○
政府委員(安田巖君) 保険
局長の安田でございます。保険局
関係の
所管事務の大体について御
説明申上げたいと存じます。
保險と申しますと大変専門的な技術的なように聞えるのでございますけれども、
皆様のお
手許に
資料といたしまして社会保險概要と申します四枚のガリ版刷をお
手許に差出してございますが、これで
御覧になりますように
対象が国民の殆んど全部に亘
つておりますこと、及び
内容が医療その他現在非常に国民の要望いたしております事柄でありますので、現在におきましては非常に大きな問題に御
承知の
通りな
つておる次第でございます。大体御
説明申上げますと、健康保険と申しますもの、それから国民健康保険、厚生年金保險それから船員保険、この四つを私共の方で取扱
つておるのでございます。
健康保険は、そこに書きました
通り対象といたしましては、勤労者事業に雇われております人、被用者。それからこれが実施されましたのが
昭和二年でございますので、本年でもう二十数年を経ております。それから経営主体といたしましては、
政府が一本で保險をや
つておりますのと、それから或る工場、事業所で相当数の労働者を持
つておりますところで
自分だけで保険をやりたいというところでは、そういつたところで健康保險組合というものを作
つて自分でや
つております。それから国庫がどれくらい金を出しておるかと申しますと、後で予算の総額が出ておりますけれども、事務費の一部を出しております。一人当り大体四十五円でこれが予算上は大体事務費の五割に当るということにな
つておるわけですがこれが国庫から出されておりますところのすべてでございます。給付につきましては国費の負担はございません。
それから
ちよつと
一つ飛ばしましてどういう給付をや
つておるかと申しますと、病気や怪我をいたしましたときに医者にかかつた
費用を拂うという療養の給付、それから傷病手当金と申しまして、病気や怪我をして休みましてそのために報酬が貰えなく
なつたという場合に、そめ報酬の六割のものを保險で出すというわけで、後CからFまでの
仕事でございます。その外保險
施設といたしまして、
自分のところで病院や療養所を持
つておりまして、これを被保険者の利用に供しておるわけであります。それから二十五年度の予算といたしましては保險料收入が百四十五億ばかり、雑收入を合せましても白四十五億九千万円ばかりでありますがそれに対しまして保険の給付費が白三十七億ばかり、予備費として八億ばかり組んでおります。事業所の数は
政府管掌が十四万、それから各事業所事業所でや
つておりますところの組合これが七百四十七でございます。被保險者の数は
政府の方が三百二十六万ばかり、組合管掌の方が二百八十三万ばかり、合せて六百九万、この
程度のものでございます。現在健康保險の方で問題にな
つておりますのは、終戰後段度と療養の給付、つまり医者にかかりまして拂う金の額がどんどん上
つて参りまして、これを賄いますのは保険の掛金でございますけれども、掛金の方も余り上げるわけに行かない。前の頁を見て頂きますと、掛金の率というものは五五%、千分の五十五でございます。千分の五十五を事業主とそれから労働者が半分々々出し合
つておるわけでございますけれども、これは昨年は千分の五十でありましたのを、五だけ上げまして五十五にいたした。それでもやはり段々と医療費が上りまして足りなくなるような傾向にございます。昨年はいろいろ意をいたしまして何とか年度末におきましては辻褄を合せたのでございますけれども本年度に入りましてもやはり医療費がどんどん上
つて来るような傾向にありまして、本年も昨年に劣らず又保險経済の難局に遭遇するのではないかということを恐れておるような次第でございます。
それからその次の国民健康保険でございますが、これは第一の健康保險が勤労者の健康保険でございまして、国民健康保険はそれを除けましたところの地域的
なつまり
一般の国民を
対象としたところの健康保險でございます。現在は市町村がやることが
建前にな
つております。従来は組合を作
つてや
つておつたのでありますが、一昨年から市町村が経営の主体になるような市町村公営主義に改められております。現在は、その次の頁にございますけれども、大体市町村の中の五千なにがしがとの保險をや
つておりまして、従前よりあります組合でありますとか法人なども加えますと、約六千二百三十ばかりの
仕事をや
つておるわけであります。被保險者の数は約三千二百万ばかりがこれに入
つておるわけであります。この方も健康保険と同じように医療の給付の利用者が多くな
つて参ります。そのために経済上の負担に堪え切れなくて赤字を出して、保險経済が危機に立至
つておるものが全国的に見ると相当ございますようなわけでござりいます。これに対します国庫補助は事務費の七割を出しております。給付費にはございません。それからハの保健婦の設置、保健婦を設置いたしました場合に、その三分の一の補助金を出す。それから二に診療
施設設置費とございますが、これは市町村が
自分で保險事業をや
つておりますけれども、医者に、開業医にかかつ
つてもいいわけでありますが、
自分のところで直営の診療所を持ちたい、直営の診療所を持つた方が事業が円滑に行くというような場合がしばしばございますので、そういうようなところに対しまして補助をいたしまして、直営診療所を設けるようにいたしております。この額は予算で申しますと、二億五千万円でございます。二億五千万円が三分の一に当りますから、七億五千万円に使はれるわけでございます。併し実際には丁度三分の一の補助にならないで、やはり何かと企画以上に市町村の方で金を使われますので、結局二億五千万円が、十億にも十二億にも使われておるというような
現状でございます。で、これにつきましては昨年及び今年が二億五千万円の予算でございますけれども、本年度のごときは二億五千万円の補助金に対しまして、申込が十四、五億もあるというような状況でございます。
その次に厚生年金保険というのがございましてこれは健康保險と大体
対象が同じでござついまして勤労者を
対象にいたしております。一口に申しまするというと勤労者の恩給というものでございます。
昭和十六年にできまして大体
一般の者でありますというと、二十年掛金を掛けます。坑内夫でありますというと十五年掛金を掛けまして、五十五歳になりますというとその年金が貰えて乗るような仕組みにな
つております。従いまして現在は年金を貰
つておる者はおらないわけつでありまして、二十年と言いますというと、
昭和三十七年になりますというとそういう者が出て来る。尚坑内夫につきましては
昭和三十二年にそれが出て来るというような計算になります。併し
なつがら寡婦年金でありますとか、遺兒年金でありますとか、或いは傷害年金でありますとか、そういうものは現にすでに給付を始めておりるわけであります。で、これにつきまして若干の問題がございますのは、今の養老年金、つまり二十年経ちましてから年金を貰います額は、今まで
自分が勤めました二十年間の報酬全部を平均いたしまして、その平均の月額の四ケ月分というものを年金として貰うことにな
つておるわけであります。ところが御
承知のように終戰後非常に経済的な変動がございまして、従来支拂
つておりましたところの掛金に相応する報酬、これは非常に今から
考えますと低いものにな
つております。それを二十年全部通算いたしまして、平均いたしますというと、非常な低いものにな
つて来つるという問題が
一つございます。それから又終戰後報酬が段々上
つて参りましたけれども、併し名目は上
つて参りましたが、実質賃金から言いますというと、昔と比べると随分低くな
つております。つまり賃金の中で殆んど食うや食わずで保險料なんかを納める分というものは非常に少くな
つておるわけでございます。これに対しまして従来のような掛金を掛けますというと、大体一割掛金を掛けなければいけませんので、仮に八千円貰いますというと、八百円というものが掛金に取られるということにな
つて来る。そこでそれは今の年金の水準から言いますと無理でございますので、これに対しまして暫定料率と称しまして千分の三十、三%くらいの安い料率を暫定的に掛けておるのでございます。安いり料率を掛けますというと勢い今度は二十年ごとに貰う年金の額りも少りくなるわけでございますので、その問題をここ二、三年のうもにどうするかということを決めなきやならんという事態に立至
つておるわけであります。
それからもう
一つの問題といたしま合しては、年金はそういうふうに非常な長期の計り算によりますので、保險料を積立てております。その積立てております積り立金というものがすでに二百三四十億にな
つているのであります。これは預金部の資金の中に入
つておるのでありまするが、この積立てました資金の一部というものは、この
制度ができました当初におきましては、一部を還元いたしまして、労働者の
福祉施設の方に還元貸付をするというような約束が大蔵省とあつたのでございます。ところが終戰後になりまして預金部資金というものは国又は地方公共
団体以外には使
つてはいけないというようなことにな
つて参りましたので、それつが現在は止
つておるわけであります。止
つておることと同時に、積立金でございますので、どんどんそれが殖えて来るというような実情にございます。これを何とか運用したいという問題がこれが
一つございます。大体まあそういう問題が厚生年金にはあります。
それからその次の船員保險でございますが、これは丁度昨日十週年記念をやりましたのでございますが、
昭和十五、六年頃
施行されまして丁度十週年経
つております。これは
政府が一本でや
つておりまして、他の保險でございますというと、健康保險のようなもの、年金保険のようなもの、或いは失業保險でありますとか、労働者災害補償保険とかいうようなものが皆別々に分れております。殊に役所から申しましても、年金保險でありますとか、健康保險は
厚生省の
所管にな
つておりますけれども、失業保險や、労働者災害補償保険は、これは労働省の
所管にな
つて分れておるのであります。船員保險におきましてはそれが全部一本に総合されておるのであります。最近
社会保障制度でいろいろ社会保險の動向ということが言われておるのでありますが、船員保険におきましては十年前にそのことが行われておるということが言えるのであります。
給付の
種類、つまりどういうふうな給付をやりますかということは、病気に
なつた場合の療養給付でありますとか、傷病手当金、埋葬料、
遺族年金、寡婦年金、遺兒年金、養老年金、傷害年金、傷害手当金、失業保険金、脱退手当金、こういうようなものを言
つております。現在、これに入
つております船員は約十二万三千ばかりでございます。船舶の所有者の数は大体五千二百五十九、このようなことにな
つております。予算で申しますというと大体十六億六千万円、これが船員保險法全部の予算にな
つております。
以上が大変
簡單でございますけれども、社会保險で
所管いたしておりますものの事務の
内容でございます。