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説明員(前田光嘉君) 公庫の概況は御指摘の
通りでございまして、折角非常に期待をかけましてできた、公庫も実績によりますと、なかなか利用しがたいという批評が多いのでございます。いろいろ
お話のよう隘路を検討いたして見ますと、先ず第一に公庫の貸付の
條件が
相当高い。家がなくて困
つている人はいわゆるお金持ではございません。
一般の庶民でございます。庶民にと
つてこの公庫の
條件では
相当きついのでございます。具体的に申しますと
一つは二割五分の自己負担、頭金がなかなか調達困難であります。普通の木造の十五坪の家を造りましても大体七、八万円、雑費を合せますと十万円くらいは準備しておきませんと十五坪の家はできないのであります。これが第一点。それからその次は利率でございます。五分五厘という利率は法案御
審議を願
つたときにも御説明いたしましたけれども、
一般の金利から見ますと
相当安いのでございますけれども、これが償還金の中へ加わ
つて来まして、庶民が毎月償還して行くということを
考えますと
相当高くなります。
一般の庶民の所得水準と申しますか、サラリーマンと申しますと、賃金の水準が上りませんとなかなか月々三千、二千というふうなことは非常に償還困難であります。そのために家を建てるために借りたいけれども償還がむずかしいからまあ控えておこう、こういう点がございます。同時に償還金につきましては、利率の次に期間の点でございます。十五年若しくは二十年というふうな
條件でや
つておりますけれども、ただこれだけの
條件ではやはり月負担が二千円前後に
なつて来ますので、これでは毎月の負担に困るということでございます。それからもう
一つの問題は公庫の手続が意外に煩瑣であるということであります。この点につきましては折角銀行に申入れたところが非常に申込書が複雑怪奇である。或いは役所に設計を頼んだところが非常に面倒なことを言うというようなことでありまして、家に困
つている人というものは余り役所とか銀行とかいうところへ始終行
つている人ではない。それが行
つて見ると、非常に面倒なことを要求されるので困るという方々の批評が
相当ございます。それからもう
一つは公庫の要求する
建設基準と申しますか、家の基準が
相当嚴格である。簡單にバラックのような家を造ろうと思
つたところが、或いは簡易耐火構造でなければいけないという嚴重な基準があるということで、簡單に家を造ろうと思
つていたところがなかなかむずかしい。大体大まかに申しまして、そういうような点が今まで公庫を利用したという側の要望なり、或いは批評でございます。それにつきまして現在
考えておりますところは、この第一の問題の頭金、これは実は法律に規定がございまして、二割五分は自己
資金、七割五分は貸付ける。こういうふうに法で定めておるのでありますので、これは法律の改正を要します。併しこの点は実は公庫法を御
審議になります際にすでに参議院のこの
委員会においてもいろいろ御
意見を拝聽いたしましたが、いろいろ御
承知のように
関係方面の
意向もございまして、こうなりまして、その後折衝を続けております。この点につきましては幸い我々もいろいろ話をし、
日本の
一般の在宅に困
つておる人の実情も大分わか
つて来ましたので、或いは近くこの点は二割五分を一割五分前後に下げてもいいというふうな了解が得られるのじやないかという
見通しを持
つております。これは外国の例を調べて見ますと、
相当緩いのでございます。一割或いは全然、全部貸すという礼もあ
つたのでありまして、二割五分を要求するというのは余りございません。そういう点をいろいろ話をいたしまして、大体この点はできれば、了解さえ得れば最も近い機会に御
審議を願
つて一般の要望に応えたいと思
つております。それから次の利率と年限の問題は、これはなかなか
意見が強うございまして、五分五厘という利子は現在最も安い利子で、これを下げるということは非常にむずかしいというので、ちよつとこの点につきましては
見通しはついておりません。実はこれは法律にございますので、法律を改正しない限り何ともなりませんが、法律の改正案を提出するには尚時日を要し、いろいろ研究しませんと簡單にはできませんので、非常に努力はいたしますけれども、今のところその
見通しはございません。それから手続の問題は、これは公庫の法律に
関係ございません。公庫自体のいろいろの事務の点でございます。先ず考慮頂きたいのは不動産金融でございますので、やはり登記とか公正証書とかいろいろなものによ
つて、簡單に金を貸借りするということではなくて、将来十五年なり、三十年続けてその間に返すということもありますので、ちよつと素人が
考える以上に、止むを得ず担保金融である
関係上要求する点もございますが、併しそれ以外の点で、いわゆる役人や銀行員が余計なことを要求してやるということは、これはいけませんので、即座にいろいろ研究いたしまして、目下研究しながら工夫はいたしております。初め銀行が初めて業務を開始したときには、銀行に対する
相当な批判がございましたが、最近はそのほうが一応済んた
関係もありますが、
一般に周知徹底いたしまして、よく聞けばわかるということで、むしろ最近は銀行に対する非難ではなくて、今度新しい問題は設計審査に対する非常な
意見が出て参りました。ところがこの設計審査につきましては、公庫自体の手続と同時に
一般の建築に関する法規も一緒に扱
つておりますのでその
関係のいろいろ手続の面倒ということがダブ
つて来ております。例えばこの場所へ作
つてはいかんということを公庫で要求しなくても、
一般の
都市計画法とか、市街地建築物法とか、こういうような法規でこの場所へ作
つてはいけないということが出ます。この公庫の場合に
一般のも扱
つておりますので、公庫の建築は甚だむずかしいということに
なつておりますので、公庫の側といたしましてはそういう場合もありますけれども、併し公庫の側としていろいろ設計につきましても細かいことを言う、或いは金を支拂う場合には二回も三回もその場所に行くようなことをしないと、金を出せないという点もございますので、これも現在進行中でございますので、極力研究いたしまして、もつと気持よく、スムーズに金が行くようにし、
仕事がルーズに行かない限りそれ以外の点はすべて借入
希望者の御便宜に副うように毎日研究いたしております。その次の
建設基準の点につきましては、当初案を作りましたときに、公庫の側ではこの機会に法律にありますように、文化的で而も健康的ないい家を作
つてやろうというようなことを
考えましたので、
相当高い水準を持
つて来ており、例えば準防火地区には、法律では
一般の木造でも許されますけれども、公庫で貸す場合には耐火構造にして、
日本の
都市の防火、並びに個人の財産の保護ということを
考えたのであります。実際に当
つておりますと、それは困る。値段がなかなか高く、耐火構造には
一般の普通の人ではとてもまだ賄い切れない。やはり家を建てるということを
一般の法律で認めるほうがよいのではないかというような
意見が強いのであります。その点は将来改めまして、大体
建設基準につきましては現在の建築に関する法令の許す範囲ならば一応よいという点まで下げております。例えば建物と敷地との割合、これも保健、衛生、それから火災というような点から
考えまして、
一般の法律が認めているよりもうんときつく例えば三割ということを公庫のほうで指定しております。これは実際自分で行
つて而も自分で土地を買
つて家を建てるというのに三割しか家が建てられないというのでは非常に困難でございます。このために折角土地がありながら家が建たないとか、家を建てたいが土地がとても手に入らないというようなことがあるので、この点もできるだけ近く施行されます建築基準法の
一般原則によるというふうに、こういうふうにいろいろ研究いたしまして、まだ勿論実務も慣れておりませんし、我々の研究も不十分で
一般の
国民のすべて満足というところまで行
つておりませんけれども、その線に沿
つて公庫及び主管庁のほうで御
意見によりまして将来尚研究を進めます
考えでおりますから、よろしくお願いいたします。