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1950-11-14 第8回国会 参議院 建設委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十四日(火曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設省其他建設事業に関する調査  の件  (住宅金融に関する件)  (停車場の改築復興に関する件)  (厚生住宅建設其他に関する件)   —————————————
  2. 赤木正雄

    ○理事(赤木正雄君) これから委員会を開きます。  金融公庫に関しまして田中君。
  3. 田中一

    田中一君 前の委員会において金融課長の方に調査報告をお願いしておりましたが、この建設委員会理事報告によつてまだ足りん点があると考えますので、その点について一つ報告願いたいと思うのです。それは第一には申込手続簡素化の問題について伺いたい。で、これについては貸付対象が人間にあるのか、或いは担保物件にあるのか、又どちらにウエイトをかけられておるか、こういう点についてこの簡素化の問題も或る面までは解決されるのではないかという考え方を持つておりますので、この説明を伺いたい。同時に賃貸住宅経営についてこの採算の割出し方がここに実例として二、三出ておりますが、これに対する賃貸価格統制とか、或いは頭を抑えている点がどうなつておるか。その点を伺いたいと思います。  次に、団地計画の場合、先日伺いましたところが、その項目はそういうことはできないという返事がありましたが、附帯工事、いわゆる整地その他の道路等附帯工事についての貸出、この見解と同時に一応その工事名称が示してありますが、その名称給金額がその工事名のみに使われるのであつて、他の点に対する融通性というが、そういうものがあるのかないのか、こういう点。それから朝鮮事変以来非常に材料その他が高騰しております。これは先般の安本から出ておる指数によつても明らかでありますが、貸出金額も一応この計画当時の立法当時には決められておりましたけれども、それに対して現在借りておりまする、借りる人達が非常に困つておる。この点について実態に即したような増額考えられておるかどうか、その点について一つ報告を伺いたいと思います。
  4. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 只今田中委員からお尋ねの点について概要をお答え申上げます。貸出対象は人か物かというような御趣意のお尋ねつたと思いますが、これは御承知のように住居に困窮せる人が自己所有家屋を建てる場合、それから会社若しくは法人賃貸共同住宅を建てる場合を対象にして貸しますので、趣旨におきましては飽くまでも相手側はそういう人若しくは団体でありますが、建て上つたものを返済の一つ対象といたしまして抵当権を設定しますというような形で参つておりますので、これは一般不動産金融についてもさようにいたすことが常例でありまするので、その通り公庫においても大体その趣旨ですべての手続目的をそこに掲げて実施しておるような関係もありますので、貸付を受ける人及び保証人という人的の保証と申しますか、それと併せて物的の保証両方並行して参るような考え方で行つております。従いましてすべての貸出手続に関係しましては人を、或いは団体をも含めましてですが、人を対象にいたしますると同時に物によると、つまり建てつた家屋抵当権目的にしますというような両建で行くようなことになつております。手続両方を縛るというような考え方で行つておるのであります。従いまして手続の上でも両方をつまり物的に人的に償還を求めますと同時に、その頼るところとして抵当物一つの手段として確保して行く。こういうような手続の立て方に相成つておる次第であります。  それから賃貸価格統制がどう行われておるかというお尋ねでありまして、個々につきましては別に建設大蔵両省令が公布されておりまして、これによつて原則として共同賃貸住宅坪当り月二百円以内とこういうことに相成つております。ただごく特殊のものにつきましては、大臣認可を得て坪当り月二百五十円以内にすることができる。これはまあ主として建設省の方から詳細については御答弁があるかと思いますが、そういう建前に相成つておりまして、その範囲内において賃貸住宅所有者、つまり管理に当る者は家賃を取立て得ると、こういうことに相成つておる次第であります。  それから団地計画についてでありますが、これはお述べになりました通り各種附帯工事について標準建設費を認めておりまして、それを対象としてその七割五分を貸出す、こう相成つておりますが、その附帯工事として挙げておりまする工事種類名称等はあらゆる附帯工事と抽象的に申し得る工事、如何なる工事でも賄い得るという建前には相成つておりませんので、大体主たる工事種類を掲記いたしておりますので、大体はそれによつて貰う趣旨に相成つておるのであります。それから価格が段々最近のいろいろな原因のために先高見越しに相成つておる。又現実においても段々物種類によつては乏しいものもありまするし、殊に価格が段々騰貴傾向にあることはお話通りでありまして、これについては一般貸出を受けまする人人や或いは団体公庫の定めておりまする標準建設費ではなかなか工事の実現、進捗が困難なような状況に段々その程度を増しつつある状況はお述べの通りであります。私共といたしましてもこの実態に即しまして、工事が困難でないように、つまり実際の市場価格が上つて来た、又先高であるということにつきましてはできるだけその実情に副うべく標準建設費増額をも考えておるのであります。ただ公庫標準建設費というものが、世間の実際におきまして曾つてマル公価格といつたような世間の受け方に相成つておるような傾向もございまするから、みだりにこれを上げるわけには参らんのでありまして、各種の資料、材料を慎重に調査研究いたしまして、それと価格騰貴傾向が臨時的の原因に基くようなものもあるようでありまするから、その騰貴の上昇の傾向等を確実に見定めまして、改訂をすれば改訂をするということにしたいと思いまして、愼重にいろいろ考慮を重ねておつたのでありまするが、最近一応の案がまとまりましたので、これを確定し、公表する手続只今つておりまして、もう間もなくこれが確定するだろうと思つておるような実際であります。即ち公庫といたしましては、土地標準価格につきましても、又家屋建設標準建設費につきましても、公庫で一応案を決めまして、建設大蔵大臣認可を得て定める、こういうことに相成つております。今その手続の進行中であるということに御承知を願いたいと考えます。大体一応御答弁申上げます。
  5. 田中一

    田中一君 重ねてお伺いしますが、只今答弁の中の、人と人の団体と、担保物件によるのと並行するというように御答弁ございましたが、大体団体の場合には一応納得できますが、人の場合には十五年間償還木造建物に対する貸付がありました場合に、例えば建設者の誰それという、課長なら課長としますか、十五年間その地位におられるかどうか、或いは五十歳の我々のような年配の者が借りる場合、十五年間同じような地位に同じような收入を持つて、或いはもつと余分な收入が、負担力の問題ですが、得られるかどうかということはまあ御説明を待つまでもなく分つておると思うのです。十五年間、或いは三十年間の先を人の信用によつてそれを担保ずけるということに大きな間違いがあるのじやないか、こう考えるのです。現在においては家を持つということを喜んで、如何なる約束もしましようけれども、併し決して十年、十五年乃至三十年後にそれが完全に約束通り果せない、いわゆる月割の負担金を負担し切れないということがもうおのずから最初から分つておるというように私は考えるのです。その場合に、これもその担保物件、いわゆる登記されました担保物件が一番大きな力を持つのであつて、これにのみ頼つていても差支えないのじやないかと思います。人に対する信用の点、或いは保証人の問題などがあるために手続が煩雑になり、貸付條件、又申込が二百件以上あるというに拘わらずその中の一部しか契約が行われてないというような実情にあるのじやないか。そういう点についてもう少し飛躍的な、困つている者に対して與えるのだという場合には、人に対する十五年、三十年後の支拂い能力というものを考えて、物にのみ頼つてやれば、もう少し簡單にできるのじやないか。無論法規の上の罰則で或いは何回かこれを支拂をしない場合には立退きを要求するとか、担保力を行使するとかというような点があるのでありますから、人による信用力に頼ることを少くしまして持つて行くようにお考えできないかどうか、これをまず伺いたいと思います。
  6. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 只今お尋ねでありまするが、如何にも御尤もなお考えであると思います。私共といたしましても、個人住宅の多くを占める木造を話の基礎として申上げますと、十五年の先のことはなかなか予想できません。殊に仰せのように相当年齢になられた方が借受けられるという場合に、十五年先き果して償還能力保証し得るや否や、むしろ生命の問題にも考えが当然及ぶわけでありますし、又もつと申しますると、現在のような経済事情の不安定、と一概に申しては語弊があるかも知れませんが、相当動きの激しい時期におきまして、いろいろなことが予見、予想乃至臆測されるような今日でありますので、人の償還能力を当てにしないでやればどうかと、こういうお話でありまして、そういたしますれば、單に物的の担保というだけに頼ることになるのでありまして、仰せのように手続は簡單化するかと思います。併し根本がやはり個人償還をするということが、殊に自己所有家屋の場合などは精神的に申しましてもですが、経済的取引の通例から申しましても、飽くまでこれを主に立てて行かざるを得ないのじやないか、そうしてどうしても人としては拂えないという場合に初めて担保物件のほうへ寄りかかつて行くというような順序を踏むのが当然であり、従つて先程も申上げたように、人及び物を頼りとする、こういうような考え方でやつておりますので、ただ申込が多い割合に実際進捗しないではないか、こういうお尋ねでありまして、この点は我々として誠に痛切に響く御意見であります。現実大体申上げるとそういうことに相成つております。けれども、そのほうも指定金融機関においての信用調査が済みまして、その次に建築設計審査公共団体に出して貰う順序になつておりますが、この設計審査が容易に出ないということが進歩の滞つております主たる原因に相成つております。これはどういうわけかということをいろいろ探究してみますると、的確な正確な数字はここに持合せございませんけれども、多くはやはり二割五分の頭金最初家を建てなきやならん、七割五分しか借りられないということが多大の悩みになつておるようでありまして、二割五分の自己負担金才覚できるつもりで申込んだけれども、いざとなつて見るとなかなかその自己負担金が実現し得ないということが一つの大きな悩みであるようであります。ここにちよつと九百件ばかりにつきまして一応の数字的の調査をいたして見ましたところ、前から臆測をしておりましたのですが、大体申込者というものが公務員会社員というようなところが非常に多いのでありまして、九百例のうち公務員が百八十三、会社員が五百二十二、これは公務員が二〇%、会社員の方が五八%を占めております。この二つを合計しますと七八%というのが公務員若しくは会社員であつて、いわゆるサラリーマンであります。あとは商業六十七で七%、工業が三十一で四%、その他が九十七で一一%、百のうち七八まではサラリーマンであるということが窺えるのでありまして、それからもう一つ申込人收入状況月收状況を九百例について調べて見ますと、七千五百円以下というのは僅かに三十八であります。大体は七千五百円を超えて月收二万円までという範囲が極めて多いのであります。殊に一万二千五百円を超えて一万五千円以内というのが二百二十九人あるようなことでありまして、七千五百円以下或いは二万円以上というのは非常に少くなております。こういうような大体の状況でありますので、頭金才覚ということが実に重大なことに銘々に相成つておると思われます。が、併しながら公庫住宅金融個人持ちの分につきましては、大体こういうようなサラリーマンであり、又さして收入もないいわば中産階級とでも申しまするか、そういうような人で住宅に困窮しておる人に金を賛して家を建てさせようというのが元来の狙いでありましたので、実際実行した結果大体狙い通りに行つておるのではなかろうか、こういう感じを持つておりまするが、そういう次第でありまするから、頭金才覚ということが非常に個個人において困難を告げておる。それからもう一つ住宅敷地獲得に非常に銘々が困難をする。申込に来た者が大体の見込みをつけてどこそこに建てるんだということで申込まれるのでありまするけれども、いざ金融機関信用調査が済みまして、建物設計審査申請を出そうという場合には、敷地が確定いたしませんとどうしても家の設計ができませんので、そこで敷地獲得を確定しようとしていろいろな努力が行われておるようでありまするが、大体の希望者がこういうサラリーマン人々でありまするから、時間的にも制約をされております。又年代においても大体が三十代、四十代というようなところが多いようであります。従つていろいろな家を建てたことがあるといつたような経験のない、いわば住居建築について全くの素人であるというような人々が多いために、みんな時間的制約等も受けまして、土地獲得或いは建築業者との折衝、契約等につきましても多大の労苦が伴うために時間的に延びるというようなことがあるせいではなかろうかと思つておりまして、そういうことで主として申込みはしたけれども、手続きが進行して金の貸出までに比較的時間のスレが出ているということは、そういうような原因が主たる事柄のように考える次第であります。御承知のように申込みの最初におきまして、償還能力月收はどのくらいあるかということも金融機関で調べまするし、又保証人もつげて頂く、保証人の承諾を得るということについても御当人としては相当な手数と困難があるとは必得ますけれども、現在の状況では申込の非常に殺到している割合に金高、貸出金の実際の支拂いがそれに伴わないということの原因は、今申上げたような頭金の問題、或いは敷地の問題、或いは初めて建築ということに接触する未経験のために時間がかかるといつたような点が主要なる点であると思いますので、申込貸出しの手続簡素化につきましては、私共も極力当初から努めておる次第でありまして、何分政府の事業としてこういう住宅金融事業は全く初めての事業でありますので、実は私共も実行しつつ実験し、その実験の上において改良すべきものはどんどん改善をして、できるだけ簡素化するということに努めておるような次第でありまして、実は我々の事務を執りまする公庫の者自身もそうでありますが、殊に委託を受けました金融機関或いは公共団体等においては、いろいろな手続が次から次へ簡素化のためにいろいろ変更を続々いたしておりますので、なかなかその変更をよく呑み込むということがむずかしいのではなかろうかと思う程に、実は簡素化については極力努めております。一般申込人その他世評等につきましても、私共も極めて謙虚な気持で御忠告を受け入れるという態度で、あらゆる機会においていろいろな批評、御不満等も承りまして、よくそれを玩味いたしまして、でき得るだけ必要なことについては簡素化のために取上げて行くというように努力いたしております。今後においてもこの点については変らない態度で、簡素化のために努力いたしたいと考えているような次第でありましで、今お申述べになりました十五年先きのことは誰が保証するか、殊に人的に誰が保証するかというお尋ねに対しましては、誠に我我も同じような危惧の念は十分持ちますけれども、併し償還は飽くまで人が償還をするのだという建前を失わないように、物的担保併わせて参りたいと、かように考えておる次第であります。御了承願います。
  7. 田中一

    田中一君 非常に困難な御事情、御説明を伺いましてよく分りました。併しながらこの住宅金融公庫法立法精神が、この非常に只今言つておられたような公務員或いは会社員等、中堅の方々住宅難というものを解消しよう、急速に解消させようというところにこの初めてのこうした住宅金融公庫法というものが制定されたのであつて、今数々の隘路があつて、出発しましてから約半年になりますが、未だ思うような成果を得ないということは立法精神に戻る。立法精神精神としていいけれども、その運営の面において欠けるところがあるのじやないかということが一応考えられるのです。決して立法そのものが一遍に決めたからその通りしなければならないと言えるものじやないのです。この委員会において若しもこの点、あの点、こうすればいいのじやないかということがはつきりすれば、或いは臨時国会或いは通常国会において、いつでも皆さんが運営する当面の方法、早くその住宅が完成するような方途がおのずから得られると思うのです。で、只今その困難な面だけを御説明伺つたわけなんですが、じやあどうすればいいかということが当面の総裁以下各当局の方々のお考えになる点じやなかろうかと思うのです。で、人の問題、或いは物の問題についてもただ通常貸出というものは、金融というものは人がものを支拂うのだ。併しそれのみではいかんから、現実担保物件を取つて貸すのだというような、通常の普通の金融機関が行なつているような形の考え方で以て住宅問題を解決しようと思つても到底不可能です。そういうふうな考え方から飛躍するために来年度の建設省の予算において国営住宅などの案が出るのであつて、そうしたものが若し出て来る場合には、こういう住宅金融公庫法立法そのものがもう無価値になるのです。もうなくなつてもいいというような結論になるのです。従つて今この非常に困難を極めておる住宅問題を解決するにはただ立法そのものそれだけで以つてやるには沢山の隘路があり、困難があるので、このままでやるという考え方でなくして、もつと飛躍してお考えになつて速刻公庫法そのものについて勘案なさることが必要じやないかと思うのです。無論半年経ちまして運営して見て御覽になつていろいろな点があると思いますから、まあ肝の中ではこうもしたい、ああもしたいというお考えはあると思いますけれども、立法精神を本当に活かすには、この立法そのものをどう変えてよろしいということをお考え置き願つて運営して頂きたいと思うのです。只今細かい点についてはいろいろ技術的な面についても伺いたいのですが、只今大体御説明願いましたのでいいと思いますけれども、もう一つだけ伺いたいのは、家賃算定について、或る一つの例は十坪として二千四百九十九円になります。それから或る例は二千五百五十円、これは十二坪の系統らしいです。或る面については千七百八十円、こういうように無論地域的な差はございましようけれども、家賃の相違があるのです。極端な例は倍も高いというような例もあるのですが、これを只今建設省並び大蔵省の省令によつて行うところの二百円乃至二百五十円まで金を取ることができるのだというだけでは甚だ困難になるのじやないか。又住宅金融公庫の設定の精神から言つても相当考えなければならないのじやないかと思います。この場合は賃貸住宅も入つておるのでしよう。この第一例には公庫に返還する金が坪当り百四十円、その外に百九円九十七銭というものは坪当りですねこれだけを余分に拂うという形になつておるのです。それからもう一つの場合は十二坪の一戸当り公庫に拂う金が三百三十六円、で、家賃が千七百八十円、これは非常に安くなつております。こういうような家賃のばらばらですね。二百円乃至二百五十円というものを抑えて一ぱいに取つておるものがあります。二百四十九円九十七銭、最高の二百五十円というのを三銭引いて逃げておるのがあります。家賃の方は公庫貸出しによつて算定になるのだろうと思いますけれども、こういう地域においてもう少し誰も同じような恩惠に浴するような方法はないのでしようか。
  8. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) ちよつと具体的の数字については私から申上げかねますが、大体主としていろいろな差ができますというのは、土地買收費及び建物建設費につきまして大体のところは金融公庫から貸出しますが、二割五分はその団体自己負担金として賄う。その自己負担金なるものは都道府県或いは大都市等が出します。財団法人等におきましては、或いは三十年間無利子据置きで貸してやる、こういうものもありますし、それから個人といいますか、民間経営といいますか、そういう方面ではそれに或る利息を考えまして償却と申しまするか、それを考え家賃基礎にしておるというようなことが多分に家賃の多少に影響する人なる原因であります。それとそれから地域的に申しまして、仮に百戸について一人の管理人を置くとか、又そうしないで入居者の中の者に殆んど無報酬的に或いは自主的に管理さして家賃の取立てであるとか、若し必要なら修繕の箇所をその管理者に申出るとかいうようなことをさせるとか、させんとかいう管理費、それは併し大なる問題じやないのです。やはり主たるところは自己負担金は如何ようなるところから出て来るか、それに大体どういう経費が要するかということが主たる問題になるかと思います。まあ制限内の家賃でありますなら、成るべくそれは賃貸料は我々の方としても安い條件にして貰いたいということは希望もし、監督もいたしまするけれども、計算上出て来ます場合においては止むを得ないというふうに認めざるを得ないということになつております。多少の差がありますことは結果として止むを得ないのじやないかと思います。
  9. 田中一

    田中一君 もう一つ伺いたいのですが、具体的に現在借りでおる方々が完成を間際にして非常に困つておる声を沢山聞くのです。それは無論もう二割五分の頭金は拂つてあるけれども、これは半分しか……結局二割五分は拂つたが、家の方は完成できない、こういう声も大分聞きます。いずれ今御説明のように近々貸付單価については増額しなければならんじやないかというようなお考えであろうと伺いましたけれども、若しもこれで完成してしまつて一応決めてしまつた金ですね、という場合には……貸出しを開始しましたのは七月か八月頃ですね。
  10. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 七月頃です。
  11. 田中一

    田中一君 それからぽつぽつ建築材料が上昇しておりまして、九月には特別のものは三割以上上つておるものがあります。木材が一番多く上つておりますけれども、遡つて貸出した金を増額するかどうかという点。それからできるならばもう木造建築というものに対しては貸出しを成るべくしない。私など自分の私見を言いますと、もう木造建築というものには貸さないというふうに飛躍して頂きたい。これは希望ですけれども、何故かと申しますと、十五年経つてその建物が何といいますか、土台などは檜を使わなければならんとか、まあむづかしい條件があるようですけれども、それにしても十五年用いるという建物で本造建築は少い。殊に頭を抑制して一万八千円とか二万円という建物だと長く保たない。その場合に金を寄こさない。従つて立退きをさせる。公庫が又他に売却するという場合も価値は段々減つて来る。それで結局においては安いものは公庫が損をするという形に行くのじやないかと思います。それでできるならば、どこまでも耐火構造建築にしまして、どんな小さい十坪、十五坪のものでもそれができるから、そういう形のものにして頂きたいと思います。住宅営団という曾てのこうした住宅扱つた団体がございましたけれども、あの結果を見ても恐しいと思う。いまだにどうにもならないものが沢山捨ててあります。今でも木造建築を作ることは結局そこに来るのじやないかと思います。そういう希望を持つておりますから、これは自分の註文ですけれども、成るべくそういうふうに指導して、木造建築に住むよりも耐火構造建築に住む方が管理費から何から一切、或いは又集団アパート、そうしたものに住んだ方が管理費も安いのだというような御指導を願いたいと思う。先に御質問した点についてだけお答え願いたいと思います。
  12. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 今お述べになりました御質問中にあります御意見は、我々も非常に共鳴するところでありまして、現在の都市の構成から申しまして、余り木造住宅が多過ぎる、殊に政府資金から貸出をしまして建てて貰う家屋については成るべく耐火的の構造の家屋にしたいということは、我我強く年来考えておるところでありまするし、又住宅金融公庫としてもそうあらねばならんということはよく考えているところでありますが、で、まあ共同住宅につきましては、鉄筋のものだけに限るというようなことになつて現在になつておりますこともそういう精神一つの現われでありますし、それから当初公庫の始りましたときの貸付対象として、簡單耐火構造、屋根だけは木造でありますけれども、外壁はすべて耐火構造のものにするという建設省の新らしく考え出した折衷式の構造法もの、相当な耐火、防火的の効力を有する構造であると考えますが、これを在来の都市計画法或いは市街地建築物法の上の準防火地域以上の防火地区には全部それでなければならんという初め貸出対象にいたしておりましたけれども、簡易耐火構造であるが故に、個人の方としては年限は二十年間でありますから、却つて木造より年々の月賦金は安い。少くとも高くないようでありますが、頭金が何分嵩みますので、これについてまあ非常に非難が多い。と申しますのは、公庫から借りない一般の自由に建てておられる建築については、そういう場所で純木造、若しくはラス・モルタル造りのいわゆる防火用と申しまして、木造で易々と建つのに、公庫から金を借りるために簡易耐火木造でなければならん。これは非常に重荷であるというようなことで非常に行き悩んでおります。特にその防火地区、防火地域等の地区的の区別が一般大衆にはつきり普及宣伝されておりませんので、申込のときは木造でよいと思つたので審査設計を出そうと思つたら、存外簡易耐火構造でなければならんというので、それは頭金も高いから困つたものだというようなことで、一頓挫を来たしたような現象がありましたので、まあついでに余談になりまするけれども、当初公庫の設立当時の予想におきましては、都市構築上、或いは住居の構造上いわゆる健康にして文化的という法文から申しまして、少少ずつ理想をこれに加えて、折角政府の資金を貸すのだから、やや理想的のものにしたいというようなことで便所の構造にいたしましても、今の敷地と建坪との比率にいたしましても、是非今までの実際上行われているよりもよい状況にしたいということで、そういうことを條件にいたしましたが、非常に皆一般大衆は金は借りたいけれども、そこまで金を出すのは困る。自己負担金が嵩むから困るというようなことがありましたので、先程田中委員がおつしやいましたような手続簡素化及び貸出の促進というような意味から言いまして、数歩退却をいたしまして、今月二十三日から施行されることになる建築基準法の程度まで條件を下げたのであります。つまり一般大衆と同じ水準で公庫から金を借りても建てられるということに一般的にしたわけであります。我々のこれは数学的には挙げ得ませんけれども、想像ではそのために非常に一般大衆に喜ばれたといいますか、進捗を見たと考えつつあるようなわけであります。ただそこに持つて来れば一般的にはすべてそういうように普通の解釈をするのと同じ標準まで下げましたけれども、まだ木造住宅の場合において普通の現在の市街地建築物法の最低水準というところまでは我々の方ではどうしてもできないというのが今の耐久力の問題、それから日本に多い地震、台風の被害を成るべく受けない堅牢にして耐久性のあるものというので、木造住宅については強く考えておりますので、普通安上りの建物には筋違いを入れるとか、火打ちを入れるとか、殊に基礎は耐久性等の基礎にいたしませんで、相当の寸法の高さ及び幅のある、厚みのある布基礎にするということを指示いたしております。これがために耐震或いは耐風、殊に耐久力、濕気を防ぐといつたような点については堅牢にして耐久力あるということは相当程度貫徹できるのじやあるまいか、少くとも十五年は大丈夫である、抵当品としての経済価値も相当に残るということを狙いましで、木造についてはそういう建設基準を採用しておるわけであります。先日建上つた建物を見ますと、まず布基礎がはつきり堅牢にできておりますので、地下から濕気を吸つて土台の木材等の腐蝕の程度の差が十五年、二十年後においてはつきり分るという自信を持つておるような次第であります。そういうことに努めて力を入れたわけであります。実際負担能力の点から申しまして、どうしても耐火構造建物住宅となりますと予算額が嵩みますので、それからやはり親代々からの生活習慣から申しまして、木造のやや開放式の建物一般民衆は喜ぶということが理窟の上でなしに、実際強い何になつておりますので、やはり木造住宅を相当な貸出対象にせざるを得ない。多数の家屋を成るべく一軒でも多く作つて貰うということから申しますと、木造も又採用しなければならんという理窟と実際と相反するようなことでありますけれども、実情はそういろ状況にあることを御承知願いたいと思います。
  13. 田中一

    田中一君 今の貸出の問題はどうなりますか。遡及するのですか。
  14. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 肝腎な点をお答えするのを失念いたしました。これは或る程度遡及しなければですな、えらい不公平になるという考え方から、或る程度は遡及したいと思つております。ただそこの遡及をする、せんという一線をどこに引くかということが非常にむずかしい問題になります。もう一つは、御当人もですが、取扱いを委託しております金融機関公共団体等の手数も又倍加することになりまするので、いろいろ事情を勘案いたしまして、適当なところに一線を引きたいということで今苦心をいたしまして、考慮中だということを申上げて置きたいと思います。
  15. 赤木正雄

    ○理事(赤木正雄君) 田中さん、住宅金融公庫はいいですか……。では次に質問が、順序は変わるか知れませんが、説明員がその筋に呼ばれている関係上、都市計画の観点から停車場について石坂さん御質問がありましたら……。
  16. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 本委員会と直接関係はないようにも思うわけでありますが、併し篤と我々委員会の任務を考えて見ますと、戰災復興及び国家の再建に関する緊急なる問題は、それぞれ総合的又関連的に考えて行かなければならんと考えているので、その一つの問題として、私共はふだんから大いに注意しておることは、戰災都市における停車場の改築及び復興でございます。これについては私が申上げるまでもなく、停車場はその土地におけるま関口となり、或いは所によつてはその土地のみならず、その一県の中央都市としての任務を果す上において、その全県を見渡たすところのま関口ともなり得る、従つてかような停車場の戰災復興等については特に当局においては御注意を下さつていることと私共は確信をいたしておる、又現にその復興等については非常に御盡力になつていることも見受けられます。然るにどうもその建築順序は戰災都市よりは、それに関係のない、戰災にもかからないところ、勿論それには多年の歳月を経過して出入、その他貨物の出入り等に鑑みて改築しなければならん、拡張して行かなければならん点もあるであろうと思いますが、私は戰災国としては何としても戰争のために破壊された土地を復興してやるということが第一でなくちやならん、従つて停車場においてもその原則を外れてはならない、こう考えておるのであります。その実例の一つとして、私は北陸の富山県の富山市の停車場のことでありますが、これは福井、石川、富山と三つの停車場が今まさに改築のことになり、又一つは戰災復興の計画が進められているということである。この場合福井であるとか或いは富山は、戰災にかかつているからこれは勿論早く建てられることと考えておつたのでありますが、最近聞くところによると金沢の方が先になる、そうして富山市の方は二十七年度くらいになると、こういうことを噂されて、市民の間に喧々囂々として我々国会議員が力のないために置き去りになつているようなことを言い触らし、或いは又地方の熱意が足りないために後廻しになるというようなことに考えておる。かようなことは熱意があるも何もない、実際その交通機関の整備の上から、又その破壊された原因のことから考えて、戰災都市を真先に復興して行くということが当然の事と考えるが、政府においてどうお考えになつてつていらつしやるのですか。先ず以てそれから伺つて見たいと思つております。
  17. 立花二郎

    説明員(立花二郎君) 国有鉄道の施設局長の立花であります。只今お話でございますが、全体といたしまして日本国有鉄道の停車場本屋の建築が遅れておりまして、これは甚だ申訳ないと存じております。ただこの問題につきましては、二つの大きな問題がございます。第一の問題は、戰災都市におきまして今後は非常にいい建築をしたい、建設をしたいという意味で非常に大きい都市計画を立てられまして、それでその都市計画に応じまして着々と都市計画事業は進みまして、これは非常に大変な国庫の補助がありましたものですから、非常に各地とも進んでおります。それで元の停車場の位置は適しない、ですからこれを動かさなければならんとか、或いは停車場の前の広場が非常に小さいからこれを大きくしなければならんそいう問題が沢山起つております。これに対しまして、国有鉄道は昔からの習慣でございまして地方とそれから国有鉄道は折半負担するということになつておりまして、或る程度国有鉄道が負担してお金を出して、そうしてそういう都市計画に呼応するところの鉄道の用地とか、駅前広場の用地とか、或いは停車場を移転するとかいう問題に金を出さなければいかんのは、現在すでにほぼ地方と協議済みの部分だけでも四十五億円くらいあります。これは実は今日のような独立採算になりました国有鉄道といたしましては非常に負担でございまして、停車場を移転いたしましても別段收益にならないので、非常に收入割合余力のあるときならばいいのでございますが、現在のように非常に高い金を借りまして工事をしておる場合は非常に辛いわけであけます。ですけれども、やらなければいかんという場合は終戰後約五億円くらい、こういうものに対してお金を分担して地方の都市計画に応ずるところの停車場本屋の建設ということはやつて来たのでございます。ただ非常に莫大なまだ仕事があるので、どうも国鉄だけではやり切れない、何とかして公共事業費のようなものを国家から出して頂いてやりたいのだという希望が今我々として強いのであります。それから第二の問題は、戰災を受けました後、一応とにかく鉄道の営業に差支えないだけの復興はしたわけなんであります。駅の本屋の復興はしました。併しながら当時非常に資材も足りないし、又緊急を要するものでありますから、都市の美化とか、そういうことは先ず二の次ぎにいたしまして差当り何はともあれ鉄道の営業ができるようにする復興をしたわけであります。その後段々旅客も殖えましたし、要求も殖えましたので、多少はこれを改造して来ましたが、非常に貧弱なところが多いわけであります。これに対しまして地方としては地方の復興も非常に進み、従つて鉄道の本屋の建物は丁度目抜きの位置になりますから、今みたいな貧弱なものでは困る、どうしてもこれを鉄筋コンクリートの三階建にしろ、四階建の立派なものを作れという御要求が多いのであります。その要求を皆満足するとすると、その建築費だけでもちよつと八十億くらいのものを現在出さなければならん、こういうような状態になつております。それで先程申しました都市計画にのみよるいわゆる四十五億ばかりの費用と、それから駅本屋そのものを大きくするという八十億ばかりの要求と、この二つが重荷になつでおるわけであります。それで駅本屋を大きくいたしますと、これは特に都市でありますと、そこにいろいろな鉄道以外のサービス的なもの商業活動的なものを入れまして相当收益を挙げ得るのでございますから、これは何とか鉄道が今財政的に余裕がなくてできないといつて放置するわけに行かんから、又地元からも非常に協力したいという御意思がございますから、何とかここに会社でも作つて、そうして停車場本屋をどんどん作つて行くというようなやり方をいたしたい。これが米国の例でございますと、非常に停車場の構内には沢山そういうような会社組織の機関がございまして、停車場の本屋で商売をさせて、それで收支を補うようなやり方、或いは貨物品の大きな倉庫を作りまして、それで收支を補つて行くというやり方、いろいろあるのでございまして、日本国有鉄道も昨年からいわゆる法人になりましたのですから、そういう活動もすべきであるというような声が強いのでございます。私共としましては、後の方の八十億も要るようないろいろ本屋とか貨物施設とかいうものにつきましては、何とかそういう会社組織を作つてやるようなことを進めたいといろいろ研究中でございます。但し現在の日本の経済情勢からいたしますれば、国有鉄道は幾分でも投資しなければなかなかこういう会社はできないのであります。そんな関係から日本国有鉄道として或る程度投資ができるようにしたいというので研究しておるのでございますが、現在の日本国有鉄道法の嚴重な解釈によりますと、国有鉄道自体に工事予算がありまして、やろうといたしましても投資はむずかしいのではないか、日本国有鉄道法の修正をお願いしなければならんのではないかということを現在研究中でございます。現実の問題といたしまして、私共としましては都市計画に関するような四十五億に対しましては、なかなか今收支状態が十分でございませんから、何とかして公共事業費のようなものを国鉄に出して頂きまして、これはどういう形式で出して頂きますかいろいろ問題があると思いますが、とにかく出して頂きましてそういうものを成るべく五ケ年なら五ケ年以内で片附ける一方、本屋につきましては国鉄が出資できるというような形にいたしまして、国鉄が出資いたしますれば、その借入金とか、地元資金とかによつて、出資した額の五倍ぐらいのものはできるのでありますから、非常に建設は促進されます。まあそういうふうなことはやりたいというのが今の考え方なのであります。それと現実の問題として、差当り先程お話がありました北陸の三都市の問題でありますが、お説のように、富山、金沢、福井三駅が問題になつております。それで先程金沢は或る程度やる、福井も或る程度やるように聞くが、富山は何故やらないのだというお話でごさいましたが、この間の事情ちよつと申上げてみたいと思います。金沢につきましては、これはもはや建物は六十年以上になつておると思いますが、戰前にも地元で一部金を寄附されたのであります。その当時の金でありますから僅か十五万円ぐらいだと思いますが、それで改築して契れというお話がございましたので、鉄道もそれの半分を出しましてやることになつておりました。ところが戰争中に始めましたものですから、とてもそれはできないというので、それで寄附して頂いたお金をお返ししたことがあるのであります。そういう経緯があります。それで今回たまたま金沢に鉄道局ができまして、鉄道局の庁舎そのものが非常に貧弱なのであります。それで鉄道局にも相当金がかかるし、本屋もそういうようなわけで非常に貧弱なん、だから、併せて本屋の改築と鉄道局を一緒にしまして、そこで四階建ぐらいの鉄筋コンクリートのビルデイングを作りたいと、こういうお話で非常に地元の県及び市で熱心なのでありまして、鉄道予算の出る範囲内の約六千万円ぐらいで、これは県と市で負担して、そうして四階建のものを作りたい。それで一階の半分は駅で使いまして、駅とそれから多少商業的な活動を許すわけなのでありますが、二階の部分は大体全部商業的なものに使うようになつております。三階、四階を庁舎にしよう。それで一億五千万円ばかりかかりますが、地元で六千万円分を出しまして、後を国鉄が駅と庁舎の分を出しまして、そこでまあ来年から二ケ年ぐらいでやりたい。これはまだ議会の協賛を経ておりませんから、我々としては希望だけ申上げるわけでありますが、そういうふうな予定になつております。ですから来年はまあその半分をやろう。それから福井につきましては、例の永平寺の七ケ年の祝いが再来年の春にある。それまでに何とかしたいという地元の非常な御希望がございます。それでこれは何ともまだ決定していないわけでございますが、私共といたしましては、都市計画によりまして駅前広場が別な位置に相当移つたのでございます。それに対しての設備は殆んどできまして、鉄道がこれに呼応しなければならんという状態にございます。たまたま永平寺の七ケ年祭でございますか、それに対しては地元でもこの際相当お金をお出しになるというようなお話でございますから、できれば先程申しましたような、鉄道が出資して会社を作つて、そうして本屋を作るというやり方によつて解決できないものだろうかということを現在研究中でございます。富山につきましては、同様にやはり鉄道が出資するような会社でも作らなければこれはできないのでございますが、まだ具体的にどういう例えば設計のごときも三階建にするか四階建にするか、それから地元はどのくらい負担される気持であるかということは、まだ他の二駅程確実になつておらないのであります。そんな関係から多少後廻りになるのじやないか、それも鉄道にお金が幾らでもあれば別でございますが、来年度の予算も今年とほぼ同様でございまして、余り余裕もございませんので、三つ一遍にやるのは非常に重荷だ、そうすると差当つて必要なところから順次片付けて行きたい、僅か一年ぐらいの差でございますから、その辺は御勘弁願いたいとかように思つているわけであります。
  18. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 一応御説明承わりました。又運輸省における構想は非常にそれは結構なお話で、できたら株式会社でも作つて、そういうのにどんどん作らして行く。諸外国の先進国においては停車場というものは非常に雄大な建築をされて結構なものになつて来ているのを一々目撃して来ている。日本は停車場そのものがすでに貧弱なものである。これをやられるについていろいろのやり方をお考えになつていることは私共は非常に敬意を表する次第でありますが、只今の実例にとられましたことは、実は私共富山の停車場の改築について協議に與つている一人であるが、決してそんなに怠慢はしていない。むしろ当局を鞭撻している位置にいる。聞くところによれば福井、金沢、富山及び倶利伽羅トンネルの改築が皆それぞれ話題に上つている際である。その際において今お話しのようなことは、当局の方の便宜の解釈でそうやつて行かれる。私が今申すのは戰災都市に関する復興は何を描いてもしてやるべきものである。これは私共のかねてからの主張である。国家のやつた間違つた戰争のために焼けてしまつたのだから、それは復興してやるのは当然の話で、永平寺の祭りがどうだとかいうことのためにどうとかして行くべきものでない。私共が考えるところによれば、成る程金沢は寄附金があつたかも知れない。こういうふうにやはりあなた方の動きを見ましても、地方の熱意が足りないというふうに言うけれども、熱意が足らないも何もない、それは商工業の程度から申しましても、この三県のうち富山というのは図抜けて発達している。これはあなた方お考えになれば直ぐ分る。電力の消費量におきましても工場生産物におきましても、これはもう二県の総額というよりももつと大きい、そういう所でありますから、停車場改築等についても地元及び県民にしても非常に関心を持ちまして是非完成したいのだ、こういうふうに非常に熱意があるのに、当局では非常に熱意が欠けておる。他方どんなわけか、何か願書の出し方が違う、遅れたとかなんとか、新聞紙上によりますと、これは本月の十二日に発行された地方の新聞でありまするが、全く熱意が足らんで後廻しになつたというようなことでありますが、そういう点については、今申しました国家的見地から一つ考え下さつて、国有鉄道の使命というものはただ地方が叫んだからそちらの方になつた。黙つてつたから等閑に付するというようなことが決してないようにして頂がないと、そこはまあ賢明なる当局の御裁量によつて公平にやつて頂く、又そうしなければならんと私はかように考えるのであります。それでもう一応その点について協議をせられる余地があるならば、僅か一年とおつしやるけれども、この頃の一年というものは非常なものであつて、普通の一年の計算にはできない。日本は今講和條約を結ぶか結ばぬか、自立して行くかして行かないか、この境目の大事なときである。こういう場合において一年は後廻しにしてもよかろうというようなことになると、地方のものはそれは困つてしまうわけである。かように考えるわけであります。で、その資金の足りないところ、或いは又土地の足りないところがあるならば、それに応ずるだけの用意は地方でいたしておると私は考えておる。ただこの場合にお願いしたいことがあるのですが、第一に我々は戰災復興ということを取上げてやらんというと、戰災のために破壊されたものは破壊され損というようなことに地方のものはとにかく考える。その影響するところ民心にすこぶる大なる関係があるとかように考える。どうぞその点を一応更にお考え下さる余地があるのかないのか、所見を承わつて置きたいと思う。
  19. 立花二郎

    説明員(立花二郎君) よくお話了解いたしました。私共といたしましても賦役をやろうというような考え方はないのでございまして、本来から言えば国有鉄道の経営がもう少しうまくなりますれば、国有鉄道が全部出してやるのが一番いいやり方なんでございます。たまたま現在非常に財政状況が惡いようでございますから、地方の方に大分御迷惑をかけて、御心配をかけたりするわけで甚だ申訳けない次第でございますが、私共といたしましては、将来五年ぐらい経てば又昔のような時代に戻し得るのじやないかという希望を持つてつておるわけでございますが、差当つてつておれないので、早くやれという御希望が強いのでございます。それで地方の停車場を作ります場合に二、三の例がございますが、いざとなりますとなかなかむずかしいのでございます。これは簡單になかなか参りません。その経験からしまして、どうしても国有鉄道が資金の少くとも半分ぐらい出資しなければなかなかそういうことはできないのだということがこの五年間の経験でよく分つたわけでございます。それで今度こそ国会にお願いして日本国有鉄道法を改正してやつて行きたいという結論をやつと付けたような次第でございます。それで福井と申しましたが、これはコンクリートに決つたわけではないのでございます。それでたまたま多少早く現実的に持つて行けるような方針だということを申上げたのでございまして、富山について私共は決して怠慢であるわけではないのでございますが、お説のこともよく分りましたので、できるだけの努力をいたしたいと存じます。
  20. 久松定武

    ○久松定武君 ちよつとそれに関連して、今の停車場のことに関連いたしましてちよつと質問したいのでありますが、立花局長は曾て四国の局長もしておられましたのでよく御承知のことと思います。私の郷里は松山市でございますが、戰災都市で、御承知通りに都市というものの九割以上というものが戰災を蒙つてしまつた。その後都市計画におきましては非常な熱意を以ちまして、国会の当初におきましても、その建設委員会におきましても、建設省から都市計画としては全国に稀な、代表的な都市計画のできた町である。市であるということを褒められたのでございますが、御承知のように今の松山の停車場というものは実にその当時の焼けたままの姿で、やつとバラツクでできておる。そうして今地元におきましても相当熱心にこれの復旧を図るようにしておるのでございますが、聞くところによると、本年度予算も殖えるというように聞いておりますし、松山市といたしましても相当多額の費用を出し合つて協力してやりたいという気持を持つておるのでございますが、本年度は確かに予算に組まれたのでございますか。その点を一つ
  21. 立花二郎

    説明員(立花二郎君) 四国につきましては、戰災都市で本屋が完全にできましたのは今治だけでございます。それで本年度に徳島と松山と宇和島と三都市がどうしてもやりたい。地元も負担してやりたいというお話でございまして、予算は各盛りましたのです。ところが先程申しましたようにいざ実行となりますと、なかなか以てそんな貧弱な駅ではいかん。それじや鉄道の予算が足りませんからもつと出されますかというと、ともかくそう土地も出せんというようなので、なかなか話がまとまりませんのです。それで徳島は一応話ができまして、将来の話の半分だけ造ろうじやないかというので、現在工事中でございます。宇和島は元々小さくてよろしいというので話ができまして、これもやつております。ところが松山につきましては、何分にもあすこは駅前も大きうございますし、大きな都市でございますから、なかなかこちらの案では御満足が行かんのでございますな。そんな関係からして未だに折衝を続けておりまして話が決まつておりません。これもそこまで話が来ておりますから、今年度はできませんけれども、来年度あたり解決できるだろうと私共は見ております。
  22. 赤木正雄

    ○理事(赤木正雄君) では停車場の問題はこれで打切ります。  次に厚生住宅建設その他の件について……久松さん如何ですか。
  23. 久松定武

    ○久松定武君 先般島津委員よりも問題になつたのでございますが、生活困窮者の住宅につきまして、厚生省方面とそれから尚建設省の方の住宅局におきましての御計画につきまして、私は質問したいのであります。  この資料を見ますと、昭和二十五年度の三月十五日現在におきますと、各都道府県の調査したところによりますと、困窮者でもつて家がないために、学校、公会堂、神社仏閣、それから国立病院、隔離病舎等の公共施設や、或いは今以て壕舎生活をしておるというようなそういう方々が全国で十八万人以上で、その他間借をしておる外、一応の同居の形をとつておられるような困窮者が尚三十四万からある。厚生省におきましてはこれに対して先々六万戸以上の家を建てたい。本年度におきましては一万戸建てたいというようなことを聞いておるのでございますが、昨今の新聞にもこの問題につきまして論議されておる。特に厚生省と建設省においてそこに何らか問題があるように非難しておる新聞もあるようでございますが、とにかく今の日本といたしましては、一番大きな問題は居住の問題である。この住宅がないというために非常な問題を起しておるのでありますが、殊に生活の困窮者に対する住宅というものはどうしても早急に建てなければならないものだと私共は考えますが、どうぞ一つこの点につきまして、或いは同胞引揚の委員会におきましても問題になつた。又建設省の問題につきましてもこの当建設委員会において前々から問題になつておることでありますが、これを如何にして実行するか、又その方針をどうするかということを私は建設省とそれから厚生省の当該係の方にお伺いしたいと存じます。
  24. 越田得男

    説明員(越田得男君) 御質問に対しましてお答えをいたします。  久松委員から御指摘になりましたように、住宅に非常に困窮しておるものが主として学校とか公会堂のような普通には住宅として考えられないもののところに仮住いをしておるものが十八万であり、その外に極めて窮屈な間借をしておるものが三十四万ある。合せて五十万に達する極めて住宅の困窮度の強い人々がありまして、他方今日の住宅政策を考えますと、先程からお話も出ておりました住宅金融公庫或いは同じく現在行われております庶民住宅というようなものがあるのでありますが、これらの約五十万になります住宅困窮者の実情を調べますと、これらの住宅金融公庫にいたしましても、又庶民住宅にいたしましても、前者については頭金敷地の問題についてその負担に堪えられないということ、後者につきましては月六百円乃至千二百円程度に達する家賃の負担に堪えられないということ、これらの事情によりまして折角の現行の住宅保護政策の恩典に浴し得ない人々のあるということが判明いたしておるのであります。ここにおいて厚生省といたしましては、これらの人々に対する住宅難の解決は、現存行なわれております住宅金融公庫や庶民住宅よりも更に社会政策的な見地を加えました、いわば住宅社会事業とでもいうべき低家賃住宅を提供するにあらざれば、これを解決し得ないということが結論となつて来たのであります。ここにおきまして、いろいろ調査をいたしました結果、厚生省において取扱つております生活保護法の該当者で住宅に困難するものに対しましては、三百円程度の家賃の補給ができるということになつておりますこと、或いはC・P・Sの調査等を参酌いなしまして、大体三百円程度の家賃で借りられる家ならばこれらの人々の利用の途があると考えまして、この程度の家賃住宅をこれらの人々に提供することにいたしたい。同時にこの住宅たるや生活保護法の該当者も勿論入りますし、それから生活保護法の該当者に当らない人々でも、その該当者に転落する一歩手前、我々はこれをボーダー・ライン階層と称しております。これらの人々もその中に入ります。いわば生活困窮者の広い層を包含した住宅対策でありますから、この入居者を決めます際、或いは入居者を決める基準を定めます際に、これらの生活困窮者の事情を審かに知悉しております府県並びに市町村当局におきまして、更に辞しく申しますると、これらの地方公共団体の手足となつておりますところの民生委員或いは社会福祉司といつた人々を動員いたしまして、先ず正確な実態調査を行い、而もその在宅困窮の事情もいろいろありますから、それらの事情を審かに調べまして、でき得ればこれらの住宅困窮者のリストを作成しまして、これらの実態に即応した入居者の基準を定め、更にその基準に基いて実際の入居者を定めます際にも、この実態というものを十分に斟酌して決定する。それから一度この住宅に入りました後におきましても、何分住宅と申しまするものは、これらの生活困窮者の生活を向上せしめる重要な一要素ではありまするけれども、併しながらその全部ではありません。住宅政策を行うと同時に、その生活全般に亘り指導を行うということが必要な要件でありますから、住宅に入つた後と雖もこれらの民生委員或いは社会福祉司といつた人々を動員いたしまして、その人々の生活の指導を行い、そして真にこの住宅政策の効果をば挙げたいというふうな考えをいたしたのであります。かような考えに立脚いたしまして、結論としてまとめ上げましたものが、最近新聞にも出ておりますところの低家賃住宅、これは正確に申しますると、今日の庶民住宅と難も低家賃住宅でありまして、我々はこれを厚生住宅と一応仮称を以て呼んでおりますが、この厚生住宅を立案し、これを実行しようとしております。その内容は大体今申上げましたようなものであります。尚これに関しまして、更に只今久松委員からもお話がございましたので一言申上げて置きますが、最近の新聞で建設省との間に何かこの政策に関して問題があるかのごときことが世上に伝えられておるということでありますが、元来この厚生住宅というものを厚生省が取上げた根拠と申しまするものは、厚生省社会局において国民生活の保護指導に関する事務を掌るという設置法の趣旨に沿うて考えられておるものであります。従つてたとえそれが住宅にいたしましても必ずしも建設省にのみ所管されるべきものではない。例えば生活保護法による住宅の給付が厚生省において所管されておるがごときはその一例なのであります。併しながら建設省におかれましては住宅の問題をその主要な主管事項として扱つておられますし、更にこの厚生住宅と同じような目的をもつておるところの庶民住宅、或いは住宅金融公庫といつたものも現在扱つておられますから、我々厚生省の立場といたしましては、建設省とよく御相談して、更に厚生住宅と雖もこの庶民住宅なり住宅金融公庫と無関係に定めらるべきものではない。例えば庶民住宅が相当高度に建設されておる地域におきましては、当然この厚生住宅というものは別な地域に考えられなければならない。或いは又庶民住宅に一応入つておる人でも場合によつては厚生住宅に住み変える場合もある。即ちこれは一貫した政策でもありますし、さような関係から厚生省の立場といたしましては建設省とよく御相談して決めるべきものであると我々は考えておりますので、この点について建設省と御相談をいたしておるのであります。ところがこれに関する建設省考えは、特に厚生住宅というものを考えなくても、現在行われておる庶民住宅の一形態として只今申上げましたような厚生省の理念に即した住宅考えればその目的を達するではないか。尚その住宅入居者の基準を決めたり、或いはその年次計画を決めたりする場合には、十分両方が相談して決めれば問題はないではないかというお考えでありますので、我々もこれに対しては現在異議を唱えてはおりません。ただこの仕事たるや、先程来申上げたことでお分りになりまするように、つまり住宅社会事業、高度の住宅社会事業とも申すべき性格を持つておるのでありまして、従つてこれが取扱いについては單に住宅の数を増すというだけの考え方ではよくなし得ないのであります。これを実際に行うところのその組織にいたしましても、又入居者の選定、入居後の指導という面におきましても、いわゆる民生指導という理念を十分に盛らなければなし得ないところである。こういつた点について十分建設省の御認識を願いたいということを我々としては希望いたしておるのでありますが、これがたまたま世上いろいろな噂となつて飛んでいるのではないかと推測いたしておるのであります。
  25. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 本日住宅局の係官が参る筈でございましたが、参つておりませんので、私直接の担当者ではございませんが、この問題につきましてはときどき関係いたしておりますので、不十分かも存じませんが、私の存じておる範囲におきまして御説明申上げたいと存じます。  御承知通り建設省も厚生省も元は内務省から一つは早く分れ、後者は内務省解体後に分れたという関係でございまして、元は同じ系統の役人でやつておるわけでありまして、御承知通り厚生省ができました後の住宅行政、建築行政という問題は、内務省がいわゆる建築監督的な行政をやり、厚生省は福利事業の一環としまして戰争中労務者住宅が不足いたしました際に、この住宅政策というものを厚生省で取り上げたのでございます。実は私その当時厚生省の福利課の事務官をいたしておりまして、この住宅政策を取り上げた当時は私も関係いたしておりました。かように二つの部門に分ちまして建築行政、或いは住宅行政というものを分担いたしておつたわけでございますが、戰災復興院というものができます際に、厚生省にありました住宅政策というものが戰災復興院に一本になりまして、それが建設省にそのまま引継がれて来ておるわけでございます。そういう事情から申しまして、住宅政策というものは建設省一本でやつて行くのが私は行政の本筋と考えておるのでございます。これに対しまして厚生省の方から厚生対策の社会政策の一環としてこれを取り上ぐべきだという御意見が出て参つたのでございます。その点につきまして、只今厚生省の係官から縷々お話があつたのでございますが、住宅政策というものは厚生省でやつたら社会政策的に運営され、建設省でやつたら社会政策的に運営されないといつたような性質のものではないと存ずるのでございます。建設省という看板はございますが、建設省はただ家を建てるだけを本旨とするものでは決してございません。家を建てる際には社会一般の需要というものを考えまして、国民の需要に合うような家を建て、それを供給するということを本旨といたさなければならんと考えるのであります。ただ厚生省から要求されております理由といたしまして、現在の庶民住宅家賃が高い、こういう意見があるのでございますが、これは一般中産階級という面の方におきましては、勿論家賃は安いに越したことはございませんが、建設費等の償却等を考えますと、相当高い家賃にならざるを得ないのでありまして、こういう住宅でございますと、先程お話のありましたようなボーダー・ラインの人ではとても家賃の負担が重荷で入りきらないということもあろうかと考えております。問題は如何にして低家賃住宅を建てるか、こういう問題でございます。低家賃住宅住宅の質を落し、建坪を、落せばできるわけでございます。又もう一つは国なり府県なりの負担分を多くすればこれはできるわけでございます。で、現在建てております庶民住宅と同じような建坪で建てるとしますと、府県の負担を減らすとか、或いは償還を延ばすとか、或いは府県の負担しております費用の利子を安くするとか、こういうふうな方法がございますが、住宅を全額国費で出すということについては、関係があります財務関係の役所としてはなかなか承知いたして呉れません。そういたしますと、残る問題は建物の質を惡くするという問題と、それから府県の負担分を増すとこういうふうな問題になつて参るのでございます。質を落します問題につきましては、先程も外の問題につきまして田中委員からお話がありましたように、建てる際は住宅は非常に綺麗でよろしうございますが、余り貧弱な安物の木造等を建てますと、数年経たずしてとれが非常に改良を要するような住宅になるわけでございます。そういうものは建てるべきではございません。又坪数を減らすということになりますと、これもやはり健全にして文化的な住宅という線から外れる虞れもあるわけでございます。建設省といたしまして苦慮いたします点は、先程申しましたように将来の耐久力等を考えながら、如何にして坪数を小さくしてそうして一般のボーダー・ライン程度の方にも負担に堪え得るような建物を供給するかという問題でございます。これらの点につきましては、来年度におきましても十分考慮いたしまして、厚生省が必要とせられるような住宅につきましては、提供できますように只今考究をいたしている次第でございます。尚御承知通りこの住宅を本省の中央の所管が建設省でありましようと、厚生省でありましようと、補助の対象となります府県は同一の府県でございますので、府県の内部におきまして、これを建築部或いは建築課で最後の仕事まで、最後の仕事と申しますのは、入居者の選定までやるか、或いは建築部、建築課はこれを建設するという分だけを担当いたしまして、入居者の選定につきましては、或いは民生部の方に任せるか、こういう問題は府県が決める問題でございますので、その点は中央としては深く入らなくてもいい問題かと考えております。ただいつかこの席で住宅局の方から御説明がありましたように、現在の庶民住宅にいたしましても、海外引揚者が二七%、戰災者が四七%というふうに引揚者なり戰災者なりに十分考慮をしながら入居者を選定している事情でございますので、府県によりましては、入居者の選定につきましては、社会事業担当の部課においても十分関與し、又意見を述べて選定せられるものと私共は了解いたしているのでございます。尚一つ住宅政策を省を多く分けて担当いたしますのには、その担当の技術官の数も殖やさなければならんということになりますし、一つの仕事を余り多くの役所で分担していたしますよりも、一つの省でまとめてやる、但し他の省のそれぞれの要望につきましては、担当省が十分考慮してやつて行きさえすれば、そういう摩擦がなくて済むのじやないかというふうに考えておりますので、私共の方の立場といたしましては、厚生省の要望を十分取り入れながら住宅政策をやつて参りたい。こういうことで住宅を建てるということについては、飽くまでも建設省で公共事業費の枠の中でやつて行きたい、かように考えている次第でございます。
  26. 久松定武

    ○久松定武君 私細かいことは申上げませんけれども、一、二の例を以て申上げたいと思います。只今課長お話で、坪数を減らすといわゆる生活の問題でいろいろ難点もある、ところが私自身は建設委員もやつておりますが、建設省のこともよく知つております。同時に自分は郷里の方におきまして厚生省の方の指導によりまして、今民生委員と、それから社会福祉の方の団体一つになりまして社会事業団体になつておりますが、それらの事業の会長をして、庶民住宅についても可なり関心を持つてできるだけのことはやつているものでありまするが、住宅の坪数を減らしたが、却つて結果はよくなつた例もあるのです。これは曾て長浜の大火で漁村が非常に焼けてしまつた。そのときに建設省の方の御援助で庶民住宅の枠を頂きまして、十坪のところを七坪半で作つた、その結果は收容力も非常にあつて、そうして今以て非常に却つて前よりも生活が向上したというような例があります。これは特別の例かも知れませんけれども、そういうことはいろいろあるのですが、ただ私共の見地からいたしますと、この住宅の問題については建設省はそういう御意見を持つておられる、又厚生省としては社会事業の関係から、社会政策上の見地から、又できるだけ非常に安い家賃住宅を作りたいという御希望がおありになるようでありまするが、今までこういういわゆる困窮者のため、その他の結局生活の非常に困難な方々のために建てられる住宅としては、建設行政は建設省にあるけれども、この住宅については厚生省と建設省とが協議をされたことはたびたびあるのでありますか。その点をちよつと伺いたいと思います。
  27. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 只今の最後の厚生省と建設省が協議したかという問題でありますが、私はこの問題が起りましてから、実は官房の課長としまして厚生省の関係課長あたりと折衝いたしました経験しか持合せておりませんので、従来その門にどの程度交渉がありましたかということは私承知いたしませんので、別の機会に御答弁申上げたいと思います。  尚坪数の問題でございますが、お話のようなことも、私住宅行政につきましてはまだ素人でございますが、そういうこともあろうかと思います。問題は折角国費の補助を受け、又県も半額出資、出資といいますか、投資いたしましてできましたものが、耐久性がなくて、数年にして非常に粗惡だという印象を與えるなり、或いは早く腐朽してしまうようなものでは困るのでございまして、問題は住宅建設の方の專門家の目から見まして、見かけと申しますか、居住條件がそう惡くなくて、耐久力があつて、而も安い家ができればいいわけでございまして、私共といたしましても、是非そういう家を作りまして、厚生省の要望に応えるようにということを強く主張いたしております。その線によりますと、厚生省がお考えになつておると同様の家が同じような條件の、家賃等の條件も同じようなものが建つものと考えております。ただもう少し深く入つて申上げますと、実はこういうこともあるのでございます。厚生省の系統でやれば実は府県の負担分が多くたる、従つて安くたる、こういうふうなこともこれは厚生省の方の意見かどうか存じませんが、そういうことも聞いたのでございます。同じ住宅建設でございますから、建設費それ自体が、建設省系統であろうと厚生省系統であろうと、これは変る筈はないのでございまして、府県の負担分の工合によりましては、或いは安くなろうということもあり得ると考えるのでございますが、この点は私は建築部の所管でありましようと、民生部の所管でありましようと、同じ県が支出する金でございますから、それは変りはないのではないか、ただ低額の小住宅を提供するという線から申しまして、府県府内におきまして建築部と民生部とが十分協調して行かなければこの仕事はできないことを私は十分承知いたしまして、その点におきまして、府県庁の関係部課内の連絡というものは十分図つて参らなければならん、かように考えているわけでございます。
  28. 久松定武

    ○久松定武君 厚生省の方に伺いますが、今この建設省の方のお答えですと、担当官が参つてないので、その会議があつたかどうか分らない、回答ができないというお話でありましたが、厚生省の方では曾て建設省と協議なさつたことがありますか。
  29. 越田得男

    説明員(越田得男君) 住宅問題の過去の歴史につきましては、只今建設省お話がございましたようなわけでありまして、その後は今日の厚生住宅の問題が起きますまでは、別にそういう正式のお話を申上げたことはないと私記憶いたしております。
  30. 久松定武

    ○久松定武君 そういたしますと、これはよく御報告を得ないと分らない問題でありますけれども、私といたしましては、同じ生活の困窮者のために建てる家の問題でありますから、同じ用途に使われるのである。それをただセクシヨナリズムで行くということは非常な問題だと私は思うのです。そこに一つのやはりいろいろの軋轢があるということは、私として非常に案ずるわけでありますから、現在非常にスムースにその問題が進んでおれば問題はありませんが、将来のこともありまするから、私はこういう住宅問題は厚生省、建設省、或いは農林省関係も開拓団の問題があります。こういうものは、私同じ用途に使われるものはやはり三省が協議されて、而もその建設行政の主体は建設省であり、そうして又今後近いうちに出るところの建築基準法、これによつてそこの足りないところは又監督されるというのが一つの行き先の途であるのではないかと思うのでありますが、どうぞ一つこれはいろいろの問題におきましてやはりややこしい問題が起ることもないとは言えませんから、どうぞ将来のために、今後はできるだけ各省がそういうふうに同一の問題である場合には協議されるように私は希望いたします。
  31. 田中一

    田中一君 最近建設省における工事の入札なんですが、非常に予算超過の面が沢山ある。同時に建設省ばかりでなく、各省からの工事の入札というものがすべて予算超過になつておる。二回、三回、四回やつても決まらない。成るべく逃げたいというような業者が沢山あるのです。最近の政府が盛つておる予算というものは今日妥当なる予算であるかどうか。又妥当とお考えになつて出している金であるかどうか、先ず第一にこれを伺いたいと思います。
  32. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 只今田中委員お話がありましたことを、私共としても相当憂えているものでございまして、二十五年度の公共事業費の予算は昨年の秋頃から積算をいたしまして決定いたしたものでございまして、社会経済状態が二十五年度の当初と同じ状態が続くということでございますれば、このままで十分執行できる自信もあつたのでございます。朝鮮事変以後の若干の物価の変動によりまして、物によりましては実行が当初の予定した通りには完全に参らないゆえんもあろうかと考えております。
  33. 田中一

    田中一君 鉄道では今日公入札制をとつておりますが、そうして約一割の予算を余したという事実があるのでございますが、その金がどういうふうに使われておるのか、これは私存じませんけれども、建設省並びに外の官庁では指名入札制をとつておる。役所の方で任意に役所の意思によつて五名なら五名、十名なら十名の業者を指定する。そうして競争入札という方式をとつております。この際業者はそれに参加したくない。それは前例があつて何遍も安い予算を以て叩かれるものだから到底堪えられん。ですからその指名入札に入札したくないという意思があつても、そういうことをすると次の段階においてお前は我々の仕事に協力せんから指名せんというような武器があるために止むを得ず参加する、そうして二回、三回、四回と入札してもいつも決らない。最後にはその中の最低なものに随意契約を以て普通の随意な契約をする、こういうようなことが行なわれるのですが、公入札の場合にはそういうことはありませんでしようが、指名入札の場合にはそういう一つの伝家の宝刀を役所が持つておりますから、非常に困つているんです。これは会計課長よく御存じと思いますが、この損失のしわ寄せはどこに行くか、これは全部労務者にかかるんです。請負人が潰れることによつて材料を通じて、材料を造るところの労働者、現場における労務者に直接にかかつて来る、こういうふうな段階がありまして、このまま放置することは大きな社会問題になり、殊にレツド・パージ以来共産党員がこの無組織な土建建設労働者に混つてアラク活動をやつている現状から見ても、無組織な建設労働者の中にはそういう生活不安なり社会不安を起していることは役所も非常に考えなければならんことじやないかと思う。この際若しも事実二割か三割高いという役所の方の予算と実際の時価とが差違があるということがはつきりお分りになつたならば、一つ省議をお聞きになつて、或いは大蔵省等にも折衝しまして、工事をこの面で中止しましても、現在行なつておるところのいろいろの工事の損失のないように、妥当なる工事費の総額を出されることこそ今日の社会情勢、殊にGHQの労働課長エーミス氏の勧告にあつたような共産党員がいつも入り込むところは無組織な建設労働者の中なんで、それにそういう生活不安、社会不安を及ぼすというような施設はなさないようにこの際十分に御考慮願つて、この臨時国会を開かれました上には、いずれそういうことについても明るい御回答を願いたいと、こういう希望をして置きます。
  34. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 分りました。
  35. 赤木正雄

    ○理事(赤木正雄君) 別に御質問ございませんね。……ではこれを以て委員会を閉じます。    午後零時二十七分散会  出席者は左の通り。    理事      赤木 正雄君    委員            石坂 豊一君            石川 榮一君            島津 忠彦君            江田 三郎君            田中  一君            久松 定武君   説明員    建設省大臣官房    会計課長    植田 俊雄君    住宅金融公庫総    裁       鈴木 敬一君    厚生省社会局生    活課      越田 得男君    日本国有鉄道施    設局長     立花 二郎君