○證人(稻浦鹿藏君) 大先輩の前で私のような若輩が
治水技術に対していろいろ申上げることは誠に恐縮に存ずる次第でありますが、アメリカへ参りました報告ということで暫く話す次第であります。過般、例の人事交流
計画に
従つてアメリカに出張せよという
命令を受けまして、滞在期間三ヶ月、そうして出張に対する
命令はランド・アランニングを申しまするか、何といいますか、土地契約を直訳しますが、土地の適正なる利用、及び土地の保全という
意味だと思います。それからリソース・ユーテリゼーションという文字がありましたが、これは全部の天然資源ではなしに我々に関しては、特に水資源というものに対する検討、特に建設省の機関はフラット・コントロール、
治水というものを重点に置いてこのランド・フランニングとリソース・ユーテリゼーシヨンとを検討して来いというようなオーダーを受取
つた次第であります。その精神を
考えてみますと、敗戰によりまして、戰争によりまして国土が非常に頽廃し、更に年々襲われる災害によりまして国土が荒廃の極に達しておる、新しい平和再建の目的を達成するには、先ず国土の整備をしなければならんじやないか、それについては建設省としましては災害を最少限度に食い止めることを科学的或いは枝術的に研究する必要がある、科学的に災害を減少しまして民生の安定を図ると同時に、積極的に資源の開発を最高度にや
つて経済力の増強に貢献するということで、アメリカに行
つていろいろそうした施設をや
つておるからよく検討して、
日本へ帰
つて計画し、又これを予算化し得る責任のある者が行け、かようなことでございまして、私建設省を代表しまして、天然資源
委員会の事務局長をや
つております安芸皎一君と二人で参
つた次第であります。
そこで災害についてアメリカは大体そうした
日本のような災害があるのだろうかということを先ず
考えたのですが、向うへ行
つて段々調べておるうちに、一般的な
考えですが、段々人口が殖えて参ります。文化か発達して来るとしますと、生活に必要な食糧がどうしても段々殖えて来る。それから先程真田先輩から申しましたように、いろいろな施策が行われて、それに要する木材を使用しなければならないというので、その外に或いは生活資材として必要なものを求めるために、折角
水源の環元作用をや
つてお
つた森林を伐採して、或いは耕地にし、或いは牧場にしてこれを民人の生活に使用する、而も無意識のうちに、又は無
計画のうちにこれが行われておる。目のあたり
日本におきましては戰争前後の濫伐によりまして、
洪水を助長しておるということはもう皆様もよく御
承知のことでございますが、中国におきましても四千年のあの古い歴史を持
つておりますが、無
計画の開拓によりまして非常に土地のエロージヨンによ
つて黄河のような濁流となりて、土地が段々流れて行く、長い間に知らず識らずにそうしたことで土地が壞わされて行く。アメリカは非常に文化国でありますからどうだろうかという考で以て参りましたところが、御
承知の
通りアメリカ人というものは非常に何といいますか企業熱の旺盛な国民で、盛んに森林を伐採して、それを各種に利用して行く、或いは開拓をして土地を耕して行くというようなことが、建国の歴史が新しいが非常な速力で行われて、それも先程言いました
通り、
治水計画というようなことを
考えに置かないで、無意識に無
計画に行われてお
つたものだから、盛んにそうしたときにはエロージヨンが起
つて、土地が段々侵蝕されて行く、それがために
河川に沈澱を起して、河床を上げ、あるいは航路として使
つてお
つた川が船が通れなくなるとい
つたような
状態に相成
つて、
日本のような急速な災害じやないのですが、そうい
つたことが盛んに行われておる。今現在こうした
状態に置いておけば、将来取返しのつかない
状態になるのじやないかというので、
関係各省が非常に心配して、これに対して施策を盛んにや
つておる次第であります。それからもう一つは、積極的な方策として申上げました水資源の利用ということですが、これも御
承知の
通り、アメリカという国は食糧は勿論あらゆる資源が非常にあり余
つておる。ところが降雨量が非常に
日本と比べて少ないものですから、水資源に対しては
相当困
つておる。東部の方は雨が降りますが、中部から西部に至りましては雨の降らない所がありまして、それがために広漠たる沙漠が横わ
つておる、そうした
状態にありまして、水さえあればそうした広い土地を開拓して有効に使えるというようなことが段々と騒がれまして、ここに水に対する利水
計画というようなものが持上
つておる次第であります。この消極的な災害防除と積極的な両
方面において、
関係各省が
相当力強く推進しております。ここで向うへ行
つて見て参りましたことを、もう少し具体的に申上げますと、五月の二十五日に横浜を出まして、シアトルに到着しました。それから直ちにシカゴを通
つて首府のワシントンへ着きました。私達を世話して呉れる役所は、
日本で申しますれば農務省、デパートメント・オブ・アグリカルチュア1そこで私達の世話役にな
つておりまして、ワシントンに着くと直ぐそこえ二人で参りましたところが、そこには例のマーシャル
計画で欧州から、ドイツ、あるいはイタリヤあたりからも大分
沢山来ておりまして、昔のことを思い出して懐しい話もいたしました。殊にドイツ人なんかに会いまして、お互いにいろいろな話をして来たのでありますが、各国から
沢山参
つておりました。農務省におきまして、このわれわれに與えられた問題についてスケジユールをちやんと組んでお
つて、大体一ヶ月間ワシントンにおりまして、
関係の官庁を訪ねて、そこで現准アメリカでや
つておる
仕事及びそれに関連した理論あるいは
技術、そうしたものの説明を聞いたり又こちらから尋ねたりいたしまして、丁度一ケ月間暮したのであります。ワシントンにおきましては、プレシデント・ウオーター・リソーセス・ポリシー・コミッシヨン、先ずそこへ参りました。そこは大統領の
河川に関する多魚的な
計画、先程いろいろ
お話がありましたマルチプル・パーパス・プロジェクシヨンと申しますか、電力あるいは水道、灌漑用水、そうした多角的な
計画を今チェックと申しますか、再検討をや
つております。そうして今年の一月から十二月一杯でレポートを作
つて大統領に出すと、そうした目的で極めて臨時的な本のでありますが、大学のこれに
関係のある教授、それから全国的にこの水に関する
技術者が担当集まりまして、そうして河の利用
計画をや
つております。それは各大きな
河川につきまして、
河川の流域を一つに
考える。例えばミズーリ・リヴアーの流域一円を取りまして、現在そこにいろいろ施設がありますが、それにプラス将来
計画を
考えて、土地のプロテクトコントロール、それから水力、灌漑、或いは水道、リクリエーシヨンと申しますか、いろいろな多種目的ないわゆる国土
計画といいますか、そうしたようなものを各河について検討しております。私帰るときに挨拶に参りましたドクター・アツカーマンという人、これは
日本に来てお
つた人ですが、その人の説明をコロンビア河につきまして聞きましたのですが、大体この
計画が三十年
計画で、これが完成するのは三十年ということを目標にしてや
つております。そうして、十幾つかの
河川について再検討をや
つて、それにはいろいろこの
委員会の中に又小
委員会がありまして、経済
方面を担当する人、或いは
材料的なことを
考える人、人口、或いは
技術というように、七つ八つの小
委員会がありまして、そこで検討してお
つたわけであります。アメリカのような裕福な囲でそこまでやらなくともいいじやないかということを申しますと、近頃非常に人口がどんどんと急速に殖えて来て、ここもう十五年もすれば失業者を出すような心配がある、だから将来の大
計画をどうしても立てる必要があるのだ、殊に水が不足しておるアメリカであるから、こうしたことは是非とも必要であるというので、さような
計画を立てておりました。振り返
つて日本を
考えて見ますと、食糧は勿論でありますが、すべての資源が不足しておる。ただ水だけが
相当沢山あり余
つておりまして、却
つてそれがために大きな災害を起して、人命は勿論財産までも失
つてしまうというような
状態にな
つておるということを
考えますと、何とかして災害を防除し、更に有効にこれを利用しなければならないということを痛切に感じた次第でございまして、それにはどうしても科学と
技術の力によ
つてこれを征服しなければならないことを感じて参
つた次第であります。
それから我々のスポンサーにな
つておりますアグルカルチュアーに参りますと、特に
関係のあるのは、ランド・コン・サーヴエーシヨンサーヴイス、これは訳しますと何と申しますか、土地保全局とでも申しますか、それからフォーレスト・サーヴィス、林野局と申しますか、それが主な局でありまして、それからビユーロー・オプ・アグリカルチュアー・エコノミクス、経済を取扱
つておる局でございますが、それから地図を專門に作
つておるトポグラフィツク・デイヴイジヨン、さようなところに時間をかけて訪ねまして、いろいろ話を聞き、又その施設を見て参りましたが、要するにこの農務省でや
つておる
仕事は、土地の適正なり利用と同時に
水源の涵養という二つを目標にいろいろ
技術的な検討をやり、又実際に実行に移しております。全国を七つの地区に分けまして、そうしてこれはコンサーヴェーシヨン・ディヴィジヨンという
名前をつけておりましたが、七つの地区に分けまして、やる
仕事と申しますと、現在の利用図を作
つております。ランド・ユースマップという
名前をつけておりました。これは現在の利用されておる現状を、飛行機で写しまして、先程申しました地図を作るデイヴイジヨンの、非常に大きい施設でございますが、この地図に作り変えてしまうのです。これはいろいろな機械を使
つて相当うまくや
つております。機械で地図を作
つてしまう。現在の土地をどういうふうに利用しておるかということを詳細に調査しております。更に今度は第二にランド・ケーパビリテイー・オブ・マップ、つまり土地の適正な利用をするための調査、物理的な性質、或いは化学的な性質、地質、気温いろいろなそうした各
方面の條件から見て、その土地が何に使えば最も適当であるかということを詳細に調査しております。それをランド
計画と申しますが、そうして七つの地区に分けまして、そこに中央にヘッド・クオーターを置いて、各ステートにはその下の役所がありまして、更にそのステートを細かく分けて、出先きの役人が行
つて細かい調査をや
つております。そうしてその土地を大体九つのクラスに分けて、これは耕作にいい、或いはこれは耕作の中でも棉がいいとか穀物がいいとか、或はこれは牧場がいいとか、或いは森林地帶にしておかなければ
水源の酒壷の機会をなくする、いうようなことで、
河川と土地の連関を見まして、土地の性質を調査して仰ります。一方土地を利用すると同時に
河川の
水源涵要というようなものを全国的に調査して実行に移
つております。
それからその次に参りましたとこるはコア・オブ・エンジニア、いわゆる工兵隊、ここは兵隊でございますが、実際行
つて見ると、兵隊の服は着ておりますが、
本当の
技術者が集ま
つて、これも非常に科学的な勉強をして、丘陵さんが盛んに発表したりしておりますが、そこで又いろいろ新らしい研究を聞いて参りましたが、大体コア・オブ・エンジニアは
日本から
考えるとおかしいのですが
河川、
工事をや
つておる。兵隊が
河川工事をやるというのは
日本の習慣から言
つて妙な気かするので聞いて見ましたところが、ミシシッピ河の航路に使
つて船が盛んに動いておりますが、建国当時ワシントンがミシシッピ河の
工事はコア・オプ・エンジニアでやれと言
つたことから、それ以来の伝統で、このネヴイゲーシヨンをや
つておるんだ。そのうちにミシシッピ河の
工事ということか問題にな
つて来たので、ここで
治水工事として
堤防を造
つたり或はシヨート・カットをや
つたり、いろいろ
洪水防禦の
仕事は、コア・オブ・エンジニアが担当してや
つております。一九二七年ですか、大
洪水がありまして、この
下流の
堤防じや
洪水防禦には非常にむづかしいというので、今度はずつと上流の方の、オハイオ河の更に上流の山の土に向けて
洪水防除のダムを造るというようなことまで、コア・オブ・エンジニアが担当しております。いずれ後で申上げますが……。で、コア・オブ・エンジニアは、ネヴイゲーシヨンとフラットコント・ロールをや
つております。
更にその次に参りましたのは、デパートメント・オブ・インテリアの中で、ビューロー・オブ・レクラメーシヨンといいますが、これは何といいますか、開拓局とでもいいますか、そこに参りまして、いろいろ話を聞きましたが、ここは掻摘んで申しますと、灌漑つまりイリゲーシヨンを担当しておる。主なる
仕事はイリゲーシヨンを
相当しておる。大きなダムを造
つて、そこに水を溜めて、それを砂漠地帯に引張
つて来て、その砂漠地帶の開拓をや
つておる。大きな運河までビューロー・オプ・レクラメーシヨンがやりまして、更にその先のところは農務省がや
つて、開墾と同時に小さい水路をや
つております。そうして非常に
仕事の分野がはつきりと分れております。それからそういう
仕事をするためにテクペカル・サーヴェーというのがこのインテリアの中にありまして、この土地の、先程申したような農務省でや
つておるようなことは、テクニカル・サーヴエーの方でも大きな制度で以て土地のいろんな性質、地質調査は勿論ですが、化学的、物理的、各種の調査が
相当大きな組織で以て行われております。勿論そこでは流量測量とか、或は
水量の測定というものをや
つております。一つの大きなビルで、人事院ぐらいのビルにいろいろなセクシヨンがありまして、そうした調査を專門にあらゆる種類の学者が集ま
つてそこでや
つております。そこを基礎にして、開拓をや
つておるというようなことで、非常な大掛りなものです。それからワシントンでは更にウエザー・ビューロー、気象台といいますか、これは商務省といいますか、デパートメント・オブ・コンマースというものに附属しておるのですが、そこに参りまして、いろいろ話を聞きましたが、これにもりヴアー・セクシヨンとか、パブリック・セクシヨンなんというものがありまして、気象台で川のことを盛んに研究しております。
洪水予防については気象台が非常にこれに力を入れてや
つております。まあそういうようなことがありましたので、向うにおいていろいろ話を聞いております。かようにしまして、ワシントンに一ケ月余りおりましたのですが、結論としまして、この
河川に対しては、
洪水部局とネヴイゲーシヨン、コーア・オブ・エンジニアが担当しておる、イリゲーシヨンはビューロー・オブ・レクラメーシヨン、それから全体の上流における
砂防工事というものは農務省が担当しており、その間にオーヴアーラップしたところがあるそうでありますが、
日本でもよくありますが、
仕事の縄張りが
相当ありましていろいろ議論が出るそうですが、その調整はちやんとできておりまして、実際の
仕事はお互いにうまく調和をと
つてや
つております。それから電力局というのがありますが、フエデラル・パワー・コミツシヨシ、電力
委員会と言いますか、これは水力電気に対する許可、認可をや
つております。こうしたところを見て参りましたが、結局フラット・コントロールというものに対して重点を置いて、電力その他のものは第二義的なものだということを聞かされて来ましたのですが、この点はT・V・Aで例をと
つて申しますと、T・V・Aはテネシー・リヴアーに対して二十六のダムを作
つて洪水調節をや
つており、その中の四つのダムだけは電気、パワー專門に造
つたダムでありますが、あとのダムは
洪水調節が主であ
つて、電力はその調節の
範囲内において電力を起しているんだと、こういうことを言
つておりましたが、その方式が各所に行われておる次第でございます。そこで振り返
つて日本を
考えてみますと、先程申上げましたように水が余り返
つておりますし、これがために
洪水を起しておる。そこで昔から非常に我々の先輩が水利に
努力して頂いており、それを我々が引継いでや
つておる次第でございますが、いろいろな社会
状態の変化と共に
水源が荒さ丸て御
承知のような災害が再々起
つておる次第でございます。この原因を深く突込んでいろいろ
考えなければならんことがありましようが、
水源が荒廃したということはこれは一つの大きなフアクターであると思うのであります。その外にも気象
関係もありましようが、現実に
水源が荒廃してそれがために
土砂を流がして
洪水を助長しておるということはこれはどなたが御覧にな
つてもよく分ることでございます。それがためにはどうしても
水源の管理に対して我々は
相当力を入れなければならない。幸いにして今年は
砂防の斐川も或る程度殖えるように
なつたそうでございますが、二十六年度はまだ決定しておりません。殖えた程度ではとてもこの
日本の災害を軽減するだけの効果がまだとても上らないじやないか、更に更にこれを殖やして行
つて先す
水源をぴ
つたりと止めるということが先決問題だ、それから地形によ
つてアメリカのようにうまくは行きませんが、
洪水調節の堰堤を造
つて洪水の少くともピークだけでも区切
つて下の構造物の力で負担を軽くするということも一つの
考えじやないか、アメリカのような地形が平坦な土地で大きなリザーヴができるところでございましたら一メートルの水の差でも
相当な貯水ができますが、先程
お話ありましたように非常な急勾配のところでございますから、
相当高いダムを造
つても貯
水量が極めて少い。アメリカのようなうまい
洪水調節はできませんのですが、併し
相当考えれば或る程度の効果があるのではないかということで、建設省におきましても今まで
相当検討しておるのであります。できれ洪予算の許す
範囲内において
洪水調節をや
つて行きたい。そうしますと、そこに水がありますので電力を起したくなるのです。電力を起すとなりますと、電力
事業の採算というようなものを
考えると、
洪水調節が
相当効果がなくな
つて来る。ここに非常に矛盾が起
つて来るのですが、
我が国の電力
関係の現状を見ますと、御
承知の
通り非常な不足しておる。
日本の再建のためにはどうしても水のエナージーによ
つて産業の開発をやらなければならないということはこれはもうどうしても
考えなければならん問題でありますので、電力を起すということと、フラット・コントロールということを
両方一つのダムでやるということは非常に困難な
仕事でございます。ここに我々の非常な悩みがあるのでありまして、電力でフラット・コントロールに
関係がないようないいところかありましたらば、これはどうしても電力に重点を置いて行く。それからどうしてもここにフラット・コントロールをやらなければならんところは電力を第二義的に
考えて頂いて、フラットコント・ロールに專門に一つ使
つて頂きたい。かような
考えを起しておるのです。よろしく御批判を願いたい、かように思う次第であります。アメリカにおきましてはフラツト・コントロールのダムには、ふだんは全然水を溜めていない、そういうところを
相当方々に作
つております。そうしていざ
洪水とな
つて下流が危ぶなくな
つて来ると、そこに一時貯水する。こういう方式を取
つておりますが、こうすれば
洪水調節が一番危險なときもそこで抑えられますから、効果的に働くだろうと思うのでありますが、ここに水を溜めておいて、それによ
つてふだん電力を起して行くということになると、そう大したことはできませんから、
洪水調節の効果が少くな
つて来ると、かように存ずるのでございます。
かようにしまして、ワシントンで一ケ月送りまして、今度はワシントンで習
つたことを現地で一つ見ろということで参
つた次第でございます。ここがワシントンでございますが、最初参りましたのはこのピツツバーグと申しまして、これは御
承知の鉄工所の盛んなところでございます。で、石炭など
相当出まして、こつちは非常に荒廃されております。それからオハイオ河がありまして、ここに一九二六年ですか、大変
洪水のためにこの辺一帶に
相当な被害を受けて、その結果コー・オブ・エンジニアがここまで上
つて来て、そうしてここでダムを作
つて、このダムによ
つて洪水の一時調節をやろうということで、現在私が見て来たのはコンクリートの
相当なダムでございますが、六十メートルくらいのダムを
工事中のやつを見ました。コンクリートの大きなものを作りまして、非常に機械化したものであ
つて、でき
上つたコンクリートも非常に立派なコンクリートでや
つております。勿論アメリカのことでありますから、
監督は兵隊さんがや
つておりましたが、
仕事はコンストラクターでやりまして、非常に立派なコンクリートでありました。又コンクリート・プラントの一番土には製氷機械をつけまして、いわゆるここの水に氷を入れて水を冷やかしてダムの調節をやろうというようなことまで
考えてや
つております。御
承知の
通りセメントが固まるときに非常な熱を出しますから、それによ
つてこのダムが大きいから前にや
つたコンクリートと後でや
つたコンクリートとが大きな熱で膨脹の度が変
つて来る、そういうような科学的なことまでや
つております。古いダムは
沢山できております。ここはニユー・フィラデルフィアでございます。ここから兵隊に自動車で送
つて貫いましてこつちへ来たのですが、ここはマスキンガムという川で、これもやはり
洪水が起
つて洪水調即のダムを造
つております。これがマスキンガム・ウオーターセツド・コンザーバンシー・ヂストリクトという一つの区域があります。マスキンガム・リヴアーの流域を一つや
つて行きまして、この区域内のいわゆる多角的
計画をや
つております。テネシー・リヴアーのT・V・Aの小規模なものをや
つておるので、ワシントンでT・V・Aみたいに大きな大
工事、大
事業をや
つても
日本にはとても行
つたつて適用できない、マスキンガムでも見て来い、あれは丁度
利根川ぐらいのものだから丁度手頃だからあれに行
つて来いと言う。ここには八つの堰堤がすでにできておりまして、水を溜めないでいざ
洪水となるとそこを閉めてそうした
仕事をや
つております。それはどういう組織でや
つておるかといいますと、ここにマスキンガム・ウオーターセツド・コンサーバンシー、デイヴィジヨンといいますか、ここに
委員会がありまして、
委員会で
計画を立てて、それからそれに対する予算の措置をここでやりまして、その
仕事を各
関係地へ流して、
仕事はコアー・オヴエンジニア、或いは農地
関係は農務省とかいうので満してや
つておる、一つの
委員会制度で
計画とプラントをやりまして、その費用は大部分国の費用でや
つておるのであります。土地の提供とか何とかいうことで一部分はその
地方が受持
つておりますけれども、約一〇%くらいの
地方負担という形のものはありますが、全部国のものでございます。T・V・Aのやや小規模のものでございます。それから今度はノックスビルに
行つたのですが、スパッテシフンクというところに行きまして、これは先程申上げましたように農務省が全国土を七つに分けまして土地の保全改良をや
つておる。その東南地区というのですが、その地区のここにヘッド・クオーターがありまして、ここに一つの組織の中心地があ
つて、各ステートにはやはりその下の役所がありまして、ここが中心とな
つて予算措置をやる、そうして
計画をや
つておる。そうしてこのステートに流し、このステートがこの土地の保全を使
つて行くという組織でや
つております。ここでは
砂防工事を見ろというので山へ見に行きましたが、谷間を堰止めて土堰堤を造
つて、去年造
つたやつが埋つちや
つたのだというようなことで盛んに土地の流出が起
つております。そうした
土砂の流出を溜池を造
つて止めておるのですが、
日本で今や
つておりますコンクリートのダムを造
つてや
つておるのと同じことをや
つております。それから盛んに木を植えております。松の木を植えておりましたが、これは機械で植える。非常にそれを造
つた技師に自慢されたのですが、ジープのようなもう少し長いものでずつと走ひらすのですが先にずつと掘
つて行く、そこへ一人人が乗
つておる台がありまして、そこにこれつぱかりの松の苗がある。それをぴよつぴよつと放り込んで行くと、うしろで土をずつとかけて直ぐに埋
つて行く、実に簡單に三十度くらいの勾配までやれるとこう言
つておりました。盛んに自慢しておりました。これで植えた木だと言
つて又別の個所へ行
つて見せられましたが、やはうまく生えておりました。それで先程
お話のありましたように段切をや
つて、テルレースと申しますか、盛んにそれを説明して呉れましたですが
日本にはもつとそれよりも立派なものがあるのだから説明聞いておかしか
つたのですが、俺のところにもあ
つて、これより立派だということも言えませんからよく聞いて来ましたですが、結局非常に松を植えて水を呼んで、今度は外の木が生えて来るのだというようなことを言
つておりました。それからその連中に山の奥へ引張
つて行かれて見ました。
水源の涵要を盛んにや
つております。それから草を植えておる。草を植えて肥料をや
つております。
日本じやとても肥料をやるところまで行きませんが、化学肥料を盛んにや
つております。そうしたところへ行
つて参りまして、その次に有名なノツクスヒルヘ行
つて、T・V・A、テネシー・ヴアレー・オーソリティーといいますか、そこの役所へ行きまして、
委員長には会えなか
つたのですが、なかなか会議で忙しいので会えんでしたので、総支配人のガントという男に最初に会りたのですが、こういうようなことを言
つておりました。T・V・Aの大
事業が十年足らずにでき
上つたのはワンマン・コントロールだと言
つてお
つたです。こういう
仕事を
沢山のものが寄
つてや
つたつてできない。一人の頭に上
つてこの組織がうまく働いて行
つて初めてこれができる。而もこの
委員長に対して大統領のルーズウェルトが絶対権限を與えておる。これは法律で決めておりますが、絶対権限を與えてその
委員長は全責任を持
つてワンマンコントロールをや
つたためにこういう大
事業が成立
つたのだ。こう言うて大分大きくほらを吹かれまして、成程と言
つて帰
つて来ましたですが、それからその
仕事の内容というのは先程申上げましたようにフラットコントロールが主体だ、電気を起すためにや
つたのは従だと、こういうことを言
つてお
つたです。それからネヴィゲィシヨン、つまり段にこういうふうにダムを造
つて行きますから、水がずつと高くな
つて行きますから段々にロックを造
つて、そうして船を上げて、そうして水深の深いところを船が走
つて行くのです。さようなことにしまして、ネヴイゲイシヨンとフラット・コントロールか主体であ
つて、電力はサブ・プロタクシヨン、第二次的だと、四つのダムだけは電気を主体にして造
つた。大体百五十万キロぐらいの電気ができるのです。現在では電気料でT・V・Aのすべての費用を
拂つて荷
本当の純益か一五%あると言
つておりました。その電力で以て盛んに今度は生産工場が働いておる。それについては余りまあ軍需工場があるものですから説明して呉れなか
つたです。それだけのことを申して置きます。それから現地へ廻
つて行きましたが、ダムなんか見に行きまして、百姓にT・V・Aはどうだと言
つたら、あれは電気を非常に安く売
つて呉れるので非常に結構なところだと言
つておりましたが、まあこの地区に対しては
相当安く売
つているらしい。現在はすでに
河川工事は終りまして、今度はテネシー・リヴアーの流城の土地保全に乗り出しております。先程申上げましたような土地の適正な利用と、それから折角ダムを造
つたのだから、これを流出
土砂のために埋つちや生命がなくなりますから、この
水源の涵養ということをその費用で以てこれをやる。こういうことが現在これをや
つております。それから今度はテネシー・リヴアーの左岸のメンフィスに参りまして、これはコア・オブ・エンジニアの
地方事務所がありまして、丁度建設省の
地方建設局と同じようなものです。水深の維持と
堤防の維持、或いは
工作をや
つております。ここには
相当いろいろな千四百馬力くらいの大きさ
浚渫船を四台も動かして
浚渫しておりますが、そこへ行
つて作業を見まして、晝飯を御馳走になりましたが、非常な御馳走を食
つてや
つている。船員は
自分の家に帰れないでそこに寝泊りしてや
つております。ここに働いておる人は非常に優遇されております。食糧付きで賃金も
相当貰
つているらしい。私達も一緒に飯を食えというので高級船員と一緒に御馳走にな
つたのですが、我々がホテルで食
つているものよりうまい物を食
つています。これは別の話ですが右岸のアーカンサスと言いますが、その州の一部分を見ました。これは五十年別は非常な濕地帶で密林であ
つた。これを五十年前に開拓者が入
つて、コア・オブ・エンジニアと申しましたが、そこで排
水工事を起してその濕地帶を開墾して現在ではアメリカでも一流の大農場とな
つて、ここは見渡す限り棉とコーンの大平原です。こういうふうに五十年もかか
つて開拓者の家でございましようが、
日本でも見るような百姓が働いている家が
相当残
つておりました。そうしたことをここでや
つております。それからニユーアルバニー、ここに参りました。これはミシシツピのデルタかとうありますが、それから少し離れますと丘陵地帯にな
つておりまして、丁度起伏の多い土地で高台にな
つておりますが、これは
相当前から密林を伐
つてしま
つて、そうして牧場にしたり或いは開墾して
相当の当時は收益を上げてお
つたのですが、段々と土地が痩せてしま
つて、現在倉なんかにも殆んど入
つていない。農業倉庫がありますが、殆んど半分くらいにな
つてしま
つたと言
つておりました。非常に土地が荒れている、その土地は真赤な黄土でありまして、水に侵蝕され易い黄土でどんどん浸蝕されてヤーズ・リヴアと言いますがそこに流れ込んでしまう。川底が上
つて日本の天井川みたいなものを所々見ました。これはどうもならんというのでここもコア・オブ・エンジニアが乗り出して大きなダムを作
つて洪水調節をやる。水を溜めていないダムもありましたが、水を溜めたやつは
相当大きなダムでありまして、これが電力を起しておりますが、
洪水調節が主体にな
つております。そしてここで盛んに土地改良といいますか、
砂防をや
つております。
砂防と言いましても
日本のような急な所ではありませんから、丘陵地帯に木を植えます。葛といいますか、
日本で言う葛ですが、土地の余り肥えていない所に植えてもどんどんと茂
つて行く。あれを盛んに今植えていました。去年植えたのがこんなに大きくなりましたと説明して呉れました。
日本にこれはなんぼでもあると言
つたのですが、どこからか持
つて来て盛んに植えております。中国から持
つて来たと言
つていました。葛という本なんかも書いておりました。それからビツクバーグ、これはコア・オブ・エンジニヤが河の
仕事をやるについて科学的な基礎付けをしなければならぬというので、ここで試験場を作
つたわけです。一九三〇年頃ですか、ミシシツピ・リヴアーに対する試験場を作
つて、
堤防を一つ作るにしたところがいろいろな試験をやらなければならない。そういうことで試験場を作
つて、段々とこれは大きくなりまして、現在では五百エーカーの敷地に水利試験、それからコンクリートの試験、或いは土壤の試験というものもここで盛んにや
つております。大規模なものです。そうしそその試験をした結果は、例えばどこかにダムを作るとすればダムの形はどういうふうにするかということをここで実験をや
つて、それをいろいろな理論的な計算をや
つて設計の基礎を作
つております。私共の建設省にもあります赤羽の試験場、あれの非常に大きなものです。更にジヤックソンという所に八百エーカーの土地の試験場を作
つて、ミシシツピ・リヴアー全体の模型を作
つて、河底の動きとかそういうものを盛んに今実験をや
つております。これについて
考えましたのですが、こんなに金を掛けて実験ばかりしてお
つてどうするのか。こうしたことをや
つて、確実な、堅実な、基礎をここでと
つて、それを幕準にして
本当の設計をやる。最小限度の
工費で、この実験を基礎にしてやるから安心していて契れ、そうすると結局において
工費が安くなるから得じやないか。実験で金かけた
つて、大きな
工事の方で節約すればそれの方が余程得だというので、
相当思い切
つた施設でや
つております。又どういう
堤防一つ作るにしたところが、或いは水勢を一つ出すにしたところが全部実験をや
つて、その結果を現地に移しております。私が見たのは水勢の試験をや
つておりました。それからニユーオーリーンズに参りました。これは御
承知の
通り外国汽船の一万トン級の船がどんどん入る大きな河港でありまして、これは
洪水から防禦するためにいろいろな作業をや
つておりました。こつちに湖があります。これに
洪水のときはこつちへ流してこれを止める。更に今
考えているのは、これをこちらへ下ろす。そうしてこのオーリーンズを
洪水から防ごうじやないかというような
計画を
相当大規模にや
つております。
それからデンヴアーへ参りました。デンヴアーというのは内務省の例のビユーロー・オブ・レクラメーシヨン、灌漑
関係を主にや
つておりますところの水利試験場がある。ダムを作るにしたところがいろいろな科学的な
技術的なことで実験をやるとか、或いはコンクリートの実験をやるとか、土壤の実験とか、
工事に必要な実験と理論をここでや
つております。これよりは規模が小さいのですが、ここにも
相当そうした
技術者乃至学者がおりまして、ここですべての研究をや
つております。まあ惜しげもなく金を使
つている。私が見ましたのは何か鉄筋コンクリートの柱の破壊実験をや
つておりました。とてつもない大きな柱を作
つて上から押えて破壞試験をや
つておりました。それからここで、フォードコリンと申しますが、これはここにユニヴアーシティ・オブ・コロラドの大学がありまして、農務省の出張所がありますが、た学の中に役人が来ておりまして、大学の教授と、それから農務省の役人とが一緒にな
つて、そしてこれの森林といいますか
砂防ですね、それのいろいろな積極的な科学的な研究をや
つております。それを実地に移すために大学の
先生とそれから役人と一緒にな
つて基礎を作
つておる。ここで一つ申上げたいのは、これはコロラド河ですが、コロラド河がここにありまして、ここに山脈があります。それから山脈を越えてこの辺、こうい
つた所には今まで現在使い物にならない荒地でございまして、水を送
つてやれば立派な耕地になる。一部
工事もや
つておりますが、この一番上にグランドレークといいますが、自然の湖がありまして、それからこの山脈を越えてトンネルを造りましてこちらに水を送る、それから親指のようなのがここに三つある。これに水を貯えてそれからこの水を受けて荒地に水を流しております。この水はこれだけじや足りないから更にここにダムを作
つてここで貯水したやつをポンプ・アップしてこちらに廻している。これはビユロー・オプ・レクラメーシヨンがや
つております。これは銅山川流域変更と同じことをや
つておりまして、流域をこつちへ持
つて来るのだからこれに対してはコロラド河の
下流に対して
相当これに対する問題があ
つたんじやないかとい
つたら、やつぱりあ
つたそうであります。
相当こちらに水を流すことに対して反対があ
つた。それを抑えるのに
相当苦労をして
水量を決めてこちらへ流すということで話がついた、と同時にここからここに流すのに非常に落差がありますが、ここに赤く塗りましたのは発電所ですが、同時に発電をや
つておる。これも灌漑と発電の両目的でや
つております。それからここを済ませまして、オクデンという所に参りましたが、これは農務省でイリゲーシヨンをや
つておりまして、いろんな施設をや
つておりまして、私は建設省でございまして農地
関係ではなか
つたのですが、折角行けと言
つたのでいろいろな耕地を見せて頂いて灌漑をや
つておる
状態を見ました。ここに
日本人がおりまして、
日本人が
相当大きな農場を持
つておりました。「いちご」を
沢山に作
つておりまして、そこに行
つて「いちご」を御馳走になりました。ここにソルトレーク、これはもう塩水の湖で、ここは昔はボンネビルという大きな湖であ
つたが、段々水がなくな
つて現在ではこれだけのものに
なつた。殆んど飽和に近いような鹹水湖であります。ここに一つの山脈がありまして、それが一九三〇年から三回程、丁度阪神の六甲が壊れたような大きな山崩れを起しまして、二十三谷間から活動して、そうして大きな
土砂を流して、山の谷から出たところのその
土砂が多く溜
つておりました。それを
日本だ
つたら大変なことでございますが、土地が広いからそのままにして置いた。そこにも成る程度草が生えていました。河はそれだけ水道を作
つて通
つております。これに対する対策を何か
考えておるのかと言
つたら、それはや
つておる。これから一つ行こということで自動車でどんどんと山に登りましたら、例の段句の
砂防工事を盛んにや
つてお
つた。これはやはり機械でプルトーザーのようなものを用いて
相当の急勾配をや
つておりましたが、大仕掛な
砂防工事をや
つております。それからコロラド河のここにフーヴアー・ダムというダムがありまして、これはイリゲーシヨンの目的で作
つたダムであります。現在はここから水を引かないで、四つ程ダムがありまして、一番
下流のダムからこつちへ水を引いております。これはインペリアル・ヴアレーと申しまして砂漠地帶でありまして、こつちへ引きましてこれの開拓をや
つております。これは大きなダムでやはり電力を
相当起しております。それからロスアンゼルスに参りまして、ロスアンゼルスの近郊におきましてもロスアンゼルス河の上流においてコア・オプ・エンジニヤがダムを作
つております。
相当大きな土堰堤を作
つて水を溜めて、このロスアンゼルス近郊で思い切
つたダムを作
つております。このロスアンゼルスからインピリアル、ここへバスで七時間程かか
つたのですが、参りまして、エルセントラルという田舎の町ですが、ここへ一晩泊
つた。ここは
ちよつと見ますと、殆んど
本当の沙漠地帯で、砂原で、機械で掘り返すと、下を六尺ぐらい掘ると土が出ます。どんどん掘
つて最初申しましたように水を送
つて行くといい耕地になる。一年すれば直くに收穫があり、戰争前は
日本人が入
つて開拓したそうですが、現在は殆んどおりません。アメリカ人に代
つておる。第一次、第二次、第三次というような
計画で現在盛んに開墾をや
つております。いずれも全部機械で、掘つくり返すのも機械ですし、低い土地でありまして、海面より湖が二百五十尺ぐらい低いところにある。排水が非常に悪いものだから深さ六七尺もありますが、深く掘
つて土管をずつと埋めておる。これを機械で掘
つて行くと土が上へ上
つて行く。そこへ溝ができますので、後ろから砂を埋めて行きます。その次に土へ土管を下してぐつと押すと繋が
つて行く。それから一番最後の人が埋めて行く、一遍で土管の排水管ができ上
つてしまう。
相当広い土地ですから
日本人のようにスコップで掘
つてお
つてはとても間に合いません。どんどんそうした機械で開墾設備をや
つております。ここで話は別ですが、ここに大きなダムを四つ程作
つて、そうしてここへ水を送
つて灌漑をする。我々の泊
つた宿屋は非常に暑いところで、丁度著いたのがお晝の三時頃でしたが、温度が百十四度というような温度だ
つたのですが、室を冷やすために水を使
つておる。その水が一日四ドルと言いますか、
相当な永代を
拂つておる。このダムを作
つて経費を水代で賄
つている。土地を開墾して、その土地に送る水も売
つている。
相当な灌漑用水を売
つているわけです。それで今まで沙漠であ
つて、ちつとも收益の上らなか
つたところが、そうした開墾をや
つて、一年経つと
相当な牧益が上る。そうして零からプラスAというものかすぐ出て来るわけです。そうすると二十年、三十年するとこれがキャンセルできる、こう言
つておりました。
日本でもよく進駐軍が利益計算をして出せといいますけれども、こちらはどうもそれをや
つてもなかなか儲けにならない。こちらはプラスから利益が上る。
日本の土地というのはすでに
相当の收穫を挙げているから、これには或る程度のものを増してももう採算のとれるようなことはできないですが、こういう所は盛んに零から生み出しているのですから採算がとれるわけです。よく言われるのはこういうのが基礎にな
つて言われるのであります。それからバークレーという所にやはりユニヴアシテイー・オフ・カリフォルニアという大学があります。それからサクラメントへ参りまして、ここで灌漑
関係などを視察し、デヴィスの農科大学に参りまして、いろいろ学問のことを聞いて見ました。
さようにいたしましてずつと一巡して参りまして、丁度九十日間おりました。結局
河川に対しては
相当関心を持てアメリカが
洪水防禦をや
つており、同時に横島的な利用面に対して各
関係省が協力してや
つておる。いわゆる総合
計画を立ててすでに実行に移
つておるという
状態を見て参りました。それで
日本でその
通り実行し得るかどうかということがこれからの問題ですが、これは非常にむずかしいことでございまして、地形も違
つておりますし、又現在の
財政では恐らくあの
通りには持
つて行くことはできないと思います。科学的にもできないと思います。それで、できるだけ有効に利用して私達の責任である
洪水防禦というものに対して採入れたいと、かように
考えておる次第であります。よろしく御協力を願いたいと思います。