで予算を要求いたして居ります。
  37. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 先程B・C・Gのことについて伺いましたが、御説明を伺いますと、それの結核の主に多い所とかいろいろ重点的にやつていらつしやる……。実は二つのことなんですが、一つは方々に参りますと若い人たちに話をいたしますときに、実はそういう若い人の生活のうちで結核に対することについては、私共別の立場から注意をいたしまして、そうしてB・C・Gのことも話をいたしましてそういうふうな法律で決つたんだからと言つておりますが、工場ですと工場の衞生管理官といいますかあの方たちの非常にまじめな熱心な方は実はこちらでも気をつけていますが、そのB・C・Gがなかなか工場にない、またできていないでしようかといつて質問されるのでございますが、厚生省の方で重点的に認めていないので、各工場で実はそういう衞生監理官が非常に集団の女工さん達のそういう生活によく注意をしておつて、そのことを熱望している。そういうようなところは積極的に工場から、厚生省なら厚生省に申上げれば分けて貰うというようなことができるのでございましようか。そのことを一つ
  38. 三木行治

    政府委員三木行治君) そのB・C・Gの計画につきましては、保健所が大体やつておりますので、その管内の保健所長と御相談を頂きまするならば、大体解決をいたすものと考えます。工場等におきましては特に結核予防に重点を置かなければならんのでありまして、尚少量のB・C・Gでございますというと、御存じのようにB・C・Gというのは一瓶、一遍に沢山やりますからその端数が出て参ります。そういうような場合を考えて保健所ではB・C・Gデーというような日を一週に一日ぐらい作つております。少人数でございますればそういう機会をお捉えになりますればできますし、保健所長と御相談を頂きますれば大体解決すると思います。
  39. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 それは割合に大きな繊維工場ですから心配ないと思うのです。  もう一つ、今井上委員からお話ございましたように、その保健教育の中でいろいろ又こつちの予算もございましようけれども、結局殊に結核のことにつきましては、お若い人も知つていることは必要なんですが、なかなか若い健康なときにはそういうことに関心を持ちませんので、私が自分でそういう経験を持つておるものといたしまして、いつも若い人にお話しておるのですが、母親が相当に子供の病気、そういうときにああこれはこうだという認識を持つことは大事だと思いまして母親にしよつ中話かけているんですが、その中でも殊にB・C・Gは今度法律も決つたことでその法律のときに私達参與したものといたしまして、できるだけそういう子供の方に、赤ちやんの方にそういうことが生活に現われて来ますような機会の少しでも早いことを望む次第でございますが、若しもそういうふうない今のような状態でなかなか沢山できないので、そこで生れた子供が兎に角すべて一度そういうところを通過していくということができませんようでございましたら、又今書物もお拵えになると言つておりますが、非常に手軽な、むずかしい書き方でなく、その庶民のお母さん達に分りますようなああいう書き方にした、そういう一つの教育書を是非お考え願いたいと思つておりまして、そういうふうでいつでも書物を気を付けておりますのですが、今二、三册ございますし、殊に又毎日賞を得ました赤ん坊の科学など京都の松田さんがお書きになりましたし、「結核をなくすために」を書いて非常にいいのですけれども、併し女の人から、主婦からはまだ少し遠過ぎるものですから、是非短かい時間に読まれるようなものを、厚生省の方の保健教育の一としてお考え願いたいものだと思つております。
  40. 三木行治

    政府委員三木行治君) 母親の認識が大切なことは、もう御意見の通りでありまして、母親の同意を得ない衞生習慣というものはつきかねることはいうまでもございません。私共も母親の教育に力を入れて行きたい。殊に御指摘になりましたように、今までの役人の書いたものとか、映画というようなものは、あまり筋道が通りすぎて、要らんことが随分あります。でそういうところにやはり衞生教育技術を応用して、どうやつたらうまくのみ込めるかということを十分に考えて行きたいと考えておるのでございます。尚母子関係全般のことを持つております兒童局とも相談いたしまして、御趣旨に副うように努力いたしたい所存でございます。
  41. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 あのB・C・Gというのは一回注射いたしますと、その効果はどの位期間あるのでございますか。
  42. 三木行治

    政府委員三木行治君) 只今のところでは、これは一年に二回位が一番いい。併し一回注射すれば、一年位は大体いいのぢやないか。特に必要があります場合には、二回やるというようにやつておるわけでございます。
  43. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それから一回分の注射に使いますその薬の実費というようなことがお分りになりますでしようか。
  44. 三木行治

    政府委員三木行治君) 一人分約十五円でございます。
  45. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 先程のお話によりまして、結核の恐ろしいこともよく分りました。又B・C・Gとやら非常に予防薬として、効果一〇〇%ということも分りましたけれども、極めて検閲が嚴重であつて、優秀な製品が少いために、三十万人に注射しなくちやならない筈のものが、僅か七百万人しか注射できないような現状であるということでありますが、それならやはりたとえ七百万人にでも注射するだけの品物ができるとしますると、やはり優秀な製法というものは必ずあるのですから、その製造方法をむしろ国家が営利事業になさらないで管理なさいまして、国営にでもなさつて、そうしてなるべく経費を少くして、沢山作らして、それ程効果のあるものであつた一般の人に注射するというようなことがよいように思いますけれどもいかがでございましよう。
  46. 三木行治

    政府委員三木行治君) 昨年度におきましてはB・C・Gの検閲の関係で量が少かつたのでございまするが、これは実は非常に時日がかかるものでございますから最初の出が惡かつたのでありますが、今日はもう流れ作業でどんどん出ております。でございまする、から私共が予定いたしております人員だけは全部やれるわけでございます。尚これを国営に持つて行くかどうかという問題でございまするが、これは国営の利点もございまするし、欠点もございます。只今のところ結核予防会がやつておるのでございまするが、それで以て格別不利があるというようなものも認められておりませんです。只今のところでは国の予算をこのために出して国営でやつて行こうというふうには考えておらないのでございます。
  47. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 価格の統制の問題でございますけれども、余り暴利を貧つているような様子はないんでございます。
  48. 三木行治

    政府委員三木行治君) 価格の点につきましては嚴重な原価計算をやつておりまするので、決して暴利を貧るというようなことはございません。ただ薬の実費の外に注射をいたしまするときに一人々々に針を換えて参ります。そうすると、その針の中にまだB・C・Gがあるわけでありますが、それは捨てなければならんわけであります。そういうふうなこととか、或いは一旦瓶を空けますと、その瓶は全部使わなければなりませんので、半端になつたものは場合によつては廃棄しなければならんというようなこともございます。そういうことがありまするから若干のロスはございまするけれども、価格の点につきましては嚴重に監査をいたしておりまするので、暴利というようなことは決してございません。
  49. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつとお伺いしたいのでございますが、この予防接種法によつてつておるわけでありますが、この予防接種法審議のときに、時の予防局長に、法律を以て施行し、これに違反した者には罰金がついておるわけでありますから、それについて費用全額国庫負担でやるべきではないかという質問をいたしましたときに、僅か全部で五円くらいでできるというような御答弁であつた、記録にあると思うのでございます。ところがそれに対してB・C・Gだけでも十五円、それからチブスだとか、赤痢等の接種についてもそれぞれ費用を取つておると思いますが、今これを全額でどのくらい、予防接種法によつて施行するところの費用は全部でどのくらいかかるということを一つ伺いたい。それからこれを全額国庫負担でおやりになる意思があるかどうか。それから検査が大変にやかましいために、薬が遅れておるということは、この結核に対して一日も早くやらなければならないし、やる意思があつたからこそ私は法律を作つたと思うのでありますが、いつ頃になつたらこの薬が全員に施行するだけできるお見通しがあるかということを一つ最初に伺いたいと思ます。
  50. 三木行治

    政府委員三木行治君) 予防接種法が定めるところの予防接種のおのおのにつきましての料金の点でございまするが、只今ここで分りかねますので、取調べました上でお答えいたしたいと思います。  それから全額国家負担の問題でございまするが、これは発生時における臨時接種どいうようなものは、これは当然無料でやつております。それからその外の点については有料でやつておるわけでございまするが、これを全額国庫負担でやる意思はないかというお問いに対しましては、私共といたしましては、全く御意見の通りでございまするが、要は国家財政の現状等から見て、受益者が若干の費用負担するのは当然ではないか、それも金の面によつて裏付けられた面との間で討論をすることになるわけでございまして、これは国の財政という立場からの結論でございまするので、私共からは、なるべく国庫負担にしたいという気持は、又御意見と相違はないと存じます。
  51. 藤原道子

    ○藤原道子君 金の面からというお答えでございますが、病人が出たときに、やはり金を相当かけておるわけです。チブスに罹つても、疫痢に罹つても……。こうものこそ、全額国庫負担でやつて、そうして予防の面に重点を置くならば、全額国庫負担にするのが、私至当だと思いますので、十分その点は考慮しなければならない問題だと思います。  それからB・C・Gは三千万人に施行することができるかどうかというお見通しをちよつと……。
  52. 三木行治

    政府委員三木行治君) 最早やれることに相なつておりますから、大丈夫でございます。
  53. 藤原道子

    ○藤原道子君 次にお伺いしたいのは、それは先程来結核軽症患者が病院のベツドを占めておつて、重症患者が入れないということについての御質問と併せて、結核の恐ろしさは分つて来たけれども、それをもつと宣伝する必要はないかという御質問があつたのでございますが、私は、それと同時に結核の恐ろしさが痛い程分つていて、入院させなければならない開放性結核患者を抱えていて、尚経済面或いは自分の患者さんの入院の点、家族の生活の点等々によつて、入院することのできない人が沢山ある。私共の方にも、随分相談に見えに来られて、国立病院なんかにも入院の相談をいたしましても、半年も一年も経たなければ入院ができないというのが沢山あるのでございますが、今年は相当ベツド数が殖えるということも聞いておりますが、それによつて、今入院を希望しておるという人が、どの程度吸收できる見通しでございましようかということを、一つお伺いしたいことと、それから今非常に不安に思つておるのは、そういう入院して或る程度病気が治つて来る。そうするとこれは退院させたらよいじやないかということでこれを追い出す。そのときに再び逆転するということ、大きな生活のハンデキヤツプを帶びておるのでございますが、これらに対してこの前則にはコロニー的なものを作るという計画もあつたやに聞いておるのでありますが、そうしたことに対しては今、どういうふうになつておるか、どうかお考えになつておられるかということをちよつと伺いたい。
  54. 三木行治

    政府委員三木行治君) 只今御質疑のございました一体どのくらい待つておるか、そうして入れない者はどういうふうな見通しであるかというお尋ねでございますが、先程申上げましたようにベツトは約一万増加いたします。そうして入院を希望しておる患者というものはこれは地域によつてまちまちでございますし、又公、私立、国立によつてもそれぞれ違いますので、私のところで正確なる数字を持つておるわけではないのであります。場合によつては空ベツトのある所がないともいえないのであります。御指摘になりました入りたくても経費関係で入れないという点でございますが、それにつきましては只今我々の審議しております社会保障法の草案でございますが、その点並びに結核予防対策というような点で、実はそれらの医療費、生活費というようなものにつきまして国の方でできるだけ持つて行くというような、つまり事結核に関する限りにおきましては、いわゆる費用の点では心配させないようにしようという目的で折角相談をいたしております。まだ只今申上げる程に固まつておらないのでございますが、そういうつもりでおるということを御了承を得たいと思います。  それからアフター・ケヤーの点でございますが、これはアフター・ケヤーという形のものを来年度予算に要求するということは、收容施設というものが先ず足りないのでありますから、それは一つ各種の結核療養機関整備するという点からは必要であるけれども、やはり実際的に重点的にやらなければいかんのじやないかという意見が相当に強うございまして、これらのアフター・ケヤーについては、社会局とも相談いたしまして善処したいというのが私共の気持でございます。御了承を得たいと存じます。
  55. 藤原道子

    ○藤原道子君 善処と言われますが、真劍にその点考えておいでになるのでありますが、重ねてお伺いしたい。
  56. 三木行治

    政府委員三木行治君) 善処と申しましたのは、具体的なことをちよつと申上げかねますので、善処と申上げたのでございますが、真劍に考えておることは間違いございません。(笑声)
  57. 山下義信

    委員長山下義信君) この際通告によりまして厚生大臣に対する質疑を許します。井上委員
  58. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 厚生大臣の御出席を得ましたので、朝鮮問題とこれからの赤十字の活動につきましてちよつと緊急質問をいたしたいと存じます。  御承知のように、只今朝鮮半島に展開されております戰乱は、私共が身近かに見ておるのでございますが、勿論日本の国民として一日も早くこれが停止を望んで止まないのでございますが、承わるところによりますと、日に日に傷病者も増加の傾向にございますし、又国民も非常に悲惨な目にあつておるということを承つておりますので、誠に御同情に堪えないものがございます。でこの際に私は厚生大臣といたしまして、厚生省といたしまして赤十字の活動をお許しになるか、お許しにならないかということについて承わりたいと存じます。  御承知のように、赤十字は戰時に際しましては、スイスのジユネーヴにあります国際委員会が永世中立を守るという精神からいたしまして、この国際委員会が戰時における活動の大元締をしておるのでございます。一昨年赤十字の国際委員会の総会がスエーデンでございましたときに赤字社は戰時救護の仕事もいたしますが、又保護仕事もいたしております。殊にそのときには赤十字は平和の仕事をするということの決議をいたしたようでございます。それ以来日本赤十字社においても終戦と同時に、いろいろ日本赤十字社の機構を改革いたしております。御承知のように封建的なやり方、運営方法を捨てまして、民主的な運営に改革をいたしますと同時に、その決議に基きまして国際的にも、国内的にも平和運動をいたすために、赤十字を建直さなければならん、又現在建直りつつあると思うのでありますが、この動乱に際しまして、又日本内地に在住しておられる朝鮮の方々も、自分達の同胞のために薬品を送つて欲しい、救恤の手を差伸べて欲しいといつて赤十字の地方の支部に申出たり、又送つて来られたりして来ておるのでございます。今日日本の赤十字は非常にそうした面で民主的に改革され、又平和的な団体になりつつあるのでございまして、国際赤十字委員会からも認められたということでございますが、この際この赤十字を一つ認識なさいまして、更に日本の赤十字をお使いになるおつもりはございませんかどうか。勿論これには占領国家でございますので、やはりそうした軍当局関係もございましようし国連の関係もあることと思いますが、厚生大臣の御所見を承わりたいと思います。それにつきまして若しそうした赤十字の救護班を動かすにしましても費用がかかりまして、御承知のように赤い羽根、白い羽根の計画をいたしておりますように、只今の日本の赤十字社は非常に貧弱なものであります。そのときは具体的にするとすればどういうふうに厚生省としてお考えになつておるか、それを承わりたいと思います。  それからもう一つは、この国際赤十字委員会関係は昔は外務省にございました。ところが外務省は只今の状態でございます。若しこれをなされるとすれば災害救助法でもどうかと思いますが、そういう場合に厚生省といたしまして、どの法律に基いてどの官庁の所管の下にこれをお動かしになりますかどうか、そのことも同時につけ加えてお伺い申上げたい。と存じますのは、まだこうした占領下にございまして、御承知のように海外引揚の問題もまだまだこの国会一つ仕事として残されております。中共にはまだ多くの赤十字の看護婦が残されております。現在こちらに傍聴に来ております方々も最近いろいろの苦労をして帰つて来ました。まだ帰られない人の両親も来ておられます。まだ中共やそういう方面に残存されております看護婦のこともございますにも拘らず、承わりますところによりますと、自分の身を犠性にしてまでも、長らく自分たちの本当の同胞のようにして過して来た韓国人のために、救護に行つてもいいと考えておるような赤十字の看護婦もあるそうでございます。この際厚生省といたしましては、こうした赤十字の本当の看護婦の熱意、また赤十字の活動につきましてお考えを頂いておることと存じますので、つけ加えて厚生大臣の御意見を承わりたいと思います。これで私の質問は終ります。
  59. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 只今の井上委員の御質問にお答えいたします。お話の中にありましたように、彼の地の戰争におきまして傷いた傷病者に対する看護に、救護の手を差しのべようとなされます篤志の看護婦の方々や、日赤の方々の心持に対しましては、深く敬意を表するものでございます。併しながらこれを実施いたしますかどうかということになりますと、いろいろな問題が起るのでございまして、先ず第一に御論の通り日本は現在占領下にあるのでありますから、かかる国際的活動をなすについては、関係方面から積極的な支持がありますれば格別でございますが、そうでございません限り、これを行うにつきましては特に愼重な考えを持たなければならん事情なつております。  第二は現在大韓民国も朝鮮人民共和国も、国際赤十字條約に加入しておりません。これに看護班を派遣できるかどうかにつきましては、法理上解決しなければならんいくつかの問題があるのでございます。併し政府といたしましては、これらの問題につきまして、十分検討を加えた上結論を出したいと考えまして目下鋭意研究中でございます。
  60. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 それからもう一つ承わりたいのでございますが、御研究をなさるというお話で誠に結構だと存じますが、若し御研究なさいましてこれを実施されるということになりますと、政府にはそれだけの備蓄といいますか、医薬品というものの用意はございましようかどうか、それを承わりたいと存じます。
  61. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 多少技術的な点になりますのでお答え申上げます。  只今大臣からお答え申上げましたように、これを実施するかどうかそれ自体について相当研究しなければならん点がありますので、そういつた前提の上であるということを繰返し申上げた上で申上げたいと存じますが、仮にそういつたようなことで何らかの救援の方途を講ずるということになりました場合には、医薬品その他につきましては、現状で十分必要な程度のものを確保して行けるということは大体技術的に見通せると思つております。
  62. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 それは只今の御答弁で了承いたしたのでございますが、若しこれが実施するとなりますと、どの官庁がこれを監督いたしまして指導いたしますか、その点も承わりたいと思います。
  63. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 恐らく厚生省所管することと思います。
  64. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 それからもう一つ承わりたいのでございますが、そうしますとこれはどの法律に基いてお動かしになります御予定でございますか。それも承わりたいと思います。
  65. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) それは戰前でございますと、陸軍省の許可を得まして、許可を得たのち交織国の承認を得てそこに派遣されるという形式をとることになつておつたのでございますが、終戰後におきましては、この陸軍省に代る役割を演ずるのが、先程申し上げましたように、厚生省に当るわけであります。これについては現在のところ特別な法律はございません。從つて一般的な事務所管におきまして恐らく厚生省設置法に記載されておりまする事項の具体的な解釈として、日赤に関する国際的な活動を含めた一切の活動が厚生省指導下にございますので、そういつたものの一環として厚生省指導監督をするこういうことになると思います。
  66. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 よく分りましてございますが、この問題と少しかけ離れるのでございますが、先程ちよつと申上げましたように、まだ看護婦が三百何十人中共から帰つて来ないというので、留守家族の人達も非常に待つておられるのでございますが、これも婦人の身でございますので、殊にそういう方面のことが強く感ぜられます。それにいたしましても前々国会から未復員者給脚注がございまして、留守家族の方々に相当の手当が行つておる筈なんでございますが、どうも赤十字の看護婦の方々は、ここにも見えておられますが、当時の俸給だけしか貰つておらないで、確か給與法ではあのとき六百円か家族に行く筈が、百円しか貰つていないという話でありますが、こういうふうな点は、日赤の看護婦なんかは特別の扱いにされておるのでございますでしようか。給與法に準じて待遇されておるのでございますか、どういうふうになつておるのですか承わりたいのであります。
  67. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 中共地区にまだ三百十数名の方々がおいでになりますということは承知いたしておりますが、誠にお気の毒なことでございまして、一日も早く故国にお帰りになりますように、外務省とともどもに極力努力いたしまして、その実現を期せんことを努力したいと思つております。尚只今の御質問につきましては、只今のところそういうことはない筈だということだけお伝えしておきます。
  68. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 大臣の御就任を心から観迎いたすものでございますが、さて大臣は御在任中、殊に厚生行政及び厚生に関する立法の点で、どういうことにお力を注ごうとなさるのか、勿論これからいろいろ御計画なさると存じますが、差当り今お心に俘かんでいらつしやることだけでもよろしゆうございますからお聽かせ願いたいと思います。
  69. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 幸い私は年足らず厚生委員をやらせて頂いた経験がございますので、幾分厚生行政につきましては、本当に幾分でありますが、知識を特つておりまして、かねがね考えておりましたことは、社会保障制度の確立、増進という点、結核対策それから引揚促進並びにその同胞に対する救援、そういろ点について特に力を用いたいと考えております。今それならばどういう考えを持つておるか、どういう施策を施す考えであるかという点につきましては、今暫く御裕余願いたいと思います。
  70. 山下義信

    委員長山下義信君) 藤森委員御質問ございませんか。
  71. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 丁度大臣がお出になつておりますので三点程お伺いしたいと存じます。  先ず第一には大臣も御承知の通り、前の第七回国会におきまして、結核予防対策確立の決議案をいたし、大臣も御賛成下さつておりますが、これにつきましていよいよ今、五ケ年或いは十ケ年の間には世界の立派な水準まで上げなければならんということになつておりますが、ややもいたしますると、国家財政の面等から見られまして、こういう方面仕事の、いわゆる予算のとれない、或いはどうこうの事情だとかというようなことで、常に遅れがちになる傾向がございますので、この際に、この結核予防対策に関する大臣の御決意が如何にございましようか、先ず第一に承ります。  それから第二に保險経済。保險経済もいろいろ今日まで糊塗して参りておりますが、なかなか経済は楽観できない状態にあるように伺つております。最早今日は或いは借入金をしてみるとか、或いは末梢の僅かな手を打つてみるとか、こういうふうな事態ではないかと思います。殊に現在の様子を見ますると、厚生大臣はどう見ておいでになるか知りませんが、我々の少しく見るところではますます利用者は殖えている。こういうふうな考えであるのであります。同時に又いろいろな薬品、いろいろな技術の進歩に從つて医療向上ということが考えられる。この際保險経済に対してどういうふうな根本的のお考を持つていらつしやるかということを伺います。  それから第三には医薬分業の問題であります。曾て前の林厚生大臣の時分に伺つたところによりますと、当時は三志会に対して諮問されて、そして三志会においてこれを解決するような手筈になつておると承つております。当時は厚生省の方は全部三志会に委せてその経過を見ておるというような状態のように聞いております。併しそれから後におきまして我々はなんら新しい事実を伺つておりませんが、先般新聞紙上を見ますと、非常にこの問題が紛糾して参りまして、その結果は日本医師会の幹部が全部引責辞職をしたかのような新聞報道を見たのであります。その間におきまして大臣として、又前林厚相としてもいろいろお考えになつておるようなことも新聞報道その他に出ております。併し今の段階は前の三志会に委せたままという段階でなく、厚生省が或る程度その中にお入りになつておるのではないかと我々承け取りますが、医師会その他薬剤関係、すべてに対する監督官庁として、又これを司る厚生大臣として、今どういうふうにこれを考えていらつしやるか。又今後どうお取扱になるのか、若し御差支えなければ今日までの経過、その他についてお伺いしたい。以上三点をお伺いいたします。
  72. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) お答えいたします。結核につきましては、皆様と同様私も子供の時代から小中学校とずつと親しかつた友達が結核に斃れ、若い頃から非常に結核に対して強い関心を持つております。現在におきましても結核に罹る方が日に増し多くなり、そして折角の働き手である青少年の方々が数十万に上つて結核に罹つておられるということを聞きまして、誠に痛心に堪えない次第でございます。厚生省といたしましては実は今年度におきまして、見返資金から五億の融資を受けて二千五百床の結核病床増加する予定になつておりますが、なかなかこれは問題がむずかしいのでありまして、先日サムス準将に会つたときも特にこの点を強調してお願いをしておる次第であります。来年度結核に対しては私はできるだけの努力をしたいと考えております。  第二の保險につきましては、保險を利用する方が殖えた割に経済的に非常に困難であるということは了承しております。この点につきましても来年度の計画について考究中でございますので、もうちよつとお待ち願いたいと思います。  それから医薬分業のことは只今厚生省として所見を申上げるまでの段階に参つておりません。御承知の通り三志会並に治療を受ける方、又学識経験者よりなる調査会を二つ程設けまして、第一の臨時医療報酬調査会におきまして果して医薬分業をすべきかどうか、こういう問題を研究いたしまして、医薬分業をすべきとなりましたら、第二の臨時医薬制度調査会におきまして、これをどういう方法で分業するか、こういうことを研究し、そして答申させる。それから調査会の委員も大体決りまして、サムス準将にもお目にかけまして近く発表する予定になつております。医薬分業に対する厚生省の態度は今暫くお待ち願いたいと思います。
  73. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 結核に対して非常に大臣の御熱意のあることはよく分りますが、先程申上げましたように、なんと申しましてもこれは予算を伴うものでありますから、そこの大臣の御決意を聞いたわけであります。折角立派な御立案ができましても、或る方面から押されて崩れるようなことがあると困るということを我々は考えまするので、それで大臣の決意を伺つておりますが、それから第二の保險の問題につきましては、御研究中ということもこれも大変有難いと存じまするが、然らば大臣としてどういうような構想を以て根本的にこれをやり直そうか、或いは一部膏薬貼りで糊塗して、ここを切り抜けるというお考えかどういうお考えかということを承りたい。
  74. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 保險制度につきましては、すつかりやり直すということはなかなか困難でございまするが、順次に改革して参りまして、或いは事務費の国庫負担とか、そういうような点から段々に進めて行きたい、こう考えておるのであります。
  75. 藤原道子

    ○藤原道子君 私この際ちよつとお伺いいたしたいのは看護婦の問題でありますが、看護婦保健婦産婆法ができまして、御承知のようにこれから看護婦さんは甲種と乙種になるわけでございまするが、これについてこの九月から第一回の国家試験が始まるのでございますけれども、既得の看護婦さんに対しては特別の扱いを私はして然るべきだと考えておるのでございまするが、これが国家試験を受けるために、ただでさえ過労になつておりまする看護婦さん達が無理をいたしております。それから再教育の点にもいろいろな不備な点がございますし、職場をさぼらなければ勉強ができない、惠まれた人だけが試験を受けられて、惠まれない人達は試験を受けることが困難でございます。そのために中には意欲を失ないまして、或いは結婚を急ぐとか、職業を換える方向に進みつつあるとか、こういう状態が続きましたならば、大切な医療行政にも大きな支障を来すと考えるのでございますが、この点について勘法によつても、お医者さんも歯医者さんも薬剤師も何ら新法によるのと旧法によるのと差別を受けておりません。或いは保健婦さんも産婆さんも新法によつて差別もないのに、看護婦さんだけが特別に差別を受けるということは何だか不合理のように考えられるのであります。殊に日本の実情から参りまして、看護婦になるには、看護婦の質の向上ということは非常に結構でございますけれども、六・三・三を終つて後三年やつて甲種看護婦になる、日本の今の現状から参りまして、こうした教育を受けて看護婦になるというような人は私は少ないのじやないかと考えられるのでございます。それよりも先ず第一に私が心配いたしますのは、既得の現在の看護婦さん達の今の不安な状態に対して厚生省ではどういうふうにお考えになつているか、私はできますならば既得の看護婦さん達には、そのまま私は国家試験を止めて、そうして甲種看護婦の資格を與えるべきだ、かように考えておりますが、この点についてちよつと御意見を伺いたいと思います。
  76. 東龍太郎

    政府委員(東龍太郎君) 只今の藤原委員からのお話、これはすでに私共も各方面から受けております陳情、若しくは御意見等を代表せられたように承わつております。現在の看護婦制度そのものについての御批判なり、或いは又これに対する将来の対策、或いは何らかの改正を希望せられるということも、これも相当広い輿論の声ではないかと私も考えております。ただ併しながらあの法律が終戰後の日本の状況の下におきまして十分に国会等の御審議をも経て一応でき上つたものであります関係上、只今御希望のように旧制の看護婦に国家試験を用いずして甲種の免状を與えるということはできないのでございます。理窟から申せばすでに看護婦の資格を持つておられるのでありますから、そうして業務内容は甲種と同等なものができるのであるから、何も苦しんで甲種の試験を受けなくてもいいじやないかということは、私は理窟としては言えると思います。併しこれは又一方甲種と乙種という区別がある限り、そして在来の看護婦というふうに三本建のように暫らくの間はなりますから、将来のこの扱いと申しますか、給與職階等、その他の点において甲種と在来のものとの間に何らかの差別待遇ができるのではなかろうかということが予想されることは、これ又御尤なことであつて、そのために何とかして甲種になりたいということを考えることはこれは無理からんことだと思います。その点につきましては医務局関係の課におきましても、皆様の青を聞いていろいろと考慮をめぐらしておりまするが、現在のところにおいては、試験なしで在来の看護婦に甲種の資格を與えるということはこれはできないと私は存じます。  それから又その試験を受けるためにいろいろと苦労をし、困難な状態であり、惠まれたる人のみがそれを受けて、その間に非常に差別待遇ができるだろうということは、これも私は事実そうだろうということは十分想像いたしております。ただかような制度の過度期におきましてはかような犠牲と申しますか、そういうことなども止むを得ないと私は存じまして、十分困難とそうして苦情のあることは知りつつも、九月一日からの新らしい法律の施行にそのまま進まなければならないというので、その後寄り寄り準備をいたしておるのであります。尤も将来におきましても在来の看護婦の方々が甲種の試験を受けたいと希望せられ、又そのために必要な、講習を受けたいとせられることに対しましては、私共といたしましてもでき得る限りの御援助はいたすつもりではおります。決して試験を受けるなとか、受けなくてもいいとかという方針を以て臨むつもりはございません。從つて十分なる御同情はいたしておりますが、現状の下如何ともいたし難いというのが只今の状態でありますので、その点一つ御了察を願いたいと思います。
  77. 藤原道子

    ○藤原道子君 東局長のお言葉もよく分るのでございますけれども、私それで果してやつて行けるかどうかということは真劍に考えなければならないと思います。私はあれは十分国会審議をしてできた法律だというお話でございますけれども、あのときは法律が山程来て、ろくすつぽ審議しなかつたと思います。殊に私はあれは不満でございまして、あのときも非常にこの点危惧いたしたのでございます。どうしても甲種と乙種を区別して行かなければ、いわゆるコロニーして行かなければならないのでございます。殊に私憂えますのは、質の向上といいながら六・三・三を経て三ケ年間看護婦学校へ入る人は、比較的六・三・三を卒業したときの成績が惡い子供が来ておるのが実情です。そうして乙種看護婦になる人は六・三を経て後の二年でございますが、これは非常に成績のいい子が入つておる。これは各施設調査した結果これははつきり数字が現われておる。ですから頭の惡い者が六・三・三をやつたからといつて大した進歩はないと思います。それよりずつと頭のいい子供がやろうという乙種の方が却て私は人間的にいい子があると思います。質の向上を図ろうとするのに却ておかしなものが出て来るということが一つ。それから今一つは特に特殊な所で働いておる看護婦、手術なら手術ばつかりやつておる、手術の介助と申しますか、とにかく偏した所で働いて、その面では非常に優れて、その看護婦さんがいなければその仕事場は運営できないというような看護婦さんが沢山あると思います。そういうところへ甲種看護婦の学校を卒業した有資格者が来て、その人はその職場になくてはならない人であるが故に、介助労働のために試験を浮けるための勉強ができない、併しその人は試験を受けなければその仕事ができない、却て私は随分医療の上からも片輪なものができる。こうしてはつきり今の日本の実情に即さないという法律でございましたならば、むしろ甲種乙種の差を私はこの際廃止して、看護婦はやはり一本でなければいけないという信念を持つておるのでございますが、東さんはこれに対してどういうふうなお考えでございますか、これは随分大きな問題でございます。
  78. 東龍太郎

    政府委員(東龍太郎君) 現在の法律ができておりますから、それを金科玉條としてこれにばかり合せて行くのが一番いい方法だというふうには私も考えておりません。何しろまだ法律ができましてもこれを実際にやつてつていないので、これからやるのでありますが、その結果が若しも日本の実情にあまりにもよくない、適合しない、或いは又そのために日本の医療が危殆に瀕するということが実際問題として起さるならば、当然これはもう変えるべざは法律の方であると思います。私自身もこれに対する意見は自分で持つておりますが、今この際私がこの地位にありながらそれを申上げるのは、私は穏当でないと思いますので、ここでは遠慮さして頂きますが、只今のようなお考えもこれは有力な一つの考えだと思います。何となれば医師歯科医師に対しては、大学專門学校の二本建を廃して一本建にしなければならないというので改めたのではないか。然るに看護婦が一本であつたものをなぜ二本にしなければならないか、これは論理的に矛盾ではないかということも立派に言えると思います。どういうふうなものが最もよろしいのか、これにつきましては、それぞれ專門の各方面からの声を十分に伺いまして、世論の声として最もいい方向に進みますならば、法律改正にまで至りますことは、誠に結構なことと思うのであります。
  79. 藤原道子

    ○藤原道子君 くどいようでございますが、よく分りました。ただこの点はやはり学校の教職員の問題にも今起つておるのです。教員はやはり国家試験を受けなければならないというので、各種のいろいろな摩擦が起きておりまして、教職員組合でも非常にこの点取り上げて戰つておりますが、私も自分が看護婦でございましたので、この点は十分研究して、何とかいい方法を編み出して行きたい、かように考えておりますので、又医務局におかれましてもできた法律だから仕方がないというのでなく、今東さんが言われたようなお考えで一つお進み願いたいと思います。この点いろいろな事情も聞いておりますので、又いずれ私共も厚生委員会でこの点特に取り上げて頂きたいと思いますので、今日は質問はこの程度にいたしておきます。
  80. 山下義信

    委員長山下義信君) 午前中はこれにて休憩いたします。午後は一時三十分から再開いたします。    午後零時十二分休憩    —————・—————    午後一時三十分開会
  81. 山下義信

    委員長山下義信君) 休憩前に引続いてこれより委員会を再開いたします。速記を止めて下さい。    午後一時三十一分速記中止    —————・—————    午後三時五十七分速記開始
  82. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を始めて……。本日はこの程度で散会いたします。    午後三時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    理事            小杉 繁安君            藤森 眞治君            有馬 英二君    委員           池田七郎兵衞君            長島 銀藏君            中山 壽彦君            河崎 ナツ君            堂森 芳夫君            藤原 道子君            井上なつゑ君            深川タマヱ君            松原 一彦君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君   政府委員    厚生政務次官  平澤 長吉君    厚生省公衆衞生    局長      三木 行治君    厚生省医務局長 東 龍太郎君    厚生省薬務局長 慶松 一郎君   説明員    厚生省社会局長    代理      小山進次郎