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1950-07-28 第8回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十八日(金曜日)    午後一時五十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十三年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十三年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)   —————————————
  2. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今より決算委員会を開会いたします。  昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算を議題といたします。
  3. 千田正

    千田正君 本日の委員会で、政府からはどういう万がお見えなつておりますか。
  4. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 人事院から給与局長瀧本さんが見えております。それから大蔵大臣がもうすぐお見えになります。
  5. 千田正

    千田正君 先般会計検査院からの報告によりまして、昭和二十三年十二月の閣議決定によりまして北海道在勤政府職員に対する手当支給をしたのは、法的においては違法ではないかという意味の会計検査院報告に基きまして、本員はこの点について質したのでありまするが、大蔵省からは河野主計局長の御答弁によりますると、両院決議をし、閣議において決定をして当時の官房長官からの指示によつてこれを支出したのであるから違法でないというような見解を述べております。これは決算委員会としましては最近にないところのいわゆる法的根拠に基くところの会計の検査から見ますれば重大な問題でありますので、この点各委員愼重なる御審議をお願いしておつたのでありまするが、本日幸いに給与局からもお見えなつておるようでございますので、その点給与局の方の御見解を一応承わつて置きたいと思います。
  6. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 只今の問題につきまして人事院の考えておりますところを簡單に申上げます。裁判所及び二府九省で昭和二十三年十二月十九日の閣議決定に基きまして、特に北海道寒冷積雪地に在勤いたしまする政府職員に対し、特別俸又勤務地手当支給した件につきましては、当時ありました政府職員の新給与実施に関する法律第四十六号、この法律にはその後昭和二十三年十二月三十一日以降改正されました一般職職員給与に関する法律第三条第二項にあります「いかなる給与も、法律又は人事院規則に基かずに職員に対して支拂い、又は支給してはならない。」こういう条項はなかつたのであります。従いましてこのような支給がされたということは、こういう観点から見まするならば、当時の第四十六号法律には必ずしも違反しておるものではないというふうに考えられるのであります。併しながらこのような措置はやはり法律の明文に基いて措置するということが妥当であると、人事院といたしましてはこのように考えております。
  7. 千田正

    千田正君 荷くも国給与を支出する場合においては、少くもその裏付として法律がなければならない筈であります。にも拘わらずその法的な根拠が、仮に両院決議しそうして閣議を経て決定したとしましても、この支出に対しては、單に大蔵大臣の命令のみでこれを麦出すべきものではないということは我々も承知しておりますが、この点につきまして何らかの便宜的措置があつたかどうか、大蔵省当局の御答弁を頂きたいと思います。
  8. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 今大蔵大臣が来ますが、ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  9. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 速記を始めて下さい。
  10. 千田正

    千田正君 内閣官房長官にお伺いいたしますが、昭和二十三年十二月に北海道在勤政府職員に対しまして国庫納金免除し或いはその後一齊に減俸して原給に復せしめているというような点、特に又寒冷地帶政府職員に対するところの特別な措置に対しまして、当時の国会で両院を通過し或いは閣議においてそれを決定してこれを大蔵省に指示したのでありまするが、先般二十三年の決算審議に当りまして会計検査院からの報告によりますと、つこれは何らの法的な裏付なくしてこういうような措置をとつたというのはいわば違法ではないかという問題がここに起きたのであります。本員はそのときに質問申上げたのでありまするが、河野主計局長の御答弁によりますると、当時閣議において決定してこれを官房長官より大蔵大臣に指示した、そのために我々としましてはその指示に基いてこういうような措置をとつた、こういうのでありまするが、荷くも国庫納金措置する場合において、何らの法的な裏付なくしてこれをやれるかどうか、こういう点に非常に我々としましては疑義を生じて来たわけであります。そこで大蔵大臣並びに官房長官に、こうしたいわゆる国庫に対する納金処置を法的の裏付なくしてあなた方の権限で行えるかどうかという点を御質問申上げる次第であります。
  11. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) この問題のいきさつは只今お話通りであつたと記憶いたしておるのであります。而して石炭手当を出しました法的の根拠は、給与実施規則によりまして、給与の増額は実施本部長がやり得ることになつておる、こういう解釈でおるのであります。従いまして法的の根拠我我はあると考えておるのであります。それから勤務地手当等につきましては、予算の流用でやつて財政法に違反するものでないと私は確信いたしておるのであります。
  12. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 官房長官が議運の方に行つておりますので私代りましてお答え申上げます。只今質問法的根拠の問題でございますが、当時実施しておりました政府職員の新給与実施に関する法律によりまして新給与実施本部長相当程度権限を任されておりまして、その権限に基いて閣議決定をやつたのでありまして政府といたしましては只今大蔵大臣から御答弁申上げたように、違法の処置ではないというふうに考えておる次第であります。
  13. 千田正

    千田正君 今大蔵当局並びに官房長官の方からの御説明によると、違法ではないというふうな解釈をしておられるようでありまするが、こういう点にきましては会計検査院としましてはどういうふうに考えておられますか、一応会計検査院立場を。
  14. 東谷傳次郎

    会計検査院事務総裁長東谷傳次郎君) 只今の問題でございまするが、石炭手当或いは寒冷地手当というようなものは、二十二年度も御承知のように政府職員支給しておられるのであります。北海道に在勤する者に対する特別な法律があります。これによつて支給されておるのであります。そういたしまして、二十四年に支給されました場合もやはり同じように法律によつておらるるのであります。二十三年度は政府説明にもございまするように関係当局との折衝が思うように行きませんので、みずからの責任においてこれをやつたのだというふうに弁明書に書いておられるのでありますが、いわゆるみずからの責任でおやりになつたわけでありまするが、会計検査院の見るところによりますると、政府職員の新給与実施に関する法律というのが二十三年五月に法律第四十六号で出ておりまするが、それによりますると、かような特別俸、しかも石炭手当をやるというのが目的でありまして、実際は特別俸というのは名を借りておるわけであります。そういつたようなものは新給与実施に関する法律には予想されていないのであります。又これを実施するところの政令で見ますると俸給を上げる場合には一級から一号二号三号と順次上つていくようになつておるのでありまするが、北海道石炭手当特別俸という名の下に支給された場合においては、甚だしいものは一遍に九号まで上げまして、而も十二月に上つたのに四月にまでに遡つてそれを上げて、世帶主には五千円になるようにそれを上げて行くというふうな操作をなさつておるのでありまして、これらは会計検査院といたしましては、やはり法律によつたものではない、第何条に違反しておるというのではないが法律によつたものではないというふうに考えておるのであります。又予算的な方面におきましては、政府はこれもこの説明書に書いておられまするように、石炭手当としての予算は積算してないけれども、いろいろ即定予算を按配してやつたのだと言われることは、予算がないということを裏書しておるのでありますが、而もその支給する上におきましては、これは細かいことになりまするが手当というような科目ばかりから出しておるのではない、物品、消耗品を買うという科目自体からこういう特別俸を出しておられるのでありまして、どうもやはり法律の趣旨並びに予算から見まして適当ではないというふうに依然として会計検査院は考えておる次第であります。
  15. 千田正

    千田正君 会計検査院の御答弁によると、この問題は甚だ妥当ではないというように考えられますが、我々も両方の御答弁を聞きまして尚愼重審議する必要があると思いますが、若しもこの問題が仮に違法である、或いは妥当を欠くという場合において、政府責任においてこれをなしたとするならば、政府はどういうような処置をとるかという点につきまして大蔵大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 我々は妥当な措置であると考えていたしたのであります。従いまして最高裁判所その他でどういうふうになるか分りませんが飽くまでも我々妥当として考えておるのであります。それが若し妥当でないということになつたらどうするかという問題については、その場合に考えればいいことであると思つております。
  17. 千田正

    千田正君 恩給局の方にお尋ねいたしますが、恩給法によるところの国庫納金基礎本俸であると解釈してよろしうございますか。  第二点は、特別俸に対して国庫納金免除したのは違法であるかないか。我々は違法ではないかと思うのでありますが、この点いわゆる法律根拠なく国庫納金免除はできないのではないかという点に我々は疑義を持つておるのであります。  第三点は、違法の場合国庫納金は追徴するかどうかという点であります。この点について御答弁を頂きたい。
  18. 三橋則雄

    説明員三橋則雄君) 恩給法によりまして俸給といいますのは本俸をいつておりますることは、恩給法の第四十四条に規定しておるところでございます。従つて国庫納金につきましても俸給即ち本俸基礎として国庫納金をしておることになつております。今問題になつておりまする特別俸につきましては、この俸給の中には入らないもの、こういうふうに考えております。今お尋ねの若しも特別俸俸給の中に入らないに拘わらず、俸給の中に入るものとして国庫納金を取つてつた場合どうするか、こういうようなお尋ねでございますが、私はそれは承知していないところでございまして、国庫納金の国の取扱は実は大蔵省の方でやつておるのであります。違法な取扱をしておるというようなことは考えておりませんが、違法な取扱をしておりましたならば、それは善処するようなふうにいたしたいと思います。
  19. 千田正

    千田正君 恩給に関するところの国庫納金免除その他につきまして、内閣若しくは大蔵省から予めこの問題に対して相談若しくは通知があつたかどうかという点もお伺したいのであります。
  20. 三橋則雄

    説明員三橋則雄君) 恩給局からこの特別俸につきましては国庫納金免除するというふうなことは何も言つておりません。又大蔵省の方からも今関係者に聞きますとそういうような通牒は出しておりません。先程御説明申上げましたように、恩給法俸給と申しますのは本俸をいつておるわけでございます。従つて国庫納金を計算をしまする場合の基礎となりまする金額も、俸給と明らかに法律に規定しております。特別俸は入らないものと解釈して当然そういうふうにみなされておる、こういうふうに考えております。
  21. 千田正

    千田正君 この問題は先程大蔵大臣の御答弁によると飽くまでも妥当である、たとえ最高裁判所において争つてもこれは妥当であるという大蔵省の強い意思表示があつたのであります。そこで先程会計検査院側見解を我々聞いておりますと、会計検査院としましてはここでは言われないけれども、これは決して妥当ではない、こういう見解を表示しております。決算委員会といたしましては二十三年度の今のこの問題を審議するに当りまして、相当愼重審議しなければならない立場に立つたのでありまするから、今日私はこの程度質問にして終りまして荷委員各位愼重に御審議を願いまして決算委員会結論を出して頂きたいと思います。
  22. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今千田委員から御発言がありました通りに、本問題は会計検査院大蔵省との間に完全に意見対立いたしております。人事院解釈もやや会計検査院の御見解に近いものがあるように聴取したのでありますが、只今千田委員の御発言通りに、本委員会としても十分に慎重にこの問題は検討して結論を出したいと考えております。さよう御承知を願います。
  23. 千田正

    千田正君 これは法制局にお伺いしますが、或いは先程からここにお見えなつておられたとするならば、今までの経過を十分にお聞取りのことと思います。こうしたいわゆる昭和二十三年度において不幸にして関係筋との了解ができなかつたために、にも拘わらす給与という問題は速急に急がなければならんという立場において、両院決議に基いて内閣閣議決定し、更に大蔵大臣に指示してこの特別な方法をとつた、こういうことをいわゆる国の会計の面から見ると頗る妥当でないという、こういう会計検査院側の説と、ここに全く両立した問題が出たわけであります。法制局立場からいわゆるこの点について、特別俸は全然法律に基かなくしてこういうことをやられるかどうか、妥当な処置であるかどうか、法的立場からお伺いしたいと思います。
  24. 今枝常男

    法制局参事今枝常男君) それでは只今お尋ねのありました点につきまして、私共の方で一応検討いたしましたところを御報告申上げます。実は事実関係が具体的に十分に呑込めておりませんので、前提が違つておりますと或いは結論的にも違いが起つて来るかも知れませんが、問題の特別俸というのは形の上では一定期間号俸乃至九号俸を問題の職員について昇給したというような形で出されたものだ、というふうに理解しました前提で申上げたいと思います。若しそういう事実関係でありますればこの場合の法律関係といたしましては、当時昭和二十二年の法律四十六号政府職員の新給与実施に関する法律というのが実施されておりますので、これらの給与はこの法律の枠の中でと申しますか、この適用の中でしか出せないものじやないかと、こう考えるわけであります。従いまして只今申上げましたような増俸の仕方をいたしたといたしますれば、それはその法律にありましたところの俸給の引上げという形によつたのではないかと思います。そうなりますと、この法律に基いて出ておりまするところの昭和二十三年の政令四百一号というのがございまして、それには給与を増す場合の各種の基準を置きまして一定制約をいたしておるわけであります。それでその制約におきましては少くとも二号俸以上を飛躍して昇給するというようなことは原則として認められていないことになつておりますので、少くともそういうものについては法規的に抵触しておることになるのではなかろうか、こういうように考えて実る次第でございます。尚尤もこの只今申上げました政令四百一号は昭和二十三年十一月末になつて出ておりまして、それが施行されました後その施行と同時にそれが同年度の一月一日まで遡つて適用されておるわけであります。その政令が遡ります結果その適用の上において法に合わない、こういう結果になつて来るのじやないかと思います。従いまして現にそういつた措置がとられました時期にはその政令もございませんのでありますので、それが行われました当時といたしましては、一応牴触する法規がなかつた、こういうことになつておるように思われるのでここといます。  それからもう一つの寒冷地積雪地手当の方でございますが、これは政府といたしましては先程申しまた政府職員の新給与実施に関する法律に申しておりまするところの、勤務地手当ということで出されておるのではないかと思うのでございますが、この場合におきましては、その法律の二十八条におきまして一応経過的に勤務地手当従前の例によつて出せるということになつておりまして、その従前の例と申しますのは昭和二十三年法律十二号の政府職員俸給等に関する法律というものに当るのではないかと思うのでございますが、この法律によりますと勤務地手当大蔵大臣の定めるところによつて大体出せるようになつておるようであります。ただこれには本俸の一割乃至三割という限定があるわけでございますが、従いましてこの限界の中で出されて行く限度におきましてはこの方は法的には牴触するものがなかつた。若し三割を超過する分がございますればその分については問題はありますが、その枠の中で行われていたといたしますれば一応は牴触しないということになるのではなかろうか、とこのように考えておる次第でございます。
  25. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 速記の方でちよつと御相談申上げますが、大蔵委員会で採決をするので速記をよこして貰いたいということでございますがよろしうございますか。
  26. 千田正

    千田正君 先程申上げました通り私の質問はこれで打切りまして、これは重大な問題でありまするから、意見対立大蔵省会計検査院との間に、妥当ではないという意見と、妥当であるという意見対立があると同時に、法制局としての法的の疑義が相当残つておるようでありますから、決算委員会としては愼重審議した上で結論を出して頂きたいと思います。
  27. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十分散会  出席者は左の通り。    委員長    前之園喜一郎君    理事            中川 幸平君            カニエ邦彦君    委員            大矢半次郎君            小杉 繁安君            西山 龜七言            井上なつゑ君            尾山 三郎君            常岡 一郎君            山崎  恒君            谷口弥三郎君            千田  正君            矢嶋 三義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    内閣官房長官 菅野 義丸君    人事院給与局長 瀧本 忠男君    大蔵省主計局長 河野 一之君   法制局側    法制局第一部長 今枝 常男君   説明員    総理府恩給局長 三橋 則雄君    会計検査院事務    総裁長     東谷傳次郎