運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-08-21 第8回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年八月二十一日(月曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設省その他の建設専業に関する調  査の件(災害復旧に関する件)   —————————————
  2. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 只今より建設委員会を開会いたします。  本日は先ず災害復旧に関する問題でございますが、六月—八月に対する災害状況ちよつと御説明を願いたいと存じます。防災課長賀屋茂一君。
  3. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 建設省災害の概況を申上げます。六月までの災害状況につきましては前にこの委員会で御説明いたしましたのでございますから省略いたしますが、六月までの災害はお手許に表を差上げてありますが、約八十億円になるわけでございます。その後七月の十七日にグレイス台風南九州を横断いたしました。この関係九州四国及び中国の一部の十二県の関係災害復旧費が約二十五億円、それから引続きまして七月下旬の三十七日、二十八日にヘリーン低気圧が同じように九州の南に襲来いたしました関係で、これも四国九州等大体十七県下に亘つてつたのでございますが、その土木被害が二十一億円に達したわけであります。更に八月になりまして、八月一日頃から硫黄島の西方にありました低気圧が漸次北上いたしまして、四日に房総牛島に上陸、更に続きまして五日にはアイダ台風が駿河湾に上陸いたしました。この台風はいずれも新潟県或いは長野附近に行つて消滅したのでございますが、そのため宮城県、茨城県、こういうふうな県が主なものでございますが、二十数県に亘りまして相当被害を蒙つたわけでございます。直轄河川を合せますと、約百億余円の被害に達したわけでございます。こういう状況でございまして、今年の初めから現在までの土木被害状況を総合いたしますと、お手許に差上げてございますのは府県災害でございまして二百十九億に達しておりますが、これに直轄河川災害が三十億円あるのでありまして、約二百三十九億円に達しておるわけでございます。  状況はそういうふうでございますが、これに対しまして六月以前の災害につきましては政府といたしましては至急災害緊急箇所査定をいたしまして、予備費支出を要求いたしたわけでございます。  尚七月及び八月の災害につきましては現地査定、及び比較的小さい所につきましては机上査定をいたしまして目下実施中でございまして、本月中には全部を終了してしまうという方針査定をいたしております。この査定が済みましたならば更に予備金の要求をいたしまして、緊急復旧箇所に充てたいとこう考えております。  尚予備費の第一回の支出でございますが、数日前に第一次の金額がほぼ決まりまして、総体二十七億円が決まりまして、目下配分を計算いたしておりますが、近日中に各県の配分額が決定するものと思つております。以上の通りでございます。
  4. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 第一回の二十何億円は建設省だけですか。
  5. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) はあ、そうでございます。
  6. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 只今の御説明に対しまして何か御質疑ございませんか。
  7. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 災害復旧のことについてですか。
  8. 柴田政次

    委員長柴田政次君) ええ、只今災害復旧説明を伺つたわけでございます。
  9. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 小貝川状況は……。
  10. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 小貝川状況は、直轄河川災害でございますから、このケースには入つておりません。繰返して申しますが、直轄河川関係は三十億でありますが、これは表に載つておりません。
  11. 田中一

    田中一君 今の第一次の二十七億の交付金というものは、建設省が調査したものの何%になるのでございますか。
  12. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 先に申しましたように、災害直轄を合せまして二百四十億程度ありますから、二十七億はこれは各省災害復旧費でございまして、そのうち建設省に行つておりますのは十四億五千万程度でございます。そういたしますと大体六分弱、こういろ工合でございます。まあこれは第一次の額でございますから……。
  13. 石坂豊一

    石坂豊一君 私は遅く参りましたのですが、この総括表を見ますと、各県の被害状況等がほぼ分りますが、それと「被害状況調」というものを各県別に見ると、主に河川関係としては同じ県でも出水するのとせんのとあるだろうと思います。どの河川が一番ひどかつたかというようなことが分りませんか。小さいのを拾い上げればこうなるけれども、その中でも谷間の風の吹き込み方によつても大小がある、だから宮城県はどこがえらかつたとか、それから福島県はどうだというようなことを、大体目星の付いた箇所をですね、著しいのが分つていたらどの辺か一つそれを……。
  14. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 各県の被害の大きなものにつきまして、被害を受けました主要な河川を大体申上げます。総計して被害が最も多いのは長野県でございます。全体で二十二億四千七百万、こういうふうになつておりますが、長野県で最も多いのは天龍川でございます。諏訪湖から天龍峡に至る間、天龍川が一番ひどうございます。  それから次に八月に参りました災害は、これは天龍川の方でないのでございまして、北信の方が主でございます。而もこれは雨量が余り総量としては多くないのでございまして、そのために千曲川筋のような大河川には比較的被害が少いのでございまして、千曲川に流入します松川とか百々川とか或いは夜間瀬川、樽川、こういうような諸河川が甚大な被害を受けております。  それから次は宮城県と思いますが、宮城県が大体百二十億程度あるのでございます。これはやはり宮城県も雨量は時間的の雨量が非常に多いのでございまして、一時間五十ミリ以上というふうに言われております。でございますが、宮城県は大河川が集まつて来るものでございますから、宮城県の被害は比較的大河川の方が被害が多うございまして、大体仙台市附近の広瀬川、それから名取川、それから鳴瀬川、吉田川、江合鳴瀬の系統でございます。それから北の方に参りまして迫川及び迫川の支流の夏川、こういうような所が主要な所でございます。  それから茨城県が、次に被害が大きいと思いますが、茨城県は初めのときにおきましては、これは北の方が多いのでございまして、久慈川の水域、なかんずく久慈川上流地区の比較的小さい方の川に多いのでございます。勿論久慈川の下流にもそのために破堤した所が数ケ所あるのでございますが、大体において著しい被害を受けましたのは上流地区でございます。それから次に茨城県の八月のときは、御承知通り利根川出水というような関係もございまして、小貝川大破堤をいたしました。これも土木被害の破堤箇所は一ケ所でございますが、非常に影響がひどかつたというような状況でございます。  その他の県といたしましては、全般の被害でございまして、各県ともこれを総合いたしますと、局部に時間的の雨量が非常に多い。これは三重県のごとき、滋賀県のごとき、こういう所は総雨量が比較的少いのでございますが、時間的雨量が非常に多いのでございまして、そのために中小の河川が局部的に大被害を蒙つておる、こういう状況でございます。主なものを申しますと大体そういうような所でございます。
  15. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 北海道の方はどうです。
  16. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 続けて申しますが、北海道は当初は、これは六月以前は大体融雪でございますので、主として旭川地区が多かつたのでございますが、全般的にあつたのでございます。これと次の八月のときには、これは札幌の地区及び室蘭の地区、この二地区に殆んど限定されておるわけでございます。これも時間的雨量が非常に多かつたというわけでございます。以上でございます。
  17. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 これは大体災害の御説明だと思うのだが、災害と言うと、堤防が壊れたり、道路が壊れたりというのが一応災害になつておるのだが、堤防は一応壊れない程度災害だが、要するに下が削られて今度は壊れるだろうというのが相当あるわけですが、こういうのに対してどの程度の、これは災害復旧というのか改修というのか分りませんが、こういうのが相当程度あると思うのだが、この問題に対してお考えがありますか。
  18. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 御承知のように破堤箇所というのが比較的少うございます。茨城県とか宮城県とかの大河川にそういうものがあつたのでございますが、全然堤防が飛んでしまつたというのは少なうございまして、堤防決壊、破堤寸前で食止めたというのが大部分でございます。これにつきましては先に申上げたのでございますが、六月までの災害につきましては、すでに七月中に緊急のものにつきましては査定を済ませまして、予備費をお願いしておるわけであります。七月及び八月のものにつきましては、現在現地査定に行つておるところもございます。机上査定いたしておるところもございますが、大体今月中には緊急な箇所につきましては査定考えております。それからこの対策でございますが、如何なる手を打つているかということでございますが、これは御承知のように緊急な箇所を取上げて、これは是非ともというわけで査定をしたのでございまして、査定をしますものの、金が実は行つておらんものでございますから、余り価値のないような促進をいたしておるわけであります。県では放つて置けんわけでございますから、査定をしたものにつきましては全面的に実は仕事をやつております。先に閣議で四十二億というような予備費支出するという決定が大体あつたわけでございますから、配分をそれに基いてほぼ推定いたしまして案を立てまして実は仕事をやつております。現に長野県の天龍川のごときは、数億をとつて復旧工事をやつておるという状況でございます。
  19. 小川久義

    小川久義君 北海道に何か最近水害があつたように聞くのですが、何か具体的の報告建設省の方へ出ておりますか。
  20. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 北海道のこの八月の災害以降についてはまだ聞いておりません。実は現地査定官を二十二日から行かすことになつておりまして、明日の朝に立つことになつております。その後の災害は聞いておりません。
  21. 尾山三郎

    尾山三郎君 今のは主に河川災害の御説明のようですが、これに関連して砂防災害というのはどういうふうになつておりますか。
  22. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 砂防災害復旧でございますが、災害復旧は御承知のように施設が破壊されたものについて実は復旧をしております。勿論その復旧原形復旧が主ではございますが、原形復旧では到底持たないというものにつきましては、法律の規定に基きまして改良的な施設もしておるわけでございます。でございますが、どうしても災害を受けました施設の元がないと困るのでございまして、砂防につきましては砂防堰堤、或いは流路工事、こういう施設が破壊されたものにつきましては、府県災害としまして復旧しておるわけでございます。
  23. 久松定武

    久松定武君 この災害復旧には主として豪雨による出水とか、台風によるものが多うございますが、例えば瀬戸内海沿岸、或いは大阪附近もそうでありますが、高潮による災害というものはどういう処置をしておるのでございますか。高潮被害というものですね、これに対する処置はどうなつておりますか。
  24. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 高潮被害でございますが、これは今査定をいたしましたのは、これは高潮被害として別な予算のように組んでおりますが、今度の法律によりますと、高潮でありましようと、何でありましようと、施設が破壊されましたものにつきましては、特に本年度は全部採択できるわけでございまして、高潮によりまして海岸堤防が壊れた、或いは護岸が壊れたというものは、今度の査定には採入れております。
  25. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 これは防災課説明で、河川災害を防ぐ方でしようが、さつきちよつと質問したように、少し壊れた、放つておけば今度九月にはひどい目に合うだろうというところは相当あるわけでありますが、これは大至急つていると思うのでありますが、そういうものについて相当に調査もし、どの程度に調べ上げておられるかというようなことを、どこの課か知りませんが、直轄河川でも何でも、こういうものを知らなければ手がつきませんから、こういうところを至急面倒を見て貰つて、恐らく秋には又台風が来るだろうから、壊れてからやつたつて、これは来年に間に合うが、今度やればこの秋に間に合うのだから、その点を是非一つ私はお願いしたい。勿論十分のあれがあると思いますけれども、どの程度まで本省としても見込んでおられるか、その辺を一つ伺いたい。
  26. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 府県関係の小さい災害でございますが、これについて申上げます。実はこれまでの災害につきまして府県関係法律と申しますと、一ケ所十五万円以下というものは府県單独負担というわけでございますが、実はこれを全面的に調べてございません。とてもそれまでは行かないわけでございますが、一応は大体国庫補助災害の一割程度府県單独災害がある、大体そう推定しているのであります。それでこの点は自治庁の方に起債の面をその面で推進しているわけでございます。自治庁の方は建設省の方の申出を大体受入れておりまして、それを基本に県單災害起債の割当をやつて貰つているわけであります。
  27. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 これは直轄河川の方のお話になるでしようけれども、例の渡良瀬川利根川の中流から渡良瀬川にかけて、そういう壊れかかつているところが非常に多い。それから堤防は切れなかつたけれども、河床が皆上つちやつて内水で、数千町歩に水が入つたと同じ結果になつて米がとれなくなつてしまつたところが多いのであります。これは治水課河川課か知らないが、そういうところに対して相当対策を練つておられるかどうか。
  28. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 今お話直轄河川区域の小災害につきましては、利根川におきましては別に維持費を出しておりまして、そつちの方で小河川は修理している筈でございます。内水の措置というものは、施設災害に属しませんで、これは各省も手をつけていないだろうと思います。
  29. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 維持費を以てやつているわけだが、その維持費利根川関係はどれくらいあるのですか。現在使える費用が……。
  30. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 利根川渡良瀬川一緒に含めて九千万円であります。
  31. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 一緒にして九千万円ですね。それが現在使用されていないのはどのくらいありますか。この間相当使用されたでしよう。
  32. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 約半分は支出認証といいますか、あれを得ております。
  33. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 半分は手をつけずにあるというわけですね。
  34. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) そういうわけです。
  35. 石坂豊一

    石坂豊一君 どなたかお聞きになつたか知りませんが、この災害の六月までの分と、八月の分と合せて私共の手許貰つたのは約二百二十億、実際は二百十九億九千五百で、政府の今年度に取つておる災害復旧費のあれは、つまり予備的に取つてあるのは百億ばかりである。そうすると政府の公けに認められてあるのはまだ百二十億ばかり足らん、それで災害復旧については政府が直接やるということになつておりますが、この点はどういうふうな政府処置を取られるつもりであるか。災害の方は政府任せだというので地方でやらないようなことがあつてもこれは甚だ困る問題で、勿論政府がそれの手当をするにしても非常な、思切つて出したという復旧費がまだその半分にも足らんと、こういうようなことになつておりますので、非常にこれは大きな問題であろうと思う。これに対して建設省の方はどういう方針でやつておられるのか。それから今年度初めてできた災害復旧費を全部国費で以て賄うというその結果はどういう応急処置が取られておるか。それを一つ説明願いたいと思います。
  36. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 災害が非常に大きいのでございまして予備費の百億でも足らんだろうということでございますが、これを本年度に、現在起りました二百二十億程度のものを全部復旧いたしますれば勿論足らんわけでありますが、今後まだ本年度の中に災害が起つて来るだろうと考えられるのでございまして、これは昨年の四百二十億と、その前の、單価を直しますと二十三年は約七百億とこういうふうな高額になりますから、本年度も先ずこれに劣らないような災害があろうと考えておるわけであります。今年起りました災害をこれは全部済ましてしまえば勿論理想なんでございますが、到底不可能と思いますので、今まで建設省といたしましても復旧方針を立てておりますのは、少くとも全体の災害の約半分は、五割乃至六割と言つておりますが、約半分は来年の出水期までに済ましてやる。そうして重要箇所に手をつけるという方針で実はおるわけでありまして、そのためには今年度内において少くとも今年度起きた災害全体の半分ぐらいは進めておいて、翌年は五割程度貰つてその中の二割程度までは出水期までに必ず使わして貰う。実はこういう方針でおるわけでございまして、これと申しますのは、大体今までの災害の起つておる状況のうち最も緊急を要し、そうして影響も大きいというものは、実はいろいろ部類分けにして調査しておるのでございますが、大体五割か大副程度を一応やれば後残りますものは、勿論増破しては困るのでございますが、増破してもそう大きな影響は起らんというのが今までの災害状況でございます。それで次の災害までに約五割程度重要河川に手を着けるというのを方針にしておるわけでございます。  それから全額負担のことでございますが、建設省といたしまして、事業を実施するものといたしますれば、これは全額負担でありましようと、或いは地方財政負担ができればこれがもとのような三分の二の負担でございましようと、事業を実施するものとしては別にこれについてまだ意見を決定しておらんのでございますが、いずれにしましても工事量が現在のままでやつております仕事では、非常に、最低の線にもまだ達せん状況でございますので、実施する事業量を少しでも伸ばして行きたいという考えを持つているのでございまして、地方が幾分でも持たれるならば、それで仕事工程が伸びると考えられれば、或いは補助率は多少は少くしても、工程を伸ばしたいというのが我々の根本の考えでございます。
  37. 久松定武

    久松定武君 このたび地方税法改正されましたのですが、この改正によりまして災害費その他に如何なる影響があるか、若しあればその点御説明を頂きたいのです。例えば今度の地方税法改正によりまして、大幅に地方自治団体に税金は行くようになるのでありまするが、地方の県或いは都若しくは府によりましては、比較的その收入というものも減るという説明になるのですが、国からの平衡交付金等を唯一の財源に地方庁では考えておりますけれども、今後災害による国庫補助というものの率というものに如何なる影響がありますか。  もう一つ起債の面におきましてのその額というものが、地方税法改正によつて改正せざるを得ないようなことになつておるか。或いは影響がないか、その点を御説明頂きたいと思います。
  38. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 建設省の者ばかりで、地方税法の方は地方自治庁の方もどなたか呼んで頂きませんと詳しい御説明はできないかも知れないのでございますが……。
  39. 柴田政次

    委員長柴田政次君) それでは久松君にお諮りしますが、今地方自治庁の方からは出ておりません。いずれ明日にでも御出席願つて説明して頂こうと思いますので、御了承願いたいと思います。
  40. 赤木正雄

    赤木正雄君 この地方税関係から例の十五万円以下の災害御所に対しては国が補助せん、その代り十五万円以上は全額国が出す。私はこれは非常に惡法である。地方によつては非常に優遇されて喜んでおりますが、実際問題としまして十五万円以下のものを国が補助しない場合には、これは補助の対象になりませんから地方としてはそのままに放置しておく。これはもう人情で当然のことであります。それで今のようなやり方はむしろ災害助成、ますます災害の殖えることを政府助成をする、こういうふうな極端な考えを持つております。でありますが、この是非はとにかくといたしまして、そういう観点からして、今までの災害につきまして、十五万円以下のものを国が補助しない。従つて災害復旧の施行をやらんために、それが災害の拡大の原因なつたというふうなことは、実際災害担当官の方でどういうふうにお考えになりますか。実際にそういう場合は起つたでしようか。或いは私先程申しましたように、十五万円以下のものでも国が少しでも補助をして早く仕事をすればよいが、十五万円以下のものは補助をやらんために、勢い地方がうつちやつて置く。それがために災害が拡大したと、こういうふうなことはあつたでしようか、どうでしようか、そういう例がありませんでしようか。
  41. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 赤木先生のお尋ねでございますが、これは実は細かくは調べておりませんが、十五万円以上、以下を通じまして、未執行のために増破を来たしているということは沢山ございます。先ず昨年僅かのものを手を入れて置かなかつたために大きくなつたという例も、これは程度は分りませんが、我々が見たところでは沢山見られます。その点は、先生がおつしやるように、我々心配しておるのでございますが、十五万円の最低が是か非か、これは来年又法律を別に作るようになると思いますから、そのときには更に検討しようというわけで、十五万とか十万とかの費用について、実はどのくらいが工事の量になるかということを検討しているわけなんでございますが、我々も十五万程度ならば地方が持つたらよかろうということについては、実は多少危惧を持つております。おつしやるような、手を打たなかつたために増破したという例は相当あると思います。
  42. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういう関係で、今の十五万円に限ることがいいか惡いか、大いに議論の余地があります。そこで私は、その惡いのを改める、そういう観点から、非常に地方庁としても忙しいとは存じますが、その十五万円を基点にするために、それが災害原因なつた。そういうふうな場所を成るべく沢山建設省でお集めになつて、その法律改正の場合、こういうふうなことを大蔵省がやるから惡いのだと、その基礎付けをなさると、我々がその法案を審議する上にも、大蔵省やり方、或いは地方税やり方の惡いことをはつきり指摘できますから、成るべくその材料をお集めになるようにお願いして置きたい。我々が法案を審議する上に、結局あなた方のおカになつていいと思つているのです。  それからもう一つは、私多摩川の決壊箇所に行つて見ました。これは二十四年度災害復旧箇所になつている。ところが、地方税が御承知通りにすぐ決定しなかつたために、技術の方としては一日も早く仕事しないと困る。併し財政部面で、東京都の方が何と言つても金を出して呉れない、それが原因となつて決壊した。実際堤防が破れております。大した被害ではありませんが、とにかく決壊しております。そういうふうなことになると、今回地方税のあの法案の審議が早くまとまつていなかつたために、やはり方々にそういう害を及ぼしているというふうなことが見受けられるので十もこれもやはり今後法案を審議するときに、多少の参考になり、あなた方に御協力し得る点と思いますからして、余程そういう場所があつたならば、やはり各府県に問合わせて、早く仕事ができなかつたためにそういう破堤したというふうな実例をお調べを願うと、我々としても非常に参考になりますから、これもお願いして置きます。
  43. 島津忠彦

    島津忠彦君 先程のお話で、北海道の総体的な表ですが、一月から八月五日までの表なんですが、この以後に災害がありましたかどうですか、ちよつと伺いたいと思います。
  44. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 今我々の方で調べておりますところでは、これが最後の低気圧でございまして、今日もそうでございますが、小さい低気圧四国南部にありますので、その余波で東京の方も多少天気が惡うございますが、その後にも多少の増加はあろうと思います。あろうと思いますが、全面的でないものでありますから、府県の方からまだ報告が参つておりません。
  45. 石川榮一

    石川榮一君 少し遅れて参りまして、いろいろ質疑がおありだつたと思いますが、重複する場合はお許しを願つて置きます。小貝川の破堤の原因でございますが、これは長い間の放水路の問題等が介在しておりまして、その解決を見なかつたということが重大な原因とは思いますが、この度あの現地に参りまして、非常な惨害を受けておる現実を見ますと、あの破堤に対して、あの辺が相当危険であつたということは、土地の人も言つておるようですが、建設省はあの部分の破堤については関心を持つてつたかおらなかつたか。若しおつたとすれば、どういう手を打つたか、それを一つ伺いたいのであります。それからあの締切りでありますが、最近まだ行つて見ませんけれども、二週間のうちにも締切りは完了するというように聞いておりましたが、締切りの進捗の状況を伺いたい。締切りができた後にも、あの湛水を排除するのにどのくらいの準備をしておりますか。急速にあの湛水を排除しなければ、農民は参つてしまうと思うのでありますが、これに対する対策をどうされますか、伺いたいと思う。私はその外に三、四項目お伺いしますが、今のを一応伺いましてから又質疑をいたしたいと思います。
  46. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 今の小貝川の破堤の原因について御説明したいと思いますが、すべてこういうものの原因は、やはり遠因、近因いろいろありまするが、いずれにしても、あすこが非常に小段も少く、堤防も低く、危険な所でございましたために、建設省といたしましては、あの波堤箇所の対津あたりから下流に向つて新放水路を作る計画で、二十五年度予算にも相当額を計上しておりましたのですが、土地の人達が、自分の地所を非常に犠牲にされると、こういう状況でありまして、非常に反対が強かつたもので、我々としてもそれを強行する訳にも行かず、ついその補償関係、それから土地問題、そういうものを解決するまで待たざるを得なかつたので、これがまあ小貝川の破堤の本当の原因だろうと、こう考えます。それから、それじやそういう危險が分りながらどういう手を打つてつたかという御質問がありました。実は私の方でも、若しあの土地を入手することが多少遅れるならば、やはり刻々迫る危險に対して何か手を打たなければならんと、こういう状況を察しておりましたので、あの附近の上流からあの堤防の裏の方にかけまして、補強工事を進めておつたのであります。その補強工事の丁度進行していた僅か五十メートル先くらいが破堤した。誠に皮肉なような又我々にとりましては非常に残念なことであつたわけであります。  それから第三に締切りの問題ですが、今月一杯に一応水が中に浸水しないようにできると思います。今日約六〇%くらい進行しております。それで若し先達つての水のようなのがこの九月早々参りましたらば、こういう問題になりますが、そのときは又あそこには水が入ります。つまりあの附近で警戒水位と申しますか、大体このくらいから危險になる、そういうような水位を決めておりますが、そのくらいの程度には九月一杯に締切りができる。それ以上大きい、つまり八月五、六日頃の大出水に対しましては、まだ少し堤防の高さが足りないのじやないか。これは御覽になつたかも知れませんが、あの狭い所であらゆる機械を持ち込み、最新の技術を使つての最善の工程じやないか、こう考えております。  それから第四の湛水排除の問題につきましては、これは施設災害ではございませんで、一応建設省直接の工事ではございませんが、茨城県と協力いたしまして、着々準備しております。その具体的なお話を申上げますと、あそこに既存のポンプがございまして、このポンプが一時水につかつていた。これを新らしく替えるか、或いは乾かさなければならないのでありますが、今月一杯中、つまり締切りが完成するまでにそれを乾かしまして、それから多少水が再び浸入しても大丈夫なように周りを土手で囲みまして、そうして早速ポンプ排水を開始して、尚不足でしたら更に近くから方々のポンプを借りまして、排水作業を始める、こういう段取りになつております。その他動力関係施設建設省の方で直接あの辺まで持つて行くことに協定いたしました。今月一杯には十分間に合うであろう、こう考えます。
  47. 石川榮一

    石川榮一君 そうしますと今のお話を伺いますと、締切りは六〇%今できておる、後の四〇%は今月の中に締切りは完了する。こういうお話でありますが、そうしますと今月一杯で一応締切りが済むわけですが、残るところの堤外の大湛水、三千町歩に水が出ております。あの湛水の排除をやりますのに一台の、又はどういうポンプか分りませんが、相当のポンプでありましようが、一台くらいのポンプであの湛水を排除するんだつたら私は相当の期間が要るのじやないか、こう考えるのであります。今お話を伺いますと、止むを得なければ又見つけるというお話ですが、そういうことじやなしに、もうどうしてもこの湛水を排除しなければならないのですから、茨城県の仕事であるとか、或いは農林省の関係であるということを言わんで、とにかくあの破堤の原因は利根の逆流によつてつたのでありますから責任の帰属をとやかく言うのではありませんが、相当私は建設省に責任があると考える。そういうような点から考えまして、茨城県と協力して一つもう少し力を入れて、何月同日までには大体計算上あの湛水は排除できますという見通しを付けて貰いたい。それというのは、近く千葉県の佐原に、これがためではありませんか、一部五県の利根川治水大会に相当痛烈な議論が地元から出ると思う。こういう点につきまして建設省の方ではつきりした見通しを付けて置いて貰いませんと、非常に困ると思います。これはどの河川を見ましても支川に対するこの建設省堤防は非常に薄弱です。本川には相当重点が置いてありますが、支川における堤防は本川から見ますと大体一メートル乃至一メートル五十低いそうです。そういうふうになつておりまするから、自然支川における破堤が多いということになるんですが、その破堤は挙げて利根川の水なんであります。その支川の水じやないのです。こういう点から考えまして、この小貝川の破堤にこりまして、私共は利根に関係するばかりでなく、どの河川もバツク・ウオターだけは全責任を持つて建設省が責任を負うという立場をとつて参りたい、そこで地方庁と分合いをいたしまして、この面までは県がやる、この面からは国がやるということになつておりましても、その間が非常にスムースに行かないことが大変ある。従いまして場所によりましては県担の方の堤防が強靱であつて建設省がなすところの堤防が手遅れになる。本川とその支川との間において県担の方が強靱である。又本堤が強靱であつて、その間に脆弱な面ができておるというのが大分あると思う。今度の小貝川のごときも今のお話を伺いますと、相当工事ができていたけれども、その五十メートルの先が切れたということでありますが、恐らくバツク・ウオターが行つていたと思います。そういう間違いが起ると、地元は非常な惨害になるのです。或いは二代も三代も立ち得ないような農村になつてしまう。そういう点を一つ考え願いまして、支河川に対してそういうバツク・ウオターになる場合に破堤することは絶対にあり得ないように建設省は御心配を願いたい。  それから対策の問題ですが、締切りを無論今月のうちにやつて頂きまして、今のポンプを据付けて、そうしてそれからやるということになりますと、恐らく九月一杯にでも或いは湛水の排除ができない。そうなりますれば、あの二町五ケ村に侵水しております方々の家財は全部腐ります。家も腐ります、或いは倒壊する家が沢山できると思う。こういうような惨憺たる状況になるのでありますから、全力を挙げてその湛水排除に一つ建設省は責任を持つて貰いたい。茨城県に頼るのも結構ですが、これは破堤の原因がとにかく利根川のバツク・ウオターの中心が破堤したのですから、そういう点からも重点を置いてお願いしたいと思います。これは希望であります。  それからもう一つお伺いしたいことは、利根川の例によると栗橋から八斗島附近までは、その河川状況は荒れ果てておりまして、流心がどこにあるか分らない、水ごとに変る。従いまして思わざる場所に、各所に破堤を呼ぶような多くの破壊が見られる。これに対しても現地の技術官は金がなくてできない、どうしようもないというのが現実なんです。従いまして九月の大暴風雨期には増破しております今の護岸が各所に破堤を呼ぶだろうと思います。こういう点から考えまして直接現地におる人達が苦しみ抜いているこの護岸の災害復旧といいますか、緊急災害復旧といいますか、来たるべき暴風雨までに何とか災害を止め得るような、増破が止るような工事費を是非用意して貰いたい。それには余りにも維持費が少い。改修も大事ですが、維持費に十分金を與えてやりますれば、私は或る程度までは技術官は必死になつてこの災害防止に当ると思う。金なくして止むを得ませんで町村の方から金を出し合いまして、僅かの金でその工事を、生々しい傷を塞いでいるという現実なんです。そういう点を考えまして、この維持費の計上につきましては災害復旧と同時に、次に起る災害を防止する唯一の費用だと私は思うのです。従いまして維持費の計上につきましては、格段の御心配を頂きまして現地の出先の機関が十分にそういうような臨機の措置がとれるように維持費は獲得して貰いたい。これには我々もできるだけ御協力を申上げたいと思うのです。そういたしませんと、各所で破堤を呼ぶことになつております。現にすぐに手をつけて二、三百万円かければ出水期に耐えられると思うが、どうしようもなくて見ておるというような状況でありますので、これを若し九月の二日から二十日にかかりますいわゆる大暴風雨期に入りまして、相当の暴風雨がありますれば、そういうところから非常に大きな破堪を呼ぶ危險ができる。小なる中に維持する、これを護岸をやつておく、それが緊急である。  一週間でも十日でもやつておくというような費用が、維持費の中に十分含まれているように御計画願いたい。そういたしませんと、水が出た後、災害費用が足らないので、僅かな工事をやつても又災害が殖えたというだけで、災害の方に先廻りされまして、災害防除が手遅れになり勝ちと思うのでありますが、どうかこの点につきましても、できるだけ維持費の性格を考えて頂きまして増額を十分に一つ御心配願いたいと思う。  それから五十里堰堤と江戸川改修工事に見返資金が先般御発表になつておりますが、まだこれは本当の決定を見ておらないということを聞いております。留保されておるというように聞いておりますが、留保されておるかどうか伺いたい。若し留保されておるとすれば、その打開の途が近くあるのかどうかこれを伺いたいと思います。五十里堰堤と江戸川改修工事を一括したところの見返資金に対する見通しであります。
  48. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 先ず小貝川の氾濫水の排水ポンプの問題ですが、これは勿論地元におきましては、私の方の建設局の直接の工事事務所を置きまして、茨城県に協力する、そういう態度でなく、殆んど自分自身でやつてしまう。そういう恰好でやつております。ただ今一台と仰せられましたが、決して一台ではなく数多くのポンプを設置しておるわけですが、私今日全部で何馬力で、何日で排水できるかというところまで知つておりませんので、ちよつと御答弁できにくいと、こう考えます。至急その工程を調べまして御報告いたしたい、こう考えます。それから利根川の維持の問題については、全く御尤な御説で、とかく新規河川を編入するという、そういう方面の努力ばかりしておりました我々の河川管理に対しまして、全く頂門の一針とも申すべき御注意でありまして、御方針通り、今後は是非その維持、そういう方面に力を盡したいと、こう考えております。  それから第三の五十里、江戸川その外まだ三つ四つあるのですが、見返資金が留保されておる。こういう御質問でありますが、全くその通りで、先週の金曜日にあちらの方から最後の質問書が出まして、この質問に対して返答があつたならば、その上で審査する、それまでは留保する、こういうことになつております。どんな質問かと申しますと、非常に厖大な質問でありまして、全部で四十題ぐらい出ております。細かい、つまりこの工事箇所の上流に量水標があるかどうか、あるとしたら何ケ所ぐらい、そういうような細かいところもありますが、その質問の趣旨とするところは、これらの工事に対しまして、水源の状況、それから或いは下流の状況、それを先ず聞いております。それから次にそれに対して、どういう対策を具体的に持つて、本年度はどのくらいの予算をかけておるか、そういうことを聞いております。  それから次に、これは五十里とか、その外の貯水地だけについてでありますが、必ずや電気を起し、或いは下流の潅漑水の補給に使うのだ、それについてはどのくらいの水量を、どんな計画で下流に補給するか、或いは電気を起すか。そういうふうな具体的の質問をしておりまして、これにつきまして今週一杯くらいかかりませんと、その返事、答案がまとまらない。こういう恰好になつております。その理由は、建設省河川局ばかりでなく、或いは資源庁の電力局、それから農林省の林野庁それから農地局、その方面の計画も全部含めてその答の中に入れなければなりませんので、今そちらの方と連絡しつつ、それからまだ計画がうまく確定してないところは至急確定するようにしまして、今秋一杯にその返答を司令部の方にしようと、こういう予定になつております。今秋一杯というのは、毎日のように夜業を続けて仕上げ得る最少の期限でございます。その上で或いは許可になるか或いは更に計画変更を申出て来るんじやないかと、多少そのような心配もございます。大体……。
  49. 石川榮一

    石川榮一君 更にお尋ねいたします。この問題につきまして、この五十里堰堤と江戸川と、あと幾つですか保留されておるのは。
  50. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 留保になつておりますのは、五十里堰堤と、それから東北の北上川に猿ケ石という堰堤があります。
  51. 石川榮一

    石川榮一君 江戸川も留保になつておりますか。
  52. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) ええ、留保になつております。
  53. 石川榮一

    石川榮一君 これは江戸川と五十里堰堤とは別々になつておりますか。
  54. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 一括書類の下に別々に出しております。つまり、尚細かく言いますと、第一次分として数ケ所出た、その一つが五十里であり、江戸川であるのです。
  55. 石川榮一

    石川榮一君 総体にひつくるめてあるんじやないんですね、分離してあるんですね。計画は。
  56. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) ええ、計画は分離してあります。
  57. 石川榮一

    石川榮一君 若し許可を取れる場合に、五十里堰堤が取れて、江戸川が取れないという場合もあるし、或いは江戸川が取れて五十里が取れないという場合もありますね、一括して駄目になることはありませんか。
  58. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) そういうことはありません。
  59. 石川榮一

    石川榮一君 その他どこがありますか。
  60. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) それから北上川に造る堰堤ですが、猿ケ石。
  61. 石川榮一

    石川榮一君 この中に出ておりますか。
  62. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 出ております。それも堰堤です。それから石渕。
  63. 石川榮一

    石川榮一君 それも堰堤ですか。
  64. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 堰堤です。
  65. 石川榮一

    石川榮一君 まだありますか。
  66. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) それから今申上げた五十里です。
  67. 石川榮一

    石川榮一君 三つですか。
  68. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) それから江戸川です。それからずつと西の方に行きまして、木曾川の河口です。
  69. 石川榮一

    石川榮一君 木曾川の河口ですね、それは何ですか、工事は。
  70. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 浚渫です。
  71. 石川榮一

    石川榮一君 これだけですか。
  72. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) それからまだ淀川の修補といいますか、淀川の河川の弱いところを築堤、護岸をして補強する、その六つです。
  73. 石川榮一

    石川榮一君 今GHQの方から質問されたというので、我々も考えるのですが、どうも河川の改修は国家の無けなしの金ばかりに目安をつけておりましては、とても私共日本の河川の改修はできないと思います。ここにまあ見返資金というものがありますので、これもそう長い期間は勿論許してくれないと思うのです。長くて五年ぐらいじやないかと思うんですが、この時に当りこの見返資金を十分に河川改修にとり入れる方策を御検討願つて、国の予算の最大限の支出と更に加えては見返資金の中からその大部分を国土保全のための河川改修、或いは河口の浚渫というものにぶち込んで貰うような計画を立てて貰う必要がある。それにはこの質問にありますように、ただ防災のためだけの堰堤の工事費だということであつては、恐らく見返資金は困難だと私は想像する。大体私共司令部の二三の人に会つて見ますと、バランスのとれない、利潤を生んで来ないような、はつきりしないようなものに対しては、見返資金は出し得ないということを根本的に考えております。従いまして堰堤を造る場合には、これに対して利潤を考えて行かなければならん。用水の補給並びに発電の問題をとり入れて、防災と同時に、これくらいの利益がある。三年後にはこうなる、五年後にはこうなる、十年の後にはこれくらいの利益があるというバランスシートのついたものでないと、見返資金は呉れない、こう私共は直感しておる。たまたま今度の質問書を見ますと、やはり治水の面並びに発電に対する計画が付いていない、防災だけじやない。こういうふうに取れるのですが、今ここで質問書を受けまして、一週間の中に発電の計画並びに実施計画等を立てることは私は困難だと思います。或いは計算の上では出ましようが、各省で研究して、今から研究しても断じて、五十里堰堤による発電をどういうふうに具体化するということがここ一週間にまとまるとは考えておりません。少くもこれを出すまでにはそういうことを考えて案を拵えまして、そうして向うさんが立てるように持つてつて、その資金を思うように出して貰う、そういう手を打つて頂きたい。こういう点から考えまして、利根川、北上川の改修に対しましても国の予算に頼つていては百年河清を待つようなもので、断じて日本の財政では救済できない。そこで今の見返資金に目を付けまして毎年千億、三千億出るのですから、その中から大部分を建設省の重要な支出として全国の荒れ果てた河川に導入するようにしたい。それには堰堤工事を中心とする治水発電、これを極度に利用し得るような計画を、而も具体化をした計画を各地方庁と連絡を取りまして、総合的な計画を編み出して頂いて、見返資金の獲得にその態勢を整えて貰う必要がある。こう思うのですが、ただ百億、二百億の微弱な金を二百もある直轄河川で奪い合つて、見てもこれは意味がない。それよりも災害の方が先に進んでしまうのですが、どうも見返資金が民間会社にどんどん出るのですから、こういう公共的な、而も国土保全に絶対に必要な、不退転の決意で以てこの河川改修をやらなければ日本の川というものは全部荒れます。こういう点からこれは特に見返資金を受入れるための態勢、これに対する建設省を中心としての各省の協議が本当に真劍に取組まれまして、そうしてどしどしとこちらから請求を出し、見返資金がすうすう入つて来るようにお膳立を願う必要があると思うのです。私の意見でありますが、建設省側にそういう点について何かお考えがありましたら伺いたい。
  74. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 今の御質問の第一の見返資金の今後の情況、そういうようなことに関連しましての御返答をいたしたいと思います。見返資金は御存じの通りあと二、三年で直線的に減少し零になるべきものだと、こう考えておりますけれども、この土木事業に出しました見返資金以外のものは皆やりつ放しではなく、必ず元利償還されるわけであります。それが回收されて来ますと、やはり同じ額の金がどこかに蓄積されるわけだ、こう考えます。それを見返資金と呼ぶかどうか存じませんが、どこかでやはり蓄積いたしまして、まとまつたフアンドとしてやはり今後重要な事業に投資して貰いたい。これが建設省として今考えておるところでございますが、先ずこの一、二年は具体的にそのようなフアンド制度が、資金制度が決まるとは存じません。  それからいろいろの事業の総合性についていろいろ御指示がありましたが、全くその通りですが、又我々もつくづく今までそういうような総合性が計画になかつたということを残念に思つておりますが、至急と申しましてもそうなかなか簡單に一日二日には出て来ない、こう考えまして、先ず重要なところから著々と間違いないように今年二十ケ所、来年三十ケ所、そういうような調子で箇所ごとに総合性あるよい計画を立てて行きたい、こう考えております。このような計画の必要性は十分存じておりますが、又その総合計画を立てるということには極めて沢山の資料、それから沢山の時日を要しますので、その点は御了承願いたい、こう考えます。
  75. 柴田政次

    委員長柴田政次君) ちよつと私からお伺いしたいことは、只今のことに関連いたしまして、先程もお話がございましたが、この水防と申しますか、或いは水災というか、そういうふうなものが今度の茨城県に起きまして、その水防費というものは国において、建設省におきましても更に一銭も出ない。これは非常な問題でございまして、例えば先程もございましたような少し手を掛ければ水が増して来ても土俵を持つて来るとか、材木を持つて来ればその災害は免れ得る、極く簡單な仕事でできる。とれをやりますには何か新らしい水防費というようなものがなくてはできない。先程もお話があつた通りでございますが、今度の茨城県の壊れた所の状況を見ますと、取手町があれだけの土俵を築き上げるには相当費用がかかつております。その他各所にそうした防災設備をしておるのでございますが、県も国も一銭もこれに対しての費用がない。これはいろいろそこらの人々が集まつて、或いは消防団体がやるとか、いろいろの人達がやるのでございますが、例えば土俵を買うとか、材木を買うとか、或いは焚出しというようなものに対して一銭も費用が出ないということは、私共はどうとても承服のできない問題でございまして、この水防費に対する建設省としまして費用負担を将来出しますか、又今度の災害につきましてどういうお考えをお持ちになつておるか、それを一つはつきり御説明して、貰いたいと思います。
  76. 伊藤剛

    説明員伊藤剛君) 実は水防関係の担当官が来ておりませんので……。
  77. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 併しそれは出せるか、出せないかぐらいのことは分りませんか。
  78. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 水防の費用でありますが、実は二十五年度の予算には水防、或いは応急の費用というものに対する国の助成費用は実はないわけです。で我々といたしましては、災害予備費を要求いたしますときに災害応急費を相当沢山使つておる県があるものでありますから、これについての要求は実はしておるのでございますが、今の百億の予備費から応急費を出そうということにまだ決定を見ておらんわけでございます。現在持つております予算では水防費用、或いは応急の費用というものに対する国の助成をします金がないわけです。
  79. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 併しこういうことを、将来やはり応急工事を施す上におきましても、これは幾らやつても国でもどこでも出して呉れないということになりますれば、みすみす災害を未然に防ぐことは到底なすことができない重大問題だと考えます。これに対しまして建設当局におきましても未然に防ぐ、大したことでもないうちに防げば極めて僅かな金でできるのに、大破されたものは重大な問題ですから、これぐらいの金は何とか考え直して少しでも出す方法を講じなければ、地方の利害関係者ばかりじやないのです。利害関係のない人でもこれによつてお手伝いもし、いろいろやはりしてやらなければならん沢山な問題が起きて来るのでございますが、そういうことをしてやらないとしたら、これは災害をますます大きくしてしもうようなことに私はなると思うのですが、これは一つ考え置きを願わなくちや仕方がない問題だと私は思うのです。建設省の皆さんの方で何とか一つ考えつて、どこからなり出ようと私考えられるわけでございますし、それから先程ちよつと第一回の二十七億というお話がございましたが、この百億の予備費の中で建設省関係、或いはこの災害関係で農林省関係もあると思いますから、この間のお話のように八月十日までの災害につきましては、五十億しか出さないとか何とかということになつておりますが、外の農林省やその他の関係省に、どういうふうなことになつて二十七億が出ましたか。この辺を今少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  80. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 今の予備費の二十七億の配分でありますが、実は安定本部の方から配分が来ているのでありまして、農林省その他のことは実は分らないのでありますが、二十七億のうち建設省河川局の水害の方に廻つて来ておりますものが十四億五千万円、ちよつと端数がございますが、十四億五千万円でございます。
  81. 石川榮一

    石川榮一君 十七億幾らですか。
  82. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 十四億五千円、ちよつと端数がついておつたと思いますが、大体十四億五千万円。
  83. 石川榮一

    石川榮一君 これは何ですか。
  84. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 河川局の方の災害関係予備費支出でございます。
  85. 石川榮一

    石川榮一君 二十七億というのはどうなります。
  86. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) 二十七億は全部でございまして、それらのうちには農業とか、山林、水産全部入つているわけでございます。
  87. 石川榮一

    石川榮一君 合せて二十七億ですか。
  88. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) そうです。
  89. 石川榮一

    石川榮一君 その残りの、四十二億から引いた十五億というものは……。
  90. 賀屋茂一

    説明員賀屋茂一君) これは正式には知らないのでございますが、閣議では一応四十二億がこの前一応決定になりました。今度関係方面と折衝されたところによりますと、大体五十億くらい出そうということだということを聞いているのでありますが、それで二十七億を一時に出して、あとに残る二十三億は現在の算定が済んだならばそのときに考慮します。こういうふうに二段に支出されるように聞いております。
  91. 赤木正雄

    赤木正雄君 今の予備費の問題でございますが、建設省のお方を呼んで、農林省のことをお聞きになつて委員長は無理だと思う。こういうことをお聞きになるより、安本の方の関係者をお呼びになつて、それをお聞きになるなら、それは建設省もありましようし、農林省もありましようし……、その内訳を建設省にお聞きになつても無理です。
  92. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 御尤もでございます。それは私そこまで深く……、どのくらいになつてつたかというだけのことを御説明あれば結構と思いましたものですから。
  93. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういう意味でこういう災害のことをお聞きになるなら、やはり安本の関係者をお呼び願います。私は実はお願いしてあつたのです。今日安本の方がおいでになつていると思うのですがどうですか。
  94. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  95. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 速記を始めて。
  96. 石川榮一

    石川榮一君 今の問題は非常に大きな問題ですが、明日の会議には安本の責任当局と……、それからもう一つは印旛沼の問題だけでも水路で農林省と、又建設省利根川の改革改修計画の新放水路と、これが話合いがつかないという情勢も聞いている。同じ国費を使うのに、一方は農林省で一本作るのだ。建設省でも一本作るのだ。その話合いがつかないということはあり得ないと思うのですが、現実には困難であるということを聞いております。こういう面もこの際一つ小貝川の大決壊を契機といたしまして、農林省と建設省、特に安本の人達の理解を深めるために明日建設省並びに農林省の責任当局に御出席を願いまして、そうしてもう少し皆さんから突つ込んで意見を闘わして頂いたらどうかと思いますが、如何でしようか。
  97. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 只今の石川さんの御意見に如何でございますか。
  98. 石川榮一

    石川榮一君 特にもう一つ申上げますが、今度廣川農林大臣が非常な熱意を持つて興農臨時国会を開くという新聞宣伝さえして、大きく農林行政をとり上げられておりますが、その中核の中に土地改良事業を急速に拡大をするということも言つております。相当な予算を伴う。現実面から考えますと、主要なる河川の改修をせずして、耕地だけを如何に改良工事をいたしましても真の効果は上らない。例えば堤外における湛水排除の工事が十分に進みましても、河床が非常に上つておりまして、それがために堤外の湛水は排除で春ない。如何に美田を作ろうといたしましても、大きな川、それに流れ込むところの、これの排水の機能を喪失している川を無視してはできないと思う。こういう点から考えまして、国費を農林省で十分使う場合に、川の改修を中心としての土地改良事業を起すのでなければ意味がないと思う。これをややもしますと、一つのブロック的な考え方で、何でも農林省は土地改良をやればいい、用排水事業の拡張をやればいいというのでありましようが、やつてもその効果は半減される。河床はどんどん上ります。上りつつあるところへ耕地から如何に疏水を持つて来ても冠水せざるを得ない。やはり場所によりますと深刻な冠水が起るということさえあり得る。現在ありつつある。こういう点から考えまして、農林省が非常に真劍に土地改良を推進してくれるならば、これは河川関係を無視してはできないから、建設省の予算と農林省の予算とをよく噛み合せまして、そうして効果のあるような政策を立つて貰う必要がある。こういう点から考えまして、建設委員会はその間の斡旋、或いは勧告等をする必要があるのではないかと思います。そういう点からも、只今申上げました農林省の方にも一応お会いしまして、建設省側へ要望すべきものは要望する必要がある。両者の間の派閥をいつも見でいるわけに行かない。こういう観点から国費を有効適切に使わせるために、農林省にも来て貰い、そうして或る程度までは協調のできるように、この農林省の土地改良はいわゆる排水の主役を演ずる主な河川の改修と睨合せてやつて頂きたい。若し必要があれば農林省を圧縮しても河川の方を先にやつて貰う必要があろう。こういう点を一つ御相談願えれば、或る程度できると思います。そういう点から私は農林省の方々にも出て貰いたいということを申上げたわけであります。
  99. 赤木正雄

    赤木正雄君 私にはそれに意見があります。この会は申上げるまでもなく建設省が主で、農林省のやることはこれは結構でしよう。併し農林省は当然そういう利水の面からここに呼ぶと、ここに治水と関連する、そういう意味で呼ぶのはよいのでありますが、そういうことはやはり農林委員会と、或いは建設委員会と連合委員会をやつて、その席で呼ぶか、尚これのために安本が両方の仕事をやつておる筈です。建設省仕事でも、或いは農林省の仕事でも……、でありますから私は農林省の方を呼ぶのも結構と思いますが、先ず安本の人からよく意見を聞く。そうしないというと、この委員会で余り農林省の人を常に呼ぶというふうなことになりますと、必ず又農林委員会建設省の人を常に呼ぶという結果が恐らく来るのではないか、こう思つている。
  100. 石川榮一

    石川榮一君 今の赤木先生の御意見一応私共納得行きますから、先ず安本の方々に聞いて、それからそこにわだかまりがあるというような場合に、でき得れば農林委員会と合同する。農林行政と河川改修というものは切つても切れない関係にあるということを強調して、国費を有効適切に使わせたいというために合同委員会を開いて、尚合同公聽会でとり上げて貰いたい。
  101. 柴田政次

    委員長柴田政次君) その問題は今はできないと思いますが、例えば農林委員の方が休会中に開くかどうか分りませんので、合同委員会は次の国会でなければ開くことができないという考えですが、どんなものでしようか。
  102. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 実は委員長の御意見のようだと思いますが、先程石川委員も言つたような河川維持費が足らんためにさような排水溝というものがなくなつて皆困つておるということは、これは恐らく治水課長の方も同意見で、できるだけ河川維持費を取ろうというつもりでいるようですから、これは午後でも是非安本の方をお呼びになつて、安本の方にこれは相当関係があるようですから、このように一つして頂きたいと思います。
  103. 柴田政次

    委員長柴田政次君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  104. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 速記を始めて。それでは休憩いたすことにいたしまして、三時に再開いたすことにいたします。    午後零時十七分休憩    —————・—————    午後三時三十四分開会
  105. 柴田政次

    委員長柴田政次君) それでは午前に引続いて会議を開きます。
  106. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の聞きたいのは農林省の農地課か或いは耕地課か存じませんが、あすこでしておられる何と言いますか、防災溜池の件でございます。それでは一応今までの歴史を申します。昭和四年の閣議の決定によりまして渓流に作る工作物、例えば堰堤とか護岸工事及びこれに関連する山腹工事は内務省の所管です。そうして森林造成の目的を主とする山腹工事及びこれに関連する渓流工事は農林省の所管、こういうふうになつて農林省と今日の建設省、以前の内務省のこの水原の工事の区分がおのずから限定されているのです。ところが農林省は成るべく渓流に手をつけたいというふうな趣旨と考えられますが、昭和十年から遊水林という名目で方々の渓流に堰堤を作つている。その堰堤は例えて申しますと一つの工費が六万円、遊水林という名目で六万円で、その中の五万八九千円までは堰堤なんです。あとのせいぜい三、三千円が林業なんです、木を植える、但しそこには多くの場合遊水林でありますから、林があるのですから木を植えるところがない。それはとにかく遊水林という名目でやつた。これは非常に惡い。その当時の大蔵省関係官は氏家さんで氏家さんに折衝しても段々これは非常に面白くないというので二年程前でしよう、この仕事は農林省からはすつかり姿を消してしまつた、やめてしまつたのです。ところが私の知つているのには本年方々でいわゆる災害防止林と言いますか、それをやはり農林省の耕地課の方でお作りになつている。
  107. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) いやこれはちよつと、防災貯水池を建設省考えております。
  108. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の知つている範囲です。そういう堰堤を農林省の方でお作りになつている。現にそういう場所を聞いております。これは多くの場合は土堰堤らしいのです。そうして場合によつたらこれを貯水の用にも供する。併し常に水を溜めなければならない。そうして一朝洪水のときに、それに水を溜める、下流の洪水を防ぐ、こういう目的らしい、私の聞いている範囲では。又今度建設省で、建設省の利水課か、或いは防災課か知りませんが、とにかく建設省で、それと同じような仕事を計画しているということを聞いたのです。果して建設省がそういう予算を安本の方に出しているかどうか知りませんが……。では仕事する場所はどこにするか。各府県に聞いて見ますと、砂防の一定地域がある。それに皆出している。農林省にしてもそういう適当な箇所考えていないのであります。砂防として計画のあるところを出している。又今建設省の案のごときは砂防課の方に尋ねてそういう場所を探つて、それから出している、こういうことになつている。それに対して同じ仕事を、而も長年、何十年の計画を以て、一定計画で砂防でやつている場所を、而もそれが非常に水害に効果があるという観点から、何も改めて農林省、或いは建設省はやるかどうか知りませんが、再びそういう違つたところでやらなくても、同じ性質ならば砂防として、今までの経験に基いて、殊に今までの場所が決定しているのですから、それをさしたらいい、こう思うのです。これに対して安本はどういうお考えをお持ちなんですか、それを聽きたい。
  109. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 先程からのお話の防災溜池に関しましては農林省で、二十四年度かと私は思いますが、要求がありまして、それについて金が出ており、二十五年度は新規のは認められていない筈だと私は思つております。それはいろいろ防災溜池というようなものについていろいろな事情があるからだろうと思いますが、とにかく防災溜池なる趣旨は、貯水をして置いて万一渇水した場合に農業用水の補給に使うというのが趣旨ですが、これが非常に災害を防止する貯水池の役をして洪水から助けて呉れる。その量は僅かではありますが、その溜池が置かれている区域の小さい区域に対しては相当の効果を上げる、農作物の被害を減少して呉れる。そういう意味のように自的は灌漑用水の補給である。そういうふうになつておるように私は聽いております。それから防災貯水池というもの、これは新たに今年建設省の方から二十六年度の要求予算の中に出て来ております。これは但しどういうように考えるか、取上げるか、予算として建設省にするのがいいのかどうか、その点についてはまだ安定本部としては方針は決つておりませんが、こういう要求のあることだけは確かです。でその防災貯水池の要求の趣旨として私の聞いておるところでは上流で貯水をするが、これは余り流域のない狭いところでやり、而も堰堤には穴が開いておつて用水が溜る一方、又或る程度の水は下流に流れて行つて、そうして洪水を一時なりともこれは遅滞せしめる。降水の流量が重なるのを、下流へ行つて方々の流域から出て来る水の重なるのを幾分なりとも遅らせる、そういう趣旨のように聞いております。でこれについてはどういうふうに取上げるか、先程申上げましたようにまだ方針は決つていないようでございます。
  110. 赤木正雄

    赤木正雄君 あなたは砂防堰堤は御覽になつたでしようか。
  111. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 私は内務省におりまして河川関係のことにも従事しておりましたが、見学だけは砂防堰堤の常願寺川の上流とか、砂防堰堤工事は見学しております。
  112. 赤木正雄

    赤木正雄君 砂防堰堤にはいろいろの種類があります。今お話の常願寺川のごときは純然たる土砂の崩壊を防ぐし、今お話のような常に水を流すような穴を開けて降水を調節する。実はこれが砂防かどうかということは非常に私は内務省におつたときに議論した。丁度ここの宮本君がやはり一緒にやつておりまして、宮本君はこれは砂防堰堤でない、むしろ河川工事一つだ、こういうような議論をしております。併しそれは成る程堰堤そのものだけ考えて見ると、砂防堰堤でないように思うか知らないが、小さな谷川で芳しもその堰堤を作つて降水を調節しない場合には、その下流の両岸が決壊して、そこに砂防工事をやらねばならない。であるからして降水を調節してその下流の決壊を防ぐのだ。その意味でやはり災害を防止する、砂防工事をすべき事態になるのを予めそれを防ぐのだ。そうしたところが、成る程それは立派な砂防堰堤だ、現にドイツでもそういう砂防堰堤は沢山やつております。そういう目的で岡山県或いは京都府の犬飼川ではやつております。尚一番初めは昭和七年の農村救済事業に秋田県の由利用でやつたのか起りなんです。これは非常に効果があつた。そういうふうでありますから、今あなたのお考え仕事と、砂防工事と少しも目的において相違がない。而も砂防工事としてそういうものをやつておる場合に同じような仕事建設省が計画する場合に、それを取上げるか取上げないかはまだ決まつていないとおつしやいますか、一つの技術官としてそれくらいのことはもうお考えになつていいと思います。その御意見を伺いたいと思います。
  113. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 今赤木先生からいろいろ教えて頂きましたが、私らとしてはまだそういう方面の、前の宮本さんでさえも疑問を持つたような問題ですからして、私らとしてどうこう申上げる問題じやないと思います。そういうようなふうに御決定になつたというようなことも私が今初めて聞きました次第で、これは技術者としては申訳ないことですが、これを取上げるか取上げないか、そういう問題については私としては申上げかねる次第と思つております。
  114. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は技術的のことを申上げたのです。これに対して砂防としてやつておるものを外の課でする場合、これを取上げるかどうかというのは、これを判定なさるあなたの良心に訴えるより外ありません。それに関するあなたの良心の如何によるべきで何ら申上げません。もう一つ先程申上げました農林省の案として土堰堤、これも同じような目的でやつておりますから、これに対して今後やはり二十四年度は認めて、二十五年度は認めていないというお話でありますが、私の知つておるのは二十四年度工事を最近やつておるからこういう問題が起つておるのかも知れません。現にそういう個所を各地で聞きもし、又今後見る考えを持つておりますが、そういうことがありますと今後国土省でも作つて、そういう治水利水を一つの省でまとめようという際に、尚更この両方の省のごたごたを一つにまとめるというのが安定本部の一つの役目じやないかと、こういうふうに思つております。そういう場合に安定本部自体から殊更そういうごたごたを起すようなことは成るべく、お考えを今までしておられたならば、考え方を一つ取戻して欲しい。やはり技術の観点からして正しい方に持つて行くというふうにお願いしておるのであります。これは私はこれ以上申上げませんけれども、先のあなたの御意見で大体分りました。ただあなたのみでなく、安本の長官でもそういう人は本当の技術精神がないだろうか、あなた方の正しい技術精神に訴えることが私らの役目だと思います。これ以上申上げませんが、ただ今後一つ一つあなたに反駁しようと思つております。その個所をお知らせ願いたいと思います。
  115. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 分る範囲内だけ調べてお知らせいたします。
  116. 赤木正雄

    赤木正雄君 私はこれだけであります。
  117. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 他に御発言ございませんか。
  118. 石川榮一

    石川榮一君 開発課長さんがおいでになつておりますから、一応総合開発のことについてお伺いしたいと思います。只今総合開発法が公布されまして、各県とも県独自の開発計画或いは数県共同の計画等が各地方庁で検討せられております。この総合開発法の狙いは、勿論国土の保全を中心としてあらゆる科学的な面からの御検討によつて、狭小の国土からできる限りの資源を開発して、この際再建に役立たせようというような大きな狙いのようであります。従いまして各県から出ます総合開発の案が審議に上りまして、そうして若しそれが適切なものであるならば、どしどしこれを採用して予算化すことができるかどうか。いわゆる日本の現在の財政状態からお考えになりまして、全国的に今検討を加えつつあり、荒廃しておりまする所の総合開発が、どれも相当な計画を持つて来ると思いますが、これらのものに対しては、安本といたしましては財政的な面からどのくらい取上げられるものか。若し取上げられるとすれば、その費用はどのくらいそれに向けられるものか、伺つて置きたい。ただ計画倒れに終るような総化的な開発法であつては意味がないと思う。重点的に取上げると思いますが、とにかく一つの財政的の枠といたしまして、この総合開発法を全画的に検討を加え実施しようとする場合、どのくらいの予算額の枠の用意があるかを伺いたい。
  119. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 国土総合開発法に伴つて、いろいろ各地で地方協議会なるものができ、そこでいろいろな計画を建てられて、そして中央に求める。中央の国土総合開発審議会ではそれを審議して計画の妥当かどうか、その点を調べることになつておりますが、その実現の工事がやれるかどうかということについては、法律にははつきりした文句が出ておりませんで、勧告をするというような程度になつておるのですから、その点いろいろ、曖昧な点があるので疑問を生じております。安定本部としましても、私の聽いている範囲内では一応これまでの国土のいろいろな災害復旧、それに重点を置いて、その他開発面にも何とか力を入れて行きたい。そういうことになりますけれども、主眼はどうしても災害復旧になつて行く。それで国土総合開発法の範囲内では、特別地域、特定地域と言つておりますが、この範囲内に関しましては或る程度予算に関する法律的な文句が出ておりますが、工事実施に関するものにはついておりませんので、どうも私としてもこれだけのものがやれるとか、どういう程度の金額が計上できるかということは今申上げかねます。而も又権限は国土総合開発審議会、そこで決めることになつております点からして、今後の審議の模様によつてこれはどう変つて行くかも私らとしては見込がつきません。
  120. 石川榮一

    石川榮一君 私共もさように考えるのですが、国土総合開発法が公布になりましても構想としての各地の構想はできましようが、現在河川がかくのごとく荒廃し切つておりまして、又災害復旧も二十三年度災害さえ辛うじて今年度の金でカバーできるというような状況であり、二十四年度災害は川によりましては三割、いい川につきましても災害復旧ができておりません。二十三年度は五割、二十二年度が辛うじて今年度予算でどうかこうか三月まで間に合う。三十三年度は余分、二十四年度は手がつかないというように、財政的な面から考えまして手がつけられておりませんのですが、それにかてて加えまして、全国的に国土開発法の実施によりまして、各府県では、或いは相当な経費が又これに出て来るのではないかというので、相当経費を使つて計画をしております。従つてこの経費も厖大に上ると思いますが、漸く調べ上げたものが今お話のようなわけであつて、あの法律には財政的裏づけはない。ただ構想としての集計に過ぎないのじやないかというような心配があるわけであります。そうしますと、折角国土開発法を実施いたしましても、誠に意味がない。ないよりもいいかも知れませんが、地方庁が非常に予算を使い、そうして県会を通しまして持つて来ましても、今のようなお話ですと、誠に頼りない話であります。これに対して安本の方ではできる限り、他の省の要求もありましようが、折角できたものですから、これに対しては格段の御努力を願いまして、それがたとえ無けなしの金でも、着々重点的にその開発を、場所によりましては開発にどんどん手をつけて頂くように御配慮を願いたいと思います。そうしませんと、各県とも相当に期待を持つてつておりますから、非常に後で失望するときが来る。或いは非難ごうごうたる時が来るのじやないかと思うのであります。どうかその点を一つ考え願いまして、各地方から出ましたところのものは、勿論各地方において非常な熱意を以て審議して来るのでありますから、審議会においても一層熱心な御研究があろうと思いますが、今の審議会には予算的な措置の権能はない、要は安本、大蔵等の方々の心がけ一つであると、こう思うのです。どうかこの点を特に御留意願いまして、善処方を要望いたします。
  121. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 私の職能柄開発という面を担当しております上から、できるだけそういう方面に皆さんの御期待に副うように努力しておる次第ですが、今後ともそういうように皆さんの御希望もありますので、私としてもできるだけのことを努めて行きたいと思います。又安本の職員にもそういうように伝えておきます。
  122. 赤木正雄

    赤木正雄君 安本ではそういう計画をなさる場合に、安本自体でなさつて、最もそういうことに関係しておる建設委員会には、あらかじめ案でもお示しになる方針がありますか。或いは具体的に決まつてしまつてからお示しになるおつもりですか。
  123. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 今のは何に関連して……。
  124. 赤木正雄

    赤木正雄君 総合開発です。
  125. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 安定本部では只今のところ事務局が設置されておるのでありまして、権限は国土開発審議会というそういう委員会の権限になつております。
  126. 赤木正雄

    赤木正雄君 その委員会は、委員がまだ決まつておりません。政府から要請した委員をこの間の国会で延ばしましたから、決まつていない筈です。従つてその委員会が成立したかどうか知りませんが、とにかく地方開発の分はどういう関係になつておりますか。これは建設省関係ではなく、あなたの方の関係ではありませんか。
  127. 岡崎三吉

    説明員(岡崎三吉君) 地方の国土審議会は、いろいろ法律に基いて各地方に設けられますが、これは安定本部というものとは全然別で、国土総合開発審議会の地方機関とでも申しましようか。これはただ軍に地方の機関でありまして、そしてその世話役といいますか、窓口は建設省になつております。
  128. 赤木正雄

    赤木正雄君 計画課長が見えていますから重ねて申します。先程私は開発課長さんにお願いと申しますか、開発課長さんの良心を聽いて見たのです。併しながらあなたの御承知通り砂防工事と同じような仕事が農林省の農地課の方でされ、殊に又治水課の方で、治水裸か利水課か知りませんが計画されていますから、これは私が言わなくてもあなたが万事御承知ですから、同じ一つのところでやつておるものを方々でやつて目立たないようにして欲しい。あなたは万事御承知だから言つておきます。
  129. 矢野勝正

    説明員(矢野勝正君) 只今赤木先生からお話があつた点は私も十分肝に銘じて感じております。例えば河川の総合開発という事業も、これは農林省でもやつております。建設省でもやつております。今度予算に出ております防災、これは農林省からも出ています。建設省からも出ています。これ等の点ははつきりした線を決めなければならないと思つております。最近安本に行つたのですが、そういう点の調整は十分にいたしたいと思つております。
  130. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 計画課長がおいでになつたのですが、外に質疑はございませんか。
  131. 石川榮一

    石川榮一君 計画課長にお尋ねしますが、一つの例を以て……。これは重大な例ですからはつきりしたお答えを頂きたいと思います。千葉県の一手賀沼、印旛沼、あの附近に農林省は放水路を作りまして、そうして防災と干拓の計画をなさるということを伺つております。それから利根川の改訂改修計画の中にも取手の下流から船橋に向いまして新らしく、仮に昭和放火路といいますか、相当厖大な放水路の計画もあるようであります。これは一つ地方に二つの放水路ができるわけなのでありますが、これらのものは調整をいたしまして、それは利根川の改訂改修計画の一環をなしまする新放水路、又手賀沼、印旛沼等の防災並びに干拓に要する新放水路、これは何とか技術的に檢討を加えますれば一本でも済むのではないか、かように考え、これを現場の職員、技術員に聽きますと、なかなか農林省との話合いが困難だということを聽いております。勿論おのおの特色があることでありましようが、建設省の意図するところの新放水路の計画と、農林省が考えておるところとはおのずから特色がありましよう。ありますが、同じ地方に莫大な経費を掛けて、そうして二本の放水路を作るということは、これは科学的に研究すれば私は一本化できるのではないか。又その方が土地のためにも、土地も潰れませんし、又国費を重複して使う、私らに言わせれば或いは無駄に使うということも防ぎ得るのじやないか。私共利根川の沿線に住んでいるので、たまたま現実の問題を見せつけられたとき非常に各省の派閥といいますか、昔からありますところの、いわゆる各省割拠の姿が具現しておるのですが、そういうことでは、こういう財政困難な場合に、非常に国民とすれば納得が行かない。こう考えるのです。これらの点について計画課長さんはどう考えておりますか。そういう話を聞いておりますか、聞いておりませんか。若しおりますとすれば、これに対する安本としての考え方はどうなつておるかを率直にお答え頂きたい。
  132. 矢野勝正

    説明員(矢野勝正君) 只今の両工事の調整という問題につきましては、私も聞いております。併しながら実は私つい一週間ばかり前に建設省から安本に転任を命ぜられましたので、詳しい内容は率直に申しますと存じません。本日は責任を以てお答えできないのでありますが、実は建設省にいる時代からこの話はちよちよい聞いておりましたので、今度立場上徹底的に一つ糾明してみたいと思つております。ただ私ここで非常に無責任なことを言うようですが、私が建設省におるときに感じたのですが、あの事業は農林省のやつておるのは、排水ということを主にしておりました。従つてその計画はすべて現在の低い水路を使つておる。建設省は高水路を使う。それを一致させようと思うと厖大な工事になるというような関係で、事業が必ずしも一致できないというのが基本的な考え方だということを聞いておつたのです。勿論これは一本にできると思う。できるけれども、却つてその方が高くなるという議論をしておつたが、それらの点はじつくり研究いたしまして、無駄のないようにいたしたいと思つております。
  133. 石川榮一

    石川榮一君 只今お話ですと、それは一本にまとめた方が高くつく、こういうお話のようです。二本作つた方が安くつくというお話のように伺つたのでありますが、経費の点において若干の相違はありましても、土地の潰れ方についての、要するに河川敷になります面積の相違はどうなるでしようか、それを伺いたい。
  134. 矢野勝正

    説明員(矢野勝正君) 実はまだそういう数字的の問題になりますと、よく存じておりませんが、もう一つの問題は、放水路というやつは大体聞いておりますと五十億円ぐらい金がかかると聞いております。利根川の改修に小放水路で五十億の金をかけて、これからやるということは、十年或いは十五年かかる。その利根川にいたしましても利根川が下流の放水を完成してもできない、どうしても江戸川の方を先にやつた方がいいのじやないかという関係で、工事の期間のズレの関係があつて、両方必ずしも一致するということができないわけじやないが、こういうふうに思つてつたのです。いずれにいたしましても責任のある即答はできない立場にありますので、十分檢討させて頂きたいと思います。
  135. 小川久義

    小川久義君 今日はこのくらいで散会して頂いたらどうですか。
  136. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 只今小川君から動議がありましたが、本日はこの程度で御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 御異議ないようでありますから今日はこれで散会いたします。    午後四時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     柴田 政次君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            石坂 豊一君            島津 忠彦君            田中  一君            尾山 三郎君            久松 定武君   説明員    建設省河川局治    水課長     伊藤  剛君    建設省河川局防    災課長     賀屋 茂一君    経済安定本部建    設交通局開発課    長       岡崎 三吉君    経済安定本部建    設交通局計画課    長       矢野 勝正君