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1950-07-29 第8回国会 参議院 経済安定委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件日本経済の安定と復興に関する調査  の件  (経済現況安定長期計画に関す  る件) ○継続調査承認要求の件 ○時局急変による経済対策陳情(第  三十八号)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日は第四回になつておりますが、前回の委員会におきましては、調査事件議題といたしまして、安定本部長官及び次官に対して質疑行つたことと、その質疑の終了後、経済白書中心として説明を聞いて、これに対する一般質問行つたということになつております。  本日の議題としましては、同様に調査事件をかけで御質問をやつて頂くということと、それから陳情が一本ありますから、陳情一本の審査を願いたいということ、恐らく今国会委員会はこれで最終になると思いますので、調査事件未了報告その他の事務的な処理を終了したいと思います。最初調査事件議題といたしたいと思いますが、前委員会の時にちよつと問題になりまして、委員長が預つて善処を約しました外資に関する法律の問題につきましてちよつと触れたいと思います。前委員会におきまして稲垣議員質問から発展しました外資法案の十五條二項の字句が、確か第七国会委員会審議しておつた際には「物」という字になつてつたのが、知らん間に「もの」という仮名になつている。これについてこういうふうな変更があつたのか明瞭でない点がありまして、その事情委員長調査しまして善処を約したわけであります。政府及び議事部等と連絡してその後の事情調査して見ましたところ、五月の一日に政府からの正誤表としての、字句修正正誤表として出ておるわけであります。併しながら正誤御存じのように今期末には非常に沢山あるものですから、内容的な意味を持つた正誤と、完全な字句正誤との仕分げ事務局でも十分にできなかつたとみえまして、この委員会審議されておる期間中、つまり五月の二日までの間におきましては参議院の議事部中心とする事務局からも、この問題に対しては委員会に何らの報告もありませんし、記録を調べてみましたところ、政府の方からもこういうふうに修正をしたとか、或いはそれに類する発言も全然ないつのであります。従つて先達て委員会におきまして安定本部長官からは、修正をした上でこの委員会審議されておることと考えておる、了解しておるという発言がありましたが、これは安本長官の方の思い違いで、手続きは了しておつたけれども、実際にはこの委員会には修正されたものが書かれなかつたという結論になるわけであります。そうして実際の正誤手続が各議員に対して形式的に配られたのは、この委員会も本会議も終了してしまつた、そうして第七国会も終了してしまつた十五、六日頃になつておるわけです。この問題を今どうするといいましてもちよつとやりようのない面倒なことになつておるわけでありますが、当時の記録その他を見ましても、この委員会の空気の態勢は「物」という字では非常に限定された意味を感ずると、むしろ今度の修正になつておる可なりのものと言つた方が望しいくらいな内容になつておりますので、やはり済んだことをとやかく言つても仕方ないことだと存じますから、いい方に修正になつておると、こういうように了解しまして、ただ政府とこの委員会及び事務局とこの委員会との間に十分な連絡がなかつたために今のような喰い違いがありましたので、委員長としてもこの点極めて遺憾に存じておる次第であります。このような問題が今後再び起らないように一つ政府の方でも十分に今後御注意を願いたいと思います。
  3. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今委員長からお話になりましたように、外資に関する法律法文訂正に関する点に関しましては、手続上誠に遺憾な点がありまして、申訳がございません。当然五月一日に両院へ内閣官房から連絡した以上、まだ二日の今期がありましたのですから、政府から委員会の方へも口頭ででも通達することが至当であつたと思いますが、それが、行われておらずに終つたといううことに対しては、誠に恐縮に堪えない次第であります。今後はよく注意をいたしたいと思います。
  4. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今の問題は、政府の方で遺憾の意を表されておりますから、今後を約して次の問題に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは、第二の問題に入りまして、調査事件に入りたいと思います。藤野さんから質疑があつたと思いますが……。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は朝鮮事件の結果、対馬国土計画についてお尋ねしたいと思うのであります。我が国防衛第一線であるところの対馬の現状はこの間配付されました未開発宝庫対馬実態報告というのに詳しく書いてあるのでありますから、大体の説明をしてみたいと思うのであります。対馬日本海の西の果である九州と朝鮮との間にあつて、釜山へは三十五海里、博多へは七十二海里、平戸へは五十三海里というような地点にあつて南北が十八里、東西が四里、総面積が七万一千四百三町、そのうち農耕地が二千四百七十三町というようなところで、総面積に対する農耕地の割合は僅かに三・四%であるのであります。町村の数は十三で、人口は五万七千人、このうちに朝鮮人が二千百十四人いるのであります。又、二十四年度内の密航者の数を調べて見ますというと、千三百十五人、こういうふうに密航者も多いのであります。人口の密度を調べて見ますというと、全国で最も稀薄しておるところの地であるのであります。又山が非常に多くて平地が乏しく、地形が非常に複雑で道路を開くことが非常に困難であるのであります。その上に歴代の政府が離れておるというようなところで、この開発に力を入れなかつた結果、自動車が通るような道が非常に少いのであります。そこで陸上の交通は馬の背中によつて行くより外方法はない。であるから結局は船によらなければできない。船によるとしたならば天気の惡いときには交通ができない、こういうふうなことで非常に交通が不便な地点になつておるのであります。終戰前までの対馬経済状況を調べてみますというと、朝鮮との関係が六割で、日本内地関係が四割であつて、殆んど朝鮮に依存しておつた言つて差支ないような状況にあるのであります。こういうふうな対馬状況でありますから、今回の朝鮮事件の突発からいたしまして、我が国防衛第一線にあるところの対馬開発計画というものは速かにやらなければできないと、こう考えるのであります。対馬防衛的見地から開発計画をやるといたしましたならば、縦貫道路を完成するということと、警察隊及び監視船強化であると思うのであります。然るに警察隊及び監視船強化というものは、今回政府計画しておられるところの警察予備隊の新設及び海上保安庁の強化、こういうふうなことででき上るのではないかと思つて喜んでおるのであります。併し縦貫道路ができなかつたら、折角できたところの警察予備隊も行動ができないというようなことになつて防衛支障を来たすと思うのでありますが、長官時局の重大に鑑みまして速かに対馬縦貫道路を完成される意思があるかどうか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  7. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 只今藤野さんのお話になりましたように、対馬というものの開発につきましては、これは今日まで非常に考えられておつたのであります。朝鮮事変が起ると起らざるとに拘らず、どうしてもあの島の開発をやることが必要であると考えておりまして、総合開発計画等お出しを願つて、国として今度国土総合開発審議会というものができましたので、そういう方面から積極的に採上げて考えるつもりで進んでおりましたが、たまたま朝鮮事変が起きて来たのでありますが、その間に処して、今お話したように一番大事な産業の面から申しましても、治安の防衛の面からいたしましても、南北に縦貫する道路を完成する必要が十分に感ぜられますので、只今それに関する具体的の策を進めつつあることを御了承願いたいと思います。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 具体的の策を進めておられるということであるのでありますから、どうか対馬防衛上又産業開発上重要なる位置を占める縦貫道路の完成についてできるだけの御尽力を願いたいと思うのでありよす。  次に私は灌漑排水用電気料金についてお尋ねしたいと思うのであります。電気料金米価との騰貴率を調べて見まするというと、昭和二十一年を基準として計算して見ますれば、昭和二十四年までの電気料金高騰率は平均いたしまして一三・七五倍であります。然るに米の方は七・七倍であるのであります。而して昨年になつてから更に電気料金を上げられたために、耕作者負担というものは非常に大きくなつたのであります。二十四年の十二月の電気料金改正でどうなつたかと申しまするというと、全国的には三二%の値上りであるのであります。灌漑排水用電気料金は従来の特典であつた即ち電気料金の三割の値引、使用しない月の基本料金の免除というふうな特典がなくなつてしまつたのでありますから、全国的に見て一・七五倍の値上りになつたのであります。而も今回の改正電気会社地域別料金が定められたという点と、大口電力最低月額料金制度が定められたために、六十乃至七十馬力程度のものが非常に不利益な状態になつた。又年間最低料金が定められた結果、二、三ケ月しか使用しないところのものが非常な不利になつたという点にあるのであります。又今回の騰貴は使用の地区毎に見ますればその騰貴率が非常に異なつてつて、従来の電気料金の五乃至六倍になつたもの、或いは反当の電気料金が千円を超過するような結果になつておるのであります。今米価電気料金との関係を考えて見まするというと、昭和二十四年度の農業パリティ指数から考えて見れば、電気料のウエイトというのは脱穀調製用として盤か計算されるだけであつて電気料金上つたからといつて米価には影響しないのであります。従つて反当の費用が千円を超過するという苦境においては、農業経営が成立たない、従つて耕作を抛棄しなければできない、こういうふうな状況に陥るのであります。国内食糧自給度を高めなければならないということは、今更私が申上げるまでもないような状態にあるのであります。そこで私がお伺いしたいと思うのは、長官は従来通り灌漑排水用電気料金の特殊の性質に鑑みられまして、従来通り三割引の実施をされるところのお考があるかどうか、これを先ず最初にお尋ねしたいと思うのであります。
  9. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 農業用電力についての料金が急に高くなつて農業経営上非常に困る、それで元に復さないかという御質問のようでありますが、この点については私共非常に心配し苦心をしておる最中でありまして、何とかお話のような趣旨に副うように努力はしたいと思つております。後はちよつと速記を止めて下さい。
  10. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を止めて。    〔速記中止
  11. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて、
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 灌漑排水用電気料金食糧増産上に特別の関係があるのでありますから、安定本部では農林省、通産省、或いは大蔵省というような関係方面と十分に御協議を願つて、できるだけ農家の負担が軽減せられ、食糧増産ができるように御高配を願いたい、こういうふうにお願いいたしたいと思うのであります。  次に私は国土計画と新農村建設計画についてお尋ねしたいと思うのであります。経済安定本部では、総合国策樹立のために資源調査会であるとか土地調査準備会とかいうようなものを設けられて、総合国策樹立の基礎の調査を進めておられるということは喜びに堪えないのであります。又経済調査庁の方では、農村経済の中核である農協の経済転換期実態調査してこれが対策考究中であるということであるのであります。又農林省では、昭和二十五年度農村建設計画実施要綱というようなものを定められて、関係の県に示して、我が国土の大部分を占めているところの農村建設計画樹立中であるという話であるのであります。国策樹立するのは全国的の計画を立てると兵に、町村個々計画を立てることが緊要であると思うのであります。即ち町村個々計画を立てて、町村のものが安心して自分の家業に従事し、農業生産力を増進し、各自の経済改善を図つて住みよい町村とする具体案を作らねばならんと思うのであります。この点については過去の歴史を考えて見ますというと、昭和五、六年の頃に農山漁村が非常な不況のどん底に落ちた際に、政府では経済更生運動を起されたのであります、これは御承知の通りであるのであります。今日の農村状態から考えて見まするというと、この往年の経済更生運動の例に倣つて政府一体となつて農山漁村の難局を打開して行く国策樹立するところのことが一番急務であろうと思うのでありますが、長官は新農村計画を立てるということについてどんなお考を持つておられるか、お伺いしたいのであります。
  13. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 藤野さんのお話、誠に御尤もでありますが、お話にありましたように昭和四五年におきまして農村経済更生計画というものが強く推進され、相当効果を挙げたということは私も承知しております。ただその当時は農山村が独り疲弊して、商工業方面は非常にまだ栄えておつた時でありまして、どららかというと外に向つて農山村を護るという恰好が強く出ておつた時だと思います。今日は併し農村といわず山村といわず、商工業全般亘つて日本産業が全般的に砕かれておる後であります。その際における農村計画樹立と申しまするものも、従来とは変つて産業日本国の全体と総合調和しつつ、而も農村の弱いところをしつくりと案を立てて行くという形でなければならんと考えます。その意味において私共の方では目下全国的に各産業を含めての総合復興計画ということの線を考えて立案中であります。その中には当然農村農村としての特色を考えつつ適切な案を立てたいとは存じますけれども、只今申しましたように他の産業との間に総合調和された案でなければならんと考えております。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 各産業との調和したところの農村計画を立てられる、こういうふうなお話であるのでありますが、それは御尤もであろうと考えるのであります。ただ農村計画を立てられる際において私の考えておるのは、町村におけるところの最末端である部落団体整備と、その活動促進であると思うのであります。現在における供出の面であつてでもその他の面であつてでも、各部落団体長はあらゆる犠牲を払つて、何たる報酬も貰わずして活動しておるのであります。又この活動如何によつて地方は栄え、又衰えるのであります。でありますから、今後の農村計画を立てられる場合においては、部落団体整備とその活動促進ということに努力しなくちやできないと、こう考えるのでありますが、この点についてお考をお伺いしたと思うのであります。
  15. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御尤もでありますが、大きな面から言えば農業関係につきましては、農村の或いは農業基本をなす基本施設に関する施策が大きく採上げられて計画を立てられなければなりませんが、主として経営方面流通面等における関係において、農村における団体、殊に農業協同組合等中心に力強くこれを育成して行くということは同感であります。
  16. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今農業協同組合お話があつたのでありますが、最末端実行機関としては、さつき申上げましたような部落団体強化し、流通面においてはどうしたつて農業協同組合強化を図らなくては経済的部面活動はできないと思うのであります。この点はできるだけ一つ御援助をお願いしたいと思うのであります。ただ私の考えるのは、農地改革目的農業改革へ進んで行かなくちやできないのであります。農業改革によつて農業生産力を高めるようにして行かなくちやできないのであります。その農業生産力の増加によつて初めて農地改革目的を達成することができると、こういうふうなことであつたなれば、さつき長官は総合的の計画を進めておると、こういうふうなお話であるのでありますが、その中でも特に国土の大部分を占めているところの農耕地関係がある、農村の振興を急に図つて行つた方が、すべての点から言つて国力の回復のためにも非常に好ましいことであるのじやなかろうか、こういうふうに考えるのであります。従いまして新農村建設計画のためには、できるだけ沢山の予算的措置金融的措置を講じて貰いたいと思うのでありますが、大体それに対するところの具体的の案があつたならば伺いたいと思うのであります。
  17. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 藤野さんが今お話のように農地改革というものを完成させるについては農業改革が必要だということ、これは尤もな話であります。私共も過去の農地改革というものが、自作農にはなつたけれども、過小農形態であるということは相も変らずその通りであります。従つてこれが経営の安定と、農業というものを更に国策上他の産業への貢献を高めるために、しつかりさせるためには、何と申しましても今後における農業のやり方についての改革が必要である。その面において農業技術改善とか、農耕法改正ということは勿論つきまとうのでありますが、その中に今お話のように最も生産力を増強するためにも必要な農耕地の問題を考えよということについては、同感であり、我が党の政策としても又現政府政策としても、この面は強く今度出して行くつもりであります。例えば土地改良、或いは場合によつて、干拓、開墾というような面に進むことは勿論でありますが、同時に忘れてならんことが治山治水における、山を治めることであります。如何土地改良をやりましても、ともすると忘れ勝らなのは山の政策であつて、山というものは農耕地一体なので、だから農業土地について考えるときに、山を忘れたら土地改良も何も全部駄目になる。そういう面を広く採上げまして、我々の総合開発計画については勿論のこと、差当つての来年度予算等措置につきましても十分にこれを織り込むべく今計画を進めております。まだ金額等は決めておりませんが、でき得る限り予算について多くを出して処置したい。こういうことに進んでおることだけを申上げて置きます。
  18. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 藤野委員質問は終了したのですが、他に特に長官に対する御質問がありましたならば、先程言いましたように、半までに衆議院の方にという要請がありますので、長官に対する御質問がありましたならば何かお願いいたします。
  19. 中川以良

    中川以良君 この前お願いして置きました特需物資に対する御計画等、大体もう安本の御方針が決まりましたでしようか。
  20. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 若しなんでしたら、この前その話、次官が十分聴いておられますので、このあと次官のほうからでもお話を願つた如何でしようか。
  21. 中川以良

    中川以良君 結構です。
  22. 山本米治

    山本米治君 先程の農業問題に関連いたしまして、段々明年来統制が外れて来まして、米の価格パリテイ計算で今までやつておりますが、そうすると一方が自由価格になつておる米の価格だけは相変らず統制されるということになりますと、パリテイ計算というものも、年に一回決められて、一方が自由価格になると初中終動かなければならんことになつて来ますが、この点どういうふうになるものでしようか。  又米の価格はこの秋どう決められますか知りませんが、これは今の時局と関連して、インフレ気配言つては言い過ぎかも知れませんが、こういう情勢と関連しまして米が又上るということになりますと、又賃金の問題とも関連して、ぐるぐる廻りということも起りますが、こういう米価問題に関しまして長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  23. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 米価に関しましては、これが国民の主要の食糧であり、関係するところが非常に大きいために、従来の米価というものはやや外と比べましては低いのじやないかと思う程に決められておつたということは事実であります。そこで各般経済状態が前と変つて来て、最終においてはできるだけ米価について考慮しなければならんし、考慮したい。こういうのが今の政府の考え方でありますが、その際に今お話のように、外のほうが大分自由な価格になつておるために従来のパリテイ計算方式というものがいいか惡いかということについての御議論は尤もであります。私共の価格パリテイ方式とか、或いは所得パリティ方式とか、或いは生産費による計算方式とか、いろいろ考えておりますが、どれも一長一短があるわけで、まだどれおということには決定しておりません。今如何なる形に今後の米価決定に対処するかということについて慎重に考究中でありますので、只今まだどういう形で行くかということは申上げかねますけれども、いずれにしても何らか米価については従来と違つて、多少引上げなければならんと、こういうふうに考えております。その間において今お話のように、それじや賃金ベースとの関係があるじやないかということですが、これはたびたび大蔵大臣も機会ある毎にお尋ねに対して答えておりますように、当然米価等の決定される時期、或いはその将来を見越して、その時において賃金ベースについても各般情勢を総合して考えたいということを申しておりますから、これと見合つて考えるようにしたいと思います。
  24. 山本米治

    山本米治君 ちよつと今度は方面が変りますが、外貨導入芦田内閣以来のことでありまして、非常に日本側熱心になつておりまして、又これがあれば日本経済復興に非常に便宜であることは申すまでもないのでありますが、これまでの経過を見ますと、こちらの大きな期待に拘らず、余り来ておらんようであります。最近外貨委員会などの機構も変つたようでございますが、最近の時局と関連して今までたださえ来なかつた外資がこういう時局になりますと一層来にくくなるのではないかと思うのでありますが、外資導入問題の見通し如何なものでございましようか、お伺いしたい。
  25. 平井富三郎

    説明員平井富三郎君) 外資の問題につきまして、朝鮮事変が起りました以後、従前の状況と別に変つた状況はまだ現れて来ておりません。朝鮮事変が起りまして、これの先の見通し等につきまして当然投資する方の側にも、いろいろな考が起り得ると思うのでありますが、只今のところにおきましては、別段従来の決まりましたものについては支障なく進行しておりますし、外資委員会に現れました限りにおきましては、只今のところ別段そのために非常な影響を受けているということは見られないような状況です。
  26. 山本米治

    山本米治君 今まで外貨導入の問題は、殆んど問題になつておらんから、従つてこういう事変が起りましても支障がなかつたでありましようが、問題になつているとすれば相当支障があるのではないかと思うのですが、最近で、多少、これはというようなものがありますかどうか、一点お伺いしたいと思います。
  27. 平井富三郎

    説明員平井富三郎君) 最近特に新しい案件としては大きなものは出ておりません。従来から山本さんもよく御存じ程度案件が引続き話合が進んでおるという程度でございます。これらも今度の事変で話が非常に引込んで来たというような情報はまだございませんので、大体の状況は変化がない、こういう現況でございます。
  28. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは予定の時間も大体参つたと思いますが、長官の御退席御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) では御苦労さんでした。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  30. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。  それでは質問がまだあると思いますけれども、一応第一の議題に関する質問は次に留保いたしまして、次の議題陳情の御審議を願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは陳情の第三八号時局急変による経済対策陳情議題といたします。  これは経済同友会の浅尾さんからの陳情でありますが、簡單に先ず專門員から要旨の説明を願います。
  32. 桑野仁

    ○專門員(桑野仁君) 内容は大体五項目ございまして、大部分金融的な措置を要望しております。この趣旨は、朝鮮事変が勃発してから、非常に我が国経済環境は激変し、これに適応するためにはこれまでの財政経済政策を大幅に再検討する必要に現実に迫られておる、それで取敢えず次の諸点を要望したい。  第一には、余裕外貨資金の活用による必要物資の輸入促進について、余裕外貨資金は現在ドル資金約一億二千万ドル、ポンド資金が八百万ポンドである、これについてこの余裕外貨資金を以てこの際輸入の増大を急速に図つて貰いたい、それで輸入すべき物資は製鉄原料、繊維原料、化学原料等と及び国内のインフレ傾向を防止するに役立つような物資を入れて貰いたい。  第二番目は、朝鮮事変その他の特需に対し所要円資金の調達を円滑にする緊急措置を講ずること、こういう特需は代金回收は最も確実である、然るに現状においては代金受領に至る期間までの所要田資金に対する融資措置が円滑でない、よつてこれに適応せる特殊の日銀等融資措置を講ぜられたい。  第三番目は、調達庁その他の政府支払につき前払制度を至急復活すること。  四番目は、金融繁忙化の事情に鑑み、各種金融対策につき、この際至急実情即応の最善措置を講ずること、この場合に言つております金融対策というのは、前の二番目の特需に対する所要円資金の調達を円滑にする緊急措置というようなことと関連しておる面もあるようでありますが、大体例えば見返資金の急速な運用、預金部資金の市場還元措置復興金融金庫の過剰回收資金の活用、肥料その他の公団廃止に伴う金融措置等につき、至急その解決を図られたいと言つております。  五番目には、日銀金融と財政資金運用との両政策を綜合一元化するため、両者を統合一元化する措置を至急講ぜられたい。わが金融が最近少からぬ凸凹状態を繰返し、産業活動を阻害するところ多大なる根因は、財政資金の運用と、日銀金融政策との間に綜合統一性を欠いておるというような二元的に動いているようであるが、この際両者を綜合統一し、一元的にこの金融対策実施せられたい、大体こういう趣旨であります。
  33. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今專門員から御説明しましたような趣旨の陳情でありますが、特に政府の方で御意見ございませんか。
  34. 福島正雄

    政府委員(福島正雄君) このことは私兵非常に心配しておりまして、先程中川委員からの御質問の題目だけ伺いまして、その間に当然この問題が入つて来ると思います。大体これらにつきましては、概括的なお答ができると思います。一応の見解を申し上げましようか。
  35. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) その陳情をこの委員会で処理するにつきましての政府の御意見を承ればいいのです。
  36. 福島正雄

    政府委員(福島正雄君) 第一が、余裕外貨資金の活用による必要物資の輸入促進について。この問題は、物が出てそして外貨だけ溜まるという状況が面白くない。やはり物が出つぱなして金だけ残つたんじや日本産業について面白くない影響があるから、早く積み上げた外貨を以つてなくなつた資財を補充せよ、こういう意味と思います。このことは毎四半期毎の輸入計画と同時に、更にそれに附け加えて何がしかの追加輸入或いは繰上げ輸入と言いますか、そういうふうな形において、この要求を満したいと思うのであります。ただ追加輸入、繰上げ輸入につきましても、多少技術的な相違がございまして、七——九の予算が約二億六千万ドルに決まつておりますが、その中で特に緊急度の強いものを先にやるという技術的の差があります。それから予め七——九の予算に入れなかつたけれども、特にこの際事変の影響上、特にこの際入れておきたいというものが若干ありますので、七——九の予算以外に資金の許す範囲において、これを緊急に輸入したい。こういう二つの段階があります。それでこのラインにつきましては、この点につきましては是非そういうふうな手段で輸入を促進すべく司令部とも相談をいたしております。  それから第二の朝鮮事変その他の特需に対し所要円資金の調達を円滑にする緊急措置を講ずる、然るに現状においては、代金受領に至る期間までの所要円資金に対する措置が円滑でない、特段の措置を講ぜられたい。こういうことでありますが、現在までにおきましては後程お答えをいたします中にありますが、或る程度の特需が起つておりますことについて、まだはつきりした、断片的の情報より掴んでおりませんので、それに関する円資金がどの程度まで窮屈であるかということについての多少情報の不足があります。で、概括いたしますと、現在の特需の段階は、今まで売れ残つた品物が、幸いにして買われたという段階が特に多いのであります。今後の注文も無論ありますけれども、それについてまだ十分な情報を持ちませんので、ストックが、一つの例でいいますと鉄條網、あれなども相当ストックがありましたものが一ぺんに捌けた。従つてその面でその業者が金融が楽になつたという状況はありますけれども、多くの注文を受けて、その準備のための仕込資金が足りなくて、注文が受け切れないというふうな確定的な情報はまだ手にいたしておりません。それらを心配いたしまするために、司令部から今後の調弁の大凡の大きさ、時期等についての内報が欲しいということを申しております。従つてその第二の円資金の調達を円滑にするという問題は、すぐ引続いて緊急の措置を講じなければならんと存じます。  第三が調達庁その他の政府支払につき前払制度を至急復活する。これはこの文書には事変勃発のため、とこうありますが、事変の特需が調達庁を通しまするや否やは多少不明の点がございますが、私の観察では事変予備費は調達庁を通さないのではないかというような観測を持つております。調達庁は占領軍の需品関係にほぼ限られて、この事変関係の特需は別の機関が、若しも作られるとすれば別な機関が新しくできるのではないかという感じを持つております。この辺につきまして、まだ自分らの段階ははつきりまとまつておりません。  それから四が、時局に基く金融繁忙化の実情に鑑み、各種金融対等につきこの際至急実情即応の最善措置を講ずる。これは特段にお答えをいたしません。  五が、日銀金融と財政資金運用との両政策を綜合一元化するため、両者を統合一元化する措置を講ぜられたい。これは私からお答えいたしません。恰度政務次官がおられますから。
  37. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 特に附け加えられることがございますか。
  38. 小峯柳多

    政府委員(小峯柳多君) 日銀の金融と財政資金の運用との調整をやるということなんでありまして、恐らくこれは最近の日銀の考え方、或いは総裁の談話などから窺われて、ややもすれば少し財政的な線とは喰い違つておるのではないかというふうな印象があつてのことだろうと考えますが、オーソドツクスの考え方から申しますと、金融はコンマーシヤル・ベースにのせて、金融自体の動きをするということになると思うのでありますが、日本の最近の経済の金融というものは財政が御承知のような組み方で金融に皺を寄せておりますから、そのオーソドツクスの金融だけで払えるかどうかということは非常に疑問があります。ただ最近の金融の貸出状況が、預金の伸び方が鈍くなりまして貸出か反対に殖えて、九割を超える貸出率になつておるようなことで、銀行の方から、金融機関の側から自衛上の態勢が探られるようになり、それを日銀の総裁が代弁するような形になつております。併しこれは貸出率が殖えておりますが、例の債務償還、国債の買上げなんかで、従来国債で持つておりましたものが資金になります。それが貸出しに廻つているという形でそういう状態になつたと思いますから、これは公式的な堅実論で論ずべきでなくて、むしろこの際又新しい観点から財政と金融との一体化ということは是非必要であろうと思います。それにつきましてもそれぞれの立場はあるようでありますから、日銀と大蔵省と安定本部と三者一体になつてこの金融の繰廻しをするように、一頃は日銀総裁と大蔵大臣安定本部長官で三人委員会というものが非公式にあつたのでありますが、これが中絶している現状で、至急にこれを復活いたしまして、この要望のような措置を講じたいと安定本部においては折角努力中であります。
  39. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 政府の方の説明は終りましたが、特に御質問或いはこの陳情の処理についての御意見がありましたら……。
  40. 中川以良

    中川以良君 本陳情はいずれも極めて重大なる問題を採上げておりまして適切なる意見であると思います。私はこの陳情はこの委員会で採択すべきであると存じます。
  41. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を止めて。    〔速記中止
  42. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて。只今この陳情につきましては、本委員会において採択して、そうして政府に送付すべきだという中川委員からの例意見が出ておりますが外に御意見ありませんか。中川さんの御意見に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこの陳情は中川さんの御意見通り採択いたしまして政府に送付すべきものと決定することにいたします。  次いで今日までやつて参りましたところの日本経済の安定と復興に関する調査事件を今国会で打切るか、或いは継続調査として閉会中も継続をするかという問題についてお諮りしたいと思います。特に御意見がありましたらお願いしたいと思います。特に御意見がないようでしたら、先程懇談の際にもお話したような事情もあるらしいので、一応継続調査を要求いたしまして、そしてどういう状態が出ましても、この休み中にでも調査ができるような措置にしておいたら如何かと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは異議ないものと認めまして、本調査事件の継続調査を議長宛に請求することにいたします。  それから、この日本経済の安定と復興に関する調査につきましては、一応ここで、報告書の内容につきましては、委員長にお任かせ願いまして、報告書を提出することにお賛成の方の御署名を願います。   多数意見者署名    山本 米治   中川 以良    羽生 三七   藤野 繁雄    永井純一郎   野田 卯一    泉山 三六   —————————————
  45. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは議案を元に戻しまして、本調査事件に戻つて質問の継続をいたしたいと思います。  それでは特に外に御質問がなければこれで委員会を終了したいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは委員会を閉会いたします。    午後二時四十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            中川 以良君            永井純一郎君    委員            泉山 三六君            野田 卯一君            山本 米治君            藤野 繁雄君            羽生 三七君   国務大臣    国務大臣政府委    員       周東 英雄君    経済安定政務次    官       小峯 柳多君    経済安定本部副    長官      福島 正雄君   説明員    経済安定本部総    裁官房長    平井富三郎君    外資委員会事務    局長      賀屋 正雄君   事務局側    常任委員会專門    員       桑野  仁君