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1950-11-16 第8回国会 参議院 厚生・文部・地方行政連合委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十六日(木曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————  委員氏名   厚生委員    委員長     山下 義信君    理事      小杉 繁安君    理事      井上なつゑ君    理事      有馬 英二君            大谷 瑩潤君            中山 壽彦君            長島 銀藏君           池田七郎兵衞君            河崎 ナツ君            堂森 芳夫君            藤原 道子君            藤森 眞治君            常岡 一郎君            松原 一彦君            深川タマヱ君   文部委員    委員長     堀越 儀郎君    理事      加納 金助君    理事      成瀬 幡治君    理事      若木 勝藏君    理事      木内キヤウ君            工藤 鐵男君            平岡 市三君            川村 松助君            木村 守江君            荒木正三郎君            高田なほ子君            波多野 鼎君            和田 博雄君            梅原 眞隆君            高良 とみ君            鈴木文四郎君            山本 勇造君            谷口弥三郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      竹中 七郎君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   —————————————   本日の会議に付した事件社会保障制度に関する調査の件  (池上特飲街事件について証人の証  言あり)   —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) これより、厚生文部地方行政連合委員会を開会いたします。  本日は証人としまして出願者代表としまして池田茂君、本件の出願関係のありまする池田益太郎君、向島カフエー事業協同組合理事長市川七郎君、文部省兒童審議会会長神埼清君、並びに地方行政委員会の要望によりまして、国家地方警察防犯課長宮地直邦君、東京都副知事岡安彦三郎君は昨日に引続きまして、尚警視総監田中榮一君を証人として出席が求めてございます。  これより証人証言を聽取いたしますが、その前に一言証人方々に申上げて置きたいと存じます。証人のかたが議院証言をいたします場合には、「議院に於ける証人宣誓及び証言等に関する法律」によりまして、宣誓を行なつてから証言をして頂くのでありますが、若し虚僞証言をした場合に、右法律第六條によりまして、三ヶ月以上十年以下の懲役に処せられる罰則があります。又、正当な理由なく宣誓若しくは証言を拒んだときには同法第七條によりまして一年以下の禁錮又は一万円以下の罰金に処することになつております。但し民事訴訟法第二百八十條及び第二百八十一條の規定に該当する場合におきまして、宣誓若しくは証言について、又は書類提出を拒むことができます。又、法律第五條によりまして、「出頭した証人公務員である場合又は公務員であつた場合その者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所又はその監督庁の承認がなければ、証言又は書類提出を求めることができない」ことになつております。以上、証人宣誓に先立ちまして御参考のために申上げて置きます。  では宣誓書朗読をお願いしたいと存じます。  それでは神崎さんから順次宣誓書を御朗読を願います。皆さん起立をお願いいたします。    〔総員起立証人は次のように宣誓行つた〕    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 神崎  清    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 池田益太郎    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 市川 七郎    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 池田  茂    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 田中 榮一    宣 誓 書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 宮地 直邦
  3. 山下義信

    委員長山下義信君) 岡安証人は昨日宣誓が済んでおりますからよろしうございます。御着席を願います。  議事の進行につきまして申上げます。本日は業者関係証人に対しまして、極めて簡単に委員長から、一、二証言を求めて置きます。その他の証人の御出席は御承知通りであります。尚政府のほうから関係大臣出席をいたすことになつておりますので、併せまして本日は各委員方々から証人に対しての証言をお求めになり、或いは関連いたしまして所管大臣に御質疑を願いたいと存じます。大体におきまして、できる限り本日の午前中、多少時間が延びましても午前中を以ちまして一応審議を終りたいという考えでございますので、御了承を願つて置きたいと存じます。  それでは委員長から出願者の一人といたしまして池田茂君にお尋ねしたいと思いますが、池田茂君は今回池上料飲店出願をしておられますが、何の種目の営業をなさるつもりで建築出願をなさいましたか、先ずその点から伺いたいと思います。
  4. 池田茂

    証人池田茂君) カフエーであります。
  5. 山下義信

    委員長山下義信君) 御起立してお答えを願いたいと存じます。
  6. 池田茂

    証人池田茂君) カフエーであります。
  7. 山下義信

    委員長山下義信君) カフエーですね。
  8. 池田茂

    証人池田茂君) はあ。
  9. 山下義信

    委員長山下義信君) そこはカフエーだけをなさるのでしようか。或いはそこであなた御自身が住居なさるのですか。
  10. 池田茂

    証人池田茂君) 私も住居いたします。
  11. 山下義信

    委員長山下義信君) あなたも住居なさる……。
  12. 池田茂

    証人池田茂君) そうです。
  13. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今はどちらにお住いでございますか。
  14. 池田茂

    証人池田茂君) 大田区矢口町四二二です。
  15. 山下義信

    委員長山下義信君) それは御出願になりましたところと近いところでございますか。
  16. 池田茂

    証人池田茂君) 近いところでございます。
  17. 山下義信

    委員長山下義信君) 近い……。
  18. 池田茂

    証人池田茂君) はあ。
  19. 山下義信

    委員長山下義信君) そこで今あなたは何をしていらつしやいますか御職業は。
  20. 池田茂

    証人池田茂君) カフエーをやつております。
  21. 山下義信

    委員長山下義信君) カフエーをやつておる……。
  22. 池田茂

    証人池田茂君) はあ。
  23. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今あなたがカフエーをしておられます近所には同種類営業はありますか。
  24. 池田茂

    証人池田茂君) あります。
  25. 山下義信

    委員長山下義信君) 沢山ありますか。
  26. 池田茂

    証人池田茂君) ええ、あります。三十二軒ほどあります。
  27. 山下義信

    委員長山下義信君) それはずつと並んでおりますか。
  28. 池田茂

    証人池田茂君) アパートのところもありますし、一軒家もあります。
  29. 山下義信

    委員長山下義信君) 俗に武蔵新田というところでございますか、そこは……。
  30. 池田茂

    証人池田茂君) はい。
  31. 山下義信

    委員長山下義信君) それは純粹のカフエー営業になつておりますか、これを率直にお答え願いたいのですが……。
  32. 池田茂

    証人池田茂君) 純粹のカフエーではありません。
  33. 山下義信

    委員長山下義信君) ではどういうカフェーでございますか。
  34. 池田茂

    証人池田茂君) ……。
  35. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは今度出願になりましたのは九月九日付けで建築申請をしておりますね。
  36. 池田茂

    証人池田茂君) はあ。
  37. 山下義信

    委員長山下義信君) 同日建築許可が下つておりますね。
  38. 池田茂

    証人池田茂君) それは私共は工事のこと、出願のことは経験がないのでありまして、工事責任者のほうのかたに一切をお願いしてありますからその点記憶がないのです。
  39. 山下義信

    委員長山下義信君) 覚えておいでになりませんか。建築の面積が十五坪ということになつておりますが、その建築設計等はあなたが出願しておいででありますが、よく御存じでしようね。
  40. 池田茂

    証人池田茂君) はあ。
  41. 山下義信

    委員長山下義信君) 大体どういうようなふうの設計になつておりますのですか。
  42. 池田茂

    証人池田茂君) 只今お尋ね通り新田ホールとしましても手狹でありますし、誠に営業がやりにくいのであります。それで池上規定通りホールを建てまして、正しい営業としてカフエーをやつて行こうと思いまして、その通りホールもちやんとやつてあります。
  43. 山下義信

    委員長山下義信君) 武蔵新田営業を今御計画のところへ大体はお移しになるというお考えでございましようね。
  44. 池田茂

    証人池田茂君) いえ、違います。それは私共は今の営業当局のお指図の通り行きませんから、向う行つて正しい生業を以てやろうと思つて計画しています。
  45. 山下義信

    委員長山下義信君) 武蔵新田営業のほうはお止めになるお考えですか。
  46. 池田茂

    証人池田茂君) 将来は止めようと思います。
  47. 山下義信

    委員長山下義信君) 今の池上のほうができましたら武蔵新田営業のほうは止めて、そうして正しいカフエーをやるというお考えですか。
  48. 池田茂

    証人池田茂君) 私はそうであります。
  49. 山下義信

    委員長山下義信君) 他の方々のお考えは御承知でありましようか。同じように出願されたのは……。
  50. 池田茂

    証人池田茂君) それは知りません。
  51. 山下義信

    委員長山下義信君) 他の方々にお考えはどうだとおつしやるのですか。
  52. 池田茂

    証人池田茂君) 分りません。
  53. 山下義信

    委員長山下義信君) 今大変輿論がやかましくなつておりますね。それにつきましてはこういうふうな状態になつて来まして、出願人のあたなとしてはどう考えておられるのでありますか。
  54. 池田茂

    証人池田茂君) 私共が新田にいたああいう営業をしておりますので、皆様が池上行つてもやはり今の形態をとつて営業をすると思つて心配をなされておるので、騒いでおられると思います。
  55. 山下義信

    委員長山下義信君) それであなたはどう考えられますか。飽くまで出願しておる通り許可を求めて続けてやろうとお考えになりますか。それともそういうような輿論があるので、誤解を受けるようでは一つ考えようというお考えでございますか。どう考えておられますか。
  56. 池田茂

    証人池田茂君) 考えようという気持もあります。
  57. 山下義信

    委員長山下義信君) ありますか。
  58. 池田茂

    証人池田茂君) ええ。
  59. 山下義信

    委員長山下義信君) 場合によつては新計画を中止しようというお考えも、場合によつてはあるかも分らんというお考えですか。
  60. 池田茂

    証人池田茂君) そうであります。
  61. 山下義信

    委員長山下義信君) 一応承わつて置きます。御着席下さい。   —————————————
  62. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は池田益太郎君に御証言を願いたいと思います。証人は今御商売は何をしていらつしやいますか。
  63. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 私もやはりカフェーをやつております。
  64. 山下義信

    委員長山下義信君) 武蔵新田で……。
  65. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) さようでございます。
  66. 山下義信

    委員長山下義信君) 池田茂君と同じような……。
  67. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) そうです。場所は多少離れておりますけれども、やつております。
  68. 山下義信

    委員長山下義信君) 率直に私お尋ねしますが、証人は以前洲崎遊郭業を経営をしていらつしやつたことがありますか。
  69. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) さようでございます。
  70. 山下義信

    委員長山下義信君) ありますね。
  71. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) はい。
  72. 山下義信

    委員長山下義信君) その後向島のほうで御商売しておられたことがありますか。
  73. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) やつておりました。
  74. 山下義信

    委員長山下義信君) 同じような御商売ですね、大体……。
  75. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 亀戸です。
  76. 山下義信

    委員長山下義信君) 亀戸
  77. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) はい。
  78. 山下義信

    委員長山下義信君) 今回の池上のお仕事ですね。あれは大体証人が中心になつて計画といいますか、お世話をして今日までおいでたわけですね。そうでございますね。
  79. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) そうです。
  80. 山下義信

    委員長山下義信君) あそこをお選びになりました何か理由がございますか。
  81. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それにつきまして意見を申上げたいと思います。大体御承知でございましようが、少し簡單に申上げますと、私共は昭和十八年まで洲崎におりました。洲崎におりました土地が、これは遡つたことですが、当時は戰争の真最中でありまして、海軍水交社監督局長、或いは課長級、それから警視庁保安部長その他のかた、又洲崎署のかた、又石川造船所予備海軍中尉のかたとか、そういうお歴々のかたが見えて、現在は日本戰争がガダルカナルの戰争後であつて、今や殆んど裸で出刀庖丁で以て戰をしておるのだと、向う機関銃だと、それについてはどうか一つ君達の場所を提供してくれないか、国家のためだと、戰が勝つか敗けるかだと、戰に勝つたら又元通りにするのだから、君達が今まで骨を折つていることについて、我々がとにかく五十年来あそこで地盤を築いているのです。今これを誠に申訳ないけれどもという海軍当局者からの御説諭のために、我々は、ああ、そうですが、止むを得ませんと言つて心よく提供したのです。その当時京成電車地区あたりは坪千円くらいの相場でした。私共としても、それをお買上げ願つた結果、その資金を以て第二の方法をとると、だからどうか一つ世間相場買つて頂きたい。それから尚且つ、五ヶ年間特殊預金になつております、それで我々は方法がつかないので何とかしなければならん、それも承知したと、少くとも日本海軍なり警視庁なり石川造船所がいるのでからそういうことは大丈夫だから得心してくれ、外の場所がないのだからという、こういう皆さんからのお話であそことを提供しました。それでいよいよ提供しますと、それについては君達、石川造船所とか警視庁とか海軍省がいるということは面倒だから、東京庶民金庫にこれを委嘱して、庶民金庫が中に入つて評価をきめると、こういうようなお話でありました。それで私共きめた結果、私の家なんかも昭和十年に建ちました家でして、二百坪ばかりありましたが、坪四百円か三百八十円くらいの評価でした。これはもう庶民金庫お話なつたのだから止むを得ないからそれで売る。それから金銭のことになりますと、幾ら海軍省が何と言おうと、石川造船所が言うおうが、警視庁が言おうが、これは国家法律で、大蔵省で絶対駄目だ。それで五年間の特殊預金だからこれはいけない。これもどうも止むを得ませんからと言つて、そうして五ヶ年間の特殊預金にした。そのあげく今度大蔵省からお見えになつて、どうか同じ預金ならば五大銀行三菱とか三井とか安田とか帝国銀行というような銀行に成るべくしろと、利息も三分八厘、それについては税金も取られないし、むしろ割がいいじやないかというようなわけで、私共は平生の取引銀行三菱にやりました。そうすると、昭和二十二年になつて初めて話がきまりまして、そうして三菱が約七割の欠損で、十万円に対していわゆる三割、私共は十何万円でありましたが、全部つけたのです。夜具、蒲団まで早速工員に着せるのだから置いとけというので置いて、そうして十何万円で約三万幾らの金が来たのです。それから私は丁度深川永代橋三菱支店がございますから、支店長をつかまえて、こんな金は要らない、三万円なんか貰つたつて闇の米三俵買えばなくなつてしまうのですから、まあそう言つてしようがないじやないかと言つて、はたの人もいろいろ言うし、支店長も平生懇意の間柄だし、私共もまあ我慢して、これも国家の御奉公である、日本が戰に負けたから止むを得ない、それでその始末につきまして、警視庁が非常に御心配願つて、そうして我々業者の行くところをきめてやると、一旦整備なつ場所が、玉の井の三十軒、ないところは玉の井のかたぎの家を潰しても買取つてやる。立川にその頃軍需工場があつて立川軍需工場を潰してあすこに三十軒家を建てるから、どうかあすこへ来てくれと、それから穴森がやはり神社の傍で、これは整備になつて蒲田二業地と合併したので、あすこへ三十八軒か行きました。それから新宿とか吉原にも十何軒行きました。方々整備したところへ向けて、空家になつておるところへ向けて、皆相当のその当時の單価で買つて、そうして入つたような始末でありまして……。
  82. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと申上げますが、それで武蔵新田にお移りになつたわけですね。
  83. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それはこういうわけでございます……。
  84. 山下義信

    委員長山下義信君) それはよろしうございます。あなたのお住みになつたわけは分りますから……。
  85. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それで穴森に参りまして、穴森で三月の二十七日かに、海軍の飛行場の拡張だというので、あすこを又一週間以内に出まして、まあこういうような原因で武蔵新田へ行きまして、武蔵新田へ来たにつきましても、私共戰争最中でしたが、二十年の六月に話がありまして、とにかく蒲田警察署に行くと、それは困ると、現在産業戰士がまだ二万人から残つておる。それについて君達は娯楽機関を据えてくれと、再々のお使が来て、三度も四度もお使が来まして……。
  86. 山下義信

    委員長山下義信君) その辺はよろしゆうございますから、今回どういうわけで池上の本門寺前のあの地点を選ばれたか、これを聞くのです。
  87. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それにつきまして今申上げます。場所アパートでして、如何とも手狹でして、そうしてだんだんと平和になつて来て、ホールも五坪以上にならんと規格にはまらないし、いろいろ警視庁からのお話がありましたから、何とかして期待に副おうと思つていろいろ苦心しておりました。そうすると、幸いにこの春池上土地有力者が、あすこ活動館もできるし、いろいろできるからこつちへ来てやれというお話でしたのです。
  88. 山下義信

    委員長山下義信君) それは誰からそういう話がありましたですか。
  89. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それは安藤だとか、そういう二、三が来たのです。
  90. 山下義信

    委員長山下義信君) 安藤君その外二、三の人が誘いに来たと……。
  91. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 安藤とか、地所を持つておりましたから……。その結果全部ではないですけれども、如何ともしようがなくあつちへ行つて、そうしてやるについては、私共はもはや今までのような女に携わつて営業することは絶対駄目だ、正業で行くならば私も心配する、向う行つて又女にかかわつたような商売をするならば、あつちへ行つて皆さんに御迷惑をかけるから、それは絶対に止める。それは誓つてやらないというようなことを言いますから、自分は行きませんけれども陰ながら力を注ぐ、こういうわけです……。
  92. 山下義信

    委員長山下義信君) 分りました。そのときですね、証人はその池上で以てもう品川にも吉原にも負けないような、もう五十軒も六十軒も沢山建てて、大きな遊郭作つて土地の繁栄を一つ来さして、繁栄するように大々的にやるというような話をしたことはありませんか。
  93. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 絶対にありませんです。
  94. 山下義信

    委員長山下義信君) 長谷川という人に話したこともありませんね。
  95. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ありません。
  96. 山下義信

    委員長山下義信君) 誰にもそういう話をしたことはありませんね。
  97. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ありません。殆んど捏造です。
  98. 山下義信

    委員長山下義信君) そういう考えはないのですか。
  99. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ないです。
  100. 山下義信

    委員長山下義信君) 武蔵新田の今の営業を移そうという考えはないのですね。
  101. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) そうです。
  102. 山下義信

    委員長山下義信君) 今の武蔵新田営業は繁昌しておりますか。
  103. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) おりません。不景気です。
  104. 山下義信

    委員長山下義信君) そこで今使つている家等も相当傷んで困つているのですね。
  105. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ええ、そうです。
  106. 山下義信

    委員長山下義信君) けれども移るという考えはない。こう証人は言うのですね。
  107. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ええ、そうです。
  108. 山下義信

    委員長山下義信君) このたびの申請の中で工事中止を命ぜられた個所がありますね。
  109. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ええ。
  110. 山下義信

    委員長山下義信君) 許可がない前にどうして工事をどんどん進めましたか。
  111. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それは私は直接に、自分が年とつておりますから、やらないわけではありませんけれども……。だからその間に飯島が、私共の同業の組合の者が何とかして骨を折つて、そうしてそれに証人から言つたよう建築請負業者と話して、その建築業者の代理人がやつたということを私は聞いております。
  112. 山下義信

    委員長山下義信君) 建築の請負人が勝手にやつたのだ……。
  113. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それは或いは飯島君と話をして、こちらのほうの代表者と……殆んど工事その他については飯島君が全部やつておりますから、それがいろいろ万事について工事上或いはやつたという話を聞きました。
  114. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人はどんどん工事を進めるように工事人に言うたことはないのですか。
  115. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ありません。私共は自分でやつておるのではありませんから。
  116. 山下義信

    委員長山下義信君) 毎日証人現場行つてつたのではありませんか。
  117. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 行きません。
  118. 山下義信

    委員長山下義信君) 現場にも行つたことはありませんか。
  119. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それはたまには池上ですからお参りに行きました。どうなつておるのか同じ業者がやつておりますからそれは私共関心を持つておりますから、土地ぐらい見に行きました。
  120. 山下義信

    委員長山下義信君) 工事許可が下りていないのに、工事をどんどんやつておることを証人は知つていましたか。
  121. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 知りません。そういうことを絶対してはいけないということは知つております。
  122. 山下義信

    委員長山下義信君) 見たことはありませんか。
  123. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ええ。
  124. 山下義信

    委員長山下義信君) 今回の池上計画は、大体武蔵新田のあなたがたの同業者方々の話合いの計画と思いますが、間違いありませんか。
  125. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) そうです。そういう点……、十四人ですね、そこで十四軒が集まつて昨夜声明書を書きました。その外の工事中止のものが三軒、それで十四軒です。
  126. 山下義信

    委員長山下義信君) どういうわけで出願の中に料理店とかカフエーとか、旅館とか、その営業種類をいろいろに考えましたか。
  127. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それは私は分らないのですが、皆に聞きますと、どうもカフエーばかりを多くしても、或いは輿論がうるさい。幾ら我々が正業でやると言つてもいけないから、むしろ坪の大きい家は宿屋にしたほうがいいのではないかという今の工事建築師意見で、そういう関係になりました。
  128. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは証人にお尋ねしますが、最近証人達計画に対して地元の人達は言うに及ばず、輿論が非常にやかましくなつて来ておりますことを証は人知つておりますね。
  129. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それは新聞その他で見ておりますから……。
  130. 山下義信

    委員長山下義信君) こういうような輿論がやかましくなつて来たことに対して、証人は今何か考えておることがありますか。
  131. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) いや別段、正業で飽くまでもやるんだからと言われて見れば私としても、それはどうだ正業でやるというが実際にやるのか。やります。やるならあなたがたの言うことを止めることもできない。ということは言つておりました。
  132. 山下義信

    委員長山下義信君) やかましくなつて来たのについて考え直しをするという意思はありませんか。
  133. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 私は自分でそこへ建築しておのませんし、現在の場所で私はやつておりますからして、皆にそういう忠告ぐらいは與えます。けれども皆の意思は正業でやるのでしよう。そうして御心配はかけない。こう言うために、私はああそうですか、と言つただけです。
  134. 山下義信

    委員長山下義信君) いろいろな点から難点がありましてむずかしくなつて来て、なかなか営業許可が下りないというようなことになつたら証人はどうするつもりでおりますか。
  135. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 何とか考えなくてはならないと思つております。
  136. 山下義信

    委員長山下義信君) よろしうございます。あとで他の委員方々から御質疑があると思いますが、一応委員長の質問はその程度に止めて置きます。   —————————————
  137. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は向島カフエー事業協同組合理事長市川証人証言を求めたいと思います。  証人は今向島の鳩の町全体の理事長をしておられますね。
  138. 市川七郎

    証人市川七郎君) さようです。
  139. 山下義信

    委員長山下義信君) 何軒ぐらいの業者がありますか。
  140. 市川七郎

    証人市川七郎君) 九十九軒です。
  141. 山下義信

    委員長山下義信君) いわゆる特殊婦人という女は何名ぐらいおりますか。
  142. 市川七郎

    証人市川七郎君) 百三、四十名と記憶いたしております。
  143. 山下義信

    委員長山下義信君) 東京都にはこういう同業者組合というものが他にもありますか。
  144. 市川七郎

    証人市川七郎君) すべて総括したのが十七ヶ所と記憶いたしております。
  145. 山下義信

    委員長山下義信君) 全体の連合組合というようなものがありますか。
  146. 市川七郎

    証人市川七郎君) あります。
  147. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人は連合組合の何か役員でもしておりますか。
  148. 市川七郎

    証人市川七郎君) 相談役をいたしております。
  149. 山下義信

    委員長山下義信君) 相談役ですか。で証人にお尋ねしますが、今回の池上の問題、今池田証人等がいたしておる池上の経過、それらに対しまして証人はどのように感じておりますか。証人の所感を陳述して頂きたいと思います。
  150. 市川七郎

    証人市川七郎君) 私の結論は、今次この席上にすでに入り、而も国家多端の折、我々貧弱なる業者のために、あらゆる朝野の方々が、かくのごときお究まりを願いまして審議されるというこの姿を見ただけでも、少くとも自重をしなければならないということを考えております。
  151. 山下義信

    委員長山下義信君) 池上計画は大体証人は大略知つておりますか。
  152. 市川七郎

    証人市川七郎君) 知りません。知りませんが、池上の問題について一口言わせて頂きたいと思います。
  153. 山下義信

    委員長山下義信君) どうぞ。
  154. 市川七郎

    証人市川七郎君) 御承知通り只今池田君が申されましたが、矢口新田と申しまして、これに三十何軒とかできておる。これが今度問題の池上に移りまして正業につく。こういうので武蔵新田池田君は組合長である。私の第一問題としては腑に落ち得ないことは、今も池上は個人でやつた姿だと、かように私は思う。にもかかわらず仮に一角の組合長が自分は移らない。自分は移らないが、こういう工合であそこに出たいというものがあるからというので、矢口の現在営業いたしておるその営業者が如何に間接に社会から葬むられるようになつて来ても、この十三、四人を引連れて、この騒ぎを放棄していられて移ろうという点に、私はこの人の組合長の果して考えが那辺にあるかということを疑わざるを得ない。又第二に、池上の問題に対しまして率直に私は申上げます。恐らく過去の歴史を調べましても、池田君が仮に洲崎亀戸玉の井新田、過去の経歴を眺めますと、四ヶ所も五ヶ所も転転といたして参つた。果してこのときに一つの中に生業が入つていたでありましようか。私は今日率直に申上げます。恐らく私の営業と何ら過去の営業が変つていないにもかかわらず、今日鷺を烏と言つてこの騒ぎをよそ目に見て、池上に出ようというときに、池田君の気分が我々全部の気分である、都連も、都連と申しますというと、都の連合会であります。その連合会の業者全部が池田君の気分ですべて進んでいるのじやないか、かように解釈されたときに、我々一般業者の迷惑はこれに越した大きな問題はないと確信するのであります。でありますから、私の考えといたしましては、すべてこういうものはやろうと思つたときには、又進むべき途もあります。時と場合によつては、或る場合には自分の体を犠牲にし、或る場合には又生くべきものも探さなければならない。その一つの例を申しますならば、警視庁のお偉い方々がおります。今日警視庁の方針といたしましては、新田にはどうだか知りませんが、我々に対しましては実に何と申しましようか、正確と申しましようか、又今日、戰後仮に崩れた世の中と申しましても、一つの線を誤まらずに我々業者に対しては徹頭徹尾取締つておるということを、これも一つ私は今日この席上で池田君、又各位にお話して見たいと思うのは、御承知通り私共のほうは九十九軒あつた。九十九軒の中でたまたま要するに許可になつて約一年半経つた家であります、その家は九十九軒の中から大倉別邸と申しましてもその土手のところにひよつと二階が見える、そうすると御承知通り進駐軍の出入りも甚だしい、同時にどういう人達が土手を通るか知れない、あそこは困る、許可したのだが現在の境遇から行くというとあそこは困る、あそこから中へ入つて貰いたいというような工合で以て、一年半も二年も前に許可になつてやりつつある家を要するに中に入れられた。これは要するにどこを中心に私達が甘んじてこれを聞くかと申しますれば、池田君のごとき今後確実に真のカフエーに取戻す、真のカフエーの姿で進むということを断言いたしますが、私は断言でき得ないと思います。恐らくいつの時代にか当局の御心配、又普通以上にいつの時代にか警察、警視庁方面にも御心配をかけているということをはつきり認識いたしておりますから、自分で言われたやつが、つまり社会に迷惑をかけるとか、風紀上いけないという場合には、九十九軒の中の一つを切離してしまつて、この家を何十万か組合員全部が何分か銭を出してこれを奥に入れた例もあるのであります。こういうことを考えましたときに、池田君が仮に一つの何かもくろみがある、又意地とか張りとかいうようなことは恐らくないでございましようが、併し多事多端なこの現在を顧みたときに、私はこの席に入つて来ると同時に、絶対に外に打つ手は沢山あるのじやないか、池上の問題というものは解消する、池上の問題は解消する、解消すると同時に、我々に又生くべき途を與えて貰いたいと私は言つたとしたならば、非常に又考えなければならないことも我々としてもあるのじやないか、かように考えるのであります。
  155. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人は今のお話では、考えなければならん、業者としても考えなければならんという証言がありましたが、この池上の問題について、東京都のあなたがたの連合会が何か解決に乘出して見ようというような考えはありませんか。
  156. 市川七郎

    証人市川七郎君) それは自分としては今日まで考えておりませんでした。併し連合会の大体の意見としては、なぜつまりでき得ないものをここまで押して行くかというのは、十七ヶ所は赤線区域になつている、ここから外へ出てはいかん、ここから絶対に一軒でも出てはいかんというので、仮に九十九軒なら九十九軒、中に要するに五軒でも八軒でも余裕がある、この赤線区域内は一軒や二軒建つても大目に見る場合が沢山ある、併し赤線から外へ出るということはいけないということははつきり分つているにもかかわらず、池上の問題は赤線から飛び出して十三軒か十四軒ができている。私の今日現在の組合を見たときに、擂鉢の中に入つているような状態であります。亀戸があり、立石があり、新小石があり、亀有があり、吉原があるというような工合で、ありとあらゆる方面は皆そういう問題で以て取巻いている。この中に要するに現在我々は入つている。今のところでは非常な苦痛でありますが、ここから浅草に飛び出したいという希望があつても、輿論が許さないと思うから、今日我々はその擂鉢の中におつて我慢いたしている。今日の池上の問題も然りであります。只今の矢口の周りにできた問題が今日の社会問題になつたということについて又考えなければならんが、そこから少くとも神聖なる神や仏があるとか、乃至はつまり教育上いけないとか、これも要するにそのところの人達が一部騒ぐとか何とかいうようなことで以て進んで行くならともかく、国家のすべて政治を掌るこの方々が貴重なる時間をこの程度費やしているということについて、この一つを見ただけでも、池田君は絶対に考えなければならん、こういう工合に考えております。
  157. 山下義信

    委員長山下義信君) それではこの程度に止めて置きます。   —————————————
  158. 山下義信

    委員長山下義信君) 次は神崎証人から、一体東京都内における夜の女の生態に関係して具体的には池上の特飲街のこの問題に対して証人証言を極く簡單に一つお述べを願いたいと思います。
  159. 神崎清

    証人神崎清君) 私は神崎清でございます。池上の学校附近の教育環境が破壞される、そのことによつて直接被害を受ける子供の幸福を守るために、又この問題でいろいろ考え悩んでいる世の親の心を代表いたしまして、いささか所見を述べさして頂きます。先ずこの問題のキー・ポイントでありますが、建設当局の方針、これは十一月の二十八日に都の建設局で警視庁、教育庁を交えた三者会談が開かれまして、大体要点を申しますと、第一は、池上以外の歓楽街の新設は抑える。第二は、池上の十一軒だけは許可済であつて、合法的な手続によるものを今更取消はできない。第三は、業者正業だというからやらして置く外はない。第四は、若し営業させて見て違反行為があれば風俗営業取締法、同施行條例、売春等取締條例で断乎取締る。この点に関しましてたしか十一月一日と思いますが、永田町小学校で開かれました東京都のP・T・Aの大会で、川崎教育長に直接質しましたところ、その御答弁は同じ趣旨でございました。自分の気持としては反対だけれども、我々の力ではどうにもできない、近日関東民事部のマクマナス氏が池上と高田馬場を視察に来られるから、そのときに陳情されたらいいだろうと言われたのでありますが、それは都の教育委員会の断乎反対の声明と、その事務当局の実際の動きの間に若干の隙間が感ぜられました。殊に外国に頼つて日本人の力で解決すべき国内問題を避けようとしておる、これで都の教育が守れるかというような不安を感じた次第でございます。マクマナス氏は教育委員会の選挙の啓蒙のために矢口の小学校、杉世の小学校で講演をされました。そのときに、サンに載つた写真を見せて、日本人は教育に熱心と聞いていたが、それは嘘だ、学校の近くにこんな建物を建てさせて何故君達は知らん顏をしているのかと、こういう趣旨のことを講演されたということをP・T・Aの関係者から聞いております。それで、参議院文部委員方々が現地を御視察になりましたときの教育庁の作られました提出資料に相当大きな誤まりがございましたから、この場で訂正して見たいと思います。池上、高田馬場等特飲街建設に関する経過並びに措置、ここに高田馬場はこれは特飲街ではなくて旅館街であります。その点間違つております。それからこの経過の中に、池上のP・T・Aの方々の反対陳情が一つも出ておりません。実際は九月二十六日に淺野校長が山崎委員長を訪問されて陳情しておられますが、それが落ちております。それから十月二十一日に大森全体の反対連盟が陳情されている、その記入が落ちております。ですからこれを御覽になつ文部委員のかたは、池上は陳情してなかつたんじやないかというような印象をお受けになつたかも知れないと思います。それから池上の説明のところに当りまして、洲崎系統の資本による、とありますが、武蔵新田系統と御訂正願います。それから建築許可済十一軒となつて、その中の三軒は喫茶店とありますが、これはカフエーでございます。それから四に、右の他三軒は建築計画中とありますが、これは工事中で中止命令を受けたように御訂正願います。一軒は未著工のものを脱落しております。一番重大なことは、建築許可後P・T・Aの反対運動が起つたという記入でありますが、これは地元のかたも御承知でありますが、八月の末日に総会を開かれまして、九月八日には池上警察署を訪れ、P・T・Aの反対運動はすでに起つてつたので、教育長がそれをキヤツチしなかつたのであります。で、特に重大と思われますのは、これに添付された参考図であります。この図面に、遊興街の設置予定地から池上小学校までの距離を二百メートルと記入してございますが、今学校の後援会のかたにお伺いしますと、百メートル内外である。ここに百メートルの差が出て来ております。そうして風俗営業取締條例によりますと、カフエーとか料理屋を建てるときには、営業所を中心にして百メートル以内の建物を記入せよという命令がありますので、この二百メートルか百メートルかということは相当重大な影響を持つて来るわけであります。  さて本筋に入りまして、建築当局警視庁、教育長三者会談の結果は、昨日の公聽会におきまして都の中井建築指導課長の言われましたような、疑わしい故を以て不認可にできない、そういう線で支えられておるわけであります。併しこれに対して私は三つの論点があると思います。第一は、池上の十一軒の建築は果して合法的であるかどうか。第二に、業者正業を営むというが、それはそのまま信用できるか、又その生業とは何か。第三に、警視庁池上警察の取締に期待できるか。この三つの点であると思います。  第一の建築の合法性に開しましては、先ず許可前にすでに工事に著手していたということが問題になります。すでにこれは昨日も明らかにされたことでありますが、建物は二つの部分に分れておりまして、第一群の建物六軒は区の建築課で九月二日までに受付けまして、都に九月五日にそれが廻つて来ております。それから第二群の建物は、区に九月六日、九月九日に受付けまして、それがまとまつて九月十一日に都に廻つております。これが九軒ございます。全部で十五軒、昨日中井さんのおつしやつた通りでございます。ただ問題は、九月十二日に中井建築指導課長が現場に調査においでなつたときに、建築物が沢山ある中で一々課長さんが実地調査とか、そういうすべての建物にお廻りになつたかどうか、それは私は分らないのですが、とにかく十二日においでなつた。そうしますと、九月十四日に東京新聞の桑原記者が参りまして現場の写真を撮影いたしております。中井さんは池上のほうに対して工事の進行状態に対しては写真を撮つておらんから証拠がないと言われ、又昨日の公聽会で上野建築課長はたしか九軒くらいであつたと思うと言われましたが、大体十一軒であつたことがこの写真で分るのであります。この写真は若し御必要ともあらば証拠物件として提出いたしましても、こういう写真が残つております。東京新聞社へ行きますれば十一軒全部鳥瞰的に写した写真も保存されてありますから……。で桑原記者は、十四日に撮影して十五日に都の建築課を訪れ、そうしますとそのときの談話がこれが九月十五日附けでありますが、実際は十五日に発行されているわけです。このときの桑原記者は十五日の大体午前十一時頃都の建築局の大河原係長に会つて確かめたところが、風紀上好ましくないので警視庁の態度で取消すかどうか決定すると、目下工事を中止を命じている、そして昨日の中井さんの証言では、警視庁と相談しなかつた、連絡がないと言われましたけれども、係長の談話では警視庁の態度で取消すかどうか決定するという、会議するという意思は現わしておられます。そうして目下工事中止を命じているとはつきり断言しておられます。ついで警視庁の保安風紀係長も建築様式から見ると、どうしても待合としか考えられない。よく調査した上で営業取消をするのかも知れない、ですから警視庁のほうでも何か連絡があつたということがこれではつきり分るわけであります。併しこういう新聞記事は、得てして筆の誤まり書き間違いが多いのでありまするので、このことは信用できませんので、桑原記者に会いまして絶対間違いないかと言いましたけれども、間違いはない、若し必要あれば自分は何時でも証言に出ると、そう責任を以て断言されたのでございます。それでこうして十五日に東京新聞に載つた。そのときですね、これはどうも警視庁のかたが現場へ急行されたようであります。それは建築現場にいる疊屋に関係のある大工の職人だと思いますが、これから警視庁の役人が来る、で、いては困るからという池上警察からの内報が、知らせがあつたと、それで自分達は帰つて来たのだということで近所の佐々木という歯医者さんのところへ行つてその話をしたわけです。今夜は酒でも飲んで寝ていようという話をした。それが十五日であります。この証言は、P・T・Aの会の根岸すみ子というかたがよく御存じであります。それからもう一つのニユースは、これは日はよく分りませんが、疊屋の職人が建築の役人が来るので、君達いて貰つては困るというので、日当を貰つて仕事を止めて帰つたという、こんなうまい話はないと、都の建築課の役人が何遍も来てくれると有難いということをしやべつた、ということがやはりP・T・Aの人達の耳に入つております。そのとき疊屋の職人の話では役人を御馳走していたと、どの程度であるか私は分りませんが、この二つの事実を結び付けますと、單なる風説ではないと思われるのであります。
  160. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人にお願いいたしますが、時間の制限もございますので次の……。
  161. 神崎清

    証人神崎清君) はい。違法建築ではこういうふうに工事からすでに許可の下りる前にすでに着工した建物に対して許可を下ろすということが、私は違法であると同時にその下ろし方、十五日の夕刊に載つて出た、翌日の十六日に許可が下りております。何かあわてて下ろしたというような印象を受けざるを得ないのであります。  第二の点は住居地区の関係であります。この地帶は中井さんは商業地になる見込で許したという、見込ということはいつ分つたかという委員長の御質問に対して、それは事実の関係を曖昧にされましたが、すでにあの許可の下りる前にすでに映画館の許可をその附近で取つている人があります。その人は同時に又今度の武蔵新田の特飲街をこつちへ引張つて来て、土地を幹旋することに骨折つた同じ人であります。この商業の地域になる見込に対して何かの早耳といいますから、そういうものを利用して暗躍していた人がいるんじやないかという点が感ぜれます。
  162. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人にちよつと聞きますが、その人というのは品川亭と違いますか。
  163. 神崎清

    証人神崎清君) 品川亭の小田正雄というかたでございます。そのために武蔵新田のほうも大体商業地の見込で建築申請をしたところが、意外にもそれが住宅地であつた。そのためにいろいろ迷惑したということも漏らしておられます。
  164. 山下義信

    委員長山下義信君) その点はよろしうございますから、次を……。
  165. 神崎清

    証人神崎清君) それから用途変更、一番重大な問題は用途変更であります。昨日上野さんの御証言の中に以前の書類、以前の書類ということがありましたが、これは大体八月の三日頃第一回の書類提出されておるようでありまして、それは全部この六軒がカフエーになつております。これはこの青写真を見せて貰いましたが、ことごとくホールが附いておるのであります。それが途中から九月二日それから九月六日九日と提出されたときにはカフエー、料理屋、旅館というふうに模様替になつております。この変更が如何にして行われたかという点、それからその改裝、私が十一月の二十七日に現場に参りましたときにはまだ旅館になる家にカフエー式のホールがありました。料理屋になる家にもカフエー式のホールが残つておるのでありまして、大工はこれからこれを直さなければならないと申しておりました。業者の人もこの改裝費のために二十万円余計に金を使つたというふうに言つておられました。その点いろいろ疑義がありまして総合して考えまするに建築そのものも合法性が疑わしい、建築許可そのものも合法性が疑わしい、單に疑わしき故を以て不認可にできないという理論で弁護できないものと私は信じております。  第二は、その次の論点は正業問題であります。この点は先ほど市川七郎氏の御証言もございましたが、私は業者方々正業をやるという言葉は信じたいのでありますけれども、事実は遺憾ながらそれを裏切つております。第一にこの土地を売つた地主のかたに私が聞きましたところ、土地の繁昌のために止むなくあれをしたけれども、そういう商売をして近所の人に迷惑をかけてはいけない、その点念を押したところ、第一に高い板塀で囲つて外からは見えないようにする。下は普通のカフエーにして、パンパンは二階でやらせる。(笑声)それから亀有問題が起つてからのことと思いますが、地主さんが、ああいうふうに銭湯に行つて女の子が病気になるようでは困る。病毒を撒き散らされては困ると言えば、それに対しては必ず浴場を作り、医者を置いて検診をするから決して心配はない、そういう言明がございました。これは池上小学校の先生と私は参つておりまするから決して聞き違いはないと思います。尚地主の奥さんの証言もありますが、これは略させて頂きます。私は業者方々が本当に正業に転換するということを阻んではならないと思いますけれども、正業であるかどうか疑わしい、單に疑わしいばかりではなく、それを裏付ける幾つかの証拠を持つておるので、そのこういうときに許可は穏当を欠くものと思つております。
  166. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人に申上げます。その程度に止めて頂きまして、あとで質疑がありましたときに残りをお願いしたいと思います。   —————————————
  167. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは警視総監の田中証人委員長から一つ証言を求めて置きますが、証人は十月九日頃池上の警察署長に本問題の反対運動の陳情団が行きましたときに、現行法規では事前に阻止することはむずかしい、不可能である、事後の取締も極めて困難であるということを池上警察署長が話しておるということであります。それから十月二十五日頃同じく反対運動の陳情団が警視庁の防犯部長、或いは保安課長、風紀係長等を歴訪したときに、取締の面で営業を困難にさせることはできる、又事前の阻止はむずかしいが、取締の面で営業を事実上不可能にさせることはできるということをまあ言つておるようでありますが、この事後の取締というものが全く困難であるか、或いは事後においても十分取締がなし得るものであるかどうかという点について証人証言を得たいと思います。
  168. 田中榮一

    証人田中榮一君) 先ずP・T・Aの代表者方々が十月九日の日に池上の署を訪問いたしまして、陳情をいたした事実は私承わつております。そのときの状況を後から調査して見ましたのですが、その際にP・T・Aの代表者方々建築をやらないようにして欲しいというような御陳情があつたそうであります。建築に関する限りは警察署長は全然権限がないので、この点についてはこちらとしてこれを中止を命ずるとか何とかいう権限はないから、その辺は土地の方でよく陳情をお願いしたい。それから尚取締ということについてまだ警察側としての問題となつていないから、その点についてはまだ何とも言えないと、こういうようなことを回答してお返しを申上げたということを承わつております。それから尚更に十月の二十五日に防犯部長その他関係係長のところへ又代表者方々がお見えになつたときに、或いはさようなことを言つたかも存じません。私はその点につきましてはまだ承わつておりませんのですが、全然知つておりません。現在までのこの池上の特飲問題は別といたしまして、現在東京で少くも警視庁管下にありまする風紀営業者の取締につきましては、勿論取締によつて十分その秩序を維持することは警視庁として権限を持ち、又できるものと考えております。又その外の点につきましては取締によつて営業を不可能に陷れるようなこともこれは行政的措置として或いはできるかも知れませんけれども、やはりそうしたことではなくして、むしろ大道についてこれが指導をしたほうが適当ではないかと私は考えております。
  169. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人にいま一つお願いしますが、十月二十八日頃やはり同様反対運動の陳情団に対しまして、営業許可しないように都のほうに申入れてみたいということを話されたようでありますが、事実お話になり、或いは又申入をなさつたことがありますかどうか。又或いは申入をなされた結果何らかの回答を都のほうから得られましたか。この点御証言を得たいと思います。
  170. 田中榮一

    証人田中榮一君) 日にちははつきり私は覚えておりませんが、大森の高等学校の校長先生がP・T・Aの代表者と私の部屋にお見えになりまして、池上特飲街の反対陳情を陳述いたされましたので、私といたしましては十分その趣旨を承わりまして、私個人としてもあなたがたの御意見には大体同じような考えを持つておる。又宿屋その他については警視庁の権限ではないので、万一又都側のほうにおいてさようなことがあつては、許可することがあつては非常に問題が紛糾することになる虞れがあるので、宿屋のほうの許可については私のほうからその旨伝えて置こうというので、丁度高等学校の校長先生のいらつしやる前だつたと思いますが、私自身衛生局の小林公衆衛生課長宛の電話をいたしまして、あいにく課長が不在でありましたので、名前は忘れましたが、庶務係長でありましたが、その方に電話をいたしまして、本件については許可その他については取扱を十分に愼重にされることを希望するということを私自身申入をいたしまして、その点は大森の校長先生も私が直接電話をかけましたのでその点よく御承知であると思いまするが、多分そのことではないかと考えております。   —————————————
  171. 山下義信

    委員長山下義信君) 以上で委員長の質問は一応終ることにいたします。これより委員各位の御質疑を願いたいと思うのでありますが、便宜上証人並びに政府当局に対しましての御質疑がございますれば、いずれなりとも御質疑を願いたいと存じます。出席いたしておりまする政府は黒川厚生大臣、岡崎官房長官、水谷文部政務次官、小野地方自治庁政務次官、厚生省の三木公衆衞生局長、建設省小林文書課長でございます。増田建設大臣只今すぐ出席する予定になつておりますから御了承願います。それでは御質疑をお願いいたしたいと思います……。只今建設大臣出席いたしました。
  172. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 池田茂証人にお尋ねいたします。池田証人建築出願をした当時はあの池上新田における営業と同じように営業をするという気持で出願したと、こういうふうに了承してよろしいのでございますか。
  173. 池田茂

    証人池田茂君) 私はどこまでも最初から正業でやる心境でおりました。
  174. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 正業の内容をちよつと説明して下さい。新田でやつておる営業と違うのですか、違わないのですか。
  175. 池田茂

    証人池田茂君) 違います。
  176. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは当局から設計図について三疊とか四疊半の部屋が非常に多いと、いわゆるあなたの言うところの正業をやるには設計がおかしいというので、その設計替を要求されたということがありますか、ありませんか。
  177. 池田茂

    証人池田茂君) ありません。
  178. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ありませんか。この建築ではいけないからこの部屋をこういうふうに変更して欲しい、六疊にして欲しいという都の指導課長からそういう要求がありませんでしたか。
  179. 池田茂

    証人池田茂君) 私にはありません。
  180. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは承知していないのですね。
  181. 池田茂

    証人池田茂君) そうです。
  182. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは更にお尋ねしますが、国会議員のかたが視察した結果によると、いわゆるあなたの言うところの正業ではあそこではどうしても成立たないと、こういう見方を皆さんがしているわけですが、あの地帶であなたが言うところの正業で成立つとあなたがお考えになつて出願し、現在も又それでやれるとこういうふうにお考えになつているのですか。
  183. 池田茂

    証人池田茂君) そうです。
  184. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは営業願を未だに提出されないのはどういうわけですか。
  185. 池田茂

    証人池田茂君) それはまだ家が進行していないからです。
  186. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まだでき上つていないから……。
  187. 池田茂

    証人池田茂君) そうです。
  188. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは次に池田益太郎証人にお尋ねいたします。先ほどから市川証人は過去の経験からとても池田茂証人或いは池田益太郎証人が言われておるような正業などはあそこで行われるということは絶対にあり得ない。当局もこれを取締ることも恐らく不可能であろう。そして兒童生徒に及ぼす影響は非常に重大である。こういうことを過去の経験から市川証人は自信を以てここで証言されているわけですが、池田益太郎証人はこの計画に中心的な役割を演ぜられているのでありますが、やはり池田益太郎証人としては現在においてもあの計画を変更するような積極的努力をする意思はありませんか。
  189. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) いや、今いろいろお話を聞きましたが、現在のやつていることは時局に、だんだんと時代の流れによくないから皆が正業でやりたい。併しながらその点について私も非常に苦心して意を決してやるか、やる、それなら結構だ、とにかく我々は世間の目から見るといわゆる前科者がいわゆる事業をやるのですから、そういうものがやるのはそれは口ばかりである。女が介在して何で飯が食えるかというような御意見もあるのでありまして、すでに証人からもそういうような御意見があつた通りであります。それについては私共も飽くまでもやる。いけなければ改築してアパートにするとか何んとか方法をとにかく違えてやると、こうまでこの十何軒のものが言いますからしてそれで私共のほうとしてもその心理を疑うわけに行かない、或いは本人達の意思を私は尊重するよりしようがない。これは我々としても日本人だから憲法に保障されておるから憲法上営業できるという確信を持つて皆やつておりますから結構だ、そのかわりに決して皆に迷惑をかけるということをしちやいけない。絶対にしません。いけなかつたら売つてしまいます。こう言われちや最後は……。
  190. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 よろしうございます。これ以上両証人の言葉のやり取りはしませんが、我々立法府としては、風俗取締法、同施行條例、或いは売春等取締條例、随分その法とか或いは條例というものは立派なものができておるわけです。皆さんがたのほうとしては建築を早くやつたとか、或いは中井指導課長はその設計替を注意を確かにしたというようなことを証言されておるのですが、そういうふうの行きがかりは随分と遺憾な点がありますけれども、或る程度合法的に建設されたものではありまするけれども、又この兒童福祉法にも国民の責任として兒童が健やかに育成されるように国民は努めなければならないというような、国民の責任というものを謳われておるのであります。昨日から都の副知事も、東京都を明るくしたい、子供の幸福になるようにしたいということを証言されておるわけでありまして、出願者代表並びに関係者としての両池田証人の、今後実質的に特殊飲食街をあそこに決して実現させないという両証人の私は証言を飽くまでも信じ、その方面に更に一段の努力をされることを私はこの席上で切に要望するものであります。次に……。
  191. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと待つて下さい。その辺で一応止めて下さい。
  192. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私は証人たる田中警視総監に二、三お尋ねをいたしたいと思います。先ほど証言をされた中で、特殊飲食店街の取締についてその方針の一端を証言なさいました。一体この東京都に、先ほど承わると、七ヶ所の特殊飲食店街があるようでありますが、その地域に対する取締の方針、それからそういう地域がだんだん殖えて行く虞れがあるように感ぜられるのでありますが、それに対する方針はどうなつておるか。これを先ず第一にお尋ねいたして置きたいのであります。もう二点ありますが、そのお答えの後にいたします。
  193. 田中榮一

    証人田中榮一君) 特殊飲食店の許可につきましては、それは普通カフエー飲食店という名目で許可しておるものと考えております。この特飲の取締につきましては、警視庁側といたしましては都内の淳風良俗を保持する観点から、かかる種類の業態が増加するということは勿論好ましくないことと考えまするので、これにつきましては大体におきまして一定の地域を限りましてその中において業態を許可させる。又その他客室であるとか、衞生施設であるとか、そうした方面の注意も十分にいたしまして業態を許可さしておるのであります。尚これらの業態につきましてもすでに過去の時代におきましてもずつと営業して参つたものでありますので、今直ちにこれを阻止するということもなかなか困難な点でもありまするし、又こうした大都会の実態を考えまして、こうしたところもあるということも現在の状況といたしましては又止むを得ないという実際の必要というようなことも考慮いたしまして、これらから生ずるところの弊害をできるだけ除去して、そうしてこれを維持して行くというような考えから相当嚴重な取締を実施いたしておるのであります。これらの法規につきましては、勿論売春條例その他特殊営業取締法その他附属法令によつてこれらの法令に基いて取締をいたしたいと考えております。尚これらの点につきましてはその数を成るべく増加させないというような方針によつて現在取締を実施いたしております。
  194. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 次いでお尋ねいたしますが、こういう特殊飲食店街を殖やさない方針であるというふうな証言でありますが、そういたしますと、この池上事件のごとき特殊飲食店街になるに疑わしいというよりも、もつと強い場合におきまして風俗営業許可と特殊飲食店の疑いの多分にある建築許可とこの間にどうもギヤツプがあるように思います。これは建設当局にもお尋ねしなければなりませんが、特殊飲食店の建物と思われるようなものが警視庁、つまり都の公安委員会の営業許可を受ける前にどんどん建てられるということになると、この池上事件のような問題がどんどん発生する虞れが多分にあるのであります。そこでこの風俗営業建築許可とその営業自身の許可との間にどういうような方針を以てこういうことが起らないようにせられておるか、それを承わつて置きたいと思います。
  195. 田中榮一

    証人田中榮一君) 現行法規の下におきましては、御承知のように警察は建築行政に関與できない建前に相成つておりまするので、警察の取締とは別個に建築許可というものをなされておるような状況であります。従いまして今回のような問題の起つたことに鑑みまして警察側の意見といたしましては、そういつた業態の建築許可に際しましては、少くとも公安委員会の意見を聽取する、或いは又関係署長の意見を徴した上で許可を行うというような措置がとられることを警察側としては希望いたしておる次第であります。
  196. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この問題は風俗営業のみならず旅館営業の問題にもひつかかつて来ると思います。そこで只今風俗営業の問題として建設大臣にお尋ねしたい。これまでのやり方でありますとこういう風俗営業に関する建設の建築許可が都の公安委員会の連絡なくしてどんどん建設関係の官庁から許されておるように思うのでありますが、こういうことは甚だ不届ではないか。それに対する建設大臣の御意見を承わりたいと思います。
  197. 増田甲子七

    ○国務大臣(増田甲子七君) 岡本さんにお答え申上げます。元来この問題が新聞に出ましたとき、私道徳的見地、風俗的の見地から見まして不都合であるという感じを建設大臣としてのみならず政府の閣僚としてそういう意見を持つた次第であります。事務当局に命じまして、かかる建築物が存在しなくなるようなことが望ましいからして、法律的の取調べをせよ、そうしてそれぞれの地方行政庁ともそういう意味合いで連絡をせよということをそのときにすぐ嚴命を下した次第であります。事務当局においては私の命令した趣旨に則りまして一生懸命研究をいたしました。その結果は只今岡本さんから御質問がございましたけれども、現行法を以てしては不十分な部分が相当ございます。そこで何とかならんかということでだんだん研究して参つた次第でございますが、只今のところこの今月の二十三日から施行されるところの建築基準法によりますると、建設大臣只今問題になつているような風教の点で、特に力を入れなければならんというような地区に対しましては、文教地区として指定ができる。そういたしますと、既存の建築物のみならずこれから存在すべき建築物に対しても除去とか禁止とかいう措置をなし得る次第であります。それでありますから、過去の建築法の規定が不十分であるとか、欠陷があるというような関係上、すでに存在しておつた建築物に対しましても、一定の措置を建設大臣建築に対して指定し、これに応じまして地方行政がそれぞれ適当の措置を或いは條例を作るとか、或いは行政処分をするとかそういう処分によりまして、既存の建築物に対してのみならず将来の建築物の存在をも認めない、許さないという、こういう措置ができる次第でございまして、政府といたしましては、そういう方向で進んで参りたい、こう存ずる次第でございます。
  198. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 田中証人に二点伺いたいと思います。先ほどからの他の証人証言を承わつておりますると、市川証人のいわゆる赤線区域というものが、業者が赤線区域というものを嚴重に自粛して、その線以外には出ないというように言つておられたようでありましたが、今度の池上の問題は、業者正業ということを表に出しておられますが、多年の経験あるところの市川氏の証言によりますと、到底これはむずかしい、むしろさように言い含められるというようなことまで公の席上で証言せられているのであります。こういう点から考えますと、又この問題が起ります前のこの計画から考えて、又一部の大田地区の関係の人達が誘致せられたこの考え方からいたしましても、当然こういうような問題が起るのではないか。そうなりますると、警視総監として、これに対して考慮せられ、善処せられるお考えをお持ちであるかどうか。その点お伺いしたいと思ます。
  199. 田中榮一

    証人田中榮一君) 只今の御質問に対しましては、先ほどもちよつとお答えしたと存じまするが、現在警視庁側といたしましては、こうした業態を許可することは絶対に好ましくないということから嚴重に取締をいたしております。只今問題になつております池上の特飲街の問題につきましても、係員よりその構造又現在の経営されんとする人達の前歴、現在行なつている業態というものから一応推理いたしまして、必ず正業にあらざる業態をするのではないかということを我々はやはり考えております。さような趣旨の下に十月の二十日前と私は考えておりまするが、非公式に渡邊防犯部長に命じまして業者代表者警視庁に招致いたしまして、今後行わんとする業態が如何なるものであるか、又業者の経営の今後の方針というものを非公式に聽取いたしたのでありまするが、その言うところから推察いたしますると、どうも従来の業態を継続する疑いが非常に濃厚でありまして、業者正業をやるというようなことを言われておつたのでありまするが、私共の考えでは、あの場所正業をやるということは非常に経営が困難である。仮にその一時正業をやるにいたしましても、今後如何なる時期にそれが正業にあらざるものに変えられるというようなことも一応考えられますので、非公式ではありまするが、警視庁側としましては、今後こうした営業申請に対しては、或いは許可せざることがあるかも知れんから、今のうちにこの業態を継続するという意思を放棄して、何か他の正業考えられたほうが妥当ではないかというように、一応事前に、これは非公式ではありまするけれども、さような警告を與えた次第であります。
  200. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 官房長官にお伺いしたいと思うのでありまするが、この大きな問題が起りまして、政府としてのお考えをお聞きしたいと思うのであります。現在の吉田内閣が我が国の再建の、更に国際復帰に当つて、財政経済に先んじて文教問題というものを非常に強く取上げられたことは何回も吉田総理の声明で我々は承知いたしておるのであります。昨日も全国の義務教育者を招請されて懇談会をされ、前例のない総理の招待によつて非常に和やかに会合を閉じておられるのは、誠に義務教育者に対して、日本の再建に対して非常なる決意を明らかにしておられるのでありまするが、こういうような問題が起るということは、実際の日本の教育というものを、如何に平素考えられ、又主脳者が熱心になされるも、すでに一角から崩れて行くという虞れを抱かされるのであります。こういうことに対して内閣として総理大臣に代つて官房長官の御意見を承わりたいと思うのであります。
  201. 岡崎勝男

    ○説明員(岡崎勝男君) 只今の堀越さんの御意見は私共も全く同感でありまして、今回の問題のごときは甚だ好ましくないと考えております。併しながら、各証人から、或いは建設大臣から御説明がありました通り、現行法規を以てしては十分でないことが発見されておりますので、建築基準法その他各地方庁におきまして適当なる條例を設けて、こういうことの起らないような措置を講ぜられたく、又講ずるつもりで我々も考えております。尚こういう問題につきまして非常に世間の注意を惹き、証人等も沢山喚問されて、こういう委員会におきまして、問題を大きく取上げられることが、やはりこれは非常な有効な措置であろうと思つておりますが、政府としても同趣旨でできるだけのことをいたしたい、こういうことを考えております。
  202. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 只今出願者代表池田茂さんのお話を伺つたあとで、委員長がかくのごとき輿論の効果を見たときに、あなたは何とか考えて見ようという気分は起らないか、こう言われましたら、あなた様は、場合によつては中止してもいいという考えを持つておるとおつしやいました。その次向島カフエー事業協同組合理事長市川七郎さんのお言葉によりますと、私共の結論は今日この席に来て、国家多端のとき、我々のごとき貧弱なる商人のために、かくのごとき審議が行われておる、この姿を見ただけでも自重しなければならないと考えております。他に打つ手は幾らもあります。我々として又別に生きる途を與えてくれるならば、何としても私達は違つた途に行かなければならないというお言葉がございました。私はお二人の方々のお言葉を伺つておりまして、私の選挙区で過去に特殊喫茶飲食店業とか、そういう営業をなさつていらつしやつた方々が、かくのごとき良心的で、かくのごとく物分りのいい方々であるということを知りまして、今更のごとく皆様に改めて敬意を表したい気持なんであります。
  203. 山下義信

    委員長山下義信君) 御意見は簡單にお願いいたします。
  204. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 意見じやないのです。この点がはつきりしないと結末がつきません。  その次に警視総監のお話によりますと、すでに営業しているものに対しましても、行政措置として禁止する方法はあるけれども、この場合は大道から指導したほうがいいというお言葉でございました。こういう方々お話を総合いたしますと、私達が苦慮いたしておるこの問題は、どうやら立派に政治的に解決する曙光が見えたと思うのであります。これに結末をつけますための緒といたしまして、池田茂さんが言われたように、場合によつては中止してもいいという考えであるとすると、例えば具体的にどういう場合を與えられたときを言うか、これを一つ伺いたいと思います。
  205. 山下義信

    委員長山下義信君) ちよつと誰に質問いたしますか。
  206. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 池田茂さんと名前を言つているのです。
  207. 池田茂

    証人池田茂君) 私はどこまでも正業でやつて行くつもりでおりますが、皆様がこう言われていろいろ御迷惑がかかるなら、やめてもいいと考えております。
  208. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 具体的に例えばどういう……。
  209. 池田茂

    証人池田茂君) 私はどこまでも正業でやつて行こうと思います。但し皆様が御迷惑がかかるというなら、私はやめてもいいと考えております。
  210. 市川七郎

    証人市川七郎君) 只今池田君から現在の心境をお伺いいたしまして、又深川先生から具体的とはどういうことかというようなお話も伺いました。私は池田証人に対して、ではどういう具体的ということを突込まれても、池田証人は又困ることがあると思うので、最後に池田茂さんとそれから池田益太郎さんに一口私は暗示を與えたいというのは、御承知通り池上で現在一日なら一日、二日なら二日争つているときに、新田の人達がその巻添えを食つて、十三軒か十四軒、移る方々は自業自得です、若しあそこに現在のまま、万が一できません、万が一できないが、現在今の姿を無理押しに池上へ持つて行つたときに、只今総監殿が断乎としてあそこで若しやましい営業ならば、この十三軒だけでは済まない、何故済まないか、同じ所轄であります。でありますから必ず、今まで波風の立たないあとに残つた忠実の新田の同業者も、共に私はその巻添えを食うのじやないか、こういうことを考えたときに、その又反響は間接に我々営業者に、こうずつと電波のごとく進んで来る。こういうことを考えたときに、少くとも私はこれが最後として、池田君はつくづくお考えになつて頂きたいということをお願いする次第であります。
  211. 山下義信

    委員長山下義信君) 厚生大臣に御質疑のかたございませんか。
  212. 藤原道子

    ○藤原道子君 厚生大臣にお伺いいたします。この池上の問題を契機といたしまして、非常に輿論が高まつて来ておるのでございますが、厚生大臣といたされまして、私は女性の立場から女性の体が売買されておる、この対象になつておる。これには幾多の事情もございましよけれども、この特殊婦人というものに対してその更生政策というようなものに対して、厚生大臣はその後どういうふうな態度をとつておいでになるかということが一つと、それからいつも輿論が高まつたときには騒がれるのでございますが、輿論が少し收まつて来るとそのまま放置される。昨年山形県の上ノ山温泉で子供連が公衆浴場から性病に感染いたしました、そのときにも参議院厚生委員会からも調査に行かれ、私達も調査に参りまして、そのときにも大分議会で問題になつたのでございます。ところが今回再び亀有の歓楽街においていたいけない子供が性病に罹つておるという問題が起きておるのでございますが、この公衆浴場法に幾多の規定があるのでございますが、それがどういうふうに施行されておるか。そして又今回亀有に起りましたこの性病感染の問題について厚生省ではどういう態度をおとりになつたかということを私は伺いたいと存じます。
  213. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) お答えいたします。特殊の婦人の方々に対しましては、成るべく生活保護とか或いは指導によりまして正しい生業につかせたいと念願しております。それから公衆浴場その他につきましては三木局長からお答えいたさせます。
  214. 三木行治

    ○説明員(三木行治君) お答えいたします。公衆浴場の取締方式でありますが、御指摘になりましたように先年山形県の上ノ山温泉で問題がございました。その後二、三の問題がございました。その当時性病予防その他の見地からこの公衆浴場法の施行の点につきまして各府県に注意を強く喚起して参りました。今回御指摘になりました亀有の事件は、これは今年に入りまして三人の罹患者がございます。これは勿論浴場からうつつたという断定はできませんが、その疑いが相当にあることは事実であります。これは都のほうで十分にやつておられるのでありますが、この事件が起きます前から環境衞生監視員というものが巡回をいたしまして指導をいたしております。通風、換気、採光、或いは清潔の問題その他入浴者の衞生、風紀の問題につきまして十分に指導をいたしておるわけでありますが、特にこの問題が起きましてからその浴場の浴水の検査その他につきまして特にやつておる。且つ又これは都の全般の浴場の施策といたしまして、都の公衆衞生課長が関係方々にお集まりを願いまして、その話も相当に進んでおるという状況でございます。
  215. 藤原道子

    ○藤原道子君 今の厚生大臣の答弁は不満でございます。ちよつと再質問……。
  216. 山下義信

    委員長山下義信君) 何でございますか。この池上の問題ですか。成るべくこの問題に局限願いたいと思います。
  217. 藤原道子

    ○藤原道子君 特殊婦人の問題……。ちよつと簡單であります。これから善導したいと思つておりますというお言葉は大臣のお言葉とは受取れないのでございます。この問題は随分長い間の問題なのでございまして、今からそれじや困るのでございます。現在どういうふうな指導をされておるか、その生活更生に対してどういうふうな施設を以て指導されておるかということを伺いたい。
  218. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 特殊婦人につきましては私は余り知識がありませんので……。(笑声)現在やつておりますのは、生活保護、授産場、婦人更生寮等によつて生業につかせるようにいたしております。
  219. 山下義信

    委員長山下義信君) 文部省に御質疑のかたはございませんですか。
  220. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 官房長官はおらんですか。
  221. 山下義信

    委員長山下義信君) 官房長官は公務のために関係方面に行かれましたので……文部次官にございませんですか。
  222. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 実は官房長官にお伺いしたかつたのでありますが、官房長官はお留守と承わりましたので文部次官にお伺いします。私は結論的に、これ自体は吉田内閣の性格の一端の現れである。(笑声、「その通り」と呼ぶ者あり)吉田政策のもたらすところ、こういうものは当然出て来る帰結であるとこう考える。(「その通り」と呼ぶ者あり)その理由を申上げます。教職員に関しても何万切るぞ切るぞと前から言うて騒がせて、民間でも桃色も切ると言うて前から非常に騒がせる。こういう事態というものは国民は意識的に、桃色から白へ白へと、右へ右へと意識的に動いて行くと、こういうところに昨日の中井指導課長、或いは都の建築課長あたりの感覚からも分るように、全く文化国家の再建ということを標榜しながら文化国家再建の我が国の一公務員であるというような感覚は全くない。先ほどから法の不備である、不十分だ、不十分だということを大臣以下皆認めておるけれども、今随分都條例、或いは法というものは相当に完備されている。そこに立派な文化国家再建というような感覚を持ち、そういう立場から取扱つたならばこういう事態というものは起らなくて済んだと思うが、先ほどから申上げるように、今の吉田内閣の私は性格なり、行き方というものは警官も非常に馴合いになつて教育文化というものを全く考えない。とかく赤とか、桃色を追拂つていればいいというような一方的な政治、末端の行政を考えないからこういう事態を招来している。こういうふうに私は結論的に考えるのですが、これに対して文部次官としてどういう所感を持つか。又今後の我が国の方向についてどういう決意を持たれているか。その決意のほどをこの席上で承わりたいと思うものであります。
  223. 水谷昇

    ○説明員(水谷昇君) 矢嶋委員のお尋ねは官房長官にという、その官房長官がお留守であるので、私に答弁せよということでありますが、矢嶋議員のお考え文部省としての考えも教育の問題に関しては変りはございません。御承知通りに教育は環境を整理するということが最も大切であるのでありますから、今日起りましたようなこういう問題は今後においては絶対に起らないようにしたいという決意を持つておるのであります。今日の矢嶋議員の言われるような状態が起つたのは現内閣の施策によるというような御意見でありますが、私はそういうふうには考えていません。将来の問題についてはこういう問題につきましては環境の整理を十分にいたしたいということを考えております。
  224. 山下義信

    委員長山下義信君) 文部次官に対する御質疑を一つ済まして頂きたいと思うのですが……。  地方自治政務次官に御質疑のかたはございませんですか。
  225. 高良とみ

    高良とみ君 只今までいろいろの証言を聞いたんでありますが、地方自治が最近の税制等によつて非常に強化されなければならないのに、末端を見ておりますると、公安方面とそれから建築許可する方面と、これを今度は営業許可権を與える公衆衞生の方面と、それぞれ違う機構でやつておられて、それに少しも総合的な相談或いは協議のあつたように伺わないのであります。その点地方行政の立法関係におきまして何らかもう少し合致した一つの地方民の意思を根本にして当局が協議し、建築許可をするときにはそのあとの影響がどういうようになる、それを今度は取締はどうするか、衞生はどうするかというような協議機関をもつと有効に連絡をおとりになるお考えがあるかどうかということを小野政務次官に伺いたいのであります。
  226. 小野哲

    ○説明員(小野哲君) 高良さんにお答え申上げたいと存じます。高良さんのお話になりましたように、地方自治体が担当しておりまする行政は多種多様に亘つておりますので、従つてその内部機構もそれぞれの分野に分れておりますことはお話通りでございます。さような場合において地方自治体の行政事務の運営が円滑に行くためにはどうしても相互の連絡が緊密にならなければならないことはこれ又申上げるまでもないのでございます。地方自治の趨勢が団体自治から住民自治へと進んで参つておりまするし、又いろいろの地方行政に関しまする地方住民各位の関心が増大して参つて参りますことは、地方自治の発達のために極めて喜ばしい現象であろうと私は考えておるのでありまして、従つて地方自治体が新しい憲法の趣旨に則りましてその運営或いは組織の活動につきましてはできるだけ地方住民との密接なる繋りにおいて、これを動かして行くということに努力をされることを期待をいたしておるようなわけで、機構の問題につきましては地方自治法の中に所要の規定を設けておりまするが、その運営は挙げて地方自治団体の自主的な活動に任せておりますので、私共といたしましては御趣旨のあるところを十分に体しまして今後必要な助言或いは指導に当つて参りたいと考えておる次第でございます。
  227. 高良とみ

    高良とみ君 引続いてこの前に決定しました帝都建設法等によりまして東京の例にとりますならば、非常な自治権を持つておると思うのでありますが、それに今度の都市計画などが誠に杜撰でありまして、具体的に申しますと私共都民としてはどこにいつどういう営業体が突如として現われて来るということについて市民は殆んど相談どころでなくて、熟知する方法がないのであります。でそれについて只今小野次官は地方民の自治に待つと言われますが、それに対するそういう発言をここまでP・T・A等が盛り上げて参りましたときに、東京都のごときは非常に自治体の枠が大きくてこれが建設局長に行つて許可されるべきものが局長まで行かず、それから更に副知事、知事諸君はこれについて殆んど視察もしていない。或いはこれを知らないというようなことになりますると、どうしてもリコール制か何かによりまして市民が自分達の文化生活を保障するか、安全を図らなければならないことになるのであります。そこで只今のような地方自治については何の立法の、或いは措置をとつて行く御方針がないようでありまするが、それならば地方自治が育成しますような協議会或いはその他市民の声が開かれるような指導機関を持つておられるかどうかということを伺いたいのであります。少くとも内閣に地方自治に対する当局があるのでありますから、その活動から言いましてもその地方へそう離してしまわれて何ら中央はこれを監視せない、地方自治の制度か或いは市民の意思の発達するのを待つというようなふうに只今了承したのでありますが、それではやはり今までの監視に馴れておりますものとしては非常に時間がかかると思いますので、その点伺いたいのであります。
  228. 小野哲

    ○説明員(小野哲君) お答えをいたします。地方自治の本旨が実現するように努力して参りたいことは政府も又地方公共団体も同様の立場に置かれておる次第でございまするが、只今お話になりました中央におきましては、地方自治庁というものがありまして、それに地方自治委員会議が設けられておりまして、重要な事項につきましてそこで種々協議をいたして適切な措置を講ずる途が開かれておるわけであります。又地方財政につきましては地方財政委員会が自治的な活動が行えるように仕組まれておることは御承知通りでございます。もとより国が直接関與いたさなければならない行政部門もございまするし、又地方団体がその固有の立場において自主的にやり得る行政部門もあるわけでありますので、この他につきましては、地方自治庁が政府と地方公共団体との間に立つて連絡を図る役目を持つております関係上、私共この方向に向つて進んでおるような次第でございます。決して地方自治自体の運営につきましてはその自主性を尊重はいたしまするが、同時に国の施策として全国的に施行いたさなければならんような点につきましては或いは立法措置によりましてこれを実施いたさなければならないものもございまして、例えば先ほど建設大臣から答弁がございました建築基準法の実施等に当りましてはさような意味合いも含まれておるものと私は考えるわけであります。さりながら要は一般地方住民の自治意識がどの程度まで強く取上げられて来るか、それによりまして地方団体の行政運営が十分に監視され、又批判されますと共に、地方住民各位の御協力によつて健全な地方自治の運営が行われることが最も望ましいわけでございまするので、多少の時日はかかるかとも存じまするが、その方向に向つてできるだけ指導或いは助成、助言をいたして参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  229. 高良とみ

    高良とみ君 それならばその都市計画法の、只今改正案が出ておるそうでありますが、それは建設省にお任せになつておるのか、それとも地方自治庁も関與されておるのでありますか。
  230. 小野哲

    ○説明員(小野哲君) 地方公共団体の組織、或いは運営に関することにつきましてはその事柄の性質によりまして、逐一関係各省庁から地方自治庁に連絡があることになつておりますので、果して具体的に連絡いたしておりますかどうか只今私記憶いたしておりませんので御答弁をいたしかねるのでありますが……。
  231. 高良とみ

    高良とみ君 具体的にその都市計画法ですね、それによつて今度のような地区の問題も片付けようという案があるというふうに伺つておるのでありますが、御存じありませんか。
  232. 小野哲

    ○説明員(小野哲君) 地方団体の長に関する問題であるとか、或いは地方団体の行政に影響のあるような問題、或いは地方財政に関係を生ずるような問題につきましてはそれぞれ連絡をとつて貰うことになつておりまするが、具体的に都市計画法の問題について連絡があるかどうかは、実は私今承知いたしておりませんので、お答えがいたしかねると、こういうわけであります。
  233. 山下義信

    委員長山下義信君) 松原さんにちよつと申上げて置きますが、大体一時頃に終らしたいと思つておりますので、さよう御承知を願います。
  234. 松原一彦

    ○松原一彦君 神崎証人に伺います。先刻の証言の中に、十一月一日東京のP・T・Aの大会があつた席に、川崎教育長が、このような問題は合法的に取扱われておるので只今法律では取締の途がない。近くマクマナス氏が来られるからこのマクマナス氏に訴えて解決をしたらよかろうと言われたと言いますが、さように了承してよろしうございますか。
  235. 神崎清

    証人神崎清君) マクマナス氏に陳情の機会があるだろう。訴えて解決を図れというほど強い意味ではなかつたように思います。
  236. 松原一彦

    ○松原一彦君 これは委員長由々しき大問題であります。一体このような問題が日本法律で解決ができぬ、又自治体において解決ができず、そうして司令部のほうの要職の人に訴えて解決しようという示唆を與えたことはこれは重大で聞き捨てならんことである。ややもすれば我が日本国民はみずから卑下してみずから解決しようとせずして、法律の及ばざる権威に訴えようとして、そうして司令部にまで訴えてこれが解決をしようとするがごときことは実に残念千万であります。遺憾至極であります。川崎教育長はこれは東京都におられますけれどもが、独立した教育委員会の職員であつて、都長官の直接の御関係ではありませんけれどもが、こういうような問題は都長官に政治力があり、警視総監が親切にお扱いになれば業者は苦労人でありますから談笑の間に解決はつく問題であります。現に今日来ておられる市川君のごときははつきりとこういう問題は拡げてはならない、どうせあるべきことなんだからできるだけ表に出さないで、世の視聽を惹かないように自粛して、そうして世間を騒がせぬようにして業者の間で以て解決のできる問題だと、こういうようにはつきり言つておるのであります。このような業者の人の中には相当苦労を積んだ人がおる。だからして都長官なり、警視総監なりが、膝を交えて懇談せられれば然諾せられる問題であるのであります。それをば都の公務員の要職にいる人が、司令部の要職に訴えて解決するなどという示唆を與えることは聞き捨てならんことであります。この考え方は実に重大な問題である。如何に敗戰国であるといえども、我々はこれから民族の誇りを取返していま一度日本民族が立上らなければならない重大な時期に遭遇している。こういう考え方を持つことは公務員として断じて許すことはできない。どうか岡安副知事におきましてもこの証言を聞いて御所感があろうと思う、又議員同僚諸君においてもどうかこういう声の出ないような立法をして頂きたい、こういう声が出ないような政治が行われたい。私はひとり官房長官に質問するのでありません。日本の現在の政治の上に対してかような心構えの起ることのないように熱望するものであります。この問題は決してむずかしい問題ではない、すぐに解決のできる問題であります。司令部まで引張り出すようなことのないようにお互いに自粛したいと思う。以上所感を述べまして……。
  237. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は簡單に二つの問題についてお聞きしたい。一つは今度の問題で起つた資金関係の問題、もう一つはこれに対する警察の関係の問題、この二点についてお聞きしたいと思う。先ず池田証人がこの請願者の代表者としてお見えになつているので、簡單にお聞きしたいと思います。第一今度の仕事を進められるにつきまして土地を最初に買收なり借りるということをされたと思うのですが、これはいつ頃から始められましたか。
  238. 池田茂

    証人池田茂君) 六月頃だと思います。
  239. 岩間正男

    ○岩間正男君 六月頃……二月から四月頃までにそういうことがすでに固まつているということを我々は聞いているのでありますが……。
  240. 池田茂

    証人池田茂君) 私は六月頃と……。
  241. 岩間正男

    ○岩間正男君 その点は違いますか……何坪ぐらいこれで買われたわけですか。
  242. 池田茂

    証人池田茂君) 七百坪ぐらいだと思います。
  243. 岩間正男

    ○岩間正男君 七百坪ぐらい、どれくらいで……。
  244. 池田茂

    証人池田茂君) 千円であります。
  245. 岩間正男

    ○岩間正男君 大分あの辺としては安いわけですね。それから建築費の問題でありますが、これは最初の計画では全部で何坪ぐらい建てられる計画でしたか。
  246. 池田茂

    証人池田茂君) 全部で五百坪。
  247. 岩間正男

    ○岩間正男君 五百坪。大体建築費は……。
  248. 池田茂

    証人池田茂君) 私はそれはお金は三十二万円出しました。
  249. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたがですね。
  250. 池田茂

    証人池田茂君) 建築一切のことは経験がないので、先ほど言いました高野氏飯島氏にお願いしてやりました。
  251. 岩間正男

    ○岩間正男君 併し建築全体の計画については代表者として参画されたのですね。
  252. 池田茂

    証人池田茂君) 私は代表者と言われますけれども……。
  253. 岩間正男

    ○岩間正男君 全体の計画について、敷地とか、それから資金関係とかそういう問題については参画されたわけですね。
  254. 池田茂

    証人池田茂君) 敷地のことはあれですが、自分の資金のことは知つております。
  255. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの資金の問題だけについて御存じなんですか。外の資金の問題については御存じないのですか。
  256. 池田茂

    証人池田茂君) 外のことも知つていることもあります。
  257. 岩間正男

    ○岩間正男君 全体で……今の話の三百坪ぐらいというと、大体一坪の建築費はどのくらいですかね。
  258. 池田茂

    証人池田茂君) 坪二万五百円限度です。
  259. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると莫大な金になると思いますが……。
  260. 池田茂

    証人池田茂君) 六十五万ばかりです、私の……。
  261. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は全体の計画につきましては、第一次の十一軒と更に三軒今度中止を命ぜられた三軒、これでどのくらいの総経費と考えておりますか。
  262. 池田茂

    証人池田茂君) それは考えておりません。
  263. 岩間正男

    ○岩間正男君 考えておられなかつたのですか。
  264. 池田茂

    証人池田茂君) ええ。
  265. 岩間正男

    ○岩間正男君 併し莫大な金になると思うのでありますが、この資金はどういうふうにして出されようとしましたか。
  266. 池田茂

    証人池田茂君) これは手前共は三十二万円出しました。三十二坪です。
  267. 岩間正男

    ○岩間正男君 外のこの請願者が出ているわけですね。そういうかたが全部出されたわけですか。
  268. 池田茂

    証人池田茂君) そうです。各自に自分の坪割で出したわけであります。
  269. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは自分の資金として出されたのですか。
  270. 池田茂

    証人池田茂君) 後は足りませんから、城南信用組合から二百万、東京協和殖産から二百万円拝借しました。
  271. 岩間正男

    ○岩間正男君 併しそれだけじや済まないように思われるのですが……。
  272. 池田茂

    証人池田茂君) そうです。それは済みません。いずれ家が建ちましたらそれを担保に入れてお金を借りて建築費のほうを支拂うつもりであります。
  273. 岩間正男

    ○岩間正男君 城南の場合、城南信用組合から直接これをお借りになつたわけですか。
  274. 池田茂

    証人池田茂君) そうです。十四軒で借りました。
  275. 岩間正男

    ○岩間正男君 我々聞いているのですが、どの組合長さん、前の組合長さんは現在の大田区長、この人が組合長をやつてつたということを聞いておりますが、これはどうなんですか。
  276. 池田茂

    証人池田茂君) やつておられました。前に……。
  277. 岩間正男

    ○岩間正男君 今度の問題は区長さんは関係は……。
  278. 池田茂

    証人池田茂君) ありません。
  279. 岩間正男

    ○岩間正男君 なかつたのですか……そうですが。後の四百万はそれで賄われるということになるのですが、併し担保を入れるにしても後はどういうところからお借りになるというようなおつもりでしたか。
  280. 池田茂

    証人池田茂君) それはまだ考えておりませんでした。
  281. 岩間正男

    ○岩間正男君 考えておられなかつたのですか。後の問題は……。
  282. 池田茂

    証人池田茂君) いずれでき上りましてから、担保に入れてお金を借りて支拂うと……。
  283. 岩間正男

    ○岩間正男君 併し見通しがなければその問題はなかなか業者なんかも動かなかつたと思いますがね。大体の見通しは持つていたのじやありませんか。
  284. 池田茂

    証人池田茂君) 私は考えておりませんでした。
  285. 岩間正男

    ○岩間正男君 考えておられなかつた……。
  286. 池田茂

    証人池田茂君) はあ。
  287. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうですか……その点は時間もありませんからそれだけに一つ……。  次に警察署の問題につきまして田中証人に伺いたのでありますが、今日のように輿論が非常に起りまして、只今も松原委員からお話がございましたが、この問題を下からの父兄の輿論によつて解決する大きなチヤンスを掴んだということは、これは日本の民族の自立性のために非常に喜ばしい問題だと思うのであります。ところがこの過程を見ますと池上小学校では役員会を開きまして、九月の初め頃と思うのですが、これを池上署長のところに持つて行つた。ところがそのときの池上署長の態度というものは、第一、これは赤の手先であるということを言つた。それからこれはその外にまあパンパンがあつちこつちにちらばつているよりは一所に集めたほうがいいというので、この問題については冷淡で受合わなかつた。而もこの請願書については却下したと、こういうことが起つているのですが、そのために非常に当時レツド・パージの問題などで騒がれておりましたので、一般の大衆はこの問題について関係すると何かそういうような圧迫があるのじやないかというので、この運動が一時立消え状態のようになつた、その間にこの建築が実は進められた、そうして既成事実ができ上つてしまつた、そうしますというと、何かこの赤の手先であるというようなことが、結果から見ますというと業者のこのような許可のない、そうして一つのそれに対する反対運動に水を掛けて、そうしてその間に工事をぐんぐん進めて行くために非常に役立つたことになる。警察署長はそれを意思はどうであつたか分らないけれども、結果におきましては非常にそれを助けたということになる、業者のつまり不法的な建築を助け進めるための役割を一役買つておることになるわけであります。そうしますと、ここで私はお聞きしたいのですが、こういうような何か問題が起きますときですね、何でもこういう問題が起ると赤の手先であるとか、それから共産党がやつておるのだというようなことをとられておるのは至るところで聞くのでありますが、こういう方針は、これは警視庁の方針として各署長に通達されておるのであるかどうか、この点はつきり伺いたい。如何ですか。
  288. 田中榮一

    証人田中榮一君) 池上署長のとりました措置につきましては、先般私から証言を申上げた通りでありまして、私も具体的に詳しいことについては十分まだ聞いておりませんのですが、大体のことにつきましては先ほど申上げた通りであります。署長といたしましては、建築反対の陳情書が提出されたので、これについては警察の関與すべき限りでないから、むしろこれは都庁側のほうに提出せられたいというので、その請願書は警察がこれを受理すべき限りでないので、これは都庁方面に提出方をと特にお話申上げたのであります。別に請願書を却下したような事実はございません。それから又署長が何か赤の手先であるとか、何とか言つたということでありまするが、恐らく私はそうしたことは言つたことはなかろうと考えております。又警視庁自体の方針としましてもそうしたことを支持するようなことは絶対にありませんので、この点だけ申上げます。
  289. 岩間正男

    ○岩間正男君 警視庁の方針でないということについては今のお話があつて分りましたのですが、赤の手先であるとか何とか言つたことはないというようなお話でありましたが、これは確かめておられますか。事実昨日です、父兄がた証言によりますと、P・T・Aの会長並びに婦人代表証言によりますと、はつきりそういうことを言つたということが言われておる。又ここにもこの経過につきまして責任ある文書が出されておるのでありますが、はつきりそういうことは述べられておる、そうしますと今の総監の希望にもかかわらず事実そういうことは行われているということは事実だと思うのですガ、これはどうでしよう。
  290. 田中榮一

    証人田中榮一君) 只今の点については、私は十分に事実を承知して知つておりません。
  291. 岩間正男

    ○岩間正男君 事実ではありますが、若しそういうようなことが各警察、末端の警察で行われることになりましてはそういうことは起る、そういうことにつきましては、警視総監としてはどういうようなお考えを持たれますか。
  292. 田中榮一

    証人田中榮一君) 若し行われたというような仮定の下に対して私はお答えできません。
  293. 岩間正男

    ○岩間正男君 仮定の下というならこれは今申しましたように、我々は少くともここで宣誓をして貰いました証人の確信のある言葉として聞いたのでありますから、それは総監がここで仮定と言われても我々は了承することは無論できない。而もこの問題が重要だというのは、無論この問題につきましては共産党の大森地区委員会がこれを最初に取上げて、そうしてやはりこの問題を大衆に警告を発したということは事実のようであります。併しこれは共産党だけの問題じや無論ないし、そうしてそれが本当に大衆の切実な要望でない限りは誰かが例えば赤に踊らされたとか、そういうような、つまりそれほど日本の人民大衆は愚蒙でない筈です。だから、自分の問題としてこの問題は実に民族の将来に関する重大な問題である。こういう観点から起ち上つておるのですが、それに対して赤の手先であるとか、何んとかという問題で、いつでも大衆と切離す、そういう方向で、大衆の下から要求というものを押潰してしまう、こういう方針が警視庁の方針なんですか。
  294. 田中榮一

    証人田中榮一君) 警察側といたしましては、すべての問題、ひとり池上の問題でなくて、他の問題につきましても、十分輿論、民意というものは十分に尊重いたしまして、従来も措置をしておる筈であります。
  295. 岩間正男

    ○岩間正男君 若し、そういうようなことが今後末端の警察署長、警察関係の人達によつて行われた場合には、嚴重な措置をされる考えでありますか。
  296. 田中榮一

    証人田中榮一君) 私の部下におきましては、そうした者は、そうした行動をとり、又言動を吐く者は一人もないと私は確信しております。
  297. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしてやつた場合にはどうなりますか。今のお話は非常に重要でありますが、ないと確信しておられるのが事実ある場合は、これは断乎処分されるわけですか。
  298. 田中榮一

    証人田中榮一君) 今のは、仮定の御質問でありますから私はお答えできないと存じますが、若し仮にそうした事実があるとすれば、何か間違いではないかと存じます。署長は共産党の人が来て、こういうことを言つたことは多分P・T・Aの方に申上げたことは聞いておりますが、赤の手先で云々ということは或いは言つたことはないということを私の考えとしてお答えいたします。
  299. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはおかしいので、例えば、署長さんの言つたことには警視総監が全責任を負わされる。そういう部下のことについて、まあそれをカバーされるということは見事のように思われますけれども、非常に併し範囲を越えて……。ここに調査されたことがないと言うのでしよう。警視総監が、署長が事実そういうことを言つておると父兄も言い、耳で聞いた人も沢山いるわけなんですが、その結果について現在、今の状態では、それはあなたとしては言われないかも知れないけれども、そういうことが事実起つた場合には無論そうすると非常にあなたの意思とは反するわけですから、これについて処分をされる、これはそういうことになりますかな。
  300. 山下義信

    委員長山下義信君) 岩間委員に御注意いたしますが、御口論にならん程度に……。
  301. 岩間正男

    ○岩間正男君 口論じやない。その次にこの署長は大橋英雄という署長と聞いておりますが、この署長が辞められるときに、これは池田益太郎証人にお伺いしますが、あなたは池上警察署の防犯会長ですか。防犯会に関係しておられますか。
  302. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) いや、関係しておりません。
  303. 岩間正男

    ○岩間正男君 別に関係ない。
  304. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) ありません。
  305. 岩間正男

    ○岩間正男君 後援会には、警察後援会には……。
  306. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 後援会のほうのただ会員という程度です。
  307. 岩間正男

    ○岩間正男君 この九月頃ですか、大橋署長が辞められて、警察予備隊のほうに移られる、そのとき五万円の餞別ですか、退職金ですか、そういうものを貰つたということを、昨日そういうことを聞いたということが、これは父兄のかたの証言にあつたわけですが、池田さんは御存じでしようか。
  308. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) 私は、全然初耳です。
  309. 山下義信

    委員長山下義信君) 岩間委員まだ御質問ありますか。この程度でとどめたいと思いますが……。
  310. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ最後にお聞きしたい。
  311. 山下義信

    委員長山下義信君) それ一つだけにして下さい。
  312. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に一つお伺いしますが、これは神崎さんにお伺いするのですが、さつきのお話、非常に有益に承わつたのでありますが、第三の今後警察で一体このようなカフエーとか何とかいう名前でやつて実際はまあいろいろないかがわしい声が起ると、これを取締り得ることは期待できるかどうか、こういう点については証人もお述べになりたかつたことと存じますが、時間の関係でさつき委員長が切られてしまつた。この際どういう考えを持つておるか、お伺いしたい。
  313. 山下義信

    委員長山下義信君) 御証言は簡單に願います。
  314. 神崎清

    証人神崎清君) 簡單に申上げます。武蔵新田の今のカフエーは三十四軒ということでありますが、そのホームがいずれも一坪から三坪くらいしかない、これは風俗営業法取締條例によりますと、カフエーと名の付くものの規定は五坪以上になつております。それが昭和二十四年の九月から施行されまして半年間の余裕がございましたが、それがたしか二月に切れたわけであります。現在そのままになつておりまして、それに対して警察の勧告はあつたかも知れませんが、事実は変更されていない。尚これは警察の届には多分三十二軒になつておりますが、事実最近実態を調査された專門家の話によりますと、三十四軒であると、その二軒がどういう関係になつておるか分らないということでございました。それから現在武蔵新田営業は、カフエーということになつておる、これは田中警視総監も御承知だと思いますが、二十四年の九月、いよいよ風俗営業施行條例が実施されますに当つて警視庁業者代表を呼出し、君達は正業をやるか、誓つて正業をやります、それならばカフエーの免許を與える、たしかそういうことで嚴重に警告をされてお與えになつたように聞いております。その営業法によりますと、十一時まで、営業時間は十一時までと、ところが武蔵新田では大体一時、二時頃までやつていると聞いております。それからその規則の中には、客引きはしてはいけないというのに対して、やはり表に出て客を引いておるようであります。それから一番重大なことは、営業所に客を泊めてはならんという規則があるのですが、やはり時間の客、泊りの客というように宿泊を許しております。で風俗営業法違反に対して池上署はどういう程度に出ておるかと、十一月の二日の日にたしか池上署に参りまして、統計はないかと聞きましたら、そういうものはない、あすこは大体手入れをしていないのでありまして、まして売春等取締條例も適用されていないようであります。そういうふうに実績の挙らんよう、私としてはどうも信用いたし難い。更に警察後援会の会計は長谷川という方で、これは業者の人で、先ほどお話の、署長が転勤されるときに五万円贈られたということであります。これは儀礼の線を超えるか超えないか私は知りませんが、大体現職の官吏が退職すれば別でありましようが、現職の官吏が他に転勤するに当つて、そういう金を受取るのが、果して妥当であるかどうか、私は疑いを持つております。私は別に警視庁業者の間に腐れ縁があるとかないとかは言いたくありませんけれども、これは警視庁の伝統的なものであつて、先ほどどなたかが談笑のうちに片付くではないか、簡單ではないかと言われましたけれども、これは根底はなかなかむずかしい。性病予防法も十分適用されていない。売春等取締條例も、殆んど適用されていない。風俗営業法の取締も余り嚴重ではない。一種の治外法権国を作つているような私は印象を受ける。民主国家において、かかる事態があり得ていいものかどうかと私は大きな疑問を持つているのであります。
  315. 山下義信

    委員長山下義信君) 時間がございませんから簡單に願います。
  316. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 市川さんにお伺いしたい。先ほどからお聞しておりますと、特殊な営業は一般の営業と違つていろいろ弱味のあるように聞き取れるのですが、例えばあなたのほうの地域で、こういうことを終戰後再出発される場合に、建築の願いを出し、或いは営業の願いを文書で出せば、そのまま文書上手続が成立てば許可、認可になるというようなことではなくて、いろいろ警察或いは当局、或いは区の理事者と或いは地域の方々の了解を求めるというようなことをしなければ、なかなか目的達成ができないというふうに考えられるわけですか。市川さんのほうで終戰後再出発されます場合に、やはりそういうようないろいろな了解を得るようにお話なつたことがあるか。又そうするのが一般の業者として通例であるのか、ないのかお伺いしたいのです。
  317. 市川七郎

    証人市川七郎君) 只今私に対して、今日十七ケ町にでき上つたその以前の問題に対しまして、どういう状態ででき上つたかということの御質問がございました。実は私のところは、せんの玉の井と申します、俗に、つまり新吉原吉原洲崎玉の井、こういう工合。従来は玉の井に四百七十七軒ありました大体があすこに集まりまして、それが終戰後我々は西に、東に……。
  318. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私一つの例としてお伺いするのですから、その内容のことはいいのです。そういうことをしなければ許可、認可はなかなか許されないものか、それとも文書上ただ出せば、それで判がつかれてすぐすべてのものが許可になるか、こういうような点なのです。
  319. 市川七郎

    証人市川七郎君) じや簡單に申上げます。その当時から警視庁は細心の注意を拂つて十七ヶ町はすべて地域又は弊害の成るべくないところというような工合に、終戰直後でさえもあらゆる検討をして警視庁が選び、東西南北に我々の業者が他に迷惑のかからないところを選んで別れたのでありますから、そういう工合ですから、その一部がやはり矢口とか乃至は八王子とかいう工合に、地域も細心の注意を拂つて別れたのでございますから、勿論それについては、そう簡單に済まなかつたのであります。
  320. 山下義信

    委員長山下義信君) 田中証人岡安証人は公務のため一時までということになつておりますから、この際退席を許します。
  321. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは次に代表者である池田さん、或いは矢口の方で、いろいろ御相談ですか、指導的な立場にある池田益太郎さん、御両人にお伺いしたいのですが、この計画をなされた場合に、御二人ともこの計画に参與をせられておつたわけですが、建築許可が、例えばその後に起つて来るこうした営業について許可を得るということは、なかなか容易でない問題ですから、いろいろお考えなつた点があつたろうと思いますが、実際建築許可になつて、実施に至るまで、或いは建築許可以後今度は営業のことについてお考えになる場合に、皆さん方は、例えば取締られるほうの警察関係、或いは建築許可を頂く都の当局、それらに対してどういう人を通し、或いは皆さんお二人はどういうお話をして了解を得られるように今日まで及んで来ておるか、その経過についてお話を願いたいと思う。
  322. 池田茂

    証人池田茂君) 今のお話の件ですが、大体において建築面は、私は先ほどから再々申上げました通りあすこ組合長をしておりますから、今組合として如何とも法規その他の建前から困るというように業者のほうへ、池上のほうへホールもできるし、立派なカフエー街として、そして警視庁のほうへ営業をやるというために申込んで来たら結構だと言つて賛成したのであります。それを池上土地のかたからわざわざ言つて来られたようなわけであります。それで賛成して建築面、その他は私は自分でやつておるのでなし、それにつきましては建築面は私のほうの組合員の飯島という者は建築ということが明るいために、それを通じてその友人の高野という者がやはり手助けをしておりました、現在他に営業しておりますが、建築に精通しておりますから、それに頼んで、そこの書生に金子何某というのがおりまして、それが建築学校を卒業した人だそうでありまして、その者が区役所、検事局全部一括してやつてくれたそうです。  それから警察方面のほうもやはりそれは私の組合の事務員が皆やつて、そうして現在の仕事をやつております。
  323. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 こつちの代表池田さんのほうにお伺いいたしますが、今のお話のそうではなかなか……建築許可によくなつたものだと思われるくらいの御答弁です。容易でないと思われるのですが……。而し建築営業に取掛かるお心構えであつたろうと思うのですが、営業許可の願いは出されてあつたのか、或いは出されておらないか、一部でもお出しになつておられるのですか。
  324. 池田茂

    証人池田茂君) 私のまだ出してありません。
  325. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 他所で出しておるのはありますか。
  326. 池田茂

    証人池田茂君) 旅館のほうで一、二軒出してあるのがあると思います。私はそのほうの係でなく、それはやはり飯島氏、工事責任者の高野氏がやつておるのでありますから、私のは出てないことは分つております。
  327. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると工事責任者に将来のあなたの生活の問題にかかわることまでもお任せになつておられたわけですね。
  328. 池田茂

    証人池田茂君) そうです。私はどこまでも正業であるから……。
  329. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、その方法が、やり方がまずくつて許可、認可にならない場合には、全然皆さん方のもくろみは失敗になることにもなるのですが、そういうことまでも任されておつたのですか。その方々に。
  330. 池田茂

    証人池田茂君) はあ。飯島氏に任してあります。
  331. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それであなたにお尋ねいたしますが、営業のほうの関係は取締は警察のほうでなさるのですが、警察のほうの了解もほぼ得られておるのですか、得られておらんのですか。
  332. 池田茂

    証人池田茂君) 私はその点は知りません。
  333. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 こういう騒ぎになつて半歳来あなたは默つてつたのですか。
  334. 池田茂

    証人池田茂君) 私は最初から正業でやるつもりですから。それで正業でお願いすれば現在の所が営業が、道路も狹いし、手狹でありますから、向うへ行けばホール規定の五坪をとれますし、正業としてやつて行くつもりであります。
  335. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと附近の住民が騒いで、或いはこの国会、参議院においてもこういう問題を取上げた。それから各種の証人言つておることというのは全然誤解であつて、あなた方の考えが誤まり伝えられたのであつて、そうではないということをあなたはもう一度ここで言い切ることができますか。
  336. 池田茂

    証人池田茂君) できます。私は正業でやるつもりでおります。
  337. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この問題は共同で土地を購入し、或いは分割で建築するにしても、お互いが協同して、力を合わせてこの事業を営んで行こうとしたことは間違いはないわけです。それにあなただけは正業で、或いは外の者は正業でない営業を営んでもいいようなそういう勝手なことをやるおつもりだつたのですか。
  338. 池田茂

    証人池田茂君) 外の人も勿論全部正業でやるつもりでおります。
  339. 山下義信

    委員長山下義信君) 藤原委員がちよつと総監に質疑があるということでありますから、お讓り願いたいと思います。
  340. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あとでやらせますか。
  341. 藤原道子

    ○藤原道子君 私田中総監にお伺いし、その他副知事、業者代表にも質問があるのであります。総監がお急ぎだそうでありますから、総監にだけ最初にお伺いいたしたいと存じます。私はこの問題は家庭の子を持つお母様が家庭の純潔を守りたい妻の気持から反対運動が盛り上つてここまで参つたのであります。そうして私は国会の厚生委員会へ提案いたしました一人といたしまして、どうしてもこの池上の歓楽街は阻止しなければならん責任を感じておるものでございます。それでこの際お伺いいたしたいのは、総監におかれましては先ほどからの質疑を聞いておりますると、署長の言つたことはそんなことはないというようなお言葉があつた。ところが一方におきましては今日は警視庁から調査が来るというようなことがすでに業者のほうに内通せられておる、或いは又建築問題等に対しましてもいろいろその命令に服さないというようなこともそのままになつておる、こういう点でどうも私は官紀が余りにも弛緩しておるのではないかということを考えるのでありますが、警察、あなたはそういうこはないと言われるけれども、下部においてはそういうことがなされておる。殊に私がこの際問題にいたしたいと存じまするのは、池上のお母様がたがこんなに騒ぎまするのは結局正業でやるんだということで許可を受けて、尚それが正業にあらずして非常な風俗を紊乱しておるという点が各所にあるからこういうふうに大騒ぎになつて来たのだと思うのでございます。それで総監にこのカフエーというものと喫茶店、特株飲食店というのでございますか、これの相達を先ず私は伺いたい。私よく分つているようなことで尚分らないことが沢山でございます。私もどうも、カフエー特殊喫茶或いは特殊飲食というものの相違を一つ明示して頂きたい。それからいま一つお伺いいたしたいのは、散娼よりも集娼のほうが性病のパーセンテイージは低いのだというようなことが世間で言われておりまするが、これも先ほどの、今日は警視庁から調査に来るからというようなことでその場を作るという習慣で、これは京都の一つの例でございますが、京都におきましてもふだんは集娼のほうが性病は非常に少いと言われておりましたが、拔打的に集娼の検査をいたしましたらふだんは一二%というパーセンテイージでございましたが、拔打に調査いたしましたら集娼が実に八〇%の性病を持つていたというような例もございまするので、私その点も非常に心配でございますので、先ず第一に今伺いましたカフエーと喫茶店、或いは特殊飲食の相違を明示願いたい。それから性病についてはどういうふうにお取締を進めるつもりであるかどうか。
  342. 田中榮一

    証人田中榮一君) 先ずこのカフエー、喫茶店及び特殊飲食店の区別でございまするが、現在の風俗営業法の規定から申しますると、料亭、カフエー料理店、喫茶店、ダンスホール、こういうような区別に分れております。そして喫茶店、カフエーは一応喫茶店、カフエーとして一本に取扱いまして、風俗営業法の規定許可を與える、尚この特殊飲食店もやはりカフエーの項目の中に入れまして同様の許可を與えております。ただ特殊喫茶店、特殊飲食店と申しますのは戰前からありまする玉の弁或いは現在の鳩の街或いは亀戸、そういつた主として女を抱えまして、そうして男に性交を與えるというような行為を與えておるものが、そういう業態で現在存続しておるわけであります。ただこうした業態が現在の法規の上において、真向からこれを法規通りに取扱うということになりますれば、これはいずれもこうした施設というものは、法規の建前の上から言えば存在することができないものと考えております。ただ実際上今までの一つの既定の事実として、又現在の社会生活なら社会生活の実情からいたしまして、こうして施設が現実に要求されておるという事実は、これは事実として別に考えなければならないわけであります。従いまして警視庁側といたしましては、既定の事実は事実としてこれは認める、そうしてその事実から起るととろの弊害を極力一つ減少する、除去するというような方針によつて、若し既定の警視庁からの指示、方針に従わない業者に対しましては、或いは適当なる制裁を加えまして、それによつて正しい業態を継続させる、かような方針をとつております。ただ警視庁側といたしましても、こうした業態が実際あるということは誠に悲しむべきことであります。我々側といたしましてもこうした業態は成るべく近き将来においては正業に復帰するように、これを指導しなければならない、かように考えております。併しながら現実の問題としては、今直ちにこれを正業に復帰させるということは、いろいろの点から困難があるのではないかと考えております。従つて武蔵新田の問題も、さつき証人の方がお話になりましたが、私は詳しい事実は知りませんが、最初吉原にあつて、軍が施設を作るからどけと言つて羽田に行つて羽田で又どけと言つて武蔵新田に来た。これは戰時中の問題であろうと思いますが、警視庁側といたしましても、既定の事実は事実としてこれは認めて、尚将来においてこれを正業に成るべく復帰するように指導しなければならない、かように考えておるわけであります。それから尚警察側が非常に官紀が紊乱しておるというようなお話でありますが、この建築の問題につきましては、先ほども申上げましたように、警察側といたしましては建築その他の措置に関しましては全然関知していないのであります。新聞等によつてこうした事実があるということを承知いたしまして、直ちに警察署に命じて事実の調査を命じたことはございます。ただ建築関係につきましては、警察側といたしまして、これに干與する権限を附與されておりませんので、まだ業者からもこれらの問題に関しましては、現実にまだ出願書も何も出ていないのでありまして、出ていないのに対して私共から余りかれこれ干渉することはどうかと思いまして、その点は一応差控えておるのでありますが、併しながら先ほど私の証言いたしましたごとくに、先月の、十月の中旬頃と思いましたが、警視庁側といたしましては非公式でありますが、業者代表を呼びまして、警視庁の方針として、こうした業態は許可せざる方針であるからということを嚴重に警告しておる次第であります。これによつて大体警視庁の方針というものは御了承願えると思います。
  343. 藤原道子

    ○藤原道子君 それからもう一つ
  344. 山下義信

    委員長山下義信君) 簡單に願います。
  345. 藤原道子

    ○藤原道子君 もう一つ伺いたいのは、この集娼の方が性病が少いのだというような点で問題が起つております。それをこの際こういう反対運動が起るのは非常に厄介であるから、一部におきましては、公娼制度の復活が策謀されておるということを聞きまして、非常に由々しき問題だと思つております。ただでさえこの頃人身売買が行われて、非常に心を痛めておるときに、風説にせよ公娼の復活というような策謀がなされておるということは、実に大問題でありますが、総監はこれについてどういうお考えを持つておられますか。
  346. 田中榮一

    証人田中榮一君) 忘れまして大変失礼いたしました。かかる業態の婦女の性病予防につきましては、現在は性病予防法の規定に基きまして都知事が検疫をいたしております。従つて飽くまで都知事の権限として、衞生的な取締その他検疫をいたしておりまして、ただ警察側といたしましては、都知事の検疫その他の取締に対して、警察はこれに協力するという建前で現在進んでおります。それから尚公娼制度の復活ということにつきましては、私共もこれは国際上の関係から、又いろいろな点からして面白くないと考えております。ただ現在の状況としましては、これを公に集娼制度なり散娼制度としてやるということにつきましては、いろいろ議論がございまして、集娼制度を設けるということもこれは表向には私はできないことじやないかと思つております。ただ散娼制度も或いはいいかも知れませんが、散娼制度によりまして、これらが街頭に進出して害毒を散乱する、それを防止するためには止むを得ず現在の集娼制度を事実上としてこれを認めるという外なかろうかと考えております。尚御質問の公娼復活その他につきましては、私共は具体的にまだ何ら聞いておりませんです。ただ取締当局といたしましては、いろいろの公娼制度廃止の過去の歴史から考えまして、この公娼制度を復活するということは、国際的の関係その他を勘案いたしまして不適当じやないかと私は考えております。
  347. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 岡安副知事にお伺いいたします。先ほど建設大臣がおつしやいましたように、建築基準法が二十三日からでき上り、その案によりますと、大臣のお言葉にもございましたように、文教地区の新設の問題はなかなかむずかしいし、又既設のものにつきましても整理し得る力を持つている。それにつきまして東京都におきましての今度の池上の問題は、新設の問題として考えられますし、殊に学校から近い、百メートルのところを二百メートルというように報告をお出しになつたということを聞いておりますが実際は百メートル、そういう学校に近いところにありますところ、これは是非文教地区として考えなければならない。又既設の亀有なんかも、子供連がああして通つて、学校を囲んでのああいう街になつてしまつた。こういう二つの問題は、少くとも今度の建築基準法におきましては、都のほうでそれを執行する意思があれば問題になつて来るのでありますが、都を代表なさいますあなたは、その條例によりまして、この問題の新設既設につきまして、どの程度に御決心を持つていらつしやいますか。それを一言伺いますと、これは都民が、殊に子供を出しております母親が非常に安心すると思います。最後の御決心をお伺いしたいと思います。
  348. 岡安彦三郎

    証人(岡安彦三郎君) 只今の御質問にお答え申上げますが、先ほど建設大臣も都市計画法によりまして、今回の建築基準法によりまする地区設定が、各それぞれの地区の知事の権限におきます條例で設定できる、こういうことであります。私らも二十三日以後この基準法が施行になりますので、これに基きまして文教地区の設定を只今考えております。ただこの文教地区と言いますのは、我々の観念からいたしますれば、例えば早稻田大学が中心であるとか、或いは東京大学が中心である、或いは神田の明治大学、或いは慶応大学、こういうふうないわゆる総合大学、総合教育的な地域を実は考えております。一つの小学校に対しまして、おのおの文教地区を設定するかどうかということにつきましては、これはもう少し考えなければ却つて困るのじやないかという気もいたしますので、この点は、只今の文教地区の考えは、今申しましたように総合的な教育施設のあるところの区域を考えております。  それからこの文教地区によりまして、今後そういうものが制限され、又既設のものも撤廃ができる、こういうことになつておりますが、この点はまだそれぞれの地方庁におきます財政の関係もございますし、地方庁が賠償をしなければなりませんので、こういう点をとくと考えて行きたい、こういうふうに考えます。
  349. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 委員長に質問してよろしいですか……。泰山は鳴動いたしましてまさに連合委員会の幕を閉じようとしております。相当收穫があつたと思いますが、肝心要の池上の場合の十一軒のあの業者が、今後売娼行為をするかも知れないというこの不安は依然解けていないと思います。そういう段階においてこの委員会を閉じることについては誠に心許ない感じがいたすのであります。委員長さんは丁度副知事さんもお見えになつていらつしやいますし、業者のかたもいらつしやいますが、例えば池田さんなんか、あなたがお引受けになつていらつしやる十一軒のかたが、この席に共同の声明書を送つて来まして、これは今後絶対に正業であるという声明書をお出しになつたのですが、この正業ということはカフエーであり、旅館をするというふうに私はとるのでありますけれども、お気の毒ですけれども、過去に特殊喫茶店をなさつていらつしやつたかたがカフエーであり、旅館をあの場合でなさいますと不安がとれませんので、誠にお気の毒だと思いますけれども、若し損をしない程度に外の人に讓れるという途がありますれば、大乘的な立場に立つて、この人達は引込むことができないかということを池田さんに聞いて頂ければ幸いだし、又副知事さんに対しましても、あとで副知事さんがお代りになつて業者代表のかたを呼んで、斡旋をなさつて、資金の関係とか、次の家のこととか、そういうものについて立派に賠償をつけて頂きたいと思いますけれども、委員長がそういうことをおききにならなければ私がお尋ねいたします。
  350. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは深川委員の御要望の通り委員長から池田益太郎証人に伺いますが、池田益太郎証人は場合によつては、只今計画になりました家屋等をよき讓り手があつたならば、一つ襟度を大きくして、この問題の解決のために讓つてやろうというようなお考えでもありますかどうか、その点を承わりたいと思います。
  351. 池田益太郎

    証人池田益太郎君) それは何です。委員長さんおつしやいますが、私も深川さんのお話を敢えて無理に、私の考えでは十一軒がそれをやらんほうがいい、何かそこにそういう……、事ここに至れば止むを得ませんから、或いは相当の買手があるとか、最小限度で損失の行かない程度に行ければそれは結構だと私は考えております。又皆にもよくそう言つて、そういう方針でやるつもりであります。
  352. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは岡安証人に伺いますが、この問題の解決について関係者等と都として斡旋をなさいますというような考えがありますかどうか、御発言を求めます。
  353. 岡安彦三郎

    証人(岡安彦三郎君) 只今深川さんの御発言によりまする、委員長からの私へのお尋ねでございますが、私も委員長お話のように今後やつて行きたいと、かように考えます。
  354. 山下義信

    委員長山下義信君) 深川委員、お聞きの通りでございます。
  355. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 有難うございます。
  356. 山下義信

    委員長山下義信君) 外に御質疑がございませんか。
  357. 市川七郎

    証人市川七郎君) これは各先生がたに最後の私の言葉といたしましてお訴えいたしたいものがあります。先般から私娼、散娼はどうだ、亀有の問題が池上の第二として今日ここに取上げられて、非常に輿論を沸騰さしておりますが、私は各先生がた幾らかこの問題に対しては目違いがある。どうして目違いばかりがあるのか。仮に亀有ばかりがカフエーのあるところではないのであります。御承知通りに、十七ケ町全部挙げましたが、要するにカフエーなのでございます。併し亀有のみ要するに子供に梅毒がうつつたとか、花柳病がうつつたとか、これをただ亀有と結び付けるということは、非常に私は亀有の者でありませんが、無理があるのじやないと思います。何故無理があるか、亀有の半面に何が存在しているか、これを一つ各先生は御了承を願いたいと思います。第一の問題は、従来から亀有には素人のパンパン屋が沢山あるのであります。俗に工場地帶である。これが解放して、いわゆる、つまり何と申しましようか、四疊半とか三疊とかいうような、その残業の宿直していたと申しましようか、寝起きいたしたと申しましようか、こういう大きなものがあそこにある。ここにもすでに終戰後我々の同業者の行かないうちにすでに人に、妾のアパートとか、乃至はつまり散娼のアパートとかいうような工合に、いわゆるより以上にあそこに存在いたしていたのであります。で只今ではどうかと申しますれば、これは勿論消えもいたしません。同時に都会の中央に御承知通り出て、カフエー、又は銀座、あらゆる面に対しまして、朝な夕な通う女が、俗に亀有電車と申しまして、終電車は何でも十一時半だと思いますが、この電車はこの女で一ぱいであります。これがつまり朝な夕なあらゆる方面からこの時間に乘つて来る女であります。で、今亀有は四十三軒あつて、仮に一軒の家に三人と仮定いたしても、百三十人に行かない。外部のこういう私娼、散娼の存在はどうかと申しますると、これに四倍も五倍も増しておる。こういう工合であります。で、この散娼の行き方はどうか、お忙しいでしようから簡單に説明いたします。(笑声)散娼の行き方は御承知通り仮に自分の恋愛に走つたり、それでと男性の問題を外で遊んで解決している者も即時家に来て、洗濯するとか乃至は要するにそれに適応する治療をするとか、うつるうつらないは別個として、そのまますぐに裸でお湯に飛込むというのが彼らであります。我々の業者は仮にこういう問題がたまたまあつたとしても、我が家庭において洗滌し然る後に実に自分の顏よりもしものほうを大事にするから(笑声)恐らくお湯に入つて黴菌を流すということは毛頭あるべき道理はないのであります。にもかかわらず亀有では子供がうつつた。亀有だ亀有だと街娼という大きなものを棚上げして置いて、亀有ばかりを審議をするということは私はこれほど情けないことはない。かように考えますからどうぞ一つそこの趣旨を考えると同時にその上に何ものがあるかということをお考えを願いたいと思うのであります。
  358. 山下義信

    委員長山下義信君) 連合委員会の運営につきましてお諮りいたします。一応連合委員会を解きまして、それぞれ本委員会に戻ることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  359. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。それでは連合委員会はこれを以ちまして散会いたします。    午後一時五十一分散会  出席者は左の通り。   厚生委員    委員長     山下 義信君    理事      小杉 繁安君    委員            河崎 ナツ君            常岡 一郎君            藤原 道子君            深川タマヱ君            松原 一彦君   文部委員    委員長     堀越 儀郎君    理事            成瀬 幡治君            若木 勝藏君    委員            川村 松助君            工藤 鐵男君            高良 とみ君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    委員            石村 幸作君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君    建 設 大 臣 増田甲子七君   説明員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    地方自治政務次    官       小野  哲君    文部政務次官  水谷  昇君    厚生省公衆衞生    局長      三木 行治君   証人    出願者代表   池田  茂君    出願関係者   池田益太郎君    向島カフエー事    業協同組合理事    長       市川 七郎君    関  係  者 神崎  清君    警 視 総 監 田中 榮一君    国家地方警察本    部防犯課長   宮地 直邦君    東京都副知事  岡安彦三郎君