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1950-07-21 第8回国会 参議院 厚生委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年七月二十一日(金曜日) 午前十時十八分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
委員長
の
報告
○
災害救助法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
) ○
社会保障制度
に関する
調査
の件 (
厚生行政
に関する件) —————————————
山下義信
1
○
委員長
(
山下義信
君) これより本日の
厚生委員会
を開会いたします。 まず御
報告
を申上げることがございます。昨日の
委員会
並びに
委員長理事
の打
合会
におきまして、当
厚生委員会
におきまして
関係施設
の
視察
をいたしますことにしまして、
專門員室
で計画をいたしましたのでございますが、本月の二十七日並びに二十八日
両日都内
の適当な
施設
を
視察
することにいたしまして、二十七日は
明治製菓株式会社
につきまして、ストレプトマイシン、及び
ペニシリン製造状況等
の
視察
をすることにしまして、翌二十八日は
結核関係
の
施設
を
視察
するということに大体の予定を定めましておりますのでございますが、これは
委員会散会
後
皆様方
の御
都合等
を承わりまして
最後決定
をいたしたいと存じますので御了承を願いたいと思います。 本日は日程に從いまして
災害救助法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
に供します。当院は
予備審査
でございます。
厚生大臣
の
提案理由
の
説明
を求めます。
平澤長吉
2
○
政府委員
(
平澤長吉
君)
提案理由
の御
説明
を申上げます。
只今議題
となりました
災害救助法
の一部を
改正
する
法律案
についてその
提案
の
理由
を
説明
いたします。
災害救助法
第三十六條は、
国庫負担
に関する
規定
でありますが、それによりますと、
都道府県
が
災害救助
のために支弁した
費用
の
合計額
が前
年度
の
標準賦課率
で算定した
地租家屋税
、
事業税
、いわゆる三
收益税
の
合計額
の百分の五を超過したとき、その
超過額
に対して一定の率で
国庫
が
負担
することに
なつ
ております。ところが、三枚
益税
は数次に亘る
標準賦課率
の
引上げ等
のため非常な
増加
を示しており、
昭和
二十一
年度
と
昭和
二十四
年度
とを比較しますと、五十八倍の増と
なつ
ております。 これに対して、
災害救助
に要する
費用
は、
物価騰貴
を勘案して若干の改訂を行
なつ
たにも拘わらず、
法制定
当初に比較し三倍の値上りに
なつ
ているに過ぎません。つまり、
法制定
以後の
都道府県
の三枚
益税
の
増加率
と
応急救助
の
費用
の
増加率
との間には、今日においては著しい不均衡を生じて来ておるのであります。その結果余程の大
災害
が
発生
しない限り、
国庫
の
負担
がないという極めて不合理な事態を生むに至り、第三十六條の
規定
は実質上
制定
当初の意味を全く喪失していると申しても過言ではないのであります。
災害
は予見し得ない、而も多額の
財政支出
を伴うので、
都道府県
の
財政負担
はただでさえ容易ならぬものがあり、又
災害救助法
では、
非常災害
時の
罹災者
の
救助
は、国の責任で行う建前に
なつ
ていることからしても、事実上
国庫負担
が停止されている
現状
を早急に改める必要があるとかねがね痛感されていたのであります。たまたま今
国会
に提出されております、
地方税法案
によりますと、
從来
の
都道府県
の
税制
が根本的に改変され、
地租
、
家屋税
、
事業税
はその
課税主体
その他すべてに亘り
改正
を加えられることになり、
從つて
この三
收益税
を
国庫負担算定
の
基礎
とすることが不可能となりましたので、これに代るものを新たに採用せざるを得なく
なつ
たわけであります。そこで、この
機会
に懸案の第三十六條の
改正
を行うこととし、第一には、
国庫負担
の
基礎
として
從来
の三
收益税合計額
に代るものとして、
地方税法案
に定める
標準税率
で算定した
当該年度
の
都道府県
の
普通税收
入
見込額
を求め、第二には、
都道府県
の支弁した
救助費
がその額の百分の一を超過するときに
国庫負担
をなし得るように改め、
昭和
二十五
年度
より適用することといたしたのであります。即ちこの
改正案
は、
地方税法案
により
都道府県
の
税制
が改まる
機会
に、
国庫負担
についての前述の不合理を是正し、真に
地方財政
の実情に即した
国庫負担
をなし得るようにしたものであります。この
改正
により
都道府県
の
財政負担
が著しく軽減される結果、
都道府県
の
災害救助活動
が一層積極的に
実施
されるようになり、
罹災者
の
救助
に万全を期し得られることと確信いたす次第であります。何とぞよろしく御
審議
の上、速かに可決せられるよう希望いたします。
山下義信
3
○
委員長
(
山下義信
君) お諮り申上げます。本日は本法案の
提案理由
を聞くに止めまして、
本案
の
審議
は次回に讓りたいと思いますが御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山下義信
4
○
委員長
(
山下義信
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは
本案
の
審議
は次回に讓ることにいたします。 —————————————
山下義信
5
○
委員長
(
山下義信
君) 次に
社会保障制度
に関する
調査
に関連いたしまして、昨日に続いて
公衆衞
生
行政
について
厚生省当局
から
説明
を求めることにいたします。本日は
公衆衞生局事務局
、
薬務局
の順序でお願いいたしたいと思います。
公衆衞生局
の方からお願いいたします。 尚
井上委員
から
厚生大臣
に
質疑
の
率中出
があ
つたの
でございますが、
大臣
は
只今閣議
中とのことでございますので、
閣議終了
次第出席とのことでございますので御了承願いたいと思います。
三木行治
6
○
政府委員
(
三木行治
君)
公衆衞生局
長でございます。
公衆衞生局
所管
の
事務
につきまして若干申上げたいと存じます。
公衆衞生局
の公課でございますが、この局には
環境衞生部
及び十一課ございまして、
庶務
、
栄養
、
保健所
、
予防
、
防疫
、研究所、検疫、
環境衞生
、
水道
、
食品衞生
、
乳肉衞生
、こういう一部十一課があるのでございまするが、この
所管
は大別いたしまして、先ず
健康増進
に関する
部門
と、
環境衞生
の
部門
及び
疾病予防
と
三つ
を含んでおるのでございます。今これ等の各課に所属いたします
事務
のうち特に御
報告
申上げる必要のあるものだけにつきまして、取り敢えず申上げたいと存ずるのであります。先ず
庶務課
の
所管
の
優生保護指導
でございまするが、これは
優生保護法
に基きまして
優生思想
の
普及
、
優生手術
及び
人口妊娠中絶
に関する
指導
、
優生結婚相談所
の
整備
というような
仕事
をや
つて
おるのでございますが、特に
受胎調節
に関する適正な
方法
を
普及
し、
指導
いたしますことが、当面の急務でございまするので、その
普及
及び
指導
に力を注いでいるのでありまして、特に今
年度
並びに来
年度
におきましては、一層この
優生結婚相談所
の設置に
努力
いたしたいと考えておるのでございます。御
承知
のようにこの
優生結婚相談所
の
機能
と申しまするのは、必ずしも
人口
問題を解決するためにのみ役立たしめるものではないのでございますけれども、それと密接な
関係
もございますので、国の各
方面
の要望に応えまじて、私共といたしましては、この
思想普及
という面に各段の
努力
をいたしておる次第であります。これは、
全国
約三万五千人の人々を対象といたしまして、年に四回
調査
をいたしております。その
調査
の結果に基きまして、
国民栄養
の
指導方策
を樹立せんといたしておるのであります。尚この
栄養課
におきましては、入院しております
病人
のために、
病院給食
ということをや
つて
おるのでありまして、
病人
に対しまする
栄養思想
の
普及
でございますが、これは、
昭和
二十四年五月から
全国
のすべての
入院患者
に対する
食糧
の
増配
をいたしまして、併せて、その
献立等
にも
十分治療目的
に副うような
指導
を加えて行くというやり方でございます。尚
在宅
の
結核患者等
に対しましても、
食糧
の
増配
、或いは
栄養指導
というものをやりたいということで、
只今準備
をいたしておるのでございます。 次に
保健所
の
整備拡充
でございますが、これは
昭和
二十二年四月七日
連合軍
総
司令部
から
保健所
の
拡充強化
に関する
覚書
が発せられたのでございまして、
從来
、この
保健所
というものは、
保健所法
によりまして、
地方
にあ
つて衞
生
思想
の
普及
をやるということが第一の
目的
に
なつ
てお
つたの
でございまするけれども、その
覚書
によりまして、この
保健所
というものは、いわゆる
衞生
郡役所
は概ね一郡に一ケ所
程度
、
人口
十万に一ケ所でございまするが、存在いたしまして
衞生
郡役所
というような
仕事
と同時に、
從来
や
つて
おりました
栄養思想
の
普及
でありますとか、或いは
結核
に対する検診、或いは
衞生
の
指導
、その他
乳幼兒保護
の問題、性病の問題というようなサービスの面も併せてや
つて
行くということに相成
つて
おるのでございます。今日
公衆衞
生
行政
につきましては、この
保健所
というものが未端の
実施機関
といたしまして欠くべからざるものでございます。
昭和
二十五
年度
におきましては、七百四ケ所でございます。この
保健所運営
の現情でございまするが、これにつきましては、医師の
定員補充
が必ずしも十分でありません。そのためにこれらの職員の獲得、その身分、
待遇向上等
につきまして、いろいろ苦心をいたしておる
状況
でございます。殊にこの
保健所
は、今後の
結核対策
の
一つ
の
中心
とも相成りますので、我々といたしましては、鋭意その
内容
の
整備
に
努力
をいたしておる次第であります。 次に
結核予防
でございまするが、
御存じ
のように
我が国
の
結核
の
死亡者
は、漸く
減少
の傾向に
なつ
ておりまして、すでに一時
人口
、万対二十五というような数があ
つたの
でございますけれども、昨
年度
におきましては、万対約十七というように
漸次減少
を示しておりまするけれども、併し
一般死亡率
の
減少
をいたしておりまする
関係
上、依然といたしまして、
結核
は最も重要な疾患である。その数におきましても又或いはその
死亡率
につきましても最も重要なる
目標
と相成る次第であります。そこで
厚生省
といたしましては、来
年度
におきまして、
結核
に対する特別な
対策
を樹立するということで
只今努力
をいたしておるところであります。その概要を御
報告
申上げますというと、先ずその
予防対策
でございますが、これにつきましては第一線の
機関
でありまする
保健所
の既存七百四ケ所の
整備
をはかりますと共に、若干の
新設
を行いまして、又必要がある場合には支所を設ける、そして
結核
の
專任医師
を現在
保健所
に二人でございますけれども、これの増員と
保健所
の
増加
もはか
つて
、その
機能
の
向上
を期したいと考えておるのであります。尚又
健康診断
を
徹底
いたしまして、この
結核予防
の、一は以て作戦の地図を作り、一は以て探し出しました
患者
に対する、或いは不
健康者
に対する
指導
、或いは
療養
をやらしめようということで、先ず
健康診断
の
徹底
をはか
つて
行こうと思うのでありまして、この
所要経費
は
全額
を国及び
地方公共団体
の
負担
といたしたいと存じておるのであります。現在
健康診断
をいたしておりまするものは約千五百万人でございます。それを約四千万人にまで持
つて
行きたいと考えておるのでございます。 第三番目には
予防接種
の
徹底
でございます。
結核
に感染しておりません者に対しましては、
予防接種法
によりまして、B・C・
Gワクチン
の
接種
をや
つて
行こう。
御存じ
のようにB・C・
Gワクチン
を
接種
いたしまするというと、発病を半分、
死亡
を十分の一に減ずることができるのでございますが、そういう有効なる
方策
を
実施
いたしたいと考えておるのであります。 次には
在宅患者
の
療養指導
の
徹底
でございまするが、これは
保健所
を
中心
といたしまして、
在宅患者
の
予防
及び
療養生活
の
指導
を
徹底
化して行きたい、又
医療社会事業
とも緊密に噛み
合つて一つ療養所
に入れない
患者
につきましても、その
指導
の
徹底
をはかりたいと考えておるのであります。 尚次にこれらの
医療対策
でありますが、これは何と申しましても、先ず第一に
病床
の
拡充
であります。これは尚将来におきまして、
関係各局
で大いに論議いたしておりまするので、当初は一応十二万ベツドということを
目標
にや
つて
お
つたの
でありまするけれども、今日現在におきましては、更にこれを増して行こうじやないかということで論議をいたしておるのであります。尚現在持
つて
おりまする
病床数
は九万床でございます。尚この外に
病床
を
拡充
いたしますために、現在の
伝染病
も御
承知
のように
伝染病
が非常に減
つて
参りましたので、
伝染病院
のうち一応
伝染病
の
予防
上これを休ましてもいいというようなものは、これを
結核療養施設
に転換するというようなことも考えておるのでございます。なお
病床
の
新設
につきましては、
国立病床
が現在五万五千、現在
公共
、その他の
病床
を併せますというと、先程申しましたように九万でございます。これを今年の
規定経費
におきましては、
国立
が八千五百それと公立が八百というものが増えることに相成
つて
おるのでございます。尚この
結核特別対策
として必要な
結核増床
につきましては、先程申しましたように
関係局課
におきまして尚
討議
中でございます。 次にこれらの
経費
の問題でございますが、特に
経費
と申しましても
患者
の
医療
に必要な
経費
でございますが、これらにつきましては、
全額
、或いは
相当額
を国及び
地方公共団体
の
負担
とするということで、折角
討議
をいたしておる次第でございます。尚これらの
結核対策
の重要なる部分といたしまして、その外に
技術者
の
確保
でありますとか或いは
技術
の
向上
、或いは研究の助成でありますとか、
患者
の
保護
、或いは医薬品の
確保
というような面につきましても、同様に
結核対策
の一環といたしまして目下鋭意
準備
を整えておるところでございます。次に
精神衞生
でございます。これは、同じように
結核法
と同様に
予防課
の
所管
でございまして、第七回
国会
におきまして、本院の提出した
精神衞生法
が
制定
公布せられたのでございますが、この
精神障害者
の
医療保護
及び
予防
を行いますために本法によりますというと、
都道府県
に
精神病院
及び
精神衞生
相談所
を設置する、又
精神鑑定医
という
制度
が確定せられておるのでございまして、今までとかく放置せられておりました
精神衞生
対策
が非常に具体化することにな
つたの
であります。私
共法
の施行に当る者といたしましても、来
年度
におきまして、
相当
な予算の要求をいたしたいということで
只今努力
いたしております。 次に
赤痢
、
防疫課
に移りまして
赤痢対策
でございますか、
御存じ
のように
我が国
におきまする
急性伝染病
は毎年概ね十五万乃至二十万といわれてお
つたの
でありまするけれども、一昨年は五万六千、昨年は五万三千というところまで、
急性伝染病
の
患者
が激減して参
つたの
であります。ところが本年におきましては、昨年頃から漸くその兆候を見せておりました
赤痢
が
相当
に増えて参りまして、非常に遺憾な点でございまするが、先ず全体の
急性伝染病
につきましての、今日現在の
発生
の
状況
を申上げますというと、
赤痢患者
は七月一日現在のところでございますけれども約九千人でございます。これを昨年の同期との比率で申上げて見ますというと、昨年同期を百といたしまして、
赤痢
は二百九十一、
腸チブス
は八十七、パラチブスは七十、
猩紅熱
は百二十、ヂフテリアは七十七というような
状況
でございまして、
赤痢
と
猩紅熱発疹チブス
はすでに終熄いたしましたけれども、
発疹チブス
も若干殖えておりますが、主として
赤痢
が
相当
に殖えている。從いまして、
法定伝染病
の全体の数を、昨年同期と比較いたしますというと
患者
におきまして、昨年同期を百といたしますと、百八十四ということになりまして、約二倍近くに相成るのであります。これは殆んど
赤痢
の
増加
による
増加
でございます。で、この一時
減少
しておりました
赤痢
が何故かくも三倍に近いような
増加
を示したかということでございまするが、これらの
理由
といたしまして、私共の考えておりまするのは、先ず第一番に比較的に
軽症患者
が多いために、
届出
が十分に行われていないことと、
サルフア剤
が手に入りますために、
素人療法
が行われまして、症状はなく
なつ
たが菌は拜泄するという
状況
で、非常に
伝染
の危險が多いということ、それから第二番目には
食糧事情
が好転いたしましたために、外食の
機会
が非常に多く
なつ
て来ている。第三番目に、
食品衞生
、
個人衞生等
もまだ十分でないというようなことが
原因
ではなかろうかと考えているのでございます。そこでこれが
対策
といたしましては、
赤痢
のような、必ず口から入る経路の明らかな
伝染病
が
増加
いたしますることは、
我が国
の
国際的信用
にも
関係
いたしますので、本
年度
の私共の局の
仕事
の重点は、
赤痢
そして
結核
というような
方面
に向けて行くという決心を持
つて
いるのでありまして、
厚生省
及び各
都道府県
に、
臨時赤痢防疫対策本部
を設けまして、そして蝿の
発生防止
、清涼飲料水の消毒、
食糧品衞生
、
環境衞生等
の
衞生
教育、
届出
の励行というような
具体的方策
を
中心
といたしまして、この
赤痢予防対策
を
実施
いたしておるりであります。一応下火になりかけてはお
つたの
でありますけれども、尚依然として楽観を許さないという状態でございます。誠に申訳のない次第であると存じておるのでございます。 次に
環境衞生
行政
の
強化
でございまするが、
環境衞生
行政
は
国民
の
衞生
的な
生活環境
を改善、
向上
せしめるところの
施策
でございまして、日本におきまする
衞生
対策
の中では
環境衞生
の問題が一番遅れているということは、これはもうアメリカの
視察団
も指摘いたしまするし、私共もよく
承知
をいたしておるところであります。折角そのために
環境衞生部
を設置いたしまして、この
環境衞生
行政
の
強化
を図りたいと考えておるのでありますが、先ずこれがためには
環境衞生
方面
であります
汚物処理法
でありますとか、その他の
環境衞生
の
関係
する
法律
は
相当
に古いのでありまして、從いまして新しい感覚の
法律
を
一つ
作ろうということで、
只今立案
をいたしておるところでございます。 次に
水道
の
関係
でございまするが、この
上下水道行政
につきましては、すでに
御存じ
のように、
水道行政
の一元化という問題が、もう随分昔からございまして、殊に今年の初めあたりにはやかましく論ぜられたのでありますが、要するに
厚生省
と、建設省とで
水道行政
を共管しておるというような形に相成
つて
おりますために、いろいろと
実施
上に不便がございまするので、これは
行政
管理庁にございまするところの
委員会等
の答申によりましても
厚生省
に一元化すべきだということに相成
つて
おりますので、私共といたしましてはどうぞ早い
機会
にそういうふうにすつきりとした形になりますことを衷心希望しておるところでございます。
最後
に
狂犬病
の
予防
でございまするが、この
狂犬病
は一時もう非常に影をひそめてお
つたの
でございますけれども、昨年以来
狂犬病
が
増加
いたしまして、昨年におきましては
狂犬
が六百四十一頭、人が噛まれたものが千六百十七人というように急速な
増加
を示しておりますが、而もこれは
関東地域
に限られておるのでございます、ところがそれが今年に入りましても、
衞生
当局
が非常な
努力
をいたしたにも拘らず、依然としてこれらの
狂犬病
の
発生
が減らないのでございまして、七月八日現在におきまして、
関東地域
及び
大阪
、
大阪
は一頭でございましたが、その一頭が九人を噛んでいるのであります。七月八日までに今
年度
において犬が五百五十七頭、噛まれた者が千百六十二人というような数を示しておるのでございます。この
狂犬
に対しましては
対策
といたしまして、先ず
移動制限
をやりまして、
関東地方
の各
都府県
は総合的に犬の
移動
を禁止する。又本州ど北海道、四国、九州との間にも犬の
移動
を禁止するというような措置を講じておりますと共に、犬の
品評会
というような、犬が集まる
機会
を作らない、又犬は
関東
各
地方
の各
都府県
におきましては犬を繋留させまして、運動するときには
打網
をかける。猫につきまして繋留することをお願いしておるようなわけでございます。尚この外徘徊する
野犬
を捕えまして、一切の犬に
予防注射
をやるということも大いにやかましくや
つて
おるのでございまするが、而もなかなか
狂犬
が減らないのでございまするが、この
原因
は要するに
野犬
を捕捉することが困難だということに
原因
があるのでございまして、
関係当局
を督励いたしまして犬を捕える、そうしてこれらにつきまして悉く
予防接種
をやるということがなかなかやりにくい、又今日の
民主思想
の下でございまするので、往年のように捕えて来た犬を処分するということがなかなかできませんので、繋留をいたしまして、持主が取りに来るのを待
つて
いる、取りに来るから
予防注射
をして返します、そうするとその犬は依然として
放し飼い
に
なつ
ている、すると、あの犬も
放し飼い
だからおれも
放し飼い
だということで、なかなか
野犬
の捕捉と、
一般
の
予防接種
が
実施
が
徹底
しないということが、今日の
狂犬病
の抑制が
十分行つて
ないという
理由
であると考えておるのであります。併しながら、その
狂犬病
、人が
狂犬
に咬まれまするというと、
予防接種
をやりますのにも十八日もかかりまするし、又若し一旦発病すると必ず助からないのみならず、非常に
一般
の下安を惹起いたしまして、ために私共といたしましても誠に申訳ないと同時に是非とも早期にこれを撲滅いたしたいということで、折角
努力
をいたしておるという
状況
でございます。 以上、私の
所管
の概況につきまして申上げた次第でございます。
山下義信
7
○
委員長
(
山下義信
君)
公衆衞生局
に対しまする御
質疑
をお願いしまする前に、昨日
深川委員
から
公益質屋
の
運用状況
につきまして、御
質疑
がございました。それに対しまして、
小山社会局長代理
から御答弁申上げまして、それから
公衆衞生高
の
質疑
に入りたいと存じます。
小山進次郎
8
○
説明員
(
小山進次郎
君) 昨日お尋ねがありましたのは三点でございまして、
一つ
は
公益質屋
における
利率
がどう
なつ
ておるかという点、それから第二は
公益質屋
における
流質期限
がどう
なつ
ておるかという点、第三点は
貸付金額
がどう
なつ
ておるか、この
三つ
でございましたが、順次お答え申上げます。 第一の
利率
の点は、
一般
の
質屋
における
利率
は
月利
で概ね一割乃至一割五分
程度
に
なつ
ております。これに対しまして
公益質屋
の方は
月利
三分を超えてはならんということに
なつ
ております。
現状
ではこの三分を超えてはならんという、三分で運用されておるという
状況
でございます。 それから第二の期間の点につきましては、
一般
の
営利質屋
におきましては、
預け主
と
質屋側
との契約によ
つて
、
如何よう
にも
内容
が決まるように
なつ
ておりますが、
公益質屋
の場合は四ケ月未満で流してはならないと、こういう
規定
に
なつ
ております。少くとも三ケ月間はそのままにしておく。四ケ月経
つて
初めて流すと、こういうことに
なつ
ております。尚、流す場合の
方法
でございますが、
一般
の
営利質屋
の場合は流れれば流れつぱなしということになりますが、
公益質屋
の場合は流す場合にはこれを必ず競売に付することに
なつ
ておりまして、その結果得られた金が
貸付
ました金に利子を加えました金を超えますときは、その余剩分は
預け主
に返済しなければならんということに
なつ
ております。 それから第三点の、
貸付金額
でございますが、
一般
の
営利質屋
につきましては勿論質物の経済的な価値によ
つて
決まりまするので、
制限
はございません。これに対しまして
公益質屋
の方は
一世帶当
り五千円ということが現在の限度に
なつ
ております。以上でございます。
深川タマヱ
9
○
深川タマヱ
君 そういう便利なものであ
つた
ら、いつそ
質屋
というものは全部
公益質屋
にするとどうでしようね。これは
質業者
の人の
失業対策
ということも問題になるのですが。
小山進次郎
10
○
説明員
(
小山進次郎
君) この問題は
一般
に
中小企業全般
と、それから社会政策的な意義を持
つた
施策
との
関係
におい常に起きて参る問題でありまして、なかなか一概にいずれとも決めかねる問題でございますので、まあ
現状
においてはできるだけこうい
つた
施策
の
拡充
を図
つて
行くというようなところが一番適当なところではなかろうか、ただそれにしても現在の
公益質屋
の
復旧状況
は非常に低いのでございまして、曾て
全国
を通じまして一千
程度
ありましたものが、現在その半分にも満たないという
状況
でございますので、昨日申上げましたように、少なくとも成るべく近い
機会
において、これを曾での一千まで持
つて
行きたいということを、まあ
当局側
といたしましては、
差当り
の
目標
といたしまして
努力
をしている、こういうような
事情
でございます。
松原一彦
11
○
松原一彦
君 ちよつと伺いますが、その
利率
の計算は日にちで計算しますか、月で計算しますか。
小山進次郎
12
○
説明員
(
小山進次郎
君) 先程申上げましたように、月で計算するのを例としております。
松原一彦
13
○
松原一彦
君 そうしますと月末に預けたものが翌月に早く取出した場合にやはり二ケ月としておりますか。
小山進次郎
14
○
説明員
(
小山進次郎
君) この点は私研究不十分で正確に申上げませんでしたが、
公益質屋
の場合は規則で実日数と申しますか、三十日を一ケ月として計算するということが決
つて
おるそうでございまして、その結果只今お尋ねのような場合は、それが三十日に満たなければと月という計算をすることに
なつ
ております。
山下義信
15
○
委員長
(
山下義信
君) それでは
公衆衞生局
に対する御
質疑
を願います。
中山壽彦
16
○中山壽彦君
局長
にちよつとお尋ねいたしますが、
保健所法
案は第一回
国会
に通過をいたしまして、当時五ケ年計画で完備するというような御
説明
があ
つた
ように記憶いたします。私共最近
地方
に行
つて
参りまして、いわゆるモデル
保健所
というものを
視察
いたしましても非常に
内容
が貧弱なように思います。モデル
保健所
がその
程度
でありますから
一般
の
保健所
はそれより非常にレベルの低いものではないか。
保健所
の使命が非常に重大化しました今日、あの
程度
では使命を全うすることはでき得ないのじやないかというようにまあ考えておるんです。明
年度
の予算には
相当
に適当な人を得る、
施設
を充実するという意味合において、
相当
の予算を御要求なさるお気持はありませんか、先ずそれを伺いたい。
三木行治
17
○
政府委員
(
三木行治
君) 御指摘になりましたように、
保健所
の
内容
の
整備
の問題は私共も鋭意
努力
はいたしておるのでありますけれども、人の面で実は非常に当惑をいたしておるのでありますが、
御存じ
のようにAクラスの
保健所
と申しますのは今年に入りまして白五十ケ所となり、七百四ケ所から百五十ケ所を差引いた残りの五百五十四ケ所がCクラス、このAクラスにおきましては職員は六十一人でございまするが、その医師を除く職員は充実をいたしておりまして、悉ぐ定員を充足しておるのでございますけれども、医師の面におきまして概ね不足をしているのでございます。この医師の採用の点につきましては、私共も或いは公舎を造ますとか、或いは研究費を與えるというようなことで待遇の改善に力めて参
つて
おるのでございますけれども、根本的に
保健所
の医師だけを特別な待遇をするということは、
地方
公務員法は今日国家公務員法に準じて行なわれております
関係
上むつかしい。これはまあひとり
我が国
だけでなしにアメリカにおきましても、或いはヨーロツパにおきましても
公衆衞
生
関係
の医師は不足いたしておるのでありまするが、併しこれは言訳に成りませんので、来
年度
におきましては、更に研究費、或いはその他の
方法
で医師の募集が楽なように
一つ
いたしたいと考えておる次第でございます。
中山壽彦
18
○中山壽彦君 それからもう
一つ
、この
結核
の問題について各
方面
で非常に重要視されておるのでありまするが、現在いわゆる開放
結核
という
患者
の数というものは、正確な数字はなかなか得難いと思いますが、凡そどのくらいあるのですか。そしてこの
患者
は病院に收容されておるかどうか。
三木行治
19
○
政府委員
(
三木行治
君)
結核
死亡
は約十五万でございますが、從いまして
結核
患者
の数は私共はその十倍の百五十万というように一応考えております。併しながら一面におきまして私共は
結核
患者
の
届出
を奨励をいたしておりますので、これらのどの数字を最も信頼して行くかということになりますとなかなかむずかしい。併し一応先ず
結核
死亡
の十倍、十五万の十倍というあたりが一応
結核
患者
の数じやないかというように考えておるのでございます。併しその中でどのくらいが
結核
患者
であり、どのぐらいが收容されておるかという問題でございまするが、
御存じ
のように
結核
ベツトは国、及び公私立を合せまして九万ございまして、而も地域によりましては必ずしもそれが一杯に
なつ
ていないということもございまするので、從いまして先ず九万よりも入院しておる者は下回る。
從つて
その外の
一般
病院というものもございます。そこでこれらの数を合せましたどれだけが開放性であるかということになりますと、私はざつと三分の一だということに考えておるのでございます。と申しますのは開放性と申しましても單に菌の、喀痰の塗抹たけで見るか、或いは培養もや
つて
行くか、その培養も殊に精密な
方法
でや
つて
行くかということによりまして性質も変
つて
参りますので、大体三分の一ぐらいが開放性であろうということで
行政
的に目安を付けておる実情でございます。
中山壽彦
20
○中山壽彦君 私共
療養
所にちよいちよい行
つて
見ますというと、非常に軽い
患者
が長く入院をして、自分の家のような感じでや
つて
おるのであります。そういうこともベツトが沢山あれば非常に結構なことでありますけれども、入院を非常に希望しておる
相当
重い
患者
が入院ができなくて、軽い退院してもよさそうな人が長く病院のベツトを塞いでおるというようなことは非常に矛盾をしておるのではないか。その入れ賛えということがいろいろな
事情
でむずかしいと思いますけれども、なんらかの
方法
によ
つて
これを断行して頂かないと、非常に困るのじやないかというような感じを受ける。
療養
所に行く度に持つのでありますが、そういう
関係
はどうですか。
三木行治
21
○
政府委員
(
三木行治
君) 只今御指摘になりました点は私共の
結核対策
におきましても最も重要な点でございまして、
結核
病床
の廻転を早めて行くということは、結局
結核増床
と同じ結果になるのでございますけれども、いろいろと考えておるのでございます。先ず只今の
結核対策
につきましては、いわゆる廻転率を早めますために入院をいたしましても、特殊な措置等は最早やできないというような時期の者、或いは特殊な措置を必要としないというような者につきましては、いわゆる病院、
療養
所と違
つた
ような簡易な
施設
でよいのじやないか。そして病院、
療養
所に入れる者につきましては、いわゆる寄宿療法でありますとか、絶えず経過を観察して行く必要のあるような、ストレプトマインンを適用する
患者
であるとかいうような者、そしてこれは症状が入院を必らず必要とするから入れる、必要としなくなればこれをさような先ず寄宿的な
施設
に移すというようなことによりまして、
一つ
廻転を促進して行きたい、こういうことを考えでおるのでございます。ただ具体的な
実施
方法
等につきましては只今
関係各局
で相談をしておる段階でございます。
中山壽彦
22
○中山壽彦君 もう
一つ
、この表を見まするというと、今年は
赤痢
の集団
発生
が非常に多いようでありますが、都市におきましては
伝染病院
というものは種々開設されておりますけれども、
地方
に行きますと、
発生
したときに開設をするというような
状況
であるように思います。どうもこういうふうに集団
発生
いたしまする
原因
は、医者が
届出
を怠
つた
ことに主として
原因
しておるのじやないかと考えられます。そこでこの医者が診断を決めましても、
伝染病院
を開設するということになると、少くとも一日に
相当
な金がかかり、今日の疲弊をした町村の財政では成るべく開設したくないというような空気が僕はあるのじやないか。そういうために医者の方でも
届出
をすることを怠るというような事実が起
つて
、自然蔓延もするというようなことを想像するのでございますが、実際問題としてどうなんでしよう。
三木行治
23
○
政府委員
(
三木行治
君) 御指摘になりました点は、私共もさようなこともあると考えております。
地方
によりますと、
伝染病院
を開設いたしましたために村の経済が非常に困るということ、それから
伝染病
者であるという診断をいたしますと、事後医者がその村から非常に拜斥せられるという
事情
もあるのでございまするが、これにつきましては、私共はそれらの
事情
も実際には
法律
違反ではあるけれども、成る程さような
事情
があることは了承いたしておりまして、先ず
伝染病
者という者を山の端つこに隔離することは面白くございませんので、既設の病院に附設いたしまして、そうして病院とは單なる隔離ではなくて治療する所だというようにいたしたい。そうして
赤痢
等につきましては、オーレオマイシン、クロロマイセチンを使
つて
見ますと一日、長くも二日で直るのであります。そういう次第でございますから、これらの治療面におきまするやり方をそういうふうにやりますと、入
つた
者も非常に経過が早くて敏速に直る。事後感染源という謗りを免れることができる。村
当局
といたしましても蔓延いたしませんために村の経済に影響することが非常に少い。
届出
を励行いたしますと同時に入院した者についてのみさような薬を使いまして、敏速に的確に治療を完成するというようなやり方をいたしておる次第でございます。從いましてこれらの点が周知
徹底
いたしまするならば、
届出
も自然
増加
して来る。村の
当局
の考え方も変
つて
来るのじやないか、かように考えておる次第でございます。
中山壽彦
24
○中山壽彦君 今
一つ
精神衞生法
案は本年の春私共の
提案
にな
つたの
でありますが、これの
審議
に当りまして、立案当時も
精神衞生
研究所というものを設けたいというので、大蔵
当局
にも特に臨席をして貰いまして立案をいたしたのであります。今日は財政上の
関係
で是非これだけは設けて貰いたい。二十六
年度
においては何とかしたい、こういうことで、案から項目を除いて置いたのであります。それで本
年度
は、二十六
年度
におきまして、国府台の病院の敷地の中に、とにかく建物を
新設
して貰う、その外の人的、物的の問題につきましては漸次充実するという意味合において、明
年度
の予算には
精神衞生
研究所設置ということも若干要求して貰いたい。これは春三木さんも
御存じ
の通りお約束に
なつ
ておる。何とかできませんか、明
年度
の予算では……。
三木行治
25
○
政府委員
(
三木行治
君) 中山委員から御発言になりましたことは全くその通りでございまして、私共も来
年度
予算におきましては、是非ともその点につきましては御指摘になりましたような方針で進めるということであ
つたの
でございまするが、研究所につきましては
厚生省
内におきまする予算の論議におきまして、
相当
熾烈な論議をいたしたのでございますが、
一般
的な情勢、殊に来
年度
の
結核対策
或いは社会保障という面で予算が非常に嵩むというようなことで、全部一時にやるのでなくして
一つ
延ばしてもらえないかというような情勢にございますので、その点誠に申訳ないと、力足らないで申訳ないと存じておりますような次第でございます。さよう御了承願います。
中山壽彦
26
○中山壽彦君 そうするとこれは断念しなければならん運命に
なつ
ておりますか、もう少し一押し押せば何とかできるというような段階には行
つて
いないのですか。
山下義信
27
○
委員長
(
山下義信
君) ちよつと速記を止めて。 〔速記中止〕 ○
委員長
(
山下義信
者)速記を始めて。河崎委員9
河崎ナツ
28
○河崎ナツ君 B・C・Gの
予防接種
は今日実際のところどの位行われておりますか。殊に前の
結核予防
の
法律
のときに小さな子供に、零歳の子供からするようになりましたが、あれは現在どの
程度
に子供の方はなされておりますか。そのことをひとつ伺いたいと思います。
三木行治
29
○
政府委員
(
三木行治
君)
予防接種法
によりまして、只今
全国
約七百万人に施行いたしております。
河崎ナツ
30
○河崎ナツ君 全体としてその位ですね。この春もよく方々で健康週間がございまして、なしていらつしやいましたね。ああいう数でございましよう。それで七百万人というわけでございましよう。
三木行治
31
○
政府委員
(
三木行治
君)
御存じ
のようにこのB・C・Gの検定が非常にやかましいので、そのために
法律
を率直にやりますというと三千万人、零歳から三十歳までございますので、三千万人になるのでございます。只今のところでは七百万人位しかや
つて
おりません。併しこのB・C・Gの検定が通りましたものがどんどん出て来るようになりますと、
法律
の定めるところだけは是非や
つて
行きたいとかように考えております。
河崎ナツ
32
○河崎ナツ君 今の七百万人と申しますのは、
一般
の人ですか、或いは小学校の子供を
中心
にしているのですか、そういう
中心
の置き方ですね、今の
厚生省
の方針ではどんなところにございますか。
三木行治
33
○
政府委員
(
三木行治
君) そのやり方につきましては、ツベルクリン反応をやりまして陽転率の高いつまり
結核
が多いところ、それから
結核
に危險な年齢層、中学生から壮年に至るまでの者、或いは
結核
死亡
の多い都市、私共はそれを
結核
特別
予防
都市と言
つて
おりますが、そういうようなところに重点を置いてや
つて
おる次第でございます。
井上なつゑ
34
○井上
なつ
ゑ君
結核
のことでお伺いしたいのですが、大変に御
努力
によりまして
保健所
の
整備
もでき上り、
病床
も
増加
しつつあります。この際私共の考えなければならないことは、
国民
の
衞生
教育をもう一度思い直さなけれげならないのじやないかと思うのです。御
承知
のように一遍
結核
にかかられまして、新らしい科学的な療法を受けられました方は非常に知識が豊かでございまして、大変結構ですが、この間も或る病院の
患者
さんから手紙を受取りまして、自分たちはもう少し
結核
に対する知識を持
つて
いたらこういうような手遅れにはならなか
つたの
だが、それで
国民
全般に
結核
の知識を
普及
して貰いたいというようなことを書いて来ておりました。幸いこの頃の小学校の教科書なんかには
衞生
教育と申しますか、
結核
に対して科学的なものを取入れられた、健康教育を取入れられた教科書もできて、その
方面
の教育ができるようでございますが、現在成人いたしました人々の間には單なる展覧会とか何とかいうような、
結核
の
予防
教育の
方面
だけでは本当の
結核
の治療、本当の
結核
の恐ろしさが分らず、本当に
結核
の
予防
が
徹底
しないのではないかと思うのです。現在成人いたしております人々に対して
結核
というものはどういうものだ、どういう時期に治療すればいいか、こういう薬はこうだというような再教育を
衞生
教育の
方面
から考えて行
つて
いらつしやいますか、お伺いしたいと思います。
三木行治
35
○
政府委員
(
三木行治
君)
井上委員
から御指摘になりました
衞生
教育の重要性につきましてはこれはもう申すまでもないことでございまして、非常に私共といたしましては重視いたしております。殊に民主主義時代におきまして
国民
の納得と協力とを得られない
対策
というものはないのでございます。ただ併し残念なことにはこれを予算化するということが非常に困難であります。これは
井上委員
もよく御
承知
のことと思います。それで実はいろいろと考えを繞らしまして
関係
各省の連絡会議、或いは文部省と連絡いたしまして教科書の中に入れて貰うというような
努力
等をや
つて
おるわけでありまして、又その教育いたしますヘルス・エデユケーターというものを、やはり專門的なものを作る必要があるのではないかということで、それらにつきましての立法も考えておるのでございますが、
差当り
来
年度
におきましては、それの特別の職員即ちヘルス・エデユケーターを養成いたします講習会を作りたいというようなことで予算を要求いたして居ります。
河崎ナツ
36
○河崎ナツ君 先程B・C・Gのことについて伺いましたが、御
説明
を伺いますと、それの
結核
の主に多い所とかいろいろ重点的にや
つて
いらつしやる……。実は二つのことなんですが、
一つ
は方々に参りますと若い人たちに話をいたしますときに、実はそういう若い人の生活のうちで
結核
に対することについては、私共別の立場から注意をいたしまして、そうしてB・C・Gのことも話をいたしましてそういうふうな
法律
で決
つた
んだからと言
つて
おりますが、工場ですと工場の
衞生
管理官といいますかあの方たちの非常にまじめな熱心な方は実はこちらでも気をつけていますが、そのB・C・Gがなかなか工場にない、またできていないでしようかとい
つて
質問されるのでございますが、
厚生省
の方で重点的に認めていないので、各工場で実はそういう
衞生
監理官が非常に集団の女工さん達のそういう生活によく注意をしてお
つて
、そのことを熱望している。そういうようなところは積極的に工場から、
厚生省
なら
厚生省
に申上げれば分けて貰うというようなことができるのでございましようか。そのことを
一つ
。
三木行治
37
○
政府委員
(
三木行治
君) そのB・C・Gの計画につきましては、
保健所
が大体や
つて
おりますので、その管内の
保健所
長と御相談を頂きまするならば、大体解決をいたすものと考えます。工場等におきましては特に
結核予防
に重点を置かなければならんのでありまして、尚少量のB・C・Gでございますというと、
御存じ
のようにB・C・Gというのは一瓶、一遍に沢山やりますからその端数が出て参ります。そういうような場合を考えて
保健所
ではB・C・Gデーというような日を一週に一日ぐらい作
つて
おります。少人数でございますればそういう
機会
をお捉えになりますればできますし、
保健所
長と御相談を頂きますれば大体解決すると思います。
河崎ナツ
38
○河崎ナツ君 それは割合に大きな繊維工場ですから心配ないと思うのです。 もう
一つ
、今
井上委員
からお話ございましたように、その保健教育の中でいろいろ又こつちの予算もございましようけれども、結局殊に
結核
のことにつきましては、お若い人も知
つて
いることは必要なんですが、なかなか若い健康なときにはそういうことに関心を持ちませんので、私が自分でそういう経験を持
つて
おるものといたしまして、いつも若い人にお話しておるのですが、母親が
相当
に子供の病気、そういうときにああこれはこうだという認識を持つことは大事だと思いまして母親にしよつ中話かけているんですが、その中でも殊にB・C・Gは今度
法律
も決
つた
ことでその
法律
のときに私達参與したものといたしまして、できるだけそういう子供の方に、赤ちやんの方にそういうことが生活に現われて来ますような
機会
の少しでも早いことを望む次第でございますが、若しもそういうふうない今のような状態でなかなか沢山できないので、そこで生れた子供が兎に角すべて一度そういうところを通過していくということができませんようでございましたら、又今書物もお拵えになると言
つて
おりますが、非常に手軽な、むずかしい書き方でなく、その庶民のお母さん達に分りますようなああいう書き方にした、そういう
一つ
の教育書を是非お考え願いたいと思
つて
おりまして、そういうふうでいつでも書物を気を付けておりますのですが、今二、三册ございますし、殊に又毎日賞を得ました赤ん坊の科学など京都の松田さんがお書きになりましたし、「
結核
をなくすために」を書いて非常にいいのですけれども、併し女の人から、主婦からはまだ少し遠過ぎるものですから、是非短かい時間に読まれるようなものを、
厚生省
の方の保健教育の一としてお考え願いたいものだと思
つて
おります。
三木行治
39
○
政府委員
(
三木行治
君) 母親の認識が大切なことは、もう御意見の通りでありまして、母親の同意を得ない
衞生
習慣というものはつきかねることはいうまでもございません。私共も母親の教育に力を入れて行きたい。殊に御指摘になりましたように、今までの役人の書いたものとか、映画というようなものは、あまり筋道が通りすぎて、要らんことが随分あります。でそういうところにやはり
衞生
教育
技術
を応用して、どうや
つた
らうまくのみ込めるかということを十分に考えて行きたいと考えておるのでございます。尚母子
関係
全般のことを持
つて
おります兒童局とも相談いたしまして、御趣旨に副うように
努力
いたしたい所存でございます。
深川タマヱ
40
○
深川タマヱ
君 あのB・C・Gというのは一回注射いたしますと、その効果はどの位期間あるのでございますか。
三木行治
41
○
政府委員
(
三木行治
君) 只今のところでは、これは一年に二回位が一番いい。併し一回注射すれば、一年位は大体いいのぢやないか。特に必要があります場合には、二回やるというようにや
つて
おるわけでございます。
深川タマヱ
42
○
深川タマヱ
君 それから一回分の注射に使いますその薬の実費というようなことがお分りになりますでしようか。
三木行治
43
○
政府委員
(
三木行治
君) 一人分約十五円でございます。
深川タマヱ
44
○
深川タマヱ
君 先程のお話によりまして、
結核
の恐ろしいこともよく分りました。又B・C・Gとやら非常に
予防
薬として、効果一〇〇%ということも分りましたけれども、極めて検閲が嚴重であ
つて
、優秀な製品が少いために、三十万人に注射しなくちやならない筈のものが、僅か七百万人しか注射できないような
現状
であるということでありますが、それならやはりたとえ七百万人にでも注射するだけの品物ができるとしますると、やはり優秀な製法というものは必ずあるのですから、その製造
方法
をむしろ国家が営利事業になさらないで管理なさいまして、国営にでもなさ
つて
、そうしてなるべく
経費
を少くして、沢山作らして、それ程効果のあるものであ
つた
ら
一般
の人に注射するというようなことがよいように思いますけれどもいかがでございましよう。
三木行治
45
○
政府委員
(
三木行治
君) 昨
年度
におきましてはB・C・Gの検閲の
関係
で量が少か
つたの
でございまするが、これは実は非常に時日がかかるものでございますから最初の出が惡か
つたの
でありますが、今日はもう流れ作業でどんどん出ております。でございまする、から私共が予定いたしております人員だけは全部やれるわけでございます。尚これを国営に持
つて
行くかどうかという問題でございまするが、これは国営の利点もございまするし、欠点もございます。只今のところ
結核予防
会がや
つて
おるのでございまするが、それで以て格別不利があるというようなものも認められておりませんです。只今のところでは国の予算をこのために出して国営でや
つて
行こうというふうには考えておらないのでございます。
深川タマヱ
46
○
深川タマヱ
君 価格の統制の問題でございますけれども、余り暴利を貧
つて
いるような様子はないんでございます。
三木行治
47
○
政府委員
(
三木行治
君) 価格の点につきましては嚴重な原価計算をや
つて
おりまするので、決して暴利を貧るというようなことはございません。ただ薬の実費の外に注射をいたしまするときに一人々々に針を換えて参ります。そうすると、その針の中にまだB・C・Gがあるわけでありますが、それは捨てなければならんわけであります。そういうふうなこととか、或いは一旦瓶を空けますと、その瓶は全部使わなければなりませんので、半端に
なつ
たものは場合によ
つて
は廃棄しなければならんというようなこともございます。そういうことがありまするから若干のロスはございまするけれども、価格の点につきましては嚴重に監査をいたしておりまするので、暴利というようなことは決してございません。
藤原道子
48
○藤原道子君 ちよつとお伺いしたいのでございますが、この
予防接種法
によ
つて
行
つて
おるわけでありますが、この
予防接種法
の
審議
のときに、時の
予防
局長
に、
法律
を以て施行し、これに違反した者には罰金がついておるわけでありますから、それについて
費用
は
全額
国庫負担
でやるべきではないかという質問をいたしましたときに、僅か全部で五円くらいでできるというような御答弁であ
つた
、記録にあると思うのでございます。ところがそれに対してB・C・Gだけでも十五円、それからチブスだとか、
赤痢
等の
接種
についてもそれぞれ
費用
を取
つて
おると思いますが、今これを
全額
でどのくらい、
予防接種法
によ
つて
施行するところの
費用
は全部でどのくらいかかるということを
一つ
伺いたい。それからこれを
全額
国庫負担
でおやりになる意思があるかどうか。それから検査が大変にやかましいために、薬が遅れておるということは、この
結核
に対して一日も早くやらなければならないし、やる意思があ
つた
からこそ私は
法律
を作
つた
と思うのでありますが、いつ頃に
なつ
たらこの薬が全員に施行するだけできるお見通しがあるかということを
一つ
最初に伺いたいと思ます。
三木行治
49
○
政府委員
(
三木行治
君)
予防接種法
が定めるところの
予防接種
のおのおのにつきましての料金の点でございまするが、只今ここで分りかねますので、取調べました上でお答えいたしたいと思います。 それから
全額
国家
負担
の問題でございまするが、これは
発生
時における臨時
接種
どいうようなものは、これは当然無料でや
つて
おります。それからその外の点については有料でや
つて
おるわけでございまするが、これを
全額
国庫負担
でやる意思はないかというお問いに対しましては、私共といたしましては、全く御意見の通りでございまするが、要は国家財政の
現状
等から見て、受益者が若干の
費用
を
負担
するのは当然ではないか、それも金の面によ
つて
裏付けられた面との間で討論をすることになるわけでございまして、これは国の財政という立場からの結論でございまするので、私共からは、なるべく
国庫負担
にしたいという気持は、又御意見と相違はないと存じます。
藤原道子
50
○藤原道子君 金の面からというお答えでございますが、
病人
が出たときに、やはり金を
相当
かけておるわけです。チブスに罹
つて
も、疫痢に罹
つて
も……。こうものこそ、
全額
国庫負担
でや
つて
、そうして
予防
の面に重点を置くならば、
全額
国庫負担
にするのが、私至当だと思いますので、十分その点は考慮しなければならない問題だと思います。 それからB・C・Gは三千万人に施行することができるかどうかというお見通しをちよつと……。
三木行治
51
○
政府委員
(
三木行治
君) 最早やれることに相
なつ
ておりますから、大丈夫でございます。
藤原道子
52
○藤原道子君 次にお伺いしたいのは、それは先程来
結核
の
軽症患者
が病院のベツドを占めてお
つて
、重症
患者
が入れないということについての御質問と併せて、
結核
の恐ろしさは分
つて
来たけれども、それをもつと宣伝する必要はないかという御質問があ
つたの
でございますが、私は、それと同時に
結核
の恐ろしさが痛い程分
つて
いて、入院させなければならない開放性
結核
患者
を抱えていて、尚経済面或いは自分の
患者
さんの入院の点、家族の生活の点等々によ
つて
、入院することのできない人が沢山ある。私共の方にも、随分相談に見えに来られて、
国立
病院なんかにも入院の相談をいたしましても、半年も一年も経たなければ入院ができないというのが沢山あるのでございますが、今年は
相当
ベツド数が殖えるということも聞いておりますが、それによ
つて
、今入院を希望しておるという人が、どの
程度
吸收できる見通しでございましようかということを、
一つ
お伺いしたいことと、それから今非常に不安に思
つて
おるのは、そういう入院して或る
程度
病気が治
つて
来る。そうするとこれは退院させたらよいじやないかということでこれを追い出す。そのときに再び逆転するということ、大きな生活のハンデキヤツプを帶びておるのでございますが、これらに対してこの前則にはコロニー的なものを作るという計画もあ
つた
やに聞いておるのでありますが、そうしたことに対しては今、どういうふうに
なつ
ておるか、どうかお考えに
なつ
ておられるかということをちよつと伺いたい。
三木行治
53
○
政府委員
(
三木行治
君) 只今御
質疑
のございました一体どのくらい待
つて
おるか、そうして入れない者はどういうふうな見通しであるかというお尋ねでございますが、先程申上げましたようにベツトは約一万
増加
いたします。そうして入院を希望しておる
患者
というものはこれは地域によ
つて
まちまちでございますし、又公、私立、
国立
によ
つて
もそれぞれ違いますので、私のところで正確なる数字を持
つて
おるわけではないのであります。場合によ
つて
は空ベツトのある所がないともいえないのであります。御指摘になりました入りたくても
経費
の
関係
で入れないという点でございますが、それにつきましては只今我々の
審議
しております社会保障法の草案でございますが、その点並びに
結核予防
対策
というような点で、実はそれらの
医療
費、生活費というようなものにつきまして国の方でできるだけ持
つて
行くというような、つまり事
結核
に関する限りにおきましては、いわゆる
費用
の点では心配させないようにしようという
目的
で折角相談をいたしております。まだ只今申上げる程に固ま
つて
おらないのでございますが、そういうつもりでおるということを御了承を得たいと思います。 それからアフター・ケヤーの点でございますが、これはアフター・ケヤーという形のものを来
年度
予算に要求するということは、收容
施設
というものが先ず足りないのでありますから、それは
一つ
各種の
結核
療養
機関
を
整備
するという点からは必要であるけれども、やはり実際的に重点的にやらなければいかんのじやないかという意見が
相当
に強うございまして、これらのアフター・ケヤーについては、社会局とも相談いたしまして善処したいというのが私共の気持でございます。御了承を得たいと存じます。
藤原道子
54
○藤原道子君 善処と言われますが、真劍にその点考えておいでになるのでありますが、重ねてお伺いしたい。
三木行治
55
○
政府委員
(
三木行治
君) 善処と申しましたのは、具体的なことをちよつと申上げかねますので、善処と申上げたのでございますが、真劍に考えておることは間違いございません。(笑声)
山下義信
56
○
委員長
(
山下義信
君) この際通告によりまして
厚生大臣
に対する
質疑
を許します。
井上委員
。
井上なつゑ
57
○井上
なつ
ゑ君
厚生大臣
の御出席を得ましたので、朝鮮問題とこれからの赤十字の活動につきましてちよつと緊急質問をいたしたいと存じます。 御
承知
のように、只今朝鮮半島に展開されております戰乱は、私共が身近かに見ておるのでございますが、勿論日本の
国民
として一日も早くこれが停止を望んで止まないのでございますが、承わるところによりますと、日に日に傷病者も
増加
の傾向にございますし、又
国民
も非常に悲惨な目にあ
つて
おるということを承
つて
おりますので、誠に御同情に堪えないものがございます。でこの際に私は
厚生大臣
といたしまして、
厚生省
といたしまして赤十字の活動をお許しになるか、お許しにならないかということについて承わりたいと存じます。 御
承知
のように、赤十字は戰時に際しましては、スイスのジユネーヴにあります国際
委員会
が永世中立を守るという精神からいたしまして、この国際
委員会
が戰時における活動の大元締をしておるのでございます。一昨年赤十字の国際
委員会
の総会がスエーデンでございましたときに赤字社は戰時救護の
仕事
もいたしますが、又
保護
の
仕事
もいたしております。殊にそのときには赤十字は平和の
仕事
をするということの決議をいたしたようでございます。それ以来日本赤十字社においても終戦と同時に、いろいろ日本赤十字社の機構を改革いたしております。御
承知
のように封建的なやり方、運営
方法
を捨てまして、民主的な運営に改革をいたしますと同時に、その決議に基きまして国際的にも、国内的にも平和運動をいたすために、赤十字を建直さなければならん、又現在建直りつつあると思うのでありますが、この動乱に際しまして、又日本内地に在住しておられる朝鮮の方々も、自分達の同胞のために薬品を送
つて
欲しい、救恤の手を差伸べて欲しいとい
つて
赤十字の
地方
の支部に申出たり、又送
つて
来られたりして来ておるのでございます。今日日本の赤十字は非常にそうした面で民主的に改革され、又平和的な団体になりつつあるのでございまして、国際赤十字
委員会
からも認められたということでございますが、この際この赤十字を
一つ
認識なさいまして、更に日本の赤十字をお使いになるおつもりはございませんかどうか。勿論これには占領国家でございますので、やはりそうした軍
当局
の
関係
もございましようし国連の
関係
もあることと思いますが、
厚生大臣
の御所見を承わりたいと思います。それにつきまして若しそうした赤十字の救護班を動かすにしましても
費用
がかかりまして、御
承知
のように赤い羽根、白い羽根の計画をいたしておりますように、只今の日本の赤十字社は非常に貧弱なものであります。そのときは具体的にするとすればどういうふうに
厚生省
としてお考えに
なつ
ておるか、それを承わりたいと思います。 それからもう
一つ
は、この国際赤十字
委員会
の
関係
は昔は外務省にございました。ところが外務省は只今の状態でございます。若しこれをなされるとすれば
災害救助法
でもどうかと思いますが、そういう場合に
厚生省
といたしまして、どの
法律
に基いてどの官庁の
所管
の下にこれをお動かしになりますかどうか、そのことも同時につけ加えてお伺い申上げたい。と存じますのは、まだこうした占領下にございまして、御
承知
のように海外引揚の問題もまだまだこの
国会
の
一つ
の
仕事
として残されております。中共にはまだ多くの赤十字の看護婦が残されております。現在こちらに傍聴に来ております方々も最近いろいろの苦労をして帰
つて
来ました。まだ帰られない人の両親も来ておられます。まだ中共やそういう
方面
に残存されております看護婦のこともございますにも拘らず、承わりますところによりますと、自分の身を犠性にしてまでも、長らく自分たちの本当の同胞のようにして過して来た韓国人のために、救護に行
つて
もいいと考えておるような赤十字の看護婦もあるそうでございます。この際
厚生省
といたしましては、こうした赤十字の本当の看護婦の熱意、また赤十字の活動につきましてお考えを頂いておることと存じますので、つけ加えて
厚生大臣
の御意見を承わりたいと思います。これで私の質問は終ります。
黒川武雄
58
○国務
大臣
(黒川武雄君) 只今の
井上委員
の御質問にお答えいたします。お話の中にありましたように、彼の地の戰争におきまして傷いた傷病者に対する看護に、救護の手を差しのべようとなされます篤志の看護婦の方々や、日赤の方々の心持に対しましては、深く敬意を表するものでございます。併しながらこれを
実施
いたしますかどうかということになりますと、いろいろな問題が起るのでございまして、先ず第一に御論の通り日本は現在占領下にあるのでありますから、かかる国際的活動をなすについては、
関係
方面
から積極的な支持がありますれば格別でございますが、そうでございません限り、これを行うにつきましては特に愼重な考えを持たなければならん
事情
に
なつ
ております。 第二は現在大韓民国も朝鮮人民共和国も、国際赤十字條約に加入しておりません。これに看護班を派遣できるかどうかにつきましては、法理上解決しなければならんいくつかの問題があるのでございます。併し政府といたしましては、これらの問題につきまして、十分検討を加えた上結論を出したいと考えまして目下鋭意研究中でございます。
井上なつゑ
59
○井上
なつ
ゑ君 それからもう
一つ
承わりたいのでございますが、御研究をなさるというお話で誠に結構だと存じますが、若し御研究なさいましてこれを
実施
されるということになりますと、政府にはそれだけの備蓄といいますか、医薬品というものの用意はございましようかどうか、それを承わりたいと存じます。
小山進次郎
60
○
説明員
(
小山進次郎
君) 多少
技術
的な点になりますのでお答え申上げます。 只今
大臣
からお答え申上げましたように、これを
実施
するかどうかそれ自体について
相当
研究しなければならん点がありますので、そうい
つた
前提の上であるということを繰返し申上げた上で申上げたいと存じますが、仮にそうい
つた
ようなことで何らかの救援の方途を講ずるということになりました場合には、医薬品その他につきましては、
現状
で十分必要な
程度
のものを
確保
して行けるということは大体
技術
的に見通せると思
つて
おります。
井上なつゑ
61
○井上
なつ
ゑ君 それは只今の御答弁で了承いたしたのでございますが、若しこれが
実施
するとなりますと、どの官庁がこれを監督いたしまして
指導
いたしますか、その点も承わりたいと思います。
黒川武雄
62
○国務
大臣
(黒川武雄君) 恐らく
厚生省
で
所管
することと思います。
井上なつゑ
63
○井上
なつ
ゑ君 それからもう
一つ
承わりたいのでございますが、そうしますとこれはどの
法律
に基いてお動かしになります御予定でございますか。それも承わりたいと思います。
小山進次郎
64
○
説明員
(
小山進次郎
君) それは戰前でございますと、陸軍省の許可を得まして、許可を得たのち交織国の承認を得てそこに派遣されるという形式をとることに
なつ
てお
つたの
でございますが、終戰後におきましては、この陸軍省に代る役割を演ずるのが、先程申し上げましたように、
厚生省
に当るわけであります。これについては現在のところ特別な
法律
はございません。
從つて
一般
的な
事務
の
所管
におきまして恐らく
厚生省
設置法に記載されておりまする事項の具体的な解釈として、日赤に関する国際的な活動を含めた一切の活動が
厚生省
の
指導
下にございますので、そうい
つた
ものの一環として
厚生省
が
指導
監督をするこういうことになると思います。
井上なつゑ
65
○井上
なつ
ゑ君 よく分りましてございますが、この問題と少しかけ離れるのでございますが、先程ちよつと申上げましたように、まだ看護婦が三百何十人中共から帰
つて
来ないというので、留守家族の人達も非常に待
つて
おられるのでございますが、これも婦人の身でございますので、殊にそういう
方面
のことが強く感ぜられます。それにいたしましても前々
国会
から未復員者給脚注がございまして、留守家族の方々に
相当
の手当が行
つて
おる筈なんでございますが、どうも赤十字の看護婦の方々は、ここにも見えておられますが、当時の俸給だけしか貰
つて
おらないで、確か給與法ではあのとき六百円か家族に行く筈が、百円しか貰
つて
いないという話でありますが、こういうふうな点は、日赤の看護婦なんかは特別の扱いにされておるのでございますでしようか。給與法に準じて待遇されておるのでございますか、どういうふうに
なつ
ておるのですか承わりたいのであります。
黒川武雄
66
○国務
大臣
(黒川武雄君) 中共地区にまだ三百十数名の方々がおいでになりますということは
承知
いたしておりますが、誠にお気の毒なことでございまして、一日も早く故国にお帰りになりますように、外務省とともどもに極力
努力
いたしまして、その実現を期せんことを
努力
したいと思
つて
おります。尚只今の御質問につきましては、只今のところそういうことはない筈だということだけお伝えしておきます。
深川タマヱ
67
○
深川タマヱ
君
大臣
の御就任を心から観迎いたすものでございますが、さて
大臣
は御在任中、殊に
厚生行政
及び厚生に関する立法の点で、どういうことにお力を注ごうとなさるのか、勿論これからいろいろ御計画なさると存じますが、
差当り
今お心に俘かんでいらつしやることだけでもよろしゆうございますからお聽かせ願いたいと思います。
黒川武雄
68
○国務
大臣
(黒川武雄君) 幸い私は年足らず厚生委員をやらせて頂いた経験がございますので、幾分
厚生行政
につきましては、本当に幾分でありますが、知識を特
つて
おりまして、かねがね考えておりましたことは、
社会保障制度
の確立、増進という点、
結核対策
それから引揚促進並びにその同胞に対する救援、そういろ点について特に力を用いたいと考えております。今それならばどういう考えを持
つて
おるか、どういう
施策
を施す考えであるかという点につきましては、今暫く御裕余願いたいと思います。
山下義信
69
○
委員長
(
山下義信
君) 藤森委員御質問ございませんか。
藤森眞治
70
○藤森眞治君 丁度
大臣
がお出に
なつ
ておりますので三点程お伺いしたいと存じます。 先ず第一には
大臣
も御
承知
の通り、前の第七回
国会
におきまして、
結核予防
対策
確立の決議案をいたし、
大臣
も御賛成下さ
つて
おりますが、これにつきましていよいよ今、五ケ年或いは十ケ年の間には世界の立派な水準まで上げなければならんということに
なつ
ておりますが、ややもいたしますると、国家財政の面等から見られまして、こういう
方面
の
仕事
の、いわゆる予算のとれない、或いはどうこうの
事情
だとかというようなことで、常に遅れがちになる傾向がございますので、この際に、この
結核予防
対策
に関する
大臣
の御決意が如何にございましようか、先ず第一に承ります。 それから第二に保險経済。保險経済もいろいろ今日まで糊塗して参りておりますが、なかなか経済は楽観できない状態にあるように伺
つて
おります。最早今日は或いは借入金をしてみるとか、或いは末梢の僅かな手を打
つて
みるとか、こういうふうな事態ではないかと思います。殊に現在の様子を見ますると、
厚生大臣
はどう見ておいでになるか知りませんが、我々の少しく見るところではますます利用者は殖えている。こういうふうな考えであるのであります。同時に又いろいろな薬品、いろいろな
技術
の進歩に
從つて
、
医療
の
向上
ということが考えられる。この際保險経済に対してどういうふうな根本的のお考を持
つて
いらつしやるかということを伺います。 それから第三には医薬分業の問題であります。曾て前の林
厚生大臣
の時分に伺
つた
ところによりますと、当時は三志会に対して諮問されて、そして三志会においてこれを解決するような手筈に
なつ
ておると承
つて
おります。当時は
厚生省
の方は全部三志会に委せてその経過を見ておるというような状態のように聞いております。併しそれから後におきまして我々はなんら新しい事実を伺
つて
おりませんが、先般新聞紙上を見ますと、非常にこの問題が紛糾して参りまして、その結果は日本医師会の幹部が全部引責辞職をしたかのような新聞報道を見たのであります。その間におきまして
大臣
として、又前林厚相としてもいろいろお考えに
なつ
ておるようなことも新聞報道その他に出ております。併し今の段階は前の三志会に委せたままという段階でなく、
厚生省
が或る
程度
その中にお入りに
なつ
ておるのではないかと我々承け取りますが、医師会その他薬剤
関係
、すべてに対する監督官庁として、又これを司る
厚生大臣
として、今どういうふうにこれを考えていらつしやるか。又今後どうお取扱になるのか、若し御差支えなければ今日までの経過、その他についてお伺いしたい。以上三点をお伺いいたします。
黒川武雄
71
○国務
大臣
(黒川武雄君) お答えいたします。
結核
につきましては、皆様と同様私も子供の時代から小中学校とずつと親しか
つた
友達が
結核
に斃れ、若い頃から非常に
結核
に対して強い関心を持
つて
おります。現在におきましても
結核
に罹る方が日に増し多くなり、そして折角の働き手である青少年の方々が数十万に上
つて
結核
に罹
つて
おられるということを聞きまして、誠に痛心に堪えない次第でございます。
厚生省
といたしましては実は今
年度
におきまして、見返資金から五億の融資を受けて二千五百床の
結核
病床
を
増加
する予定に
なつ
ておりますが、なかなかこれは問題がむずかしいのでありまして、先日サムス準将に会
つた
ときも特にこの点を強調してお願いをしておる次第であります。来
年度
も
結核
に対しては私はできるだけの
努力
をしたいと考えております。 第二の保險につきましては、保險を利用する方が殖えた割に経済的に非常に困難であるということは了承しております。この点につきましても来
年度
の計画について考究中でございますので、もうちよつとお待ち願いたいと思います。 それから医薬分業のことは只今
厚生省
として所見を申上げるまでの段階に参
つて
おりません。御
承知
の通り三志会並に治療を受ける方、又学識経験者よりなる
調査
会を二つ程設けまして、第一の臨時
医療
報酬
調査
会におきまして果して医薬分業をすべきかどうか、こういう問題を研究いたしまして、医薬分業をすべきとなりましたら、第二の臨時医薬
制度
調査
会におきまして、これをどういう
方法
で分業するか、こういうことを研究し、そして答申させる。それから
調査
会の委員も大体決りまして、サムス準将にもお目にかけまして近く発表する予定に
なつ
ております。医薬分業に対する
厚生省
の態度は今暫くお待ち願いたいと思います。
藤森眞治
72
○藤森眞治君
結核
に対して非常に
大臣
の御熱意のあることはよく分りますが、先程申上げましたように、なんと申しましてもこれは予算を伴うものでありますから、そこの
大臣
の御決意を聞いたわけであります。折角立派な御立案ができましても、或る
方面
から押されて崩れるようなことがあると困るということを我々は考えまするので、それで
大臣
の決意を伺
つて
おりますが、それから第二の保險の問題につきましては、御研究中ということもこれも大変有難いと存じまするが、然らば
大臣
としてどういうような構想を以て根本的にこれをやり直そうか、或いは一部膏薬貼りで糊塗して、ここを切り抜けるというお考えかどういうお考えかということを承りたい。
黒川武雄
73
○国務
大臣
(黒川武雄君) 保險
制度
につきましては、すつかりやり直すということはなかなか困難でございまするが、順次に改革して参りまして、或いは
事務
費の
国庫負担
とか、そういうような点から段々に進めて行きたい、こう考えておるのであります。
藤原道子
74
○藤原道子君 私この際ちよつとお伺いいたしたいのは看護婦の問題でありますが、看護婦保健婦産婆法ができまして、御
承知
のようにこれから看護婦さんは甲種と乙種になるわけでございまするが、これについてこの九月から第一回の国家試験が始まるのでございますけれども、既得の看護婦さんに対しては特別の扱いを私はして然るべきだと考えておるのでございまするが、これが国家試験を受けるために、ただでさえ過労に
なつ
ておりまする看護婦さん達が無理をいたしております。それから再教育の点にもいろいろな不備な点がございますし、職場をさぼらなければ勉強ができない、惠まれた人だけが試験を受けられて、惠まれない人達は試験を受けることが困難でございます。そのために中には意欲を失ないまして、或いは結婚を急ぐとか、職業を換える方向に進みつつあるとか、こういう状態が続きましたならば、大切な
医療
行政
にも大きな支障を来すと考えるのでございますが、この点について勘法によ
つて
も、お医者さんも歯医者さんも薬剤師も何ら新法によるのと旧法によるのと差別を受けておりません。或いは保健婦さんも産婆さんも新法によ
つて
差別もないのに、看護婦さんだけが特別に差別を受けるということは何だか不合理のように考えられるのであります。殊に日本の実情から参りまして、看護婦になるには、看護婦の質の
向上
ということは非常に結構でございますけれども、六・三・三を終
つて
後三年や
つて
甲種看護婦になる、日本の今の
現状
から参りまして、こうした教育を受けて看護婦になるというような人は私は少ないのじやないかと考えられるのでございます。それよりも先ず第一に私が心配いたしますのは、既得の現在の看護婦さん達の今の不安な状態に対して
厚生省
ではどういうふうにお考えに
なつ
ているか、私はできますならば既得の看護婦さん達には、そのまま私は国家試験を止めて、そうして甲種看護婦の資格を與えるべきだ、かように考えておりますが、この点についてちよつと御意見を伺いたいと思います。
東龍太郎
75
○
政府委員
(東龍太郎君) 只今の藤原委員からのお話、これはすでに私共も各
方面
から受けております陳情、若しくは御意見等を代表せられたように承わ
つて
おります。現在の看護婦
制度
そのものについての御批判なり、或いは又これに対する将来の
対策
、或いは何らかの
改正
を希望せられるということも、これも
相当
広い輿論の声ではないかと私も考えております。ただ併しながらあの
法律
が終戰後の日本の
状況
の下におきまして十分に
国会
等の御
審議
をも経て一応でき上
つた
ものであります
関係
上、只今御希望のように旧制の看護婦に国家試験を用いずして甲種の免状を與えるということはできないのでございます。理窟から申せばすでに看護婦の資格を持
つて
おられるのでありますから、そうして業務
内容
は甲種と同等なものができるのであるから、何も苦しんで甲種の試験を受けなくてもいいじやないかということは、私は理窟としては言えると思います。併しこれは又一方甲種と乙種という区別がある限り、そして在来の看護婦というふうに三本建のように暫らくの間はなりますから、将来のこの扱いと申しますか、給與職階等、その他の点において甲種と在来のものとの間に何らかの差別待遇ができるのではなかろうかということが予想されることは、これ又御尤なことであ
つて
、そのために何とかして甲種になりたいということを考えることはこれは無理からんことだと思います。その点につきましては医務局
関係
の課におきましても、皆様の青を聞いていろいろと考慮をめぐらしておりまするが、現在のところにおいては、試験なしで在来の看護婦に甲種の資格を與えるということはこれはできないと私は存じます。 それから又その試験を受けるためにいろいろと苦労をし、困難な状態であり、惠まれたる人のみがそれを受けて、その間に非常に差別待遇ができるだろうということは、これも私は事実そうだろうということは十分想像いたしております。ただかような
制度
の過度期におきましてはかような犠牲と申しますか、そういうことなども止むを得ないと私は存じまして、十分困難とそうして苦情のあることは知りつつも、九月一日からの新らしい
法律
の施行にそのまま進まなければならないというので、その後寄り寄り
準備
をいたしておるのであります。尤も将来におきましても在来の看護婦の方々が甲種の試験を受けたいと希望せられ、又そのために必要な、講習を受けたいとせられることに対しましては、私共といたしましてもでき得る限りの御援助はいたすつもりではおります。決して試験を受けるなとか、受けなくてもいいとかという方針を以て臨むつもりはございません。
從つて
十分なる御同情はいたしておりますが、
現状
の下如何ともいたし難いというのが只今の状態でありますので、その点
一つ
御了察を願いたいと思います。
藤原道子
76
○藤原道子君 東
局長
のお言葉もよく分るのでございますけれども、私それで果してや
つて
行けるかどうかということは真劍に考えなければならないと思います。私はあれは十分
国会
で
審議
をしてできた
法律
だというお話でございますけれども、あのときは
法律
が山程来て、ろくすつぽ
審議
しなか
つた
と思います。殊に私はあれは不満でございまして、あのときも非常にこの点危惧いたしたのでございます。どうしても甲種と乙種を区別して行かなければ、いわゆるコロニーして行かなければならないのでございます。殊に私憂えますのは、質の
向上
といいながら六・三・三を経て三ケ年間看護婦学校へ入る人は、比較的六・三・三を卒業したときの成績が惡い子供が来ておるのが実情です。そうして乙種看護婦になる人は六・三を経て後の二年でございますが、これは非常に成績のいい子が入
つて
おる。これは各
施設
を
調査
した結果これははつきり数字が現われておる。ですから頭の惡い者が六・三・三をや
つた
からとい
つて
大した進歩はないと思います。それよりずつと頭のいい子供がやろうという乙種の方が却て私は人間的にいい子があると思います。質の
向上
を図ろうとするのに却ておかしなものが出て来るということが
一つ
。それから今
一つ
は特に特殊な所で働いておる看護婦、手術なら手術ばつかりや
つて
おる、手術の介助と申しますか、とにかく偏した所で働いて、その面では非常に優れて、その看護婦さんがいなければその
仕事
場は運営できないというような看護婦さんが沢山あると思います。そういうところへ甲種看護婦の学校を卒業した有資格者が来て、その人はその職場になくてはならない人であるが故に、介助労働のために試験を浮けるための勉強ができない、併しその人は試験を受けなければその
仕事
ができない、却て私は随分
医療
の上からも片輪なものができる。こうしてはつきり今の日本の実情に即さないという
法律
でございましたならば、むしろ甲種乙種の差を私はこの際廃止して、看護婦はやはり一本でなければいけないという信念を持
つて
おるのでございますが、東さんはこれに対してどういうふうなお考えでございますか、これは随分大きな問題でございます。
東龍太郎
77
○
政府委員
(東龍太郎君) 現在の
法律
ができておりますから、それを金科玉條としてこれにばかり合せて行くのが一番いい
方法
だというふうには私も考えておりません。何しろまだ
法律
ができましてもこれを実際にや
つて
行
つて
いないので、これからやるのでありますが、その結果が若しも日本の実情にあまりにもよくない、適合しない、或いは又そのために日本の
医療
が危殆に瀕するということが実際問題として起さるならば、当然これはもう変えるべざは
法律
の方であると思います。私自身もこれに対する意見は自分で持
つて
おりますが、今この際私がこの地位にありながらそれを申上げるのは、私は穏当でないと思いますので、ここでは遠慮さして頂きますが、只今のようなお考えもこれは有力な
一つ
の考えだと思います。何となれば医師歯科医師に対しては、大学專門学校の二本建を廃して一本建にしなければならないというので改めたのではないか。然るに看護婦が一本であ
つた
ものをなぜ二本にしなければならないか、これは論理的に矛盾ではないかということも立派に言えると思います。どういうふうなものが最もよろしいのか、これにつきましては、それぞれ專門の各
方面
からの声を十分に伺いまして、世論の声として最もいい方向に進みますならば、
法律
の
改正
にまで至りますことは、誠に結構なことと思うのであります。
藤原道子
78
○藤原道子君 くどいようでございますが、よく分りました。ただこの点はやはり学校の教職員の問題にも今起
つて
おるのです。教員はやはり国家試験を受けなければならないというので、各種のいろいろな摩擦が起きておりまして、教職員組合でも非常にこの点取り上げて戰
つて
おりますが、私も自分が看護婦でございましたので、この点は十分研究して、何とかいい
方法
を編み出して行きたい、かように考えておりますので、又医務局におかれましてもできた
法律
だから仕方がないというのでなく、今東さんが言われたようなお考えで
一つ
お進み願いたいと思います。この点いろいろな
事情
も聞いておりますので、又いずれ私共も
厚生委員会
でこの点特に取り上げて頂きたいと思いますので、今日は質問はこの
程度
にいたしておきます。
山下義信
79
○
委員長
(
山下義信
君) 午前中はこれにて休憩いたします。午後は一時三十分から再開いたします。 午後零時十二分休憩 —————・————— 午後一時三十分開会
山下義信
80
○
委員長
(
山下義信
君) 休憩前に引続いてこれより
委員会
を再開いたします。速記を止めて下さい。 午後一時三十一分速記中止 —————・————— 午後三時五十七分速記開始
山下義信
81
○
委員長
(
山下義信
君) 速記を始めて……。本日はこの
程度
で散会いたします。 午後三時五十八分散会 出席者は左の通り。
委員長
山下 義信君 理事 小杉 繁安君 藤森 眞治君 有馬 英二君 委員 池田七郎兵衞君 長島 銀藏君 中山 壽彦君 河崎 ナツ君 堂森 芳夫君 藤原 道子君 井上
なつ
ゑ君
深川タマヱ
君 松原 一彦君 国務
大臣
厚 生 大 臣 黒川 武雄君
政府委員
厚生政務次官 平澤 長吉君
厚生省
公衆衞
生
局長
三木 行治君
厚生省
医務
局長
東 龍太郎君
厚生省
薬務局
長 慶松 一郎君
説明員
厚生省
社会
局長
代理
小山進次郎
君